社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/05/12
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 まず昭和三十年度労働省関係予算につきまして、発言の通告がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 職業安定局長にお尋ねいたしたいと思います。それは失対の予算に関連してでございますが、最近の雇用並びに失業の趨勢の状態について、かなり詳細に御説明願いたいと思います。
○江下政府委員 昨年初頭以来の金融引締めの措置によりまして、雇用、失業の問題が非常に深刻に相なりました。特に昨年度におきましては、多数の離職者を生じまして、そのために就職あっせんの困難な人たちが多く失業者となって出て参ったのでございます。この一番はっきりいたしました数字は、完全失業者の統計でございますが、この完全失業者につきましては、御承知の通り、昨年の八月に最も高い数字を示しまして七十一万と、戦後最高の数字でございます。しかしながら、一時あらしのように狂いましたデフレ金融引締めも、八月以降におきましてはやや小康を得まして、その後完全失業者の数字はおおむねこの七十一万をピークといたしまして、頭打ちの傾向を示しておるのでございます。しかしながら、本年の二月におきましても、なお六十六万という楽観すべからざる数字を示しております。今後この失業者の数字については、大きな変更はないと思いますが、しかしながら、昨年中に離職いたしました人たちの潜在失業化ないし完全失業化は、今後も行われて参ると思いますので、この数字は、放置すればなお相当な数字に上るものと考えられるのでございます。 いま一つ、失業情勢を端的に表現いたしておりますのは、失業保険の離職者の数でございますが、これも昨年の初頭以来、非常に大きな数字になりまして、一昨年に比べますと、毎月平均が五割程度の増加、すなわち数字で申し上げますと、昭和二十九年の一—三月の月平均受給者の実人員が四十三万でございますが、これは二十八年の一—三月の三十五万と比べますと三割以上の増加、その後増加傾向は絶えず続いて参りまして、昨年の十二月には五十一万一千という非常に大きな数字を示しておるわけであります。一昨年に比べましてもほとんど五割近い増加でございます。この傾向がこの一、二月におきましてなお非常に大きな数字を示しておりますが、この一、二月の、たとえば一月の五十六万三千、二月の五十六万二千と申しますのは、例の季節的な失業者がこの中に大きな数字で含まれておりますので、一般的な離職の情勢といたしましては、必ずしもその後ふえていないのでございます。今年の三月の初回受給者数を見てみますと、七万五千人でございます。これは昨年の平均の約八方に比べますと、相当低下の傾向を示しております。すなわち一時非常に大きかったいわゆる離職という形での合理化は、だんだん数が減りつつあるということが申し上げられるのでございます。四月におきましても、初回受給者の数は漸減の見込みでございます。 それから、安定所の窓口の状況でございますが、求職者と求人者のバランスは依然としてとれませんで、今年の一月に至りまして、求職者数が百五十一万に対しまして、求人数は五十万ということでございます。例月に比べますと、非常に求人、求職ともふえておりますのは、これは新しく学校を卒業する人たちの関係でございますが、それにいたしましても、やはり相当求人と求職の開きが目立っております。二月におきましても、ほぼ同様の数字を示しておるのでございます。 それから日雇い労働者の実情でございますが、昨年下期におきましてやや増加の傾向を示したことは、御説明をいたしたと思うのですが、今年の二月で日雇い労働者の登録総数が四十三万四千になっております。昨年の同期が三十七万二千でございますから、約六万程度の増加でございます。この傾向は、実は少しずつ今後もふえていくということであろうと思っております。離職という形での失業は、だんだん減って参りますが、離職した者が漸次日雇い労働者に落ちて参りまして、この登録数がうんとふえてくるということは、やはり予想しなくてはならないのでございます。 最近の傾向といたしましては、以上の通りでございます。
○多賀谷委員 新たに労働力人口として増加される分については、どういうようにお考えですか、予想でけっこうです。
○江下政府委員 労働力人口として新しく労働戦線に出て参ります者の数を、一応八十四万人と考えております。
○多賀谷委員 では、予算について質問をいたします。失対事業費補助費が計上されておりますけれども、この失対費の就労人員並びに就労日数についてお聞かせを願いたいと同時に、その労働省の予算以外に出ております各省の予算に、主として就労を対象とした事業がどの程度あるか、またその就労人員はどの程度予定されておるかを、お聞かせ願いたいと思います。
○江下政府委員 労働省所管の失業対策事業費でございますが、これは昨年度に比べまして四十八億七千万円の増加でございます。昨年度におきましては、一般失業対策事業百十九億五千万円で、吸収人員が年間十七万、就労日数二十一日平均ということでございました。今回の失業対策事業におきましては、これを特に特別失業対策事業と一般失業対策事業に分離をいたしまして、一般失業対策事業につきましては、吸収人員を昨年の十七万から二万ふやしまして十九万人といたしました。そのほか約三十三億をもちましての特別の失業対策事業、この吸収人員が約三万人でございます。特別の失業対策事業は、これは建設的な、効果の高い永続的な性質を有する失業対策事業でございまして、これと一般失対事業を合せますと、合計二十二万人になりまして、昨年の十七万人に比べまして五万人の増加を見込んでおるのでございます。 そのほかの一般公共事業等におきましての失業対策的な経費でございますが、まず第一に申し上げたいのは、従来緊急就労対策事業と称しておりましたものも、今度は一般の公共事業にぶっ込みまして、特にこの就労促進をはかることになったのでございますが、道路関係、すなわち緊急就労対策事業も含めます道路事業関係で約六十億の増加になっております。公共事業全体といたしましては、災害復旧関係が大幅に落ちておりますので、総額といたしましては減っておりますけれども、しかしながら、いわゆる失業対策的な失業者吸収に有効適切な事業におきましては、総額において相当な増加を示しております。さっき申し上げました道路関係の六十億、それから港湾関係におきまして二億二千万の増加、それから鉱害復旧事業におきまして四億一千万の増加、水道事業におきまして二億円の増加、かれこれ九十数億の増加でございます。これによりまして、私どもの考えでは、公共事業に昨年度に比較して四万五千の増加の失業者吸収を考えておる。それから鉱害復旧と水道事業に約一万人程度、それから先ほど申し上げました一般失業対策事業が五万、合計いたしまして十万五千人ということになるのでございます。
○多賀谷委員 年度で平均すれば、そういう増加になるかと思いますが、第四・四半期と比較いたしますと、どの程度増加になりますか。たとえば鉱害復旧一万人と言われますけれども、もうすでに下半期におきましては一万人をやっておるのですから、これは現状維持ということにならざるを得ないし、また一般の失対事業にいたしましても、十九万人と言われますけれども、十九万人というのは第四・四半期は十九万人でやったのですから、これまた従来通りと、こういうことになるわけです。なるほど年度で平均して比較されますと、今のような増加になりますけれども、四月からふえていく分はどの程度であるのか、これをもう少し明確にお知らせ願いたい。
○江下政府委員 仰せの通り、第四・四半期におきましては十七万の平均よりはよけい実施をいたしております。一応数字といたしましては十八万六千という数字になっております。しかしながら、この第四・四半期におきましては、例年もそうでございますが、一般の失業対策のほかに、季節的な要因もございます。つまり一—三月というのは、諸般の事情で特に産業一般関係がふるわないのでございますから、例年失業対策関係でカバーする分が多いのでございます。従って、かりに十八万六千といたしましても、失業対策関係だけで今年は一万四千に二万でございますから三万四千——機械的に比較はできませんけれども、かりにそういたしましても、三万四千は増加するということでございます。
