商工委員会 第26号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/06/16
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 昨日本委員会に付託になりました輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題となし審議に入ります。まず政府よりその趣旨の説明を求めます。島村政府委員。
○島村政府委員 輸出入取引法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 輸出入取引法は、昭和二十七年八月に制定されまして以来、今回が第二回目の改正になるわけでありますが、現行の輸出入取引法の沿革をたずねますと、最初は輸出取引法として、不公正な輸出取引を防止するとともに、一定の範囲において輸出業者の協定の締結及び輸出組合の設立を認めることにより、輸出取引の秩序の確立をはかることを目的として昭和二十七年八月に制定され、次いで翌昭和二十八年八月に至り、その一部を改正して、輸出業者の協定締結の範囲を拡大するとともに、輸入取引についても、輸出取引の場合に準じて、一定の要件のもとに、輸入業者の協定の締結及び輸入組合の設立を認め、さらにこれらの協定の実効を確保するため、いわゆるアウトサイダー規制に関する規定を設け、その題名も輸出入取引法と改めたのであります。 ところがこの改正案を施行いたしましてから今日に至るまで約二年を経過するうちに、わが国をめぐる変転きわまりない貿易取引の現実は、なお一段とこの法律の規定の強化拡充を要するような事態を少からず生ぜしめるに至ったのであります。すなわち、最近の輸出貿易の現状は、お互いに無用の競争を行ういわゆる過度競争の結果、必要以上の安値輸出を行う傾向がますます強くなり、一面においてわが国輸出品の声価を失墜させると同時に、相手方の関係業界に不測の損害を与えることともなり、他面わが国としては得べかりし外貨の喪失という二重の国家的損失をこうむっているわけであります。 日本の貿易業界が輸出振興に涙ぐましい血のにじむような努力を払っておられる姿には深く感謝と敬意の念を禁じ得ないのでありますが、しかしながら、最近国際貿易の流れに顧み、かかる現象が続く限りにおいては日本の貿易の今後の発展にきわめて困難の度を加えることは必至であって、貿易を中心とする経済自立計画に重大なる支障を与えるものと深く憂慮せられるものであります。従いまして、この際わが国の貿易の健全な発展をはかるのみならず、国際貿易に大いに寄与するためにも、今日のごときいたずらに無用の競争は極力避け、合理的なお互いの自主的協調によって輸出秩序の確立をはかることは焦眉の急務であると思われるのであります。このたび提案いたしました輸出入取引法の一部を改正する法律案は、このような事態に対処し、かかる協調輸出の確保をより一層容易ならしめようとするものでありまして、その主要な改正点は次の通りであります。 第一に、不公正な輸出取引をした輸出業者に対し、その行為がわが国の輸出業者の国際的信用を著しく害すると認められるときは、通商産業大臣は、直ちに、貨物の輸出の停止を命じ得ることといたしました。 第二に、輸出業者の協定に対する制限を大幅に緩和し、特に狭義の輸出取引に関する協定につきましては、現行の認可制を廃して届出をもって足りることとし、その効果の急速なる実現を期することといたしております。 第三に、輸出業者の協定の締結が困難であり、あるいはその協定をもってしても、なおかつ輸出取引の秩序の確立が困難である場合には、必要な最小限度におきまして、生産業者または販売業者が輸出すべき貨物の国内取引に関する事項につき、協定を締結する道を開きました。 第四に、特定の地域との輸出入の円滑な調整をはかるため、特に必要があると認められる地域、たとえば、中共とかインドネシアとの貿易についてはそうであると考えられますが、その地域との輸出入の調整を主たる目的とする輸出入組合の設立を認めることといたしました。 第五に、輸出及び輸入に関するアウトサイダー規制命令につきましては、規制の範囲を若干拡大するとともに、その機動性を高めるよう所要の改正を加えました。なお右に述べました輸出入の調整につきましても、これらに準じてアウトサイダー規制ができるようにいたしております。 これを要するに、この法律案はわが国貿易の特質と実情に即応するよう、輸出入取引法の規定を一段と整備拡充しようとするものでありまして、これが成立を見ますれば、必ずや公正にして秩序ある輸出取引の体制を確立し、わが国貿易の対外的信用を高め、もって外国貿易の健全なる発展に寄与することを確信しております。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
○田中委員長 本案に対する質疑は次会に行います。 —————————————
○田中委員長 次に、アルコール専売法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑を許します。中崎敏君。
○中崎委員 アルコールに関する問題を若干質問してみたいと思うのであります。 まずアルコール専売制度の目的という中に、工業用輸出原料、良質なアルコールを低廉でしかも安定した価格で輸出振興等の問題を考慮してやっておるということが書いてありますが、逆に今度は輸入防渇のために、特にこのアルコール価格等によって操作するというようなことが行われておるかどうか、さらにまた今後行う考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
○吉岡政府委員 ただいま御指摘のように、アルコール専売の目的といたしましては、工業原料としてなるべく安い安定した価格でもってアルコールを販売することを目的といたしておりまして、工業用アルコールについて申し上げますと、二十六年以降当時十二万七千円でございましたのを逐年引き下げまして、現在は八万三千二百円ということで販売いたしております。さらに輸出用につきましては六万円台で特別の価格を設定いたしまして、販売をいたしておるわけでございます。輸入防遏という点について特別の考慮をしておるかというお話でございますが、これにつきましては現在のところは一般の工業用アルコールといたしまして八万三千円ということで処理いたしておりますが、輸出振興も輸入防遏もその趣旨におきましては同一であることは御指摘の通りでございますので、今後具体的に必要を感じました場合には、輸出用に準じまして考慮していきたい、かように考えておる次第でございます。
○中崎委員 たとえば酸化エチレンの原料は、ほとんどアルコールから作っておるようですが、アルコールの原料価格が相当高いために、どうしても外国製品の酸化エチレンに対抗できない。ちょっと国産は値が高い。従いましてこのアルコールの値段が下げられさえすれば、この酸化エチレンは相当安く提供できるわけでありまして、これが輸入防遏の上にも大いに役に立つと同時に、これに関連して次に作られるところの製品の上にも大きな影響がある。勢いこれが輸出の上にも間接ながら大きな影響を及ぼしますので、こうした点も考慮して、輸入防遏に役に立つような場合には、直接輸出振興のために考えておると同一程度の考慮を払うべきものであるというふうに考えておるのでありまして、今局長の言われた考えをさらに具体的に現実に進めていただければいいのではないかというふうに考えております。 次に現在アルコールの製造は、官営工場でやられておるものと、民営で委託してやられておるものとあるようであります。そこでコストの点について、官営の工場と民営の工場との間にどういうふうな開きがあるのか。また民営の工場の現在の営業状況は一体どういうようになっておるかということを御説明いただきたいと思います。
