外務委員会 第38号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/07/27
会議録
○植原委員長 これより会議を開きます。 まず理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事戸叶里子君が去る十六日委員を辞任せられ、再び委員に選任されましたが、それにつきまして理事が一名欠員となっております。この際その補欠選任を行いたいと存じますが、これは同君を再び理事に指名することにいたして御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。 —————————————
○植原委員長 まず、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 鳩山内閣になりましてから、中共政権が有力な政権であるという発言がときどき聞かれまして、昨年もそういうふうな発言を鳩山首相みずからされたことは、皆様御承知の通りでございます。この中共承認の問題等につきましては、おそらくきのう、また一昨日の質問でなされていると思いますので、私は一応重複を避けたいと思います。そして私どもといたしましたならば、中国本土にある中共政権というものを認めるべきであると思うのでございますけれども、この点は政府と議論をいたしましても、きょうの短かい時間では尽きないと思いますから、一応それは次の機会に譲ることにいたします。 そこで二、三はっきりさせておきたいと思いますが、今中共の国連加盟ということが大分問題に出ておるようでございますが、もしも中共が国連に加盟した場合に、日本政府としてはどういうふうな態度をとられるか、その点を承わりたいと思います。
○重光国務大臣 国連には日本は不幸にしてまだ参加をいたしておらないのでございますから、これに対して賛否の意思表示をすることは資格上どうかと思います。これはほかの国にまかして差しつかえないものと思います。
○戸叶委員 今の私の質問を大臣はちょっと感違いしていらっしゃるようですが、中共の国連加盟の問題がいろいろなところで出ておりますけれども、早晩中共の国連加盟が許されると思います。そうなったときの日本の態度でございます。この点を承わりたいと思います。
○重光国務大臣 日本は大勢に順応し得ると考えております。
○戸叶委員 大勢に順応し得るということは、具体的にもう少しはっきり申しますと、日本と中華民国政府との間に締結した日華条約というものは自然にこれが消滅する、そして中共との間に何らかの新しい条約を結ぶ、こういうふうな形をとるのでしょうか、この点を承わりたいと思います。
○重光国務大臣 その方法はそのときにおのずから出てくると思います。今日本が国民政府と結んでおる平和条約を変えるという意思表示はむろんできませんけれども、中共を中心とする世界の情勢が根本的に変ってくるわけでございますから、そのときにはおのずから国連を中心とした解決方法が必ず出てくると思います。その大勢に従うことはできると私は考えております。
○戸叶委員 方法がおのずから出てくるというお話ですが、条約局長は何かこれについて御説明いただけますでしょうか。
○下田政府委員 純法律的の見地からだけお答え申し上げたいと思いますが、現在におきましては、国際法上一つの国に二つの正統政府を認めるということはできないことは申すまでもないことであります。それと同じ理屈で一つの国との間に二つの平和条約を結ぶということもまたできないことは自明の理でございます。そこで将来理論的に考えられます場合は、いずれかの政権が統合してしまうという場合でございます。その場合には統合した政権が日華平和条約を継承するかどうかという問題になるわけであります。日華平和条約と競合して、別に二重に二つの平和条約を作るということもまた考えられないことでございます。理論上考えられますもう一つの場合は、二つの政権がおのおの独立国の政権としてはっきり分れてしまうという場合であります。その場合には新独立国というものは対日戦争終了後誕生した新しい国であります。でございますから、平和条約というのは、戦争状態があってその結末をつける条約でございますから、戦争終了後生まれた新らしい国との間に戦争の結末をつけるという問題は起らないわけでございます。いずれの場合にいたしましても、中共との間に平和条約を締結するということは、さしあたり理論的には考えられない、先ほど大臣が申されましたように、実際的に何らかの処理ができるという場合に、国際的に解決するということはむろんございますが、現状のもとにおきましては理論的には考えられない、そういうように考えております。
○戸叶委員 法律的に解釈いたしますと、中共の国連加盟が認められました場合にも、なお日華条約はこのままの形でも有効であると了解できるわけでしょうか。
○下田政府委員 御指摘の場合は、中国側の原因にあらずして、国際的の原因で現在の中国の状態が解決を見るという場合でございます。その場合には、先ほど大臣が申されましたように、おのずからその国際的の解決に足並みを合わすということも十分考えられることと思います。
○戸叶委員 そういう場合に直面いたしましたならば、国際的ないろいろな環境からと申しますか、国際的な状況から、日本がどういう立場になるかということがおのずからきめられるということでございますが、そうすると中共との新しい何らかの協定、つまり平和条約というものは全然必要なくて結ばなくても、中共との間は普通の状態になり得ると了解してよろしいわけでございますか。
○重光国務大臣 その点が私の言う国際情勢の変化によっておのずから解決するという点でございます。
○戸叶委員 次に、通商航海の面を協定の中に入れないで、議定書の方に入れておいて、そして二年延期するとか一年延期するとかいうふうに、こま切れ的に延期をしていくという方法をとられた理由は、どういうわけでございましょうか。
○下田政府委員 日華間の通商関係に関しましては、やはり平和条約の本条約中に規定があるのでございます。それは日華間にすみやかに通商航海条約を締結するという規定でございます。そして議定書に持って参りまして、その通商航海条約が締結されるまでの間は、次の原則で処理するというモーダス・ヴィヴェンダイを規定したわけでございます。ただいま御承認を仰いでいますのは、そのモーダス・ヴィヴェンダイの期間が八月四日に切れますので、一カ年ずつ延長することにしようという第二の暫定的の取りきめでございます。
○戸叶委員 日華条約の中に、すみやかに通商航海条約を締結するとあって、それを結ばない理由は何かあるわけでございましょうか。
○湯川政府委員 通商航海条約は一般に広範に経済関係を規律する事項を盛りますので長い時間がかかります。それで先ほど条約局長から御説明申し上げましたように、一応モーダス・ヴィヴェンダイということで暫定的な議定書でもって処理しております。これから日華間の通商航海条約をすみやかに締結するということは当時から考えておったのでありますが、いろいろ研究して向う側と話をしてみますと、相当これは問題がまだたくさんありまして、かなり長い期間を要しないとでき上らないように考えられますので、最近の国際情勢にもかんがみて、この種の恒久的条約を作る場合には、こちらとしてもいろいろまた慎重な考慮を払わなければならないと思いまして、やはり従来の取りきめを一時的に延長しまして、一年ずつ延長して必要があったときには三カ月の予告で廃棄する、こういう措置に出ておるのであります。
