決算委員会 第17号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/06/16
会議録
○上林委員長 これより会議を開きます。昭和二十八年度一般会計予備費使用総調書(その2)、昭和二十八年度一般会計災害対策予備費使用総調書(その2)、昭和二十八年度特別会計予備費使用総調書(その2)、昭和二十八年度特別会計予算総則題第十条に基く使用総調書、昭和二十九年度一般会計予備費使用総調書、昭和二十九年度特別会計予備費使用総調書、昭和二十九年度特別会計予算総則第八条に基く使用総調書、昭和二十九年度特別会計予算総則第九条に基く使用総調書、以上八件の承諾を求めるの件及び昭和二十九年度一般会計国庫債務負担行為総調書を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。なお政府側の出席者を申し上げますが、大蔵省からは一萬田大蔵大臣、正示主計局次長、竹村会計課長、柳沢可計課長、農林省からは武田会計課長、橘農業保険課長、なお会計検査院からは保岡検査第一局長、上村検査第二局長であります。大蔵大臣は他の委員会に出席する都合もございますので、質問は大蔵大臣を先にお願いしまして、十分以内にお願いいたしたいと思います。 それでは質問を許します。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この予備費を国会に事後承諾を求むべく提出されておるのであります。申すまでもなく予備費はいまだ使用の目的が明らかになっておらず、いわば国会が行政府に白紙委任を与えたと同じような趣旨であると思います。従ってこれは憲法の第八十七条によりまして、特に予備費は第八十七条によりまして厳格な要件が規定されておることは、申し上げるまでもないのであります。こういうわけでありまするので、この予備費を国会に承諾をお求めになることは、その使途の内容が明確になっておらぬものを国会があらかじめ承認したという趣旨にもかんがみまして、特に内閣においては慎重を期してもらわねばならぬと思うのであります。しかるに今御提出になっておりますこの予備費の内容を検討してみますると、昭和二十八年度一般会計予備費使用総調書(その2)以下、昭和二十八年度分につきましては、すでに国会はその間十九特別国会あり、二十国会は臨時国会でありましたが、二十一国会は昨年の十二月上旬召集せられておるのであります。ただいまは二十二国会でございます。そういうようなわけでありまするので、この予備費の国会に承諾を求める規定の趣旨である、次の常会に提出をせねばならぬという規定は、厳格に解していただかねばならぬと思うのであります。しかるときに、次の常会というのは当然十九国会か、さもなければ二十一国会であろうと存ずるのであります。それにかかわらず、第二十二国会に提出されております趣旨は、まことに憲法の規定、財政法の規定を無視した行為と申さねばならぬと思うのであります。この点につきまして大臣の明確な御所信を伺っておきたいと思います。 〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕
○一萬田国務大臣 お答え申しますが、私もただいまの御意見の通りだと思っております。憲法並びに財政法に基きまして、すみやかに次の国会に提出いたしまして、御承諾を受くべきもの、かように考えておるわけであります。全く同じ意見であります。
○吉田(賢)委員 そこで第一国会以来の予備費を提出せられた例をずっと検討してみますると、今のような異例はないのであります。それからなぜこういうふうにおくれたかということを事務当局に伺ってみますると、前の第二十一国会は解散になったのでその機会がなかったとか、あるいは事務が完了しなかったとか、こういうような御説明はありましたけれども、しかし事務の実情をさらに前回の委員会において事務当局から伺ってみますると、予備費を内閣で使用決定いたしましたそのまま、もしくは大蔵大臣が決定いたしましたそのまま、国会に承諾を求める手続はすぐできるのでありますから、事後の手続は国会との関係におきましてはそんなに複雑なものはないはずでございます。従ってこれがたとえば昭和二十九年の一月に閣議決定があり、それが昭和三十年の六月、一年六カ月後に予備費の承諾を国会に求めるということは、これは怠慢でないであろうか、事務上考えても、それは少し怠慢に過ぎやしないか、これはやはり予備費というものの考え方が少しルーズであるのじゃないだろうか、予備費を国会において承諾を求めるという厳格な規定を少し無視しておるのじゃないか、こういうふうにも考えられるのであります。要するに、事務上から考えましても、ごうも一年数カ月放置しておくべき何らの正当な事由は御説明がないのであります。こういうことにつきまして大臣は私の申し述べる趣旨は御了承のようでありまするが、これはやはりもっとしゃんとした態度で臨んでいただかねばなるまいと思います。もっともだということだけでは、私はどうかと思います。やはり国会に承諾をお求めなさるのですから、これは誤まっておった、過失であった、悪うございましたといってそれで承諾を求めるというのでは、少し納得しがたいと思うのでありますが、積極的に大臣はどうお考えになり、これに対してどう弁解をなさるか、また今後どうなさるか、この委員会はもちろんですが、国会に対して承諾を求めておられるのですから、どう申し開きなさるのでしょうか。
○一萬田国務大臣 実は財政法に基きまして、次の国会、言いかえれば前の国会に提出いたしますように督励をいたしておったのでありますが、御承知のように解散が早期にありまして、事務的に間に合わなかった。それは弁解あるいは釈明にならぬとおっしゃるかもわかりませんが、事実そういうふうなことであったのであります。しかし決してこれは適切と私考えているわけでもない。今後におきましては、そういうような点についてさらに十分注意をいたしまして、早期に国会に出して、そうして御承認を受けるということがよろしいと考えております。
○吉田(賢)委員 それでは率直に今指摘しました点をお認めになり、今後の態度、方針もあなたの誠意を信頼することにいたしまして、それはぜひそうあらんことを希望申し上げます。 さらに一点お伺いいたしますことは、これはあなたの内閣でなしに、前内閣がやったことでありますが、昭和二十九年四月十六日の閣議におきまして、予備費使用についてという決定をしているのであります。要するに、これこれの経費は国会開会中といえども予備費は使用ができる、こういう趣旨になっているようであります。元来予備出費というものは、国会が閉会中であること、それから国会に予算を提出する機会がないこと、あるいは予算の議決を求めるというようなことは非常に不便でもあるし、不可能でもあるし、もしくはそれでは事業の執行が間に合わぬとかいうような特殊な場合に限定されておりますことは、申し上げるまでもないのであります。ところがこの閣議決定によりますと、その前に決定いたしておりましたよりももっと範囲を広げてしまった。たとえばこの間の委員会におきまして、国有財産の処理、税金のため物納いたしております財産を売却するのに、四千万円ほど予算はとってある。ところがその手数料がさらに二千数百万円必要である。五割以上必要である。それは事業量が増加しているからというので、その手数料を今度は予備費で出す、こういうことになっております。ところが、そういうふうに予備費を使うならば、一体国会にあらかじめ予算の内容、目的、数量、期間等を明示して承諾を求めるという、その国会の予算審議権というものは、この閣議で逸脱させてしまう危険があるのではないか。あなたの内閣でおやりになったことでないのだけれども、たまたまこの予備費のうちにそういう事項が出てきまして、実はそれは開帳決定によって手数料が二千数百万要ったので、それでこの規定に基いて支出した、使用したものである、こういう御趣意なのであります。でありますので、あなたに伺っておきたい点は、やはり予備費の使用につきまして閣議決定というものがあって、ずいぶんとたくさんの事項を羅列してあって、以前きめた閣議決定よりも範囲を広げまして、国会の審議件を制約するような形になっております。これはやはり良心的に考えましたならば、なるべく制約するのが私は当然であると思う。でありますから、あなたから今内容について御即答はいただけないかもしれませんけれども、この閣議決定を再検討せられて、予備費が例外規定であるという趣旨にかんがみまして、もっと厳格に制約すべきでないかと思いますので、一つ御検討を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