○吉岡政府委員 御指摘のように、現在の工業アルコールは官営工場で過半を作っておりますが、一部民営工場に委託して生産をいたしております。そのコストの点につきましては、申すまでもなく両方の経理の制度が異なっておりますので、正確な意味の比較をすることは困難な点がございますが、一応私どもの可能な限り調べましたところによりますと、平均いたしまして現在のところ官営工場の方がコストは低くなっております。具体的に申しますと、なまイモを原料にいたします場合に原料費で申しますと、官営工場の平均がキロ当り七万五千八百円、これに対して民営工場の平均は八万五千八百円、糖蜜の場合にも若干官営工場の方が低くなっております。労務費につきましては、これは賃金ベースが官営工場の方が低いわけでございますので、当然と申しますか、相当の開きがございまして、やはり官営工場の方が低くなっておるというようなわけでございまして、総原価といたしましても、なまイモの場合は平均いたしまして、官営工場の方はキロ当り九万七千六百円、民営工場は十一万八千六百円、糖蜜原料の場合には、官営工場の方が五万六千四百円、これに対し民間工場の方は六万四千六百円というような現状でございます。操業度は、これは双方とも現在のところあまり操業率は高くないわけでありまして、大体五、六割というような操業度でございます。しかしこれはイモのごとく季節的の関係がございますので、普通の工業生産のごとく年間を通じまして一定の操業率を維持することも困難な事情がございます。現状はこの程度になっております。
○中崎委員 民営の会社の営業成績をざっと、大勢的なことでいいですからお知らせ願いたい。
○吉岡政府委員 私どもが工業用アルコールの委託生産をやっております会社は六社でございまして、そのうち一社は御承知のパルプ廃液からのアルコールでございまして、糖蜜ないしはイモを原料にいたしまして委託生産をやっておりますのは四社でございます。しかしアルコール全体といたしましてはやはり酒用のアルコールの方が全部で約百社ございまして、そのうちの最も主要な工場に対して私どもは委託生産をしております。数量から申しましても酒用のアルコールの方が数倍になっておりますので、会社自身の営業成績といたしましては、酒の方のアルコールの業績によって左右される。それでその場合に私どもが委託生産しておりますものの買い上げ価格と、それから酒用のいわゆる転化アルコール——これは酒造業者にさらに売るわけでございますが、この値段を九十五度のものでキロ当りを比較いたしますと、私どもの方は各社別に原価を調べましてそれぞれ個別価格で買い上げをいたしておりますが、それを平均いたしますと大体十万円前後というところになっております。これに対しまして酒用のアルコールは、物は同じものでございますが、多数の工場があり、しかも零細な事業がたくさんございまして、これに対しては国税庁は一本の価格で酒造業者に販売をやらしている、こういうことでございます。従って結局多数の工場のいわば限界生産費によって価格がきまるというふうな関係から、イモの場合におきましてキロ当り十五万六千円が現在酒用アルコールの販売価格になっております。同じものにつきまして私どもの方の買い上げ値段は十万円程度でございます。 以上申し上げました点をお聞き願いましても、工業用アルコールの方はなるべくコストの安いということを基本にいたしてやっているということを御了承いただきたいと思います。
○中崎委員 ここ二、三年このかた官営工場が払い下げられているという事実があるようでありますが、それはどこどこの工場であり、さらにその会社の現在の営業成績状況は一体どういうふうであるかを御説明願いたい。
○吉岡政府委員 昭和二十六年に北海道の二工場の払い下げをいたしました。払い下げを受けました相手方はただいま申し上げました酒用の転化アルコールをつくる目的で払い下げを受けられたようでございます。しかしその後、許可を受けられる以前におきまして業績がきわめて不良になりまして、二工場とも賃金の未払い等を生じましてこれにつきまして私どもの方でもいろいろあっせんをいたしまして、結局従業員は他の会社に引き継がれたようでございます。工場といたしましては二工場とも閉鎖と申しますか、簡単に申し上げますと会社がつぶれたという結果になっております。それから翌年九州の島原、高鍋の二工場を払い下げたわけでございますが、その当時はすでにただいま申し上げましたような事情がある程度わかっておりましたので、払い下げを受ける相手方に対しましては、今後製造用原料の一定量の割当を条件としてでなければ買い取らないということでございまして、やむを得ず千五百キロ程度の割当量を保証するという契約をいたしまして、払い下げをいたしているわけでございます。現在におきましてはそういう関係でございまして、企業として払い下げを受ける魅力がほとんどないのではなかろうか、もししいてそれをやるとすれば、原料の割当を保証するというような関係になりまして、結局払い下げをするということの意味もあまりなくなるのじゃないか、こういうのが大体現状ではないかと考えております。
○永井委員 ただいま局長は北海道のアルコール工場払い下げについて、行き詰まって解散に当って従業員を他の会社に引き継いだという答弁でありましたが、どのように引き継がれたか、それをはっきりしていただきたいと思います。それからこの工場払い下げに当っては、十年間他の目的のためにこれを使ってはならないという制限があったと思うのですが、それが直ちに現在はアルコールを作らないで、これがパルプ工場に変っている。帯広の方はそのままになっておりますが、北見のアルコール工場はパルプになっている。払い下げ条件が十年間他の目的に使ってはいけないというのが、どういう理由で数年ならずしてパルプ工場に転換することを認めたのか。これはその中間において相当の暴利がむさぼられているといういろいろな問題があります。今の局長の答弁は非常に事実と反しているので、もっと詳しくこのことを調べていただきたい。
○吉岡政府委員 永井先生の方があるいはお詳しいかと存じますが、帯広は御指摘のように現在閉止中でございます。北見の方は段ボールの生産をいたします工場に転売をされて、それまでの未払い賃金等につきましては政府におきまして興銀その他にあっせんをいたしまして融資を受けて処理をした、こういうことでございます。それから売り渡し条件として十年間云々の点でありますが、これは政府の承認を受けないで勝手に処分してはならないということでございまして、先ほど申し上げましたように、転化アルコールを目的として払い下げを受けられたのでございますが、この方の許可が円滑に行かなかったという関係で賃金の支払いにも支障を来す、こういう状況に至りましたので、やむを得ないものといたしまして承認したわけでございます。
