商工委員会日本経済の総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員会 第6号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/07/13
会議録
○山手小委員長 これより会議を開きます。 まず経済白書について、政府側より説明を聴取することにいたします。田中政務次官。
○田中(龍)政府委員 ただいま御提出いたしました経済白書につきまして、御説明を申し上げたいと存じます。 経済白書は、毎年七月に、前年度の経済万般につきまして、総括的に記載をいたしたものでございます。この白書の性質から申しましても、要するに振り返ってあとを見るといったような記述の方法をとっておりまして、さような関係から、いわゆる行政庁の施策を開陳するというよりも、むしろ客観的な表現をいたしておる次第でございます。この白書の内容につきましては、担当の政府委員から詳細御説明を申し上げます。よろしくお願いいたします。
○須賀政府委員 ただいま政務次官からお話がございましたように、近くわれわれの方で、今年度の経済白書を閣議に報告いたしまして、公表いたしたいと考えております。それで事前に当委員会に、その概略を報告申し上げたいと思うわけであります。 お手元に年次経済報告書の要旨を差し上げてございますが、これは今年の経済白書の総説のごくあらましを書き抜いたものでございまして、大体ここにことしの白書に述べんといたしております。事柄の大筋だけは摘録をいたしておるわけでございます。この要旨の記述に従いまして、簡単に内容を御説明申し上げます。 御承知のように昨年度は、緊縮政策に始まり、緊縮政策に暮れた一ヵ年でございましたので、相当経済の動向といたしましては、特徴のある一年であったわけでございます。それで大体一年間の動きを振り返って見ますると、どういう経過をたどったかということを、初めに大体事実の推移をたどりまして簡単に記述いたしたわけでございますが、それは三ページ以下のところに緊縮政策の波及過程といたしまして、説明をいたしてあるものでございます。この点につきまして、大きな動きだけをかいつまんで申し上げますと、緊縮政策は、御承知のように二十八年の十月ごろからの金融引き締めをきっかけといたしまして始まったわけでございますが、それがさらに二十九年の一−三月ごろから、引き締めの線が相当強められまして、年度の初めごろから、デフレ圧力として、相当の影響を経済の各方面に与えていったわけでございます。その実際に現われました部面といたしましては、第一に物価が急激に下落をした。それから不渡り手形、あるいは企業の倒産といったようなものも、相当目立ってふえて参ったわけでございます。一面工場滞貨等も相当ふえて参りまして、生産の縮小も伴った。鉱工業生産は去年の三月ごろまで、相当のスピードをもちまして上昇して参ったのでございまするが、去年の三月をピークといたしまして、下降に転じたわけでございます。こういう形で、年度当初からかなりデフレの様相を呈して参ったのでございまするが、これが当時の動きといたしましては、あるいは六、七月危機でありますとか、相当いわゆるデフレの自転作用で、ころがって参るのではないか、デフレがかなり急速に進行するのではないかというような見込みもあったわけでございまして、当時といたしましては、六、七月危機説というような声も出たのでございます。しかし結果から見ますると、夏場を迎えまして、ややデフレ機運も底入れの感を呈するような場面が出て参ったのでございます。それはどういう面からきたかということでございますが、四ページの中ごろから、その要因を二、三拾っておるのでございまするが、これは財政支出がかなり多かった、特に二十九年度の財政支出の結果から見ますると、前年度からのズレ等がかなりありまして、二十九年度の年度当初には、かなり財政面からの金が流れております。それから輸出がだんだんと上向いてきた。これはあとで申し上げますが、デフレの直接の影響と、国際的ないろいろな要因が幸いいたしまして、輸出がだんだんふえて参ったわけでございます。それから一面金融面におきましても、デフレの進行とともに、実際問題といたしましては、個々の企業に対して、ある程度の手かげんもしなければならぬというような事態も出て参りまして、結果から見ますると、滞貨融資あるいは救済融資というふうに見られますものも、若干はその当時出ていたというようなことになっておるわけでございます。 そういうような格好で、六、七月ごろまでいったわけでございますが、九月くらいを境といたしまして、次第に局面が変ってきた。従いまして、去年の二十九年度一ヵ年間の経済の動きといたしましては、上半期、下半期がかなり異なった動きをいたしておるのであります。下半期になりますと、輸出が相当なテンポで伸びたということを主因といたしまして、かなり事態が好転をしていったことになっております。これはデフレ圧力の面から、国内価格が下る。あるいは内需が停滞をいたしておりますために、輸出意欲が相当盛り上ってきたというような面が作用をいたしましたのと、一面西欧の活況、その他世界経済全般にかなり活発な面がございましたので、そちらの方からの要因も作用いたしまして、下半期輸出がかなり活発に伸びていったわけでございます。その結果物価もある程度反発をしてくる。それから生産も次第に回復をしてくるというようなことになりまして、大体九月くらいを境といたしまして、経済の諸指標は上向いておるわけでございます。しかしながら、この影響が全般的に現われたかということになりますと、必ずしも全般的に現われたということにはなっておらない。むしろ直接に輸出と関連の多い部面におきまして、ある程度の上向き傾向が見られたということになっておるわけでございます。あとでも申し上げますように、緊縮経済の底流といいますか、緊縮経済の基本の流れは、やはり動いておったわけでございまするので、そちらの面からやはり全般の景気を盛り上げるというようなことにはならなかったわけでございます。 それで緊縮経済の底流として、どういうようなものが取り上げられるかということでございますが、これは六ページ以下にその点を述べておるのでございます。そのおもなものは、設備投資が非常に劣えてきた、いわゆる投資意欲が減退をしてきたということと、個人消費が停滞をしてきたということが、そのおもな原因であると思うのでございます。設備投資は、昨年度一年間を通じまして、相当停滞の色が濃いわけであります。これは金詰まり、あるいは利益の縮小、あるいはもともとありました設備過剰の問題というようなものが、総合的にからんで、そういう結果になってきたのでございまするが、一部の必要な更新、あるいは継続的な合理化投資というようなものを除きましては、新規のいわゆる生産能力拡張のための投資は、ほとんど行われなかったというふうなことになっておるわけでございます。 それから二画、経済の動き全体を非常に強く支配いたしまする個人消費の傾向でございますが、これも去年一ヵ年間を通じまして、その前年、前々年等の傾向と比較いたしまして、非常に停滞的でございまして、消費水準等の伸びも非常に鈍っておるわけでございます。またその背景には、いわゆる勤労者階級の所得等の伸び悩みも非常に顕著になってきた。また雇用の傾向等を見ましても、非常に伸びが鈍りまして、特に下半期におきましては、ごくわずかずつではありまするが、製造業等の部面においては、雇用指数等において、少しずつ下ってきたというような結果になっております。従いまして所得の伸びというものも、非常に鈍って参りました関係で、個人消費の停滞がかなり強く現われておる。