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22回国会衆議院1955/06/09

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号

発言数
61
登壇者
9
会派数
4
開催日
1955/06/09

会議録

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を行います。  森三樹二君より質疑の通告がありますので、この際これを許します。森三樹二君。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 去る四月行われました地方選挙に際して、官報の付録といたしまして、資料ナンバー四十四号として配布されました印刷物、この見出しは「地方選挙について——その意義と選挙人の心構え——」となっておりまして、しかもその下には自治庁という明確な印刷がされてあります。その中でも特に「こころ構え」という項目をつけて書いてある文面につきまして、これは一体いかなる構想に基いて書いたものであるか、そしてまた何人がこれを起案し、またこの起案に対しては選挙部長あるいは管理課長ひいては自治庁長官等も当然責任を持つべきものであると私は考えておるのでありますが、それらの責任者につきましても自治庁当局において明確に御答弁を願いたいと思うのであります。一応私はこの文面の要点を読み上げまして委員諸君にも一つ判断をしていただきたいと思うのでありますが、私どもは、あくまでも、現在の世界の政治、そしてまた日本の政治におきましても、今日は政党政治が発達し、そして政党は政策を掲げ、その政策に対する選挙民の判断のもとに投票が行われることを最も政治の理想と考えておるのでありますが、これに関しまして自治庁長官はどのようにお考えになるか、御答弁を願いたいと思うのです。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 森さんのおっしゃる通りに私も考えております。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 長官も私の意見に同感であると言われましたが、この基礎観念は、国政についてはもとよりである。すなわち国会の場におきましても現在政党の政治によって行われておる。鳩山内閣は選挙の公約を実現せんがために今非常に苦慮せられておるのでありますが、少数内閣であるがために、ついせんだっての予算の問題についても自由党の考え方も取り入れざるを得ないというような状態になったのでありますが、このことは、単に国の政治、すなわち国会の場におけるところの政党政治という問題ではなくして、これは全国的な問題であると同時に、地方の自治体、すなわち都道府県の議会を通じましても、あるいは市町村会を通じましても、この基本的な民主政治のルールというものは普遍的なものであり、国政を通じましてもあるいはまた市町村政を通じましても、国会を通じましてもあるいは地方議会を通じましても、この基本的観念は私は変らざるものであると考えておるのでございますが、これにつきまして自治庁長官はどのようにお考えになるか、御答弁を願います。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 私も森さんと同じように考えているのですが、選挙の際におけるいろいろの世間の議論などを見ますと、国政の場合と地方選挙の場合とは違うのだ、国政の場合はむろん主義政策の争いでありまするけれども、自治体の選挙の場合は、自治体議員の仕事の本質から言って、政策よりもむしろ人に重きを置くのだという議論も世間にはあります。これは事実であります。けれども、私ども政党政治家としては、そういうようには考えておらぬのでありまして、やはり国政も自治体も政党の立場において選挙すべきものだという考えを私としては持っております。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 私は川島自治庁長官の御答弁はごもっともであると思うのです。選挙の場合におきましては、衆議院の総選挙の場合においても、政党を選ぶべきであるか人を選ぶべきであるかということが、選挙のたびごとによくアンケート等においても行われております。私は日本の民主主義の進歩の過程が遅々として進まないということについては非常に遺憾にたえない。このような、政党を選ぶべきか人を選ぶべきかということは、世界の先進国においてはすでに決定的のことである。これはイギリス、フランス、イタリア、アメリカ等いずれも、議会制度が発達して以来、もはや個人を選ぶという観念は全然ない。すなわち、政党の掲げておるところの政策を検討して国民が投票するのでありまして、人を選ぶという観念は、これはもう世界のいずれの文明国の選挙においても考え得られないところであります。ところが、わが国はいまだに、選挙の際に、人を選ぶか政党を選ぶかというような時代に逆行するような考えが、ある場合においては存在することは遺憾にたえない。ところが、地方選挙になりますと、ややともすると政党を選ぶよりか人を選ぶべきであるというような意見が間々聞かれるのでありますが、これは古い思想がいまだ改革されないところの、すなわち民主政治に逆行した考えであって、まことに日本の民主政治を阻害し、日本の憲法の精神に逆行した封建制へつながるところの思想であると考えておるのでございます。しかるに、先般の地方選挙においては、先ほども申し上げました資料の「こころ構え」の第三の項目に、時代錯誤、時代に逆行するところの見解が自治庁当局によって述べられておる。すなわち、読み上げますと、第三として「候補者が何党に所属するかは国の選挙ほどは重要ではない。」——これはまことに行き過ぎもはなはだしいものであります。「要は候補者の人物本位で考えるべきであろう。」——まことにこれは独断である。「国の政治は、その性質上いろいろと主義主張が分れ、これによつて個々の政策が異つてくるのに対し、地方の政治においては、主義主張の異る余地が余りないのである。」——飛んでもないことである。「したがって、首長や議員になる者は、住民の福祉を平等に実現する人が要求されることとなる。つまり公平にして実行力のある人が最も適任ということとなり、」——その次がまた問題です。「その選択も党よりも人ということに基準をおくべきであろう。」このような重大な文言が記載されております。これは、私どもの考えをもってするならば、意識的に自治庁当局はこういうような文面を流布して、そうして昔の封建的な、すなわち革新的な物の考えを持った者を出さないように、保守的な——つまり、その地方の物持ちとか、あるいは旧支配的な勢力とか、そういうような者に結局従来は投票が行われておった。それが、昭和二十一年のあの総選挙によって、国民は財産やあるいは地位あるいは名誉あるいは男女の性別、その他門地、家柄、いずれを問わず憲法第十四条に規定されたところの公平な意味におけるところの選挙を行うような形になった。従来は、そうではなく、もちろん婦人は参政権はなかったし、しかも一部の者に限って投票が行われておったという状態であります。また年令も戦後は非常に下げられておる。こういうような実情にあるにかかわらず、党よりも人をもって選挙しなければならぬ、このような見解を表明するということは、まことに遺憾にたえないと思うのでありますが、川島長官、これに対し御答弁を願いたいと思うのです。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 ただいまお読みになりました官報付録の資料は、定期的に各官庁から資料を集めて出しておるのでありまして、全く事務的に扱って、その資料を官報の何と言いますか発行する方に送付したのでありますけれども、おっしゃる通りに、その官報の中でいかにも選挙民を指導するようなことを言ったことは、これは資料として非常に行き過ぎでありまして、その内容のいい悪いの問題でなしに、選挙民を指導すべき記事を掲載する場合でないのでありまして、これはまことに行き過ぎの行為だと思います。内容につきましては、先ほど来お話の通り、一体地方選挙は人か党かということでありますが、私も、地方選挙といえども、むろん党に重点を置くベきものだとはっきり考えております。今日は地方議会の選挙以外に行政委員会の選挙があります。教育委員会、農業委員会等の行政委員会の選挙は、これはむしろ党には関係ないのじゃないかと思いますが、地方議会は国会と一連のつながりのある議会でございますから、やはり重点は党に置くべきものだという考えに立っております。従いまして、今お読み上げの資料というものは、どの面から見てもはなはだ適当でないと考えまして、先般参議院でも御議論がありましたので、参議院の御議論もよく拝聴いたしまして、おそまきでありまするが、それを取り消す手続をとりました。すでに出ましたか出ませんか、とにかく最も早い機会にこれは一切 取り消すという記事を自治庁として官報に掲載する手段をとっておりますから、御了承願いたいと思います。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 川島長官は、この官報付録の資料の文言に対しましても非常に行き過ぎなものであり、この内容についても妥当なものと思わないから、取り消しの手続を目下とるべくやっておる、このような御答弁がありました。私は、これは当然であり、またもっともであると思う。また、民主政治を過去にもうすでに二十年近く戦ってこられた川島自治庁長官の言葉としては当然そうあるべきであり、また私は自治庁長官の長い政治的な闘争に対しては心からなる敬意を表しておるものであり、従って、川島長官の今のような御発言があることは当然であると考えております。