社会労働委員会 第54号
- 発言数
- 398 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/07/30
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の健康保険法の一部を改正する法律案、岡良一君外十一名提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案、以上四法案を一括議題となし、審査を進めます。 四法案に対する質疑を終了したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めて、四法案に対する質疑は終了いたしました。 ただいま委員長の手元に、小島徹三君外十四名提出にかかる、内閣提出の健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案、以上三法案に対する修正案が提出されております。まず提出者より趣旨の説明を求めます。小島徹三君。
○小島委員 私は日本民主党を代表して、ただいま議題となりました健康保険法の一部を改正する法律案その他一案に関する修正案並びにその提出理由を述べたいと存じます。 まず健康保険その他の修正案は、お手元に配付してありますので、それで御承知願いたいと存じます。 健康保険法の修正の第一及び第二は、被扶養者の範囲及び標準報酬を現行通りとするものであります。これらの修正は、健康保険が赤字で困難をきわめておりまするので、それがため、いずれ近い将来において、健康保険財政の再建のための根本的方策が講ぜられて、新しく法案が提出される見通しでありまするので、これら改正部分については、この際再考慮することが至当であると考えたによるものであります。 第三には、医師の診療所に立ち入り検査をすることをやめようとするものであります。これは検査のため必要とはいうものの、医師の人格を考え、また診療所と居住との区別の困難のため、将来摩擦が起きることをおそれて、これを避けんとするものであります。 厚生年金保険法及び船員保険法の一部修正は、健康保険法の一部修正に関連して必然的に必要とするものであります。
○中村委員長 以上で説明は終りました。 次に国会法五十七条の三により、修正案に対する内閣の意見があればこれを許可いたします。 それでは内閣の代表として川崎厚生大臣。
○川崎国務大臣 健康保険法の改正は、先ごろの予算編成に当りまして、累積する赤字対策として予算措置を講じ、またこれに伴う保険料率の引き上げを行なったことに関連をいたしまして提案をいたしたのでありまするが、その補充的な対策として出しました健康保険法改正につきましては、赤字の対策上は、この修正によりまして相当な打撃を受けることと相なるのであります。しかしながら、特別会計には予備費もありまして、この関係で操作もできることと思いまするので、せっかくの修正でありまするから、御趣旨を尊重いたしまして、善処をいたすつもりでございます。
○中村委員長 以上で、修正案に対する内閣の発言は終りました。 次に修正案及び修正案に対する内閣の意見について発言があれば許可いたします。御発言はございませんか。 なければ、四法案及び修正案を一括して討論に付します。討論は通告順によってこれを許可いたします。大石武一君。
○大石委員 私は日本民主党を代表いたしまして、健康保険法の一部を改正する法律案等一連のこれらの法案に対しまして、社会党提案に反対、修正案に賛成、修正点を除く政府原案に賛成をいたします。 社会党提出の健康保険法の一部改正等につきましては、なるほどその趣旨はごもっともであります。しかし、これらの保険料率を引き下げる、あるいは国庫補助を二割ないし三割出せという御意見は、確かに一応納得のいく点もございますけれども、それだけでは、決してこの健康保険法の根本的解決にはならないと思います。さらに、それ以外にも、もっともっと根本的解決のために必要な点が種々あるのであります。さらに、現在の予算が確定しました後においてこのような法案を通し、この予算を計上するにおいては、非常な困難を政府に与えることになりますので、われわれはこの際この法案を通すことには賛成できないのであります。 ただいま小島徹三君から提出されました修正案でございますが、政府原案は、その根本的な赤字の解消、健康保険の育成と申しますか、これにつきましては、根本的の解決策において、確かに欠けるものがございます。私どもは、この健康保険法の赤字を一日も早く解消していき、りっぱに発展を遂げることを願いまして、政府を鞭撻しておるわけであります。幸い政府におきましては、いわゆる七人委員会というものを作りまして、できるだけ早くその根本対策を立てようとしておるのでありまして、われわれはその根本対策ができ上り次第、それを土台として完全なる法律案を作り上げたいということを念願するものであります。その意味におきまして、われわれはこの政府原案に対しても、今まで多少の不満を持ってきたわけでございます。ところが、この政府の原案に対しましては、根本的な対策に不十分な点があるとは言いながら、それでもその他の面においては、ある程度保険運営を円滑ならしめるいろいろのよい長所もございまして、私どもは何とかしてこの法案の通過を願っておりましたが、客観的情勢がこの通過を容易に許さないということになりましたので、われわれはこの法案の通過を何とかしてさせたいということをこいねがいまして、不本意ながらもこの修正案を提出いたしまして通過をはかったわけであります。われわれは、この法案を通過せしめて、幾らかでもこの健康保険の運用を円滑ならしめ、次の国会には、完全な根本対策を打ち立てまして、一日も早くこの健康保険の赤字を解消して、りっぱな制度にまで発展せしめたいということを念願いたしまして、本修正案に賛成、修正点を除く政府原案に対して賛成するものでございます。
○中村委員長 野澤清人君。
○野澤委員 私は自由党を代表いたしまして、健康保険法の一部改正案に関し、民主党の修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成いたし、社会党両派提案に反対いたすものであります。 今回の政府提出の原案に関しましては、たびたび指摘せられました通り、健康保険の赤字対策の一環として、全く事務的な操作をしたにすぎないと思うのであります。つまり、たびたび論議されました通り、本案は完全なる赤字の弥縫対策にすぎぬことは、明白な事実であります。特に、健康保険赤字の根本対策に関しましては、さきに七人委員会に依存したのみで、何ら自主的な方途も示さざる現況下において、今次の政府原案を認めるわけにはいかないのであります。しかしながら、抜本対策として、これが方途を示したことは、最も時宜に適したものであり、さらに政府与党たる民主党が、審議の経過をよく理解せられ、民主党みずから修正案をきわめて良心的に提出されたのでありまして、この点に関しましては、ただいま御説明のありました通り、標準報酬の改訂を全然中止いたし、三親等に対する被扶養者の範囲の縮小をとりやめ、また九条の二の立ち入り検査の字句を削除したということは、国会の審議を尊重し、民主的な道義を具現したものでありまして、その誠意と勇気と果断に対し、深甚なる敬意を表するわけであります。 それと同時に、わが党の質疑にも現われております通り、たびたび指摘いたされました現下の医療制度の中で、医者のところに立ち入り検査をしなければならぬような状態に放任されております現在の保険医制度の問題に関しましては、この法律の趣旨にもあります通り、政府はすみやかに保険医制度の根本的な改革に手をつけられるよう希望いたすわけであります。 社会保険の財政的危機及び社会保険の医療費の問題等を中心といたしまして、目下の緊急事は、政府みずからがすみやかにこれらに基く諸懸案に対し、少くとも根本対策を年次別に示される誠意がほしいと思うのであります。かような意味合いにおきまして、今回民主党みずからが提案された修正案に賛成をいたすのであります。 さらに、社会党の提案でありますが、二割の国庫負担等は、時宜に適した最もよい施策であると思うのでありますが、ただ今日、七人委員会の結論がまだ出ておりませんし、どうか政府みずからが国家の財政規模等を勘案いたしまして、しっかりした決意を表明した上において、長期保険財政計画とともに実現すべきであると思いますので、その趣旨には適切なるものがあるということを認めつつ、時期的に万やむを得ず反対せざるを得ない状況であります。 以上の趣旨によりまして、今回政府が提案されました健康保険法の一部改正に対しましては、民主党の提出されました修正案に賛成をいたし、修正部分を除く政府原案に賛意を表し、社会党提案に対し反対の討論といたすものであります。
○中村委員長 滝井義高君。
○滝井委員 ただいま議題と相なっております健康保険法の一部を改正する法律案並びに社会党両派提案にかかる健康保険法の一部を改正する法律案に対する対案並びに厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案について、社会党を代表して討論を行いたいと思います。 当然両派社会党の提案にかかる健康保険法の一部を改正するものに賛成して、政府の原案並びに民主党の修正案には反対をいたすものであります。その根本的な理由は、今回政府の提出いたしております社会保険に対する三改正案というものは、非常に思想が一貫していないということです。それは、政府の健康保険の赤字対策としてとり来たっておるものを大きく分けてみれば、まず第一に行政上の措置、第二には財政上の措置、第三には法律上の措置という三つの措置であろうと思います。しかしそれらのものは、いずれも恒久的なものを含み、あるいは暫定的なものを含み、この行き詰まりに直面をしておる日本の社会保障制度の中核をなす医療保険を打開していくという気魄が見られないのでございます。私たちは、日本の医療が根本的に行き詰まっておる情勢の中で、現在これをどういう工合に打開をしていくかという、明白な見通しを持つ必要があるのでございます。その明白なる見通しをつけていくためには、よほど強力な政治力と、社会保障制度を推速するための強い情熱を必要とすることは言うまでもありません。それは、現在の日本の国家財政の情勢を考えてみれば自明でございます。私たちは、しからば来年日本の社会保障制度がほんとうに生成発展していく姿を、日本の財政の中に打ち立て得るかというと、これはほとんど不可能な状態であることは言を待ちません。なぜかと申しますと、来年においては、多くの賠償費を国家予算の中から出さなければならない。あるいはガリオア、イロア等の債務の金も出さなければならぬ。あるいは一千億になんなんとする恩給も出さなければならぬ。こういう情勢も考え、しかも同時に、防衛費というものは、あの予算外契約を来年、再来年までも百五十四億という莫大なものを計上しなければならないという契約さえも結ばれておるという、こういう国家情勢から考えると、来年われわれは、恒久的な対策をもって社会保障を解決するなどということは、現在の民主党内閣のもとでは、木によって魚を求めるのたぐいにしかすぎないと思う。もし、そのような情勢の中で、川崎厚生大臣がほんとうに社会保険の赤字を解消しようとするならば、川崎厚生大臣は、大臣の職を賭してやるだけの熱意が必要だと私は思うのであります。こういう観点から考えてみますと、今回の民主党の修正案に至っては、まさに笑うにたえたるものであるといわなければなりません。私は、こういうことで当面の日本のこの危機に直面するところの健康保険の赤字対策であるなどということは、いかに民主党内閣が日本の社会保障の中核をなす社会保険に対し 認識を持っていないかということを、国民の前に暴露している以外の何ものでもありません。もし厚生当局並びに厚生大臣、あるいは民主党の面子を保つために、これを自由党の同調を得て通すというならば、これは日本の社会保障制度が、保守合同の具に供せられたものであると私たちは見なければならぬのであります。こういうふうに考えて参りますと、今回この修正案を通されるなどということは、愚の骨頂であるとともに、さらに民主党の修正案というものは、愚かさの上に輪をかけたものであると思うのであります。 そこで、私たち社会党は、このような民主党の日本の社会保障に対する甘い認識を警告する意味において、日本の社会保険制度を改革していくための当面の対策としては、まず二割の国庫負担を実現するならば、約百八十億の金を、どんなことがあっても今年確保する。これによって、何ら借入金等でまかなうことなく現在の赤字の解消ができる。赤字の解消を一時やっておいて、恒久的な社会保険の統合の問題あるいは結核対策あるいは医療行政の抜本的な改革等を、恒久的な対策としてここ一、二年の間に打ち出していくべきであるというのが、わが両派社会党の提案をしておる健康保険法の一部改正の趣旨なのでございます。このゆえに、民主党の社会保障制度に対する熱意というものは、川崎厚生大臣のあの委員会や本会議等における多くの答弁を通じて、それは単に川崎厚生大臣の口頭禅であって、民主党のほんとうの政策という保障も、大衆の犠牲の上に日本の防衛力を強化して、社会保障制度なんかは一顧も与えない内閣であるということを大衆の前に暴露したものであると申さなければなりません。 こういう観点に立って、私たちは、今回政府の提出いたしました三案に反対をするとともに、民主党提出の修正案にも反対をし、両派社会党提案にかかる健康保険法の一部を改正する法律案に賛成をするものでございます。 以上をもって討論を終ります。
○中村委員長 井堀繁雄君。
○井堀委員 私は健康保険法の一部を改正する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案に対する政府原案に対しまして反対、さらに民主党提案の同修正案に対しましても、遺憾ながら賛成をいたしかねます。私どもは社会党提案の修正案が満場一致で本委員会を通過することを期待いたして、なお最後までその主張を譲らないものであります。 その理由といたしまするところは、この改正案を提案されました政府の説明が、終始一貫赤字克服に置かれておる点については、われわれも同感であります。われわれも、危機に当面しておりまする保険経済に対する協力を惜しまないものであります。これを良心的に、かつ最も合理的に行おうとすれば、社会党の修正案をとる以外に道がないと確信をいたすのであります。これが、もしこの国会で敗れるようなことになりまするならば、私は保険経済の危機は容易に解消しがたいという憂いを持つものはあります。 そこで、政府の提案されておりまする原案が、赤字を克服したいという最小限度の願いをいれるに足りない、きわめて矛盾した提案である点をまず指摘いたしたいのであります。このことは、この議案と取り組む際に、いろいろな質疑応答の中にも明らかにされたのでありまするが、まず第一に明らかにしておきたいことは、現鳩山内閣に対する公約の一つである社会保障制度の充実であります。社会保障制度を論ずる限りにおきましては、今後、日本の社会保障制度をどういう方法で完成するかということになりまするならば、現在のところ、少くとも社会保障制度に関心を持ち、多少の知識経験を有する人々の意見は、健康保険のように最も古い歴史と幾多の経験を積み重ねてきたこの実績の上に、社会保険制度というものが盛り立てられていくべきであるという点については、いささかも疑う余地のない基本的な考え方となつ出ておるのであります。こういう意味で、健康保険に対する改正は、きわめて重大であると申さなければなりません。鳩山内閣の性格を論ずる最もよき具体的な事例であると思うのであります。こういう意味で、鳩山内閣の社会保障制度に忠実な公約に対しては、大いに好感を持つものでありますし、またこの案に対する川崎厚生大臣の答弁が、終始ここに論拠を置かれたことは敬意を表しておるのであります。しかしながら、その意図するところとこの修正案とが、はなはだしく背馳している点をまず指摘しなければなりません。申すまでもなく、この論議によりまして、民主党それ自身が良心的な反省を修正案の上に現わしてきたことは、一つの進歩であります。この良心的な行為に対しては、好感を寄せるのでありますが、残念ながらこれまた本末を転倒した、きわめて部分的な、本質をつかない、はなはだ失礼でありますけれども、笑止千万な、見当違いの修正案であると申さなければならぬのであります。 私の言いたいのは、将来、この社会保障制度の中核をなすべき健康保険法を改正せんとする第一の目的が赤字克服にあるとするならば、現在の法律の範囲内において当然なすべき事柄について、政府並びにその当事者から良心的な訴えを盛り込んだ改正案を出すべきではないか。その具体的な一つとしてあげなければなりませんことは、今日の赤字を克服するに足る方法が、現行法の中においてもある。それは、質問の中においても明らかにされましたように、健康保険法によりまするところの財源は、言うまでもなく保険料金でありまして、その保険料金は、現行法によりますと、標準報酬によって徴収されておるのであります。この標準報酬が的確なものであるかどうかということについて、われわれは今日まで検討を続けてきました。この検討は、政府の答弁によりましてきわめて不的確であるということが明らかにされました。それが部分的には、はなはだしい矛盾のある点も認められております。あるいはその徴収技術の上についても、これはあらゆる財源に優先して、国税徴収法に準ずるといったようなきわめて強権的な徴収権を与えられておるのでありまして、徴収権限におきましては、最高権限を行使しておるのであります。でありまするが、肝心かなめの標準報酬の月額の基礎になるべきものは、言うまでもなく被保険者の月給、賃金、すなわち報酬実額というものがその前提をなすのでありまして、標準報酬の対象になります報酬実額というものを、正確に把握していないということが暴露されたということは、驚くべきことであります。標準報酬が的確であるとすれば、当然そこには報酬実額というものが正確に政府によって把握されていなければ、正確な標準報酬が出てこようはずがないのであります。その根本的なものに対して、何らの的確な資料を政府は持ち合せていないということを、この委員会で告白されたということは、まことに残念しごくといわなければならぬのであります。この一点だけをあげましても、今日政府がこういう法律案を出すということは、不用意きわまる、国民に対する公務員といたしまして、まことに不忠実といわなければなりません。まず第一にあげてこなければならぬことは、標準報酬の適正化である。標準報酬を正確に確保して、これを遅滞なく徴収するということは、当然の任務であります。その任務が果されないために赤字ができた大半の責任を負うべきだ、そういう不始末を被保険者に肩がわりをしようと考えたり、あるいは保険共助者である雇い主にこれを負担せしめようとするやり方は、良心的でないのみならず、今後保険の相互扶助な考えを破壊するおそるべきものであるといわなければならぬと思います。私はこういう矛盾撞着の上に提案をされております原案に対しましては、断じて反対をしなければなりません。 それぞれの項目について、私は反対の理由をたくさん持っておるのでありますが、さらにまた、この健康保険法改正に便乗してと申しますか、同種類のものだという立場もあろうと思いますけれども、船員保険の改正のごときは、船員の特殊事情というものをここで剥奪しようとする最も悪質な改正が意図されておる点である。もしこれが計画的に意識的に行われるとするならば、これまた出発点がどこにあろうとも、保険の根本的精神をじゅうりんする傾向の現われだといわなければならぬと思う。御案内のように、今日の船員の特殊事情というものは、いろいろな事情から論じられまして、特別立法が幾つもございます。その特別立法の一つでありまして、一例を申し上げますならば、今日漁撈に従事しております船員の実例でありますが、彼らが乗船をし一定の職につこうとすれば、仕事場につきます限りは、船が元の場所へ帰ってくる間は、当然病気その他の被保険者としての療養保護を受けようとしても受けられない環境にあるということは、どなたも常識としてわかるのであります。こういったような特殊事情が考慮されて、それぞれの条項が加味されておりますものを、ことごとくといっていいように、今度は削り去っておるのであります。こういう特殊事情のもとに、犠牲的な労働を余儀なくされておる現況に対して——当然この種の制度というものは、これを補うための制度でなければならぬものを削ろうとすることは、私は保険の精神を理解しているとはいえないと思う。こういう本質的なものがこの中に入っておりますことを、私は指摘いたさなければならない。 最後に私が申し上げておきたいと思いますことは、こういうものと同時に、第二には、被保険者の医療担当者に対する監督を厳重にされるということは、一部においては、私はこれを認めておるのであります。これは不正を憎み、保険の公正な運営が行われまするためには、厳重な監督も必要であると私どもは認めるにやぶさかではありませんけれども、それは度を越してはならぬのであります。そこで、例外をもって全体を律するようなことがあってはならぬと思いますが、今回の改正案の中には、そういううらみがあります。でありますから、私は、経営の合理化もしくは公正な運営をはかるために、監督行政が厳重に、かつ不断に行使されるということに対しては、強い要望を持っておるものであります。しかし、いたずらに権力のみに頼って、権力によって易々たる監督をしようとすることは、保険行政の監督の精神から逸脱するものである、あくまでこれは了解と理解を深めていくという、保険関係者に対する積極的な組織的な働きの中で呼吸してもらわなければならぬのであります。司法官あるいは特別の事犯に対する刑罰を処理する役所とは違うのであります。刑罰は目的ではなくて、そういう違反事態の起らないことを前提とするところの取締りでなければならぬと思うのであります。こういう点におきまして、私は本法の改正案に非常な誤まりがあることを、指摘いたしたいのであります。 こういう三つの点からいたしまして、この原案は、社会保障制度を貫こうとする良心的な人々の考えとしては、はなはだしく相違した案であり、またそういう精神を没却するところのおそれのあるものであるといわなければならぬのであります。しかし、当面の赤字をいかに克服するかということについては、われわれは責任をあくまで持たなければなりません。社会党といたしましては、以上の重大な過ちを政府に対して反省を求めますと同時に、本案を撤回されまして、保険の抜本的な精神に基いて、改正を最も近い機会に提案されることを要望するのであります。その場合におきましては、社会党の修正案は、ぜひ取り入れなければならぬと思う。そこで先ほど申し上げておりますように、これに反対いたしますと同時に、ぜひ赤字克服のための行政的責任について、私どもは追及をいたしておきたいと思うのであります。この案が否決されることによって、赤字が増大してくることは必至である。この赤字を克服するためには、どうしても今日の段階においては、法を適正に運営していくという立場からいたしましても、保険料金の基礎決定でありまする標準報酬をまず適確にすることであります。そのためには、報酬実額というものをはっきり把握されまして、その上に立って合理的な財源を得ることは可能でありますから、これをすみやかに行うこと、このことによりまして、政府の改正案は否決されても、私は決して危険はないと思う。なお社会党の二割国庫負担ということになりまするならば、皆さん方が多少業務に怠りがありましても、その危険を防止することは可能であるという安全弁を加えた親切な修正案であることもよくのみ込まれまして、私どもの案に反対されるということのないように警告をいたしまして、私の反対討論を終りたいと思います。
○中村委員長 中原健次君。
○中原委員 私は労農党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする諸法案に対して、政府原案に反対をいたします。なお民主党の修正案に対しましても、遺憾ながら賛成ができません。また社会党がこの法律案に対して修正の法律案に出しておりますが、この社会党の修正案に対しましては賛成であります。 以下、きわめて簡単に反対の討論をいたしたいと思います。 本来、社会保障の諸制度並びに政策は、今さら論議する余地がなきほどに、全国民の強い要求といたしまして、国策はこの点に対して、きわめて積極的な善意の施策をもってこたえなければならないはずのものであります。しかも現在の民主党鳩山内閣は、さきの総選挙において国民に何を約束したか、社会保障制度の充実をもって国民に臨んださきの総選挙の様子から考えましてもわかりますように、あらゆる力が、きわめて善意的にこの社会保障政策の中に打ち込まれなければならなかったはずであります。しかるにかかわらず、相次いで提案されて参りまする社会保障関係の諸政策は、意外千万にも全く逆であります。国民の期待を裏切るばかりか、ますますこの政策を通して、国民に対する容赦なき重圧と一種の政治的な搾取をさえ試みようとしておる点が、今さらながら全国民の異常な注目を要しなければならなかったゆえんが、ここにあると思うのであります。ことに健康保険法に関しまして、私どもが特に重要な数点をあげて質問を試みたいと、そのことを通告いたしました際に、会期の迫ったことを理由として、質疑を打ち切り、しゃにむにこの法律案を一部修正をもって成立せしめようとたくらまれたことは、民主的な議会の運営の上から考えましても、まことに遺憾しごくであります。 ことに、この改正法律案の中でいろいろ問題点がございますが、その中の一つの改正を見ましても、おのずから明らかになって参りますように、たとえば、事業主、被保険者等に対しまする政府の干渉権限の強化、この点は、何としても見のがすことのできない、いわば一種の違憲的な法措置であるということがいわれなければならぬと思うのであります。ようやくその一部であるところの第九条の二の、診療施設その他の施設に関するものを、民主党によって削除を受けたものの、第九条全般に関する点については、そのままこれが存続されておるということは、どのような言葉をもっても釈明の余地がないのであります。このことは、国民の自由な権限の中に、官憲が割り込んでいくという態勢を作られたものであるということは、論議の余地がないほど明らかでありまして、このような点から考えましても、まことに遺憾しごくな改正であることは、今さら申し上げるまでもないところであります。 ひっきょうするに、この改正のねらうところは、あらゆる施策を講じながら、当然保有されておりました国民の保険に対する一つの権利、その権利の限界がだんだん圧縮されて、しかも負担すべき義務の範囲がだんだん高められ、拡大されていくという線に集中されていくというところに問題点があると思います。従って、そういう態勢の中から保険政策を考えますときに、この保険政策は、一種の営利主義的なにおいさえ、この中にかぎつけなければならないと思うのでありまして、いやしくも保険制度が営利的な線の中につながっていくということになって参りますと、これは大へんであります。やはり徹底的な国民医療、徹底的な社会医療、社会諸政策の徹底的な確立の中にこの問題が取り上げられていかなければならないことは申すまでもない。それだけに、われわれは今やこのような改正案の前に直面いたしまして、ますます全国民の社会保障に対する抽象的な諸要求を、さらに国民的な力として、将来このような誤まてる改正でなくして、国民の求めておるそのままの改正に、文字通り改正を行うの日を期さなければならぬと考えております。 簡単でありますが、一言その点に触れまして、私の討論を終るものであります。
○中村委員長 以上で討論は終局いたしました。 これより採決いたします。まず岡良一君外十一名提出の健康保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立少数。よって本案は否決せられました。 次に、内閣提出の健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。 三法案に対する修正案について採決いたします。三修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立多数。よって三修正案は可決せられました。 次に、ただいま可決せられました修正部分を除く政府原案三法案について採決いたします。本部分に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立多数。よって本部分は原案の通り可決せられ、三法案はいずれも修正議決すべきものと決しました。 なお、ただいま議決いたしました四法案に関する委員会の報告書の作成等こ関しましてま、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 —————————————
○中村委員長 次に、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。受田新吉君。
○受田委員 昨日に引き続きまして、質疑をいたしたいと思います。 この法案は、医業類似行為に非常な規制を設ける法案でありまして、この問題は、過去の行きがかりや感情にとらわれて、現在やっている人々に対する大きな圧力を加えるというような結果になる。そうしたものであっては、私はならないものだと思います。ことに現在のところは、この第十九条の特例にありますような、医業類似行為をやっている人々は、これは国家的にも、多年にわたってその存続を容認された人々でありますので、その仕事をやめさせるというようなことになるならば、少くとも基本的に十分の調査研究がされ、かつ、その仕事をやめさせる人々に対する対策が十全が期せられて後に、それがなさるべきものだと私は考えております。ここではっきり申し上げておきたいことは、私は、少くともこういう法律を作る場合には、高い見地から一方に片寄らず、中正な立場から感情を乗り越え、また従来の行きがかりを乗り越えて、立法措置がとられなければならぬと考えております。従って私自身も、療術師の特別な利益を代表する者でもなければ、あんま、はり、きゅう師の利益を代表する者でもありません。またそういうものにつまらぬ関係を持って、そうして一方に偏した考えでこの法案の審査をするような形は、全然とるべきではないと考えて、ここに立っているのであります。ただ、問題になるのは、この法律は、すでに数十年その業を続けてきた人が、非常に年を取っておる人もあれば、他に転職の道のない人もある。そういう多数の人々に対して、死刑の宣告をするような、仕事を奪い取る法律になる規定が掲げられておるのであります。そこに問題があるのであって、お互いの社会に、非常な苦境に追い込まれて、自分の職業を法律によって奪い去られるような人々ができたとしたならば、これは国家的にも社会的にも重大な問題であります。私はその意味で、この法律の規定によって、当面仕事を奪い去られる、すなわち、その業を継続できなくなる、失職する人人をそのままにして、政府がこの法案を押し通そうという考えがあるような、そういう法案であると認めまして、ここに政府に昨日来質疑を特に慎重に続けておる次第であります。従って私は、社会的に仕事を奪い去られ、憲法に保障された営業権、職業の自由選択権を奪い去られる人々に対して、政府が、なぜ高い見地から、その人々のことをもっと真剣に考えて立法措置をされなかったという点についての、政府のやり方に対する私の強い責任追及をここで申し上げている次第であります。私はその意味で、ここに出た法律には、あんま、はり、きゅう、柔道整復の方々は、原則としてその仕事が守られるという点において、またその人々のまっすぐやる人々は、完全に社会的にも擁護される立場にあることにおいて、私はその点においては異論を差しはさむものではありません。ただここで、十九条の規定に掲げてある人人を、そのまま取り残したような形で法律だけが先行するということに対して、取り残されていく人々の立場を十分考えるべきが政治家の使命である。よし少数であろうとも、政府も少数の正しい立場を守ってあげ、不幸に陥ろうとするその人々を何とかして守ってあげたいという強い正義感があるかということを、今回の法律改正に当って、この取り残される人々になぜ適切な措置を講じないかと質問を常に続けているところが要点なのであります。少くとも、この法律が今年の末をもって実施されたとしたならば、直ちに職を奪われたであろう人々に対して、政府が適切な対策を立てておるということも、昨日の質問で私はお聞きしなかった。また三年間に十分そういう用意をしようという意図も伺うことができなかった。こういうことにおいて、単にその人々の生命を断ち、死刑の宣告をするということだけでこの問題の処理をなさろうとする、その政府の立場に対して、今日はさらにお確かめ申し上げたいと、私は質問を申し上げる次第であります。 ここで問題になりますことは、政府は、この法律を制定された昭和二十二年の占領政策をどう考えておられるか。当時の一松厚生大臣は、この法律は占領政策のしからしめたものであって、GHQの指示のあった法律である、いわゆる占領立法である、こういうことを言われておりますが、政府としては、この法律は占領軍の施策によるいわゆる占領立法であったと御確認なさいますか。
○高田(浩)政府委員 この法律は、連合軍司令部が存在しておりました間にできたということは事実でございます。しかし、この法律の立案、作定等につきましては、わが国の学者その他権威者の意見を十分徴した上でなされたものでございます。
○受田委員 その法律を提出された当時は、学者その他の意見を徴したということでありますが、占領軍の意図するものは、これは医業類似行為を一括して問題にしたのでありますか。
○高田(浩)政府委員 法律案の審議過程におきまして、こういった医師以外の行うこの種の行為については、いろいろ向うとしても考えは持っておったように記憶いたしております。
○受田委員 どういう考えを持っておったか、記憶されている内容をお示し願いたいと思います。
○高田(浩)政府委員 少くともかくのごとき行為は、文明国としてあまり芳ばしいことではないという感じは、相当強いようでございました。
○受田委員 芳ばしいことでないという占領軍の強い意思が察知されたということでありますが、結局あんま、はり、きゅう、柔道整復及びそれら以外の医業類似行為を含めて、全体として、そうした占領軍の大きな圧力的なものがあった、こういうことになるわけですね。
○高田(浩)政府委員 圧力という言葉は、語弊のある言葉でございますから、あえてその通りだとは申しませんが、少くとも医療というものは医師が行うべきものだ、これは日本側でも同じように考えておったわけであります。それ以外のものにつきましては、好ましいことではないということであります。
○受田委員 そうするとあんま、はり、きゅう、柔道整復も好ましくない、こういうことに原則としてなるわけですか。
○高田(浩)政府委員 原則的にはさようになるわけでございます。
○受田委員 そうすると、あんま、はり、きゅう、柔参道整復は、原則として好ましいものではないのだ、これはやめさせたいのであるが、仕方なしにやらせるのだというような考え方になるものと私は心配しとおるのでありますが、原則論と現実論とその二つを考えて、この法律が出されているのでありますか。
○高田(浩)政府委員 今申し上げましたのは、いわゆる論議の過程でございまして、結末としては、この提出いたしました法律案を妥当と考えております。
○受田委員 この考え方が、原則としては、あんま、はり、きゅう、柔道整復はいけないものだ、しかしいろいろ現実その他を勘案して、結局この法律案を出した。現実の問題としては、この法律案を出している以上は、これが妥当性を持つものである、こういうふうに考えるわけですか。
○高田(浩)政府委員 結論として、二十二年に出されました現在の法律は、妥当なものと考えております。
○受田委員 政治のあり方としては、原則と、そしていろいろな過程を研究をした結果、結論が出るということになるのは、これは政治をする者の常識でありますけれども、その原則を考えるときに、あんま、はり、きゅう、柔道整復も当然禁止すべき部類に属するのだけれども、現実はこれを何とか残している結果になっているのだという形で、あんま、はり、きゅう、柔道整復をなさる人は、そういう偽善的な考えでこの法律が出されているとするならば、非常に失望をされると思うのですが、これはいかがでございましょうか。
○高田(浩)政府委員 私どもは、今お話しのようには考えておりません。
○受田委員 私は、あんま、はり、きゅう、柔道整復等、すでに法律に認められている人々にも、その定義をはっきり政府がさせて、安心してその業務に従事できるような法的措置を講じないと、一般療術行為をする人々が今度禁止された、今度はあんま、はり、きゅう、柔道整復に原則論を振り回して、われわれのところに来るんだという不安を一部に抱いている人々があるのです。こういうことからも、原則的には禁止すべきもので、あんま、はり、きゅう、柔道整復等の医師以外の行為は全部やめさせなければいかぬ、こういう政府の考え方というものは、この際何とか考え直さないと、非常な不安に襲われると思うのでありますが、いかがでございましょう。
○高田(浩)政府委員 昨日も申し上げたと記憶いたしておりますが、私どもは、あんま、はり、きゅう等を廃止するというような考えは、絶対に持っておりませんし、この業務は、いろいろ長い間わが国に伝わってきた道でございます。制度的に明治以来確立をされたことでございますから、それについては、従前の体系というものを持続していくことが妥当であると考えております。
○受田委員 医師以外の者の行為は、原則として禁止すべきものである。禁止すべきものを妥当と認めるその考え方は、私にははなはだ解せないのであります。
○高田(浩)政府委員 私はこの前も、医療というものは医師一本にすべきであるということは、確かに一つの見識ではありますけれども、さような考えを持っておりませんということを、申し上げたつもりでございます。
○受田委員 昨日申し上げたことを、さらに深めてお尋ねしたいのでありますが、医師以外の人は、治療をする場合、病気の診断をする権限が与えられますか。
○高田(浩)政府委員 大へんむずかしいデリケートな問題でございますが、従来の考え方といたしましては、たとえば、あんま、はり、きゅうをおやりになっている方々が、いわゆる診断書を書くというようなことは、もちろん許されていないのであります。
○受田委員 あんま、はりきゅう、柔道整復等に、診断料、初診料というような名称で料金を取っているところはありませんか。
○高田(浩)政府委員 さような事実は、承知いたしません。
○受田委員 診断をすることができない、もちろん診断書も書くことはできないということになると、診断をしないで疾病の治療をするということがあり得ますか。
○高田(浩)政府委員 診断と疾病の治療との関係というのは、この点、受田先生は、十分おわかりになって、あえて御質問になっていると思いますが、その限界を一体どうするか。どこまでが診察で、どこまでが治療であるか。これは口であるいは診断といい、あるいは治療といい、はっきりしているようでございますが、実際問題としては、なかなかここまでがどうのこうのということはむずかしい問題だと思います。それで、先ほど申し上げましたように、あんま等の人が、いわゆる診断書を書くことはできない。しかし、人の訴えを聞きまして施術を行います場合に、どういう部位に施術をするかということの前提として起るところの判断は、まあこれが果して厳密な意味での診断といえるか、あるいはいえないか、その辺は一つの問題だと思いますが、あんまなり、はりなり、あるいはきゅうなりの施術をするに適応しておるかどうかという判断は、もちろんなさるべきものであると思いますけれども、これは厳密な意味においての、いわゆる医師が行う診断と同一に考うべきじゃないのじゃないかと私は思います。
○受田委員 診断をしないで治療を行うという変則的なあり方というものを、厚生省はお認めになられるわけですか。
○高田(浩)政府委員 医師の行います診療、治療というのと、ちょっと概念が径庭があると思いますが、今申し上げましたように、あんま等の治療に適応するかどうかの判断は、当然あり得ると思います。これを広い意味の診断というか、狭い意味の診断ではないと考えるか、その辺は、言葉の解釈の問題としてはあり得ると思いますけれども、少くとも、そういう判断はあり得ると考えます。
○受田委員 そういうばく然とした判断で治療を行うということになると、非常な危険が伴うとお考えになりませんか。
○高田(浩)政府委員 あんまにしましても、あるいははり、きゅうにいたしましても、御承知のように、一定の基礎的な素養ないし技術上の訓練を積んで、その学問の示す範囲内において行う限りにおいては、危険性はないと考えます。
○受田委員 この間、お医者さんの参考人をこの委員会に招かれたときに、疾病の治療とか病気の診断とかいうのは医師がやるべきで、それ以外の人がやることは、非常な危険なものであると言われたが、厚生省は御確認になりますか。
○高田(浩)政府委員 原則的には、病気の患者の診断治療は、医師が担当するのが本筋だと思います。
○受田委員 今の次長の答弁は、実にあいまいになってくるのです。これは非常に大事なところですから、今厚生省の意見を確かめておくのですが、厚生省は、ここに何らかのはっきりした定義をもって、あんま、はりきゅうをなさる人々には、安心感を与えて仕事をさせなければならないと思う。医師以外の者が治療をすることが危険であることは、はっきりわかっておるのだ。原則はわかっておる。わかっておるが、しかし、まあ何とか適当なもので、こう考えて、治療を行えばよかろうというような、こういうばく然としたことで、日本の医療界、国民保健がまかされるということは、私ははなはだ不安心である。何とかここではっきりした線を打ち出さぬと、厚生省として、まことにだらしないと思うのですが、いかがですか。
○高田(浩)政府委員 ちょっと言葉が足りませんでしたので、あるいは誤解を生じたかと存じますが、先ほど申し上げましたように、あんま師あるいははり師、きゅう師になるにつきましては、一定の養成施設に入りまして、学問上、あるいは技術上の訓練を経て、それに従って行うわけでございます。もし、かりにそれがそのワクをはずれまして、医師がやるような、いわゆる病気万般にわたって、現代医学が行なっておりますいろいろな手段を駆使してやるというここになりますれば、これは明らかに不当だと私は思います。しかし、あんま、はりきゅう、これらのもののいわゆる治療上の限界というものは、学問上ある程度あるわけでございますから、その範囲内においては、すなわち、あんま、はりきゅうというような事柄について、学問上示すところに従ってやる限りにおいては、危険はないと私どもは思います。ただ、それらの示す範囲を越えまして、それらの学問上の許容範囲を越えて、あるいは医者のやるような行為をやるということになれば、これは明らかに私は危険だと思います。あんま、はりきゅうというものについては、おのずから治療上の限界というものがあるし、これを裏づけるところの学問上あるいは技術的な訓練を与えられておる。その意味においてこれは許されておるわけでございまして、そのほかの、いわゆる昨日来御議論になりました、電気であるとか、あるいは光線であるとか、そういったものとはたぐいを異にすると考えます。
○受田委員 学問上の限界、治療上の限界を具体的にお示し願います。これは大事な問題ですから……。