また農村の面におきましても、下半期あたりから、農産物価格も、前年度凶作でかなり高い水準にありましたものが、漸次低落の傾向を見せて参りましたし、また農家所得の中で、最近は非常に大きな比重を占めておりまする農外所得等も相当停滞をするような傾向が見えてきたわけでございます。 そういうような動向をたどりまして推移いたした二十九年度の一ヵ年間の経済を総まとめにしてみますると、七ページのところに、昭和二十九年度経済の規模と構成というところで、それを一括して、国民所得その他の面からながめておりますが、かいつまんで申し上げますと、初めに申し上げましたように、年度の動きとしては、上半期に相当急激に低下傾向をたどりまして、それが下半期に、輸出の増加を支えとして、回復基調をたどったのであります。年度の初めの姿と年産の終りの姿というものを比較してみますると、国民総生産その他いわゆる経済の総括的な指標からながめられまする規模としては、大体同じような程度の規模になっておるように考えるわけでございます。それから年度間全体と前年度のスケールとの比較でございますが、これは年度の初めが、かなり高い水準から出発をいたしております関係で、年度間としては、ほぼ横ばいに近く推移をいたしておるのでございます。相当高水準から出発をしたような関係もありまして、緊縮経済の一年ではありましたが、前年度よりも経済の水準そのものが、絶対的に低下するというような形にはなっておらないようでございます。 以上が緊縮政策の波及過程として概略申し述べたところでございます。 次に、緊縮政策の効果としては、どういうような面が見られるかということでございますが、おもなものといたしましては、物価の値下り、それに伴ってかねてから問題になっておりました日本の物価割高の問題が、相当程度解消してきたという面が一つございます。 それから国際収支の改善、これは御承知のように、二十九年度において約三億数千万ドルの黒字を国際収支は記録いたしたのでございまするが、物価の引下げと国際収支の改善が、緊縮政策の当初からの二大目標であったわけでございまするので、その面においては、一応その目的を達成したということがいえるわけでございます。ただ国際収支の面等で、なおこの際われわれが十分に注意をしておかなければならないと考えますることは、昨年度三億三千万ドルほどの黒字を出したのでございまして、前年度の三億ドル強の赤字に比較いたしますと、六億ドル以上の好転になったわけでございますが、その全部を緊縮政策の効果と評価するというわけにはいかないという面が、中身を洗ってみまするとあるようでございます。具体的に申し上げますと、海外要因、いわゆる海外の市況が非常に好転をした。あるいは日英支払い協定の問題でありますとか、あるいは輸入の面において食糧石炭等の緊急輸入がなくなった、あるいは輸入価格がかなり低落をしたというような、いろいろな要素が重なりまして、こういう結果になっておるわけでございます。デフレによって輸出意欲の非常に高進いたしましたこと、また輸入が手控えらはましたようなことが、直接国際収支の好転の原因となっておるのはもちろんでありますが、その以外に、海外要因が相当強く幸いをしておるということも一緒に考えておかなければならぬと思うのであります。 それから第三に、インフレ機運の沈静といたしまして、われわれが取り上げておりまするのは、企業の経営態度の変化、これはあとで申し上げますように、企業の銀行に対する過度の依存を改めるような機運が出てきた。あるいは企業が減価償却等を相当ふやして参って、自巳資本の充実に努めるような態度も見えておる。それから一般経費の節約も、一五%程度、前年度に比較いたしましてよけいやっておるようでありまして、社用消費、冗費等の切り詰めに対しても、企業としてはそういう態勢をとりつつあるというような面が出てきておるようであります。 それから家計の面から見ましても、家計といたしまして、やはりデフレの環境の中で引き締めの機運がやはり強くなっておるわけでございまして、家計調査等で現われておりまする黒字の率等も、前年度に比較いたしますと数パーセント上っておりまして、それを保険でありますとか、あるいは貯金でありますとかいう面に振り向けておる結果が出ておるのでございます。それからぜいたく品消費、いわゆる物品税のかかりまする品物の課税の実績など見ましても、非常に落ついておる実績が出ております。 それから第三にオーバー・ローンの改善、これは昨年度日銀信用が約手四百億ばかり収縮をいたしたのでありまするが、これは企業が借り入れを控えたということと、一面先ほど申し上げましたように、家計の方でも節約をいたしまして、貯蓄に努めたというような結果から、こういうことになったわけでありまするが、最近銀行と企業、それから銀行と日本銀行等の関係についてみましても、相当この面において正常化されて参る傾向が強くなってきておるわけでございます。それらの点におきまして、緊縮政策の効果がはっきりと見られるわけでございます。 それでは、一年間のこういう引き締め政策の経過をたどりまして、日本経済上してどういうような問題が今後に残され、また再認識をされてきた問題であろうかということの二、三を拾ってみますると、これは十ページ以下の、提示された問題というところに掲げておるわけでございますが、一応過去の膨脹経済、いわゆるインブレ的な環境の中で隠されておりましたような問題も、インフレ機運が取り払われてみまするというと、だんだんはっきりとしてくるわけでございまして、今後これらについて十分政府としても総合的に考えていかなければならぬということに相なることと考えるのでございます。それでここに拾い上げました問題は、国際収支の実際、これは先ほども簡単に申し上げましたが、二十九年度の国際収支好転の背景の中に、必ずしも安定的でない要素が相当含まれておる。特に海外からの要因として強く働いた、いわゆる変動性の強い要素がかなり大きく影響しておるということが一つであります。それから特需問題等につきましても、特需は漸次減少して参ったのでございまするが、二十九年度におきまして、なお六億ドル近い特需があるわけでございます。これも今後は年を追うて減っていくと考えられるわけでありますから、十分この点も頭に置いておかなければならぬと思うわけであります。その他人口の増加に伴って輸入がふえていくという問題もありまするし、最近手持ち外貨等も、手持ち量としては、名目的には相当の額、十二ドル億近くまできておるわけでありまするが、その中身をしさいに洗ってみますると、相当減価して実質は評価しなければならぬということになっておるわけでございます。 それから金利の問題等も、これはかねてからいろいろ問題になっておる問題でございまするが、インフレ過程の中で金利体系が小なりしずんでおるわけでございまして、今後金融の正常化を考えます場合におきましては、どうしてもこの面についても十分基本的な考え方をもって臨まなければならぬと考えるわけでございます。それから企業資本の問題でありますが、これは日本が戦争で非常な打撃を受けまして、その後納十年の回復過程をたどったわけでございますけれども、その間におきまする蓄積だけでは、まだ不十分なことは申し上げるまでもないわけであります。それが企業の実際の運営の中にいろいろな問題を包蔵しておるわけでございます。特に最近の傾向といたしましては、資本の回転率が非常に悪くなっておる。それから利潤につきましても、特に二十九年度上半期あたりは、動乱以後の最低というような実績になっておりまして、企業側といたしましても、相当蓄積意欲を高める態度はとっておりながら、利潤そのものが絶対的に相当低下しておるというような結果になっておるわけでございます。こういう企業の資本の弱さでは、今後投資を積極的にふやそうというような場合には、また銀行から相当金を借りなければいかぬというようなことになりかねない態勢にあるわけでございます。 