○一萬田国務大臣 全くごもっともな御意見でございます。特に大蔵大臣としては、予備費の性質から見ましてもお説のように取り計らいたいのであります。従いまして前内閣の閣議決定でありますが、これにつきましては従来からも十分検討を加えて参っておるのでありますが、さらに御趣旨もありますので、検討を加えまして、今御意見のような趣旨に沿うように取り計らいたいと思います。
○吉田(賢)委員 もう一点伺いますが、実はこれ一冊が国会に対しまして予備費の承諾を求めるために参考に送付されたところの書物であります。ところで、果してしからば予備費が閣議で使用決定せられて、その後現実に使用したのか、支出したのか、専業は行われたのか行われなかったのか、不用額があったのか、事故繰り越しでもできたのか、目的に沿わないような結果でも来たしていはしないか、つまりこういった閣議決定してから以後の、現実に使用した、支出した状況なるものは、国会に対して何ら明らかにされておらぬのであります。もう一つ、大蔵省におきましてもいまだ——各省各庁が予備費の膨大なものを使用いたしておりまして、二十八年のものは決算の調書の中には一応出ておるようでありますけれども、少くともそれ以後の分はまだ明らかでない。言いかえますると、予備費の決定をいたしましてその後の支出、使用の現実、具体的な巡行の状況と事業との関連、効果の有無、結果がどうか、こういうようなことについては何ら把握することなくして、国会に予備費の承諾をしてれ、こうなっております。これもやはり私どもに言わせれば、一々各省について全部一体その金は使ったのか、使わぬのか、どうしたのかについて報告してもらわなければ、ほんとう言えば簡単にのむわけにいかぬのであります。言いかえまするならば、予備費の正式使用決定はしたけれども、その後何らかの事情があって使用はしておらぬ、そういう場合には一体責任はどうなるのであるか、あるいはそれが妥当であったかどうか、使用決定を誤まっておったのではないか、要求が誤まっておったかどうか、やむを得ざりしかどうか、こういうことも私たち国会は審議しなければいかぬと思う。つきましてはやはり大蔵省といたしまして、各省庁から予備費使用の、つまり使用決定がありましてから後の現実の使用、支出の有無、状況等につきましては逐次もしくは随時適当な期間々々に報告を求められて、そうして国会に承諾を求められる際は可能の範囲で見込人数だけでも直ちに御説明ができるようにしていただかなければいかぬと思う。私も気のついたところを三つ、四つ、しからばこれについて一体その令は使ったのか使わないのか、どんなになっているのかそれぞれ資料を求めたいと言ったのだけれども、資料はとんと出てこない、資料をとろうとすれば九州の末端の機関までいろいろと報告を求めなければいかぬとかなんとか、半月もかかってしまう。ところが数百の項目にわたりまするので、とてもそういうものを待っておられぬという現状であります。ということになりますると、まことに国会といたしましては審査を十分に行い得ないことになります。やはり大蔵大臣が国会に承諾を求めたさる現在におきましても、的確に、可能な範囲でその実情を把握しておられればならぬと思うのだが、把握しておられぬ、各省も報告しておらぬというのが実情らしい。これは私はもってのほかだと思うのでありますが、一つ大臣に責任ある御答弁を願いたい。これはなおほかのいろいろな審査の機会がありますので、一々全部にわたることはきょうは避けておきますけれども、少くとも今後の態度、方針として、相当責任のある言明を答弁としていただきたいと思います。
○一萬田国務大臣 全くごもっともな御意見であります。各省におきましてもその執行については迅速かつ適切を期しておると確信いたしておりますが、しかしそれを明らかにすることはむろん必要であります。また御審議を願うについてそういうふうな資料をできうるだけ添付いたし、また御説明申し上ぐべきが当然のことと思います。それでただいまなるべく早く御審議を願うという意味で、あるいは資料について十分でない点があるかとも存じますのですが、なおできるだけ資料や説明を十分にするように督励をいたすことにいたしたいと思います。
○吉田(賢)委員 大臣に対する質疑はこれで終ることにいたします。 〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕 私はなお予備費につきましてはいろいろと御質問申し上げたい事項を用意しておるのでありますけれども、それはまたどうせ今後各省庁の決算の審査もあることでありまするので、その機会にこれらも関連いたしましてなお随時御質疑をさせていただくことにして、この提出されておりまするところの総調書につきましては、一応質疑はしないことにいたします。
○上林委員長 吉田委員の発言了承いたしました。 なお政府側の出席者を追加して申し上げます。農林省大坪農林経済局長が出席しております。
○上林委員長 それでは次に昭和二十八年度決算書、法務省所管について審査を進めます。すなわち昭和二十八年度決算検査報告八八ページより九五ページに至る報告番号四八ないし五三を一括議題とし、まず会計検査院当局より説明を求めます。上村検査第二局長。
○上村会計検査院説明員 二十八年度の法務省関係の検査報告について御説明いたします。最初四八号について御説明いたしますが、これは昭和二十三年五月ごろから二十八年三月ごろまで、相当長期間にわたって経費の紊乱が行われておる事態でございます。内容は相当複雑になっておりまして、宮崎検察庁にあります収入金あるいは立会封金、歳入歳出外現金を接待費その他の経費に使い、あるいはそのほかの収入金から不足を補うために、歳入歳出外引金に持っていくというような事態が起っておるわけでありまして、なおさらに歳出金に架空の支出を三百二十八万円ばかりいたしまして、これを接待費、飲食費等、あるいは収入金の穴埋めに使われておるという事態でございます。その金額は千四百四十六万円くらいに上っておるわけでございますが、たまたま二十七年の五月に検査院から検査に参りましたわけでございますが、そのとき金が不足しておるということで、日南支部から保管金三百三十余万ばかりを取り寄せまして、ただいま申し上げましたいろいろの収入金、立会封金等にいたしまして、不足分に埋めた。私の方の検査のそごの責めもあるいはあろうかと思いますが、検査を一応終了した、こういう事態でございまして、結局におきまして、その後職員等から三百八万余円が補てんされました結果、穴のあきましたのは、六十一万二千円が、日南支部の歳入歳出外現金を借りてきた分が穴があいておる、こういうふうな事態が起っておるわけであります。かように長期にわたって経理紊乱の行われましたことは、はなはだ遺憾に思うわけでございますが、普通の場合、不正行為その他が検察庁関係にある程度まで——最近は減ってきておりますが、あったわけでございます。その場合に防止方法といたしましては、監督を十分にやることだろうというように考えておるわけでありますが、本件につきましては、会計課長、事務局長あるいは検事正もある程度関与されておるというような事態でありまして、さような意味合いからいたしまして、監督関係はもちろん十分に行われていなかったというような関係から、長く行われた事態だと考えておるわけでございます。しかも本件のような事態は検察庁につきましても相当異例な、今までにない事態であろうかと思っております。 次は、四九号の工事の施行が当を得なかったので、出来形が不完全になっているという事態であります。これはここに書いてございます通りでありまして、特に説明をする点はございません。 次は五〇号でございますが、五〇号は、札幌刑務所でカズノコとニシンを二十八年の十二月に四百七十万円ばかりで買っておられるわけでありますが、このうちカズノコがキログラム当り五百円ということで購入されているわけであります。当時の実際の時価その他から考えまして非常に高くなっておりまして、実際はキログラム当り三百二十五円から三百五十三円程度でありまして、約九十万円が高価になっているわけであります。そのようだ事態がなぜ起ったかということは、検査報告にも書いてございますが、形は指名競争入札を取ったというふうに私の方に説明しているわけでございますけれども、調べてみますと、実際契約せられた日以前においてすでに本品が発送されているというような事態からみましても、正当な競争入札が行われていないというふうに考えているわけでございます。