商工委員会 第48号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1955/07/25
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 この際理事辞任の件についてお諮りをいたします。理事前田正男君より、理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 なお理事辞任に伴う補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、南好雄君を理事に指名いたします。 —————————————
○田中委員長 去る二十二日本委員会に付託をせられました百貨店法案、小笠公韶君外十四名提出衆法第六七号を議題となし、審議に入ります。 まず提出者よりその趣旨の説明を求めます。小笠公韶君。 —————————————
○小笠委員 百貨店法案の提案の理由及びその内容の概略について御説明申し上げます。 小売商業の現状については今さら申し上ぐるまでもなく、その業者数の過剰と一般経済界の正常化に伴う購買力の低減のため、著しい困難な状態に追い込まれつつあるのであります。かつまた大資本を擁する百貨店の発展、購買組合、消費生活協同組合などの街頭進出などにより、少からぬ重圧を受けていることは見のがし得ないところであります。 かかる間に処して、小売業の正常な発展を庶幾するためには、小売業自体の強化発展に抜本的施策をなすことの緊要であることは言うを待たないところでありますが、また一方、小売業の育成に障害となる外部からの不当な圧力に対しても、必要なる対抗措置をとることを必要とするのであります。 すなわち小売業の維持育成のためには総合的施策を必要とするのでありますが、とりあえず小売業対策の一環として、小売商側において強く要望している百貨店問題について適当なる措置をとらんとするのが本法案提出の理由であります。 次は本法案の内容の概略について御説明申し上げます。その第一は、百貨店の営業を許可制度としたことであります。その第二は、百貨店が支店、出張所を増設せんとするとき、またその売場面積を拡張せんとするときは、通商産業大臣の許可を受けしむることとしたことであります。第三は、百貨店の営業時間もまた通商産業大臣の許可制といたしたのであります。第四として、この許可制の運用に当って、通商産業大臣の適正な措置を確保するため、百貨店審議会を設け、これに諮問せしむるとともに、事案に関係する地元関係者の意見を聞かなければならないことといたしたことであります。 本法案提出の理由及びその内容の概略は以上の通りであります。何とぞ慎重御審議の上、可決あらんことをお願い申し上げます。
○田中委員長 本案に対する質疑は後日行うことといたします。 —————————————
○田中委員長 次に日程に入り、特定の物資の輸入に関する臨時措置に関する法律案及び重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案を一括議題となし、質疑を続行いたします。質疑は通告順によってこれを許します。長谷川四郎君。
○長谷川(四)委員 それでは私は局長にお伺いいたします。先日来もお聞きしているのでございますけれども、この法案をもし通過させることになりますると、中小企業者が、事業を現に行なっているもの、すなわち既設のものが非常に有利になりはしないか、従って新規に事業を行うために施設をすることが押えられている、こういうことになると、そこに自然の競争というものに非常な無理がいきはしないか、こういうことを私は考えるのです。そこで既設の業者だけが有利になって、新規に行おうとする人は行うことができない、非常に不利になっていく、こういう点をこの法案の作成に当ってお考えになったかどうか、この点をお伺いいたします。