それからその次の問題といたしまして、合理化効果の問題でございますが、数年来相当合理化面につきましては積極的な投資を行われたわけでございますが、現在の段階ではまだその効果が十分に出切ってないような面が多分に見受けられるわけであります。これの効果を十分に出すような手段を考えていくという問題も一つの問題であろうかと思うのであります。 それから最後に雇用の問題でありますが、これは六ヵ年計画のときからこの問題を数字的にも漸次表面に出してきておるわけでありますが、不完全就業者の問題が非常に大きいという、根本的な非常に対策の困難な問題を背景にいたしております。そのほかになお年々七十万程度の就業人口がふえるという問題もありまするので、この雇用機会を与えるという問題が非常に大きな問題であると思うのであります。それらの問題を考えながら、これからいろいろな対策を考えていかなければならぬのでありますが、白書といたしましては一応過去の経済の分析からたどりまして、今後各方面で十分お考えをいただきたいという事柄のアイデアだけを一応頭を出しておくという程度でございまするので、一応ここでは輸出の振興あるいは通貨価値の安定、正常な資本蓄積、蓄積資本の有効利用、雇用の増大という面につきまして総合的に今後十分の対策を考えていかなければならぬ、そのためにまた六ヵ年計画も考えておるのだというような趣旨のことをうたっておるわけでございます。 最後にこの白書の結びといたしましては、経済の一ヵ年の過程をたどってみますると、いろいろな面から見て、今後われわれがインフレ的な環境でなく、日本の経済を均衡ある形で拡大して参りますためには、どうしても輸出の振興というところに最重点を置いていく必要があるだろう。その面に努力と施策を集中することによって、広く雇用の問題に対しても基本的な解決の糸口を見つけていきたいという気持をうたっておるわけでございます。 なおこの今回の白書の全体の気持といたしましては、昨年度の白書はちょうど二一十八年度の膨張経済から緊縮経済へ移りましたときでありまするので、地固めのときということで、日本経済の地固めをやるのにはどうすればいいのかということに主張の力点を置いたのでございますが、今年の白書といたしましては、一応地固め経済の一年をたどりまして、先ほど申し上げましたように地固めの効果もある程度出ておるわけでございまするから、この効果を育てながら前進への道を求めていくというような気持で全体の記述をいたしておるわけであります。詳細は近く発表いたします報告書によりましてごらんをいただくことにいたしまして、ごく要点だけを申し上げておきました。
○山手小委員長 経済白書の説明は終りました。質疑があるようでございますから、これを許します。佐々木君。
○佐々木(良)小委員 この報告の内容につきまして、見方あるいは考え方等につきまして、いろいろ私違った意見もありますし、同感する面もあるわけでございますが、大体において現在の経済の見方は私はむしろ肯定する方が多いのであります。ところで、これは行政官庁から行われた現下の経済の見方でありまするから、問題はこの結びにありまするように、それをいかにして今後の政策に移していくかという点にほとんどかかっておるのであります。今後の政策に移していくその数字、その窓が開かれておらない限り、これは前内閣と同じように、こういうものを作れば作るほどじゃまになるくらいのことで、役に立たぬということになると思います。こういう観点から、現在一番必要なのは政策の総合性と一貫性と計画性がどうしても不可欠なんだというふうに、現在の経済政策を推進する上についての根本的な調査の結果がここに出ておると思います。実際問題といたしまして、私は現在の内閣において、ほんとうに総合性を持って計画を樹立され、一貫性を持って実施されておるかどうかということにつきましては、はなはだ心もとなく感ずるわけであります。特にこの要求から総合経済六ヵ年計画の策定も出てきたのだと聞いておりますけれども、それなら逆に総合経済六ヵ年計画自身の遂行の一貫性を要求するというと、さっぱりどうしようもないというのが実情だと思います。従って私は次の二点を一つ経審長官の代理としての田中さんにお伺いしておきたいのですが、この報告書を作成されて権威づけられた経緯、どういう格好でこれが作られて、そしてこれは経審の意見ということになっておるのか、たとえば閣議でも報告されておるのか、要するにこれが作られた経緯と、今報告されておるこの報告書の権威づけはどういう機関によってなされておるかということ。それから第二点はこの報告書に基いて、次に完全雇用の達成と国際収支の均衡とを実現していくために、政策の総合性と一貫性が要求されて、計画性が不可欠な条件となっておるというのが結びでありますが、ここに書いてあるその政策の総合性と一貫性をどういうふうにして現在の内閣で政策に織り込まれ、遂行されていくか、これを作られた権威と相まって今後の政策に生かす方針と決意を承わりたいと思います。
○田中(龍)政府委員 お答えいたします。第一点のこの白書の成立過程でございまするが、これは昭和二十二年以来、毎年経済の全般につきまして、過去を振り返り、そうして将来に対しまする一つの大きな反省として出されておりまするが、これは経済審議庁といたしまして各部局が動員されまして、そうしてこの白書を作成いたしまするが、内閣といたしましては、これを閣議に出しまして、閣議にもこの要旨を明確に報告いたしてございます。そうしてこれは大体各地に発送いたしまするのが約三千部でございました。そのほか市販をいたしまする分が一万数千に達しております。最近におきましては、この毎年出まする経済白書というもの小逐次非常な理解と共鳴とを呼んでおりまして、われわれはこの経済白書につきましても、各方面の御批判を十二分に受けると同時に、今後の施策の面に行政府としての、深い反省の資料といたしつつもる次第でございます。第二の点でございまするが、御質問の第二の点の、施策の総合性と一貫性という面でございます。われわれは今日まで自由経済という姿において戦後参りましたが、その間には必ずしもすべてが自由に放任せられておったというわけではございません。まず概括的に言うならば、一方におきましては、外貨資金の割当等をいたしまして、その意味から一つのワクがはまっておりまするし、また内政におきましても、あるいは開発銀行等の政府資金の融資等におきまして、特に重要な産業等におきましては、その資金の貸し出し等を重点化いたしつつあったのであります。しかしながら今日までの経過を顧みますれば、各省の施策なり、あるいはまた民間におきまする各産業界等の投資におきましても、前者におきましては、おのおの各省が自己の担当いたしまする範囲の実務に対しまして熱心な余り、おのおの非常に熱意を持っていろいろな計画を立てております。それが国政全般という面から見て、これを調整し、たばねる必要がある。また後者の産業界等におきましては、これまたすでに御承知の通りに、貴重な資金の二重、三重といったような過剰投資も各方面に行われておるような状態でありまして、われわれ今日敗戦後の枯渇いたしました蓄積資本をば最も有効に晴明しなければならぬときに、国としても大きなそこにはロスがあったわけであります。かような次第でございまして、今日までもあるいは自立経済を目標に、何ヵ年計画を立てられたこともございましょうし、あるいはまた輸出振興を目的としておのおの計画も立てたこともございますが、さような見地でなく、今回の六ヵ年計画では、毎年増殖いたしまする百万以上の新しい国民を、これにどうして就労の機会を与え、完全雇用の線に持っていくか、こういうふうな非常に基礎的な線から打ち出しまして、そうして同時にまた昭和三十五年におきましては、労働力人口の一割を目標にして就労の機会を与えて参りたい。