政府の説明書には、実際の契約を行なった時期が形式しの契約を行たった時期より前であって、ほんとうは競争入札を行なったのだということが若いてございますが、その後払の方で調査いたしました結果、あるいは法務省にお願いして調査していただいた結果、この件は競争入札が行われておらないという事態が判明したわけでございます。ここにちょっと書いてございますが、この業者であります挾間某が刑務協会に購入あっせん方を頼んで参りまして、そこで大体話がまとまりましたものにつきまして、矯正局に刑務協会の方から話がございました。大体あの話のあったのとほほ同じ価格で、予定価格ということで刑務所の方へ流されまして、その価格で随意契約をされたことにたっているわけでございまして、その間に刑務協会におきまして、あっせん手数料というような形で四十四万円をもらっているという事態もございます。本件は競争入札をしないで、時価よりも高い価格で購入したということでございまして、本件の将来の扱いにつきましては、かような事態が刑務協会を通じ、矯正局を通じ流れているという事態からみまして、法務省において十分にお考え願いまして善処ざれることをお願いするわけでございます。私の方といたしましても、このことにつきましては、特に責任者の関係についてもちろん現在調査を続行しておりますので、真相が判明次第十分適切な処置を講じたいと考えております。 五一号は、作業に見込みのないマルテリス輪転機一式及び付属タイプライター三台を購入されたという事態でございます。これは相当高性能のものでありますが、当時十分の見きわめもしないで購入されたため、予期通りの作業が実施されていないという事態でございます。 次は五二号、五三号、これは犯罪でございまして、特に一件々々御説明する点はございませんが、前年度よりは二十八年度の方が犯罪が継起しましたものが減っておるということでございまして、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、編成、組織及び監督を十分にしてかような事態のないようにせられるべきだと考えております。私どもの検査につきましても、最初五〇号のところでちょっと説明いたしましたが、検査に行きます場合、全部とはいきませんが、相当こまかい面まで綿密に調査する必要があるというような考え方で、現在そういう方向に進んでおるわけでございます。
○上林委員長 ただいまの説明に対して、法務当局において補足説明の発言を求められております。これを許します。小泉政務次官。
○小泉政府委員 大臣が参議院の委員会に出ておりますので、私から一言御了承をいただきたいと思います。検察庁その他所管の各庁における経理上の不当事項につきまして国会の御審議をわずらわしますことは、まことに遺憾に存ずるところでございます。昭和二十八年度における不当事項は六件でございまして、これを過去数年間の数字に比較しますれば、その件数は著しく減少をいたしておりまして、改善に努めた成果をある程度お認め願い得るものと信ずるのでございます。しかしながらこのうちには特に宮崎地方検察庁の多年にわたる経典紊乱事件などが含まれており、何とも申しわけのない次第でございます。法務省としましては従来より職員の犯罪とこの種不当時効の根絶に意を用いまして、あらゆる機会に職員の注意を喚起しておりますほか、専務の運用により不正不当の事項の起らないような方法を講ぜしめるよういたしておるのでございますが、今後とも一層この点に留意をいたしまして、監査監督を厳重にし、不当事項の絶滅を期する所存でございます。 なお、個々の一項につきましては、後に経理部長より詳細に説明をさせたいと存じます。
○上林委員長 質疑の通告があります。のでこれを許します。吉田賢一君。 なお、政府側の出席者を申し上げますと、ただいま説明いたしました小泉政務次官並びに竹内経理部長が出席しております。
○吉田(賢)委員 報告番号四八、八十八ページの宮崎地力検察庁における経理紊乱の事項、並びに報告番号五二、五三、前橋検察庁ほか五カ所の不正行為、これらにつきまして一つ伺いたいのであります。 私はこの記述を通覧いたしまして、これは編さん別には一方は予算経理で、経理紊乱となり、一方は職員の不正行為となっております。しかし四八号もやはり職員の不正行為でございまして、不正行為が中心になってこういうふうな紊乱経理が行われたと思うのであります。 そこで、四八番はずいぶんと複雑怪奇の事件のように思われまするが、法務省といたしましても、検察行政の重要な地方検察庁におきましてできたこのような事案でございまするから、相当綿密な調査をなさつただろうと思います。政府から提出いたしておりまするこの弁明の書類にも、一応事実をそのまま肯定して、今後の厳重な注意をしたいというような御趣旨であります。一応ごもっとものように思うのでありますが、まず伺いたいことは、あなたの方で第一宮崎の地検で起りましたこの事実について率直に言っていただくならば、一体何が原因でこういうことにたったのか、この点について、長く御説明は必要といたしませんから、過去、現在、将来の検察行政の、ことに会計画における事案といたしまして、何が原因だろうというようにあなたの方に最も大きく映っただろうから、その辺について一つ率直な点を聞いておきたいと思うのであります。
○竹内政府委員 私どもの手元で調査いたしました結果並びに当時福岡高検で犯罪事件といたしまして捜査いたしました結果等を総合してみますと、本件の原因となりました点につきましては、いろいろな事項が考えられるわけでございますが、まず第一には、会計経理の職務についておりました会計課長、事務局長、庶務課長といったこの関係の職員が、終戦後裁判所と検察庁とが分離いたしましたその直後のことでございまして、以前には裁判所の方でこういう経理事務を扱っておりましたのが、新たに検察庁の方へこういう職務が移って参りまして、専務にふなれでありましたために経理についての厳粛の考え方が欠けておった。そこでわかりやすく申しますれば、金を握ったのである程度気が大きくなったと申しますか、職員から今旅費に差し迫っておるので立てかえてもらいたいといったようなことをよしよしと引き受けてやった、つまり立てかえ流用をかれらの権限においてするというようなことが最初の始まりであったように思うのでございます。ところが、この立てかえ支出をいたしますることは、非常にめんどうな手続を省略してやれるものでしございますから安易に流れやすいので、それがだんだんといろいろな方面に膨脹して参りまして、ついには収拾がつかなくなる、こういうことにたったのでございます。その間に監督者でございますところの検事正の方々も、本命一本で金が出てくるといったような安易の気持でございまして、そのやり方が将来このような大きな結果にたるということにつきましてのこれまた認識が欠けておったというふうに考えられるのでございます。そういうことが何年間か続いておりますうちに、本件のような大きな事件になってしまった、こういうことでございまして、初めのうちはそうでもなかったのございましょうが、こういうことを繰り返しておりますうちに締りのない会計経理をしておった。たとえば接待費のようなものも、予算は非常に少いのでございまするけれども、それらの限度等も考えないで立てかえ流用でまかなえるということから、そういう方面にも派手にふるまったというような点も見られるのでございまして、今日になって顧みますると、いかなる点から考えましても遺憾であった、こういうふうに申し上げるほかないと思うのであります。
○吉田(賢)委員 ちょっと今聞き漏らしたのですが、分離というのは何のことをおっしゃったのですか。
○竹内政府委員 昭和二十三年の五月に、新憲法のもとにおきまして裁判所と検察庁とが分離をいたしました際に、会計経理の事務を分離いたしまして、検察庁が独自の会計経理をいたすことに相なったわけでございます。
○吉田(賢)委員 あなたの方でこの案件は非常に重大なものとしてお扱いになったものと推察しますが、この原因、結果、対策等について、文書でまとめて検察事務の改善といったようなことについてお出しになった、そういうような報告書ができておりますか。