○川上政府委員 既設のものにつきましても、第四条によりまして必要なものにつきましては転換の勧告をしていくわけでありまして、中小企業につきましては、すなわちその利用事業につきましてはそういう勧告をしないことになっているのですが、私どもの方としましてはそういう行政的な措置はとりませんけれども、なるべくそういうものにつきましてもだんだん転換してもらうように、石炭の値段をだんだん下げていくような方向に持っていきたいというふうに考えております。今長谷川先生からお話がありました、どうしても最初におきましては既設のものとそれからそういうふうに重油ボイラーを持っていない石炭ボイラーを持っているものとのコスト面における若干の差は、私はどうにもやむを得ないじゃないかというふうに考えておるのでありまして、既設のものが有利であることは間違いないと考えております。
○長谷川(四)委員 そうなってきますると、使用停止または使用量の減少を指示する、そこで損害を受ける、その損害を業者に補償しなければならない。ところがこの法律案の中には補償というものが規定されておらない、そこでこういうあなたのおっしゃることになりますと、そういう事態が出てもやむを得ないのではないかということになりますと、私はここに憲法の規定による営業の自由という点についての憲法の違反になりはしないかということを考えますが、こういう点についてお考えになっておりますか。
○川上政府委員 命令でございますとやはり補償の問題が起きますけれども、これは勧告でございますので、別に補償の規定は必要ないと考えます。また憲法の財産権の侵害には別にならないというふうに考えます。ただ勧告でありますので、この勧告に従いましていろいろ転換の措置を講ずるということになりますれば、私どもとしましては、あるいはその資金の確保に対しましていろいろ援助をしますとか、あるいはその他の面におきましていろいろ援助をしていきたいというふうに考えております。ただこれは命令規定ではありませんので、補償の必要はないと考えております。
○長谷川(四)委員 私は、営業の自由というものを束縛をしている、こういう点について憲法の違反であるというふうに解釈をするから申し上げるのでございますが、つぶれていくのならつぶれていっても仕方がない、つぶれていくということは、既設のものだけが有利になるのだということをあなた方自体お認めになっておる。従って既設のものであってもまたこれを規制されることができる、そこに業界というものに非常な混乱が起りはしないか、こういう二点も反面考えなければならない。自由な営業というものを憲法で許しておいて、これをあたかもあなた方の御意見によって規制ができるということは、私はすべきではないと考えるのでありまして、御承知のように目を一つ海外に向けてみましても、いかに他国の機械産業というものが現実の日本の姿とかけ離れているかということは御存じだと思うのであります。どうしてそれほどかけ離れて発展をしているかという、そのよって来たるところの大なる原因というものは、根本をなすところのエネルギーにあると思うのでありまして、このエネルギーというものを最も高度に使用し利用したところにそれだけのものが価値づけられてある。かって昭和の二十四年、ヨーロッパの一青年が、今や世界は機械産業の前に人間は奴隷だとまで喝破したことを二十五時という本で読んでおる。こういう事態を見ても他国の比にならない、他国はますます機械産業が発展していくのに、わが国のみはこの機械産業の発展を阻止しようとしておる、こういうところにあなた方の持っているところの考えに行き違いがある。それがために日本の中小商工業、日本のなさなければならないところの輸出産業に大いなる支障を来たしているといわなければならないのだと思う。こういうような、つまり影響度という面についてあなたはお考えになってこの法案を作成されたかどうか、この点は明らかにしておいていただかなければならないものと考えるのであります。これに対する御答弁をお願い申し上げます。
○川上政府委員 そういう影響につきましては私どもとしましてもいろいろ考えたのであります。先ほども申し上げましたように、既設のもの、すなわち重油ボイラーを現に持っておるものと、今後作ろうとするもの、すなわち石炭ボイラーを現在持っておるものとの間には、やはり重油ボイラーの方が現在におきましては私は有利ではないかというふうに考えますけれども、石炭の値段も合理化によってだんだん下って参ると考えますし、また重油につきましては今回関税をある程度かけるというようなことをいたしましたので、その差額についてはだんだん縮まるものと考えまして、そのうちに重油のボイラーを持っておるものも、あるいは石炭のボイラーを持っておるものも、そう大差ない状況になってくるのじゃないかと考えます。