そのためにはどうしても産業規模の拡張をかような方向づけでいたさなくてはならぬ。あるいはまた、そのためには輸出入の貿易もこういった規模でなくてはならない。第一次産業から第三次産業に至りますまでの各方面に対しまする就労というものを、こういうふうに拡張していく、こういったような基礎的な考え方から今回は考え方を改めて、ここに六ヵ年計画を策定いたしたものであります。同時にまた年慶計画におきましても、本年はすでに御承知の通りに、内閣の成立も非常おくれておりましたのでありますが、六ヵ無計画の遂行と、ことに前期間三ヵ年間におきまする産業基盤の確立といったような目標から、大蔵事務当局なり、あるいはまた各省方面とも緊密な連携のもとに、総合一体的に、この六ヵ年計画の方向に向って進まんといたしておるのでございます。今回御提案いたしまして、御了承をいただきました経済審議庁の設置法の改正等におきましても、これまたやはりそういうふうな総合調整をいたすために、あるいは各省に対しまする勧告権の問題やら、あるいは総合調整の任務の遂行することができるように改正をお願いたした次第でございます。また同時に、さらに内閣といたしましても、この計画の遂行りためには、各省が一体となりまして、今後この方向に強力に進みたい。同時にまたただいま申しまするように、今回の六ヵ年計画というものの策定の基盤が、あくまでも三十五年におきましては、労働力人口の一割にまで完全失業者を減じて参りたいという、一つの国民的な期待と要望のもとに出発いたしておりますので、その悲願に対しましては、私はおのおの各国民いずれもが待望してやまない線だろうと存ずるのであります。同時に、この計画は広く各界、各方面の十分な御理解と、さらにまたいろいろな御意見に対しましても喜んで耳を開いて、そうしてこの計画は民主党とかあるいはまた自由党とか、社会党とかいうふうなことでなく一つの国民の期待として、広く国民全体の支持のもとに御協力をいただきながら進んで参りたいというのが、今度の六ヵ年計画の策定のねらいでございます。どうぞよろしく御了承願います。
○佐々木(良)小委員 田中政務次官せっかくの御努力のほど了承いたしますが、先ほど申し上げましたように、私ども遺憾ながら今日本の経済状態がちょうどこれに書かれてあるように、ほんとうに政策の総合性と一貫性を要求されておるにもかかわらず、目下田中政務次官の御努力にもかからず、必ずしもその方向をたどっていないのを認めざるを得ないのであります。従いまして、今度どうかなお一そうの努力をされまして、この報告書が単なる調査マンの勝手な調査であり、勝手な熱にならなくて、これがほんとうに政策に反映するように、今後の御努力のほどをお願い申し上げておきたいと思います。私もこの報告書が数年来ずっと次次に出ておることは承知いたしておるめでありますが、ほとんど従来この報告書の中身が政策に取り上げられたためしのないこともまた私承知しているのであります。今度この報告も、そのようなことにならないように、せっかくの御努力をお願いいたしたいと思います。 それからなお蛇足でありますけれども、これを実施することについて、経審の機構の改正の問題も今政務次官お触れになったようでありますが、この報告書が作り始まっておった時分には、今度改正される経審の機構よりも、もっとほんとうは強大であったのであります。強大であったにもかかわらず、ほとんど内容が反映できなかったのでありますから、今度の経審の機構改革あたりで、経審の計画性、一貫性を与えるための政府に対する発言権が増し、調整ができるとお考えになれば、これは相当甘いと存じます。どうかその辺もっともっと渋くお考えになりまして、効果が出るように、せっかく御努力のほどをお願いをいたしたいと思います。大体この方針書や分析書はうまくできましても、具体的な仕事になると非常に相違って参ります。私は先ほど来国土総合開発という問題について、この委員会並びに商工の本委員会においても触れておるところでありますが、国土総合開発の推進ということは、ちょうどこの報告書がずっと前から、数年来作られておった時分から、ちょうどここに示されておると同じように、計画性とか総合性とか、一貫性とかが一番強くむしろ叫ばれておる内容なんでありますがそれが遺憾ながら、まことに残念な状態になっております。私のこの報告書に対する質問は一応これで終りまして、先ほど留保してありましたところの総合開発の問題の質問をいたしたいと思いますので、この報告書に対する質問を終りたいと思います。
○山手小委員長 速記を止めて。 〔速記中止〕 —————————————
○山手小委員長 それでは速記を始めて。 それでは次に国土総合開発に関する件、電源開発に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますから、順次これを許します。佐々木良作君。
○佐々木(良)小委員 国土総合開発、電源開発、電力問題等、たくさんの問題を含んでおりますが、従来からの関係がありますので、私はその中の特に国土総合開発問題が、計画の立案機関は相当やかましくできておっても、その施行が決して総合性、一貫性をもろて行われがたいという実情にありますので、その点の調査を進められる一環といたしまして、先ほど来提示いたしております十津川、紀ノ川総合開発の一部の実施状況につきまして、質問を申し上げたいと存じます。 まず第一に、十津川、紀ノ川総合開発の現在の実施過程は、私どもが承知しておりますところの、これは二十四年でしたかの国土総合開発審議会かできめられて、それが電源開発が発足すると同時に具体的の施行の一部を電源開発会社が持ち、一部を建設省が持ち、一部を農林省が持って、現在まで至っておると思いますけれども、この計画の遂行に当って、それ以後特別な正式な変更があったかどうか、計画の立案の一環であるから一つお聞きしたいと思います。最初から実施の計画変更があったかどうか、簡単でけっこうですから、お伺いしたい。
○水野説明員 当初きめました計画に基きまして、費用のアロケーション、これは御質問ございましたように、共同多目的な施設でございますので、共同施設につきまして電源開発会社、建設省方面におきまして、費用のアロケーションが必要なわけでありまして、当初この猿谷ダム並びにこれの一環の共同施設につきまして、電源開発株式会社が六十三、建設省が三十七、こういうような比率で進んでおりましたが、その後猿谷ダムその他電源施設も含めて、補償関係とかその他におきまして、二十九年になりましてそういう費用の増高をきたすという事態が明らかになりましたので、経済審議庁が中心になりまして、関係各省に相談いたしまして、費用のアロケーションにつきまして相談をいたし、ただいま申しました費用のアロケーションの比率につきましてこれを変更するという措置をとったのでございます。その変更いたしました結果、大体電源開発会社が四十九ほど、公共事業費が五十一ほどに、費用のアロケーションを変更したという事実があるわけでございます。そういうようなことを変更したというのが、これまでの変更になった部分でございます。
○佐々木(良)小委員 費用の問題もずいぶんあると承知いたしておりますが、端的に一つ私が聞きたいと思いますのは、ともかくもそのうちの西吉野の第二発電所の問題は、ともかく六月の中旬に完成をいたしておるのにかかわらず、その全能力を発揮するためには、猿谷のダムができなければ水が取れないのでありますけれども、全能力を発揮しなくても、自然流量の水があるにもかかわらず、ともかくもこれが経済価値を持つ電気となっておらない現状につきましては、これは公益事業局長は御承知だと思います。この事実をはっきりと認められるならば、この責任は、国民に対してだれが負うべきかということを一つおのおのの立場で、明確にお答えを願いたいと思います。