○戸叶委員 この問題はきのう質問したということを今伺いましたので、これ以上伺いませんが、日本の方で台湾に残してきた在外資産の問題も、たしかきのう触れられたそうでございますが、三年前に申し入れているけれども何の返事もない、こういうふうな政府の御答弁であったやに伺っております。そこでそのままにほっておかないで、これはやはり財産を残してこられた方で非常にお気の毒な方がたくさんおられますので、何らかの手を考えていただかなければならないと思いますけれども、一体今後それはどういうふうになさるおつもりか、見通しのほどを承わりたいと思います。 それからついでにどのくらいの額が向うに残っているのか予想されますでしょうか、そうしてまた日本に残されている分として大体どのくらいの額が予想されますか。
○中川(融)政府委員 平和条約第三条に基きます日華双方の住民等の財産権の問題の処理でございますが、これはきのう御質問がございましたが、一昨年以来これの交渉の開始方を国民政府に申し入れてきているのでございますが、先方は準備がまだ整っていないということを理由に、それに応じていないのでございます。このような事態をいつまでも放置するということは、日本におられる権利者の権利保護という立場から適当でございませんので、ごく最近約一カ月ほど前におきましても、正式文書をもって再び国民政府側に交渉開始方を申し入れてその返事を待っております。ところが従来の経緯等から見まして、これが急速に交渉を開くという段取りに達するかどうかということは、ちょっとわれわれも保証しかねるのでございますが、これはしかし条約にはっきり書いてある双方当事国の義務でございますから、外交交渉を強力に進めることによって、何とかこれの交渉開始の運びにいたしたい、かように考えて今後も努力をいたす考えでございます。 なお台湾に置いて参りました日本関係の財産の額でございますが、これは実は詳細な資料を私今持っておりませんが、大体終戦時の価格で、たしか三百億くらいになったのではないかと思います。これはなお詳細に調べまして、後刻御報告申し上げたいと思います。なお日本にあります台湾関係の財産権というものは、それに比べると約半分くらいではないか、かように考えております。
○戸叶委員 今外交交渉を進めていられるようですけれども、その見通しはどんなでございますか、大へん長引くようですか、それとも比較的早くいけそうだという自信がおありになるでしょうか、この点いかがでしょうか。
○中川(融)政府委員 これは条約にちゃんと規定のある事項でございますから、向うも準備不足ということを口実に、そういつまでも遷延するわけにはいかないと存じます。従って強力に外交交渉を進めることによって何とか打開の道を開きたい、かように考えております。大体いつごろそれでは交渉を開くかという見通しということになりますと、的確に申し上げるわけにも参らないのでございますが、道理からいって、そういつまでも遷延さるべきものではない、またそういうことは十分先方も理解してくれる、かように考えております。
○戸叶委員 外務大臣にお伺いしたいのですが、先ごろこの委員会におきましても、参考人の意見を聞きましたように、山田丸の拿捕の事件がございました。それだけでなくて台湾海峡で外国汽船が拿捕、攻撃をたくさん受けておりますけれども、国際法上から見て、こういうことは妥当ではないというふうに考えられますけれども、この点に対する大臣のお考えを承わりたいと思います。
○重光国務大臣 その点については外務省の係の者からお答えさせます。
○中川(融)政府委員 御指摘の第三十一山田丸、第三十二山田丸の沈没事件でございますが、これはすでに半年以上にもなりまして、いまだに先方が国民政府の責任に基く行為であるということを認めるに至っていないのでございます。これはわれわれとしてははなはだ遺憾に思っておるのでございますが、しかしあらゆる証拠その他を照らし合せてみまして、どうしてもこれは国民政府のそのときそこにおりました軍艦が、中共の護送船団と間違って日本の漁船を攻撃して沈めたと判断する以外に方法はないとわれわれは考えております。御承知のように起きた場所というものが先方の調査と日本側の調査とに約十海里ほどの差があるのみでございます。なおこれも計算によれば七、八海里まで短縮することもできる状況において起きたことでございます。起きた時刻は全く同時刻に起きておるのでございまして、先方も中共の船を二つ沈めたということを発表しております。こちらは日本の漁船がやはり二隻撃沈されておるのでございまして、これらの事情を詳細に先方にいろいろな材料をそろえまして提示いたしまして、先方がこれについての責任を認めるようにということで交渉してきておるのでございますが、先方はまだ証拠がないというようなことからこれを認めてはおりません。しかしながら引き続きこれにつきましては台北及び東京におきまして、強力にこれに対する交渉を進めておりますので、これも何とか国民政府側で道理のあるところを認めて、これについて適切な補償措置を講ずるという挙に出ることを期待しておるところでございます。
○植原委員長 戸叶里子君に御注意申し上げます。山田丸事件は実はこの間質問が済んだのですが、あなたは欠席されてお聞きにならなかったのであります。なるべく繰り返さないようにお願いいたします。
○戸叶委員 それは例として引いただけなんですが、山田丸事件でなくて、ほかの外国船も台湾海峡で拿捕されている事件を御承知だと思います。そこでこの地域を台湾の政府が一方的に海戦区域とでもみなしているのでしょうか、それとも封鎖でも宣言しているのでしょうか、この点を伺っておきたいと思います。
○中川(融)政府委員 台湾海峡一帯を国民政府当局は一種の作戦区域というふうに指定いたしまして、ここに入る船は全部自分の方に通報してもらいたい、なおここでいろいろな事態が起きても、その責任は入ってくる船にある、というようなことを布告いたしております。なお台湾の近海及び中国大陸に近いところの海域というものを、国民政府は封鎖海域として宣言しております。これはしかし台湾海峡全面に及ぶ海域ではないと考えております。
○戸叶委員 条約局長に伺いますけれども、今のように一方的に作戦区域として封鎖海域を指定するということは、国際法上許されることでしょうか、その点承わりたいと思います。
○下田政府委員 私どもの見解によりますれば、国際法上封鎖が認められるためには、一定の要件がございます。特に実効的の手段をもって封鎖を確保するという実効的要件は最も大事なものの一つであります。台湾海域を、国民政府側の措置は実効的に封鎖の実をあげる手段を持っていないことは確実なことでございます。でございますから、これは国際法上の封鎖と認めるには要件が足りないと存じております。従いまして、日本政府はこういう処置に対しましては、累次申し入れを行なっておるわけでございます。
○戸叶委員 国際法上違反であるならば、やはりその点を主張いたしまして、日本の拿捕漁船などについての解決、そういうものをなるべくすみやかにやっていただきたいということを要望する次第でございます。それから台湾との貿易では、大体日本との間のバランスはとれているのでしょうか、どうですか、この点伺っておきたいと思います。
○湯川政府委員 大体バランスがとれております。昨年度の貿易の実績を申し上げますと、輸出が六千九百十六万ドルで、輸入が六千四百五十四万ドル、差引四百六十万ドルばかりの出超ということになっております。全体の額が相当多うございますから、まずこの程度ならばバランスがとれていると申すべきだと思います。
○戸叶委員 台湾からはだいぶバナナを買い入れるようですけれども、何かほかのものよりもバナナをたくさん買い入れるという根拠があるのでしょうか、この点を伺いたい。
○湯川政府委員 バナナは台湾にとっては数の少い特産品の一つでありますので、わが国の輸出を振興するためには、やはりどうしてもある程度バナナを輸入する必要があります。バナナを入れるかはりに、こちらもまた雑貨とかそういうものの輸出もあるわけであります。全体の貿易の規模を大きくするためには、特産品であるバナナをある程度買わなければなりません。しかし、バナナは国民生活上どうしても不可欠の物資とは考えられませんので、わが方としてはできるだけこれを少くしたいのだけれども、交渉上やむを得ないということでやっておる次第でございます。
