行政監察特別委員会 第8号
- 発言数
- 420 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1955/07/04
会議録
○篠田委員長 これより会議を開きます。 前会に引き続き小、中学校における教科書関係事件について調査を進めます。直ちに証人より証言を求むることにいたします。 ただいまお見えになっておられる方は由井千春さんですね。
○由井証人 はい。
○篠田委員長 この際証人に一言申し上げます。現在わが国において小中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評も生まれ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いている向きもありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義あることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。 それでは、ただいまより小、中学校における教科書関係事件について証言を求むることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求むる場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことに相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受くる者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。 では、法律の定むるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書を朗読して下さい。 〔証人由井千春君朗読〕 宣誓書 良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
○篠田委員長 では、宣誓書に署名捺印を願います。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになってよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。 それでは、証人の略歴について述べて下さい。
○由井証人 長野県南佐久郡川上村の出身でありまして、長野県の飯山中学を出て、大正十五年に慶応大学予科に入学、昭和七年三月慶応大学法学部卒業、その年直ちに大日本雄弁会講談社に入社し、種々なる部門を経まして、昭和十八年九月製作課長、昭和二十一年一月業務部長、昭和二十六年販売部長を兼ね、当時局長と改称されましたので、業務部長兼販売局長、昭和二十六年十一月大阪支社長に転じ、昨昭和二十九年一月本社に復帰、三月一日から教科書局長の現在の職についております。 錦会関係につきましては、昨年教科書局長に就任と同時に錦会関係の世話人となっております。教科書協会におきましては制度専門委員会の一員でございます。 以上でございます。
○篠田委員長 錦会の沿革と事業の内容を述べて下さい。
○由井証人 錦会の沿革につきましては、本年の四月十五日、日教販通信の第九十六号に記録されたものがございますので、これを読ませていただきます。錦会は、日本教科図書販売株式会社に教科書の供給事務を委託している教科書の発行会社の懇親団体です。会社の相互の懇親を初め、教科書に関する諸問題の研究、新知識の交換などを目的とするものです。これには三つの共通性を持っています。その一つ、供給を日教販に委託していることに伴う経済的、形態的プロパーです。二は、新しい検定制度の発生とともに出発したところから、教科書発行に当っては民主主義的出版理念を堅持しているという点、第三は、専門分野においての豊かな経験と高い見識を持ち、のれんを誇っている点、強引な商策で売り込もうというのではなしに、厳正な内容検討を待つという態度を曲げないという点、以上三つの点がその共通性でございます。 なお、錦会の会員は現在何者かということを申し上げますならば、これも名簿に従って申し上げますと、現在四十三社でございます。 仕事の内容について申し上げますならば、小学校、中学校、高等学校、——ここでは高等学校について申し上げる必要はございませんが、錦会の会員としての構成から見ますならば、これにも触れさせていただきたいと存じますが、小学校をやっておるのは十三社、中学校をやっておるのは二十八社、高等学校をやっておるのは三十五社、もちろん、こう分けましたけれども、小学校をやっておって中学校をやり、中学校をやっておって高等学校をやっておるところもございます。ただいま申しましたように、実際の取扱い部数というものは必然高等学校にウェートがかかっておりますが、しかし、中学校におきましても、全発行教科書の約一六%錦会で取り扱っております。小学校の方はきわめて少く二・六%前後というのが実情でございます。
○篠田委員長 証人の会社が教科書の発行したのはいつごろからですか。また、発行している教科書名、発行部数、採択された主要地域について述べて下さい。
○由井証人 私の所属する講談社におきましては、昭和二十五年から教科書出版に着手しております。二十五年は一種類一冊、二十六年は三種類四冊、三十七年は八種類二十五冊、二十八年は九種類二十八冊、二十九年は十二種類三十三冊、三十年は十六種類五十二冊、三十一年は二十一種類六十五冊となっておるのが講談社の教科書の状態でございます。
○篠田委員長 地域はどの辺ですか。
○由井証人 地域は全国でございます。
○篠田委員長 申請原稿の審査に当る調査員について文部省は非公開主義をとっておりますが、発行者側では全然調査員の氏名については見当がほんとうにつかないものであるか、つくものであるか、その点を一つ……。
○由井証人 これは、つきません。
○篠田委員長 全然つきませんか。
○由井証人 つきません。
○篠田委員長 つくところもあるんじゃないですか。そういうことは聞いたことはありませんか。
○由井証人 聞いたことはありますが、実際にどこでやっておるか、そのことは私にはわかっておりません。
○篠田委員長 文部省の検定発行に関する担当課と特定有力出版社との間に特別な関係を持っておるといううわさが立っておりますが、そういうことは聞いたことはありませんか。
○由井証人 それは、新聞紙上で読んではおりますが、事実については、どのようにそれが関連性があるかということは、みずから確かめたことはございませんので、わかりません。
○篠田委員長 調査員の非公開に対して公開せよという発行者側の意見がありますが、その論拠はどういうところにあると思いますか。
○由井証人 これは、前に御質問になったことかと思いますが、実際のそういう実証はつかめませんけれども、そうした会社があるとするならば、そういう特殊の会社がうまいことをして、それ以外の会社が知らずにおるということは不公平である、不公正である、また実際に今までの秘密主義がそのようにうわさされております現状からして、これは公開にいたすべきが当然で、また実際に公開をした場合にあるいは新しい弊害が出るかもしれませんけれども、今日うわさされておるような問題を払拭する意味からしましては、公開主義が望ましいと信じております。
○篠田委員長 教科書採択について自社の採択を有利にするために駐在員を置いておるというが、この駐在員を置いておる社会、または献本や講習会が行われておるというけれども、あなたの会社ではそういうことをしているかどうか、どういう方法をとっているか、一つお話し願いたい。
○由井証人 駐在員は置いておりません。研究会あるいは講習会というようなことにつきましては、現状におきましては、採択をされた教科目については講師の派遣が望ましいということを現地の研究団体から育ってこられました場合には、派遣をしております。
○篠田委員長 それはどういう講師を派遣しておるのですか。
○由井証人 それは、理科あるいは図画、工作、あるいは職業、家庭科、まあ出しておる種類が何種類かありますが、講師の都合もございますし、また実際に、あるいは指導的な、——実際にはまだ新しくコース・オブ・スタディが変ったばかりで、それの取扱いなどについてはどうしたらいいかというようなことなどについて、行き方が東京におればわかっておるだろうからというような場合もあって……。
○篠田委員長 どういう人を講師に選んでいますか。
○由井証人 著者でございます。
○篠田委員長 採択に面接に関係のある教育委員、学校長、各科研究部会幹部教員等と教科書発行者との間に不明朗な関係があるといわれておりますが、こういう事実についてあなたは知っておられますか。また、知っておられるとするならば、そういう事情について述べていただきたい。また、福島県などについてそういう事件があったかどうか、御存じであったら説明していただきたい。
○由井証人 私が直接実際にこの身をもって見聞したということではなく、むしろ教科書協会なりあるいは業界紙なりを通じて知り得たところが多いのでございますが、しかし、それは、そういう今日の教科書業界の行き過ぎということについて、確かに現状ではいけないということを確信しております。個々の例については、いろいろ多方面にわたりますが、ただいまお尋ねの不公正の実例を、福島県の市町村教育委員会連絡協議会の発行されたものによって少しく例示をいたしたいと存じます。昭和二十七年七月一日、文調刊第百七十九号で、日高文部次官は、各都道府県教育委員会、各都道府県知事、小中高等学校を有する国立大学長にあてて次官通牒を発しております。その中で、特にその三に、「検定制度ならびに展示会制度の趣旨にかんがみ、教科書の採択にあたっては、展示会前に採択教科書を決定し、若しくは限定し、又は必要以上少数に教科書の種類を限定しないこと。」こういう次官通牒が行っております。これに対して、ここにあるのは、福島県の昨年——昭和三十年度の小中学用教科書選定理由書、本年の昭和三十一年度中学校用推薦教科書一覧、こういうものが出ております。昨年のことにつきましてはすでに委員長を初め委員の方々は御存じかもしれませんが、これはやはり展示会前にまかれたものでございます。ことしこれが入ったのは、展示会の始まったのは二十五日で、これが二十七日に来ております。印刷物になりますからには、やはり一応展示会の始まる前にこういう申し合せができたものと考えなければならないと存じます。ここに発行した種類は昨年とことししかございませんが、福島県は、その前からすでに、そういう一つの統制的といいましょうか、県で二本とか三本とか推薦するということをしておったのですが、昨年の分につきましてはもちろんこれをしぼっております。一々申し上げれば、ここにありますが、これは文部省から出された教科書総目録でございます。これは昨年の分、これがことしの分であります。それに対して実際には何分の一か——ことしの例を引きますと、その最初の一ページにありますから申しますが、国語科の文学、言語編、これは十四種類のうち二種類がここに出ております。いわゆる検定合格本は十四種類出ております。これが二種類出ております。それから、国語科の総合編二十種類のうち十七種類出ております。これはことしは昨年よりだいぶふえております。習字とか社会科とか——社会科のものについて申し上げますならば、地理的内容を主とするもの二十六種類のうち十五種類、歴史的内容を主とするもの二十七種類のうち十五種類、政治的、経済的、社会的内容を主とするもの二十四種類のうち十五種類、社会科の地図帳十四種類のうち八種類、それから、理科二十七種類のうち十二種類、音楽十七種類のうち八種類、図工科十九種類のうち十一種類、保健体育二十四種類のうち九種類、こういうようにずっと書いてありますが、略します。昨年はこれよりもっとしぼっております。ところで、問題になりますのは、これから知り得ます一つのことは、昨年推薦になりましたこの中に入れましたものにも、二十八年二十九年と前から推薦になったものはずっと繰り上げてきております。そうしてみますと、結局ことしまた指導要領の改正によって新しくつけ加えられたものがあります。こういうものをつけ加えていきますと、だんだん種類が多くなっていくことには間違いございませんが、そういうことでございましたならば、二年か五年たちましたら、これが結局二十種類出すものは十八種類とかあるいは二十種類ということになりますので、初めスタートしたときの実際においてこれをしぼるという理由がなくなってくるのではないか。と申しますのは、小学校の国語をとつてみましても、最初推薦に入りましたら、やはり六カ年までこれが続いていく。最初推薦したものは、指導要領でも改正になりません限り、六年前のものでも推薦の価値がなくなったという理由は私は成り立たないだろう。少くとも一旦推薦した以上はやはり永続性を持っている。そうしますと、これは大体御推察がつきますように、今日の検定制度のよいところといいましょうか、競争していいものを作るという面におきまして年々歳々いい教科書が出て参ります。そうした場合に、六年前の推薦図書と今日のよい推薦図書との内容が、推薦という意味においては同じでありますが、だんだんそういう推薦図得が多くなっていくということになります。結局何年かたつならばみんな推薦図書ばかりで一ぱいになってしまうということであるならば、別にここでそんな特殊のものをオミットする必要はないじゃないか。むしろここでその展示方法なり採択方法をもっと公平に、また公正に行なってしかるべきではないか。福島県は最近の各方面からの批判にこたえてことしはこのようにやっておるのでございましょう。あるいは福島県以外におきましても、こういう県一本にしぼるとかあるいは郡市単位にしぼるとかいうことがございますけれども、結局は、ただいま私が申し上げました福島県の一例をもってすれば、行く行くは、最初は二本であったかもしれませんが、さらにいい本が出た場合にどうするか。もちろん、新指導要領の発表した前のものは全然払拭してしまうということでございますれば別でございますけれども、そういう意味から申し上げますならば、これは推薦制度あるいは二本とか三本にしぼるとかいうことは、むしろ他の方法をもってこの方法をいい意味においてカバーすることができるのではないか、私はそう信じております。福島県の問題は、初めはそういう方法で非常に選定しやすかったかもしれませんが、今日こんなにたくさん、初めの二、三本が七、八種類あるいは十四種類もふえてきますと、結局、そのうちから選ぶということは、研究会が選ぶにせよ、あるいは連絡協議会が選ぶにせよ、その手数というものは同じであるから、むしろ全部にわたって調べて、そうしてそのうちから自由な立場で一これはあるいは後ほど申し上げる問題かもしれませんが、実際に教科書を使う現場の先生方が一番いいと思う教科書を採択するのが最も今日の検定制の趣旨に沿う方法ではないかと信じております。
○篠田委員長 この次官通牒に、展示会前に採択する教科書をきめたり制限してはいけないということが出ておりますね。それにそむいて事前にそういうことをせっかくやるということについては、何かそれに対する規制とか処罰とかいうものはないのですか。
○由井証人 今日の臨時措置法につきましても、あるいは教育委員会法につきましても、そういう通牒あるいは法律にそむいた場合にも別にこれに対する罰則はないと存じております。この通牒におきましても非常に穏便でございます。これを読ましていただきますと、「教科書の採択は、教育上極めて重要な意義をもつものでありますから、その公正の徹底を期するため、下記の事項について更に格段の御考慮を煩わし、教員その他の関係者に対し十分監督および指導を行われるよう重ねてお願いします。」——お願いでございますから、別にこれにそむいたところで処罰方法は何もございませんです。
○篠田委員長 そうですがね。 地方の特約店が特定の教科書発行の会社のために採択のための特殊な運動を行なったり、ある他社からの依頼のあった供給業務を断わったというような事実がありますか。
○由井証人 その初めの方の、特殊の発行元と提携をするといいましょうか、依頼を受けて、そのために特別の便宜をはかるというようなことは、都道府県一本の教科書を取り扱う特約供給所に対して特別の努力を要請される場合には、あるいはそうしたことを依頼した発行会社があるかもしれません。しかし、それならば実際どこがそうしたかということはやはり申し上げられませんが、まあこうしたところもあるかと存じます。あるいは、これに関連して、巷間伝えられております学校生活協同組合に対しても、今までの特約供給所の供給が必ずしも円滑でないために、生徒の教科書を必要とする立場から、先生方が省接これにタッチして供給の円滑をはかる、おそらく学校生活協同組合の最初の立場はそうでなかったか。しかし、それに結びついた会社があるわけでございますが、その動機については、私はそのころはまだ教科書に直接タッチしておりませんので、具体的にどうのこうのということは答えることができませんが、そういうことがあったということはまず了承してよいのではないかと存じております。
○篠田委員長 そのためによそからの供給業務を断わるというようなこともありますか。
○由井証人 そういうことは、特約供給所の使命からして、まずないのが建前と申しますか、私は存じておりません。
○篠田委員長 それから、教科書の採択権は一体だれが持っておるのですか。
○由井証人 これがこの教育委員会法の結局徹底を欠くところではございませんでしょうか。申し上げますが、この臨時措置法の第五条では「都道府県の教育委員会は、毎年、文部大臣の指示する時期に、教科書展示会を開かなければならない。2教科書展示会に関しては、省令をもってその基準を定める。」これが文部大臣からの指示でございまして、それに対して教育委員会法第四十九条、「教育委員会は第四条〔教育委員会の権限〕に定める権限を行使するために、左に掲げる事務を行う。」「四 教科用図書の採択に関すること。」これが私たちのよる法伊の根拠でございまして実際には、学校職員の個々に選択したものを、さらに学校長の責任において、その学校はこれを採る、それを校長の承認のもとに教育委員会に届ける、教育委員会はここれを事務手続として文部省にその採択事情を具申するということになりますと、採択権の所在というものは、結局実際は先生方、あるいはまた校長先生の判断のもとにあるわけですが、教育委員会法に従えば、責任も教育委員会にあるのだ、むしろ学校よりも教育委員会において総くくりの責任を持ってこれを文部大臣に具申する、あるいは通達する、こういうことにこの条文はとれるのではないか、そうしますと、実際は法文上は教育委員会に責任があるということになっております、これとその教科書を使う先生方がこの教科書がいいのだといって、それを選定するのと、その間に矛盾があるかどうか、ここで、問題は、今日の都道府県教育委員会、地教委、こういうころのどこに結局その採択権があるということが、これからの論議になるところでございますが、今日ではそうしたところの不明確さのためにこうした混乱があります。採択権は一体どこにあるのだろうか、都道府県教育委員会にあるのだろうか、あるいは市町村教育委員会にあるのだろうか、校長先生にあるのだろうか、あるいは実際に教える先生方にあるのだろうか。もちろん官立とか、あるいは私立の学校は校長先生にあることは間違いないでございましょうが、そうした不明確さのために今日こうした問題があるのではないか。従って、福島県のごとく、もしこれを法文通り実施すれば、いやそれは県の教育委員会に決定権があるのだ——。福島県の場合は県市町村教育委員会連絡協議会ということになっておりますから、必ずしもこれが県の教育委員会でやっているかどうか、それはわかりませんけれども、どこにあるのだろうか、その不明確さが今日のこうした問題を招来しておるのではないかと私は存じております。
○篠田委員長 展示会制度につきまして、現在の展示会制度でよろしいのか、あるいはまた改善しなければならぬのか、御意見をお聞かせ願います。
○由井証人 この問題につきましては、結局、今までの展示会制度がその監督あるいは指導のよろしきを得れば、あるいはまた法においていろいろ取締り規則がございましたら、こういう結果はなかったか存じません。今日の状況でも、実際に法律的な裏づけと申しましょうか、先ほどの次官通牒のように、お願いする程度で、何も別にこれをどうしたら罰するということがない場合には、今日の日本の商業道徳と申しましょうか、たとい神聖な教科書を扱う場合におきましても、果してそのように実際公正に行われるものかどうか疑問であります。従って、やはりそういう不備が今日露呈されましたので、でき得るならば、今後の行き方としては、展示会を常設的なものにして、そこで十分内容の検討あるいは教育目的に沿うような本の選択をなし得る機会を与えなくてはならぬのではないか。それにつきましては私は種種の抱負を持っておりますが、その一端を申し上げますならば、今日の展示会におきましても、文部省からは別に——何といいましょうか、都道府県教育委員会、地方教育委員会に委譲しておって、指示だけはするが、あとのそういう展示会の開設に伴う費用とか、そういうものは結局地方教育委員会なりあるいは都道府県教育委員会なりの費用にまかせている。こういう状況では、指示も必ずしも徹底しませんし、費用も十分そこから捻出もできません。そんなことで、今日でも結局発行元へ来る教科書の需要書などは教科書協会の会員の支出においてこれを実施しているようなわけでございまして、こういう展示会あるいは採択にからむそれまでの手続というものは、やはり発行元などにその責任を負わせ、あるいは費用を出させて、そうして国あるいは地方公共団体が知らぬ顔をしているというのはどんなものか。やはりこうした常設の展示会、あるいは別の名前でもけっこうで、教科書研究機関というようなものでけっこうでございます。これに対しては、やはり文部省の予算の中に繰り入れるなり、あるいはもっと強い意味の都道府県教育委員会あるいは地方教育委員会などにこれの支出を命じて、そうしてりっぱな常設展示場、また常設教科書研究機関というものを設置いたしまして、ここには先生方がいつ行ってもりっぱな書だなの中に各社の教科書が全部そろっている、そこではテーブルに向かって、いすに腰かけて十分落ちついて見る、全部の先生方がそこに出席することが困難ならば、各学校ごとに専門の、あるいは担任の先生方を選出して、その先生方に各教科別に一週間なり十日間なりその研究をさせる、こういう方法でいきますならば、教科書については今までよりもとにかくよい選定ができるのではないか。今日の展示会については、御承知のように、都内などは大体一校に一日割り当てているようでございますが、それもおそらく全部の先生方が行くわけにもいきませず、たくさんある教科書の中ではとても内容まで検討できないというようなことで、簡単に責任を持たずに決定をしてしまうということがあるのではないか。そういう場合に、十分内容の検討もできないというところに、結局、それでは一つ適当な方法でやろうということになって、そこにいろいろ出版元の介入の余地があるのではないか。そういうものをやめる意味においても、先ほど申し上げました、りっぱな常設展示機関があって、もし先生方が実際に行くためには、時間とまた必要があれば日当なども差し上げて、とにかく子供たちの一年間に使う教科書の選定でありますので、それくらいの熱意は示して下すってもいいのではないか。今の展示会制度も、先ほど申し上げましたように、法的根拠だとか、いろいろな理由で、さらにこれをりっぱなものに仕上げる自信がありますれば別問題でありますが、しかし、ものみな変る。とにかく、十年一昔と言いますけれども、今日の臨時措置法なり、教育委員会法なり、その他七、八種類の法律あるいは政令によって、ようやく今日の教科書行政が運営されておる状況でありますので、この際、私の申しました展示会制度などを含めて、りっぱな一つの立法ができますれば、非常にうまくいくのではないか。ただいま展示会についてのお尋ねがございましたが、それに関連して以上お答え申し上げておきます。
○篠田委員長 教科書の価格は、現行を適当とお認めになりますか。あるいはまた、価格を低くする必要があるというふうにお考えになるか。価格を下げるということになれば、発行者側においてどういう合理化が期待できるか。その点を一つ……。