○高田(浩)政府委員 これはあんまにいたしましても、あるいははり、きゅうにいたしましても、古来日本に用いられてきたやり方でございますし、その手法あるいはその適応症といったものにつきましては、大体社会通念的に一つのでき上っておる考え方があるわけでございまして、それによって判断をいたしております。
○受田委員 社会通念的にでき上がった判断というものは、これはまたはなはだあいまいもこなものでありますが、社会通念上の判断ということになるならば、療術行為をやってきた人々の中にも、社会通念的な判断によって認められてきておる人々がたくさんある。それが昭和五年に警視庁令を出さざるを得なくなった理由であると私は認めておるのです。そういうように、社会通念上というところで、あんま、はり、きゅう師の治療の限界あるいは学問上の限界というものがある。学問上の限界と社会通念上の限界とを混同されておるように思いますが、いかがですか。
○高田(浩)政府委員 私が申し上げましたのは、あんま、はり、きゅうといったものは、いかなるものであるかということについて、社会通念というものがある程度確立されております。そういう趣旨で申し上げたのであります。
○受田委員 学問上の限界と社会通念上の限界とは、その関係はどういうふうにお考えですか。
○高田(浩)政府委員 大体相応してるものと考えます。
○受田委員 学問上の限界と社会通念の限界が相応している。それに医学の進歩というようなものを、われわれけは考えていかなければならない。学問は常に社会に先行して行われなければならないと考えておるのでありますが、その学問上の限界と社会通念上の限界が常に並行しており、そうして治療の限界もそこで自然に生まれてくるのだということに結局なりますね。そうなりますと、ここにはっきりした定義が要ると思うのでありますが、今、次長のお言葉の中に、医師が当然やらなければならない限界というものは学問の限界を超えてあるのだ。万病にきくというわけではない、それならどういうようにして、どういう病気にあんま、はり、きゅうは施術を行うことができるかということになれば、万病でないということになれば、具体的に学問上の限界はどういうものであるかということをはっきり示していただきたいと思う。
○高田(浩)政府委員 たとえば、あんま、はり、きゅうにいたしましても、これがどの病気とどの病気にきくということを、ここで一々例を申し上げることもいかがかと思いますけれども、少くとも、たとえばガンにあんまなり、はり、きゅうなりがきくかということになると、私はきかないと思います。しかし、その他、たとえばいわゆる身体に対して、皮膚面から刺激を与えまして生体反応を求めることによって、ある程度病気の快癒という現象を来たすということが考えられる。そういう疾病については、これは適応するものと考えますけれども、赤痢でありますとか、あるいはチフスであることか、そういったたぐいの伝染病に、これがきくとは考えておりません。
○受田委員 昨日、神経、リューマチなどには、あんま、はり、きゅうの治療は適当でないというように言われたのですが、間違いでしょうか。
○高田(浩)政府委員 適当でないとは申し上げた記憶はございませんで、神経痛、リューマチ等は、むしろ医師の担当分野ではないじゃないかという意味の御質問に聞えましたので、これはやはり病気であるからには、当然医師としては担当すべき分野であるという意味のお返事を申し上げたのでございます。
○受田委員 病気であるから医師が相当すべきであるということは、あんま、はり、きゅうの人々に神経痛やリューマチを、原則としてはやらせてはならぬという答弁と同じことになりませんか。
○高田(浩)政府委員 ちょっと話が食い違っているように思います。私はそういうふうには考えません。
○受田委員 私は皮膚に生体反応を求めて治療をなし得る限界とは、あんま、はり、きゅうなどのやるものには一番適切なものであるという意味で、昨日お尋ねしたわけです。今、次長の話された言葉は、医師のやる仕事は、これはあんま、はり、きゅうがやるべきでないのだという意味の、実におかしな形に聞える点があるのです。そこをもう一応はっきりと御答弁願いたい。
○高田(浩)政府委員 もしそういうふうに御解釈になったとすれば、これは全くの誤解でございまして、たとえば御引例の神経痛、リューマチについて、これは医者が担当すべきものでつる、従ってほかの者は手を触れてはならない、あるいは神経痛、リューマチというものは、あんま、はり、きゅうの方でタッチすべきものであるから医者はタッチすべからず、そういうような二者択一的な考えで申し上げている趣旨では全然ございませんで、それはそれぞれの立場から、神経痛、リューマチ等につきましては、両方の面から手当が考えられると思いますが、たとえば先ほど申し上げましたように、医学常識的に考えても、ガンであるとか、赤痢であるとか、チフスであるとか、そういうものは、これはあんまをやり、あるいはマッサージをやっても、やはりきかないことは、医学常識上確立していることじゃないか、そういう趣旨を申し上げた次第でございます。
○受田委員 昨日のあなたの御答弁と食い違う点がある。はっきり、お尋ねすることにお答え願いたい。神経痛とかリューマチとかいう病気は、あんま、はり、きゅうの方々のなさるには、適切な病気じゃないかとお尋ねしたならば、そういうものは適切だとお答えになればよいのです。そういうものは、病気である以上は、医師がやる行為が正しいのだというような回りくどいお答えがしばしば起るので、率直にお尋ねしておることにお答え願いたいと思う。 さらに私は、これは医師と医師以外の行為を決定する大事な法案であり、医薬分業と同格の大事な使命を有する法案であると思うので、この際審議を深めておきたいと思うのでありますが、厚生省があいまいな態度で、この法律をいいかげんに実施するということになったならば、これは国民保健の上に、厚生省みずからが体系をくずすことになると思う。この点、あんま、はり、きゅうの定義を、昨日も何かどこかで出されたのを読まれたようですが、定義などを、何かの形で文書の上にはっきりうたわれる用意はしてないのですか。
○高田(浩)政府委員 たとえば、あんま、マッサージについて申し上げますれば、漢方医学の経穴経絡、あるいは西洋医学の循環器障害回復、あるいは皮膚、内臓反射説の上に理論的には立っておるし、それからその施術方法といたしましては、徒手をもって皮膚の表面から、押す、引く、もむ、なでる、さする、たたく等の行為により、神経、血管、筋肉等に刺激を与えて生体反応を試みる、そういうふうに考えております。
○受田委員 法律の上に定義を明らかにする必要はありませんか。
○高田(浩)政府委員 この点に関する限りは、ないと思います。
○受田委員 指圧は、今まで療術行為としてワク外に認めた政府が、突如指圧をあんまの中に入れられた理由はいかがですか。
○高田(浩)政府委員 理論的に言って、あんま、マッサージと同一の基盤に立っておるし、手法としましてはあんま、マッサージの幾つかの手法の中のある部面を特に強調をしてやる、そういったものでございますので、あんまの中に含めて規定をすることが、最も妥当な措置であると考えたのでございますが、実際問題として、従来御承知のように、法律上の取扱いが異なっておりましたために、世上別もののような感じを持っておる向きもなきにしもあらずと考えられますし、こういった格好で指圧の文字を、ここにはっきり含むということを規定することが適当と考えまして、御提案いたした法律のように規定をいたした次第でございます。
○受田委員 さっきのあんま、はり、きゅうの定義と比較して、指圧はどういう定義をお持ちになっておられますか。
○高田(浩)政府委員 指圧とは、徒手をもちまして皮膚の表面からいわゆる神経系統を加圧して、神経なかんずく自律神経系を興奮せしめて生体反応を求める施術をいうのでございまして、これはあんまの施術でありますところの押し、引き、もみ、なでる、さする、たたく云々という行為のうちの、主として押す行為を特に強調した手法であると考えます。
○受田委員 指圧という言葉の中には、カイロプラクティックとかオステオパシー、こういうものも含まれると思うのですが、これはどういうふうに考えられたのですか。
○高田(浩)政府委員 含まないと考えております。
○受田委員 指圧につきまして、昨日以来、指圧等という言葉をしばしばお出しになったと記憶しているのですが、指圧等ということは、どういう意味で言われたのでしょうか。
○高田(浩)政府委員 あるいは、私、言葉づかいが不正確だったかもしれませんけれども、指圧という意味でございます。
○受田委員 政府は、昭和二十二年当時、指圧については、これは療術行為であるから除外すべきであるということにして、それが今度またあんまの中に入るのだ、こういうふうに考えるということは、はなはだ首尾が一貫しないと思うのでありますが、政府の怠慢であるとお考えになりますか。
○高田(浩)政府委員 その点は、前々からいきさつとして申し上げているように記憶いたしておりますが、御承知のように、昭和二十二年の法律というのは、憲法の改正その他に伴う、いわゆる従来の法令から新しい法令への切りかえの措置として行われたものであるし、これをどうやって切りかえるかということが、中心の課題でありましたために、それ以前の、たとえば療術行為等について、これはこっちに入れる、これはこっちに入れるというような選択的な行為を行わないで、むしろ、そのまま従来の形というものを、原則的には引き継いだことになっているわけでございまして、従って、その後において、一応その意味において現在のあんま、はり、きゅう云々の法律が成立をいたしたわけでございます。その後において、昨日来お話し申し上げておりますように、指圧等について検討いたしました結果、これはあんまのうちに含めて取り扱うべきものだという結論に達しましたので、この改正案を提案いたした次第でございます。
○受田委員 指圧等について検討して、あんまの中に入れることになったという答弁が、今また出たわけですが、その指圧等を検討したところ、これはあんまに入れるべきものだということになったというふうに聞えるのでありますが、この点はいかがですか。
○高田(浩)政府委員 療術行為の指圧その他、いろいろな面について検討いたしました結果、一応こういう格好で、すなわち、あんまのうちに含めて規定をすることが適当であると考えた次第でございます。
○受田委員 はっきりそうおっしゃれば、よくわかるのですけれども、私は、政府が八年間、転廃業をさすべきだ、こう大前提を打った、そのうちに調査研究をしてみたら、こういうものはとるべきだという結論を出した、こういうことになるならば、転廃業と同時に、すぐれたものはとり、しからざるものは禁止する、こういう二つの線でものが考えられたということになると思います。特に次長のお言葉によれば、あんま、はり、きゅう、柔道整復は、原則としてこれは医師以外の行為として禁止すべきものであるが、従来行われたことだし、昨日も局長が言われたように、目の見えない方々に対しては一番適切な業種であると思うので、その人々を対象にあんま、はり、きゅうを考えていくのが、社会政策的にもいいことだと考えたということでありますが、そうなれば、原則と現実は反対になっておる、こういうことがいわれると思いますが、いかがですか。
○高田(浩)政府委員 私は、あんま、はり、きゅうは禁止せらるべきものであるということを申した記憶はございません。 〔「いいかげんに結論へ入ったらどうだ」と呼ぶ者あり〕
○受田委員 いや、君、ちょっと黙っとれ、ここは大事なところだから。 私、それで、もう一つ類似のことをお尋ねするのでありますが、政府は、原則的には、医師以外の行為は認めてはならぬ、しかし、現実がこうなっておるということになれば、転廃業というものと、そうして、従来行われておるものの中から何かいいものがあればという、その努力をするものと二つあった。その二つあった中で、指圧が拾われたということに結果がなれば、これは政府の説明としては、一応筋が通るのです。この点において、次長が最初の委員会で、転廃業の目的で法律を出したということと、昨日それを変更されて、従来の中に、いいものがあればとることもあると考えておるのだ、こういうことを説明されたということは、政府の発言を修正された点において一大進歩であったと私は思う。そうしないと、指圧をこの中から拾った理由もはっきりしなかったので、政府としてその意見を修正されたことには、大いに敬意を表する次第です。従って、もう一つここで関係してお尋ねしたいことは、社会通念からいって、この業種は病気その他の治療に非常に効果があると認められたような器械、器具を用いる療術行為など、あるいは一般手技、こういうものが、結果的に弊害があれば、その人々は社会から抹殺されるのですが、抹殺されないで残っておるということは、社会的に信頼されておる、社会通念からも、その人々の存立が認められておることになる。その既業者というもの、すでにやっておる人々というものは、社会通念の上から存立しておることを、次長はお認めになりませんか。
○高田(浩)政府委員 現実にいわゆる療術行為というものが存在していることは、これは私も認めます。しかし、その存在するに至った事由については、いろいろ考え方があろうと思います。
○中村委員長 受田君、ちょっと御相談ですが、あなたは昨日以来だいぶ御質問になり、今日あたりは、だいぶ重複した点があるようでありますから、どうか早く結論に入っていただきたい。
○受田委員 同じ質問じゃない、ちょっと深めて質問しておるのです。これは政府の答弁があいまいもこであるので、それをただす結果、自然に重なった質問が出て、政府の答弁の是正を要求する結果になったことは、これは御確認願いたいのです。 そこで、話を大いに進めて要点を急ぎますが、二十二年当時やっておった人で、社会的に見て弊害をもたらしていない、そういう現在社会に残されている人々を、今度三年間にやめさせるということに対して——いや、その前に、今年やめさせることに対して、政府はいかなる転業対策を立ててこられたのでありますか、これをお聞きしたいのであります。
○高田(浩)政府委員 これは法律自体が昭和三十年限りということになっておりますので、関係者の方々としては、その法律に従ってお考えになっておるのが当然だと考えます。
○受田委員 指圧をやる人々は、今日までがんばっておった人は指圧をやれる。政府の方針に従って途中でやめた人は、指圧をやれないという結果が起っておりますが、これはどう考えますか。
○高田(浩)政府委員 提案をいたしました法律をごらん願いたいと思います。十九条の二で、昭和二十二年当時届出をした者はということになっておりますが、現在までやっておる者はとなっておりませんので、その点御了承を願いたいと思います。
○受田委員 二十二年当時やっておった人が、現在やっておるはずです。それ以外の人があり得るはずはないと思いますが、いかがですか。
○高田(浩)政府委員 あり得べからざることだと思います。
○受田委員 あり得べからざることをあり得るとお答えになる理由は、いかがでありますか。
○高田(浩)政府委員 私が申し上げたのは、十九条の二にいわゆる受験資格を与えているものは、昭和二十二年当時の届出をした者というそのくくり方だけであって、届出をして、なおかつ現在もやっておる者というような制限の仕方をしていないということを申し上げたのであります。
○受田委員 しかし、指圧をやっていた人が他に転業をして、またこういう法律ができたから戻ってくる、そういうことは社会通念からあり得ません。従って、転廃業をした人々は、ほかの仕事についておる。そのついておる人人に対して、政府はその途中において、また指圧ができるなどということをやるということになれば、結局、諸君には転廃業でなくて、よいものがあったら認めるから、それを三十年の末まで待っておれという期待をさせたという結果になると思うが、いかがでありますか。
○高田(浩)政府委員 その点は、いわゆる法律の読み方でございますから、これは人によってあるいは違うかと思いますが、政府としては、先般来お答え申し上げている通りでございます。
○受田委員 次に、一番問題になるのは、三十年の末までに、なぜ転廃業対策をよく関係者に通告して、ほかの仕事へ移られるならば移られるような措置をとって、職業転換の道を講じてやられなかったかということをお尋ねしたいのであります。
○高田(浩)政府委員 職業の問題は、政府としてもいろいろ職業安定の行政を通じて仕事をいたしておりますけれども、これは同時に、やはり自分の職業をどう選ぶかということは、本人の問題でもございますので、法律が昭和三十年までとなっている限りにおいては、その人たちとしては、この法律に照らして御行動なされたことと考えます。
○受田委員 政府が、三十年末までと転廃業の時期を考えておった場合には、その期間中において、ほかの仕事へ移ることができるような親切な指導をするというのが、社会通念だと私は思います。それを今日まで放任して、今日いよいよ差し迫ってから、政府の意図は、今まで努力しなかったのは、本人がやるべきであったというふうにお考えになるのですか。この点はなはだ矛盾していると思うのです。転廃業をさせるための措置を、過去においてなぜとらなかったか。これは非常に重大な政治責任でありますが、いかがでありますか。
○高田(浩)政府委員 今回の法律におきまして三十年、今年限りというのを、三年間延長いたしまして、その期限内においてあんまの試験を受ける。その試験を受けることについては、昨日来御説明申し上げているように、いろいろ私の方でも考えておりますけれども、その他の面における転換等につきましても、私どもとしては、可能な限り努力をいたしたいと考えております。
○受田委員 私は、三年間の延長をしてこれからまた考えるというような政府の逃げ口上は、いかぬと思う。今年の末にやめさせることになっている。しかし、職業の転換は、一ぺんにできるものではないですよ。もう今から転換をせいなどといって、すぐできるものじゃない。従って、長期にわたってそのめんどうを見ていかなければならぬのです。そのめんどうをこの八年間、政府はどういうふうに見られたかということを、私はお尋ねしておるのです。この業を二十何年もした者は、五十、六十のお年寄りになっておる。その人々は、政府が仕事をあっせんをしてくれてもおらぬ。またその間に、何か希望も持たれるような発言があって今日にきておる。また指圧がその中から拾われた、こういうようなことからいくと、結局政府は、この間は転廃業という方面の指導はしなくて、その玉石混淆——一松前厚相の言われた玉石混淆の中から玉だけは拾い、石を捨てようという考え方で、現実にはやってきたという結果になると思うのですが、いかがですか。
○高田(浩)政府委員 法律の趣旨は昨日来申し上げている通りでございまして、この間において、今日まで医療行政本来の立場から、いわゆる療術行為について、いろいろ検討をして、そしてその内の指圧については、御提案申し上げているような趣旨の取扱いをすることが適当であるというふうな結論に到達をしたということは、事実でございます。
○受田委員 どうも釈然としないところがあるのです。この期間中及び今後の問題として、今年三年延長したその間にまた考えていただくということになれば、これはよほど問題が大きいと思うのです。何となれば、国民保健上害があるから、禁止しなければならぬというものであるならば、三年間というような期間を延長して、その間に危険なものを社会に残しておくということは筋が通らぬじゃないかと思う。そこはどっちか、はっきり一つ御答弁願いたいのです。
○高田(浩)政府委員 理論的にいえば、これは現在の法律通りに、本年でそのまま修正せられずにいくことが、筋が通ると思うのであります。これも、先ほどから申し上げておりますように、なお今後これらの人たちについては、あんまに関しまする試験の受験資格等について特例を設けて、できるだけこっちの方にも試験を受けてやっていただくように期待いたしておりますし、その意味においては、それは三年くらい、これは短かい長いという議論はあろうと思いますけれども、三年くらいの余裕を置くことが適当であると考えております。
○受田委員 非常に危険なものであるということがわかっておって、それを社会に残しておくというのでは、その筋が通らないということを申し上げておるのであります。それとも危険なものであっても、社会的に気の毒な人はそのまま残しておくという、そういう行き方を政府は考えておるのかどうか。国民保健上危ない、人命に支障が起る、しかし気の毒であるから、危険が各所に起っても年限を延長する方がいい、こういうお考えでありますか。
○高田(浩)政府委員 昨日も申し上げましたが、従来これらの仕事に対する取り締りあるいは監督なりが残念ながら十分でなかったということは、これは認めざるを得ないと思います。今後といたしましては、十分取り締りなり監督なりにつきましては、意を用いまして、極端なものについては、適当な処置をとりたいと考えております。
○受田委員 どうも首尾が一貫しないのは残念であります。三年間といういいかげんのところへ筋を置く、初めは八年に筋を置いた。そういうことではなくして、その中で、筋の通ったものがあればという形で残されておるとすれば、私は納得できるのでありますが、こういうところにおいても、政府の所信は一貫しておりません。危険なものを存置する、そうしていいかげんな筋の上に立たせておる。この際私は、政府自身が医学的の見解によって、国民保健をどう導いていくかという基本的な対策をお立てになっておかないと、医師以外の行為をする入の医療の範囲の問題、あるいは今申し上げておるような危険な人が、そのまま社会に残されることを認めておる理由、そういうものがもっと明確にならなければならぬと思うのであります。そういうことに対して、政府はどう御判断され、決意をされますか。
○高田(浩)政府委員 今後国民の保健医療、これに対応する医学の進歩、それにつきましては、十分努力をいたしたいと思いますし、また諸種の行為につきましても、取締りを徹底をさせて参りたいと思っております。
○受田委員 あんま師試験を合格した者だけは、三年の間にあんまになることを許すという規定が十九条の二にあるのです。この規定は、あんま以外の、特に器具を用いる人々に、三年の間にあんまの試験を受けよといっても、事実上無理な話と私は思うのです。そうしてまた、今まであんま、はり、きゅうの方でやらなかった人は、あんま、はり、きゅうになることを希望しないので、ならなかったのであって、希望しない者に、無理やりにその試験を受けよというような行き方は、非常に無理を押し売りすることになると思うのでありますが、これについて、政府としていかがお考えですか。
○高田(浩)政府委員 受けないということは、本人の意思でございます。これを強制することはできないと思いますけれども、私たちとしては、受けられることを十分期待しておる次第でございます。
○受田委員 あなたに、今から街頭に出て重労働をせよ、官吏の身分にある人に法律でそういうことをやれと命ぜられた場合を想定した場合に、絶対自分の希望しない職業を選べと命ずることは、憲法の職業選択の自由の規定の上からもこれは非常に無理である。ただそういう規定を設けておくということで救済するという行き方と、政府は言うておられるのでありますが、これは現実の問題としては、きわめて非現実的なものと私は解釈しておるのです。政府はそうお考えじゃありませんでしょうか。
○高田(浩)政府委員 私は、現実的なものと考えております。
○受田委員 そういう意味でお出しになった、しかし、その実技に関してはまた特例を設けるということを昨日言うておられるのですが、少くとも電気、光線その他の器械器具を用いる人人に、あんまの免許を与える以外に道がないというような転廃業の対策で、この法律は完璧であると思われるのでありましょうか。こういうことは、非常に不十分な用意をして法律を出されたという解釈しかできませんが、いいかがでしょう。
○高田(浩)政府委員 法律に規定すべき事項としては、これで大体尽きておると私は思います。
○受田委員 しからば、省令で定める事項などということを掲げてある。しかも、昨日松岡氏の質問に対しても、尊重するとか、あるいは研究するとかいう言葉がありました。昨日電気、光線の科目を受けさせるようにしてはどうかということに対して、尊重するという言葉がありましたが、尊重ということは、基本的に松岡氏の意見を取り入れて、これを尊重するということに解釈してよろしゅうございますか。
○高田(浩)政府委員 昨日も申し上げておりますように、十九条の二というのは、救済的な意味を含んだものでございますので、この試験の実施については、十分実情というものを勘案していきたいと考えております。
○受田委員 実情を勘案するということになると、あんまの免許を持つ人の中には、あんま師であり、同時に電気、光線を用いる人であるという二つの、両手使いであるという結果が生まれてくるということが想定できますか。
○高田(浩)政府委員 もちろんあんま師の仕事については、昨日もございましたように、ある程度の補助的な手段を当然認めておりますが、その限りにおいては、そういう補助的な手段を用いるということは、今後もあり得ると思います。
○受田委員 先へ飛ばしてお尋ねをしますが、器具の検査は非常に困難であると政府も言うておられる、また一般もそういう社会通念があるということでしたが、この間三沢先生は、物療試験は、原則については簡単にできるのだ、こういうことをここで答弁しておられるのです。物療試験はできないことはないのだ、こういうことを言うておられるのですが、物療に関する試験というものを、不可能な問題として今日も考えておられますか。
○高田(浩)政府委員 三沢先生のお話は、そのとき私も聞いておりましたけれども、三沢先生は、たとえば電気でありますとか、光線でありますとか、そういった物療的な行為は、医師の直接指導のもとにやるべきであって、すなわち補助者というものはあり得るけれども、医師と離れて、独立をして医者のやるようなことをなすべきものではない、そういう前提で御立論になっておると認識をいたしておるのでございますが、その限りにおいては、これは医師が結局責任を持つわけでございまして、これはいわゆる補助者でございますから、補助者に相応する教養訓練を与えるということは考えられると思います。
○受田委員 試験をすることは原則的にできるということが、三沢先生の御意見にもあったのです。従って私は、試験ができるかできぬかをお尋ねしておったわけです。
○高田(浩)政府委員 いわゆる物理療法あるいは整形外科に関しまする療法の、医師の補助者として適格なりやいなやということについては、試験は考えられるわけであります。
○受田委員 昨日横浜大学の檜物氏の厚生省依頼による調査の結果の御発言があったのですが、器具そのものについての有害無害については、檜物氏はこの間の参議院における証言で、無害有益のものがあるということを言うておられる。そうして療術行為は、今後社会的に一定の規格をもってこれは認むべきであるというような意味を言うておられたと思うのですが、これはいかがでしょう。
○高田(浩)政府委員 要するに、器具は物体でございまして、これをどう使うかということによって害を生じ、あるいは益を生ずるということが、これは世の通例だと思いますけれども、たとえば医師が使っております物療的な器具について、これは医師が治療の目的をもって適切に使えば害はない、益があると思いますけれども、しかしそれ以外の人たちが勝手になり、医師と離れて使うということになれば、やはり害というものはあり得ると思います。
○受田委員 私はここで最後に問題にしたいことは、少くともこの法律によって、原則的には、従来療術行為をやった人は、全部やめさせるという結果になるのです。そのやめさせる人々に対して、長いことやってきた人々に対して、今その首を切る法律案が出たときに、政府は、なぜもっと親切な措置をおとりにならないか、その中に、ある程度すぐれたものがあるということになったならば、社会通念からも多年認められておる人々に対して、その人人に限ってこれを認めさせてやるというような措置を考慮するすきがなかったのか、こういう点を私は最後に伺いたいのです。何となれば。社会通念からいえば、療術行為はすでに社会にあるものとみなが認めておる、そうして多年にわたってそういう人々が社会的に実績を上げてきておる、こういう現実はわれわれは否定できないと思うのです。その現実を全然考えないで、政府はぴしっとこれに処断をしようとお考えになっておる、しかもGHQの指令は、原則としてはあんま、はりきゅう、柔道整復の療術全般にわたって、こういうものはいかぬぞというくらいの指示があったという政府の説明があったのでありますが、そういうことを考えたときには、療術行為をした人々だけが犠牲になってくることについて、少くとも現在やっておる五十、六十と年を取っておる人々が、転廃業の措置も講ぜられないでやめさせられるということは、非常に残酷な仕打だと考えるのですが、これはいかがですか。
○高田(浩)政府委員 あんま、はり、きゅう等に対しましては、これは先ほどもいろいろお話がございましたけれども、まことに研さんを積まれてその業に励まれることを期待いたしますし、それからそれ以外の方々につきましては、特に十九条の二という規定を、救済的な意味も含めて置いておりますので、これによって一つ十分御勉強を願いたいと思います。 なおこれと離れますけれども、たとえば電気にしましても、光線にしましても、それが抽象的でなしに、医師がこれらによって療法を行います限りにおいては、もちろんこれは適切であると思いますし、その意味において、医師のある意味でのそういったものを使うことについての補助者というものは考えられます。この補助者の問題についても、将来この問題等は、その意味においては別個の問題でございますけれども、十分検討いたしたいと考えます。
○受田委員 あなたは先ほどから、十九条の二で救済の措置があるとたびたびおっしゃるのですけれども、電気、光線その他をやる人々が、あんまの試験を受けようといったって、実際はできない相談であるというのが原則論なんです。その原則論をみながやればいいのだといって盛んにそれを主張しておられる。しかし、これは政府として親切な措置でない。少くとも多年やってきたその人は、何かの形でその形が保たれるような指導を加えて、その人の存立を認めるような措置がほしい。昨日私は、あそこの三宅坂で、あんまの方々が苦労して断食しておられるところへ御慰問に行った。その人々の声をお聞きしましても、われわれは、長いこと業としてやってきておる人々、そして届出をして筋の通った形の人にかれこれ言っておるのではない、少くとも一週間が二週間で簡単に業を始めておるような、そういうもぐりとか、でたらめなやり方をする人々がたくさん出てわれわれを侵していることを私たちは言うておるのだという、切実な訴えをされました。私はその意味で、療術行為をやっている人々の中で、筋を通して社会的に信頼を得ている人々が、この法律によってあんまの試験を受けて、自分が絶対希望しなかったあんまになれという強制的な転換をさせることは、はなはだ不親切であると思うのでありますが、御意向を伺いたいのであります。
○高田(浩)政府委員 このあんまの試験につきましては、先般来申し上げておりますように、救済的な意味を含めて、十分実情に合うように考えたいと思います。なお、たとえば電気、光線等につきましても、医師の補助者として、これは必要な面もあろうかと思いますので、その辺の雇用関係その他については、十分医師側とも連絡をとりまして、できる限りの努力をいたしたいと考えております。
○受田委員 医師側にも連絡をとって、できるだけの努力をしたいというお言葉でありますが、これは現実の問題として、目下そういう技術者を採用するという可能性はほとんどありません。これはまた非常に非現実的なお説です。少くとも、多年三十年、四十年とやってきた人々が看板をおろして、これからあと余命幾ばくもない社会に、新しいあんまの免許を掲げて、そして今までなれなかったあんまに転換して仕事をするなどということは、きわめて非現実的であるということを私は訴えているのであります。そのことに対する御感想を一つ伺いたい。
○高田(浩)政府委員 これは試験を受ける受けないということは、もちろん本人の意思に基くものでございますから、こちらで強制するわけにはいきませんけれども、受けられる人たちにつきましては、先般来申し上げておりますように、十分実情に合うように考慮いたしたいと考える次第であります。
○受田委員 あなたは、まことに私の質問はずれのことをお答えになられるのです。それだから、幾らでも繰り返してお尋ねしなければならぬ。もっと、ずばりと要求する質問にお答え願いたのです。それはあんま以外の従来の療術行為を多年にわたって続けてこられた方々に、看板をあんまと掲げ、すべてのものをあんまとしての立場で構成させていくというやり方に、政府としての特例を設ける用意がないのか。つまり、ここに省令で特例を設けるという意味とさらに別に、その実技はいかに尊重されるか、その名称が存続することに対して何か措置はないか、こういうようなことについて、政府はそういうものをさらに尊重してやるという考え方でやろうとしておるのか、いや、それは研究程度というものか、そこをもう一ぺんお答え願いたい。
○高田(浩)政府委員 十分研究をいたしたいと思います。
○受田委員 この間の小委員会における第十九条の二の三項の改正要点におきましても、今のあんまの免許を得た者が従来の名称により業務を行うことができるという要旨の修正をすべきであると結論を出しておるのです。この点におきましての小委員会の結論は、昨日小委員長より、概略政府に質問の形でなさったのでありますが、この点は、この委員会の空気として、従来の仕事をしている人々に看板をかけかえて、自分の希望しない仕事をさせるというよりは、既存の業を尊重して、しかも届出によってまじめにやってきて社会的に認められた人々を、何とか守ってやろうという気持がこの委員会にあふれていたことを、松岡氏が代表して言われたのです。そこの委員会における空気を、次長はいかように受け取ろうとしておりますか。
○高田(浩)政府委員 ですから、今十分研究いたしますと申し上げました。
○受田委員 政府はこの点について、その研究がはなはだあいまいもこであり、先ほど来、いろいろな点において、死刑の宣告をするような形でこの問題を解決したいというような御意図を持っておられるということになると、この委員会としても、この点について、ある程度の法案の修正をすべきであるというような話が、小委員会としては結論として出てしまったのです。この点において、小委員会のそういう空気を察知して、政府が何らかの措置を今後とるという決意ができるかどうか、この点について、もう一度御確認を願います。
○高田(浩)政府委員 十分研究させていただきます。
○受田委員 私はここで最後に一言申し添えておきますが、この大事な法案の審査に当って、私はあんま、はり、きゅう、柔道整復をなさった既存の方方に対して、一そうその業務に精励されることを祈るとともに、同時に政府として、あんま、はり、きゅうの立場の人々に、はっきりした定義を与えて、この人々が安心して仕事ができるような基礎を与えなければならない。実にあいまいもことした定義を用意して、昨日など、とんでもない御回答をなさったようなことがあるのですが、こういうことに対して、安心してその業務を行うことのできるはっきりした基礎を与えてあげなければならぬ。同時に、あんま、はり、きゅう、柔道整復以外の人々で、はっきりと社会的に存立している人々に対して、その人々の生存権というものを認めた憲法の立場からも、擁護しなければならぬ、こういうことを私は訴えたいのです。特に憲法には、はっきりと職業の自由選択権を認めておる。生存権が認められておる。こういうことについて、政府は、この憲法の精神からいって、次の仕事も用意されないでその人の職業を奪うという、先に職業を奪うことをきめてかかっておるような、こういう法律は、世界的にもそうたくさん例があることかどうか。また国内的にも、こういうことは、一応人道的に見ても正しくないというような意味において、次長の御所信を伺いたいのであります。
○高田(浩)政府委員 この法律は、憲法に照らしても、適切な法律と考えております。
○受田委員 世界各国において、こうした多年仕事をしてきた人々の職業を原則的に奪い去るような法律、その人の既存権、既得権だけは認めるというようなことのないような形の法律が、幾つも出ておりますか、その実例をお示しを願いたい。
○高田(浩)政府委員 外国の法律等につきましては、十分研究はいたしておりません。
○受田委員 この点は、研究もしないで国内的にだけやる、こうなれば、感情の対立という立場から、いろいろな問題が起ってくると思うのです。私は、少くとも、さっき申し上げたように、療術組合の代弁者でもなければ、あんま、はり、きゅうの立場の人々の代弁者というのでもない、高い立場でこれらの人々が、国全体の立場から幸福になれるように考える政治家なんです。従って、そういう意味において、私は公平な判断でこの問題の処理に当りたいと考えております。そこで、今の療術行為その他で、既得権を持って社会的に生きてきた人々を擁護する対策において事を欠いていることは、はなはだ遺憾であります。そこでわれわれは、その点を何らかの形で政府がこの際明らかにされるならば、これはわれわれとしても、この法案の改正に持ち込まなくて、政府に次の立法措置とか、あるいは行政措置とかいうことを依頼してもいいというくらいの考えを持っているのであります。この点について、医務局長、いかがお考えですか。
○曽田政府委員 私どもこの問題は、何はともあれ根本的な考え方は、医療の態勢を整えるということであると思っておるのであります。この点は、大体御了承願えたのではないかと拝承いたしておるのでありますが、ただ、今まで仕事をやっておった方々に対する今後の措置というものに親切みが欠けておるのではないかというようなお話であります。私どもとしましても、その点について、できるだけ考慮をいたしたいというふうに考えて、ある程度これを法のうちにも盛り込んだつもりでおるのでありますが、これはお考えによりまして、決して十分ではないという御意見も拝聴いたしたわけでありまして、私どももその点については、今後もさらに検討はいたして参りたいというふうに考えております。
○受田委員 私は検討を続けて参りたいという政府の意見で、どうも了得できないのでありますけれども、私は、今局長が言われた、原則的には医師以外のこういう行為をする者に対しては不当であると認められ、また危険も多いということを認められる、こういうことだった。しかし、さっき次長も言われたのですが、あんま、はり、きゅう、柔道整復の医師以外の行為は、原則的にはいけないのだということを、昨日も局長は言われた。この原則で、原則的にあんま、はり、きゅうもいけないということになれば、原則論からいうならば、みな同じ立場に立つ。ただ、あんま、はり、きゅうの方々は、特に身体障害の方々を守ってあげたいという意味で、その人々を優先的にこの道に持っていってあげるからという意味で、私は解釈しておったのでありますが、局長いかがでしょう。
○曽田政府委員 これは昨日も御質問がございまして、私どもの考え方を申し上げたはずでございますが、いわゆる原則的には、医療行為なるものは、すべて医師に限局されることが望ましいことである。しかしながら、今のあんま、はり、きゅうというたぐいのものは、受田先生は、ただ盲人救済ということだけを繰り返しおっしゃったようでございますが、私はそれもございますが、一つこのあんまはり、きゅうというものは、日本におきましては、長い間これは日本の国情に非常に合した練れてきたものである、そういうような意味におきまして、これは一がいに捨つべきものではないという考え方をとったのでありまして、その後のいわゆる今度の療術師、いわゆる医業類似行為という問題につきましても、私どもちょうだいしました時間の間に今まで検討した結果においては、まだまだ最後的な結論はつかないかもしれませんけれども、指圧は従来のあんまにきわめて近似なるものである、さような意味でもって、これをあんまの中に含めるという形に一応しております。そして、その他のものにつきましては、今のところ公然とその価値を認めるわけにはいかないというところまできました。もちろんこれは一応の、ただいま私どもが到達した見解でございまして、今後の検討は、私どもも続けますし、また先生方の御意見によって、今日の政府の見解に必ずしも承服しがたいという御意見の方のあることは、再々今まで承知いたしたわけでありますので、今後その点は、御審議の結果を十分心して私どもは研究して参りたい、さように考えております。
○受田委員 局長さん、御意見があるというのでなくて、もう松岡さんからも申された通り、小委員会の結論として出てきたのです、そういう人々の立場を守ってやるということが。昨日ここで質問された通りなんです。そこで、一部の意見だ、小委員会の一部だということであなたが今おっしゃったようですが、大体この結論は、参議院の附帯決議にもはっきり出ておるのです。政府の措置に対してははなはだあきたらない、既得権を持つ人々は、すみやかに政府が研究して、その仕事を保健上有害でないと認めた場合には、何とかして守ってやらなければならぬという附帯決議がついているくらいです。そういうことを局長はお考えになられたら、一部の意見でなくして、これは国会の意見ということが御確認できませんか。
○曽田政府委員 参議院の附帯決議も拝承いたしております。またただいまも、いろいろの御意見をこちらで拝承しております。私どもとしては、それをその文字の通り、またお言葉の通りというもので、拝承いたしたいと考えております。
○受田委員 結論をいたしますが、われわれは、さっき局長が言われた今一応の結論を出して指圧をとった、しかし残りの問題については、今後さらに研究をしていきたい、研究を続行するということをここで声明されたわけでありますが、この声明に対しては、われわれの趣旨を尊重して大いに今後検討を加える、一応の結論を出した上、さらに研究を続行する、こういう態度に対しては一応敬意を表します。表しますが、ここで問題になりますのは、同じあんまをなさった方々の中で、東京温泉等のマッサージ的なものとか、伊東温泉のいわゆるなでるというようなものとかは、あんまの違反になってはいないが、この程度ならばいいのではなかろうかというような、単なる慰安の程度のものは、あんまの定義の外の中に入っておるものかどうか、あるいはあんまの定義の中に入るというふうに考えられるものか、この点について、無免許あんまの中で、定義に関係してお答え願いたいのであります。
○曽田政府委員 いかなる制度を立てましても、その範囲がどの程度のものであるかということを定めることは、できるだけ厳格でなければならぬものであります。しかしながら、それに紙一重というようなものが存在しがちであるということも事実でございますので、私どもといたしましては、一応具体的な問題が出ましたときに、これはあんまの業の中に含まれる、またかようなものはまだあんまの業の範囲の中には入らないということを判断いたしておるわけであります。この点は、私どもいろいろ実施いたしております実情にかんがみまして、私どもの方針に誤まりがあるというようなことでございますれば、御注意を受けますれば、私どももさらに検討をいたしたいと考えております。
○受田委員 無免許あんまによって、あんま業をなさる正規の人々が圧迫を受けていることは、現実の問題です。政府の取締りがなまぬるくて、正規のあんま業を営んでいる人々の生業権に影響を与えるようなことは、政府の施策としては、まことに私は不適当だと思うのです。この点において、正規のあんま業をなさっている人々が、もぐりあんまによって荒されている生業権を確保するために、全的の措置をとっていただきたいと思うのであります。その点、政府の過去の努力は、非常に怠慢であったと御反省になりますか。
