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22回国会衆議院1955/05/24

決算委員会 第9号

発言数
52
登壇者
8
会派数
4
開催日
1955/05/24

会議録

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 これより会議を開きます。  昭和二十六年度決算及び昭和二十七年度決算につきましては、それぞれ第十五回国会及び第十九回国会において本院に提出されて以来、慎重審議を重ねて参りましたが、本日は両年度決算について討論採決を行いたいと思います。  それでは昭和二十六年度決算すなわち昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十六年度政府関係機関決算報告書、及び昭和二十七年度決算すなわち昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十七年度政府関係機関決算報告書を一括議題といたします。  この際両年度決算について、それぞれ議決に関する動議が細田綱盲者より提出されておりますので、まずその趣旨説明を求めることといたします。なお本動議は、印刷物として各員のお手元に配付いたしてある通りであります。細田綱吉君。

細田綱吉日本社会党(右)

○細田委員 本委員会は、二十六年度並びに二十七年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算及び政府関係機関決算報告書につきまして慎重審議を重ねられましたので、この程度で審議は結了することにいたしまして、委員各位のお手元に配布いたしました別紙のごとく決議せられんことを望みます。  なおその決議の趣旨について若干の説明を付加いたしたいと存じます。まず別紙におきまして二十六年度、七年度いずれも所管別に不当違法な支出を指摘しておきましたが、これを通覧いたしまして特に考えられますることは、これらの予算を取り扱いました各機関においてきわめて網紀の弛緩が目立っておるのでございます。特に運輸関係なんかを見まする場合に、いわゆる国鉄一家として国家の公器である運輸機関特に鉄道については、まるで私有物のごとく取り扱っている点が見えるのでございます。本委員会においてはこれを指摘して、十分審議を重ねられました。たとえて申しますならば、二十七年度の国有鉄道大阪鉄道管理局におけるわずか千五百円の大阪駅のいすのカバーの被服洗たく代、これを改ざんされて五百九十万円、六百万円近い金が支出され、そしてなおこの犯人についていまだにわからないというようなことは、これは常識では考えられない。調査するところによると、鉄道公費官に二週間も調査させておいて、これを捜査当局に通知したというがごときは、何のことはない、鉄道公安官をして証拠の隠滅をはからしたという以外にわれわれは想像することができない。かりに支払い官を一博雇いの人にまかしたとしましても、わずかに大阪駅のいすのカバーの洗たく代千五百円というような金を五百九十万円に払うというようなことは、今申しました臨時に雇った人でも、これはすぐわかる。しかるに十分経験のある会計当局がかくのごとき大胆な支払いをあえてするというようなことはとうてい考えられない。これは要するに、鉄道をまるで国鉄一家の私有物にして勝手ほうだいなことをしているという以外にわれわれには考えられないのでございます。言いかえてみまするならば、各省並びに各機関の、別項御配付いたしました不当あるいは違法の支出については、いずれも綱紀の弛緩がその原因であると考えるのでございます。  なおまたあえて申しまするならば、財政法第三十九条に、会計検査院には十一月三十日までに会計支出の結果を報告すれば足るということになっていますが、この財政法の十一月三十日までに会計検査院に決算の報告をするということも、少し時間があり過ぎる。これを適正に支出しておりまするならば、一、二カ月あたっら直ちに会計検査院に報告ができるはずであります。しかるにこれだけの時間をとっておるというようなことも、各省が会計検査院に報告するのには十分時間があるから、まあとりあえずでたらめでも出しておいて、そうしてこの跡始末をその間に何とか締めくくりをしたらいいのではないかというようなルーズな考えも出てくるので、財政法の第三十九条なんかも改正の必要があるのではないかと考えるのでございます。  しかしそれは別といたしまして、昭和二十六年度並びに七年度における一般会計歳入歳出決算並びに特別会計歳入歳出決算及び政府関係機関の決算報告書中、ただいまお手元に配付いたしました別項各機関別に指摘してありまする支出は、いずれも不当であり、また違法であると認められまするので、この点について特に当局の猛省を促すために、別紙のごとき議決をせられんことを望むのでございます。その文書も長いので、内容は省略さしていただきまするが、特に目立ちますのは、鉄道及び農林省の各支出がかなりでたらめである。特に財政の本家本元である大蔵省なんかにもまた許すべからざる不当な支出が認められた点は、十分ここに指摘しておきましたので、特に当局の猛省を望む次第でございます。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 以上で両年度決算についての議決に関する動議の趣旨説明に終りました。  これより両年度決算を一括議題として討論に入ります。討論は順次これを許します。椎名悦三郎君。

椎名悦三郎日本民主党

○椎名委員 昭和二十六年度及び七年度の一般会計、特別会計を一括いたしまして、本委員会において各委員より熱心なる検討が加えられたのであります。その結果、かなり不当あるいは不正なる支出が明らかとなったのでありますが、これらの不当、不正なる支出につきましては、これは年々の事柄であります。これを絶滅するということは困難かもしれませんが、特に最近終戦後におきまして一般の経済的観念の弛緩と申しますか、あるいはまた綱紀の弛緩と申しますか、そういうような点が非常に目立つのであります。特に補助金の問題等につきまして、これは貴重な国民の血税によって生まれたものでありまして、これの使途につきましては、その趣旨を十分に体して誤まりなきを期せねばならぬのでありますが、ほとんどその趣旨なりあるいは建前というものを忘却してしまって、もらい得というような格好で勝手な支出をしておるという点は、特に目立つ遺憾な点であります。これらの点につきましては、その支出の責めに当るところの官庁はもとよりでありますが、これらに関係する地方公共団体、それらの一般の精神的弛緩と申しますか、これらの点につきましては十分に今後反省をしまして、粛正してその誤まりなきを期さなければならぬということを痛感する次第であります。これらの点につきましては、十分に関係当局はもちろん、適当なる方法によって一般関係者の反省を促すということを付帯条件といたしまして、両年度決算を承認するということに私はしたいと思います。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 次に自由党の山中貞則君。