○永井委員 払い下げる場合にはその事業を継続してやれるという経済的な条件が具備しなければ払い下げ適格条件はないと思うのですが、そういう条件の資格はどういうふうに調査されたのか。この問題をほんとうにやるのであればわれわれもっと具体的に突っ込んでお聞きしたいと思うが、最初は帳簿価格の五百万円前後で払い下げるということだった、ところがだんだんやかましくなって来て、帳簿価格では払い下げができないというので、両方の工場を合せて一億前後という一応競争入札という形を取ったが、事実は指名した先に払い下げるということでやって、それには中にあるアルコールの残留分も何も含めて、いろいろ払い下げについては問題があるわけでありますが、それらについてどういうふうな資格条件で許したのか、またパルプに転換した場合はどのような価格でどのように処置されて、中間搾取がどのようにあったのか、また労務者については他に職場を転換さしたというが、そういう事実はない、払い下げを受けたとたんから賃金は未払いであってひどいことに労働者が犠牲になっておるのでありますが、ただいまのお話では大へんけっこうな跡始末がついたというお話でありますから、その経過をあらためて一つ伺います。なおこの問題については本日時間がなければあらためて私は資料を持ってきまして質問を続けたいと思います。
○吉岡政府委員 率直に申しまして、二十六年の当時のことでございますので、引継いでおります書類等によりまして、入札は一般競争入札でやったということは事実でございます。しかし御指摘のように払い下げにつきましては、払い下げ後における事業の運営なり労務者等の件につきまして慎重に考慮しなければならぬということは御指摘の通りでございますので、今後は現在のところ具体的に直ちに払い下げるという計画は持っておらないわけでございます。万一そういう必要が生じました場合におきましては、そういう点を十分に注意いたしまして御指摘のようなおそれのないようにいたしたいと考えております。
○中崎委員 先ほど九州の島原、高鍋の工場の払い下げについては、一定量の仕事をやらせることによって一応進んでおるということでありますけれども、これで現在その工場は引き合っておるのですかどうですか、それを聞きたいと思います。
○吉岡政府委員 九州の方は払い下げを受けました相手方が、具体的に申しますと宝酒造でございまして、これは酒用のアルコールの相当量の割当を持っておりますので、それと合せまして現在のところ操業をいたしておる、そういう状況であります。
○中崎委員 この官営工場の払い下げについては概して不明朗な問題等がつきまとうものであります。私たちの主張、立場からいいますと、こうした直接国民全体と深いつながりのあるような事業、あるいは基幹産業等については、これを国営ないし国家管理等の方式によるべきものであるという主張を持っておるのでありますが、それは別として、ことにこうしたアルコール工場のような専売的事業において、これは一応国営の形において運営されておる。それが一、二、三、四の工場が特に払い下げをされなければならなかったという理由は一体どこにあるのですか。ことに今のように非常な不始末で、工場を払い下げるやいなや賃金も払えなくなって、行き当りばったりのひどいことになっておる。そういう工場をどういうわけで払い下げなければならなかったかということ。さらに九州の場合においても一応払い下げてみたが、あとでどうにもならぬから割当を一定限度保証してくれというのでそれを確保して、初めて工場がほかの事業と合せて成り立っておるという印象を持つのでありますが、一体そういうふうな無理までして何がゆえに払い下げをせなければならなかったか、それを一つこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。
○吉岡政府委員 北海道の二工場につきましては昭和二十五年八月十五日、九州の二工場については昭和二十七年七月十五日にそれぞれ閣議決定がございまして、それに基きまして政府は払い下げをいたしたわけでございます。
○中崎委員 今の局長だけの答弁ではどうも答弁になりませんので、当時石橋さんは閣僚でなかったかもしれないけれども、当時の事情等がわからなければ、さらに検討していただいて、一体どういう事情でそういうふうにすぐ行き詰まるような状況下にもかかわらず、払い下げを強引にやったのか。さらに今度石橋さんとしては、現在こうした専売になっているアルコール事業が国営の場合においてはうまくいっておる。ことにこれは税金等の意味も含んでおりますから、うまくいかなければならぬわけですが、うまくいっておる。ことにコストの点は、現に民間においてやっておるより、官営の方が安い。こういう一挙両得といいますか、一石二鳥といいますか、非常に有利な状況下に官営事業というものが置かれておる。ことに民営事業は利潤追求をやらせれば非常にうまいのだといわれておる。その主張というものは、これは明らかにそうでないという事実を物語っておる。そういうふうなアルコール専売事業の工場に対しても今後なおかつ払い下げするような考え方をお持ちになっておるかどうか。うわさによると、多少は採算的に見れば不如意であるというような工場もあるので、これがまた払い下げられるのではないかということで、非常に心配されておる向きもある。そういうふうなものが政治的な考え方一本から処理されるということは、私たち非常に遺憾に思うのでありますが、一体そういうふうなことについてもどういうふうにお考えになるか、お聞きしておきたいと思います。
○石橋国務大臣 今お話に出ております過去のことについては、実は私全然存じないのです。ですから、御要求によりまして、なお参考にもなりますから、私としましても一つ調べるだけは調べてみようと思います。それから現在官営で営んでおります工場を払い下げる意思は持っておりません。ですからその点は御了承願います。
○中崎委員 管理機構が現在このアルコールの方では二課を設けてやっておるのですが、私どもは必ずしも人員の整理ということは——必ずしもではなく大いに反対なんです。大いに配置転換等によってやらなければならない。二課のこのような機構でやるほどのことではないのではないかというような意見もあるのでありますが、一体これはどういうように考えておるか。将来はどういうような考え方であるか。それをお聞きしたい。
○吉岡政府委員 御指摘のようにアルコール一課と二課ということでやっておったわけでございますが、何分年間約三十億円の取引をいたしております。九つの工場を持ちまして、従業員も千四、五百名おります。しかも専売法、酒税確保の上からも取締り等の必要もございます。やはり事業としてはこれは相当大きな仕事でございます。特に先ほど御指摘がありましたように、こういう現業的の仕事はよほど管理、監督を厳重にいたす必要もございますので、実は本年の四月からアルコール事業長というアルコール製造並びに販売に関する専任の担当官を設置いたしまして、各現場における仕事の状況なり合理化の問題、あるいは原料輸入の問題、販売等の面につきまして遺憾なきを期しておるわけでございます。仕事の額なり量からいたしまして、私どもとしては実はこの程度の人員は必要と考えておるような次第でございます。
○田中委員長 他に質疑の申し出がないようでありますので、これをもって本案の質疑を打ち切ることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、質疑は終了いたしました。 アルコール専売法の一部を改正する法律案を討論に付します。——討論の通告がありませんので、直ちに採決に入ります。 アルコール専売法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○田中委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 この際お諮りをいたします。本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○田中委員長 なおこの際お諮りをいたします。科学技術振興に関する小委員長前田正男君より、小委員会において科学技術振興対策調査の必要上、参考人として閉鎖機関朝鮮銀行特殊清算事務所顧問小池筧君より意見を聴取いたしたいとの申し出があります。小委員長のこの申し出の通りこれを決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○田中委員長 この際お諮りいたします。ただいま審査中の輸出入取引法の一部を改正する法律案について、貿易振興に関する調査特別委員会より連合審査会の開会を申し入れて参りましたが、この際本案について貿易振興に関する調査特別委員会と連合審査会を開会することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。 なお開会の日時につきましては、先方の特別委員長と協議いたしました上、追って公報をもってお知らせをいたします。 —————————————