もちろん最初におきましては、今先生がおっしゃいましたような問題が起きるのですが、またそれは世界的に考えましてもやはり重油の方が現在におきましてはむしろ有利であるということは、これはいなめない事実でありまして、私どもはその点はその通り了承しておるわけでございますけれども、これはいろいろな点からやはり考えなければなりませんので、単に重油の方が若干有利だからというだけの問題ではなくして、石炭を重油の調整問題、あるいは外炭の問題、いろいろな問題から考えまして、私はこの際現在の程度にしておいて、そうして石炭の方へなるべくだんだん転換して必要なものについてはやっていく。しかしどうしても重油でなければならないというものについては、これはそのまま通していくというふうにした方がよくはないかというふうに考えてこういう措置をとったわけでございます。
○長谷川(四)委員 石炭が安定法によって幾分でも値下げになってきた、こういう暁であるならば、いずれにいたしましても、最初といいますが、日本の現在の企業がいかに底が薄いか、こういう点はあなた自身も御承知だと思うのでありまして、これを一年なり半年なりその苦しみに耐え得られる、そうして産業が続けられるというような企業体というものは、残念ながらわが日本においては見受けられないのであります。その苦しさを、半年、一年とみずからの経済力によって打ち勝っていくことができるならば、あなたのお話も一応はお聞きすることができると思う。しかしながら、現実の日本の企業というものは、それだけの余裕を持っておりません。であるから、あなた方がおっしゃるように、石炭というものの価格が下ってきた、これだけ下ったのだがらいよいよこれを行うのだ、これならば私たちは納得がいくのです。まだ海のものだか山のものだか知らないのに、お前たちだけはこの犠牲になるんだという、こういう姿はわれわれは政治を行う上において認むべきではない、かく考えます。現に御承知でもあろうが、固体から液体になり、液体からガス化し、今日は皆さんが唱えられる原子、高分子によってすべての解決がつく時代に入ってきておる。それをあたかも固体を無理やりに押しつけていこうというところに、あなた方の無理なことがすべての面に反対となって現われてきていると思う。一つの例を取り上げて申しますれば、明治の十五、六年時代に日本に鉄道馬車ができたのです。その鉄道馬車ができたときに、この鉄道馬車を作ると自分たちの生命、自分たちの今後の生活にも非常に大きな支障を来たすというので、人力車夫がみんな集まって、車会党というのを作ったそうです。そうしてその阻止に当ったけれども、どうしてもその軌道的な動く馬車に勝利することができなかった。今日では液化され、ガス化されたものにもつと一段と進んで、高分子によって、またこれが原子の時代になってきた。あなたの今のお考えは、あたかも明治十五、六年ごろのあの車会党のお考えと少しも、一歩も進み得ていない、逆行する感を持つので、こういうようなことを考えたあなたは全く驚くべきものだと私は思う。社会党の今日の諸君がこの案に賛成だという、まるきりあの時代の車会党と一歩も出ていないということを明らかに物語っておる。またがっての英国におけるラッダイトの話もあなたは聞いておるであろう。手編みから動織機が出てきた。それは対してその織機をこわしたけれども、今日においてこの文明な機械織機はもう人間が逆に、先ほど申し上げた通り、機械産業の前には人間が奴隷とまで喝破される時代に入ってきている。こういうような過去の明治の十五、十六年時代の感覚で今の日本の政治を行なって、どうして日本の産業の伸張がありましょうか。私はこういうような点等にかんがみて、しかもこの最も重要なエネルギー資源を預かるところのあなたのお考えにしてはあまりにもかけ離れていはしないか、こう考えるのでありまして、あなたはこういうような申し上げたような点等から考えて、この法案全般を見たときに、これか国策に沿った、すなわち口を開けば輸出産業の振興をしなければならないというこの日本全国民の一つの言葉と、あなたの行おうというところが、果して一致点をどこに見出すことができるかということを一つ御答弁をお願い申し上げたい。