○竹内政府委員 お答えいたしますが、この調査の結果については非常に膨大な資料ができております。それで私の方としましてはこれを取りまとめまして、検察長官会同の席上で御説明して、各長官にお渡ししようかという考えを持っておったのでございまするが、一面これは事実の報告ということになりまして、さらに技術的に申しますると、たとえば収入金の使い込みというようなことは、どういうところに無理があったためにこういうことが起ったかということも今や明らかになっております。そういう技術的な面等をも明らかにすることによって、整理することによりまして、もしそういうりっぱなものができますならば、ただこの宮崎事件でそんなことがあったかという戒めのことになるだけではなくして、長百方が会計経理を実施する場合に、その報告書によりまして、自分はこうしちゃいかぬということにもなると思いますので、そういうふうな整理してはっきりしたものにいたしますには、長官会同で報告書を出すということだけでなくして、たとえば法務研修所のようなところで少数の専門家によってあらゆる角度から検討して、その資料を取りまとめ、それを各庁に教養資料として流すというようなこともあわせて考えた方がよいと思いまして、ただいまその考えで実は昨日も法務研修所当局と話し合っているようなわけでございまして、まだ渡してはありませんが、資料はできております。
○吉田(賢)委員 それはまことに私は奇怪に思います。やはり五二号によりますと、前橋の検察庁においてこれまた二十七年から二十九年に至るまで職員の罰金その他の現金が多数に不法領得されておる。この宮崎の事件のごときは、会計検査院から申しましても検事正の名前までも出ておる。こういう重大なものを法務研修所で研究させて——研修所というのは何も行政部ではないでしょう。やはり法務大臣みずからがこれに対する原因を検討して対策を立てるというのが私は当然だろうと思う。その刑務的な案はあなたの方がなすべきが順当ではないかと私は思います。検察長官会同がいつあるのかあったのか存じませんけれども、こういうものは即刻案を立てて、そして次の機会にすぐ出すというのが、私は当然だと思う。この与件はもうすでに二十八年の三月——発見されたのがいつでありまするか詳しくはわからないが、昨年の四月に会計検査院も検査をしておるようでありまするから、いずれにいたしましてももう長くたっておるのです。それなのにそれに対する結論をまだ法務研修所で研究させるというような、そんな間の抜けたようなことで私は会計紊乱の是正はできぬと思う。どうしてもっと早く適切な案が立たぬのか、最終的結論は、あなたは出さぬでもいいと思うけれども、事務当局としてはこういう重大な事案の結果は、しかるべき案が立たなくちゃならぬと思う。法務大臣は、全国の検察庁に向って、その官紀振粛に対してほんとうに決意を示さなければいかぬと思う。そもそも法務行政の最も重要な部分を占めておりますのは検察庁であります。この検察庁におきまして風上に置けぬようなこういう事案が九州の一角において、しかも宮崎検察庁におきまして起っておる。ことにこの報告資料によりますと、日南支部から立てかえがあったというのですが、これも一ぺん聞いてみたいと思ったわけですけれども、一体そういうようなことはめちゃくちゃです。財政はめちゃくちゃということにならざるを得ない。今ごろ研修所に研究させるとかいうような、そんな他人依頼じゃだめであります。どうしてあなたの方で荒削りであろうとも要項を決定して、法務大臣が責任のある個所において検討し、全国の官紀を振粛するという挙に出ないのか、どうしてあなたの方ではそれができないのですか。
○竹内政府委員 私の御説明はいささか当を得なかったと思いますが、私は、こういうものをまとめて流したような準備をしたかというふうな御質問でございましたので、一般他戎の意味の資料として今のようなことを考えてお答えいたしたわけでございますが、本件につきましては当時直ちに綱紀粛正の意味におきましてそれぞれ処分をいたしましたほか、事務につきまして徹底的な改善を命じました、それはここで御説明できる次第でございます。なおこの事件の直後におきまして、長官会同の席上で綱紀粛正のための御訓示も大田からあるわけでございます。ただいま私が申し上げましたのは、決してこの事件をむだにしないで、この事件によりまして、さらに一そう趣旨を徹底していきたいというような趣旨から、今のような事務的な処置を考えておるというふうに申し上げた次第でございます。どうか誤解のないようにお願いいたします。
○吉田(賢)委員 それでは伺いますが、事務を徹底的に改善したとおっしゃるが、どういうふうに改善をされたのですか。
○竹内政府委員 繁雑でございますが……。
○吉田(賢)委員 時間の関係もありますから要点だけでいいです。
○竹内政府委員 まず会計課長、歳入保管金の係、歳出係、こういう職員を全部交代させました。第二に歳出係、用度係の区分が明確でございませんでしたのを、歳出係、用度係の職務内容を明確にいたしました。第三に収入金の取扱いでございますが、現金証券払込原簿登載ということを従来やっておりましたのを、これを廃止いたしました。それから歳入金調定原簿の登記、これは従来通りいたしておりますが、現金証券払込原簿に徴収通知書をはさんで歳入金調定原薄とともに収入官吏に提出して、収入官吏は徴収通知書の収入官吏領収済印欄と歳入金調定原簿てんまつ欄に収入官吏に即納という下に認印をさせ、これを歳入徴収官に提出する、歳入徴収官は徴収通知書の歳入徴収官印欄に認印とともに、現金証券払込原簿及び調定原簿の上部欄外に一件ごとに認印をする、こういう取扱いに対しまして、歳入係が徴収した現金は、その翌日銀行に払い込み、その領収証書とともに領収書原簿と徴収通知書を収入官吏に提出する、収入官吏は右三者の金額を点検確認いたしまして、徴収通知書の収入官吏領収済印欄に認印をいたしまして歳入徴収官に提出する、歳入徴収官はその通知書の歳入徴収官印欄に認印をするということに取扱いを変更いたしまして、この間の間違いのないようにいたしております。さらにまた変ったところだけを申し上げますと、立会封金の取扱いにつきまして、従来は年度ごとに区分して立会封金を大封筒に一括収納して金匠の中に保管いたしておりましたが、出し入れに不便であり、かつ増減が一目で把握できないという状態になっておりましたのを、証拠品事務規程という大臣訓令を定めまして、その規程に定められた封筒を作成し、これに収納の上、年度番号に整然と金庫内に並列し、増減の状態が一目でわかるように監理保管させることにいたしました。なお補助簿を設けまして出し入れの都度記載をいたしまして、会計課長が認印をするという取扱いに変更いたしました。 それから次に歳出関係と監査の関係でありますが、従来監査は内部監査といって次長だけの監査がなさるべきであったのが、それが行われておりませんでしたので、内部監査をさせることにいたしましたが、さらにそのさせ方、方法等についても、監査カードを設けまして、定期的に本庁及び各支部の府県の監査を実施し、カードはその責任を明らかにするために本庁に保管するといったような処置を取らせておるわけであります。
○吉田(賢)委員 それの時と範囲——その庁のみならず全国的であるかどうか、いつそういうことを実施したかどうか。
○竹内政府委員 お答えいたします。ただいまの処置を取りましたのは二十八年の八月のことでございます。それから全国的にやっておるかどうかという点につきましては、むしろここの役所がやってたがったのでございまして、ほかの役所は多かれ少かれやっておるわけでございますが、そういうものを統一いたしまして、二十九年の一月からは今申しました証拠品事務規程というような大臣訓令を出しまして、証拠品の扱いその他について全国的に統一のある処置を取らせ、同時に監査に便利なようにいたしております。
○上林委員長 法務大臣がせっかく出席をいたしましたので、大臣に対する質問を先にお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