しかし、あなたが直接やったわけではなかろうけれども、あなたの部下にこういう者ができたということは、これは自治庁長官の責任は重大であると思う。これは、御承知の通り、よく新聞等である人間が犯罪行為を犯したごとく書かれる。そこで、憤慨しまして、それに取り消しの要求をする場合が間々あります。しかし、なかなかそれは実現しない。実現いたしましても、その間違った記事の取り消しの記事等は、虫めがねで見なければわからないような端っこの方に書かれておることが多いのであります。先だっても文芸春秋に平沢被告と関係があるがごとく書かれました北海道の一個人が、これに対して今損害賠償請求の手続をとっている例もありますが、一たん出しました書面の撤回であるとか、あるいはまた取り消しということは、これは言うべくしてその効果というものはまことに微々たるものである。しかも、この資料というものは何万何千の資料が全国に配布せられ、すでにもう選挙が済んでしまっておる。この選挙が済んでしまったところの事実というものは、もういかんとも回復しがたいものでありまして、いかに川島長官が大きな見出しで取り消しや陳謝文をそれに書かれたところで、この選挙という既成的な事実が済んでおる以上は、これを回復すべき余地はございません。ありませんが、しかし、とにかく取り消しの書面を出すというのであるから、それはできる限り早く出さなければならぬと思うのでありますが、それは今どういうふうな手続をとられておるかということについて私は一応お尋ねしたい。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 先般の全国的の地方選挙はすでに済んだんでありますが、地方選挙は今後も部分的には常に行われるのでありますから、依然として官報の資料としてそういう指導的精神が残るということは、今後の地方選挙に対してもいかぬと思いまして、その行き過ぎを是正するために、はっきり取り消しを官報に掲載するつもりでおります。すでに出ましたか出ませんか、いずれ調べてみますけれども、先だってそういう手続をとることを私は命じておきましたから、おそらくやっておると思います。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 川島長官がそのように取り消す意思を表明されたことは、私はまことにけっこうだと思うのでありますが、お手元にその取り消しの文言等何かあるならば、この委員会に解明されたいと思うのです。なければ、この次でもしようがない。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 次の機会までに用意して、御報告申し上げます。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 そこで、この文言に対するところの自治庁当局の責任と、これに対する処置が大体わかってきたのでありますが、私はこの記事を起草した者の責任はまことに重大であると考える。つきましては、この起草をした責任者あるいはこれを許可した当該課長、選挙部長等の責任は今後も残っておるものと思うのであります。およそ行政の地位にある者あるいは政治の責任の地位にある者は、——たとえば一昨晩の牧野予算委員長のああしたところの思い上った失言にしましても、やはり民主政治の反対にあった場合には、ついに彼は辞任をした。私はその責任の所在というものは明確にしなければならぬと思う。そこで、この資料を起案されました方あるいはこの起案に同意し、このような結果を招来したところの管理課長あるいは選挙部長等の責任については、私は明確にされなければならぬと思うのです。何人がこれを起案されて、それに何人が同意されたか、その責任者の氏名等について御発表願いたいと同時に、これらの責任者について川島自治庁長官はいかなる処置をされるか、明確なる御答弁を願いたいと思います。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 官報資料でありまして、平生通り、きわめてあっさり事務的に扱ったのでありまして、実は次長その他も知らぬうちに出たわけであります。係だけがやったんでありますけれども、今後は一切そういうことのないようにということも、あわせて庁内に訓示を発するようにいたしております。再びそういう過誤のないようにいたすことは十分処置をとったわけであります。その責任者につきましては、まだ私は最後的に考えておりませんけれども、森さんの御意見もありますからして、一応考えてみます。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 とにかく、この書面は、こういうような大きな、官報と同じ大きさを持った印刷であります。しかも「地方選挙について」という大きな見出しで参りますというと、この見出しを見た者は一応これは読まざるを得ない。しかもここに大きく「こころ構え」というような大それた項目を出して、そうして、地方選挙は候補者が何党に所属するかということは国の選挙ほど重要ではない、要は候補者の人物本位で考えるべきであろうというような、これは私は投票を左右する大きな力を持っておると思う。たとえば、どの政党に所属しておるどの候補者に投票しようと思っておっても、こういうものを見ますと、たとえば市町村議会議員の場合、あの人は何党に所属しておるんだから投票しようと思っておったけれども、これを見ると、政党に所属という問題よりも人物本位だという、人物本位だというならば、昔からあの人には自分の親父の時代から世話になっておるから、私はあの人に投票しなければならぬだろうなというように、非常に大きな影響を与えたと思います。こういうような影響を与えたものを、これだけの大きな資料を提供したものを、自治庁長官としては、それは部下をかばうというお気持はよくわかるけれども、しかし、私は、やはり綱紀の粛正とともに、今日の責任政治の建前から言って、当然なすべき処置はなさなければならないと思う。この起案された方並びにこれに対して同意を与えた方は、だれがされたか、そのお名前を一つ聞かしていただきたいと思う。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 私ちょっと名前は覚えておりませんが、選挙部の主管の課長であります。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 そこで、自治庁長官から今御答弁もありましたが、この責任者に対しては、もちろんわれわれもその責任を追及することは個人的な感情にとらわれればまことに気の毒のような気もしますけれども、しかし、われわれ自身も、政治家としての誤まった行動をとるならば次の選挙において当然国会の場から消え去らなければならない。これが責任政治をとる者の心構えだ。われわれの今日の日常は、新聞、ラジオを通じ、あるいはまた地方の住民を通じて詳細にこれは報ぜられておるのであって、われわれの行動に間違いがあるならば、われわれはやはり国会の場から消え去り、抹殺されるということは当然であると考えておる。と同時に、こうしたところの選挙の重大な仕事をつかさどっておる者がそのようなことを公表するということは、当然われわれの常識から判断して全く時代錯誤であり、極端な言葉で言えば政党政治の破壊者であると私は考えざるを得ない。そのような文言を平気で使うような人物にあなたの所管の仕事をさしておるということは、まことに私は民主政治のために危険きわまる存在であると言わざるを得ないと思います。これに対しまして、川島自治庁長官はどのようにお考えになりますか。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 先ほどから申し上げました通り、それを起草した者並びにこれを決裁した者につきましては、なおよく処置を考えてみます。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 なお他の同僚議員からも発言があるようでありますから、私はこれを最後に申し上げますが、それでは、この処置については、あなたとしての正しい、しかも一個人の問題ではなくて、日本の民主政治を憲法の精神にのっとって発展させ、政党政治を確立するために、私は断固たる処置をここに要求いたします。と同時に、あなたが先ほど約束されましたところの取り消しの文言については、これまた慎重かつ明快にその取り消しの文言を次回の当委員会に長官から提出されまして、われわれの納得し了解のできるものを作っていただきたい。このように要望いたしまして、私の質問を一応打ち切っておきます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 山口丈太郎君。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 ただいま同僚森委員から質問がありましたが、私も、この自治庁の資料として配布せられました重大な地方選挙に対しまする行き過ぎの点について、またその流れておりまする現在の地方の政治実情と、そして自治庁が地方選挙に対して今後ともとられようとするその指導精神、これについて二、三お伺いをいたしておきます。  今の森委員の質問に対して最も私の関心を寄せまする点は、こういうものを資料としてきわめて軽く取り扱われて、きわめて事務的な処理をされたことであります。従って、自治庁の内部においても、こういうものができたことを全部が知ってはいないというようなお答えを聞いたのでありますが、この資料なるものこそ、日常の事務官庁の処理としてはきわめて重要なもので、特に民衆指導の点から申しますと、正式の通達その他より以上に影響力が大きい。