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22回国会衆議院1955/06/14

社会労働委員会 第22号

発言数
138
登壇者
15
会派数
4
開催日
1955/06/14

会議録

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  この際委員会を代表いたしまして、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず御出席下さいまして、まことにありがとうございます。本日調査いたします問題は、重要なる問題でございまして、直接関係のある方々の意見をも聞く必要があるとの見解から、本日皆さんに御足労をわずらわした次第であります。どうぞ忌憚なく御意見をお述べ願います。  なお、意見をお述べになる時間は、議事の整理上、おおむね十五分程度にしていただき、後刻委員から質疑もあることと存じますので、これに対しましても、お答え願いたいと存じます。  まず特需関係労務者の人員整理問題について調査を進めます。本問題につきましては参考人の方々が五人見えておりますが、議事の整理上、最初に意見をお述べになられます方は、組合側及び使用者側をそれぞれ代表いたしまして、三富博君及び大野竹二君の二君にしていただき、後刻委員からの質疑に対しましては、それぞれの立場から、五人の諸君よりお答えを願いたいと存じます。三富参考人。

三富博富士自動車労働組合追浜工場委員長

○三富参考人 それでは富士モータースの人員整理に関しましての経過を述べます。  もうすでに新聞紙上で御承知だと思いますが、この問題の発端は、五月十八日に、労使の間で退職金問題についての団体交渉がなされておったわけであります。その席上、会社側より重大な問題を発表すると申しまして、四つの点について問題が示されたわけであります。一、追浜工場において約三千人を減員し、週四十時間制にする。二、七月一日以降鶴見工場及びサブコンの作業はこれを中止する。三、鶴見工場には米軍契約作業に関係ある者は解雇する。四、減員対象者は六月末をもって解雇するものとし、これが予告は五月中に行う。この四点を組合に示したわけであります。組合としましては、この内容、それから具体的な説明を求めたわけでありますが、まだこのことについては、具体的には、社長の方から、兵器廠司令官の方に行っていないので待ってもらいたいということになりまして、十八日には議題にならないで、説明をあわせて翌日の十九日にこの問題が引き延ばされたわけであります。  十九日の団体交渉に、あらためてこの問題が出されまして、ここではっきりしたことは、この解雇の原因となった直接の問題が、五月十一日、追浜兵器廠司令官のブラック中佐から社長あて書簡によりまして、一九五五年の七月一日より、米軍契約作業に従事している現在人員——この現在人員の中には追浜、鶴見、この下請工場もあるわけですが、それを総括して入っております、この六〇%を減らせ。二としましては、七月以降の残りの仕事については、追浜においてのみなすことを要求する。三点としまして、この実施により、残りの四〇%のマンニング・テーブルを出すこと等が軍からの要求としてなされた、こういうような事情が会社から説明され、なお、追ってその翌日の十二日に、社長よりこの軍の司令官に対し、このような画期的な縮減は、企業体を危殆に陥れるのみならず、重大なる社会問題となるおそれがあるので、マンパワーを分析して漸減的に整えていくように再考慮願いたいというような手紙を出し、その折衝する機会を求めたわけでありましたけれども、これがいれられるところとならず、十七日になりまして、軍から、そのままの姿で実施するような生産スケジュールが示されたわけであります。それによって、会社があわてて組合にその方針を示したということが、明らかになったわけであります。  組合としましては、一般社会に影響を及ぼす大量に及ぶ解雇でもありますし、解雇の方針があまりにも冷酷であり、解雇される者の身上が全く無視された一方的解雇であるという点を強調いたしまして、反対である旨を述べ、さらに、このような解雇方針が軍に了解されているということ、及び会社の方針に変更がないということを確認するに至りまして、米軍の強圧に追随しまして会社は企業の温存のみを考えておられまして、われわれ労働者の犠牲を顧みないところのこのような解雇方針については、絶対容認できない旨を述べまして、時日の切迫もありますし直ちにその団体交渉の席上において、われわれとしてはあくまで闘争するということの宣言をしたわけであります。  さらに五月二十二日に至りまして、社長を交えまして団体交渉が行われたわけでありますが、このときに、社長より一般状況について述べられまして、組合の協力を求められたわけであります。しかし、私たち組合としましては、四項目に対するところの会社の努力という点について、この問題を追及したわけであります。その一点は、補償の点が何ら考慮されない大量に及ぶ人員整理が軍より明らかにされまして、企業家の責任としてどのように最小限度にとどめる外部活動がなされたのかという点と、それから二は、四項目に示すごとき冷酷な解雇方針を立てられ、組合の協力を求められるところの企業家の努力の真意を疑うという点、さらに三としましては、五月中に解雇予告するということになっておりましたが、軍から示されたまま何らの努力を加えずして、真実そのようなことを実施していくかどうかということの態度を求めたわけであります。さらに五月中に解雇予告をすることなく、六月末に解雇するにいたしましても、それまで一人でも解雇者を出さないために、会社として積極的に出ることが必要ではないかということを述べまして、経営者の責任を追及し、いかに軍に不利であっても、会社の積極的企業努力がなされない限り、われわれ組合としましては、このような会社の解雇方針に協力するどころか、むしろ、これはやはり争いをもってその理否曲直を明らかにすべきであるということを言明したわけであります。  会社の方からは、その節、第一項の三千人の解雇につきまして、また四十時間の問題については、たしか四十時間についてはもう変更はない、しかし、人員の圧縮については、各関係方面との折衝をもって二、三日中に答えたい。ざらに第四項の、五月中に解雇予告を出していくということについても、同じように両三日中に答えたい、こういうことでございました。鶴見並びにサブコンのことについては、少しも変更がないという回答であったわけであります。  それで、二十六日の団体交渉までこの回答が延びまして、その回答で示されましたことは、三千名の解雇圧縮については、依然として外部との交渉努力に待っているが、これは何とも答えられないということでありました。しかし、五月中に解雇予告をしていくということについては、これは一応撤回したい、こういう意味の結論を第三回目の団体交渉では述べられたわけであります。  しかしながら、われわれ組合としましては、時日の一日々々の経過が、即三千人の解雇という大きな問題に通ずる問題でもありますので、会社が外部活動で交渉しておるということにも、のんべんだらりと待っているというわけには参りませんので、五月二十八日に至りまして、六月三日までにこの解雇に対するところの会社の最終的回答を求めたいという趣旨の期限付回答を求めたわけであります。この回答は三日に期限を付したところでありましたけれども、たまたま五月の三十日に座間会談等がございまして、会社等においても、軍の態度が相当かたいというような考え方からして、この三日の期限付回答をすることなく、六月の一日に、人員整理の問題と、たまたま労使の間で問題になっておりますところの退職金規程の問題をあわせて神奈川地方労働委員会に調停申請を会社が申し出たわけであります。  しかしながら、組合としましては、このような大きな問題が一地方の労働委員会で解決するすべがないので、そういうようなこそくなことをするということ自身が、非常に問題解決を延引し、その結果が悪い結果になるのではないかということによりまして、この問題についても、会社と団体交渉の席上、会社はすみやかに撤回すべきである、そして白紙に返して、労使の間でこの問題をやっていくべきであるという点も強調したわけでありますが、この点いれられることなく、問題が、やはり調停に乗ったわけであります。  六月四日、地労委の調停の第一回の申述におきまして、組合の今申し上げましたような主張がいれられまして、地労委にしましても、この問題については、要するに軍の態度にかかっている、人員圧縮についても、両当事者より関係政府機関その他において、なお折衝が続けられているところの現状をやはり大きく尊重しまして、一応調停というものは打ち切られまして、問題が再び労使の間に返ってきたわけでありますが、いずれにいたしましても、その後の交渉においても、この人員の圧縮ということについては、一向に変化がなく今日に及んでおるわけであります。  もちろん、この間におきましても、組合においては、問題をあらゆる面において平和的に解決していきたいという念願から、国会はもちろん、政府、諸官庁、地方議会に対しましても、また軍に対しても、それぞれの折衝を続けておったわけでありますが、この点いまだ進捗が見られておりません。もちろん、そのような外部的活動が、よしんばなされたとしましても、組合としては、どこまでも解雇という事象は労使の間にあるのであって、やはり労使の間に話し合いを求めて解決の糸口をつけていきたい、このような考え方から、現在は六月八日の三時間ストライキ以後、十日には二十四時間全面ストを打ち、さらに、昨日本日と続いてストライキを続行しているような状況であります。  しかし、いかに私たちが労使の間にこの問題を求めようとしても、そのうしろにあるもの、いわゆる軍というものの背景が非常に大きな壁になっておるという点については、よく御事情を調査されまして、委員会におきましても、しかるべく御処理を願いたい、このような考え方を持っております。  以上経過の概要だけ、先に述べさせていただきます。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 大野参考人。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 それでは私から意見を述べさせていただきますが、大体今次問題の経過につきましては、ただいま組合長から話されました通りで、おおむね異なるところはないと考えますので、この点は省略させていただきたいと思います。  なお、事態発生までの経緯を若干申し上げまして、追浜の特殊性というものについて、御認識をいただきたいと思います。追浜におきまして富士自動車がいたしております作業は、御承知の通り軍の二トン半以下の車両の再生修理でありまして、第二次大戦型の車の再生修理であります。従って、この修理の問題がいつまで続くかということは、当初この仕事を始める時から懸念されておったわけでありますが、幸いに朝鮮事変があり、また軍が新型を採用して旧型と入れかえたという関係で、そういうような修理材料が何回も回転いたしまして、多いものは五回、六回というふうに、あそこの工場において再生されたわけであります。昨年の秋十五万台というものを突破いたしまして、すでに十七万台近くの車両をあそこから再生して出しているわけでございます。  しかし、この車両というものは、何べんも修理していけば、ついには本質的に使えなくなるし、だんだんコストも高くなってくる、また新しいものができると、旧式のものはもらい手がなくなるというような関係で、朝鮮事変以来、軍が新車にかえるようにいたしまして以来は、この大戦型の車というものは、大体MSAの対象として諸外国に輸出されるようになったわけでありますが、今日では、すでにその材料もだんだん尽きつつありまして、またできたもののもらい手もだんだん望まない。日本国内において、すでに二万五千から二万七千台の、国内で作った車がだぶついているというのが現在の状況であります。  一昨年、特需の一般の減退に伴いまして、方々の特需業者が仕事がなくなりましたけれども、幸いにして追浜におきましては、軍の方針が、兵器関係の修理は追浜と所沢に結集するという方針のもとに集められました関係上、今年は少いかと思うと、今年は去年よりも多い。たとえて申しますと、今の契約年度で申しますれば、当初は契約面におきましては八百万ドルの予算でありましたのが、実際は一千万ドル以上の契約を与えてくれたというような状況でありまして、昨年の秋、軍の予算の縮小に伴って作業量が縮減されましたけれども、それでもやはり八百六十万ドルというような、前年度に比して七%も多いというような仕事量が与えられたわけであります。  しかし、先ほども申し上げましたように、車も何回も修理した関係上、今後の修理は非常にコスト高になるということと、受け入れる面もあまり要求がないというような関係で、今後の見通しは、次の契約においてはよほど生産は減るのではないかということは、昨年の秋ごろから、すでにその状況を察しておったのであります。特に昨年の秋ごろからは、だんだん修理の状況が、今までいろいろ手をかけなかったような大きな修理もいたさなければなりませんので、だんだんマン・アワーがかかってくる、マン・アワーのロスがふえてくるという状況であります。やっても、非常にコストの高くつくものができるような状況になりつつあるのであります。  この春ごろからは、なおいろいろなうわさもありまして、量的にも減るのではないか。また仕事も、従来は特調との間接契約でございましたけれども、二十五年の中期以来は、ドル建の直接契約をやっておったのでありまして、次の七月一日以降の契約はあるいは競争入札になるのではないか。また競争も、現在では短期受け入れの契約になっておりますけれども、これはタイム・アンド・マテリアル、CPFF、コスト・プラス・フィッキスド・フィーというような、時間を単位にした契約になるのではないか、いろいろうわさもとりどりでありますので、従来ならば、われわれは四月ごろになりますと、次年度の契約が随契によって交渉されるのでありますが、先の不安が非常に多くなってきておりましたので、何回となく軍当局に、七月以降来年度はどうなるのであろうか、労務問題にも非常に関連が多いので、一日も早く示してもらいたい、こういうような要請をしておったわけであります。  そういうような状況でおりましたけれども、軍におきましては、現在追浜の仕事が、旧大戦型の仕事がだんだん終末時期であるのと同時に、また新型の修理を開始する。一部はすでにやっておりますけれども、量的に新車と旧車の種類が置きかえられるという段階でありまして、また従来エンジン関係は三菱さんがやっておられましたけれども、これも追浜でやることに——新車のエンジン、機動部関係は最近やっておりますが、こういうようなものも、全部一貫して追浜でやるというような方針で準備を進めております。軍の仕事自体が、今転換期にあり、次の仕事をやるためには、むしろあるいは一定期間は休んで、すっかりパーツその他を準備してから本格的な生産に移った方がいいのじゃないかというような時期にもなっているわけであります。従って、七月、八月、九月というような、この三箇月という時期については、軍もよほどその材料の収集という点においても、見通しが立たなかったことは事実であったと思います。こういうふうな転換期におりますので、例年においては、二箇月前ぐらいから始まる交渉も始まらないし、また契約の方式も変わるのじゃないかというようないろいろな取りざたがございまして、まだ今日までも、七、八月の仕事については、実際は富士にやらせるということは、まだ正式には申し渡されていないのであります。  そういうような状況でありますので、大体従来の富士の七年間の実績にかんがみまして、今後も、できれば富士にやらせてやりたいという気持もあると思いますので、先ほど組合長から話しましたように、五月十一日に、初めて次年度の計画をもととした人員計画の要求があったわけであります。これはエンド・アイテムの契約におきましても、やはり人員に関しましては、契約は毎月向うの承認を得て、しかる後にやっておるような状況でありまして、次の契約に対する、七月以降の仕事量に対する人員計画について、これは富士にやらせるのだということははっきり言えない。どこにやらせるかわからないけれども、一応お前の方で計画してみてくれということで、七月以降の人員の六〇%減という問題は、要するに先ほど申しましたように要求ディマンドがないということと、それから軍の予算が非常に減ってきたということが、非常な大きな原因でありまして、旧大戦型の車というものは、材料的にも行き詰まってなくなってくるし、作ってもコスト高になり、また受取者もないというような観点からしまして、五月十一日のこちらからの要請に対する手紙をよこされたわけであります。  これに対しまして、会社といたしましては、先ほども話がありました通り、さっそく関係軍に対しまして、ある程度の削減はやむを得ないとしても、これはできるだけ漸減の方式にやってもらえないか。またいろいろな補償についても、従来いろいろ要求してあった点につきましても、こういう大量の、一挙に解雇という問題に当面しましては、何とか特別な考慮をしてもらえないかというような点につきましても、関係軍の最高当局でありますところの極東軍の兵器局長のリンド准将に社長が会いまして、いろいろ要求を提出したわけであります。その答えは、翌三十一日、組合側も一緒に呼ばれまして、向う側から、それに対するはっきりした態度を示したわけであります。会社といたしましては、身近に軍と接触いたしておりますし、いろいろな材料の点につきましても、現実を認めておりますので、縮減を全面撤回してもらうことは不可能としても、何とかして少くしてもらうということは努力はいたしましたけれども、先ほど申し上げましたような向うの説明によりまして、現在のところは、おおむねほとんど不可能に近い。三千八百名近いところの人員の整理は、その生産量に対して、どうしても一応縮減しなければならない、こういうような実情にあるように考えます。  問題は、この整理のあとの問題につきまして、善後措置の問題が、そういうような状況でありますので、私どもといたしましては、今度の問題に対する大体の見通しは、五月末の座間における会談において見通しを立てまして、一面努力するとともに、実際問題として、七月一日から次の契約に乗り移るためには、その準備をしなければならないという考えのもとに、六月一日付で地労委に、この解雇問題並びにこれに関連のある退職金問題についての従来の懸案の調停をお願いしたわけであります。そういうようなわけでございまして、現在のところは、今後最大の努力をいたしまして、解雇条件その他につきまして、会社等もできるだけのことはいたしたいと考えております。いかんせん四千名近いところの人間を一挙に解雇するという空前の事態に直面しておりますので、非常な困難に当面しておるわけでございます。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 以上で参考人の方々の陳述は終りました。  次に、参考人に対する質疑の通告がありますので、順次これを許します。  御了解を得たいのですが、質疑者は三名ございますし、なお金属鉱山関係の参考人も来ておられますので、どうぞ時間の点はそのつもりでお願いいたします。  井堀繁雄君。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 参考人にお尋ねいたします。会社側の社長さんでもあるいは大野さんでも、どちらでもけっこうでございます。今のお話で大体わかりましたが、これから私のお尋ねしようとすることは、ごく限られた問題についてお尋ねしようと思います。それは二つの点に要約してお尋ねいたしますので、そのおつもりでお答えをいただきたいと思うのであります。一つは、今当面しておりまする解雇問題についてであります。次は、軍との契約の関係についてお尋ねをしたいと思います。  まず第一に、約四千人程度の解雇をなさったという御報告でありましたが、いろいろお尋ねする上に、大事なことでありますから、従業員の総数——これは富士モータースの会社全体の中で、特需関係に直接間接に関係のある従業員の総数、それからその中から、この際何人解雇されようとしておるか、その人員、それからわかりますならば、賃金の総平均、退職手当あるいは解雇手当といいますか、そういう規定の手当がどういう工合になっておるか。それからこの際大量解雇する場合において、会社側は、一般にいいますと、特別手当とか、あるいは特殊の割増手当というような慣行がありますが、こういうものに対してどういう御配慮をなさっておいでになるか、そう点を具体的にお尋ねいたしたいと思います。あまり一ぺんにお尋ねすると、わかりにくくなると思いますから、以上のことについてお伺いをいたしたい。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 私からお答え申し上げます。  今、富士自動車全体の従業員は、約七千五百でございます。そのうち、追浜は約六千六百でございます。それから鶴見は、特需関係は七百八十、その以外の人間が約二百名おります。  それからベースは、これは鶴見、追浜、その他の工場においてみんな違います。仕事上違いますが、追浜は約二万一千円であります。  それから退職金規程は、一年一カ月の規定になっております。これは組合との了解はついておりまして、当面はそういうふうになっております。  それからプラス・アルファの問題はありません。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 次にお尋ねいたしますが、解雇者は、大体三千七百何名でありますか、その程度ですか。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 解雇者は、日々自己退職いたしておりますので、大体追浜は現在のところ三千四十名くらいと思います。これからだいぶん減るかもしれません、自己退職いたしておりますから。鶴見も約七百八十名くらい、これもまだあと半月の間にどうなるか、若干は減るかもしれませんし、鶴見の方は一部転換の仕事が鶴見自体の工場でございますので、そちらの方に吸収できると思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 次にお尋ねをいたしたいと思いますのは、会社の資本金、それから会社が今所有しております土地、建物、機械、設備、そういうものについて、ごく概略でけっこうでございますから、簡単にお答えいただきたい。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 会社の資本金は五億二千万、追浜におきまする財産はありません。一応全部行政協定に基く軍の施設区域になっておりますから、軍の施設であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 次にお尋ねをいたしたいと思いますのは、今度の解雇の問題が、御案内のように非常に大きな社会的な問題になろうとしておりますことば、われわれも非常に残念に思っておりますが、しかし、この事実を国会でもこういうふうに調査に乗り出しておるわけでありますから、経営者側におきましても、よく国会の態度については御了解できると思うのであります。私どもは、一般に失業の増大の傾向をおそれながら、政府にできるだけ雇用の増大をはかるような経済政策、社会政策その他について、厳重な監督と協力をいたしておるわけであります。にもかかわらず、全体的に見ますと、遺憾ながら今後失業は増大する一途をたどらざるを得ない現状なんです。こういうときに、大量解雇が、しかも国際的な関係の上において日本が労務を提供し、あるいは備品や需品の需要に応ずるという、いわばアメリカ国の軍事作戦に日本国が協力するという国策遂行の上に、日本の多くの労働者が心血を注いで協力をしてきたことは、争うことのできない事実であります。こういうように国際的な協力を日本の労働者が、あえて犠牲を払ったと私は言いたいのでありますが、それはさっき会社側からお答えいただきましたことでもおわかりのように、この特需工場は、会社側が従来から、一般の民間企業のように莫大な資本を投じて設備を持ち、あるいはそれによって一定の企画を立てて事業を開始したものと違って、いわば政府の財産、政府の所有に帰属するものを借り受け、そうしてアメリカの軍作戦に必要な兵器その他のものの修理加工をするというのでありますから、現実においては、役務の提供であるということは実除の姿だと思う。こういう意味からいきましても日本の労働者の協力というものは、私はかなり大きく評価さるべきものではないかと思う。特にアメリカのそういう立場から行われるのでありますから、私は常識的に判断して、もしアメリカが自分の国に持って帰ってそういう兵器を修理あるいは補強工作をやるとすれば、アメリカの労働者を使って同じ結果を上げることになりますと、日本のそれと比較してどれだけ違うであろうかということを、私は党の調査部をしてここに資料を作らせて、今できてきたばかりでありまして、決してこれは正確なものではないでありましようけれども、大体日本の自動車修理に従事しております一定の熟練した人、そういう者と向うとを私なりに検討を遂げてみたのでありますが、賃金の差だけを見ましても、驚くべき相違がここに現われてきておるわけです。この数字は、今あなた方には必要ないと思いますが、そういうものを比較してみて、どの点でいきましても、日本の労働者がアメリカのそういう仕事に、経済的にも非常な援助あるいは協力をしたということが、数字ですぐ答えられる。このことを、私は契約に関係してくると思いますから申し上げるわけです。この特需について、永続性があろうとは会社は思っていないと思う。ごく限られた期間において、日本の役務なり備品の提供を行われるわけであります。そうすると、短期間に日本の多くの労働者を雇用して、相手方の要求にこたえる契約でありますから、この建前からしますと、こういう大量解雇が、確実にいつということはわからなくても、相当近い将来に大量整理を行わなければならぬという事態を見込んでおられることは間違いない。そういうものを見込んで、軍と会社との間に契約をなさったものと思う。この点についてお尋ねしようと思うのです。それで、今まで申し上げたことは、私がお尋ねしようとする考え方を御了解いただくために申し上げたわけです。  そこでお答えを願いたいと思いますのは、第一に、どうも私ども了解できないことは、昭和二十五年から直接契約するようになった、直接契約でありますから、会社と軍との間に、何人も交えずに契約されるわけでありますから、率直なお答えができると思うが、賃金などについては、アメリカの国に持って帰って修理すればどのくらいかかる、あるいはその他の方法で修理できる場合があるならそれでもよい、そういうことがある程度条件になって、日本でやればこのくらいかかる、だからこういう工合にしてもらえないかといったような交渉は行えぬものであるかどうか。あるいは行えるにもかかわらず、行わなかったのであるか、あるいはそういうことは実際上行えないものであるか、非常に私は大事なことだと思いますので、一つ事実をありのままここでお話しいただきたい。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 ただいまのお尋ね、まことにごもっとも千万でございます。大体におきまして、今の御質問はこういう点にかかると思うのであります。大きな相違は国情が違う、それから商習慣が違うというような点が多々ある。もともと一カ年間の契約で、次年度は当社がこれを受けるかどうかということは約束されていない。アメリカの賃金と日本の賃金との差は御説の通りであります。そこで、今度能率の問題になりますと、やや複雑でありまして、一言にしてお答えはできません。御必要であれば、向うがはじき出した原価と、私どもが考えておる原価との比較はできると思います。それから契約の形式でありますが、これは約三年間特別調達庁を通じて間接購買が行われました。こういう仕事がポシブルかインポシブルかという御質問なら、当時はほとんど手探りの状態であったわけであります。