○田中委員長 次に、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入ります。質疑は通告順によってこれを行います。永井勝次郎君。
○永井委員 お尋ねをいたします。今度の改正の要旨の第一点は、従来の組合の設立は認証制度であったのが、今度は認可制度に改められる、こういうのでありますが、これはどういう理由によって認可制度にするのか、伺いたいと存じます。
○記内政府委員 御指摘の通り、従来協同組合は認証制度でございまして、ちょうど会社を作ります際の公証への認証と同じような手続にいたしてございます。もともと協同組合法が当初制定いたされました場合におきましても、やはり公証人の定款の認証ということだけで進められることに相なっておりましたが、公証人の認証制度だけでは、公証人もなかなか厳密な審査をいたしませんし、またこれによって、いろいろ組合設立についての行政庁の指導面においても欠ける面がございましたので、これは公証人の認証から行政官庁の認証という制度に法律を改正したのでございます。 しかしながら、その後におきましても、やはり認証はあくまで一種の確認行為でございまして、定款の規定が法律に違反しておらなければすべて認証せざるを得ない事情でございます。従いまして、組合の設立等が、法律的には整っておりましても、その内容において適当でない、というふうに認められましても、これを認証せざるを得ないというふうな事情にあったのでございます。その結果といたしまして、たとえば全国商工協同組合というふうな形のものがありまして、何と申しますか、一種の保全経済会式のものが間々出て参りました。一種の出資をして払い込みをすれば、その金で融資をしてやるというふうなことで、出資を全国的に勧誘するというふうな悪例も出て参りましたが、現在の法制ではこれを取り締ることもできないような事情に相なっております。かたがたその後におきまして制定せられました各種の、たとえば消費生活協同組合あるいは農業協同組合とか、いずれも当初の認証制度から認可制度に改められて参っております。現在認証制度になっておりますのは、中小企業等協同組合と塩業組合だけになっております。従いまして、この機会におきまして、そういうふうな特殊な事情もございますのでこういう弊害を防止する意味において、認可制度に改めて参ったのでございます。しかしながら、認可制度と申しましても、もともと協同組合というものはその設立につきましてもまたその後の運営につきましても、十分これを指導発達させなければならない筋合いのものでございます。この認可制度によりまして、不当にこれを抑圧すべきものとは考えておりません。従いまして特殊な、不都合な場合に限りまして、例外的に不認可の措置を講ずるというふうなこととし、原則としては相当程度認証制度と同じような運用にして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
○永井委員 今長官は、不当に干渉する、不当に圧迫するというような考えがないということでありますが、もちろん不当に圧迫する考えがあったら大へんなので、そんなことは議論の余地がないと思う。ただ正当な指導監督という主観のもとにやることが、組合側としてこれが正当であるか、妥当であるかどうかということが問題になるのであって、正当であるかどうかという客観的な判断が問題であろうと思うのであります。協同組合は、もともと業者が自主的な立場で一つの組合を作って、自分みずからの福祉増進なり、経済的な協同の力を発揮するための、民主的な機関でなければならない。従って、これに対して政府が認可をする——いい、悪いという判断をして、そうしてこれを選別する、こういうことが一体妥当であるかどうか、それがいいか悪いかという判断が、行政庁の主観的な判断に一任される、こういうことが一体妥当なのかどうか。悪かったら民主的な形でみんなこの組合を解散しようということになるだろうし、みんなのためになることであるならば、その組合が正しく健全に育つでありましょうし、これは民主的な形の運営にしておけばいいと思うのであります。もともと戦後における協同組合の諸制度というのは、農業協同組合にいたしましても何にしても、届けっぱなしでいいという最初の法律だったのです。それを政府の方で干渉して、この認可制度に順次切りかえたのであって、これは日本における協同組合の特殊的な一つの官僚統制をやろうとする意図の方向へ改まってきておる、こう思うのですが、そういう点について大臣は、これはやはり政府の認可制度にして、役人の判断にまかしてこれを運営する、指導監督してやるのだ、こういう考えで、今度こういう改正を行われるのかどうか、この点は非常に大きな問題だと思うので、一つ伺っておきたい。
○石橋国務大臣 あえて官僚統制を行おうという意味ではありませんが、今長官も言うたように、いろいろの弊害があるということも事実なんです。これはおっしゃるように、なるほど民主的にやって、弊害があればつぶれるにきまっておるけれども、つぶれるまでには相当の損害を各方面にかけるということになりますから、これはやはり一つ役所の関門を通して、幾らかその性質を調べた上で認可をするというのが、少くも日本の現状においては適当だろうと私も考えておるような次第であります。今申しました不当な干渉をするつもりはないというのは、つまりそういうふうにむしろ消極的に、弊害を防ぐというだけの意味で許可をする、こういう意味であります。
○永井委員 ここは意見の分れるところであるからそれはそれとして、第二に役員の選挙方法であります。これは定款に定めるところによって今までは選挙でなければならなかったのを、今度は指名推選の方法でいいというふうに改められるようでありますが、これはなぜ無記名投票という選挙方法がいけなくて指名推選の方法に改めるのか、改める理由がどこにあるのか、これを一つ伺いたいと思います。
○記内政府委員 従来の規定におきましては御指摘の通りすべて投票によるということになっておりましたが、実際の動きといたしまして、投票を省略したいという意見が各組合ともほとんどの例になっておるのであります。しかもこれは多年の要望でございましたが、われわれは御指摘のような点も考えまして、従来その点には触れずに一参っておりましたが、いろいろの動きを見ておりますと、ほとんど満場一致の投票ということになっておりまするし、指名によりましてもさほどの弊害は起らないのじゃないかというふうな判断もつき得るような事態になりましたので、従いまして今度の改正におきましては、必ずしも投票によらなくても差しつかえない、しかし指名によります場合にはあらかじめその旨を全員に諮りまして、全員の納得を得た上で何か推選委員会を設けるなり何なりによって指名をする、その後におきましてさらにその者でよろしいかどうかを全会に諮りました上で、その承認のもとにこれを指名するというふうにいたしまして、その間に一名でも反対があれば、本来の原則にかえって無記名投票によってこれを決するというふうに措置をいたしておるわけでございます。こういうふうな二重の手続を経ることによって、投票によることを省略する場合の弊害を防止して参りたいというふうに考えておる次第であります。