○中島政府委員 発電を開始しますためには、工事の認可がいるわけですが、その認可をいたしますのは、関係の県知事であります。知事が認可をする場合に、通産省並びに建設省の意見を聞く手続がいるわけでありまして、この第二発電所につきましては、六月二十一日付で意見の照会がそれぞれ建設省並びに通産省にきております。両省の打ち合せをしました上で、両省同じ意見を県にやりまして、その上で県が認可の処置をする、こういうことになるわけであります。従って発電開始に対しまする責任は、関係の県知事と通産大臣、建設大臣が持つわけであります。現在まだこの県の意見に対しまして処置が行われておりませんが、その理由は、県の方から伺われてきております中に、こういうふうな条件で許可をしたいということを言っております。その条件の一つ一つにつきまして、最近にいろいろ打ち合せをして、多少適当でないところもございますから、そういう点は修正をしなければならぬところがございます。 それからいま一つ大きな問題は、第二発電所に関しましては、これは奈良県の管轄区域内の問題でありまして、奈良県知事が認可をする、ただ全体的な総合計画の一環として行われております関係上、和歌山県にも関係がございますので、和歌山県知事の意見を添えてきております。和歌山県知事の認可条件というものがその中にあるわけでありますが、それには西吉野の開発に直接関連のない熊野川流域の道路を補修するということを条件にしてもらいたい、こういうふうな意見がきております。これは完全な補償問題と離れたような関係になっておりますので、県の意向も確かめました上で、そういうものは一つはずしてもらおうということで、ただいままで県の方とも交渉いたしております。そういう関係で少し時間が延びておりましたが、大体県の意向もわかりましたし、最終的には建設省と打ち合せまして、できるだけ早く本省の方の意見を奈良県の方に対しまして言ってやりたい、その上で奈良県知事が認可をする、こういうことになっております。
○佐々木(良)小委員 総合開発計画であって、そして電源開発計画の樹立過程から見て、六月の中旬にはこの発電所は完成するというのはわかっているはずでありますが、それがなぜできた後においてもこういう状態になっておるのか。私が一番聞きたいのは、計画は前からあるのです。これは実施計画もちゃんとあることになっておる。それがなぜ発電所ができたのに電気を起してならないという状態になるのか。法律の不備なところがあるのか、どこか連絡の不備なところがあるのか、特別の突発事故が起きたのか、どこに原因があってこういうことになったのか、もしその原因が発見できなければ、総合開発計画について、次々に同じ問題がどこでも起り得ることを私どもは非常に心配いたしておるのでありまして、このことだけにこだわっているのではないのであります。御承知のように、今中島さんからお話がありましたように、これは明らかに建設省の方で、県に顔を立てて、道をつけるために何とかよい返事をしてやってくれと言い、電気に関係のある通産省の方は、そういうものは無理だと言うし、そのままになっておったことは、これはだいぶ前からなんです。そのままこうなっておる間に発電所だけできてしまったわけです。発電所は御承知のように国民の税金で作った発電所です。従ってこの問題につきましては、総合開発計画の実施のために、一つの例として取り上げたわけでありますが、なぜできた発電所が遊ばなければならないかということであります。これは中島さんから聞いたってどうしようもないことなので、一体これはどういうことになるわけですか。ともひく税金で発電所ができて、水が流れているのに発電が開始されないという事態を追究する方法いかん。これは自然流量の水二、三千キロの発電が二ヵ月遅れるか一ヵ月遅れるかという問題だけ取り上げれば、それほど大きな問題ではありません。しかし私はこの問題をこの地点について非常に拘泥しておりますのは、来春三十年度末には第一発電所も完成をいたします。そうしますと第二発電所が一万三千百、それから第一発電所が三万三千キロ、この二つの発電所が三十年末には完成をするのであります。それから二番目にはこの水を振りかえになって、総会開発計画の農地開田計画というものが完全にくっついております。つまりこの発電所に水が通ることを前提として、振りかえた水は奈良県で使えて、そして大和開田計画九千町歩の計画が進んでいるのでありまして、この九千町歩の開田計画は同じように来春の四、五月に水を入れることを前提として今進めている。この農林省関係の仕事もそのタイムには合って、大体完成する運びに進んでいるわけであります。ところがその一番元でありますところの猿谷のダムの建設状態並びにそのダムの水をためるためにもう一つ共同工事になっております川原樋というダムに水を入れる水路の仕事、この二つが現在の電源開発計画の進捗状況では年度末、すなわち農林省の開田計画が大体成就して水を入れて水を使う時期になっております来年の四、五月ごろまでにはこのダムを完成することと、それからダムに水を十分に入れるための川原樋の水路を完成することが今の状態ではほとんど不可能なような話を聞くのでありまして、そうなった場合、おそらく今の第二発電所はできたけれども、水が通っておらないというたった二、三千キロの問題ではなくて、そのときには発電所二つの問題で同時に九千町歩の開田計画が完全に一年遊ぶか一年半遅れるかという状態になるわけであります。従ってこのタイミングを合わさなければ、そのための非常に重要な国費が寝ること、計画のそごの結果は、経済的にまことに大きなるものがあると私は思うのでありまして、今この問題を特に私が取り上げて警告を発しているのは、二、三千キロの発電を早く開始しろというのではなくて、来春おそらく完成する発電所と開田計画を予定通りに完成するための方法ありやということを今確かめておかないと、ちょうど今の第二発電所と同じことで、できたあとでまただめだだめだという話が出るに違いないと思うからであります。従ってこの二つの問題をはっきりとあわせて本委員会において措置を委員長にお願いいたします。
○佐々木政府委員 ただいまの西吉野の例は非常に悪いと申しますか、ちぐはぐになった非常に典型的な例でありますが、全部がそうかと申しますと、そうじゃないのでありまして、普通の多目的ダムの建設に関しましては、これが総合開発の一つの根幹をなしている事業でございますけれども、全国で何十というものを現在やっているわけですが、それがどういう進捗状況にありますかと申しますと、大体はダムのアロケーションがきまりまして、しかも設計あるいは調査、準備が全部完成したあとで、普通でありますとそれを各省が集まってそうして金がびっこに出ないように調整してやるわけでございますが、大体やり方といたしまして、ダムの建設をある程度進めてから電気の方の設備資金を投入するというようにしておりまして、普通のダムの形式は県でやっているのを例に取りますと、大体はダムそのものに対する費用のアロケーションの中で、農林省、建設省の関係の分は公共事業費でございます。ところが電気の方の費用は地方起債のこれは利子のつく金で出すようになっているのでございます。そういう関係がありまして、いろいろの問題がありました結果、なるべく総合的に問題を発展さしたいというので、たしかおととしでございましたか、公共事業の方だけつっ走って、そうしてさてダムを作ってみると電気がつかない、こういうようなことになっては非常にまずいというので、閣議決定を取りまして、新規に総合的なダムを建設する際には、事前に十分各省で連絡して、その上でこの事業にかかってもらいたいというように申し合せができておりますので、その自後のダムに関してはあまりそういうケースはございません。