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22回国会衆議院1955/05/17

商工委員会科学技術振興に関する小委員会 第1号

発言数
55
登壇者
5
会派数
3
開催日
1955/05/17

会議録

前田正男自由党

○前田小委員長 これより会議を開きます。  本小委員会の議題としては、お手元に配りましたように、原子力の平和的利用に関する件、科学技術に関する各省予算の件、科学技術行政機構に関する件、技術士制度に関する件、科学研究所に関する件、生産性向上に関する件等が考えられるのでありますが、これらの問題について調査を進めたいと思います。  まず政府委員より原子力の平和的利用に関する件について逐次説明を求めます。工業技術院長駒形政府委員。

駒形作次工業技術院長

○駒形政府委員 原子力の平和的利用に関してのいろいろなことを申し上げるのでございますが、まず第一には、先般の海外調査のことについて申し上げ、その次に原子力予算のことについて申し上げるようにいたしたいと思います。  御承知のように昨年原子力予算が成立いたしまして、内閣に原子力利用準備調査会というものができ、そこで原子力に関する一般的の政策を審議することに相なりました。それから通産省に原子力予算の打合せ会というものを作りまして、そこで予算の配分等を審議いたした次第でございます。  海外の原子力の平和的利用の状況をよく調査する必要を認めて昨年各国に交渉を始めまして、一方その調査に行く人の人選をいたしまして、十四名の者を選び、昨年の暮れに日本を出発いたしまして、三カ月間にわたりまして十五カ国を分担して視察した次第でございます。これの調査の結果につきましては、今月終りないしは来月初めくらいにこまかい調査報告を提出することにいたしてあるのでございますが、とりあえず今後の日本の原子力開発に対しまして、参考と思われるような点を要約いたしましたものを御報告申し上げておいたのでございます。その刷りものがお手元にあるものでありまして、これについて若干申し上げてみたいと思います。  各国をまわったのでございますが、すでに戦争中からアメリカ、カナダ、イギリスは原子力の仕事をやり、そして戦後におきまして非常にこれを進めておりますし、戦争直後にフランスが原子力の平和利用の仕事を始めまして、それから若干おくれてノールウェー、オランダが共同して原子炉を作りました。それから少しおくれて、スエーデンが原子炉を作っております。現在ソ連はもちろんそういうものを作っておりますが、今申し上げました国々が現在原子炉を持っておる国でございます。それ以外の国は、いろいろな計画を持っておりますけれども、まだ現に原子炉というものを自分の国の中に持ってはいないのでございます。イタリアとか、スイス、ベルギー等は、今盛んに三年計画とか四年計画とかいうものをもって原子炉を築造することに努力いたしておる次第でございます。私どもの調査は、最初ヨーロッパの方に参りまして、イタリア、スイスというふうに、これから原子炉を作ろうといたしております国を見まして、それから戦後やり出しましたフランス、ノールウェー、スエーデン等を見て、最後に一番早くからやっておりましたイギリス、カナダ、アメリカというふうに移って見て参ったのでございますが、そのやり方等について、やはり各段階がございますので、そういうふうに回りましたのが、私どもとしては調査する上に非常に都合がよかったような次第でございます。  御承知のように、原子炉なるものができましたのは一九四二年の十二月二日ということでございます。これが原子炉誕生百でございます。それから今日十三年間を経過しておりますけれども、その十三年というそう長くない期間におきまして、すでに進んでおりますイギリス、アメリカ等は、これを相当実用の面にまで持って来ておるのであります。イギリスにおきましては、明年五方キロワットの発電所を作ることになっておりますし、なお今後十年間におきまして、百五十万ないし二百万キロワットの発電所を建設するという計画を持っております。アメリカはすでに原子力を動力とした潜水艦というようなものも作りましたし、一九五七年には六万キロワットの発電所が完成する予定になっておるのでございます。このほかフランスにおきましても、来年くらいに六千キロくらいの試験用の原子力発電所ができますし、さらに十万キロの発電所の計画を持っている次第でございます。カナダもごく最近二万キロワットの発電所を三年計画で作ることを計画している次第でございます。そういうふうに進んだ国はどんどんやっているのでございますが、おくれた国々も、ノールゥェーは一九五二年、スエーデンは一九五四年に三百キロワットの実験用の原子炉を作りまして、それが先ほど申し上げましたように現に動いている。それからイタリア、スイス、ベルギー等は、大体五、六千キロから一万キロくらいの実験用の原子炉を作るということで計画を進めている次第でございます。  そういうことを勘案いたしまして、日本といたしましても、将来のエネルギー資源というものを考えまして、原子力の開発の研究をすみやかに推進する必要があるというふうに考えるのでございます。  それで将来わが国でこの仕事を進めていきます上に、まず第一にどういうような原子炉を作っていったらばよろしいであろうかという問題でございますが、その結論といたしましては、四ページのところに書いてありますように、天然ウラン、重水の多目的の原子炉を建設していくことを第一次の目標とした方がいいというのでございます。これは先ほどもお話申し上げましたような次第でございまして、各国が非常に進んでやっている。これにつきまして、日本といたしまして、天然ウラン、重水の多目的——この趣旨はAのところに原子炉の形式は、天然ウラン、重水型の方がいいということを書いてございますが、これは日本といたしましては、まだ未知数ではございますけれども、多少なりとも天然ウランというものは日本の中であると考えられますので、その天然ウランを用いまして、そして重水を減速材とする方式をとる。この減速材には石墨と重水と両方のことが考えられるのでございますけれども、重水を減速材にする場合には天然ウランはグラファイトを減速材にする場合の十分の一くらいで一応原子炉というものができるのでございまいして、ウランの資源のことを勘案いたしまして、ウランの量の少い方式を日本としては採用していった方がいい、こう考えておるのでございます。この事情はたとえばスイスのごとき国は、やはり天然ウラン重水型を採用することにいたしております。これはやはりスイスがウラン資源に欠けておるからでございます。ところがベルギーのようにベルギー領コンゴたるものを持って、ウランの量の産出の多い国におきましては、むしろ天然ウラン黒鉛型の炉を採用いたしておるのでございます。電水は非常に値段の高いものでございますので、天然ウラン重水の方が全体としていいますと、やや価格は増大するのでございますけれども、そういった資源等の関係におきまして、日本といたしましても天然ウラン重水というものを考えていくことが妥当だというわけでございます。  Bは多目的ということでございますが、炉にはいろいろな炉があって、これに対する目的があるわけでございまして、訓練用とか、材料試験片とか、放射性同位元素生産用とか、プルトニウム生産用とか、動力発生試験用とかいうようなものがあるわけでございますが、日本といたしましては、将来の発電用原子炉に進むべき技術の修得が可能なように、十分の余裕をもちまして、いろいろなことがこの一つの炉でできるということをねらっていくのがいいのであります。すなわち多目的に作りますためには、やはり炉の出力もある程度は大きくしていく必要があるわけでございます。大体新しく始めようとしておる国が数千ないし一万キロワットからスタートしているという現状もそういったことがあるためでございます。  Cといたしまして、ウラン重水並びに高純度の石墨等の生産を促進する、これは日本の工業資源その他のことを考えまして、ウラン、重水、それから高純度の石墨というものの生産、あるいは生産研究というものを十分進めていく必要があるのではないか、またこれらのものにつきましては、相当日本としては可能性が強い工業の現状から考えまして、重水は電解工業をたくさん持っている国におきましては非常に有望なものでございますし、現に日本といたしましては、石墨の生産というものは相当程度あるわけでございますから、これをさらに高純度のものにするということが、研究を進めてやるならば、日本としてはできないことではないと考えるのでございます。  Dといたしましては、付帯施設の充実に力を注ぐということでございます。原子炉は原子力の研究の中核でありまして、これがなければもちろん原子力の研究はできないのでございますけれども、これに対しまして、付帯設備というものも非常に重要な事柄となるのでございます。付帯設備と申しますのは、研究用の施設でありますとか、あるいはホット・ラボラトリー、これは非常に強い放射能のものを取扱う、ホットというのは強い放射能という意味でございまして、そういう強い放射能を取扱う研究室、これは放射能が出ますので、防護の装置としてコンクリートを厚くする、あるいは中を見るためにガラス窓を使いましても、ガラスのうんと厚い特殊のガラスを使う、あるいは手を触れることができませんので自動的に遠隔から物を操作する装置といったようなものを作る必要があります。