○多賀谷委員 さらにお尋ねいたしますが、失対事業を対象にする、労働者救済を要するその対象になる労働者は、どのくらいおられると把握されておるのか。質問が非常に抽象的でわかりにくいかと思いますが、しからばさらにお尋ねいたします。完全失業者という数字がある、そのほかに非求職者であって就業を希望しておる者が——ちょっと言葉で言えば変に聞えますけれども、総理府統計局から出されておる資料によりますと、非求職者就業希望者、すなわち職業安定所の窓口に行かないで就業を希望しておる者、こういう数字がある。そのほかに追加就業希望者、こういう統計もございます。そのほか統計外に隠れておるいわゆる潜在失業者というものに入るかどうか、それを含めて言うのかどうかわかりませんが、不完全な就業者がおると思う。そういう者について、もう少し詳細に御説明を願いたいと思います。
○江下政府委員 ただいま多賀谷委員は、労働力調査によります統計資料の数字をおあげになりました。私どもも、その数字については十分承知をいたしております。それがたとい抽出調査であろうとも、雇用の全般的な傾向を示すものとして、絶えずこれに関心を払っておるのでございます。ただ現実に、それではこの労働力調査の面が雇用市場にどういうふうに出て参るかという点は、またおのずから異なったものがあると存ずるのでございます。私どもといたしましては、そういう意味におきまして、現在全国に五百二十カ所設置いたしております公共職業安定所というものを中心といたしまして、失業問題の把握をいたしておるのでございますが、これに登録いたしました日雇い労働者というのが、先ほど申し上げましたように四十三万ございます。この四十三万のうち、約三十万が失業対策事業の適格者であるということに相なっております。もちろん、この安定所の登録者といいますのは、あらゆる自分の手段を講じてもどうにもならない人たちが、この安定所の窓口に出るわけでございますから、この人たちに対する政府の施策は、当然徹底的に実施をしなくてはならぬということでございます。
○多賀谷委員 その点についてお尋ねいたしたいのですが、今お示しになりました日雇い登録労働者のうちで、失対適格者には条件があると思う。その条件を勝手に——勝手というと何ですが、非常に制限をされておる条件をきめられておる。たとえば、一世帯で一人しか働けない、こういうような状態でございます。しかし、それは予算上制限があるから、やむを得ないと考えられることでございまして、予算が許せば、二人であろうと、三人であろうと、当然失対の仕事に従事をすべきである。ですから、私は一応予算の制約を離れて、どの程度お考えになっておるか。あなたの方の行政措置として条件をつけて、その条件に適合した者のみを三十万とお考えになっておるけれども、そういうことでなくて、予算を一応離れて、そういう仕事に従事したい、こういう者はどの程度おるのか、これをお聞かせ願いたい。
○江下政府委員 仰せの通り、安定所に出頭いたしました日雇い労働者につきましては、就労適格要件というものを定めまして、失業対策事業にあっせんをいたしております。適格要件につきましては、御承知の通り、この失業対策事業が、政府といたしましては、働かせて食わせるという最後の手段であります点にかんがみまして、この乱給は戒めなければならないのであります。そこで一世帯に一人、主たる家計の担当者ということに制限をして実施をいたしておるのであります。全般的な国の予算あるいは国の力というものが、将来にわたって向上いたしますれば別でございますけれども、現段階におきましては、この程度の制限はやむを得ないことではないかというふうに考えております。
○多賀谷委員 調査の点について、続いてお尋ねいたしたいと思います。どうも企業整備その他がありまして、現実的に失業者が出ておる。これははっきりした事実ですが、各職業安定所に行きまして、どのくらい失対希望者があるのか、こういうことを聞きましても、安定所自体が知らないという状態です。たとえばわれわれが、どのくらい失対事業を要求して、そして国からどのくらい予算をもらわなければならないかということを研究するために、現地へ参りまして、大体どのくらいの失業者がいましょうか。どのくらい土木事業をやれば、働く希望者がおるでしょうかと聞きましても、実は的確にわからないのです。現地がわからないものですから、もちろん本省ではわからない、事実はそういう状態ではないかと思うのです。この前に鉱害復旧一万人を持って行きましたときに、職業安定所では、こんなによけいもらっても、果して人間が来るだろうかということを心配しておった安定所が実際にあったのであります。ところが、やってみますと、どうしてたくさん来たという事実があるのです。それほど現地では的確に把握されていない。最近地方におきましては、失業者組合というものができまして、各企業から離れて離職した人々を全部組合に吸収し、かなり調査しておりますから、漸次全貌が明らかになって参っておるようでありますけれども、それにいたしましても、安定所自体が十分把握していないというような状態で、非常にわれわれとしては数字をつかむのに困難を来たしておるような実情でございます。それで、今の安定所の機構でそれを調査するということも、これはまた行って見ますと、非常に多忙な職務を持っておりますし、非常に困難かと思いますが、そういう点について、政府はどういうようなお考えであるのか。実際問題として実態把握が十分できていないのではないかと思うのですが、この点についてお尋ねいたします。
○江下政府委員 仰せのごとく、失業者の把握ということにつきましては、率直に申しまして、完全にはいっていないと思います。しかしながら現在の諸般の制度のもとにおきまして、安定所としては与えられました職能をフルに発揮して、この問題を掌握しようとして努めております。その第一といたしましては、安定所には、どの安定所にもございますが、雇用主の訪問係というものを設置いたしております。この雇用主訪問係と申しますのは、その管内におきまする一定規模以上の事業場を、月に一回程度必ず回りまして、どの程度今後の雇用の趨勢が動いて行くかということを把握いたしまして、それから企業整備等についてどの程度実施される予定であるかということを把握いたします。従いまして、そのまま行われるということでありますれば、現在企業に雇われておるものについての実態把握は、ほぼ的確に行われると私は思うものであります。これは非常に困難なことでございまして、事業場に対してそういう報告の命令権、これは報告をせよということであれば、できないことはございませんけれども、安定所の与えられましたサービス機関であるという使命からいたしまして、安定所みずからが足を運んで、それぞれ聞いて回っておるというのが実情でございます。そのほかいろいろな方法で管内の雇用の実情の把握に努めておるのでございますが、何と申しましても、失業したら安定所に届け出ろという規定はございませんので、どうしても全部失業したものが安定所に来るという形にはなっておらない。そういう意味におきまして、若干潜在失業等についての調査が十分でない、こういうことは私は申し上げられると思うのであります。
○多賀谷委員 調査のことをあまり申しても、時間がありませんし、今の機構では非常に困難かと思いますが、潜在失業者といいますが、完全失業者に対して、統計上の完全失業者以外の失業者を潜在失業者というなら、あるいは全般的に潜在失業者を見つけるのは困難かと思いますけれども、一応企業整備をされたその人間の動向がわからない、これがはっきりしないのです。これが非常に問題で、企業整備がある。そうすると、その人間がどこへちらばったのだろうかということが把握できていない。ところが、市によりましてはまた違う。たとえば大牟田市のごときは、他の就職がありませんから、失業保険をもらっている、その月に全部失対に上ってくる。そういうふうに、はっきりしたところがあります。しかし全般的にはそういうところは珍しいのであって、他は、ほとんど、失業保険をもらっている間はわかるけれども、その後失業保険をもらわなくなると、どこへ行ったのかはっきりわからなくなる、こういうのが実態ではなかろうかと思う。そういう状態でありますから、なかなか政府においても政策を立てるのには困難かと思いますけれども、しかし、これはやはりできるだけ調査をしてもらわなければならぬと思います。実は私自身も調査をしかかったことがありますが、それじゃ全部カードを繰ってくださいと言う。カードを繰ってみて行先を調べてみても困難だし、行ったと思うとまた帰ってきている。こういう状態で、実態をつかむことは非常に困難でありますが、この点について、できるだけ一つ国の費用を何とかして捻出して、実態調査の把握をしていただきたい、かように希望するものであります。 続いて質問いたしますが、少くとも三十年の二月と二十九年の二月を比べますと、四十万人程度の完全失業者だけでも数字がふえている。一月におきましてはやはり四十一万人ほどふえているのですが、さらに完全失業者以外の非求職者、就業希望者という数字は、漸次増加の一路をたどっているようでございます。そうすると、今度の予算でこの程度の増加で、果して二十一日の就労が期待できるかどうか、この点どういうお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