○由井証人 教科書の定価の算出につきましては、昭和二十八年八月の告示第百十三号で、文部省検定済教科書定価認可基準というのがございまして、今日この基準に基いて各発行会社は定価をきめております。あるものによっては、この基準一ぱいに利用して——利用というよりも、定価決定のために基準までいっておるものもあります。その例は、たとえば図画、工作とか、あるいは地図帳の類でございます。こうした加色刷りを要するようなものは、やはりその限度までいっておりますが、活版一色ものとか、オフセット一、二色ものにつきましては、これは必ずしもその限度までいっておりません。そういう意味では、この基準に基く限り教科書は決して高くございません。これはつけ加えることになるかと思いますが、私は教科書以外の雑誌、書籍も全部業務局長として見てきておったのでございますが、教科書は決して高くない。むしろ実に安い。この地図帳がよく二百二十円でできますねと言われますが、それは教科書だからでございます。頭を抑えられているからであります。そういう二百二十円なり、高等学校ものでも二百六十円というのが一番高い値でございますが、これもページ数と色数から言って限度一ぱいであります。これを一般の市販ものとした場合に、とてもとても二百六十円などできるものではありません。おそらく三百五十円なり、三百八十円くらいの定価をつけなければならないのではないか。ただ、教科書は、部数がどれだけとれるかわかりませんが、大体この教科書であったらこれくらいの採択部数がとれるであろうという想定のもとに定価づけをするのでございまして、ときにその部数が予定通りいきません場合には、発行元の損失においてこれを措置しなければならない。こういう事実がございます。また、実際に定価をつけたよりも、予想よりも非常に部数がたくさんとれたというふうな場合には、そういう意味では若干利益が出ます。その分だけの利益一〇%なりは定価の引き下げに持っていくことができます。 次に、かりに定価が高いというならば、どの辺で定価を引き下げることができるか、こういうことに対しては、もちろん当事者として考えております。その場合については、私は錦会の立場から申し上げますが、今日錦会は四十三社でございますが、この四十三社の規模は比較的小さいのでございます。その売り上げにおいても、おそらく大きいところでも全体の中では八位とか十五、六位とかいうところが錦会の会員でございます。こういう比較的小発行部数をやっている会社におきましては、展示会の見本本、これを小学校、中学校は全部展示会に出すとすれば二千三百五十冊、高等学校は千百五十冊、これは展示会用のためまたは都道府県教育委員会などに研究用に提出するところの数でございますが、こうした数だけでも、実際その採択数がかりに小学校で二万三千五百冊とれた場合その一割が結局展示会のために要する費用で、これが宣伝販売費ということになるのでございます。あるいはその部数がたくさんとれれば、それが一割でない、採択部数が倍になれば五%、さらに十倍になれば一%ということになるのでありますが、展示会に出品するものも発行元の責任においてしなければならない。そのほかに献本がございます。展示会川以外に出している献本というのがございます。この献本の数もなかなかにばかにできないのでございます。大体の大見当でございますが、小学校が二万三千校、中学校が一万五千校、さらに高等学校が四千校前後。小、中においては展示会以外にどうしてこのように献本をしなければならないか。問題は、展示会に先生方が来て下されば何も用はないですけれども、今日は、大体御想像がつきますように、遺憾ながら展示会が十分活用されておりませんので、どうしても生徒をたくさん持っている学校とか、あるいは採択の可能性ある学校に対しては献本をやる。こういうことも、考えれば非常にむだでございます。こういう献本などはなく、実際に公設といいましょうか常設の展示会場で十分検討していただけば、こういうむだも省けます。綿会においては、おそらくそういう献本も十分なし得ない発行元もあります。というのは、展示会の見本を作るだけでも相当なものでございます。たとえば、職業家庭科などは三コースあるわけでありますが、この三コースを全部送るとしますれば、九冊ございます。そんな膨大なものを何校か、かりに五百校というようなことになりましても、たちまちうちに四千何百冊、こういうことになりますと、展示会に出す倍前後の部数を献本として刷らなければならない。こういうことは、小さいところにとりましては非常にむだでございます。その他なお幾多の支出がございますが、そうしたむだが省けますならば教科書は安くなる。さらに、これは個々のいわゆる展示会を含む宣伝販売でございますが、原価構成上から申し上げますならば、紙そのもの——結局、この教科書を作るには、御承知のように、組み、いわゆる製版、印刷、紙、製本、あるいは直接生産費として原稿料とか印税ということもございますが、そうしたものの占めるうちの紙は、戦前の情勢から推して、当時総支出の三〇%であったものが、今日は、これは私の会社になりますが、四〇%になっております。そういう意味で、まず何といいましても、この教科書を一冊作るのにどの部分が一番金がかかるかというと紙でございます。それで、戦前よりもその比率は一〇%多くなっております。印刷とか製本料金というものは、時の流れによっておのおの、——またその組合あるいは会社の方針で一定の基準はございますけれども、昔のようにマル公というものが順守されておるわけではございませんので、おのおの発行元との話合いできまっておるだろうと思いますが、あるいはこういう面においても印刷、製本、各担当会社の話合いによってはさらに引き下るものかも存じません。大体原価の面から申し上げますならば、紙を主として、さらにこれに付随するものとしては、何回か前に申されたことではございますが、雑誌は特別運賃、いわゆる特運というものがございますのに、教科書は年一回しか供給のために発送をしないということで何らの恩典を受けておりません。こういうことなども、悪口を申し上げますならば、このごろはだいぶ不良本が少くなりましたが、本拠本も第三種ということになります限りにおいてはやはり特別の取扱いを受けておりましたが、教科書はそうした恩典に全然あずかっておらない。こういうことからすれば、教科書も当然その恩典にあずかるべきだ、こう考えております。まあ原価構成上、あるいは今のは諸経費の中に入るかもしれませんが、そういう意味で、原価構成上と、この展示会あるいは採択に関する取扱い方法の整備、合理化によって、教科書は、そういう意味でむだが省けますならば、おそらく五%やそのくらい、あるいはもっと合理化すれば、政府のそういう国家補償でもございますれば、あるいはさらにその何%かは値下げができるのではないかと信じております。
○篠田委員長 委員長よりの尋問は一応終了いたしました。 この際委員諸君の発言を許しますが、これまで通りおおむね十五分程度にお願いいたしたいと思います。なお、努めて重複を避けて御尋問をお願いいたします。松岡松平君。
○松岡(松)委員 証人にお尋ねいたしますが、新制教科書の検定について文部省が調査員をきめておりますが、その調査員について、あなたの会社または他社においてその氏名を調べてそれと交渉を持つというようなことについて、あなたの会社に限定してお伺いするのではなくて、他社においても大いに努力しておるといううわさも聞いておるのですが、この点についてお知りになっておるところを明らかにしていただきたい。 〔委員長退席、高木委員長代理着席〕
○由井証人 この問題につきましては、錦会関係でもそういう話合いがあったのでございますが、さて実際にそれならばだれだろうということになるわけでございますが、これは、今日の調査員の非公開の現状におきましては、これをそこまで突き詰めて、固有名詞でだれだれがそういうことをしたというようなことは、私たち聞いておりません。
○松岡(松)委員 そうすると、業界においてもそういうようなことについてはうわさは出ておらぬのですか。
○由井証人 うわさとしては承わっておりますが、前に申し上げましたように、事実としてどうということは判定いたしかねます。
○松岡(松)委員 さらにお伺いしますが、この調査員の能力等についてあなた方業界でとかくの批判があるそうですが、その点についてはどうです。
○由井証人 この問題も、教科書協会に所属する一員としては会合などにおいてそのことも聞いたのでございますが、さてそれならば、どこのどなたがそういうことをしたかということなり、あるいはまた発行元としてはどこどこの社にそういう事実があったかということは、私は働いておりません。
○松岡(松)委員 それでは、販売面についてお伺いしたいのですが、あなたの社では各地方に駐在員を置いておられるのですか、おられるなら、その員数、地域等をお伺いしたい。
○由井証人 講談社におきましては駐在員は一人も置いておりません。
○松岡(松)委員 そうしますと、講談社が教科書の販売について払われている工作というものは、具体的に言ってどういう手段をとっておるわけですか。
○由井証人 それは、この教科書協会から出ております教科書出版倫理確立のための宣伝実施要綱というものがございますが、あるいはその細則にもございますが、私たちはこの中で許される範囲において講習会、講習会といいましても、著者でございますが、それから会社からそういう普及宣伝のための出張員、こういう者は出しております。これは実際に今までの教科書協会の会員として、こうした倫理綱領——宣伝実施要綱ですから、一応これに抵触しない限りにおいてはそういうことも現状においては差しつかえがなかったのではないか。その後、細則の方では、特に採択に関係あるものに対しては何何ということになっておりますが、その辺もはっきりいたしかねます。果して学校訪問ということが、必ずしもそこから採択者が出ていない場合にはどうなるか。もちろん私の社でしょっちゅうやっておるわけではございませんけれでも、そういう必要の生じた場合、また先方から、新しく指導要領が変ったそうだが、一つそれに対する何か解説書とかそういうものがあるならば届けてもらいたいというようなこともありますので、その意味において、私の方からもそうした出張員を派遣し、また現に今年もそのために何名かは派遣しております。
○松岡(松)委員 あなたの方の講談社で、教科書販売についての宣伝費というものは、年間、二十五年以後どのくらいずつ支出しておられますか。
○由井証人 これはいわゆる発行種類と発行部数にもよるのでありますが、そのパーセンテージをお尋ねのようでございますから……。
○松岡(松)委員 パーセンテージじゃなくて、年間に支出する金額です。
○由井証人 申し上げますが、教科書については、大体一三から一五%くらいが講談社の場合においての実情でございます。
○松岡(松)委員 その宣伝費の内訳は、今ちょっと伺いましたが、宣伝員を派遣したり、その他どういうものがあげられますか。
○由井証人 これは宣伝費の内容になるのでございますが、御承知のように、先ほどの実物見本も宣伝費、も宣伝費、講習会、それも宣伝費、内容見本を作ることも宣伝費、そういう意味では、こうした日教販売通信に教科書について出すこれらの目録も宣伝費ここに幾つかそういう項目もあがっておりますが、あるいは編さん趣旨書、内容解説書、それから、今日の現状からしますと、教科書が採用されて、それにいわゆる教師用の指導書というものがつきます。これなども結局宣伝費に入るわけでありまして、こうしたものは定価で売ればよいじゃないかということになりますが、これは教科書会社の内部の問題ですが、将来はどうなるかわかりませんが、売るところも、献本しておるところもありますので、この指導書は講談社では今日までは献本しております。そういう幾つかの種類で、先ほど申しました一三%から一五%になっております。
○松岡(松)委員 結局宣伝費というのは間接費になるのですが、非常に一三%というと高いのです。およそ教科書というものはもっと低廉ということを国民が希望しておる。あなたのお話を伺っていると、しごくごもっともな費用と思うのです。しかしながら、この一、二%という数字が出てきたときに、非常に高いもんです。あなたのところの会社ではたくさん雑誌をおやりになっておるようですが、雑誌なんかの比率はどうでしょうか。宣伝費は非常に高いのじゃないでしょうか。
○由井証人 御参考までに申し上げます。これは雑誌の例でございます。雑誌は、教科書と違いまして、あるものは数十万冊、少くとも二十万冊ぐらいですが、雑誌の場合においては宣伝費及び懸賞費を含めて六・一%でございます。
○松岡(松)委員 そうすると、先ほど教科書の価格面について証人からお話がありましたが、決して高くはない、こうおっしゃるけれども、実際こういうふうに各社が競うて教科書を販売して、それを採択していくという、こういうような方法をとっておれば、勢い教科書の販売価格というものは非常に間接費がかさまってきて結果において高くなる。それを節約すれば安くなるという結論が出ますが、それについて何か具体的なお考えはございませんか。
○由井証人 ただいま申し上げましたのは雑誌でございまして、あるものによっては、おのずから部数が教科書の二十倍くらいもございますので、これは全く御参考まででございます。それで、一般の単行本の方は、昭和十八年当時、これは日本出版会のときの統制時代のものでございますが、その当時の記録を見ますと、定価算出の基礎として、ここに編集、営業、広告というので二割二分六厘というようなことになって、おそらくこれを見ましても、当時はそういう宣伝の必要がなかったのでございますけれども、単行本などにおきましても、やはり数は少いのでございますけれども、六%ないし一割というのが常識ではないか。教科書の場合におきましては、これは私さっき一三%と申しましたが、実際に見本とか、献本とか、さらに接待費とか、そういうものを一切ここで——展示会の見本はこれはなくすわけにはいきませんけれども、そういうものを節約しますならば、私は五%なりあるいは何%かの程度の引き下げはできるのではないか、せいぜいそんな程度のところにしか余裕はないのではないかと考えております。
○高木委員長代理 由井君に申し上げますが、あなたの語尾がはっきりしないので、ちょっと速記がとりにくいので、高声でお願いしたい。
○松岡(松)委員 接待費というものの内訳は、文部省関係の接待費を含むのか、あるいは学校、校長、職員、さらに教育委員会等の人々に対する接待費を含むのでありますか。ありとするなら、具体的な内容をここで明らかにしていただきたい。これは一番肝心なところなんです。一つ明らかにしていただきたい。
○由井証人 錦会の関係の立場から申し上げますならば、先ほど申し上げましたように取扱いの高が少いので、そうした、私が講談社の由井として申し上げた宣伝費もおそらく出せないところもあろうと存じます。また、先ほど申しました錦会の懇親団体の建前からいたしましても、実際にこの際そういう倫理綱領を実践して、そういうむだな経費を省く、こういう建前でいっておりますので、この四十三社の中では、全く接待費をそういう展示会あるいは献本以外のところには出しておらない、こういう会社が多かろうと存じます。講談社の立場におきましても、これは先生の講習会とか研究会における接待、その後に引き続く接待というようなところにおいては、これは金を出しておりません。たまたまこれは私の社については特例かもしれませんが、図書館などに、たくさん出しておる建前でよく先生方が見えます。それは別に教科書をとるとかとらないとか、むしろ教科書のことだけで申しますならば、あなたのところでも教科書をやっておったかということで、実は切歯扼腕するわけであります。そういう意味で来た場合に、お茶を出す、あるいはお茶菓子を出す、こうした場合の費用も、今日ではみんな教科書の費用だろうということでおっかぶされておるわけでありまして、そういう意味の接待費も私のところでは教科書局の宣伝販売費の中に含まれますので、全然皆無とは申し上げられません。
○松岡(松)委員 証人は抽象的な説明が非常に多くて、具体的な事例になかなかお入りにならないので、どうしてもわれわれもほじっていかなければならないのです。接待費を含めて一三%の宣伝費をお使いになっているということになると、相当の金額です。宣伝費をお出しになるとしても、あなたが宣伝に行きますれば、場合によっては手みやげの一つも持って行かれるという場合もあるのじゃないか。私どものお尋ねするのは一つのうわさからきておるのですから、否定なら否定して下さい。肯定なら肯定して下さい。これが問題の分れるところであります。そして学校の先生があなたのところにたずねてこられる。教科書をやっておられるから、まさか番茶を出してせんべい出しておるというわけでもないでしょう。時によっては遠くから来た先生方に対しては食事の一つも出されることもあるのじゃないですか。だから、その限界を明らかにしていただけばいいのです。世間にはいろいろ例がある。たとえば、小売業者が問屋に来る。晩飯ぐらいはごちそうする。場合によっては宿泊費までも負担する。たとえば、電機会社の例を見ても、箱根や湯河原といって二泊も三泊も引きずり回すという例もたくさんあるのですから、商売上あなたの方がそういう手段を使われたからといってびっくりはいたしません。一三%からの少からぬ宣伝費をお使いになっているということになれば、結局そういうような方法を使っておられるのではないか。先ほど話を聞いていると、まことに修身の中から出てきたような商売をやっておられるようですが、私ちょっとこれは首肯できないのです。おそらく日本の経済界に修身から出てきたような商売をしている人は少いと思う。その程度問題でありまして、あなたの方がどの程度まで、たとえば先生方を連れていくようなことがあると、洋食一つぐらいごちそうするとか、あるいは牛肉屋に連れていって牛飯程度とか、さらにそれ以上進むのか、そういう点を一つ伺いたい。あるならあると言って下さい。
○由井証人 それは、今までの規約というか、それから申し上げましても、今おっしゃったように、訪問されて、会社の中で一つ九十円か九十五円の箱ずしを差し上げるということは、私たち教科書その他全般の商売から言って、これはどうも常識——常識と言っては大へん恐縮ですが、そういうことがないとは申し上げません。それはございます。それが採択に関係があるかないかということになりますと、これは別問題でございます。
○高木委員長代理 ちょっと松岡君に申し上げますが、時間が経過しておりますから、簡略に願います。
○松岡(松)委員 これで終ります。 そうすると、証人は、採択について一発必中というような手段はとっておらぬが、一般的な方法として多少間接の利益になるような程度のことはしている、しかし良心に恥じるようなものではない、こうおっしゃるわけですか。
○由井証人 おっしゃる通りで、この教科書の仕事については良心的にあらなければならない、その意味におきまして、私たちも、かりにただいまそうした箱ずしを出すことも悪いということでございますれば、今後一切そうした接待あるいは供応、こういうものを業界自体がしないような一つの規約なりあるいは罰則なり、そういうものを一つ固めていただきたい。私は、この仕事を始めて、そういう意味ではむしろ業界全体の粛正を叫ぶ一人でございます。錦会全体としても、せっかくこうした問題を、取り扱っておる機会でございますので、何としてもこの際りっぱな法律なり制度ができて、ここで日本の教科書行政が刷新——刷新という言葉はどうかと思いますが、刷新されることが望ましい。この機会をのがしてはまたこうした問題が繰り返される。何とかして、いい機会でございますので、りっぱな運営の方向を見出したい。こう信じております。
○高木委員長代理 山中貞則君。
○山中委員 あなたの会社そのものは割に良心的だと私も考えます。そういう前提において質問いたしますけれども、一方において、あなたは錦会の代表として、また現在問題になっております教科書会社の立場を持つ一人としての質問をもいたしますので、その意味においてお答えのほどをお願いしたいと思います。 初めに、前提といたしまして、大体わかっておりますが、明らかにしてもらいたいことは、あなた方の錦会の主たる構成分子の人々の発行教科書は主として専門教科に限っておる、そういう傾向になっておると承知してよろしいですか。
○由井証人 ただいま御質問のございましたように、通俗な言葉で申し上げますれば、百貨店に対する専門店という立場がふさわしいのではないかと思います。
○山中委員 では、錦会に所属する会社の能力の問題ですが、大体小学校教科の全科目を発行できる能力を持ったものが四社ほどしかない、あるいは九教科のうち半分以上の五教科を出せる能力のあるものは九社しかない、こういうことです。並びに、中学校の方では、全科目十二教科を全部出せる能力のあるのが三社、あるいはそのうちの半数以上である六教科以上出せる能力の会社は九社、大体こういうのが私どもの頭にあるのですが、あなたの所属する錦会の会員の会社はその能力において現在の全教科発行能力を持った会社があるかどうかについてお尋ねいたします。
○由井証人 お答えいたします。御質問の点については今日全教科を出しておらなくとも、実際にどの事業でもそうでございますが、事業は人でございまして、非常にすばらしい企画者と、これに伴う経営、経理マンがございますれば、これは何年かかけますれば確実に私はりっぱな事業ができると思います。そういう前提からしますれば、今日たまたま専門店でその資本力なりあるいは編集スタッフなりが少くはございましょうけれども、これは、来年、再来年、この社がそれを出そうと思えば、そういう教科書を出すことができないということはないと信じます。
○山中委員 現在は。
○由井証人 現在は、そういう建前からして、出しておらないところが多うございます。また出そうと思えば出せる会社があります。この御質問の意味は、資本力とかあるいはその編集スタッフとか、そういう意味からでございますかもしれませんけれども、この根本をただしますと、実際において、小学校ものなどは、昔の国定時代からのそういう一つの何と申しましょうか……。
○山中委員 先ほど私が御質問申し上げたそういう能力を持った会社が現在あるかどうかだけをお答え願えばけっこうです。
○高木委員長代理 由井君に申し上げますが、質問の趣旨をよく聞いておって、その質問から逸脱しない範囲で答えて下さい。
○由井証人 出せるかどうかは、私はわかりません。
○山中委員 私がそういう御質問をいたしますのは、あなた方の錦会という会が持たれたのは、先ほど三項目にわたってお話がございましたね。私は、ただそれを教科書そのものに限定して、——というのは、あなた方の大日本雄弁会講談社というものは大きな会社ですが、しかし、教科書そのものについては弱小業者の一つだと見ております。そういう意味では、弱小業者が集まって、大企業化していく教科書会社の大企業攻勢に対抗するために作られたものかどうかを知りたいから、そのために、前提として、現在小学校並びに中学校の全教科を単独で出しておる能力のある会社があるかどうか、こういうことを申し上げたのです。
○由井証人 その意味におきましては、ございません。
○山中委員 つまらぬことに時間をとりますが、そういたしますと、私がちょっと申し上げましたように、錦会が、教科書協会とは別だと思いますが、わざわざそういうものを作られましたのは、いわゆる専門店的な意味の専門教科だけの会社という以外に、高まり行く大企業出版会社のあらゆる面における攻勢というものを、いわゆる良心的な団結によって食い止めよう、自分たちの良心的な教科書というものを公正に伸ばしていく努力をしよう、そういうことにおいて作られたのではないか、こういうことをお聞きしたいのであります。
○由井証人 これの三カ条につきましては、別に特に協会内に一つの派閥を作ってとやかくということではございませず、全くの懇親団体でございます。ただ、たまたま専門店だからでございますが、おのおのの社に特徴がございます。一つの共通点といえば、これは販売を含みません。いわゆるプロパーと申しましたのは、印刷、製本で仕上げて、それを日教販に持ち込む。そこまでで、売る方は日教販の手でもって隅々まで、——実際は各社から発送してもいいのでございますが、それも手数で、日教販に持ち込んだ。たまたまそうしたゆかりを持ってここに発足したのが錦会の現状であります。