○吉田(賢)委員 実は大臣御出席の前に昭和二十八年度の会計検査院の決算報告書に基きまして第一は、宮崎県地方検察庁におきまして二十三年五月から二十八年三月にわたりますまでの間収納金、保管金等が非常に乱脈に流用されたり、不当に使用いたされました案件、それから前橋地方検察庁外五カ所、これは二十七年四月から二十九年二月まで同じく職員等によりまして不正行為のありました事件、これを中心に伺っておったわけであります。 そこで、あなたにお伺いもし、この機会にはっきり御方針を伺っておいたらと思うのでありますが、この種の検察庁の会計紊乱というものは、従来ちょいちょいあった事件で、この報告書にもしばしば出てくるのでありまして、これはどうも類似の原因があるようであります。これにつきまして、その原因を指摘され、これに対する対策はいろいろと述べられるのでありますけれども、その都度綱紀を振粛するとかあるいは監督を一層厳重にするということが述べられるのでありますが、なお跡を断たない。そこで、これはあなたの方だけの問題でなく、日本の行政官庁全体の問題にもかかわりますので、たまたまこの機会に一つ御方針を立てていただくべく、もしくは御方針々承わってみたいと思うが、一体官庁会計というものに一つ根本的な改革を加える必要があるのではないだろうか、今経理部長からも種々こまかい点をお述べになりまして、これも改善の跡として私も拝聴したのでありますが、日本の官庁会計は普通の企業会計ではありませんから、損益計算というものはあまり勘定することはないようでありますけれども、しかし官庁の会計経理の紊乱というものは、会計制度が適切な進歩を遂げておらぬというところにあるのじゃないか、こう思われるのであります。そこで、消費経済的な会計経理が大部分ではありますけれども、もっと会計経理について企業における複式簿記的な、またたとえば検察庁においてもある期間ごとに貸借対照表でも作って、一目してわかる、そういうことをやらしたらどうか。これによって見ても検事正なんかも十分監督しないで、会計課長にまかせきりであった、こういう様子でありますが、収支の計算だけ記帳していくということで、これを一々監督していくようにしても、検事正が監督するということは容易じゃないだろう、内部監査あるいはその他の監査もいろいろ充実しておるか存じませんけれども、これはやはり会計経理制度そのものに進歩をさせなければいかぬのではないか、そういたしますれば、これはやはり官庁にも複式簿記が発達すべきではないか、こう思うのでありますが、直ちに複式簿記をこれに採用するということは、あるいは必要がないかもしれませんが、さりとて今のように一目して、貸借対照表もないようなことでは、すぐに財産の変動についても把握はできぬのであります。従って国全体の会計を見ても、国は幾ら債権があるかわからぬのであります。御承知と思いますけれども、国家はなんぼの債権を持っておるか知らぬのです。どこにも記帳しておらぬのです。大蔵省にも記帳するところはございません。アメリカに対しての債権二百億円がかりにありといたしましても、その債権は登録しているところがないのであります。国有財産の制度は発達しております。けれども国有財産は不動産その他限定された財産であります。例をあげればこういうふうであります。これは国全体の面からでありますが、私は一つ進歩的な大臣にぜひやってもらったらと思う意味でお尋ねするんだが、官庁会計において、複式簿記は用いなくとも、それに似たような官庁簿記の特殊なものを発達させまして、こういう間違いは直ちにわかるようにすべきじゃないだろうか。毎月でも三月目でもよろしいが、貸借対照表ぐらいあってしかるべきだと思う。これに必要な証拠書類なんかもすぐに手にそろえられるようなこともなすべきじゃないかと思うのですが、一つあなたの方で部下に命じ調査研究させてはどうかと思うのですが、そういうことをお考えになったことがございましょうか。唐突としてこういうことを伺いましていかがかと思いますけれども、御所見を拝聴したいと思います。
○花村国務大臣 吉田君のお説ごもっともであると存じます。各官庁の経理面を見ましても、私どももやはり不備なもののあることを認め、これをもそっと進歩的に改善していかなければならぬという点は同感でございます。そこで法務省におきましても、ただいま御指摘に相なりましたような問題の起きましたことはまことに遺憾にたえないところでございます。この問題に対しましては、将来かくのごとき問題を再び起きざるよう十分に注意をいたしており、またよりよい指導もいたすように命じてあるのでありますが、今吉田君の害われたごとく、その経理の方法等をまず改善しなければならないのじゃないかと私どもも考えておるところでありますので、この点は今後十分研究いたしまして、最も進歩的な、よりよい方途を講ずることによって、かくのごとき問題を起さざらんことを期するようにいたしたいと存じます。
○吉田(賢)委員 もう少し具体的に申し上げておきたいと思いますが、法務省だけが特別な形式の会計経理もしくは特殊な簿記を採用することは、あるいは困難かも存じません。法規の改正等も伴い、あるいは全体に影響することもどうかと思いますけれども、しかしながら現行法規の範囲内におきましても、検察庁なんかにおきまして一つ模範的な——検察庁とか裁判所というところには不正とか悪はないものだということを実証されることが、私は国民の信頼を獲得する唯一の道であると思います。でありますから、こういう事件が年々大小繰り返されるようなことを根本的に改めるためには、全体の官庁会計のあり方を変えることもさることながら、まず隗より始めよで、検察庁の会計紊乱をなくするためにはどうしたらいいか、それには私はやはり複式簿記的なものを御採用になることがいいだろうと思うのであります。今個人会計におきましても、御承知の通りに、税関係においては青色申告が要請されております。青色申告の内容はやはり複式簿記に類似したものが要請されまして、当初は繁雑であるようでありますけれども、なれれば非常に頭が整理せられて経理、財産会計等におきまして、むしろ実態把握をおのずからするということで非常に便利だというふうにも今日は言われておるわけであります。ところが検察庁において、検事正みずからが自己の監督しておる検察庁の財産の状況を一目にしてわかるようた状態に置いておらぬというところが、私は経理の形、制度におきまして欠けておると思います。そこでかような複式簿記に近いようなものをお用いになることを具体的に検討されたらどうだろうか。それが検察庁の方面でもしできましたたらば、おそらくは裁判所におきましてもその他官庁会計の大きな改善の糸口ができるのじゃないかと思います。今日は企業会計におきましてはずいぶんと経理の方法が制度として進歩しておることは申し上げるまでもございませんが、くろうとに聞きますと、官庁会計が一番おくれているということであります。これは各予算、決算を通ずる制度を貫く大きな課題にたりますので、全体を改めますことは容易じゃございませんけれども、これはしかし大きな課題としてわれわれは考えておきたいと思いますが、とにかく法務省管内におきまして、検察庁の方の会計経理をりっぱにするという意味におきまして、具体的に一つ取り組んでいただきたい。願わくは本国会中にでもできるだけ近い機会に何らかの成果を当委員会に御報告願うようなことになりますれば、この紊乱不正事件の百の御弁解を聞くよりも、最も建設的な効果がもたらされるものだと考えておるのであります。私は今の、進歩的な方法を取り入れたいという御趣意はまことに尊重いたしたいと思いまするので、検察庁のこの種の問題のあとを絶つための重要な方法として、ぜひともただいまのそういう会計経理の制度的な面について直ちに取り組んで改善の方途をとっていただきたい、このことをあなたに御希望申し上げておきたいと思うのであります。ぜひとも当委員会に対しまして適当な御報告が願えるようにしてほしいと思いますが、その御決意を持っていただけましょうか、どうでしょうか。
○花村国務大臣 ただいまの御意見まことにごもっともでありまして、傾聴に値すべきものがあると存じます。しかし複式簿記の方式はなるほどけっこうではありまするが、現行法において果してでき得るかどうか、この点は多少疑問なぎを得たいという気持がいたしますので、一つとくと研究をいたしまして、そうしてすみやかに御希望に沿い得るような方向へ進みたい、こう存じます。
○吉田(賢)委員 私の大臣に対する質問はこの程度でおきます。
○上林委員長 事務当局に対する質問はありますか。
○吉田(賢)委員 あります。
○上林委員長 それでは事務当局に対する質疑を継続していただきます。吉田委員。
○吉田(賢)委員 経理部長に伺いますが、さきに検査院当局からの御説明に、私が聞いたところに誤まりなければ、宮崎検察庁日南支部から三百三十四万五千円を立てかえてもらって穴埋めにされておるようでございますが、一体こういう立てかえというようなことは、会計法規の見地から見ましてそういう観念があるのでしょうか。流用ということは可能なのであろうか、その辺はどういうことになりますか。経理部長から御答弁願いたいと思います。
○竹内政府委員 御指摘の点は流用という観念を入れる余地はないと存じております。当時福岡高検の主任検事がこの点を犯罪として捜査をいたしておるのでございます。
○吉田(賢)委員 私も立てかえということが法律上許されるものとはどうも考えられない。それからもう一つさかのぼって罰金あるいは科料の収入金を旅費に立てかえた、接待費に立てかえた、この立てかえはまた流用、移用の観念に相いれるのですか。その点いかがでしょうか。