○江下政府委員 この問題は、結局国の財政経済全般の一つの政策とからみ合っている問題なので、私からそこまで御説明するのは、適当かどうかと思いますけれども、失業対策という面から申しまして、私の承知している限りにおいて説明をいたしたいと思います。 例の経済六カ年計画でございますが、これは御承知の通り、六年後におきまして完全失業者の数字を労働力人口の一%にとどめるという目標を立てているのでございます。四十三万ということでございます。そこでその目標達成のために、いろいろな経済施策を行なっていかなければならないのでございますが、それを実施いたしていきます上において、経過的には、もちろん相当な産業の合理化等が行われるというために、失業問題が生ずることは予想いたしているのでございます。そこで三十年度どうなるだろうかということで、私ども経審あたりともいろいろ話し合ってみたのでございますが、何しろ追加労働が八十四万ということに相なりますと、これをそのまま失業対策を講じないといたしますと、やはり完全失業者が本年度平均六十三万が二十万程度ふえるのではないだろうかということになったのでございます。これにつきましては、一々産業別の雇用の見通しというものも申し上げなければならぬことになるのでございますが、一応そういうことに相なる。そこで、ぜひ二十万程度のものにつきましては、何らかの財政的な救済措置を講じて参りたいということで、本年度全体の雇用対策費が組まれているのでございます。先ほど私が申し上げました数字は、比較的直接的な失業対策関係でございましたが、なおそのほかにも、一般的に雇用の増加をはかるために、たとえば職業補導でございますが、これも三十年度におきましては約五万程度見込んでおります。こういう短期技能訓練等によりまして、さらに五、六万の人を収容いたしまして、就職あっせんを円滑にしたいということで、かれこれ二十万程度の者につきましての対策を考えているのでございます。
○多賀谷委員 そうしますと、労働力人口の増加が八十四万。そのうち大臣の答弁によりますと二十万程度就職できない人がいるだろう、その二十万と、さっきお話になった二十万というものは、同じものじゃないと私は思うのです。そうしますと、あなたの方では二十万完全失業者がふえる。新しく出る労働人口のうち、二十万は吸収できないということになりますと、最初の二十万は、全部が新労働力人口としての増加分ですか、それともどうなんですか、その点がはっきりしないのです。
○江下政府委員 そうじゃないのです。これは説明の仕方が悪かったかと思いますけれども、労働力人口として新しく追加されるものが八十四万ある、なおそれらを合せまして、いかに産業に吸収をはかりましても、なお全般として二十万程度の完全失業者の増加がありはしないか。そこで、労働力人口の増加、これがその中の二十万ということでなくして、今年すでに半失業になっている人が来年度完全失業になるかもしれない。要するに雇用全体として二十万程度の完全失業がふえはしないだろうか、こういうことなのであります。
○多賀谷委員 それはわかりましたが、大臣の答弁の中には、新労働人口の増加は八十万、その中の吸収できないものは二十万だとこうおっしゃっている。そこで、あなたの言われる完全失業者の増加は、それ全部が新労働力人口の増加分に充てても一ぱい一ぱいじゃないか。そうすると、今までのものは全部首切られるのか、こういうことに考えているわけです。と申しますのは、これは別な問題ですが、健康保険の人員が二十万の減を厚生省で考えている。そういう点を見ますと、あなたの言われる二十万と健康保険のいう二十万と、また大臣が本会議で答弁された新労働力人口のうち救済できない分の二十万は、おのおの違うのです。ですから、健康保険の言うのは、今までよりも二十万下るというのですが、雇用全体が二十万下る。あなたの方は雇用新労働力を含めて二十万完全失業者が出てくる、大臣の言うのは増加した分だけ二十万ある、こういう話とは、大分数字が違いますが、健康保険は別として、大臣の答弁の資料は当然労働省から出ていると思いますが、これは本会議の答弁にあるのです。ですから、どういう点で二十万という数字が出たのか。
○江下政府委員 私大臣の本会議の答弁を聞きませんでしたので、明確にここでお答えするわけにはいかないのでございますが、私の申し上げました趣旨で答弁されたのであると、確信いたしております。
○多賀谷委員 それは私が調査をしたところによると、労働力人口の増加の分のうちで二十万失業者が出る、そのうち十四万人を吸収したい、十四万人についてはこうこうだ、こういう明細まで労働省では用意しておられるやに聞いたのですが、そうでなくて、では大臣の方の答弁が、むしろ十分な把握ができてなくて、新しい労働人口としては八十万程度ふえるということと、完全失業者が二十万ふえるというのとは、関連がないわけですね。
○江下政府委員 そうなんです。新しく労働力として生まれ出る新規学校卒業者等から、二十万ずっと出るということでなくて、それからも出ますが、そのほかの一般の雇用者から出る者も合せて二十万、こういうことであります。
○多賀谷委員 そういたしますと、さらにお尋ねいたしたいのですが、その二十万吸収の場合に、どういうように吸収されるか。先ほどお話になりましたような数字では、どうも納得できないのです。たとえば鉱害復旧の一万人と言われますけれども、一万人というのは、もうすでに失業して、今まで救済している人です。それをさらに一万人を加えて説明なさっておる。すでに吸収して救済をしておる分については——今後新たにふえるところの二十万人、これでは私はその分については救済できないと思うのです。ですから、新たにふえる二十万人については、どういうように考えておられるか、伺いたい。
○江下政府委員 先ほど申し上げましたように、これは年平均の話でございます。二十万と申しましても、年度初めから二十万わっと失業者がふえるわけではございません。これは下期にふえるということもあり得ます。そこでならしての数でございますから、従って昨年の三月と比べて云々ということでなくて、昨年全体のやはり平均と比べて約二十万程度出る、こういうことになると思う。従って平均として二十万程度の雇用量の増加を考えておるということで、年度初めにおきましては、昨年の引き継ぎでございますから、最初からそう失業者が一ぺんに二十万もふえるということはないということでございます。
○多賀谷委員 そういう考えを出されておりますから、現実では次のような問題が起っておる。それは四月一日の年度がわりに、たとえば遠賀川改修工事でも二千五百名使っている。ところが、四月一日になると千名に減ってしまうので、千五百名の人間が首を切られた、それですわり込みをしておる。こういうような実情が現実に起りまして、私たちは現地に入って非常に因ったような状態がある。ですから、予算ですから、私はとやかく言うのではないのですけれども、もうすでに第四・四半期において救済されておる人、今後増加するであろうこういう人は、予算においては別ですけれども、事実問題としては、やはり考慮されておらなければ、今申しましたような状態が現実に起りまして、非常に苦慮したわけであります。ですから、私は年度全般の説明としては、二十万人二十九年度よりふえるのだというように説明をされてもいいのですけれども、一方ではもう仕事をしておる。今から増加をするということと、それから年度の平均でいかれるという場合とは、かなり問題があると、かように考えるのです。私はこの問題について結論を申し上げますと、非常に少い。これは完全でなくて、やはり補正予算を組まなければならぬだろう、こういうように考えるわけです。なぜかと申しますと、企業整備がなくても、日雇い労務者がふえていくという傾向にあると、先ほどもちょっとお話になりましたけれども、大企業に企業整備がないと仮定いたしましても、失対というものに対する考え方が漸次変ってきました。それで、もうほかに仕事がないものですから、失対登録者がだんだんふえて行くだろう、かように思うのです。国民の期待、失業者の期待というものが、失対に対して将来の考え方と非常に異なって、非常に期待をして参った。こういう点について、今まで隠れていた失業者が、漸次失対の希望者になって現われてくるだろう、こういうことを考える。その場合に、適格要件が備わっていないという問題があると思うのです。それで私は今後適格要件という問題が、非常に大きな問題になってくるのではなかろうかと思うのです。従来ならば、何とかして食わしておいたけれども、どうにもならない、働きに行け、ほかに仕事がない。そうすると、日雇いに行こう、日雇いに行っても適格要件が備わっていない、こういうことで非常に困るわけです。そういう分については、今後増加するであろうと考えられますが、どういうような救済の考え方を持っておられますか。
