P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
22回国会衆議院1955/06/14

商工委員会日本経済の総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員会 第4号

発言数
7
登壇者
3
会派数
1
開催日
1955/06/14

会議録

山手滿男日本民主党

○山手小委員長 これより会議を開きます。  まず工業用水、愛知用水計画について調査を進めます。工業用水の件につきましては、前回の小委員会におきまして経審当局から概略その説明を聴取いたしましたが、なお通産当局より本件につき説明を求めます。企業局長。

徳永久次通商産業事務官(企業局長)

○徳永政府委員 お手元に資料を御配付申し上げておりますが、かいつまみました概況を私から、こまかい質疑応答に入ります前に御説明申し上げておきたいと思います。  工業用水を一番多く使い、また最も多く要望しております工業といたしましては、製鉄業、紙、パルプ業、化学肥料、化学繊維、染料工業、石油精製業等のいわゆる重化学工業と、それに火力発電でございます。これらの工業が密集しておりまする地帯というのは、御承知のように京浜地区、中京地区、阪神地区、それから北九州の四大工業地帯が一番大きいものでございますが、そのほか主要な工業地帯としまして約五十カ所全国に散在してあるわけでございます。工業用水の立場から見ますと、さきに申しました四つの大きな工業地帯に問題が非常に多く、しかも切実なかつ深刻な事態になっておるわけでございます。  その概要を申し上げますと、たとえば第一番に京浜地区の状況を申し上げますれば、京浜地区は、年間といたしまして工業用水消費量は約一億六千万トン、一日当りに換算いたしまして四、五百万トンの水が要るわけでございまするが、そのうち大部分は海水に依存しておるわけでございます。淡水は一日当り五十五万トン程度でございまして、所要量の一割強にすぎない状況でございます。しかもその淡水も、地下水によりますものが過半でございますので、工業用水道といたしましては、川崎市が十一万トンを供給しておるのにとどまっておるわけでございます。こういう状況でございますので、絶対量の水不足というものを訴えております一方、地下水を過度にくみ上げておりますために、水位の低下、水源の枯渇、地盤の沈下等の現象を生じておりまして、災害防止の面からも非常に重大な問題となっておるわけでございます。次に中京地区の状況につきましては、川崎のように——川崎市もわずかでございますが工業水道があったわけでございますけれども、中京の場合にはこれもございませんので、年間の工業用水の使用量一億四千万トンに対しまして、海水によるほかはほとんど地下水、特に深い井戸によりまする給水と一部の上水道とに依存しておるような状況でございます。このために中京地区におきましては、毎年淡水の不足と、それから上水道は水の料金も高うございますので、その使用料金の増大に悩まされておる状況でございます。それから第三の工業地帯でございまする阪神地区におきましては、大阪市の一部と尼崎の臨海地帯に多数の工場が密集しておることは御承知の通りでございますが、用水の消費量も全国で最も多い地帯でございまして、年間二億五千万トンと称せられております。その大部分を海水に依存しておりましたが、地下水の過度くみ上げによりまする地盤低下がはなはだしく、これがため先年台風期の高潮に相当の被害を受けまして、そのために防潮堤を建設したわけでございますが、それに三十数億の巨費を要したというようなことになっておるわけでございます。これが根本対策といたしましては、地盤沈下の原因でありまする地下水のくみ上げを制限するほかないのでございまするけれども、これを制限するといたしまして、それにかわりまする工業用水道の建設を計画しなければなりませんので、目下この計画を立て、一部を実施中でございます。第四の大きな工業地帯でございまする北九州地区では、年間約一億五千万トンの工業用水を使用しておりますが、そのうちの約一割、一日当りにいたしまして三十七万トン程度の淡水が、主として遠賀川等の河川の表流水源によりまして供給されておるわけでございます。しかしこれとても非常な水不足に困っておるわけでございまして、目下北九州水道組合が、一日平均八万トン、最大で十三万トンを目標にした第一期の拡張工事を実施中でございます。  おもな工業地帯の状況は以上のような需給関係その他の事情に相なっておるわけでございますが、最近の重化学工業の用水の需要量というものは、品質管理の面から単位当りの生産量も非常に大きくなっておりまして、たとえば人絹、パルプは一トン製造いたしますために、戦前では四百八十トンの水があればよかったわけでございますが、戦後におきましては、パルプの高級化に伴いまして、水の使用量もふえまして、戦前の約二倍の八百五十トンを必要とするというふうになって参っておりまして、水の量がふえ、そのために使用料も高くなるというような状況になっております。従いまして工業地帯におきましては、豊富低廉な工業用水がいかにして提供できるかということが大きな工業立地の主眼になるわけでございまして、工業地帯造成のために、工業用水道の建設、拡張というものが熱望されておるわけであります。  四つの大きな工業地帯は以上の通りでございますが、なおたとえば四日市とか浜松とか、全国に約五十カ所の工業地帯があるわけでございますが、それらの地区におきましても、問題の大なり小なりの差はございますが、事情はほぼ同じような状況になっておるわけでございます。それぞれの地帯の緊要度に応じました対策を講ずる必要があろうかと考える次第でございます。  工業用水道の建設の状況につきましては、御配付申し上げております資料の二十九年度の工業用水道事業概要というものを詳細ごらんいただくことといたしまして、昭和二十九年度までに約十九億円の公募地方債がこのために認められておるわけでございます。工業用水道建設の最大の隘路は資金の問題となっておりまして、現在では公募の地方債が唯一の資金源となっておる状況でございます。公募債で参りますと、この条件は二年据え置きの五年均等償還、年利八分五厘というようなことになっておりまして、こういう資金を使いますと、用水のコストが割高になるわけでありまして、豊富低廉なる工業用水を供給することができかねるような結果となっておるわけでございます。使用料金の騰貴を抑えますために、工業用水が工業の大事な要件であります関係から見まして、一般会計からの繰り入れの必要も生じてくるということも当然研究されてしかるべきじゃないだろうかと考えておるわけでございます。地方財政の現状は、御承知のような事態でございますので、最近地方によりましては、事業の実施を一時取りやめたようなところもある状況でございます。少くとも資金運用部資金によります地方債、との場合には五年据え置き十五カ年均等償還、金利も六分五厘というように改善されて参るわけでありますが、そういう長期のかつ低利な資金の融通、あっせんということが考慮されていいのではなかろうかと考えるわけであります。  以上工業用水につきまして概略申し上げた次第でございますが、通産省といたしましては工業用水の重要性にかんがみまして、産業合理化審議会の中に、新たに産業関連施設部会というものを設けまして、特に産業関連施設部会の中で、水を専門に、用水分科会というものを置き、そこで鋭意対策を検討いたしておりまして、今後政府部内におきましても、建設省その他の関係省とも十分緊密に連絡いたしまして、問題の解決に努めたいと思っておるわけであります。  以上のような状況でお感じいただくと思いますが、これは私どもの感じでございますが、工業用水の問題が各地におきまして、工場誘致とか日本の工業化を騒がれていながら、案外水の問題が理解されておりません。従っていわば日本のいろいろな立地条件といいますか、工業を興す前提としての条件というものを整備する点につきまして、国全体の施策の中に、ある程度の片手落ちといいますか、見のがされておる大きな穴が一つあるのではないかというふうに私どもは感じておるわけでございます。日本の工業化というものをもっと進めますためには、水の問題を解決して整備しなければうまく工業は育たない。現に育っておるものも非常に条件の悪いために苦しみを重ねつつあるということが、簡単に申して言えるのではなかろうかと考えておるわけであります。