○曽田政府委員 私どもも、従来、ともすれば取締りがゆるかったということを、感知もいたしておるのであります。今後一層府県等を励ましまして、無免許あんまというものの厳重な取締りをいたして参りたいと考えております。
○受田委員 これで質問を終りますが、私は今、局長が、政治のあり方からいっても、行政府のあり方からいっても、なおなし足らないところを今後大いに補っていきたいという御意思を承わって、ある程度の期待を持っておるわけですが、まじめな業をする人は正しく守られるのだ、ふまじめなやり方をする人は社会から抹殺されるのだという社会正義感を、こういう際にはっきりしてもらわなければならぬと思うのです。この点におきまして、政府自身今回のこの法律改正で、社会的に非常に信頼を得てやっている既得の業者を正しい立場で守ることが、これまた社会正義の上からも筋が通るという意味において、願わくは五十、六十という年を取って試験も受けることができない人々は、その既得の業績を生かし、そうしてまた実害を伴わないという過去の実績を十分基礎にして、これら療術行為の筋を通した既得権者に対しましては、これらの人々を守ってあげる何らかの対策を十分考慮に入れらるべきだと思います。この点は、社会正義の問題であって、われわれ、そういう正しくやってきておる人々をかれこれ言うのではない。先ほど申し上げたような断食をしておられる方々も、切実に訴えておる。むろんこの人々の目標は、もぐりでわれわれの業種と同じ人がたくさんふえて、でたらめな療術行為で社会を冒涜しているが、この人々を抹殺してもいらたいということであると確認したのであります。この点におきまして、政府は社会正義の立場から、老齢の人を守るという立場から、ちゃんと社会通念からもその存立を認められておるそういう人々を、何かの形で守っていくという施策をとって、そこに万遺憾なきを期せられるように要望いたしまして、私の質問を終ることにいたします。
○中村委員長 この際福田昌子君から、資料の要求をしたいとのことでございますから、簡単に御発言を願います。
○福田(昌)委員 たいへん時間がおそくなりましたので、私、一切の質問は省かせていただきたいと思います。質問はいたしませんが、厚生当局に要望いたしまして、あわせて資料を要求いたしたいと思うのです。ただいまいろいろと御質疑を承わっておりますと、結局、現行法の成立の昭和二十二年当時の政府の御答弁と、今日この委員会におけるあんま、はり、きゅう、柔道整復師、またあんまの中に今日含まれました指圧に対します概念、それに対する学理的な見解というものが、ほとんど同じであるという感を抱いたのでございます。このことは、厚生当局がこういったあんま、はり、きゅう、柔道整復、こういう業態に対しまして御研究、また行政的な措置、取締り指導がまことに怠慢であったということの証左になっておるともいえるのでありまして、かような厚生当局の怠慢な姿が、今日この法案の修正に対しまして、あんまの人たちや指圧の方々のこういう涙ぐましい陳情の姿になって現われて参ったということがいえると思うのでございます。厚生局当のあんまに対しまするその学理的な御説明、指圧に対しまする学理的な御説明も、昭和二十二年の当初と今日と、ほとんど同様でありまして、かような研究のない厚生省の措置のままに法律のみが今日におきましては、あんまの中に指圧を入れようという態度に修正されて参っておりますが、かように学理的に言いまして一貫していない、確たる信念のない厚生省の感度は、今後ともこのあんま、はり、きゅう、柔道整復の法案に対しまして、末長く多くの禍根を残すであろう。またこの法案をめぐって、再び対立した多くの要望事項が生まれてくるであろうということを私は憂うるものであります。従いまして、厚生当局は、今までのような怠慢な態度を今後とも続けられるということになりますれば、こういう事態が早急にまた起ってくるであろうということが考えられるのでございます。従って、今度こそ厚生省はもう少しまじめに、こういった業態の方々に対する行政的な措置、あるいはまた指導をおきめ願わなければならないのであります。厚生省は、こういう医業類似行為は好ましい職業ではない、しかし医療補助行為としてこれを認めるということを申しておられますが、医療補助行為として認められるならば、それに相当いたしますだけの指導と措置というものがなされなければなりません。そういうことが今日まで全然抜けておったということは、何と申しても厚生省の怠慢といわなければならないのであって、そのことが、今日この法案の修正に当りましても、業界の方々が日々の忙しい仕事を休まれて、国会にまで陳情に出て来られたということに相なっておるのであります。こういう厚生省の態度は、この次のこういう法案の修正その他の問題に当りましては、おそらくあんまに対する定義を厚生省自体も変えなければならないようなこんとんたる事態を招くでありましょう。私はこのことをおそれるのです。厳に今後の厚生省の行政的な措置と研究態度と指導とをお願いいたしまして、私のお願いを終りますが、これにあわせまして、二十二年から三十年の今日に及びます間に、厚生省当局はあんま、はり、きゅう、柔道整復師の方々に対して、どういう研究をなすったか、どういう行政的な措置をとられたかということを、私は資料として要求いたしたいのでございます。その資料の第一点といたしまして、この八年間における累年のあんま、はり、きゅう、柔道整復、またさらに指圧、電気、光線温熱、刺激、こういった業界にある人たちの実数がどのような変動をなしたかということの報告をお願いいたします。そうして、かような人たちで、転業なすった方がどれだけあるかという点も、あわせて御報告をお願いいたします。また、こういう業態の人たちが、その仕事の中におきまして、失敗をいたしまして被害者を作った場合があるかどうか、その被害の実相につきましても御報告をお願いいたします。またさらに、詳しい報告をいたしまして、今日あんまの人たちが、先ほども質問者の方々から、いろいろと心配の原因として申されておりましたもぐりの業者によりまして相当苦しめられております。あんま、はり、きゅうなどの業界の中に、もぐり業者が相当たくさん今日出ておるということも、これは厚生省の指導と監督の不行き届きの結果でありまして、こういう実態をありのままに御報告いただきたいと思うのであります。盲人の方々を保護するということは当然の措置でなければなりませんが、それにもかかわらず、もぐり業者がたくさんおります。しかも晴眼のあんまの方がたくさん出て参りまして、盲人の方々の職業を非常に圧迫しつつあるということは、何としても黙認できない次第であります。かような事態に対する処置を今後考えますためには、どうしてもこれまでの統計が必要と思いますから、厚生当局はこういう方面の統計的な資料を早急に御提出願いたい。時間がありませんから、私、多くは申しませんが、第二点の要求といたしまして、昭和二十二年から二十八年まで、厚生当局は約二百万円の研究費を投じて、あんま、はり、きゅう、柔道整復師の業態に関します研究をなされておるのでありますが、この研究の結果はいかような結果と相なっておるか、この点資料として私ども社会労働全委員に御配付をお願いいたしたい。 以上であります。
○中村委員長 ただいまの資料の要求は、当局は午後やってください。 ほかに御質疑はございませんか。 なければ、本案に対する質疑は終了したものと認めるに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 次に、本案に対する討論に入るのでありますが、討論の通告もありませんので、討論を省略して直ちに採決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次に、本案に対し、附帯決議を附すべきであるとの動議が出されておりますので、その趣旨説明を求めます。大石武一君。
○大石委員 各党共同で、次の附帯決議をいたしたいと思いますから御賛同をお願いいたします。案文を読み上げます。 附帯決議 医業類似行為に関しては、政府は引続きその業態を把握、検討の上左記事項に関し適当なる措置を講ずべきである。 記 一、第十九条第一項の規定による届出をしたる既存業者であって、本法に認められない者については猶予期間中に充分な指導を行い、国民保健上弊害のない者については、その業務の継続ができるよう適切な措置を速かに講ずること。 二、あん摩師等のうち身体障害者については、本法運営上その業態に支障なからしむるよう万全の措置を講ずること。 三、無免許あんまその他これに類する者に対する取締を厳にし、その根絶を期すること。 以上であります。
○中村委員長 お諮りいたします。大石武一君の動議の通り附帯決議を付するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 なお、本案に関する委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 午前中はこの程度にとどめまして、午後二時から、黄変米について参考人を招致しておりますから、御了承を願います。二時から開会いたします。 午後一時五分休憩 ————◇————— 午後二時四十五分開議
○中村委員長 休憩前に引き続きまして会議を再開いたします。 黄変米に関する問題について調査を進めます。 本問題につきましておいでを願いました参考人の方々に、一言ごあいさつ申し上げます。 本日はお暑いところをおいで下さいまして、ことに法案審議のため大へんお待たせ申し上げまして、恐縮の至りでございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べ下されますようお願いいたします。 なお、議事の整理上、意見をお述べ願う時間は、お一人おおむね十五分程度とし、その後委員よりの質疑にお答えを願いたいと存じます。また委員は、参考人に質疑ができますが、参考人よりは、委員に質疑ができないことになっておりますので、どうぞお含みおきを願います。 それでは、まず高橋参考人にお願いいたします。
○高橋参考人 お手元に資料として提出してございますのが少しございますが、「自然」という雑誌に、黄変米のことを書きましたのが一つ載っております。それから中にある表紙のついてないのが「科学」という雑誌に載っておりますやはり黄変米問題に関する論文であります。もう一つ、長い紙のプリントでございますが、これは「科学」に載せた論文の要旨であります。もう一つ、研究結果報告書と書いてございますのは、これは二十八年度に黄変米の研究をしてかち、農林省に提出した報告書の中から抜粋したものであります。もう一つここにございますのは、東大の農学部農芸化学科黄変米研究グループにおきまして、実際に配給されておる米を検査しまして、その中から黄変米を検出した検査成績であります。私の考えは、この「科学」と「自然」の二つの論文の中に、大体要約されておりますけれども、本日はこの「科学」の方を中心にいたしまして、概略述べさせていただきたいと思います。 本年の五月上旬の衆議院の決算委員会におきまして、厚生省が黄変米に関する詳細な報告を行なっておりますので、この報告書を中心といたしまして、またその出典となっておるところの各研究機関からの研究報告が出ておりますが、それを厚生省でまとめまして研究報告書の一集、二集、三集として出しておるものでありますから、これを分類整理いたしまして、この厚生省報告と同様の結論が得られるかどうかということを主して検討してみたのでありますが、その結果、大体四つのことを申し上げたいと思います。第一には、菌が表面にあって、再搗精をしますと菌がなくなるということは、学問的には言えない。それを裏づけるだけの資料は現在存在しないということが一つであります。第二には、動物飼育実験によりまして、自然黄変米では変化を認めないし、人工変米では、多くの場合変化が認められないというような趣旨の結論が出ておりますが、これも資料を分類整理してみますと、そういうことは言えないということ。第三番目には、黄変米は、現在配給してないという厚生省言明がしばしばありますけれども、これは現に配給されておる事実がある。次に、研究用の資料米として配られたものの品質が、いろいろな手違いから、非常に不明確なものでありまして、そのために、このたび行われました研究報告の価値評価が非常に困難なものが、数多く存在する。大体この四点について御説明申し上げたいと思います。 第一番に、菌が表面にあって、中には侵入していないということはいえない、つき直しをしますと菌がなくなるということはいえない、この点について御説明申し上げますと、どうしてこういう間違った結論が得られたかということをいろいろ調べてみますと、米を薄く切りまして顕微鏡で調べてみると、菌がごく表面にしか認められないという報告がございますが、これは顕微鏡でこういう方法で調べるということは、菌の検出方法としては、かなり精度の低いものであるということを、全然批判せずにそのまま採用したということによって起ったのではないかと思われます。われわれ現在喀たんの中の結核菌を探しますのに、顕微鏡検査はもちろん参考にいたしますが、主として培養検査の方に重点を置いておることからもわかりますように顕微鏡検査で見つかれば幸いでありますが、見つからないから、ないということはいえません。カビが表面にしか存在しないという結論も、全く同様でありまして、顕微鏡で探してみて見えないから、中には入っていないということはいえないのでありまして、逆に、これは東京農大及び国立衛生試験所の研究によりますと、外側を相当厚く削りまして、中の十分の一程度のものを培養いたしましても、その中から高率に菌が検出できているという報告がございます。これは「科学」の中に表にして出してありますから、ごらん願いたいと思います。 それからもう一つ、この結論を誤まった理由といたしましては、厚生省が配付しました資料米は、輸入検査のあとで直ちにガス燻蒸をいたしておりまして、殺菌したものであります。でありますから、これをそのまま培養しましても、菌が出てこないのが当りまえでありまして、それをつき直ししましても、もちろん菌は出てこない。にもかかわらず、それをもって、殺菌効果が途中に入っていることを忘れて、カビがはえてこないから、つき直しすると大丈夫だ——これはつき直しする前でも、カビは少ししかはえてこないのであります。そういう、途中に燻蒸操作が入っておるということを無視いたしまして、あたかも再搗精効果であるかのごとく結論したということが、間違いの第二の理由だと思うのです。 第三番目には、実験成績の解析を十分に、厳密に行なっていない。その程度では減っているといえないようなものを、十分解析いたしておりませんものですから、減っているというふうに直観的に結論を出している、それをそのまま採用しているというような点、この三つの点に間違いの原因があるのではないかと思われます。 しかし、先ほどお話ししましたように、東京農大及び国立衛生試験所の研究によりまして、濃厚感染を受けている米におきましては、中心部十分の一程度のものからでも、十分菌がはえ得るということからいたしまして、黄変米の中には、相当中心部までカビの入っているものがあり得るということは、もう確実な事実であると思われます。それらに関しましては、文献として引用しました一、二、三をごらんいただきたいと思います。 第二に、動物飼育実験で変化が認められないという記載がございますが、これも資料を十分整理してみますと、そういうことはいえないということが明確になって参ります。自然黄変米に関しましては、京都大学の井上内科でいたしました人体実験がございますが、これは三%程度イスランジア黄変米を含む黄変米を、二人の人間に数カ月にわたって食わせたのでありますが、その結果、一カ月くらいたちますと、明確な身体異常を来たしております。この事実は、イスランジア黄変米というものは、大体何%程度で危険であるかということを評価します場合の非常に重大な根拠でありまして、これを無視してはならないと思います。この事実は、厚生省報告から抜けております。 それから、もう一つ重要視しなければならないのは、この米をネズミに食わせますと、相当長期にわたって食わせましても、ごくわずか、八例のうち一例ぐらいしか肝臓障害を起していないということであります。ネズミにおいて大丈夫のように見えていながら、人間では一カ月でわずか三%程度でも障害を起すという非常に貴重な人体実験でありますが、これが厚生省報告に漏れておるという点も、誤まった結論を下されました理由ではないかと思います。 一方、人工黄変米によります実験では変化が起るということは、現在では少くともイスランジアに関しましては問題ない事実でありまして、チトリヌムの方に関しましても、これは食糧研究所の角田技官、東大の浦口教授のところにおきまして、明白なじん臓障害の報告をしておられますが、これがやはり厚生省報告に漏れておりますので、これらの事実を考え合せますと、動物実験において変化が認められないというふうな結論は、決して得られないのではないかと考えております。 それから現在、このプリントは間違っておりまして四%と書いてありますが、四〇%の人工黄変米で、サル実験を予研と東大の田坂内科の共同研究でやっておりますが、これは観察期間がまだ短かく、尿所見は二カ月、血清分析は一カ月の成績しか報告されておりませんので、この程度では、肝硬変というような慢性病が問題であります実験におきましては、変化が認められないという資料にはなし得ないと考えます。この黄変米の研究は、慢性病の問題でありますので、観察期間が一週間や二週間、一カ月や二カ月という短期間のものでは問題になりませんで、東大の小林教授の言によりますと、人間の一生涯に相当する動物の一生涯、つまり二年程度の観察期間は少くとも必要であるということを、毒性研究班の会議の場合に申されております。十分長期の観察によって、安全であるという保証をしなければならないと考えるのであります。 時間がありませんので、白米にも毒性があるということが、やはり研究報告の読み違いであるということとか、それから人工黄変米と自然黄変米とで毒性の差かあるのは、菌量の違いであるというようなこと、これも比較すべき対照実験がないというようなこと、それから毒物抽出ができないということについても、どういうことを考えなければならないかというようなことは、ちょっと省略いたしますが、これは文献四、五を御参照いただきたいと思います。 それから、黄変米は現在配給されておるということであります。これは厚生省側では、黄変米と決定したものは配給していないという意味の言明であろうと思いますが、配給されておるという事実はどこでわかるかといいますと、東大の農芸化学教室の黄変米研究グループというのがございまして、そこで各配給されました米を持ってこられたのを調べました結果によりますと、三百検体のうち十七検体ですか、大体十八検体のうちに一検体の割合でイスランジア菌及びチトリヌム菌を検出しております。この事実から見ますと、確かに黄変米は配給されている。 厚生省の配給しないという言明にもかかわらず、なぜ配給されておるかということを考えますと、第一には、輸入検査の方式が不完全である、相当程度のものが十分合格し得る程度のものであるということが一つであります。もう一つは、輸入外米は、わずか四〇%しか検査を受けておりませんで、六〇%は無検査で通っておる。これは二十八年度の資料が厚生省から出ておりますが、そういう理由によりまして、この六〇%の方は、黄変米と決定しないのだから黄変米じゃないという考え方からいきますと、それは黄変米じゃないということになりましょうけれども、しかし、われわれ常識的に考えますと、明らかにその中にやはり黄変米が入っておるのじゃないかというふうに考えます。これは早急に全部検査されないと、また検査方式も改善していただきませんと、われわれはやはり黄変米を食っておるということになるのじゃないかと考えます。それらに関しましても、資料の六、七、八を御参照いただきたいと思います。 それから最後に、この研究報告書を読みます場合に、いつでも問題になるのは、この研究用資料米の品質がはっきりしない。厚生省は三三・八%あるいは七%と表示して配給いたしたけれども、これが外見上七%あるいは三三・八%のものとは考えにくいほどきれいなものであり、サンプリングに間違いがあって、いい資料米が配給されたのではないかというようなことが、研究会の席上でも問題になりましたし、またその方面の専門家の意見もございますが、そのために、われわれこの研究報告集というものを読みます場合に、いつでもそのことを考えに置かなければならない。 大体私の考えます点は、その四点でありますが、最後に総括といたしまして、黄変米と言いますか、カビの毒性に関する研究というものは、現在まだ未発表の段階にありまして、わからない点が非常に多い。これにつきまして早急に結論を得るということは、現在の学問の段階では困難なのではないか。従いまして、この動物実験にしましても、相当長期にわたる基礎的な研究から積み上げて、長期観察を十分にして結論をしなければならないし、わずか六カ月やそこらで全面的に結論を出してほしいというようなことでなくて、もっと基礎的に十分掘り下げまして、確実な根本的根拠の上に立って結論が出されるようにしなければならないのではないかと思います。 この程度で終ります。
○中村委員長 山内参考人。
○山内参考人 私は厚生省と農林省の合同の協議会、サンプリングを主題といたしました合同協議会がございますが、それのまとめ役を仰せつかっております立場で、意見を申し上げたいと思います。今日参考人に出るようにというお話も、多分その事柄と思いましたので、その観点に立ちますお話を申し上げたいと思います。それで内容を、数字を申し上げますと非常にややこしいことになりますので、大体の概念的なお話の方を主にしたいと思います。 まず、この合同協議会というものができましたのは、昨年の八月だったと私は記憶しておりまして、第一回には出たのでありますが、それから二カ月余ちょっと外遊いたしまして留守にいたしました。その間にも、いろいろ委員の方々は調査御研究になりまして、今、高橋参考人からお話がありましたような点につきまして、委員の人たちは非常に心配いたしまして、何とかしてわれわれが毒性研究をやっていることに協力したいものだということで、これを委員各位の方に御連絡するようになったというのも、その一つでありますけれども、不幸にして、そのことは実際の役に立ちませんでして、今お話のあったようなことが生まれてきたのじゃないかと私は想像いたします。私、その毒性とか菌とかの専門家でありませんので、そういうことは一向わかりませんけれども、そのもとになる資料あるいはいろいろ研究いたしましたそれのやり方、それからそれのあとの処理というところに、やはりわれわれとしまして御協力できる面がたくさんある、またそうしなければいけない。こういう大事な問題になって参りますと、やはり現在の新しい学問を取り入れたやり方をやるべきであるというのが、私ちょうど留守のときでございましたけれども、委員会の皆さんの結論でありまして、そういう勧告をされておりまして、私帰って参りましてから、十二月の初めごろだったかと思いますが、それから毎月約一回ぐらいの割合で寄りまして、いろいろ具体的に話も伺い、また調査もいたしたのでありますが、その結論といたしまして、大体今お話にもちょっと触れられておりましたが、現在の検査方法というものが、こういうふうに非常に重大なものになって参りましたものを対象にしますと、非常に頼りない、これは何とか現在のものをよくするということに努力しなければならない。これはサンプリングの合同協議会ができました第一の目的かと私は推察いたすのでありますが、あまり金をかけないで、またあまり大規模な拡張を行わないで、何とかしてこれをいい方向に持っていく、わからないにしても少しでもよくしようという努力を皆さんがやられまして、このことは、さらにわれわれといたしましては、現在の問題よりも将来の問題といたしまして、実際の輸入米の様子を知るということ、それからその中でどんなふうになってくるかということ、こういう病変米が混入しましたのは、どういうふうにして入ってくるだろうかというふうなことをいろいろ調べ上げる。そういうことがさつぱりわかっていない。貯蔵の方法もどうであったろうか、集め方もどうであったろうかという現地の方から関連いたしまして、われわれは検査という立場に立ちまして、現在できる範囲内において、少くとも合理的な方法を何とか見つけ出したいというのが、皆さんの努力でありました。 最後に二月でしたか、実際われわれ具体的な計画を立てまして、現地で積み込むときにそのサンプリングを取る。そうして燻蒸したものと、しないものと一緒にしまして、その様子をわれわれとしては調べてみようという問題に取っ組んだのであります。これは三月、四月以降、その協議会がどういうわけでありますか開かれないようなことになりましたので、停頓状態になっておりまして私非常に残念だと思っておる次第であります。 とにかく大へんな問題を解決しなければならぬ。サンプリングという問題は、非常に大事な問題でありまして、実際の配給というものを対象にして考えてみましても、これは大へんな問題であると私たち考えますので、みんなでほんとうに真剣になって討議されておるのであります。 それで、検査をできるだけ安くして的確なものを得るという考え方に立ちまして、いろいろ議論をしておるわけでありますけれども、その根本は何かといいますと、やはり菌の毒性であります。毒性を対象にした検査をしなければ、ほんとうのことは言えない。従って、われわれといたしましては、毒性の研究をやっておられる方に、ぜひ早いところ何か結論を出していただきたい。その結果をつかみまして、われわれといたしましても、サンプリングを合理的にし、かつ具体的に配給をするときにも、なるべく誤まりのないようにする。これは多量のものでありますから、百パーセント保証するわけにいかない、これは当然のことであります。また非常に金のかかることでありますから、百パーセントの金をかけたら、えらい高いものについてしまうということでありますから、どうしても合理的なサンプリングを実施するということに努力する以外にはないと思うのであります。そういう観点に立って参りますと、やはりわれわれが考えましたところでも、相当考えられるところがございますので、それをかねがね御当局の方ともお話し合いしておったりしたのでありますが、私、わずかな短期間でありまして、また菌あるいは毒性といった関係について、ずぶのしろうとでありますから、十分にはわかりかねますけれども、私、こういうことだけは、ここで皆さんに申し上げることができると思います。 この問題は非常に重大な問題だということは、皆さん、すでに御承知のことと思いますが、これをやりますに、ただいま高橋参考人のるる述べられました点も、その一面だと私思うのでありますが、これは何とかして国会あるいは閣議、そういうふうな最高機関において、根本的にお考え願って、当局としてこれからどうするかということをおきめ願う。それには日本という国は、幸いにして能力のある国でありまして、米食人種十億といわれておる中で、この問題を解決するのは日本だけであると私思うのでありまして、米を食わない国民だと、こういうことに少しも興味がわかないわけでございますので、日本としては、ぜひこの問題に真剣に取り組むべきである。事ははなはだ重大でありますし、また伺うところによりますと、これは非常に長期にわたる問題でありますので、やはり相当腰を落ちつけて、国として基礎的な研究から固めていく。過去のいろいろなデータを、ただ分析してどうするというようなことであっては、解決のできない問題でありまして、むしろいろいろな専門の人たちが寄りまして、これを徹底的に、基礎的に研究し終って、実際に米を食べる人たちが安心して主食として食べていくことができるというふうな努力をすべきであるというのが、私の数カ月に得ました結論でございます。 これは一回どこかでそういうことを訴えて、ぜひそういうふうに国として動いていただくということを希望いたしたい。いろいろ金のかかることでございますし、また知能等も必要なことでございますが、ぜひそういうふうにしていただきたい。われわれ国民一人一人が安心して食べられる、またひいては、米を食べておる十億の人たちが、安心して米を食べていくという問題を考えますと、やはりそういうことを一つお考え願いたい、これが私のかねがね何カ月かの間にいろいろお話し合いしてきました最後の結論でございます。 それで、合同協議会としましては、計画的にやっておりますので、これもさらに進めたい所存ではおるのでございますけれども、まだ進んでおりません。しかしこのことは、空白の何カ月かがありますと、それだけ研究がおくれますので、何とか努力したいと思っておる次第でありますが、それよりも、さらにここにおきまして将来の根本的な対策をお考え願いますれば、私、非常にありがたいことだと思いまして、今日実はこういうふうに参考人として出ろというお話がありましたときに、ようやくそういう発言をさせていただく機会を与えられたということになりましたので、私はむしろ感謝いたしたいところでございます。 はなはだ内容のないようなお話をいたしましたが、何か御質問がございましたら、またあらためて申し上げることにして、一応これで私の申し上げることを終りたいと思います。
○中村委員長 角田参考人。
○角田参考人 米に寄生するカビと俗に広くいいますと、だいぶ数がありまして、現在大体五十種くらいあります。それの中で、黄変米々々々と広い意味でいいます黄色い米は大体十五、六種類、それですから、黄変米という言葉自体が、少々あやしい言葉にな。てきておるのです。それで、人間が食べて工合が悪いというものは、現在のところでは、一番最初発見された黄変米という名の米です。これとイスランジア黄変米それからタイ国黄変米、これが現在やりだまに上っておるのです。では、そのほかにあるのかないのかという問題になってきますと、まだほかに五、六種類早急に研究しなければならないものが登場しておる。それですから、将来の研究というものは、非常にぽつぽつやらないと、おそらく黄変米ばかりを追っかけたら、黄変米はなくなったけれども、ほかのものが今度はうんとふえてきたというような時期が、また来るだろうと思うのです。 それで、米のカビというものは、一つのカビをやかましく言いまして防禦しましても、必ず次にまたほかのものが被害をなすというような場合が多いのです。それはどういうわけかといいますと、米というものは、水分でカビの発育を調整するよりほかに方法がない。水だとか蒸気だとか熱とかいうものは、米にはほとんど使えない関係から、菌を殺すとすればガス殺菌、このガス殺菌も、表面は死にますけれども内部はほとんど死なない、こういう状況で、内部まで死ぬようなガスを使えば、これは人間にもやはり影響が出るようなものが多い、こういうわけです。そういうふうですから、どうしても水分で調整する、カビのあまり動かない限界内に水分をしてしまう。そうすると、今度はそれに対応する非常に乾燥したところでも生育でき得るカビがまた米の上へ登場する。大体そういうふうにして、いたちごっこのような、ちょうど六百六号ができてからきかなくなってしまって、ペニシリンができて、このペニシリンもまたきかなくなる時代が来るだろう、こういうふうになれば、ちょうどいたちごっこです。それですから、徹底的なことをやってしまわない限りは、これはおそらく難を免れられないということを、しょっちゅう考えるわけです。 それから、黄変米は果してどのくらいの毒だろうか、どうなんだろうかということを、よく聞かれるのですけれども、毒ということだけは確かなんです。それは現在も、培養上のものからきれいな結晶が得られまして、そしてそれを注射して肝臓の特定の障害を起す、その障害と、それから今度は米に寄生させてきた米を食べさせて起した障害とが一致する。そうすれば培養基の中にも、それから米に寄生させた米にも、とにかく同じ毒物が入っておるということは、もう間違いないことです。それですから、自然のはどうなるのか、こういうことになってきますが、自然のものは単純な寄生です。一種類の寄生しかないために、やはりほんとうに真剣に研究に取りかかっても、これはかなり無意味なものである。それですから、どうしてもみんな培養の方面から入っていくような始末ですから、自然のものは、培養の方から推察するというような立場になると思います。それと、騒動が起きてから急いで研究者が取りかかって、ここにちようど一年と幾日になると思います。そういうふうですから、大体こういうふうな未知の研究は、半年や一年では、やはりほんとうの仕事にはならないのです。自分がイスランジウム菌を見つけ出してから発表の階段までいくのにも、三年くらいかかっております。幾ら総力をあげてやってみたって、やはり初めてかかる人は、これから勉強というところですから、これは一年ぐらいでは完全な報告にはならない。それから、未知の人がたくさんかかってやってみたって、これはエネルギーの消耗であって、決して真の研究を得られるものではないと考えます。 それでは今後の問題はどうしたらいいかというのが、自分たちの考えの一番の大きな問題です。米は幾ら豊作になったって、かなり不足するのですから、それだけは輸入するということになりますと、これはもう検定機関の確立よりか方法がないと思うのです。それで、無検定のものを食べるよりは、とにかく検定してあるものを食べた方が安全だということは、だれでもおわかりだと思うのです。それでサンプリングの方で、これなら大丈夫だというふうにサンプリングの方法を考えていただいて、その方法によってサンプリングしたものから検定して、それで、ないものだったら、一応安心して食べられるのじゃないかというのが私の考えなのです。それですから、どうしても早急に検定機関の確立だけはやっていただきたい。現在幾らがんばってみても——全量を調べているというように言うかもわかりませんが、これは大きな単位によって抜き取りをやって調べているのであって、まず安全な小刻みなサンプリング方法で検定する能力は、まだ決してないものだと思います。それですから、今も高橋先生から説明されたように、やはり家庭に入ったものを培養すれば出てくる、こういうわけです。事実自分の家へ配給になったものでも、イスランジア菌もチトリヌム菌も検出しております。それで、自分の立場としては、とにかく一%をこえたものは、これは自分は全然受け取っておりません。一%以下のものは、とにかく自分も一つ実験動物になるのも手だと思うから食べてみておりますが、そんな調子で、ですから、外米は一年に何回か、受け取る回数の方がちょっと少いのです。そういう状態です。 それで、騒ぎが起きてから、果して米がよくなったかどうかという問題ですが、これは騒ぎになってから、向うの海外の認識が高まったのと、もう一つ、こちらから技術者が相当派遣されている関係から、現在入ってきているものは、相当質がよくなってきております。そういうことは確かに言えます。以前みたいにまつ黄色な米が入ってくるような例は、全然ありません。それですから、ここでもう一息サンプリングなり検定なりを確立して、もう一段よくして安心した米にして食べたい、こういうことを私たちは考えております。 あと私はあまり長くしゃべると、今度は専門的になつちゃって、皆さん聞いても、ちょっとおもしろくないと思いますので、あとは質問によってお答えいたしたいと思います。
○中村委員長 それではこれで参考人の方々の御意見を終りまして、質疑に入ります。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 先生方に二、三お伺い申し上げたいと存じます。こちらはしろうとでありますから、一つそのおつもりで、わかりますようにお答えを願いたいと思います。 第一に伺いますのは、高橋先生ですが、黄変米が配給されておるという御説明がございまして、この要約した資料に分献六とか書いてございましたが、これはちょっと私聞き漏らしましたのですが、どのくらいのものがどこで配給されたものを検査されて、何ほど出たという御説明でございましたか。
○高橋参考人 これは先ほど差し上げました変質米検定試験結果というのが、東大農学部農芸化学科の黄変米研究グループから出ておりますので、この三百二検体の中から、十七検体、イスランジアが八検体、チトリヌムが九検体、検出しておりまして、期間は昨年の九月十六日から今年の五月二十八日までであります。どこの場所から持ってきた資料かということは、この第一ページのところに出ております。
○吉田(賢)委員 山内先生に伺いますが、サンプリングは非常に重要な問題と存じております。そこで、現在行われております方法は、各輸入しました港で、船の中で何袋かの何分の一かというものを、さしを突っ込んで、そうして持ち出してきたものを肉眼検査するというのが、第一段階らしいのであります。ところが、現地におきまして、たとえば大阪、神戸のごときは、何十万トンも輸入いたしておりますけれども、検査官は二人しかおりませず、これが大阪、神戸かけ持ちいたしておりまして、たくさんの各種輸入食糧について、いろいろと検査をしなければならぬ責任がございますので、なかなか思うようにできておらぬのが現実の実情であります。従って、大阪などにおける黄変米貯蔵量というものが、現在非常に少量になっておるのでございます。そこでサンプリングを最も適正に行うには、どういう方法を用いればいいのでございましょうか。
○山内参考人 ただいまの件につきましてお答えしますが、実は現在施行しております方法を伺いますと、実にびっくりするほど少い。それで、先ほどお話のありましたような、実際に黄変米も配給されておるなんということは、そういう結果から出てくるのだと思うのであります。これを、現在どうしたら一番いいかという御質問だと私思うのでありますけれども、この合同協議会におきまして、その点につきまして、最初からいろいろ調査し研究をしておるのでありますが、何分にも実情がつかまれていないというのが現在でございます。従って、われわれとしまして、何が一番合理的であるかということを結論を出すまでに実は至っていないのであります。それで、先ほど申し上げましたように、われわれとしましては、少し膨大過ぎるかと思いましたけれども、計画を立てまして、実際の調査を始める。その結果に基きまして、われわれは合理的にサンプリングの方法と形式をきめようというふうな計画で、ただいま進んでおるところでございます。
○吉田(賢)委員 現在燻蒸が行われておりますが、これはメチルプロマイドによると説明を聞いたことがあるのでありますが、燻蒸によりましても、澱粉層の菌は死滅しないようにも聞いておるのであります。その辺につきましては、これはどういうことになるのでありましょうか、これはどなたからでもけっこうでございます。
○角田参考人 燻蒸した場合にどのくらい死ぬかという問題ですけれども、大体倉庫でやりますと、十三段くらい積んであるのが現在の倉庫の常識です。そうしますと、上と下とは死ぬ率がずいぶん違うのです。それで、上の方だったら、メチルブロマイド千立方尺に対して一ポンドの割とすると、ほとんど死にません。それから一番下の方の俵となりますと、ほとんどこれは死んでおります。そういう状態です。それで大体一メートル行くごとに死ぬ率が三分の一くらいになっております。それですからせいぜい三メートル以上になりますと、もうほとんど死なない、こういう状態であります。
○吉田(賢)委員 そうしますと、澱粉層に入っております菌も、やはり死ぬというふうに判断していいのでありますか。
○角田参考人 そうすると、一番下の段の一番下に積まれたものならば、澱粉層に入ったのも、かなり深く入ったのも死ぬということがいえるのです。それですけれども、中心部附近に入ったものは、これは死にません。
○吉田(賢)委員 そういたしますと、実数量にいたしまして十三万余トンが、現在全国的に貯蔵されておると、別の委員会で農林省から報告を受けておるのです。これは全部燻蒸されておるということになっておりますけれども、やはり下段の比較的完全に死滅するものもあり、だんだん上段になりますとあるいはほとんど死なない、もしくは死ぬ率が非活に希薄になる。死ぬ率が希薄になれば、温度その他の菌の生育条件が整っておりさえすれば、あるいはだんだんと繁殖するという可能性も考えられるのですが、そういうことも想像し得られるのですか。
○角田参考人 一番菌の寄生しやすいのは、倉庫にある場合は一番下段です。それからはいの周囲が先にやられる。これは外米の普通の水分の場合ですね。上の方はむしろ乾燥するから変化が割合に少ない。そのかわり虫害は非常にひどい、こういうところなんです。
○吉田(賢)委員 燻蒸で完全に菌を死滅することは、今の実情としては困難であるということになりますと、さすれば、これは当然の結論にはならぬかと存じますけれども、米粒の中に深く菌が侵入していくということもいわれておりますし、現に農大あたりで実験いたしました結果によっても、そのように出ておるのでございます。かりに一〇%ぬかを出していわゆる再搗精をするといたしましても、必ずしも菌を全部なくすることはできないというふうにも、その面からも結論づけられるのでないか、こういうふうに考えるのですが、この点について高橋先生いかがでございますか。
○高橋参考人 「科学」の別刷りがございますが、この中の二枚目にグラフが書いてあるところがありまして、グラフのすぐ横に表がございます。ここに、つき直しをした場合の中心部の培養成績が出ておりまして、これを見ますと、削り取ります前に数%のごく軽い感染のものは、大体削りましたあとで〇%になっておりますが、八〇%とか九〇%という濃厚感染を受けておりますものは、削りましても、やはり三〇%、九九%、八六%というような相当高率な培養成績が出ております。これは東京農大の方でも、衛生試験所の方でも、両方とも出ております。こういうのでありますから、十分の一削りましても、カビをすっかり取り去ることは、米によってはできないものが当然あり得る。 もう一つ考えなければならないことは、ばい菌ですと、菌を殺しますと大体毒性はなくなりますが、カビの毒は、カビを殺しても依然として残っておるという点が、ばい菌と違う点であるということをお考え願いたいと思います。
○吉田(賢)委員 少し毒性について伺ってみたいと思うのでありますが、一体このイスランジア黄変米のいわゆる毒物というものは、どういう正体であって、どうしてこれが発生するのであるかということは、もう結論をつけておられるのでございましょうか。
○高橋参考人 私もカビの専門家でございませんので、はっきりお答え申し上げかねますが、大体学会報告その他文献などを読んでおりますところによりますと、その正体はまだはっきりわかっておりませんですが、先ごろの薬学会では東大の薬理学教室から報告したものによりますと、カビの菌体そのものの中から、ピグメントXという名前のついております黄色い色素が取られておりまして、それからもう一つ、培養液をこした中から、白色の結晶が取られております。その両方ともに、かなり微量で動物にひどい障害を起す。そのピグメントXの方は、大体肝臓の脂肪変性を起す、白色の結晶の方は肝臓の蛋白変性を起す、その両方をつき合せますと、ちょうど黄変米そのものを食べさせた場合の病変に非常に近いということから、この二つがイスランジア黄変米の毒素の本体ではなかろうかという推測が出ておるようでありますが、このピグメントXと称するものは、科学的にどういう構造を持っておるか、白色の結晶が科学的に何であるかということは、現在まだ確定いたしておりませんけれども、大体蛋白の分解産物であるところのアミノ酸が数種類くっついたポリペプチッドじゃないだろうかということがいわれておるようであります。
