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22回国会衆議院1955/05/31

商工委員会私的独占の禁止並びに公正取引に関する小委員会 第3号

発言数
46
登壇者
6
会派数
2
開催日
1955/05/31

会議録

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 これより会議を開きます。  下請代金の支払い遅延の問題及び操業短縮問題について調査を進めます。まず政府より説明を聴取することにいたします。横田政府委員。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 下請代金の支払い遅延につきまして二十八年以来公正取引委員会においてとって参りました措置について御報告を申し上げたいと思います。詳細はお手元に差し上げました書類についてごらんいただきたいと思いますが、御承知のように下請代金問題は、昭和二十七年ごろからだんだん問題になって参りまして、公正取引委員会といたしましてもその当時からこの問題の重要性に着眼いたしましてひそかに調査を進めて参ったのでございますが、一方におきましてその当時の独占禁止法にはこの問題を適切に処理する規定がございませんでございましたので、二十八年の独占禁止法改正の際に、不公正取引方法の一種といたしまして「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」というのを指定をいたしまして、この規定を根拠にしましてこの下請代金、親企業対下請企業の問題に臨むことにいたしたのでございます。そこで二十八年に、主として機械関係の十業種、親企業にいたしまして三十七社、その下請六百工場につきまして詳細な調査をいたしたのでございます。これらの業種は主として下請に依存する度が多いと認められますことと、支払いの不良の状態が他の業種に比しましてかなりひどいように認められましたので、一応この業種を取り上げた次第であります。この調査が、公正取引委員会と中小企業庁の協力を得まして行われたのでございますが、その結果二十八年の十月に下請側の調査の結果を中小企業庁から発表いたしました。それから十二月になりまして、親企業関係の調査の結果を公正取引委員会から一応発表いたした次第でございます。  この発表の内容の詳細なことはこの書きものでごらん願いたいと思いますが、調査の結果は、果せるかなかなり不良でございまして、支払いが六カ月から十カ月遅延しておるようなものも相当ございましたし、それから現金払いが減って参りまして、手形払い、しかもその中には百五十日あるいは二百十日、二百七十日というような、ほとんど手形とは言えないようなもので支払いがなされておるという状態が認められたのでございます。そこでそれらの三十七会社の中で比較的不良と認められまする親企業千社につきまして、さらに精密な調査をいたしたのでございますが、その調査の結果、その各会社の責任者から支払いの改善計画を一応出させまして、さらにその計画に基いてその計画通りのことが行われるかどうかということを監視することにいたしたのでございます。ちょうど年末に際しましてという関係もございまして、この支払い改善の結果は少くともこの十会社につきましてはきわめて良好なものがあったのでございます。その一、二を申し上げますと、たとえばある親企業につきましては、いろいろ公正取引委員会から折衝いたしました結果、その親企業は銀行に事情を説明いたしまして、二千万円の特別融資を受け、年末の支払い代金の支払いが、十一月末の残高二千二百三十八万円のうち、ほとんどその全部とも申すべき二千五十二万円を支払ってしまったというようなことをいたしましたり、あるいは下請企業の手形割引等がワクの関係で困難であります場合は、親企業が自分の割引のワクをそれに融通してやるとか、あるいはさらに下請企業の年末資金の需要に備えまして、親企業が保証をいたしまして、協同組合に国民金融公庫融資五百万円を確保するとか、種々の便宜をはかるというような、きわめて誠意のある手段をとった親企業が見られたのでございます。またある計器メーカーは、年末の支払い勧告に基きまして、初めに予想しておりました額よりは八割も増額いたしましてその支払いをしておるというような事例がございます。これらの事例によりまして、私どもが当初この問題を取り上げて、どれだけの効果があるかということについてあまり確信がなかったのでございますが、やはりこの問題は公正取引委員会で取り上げていけば、親企業の方で相当の誠意をもってこれに応ずるものであるということが一応わかったのでございます。  その他詳細な点は省略させていただきますが、この調査の結果と申しますか、調査を通じて感ぜられましたことは、先ほど申し上げました不公正な取引方法というのはいかにも抽象的でございまして、一体どのくらい遅れた場合に、それが独禁法上の不公正な取引方法になるかという基準があまりはっきりいたしません。この点は国会におきましてもしばしば問題にされまして、何かもう少しこれを具体化した認定基準というものを公取で作ったらどうかというようなお話がございました。これはまことにごもっともなことでございまして、私どもとしましてもそういう基準がほしいと思っておりましたし、また業界からいたしますれば、一応の基準があればそれに従って支払いをすることもできるわけでございますから、認定基準を作ることに主力を注ぎまして、いろいろ検討いたしました結果、昨年の三月三十日になりまして、下請代金の不当な支払い遅延に関する認定基準というものを公正取引委員会で発表いたしたのでございます。この内容もいろいろ複雑になっておりますので、その詳細は書面にしたためまして差し上げてございますから、それについてごらん願いたいと思いますが、ごくあらましを申し上げますれば、親企業が下請業者から納品された製品の検査完了をしました日から三十日以内に、支払い能力があるにかかわらずその下請代金を現金またはこれに準ずる支払い手段で支払わないこと——これに準ずる支払い手段と申しますのは、要するに正規の金融機関において直ちに割引のきく手形等をさしておるわけでございます。それから下請代金を払ってやるからそのかわりまけろというようなことが往々にして行われるのでございます。従いまして親企業が、下請代金のすみやかな支払いを条件として下請業者に対して既定の単価の値引きを強要するというようなこと、これもやはりよろしくないということにいたしました。それから第三番目といたしまして、下請業者が下請代金のすみやかな支払いを要求したといって親企業が下請業者に対して返品をするとか、以後の取引を停止するとか、その他ほかのものに対するより不利益な取扱いをするというようなこともやはり不公正な取引方法ということにいたしまして、大体この三つを骨子にいたしまして、さらにこれを具体化しました認定基準を発表いたしたのでございます。この認定基準につきましては、新聞、雑誌、放送を通じまして周知方をはかったことはもちろんでございますが、その他地方通産局、都道府県、全国の商工会議所、各種の中小企業団体にこの解説書のごときものを配布いたしまして、その周知徹底方をはかったのでございます。  これが二十八年から二十九年の始めにかけましてのわれわれの活動でございますが、引き続きまして二十九年にさらに二十八年の調査を拡大いたしまして、二十九年には、親企業百三十一社、その下請企業千二百社を対象といたしまして、業種も前の十業種に比しまして十五業種にふやしまして、これについての調査を前例にならいまして公正取引委員会と中小企業庁と密接な連絡をとって始めたのでございます。特に公正取引委員会の職員の手不足を補いまする意味におきまして、中小企業庁から特に四人の若い優秀な方に応援に来ていただきまして、この調査を実行いたしたような次第でございます。その調査の結果もこまかなことは省略いたしますが、やはり支払い遅延の状況は相当にございましたが、ただ二十九年の調査で特徴と申されまするものは、支払い遅延も六カ月とか、八カ月とかいうようなきわめて長いものがかなり影をひそめるに至っておること、それからこれは大体前の調査で支払い遅延のかなり悪質と申しますか、あまり善良でないものについてかなりの手を打ちましたので、その結果がやはり現われているように思うのでございます。