ところがたまたま本件に関しましては、実は非常に連絡が悪かったという点もあろうかと思いますが、開発会社の方が先に、御承知のように会社でございますからどんどん進めてしまって、そうしてそれに並行して国のダム経費の金がついて行ったかと申しますと、さっき申しましたような多目的ダムの建設の過程から申しますとむしろ逆なコースを取ったようなわけでございまして、電気の方が先にできちゃった、こういうような格好になっているわけでございます。従ってただいままでの公共事業の分はそれではその所定のことができなかったのかと申しますと、必ずしもそうじゃないのでありますが、さっきお話がありましたようにその間におきして工事費が大体倍に値上りをいたしました。その結果、電気はこれは商品でありますから、倍になったその工事費をそのまま今度は開発会社で背負い込んだのでは非常な高い電気になるわけでございます。従いましてどうしても従来のパリティではこれは経済性を持たないというので、なるべくこれは建設省あるいは農林省にもかけ合ったかと思いますが、あるいは県との費用の負担区分をさらに変えまして、そうして金をつけてもらいたいというので、その費用のアロケーションがきまったとか、私の方では大蔵省の方にも再三出かけて、そうして主計局の方とも話し合いまして、必要な金だけはつけていただいたというふうには考えておりますけれども、まだ実はなかなか県との話し合い等も最後的に話がついたかと申しますと、そこまでいっておりませんので、今のような格好になっておるのかと私承知してございますが、いずれにいたしましても全部の総合開発がそうなっておるということでは全然ないのでありまして、大体ほかはスムーズといっては語弊があるかもしれませんか、大体順調に進んでおる。二年の工事期間が三年に延びるということがありましても、片方ができて片方ができないということはまずまずないのでありまして、両々相まって完成するようにはなっておりますが、本件だけは先ほど申しましたように非常に特殊な輻湊したケースでございまして、今日のようなことになったかというふうに考えております。
○佐々木(良)小委員 今の計画が全部こういうふうになったということであればこれは重大な問題になるにきまっておるわけでありますが、私はそれにしましても大体全部がうまくいっているという説明を肯定しかねるのであります。私が自身で扱ったところの事例では、ほとんど工合が悪い状態になっておることは、その計画部長もよく御承知のはずであります。西吉野のダムにしたって、北上の話だって、決してうまくいったとは思っておりません。幾春別の話だってちっともうまく進んでおりません。今のところ発電所ができて水が通らぬということになっておる。問題がそこまで進んでおらぬというだけの話で、似たような状態で重要な危険性をはらみながら仕事が進んでおります。その間において調整しょうとすれば仕事をおくらせることにおいてのみ調整ができるのであって、早くしようとすれば調整ができないにきまっておる。今の話を伺っておりますと、電源開発会社を先にしてしまったのがけしからぬというように聞えるのでありますが、それならばこの長期計画を策定せられてから実施計画をはっきりと変更されたことがあったかどうか。それから年々電源開発会社の施工につきましては、同じように通産省に許可を願い出て、通産省は毎年認可している事項であります。従ってもしそういう行き過ぎであるということならいつだってとめられるはずであります。決してそうではなくて、予定通り計画通りに進んでおる方がしかられるという現象になっておることに対して、私はまことに不満を禁じ得ないのであります。従って私は、そうであるならばそうであるほど、どういう原因でこうなったか、法の不備があるのか、それとも行政措置のどこの個所がまずかったか、あるいは指導にどこかまずいところがあったか、はっきりと白黒をつけなければ承知ならぬと思います。
○佐々木政府委員 私の申し上げるのは一般論でありまして、あるいは誤解を招いたかと思いますが、本来の、日本以外の国でこういう総合開発をやる事例を見ますと、大がいは一本の会社あるいは一本の公社等が一括して全部の工事をやるのが大半の国の事例のようでございます。ところが日本ではそういう形態をとっていないのでありまして、さっき申しましたように、各省にも予算が分属し、あるいは金の出どころも起債でいったり、あるいは公共事業費でいったりということになっておりまして、しかも各省のそれぞれの考えております事業の優先順位いうものは、その地域そのものが事業が一括して進むかといえば、必ずしもそういうことにはなっておらぬのでありまして、たとえばある地点が総合開発地点にきまったという場合に、それでは運輸省なら運輸省でそこに敷くはずの鉄直が全部運輸省にとっては最優先鉄道かと申しますと、必ずしもそうでないのであります。それでは事業として成功しないのではないか、ちぐはぐになるのは当りまえではないか、こういうような御議論が出るのは当然でございまして、そういうものをなくするためには、一体どうしたらよいかという問題でありますが、私ども最近考えましたのは、まだこれは今年できなかったのでございますが、極力やったのでありますが、一つの方法といたしましては、やはり総合開発でございますから、その地域性を尊重した総合計画があるならば、各省それぞれの予算を持っておっても、やはりそのジグザグを更正するような一種の調整資金といったようなものをもって、そうして調整するというようないき方をとれば、これは是正ができるのではなかろうかということで、調整資金の問題を、たしか二十億でございますか大蔵省に要求いたしましたところが、いろいろの手続等の問題がございまして、今年は実はその予算は通らなかったのであります。 それから第二段の問題といたしましては、法律の不備ありやなしやという問題でありますが、法律でいかに最優先と規定したところで、やはり実際そういう一種の縦割の予算を政府で総合するというふうになりますと、これは非常に問題の深い問題になりまして、総合開発法そのものを改正しただけによって問題が解決するかと申しますと、その点は非常に問題がむずかしいのじゃなかろうかと思います。しからば各国でやっておるように、実施機関そのものが一本で、たとえば今の例のようなものでございますれば、開発会社そのものに電気の工事もやらすし、ダムの工事もやらす、同じ国の金であるならば、一括してそれを請け負わしてやったらよいじゃないか、こういうふうに考えるのが一番至当かと思いますが、御承知のように佐久間とかあるいは只見とか、ああいうふうに本来もうダムそのものを開発会社がやるということになりますと、そういう問題は起りようはずがないのであります。各国でも大体みなそういう格好になっておるわけでありますので、もちろんそういうことも考えられるのでありますが、今のままでは、この西吉野等特殊な事例でございまして、自然にそういう体系に入っておったものを、せめて電気は開発会社で負担してもらえないかというので、総合開発の一環に入ってきた関係上、体系的な面から申しましても、さっきも申し上げましたように、いろいろな問題が発生したわけでございます。これは本来総合開発を進めます上において、今後十分考えて、あるいは制度の面あるいは法制の面あるいは財政のつけ方、今までの縦割のようなやり方でよいのか、もし縦割という点がどうしても必要であるならば、その間に調整資金等の何かの調和措置をとるような予算措置も必要じゃなかろうか。こういう点をせっかく準備中でございますけれども、何しろそういう準備が整わないので——と申しますとまたおしかりをこうむるかもわかりませんけれども、 こういうふうな状況になってはなはだ相済まぬものだと感じておる次第でございます。