非常にさびていて、ほとんどスクラップにひとしいものが、実際再生できるかどうかということは、非常にむずかしい問題だが、まあやってみてくれないかということで原価方式でやりました。これは終戦処理費であります。従って、日本政府を通したのであります。直接購買にかわりますときは、政府も業者も軍もそれぞれ研究はいたしました。軍の態度としては、ドルで品物を買うのに、日本政府に価格をきめてもらうという考え方はない、自分らは直接購買するのだ、こういうことであります。政府の考え方としては、役務である場合にはともかく、間接購買になりますと、相当費用がかかります。従って、仕事の種類についても業者が足並みがそろいません。直接購買を希望される方もあり、間接購買がいいという方もあります。会社としては、できるだけ間接購買が願わしいということで、方々に陳情して歩きました。しかし、軍は直接購買を希望されて、さようにきまったのであります。  以上のお答えで、大体尽きるかと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 まことにありがとうございました。重ねて恐縮でございますが、もう一つお尋ねをいたしたいと思います。  軍が直接購買されるには、それぞれ理由があることと思うのでありますが、会社側からごらんになって、軍が直接購買を希望されるのは、一体どういうところに根拠があるのか、おわかりだったらお答えいただきたいと思います。  それから、前にちょっとお答えいただきました原価方式でありますが、その原価方式の中で、今、直接契約はするけれども、原価についてはあちらから何か指示するというようなお話のようでしたが、このくらいでやれという、何か目安のようなものを示して入札させるのか、あるいは全くこちらの自由な立場から原価計算をして、商談が折り合うというやり方なのか、この点について、今、お話でちょっとはっきりしなかったのですが、詳しくお話し願いたいと思います。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 ごもっともでありますが、最初は手探りで、どれだけかかるかということは研究題目であります。三年もやりますと、大体実績ができまして、それでこういう形式になるのです。各種目についての何時間でできるかという実績と、本年度に要する数量とをかけまして——英語で申し上げて恐縮でありますが、トータル・マン・アワー、これは昨年度における実績を大体ベースにしまして、トータル・マン・アワーを作ります。これは争えない実績なんです。それから、昨年度に使いました会社のトータル・エクスペンス、全体の費用ですな、それは三十億円なら三十億円というものが出るわけです。そうしてトータル・マン・アワーでトータル・エクスペンスを割って何ドル何十セントという単価を出し、そして各車両の所要時間にかけて一台幾らというふうにきまる。すべてが実績と設備の改良に待ちまして、相互に協議をして単価をきめるのが現状でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 そこで、それに関連してお尋ねいたしますが、一つは、軍の方と折衝する場合に、問題になるのは原価方式だと私は思います。そこで、原価方式の立て方でありますけれども、私のお尋ねするのは、しろうとですから、そのおつもりでお答えいただけばけっこうです。私どもしろうとの考え方からいたしますと、今日になってみますと、実績がありますから、その実績の上にそれぞれ考慮を払って単価をきめるということができる。しかし、元来特需なんというものは、日本には経験のあろうはずもないし、前例のあろうはずもない。ですから、全く新規な事柄で、この新規な新しいことをきめる場合に——もちろんアメリカ側から原価に対する一定基準というものを示されることも想像ができるわけでありますが、その基準が果してアメリカの国の実情の上から推しはかって、日本をどういう尺度で見ておるかということは、非常に大きな問題になると私は思う。これはあなたの方の問題だけではなくて、日本国とアメリカとの行政協定の内容の問題に触れてきますので、それで参考に伺うのです、あなたの方の問題に限って聞いておるのじゃありません。そこで、その単価というものは、私のしろうとの考えからすれば、一体アメリカで戦車を作り、修理をしてきた実績はあるはずでありますが、アメリカの実績によればこのくらいになる、それをできるだけ経費を削るように努力することは、自他の立場を別にすれば共通すると思うのです。それでその低くするという限界は、やはり原価の立て方にあると思う。その原価の立て方が、もし日本の労働条件を低く見て、日本の賃金をべらぼうに低く見て原価が立てられておるとすれば、これはもともと契約それ自身が誤まっていると思う。しかし、アメリカでやればこれくらいかかるが、日本の現状はこの程度であるから、そこでその間で話し合いをしようという立て方であれば、これは穏当なもので、一応許されると思う。こういうことは非常に重要なことでございますので、一つわれわれにわかりやすく、その辺の関係を——ここで御発表いただきたい、こういう意味でお尋ねするわけです。  そこで、くどいようでありますが、今日はいいですが、一番最初、二十五年ですかに会社が直接契約なさったときに、向うで示された原価というものは、一体アメリカにおいてこれだけのものを作ればこれだけかかる、日本ではこれだけでやれるはずだというような案をお示しになったのであるか。そうでなく、全く日本の現状だけを相手方の立場で判断して作られたものであるか。そしてなお、具体的にお答えができるなら、会社側で考えたものと向うで出してきた原価との食い違いが、どのくらいの開きを見せておったものであるか。こういう点に対して、もしここで御発表ができれば、私どもに取っては非常に重要な資料になると思うのです。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 ごもっともな御質問であります。最初は職種別賃金をきめます、そしてあとはタイム・スタディでやります。日本においてこれを作るのに幾ら時間がかかるかというタイム・スタディの詳細なもの、それから類似な品物のアメリカの原価というものを向うは持っておる。それを参考にして、日本で作った場合にはこのくらいかかるということを幾久しく研究して、アメリカの場合と日本の場合と比較して、三年間というと、かなり長い時間で相当の数量でもありますが、よく協議しまして、これで大体請負業者もリスクはない、アメリカ側もこの程度なら買える、こういう話し合いで請負になりました。最初はタイム・スタディ、職種別賃金は、私どもの持っております賃金制度、さようになっております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 概括的にはよくわかりましたが、もう少ししろうとにわかりやすくお答えいただく意味で、重ねてお尋ねいたします。あちらから持ってきた時間当りの賃金というものは、あるに違いがない。その先方の示された時間当りの賃金はどのくらいか、その点について御発表願えませんか。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 労働省の一般職種別賃金が基礎になっております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 ちょっと労働省にお尋ねいたします。今、山本参考人からの御発表によりますと、日本でこういう契約をする場合には、労働省の業種別の賃金を基礎にして先方から注文が出たという話でありますが、そういう資料をアメリカ側に提供したことがありますか。またそういうものについて、協議にあずかったことがありますか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 プリヴェーリング・ウェージは何年前まででありましたか、一応相当の職種について毎年二度でしたか調べて、これを基礎にして一応直用の賃金をきめております。現在では直用のプリヴェーリング・ウェージの関係は、一応法律上は要らなくなったのでありますけれども、年に二回一般の単純労務について調べております。これは一般に発表をするのを建前といたしております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 そこで、だんだん事態がはっきりしてきたようでありますが、大体原価を規定する場合に、業者が目安に求める資料が労働省から提供されておる業種別平均賃金ですか、こういうものが基礎になって契約の全体を左右するような大きな役割を演じておるということは、きわめて明らかになった。  そこで、山本参考人にもう一度お尋ねいたします。契約をする際には、両者合意の上ですから、そういう日本政府の提供した平均賃金あるいは業種別のそれぞれの賃金資料というものを土台にして原価計算の基礎を求めるというやり方でありますか、この点については、どうも私どもしろうとには納得できないことなのであります。お使いになる品物は、アメリカ軍の品物なのであります。その資金は、アメリカのそれぞれの政府機関の決定した予算の支出であるわけでありますから、アメリカでは最初から日本で修理加工をやらして使うというような見込みで、まさかそういう予定はしていないと思う、おそらくその補給は、本国で補給するという建前で予算を組むのが常識だと思うのであります。日本は、他の国に何回か戦闘行為をやったことがあるわけでありますから、これはアメリカに限ったことではない、どこの国でもそうだと思います。それが日本で便宜を供与するという行政協定の一つの現われだと思いますが、そういう場合に、もちろんアメリカ本国でやるより安くなければ、こちらでやらせるということはないと思う。しかし、この点ではっきりいたしましたのは、アメリカの賃金やアメリカの経済事情というものを全然考慮されないで、日本の最も低い賃金——これはもう国際的にもILOの会議でも、IMFの会合でも、世界的な国際機関で、チープ・レーバーの問題、ソーシャル・ダンピングに対する警戒というものは、日本人から見ると必要以上にきびしいと思うほど、いろいろの政治的な処置がとられている。でありますから、日本のチープ・レーバー、低賃金を基礎にして向うの予算を消化するようなことは、そう強硬に主張されるものではないというわれわれの想像なんです。こういう点では、業者としましては、直接折衝されておりますからおわかりでしょうが、親の心子知らずという言葉がありまして、本国の言うことをはき違えて、出先で強くいばるようなことが、日本でも往々ありますから、そういう被害に日本が当面しているというなら、これは解決の道があると思う。しかし、アメリカ本国の確固たる方針ということになれば、これはまたおのずからわれわれ委員としては考え方を変えなければならぬ、そういう意味でお尋ねしておるのです。会社に迷惑をかけるようなことは一つもございませんから、事実を一つこの機会にはっきり私どもに聞かせていただきたい。どうなんですか、アメリカの方としては、日本政府の出した資料を基礎にしてあくまで原価計算をすべきだという意見をかたく主張しておるのか。あるいはもっとフリーの立場で、日本もアメリカのことを例に出し、また向うも日本のことを例に出して、そこで折り合うというような自由な契約をされたのか、どちらであるか、その点について、もう一度はっきりお答えを願いたい。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 御答弁ございます。か——参考人側から答弁がないそうでございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 御答弁いただけなければ、無理にお願いするわけに行きませんが……。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 意味がよくわからないのです。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 事情はこういうことです。私どもの立場からいたしますと、今度の問題解決のために直接間接に影響がありますが、それよりももっと大きな問題で、すなわちアメリカが日本でこういう修理をする場合に、日本の労務を提供させる場合に、一体どのくらいの賃金を——向うとしても、この場合は簡単でしょう、修理加工ですから、あくまで賃金でしょう、その賃金というものは、日本の平均賃金でいくものか、あるいはアメリカや世界的な水準を一応問題にするのか、実際問題としてそういう点をわれわれ知りたいわけです。全くそういう国際的な視野というものを放棄して、ただ日本の限られたものだけを中心にして契約の基礎を打ち立てられたのか、はっきり知りたいと思って、お尋ねしておるのであります。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 ただいま賃金の対象についてお話のようでありますが、向うの考え方としては、一ドルで幾らできるか、一円で幾らできるかというのを換算しまして、とても詳細な計算をマンスリー・レポートで全部向うに送っております。やっぱりこれは国際的な水準といわなければならぬと思います。日本の賃金が安いからとても便利だ、こういうふうには考えていないようであります。コストはすっかりはじき出して、ほとんど毎月向うへレポートしております。そうして全部向うの平均でそろばんをはじいて、これでは引き合わぬ、こういうことで、一切本国政府から指示をするのであります。私も、昨年も一昨年もあちらへ参りまして、いろいろその話し合いをしたのでありますが、詳細な計算を持っておりまして、決して日本でやれば大へん安いという考えを持っておらない。ただ、この仕事が比較的特異性のある仕事でありますから、それで第四段階の仕事ぐらいまではアメリカでやる。第五段階は全然作り変えるのですが、それになってくると、アメリカではどういう程度でこれはやれるかというような想像で、すっかり賃金を向うのベースにはじき出して換算してやっておるのであります。ですから、単に私どもが二万一千円取る、あちらは三百ドル取る、こういうふうな比較ではなしに、実際にコストをはじき出してやっておりますので、決して日本の安いレーバーを利用してやったら大へんに安くなるという考え方ではなしに、予算はすっかりアメリカから原価によってはじき出されたものが、こちらに示されておると承知しております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 お答えが、私はどうもはっきり得られません。私が抽象的にお尋ねしたものですから、そういうお答えをいただいたかと思いますが、さっきも申し上げたように、これは修理加工ですから、設備は会社が何も投資しておるのではない、外国のものを借りてやっておる。修繕ですから、別に新しい資材を補給する必要もないし、わずかな部品でいい。ですから、おおむね賃金です。原価計算が、今あなたのお話しいただきましたように、一時間当りの賃金が、原価の最も大きなウエートを持っておるわけです。その賃金の一番大事なのは、アメリカでこれをやる場合にはどれくらいかかるかということについては、私は二つの点で、この問題を割り切ることができると思います。一つは、一時間当りの日本の同じ熟練度の労働者の賃金と、それからアメリカの労働者の賃金、この比較は私は機械的にできると思います。いま一つの問題は、生産性あるいは能率と申しますか、いかに賃金が安くても、生産性が低ければ、一個の物に対する単価が高まってきますから、ここで生産性の問題と賃金額の問題とを取り上げて検討すれば、そう違った教字が出てくるはずがないということは、もう国際的、共通的な実質賃金の扱い方なんです。定義にはなっておりませんけれども、一応こういう問題を扱う専門家の間には、一つの国際的な常識になっておる。そこで参考に申し上げますが、現在アメリカ合衆国では、自動車関係の労働者の賃金は非常に高いのでありますけれども、一番新しい統計によりますと、一カ月十四万九千二百二十五円に換算することができる。これは低いところに見積っておるわけであります。最高になりますと、十六万一千百二十五円、これはあちらの政府の出しておる統計にあるのです。こういうように、あちらの労働者の一カ月の実質賃金というものは、しかも八時間制で、大体日本の特需関係の労働者と見合っていくと、非常な開きが出てくる。そこで、日本の労働者の一時間当りの生産性がどのくらいに当るかということは、これは議論があると思う。それは環境やその他の諸条件というものが出て来ますから、設備の整った作業場で行うのと、日本のように何らの用意のないところへ持ってきてこれを行うのとでは、一様に論じられないと思いますから、その辺の差は商談の対象になっていいと思う。こういうように物事を見ていきますと——これは国際的な視野に立ってきめられた契約だと、もし経営者側が満足されておるなら別です。これはあなたのお考えですから、けっこうですが、そこで私どもはこの問題に触れてくるわけです。国際的視野において協定が公正に行われたということになりますと、この解雇問題の解決は、楽観的にやれる。相当会社は採算を見込んでおる、相当会社はもうけておる、だからもうけたものは、こういう国際的な規模において行われる仕事でありますから、経営者ばかりがたくさん利益をもうけて、労働者にこの際犠牲を一方的に背負わせるという手はないと思いますし、そこは話し合いがおのずからできてくると思う。私はそういう点に非常に困難ではないかと思ったから実はお尋ねしたのでありますけれども、この辺はいかがでありますか。何か特別配慮はしていないとか、さっき工場長はお答えになったようでありますが、社長としては、この四千に近い人々の整理を必要とするその犠牲者に対しては、規定の手当はもちろん、相当の論功行賞に対する償いをなされる、すなわち国際的水準においてめんどうを見る何か御用意がございましょうか。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 お答えいたします。コストの面から入りますと、相当きびしい、なかなか余地のないところまで切り込んで、折れ合うところを見つけてやっとその年の単価をきめるのであります。もしそれが高ければ、もうデマンドもないし、戦争でもない限りはやらないというような羽目になりやすいであります。従って、会社としては、もうぎりぎり一ぱいのところまで交渉を続けまして、ほとんど余地のないところできめて、あとは能率を上昇するというような観点から勉強をする方針をとって参る。今お尋ねのうちに含んでおります手当などにしましても、アメリカ人にある習慣が日本にない、日本にある習慣がアメリカにない。たとえば、予告するなんていうこともありますが、昨年もアメリカに参りますと、何万人という軍需工場が、金曜日に言い渡して土曜日にさよなら、こういうようなわけであります。日本では一カ月の予告をする。予告をしない場合には予告手当を出す、こういうようなことが法律できめられておるのであります。こういうことも、非常に難解であります。そういうものは、コストには織り込んでありません。どういうふうにしてこれを捻出するかということは、これからの問題であると考えます。商習慣と原価の立て方、監督費などというものが非常に違うのです。ですから、今やっておる単価というものは、まず向うで言うぎりぎり一ぱいまでに追い詰められておる。そうして、それがみな本国政府の予算によってやっておるという現状でありますから、現地ではなかなかむずかしい。さればといって、交通の発達したときですから、ほとんど二、三カ月ごとにアメリカにこちらの責任者が行って、すっかり打ち合せをしてくるように処置しておるのであります。今度、ぜひもう一ぺん漸減方針をとってもらえないかというようなことで、さんざ懇談したのであります。電報を打ってくれというようなところまでセントラル・コマンドの方にお願いしましたけれども、もうすっかり事情が変っておる、電報を打ってみてもほとんど困難だ、予算がないのでできない、こういうようなわけで、やってもむだだということになっておるのであります。労働条件の問題、退職資金の問題、手当の問題等は、これからよく地労委と話し合いをしてもらいまして、会社としてはできるだけ順調に物事が進むように努めたいと考えております。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 井堀君に申し上げますが、あなたはずいぶん質問したのですから、あとまだ三人おりますし、どうぞそのおつもりで……。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 なるべく簡単に——これは非常に重要だと思いますので、もう一点お尋ねして終ります。端的にお尋ねをいたせばいいのでありますが、かえって誤解を生んではいかぬと思って、時間を食って申しわけございません。今お答えいただきましたことで、私は非常な矛盾を自分自身で感じておるわけです。それは、最初からずっとお話しいただきましたように、要約すれば、この事業は全く賃仕事、手間仕事ということははっきりいたしまして、そこで原価計算の基礎は、時間当りの賃金が優先してくることは明らかになりました。そこで、その賃金の平均については、日本の国内的なものだけによってきまるのか、国際的な条件によってきまるのかということをお尋ねしたら、国際的な条件が含まれているというお答えであったものですから、私は非常にここで混乱してきたわけです。私どもの知る範囲内では、全く国内的な条件を基礎にして交渉されておるというふうにしか受け取れない。たとえば、あなたにお答えいただきました労働省の調査資料をということになりますと、これは事実の上にも、やや近いものになった。お答えいただきました平均賃金が二万一千円でありますから、これは業種別賃金の平均にやや近いものである。でありますから、これはその通りだと思うのです。国際的な視野ということになりますと、アメリカは日本の八倍も出しておりますから、これがすぐ標準になろうと私は言うのではありません。あなたの御指摘なされたように、アメリカと日本の労働慣行も違います。でありますから、日本の場合には、規定した手当だけで話がつくということは珍しいことで、必ず何がしかのめんどうを見るという慣行があるわけです。アメリカのようにこんなたくさんの賃金を払っておれば、もちろん雇用契約は、労働協約の中にきわめて明確になっておるように、予告なんてめんどうなことは要らぬ。団体交渉の上で、大体これだけの整理を必要とするということさえ組合が了解をすれば、組合の手によってさっさと処置をしてきめる、またきめる態勢にある。だから、こういう態勢における賃金というものが前提になってこの問題を処理するのなら、これはアメリカの方式であるなら簡単なのです。国会なんか、心配しなくてもいい。会社も、そうめんどうな交渉をしなくても、大体これだけの整理が必要だという理由さえ労働組合に理解させるように努力すれば、あとは労働組合の方でします。ところが、日本はそうではございません。これはあなたが一番よく御存じのように、日ごろ二万一千円ペースのあの地方の生活を見ればわかるように、ここで六カ月の失業保険以外に収入の道を断たれる、その後、一体いつ就職できるかわからぬという不安な状態というものは、これはきわめて深刻なんです。こういう実際問題を処置していかなければ、何ぼ首を切られななければ、また首を切らなければ仕方がないということだけを議論し合っても、実際問題の解決はできぬわけです。でありますから、そういうものを大体単価の中に見込んでいくということが妥当なのでありまして、言いかえれば、日本の場合には、賃金あと払い形式をやっている。社会連帯責任の形において、問題を操作してきている。アメリカのは、あらゆる面で個人主義的な立場ははっきりしている。でありますから、ここに今度の問題の特徴があって、政府でも、総理大臣がわざわざあなたとお目にかかったり、争議団の代表にお会いして、そして何とか問題を解決しなければならぬという、これはアメリカなんかでは見られる傾向ではない。アメリカだったら、そういうところにタッチするのではなくて、ストライキが起きたら、早く解決する処置をとるのです。ここに私はその特殊事情があると思って、実はあなたにお尋ねしたのです。国内の業者同士の競争においては、出血受注もやらなければ会社を維持することができないという事情は、私も了解する。しかし、日本の特需関係の業者を一本に考えて、私はお話をしているわけでありますから、そこの辺は混線なさらずにお願いします。国会は、あなたの問題だけではなく、特需関係全体の問題を取り上げてここで調査をしておるわけです。その解決を見出したいというので、この問題の解決もそこへ乗せていけばいいのではないかというような考え方でお尋ねをしておるのです。もう一ぺん、非常にくどいようでございますけれども——その契約というものは、言葉は悪いのですが、私はへんぱ契約だと見ている。日本の今のような苦しい業界の中で、その会社を維持していこうとするためには、出血受注もあえて辞さないということは、私は現実だと思うのです。いい悪いではないのです。そういう弱者と、一方は軍である。今度は占領軍ではないけれども、占領軍とひとしい力を持っている支配的な立場のものと、一番弱い日本の個人である業者とが、対等な契約ができるものではないという常識を私は持っているのです。そういうウエートが会社に、またそれが今度の問題の上に一つの暗礁になっているのではないかという心配がありましたので、実はお尋ねしたのです。こういう点で、もし会社側が、この機会にはっきりしておく必要があるなら、はっきりしていただくし、また前言のように、国際的に公正な契約であるというなら、会社は、労働者の要求が満足するような条件を満たさなければならぬことになると思うのです。どちらでもけっこうです。念のために、私はせっかく好意的に伺ったのでありますが、誤解があってはいかぬと思いますから、この点だけをもう一ぺん明らかにして、会社側に対する質問はこれで終ります。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 お説、まことにごもっともであります。私ども最初などは、特にそういう感じがしたのであります。占領軍でありますし、私どもは被占領国人でありますから、ほとんど一方的な行き方でやったのであります。そういった惰性で、何といっても買手と売手でありますものですから、お互い業者の競争というよりも、向うがこの仕事を打ち切ると言われたら大へんなことになるということで、勉強して参ったのであります。決して、条件が非常にいいというわけではないのでありますが、少くも業者から見ると、私どもが比較的いい条件でもらっておったというような批評もありましたが、どこの業者も、特需工業においてはあまり潤わなかったことは事実であります。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 山花秀雄君。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 きょう参考人としてお見えになっております関東特需労働組合の細貝さんに、ちょっと聞いてみたいと思うのであります。  それは、ここに富士自動車の労働組合から、退職金の比較表という表示で書類が配られておりますが、直用労働者と富士従業員との退職金規程のこの比較表では、直用労働者の方は勤続一年につき幾ら、それから一年増しにだんだん率がふえてきておる。ところが、富士自動車の方は一年につき一カ月、それからふえていないのであります。そして軍との契約が終りましたときには、直用労働者の方は一〇〇%もらう、富士自動車の方は七五%というように、退職の条件が一般直用労働者と富士従業員とは大きな差異を示しておるのであります。関東には、他にたくさんの特需工場がございます。たとえば昭和飛行機であるとか、ビクター・オートとか、三菱の下丸子であるとかたくさんございますが、そういうところにおいても、こういう条件であるかどうかという点を、あなたは全体の組合の仕事をやっておられますので、おわかりになるだろうと思いますから、ちょっとお伺いをしたいのであります。