○江下政府委員 先ほどお話になりましたように、昨年の第四・四半期と今年の第一・四半期がうまくつながっていないような例でございます。そういう点につきましては、絶えず私どもも関心を払って、そういうことのないように注意をいたしておるのでございますが、今実は初めて聞きましたので、実情を十分調査いたしました上で善処いたしたいと存じます。 それから、今お話の、適格要件を持たないということでございます。私が先ほど申し上げました約二十万人程度に対する雇用失業対策の増加ということにつきましては、実は必ずしも適格要件その他を問わないものも相当あるのでございます。失業対策事業として実施いたしますいわゆる五万人の増加につきましては、これは一応そういうことになるのでございますけれども、そのほかの事業を大幅に広げまして、その辺に対する十分なあっせんをいたしまして、ぜひ最低二十一日程度以上の就労を確保するように努力をいたしたいと思います。
○中村委員長 多賀谷君に申し上げますが、労働大臣が見えましたから、労働大臣に対する質疑を継続したいと思います。 大橋武夫君。
○大橋(武)委員 労働大臣にお伺いいたしたい点は、新内閣組閣当初の本委員会におきまして、労働基準法を含むいわゆる労働三法の改正の問題につきまして、私は労働大臣の慎重なる御検討を要望しておったわけでございます。その後新年度の予算も提案される時期になっておりますが、この問題に関する最近の大臣のお考えはどういう点にありますか、それを伺いたいと思います。
○西田国務大臣 労働組合法と労働関係調整法につきましては、国情に適しない点があるという御意見が相当強くあるようでございます。しかし私は労使関係者の良識に基いて、健全な労働組合運動の労使関係の発展を期待いたしております。従って、かりに労働争議が起るような場合がありましたならば、労使双方の紛争の解決がつかないというような場合に、第三者の公正な調停に基いて、これに労使双方とも従っていくという合理的なよい慣行をつくるために、全力をあげてやりたいと考えております。従って、労働組合法並びに労働関係調整法の問題につきましては、いろいろ御意見がありますが、慎重に検討していきたい、こういうように考えております。かつまた、労働基準法につきましては、特に中小企業者の間に妥当でないというような御意見が、これも相当大幅にあるようでございます。民主党としましても、選挙の際に国情に適するようにというような公約をいたしておりますし、本年度の予算に、若干ではありますが取りましたので、第三者の学識経験者によって、労働基準法はそのままでいいのか、もし改正するとすれば、どういう点をどういうふうに改正すべきであるかというような点について、臨時的に労働者の中で審議会を設けまして、その審議会で検討して参りたい、こう考えております。従って、今国会に労働組合法、労働関係調整法並びに労働基準法の改正案を出すことは、事実上不可能でございますので、そういうことは考えておりません。
○大橋(武)委員 先般伺いましたときは、労働三法改正の問題については、ほとんど考えられないような御答弁に伺っておりましたが、今日のお答えによりますと、その後国情に適しない点についても研究の要ありと認められ、至急具体的な研究に着手されるという意向をお話しいただきました。この点につきましては、非常に力強く考えておる次第でございますが、この機会に、特に労働基準法について、二、三の点を伺っておきたいと思います。 労働基準法につきましては、これが日本の産業事情並びに労働事情に、果して適切なりや、いなやという点について相当問題がありますことは、ただいまも大臣がお認めになった通りでございます。そこで、この点について調査をされることになったそうでございますが、まず大臣は、概括的に労働基準法が現在の国情のもとにおいて改正されなければならぬという問題を包蔵しておるということは、お認めになっておることと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
○西田国務大臣 私、まだ詳細に個々の条文について検討を加えておりませんけれども、さっき申しましたように、特に中小企業関係の条文につきましては、相当程度実情に沿わない状態に置かれておるというような一般の御意見をたくさん聞いておりますので、そういう点は特に注意をして検討を加えたいと考えております。
○大橋(武)委員 今日普通にいわれておりますところは、現在のわが国の労働基準法というものは、諸外国のこの種の法制に比べまして、最も進んでいるというふうにいわれておるのでございますが、この点については、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○西田国務大臣 さっき申しましたように、一条々々についてはお答えはできませんけれども、労働基準法そのものが、概念的に非常に進んだ考え方に基いて作られておるということは、私も承知いたしております。
○大橋(武)委員 そこで、世界で最も進んだ考え方に基いて労働基準が定められておる、しかも今日の日本の経済事情あるいは労働事情というものは、かような世界で最も進んだ労働基準を受け入れるのに適当した状態であるかどうか、この点についての大臣のお考えはいかがでしょうか。
○西田国務大臣 日本のいろいろな産業の中におきましても、ほとんど世界水準と変らないような運営ができておる産業もあることと思っております。しかし全般的に見ました場合、終戦後十年になりますけれども、日本がまだ世界水準に達していないことは、これは事実であろうと考えております。従って、理想に近いような労働基準法の適用を受けて、各産業が多少ともお困りになっておるという事態は、これは実際あるだろうと考えております。しかし、政治は現実の問題を一つ一つ片をつけていくとは言いながら、一つの大きな理想を掲げておるということも必要かと考えますけれども、それが日本の産業の運営、労使関係等に、あまりに窮屈なために、日本の産業の回復をかえっておくらせるというような事態が非常に大きく作用することになりますれば、そういう点は一時的には改正する必要もあるかと考えております。
○大橋(武)委員 大臣の御意向に、私は大体において同感でございますが、さらに伺っておきたいと思いますのは、今日の日本の労働基準というものは、戦争末期におきましてわが国の大企業で行われておった労働基準を、ある程度そのまま引き続き実行しておるというものが多いわけでございます。たとえば、賃金制度であるとか、あるいは休日制度、こういう点についでは、大体戦時中に事実上国内の大工場で行われておった制度を、そのまま今日の基準法の中に条文にしておるというものが多いわけであります。そこで、そういう意味から言うと、その戦時の労働基準を立法化した現在の労働基準法が、世界において最も進んだ労働基準法ということになるわけですが、戦時中において行われた労働基準は、しからば相当進んだものであったといわなければならぬ。一体戦時中において、なぜこういう進んだ労働基準がわが国においてとられたのであるか、この点について、大臣は何かお気づきの点がございましょうか。
○西田国務大臣 大へんむずかしいお尋ねでございますが、戦時中に日本の労働基準が世界の最高水準を行っておったかどうかということを、私よく承知しておりませんが、日本の資本主義というものが、ある程度進歩の段階に来ておった事実は認めざるを得ないと思います。そういう観点から考えたならば、今大橋さんのおっしゃったような考え方も生まれてくると思いますが、私、不敏にして戦時中の労働関係の法規について、詳細に検討を加えておりませんので、これは一つ御了承願いたいと思います。