そういうホット・ラボラトリー、それから健康管理の施設とか、廃棄物の処理の施設等でございますとか、あるいはまた建物等も特殊のものを必要といたす次第でございます。これらのものも相当の費用を要するのでございまして、特に多目的の原子炉の場合におきましては、こういう付帯施設をやはり十分考えませんといけないことになっております。それで付帯設備の充実に力を注ぐことが必要である、こういうことでございます。  Eといたしましては、資材の不足量や特殊の機械、技術の導入につきましては、慎重に考慮するということがございますが、これは先ほどのウラン、重水、石墨というものの生産に努めましても、これを十分な量、第一号の原子炉のために必要な量だけ作るというには、やはり相当な期間を要するのでございます。しかしこれはウランを大体五トンないし七トンぐらい、重水を十一トンないし十三トンぐらい必要といたすわけでございますので、そういうのを全部国内で生産するということも非常に時間がかかる、それでその不足量に対しましては、輸入をするという方法で、早くこの第一号の原子炉を建設すべきである、これは材料でございますが、その他機械、技術等につきましても、間に合わないものにつきましては輸入、導入の方法を考えるということもやむを得ないことである、しかしそれらのことはわれわれの方で周到な計画を立てまして、そうして最小限度でそれをやるべきである、こういうのでございます。  以上申し上げましたのは第一号炉でございますが、最近濃縮ウランの問題が出て参りまして、濃縮ウランを用いる実験用の原子炉のことについて、第一号炉との関連がございますので、ここで濃縮ウランのことを加えたわけでございます。この濃縮ウランの問題は、御承知のように現在国際連合でいろいろ濃縮ウランのプール案というものが検討されておるのでございますし、またアメリカにおきまして濃縮ウランを供与するということを申し出ておるのでございます。アメリカは各国に対しまして百キログラムの濃縮ウランを供与する、イギリスが二十キログラムの濃縮ウランを供与するのだということを現に申し出ておるところでございます。この濃縮ウランというものは、御承知のようにウラニウムの中には、二三五と二三八というのがございまして、ウラニウム二三五というのは燃料になるものでございます。いわゆる中性子と一緒になりまして核分裂を起すものでございまして、二三八の方はそういう現象を起さないのでございます。でございますからその割合は二三五が一といたしますと、二三八は一四〇、一対一四〇の割合になっておるのでございます。従ってウラニウム二三五の濃度を増しますならば非常に燃えやすいウラニウムができ上るわけでございまして、そのようにいたしましたのが濃縮ウランでございます。そういう濃縮ウランがありますと、先ほど申し上げましたような天燃ウランよりは形の小さいものができるわけでございますが、現在アメリカが提案をいたしておりますものは、実験用の小型の炉を各国が作りますためにこれを供与してよろしい。向うから参りました書類を見ましても、大体百キログラムで五十くらいの小型実験炉ができるということでございまして、平均いたしまして二キログラムの濃縮ウランというものが使用される実験炉でございます。現にアメリカとトルコが先般正式な協定を結びましたものを見ますと、二〇%の濃縮度のものが六キログラムということでございました。そういう小さいものでございますので、これを考えますと、Aに掲げましたように、濃縮ウランによる実験用原子炉の建設は第一号炉と並行して考えるべきことと書いてございますが、非常に小さな、大体数十キロワット程度のものが作れるわけでございますので、これによりまして第一号炉に必要な技術者の訓練や若干の材料検査等にこれを向ければ、第一号炉の建設は非常に促進することができるというふうに考えられます。従いまして濃縮ウランの受け入れば適当な条件で行われますならば、これを受け入れましてそのような小型実験原子炉を建設した方が望ましいというのでございます。しかしこの数十キロワットのものが一つできてしまって、それで日本の原子力研究の原子炉はいいんだということにはならないのでございまして、この濃縮ウランを使います小型の炉は、第一号炉に対しましては補助的の意味を持つという程度に考える必要が私どもある。どうしても第一号炉の建設に対しまして努力をしていかなければならない。これが炉自体に対しての考え方として調査の結果申し上げることでございます。  それから第二は原子力開発の態勢でございます。これは各国とも統括機関というものがありまして、原子力のいろいろな問題をそこで統括、管理をいたしておりますのと、研究ないし開発の実施機関というものを持って、そこで実施々やっておるわけでございます。この統括機関の方は委員会の形をとっておりまして、各方面の方々がこれに対して意見をいれるような仕組みになっているのでございますし、実施機関の方は、古く研究を始めましたものは、最初は国の機関でもって実施をいたしておりましたけれども、だんだんと仕事が大きくなりますと、これを民間機関すなわち公社あるいは特殊会社に直して参っております。また新しく始めましたような国々では相当大きな進歩いたしました炉から手をつけることになるので、最初から公社あるいは特殊会社というような形におきましてやっておるのでございます。いずれの場合でも経費の大部分は国費でもってやっている次第でございます。日本の状況といたしましても、最初に申し上げましたような仕組みでやってはおりますけれども、この際さらに推進いたしますために、Aといたしまして、原子力開発の統括機関を早急に作る必要がある。Bといたしまして、原子力開発の実施機関を早急に創設することが必要である、こういうような結論を出しておるのでございます。  第三点といたしましては、放射線に対する安全保持の問題、これはわが国といたしましていろいろ特別な事情がございますので、たとえば地震というような問題もあり、いろいろな放射線予防の問題につきましても十分な注意を払う必要があるということを注意を加えておる次第でございます。  第四は、原子力技術者の養成並びに一般啓蒙について。これは現在各国ともに原子力工学といったような一つの工学の分野といたしまして原子炉の建設、操作、それから利用の開発ということが取り扱われておるのでございまして、大学等におきましても、原子力工学科というものを作っておるところも出て参っております。そういうような状況でございまして、当然日本といたしましても原子力関係の専門技術者というものが相当多数必要になるのであります。これらの技術者の養成というものは時間を要するのでございますから、早急にこれを考えておく必要がおる。これは諸外国に留学生等を派遣いたしますとともに、国内におきましても何らかの養成機関というものを早急に設置することが必要であります。  最後にこの原子力に関する一般の認識というものも現在では十分でなくて、原爆を経験いたしました日本といたしまして、必要以上に原子力というものをおそれておるということもございますし、また一面原子力の開発におきまして、何で本今瞬間に経済上の問題が解決されるというふうな工合に考えるのもこれも行き過ぎでございまして、原子力に対する正しい認識のために十分慎重な啓蒙ということが必要になってくるということを報告申し上げました次第でございます。  その次は予算のことでございます。資料を差し上げてあると思いますが、二十九年度原子力平和的利用助成費の使用状況というのが初めに載っております。昨年の二億三千五百万円の原子力予算は、節約で二億二千三百五十万円というふうになったのでございますが、これは調査その他いろいろなことがございまして、実際使用いたしました金額は六千二百八十五万円でございます。この六千二百八十五万円のうち、原子炉構造に関する分といたしまして千六百二十五万円、原子炉材料の関係といたしまして二千五百二十五万円、資源関係といたしまして四百二十七万円、その他ということで六千二百八十五万円でございます。この残りは三十年度の方に繰り越しをいたしました次第でございます。そしてこれらの研究は、すでに構造関係におきましては、日本学術振興会の方にこれの研究の委員会を作りまして、そこでいろいろな炉の設計の基礎の研究をやり、相当分厚い報告書を御提出になっておるような程度に進捗を見ておるのでございます。その他ここにありますように、交付先及び研究題目が書いてございます。  三ページ目の三十年度の原子力の研究のことにつきましては、総額二億円を今国会に提出いたしておるのでございまして、二十九年度の繰越分一億五千九百十二万五千円と三十年度の予算の二億円、合計いたしまして三億五千九百十二万五千円、これをもって今年度研究を推進して参るように考えておるのでございます。これの内訳はそこに書いてございますように、原子炉の構造関係といたしまして一億七百十一万八千円、材料関係として二億一千四百六十四万五千円、資源関係で二千二百五十九万八千円、その他ということで約三億六千万円ばかりの研究費になっております。以上であります。