細貝義雄関東特需労働組合協議会副議長

○細貝参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。御承知の通りに特需の各会社は、それぞれの組合と相談いたしまして、各個それぞれの退職金規程を持っておるのが現状でございます。額の比較からいたしますと、ただいま御指摘のありました通りに、同じ職場で直用の方に対して、仕事をしておる事業所の組合員は、いつもこの点について不満を持っておりますことは、富士のみならず各事業所とも同じで、直用の方よりは退職金が安いのであります。その程度につきましては、たとえば三菱と富士と比較いたしましても、また相模と比較いたしましても、同日の比ではないのでありまして、これは従来から、そこの組合の習慣によって会社と協定をいたしました退職金規程が優先いたしますので、そのきめられたことが、いかなる事情によりましても、双方の審議の上においてきめられた協約でございますので、優先しております。額の違いについては、御指摘のあった通りに、各事業所とも長短がありますが、いずれも有用の方より低いとお答え申し上げたいと思います。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 そこで、今度は会社側のどちらの参考人の方でもよろしゅうございますが、お答えを願いたいと思うのであります。たとえば、先ほど説明されましたように、同一工場内に働いている直用労働者と、それから特需関係の労働者が、これは労働条件は一つでありますが、退職金について大きな差異があるというような点が、一応組合側の方からはっきりされたのでありますが、特に特需の場合は、契約するときに、もうすぐに解職ということが一応一つのめどになっていると思うのであります。そこで、ただいま労働組合側の説明によりますと、従来、個々の会社企業における慣行が先に立ってこういう条件がきめられたという御説明でございましたが、しかし、特需を契約する場合に、当然一つのめどになるのは、直用労働者の退職金規程が一応めどになると思うのであります。そうして退職がすぐ条件の一つに、仕事の性格上当然なると思うのでありますが、こういうような形で、直用よりぐっと低い条件をきめなくてはならぬというような形の辛い契約をやらなくてはならない状態であったかどうか。先ほど会社側の井堀委員に対する説明を聞いておりましても、需要供給の関係、売る者と買う者との関係というようなことが言われておりましたが、この関係は、日本の産業界にとって、逆に有利な関係にあるのではないか。これはしろうとの考えでございますけれども、そういうように私どもは考えておるのであります。伝えられるところによりますと、日本の個々の業者が、必要以上に激烈なる競争を行なって、非常に安いところの契約をしたということが一般的に伝えられておりますが、そういうところの事情を、この際明らかにしていただきますならば、われわれこの問題に取り組んで審議をいたす上においても、非常に参考になると思いますので、一応その間の事情を明らかにしていただきたいと思います。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 御質問の二点についてお答え申し上げますが、逆に最後の点について先に申し上げます。  この契約は、先ほど申し上げました通り、七月、八月、九月以降については、あるいは競争入札というようなことになるかもしれませんが、従来は、二十三年の夏から引き受けて以来、当初間接契約でありまして、二十五年以来直接契約になったわけでありますが、自来、契約は一年ごとの更新であります。随意契約でもって今日まで契約を実施してきたわけでございますので、この点についての他との競争は、今日まではなかったのであります。  初めの御質問につきましては、同じ構内におきまして、直用関係もすでに二千人を突破しておると思いますが、そういう違う契約の者が同じ職場で互いに相関連した作業をしております場合、退職金規程というような問題が、そこに差別があるというようなことについては、労使ともに非常に不満の点でありまして、これは従来の契約更新に際しても、またその契約内におきます単価改訂の協定におきましても、あるいはベース・アップがあったために退職金の増加、ファンドの増加という問題が起きます際に、あらゆる機会におきまして、この問題は軍側に強く要求をしてあるのでありますけれども、遺憾ながら今日まで、会社の、もちろん組合の希望するような点までは達しておらないのであります。要するに、軍の商習慣の点もあるかと思いますが、軍はベース・アップ等がありました場合に、それに相応する、遡及した分に対する、過去の契約に対する分の増額は認めないという方針を堅持しておりまして、これはずいぶん長い間交渉もいたしております。これは前、前前、その前の契約の点につきましては、現にアピール・ボードに訴え、さらにワシントンのアピール・ボードにまで訴えて、まだ懸案中で闘争しておるわけでありますが、そういうようなことで、商習慣の差によって、積立金に対する利息も見てくれない、あるいは中の一〇〇%の積立に対して、ターン・オーバーといっておりますが、人員の入れかえ、退職をいたしたりいたしますための差額、こういうようなものの控除というような関係で、いつも全額認められないで、非常に切られるわけであります。そういうような関係で、現在の退職金規程を実施するにつきましても、会社が相当部分を負担しなければできないというような現状でございます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 富士自動車の参考人の、どちらの方でもけっこうでございますから、お伺いしたいと思います。  あなたの工場で、直用と会社に雇われておる従業員との賃金差は、たとえば、片方が二万円とか一万八千円とか、大体の見当でよろしゅうございますが、おわかりの点を明らかにしていただきたいと思います。

三富博富士自動車労働組合追浜工場委員長

○三富参考人 大体、私の方は四十八時間建であります。それで、先ほど言いましたように、大体二万一千円ベースを持っております。それから直用の方は四十時間建て約二万四百円ぐらいの見当を示しております。それについても、時間差があるのでございます。組合の方は一日八時間建でございますが、直用の方は時間が一日について三十分くらい短かのです。ですから、七時間三十分ぐらいの労働時間を持っております。そういう差がございます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 もう一つお尋ねしたいのは、これはあなたの組合からわれわれにお配りになった退職金の比較表でありますが、この一番下の参考資料に、一年で直用の方は四万六百円、富士の方は一万八千三百四円と、こういう工合になっております。私ちょっとこれを見ておりますと、片方は二月分ぐらいではなかろうか、片方は一月分ぐらいでなかろうかという気がするのでありますが、ここの差異は、どういうところでこういう大きな差異が出ておるか、ちょっと御説明願いたいと思います。

三富博富士自動車労働組合追浜工場委員長

○三富参考人 直用の場合ですと、今問題になりますような解雇予告一カ月なら一カ月というようなものは、やはり一カ月前に予告して切っていきますが、一カ月分の頭金というものが一カ月分ございます。それが一カ月の理論月収の一カ月分になっております。それで計算でございますが、直用の場合は、やはり一年一カ月ではございますが、理論月収の一カ月になります。そうすると、合せて一年勤務した場合には二カ月いただくということになります。富士の場合ですと、理論月収の一カ月でなく、理論月収を構成しております中の基本給の一カ月が退職金規程の一カ月になっております。従いまして、二万一千円という理論ベースはございましても、その構成の中の一万八千何がしが基本給でございますから、その一カ月分をいただく、こういうことになっております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 会社側の参考人にまずお伺いしたいのでありますが、ただいま組合側の説明がございましたので、十分おわかりになるだろうと思いますが、あなたの工場で解雇する場合に、予告手当というようなものは全然なく、即日解雇と、こういう形になっておるのでございましょうか。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 会社は、二十三年仕事を追浜でいたしまして以来、幸いにして、かくのごとき事業縮小に対する解雇というような問題は今日までなかったのであります。二十四年の十月でありましたか、約百五名の解雇がありまして以来、会社業務上の都合によって解雇された方は、非常に少いのでございまして、問題は、大体において例の保安解雇という個々のケースにおける解雇でございます。その場合には、その解雇の性質上、軍もこの解雇予告手当というものをやはりコストに認めてくれまして、応じたのが——これは特別のケースとして認めてくれておりますので、そういう個々のケースにおきましては、解雇予告手当を支給して、即日離職してもらっております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 ただいまの説明は、特別の個々の場合には、軍の方としても認めてもらっておる、こういうようなお話でございましたが、私の聞いておりますのは、ただいま労働組合側からの説明によりますと、直用の場合には一カ月の予告手当というのがきちんときまっておるところがあなたの工場のいわゆる工場直接の場合、すなわち特需の仕事をしておる場合には、そういうものがないから、こういう金額の現われだと、こういう労働組合の説明だったわけです。そこで、特需の関係においては予告手当というようなものは全然ないのかあるのか、こういうことをお尋ねしておるのであります。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 他の業者のことは、寡聞にしてよく存じませんが、アメリカの習慣といたしましては、解雇予告手当を支給するということはいたしておらないようでありまして、従って、私どもの接しております軍側の意向は、今回もそうでありますが、基準法に基きます一カ月の通知をもって出し得るんだという観点で、一カ月半に通告したわけであります。それで現在のところ、軍としては、その点は認めないという態度を堅持しておるように伺っております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 そこで、もう一度細貝参考人にお尋ねしたいと思います。ただいま富士自動車工場の会社側の御説明は、お聞きになった通りでありますが、他のビクター・オートであるとか、あるいは昭和飛行機であるとかいうようなところにおいては、この予告手当の問題はどういうように扱われておるかということをお尋ねいたします。

細貝義雄関東特需労働組合協議会副議長

○細貝参考人 お答えいたします。過去においてそれぞれの事業場で、相当会社都合による人員の整理がございましたが、御承知の通りに基準法に定められてありますのは、一カ月前の予告をもってかえられるということになっておりますが、実際といたしましては、所内における労働行政の建前から考えて、各事業場は、それぞれ一カ月分の解雇予告手当を全部支給しております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 ただいま、他の特需工場においては、一カ月前の予告は、金銭に換算して一応支払っておる。これが日本では全体の労働慣行になっておると私は思うのであります。ところが、ひとり富士の工場だけは、そういう労働慣行をやっていない。そして、軍側はまたアメリカ側の考え方のもとにやっておる。ところが、ほかの工場も、やはり軍側との契約で、会社側においては日本の労働慣行を実施しておる、こういうことが一応明らかになりました。そこで、労働省の労政局長もおいでになっておりますので、ちょっとお伺いしたいと思いますが、大体直用工にいたしましても、あるいはこういう特需の関係にいたしましても、日本の労働法を——一般的に国内法といってもいいですが、国内法を優先的に実施するということが、明確に規定されておると思うのであります。ただいま会社側の説明なんかに関して、労働省当局としてはどういうお考えを持っておるか、一つ明らかにしていただきたいと思います。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 今のLSOと、それから特需会社の退職金とを、少し混線しておるようでございますが、予告手当の問題は、いずれも同じで、ただLSOの方の退職金は、初めに一カ月がついておるのです。一プラス一というのが一年の退職金、二年になれば一プラス二、退職金自体が一カ月ついておるということでございますので、ちょっとそこに誤解があるかと思います。  それから予告手当の問題でございますが、LSOにおきましては、やはり一カ月前に予告いたしまして、一カ月働いてそれからやめるというのが大体の例のようでございます。それから一般の日本の工場、事業場におきましては、ときに予告で、やはり一カ月働いてやめるというのもございますが、大会社等におきましては、一カ月分を払って、そうして一カ月は出てこないというのが、これは統計を取ったわけでもございませんししますが、聞いておりますところによりますと、そういう例の方が多いように感ぜられます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 労働省当局の説明と、ただいま特需関係の労働組合の説明とは、聞いておりますと、だいぶん違っておると思うのであります。私の方が混乱しておるのか、あるいは他が混乱しておるのか、これは非常に重要な問題ですから、この際明らかにしていただきたいと思います。LSOの方は初めから一カ月ついておる。従って一年たつとまた一カ月で二カ月になる。ただし、首切りを申し渡したときには、一カ月前から申し渡しをして、日本の慣行のように一カ月分出さずに働かして、一カ月目に首を切られても二カ月分もらえる、こういう御説明でございました。  そこで、私は、細貝君にもう一度お伺いしたいと思うのでありますが、今労働省の説明のような状態であるか。そうして、もし日本の労働慣行に従えば、三カ月分もらえるという形になると思いますが、この間の事情はどうでございましょうか。