○大橋(武)委員 御存じなければやむを得ませんが、この問題は、実は今後日本の労働基準法をいかに改正するかという点に、非常に関係の深い問題だと、私はこう思いますので、特にお伺いいたしたわけであります。しかし、大臣は詳しくは知らないと率直にお答えになりましたので、これをこれ以上伺うわけにはいきませんが、特にこうした点について、今後御検討、御研究をお進めいただきたいと思います。それは、戦時中わが国の大工場においては、御承知の通り自由契約による労働力が不足いたしておった。これを補充いたします方法として、いわゆる総動員法に基く徴用制度というものが行われておった。徴用工というものが、大工場には一般的に雇用されておったわけです。従って、戦時中における労働は、いわゆる契約労働にあらずして、総動員法による国家権力を背景とした強制労働であったということをまず念頭に置かなければ、当時の労働基準というものを、正しい意味で把握することはできないわけであります。それですから、当時の戦時中の日本の労働基準というものは、強制労働のもとにおいて、国家がこの労働基準を企業者に対して強制的に採用させておった、その権力的な根拠は総動員法になっておる。こういうもとに行われた戦時中の日本の労働基準法を、戦後において再び契約労働が常態になったところの日本の労働界に、そのまま当てはめておるという点に、今日労働基準法の行き過ぎといわれる原因がある。これは私の考え方です。しかし、私は歴史的に見て、そういうふうに理解をいたしておるわけであります。 そこで、今日こうした契約労働という事態になると、強制労働ならば、国家は強制的に労働させるのでありますから、その労働基準について、国家が相当理想的な程度まで保障をしてやる必要があります。しかし契約労働となれば、国家の責任がそこまであるかどうかということは、これはまた別の観点から考え得られるのじゃなかろうか。ことに戦時中の労働基準を理解する上からいって、もう一つ考えていただかなければならぬ点は、戦時中においては、労働者の労働条件を守る作用を持っておりまする労働組合というものが全く解消しておる。従って労働組合が解消しておる以上は、労働者がみずからの力によって正しい労働条件を獲得し維持するということは、不可能なんです。従って政府は、これにかわって、政府の責任において労働条件の維持改善ということをやらなければならぬ。こういう意味において、戦時中の労働基準というものが、今日から考えても相当進歩的な水準にまで引き上げられておった理由なんです。これを今日自由契約による雇用関係にそのまま持ってきたところに、非常な問題があるわけであり、さらにまた、労働組合というものがその上に今日法律によって保障されておるという点に、いわゆる労働条件の行き過ぎということの原因があるわけでございます。このことは、今後大臣が労働三法を改正されるに当りまして、頭に入れて一つ根本的に御検討をいただくことを、私は衷心から希望いたしますとともに、大臣ばかりでなく、労働省の政府委員の方々も、いわゆる労働基準法というものの背景には、戦時における強制労働というものが基礎になってできた労働条件である、それをその後労働省ができた当時に、無批判にこれを強制的な基準として採用しておるという点があることを十分に御理解いただきまして、一日も早く適正なる三法改正の案を作っていただきたいと思うわけでございます。ただいま富樫君が見えましたけれども、一つ大臣からよくその趣旨を富樫君にも徹底していただきたいと思うのです。それについて、何か御感想でも承わりたいと思います。
○西田国務大臣 戦時中の日本の労働の基準について、ただいま大橋さんからいろいろ適切な御意見を承わりました。そういう考え方もできると思います。私は、これはおこがましいかもしれませんが、戦時中に事業をやっておりましたけれども、私のところでは徴用工や勤労奉仕隊というものは一人も入れませんでした。自分のところの労務者だけでやるべきだという考え方に基いて、強制労働と関連性のあるような労務者は一人も入れないで、自分の持っておる労働者だけでやってきておりましたので、徴用とか勤労奉仕とか、そういうことについての関心が薄かったと申しますか、あまり承知しておりませんので、ああいう御答弁を申し上げたのですが、戦後の問題におきましては、あなたのおっしゃることも、一つの理屈と思います。しかし、日本がすべての点において国際水準に近づこうという点から考えますと、やはり国際水準ということも一応頭に入れて、あの労働基準法というものが作られたものと思いますので、今後は実際の利害関係のない学識経験者において、公正な意見を審議会で十分に戦わしていただきまして、適正妥当な合理的な結論を得たいと考えております。
○大橋(武)委員 実は問題は、国際的な労働基準というものに日本の労働基準を近づけると、今大臣が言われたのですが、問題はそういうところじゃないのであって、少くとも労働基準法に包含されておるところの労働基準というものは、国際的な労働基準以上のものになっておる。そこに今日労働基準法に対する問題があるわけです。それでは、なぜ現在の労働基準が、国際的に要求されておる労働基準以上のものを内容とするに至ったか、これは、戦時における日本の労働基準が、そのまま引き継がれたわけなんです。その戦時における労働基準は、どういう理由でそういう国際労働基準以上の水準ができておったかというと、それは当時の特殊な強制労働という前提のもとにこれが性格づけられておった、こういうことを、私は大臣に申し上げたかったのでございますから、一つ私の申し上げた趣旨を正しく御理解をいただくように、なお御検討を賜わりたいと存じます。
○中村委員長 多賀谷君にちょっと申し上げますが、大臣に対する質疑は午前中で終りたいと思いますから、どうぞそのつもりで要領よくお願いいたします。
○多賀谷委員 私は質問に入る前に、大臣に希望を申し上げておきたいと思います。今大橋委員から、大橋さんの観点からする基準法の改正の問題が言われました。しかし、本人がおられないので困るのですが、この点、小坂労働大臣が委員会の席でお話になりましたように、中小企業に対して基準法が非常に酷である。けれども、よく条文を運用し、あるいは施行規則その他例外規則を十分勘案するならばそれほどでもないのだと、自由党の大臣である小坂さんが言われておるのですが、最近御承知のように自由党政府のときに大幅な施行規則の改正がございました。それで、たとえば販売配給の事業等についても、三十名までは九時間労働、さらに時間外協定をすることもできるわけですから、そういう点を考えますと、十分研究をすれば、中小企業についても酷でない法律であると私は考えるわけです。長い間自由党が政府をとっておりまして、中小企業に対しては基準法はけしからぬというような教育をされておったから、そういうことになったのであって、むしろ中小企業者に対して親切に、こういうふうにすれば時間の延長もできるし、やむを得ない場合はこういう措置もあるのだ、こういうふうに教育をされなかったところに——単に基準法は中小企業に対して酷だ、こういうことのみを宣伝をされて、その後のいろいろな改正その他において、中小企業にそぐわない点は、政府としては十分改正されたと思うのでありまして、その点も一つ大臣は十分勘案されて御処置願いたいと思うわけです。さらに、今自由契約であるから、何も法律で画一的に規定しなくてもいいじゃないか、組合があるのだから、こういうお話でありましたけれども、問題は、むしろ組合のないような中小企業の労働条件を何とかして——われわれの方から申しますと改悪したいというような意図であります。そういたしますと、そういうところには組合の力というものはほとんどありません。また組合の組織率も非常に低下しておりますので、そういうところは、やはり法律によって保護をしなければならぬ。単に組合との協定でいいのだ、こういうことでは困るし、また組合の実体も備えておりませんし、また組合そのものもできていない、こういう場合には、単に労使だけの協定にまかすことなく、やはり法律が保護法としての観点から規律しなければならない、かように考えますので、その点も勘案していただきたいと考えます。それで、この前実は労働大臣に対して、失対事業に対する市町村の負担分について質問をしたと思うのですが、その際大臣の方では、今後国庫負担でやるから、いわば心配は要らないというような御答弁でありましたので、非常に安心をしておりましたところが、今度出ました予算書を見ると、一向改正の点がうかがわれないのです。ただ特別な失対事業として交付税を受けておるような市町村に対しましては、補助率が若干変更になっておる。しかし、残念ながら資材費が上っておりますので——事業効果をねらったものですから、それはけっこうなことですが、補助率が若干上りましても、トータルとしてはあまり変りがない、こういうことになっておるわけでございます。現在の状態を見ますと、私は全般的な資料を持っていないのですが、今そういう面で一番困っております呉市から出ております資料によりますと、呉市だけでも失対事業費が総予算の一六・二%も占めておる。こういうことで、一般の公共事業は全部返上しなければならないというような実情で、非常に困っております。このことは、単に呉市だけでなくて、炭鉱のような集団的な失業者が発生しております地区においても、同じような状態でありまして、今後国の方からワクをもらいましても、とうていそのワクを実施することはできない、こういうように言っております。さらに現実の問題といたしまして、日雇い労働者の就労状況を見ますと、二十一日ということを目標にされておりますけれども、県市町村におきましては、非常に差が出てきておる。これはやはり仕事がないということもありましょうけれども、問題は、財政状態が非常に窮迫しておるという点から出てきておると思うのであります。大臣は、この前全額国庫負相でやるというような、われわれが非常に希望しておりましたような御答弁をなさいましたけれども、その後そういう結果になっていないのです。この点一つ大臣に対して御質問いたしたいと思います。