○山中委員 その関係をもう少しお聞きいたしますが、そうすると、具体的には教科書協会との関係は一体どういうふうに了解していいかということです。たとえば、公正取引委員会が不公正取引の傾向ある点について指摘をいたしておりますが、その警告について、あなた方の錦会あてに、あるいは錦会の代表あてに、形はどうでもいいのですが、そういう警告を受け取られたかどうか。そういう警告をいわゆる教科書協会と別に受け取っておられるとすれば、あなた方は派閥を作る意思はないとおっしゃったけれども、別個な意味における形が誕生しているわけですし、またその警告が教科書協会一本で出されておるとすれば、あなた方としては教科書出版会社の中に含まれて別段の派閥行為をしているのではないか、こういうことになると思うのですが、そこらの具体的な点ではどういうふうになっておるのですか。その関係をお示し願いたいと思うのであります。
○由井証人 公正取引委員会の委員長から来ましたのは、はっきり教科書協会会長永井茂弥殿ということになっております。錦会ではこういうものを受け取ってはおりません。従って、錦会員としては、錦会の中でも協会に所属しておりませんものも中には日教販の名簿の中には載せておるようでありますが、私たちの建前からすれば、教科書協会に所属したもので日教販に教科書の供給事務を委託しておるものということになっております。その意味におきまして、やはり公正取引委員会から来たこの通報に対しましては、錦会は当然拘束を受けるものと考えます。
○山中委員 では、教科書協会の中には、錦会の方々もそれぞれいわゆる個別な会員としての資格でお入りになっておるわけでございますね。
○由井証人 さようでございます。
○山中委員 そういたしますと、教科書協会がその警告を受け取りましてから、文部次官通達等も勘案をいたしまして、倫理綱領というものを作って各所属会社に渡したわけでございますが、それはあなた方の錦会の会員もいわゆる教科書協会会員としての立場において個別に受け取っておる、こういうことに了承していいですね。
○由井証人 さようでございます。
○山中委員 そういたしますと、あなた方の錦会グループの異なる点は、日教販についてのつながりにのみなると思うのですが、その日教販を通じての販売供給の仕方でございますが、あなた方の委託しておられます日教販は、直接特約供給所につながるものですか、それとも取次供給所に直接つながるものですか、お教えを願いたいと思います。
○由井証人 日教販は全国の特約供給所に教科書を供給いたしております。
○山中委員 非常に答弁がよくなって参りました。そういうふうにお答え願いたい。簡単でけっこうでございます。そういたしますと、あなた方の日教販に全部おまかせになっておるという立場からいたしましても、日教販そのものの特約供給所とのつながり方いかんによりましては、結局はね返ってあなた方の会社の営業にも大きな影響が出てくると思うのですが、日教販と特約供給所との問題についてもう少しお聞きをいたしますと、特約供給所につきましても公正取引委員会からの警告が行われたことは多分御承知だろうと思いますが、その警告の発せられた対象は、学生協が採択権を反面に有していると思われる人々の構成された団体にして供給の面を取り扱っておることに対するいわゆる公正取引委員会の立場からする警告だったわけでありますが、その意味において、元の特約供給所以外に新興の特約供給所が——すなわち、その警告田並びに文部次官通達によりまして、新しく学生協はそれぞれ株式会社に変貌いたしておりますが、その株式会社そのものも、さらに公正取引委員会では好ましくないものであると指摘しております。しかしながら、現実にそれが各県にあるわけでありますが、そういう新興特約供給会社ですか、そういうものが、いわゆる旧来の特約供給所と違いまして教科書採択の面に力を持っておるということは、大きな特色であり疑問点でございますから、そういう意味において、あなた方としては、日教販という中間団体を通ずる形をとるといっても、直接甚大な影響を受けるわけですが、そういう新興特約ができて、あなた方の立場から何か感ずることがありますか。
○由井証人 学生協の問題につきましては話しを聞いておりますが、供給につきましては、私ども、日教販にまかしてありますので、これは自分が調べたのではございませんが、福岡県の問題につきましても、実際今日は日教販からも、そうしたかつての学生協から発展した会社の方に教科書を出しております。というのは、完全供給の立場から、もし学生協の方で扱ったそのグループの中に取次店が入っておった場合、そうして錦会会員のものを取り扱う場合には、その方に出さないというわけにいきませんので、今日では別に差別なく出しておるはずであると存じます。
○山中委員 錦会設立の目的の三つのうちに、のれんを誇るということが一つのあれになっておるようでありますが、なるほど非常におっとりしておられますが、私があなたの立場に立ったら、たとえば日教販に委託をしても、新興特約の持つ特別な意義、いわゆる教科書採択という面において強大な影響を持っておるということから、それが特色になっておることから考えるならば、その新興特約が旧来の特約店に比べて自分たちの営業にどのような圧迫を加えるかについては、少くとも少しくらいは感じておるはずだと思うのですが、今のあなたの御見解では、感じておられない。そうすると、あなた方の錦会の方は、少くともあなたの会社は、日教販そのもののやり方に全くまかしておるわけであって、損するも得するも日教販様の腕次第ということに私どもは感ぜざるを得ないのですが、そういうふうに非常におっとりした経営をしておられるわけですか。
○由井証人 学生協の問題は前から問題にはなっておったのでございますけれども、今日の経過を伺っておりますと、採択に必ずしも結びついておらなくなったのではないか、そういう採択の方面——諸先生方のそういう円滑な供給ということからスタートしたかもしれませんが、今日は、伝え聞くところでございますと、一応会社組織あるいは別の名前になって、直接採択する先生方が表面に立ってこれを運営しておるということはなくなったということを聞きましたので、その点では、採択に影響しませんならば、取次供給所が必ずしも成長をすることを阻害する必要はないのではないか、こう考えます。
○山中委員 時間がございませんので、特約供給所の問題はこれで打ち切りますが、その特約並びに取次のそれぞれの供給所に四%あるいは一二%、計一六%という取次手数料を出しておるはずでありますが、それはあなたの所属いたしておりまする錦会の人々も漏れなくそういう慣例に基く一六%の手数料をやはりそれぞれ出しておるかどうか、お尋ねいたします。
○由井証人 大体御質問の通りでございます。
○山中委員 あなたの会社そのものはワーク・ブックは献本しておる、こう言われましたが、しかしながら、錦会の人々が全部献本しておるわけはないだろうと思うのです。さっきもちょっと話されたようですが、ワーク・ブックそのものは、やはりある一種の定価を設けて、それを特約あるいは取次を通じて先生方に売ってもらうという形になっておるのが普通だと私は思うのですが、その際に、そういうことがあるかどうか。あなたの会社以外で売っているかどうか。それをお知らせ願いたい。
○由井証人 ワーク・ブックの限界でありますが、教師用指導書につきますならば、これは売っておるところもありますし贈呈しておるところもございます。いわゆる生徒の使うワーク・ブック全般の問題とは一応切り離していただきたいと考えます。
○山中委員 生徒の使うワーク・ブックについては、また販売ということもあり得るわけですね。
○由井証人 私のところで生徒の使うワーク・ブックをただで差し上げたということは一こともございません。
○山中委員 私らの調べておるところによりますと、錦会所属であるかどうか別でございますが、数多くの出版社の中には、大体恒例として、ワーク・ブックを販売いたしました場合には、そのうち一〇%は学校に払い戻しをする、こういうことが不文律になっておるようでありますが、いわゆるそういうワーク・ブックができたときに、学校に知らせるときにも、一〇%程度は払い戻しをいたします、こういうことをしておられるようですが、そういうことは御存じですか。
○由井証人 聞いてはおりますが、また実際にそのことを聞き、教科書の面にワーク・ブックで誘い込んで教科書に結びつこうということは、これは非常に不公正なるものだ、苦々しいことだと信じております。
○山中委員 次に、定価の問題についてお聞きをいたしますが、証人の先ほどの結論的な御見解によりますと、一般雑誌、書籍等に比べて教科書というものは定価は私は必ずしも高くないものと思う、むしろ自分たちの取り扱っている専門教科等について申すならば安いのじゃないか、よくこれだけで出せるというような感想を持っておる、こういうことでございます。私どもといたしましては、委員もそうでございますし、国民の大体のばく然たる声ではありますが、自分の財布から子供に買い与えるいわゆる金高というものを教科書を対象にして考えると高過ぎるような気がするというのが、一般の気持のようであります。私どももそういう観点に立っておるのでありますが、私どもが調べました現在の教科書の値段の内容というものを述べてみますと、大体平均いたしまして、原材料、印刷、製本、その他が五〇%を占めておる、印税が五ないし七%、それから特約並びに取次の両供給所の手数料が一六%、残りの二七ないし二九%は交際費あるいはその他会社の利潤とか一切を含めた営業費である、こういうふうに見るわけです。あなたの会社の場合には一あなたのきょうの立場は錦会の代表でありますが、御質問者があなたの会社の質問をされましたために話が少しそれていきまして、あなたの会社としては一三ないし一六%を宣伝費に使っておる、しかしその内容は、これは教科書会社として当然前提におかなければならぬ最低の必要経費である、従って、それをもし節約する余地があるとするならば、接待費あるいは運賃の国家的ないろいろの特例適用等によって五%かそれくらいは下げられるのじゃないか、こういう御意見が出たようでありますが、錦会あるいはまた教科書協会の中の一人としてそれを考えられました場合に、私の言いました、ただいまの純利を含めた一切の、どうしても出さなければならない費用以外のものが二七ないし二九%を占めるという、この利潤のあり方につきましては考慮の余地があるかどうか。どういう見解をお持ちでございますか。
○由井証人 諸経費の中に宣伝費を含めて二七、八%と申しますが、これは実際に諸経費の中には全部含むわけですから、人件費、経営諸費、それに販売費、これをそのように純益と言いましたら、おそらくこれは錦会関係で言えば非常に少いパーセントではないか、おそらく一〇%の利潤をあげておるというところは少いのではないか、私はそう信じております。
○高木委員長代理 山中君に申し上げますが、時間が経過いたしましたから、簡略にお願いいたします。
○山中委員 承知しました。 それでは、話を次に進めますが、先ほど展示会の問題についてお答えのときに、展示会の費用を業者が一部負担するというようなお話がありましたが、どういう費用の御負担をされるわけでございますか。
○由井証人 展示会について申し上げますならば、先ほど申しました需要書のカードなどは協会の費用において各発行元にその費用の分担を申しつけられるわけであります。その意味で費用の負担をしておる、こういうわけであります。
○山中委員 その他の意味では、ございませんね。それだけでございますか。
○由井証人 展示見本そのものがそうでございますし、これを発送する運賃もそういう意味ではみな会社の負担でございます。
○山中委員 最後に、教科書の採択権の問題について、先ほどだいぶ詳しくお述べがありましたが、御指摘の通り、教育委員会法の第四十九条の委員会の事務の第四に「教科用図書の採択に関すること。」という委員会の所管事項が限定してある。ただこれだけが教科書の採択権に関する基本条文にすぎないのです。従って、あなたが先ほどおっしゃった通り、実際の状況は、第一線の直接教壇に立つ先生方が自分たちの直接の体験あるいは自分たちの体験から得た希望等に応じて採択をきめる、あるいは校長先生と相談をしてきめる、あるいは校長がきめる、そういうような前提においてきめられたものを教育委員会に持っていって、教育委員会がそれに裁定を下す、こういう形が現実の状態だ、こう言っておられたわけです。ところが、この法文から見ますと、私どもとしては、非常にあいまいな法文であって、あなたも感じておられたようですが、これが現在いろいろな問題を起しておる根本的な大きな欠陥事項なのです。ところが、私ども、それが第一線の先生方あるいは校長先生にあるかどうかについては多大の疑問を法的には持つものなのです。その証拠には、二、三の県で、二、三年前に、教科書販売会社が、これは公取の警告の対象にも直接なったわけですが、目に余る売り込み合戦のために、純真な校長や先生方をいわゆる収賄、供応というような形に陥れて、検察庁の問題になったことがあります。ところが、検察庁としては、それが贈賄になり、あるいは供応になるかどうかという点を法的に究明した結果、ただいまのようなあいまいなものであり、むしろ法的には明示されたものは教育委員会ということになっておりますから、それぞれの人々は、新聞その他を騒がせましたが、結局は不起訴になっておる。これは、一つには、検察庁といえども、法的な立場のみでなく、教育というものに及ぼす甚大な影響を考えた上でのことでもございましょうが、従って、私どもとしては、先ほどお述べになりましたように、現在の準拠する臨時措置法等があいまいなものであることが一番大きなガンになっておると考えるわけであります。そこで、あなたから先ほど臨時措置法ではなく独立法をどうしても作らなければならぬという意見があったのでございますが、その独立法はどういう形においてあなた方は希望されるものか、独立法を作らなければならないものであろうとおっしゃるならば、どういうことを希望されるかを、参考までに私にお教え願いたいと考える次第であります。
○由井証人 教科書協会におきましては、制度専門委員会におきまして、いかにしたらこの教科書法を制定し、今日の混乱状態を救うことができるかということで、十数名の専門委員が十数回にわたりましていろいろの研究をいたしまして、まだこれは文部省の方には出ておらない、あるいは概案はすでに出ておるかもしれませんが、今日の状況を申し上げますと、専門委員会で出ました結論は、検定、展示、採択、発行、罰則、その他、こういうようになりまして、いろいろ検定、展示、採択、発行につきましてもここに何カ条か出ておりまして、さらに小委員をあげましてこれが具体化をはかる、もちろん法律の専門家ではございませんので、こうした大体の骨子をその条文なりあるいは法規の中に織り込んでいただきたい、そういう要点だけでございますが、ちょっと簡単ですから読み上げることにいたします。
○山中委員 いや、けっこうです。 ちょっと動議を提出いたします。各位の御了解を得られまして、ただいま時間に制限がございますので、読み上げてもらうはずでございました文書の内容を、当委員会に証人から差し出していただきまして、われわれの今後のこの問題の参考に供したいと思いますが、お取り計らいを願います。
○高木委員長代理 ただいまの山中君の動議を採択するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高木委員長代理 それでは、さよう決しました。証人から今の書類を後刻提出していただきます。 次に高津正道君。
○高津委員 由井証人は、教科書の定価は安いということをいろいろ申されたのでありますが、あなたの社で二十五年にスタートされたときには一種一冊であった、現在はそれが非常に発展されておるのでありますが、あなたの社の発行部数と定価の総額は、二十八年、二十九年、三十年はどういう数字になっておりますか、それを承わりたいと思います。
○由井証人 申し上げます。二十八年は九種二十八冊で二百九万一千九百六十四冊、三十九年は十二種三十三冊で二百三十六万八千六百五十六冊、三十年は十六種五十二冊で二百五十二万二千七百二十九冊、こういう数字が出ております。それから、売上額につきましては、ここに記録がございませんので、略させていただきます。
○高津委員 あなたは、やはり安いと言われるのでありますが、学図は問題の大工場に対して十一億円というような投資をしておるのであります。あるいは、大日本図書は 大日本図書ビルというものを銀座一丁目に地上四階地下もまたあるというような堂々たるものを作り、これがビル一つについても二億円、三億円といわれておるのであります。教科書会社の大きいところはずいぶんもうけておるので、もうける余地がそれだけあるということは、定価をその部分からも引き下げる余地があるのだ、こう思うのですが、これに対するお考えを承わりたい。
○由井証人 会社の規模とか、あるいは編集スタッフによって、五万部で採算のとれるところもございましょうし、十万部で採算のとれるところもございましょうし、あるいはそれ以上のところもありましょうが、これは錦会から離して私のところで申し上げますならば、活版ものは五方、それから色刷り、あるいは図画、工作とか音楽とかいうのはやはり十万、これが一応支出面から見た数字でありまして、たとえば、直接生産費とか、印税あるいは稿料あるいは経営費、宣伝費という面から見た非常に無理のない数字であることは事実でございます。それから、これはいわゆる資本主義の原則とでも申しましょうか、非常にたくさんの部数が出た場合には比較的一冊当りの単価は安くなる。これは資本主義の原則でありませんでも、普通の原価計算の構成上から当然でございます。そのことは私から申し上げませんでも、すでに定価構成上当然のことと存じますので、略させていただきます。
○高津委員 あなた方の組織されておる錦会は、日本教科書協会のあり方とか運営とかについて満足されておるかどうか。もし満足されていないとすれば、それらはどういう点でありましょうか。
○高木委員長代理 証人に申し上げますが、簡略に答弁して下さい。
○由井証人 この問題は、私も協会員の一人でございますけれども、実際協会が今日このような状態を露呈したということについては、会員の一人としてもまことに面目がない。同時に、協会はこの際徹底的にその運営については刷新をされなくてはならない。この際やはりこうした定款の一部変更なり、またさらには、実際会員がこういうことをしましても何ら処罰規定がございませんので、そういう意味からも、むしろ協会としては当然もっと強い発言権なり拘束力を持った会となってもらいたいと、会員の一人として切望をいたします。
○高津委員 今問題になっておる小中教科書出版の九割くらいまでを大手筋の十社が出しておる。この傾向は私は一そう強まるのだと思うのでありますが、証人はどうお考えであるか。その十社はもっとだんだん減るでありましょうか。あなたのところでも三十年度に二百五十三万冊も出される。これは大へん大きいところでございますが、しかし、だんだんそれはほんの一握りの三軒か四軒の大手筋がみんな独占するような形が遠からずして現われるくらいに私は考えるのでありますが、証人はどのようにお考えであるか。
○由井証人 現状このままにしておきますならば、必然そういう運命になると存じます。
○高津委員 あなたも、業者の一人として、このままでいいとは考えられておられないような口調でありますが、それに対して打つべき手、方法はどうでしょう。
○由井証人 先ほど申し上げましたように、この際ここでりっぱな教科書法ができまして、会員がいい教科書を作るために専心する、売り込むための努力あるいはその他の不必要な努力が省かれますならば、りっぱな教科書協会の運営と同時に教科書の発行元としても満足な結果が得られるのではないかと存じます。
○高津委員 もちろん私はそれでは満足いたしませんが、時間がありませんので、次に移ります。 文部省は、教科書の問題で何べんも公取から警告を発せられるような、そういう事態になっても、ほとんど手をこまぬいておったように思われるのであります。従って、今度行監でこの問題を取り上げるようになると、全く泥なわ的に教科書問題のいわゆる改革案を出しておるのでありますが、由井証人は文部省の今言っておるような数点の改革に対してはどういうお考えを持っておられるでしょうか。
○由井証人 まだ新聞などで拝見しておるだけで、はっきりしたことは申さませんが、調査員の公開主義、これはぜひ実施していただきたいと思います。それから、展示会につきましては、先ほど来申し上げましたように、権威ある——あえて申しますが権威ある常設機関を設置していただきたい。採択に当りましては、府県で一本にしぼるとか、あるいは二、三本にしぼるかということでなくて、これはあくまで校定制の趣旨にのっとり、各学校の直接教科書を使用する先生の自主的な採択に待つのが最も望ましい姿ではないか、こう信じております。さらに、定価の引き下げ問題等につきましては、政府あるいは公共団体の指導あるいは援助、そういうことによって、各方面からの実際の費用などの支出によりまして、安くなることができますればいいのではないか。そんな点は、文部大臣の言葉はそんなにはっきりしたことではありませんが、一応そうした希望を持っております。
○高津委員 国定主義と検定主義とでは、大体わかったようだが、あなたはどっちを支持しておられるのですか。
○由井証人 これは、申し上げるまでもございませず、検定主義絶対賛成でございます。
○高津委員 われわれの見るところでは、現在の文部省はなし崩し的に国定に移りつつあると思うのですが、これに対してはどういうようにお考えでしょうか。再軍縮はしないと言って軍備がだんだんできるように、同じことが教科書に対しても行われておる。これに対してはどうお考えでありますか。
○由井証人 この問題は、文部大臣からのお話の様子では、そうはまだ思われないと存じます。
○高津委員 それも議論になりますから……。 大手筋には駐在員なるものがある、私のところでは置いておらぬ——。それに対して、錦会から文部省あるいは協会に対してやめるようにというような陳情をなさっておりますが、その結果はどうなさるのですか。向うの協会の扱いはどうなったんですか。文部省の扱いはどうなったんですか。
○由井証人 この問題につきましても、協会自体としても、実施要綱あるいは細則におきまして、採択に直接関係がない場合にはどうも取り締ることができないのではないか。そこはやはり、この問題につきまして、協会自体、臨時措置法あるいは教育委員会のこの点の規定がはっきりしておりませんための混乱かと存じます。
○高津委員 特約でとるのが四%、それから学校の近所の小売がとるのが一二%と、ずっとほとんどそういうようでありますが、日教販はその一六%のほかにとるかけですね。その率を一つ聞いておきたい。
○由井証人 これは錦会社員の数によって違います。教科書の性質にもよりますが、大体六%ないし七%ではないかと存じます。
○高津委員 そうすると、特約供給所のとる以上二%ないし三%多くとっている、こういう率になるのですね。
○由井証人 一応その通りであります。内容はまた違います。
○高木委員長代理 高津君に申し上げますが、時間が経過いたしておりますから、簡略にお願いいたします。
○高津委員 ぼくは正直ですから、これでけっこうです。
○高木委員長代理 神田大作君。
○神田(大)委員 証人に簡単に二、三お尋ね申し上げます。 証人は、先ほどの委員長の質問に対しまして、調査員の非公開に対して公開にせよというような発行者側の意見があると言う。その根拠は、いわゆる調査員を非公開にしておりましても、それがある業者に漏れてしまう、あるいはある業者には漏れない、漏れ聞くことができない、そういうことになりまして、いわゆる業者間において非常な不公平が生ずる、そういう意味合いにおきまして、これは公開すべきであるという御意見でありますが、その点について間違いございませんか。
○由井証人 間違いありません。