細貝義雄関東特需労働組合協議会副議長

○細貝参考人 これは直用労務者の退職金規程の問題でありまして、直用労務者は、たしか一カ月前の予告をもってかえておりますのが実情でありますが、現実の問題といたしまして、今三富参考人からお答えいたしました通りに、一カ月分全部ついている、こういうことになりますと、それが解雇予告手当にかわるべきものである、こういうように考えてもいいのではないだろうか。こういう意味において資料の整備をしております。というのは、先ほど政府委員からも御答弁がありましたように、一年につき一カ月という約束は、二年になりますれば、やはりその一カ月というものが先行してついている。これは十年になりましても何年になりましても、一カ月分というものは年数に比例しないでついております。そのほかに、年数に比例した退職金の加算額があるので、別途に考えてもよくはないか、こういうふうに考えております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 そこで、もう一度明らかにしたいと思うのでありますが、そうすると、直用の方には最初から一年でも十年でも一カ月というのがついていて、そうして初めの一年が一カ月であり、あと一年増しに一カ月〇・二というような形でだんだんふえていく、こういうことであって、実際上に解雇された場合には、アメリカ側の考えに立つような一カ月前の予告で、金をもらわずに大体解決をしておる、こういうことになっておるかどうかという点であります。

三富博富士自動車労働組合追浜工場委員長

○三富参考人 その問題ですけれども、直用の場合でも、従来慣行としては、やはり一カ月の解雇予告をもってやっておった例は、うんとあったわけです。これが両三年前から、逐次日本の法規を研究もされまして、いわゆるみみっちくもなった関係上、解雇予告を出していくというようにこの両三年変更されております。現在やっておりますのも、解雇します場合には、やはり直用の場合でも一カ月前に予告をしておるというのが、今普通の例になってきているようであります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 ちょっともう少しはっきりしていただきたいと思いますが、最近になると、アメリカ側も日本の法規を精通して、非常にみみっちくなって一カ月前に予告をし出した。これは結論から申し上げますと、予告をして一カ月使って金を出さずに首を切っておる、こういうことなんでしょうか。

三富博富士自動車労働組合追浜工場委員長

○三富参考人 その通りであります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 最後にあと一点、ほかの同僚議員の方から質問もたくさんあるだろうと思いますので、お尋ねしたいと思いますが、われわれの手元に配られました「富士自動車株式会社における人員整理問題の経緯について」という、これは発行者の署名がございませんので、組合側が出したのか、会社側が出したのか、ちょっとわかりませんが、書類が各委員に配られたのであります。この中の五月二十四日——これは日誌のような形で書かれておりますが、五月二十四日といたしまして「国会において山本社長が労働大臣に事情を説明し、整理人員の削減、整理の漸減方式による実施、予告手当及び協約に基く退職手当との差額の補償につき政府の助力を要請した」。こういう報告になっておるのであります。ここで、差額の補償の「差額」というのは、どういうところの差額をうたっておるかという点をお聞きしたいのであります。——ただいま、署名がないからどこから出た資料かわからないと私は申し上げましたが、これは労働省から出た資料だそうであります。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 私の聞いておりますのは、結局日本の一般の慣習からいい、ことに今度は大量の整理でもあったので、もう一カ月分の予告をほしいということ、それから退職金の計算が、普通何カ月という場合には、最終の給与で何カ月、こうなるわけですが、何かそれが米軍との関係では若干違うらしいので、その差額もある、両方さして話があったというふうに記憶しております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 実はこの点につきましては、私は山本参考人にお聞きをしたのです。ところが、なかなかお答えがなくて、労働省の方からただいま御回答がございましたが、そこでもう一度山本参考人にお尋ねしたいと思うのであります。  ただいまの労働省当局からのお話の御回答程度のことでございましたならば、言っても何ら差しつかえないような気がするのであります。そこで、最終一カ月と会社のおきめの差額というのは、先ほど組合側からもいろいろ御説明がございましたように、大体二万一千円。ところが、この退職金規程によると、基本給を基礎にしておりますから一万八千三百四円。ただいま労働省当局から御回答になったのは、この差額と理解していいかどうかという点。それからもう一つは、予告手当の問題がございましたが、これは日本の一般社会の慣行による即時解雇、同時に一カ月分金額支給、こういう形のことを労働大臣に要請されたのであるかどうか。まだ何かそれ以外のこと——労働省は、私の聞く範囲によるという説明でございますから、山本参考人の方が、もっと明確にはっきりしたことがおわかりになるだろういと思ますので、お答え願えれば、お答していただきたいと思います。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 実は私はこれを今拝見いたしますので、はなはだ迂遠でございますが、労働大臣には事情を申し上げたと思います。二十四日とありますが、それは二十三日の誤かりかと思います。それから軍には、こういう事情で大へん困っているということを、再々会社から、事務当局からも交渉しておりましたのは、つまり、契約は一年一年に終るのだから、その年の一年一カ月分、こういうことなんです。ところが最終時給になりますと、それだけの、段差といいますか、そういう言葉を使っておるようですが、それだけが足りない。そういうファンドがない。それで軍とは、こういう見解になったのであります。私どもは、少くもこの契約期間に起った問題である、ことし起った問題である、こういう議論なんです。軍は、毎年々々契約がフィニッシュするのですから、その年の一年一カ月を積んであればそれでいい、それ以上は、ことしの契約には何ら影響はないのである。こういう意味で、段差を払う方法は、会社の預金にもありませんし、軍も認めてない。しかし組合は、最終時給で払うことを希望されるであろう、ぜひ多少でも多く払ってやりたい。だから、その段差の問題については、今、軍と交渉をしておるというお話をしたと思うのであります。  それから、漸減方式は、これはずいぶんやったのでありますが、できる限り追浜へ持ってきて、そうして生産をよけいにやらしたのだ。しかし、来年度はもう需要がない、こういうことで、ワーク・ロード、仕事の分量もおよそ与えられておりまして、これを漸減する方法がないと言っておりますので、むしろこの点は、国内の転換について考えてもらえないだろうかということを申し上げたことを記憶しております。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 山花君、よろしゅうございますか。  神田大作君。

神田大作日本社会党(右)

○神田(大)委員 大分長くなりまして、お疲れのところ恐縮でございますが、二、三の点についてお尋ねをしたいと思います。  簡単な基礎的なことでございますけれども、会社の労働者の勤続年限は、一年以内の者は何人、二年以内の者は何人、三年以内の者は何人、概略でけっこうでございますが、こういうことがおわかりになりましたら、お教え願います。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 この点につきましても、ただいまお話がありました通り、軍の退職金に対しますファンドの考え方によりまして、漸増の方式ということが事実上はなかなかむずかしいわけであります。組合の方とも、従来長い間お話はしておりますが、昭和二十五年九月までは退職金を払っておりますので、昭和二十五年の十月一日から五年目以降は、そのような考え方をしたいという希望は申し述べてございます。現在のところは、この十月でその五年目になりますが、その以後については、そういうことも考えたいということは、かってたびたびの団交の機会においても、意思を表明しております。現在の規程においては、そういう漸増の規定はございません。

神田大作日本社会党(右)

○神田(大)委員 大体特需産業の特殊性によりまして、一年ごとの契約であるというようなことでございますので、来年の契約が今年の契約だけあるかどうかということはわからないような不安定な契約というふうな状態におきまして、朝鮮事変終了後におきましては、この仕事か減少するということは、お見通しが立っておったと思うのでございますが、そういう場合に、そういう不安定な仕事であるということを含んでの軍との契約あるいは賃金等において、そういう意味を含まれた賃金というものが、軍との契約においてなされておったかどうか、あるいはまた賃金の支払いにおいても、今賃金ベース平均二万一千円というようなことでございますので、労働者側と会社側との間においては、そういうようなことは考慮されておらないようでありますが、軍と会社との契約は、そういうことをお見通しの上、不安定な労務に対する補償を含んだ契約がなされておるかどうか、またそういうことを含んで会社側は軍との交渉に当ったかどうか、お聞きしておきたいと思います。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 結論から申しますと、軍との契約には、そういう含みはございません。さらに申しますと、昨年九月に、座間に全体の契約者が呼ばれまして、大へん減るということを言い渡された。新聞にも出ております。ところが、幸いにも私どもの数量は減っていないということを、私どもの監督官がそこにおりまして数字を見せてくれました。富士自動車は減っていない。もっとも、昨年の七月一日以降、先ほどの話にありましたように、契約が八百万ドルですか、スケジュールは大へん増してきた。それはインドシナの影響だということであります。ところが、しばらくすると、インドシナもああいうような事情になりましたから、やはりそれだけ増す必要はないということでもとへ戻した。それで一般には、減るぞという注意があったのでありますが、富士は減っておりません。当時は、できるだけ全国の品物を追浜に集めて、富士によけい仕事をしてもらうのだということを聞かされておった。事実、契約を上回るような六月の末の業績でございますが、突如として先月そういうお話がありまして、大へんに困ったのであります。いずれ今お話のように、これは不安定な仕事であるということは事実でありますが、そのコストにそういう不安定性を織り込んだかどうかという御質問に対しましては、そういうことは織り込んでおりません。

神田大作日本社会党(右)

○神田(大)委員 早晩人員整理をしなければならぬということは予期しておったけれども、このように早く人員整理をしなければならぬというようなことは予期しておらなかったという御答弁であると思いますが、そういうことにつきましては、特需産業の特殊性にかんがみまして、政府当局等とも相当御連絡をいたしまして、この早晩行わなければならぬ人員整理に対しまして、何か会社側といたしまして、人員整理によってのみこれを切り抜けるということでなしに、配置転換なり、あるいは新しい企業の育成なりということを考えて、このような急激な人員整理を避ける努力をなされておったろうと思うのでありますけれども、そういうことはどうですか。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 軍からの懇切な注意がありまして、年中かわりのものを見つけなければならぬということで努力してきたのであります。でありますから、この五、六年の間に、追浜以外に五つの工場を持つことになりまして、そしてだんだんと、つまり世帯を広げて参ったのであります。私は日産を作ったのでありますが、あすこには大へんな余剰人員が出て、満州にも大へんな人が行ったのであります。みなもう行った。それから今追浜で働いておる人たちは、当時ほとんどあそこには仕事がありませんで、鶴見、川崎、千葉までも働きに出ておったというようなわけであります。この仕事を始めて以来、それだけの人間を収容することができたのでありますが、大へんけっこうなことで、何とか一日も長く続くことを念願しておったのであります。今、神田さんのお話のように、これは一年々々の特需でありますから、どうかしてほかの仕事に転換するように努めて参る。一番よいことは、やはり防衛庁の仕事が、向うが減るに従って早くふえるというような、こういうようなシーソーになることを考えておったのであります。もう一つは、昨年アメリカに参りまして、航空機のエンジンの製造契約をして参るとか、あるいはプリムス・ベースの自動車の製造組み立てを契約して参ったのでありますが、なかなか日本経済が御承知の通りそんなに発展いたしません。相当の人員は収容しつつあるのでありますが、時間の差がありまして、今これだけの人を容易に一時に収容するだけの仕事がない。しかし、また大いに努めております。できるだけそれを早く転換するように、政府当局ともお話しして努力しておるようなわけであります。

神田大作日本社会党(右)

○神田(大)委員 一年契約というような危険な、非常に不安な仕事に携わっておることに対する、この不安定な職務に対する措置を含んだところの賃金支払いがなされていない、その契約がしてないということになって、そうして急激にこの人員整理をなされるということになりますと、経営者はともかくといたしまして、一番これに打撃をこうむる労働者側に対しまして、この危険率をあがなうところの責任は、やはり経営者側にあるのではなかろうかと私は思うのでありますが、これに対しまして、経営者側はどうお考えでありますか。

山本惣治富士自動車社長

○山本参考人 お説の通り、できる限りこれを好転するように努めたいと考えております。

神田大作日本社会党(右)

○神田(大)委員 最後に、ちょっと労働者側の方にお尋ねいたしますが、われわれが見ますと、門を入るときは駐留軍の人たちがおりますし、帰りには身体検査を一々しております。労務をする上におきましても、駐留軍の人たちが一々労務監督にくるというような、名前は富士自動車株式会社というような会社経営でありますけれども、実質的には駐留軍の直轄工場の観を呈しておる。日本の工場とは思えないような状態でありますけれども、そういうことが実際においてどのように事実行われておるか、お聞きいたします。

三富博富士自動車労働組合追浜工場委員長

○三富参考人 お答えいたします。今の御質問は、軍の管理工場に対するところの認識の問題のように承わったのですが、この基地内にありますところの富士自動車株式会社という工場の実態が、この会社自身の工場の実態があるわけではないのであります。これは非常に大事なことですが、富士自動車というのは、昭和二十三年の八月に、これは米軍の車両工場に労務を提供する仕事から始まっているのです。ですから、会社が始まったのではなくて、米軍の車両工場というものがあって、そこに人を入れることが仕事だったわけであります。そういうような形で、第二次大戦型の車を軍が再生する、これが昭和二十三年から二十五年の九月まで、終戦処理費でまかなわれたことは、先ほど社長が言われた通りですが、その後においては、これが個人契約という形で、ドルの支払いで契約されております。  それで、その実態でございますが、私たちは富士自動車株式会社との雇用関係は持っておりまして、表面上の関係は、すべて労使の間にあるように考えられるのですが、会社自身の自主性は全くないわけであります。すべてアメリカ軍の管理にまかせられておりまして、われわれ従業員におきましても、これは会社に雇用されているという表面の形よりも、日常におけるところのアメリカのDACなり、あるいは兵隊なり、そういうようなものの中にわれわれが仕事しているのだという感を深くするわけであります。  その一例を申し上げますと、労働条件でありますが、賃金にしましても、退職金にしましても、これは労使の間では、一存ではいきません。すべて軍の御意向を会社が承わって、そして組合に答えてくる。またさらには、作業面におきましても、会社は会社の組織があるわけであります。工場長以下、各部長、課長というような職制があるわけですが、これに準じたところの組織が、やはり同じように軍の組織となっております。それで各級々々におけるところの指導監督というものは、軍の指示によってなされる、こういうような仕組みになっております。  さらに、施設の改善等につきましては、この富士自動車の工場のあるところは、元の飛行場の格納庫を工場にした関係上、非常に施設が悪いのであります。衛生施設の問題についても、われわれ労働基準法に示すところのものを、よしんば会社に要求いたしましても、会社はこれに手をつけることができないのであります。これは軍が営繕というものを持っておりまして、この営繕をするについては、会社が少しでも手を触れれば処罰される、こういうような仕組みになっております。そういうような場合は、会社から申請をして軍が施設をやっていく。この施設の改善についても、一向に改善されるような点はありません。あっても、非常に少いのであります。ですから、六年前にわれわれが作業を始めて、食堂のないまま——いまだに工場の中に食堂のないところもあります。休憩所もないところがあります。そういうような状態で、施設においてもすべて軍の支配を受けておる。そういうような環境があります。  また人権問題にも触れますが、契約の中には、明らかに特高警察的なものの調査、思想調査を要求されておるような契約条項もあるわけであります。そうして、これが軍から契約としての要求事項になっておる。  なお、軍の管理権に基きまして、施設がすべて行政協定上、向うの管理になりますので、組合運動におきましても、労使の間では割り切れないところの監督を軍から受けております。さらに作業上の日報その他の報告は、これはすべて英文でなされておりまして、会社自身がやるならば、すべて日本語でいいわけでありますが、それがすべて軍に報告されるような形になっておるわけです。  なお、先ほどいろいろ御質問が会社の方にありましたコストの問題についてでございますが、このコストの問題については、日本の商習慣とアメリカの商習慣——これは契約がアメリカ合衆国の調弁規則というような形になって、軍の規則によってやられる関係上、われわれと会社との間に退職金規程そのものがあったにしても、その協約上のものが守られないで、コストが減らされていくという実態もあるわけであります。  それから、各工場に人員配置を、会社は会社なりで生産本部の方からやるわけですが、この人員配置についても、現場におけるDACとの意見が常に食い違って、そのDACの言われるままに大体人員が配置されて、あっちへ何名、こっちへ何十名というような形でやられる点が非常に多いのであります。  なお、監督面については、こまかいことではありますが、掃除がきれいであるとか、きたないとか、あるいは始業時間、終業時間、休憩時間に至るまで、すべて工場におけるところのアメリカのDCAなり兵隊なりの監督を受けておりまして、実際われわれは、会社に使われておるというよりも、軍の基地の中にある兵隊さんに使われておるという感を非常に多く持っておるわけであります。  以上が、基地内におけるところの実態であります。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 中原健次君。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 時間がないようでありまして、お昼の時間を継続して恐縮でありますが、簡単に要点だけ質問いたします。  一番最初に、労働組合側の方の御意見を聞かせていただきたいと思います。退職金の計算の基礎でありますが、直用の方は月収全体が基礎になっておる、あなた方の場合は基本給が基礎になる。従って、初めからここに大きな格差がある。この格差のあるものを、そのままに承認されたとは思いませんが、この退職金規程のきめられます場合の経過といいますか、そういうふうなことがありますれば、聞かせてもらいたい。

三富博富士自動車労働組合追浜工場委員長

○三富参考人 退職金に触れられましたが、表の点がございますので、その中で誤まりの点が一点ありますから、先にその誤まりを正しておきたいと思います。軍の打ち切りにおけるところの、七五%とおそらく書いてあるのじゃないかと思いますが、これは一昨年からこの部分については一〇〇%になっております。  ただいまの御質問の退職金規程設定の当初におけるところの経過でございますが、この基本給で支払われるようになったということについては、組合自身としても、非常に不満があったわけであります。組合の退職金規程におきますところの規定の案というものについては、やはり直用の退職金規程そのものが基礎になって、労使の間でもって折衝された経過がございます。昭和二十六年の春ごろだと思いますが、二十六年の春ごろに、そういう形で直用の退職金規程を、さらにわれわれの考える業種そのものが短かいという形から、上回ったもので交渉した事実があるわけでありますが、その中から出されたものは、やはり非常に低い基本給のみの一カ月分という形できまったわけであります。そういう点については、われわれとしても、退職金規程についてはいまだに不満を持ち、少くともLSOの直用並みの退職金への努力が続けられており、会社もこの点については、考え方としては了解しておるのでありますが、何せ軍との交渉において、コストが認められないという点において、非常な難点で今日に及んでおるわけであります。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 これは会社側のどなたでもけっこうです。先ほど御答弁がありました中で、二十五年の十月以降から継続——それ以前まで一応打ち切りになって、それ以後から継続になっている、こういうふうに私は伺ったのです。そうしますと、その当時から今日まで勤続しておる方の勤続年限というものは、五カ年と計算してよろしいでしょうか。