山中貞則自由党

○山中委員 昭和二十六、二十七両年度の一般会計歳入歳出決算、並びに特別会計歳入歳出決算、及び政府関係機関決算報告書について、わが党は結論として承認をいたしたいと思うものであります。ただし、ただいま議題となっておりまする決議事項のさらに付記事項につきまして指摘されておりまするごとく、両年度決算を審議するに当りまして、数々の決算処理上不当なる処理がなされておるのをわれわれは非常に遺憾に思うのでございます。なかんずくその中には、大きく政治問題として取り上げられました黄変米処理の問題、あるいはまた鉄道会館の問題、あるいは対米債権等のごとく、未解決のまま、あるいはまた問題を今後に残すような立場に置かれておるものが含まれておりますことも、またわれわれとしては大きに遺憾とするところであります。しかもこれらの事実は、年々歳々起る可能性があり、また過去に起って参りました事項が大部分でありまして、これらの事実は、かような決算その他において指摘されております事項について、関係官庁あるいは監督者の政府が、この問題を今後絶滅するための具体的な処理という問題について、真剣に取り組んでいないことをはっきりと現わした数々の事件であると私どもは考えるのでありまして、この点まことに遺憾なのであります。さらにまたそれらの不当なる処理されました事件等が発覚いたしました場合に対するいわゆる国損に対する公僕としての立場を、いかなる態度において規正していくかという問題について、その処理の状況等を一覧いたしますると、われわれから見ますと、まことに奇妙な処理がなされているのが通例でありますことは、これまたまことに遺憾なことであります。と申しますのは、われわれが考えますと、少くとも公僕として、あるいは最高の地位に立つ立場にあるものとして、国民のためになすべからざることをなしたものは、明らかにその場において公僕たるの資格を失墜するものであると考えるにもかかわらず、われわれから見まして重大なる事件とも思われるごときものが、単なる戒告もしくは説諭等において簡単にこれが処理されていることは、一体国民の立場に対して役人というものの公僕としての立場をどのように自覚しつつあるのか、あるいはまた自覚させるために政府並びに関係各省はどのような努力をしつつあるかについて、大きな疑問なしとせざるを得ないのであります。このような点については、今後私ども決算委員会において引き続き冷厳なる立場においての監視を続けるとともに、かようなことが政府並びに各省の自覚によってすみやかに例年度起り得るような恒久的なものであるかの感を払拭されんことを期待するものであります。  さらにまたわれわれが決算委員会におきまして数年近くの間取り組んで真剣に論議いたしておりますゆえんのものは、単に論議のための論議でなく、攻撃のための攻撃では断じてないのでありまして、かようなわれわれが長時間論議してなおかつ問題を処理し得ないような重大な問題がそのまま放置されることを防ぎますことはもちろんのこと、将来においてかような問題が再び起り得る可能性をなくする道をともに研究をしたいというのが、われわれのほんとうの願いであり、従ってまた今日の三権分立の基本において最も盲点ともなっております点は、立法府たる議会においては、予算を議決して、その執行については大まかな大ワクを役人に与えるのみで、そのあとの執行は行政府においてすべての責任を持って行われている。従ってその間において、国民の代表たる議会が議決いたしました趣旨通りにその予算というものが運営をされつつあるや、あるいはされたかという問題について直接に議会が接触し得ない。従って国民のためによかれかしと思って議決した予算の実際の行方というものが、ほんとうの国民の代表たる議会の審議をはずれることが多くあるということが指摘されるわけでありまして、かような現象は、現在の三権分立の建前上やむを得ない点もありましょうが、しかしながら少くともそれらの点を、隔靴掻痒の感ありといたしましても、適年度の決算において指摘をいたし、従ってあらためて現在執行されつつある、あるいは将来執行されんとする予算等についてそのような盲点を少しでもぬぐい去らんとする立場にあるものがわれわれ決算委員会である、かようにわれわれは考えておるわけでありまして、そのような意味におきまして、本委員会において過去長い間論議せられました事件についての決算委員会の考え方、あるいはまたただいま述べましたような立場においての決算委員会の論議というものを、政府並びに各省は十分に了解をせられまして、この二十六、七両年度の決算を一応終るに当りまして、新しく現在執行されんといたしておりまする本年度予算並びに将来の予算の執行について十分にこれを生かして、再びかような類似の事件等が起らざるよう十分に留意をされたいと思うのであります。  政府並びに関係各省におきましては、かような事件が起りますることは、単に綱紀の弛緩その他ばかりでなく、現行の会計法その他のいわゆる財政処理の諸法令、あるいは手続あるいは人員配置等の様式等において何らかの不備なる点があって、初めて惹起されたものであることは十分に銘記せられたいのであります。と申しまするのは、そのような法並びに手続等の問題において、いわゆる水の漏れる場所がなかったならば、決して犯罪は起り得ないのでありまして、会計処理等については強盗その他のごとき全く非合法なる犯罪というものは起り得ないのであります。従って法律の盲点をくぐる犯罪がこういうふうに起ってくるわけでありまするから、そのような盲点をすみやかに処理することによって、初めて将来への禍根を防ぎ得るものだとわれわれは考えるのでありまして、この点におきまして政府並びに各省は、決算委員会のこの二十六、七両年度の決算処理に当ってのわれわれの今日までの審議の重点、使命というものをすみやかに自覚されまして、これを実際の予算処理執行の一面において十分に生かされて、再びかような膨大なる批難事項の指摘を受けざるように、十分に戒意せられんことを希望いたしまして承認いたしたいと思うものであります。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 次に山田長司君。

山田長司日本社会党(左)