しかし他面におきましてきわめて支払い状況がよかった会社が、二十九年度の調査ではそれほどよくなかった、いわば平均化しているのであります。つまり全体的に見ますと、極端に支払い遅延をしている親企業も少ければ、また支払い良好の親企業もなくなってきている。これは一応機械関係の上場会社というものをとってみたのでございますが、この対象になりました企業について申しますと、総体的に支払いが遅延して、支払いの内容が現金払いよりも手形払いが増加している。手形のサイトが少しずつ長くなってきているというようなのが、ならしてみました状態でございまして、ここにかなり深刻な問題が存在するように思われたのでございます。そこでこの調査の結果、やはりこれも二十八年の例にならいまして、その中からあまり支払い状況のよくないと思われまする親企業十数社を選定いたしまして、それについて前回同様詳細な調査をいたしました結果、十三の親企業に対しまして、やはり前回と同じように支払い改善計画の提出を求め、その計画の実行を監視して参っているわけでございます。これは昨年の暮れから今年にかけましていろいろ改善計画が出されまして、現在その計画の実行状況をずっと見てきておりまして、その結果を私ども委員会としましてまだはっきり見ておりませんが、最近のうちにその結果がはっきりいたすことと思っております。こういうようにいたしまして二十八年度、二十九年度にかけましていろいろ調査をいたしたのでございますが、この公正取引委員会が自発的にいたしました調査のほかに、下請企業から公正取引委員会に訴えて参ったものも多少あるのでございます。これは実は非常にむずかしい点でございまして、下請業者からその名前を明らかにして公取へ訴え出るということは、そのはね返り等もございまして、下請業者としては非常にやりにくいことなので、意外にきわめて陳情が少いのでございますが、先ほど申しました認定基準の発表の際に、もし不都合がある場合には名前などは公表しないようにするから、できるだけ公取の方に不都合があれば訴えてきてほしいということを申しました結果とも思われますが、その後若干そういう陳情がふえてきております。しかしながらこれも件数にいたしますと十数件というようなきわめてわずかなものでございまして、申し出て参りましたものにつきましては、適宜そのつどそれを取り上げまして調停的な態度をとりまして、適当な解決を与えている次第でございます。  以上今年にかけましての調査の結果を一応申し上げましたが、これらの調査を通じましてわれわれがしみじみと感じます点を二、三つけ加えさせていただきますれば、まず第一に、これは業界にもよることではありますが、非常に問題が深刻でございまして、支払い遅延ということよりもむしろ受注がだんだん減ってきている。受注を確保するということが非常に大きな問題になってきている。支払い遅延の一つ前の問題がかなり深刻な問題があるということがこれらの調査を通じてしみじみとわかったのであります。しかしながらこの問題につきましては、あらゆる方面からいろいろな手が打たれなければならないわけでおりまして、いわば公正取引委員会の担当する面よりも非常に大きな問題がここにひそんでいるわけでございます。  それから次に機械関係の業種を大体二カ年とも問題にして参ったのでございますが、しかしこのほかにもまだ下請に依存する関係の業種がございまして、それらにつきましての調査がまだ完了しておらない。この点は今後やはりこちらの方に広めていく必要がある。ことに機械関係のみを公正取引委員会が取り上げております結果、認定基準等もその関係でできておりますような関係もあり、ほかの業種は他人のことのようにややこの問題について冷淡の感もないではないのでございまして、この点は公取の事務能力もございますので、そう広汎に拡張することはできませんが、必要な程度にこれを拡大するということが最も痛感されたのでございます。なお今までは上場会社を主として扱って参っておったのでございますが、しかし非上場会社の中にも支払いのよくないものがあることはもちろんでございますので、やはりこの方面におきましても対象を拡大する必要を感じた次第でございます。それから最後にこれは実際に当っていろいろ考えたことでございますが、公正取引委員会といたしましては、違反がある場合にはこれを取り上げ、審判にかけ、審決をもっていろいろな命令をするということになるわけでございますが、そういう公けの正式の手続をとるよりも、いわゆるひざを突き合して親企業の自粛反省を求め、比較的早い解決を与えるということがむしろ下請企業に有利であるわけでございますので、この点につきましてはやはり公正取引委員会の一つの仕事といたしまして、そういうような一種の調停的な役割を果すこと、しかも問題は下請代金の支払い遅延というだけではなく、それに関連しましたいろいろな紛争が親企業と下請企業との間にあるわけでございますから、それらをも含めまして調停的な役割を果すということがきわめて必要であると痛感されたのでございます。これはもちろん最後の手段といたしましては正式の手段に訴えて、いわゆる黒白を明らかにするというようなことが必要でございます。またそういう最後のところがありますから、その前段階としましていろいろな調停的な役割をいたしましてもかなりの実効が上るものとは思いますが、こういう調停的な役割というものがいかにこの種の紛争につきましては必要であるかということを痛感いたした次第でございます。しかしながら何分にいたしましても、公取のはなはだ局限されました人員と予算をもっていたしますことでございますので、十分の活動ができないことを非常に遺憾に思っている次第でございます。  最後にことしの計画をごく簡単に申し上げますが、ことしはすでに五月に本年度の調査に着手いたしたのでございます。大体ただいまのところでは百四十八の親企業に対しましていろいろな事項の調査表のようなものの提出を五月一ぱいに求めているのでございます。これもやはり一応機械関係の企業が主でございますが、なおこのほかに建設業、金属工業、紡績工業の染色加工部門、鉱業、これも炭鉱の鉱山用機械の修理部門、それから商業は特に商社の下請関係というようなもの、これらにつきまして先ほど申しましたような観点から少し業種の範囲を広めまして、この調査を進めたいと考えている次第でございます。はなはだ簡単でございますが、下請代金支払い遅延問題をめぐりまして、公正取引委員会が二十八年以来現在までやって参りました事情を一応御報告申し上げました。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 この際申し上げますが、小委員のほかの商工委員の方々の御発言は随時これを許すことにいたしたいと存じますので御了承願います。  質疑に入ります。通告がございますので田中武夫君。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 一、二お伺いいたします。昨年の三月に支払い認定基準を設けて、これの趣旨徹底をはかって、その結果を調査した、その結果はあまりよくなかったので親企業に支払い改善計画を提出せしめて、それの実行方を今監視している、こういうような説明であったと思うのです。この親企業に支払い改善計画を出させる場合に、親企業の方の出してきたものをそのままを見ておられるのか。その計画を出すときに公正取引委員会としてこうすべきであるというような意見を相当述べておられるのか。その支払い計画の決定というものはどういうふうなことになっているのか、この点をお聞きしたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これは二十八年の場合も二十九年の場合も同じであろうと思いますが、詳細なことは私ただいまここではっきり申し上げられませんが、相当公正取引委員会で指導的といいますか、いろいろむしろこちらから申しまして、それに基いて親企業の方で計画を立ててきておるように聞いております。詳しいことは本日経済部長も見えておりますので、必要がございましたらそちらからお答えさせていただきたいと思います。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局経済部長)