○竹内政府委員 ここに指摘されております部分は全部流用を観念的に入れる余地がないというふうに考えております。
○吉田(賢)委員 そういたしますると、そもそもたとえば出張旅費が必要である、そこで国民から罰金を収納してそれをもって出張旅費に充てる、そういうようなことはあなたの御説明によると事務がふなれであった、それから事務当局は裁判所と検察庁の分離によって経理会計の知識がなかった、こういうような御説明もありまするが、一体会計課長というような者に会計、経理の知識のない、法規がわからぬ者を任命するというのはどういうことなんでしょうか。またふなれとかなれとか言いましても、罰金を国民から取り立てて、それを出張旅費に渡すというようなことが、ふなれであるいは無知識でというようなことはどうも私どもにはわからないのです。その辺は一体ふなれ、無知識で説明のできるようなことなんでしょうか。あるいはまたそうでないとすれば、なぜそういうようなことが起るのだろうか。あなたの御説明よりも、一体何ゆえにそうなったのか伺いたいと思います。
○竹内政府委員 当初流用というような処置をとりましたころは、確かにふなれ、無知というようなことが動機になったと思うのでございますが、その後におきまして終始五年間にわたってふなれ、無知で通せるものではございませんので、現に裁判にかけられました図師敏の判決書、これは先般付属資料としてお手元へ差し上げてございますが、この判決理由を見ましても、当時介護人からはその可能性がないという主張があったのでございますけれども、裁判所は知悉していたのであって、幾ら上司の命令があるからといっても法の禁ずる事項を侵すべきものではない、従って被告人としてはこれに服従する義務はないのだということで、被告人が当時の経理内容について知識を持っていたということは裁判所の認定するところでございます。私どももふなれと申しましたのは、当初そういうような悪い習慣に入ろうとしたその当時の状況を今申した次第でございます。
○吉田(賢)委員 一体法務省は会計課長を任命するというような場合に、会計の知識を与えずに、任命後会計の知識を付与し修練さすというような訓練をせぬのですか。その点いかがですか。
○竹内政府委員 会計課長を新任のための特別の研修とかそういうようなことはいたしておりませんが、今日におきましてと申しますか、ここ数年来全然未経験な者を会計課長にするというようなことはなくて、ある庁で会計事務をやっておった者を転任さしてそこの会計課長にするというような運用をいたしておりますが、本件も当初は、先ほど申しましたように分離の直後でありまして、その当時はいささか遺憾の点があったと思うのでございます。
○吉田(賢)委員 そうじゃありませんよ。本件は二十八年までやっておるのですよ。二十三年はそれはこの事件の最初の事件です。二十八年まで五年間継続しております。そういうことでふります。そこで一般的にあなたに伺ったのは、会計課長を任命する場合には、未経験者であるならば新しく会計事務になれさせ修練をさす、会計法規を習わせる、こういうことをおやりになっておるかどうか。
○竹内政府委員 なれさすことはいたしております。なお大蔵省の方に会計事務担当者職員研修という制度がございまして、これもうちの職員を派遣いたしまして研修を受けさせております。そうしてある庁でなれた者を、もしその庁に適任者があれば転任をさせまして、そこの会計事務を担当させるという処置をいたしております。
○吉田(賢)委員 それはまことに人だよりで、毎日やっておるのだからなれるのはあたりまえです。そんなことを聞くのではない。そんなことはもう当然のことだ。いやしくも裁判をしようとするならば法律に通暁しなければいけません、判例に通暁しなければいけません。世の中を知らないなら、そのために研修等もあるわけであります。ところが一国の検察事務の大事な会計課長というものは、やはり組織的に計画的に会計事務に習熟させて、逐次改善さすというような、はつらつとした手腕なりないしは頭脳なり知識なりを持たさなければいかぬ。そういうことを計画的にやらずに、大蔵省でやっておる。大蔵省は大蔵省でほうっておきなさい。あなたの方は法務省なんだから、法務省は法務省として全体をやるという計画をなぜしないか。そうするならば私はおのずから会計に関する綱紀は振作されるだろうと思う。またそういうような知識と経験をうんと持たすということになりましたら、そこから改善の新しい方途が出てくると思う。そういうことをしないで会計事務をやらしておくということだけでは、私はこれはいろいろな間違いが次から次へ起ってくる一つの原因になるのではないかと思うのであります。今伺えば組織的、計画的のものはない。しかし必要ならば予算をおとりになったらいいと思う。こんなことで、これ自身でも、三百万円もほかの検察庁から引っぱり出してきてこれを穴埋めしておる、これも国損です。六十万円またほかの穴埋めができておる、これも国損です。四百万円近い国損が事実上あるような、こういうようなことであるならば、四百万円あれば日本中の会計課長を集めてうんと訓練ができますよ。そういうことでありますから、事務当局として立案なさって、そしてそういうようなことを一つ全国的にやったらどうです。そういうことが私は建設的な、こういう問題の解決対策として国会にこたえる道だろうと思うのです。ことごとくこれは予算の関係になるわけですから。国の予算として国会が承認した範囲内のものなんです。でありまするから、これはこういうような国損に陥って綱紀の紊乱が暴露して、検察庁の威信が落されるというような結果になっておるのだから、これにこたえる一つの道は今言ったようなことをやらなければいけないと思う。一つふるってそういう計画を立てたらどうですか、いかがです。
○竹内政府委員 ただいまおっしゃられる通りでございまして、恐縮でございまするが、私どもといたしましては、特に検査庁の会計課長会議というのを本省で毎年いたします。これは経理関係を専門的に指導するという一つの大きなねらいを持っておりまして、特に二日間のわずかなものでございますけれども、そういうものを全国から集めていたしておりますのと、それから経理部の中に監査係というのがございますが、これは名前は監査と書いてありますが、これは経理の実務指導を現地についてするというのが主たるねらいでございまして、この面を実は強化いたしたいと思いまして、三十年度の本予算におきましても若干の監査旅費の増額要求もいたしたわけでございますが、標準予算ということで認められませんでしたが、微力ながら努力はいたしておるつもりでございます。ただいま御指摘のような次第もございますので、さらに一段と工夫をいたしまして計画をいたしたいと思います。
○吉田(賢)委員 政務次官に今の点伺いますが、大臣もやはりこの方面に向って積極的な御意向のあることを表明しておられまするにつき、この監査の方面というのじゃなしに、やはりこの会計事務というものが、検察庁の会計事務は最も進歩的な方向をたどる、こういうことが私はこの問題を根絶する唯一の重要な道であると思いますので、一つそういう面におきまして事務当局を督励して、やはり積極的に二日間の全国の会計課長会議をやるというような、会議ではなかなか事務の発達を期することは困難でありまするから、そうではなしに、たとい一週間でもみっしりと真剣にやはり会計事務についてもう一ぺん精神教育をするというくらいな、そういった規模で、意気込みで、目的で、会計事務を振作する、改善刷新するというような意味におきまして、こういう華案を根絶するという目的も含んで、一つ計画をしたらどうか。大して金も要らぬじゃないだろうかと思うのですが、そういうようなことについて一つ省の内部で御相談願ったらいかがかと思いますが、いかがでありましょう。
○小泉政府委員 先ほど来の吉田委員の御質問、また御質問の中に盛られました検察庁の会計事務の厳正化、または進歩的な新しい方式の確立というような御意見に対しましては、私も全く同感でございまして、何らか省内にそういう機構と申しますか、一つの方式をば作りまして、吉田委員の意図さるる目的の達成に寄与しなければたらないと先ほどから考えながら、御意見を拝聴いたしておったのでございます。先ほど経理部長から二日間の会同をやっておるということに対して、吉田委員の、会同だけではいけないという御意見も全く同感でございまして、大臣とも事務当局ともこの問題についてあらためて相談をいたしまして、予算の許す範囲において、会同ということじゃなくて、全国の会計課長を集めて徹底的な講習をするとかいうような方途を講じたいと考えておりますので、あとで大臣、事務当局と十分慎重に検討いたしたいと存じます。