○山田委員 ただいま議題となっておりまする昭和二十六年度一般会計歳出歳入決算、二十六年度特別会計歳入歳出決算、及び二十六年度政府関係機関決算報告書、同様に二十七年度一般会計歳出歳入決算、特別会計歳入歳出決算、政府関係機関の決算報告書の審議終了に当りまして、これが議決についての付加事項を申し上げたいと思うわけであります。  ただいま民主党並びに自由党の委員よりも、これらの問題について幾つかの事例をあげて申されたのでありますが、特にわれわれが遺憾といたしますことは、虎ノ門の公園敷地の問題、あるいは造船疑獄事件の結了の問題、あるいは黄変米、あるいは鉄道会館の事件の問題、あるいは日本交通公社の問題、数え上げれば枚挙にいとまのないほど批難事項がたくさんに二十六年度、三十七年度の決算の終了に当ってあったわけであります。これらの問題につきましては、関係当局のこれが調査上における人員の不足とか、あるいは会計検査院法における法規の不備の点とか、いろいろあったと思うわけですが、これについて近く改正もなされるそうであるが、いずれにいたしましても、血の出るような国民の税が、あるいは架空な名義の支払いにより、あるいは要りもしない物品の購入によって乱費され、まことに遺憾の点が多々あったわけであります。こういう点について、特に政府当局並びにこれが関係機関においては、かかる事態を再び惹起しないためにも、批難事項を指摘された決算委員会における意見というものを十分に御考慮下され、再びかくのごとき事態を発生しないだけの最善の努力を払われることを希望するわけです。  二十六年、二十七年度の決算審議の終了に当って、われわれはこれを承認するのであるけれども、再びかくのごとき事態を発生しないだけの最善の努力を当局に再度要請して、この昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算及び政府関係機関決算報告書、昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算及び同政府関係機関決算報告書を了承するわけです。特に政府関係にこれを了承するに当って強くこの点を要望してこの決算を承認するものであります。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 次は吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この際一言所見を申し上げておきたいと思うのであります。  第一には、三十六、二十七年度決算報告書を通覧いたしまして、またこの二カ年間の決算報告書に関連いたしまして各般の国政調査を行ったのでございまするが、私ども最終的に感じまする重要な事柄といたしましては、第一にどうして毎年国の決算におきまして巨額の国庫剰余金が生ずるのであろうか、そういう点について今日も多大の不満を持ちましてこの数字をながめておる次第でございます。私はよって来たるところが財政、特にこの予算の立て方におきましてずいぶん莫大な繰り越し明許費を織り込んでおるという事実を指摘しないわけにいかぬのでございます。こういうようなことは、窮極におきまして国民の血税が、税を通し予算に組まれ、国の財政の執行の上にどんなに重要なとうといものであるかということにつきまして、政府が上下をあげましてその考え方の徹底しないことに重大な原因があるのではないかと思うのであります。その他多くの原因があろうかと存じますけれども、私はこの事実は何といたしましても、何千の不当事項を生む一つの大きな原因であろうとも考えさせられるのでございまして、この問題につきましてはいまだ払拭すべき何らの改善の跡は見られておりませんので、私どもは今後の国会といたしましては、極力努力していかねばならぬ一つの問題と存ずるのでございます。  第二には、特に目立ちまするのが、防衛庁関係の経費の使い方でございます。これは以前の保安庁あるいはその前の制度の警察予備隊以来引き続きまして、他の省庁に比較いたしまして、特に予算の乱費の傾向が強いものと感ぜられまして、私ども特段の注意を払いつつ今日まで調査に当って参ったことをこの際一言申し上げておかねばならぬと思うのであります。  第三には、租税の徴収の問題でございまして、この問題はなお未解決でございます。本日までに貴重な資料を国税庁当局に要求して、出す約束になっておりますけれども、まだ出て参りません。こういうことにつきましても、やはり国会の審議権尊重ということについて、政府当局の考え方が足りないのであろうと思いますので、私はまことに遺憾に存じております。今日まで現われました事実に徴してみましても、ずいぶん巨額の、いわゆる大口滞納者なるものがございまして、これがやはり国の租税の徴収の上に一つのガンになっておることを見のがすわけには参りません。二十六年にも、二十七年にも、租税の納入の件について、いろいろと会計検査院から報告書が出ておりますけれども、私どもこれらの内容につきましても、今後特段の注意を払っていかねばならぬと考えるのでございます。  第四には、いわゆる補助金の問題でございます。これはやはり農林省、建設省、運輸省、厚生省その他を通じまして、補助金というものが、あらゆる形において予算として組まれ、支出をされておりますが、その目的とするところは、大体におきまして経済的に脆弱な面、産業上重要な問題、あるいは農業、漁業その他の劣悪な条件のもとにおりまするものに対する補助、こういうようなふうにいろいろと緊要なものが多いのでありまするから、その趣旨におきまして、私もできるだけ補助金の多からんことを欲しておりますけれども、途中におきまして横流しされ、あるいは不当に乱費あるいは自己負担が回避せられる等々、幾多批難事項を生んでおりまするのが膨大な件数になっておりまするので、特段われわれの注意を引いたのでございまして、この問題につきましても、やはり本来の補助金の制度あるいは補助金の必要性というもの、そうして他面におきまして補助金の使い方、またこれが事業費の決定の制度、行政の運用等々幾多の問題があるわけでございますので、これは別の角度から、また別の国会の機関においても審査をする様子でありますけれども、われわれ決算委員会の立場といたしましても、実に重要な問題といたしまして常に審査をして参った次第でございます。