○吉田(賢)委員 そうしますと、イスランジア黄変米菌というものは、今お述べになりましたような強烈な毒素を持っておるというのですか、出すというのですか。そういう人体に大きな障害を与える菌でございます。このイスランジア黄変米というのは、前のタイ国黄変米に比べて、さらに肝臓障害を起す強烈な力があるというふうにも聞き及んでおるのでございますが、タイ国黄変米の毒素に比較して、イスランジア黄変米の毒の強さは、どのくらいになるのでしょうか。そういう比較はできないものでありましょうか、それはいかがでしょうか。
○高橋参考人 これも、私、専門外でございますが、文献によりますと、大体十グラムのマウスを殺します量は、タイ国黄変米菌の毒素でありますチトリニンは六百ガンマー。ところがこのイスランジアの方でありますと、数ガンマーでありますから、大体百倍程度の毒性の違いがあるのではないか、文献から見ますと、そういうことが言えると思います。
○吉田(賢)委員 そういたしますと、タイ国黄変米の毒性に比べて、イスランジア黄変米は百倍も強い毒性を持っておるということでございますが、このイスランジア黄変米の毒性の研究、もちろんタイ国黄変米についても同様でありますが、すでに発見されました三種の黄変米の毒性の研究、あるいはその動物機能に障害を与えるいろいろな研究の方法の対象もあろうことと存ずるのでありますが、そういったことにつきましては、今どういう研究機関があるのでございましょうか。
○角田参考人 研究機関は、去年からだとしますと、十三研究機関が、タイ国、イスランジア黄変米の研究に着手したわけですが、昔からやっていた研究機関というのは東大の小林先生の班が一つだけでございます。あとはみな新しく入ったところで、とにかくおもしろそうだからやろうというような気分が、半分まじっているのじゃないかと考えます。そういうふうですから、研究というものは、もっともっと根本的に総合的にでき得る機関がほしい、私そう考えておるわけです。基礎がなければ、いかに議事堂で論議してみても、結論が出ないと思うのです。それですから、政治に支配されないような機関で、基礎研究をうんとやらなければどこまで行っても、いたちごっこになってしまうのじゃないか、こういうように考えます。なるべく政治に支配されないところで基礎的にやって、それを今度各機関が応用した方が、むしろ効果的だと考えます。
○吉田(賢)委員 非常に重要な御発言と思います。ただ皆さんの御意見を伺っておりますと、たとえば、現実にはわれわれの食っております外米にも、多量の黄変米が出てきたという実験が報告され、また重要なサンプリングにつきましても、まだ確実な方法が結論づけられておらないということであり、あるいはまたイスランジア黄変米にしましても、その毒性の研究がまだ十分に結論づけられておらない、こういうことも伺い、またあちらこちらで十三機関ですか、東大は前からの伝統によって、その他は新しい研究、こういうようなことでございますと、日本人八千万、全部米食民族でございますが、今世界的に見ましても、御承知の通りに、おそらく米食民族は地球上十億をこえるといわれておるのでございます。そういうことも思い、あるいは肝臓障害が指摘せられておりますが、米食民族に肝臓障害が一番多いということも、これまた専門家によって説明せられるところでございます。黄変米の毒素で肝臓に障害を起し、肝臓病になっておるのかどうか存じませんが、いずれにいたしましても大へんなことでございますので、これはほんとうに基礎的な研究をあらゆる角度から——植物学的にも、医学的にも、その他化学的にも、生理学的にも、いろいろな角度から基礎的な総合研究を長い年月にわたって山内先生がおやりになったということをお述べになりまして、まことに感激をもって伺い、また長期にわたって腰を据えて、ほんとうに基礎的研究をすることが重要であるということを御要請になって、私もしごく同感に思うのです。また今、角田先生は、政治に支配されない研究機関がほしいとおっしゃっておられましたが、それはどうしてできないのでしょうか。またそういう機運が興らないというのですか、学者がないというのでしょうか。あるいは一般に黄変米については、学界では相当知れわたっておると思いますが、世間的には必要が感じられないというのでしょうか。何かもっと基本的な総合研究機関が早くできそうなものだと考えるのですが、学者の御研究になっておるお立場からいたしまして、その点については、どういうふうに考えておられるでしょうか。またどうすればいいというように考えておられますか、山内先生並びに高橋先生からも御意見を伺いまして、私の質疑を終らせていただきたいと思います。
○山内参考人 私の意見は非常に素朴でございまして、はなはだ申しわけないのでございますが、こういう問題に取っ組み方というところに、相当問題があるのではないかと思うのです。たとえば、サルを使っていろいろやられるという場合に、それは研究者としては、それをやられるのでありますけれども、それのバックになるところの理解がない。研究をやろうと思っても、先ほどのお話のように、非常に長期にわたって非常に手の込んだ、注意深い用心によってやらなければ、効果が出てこない種類のものだと私は思いますので、そこに相当国として考えられるバックが必要であるというふうに考えるのであります。ただ、何もなしにやれやれといわれても、また大事だから、研究者としても国民の健康に関することでありますからやりたいとお考えになりましても、手が出ないというところに、第一の問題があるように私は思うのであります。それから、一体研究者はおるのかいないのかという御質問でありますが、これは相当いらっしゃるのであろうと思うのであります。ことにこういう問題になりまして、若い人たちのそういう意気込みを買っていけるような機関ができましたならば、必ずそこでは成果があがるようにできると思うのであります。長い間自分も研究をやり、また人と一緒にやってきました立場から見まして、こういう重要問題ということになって参りますと、そういう人を集めることも、そういう人たちを激励して効果をあげていくということも、私は日本におきまして可能だと思います。根本は国としての理解、あるいは国としての方針というところに、私は非常に問題があると考えております。
○高橋参考人 なぜこういった総合的なカビの研究機関ができないかということに関しましては、やはりばい菌そのものの研究が、明治の時代から進みまして、抗菌物質というようなものが出て参りまして、私たち患者の治療上ずいぶん楽になって参りましたので、ばい菌に関しましては、若干問題はまだ残っておりますけれども、大きな問題はだいぶ解決されてきた。しかして、われわれ人間が次に生命を脅かされるものは何かといいますと、病原微生物の中では、カビではないかと考えております。カビというものは、今後医学の領域において重大なる脅威になるということを、現在あまり認識されていない。そのために、カビの問題として取り扱われたというような考えがございますので、それで総合的な根本的な対策が立たないのではないかと思います。カビとばい菌とは、相互にせり合う生活状態をしておりますので、身体の中でばい菌を徹底的に抗菌物質で殺してしまいますと、中でカビが生えてきて、カビのために肺がやられる、あるいは胆嚢がやられるというようなことによりまして、そういった病気が発生することが逐次わかってきております。そういうことなどからも、ばい菌を殺し過ぎたために、カビに殺されるということが十分考えられるのでありまして、この点、やはり医学界も、またそれに対します厚生当局もよく考えられまして、来たるべき事態に備えて、十分そのカビの生態、人体に対する影響、カビの生理、病理というものを研究しておく必要があると思いますが、その点の認識がまだ十分でなのいではないか。一時的にこれを過してしまえば、それだけで問題が解決するというふうに考えておられるために、根本的な対策がなされないのではないかと思います。
○吉田(賢)委員 最近アメリカにおきまして、たとえば、カリフォルニアはもちろんでありますが、テキサス州あたりで、米作が非常に盛んになってきたと聞いておりますが、同時にまた、日本の黄変米の問題が、政治的にもまた学問的にも非常に重大な関心を集めているというので、アメリカにおきまして、黄変米の毒素の研究その他、要するに黄変米の研究は相当盛んになりつつあるとかいうふうにも伝え聞くのでありますが、その辺について、何か角田先生、お聞き及びのことがございましたら、一つお知らせ願いたいのであります。
○角田参考人 私は不勉強で、実のところあまりよく知らないのですけれども、向うの試験所あたりから、私の日本語で書いた報告をくれという手紙が来るところを見ると、やはり向うも相当関心を持っているのじゃないか。それでアメリカがこれに手を出した場合は、おそらく日本の研究なんか全然追っつかないと思います。向うは何しろ物量のある国だし——カビの学問は、実のところヨーロッパがずいぶん進んでおりますけれども、それは昔が進んでおったのであって、現在では、カビの学問はアメリカが一番進んでおります。それですから、アメリカがやるとなったら、日本の一年が向うの一日くらいだろうと思います。そういうふうですから、向うでも日本へ加州米を送るために、検定員に衛生試験所の平山先生なんかを向うへ引っぱったのも、まあ向うは商売ですけれども、一つの関心を持った現われだと考えられます。
○滝井委員 関連して一、二点お尋ねしたいのですが、三先生からいろいろ御説明を伺いましたが、主として恒久的な対策の御説明があったように聞き取れたのです。黄変米の問題は、やはり当面の問題として、現在日本にあります十五万トンばかりですか、この米が厚生省で、一割の再搗精をやるならば食っても大丈夫だという、一、二カ月前に新聞紙に出たところから、再びこういう問題をここで取り上げる格好になったわけです。というのは、それで配給していいかどうかということについて、厚生行政の面から見て、われわれは自信をちょっと持てない感じがする、そこでこういうようになったのだと思います。そこで、現在日本にある黄変米らしきものを配給していいかどうかという点が一つ。 第二番目は、今毒性の研究、それからサンプリングの取り方、あるいは輸入外米の検査方式の問題、あるいは外地における貯蔵方法その他、こういうものは、同時に恒久的な今後の黄変米輸入を阻止する面として、当然これは検討していただくし、また入ってきたものを早く抜き出して、大衆に危害を与えないようにすることは当然だと思います。しかし、当面ある米をどういう工合に処理したら一番いいと、学者としてお考えになるか、これをまず御説明願いたいと思います。どなたでもけっこうです。
○山内参考人 私、先ほども申しましたように、毒性の方のことはわかりませんのですが、こういうことは考えてもいいのじゃないかと思うのであります。それは、配給されますものを対象にして、われわれはもう一ぺん検査をやり直す、そういうことをやりまして、この場合に検査のやり方、抜き取り検査のやり方、それから検査を実際やります培養検査等につきまして、サンプリングの方の専門の人と毒性の方の関係の方と一緒になりまして、百パーセントとは言えませんでしょうけれども、事、はなはだ国民全体として大きな問題でございますから、もう一ぺん慎重にやり直してみたらどうか。しかる後に、その結果、悪いというものが出ましたならば、それはやめるとか、その中で半分でも食えるものがありましたならば、救うという方法を具体的に考えたら、ああいう膨大な金を使っていることでございますから、できる可能性があるのじゃないかというふうに私は想像するのです。これは行政の方のお方と話を何にもしておりませんのでわかりませんけれども、私自身の従来の印象から申し上げまして、そういう道があるのじゃないだろうか。そういうことは、一応そういう人たちが寄って真剣に話し合ってみたらどうだろうかというように私は考えます。
○滝井委員 なかなかいい発言をいただいて、けっこうだと思います。その場合に、もう一度検査をやり直すということになりますと、さいぜん角田先生からの御答弁がありましたように、なかなかカビの研究というものは、そう三カ月や六カ月ではいかないのだ、相当じっくり基礎から長くやって結論が出てくるようなものだという御発言があったのですが、その点の矛盾ですね。ある程度抜き取り検査あるいは培養検査をやるについても、サンプリングの専門家や毒性の専門家が集まれば、これは現在配給に反対賛成の両方あるように承わっておりますが、賛否両論の人がひざつき合せれば、どうでしょうか。短期間で、たとえば三カ月か六カ月で結論が出るものかということが一つ。 第二には、現在日本に黄変米の疑いをもって貯蔵されている米が、すでにこの問題が起ってから六カ月以上になると思いますが、さらに六カ月することによって、さいぜんいろいろカビのはえ工合が、下から中位が多い、上は中ぐらいだというようなことをおっしゃっておりましたが、それによって、日本はタイその他と違って、だいぶ気候条件も違いますから、カビの発生の状況は少いとは思いますが、さらに黄変菌の発生がふえることがありはしないか。この二点について、どなたかからお答え願いたい。
○角田参考人 大体それを貯蔵してあるものに対して、菌がふえるかふえないかという問題ですが、これは相手が培養素と同じものですから、ふえないということは言い切れない。大体今日のようにこういうふうに非常に乾燥する時期ならば現状維持、それから秋の初めと梅雨季にはふえます。 それからひざを交えて早急に配給の問題を解決する、これは私は可能だと考えております。毒の正体そのものは、大体どのくらいのものだというところまでもつかまれている状態です。それが一ハッチ二千トンくらいの量のところで検定したのですから、非常にいいのもあれば悪いのもある。非常にまざっているわけですから、今仕分けしてあまり大きくない山にしまして、それからサンプリング方法によるサンプリングをやって出ないものならば、とにかく絶対安全だとは言えないのですけれども、その場合はやはり研究者の私は食べます。その検査したものならば、私は食べます。そういう状態です。それで今までのような、とにかく大きなブロツクによる検定であったならば、これはやらない方がむしろ勝ちです。それでいいものと悪いものをきっちり分けまして、そうして配給に回せるものは配給に回す、それからアルコールに向くものはアルコールに向ける。それは学者がひざを合せて検討をすれば、必ず早急に結論が出るものと確信します。
○滝井委員 楠本さん、おいでになっておりますので、お聞きしたいのですが、今、角田さんから御意見がありましたように、現在貯蔵しておるものは、可能性からいえば菌が増加する可能性が多いと発言がございました。同時に、配給に賛否両論あるけれども、ひざを突き合せて意見を交換して、サンプリングの取り方その他大きな山でなくて、少くとも中山ぐらいにしてやれば結論が出てくるだろう。それならば学者も食う、こういう非常に大胆な御発言もあったのですが、厚生省としても、これは現在食管特別会計というものは、すでに莫大な赤字をかかえて、減収加算あるいはその他いろいろな問題で、どうにもやりくりがつかぬという情勢、その上にこの黄変米が加わってくるならば、ますます食管会計というものはどうにもならぬ問題が出てくるわけです。従って、食管特別会計を救う上からも、この黄変米の問題というものは、早く解決することが必要だと思う。これをこのままにしておれば、次の通常国会で、さらに食管特別会計というものはまた問題が出てくる。こういう点から考えて、どうですか、厚生省は賛否両論のある学者を急速に集めて——「自然」のここにも「科学者は、口でどんなきれいなことをいっていても、結局は権力にこびへつらうものであり、人民のための科学という立場から最も遠い態度を示すものだといわねばなるまい」ということを書かれているし、さいぜん、政治に支配されぬところでの研究が必要だというような御発言もあった。そういう点から考えて、これはやはり研究者の方々が自由に討議ができて、自由に一つ結論が出せる姿を、厚生省も謙虚な態度でお世話申し上げるということで、この問題を早く解決する必要があると思うのですが、厚生省でそういうことはできないものでしょうか。
○楠本政府委員 お答えを申し上げます。ただいまの御指摘の点は、私ども全く同様に考えておりまして、私どもといたしましては、昨年来あらゆる関係方面の学者の先生方に、とりあえず食品衛生調査会の委員になっていただきまして、場合によりますと、たびたび夜を徹して論議したこともございます。それで、一応結論として得られましたものが、再搗精をすれば食べてもよろしいというこの間の意見でございました。しかしながら、私どもとしては、これは米の配給その他食生活に関しますことは、国民感情の点もありますので、その点はきわめて慎重に考えて、一応その結果を農林省に学者の一致した意見として伝えてございます。しかしながら、ただいま申しますように、食生活の点は、これは国民の感情もございます、慎重に扱わなければなりませんので、いまだこれは実施に至らぬ状況でございます。ただ、私どもがお集まりを願いまして、とりあえず厚生省の委員としていろいろ御討議を願った先生方の間には、もちろん今日参考人としてお集まりの東大グループの責任者の先生にも入っていただいております。またこの問題に一番いろいろ異論のあられる農業大学の三宅教授にも、たびたび委員会に御出席を願い、あるいは話の込み入りましたときは、特にお互いに実験成績を持ち寄って虚心たんかいに話し合いをする。もちろんこの場合には、私ども行政当局は参加せずに、学者の自主的な考え方によってお互いに資料を持ち寄り、研究成績を持ち寄り、あるいは材料、場合によりますと顕微鏡さえも持ち寄って、いろいろ討議したこともございます。それが本来のことでございますが、しかしながら、従来、御指摘の通りに、私どもとしてはやって参ったつもりでおりますが、しかし何がゆえか、いまだこの辺の問題が遺憾ながら十分片づいておらぬように存じます。しかし私どもとしては、これは投げておるわけではございません。ただいまお話がございましたように、また再びこういうようなことを、まじめに関係者の自由な討議によって解決の方向に持っていきたいという点については、御指摘の通りでございまして、今後もその努力を続けて参りたいと、かように考えております。
○滝井委員 再搗精をすれば食ってもよいという一応の結論的なものが出ておったにせよ、やはり、なおそれについて、相当多くの学者の間に反対論があったとするならば、これは謙虚な態度でそれらの学者の意見も十分聞いて、少くとも大多数の学者がこれならばという納得のいく線で一つ出すように、今後とも努力が、少し言いわけみたいになったようでもありますが、できるかできないか。これは国の財政問題にも関連をしておる問題でございますので、どうでしょうか、いろいろ強硬な反対論もあるようでありますし、それらの方々も集まっていただいて——これは国民の食糧問題でもあるし、国の財政に関連する問題でもありますので、かみしも着せなくても、集まっていただいて、一つざっくばらんに、フリー・トーキングの形にでもしていだたいて、そうしてそれぞれ討論をした上、結論を今度持ち帰って、もう一回お互いに研究して寄るということになれば、それにそう期間をかけなくても結論が出るということは、角田さんあたりもおっしゃっておるわけですから、一つここ、そういうことがやれると言明がおできになりませんかどうですか、もう一度御答弁願いたい。
○楠本政府委員 御指摘のように、私どもといたしましては、一日もすみやかにさような結論を出して本問題を解決いたしたい、かように考えております。誠意を持って考えております。ただし、学者の一致した意見ということになりますと、これはなかなかむずかしかろうと思います。たとえてみますれば、現在もう何十年と長く私どもは行政的に種痘を実施しておりますが、種痘の実施についても、これは学界に意見を聞けば、必ず何らか意見が出てくる。あるいは最近国会においてBCG問題、これはすでに行政の線に乗っておりますが、これとても、やはり国会においていろいろな議論が戦わされ、甲論乙駁という状況でございましたので、そこに学者の全く一致した意見というだめを押されては、私どもといたしましては、この際必ずしも——そう努めたいのです。誠意を持って努めますが、そこのところはお約束の限りではなかろう、かように考えております。
○滝井委員 私の申し上げるのは、そういう厳密な意味の——いろいろ科学的な討議によって当然賛否両論が出てくる。しかし、BCGの問題にしても、種痘の問題にしても、これはやはりBCGを接種した方がいいのだ、あるいは種痘をした方がいいのだということは、大体常識論として出てきておるわけです。どんな問題でも、強硬な一人か二人の反対論者というものはあるものです。けれども、これは、大勢はよかろう、良識というものがちゃんと見ておるわけですから、楠本さんはそう御心配は要らないと思う。この問題にしても、国会内部のわれわれでさえも、まだなかなか、先生方の御意見も聞いてみると、必ずしもこれは再搗精すれば大丈夫だと言うだけの常識が出てこないところにこの問題があるわけです。けれども、大勢として、常識として、これならば大丈夫だということになれば、世論はこれを配給していただいて食うことには、おそらくやぶさかではないと思う。ところが、なおこういう具体的な実験を持って反対をしておる相当の学者があるところに問題がある。だからその反対をされる学者の意見も聞いてやるだけの襟度と忍耐力は、これは私は行政当局は持つべきだと思う。これは、何も一人か二人の反対のためにやるなというのではなくして、常識論が一応大勢を決定すると私は思う。そういう点が出てくれば、これはやっても差しつかえないのではないか。そういう意味で、あなたの方で一つもり一回——これはいろいろ面子というようなものもありましょうけれども、これはやはり国の財政の問題と国民の食糧の問題ですから、面子を捨ててもう一回やってもらえぬかということです。いろいろ詳しく言わずに、やりますということか、やらぬということか、それだけ言ってもらいたいと思います。
○楠本政府委員 それは一つ早急に、さように取り運びをいたします。
○滝井委員 そういうことを特に希望いたします。 それから山内先生にちょっとお伺いしたいのは、四月以降合同協議会ですか、これがどうしてか開催をされない、こういうことでございましたが、開催をされない具体的な理由はどういうところにあるか、これが開催をされていけば非常にいいのだがという御発言があったと思うのですが、これを一つ御説明願いたい。
○山内参考人 実は私わからないのです。なぜかわからない。とにかく年度が変ったために、何かしら変ったことがあるのじゃないかと想像するだけであります。私、わかりません。 それで私、実はそれの世話をやることを仰せつかっておるものですから、しかるべく御相談してみたいと思ったのですけれども、はなはだ申しわけないのですが、いろいろなことに取っ組んでおりまして、具体的に運べなかったというのが、また一つの原因かと思います。
○滝井委員 これは楠本さんおわかりだと思いますが、山内先生の御発言にも、やはり今後基礎的な研究から片づけていく、そのためには、やはりその合理的な方法を見つけていくためには、そういう協議会を開いて、サンプリングの取り方その他をすみやかにきめていく方がいいだろうというお話があったのです。これを開催すれば、問題は案外早く結論が出てくるのだ。ところが、それが開催をされない、どうもその理由はわからぬということですが、あなたの方でおわかりなら一つ開催されない理由を御説明願いたいと思います。
○楠本政府委員 これは私どもの方と農林省の方とが相談をしつつ実施をいたしております。なぜ最近ちょっと中休みをしておるかという点は、私も実はよく承知をいたしておりませんが、かようなものは毒性の程度というものがわからないと、科学的なサンプリングを考えることはできないというようなことで、その毒性について委員会の中で甲論乙駁があったために、一応待っておるのだというような事情を、係官から聴取をいたしておる次第であります。
○滝井委員 先に結論が——不平の人も賛成論者もみんなやるという結論が出て、こういう質問に入るのはまずかったのですが、毒性がわからぬということで、協議会が開かれぬということの前に、米は再搗精したら配給してもよかろうという結論が出ておるのもおかしな話で、これはいろいろ尋ねておれば、また問題が紛糾いたしますから、私の希望としては、一つ賛否両論のある学者をひざつき合せて、あなたの方で世話をしていただいてやることをお願いして、私はこれ以上質問をやりません。
○中村委員長 長谷川保君。
○長谷川(保)委員 私ちょうど本会議で討論をする役を仰せつかっておったものですから、せっかく先生方においでいただいたのに、お話を承われなかったのですが、かねて書類、他の研究会等の席上で、一応ある程度の常識は持つことができるようになっておりますので、この際伺ってみたいのであります。 先生方の方からいただいたのでしょうか、今この資料を見ますと、一応イスランジアあるいはタイ国黄変米等につきまして、毒性があるというように考えられるわけであります。先生方は、学者としてお考えになりまして、無毒であるということの証明は全然できないということが断言できるのでございましょうか。あるいは、すでにそのことは御証言なすったかとも思いますが、これらのイスランジアあるいはタイ国の黄変米の菌の毒というものは無毒だということは、学者としては絶対言えないのだ、こういうことは明確に言い切り得るのでしょうか。
○高橋参考人 お答えします。最初のうちは無毒だとは言えないということしか言えなかったのでありますが、その後厚生省で出しております研究報告書をしさいに調べてみますと、この「科学」という雑誌に載せました論文の最後から三ページ目のところに表がございます、ここにチトリヌム黄変米とイスランジア黄変米につきましての、厚生省が配りました資料米につきます自然米の実験成績が一覧表にしてありますが、これを見ますと、その資料米そのものが、どの程度の病変米であるかということが遺憾ながらわからないのであります。そうしまして三三%とか七%とかいう、高率なものではなく、もっと品質のいいものであるらしいという、そういう条件下においてでありますけれども、この程度の病変が確実に認められております。でありますから、当初無毒であるとは言えないということしか言えなかったのが、現在においては、有毒であるということは確実であるということが言えるのではないかと私は考えます。しかしこの米は、果してどの程度の黄変米であったのかということが、最初にお話ししましたように、サンプリングの手違いによって確証がない。それで、どの程度の黄変米をこのくらい食わせると、この程度の変化が出るかということもわかりませんものですから、これは品質の明確な資料でもう一度再実験しなければ、それでは現在倉庫にあるものを食わせていいかどうかということを、科学的に判断する根拠とはなし得ないのではないかと考えます。
○長谷川(保)委員 お話のように、どうもこの問題は、私ども釈然としないものが感ぜられるのであります。サンプリングそれ自体に問題があるといたしますならば、その後の研究は、それ自体が非常にあやふやなものになるのでありまして、どうもそのサンプリングということ自体に、すでに政治的な圧力がどこからかかっておるのではないか。政治的な意図が加えられておって国民の保険衛生のためにほんとうに無毒なものか、有毒なものかを厳密に調べるという態度が失われておるのではないかということを、私どもこういう方面の責任を持つ者として非常に心配しております。前にも聞いたことがあるのでありますが、部長に伺いたいのであります。今、黄変米として積んであるものは一体どれくらいあるのですが、金額、量を伺いたいと思います。
○楠本政府委員 現在約十五万トンでございまして、これを金額に見積りまして約百億でございます。
○長谷川(保)委員 ここに私は非常に問題があると思う。こういう大きな数字を見ますと、どうしてもこれは政治的な圧力がかかりやすい。当然またそういう配慮をするのも、一つの考えでもありますが、何にしても有毒だということになっておる。しかも、学者のある方々におきましては、常識的に考えて、再搗精しても毒性は必ずしも消えるものではない、こういう意見が相当にあるということは非常に問題だと思う。この際どうしても政治的な圧力を一切かけないで、純粋な意味で、これを一つ検討する必要があると思うのであります。何らかの政治的な配慮が加わっているのでしょうか。部長の立場としてそんなことは言えないかもしれませんが、どうでしょうか。何とも言えないなら、何とも言えないと言って下さればいい。
○楠本政府委員 この問題に関しましては、これはきわめて技術的な、学術的な問題でございまして、政府の立場では、何ら政治的な意図というようなものはございません。現に農林大臣並びに厚生大臣は、たとい損失があっても、国民の食生活に対し不安を与えることはおもしろくないので、これを配給したくないということを、国会におきましてもはっきり言明されておるのでございます。その一事をもちましても、政府の立場では、何ら政治的な意図というものはないと確信しております。私どもはその意図から、もっぱら純技術的な、純学術的な問題として検討いたしておる次第であります。
○長谷川(保)委員 どうも今積んであるものだけでなしに、何らかの意図をもって相当配給されておるものがある。資料として、昨年の九月十六日から以後本年の三月二十八日までに依頼されて検査いたしましたものの成績表をいただいたのでありますが、それによりますと、ずいぶんたくさんの黄変米が配給されておる。こういうものは、一体どこから出てくるのでしょう。こういうものが出てくるのは、一体どこに原因があるのですか。
○楠本政府委員 私、まだその資料を確認はいたしておりませんが、おそらくさような結果になりますことは、先ほど参考人からも話がありましたように、これは私どもは全品検査をいたしておりません。大体約半量を港において検査いたしております関係で、半量のうちにさようなものが含まれておる、まあそれを事実とするならば、さように考えておる次第でございます。
○長谷川(保)委員 私はこの前も何べんも伺っておりますが、半量を配給されておるとしても、実際厚生省の方の検査官というのですか、検査員というのですか、その諸君の数からいって、とうてい半量などは検査できるはずはないと常識から考えるのであります。半量検査をよししているにしても、なお半量配給されるものでこんなにたくさんのものが出てくることは、実に容易ならざることだと思う。ですから、これは全然検査を通らないで、どこかでトンネルだか何だか抜けていってしまうやつがある。あるいははっきりわかっていながら、わざと配給しているものがあるか、どうもそんなやさしいことではなかろうかと私は思います。だから、あなたの考えで抜け道は全然ないとおっしゃるか、いや抜け道はどこにあるとお考えになるか、何かあやしいなと思うことでもけっこうです、どこかにないか、私に教えてもらいたい。
○楠本政府委員 私どもが検査の結果に基きましたもので発見いたしましたものは、逐次農林省に報告をいたします。農林省におきましては、それらの荷口は全部倉庫にストップとなって貯蔵しておきます。そのものが、現在十五万トンに達しておるわけでございます。ただ逃げ口と申しますれば、かような点があろうかと思います。たとえば、これをときどきアルコール原料等に払い下げをいたします。この場合に、かつての例から申しますと、それがアルコールにならずに、横流れをしたという例はこれは聞いております。しかし、最近はかようなものはいろいろ監督を厳重にいたしております関係で、全然ないものと確信いたしておる次第であります。
○長谷川(保)委員 ついでに伺いますが、アルコールにするとしても、こんなにたくさんのものの需要がありますか。もう一つは、アルコールにした場合に、政府が入れました値段とアルコールにするために払い下げをいたします値段とは、どのくらい違いがありましょうか、参考のために伺っておきたい。
○楠本政府委員 アルコール原料としてどのくらいまで消化できるかということは、十分承知をいたしておりませんが、アルコール原料といたした場合には、トン当り一万七千円程度と聞いております。従って、普通配給に乗せる米の約四分の一以下になるわけであります。
○長谷川(保)委員 そのくらいで処理できれば、需要さえあれば、アルコールにしてしまえばよい。こんなことで、国民に何も不安を与えておく必要はない。また、このように無毒だ、有毒だということで、学者の意見が対立しておるのに、再搗精をすれば差しつかえないということで売る必要はない。再搗精したものでも、それがそうだと言えば、おそらく国民諸君は非常な不安を感ずるだろうと思います。そのくらいの値段で売れれば、こういうものは早く処理してしまえばよい。そうでなかったら、大へんな倉敷科、倉庫料を出さなければならぬ。これは大へんでありますから、むしろ早く処理すべきだと思います。 それはともかくとして、どうも先ほど来伺っておりますように、これらの黄変米の処置についても、あるいは研究についても、どうも釈然としない。何らかの政治的な意図というか、圧力というか、そういうものがどっかからかかっておる。それでこれが十分釈然としたものにならない、こう思うわけです。この点は、先ほど来から、参考人の先生方もお話があり、滝井君その他の質問にもはっきり出ておりますから、どうかすみやかにこのことについては、一つ厚生省でも考えてもらいたい。また本委員会としても、こういうような不安のあるものをこのままにしておって、資料で見ますように、たくさん出ていくということになれば、これは重大なことでありますから、本委員会といたしましても、これはこのまま過ごさないで、委員長におかれても、あるいは理事諸君におかれてもよく相談して、すみやかに国家のためにも、国民のためにも解決すべきが当然であると思うのであります。これは理事会等においてぜひ諮られるようにお願いしたいのであります。 それから、再搗精の米を配給してよいというような通知が、厚生省から農林次官の方に行っておるようでありますが、いつごろからそういうことをしておるのでありましょうか。
○楠本政府委員 これは先ほどお答え申し上げましたように、各学者の総合的な研究等によりまして意見が決定いたしました。それを農林省に通知いたしましたのは二月二十八日と記憶をいたしております。
○長谷川(保)委員 これらの問題について、再搗精をしたものも十分安心ができるというものじゃないというのが、参考人皆さんの御意見のように伺っておりますが、さよう了承してよろしゅうございますか。
○高橋参考人 再搗製すれば大丈夫であるという根拠は、表面にだけしかカビがついていないということであります。しかし、私が検討いたしましたところによりますと、カビが表面だけにあって中に入らないという事実はない、中に相当高濃度に入っておる場合が存在するということでありますから、菌が表面だけあるという論拠は成り立たない、従って、つき直しても、大丈夫であるとは言えない。理論的にはもちろん言えませんが、つき直した米の中を十分の一程度にくり抜いて、その部分の培養をいたしましても、やはりカビが相当高率に出てきておりますから、これは理論的にも実際上にも、つき直せば大丈夫ということは言えないと考えます。
○長谷川(保)委員 三人の方々への質問は私はこれでよろしゅうございます。
○中村委員長 ほかに参考人に御質問ございませんか。
○吉田(賢)委員 もう一点だけ簡単に参考人に伺いたい。 角田さんに伺いますが、ただいま貯蔵しております病変米につきましては、イスランジア黄変菌が寄生しているのは、大体全量のどのくらいの割合ということになっておるのでありますか。
○角田参考人 お答えします。十五万トンあるうち、一万五千トンくらいがタイであって、あとは全部イスランジア黄変菌が寄生しておるものであります。けれども、単独で寄生しておるものは、おそらくはないのだと私は考えております。大てい両方寄生しておるのが多い、こういうわけであります。
○吉田(賢)委員 そうしますと、イスランジア黄変菌とタイ国の黄変菌とが、混在しておる、こういうような形になるわけですね。つまり、イスランジア黄変米のみにあらず、タイ国黄変米のみにあらず、一緒になって袋に入っておる、あるいは穀粒の中になお両者が存在しておる、こういうことになるのでしょうか、それはどういうことですか。
○角田参考人 お答えします。一粒に両方寄生しておるものもあります。粒別に寄生しておるものもあります。それですから、混在です。
○吉田(賢)委員 わかりました。それから滝井委員から尋ねなすった点について、もう一度全量を再検査したらよかろうという意見を山内先生がおっしゃっておられましたが、その点について角田先生に伺いたいのは、全量の再検査について、これは一袋ごとにということになるのでしょうか、一つの大きなブロックをさらに小さく細分してというその細分の大きさ、何袋ぐらいが妥当ですか。一袋ごとに検査するというのが全量検査なんでしょうか、その点どうですか。
○角田参考人 お答えします。サンプリングの研究データというのが、今まで一通もないのです。それで、この間初めて自分の方で作ってみまして、それから検討しますと、大体百トンぐらいの山にして、それでサンプリングの計算によるサンプリング方法でサンプリングしていったならば、まず危なくないのじゃないか、そう考えられるわけであります。
○吉田(賢)委員 よろしゅうございます。
○八田委員 ちょっと角田さんにお伺いしたいのですが、百トンぐらいの材料について、自分のサンプリング法によるサンプリングであれば安全だと言われる、サンプリングはそういう方法でやればいいのだという、一つのサンプリングの方法をお話になりましたけれども、それは厚生省の方にお話しになっておりますか。
○角田参考人 厚生省の方の小谷課長に一ぺん話したことはあります。それの裏づけになるデータそのものは、学会に発表してあるだけで、まだ実をいうと公表してありません。それですから、大体動きから見ますと、百トンか百トンを越えたものは、非常に危険性があるのじゃないかということが考えられ得るわけです。
○中村委員長 どうも参考人の方々ありがとうございました。お暑いところを恐縮でございます。 それでは黄変米の件は一応この程度にとどめまして、もし必要の場合はあとに継続することにいたします。 —————————————
○中村委員長 次に国政に関する緊急質疑に入ります。 配置売薬に関する問題につきまして発言を求められておりますから、これを許可いたします。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○中村委員長 速記を始めて下さい。 松岡松平君。
○松岡(松)委員 それでは薬務局長にお尋ねいたします。私の聞くことは、配置売薬関係の事項でありますが、約三点ほどお伺いして、政府当局の御意見を承わりたいと存じます。 まず第一に、配置売薬業者が取り扱うところの薬品の品目につきまして、だんだんと社会情勢も変って参っております。かつての徳川時代に取り扱っておりましたような反魂丹とか、クマの胆とかいうような程度の薬品を扱っておる時代でなく、だんだんと変っております。ことに今問題になっておりますビタミン剤の消費というものは、かなり家庭に浸透いたしておりまして、食料品の中にまでビタミンを入れて加工する、あるいはみその中に入れて加工する、その他たくさんビタミンの使用というものが、家庭食料の間に浸透してきておるのであります。しかるに、今なお配置売薬業者がビタミン剤を取り扱うことができない状態にありますので、当局におかれましては、このビタミン剤を配置売薬業者に販売させるということについての意図がありますかどうか、これを一つお伺いしたいのであります。
○高田(正)政府委員 松岡先生も御存じのように、配置販売は、店舗販売と違いまして、ああいう業態を持っておりますので、しろうとの家庭に長く置かれるものでございます。そういう関係から、品目については、おのずから配置に適当したような品目だけしか販売の対象として認めておらないのでございます。御指摘のビタミンにつきましては、ビダミンと申しましても、いろいろ種類がございますが、中には空気に触れますと非常に酸化されやすいようなもの、あるいは光線によって分解されやすいような性質のものもございます。それで一応ビタミンというものは配置販売として不適当であるという判断をいたしておったのでございますが、先生の御質問の御趣旨もごもっともと存ぜられますので、私ども御質問の御趣旨に浴つた線で各品目ごとに検討をいたしまして、御要望に応ずるような方向で一つ措置をしてみたい、かように存ずるわけでございます。全品目にわたることはむずかしいと思いますが、その製剤の品目々々について検討いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
○松岡(松)委員 ただいまの局長の御趣旨は、よくわかりました。ぜひともこれについて適切な措置を講じていただきたいと存じます。 次に、家庭配置薬の医薬品の範囲でございますが、これは少しくただいまのところ分明を欠いておりますので、業者といたしましては、店舗で売れるような家庭医薬品をもあわせて配置売薬業者に売らせても差しつかえないのじゃなかろうか、弊害はないのじゃなかろうか。ことにその販売に従事する人々に対しても、かなり教養を高めて、あるいは学校とか講習会とかによりまして、その知識の向上に努めておる現状でありまして、この実情にかんがみて、店舗で売れるような医薬品もまた、配置売薬業者に売れるのじゃなかろうか、切にその希望を持っておるのでありますが、この点に対する御見解はいかがでございましょう。
○高田(正)政府委員 御質問のお気持は、私も了承できるのでございますが、御存じのように、店舗で販売いたしますものにつきましては、店舗の物的基準等が登録基準にございまして、一番端的な例を申し上げますと、冷暗所というような設備とか、あるいはかぎのかかる設備がなければならないというようなことに登録基準がなっております。従いまして、そういう暗いところとか冷たいところに保存をしなければならぬような医薬品につきましても保存のできるような設備の基準を要求いたしておるわけであります。ところが、配置販売は、御存じのように持ち歩くものでございますので、さような登録の基準をこれに適用することも今日はいたしておりません。さような関係からいたしまして、品目の範囲を、店舗で売れるものと全部同じようにしてくれということにつきましては、どうもいささか無理だと思うのであります。しかしながら、おそらく、それはなるべく品目を多く認めてくれという趣旨に了解をいたしますれば、さような御趣旨は十分私どもも了承いたして、さような方向で考えて参りたい、こういうふうに存じております。
○松岡(松)委員 ただいまの局長さんのお説は、ごもっともでございまして、すべてのものまでに幅を広げてもらいたいという趣旨でなくて、現在の社会の実情に相応しまして、現在の状態では狭きに過ぎる。社会の実情なりあるいは配置売薬業者の進歩発展の度合いをも勘考せられまして、今ほどのお言葉のごとく、すみやかにこの点についての適切なる措置をぜひ希望する次第であります。 次に、ただいま配置売薬業者の登録の更新期間が、一年ごとになっておりますために、非常に手紙が繁雑をきわめるのみで、何らその間に特段の効果を生んでおりませんので、現在の実情から申しまして、これを三年までごとに改めることにしてもらいたいという業者の熾烈なる要求があります。実はこれについて、薬事法の一部改正を議員提出の希望がございましたが、これは、もし当局の方で近い機会に進んでこれに対する改正をしていただくという御意見がございますれば、しいてその手数をとらなくてもよろしいかと思うので、この機会にこれに対する政府当局の御見解を承わっておきたいと思うのであります。