山手滿男日本民主党

○山手小委員長 引続き愛知用水計画について、経審当局並びに農林当局より順次御説明を願います。——農林省の方がまだ来ておられないそうです。すぐ来られるそうですが、工業用水について何か御質問はございませんか。ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕

山手滿男日本民主党

○山手小委員長 速記を始めて。それではちょっと私から御質問いたしますが、二十九年度の工業用水道の事業概要はこれで了承いたしておりますが、三十年度及び三十年度以降は、どういうふうな資金計画で事業をやらすつもりか、それについて御説明をお願いします。

大宮二郎通商産業事務官(企業局産業施設課長)

○大宮説明員 別紙に二十九年度工業用水道事業概要というのがございまして、昭和二十八年度と二十九年度の過去の実績がここに記載されております。参考までに三十年度以降のものにつきまして、一応要望されている金額をあげてありますが、これによりますと大体四十四億という大きな金額になっております。ところが現実には二十八年慶と二十九年度の実績によってもおわかりだと思いますけれども、地方財政がだんだん苦しくなって参りまして、一般の地方公募債というものが非常に起債しにくい状況になっております。そこで地方としましてもこの二つの問題を勘案しまして、施設は作りたい、しかし金の工面はなかなかできないということで、今のところ非常に行き悩みの状態になっております。それで大体起債の実情を申し上げますと、年度当初にきまるのでなくしまして、大体年度途中あるいは場合によっては後半においてきまるような実態でございまして、今年度の予算の審議の関係上ずっと遅れるのではないかと思います。目下こういうものを土台にいたしまして具体的に検討中でございます。

山手滿男日本民主党

○山手小委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕

山手滿男日本民主党

○山手小委員長 速記を始めて。  本日の会議はこの程度にとどめます。次会は追って公報をもろてお知らせすることにいたします。  これにて散会いたします。   午前十一時三十一分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