○神田(大)委員 そうすると、証人は、現在調査員が非公開になっておりましても、実際はこれが一部の業者に漏れているということをお認めでございますね。
○由井証人 うわさを聞いておりますので、そういうこともあるんだろうと思っております。
○神田(大)委員 これは非常に大事なことなんで、今後この教科書制度をどうするかというような点についての大きな問題でありますので、あなたは、まあうわさであるというようなことで、それ以上は証人として言い得ないのかもわかりませんが、私たちもこの問題については相当確実なる情報を握っているのでございますから、何年間もこの教科書問題において苦労しておるあなたが、うわさ程度以上に、あなたはちゃんとわかっておられると私は思うのですが、できればその点をここではっきりしてもらいたいと思います。
○由井証人 せっかくのお尋ねでございますが、これといって特別申し上げも材料を持ち合せておりません。
○神田(大)委員 どこの会社がどうだしというようなことではなしに、実際問題としてそのようなことが行われておるということは事実でございますね。
○由井証人 そのことは、前にも申し上げましたように、錦会でも、あるいは教科書協会の何人かの間でも、うわさしておるのを聞きましたので、まず間違いなかろうと存じます。
○神田(大)委員 いま一つお尋ね申し上げますが、文部省の発行担当課の人と特定な有力出版社の間において、この教科書検定に対して特別な関係があるというようなことを聞いておると申されましたが、この点について、もっと具体的に、どういう点を聞いておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○由井証人 これは、たまたまこの行監の調査が始まりましてから新聞などで見まして、そうだったかということを知った程度で、それ以上、実際的に身をもって体験しておりませんので、わかりません。
○神田(大)委員 文部省の担当課の人が、有力出版社に対しまして、この点を直せば検定に合格するというようなことを、具体的な例を示してそれを漏らしておるというようなこと、いわゆる文部省の担当事務官が教科書の検定に対しまして口ばしを入れて、そうしてそれらの出版社と連絡をとっておるというようなことをわれわれは聞いておるのでございますが、証人はそのようなことを聞いておりますか。
○由井証人 遺憾ながら、うわさ程度で、どこまでが事実か、わかりません。
○神田(大)委員 最後に一つお尋ね申し上げますが、福島県の問題につきまして、福島県の教育委員会が特定の教科書を指定いたしまして、それを学校当局に流しておるというようなことについて、これは展示会の意味をなくするものでございまして、非常に大事なことだと思うのでございますが、この福島県の教育委員会が特定な教科書、同時に特定な出版会社の教科書を支持したと思われる節があるのでございますが、この出版会社の名前を御存じでございましたならば、お知らせを願いたいと思います。
○由井証人 これのスタートの当時、私は直接東京におりませんので、特にどの会社のものをピックアップしたかということはわかりませんが、これは、推察するところでは、その年の福島県教育委員会連合会から出したそういう記録がもしございますれば、おそらくわかるのではないか。これは私の推察でございますが、そこに載っておるのは初め二種類か三種類と思いますので、そこに関連性があったか、特にその本がよかったか、あるいはそれ以外に原因があったかどうかということは、それから類推する以外に仕方がありませんので、見聞していましても、それは申し上げられません。
○神田(大)委員 われわれの調べによりますと、福島県の教育委員会で最初取り上げた会社は、二葉、東京、学図の三社、ところが、途中でもって中校図書を抜かして日本書籍を入れかえたというようなことであって、これに対しましては、教育委員の有力な人がこの日本書籍のいわゆる駐在員というかそういうものになっておって、また学図の駐在員も教育委員の有力者であるというように、教育委員会が末端の学校の意思を無視して、こういうボス的な取引によってこれらの特定な会社が選定された、あるいは特定な教科書が選定されているとわれわれは思っておりますけれども、今問題になっております一府県で教科書を統一するというようなことが今後ありますと、いわゆる教育委員会が中心となってこういうことを選定する、あるいはそのほかの一府県の何かの団体がこの選定採択の衝に当るというようなことになりますと、末端の学校の先生の意思を無視したこういうボス的な取引によって、一部の業者と結託してこの福島県のようなことが全国随所にできるというようにわれわれは考えるのでございますが、証人はそういうようにお考えになりませんか。
○由井証人 仰せの通り、非常におそろしい結果が招来されると存じます。
○神田(大)委員 証人もそういうように考えられるということになりますと、一府県きまった教科書に限定するというようなことを避けるために、現在の検定制度において、自由な立場で——証人も言われました通り、いろいろな宣伝経費というようなものをかけないで会社はいい教科書を作ることに専念できる、しかも、販売というようなことに対しましては、いい教科書が必然的に売れるというような、こういう制度を早く確立したいと思うのでございますが、現在においてはそのようなことはなされずに、各出版会社は競って宣伝費を支出し、供応買収を行い、あるいは講習会、あるいは会社の見学等、いろいろの名目を着せて情実による教科書の販売戦をやっておりますが、こういうことは、錦会の代表として、あなたは業者の一人として、今日教科書をこのように混乱に陥れました責任の一半を負うべきであろうと思うのでありますが、それに対しまして、あなたはどのような御見解を持っておりますか、最後にお尋ねいたします。
○由井証人 業者の一人として、今日この問題がここまで発展してきたことに対しては、まことに申しわけないと思っております。戦後検定教科書制度がしかれて八年、この辺で法律的な十分りっぱな根拠を持って、それに基き、教科書協会も、またこれに所属する会員、また錦会においては一そう自粛自戒して、教科書発行元としての責任を果したいと存じております。
○高木委員長代理 濱野清吾君。
○濱野委員 簡単に二、三の点をお答え願いたいと思います。私はむしろ証人にお尋ねすることが適当なる証言を得られるものと思いましてお尋ねするのでありまするから、どうぞ明確にお答えを願いたいと思います。 証人は、先ほど、日本の教科書は高いものではないという証言をされた。そうしてまた、むだを排除するならば相当の価格の低下が期待できるだろう、こういうことを証言された。そこで私はお尋ねするのでありますが、先ほど同僚の松岡委員の質問に対するお答えのうちに、倫理要綱の確立された条項にのっとった教科書協会の宣伝活動、それに関連して宣伝費は一〇%くらいはかかっているであろう、こういうようなお言葉でした。私はあなたから聞くのが最も正しい見解が得られると思いますからお尋ねするのでありますが、倫理要綱の線に沿って宣伝活動をしておるが、その宣伝活動の実際は業者の帳簿にどの程度のものが宣伝活動費として、しかも間接費として上げられておるのか、会社経営の間接費として宣伝費費目の中に上っているのか、——先ほどの証人のお答えだと、たとえば講習会、献本、目録、それらは宣伝費に上っている。そのほかに、実際の事業の運営上、あるいは倫理要綱と対比して、ただいまの三つのほかにどれが宣伝費として会社の会計帳簿に載っておるか、これを一つ明確にお答えを願いたいと思います。
○由井証人 今のお尋ねは、直接の宣伝費の中に接待費がどの程度に含まれるかということでございますが、これは実際において会社によってまちまちであると存じます。ちょうど今申し上げましたようなことで、錦会の会員の中にはことし初めて出したところもございまして、先生方などはまだ知らないところもありましょうし、こちらから働きかけないところもありましょう。また、私の社におきましては、先ほど申し上げましたように、こちらから求めなくとも、先生が来て、そうしてその際食事どきなどには簡単な全く弁当程度のものを差し上げた事実もございます。しかし、その費用は全く微微たるもので、私らの会社は錦会としては大きい方でございますが、一日に一人あるか二人あるかというくらいで、時に書店が児童図書を見たいといって連れてくる場合もありますが、そういう場合、考えようによっては、別に教科書には全然関係がないとも言えるし、あるいはまた、これは雑誌、書籍を通して教科書の力にも関係があるからということで、先ほども申し上げましたように、先生が来たのは一応全部教科書の方の直接宣伝費の中に計算しております。
○濱野委員 あなたの会社のことばかりをお尋ねしているのではございません。あなたは、先ほど、松岡委員の尋問に対して、自分の方でも皆無とは言えない、こういうお答えをしておられますが、私は、あなたが教科書協会の改革を望むお一人ですから、あなたから証言をいただくことが最も適切な証言であると考えてお尋ねをするのであります。 こまかくお尋ねしましょう。採択のために駐在員を出張させると見る、その場合は宣伝費の中に含まれるものと普通は思うが、これをどうお思いになりますか。
○由井証人 お答えいたします。これは宣伝費、販売費を含めて、さらに大きくは宣伝費の項目になりますから、仰せの通りこれは宣伝費でございます。
○濱野委員 先ほど松岡委員の尋問のときに、講習会も宣伝費の中に入るとお答えになっておりますが、そういう意味では研究会も宣伝費の中に実質的には入ると思うのでありますが、この点、どうお思いになりますか。
○由井証人 これは、純粋の意味においては、新指導要領などの説明を聞きたいということで、一切向うの費用で、講師だけ派遣してくれというような場合には、会社の費用にはならないかもしれませんが、しかし、今おっしゃったように、えてしてこれは結びつく危険性がございますから、一切そういうことはないというふうに存じております。
○濱野委員 ないかあるかを証言を求めておるのではありません。採択面に関係があると事実上は見ておるのでありまして、その点を聞いておるのであります。
○由井証人 影響ありと存じます。
○濱野委員 指導書のごときも宣伝費と言える、こうおっしゃいましたが、その通りでございますか。
○由井証人 これは項目では宣伝費でございますけれども、先生はそれがなかったら実際に教科書の取扱いの上で生徒に対する説明などに不便でありますので、同じ宣伝費でもこれは別であると思います。なお、これは定価をつけて売るのが正しいのではないかと存じます。
○濱野委員 定価をつけて売るのが正しい意味だと私どもも考えておりますが、実際は協会では売っておらぬのですか。お答え願います。
○由井証人 売っておるところもあるかもしれませんが、まず大かたは売っておりません。
○濱野委員 そのほかに証人が宣伝費として帳簿に書き上げられる名目のものが何かありましたならば、お答えを願います。
○由井証人 結局、そうした展示見本なり献本なり、それを送る諸費用なども当然大ワクの宣伝費の中に含まれております。今内容見本なんかはお含みになっておったかどうか存じませんけれども、内容見本あるいは新聞広告、あるいは業界誌、そうしたものも宣伝費の中に当然含まれます。
○濱野委員 この機会に委員長に要求しておきますが、証人が申されているように、前の証人も、宣伝費は一三%くらいの比率を占めておる、こういうことで、大体間違いないと思うのです。そこで、各会社の宣伝費を資料として取っていただいて、委員会に提出願いたいと思います。
○高木委員長代理 その件は、いずれ理事会に諮ってその手続をとりたいと思います。
○濱野委員 そこで、業界においては、二億数千万冊が大体販売されておる。五十円にいたしましても、百億以上の金になる。しかもその宣伝費が一三%になるということは、これはどう考えてもわれわれとしては何とかしなければならぬ問題であると考えているわけであります。そこで、証人にさらにもう一つお尋ねしておきますが、取次販売手数料一六%、先ほど高津君のお話では、日教販のごときはその上に三%ないし四%を出しているというのですが、業者の立場から見て、この販売網を何とか合理的に解決する御意見がありましたならば、お述べを願いたいと思います。
○由井証人 発行元からいたしますれば、配給のための費用はなるべく少くて済ませたいというのが一般の念願でございます。今日まで、いわゆる雑誌、書籍、教科書を含めての出版物の販売手数料といいましょうか、最も迅速に、しかも確実に配給する組織としては、日教販、特約供給所、その下に取次店、どうもこの組織をくずすわけにはいかないのじゃないか。錦会以外の大どころは、日教販に入れず、直接特約供給所に入れております。その手数料はどういう方法で処分するかということになりますが、汽車発送なら、みずからその発送手続をとらなければなりませんので、これまた、日教販におけるような費用は実際にはかからないかもしれませんけれども、それ相当にかかっておる。日教販としてはまたそれだけの設備を要し、人員を要し、あるいは今日節約する余地があるかもしれませんけれども、現状としては一応承認せざるを得ない実情でございます。
○濱野委員 もう一点お尋ねいたします。証人は先ほど学生協のことについて述べたようであります。佐賀県の学生協、今日ではお説のように会社になっているそうであります。この会社の株主は教職員であって、この会社の枢要なる地位を占めております幹部がやはり教職員である。このつながりにおいて採択に影響なしという先ほどのあなたのお言葉は、あれは間違いございませんか。
○由井証人 この問題は、実際において、佐賀県においては、錦会の全体はわかりませんが、学生協の占めるパーセンテージが相当多いことは事実でございます。しかし、そのために私の会社のものがその方面に数が少いからといっても、これは一概に学生協のために抑えられていると言うわけにもいかないのじゃないか。あるいはそういう事実があるかもしれませんが、そこまで研究をいたしておりません。
○濱野委員 福島県下における教育委員会の採択は将来ゆゆしき問題だと思うとあなたは仰せられている。ところが、あなたの取引している佐賀の特約会社については少しも懸念なしというお答えでございますが、これは矛盾はございませんか。
○由井証人 佐賀の新しい学生協を中心にする会社が、採択に現実にもし非常なえこひいきがあるということでございますれば、これは影響があると存じますが、その事実をはっきりまだつかんでおりませんので、お答えすることができません。
○濱野委員 昭和二十八年に公取委で公聴会を開いて、そして改組をしたが、それは法律の形の上においてのみの改組であって、実質的には動いていない。この事実をあなた方がお聞きになっており、まだ知らぬはずがないと思いますが、これでもあなた方は影響ないと言われますか。
○由井証人 影響ないこともないと存じますが、はっきりこれこれの採択に影響したという事実をつかんでおりませんので、ここでは私は何ともお答えすることができないのであります。
○濱野委員 あなたが取引をなさっておって、しかも計数的にこれは多くなっているのですが、業者として事実を知らぬことはないでありましょうし、錦会の会長としても、会員の利害関係に影響のあることですから、無関心でいられないと思います。しかし、証人は言わないようでありますから、私はこれ以上しいてお答えを求めません。しかし、大きな影響があることはお認め願った方が、業者のためにも国のためにもよろしいと思います。
○高木委員長代理 大西正道君。
○大西委員 初めにお伺いいたしますが、あなた方の錦会というのは、教科書プロパーとしては中小企業、他に出版物を出して、教科書はスペアとしてやっておられる方があります。そういう一つの団体でありますが、こういうふうな企業は、教科書行政全般の上から見て私はいろいろな面から検討いたしましてあまり好ましくないものだと考えるのでありますが、あなたはこの点についてどういうふうに考えますか。
○由井証人 錦会そのものにつきましては、教科書協会に所属いたしております。そうして供給を日教販に依頼する会社の集まりで、全くの懇親団体でございまして、これは今日の教科書協会の行動を少しも規制するのではございませず、さればといって、教科書協会がいろいろと行動することを指をくわえて見ているということにもなりませんので、そこでは、ここに書いてありましたように、研究とか、あるいは今後のたとえば教科書協会の理事会社、そういうものの実際の行き方などについて自由に話し合う、こういうことは一向に差しつかえなく、しかもそれが業界の健全なる発展のためならば、錦会の存在理由は十分あると考えます。
○大西委員 私の言っているのは、錦会そのものというのではなしに、錦会に集まっているような小さな発行業者、あるいは他には大きな出版をやっているけれども、教科書としては非常に数量の少いような企業は、今の教科書行政全般の上から見ると、いろいろな意味で好ましくない問題がたくさんあると思うが、あなたの見解はどうかと言っているんです。
○由井証人 失礼いたしました。この点につきましては、錦会の会員は、なるほど発行部数も少く、その会社組織も小さいかもしれませんけれども、一つの特殊な発行をいたしているのが多うございます。一例を申し上げますならば、地図帳とか、あるいは図工とか、あるいは音楽とか、職業家庭科とか、あるいは高等学校へいくと、おのおの歴史専門店あるいは理科専門店、こう分れておりますので、形は小さくございますけれども、教科書を発行するという熱意と努力というものは、たまたま大きい会社のそれに遜色があるとも思われませんし、むしろ、こういう民主主義の時代において、検定制が施行せられておる限り、志のある者がよいものを作るために努力していこう、そうして同志相寄ってそこにたまたま錦会というものが懇親団体として生まれたのでございますけれども、建前からいたしますならば、教科書行政上、こういう小さいものが出版の自由に基いて一番よいと信ずる専門書といいましょうか、専門店にふさわしい教科書を手がけるということは不自然ではなく、むしろ今日出版・言論の自由の時代においては、こういう志のある者はやはり一応育成していっていただくことがよいのではないか、むしろそれを作ること以外のところに今日の教科書の問題が伏在しておるのではないか、私はこう存じております。
○大西委員 あなたの話では、この中小の発行業者はすべて特殊な、たとえば地図帳とか図工とか音楽とか、——私は音楽は特殊なものとは存じませんが、あなたは特殊なものだ、こういうように言っておりますが、私は必ずしもそうじゃないと考える。これがあなたのところに集まって、全部こういう特殊なものばかり出しておると言いますが、この点はそうじゃないでしょう。
○由井証人 さようでございます。
○大西委員 特殊な面について一応の積極的な意味があるといたしましても、たとえばこういうところはどうですか。これはあなたのところに所属しておるのかどうか知りませんが、お聞きします。自由書院、日本図書出版社、新紀元社、フェニックス書院、こういうものはあなたの錦会に参加しておる会社ですか。
○由井証人 御指摘の会社は錦会の会員の中にございます。
○大西委員 これがどういうことをやったかとか、どういう存在であるとかいうことをこの席で言うことは、販売政策その他にいろいろ影響があるから、私は申しませんが、私が今例をあげたこの四つの出版社、発行業者だけを見ましても、あなたの言われるような積極的な教科書の出版に意味を持っておるものばかりでありましょうか。たとえば、私はあえて一例を申しまするが、フェニックス書院というような出版業者が、教科書問題について今どういう経営内容にあるか、あなたは御存じですか。御存じないことはないと思うのですが、いかがです。
○由井証人 経営内容についてはわかりませんが、たまたま今度の教科書目録、錦会関係の目録を見ましたところ、ことしは発行種目に加わっておりません。どうしたことかと、実は私は心配いたしておるのであります。
○大西委員 そうしますと、昨年までは教科書を出しておったが、途中で経営がよくなくなって、採択数が少くなったとかいろいろな理由でもってつぶれる、こういうことは小さな会社には往々にしてありますね。私はそういうことを言っておるのです。この小さな業者においてはこういうことが非常に多いのじゃありませんですか。そういうことを認めませんか。こういうことを私は一々例をあげますとかなりありますけれども、これは私は非常に重大な問題だと考えておるのです。
○由井証人 御指摘のように、今日の教科書発行については非常に困難が伴っております。しかし、これのいわゆる興亡といいましょうか、存廃は、この業界におきましても当然行われるところでございますが、しかし、その中におきましても、やはり最善の努力をいたし、そうしていわゆるものそれ自体いい教科を作るということに専念する、そういう意図がございます場合には、それが少くともこの事業を続けていかれるような方式と運営でありたい。今の御指摘のところも、努力はしておったのでございましょうが、先般来お話しのような、作ること以外の、いわゆる売り込みその他の方法で敗れておったのかも存じませんので、いろいろ理由はございましょうけれども、私が今申し上げましたようないいものを作るということに専念しておればとにかくこの事業は続けていかれるというような状態でありたい、こう考えておる次第であります。
○大西委員 なお、こういう発行業者は、私は文部省の検定の仕事もやっておったのでよくわかるのでありますが、会社の所在が転々と変るのですね。そうして、文部省から連絡をいたしましても、前にいたところからどこかへ行ってしまって、おらぬというので検定その他の文部省との連絡事務なんかの上にも非常に渋滞しておるということを私は研究の結果発見いたしておるのであります。こういうことを考えますと、あなたは中小発行業者の積極的な意義を言われましたけれども、私は、総体的に見て、こういう教科書というような公共性のあるものは、何でもかんでも出版の自由というような名のもとに発行を許して、そうしてそれがよろしいというふうには考えられないのです。この点は、あなたも私がこういう具体的な例をあげますと若干納得されたようでありますが、そういう点については私の見解に御同意なさいますか。
○由井証人 それは、文部省で著作権を持っておる教科書に対して文部省は資格審査をいたすのでございますけれども、今の検定制の教科書に対しては資格審査ということはありませんが、今の御質問のように非常に不誠意な、また実際に誠意を持って教科書発行に当らないような会社がタッチしておることは、これは私は罪悪ではないかと信じております。それをなくする方向に資格審査というようなことが一つの新しい方向してできれば別問題であります。
○大西委員 それから、もう一つは、この中小企業は価格の面でやはり高くつくのではないか。価格の基準は文部省できめておりますけれども、私はこういうことを思うのです。あなた方の方は大出版社と違って駐在員その他の光り込みをやらぬからというようなことを言っておられるのですが、私はこの点はあなた方のやり方についてはけっこうだと思うのですが、しかし、こういうことがありはしませんですか。教科書プロパーの小さなところは、これは能力がないのです。ところが、他にたくさんの出版物を出して、特に教育関係でワーク・ブックとかトラ巻とかいろいろなものを出しておるところが、その補助と申しますか、並行的に教科書をやっておるものがあります。こういうところでは、教科書プロパーの発行会社とは違って、これは教科書の宣伝の売り込みのための費用だとかいうようなことをやっておらぬけれども、ほかの発行のものを売り込むということに手をかえて、やはり教科書を間接的に売り込んでおるのではないかと私は思うのであります。この点は、事実はあろうと思いますが、これは事実があったらあったとおっしゃっていただきたい。こういうことは当然あると私は思うが、どうですか。
○由井証人 お説の通り、あるかもしれませんが、これをさてどこがやっておるかということになりますと、私直接その名をあげることができないことを御了承願います。