前田正男自由党

○前田小委員長 次に経済審議庁計画部長佐々木政府委員より説明を求めます。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 私から、主として内閣にあります原子力利用準備調査会並びにその部会であります総合部会の状況につきまして御説明申し上げます。  内閣の利用準備調査会は、御承知のように、副総理が委員長でございまして、経済審議庁長官が副委員長をやっておるのでございます。大蔵省、通産省、文部省等の各関係閣僚が委員になっております。これに茅、藤岡両先生、石川一郎さんが民間から入っております。この委員会は新しい内閣ができまして以来まだ一ぺんも開いておりません。あさって、十九日に開くことになっております。なぜかと申しますと、実はその下に総合部会というものを作っておりまして、その総合部会も各界の最も有能な方たちにお集まり願い、各省の関係局長の方にも全員で御参加を願いまして、その総合部会で十分議を練って、その上で最終的には調査会にかけるという話し合いになっておりますので、今までのところは総合部会の方で主として問題を取り上げて進めてきたわけであります。ちょうどきのう第九回目の総合部会がございまして、ほとんど二週間に一ぺん、あるいは三週間に一ぺんくらいこの総合部会は開いておるのでございますが、その総合部会で今までいろいろの問題を取り上げて参っておるのでございますけれども、特に重要と思われます点を二、三お話し申し上げまして、状況報告にかえたいと思います。  一つは濃縮ウラニウムのアメリカからの申し出に対する日本側の扱いの問題でありますが、これを経過的に御報告申し上げますと、一月の十一日に在日米大使館から口上書でお話がありまして、一月二十五日に在米の井口大使より非公式の連絡がありまして、本省、これは外務省でございますが、二月十日に受領してございます。そうして四月十八日に一月十一日付の口上書が正式の通報であるというあらためての公式な申し入れがありまして、あれは公式に申し入れたのと変りがない、あれでもって日本側のいろいろな態度をきめてもらいたいという話がありまして、なおその際六月一日までに——アメリカの議会の関係がございますので、日本側で希望があるならば日本側の態度を回答してもらいたいという話があったわけでございます。そこで政府といたしましては、この問題の扱いは非常に重要な問題でございますので、国の基本的な原子力の開発の問題に対する方針というものがある程度固まって参りませんと、条約を要する問題でもございますので、軽々しく態度はきめかねるということで、せっかく海外調査団を派遣している最中でございますから、その海外調査団が各国を見て、その結論を出していただいて、その結論を有力な参考資料としてこの問題の解決を見たいというので、調査団の帰りを待っておったわけでございますが、二月の末ごろ皆さんお帰りになりまして、その公式な報告は先ほど駒形院長から御説明があった通りでございますけれども、その以前いろいろ非公式なお話等もお聞きいたしまして、そういうものを参考にしながら先ほど申しました総合部会で何べんとなくこの問題の討議を重ねて参ったのでございます。その結果きのうの第九回の総合部会でいろいろ各委員からこの問題に対する御議論がありました。その議論の結果を大きく分けますと、一つはもう少し国内の基本方針と申しますか、受け入れ態勢と申しますか、こういう態勢整備等ができた上でアメリカ側と折衝してもおそくはないのじゃなかろうかという意見と、一応受け入れるという申し入れだけはして、そして交渉を重ね、その間必要な国内の機構の整備を並行してやったらいいのじゃなかろうがという、並行に問題を進めていった方がいいという議論と、国内態勢をまず先にして、自後折衝に移るべしという議論と二つになったように承知しておりますが、何回も重ねた議論のことでもありますし、とりあえずの手段といたしましては、総合部会の各委員の意向をありのまま最終の機関であります調査会の方に持ち込みまして、そして先ほど申し上げましたように十九日の正午から予定しております利用準備調査会の方でその問題の経過を聴取し、そして最終的な日本側の意思決定をしたいというふうな段取りにしてございます。  それから国内の態勢の問題でございますが、これに関しましても、先ほど駒形院長から調査団の報告の説明にもございましたように、この国内の態勢を、主として機構的な問題ではございますが、この問題をどうすべきかという点に関しましては、総合部会でも一、二回フリー・トーキングの形でディスカッションしたことがございましたが、なかなか結論の段階まで達しません。そうこうする間に調査団も帰って参りまして、そして各国の開発機構等を参照しながら今後の日本の機構の整備、言いかえますと統括機関であれ、あるいは実施機関であれ、いずれにいたしましても国内の責任態勢あるいは推進機構態勢をどういうふうに整備するかということが焦盾の急になったわけでございますので、今後の総合部会等ではこの問題を中心的なテーマとして取り上げまして、そうしてなるべく早い機会に結論を出そうということで、この次の総合部会までには事務当局の草案を出しまして討議をしたいというふうな段取りになってございます。  統括機関に関しましては、あるいは委員会制度がよろしいという意見もありますし、あるいは日本では委員会制度は、従来の例から見てもまことに弾力性を欠くという面もございまして、むしろはっきりと官庁の行政組織がよろしいという議論がございまして、お互いに甲乙論がございますので、どちらがよろしいという結論を出すまでには相当議論を要する問題かと存じます。いずれにいたしましても、そういう総括機関の機能あるいは組織等に関しましてはこの次の総合部会から議論を順次進めたいと思っております。  それから、実施機関の問題も同様でありまして、先ほど駒形院長からお話がありましたように、大がいの国では公社あるいは特殊会社という形態で問題と取り組んでおりまして、国立機関としてこの問題を今取り扱っておる国はほとんどございません。そういう情勢も勘案いたしまして、今後実施機関をどういうふうにいたすべきか、国立の機関でやるべきか、あるいは公社、特殊会社等の形態がよろしいか、こういう点も、日本の実情等も思い合せましていろいろディスカッションをいたしまして、近く決定いたしたいという考えでございます。もちろんこれがきまりますれば、法律事項でございますので十分御審議をいただかなければならぬことかと思っておりますけれども、いつこれがきまるか、今議会に間に合って法案が出るかと申しますと、なるべく早い機会にとは思っておりますけれども、あるいは今議会には間に合いかねるのではなかろうかというふうな感じもいたしますので、とりあえずの措置といたしましては、やむを得ませんから経済審議庁に原子力室という政策的な部面を担当する機関を作りまして、工業技術院の方には原子力課というものを作りまして、ここで専門にこの原子力プロパーの問題を扱う機関といたしまして、技術的なあるいは実施態勢の整備の問題に関してこの機関でしばらくやっていくというふうなとりあえずの機構も考えてみたわけでございます。  国内機関の整備の問題等に関しましては、そういう状況でありまして、さらに総合部会といたしましては、あるいは留学生の派遣の問題とか、あるいは安全保障の問題等、いろいろございますけれども、当面の大きい問題といたしましては、この二つの問題が一番大事な問題でございますので、今までの経過を御報告かたがた内容を申し上げた次第でございます。