○吉田(賢)委員 次に番号五一の「作業についての見込違いにより購入機械が遊休となっているもの」というこの案件であります。これはこういう面で興味があるのであります。つまり拘置所内の作業というものは扱い方によって非常におもしろいのですが、また当を得ませんと弊害百出なんです。高知県の刑務所でありましたか、多分高知県だと思いましたが、紙の製造等で優秀なる成果を上げているというようなことを私は聞いたことがあるのであります。これは詳しいことは存じませんけれども、また職業補導の見地から見ても、あるいは内部に遊休するところの労力を経済的に活用するという面から見ても、あるいはまた近時叫ばれつつありますところの、受刑者が働きまして、それに正当に賃金をやって、そうして出所してから後にもそれが生業資金になるということになりましたら、再犯のおそれもない、また仕事に興味を持つというような、いろいろな角度から見まして、私は一つはこの問題に注目しておるのであります。ただしこれが武士の商法になり役所の商売にたり、経済を念頭に置かず、全然そろばんも考えないということになると、これはまた弊害底知れずということになると思うのであります。こういうことになりますので、これらの意味におきまして縦横から考えまして、この問題は非常に興味深く見るのであります。私はやはり結論的には、どうかでき得べくんば、あの中でただいたずらに囚人服を着せられて、鎖でつながれて、そうして畑をやっておるというふうなああいうみじめな姿よりも、もっと人間として、あの中はあの中なりの人格が尊重せられて、そうしてみずから生活を喜ぶというような環境を生み出していく。そうして働くことの喜びを感じて、外へ出てからは働くことによって正しい生活をすることによって新しい人生を送っていく、こういうようないろいろな意味で、私は非常にいい機会にもなると思います。ところでここにあげられておりまする事実を見ますると、マルテリス輪転機一式等々を買い入れて、そうして印刷などをやろうとしたのであります。ところが手がなくなったのでとんと広告も注文がたくて、機械はほかの刑務所に持っていって休んでしまっておるという事案らしい。こういうことにつきまして、第一計画性がない。それからこういうようにほかの刑務所で遊ばしておくというようなときに、法務省は刑務所全体としてこういうものをほかでまた活用する、事態が変化してくるならこれに対処する道を講ずる、どうしてそういうように計画的に出ないのだろう、こういうふうに実は疑うのであります。そこで、一体こういうことをするについて、法務省自身として一つの計画性を持って、あるいは経済の実情に合うように、会議とか、指導とか、そういう努力をしておるのかどうだろうか、その辺について一つ伺ってみたいと思います。——これは経理部長でわかりますか。——やはりこれは非常に大事なことですから、一つの事業なんですから……。
○上林委員長 それでは次の機会に担当の矯正局長を呼ぶように手配します。
○吉田(賢)委員 私に言わせれば、これは一種の刑務所企業なんです。刑務所企業というものは、やはり時代に即応して、新しい形と、考え方と、経済の実情に合うようにいろいろな点から綿密な研究をしまして慎重にやっていかにゃあいかぬです。そうじゃないとこうなってしまう。二百三十八万円で買った物をよその刑務所で遊ばしておくようなことをしたら、会社だったらその経理部長は首ですよ。ですから、そういうことにならぬようにしなければいけません。この問題はやはり将来、発展性があると私は思います。扱いようによっては非常にいいのですから、やはりこの点は矯正局長が十分に御準備になって、一つ建設的な御答弁があるようにしてほしいと思います。あなたは詳しくおわかりにならないで、所管ではないからきょうは答弁をせられないでよろしゅうございます。委員長、そういうふうに計らっていただきます。
○上林委員長 そういうふうにいたします。 次に、関連して細川君。
○細田委員 あなたに答弁を聞いても、ちょっと会計事務にふなれだから……。こういうことをやっている。先ほど会計検査のシステムについてもこういうふうに直した、こういう御説明もあった。また会計事務は講習会を開いたり、会議を持ったりしてやっておる、こういう御説明だが、たとえて言うたら、宮崎県の宮崎検察庁は、こういうエラーというか大ミスをしている。これは会計事務のふなれではないのです。国家予算の骨子をなすところの款項目の無視です。そこで伺いたいのは、宮崎検察庁に最高検察庁からその前に業務検査に行っておるが、会計検査というものはきわめておざなりである。そうしておいて宮崎県でいろいろ詐欺だ、窃盗たとあげておってもおかしくてしようがない。だから最高検あるいは高検の業務検査に会計検査をどういうふうに改めているか、この点を一つ伺いたい。 それからあなたは経理部長で、矯正局長じゃないからおわかりじゃないかもしれないが、受刑者、たとえて言うなら、一年受刑した者が受刑して出て来るとき、余ったしゃばへ持って出る賃金はどんなくらいになっているか、この点を承わりたい。
○竹内政府委員 初めの点でありますが、御指摘の通り、最高検が昭和二十七の五月に事務監査をいたしております。そのときには遺憾ながらこのような紊乱事実を発見できなかったのでございます。当時監査に参りました検事の記録も調査してみましたけれども、もっぱら事務監査と申しまして、事件処理の当不当というようなことに重きを置いて監査をしておりまして、会計事務につきましてはいたしていないのでございます。このようなことはただいま御指摘の通り片手落ちでありますし、実を言えば監査になっていないとも言えるのでありまして、その点非常に遺憾に存じております。その後昭和二十七、八年ごろから全国各地に監査規定というのを検察庁で作りました。これは法務省の方で指導いたしておりますが、それによりますと、監査事務ちう半分くらいを会計経理の方に使うというように、非常に重点を置いたものであります。なお最高検の事務監査というものはかなり権威のあるものでございまして、それに対しまして——実は先ほど申しました法務省の監査官が経理専務について明るいのでありますが、これを随行といいますか同行させまして、事務監査と経理監査とを有機的と申しますか立体的と申しますか、結び合せの関係において監査をしてみたい、こういうように本年は計画を考えておりまして、その結果を私かなり期待いたしておるわけであります。なぜそんなことを申すかと申しますと、たとえば旅費などが使わずに済んだという結果になっておる場合に、それは使わなければならなかった旅費を使わずにイージー・ゴーイングで仕事を終るというふうに見られる面がないかということを実ははっきり知りたいのであります。もしそういうことが知られませんと、使うべき旅費を使わずに不当経理をしてほかの方へ支出するというような不正行為をなすおそれもあるのでありまして、そういう点も事件処理と経理とを結び合わせて監査してみたいというふうに計画いたしておりまして、ある程度成果をあげ得るものと考えております。 それから第二の点につきましては、普通囚人が一年間刑務所に受刑いたしまして出て参りますと、約六百円もらうというのが従来の例であります。
○細田委員 それなんですよ。先ほども古田委員が指摘しておったのですが、それは訴訟費用の負担なんかも引くでしょうが、一年間大の男が働いて六百円、これでは世の中へ出てどうにもなりません。矯正局にうんと金をつぎ込んだって、またこのごろ司法保護委員、成人保護委員あるいは少年保護委員なんというものをたくさんこしらえて、あんなことをやったって、一年働いて六百円ばかの金を持たしてしゃばへ出したところが、しゃばで、よくおいで下さいました、お帰りをお待ちしておりましたということはありません。従ってこういうことを改善しないのなら矯正局なんて廃止した方がよいのです。私も実は成人保護委員とかなんとかいうものをやっているのだけれども何にもならない。まあ、あれはそういうことを名月に予算を使うだけのものです。大の男が一年働いて六百円なんということを、あなたたちまじめに考えているのですか。これをもっと改善して、刑務所で働いたら、その当座に十分な——一年、二年受刑しておとなしく出てきたときは、だれも再び入るまいと思って出てくる。出てくるけれども、世の中で相手にしない、持っている金はない。従って翌日から何か悪いことをするということになる。そういうばかな行刑政策というものはないと私は思う。ところが刑務所の作業というものは、民間作業を圧迫するとかいって、変なところに遠慮して、しわ寄せがみんな受刑者にくる。これに対してどうお考えになりますか、伺いたい。