○高田(正)政府委員 今日の薬事法におきましては、一年目ごと、すなわち毎年登録の更新をいたすという建前をとっております。これは製造業につきましても、あらゆる販売業につきましても、輸入業につきましても、全部同じでございます。その趣旨といたしまするところは、先ほど申し上げましたように、登録をいたします場合には、物的人的に一定の要件基準というものを満たすかどうかということを審査いたしまして、満たしておれば登録をするわけでございますが、それがいつもその基準を確保しておるかどうかということを保証いたしますために、一年ごとの更新をいたしております。従いまして、行政庁といたしまして、監督上の観点から申しますと、登録の期間は短かい方が適当なわけでありますけれども、しかし、また反面、行政上の繁雑さと、それから業者の負担というものも考えなければなりませんので、これをどの辺にすることが一番妥当であるかということにつきましては、私どもも研究をいたしておるような次第でございます。御質問は、配置販売だけの問題について、三年にしてくれというような御趣旨の御質問でございますが、これは今のようなわけでございますので、配置販売だけを特別に取り上げてどうこうというわけに参らぬと思います。従いまして、他の販売業も含めましてこれをどうする、何年にするか、それから製造業を何年にするかというふうに、全体的な検討をいたす際に、あわせて配置についても検討いたすということに相なろうかと存ずるのでございます。私ども近い将来におきまして、薬事法のいろいろな点についての改正を行いたいという意図を持っておるわけでございますので、その際におきまして今の御質問の御趣旨を十分くみまして、この問題についても検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○松岡(松)委員 ただいまの局長の御説によって、政府の意図もほぼ了解することができるのであります。今お説の通り、配置売薬業者のみについて登録更新を三年にしろ、ほかはどうでもいいという私どもの意見では決してございませんので、他との関係をよく勘考せられてこの点についての適切なる措置を講じていただきたい。ただ、現在の一年更新というのは、まことに繁雑でありまして、この点は至急に一つ措置を講じていただきたいということを希望いたしまして質問を打ち切ります。
○八田委員 関連して今の配置販売業者の問題について、一点だけお尋ねいたします。 配置販売業者が売ってはならない薬品が、薬事法の第三号表に載っております。また薬事法の第四十四条の第五号によりまして「薬剤師でない医薬品の販売業者であって、薬剤師を使用していないものが、厚生大臣の指定する医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列すること。」こういう禁止行為があります。ところがさらにこれについて見ますと、薬事法の施行規則の第三十条には「法第四十四条第五号に規定する医薬品は、別記第三号表の通りとする。」となっております。これはすなわち第三号表が配置販売業者の販売禁止の薬品になっておるわけですね。そうしますと、ざっとこれを見たのですが、この中にどうしてこれを禁止しているかわからぬようなものがあるのです。たとえば、含糖ペプシン、還元鉄、それから生理食塩水、マーキュロクロム、こういうものがあげられているのですが、こういうものを配置販売業者に禁止する意味がちょっとわからないのです。この点について、業務局長の御見解をお教え願いたい。
○高田(正)政府委員 これはどうも非常に技術的な御質問でございまして、即座にお答えすることができないので、一つ御了承願いたいと思います。
○八田委員 今、配置販売業者の販売薬種をふやす、広めてほしいという御意見があったものですから、三号表を見ますと、当然売ってもいいようなものまで禁止項目の中に入っておるので、お伺いしたのですから、よく御調査になっていただきたいと思います。
○高田(正)政府委員 よく調査をいたしまして、これから除くものがあれば、除くよう措置をいたしたいと思います。 —————————————
○中村委員長 次に、医療機関に関する問題について発言を求められておりますので、これを許可いたします。草野一郎平君。
○草野委員 私は国立足利療養所の問題について、お尋ねをしたいと思うのであります。 この問題は、さに本委員会におきまして、神田委員より質問がありまして、当局より御答弁があったのでありますが、そのことはきわめておざなりであったと思うのであります。その後、果して当局が、足利療養所の実態について詳細なる御調査をなさったかどうか。当時、足利療養所は争議を起しておりまして、十四項目にわたる要求事項を突きつけておりましたが、それらの詳細について知っておられるのかどうか。そういう事柄に関しまして、私たちは社会労働委員会から、各党代表という形で、去る二十六日現地視察を行なったのであります。一時間か一時間半で状態がわかるであろうと考えておったのでありますが、情勢あまりに深刻でありまして、私たちはそれがために、こちらに帰ってきたのが十一時ごろというほどの長時間を要して調査を重ねたのであります。その現地について私たちが調査いたしました結果に基いて、私はここにお尋ねをいたしてみたいと考えているのであります。 国立療養所というものに対して、厚生省は一体どんな管理をなしておられるのであるか。経営であるとか、人事であるとかいうその監督は、一体だれがしているのか。聞くところによれば、関東医務出張所というものがあって、そこに所長がいるそうであります。その所長が監督しているとか聞きますが、その程度でとまっているのか。厚生省はその報告だけを受けているのか、一体どういう状態でありますか。そのことをまず聞いておいてから、だんだん質問を進めていきたいと思います。
○曽田政府委員 療養所は、御承知のようにただいま百八十四ございます。これを私どものところから直接に、いろいろなこまかい点について指導監督いたしていくことは非常に困難でございますので、地区に分ちまして、その地方の医務出張所を設けてございます。その医務出張所が、さしあたりの問題につきましては第一線的に監督をいたしているわけでございます。しかしながら、十級職以上の職員、あるいは相当高額ないろいろな機械、あるいは工事等をいたします経費を支出する場合というようなことについては、一一本省の方でこれを確かめて、直接の監督をいたしているような次第であります。また療養所の運営の状態というものについては、これは時々所課長会議を催しまして、おるいはこちらから出向いて参りまして実情の調査をいたすということにしてありますが、現場へ私どもの職員が直接に参りますことは、なかなか頻々と参るわけにはいかず、また総括的な全般的な指導監督を、一時に行うことがなかなかできません。ときには施設関係の係の者が行き、ときには経理関係の者が行き、ときには医療関係の者が行くというようなのが実情であります。なお事務職員あるいは看護職員等についての、あるいは医師に対してもそうでありますが、講習会等について、随時職員を招集いたしまして、教育はいたしている次第であります。
○草野委員 なかなか現地を直接監督する機関はないとのお話でありますが、国立足利療養所は、昭和二十七年において、第一回の闘争が行われているのであります。そのときには、四項目の問題をひっさげて闘争をいたしております。すなわち水道の問題、さらに日よけの問題、不正給食費の是正、管理の不備欠陥の改善、この四問題をひっさげて闘争をいたしたのでありますが、自来三年を経過いたしまして、約一カ月前に再発いたしたのであります。そのときには、十四項目の要求事項を突きつけて闘争を開始いたしました。そのときの模様は、われわれ委員の方にも通報があり、さらに神田委員より質問されたのでありますが、その後の情勢につきまして、厚生省当局は現地を御視察になりましたか。その十四項目が、どういうふうに御解決になったと承知しておられますか。私は詳しいことを知っておりますが、果して厚生当局が知っておられるかどうか。
○曽田政府委員 実情を御承知の上でお尋ねになっているので、試験を受けているような気持がいたすのでありますが、この事件が起りましたのは、具体的には六月の十六日に、いわゆる患者大会が開かれまして、所長退陣を含むそのほか十三項目の要求が出た。その後、いろいろ所長が回答をいたしまして、その回答が不十分であるというようなことで、遂に患者のすわり込みが起った。それに対しまして、地元関係の国会の先生方及び県の議会に出ておられる方々が仲裁に立たれたりしまして、すわり込みは一応解かれた。またその際に、所長といたしましても、これだけのことを処置はいたしましょうというようなことを申したようでありますが、その中には、その後私どもの方に報告を受けたのでありますけれども、直ちに実施することが必ずしも可能と思えないというようなものもございます。特にその期日を切ってというようなものについては、他の施設との関係もあって、患者とあまりにはっきりとした約束をいたしますと、その約束を守れないよううなことがありはしないかというようなことも注意をいたしたこともあるのであります。その後、所の幹部と患者といろいろと折衝をいたして——これは数回持たれているのでありますけれども、六月の二十八日ごろから施設側と患者代表と、いわゆる懇談会というようなものを開きまして、そうして文書でもって患者と施設の方との申し合せ、覚書を交換したいというような話になりまして、お話のように、七月四日にもう一ぺん集まりをしておるようであります。それから七月六日に、一通り話をつけたというような形になっておるのであります。この十四カ条の患者の要求というものにつきましては、一応私どもが報告を受けておりますのは、また私どもの方からもある程度指示をいたしたような事情もあるのでありますが、それに基いて、施設の方で患者と話を大体進めました。 一つは、医療内容を充実して、からベッドを解消するということについては、これは当然、医療の内容を充実することは所の責任でございまして、そのためには、この施設の整備及び職員の充実をはかっていく。一時は七十床くらいからベッドがあったということでありますが、ただいまこれは幾分ずつ減少してきておる。 それから、このことはその次の問題にも関連があるのでありますが、外科医による手術を行なって、カリエスの専門医を招聘してもらいたいということであります。これは定員の関係から、直ちにというわけに当時はいかなかったのでありますけれども、せめて非常勤の職員というものでも招聘いたしまして、そうして患者に対し、ある程度の外科手術が行えるようにいたしたいということで、これは大体人選も済んで、もうすでに行き始めているのではないかというふうに、私どもは承知いたしておるのであります。具体的にだれに頼むというようなことは、大体話をきめたのであります。しかし、この点につきましては、この前に御質問がございましたときにも申し上げたのでありますが、私どもの二百近い施設のうち、私どもとしましては、外科治療に重点を置くか、あるいは長期の安静療法を主とするかというようなことについては、これはやはり療養所療養所に特徴を持たすべきだというように考えておるのでありまして、足利につきましては、これが外科療法を中心とする療養所として将来進んでいくかどうかということについては、まだ疑念を持っておるのであります。しかしながら、とりあえず非常勤としましても外科医を配置いたしたいということは、私どももその方針でおるわけでありまして、そのような措置をいたしたわけであります。 それから面会所を作ることということは、これは当然療養所には、面会所を設くべきものであります。患者の方からは、何か二カ所ぐらい作ってくれという話があるようでありますが、二カ所の必要は必ずしも私ども認めないのでありますが、少くとも一カ所は設くべきであるというふうに考えまして、これは私どもも直ちに設けようということで、現在とりあえず病室の一つか何かを充てておるはずだと思っております。 その次には外気舎の廃止の問題であります。この外気舎は、かなり方々の施設にもあるのでありますけれども、御承知のように、むしろ戦争前に作ったものが多いのでありまして、結局言いかえますれば、小さな小屋でございまして、従って恒久性が非常に乏しいのであります。荒廃もいたしております。それに対しまして、最近におきましては、治療として、昔のように日光とか単純に空気とかいうようなことだけで療養するという考え方は変って参ったのであります。進んだ外科療法とか、あるいは化学療法というようなものになってきましたので、軽快期にある者にしても、これはばらばらに生活するよりも、やはり、むしろまとまった、整った病棟に患者を収容するということの方が、より合理的であるというような考え方になってきておるのでありますが、今日使い得る外気舎を、直ちに取りくずすというようにも考えておらぬのでありまして、ことにこの足利の場合としましては、足利で外気舎を直ちに全廃するというようなことは考えておりません。所の意見がどういうふうに患者に取られましたか、患者がこの問題を出しておるようてありますが、所の回答といたしまして、直ちに外気舎をつぶすというようなことはいたさず、外気舎に収容することが適当だと医師が認定した患者は、外気舎に入れるということを申して、患者もこれを了としておるようであります。 第五番目には、外出、外泊の制度を簡単にしてもらいたい。何か患者の言うところによりますと、刑務所のように非常に厳重に取り締っておるというようなことを言っておるようでありますけれども、ともかく病院に患者を預かる以上は、これはもちろん患者の自由を束縛するという意味ではございませんけれども、療養のために病院や療養所に入所するという以上は、その医師の指示によります療養方法、療養生活を厳重に守っていただくというのでなければ、十分な診療は行い得ないのでありまして、無断で外泊とか外出をするというようなことは許されないことであるというふうに、私どもも考えておるのであります。ただ、この制度をあまりに繁雑にするとか、外出泊を願い出ても、その許可が出るまでに非常な手間を取るとか、あるいはまた不公平な取扱いがあってはならぬ。この手続を簡素化し、またこの許可の制度をできるだけ公平にいたすということは、患者の要望を十分いれて実施していきたいということを申しております。 それから、これは非常に具体的なことでありますけれども、六番目に、ある病棟の主治医が非常に不親切である、あるいは医師として技能的にも信頼が置けない、これを更迭してくれ、この話は、実はこの問題か起きます前から聞いております。それで、本人にも申し含めて、大体交代するということに話はきまっておったのでありますけれども、後任者を求めることが、必ずしも直ちにできなかった関係というようなところで、少し手間取っておったのでありますが、その後は、たしかこの医師は、現在はやめておるはずであります。そして直ちに適当な後任者を補充するつもりでおるわけであります。 それからもう一つは、いわゆるマイクを作って、そうして患者にも使わせろというような要求があるのでありますが、このマイクは、私どもが聞いておりますのでは、何か多少故障しておるそうであります。マイクにつきましては、便利な点もあるのでありますけれども、新しい近代的な療養所においては、このごろはマイクを使わぬというのが、むしろ方針になっておるのでありまして、軽症者には、むしろレシーバーによって、ほかの者のじゃまにならないように、いろいろラジオですとか何だとか、そういうものを聞かせるという方針になっておるのでありまして、私どもは、どこの療養所でも、マイクをこしらえて、そしていろいろなことを公正に患者に知らせることに、患者に対してもこれを使用させるということは、必ずしも本筋だとは考えておらぬのでありますが、患者の希望というようなものは、この所の患者に対してお世話いたす上に妨げがない、あるいはまた患者が、大きい声でもってマイクで鳴り立てますことをいとわぬというようなことであるならば、支障のないように気をつけてならば、ある程度使わせてもいいじゃないかというこを、所から患者にも申しておるようであります。 それから入浴場でございますが、これは足利だけではございませんで、私どもが頭を痛めておるものの一つであります。これは患者ばかりではございませんで、職員に対しましても、浴場が非常に不備であり、中には広ささえも不足であるというようなところが多いのであります。足利におきましては、一応職員用が二つあってそして患者用が一つであるということでございまして、患者からは、ぜひ患者用を二つにしてくれという要求があるのであります。これは私どもとしましても、職員ががまんをしても、むしろ患者のサービスを先にすべきであるというふうに考えておりますので、所の方としましても、さように考えて、とりあえず職員用の一つを患者の方に回すというような措置をとったはずであります。 それから九番目には、患者と職員の調理場を別にしてくれということでありまして、この問題も、ときによりますと、他の施設でも問題になることがあるのであります。しかしこれは、ときによりますと患者の誤解もあるのでありまして、患者の中には、療養所の炊事場施設というものは、患者の給食だけのものだというふうに考えておる者があるようでありますが、私どもとしましては、患者及び療養所が給食の責任を持っております職員に対する調理というものも、これは行うべきものである、看護婦の生徒等に対しましては、同一の調理場、調理道具でやるべきものというふうに考えておるのであります。もちろん、これはやり方としては、全然別個の調理場を作っていけないということはないのでありますけれども、経費の非常に緊迫しております現状としては、同じしかけを二重に整える必要はないのであります。ただこの際、患者から不平が出ますもののうち、私どももっともだと思いますのは、患者の食品の材料、それから職員に給します食品材料というようなものとが、ことに経費といたしましても、これは両方平等でございませんで、職員の方が幾分安くなっておりますので、それを一緒にされると、結局予算としては患者よりも低く見積られておる職員に患者の費用がみな食われてしまうのじゃないかというような心配を患者がいたします。私どもは、さようなことのないようにということを申しておるのでありますけれども、ともすれば、患者から指摘されるようなことが、あるいはあるかもしれぬということをおそれます。少くともそういうおそれを生ずるような体制になっているのはおもしろくないという意味で——飯のようなものは、同じものでございますけれども副食物等で患者と職員に給するものが違いますときには、別々に調理をする、そうしてその両者の間に混淆が起らないように明確にいたすようにするということで、施設の方から、このように取り計らいたいということは患者に申しておるようであります。施設は、私どもが考えておりますよりももっと進んで、場合によれば、そこにスクリーンのような、板ででも仕切りをしようというようなことさえも言っておるようでありますが、私どもは、設備がありますならば、はっきりと両者に分けることはけっこうであるが、同じなべ、かまを使うというようなことは、ときによれば必要なので、その際に、今の患者の食費が職員の食費に食い込まれてしまうというようなおそれ、あるいはそういう疑いを持たれるような運営をしないようにという方針でおるわけであります。 それから、患者の洗たく物を全面的に洗ってくれというようなことの注文がございますが、この全面的にと申しますのも、いろいろ限度もあるのでありまして、所の持っております洗たく施設というようなものにも、ある程度限りがございます。そいうような意味で、そう何でもかんでもというわけには今のところいきかねる、私どもとしましても、この炊事場及び洗たく場の整備ということには、今後努力をいたして参りたいと考えておるのでありますが、ただいまの所の能力から参りますと、所で給与いたしておりますシーツ、あるいはまくらカバーというようなたぐいの、いわば官給と申しますか、官から貸与いたしておりますいろいろ被服、こういうものにつきましては、大体週に一ぺんずつは洗たくいたそうということを申しておるのでありまして、余力があるならば、私物に対しても洗たくをするというのでありますが、こんなことを申し上げてはどうかと思いますけれども、洗たくにつきましても、再々洗たくをするということを喜ばない患者も実はございます。ことに私物の洗たくというものは、かなり看護婦あたりが勧めましても、被服が非常にいたむ。これは洗たくのやり方が下手くそな点もあろうかと思いますけれども、あまりそう再々やってもらいたくないというような意見もあるようなのが、これは必ずしも足利という意味ではございませんけれども、そういう問題がございまして、まず週に一ぺんくらいずつやるというところが適当なところではないか。足利でも、さように患者と話をしておるようであります。 それから被服費の問題につきまして、これは相当な被服費が予算には組んであるのだが、どうも自分たちは恩恵をこうむらないようだというような考え方、これに対しましては、実は本省におきまして一括購入をいたす値段が比較的安いというような点もありまして、特にシーツのようなものでありますが、一括購入をして現物で支給をする、こういうようなことが、患者に必ずしもはっきりいたしませんで、所が現金を持っておるのであろうというふうに考えられたようでありますが、実情はこのようであるということを話しまして、大体了解を得ております。 それからもう一つ、この問題について患者から不平が出ておりますのは、近隣のやはり療養所で、割合に豊富に被服を持っておるとところがあるのであります。足利に比べますと、たとえば病衣のようなものもたくさん余分に持っておって、そうして患者に貸してくれる。足利においてはそれが借りられぬ、全部私物でまかなわなければならぬというよなところが不公平ではないかというような不平が、足利の患者から出たようであります。これはこの療養所の中にも、いろいろございまして、業務関係の施設でございましたところは、比較的よけいに施設を持っております。それは事実であります。しかしながら、さればといって、これをほかの療養所に全部分けてやるというほどたくさん持っておるわけでもないというようなところから、必ずしも各療養所の入院患者に平等にこれを分けるということができず、多少の不均衡は起っております。このことに対しても、患者が不平を申しておったようでありますが、実情はかくかくということを説明しまして、これもおおむね患者は了承してくれたものと考えております。 それから、食事の運搬道路を作ってくれ、食事の運搬道路というのは、これは私どもの方としましては、必ずしも特別に設けるという必要はないと思うのでありますが、この足利の療養所は、炊事場の位置が悪くて、炊事場から他の病棟に配膳するというようなときに、いろいろ患者のじゃまになるというところから、コンクリートのような道路路を作ってくれということですが、これは大体所で一部は作ったという報告を私どもの方によこしております。 それから一番厄介な問題は、残飯の問題であります。これも理論的に言いますと、いろいろな問題があるかもしれませんが、私どもこの残飯というものは、一応患者に給しますが、患者がこれを残しました場合には、やはり所で処分すべきもの、所で管理すべきものというふうに私どもは考えておるのであります。ことにこの食事というものは、結核患者の療養には大切なものでありまして、どれだけの食事を給して、どれだけを患者が食べてくれたかということは大切なものでありまして、私どもとしても、各療養所に残飯量がどれだけ出たかということを、毎月報告させておるというような状況もあります。残飯の処理ということは、やはり所にやらせてもらうのが、療養所の管理上正しいのであろうということで、患者によく話をいたしておるのでありますが、この点については、患者はまだ必ずしも釈然とした了解を得ておらないというふうに聞いております。 それから最後は、所長の退陣でございますが、この問題は、もちろん施設長としては、患者と折衝すべき問題ではない。患者からは何と申されましても、所長としては何とも言えないということを言っておるようであります。私どもとしましても、人事、ことに所長のように最高の人事というものにつきましては、もちろん患者なり他からのいろいろな御批評は、すなおに耳を傾けて聞きはいたしますけれども、そのことをもって直ちに所長を退陣を命ずるというようなことは、軽々行い得ないということで、私どもは慎重に検討いたしておるのが現状でございます。
○草野委員 詳細な御報告、よくわかりましたが、その通りのものもあります。いささか違うところもあります。その通りの分というのは、たとえば食事運搬道路などというものは、完全に作られておりますし、あるいは面会所の問題なども、ある程度解決されております。しかし、私がこの問題をずっとながめてみますと、これはこれからがいよいよほんとうの質問でありますが、この十四項目の問題が出てくる根源は、一体どこにあるかということであります。この十四項目の要求の中で、四つないし五つというものは、三年前の闘争のときに問題になって未解決に終った水道問題に端を発しておるのであります。水が足らぬということが根本問題であります。水が足らぬから、ふろ場の問題が出てきます。洗たくの問題が出てきます。外科手術ができない、それらのことが出てくる。さらに水がきたないところに豚なんか飼っているから、ますますきたなくなるということの祈り重なった結果が、ますます向うの気分をくさらせるようなことになるのであります。この問題に対して、これは十四項目の中に入っていないのですが、この問題は、十四項目に先だって厚生省として考えなければならぬ問題だと思うのであります。ところが、私がこれだけ申し上げますと、向うの報告でずるずると御答弁になるといけませんから、私の調べてきたことを一応申し上げますから、一つしっかりお聞きを願いたいと思います。 この療養所というのは、御承知の通り、昭和十三年に県営の療養所として出発したものが、昭和十八年に大日本医療団の経営に移管したものである。二十二年に国立療養所の松寿園となったのであります。二十七年に足利療養所となった。その間だんだん拡大されたものだと思う。最初発足したときには、非常に人数が少かったので、その用水も、周囲の山から流れてくる天水と申しますか、沢水と申しますか、自然に流れてくる水を一定のところにためて、それをある程度濾過して用いることによって事足りたのでありますが、だんだん日がたつに従って、療養所も拡大され、治療方法も変化してくる。そういう実情から、水不足を告げるようになり、そういう結果が出てきたのであります。その水不足の結果がどうなったかといいますと、数年前には、すでに患者自治会が指摘して要望をいたしておるはずであります。昨年の四月と本年の三月にも、厚生省に陳情いたしておるはずであります。冬の十一月から二月あたりになりますと、冬季の渇水期でありますが、この期間は入浴が不可能であるばかりでなく、重症患者のいわゆる清拭といいますか、からだをふくようなことができなくなってきて、便器、たん器も洗えない、便所の水洗さえできなくなる、それほどの状態になる。夏の旱魃期になると、この病院は米をとぐことさえ不自由である。雨水をためておいてお米をといでおる。それが一たび大雨でも降ると、貯水池が一ぺんにあふれてしまって泥水になってしまう、どちらにしたって始末に負えない。私たちが行ったときは、旱魃の最もはなはだしい時かもしれませんが、その貯水池の流れてくる水というのはちよろちょろしております。あんなものは、一人か二人の後家さんの家でも、あれだけでは水は足りません。それが四百人の患者、職員その他の者がそこで生活をしておるのですから、どうにもなりません。まあ医務局長、一ぺん水なしに二、三日暮らしてごらんなさい、どうなりますか。あの精神状態が、生理的な枯渇が心理的な枯渇になってきて、ますますいらいらしてくるのです。だから、何でもないことまでがしゃくにさわってきて問題になる。だから、その辺にはべたべた紙を張る、何やら病棟の主治医はかわってしまえ、所長はけしからぬと言う。所長の漫画をかいて首に鎖をつけて引っぱっておるような絵かかいてある、とんどもない状態です。あんなことをして結核患者の療養ができるとお思いになりますか、できない。できない根源は一体どこにあるかというと、水なんです。その水の問題がさっぱり解決できていない、一体どうするつもりです。あなたは、おそらくあれは御承知ないでしょう。ここに写真がありますから、参考のためにごらんになっておいて下さい。私は誇張して申し上げておるのではないのです。さっぱりないのですからと、こういうことなんです。ほとんどない。だから、洗面所なんかありますが、水道のせんをぎゅとひねったところで、水はちっとも出てこない。どうにも仕方がない。おふろにも入れなければ、お米もとげない、洗たくもできない、便器、たん器は洗えない。こういうことで療養ができるか、外科手術ができるか、これは現実の問題としてできはしないのです。私はそこに一切の原因があると思う。ところが、その問題をなおざりにしておかれるということに、私は非常に不思議に感ずる。聞くところによれば、足利市の水道を延長すれば、足利市の負担と国の負担が七百万円ほどでこれができるという話です。現地用水の設備をすれば、三百万円ほどでできるという話です。そのことについて、厚生省としては、一体大蔵省へ要求されたのですか、しなかったのですか。要求はしたが、大蔵省が削ったというのですか、削られたから黙っているというのですか、一向要求をしなかったのですか。そのことから聞いて、だんだんもっと聞いてみたいと思います。
○曽田政府委員 十四項目についてということでお答え申し上げておったのですが、その根本的な問題ということについて、水の点を御指摘になりました。一体この問題をどうして気づかぬでおったのかというおしかりでございますが、このことは、委員の方々の中にもお覚えを願っておると思うのでありますが、たしか神田先生でありましたか、あるいは岡本隆一先生でございましたか、この問題を出されましたときに、私どもは、この十四項目よりも一そう先に解決すべきものがあると実は考えたのであります、その問題は水であります。そして、その水の問題は、私は整備課長をじきじきに派遣をいたしまして、解決させようと努力をいたしておりました。ところが、はからずもその後間もなくこの十四項目の問題が出て参りました。私どもとしては、いろいろ患者にも希望はあろうが、むしろ水の問題を先に解決すべきではないかと思っておったのですが、このような事情が出た以上は、これをも含めていろいろ検討いたしますということを申し上げて、たしか速記にも残っておるだろうと思うのであります。こういうような意味で、ただいま御指摘を受けました水の問題は、私どももきわめて重要だと思っております。私自身は、ずっと引き続き国会のあれもございまして——もちろんその前にも、行って行けぬことはなかったと思うのでありますが、詳細見ておりませんので、私よりは先生方の方がよく御存じだと思いますけれども、私も水の問題が、足利においてきわめて重要だということは承知いたしております。またこの予算の措置ということにつきましては、予算の措置も考えておるのでありまして、特に足利だけの問題として大蔵省に要求はいたしておりませんけれども、全般的な整備予算のうち、この足利の水の問題を解決するために、相当な経費を流さなければならぬだろうというふうに考えておるのであります。ただいまのところは、この足利の水道を引いたらどうかというお話もございましたが、私ども今考えておりますのは、いろいろ専門の者にも相談しておるのでありますが、一応現在の場所でも、適当な場所を選んで深堀り井戸をまず掘ってみるがよかろう、それでもって相当水量が得られるはずであるというように報告を受けております。もちろん試掘もしてみなければならぬと思いますが、それで解決がつきますれば、さように処置して参りたい。どうしてもその場所で水が得られませんでしたら、今の水道を引いて参るということも考究いたしたいというのが、ただいまの私どもの考えておる状況であります。
○草野委員 では、その水はいつごろに出るお考えですか。
○曽田政府委員 私どもとしましては、もちろん本年度予算をもって着手いたしたいというふうに考えておりますので、できるだけ早く取り計らいたいと考えております。
○草野委員 この水の問題は、今年度の予算でかかって、来年度中に完成してというような、そんな間の抜けた問題ではないのであります。数年前から問題になっておって、昨年のごときは、このために職員及び患者に四十名の集団赤痢が出たということを御承知でありますか、それほど困っておるのであります。今日ただいま、現実すでに水がないのであります。どうにもこうにもならぬのであります。だから、差し当っての問題として、水道が出るまでは給水車を持っていって水を供給するとかなんとかいうことを、なぜお考えにならないか。そこまで考えなければ、この問題は解決しません。そこで患者がいらいらしてきますと、病気が軽くなるどころか、ますます重くなってくる。死なぬでもいい病人が死んでしまう。若い連中が、ねじりはち巻きでスローガンを掲げて、がみがみと、安静にしなければならぬ連中がまゆをつり上げて、こぶしを振り上げてがなり立てたところで、そんなことで病気がなおろうとは、私は夢にも思いません。根本は水でありますから、もう明日からでもいいから、給水車を持っていって水を十分供給してやられるお考えはありませんか。これを局長にお聞きしたい。
○曽田政府委員 昨年から試掘等を始めておりまして、本年は三百三十二万円も予定をしておるのであります。局長行ってみろとおっしゃいますが、いよいよ本日国会が終りますれば、私もおひまをいただけることになりますので、一つ行っても見て参りたいというふうに考えております。ただいまのところ、私どもとしまして、先ほども申し上げましたように、いろいろ所課長会議等もやっておりまして、次長は明後日からすぐに出ることにしておるのであります。私も、すぐにというわけにいくかわかりませんが、できるだけ早くその現場は見たいと思っております。
○草野委員 できるだけ早くということでは、実は困るのです。なるべくならば、今晩にでも行ってほしい。ほんとうを言えば、どこかに給水車ぐらいあろうと思いますから、それを持って出かけていって、どんどんあそこでこんこんたる水がわき出てごらんなさい、一ぺんに物事は解決してしまいます。それが根本なのです。国会終了後出かけていこうなどという間のぬるいことでは解決できない。解決しないと、輪に輪をかけていろいろな問題が出てくるのです。どういう問題が出てくるかというと、患者が騒ぐ、職員が騒ぐ。所長やめてしまえ、何とか主治医どこかへ行ってしまえ、カリエスの専門医を置けとかなんとかいうことになります。そういう問題は、専門的立場でお考えになって、外気舎を設けることがいけないというならば、あるいは外泊、外出を無制限に許可することが医療上いけないというならば、いけないという立場を懇々と医学的な立場に立って御説明なさって、患者に了解を与えるようにしなければならないのですが、向うの精神状態が焦燥状態にあるときは、受け入れられないのであります。それというのは、水がないからであります。論より証拠、行ってあの中で三日もおってごらんなさい。私たちは行きましたが、それこそ茶わんに一ぱいのお茶をもらうのが大へんなことです。私たちは珍客でありますから、国会議員がお越しになったというので、向うでは、それこそ大騒動をして一ぱいの茶を飲ましてくれる。それが茶わんにほんの少し。もう一ぱいもらえないか、それどころじゃない、こういう状態です。これはここにおって涼しい顔をしておられてはだめです。これは早急にやってもらいたい。あなたに御誠意があるならば、明日の日曜の朝からでも出かけていって、あなたが行かれなければ部下でもやって、そうして給水車を持っていってやらなければ、どうしても解決できない。このことをしっかり御認識を願いたい。 それから、外科医とカリエスの専門医の問題、これは迎えるという話で、月に一回とか半月に一回とかやられるということですから、それはそれでいいです。ところが、ああいう結核療養所が、外科を本体とするか、あるいは長期静養を本体とするか、それぞれの療養所によって違うそうでありますが、しからば、あの足利の療養所に入っておる二百数十名の患者は、入ってから出ていくまで、ことごとくが長期療養とも限るまいと思う。外科を必要とする者もあろうと思う。あるいはよその病院に入っておる人で、長期静養を必要とする人もあろうと思う。しからば、長期静養を必要とする人と、外科手術をしなければならぬ人との患者の交代というようなことをやっておいでになりますか。あの病院で患者に希望があった場合、おやりになりますか。おやりになりました事実がありますか、それを伺いたい。
○中村委員長 曽田君に申し上げますが、時間がだいぶたちましたから、簡単明瞭にお答え下さい。
○曽田政府委員 さような方針でおりますが、私、何人動かしたかということは、まだ承知しておりません。
○草野委員 一つも動かしておらぬ。これはほんとうなのです。だから、どこかで手術してもらいたいと言ったって、手術に出してくれないそうです。そうして、一ぺん内科のお医者さんが手術して、しまったというようなことを言っておるのだそうです。それでは困る。こういうことは一つしっかりお考えいただきたい。これはあなたが出かけていって、現場の実情をお聞きなさい、重要な問題だと思う。 それから、この問題について話の要領もおわかりだと思いますから、どんどん質問を進めます。地元の足利市の大沼田町の中根というところで五十一、二戸の方々と療養所の間に、紛争が起っておる。それは中根川の用水問題も、こういう状態でだめだ。その上流に豚小屋があって、その豚小屋の汚水が流れてくるから、けしからぬと言って怒っておる。ことに結核病院から流れてくるのであるから、それに一ぱいぱい苗が入っておるように思っている。それが騒擾のもとになっている。さらに林道の問題があって、何か契約があったとかなかったとかいっておりますが、療養所の中を通してほしい、いやそれは通せないという問題があったのです。これは小さい問題ですが、落葉採集の問題で、買収に応じた元の地主が、庭の落葉を採集させてほしいという問題。あるいは急患の際には、療養所のお医者さんが往診してほしい、そういう問題が幾つかあります。こういう問題はささいなことですが、ささいなことであるがゆえに、細心な気持で御解決がいただきたい。これは局長にその実態を見きわめていただきたいと思うのです。 こういう問題は、今申し上げたごとく、きわめて安静を要する患者でありますし、その実態は水がないということが根本であります。十四項目の中の大部分は解決したかのごとくでありますが、なお解決していないということは、精神的な枯渇状態にあるということが根本でありますから、精神的にこの問題を解決してもらいたい。早急に解決になりますかどうですか。一つこのことはすぐにやります、水の問題はどんなにしてでも、タンクを持っていってでも水の供給だけはやりますということを、御返答いただきたい。そうしないと、あの患者のところには、外から部落の人も行くでしょうし、これに輪に輪をかける人もあるかもしれないし、そういうことでは、一大騒擾状態になって、あの静かな山のふもとが、そういうことで争議のちまたと、これは療養所どころではありません、闘争の場であります。早く出かけていって闘争状態を終結せしめ、二百数十名の患者に安静なる療養をなさしめねばならぬ。このことに対して、しっかりと責任を持ってお答えをいただきたい。その御返事をいただくことによって、この問題に対する私の質問を終ります。
○曽田政府委員 私の立場としまして、できるだけのことは責任を持っていたすつもりでおります。
○中村委員長 それでは神田大作君。
○神田(大)委員 今、草野委員から詳しく質問がありましたから、私は簡単に局長にお尋ね申し上げます。私は再三にわたって足利療養所の問題について、局長に御質問申し上げたのでございますが、その後解決していないようであります。騒擾が足利療養所に起りまして、水の問題がこれの解決の根本であるということを指摘されましたが、その通りでございます。このストライキが起きてから、一体だれを現地の調査にやったか、お聞きしたいと思います。
○曽田政府委員 関東医務出張所の事務官を派遣いたしました。
○神田(大)委員 名前は。
○曽田政府委員 はなはだ恐縮でございますが、私、今名前をちょっと思い出しませんのでございます。
○神田(大)委員 それでは、現地へ調査に行った者から、どのような報告を受けましたか。
○曽田政府委員 先ほど御返答申し上げましたようなものも、彼の報告が大部分でございます。
○神田(大)委員 それは文書で受けたのですか、それとも口頭で受けられましたか。
○曽田政府委員 今申しました者からは、口頭で報告を受けました。施設からは、文書による報告及び所長、庶務課長からも私は口頭で報告を受けました。
○神田(大)委員 口頭で受けたならば、あなたは調査に行った本人の名前はおわかりでしょう。
○曽田政府委員 おしかりを受けまして、はなはだ申しわけがないのでございますが、私も年を取り始めたのか、顔はよく覚えておるのでございます。背も高いし、あまり太っていない男でございますが、名前をちょっととこ忘れいたしましたが、今ちょっとしますと、すぐ思い出すと思います。
○神田(大)委員 それはどうも変だと思います。少くともこういう問題が起きて、しかも委員会で私が再三質問いたしまして、あなたがお答えになった問題で、現地に職員を派遣させて、その人から口頭で現地の状況を聞いたのに、その部下の名前を知らぬなどという、そんなばかなことがありますか。大体、あなたがいかに年を取ったといっても、そういうばかなことはだれも本気にしはしない。あなたは口頭で受けていないと思うのですが、どうですか。
○曽田政府委員 私は、ただ真実を申し上げるより仕方がないのです。まことに、ばかなこととおしかりを受けましたが、ちょっととこ忘れをいたしまして——すぐ思い出すと思います。
○神田(大)委員 私は今度の足利療養所の争議の問題は、そのようなあなたの、報告を受けた人の名前を忘れるというそういう不誠実さが長引かせるもとだと思う。問題はそこにある。それが現在の療養所に伝わり、現地解決においても、いろいろ問題を起しているのだろうと思うのでございます。けれども、私はあなたをここでつるし上げたところで仕方がないから、この問題はこの程度にいたしますが、一つ誠実に、二百何十人かの患者が、先ほど草野委員からも言われたような非常に神経質でもって戦っておられるこの民主化の問題とか、あるいは療養施設の改善の問題について、どうか現地へ行って実情を見て、早急に解決してもらいたいと思うのであります。私ら委員が行って一番驚いたことは、表門は非常にりっぱできれいで、建物は美しい。しかしながら、百メートルぐらい裏に入ると、きたない話でありますけれども、もう何十というくそだめがあり、そのわきに小川が流れておる。また飲む水道の中に虫けらが入っておる。私は、お暑いようですから水を上げましょうと言われたが、私は水は飲まぬと言って断わった。飲む気になれぬのです。少くとも医者が経営し管理しておるところの病院が、そういう不衛生なことを平然と行なっておる。しかも、一たび豚小屋に上ったところが、悪臭ふんぷんとして、いても立ってもいられない。御飯を出されたけれども、まずくて食べられない。同僚の委員が、神田君、そう神経質にならぬで食べたらどうかと言うので、やむなく食べたけれども、さような病院の状況は、現地に行ってみれば、患者がどうして騒ぐかということはすぐわかるのです。あなたたちは部下に調査をさせて、自分が調査をしないから、この問題が長引いているのだと思う。しかも調査した部下の名前がわからないというようなだらしのないことをやっているから、療養所の問題は解決しないのだと思うのであります。それで、一つこの問題は、草野委員も言われたように、早急に現地を調べて解決してもらいたい。これをぜひお願い申し上げます。 いま一つは、医者の待遇の問題であります。医者の待遇が、公務員法によって非常に低い待遇であると思うのであります。医者として技術者として現地において責任を持っている以上は、これにかなりの待遇をしなければならぬと考えますが、そういう問題について、医務局長はどのようにお考えになっておりますか、またどのような対策を立てておられますか。