どうかして、目的はよいが途中で流れてしまうというようなことがないように、何とかこれは抜本的な対策を考えねばならぬのでないだろうか、こういうよりなこともまことに印象深い感じとして私ども持ってきたのでございます。  さらに第五番目に指摘いたしたいことは、各政府関係機関の決算の問題でございます。一般会計及び特別会計というよりも、一般会計が中心になりまして決算に重きが置かれておるのではないだろうか。特別会計にもっと力を入れなければならない。さらに政府関係機関になりますと、もっともっと綿密に慎重にあらゆる角度から決算の審査をしなければならないのではないかと思います。決算報告書によりましても事例が非常に少いのでありますが、扱っております歳出歳入の予算の状態を見ましても、また国鉄、電電公社あるいは専売公社などの事業会計の面におきましても、実に膨大な支出がありますので、このような機関に対しましては、決算委員会といたしましても、もっと厳密にして慎重な決算の審査をすることによって、それを通して日本の公共企業体の健全な発達をはかるということにしなければならないのではないだろうか。特に鉄道会館問題をめぐって、国鉄経理の問題に関して幾多の問題を起しましたあの経緯にかんがみてみても、国鉄問題は、ほんの入口しかわれわれはのぞいていないような感じさえするのであります。この膨大な企業体の決算に対しましては、もっとわれわれは有能な審査ぶりを今後は発揮していかなくてはならぬのではないかという感じすら持っておるのでございます。  さらに第六に指摘したい点は、決算審査に対する政府の態度であります。これはすでに過去の政府のやった跡始末のようなことでありますから、現在の政府には責任がないというような建前から、そうであるのかもしれませんけれども、その責任者がすでに職にあるないにかかわりませず、われわれは、国の財政の執行上重大な問題が当委員会において審査の対象になっておりますから、ともに国会の審査に協力をしなければならぬ立場にあるにもかかわらず、政府当局が決算審査に対して冷淡な態度で終始していることを見のがすわけには参らぬのであります。決算委員会におきまして審査を受けるとぎには、当の責任者であってもなくても、今日においては政府として責任を持っておるのでございますから、真にえりを正して審査に協力するといった態度がなければならぬと思うのであります。従ってその責任の所在を明確にする点におきましても、仮借するところなく進んでいく、こういうことになっているのでなければ、年々歳々決算検査報告書が膨大になるだけで、まことにこれは遺憾という以外に言葉がないのであります。決算検査報告書が大きくなるということは、実に不名誉この上もないのでありまして、終戦以来今日まで、会計検査院の決算検査報告書を見てみますと、毎年紙数が多くなっていき事件数が多くなっております。こういうようなばかげたことはほんとうに早く根絶をしたいと思います。こういう点も私は痛感するのであります。  そこで最後に申し上げておきたい点は、この提案者が提案いたしました最終に、決算のうち批難事項以外の事項については異議がない、こういう言葉が出ておるのでございまするが、私はこういうふうな趣旨に理解をしていきたい。こう考えるのであります。元来私どもは、会計検査院が昭和二十六、七年度の決算検査報告書として提出いたしましたものをここに対象として審査して決議したのでございまするので、会計検査院がこの報告書に記載しておりまする数字、その趣旨を扱きまして、私はこの末尾の事項を理解していきたいと思うのであります。会計検査院といえども百のうち二、三十しか実地検査をしておらぬのであります。従って百のものを九十九までいたしましたならば、この三倍に批難事項が生ずるかもわかりません。限られた人員、限られた予算で限られた時間に検査したのでございまするから、神ならぬ会計検査院の報告書が完璧であるということはできません。従って後日われわれは国政調査の対象として、政府の財政執行上非違ありといたしますならば、十分にこれは検討いたしまして、国政改善の資にしなければならぬ、こういうふうに理解していきたい、こう思うのでございます。  以上数項目にわたりまして私は所感を述べまして、動議が当委員会において可決せられますよう賛成をいたしたいのであります。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。採決は両年度決算を一括してこれを行います。両年度決算はそれぞれ細田綱吉君提出の動議の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 起立総員。よって両年度決算は全会一致をもってそれぞれ細田綱吉君提出の動議の通り決しました。  なおこの際念のためお諮りいたしますが、ただいまの両年度決算の議決に関する字句の整理につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  なお引き続き、両年度決算についての委員会報告書の作成については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。     —————————————