大野竹二全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長

○大野参考人 今の御質問にお答えいたします。二十五年の九月までの退職金は清算しております。従って、現在の退職金規程の始期は、二十五年の十月一日であります。従って、この十月でもって満五年になります。大体の平均の勤続年数は、三年半くらいではないかと考えております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 時間がありませんので、お尋ねしたいことがほかにないではありませんが、一応省略いたしまして、今までいろいろ会社側並びに組合側の各位から、今日の特需労働事情についての御説明がありました。この御説明を承わっておる中で、ますます遺憾に思い、かつ、むしろ不思議に感じますのは、日本は、いわば独立国家になったと言われておると思います。しかるに、依然としてアメリカと日本とのこういう妙な隷属的関係、いろいろ言葉は出て参りますけれども、それは遠慮しておきますが、とにかく、意外にもわれわれ日本側の考え方が正当に取り上げられておらない、あるいは互角の立場で、対等の立場で物事が交渉させられておらない、こういう事情がわかってくるのであります。そうなって参りますと、一応機関としては、特別調達庁あるいは日本の労働サービスの立場にある労働省、この両政府当局としては、こういう事情に対してどのように対策を打たれたのか、そしてまた、どのようにこれをお感じになられたのか、この点をこの場合に、簡単でよろしいですから両当局から——調達庁はおりますか。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 調達庁はおりません。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 それではやむを得ませんから、労働省側の見解を伺っておきたい。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 この問題につきましては、昨日労働大臣から詳しく申し上げた通りでございまして、建前といたしまして、私契約によって行われておるということで、この点につきましては、昨日も労働大臣個人の御見解として述べられたのでございますけれども、さらにこの根本の契約のあり方について検討したいということを今申しております。今度の問題につきましては、何分にも大量ではありますけれども、問題は、結局ほかに仕事があるかどうかということが一番の問題なのです。従って、特需全体につきまして、通産省がそれぞれ今後の見通しも立てまして計画を立てておるわけです。これにつきましても、昨日大臣が教字をあごて申し上げた通りでございます。関係各省この事態を円満に処理するために、一応できるだけの努力を今までにして参っております。ただ結果といたしまして、現段階はもうわれわれの方の要求が通ることの可能性がきわめて薄くなっております。ただ今後の問題もございますので、さらに今後ともこういった問題の繰り返しがないように、通産省、外務省等ともよく話し合いいたしまして進んでいきたいというふうに考えております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 ただいまの御答弁で、一応こういうことが考えられるわけです。このたびのこれらの関係で職を離れる人々に対する善後措置として、一応通産省その他の政府関係の可能な限りの努力で、この人々に対する一種の優先的な救援措置というふうなものが政府の立場から講ぜられるであろうという期待、これは持ってよろしいものでしょうか。離職する人々の今後の就職に対する政府の協力です。これについてどのような具体的な案がありますか。今のお言葉で想像できることは、通産省その他の各省との協力で、かなりそれに対する成算がある、こういうふうに受け取ってよろしいかどうか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 他への転換につきましては、先ほど社長からもちょっと言われましたが、今直ちに他へのいろいろな転換は、非常に実現性が困難なようであります。そこで、もしいよいよ職を離れる方ができますれば、これのめんどうを見ますことは、これは労働省本来の仕事になりますので、これも昨日大臣から申しましたように、配置転換の本部を神奈川県に置きまして、神奈川県知事を本部長にいたしまして、関係府県の職業関係の係官、それに富士自動車の労使の方をメンバーに加えて、できるだけの配置転換その他就職あっせんをしたい。特に技能を持っておられる方につきましては、ある程度期待は持てるのじゃないか。技能のない方につきましては、職業補導その他の方法によりまして、これも他に転換するように、できるだけの努力をする。現在、そういった態勢をとりますことにつきましては、十分に準備をいたしております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 できるだけというお言葉では、いささか不満でありますが、いずれにしても最善の努力を払われるものと期待いたします。なお、それと関連しまして、アメリカの軍当局との今後の外交折衝とでもいいますか、それについて、今われわれが手元に持っております程度の資料が最後の結論的なものであると考えたのでは、これはとうていがまんがなりがたいものでありまして、従ってそういう最後の措置については、一そう積極的に一種の外交折衝の努力を払う、このことについて期待を寄せてよろしいものかどうか、それに対する政府のお言葉を承わりたい。時間もないようでありますから、私、ただこれだけのことを伺いまして、また後日の問題といたしまして、今日はこれで私の質問は終ります。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 昨日、このことにつきましても、労働大臣から詳しく申し上げたのでございますが、日本に来ております出先の軍に対する折衝につきましては、ほとんど絶望に近いのではないか。合同委員会で正式に取り上げて要求いたしましたにつきましても、ノーの回答が、つい数日前に参りました。そこで、さらに重ねて折衝をすべきかどうかということにつきましては、なお政府でも相談中でございますが、この点につきましては、ほとんどわれわれとしまして見込みが薄いように感じております。問題は、結局、米本国に対しまして、外交的な折衝で話を進めるということが、残されたといいますか、もし効果があるとすれば、それしかないわけです。それにつきましては、外務省を通じましてさらに今後とも、この問題を含めて、今後の問題もございますので、折衝をするということになっております。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 これにて特需関係労務者の人員整理問題に関する参考人に対する質疑は終りました。  午後二時半まで休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後三時四分開議

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 休憩前に引き続きまして会議を再開いたします。  全国金属鉱山関係の労働争議問題について調査を進めます。  まず原口幸隆君より意見を聴取することといたします。原口参考人。

原口幸隆富士自動車追浜工場長

○原口参考人 金属鉱山の争議について、組合の方として事情を申し上げたい思います。  今回の争議の中心は、賃上げ並びに期末手当の要求がその骨核となっております。賃上げについては、千円プラス・アルファーという大会決定を見て、向う一カ年のわれわれの賃金の要求案として、三月三十一日に各社に要求されました。自来交渉を持ちましたが、大手筋企業、六大企業を中心とする一つのブロックと、中小企業、それから硫黄が特別な状態にありましたので、硫黄関係の機関と、単独企業という四つの機関を別々に設けまして、それを全鉱という全体の中で調整しながらわれわれの交渉が進んで参りました。そして会社の回答が誠意を見せませんでしたので、五月六日以降本日まで、実力行使を継続中であります。本日でちょうど四十日になるわけですが、百五十組合六万五千の大半が実力行使に入っております。  五月六日、実力行使以降、会社側の態度については、現在まで、ベースについては四百二十円、期末手当については前期あるいは前々期並みの回答がなされております。これはわれわれの千円プラス・アルファーの要求から非常にほど遠く、しかも中小企業や単独企業に出ている回答自体と比べても、低い水準を示しており、要求とも大差があり、解決に至っておりません。  今度の闘争の性格等について、われわれが判断いたしますのに、会社側がきわめて強硬にベース・アップを抑制し、昇給あるいは一時金等で解決しようとして譲らないという態度が、今回の争議の長引いている一つの原因になっております。また組合側としても、金属鉱山労働者の賃金が、労働者の調査によっても、特定産業のうちの第十二番目というきわめて低い賃金であること、しかも今回の要求がきわめて低い謙虚なものであるという確信の上に立って、絶対に獲得しなければならない金額であるという組合側の態度も、労使双方の解決を相当延ばしている大きな原因になっているわけであります。  さらに、全鉱という金属鉱山の労働組合の組織は、従来の企業別組合の欠陥あるいは弱点というものを、過去五年間にわたって経験して参りまして、産業別組合として、全体的な行動をしていかなければならないという鉱山労働者の決定によって、全鉱としては、今度の闘争を全体的に押し進めておるところにも、会社側としては、なお自分の企業組合、会社組合に未練と愛着を持っている。そして全鉱という全体的な組合運動というものを離したり、あるいはそういう事実を将来にわたって認めることをがえんじないために、この闘争が一つは延びている原因にもなっております。  さらに、今度の闘争の中心であります大手六社の態度については、中小企業に出ております七百円とか、あるいは五百円程度の回答がすでに出ておるわけですが、大手六社は、現在において最高で四百二十円という回答では、しかも団体交渉について、むしろ組合の方から再三再四にわたって申し入れ、解決のきっかけを求めているのに対して、会社がそういう積極的な事態解決の意図を示していないという事実と結び合せて、現在会社側が平和的解決の意図がまだ十分にないというふうにわれわれは判断せざるを得ないわけであります。組合側から見た会社側の業績については、すでに各社から報告されておる前期の利潤の数字について見ても、数億の利潤を出しておりまして、決してわれわれの要求を、支払い能力がないという理由のもとに拒否することはできないというふうに考えております。  しかしながら、争議も本日で四十日となっておりますので、一切の生産、最終製品の生産を全部とめ、かつ最終製品に至らない硫化鉱あるいは副産物である硫酸等関連産業に影響する製品についても、出荷を全部とめておりますので、これが与える社会的影響性という点についても、組合も十分考えておるわけでありますが、できるだけ会社側の誠意ある態度とあわせて、われわれも事態解決のために努力していきたいというふうに思っております。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 それでは、次に北里忠雄君より参考人として陳述を願います。北里参考人。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 金属鉱山の争議に関しましては、各社それぞれ別個に交渉をいたしておりますので、私はその直接の当事者ではございまません。従って、今日ここに出て公述をいたしますのは、あるいは不適当であるかと思うのでございますけれども、金属鉱山の会社が集まっております団体におりますので、ストに関連のある事柄について、御質問にお答えをするようにというお招きでございましたから、あえて出席をいたしましたような次第でございます。  ただいまから、私が承知いたしております範囲において、ストの実情等について御説明を申し上げたいと思うのであります。ストの成り行きについては、ただいま原口参考人からもお話があり、また新聞等で御承知と思いますので、詳細は省略させていただきますが、ただいまお話がありましたように、本日で四十日続けてストが行われております。その中で、実際ストに入っております日数は三十二日でございます。これは全鉱山か一斉にストをいたしましたのが四日でございまして、その四日は、全国各ブロック別に分けて波状的な争議が行われましたので、ただいまのような実日数になります。その他は大体部分ストでございまして、現在行われておりますのは、主として出荷部門のスト、それから硫酸の出荷スト、こういったようなものが大部分のように承知いたしておるのでございます。ところで、経営者側が、千円プラス・アルファのベースの要求に対して、今回とりしました措置について、その理由を申し上げたいと思うのであります。  まず、会社側の事情を申し上げまと、二十八年から昨年にかけまして、金属鉱業界は、御承知のように経営不振でございまして、これはその製品をなしております銅、鉛、亜鉛、硫化等の内需の不振、価格の低落といったようなところから、会社の収益がはなはだしく低下をいたしておるような状態であります。本年に入りましてから、銅につきましては若干好転を見ましたけれども、これも世界情勢の変化によって、いつまた不況に見舞われないとも予測を許さないような、金属鉱業界はきわめて変化の激しい業界でございます。われわれの仲間の言葉に、一時景気、長期不況というのがありまして、これが金属鉱山の合言葉のようになっておるのであります。そのように、景気はきわめて短期間で不況が長く続くというのが、今まで歩いてきた鉱業界の歴史でございます。  そういうふうな会社の実情でありますのと、また一方に、御承知のように金属製品は国際商品でありますために、外国の製品とその価格を同じくするか、あるいは安くないと、輸出はできませんし、また場合によっては、外国のものが日本へ入ってくるという憂いさえあり得るのであります。現在の銅、鉛、亜鉛の主要地金について見ましても、アメリカの相場に対しましては、やはり依然として一五%ないし二〇%くらい高いのであります。それで、どうしても国際商品という立場から、コストを切り下げて太刀打ちのできるような価格に持っていきませんと、いつまでたっても金属鉱業は不安定な基礎の上にいなければならない。こういうふうな考え方から、業界をあげて昨年の九月中旬、銅鉱業合理化委員会というものを設けまして、官民協力して操業の合理化に対して、目下あらゆる努力を払っておるのであります。この運動は、すでに三、四年前から行なってきたところではありますけれども、今日の合理化は、前と違いまして、増産から、さらに減産によって合理化をはからなければならないという非常に無理な段階にきております。従って、質的な合理化にその道を求める以外にはないのであります。そのために、経営者は日夜苦心をいたしておるような実情でございます。  それから、組合側の労働者の事情を、私どもが観察いたしておりますままに申し上げますと、ただいまもお話がございましたように、労働者の賃金が、労働省の発表によると他産業よりも低いということでございますが、われわれが労働省の毎勤統計によって得た数字というものは、必ずしもそうではないのであります。むしろ他産業にまさっておるというふうに、私どもは結論づけなければならないような結果に相なっております。御参考までに、ここにその数字を持ち合せておりますので、大へん煩瑣でございますけれども、ごく概略を申し上げますと——これは資料としては昨年の十一月で、その後新しい資料もございますけれども、実は昨日新しいものが参りましたので、ちょっと間に合いませんから、あまり大した変化がないものとわれわれも考えられますので、申し上げますと、金属工業では、毎月きまって支給されます給与は一万四千八百二十円になっております。これを石炭あるいは化学あるいは紙パルプ、金属製品、電気機械器具、ゴム製品に対比いたしますと、石炭、紙パルプよりも若干落ちておりますが、その他の産業からは有利でございます。これは本人に支給される賃金でございますけれども、経営者側からこれをながめますと、このほかに、金属鉱山としては非常に多額の福利厚生費を出しております。これも各産業別の調査がございますので、それを見ますと、金属工業に例をとりますと、法定福利費あるいは法定外福利費を入れて、一カ月一人当りが約五千円であります。正確にいいますと四千九百十八円でありますが、約五千円の福利費を支出いたしております。各産業の例を見ますと、大体千五百円から二千五百円程度が普通になっております。労働者から見れば、その金がふところに入るわけではありませんけれども、裏から申せば、実質賃金が、金属鉱山では他産業に比べてはそう悪くない、こういうことが私は数字的に立証ができると思うのでございます。それからなお、さらに金属鉱山では、今回は昇給というか、あるいは一時金ということで最初回答をいたしました。なおまた現在も、初回の回答からは上回ってはおりますけれども、そういう観念はあくまでも捨てずに組合と話し合いいたしております。われわれの金属鉱山のみの問題ではございませんけれども、やはり生活がやや安定いたしております現在において、ただ以前のようなベース・アップを惰性的に行なっていくということは、先ほど申しました企業の合理化といったような大きな命題から考えましても、これを労働者の生活に照して考えてみましても、やはり少くとも正常の姿に近づけていかなければならないということは、日本の国民経済を知っておる者であるならば、だれしも考えなければならない点ではなかろうかというふうにわれわれは思っておるのであります。  それで、各会社ではそれぞれ昇給を規則で定めておりますので、それらを実施するということを回答したのでありますけれども、ただいまのようなお話で、さらにそれに増額をいたしまして、昨日から徹夜でもって本日にかけて、精力的な各企業別の交渉をいたしました結果、大体四百二十円という昇給あるいは調整給というふうな形と、それからさらにそれに前期並みの手当、賞与、さらにそれに一時金千円——これは例外の会社もございますけれども、大体千円というふうな金額を提示いたしまして、経営者として最後の努力をいたしておるわけでございます。われわれとしては、ストも相当長期になりまして、電線、伸銅、肥料、化繊等の重要部門に対して御迷惑をおかけいたしておりますことは、まことに申しわけないと思っておるのでございますが、極力早期に争議を解決いたしまして、できるだけそれらの部門にこれ以上影響を与えないように考えておる次第でございます。  はなはだ要領を得ない説明でございましたが、また御質問にお答えを申し上げることにいたしまして、この程度にいたしたいと思います。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 石山權作君。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 私、この金属鉱山を非常に関係のある秋田の出身で、特にこの争議に関しては注意深く見守っていた次第ですが、十二日と十三日、だれから頼まれたというわけではないですけれども、秋田県の産業全般に与える影響が非常に重大なのでありまして、私個人で視察をしてみたのでございます。これは争議の状態というものよりも、むしろその厚生設備の状態、あるいはその事業場における作業のあり方、その安全度、こういうふうなものが守られておるかどうか、それにからみ合せて、現在における金属鉱山の諸君の労使というふうなものをながめてみたのでございますが、私の見た秋田県の事業場における作業の状態、作業場における保安の状態、設備、衛生、こういうふうなものは、秋田県に関する限りは、他の職場よりも私には不清潔に思われました。非常に不清潔であって、整頓も行き届いていないのではないか、こういうふうな点が指摘されると思います。これは突き詰めていうと、山に働く労働者諸君の勤労意欲が欠けておるというふうな点もあるいは指摘されるかもしれませんけれども、私はより以上に、過重な労働をしいられておる、あるいは作業場における保安と衛生設備の点に欠ける、こういうふうな点が強く現われておるのではないかと感じたのでございます。これは秋田県の現象のみとするならば、まだよろしいのですが、おそらくこういうふうな、状態が全国的にあるとするならば、金属労働者の諸君は、その作業場においては、嬉々として日本の産業復興に働いているという印象は受けられないというふうに思いまして、非常に残念に思いました。  そこで、この産業のうちで、一番指摘したいのは、金属鉱山の場合、石炭もそうでございますが、労働力が一番主要な地位にあるというふうに私たちは考えております。労働者諸君が嬉々として事業場に働くということとコスト、利潤というものとは、重大な関係があるのではないか。私の見た秋田県の事業場は、不快な点があるのですが、各事業場も不潔であって、保安の設備も欠けている。そういう状態が全国的にあるかどうか、こういうことを、私は労働者側からも経営者側からもお知らせ願いたい。