こういう影響力の大きいものを出します場合にも、自治庁の事務的な処理として単にその衝に当る係長もしくは課長等のポストのみにまかせて、自治庁全体として協議も何もされない、あるいはそれぞれの手を経て最高の自治庁の責任者にも相談もされないままに勝手に出されておるのであります。そうすると、自治庁の中には綱紀紊乱のはなはだしいものがあると思うのでありますが、これについて川島長官はどういう工合に考えておりますか。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 資料というものの性質の考え方でありますけれども、平面的に集まった材料をそのまま官報の付録に掲載するのだというごく単純な考え方から、従来は各部局限りでもって原稿を官報に送っておったというのが実情であります。しかし、これはややもすると誤解を招くようなこともあるし、また将来大きな問題を起すようなこともありますので、先般庁内に勧告をいたしまして、今後は一切そういう行動をしてはならぬということを厳重に指導をして通達をせしめましたが、再びこうした過誤は繰り返されないように処置をしております。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 これを契機として、自治庁の中における事務的処理については厳重な規制を設けられたようでありますから、これ以上追及してもいたし方ないと思います。しかし、これをさらに精神的の面から追及をいたしますと、このたびの地方選挙くらい、市町村あるいは県等の議会議員候補者が、無所属あるいは中央政党につながりを持たないような地方政党名を使用いたしまして、中央政界にあたかもつながりはないかのように宣伝をして、自己の地位を有利にしようという考えが多かったことはなかったと思います。それはなぜかと言いますと、自由党を名乗れば造船疑獄事件があり、民主党を名乗れば疑獄事件がある。そうすると、自分の選挙区においてはきわめて不利な立場に追い込まれるということから、今まで自由党、改進党を名乗ってりっぱな政党人として活動した人のことごとくが、無所属を名乗り、あるいは地方政党というような政党名を名乗っておる。結局それは期せずして、資料として自治庁が出されました地方政治は政党政治とは違うのだという思想を非常に大きく植え付けていると思う。こういうことになりますと、その危険は、この資料にあげられておりまするように、政党よりも人、そうしてその人を選ぶ基準として、いろいろ個々の政策は異なっていても実際に世話をする人がいいのだ、こういうふうなことになりますと、その裏を返して考えますると、あるいは議会を否定するような、民主政治を否定するような思想を持っている、政治信念を持っているといたしましても、ただそのときに非常に親切であり、世話をする、こういうことだけをもって地方政治が行われますると、これは、日本の民主主義政治、政党政治がしっかりしていなかったので、過去の日本のたどり来たった道は大へんな誤まりを犯したのでありますが、それと同じような道を奨励するようなことになると私は考えるのでありますが、こういうことが自治庁内の思想として流れておるとすれば、長官であられる方は大へんな責任を感じなければならぬし、それに対してはやはり徹底的に誤まりを粛正しなければならぬと思うのであります。私は川島長官からその根本的なあなた方の考えについてお聞かせを願いたいと思います。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 地方選挙が政党に重点を置くか人物に重点を置くかということについては、従来からもいろいろな議論のあるところでありまして、先般の地方選挙に当りましても、言論界、学界その他から、この点についてはいろいろ論及をされております。必ずしも政党によるべきでないという議論もあることは事実なんでありまするが、しかし、自治庁たる役所がそういう指導精神を出すことは行き過ぎだということは、はっきり認めたわけであります。ただ、公務員でも、自分の個人的の考えとしてそういう考えの者があることは、これは私どもとしてはそれを是正するわけに行かぬのでありますが、しかし、公務員の立場において行動する場合には、そこにはっきり一線を画しまして、自分の思想によって選挙民を指導するようなことは絶対いたしてはならぬ、こういうことを私は述べまして、その記事も取り消すことにいたしましたし、なお今後も公務員としての行動には十分注意しなければならぬということを厳重に戒告をいたしたわけであります。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 私は、たといそれが一地方の一町村の政治を担当する者といたしましても、少くとも公けに奉仕をいたしまする限り、そしてその政治をつかさどりまする限り、その政治信条をまず具体的に明らかにするという建前から、今日政党所属ということを明らかにしなければならぬと思うのであります。私がなぜこういうことを申すかといえば、今申しましたように、たとい日常どういう親切な行為をやるといたしましても、根本的に議会政治を否認するような方向、あるいはそういうような思想の者——これは極右極左を問わずであります。ただ左翼だけではない。極右においてもしかりであります。同じことでありますが、そういうような思想の持ち主が往々にして政党否認の土台となって過去の日本を誤まらした。ですから、私は、民主主義政治と議会政治を中心に考える場合に、その基礎となるものは少くとも政党であり、それは同時に、単に思想的あるいは政治的なイデオロギーというだけではなくて、いわゆる自己の政治信条、立場というものがそれによって明らかになる、こういうことでないと、たとい小さな町村の議員でありましても、あるいはその首長でありましても、全般的な信頼を置くということはできないと思うのであります。ここにそれが求められるように指導するということが、日本の民主政治を確立するための最も適切な措置でなければならぬと考えるのであります。しかし、今自治庁長官は非常に強い言葉をもって、この資料は行き過ぎであると申され、またこれは全面的に取り消す、そしてまた事務的な処理においても今後はそういうことのないように、庁内においては全面的に万端の措置をとった、こう言われておるのでありますから、私はそれ以上に当面とられる措置としてはでき得ないと思いますけれども、しかしながら、この既存の事実というものは、今森委員が申されるように、なかなかこれを取り消すことはできません。いわゆる表面的には、事務的には取り消しができたといたしましても、その影響しておりますものはきわめて重大なものであります。従って、森委員が申されるように、これを取り扱った責任者の責任の所在を明らかにすベき長官としての責任が当然あろうと私は思うのであります。これについてはいまだ具体的に御答弁がないように思うのでありまして、そういう点はきわめて遺憾に思うのであります。これは、徹底的にその詳細の調査をされて、森委員が申されるように厳重な責任の追及をせられてしかるべきだと思うのであります。今の三つの点は非常に強くやられたのでありますけれども、その具体的な面についてはどうするという御答弁がまだ得られていないと思いますので、お考えを承わりたいと思います。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 人の身分に関することでありまして、私はここで直ちにどういう処置をとるかということについて申し上げる段階ではないのでありますけれども、先ほど来申し上げているように、全く公務員としては行き過ぎでありますから、その線に沿ってよく考究をして適当に処理したい、こういうことで御了解願いたいと思います。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 今のは個々の職員をどうするということを言明せよということではないのでありまして、どうか今の御答弁をそのまま実行に移していただくように希望を申し上げます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 他に大臣に対する質疑がなければ……。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 ちょっと……。私は一昨々日行われました埼玉県の参議院議員の補欠選挙についてお尋ねしたのですが、自治庁としては、ああいうような選挙があった場合、官報付録の資料として棄権防止のようなことをやっておられるかどうか。一昨々日の埼玉の参議院議員補欠選挙におきましては、投票率が大体二割五分か六分と承わっておるのであります。これは、今年はいろいろな選挙がたくさんありましたから、選挙ブームの影響を受けたり、現在田植え時期ということもありまして、こうしたところの投票率の低下を招来したと思うのでありますが、これに対して自治庁は何らか棄権防止の啓蒙運動をされたかどうか、あるいは従来も棄権防止に対して何らか措置をされておったかどうか、こういうことをお尋ねしたいと思うのです。こういう資料を出すとするならば、むしろ棄権防止の心構えというようなものを出す方が、それこそ自治庁としては妥当じゃないかと思います。総選挙の場合におきましてもやはり二割五分か六分くらいの棄権があったわけであります。でありますから、この棄権防止という点について自治庁はどのように考えておられるか、また、せんだっての埼玉県の補欠選挙におけるあの投票率の低下について自治庁長官はどういうようなお考えを持っておられるか、これを一応承わっておきたい。