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。本日理事篠田弘作君が委員を辞任されましたので、理事の補欠選任をいたさねばなりません。この際その補欠を委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 御異議なしと認め、徳安實藏者を理事に指名いたします。     —————————————

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 次に昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算、同政府関係機関決算報告書を議題といたします。本日は保安庁所管について審査を進めます。すなわち昭和二十八年度決算検査報告四九ページより八八ページに至る報告番号一八ないし四十七を一括し、まず会計検査員当局より説明を求めます——吉田委員より発言を求められておりますので、これを許します。吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 議事進行につきまして一言申し上げたいと存じます。  きょうの議題についてでありまするが、防衛庁関係の批難事項について審議するというただいまの委員長の御発議でありまするけれども、ちょうど幸い大蔵大臣も出席せられておりますので、なお会計検査院の二十八年度決算検査報告書の総論につきまして二、三質疑をしたいと思いまするので、それを先にしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 大蔵大臣の時間の都合もありますので、吉田委員の議事進行の発育の通り進行するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 御異議なしと認めます。それでは吉田委員の発言を許します。吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 大蔵大臣に伺いたいのでありますが、この昭和二十八年度の決算検査報告書を見ますると、実に膨大な歳計剰余金が出ておるのであります。この問題は、いろいろな角度から圏の財政の上にも重要な影響もあり、また国定の経済、生活の上にも大きな影響のある問題と考えておるのであります。一体巨額な繰り越し明許費を予算に組むということは、予算の執行の上にあるいは必要があって、またその方が便宜だというのでなさったのかもしれませんが、ここ数年来の繰り越しの多額の金額を見てみますると、私どもはここにもつと大きな工夫がなされねばならぬのじゃないかと考えてきたのであります。この問題は決算の上から見てみましても、たとえば一般会計におきまして、二十六年には決算剰余金が千四百五十六億円、一十七年には二千四十八億円、二十八年には二千十八億円出ております。翌年度の繰り越し歳出の財源を差し引きましても、二十六年には七百二十四億円、二十七年には八百五十八億円、二十八年には八百十一億円出ております。こういうように非常に多額な剰余金が出て参りまするので、何らかこれは改善が加えられべきものであると考えておりますにかかわらず、やはり昭和三十年度の予算書を見てみましても、一般会計におきましてもずいぶんと巨額な繰り越し明許費が計上されております。私が倉卒の間に集計いたしましたものによって見ましても、裁判所、総理府所管以下、各省庁等の繰り越し明許費の総計は四千億に上っております。どうしてこう大きな予算を取ることになるのであろうか、どうしてこれをもっと改善するという方向に努力しないのであろうか、しなくてもいいのであろうか。これは予算編成の根本の方針でありますので、ぜひ大蔵大臣は、これに対する所信をはっきり明らかにしておいていただきたいと思います。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 仰せのように繰り越し金が多かった、さように思います。繰り越し金が多かったことは、仰せのように私もこれは注意して、こういう繰り越し金が多くないようにしなくてはならぬという根本考えでおります。が、しかし、繰り越し金の推移は、今お示しもありましたが、たとえば三十七年度の繰り越し金、二十八年度の繰り越し金、これは二千億を越えておりますが、二十九年度は、歳出繰り越しは六百億程度で、だんだんと減ると私は考えております。十分御趣旨にも沿いまして繰り越しを少くするとともに、繰り越し金というようなことによって資金が乱用されるというようなことのないように、厳に慎しんでいこう、注意をしていこうというように考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 繰り越し金が少くなるように、私と同じ考えを持って進んでいきたいというお気持はけっこうなんですけれども、どうも本年度の予算の予算の編成のあとを見ましても、全然それがないのであります。全くありません。ほんとうにあなたがそうお考えになっておるならば、一々もっと厳密に検討して、明許繰り越しにつきましても斧鉞を加えるべきではないか。全部のんでおられます。去年の予算書を見ましても、一昨年の予算書を見ましても、その理由も同じで、金額がその必要上大小変っておるだけでありまして、方針は何も変っておらぬ。そんなこと、一体だんだん少くすることができるのでしょうか。この際は大臣も、おざなりにただ何とか言っておけばいいというのではなしに——私どもはこの決算を見まして、この莫大な金が繰り越されていくということの重要性を思いますのでお尋ねするのです。なるほど二十九年度から三十年度への繰り越しは恩給などの分が三百二十億ほど減りますので、これはわかりますけれども、これも問題があるのです。これが減っておるというのはたまたま減っただけであって、方針は変っておらぬのです。方針が変っておりませんと、あなたが今お述べになるように、将来必ず減るという方向へ向いていきません。これを減らすということが財政上必要でないか、あるいは巨額な繰り越しを作るということはよくないことであるか、これはあとで少し議論もしてみたいと思うのでありますが、私は憲法問題にまで考えてみたいと思うのであります。そこであなたには減していきたいという気持があるとおっしゃるのだが、一体どうして減していくのですか、どんな方針でこれを減らそうとなさるのか、これをはっきりしてもらいたい。ただお気持としてこういうものはなるべく減るような状態になることが望ましいというような、そんなことは常識論です。そんな抽象論を大蔵大臣から聞こうとしてはおらぬのです。ここではどうして減らすかという具体的な方針を示してもらいたい。下僚にまかしてめくら判をついたということであるならば別ですけれども、大蔵大臣は責任を持って予算の編成をなさったはずなんです。どういう方針で臨まれようとするのですか。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 今申し上げましたように、基本的考えは御趣旨の通りに私も考えております。なお今後十分そういう点について注意して参りたいと思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 やはり趣旨においては同感なようでありますが、それならば今度の予算に盛られております繰り越し明許が四千億ある、一兆円の四割を繰り越し明許で来年まで使わすというようなことで一体いいのでしょうか。ここは予算委員会でありませんから予算の論議はいかがかと思いますが、まだ予算も国会を通っておらぬのでありますから、そういうお気持であるならば今からでもおそくありませんが、その点について編成がえするというようなことまでおやりになったらどうなんでしょう。それは決して不可能ではございません。どうお思いになりますか。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 今回の予算にただいま仰せのように約四割、四千億の明許があります。しかしこれらの点は十分検討を加えまして、そして必要なものとして計上したのに間違いないのであります。ただ基本方針といたしましては、私は繰り越しはできるだけ必要以上にすべきでないというお説に対しては、全く同じ考えでありますが、必要な額はこれはやはり計上せざるを得ないと考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 あなたはほんとうに誠意を持って御答弁願いたいと思う。必要であるものを計上する、あるいは十分に検討して計上したんだというようなことではお答えにならぬ。