原口幸隆富士自動車追浜工場長

○原口参考人 他産業との比較においては、私もはっきり申し上げることはできませんが、金属鉱山の職場の環境というものは、御指摘のように、印象としては非常に不清潔であって、また特に保安については、常に生命の危険の中で働いておりますので、非常に敏感に注意をしているつもりであっても、一年に相当——三日に一人はけがをしているという統計も出ております。保安の状態については、特に組合側としても、その点を指摘せざるを得ないし、また会社に対しても、その点はよく注意をするように、あるいは団体交渉において申し入れを行なっているわけであります。特に、さらにけい肺というような金属鉱山に付随する職業病もありまして、そういう他産業に比べれば不利な労働条件の中で働いている労働者の与えられている賃金というものが、それにふさわしいかどうかということについては、組合としても、ただいま経営者のお話もございましたが、非常に低い数字であるというふうに考えております。この点については、国際坑夫組合の代表も、日本に来たときに、諸外国と比べてみて、日本の地下産業労働者がいかに賃金が低いかという点について指摘をしておりました点についても、うかがわれると思います。また賃金の計算基礎についても、組合と会社側は常に違っておりますし、今会社側と組合側で取りかわされております今までの賃金ベースというものも、坑外を基準にして一万八百円ベースであります。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 非常に生命の危険を感ずる個所、道もあるでしょう、金属鉱山であっても、ガスのある個所もあるでしょう、こういう点をにらみ合せて、おそらく賃金というものは決定されると考えておりました。先ほど経営者側から意見を聞きましたけれども、紙パ産業というあんな安全な場所においてきれいな仕事をする環境の労働者と、地下の中で、あるいは坑外であっても地下とそんなに変らないような荒廃した山奥に働くこういう労働者と、問題を同一に考えるという方がむしろおかしい。しかも、その賃金より低いとすれば、これは逆であって、金属鉱山の方々は、より以上恵まれないという実証を得たような気がしてならないのであります。特に賃金の問題を考える場合には、日本のかっての資本家が、もうけたと申しますか、日本の産業の歴史を考えてみますと、地下資源のいわゆる資本家は、金融財閥とつながっているのでございまして、日本の産業の発展は、地下資源の開発と金融資本の独裁と、貿易的には紡績があった。これが大正年間から昭和の初期まで続いた姿だと思っておりました。これは、日本の産業全般から見れば、日の当らない不安定であった産業だというふうには、われわれは記憶することができないのでございます。おそらく現実においても、大資本に擁護されている六社の現在などは、まだまだ他の産業から比べるならば、不安定というような言葉は出ないのじゃないか。特にコストの問題になりますと、大企業と大資本とのつながりがございます。金融財閥と地下資源を持つ炭山、金属鉱山とのつながりがございます。コストの問題について、よくわれわれの労賃のみをば対象にされているけれども、私たちに言わしめるならば、なぜ利子などを少し考えてみないか。利子の問題になりますと、残念ながら日本は平均二銭四厘、二銭四厘と申しましても、各産業が親銀行から手取りになりますと日歩三銭、年一割、これがアメリカから比べますと三倍、西ドイツその他から比べますと約倍、こういうことは抜きにしまして、経営者側で唱えられているところを見ますと、ただ目に余るような賃金だというような表現の仕方です。これでは、決して正常な賃金問題の解決にはならぬのじゃないか。私は、なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、日本は、今、労使協力して地固めの時代であり、産業の発展に資さなければならぬと言われておりながら、二十七年以降二十八、二十九、三十年の初半を見ますと、労働損失日というものは異常なものでございます。地固めをせねばならない。労使協力して産業の再建をはからなければならないと言いながら、労働損失が大へんに大きい。ということは、逆に申しますと、非常に低賃金で働いて協力している労働者に対して、ただ賃金のみによってコストの問題をきめようという経営者側のものの考え方が、労働者をして反撥せしめているのじゃないか。そういうものの考え方によって労使の団交をするから、労働喪失がたくさん出るのじゃないか。先ほどあなたの御意見に従いますと、四十日、実数三十二日もこの問題が展開されている。もっとこういうようなことに関しましては、経営者側は労働者の納得のいくような問題の提出仕方が必要ではないか。たとえば、私が申し上げたような利子の問題や、外国との貿易の場合には関税という問題、こういうものを全部押し隠しておきまして、賃金の引き下げのみが最大のコストの引き下げである、企業の合理化である、企業整備の仕方であるという経営者側のものの出し方に、われわれ労働者側の納得し得ない点がそこにあるのではないか。今まで団交の点を見ますと、今まで適切に話し合われないで、外国との貿易におけるコストの問題、国内産業における企業整備の問題というふうな打ち出し方をしているのではないか。あなたから、どういう状態で団交で賃金コストの問題を説明しておられたかということを聞きたい。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 先ほどお話がありました秋田県の某鉱山における衛生環境が非常に悪いということでありますが、どこの山か私存じませんので、それについてはお答えできませんけれども、私どもが金属鉱山に関係して、全国の山を多少知っておりますところでは、昔のことはいざ知らず、最近非常に環境が整備されてきておるように思うのでございます。これは労働基準法なり、あるいは鉱山保安法といったような法律ができましてから、その効果が一そう上っておると思うのでありますが、各事業場には、それぞれ安全委員会、あるいは衛生委員会といったような組織を持って、労使協力してそういう環境整備に当っておるのが実情であると思うのであります。私、最近山口県、九州方面の山を歩きましたら、あの山の中でハエが一匹もいない、蚊が一匹もいないといった山がございます。これは総員あげてそういったようなものの撲滅に努めている結果でありまして、このために伝染病その他も予防ができるというふうな観点から、根本的な対策を立てておるのでございまして、そういう模範的な鉱山は、そう数はございませんけれども、大体それにならってやっておる、組織的に行なっておるというふうなところが大部分であると私は承知いたしております。なおまた、そういったようなきわめて不潔な鉱山であれば、そこの衛生管理なりあるいは保安管理が不行き届きであると思うのでありますので、私どもといたしましては、そういう個所があれば、具体的に御指摘をいただいて、さらにそういう個所に対して、そういうことのないように、われわれも協力するということはでき得るかと思うのであります。  それからなお、第二のお尋ねの中で、紙パとの関係について、逆説ではないかというお話がございまして、大へんお言葉をお返しするようでございますが、われわれが承知いたしておりますところによりますと、たとえば肥料であるとか、石油であるとか、今の製紙でありますとか、そういう産業は、きわめて少人数でもって仕事ができ得るような機械化になっておるようであります。ところが鉱山は、不幸なことにそう機械化ということも、実際問題として困難な事業状態でありまして、労働力に多く依存しなければならぬという原始産業であると思うのであります。従って、賃金の総額がそういうところに比べて非常に大きいのであります。これはコストの面で、人件費の占める割合をごらんいただくと、直ちにおわかりいただけるんじゃないかと私は思うのでありますが、今、金属鉱山の例を平均的に申し上げますと、二十八年が生産労働者関係で大体四四%を占めております。二十九年も大体それと同じくらいの人件費で、別段に変りがありません。ほかの産業を申し上げて大へん失礼でありますけれども、まあ大体一五%程度から二〇%というふうなところで、私が今申し上げたような個人当りの賃金は高くしても、そのコストの中に占める割合は非常に低い、いわゆる人件費というものが非常に低いということが言い得るんじゃないかと私は思うのであります。われわれは常にコストを中心に産業を営んでおるわけでありますから、やはりそれらとの関連において、十分この問題を処理していかなければならぬというふうに思っております。  それからなお、団交の席上におきましては、必ず要求を受けますと、各企業ではそれぞれ経理の実情なり、それから会社の企業計画なり、とにかく従業員として当然知っておいてもらわなければならない事柄を率直にお話を申し上げて、その話し合いの上に立って、いわゆる賃金をめぐる団体交渉が進められておるというのが、金属鉱山の今までの例でございます。今回も、そういうふうな措置をとって進んで参っております。これは、ほかの産業と別に変りはないと思いますけれども、ただいまのように、利子を隠すというようなことが果してあるかないか、私は企業の当事者ではございませんので、よくわかりませんが、組合も、その経理の事情には納得をされて団体交渉に臨んでおられるところを見ますと、おおむね了解をしておられるのではないかというように想像をいたすわけでございます。  大体以上でございます。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 これは全鉱の労働者の方にお伺いしたいのですが、この賃金の問題を論ずる場合、よく経営者は厚生設備ということを始終言われております。われわれは、賃金の問題を考える場合は、当然何も原則的に何千カロリーとらなければならないから何ぼというふうな実態に合わないことは、最近労働者諸君も言わなくなったと思っております。そんなことを言いましても、その企業の資本の構成とか、あるいは利潤あるいは設備、蓄積資本、こういうふうなものは相当考慮して賃金闘争をやっているのではないかと思うのですが、しかし反面、こういうことは必ず労働者諸君の方でも考えておるだろうと思う。当面の賃金の値上げのみではないと思う。たとえば、あとに来る賞与の問題であるとか、あるいは一時金の問題であるとか、あるいは退職手当の問題、あるいはそれに付随してくる一般的な厚生福利の問題、それらをからみ合せて、会社の計率と労働者諸君の計率というものを並べ合せてみて、このくらい注文しても会社はおおむね応じてくれるだろう、こういう判断のもとに私は賃金闘争をしておると思うのですが、こういう点を、一つ全鉱の委員長から説明していただきたい。

原口幸隆富士自動車追浜工場長

○原口参考人 われわれの今回の要求方式の千円プラス・アルファという数字は、アルファはごく僅少に——実際には僅少なんでありますが、千円と若干という額については、これは金属鉱山の組合の歴史の中では、今まではやはりカロリーとか、あるいは理論生計費とか、幾ら借金を持っているからそれを要求するということで、二千円、三千円、四千円というような数字を要求して参りました。しかし今後の組合運動は、もう少し、その決定と要求とが離れるというようなものではなく、出発点から組合の方もはっきり自信を持って、これだけは取り得るのだという数字でなければならないし、会社の方に対しても、われわれの調査した範囲内では十分に出るという確信を持った数字を要求すべきであるという新しい考え方から、千円という金額を要求いたしました。この裏づけとしては、いろいろ説明はありますが、大綱的には、たとえば株主に一割ないし二割の配当を現在も行っておる。去年の春の賃金闘争では、七百円で終結しております。六百八十円ないし七百円で終結しておりますが、その当時の金属鉱業の地金の中心である銅を例に取ってみても、非常な高値を示しておるというような点、その結果、会社の利潤の数字についても、大きいところで四億四千万円あるいは六億三千万円、少いところで二億一千万円というような半期の利潤が出ておるというような大ざっぱな考え方からも、われわれの千円の要求ということについては、 決してはったりでもなんでもない、謙虚なわれわれの要求である。現在の一万八百円ベースに千円取れたとしても、一万一千円ベースというものは、今の労働省が出しております産業別のベースの順位からいっても、十番目前後のものであるという点から考えても、われわれは今回の要求については、相当の確信を持って出しておるわけであります。  それから、厚生費あるいは福利費の問題について、これは会社側がよく言われることでありますが、われわれに対する福利厚生費というものの大部分は、実際は山の片すみに置かれているハーモニカ長屋の住宅のことが中心です。われわれは、かりに会社が五千万円の福利費を出しているならば、むしろそれを全部現金でもらって、もっときれいな家というものを、恩恵的な会社の給与ではなくて、やはり自分の給与として、そういう家の問題についても取っ組んでいきたい、そういうふうに考えておるわけであります。

石山權作日本社会党(左)

○石山委員 これは私の意見になるかもしれませんけれども、この争議全般をながめてみますと、やはり第三者から見ても、少しく片手落ちの気持がしてなりません。というのは、コストの問題あるいは生産性向上の問題、こういうふうなものが、すべて労働者側の勤労意欲に期待するものであるというようなことを、経営者側は強調されておる。しかし、コストの核心を占めているところの高い利子、高い配当、あるいはけい肺病に関しての負担率をは拒否し続けるような態度、特に私の言いたいことは、利子と高配当は、金融資本に対して産業資本が追随しているということであります。もし福利厚生の面で、経営者がほんとうに温情があるとするならば、自然に命を取るというけい肺病の負担額などをば拒否し続けて、けい肺病についての法律をば延ばしている、こういうことは、どうも私たちには納得ができないのでございます。こういう点も一つにらみ合せて経営者側で考えていただくならば、長い賃金闘争などを労働者側と繰り返す必要はないのではないか。特に私、先ほど申し上げたように、日本の再建のためには、争議による労働損失日というものは非常に痛ましいことである。経営者側もそうだろうと思うけれども、われわれ政治に携わって日本全般を見ておる者からしても、まことにやってはならないような気がしてならない。こういう点は、労働者にも責任があるかもわからぬけれども、当面現われた全鉱の賃上げ闘争を、私は第三者として見ますと、少しく経営者側には思いやりがなさ過ぎるのではないか。自己の経営のため、自己の仕事のためには非常に忠実であるけれども、その半分を担当しているところの労働者諸君に対しては、平等な配分という言葉があるのですが、平等な配分の面をば少しく怠っているという気がしてならないのでございます。なお強調して申し上げたい点は、非常に危険な、そうして原始的な産業であり、労働力を最大限に活用される産業でありますので、経営者側はこの点をよく理解されまして、少しでも早くお互いがきれいさっぱり、整然とした立場が本問題の妥結をはかられるように、私から切望申し上げた次第であります。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 田中利勝君。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 全鉱の今回の長期にわたる争議につき、今国会がこの調査に乗り出したということは、きわめて重大な意義があると思うのでございます。御承知の通り、経済の地固めをさらに一年やらなければならないという三十年度の国の予算の性格から見て、そうして、これは予算を中心としてあらゆる経済施策が計画されておるのでありますが、鉱工生産のこういう問題も、ひいては大きな影響を与えることになり、日本の経済に大きな損失であると思うのであります。そこで賃金の問題につきましては、同僚議員からもこまかく質問されましたが、今回の争議が長期にわたったということについて、私は、経営者側がなぜもっと積極的に努力を払わなかったか、こういう点をまず質問いたしたいのであります。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 ただいま、経営者としてこの争議の解決に積極的な努力を払わないといったような印象の御質問であったように思うのでございますが、私どもが見ておりますと、経営者は、とにかく一日も早くこの争議を解決したいということで、最善の努力を払っておるというふうに身近に思っておるものでございます。ただ、私非常に遺憾に思いますのは、この要求が三月三十一日に提出されまして、組合の要求によって、四月十三日に経営者側はそれぞれ回答をいたしました。その後、先ほど申し上げような経理事情の説明等を行なっておったのでありますが、要求をめぐる賃金の交渉については、六社ともわずか一、二回程度の団体交渉を持って、それから直ちに計画のストに突入をいたしたのであります。われわれは、本来ならばストライキというものは、やはり団体交渉をとことんまでやって、しかる後に争後に入る、やむにやまれない事態に立ち至って入るというのが、組合としてのスト権の発動であろうというように信じておるのでありますが、ただいまのような実情から申しますと、きわめて安易にストライキに入り、しかも、今日こういう長期間になったということでございます。その間経営者側は、ともかくあらゆる手を打って終束に努めたのでありますけれども、一応そういう計画に乗ったストでありますので、組合側としても、やはり計画を途中でやめるわけにはいかないのでありましょう。ともかくそういうことで今日まで延びておるというふうなことも、一つの理由の中にあげられるのではないかというふうに私どもは感じております。努力を払ったか払わないかというふうなことは、各企業当事者の問題いでございますので、われわれの観察なりに申し上げた次第であります。どうかその辺で御了承いただきたいと思います。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 今回の全鉱ストは今年最大の争議で、しかも四十日にわたり、さらにその深刻な様相を示しておるときに、かかる争議は一日も早くこれを終息せしめなけれだならないというのが、少くも経営者の良心的な立場でなかったかと思うのであります。しかるにかかわらず、私の見るところでは、ただ高圧的に拒否して、そうして事態をさらに困難な方向に持ってきておるということは、かっての全鉱の争議が戦いに敗れてきたという、その弱点である企業連合会を中心として、現在の全鉱の単一闘争を寸断するその意図であるのではないかと、かように考えられる点もあるので、この点どうであるかお伺いします。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 経営者側は組織を分断するとか、あるいは分裂させるとかいったような意図のもとに、今回のこの回答を出したものではないということを、かたく私は信じております。理由については、先ほど簡単に申し上げた通りでありまして、なお申し落したようでありますから、この際一つつけ加えさせていただきたいのは、御承知の物価の趨勢でございます。これは総理府の統計にも現われておりますように、昨年の四月から本年の三月についての指数を見ますと、四月を一〇〇にして本年の三月はたしか九八程度に下っております。こういうふうな状態でありますので、生活の苦しさが昨年に比べて増しておるというふうには、私どもには考えられません。ことに金鉱山においては、都会地と非常に事情が違っておりまして、さらに物価の状態はよくなっおりこそすれ、悪くなっておらないということは、いろいろな資料から検討いたしましても看取できるのであります。そういうこともあり、一方企業の安定をはかるという要請もあるそういう両面の要請の上に立った経営者の誠意ある回答であるというふうに、われわれは考えておるのであります。もとより、経営者といたしましても、従業員の生活の安定向上を顧慮しないということはございません。これはさらに企業を安定させて、企業が繁栄すれば、それに応じて、とにかくできるだけのことをやる、企業の一時の成績に対しては、賞与という姿において解決をするということが、金属鉱業においては特にその必要があろうと思うのであります。基本の賃金というものは、これはおそらく永久と申していいほど、変更ができないものであろうと思いますので、そういうふうな基本のものに対して、この際大幅な増額を行うということは、先ほど申しましたような、きわめて不安定な業界といたしましては、将来をおもんぱかる経営者なり従業員としては、はなはだ不幸な結果を招くのではないかということを憂えるために、そういうことを隠忍自重してやっておるということを御理解いただきたい、かように思うのであります。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 参考人から、るるお話がありましたが、この全鉱の争議の要求、そういう問題と、今日の金属鉱業大手六社の支払い能力というものから考えてみるならば、これほど争わなければならないことはなかったと、私ども考えられる節があるのであります。もともと現在の大手六社というものは、さかのぼってみれば、かつて日本の軍備拡張と結びついて今日の大をなしておるのであります。今日の大手筋のこの六社の資本蓄積を見ましても、三井金属鉱業は七十二億、同和が二十六億、住友金属鉱山が三十五億、古河鉱業が四十億、日本鉱業が五十六億、三菱金属が六十九億、かようにして膨大なる資本の蓄積をはかりつつある。さらに、最近の鉱業界の状況を見ますと、非常に好転のきざしを現わしておるわけであります。先ほど原口参考人が説明されましたように、銅が二十八万円から二十九万九千円と、一万九千円の値上りになっておる。さらに国際価格の強調によって二万円の値上げの交渉が進められておる。亜鉛についてはストックが皆無であって、この価格は現在横ばいの状態であるけれども、鉛は一千円の値上げをしておる。さらに金はグラム当り四十円の値上りになっておる。見通しとしては、鉱業界の経営は非常に好転しておるのであります。こういうときに、四十日にわたる長期の、しかも日本の基礎産業の根幹をゆさぶるようなこういう争議を、なぜに早く解決しなかったということは、われわれ返す返すも残念だと思うのであります。先ほども申し上げましたように、鉱業界としては、支払い能力がないということは一言半句も私は聞いていないのであります。ただ鉱業界の背後になっておる日経連が、この要求を阻止しておるのではないかという懸念もあるので、この点一つ御答弁願いたいと思うのであります。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 ただいま金属鉱業界が好転しておるといういろいろな数字をおあげになりましたが、昨年に比べて価格等も若干値上りになって、おりますので、昨年よりは好転をしておるということはいえるかと思います。しかし、一方銅、鉛、亜鉛にいたしましても、その原材料が高騰しておりまして、手当難等のためもありまして、増産をはかろうと思いましても、なかなかコスト高になってそれができがたいというような実情も反面あることを、御承知おきいただきたいと思うのであります。それは利益も逐年低下しておりますことによっても、如実に示しておるわけであります。  それからなお、日経連の指示があって、こういう態度をとっておるのではないかということでありますが、たしか三月ごろ、日経連が春季賃金交渉に対するわれわれの見解というものを発表いたしました、そのことをさしておられるのではないかと思うのでございます。しかし、あれは、国民として、あるいは経営者として、この事態に対して当然考えらることを言っておるまででありまして、ああいったものが出され、またその背後に日経連が金属鉱業の経営者をあやっておるといったような、そういう誤解が、もしあるといたしますれば、それは全く違っておることでございますので、その点も一つ御認識をいただきたいと思うのでございます。  冒頭お話がありましたように、長期に争議を行いまして、それは組合の行なった争議ではありますけれども、とにかく重要部門に対して御迷惑をおかけしておるということに対しては、われわれも、争議を早く解決して、何とか生産を直ちに回復して、なるべく御迷惑にならないように、今最善の努力を尽しておる状況でございますので、御了承いただきたいと思います。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 先ほど参考人の言葉の中にありました、要求に対して、中小は五百円から七百円の回答を出しておる。大手筋六社が四百二十円、この字数を見ただけでは、実際納得がいかない回答ではないかと思うのであります、支払い能力を持つ大手筋六社が四百二十円、今日問題になっております中小が五百円から七百円を出しておる、こういう点は、どういう理由によってこういう数字が出されたか、その点を御説明を願います。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 中小企業関係では、今御指摘のように、大体五位ほど五百円程度で解決を見ております。それは六社関係の今の賃金水準に比べますと、平均をいたしまして、約五、六百円程度の格差がございます。もちろん中小企業は、六社関係よりも低いのでございますが、そういう点をあわせてお考えいただくならば、今回特に大企業よりも中小企業が若干高く上げたということも、全体としては御承認いただけるのじゃないかと思います。  それからなお、中小企業はこれまで、大企業に比べましては、非常に苦難な時代を過ぎてきておりまして、従業員もよくがまんをして、経営者側に協力をして今日に至っておるわけでありまして、中小企業、特に金関係でございますが、若干好転をいたしましたし、そういうところでは、この際一つ何とかめんどうを見てやろうというふうな気持から出した経営者もあるだろうと察せられます。  なお、福利厚生機関では、これは大企業に比べまして、はなはだしく見劣りがすることは、一般産業と同断であると思うのであります。ことに鉱山では、その点は雲泥の相違というと語弊がありますけれども、非常な違いがあると思います。  それから中小企業では、やはり経済基盤が非常に脆弱でございますので、かりに長期のスト等が行われて、経営が甚大な影響をこうむるとこになりますと、場合によっては鉱山を崩壊させられるといったような心配も、おそらく経営者にあったのではなかろうかというふうなことも、これは想像でございますけれども、思われるのであります。  以上のようなことから、経営者といたしましては、中小に対しては、大体五百円程度のものを上げておることは事実でございまして、それをもって直ちに、だから六社関係も上げなければならぬというならば、逆に、それじゃ過去の賃金の上昇は、大企業に比べて中小は非常に低かったのでありますが、ただ高いところだけを取り上げて問題を論ずるということも、私どもはできかねると思うのであります。だから、縦横すべてを総合的にながめてみて、それでもって果して妥当であるかどうかということが、私は正しい判断ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 なお、先ほど本委員会において、事務局から渡されました争議の概要の中に、六月十日の夜、中労委ではこの争議を重視して、中山会長が労使双方を招いて事情の聴取を行なった、こういうふうに末尾に書いてありますが、中山会長に招かれて、経営者としてはどういう事情の申し入れを行なったか、そういう点について、知る限りのことを説明していただきたい。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 去る十日の日に中労委の会長から、六社の経営者側から事情聴取をしたいから出頭するようにというお話があったそうでございます。経営者側としても、もとより中労委のその要請に対して、応じないというわけではないのでありますが、とにかく組合も——組合というのは、各企業の組合のことをさしておりますが、組合と経営者は、とにかく自主交渉を、今回の交渉においても希望いたしております。なお、ただいままでの金属鉱山の労使の団体交渉は、例外なく自主交渉で解決して参りました、そういう慣行を持っております。それで、もう経営者としては、とにかくある程度出し切るところまで出して、問題を最終的に解決しようという努力をしておるときに、かりに中労委が中にお入りになってこの問題を解決されようとなさることは、交渉を困難に導くおそれがある。組合も自主交渉を希望しておるならば、その線に沿って交渉をさせてもらった方が、事態をより早急に解決し得るし、その方がよりいい結論が出るのではないかというふうな確信を持ったものでありますから、中労委に対しましては、一応事態を静観をしていただくことをお頼みしたというのが実情でございます。私が承知しております範囲においては、そういうことを聞き及んでおりますので、お答えいたします。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 なお原口参考人からも、そのことに関連して一つ説明をいただきたいと思います。