○戸叶委員 交渉上やむを得ないといたしますと、ある量だけはどうしても日本で買わなければならない、そうしないとほかのものは日本に送り出さない、こういうふうな取りきめか何かが行われているわけでございますか。
○湯川政府委員 これは外貨予算の制度上、別に政府としてはどうしても政府の力で買うというわけではございませんが、しかしトレード・プランにあります四百五十万ドル程度までは、もし国内の需要があって申請があれば輸入を許可する、こういうことに相なるわけでございます。
○戸叶委員 たしか前に出たと思いますけれども、商社同士で取りかわしております誓約書ですね、これは裏から見ますと、ある程度の内政干渉的なものに思われるのですが、こういうものに対して政府はどういうふうにお考えになるかということと、もう一つは、その誓約書の内容はどういうふうなものになっているか、これを伺いたいと思います。
○湯川政府委員 誓約書が別に内政干渉とは存じませんが、しかしわが国にとってはこれはおもしろくないことと思っております。できるだけこういうことはやめてほしいということは再三向うに申し入れております。しかし向うとしましては、中共と台湾との関係からいって、中共と取引している商社と台湾の政府機関である信託局等が取引することは、間接に通敵行為ということになるから、どうしても商社は選択せざるを得ない、こういう立場をとっております。しかしその節、必ずしもこちらは納得したわけではございません。今なお交渉中でございます。
○戸叶委員 そうするとその内容としては、今おっしゃったような、台湾の商社と取引している会社は、中共の他の商社と取引してはいけない、という程度の内容しか書いてないわけでござ いますか。
○湯川政府委員 これは別に政府に申し入れが来ておりませんで、いろいろな商社に個別的に話しているようでありますが、全部網羅的にどういう文面になっているか、文面もいろいろあるようでございます。しかし概括して申せば、信託局としては、自分の方が直接取引する相手方としては、中共と貿易しているのか、あるいはしていないのか、そういった点を確かにした上できめたいということで照会をしているようであります。しかし一般的にいえば、中共と貿易していないというような趣旨の誓約書といいますか、念書といいますか、そういった文書を要求しているようであります。
○植原委員長 戸叶里子君に重ねて申し上げますが、実はきょうは大体政府委員に対する質問は終了いたして、特にきょうは大臣の御出席を願って、大臣に対する質問が終ったら採決するという理事の了解になっておりますから、どうか大臣に対する質問を願います。大臣への質問は、あなたは終りましたか。
○戸叶委員 今私が伺った質問も、もしお差しつかえなければ大臣にお答えいただいてけっこうなんです。 もう一点伺います。これは大臣にお伺いしたいと思いますが、台湾の国家財政の状態は大体どんなふうになっているかということを、おわかりになる範囲内で伺いたい。それからまた、アメリカからの援助の度合いがどんなふうになっているか、この点をおわかりになる程度承わりたいと思います。
○重光国務大臣 私は、その点について今お答えするだけの知識を持ち合せておりませんことを遺憾といたします。
○中川(融)政府委員 台湾の国民政府の一九五三年度における国家予算は、十六億六千二百万元でございます。 それからアメリカからの援助でございますが、これは私が記憶いたしますところでは、軍事関係の経費というものは大体アメリカの援助によっているということでございます。的確な援助額及びそれが総予算に占める率というようなものにつきましては、あらためて調査の上御返事いたしたいと思います。
○戸叶委員 それではただいまの問題は、参考になりますので、あとからでもアジア局長より資料として出していただきたいと思います。 私、重光外務大臣に領土の問題でいろいろ伺いたいのですが、それをいたしますと前の委員が質問されたことと重複いたしますので、そうするとまた委員長から、それは前に出ましたという御注意を受けると思いますから、私の質疑は一応本日はこの程度で終りたく思います。
○森島委員 私、関連しまして二点だけお伺いしたいのですが、ただいま条約局長から、一国の中に二つの正統政府は認めるわけにいかない、これは純法律論としておっしゃった。しかし中共と台湾の問題のごときは、むしろ法律論よりも大きな政治的な問題として取り扱うべきものだと私は信じております。その点から行きますと、もし日本が中共を承認した場合には、今台湾の政権との間にある政治的な条約その他の条約は自然に効力を失うものだ、こう私は了解しておりますが、その通りでございますか。大臣から一つの御答弁を願いたい。
○重光国務大臣 私はその点は先ほどお答えしたと思います。実はこれらの問題を法律的に議論をしてみると空想的に走って、いろいろな議論はできますけれども、あまり実益を伴いません。しかしこれを実際問題としてはっきり言いますと、これは差しさわりが起ります。国内の差しさわりはどうでもいいとして、対外的の差しさわり、これはすぐ貿易にも影響しますし、いろいろな差しさわりが起ります。私が先ほど申し上げた通りに、かようなことは今大きく国際情勢が回っておるのでありますから、その回り方を少し見きわめた上で実際的におのずから解決の方法が出てくる、また解決の方法を見出し得る、こういう見通しのもとに少し情勢を待っていくことがよかろう、こう考えておることは先ほどの答弁の通りでございます。
○森島委員 その点につきましては、大臣から明確なる御答弁を得ないことははなはだ遺憾です。これは国際情勢上今の御答弁でやむを得ないと私は存じております。ただ私は一つ例をあげたいのですが、ポーランドがロンドンに亡命しておりましたときに亡命政府を作っておりました。これに対してはソ連も英米もともにこれを正統政府として認めておったわけであります。その後事情の変化が起きまして、ソ連においてはルブリンの新しい政府を承認いたしました。これにつれて英米も結局民主的な要素をルブリン政府の中に守護するのだという口実のもとに、結局ルブリン政府を承認した実例があると私は記憶いたしております。そうしてその結果ロンドンの政府は自然消滅ということになりましたが、今度もこういうふうな運び方と申しますか、やり方になるのだと私は存じておるのでございますが、大臣から御答弁をするのが差しさわりがあるなら、条約局長からでもこの点について伺い得れば非常に仕合せに存ずる次第であります。
○重光国務大臣 今御指摘の歴史的な事実でございますが、それも実は非常な曲折があり、また難航があった問題でございますこと御承知の通りでございます。それもしかし情勢の推移によって結局落ちつくところに落ちついたという歴史の結果になっております。私もそれと同じふうになるかどうなるかということは予言の限りではございませんが、おのずから世界の情勢の変化というものがあり得る、こう考えておる次第でございます。
○森島委員 もう一点お伺いしたいのは、台湾銀行の現状と申しますか、清算機関の中に入って清算を了したと思っておりますが、現在残っておる資産をもとにして新しい銀行を作れという案も出ておるようでございます。またこの財産の処分につきましては、台湾銀行の元の行員が、何ですか運動も起しておるようでございますが、きょうは大蔵省の当局がおいでになりませんから、あるいは御答弁は無理かもしれませんが、もしおわかりになっておる範囲で御答弁をいただければ仕合せに存ずる次第でございます。
○中川(融)政府委員 台湾銀行は、ただいま御指摘の通り閉鎖機関としての処置を受けております。その財産は日本内地における債権債務を整理しましたあと、そのまま閉鎖機関としていわば管理凍結中でございます。この財産をいかに処分するかということにつきましては、まだ政府内部の意見がきまっておりません。従っていろいろ民間方面におきまして、あるいは旧権利者と申しますか、その方面におきまして、これを有用に使いたいという要望があるようでございます。今のところまだそのような具体的処置をとるまでに至っておりません。従って閉鎖機関としてそのまま財産は管理中でございます。