○曽田政府委員 療養所の職員、特に医師の待遇がきわめて不十分であるということは、私も考えておるのでございます。これに対して、いかような方法で優遇の道を講ずるかということでありますが、根本的に申しますならば、初任給の格づけというものを上げてもらうことが、一番必要なことだと思っております。しかしながらこのことは、私いろいろ人事院の方と折衝いたしておるのでありますけれども、要するに学校教育あるいは学校を出ましてからもインターンその他で長年の修業をしておるわけでございます。いわば考えようによりましては、一人前になるまでに費しました技術修得の経費というものは、相当多額に及んでおるのであります。これに応じた給与を考えてもらわなければならぬというふうに思うのですが、遺憾ながら今日におきましては、たとえば他の大学の学科を出ました者は四年である、医師になりますのが六年、それにインターンが一年加わって三年長い、この三年間というものを、給与をもらって自分の生活費を得ながら三年間過ぎた者と、その間学費及び生活費を費して一人前になった者とが、今日においては同じ給与ということになっておるのであります。私は根本的にはここに重大な欠陥があるかと思っております。このことは、人事院の方にも申しておるのでありますけれども、人事院は、この考え方を採用するということになれば、大学とそれから高等学校だけの者、あるいは中学校だけの者との給与の体系を、みなその考え方でもって是正していかなければならぬ、これは非常に大事業でもあるし、また経費としても非常にかさむものであるから、その考え方は検討しよう、しかしながら今すぐに実現するわけにいかぬというような返答を得ておるのでございます。今日におきましては、この医師に対しましては、個人々々に与えておりませんけれども、施設内においていろいろ行います研究費というようなものの増額によって向学心を高める。間接には、自分の生活費をさいて勉強しなければならぬのでありますが、さような点に幾分でも負担を軽減するという方法をとりたい。あるいはまた結核とか、らいとかいうような特殊な疾患を取り扱います者に対しては、特別に調整号俸というものによりまして、若干プラス・アルファの給与を与えるというような方策をとって、現実にも実施いたしておる次第であります。
○神田(大)委員 この問題は、療養所に関して非常に大事な問題だと思うのでございます。いろいろこういう問題が出てきますと、よく足利の療養所の所長は、こういう山の中には、どうせ医者は来ないのだ、こういう山の中へ来ているのは大したものなんだというようなことを、口に出すか出さぬか知らぬけれども、そういうそぶりを見せる。そういうことに対しまして、患者側といたしましても、やはり不快な感を抱いておる。これは、やはり待遇の問題だろうと思う。いい医者がどんどんと療養所に行くというような方法をとらなければならぬのじゃなかろうかと思うのでございます。こういう点につきまして、なお一そう御検討を願いたいと思うのであります。 それから、最後に、草野委員も申されましたが、外科手術の問題でございます。先ほどあなたは、何人かそういう外科ができない病院から外科ができる病院へのいわゆる療養の転換というようなことをやっておるように言っておりましたけれども、足利療養所の場合は、長い間この問題が起きておるにもかかわらず一入も転換の患者がいない、患者がどうかほかの病院へやって外科手術をしてくれということを願い出ても受け付けない。しかしながら、所長は、そういう外科手術が必要な者は、ほかの病院へ行って外科手術をさせるというようなことを、口では言っておりますが、実際は一人も実行していない。こういうことがたび重なって、この問題が非常に複雑になってきたとわれわれは考えるのでございます。 それから部落との関係ですが、この部落の問題は、県立病院になるときに部落との約束がある。山の木の落ち葉は採集をさせること、あるいはその山道を通らせること、あるいは急病人の場合は診療をすること、そのほかたくさんの条件をもって県立に移管したのでありますけれども、その後そういうことに対して、何ら便宜をはからわず、かえって特定の人と結んで、山の木の葉等は、特定の人には売るけれども、特定の入には使わせないというようなことをやる。あるいは豚小屋の汚物その他たくさんの汚物が、この唯一の部落民の川を流れて、その汚物の流れてくる水を部落の人たちは飲み水にしておる。そういうことについて、非常な憤激をもってわれわれに陳情しておるのでございますけれども、この問題も、足利療養所の問題を解決する上において、一つの大きな事項だろうと思うので、この解決についても御努力されたいと思うのでございます。 おそくなりますので、簡単でございますが、以上を要望いたしまして、私の質問を終ります。 —————————————
○中村委員長 次に、公害の問題について発言を求められておりますので、これを許可いたします。山田長司君。
○山田委員 草野委員からの、質問で、大体意を尽しておると思うのですが、二、三局長に伺いたいと思います。実は昭和二十七年の八月に、足利の療養所に騒ぎが起りましたときに、あの事件に携わったのは私でございます。当時、私は議員でなかったのですが、外気舎に会合がありまして、三日も四日も行きましたけれども、夕方になるとあそこへ泊ることができないので追い出されて、そのつど足利まで戻って、翌日山に行って会合をやるというようなことで、いろいろ患者さんの立場になってものを考える役割をしてやったつもりでありますが、実は私に言わせると、大体あの病院の建設があの場所になされたということに、そもそもの無理かあると私は見ております。なぜそういうことを申し上げるかというと、草野委員が、先ほど水の問題でお話をされましたけれども、今、水ためができておるけれども、あれは二十七年の要求によって、あの後作られたものと思うのです。大体あの水ためは、三間四方で深さが五尺程度のコンクリートの水ためです。その水ための中へ流れ込んでおる水が、ほんとうに水道のせんをねじったほどの水しか出ていないわけです。そこにいろいろ問題があるわけですが、この建設に無理があったと思うのですけれども、国としては、大体あんな水の悪いところへどうして何百人もの人が患者として収容できるものと考えられて、この場所に作られたものなのですか、最初この点を伺います。
○曽田政府委員 療養所ができました経緯は先ほども御指摘になったのでありますが、これは最近のことではございませんで、療養所を作るというようなときに、いかなる点に注意を払わなければならぬかというような経験が十分になかったために、さような場所が選ばれたのであろう。私、実地に行ってよく見ておりませんけれども、先生方のお話によりましても、また私が聞きました報告でも、ちょっと見の地勢は、必ずしも悪いところではないというふうに聞いておるわけであります。さような外面的なことだけに気を引かれまして——今のように、私どもとしましては、水は最も重要なものであると思っております。それからまた、汚水の排水の問題というようなものも、考えなければならぬのであります。かような条件の十分でございませんところは、至るところで療養所自身も困っておりますが、部落と紛争を起しがちというのが実情でありまして、他にもさようなことでもって、弱っている施設が幾つかございます。
○山田委員 国で買い入れている、あるいは引き継いだ個所かもしれませんが、その面積というのは、病院外にどんな所があの場所にあるのですか、山とか林とかいうようなものが。
○曽田政府委員 これも私大体報告によって申し上げるのでありますが、今の御質問の御趣旨がちょっとよくわかりかねるのでありますけれども、療養所の裏の方に、山と申しますか、林があるということは聞いております。
○山田委員 ただいまの局長のお話によりますと、後の山や林の面積というものが明確になっていないようですが、これを何か書類で提出していただきたいと思うのです。なぜ私はそのことを頼むかというと、地元へこの間伺ってみますと、地元から隣の村へ越す山道が、病院ができたために通り抜けることができなくなって、道がなくなってしまった。そのために、非常に不便を感じておるようです。門を入った中が国の療養所であるので通れないとすれば、かわりの道くらいは当然作ってやるべきものだと思う。その点は、当時引き継いだときの書類の中にあるようですが、やはりその点も明確になっておらないために、地元の人たちの不平が一応あるのです。これはその点もやはり検討してもらわなければならないと思うのですが、その点はどうですか。
○曽田政府委員 各療養所におきまして、財産目録等は明確になっております。また地図等もできて、地所の関係も明らかになっております。ただいまの道の問題というようなことにつきましては、私、今のところ、まだ詳しく承知いたしておりません。十分調査いたしまして、必要があれば御報告申し上げたいと思います。
○山田委員 少しこまかい話になりますが、参考までに一つ伺っておきます。実はあそこで三十数頭の豚を飼っておるわけです。それで残飯の問題で争っているのです。毎月平均して六、七万の豚が売られているのです。この残飯の所有権がどこに属するかということで、かなり争いがあって、それで患者側では、もしも豚の売り上げについての何らかの割前が来ないならば、一応この残飯を一つ町の業者に売ってしまうというので、今度の場合は、争いの当初私が行ってみたときは、山中の豚が泣き叫んでいるわけです。どうしたのかと聞いたら、残飯は全部患者たちが処理していて、もう二日も豚にえさをやっていない、こういうわけです。私はそれを聞いたときに、これは結論の余地があるのだから、一応むちゃくちゃなことをしないでくれたらいいじゃないかということで、その日からくれることになったのですが、とにかく、とんでもないところで豚が災難を受けておったのです。一体この残飯の所属というものは、全国のあなたの方の関係に属する病院というものが百八十四カ所あるとすれば、この百八十四カ所の残飯の処理は、どんなふうにされておるのか。まだこれは結論が出ていないのです。やはりこれは争いの中心になっておる問題ですから、明確に当局から回答を出すべきものだと思いますが、いかがですか。
○曽田政府委員 この問題につきましては、いろいろ見解の相違もあろうと思うのであります。私どもとしましても、先ほども申し上げましたように、この療養所あるいは病院に入院しております患者に対しましては、病院におきまして療養に必要な食餌を給するという責任を持っておるものというふうに考えておるのであります。従いまして、この病院としましては、患者に給しました食餌というものは、これはできるだけ全部食べていただくということが趣旨であります。しかしながら、本人のからだの状況、食欲の状況というようなことで、これを全部摂取することができないということになりますれば、いわゆる残飯ができる。また他面におきましては、そのほかに患者がいわゆる補食するということが起ってくるのであります。医者の立場において療養いたしますときには、どれだけの食餌がとられて、そうしてどれだけのものが残って、またそのほかに患者自身としてはどれだけのものを補ったかというようなことを全体をつかむことが、十分な療養をいたす上において必要なのであります。大体この残飯の管理は、先ほども申し上げましたように、私どもは療養所において管理をさせてもらうという建前をとっておるわけであります。 それでは、この残飯の処理をどうするかということにつきましては、これは残飯を他に払い下げいたしまして、この払い下げの収入というものは、原則としては国庫に入るものということになっております。特に戦争の直後に、人間の食事ばかりではございませんで、いろいろな家畜家禽類のえさの問題というようなことも緊迫しておったりしましたので、こういうものの始末がルーズでございました。またいろいろ所の予算の不足というようなことを多少補う資にいたすというような考え方もあって、処理が乱れておったようであります。その後だんだんとこの取扱い方を筋に乗せて参りまして、今のところは、この残飯はこの施設において処理をして国庫に入れるということが建前でございます。しかしながら、この金額がきわめてわずかなものであるというようなところから、この施設において、この施設の雑収入というようなものに入れておるところもございます。大体筋としては、さように取り扱わせるようにいたしておるのであります。しかし、御承知のように、いろいろ患者あるいは療養所を退所いたしました者たちが、その近所にいわゆる後療法と申しますか、職業復帰をいたすというようなことで、いろいろ家畜を飼ったりしていることもあるのであります。こういうようなものを、ただ単に業者に、全然所と関係のない者に払い下げてしまうというようなことはもったいじゃないか、せめて多少縁故のある者に払い下げてもらいたいということで、これをさような人たちに払い下げていることはございます。さようなことが起りますと、縁故がございますものですから、それを種にして豚を飼った、あるいは鶏を飼ったといいました場合に、そのときの収益の一部分を療養所あるいは患者に、それを幾分か寄付といいますか、さようなことをいたすということの起っておるところもあるわけであります。足利の場合につきましては、私どもが聞いておりますのでは、たしか互助会というのがこの払い下げを受けて、そして今お話の豚を飼ったりしておる、そしてそのうちの一部分を患者の慰安費に向け、そして一部分は所のいろいろな諸雑費に使っておるというように聞いておるわけであります。この分量をもう少し増してほしいと要求があるように聞いております。
○山田委員 今度は、もう少し簡潔に願います。実はこの間、委員の方と一緒にお供を私もいたしたわけですが、そうすると准看護婦の代表が二十人出てきて、この二十人の准看護婦の人たちは、まさに十七歳くらいの小娘と思うのですが、目に涙をためて、不平を言うと卒業してから就職の世話をしない、こういうことを理事者側の人に言われたというので、まさに涙を流さんばかりにして訴えていたけれども、一体あの准看護婦学校というものは、どういう意図で厚生省では設けておられるのか。まるで見習いの看護婦をしていながら、さらに食事の運搬までさせられているような状態のようですが、四十人からおられるあの小娘たちは、まさに青春期で、しかもからだに大きな変化を持つときに、あの結核療養所の患者さんたちを相手にして努力している、この人たちに対する理事者の言われている言葉が、あまりにも気の毒で、私もあの女の子たちの陳情を聞いておって、ともにもらい泣きをしたのですが、一体この准看護婦というものは、どういうために設けて、しかも卒業したあとに、厚生省ではどういう処置をとろうとしておるのか。
○曽田政府委員 准看護婦養成所は、広く申しますれば、日本におきましての看護力の補充をいたすというために設けられておるのであります。第一次的には、その養成いたしました所の看護婦の補充に充て、それからさらに当該療養所に限らず、他の医療施設に看護婦としてこれをお世話をするというのが建前であります。
○山田委員 話をあなたから聞いて一応納得するのだが、お世話をするのが建前であるとするならば、これはあなたから特に文書を持ってでもいいから、所側の人たちが、あの命がけに働いている十七、八の女の子たちをいじめることのないように、要するに一応注意を促しておいていただきたいと思うのです。先ほど草野委員がそのことについて触れなかったので、私は触れているわけですけれども、私は実にこれはお気の毒で、何とか至急に処置をしてやらなければなろぬと思って帰ってきているわけですから、ぜひこの点は一つお返事をしてやっていただきたいと思うのです。 それから次に伺いたいことは、先ほど草野委員が質問していても、あなたはできるだけ至急に処置をしたいということを言われているのに、さっぱりいつ行ってみるということも言われない。実際水の問題については、なまやさしい状態じゃないのです。それは先ほど真実こもるように、お茶の話を打ち出しましたけれども、お茶どころじゃなくて、全く顔を洗うのに、一つの金だらいの中で三人くらいの人が洗うというような状態ですから、これは衛生的な見地から考えてみたって、とても理解ができないことです。そういう状態になっているのですから、これは足利の市役所にでもあなたの方から連絡を取って、足利市に給水車がありますから、足利市の給水車でも一日のうちに三回か五回でもやって、当座のうち、あなた方が行かれて水の状態を見られるまでの間処置してもらいたいと思うのですが、その点はどうですか。
○曽田政府委員 いろいろお話を承わりましたし、所として水の問題が非常に困っておる問題だということを承知しておることは、申し上げた通りであります。私どもの局内にも、足利に参りました者は他にも数名おりますが、その者からも実情を十分聴取いたしまして、できるだけの措置をいたしたいう思います。
○山田委員 局長についての話は、だいぶ時間がかかりますから、これで私は終ります。 次に環境衛生部長に一つ伺いたいと思います。あなたのところへは、二、三年来たびたび陳情しているのですけれども、さっぱりらちがあかないので、一応はっきりしておいていただきたいと思うのですが、最近の産業の発達は、大都会における大きな変化をいろいろな角度で来たしていることは、私から言うまでもないことです。音の問題、あるいはにおいの問題、あるいは光の問題、あるいは煤煙の問題、こういうことを想起しますと、想像以上にいろいろ大きな問題が国民の保健上あると思いますが、今のままに放置しておくことは許されないと思うのです。その点について、たびたびいろいろな問題で私はあなたのところへ、あるときはまるでデモみたいに大臣のところまで来て陳情していますが、このことについて、環境衛生部としては、その後の経過はどんなふうに進められておるか、まず一つ伺います。
○楠本政府委員 ただいま御指摘のありました騒音、煤煙その他主として工場を中心としまして、社会生活に重大な迷惑を及ぼしております問題につきましては、かねていろいろ御陳情もいただいておりますばかりでなく、全国的にも各地に問題が頻発いたしております。中には政治問題化しておるものもございます。私どもといたしましては、従来、かような問題につきましては、個々に実態を調査いたしまして、話し合いに基いて、何とか解決の労をとりたいと進んで参っております。しかしながら、この問題は、本質的には何らよるべき法規がございません。にもかかわらず、一方産業を保護する方の立場から申しまする取締り、あるいは法規等は整備されております。しかしながら、これらの基準というものは、国民生活を考えるよりも、むしろ産業の保護という点に重点があるかに思われます。そこで私どもといたしましては、その間に立ちまして、いはば無手勝流でこれに対処しておるような関係もありまして、なかなか思うにまかさぬ状況でございまして、その点ははなはだ申しわけなく存じておりますが、なおそうも言っておられませんので、個々の事例につきまして十分調査をいたしまして、その結果、しかるべき解決方法を見出して進みたい所存でありますが、かような消極的な手段によりましても、従前若干解決を見た例はございます。
○山田委員 大体調査をしてこれから善処したいという部長のお話ですが、一体それらの調査をするために、どんな経費を予算の上に盛って、どんな調査をしようとしておるのか、まず予算の金額及び調査の目標、こういう問題についてお尋ねしたい。
○楠本政府委員 従来、これらの問題の解決の困難なことは、一つには研究成績というようなものが、必ずしも充実しておらなかった点であります。一例を申し上げますれば、どの程度の害があるか、どこまでが許される範囲であるかというような点に、若干欠けるところがあったのでございまして、私どもといたしましては、ここ二、三年来、きわめてわずかでありますが厚生科学研究費のうちから若干の経費、五十万円程度を支出いたしまして、逐次水の汚染、空気の汚染その他騒音等につきまして、調査を進めて参っております。それからなお、本年は特に法律を制定する準備的な調査経費といたしまして、これまたきわめてわずかでありますけれども、初めて本年三十年度予算に計上をしてございます。
○山田委員 本年度の予算に、どれだけ組んであるかわからぬですが、とにかく私が調べた範囲だけで、厚生省に調査をしてもらいたいといってきている個所は十カ所や二十カ所じゃないはずです。私は長野県の青年団の諸君と会合を一度やったことがあるのですが、八ケ獄から取出している硫黄でその近辺に工場ができて、その工場からはき出されるガスのために、子供が学校に行けないというほどひどいガスが出ているのに、それをそのまま放置してあるというので、長野県の青年団ではそれを厚生省に陳情にきているはずです。それから静岡県では、カンの花の中に磐城セメントの煤煙が入って、ミカンがならなくなってしまうという状態に置かれていて、これもやはり問題になってきている。それから栃木県の磐城セメントの葛生の工場の場合は、周囲五里ぐらいの範囲に、煙突からはき出すセメントの粉が、これまたものすごい広範な範囲にはき散らすために、農作物並びに人畜、草や何かにその煤煙が落ちるために、これを食べる鶏や馬、豚、牛、これがみんな短命である。しかし、これが短命であることはわかっていても、相手が農民であるため、統計的な調査が出せないので、これを至急に調査してもらいたいという陳情がなされているはずです。栃木県の県庁においても、あなた方のところに交渉に来ていると思うのですが、これらの問題についてはどうなんですか。 もう一つ伺います。栃木県の場合は、カンピョウの産地です。そのカンピョウの産地で、私はたびたび街頭演説をやっているのですけれども、このカンピョウの産地の人たちが、この実態が全国にわかったら、えらいことになってしまうと言っている。何だと聞いたら、その諸君が言うのに、去年は雨が多くてカンピョウを漂白することができなかった。カンピョウは白いものほど質がよいということになっているので、太陽に当てて完全にほすことができなかったところでは、これをどうして白くして去年は売ったかというと、それを全部硫黄で蒸し上げてまつ白にした。これがカンピョウを食べる人、すしを食べる人たちに実際にわかって、毒を食わしていることがわかったらえらいことになってしまうのだけれども、このままの姿にしてあるのだが、一体これは何でもないでしょうかというのです。地元栃木県の石橋町のカンピョウを作っているまわりの住民から、平気で町のまん中で硫黄を使っているために、子供がのどをやられる、洗たく物はよごれる、生活に困難な状態になるので、まわりに高い垣根を作ったが、そのまわりに十一軒問屋があって、どうしてもその煙がどっからか入ってくるために非常に困る、一体これはこのままにしておいていいのか、損害はとにかく要求することは何もできないのか、こういうことを言われているのですが、これらについて、どういうふうなことを厚生省として考えておられるか。葛生の問題を最初として、一つお話を願いたいと思います。
○楠本政府委員 最初に御指摘のありましたごとく、全国各地にいろいろな問題を惹起いたしております。ただいま御指摘のある通りでありまして、これらの問題につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、やむを得ず現地に調査員を派遣いたすとか、あるいは県をして実態を調査させるとかいたしております。たとえば昨年は、ようやく菅平の硫黄山の問題につきまして、ただいま御指摘のありました八ケ獄と同じ問題でございますが、これは円満に解決することができました。いずれにいたしましても、そのようにわずかな経費ではございますが、調査を進めておるのが現状でございます。 なお、ただいま第二点に御指摘のございました漂白剤に伴いするいろいろな被害の現状というものも、よく承知いたしております。必ずしも葛生だけではございません。しかしながら、もちろんこれら有毒なものを使うということにつきましては、これは別個に食品衛生の立場から取締りを厳重にするつもりでございます。これらのものは、さような面では、十分今後調査いたしまして取締りを厳重にいたしますが、それらの鉱業あるいは産業の実態から参ります被害につきましては、これは私どもよく存じております。特にただいまのお話のありました硫黄性のガスの問題は、特に都市等においては、きわめて重要な問題でございます。従いまして、私どもといたしましては、従来法律をもってこれらの点を解決いたしたい強い決心を持っておったわけでありますが、一つにはこの実態が明らかでないこと、一つには関係各省があまりにも多いこと等のために、必ずしも所期の目的を達しなかったことを、はなはだ申しわけないと思っておりますが、目下私どもといたしましては、これらに関する適切な法的措置を講ずべく準備を進めております。近く通産省その他とも協議をいたしまして、十二月の通常国会には、いち早くこれを提出いたしまして、当委員会の御賛同を得たい、かように目下勉強中でございますと同時に、決心を持って進みたいと存じております。
○山田委員 私は、こういう問題が今まで厚生省当局から国会に提出されずにおったということが、実に不思議だと思うのです。こういうことについて、たとえば東京都の場合は、都条令で音響の問題について取締りを二年ほど前からやっている。それから大阪でも何か条例が出ておる。愛知でも出ているようですが、一体この条例自体が、私に言わせると、非常になまぬるいと思う。なぜなまぬるいかというと、たとえば栃木県の足尾銅山から、一雨大夕立がありますと、テニスコートぐらいな水ための中に一ぱい毒が入れられてあって、それを大雨が降るときにいつでもせんを抜いてだあっと押し流すわけです。そうすると、もし雨のないときでもあったとすれば、この栃木県の南部の稻作地帯ではこの水をみな使うわけですが、今でもその水を一度田に流します——とちょうど女のお乳のような色をして流れてくる水ですけれども、その鉱毒を、どうしても旱天が続いた場合には、やはり農民としては、ちょうど子供がお乳をほしがるように、田の稲が水をほしがっているときですから、少しぐらいいいだろうというので、今でも長い経験を持っていながらやるのですけれども、それがやはりものすごい鉱毒被害を受けて、何百町歩という稲作が非常な被害を受けているわけです。こういう場合、ただ一足尾銅山の古河財閥のために、農民が泣き寝入りをしなければならぬということは理屈に合わぬと思うのです。それがもし大阪で作られている条例や東京都の条例のように、なまはんかな条例で一万円とか二万円ぐらいの罰金で処理ができるとするならば、大財閥は、そんなものは金の範疇に考えていないですから、これではやはり設備をやろうとしないと思うのです。こういう点について厚生省では、一つその法案作成に当る強い意思があるかどうか、一つお伺いします。
○楠本政府委員 本年は、ただいまもお答え申し上げましたように、たまたま大蔵省でも法律制定の準備費のようなものを認めてくれております。従いまして、あとは私どもの努力と決心によって、この問題は解決できるものと考えております。ただ何分にも、これは利害全く相反する面もございますので、関係方面とかなりの折衝を要することと存じます。それらの点につきましては、むしろ当委員会におかれましても、ぜひ一つ御援助いただきまして、十分な解決ができるように御指導願いたいと存じます。
○山田委員 準備費を認めているというが、一体準備費をどのくらい認めているのですか。
○楠本政府委員 はなはだお恥かしい話でございますが、二十四万でございます。
○山田委員 それでは一地方の交通費にも当らぬと思う。なぜもっと……。それはこういう緊急事態、各地にこういう状態が発生しているのに、そんななまやさしいことで、あなた方は済むと思っているのですか、その点をもう一ぺん一つ。
○楠本政府委員 いや、まことにお恥かしい限りでございますが、何分にも国家財政の観点もございまして、私どもさようなところで折れたと申しましょうか、やむを得なかったのでございます。今後はできるだけ一つ努力をいたしまして、かような調査等には事欠かぬことを立証いたしたい、かように考えております。のみならず、これもやはり法律の根拠がございませんので、まず法律の根拠を形づくりまして、これに基きまして調査その他適切なる措置を講じていくように決心をいたしておる次第であります。
○山田委員 一つの事例をあなたに話して、もっと真剣になってもらいたい。一つの話をしましょう。実はタバコ一反歩の普通の土地の収益というものは、去年大体五万五千円くらい上っているのです。ところが、煙害地のタバコ一反歩の収益というものは、一万八千円平均なんです。それで百姓は、どこへも持っていき場がないわけなんです。一体こんな状態で、資本家のためにわれわれは泣かなければならないのでしょうか。一万七、八千円のタバコ収益者というものが、行くたびに私たちに陳情をするわけです。その一角には養蚕地帯もあったのですけれども、やはり煤煙のために、養蚕というものが全滅してしまった。それが今まで泣き寝入りをしなければならない状態であって、それで町の町会議員と町長、それはおそらく相当な金をばらまいているのだと思いますが、下の人々は、洗たく物にも、ほしたものに灰がついてしまってどうにもならないというのです。自転車で歩いても、昼間より夜の方がひどい。夜になると、昼間の三倍ぐらい煙突からごみを吹き出す。煙じゃないのです、ごみを吹き出す。そういう状態になっていながら、どこへも持っていき場がなくて、何万人という人が泣いている状態になっている。こういう状態は、決して一地方だけのことじゃないと思うのです。私はこういうことを考えたときに、一度日立の煙突、二里も三里も先の山の頂上にある煙突を見たのですが、あの煙突のある場所によって、それが住民に及ぼす影響を考えて、煙突の個所というものを、何里も先に持っていって立てるというくらいの法律案ができてもいいはずだと私は思う。そういうことについて、厚生省はどんな案を考えていられるか、この法律案の原案がどのくらい進行しておるか、一応話をしてもらいたい。
○楠本政府委員 いまだ成案を得るところに参っておりませんけれども、今のところは、一応一つの基準を設けまして、その基準に合致しないものは、それぞれ基準に合致するように命令を出し得るようにいたしたいと考えております。 なお、問題の解決につきましては、それぞれの地方の実情もあることでございますので、それぞれ国民に対しまして問題を提起し得る権利を付与いたしまして、問題が提起されましたときには、間違いなくこれを政府の責任において解決しなければならないことといたしたい、かような考え方をもって進んでおりますが、なおこまかい点につきましては、目下関係方面とも交渉いたしまして、すみやかに成案を得たいと勉強中でございます。
○山田委員 関係方面というのは、どこのことを言うのか。それから、もう一つ伺いたいことは、やはり住民の意思を相当取り入れて、この法律は作ってもらわなければならぬと思うのです。それで、まず損害が要求できるような状態のものがなければならぬ。大会社の利益を擁護するために、まわりの人たち全部莫大な損害を受ける状態が続くようなことであったならば、これは私はどういう事態が将来発生するかわからぬと思うのです。こういう点について、どうお考えです。
○楠本政府委員 関係方面と申しましたのは政府部内におきましては、通産省が最も関係が深かろうと存じます。なお同じ立場では経済企画庁、あるいは建設省等がこれらの範疇に属する。そのほか農林省等につきましては、これはむしろ厚生省と同じ立場に考えられますので、関係方面といっても、問題は簡単だろうと存じます。それからもう一つ、これは相当な予算を要しますので、大蔵省方面との関係が重大だ、かように考えております。
○山田委員 相手が通産省であるということになりますと、これはなかなか困難な点が出てくると思うのです。そこで、あなた方は、この法律を作る前に、通産省に何か当ってみるようなことをしたことがありますか。それとも、そんな法律を厚生省で考えているのじゃないかというようなことで、通産省の方からでも話をしてきたことがありますか。
○楠本政府委員 まだ正式に法律を作るといって相談をしたことはございません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、個々の事例でものを解決しようとする場合には、今まで主として通産省との折衝で進んで参っております。
○山田委員 これはなかなか容易なことじゃないと思うのです。私は厚生省に特に一つお願いしたいが、至急にこの法案を何とか一つ検討して作っていただいて、それで通産省との折衝をされるわけでしょうけれども、通産省の人たちに、一つあなた方しっかりした腹がまえでぶっつかっていただきたいと希望します。どうぞ一つお願いいたします。
○山花委員 議事進行。山田委員の質問に対して、関連質問も若干あるそうでございますが、時間ももう相当たっておりますので、この際三十分に限って休憩をして、再開されんことをお願いいたします。 —————————————
○中村委員長 ちょっとその前にお諮りいたします。この際小委員の補欠選任についてお諮りいたします。去る二十三日草野一郎平君、昨二十九日井堀繁雄君が委員を辞任せられたのに伴い、特需関係労働対策小委員に欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、両君はいずれも再び本委員に選任されておりますので、再び両君を委員長より小委員に指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、特需関係労働対策小委員に草野一郎平君及び井堀繁雄君を指名いたします。 午後七時三十分まで休憩いたします。 午後七時休憩 ————◇————— 午後七時四十八分開議
○中村委員長 休憩前に引き続きまして会議を再開いたします。 この際お諮りいたします。黄変米に関する件及び医療機関に関する件について、次の通り決議いたしたいと存じます。案文を朗読いたします。 黄変米に関する件 黄変米の毒性に関する研究結果及びこれが配給については、諸般の報告を検討するに、なお釈然たらざるものがある。よって政府は本問題の重大性に鑑み、従来の行きがかりにこだわることなく、速かに合理的にして抜本的解決の方途を講ずべきである。なお、充分なる研究の結果を得るまでは黄変米の配給を中止すべきである。 医療機関に関する件 国立病院及び療養所の施設中、老朽建物や火災に際し、事故発生を懸念される病棟等多く、憂慮に堪えないものがある。よって、政府は早急に諸般の対策を樹て、国立療養機関として、その水準を高めるよう善処すべきである。 以上であります。以上を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 なお本決議の取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますから、御了承を願います。 —————————————
○中村委員長 公害に関する問題についての質疑を続行したします。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 環境衛生部長に関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。 ただいま工場その他の鉱山から起る被害についてのお話があったわけであります。この問題は、すでに鉱業被害といたしましては、明治年間から田中正造翁が国会で発言して以来大問題となり、昭和十四年におきましては、鉱業法には鉱害賠償の規定が設置されたことは御存じの通りであります。ところが、鉱業法において鉱害賠償の規定が出、しかもその規定が不備であるといって、終戦後におきましては、むしろ原状回復をすべきであって、金銭賠償ではいけない、こういう大きな要求すら出ておる今日において、鉱業法以外の公害について、あるいは被害については、今まで何らその根拠法規がないということは、私はきわめて政府当局は不見識であると考えるわけであります。第一、被害の賠償に対する法の均衡を失しておる、かように考えるわけであります。なるほどこの問題は、産業の保護という立場、さらに被害者の社会的認容という関連があり、きわめてむずかしい問題とは考えますけれども、すでに鉱業法において鉱害賠償が制定されて十五年になる。しかも金銭賠償の一般民法理論から飛躍して、原状回復という要求が出ておる今日において、何ら対策が出ていないというのは、私はどうも今までの政府が怠慢であったからだと考えるのであります。なるほど、民法の不法行為は、刑事責任をもって原則としておるけれども、民法の七百十五条、七百十七条の無過失責任の理論も入っておる。ですから、私は、この問題はあなたに言うのはどうも言いにくいのですが、単に厚生省だけの問題ではない、これは農林省あたりが大いに関心を持って対処すべきであると考えるのであります。そこで、今、山田委員からのお話を聞きますと、農作物には現実に被害が起っておるという。しかもそれは純然たる鉱業法上の賠償でないから根拠規定がない、こういうようなことは非常にけしからぬと思うが、一体政府は戦後どういうようにこの法案についていろいろ協議をされ、対策を練られ、そうしてこれについて法案を用意されておるか、お尋ねいたしたい。 なお、時間がありませんから、集約してお尋ねいたしますが、その構想が差しとめ命令、いわゆるインジャンクション的なものであるのかどうか、さらにインジャンクション的なもの以外に、損害賠償を含めておるのかどうか、これをお聞かせ願いたい、かように考えます。
○楠本政府委員 お答えを申し上げます。第一点の御指摘のように、現在鉱業法におきましては賠償規定が明記されてございます。しかしながら、それならば、現在鉱山から来る被害に対して、何か適切な措置が行われたかという問題でございますが、現在すでに鉱業法があるにもかかわらず、各地において鉱害に基きまする被害が続出をいたしております。要するに、これらは鉱業法そのものが、私どもの考えでは鉱業という産業を保護育成するのが本旨であるために、ここに利害関係が相反する面があるので、徹底を欠くうらみがあるものと考えております。従いまして、私どもは、言葉がはなはだ適切でございませんが、被害者、加害者の関係を、加害者の側においてのみ処理するところに、根本的な欠陥があるものと考えております。従いまして、私どもは被害者の立場において、これを処理することが適切であると考えておる次第であります。 そこで第二点のお話の、しからば、これは農業その他さまざまな面に関係があるので、必ずしも厚生省の問題ではないとも思えるということは、私ども全く同感でございます。さような点から、終戦以来現在まで、この問題の解決が還延された一つの原因だと考えております。ところが、最近の諸外国の立法その他を見てみますと、きわめて狭い地域、イギリスとか、ドイツとかいう狭い地域にたくさんの工場のある地方の立法例を見てみますと、多くの場合、これは衛生立法として考えられておる場合がきわめて多いのであります。つまり、要は、私どもは生活環境を快適に清潔に保つというところに、一つのねらいを置いて考えられておるようであります。従いまして私どもは、一応これらの考えのもとに、目下法案を準備しておるわけでございます。 なお、最後に御指摘のございました点につきましては、いまだ結論は得ておりませんが、私どもといたしましては、当然一つの基準に基いて施設を講ずべきものである。従いまして、環境汚染の基準を上回った場合には、当然基準に適合するよう施設の改善を義務づけなければならぬものと考えております。 なお、これに関連いたしまして先ほど山田先生にもお答えを申し上げましたように、国民の意見によりましてこれを解決していく面を、同時に取り上げなければならぬと存じます。その場合には、住民の意図によりまして、正当なる判断のもとに、賠償が必要であれば当然賠償を規定すべきものと、かように考えておる次第であります。
○多賀谷委員 いわゆる公害といいますと、鉱業法による鉱害は法律があるにかかわらず、その後続々と被害が起っておるのではないか、こういうお話ですが、なるほど事実問題としては、かなり紛争をしておりますけれども、賠償の根拠があるので、その根拠に従って賠償が行われておる。しかもこの鉱害につきましては最近は鉱山保安法の中で、将来鉱害が著しく起る、そこで公共の施設に迷惑をかける、その他のものについては禁止の規定があるわけです。そこでそういう場合にはとってはならないということになっておる。ですから、一応法律の建前としては、一方においては禁止規定を設け、一方においては損害賠償の規定を設けておるのですから、法律の規定は私はかなり完備しておると考えるわけであります。そこで私は、これと同じようなものが、現在の民法で救われるという議論もありますし、救われぬという議論もあるが、とにかく現在の形式法には、これに何らの規定がない、こういうことで、根拠法規を探すのに困っておるという状態ならば、私はすみやかに一般的には、現実に被害が起った場合に、しかもそれは金銭に評価し得る場合、こういう場合には当然損害賠償の規定を設けるべきである。しかし、単に損害賠償だけでなくて、人命に影響があるという場合においては、これは施設の改善をするなり、何とかして防止をすべきであると考えるが、現在の科学の粋をもってしても、防止できないという場合があり得ると思う。そのときには、やはり損害賠償の理論をもっていかざるを得ない、かように考える。そこで私は、この問題はきわめて大きな問題でありますので、単にあなたの方で、衛生立法として勘案されることもけっこうですけれども、そういうことだけでなくて、広範囲に一つ政府としてはこれを大きく取り扱って、一方においては損害賠償の理論を確立すると共に、一方においては個々の産業法の中で、あるいは衛生立法の中で、施設改善被害防止の規定を設けるように、かように要望いたしまして、私は時間がございませんし、この問題はきわめて大きい問題でありますから、別の機会に徹底的に追及してみたいと思いますので、本日はこれをもって質問を終ります。
○中村委員長 ちょっと皆様の御了解を得たいのですが、まだ各種の問題につきまして、八人ほど御質問の通告があるのでございます。十二時までやるにしたところで、その点時間を一つ御考慮の上願いたいと思います。 —————————————
○中村委員長 それでは再び医療機関に関する問題について質疑を続行いたします。横錢重吉君。
○横錢委員 私は、今日厚生大臣の御出席を求めて大臣の御答弁をお願いしたいと、数日前からお願いしておった。ところが参議院の関係で今日御出席になれないので、かわりに局長から伺いますから、大臣の代理として一つお答えを願いたいと、こう考えます。 問題は、時間がありませんので簡単に申し上げますが、これは七月十八日の朝日新聞の宮崎版、七月二十五日の朝日新聞の本版、これに地方報告において「死をまつ結核患者」という見出しでもって掲げられておる。これは国立の日向療養所から強制退院を命ぜられた患者が、住む家がなくて、このために海岸の波打ちぎわに掘立小屋を作って、死を待つばかりの生活を約五カ月続けておる。この問題を、人権問題として宮崎の法務局では取り上げておる。本人は、食うものもなく、死を待つばかりの生活をしておる、こういうことが出ておるが、この問題に関しては、おそらく当局の方も新聞を見られたことと思う。また情報もあるいはこれに基いてつかんでいると思うのでありますが、この問題に対して、どういうふうに考えられておるか、またどういうような措置をとられたか、この点についてお尋ねをいたしたい。