前田正男自由党

○前田小委員長 それではこの原子力の平和的利用に関する件について質疑に入ります。質疑の通告がありますから順次これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 この問題につきましての資料は一昨日いただきまして、私どもまだ十分に検討いたしておりませんので、今後ともこの小委員会並びに本委員会で逐次御質疑をいたしますが、私どもといたしましては、日本の未来を前にしております党として、また平和の党として原子力の問題には非常に関心を持っておるわけであります。それから同時に一方では、原爆、水爆の被害から考えまして、問題の取り扱い方に対して非常に警戒的と申しますか、慎重な態度をとっておると同時に、他方では原子力の平和利用という問題について非常に明るい展望を前にして積極的な関心を持っておる次第であります。この問題がアメリカから提案されまして後の経過を、これまで詳しく存じなかったものですから、こうして期日が迫って、また当時総選挙の関係もありまして、審議する十分な機会がなかったものですから、短時日の間にこの問題を審議せねばならぬということになったわけですが、これを急ぎます理由は何でしょうか。アメリカの国会関係から来ておるのでしょうか。かりに原子炉についての協定を結ぶとしますと、これはどういう関係になるのですか、条約ではありませんから協定する、日本の国会及びアメリカの国会との関係はどういうことになるのでしょうか。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 急ぎます理由の点から申し上げますと、一つの理由は先ほど御説明申し上げましたように、だいぶ前から各国に対して御提案がございまして、各国ではそれぞれ回答を出しておるのでございますけれども、日本側といたしましては先ほども申しましたような事情もございまして、今まで正式な回答は何らいたしておりません。ところが海外調査団の報告等も出まして、先ほども申しましたように総合部会等の各委員の意向な徴しましても、大体条件によっては不備ではなかろうか、条件の吟味もいろいろしたのでございますが、討議を重ねました末にこれ以上の条件の問題は実際話してみないとどうにもわからないというところまで来ておりますので、十九日の調査会でどういうふうにきまるかわかりませんけれども、かりに十九日の調査会できまりまして、正式の回答を出すということになりますと、自後折衝に入るわけでございますが、その際そういう条件について不審の点がございますれば、十分両方で交渉して明らかにしたいということで、条件いかんによってはということはあくまでも考えておるわけでありますけれども、特に急ぎますというのは、アメリカの議会の関係ももちろんございますが、こちら側といたしましては、アメリカの議会の関係もさることながらもあまり長くこういう問題を放置してはいかんのじゃなかろうか、何らか政府の態度というものをきめる段階に来ておるのじゃなかろうかという感じもいたしますので、総合部会等もきのう開きまして一応段取りだけはつけてみようということになったわけでございます。  それから国会との関係でございまするが、これが私どもの解釈では単なる行政協定という範囲にとどまらないで、アメリカの原子力法を読みますと、向うでもアメリカの国会の合同委員会を通してからきまるようにもなっておりまするし、原子力法には協定という言葉を使ってはおりまするけれども、当然条約のような性質を持つものになるのではないか、従いましてこちらの議会も当然通すべきものではなかろうかという解釈で現在のところはおります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 この問題をアメリカ政府から非公式にでもこちらへ通達されましたのは一月のことだと聞いておりますが、それが国会へも正式に報告されず、また学術会議にも三月になってやっと報告があって意見を聞かれたということですが、これはどういういきさつからそうおくれたのでございますか。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 この点も先ほど実は帆足さんが見えられる前にお答え申し上げたのでありますが、ちょうど一月の書類が来たころには、一番中心に思われるような方たちが、海外調査団のメンバーになって、全員出払っておりまして、一種の留守部隊のような格好になっておったものですから、と同時にまた国内には国会の解散の問題があったり、先ほど申しましたように準備調査会そのものが主として閣僚で構成されるような関係もございまして、調査団が帰ってからあるいは政府がはっきりきまりましてからこの問題を処理した方がよかろうということで、延びておったというふうに承知しておるのでございます。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 ただいま読売新聞の正力社長のごあっせんで、ホプキンス氏一行がこちらへ見えておりますが、この一行の見えたことと日本政府及びアメリカ政府との関係は、大体どういういきさつになっておるのでしょうか。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 私の承知しておる限りでは、読売で御招待なさったのは、政府対政府の話し合いでは毛頭ないのでありまして、従って参っておる人も政府の役人ではございません。主として実業団同士でお話ししたいというので参ったがごとく承知しておるのでございます。私どももあの一行とは直接現在のところ関連は何もございません。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 ホプキンス氏一行の説明をこの前懇談会の席で聞きましたが、さすがに原子科学関係の方だけあって、教養も高いですし、広く原子力の諸問題について理解力も持っておられまして、私ども個人的には非常にいい感じでもってお目にかかりました。しかし個人としてすぐれた紳士であり、すぐれた学者であるということと、政治問題とはまた多少趣きを異にします。政治の世界は、人類の進化の過程でもまだ非常におくれた爬虫類的世界ですから、非常に警戒々要するわけです。いかにホプキンス氏一行が教養高く愛らしい人物であるとしても、政治の問題はまたおのずから別個に考えねばならぬ、こう思っております。それでお尋ねしたいのですが、原子の技術また設備について学ぶとすれば、アメリカのほかに英国を当然考えねばならぬですが、イギリスとの関係はどういうふうになっておるでしょうか。英国から各国の商社に対して、原子炉または濃縮ウラニウムまたは原子発電設備等のプラント輸出について、いろいろ注文をつけたように伺っておりますが、その方との関係はどういうふうになっておりますか。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 実はこの方は外務省の方から答弁するのが本筋かと思いますが、あるいは不正確かと思いますけれども、私の存じ上げておる限り申し上げてみたいと思います。私どもの知っておる範囲では、英国から例のプール案に対しまして濃縮ウラニウムを一部提供するという話は承わっておりますが、米国でただいま提案しているように、国対国でその問題をすぐ扱うというふうな段階までは、あるいは来ていないのではなかろうかという感じを持っております。それから留学生等の受け入れの問題に関しましても、英国でも協議したいという発表はしてございますが、まだ具体的な話までにはなっておりません。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 それでは英国から、国と国との協定とかそういう政治問題なしに、原子炉を購入するとか、技術を借りるとか、原子発電機のプラント輸入をするということは、可能なんでしょうか、不可能なんでしょうか、現状では……。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 特に濃縮ウラニウムに関してはそうでございますが、非常にやはり管理的な性格を持っておりまして、おそらく英国でももしこういう問題を実施する際でも、普通の商品と同じようにコマーシャルでという段階にはまだまだなっていないというふうに考えて、おります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 英国から英国の自治領、従来の大英帝国内の諸領土、または諸外国に原子関係の技術なり設備を売りましたような例がありましょうか。またはアメリカの原子力法のような、すなわち他国に技術を渡しますときの制限規定のようなものが、英国に現在ありますかどうか、ちょっとお尋ねいたします。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 私そういう点は存じ上げておりません。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 原子力調査団も諸外国を回って帰ったわけですから、そういう点もわれわれまたよく伺いたいと思いますので、技術院におきまして御調査願います。私どもとしましては、原子力の問題が本小委員会で論議されることだけでも非常に画期的なことで、これは人類のあけぼのを意味するものであって、これについて語り合うだけでも、この偉大な時代に生れた光栄を感ずるものであります。それほど重要な問題なんです。同時にこれが悪魔によって使われたときの悲惨さは、それはもう言語に絶するものであって、学術会議の報告書などに、原子力の問題に対して不要な恐怖があるというようなことを、横田喜三郎先生などは筆を入れて書いているけれども、不要な恐怖とは何事かと私は思う。正当なる恐怖です。同時にこれが平和と人類の福祉のために使われる将来のことを思うと、これは産業革命であることは申すまでもないことであって、この問題をめぐって世界の政治も、社会制度も、場合によっては国境という観念すらも、変る日が来るのではないかと思われるほどの、人類にとっての大きな革命であると思います。従いましてこの重要な時期に、一日も早くその技術を学ばねばならぬということは、緊要なことであって、単に公式にとらわれて、これから学ぶことを過小評価すべきでないと思います。しかし同時にこの歴史の大転換期に当るこの時代に、軽卒に火中のクリにつめのあかほどでも足を入れさせられるというようなことがあったならば、これもまた悔ゆるとも及ばざる事態になりますので、学術会議においてこの問題が上程されるたびに問題になっておる諸点は、私は保守であれ革新であれ、これは謙虚に耳を傾けて、そしてそういう心配が国民の一人でもないような条件で、この問題に接触すべきであると思います。政府としては、学術会議で論議になりましたいわゆる三原則、すなわち問題が公開的であり、自主的であり、そしてまた民主的に取り扱わねばならぬというような希望、これらに対して一体どういうお考えをお持ちでしょうか。この問題をお取り扱いになる政府の基本的態度についての政府部内でお話し合いが出たことがあるかどうか、その原則的な態度をまずお伺いしたいと思います。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 今の三原則の問題に関しましては、総合部会には、学界におでましになっております学術会議の委員の方が多数ございまして、あるいは総合部会の委員でない、調査会の委員であります茅先生あたりも、常に総合部会に出席なさっておりまして、三原則の問題に関しましては、出た直後かと記憶しておりますが、政府で今後問題を進める際には、平和利用ということは、これは調査会で進める際に大原則として初めに決定いたしまして、その線で進むことはもちろんでございますが、進める際の考え方といたしまして、三原則の線に沿うて問題を進めてもらいたいという話がございましたので、総合部会といたしましては、そういう態度で問題を進めろという決議をいたしまして、目下までのところその根本原則はくずしておりません。従いまして今までアメリカの濃縮ウラニウムを受け入れる際の討議に際しましても、その条件等の準備につきましては、三原則の線に沿ってやっております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 この問題につきまして、トルコ、それからイタリアとアメリカとの協定ができておるということを新聞で見ましたが、資料がおありでしたら、この次に資料をいただきたいと思います。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 イタリアの資料はまだ十分ではございませんが、トルコとの協定の内容に関しましては書類がございます。ただ私どもその点を検討いたしますと、別段秘密の条項とか、あるいは研究の自由を束縛するような条件は、ほとんどないように見られるのでございますが、なお深く検討いたしますと、あるいは民主的な面等で疑義が出ようかと思いますので、検討中でございます。

前田正男自由党

○前田小委員長 次会までに一つ資料を出してください。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 外務省にありますので……。