○坂根説明員 ただいまの委員長の御答弁を補足して申し上げますと、私の方で悪いと認定した各会社の経理担当の重役を呼びまして、その会社の経理内容を詳しく私どもが立ち会いましてお話を伺い、そして一応会社側の支払い改善計画書を出していただく。しかしその改善計画書の内容が、認定基準にもいろいろございますように、支払い能力があるにかかわらず支払わないというような判定、いろいろな点から見まして、私どもとしまして十分のみ込めないというような点につきましては、またあらためて出し直すということで、再三再四責任者を呼び、そして私の方がある程度納得のいく形で最後の計画書を出していただいておる、こういう実情になっております。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 そうすると結局あくまで親企業の方が主体であって、むしろ公正取引委員会の方からこのようにしろということはないのですか。このようにして解決せよというような主導権をとるというようには考えられないのですか。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局経済部長)

○坂根説明員 ただいまのお話でございますが、一応われわれがやった実際的な内容は、今おっしゃいましたように、このようにしてほしいということでやっておりますが、今のお話、あるいは調停的な役割と申しますか、そこまでの型でやった例はございませんが、実際的には、私どもが言うように、下請の立場を考えながら、私どもが話すような型にまで持っていくように努力している、こういう実情でございます。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 私としては親企業の経理状況もこれはもちろん考える必要があると思うのですが、あくまでただ親企業の言い分を主とするのでなく、公正委員会の方から主導的というか、かくかくあるべしという態度で出てもらうことを希望いたしたいと思います。それからそのことについて先ほどの委員長のお話ですと、申し出てこい、こういうことであったが、十数社ばかりしか申し出なかった、こういうように言われております。実際この支払い基準を見ました場合に、わずか十四、五社ということではなく、ほとんどがこの基準に違反したようなことが行われておると思う。しかし下請企業としての弱みから十分そのことを申し出ないので、従ってもっとフランクな気持で申し出られるようにしてもらいたいと思うのですが、これについてはどのように考えられておりますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この点は私ども一つの悩みでございまして、こちらに事務能力が十分でございますれば、そういうところを察知いたしまして、どんどん手が打てるのでございますが、やはり現在の状態から申しますと、下請企業の協力と申しますか、むしろ積極的にわれわれの役所を活用していただくということに持っていきたいのでございますが、そこに非常にむずかしい点がございまして、われわれといたしましては、匿名でも何でもけっこうであるから、申し出ていただきたいということを申しておりますが、割合にその成績が上っておりません。この点はわれわれといたしましてももう少し、工夫をこらしまして、公取へ陳情その他の形式で下請企業の方がやって来やすいような、敷居の高くない、しかもあとくされがないような何かの方策を講じたいというふうに考えておるわけでございます。この点は今後も十分に検討いたしたいと思います。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 もっと来やすい気持で申し出ができるような、あらゆる方策を講じていただきたいことを希望いたします。  それから、親会社から出したところの支払い改善計画によってその後どうなっておるか今監視しておる、こういうようなことだったのですが、実際問題としてその出された改善計画がどの程度実行せられておるか、もし実行せられていないような場合は、どのようにしておられるか、またどのようにするおつもりか、お伺いしたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 これは結局最後の手段は、やはり公正取引委員会の正式の権限である審判手続によりまして、それを通じまして公開の席上でそういう問題を明らかにいたし、そしてその結果に基いて支払いを命ずる、その他の改善を親企業に命ずる審決をする、こういう段階になるのではないかと思います。そして、御承知のようにこれにつきましては直ちに、罰則はないのでございますが、審決が下りまして、それに違反いたしますると、審決違反の罰則というようなことにもなるわけでございまして、最後の締めくくりはそこまでいく腹でおりまするが、これも先ほど申しましたように、そういう最後の手段をとる前に、できるだけの処置をいたしたいというのが私どもの考え方でございます。しかし最後の手段はそういうことになろうかと思います。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 自分の方から立てた支払い計画でありますから、もちろん公正取引委員会の方でいろいろの指導があったとしても——これを実行するということ、また実行さすということに対しては強硬な態度で臨んでいただきたい、こういうことを希望いたします。  ちょっと方面を変えまして、先日私当委員会において高碕経審長官にも御質問したのですが、これに関連して生産性本部の問題についてちょっとお伺いいたしたい。生産性本部の計画の中に、下請企業の専門化というようなことがうたわれておるのですが、そういうことは、親企業に対して今後下請企業をますます隷属化さす結果になるのではないか、こういうように私考えておりますが、そういうようなことになった場合は、よけいに支払い問題ということが、いわゆる親会社が強い立場に立つために円滑に行われない。またそういうことの結果は、公正な取引ということから逆行することになるのではないか、こういうようにも考えるのですが、こういうような点についてはどのように考えておられるのか。またそれが公正取引委員会の公正取引という点から見て望ましくない、こういうことであるならば、生産性本部に対して公正取引委員会はどういうようなことを希望するといいますか、申し出ようと考えておられるか、この点をお伺いいたします。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 下請企業の専門化ということは、ある意味におきまして一つの企業の縦の系列におきましての合理化という面を持っていることはもちろんでございますが、これはやはりあくまでも円滑に行われることがわれわれといたしましては希望されるわけでございまして、その間に、御承知のように独禁法には不公正な取引方法といたしましていろいろ他の業者に圧迫を加えてその事業活動を拘束するというようなことに対する取り締り規定が若干ございましたけれども、そういうような面に触れますような方法で専門化をもし推進するということになりますれば、現行の独禁法から申しますればやはり問題があるわけでございまして、独禁法の番人という立場の私どもからいたしますれば、やはりそういう面につきましてはどういう形でそういうことが行われるかということについて、重大な関心を持って参りたいと考えております。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 私は通信機、電気機械器具等を作っておる工場の出身であり、その関係の労働組合の出身でありますが、電気機械器具関係あるいは取引関係を見ましても、ほとんど部品を下請工場でやらせ、親工場はそれを組み立てるだけである。そしてそれを販売する。従って金は自分の方へ取ってしまって、支払いをおくらすというようなことが各所に起っております。その結果が下請中小企業の労働争議の原因にもなっており、労働組合といたしましても強く出れば企業が倒れるし、といって賃金の遅欠配が行われておるといったような困難な状況に立たされておる、こういうことであります。また先日同僚の八木委員が商工委員会において中小企業の金融に関連して申しておりましたが、中小企業の企業主が給料も払えない。そこで労働者が寄って作っている労働金庫へ中小企業の企業者が担保を提供するとか保証いたしまして、そこの労働組合が労働金庫の金を借りて給料の支払いを何とか間に合しておるというような状況もあるわけなのです。また生産性本部の問題に関連したときに私申し上げましたのですが、生産性本部においてそういうような高度な計画を立てられたり、あるいは企業診断ということ等を考えられる前に、まずわれわれの叫ぶのは、下請代金を早く払ってもらいたいということである、これが中小企業者の真の希望であります。こういうような点もよく考えていただきまして、今後ともにこの下請代金の円滑な支払いということにつきましては十分な調査と監視とそれから強い態度をもって臨んでいただきたいということを希望いたしまして質問を終ります。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 秋田君。