○曽田政府委員 ただいまのお話の件につきましては、私どもの療養所関係といたしましては、こまかい報告をまだ送ってきておりませんので、私ども詳しく承知いたしておりません。
○横錢委員 報告を送ってこないといっても、これは朝日新聞の第一面に地方報告として「死をまつ結核患者」という大きな見出しで出ておる。おそらく見なかったはずはない。その内容をさらに言うならば、これは療養所の方では、結核とともに精神に多少の異常がある、そういうような理由で退院を命ずる。本人の家は、十二人の大世帯の暮しで、部屋数が三つしかない。従って、結核患者を住まわせたのでは、ほかの家族が共倒れになるから、家では受け入れられない、病院では入れない、行きどころがないから、海岸に家を作って雨露をしのいでおるのだ。家人の方からは、そばに近寄るのがいやなので、飯だけは運んでやっておるが、外に食糧を置いて帰るので、野犬に食われてしまう、こういうようなことが出ておる。このことは、昨年来非常に問題になっておる入退院基準——厚生当局は、盛んに入退院基準の実施をして、退院患者の強制をしてきた。少しでも理由があったり、少しでもすきがあったならば、どしどしと患者を退院させてしまおうとする、この結果が、こういうことになって具体的に現われておる。このことは、あなた方はまだ聞いていないのだとしたならば——今申し上げた点は、おそらく朝日新聞の報道であるから事実であり、またここに本人のわらぶき小屋に住んでおる写真も載っておる。このことは、事実間違いない、確認できると思う。しからば、今申し上げた事実について、局長としてはどういうふうな考えを持たれるか、この点を伺いたい。
○曽田政府委員 申し訳けないのでありますけれども、私その記事も見ておりませんし、また報告も受けておりませんので、何とも申し上げかねるのであります。よく実情を調査いたしまして、私どもの方に関係のあることでございますれば善処いたしたいと思います。
○横錢委員 善処したいで逃げられるのではなしに、私は、確実なこの新聞の報道並びに写真入りで、さらにまたこの関係者の談話等が全部出ておるので、それならばあとであなたの方に回しますが、これに基いて強制退院をされたこの人に対するところの適切な措置をとっていただきたい。それからまた、とられたならば、私の方としても休会に入るので、あるいは文書にでもして、一つ御報告をいただきたい、このことを申し上げておく次第であります。 なお、これについて申し上げるならば、現在この退院に対して、各地において強制が非常に出ておる。医者の診断もなかなか認めないで、他の事務の意見の方を優先して扱ってしまっておる。あるいはまた、府県においては、療養所におけるところの作業療法を認めない、そういうふうな段階でも、どしどし退院をさせる、こういうふうなことをやっておるのである。あるいはまた、そのために医療券の打ち切り等にあった者が、これに対するところの再審査の請求をするというのが、最近では非常に多くなっておる。こういうような事実は、今まで答弁された中において、適切に扱っておるというようなことを言われておったけれども、事実に反するものがたくさん出てきておる。この点をあわせて一つお考えをいただいて、御調査並びに調査に基くところの適切な方法をとっていただきたい、こういうふうに考えます。 さらに、第二点としては、先般市川の国府台の精神病院を当委員会が視察をした。この視察をした結果は、まだ報告が出ておりません。半ば報告の結果を兼ねて申し上げ、かつ当局の善処を求めたいと思うのでありますが、この間、式場病院が焼かれて、十八名の焼死者を出しておる。これに隣接しておる国府台の病院の状況はいかにというならば、式場病院のそれよりもさらに劣悪な条件に置かれておる。これは各党の委員が見て、みな痛切にそれを感じた。現在、精神病院において患者を保護しておるというような状況ではなくて、昔の座敷牢そのままです。この中に入ったならば、普通の人でも頭がおかしくなってしまう、入っただけでもって精神病者になってしまう。そういうような薄暗い建物のひどい状況の中に今日置かれておる。しかも別棟の方は、明治十八年の建物で、もう少しく災害があったならば、ぺしゃんこにつぶれそうな建物である。これは当時兵隊を収容したがんじょうな建物であるから、一そう残酷な、精神病院というよりは牢屋なんです。こういうふうな状態をこのままほうっておくということは、大へんな問題だ。先ほど、足利病院の問題がいろいろと報告をされ、当局の方へ善処を求められておりましたが、局長、課長の関係者は、ぜひこの国府台病院の劣悪な病棟の状況を見てもらいたい。これが今日の国立病院の精神患者を収容するところで、予算がないから仕方がないのだというのであったならば、これは大へんな問題だ。人権問題を引き起すところのひどい生活の中に、普通の者でも頭が狂ってしまうような条件の中に、たくさんの患者が収容されておる。もし式場病院のように、間違って火を出すようなことがあったならば、全員が焼死するような事態が発生する。そのときになって病院長が首になったり、だれかが責任をとったりしただけでは済まない。従って、このことに対しては、早急に対策を立ててもらわなければならない。この問題に関しては、最も近いところにある病院だから、おそらくごらんになっていることと思うが、どういうふうに考えておられるか、この点を承わりたい。
○曽田政府委員 国府台病院は、東京に近いところでございますから、私、数回行って見ております。そして御指摘のように、従来の病棟、ことに精神病患者を収容しております本院の病棟、及びいわゆる里見分院と申しておりますが、こちらの建前が非常に腐朽しておる。またこれがそもそも病院のために作られたものでないために、非常に不適当である、あるいはまた火災等の事故を考えるならば、りつ然たるものがあるというふうに御指摘を受けましたこと、私どもも非常に遺憾と存じておるのであります。ただ、このまま放置してよろしいとは、何としても私ども考えておるのではございません。でるだけこの状態を改善いたしたいというふうに考えておりまして、職員等も一生県命やってくれておるのでございますけれども、さような点についても、できるだ着々と手を加えていかねばならぬということで、おそらく先生方もごらん願ったと思うのでありますが、ただいまは新しい病棟が、わずかに一棟ではございますけれども、精神病棟ができまして、私どもとしても、逐次このような新病棟にかえて参りたいと考えておるのであります。ただ、そのスピードが非常におそい、なぜ一気にやらぬかといって、おしかりを受けるであろうと思うのでありますけれども、私どもといたしましても、一つできでだけ努力をして、かような状態を改善して参りたい。また特に式場病院の事件、あるいはその前に例の養老院の事故というようなものがございましたので、根本的な対策は立て得ないといたしましても、その応急の救護設備というようなものについては、できるだけのことはいたしたいと考えて、関係の職員を督励しておるような状況であります。
○横錢委員 今の局長の答弁で、意はわかりましたが、要するに厚生省は、この病院の改善、病院をよくしていくという問題に対して、大蔵省に対するところの熱意が足らないのではないか。もっと大蔵省に対して——これだけのことをやらなかったならば、今日の国立病院の施設としては、一般の病院に比較してもだめだし、日本の水準としても、この程度のことではもう承知できない。従って、全面的にこれらの点は直さなければならぬ。その最小限度の、こういうふうなところは少くも本年度並びに来年度、このくらいのところで解決をつけたい、そういうような強い熱意がないのではないか。これをやらなかったならば、いつまでもこれは大蔵官僚の方に押されて、そしてどこかの方に予算を取られてしまう。何回社会労働委員会でやっておっても、なかなか問題の解決がつかない、こういうことになるのではないか。特に人生社会から置き忘れられた精神異常者の入院室というようなものは、社会労働委員会でも、そうたびたび見る機会もないし、なかなか取り上げることも困難だ。しかも、その建物が七十数年を経た、人間でいえば、定年を過ぎたところの建物である。こういうような建物をそのまま放置しておいて、なかなか予算が取れないというようなことで弱腰でいたのでは、いつになっても国立病院、国立療養所の整備ということはできないと思う。従って先ほどの決議が行われたので、これを機会に、ああいうような劣悪な条件のものは、今年度に、今年度できなかったならば、来年度の予算ででも、ぜひともこの問題は解決つけていただきたい。あの一棟のブロック建物は、よくできております。せめてあの程度のものを全部のものにするように、ぜひお願いをいたしたい、このことを要望いたしまして質問を打ち切ります。
○中村委員長 長谷川保君。
○長谷川(保)委員 私は厚生大臣の御出席を要求しておったのでありますが、厚生大臣はお見えにならぬ。社会局長の出席を要求しておりましたけれども、それもお見えにならぬ。さらに厚生次官の出席を要求しておりましたが、それもお見えならぬというわけで、まことに残念でありますが、今日申し上げておかないと困ると思いますので、医務局長がいらっしゃいますし、保護課長がいらっしゃいますから、申し上げますので、どうかこれを厚生省の省議として御相談をいただくように願いたいのであります。 私の今お伺いをし、またお願いしようとするのは、例の今国会で先般非常に問題になりましたつき添い看護婦の問題であります。 まず第一の問題といたしましては、あのつき添い看護婦問題のときに、付随的な問題として当委員会でも取り上げられた問題でありますが、東京の中野療養所、清瀬病院及び東京療養所に働いておるいわゆるつき添い婦諸君が、これは主として生活保護の関係のつき添い看護券の問題だと思いますけれども、この請求に不正があったので、この不正の分を支払えということになった。たとえば中野療養所では四十五万円を返還せよというのでありますが、私が中野療養所に参って、またいろいろつき添い婦のまじめな人たちにも、また逆に他の人からもこの問題について聞いて調べたのでありますけれども、たとえば中野療養所では、不正は確かにあったけれども、三日しかない。これは、つまりつき添い婦のおばさんの側から見ての不正であります。みな働いたんだ、働いたものをもらった。ただ問題は、社会局長が患者一人に対して一人つけという通牒を出されたために現実と合わないので、そこで万やむなく療養所側とつき添い婦の組合と、それから患者の組合と、三者が話し合った上で適当にそこをやったのである、つまり現実に即したようにやったのである。おばさんたちは、少しも余分に金をもらっていない、働いたものをもらっておる、逆に働いたものをわずかしかもらっていない場合もあるのだ。しかるに、これを四十五万円要求せられた。とんでもないことだというので、ともかく誠実をこめてそのおばさんたちの申しますのに、不正があったのは三日だけだ、この三日については、これは局長が知らぬ間にあるつき添い婦が不正なことを請求した、それ以外には絶対ない。ただ問題は、なるほど厚生省の言うたその通牒、あるいは生活保護法による医療扶助のつき添い婦ということについては、あるいは問題が違っているかもしれない。しかしおばさんたちは、とにかく三者相談の上で働いた分をもらったのだ、それがなぜ不正であるか、こういうように言われるのであります。私はそれらのいきさつについて、この前もこの委員会で申し上げたのでありますが、問題の一番の根源は、確かに社会局長の現実を無視した一人づきという通牒自体にあるのである。だから、そういう結果として、現実にそぐわないから、療養所側でも、万やむなく三者協定の上でやった仕事を、今はこういう問題が大っぴらになって参りましたから、病院側は逃げてしまう。結局つき添い婦の、気の毒な未亡人であるおばさんたちが全部の被害者になってしまう。それで、四十五万円を返せという。私も見かねて、山花議員とともに東京都にも参って、東京都の役と交渉してみました。その結果、それではともかくも政治的に解決をするということで、二万円ずつ三カ月出しなさい、六万円でこの問題を棒引きにしてやりなさいということで、一応東京都側も了承したのである。しかるに社会局長が、断じてそれを許さぬ、こういうことで、またこれがぶり返した。そして普通にぶり返したならば、私はまだ承知ができるのでありますけれども、こういう実に悪らつきわまることであります。それは、今までは東京都で、このつき添い婦組合の方々につき添い料をまとめて払っておったのでありますが、もしこの四十五万円を払わないならば、今後はこれを東京都では扱わない、つき添い婦がそれぞれの社会福祉事務所へ行ってもらうべしということを宣言した。そういうことを明らかに厚生省の社会局長が要求したのであります。この証拠を私は持っている。こういうことのために、東京都は社会局長に圧迫せられて、やむなくそれをつき添い婦に言った。つき添い婦側では、それをやられると、大体三カ月から四カ月延びて、しかも繁雑きわまる手続になって、とうとう自分たちは耐え得ないから、残念ながら、泣き寝入りで四十五万円を払うことにしよう、こういうことに、大会で泣きの涙で決定した。その大会のあと、夜になってわざわざ私の私宅にまで二人のつき添いのおばさんがやってきて、涙を流して、残念だけれども仕方がない、こう言っておる。私はこういう弱い者いじめをする態度に対して、憤慨にたえない。率直に言うと、私は、厚生省の社会局であるか大蔵省の社会局であるかわからぬと思っている。こういうことで、弱い者いじめをして、つき添い婦のおばさんの働いた金を取り上げる、払わないで取り上げようとする、しかも実態は、すでにああいう仕事をやっておりますおばさんたちの実態としまして、当時のおばさんたちと今日のおばさんたちとは違ってしまっている。大部分が違ってしまっている。その違った、自分が取ったものでもないものを払わされる。しかも、それを払わなければ、社会福祉事務所に行ってもらいなさい。三カ月、四カ月おくれるから、それでは生活できないから、万やむなく、泣きの涙で、つき添い婦の組合の大会として承認せざるを得ない、こういうことに追い込むのは不届きだと思う。これは中野療養所のみならず、清瀬にも、東京療養所のつき添いの組合にも、これをしいているようであります。清瀬の東京療養所の方は、組合がしっかりしておりますために、これをはね返そうとしておりますが、果してこれができるかできぬかわからぬ。私は、この問題がつき添いのおばさんたちに有利に、正しく解決しないならば、断じて許さぬ。いつまでも、次の国会でもこれを取り上げるつもりであります。また国会の閉会中にも、私はこの問題のために尽力するつもりであります。社会局長がこういうつき添い婦たちをいじめることは、もってのほかだと思う。この問題は、ぜひとも取り上げてもらいたい。 これらのことについて、局長あるいは保護課長において、今日まで何らか入手された情報があられるかどうか、この点について、もし御存じだったら伺いたい。何も御存じなければ、けっこうであります。
○黒木説明員 その後東京都からまだ正式の報告に接しておりません。
○長谷川(保)委員 時間もありませんから、これ以上申ませんが、これは何とか正しく解決してもらいたい。正しくという意味は、こういうようなかわいそうなおばさんたちから四十五万円も取り上げるというような、ばかなことをするものじゃないということを考えてもらいたい。この点は、ぜひとも早急に解決してもらいたいと思う。責任があるとすれば、むしろ病院側と厚生省社会局長に責任がある。しかし、それは不正な受給であるということで、手続その他が悪いというので、もしあくまでこれを取り上げるというならば、厚生省自体が、それほど正しいことをあくまでやろうと主張なされますならば、私も覚悟がある、私もある決意を持っております。それほど厚生省がピンからキリまで情容赦もなく、ただ法律通りにやろう、たとい自分のやったことが、現実に合わないからこういう間違いが起ってきても、そんなことは考えないで、あくまでもつき添いのおばさんたちから取り上げようというならば、私も宣戦を布告する決意を持っておる。これは後に同僚議員からも厚生省に対して痛いところをつかれると思いますが、私も握っていないわけではない。むしろわれわれは、今日厚生省を守るために、重大な問題をつかんでおるが黙っておりますけれども、もしあくまでやろうとすれば、私もあくまでえぐります。そのときの被害については、責任を負わない。私はその十分な証拠を持っていますから、えぐります。このことを申し上げておきます。 さらに、第二の問題として申し上げておきたいことは、つき添い廃止の問題について、先般当委員会でも決議をいたしまして、政府当局にも申し上げてあるわけでありますが、政府当局は、この決議に従って行動していないと思われる節がある。どうもあの決議の趣旨と違って、あくまでつき添いを廃止しようという最初の厚生省の方針をそのままやろうとしておる傾向があると、私はあちこちの療養所を回りまして考えるのである。これらのことについて、あの決議にありましたように、つき添い婦を廃止するというようなことを今しないで、十分な配慮をもって、つき添いのおばさんたちの生活のことを考え、また療養所の設備のことも考え、あるいは療養所の運営自体についても十分考えておやりになっておいでになるか。それともまた、最初に厚生省の考えておったように——決議は決議で、一応頭を下げておれば、どこかへ飛んでいってしまうから、最初に厚生省の考えたように、国会でも閉会になったら、一つづき添い婦の廃止をどんどんやっていこうとなされるのか。療養所を回ると、どうもそういう傾向が見えますので、この際念を押しておきたい。
○曽田政府委員 御承知のように、昭和三十年度におきまして、雑仕婦の増員の要求したということが、いわゆるつき添い婦廃止という形でいろいろと論議されたことは、もう十分当委員会においても御論議があったであります。私どもも大体御了解を得たと思っておりますのは、療養所に看護体制を整えていくということについて、一歩でも二歩でも進めたいというふうに考えた趣旨から出ておるのであります。その意味におきましては、この国会の終るのを待ったというのではございませんで、この皆様方がお集まりになっております時期におきましても、この趣旨を施設に少しでもよく納得させるように努力をしてきております。また今後も、それを続けるつもりでおるのであります。そのこと自体を意味しておられるのでございますか、あるいはその際に、これを直ちに全面的に実施することは、所内の療養体制と申しますか、看護体制というものの整備とにらみ合せて、無理のないようにやれよという御注意をいただいたものと、私どもは了解しておるのでありまして、施設によりましては相当困難もありましょうし、中には比較的簡単に、もっと極端なことを言いいますれば、すでにつき添い婦の一人もいない施設もございます。かようなところについては、できるだけ療養所自体で看護の責任を全面的に負えるような体制を立てて参りたいというつもりで、私ども努力をいたしておる次第でございます。 —————————————
○中村委員長 それではこの際お諮り申し上げたいことがあります。井堀繁雄君外五名提出の労働者福利共済団体法案につきましては、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 それでは御異議なしと認め、さように決します。 —————————————
○中村委員長 次に、失業対策に関する件について発言を求められておりますので、これを許可いたします。小川半次君。
○小川(半)委員 私は失業対策事業費に関連いたしまして、労働省当局に二、三お尋ねしたいのであります。この問題につきましては、社会党の岡本隆一委員から詳しく質問する予定でありましたが、時間の関係上、また私も岡本委員と同様の意見を持っておりますので、お伺いするのでございます。 失業対策事業費は、御承知のように、その三分の二を国が持って、三分の一を地方の府県あるいは地方の自治体が持つことになっておるのでございます。この地方府県あるいは自治体におきましては、国の方から三分の二失業対策事業費をもらうということは、まことにけっこうでありますが、府県あるいは自治体には、赤字で悩んでおる貧困なる地方もあるのでございます。この貧困なる地方自治体や府県におきましては、三分の一のこの費用を持つことができない。赤字に悩んでおるところのこうした地方自治体においては、今も申し上げたように、せっかく国の方から三分の二の予算をもらっても、三分の一を自分の手で持つことができないところの地方団体が、全国を通じてかなり多いのであります。これらの問題を今後どう解決していくか、まず第一番に伺いたいと思うのでございます。
○高瀬政府委員 ただいま御質問がございましたが、実はそういうような非常に国家の補助があっても地方の自治団体の費用がないので、なかなか失業対策事業が行えないというところは、京都のような大都市においても、しばしば伺っております。そのほかの都市でも、そういうところがたくさんございます。特にこの前多賀谷委員も言われましたように、炭鉱地帯などで町の税金も取れない、あるいはその他経費の徴収もできないということで、失業者があっても、対策が立てられないというようなところが非常にあることは、承知いたしております。従って、労働省といたしましても、これらの問題については慎重に対処いたして、具体的にほんとうに実情に適するような失業対策事業を行いたいというような考えを持っておりますが、何といたしましても、私どもは今すぐにそれらの問題を、急に腹が減ったときに飯を食ったような状態で解決することは、とてもできませんけれども、やはり経済の六カ年計画というものがあるわけでございますから、総合的な失業対策事業の計画を極力推進いたしまして、やはり長い目で経済自立の達成をはかりまして、とにかく雇用の増大をはかり、経済力の拡大をはかるというようなことで、総合的な失業対策事業、こういうようなものをぜひやっていきたい。特に皆様御承知のように、特別失業対策事業というようなものをいたしまして、国の補助が五分の四、これについては約四十億の経費を盛っております。資材の面でも、非常に負担をふやします。それで道路とか港湾とか、河川、水道、こういうようなものについて、特別失業対策事業をやる。ですから、炭鉱地帯の市町村であるとか、あるいは大都市で金のないようなところには、できるだけ国家がこれらの経費を全額負担して仕事をやっていきたい。それから、あるいは府県のようなところへ、直接直轄の道路工事とか、あるいは水道工事とか、そういうようなことをやって救済していきたい、こういうふうに考えております。 それから、ただいま言いましたように、特別失業対策事業、それから場合によりましては、これは具体的に私はここに申し上げてもどうかとは思いますけれども、たとえば短期の特別の融資を考える。あるいはひもつきの起債を起す、あるいは補助率を引き上げる、こういうようなことも、一つのそういう場合の救済方法ではないかと考えております。まず大体私どもとして考えておるというのは、さような角度から極力推進していきたいということであります。
○小川(半)委員 国の方から金を出して、また一部を地方の自治体や府県に持たせておる制度の中には、生活保護法による生活保護費というものもありますが、これも一部は地方が持つ、失業対策事業費もこれと同様に一部は地方が持つのであります。たとえば生活保護費などは、労せずして一応対象者はもらうことになるのでありますが、失業対策事業費の対象となる人たちは、労せずして金をもらうのではない、働いて、あるいは国なり府県なり、あるいは地方自治体の何らかに尽して、労して金をもらうのであります。しかしながら、これはとにかく国の方で、その地方自治体が三分の一を持つ能力がなかった場合は、その能力のない地方自治体、あるいは府県に対して、三分の一の負担を持たなくともよいところの措置を講じなければならぬ。失業対策事業費というのは、ただ形式的に三分の二は国で持つから、三分の一はお前たち持てというような、そういう形式的なものではない。三分の一の金がないために、失業者が救済できないという現実の問題があるのです。ですから、とにかく問題は、失業者を救うというそこに根本的問題がある。わずか三分の一の金がないために、失業者を救うことができないという現実の問題を解決しなければいかぬと思うのであります。ですから、たとえば従来こういうことがありました。全国的に政府の方から平衡交付金というものを一律に出しておるわけですが、ところが平衡交付金をその制度に従って一律に渡しましても、なおかつ赤字でやっていけない府や県市があるのであります。そういうところへは、政府は特別平衡交付金という制度を設けて、一般並みとは別に、さらに保護する、救済するという対策を立ててきた。これと同様に、失業対策事業費は、一律に三分の二は国で持つことになっておるけれども、その三分の一の負担金を持てないところの弱体な地方自治体やあるいは府県に対して、国はやはり特別の措置を講じなければならぬ。私が高瀬政務次官にお尋ねしたのは、政府の方でこうした貧困なる地方自治体や府県に対して特別の措置を講ずる必要があると思いますが、政府の方にそういう対策なり考えがあるかということを、お尋ねしておるのです。
○高瀬政府委員 ごもっともでございますが、実はこれらの都市に対して特別な措置を具体的に政府が持っておるわけではございませんが、三分の一の負担ができないような地方の自治体あるいは大都市に対しては、できるだけ県単位の仕事をやってその負担も軽減する。たとえば県単位の失業対策、あるいは本年特にわれわれが設置いたしました特別失業対策の事業を行うというようなことで、これらの点を補っていきたいというふうに考えておりますし、先ほど申しましたように、補助率を引き上げて特別な補助率を与えるとか、あるいは地方に短期の特別な融資を認めるとか、あるいはひもつきの起債を認めるとか、こういうような方法でこれらの自治体あるいは市町村を救済していきたい。ただ、具体的に一般の失業対策のやや特殊な例外になるよなことが炭鉱地帯、大都市でもひんぴんとして起きております。この現状に対しましては、御承知のように今度労働省の中に特別失業対策部というものもできましたし、これらの機能を十分動員して、できるだけ御要望に浴うように組織を活用して今後の具体策を練っていきますから、どうぞその点を御了承をお願いしたいと思います。
○小川(半)委員 今申し上げましたように、一部府県あるいは地方自治体においては、三分の一負担という基本線は一応あるのですが、現実は三分の一以上負担しているのです。なぜかと申しますと、貧困なる地方自治体その他においては、三分の一負担の金は銀行その他から借り入れているのです。これに対する利子などを払っておる。あるいは一部地方においては、その事業に関する用地買収等の費用や、いろいろなものが加算されております。こういういろいろな費用を合せますと、三分の一となっておりますが、実際は三分の二になっておるのです。そこで、この負担は非常に苦しいわけであります。ですから、もし労働省当局において、そうした貧困なる地方の場合は三分の一をオーバーしないように、その余分に負担しなければならないものをその地方に負担させずに、せめてこれだけでも政府の方で見るという対策がなくちゃならぬと思う。私はこれだけはやってもらいたいと思いますし、またやらなければならぬと思うのですが、当局のお考えはいかがでありますか、お答えを願いたいと思います。
○高瀬政府委員 その点は、まことにごもっともでありますから、明後日から発足します特別失業対策その他を動員いたしまして、御趣旨のほどを十分研究して善処いたしたいと思います。
○小川(半)委員 これはぜひやってもらわなければ——あなたも御承知のように、本年度の予算においてわれわれは協力いたしまして、この失業対策費用に対しまして、前年度よりも四十五億円増をはかったのでありまして、その増額を国会が認めたのも、こういう点にも意図のあったことをよく御了解願って、ぜひこれが解決に当ってほしいのでございます。特に最近の都市の失業者は、ますますふえてきております。すでに今日では、農村におきましては二男、三男は食っていけないような状態になってきております。そこで、結局は大都市へ職を求めて流れ出てくる。ところが、都会においても思うような就職口がない、こうして近年大都市には失業者が充満しつつあるのでございます。これらの点について、労働省当局は、今年は今申し上げたように四十五億という増額をしたのですから、ぜひ一つこれらの問題を解決願いたい。われわれ最近見ますと、どうも日本は失業漫性国になりつつあることを、私は非常に憂えておるのでございますが、高瀬政務次官は、なかなか政治力もあるわけですから、どうぞ慢性失業国にならんとする日本の現状を打開するための抱負を一つ聞かせていただきたい。
○高瀬政府委員 日本の失業者をなくするということは、小川君もわが民主党の有力なる幹部でありますから、御承知でありましょうが、とにかくわれわれは経済自立六カ年計画の線に基いて完全雇用、経済規模の拡大ということで、本年から発足しておるような次第でありまして、この点は大方委員諸賢も御了承下すっておると思うのであります。ですから、われわれの内閣がずっと続いて、経済六カ年計画が完全に遂行されますならば、昭和三十五年には、ほとんど失業者がなくなります。昭和三十年度には、完全失業者が約六十三万人でありますが、昭和三十五年度には四十三万五千人ということになりまして、ほとんど完全雇用に近いところまで経済自立を達成することができるという自信を私は持っております。どうかその点は御安心願いたいと思います。
○小川(半)委員 最後に、一つお尋ねしておきますが、大都市の中でも、特に京都市の場合は、日雇い労働者は、一カ月のうちにわずか十五日しか就労できない。十五日の就労では食っていけないことは、あなたも御存じであろうと思うのです。政府は、特別に都市に対する失業対策というものを持たなければならぬと思うのです。特に京都などは、斜陽市民でありまして、産業が振わない、こういう斜陽市民が充満しておる都市のインテリ失業者、そうして今申し上げましたように、一カ月のうちにわずか十五日しか就労できないところの日雇い労働者の人たちをあわせて救済するところの対策を、政府は持たなければならぬと思うのです。これはその都市の責任であるとか、その他方の責任であるからというような冷淡な態度ではなくて、特に積極的にこれら都市失業者が就労できるように一段と御努力を願いたいと思います。この点に対し、政務次官の御答弁を承わって私の質問を打ち切ります。
○高瀬政府委員 御趣旨に沿うように、全力を上げて努力をいたします。 —————————————
○中村委員長 次に、災害復旧仮設住宅に関する問題について発言を求められておりますので、これを許可いたします。草野一郎平君。
○草野委員 これはどなたからお答えいただくのか知りませんが、わざわざ政務次官にお越しいただきましたので——おそらくこのことは、適切なるお答えをいただくほどの御報告を受けておいでにならぬと思いますので、私が徹底してお話を申しますから、最後にそれに対する的確なる御処置をいただきたいということ、それがどういう方法をとって、全国的にどういう結果を生んだかということを、次の国会で正式に御報告をいただきたいということを要求いたします。 問題は、災害復旧に対する仮設住宅の問題であります。これは、災害が起った場合に、全壊あるいは半壊等によって、その住民の居住場所がなくなったとき、厚生省が仮設住宅を設置するのであります。その問題についてでありますが、私は全般的な、抽象的な問題として取り上げるのではなくして、的確なる事例を申し上げて、そのお調べをいただきたいと思って申し上げるのであります。 そのことは、久留米市において問題が起っております。すなわち、昭和二十八年六月の水害において、全壊半壊の罹災者に対する入居住宅を建設するため、国費八割の補助、久留米市二割の負担でもって、牟田山住宅というものが建てられたのであります。二百四十九戸で百六十八棟であります。昭和二十九年の五月に着工いたしまして、八月二十六日に完工いたしました。ところが、この入居に際しまして、その竣工いたしました家屋に入居して、もしここがいけない、あそこがいけないということであるならば、一カ月以内に申し出さえすれば修繕をしてやる、一カ月以後であるならば、それは居住者の責任としてお前らが営繕をしろということになっておったのであります。従って、一カ月以内に修繕すべき個所があったら申し出よという通達をいたしましたら、片っ端から直してくれという注文が出てきたのであります。そこで、修繕すべき人が出かけていって現地をつぶさに検分してみると、これは大へんなことであった。修繕どころじゃない、根っから建て直さなければものにならぬというようなことが出てきたのであります。ところが、そういうことがだんだん話になり、うわさが広がり、昭和三十年五月三十一日、久留米市の文教、厚生両委員会において問題となって、牟田山住宅調査特別委員会が設けられたのであります。そこで市会では、井上義一郎という人が委員長となって詳細な調査をいたしました。その中間報告というのが今年の六月二十九日の朝日新聞筑後版というのに載ったのでありますが、その一端を読み上げますと、牟田山住宅を請負った七業者のうち、市側から材料を提供された二業者を除く五人の業者の全部が手抜き工事を行い、設計仕様書の見積り額と実際のでき上りとの間には合計百五十万円に上る穴がある、こういう中間報告をいたしました。その後、さらに一級建築士をして調査をせしめた結果、柱から床板から、かわらから、何から何まで徹底して調べますと、大した穴があいておる。その報告書というものが出ておりますが、それにはどういうことが書いてあるかといいますと——これは七月になって市会議長に向って報告書が提出されておりますが、第一、成規の手続をとらず、現場において関係職員と業者とが勝手に工事の設計変更をなしたる不正事実、第二、施行過程における監督の怠慢及び検収に当って厳正なる検収を怠った事実、第三、設計不備の事実、第四、市当局の怠慢及び綱紀紊乱の事実、第五、善良なる業者と認定しがたき施行事実等が発見立証されたことを報告しております。その内容は、これに詳しく書いてあります。さらに一級建築士が克明に調査して、一本一本の柱、一枚々々のかわらまで調べた結果が、ここに正確に報告書ができ上っております。私はこれをこのままお預けいたしますから、どうぞこれは徹底的にお調べいただきたい。このことに対しては、おそらく厚生省の社会局でありますか、これについては何らお調べになった事実はなかろうと思う。これは建設省にも関係があるかもしれませんが、そちらでもおそらくお調べになっていますまい。会計検査院もおそらく手をつけておりますまい。こういう事実は、久留米市だけでなく、全国至るところで問題になっておりますが、ひょっとすると日本中にあるのではないか、あるかもしれない。それを、私は厚生省が悪いというのではない、下へ行くほど厚生省の目が届かないから、ろくなことをしておらぬという事実があるのだ、そういうことを一つ徹底的にお調べになって、会計検査院にでも連絡をおとりになって、この事実をお調べになり発表でもなさいますと、日本中が粛然として参ると私は思う。そうでもしなければ、そのままほうっておけば大へんなことになります。東京で何も御承知なくしてやっておいでになると、地方々々でだらしないことをする、たとえば、設計をしている者、請負をしている者、それらが自動車を連ねてナイターを見に行ったとか、どうとかしたとか、これにみな書いてあるのであります。そういうことがあるから、はっきりお調べ願いたい。私は架空の事実を申し上げるのではありません。久留米市の市会で問題になり、新聞に載った問題であります。従ってこれをお調べになって、適切なる御処置をいただいて、今後全国的にかかる問題の起らざることを期するために、かくのごとき方法をとったということを、次の国会においてはっきり御答弁いただきたいということを私は申し上げたいと思う。これは御答弁いただきたいと申しましても、やりますということだけしか御返事はいただけないと思います。だから、その通りやりますとさえおっしゃっていただきますればけっこうですから、私は一括してこれをお預けしておきます。
○紅露政府委員 ただいま草野委員から実例をあげましての、災害救助によります応急住宅についての非常に不当なと申しますか、住むに耐えないような問題がここに提起されたのでございまして、仰せのごとくこの事実をまだ私は報告を受けておらないのでございます。はなはだ遺憾なことでございますので、これは徹底的にさっそく調査に着手いたしたいと存じます。全国にさようなことがたくさんあるであろうということでございますならば、一大事だと存じますので、仰せのように、十分これを調査いたしまして、かようなことのないように、そうしてまたただいま仰せの、来たるべき国会に報告せよということでございますが、必ずさように取り計らうことにお約束を申し上げたいと存じます。
○草野委員 もう一つ、政務次官からそうしたお言葉をいただきまして、私、それでけっこうでありますが、私は必ずしも全国にあろうとは思わないのであります。思いたくないのであります。もしあるとすれば、一大事でありますが、こういう事実がすでに現われてきております以上、こういう的確なる事実に対して、厳格なる御処置をおとりいただくことが、今後の問題に対して、一つの大いなるみせしめであると思うのであります。そういった意味において、厚生当局は厳然たる態度をもってこうした御処置をいただきたい、そういうふうに御希望いたしておきます。 私の質問をこれで終ります。
○紅露政府委員 承知いたしました。 —————————————
○中村委員長 船員の業務上の死亡に対する保険給付の問題について、発言の通告がありますので、これを許します。井堀繁雄君。
○井堀委員 これは厚生省の所管でありまする社会保険審査会の委員長名義で、政府におきましては訴訟を提起しております事柄であります。この答弁をいただきますには、社会保険審査会の委員長の出席を要求しておきましたが、いろいろな手違いで、出席が不可能であるそうでありますので、また他日委員長の出席を求めて質疑をいたしたいと思っております。 この事柄は、昭和二十五年十一月三日の夜に、長崎県の長崎市恵浦水産所に属しまする漁船第十六金章丸の甲板長を勤めておりました町中勇君が、業務中死亡をいたしまして、その死亡に対する保険給付の請求をいたしましたところ、たまたま当局は職務上の死亡でないと判定をいたしましたことから、昭和二十六年七月三十日に中央の社会保険審査会に審査請求をいたしまして、この審査会におきまして、当時の審査委員十四名が出席して、その十四名のうち七名が業務上による死亡と断じ、残り七名が業務上による死亡でないとの意見が対立をいたしまして、この委員会が七対七でありましたので、委員長——その当時は審査会の会長でありますが、会長が議長席にありましたので、議長が可否同数の際における裁決の一票を投じまして、遂に業務上による死亡でないと審査会の決定を下されたわけであります。これに対しまして、被保険者側の遺族は、この決定に不服であるというので、遂に東京地方裁判所に提訴いたしまして、この三十年七月の一日に、東京地裁民事第三部の判決が下りました。この判決の結果によりますと、業務上による死亡であるとの判決が下っておるわけであります。 こういう事実でありますが、私のお尋ねしようとすることは、本日もこの委員会で審議を了しました船員保険の改正にも重大な関係のある事項でありまして、従いまして、海員保険全体に関するそれぞれの質疑もいたさなければ、こういう事実に対する正確な御答弁をいただくことが困難であると考えて、保険局長、さらに当事者でありまする社会保険審査会の委員長の出席を求めたわけであります。以上のような次第でありまして、これに対する御答弁をいただきますには適当でないと思いますが、こういう事実について、まずお認めになることには間違いないと思うのであります。こういう経過をたどって地方裁判所の判決をわずらわしたということ自体は、保険の精神から考えて、まことに遺憾な事柄でありますが、それはできたことであります。それに対して、厚生大臣は、この第一審の判決に不服であるというので、控訴をされておると聞いておるのでありますが、このことについて、次官が御承知であれば、お答え願いたいと思います。
○紅露政府委員 私はまだその報告を聞いておりません。事務当局があるいは聞いておるかもしれませんが、ただいま出席をいたしておりますから、よく尋ねまして、もう一ぺん御答弁させていただきます。
○久下政府委員 御質問の問題は、承知をいたしております。その問題は、社会保険審査会において裁決をいたしました。その結果に対しまして、被保険者の遺族が不服で、地方裁判所に訴訟を起しまして、その結果、社会保険審査会の敗訴という事実になっておるのであります。現在は社会保険審査委員会ということになっておりますが、社会保険審査委員会におきましては、協議の結果、現在控訴をいたしておるようであります。
○井堀委員 今、私のお尋ねしたのは、経過について一応の事実を述べ、第一審の判決が七月一日にあって、これは被保険者側の主張の一部で、しかも重要な点について、被保険者側の勝訴になった。政府側が敗訴になった。それを控訴されたのは、どういう理由であるかということをお尋ねいたしたわけであります。この点は、もちろん審査会の重大な関係事項でありますので、本来は審査会の委員長、できれば前の審査会の会長というような関係で、順序を正していかなければならぬと考えて、審査会の委員長の出席を要望しておきましたが、いろいろな手違いで出席が不可能でありますので、この点については、他日質問の機会を得て調査を進めて参りたい、かように思って、ただこういう事実について一応明らかにして、さらに控訴された点について、政府の側の見解がこの際述べられれば伺いたい。さらに、その答弁のいかんによっては、また質問を継続したい、かように考えております。
○久下政府委員 お答えを申し上げます。ただいまの問題につきましては、井堀委員から非公式にお話を承わりまして、私の昨日国会の合間を見まして、川西審査委員長と他の二名の審査委員立ち会いのもとに、話し合いをいたしたのでございます。その結果、私が承知しております事情を申し上げたいと思います。 ただいまお話しのように、地方裁判所の判決によりまして、審査会が敗訴になっておるのであります。その後審査委員会の名をもちまして、控訴の訴状は出してございますけれども、その理由書は、昨日、おそらく今日もそうだと思いますが、まだ正式に提出しておらない段階でございます。しかしなら、昨日私が審査委員長から承知いたしました控訴の理由は次の通りであります。被保険者である漁船乗組員が死亡いたしまして、その死亡が職務上の死亡であるか職務外の死亡であるかという点は、御案内の通りであります。その点につきまして、まだ正式な公文書にはなっておりませんので、従いまして、審査委員会が控訴いたした正式理由であるというふうには御承知いただかないで、私が先ほど申し上げたようないきさつから、口頭をもって聞き得ましたことを申し上げるのであります。 理由の第一は、死亡いたしました被保険者本人が、死亡の原因となりました心臓疾患を事前に持っておったというような事実につきまして、医師の判定書あるいは証拠書類等がございます。そういう事実についての裁判所の認定が十分でない、こういうことが第一でございます。 第二には、職務上外の認定につきましては、当然死亡ということと職務上であるかどうかという事実との間の因果関係の問題があるわけでございます。この点につきまして、判決の理由書に述べております、つまり判決の主文を導き出しております因果関係の主張というのが、従来審査委員会並びに行政当局においてとっておりました取扱い方針とはだいぶん隔たりがございます。その点につきまして、判決の結果を承認することができないというのが控訴をいたしております理由と承知をいたしております。