○大西委員 これは一つの新しい問題でありまして、われわれは教科書だけを対象にして表面的に現われたものだけを追及いたしておりますけれども、隠れたところの売り込みが、やはりこういうふうな両方発行してやっているようなところにはあるということを私どもは考えておる。こういう点から見ましても、私の申しまする、こういう企業では教科書行政の上からも決しておもしろくない面が払拭されていないと思うのです。 それから、私はもう一つあなたに見解を承わりたいのでありますが、あなたの方の会に集まっているような小さな出版社では、音楽なら小学校の全学年から中学と、こういうふうに全学年を通じてやっているというのがどのくらいありまして、それから、一年と二年とをやっているとか、五年をやっているとか、中学の二年をやっているとか、こういうふうにぼつぼつと飛んでいるのがどのくらいの比率になっておりますか。大体でよろしい。
○由井証人 質問の意味がはっきりわかりませんが……。
○大西委員 わからなかったら言いましょう。——わからないで答えてもらったら困るから。教科書の教育的な見地から申しますと、やはり一年、二年、三年、四年、五年、六年、さらに中学校へと、一つの縦の一貫した系統がなければ、教育的な効果はありませんね。さらにまた、算数なら算数、それから社会というふうな、こういう横の調和も保たなければならぬでありましよう。こういう意味から申しまして、売り込みに関するスキャンダルとかその他の問題を一応除外いたしまして、教科書自体といたしましては、私は、大企業すなわち一つの発行所でなるべく多数の統一した関連性のある出版をすることが原則的には望ましいと思っているのです。こういう点から見ますと、今の、どういう名前で寄ったらいいですか、中小発行所と言いましょうか、そういうところは、その一貫した検定に合格したところの教科書を備えておらぬと私は思う。そこのところを、概略でよろしいから、たとえば、小学校なら一年から六年まで通じて出版しているものがどのくらい、それから、ぼつぼつと飛んでやっているのがどのくらいになっているのか、ちょっと聞きたい。
○由井証人 私の知るところにおきましては、そうぼつぼつとやるようなところは一社もございませんし、また実際商売としても成り立たないと存じます。
○高木委員長代理 大西君に申し上げますが、時間が相当経過していますから、簡略にお願いいたしたい。
○大西委員 しかし、あなたの今言っておられるのは非常に事実に即していないのじゃないか。それは、一応は全部、一年から六年まで、中学の一年から三年まで検定には出しますよ。しかし、なかなか検定が思ったようにいきませんからね。穴があいているような場合がありますね。そういうふうなことを考えますと、あなたの言うように、穴があいているのは一社もないというのは、少しこれはおかしいじゃないかと思うのですが、どうですか。何か資料はありませんか。
○由井証人 寡聞にして、そういうあれを聞きません。おそらく全部通らないものは文部省の目録に載せてもナンセンスだと存じます。
○大西委員 これは、事実がないので、あなたも私の言うことも根拠がありませんが、そういうことを言われましても、今の私の頭にあるところでは、飛んでおるのはありますよ。回を重ねるごとになるべくそれを補うようにいろいろ努力をいたしておりますけれども、まだ私はあると思う。それがこういうふうな中小の企業では特に私は多いと思う。教育上どうも私はおもしろくない。どうしてもこういうものは縦の関連も横の連絡も、やはり大企業でなければ十分に教科書の検定の意味はなさぬ、真価が発揮できぬと考える。私は資料を持っておらぬから、これに対してこうだといってあなたに言うわけにはいかぬけれども、あなたはそうじゃないと言われるのだけれども、これは後ほど調べてみますが、私はそうだと思う。こういう意味で、あなたのところに集まっているような、あるいはあなたのところに入っていないのもありますが、こういう小さな発行業者、さらに他の出版と並列的にやっておるような出版業者は、教科書行政上幾多の障害が出てくる、私はこういうふうに考えるのでありますが、結論的にあなたはそういうことを認めますか。
○由井証人 これは、会社の規模が大きいから検定にパスするとかいうものではない、ものそれ自体がよければ文部省は検定をパスさしていく、もし途中で二年なり三年なり抜けてしまったというものは、採択側で採択しっこはありませんし、目録に載せる価値はないのではないかと私は思います。私も全部調べたわけではありませんが、そう考えておりますので、会社が小会社だからといっても、検定にパスしたものは大きなところのものと全然遜色なく資格を得たものと存じております。
○大西委員 これは、私の方にも資料が今手元にないから、押し問答になります。しかし、私が四社ほど名前をあげましたが、こういう面からの欠陥はあなたは認めておられるようですね。それについて何らかの基準が示されればけっこうだ、こういう御見解のように聞きましたが、その通りですね。
○由井証人 その通りでございます。
○高木委員長代理 由井証人に対する尋問はこれで終了しました。 証人には御苦労さんでした。 午後は二時半より再開し、証人芳根次朗君より証言を求めることにいたします。 暫時休憩いたします。 午後一時三十九分休憩 ————◇————— 午後二時五十二分開議
○高木委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際御報告申し上げます。篠田委員長は健康を害されておりますので、私が委員長の職務を行いますので、さよう御了承願います。 それでは、直らに証人より証言を求めることといたします。 ただいまお見えになっておられる方は芳根次朗さんですね。
○芳根証人 はい。
○高木委員長代理 この際証人に一言申し上げます。現在わが国において、小中学校における教科書は多種多様にわたり、大小出版業者が乱立の結果、これが検定並びに採択等に関しとかくの風評が生まれ、これが学童並びに父兄に及ぼす影響等を懸念し、世上大いに関心を抱いておる向きがありますので、義務教育の本旨にかんがみ、これが真相を明らかにすることはきわめて意義あることと考え、本委員会は本件の調査に着手した次第であります。証人におかれては率直なる証言をお願いします。 証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証書を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。 では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。 宣誓書の御朗読を願います。 〔証人芳根次朗君朗読〕 宣誓書 良心に従って、真実を述べ、何事も、かくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
○高木委員長代理 それでは、宣誓書に署名捺印して下さい。 〔証人宣誓書に署名捺印〕
○高木委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなさるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときにおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。なお、暑い折柄でもありますから、上着をとって証言なされてけっこうでございます。 証人の経歴の概要をお述べになって下さい。
○芳根証人 住所、東京都品川区平塚六丁目九百八十二番地、芳根次朗、明治三十年七月二十九日生、五十八才、大正二年三月府立延山実業学校卒業、大正九年五月茨城県霞ケ浦において緬羊牧場経営、大正十三年四月現住所において大平堂書店創設、昭和二十三年五月文部省教科用図書第三専門委員に嘱託、昭和二十四年七月日本教科図書販売株式会社監査役就任、昭和二十五年三月東京南部教科書供給株式会社社長就任、昭和二十七年五月教科書供給協議会全国連合会幹事就任、昭和二十九年十二月東京教科書小売業協同組合理事長就任、以上であります。
○高木委員長代理 教科書供給協議会全国連合会の概要について、お知りになっておりましたら、お述べになっていただきます。
○芳根証人 資料を見せていただいてよろしゅうございますか。
○高木委員長代理 よろしゅうございます。
○芳根証人 お答えいたします。全国にある会社または協同組合組織の供給所が六十団体で組織されております。役員構成は、二十五名の代議員があり、その中より幹事十五名、正副幹事長が選ばれ、なお役員中より連絡委員、情報委員、業務改善委員の三つの委員会が組織されております。その下に、末端まで供給する小売取次店が約五千軒あります。以上が組織の概要であります。
○高木委員長代理 そこで、教科書供給機構の概要について、おわかりでしたら、お述べになって下さい。
○芳根証人 協議会の会員は、会費として、取扱い教科書一冊当り七厘を醵出することになっております。年間約百五十万円の予算内で運営しております。その仕事の概要を申し上げますと、各専門委員が供給の完全を期するため、教科書協会または発行会社との連絡、各特約供給所相互の教科書の過不足の調整、小売店の営業の基本方針の取り定め、風水害、火災等教科書の被害調査並びに教科書の調整連絡等、その業務の内容であります。なお神田駿河台に事務所を借り受け、二名の職員がおります。
○高木委員長代理 特約供給所、取次供給所並びに配送会社の業務について、お知りになっておったらこれを述べていただくと同時に、その供給手数料等についてもお話しになっていただきたいと思います。
○芳根証人 現在教科書の発行会社が約九十六と記憶しております。特約供給所が六十ございます。そのほかに、大取次と申しますか、これが日教販、中央社、教科書販売会社と、大きいのが三つございます。あとはその下に取次店が約五千軒ございます。マージンと申しますと、大体われわれの特約所としましては四%のマージンでございます。小売店が一割、一二%のマージンでございます。あと、大取次の方は、いろいろあると思いますが、大体六%から七%くらいではないかと思います。
○高木委員長代理 発行会社から補給利子を受けているそうだが、その事情がおわかりでしたら、説明していただきたい。
○芳根証人 発行会社から教科書代として利子は受けております。これは少し意見が入りましてよろしゅうございましょうか。
○高木委員長代理 よろしゅうございます。
○芳根証人 この教科書代の前払いに対しましては、補給利子は、他の会社のことはよくわかりませんが、およそ大部分受け取っておるのではないかと思います。そこで、この利子につきましては、非常に早く、まだものができないうち、またものができましても売れないときに来る場合が多いのでございます。そういうためにこの補給利子というものを受け取るわけでありますが、結局、われわれの方としては、その利子に——融資でございますが、元来取次店がこの融資をすべきでありますけれども、現在の取次店としましてはまことに零細な取次店が多いので、それができないわけでございます。従って、われわれが代行しまして、金融機関から金を借り受けて、発行所へ、また大取次へ支払うわけであります。従って、そういうことで利子を受け取っております。
○高木委員長代理 特約供給所が一県を独占している場合、サービスの低下、供給上の支障が起りがちだといわれているが、その実情についてはどうですか。
○芳根証人 一県に一つの場合、そういうような独占的な形でそれが不便だというようなことは聞いておりません。
○高木委員長代理 供給上の支障など起りませんか。
○芳根証人 供給上の支障は、一つであるから起きるというようなことは今まで聞いたこともないし、またわれわれとしてもそういうようなことはございません。
○高木委員長代理 特約供給所のうち学校生活協同組合より出発したものがあるが、この沿革、所在地、現在の組織等について、お知りになっていたら説明していただきたい。
○芳根証人 東京にはそういう学校生活協同組合というものがないので、よくわかりませんが、たしか佐賀、福岡にはあるようには考えておりますが、あまり詳しいことはわかりません。
○高木委員長代理 簡単でもいいから、わかる範囲において説明願えませんか。
○芳根証人 ただ、供給上につきまして非常に混乱を来たしておるというようなことは聞いております。これにつきましては、現在一つであった場合には、われわれは全部のものを扱いますので、そういった点には一つも支障はないのでありますが、従来一つあるところへ、また二つのものができたために、いろいろ採択面や何かにこれが関連した場合も相当あるように考えております。従って、そういうようなことから相当混乱を来たしたように聞いております。
○高木委員長代理 学生協系の特約供給所は教科書の採択の面に影響を与えているという世間のうわさがありますが、それについて知る限りをお話し願います。
○芳根証人 学生協が教科書販売についていろいろ問題を起しておることは周知の事実だと思うのでありますが、検定制度以来いろいろ問題になっておることは選択または採択の権限を持っているものが販売をする場合には不公正採択の原因になるように思われるわけであります。従って、ことに少数発行会社の教科書を扱う場合にさらにいろいろな弊害も生ずるのではないか、これは検定制度の最も重要な趣旨に反するものだと思うのであります。文部次次官通達にも「学校生活協同組合が、教科書の供給業務に従事することも好ましくない」と言われている通り、私もそういうふうに思います。
○高木委員長代理 ただいまお述べになった内容を具体的に説明できませんか。
○芳根証人 具体的にと申しますと、あまりこまかい資料がないので、よくわかりません。
○高木委員長代理 要するに、採択面に影響のあった事実の具体的事実はわかりませんか。
○芳根証人 よくわかりませんが、少し記憶があるので、佐賀県の場合を申し上げます。最初の採択は至って少いのでありますが、だんだん月を経るに従って多くなっていくということがはっきりしておるようでございます。たとえば、佐賀県の場合、二十九年には小学校の採択が百二十万四千三百十九冊しかなかったものが、三十年現在では百二十七万七千三百八十七冊というようなことになっております。あとこまかいことはちょっとわかりかねます。
○高木委員長代理 それでは、その点はその程度にして、特約供給所の中に特定の教科書発行会社の依頼を受けて教科書の振り込みをはかっているがごときうわさがあるが、かかる事実はあるでしょうか。あるといたしますれば、その実情を詳細にお述べになっていただきます。
○芳根証人 そういううわさを聞きますが、そういうようなこまかいことはよくわかりません。
○高木委員長代理 どういううわさですか。
○芳根証人 何か懇談会や何かのときにわれわれはそういうようなことを時折聞きますが、あまりこまかい具体的なことはわかりません。
○高木委員長代理 児童が転校したような場合に教科書がなかなか手に入らないという非難が世の中にありますが、その原因はどういうことからそういうことになるとお思いになりますか。
○芳根証人 供給の問題につきましては、供給の完全を期するためには、発行所はもちろんわれわれ特約取次店は全力をあげてこれに当っておるのでありますが、児童の手に入るのがおくれたということは聞きますが、全然入らないというようなことはあまり聞いたことがないのでありまして、ことに特約所としては調節に何冊か始終置いてあるのでありますが、ことに東京の場合は非常に転入生が多いので、一つの例を申し上げますと、最近上目黒の烏森小学校では一瞬に八十名ほどの転入生があって、その転入率が二〇%をこえるというような学年も相当あるわけであります。その他大都市におきましては、アパートとか、あるいはそういうような大きなものができますと、一時に百世帯近くの者が入ってくるわけであります。それで、ことに通学地区の変更の場合にはほんとうに大きくこの不足が出てくるわけです。たとえば、三つの学校が一つに寄った場合には、結局その三分の二、——六六%というものは本が足らなくなるわけでございますが、そういうような場合にはどうしても本が足らなくなるわけです。これは、発行所に二%や三%のものがとってあっても、一個所で六〇%以上のものが不足してくるわけですから、そういう場合にはなかなかすぐと間に合わない場合もあると思いますが、一般にそう不足になっているということはないのではないか、こういうように私は考えております。
○高木委員長代理 取次供給所がどれくらいの学校を事実上受け持っているか、数十学校も受け持っておったら、供給上の支障は起きないであろうかどうか、この点についてのあなたの経験からする御意見を述べていただきたい。
○芳根証人 これはその人の力と場所によることだと思います。東京都内の場合と地方の場合とはまた相当違うのでありますが、ただ、地方に参りますと、山間僻地と申しますか、そういうところに行った場合には、全く容易に供給ができないわけなんです。そこで、供給能力のあるものにできるだけやってもらう。従って、やはり便利なところもその人がやるので、従って大量な学校を持つ場合もありますが、人によっては、三十校持っても四十校持っても一つも支障がこない、むしろその方がかえって供給が完全にできるというような場合もあると思います。それからまた、一校であっても、実際的に力のないものは、教科書の置き場もないというような場合には一校でもやれないという人も相当あると思います。従来そういうようなことも相当ありましたので、現在でも、大都会といわず地方といわず、やはりそういうようなことがあると思います。
○高木委員長代理 ただいま証人の言葉の中に、力のないという言葉で場所の狭いということを言っておりましたが、力のないという表現の内容はどういうことですか。
○芳根証人 これはいろいろありますが、経済能力も入りますし、また店の設備とか学力の点、こういうようなものを私は力と申し上げたわけですが、職員がないのに、大量の学校は、——一校でも容易でありませんが、十人、十五人の職員を使っているところは、二十校あっても三十校あっても完全に供給しておる例は相当あるわけでございます。
○高木委員長代理 次に、三十年度の教科書の中に、製本が悪い教科書があって、ばらばらになって使用にたえないというようなものが相当数出たといわれているが、かかる事実がありましたらば、その実情を一つお話し願います。
○芳根証人 これは、地方または他地区のことはよくわかりません。私の供給地区にあったことを申し上げたいと思いますが、名前ははっきり覚えていないのですが、たしか三校ほど私の供給地区内製本の悪いのが出たわけですが、直らに全部とりかえました。
○高木委員長代理 いま少し具体的にその内容をお話しできませんか。
○芳根証人 具体的にと申しますと、製本の工合……。(高津委員「忘れているはずはないよ。学校の名前、冊数」と呼ぶ)学校は調布第一小学校が一カ所、それから目黒にもう一カ所私の方の管轄であったわけですが、その名前を思い出せませんが、数量はたしか調布が二百六十何冊か、目黒の方が百何十冊とかと思います。はっきり数字は覚えておりません。
○高木委員長代理 発行会社等はわかりませんか。
○芳根証人 発行会社は、製本の悪いのは学校図書さんの……。
○高木委員長代理 そういう点に触れて、こまかく説明していただきます。
○芳根証人 調布の第一小学校の方は直接私の方にあとで話があって調べに行ったわけなんですが、目黒の方の学校は取次店の方から話があったわけですが、無線とじののりがついてなかったというようなことで、ばらばらといいますか、上からとれるというようなことがありました。あとこまかいことは、ちょっと私わかりません。
○高木委員長代理 証人に申し上げますが、この点は重要な点であるので、あなたの立場からしても責任を感じている点だと思うのであります。それゆえに、発行会社とか、その教科書の内容とか、数とか、どこの学校にどういう状態であったとかいうようなことは、少くとも事前に知らなくても事後にははっきりと調べてあると思うのですが、その点、どうなのですか。
○芳根証人 事務の方では全部わかっておるわけでございます。今その資料はここに来ておりませんので、はっきりとただいま申し上げることができないわけでございます。
○高木委員長代理 取次供給所の中に手数料の一部を学校にいわゆるリベートとして差し上げているようなところがあると聞いておりますが、そういう事実はありますか。
○芳根証人 取次店の会合のときにそういうことを聞きますが、具体的な何はわかりません。
○高木委員長代理 証人は、抽象的なことは言われるが、具体的なことはほとんどわかってないようですが、多少はわかっているんじゃないですか。わかっているとすれば、具体的事実を述べていただきたいと思うが、いかがです。
○芳根証人 たとえばそういう話を聞きましても、われわれ調べる権能がありませんので、それをはっきり証言する証拠というものをつかむことはなかなかできないわけであります。そこで、ただいま申し上げました通り、はっきりしたことはわかりかねるわけなのでございます。
○高木委員長代理 ワーク・ブックはどういう方法で販売されておるか、取次供給所を通さずに直接売り込む場合等は相当悪質の売り込みが行われているといううわさがあるがかかる事実について御承知のところがあったら、お話し下さい。
○芳根証人 ワーク・ブックにつきましては、発行所が直接やるようなものもあると思います。しかし、一番多いのは、発行所が、外交員と申しますか、そういうものを使って、学校に直接売っているものが非常に多いように思うのです。値引き等の問題も、そういうものはわれわれの方、業者にはほとんどよこさないで、そしてわれわれの方ではかつぎ屋と言っておりますが、そういうのがしっかりと話し合っておりますのか、なかなかその内容がわからないわけです。われわれが行っても品物は全然出してくれません。一定の職員がやっておりますので、その点はわかりませんが、値引き等も相当大量に引いてやっておることは、取次店の会合のときにはいつも話題になっております。
○高木委員長代理 現行の教科書制度について証人に御意見がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○芳根証人 こまかいことはわかりませんが、私はいつも、教科書が足らない、間に合わないという話を聞いておるんですが、私ども特約所としては、ほとんどどんなことがあっても一冊でもお間に合せしているつもりなんです。ところが、先ほど申し上げましたように、大量に異動があった場合に、これが全部新規になるわけです。たとえば、ここに実例を申し上げますが、新設学校が三十年度に石川台中学ができたわけですが、この学校が結局三つの学校から寄るわけでございます。そして六百二十二人あるのですが、この中の百三十四人は全部新しく買わなければならない。こういう点、何か前もって話し合いができないか。現行の取次制度で参りますと、採択のときに他の学校同士で話し合うことはできないことになっているので、結局こういうふうな結果ができてくるのじゃないか。こういうふうな学校が相当多いわけであります。ことしのだけで、私のところに新設学校ができたのが、世田谷の池尻が一カ所、世田谷の松丘小学校が一カ所、今の石川台中学、それから、もっと大きいのは大田の梅田小学校でございます。これなどは昨年の九月のできごとですが、馬込小学校と馬込第二、池上、池上第二、この四つの学校が寄ったわけですが、これは本は全部配送してあるわけです。それが、中途でもってこういうような新設学校ができたために、三百七十一人の本を新規にやらなければならない。こういう場合には、われわれ幾ら供給の方をやっておっても、これは当然足らないことになってくるわけであります。これは何とかほかに方法があるのじゃないか。ただ、足らないことは人の罪もあるかと思いますが、制度にも多少の欠陥があるのじゃないか。発行所は、御承知の通り、この七月の展示会で、おそくも大体十月には全部供給数がわかってしまうわけです。そうすると、あとからこういう学校が無数にできた場合に、これだけは足らなくなるわけです。ですから、足らないのが当りまえで、足りる力が不思議だと私思うくらいなんです。そういう点で、何とかこの制度を、そういう足らなくならないような制度にしていただきたい、かように思っております。