秋田大助日本民主党

○秋田小委員 下請代金支払い遅延の問題について御調査並びにいろいろの処置をとられたについて、公取委のただいまの御説明で大へん御労苦のいったこととその労を私は多といたします。非常に御繁雑なことでございましょうが、今後もこの問題についてせっかく努力されんことを希望いたします。  つきましてはただいま田中委員から、この支払い遅延の促進方について親会社側の経理担当重役等と折衝される場合は、もう少し公取委の側において指導的立場と申しますか、強い態度で臨んでもらいたいという御要望があり、公取委側がこれを黙認された形になっておりますが、田中委員の御希望の真意はよくわかります。しかしまたあまり初めから強い指導的態度で臨まれるということが必ずしもいいとは考えません。かえって複雑な社会事象のもとにおいて累を下企業に及ぼす場合もなきにしもあらず、この点は御違算なくお考えのことと思いますが、ちょっと気がつきましたので私の感じを申し上げておきます。御違算ないこととは存じます。  もう一つ、ごく最近の下請代金の支払い状況はどうなっておりますか。今年度のこの点に関する公取側の活動の準備状況、予定状況等もお話がありましたが、支払い状況の実情についてお話し願いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 実は先ほど申し上げましたように、三十年度の調査には五月早々に着手いたしたばかりでありまして、まだここでお答え申し上げますような結果が出ておりませんが、すでにこの調査表を出しました会社もあるようでございます。先ほどちょっと経済部長から調査表はだんだん出てきておるがどうもそれを見るとやはりよくないようだ、数字的には聞いておりませんが、どうもあまりよくないということを言っておりました。その程度でございます。いずれこの調査の結果がまとまりましたら国会等に御報告いたしたいと思います。

秋田大助日本民主党

○秋田小委員 その点過渡的な調査結果でよろしゅうございます、まとまり次第お願いいたします。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 それでは私から一、二お伺いしたいのであります。先ほど二十八年、二十九年の下請支払い促進の調査並びに勧告について御報告がございましたが、対象になりました会社の地域的分布はどうなっておるかということを一つ伺いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 昭和二十八年も二十九年も同じだと思いますが、大体京浜地区、中京地区、北陸、阪神、北九州、大体その地域にわたっておるようであります。詳しくはいろいろ資料がまだございますが、御必要に応じまして資料を提出いたしたいと思います。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 もう一つ伺いたいのですが、下請代金の支払い遅延についての問題点として掲げておる中の第三項であります。下請代金の支払い問題は中小企業問題の一つの一翼をなす重点でありますが、この問題の解決について独禁法による審決手続によっては十分効果を上げにくい、それを使うことに若干の難点があるというような結論を下されておるようであります。かえって調停的の役割によることがこの問題の解決をスムーズにするゆえんだという結論を出しておるようであります。この点から考えまして、下請代金の支払いを促進するというのには具体的に一体どういう手を打っていった方がいいのか、特に最近一部に伝えられておるように、下請代金の支払いに関する法制化という問題があるのでありますが、法制化の問題はこの結論から見ますと、なかなかむずかしいということを裏書きするものだ、しからばこの重要問題を解決していくのにどういう方法をとっていくか、この点についての一つ経験からのお考えを伺いたい。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この点は実は正直に申し上げますと、私どもといたしましても、二十八年に着手いたしまして、まだ経験が浅いのでありまして、あまり大きなことを申し上げられないのでございますが、このわずかな経験ではございますが、それを通じてみますと、問題は非常に複雑でありまして、非常にむずかしい、どうも一片の法律で簡単に片づけるにはあまりに複雑であるということを痛感いたしたわけでございます。従いましてここにこういう一応の見解と気持を述べたわけでございますが、私どもの希望といたしましては、もう少しこの問題に取り組みまして、いろいろ工夫もいたし、苦労もいたしまして、この問題についてはだんだん具体的な解決策というようなものを、まあいわば判例的にと申しますか、そういうものを積み上げて参りたいというような気持でおるわけであります。これをもう少し何か法制化いたしまして、たとえば認定基準を法律に規定したらどうかというような一つの考え方もございます。これにつきましても、認定基準そのものも、実は一応こういうものを出してございますが、果してこれが古今に通ずるあらゆる場合に適応するものであるかどうかということについても、まだ若干の疑問もございまするので、従いまして私どもも、実はこれを不公正な取引方法の一つとして、特殊指定ということがございますが、特殊指定をいたしますのを多少ちゅうちょしておるというような事情もございます。その他どうも法律でもってあまりはっきり規律することも、できないことはないかとも思いますが、それにはいろいろなむずかしい点があるのではないかというのが、私どもが今まで扱って参りました経験から出て参りまするところの率直な感じでございます。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 いま一つ伺いたいのは、この問題はお話のように非常に複雑多岐であり、なかなか解決の困難な問題でありますが、今までのお話を総合してみると、手薄だから、ごく一部しかまだ手が及び得ないというふうなことになるようであります。そうしますと、この問題に対してさらに掘り下げ、そして広く解決を促進する、こういう見地から見まして、陣容の強化の問題が当然に私は日程に上ってくると思います。これは公正取引委員会と中小企業庁と共同動作でもよろしいのでありますが、さらにこれの専門の、しかも親切な人々を配して、一層解決を広げていくというふうなお考えをお持ちになるかどうか。これは私の希望でありますが、ぜひお願いをしたいと考えておるのであります。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 私どもこの仕事に多少とも価値をお認めいただきまして、もう少しこの仕事を活発に広くやれというお考えなり国民の要望がございますれば、私どもはもちろんきん然としてこの仕事に打ち込んで参りたいと考えております。予算の折衝等におきましても、この下請問題につきましてはかなりの重点を置きまして、二十八年以来いろいろ折衝して参っておりますが、御承知のような状態でございまして、十分な予算を得ることができないわけでございます。しかしこれはただいまお話もございましたように、そういう世論と申しますか、そういう空気を背景といたしまして、中小企業庁とも密接な連絡をとりまして、ぜひ人員の面におきましても、予算の面におきましても、できる限りの措置がとられるように努力を払いたいと考えております。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 先ほど秋田委員から私の質問に関連して御意見が出ておったのですが、私が強い態度で主導権を持ってと申し上げたのは、親企業の経理を無視してまでもという意味ではございません。ただそういうときに当って、親会社の言いなりの契約書を承諾するということでなく、公正取引委員会の使命である公正な取引を促進せしめるということ、それから弱い立場である下請企業を守ってやるのだ、こういう考え方の上に立って、下請企業の立場の上に立って、強い立場で臨んでもらいたい、こういうことでありますので、一言申し上げておきます。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 ほかに御質問ございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 次に操業短縮問題について調査を進めます。まず政府より説明を聴取することにいたします。永山繊維局長。