○川上政府委員 私は、非常に古い頭とおっしゃるかもしれませんけれども、実際現在の燃料の問題につきましては非常に複雑でありまして、何かやはりこういう措置をとらなければ調整ができないのではないかというふうに考えられるのであります。これは重油だけじゃんじゃん輸入しまして使わせるということになりますと、おそらく輸出産業というのは全く壊滅になるのではないかというふうに考えております。では石炭産業につきましていかに考うべきかということにつきましては、これまた非常にむずかしい問題であるというふうに考えますので、私どもの方としましては石油を使うこともほどほどにしておいてもらった方がよくないか、それから石炭につきましても、重油をこの際百万キロも百五十万キロも一年の間に切れというのも、なかなかこれもむずかしい問題ではないか、何かここで調整するということであれば、どうしてもこういう程度の調整をする以外にないのではないかというふうに考えられるのであります。従いまして輸出産業とか、あるいは中小企業で特に燃料費がコストの上において相当大きなウエートを占めておるというようなものにつきましては、勧告とかそういうような措置をとるわけではないのでありまして、私は輸出産業等につきましても、なるべく安い油を供給すべきではないかというふうに考えまして、行政指導もそういうようなことをやろうと考えておりますので、いろいろな点を考えまして、やはりこの程度の調整はこの際やむを得ないのではないか、そういうふうに考えるのであります。
○長谷川(四)委員 それでは、あとたくさん御質問があるそうで、私は打ち切りますが、申し上げました通り、その犠牲を一方的に押しつけていこうという点、またいかに現実離れのしている法律であるか、こういうことだけはあなた自体が、しかも通産省に身を置く以上は御認識の上に立ってのことであろう。あなたはこの法案を通そうなどという考え方で提案をしたのではないだろうと私はそういうふうに考えます。よってあとまた後日に質問は譲ることにいたします。あとたくさん質問者があるそうですから、私は以上をもって打ち切ります。
○田中委員長 山本勝市君。
○山本(勝)委員 ただいまの長谷川委員の質問は、私はまことに傾聴すべき意見だと思う。これはよほど大臣も、一場の話でなしに、深刻に聞いていただきたい。そういう意味で私は局長と大臣とに申し上げる。与党として、政府の出した案でありますから、もちろんこれを支持しなければならぬという義務は感じておりますけれども、しかし軽く扱ってこういう法案を考えられたら大へんなことになる。もし石炭業を保護するというのならば、石炭業を保護する政策をとるべきであって、経済的な効率の低いものを保護するために、効率の高いものを押えていくという考え方をとっていったとしましたら、私は経済の進歩というものはあり得ないと思う、もちろん局長はこれだけであってほかには拡充しないとおっしゃるかもしれませんけれども、しかしものは一事が万事であって、ものの考え方なのです。石炭を保護するためには石炭を保護すればいいのであって、それよりも効率の高いものを押えていこうという考え方は私は避けるべきであると思う。もし世の中で画期的な発明が行われたとしたら、古い機械を使っているものは必ず打撃を受ける。これは真剣に考えてもらいたいのであって、いいかげんに聞かるべき問題ではない。原則に関する問題です。ことに長谷川君は憲法の問題まで持ち出されましたが、私も憲法上これは疑いがあると思う。御承知の通り憲法の十二条で、自由を守るためにはわわれわれは不断の努力を必要とするというこが書かれておりますが、私はこういう法案が出てくるたびに、なるほど自由を守るためにはわれわれ不断の努力を必要とするものだ、油断をしておれば知らず知らずの間に自由というものは侵されていくのだということを感ずるのであります。この自由が基本的人権でありますから、この基本的人権を制限する場合には、公共の福祉に反するということがはっきり認識される場合に限られる。公共の福祉に反する場合であっても、なお基本的人権の自由というようなものを制限し得るかいないかということには憲法学者の中にも議論がある。一部の憲法学者の中には基本的人権というものはいかなる場合にも制限できないという説すらあるのでありますが、私はそういう説はとりません。