前田正男自由党

○前田小委員長 それではわれわれの方から外務省に要求いたしまして、資料として提出いたさせます。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 政府並びに学者たちが平和を非常に強調し、そういう自主的、民主的態度を強調されたことは、私は非常によかったと思うのです。それは日本の学界の権威と見識を高めたことにもなるし、それからホプキンス氏一行の談話などを読みましても、この問題に対して非常に敬意を表しておるようでございますから、私はやはりこういう原則的な態度をまず明らかにして、見識と誠意をもってこの問題に対処したという態度は、非常によかったと思うのです。きのうの新聞でしたか、予算委員会で政府当局は、これに秘密条項がある、これはすなわち秘密を守らねばならぬという条項があって、これで一種の防諜法みたいなことにひっかかるようなことがあっては困るので、この点は一つ政府としては検討を必要とするし、反対であるということが出ておりましたが、この問題については大臣にお尋ねしなければならぬことでありますから、あまり立ち入ってお尋ねするのも無理かと存じますが、多少御研究なさったかどうか、また大臣がどういう資料に基いてそういう発言をなさったのか、御意見をお聞かせ願いたい。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 大臣はおそらく機密条項のようなものがあるというふうにおっしゃったことはないのじゃなかろうか、もしあれば新聞の誤報じゃなかろうかと思います。私ども大臣に申し上げているのは、ただいまお手元に差し上げました資料で実は御説明したのでございます。米国から参りました米国の原子力平和利用計画のための原子核物質の割当に関する概要書というのがございますが、この最後十七項をごらん願いますと十七項に、「利用される原子炉燃料の量及び濃縮の程度は、割当を受けるいかなる国をも原子兵器の製造を可能ならしめることばない。」というふうにございまして、こういう小規模のものでありますれば、兵器等に転用されるおそれは毛頭ないのだ、全文十七カ条までお読み下さればわかりますが、内容はごく小規模の実験炉でございます。価格も十三項にございますように、建設費が十万ドルから数百万ドル、年間の運転費も二、三万ドルから数十万ドルというような小さいものでございまして、決して兵器に転用できるような品物ではございません。そこでアメリカの原子力法を見ますと、原子力法もお手元に差し上げてあると思いますが、一九五四年、去年の夏に改訂いたしましたアメリカの改訂原子力法でございますが、その中で海外協力の問題で一番関係の深い条文は百二十三条でございまして、この百二十三条を読みますと、ここに1、2、3、4とございますが、1の点は、協定の中に含む事項といたしまして、「協力の条件、期間、性質及びその範囲」というのがございまして、2に「協力協定において定あられた機密保全とその基準とが維持される旨の加盟国による保証」、これが機密保持に対する保証の問題でおります。3は、兵器に転用してはいかぬという条項でございまして、4は、平たく申し上げれば、提供した物資をほかの国にやってはいかぬという条項になっておりますが、ここで問題になっておりましたのは、この機密保全というものが一体つくであろうかどうだろうか、もしついた場合に、日本のように機密保護法というものが何にもない場合、そういう協定を結ぶ際においては、国内的にそういう機密保護法のようなものをあらためて作ることが必要だろうかどうかという点が非常に疑問だったわけでありますけれども、先ほども申しましたように、これは何ら兵器に転用することができない小規模なものだということが明確にうたってありますし、それから兵器に転用できないものだという場合には、機密保全の条項はほとんどないようなことになりまして、トルコの条約等あるいはほかの国との、まだ完全に締結まで至っていない国等のいろいろな情報等を聞いてみましても、そういう条項はあまりついておらぬということでござい甘して、この範囲のものでありますれば、レポート等はもちろん出す必要があろうかと思いますが、特に機密保持のために国家的な義務を負うとかいったようなことは、今のところではおそらくないのではなかろうかというような感じがするのでございます。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 特定の技術または製品を特定の第三国に出してならぬということは、特許などの場合でもあり得ますから、これは問題は簡単だと思いますが、機密保持ということにつきまして、この前の今見えているアメリカからの一行の懇談会では、多少のそういう問題があるけれども、非常に厳重な機密というほどではないというようなことを言っておりました。従いましてこれが単に特許とか会社における技術の秘密程度のものであるならば大したことはありませんけれども、いわゆる国家機密、刑法上の機密に属するようなことにたりますと、また他国にそういうことで縛られることは、今日のアメリカはなかなかギャングの発達した国ですから、鹿地事件のようなこともある国ですから、そういう点は人類の進化の過程においてきわめて注意しなければならぬと思います。従いまして多少そういうこともあるように聞いておりますから、その点はこの次の小委員会までに御研究を願いたいと思います。  それから私どもしろうとでさっぱりわからぬのですが、小型の原子炉を入れるとしますと、協定ばある特定の数量、技術、一定の原料のワクにおいて協定するのでしょうか。それとも総括的な協定で、あとの原子発電機までもらったり、技術を入れたりすることまでずっとそれが継続するのでしょうか、部分的な、スポット買いのような一回限りのもあなのでしょうか、その辺のところをもう少しわかりやすく御説明願いたいと思います。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 向うから来ておる文書には百キログラムというふうに一応のワクがございまして、これをさらに各国に配分するわけでございますから、おそらく一国に貸与されるのはわずかなものだと思います。従いましてそのわずかなもので発電するといったようなものは、もちろんこれはもう問題になりませんで、ほんとうの実験の機具でございますから、この文面からのみ解釈いたしますれば、後々の先までという問題でなくて、実験炉そのものに関する問題に限るのじゃなかろうかというふうに解釈しております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 そうしますると、その後またたとえば発電等につきましてアメリカから技術を購入すると申しますような場合は、また別個な協定を結ぶようなことになるのでしょうか。それからこの原子炉をもらうための協定を結んだとしますと、それが英国から今度原子炉をもらうとか技術をもらうとかいうことについて制約を受けることになるのでしょうか、その辺のところを……。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 対英国との関係は、一応そういう問題もあわせて考慮するのだというので研究はいたしたのでありますが、先ほど申しましたように対英国の関係はまだあまり私たちとしてははっきりしておりません。それから坪来発電というふうな大規模のものを買うかあるいは貸与を受けるといったような事態が、かりに発生した場合に、あらためて協定を結ぶ必要があるのじゃなかろうかという問題に関しましては、おそらく向うの原子力法の解釈からいたしますれば、そうなるのじゃなかろうかというふうに感じております。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 それからこの代金の支払いは、どのくらいの金額で、どういうふうな方法に考えるのでしょうか。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 代金の問題等に関しましては、各国とも幾ら幾らというところまで詳細なのはまだないようでございまして、私ども承知しておりません。ただ濃縮ウラニウムの貸与というかっこうになっておりますので、貸与した場合に、それでは使い古したものを返すときにどうなるかという問題も起ろうかと思いますけれども、その場合の金額的なもの、あるいはその間の利子といったようなものがどういうふうな工合になりますのか、そういう点もまだ明瞭ではございません。

帆足計日本社会党(左)

○帆足小委員 これも私非常に重要なことであると思いますので、少し御研究のほどを願います。  きょうは資料をもらいまして間もなくのことでございますし、他の同僚議員からも御質問もあろうと存じますので、先ほどお尋ねしましたように、英国との関係などにつきまして御研究願いたいと思います。それから私ども、英国から原子発電のプラント輸出が世界の各商社に発注が参っておるということをかねて聞いておりますが、それはどういうことになっておりますのか、そういう点ももう少し調べていただきたいと思います。  それから今の貸与ということの意味、その政治的意味、経済的意味なども一つ政府の解釈をこの次にお聞かせ願いたいと思います。  それからアメリカの今の使節団の一行から、軍事的な協定とそれから純粋の平和の協定と二つの線があって、今度日本に対するのは純粋の平和の協定であって御心配はないからということを強調されておりましたが、このほかに軍事的な協定としてはどういうものがあるか、これもこの次にお聞かせ願いたいのです。あるいは青とか白とかいう表現々使っておりましたが……。  それから、時期が迫っておりますけれども、本日伺いましたようなことでは——なるほどこれはもちろんひもつきでもなく、平和のために気持よくこの技術を先に学んだ国が公開しようというのであってみれば、こちらもその好意に対しては謙虚に、そうして迅速にこたえねばならぬ、これがエチケットであろうと思いますけれども、しかし世は同時に水爆の時代ですし、地獄の灰をごちそうしていただいた民族でありますから、この問題に対して慎重な態度をとるということは、私は軽率な態度をとるよりも、世界の諸国民、諸政府からはやはり尊敬されるのじゃないかと思います。ほかのことではスロー・モーションの政府当局が、この問題だけにはえらい迅速果敢におやりにならないように、一つ十分にスロー・モーションぶりを発揮していただきたいと思います。私ども本虚心たいかいにこの歴史の大きな課題の前に立って至急勉強を続けたいと思いますので、何かとよろしくお願いします。