川島正次郎日本民主党行政管理庁長官・自治庁長官

○川島国務大臣 先般の埼玉県における参議院の補欠選挙がきわめて低調でありまして、投票率が二割幾分ということは、日本の民主政治のためにまことに悲しむべき現象だろうと思うのであります。自治庁といたしまして、従来とも個々の補欠選挙のたびに官報その他を利用して棄権防止の処置をしたことはなかろうかと思います。今回の埼玉県の場合もそうでありますが、埼玉県の選挙管理委員会としては相当な態度をもって棄権防止に臨んだんではないか、こう考えます。ただいま資料がここにありませんけれども、埼玉県の選挙管理委員会の方によく問い合せまして、今度の選挙に対してどういう棄権防止の方法をとったかということは、よく調べた上に御報告を申し上げます。なお、選挙管理委員会その他の方面もよく調べまして、選挙の棄権防止に対する態度を調査をして、参考に御報告申し上げることにいたします。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 最後に一点。私は、今後自治庁としてはもろもろの選挙の際に選挙啓蒙ということは必要であろうと思うのでありますが、この選挙啓蒙が行き過ぎますと、また先ほど来申し上げたようなこのような大きな誤謬を犯すことにもなるのでありまして、これは私はよほど慎重な態度をもって長官は臨んでいただかなければならぬと思います。といって、これがまた低調になって、参議院の補欠選挙のごとき、ああいうように棄権が増大されるということも、われわれはまた防止しなければならぬと思うのでありまして、この点について今後長官としては非常に慎重かつ綿密なる計画を立てまして、そうして各級の選挙に対策を立てていただきたい、かように考えております。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 政府委員に御質問があればどうぞ——。山口委員。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 私は、選挙取締りの状況について先般御報告がありましたが、そこで一つ取締り当局にお伺いをいたしたいのでありますが、今回行われました選挙を通じて、この新しい選挙法に基いてやられたのでありますが、選挙法というものは非常にそのたびごとに激しく改正をせられるので、私はこういう選挙法のあり方というものは、実際にはこれは取り締る方もあるいはまたそれを応用して選挙をやる方にいたしましても迷惑なことであって、もっと安定した選挙法によってなさなければならぬと思いますが、このたび行われました選挙の取締りについて、形式的な形式犯、——たとえば、自動車のボディに名前を書いて走るということは違反であって、上に幕を引いてそれを隠して行く。ところが実際にはそれがちらほら見えるようなことをやっておる。そんなことで、これは取締りについても非常に苦心をされたと思うのでありますが、形式犯についても、あるいは実質犯についても、その取締りに一番苦心される点、そしてまた選挙をする者が一番困難を感ずるだろうというような場面に遭遇された点を一つお聞かせ願いたい。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 私ども取締りに関係いたしております者といたしましては、公職選挙法が比較的多くしばしば変るから困難しておるであろう、こういう御同情のお言葉でございますが、改正のたびに、われわれ警察官もずいぶんたくさんおりますので、教養等をやりますが、教養には相当のエネルギーをさきまして教養をいたしておりますので、そういう意味合いにおきましては、しばしば改正がない方が楽である、こういうことが言えようかと思います。ところが、この改正案は、また別の見地に基いて、選挙の公正確保を徹底しよう、こういう角度から御改正になるので、そのにらみ合いでございますので、警察官といたしましてはいろいろの取扱いにおいて適切な措置をお願いするという以上には出られないだろうと思います。  今回の公職選挙法の取締りに当りまして苦心した点はどこか、形式犯、実質犯両者について意見を述べろ、こういう御質問でございますが、形式犯等につきましては、改正の趣旨は、われわれ取締りの関係者から見た希望事項も合せまして、それぞれの選挙管理委員会におかれて、候補者、選挙運動関係者の方に徹底していただく、こういう処置を講じまして、でき得るなら法違反がない状態で行われたいと思います。お話しになりました自動車のボディの文字記入の問題等も、具体的な問題についてはいろいろ困難な場合にも遭遇いたしましたが、大筋は、候補者の方々、運動者の方々に趣旨の徹底をはかっていただく、これは選挙管理委員会の方々にお願いいたしまして、選挙管理委員会からそれらの方々に趣旨の徹底をはかっていただきまして、その趣旨にもとるようなことがありましたならば、なるべく警告等によりまして直してもらう、それがあまりひどくなった場合においては犯罪行為として検挙する、大体大筋はそういう筋で考えてみたのであります。事急を要する場合、そういうことをやっておるとだんだん選挙が済んでしまう、そういう場合には警察としてただちに処置したこともございますが、大筋は以上のようなことで処理したのであります。  実質犯につきましても苦心する点は多いのでございます。法律には各条項に犯罪が列挙されてありますけれども、私ども取締り当局といたしましては、列挙した犯罪行為を事実によって、証拠によって証明しなければなりません。そういう資料の収集上の問題についてはいつも苦心するのでありますが、ことに選挙犯罪の多くが目的罪でありますので、その目的を立証するためには、関係者の供述とか——普通の状態で選挙運動期間中にこうこういう行為が行われれば、それを当選を得る目的であるということが類推せられますが、そういう類推を証明するという点においては非常に苦心を要するのであります。これが普通のたとえば刑法の詐欺とか、横領もそうでございますけれども、こういうものになりますと、ずっと一年中まんべんなくそれについて捜査ができますけれども、選挙犯罪については同時に多発的に起りますので、そういう点におきましては大へん苦心をするのでございます。そういう意味合いから申せば、われわれの側としましては、比較的そういう違反がすぐわかることが望ましいとは思います。犯罪が行われにくくなるために、すぐ違反が明瞭になる、こういう形が好ましいとは思いますけれども、これもいろいろな事情で今日のように目的を中心にできておりますので、それに大へん苦心をしておる、こういうことが言えようかと思いますけれども、以上申し上げた他の理由がありますので、私ども取締り当局といたしましては、国会で御制定になりました公職選挙法の趣旨を十分関係警察員に徹底いたしまして、それによって公正な取締りができるようにわれわれ非常に苦心しておるのであります。先ほども申しましたように、同時に多発的に各地で起りますので、その点において各警察とも大へん忙しくなる、事柄がむずかしくなるので、若干のミスも出て、お叱りも受ける。そういうミスのないように私ども努力はいたしますが、そういうのが実情のように私ども考えております。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 私は、この検挙状況といいますか、これは冗談話にもなるのでありますけれども、実際に言ってみますと、選挙の取締りというもののむずかしさというものは私はよく了解をいたします。犯罪の起らないように努力をしてもらいますことは、これはまことにけっこうなことでありまして、大いにそれをやっていただかなければならぬのでありますが、その反面には、何か取締りの実績をあげないと警察はこの選挙中に何をしていたのかわからないというようなことで、あるいは俗に言えば無用にあら探しとでもいいますか、そういうような行為をするような、いわば行き過ぎた取締りが行われるように想像されるのでありますが、それも、今言うように、根本的には、なるたけ公正な選挙を行なって、そうして有終の美を飾りたい、こういう精神から出ておることに間違いはないのでありますけれども、しかし、選挙だけに限らず、今の取締りの実情を見ておりますと、何か探し当ててでも検挙実績というものを競っておるような感じがいたしますけれども、警察の指導方針はどういう方針でやっておられるのか、一つお聞かせ願いたいと思います。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 この選挙違反捜査に限りませず、一般の犯罪捜査すベてについても言えることなんでございますが、私ども十数年警察官でごやっかいになっておりますが、前にはいろいろ犯罪——窃盗などの犯罪がございました。それに対して、捜査員が比較的なまけて、どろぼうがあってもなかなか見つからぬ、こういうようなことになってはいかぬ、捜査員が早くその窃盗その他の犯罪を発見しよう、こういう趣旨で、件数と申しますか、あの捜査員は何件検挙したか、こういうことを昔とっておったことがあるのであります。それは、たとえば窃盗等の犯罪を早くあげて、国民の方になるべく被害が起らぬようにしよう、こういう趣旨に出たことではありますけれども、組織として運用いたしますと、最末端の捜査員は件数を上げなければいかぬ、こういう心理作用をあおるということも、これまた事実であります。私ども、そういう捜査方式も、窃盗が一つもあがらぬ、管内に窃盗が相当横行しておると思われるのに、捜査員がなまけて、そういう窃盗がなかなか見つからぬという状態におきましては、時期その他によってはある程度やむを得ぬ点もありますけれども、そういう考え方をなるべく排して、事柄は、社会秩序が公平に相互の信頼感に基いて行われて、犯罪が全然行われないという状態が実現すればいいことなんでありますから、そういうことの角度で、件数その他をあまり論議しない、そして全般には、犯罪があるにかかわらず警察がなまけてやらない、こういう態勢はもちろん是正して参りますけれども、全体が件数の数字その他にあまりわずらわされない、こういう態勢をとって参りませんと、お示しのような欠陥を露呈することもありますので、そういう点をわれわれはだいぶ前から気がつきまして、そういうことを十分考えながら、しかも、犯罪が相当びまんしているのに警察官が比較的そういう捜査の方面に頭を突っ込まないためにあがらぬ、それが犯罪がびまんしてしまう、こういうことでは申しわけありませんから、そういう点も念慮にはもちろん入れますけれども、そういう件数主義によって捜査をやるということは悪い結果を招来する。今年の選挙の施行に当りましても、関係警察本部長との打ち合せの場合に、犯罪のあるときに一生懸命捜査をすることは当然のお互いの職務でありますけれども、それを件数その他によってあおり立てることのないようにということは、十分注意いたしたのでございます。そういう注意をして、大体大勢はそういうことに向いたかと思いますけれども、例外なくすべての警察職員にそういう点がすベて徹底をしたかということについては、私どもも自信がございませんので、そういう点、りっぱな職員ができるように、だんだん訓練して参りたいと思います。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 御答弁を伺って、そうあるべきであって、私は全く同感でありますけれども、しかし、静かに見ておりますと、どうも最近の末端の第一線に働きます、取締りの職務を執行する人々は、普通の考え方におきましても、予防第一主義から近ごろは摘発第一主義、功名第一主義というように変貌しつつあるのではないか、それが戦前の警察官のような状態に逆戻りをしつつあるのではないかというような点が随所に見受けられるのであります。最も端的にわかりやすく申しますと、交通の取締りなどにおいてもそうであります。御存じあるかないかは知りませんけれども、同僚間の話をちょっと街頭で知らぬ顔をして聞いておりますと、おれはきょう用事があるので、午前中に仕事を済まして行き たい、こう言うのです。その仕事を済まして行きたいという内容を聞いてみますと、違反取締りのその日の責任件数がどうやらあるようでありまして、その責任件数を報告する資料をさえとっておけば、午後はサボっていてもいい—。こういうことじゃ、実際に社会秩序を保つことはできませんし、それでは一般公衆が全く取締り警察官の犠牲に供されるようなわけでありまして、法制定の精神から申しましても、きわめて不都合な結果になる。