○佐々木(良)小委員 今の計画部長の考えておることは、私も同じようにずっと一緒にやっておりましたから、より以上に、わかり過ぎるほどわかっておるのであります。問題はそれをどういうふうにすれば打開できようかと四苦八苦しておるのにかかわらず、打開しようとすれば、その打開しようとする方向が常に逆に引っ張られてしまうので、私はこういう問題をここに持ち出さざるを得なくなったというのであります。総合開発計画をやらなければならないこと、そして現在の総合開発計画がスムーズに実施されてないこと——決してみなが悪いというのではないのですけれども、せっかく総合開発の実を上げようとして取っ組んでおる名にふさわしくない実施のされ方で大体ありますこと御承知の通りでありまして、そのためにどこに欠陥があるのだろうかといって、私は自分の一番よく知っておった、担当した工事を中心に今一生懸命検討を進めておる最中であります。従いまして一般論に戻ればまたいろいろな格好が出てこようかと思いますけれども、こうなれば、私は一つ一つ各論的に問題を究明していくことが一番早道ではなかろうか、こういうふうに考えますから、一応問題をこの西吉野の問題に限定してみたいと思います。 そうするならば、第一の問題は、第二の一万三千という発電所ができてダムはおくれておるけれども、自然流量によって二、三千キロ発電ができる。これをまだ発電させないということについての問題は、先ほど佐々木計画部長が言っておったような、総合開発計画としてのちぐはぐな問題ではないと私は思います。計画のテンポのちぐはぐな問題ではなくて、どこか話し合いのおかしいところがあるか、あるいは役所でやろうと思ってもやれないところがあるとか、どこかその辺におかしいところがあるから、この結果が出ておると思います。 第二の問題のダムと関係はこの次にいたしますが、まずこの第一の、今できた発電所に水が流れておるのに、その流れておるのを電気化できない、しかも突発的に、すぐに発電所ができたのではなくて、数年前から、今できることがわかっておったのにかかわらずこうなっておるという原因につきまして、どこに原因があるのか、あるいは今後似たような問題を発生させないためには、立法措置なり行政措置なりのどういうところを調整すればいいのかということにつきまして、一つ率直に、隔意のない御意見を承わりたい。もし工合が悪ければ、速記を中止しても、何でもいいですけれども、そこのところをはっきりさしていただきたいと思います。まことに恐縮でありますけれども、こういう計画が一つずれますと、実際にその仕事をやっておる者ははかり得べからざる圧迫と批判とをこうむっておるのです。東京の、机の上でやっておる者は、計画が変ったとか何とか言っておるけれども、実際に仕事を担当しておる者は、何かそうなったのは自分の責任のごとくにひどい目にあっておる。水の通らぬダムをなぜ作ったかといって会計検査院からしかられる。予定通りの発電所を作ったらしかられねばならぬということで、これはまことに奇妙な問題になっておるわけであります。従いまして私は、まずこの問題について、速記が工合が悪ければとめてもいいから、はっきりと、二度とこういう事態が起らないための御意見を承わりたいと思います。
○米田政府委員 私ずっと前から出席しておりませんでしたので、あるいは私のお答えが十分でないかもしれませんが、今の御質問の趣旨は、第二発電所がすでに完成したのになぜ発電ができないのか、その理由はどういうところにあるかということだと思いますので、それについてお答えをいたします。
○佐々木(良)小委員 お話途中ですけれども、経過はいいんですよ。片一方の奈良県から和歌山県に聞いたら、和歌山県がどう言った、こう言ったというのはいいのです。私の聞いているのは、それは今とたんに起った問題ではなくて、発電所が今できることはわかっておった。そういう問題があるならば、もっと早く処理しなければならなかったが、それがなぜできなかったか、あるいはそのことを処理できぬというのであるならば、発電所の完成を延ばすか、せっかく金を投ずるのにもったいないから、何かそこで調整しなければならぬはずでありまして、その経過を聞くのでありませんから、なぜこういうことになったかという端的な理由をお聞かせ願いたい。
○米田政府委員 直接的にお答えいたしますのには、私どももう少し事務的に調べないと不十分な点はございますが、要するにただいま水利使用の変更の許可願が出ております。これの処分をすることができれば、発電が行われるわけであります。そこで水利使用については、これは着手に先立って、もとの水利使用の許可は出ておる。ところがあの工事を始めまして、水利逆用の発電量の問題もその後変更をいたしました。そこでその変更の手続として、水利使用変更許可願を出すわけであります。その許可願いがただいま出てきておるわけでございますが、これは御承知のように、所管地域の知事の権限でございまして、それを建設大臣に稟伺することになっておるわけでございます。そこで現地の奈良県知事佳その水利使用の変更の許可願を、ただいま建設大臣に稟伺しております。そこでこの手続が完了すれば直ちに発電が開始されることになる段映りになっております。それで要するにお尋ねは、そうするとその水利使用の許可をなぜ早くやらなかったかということになると思います。この問題については、事務的ないろいろな調査のために、あるいは設計等のためにおくれておったということでありますけれども、その内容の詳細についてはもう少し調べてお答えをいたしたいと思います。
○佐々木(良)小委員 これはまあ聞いても無理なんでしょう。だから責任追及みたいな原因追及は一応留保しておきます。 ただ問題は、明らかに発電所ができておる。しかもそれは私営の発電所や何かでなくて、ちゃんと者からきまっておる国土総合開発計画の一環の中で予定通りの発電所ができており、しかもそこに水が流れておるのに、それを電気にしてはならないということに対しましては、これは何としても、国みずからが国民に対してはっきりと責任を負わなければならぬことです。従いまして、その事態、事実を確認するだけで、原因の追及は何ぼ言うてみてもしようがないことでありますから、大臣か何かに聞くことにして、一応保留しておきます。 そこで第一の問題の収拾に入ります。通産大臣は、今月中に何とか相談をまとめたいという話をしておりました。しかし私の承知しておりますところによりますと、大体建設省の方は、あの奈良県が言っておるところの何とか国道、あれを補償というか何というか、ともかく何らかの形で和歌山県を納得させるための手段を電源開発会社が講ずるように通産局でやってくれというのか、そういう御意見で通産省に当っておられるように聞いております。それから通産省の力では、それは電気と関係ないのだから、電源開発の費用につけ加えることのできるような道路じゃないのだから、それはできないのだというふうに言っておられるように見えます。従いまして両省の意見は現在一応はっきりと対立しておる状況になっておると思います。まあいきさつは抜きにして、対立たしておるままに、今だんだんと変えようとしておる。水が刻々と流れておって、発電所は遊ばしておるという状況、これを打開するところの話し合いの方向というか、窓口といいますかにつきまして、見通しを一つはっきりとお聞かせ願いたいと思います。