○植原委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 大臣に対する質問の前に局長にちょっとお尋ねいたします。質問の前にちょっとお断わりしておきますが、私昨日から他の用務のために他の委員の質問を聞いておりませんときもございましたので、重複いたしましたら、どうぞその旨お答えいただきたい。 この議定書締結の問題は、大体通商航海条約を正式に結ぶべきものに対する暫定措置であったわけですが、これが今度で三度目になりますか、そういうふうに本ぎまりにされない理由はどこにあるのか、どういうお考えでそういうお取扱いをしておられるのか、そのことを条約局長に最初にお尋ねしておきます。
○湯川政府委員 これは二度ほどここで話が出ましてお答えしたのでありますが、恒久的な通商航海条約というのはいろいろなことを盛りますので、交渉も非常に長期間かかります。最近の国際情勢の推移等にもかんがみまして、十年、二十年という恒久的な通商航海条約を結ぶというのには、現在まだ十分両方で用意が整っていないと考えられますので、暫定的な通商航海条約になったのであります。
○穗積委員 今度の議定書を見ますと、これは三カ月前に予告のない限り、どんどん延びていくわけですね。ですからこういう状態でずっとそのままいかれるつもりなのか、将来の見通しについてはどうですか。
○湯川政府委員 今度の延長で一年間ずつ延びるわけでありますが、必要ということであれば三カ月で廃棄するということになっております。そういうふうな、結んだ方がいい、用意が整った場合には恒久的な通商航海条約を結ぶこととなります。今のところは大体この程度のもので処理できるのではないかと思います。
○穗積委員 見通しはどうですか、見通しは今のところこのままずっといくつもりですか。
○湯川政府委員 現在の情勢ではこのままでいいかと思います。
○穗積委員 そこで外相にお尋ねいたしますが、台湾政権に対して本来ならば早く通商航海本条約を結ぶべきものを、今までもそうですし、これからもそういうことでいくということは、多少賢明な政治的な配慮があると思うのでありますが、そういう特殊な政治的な配慮がございますか。その政治的な理由を外相からお答えいただきたいのであります。
○重光国務大臣 通商航海条約の締結について特殊の政治的の配慮をいたすということはないのでございます。しかしやはり政治的な問題が間接にですが、反映するということもこれはやむを得ません。そこで台湾政府であるから暫定協定をやるのだということでもないのでありまして、この情勢が恒久的通商航海条約を結ぶに適当な、通商関係その他の一般関係がそうなりますれば、これは通商航海条約の交渉を始めても差しつかえないと思います。ただし先方がこれを受け入れるならばです。しかしながら何としてもまだ恒久的のそういう条約をこしらえる通商関係にもおらないし、全体的のことを考慮してみてもまだ少し早いということは、向う側もそう考えておるかもしれぬが、日本側もそう考えて、暫定でしばらくいこうという考えになるのは当然だと思います。これをすぐ政治的の理由に直接結びつけることは必要はない。またそうしていただかなくてもいい、こう考えております。
○穗積委員 この問題に関連いたしまして、先般台湾政府から日本の商社へ、中国人民共和国と取引をする者に対しては取引をしない、停止するというような趣旨の申し入れがあったわけですが、これは日本の外交方針としてはまだ中国、ソ連とは無条約国でありますが、それにいたしましてもこれらを敵とするわけではないのであって、すべての国と友好を深め、通商条約を結び、さらに経済文化交流をはかるということは、日本の終戦後の外交方針だと言っても私は差しつかえないと思います。そういうものに反するわけですが、こういうような何といいますか、ヒステリカルな申し入れというものは、われわれはなはだ不当というふうに——台湾政権を認める、認めないは別といたしまして、そういうこととは無関係に、こういうふうな申し入れをはなはだしく不当というふうにわれわれは思うのですが、外相のお考えはいかがでございますか。
○重光国務大臣 この問題については、先ほどだいぶん詳しくここでも御議論がございました。これは台湾政府としてはいろいろ理由を持つことだと思います。しかしそれをそのまま日本政府が是認をするということはできませんから、このことについては、外交交渉というものと相なるわけでございます。それによって日本の適法な通商に対して支障の起らぬように極力努力をしておるわけでございます。またそうしなければならぬと思います。日本の近隣諸国との文化通商交流ということを言われます、その通りでございます。これは台湾政府等に対しても同様な考えを持っておりますので、通商関係のごときはでき得るだけむずかしい理屈の問題に入らず、実際的に解決するようにいつも努力することが、特に実益上必要だと考えておりますので、せいぜい努力をいたしております。
○穗積委員 大臣にちょっと申し上げておきます。実はさっきも私お断わりしたのですが、昨日他によんどころのない用事で、本件の審議に対しては席をはずしたこともございますが、重複した質問がありましたら、理由は説明していただかぬでもよろしいから、イエス、ノーだけを一つ御答弁をいただければ前へすぐ早く進むと思いますから、よろしくどうぞ。 続いて経済局長にお尋ねをいたしたいと思います。台湾との貿易の現状並びに将来の見通しといいますか、そういうものについてはどういうようにお考えになっておられますか。砂糖とかバナナみたいな必要もないものを、あまり買う必要はなかろうというふうにわれわれは思うのです。特にこれは今申しました通り、はなはだ不当な申し入れだと思いますが、事実上は政府の方針がいささか腰がすわっていないというようなうらみもあって、そのために——中国との貿易と相関関係にあるわけです。従って日本のこれからの貿易問題につきましては、中国貿易についても政府はこれからできるだけの協力をしていきたいと言っておられる。そうしてやがては政府と政府との間で貿易協定を結ぶことも考えよう、こういうような答弁が再々ございました。ですから日本の貿易の将来から考えまして、並びに日本の産業構造から見まして、中国本土との貿易と台湾貿易との各相関関係において、一体台湾貿易に対する期待、見通し等について経済局はどういうふうに考えておられるのか、それを概括的にお話をいただきたいと思います。
○湯川政府委員 台湾との貿易は、これも先ほどちょっと御説明申し上げたのでございますが、大体昨年六、七千万ドルの輸出入があったわけでございまして、大体バランスがとれております。本年度の貿易計画では大体片道九千四百万ドルということになっておりますので、ほぼその程度のものができるであろうと思っております。また、中共との貿易も台湾との貿易も同様でございますが、日本としては貿易立国ということを考えなければなりませんから、いずれの地域の貿易もできるだけ伸ばしたい、こう考えております。 中共との貿易は、これも前に御説明したことがありますが、昨年は輸出が二千万ドル、輸入が約四千万ドル、現状においては、台湾の方が相当多いわけでありますが、中共の方もまたできるだけはやりたい。しかし台湾の方は別に減らす必要はない、台湾の方はできるだけやっていきたいと思います。
○穗積委員 まだ伸びる見込みがございますか。
○湯川政府委員 昨年大体片道六、七千万ドルでありますが、今年は九千四百万ドル、伸びる見込みがあると思います。