○中崎委員 ただいまの問題でありますが、事実上組合の運営としては必ずしも全部投票をしたものではないと思います。組合員の了解を得て今推選形式によって投票を省略してやる場合が非常に現実において多い。ところがそういうことによって問題がかつて起ったことがあるかどうか。言いかえれば投票によらないで推選によってやったから不都合だという問題が今日まで起ったことがあるかどうか、その点について長官の意見を一つ聞いておきたい。
○記内政府委員 現行法におきましてはそれは違反行為に入っておりますが、現在までのところそれが問題になったということを耳にいたしておりません。
○永井委員 どういうところからどういう要望で投票が厄介だから指名推選にしてくれ、こういう満場一致に近い要望があったから改められたと言うけれども、一体要望があったらどういうことでも改めるのかどうか。やはり組合の民主的な運営という一つの原則がある。無記名投票ということを指名推選にするという、こういう民主的な運営という一つの原則から非常に後退した形にこれを改めなければならないという特別な理由がなかったら無記名投票でけっこうじゃないですか。こういうことによって何か安定した一つの力を固定させていくというやり方が、この指名推選ということになればできるのです。目の前に来て大体渡りをつけておいて、そうしてこれを指名推選するというのは、それは反対だといっても表面切って反対できるわけのものじゃありません。無記名投票という制度があって初めて公明な意思表示ができるのでありますが、こういう制度に後退しなければならぬという根拠は、ただ陳情運動があったから、そういう希望があったからというだけの根拠ですか。何かここに、こういうふうな何は、こういうことによってもっと民主的な運営が前進するのだというそういう根拠があれば、一つお示し願いたいと思います。
○記内政府委員 御承知の通り、組合には非常に多くの組合員を擁するものもございますが、原則としては比較的少い、中には五人、十人というような組合員のところもございますし、三十人から五十人くらいが大体の組合員ということになっておりまして、お互いに顔を知り合った仲で、こういういわゆる選挙によりましても、投票にまでよらなくともよいだろうという趨勢が相当多く出ておるわけであります。従いましてほとんどの組合から、投票まで厄介な手続を踏まなくても指名推選でやれるようにしてほしいという要望がありましたので、原則はあくまで投票でございますが、ただいま申したように、出席組合員の全員に諮って、全員が納得するのであれば、指名推選で差しつかえない。しかもその後においてさらに指名された者を選任するかどうかについて、全員に諮るというような手続によってこれの簡素化、簡便化をはかって参る。もしこれに不都合な点でもあり、反対者がありますれば、当然本来の姿の投票によってこれを決するということにいたした次第であります。
○永井委員 今のような長官の説明であれば、何も指名推選という法律改正までする必要は何にもない。運営で幾らでもやれるのを、わざわざこういうような改正をするということは私は了解しがたいのであります。 その次にお尋ねしたいのは、第四の改正点ですが、これは定期的に組合から行政庁に決算書類を提出させるとか、何か従来のやり方では指導上遺憾の点が多かった、だから改正するのだ。何か組合に対して非常に行政当局が指導監督するのだという、こういう善意の気持はわかるが、あまり出過ぎて、善意なものであっても行き過ぎは一般としては迷惑なわけでありますが、こういうふうにだんだん認証制度が認可制度になってきた、あるいは無記名投票でやるべき役員選挙を指名推選でよいということになってきた。おしまいの方にいってその指導監督の点に遺憾の点があったから指導監督の権限を強化していくのだという。こういうふうに一貫して考えますと、協同組合の民主的運営ということが非常に行政庁の指導監督によってゆがめられていく、役人の考えで思う通りの組合を作っていくという一貫した思想がここに流れておる。そういう考えが基礎になってこういう改正が行われてきたのではないかと思うのでありす。これは重要な問題でありますが、従来どういう点が遺憾であった、そうして書類なり何なり、こういうものを義務的に定期的に提出させて、そういうものも通して指導監督していく。こういうのはどういう効果をねらっておるのか、これを伺いたい。
○記内政府委員 現行法のもとにおきましては、組合は決算をしなければならぬということは会社と同様でございますが、その決算を官庁に届けるとか、報告するとかいう義務は全然ございません。従いまして行政庁と組合との関係は全く関係がないと申してもよいくらいでございます。ただ組合員が組合のやり方がおもしろくないという場合に、調査を行政官庁に依頼をする、申請をするというようなことがあって初めて発動できるような態勢になっております。そういうことでございますと、何と申しますか、組合員も組合の仕事に熱心でいろいろ気を配っておれば好都合なのでございますが、現在の状態におきましてはそこまで参りません。自然にずるずるといつの間にか役員の不都合のまま深みに入ってしまう。あとから官庁方面で気がついてこれをいろいろ注意し、指導しようとしましても、手おくれになるというふうな事例がしばしばあるわけであります。従いましてせっかくできておりまする決算書類、事業報告書等、当然組合は備えておるべきでありますので、その一部を行政官庁に届けさせる、こういうことによって行政官庁は日ごろの組合の動きというものも察知できる、またこれによって単に監督取締りという面だけでなくて、いろいろの組合助長行政の足しにもなし得る、今のままでございますと組合との間のつながりというものが非常に少いというふうな点を考えまして、こういう制度に改めたわけでございます。これも組合に非常な負担をかける、手数をかけるということでございますと、極力これを避けなければなりませんが、提出すべき書類は組合が当然組合として、決算書類として持っておらなければならぬようなものの写しを一部提出すればよいということになっておりますので、そうよけいな負担過重とも考えられませんし、この程度の連絡をさせるということに改めた次第でございます。
○永井委員 単に形式的に決算書類を提出させるというにとどまるならば、これは形式的な、事務的なことですから問題にならぬと思うのですが、従来はそういう点で指導上遺憾な点があったから、そういうものを出させて、それを通して指導監督をしよう、こういう積極的なアイデアが今度の改正の基礎になっておるのですから、これでいまきすと組合の中に非常に深く入っていく、それが組合の健全な育成強化になるのだという考え方が今度改正の土台になっておる、これが問題だと私は考えます。 そこで大臣にお尋ねいたしたいのですが、協同組合の育成強化は大いに力を入れていかなければならないと思いますし、今後における中小企業の生くる道は協同組合の強化をはかっていく以外にはない、その組合の健全なる発達をはかるのは行政権限を組合に対して強化させて監督をするのだ、こういうふうにさせるということが組合の育成強化になるとお考えなのか、それとも組合の健全なる育成強化というものは、個々の組合員を育てて教者啓蒙して、そうして民主的な力を培養してひとり立ちでどんどんやれるような基礎を固めていく、従って現在非常におくれておるとするならば、どの点がおくれておるかという事実の判断の上に立って、そうしてこれに啓蒙教育あるいはその面におけるいろいろな民主的な運営に対するところの助長、こういう間接指尊、いわゆる組合を直接指導するというのでなくして、組合が健全に育つところの基礎条件を間接に刺激して育てていく、そうして組合がほんとうにひとり立ちしていけるようなねらいをもって助長育成するのでなければ、いつまでたってもできないと思うのですが、協同組合に対する考え方及び助長育成に対する基本的な態度、これに対して大臣はどうお考えになっておるか伺いたい。