選挙のときにも私はこういうことを耳にいたしました。あなたのところはずいぶんありそうだと思って探したんだけれども、どうもない、こういうことをちょいちょい耳にいたすわけであります。私は今の御答弁を信用いたしますけれども、しかし、実際には、たといそれが冗談でありましても、その対象となる者といたしましては、きわめて不愉快なことでありますし、今申したように交通違反の取締り一つ見ましてもそういうことになりますと、一事が万事、やはりそういうことが行われるのではないかというふうに私は思うのであります。一体、検挙第一主義をとっておられるのか、予防第一主義で取締りをなさるのか、この点を一つお答えを願うと同時に、これは事実でありますから、少くとも法治国として、その社会秩序を維持する第一線にある皆さん方に対しては、私は非常に御苦労だと思うし、あるいは生命をなげうってその秩序を保つのでありますから、これは大へんな御苦労をわずらわしておると思いますけれども、しかしながら、その方法によりましては、せっかく親しみつつあった民衆と警官の取締り当局の間をまた離間させるようなおそれなしとも言えないのであります。こういう点について、どういう考えでおられるか、お聞かせ願いたいと思います。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 私が最初申したような考え方で言ってあるのでございますが、御指摘のごとく、全国の警察官が例外なく私がお答え申したような考え方でやっておるという自信は全くございません。と申しますのは、いろいろお話のようなことも、ここでも聞きますし、私ほかの機会でも聞きますが、根本は教養の問題だと思います。それで、件数主義的な考え方、悪い意味での刑事根性的な考え方の残滓が残っておりますので、それをまず教養の問題として根本的に解決いたしたい、こう思うのですけれども、教養だけで今やっておりますと、百年河清を待つがごときことになりますので、いろいろな件数とか数字という事柄をあまり上の方でやかましく言わないで、逆に日常の勤務活動全般をよく指導していく。ほんとうに刑事が怠けておるかどうかということを、件数という角度でなくて別の角度で見ていくようにする。責任者がこういう監察をする考え方になることによって、教養は実効があがるのじゃなかろうか、——根本は教養でございますけれども、教養を観念的に言っておれば容易に直りませんので、そういうように警察幹部の者がものを見ていく、部下の働きを見ていく、これが根本であろうと思うのであります。それで、長年の習慣その他もありまして、言っても直ちに直らぬ面もありますけれども、そういう考えでなしに、逐次正しい警察官のあり方という考え方に徹底していく方向に持っていくことはできる。あすから一ぺんにできるということは若干言いにくい点もございますけれども、そういう方向で逐次りっぱな警察官を養成して、現在おる警察官もさらにりっぱにしていく、こういうことにつきましては責任を持って申し上げることができると思います。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 私は先日ほかの委員会でも申し上げたのでありますが、決して一線でこの重要な任務を遂行しつつある警察官あるいは検事等行政官の士気を沮喪するようなことがあってはいかぬのでありますから、従って不正に対しては仮借なく自分の職を勇断をもって遂行するということが必要であります。いやしくも人に手錠をかけるということは、なかなかの勇気がなければできることではありません。ですから、私は、そのような第一線の人々の士気をこれによって沮喪するような考えは毛頭ないのでありますけれども、しかし、今まで見ております点におきましては、私が今申し上げたような事態がたくさんにある。従って、行き過ぎた、何もないにもかかわらずごそごそと人の裏を探す、そうかと思いますと、実際には私どもの耳にも入るようないわゆる買収行為その他の顕然な行為があるのに、それに対しては干渉がない、こういうような事例が実際に見受けられるのであります。こういうことになりますと、非常に法運用の公平を欠くことになりますから、こういうことにつきましては、十分に公正な立場に立って第一線を指揮せられるようにお願いしたいと思うのです。  それから、第二の点は、今度の選挙におきましても、地方選挙あるいは衆議院選挙を通じまして、取調べに当って、善良な人が、違反行為にはならぬのだろうと考えたものが違反行為となって、それによって、選挙違反はどんなことになるのかわからないというような恐怖心から自殺者を出したというようなことで、それについては留置場等においても自殺者が出たようでありますが、これはやはり、死んでいく者はやむを得ないと言えばそれまでかもしれませんけれども、法を犯した者は犯した者といたしましても、その人命に対しての保護は法適用上きわめて大切な問題であって、人権の基本的な問題であるのでありますが、これについても、今申しますように、あまりにも、善良な者に対する——それは法を犯しておる犯していないということの問題ではなくて、人間的に見て素朴であり善良な者に対して、あまり摘発主義的な強度な、一般犯罪者と同様の強度な取調べ等による、被疑者に対して恐怖心を与えるような行為があったのではないか。こういうものの取調べについて一体どういう指揮をされておるのか、伺いたいと思います。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 ただいまのお説は全面的に賛成であります。後段お説の自殺の件でございますが、お説の通り、われわれの犯罪捜査はもちろん適正にやるべきでありますが、かりに違反なさった方でも、違反なさる容疑の方でも——刑の確定した場合でもそうでございましょうが、容疑の場合ももちろんそうであります。すべて人命の尊重すベきことはもちろんでございますので、自殺の防止という点は、すべての国民、ことに捜査関係者は特に留意せねばならぬことだろう、こういうふうに考える点も、これまた同感でございます。ところが、不幸にして、今次選挙においても、この前の選挙にもございましたが、自殺者がございます。私どもといたしましては、警察等によって選挙違反に関連して自殺したのではなかろうかと思われる事案を発見いたしますと、そのほかに原因もあろうかもしれませんが、警察のやり方に少しまずい点があってそういうことになったのではなかろうかということをまず部内的に反省する。私どもの方では、監察官をしてそういう角度から検討せしめて、その警察部内等においてそういうことがございました場合には、これを勇敢に、一生懸命やったのだからやらないというような考えをとることなく、懲戒上の処置を講ずる、こういう態度でやって参っております。警察関係者等においてそういう者がありましたら、そういう角度で懲戒もしておりますけれども、自殺者の原因等はいろいろ多角的でございまして、最後の原因は本人が現存していらっしゃいませんから的確には究明できませんけれども、やはり選挙違反という関係で、甲の人の供述が乙の人が取り調べられる端緒になった、こういう関係で非常に苦しい立場に立たれた結果そうなったのであろうかと思われる節のケースが相当多いものですから、こういう点は選挙法違反の捜査上非常に悩み抜いておる問題でございます。関係者相互間の供述が相互に影響いたしますので、警察官、捜査官は一生懸命人命の保護を考えなければならぬのは当然でございますけれども、相互の供述が相互に犯罪問題の利害に関係いたしますものですから、供述なさった方等においてはそういうことを非常に悩んでいらっしゃって、遺書などでそういうことが相当うかがわれる節もある。こういう点は私は非常に悩んでおるのでございますけれども、そういう点の悩みは現在も持っております。ところが、警察部内の取扱い等におきまして不適正なかどありやなしやという点は、十分検討し、ことに不行き届きのかどある面につきましては、勇敢に懲戒する、こういう態度をとっております。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 私が当初に申したように、こういう取締りが困難なものであることは、私も承知をいたします。また、取締りに当っては、非常に連累しておるものですから、従って、一つの買収事実をあげて、そうして、それを捜査する場合には、もちろんその一番重要人物と思われる者を検挙して、それの自白によって連累者を検挙していく、そしてその違反事実を摘発していく、そういうことは捜査上きわめて安易な最もやりやすい方法でありますけれども、それに重点を注がれますと、いわゆる労せずして効大なりといいますか、そういう結果を来す。そういった態度をとって、いわば人の言によって自分の功名だけを大きくするというそしりもまた免かれ得ない。そういう意味から言いますと、私は、こういう自殺者をまで出す点については一つ御再考を願って、少くとも、一つの事犯については、その自白による連累捜査主義をやめて、それも重要でありますけれども、それとは別に、単独捜査に重点を置いて、そして自殺者を伴うようなことは極力避けるように努力を願えないものであるか、またそういう措置が警察行政として、取締り行政としてとれないのか、一つその実際をお聞かせ願いたいと思います。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 事柄をわかりやすくするために、非常にずさんな言葉を使ってお答えいたしますが、ある人を取り調べて、それをぎゅうぎゅう調べて、それからだんだん卵を産んでいく、こういう考え方は不適切だと思います。ところが、選挙違反の特質は、物的証拠というのが比較的少い。当選を得る、また得しむる目的をもって金円を収受した、こういうことを証明しなければなりませんので、物的証拠のある場合ももちろんございますけれども、その物的証拠のあるものは比較的少い、そういう物証を残さないために深夜ひそかに取引が行われておる、こういう関係が多い事犯でありますので、何といたしましても、捜査官といたしましては供述を集積する、いろんな関係者、そこにおる者からそういう状態が行われたことを証明するに足る供述を集積する、こういうことに選挙犯罪の特質があるのであります。大体引っぱってきてそれをぎゅうぎゅう言わしてだんだん事を調べるということは適切でありませんけれども、そういう犯罪を証明するために関係人の供述を集積するということは、けだしやむを得ない。目的罪でございまするし、そういう物証があまりございません犯罪でございますので、やむを得ない。それで、供述を集積するということになりますると、甲の人が乙の人に金円を渡した、こういうことを証明するためには、そこに居合せた人とか、聞いておった人とか、その金の行方を知っておるであろう人に真実の状況を教えて下さいということで聞くことがあります。そうして、真実の状態を教えて下さいと聞きまして、ことに参考人としてお話しを願う、そうすると、参考人としてお話し願ったことが、あとで、自分がああいうことを言ったことが何々さんの選挙違反の端緒になったのだと、こう思われる。その方がそれを非常に悩み抜かれて、はなはだしきは自殺なさる。こういう結果になるケースがあるわけでありますが、今回のケースもそういうことがあるのでありまするが、そういうケースについても、それをも関係人の供述をとることをやめよということになりますると、物証のある違反であればどんどんあがりますけれども、こういう買収とか被買収とかいうような事犯は、それをやめろとおっしゃると、もう証明できにくくなってしまう。こういう意味合いにおきまして、けだしやむを得ない、こういう犯罪の捜査をやって、選挙の公正を確保するためにはけだしやむを得ない、こういう考えを私どもはとらざるを得ないのであります。繰り返し申しますると、非常にずさんな言葉を使えば、何か引っぱってきてぎゅうぎゅう突っついていく、こういうことは適切でございません。これは排すベきだ、そういうことをやらないように大いに徹底すべきだと思います。ところが、そういう供述を集積して犯罪を証明することをやめろとおっしゃいますると、公職選挙法の少くとも実質的な犯罪は証明困難に陥る。こういう犯罪の宿命でございますので、そういうことでない形にしようということになれば、何か形式をとらえるか、何か一見わかるような形式をとらえてそれを罪にするか、こういうふうな法律体系にならぬ以上は、供述を集積して事を処理するということにならざるを得ないという点を、われわれとしては申し上げたいと思います。