○穗積委員 現状は、一方はフルに政府が援助をして片道九千万ドル、一方はココムその他によりまして、条約上あるいは政治的な圧力を加えられながら今まで三千万ドルやってきたわけです。ところが将来を考えますと、やはり輸出輸入の品目あるいはかの国の経済建設等から見まして、特に最近のように武力外交でなくして経済外交に移行して参りますというと、平和建設を主軸とする中国との比重を、この際は見誤まりのないようにやはり方針を立てるべきだ。その意味では日本の経済貿易政策といたしましては、何も好んで捨てろという意味じゃございませんが、より多くの比重をやはり中国との取引に置くべきだと思いますが、外務当局のお考えはどうであるのか、そのお気持を伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 その御趣旨は十分に尊重して処理したいと考えております。
○穗積委員 それでは他の委員からもいろいろ御質問もあったかと推測いたしますので、これに関連いたしまして、最後に外相にちょっとお尋ねしたいのだが、あるいはすでにお答えがあったかもしれませんが、台湾政権は今まで日本の立場としては、中国全体の代表政権として認めておったわけですが、そのことが実にばかばかしいことであるということは、もう私がここでちょうちょうと申し上げるまでもないことだと思います。従って台湾政権はやはり台湾地域に局限した政権として認定をして、そして中国本土の領土と経済と人民を支配し統治しております政権については、これを承認するしないは別として、事実の問題としてやはり別途の政権というもの、台湾政権とは別の政権の存在する事実は認むべきじゃないか。従って台湾政権に対しては台湾に局限した台湾地域の地方政権として、認める認めないは別として、そういう事実の基礎の上に立って、今後の条約なりあるいは協定なりを取り扱っていくべきだと思うのです。それがありませんというと、貿易問題につきましては一々日本の方に不利益な事実ばかり起きて参ります、そのことに対しての外相のお考えをお伺いしたいと思います。
○重光国務大臣 将来のこの問題に対する根本的の方策といたしましては、これは先ほど御議論のありました点に触れます、同じことでございますが、その点は国際情勢全般の推移によっておのずから解決すべき問題だと考えております。しかしながら現在のような情勢がずっと続くという仮定のもとにおきましては、自然々々に事実が理論を支配するというような形になります。これは当然のことでございます。これは特に国際関係についてはそういうことになりますので、従いまして中共政権の大陸にしっかり根をおろしておることも認めなければならぬと思います。そういう事実によって事を処理するということは、これは当然のことで、やむを得ないというよりも当然のことのように考えます。今の御趣旨のことはよく了承いたしました。
○穗積委員 妥当の御認識だと思います。そこで最後にお尋ねしたいのは、先般ジユネーヴにおきましてわが方の出先機関と、それから中共側の領事との間で、引き揚げ問題について話を始められたわけですが、最近ジュネーヴ会議を転機といたしまして、アメリカ当局の責任者も、中国との間のみならず、東西陳営において思想、経済の交流を、特にアイゼンハワー大統領みずから強く主張しておられるわけです。そうこうすると続いて、中国との間に大使級の人物をもって話し合いをすべきであるという、そういう話が進んでおるという事実が中国測から発表されました。また相前後いたしまして、上院のジョージ外交委員長から、この問題について同趣旨の発言があって、さらに彼の言は、アメリカと中共との間のみならず、さらに日本と中共との貿易にも言及いたしまして、日中貿易の緩和を主張するに至ったわけでございます。さらに続いて本日の新聞によりますというと、日本の政府の代表ではございませんが、平和使節に参りましたわが党の田中織之進君あるいは高桑純夫氏等の日本代表に対して周恩来が、日本との間の正式な国交回復、そのことは言うまでもなく、正式な政府間における貿易の再開等をも含んでおると思いますが、こういう一連の動きが出て参りました。そこでこれらについては今の大臣の御認識によりますならば、当然こういうことは歓迎すべき動きであるというふうに私はお考えになるべきだと思いますが、こういう一連の動きに対しては、歓迎すべきものとお思いになっておられるか。当然にして妥当なる動きである、日本の将来にとっても、アジアの平和にとりましても、けっこうなことであるというようにお考えになっておられるかどうか、まず第一にその御認識を伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 私は、日本の国際情勢に処する道は、まず第一に世界情勢をきわめて客観的に観察する必要があると思います。主観をまじえずして客観的に観察する必要があると思いますから、現在の動きが好ましい動きであるかないかというよりも、私は実はこういう方向が永続するかどうか、真の方向であるかどうかというその客観情勢を見きわめるのに、実は努力を集中しておるわけでございます。しかしながら、しいて今御質問にお答えするならば、私は大体において国際緊張は緩和する方向に向っておる、こう一般的に考えます。いろいろな例外はございますが、一般的にはそう見ております。これは自分自身としては喜ぶべき傾向だ、こう考えております。
○穗積委員 そこで続いて具体的にお尋ねいたします。本来からいえば今度の引き揚げ問題も、当初の外務省の御方針通り、やはりジュネーヴの出先機関を使わないで、日本の外務省から正式に代表を中国の北京に派遣されて、そこで話すべきだったと私は考えます。しかしアメリカとの関係に深入りをしておられる今までの保守政権の方々の立場としては、そういうふうに一ぺんに踏み切るわけにもいくまいと推理いたしますが、しかしこの秋にアメリカと中国との間に、大使間での話し合いが、引き揚げ問題を初めとしていろいろ具体的な懸案について話が進むというような時期が参りました場合には、先ほど申しましたような国際的な立場に立っておられる鳩山政権とされましても、当然続いて日本と中国との間の引き揚げ問題を初めとします、諸般の重要な、われわれ国民の生活に関連する、いろいろな問題がございますから、当然そういうふうにお取り計らいをされるべきだし、みずから進んで国交の回復もしくは経済の交流、引き揚げ問題あるいはまた漁業問題、文化の交流等について、率先してその道を開くべきだというふうに考えます。そういう情勢になって参りますと、すなわち副総理の言葉による望ましい動きというものが動いて参りましたが、それは必ずしもまだ具体化いたしておらぬし、中には権威あるものでもないわけですから、それが権威あるもので、しかも具体的に一例を申しますならば、アメリカと中国との間における大使間の話し合いが始まるというような事態になりましたならば、日本といたしましても先ほど申しました諸問題を解決するために、日本から正式に外交官をかの国に派遣し、あるいはかの国の代表を東京に招くなりいたしまして、話し合いを始むべきことではないか、こういうふうに思うのでございますが、そういうお考えはございませんかどうか、具体的に一つお答えをいただきたいと思います。
○重光国務大臣 今米国政府の中共に対する態度についていろいろ御観察がございました。これは日本として、重要な問題について世界の動きを観測するためには、最も必要な筋でございます。従いまして日本側としては絶えず米国側のさような意向を注意して、これを前もって見誤まらぬように情報を集めておるわけでございます。今日までのところ、今お話のようにすぐアメリカが中共を承認して、大使を交換するというふうな状況は少しもまだ見えません。
○穗積委員 政権承認とは申しませんが、引き揚げ問題その他のそういう問題を一つケース・バイ・ケースで解決するために、大使級の外交官同士の間で話し合いをするということです。