○西田国務大臣 お答えいたします。多賀谷さんは何か勘違いされてお聞きになったのではないかと思うのです。私が全額国庫負担をすると言ったのは、国で行う失業対策事業は全額国庫負担でやりたい、こういうことをこの前御答弁申し上げたのです。それが結局特別失業対策事業という名前に変っておりますので、これは全額国庫負相にすべく大蔵省と大分交渉しましたが、五分の四で一つがまんしてくれということで、一応あれは第一歩を踏み出したということになっております。御承知のように一兆円のワク内に納めるわけですから、労働省だけで予算を全部取って使ってしまうわけに参りませんので、遺憾ではありましたが、それでがまんをしたわけであります。従って今までよりか五分の一だけは地方の負担が軽くて済む、かように私は考えて、本年はやむを得ないだろう、かように考えております。 なお、一般の失業対策事業につきましては、これは高度な労働能力を持っていない人たちが、大体対象にされて計上されております。これは今まで通りの負担でやっておりまして、地方負担が非常にふえておりますので、地方でお困りであろうとは考えておりますけれども、こういう財政状態の中においては、地方起債を特にそのために大蔵省と自治庁との間で話をつけまして、特別失対事業を一般会計に繰り入れておりまして、増加分に対する特別な起債を認めるということで、一応この失業対策事業の方はつじつまを合せていくように予算に計上してありますので、その点、国の行う失業対策事業としての特別なものの負担が、全額国庫負担ができなかったということは、御不満の点もありましょうけれども、一つ御了承願いたいと思います。
○多賀谷委員 誤解があったというお話でありますが、私は市町村が非常に財政が窮迫しておるから、これに対してはどういうように御措置をなさるつもりであるか、こういう質問に対して、大臣の方でも、いや、全額国庫負担でやるからということで、そこで私はさらに、それでは全部やるのかと聞きましたところが、いや、それは国が行う場合と市町村が行う場合とある、こういうように逃げられたことは知っておるのです。しかし問題は、市町村がもう失業対策のワクが来ても受け入れられない、こういう実情にあるのであるから、これはどういうように措置されるのか、こういうことに対して、それの答弁が、国庫負担でやるからと、こういうことでありましたので、大部分国庫負担でおやりになるのだろう、こういうように私も安心をしておったわけですが、実は特別失対事業というわずかの予算が計上されて、しかもなるほど労務費は五分の四でありますけれども、資材費は二分の一。ところが資材費の事業効果を考えまして、四十五円が二百十円に上っておる——あるいは二百十円かどうか、かっきりでないかもしれませんが、大体その程度に上っておる。こういうことになりますと、従来の資材費代金だけでも、相当の値上げになっておるのです。ですから、これを受け入れる市町村は、ますます困るだろうと思うのです。そうしますと、財政状態が窮迫したところでなくて、むしろ財政余裕のあるところが、一つ受けようか、こういうことになりはしないかと思うのです。そういう点が、われわれが考えておりましたのと若干相違がある、いな大いに相違があると思うのですが、その点どういうように考えますか。
○西田国務大臣 ただいまもお答えいたしましたように、それは各地方の特別のワクを設けた起債によって、地方が負担をできるような措置が講じてありまして、十分とまでいかなくても、今までのように失対事業を返上するとかなんとかいうことはない程度の起債が認められておりますから、その点は、それほど窮屈ではないと考えております。
○多賀谷委員 西田労働大臣は自治庁長官であったので、よくおわかりであろうと思いますが、たとえば呉などのごときは、もう利子でたまらぬ、地方債のワクをもらいましても、もう引き受けられない、こう言っている状態です。融資の問題は起債そのほかを認めるから、それでやっていけるじゃないか、こうおっしゃるかもしれませんがそういう市町村には地方債が非常に増大をして、もう利子だけでもこれだけになるのだ、こういう話をしておりましたが、そういう実情である。単に融資さえつけばいいじゃないか、こういうことだけでは解決できない、これは借金になって残るのですから、私は非常に困難だと思うのですが、どういうような実情ですか。
○西田国務大臣 これは私が申し上げましたのは、一般会計で地方の負担がふえる部分は、特別に起債を認められておるということと、それから地方交付税の中にも若干その金額が含まれておりますので、今年度の失業対策事業を進めていきます上において、地方は今までのようにお困りになるということはないと考えております。
○多賀谷委員 交付税の話がありましたが、従来の平衡交付金でも同じであります。申請しただけ全部もらえれば、それはできるかもしれません。しかし、現実はそういう状態になっていないのであります。一体入っておるのか、入っておらないのか、よくわからないというのが、市町村の実態であろうと思います。ですから、私は、もう大臣の方はえらい自信のある答弁をされて、市町村は困らないというようなことですが、市町村は、何とかして立法を作ってくれというくらい、言ってきておるのでありますから、多数出ております都市については、もう少し徹底的に考えられなければ、今後市町村財政の赤字とともに、非常に苦しんでいくだろうと思います。実は最初からそういうつもりであった、こういうお話でありますけれども、あるいは全般的な国の予算でどうにもならなかった、こういう御答弁があればともかくでありますが、とにかく大臣が御答弁なさいましたのは、予算の編成のもう直前であったのですから、十分大臣の方ではわかっておったと思うのです。それを予算編成の直前において、大臣が全額国庫負担でやるからということでしたから、われわれは非常に安心をして期待をしておりました。ところが、特別失対事業でわずかしか来ない、こういう状態では、非常に町村も困ると思うのですが、そういう点について、もう一度だけでけっこうですから、御答弁を願います。
○西田国務大臣 お答えいたします。私が考えております通りになっていないことは事実であります。しかし、大蔵省との話し合いで、そう労働大臣が言ったからということで、それをそのままのんでくれればけっこうですが、これだけの予算を取るのにも、相当苦労をしたのです。だから、一挙に全部のものを取ればこれは一番いいに違いないのですが、国全体を考え合せますと、そう労働省だけにくれとも言えませんし、増加してくる失業者の吸収がどうにかやっていける程度であれば、これはがまんせざるを得ないだろう、かように考えましたので、大蔵省とはこういう点で折衝を終ったのであります。どうかその点は一つ御了承願いたいと思います。
○中村委員長 多賀谷さんよろしゅうございますか。 受田新吉君。
○受田委員 労働大臣は、地方自治の役所の責任者ともなられた方でありますので、地方の実情にも通じておられると思います。従って、現下の中央・地方を通じて、大学、高等学校、中学校等の卒業生の就職状況が非常に困難な実情にあることを、十分御理解いただいておると思うのでありますが、現在における、今年三月卒業のこれら各学校の卒業生の就職状況はどのくらい進捗したか、過去の数字と比較して、今年の状況がどのくらいの程度になっておるかということを御答弁いただきたいことと、それに基いて、これら新規卒業生の就職に対して、前小坂労相は非常な積極性をもってやってこられたのであるが、その小坂労政のあとを受け継いだ民主党としては、どういう対策をもって、これら新規学校卒業生の受け入れ態勢に対策を用意しておられるか、これをお伺いしたいと思います。
○西田国務大臣 私としましては、新規大学、高等学校卒業者の就職に対しては、小坂労相に変らぬだけの熱意を持ってやっております。対策本部も作ってやっておりますが、しかし就職の状況は、必ずしも芳ばしい状況ではございません。私が記憶しておりますところでは、九万五千名くらいの現在の就職の状態ではないかと考えております。引き続いていろいろな方面に就職のあっせんを一生懸命やっておりますが、数字につきましては政府委員より答弁いたさせます。