それならば一体どういうふうにして繰り越しを押えていこうなさるのか。どういうふうにして予算の四割も繰り越し明許を組むということを抑えようとなさるか、その方針を具体的に聞きたい。気持だけを幾ら念仏のように言っておってもこれは問題解決にならぬのであります。具体的にどうしようかということをあなたははっきり述べてもらいたい。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 この繰り越しにつきましては、私がかれこれ申すまでもないのでありますが、その使用の時期がいろいろと制約せられているものもありますし、また国の工事その他の事業で年度を越えて一体として遂行しなくてはならぬものもあり、いろいろの場合に国家的に見まして、経費の効率的使用をはかるため、あるいは目的によりまして、その目的を達成する必要がある等から、年度独立の原則の例外といたしまして、繰り越しということもどうしても必要になるわけでありますが、こういう場合にやはり前からこれだけは繰り越してもいいという明許の制度、こういうものはどうしても必要である、かように私は考えておるのであります。いろいろな理由で今まで相当繰り越しが多かったことも御指摘の通りであります。ですから私の考えとしては、こういうふうな明許その他にしても必要を越えて繰り越すというようなことをいたさないことがまず先決である。そして今後繰り越し制度の使用自体が適正に行われているかどうかということについても十分注意していこう、かように考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 どうもあなたの話は観念論に終始しておりまして、具体性が出て参りません。やむを得ませんから事務当局にあなたへの質疑の資料として、一、二伺ってみます。主計局長に伺いますが、二十八年度の予算書、決算書によらずに、同じ趣旨に記載してありますから、便宜三十年度の予算書によってあなたに尋ねます。たとえば昭和三十年度一般会計予算参照書添付のうちの一八八ページ、ここの防衛庁の歳出予算のうち、器材費二百八十一億円、被服費三十四億三千万円、あるいは運搬費二十一億円と出ているが、このうちの被服費三十四億二千万円というのは一体繰り越し明許の財政法上どういう事由に該当するのか、御説明願いたいと思います。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 防衛庁関係で繰り越し明許になっておりますものは器材費、被服費、運搬費、それから防衛庁施設費ということに相なっておりますことは今お話がありました通りであります。これらの経費につきましては年度独立の原則から考えまして、もちろんその年度内における支出消化を期待すべきことは当然でございますが、諸般の関係で、たとえば工事その他の事業の遂行について予期せざる支障が起って、予定の時期に着工できなかった場合、またはその他の器材等の注文でいろいろな準備その他の関係から、予定の時期までに注文ができなかった場合、そういう場合に経費の効率的使用をはかるために例外的に翌年度に繰り越して使用することも場合によっては必要という次第でありまして、そういう場合に備えて最小必要限度の費目につきまして、繰り越し明許の御承認を願っているわけであります。ただしこの経費につきまして大部分を繰り越しするということではもちろんないわけでございまして、繰り越しを承認いたしますものは、この明許費のうちのごく一部、どうしてもやむを得ない場合のものだけを考えているわけでございます。現に昭和二十九年度の明許費につきまして繰り越しになりましたものは約五百億、ごく一部になっているわけでございまして、われわれといたしましても、明許費の費目は、本年度予算案につきましては御指摘のように四千億というような巨額になっておりますが、これの運用につきましてはそのうちのごく一部、どうしても繰り越しのやむを得ないものに限ってこれを承認するつもりでおります。決してこの繰り越し明許の制度を乱用するという気持は持っていないことを御了承願いたいと思います。  なお被服費についてなぜ繰り越し明許になっているかということでございましたか、これは所要の人員の充足につれて被服を発注するということにいたしているわけでございまして、予定通りに充員ができますれば、繰り越しをしなくても済むわけでございますが、場合によってはそれが一部おくれるということも絶対になきを保しがたいわけでございます。さような場合に備えまして、やむを得ない場合に繰り越しの承認をいたすという意味で、明許の御承認をお願い申し上げてある、かような次第でございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私のお尋ねしましたのは、防衛庁費のうち被服費の分を特に述べた。結局この被服費というのは人員の関係でということになっておりますが、人員の関係に対する給与などについては、格別これは繰り越し明許にはなっておらぬのであります。そこでこの被服が繰り越し明許になるというのは財政法上どの規定に基くのかということを聞いているのです。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 財政法の第十四条の三でございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 十四条の三のどこになるのです。第一項のどこにあるのです。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 「歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き」とございますが、その性質上という方に該当するわけでございまして、「年度内にその支出の終らない見込みのあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。」さような趣旨で明許をお願いしているわけでございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そういたしますと、この被服費を繰り越し明許費に入れたのは、ただいまお述べになりました財政法第十四条の三の、その性質上その年度内に支出を終らない見込みのものである、こういう趣旨のものであるようでありますが、人員につきましては相当正確な見通しをもって給与費も組まれているものと思うのです。そうであるならば、被服のごときも当然それにマッチして、間違いのない支出をされねばなるまいと思う。どこから考えてみましても、被服のようなものが年度内に調達できない見込みだというようなことは、およそ常識をはずれたことではないかと思うのであります。こういうものもほんとうに検討なさったのかどうか。  そこで大臣に伺いたいのですが、今お聞き及びの通りなのであります。被服といったら、馬に着せるものでもなし、軍艦に着せるものでもございません。人間に着せるものであります。人間に着せるという以上は、人間につきましては、それぞれの増員の計画もあり、またそれに対する給与等の予算はそれぞれ組まれておるわけであります。被服がそういうふうに来年にまでわたる見込みだというようなことは、被服そのものの性質上、来年にまたがるというようなことは、一体これは財政の常識から考えて、できるのでしょうか。あなたも長らく日銀の総裁であられたのでありますが、日銀のそれぞれの職員等につきましても、そういった経費があろうかと存じます。人間の数がきまっておるのに、それにつける被服が翌年にまたがるべき性質のものとして、その後の特殊な事情に基くというのでなくして、すでに性質上来年にまたがるべきものだというような、そういう認定ができるのでしょうか。こういう点からみましても、実に防衛庁の予算がずさんだということが考えられる。八百六十八億円という防衛庁費は、五割強が繰り越し明許費になっておるのであります。驚くべきことなんです。でありますから、これは大づかみに何でもかんでも繰り越し明許をするというようなやり方をなさっておるのじゃないだろうか、こういうようなおそれを私どもは持っておるのです。果してそうならば、予算編成の根本の方針といたしまして、実に誤まった考え方と申し上げねばならぬ。今はたまたま被服費を例にとって申し上げておるのです。こういうようなものをあなたは見のがしておるのでしょうか。こういうようなものまでも、来年まで使い残しがあってもよろしいというような、そんな予算の組み方をしてもいいのでしょうか。一体そんな命がどこに遊んでおるのでしょうか。申し上げるまでもなく、これはことごとく国民の血税であります。