原口幸隆富士自動車追浜工場長

○原口参考人 中労委の方から組合に正式に連絡があった内容では、ある二社だけが非常に強く反対をしていた、ほかの四社は中労委の申し出に賛成をしたけれども、六社まとまらないために、その時期ではないという返事をした。従って組合の方にも、そういうことなので、中労委としては静観をいたしますという連絡がありました。それで組合としては、先月の末二十八日、今月の初め一日、二日、あるいは六日、七日、それから中労委の問題あるいは昨日の問題等すべて、むしろ組合の方から積極的に、戦術的な不利を乗り切ってまでも交渉を申し入れ、妥結への努力をいたしておるわけでありますが、会社の方で、その点が常にちぐはぐになり、あるいはむしろ会社がその間に手を打っいるのは、自分の会社の組合とだけやりたい、ほかの方と離れて来いというような働きかけを行うことにきゅうきゅうであって、そのことによって事態を解決していこうという努力が払れておることは事実でありまして、そういう問題が、この争議を長引かせている一つの大きな原因になっているというふうに感じております。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 最後に北里参考人にお尋ねしますが、委員会は、参考人として、鉱業協会の会長、同時に同和鉱業の社長である久留島秀三郎氏の出席を要請したはずでありますが、今日出られなかった理由はどういう点でありますか。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 こまかい事情は私存じませんが、昨日会長に御招請がありましたので、直ちにその旨を伝えましたが、今日は所用があってどうしても出席できないので、私、冒頭お断わり申し上げましたように、大へん不適当ではございますけれども、今日の実情についてお話を申し上げてくるようにということで、こちら様の方にも御連絡を申し上げまして、それでよろしいかということで、承諾をしたということでございましたので、私かわって伺ったような次第でございます。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 本来ならば争議の当面者である久留島参考人が出席して下さればよかったと思うのですが、鉱業協会というものは、団体交渉の中に入る性格を持つものであるかどうか、この点を御説明願いたいと思います。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 ただいまの日本鉱業協会は、交渉団体ではございません。従って、団体交渉に関係をしておる団体ではなく、ただそれに関連をする労働問題を扱っておる団体でございます。

田中利勝日本社会党(右)

○田中(利)委員 これは私の最後の言葉になりますが、久留島参考人が御出席になれば、その一言々々が責任を持つ言葉であるというふうにわれわれも理解しやすいのですが、北里参考人の申されたように、別に団体交渉の資格はないという協会の性格からいって、言葉の表現がはなはだまずいかもしれませんけれども、久留島参考人が出席できなかったということに遺憾の意を表しまして、お帰りになりましたならば、この争議のために、進んで労働の大きな損失と、さらに日本経済の回復のために、早期解決をされるようにお伝え願いたいと思います。終ります。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 質問をいたします前に、今、田中委員からも御指摘がありましたが、実は日本鉱業協会の会長久留島さんに出ていただきたいと思いましたが、出られないということで、日本鉱業の社長に出ていただきたい、これも出られないということでございました。そこでその次は三井金属、三菱金属、住友、古河、こう並べてみたところで、鉱業協会の会長も出られぬし、日本鉱業の社長も出られぬ、それではこの委員会にはどなたも来ていただけない、こういう実は推測をして、そう言っては何ですけれども、事務局から来ていただいたような次第で、この点は非常に遺憾に考えるわけでありまして、今後もこういう問題になりましたときには、私は積極的に出ていただくようにお願いいたしたい、かように思います。  そこで、まずお尋ねいたしたいのですが、われわれが呼ぶにいたしましても、実は日本鉱業協会というのはそういう交渉の団体ではない、こういう話でした。そこでまず、昔、たしか数年前には、こういう団体交渉の相手になる協会があったと記憶するわけでありますが、石炭鉱業連盟等よりも先がけて解体されたと聞いておるわけであります。この経緯について、一応労使の方から御説明願いたい、かように思います。両方ともお願いいたします。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 それは経営者側の問題でありますので、私からお答えを申し上げます。ただいまのように、鉱山経営者連盟というものが、終戦直後、たしか昭和二十二年三月設立をされまして、二十六年九月に解散をいたしました。私もそこに籍を置きまして、原口参考人とは始終顔を合せて、全国団体をやっておったものでございます。解散の事情については、解散の声明書等もそのとき発表いたしましたので、御承知の方もあると存じますが、それまでは、御案内の通り統制経済でございました。価格等が統制をされておりました関係で、どうしても一本の賃金をコストの中に織り込むという必要が経済的にあったわけであります。ところが自由経済に移行いたしまして、むしろそういったような無理なやり方よりも、企業のそれぞれの実情に応じた賃金をきめることがむしろ好ましいという事態に変化をいたしましたので、連盟は一応解散をして今の日本鉱業協会に移った、大体こういう事情でございます。

原口幸隆富士自動車追浜工場長

○原口参考人 組合の方としては、次のように考えております。終戦後、特に金属鉱山は、戦争のための乱掘で、非常な混乱に陥りました。その復興のために、まず最初に——私も結成以来おりますが、鉱山復興は労働者の手からという標語で結集をいたしました。そうして、経営者に対して連盟を結成するように要請をいたしました。その結果連盟ができて、その当時のわれわれの闘争というものは、重要基礎産業としての金属鉱業を政府の手によって救えという方向に向いておりました。従って具体的な闘争も、会社に要求は出しましたけれども、客観的に見れば、政府の補給金を取るとか、あるいはそういうような結果的な役割をしたことを自認せざるを得ないわけであります。そうして、ようやくのところで何とか金属鉱山の最低の危機を一応これによって乗り越えることができて、やがて企業というものが一応軌道に乗り出したころ、昭和二十六年に、組合側の若干長期のストライキ——二週間以内のストライキでしたけれども、ストライキを契機として、それを大きな理由の一部として連盟は解散され、個別の交渉によって自後は事態を収拾していきたいということに変ってきたわけであります。従って、われわれの判断としては、苦しいときには大いに組合を利用したけれども、一本立ちになった場合は連盟は要らなくて個別にやっていくのだというような印象しか受けなかったわけであります。その後、組合と会社との交渉が常にばらばらになりまして、企業別単位の交渉というものが、常に全鉱の組合運動の中では大きな混乱の時期をこの二、三年続けました。それで組合としても、どうしてもこういう状態を繰り返してはいけない、もう一度連盟も一本になってもらって、やはり全国組合と経営者の団体とが交渉する方がかえって事態の収拾にも有効じゃないかというような全鉱の自体の内部の自己批判もありまして、各会社に対しては、連盟結成についても呼びかけたこともあります。しかし、それは実際問題としてできませんでした。われわれとしては目下、残念なことには企業の組合の一部には、委任禁止条項といって、上部団体との団体交渉を禁止するような労働協約を持っておる下部組織も一部にあるために、強行することができないでおりますが、われわれとしては、こういう争議を通じましても、そういう労働協約というような問題にこだわらずに、もっと会社の方も一本になってお互いの腹をうかがうというようなことでなくて、事態解決のためにまとまってきてほしいということを今でも切望しております。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 先ほど、コストに占めろ労務費の話が出ましたが、メタル・マインは諸外国との関連はなかったという話が出ておったのですが、諸外国では大体どのくらい労賃がコストに占めておるか、あなたの方でおわかりでしたら知りたい。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 メタル・マインについての外国の文献というものは、コストの関係ではほとんどございませんで、われわれもウの目タカの目で、あればと思って方々探しておりますが、われわれがこれはと思うようなものがないのであります。ずっと古い十年くらい前のものが、わずかに一つあります。それなどは、歴史的な文献ではありますが、現在のコストの割合を見るのにはあまり古いので、問題にならないかと思います。一々向うに照会をいたしましても、なかなか向うではコストの関係を教えてくれないのであります。日本のものと比較をするのに、非常に困難をしております。その程度で御了承願います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私は、実は出身の関係上、炭鉱のコストを常に調べておるわけです。炭鉱の労務費が高い、高いと言われますから、諸外国のをずっと調べてみましたところが、日本の炭鉱よりも、諸外国はコストに占める労務費の割合が、全部高い——全部といっては語弊がありますが、アメリカは六〇数%になっております。イギリスでも最近は少し下りましたが、六二、三%、それからフランスあたりは六六、ドイツが比較的日本に似て五二、三%という状態が出る。そこで結局諸外国とも、これは地下産業ですから同じでしょうけれども、コストに占める労務費の割合というものは、大体違わないのではないか、むしろ外国の方が多いのではないか。外国の方は、自然条件の関係で、生産の一人当りの能率が非常にいいわけですから、結局労賃は非常に上っておる。たとえばアメリカですと、単に一般産業の十一分の一という比率じゃなく、さらに十五分の一にも二十分の一にもなっているのじゃなかろうか、こういう気持を持っているわけです。そこで、先ほど御指摘がありました毎月勤労統計調査表によりましても、先ほどは十二月のをおっしゃったのか、十一月のをおっしゃったのか。十二月は御存じのようにボーナスその他が入りますので、それを比較するのは必ずしも適当でないかと考えますが、十一月にいたしましても、これは現在の男女平等のときに、男女を区別して話すのはおかしいですけれども、しかし実際問題としては、統計にも男女が別々に出ておりますので、十一月の男子の統計を見てみますと、どうもお話のような状態ではない、むしろ多くの産業の方が、金属鉱業よりもいいというデータに接するわけであります。ことに生産労働者の場合になりますと、毎月一そう顕著にその状態が現われてきておるのでありまして、先ほどお話になりましたパルプ、紙あるいは炭鉱だけでなくて、ほとんどの産業、たとえば硫安製造業、製鉄製鋼圧延業、送電その他の電気関係、自動車の関係、造船の関係さらに鉄道車両製造業、あるいは百貨店にいたしましても、銀行はいたしましても、また地方鉄道にいたしましても、さらに道路運送業にいたしましても、貨物運送業にいたしましても、郵便、電信電話、電気、自動車の修理その他医療、こういうものにいたしましても、全部多いような統計が出ておるわけであります。それで、ことにこれは坑内外一緒にしての話でありますが、坑外だけを比べてみますと、これは全く問題にならない状態になっておるようでございます。そこで、メタル・マインも最近は、あるいは御質問のような状態ではないかとも思いますけれども、しかしそれにいたしましても、現在株の状態を見ましても、配当の工合を見ましても、やはりメタル・マインは一般よりもいい。株の配当も三井は二割ですけれども、その他にしても古河を除きましては一割五分、もっとも古河は石炭がありますので無配になっておると思いますが、そういう状態でありまして、どうも今の賃金闘争は、単に賃金を上げるかどうかというだけで争議が長引いたようには感じられないわけであります。何かそこにありはしないかということを、私率直に感ずるわけであります。それは、すなわち今度の全鉱の闘争が、久しぶりと言いますと語弊がありますが、久しぶりの統一闘争であるというところに、むしろ経営者の方が執拗に拒否されておるのではなかろうか、がんばっておられるのではなかろうかという感じを持つのであります。ことに中労委が入ってこようとする場合に、同和と日鉱の会社ではこれを拒否されたと聞いております。そういうことを聞きますと、その感をますます深くするわけであります。実は炭労が六十三日の争議をいたしました際に、中労委で一カ月ほどたって出ようとしたときに、拒否したのは経営者だったという事実を私は知っております。経営者の方は、もう片づく、もう片づくからというので、事態そのものを片づけないで、むしろ争議の切りくずしをやって、そうして分断作戦をとりつつあった。そうしてこれが非常に長期化した。結局緊急調整によって片づけられたという労使双方悲しむべき事態に立ち至ったわけでありますが、そういう事情がありはしないか。今度の経営者陣の態度から見ると、どうもそういうふうに察せられるのでありますが、これは一つ原口参考人、北里参考人から、その点についてお聞かせ願いたい。