前田正男自由党

○前田小委員長 齋藤憲三君。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 議事進行を兼ねて質問を申し上げますが、この原子力の平和利用に関する問題は、ただいま帆足議員からも発言がございました通り重大問題でありまして、一朝一夕にその実態をわれわれが把握して適切な政治的な結論を出すということは、よほど勉強しなければこれはできないと思うのであります。委員長におかれましては、今後原子力の平和利用に関する問題の論議に当りましては、必ず通産大臣、経審長行及び大蔵大臣の出席を求めていただきたいと思いますが、いかがでありますか。(「外務大臣も呼ぶべきだ」と呼ぶ者あり)外務大臣もです。それを一つ最初にお願いしておきます。  それから、御質問申し上げたいのは、私の知っております範囲におきましては、双務協定は条約じゃない、こう考えておるのでありますが、これは先ほどの御答弁ではどうも条約らしいという。この辺の政府当局の解釈の統一を一つはかっていただきたいと思います。  それから何ゆえに今早急にこの問題に対する回答をしなければならないかということは、これは私の聞いております範囲では、アメリカの政府が国会の審議期間を一月必要とする。しかしこれは賛成とか反対とかいうことでなく、アメリカのしきたりからすると、単にこれは論議をする期間として大体一月を必要とする。別段アメリカではこれは国会にかけて国会の承諾を求める必要はないのだけれども、原子力委員会においてやる仕事はおおむね一月間の審議期間を設けて、ここで論議を重ねるのでおる、決してこれは条約ではない、こういうことを聞いておるのでありますが、果して条約で割るか、条約でないか、これを一つお調べを願いたい。  それからそのセキュリティーという問題ですが、秘密保持というものは——一体セキュリティーという文字の解釈でありますが、これはいわゆる軍事機密というような問題でなくして、たとえば日本に貸与したところのウラニウムの濃縮せられたものを、他国に貸与または譲渡するということを厳に禁止するというような意味のセキュリティーであるということ聞いておるのであります。セキュリティーということはいわゆる機密保持というふうにも解釈されておりますが、それの一つ実体を調べて、どういうことを意味しているのか、これをはっきりとしていただきたい。  注文は大体そのくらいでございますが、一つ伺っておきたいのは、今度の濃縮ウラニウムは、私の聞いておりますところによりますと、二%から二〇%、御承知の通り、ウラニウムには二三五の核と二三八の核がある。ですから、二%から二〇%の濃縮ウラニウムということになりますと、これはしろうとの私から考えますと、相当のパーセンテージの開きがある。その二%から二〇%の濃縮ウラニウムが自由自在に実験炉に応用できるのですか、それを一つ伺いたい。

前田正男自由党

○前田小委員長 ちょっと先にお答えいたします。議事進行の件につきましては、本日はとりあえず経過と資料の説明を求めたわけですが、次会にはなるべく一つ御希望に沿うようにいたしたいと由心いします。

駒形作次工業技術院長

○駒形政府委員 お答えいたします。ウラニウム二三五は、私ども文献その他でもって見ておるところによりますと、九三%ぐらいまで濃縮度を高めてよいということが報告されております。しかし今お話がございましたように、今度の百キログラムのものは、トルコの例も二〇%をこえないという、そういうふうに規定されておるのでございまして、これは二〇%以下であることは確かだと思います。一つの炉で、その濃縮度が違うとどうなるかということを申しますと、濃度の高いものほど全体の形が小さくなってくるというだけで、現にアメリカが動力用の実験炉といたしまして六万キロぐらいの先ほど申し上げましたものに使っている濃縮度は、書いてあるものを見ますと、二・五%というぐらいに書いてございます。そういうわけで、濃縮度が高いものほど全体の形が小さくなってくるという、そういうことで二・五%くらいのものでも十分濃縮ウランの炉としてもちろん使える。それで濃縮に要する経費という本のは、これは書いたものがありませんからわかりませんけれども、膨大な施設のもとにやるのでございますから、濃縮度が高くなればなるほどその濃縮ウランの値段というものは非常に増すのだろうというふうに私どもば考えるわけでございます。従いまして、非常に大きな六万キロというような炉の場合には、そんなに濃縮度の高めたものを使うということは結局損になりますからして、二・五%あるいは二%くらいのところでもって使うということになるのだろうと考える次第でございます。もともと天然ウランの中にはウラニウム二三五は〇・七%含んでいるのでございまして、あまりに濃縮慶の低いものでございますと、結局天然ウラニウムを使いますものと同じことになりまするからして、濃縮ウランを使うという、そういういいところがなくなって参るのであります。しかし先ほど申しましたように、それには金がかかるということから、大きなものは低い濃縮度におきまして、それから小さいものはそれほど低くなくて、ある程度高い濃縮度二〇%近くというようなところまで上げて、そうして炉を設計するというふうな工合になるものと考えておる次第であります。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 その天然ウラニウムというものは、他の鉱物、ペグマタイトとかいろいろなものに入っておるわけですね。そのウラニウムの〇・二%含まれているとか、二%含まれているとかいうそれは、その天然ウラニウムの鉱石というものの何パーセントというのは、二三五ではかっているのてすか、二三八も入れるのですか。

駒形作次工業技術院長

○駒形政府委員 二三八も全部合せまして、二三五と二三八を足しましたものであります。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 そうしますと、二%ウラニウムが含まれているということになりますと、二三五というと、またそれの百四十分の一、二三五はそういうパーセンテージでいくわけですね。

駒形作次工業技術院長

○駒形政府委員 二〇%とか二・五%とかと申しますのは、ウラニウムの二三五がその全体の中にそれだけ含まれているということでございます。天然ウラニウムは全体の中に〇・七%だけ二三五が含まれておる。天然ウラニウムの純粋のものでございますれば、あと残りはウラニゥム二三八でございます。しかしウラニウムの〇・七を問題にするようになりますというと、ウラニウムを製錬いたしましても純度が九九・何%というところになるわけでありますから、その一〇〇%未満のものは鉄がありましたり、いろいろなものが含まれておるということになるわけでありますけれども、要するに、濃縮ウラニウム何%、何%と申しておりますのは、ウラン二三五が全体に対して何%含まれておるということを表わすのでございます。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 僕の聞いているのは、天然のウラニウム鉱というものですよ。それがいわゆる花崗岩のペグマタイトに含まれているとか、あるいは亜鉛鉱に含まれているとか、また燐鉱石に含まれているとか、それが二%とか、〇・二%含まれているとかというのは、二三五をさすのですか、二三八も含むのですか。

駒形作次工業技術院長

○駒形政府委員 一緒にしたものを……。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 そうすると、二三五というものをごく微量にしか含んでいないということですね。それでわかりました。私の聞いたのは、大体今の濃縮ウランの一番経済的な使用部面というものは、二%から三%ぐらいのところが一番経済的に使用できるということをアメリカの雑誌で読んだのでありますが、ただいまお話のいわゆる六万キロの発電には二・五%の濃縮ウラニウムを使っておる。これでも普通の天然鉱石の実際からいえば、二三五の原子核の計算からいうと非常に濃縮せられたものです。ところが、これを戦時用に、いわゆる原爆用に用いていくかというと、九九・九というのはピューリファイされたものを持っていかなければならない。だから、原子炉発電の実態をよく見きわめると、濃縮ウランを受け入れるとか受け入れないとかいうことは何も問題はないのであって、炉の実態がよくわからぬからいろいろな問題が起きる、二三五のウラニウム二・五とか三とかいうものが一番経済的に用いられる原子炉発電のウラニウムの原料であるとすれば、これを持ってきたって、それを原爆に用いるとか何とかいうこととはなかなかかけ離れたピューリフィケーションなんです。だから私は今よくわかりませんけれども、アメリカの濃縮ウランというのも、濃縮ウラン、濃縮ウランというからこれは非常に何が大きな問題のように響くけれども、二%から二〇%の濃縮ウランというふうになりますと、これは勢い原子炉発電にしか使えない、どんなものに使おうと思っても原子炉発電にしか経済的には使えない。それを何か非常に特異な存在のように考えるから、そこで根本的に問題がむずかしくなってくるのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、その点は一体どうですか。