山口丈太郎日本社会党(左)

○山口(丈)委員 私の申すのは、今答弁の中にあった供述の集積を機械的に廃止せよという意味ではないのです。精神的に言って、そういうことのみを重点的にやられるということになれば、自殺者まで出すようなことがさらに累増されるんじゃないか、こういう点を私は憂えるので、そういう点を今後どうされていくかという点をお伺いしておるのであります。  それから、第二は、もちろん、今の御答弁にありまするように、たといそれが形式犯でありましょうと実質犯でありましょうと、犯罪を犯しておることは間違いないのであります。これに対して適切なる措置をとりますることは言うまでもございません。しかし、今私が申しまするように、実質犯と形式犯とは、犯罪をしておることは間違いないので、それに対する法適用による秩序を保つことは当然でありますけれども、しかし、その法の適用に当っての刑量については、これは形式犯と実質犯とでは相当そこに量刑の相違が設けられておるのであります。そういう点からいたしましても、捜査の目標においてこれを考えますると、いたずらに、形式犯と目される被疑人に対して、その多数の者を拘束して、そうして、一週間も拘束をして調ベなくともよく調べられると思われる事案についても多くの拘束を重点的に実行する。そうして調べると、安易な調べ方に堕するのではないか。もう少しそういう点で合理的に捜査の態度を持することができないものか。言いかえますと、各組合の集団的な運動の形式等においても、市町村等においては、保守派の人などは主として地方組織を、革新派では主として労働組合員を動員するというようなことをして、お互いに形式犯、たとえばビラとかポスターとか、そういう形式犯をやっても、多くの者を拘束して置いて調ベる。こういうことはしなくてもできるのではないかと思うのでありまするけれども、少くともそういうようなことが多い。これは実際には意識的に違反行為すれすれのところまで行こうというような面でやる向きもありましょうけれども、こういう形式犯などは、主として意識的でない。こんなことが法に違反するのかと思うようなこと、たとえばビラ一枚張りましても、「街頭随時」なんというようなビラを張る。法律をこまかに知っておる者ならば、それはなるほど違反だということはわかりますけれども、そうでないと、全然知らぬで軽率に書いてビラを張ると、これは違反である。そうすると、文書等の配付違反であるというので拘束までして調べる、こういうことになりますが、これは拘束権の乱用に実はなると思うのでありますが、こういう点はどういう工合にしようとされておるのか、お伺いをしたい。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 ただいまのお説、全く同感でございまして、何でもかんでも、違反というような態様があれば行政処分をして拘束等を行なって調べるということは、適当でございません。ことに、適当でないばかりでなく、法の精神にもとると考えますので、私ども捜査員といたしましては、犯罪を証明するのには、できるだけ人権に迷惑をかけない方法で証明しておる。ところが、拘束その他の処分をしないと、ことに通謀等が行われる場合がございます。選挙犯罪で比較的拘束しなければならぬような関係が起りますのは、甲と乙とが通謀して事が行われる場合があるので、通謀排除等の関係において拘束をやる場合が比較的多いと思います。仰せのごとく、何でもかんでも、犯罪の行為があるからといって——それは犯罪があれば処置するのは当然でありますけれども、それを拘束して逮捕するという行政処分を直ちにやるということは適当でございませんので、そういうことのないように、できるだけ人権に迷惑をかけない方法で事案を処理する。ことに文書の比較的悪意がなかったものは、ひょっとしたらあるいは犯罪になるかもしれぬが、これはおやめなさいという警告によって、その犯罪が起らない状態にしていくという措置をできるだけ講じていくという考え方が正しいと存じまして、そういう意味合いで関係者と話し合いして、ただいまのお説のような趣旨で、骨子といたしましては関係者の教養とかそういう方面に努めておる次第であります。

堀川恭平自由党

○堀川委員 関連して……。今警察庁の部長さんの言われたことは非常にごもっともだと思います。ところが、警察には防犯課というものがある。またその防犯は民間にも相当強力に協力団体を作ってやっておるのですが、今度の選挙で見ましても、とにかく警察官は犯罪事件をよけいに持ちたい。持ちたいのは、実績を上げたいというような傾向が多いんじゃないか。私は防犯というものが相当使われるのがほんとうじゃないかと思う。例をあげますと、電信柱へビラを張っておる。そうすると、その電信柱へビラを張っている間隠れて見ておって、そうして、それが済んで次に行きかけると、おい、ちょっと待て、これは違反だ、——違反ならこれは破ります、——いや、破ってはいかぬ、写真写すまでは破ってはいかぬ、こういうことです。それで、写真を写して、それを検挙する。ぼくは、その電信柱へ張ったら違反だぞと言えば、次の電信柱へ張らぬで済むと思う。また、個別訪問にしても、五軒、六軒、七軒とずっとついて歩いて、いよいよこれで間違いないということになると、おい、ちょっと来いということで検挙する。しかし、初めに、これは選挙違反だな、個別訪問だなと思ったときに、お前何をやっていたんだ、そんなことをしよると違反だぞと言えば、あとは絶対にしないと思う。ところが、そういう親切は一つもない。ただ手柄をあげるということだけに集中しておるのではないか。そういう防犯というものがある以上は、それを使うことがほんとうじゃないかと私は思う。ところが、どこの警察へ行っても、そういう親切はやっていない。あなたの頭では、そういう親切をやってやりたいと思われるかもしれぬが、それを下部まで徹底さしておるかどうかということを一点聞かしてもらいたい。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 この犯罪捜査は重要なことであるが、防犯も重要なことである、これはごもっともだと思います。ただ、具体的な例になると、この点は御了解願いたいと思いますが、選挙違反には限りませんけれども、警察官が見つけたものは防犯で措置するという主義をすべてのものにとりますと、——要するに警察に見つかったものは防犯で行なってしまうということになると、選挙の場合で言えば全体として選挙の取締りができない。たとえば個別訪問で申しますと、できるだけ個別訪問をやれと言う候補者がおるとします。それを、今おっしゃったように、見つかった場合には事前にやめさせるという主義をとりますと、できるだけ戸別訪問しようという選挙運動方針をとった派においては、見つかった分は引っ込めるけれども、見つからない分はやる。そうすると戸別訪問をどしどしやった方が得だということになり、選挙の公正確保という見地から適切でない面もありますので犯罪という面で規定されておりますが、犯罪が普遍的に行われないようにするためには、例は適切でないかもしれませんが、ずっとほかにもやっているだろうと認められるものを検挙することによって、全体をやめてもらうような方向に持っていこうという建前で、三軒までは見ておって、七軒くらいになったら実施するというケースがあり得ることは御了解いただかぬと、全体が公正にならない。ポスターの問題で、電信柱のごときは、比較的公知のことでございますので、これは啓蒙等で大体事が足るのではないかと思いますけれども、すべて防犯主義をとって、警察の捜査員が見つけた分はことごとく事前に注意するという立場をとって参りますと、見つかってもそれで済むんだという風習が全関係者に出て参るのではないか。これはいかがなものか。こういう点も念頭においてお考え願いたい。筋道としては、警察というものは、先ほど申しておりますように、検挙すればいいのだという考え方は適切でございません。だからといって、捜査員がその犯罪行為について知ったものを根こそぎ防犯措置で事を処理してしまう、こういうふうになりました場合の弊害もまた念頭に置いて御理解いただきたいと思います。

堀川恭平自由党

○堀川委員 今言われたことはわかります。盗人がへいを乗り越えるのを、おいおいと言って注意だけするというようなことはおそらくできぬでしょう。しかし、今の電信柱とか、これは戸別訪問をやっているのじゃないかと思うような場合に、注意を与えてやることくらいの親切はあっていいのではないか。一ぺん注意を与えられた者は、それをくぐってまでもやろうというようなことはないと思う。それは繁雑ではないと思う。あれもやったこれもやったということで、選挙が済んで、調べることは一日あったら調べられるものを、百人も二百人も引っぱり込んで、今言う通り、十日も、あるいは今度またとか、きょうは忙しい、きょうは日曜というような理屈をつけてやるよりは、その方がいいのではないかと私は考える。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 考え方としては、堀川さんのおっしゃる点が現在の警察の欠陥であるということはよくわかりますので、そういう点は是正に努めたいと思いますけれども、例外なくそういうようにやれということは、ただいま申し上げましたように、そうも行かぬ場合もあるということを念頭に置いていただきたい。現在の警察の欠格の一つとして防犯が比較的なおざりになっておるということはよくわかりますので、この点はよく徹底をしていきたいと思います。     —————————————

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 次に、前会に引き続き、福岡県の大隈警察署に関する件及び長崎県知事選挙に関する件について、その後の調査の結果の報告を求めます。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 前段の福岡県の大隈警察署における事件につきまして、この前報告いたしました際に、さらに調査方のお話がございました。この三月一日に逮捕して、三日の未明にこの被疑者の方は自殺なさったんですが、その間に取調べをしている、そのとき、ことに二日の日の取調べに当って調書を警察がとっておるかどうか、こういう御質問でありました。私の方で調べましたところ、二日の夕刻十分間程度取調べが行われておりますけれども、そのときは調書はとっておりません。ところが、三月一日の日は初めは任意に事情を聞きとったのでございますが、そういった事情の間に、三月一日の事情聴取につきましては、ことに任意捜査のときの状況におきましては調書は警察はとっております。こういうことでございます。  後段の長崎県の知事選挙の立会演説会に関連する問題でございますが、全般の傾向につきましては過般お答えしたのでございますが、そのうちことに伊良林小学校のごときはまさしくひどかったにかかわらず、警察はどうしたか、こういう再質問に対するお答えをいたします。この長崎の知事選挙に際しまして、暴力団が立会演説会に入り込んでヤジを飛ばしたり選挙妨害をやろうとしているといううわさは相当以前から警察で察知しておりまして、そういうことがあれば大へん選挙の公正を害すると思いまして、長崎県の警察におきましては、なるべく一般的にはその立会演説会に警察官があまり出しゃばらないことを各党が比較的期待するのでありますけれども、この場合は暴力団と称される人物が入るといううわさがありましたし、そういう情勢が比較的はっきりわかりましたので、警察官をその中に入れたのでございます。ことに伊良林小学校の問題につきましては、土地の暴力団と称せられるものの一味が入るということを事前に察知いたしまして、その暴力団と世間でいわれている人物の近所に私服警察官がずっとおりましたものですから、その暴力団と称せられている人物はヤジ一つ飛ばすことなく、そばに警察官がおるということも知っておったという関係もあろうかと思うのでありますが、徒歩で来て徒歩で帰った、こういう状況でございます。ところが、当日はヤジがあったじゃないか、こういう点でございますが、確かにヤジはあったのであります。そのヤジをやった人物は、世間で暴力団といわれておる人物ではなくて別の青年でありまして、別の青年四、五名がヤジっておりました。これは聴衆が全部で三千名以上のように報告がございますが、三千名程度の聴衆がありまして、候補者は二人、それぞれ演説に立たれたんでございますが、両候補の場合ともにヤジが若干あった。けれども、選挙妨害があったのではなかろうかという御指摘ですが、候補者が演説中に、先ほど申しました青年、暴力団と世間で思われていない青年でございますが、青年がヤジを飛ばしまして、そのヤジに対しまして候補者の方がそれにお答えになるような状況等がございまして、この立会演説会を主催している選挙管理委員会におかれては、静粛に願いますということを三回にわたり注意し、これを制止いたしましたところ、その青年はその制止に従いましてヤジをやめましたので、選挙管理委員は退場等の命令は出しておられません。従いまして、そのヤジは、選挙管理委員の静粛にという制止に応じましたし、委員におかれては退場の処置を命ぜられませんでした状況でもありますので、警察としては、これがただちに公職選挙法の明瞭な違反という点においては若干疑義等もございますし、ことに選挙管理委員の制止に応じた、こういう状況をも勘案して、これは犯罪として捜査するというふうには現在やっていない状況でございます。ただし、当長崎県におきましていろいろ問題になりました暴力団云々の問題につきましては、これは大へん重要な問題でありますので、伊良林小学校は第一回でございましたが、第一回のときからそういう暴力団が入るということを警察が事前に知るところとなりましたので、立会演説会のごときは警察官立ち会いのもとに行われるという形を避けたい趣旨でなるべく控えておるのでありますが、この場合はそういう情報がはっきりしておりましたので、選挙の公正確保のために暴力団等を防止し、ことに選挙妨害をやるであろうとおぼしき人物のそばには警察官を入り込ませまして、それが何か犯罪等を行いました場合にはただちに阻止するという態度をとったのでありますが、その世間では暴力団と思われる人物におきましてはヤジを飛ばすことがなかった、こういうことであります。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 ただいまの報告について質疑があれば、この際お許しいたします。——淵上委員。