○江下政府委員 本年三月末までの数字しか今はございませんが、これによってみますと、中学校の場合、求職者の総数——これは安定所に申し込んだものでございますが三十一万三千百七十人、これに対しまして求人者の数は四十万八千六百六十人、三月末までに就職いたしました者が二十六万三千六百七十五、就職率といたしましては八四・二%でございます。求人の方が上回っておるのに、完全就職にまだいっていないのはどうかということでございますが、これは申すまでもなく求人条件あるいは求人地域というのが、必ずしも求職者の実態に合わないという実情のためでございますが、一応中学校の場合におきましては求人者も一〇〇%をこえておりますので、安定所の活動いかんによっては、今後この面におきましては、そう心配はないであろうと考えております。次が高等学校でありますが、安定所に求職いたしました者の実数が十五万三千二百九十八、これに見合います求人が十三万三千五百八十一、就職いたしました者が八万四千四百八十九、就職率五五・一%となっております。次に高等学校におきましては、これは昨年度も同様でございますが、中学よりは成績が例年悪いのでございます。前年同期にいたしましても就職率が六一・五%でございまして、昨年よりやや悪いのでございますが、こういう事情で、特に高等学校につきまして、今職業安定機関が主力を注いで解決に当っておるということでございます。三月末でございますので、もちろん今後この成績はさらに上回るものと考えております。 〔委員長退席、中川委員長代理着席〕 次が大学でございます。大学におきましては、今年の卒業者総数が約十二万八千人、このうちから国立大学の義務教育関係と医学部関係を除きまして、一般学部につきましては約十万四千人となっております。このものが、三月末までにどういう状況になっておるかと申しますと、実際に一般学部で卒業いたしました十万四千人の内訳でございますが、男子が八万八百人、女子が二万三千二百人、男子のうち就職しましたものが四万八千四百人、自営業、家事従事が六千百人、進学、インターン関係が七千七百人、無業一万六百人、不詳その他八千人、女子の場合、就職者が七千五百人、自営業、家事従事が五千六百人、進学、インターン千四百人、無業三千八百人、その他三千百人、合計いたしまして無業が一万六千二百人いるわけでございます。不詳というのは、もちろんこの中にも一部就職できないでいる者が入っているわけでございます。かれこれ推計いたしまして、約二万程度の者が今熱心に職を探しているということではないかと思います。これに対しましては、大臣からもお話がございましたように、昨年来就職対策本部を特に関係各省と共同で設けまして、現在この機関を中心といたしまして、中小企業方面、あるいは都市集中を避けて、一般の地方への就職あっせんということを全国的に展開いたしているのでございます。なおこれは現在進行中のものでございますので、最終成績はいずれまた日をあらためて申し上げたいと思っております。
○受田委員 非常に困難な中で政府が努力していることを御説明になったので、今のように自分の家で働いているような君まで入れて就職者の計算をしておられるわけですが、これはまことにいいかげんなものだと思います。おそらくこれには、臨時的にちょっと就職した者まで計算に入れておられるのだろうと思いますが、こうしたこそくな対策ではなくて、せっかく学問をおさめた人々を、おのおのその所を得せしめるという基本的な国策を推進しなければならぬと思っているのでありますが、最近の傾向としては、経済界の不況に伴いまして、労働三法を無視したような形で、経営者側が勝手に自分に都合のいい者を採用して、基準法を無視した強制労働をしいているという傾向が多分にあることを認めるのであります。こういうような情勢は、今大橋さんが指摘されたような戦時中の徴用に類するものに近い——さっきのお説は、強制労働ということでありましたけれども、それは国際的な労働基準というようなものを無視した、全く一方的な形の労働基準であって、これは全然基準にならぬのでありますが、そういうものに近いような形で、低賃金で雇用しているという形が見られます。従って、有能な人が野に埋もれて、無能な人間が情実因縁で採用されているというような情勢が多分に展開されていないか。これは国家の人物経済において、ゆゆしい問題だと思いますが、これらの問題について、労働大臣は現下の実情を十分検討されまして、大学や高等学校を出たりした学問をおさめた人々が、おのおの所を得るような対策を講じなければならないと思う。こそくな対策を立てられて、何とかやっていけばいいんだというような形でかくて、目標をはっきり立ててやるという対策を立てられていると思うのですが、そういう点に対する大臣の御見解を伺いたい。 それからもう一つは、大臣は雇用に関してどういう考えを持っておられるのかということについて申し上げたい重大な点があるのであります。それは停年制を設けて、ある年限に達した者の首切りをやって、そうして新しい者を雇用して、その間の労働人員というものの調整をはかろうとするのかどうか、この点はどういう考えを持っておられるか伺いたいのです。すなわち、現在就職している者は、できるだけこれを首切らないで、新規の者を採用する道を求めようとされるのか、あるいは五十才とか、五十五才とかいう停年制を設けて、そこでどしどし首を切って新規採用をしていくという考え方を持っておられるのか。そうした労働条件その他労働全般の問題として、大臣の考えておられる労働人口の見解について、御見解を伺いたいと思います。
○西田国務大臣 第一の御質問は、ごもっともでございます。就職の機会を得ることが非常に困難になる場合においては、いわゆる情実因縁にとらわれた就職というものが、かなり行われている傾向があります。従って人物経済から申しましても、非常に不経済な状態になっておるということが一応考えられますので、やむを得ない状態であるかもしれませんけれども、ほんとうに国を建て直すという意味合いからいきますれば、そういうことのないように、善処していかねばならぬと考えております。 それから、第二の問題に対しましては、御承知のように、経済審議庁が立てております。経済六カ年計画の中には、別に停年制を設けて日本の労働人口の増加を収縮させるという考え方は入っておりません。従って、今までやってこられたようなやり方によって、日本の労働人口を、生産規模の拡大に伴って失業者を少くする、吸収していく、こういうふうな考え方のもとに、経済六カ年計画ができておりまして、私もその線に沿って労働行政を考えていきたいと考えております。
○受田委員 それではもう一つ。今の内閣の政策として、失業対策に重点を置かれていることは、今年度の予算を拝見しても、失業対策事業費を増額しておる点で、ある程度了解されますが、こそくな失業対策ということよりは、内閣の基本方針として、一つ産業振興、生産増強に重点を置いて、基本的に労働人口の吸収が可能なような情勢に政策を転換される必要はないのか。たとえば、国際貿易の上において、あるいは国内の産業の振興の上において、現下の行き詰まれるものを解決する道を講じなければ、こそくなる失業対策などに重点を置くやり方では、なかなか基本的な解決はできません。そういう点について、労働大臣としては、そうした方面の党及び内閣の方針と、そうしてこの関係をどういうふうに調整されようとしておるか、それが一つと、もう一つは、大臣はきわめて人道的な考えを持った人であると私は認めます。従って、理論で割り切れない問題についても、あたたかい気持を寄せておる人だと信じておるのでありますが、現に傷病者、たとえば結核治癒をした人、それから新たに立ち上がろうとしておる人々に対しては、職がなかなか得られない。また傷痍者、傷ついて不具の人、こういう人々の就職はなかなか困難である。また母がおらぬとか、父がおらぬとか、両親がいないとかいう者は、どこの会社、工場においても、採用が徹底的に悪いが、こういうものをむしろ優先的に考えていくような、人道政策を労働行政に加味していかれるような基本的な対策を持っておられるかどうか。これは人間西田として、ぜひ思い切った政策をやってもらって、あなたの部下の部課長、局長を大いに指導督励して、一つこの際あなたの在任中において、偉大なる人道大臣としての面目を発揮していただきたいが、いかがですか。
○西田国務大臣 第一の問題につきましては、三十年度、本年度拡大均衡の地固めの最後の年という考え方で、予算の編成がされておると考えておりまして、そういう年に限っては、特に失業対策の方面に力を注がなければ、せっかく三十一年度から雇用量の増大をはかるという方向に各産業を持っていく上において、非常な障害を来たすという観点から、一応失業対策というものに重点を置いて考えておるわけであります。毎年々々失業対策に重点ばかりを置く政治をやっていこうということは、また考えておりませんから、三十一年度からは、あなたのおっしゃるように、第二次産業と申しますか、これに相当の労働人口を吸収するような産業政策を投融資の面でとっていきたい。こういうふうに経済閣僚懇談会でも大体話し合っておりますので、三十一年度からはだんだん失業人口というものを減らしていきたい、かように考えております。第二の御質問ですが、これは申すまでもなく、政治というものは人間性を尊重する政治でなければならぬことは、これはきまったことです。このきまったことがなかなか行われないのが現実でございまして、特に両親のない、片親のない若い青年が就職に悩んでおるということは、子を持つ親として耐えられる問題ではありませんし、かつ、病弱な人が自分の健康に相応する職を得られない、あるいは不具の人は不具者であるがゆえに職を得られないということは、まことに人道上ゆゆしい問題であると考えております。従って、労働行政の面において、そういう不安、不幸な人たちを救えるような方針をとっていくことはもちろんでございます。ただ御承知のように、なったばかりでございまして、そう何もかも一緒にやるということは、現実の問題としてできないことでありますので、今後私がおります間に、今あなたのおっしゃったように、ほんとうに人道的な立場からの労働行政を確立するために、全力を傾注したいと思うのであります。