駒形作次工業技術院長

○駒形政府委員 私ども今度のものは、先ほど申し上げましたように百キロに対して五十くらいの炉しかできないということをアメリカ自身がいっているのでございまして、その量は五十を平均いたしましても二キログラムということになりますから、これは九九・九%のウラニウムでありましても、爆弾のようなものにはならぬわけでございます。でございますから、今度の場合はまったく実験用の炉として使えるだけのものでございまして、原子力発電といったものには使えないということであります。それで、先ほどもお話がありましたように、原子力発電ということになりますと、経済規模から考えまして相当大きなものでなければならぬわけでございますから、これは今度の協定とはまったく切り離されたもので、もしそういう事情になるならば、それはそれでもっておそらく原子力法の——アメリカの原子力法に書いてありますところを読んでみますと、そういうものはまたそういうもので協定なら協定が結ばれていくということになるわけであります。それで、今ほど御質問のございました点につきましては、私は実はこういうふうに考えておるのでございます。ウラニウムを燃やしていきますと、その燃えかすができるわけです。この燃えかすの中に、ウラニウム二三八がプルトニウムに変ります。このプルトニウムはやはり核分裂性を持っておるのでございますから、燃料として使うことができるものでございます。進歩した炉として、まだ完成をいたしておりませんけれども、アメリカで今一生懸命研究をいたしておりますのは、一つの炉の中でその二三八の分裂性のないものをプルトニウム二三九にかえて、そして分裂性がそういうふうになるとできますから、それで燃料にしていく、増殖炉という、そういう一つの炉の中で燃えないものを燃えるようた形にしてやる方式を研究いたしておるのでございます。将来は原子力発電の上うた非常にたくさんの燃料を必要とします場合には、単に〇・七%という、ごくわずからウラニウム二三五だけを使っているということだけではいけないのでありますから、その残りの九九・三%のウラニウム二三八をプルトニウムに変えまして、そして一つの炉の中でそのプルトニウムをすぐ燃やしまして、結局ウラニウム二三五と二三八の両方とも使うような炉の形に変っていくものだろう、将来はそういうふうになるものた、こう思っているのであります。しかしまだその増殖炉というものは技術的には完成されていなくて、今研究の途上にあるのです。それで増殖炉ではない形の大きなものになりますと、燃えかすの中にプルトニウムがある、でありますから、そのプルトニウムを集めることができれば、分裂性物質というものがそこへ出てくるわけであります。しかしこの廃棄物の処理ということは非常に費用もかかることでございますし、相当問題がそこにあるわけでありますけれども、そういうふうに増殖炉ではない形におきましては、プルトニウムもできる、事実現在の段階では私ども、そういうふうな工合に承知をいたしております。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 それは一応二三八も燃やしてしまうような垂水を使った増殖炉になればプルトニウムもできてくるということになるが、今の二%ないし二〇%の濃縮ウラニウムを持ってきて水を使ってやる実験炉ではプルトニウムはできないでしょう。それはできるのですか。

駒形作次工業技術院長

○駒形政府委員 それはやはり、二三五が分裂して参りますときに中性子ができまして、そのまわりにウラニウム二三八がございますと、その中の中性子の幾らかは二三八に食われましてプルトニウムができて参ることになると私どもは存じております。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 それはできてくるだろうと思われるのであって、その二三五が食われたときに、今の実験炉の中で一グラムの二三五が燃えていったときに幾らのプルトニウムがそこへできてくるかということはわからぬでしょう。それでなければ大学のまん中に実験炉はできないわけです。ですからそういうことは私はちっとも考える必要はないと思う。今の小さな二%や三%のウラニウムを大学の中に実験炉を作って方々でどんどんやっているのであるから——とにかく私の考えとしましては、アメリカの新原子力法を読んでみますと、あらゆる核分裂の物質というものは、戦時平時にかかわらず取り締ろうというのであって、それで膨大な新原子力法というものができているので、一%から二〇%の濃縮ウラニウムをもって原子力発電の実験炉を作ろうという双務協定は、条約なんというものではなくて、ある一つのセキュリティという文字を使ってもいいくらいの、どこへ移していけないというくらいの、お互いにその保障をする程度の話である、私はそういうように考えるのですが、この点を一つよく調べておいていただきたいと思うのです。  それからさっき御説明がございましたが、昨年原子力の基礎調査の予算をとりましてから一年たったわけですが、まだ、日本の原子力問題を取り扱う行政機構も何も確立されておらないのです。これは大臣が見えられたときに質問しようと思うのですが、大体の構想はどうですか。どういうふうにして原子力問題を行政機構の中に取り入れて扱っていくお考えでありますか。御腹案がありましたら一つお教えを願いたいと思います。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 この点に関しましては、先ほど申し上げたので尽きていると思っているのですけれども、まだ不十分でございますれば御説明申し上げますが、要するに政策的な問題等をきめます統括機関の問題と、実施機関の問題と二つにはっきり分れると思いますが、その統括機関の問題に関しましては、ただいまのところでは準備委員会のようなものを作ったらいいじゃないかという議論と、あるいはプロパーの行政機関を作って、そうしてその中に格間機関なり、あるいは諮問機関をもう少し強固にしたような、いわゆる民主的な各派各方面の意見を集めるような組織を作ったらいいじゃないかという議論もありまして、まだ今のところは結論が出ておりません。それから実施機関の問題に関しましては先ほども申し上げましたように、こっちで画一してやった方がいいのか、あるいは公社なり、特殊会社という格好で各国でやっているようにやった方がいいのか、いろいろ今後進める原子力のプランと申しますか、大きさと申しますか、そういう点にも関連を持ってくる問題でありまして、そういう点も十分研究してきめたいと思っている最中であります。今のところまだどちらがいいのだという結論には達しないわけであります。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 日本でも好むと好まざるとにかかわらず、原子力時代というものに入っていかなければならない。私たちの観測からいきますと、もう三年たてば世界は原子力発電というものができそとできないにかかわらず、一般の考え方というものは原子力時代というようにみんなの頭が切り変ってくると思うのです。そのときに日本の行政機構の中に原子力の問題を取り扱うところの大きな機構がないというと、問題を推進していくわけには参らないと思うのです。やはり立法措置も講じなければならないだろうし、またたとえてみるならば、資源の開発から参りましても、鉱業法の中にまだウラニウム鉱は法定鉱物として入っておらない。もちろんプルトニウムも入っておらない。一体日本で予算をとってウラニウム鉱を探すとか探さないとか言っているけれども、法定鉱物にも指定されないところの鉱物が発見される道理かおりません。これは発見したってだれも保証しやしません。そういう措置も講じておらない。また二億三千五百万円の原子力の基礎調査予算をとってみますると、日本の学界といわず、行政機構といわず右往左往する。それでここ三年か四年の間に日本を原子力時代におくれざるような態勢を整えるというのでは、これはよほどお互いに勉強もして政治的措置もやらなければならぬだろうし、行政的機構も整備していかなければならぬだろうと思いますが、そういう点については現在どこが重点的に原子力の問題を行政官庁として取り扱っているのですか。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木政府委員 去年の経過は御承知のように内閣に準備調査会というものができまして、その準備調査会の事務機関として経済審議庁が政策的な分野のものは担当してやってきたわけであります。それから実施の部面、特に予算を具体化する面におきましては通産省で主として扱いをいたしまして、そこで実施をいたしております。今度改正になりますのは、先ほど申し上げましたように、なるべく早くそういうすっきりした機関というものを法規化し、二元化して、ここではっきりした責任体制を整えて進めることは、これは一日も早ければ早いほどいいのでございますが、そこまで結論がまだいっていないわけでありますから、とりあえずの手段といたしましては、先ほども説明いたしましたように、経済審議庁の設置法の改正で今まで非常に不分明であった権限を明確にいたしまして、実ははっきりした文章は忘れましたが、基本的な方針あるいはそれの企画立案あるいは各省の総合調整といったようなものをやり得るように権限を明確にしたわけです。それから通産省の方でも原子力課というものをつくって、今まで工業技術院全体でやっておったものを、中心的な機関を明確にいたしまして、そこではっきり責任をもってやるという一応の臨時的な責任体制をつくったのでありますが、これは決してこのままで満足するわけでございませんので、先ほども申しましたような経路で一日も早く責任体制の法案が、できますれば皆さんのお力添えで早く出発させたいというふうに考えております。ただその間それでは何もせずにほうっておくかというと、そういうわけに参りませんので、臨時的な経過としてとりあえずの責任を明確化したという段階でございます。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 時間も過ぎましたから再岡はこのくらいにしてやめますが、この原子力平和利用に関しましては、今後といえども同僚議員諸君の中にも非常に問題かたくさんおると思うのであります。とにかく重力科学万能のエネルギー時代が過ぎて、核分裂の世の中になったということは、これはまだ人類社会がかつて経験しないところの大きな革命だと思うのです。この間湯川博士の明日に対する心構えとかいうのを読んだのですが、もう湯川博士のごときは原子力時代はいやだと言う。どうして原子力時代がいやだというのかと思って興味を引いて読んでみますと、素粒子をもう一段深く研究すれば、より以上の時代が生れてくるのではないかという量子物理学の明日の世界に対する心構えが書いてあった。こういうふうに進化の早い核分裂の時代は、ウラニウム二三五の核分裂というものは、もう五年か六年たてば過去のものになり、もっといい核分裂が原子力の発電の原動力として生れるかもしれない。国家百年の大計を考えますときに、原子力時代だというならば、原子力に向って非常に大きなウエートをかけて、ここに新たなるほんとうの平和を求めるところの高度の人類社会を建設していくという心構えが私は非常に必要だと思います。私は過去の内閣及び今日の内閣——私は与党でありますけれども、この点は非常に不満なんです。原子力時代にもう足を踏み入れておるのに、まだ原子力に対するところの強力な行政措置も、立法措置もない。原子力時代に対する正確政治的指針もないということは、私は超党派的に考えてこれは国家の不幸だと考える。どうか一つ今後は委員長におかれましては、再々小委員会を催して下さいまして、十分この問題に対する結論を見出すとともに、なるべく近い機会において関係大臣をここへ並べまして、関係閣僚がこの原子力平和利用に対してどういう構想を持っておるか、そういうことを検討いたしまして、この原子力をなるべく早く平和的に利用いたしまして、国力の増強に資することのできるように特段のお取り計らいを委員長にお願いしたいと思います。  これにて私の質問を終ります。