○井堀委員 この事柄は、すでに裁判所によって十分な調査と審理が行われて、その上で判決があったものであろうことは、想像にかたくないのでありまして、その審理中の調書によって、ある程度事実に近い、あるいは事実に相違ない事柄等が、判決書の中にもそれぞれ論述されておりますので、そういう内容について、私はここで論ずる以前の問題についてお尋ねをしようと思うのです。不幸にして、この審査に関する責任の立場にある方の直接の答弁をいただかなければ、正確を期することができないと思うので、非常に残念に思いますが、後日に譲るより仕方がないと思います。ただ、今、局長の御答弁の中で、私はこの際明らかにいたしておきたいと思いますことは、保険審査会——今日は審査委員会ですが、前の審査会の制度の時代には、それぞれ三者構成ででき上っている委員会で、この委員会が業務上の死亡であるかそうでないかという決定をするということにつきましては、保険制度にとっては重要な機関として、保険に関係を持つ者はこれに重大な期待を持ち、またその判決については最大の支持と、その決定に尊敬を与えるということがなければ、この種機関というものは円滑にいかないものであるということを、私は強く期待をするだけに、それが遂に裁判ざたにまでなったということは、まことに不幸なことだと思うのであります。しかも判決が、一審ではありますが、あったものを、またこれをくつがえして争うというようなことが、もし継続するようになりますと、ひとり船員保険の問題だけではないと思うのです。あらゆる社会保険について、一々裁判所の決定をもらわなければならぬような事態が起るかもしれない。それも、今問題の中心は、すでに明らかにされましたように、甲板長として漁撈に従事しておるその途中に倒れたという事実は、操業中であったということと、しかもその場所が東支那海の漁場で倒れたという事実は、これはもう争いのないところであります。さらに、今ちょっと御答弁の中で聞き落しましたけれども、当時川南工業病院の医師の診断によりますと、過労が原因で心臓麻痺で死亡した、こういうことになっておるようであります。しかも、その操業の場所が東支那海の漁場であった、こういう事柄だけを判断いたしましても、それが、もし今局長の答弁の中にあったように、また政府がそう主張しておるのか知りませんが、この被保険者が心臓疾患を持っていた、その心臓疾患を持っていたのが漁撈中に死んだことを、業務による死亡でない、あるいはそうであるときめることを裁判所に持ち込まなければならなかったということ自体が、先ほど申し上げるように、非常に残念なことであると同時に、こういう事柄について、私は一番大切なことは、保険の精神が、あくまで相互扶助の精神の上に組織されたものであるという建前を貫くことになりますならば、その保険に関係しておりまするもの、すなわち旧法規の社会保険審議会のように、被保険者、雇い主、それに学識経験を持つ第三者すなわち公益側の代表をそれぞれ加えたこの委員会の性格は、相互扶助の精神の上に立って、自主的に問題を処理するようにという精神にほかならぬと思うわけであります。しかも、経過から言いますと、出席委員のうち七対七で、しかもその可否が委員長によって決せられるというようなことは、私はこういう議事の運び方について、可否同数の場合は議長が決するというやり方については、何も認めるにやぶせかではありませんけれども、同数といったような問題が一方にはあり、さらに第一審で業務による死亡であるという判定が下っておる、こういう経過だけを中心にして、これが船員保険の政府管掌でありますから、厚生大臣がこの衝にあるとはいうものの、厚生大臣というものは、言うまでもなく、保険の関係者に対しましては、いわばわき役であって、主役ではないのであります。そのわき役の者が、ことさらに訴訟ざたで争そうというようようなことは、避くべき事柄だと思うのであります。こういうような点について、私どもは非常に重大な関心を持っておるわけであります。この点については、何も審査会の委員長の出席を求めなくても、保険の行政事務の総元締めである保険局長としては、こういうようなものに対してのお考えがおありだろうと思うのです。こういうような点について、もしお答えができれば伺っておきたい。これはすぐどうということではありませんけれども、なるべくこういうことは早くきめないと被保険者にとっては非常な迷惑でありますから、繰り返すようでありますけれども、当の責任者の出席が得られないので、これ以上論議を進めることはどうかと思いますが、今、御答弁に関連して、この点だけをお尋ねしておきたいと思います。
○久下政府委員 御質問は、おおむね三点に分れると思いました。逐一私の所信を申し上げたいと思います。 まず最初に、この種の問題の判定につきましては、関係者の意見を十分尊重すべきであるという御意見につきましてはおおむね同感でございまするし、現に審査委員会の運営につきましては、審査委員会法の定むるところに基くのみならず、実際の運営上は、労使双方の代表者に個々の問題につきまして十分御意見を伺いまして、それを尊重いたしまして、審査委員が会議の上決定をするというような運営をいたしております。私がこんなことを申し上げるのは、いかがかと存じますけれども、審査委員会ができまして、すでに約二年近くになてっおりますけれども、その間、労使双方のこれに直接関係をしておられる方々も、審査委員会の運営につきましては、満足をしていただいておるように伺っておる次第でございます。審査委員自身も、そういう考え方で今日まで運営していると直接、間接耳にしておる次第でございます。 それから第二は、可否同数になったというような場合には、もっと運営上検討をする余地がなかったかということにつきましても、私もさように考えるものでございます。ただ、当時の具体的な実情につきまして、私自身直接関係をいたしておりませんので、つまびらかにいたしておりません。その当時、すぐ委員長が一票を投じて可否を決定してしまうということの前に、何らか打つべき手があったのではないか、また一般的にそういう場合の運営について注意すべきではないかという御意見については、ごもっともであると思っております。これはただ具体的なこの問題につきましては、すでに過ぎ去ったことでありますが、一般的な問題といたしましては、各種審議会の運営などにつきまして、十分留意すべき点であると考える次第であります。 それから第三点は、特別にお尋ねではなかったように存じますけれども、実はこの問題につきましては、一応と申しますか、形式的には控訴の手続がすでに済んでおるのでございます。しかしながらいろいろ関係者の方々から御要望等がありまして、私も実は国会の合間を縫いまして、昨日食事休みに厚生省に戻りまして、先ほど申し上げましたように、審査委員長以下と相談をいたしたような実情であります。実は審査委員長と私自身の国会における都合のために、その後ただいままで会っておりませんので、具体的な問題の解決につきましては、なお十分御自身の立場からも努力してみたいと思います。
○井堀委員 それでは一つだけお尋ねをいたしておきたいと思いますが、この審査請求を受け、審査をして決定をいたしたのは、昭和二十六年七月三十日の審査請求で、その年の九月と十月に二回にわたって委員会が開かれておるようであります。この当時の制度と、その後法律改正になって、今日の制度でいうと社会保険審査会、しかもその組織も全く一変しておるように思います。新しい法律によると、審査会は委員長及び委員二名をもって組織するという、少人数すなわち三人で委員会が構成されてしかも委員長及び委員は、人格が高潔であって、社会保険に関する識見を有し、かつ法律または社会保険に関する学識経験を有する者のうちから両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する、こういうふうに法律は規定しておるようであります。こういう点で、こういう事件については、制度も変ったことでありますけれども、こういうものに対して控訴をするとかしないとか、あるいはその結論をどう出すかという決定は、この委員会にあるものと私は信ずるのであります。そうすると、この委員会の構成は、今言う法律で明らかにされましたように、りっぱな人格者で、しかも学識経験があって、国会の承認を得て総理大臣が任命した方でありますから、ここでものごとを決することのできる内容のものであるというふうに私は判断しておるのでありますが、局長はこれに対してどういう見解でありますか。
○久下政府委員 お話しの通りでございます。
○井堀委員 今、局長の御答弁をいただいたように、最後決定は、この委員会の代表者である委員長の態度いかんにあるようでありますが、残念ながら委員長の出席を得られませんので、一応私の質問は本日の場合は留保しておきます。 —————————————
○中村委員長 次に、駐留軍労務者の健康保険に関する件について発言の通告がありますので、これを許します。山花秀雄君。
○山花委員 ただいまの問題に関しましては、しばしば川崎厚生大臣の出席を要求して参りましたが、いまだにお見えになっておりません。この問題に関しては、率直に言って、厚生大臣でなければ、従来の委員会の経過から申し上げまして、質疑の要領を得ないと思うのであります。しかし、大臣がおいでになっておりませんので、久下政府委員にことずけを一つ願いたい、こういう意味で質問を続けていきたいと思います。 この問題は、今国会が招集されてから当初の委員会で、もうすでに問題になったことは、久下政府委員も十分御承知の通りであります。駐留軍労務者関係の健康保険組合の料金の値上げの問題でございますが、いまだに解決しておりません。政府管掌でも、千分の六十を千分の六十五に引き上げたことは、御承知の通りでありますが、駐留軍の健康保険組合は千分の五十を五十八に、双方が協議をして上げるということが決定して、ただ厚生当局の認可を待つことになっておるのであります。これがアメリカ軍当局との関係において、今まで延引をしておるのでございますが、しかし、長引けば長引くほど、健康保険組合の財政上の破綻を来たして、八月からはもう予算も組んでいないという窮状になっておることは、久下政府委員も十分御承知のことだろうと思うのであります。川崎厚生大臣は、多賀谷委員あるいは野澤委員の質疑につきましても、必ず断行をする、日米合同委員会でいろいろ問題があっても、七月分から掛金の徴収できる範囲内において必ず断行をする、すなわち認可を与えるということを、この委員会で二回にわたって、しかも、日米合同委員会の内容を詳細にこの委員会に報告され、外務大臣も大蔵大臣も全部がこの問題について了承済みである、こういうことを、この委員会で発言をされておるのであります。十四日に、あるいは二十八日に、合同委員会が開催されたはずであります。今日認可がなければ、明日は日曜でありまして、日曜にこの種のものが認可になったということは、私も寡聞にしてあまり聞きませんので、そうなりますと今月はもうおしまい、七月からの料金徴収は不可能になる。言いかえれば、健康保険組合が自滅に瀕するような状態になる。八月からは全然予算が組んでない、この実情について、政府当局はどうお考えになっておるかということを、これは今までの関連がありますので、厚生大臣からお聞きしたいと思いましたが、おいでになりませんので、担当者でありますところの久下政府委員から、この間のいきさつにつき、またその実情につき、政府当局のお考えをお話し願いたいと思うのでございます。
○久下政府委員 ただいまの問題につきましては、私も直接の関係者でございますので、逐一事情は承知いたしております。すでに厚生大臣が、本委員会におきまして態度を宣明いたしております方針は、今日におきましても、私どもの関係におきましては何ら変っておらないのであります。ただ、具体的にこの前この問題が本委員会で問題になりました際、滝井委員の御質問に対し大臣からお答え申し上げ、またただいま山花先生から御指摘のございましたように、厚生大臣といたしましては、七月分保険料からこれを適用するように認可する方針で、すでに事務的にも認可指令の決裁の準備は進んでおるのであります。問題は、七月分からという保険料の徴収につきまして、まず第一に申し上げたいことは、御案内の通り、駐留軍労務者の七月分賃金の支払いは翌月の八月十日になっております。もちろん、労働者のみからこれを徴収すべきものではないのでありますけれども、その辺の関係からも、ぎりぎりのところをいいますと、実はまだ今日の段階では、その辺のところは一両日の余裕があると関係者から聞いておるのでございます。それから、もう一方におきまして、アメリカ軍当局に対しましては、厚生大臣が直接、また外務省を通じまして、今月一ぱいには必ず最終的な返事をほしいということを申し入れいたしておるのでございます。実は今日まだその返事は参っておりませんけれども、しかしながら、少くとも今日の日付なり明日の日付なりをもって参ることも、なお期待をいたしております。それでもなお来なかった場合には、確かに明日は御指摘のように日曜でございますけれども、日付をさかのぼるということは可能でございますので、最終的にはそういうことまで考えながら、現在は大臣の御指示を受けるように、その点を待っておる次第でございます。まだ私どもとしては円満な妥結の望みを捨てずに、できるならば先方からの了解の回答をもらいまして、そして七月分から適用し得る態勢はまだ今日でも切れていない。今申し上げたようなぎりぎりのところに来ておりますけれども、それかといって、今日の段階でもう指令を出してしまうことがいいかどうかということにつきましては、この前大臣からお答え申し上げましたような関係もございますので、月曜くらいまでの模様をもう少し調べてみたいと思っておるのであります。本日なども、いろいろ国会の模様もございましたけれども、担当の健康保険課長は、合間合間を見て、あるいは外務省その他調達庁等と連絡をいたしておりまして、そういうことを督促をしておりましたような実情でございます。
○山花委員 ただいまの答弁によりますと、まだ時間的に七月一ぱい、すなわち今月末までには、たといあすが日曜であっても余裕がある、そしてその時間的の余裕があるというお答えは、時間内にやれば、大体大臣が本委員会において言明されていたことを実行することに相なる、こういうふうにあなたの答弁を私は受け取るのでございますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○久下政府委員 現在の段階は、ただいまお話しの通りでございます。
○山花委員 ただいま久下政府委員が言われたように、まだ時間的には七月一ぱいということになりますと、ただいまからでも二十七時間ぐらいあるわけです。それでぎりぎりの、たとえば日曜日であっても、七月三十一日の午後でも発令をすれば別に問題はございませんが、しかし、どうも従来のいきさつから考えて参りますと、あまり信用ができないというような気持をわれわれは持っておるのであります。信用するもしないも、お前の方のそれは勝手な憶測だといわれれば、これはやむを得ませんが、しかし、私は重ねてお尋ねをしたいのでありますが、今から大体二十七時間以内に、かりに円満なる了解が得られなくても、既定の大臣所存の方針通り、この問題に関しては認可をするという考えを持っておられるのかどうかという点を、重ねてお聞きしたいものであります。
○久下政府委員 お尋ねではございませんでしたけれども、実はこの問題につきまして、厚生大臣を初め私どもの立場は、健康保険組合の健全な育成ということを常に心配をしておりますがゆえに、実は人一倍この問題を心配をし、ことに厚生大臣は、政務多端の中にもかかわりませず、非常な努力をしております実情でございます。私ども自身が、このまま一カ月も二カ月もほっておくということになりますれば、結局政府管掌健康保険の組合としては、それ以上に大きな財政的な困難に到達するということも心配しているわけであります。最悪の場合には、解散までもしなければなるまいということを心配しながら、そういうためには、もうすでにぎりぎりのところに来ておるということで、特に六月末から七月初めごろまでにかけまして、非常な努力を重ねておるつもりでございます。従いまして、私ども自身が、実はこういうものをほっておいてもいいという気持は現在絶対にございません。そういう立場からこの問題を考え、また対処いたしておるつもりでございます。先ほども申し上げましたように、重ねて念を押してのお尋ねでございますが、私どもとしては、一日の日にでも、三十一日付の最終的な回答でももらうということで、先ほど申し上げたような趣旨で折衝いたしておるわけでございます。回答の有無ということは、一日か二日はもうぎりぎりだと思います。そういうところになりますれば、結局認可を七月分から適用しますためには、七月三十一日にさかのぼって認可をしなければならないと思います。このことは多少行政措置としては例もあることでありますから、現在の段階ではさような措置までとるつもりで、しかしながら、なお最終的な望みを捨てずに折衝しておる、こういうのが現実の実情でございます。どうぞ御了承願いたいと思います。
○山花委員 いろいろ厚生当局がこの問題について苦心をされておることは、われわれも十分に了承できるのであります。そこで、もう一度お尋ねしたいと思いますが、これは時間ぎりぎりといっても、いろいろな関係がございますので、かりに八月一日とか二日というようなことになりましても、遡及して七月三十一日認可というような形がとられ、そして七月から料金徴収ということか具体化できるような措置を、責任を持っておとり願えるということと了承してよろしゅうございましょうか。
○久下政府委員 ただいまの段階におきましては、その通りに考えております。
○山花委員 川崎厚生大臣から直接お聞きしたいと思いましたが、当面この問題の直接の担当者である久下政府委員から、きわめて明解に御答弁を願いましたので、私はこれを全幅的に信頼をいたしまして、これ以上この問題について質疑を重ねることは考えたくありません。何とぞ私どもをして失望せしめないような対策を、一日も早くお示しを願いたいことを申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。 —————————————
○中村委員長 次に、インターン制度に関する件について発言の通告がありますので、これを許可いたします。八田貞義君。
○八田委員 医師法の第十一条の規定によりまして、インターン制が施行されましてから相当の年月を費しておるのでありますが、いまだインターン生の身分とか待遇などが、法律によって明確にされていないために、いろいろな問題が起っております。これについて、現在のインターン制度にどのような経済的あるいは社会的な機能があるかということにつきまして、一、二点質問いたしたいと思うのであります。 まず第一が、実地修練基準に基くところの指定病院におきましては、インターンを収容する施設がほとんどございません。ですからインターンの大部分は、外部から通勤しているのが現状でございます。すなわちインターンではなくて、エクスターンといわなければならぬような現状に置かれているわけでございます。従いまして、通勤費並びに宿泊費に多額の費用を要しているのが現状でございますので、まず次のような措置をお願いいたしたいのでございます。 まず、インターンというものは、身分が不明確であります。従って、通勤するに際しまして必要な定期券が、学生の定期券に比しまして著しく高価であるというような状態にあるのであります。これは、一つは法律によって身分が明確化されていないということが、非常な原因となっておるものと思うのであります。厚生省といたしましては、通学券をインターン生にやれないというのはどういうことによるか、またあるいは今までこの通勤問題について、費用の軽減という面からどのようなあっせんをされたか、それらについてお話し願いたいのであります。 さらにまた、インターン生というものが学生であるのか、あるいは医師であるのか、この点が非常にはっきりしていないのでありますから、この点についても、局長の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○曽田政府委員 まずインターン生の身分についてでございますが、これは当委員会におきましても、以前に論議されたことがあると思うのでありますが、私どもは、これはちょっと詭弁のようではございますけれども、インターン生が学生であるか医師であるかという御質問に対しましては、インターン生はインターン生であるというふうに申すのが、最も的確であると理解しているのであります。と申しますのは、インターンが学生であるということにいたしますと、インターンに医師の仕事をやらせてよろしいのかどうかということであります。もちろん、インターンが厳重にれっきとした指導監督のもとに、この患者の診療を実習いたすのであります。しかしながら、その際に、学校卒業しましたばかりのときには、これはほとんど医師の直接指導のもとに患者を見るわけであります。しかしながら、だんだんとインターンの期間の末期に至りますと、かなり進んだ処置あるいは相当な手術も自分でやれる。もちろん、それをどの程度の診療業務に従事させていいかどうかということの判断は、指導者に十分しっかりとした責任を持っていただくわけでありますが、こういうような意味で、ただ単に学生というものから考えますと、相当進んだ診療に従事することを許し得る。しかしながら、これはあくまでも責任指導者の監視のもとに行うということになるわけであります。さればといいまして、医師かと申しますれば、これは完全に独立して診療に従事することは許されておりませんので、インターンは学生と一人前の有資格の医師とのちょうど中間に位する特殊な存在であるというふうに言わざるを得ないのです。 これに対しまして、今のいろいろなインターンの特権と申しますか、処遇の問題であります。これについて、すでに一人前の医師となったものとして取り扱うか、あるいは学生としての特権も与えるかということが問題になってくるわけであります。これに対しまして、やはりそれぞれのいろいろな立場の人たちが、別個の取扱いをしているのが現状であります。たとえば、育英資金の貸与というような問題につきましては、これはいろいろお願いいたしまして学生並みに扱おう、育英資金の貸与を受けられるということになっております。これに対しまして、私どもは、ただいま御指摘の鉄道の定期券を、学生のパスをもらいたいということを、運輸省の方にいろいろと相談いたしたのでありますけれども、これにつきましては、どうも運輸省の方は、これを学生とは認められないのであるから、普通の通勤パスにしてもらいたいということでありました。私も、数回運輸省の関係の局長にも会いまして、いろいろとお願いをしたのでありますが、最後の、それでは今年一年だけ承知をしましょうというようなことで、二十八年だけ見てもらったのが最後だと思います。二十九年度からは、学生パスをもらえないというようなことになったのであります。私どもとしましては、今のように、インターンは特殊な立場でありまして、決してこれは純粋の勤務者というものではございません。学生的な性格を多分に持っておる身分の者でありますので、私どもとしては、学生定期を買えるようにしてもらいたいということをお願いしておるのでありますが、今まで話を進めてきました限りにおきましては、運輸省はきわめてかたい態度をとっておるというような状況であります。
○八田委員 今、局長の見解説明がありましたのですが、厚生省によって、学生ともつかない、また医師ともつかないというような一つの制度をお作りになったのでありますし、しかも、それはアメリカのインターン制度をまねしてお作りになったわけであります。ところが、先ほども申しましたように、アメリカのインターンは、必ず収容施設を持っておるわけでありますが、日本のインターン生というものは、今も話しましたようにエクスターンであります、いわゆるどうしても通勤しなければならない状態に置かれておるのであります。しかもまた、今日は非常に経済状態が悪いのでありますから、学生の通勤問題というものは、どうしても経済の面から考えまして、もう一段の御努力を願いたいのであります。運輸省が、学生とも医師ともつかないというこの生徒に対して、どうしても理解しないような場合におきましては、この医学校におけるところの修学年限というものが非常に長い。しかも私立大学の学生というものは、非常に多額な授業料を払って四年間の課程を経てきておるわけであります。それに、さらに一年の課程が加わってくるのでありますから、非常に経済的負担が大きいのであります。この点について、局長は実情を運輸省によく話されまして、何とかして、一時二十八年度において認められた通学パスの問題を、ここに再び具現していただくように、今後一段の御努力をお願いいたしたいのであります。 それとともに、さらに、今もインターンはエクスターンであると申しましたが、この指定病院において、どうしても宿泊施設を設けるというような点につきまして、国費をもってこれを援助するというようなお考えがあるかどうか、今までこのようなことにつきまして計画されたかどうか、この点について質問をいたしたいと思います。
○曽田政府委員 お話しのように、インターンは病院の施設内に居住すべきものである、その便宜をはからなければならないということについては、私どもも同感でありまして、これにつきましては、大体インターンの指定施設に対しまして、ぜひ宿泊設備を整えるように、またその設備の整備のために国も十分な御援助を申し上げるという意味で、その半額の補助ということを考えまして、それも大蔵省といろいろ折衝しました結果、直ちにということは困難だということで、せめて二年計画なり三年計画なりでこの整備をはかりたいということを申したのでありますが、大蔵省の方から十分な賛成が得られなかったのであります。そのおもなる理由は、インターン施設なるものが、必ずしも恒久的なものではない、ときどき指定が変るであろうということ、それからインターン施設に参りますインターンの数というものが確定しておらないというところから、これを国から国費を流して設備をさせるということは、直ちに賛成できがたいというようなことで、どうも実現をしないで今日に至っておるのでありますが、私どもといたしましては、何とかこの点についても、もう少し具体的に道を開いていきたいというふうに考えます。しかしながら、さしあたり直ちに実行可能な点は、少くともインターン施設に指定されております国立病院、かようなところにおきましては、病院の設備として、病院のあるべき姿としてインターンに対する宿泊設備を、看護婦の宿舎と同じような意味で必ずつけるべきものだというプリンシプルを立てまして、ただいまのところ国立病院には、かなり宿泊の設備が整ってきておるような状況であります。その他に対しましては、国立がその実を示しまして、そうしてインターン病院のあるべき姿というものを推奨いたしますれば、少くとも公立の病院あるいは私立その他の団体で作りました施設も、経済的にそれの可能なところは、これにならってくれるのでありまして、現在におきましても相当の宿泊設備は逐次増加はしておるのであります。たしか二四、五%程度のインターンを宿泊させるような設備が、最近の調査では出ておったと思うのであります。
○八田委員 今の宿泊設備の問題は、国立病院においてはどんどん進んでおる、これからもどんどん拡張していきたい、こういうようなお考ですが、その点は今後とも努力をお願いするのであります。今、インターンの身分がどうも明確化していないというようなことでありますので、指定病院内におきましても、医師に準ずるような身分が与えられていないのであります。この点につきまして、十分に御調査を願いたいのであります。たとえば、指定病院内におきましては、指導医のもとに、インターン生は指導を受けまして勉強いたしておるでのありますが、処方せんの発行とか、あるいは処置などができるようなことは、当然やっていいと考えるのでありますが、この点につきまして、医務局長はどういうふうにお考えになっておられますか。すなわち、砕いて申し上げますと、現在のインターン生は、指定病院において、処方せんとかあるいは処置などが全然やらされていないような状態にあるわけです。この点について、局長の御見解を伺いたい。
○曽田政府委員 インターンの身分は、まだ医師としての免許を得ておらないものでありまして、さような状況からいきまして、この者に責任を持って処方を書き、責任を持って自巳の判断により手術を行うということは、やはり許されないというふうに私どもは考えておるのでありまして、ただこのインターンの末期に至りますれば、これはもう実力としては、一人前の医者と同じくらいな力を持っていなければならぬ。これから国家試験を受けて合格するだけけの実力を備えていなければならぬと思うのであります。こういうような時期に至りますれば、たとえば処方せんでありますならば、一まず自分でもって処方せんをこしらえさせてみる、そうしてそれを責任ある医師が一応見て、それでよろしいということで、それが調剤の方に回されるということになるのでありまして、実質的には、ほとんど独立した医師と同じくらいな仕事ができるところまで、末期には導いていかなければならぬのであります。これは、いつまでもただ学校の中にいると同じように、ほとんど独自の判断というものを許さないような実習だけをやっておったのでは、これはインターンも不満でありますし、また一人前の医師というものに、なかなかなり切れないというふうに考えております。また手術についても、同様であります。相当に腕が上ってきたということを十分に確認いたしましたならば、その指導に当っておる方は、一応小さな手術を自分でやらせて、できればそばについておる。その初手術の実態のいかんによりましては、必ずしも初めからおしまいまで全部直接に目で見て監督しなければならぬということもないと思うのでありますが、少くともインターンが特定の患者を扱って処置いたしますときには、それに対する最後的な診療の責任は、あくまでも指導医師がになうというふうに考えておるのであります。責任の所在は、さように考えておりますが、実際に行う仕事というものは、ほとんど独立して診療を行い得るように導いていただくことが、インターンの教育の目的であるというふうに考えております。
○八田委員 今、指導医の指導を受ければ処方せんの発行も可能である、このような話じゃなかったのですか。
○曽田政府委員 実質的には、自分で見ました患者に対して、処方をこしらわせてみるという実習は、いたすのでありますが、これはあくまでも修練でありまして、その処方にサインするのは、責任者の医師がサインすべきものであると思います。
○八田委員 今のお話を承わっておりますと、そのような修練の方法がとられているということについては、私は非常に疑義を持つものであります。全然そのような指導方法がとられていない病院が非常に多い。そのために、インターン生が非常な不満を持っておるようでありますが、今局長がお話しになったような修練の方法であれば、インターン生も、何も文句を言わないのであります。どうかその点について、局長は国会において自分の見解を述べておられますから、実際にそのような指導方法をとられ、さらに指定病院に対して指示なり注意なりお与え下さらんことを、切にお願いいたしたいのであります。 さらにまた、指定病院において職員同様に待遇してほしい。これは、何も経済的な面ばかりじゃございません。たとえば、白衣その他の必要な物品は、職員同様に支給または貸与されたい、こういうことがインターン生によって希望されてきておるのであまりす。さらにまた、病気にかかったような場合には、一般人と同様の診療費の請求をその指定病院で行われておりますけれども、このような場合においては、何とか減免するような方法がないだろうか、このようなことが考えられて参ります。すなわち、自分の通勤しておるところの指定病院において病院になったような場合は、何とか減免して治療が受けられるというような、同情ある方法が採用されないものかどうか。このことについて、インターン生が強く希望しておるのでありますが、局長として、こういうような処置に対して、どのようなお考えを持たれるか。
○曽田政府委員 国立の病院においては、インターン生は準職員という取扱いをいたしておるのであります。病気をいたしましたような場合には、病院において減免等の措置をいたしておるわけであります。この点を、他のインターン指定病院に対して強制するというわけにもいきかねます。ただ、この病院の取扱いとしては、今国立について申し上げましたような取扱いにならっていただきたいということを話しておりまして、施設によりましては、いわゆる普通の資格のあります医員よりもより低い資格の、一つの病院のメンバーであるというような、いわゆる準職員的な取扱いをしていただいているところもございます。なるべくそういうような取扱いをしていただく病院を、一つでも数多くして参りたいということで、私どもはお願いをし、指導と言うと、言葉は悪いかもしれませんが、むしろそのようなお願いをしている状況でございます。
○八田委員 さらに、もう一つインターン生の希望をお伝えいたしておきますが、インターン生が指定病院に勤務しておりまして、その指定病院の福利施設というものは全然使えない、このような状態に置かれているわけです。今いろいろな点について、国立病院においては、医師に準ずる待遇を与えているとおっしゃっていただいたのでありますが、国立病院におきまして、現にその福利施設を全然使わせてやらない、このような状態にも置かれている国病院立があるわけでございます。ですから、国立病院においては、今局長のお話しになったようなことが行われているでしょうが、それもパーセントにすれば非常に少いものじゃないだろうか。どうか国立病院全部が、一〇〇%くらいまで医者に準ずるところの待遇を与えるように、今後とも御努力をお願いいたしたい。 以上、私といたしましては、インターン制度の根本問題であるところの身分保障、それから全般的な経済的な問題の解決のために、今後とも一般の努力を尽して下さらんことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
○滝井委員 関連してちょっとお尋ねいたします。鉄道パスの問題ですが、二十八年度に国鉄の方で与えたということですが、そのときは、インターンをどういう取扱いで与えることになったのですか。学生パスを与えたのですか、それとも何かほかの先ほどの御説明では、インターンは学生でもなければ医師でもない、インターンはインターンだ、こういうことですが、インターンパスというようなものはないはずです。そうすると、学生パスを与えたのですか。
○曽田政府委員 学生パスを与えております。
○滝井委員 そうすると、国鉄でインターンは一応学生であるということをお認めになったから、学生パスを与えたと思うのです。それが今になって、これは学生ではないということは、ちょっとおかしいわけです。一応、とにかくこれは学生であると認定をして学生パスを与えたはずです。インターンは、それはなるほど学生でもないし医者でもないし、インターンはインターンかもしれませんが、大体これは無給なんです。本来からいえば、AならAという大学を卒業したならば、そのAという大学が自分の学校を卒業した者、これは一人前の医者じゃないから、しかも国家試験を受ける大前提としてインターンをやらなければならないと法律できまっているのだから、当然Aという大学が全インターンを収容するだけの施設を持って、そこにインターン学生というものが通ってくるのが当りまえだと思う。ところが、たまたま日本の大学では、そういう臨床的な修学施設が完備していないために、国立病院とかその他の大きな病院を指定病院としておいて、便宜的にインターンをそこにやる、こういう形を私はとられていると思う。旧制時代における医学生というものは、やはりその修学の範囲内で、臨床も実験もして修得したわけです。そしてなお自分で不十分だと思った人は、大学の病院なりその他県立なり国立の病院に行って臨床を修得した、こういうことなんです。しかし、大学の課程を終えさえすれば、卒業試験をパスしておれば、それは十分資格ある一人の医者であって、そしてほかの病院で修得しなくても、一人の医者として正規の給料がまらえたわけです。しかし、これはインターンというのができてから、国家試験を受ける大前提がそこにできたわけですから、これは当然本来の意味から言えば、私は学生だと思う。インターンはインターンだとおっしゃいますけれども、本来の意味からいえば、それは修学の期間中に属すべきものなんです。たとえば、美容師にしても理容師にしても、実地の練習をやる期間というものは、やはり私は学生だと思う。一人前ではない。そういう意味からいくと、二十八年に学生だという取扱いを受ければ、当然受けた実績があるのですから、あなた方が努力されれば、それは私はできることじゃないかと思うのです。しかもその金額は、私はそう多いものではないと思うのですが、第二点として、どの程度の負担が鉄道にかかるものなのか、それもあわせて一つ御説明を願いたい。
○曽田政府委員 インターンに対する考え方というものは、これはいろいろな考え方をなさる方があると思うのであります。ただいまの滝井先生の御意見というものも一つの意見として、私ども前々から拝聴しておったところでありますが、しかしながら、インターンというものの性格はかくかくというふうに言いますのには、ただ一つの考えではないと思うのであります。このインターンの教育というものが、むしろ学校教育の中に含まるべきものであるという考え方で、現実にさような制度をとっておる国もあるわけであります。しかしながら、また一つの考え方としましては、学校から一応出まして、そしてまだ国家試験は取らないけれども、病院の実務を通じて、独立開業の修練を重ねるというふうに考えまして、むしろインターンは、これをある程度の生活の資料を給せられて、そしてしかも自分のわざをみがいていく、さような段階にあるものであるという考え方も一つの考え方であるのでありまして、学校の教育を一年、二年長くするということのかわりにむしろ一、二年早く卒業しまして、そしてその一年、二年というインターンの期間を、実際に実社会に自分の能力をささげながら、そのかわり自分もその生活の資料を得ていくということが、むしろインターンの本来の姿ではないかという考え方もございます。いずれかと申しますれば、私どもはその後者の方の考え方をとっておるのでありますが、遺憾なことに、先ほどからも御指摘いただきましたように、インターンに対する給与というものが、少くとも国立の施設からは出ておりません。それで私どもとしては、何とかしてこれを出す建前に持っていきたいというふうに極力努力をしておるのであります。また公立の病院あるいは私立の病院で経済力のあるところでは、御承知のように、私どももお願いして、相当な給与を出してもらっているところもあるわけであります。こういうような意味で、私どもの努力は、むしろインターンに相当な給料を与えるという筋に今後持っていくべきではないかというので、努力をいたしております。 それから、鉄道がパスを出したということは、先ほど申し上げましたように、鉄道は出さないというのであります。学生パスは出さない、出せないということを——原則的に開き直れば、出さぬということだったのでありますけれども、そのところを、筋は違うかもしらないけれども、しばらく出してもらいたいということで、一年延ばしに出してもらっておったというだけの意味であります。
○滝井委員 給与を与えるように努力すると申しますけれども、これは身分は、あなたは準職員とおっしゃいましたが、医者ではない。医者でないものが病院で治療することはできない。しかも、それを医者として使うというならば、これは一種の徒弟制度の復活なんだ。たとえば、先般足利の病院で起ったように、そこに看護学院と申しますか看護学校みたいなものがあって、それが手が足りないというのでどんどん配膳をやる。私たちは配膳をやるためにここに来たのではありませんと、草野委員も御指摘になっておりましたが、若い乙女たちが悲憤慷慨しておられる。それと同じで、これは学生であるということで来ておれば、給与を与えなくても満足してそこで働いているわけです。修練です。ところが、給与を与えるということになると、わずかの給与にしかならぬことは当然です。一種の徒弟制度の復活ということになる。国立病院その他の病院が、自己の経営ができない、赤字のために医者を雇わないでそれらの赤字をカバーしていくということで、一種の徒弟制度の復活をあなたは主張しておられるというわれわれは考え方を持たざるを得ないことになる。むしろこれは、パスならパスを与え、厚生施設を使わせて、そこで修練する形を作って、むしろ俸給は無料だ、こういう形の方が、私はすっきりしていいと思う。もしわずかなスズメの涙ほどの給与を与えて、それで百パーセントにインターンの諸君を使うということになれば、これは一種の徒弟制度だと思う。国立病院の経費その他の病院の経費を、これによってカバーする意図としか思えない。そういうことは私は納得できない。なぜならば、病院においてこの学生が基礎的なことを、患者の治療の第一線において修練をするのが、これが学生のインターンの目的なんです。そうなると、これは非常におかしいことになってしまう。だから、もう少し筋を通して、ものを処理していかなければいかぬと思う。国家試験を上らなければ、絶対医者じゃないのです。国家試験に合格しない限り、永遠に彼はインターンであらなければならぬということなんです。それではおかしいのです。だから、当然これは一つの教育課程として考えて——あなたは教育課程でなくして、給与をやるのだとおっしゃるけれども、それじゃ徒弟になってしまう。これは国家試験を上るまでは医者じゃないのです。だから、その間の考え方の矛盾が出てくる。教育課程である。その大学が、当然一年間というものは、その施設の中でやるべきものなんだけれども、日本の国家財政の現状からそれができないので、指定病院を作って修得させている。それはあくまで学生の延長で、学生という考え方を持てば、これは問題は解決してくる。あなた方がそういう考えを持たないところに、むしろ問題がある。私はこうだと思う。もう少し明白に……。
○曽田政府委員 これは私も非常に本質的な問題だと考えております。これは滝井先生の御意見としては拝聴いたしますが、また私どもとしては、これも一つの考え方だと思うのですが、給与を給するならば、直ちに徒弟制度だという考え方は、私どもは必ずしも取り得ないと思っております。
○滝井委員 これは本質的な問題でありますし、皆さんの要望によってこれでやめます。
○中村委員長 それでは、これにて今国会における本委員会の審議は一応全部終了するものでございますが、終りに当りまして一言ごあいさつを申し上げます。 多数の案件をかかえまして、連日長時間にわたり熱心に御審議下さいましたことに対し、委員長といたしまして、委員各位に深く敬意を表する次第でございます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後十時十九分散会