○中川委員長代理 滝井君。
○滝井委員 今、生産の問題が出ましたが、実は大日本生産性本部というものができておりますが、大臣は特に経済閣僚懇談会に、自分は労働大臣であるが入っておるのだということを、いつか、多分予算委員会か何かで自慢をして言われておったことを、私も聞いたことがあるのですが、この大日本生産性本部に対する大臣の考え方をちょっとまずお述べ願いたいと思います。
○西田国務大臣 私は別に経済閣僚懇談会に入っておることを自慢したことはありませんけれども、今までやってこられた政治というものが、労働問題というもの、労働行政と申しますか、そういうものは全然度外視してやられておった傾きがありますので、私の感覚では、労働問題の解決があってこそ、初めて日本経済の自立があり得るという観点に立って、経済的には私は主管者ではありませんけれども、労働問題の解決をいかにするかということを先決条件として、いろいろな経済的な施策を考えてもらいたいという建前から、経済閣僚の中に入って憎まれ口をたたいておるわけでございまして、その点は一つ誤解のないように願いたいと思います。 それから大日本生産性本部ですが、あれは自由党内閣時代からの懸案として残っておったものでございましょうが、アメリカ側との、何といいますか、覚書といいますか、契約ではないようですが、何かそういうふうないきさつから生まれたのでございまして、労働省からも役員を出しております。従って、この生産性本部は、今後果して期待するような成果を日本の産業あるいは労働の面においてあげ得るかどうかわかりませんけれども、できた以上は、ぜひそこにおいて一つ成果があがるように、日本の経済の自立達成のできるようないい方法を案出して、具体的に一日も早く実行に移してもらいたい、かように私は考えております。
○滝井委員 どうも今の大臣のお話を聞いてみると、経済閣僚懇談会に出られておる大臣としては、少し意見が消極的で、どうも何か生産性本部に対する積極的な意見の展開がなかったようですが、実はこの生産性本部というのは、まだ皆さんあまり気づいておられないようでありますけれども、これは相当莫大な金を使っておるようであります。この財政投融資を見ましても、余剰農産物の資金から一億五千万円の金を借りることになっております。それから通産省の予算——私は当然これは労働省の予算の中に入るべきだと思っておったが、あにはからんや、通産省の予算の中で、政府が生産性を向上するために——これは私は現在の日本では、やはり生産性の問題は、主として人間の問題に帰着してくると思うので、これは労働省にあるべきものだと思ったら、通産省の予算の中に、いわゆるアメリカに人を派遣するとか、あるいは技術者を招聘するというような形で、五千万円の補助金が出されておる。それから財界から自己持ちの資金として一億くらい出される。従って、これは三億の金を使うものなんです。そうしますと、現在日本の生産を上げるということになると、産業の合理化と労働の生産性を高めていくという問題が、当面の問題になってくると思う。そういう場合に、どうも今の大臣のような答弁で——三億の金を使うという、おそらく将来はもしかすると、かつての日本の戦争中の産業報国会にもなりかねないような、その下地を持っているものに対して、大臣の今のような御答弁では、私は認識不足だと思うのです。近く大臣も御関係の、あの石炭合理化法案というものが出る。少くとも、やはり日本の石炭産業の合理化をはかり、同時に、その炭鉱における機械化とともに労働能率を向上しなければ、石炭産業の単価の引き下げというものはできない。そうすると、おそらく生産性本部がまず一番先に直面する問題は、石炭の合理化法案だと私たちは考えておるくらいなんです。大臣も石炭の企業家として、当然これはもっと深い注目を持ってもらわなければならぬ問題だと思う。それが通産省の中に予算が組まれ、しかも通産省の人やあるいは経済団体の者が中核になってやっておる。労働組合の方は、全鉱連ですか、そういうところや総評あたりは、そっぽを向くという状態、これでは国費の、われわれの血税の五千万円の補助金まで出して、そして財政投融資のなけなしの融資を一億五千万円も出してやるということは、私はもったいないと思う。そういう金があるならば、二億の金を失業対策に回した方が、もっと日本の生産性と民生の安定ができると思う。こういう生産性本部の実態というようなものについて、もっと大臣のこの社会労働委員会における積極的な意見の吐露なり展開があってしかるべきだ。しかも、そういう意見の展開をもって経済閣僚懇談会にでも出られたならば、やはりどういう場合に日本の労働力を十分な保全を加えながら、日本の生産性に協力せしめていくかという意見もあわせて、これは持たなければならないと思うのです。この生産性本部が、この予算書に書いてあるように、単に産業使節団を米国にやったり、米国の技術者をこっちに招聘したり、講習会をやったり、企業診断をやるというだけなら、われわれはこんな莫大な金をつぎ込む必要はない。むしろこれは私たちが少くとも労働の生産性を高めるというからには、やはり日本における一番重要な資源は人間なんです。資源という言葉を使いたくありませんが、そういう表現しかないので、やむを得ず資源というのです。この点から考えるならば、生産性本部の中における役割というものは、通産大臣よりも、労働大臣の役割の方がはるかに大きいと私は思う。現在労働組合の協力なくして日本の生産性の向上を言うことは、木によって魚を求むるたぐいだと思うのです。そういう点で、どうも大臣は今遠慮して意見を述べられたんじゃないかと思うのですが、これに対して、もっと積極的な、大臣の打ち割った——内輪の委員会なんですから、意見を一つ御展開願いたいと思います。
○西田国務大臣 お答えいたします。生産性本部については、私、実際のところ詳細に承知いたしておりません。しかし、滝井さんの言われるように、生産性の向上に、労働者というものを度外視して、生産性の向上がはかられるということは毛頭考えておりません。また石炭の合理化の問題もありましたけれども、石炭の合理化の問題についても、これは生産性本部で取り上げる前に、内閣自体として当然取り上げなければならぬ問題ですし、今までの立場からいきますと、国で立法して、失業者が生ずることは当然予見されるというような場合においても何ら対策を講じなかった、やりっぱなしをしておったというところに失業者の増加、労働問題のいろいろな複雑な紛争が起きてくる根源があった。私はそういう場合におきましては、必ず立法と並行して、失業者を生じないような何らかの措置をとって、法律を国会に提出して審議を願って、法律が通ってそういう弊害が生じてくることのないような予備的なと申しますか、手段を一緒にとっていかなければならぬという考え方を持っておりますので、炭鉱の合理化に関する法律案が、かりに国会に提案されました場合におきましても、生産性本部の任務とは考えておりません。これは労働省、通産省、大蔵省、経審等の四つの省で話し合いをつけて、そうして実際に実行に移された場合における職を失われる人々を、他の職に当然継続雇用の状態においてありつけるような方策を確立して、予算の裏づけをしなければならぬ。こういう観点に立って協議会を設けて、役人連中でどういう具体的な方針をとっていくかということについて協議をさせております。生産性本部の問題につきましては、なおよく私も研究しまして、滝井さんの御質問にお答えしたいと思います。
○滝井委員 ぜひ一つ労働大臣のこの生産性向上に対する重要な役割を果していただきたいと思いますが、労働省から生産性本部に行かれておるということですが、どういう局長さんが行かれておるか、また行かれておる局長さんがおられましたならば、どういうことをやられておるのですか、ちょっと労働省の立場として御説明願いたいと思います。
○中西政府委員 生産性本部に、実は連絡協議会がございまして、これに関係者省の次官が参加しております。ごく近く第一回の連絡会議を開くという運びになっております。
○滝井委員 その程度ですね。
○中西政府委員 そうです。
○滝井委員 それではこれでけっこうです。
○中川委員長代理 次会は公報をもって通知することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十六分散会