淵上房太郎日本民主党

○淵上委員 先般御報告の福岡県大隈警察署留置場における選挙違反被疑者の自殺事件であります。三月一日に調書をとられたというのでありますが、実は私はこれは検察庁のお取扱いに対しても多少ふに落ちない点がありますので、引き続いて質問をしたい件もありますのですが、三月一日にとったという調書の内容は御発表願えますか。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 これは、一般論といたしまして、個々のケースの調書を発表するという点は差し控えているのでございます。と申しますのは、事件のケースそのものは検事に送致され、検事におかれましては起訴すべきものは起訴なされ、それぞれ裁判手続が講ぜられますので、今回の事件に限りませず、個々の一般的な事件の調書等の御発表は、私の方で御遠慮いたしておりますが、この点は一つ御了解を願いたいと思います。

淵上房太郎日本民主党

○淵上委員 逮捕留置した一日の日の調書はおそらくその人が自殺を決意するに至った動機を作った内容には触れてないんじゃないかと私は想像するのであります。二日の日の取調べ、その日に、先ほど来お話も出ておりましたが、警察官が非常に手柄を立てたいという考え方がありまして、いい獲物を得たというので、その警察署内の署長室で在庁の数人の警察官が集まって茶腕酒で祝杯をあげたという事実があるやに聞いておるのでございますが、それは、そのメートルをあげているのが、狭い警察署のことであり、数名署長初め警察官の気勢をあげるその話が留置場に筒抜けに聞えたということであります。その話に刺激されて、苛責の念にたえず、悶々としてついにその夜一睡もおそらくしなかったでしょう。その人は未明に自殺をはかったということであります。私は、今聞きますのは、一日の調書は通り一ぺんの調書であって、自殺を決意するに至ったその動機を作らした内容に触れた調書じゃない、こう思いますので、もう一回この機会に、調書内容は発表できないと言われますので、きょうは一時これは保留しまして、また別途に質問さしていただきます。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 これは私ども警察をよくするという覚悟で研究しているのでありますが、実は二日の日に取調べが行われましたのは夜でございますが、その後に警察署長以下幹部が酒を飲んで大声をあげて、それが留置場まで聞えたということを私ちょっと聞きましたものですから、警察としてわれわれは反省すべきことだと思いまして、厳重に調べる必要があると認めまして、監察官を福岡県の本部から当該警察署に派しまして、厳重に調べさせたのでございます。その調べた状況を御報告いたしたいと思うのでございますが、福岡県の監察官は当大隈警察署におもむきまして、そういう酒を飲んだ事実があるかどうかということを調べたのでございますが、当日はずっと引き続き関係者はほかの仕事も含めて残っておった。祝杯云々という点も私は聞いたものですから、そのとき調べたのでございますが、非常に夜おそくなったので、十一人の関係者に、夜になって、そういう元気をつけるというと何ですが、疲労回復の意味におきまして、一升の酒を署長官舎から持って来まして、署長が君ら御苦労だという趣旨もかねまして、一升の酒を十一人の関係者が飲みまして、飲み残りもあるそうで、一升を十一人で割りますと一合に満たないのですが、そういう状況でございます。それによって大へん騒いだとか祝杯をあげたという状況には至っていなかったようでございます。それから、声が留置場等に届くような状態であったかどうかということで、私、当該警察署が非常に小さい警察署ということを聞いておりましたものですから、その点も非常に念頭に置きまして調べたのでございますが、そういう状況は全然ございませんでして、この自殺なさった方以外に留置場に留置しておった人もございますので、自殺した人は死んでしまっておられますのでやむを得ませんが、自殺なさった方以外の、留置場に当夜いらした方に——警察部内の言うことばかり聞いておっても、虚偽の供述があってもいけませんので、当時留置されている他の被疑者について監察官が事情を聴取いたしましたところが そういう声その他は一切聞かなかった、そういう騒ぎその他はなかった、こういう調査報告をして参ったのでございます。われわれは、その調査報告によって、大体一升程度の酒を、署長室で十一人の捜査員に、夜おそくなったことでもあるので、署長が自分の官舎から持って来て、君ら御苦労だ、こういう意味で飲ました事実は認めるのでございますが、そのために留置場に聞える程度に大きい声でふしだらな行為が行われた、こういう点は今のところ認めがたい、こういうふうに考えておるのでございます。そういう点につきまして、これは報道関係者の当然の職務でございますけれども、当時報道関係者といたされましては、その選挙違反の状況その他を報道する必要を認められまして、報道関係者も出入りしておりますので、君らはこうこういう人物が泊ったから祝い酒をしているんだろう、報道関係者が報道関係の資料という意味でそういうことを言われたことは確かにございますが、祝い酒とか、そういう関係のものでなくして、署長官舎から一升の酒を持って参りまして、比較的疲れた状況におきまして関係捜査員に飲ました、こういう事情のようでございまして、とりわけ留置場等に聞える状態でなかったということは、ひとり警察部内の証言にとどまらず、当時留置されておりました他の人も監察官が調べまして、そういうことはなかったような事情でございます。私どもはそういう点につきましては大へん神経的に考えまして、事警察の処置をよくしようという御協力の趣旨に私は理解いたしまして、今後もそういうふうにお願いいたしたいと思うのでありますが、調べましたところ、そういう状況でございましたので、一応御報告いたしておきます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 木原委員。

木原津與志日本社会党(左)

○木原委員 二回にわたって私調査を要請したのでございますが、御回答は前回と同じであります。要するに、長崎県知事の選挙の際に、暴力団が演説会場に入って選挙妨害をするといううわさがあったので、警察官を適宜配置して万全を期して、事故はなかった、また伊良林の場合においては、暴力団と思われる節の者が入っておったから、その暴力団と思われる人の付近で十分警戒を警察官がやっておったところ、その暴力団は何にもヤジ一つ飛ばさないで妨害もしなかったという趣旨の御答弁でございまして、前回と全く同趣旨と本員は聞くのでございます。御調査によっての御答弁には私は不満きわまりないのでございますが、これ以上あなたに申し上げて何回調査を要請してみたところで同じことだと思いますし、貴重な時間をおじゃまするのもどうかと思いますから、これで調査の要請は打ち切りたいと思いますが、ただ最後に申しておきたいことは、近時選挙で各党の対立が非常にエキサイトして、暴力団あるいは右翼、こういった関係の人を特定の候補者が演説会場に入れて、そうして相手方の候補者の演説を故意に妨害し、ヤジって演説をやらせないというような、これは全国的な風潮だと私は思うのですが、吉田内閣から引き継いだ民主党内閣においてこの傾向は特にひどいと私は思う。これは日本のファッショ化の現われだと考えてもいいんじゃないかと思う。ほとんど相手方の対立候補者に言うことを言わせない。そうして妨害する。そのためには、あらかじめ特定の暴力団的な、あるいはそういうふうな人たちを雇い入れて、故意に言論を封ずるというようなことが一般的になりつつあるのであります。これは非常に忌まわしいことだと思って、こんなことが一般的になっておったのでは選挙はやみなんです。御承知と思いますが、東京都の知事選挙の際もそういったようなことが非常にあったということを私は聞いておりますが、東京でも長崎でも、全国的にこういうような傾向が現われておる。この傾向は取締り当局として非常に重大視しなければならぬと思うのです。それで、長崎でも、今の御調査の報告にありますように、そういったような傾向があるということを耳にしたので警戒を厳重にしたということを回答されましたが、そういうくらいに、事実暴力団が入るというようなことが一般的になっているのです。ですから、今後の選挙におきましては、取締り当局としては、この点に留意されまして、いやしくも立会演説会あるいは個人演説会においても計画的な妨害行為をそういった特定の団体もしくは力によってやらせようとするこの傾向を厳重に取り締っていただきたいと要望いたしますとともに、さらに一言だけお聞きしたいのですが、あの知事選挙の際に、伊良林の小学校に十数人の暴力団とおぼしき者が某新聞社のトラックに乗って往復したという事実を私は指摘いたしましたが、その点については何にも回答は来ておりませんか。