○高木委員長代理 委員長よりの尋問は一応終了いたしました。 この際委員諸君の発言を許しますが、これまでの通り、おおむね十五分程度にお願いいたします。なお、努めて重複を避けて尋問を願いたいのであります。山中貞則君。
○山中委員 証人にお伺いいたしますが、教科書供給協議会全国連合会を作られました時期、並びにいかなる意図、あるいはいかなる目的をもって連合会をお作りになったのか、お示しを願いたい。
○芳根証人 作りましたのは、はっきり年月は覚えておりませんが、たしか昭和二十四年だと記憶しております。その作った理由を申し上げますと、これは先ほど申し上げました通り、取次店がたくさんありますので、取次店が個々に発行所またはほかへ連絡を取るということはとうていできないので、そういうようなことを協議会でやるわけでございます。たとえば、発行所の連絡とか、いろいろ連絡関係、それから、特約に対して、相互にまたまちまちでは工合が悪いから、きめる場合も相当あるわけであります。そういうような大体の基本方針を一つ定めて、特に、風水害とか火災の場合は、やはり一つ一つでは工合が悪いので、大元の調整をやるためにそういうものを作ったわけであります。
○山中委員 あなたの教科書供給協議会全国連合会に、いわゆる新興特約といわれておりますところの学生協の変貌した特約会社は、組織の中に含まれておりますか。
○芳根証人 学生協はその組織の中に含まれておりません。
○山中委員 先ほどの委員長の尋問に対する証言によりますと、学生協の組織あるいは業務内容等について別段大した関心を持っておらないようでありますが、しかしながら、採択権を持っておる人々の直接あるいは間接の関連のある供給会社というものは、われわれの立場ではどうもおかしい、そういう点だけ表明されたようであります。ところで、私どもは、ただ単にそれだけではなくて、あなた方がこういう会をお作りにならなければならなかったゆえんのものは、国定教科書時代に特約店として割に安易な営業を教科書の関係、取次店の関係でしておられたのが、戦後になりまして新しい教科書制度になってから、いわゆる学生協を中心とするところの新しい脅威というものが、あなた方既存の業態に影をさしてきた、そこで、あなた方といたしましては、今までの営業をいかに守っていくかという点においてこういう会をお作りになったのではないかと思うわけですが、そういうことはございませんか。
○芳根証人 そういうことはございません。
○山中委員 よくわかりました。あなた方の立場から、新興特約といわれておりますところの学生協時代、あるいは学生協が公取等の勧告あるいは次官通達等によりまして、それをのがれるための株式会社制度に変貌いたしました後、すなわち現在ですが、そういう状態によりまして、あなた方の全国的な団体であります既存の特約店というものは何ら圧迫は受けておりませんか。
○芳根証人 ただいまの御質問、ちょっと私によくわかりかねるのですが、圧迫を受けるというのは、学生協に圧迫を受けるのですか、どういうのですか。
○山中委員 たとえば、学生協はあなた方とまた違った意味の全国連合会の組織を持っているわけですね。その全国連合等におきまして、いろいろといわゆる、私どもから見ました場合には、先ほどあなたが言われたような、すなわち採択の権利を持っておる人々が面接間接の権利をバックにして供給事務に携わることについての疑念が、全国体制の中において明らかに決議あるいは指示等がなされておる証拠があるのです。たとえば、学生協は発行者と交渉して取次特約にかわって契約を進め、内諾した教科書を展示会において推薦すること、こういう条項もあるのです。ということは、明らかに、展示会は教科書採択の唯一無二の場所であり、機会でありますから、その展示会に学生協が一面において持っております採択面の力というものを利用する。すなわち、これが自分たちの条件に合致する契約のできた会社の本を展示会に推薦するという形をとるわけです。そうすると、明らかに、学生協が推薦する形をとるわけでありますから、一方においてはその展示会において非常に有利な地位を、学生協に渡りをつけた会社は占めるわけなんです。従って、そういう立場における学生協組織のしっかりと広がって参りますところは佐賀県、愛媛県あるいはその他の県において指摘されるところが多いのでありますが、そういう県において、実際の学生協取扱いの教科書の冊数、それからあなた方旧来の特約店の取り扱って参ります冊数との増減が明らかにこれを示しているわけであります。従って、あなた方が全国連合会の組織を持っておられる以上は、各地からの連絡等もあるわけなのでありますし、そういう点においてあなた方が関心を持たれない、——あるいは持っておっても何らかの理由においてここではお述べになれないのかも存じませんが、私にとっては少しく合点のいかない点でありますが、いま一回御答弁願いたいと思います。
○芳根証人 この問題は、先ほども申し上げました通り、福岡秋田にもそういう何があったわけであります。ただ、われわれとしましては、学生協やその他の特定の教科書がいかに採択に関連しましても、私どもは全部の発行会社のものを扱っている関係上、採択によってこれを反駁するとかいうようなことはできないわけでございます。従って、特定の供給所あるいは学生協のあるところは、非常にその点で混乱しているわけでございます。たとえば、福岡県の供給所が三つありましたのが合併になったわけでありますが、秋田県もその通りであります。あとその他にも佐賀県とかあるいは愛媛というようなところにありますが、しかし、われわれの方としては、そういうような採択にタッチして反駁するということは現実にやっておりません。
○山中委員 福岡あたりは一本になったようにいわれるのでありますが、実際ここに二十九年三月四日、あるいは二月二十七日付のはがきがありますが、これは福岡の生活協同組合から各学校長あるいは学校の生活協同組合係等に出したはがきであります。それによると、理科研究会を文部省の講師岡現次郎という人が来てやるから出席してほしいという、いわゆる目に見えない、あなた方の一般特約供給所では持ち得ないところの組織と特殊な権力を持ってそういうふうに伸びていっているわけでありますが、そうすると、あなた方としては対抗する手段は具体的にないでしょうが、しかしながら、私どもとしては、公正取引委員会からの警告もあることであるし、そのような警告にもかかわらず会社組織として依然として行われている、そのこと自体がいいことか悪いことかについて、私どものこの委員会における見解を定めなければならない。かような意味において、あなたの御答弁をお願いしているわけですが、たとえば、あなた方の同じグループの一つでありましょうが、松山市の教科書供給業者一同が、この教科書問題について県下PTA並びに教育委員会の皆さんに訴える、こういう文書を作りまして、そしていかに学生協によって自分たちの今までの業態というものが圧迫されてきたかをグラフまでつけて明示している。その見出し等を見ますと、教員組合の別動隊である学校生活協同組合が教科書販売に乗り出してから数年を経過して逐年その取扱い数量は増加の一途をたどって参りました、この傾向が教育上最も重要である教科書の選択に当りいい結果であるか、また悪い影響を与えるか、県下の実情を訴えて、もう一度検討し、左記三、三の問題点について御批判を願う次第です、こういうことで、内容については申し上げませんが、あなた方の同業者はせっかく連合会を作っておられる。その同業者の一部の人々は、こういう業者として——このことがいいか悪いかはわれわれがきめますが、業者としての苦しみを訴えております。このはがきは学生協の攻勢の実態、攻めてくる立場、これはあなた方同業者が守る立場から悲鳴をあげているわけです。あなた方はせっかく連合会を作っておられますが、こういうことを御存じですか、御存じありませんか。
○芳根証人 私は詳しいことを知っておりません。
○山中委員 時間がありませんので、次に参ります。あなたは、現行教科書制度について賛成でございますか、あるいはこれを改革しなければならぬという意見をお持ちですか。
○芳根証人 私は現在の検定制度というものはさらに伸ばさなければいけないと思います。しかし、採択面とかいろいろな面には多少制度の改善をしなれけばならない点もあるかのように私は思っております。
○山中委員 現行教科書制度の目標といたします点は、教科書採択の自由ということであろうと思いますし、また自由の前提としていろいろな会社、いろいろな人々が自分の持っている独特の角度から教科書を作成していく、そのうちでさらにまたりっぱな本がとられていくというところにあると思うのです。現行制度に賛成するならば、これはあくまでもだれもが妨げてならない一番大切な基本の自由だと私は考えるのです。その一番の基本の教科書採択の自由を阻害している点が私はあると考えるのですが、あなたは、現行制度に賛成を表明する立場として、現行制度の最も基本である教科書採択の自由を阻害している条件はどういうところにあるか、お気づきならば証言願いたいと思います。
○芳根証人 公正な採択を阻害するというようなことを、個々にあるいは特定の供給所とか学校生活協同組合というようなものがもし採択に関連してやっているとすれば、これは一番悪いことだと思います。あと発行会社その他のこまかいことはわかりませんが、いずれにしても、公正な採択ができるような方法を講じていただけば、このままこの検定制度を伸ばすことが一番いいのではないかと思っております。
○山中委員 あなたの言われた学生協の方の採択面の権力をバックにした供給業者としての実態というものも一つの阻害面の重大なものです。それと、いま一つ、これはあなたはあまりはっきり言われませんでしたが、あなた方に直接関係があり、しかもあなた方も反省願わなければならないもう一つの面がある。それは、教科書発行会社の個々の自由な採択を妨げる不正な干渉手段というものが、いわゆる自由企業の理念をはき違えて、しかも自由企業の理念の中でも最も神聖にして良心的でなければならない教科書の発行という重大な仕事であることを忘れて、検察庁事件になったものもありますし、あるいはまた層間流布されてほとんど公的な事実とさえなっております贈賄、供応あるいは工場見学等に名をかりた先生方の教育良心を麻痺させるような行動等がいろいろあるわけです。その中で具体的にあなた方の特約店に関係のあるものとしては、たとえばワーキング・ブック等の準教科書、教科書に準ずる本等を販売するに当っては、公然の事実として、教科書会社そのものより、たとえばここに二葉株式会社の社長大野治輔名で各特約所御中として出した書類——ほかにいろいろありますが、これを一例として申し上げますと、、三十一年度の準教科書の予約注文のお願いとしていろいろ書いてありますが、学校への歩戻しは一〇%を標準とし、取次店が集金の節戻していただくようにお願いいたします、こういうふうに書いてあります。いわゆる取扱い売上高の一〇%は学校当局に返してほしいということであります。あるいは日本書籍の図画、工作の教科書発売についての二十九年一月十八日付の各特約所に対する文書にいたしましても、明瞭に、七四掛として、二六%の内訳は特約所が四%、取次店が一二%、学校が一〇%、カッコして貴所の措置による、——あなたのところで計らってくれ、こういうふうに明瞭にパーセントが書いてあります。さらにまた、二葉株式会社の文書について言いますと、特約正味六七掛として、従来は六五%でしたが、二%を所長の宣伝費として御負担願います、——いわゆる特約所に負担してくれ、本社よりも別に二%支出して所長の宣伝費に引き当てます——。というのは、前のやつはあなた方が取り扱った準教科書のうちの一〇%のものは学校側にリベートとしてお返しをしなさい、そういう条件で交渉しろということであります。それと、もう一つは、所長の宣伝費というものをあなた方から二%、それから本社から二%相当額、合計四%やることにしたから、今まで六五掛であったものが六七掛になる、御了承願いますということで、これは明瞭なのであります。でありますから、教科書の採択の自由を阻害するいま一つの、しかもあなた方に責任のある問題として、こういう問題を今までの慣行であるからといってあなた方は簡単にやっておられるが、私どもとしては、あなた方のところでの直接手数料としての四%の取り高の問題についても、あるいはまた、あなた方と密接不可分の関係において運営をされている取次供給所の一二%にしても、教科書の値段の問題について何とか努力して下げられる部面を国民のために研究しなければなりませんが、そういうマージンというものも、いま少しく長心的であるならば、父兄が支出をする場合にもっと教科書が安くなりはせぬか、こういうことを私どもとしては考えているわけです。従って教科書の採択の自由を阻害するいま一つの一因として、今私が述べました、こういう学校に売り上げた分の一〇%は返せとか、あるいは所長に二%の交際費を出せとか、あるいはすでにあなた方の不文率になっている四%の手数料等について、あなた方はどういう考えをお持ちですか。
○芳根証人 マージンにつきましては、たとえばわれわれが四分のマージンをとっている場合でありますが、このマージンにつきましては、従来はとにかく五分程度のマージンがあったわけですが、昭和三十五年かに四%に変ったわけであります。そこで、このマージンをもっと下げれば教科書が安くなるというふうに私はお聞きしたのですが、教科書の値段についてはわれわれはどうすることもできない。一定の原価計算によってわれわれは発行所と契約するわけで、教科書の安くなることはもちろん望んでおりますが、そうかといって、現在の四分のマージンをもっと減らしてやると、供給面に非常な支障がくるのではないかという感じもいたします。 取次店としましてもやはりその通りではないかと思います。取次店のマージンが多い、——減らしてもりっぱな完全供給ができるのであれば、これはまたやむを得ないと思いますが、現状は、これ以上減らすと供給に支障がくるんじゃないか、こういうようなことも考えております。
○高木委員長代理 山中君に申し上げます。持ち時間が経過いたしましたから、簡単に願います。
○山中委員 私の質問の仕方もよくなかったようですが、あなた方は教科書会社に対しては非常に弱い立場に置かれておるように私には受け取れますが、私どもとしては、あなた方の全国連合会があるならば、あなた方の立場においてもっと強い立場もとれるんじゃないかと思うんです。しかしながら、そういう点についてのあなたの御意見はよしといたしまして、私の質問の、たとえば学校でこういう準教科書等を取り扱った場合に一〇%をリベートすることは、あなた方の四%のマージンと同じで、いわゆる常識かどうかということをお答えを願いたいと思います。
○芳根証人 副読本、いろいろそういうようなのはございますが、直接取次店のやる場合もありまして、特約の方としてはあまりそういう点には関係していませんので、その点、はっきりとお答えできないと思います。
○山中委員 同じことで質問を何べんもしなければなりませんが、特約所御中と書いてあるのです。だから、あなた方のところへ直接参るわけです。だから、私たちは、直接関知しないということは少しおかしと思うのですが、時間がありませんので、これはこのままでおきます。 そこで、最後に、先ほど、あなたは、自分たちの方では直接調べてみても、話に出てもその実態がつかめない、いわゆるかつぎ屋と称する人たちが直接学校へ売り込んでいく、こういうものとしてのテスト・ブック等についてお話があったわけですが、このテスト・ブックはやはりワーク・ブックと同様に、生徒にとって、あるいは生徒の保護者である父兄そのものの、家庭の支出にとっては、金が出ていくという面については教科書と全く同じなわけなんです。だから、私としては、あなた方はよく御存じないならば、それ以上は申し上げられませんが、こういうようにりっぱな装丁の本になって出ているわけですから、あなた方のルートを通じて、正当な手段によってやるような努力はできないものかどうか。たとえば、テスト・ブックを取り扱っております会社は、学習研究社とか、教育同人社とか、あるいは青葉書房等、こういうものが大体四十社くらいあるそうでございますが、こういうのは従ってあなた方の合法的な機関をも経由せずに、いわゆるかつぎ屋という者で売り込まれておりますから、そのマージンというものは、一定の率等もなくて、非常に膨大なものに上っているらしい。私どもは非常にこれを心配しているわけなんです。たとえば、学習研究社等から出しておりますテスト・ブックなどは、三十円の定価を、販売人に渡すときは十三円五十銭から十四円五十銭で渡しております。従って、その残りが、業者の間に黙契でもって、何らかの販売を広げる、あるいは販売を維持するための手段として学校側に、——先ほどあなたははっきりお答えがございませんでしたが、準教科書に対する一〇%の払い戻しと同様の措置が、しかも膨大な率において行われておるように私ども一は覆えるのであります。たとえば、一つのうわさによれば、少くとも四五%内外をこのテスト・ブックについては学校にリベートしているという話もありますが、こういう点についてあなた方は聞かれたことはないか、それとも、お聞きになって、自分たちの連合会の立場において、これを自分たちの合法的なルートに乗せるようなお話をされたことはないかを承わりたいと思います。
○芳根証人 このワーク・ブックの問題につきましては、いつも話題になっておるわけでありますが、この問題は、全然われわれの方の手を通さないで、そうしてしっかりしたブロックと申しますか、一定の職員によってやっているわけであります。ただ、取次店や何かが学校に来ますと、いつもそういうことをうわさに聞いておるのでありますが、それはわれわれの手ではどうにも方法がないわけです。できれば、こういうようなことは、結局子供としてもそういうふうなあまりよくない本を買わなければならないということがあるのですから、われわれ特約店としては何とかしてそういうことのないようにということは考えておるわけですが、今のところでは、いかんとも方法がないわけです。
○山中委員 そうすると、あなた方の全国連合会というものは、教科書協会とか、また小さく作っておりますところのいわゆる専門店会のような錦会、そういうものの事務局とは全く横の連絡なしに、ただあなただけの連合会ですか。
○芳根証人 連絡はいろいろしておりますが、このワーク・ブック、たとえば学習研究社というものに対しては、今までわれわれがどういうふうな手を打っても、今これを押えるところの規定がないわけであります。そこで、教科書の面では大体同じでありますが、全国出版物の小売業組合として荷販売価格維持契約というものを今やっておるわけでありますから、これが早晩成立すれば、そういうこともなくなるのではないか、かように思っております。
○高木委員長代理 高津正道君。
○高津委員 芳根証人にお伺いいたしますが、全国六十の特約供給所について、一特約供給所の小中教科書の平均扱い量をお教え願いたい。冊数、部数。
○芳根証人 これは、知っていなくちゃならないことかもしれませんが、今、私の会社の数は大体考えればわかるんですが、全国のはちょっとわかりかねます。
○高津委員 それでは、あなたの会社の分だけでもけっこうです。
○芳根証人 私の会社の冊数は、二十九年度は約四百万冊、金額にして一億七千万円くらいかと記憶しております。その取次店が現在全部で百八十六軒かと記憶しております。一軒当りが大体出るわけでありますが、ただ、その中に、一校しか持っていないところと、二校なり三校なり持っているところがありますので、その点は少し違うと思います。
○高津委員 教科書の総発行高は二億二、三千万冊、その総冊数の総定価は大まかに踏んで百二、三十億円、それをあなたの言われる六十社の特約供給所が扱っているわけですが、小中教科書の総発行高のどのくらいをこの六十社が扱っておるか。一〇〇%じゃないでしょう。何十何パーセントに及ぶものですか。
○芳根証人 これも、私、その何を持っておりませんので、はっきりはわかりませんが、大体九〇%くらいじゃないかと思います。
○高津委員 特約供給所の教科書の扱いのマージンが四%、それから副読本も取扱いの手数料を取る、それから出版社の運転資金か知らないが金を貸してその利息も取る、その六十カ所の特約供給所というものは相当の収入のあるものだと思うのですが、営業費にはその収入の中から何十何パーセントくらいかかるものですか。
○芳根証人 私ども、ほんとうのそういう会計面にはタッチしておりませんし、そういったような統計は今までとったことはないので、よくわからないんですが、私の会社の概略を申し上げますと、ただいま利子を取り、それから手数料も取るということでありますが、副読本、ワークブックはほとんど各社問題にならないほど数が少いのであります。これはほとんどないと言ってもいいくらいだと思います。また取次が直接扱う場合があるかもしれませんが、特約店としてはほんとうにございません。それから、これは私のうちの経理面の概略をとってきたんですが、ただいま補給利子を取るから相当もうかるだろうということですが、二十九年度の私のうちの補給利子の受け取った金が百五十一万六千円であります。それに対して、銀行あるいは取次店へ支払った利子が二百三十四万三千円でございます。従ってここに利子としましては八十二万七千円の不足を生じてるわけであります。そういうような関係から、現在われわれの方の職員もたんとおりませんが、職員の方へもう少し月給をやりたいと思いますが、そういう状態ですから、職員の給料もきわめて少いわけでございます。
○高津委員 利子についてだけは損をしておられるが、百二、三十億円という定価の総額になるものを扱えば、四%は五億円程度に大体なりますから、それを六十店で分ければ大きな金額になるわけです。それで、あなたのうちの店員にあまりどうも払われないという、そこにしわが寄せられるのを、社会党の私は最も苦々しく思うのでありますが、利子の点では、あなたの店の場合、そのとられた年はそういうようなことになっておるが、そんなことで商売はやっていけるものじゃないのですから、教科書を扱う人は、特約供給所もとてもいいし、発行元も大どころになればすばらしい妙味がある、こう私は感じるのでありますが、御存じのように、過度の資本集中に対しては集中排除法があり、また独占禁止法があって、私たちの目から見れば、公取はなぜ芳根さんを目がけて出動しないのか、こう考えるのでありますが、あなたの場合、独占禁止法などに対して何らの疑いもなく、既得権と思って、ほかへは分けまじと思ってその株を守り続けておられるのでありますが、疑問ぐらい持たれたことがもりますか。騒ぎ出すとこれは問題になりますよ。
○芳根証人 この公取の問題でありますが、たしか昭和二十三年かと思いますが、その問題が出たわけです。そのとき、いろいろと調査し、教科書の特殊性から見てこれはやむを得ないだろうということで、ずっとそのまま来ているわけであります。また、特約のわれわれとしましても、これが既得権というようなことは私はないと思うのです。すべての権限が発行所にありまして、われわれの契約は一年々々でこれが解除されるわけであります。従って、取次の方も一年々々に新しく契約するわけであります。もしその途中といえども供給や何かに悪い点があれば解除されるわけであります。従って、そういうような既得権というようなものは私はないと思うのであります。
○高津委員 会社が臨時雇を入れて、一年契約と言って五年も七年も使っておるというようなことがある。それは全国の至るところの事業所にもあれば、近い国会の中にさえそれがあるのですよ。われわれはそれを非常に苦々しく思っておるのでありますが、一年一年の契約になっておる以上は、ちっとも特典にはならないんだ、特典というか、独占的な特権にはならないんだ——。理屈ではそうですが、その契約を文字通り強いものだと考えると、あなたの目は小学校や中学校の方へ向かないで、あなたの特権の首根っこを握っておる教科書会社の方へだけ目が向くようになって、それは非常に悪いことだと私は考えるのです。しかし、ここで見解の相違を述べてもしようがないのでありますから、私が前にお伺いした、あなたのところの営業費はどのくらいかかるか——こういうふうに言いましょう。配当はしておられるが、教科書の発行元になると、大きいところはみな印刷会社を持っておりますから、それでたくさん払えば、自分の図書出版という会社の利益は幾らでも隠せる組織になっておるのです。あなたにはそういう隠れみのがあるかどうか存じませんが過去、二、三カ年の配当はどのくらいの率ですか、それを聞いてみたいと思います。