○中島政府委員 この問題は、先般建設大臣と通産大臣と話し合いがありまして、事務的にできるだけ早く進めようじゃないかということで、その後両省の事務次官が話をいたしまして、大体この道路と今度の第二発電所とは、補償等に関しては全然関連がないから、それとこれとをひっかけることはやめようじゃないかということで、両省の了解がついております。 あと先ほど申しましたように、他の条件については若干修正を要する点もございますので、それを事務的に検討いたしました上ではっきり条件を修正して、こういう条件で許可してもらいたいということで、建設省と共同で県の方へ申し出ております。従って時日は多少要すると思いますが、そういう方向で解決するということはきまっておるわけでございます。
○佐々木(良)小委員 それならば、その問題につきまして、ともかく一日一刻水が流れておるわけでありますから、方向が定まったら、一日一刻を争って決定をされんことを望みます。 なお私は責任を追及するのでありますならば、発電所ができてからほんとうに電気化するまでの間のたれ流しの水の経済的価値の損失について、一体どこが責任を負うのかということまで聞きたいのでありますが、少し無理そうでありますので、責任追及の問題は一応別問題に取り扱っておきたいと思います。 それから今度は第二の問題の方、西吉野第二発電所が六月中旬に完成したことは御承知の通り。ところがもう一つのほんとうの方の、上の発電所であります第一発電所は、予定によりますと、来年の三月末、つまり年度末には完成することになっておるはずであります。それからその水を通すことを理由として、大和平野の九千町歩の開田のための水路計画も大体三、四月ころには完成するように目下進んでおるはずであります。それに対しまして、そのもとであります猿谷堰堤の築造と、その猿谷堰堤に水を引くところの川原樋水路というものの完成が今の発電所並びに開田の計画よりもおくれそうだということが気づかわれておるやに聞きますけれども、今ダム並びに川原樋水路を施工されておるのは建設省としてこの三月末、あるいは農業用水の方ならばおそらく四月ごろになるかと思いますが、それに間合うように水がたまり得るように施工できるかどうか、見通しについてお伺いいたしたいと思います。
○米田政府委員 この猿谷のダムの完成については、私ども当初は三十年度で完成をする予定でスタートしたのは御承知の通りであります。なぜおくれたかと申しますと、実はその補償の問題にかかりましたところが、あの水没地内の猛烈な反対にあいまして、その反対をようやく解決をしたのが昨年でありまして、その後鋭意工事の進捗をはかっておるのでありますけれども、そこに非常な時期のズレを生じたのであります。これは今日私どものやりますダム建設の一番大きな問題でございまして、補償問題が十分解決してなかったためにこういうそごを来たしたのでありますが、今日としては三十一年の秋までには完成をしたいというので、ことしの予算の折衝をいたしましたが、その電気資金なりを合せまして全体の予算としては今のところ三十一年度ぱいかかるという予定でございます。
○佐々木(良)小委員 三十一年度一ぱいかかる問の両発電所の措置並びに農林省の方の計画の推進につきまして通産省並びに農林省あるいは経審等で調整の話が何かあったならば、経審での方針を承わりたいと思います。
○中島政府委員 ただいま河川局長のお話の通りに、今の見込みでは川原樋とそれから猿谷のダムの完成が発電所の方の工期と比べましておくれる公算が多いわけであります。それでできるだけこれを合せてくれということは私たちの方から要望いたしておりますが、建設省の方では本年度の電源開発会社の分担金を少し増額すればそれだけ工事がよけいできまずから、何とか間に合うようになるだろうというような話もありますけれども、御承知のように電源開発会社自体の資金も非常に窮屈でありますので、普通の分担額以上にことしよけいに支出するいうことは非常にむずかしいということで、この点につきましてはなお両省間で折衝中でございます。
○渡部(伍)政府委員 私の方としましては今年度で隧道が完成いたしますので、それから水が落ちれば大和平野の川に行けまして、すぐその水が利用できるのは約手町歩くらいになると思います。さらにダムができてよけいの水を受けるお話がありました大和平野の九千町歩の関係のものは、ただいまの計画でことし実施設計費をつけまして来年から県営の工事をやっていって、大体ダムの水と歩調をとっていきたい、こういうふうに考えております。
○佐々木(良)小委員 今の農林省の話はそうですか。大体今年度末にあそこの隧道が完成するのじゃなかったですか。
○渡部(伍)政府委員 今年度末に完成すると申し上げたのであります。
○佐々木(良)小委員 今年度末に完成すれば、ダムの方は来年度末ですから一年間あいてしまうわけになるでしょう。その期間をどうするのかということを聞いておるわけです。
○渡部(伍)政府委員 私の方では水が出るのを待つよりしかたがないのでございます。
○佐々木(良)小委員 総合開発計画で今実施の仕上げの最後の段階にきたときに、その発電所が二つとも完成し、発電所の下を受けて今度は九千町歩の開田をする。水路もでき上って、水の来るのだけを待っておる状態を一年間放置することはできぬと私は思う。従ってこれは、今島村さんもそこにおいでになりますが、電気の関係だけから見ましても、私はその期間放置することはできないと思います。それについて今の米田さんのお話によりますと、今のままだと、そのまま以外に手はないのだということでほうっておる形だと思います。ほうっておけば先ほどの第二の発電所と同じように、発電所はできたけれども水が通るまで寝かさなければならぬということであると思う。まだ計画を進めるのに相当十分な日にちがあると思います。私は猿谷ダムへは行ってきましたから知っておりますが、工事はおくれておるけれども、今年末の貯水に間に合わせるためにそこまで手を打つことは、私は技術的に不可能ではないと思います。従って金さえつけば、あと二つの発電計画と開田計画に投資した金を一年間遊ばせずに使い得る可能性ははっきりと今ならばあると思います。これから数九月過ぎるならば、金を投じても、今度はタイミングが合わなくなって明らかに総合開発計画のそごを来たしたままで半年なり一年なり、発電所とせっかく水を引くようになっておるたんぼを遊ばせなければならない。たんぼの場合ならば春水を当てなければ一年間遊んでしまうことになるでしょう。従ってこの措置については早急に一つこれは閣内で御相談を願いまして、方針を立って御返事を願いたいと思います。できましょうか。
○島村政府委員 仰せのことまことにごもっともだと存じます。これはでき得る限り御意思に沿うように各省間で努力を払いまして、そうして善処していくことが当然のことだろうと存じますので、帰りましてからよく大臣にも御意思の趣をお伝えすることにいたします。
○佐々木(良)小委員 おそらく各省の担当の事務官というか、役所の関係ではやりになってとどの詰まりがどうしようもない状態になっておるのだろうと思います。あとは政治的の閣僚間の話し合い以外に方法はないと思います。国民経済の観点から、総合開発推進という意味において、今のうちに格段の善処をされまして、先ほど言うような一年間のタイム・ランを作るというような不幸な事態が起らないように、どうか善処をお願いしたいと思います。しかしながらその善処の過程におきまして私あくまで主張いたしたいことは、計画通りに推進した方に犠牲がかかるということは許されないと思います。最初の計画を策定した通りに進めたところに経済的な犠牲がかかるということは許されないと思います。従ってその他の方法でもって救済されるように御努力のほどをお願いいたしまして私の質問を終りたいと思います。この点については委員長からもよろしくお願いいたします。
○山手小委員長 本日はこの程度で散会をいたします。来週の日程は公報をもってお知らせをいたします。 午後四時十分散会