永山時雄通商産業事務官(繊維局長)

○永山政府委員 操業短縮問題について御説明申し上げます。特に現在問題になっておりますのが、綿の関係、糸あるいは織物の関係が、現在の市況に関連して非常に問題が多い関係から、この綿関係を中心にいたしまして、生産制限、操短の問題につきまして、御説明申し上げたいと思います。  綿織物の市況につきましては、このところ約二年近く、一年半有余非常に不況の状態でございまして、大体においていわゆるコストを割っておるという状態が、相当に長期間今日まで続いて来ておったのでございます。これは御承知の通り綿の関係は、紡績のみならず、機屋、織布の業者というものは、全国各地域々々に散在をしておりまして、そうしてまたその企業者の数、あるいはこれによって生計を維持しておるという労務関係者を含めまして、非常に関係者が多い。従ってその意味におきましても、あるいはまた日本の輸出関係から見ましても、相当に大きなウエートを占めておる産業でございますので、いつまでもこうした状態に放置しておくということは、一つの重要産業でありまする関係からいって適当でないという判断をいたしまして、これにつきまして何とか改善策を講じたいという考え方で、昨年の下半期以降政府においてもその必要性を認めて参っておったのでございます。それでこの問題につきましては、本質的な問題と目先の問題と大体二つに分けられると思いますが、根本の問題といたしましては、設備が非常に過剰な状態にある。これはそのときどきの需給関係に比べましても、むろん過剰関係にあるのでございますが、同時に織布の関係は、原料である糸の設備というものと比較をいたしましても、なおかつ過剰の状態であるということで、従って少しく不況になりますと、その波を非常に強く感ずるというような、産業のあり方、構造としては、中小企業特有の脆弱性も加わって、非常に不安定な立場にあったのでございます。そこでまずこの織布業全体として合理化をしていくということが必要であるというような意味合いから、たまたま織布関係者におきましても、全国的な調整組合を作り、そしてまた設備制限をいたしまして、少くとも新しく設備がふえることを一応防止して、その基礎の上で合理化の措置を進めていくという希望がまとまりまして、政府の方に中小企業安定法二十九条の発動によりまして設備制限をしてもらいたいという意味の申請があったのでございます。昨年ただいま申し上げたような状況に基きまして、われわれの方でもこれを必要と認めまして、昨年の十二月から設備制限を実行したというのが第一段の段階であります。ただし、これは文字通り設備制限でございますので、すぐには織物の価格という問題に直接の効果を持たないというような関係から、本年に入りまして、二月一日から調整組合のメンバーだけで生産制限をしようということを申し合せをいたしまして、政府に認可を求めて参ったのであります。これも当面の市況から見まするとまことにやむを得ないという意味で認可をいたしまして、二月一日から自治的な生産制限の実行に入ったというのが、その第二段階であります。  ところがこの織布専業者に対しまして、有力なアウト・サイダーといたしまして、紡績会社が兼業で織布をやっております。これはむしろ普通の形態といっていいほど多い形態でございますが、これが、能力的に見ますと全体のうちの約四割を占めておりますので、従ってこのアウトサイダーである紡績兼営の織布の業者が同調をしない限りにおいては、なかなかその生産制限の効果が上らないだろうということは当然に想像をされるのでありまして、役所側といたしましては、一応できるだけそれに協調するようにという意味の一種の勧告はいたしたのでございますが、糸の問題を離れて織布だけの操短をするということは、兼営業者としてはなかなか工場の管理上その事情が許さないというようなことで、必ずしも十分な協調は得られなかったというような関係から、せっかく二月一日から調整組合のメンバーが自治的に生産制限を始めたその生産制限の効果も、多少の市況の改善、糸価の改善はもたらしましたが、必ずしも十分な効果は上げ得なかったというような状態で推移して参ったのであります。  当時におきましては、実は糸の相場はそれほど低くなく、ただ織物だけが非常に安い、総体的に言いますると、いわゆる糸高製品安というような関係でございましたので、糸の生産制限ということには直接手を触れないで、まず織布の関係だけ生産制限をしよう、またさせようということが、業界の考えでもあり、またわれわれの考えでもあったのでございますが、今申し上げたような事情で、またその他の事情も加わって、必ずしも十分な効果を上げ得なかったという結果になったのでございますが、そこへ持って参りまして、国際的な綿業界の不況状況というものが、だんだんとその色合いが濃くなって参りまして、輸出の方も非常に伸び悩みになってきておる。それから、綿業界が非常に期待をしておりましたパキスタンに——話が横になりますが、パキスタンにアメリカが綿花を供給をいたしまして、一種の経済援助をするという措置がとられたのでございますが、その綿の経済援助につきまして、日本がアメリカから綿花を受け取って、そしてその綿花を加工をして、製品としてパキスタンに供給する、これは結局アメリカの経済的な負担においてパキスタンに綿製品を供給するわけでございますが、そのパキスタンの委託加工という問題が、綿業界としては相当に期待をしておったのでございますが、いろいろな事情から、だんだんと時間的に延びてきたというようなことで、それらも弱材料になりまして、一、二カ月前から糸の相場も、価格が非常に顕著な低落を示してきたのでございます。そこでわれわれの方といたしましても、綿布の生産制限あるいは設備制限が十分な効果を持ち得なかった事情、それから糸の相場自体も非常に採算点を割ってくるような状況になりつつあるというような情勢にかんがみまして、糸につきましても操短をすることの必要性があるということに判断をいたしまして、五月一日から糸につきましても操短をするということで、各紡績業者に対しまして政府が操短の勧告を発したのでございます。  