○芳根証人 私のうちの配当は——株主組織のことを先に申し上げますが、私の会社は取次店が約八十六軒、ほとんどそれが少しずつなりとも持っておるわけです。会社といいましても結局協同組合のような形をとっておるわけであります。本年の私のうちの扱いが約一億七千万くらいになると思いますが、この総利益が七百二十七万でございます。それで二十九年度の配当はたしか二割しております。二十八年度がやはり二割だと思います。それから二十七年度は二割五分配当したかと思います。
○高木委員長代理 神田大作君。
○神田(大)委員 証人に二、三お尋ね申し上げますが、あなたは、先ほど、特約供給所が六十何社でもって、主として一府県一カ所というようなお答えでございますが、そのような独占的な企業に対しまして、供給上に不便を来たさないかというようなことに対しまして、不便を来たさないと申しましたが、不便を来たしてないと今でもお考えになっておりますか。
○芳根証人 この問題につきましてはこまかいことはわかりませんが、日本全国一カ所でも不便を来たしてない、かように考えております。
○神田(大)委員 われわれから見ますれば、先ほど同僚からもお尋ねがありましたように、特約供給所というのが非常に独占的な性格を持っておるとわれわれは見ているわけです。それで、特約供給所は、教科書発行会社に対しましてはいろいろと便宜を計らい、サービスをしますが、今度は末端の取次所に対しましては殿様のような立場に立っておる、取次所はまた、生徒、学校に対しましては不便をかけるけれども、特約供給所に対しましては平身低頭、鞠躬如として、取次所としての権利を剥奪されるのをおそれておるというのが現実であると思うのでございますが、そういうことがあるからこそ、昭和二十三年あるいは昭和二十五年当時、学校の生徒に対しまして、教科書の配給を、おれのところでは狭くてできないからといって、学校を貸してもらって、いつからいつまでと短い期間に日を切って、そうしてそのときに現金を持ってこなければ教科書を売らない、取り扱わないということをやった。それで、先生はやむを得ず、都合の悪い生徒のために自分の金を立てかえて教科書を買っておいてやらなければならぬというようなことが行われた。あるいはまた、前渡し金と申しまして、生徒から教科書の前金を取ってそうして取次所に送る、取次所はまたこれを特約供給所に送るというようなことをやっても、生徒としてはその店から買う以外に方法がないので、泣き寝入りしておる。あるいはまた学校近くに適当な本屋があって、この店でやっていただければ非常に便利だと思っておりましても、上からの特約供給所によって学校から遠い店が取次所になっておるというような、そういうたくさんの不便を来たしておると思われるのでございますが、そういうことに対しまして、それでもあなたは、独占的な機能を持っていない、あるいはサービスは満点である、こういうようにお考えでございましょうか。
○芳根証人 最初のわれわれ特約所が取次を圧迫しておるというようなお話ですが、決してそういうようなことは私どもやっておりません。ということは、たとえば発行会社に金を先に入れるにしましても、これは元来取次店が入れるべきものでありますが、商業者として全くわれわれ以上力がない取次店が多いので、特約所が取次店の金を代行するわけです。そういうような面から言っても、決して取次店を圧迫するというようなことは私はやっておりません。 それから、なお、生徒から前に金を取るというようなことも、私今初めて聞くのですが、もしこういうようなことがあるとしたら、これは直ちに是正しなければならないことだと思います。もしそういうようなところがおわかりでしたら、何県のだれということをはっきりお話していただけば、これは直ちに幹事会でも招集いたしまして善処いたしたいと考えております。
○神田(大)委員 次に、補給利子のことについてちょっとお尋ねいたします。先ほどから同僚の質問もありましたが補給利子というのは、一体会社から特約店にどのくらいの金利でもって渡されるのですか。
○芳根証人 この補給利子は、払う時期によっていろいろ違うと思いますが、大体一番最初払い込む金が、早いので五銭、最低は二銭五厘、たしか三銭ぐらいだと思っております。払い込むその期間は大体十二月、早いものは十一月ぐらいからあるかもしれませんが、大体十一月、十二月ごろからそういうようなことになっていると思います。
○神田(大)委員 この利子は、多いところは七銭から八銭、まあ五銭というのが普通で、ずっとあとになってからは三銭ぐらいになるというようにわれわれは調査してあるんですが、大体そういうことじゃないですか。
○芳根証人 われわれとしましては、最高五銭よりいただいているのはありません。それが十二月以降になりますと、四銭、三銭、平均しますと大体三銭、五、六厘ぐらいじゃないか、こういうように考えております。
○神田(大)委員 これは大体取扱い高の約一割ぐらいに当りますか。
○芳根証人 これは会社によってもまた違うと思います。また融資のできるところとできないところとありますが、融資の金額はもう少しになっていると思います。発行所によって違うと思いますが、平均しましたら金額の二割以上になるのではないか、かように思っております。しかし、二割以上になるといっても、それがこちらの融資ができなければあるいは二割になる場合もあるし、融資のできる場合は二割五分かそれ以上になるところもあると思います。
○神田(大)委員 この補給利子は特約店一店当り大体平均どのくらいの金額になりますか。
○芳根証人 全国の特約店の平均でございますか。——これは県によって違いますが、私の見たところによりますと、百五十一万六千円、これが私のうちで二十九年度に実際に入った金額でございます。扱いは一億五、六千万になります。
○神田(大)委員 先ほど、あなたは、払ったのが二百万からあると申しましたが、それは教科書会社から入る補給利子が百五十何方で、あと払うのは一体どこへ払うのですか。
○芳根証人 われわれは至って金融の能力が少いわけで、銀行から借りるにしましても、たとえば三千万借りますのに一千万以上借りた金をそこへ入れて、いわゆる歩積みというようなことで、三千万借りても二千万しか利用できない。学童から入ってくるのはやはり相当おくれるわけでございます。従って、どうしてもよけい期間を借りておかなければならない。入ってくる期間がたとえば三カ月ならば、借りている期間は四カ月あるいは五カ月間借りていなければならない。なお、取次店の多少なりとも余裕があるところからは幾らかでも借りるわけなんです。他はわかりませんが、私のところでは、もらった金額より取次店に払う金の方が非常に大きくなっております。
○神田(大)委員 これはどうもわれわれの調査と逆なのです。われわれの調査したのは、銀行に払うそういう利子より教科書会社からもらう補給利子の方が相当多額であるのです。また実際問題としても、これは教科書会社がわざわざ取次店あるいは特約供給所から金をそれだけまとめて先に前渡しでそれだけ融通していただくのだから、それに対しまして損のいかないように教科書会社としては実際に教科書代金が入ったときに支払うというのが商取引の常識なんです。あなたの言われるのは商取引の逆を行っているのですが、そういう取引はないとぼくは思うのですが、今のは間違いじゃありませんか。
○芳根証人 これは間違いではございません。いつおいでくださいましても、私の経理をお見せいたしますが、払うよりかよけい入るというのは、たくさんな金を自分が持っておればそういうことになるのでありますが、私ども供給所としましては、先ほど申し上げました通り、二千万の金を発行所に払う場合に、三千万借りませんと払えないわけでございます。というのは、銀行にいつも金がありませんから、結局他の銀行から借りてその金を一千万なら一千万歩積みしておくわけでございます。従って、入った金よりか出た利子の方が多いということになるわけなんです。中にはそういうおっしゃったようなこともだいぶあるかもしれませんが、大体特約の供給所としては普通そういうようなところが多いのじゃないかと思います。
○神田(大)委員 この補給利子は、いわゆる帳合いといって、半分だけを帳面へつけて、あとの半分は帳面を通さないでこれを教科書の採択関係あるいは売り込み関係の運動に使っておるというようなことをわれわれは聞いておりますがそういうことはありませんか。
○芳根証人 そういうようなことは全然ございません。他のところといえどもそういうことはないと思いますが、ただ、今の半分つけるというのは、どういうようなものですか。
○神田(大)委員 教科書会社から来る金額のうち大体半額程度しか帳簿を通さない、あと半額程度は運動費として帳簿を通さないで適当に使っておるというようなことがいわれておるのです。これが特約供給所と出版会社との間の長い慣習になっておるというようなことをわれわれは聞いておるのですが、そういうことはありませんか。
○芳根証人 そういうことはございません。
○高木委員長代理 神田君に申し上げます。申し合せ時間が経過しておりますから、簡単にお願いします。
○神田(大)委員 いま一、二点ですから、よろしく。 それでは、次に移りますが、教科書発行会社では返本があって困っておるという状態でございますが、一体この返本というのは、どういうことで、どうして起るのでございますか。
○芳根証人 この返本のことにつきましては発行会社の方々が一番よくおわかりでありますが、われわれの方としましても、いつも取次店の方には多少の補給分といいますか調節分を置いておくわけでございます。学童にすぐでも間に合うように、たとえば一%なり二%のものを取次店に置いておくわけでございます。ところが、先ほど申し上げました通り、一方は途中でやめてしまった、一方は逆に五〇%も六〇%も新しい注文が出るというようなことがしばしばあるわけでございます。そういう場合には、一方は足りなくなりますが、一方は結局余ってくることになる。そういうものが、前期なら前期の決済をする前になりますと、それがあちらもこちらも少しずつ残ってくる。それが本社に返ってくることになるのであります。
○神田(大)委員 この返本になる率は教科書数の大体何パーセントくらいになるのですか。
○芳根証人 これは発行会社の教科書によると思いますが、少いのは二、三%くらい、多いものになりますと、もう少し多くなると思います。中学校、ことに高等学校のものになりますと一割程度残るものもございます。全国平均したことはわかりませんが、私の会社としましては、ごく少くて二、三%、多いものになりますと一割くらいになります。
○神田(大)委員 そうすると、返本になる原因は、教科書の取りまとめをする学校側に責任があるか、それとも特約供給所あるいは取次所側に責任があるのですか。
○芳根証人 この場合はいろいろあると思うのですが、たとえば、これは学校ができないことになっておるのですが、勝手に採択の変更をしたというようなこともあるわけなんです。そのほか、継続使用の場合、生徒が百人あって、その百人が全部買う場合と、古本を使用する場合がある。大体九十冊なら十分間に合うだろうという場合に、逆に八十人しか買わなくて、十人は古本を使用した、こういう場合には特に多く出ると思います。
○高木委員長代理 神田君に申し上げますが、まだ三人発言者が残っておりますから、簡単に願います。
○神田(大)委員 あと一点だけお尋ねします。 そうすると、あなたのところは、特約供給所としまして、学校へ教科書を送る場合に責任を持つわけですが、転校したりあるいは紛失したりした教科書の補給について、転校すると本が違うので、新しい本が入らないとか、あるいは紛失した後の補給がつかないということで、だいぶ非難があるのです。そういうとき、責任をもってこれを補充すべきであろうと思いますが、そういう点において、独占的な企業であるゆえに、そういうことを怠っておるのではなかろうかと思うのですが、これはいかがでしょうか。
○芳根証人 われわれが一番神経を使っておりますのは、正規の配送でなく、追加の場合の教科書であります。私がやっておるのは、取次店に〇・五でも一%でも、できるだけ置くように、また特約所としても二%くらいのものはいつも置いてございます。それで、大量に足らない場合先ほど申し上げましたような一ぺんに二十人とか、三十人という者が入ってくる場合には確かに直ちには間に合いません。というのは、発行会社も最高とにかく五%しか余裕を作らないものが、一ぺんに三〇%、あるいは通学地の変ったときには六五・六%のものが足らなくなってくるわけです。従って、そういう場合には私としては、東京を全部かけずりまわって、さらにないときには地方の方にまで連絡をとって間に合わせるわけでありますが、普通の一冊、二冊の場合は、まず間に合わないということはないだろうと思います。特に学校へは、もし取次店が本をとらないような場合には、供給所に電話をかけてもらいたい、直ちに一冊でも配給するからということを各学校に全部御通知してありますので、そういうようなことはないと私は思います。
○神田(大)委員 あなたがそういうことはないと申しますが、実際問題としてはあるのです。あっていろいろと問題になるのです。二%か三%の返本があるというのであるから、本がないということはないのです。そうすると、特約供給所あるいは取次販売所が、一冊や二冊の少しの本に対して、めんどくさい、あるいは厄介だということで、そういう点のサービスが足りないのじゃなかろうかというようにわれわれは考えておりますが、そういう点はどう考えられますか。
○芳根証人 決して、一冊でも、めんどうだとか、そういうことはわれわれも取次店も考えてないと思うのですが、そういう実例がもしございましたら、はっきり言っていただきますれば、いつでもそれに対する補給はできると思うのですが、その点、はっきりしませんと、私の方でも処置ができないのでございます。
○高木委員長代理 濱野清吾君。
○濱野委員 証人にお尋ねしますが、あなたの方の全国連合会で、出版会社の出しております補給金の年間の総額は大体どれくらいになりますか。
○芳根証人 その点はちょっと私にはわかりかねます。私のところだけは、先ほど申し上げました通りに、わかるのですが、全国のことはわかりかねます。
○濱野委員 本委員会におきましてもいろいろ制度を変えたり、あるいはまた教科書を作る会社等に対して何らかの手を打たなければならぬと思いますが、その総額が、およそでもいいんですが、わからぬでしょうか。
○芳根証人 私の取扱い金額から推せば大体わかるじゃないかと思いますが、この数字はちょっとわかりかねるのです。私のところの約一億七千万円に対して百五十一万六千円というものを割っていただけば、大体の検討がつくんじゃないかと思いますが、私としてはそれよりほかないのでございます。
○濱野委員 そうしますと、その実態をお尋ねするのですが、この補給金という制度化した一つの取引は、いつごろからできたわけですか。
○芳根証人 これは、地方のことはよくわかりませんが、東京では大体二十五六年くらいからかと思います。これはもっと前からやっているかもしれませんが、御承知の通り、東京は非常に融資面ができないので、金を発行所へ払おうと思っても、金を借りられない場合があるのであります。最近ようやく少しずつでも借りられるようになりまして、東京としては大体二十五年ごろからだと思います。
○濱野委員 二十五、六年からだということになれば、わが国がデフレ政策をとり始めたところに大体合致するのですが、その前からあるんじゃないですか。
○芳根証人 その前は、地方はどうかわかりませんが、ちょっと覚えておりません。ただ、ずっと前のことですが、国定教科書時代に私が扱っておったときのことですが、大体十月から二月までに教科書の代金を全部払っておったわけでございます。その当時、補給利子といいますか、本一冊に対して幾らかずついただいた覚えがあるわけですが、補給利子となったのは、東京としては大体二十四、五年ころからであります。
○濱野委員 そうしますと、証人の会社の場合を大体お伺いしておけばわかるのでありますが、補給利子を教科書出版会社からいただいて、あなたの会社ではその金融のために二百三十二万円の金を支払っている、差引勘定八十二万だけが、あなたの方で利子勅定においてはマイナスになっている、こういうことを申したのですが、それに間違いありませんか。
○芳根証人 間違いございません。
○濱野委員 そうしますと、結局するところ、出版会社の事業運営に関する融通資本を、あなたの方の会社で一部分その責めを負うて出版会社の事業運営に協力している、こういうことが偽わりのない実態である、こう見てよろしゅうございますか。
○芳根証人 これはどういうふうに申し上げましたらよろしいですか、結局、発行所の方からそういう要求がありましたときに、やはりそれに協力しなくちゃいけないという結論になると思います。
○濱野委員 証人に申し上げますが、われわれといたしましてはこれは非常に重要な。ポイントなのです。政府は国の産業のためには造船関係においても財政融資をしているわけです。ですから、造船関係よりより以上大きな意義を持つ教科書出版会社に対しては、これは同じ取扱い以上重大な関心を持ってもよろしいと考えているわけであります。財政資金をここに出すか出さぬかは、議会の将来の意思決定に待たなければならぬと思います。しかし、造船関係より比重の重い教科書関係は、より以上重く見てよろしいと思っております。ですから、この点は、あなたが明快にお答えになっても、どこにも迷惑がかからない。出版会社の事業運営上、融資資金の枯渇から、われわれのところへその融資の片棒をかつがせて、そのために補給金というものを出版会社からわれわれの方は受けているんだ、しかしわれわれも資金が枯渇しているから銀行から融資を受けるんだ、しかも期間の関係で自分たちの銀行へ払う利子と補給金を用立てたその出版会社から受け取る利子とに大きな食い違いができるのだ、こういうことであれば、これはその通り、どこにも迷惑のかからぬことである。むしろ教科書製造の国策としてわれわれが乗り出す場合もあるかもしれぬし、またそういう事情ならば将来議会は大いに考える必要があろう、こう考えておるので聞くのです。何ら伏線はないのですから、正直にあなたの見るところを言ってもらいたい。あなたは金を出している。出版会社が、ただ、出してくれ、利子はこれだからと言ってあなたの方は弱い立場にあるが、とにかく財産を質に入れてまであなた方は出しておるに違いない。一体この実態はどういうことかわからぬけれども、出してくれと言うから出すのだという、そういう簡単なものではあるまいと思う。ですから、この点はどこにも迷惑のかからぬものだから、一つお答え願いたいと思います。
○芳根証人 われわれは決して金があってやるわけでなく、全く血の出るような思いをして取次も特約もやっておるわけでありますので、これはわれわれが出さなくても済む、政府なりまたほかの方法でこれが出るということになれば、ほんとうにわれわれは喜ぶわけであります。どうかそういうようになるようにお願いいたしたいと思います。
○濱野委員 御都合のいい要求をしなさっても、あなた方が金を納めて補給金の利子をもらう、こういうようなことはなぜできるのだという実態を知らなければ、われわれは今後研究ができない。そのために、御迷惑ではあるけれども証人に喚問してあるわけです。どうしてあなた方が金を出しておるか、出版会社の方へなぜ出すのだ、金がないけれども出す、——出してくれと言うからよかろうという書生論で出すわけはなかろう。やはり事業人というものは相手方の立場をよく知ってそれだけの金を出すわけだろうから、ただいまの実際の経理関係のことをよくお話し下さい。
○芳根証人 あまりこまかいことは実は私もよくわからないのですが、国定時代でもやはりそういうようなことが多少なりともあり、また文部省あたりからも融資の面について、いろいろ発送証明とかそういうようなことも出ておるわけでありまして、それについてわれわれ特約所としては決して富んで出すわけではないのですが、やはり商売として、そういうような要求があれば全然それを断わるというわけにいかないわけなのです。御承知の通り、これが利子でもうかるということならば、これはまた別ですが、現在ではそういうことでないので、やむを得ず借りて出しておる、こういうことであります。
○濱野委員 それはまことに重要なことなのですけれども、われわれ監察委員は悪いことばかりあばこうとしておるのじゃないのです。教科書は天下の大事なのだから、いよいよそういうことになれば、また皆さんに相談して、議会も意思の決定をしなければならぬのだ。ですから、ただ金を出してくれと言うから出した、まさか事業家はこういう殿様のような金の出し方はしないと思うのですが、決して伏線があるわけでも何でもございません、出版会社があれだけの大きな出版をやるのでありますから、ほんとうに金詰まりで、そうしてあなた方が事業運営上の融資の片棒をかついでおるのだ、そのためにわれわれも一生懸命協力しておるのだ、そういうことなのか、ただあなたは漫然と金を出しておるのだ、出してくれと言うから、困るけれども出しておるのだ、銀行には利子をよけい払わなければならない、まことに困ったという、そういう簡単な証言では困るのでありますが、それはおわかりになりませんか。
○芳根証人 発行会社に、そういうようなことで、すぐにでもこれは出さなければならないということであります。
○濱野委員 どうもわからないので困りました。それでは角度をかえて御質問します。先ほど同僚の山中君からの質問中、大事なことでよくわからないことが一つある。それは、ワーク・ブックに対しては大体一〇%を学校側に対してリベートしてやっておるようだ、こういう証言があった。その次の証言の点で、テスト・ブックは大体四掛は学校側に行って、二掛——二〇%がかつぎ屋に渡っておる、これが定評なのでありますが、これを明確に一つ証言していただきたいと思います。
○芳根証人 これは、先ほど申し上げました通り、取次店……。
○濱野委員 それはわかっておるのです。
○芳根証人 またわれわれとしましても話題になっておることでありますが、それの証拠というものを現在私は持っておらないのです。証拠があればここですぐと確認できるわけですが、結局確認するということは、証拠がありませんから、それはちょっと申しかねるわけであります。
○濱野委員 証言をすることですから、証拠があればそれはもとよりけっこうな話でありますが、しかし、一〇%は、ワーク・ブックに限り、大体あなたの方でお取扱いにならなくても、あるいは学校にそのリベートを出しておるという証言があった。しかし、テスト・ブックにつきましては、大体四〇%ということを先ほどあなたはおっしゃっておりますけれども、四〇%を取次店に宣伝費としてやる、それから二〇%はかつぎ屋が持つ、こういうようなことであるが、それはうわさ、大体の定評である、そう考えてよろしゅうございますか。
○芳根証人 直接私どもの扱う品物ですとよくそれがわかるのですが、私の聞いたところでは、先ほど申し上げました通り、大体五〇%ぐらいで発行所から持っていき、それを学校へ四割ないし四割五分ぐらい引いてやるということは、確かに聞いておることは聞いております。
○濱野委員 非常に執拗なようですが、学校側にリベートをやっておるということだけは間違いはございませんね。
○芳根証人 間違いはないと思います。
○高木委員長代理 山田長司君。
○山田委員 証人は特約供給所のできたのは二十五年ころからだろうと思うというふうなことを言われましたが、この仕事と同じような仕事で、名称は特約供給所でなかったかもしらぬが、この仕事と同じ形の仕事をしていたのはいつごろからか、御存じでありますか。
○芳根証人 この現在の特約制度でございますが、これは国定の当時、二十二年ころまでは任意組合が多かったかもしれません。あるいは個人のようなところもありました。たしか昭和二十三年か四年にほとんど協同組合なり会社になったと思います。検定制度になると同時にそのような機構になったと思います。
○山田委員 協議会が設立されてから、協議会員がやめた例はあるか。
○芳根証人 やめた例はあると思います。