○石橋国務大臣 理想的に申せばおっしゃる通りです。ただ先ほど設立の場合の認可制度か認証かということと同じことでして、当面の仕事としては——私も組合の仕事に昔少し関係したことがありますが、とかくルーズに陥りやすいものになるのであります。今長官も言ったように、各末に報告書を行政官庁に出すということだけでもやはりルーズになることを防ぐ一つの助けになるだろうと思います。行政官庁がどれほどそれで、書類を受け取ってそれを調べて指導するだけの力を振い得るか、これはわかりませんが、むろん今回の改正の趣旨は決して行政官庁のただ監督指導というような意味ではなくて、現在の日本の事情としては組合の健全なる発達をはかるためにも、その組合自身の健全なる経営を行わしめるためにも、多少のそういう関門を要すると私は思うのであります。そういう意味において根本的には一般の教育、各組合員の自主的の考えでこなければなりませんが、そこまでいく間の処置としてはこの程度の改正案はやはり必要だと考えております。
○永井委員 それでは形式的な措置としてこういう段階を踏ませるのだ、しかし基本的にはそういう組合の自主的な、民主的な活動というものを期待しておるというならば、こういう行政監督をある程度していくその裏づけとして、将来ひとり立ちできるためのどういう一体基礎的な組合助長あるいは組合員の啓蒙、そういったことに口先だけでなしに、ほんとうに有効な措置が講じられておるか、こういう改正法律を要さなければならない——原案からいえばかえって逆行するようなこういう非民主的な改正が行われておる、こういうことは、この法案を最初出したときよりも、協同組合の実態というものは非常に後退して、このまずい現実が現われた、そういう事実に対して便宜的な形式的な措置としてこういう改正を行う。こういうことが根本であるとするならば、その裏づけとしてほんとうに将来こういう監督行政というものを一切なくして、自主的な運営を期待するためのいろいろな教育とか助長育成というようなものの裏づけになる措置を具体的にどういうふうにされておるか、これを伺いたい。
○石橋国務大臣 全般的に申せば相当の長い時間をかけての国民全体に対する教育なんであります。しかしこの法案としましては、さしずめ各府県の中央会あるいは全国の中央会とかいうものを設けて、それらをして各個の組合の連絡をつけ、その間におのずから組合員の自主的な考え方でいけるような方向に持っていこう、こういうことであります。
○永井委員 われわれ東京都内の各中小企業の間の労組あるいは経営者、こういう方々の集まりに行って話し合いをいたしますと、経営者の側からは、われわれのような零細な業者のところでも、労働組合を作るというような動きがある、あるいは現在のような労働基準法では、とうていわれわれは企業を成り立てていくわけにいかないから、労働基準法の改正を当面絶対に必要としておるのだ、こういうふうな要望が経営者側から非常に強い。それから従業員の側からいうと、経営者の主人公、家族と朝から晩まで一緒に生活しておって、非常に息詰まるような生活、われわれも若い青春時代を持っておるのだから、あるいはボール投げもしたい、たまには映画も見たい、その辺を散歩もしたい、こういう考えを持っているのだが、八時半以後は門を締めてしまう、夜遊びをしてはいけない、仕事の能率にかかわるというような、非常に封建的な労働条件が強制されておる、こういうことが従業員側と経営者側とまつ正面から対立しておるいろいろな条件だと思う、この言い分は両方それぞれもっともだと思うのですが、これはやはり現在置かれておる日本の中小企業の脆弱性が、経営者の面にもしわ寄せになってきておる、労働者の面にもしわ寄せになっておる、こういうものは、やはり協同組合の力によって一つ一つこれを除去して、明るく伸び伸びとした安定した条件を確立するためには、何としてもこういう個々の間におけるそれぞれの経営者の家庭の中に窒息しようとしておるこれらの従業員のこういう封建的な生活から解放することが必要である、それにはやはりこういう協同組合のようなものを作って、組合全体の共通した一つの従業員の組合というようなものを作りますとか、そこに経営協議会というようなものを持つとか、こういう形によって単に資本家対労働者というような対立の形ではなしに、経営者と従業員が寄り集まって、経営の安定をはかって向上をはかる、こういう立ち上りをしていく以外にはない。そういうことをするためには、何といっても私はドイツが現在やっておるような、一つの徒弟制度といいますか、そういう制度を確立して、そして経営者に一つの国家試験をやって、単に職人気質で技術を教えるというだけでなしに、日本民族なら日本民族としての公民教育もやはり職場においてやるのだという責任を経営者にも持たせるし、それからその主人公は国家試験を受けて、それだけの徒弟を指導する教養と責任をしょっているのだ、こういう信頼を持ってそこに徒弟に入っていく。そこで技術の指導と人間的な修練というものがともにその職場においてなされるというような基礎を順次固めていくのでなければ、現在のような職人気質的な、頭をぶんなぐって教育するというような、暗いうちから暗くなるまでおれの若いときには働いたものだというような式の現在の制度では、中小企業は永久に救われないと思うのですが、そういう一つの足場としての協同組合というものは私は非常に重要であろうと考えるのであります。これほど重要な協同組合に対する従来の通産省のやり方というものは、ただかけ声だけであって、ほんとうにこの基礎から持ち上げていって安安させていくという誠意と熱意が足りないのではないか、こう思うのでありますが、大臣は今申し上げました通り、中小企業における従業員と経営者のこういう一つの矛盾の問題、それから徒弟を預かった場合における、頭をなぐって教育するというような、職人気質的な封建的なやり方に対する御所見、それからドイツにおける徒弟制度というような国家試験制度のようなものを設けてやるような、高邁な一つの理想を持った指導というものを裏づけにしていくお考えがあるかないか、こういうものを一括してお答えを願いたい。そうして今後における、協同組合に対する通産大臣のどういうふうにやりたいというお考えであるか、この熱意と、それからこれのかけ声ばかりでなしに、予算的な裏づけその他に対して、今後どういうふうにやっていくかという問題について最後に伺いたい。