その操短の勧告の内容は、総平均いたしまして、綿織物、織布の方の操短の率とほぼ同じような、バランスを保った比率で操短をするということで、大体全体としては約一割二分ということをめどにして、操短の勧告をいたしたのでございます。大体数字的に申し上げますと、従来糸につきましては、月によって非常にまちまちがありますが、多い月は二十万コリくらい、それから少い月でも十八万前後という程度の生産をいたしておったのでありまして、大体平均いたしますと約十九万何がしという程度の生産になると思いますが、現在の需要の状況からいたしますと、まず国内の需要、それから輸出の方の需要を合せて考えてみまして、十七万——これは人によっていろいろの見方があるのでございますが、まず十七万足らずというところではないかと想像されるのであります。従って、従来の生産からいきますと、供給は常に需要に対して上回っておるのでありまして、その結果現に在庫高も月々ふえて参っており、現状におきましては約五十万コリ足らず、四十九万何がしという程度の在庫高になっておるのでございまして、在庫数量といたしましては、生産高が今申し上げたような十九万強というところでございますから、その生産高に比べましても、在庫高が非常に多いということは、一応御了解願えるような数字に達しておるのでございます。  綿糸の操短につきましては、今申し上げたような事情が主になって発したのでございますが、なおそのほかに、御承知のように従来から日本の繊維品につきまして、海外から非常に安売りだという意味の批判が強く寄せられて参っておるのでありまして、それに対しては、われわれの方でも逐次種々な措置をとって、若干ずつ改善策をとって参ったのございますが、それでもなお、この綿製品について安売りの状況というものは、少くともいわゆる国際価格に比べてなお相当安いというような状況もございます。それから原料の綿花につきましても、大体現在の外貨予算の関係からいたしますと、月平均約十七万二千コリから三千コリ程度の生産の規模で外貨予算が編成されておるのでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、従来は多いときば二十万、平均して十九万何がしというような生産が行われておったのでございまして、いわゆる原綿の過剰消費というような状況が続いておったわけでございます。これは当然外貨を伴う原料でございますので、国の立場といたしましても過度に消費をされるということは不適当だという判断が出てくるわけでございまして、従って今回の綿紡の操短勧告という問題につきましては、市況の改善ということのほかに、輸出価格の改善あるいは原綿の過剰消費の抑制というようなその他の要素、事情も手伝って操短勧告をいたしたというような事情でございます。ところが操短勧告をいたしましたが、その後の市況の推移を見ますると、少くとも市価の上にはあまり効果は出ていない。むしろ従来からの下げ足、下降傾向の相場が、この綿紡操短の勧告によりまして一時ストップしたという程度の効果は、あったようでございますが、それもしばらくいたしますと特に最近御承知のような状況で、かなりこの数月来は低落状況が顕著な形をたどってきておるのでございます。現在の市況につきましては、これはいろいろな問題がこれにからんでおるのでありまして、根本的には国内の需要というものが非常に不振であるということ、それから輸出がやはり当初予想をしていた、あるいは計画をしていた通りに出ないで、かなり下まわっておるというような事情、それから原綿の価格というものが国際的な価格がだんだん下って来ておるのでありまして、特に日本としては、米綿の価格というものが非常に日本の綿業に大きな影響を及ぼすのでございますが、この米綿の価格がアメリカの綿花政策といいますか、価格政策が必ずしもはっきりしないために、非常に業界ではそこに一種の不安感を持っております。先々もっと安くなるのじゃなかろうかというようなことで、従ってできるだけ現在の手持ちの綿花というものについて危険の分散をしておきたいというような感じも多分に手伝っておるというのでありますが、そうしたいろいろな事情がこれに加わりまして現在のような市況を呈しておるのでございます。われわれといたしましては、これに対して今後いかなる策をとっていくかというような問題につきましては、ただいま慎重にその対策をいろいろな面から考究はいたしておりますが、ただし現状におきましてすぐこれに対して何らかの措置をとるかという点になりますと、この点はなお慎重に事を考えて決していきたいという考え方をいたしておるのでございます。  綿の関係につきましての生産制限は、ただいま申し上げたような状態でございますが、スフあるいは毛、人絹、というようなその他の繊維製品につきましては、先ほど綿につきまして設備の合理化を促進する意味で、昨年の十二月から設備制限を実行したと申し上げましたが、輸出向きの絹、人絹あるいはスフにつきましても、綿の織布と同じような意味の設備制限を昨年の十二月から実行いたしておるのでございます。ただし絹、人絹の方の関係は比較的市況が好調でございまして、従って設備制限を実行いたしまして、それを基礎にした合理化の方も比較的順調に事が運んでおるということを申し上げてよいように思っております。なお毛織機の関係につきましても、これまた設備が過剰であるという点は綿の場合とほぼ同様でございまして、これも五月から安定法二十九条を発動いたしまして設備制限を実行して参っておるという状況でございます。大体私の方から申し上げますことは以上であります。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 御質問ありませんか。——秋田君。

秋田大助日本民主党

○秋田小委員 この綿糸布価格の維持について、紡績業界の一部に綿花の輸入数量を調整するというか削減するというか、そういう行政的措置に出てもらいたいという一部の要望があるように、私はあまり知識はないのですが、聞いたことがございますが、この点、当局はどういうような御所見をお持ちでございますか。

永山時雄通商産業事務官(繊維局長)