○重光国務大臣 それは新聞に出ておりました。今までの非公式の何よりも、大使級ぐらいのところで話し合いをする、これは承認問題とは別個で、関係はございません。そこでそういうような人々とたとえばゼネヴァならゼネヴァにおいて会合させることになるのでございましょう。それは今、日本がとっておる手段とあまり距離はございません。日本側もスイスには大使がおります。これをしてやらしておるわけでございます。ただ向うのは大使という資格を持っておりません。代表部ということでございます。そういうようなことは、私は米国もやるだろうと思います。実をいえば米国もそういうふうなことをやるという観測のもとに、これが一つの方法だと日本側も思ったわけでございます。そういうことはよかろうかと思うのでございます。それだからすぐ今お話の通りに、まだそれは正式の承認とかなんとかいう問題じゃないのだ、その前に実際的に事を処理することが今の段階だと私は考えております。しかし大勢がどう動くかということは、よほど注意して見誤まらぬように敏速にこれを観測していかなければならぬと思って、それには努力をいたしておることを申し上げておきます。
○穗積委員 もう少し具体的に御答弁いただきたいのです。観測を誤まらぬように情報をとるなり判断をしておるということですが、最近の東西間におきまするいろいろな動きを見て、明敏なる外務大臣の頭の中には情勢はもうすでに大体わかりつつあるとわれわれ推測するわけです。ですから今から情報をとってみたり判断するのでなく、大体の情勢を判断された上で判断して間違いないという時期に来ているとわれわれ思うのです。日本は、アメリカですら話をしようということですが、われわれ国民生活からいたしましてアメリカよりずっと中国との関係が深いわけです。たとえば引き揚げ問題一つとりましても、アメリカの五十何人の引き揚げ問題よりは、はるかに大きな問題を含んでいるわけです。続いて漁業問題につきましても、すでに多くの問題を解決すべき必要に国民生活が迫られておるわけなのです。さらに貿易問題については、三たび民間ではございますが、かの方は政府代表も入りまして、貿易協定ができておる。それに対して鳩山内閣は原則的にこの貿易、文化交流に対しては協力するということを選挙当時から具体的なスローガンとして、政策としてうたっておられる。将来の理想ではございません。政権をとったならば行う具体的な約束としてこういうことを言っておられる。しかも五月四日に協定ができましたときには、この協定に従ってこれを促進するためにこれこれのことが必要である、決済方式を決定するとか、それに対して鳩山さんもあなたも協力を惜しまないことを幾たびか答弁しておられる。そしてジュネーヴ会談を転機として、その前後にこういうような、特に中国との関係においては具体的な関係が出てきておるわけですから、そこで一歩前進をしてやらなければ、こういうような国民が要望いたしております引き揚げ問題、漁業問題等は解決できない段階に来ているのです。そのことはあなたも十分御認識になっていられると思う。そういうアメリカよりずっと中国との関係が深い日本であり、そのことを解決することが国民生活の日日の要求になっている日本国政府でございますから、従ってアメリカですら話をする段階に至ったときに、日本の方でそれをさらに政府のバック・アップによって、ケース・バイ・ケースに具体的なものを政府の責任において解決していくことに熱意がないということは、私はおかしいと思うのです。ですからその情報をとり、判断を誤まらぬことは、一般的、抽象的な態度として当然なことでございますが、その情勢判断の上に立った結論として、もうそろそろそのくらいの見通しは持って差しつかえない。特にここで今審議されております台湾貿易の問題とこういう問題と関連したうらはらのことでございます。私は先ほどからずっと質問して伺いますと、もうそういう結論が出るべき御認識についての御答弁があったわけです。ですからもう少し私は今の引き揚げ問題についてはこう、それから漁業問題についてはこういう方法でいきたいと思う、あるいはまたアジア全体の平和と経済の復興のためのアジア会議の構想についてはこう、その時期についてもこういう時期にあらましこういうことを考えるべきだという御答弁があってしかるべきだと思うので、くどいようでございますが、そういうことに対して具体的に一つお答えがいただきたいのでございます。
○重光国務大臣 私が形勢の推移を正確に見ると申し上げたのは、見るだけで何にもやらぬ、決してこういうふうなつもりで申し上げたわけでございません。まず引揚者の問題についても具体的に今処置をとって、しかも向うの回答を待っておるという状況であることは御承知の通りであります。それから漁業問題についても、民間の関係がこういうふうになっておるということも、関係の者から説明をする機会があった通りでございます。そこで私が結論的に申し上げたいのは、今穗積委員の表示された御意見は、実に私自身にとっても貴重な御意見だと思います。それを一つ十分拝聴して、そしてそれによってわれわれの今後の処置も十分に考えてみたい、こういうふうに御答弁申し上げて御了承を得たいと思います。今私がどうするということをここに言ったら、もう外交は手放しです。だからそういうつもりで一つ……。
○穗積委員 それでは最後にお尋ねいたしますが、今の御答弁はこういうふうに理解してよろしゅうございますか、念を押しておきます。すなわち引き揚げ問題以下漁業問題、貿易問題等について、今までは民間でやって参りました。引き揚げ問題については日赤でやってきた、それから漁業についても同様であり、また貿易問題についても、民間で協定を結んで、ある場合にはまあ政府の妨害を受けながらやってきたわけです。ところが、これをもう民間にまかしておいてはだめだというので、まず引き揚げ問題から政府が責任をもって解決しようというところに乗り出してこられた。このことはまことにけっこうなことで、その一歩前進をわれわれは多とするものでございます。続いて、漁業並びに貿易問題につきましても、民間だけの話し合いではもはや壁にぶつかってきておりますから、そこでこのバトンを受け取って、政府が責任をもって一歩、二歩前進せしめる段階に来ておる。そういうことについては外務大臣もまことに同感である。だから民間で話し合いでしておったこういう漁業問題、経済問題、文化の交流等については、これから近い将来に、時期を見て、政府の責任において解決に乗り出すつもりである、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
○重光国務大臣 そういう言質を今私から与えろというのは、非常にやぼな御質問だと私は判断します。しかし私の申し上げたいのは——御意向に私も非常に納得する点がございますから、十分一つ検討して善処するということを申し上げて差しつかえないのでございます。このくらいの程度で一つ……。
○植原委員長 穗積君よろしいですか。——これにて質疑は終了いたしました。 これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。森島守人君。