○石橋国務大臣 広範な御質問で、なかなか一言に答えかねるのでありますが、これは今の中小企業における企業者と徒弟制度の問題というようなことは、日本の国情に一体どういうものが適当するかということは、よほどお互いに皆さんの力もかりて研究しないと、ドイツのまねだけをしてそれでいいとも言えないだろうと思います。いずれにしても協同組合みたいなものが健全に発達をして、企業者もその中においておのずから教育されるということが必要だろうと思うのであります。それにはまず協同組合自身が確実なものであって、安心して協同組合の仕事の中に入っていく、それで企業者がいけるということでなければなりませんから、先ほどから繰り返して申しますが、日本の現状においては、ややもすればこういうものはルーズになりまして、最初作るときにはみな熱意を持ってやって、何かうまいことがあるだろう、うまくいくだろうというふうにやりましても、やっているうちになかなかうまくいかないということで、結局組合の経営者が勝手なことをしても、組合員はそれを看過して、そしてしまいに非常に大きな失敗を生ずるということもありますし、またあるいは始まりからあまり善意でない指導者があって、協同組合の名前によって自己の利益を追求するというような場合もございましょうから、そこで現状においては、それは野放しにしておけば一番いいのかもしれませんが、日本では野放しにしておいてはかえって将来の協同組合の発達に支障を来たすものと私は考えるのであります。
○田中委員長 小笠公韶君。
○小笠委員 私は大臣にごく簡単に要点だけ伺いたいと思います。中小企業対策の基本的な問題として、団結の強化を産業演説に述べられたようであります。団結の強化の一方策として、協同組合法の改正をせられるということになったのでありますが、顧みますと日本の中小企業協同組合というものは非常に萎擁沈滞している、この機会に新しい意気をふるい起させて、組織化の面に、指導面においてもあるいは当事者においても努力しなければならぬ、こういう考え方を実はいたしておるのであります。行政上の方面から組織化団結化を言いながら、いつも口頭禅に終っているというのが、私は率直に言って最近の情勢だと思う。 そこで伺いたいのは、まず第一点は、今度の改正案の第一の要点は、先ほど永井委員からもお話がありましたようでありまするが、協同組合の民主的な健全な発達を庶幾しなければいかぬ、その一つの手だてとして、中央会を全国並びに府県に結成する、こういう形になったのでありまするが、この機関の活用いかんということは、今言われておる健全な組合の発達を来たすかどうかに重大な関係があると思います。従いましてこれが指導層の選任というものは非常に重大だと思う。法律では選挙になっておりまするが、この点につきましては、私は政治的偏向を持たず、真に中小企業の内容に十分に理解と同情と熱意を持つ人を選ばなければいかぬと思うのであります。この点に対して大臣は、人選というとむずかしいのでありますが、どういうような心構えでもって臨んでおられるかどうかということを伺いたい。
○石橋国務大臣 お説のように、中小企業の指導というものは結局人の問題であります。ですから今回この法律改正案によって作ろうとする地方の中央会及び中央における中央会の指導者というものは、ぜひ一つお話のような中小企業に理解があり熱意を持ってやるというりっぱな人にやってほしいということは、私どもが希望しておるところであります。ただ建前としては選挙でありますから、われわれがその選挙に干渉するというようなことに相なることは、これは絶対避けなければなりませんが、もし御相談でもあれば十分その御相談には乗ってみたい、こう考えております。
○小笠委員 第二点は、今申し上げましたように、中央会の活動というものが民主的組合の発達に重大なる関係を持つ、でありまするから、中央会の活動を円滑にやらせるという必要があると思うのであります。この意味から、すでに昨年度の事業関係では農業協同組合中央会を結成され、政府の助成金が下付されております。今度の予算修正において農業協同組合中央会には助成金が下付されておるのでありますが、本法が施行の後に、中央会結成の際には、私は少くとも年額三千万円程度の助成を政府は奮発すべきものだと考えますが、その配意を持っておるかどうか、それを伺いたい。
○石橋国務大臣 その点もごもっともでありまして、私どもとしてはこの法律が改正されまして中央会が設立されましたときには、その問題は十分考えたいと思っておる次第であります。
○小笠委員 第三点の問題は、法律案要綱第五でありますが、第五の改正案というのは重要な内容を持っておる。いわゆる萎廃沈滞しておる協同組合に活を入れるためにこの第五があると思うのでありますが、この点につきましてはっきりした態度をもって臨んでもらいたい。これは答弁を要しません。要しませんが、第五のところは特に中小企業協同組合に清新な空気を吹き込んでもらう意味において、要綱第五の活用を特に念願いたしたい。
○田中委員長 ちょっと速記中止。 「速記中止」
○田中委員長 速記開始。中崎敏君。
○中崎委員 ほんとうに最近中小企業者が非常に行き詰まって参りましたし。勢い失業者も漸次増加して、われわれしろうとの目から見ても政府の考えておる八十万の失業者というようなものをはるかにはるかに突破するのではないかというふうに考えておるわけでありますが、こういう時期において中小企業組合の指導強化というようなものは非常に重要な段階であるというふうに考えております。その点中小企業の組合の指導については一体今日までいかなる努力を傾けて、いかなる実績を上げておるのか、具体的に一つお示し願いたい。
○記内政府委員 組合は御承知の通り大部分は地方的に存在しておりますので、組合の直接の指導と申しますものは、府県庁を通じてやることに相なっております。われわれ中小企業庁はこれの総元締めで、基本的な方針を示し、あるいは国家の補助金等の予算措置を講ずる場合においては、われわれの方で予算的措置を講ずるというふうにいたしておるわけでございます。従いまして具体的な個々の組合に対する直接の指導というようなものは、府県庁に委任されて府県庁自身がやっておるわけでございます。この組合にも現在三万余の組合ができておりますけれども、現実に活動しております組合は約半数しかないという状況でございます。われわれといたしましてはこの半数を今後とも活発に活動させるのはもちろんでございます。なお実際に組合を名目だけ作っておいて、具体的に活動しておらない面につきましても、今後より一そうこれが活発化するように指導して参りたいというふうに考えております。また今後の認可制度あるいは行政官庁の指導監督というふうな面も積極化できると思いますので、この面を通じて遺憾のないように措置をして参りたいと考えておる次第でございます。
○中崎委員 どうも中小企業庁は、従来からややともすると指導運営等の面において熱意が足りないために実情に応じたところの努力の結果が得られていないということだけは言えると思うのでありますが、これは一つには社会党の内閣のときに、中小企業庁を作って積極的に大きな権限と機能を持ってこの結果を得たいという方向に進んでおったのでありますが、その後漸次機構は縮小されて、そうして予算等も減少されるという一連の関係もあったと思うのですが、ことに今日の段階において、これほど中小企業者が行き詰まっておるということになると、ほんとうに、口先だけでいいかげんなことを言ってお茶を濁しておるというような、なまやさしい時ではないと思うのであります。ただ積極的に府県にまかして、みずからは上の高いところから見ているのだというような、そういうなまやさしいことを考えておるから中小企業が救われない。通産大臣はそういうような現実に即して今までよりもさらに一歩前進した中小企業の組織の強化並びに運営の適正化、指導の積極的な対策等を立てて、こういう線でこういうふうにするのだという具体的な考えがあったならばお聞かせ願いたい。