帆足計日本社会党(左)

○帆足委員 ただいまの齋藤委員の御意見に私は心から敬意を表します。満幅の賛成をいたします。原子力はこうして保守といい、革新といい、異なる立場に立っておるものの間にすら一致点をつくるような作用があるのではないか。二つの世界の共存ということがいわれますが、私はやがて萬国平和会議に行く一里塚だと思います。そこで次の会議の持ち方ですが、齋藤君の言われましたように、一つ各閣僚を出席させてもらいたいのです。実際世は原子力の時代になっておるのに、政治は都々逸、浪花節で行われておるということは、けしからんことです。そこで次の機会には、今の齋藤委員の要望のような取り運び方にしていただきたい。  それからこの問題に対してアメリカが非常に親切なんですが、それはどういう理由でああ親切なのか、その底意が知りたい。あるいは原子力の過剰生産を見越して考えておるのか、われわれ四十男がそうかわいいはずはないのに、どうしてこうまでかわいがってくれるのか、アメリカの原子力に対する基本政策、世界政策、こういうことは工業技術院では無理でしょうから佐々木さんのところでもう少し調べていただきたい。(「外務省」と呼ぶ者あり)外務省はただ通訳なのだから調べる能力がない。だから外務省はお調べにならなくてもいい。経済審議庁で調べていただきたい。くやしかったら勉強をしなさい。勉強をして出直してこられたら前言を取り消します。  それから私は慎重にやれと言いましたけれども、慎重にやるということは、時間をやたらにとれということではない。慎重であっても、わずかな短い時間でやられることもあります。いいことであれば早く実現した方がいいと思いますから、とにかくお互いにこれは勉強を急がなければならない。しかるに今日の朝日新聞を見ますと、「政府、強硬に交渉へ」「二十日に最終決定」という見出しが出ております。こういう問題を都々逸、浪花節のようなつもりで軽率にきめられては困る。急ぐことは必要ですが、お互いに勉強してやらねばならないと思います。私は不幸にして今日の閣僚の文化水準というものにあまり深い尊敬を持っておりません。従って「強硬に交渉」というような記事を見ますと、まことに憂慮にたえない。それから国民全体に原子力の現状、原子力の歩みを知らせることが必要だと思います。この点についても、この次に閣僚に要望いたしますから、一つ事務当局の方もお考えを願いたいと思います。  それから機密の問題が一番難点だと思うのです。これについて週刊朝日には「双務協定も原子力平和利用に限定されるかぎり、秘密保持事項はほとんど問題にならない」、こうアメリカ当局が言ったと書いてありますが、そういうあいまいな言葉では——私は戦争中一年半本憲兵隊にぶち込まれた経験がありますので、そういうあいまいな言葉では困るのであって、もっと明確にこの点を検討していただきたい。  それから健康保持の問題も重要ですから、特にこの新聞などに書いてありますように地震の多い国ですから、そういうととも御考慮になっていただきたいと思います。これらの諸点につきまして、次は大臣並びに事務当局両方に質問いたしますから十分な御準備を願います。  それから先ほど齋藤委員からウラニウムのことについてお話がありましたが、私は日本としては戦いに敗れた国ですから、平和の歩みと歩調を合せて進まなければ、この問題は伸展しないのではないかと思うのです。回りに硝煙のにおいが取り囲んでおるときに、四国にウラニウム鉱大発見ということになったら、それこそ目も当てられない状態になると思うのです。アメリカはますます軍事基地を拡大する。ソ連側はそのウラニウム鉱に一発見舞わなければならないということになればたいへんですから、これは深刻え問題であると思うのです。国際的平和の雰囲気においてのみ日本における原子力進行の問題が実を結ぶ。この点も齋藤委員と基本的には全く同じ意見ですから、平和の問題についても再軍備を主張される方も無軍備でいこうというわれわれも、ともに話し合って協調し合っていくことが必要であると思っております。これらの点を突っ込んで次回からお尋ねいたしますから、政府当局においても十分な資料の御準備を切にお願いいたします。

齋藤憲三日本民主党

○齋藤小委員 ただいまの帆足君の御説でございますが、一々ごもっともだと思うのであります。これは答弁は要りませんが、先ほども私質問の中に申し上げました通り、濃縮ウラニウムの実体、それから原子力発電を行うべき実験炉の実体、こういうものを一つ当局から明確にわかりやすくしていただきたい。と申しますのは、この間私は学術会議を傍聴に行ったのです。行って三時間も四時間も僕は傍聴いたしましたけれども、冷や汗が出てくる。どうしてこういう論議ばかりするのかと思ったら、小児科のお医者さんもおれば民法の学者もおる、量子物理学者もおる。ですから一言ぱっと言えば量子物理学者なんかすぐわかるけれども、小児科のお医者さんとか民法の学者にわかりやすいように説明するということになると、その話というものは低調になってきて、何時間やっても結論が出ないということになるのだと私は見て来たのであります。ところが私らの頭は、原子力にいきますと民法の学者か小児科のお医者さんくらいの頭ですから、それにわからせるようにするには、やはり早い話がウラニウムというものの二三五と二三八とどう違うかということから割り切っていかぬと原子力問題というものはわからない。それ々原子力というとすぐアトミック・ボムとこうなるから、問題はむずかしくなってくるのです。ですからそれをよくわかりやすいように、これは大臣にも話しておいて下さい。大臣はわからぬだろうと思う。同じわからぬ同士でもって、暗中模索にこの世界の大問題を論議するということになると、一面から見ると非常に低級だというそしりをわれわれは受けなければならぬから、そういう論議はやらぬように、初めからウラニウムの二三五というもの、三二八というもの、これを一体二%から二〇%に濃縮したウラニウムを使用する場合にはここだけしか使えない。しかもその炉というものはこういうものであって、そうしてこの今問題となっているところの実験炉というものはこれくらいな規模だ。これを次のゼネレーションに、原子力時代に飛び込むために、日本の学者が研究用としてほしいのだというのに、双務協定でもって濃縮ウラニウムを持ってきて与えてもいいか悪いかということの問題なんですよ。ですからそういうことをはっきり割り切っていただかないと、なかなか結論が出てこないと思うのです。この間の学術会議みたいに、同じ問題を何時間もやって、三原則だ、三原則だ。三原則を見ると、大したことではない。あたりまえのことなんだ。そんな三原則にこだわって問題にしておるところの濃縮ウラニウムというものは一体何かというと、説明を聞いてみると、あんなものは何だ、これはもう商品ですよ。これは世界的な商品なんだ。たまたまその商品に対して、わずかに向うにやってはいかぬとか、こっちへやってはいかぬという実質上の双務協定があるだけなんです。ですからそういう点を一つなるたけわかりやすいように、予備知識を与えていただいてわれわれはやりたいと思うが、何かそういうことを平易に書いたものがありましたならば、資料として御提出を願いたい。

前田正男自由党

○前田小委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は本委員会の関係で、来週の月曜と火曜と続けていたしたいと思いますので、大体月曜日の午後というつもりでおりますが、それは公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会

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