中川董治警視長(警察庁刑事部長)

○中川(董)政府委員 前段の御意見でございますが、これはまことにごもっともでございまして、すべて選挙犯罪は選挙の公正を害するものでありますが、とりわけ暴力団等が暴力を背景にして威圧する、こういうことは選挙の公正を害する最も悪質なものだと理解されますので、この点につきましてはお説全く同感でございます。選挙取締りに当りましては、こういう点は特に注意するように今後ともいたしたいと思います。ひとり選挙に限りませず、暴力団のばっこということは現状は不幸にして各地にございますので、将来は、ほかの犯罪はもちろんやるべきでございますが、暴力団が人を恐喝するとか人を傷つけるとか、こういうことにつきましては周密な視察をやりまして、こういう暴力行為が起ります場合は直ちに剔抉するという態度で臨むことが、われわれ法律に従って職務を行う者の当然の職務でございます。こういう点はお説全く同感でございますので、今後とも、選挙に当って暴力団が選挙違反等をいたした場合はもちろんのこと、すべてそれ以外の場合におきましても、暴力団のばっこ、ことに暴力行為等の制圧には最善の努力をいたすべきである、こう考えておりますので、各地の暴力団の犯罪検挙につきましては一そう注意して参りたいと思います。  それから、後段の御質問のトラック云々の点も調べて参りましたがこういうことでございます。土地の新聞社——御指摘の新聞社でございますが、その新聞社の名前をもちましてサイドカー等によって送り迎えが行われておったことは事実でございます。ところが、暴力団とは何ぞやということについて若干問題があるのでございますが、土地においてはっきり暴力団と目せられている人物は徒歩で来て徒歩で帰っておった事実があります。そして御指摘の新聞の名称を用いた小型三輪が来ておりまして、この小型三輪に何者が乗って帰ったかということを調べさしたのでございますが、警察がこれは暴力団でいろいろ何か暴力的な行為をやりはせぬかと思って見てまわっておった人間は、そのほかにもございましたでしょうが、十分あったわけで、その十人はずっと最後まで見て回っておったのですが、その人間はいずれも徒歩で帰りまして、御指摘の新聞の標識を用いた小型三輪には別の人間が三人程度乗って帰ったのでございます。警察はその小型三輪が出たあとで行きましたものですから、それに乗って帰った三人がいかなる人物であったかということは見届けていないのでございます。先ほど申されましたヤジをやった青年数名はそれに乗らなかったかということを調べさせましたところ、ヤジをやった青年数名は小型三輪には乗っていなかった。従いまして、御質問の小型三輪で御指摘の新聞社の標識を用いてやって来たことは事実である、警察が特に暴力行為をやりそうな疑いを持ちまして警戒しておった十人はその小型三輪に乗らなかった、ヤジを行なった青年数名も乗らなかった、ところが別の三人がその小型三輪に乗って帰ったというのが私の調査でございまして、その乗って行った関係者も、暴力団とは何ぞやということに関係するのですが、世間では暴力団と言われている人かもしれませんが、警察でこの人がやりそうだと思った人間ではなかった、これが私の方の調書の状況でございます。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 佐々木委員。

佐々木良作日本社会党(右)

○佐々木(良)委員 別の問題でございますけれども、一つ調査をお願いいたしたいと思います。それは兵庫県の養父郡で起った事件でありまするが、兵庫教組の組合員の文書図画に関する違反容疑の事件であります。ちょうど選挙のときでありましたので、最近略式命令か何かの決定があったそうでありますが、調査をお願いいたしたいのは、その略式命令か何かの決定に至りますまでの間の調査の形式であります。御承知のように養父郡というところは非常にいなかでありまして、警察に行くといえば犯罪にきまっておるみたいな印象を与える程度のところであります。しかも、御承知のような学期末でありまして、私は大した犯罪容疑じゃないと思うのでありますけれども、そのためにほとんどの先生が、一番最初は女の先生が、その次に校長先生みたいな人が引っぱられておる。普通の考えでいきますと、もし教組で行動するとすれば、当然青年層みたいな元気のいいところでやりますのにかかわらず、おそらく捜査の技術的な面もあったのだろうと思いますけれども、まず女の先生とか校長先生とかいうところを中心にいたしまして、数十名の人が相当長い間取調べを受けておる。そして長いことかかって今やっと略式命令みたいなものになったという経過でありまして、これが特に学期末の生徒に及ぼした影響並びにその地方の住民に及ぼしました影響は絶大なるものがあるのであります。これは水かけ論になるかもしれませんが、特に意を用いて御調査を願いたいと思いますのは、衆議院の総選挙に関する選挙違反容疑事件でありまするが、その次に地方選挙が予定されておったのでありまして、その容疑者の中心に目せられておるところの組合員幹部は、今度はその地方選挙の候補者に予定されておった人であります。従いまして、うわさはうわさを呼び、疑惑は疑惑を呼びまして、非常に大きな事件に地方では発展しておる。つまり、容疑の内容は、はがきの追って書きか何かを書いたとか書かないとかいうだけのものでありますけれども、その事件ではなくして、取り調べられたこと自身が、その公判時期とその政治的な背景を考慮されまして非常に大きな問題を残したわけであります。まだその教組とその警察とは対立が続いておるような状態になっておるわけであります。別に私の方も調べておりますし、別の機会にまた十分お話したいと思いますが、まずこの件の調査をお願いいたしたいと思います。

森三樹二日本社会党(左)

○森(三)委員 私も調査に関しまして警察並びに検察当局に御依頼を申し上げたいと思います。  総選挙並びに地方選挙を通じまして悪質な違反が非常に激増しておることはわれわれの同僚議員が申された通りであります。また演説会における計画的な妨害行為等も多々あるのでありますが、そうした面につきましても今後取締りの当局としては周到な用意をしていただきたいと思うのであります。私どもは、一面において悪質なる犯罪の摘発につきましては徹底的にやっていただかなければならぬけれども、しかしまた反面において、行き過ぎた、そしてまた自分の想像をたくましくした捜査等に対しましては、これは大いに反省をしていただかなければならぬと考えておるのであります。私はたくさんの事案のうち一つピック・アップいたしますと、北海道の小樽市における小中学校の先生に対し、過ぐる四月の二十七日に行われました地方選挙に際し小樽の警察署長初め捜査主任等の行なったあの教組に対する不当なる捜査と思われる事案につきましてお取調べを願いたいと思うのであります。私は直接調査に参りましたが、最初戸別訪問の容疑で手をつけまして、中村きくという女の先生一名と、ほかに男の先生四名、合計五名を警察に留置し、しかも長い間勾留して、これを小樽の札幌地方検察庁小樽支部に送致いたしまして、また小樽の浜という担当検事がこれを取り調べたのでありますが、私は、その際、小樽の警察署長並びに捜査主任、係長等に対し、学校の先生方が父兄を訪問して子供の教育に対してお互いに意見の交換をするということは、これは選挙期間中であろうとも当然に家庭訪問は許されておる行為ではないか、その場合に、たまたま選挙中であって、選挙の話も出る場合がそれはあるであろう、それを計画的な戸別訪問容疑として直ちにこれを収容する、しかも婦人の教員等を警察と検察庁を通じましてかれこれ十三日か四日拘禁したのでありますが、これなど非常に行き過ぎだ、過ぐる衆議院の選挙におきましても七名の自殺者ができておる、また地方選挙においても数名の自殺者ができておるのであって、これは取締り官憲の不当なる行き過ぎの結果であるということを私は強く指摘いたしまして、婦人の教員はすぐ釈放せよ、大体軽い戸別訪問的なものやあるいは形式犯罪については衆議院の法務委員会としては逮捕あるいは監禁というような身体の拘束をするというような行き過ぎをしないようにという警告を発しておるではないかということも私は強く主張したのであります。しかしながら、小樽の警察署長初めその捜査主任あるいは係長のごときは、私のそうした正当な要求をついにいれなかったのでありますが、新聞、ラジオによって、父兄たちは、自分の子供の先生がどんな犯罪を犯したかということについて非常な関心を持ち、一時大問題になったのであります。私どもは、この選挙違反犯罪についてはもちろん適正な摘発はしなければならぬけれども、このような単なる戸別訪問容疑というような事実によって多数の教員を長い間勾留監禁するというようなことは、これは私は行き過ぎておると思う。これにつきまして小樽の警察署長、捜査主任、係長等のとった態度はまことに遺憾にたえないと思うのであります。この行き過ぎた行動を一つ徹底的に取り調べてもらいたい。また、その警察の取調べに迎合し、これと緊密な連絡をいたしまして、しかも指図をしたとまでいわれておるところの小樽の地検の浜という検事のとったあの態度に対しましても、私は行き過ぎが大いにあると思う。これにつきましても、法務当局として十分なる調査を願いまして、次会に一つ御報告を願いたいと思うのであります。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後一時五分散会

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