○竹内政府委員 その点は御指摘の通りでございまして、三十年度の本予算におきましては、行刑関係の予算においては最も重要的に私どもが主張をいたした点でございます。もう一つ主張いたしました点は、死傷手当、今なら作業賞与金と申す費目でございますが、死傷手当、それから菜代を値上げしてもらうというような点が重点要求になっておりまして、この点は私どもの主張がある程度通りました。今ここに予算関係の資料を持っておりませんので、正確が期せられないのでございますが、大体一・八倍になる、二倍まではちょっとならなかったと思いますが、平均いたしまして一・八倍に作業賞与金が引き上げられることになるということに考えております。
○細田委員 六百円を基準に一・八倍だとか二倍だとか三倍だとかいっても、私は問題じゃないと思う。あなたは今賞与金というけれども、刑務所の中の方式は、幾ら働いても目くされ金を、賞与として与えることになっているのですか、あるいは労働賃金として与えることになっているのか、どうですか。
○竹内政府委員 私の理解いたしております点では、労働賃金としてではなくて、本質は恩恵的にやるということになるかと思いますが、そういう趣旨の性質の金だというように理解しております。
○細田委員 政務次官に伺いますが、大体そんなことでいいのでしょうか。どこの国でも、進歩した刑務政策というものは、吉田委員の言ったように、作業能率によってしゃばの人と区別したい、ただ自由にどこにでも旅行できないというだけのことです。ところが日本の制度は、まるで恩恵的に与えるのだ、お前は十年おろうと五年おろうと、幾ら働いてそんなものは国が没収してしまうのだ、こういう古い考え方です。だから、警察で幾ら防犯係を置こうと、そして法務省で幾ら保護委員なんというものをたくさん置いても、こんなものは予算はもらわなければ損だ、こういうものを置かなければ予算を使えないからという、ほんとうのむだなんです。だから警察の防犯係というのは、実際は検挙をする係です。防犯係というから、犯罪を防止して改過遷善の指導をやる係かと思うと、実際は検挙する係である。もちろん保護委員なんかは給料をくれるわけではないから、予算は幾らでもないが、しかし全国にたくさんこしらえて、会合費だけでも大へんだ。こんなものは意味をなさないです。これは釈迦に説法で申訳ないけれども、人間を教育するのだといえば、因果応報だ。これはいろいろ客観主義と主観主義とございましょうけれども、進歩した国の行刑制度というものは、大体独立した人格を認めておる。なるときにしか犯罪はならぬ。生まれたときから犯罪人になって生まれた人間などありはしない。従って、こういう制度を改めて、もっと人格的にやらねばならぬ。幾ら働こうとただ恩恵的に、やれ一年働いたら六百円だとか、いや予算が通って一・八倍だとか、冗談じゃない、こんなものは法律技術の上でもてあそんでいることで、真剣じゃないです。だから、こういうことに対してもっと受刑者の人格を認め、労働に対する正当な報酬を出すべきだ。従って刑はもっと長く輝いてもいい、現在の刑はもっと高くしてもいいから、出るときには、少くとも普通しゃばにおった人たちの労働賃金並みのものをもらって出られるということでたいと、幾ら矯正局を置こうと保護局を置こうと、何局を置こうと、どうにもならぬ。この点に対して政務次官はどうお考えになっているか、伺いたい。
○小泉政府委員 ただいまの細田委員の御意見でございまするが、一年間おってわずか六百円程度の賞与金をもらって社会に出た場合に困るということは、全く御同感でございます。また、先ほど経理部長が申し上げた通り、今度の予算で賞与金として一、八倍の増額を見た。これは細田委員のお考えからすれば問題にはならないのでございまするが、当局としては、少しでもそういう面に人格を認め、出所後本人が都合のいいようにという最低限度の努力で、法務省の乏しい予算でその程度の増額を見たのでございます。 先ほどの吉田委員の御意見とも関連をするのでございまするが、刑務所内における作業をばもっと能率的にやり、利益が上るようにして、それを、囚人とは申しましても、刑務所内で作業に従事して働く者にも分って、出所後の生活の資の一部分に充てるというような方向に持っていくように、一本の今後の刑務所のあり方、囚人の作業というものに向上性を持たせなければならぬということは、私も全く同感でございます。ただ一面、刑務所で働いたがために、世の中に出た場合に、一般の世の中で働くいわゆる悪いことをしない労働者諸君と同じような労働賃金がもらえて出れる、そういう程度までやらなければならぬということについては、私は大いに研究の余地があるのではないかと思います。ことに今失業者が町にあふれて、まじめな者でも働く口がない、しかしながら、悪いことをして刑務所に入れられると働く口があり、一般の社会における労働者並みの賃金を刑務所で出して、これを持たして帰すというようなことについては、考えかによっては、刑事政策の面から相当異論もあるのではないかというような点も考えるのでございまして、こういう点が十分慎重に研究をしてやらなければならない問題だと存じます。また刑務所における仕事そのものも、先ほど吉田委員の御意見の中にもありましたが——私もこの前静岡刑務所を視察いたしましていろいろ事情を承わったのでございまするが、あそこは製紙の仕事をやっておりますけれども、刑務所の仕事というものはなかなかもうからない。ことに注文取り等で、民間のそれ専門の職業人に比べて、刑務所のお役人が町に出て仕事の注文を受ける、売りさばきをやるということにおいては、手腕力量と申しますか、そういう面に相当格段の開きがあるのでございまして、刑務所で仕事をやって、これを赤字を出さずに黒字にするというだけでも非常な努力が要るのではないかとも考えます。また、これに対する設備の資金の断における予算等、すべての刑務所にいろいろな作業場を設けて囚人を働かして、相当の利益を上げさして、そうして帰るときにはこれに相当な金を持たして帰させるということは、全く望ましいことではございますけれども、非常にむずかしい問題でもあるということを痛感をいたしておる次第でございますが、なお十分矯正局当局にも研究させまして、現在の刑務所における囚人の生活の改善、出所後の待遇をよくしていくという御精神においては全く同感でございますので、でき得る限り努力をいたしたいと存じております。
○細田委員 最高検察庁で燃料費なんかはどれだけ予算を取っておるか。一検察庁当り燃料費はどれだけですか。
○竹内政府委員 ただいま資料を持っておりませんので、予算関係になりますとちょっと正確に答弁できかねます。
○細田委員 それじゃこの点は別に会計検査院にひっかかってくることもないようだから、私の希望を申し上げておきますと、全国の検察庁で証人用のストーブあるいは燃料用の予算は取っていないですか。
○竹内政府委員 証人用という費目はむろんございませんが、証人にも使うように庁費の方は配分いたしております。
○細田委員 ところが庁費から言えば燃料費などというものは知れたものです。あなた方が全国の総額を扱う場合には大へんでしょう。しかしあなた方の努力いかんでは大したものではない。ところが裁判所、検察庁というと、出ておってもタバコの火だけです。冬暖を取るなんというところはない。あなたは御存じないかもしれないが、東京検察庁に行ってごらんなさい。一人の被告人を調べ上げるのにおそらく数人の証人を呼んでいる。朝十時に出頭しろといって待たすのは、検事の数に限りがあるのだからやむを得ないが、せめて暖かいところくらいに待たせておかなければ、全く人権問題です。ほかのところなら出はしないだろうけれども、警察だ、検察庁だというとしようがないから出てくる。そうして四時ごろまで待たされる。御丁寧な場合には五時から六時まで寒い廊下で待たされる。こういうことでは、あなたたちは弱い者にしわ寄せしたと言っては申訳ないけれども、実際努力が足りません。少くとも待合室がないにしても廊下までその温度が行くようにしてやらなかったら、実際国民が迷惑する。この点私はあなたたちの予算の関係、それから御感想を次に数字を調べてきてから伺いたい。これで終ります。
○上林委員長 それでは本日の質疑はこの程度にいたしたいと思います。なお明日は午前十時三十分から理事会、引続いて一時四十分から委員会を開催いたしたいと思いますので、御了承願います。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十六分散会