○森島委員 私は社会党を代表いたしましてただいま上程されております日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、反対の意見を表示せんとするものでございます。 第一に私の指摘したいのは、日華条約それ自身が吉田内閣の一大失政であったということでございます。サンフランシスコの講和会議に当りましては、中共を相手にするか、台湾の蒋政権を相手にするかということにつきまして、英米両国の間に意見の一致がございませんでした。それは結局日本政府に両者いずれを選ぶかということがまかされたのであります。しかるに吉田内閣は、吉田首相は、その後ダレス国務長官の圧迫に屈しまして、ついにいわゆる吉田書簡で台湾の蒋政権を相手に講和条約を結ぶということを決定いたしたのでございます。これは吉田独善外交、書簡外交といたしまして、近世史上における一大失政である、こう断言して差しつかえないと思うのでございます。従って、それに次いでできました鳩山内閣といたしましては、少くともこの誤まりを正すだけの政策をおとりになるものと私は期待しておりましたが、今日まで何らその跡形を見ないのでございます。 さらに昨年の十二月十一日、重光外務大臣は対外声明を出されました。その中において、中ソ両国との国交の回復をはかるということをはっきり声明せられておるのであります。われわれといたしましては、この中国とあるのを、昨日来大臣から御説明がありました、中国全国民を相手にするのだというふうには納得しかねるのでございます。私は中共承認の方針を打ち出されたものと考えているのでありまして、常識ある人々が一様にそういうふうに解釈することは当然であります。しかるにその後旬日に至って、声明が発せられまして後十日もたたないうちに、この方針を変更になったような形跡があるのでありまして、その後鳩山首相、重光外務大臣も、事中共問題に関しますと、ただに貿易の増進ということのみに極限せられているのであります。私はこの点を非常に遺憾とするものでございます。これは要するに、アメリカ官民の間に起りました無言の反響、この反響におそれをなして、政府がアメリカの無言の威圧に屈したものと断定せざるを得ないのでございます。私は、台湾との条約に反対するわが党の堅持しております根本的立場からいたしまして、第一にこの議定書の延長に対して反対せざるを得ないのでございます。 第二に申し上げたいのは、日ソ関係は、幸いにして交渉開始の段取りに至りました。そのときにはドム二ッキー氏の非公式の申し出を取り上げて鳩山首相が日ソ交渉を始める段取りに至った。この点について、重光外務大臣としては相当ちゅうちょいたしました跡のあることが明らかでございます。ドムニッキー氏の非公式な申し出を基礎にしまして日ソ交渉に入ることになったと仮定いたしますれば、昨年の秋以来周恩来首相は、日本から参った人々に対して、国交正常化に関する希望を数度表明せられております。ドムニッキー氏の申し出は日本の官辺に対してなされた、周恩来の声明は日本の民間人に対してなされた、形式上の差異はありましょう。しかし実質を考えますと、この周恩来の声明に応じて、日本が中共との国交回復のために努力をすべき時期に到達しておると私は考えるのでありまして、この点について現内閣がきわめて消極的な態度を持しておられるのは、これまた一にアメリカの圧迫、こう断定せざるを得ないのでございます。圧迫でいけませんなら気がね、遠慮、こう批評せざるを得ないのでありまして、現内閣が掲げておられます自主独立の外交とは、非常に懸隔があるものと指摘しなければならぬ、こう信じているのでございます。 第三に台湾との貿易でございますが、先ほど来承わっておりますと、政府としては相当重要視しておられる。しかも反面において、中共貿易を故意に軽視しておられる跡のあることは、これは否定できない事実でございます。中共貿易は、なるほど量といたしましては今少量でございましょう。しかしこれは、結局現在加えられておる国際的な制限の結果であります。今経済建設に驀進している中共の現状、あの数多い人口からいたしますれば、もしこの国際的制限が除去せられるといたしますと、その前途は大いに期待すべきものがあると私は信じておるのであります。さらにバナナや砂糖の問題も出ましたが、これらにつきましては、これを台湾に求めることなく、もっと安い価格で輸入し得るほかの市場にこれを振り向けることも、決して不可能ではないと存じておるのであります。 最後に申し上げたいのは、台湾との間に三年間の長い間にわたって通商条約ができていない、政府として十分な努力をしていないことは明らかでございます。私は、一歩譲りまして、台湾との関係を深めんとするといたしましても、政府はこの点において、もっと一段の努力をすべきものと確信いたしているのでございます。 要するに私は長いことは申し上げません。中共との正常関係を結ぶために、政府は一段と、いわゆる自主独立の方針によって、アメリカに気がねすることなく、日本独自の立場より中共の問題に真剣に取り組まれんことを希望するのでございまして、この根本的な立場に立つ以上、台湾との既成事実をさらに深めんとするただいまの議定書の延長に関する案につきましては、反対の意を表明する次第でございます。(拍手)
○植原委員長 山本利壽君。
○山本(利)委員 私は日本民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件に対し、賛成の意を表明せんとするものであります。 昭和二十七年の八月に日華平和条約がその効力を発生いたしまして、本来ならば今日までにわが国と中華民国との間の通商及び航海に関しての通商航海条約が締結されるべきはずであると思うのでございますけれども、今回外務当局の御説明によりますと、現在の複雑なる世界情勢あるいはまた両国間の準備の都合によりまして、本格的な通商航海条約の締結に至らないので、今日まで行われました暫定的な取りきめの期限を延長したいというのでございますけれども、今日まで行われました暫定的な取りきめによって、日華両国というものはそれぞれお互いに通商、貿易、航海等について最恵国待遇を受けてきたのでありまして、しかも当局の説明によると、この両国間の貿易も大体バランスがとれているという現状でありますから、現在の取りきめに対する効力の期限が八月の四日をもって終るとするならば、その期限を延長するということは、まことに当を得たる処置であると考えるものでございます。しかも今回の取りきめによりますと、来たる八月五日から一カ年間延長するものであって、その後におきましては三カ月間の予告期間があるならば、これを廃棄しようと思えば双方において廃棄し得るのでありますから、この条件もまことに妥当なものであると私は考えるものでございます。 そこでこの議案の審議に当りまして、中共との問題であるとか、あるいは日ソ交渉の問題であるとか、各議員からいろいろ言及されましたけれども、この問題とは直接の関係が私はないと思うものでございまして、吉田内閣がこの日華条約を締結したのは、その当時の事情によれば私は当然なことであったと考える。その後世界情勢は漸次変化しつつありますけれども、あの当時においてこの条約が締結せられたということは当然なことであり、しかも鳩山内閣がこれを受けまして、忠実にこの条約を履行しておるということは、国際信義の上からもこれまた当然なことでございまして、この方向に進むことは何ら他国の制肘を受けたることではなくて、今鳩山内閣のもとにおいて重光外務大臣が渾身の勇をふるって、双方に向って独自の外交を展開しようとしておられますことは、われわれのまことに意を強うするところでございます。でありますから、今わが国の貿易その他を考えましても、この議定書の延長をはかるための議定書ができたということは、まことに当然な結果と考えるものでございます。そこでわれわれは今回七月二日にわが外務大臣と在日中華民国大使との間にその旨の議定書に署名をされたことを了解いたしまして、今回の提案に賛意を表する次第でございます。(拍手)
○植原委員長 松平忠久君。