でありますから、繰り越し明許というものは会計年産の原則を破る例外の制度ですから、あくまでも厳正な審査を遂げて予算として組まねばならぬ。こういうものまでも繰り越し明許に組んでおるので、このような膨大な集積になって、防衛庁は五割以上、全体を通計すると予算の四割が繰り越し明許になるということになってしまう。大臣、どうお考えになりましょう。あなたがほんとうにこの問題を大切な重要なことであるとお考えになるならば、私のこの言葉につきましても、真剣にお考え願いたいのです。何もあなたや大蔵省事務当局のあげ足をとって、あなたに何かうまい答弁を求めようとするような、そんな気持は私にはごうもないのです。ただ数年間の繰り越しの集積、あるいは莫大な不用額の計を見ましても、驚くべきものがあるのですよ。これは防衛庁の不用額が一番多いのです。なぜ一体不用の予算なんかとったのかということを、国民は、納税者の立場からいたしましたらほんとうに憤慨いたしまして、納税意欲がなくなりますよ。そういうふうに莫大な不用額が出ておりますような事実から見ても、この予算の繰り越しというものは、ほんとうに真剣に考えてもらわねばいかぬのです。かく考え来たりましたときに、こういう防衛庁の予算のずさんな繰り越しを認めようというあり方に対しまして、大蔵大臣はどうお思いになりますか。ほんとうに真剣にこの問題に取り組んでいただくことは、あなたのおそらく念願としておられる健全な財政を実現するための一つの急所であります。この問題に手をつけることなくして日本の財政の健全な状態を期待することはあるいは不可能であります。この問題に論議を重ねるごとにもつと真剣にならなければいかぬと思うのです。莫大な金が日銀に寝ているというようなことで日本の財政力が十分にあるといったような間違った考え方を国民に起させたら大へんであります。血税はほんとうに血税なのです。血の出る税金を出しておるのです。どういうようにお感じになりましょうか。一つ大臣の御所見を伺いたい。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 お答えします。御意見はほんとうに私もごもっともと思います。防衛庁の繰り越しについてもしさいに検討をいたしたのでありますが、幸いにこの繰り越しは防衛庁も年年やはり減少してきておるように私は思っております。なお本年度の繰り越し等につきましては十分検討を加えてあります。なお詳しいことは防衛庁の経理局長から答弁させます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私は今は大蔵大原に対しまして予算の繰り越しについてその真意をただし、また各般の御方針を伺おうとするのでありますので、防衛庁当局の所見はまた別の機会に聞くことにしたいのであります。  そこでさらに進んで、それならば聞きますが、私が申し上げるまでもないことでありまするけれども、この歳出予算の繰り越しという制度は、これはやはり会計年度の一年間という原則を破る例外であるということを一つ御銘記願いたいのであります。  それからもう一つさかのぼって考えてみましたときに、私はほんとうに財政を執行する、また予算を編成するあなたは国の責任者といたしまして、憲法なりあるいは財政法を守っていくということの信念が人よりも強くなければならぬと思うのであります。ただ便宜、政策上というのではいかぬと思うのです。大体繰り越しというのは憲法上あるいは理論上当然生ずるべき性質のものでないと思うのです。やはり予算執行上の現実の必要から生まれているのじゃないかと思う。そういたしますると憲法の八十六条によりまして、会計年度の基本の原則が規定されてあることは申し上げるまでもございません。これによりますると、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」この毎会計年度の予算ということは相当厳重な原則でないかと思うのであります。この原則の例外というものは、従ってまた厳格でなければならぬと思うのです。この点に対する御所見を伺いたい。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 お答えします。原則として御説の通りと思います。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 しからば額は可及的少額でなければならぬ。その理由は財政法に規定いたしておりまする、たとえば今生計局長の申しました財政法十四条の三、これによりますれば、第一項の前段はその性質上であります。後段は予算成立後の事由に基くものであります。防衛庁予算につきましては、この前段の性質だという説明がありました。いずれにいたしましてもこれらの財政法の規定なるものは、これを相当厳格に解さなければいかぬと思うのです。外国の立法例あるいは財政のいろんな実例によりますれば、アメリカあたりにおきましては繰り越しの制度がかなりルーズに行われることが原則になっておるようでありますが、これは根本の財政方針の立て方が違うからであります。日本の場合におきましては、やはり憲法を守ってもらわなければいけません。あなたは憲法を守ることについて、私と同感であるということはまことに意を強うします。しからば憲法の条章によって具体的規定をいたしました財政法の解釈、運用なるものは、来た相当厳格でなければならぬと思うのです。この場合に、一般会計の歳出予算の四割が、財政法十四条の規定によって繰り越し明許の例外になるというようなことは憲法違反じゃないですか。なぜならば、この憲法八十六条は会計年度の原則を厳として規定したものでなければなりません。つまり具体的には財政法に譲って、四月から翌年の三月までということに会計年度はなっておりますけれども、その基本法規はこれでありますから、この法規に対する原則を破ることになるんじゃないだろうか。なぜならば、一般会計の四割が翌年度まで使ってもいいというようなことは、大部分を翌年度にも使っていいということになり、従ってせっかく一年間の会計年度をきめております法律の精神を無視することになり、憲法の精神を無視することにもなり、あるいはあなた方の予算編成という行政行為は違憲の行為ではないか。国会にこういうような予算を提出することは、違憲の行為でないか。こういう予算に対しまして、国会はもっと真剣な憲法及び財政法上の論議がなされねばならぬと考えております。もし今の主計局長のお話のごとくに、被服費まで明許繰り越しで大きな手を振って通るような予算の編成ぶりでありましたならば、その次には職員の給与もそうなるだろう。いろいろな物件費もそうなるであろう。あれもこれも、予算の大半が、防衛庁費のごとくに五割以上も明許繰り越しになるというと、どっちが例外か原則かわからぬ。そんなことでいいんでしょうか。それでも憲法の原則を順守するというあなたの精神は実際的に貫かれますか。あなたが大臣になる前は、私は実に良心的な人であるというように考えておりました。今もそうであらんことを望みます。またそうでありましょう。従って国会において答弁をして、うまく切り抜けるというようなことはみじんもないような態度で終始していただきたい。ほんとうに憲法の精神を守ろうとしますならば、あなたが一兆円のワクを守ろうというような、そんな問題ではありません。私はもっと根本的な問題であろうと思うのです。憲法の原則に反するこの膨大な総額の明許繰り越しというものは、額において必然に会計年度を破ることになりますから、その意味におきまして、また財政法の規定は、十四条の三は例外規定でありますから、厳格に解さねばいかぬ。そういう意味におきまして、これらの点から見まして、私はこういうような予算の編成というものは、また私が手元に持っております二十六年、七年、八年、九年、こういうような過去の予算、決算を通して見ましても、これは少くとも憲法八十六条の条章の精神をじゅうりんする財政行為である、こういうふうに考えるのですが、真剣に一つ御答弁を願いたい。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。憲法に違反するというようなことは毛頭考えておりません。私どもは繰越金に対する基本的な考え方については、全く同じ考えを持っておるのでありますが、今回具体的にしておることは、これは必要がありと考えてしておるのであります。なるほど防衛庁について特に繰り越しが多い、こういうこともあると思いますが、これは防衛力を増強していく関係から、特にこの性質上、たとえば軍艦であるとかその他その生産工程に長期を要するものがあります等いろいろな関係から多い、こういうことも御了承を得たいのであります。なお今後の問題につきましては、今の御意見については十分留意を加えたい、かように考えます。