公共の福祉に反する場合にはこれを制限することはいいと思いますけれども、しかし公共の福祉というのはきわめてばく然たる言葉であって、ややもすれば公共の福祉の名において自由が知らず知らずの間に侵されて、気がついたときにはもう手遅れであるというような例がたくさんあるのであります。ですからこの場合に、経済的に効率の高い、能率の高いものを押えて、それによって能率の低いものを保護していこうという考え方は、経済の進歩とか秩序という上から申しましても、これは重大なことになるし、憲法の上からいきましても公共の福祉に反するということが言えるかどうかということに非常な疑問があるのであります。石炭業は従業員もたくさんおりますし、日本の重大産業に相違ありません。しかしそういう場合には、その石炭業を保護するために手厚い保護を加えましても、私は憲法の自由権の侵害にはならないと思うのでありますけれども、その保護の方でなしに、効率の高い方を押え、しかも経済的自由、つまり基本的人権を、そういう弱いものを助けるという意味でこれに制限を加えていくということは、原則的に私は考えねばならぬと思う。何ほどのこともありませんよ。そこらのボイラーの幾らかのものを制限してみたところで、大局に影響しない。そんなことならば積極的に石炭業に対する保護を加えることカバーできると思う憲法の原則上疑いのあることをやったり、あるいは経済の進歩の上からいって、先ほど社会党の話が出ましたけれども、それは汽車ができれば車引きが失業する、自動車が能率の高いものができれば能率の悪い車は淘汰されていくのでありますが、気の毒ではあるけれども、それが公共の福祉に反するような不公正な方法で圧迫するというのなら、これは公共の福祉の理由から制限できますけれども、そうではなしに単に能率が高い、能率が高いというだけで弱いものを保護するために高いものを押えていくという考え方は、私は大臣においても真剣に考えられるべき問題であると思う。ですからこれはちょっと簡単に考えておられたとしたら、私は影響するところがきわめて大きいと思う。こういうことを考えるので、長谷川君が質問されたことに対して私は深刻に反省してもらいたい。これは官房長もおられますが、通産省の方が今後の通産行政の上において、弱いものを助けていくという立場をとるのは私は反対しませんけれども、能率の高いということだけで、弱いものを助けるためにそれに制限を加えていくということはよほど考えねばならぬ。もし異論があれば私は伺いたいが、異論がなければこれ以上申しません。
○石橋国務大臣 長谷川君、山本君の御議論はきわめてごもっともだと拝聴いたします。産業革命のときにはいつでもそういう問題が起りますが、しかしながらこれは社会秩序の上から申しまして、それでは革命的なことをいきなり自由にやっていけば一時経済秩序が混乱することがあります。今日はやはりそうした——なるほど単に重油を自由に入れてどんどんやらせれば、ある部分の産業については一番効率の上からいえば問題ないわけです。一番いいことでありましようが、しかしながら同時にほかの産業のことも考えなければなりません。われわれも決して重油を排斥するわけじゃない。従って国内においても大いに石油を開発しようとして先般御審議を願っているようなわけであります。今後においても重油の使用というものを制限しようというつもりはありませんが、しかしながらこの際過渡的処置としてはやはり石炭業というものを十分考慮をして、これに大いなる混乱を起すということは困るのでありますから、そこでこの間石炭の合理化法案の御審議を願ったわけでありますが、それの一面のある程度の裏づけとしてある程度の重油の規制をして逐次燃料の総合的な対策を実現していきたい。かようなわけでありまして、決して皆さんの御議論のような自由をいたずらに束縛しようというような考えでやっているのじゃありませんし、またこの法案を作るについてはずいぶん慎重な検討をし、そういう点も考えまして、できるだけ支障を少くしつつ、しかもある程度の燃料総合対策を実現するような線に沿うものとしてこの法案の御審議を願ったわけでありますから、両君の御議論に対しては傾聴いたしますが、われわれも決して両君の御議論にまつ正面から反対してこういう法案を出しているわけじゃありませんその点を御了承願います。