原口幸隆富士自動車追浜工場長

○原口参考人 組合の方としては、やはり会社の方がいろいろな宣伝文書とか、そういうものを通じても、全国組合と企業別組合とを離すということを目的としたような行動をとっておられることは事実でありまして、非常に残念なことだと思います。そうして、やはり今御指摘を受けましたように、あと二、三日すれば片づくというようなところで、組合の内部の情勢あるいは組合の内部の大勢というものを、会社の方が非常に甘く見ておられる。そうして前のように、最後はすべての判断を自分の企業別組合とだけで解決してしまう自信があるというような考えが捨て切れないというところに、争議の解決の大きな心理的の問題が存在しておるというふうに考えます。そうして、たとえば昨夜からけさに通じて、会社側が最後の線だといって出してきた数字は、今までの四百円にプラス二十円の数字でありました。そのほかに、解決資金一時金として五百円ないし千円の金が出ましたけれども、一社に出ると、たちまちにして四社に常に同じような数字が出てくるというような態度をとられるのであれば、もう少し前から同一行動をとっていただいておれば、もっと争議というものが早期に片づいたのではないかというふうにもくやまれるわけであります。今後のわれわれの希望としては、組合内部の情勢について、会社側が、あるいはいろいろの第三者の方にあまり介入していただいて、あれやこれやと憶測したり、あるいは工作してもらうというようなことをやらないで、やはり今の組合の民主的な内部のきめ方できめた事実というものを尊重していただいた上で、一つ争議の解決のための努力を払っていただきたい。そうすれば、われわれも十分にその争議解決のための誠意は持ち合せておるということを、御報告しておきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 経営者の方からはお答えがありませんが——では一言だけお尋ねしておきたいのですが、実は日本におきましては、ピケットが非常に問題になる。そこで労働省次官通牒として、ピケッティングに対する通牒を出されたということは御承知の通りであります。その際に、われわれは学者を呼びまして、一体、なぜ日本においてはかような熾烈なピケッティングが行われるかと聞きますと、異口同音に、日本には産業別労働組合が確立していないからだ、常に政府並びに資本家がこれを分断をする作戦に出ておるところに、日本のピケッティングの熾烈な状態が展開するゆえんがあるのだということを言われました。外国におきましては、現在ストライキをしておる場合には、プラカードか何かを二、三の人が持って、今スト中でありますからといって歩いておれば、もうピケッティング破りがいないそうです。こういう状態だそうです。私は、何も今全鉱にピケッティング破りがおるということを話しているのではないので、産業別労働組合の確立ということでお話し申し上げておるわけであります。ところが日本におきましては、産業別労働組合が組織されて、もう十年にもなるのですが、統一闘争という場合には必ず問題が起っておる。御存じのように、一昨々年に電産が盛んな大長期の闘争をやりまして、ついに電産の組織は分断されましたけれども、あの争議はやはり窓口交渉の争議であったと思うのであります。炭労も、その後統一交渉を重ねるについては、非常な苦労をいたしました。最近では、三菱鉱業に重点ストをやりましたが、それによって重役陣が変ったと言われております。これは、事実はそうでないようでありますけれども、外部から見れば、かような激しい闘争であったと思うのです。そこで私は、願わくばこの全鉱の争議も、そういう基本的な統一闘争であるからいかぬというようなことのないように希望するわけでありますが、この産業別労働組合の交渉ということは、世界の趨勢でありまして、いかに経営者の方が押えられましても、大きな波としては、やはり産業別組合の組織が確立され、その上に立って交渉が行われるという世界の趨勢にあると思うのです。そこで、お聞きいたしたいのは、あなたの方では、この産業別組合の交渉に対して、どういう認識を持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 先ほどは、うっかりしてお答えを申し上げませんでしたが、経済闘争以外に組織闘争があるが、それに経営者が何か考えるところがあって争議が長引いているのではないか、端的に言えば、そういう御質問であったと思います。組合内部の事情は、若干知らぬわけではございませんけれども、経営者側としては、あくまでも企業連を対象にして交渉をいたしております。それは、やはり企業連が会社の実情というものを一番よくわかっておりますので、合理的に問題の解決がはかられる場であるということを経営者は固く信じておるからだと思います。それで今のような産業別組合の全鉱というものがその上にあって、いろいろ統一闘争的な行動をとっておられる——これは組合内部の事情でございますから、われわれは批判は差し控えたいと思いますが、現実にはそういう姿でございまして、ただそういう姿に対して、基本的には、経営者というものは今申し上げましたように、あくまでも企業連というものを相手にして問題を解決したい、こういうふうに思っておるということを申し上げたのであります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私は、経営者としては企業別交渉をし、企業連で解決していきたいという気持がわからないことはありません。しかし私は、このことは世界の労働組合の趨勢に対して、反対の方向を示すものだと思うのです。企業別組合は御存じのように、私が今さらここで申し上げるまでもないと思いますが、会社組合というものは、日本特有なものであるとさえ言われておるのでありまして、各国とも、企業別組合で交渉をし解決しておるというところは、ごく少いわけであります。それを非常に固執して、あくまでも企業連で交渉しなければならぬ、あるいははなはだしきにおいては委任禁止事項がある、こういうことは、全く労働情勢を知らない経営者の意向がくみ取られて、こういうような事情になっておると考えるわけです。吉田内閣時代には、基準法などでも、なるべく画一的な法律による規制をしないで、企業内で労使が話し合えば、時間延長でも何でもいいじゃないか、こういう意見さえあったと聞いておるのであります。企業内の労使は、なるほど労使一体になるいい面もありますけれども、また御用組合になるおそれが非常に強いのであります。経営者並びに時の政府が、労使双方で話し合って、労働者が承認したなら、時間延長でも何でもいいじゃないか、こういうことは、私はおそるべき要素を持っておると思う。自分のところの従業員ならば何とか懐柔できる、こういう気持がありはしないかというように考えるわけです。私は、ことに事務局におられて、企業内部におられる方よりも比較的広い範囲を見られております北里さんに対して、一体世界の趨勢は、産業別労働組合が統一闘争をし、統一交渉をして解決しておる、こういう事態であるが、あなたの方では、あくまでも企業連で解決していきたいというようなことでございます。それはどうも後退をした姿ではなかろうかと思うのですが、どういうようにお考えでしょうか。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 非常にむずかしい御質問で、柄にないことをお答えすることになりますが、私個人の見解を申し上げますれば、世界の大勢がそういった産業別組合に向っておるかどうか、よく存じません。あるいはクラフト・ユニオン式なものが外国にあったようにも伺っておりますが、それはそれとして、カンパニー・ユニオンが御用化されるというふうな御懸念は、多分に日本にはあるかと思います。金属鉱山界にもあるかもしれません。しかしそういうことは、私別に確証を持っておるわけじゃございませんので、軽々に申し上げる問題ではないと思っております。ただ、将来統一闘争の方向に向うことについて、これは世界の大勢である、だから、今金属鉱山の企業別交渉を後退ではないかという御批判のようでございますけれども、日本の労使の関係というものから考えれば、それがより実際的である、現実的であるということでありまして、何もそれで統一闘争はいけないとかいいとか、そういうことをわれわれが考えておるわけではございません。これは私個人の見解ですが、必ずそこに両立し得るものもあるだろうし、また今全鉱の組織は連合体ということで、企業連が集まってそこでおのおの連絡がとれるという組織体ではないかというふうにも思われますが、この辺も炭労や電産あたりと多小組織が変っておるかと思います。重ねて申し上げますが、要するに経営者側は、企業連を相手にしてこの争議の問題の解決に当るというふうな立場をとっておるということだけは、はっきり申し上げられると思います。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員 私と若干の意見の相違がありますけれども、ここで議論しても仕方がありませんので申しませんが、最後に要望しておきたいと思うのは、中労委があっせんに乗り出そうとした場合に、もう解決するから静観してもらいたい、こういう経営者の要望であります。そこで、昨日から交渉されておるように聞いているのですが、一つこの二、三日うちに精力的に交渉してもらって、再び本委員会に来ていただくことのないようにお願いをいたしまして、私の質問を終ります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 私どもは、このストライキについては、重大な関心を持って、参考人の方においでいただいたわけでありますが、経営者側がお見えにならぬのは、まことに遺憾に思います。そこで、北里さんの立場は、先ほどの同僚の質問で明らかにされております。産業別を経営者側も熱心に要望されておるというお話がありましたけれども、私どもも一日も早くこういう基幹産業が紛争の状態から解放されて、日本経済の前進のために労使が御処置願いたい、こういう立場で参考人にお尋ねいたすのでございます。そういう意味で、この委員会でも、争議が早期に解決することを願いながら、またそれに御協力申し上げるような建設的な意味で、参考人においでいただいておるわけでありますが、ただいま伺っておりますと、労使の争いの焦点は、賃金の考え方にあるようでございます。北里参考人のお話を伺っておりますと、経営者側は、基本給をここで引き上げることは、まだ企業の基礎が確立されていないので、あるいはまた日本の経済の現状から判断して、弾力性のある補助給のような形によって労働者の要求を満たしていこうという考え方にあるようであります。労働者側の方は、そうでなくて、この際基本給を改めるべきじゃないかというふうに受け取れるのでありますが、労働組合の方でもあるいま協会側の方でも、この点私聞きそこなったかもしれませんので、もう一ぺん一つお伺いいたします。

原口幸隆富士自動車追浜工場長

○原口参考人 組合の方は、現在の金属鉱山労働者の賃金がきわめて低いから、それを少くとも日本の全体の中で——直ちに飛躍できるとは現実的に考えておりませんが、ぎりぎりのところ千円くらいは、会社の経理から考えても、基本給として今回はぜひとも上げなければならないというのが中心です。それから第二点として、内部的な要請と今後の組合運動をそうしたいということから、進むも退くも全部一緒にしたいという二つの条件をわれわれは持って現在のところ進んでいるわけです。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 ただいまお尋ねの基本給を増額するということについては、経営者がこれをあくまで拒否しておるということではないのでございまして、基本給の増額は、先ほど申し上げましたように、昇給の金額にはいろいろ問題がありますけれども、昇給という考え方によって増額をはかる。そこで、この昇給の幅というものは、おのずからその時の経済情勢なりあるいは企業の実情なり、労働者の生活の状態等によってきめられると思うのでございますが、先ほど来申し上げましたように、金属鉱山界は、価格の面におきましても、また需給の面におきましても、きわめて不安定な環境下に置かれておりますので、そういう基本のものをこの際大幅に増額するというふうなことは、将来経営を危殆に陥れる結果に相なることは、経営者はもとより従業員の不幸であるということを考えておるのでございます。従って、一時の景気といったような事柄については、賞与なりあるいは期末手当といった姿において、その業績に応じた給与を与えていく。これは金属鉱山だけの問題ではないと思いますけれども、そういうふうに金属鉱山は特殊な経営の条件がございますので、それだけにそういう感が非常に深いということを申し上げておったのでございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 私の不注意から聞き間違いがありましたことが、はっきりいたしましたが、今伺いますと、組合側の方では、月額一千円の賃上げを、経営者の方は大幅な賃上げは困る。しかし、今までの参考資料によりますと、ある事業場では、回答の中で昇給四百円程度までは認められておるところもある、あるところは、そうでないところもあるようですが、問題は、われわれからいえば、五十歩百歩の争いであるような感じをここで受けるわけであります。こういう言い方は適当でないかもしれません。片方は四百円昇給してよろしいという回答が経営者側から出たし、一方は千円主張しておるわけであります。この問題は、当事者の交渉に譲るべきものとは思うのでありますが、しかし、争いの焦点がそこに集約されておるとするならば、そういう問題の解決の道がないかあるかということを、われわれは一応心配をするのであります。  そこで、少し立ち入ったことで恐縮でありますけれども、これは負担能力の問題だけでそう単純にわれわれは議論はできないと思うのですけれども、幸いに北里参考人の所属しておられます日本鉱業協会は経営者側の、いわば労使問題に対する専門的な研究をされておる総合的な機関だと思いますので、ここで私はお尋ねいたすのでありますが、こういう業者とそこの従業員、一企業と企業内の労働組合との間の経済的な交渉というものは、これはおおむね解決の早い場合と困難な場合と二通りに分けて考えることができると思うのであります。そこでこういう協会のような立場からいたします場合に、今当面しております全国のこういう労働者の方は、一応産業別労働組合を構成しておるわけであります。企業家の方は、それぞれ企業ごとに立てこもって、ばらばらの交渉に応じておる、こういう姿です。こういうことが、日本の労使関係を合理的に、かつ平和を持続していく上に適当な姿とお考えになるのか。むしろ、先進国でいろいろな歴史がありますように、自由競争といいながらも、業種別、特に基本産業で、しかも日本のような基礎の浅い経済の上で、そう自由競争がもっぱら成績を上げるような特徴というものはむしろ失われて、国際的な視野における企業家も、共同態勢をとって国際競争に耐えていく状態を作り上げていくということでなければならぬということは、私は大きな流れだと思うのでありますが、こういうことと逆行する行き方にもなるし、かつは産業平和を維持する上において、一企業と一応全国的な産業別労働組合とが、個々に問題を解決していくという行き方は、しろうとはとにかくとして、協会のように労使関係を専門に取り扱う立場の者としては、これに対する見解がおありだと思うのであります。私は、現実の姿をどうこう言うのではありません。そういう大所高所から協会が指導されようとする方針があろうと思います。このことについて、一言お答え願いたい。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 交渉団体としての経営者の団結組織をするということにつきましては、先ほど申し上げましたように、すでに終戦後、金属鉱山界ではそういう団体を持って参っておったのでありますが、どうしてもそれが存続できないといったような経済的な理由がありましたために解消したということで、これはそれを構成する各経営者が考えることでございまして、われわれそれを指導して作り上げるとか、そういう性質のものではないかと思いますので、やはりその時の経済の要請、あるいは社会の要請といったようなものに応じてこういうものができるのであろうと思います。と申しますのは、これはひとり金属鉱山だけの問題じゃなくて、どうしてもそういうものが必要であるということであるならば、各産業界にそういうものが生まれなければならぬと思うのであります。ところが現状日本の姿は、石炭にはそういう団体がありますけれども、ほかの団体にはほとんどないといっていいのではないかと私は見ております。私鉄あるいは電気等は、それは似たものがあるかもしれませんが、大部分の産業が、ほとんどそういう団体を持っていないというのが現状で、これはやはりそこにない理由がいろいろあろうかと思っております。ただ、私自身としてそういうふうにながめておるだけでございまして、別段にこれを作らなければならぬとまで、そういった考え方は持っておりません。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 あなたの立場もございましょうから、御無理な御答弁を願うことはどうかと思いますが、しかしまじめに、経営者の団体を引き受けられる立場から、もっと勇気を出して御答弁いただいてもいいのではないかと私は思うのでありますが、まあ議論になることは避けたいと思います。当面して私ども心配しておりますことは、金属鉱山の日本産業に及ぼす影響というものは、非常に広範にわたり、このストライキによって、各企業に少からざる影響を及ぼしておることは、見落せないと思うのです。このことは、日本経済立ち上りの上に、非常な不幸だと思う。ですから、一日も早くこの争議が解決することを希望しておるのは、かなり広い範囲の人たちであると思います。当事者よりも、むしろその被害をこうむっておる関係産業の人の方が、声にはなりませんけれども、強い要請になっておると思う。  そこで私は、今基本的なことについてお尋ねしたのでありますが、お答えいただけないので、進んでお尋ねいたしたいのは、これはあなたの所属している団体で検討されていることと思いますし、また日経連なんかもそれぞれ、最近ばらばらの表現のようでありますけれども、日本の産業平和を守ることと、世界のマーケットをどうして獲得するかということについては、かなり真剣になってきておると思う。この場合に、私はそのマーケットに対するいろいろな手の打ち方があると思いますが、基本的には、労使関係を合理化して、まず産業平和をある程度見通すということが第一だと思うのであります。第二の問題は、世界の市場は、これは何といっても、量産というわけにはいかぬにしても、良質のものを生産できるという見通しがやはりはっきりしなければならぬと思う。そのためには、私は二つの条件が必要になると思います。一つは、日本の労働者の資質を向上していくこと、いま一つの問題は、昔と違って、個々の名人を養成するということは、とうてい近代工業には役立たぬと思うので、そこにやはり組織が問題になってくると思うのであります。日本は、どうも経営者の傾向を見ると、労働者の組織を闘争体系の中にのみ見出している。要するに、労使の戦いの相手方としてだけしか見ていないのではないか。それよりもっと重要なことは、やはり日本の近代産業が発展していくために、労働者の協力を求めていくという点に対しては、全然目をおおっておるのではないか。あるいは無関心であるのかもしれませんけれども、この点は私は国際的ないろいろな例を取る場合に、日本の最も欠けておる点ではないかと思う。こういう点で、労働の資質を引き上げようとすれば——今度組合の要求は、私はどれだけ合理性があるかどうかは、当事者ほど詳しくは知りません。またこのことを知ろうとすることも、困難でありましょう。しかし一般的に見て、労働省の統計からながめますと、基本産業で賃金の平均給与の統計から見ても、必ずしもよい率ではありません。こういう状態で、月に千円の増額要求をしておる。それがその労働資質を引き上げる上に必要な経費であるかどうかというようなことについて、一体経営者側は思いをいたしたことがあるかどうか。それから積極的に労働資質を引き上げるための労働者の生活安定向上について、どういう考え方をお持ちになっておるか、そういうことを検討されておるのかどうか。この二つを、続けて申し上げるのでありますが、近代的生産の中に労働者の組織的人格を尊重していく、これはいずれの国の経営者の団体の中においても熱心に今取り上げられている事柄です。日本の経営者の団体の中には、この点をうかがうことができないわけです。今日幸いにしてあなたの御出席をいただけたのでありますから、この点について、御存じおきのことだけをお伺いいたしたいと思います。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 ただいまお話のように、われわれとしても、産業平和を招来するということについては、熱望いたしておるわけでございます。今お述べになりました良質のものを作る、これには労働者の資質を向上させる、それから組織を確立する、これはごもっともな御意見だと思います。そこで、金属鉱山における資質の向上につきましては、私どもは、ただ賃金を名目的に引き上げるということが、即資質の向上ではないと思っております。やはりこれは生活の安定なり向上に役立つのは、賃金の上昇には違いありませんけれども、しかしその裏には、申し上げるまでもないことでありますが、やはり生活の指導というものが裏打ちされてこそ、初めてそのもらう賃金も有効に使途されて、そうして資質の向上に役立つのではないかとわれわれは考えております。これは労務管理の問題になりますので、各現場においてこういうことに主眼を置いて、金属鉱山全体がやっておると思いますが、さらにそれを促進するために、いろいろな機関を使いまして、たとえば労働文化協会であるとか、その他石炭鉱山文化協会とか、いろいろそういう団体がございます。そういう団体を通して、各金属鉱山を回って、主婦なり従業員の生活の向上なり資質の向上を期する、そういうことが具体的に最近顕著に行なっておる事例でございます。私どもとしては、最近はあまりやりませんが、以前は、映画等を各鉱山に巡回をいたしまして、それによって幾らかでも文化教養を高めていくというふうなことには努力をいたしたつもりでございます。日常の生活の問題については、やはり何といいましても、現場の労務担当者の大きな責任であり、使命だと思いますが、それらによって着々資質の向上がはかられていくというふうに思います。率直に申し上げますと、工場の労働者に比べて、金属の労働者は一般に水準が低いといわれております。しかし最近は、そういう影響があって、順次高まっておりますけれども、まだ一般に比べては、そう高いということを申し上げるまでには至っていないと私は思っております。そういう面でも、最近各住宅には、ミシンが備わり、あるいはラジオがみなつけられ、私どもが戦前承知しておるいわゆる鉱山労働者の生活というものとは、非常に面目を一新しておるということは、現場を見れば直ちにおわかりいただけるものと思います。それも生活がやや向上された一つの具体的な例証ではなかというふうに考えるのでございます。  さらに、組織の中における個人の人格尊重というふうなことについては、これは十分経営者としても考えて、そういう尊重を傷つけないように配慮しておることは、申し上げるまでもないことであると思います。最後の方は、はなはだお答えにならなかったかもしれませんけれども、大体お話がよく聞き取れなかったので、そういうことであろうと想像してお答えしたわけであります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 大へん時間もおそいことでございますから、このストライキの争議解決を希望いたします意味でお尋ねしたわけですが、私は、今両方の参考人のお話を伺って、千円と四百円の差をどう縮めたらいいか、そこで、せっかく時の氏神で、日本の場合には、最も合理的な労使関係の調整を行う中労委のあっせんが断わられたということは、非常に残念なことだと思うのであります。それは、それぞれ理由があるでしょう。とにかく当事者同士で解決つけばなおけっこうだし、どちらにいたしましても、経済要求については、きわめてその解決を促進してもらいたい。その促進するために、直接でない、かなり回り回った議論をしておるようでありますが、案外解決はそこら辺にあるのではないかということを、同僚の質問で私は感じました。それは、さっき申し上げたように、あなたもお答えになりましたが、確かに戦後の地下労働の状態というものは、漸次改善されつつあることは認めます。また、ぜひ改善しなければならぬことだと思います。そこで、さっき外国と比較したいろいろな例証がありましたが、私は特に鉱山労働者の生活を、特に文化生活の面を興味深く資料々集めております。この点では、確かに日本の鉱山経営者は、外国の事例を一つお調べをいただきたいと思う。この地下労働に対する労働者の不遇というものを、日常の文化生活の中で補っていこうという努力が、もちろん労働者の熾烈な要求ともなっており、労働運動の中にも強く盛られておりますが、また経営者もこれに深い理解を払って、それの結果がやはり生産増強にプラスしているという答えも出しております。私は労働組合の方にも、経営者側にも希望するのでありますが、名目賃金より実質賃金というのは、やはりそういうところにもあると思うのです。こういう点では、今度の一千円の問題と四百円の問題がどう影響するかは何ですが、そういうふうに物事を両者が考え合ってもらっていけば、解決つくのではないか。特に強調いたしておきたいのは、組織の問題だと思う。先ほど北里さんの御説明で、せっかく経営者の団体と産業別労働組合の団体とが理想の姿に近づいていって後退された理由は、いろいろあると思うのです。こういうことは、実際には労働者の組織をあるいは労働者側を見るのに、ことに労働組合を見るのに、闘争団体としての相手方としてばかり規定しておるのではないか。これは労働組合側の方は全然責任を負わぬでいいと私は言っているのではありません。もっと生存者としての立場で、織を尊重するということに経営者が気をお使いになれば、私は今のような姿よりは、むしろ協会のような団体が団体交渉の正面に出て、業界の間のコントロールもやれば、大所高所からの視野に立って問題を提起することができる、こういう行き方に、私は近代的産業の特徴が見出される、進歩的姿がそういう方向に向くのではないか。だから、そういう後退の姿ではなくて、前進の姿に経営者が立ち返るように、幸いにして北里さんの所属しておる団体が音頭をとられるような努力が払われるならば、この争議の解決も、これに並行してよい結論を生み出すことができるのではないか。これは第三者のおか目八目ですが、こういう考え方が私にあるのです。いかがでしょうか。

北里忠雄日本鉱業協会総務部長

○北里参考人 ただいま井堀先生から、いろいろ参考になる御高説を拝聴させていただきまして、われわれそういうことが、もし今次の争議でできるならば、大へん仕合せであると思いますけれども、目下各会社がそれぞれ精力的にこの二、三日中に何とか解決したいということで努力をいたしておりますので、どうか一つしばらく見守っていただきたいと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 それでは一日も早く争議が解決できるように、参考人両者の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。

中村三之丞日本民主党

○中村委員長 参考人には熱心に御陳述下さいましてありがとうございました。  次会は明十五日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会

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