○永山政府委員 お話のような必要性は確かにあるのでございまして、先ほど申し上げましたように、現在の綿花の相場が国際的にだんだん安くなってきておる。まあ常識的に先安ということが一応一つの常識になっておるのでございます。従ってこの際原綿を輸入しておくということは、高い原綿を買うということにもなりますので、できるだけ輸入は最小限度にしぼるということがまず常識的な措置ではなかろうかと考えておるのであります。そこで先ほど申し上げましたような当面の綿業界の不況の状況にも対処いたし、それからただいま申し上げたような、できるだけ将来の危険を少くするというような意味で、ただいまは原綿の割当の停止をいたしておるのであります。ただしこれ本綿紡績の業者によって原綿の手持ちの数量が非常に種々雑多でございまして、多いところもございますし、非常に少いところもあるようなわけであります。従って一応全面的な割当の停止をいたしておりますが、特に操業の関係で困るというようなものにつきましては、その具体的な事情を参酌いたしまして、適当な措置をとるというような弾力性を持たした上で、一応現状においては割当の停止をしておるという状況であります。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 御質問ございませんか。では私が一つ伺いたいのですが、五月一日から綿糸の操短勧告をした、こういうお話でありますが、お話のような、不況の態勢に応じては、独禁法は前の改正によって、不況カルテルの結成を認められておるのであります。昨年の夏におきまする会議等におきまして、この勧告制度をめぐって論議のあったことも御記憶にあるところだと思いますが、不況カルテルによって操短措置がなぜできないのか、勧告によらざればこの措置ができないという理由はどこにあるか、そこを一つ伺いたい。

永山時雄通商産業事務官(繊維局長)

○永山政府委員 まことにごもっともな御質問でございます。特に糸の問題についてのコストにつきましては、御承知のように非常に見方がいろいろでございまして、また工場によりまして、あるいは企業によりまして、そのあり方というものもずいぶんと実際にも変っておるのであります。原綿の取得の価格というものも、企業によって変っておりましょうし、あるいはまたそれの打ち込み数量といいますか、歩どまりの関係その他の物件費につきましても、いろいろ企業によって変っておりますし、また工賃あるいは単位当りの所要労務者というようなことも、工場、企業によりましてその能率は非常にまちまちであります。従ってこれを一律にこの程度ならばコストを割るとか割らぬとかいうような判定がなかなかむずかしいのでございまして、従って早急に操短をさせまして、綿業界の市況のささえにするというような時間的な必要性ということに必ずしも即応し得ないというような事情もございましたので、また先ほど申し上げたような市況が悪いということのほかに広域的な立場といいますか、輸出価格の改善なりあるいは原綿の過剰消費を抑制をするというような、国の立場からの要請も多分に加わっておる関係もございますので、今回のような形をとったというのがその事情でございます。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 それではもう一点横田政府委員に伺いたいのですが、独禁法二十四条の三の一項一号の平均生産費というのは、各業種によってとれるものあり、とれぬものありという、こういうお考えでありますか。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 この二十四条の三の平均生産費というのは、これは一応この法律の建前ではとれる、この基準ですべての業種について一応判定をするという趣旨でできておるわけでございます。しかしお話のように、業界によりましてはこのコストの計算というものも非常にむずかしいものだろうと思います。これはわれわれ今まで取り扱いましたいろいろな業種について見ましても、非常にむずかしいことはよく承知しております。しかし法律の建前では、ただいま申し上げましたように一応この基準によりまして——そこには適用上のいろいろな弾力性と申しますか、いろいろな工夫が要るとは思いますが、平均生産費を出せると考えております。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 もう一点政府委員に伺いたいのですが、本問題は相当重要な問題だと実は思うのであります。独禁法改正以前なら問題がないと思うのですが、独禁法改正後その道を設けながら、政府の勧告で操短をどんどんやっていくということならば、独禁法の不況カルテルあるいは合理化カルテルは意味がない、こう考えるのであります。そこで公正取引委員長に伺いたいのでありますが、今回の綿糸操短に関する措置は、独禁法適用が間に合わないというか、独禁法二十四条の三の適用に不適当な場合と考えるかどうか、その点を伺いたいと思います。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 実は今回の操短につきましては、昨年の暮れに、繊維局から公取事務局に対していろいろお話がございまして、その後たしか一月になりましてから繊維局長が直接委員会に見えまして、私どもにもお話がございました。もちろんその当時は、先ほどのお話のように、綿布の問題が主たる問題でございましたが、いずれ綿糸の操短勧告というようなことに発展するであろうが、その際にははたして公取の立場からいってそれがよろしいかどうかというようなことの意見をお求めになったのでございます。それに対しましてわれわれの方では、その当時の——これは一月当時でございますが、状況を判断いたしまして、勧告操短には御承知のように、勧告によっても共同の操短が行われることは、独禁法上やはり問題があるのではないかというような法律的な問題が一つございますのと、それから、先ほど小笠小委員長から申されましたように、独禁法上ある一定の要件を備えたカルテルは正々堂々と結成が認められることになったにかかわらず、別途な方法でもってそういうことが行われるということに対しては、やはり問題があるわけでございまして、そういうような点からいろいろ検討いたしました結果、一月に、操短勧告については独禁法上問題がないでもないし、かつ現状においてはそれを行うことは好ましいことと思われないという趣旨の意見を繊維局の方に申し上げたわけであります。と申しますのは、その当時のわれわれの方のいろいろ調査した結果によりますると、いわゆる不況カルテルの条件には当てはまらない。ことに先ほどからお話のありますいわゆる生産費コスト割れという点につきまして、綿布につきましては確かにそういう面が認められるのでありますが、綿糸についてはそういう面が認められない。これはたしか繊維局長もそのときに、綿糸については独禁法上のいわゆるコスト割れということはちょっとむずかしいのではないかということのお話もあったくらいでありまして、そういうような観点からいたしまして、あまり好ましいとは思わないという御返事をいたしたのでございます。しかしその後だんだん見て参りますと、問題は、先ほど御説明のように、だいぶ深刻になって参っておりまして、われわれの方でその後ずっと問題をフオロウして参りました結果によりましても、需給の不均衡がまず著しいという点は、大体諸般の事情からわかるのでございます。それから合理化で事態を克服するということも、この際望みを託することのできない面でございます。問題は糸価がはたして独禁法上にいうところの平均生産費を割っておるかという点でございますが、この面は、先ほどからお話のように、やはり糸価の生産費の計算というものが非常にむずかしいのでございます。前とは事情が非常に変ってきておるようでございますが、まだ独禁法上にいうコスト割れというふうには認められないのではないかというのが現在の考え方でございます。しかし、これも実はこの趨勢がもう少し進みますると、あるいは独禁法のこれらの要件によほど近い状態が出てくるのではないか。ことに相当の企業が営業を継続できなくなるということがやはり一つの要件になっておりますが、そういう面がぼつぼつと出てきておるようでございますので、われわれといたしましては諸般の状況を考えまして、やはり不況カルテルというようなこともこの際全然問題にならぬことではなくて、一応検討する必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ先ほどお話がございましたように、これは単なる不況ということのほかに、通産行政上のいろいろな観点も含まれております結果、勧告というような措置がとられておるようでございますが、この点はまた別といたしまして、独禁法上の問題としましても十分検討の余地があるのではないか、しかも時間的に、正式にそういうことを調査し、認可の対象としていろいろやっている場合には時期を失するというような問題もあろうかと思いますが、この点はわれわれといたしましては、今後この認可事務につきましては、すでに合理化カルテルについては相当スピーディな事務処理に力を注いで、また実際そういうような結果に持っていっておりますから、もし問題がそこまで発展して参りました場合には、せっかくこういう道も開かれていることでごさいますから、軽率な認可はいたさないつもりでございますが、問題は迅速に処理し、法律に従った結論を出すつもりでおるわけでございます。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 もう一点横田政府委員に伺いますが、ただいまのお話を伺っておると、独禁法上の不況カルテルの諸要件がまだ十分でない、判定が困難だという以前においてこういう行政措置による操短を認めてもさしつかえないのだというふうに考えていいのかどうか。第二点は独禁法上の諸要件以外の問題によって、独禁法上の操短というような行為をなしてもさしつかえないのかどうかということを念のため伺っておきたいのであります。さらにこれは希望でありますが、法に忠実なるがゆえに不況カルテルの発動に時期を失するというおそれがあると、せっかくの法制が行政措置によってやられてしまう、またそういう必要に追い込まれるということがあり得るのであります。この点は不況カルテルという不況の時代でありますから、テンポが問題でありますので、早急なる措置をとらないと、法がありながら別個の行政措置によってやっていかれるという事態になってくるのではないかと私は思うのであります。それであるから早く法の発動を願いたいというのが私の質問の第三点であります。