○山本(勝)委員 多少私は了解しにくい点があるのですが、関税をかけてそして一般的に国の産業を保護するというようなことならば、これは憲法上の職業選択の自由とかその他の自由とかいう憲法上の問題は起りません。また国内における石炭業に保護を与えるということもこの問題は起りませんけれども、そうではなしに、個別的にこれはいい、これはいかぬというようなことで、立法上あるいは行政上それに制限を加えるということになれば、私は憲法の自由の制限の基本問題に触れてくると思うのであります。それは関税で一般的に国内産業を保護するとか、ないしは石炭業をほかのいろいろな税制その他の面でも保護するというようなことでカバーできるのじゃないか、そう一々消費規正をやらなくても。これはできないのですかね。つまりボイラーの規制をやるということがそれほど大きな石炭業の保護になるのかどうか。これは鉱山局長どうですか。
○川上政府委員 現在ボイラー用の重油は年間大体百八十万から二百万キロリットル程度使用されております。全体の重油が五百二十万程度でありますので、そのうち百八十万というと、相当大きな量ではないかと考えられます。私の方といたしましては、少くともそのうちの半分程度は転換さしていきたいと考えますと、石炭に換算しますと少くとも二百万トン足らずの石炭ということになるわけでございます。二百万トン足らずの石炭ということは、現在の石炭企業におきましては、私は非常に大きな量ではないかと考えるのであります。そういう意味で石炭と重油の調整の問題からいいますと、ボイラーだけでもきわめて大きなものではないかと考えるわけであります。それ以外のものはどういう用途に使われているかといいますと、結局鉄鋼の平炉でありますとか、あるいはガラスなどにおきます特定炉でありますとか、そういうきわめて特別な炉、この炉につきましては、石炭を使用することがきわめて非能率である、あるいはまたそのコストに非常に影響するというような、そういうものにつきましては、私の方といたしましては、無理にこれを石炭の方へ転換するということは考えていないわけでございます。それからまた水産業あるいは海上関係、これはほとんど重油関係でございますので、これを石炭に切りかえることはできません。そういうものはとうていできませんから、問題は結局ボイラー関係だけだ。しかもそのボイラー関係は量的に見ても非常にばかにならない。しかもこの二、三年の間にそうした方面の石炭から重油への切りかえは非常に多く行われてきたというような関係から、これをほうっておきますと、まことにこれは大きくなって取り返しのできないような状態になりますので、ここらあたりで一つ線を引いて、そしてこの程度にしてもらいたいということでやることが、現在の日本の経済、産業から見ても、どうしてもとらなければならぬことではないかと考えるのであります。
○長谷川(四)委員 局長のおっしゃることは、なるほどはたで聞いていると、知らない人が聞いていると、ごもっともに聞える。あなたのおっしゃる大企業、よく社会党の唱える大企業だけはそれで一応の線は引くことができる。社会党なんというのはカムフラージュして、中小企業の味方だ、とんでもない訳だ。この案に賛成している社会党は全部逆コースを走っている。そういうところに大きな間違いが起きている。真に中小工業者を守るわれわれは、いかに中小工業に大きな影響を与えるかということに対して質問している。あなたのおっしゃる大企業というものはそれでいい。けっこうです。私たちは、輸出がやっと芽ばえてきたこの中小企業に与える影響がいかに大であるかということを憂えるから申し上げるのであって、たとえばガラス工業であるとか電気であるとかは混焼させなければならない。鉄鋼も混焼させることによってよりよい品質ができる。指折り数えて、ガラスだったら一つ二つ、鉄鋼だったら二つか三つ、こんなものの話をしているのではないのでございまして、今まさに輸出が盛んになろうとし、やっとそれが幾分か芽ばえてきた今日であるから、今までのような行政指導でやってもらって——わざわざ法律まで作って、そうして一係官がこれはいかぬとかいって締めていくのでは、日本の産業、輸出の産業、また将来に対する振興はでき得ないではないか、だからやってはならないというのではなくて、法律を作らなくても今日まで行政指導をやってきて、あなたは成果を上げたとおっしゃっているのだから、それでいったらいいでは在か、こういうことを申し上げて走るのであります。