○山田委員 特約供給所の会員でやめた例はないということを聞いているのですが、やめた例はどこですか。
○芳根証人 それは、やめたと申しますか、秋田県に一つあったわけですが、それは合併してまたこちらに入ったんですが、結局前の人はやめたわけであります。
○山田委員 今の話では、やめたというけれども、実質上はやめたんじゃないんじゃないですか。やっぱり実際的には大きくなってさらに仕事を拡大してやっているんじゃないかと思うのですが……。
○芳根証人 大きくなったといいますか、結局今までの会社が——こまかいことはわかりませんが、従来の秋田県の人がやめて新しい会社にして、二つか三つかを一緒にしてやったわけですから、結局前の人はやめたと考えてよろしいのではないかと思います。
○山田委員 いつでもやめられるような機構になっていると先ほど言っておられたのですが、これは明らかに無形の既得権益があって、一年間にわたってずっと仕事を持続している形でなくても、無形の形でちゃんと線がつながっていると思うのです。そういう点で、証人は先ほど独占禁止法には触れていないようなことを言われているけれども、さらにまた公取委としてもこれが禁止法に触れていないようにこの間も実は言われているのですけれども、どう考えてみても、しろうとの私どもがこの問題を見たときに、ちゃんとつながって既得権益がちゃんとあるということが確認されるのですが、その点について、あなたは既得権益があると思いませんか。
○芳根証人 これは、先ほど申し上げました通り、すべての権限は発行所にあります。ことに契約も一年々々で新たになります。また途中であってもやめられる場合が相当今まであちこちにあったかと思うのです。そういう関係から、私は例に既得権がありというようには考えておりません。
○山田委員 特約供給所が取次店を圧迫をしていないような印象を証人はお持ちですけれども、実際は、地方の本屋に伺ってみると、この特約供給所からいろいろ圧迫があって、とても教科書は扱えない、こう言っているのです。そういう点について一つの事例を話しますと、実は私は宇都宮でこの間本屋に行って調べてみました。栃木県の場合は内山集英堂というのがこの特約供給所になっています。そうして、宇都宮市内に本屋さんがたくさんあるわけですが、教科書を扱っている本屋さんというのは十分の一もない。この集英堂の圧迫があって、とても本を扱えない、こう言っているのです。たまたま不便なところで一カ所本屋がつぶれて、この供給をやらしてもらう段になったらば、保証金を出してくれるならばその学校を扱わせると、こう言っているのですが、その本屋さんはどういうところでどういうふうにかたきを討たれるかわからぬものだから、私の家の名前だけは特にだまっていてもらいたいというので、私はこの際名前を言うことを差し控えますが、保証金をとっているという事例があるのですが、おそらく地方によってはこういう事例がたくさんあると思うのですけれども、保証金はどういう場合にとるのですか。
○芳根証人 地方のことはあまりよくわかりませんが、私の会社では保証金とかそういうようなものはとっておりません。私も大分長くやっております。また東京都内でも七つの特約供給所がありますが、保証金をとってやらしているということは一ぺんも聞いたことはございませんでした。
○山田委員 今宇都宮の例を話しましたが、もう一ぺん申しますが、この本屋に三十万円の保証金を出せと内山書店は言ったそうです。それはむろん教科書を扱う前渡金であるかもしれない、こういうこともつけ加えて私に言ったのですけれども、もしも東京都の供給所の場合に保証金を扱わないとするならば、保証金でなく教科書の前渡金のようなものもとってはおりませんか。
○芳根証人 これは、先ほど申し上げましたように、銀行から借り入れて、さらにまた、予定の金額まで達しないときは、すでに教科書がもう来るというような場合には、余裕のある取次店には出してもらっております。しかし、それは強制的なものでなく、余裕があれば出す、そうして一定の期間にそれを教科書に振りかえるというようなことで、私の会社でもとった例はございます。
○山田委員 もう一点伺いますが、特約供給所というのは、教科書の発行会社と教科書の取次店との間に立って、たとえばどんな具体的な仕事をしているのか、それから、定価の四%の手数料に該当する仕事はどんな仕事でありますか。
○芳根証人 私も東京都内のことは一番よくわかりますから、都内のことを申しますが、発行所から品物が参りますと、たとえば十二月ごろになりますと、発行所のいろいろの倉庫の関係で、どうしても一ぱいだからとってくれないかというような場合には、それを倉庫に積んでおきます。そうして一定の販売時期、あまり無理でない時期が参りますと、それを東京に約七百五十軒ほどございます取次店へみなわれわれが供給するわけでございます。それから、あとは、いろいろ本が足りないとか、余るとか、そういうような場合には全部取次店を調節して歩いております。また、追加が来ればその追加をできるだけ早く七百軒の取次店へ持って回っております。これが一番の仕事。それから、もう一つの仕事としましては、発行会社への融資の面、これが一番大きな仕事でございます。 それから、取次店の方としては、御承知の通り、それを学校前、あるいは学校へ出張販売する場合もあると思うのですが、一ぺんには売れませんから、逐次それを学校の方へ販売をする。また、転入になって来れば、その本を特約の方へ取りに来るというような方法でやっておるわけであります。
○山田委員 七つの特約供給所の東京都内における分布状態、それから取次店の分布状態といものが、全体的に運搬あるいは配給その他に都合のいいようにできているものなんですか。
○芳根証人 たとえば、私の方で申し上げますと、私が目黒、品川、大田、世田谷、こういうふうに担当しておるのと同様、他の会社の方も、たとえば豊島の方ですと、豊島、練馬、板橋というような工合は、江東区の方は江東区のまわりを担当するようになっております。
○山田委員 そういう仕事を全部ひっくるめた形が定価の四%の手数料に該当するということになるのですね。
○芳根証人 結局そういうことになります。
○高木委員長代理 関連質問の通告があります。山中貞則君。
○山中委員 最後に一点だけお聞きしておきます。 証人は、先ほど、証言を開始される前に、委員長から、偽証罪というものがあることをお聞きになりました。偽わった証言をされた場合には、故意になされた場合には偽証罪に問われるわけですが、私はあなたが偽証罪ということを意識に持っておられる以上は、絶対にはっきりしていただかなければならぬ点がある。一つだけどうしても不明確になっておると思う。先ほど、私の時間に制限がございましたので、その点追及をやめたのですが、最後に一点だけお聞きします。先ほど私が一つの例として読み上げましたが、昭和三十年六月付、二葉株式会社社長大野治輔君より特約店御中として 三十一年度準教科書の予約注文の御願い 当社三十一年に準教科書は、左記の通り発行いたし、展示会場別室に出展致しますから、この際、別送見本により検定教科書同様に予約注文をお取まとめ頂ければ誠に幸甚に存じます。 記 (イ) 三十一年度準教科書の特約正味につきましては、特約・取次店扱いのものも、当社連絡所長扱いのものも一本化してほしい旨の御要望を承って居りますので、左記の通り統一したい存じます。 特約正味 六七掛 (ロ) 従来六五%でしたが、三%を所長の宣伝費として御負担願い、本社よりも別に二%支出して所長の宣伝費に引当致します。 (ハ) 学校への歩戻しは一〇%を標準とし、取次店が集金の節戻して頂くようにお願い致します。 これが特約所にあてたところの二葉株式会社社長名のお願いです。ですから、これは少くとも二葉書店のものを取り扱っていない以外の全特約店についてこれが行っていると思う。私が読み上げたのは単に具体的な一例であって、ここに幾つもありますが、そういう内容のことごとく、一〇%程度は学校に返してほしい、いわゆる学校に一〇%程度返すことを前提に置いて、あなた方の方でこれを採択してくれるように努力をしろというお願いなんです。これについて、あなたは先ほど私の質問に対し、あるいはまた同僚濱野君の引き続いてのはっきりせよという質問に対しまして、いずれもはっきりいたしておられません。これは、ほかのことならば、聞いてはおる程度だとか、あるいはそういう話も私は聞いたことはあるという程度の答弁でけっこうですけれども、これだけはおそらく慣行だと思う。ですから、あなたは当面のあて先の人なんだから、これについてだけははっきりした御答弁ができるはずだと思う。もしこれが偽わりをされると、先ほど言ったような偽証罪ということになると思うのですが、はっきりしていただきたいと思います。
○芳根証人 その問題は、書面でいけば確かに売ってあると思いますが、しかし、現在私のうちでそれを売ってあるかどうかということは、調べませんと、いつの幾日にどこへ売ってあるということは今ここではっきり申し上げられないのですが、後日であれば、私の会社の取次を全部調べます。それでないと、はっきりここに証言できないわけであります。ただ、そこに書いてある通りは、確かにそうと思いますが、私のところへ来ているか来てないかということも、実際実務をやっておる者でなければわからないのです。私は実務はそうこまかいところまでやっておりません。そういう関係で、もちろんわかっておればはっきり申し上げます。しかし、それが現在私のところへ来て、また取次に来ているかどうか、なおまた、それをさらに実際取次店が学校へ行って売って、確かに学校にそれをやったという証拠がないと、私ははっきり申し上げられないのです。
○山中委員 あなたのところに来ているか来ていないかというのは、今私が二葉株式会社を例にしたからそうおっしゃるのだろうと思いますが、私の聞いておるのは、例をここに二葉にとったが、こういうふうな慣行、すなわち大体標準として、ワーク・ブック、準教科書等を取り扱った場合には、取り扱ったところがら学校に一〇%程度返す、いわゆるリベートをする、こういうことが、単に二葉でけでなくて、準教科書を発行される会社については、少くともあなた方特約所とそういう取扱いを慣行としてやっておるのではないか、こういうことを私は聞いておるわけなんです。これは一例です。だから、この二葉のものをあなたの方で取り扱ったかどうかを言うのではなく、あなたはここには特約所の全国連合会の代表という形で来ておるわけですから、そういう慣行があるかどうか、そういう慣行が事実行われておるかどうかという答弁が願えればいい。小さな点についてはよく知らないと言いますが、売上高の一〇%を買ってくれる人に払い戻すということは小さいことではないのです。こういうやり方、こういう慣行というものは大きな意味を持つ。従って、利潤ということを絶えず考えて仕事をしておる人にとっては、寸刻も頭から離れない条件でなければならないと思う。再度お答えを願いたい。
○芳根証人 先ほど申し上げました通り、私がわかっておればはっきり申し上げられるのですが、実務をやってない関係上、今ここではっきり申し上げることは、私としても非常に言い得ないのでございます。ただ、そこに書類が出ている以上は、確かにそういったような書類が出ておれば、それがあるんじゃないかということは確認されるわけですが、私のうちではっきりとどこの学校へ売ったということがわかれば申し上げられますけれども、現在、私には実務をやっていない以上、わかりかねるのでありますが、後日でありましたら、全部調べてでもお答え申し上げます。
○山中委員 きょうここへあなたをお呼びしているのは、教科書供給協議会全国連合会幹部としてお呼びしておるわけです。従って、あなたの会社、いわゆる芳根さんの持っておる会社の内容がどうなっておるか、そういうことを——あなたがもちろん大会社の社長として実務まで御存じないことはけっこうなんですが、少くとも全国連合会の幹事であり、しかも会計を担当しておる幹事であるならば、自分たちの営業の基本方針というものはどういうふうな文律あるいは不文律の慣行によって成り立っておるかということぐらいは御存じがなくては、この幹事が勤まるはずはない。また、御存じなくて幹事に就任せられても、自分らの連合会のいろいろな運営面を協議するに当っては、少くともそういう基本的な大きな、自分たちの店を、供給所を運営していく上の基本的な条件というものが頭に入ってくるはずなんです。私は、あなたがそれを知らないということは——後日ならば何とかするということではなくて、ここで知らないとおっしゃることは、少くともこの委員会に対してあなたがほんとうに良心的かどうかということについてだんだん疑いが生じてくるのですが、そういう意味において、もう一ぺん御答弁を願いたいと思う。
○芳根証人 今連合会の幹事をやっておるからそれがわからないはずがないというようなお説ですが、連合会としましては、個々のそういった面には全然タッチしてないのでございます。各社ともそういうふうなことにはタッチしておりません。大綱は、確かに、いろいろ発行所との交渉とか、災害があればそれを調査するとか、いろいろやっておりますけれども、各社の運営、経理問題には全然タッチしていないわけであります。従って、むしろ、わかれば自分のうちの会社の方からそういうことはわかるわけなのです。そこで、先ほども申し上げました通り、ともかくどこの学校へ売ってあるということがはっきりわかればここで証言できるのです。そういうことはあり得るだろうということは、書面によってもはっきりしているわけです。発行会社は各取次店までやってあるのですから、それは私でもわかるわけですが、それじゃどこの学校へ何冊売って幾らリベートを出したかということになりますと、さらに私の会社自体がもっと全部調査しませんと、それは申し上げられないのであります。
○山中委員 私はそういう意味で聞いているのではないのです。あなたがこれを肯定されたら、しからば具体的にどういう例があるか、あなたの例はどうかというようなことを聞いているのではなくて、少くともあなたが全国連合会の中の世話人みたいな立場であるならば、幹事であるならば、自分たちの会の成り立っておる基本条件というものは知っていなければならぬ。事実、あなたは、この点だけを御存じないが、自分たちの直接の手数料四%、取次の一二%も御存じだ。これは常識でしょう。あるいは自分たちのところを経由しない、いわゆるかつぎ屋と称する人々が、直接売り込んでいるところのテスト・ブック等についてのマージンさえもあなたはある程度御存じです。そういうことが言われておりますが、多分私どももそう思っておる、こういうことを言われる。ところが、肝心のあなた方がやっておること——しかも書店はあなた方にお願いをしておる。この一〇%についてだけあなたの答弁はしごく不明確なのです。このことだけをあなたが知らないというのは理由がないじゃありませんか。このこともあなたは御承知あることが私は正しいと思う。いわゆるテスト・ブック等について、四五%程度は返っておるように聞いておるという程度のことまで御存じならば、それよりずっと前に、一二%あるいは四%の手数料と同様の同じ価値を、むしろある場合によっては同様以上の価値を持つこの一〇%の払い戻しという点については、あなたはより知っておらなければならぬと私は考える。どうしてもあなたはこの問題については知っておられませんか。
○芳根証人 そういうことがその書面によってあるだろうということは私にもわかるのです。しかし、これは自分の会社がはっきりとどこへ売り込んだということがわかりませんと、だれが売り込んでおるかわかりません。そこまでこまかいところまで私は事務にタッチしておらないので、それは何ぼでもよく調べまして後日御回答申し上げたいと思います。
○山中委員 これは二葉だけにこだわってもらっては困るのです。これは一つの例なんです。ここに日本図書もあります。あるいはほかにもありますが、たとえば二葉の例をとっても、言葉の使い方はこういうふうにしてあるのです。六十七掛として、従来は六五%でしたが、今回から二%引き上げた理由は、それを所長の宣伝費にあなた方の方で回してくれ、それで私の方からも二%出しましょう、——具体的にはっきりしているのです。ということは、慣行というものがあって、前年度は六五%、あるいはそれまでも六五%程度のものが慣行であった。ところが、今年はこういうふうに願いたいということがこの所長の宣伝費についてははっきりしておるわけなのです。従って、その次の(イ)、(ロ)、(ハ)となって、(ハ)の項になっておる「学校への歩戻しは一〇%を標準とし、」という言葉は、明らかに今までの慣例をやってきているわけだから、それを確認しておるのでありますから、この問題だけがあなたの記憶にはっきりしないということは私はおかしいと思う。ですから、話のついでにでも、あなたは、前の六五%のものが六七%になった、そして所長の宣伝費が、今八社とあなた方の特約店から、その両方出し合せて四%になったということ等は御承知ですか。
○芳根証人 実は、それを今お読みになって、初めてそういうこまかいことがわかったのであります。実際事務をやっておれば、そういうこともこまかにわからなければならないのですが、そういう点が私には今はっきりと……。大体書面でいけば、そういうふうなリベートはやっておるのだろう、とっておるのでろう、——取次あてにそういうふうになっておればそういうことは考えられるのですが、直ちに今ここで、どこの学校へ何冊やった、幾らやったという証拠があれば、すぐにでもはっきり申し上げられるのですが、今のところはちょっと申し上げられないのです。
○山中委員 どうしてもおわかりにならぬのですか。私ばどこの学校へどれだけやったかということを聞いておるのではない。先ほどから言っておるではありませんか。たとえばあなたの会社のことを考えましょう。あなたが自分の会社をこれから運営していくに当って、一年間どういうそろばんの上に立って運営をするか、少くとも赤字赤字を続けていってぶっ倒れるようなことまで全然頭に置かないでやっていく人はおりますまい。だから、少くとも黒字を出すため、あるいは運営ということが正常になされるためには、何らかの計画なりあるいは自分たちの営業の算定の基準等を持たなければ、私は商売というものはできないのじゃないかと思う。そうすると、少くとも準教科書というものを取り扱った場合には、その自分たちの取扱いの手数料以外に自分たちのところで一〇%に相当するものは学校側に返すことになっておる。従ってその売り上げの取扱いについては自分たちのところの純利益というものはどれくらいになるということくらいは当然御承知にならなければ、自分たちの会社の運営はできまいと考えます。これが、ことし会社を作って、そしてあなたがここに呼び出されてそういう御答弁をされるなら、私もやむを得ないとして下りますけれども、あなたは戦前から長い経験を持つと自分でも言われる。そうすると、教科書制度の移り変りも身をもって体験されており、新しい教科書制度になってどのような手続でどのような構成で、しかもどのような利潤の回転の仕方によって会社というものが成立していくものがどうかも十分見きわめをつけて運営をしておられなければ、会社はやっていけないと私は考える。あなたがおっしゃるように、どこの学校へどれだけということを決して聞きません。こういう慣行というものがあって、あなた方の会社というものは準教科書を取り扱っておられるかどうかということを教えていただきたいということを申し上げておるのです。
○高木委員長代理 委員長からちょっと申し上げますが、一体証人の頭の中の知識に、今山中委員から問われたことがはっきりと映っておりますか。あなた自身が過去の経験においてその事実を知って頭の中に映っておるものをここで証言しないと、証言を拒んだことになります。だから、あなたの知っておる範囲において今問われたことに従順にお答えなすったらいかがですか。
○芳根証人 先ほども申し上げました通り、副読本あるいはワーク・ブック等は、私のうちとしては供給会社として昨年からやっていないのでございます。しかし、それを見ますと、取次店あてに出ておりますので、結局取次店の方を調べないと、ほんとうにそこは確かにそうだ——それでいきますと、そのように思います。しかし、私のところで副読本、ワーク・ブック、そういうものをやっておればはっきり申し上げられるのです。これは電話をかけて供給所へ聞いていただいてもわかります。私のところでは何にも扱っておりません。昨年は全然一冊も扱っておりません。
○山中委員 何回も申し上げるのですが、あなたは、自分の会社ですか書店ですか、そういうものの内容について私があるいは当委員会が尋問をしておると誤解されておるのではないかと考えます。あなたのきょうの立場は、先ほども申し上げましたが、教科書供給協議会の全国連合会の代表という立場において御証言を願っておるわけで、業界全体の慣行とか業界全体に不文律で行われておることとか、そういうこと等を私どもにお聞かせを願って、あなた方も考えておられるでしょうが、私どもも政治家として、国会は国会の責務として、日本の教育というものが教科書の面においていろいろ議論がされておるならば、それが議論のないように、そしてまたそれによって生徒というものがよりよい教育を受けられるようにという願望から私どもとしてはやっておるわけです。従って、あなたもそのような立場において、自分たちの業界の実態というものはこういうものであるということを——この一点だけを残して言われないわけですが、これを言われたからといって、教科書取扱いの特約供給所はけしからぬ、ぶっ倒せ、あるいは改革を加えろ、そんなことを私どもも言うものではないのです。ですから、この点について、あなたの会社でなくて、業界としてこういう慣行があるとか、そういう点についての明確なる証言があればそれでけっこうなのです。誤解のないように一つお答えを願いたいと思います。
○芳根証人 今のお言葉、私にもよくわかるのですが、その書面によれば、もう確かに取次にそういう何が出ておるのですから、リベートも取次店から学校に行っておるということは明らかになっておるわけですが、全国のそういったようなこまかい経理面については、実際は私にもわからないわけです。ですけれども、大体やっているんだろうということはもうはっきり私申し上げられるのです。
○高木委員長代理 委員長からちょっと証人に聞きますが、一体、そういう学校に戻すということを、うわさに聞いたり、人から聞いたり、または他の方法であなたの頭に知識づけられたことはないのですか。
○芳根証人 それは、先ほど申し上げました通り、取次店や何かの会合でそういうふうなことが言われております。
○高木委員長代理 その具体的事実をお話しになると、おのずから山中委員も納得できると思う。その具体的な話をなすってみなさい。
○芳根証人 そういったような何はありますけれども、現在では非常にそういったようなことが多いのです。教科書ばかりでなく、いろいろな出版物について、そういうような何といいますか一般社会通念というような気持になっておるので、それじゃどこでそれをやっているかというようなことまで実際突き詰めてないのでございます。
○高木委員長代理 証人に申し上げますが、具体的に立証できなくても、あなたの頭の中に、そういう問題が、どこかで聞いたり見たり、また書面によって知ったり、いろいろなことがあるでしょう。その具体的事実を話せば、おのずから山中委員は納得できると思う。それを、立証できないからというのではっきりとあなた自身拒絶しているから、山中委員が疑問を差しはさむのだから、その点を具体的に明らかに証言なすったらどうでしょう。
○芳根証人 それじゃあると思います。
○山中委員 どうも証人もうそをついておられるようには思いませんから、この問題はいずれ、本人も希望しておられますし、あなたのところの実例なり、あるいはまたあなたのきょう呼ばれた資格である連合会の立場においてそういう慣行があるかどうかについて、書面でもって御回答を願います。もし納得ができない場合には再度証人として喚問することも保留しておいていただきたいと思います。
○高木委員長代理 芳根証人に対する尋問はこれで終了いたしました。 証人には長時間にわたって御苦労でございました。 次会は来たる七月六日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十三分散会