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 古田さん、大臣の時間がございますから、一つ……。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 それでは簡単にします。私はこれは重大なことでありますので、できるだけ率直な御答弁が願いたいと思うのだが、どうも今の大臣の答弁は、私は納得できません。あなたは必要であるから組んだのであり、必要であるから憲法違反にはならぬ、こういうようなお考えなんであります。けれども、それならば国の歳出予算の六割、七割あるいは八割まで繰り越しということになっても、なおかつ憲法の条章を守ることになるのであるかどうか。財政法の規定を守るゆえんであるかどうか。そんな無理な考え方は許さるべきではないと思うのであります。そこで伺いますが、こういうような莫大な繰り越しというものは、あなたは必要であるからとおっしゃるのだが、必要であるならば、こんな大きな歳計剰余が出ないのであります。先も私申し上げましたが、純剰余金というものを述べてみましょう。これは翌年度における繰り越し歳出の財源充当額を差し引いたものでありますが、これによりますと、二十六年におきましては七百二十四億、二十七年度におきましては八百五十八億、二十八年度におきましては八百十一億円であります。これはすでに差し引いてしまった純剰余金であります。だから結局これは、そのうちの半分は国債の償還に引き当てる。あなたは必要だから組んだとおっしゃるが、必要ならばこういうような純剰余金は出ません。また必要ならば、莫大な不用金は出ません。不用金の金額は先申し述べました。そういう点につきましても、ほんとうにまじめな答弁をしてもらいたいのです。必要ならば、不用金が何百億円も出たり、純剰余金が千億近く出て、その半額を国債償還費に充てなければならぬというようなことはないはずです。必要でないから純剰余金が莫大に出るのです。必要でない、ずさんな予算の組み方をやっているから、こんな金が出る。巨額な予算を組み、ずさんな予算を組んで、そうして四割もそういう繰り越し明許をつくるというようなことになるので、こういうような純剰余金が出るわけです。あなたのおっしゃったのは自家撞着です。やっておられることと答弁と違っておる。必然にこういう莫大な純剰余金が出るわけであります。一体なぜこんなものを取るか。納税者の立場からしましたならば、そんなに八百億円も金が余ってしまうならば、われわれから税金を取らずにおってもらいたい、こういう声が国民から出ますよ。あなたらは人の命をこうやってお取りになる場合には、あまり痛痒を感じないかしれませんけれども、あなたも国民なんだ、税金を払っておられる。税金を払う立場から考えてごらんなさい。必要だから予算の四割を繰り越し明許で取ったのだ、そうしてその実は何百億円という純剰余金が出てくる、何百億円という不用金が出てくる。そんなばかげた財政執行がありますか。これでもなおかつあなたは必要だから予算をとったんだ、憲法に違反しない、会計年度の原則は破っておらぬ、財政法の規定も順守しておる、そういうような白々しい答弁ができますか。しっかりと、ここはほんとうに良心に従って答弁をしていただきたい。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ただいまの数字については私十分承知いたしておりませんので、大へん残念に思い、またはなはだ相済まぬと思っておりますが、私はすべてにおいてあとから考えた場合に、必ずしもそれがいいと言うのじゃありません。それで今後においても繰越金をすることについては御意見のようによほどの留意をしていかなければならぬ、かように申し上げておるわけであります。なお御意見は非常にごもっともでありますから、私も十分に注意していきたい、かように考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 ただいまの大臣の御答弁によりまするというと、やはり趣旨においては私に御賛成らしいのです。それならば一つはっきりしておきますが、やはりあくまでも繰り越し明許とか、あるいは予算の繰り越しというのは予算上例外の制度でなければなりません。しからば客観的に日本の財政の規模から見て、繰り越しの額が非常に膨大な率に上るという場合、もしくは理由が明らかでない場合、もしくは理由が不備である場合、理由が完全でないような場合、そういうような場合には今後繰り越し明許につきましては相当の斧鉞をなして臨むということが次に出てこなければならぬ、こういう点につきまして一つお考えがあればはっきりしておきたいのですが、もしなお善処しますというような抽象的な言葉でありましたならば、私はもうあと一、二問だけで終りたいので次に進みます。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 今申されたような場合におきましては、厳重に監査いたした上で承認を受けたい、かように考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 そこで次にお尋ねしますが、私ども決算の立場から考えまするというと、年々巨額な国庫への未収納金があるのであります。そのうち最も重視すべきものは租税問題であります。特に租税につきまして未収という観点から大事な点は大口の未納なのであります。大口の滞納なのであります。国税庁から五千万円以上の大口滞納の資料を昨日までに当委員会に出すことを要求してありまして、承諾しておったのだけれども、きょうは持ってきておらぬ。実に私は心外に考えておるのであります。われわれはやはり国政調査につきまして真剣な態度をもって資料を要求いたしたのでありますから、当然これは国会に対して提出する義務がある。にもかかわらずきょうまで間に合っておらぬ。実に私は残念に思っております。  そこであなたに一言伺って御答弁を願いたい点は、これは数字は詳しくわかりません、私も相当数字は持っておりますけれども、この数字は政府の数字と照し合せまして確認をしたいと思ったのでありまするからここでは申しません。申しませんけれども、五千万円以上の滞納者が数十口はあるのであります。そこでこういうようなものにつきましても、もっともっと滞納を整理する方法があるのではないか。小口の、納税力のほんとうに弱い民衆をいじめることが税務署の仕事じゃございません。こういう大きなものにつきまして、言いかえますならば財源がころがっておるのです。なぜ一体こういうものに手をつけないだろうか、大口滞納一掃につきましてはなはだしく怠慢でないかということを私は感じておるのです。これは数字に基いて論議したいのでありまするけれども、きょうはそれができぬのは残念でありますが、あなたに一般的なお考えを一つ聞いておきたい。

一萬田尚登日本民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 十分調査をいたさせます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 まだお伺いしたい点がありますが、もう少し瞬間がほしいと思いますから、きょうはこの程度にして別の機会に譲ります。     —————————————

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事田中彰治君が去る十八日に委員を辞任され、理事が欠員となっております。この際その補欠選任を行うこととし、これは先例によりまして委員長において指名することに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 御異議なしと認めます。よって理事に赤澤正道君を指名いたします。     —————————————

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 なお委員各位にお諮りいたしますが、吉田委員の議事進行の発言の前までは防衛庁の総括質問を予定いたしておりましたが、時間が参りましたし、理事会の申し合せは本日は午前中で終了するという申し合せもございますので、本日はこの程度にいたし、次会の開会日時は公報をもってお知らせするに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林與市郎日本社会党(左)

○上林委員長 それではさように決定いたします。  これにて散会いたします。    午後零時三十八分散会

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