あなたのお話を聞くと大へんごもっとものようであるけれども、その裏に大きな問題が含まれているということを言ってくれなければ困る。あなたは上っつらの、日本で幾つかある——そんなことはよけいなことなんで、大企業だけを助けるためにやるのかといわれたら、あなたは一も二もなくなってしまうでしょう。そうでない。日本の工業、産業というものは、口で唱える中小というものが多いので、ほとんど全部が中小なんだから、これに与える影響度のきわめて少いように、今までのような行政指導でいったらいいじゃないか。何もあらためてふん縛るの罰金をとるのと、そうおびえさせなくてもやり得るのではないか。であるからそれでいったらどうか、こういうことを申しておるのです。ですから山本さんの御質問に対してあなたの話を聞くと、なるほどごもっともだと考えるけれども、とんでもない。その裏に含まれておることをわれわれは指摘しなければならない。それが政治である。あなたのお話を、さようでございますかというなら、何も商工委員会の常任委員となっておる必要はないのでありまして、あなた方のやることを監視し、もっとよりよい政治を行わしめることがわれわれの使命でありますから、そういう点をお考えを直していただかなければならぬ。ですからそういうような点まであなたは考えておるかどうか、こういうことをお話ししてもらえば、納得のできないこともない、それをお話し願います。
○川上政府委員 長谷川先生は、今従来の行政指導はそのまま続けていくべきだというお話に承わりましたが、私どもは従来の行政指導を実は法律に書きますと、大体こういうことになります。しかも行政指導というものは、何かやはり法律のよりどころがありませんと、これは非常にむずかしくありますので、従いまして、法律で書き、何かよりどころをはっきりさせていただいて、そうして国会においてもわれわれが従来やっておる行政指導ということは、当然やるべきことだというような裏づけをしていただいた方が、私どもといたしましてはずっとよくあります。また昨年この通産委員会におきまして、総合燃料対策の決議がございましたが、その決議で、行政指導でうまくいかぬときは、要すれば、法的規制をやれというようなこともその際決議されておりますので、私どもはそういう線でずっと今日までやっておりましたが、行政指導ではなかなかやりにくいということがありますので、こういう法律を作りまして、その法律のバックによりまして、従来の行政指導をやっていきたいという気持で、こういう法律を出しておるわけであります。第四条の勧告にしましても、第六条の勧告にしましても、何らこれは罰則を伴わない、これはこういう勧告をすることについて国会においてこれを認めていただいて、その認めていただいたバックによって私どもは行政指導をやろうということでございますので、その点は従来とそれほど変らないのではないかというふうに考えられるのであります。
○山本(勝)委員 私は最後に一つだけ……。川上局長は責任者として一生懸命に努力して今日まできたので、今申し上げても無理だと思いますが、大臣とか官房長はよく考えてもらいたい。この程度の理由で自由の制限ができるのだったら、およそ自由の制限のできない場合はないということです。もしこれくらいの理由で基本的人権の自由の制限というものが許されるものだとしたならば、必ずどんな場合でもそれくらいな程度の理屈ならつけられますから自由の確保ということはできないということになってくるということを私は心配する。ですから不断の努力をして、これを保持しなければならぬと憲法に書いてあるが、自由の制限の場合はよほど局に当る人に真剣に考えてもらって、どこから突かれても公共の福祉に反するということが自信をもって言い得るような場合にのみそれを制限する立法を作ってほしい。ただこっちが便利だとか、よりベターであるとかいったような、そういう相対的なことでやるとしたら、これはほかの経済界の全般にわたってやり得ることになる理屈がつく、これを特に大臣と官房長に申し上げて私の質問を終ります。
○田中委員長 本日の会議はこの程度にとどめます。次会は明二十六日午前十時より会議を開くこととなし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十一分散会