横田正俊公正取引委員会委員長

○横田政府委員 第一点の不況カルテルがまだ認められない、いわゆる要件が備わっておらない場合に行政措置をもってそれと同様な結果を持ち来たすことにつきましては、われわれといたしましては非常に反対でございまして、一月にそういうことを申し入れましたのもそういう観点からでございます。もちろんそのこと自体が勧告があるにかかわらず、そこに事業者のいわゆるカルテルがあるかないかということを離れましても好ましくないというふうに考えております。いわんやもしそこにカルテルがあるという認定になりますれば、これはもちろん法律上違法な行為でありますから、公取としてこれは黙認しておくわけには参らぬわけであります。  それから他の要素が入っておる場合に行政官庁の措置を認めるかどうかという点でございますが、これはやはり大体の問題といたしましては第一問に対するお答えと同様なことになるかと思うのでありますが、しかしこれも行政官庁の責任におきましてその他の観点からするいろいろな措置が——これは法律上の根拠があれば別でありますが、法律上の明らかな根拠がなくても一つの行政措置として行われますということにつきましては、その面に対しては別にわれわれとしていろいろ申す必要のないようなものであります。しかしやはりそういう不況対策というものが含まっておりますならば、やはり問題は先ほど第一の御質問に対して申し上げましたような結論を公取としては出さなければならぬかと思うのであります。  それから発動が時期を失することによってせっかく開かれた独占禁止法上の制度が働かないで、行政勧告というような措置に問題が逃げていってしまうのではないかというお尋ねでございましたが、この点は私も全くそういうことがないように、もし法律上許されるものでありますならば、時期を失せすそういう要求に応じた手続をわれわれとしてもぜひとらなければならぬというふうに考えておるわけであります。この点は全く御同感と存ずる次第であります。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 操短には往々にして労働問題がついてくるわけです。操短を理由にして経営者が人員を整理するとかあるいはまたそうでなくとも労働時間の短縮、あるいは賃金の引き下げ、あるいは帰休というようなことが行われる。三年前でしたか、初めてこの操短が行われた場合には各地に相当大きな労働問題が起った。そのときこれは資本家といいますか、経営者の一種のストライキである、ということは綿布の価額を維持するためにこういうことをやるのだ、こういうようにわれわれは考えて労働組合等ではこれに対して反対をしたことがあると思うのであります。そういうふうなことについてはどういうふうに考えておられるのか、あるいはまた労働問題を生じないような措置をすでに考えられてこういうような操短を考えておられるのか、そういう点をお伺いいたします。

永山時雄通商産業事務官(繊維局長)

○永山政府委員 操短に伴う労働問題でございますが、私どももその点につきましてはできる限り配慮をいたしておるのでありまして、今回の操短の率を決定いたします場合にも、それによって失業者が出る、積極的に整理をされるものが出ることのないようにしたいということが操短率を決定する場合の一つのファクターに考えたのでございます。しかして勧告をいたしました際にも各経営者に対しましては、これによって人員を整理することのないようにということの注意をいたしました。しかしてまた経営者側からもそういうことをしないという答えもあったのであります。従って今回の五月、六月の操短勧告によりまして、直接に失業者が出るということはまずもってない、かように考えておる次第であります。  それからその他の労働条件の問題は、操短というものは先ほど申し上げましたような綿業界の安定をもたらそうという趣旨から出ておるのでございまして、従って綿業の安定、企業の安定によって利益を受けるものは、経営者もそうでございますし、労働者もまた安定による一つの受益者であるというように考えますので、操短に伴う犠牲というものは、できるだけ両当事者公正に負担するということが適当である、かように考えるのであります。その意味で、労働条件等につきましては、経営者と労働組合側とが話し合いをして解決をするということを期待いたしておるのでありまして、現に五月につきましては、その話し合いが行われて、それによって処置をされておるという状況でございます。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 私の希望するのは、そのしわ寄せが労働者に来ないように十分な配慮をしてもらいたいということなんです。もう一つは、価格を維持するためにやっているのではないか、こういう誤解が一般にあるのですが、そういう点はどうなんですか。

永山時雄通商産業事務官(繊維局長)

○永山政府委員 労働者側に一方的にしわ寄せという形が——いろいろあるのでございますが、少くともこれによって直接失業者が出ないようにという意味の配慮なり措置をしたことは、ただいま申し上げた通りでございます。それから、価格の維持か目的じゃないかということでございますが、先刻るる申し上げましたように、現在市況が非常に不況の状態でございますので、これをできるだけ改善をしていこうということがその目的の一つであるということは事実であります。

田中武夫日本社会党(左)

○田中(武)小委員 よろしゅうございます。

小笠公韶日本民主党

○小笠小委員長 ほかにありませんか。——それでは本日の会議はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後零時三十三分散会

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