○石橋国務大臣 中小企業はむろん全体としては中小企業庁が取り扱っておるのですが、これはまた繊維は繊維、機械は機械というようにそれぞれ業態がありますので、その業種ごとには、また通産省の中の各局それぞれの当事者が適当に技術とか、あるいは経営面について指導いたしておるわけであります。しかし中小企業については、なかなか抜本塞源的にぱっとうまい案というものはないと思うのであります。ですから、非常にのろいようでありますが、各業種についてそれぞれの方法で指導していって、実際の経営や技術の向上をはからしてやる、またマーケットの開拓をかってやるというようなことが、私はこの際実効のある方法であろうと思って、その方へ本年度においても相当力を注ぐつもりでおります。
○中崎委員 元来中小企業者は非常に現実的である。それは生活に追われておると申しますが、事業をやっておるのがやっとこさで、それにあまりに力を注がなければならない状況に追い込まれ過ぎておるという点もあると思うのですが、そういう現実的な中小企業者に対しては、たとえば税金なら税金の面においてこういうふうな利益があるのだから、こうすればこの税金が正しく、こういうふうに軽くされるのだという問題もまた非常に大きな問題だろうと思う。ところが今までの経過から見ますと、ことに大蔵省の方では企業組合などについては、できるだけこれを否認していっておる。そして個人と同じような角度から税金をかけてやろうという方針でずっときておるわけであります。そこでこの企業組合の運営も行き詰まっておるような状態になっておって、われわれその点非常に憂慮しておるのですが、一体この大蔵省の態度について通産大臣としては今日までいかなる努力を傾けてこられたか。さらにまた現在企業組合は一体どういうふうな実情にあるのか、あわせて一つ御意見を御開陳願いたいと思います。
○石橋国務大臣 税金あるいは金融等のことについても絶えず心配しておるのですが、しかし、今までのやり方については、具体的には中小企業庁長官からお答えいたさせます。
○記内政府委員 企業組合の課税の問題のお話でございますが、企業組合は本来主として自分自身の勤労によって事業をしておるような、いわば零細企業者が集まって、実際何と申しますか、中くらいあるいはそれ以上の効果を上げようというのがねらいとなっておりまして、そういうものに対しましては企業組合自身を営業者と見なしてこれに課税をしております。個々の業者は企業組合の従業員として、一種の勤労所得に対する課税はいたしますが、営業所得としての課税はいたさないという建前で組織は成り立っておるわけであります。ただ企業組合がそういう建前でできて参りましたにかかわらず、名目上企業組合の組織を作っておりながら、依然として個々の業者が自分の事業を継続しておって、その損益計算をすべて企業組合に所属せしめるというふうなところまでに至っておらない組合が相当出て参ったのでございます。いわば企業組合に籍口いたしまして、営業税を免れるという組合もあったわけであります。これに対して営業税を課するのはある程度やむを得ないかと思うのであります。しかしそうかといって、これをもってすべての企業組合がそういうふうに色めがねでもって見られるということは、もちろんもってのほかのことと存じておりますので、数次にわたって大蔵省とも折衝いたしておるわけであります。最近におきましては、いわゆる企業組合の税務懇談会というようなものを組織いたしまして、個々のケース、ケースにつきまして、関係業者、官庁等が集まって打ち合せをしながら適正な課税が行われるように措置しておる次第であります。
○中崎委員 今回の中小企業等協同組合法の改正案によって、まず最初設立に際しては認可主義がとられている。これから著しくその運営が適当でないと認められるような場合については解散権を発動する、あるいは中央会を新しく設けて指導の適正を期するという一連の方法によって企業組合等の実態についても漸次変化があり得ると思うのでありますが、そういうふうな法律の改正を契機に、さらに大蔵当局とも十分に話し合いをして、そして今のいわば不当課税といいますか、著しく一つの固まった観念の上にこうした企業組合等をわれわれからいえば圧迫するといいますか、ただ税金さえとればいいという考え方の上に立って組合に臨んでいる、こういうことを改めるような具体的な努力をされるお考えであるかどうか、この点をてつお聞きしたい。
○記内政府委員 われわれといたしましては、この機会をもちましてできるだけ今御指摘のような方向に進んで参りたいというふうに考えている次第でございます。
○中崎委員 次に役員の選挙に関する問題でありますが、これは長い間の組合等のいろいろ運営から見ますと、ややもすれば少数の幹部がボス的な一つの勢力をその組合団体の中に扶植して、いつまでたっても地位を退かない。それではほんとうに弱い者と対等の立場に立って一つの権利、利益を守ろうとするところの組合員の真の利益を守るゆえんでないという考えの上に立って、この選挙は無記名の投票によるのだという根本原則は、いわゆる中小企業等の協同組合という組合精神そのものの反映としてこれができ上ったものであります。その後の運営の実態を見ますと、真に組合の幹部が組合員から信任を受けて、それが適当であると考えられる場合においては、無記名投票という規定があるにかかわらず、実際においては推選等の形において運用されておった。ところがこれがいまだかつて法律的な問題になったことがない。実際問題としては満場一致というか、異議なく役員が決定された場合においては後日においても問題が起らないという何年かの実績を示している。しかもこの原則はほんとうの組合民主主義の上に立つという一つの精神が織り込まれている。それがいわゆる無記名投票だということになっている。今日は何ら弊害がないのにかかわらず、それを改めて根本原則をぶち壊して、少数の指導者がその地位に君臨して、いつまでもその地位を保とうとするような、そういう逆行的な改正をされることは、私たち賛成できないのであります。現に組合内部においてはその組合に出席するところの組合員が十名、二十名、三十名というような場合もあり得る。これか役員の任期は二年ないし三年だから、二年ないし三年の総会に一回ぐらいの選挙をやったって、これまで選挙をやることによって大きな弊害があったということを聞いたことはない。そういうような意味においてこれをことさら変えなければならぬ、逆転しなければならないというような考え方は、官僚独善の少数の人間が、勝手に組合員を引っぱっていこうというような考え方があるのではないかとさえ私たち心配する。そういう意味において、この法律の改正の必要を私たちは認めないのであるが、政府の方においてはそういうことについて考えを直して同意できるかどうか、通産大臣にこれはお聞きしたい。
○石橋国務大臣 この改正案によりましての建前はむろん選挙によることになっているのでありますが、しかしお話のようにボスかどうか知りませんが、実際においては選挙を省略して指名と変らない処置をとっている。しかしこれは建前からいえば法律違反になるわけでありますから、そこでそういう場合には全員の承認があれば指名でもさしつかえないという今までの慣行を一部承認してやるというだけのことでありまして、何もお話のようにそれによってボスを養成するとか、官庁の希望した者を何とかいう意図を持っているものではございません。実情に応じた改正を行おうというだけのことであります。
○田中委員長 他に質疑の通知がないようでありますので、以上をもって本案の質疑を終了するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 異議なしと認め、質疑は終了いたしました。 本日はこの程度にいたし、明十七日午前十時より会議を開くことにし、これをもって散会いたします。 午後零時二十八分散会 ————◇—————