○松平委員 ただいま議題となりました日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして私は反対の討論を展開しようと思うものであります。 鳩山内閣のただいまの中国、すなわち台湾、中共を含めた中国に対する外交というものは、吉田内閣の不始末をどういうふうにして跡始末をしていかなければならないかということに苦心をしておられるような跡が見えないことはないのであります。すなわち吉田内閣の台湾における国民政府承認というこの不始末、これが当時自由党内部におきましても、あるいはすでに一般の世論におきましても相当の議論があったことは事実でありまして、これに基いてできたところの平和条約なるものも、時代の推移によってこれは当然変えていかなければならない。鳩山内閣成立の当時にすでにそういう声明があったことは、ただいま森島委員からも指摘された通りでありまして、私どもとしてはこれは相当思い切った自主独立外交をやっていくのではないか、こういうふうに思っておったのであります。しかるにその後中共との関係の正常化の方針についてはだんだんと変ってきたように思うのでありまして、ただ単に国交回復の見解が変ったのみならず、貿易促進の方針すら非常に変ったように思うのであります。すなわち自由党内閣と現在の鳩山内閣との日中貿易促進に関する考え方もほとんど同じでありますし、何らそこに私は見るべき変化がないように思うのであります。これはすなわち当初鳩山内閣成立当時に国民に公約したところと、相当変化をしておるということを認めざるを得ないのであります。 しかし、翻って世界の情勢を見ると、これは重光外務大臣の昨日来の御答弁を承わっておるところによると、東西両政局の緩和の方向にあって、これはきわめて好ましい空気であり、これを助長していかなければならないという御認識、御見解であったように思うのであります。こういう際におきまして今回の平和条約の議定書の延長ということが議せられる段階に当りまして、今の世界の情勢の変化というものを念頭に入れるならば、今回の延長に関する両国の話し合いというものはあまりに事務的ではなかったか、政治的考慮を欠いておったのではないかというふうに私どもは感じておるのであります。これらの問題は、事務外交にまかせずに、もっと政治的考慮を加えるべきものではなかったか。自動的に一年間延びるというような、そういう事務外交に堕したやり方については、私はまことに遺憾と感じておるのであります。 第二としまして、貿易問題にいたしましても、自由党内閣当時において、過去における日中貿易の計数等におきましても、故意に過小に見積りをいたしておりましたが、そういう考え方が今回の鳩山内閣にもあるように考えられます。すなわち日中貿易の振興というものを人為的に現在は制限されておる、その事実に目をおおって、そうしてこの委員会における質疑等におきましても、何か日本と台湾との貿易が非常に有望であるかのごとき印象を持っておられるように思うのでありまして、過去はむろんのこと、将来におきましても、人為的な制限が解除されるということになりますならば、日本と中国大陸との貿易は、日台の貿易とはほとんど比べものにならない、雲泥の差があることは、ここで申し上げるまでもないところであります。さような意味において私どもは、この議定書の親の条約であるところの日華平和条約そのものを、当時の日本の国際関係においてきわめて遺憾に存じておったものでありまして、これはその後逐次跡始末をしていかなければならないということが、現在鳩山内閣に課せられた一つの義務であると思うのでありますけれども、今回のこの議定書の延長に当りましても、それを念頭に入れず、きわめて事務的に片づけられてしまうという、政治的な感覚の欠如といいますか、そういうものに対してきわめて遺憾の意を表したいと思うのであります。 われわれはすでにこの平和条約そのものに反対の立場を従来とっておりますので、この附属議定書につきましても同様の態度をとっていくことは当然であります。従って、今回のこの事務的な、事務外交に堕しておる、政治的感覚の欠如に対して遺憾を感じつつ、この議定書の延長に関する承認について、反対の意を表明した次第であります。(拍手)
○植原委員長 北澤直吉君。
○北澤委員 私は自由党を代表しまして、ただいま議題となっております日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書に対しまして賛成の意を表すものであります。 先ほど来社会党両派の委員から、吉田内閣が日華平和条約によって台湾の国民政府を中国の代表政府として認めたことは、アメリカの圧迫によるものである、従ってこれは吉田内閣の大失態である、こういうふうな話があったのでありますが、これは全くの誤解であります。サンフランシスコ会議におきましては、国民政府も中共政府も招聘されませんで、日本が国民政府あるいは中共政府のいずれに承認するかは、日本の選択にまかされたのであります。従って日本は、自己の選択に基いて国民政府と日華条約を結んで、この政府を中国の代表政府として承認したわけであります。当時すでに、この条約は国会の承認を経まして、日本国の意思としてその効力を発生したわけであります。私ども自由党の立場としましても、この現在の日本政府と台湾の国民政府との間の友好関係、今の通商貿易関係というものは、これを維持するというのが私どもの建前であるわけでありまして、今回の議定書によりましてこの日本と国民政府との間の通商貿易関係を規定しますことは、まことにこれは時宜を得たもので、私どもは賛成をする次第であります。 社会党の方々が、口には日本の経済自立を唱え、あるいは日本の貿易増進を唱えながら、日本の貿易において重要な地位を占めるこの台湾の貿易に反対するということは、どうも私にはわからないのであります。イデオロギーの違いによって、共産国とは貿易をやってもいいが、自由主義国とは貿易をやってはいかぬというように、商売にまでイデオロギーを持ってくるということは、非常に間違いだと私は思うのであります。私どもは、日本の生命線である経済の自立を達成するためには、共産国であろうと自由主義国であろうと、日本の貿易が増進するものは、どんどんとやるべきであろうと思うのでありまして、そういう見地から、私どもは台湾との貿易増進の基本を規定しますこの議定書に賛成をするわけであります。 ただこの機会に、私どもは、政府に対する要望を申し上げますが、日本と台湾との貿易におきまして、中共と取引をする日本の商社とは取引をしない、こういうようないろいろな問題があるのでありますが、これは今の鳩山内閣の二面外交、二また外交、中共に対する政策がはっきりしないところに、こういういろいろな問題が出てくるのであります。これは、結局二面外交のジレンマがここに現われたものと私は思うのであります。私は、政府が、日本のソ連あるいは中共に対する政策を明確にして、国民政府その他に誤解のないように努力されんことを希望するものであります。 もう一点は、国民政府が先ほど申しましたように、日本の商社の取引に抑制を加える、こういうふうな態度をとっておるのでありますが、これは政府の答弁にもありますように条約違反でありますからして、どうぞ政府は今後も強力に国民政府に交渉して、こういうふうな日本商社の貿易上の活動に対して抑制を加えないように、今後とも政府の援助を要望します。 もう一点要望申し上げますと、日本と台湾との貿易は非常に重要なものでありますが、日本から台湾に輸出します商品、たとえば肥料のようなものは、よその国に出す場合よりも安い、台湾から買います品物は、特に砂糖のようなものはよそから買うより高い、こういうことでありまして、こういう点につきましては今後政府当局におきまして、この値段その他につきましては日本の利益を増進するように、この上ともの御努力を要望する次第であります。 以上をもちまして私はこの議定書に自由党を代表して賛成をするものであります。(拍手)
○植原委員長 岡田春夫君。
○岡田委員 議定書に対して反対いたしますが、その理由について二、三簡単に申し上げたいと思います。 ただいま自由党の反対討論を伺っておりますと、議定書の基礎になりました日華平和条約は、ダレスが吉田に対して脅迫をして作らしたものであるというようなことを言っているけれども、そういう事実はない、こういうことを北澤君が言っておられます。しかしこの事実が明らかであることが公文書の上にも明らかになっているのであります。すなわちダレスあての吉田書簡によりますと、昭和二十六年十二月二十四日東京において出されましたいわゆる吉田書簡でありますが、これには「日本の将来の対中国政策に関して多くの質問がなされ言明が行われました。その言明のあるものが」それから二、三字省略いたしまして「誤解を生じましたので、これを解きたいと思います。」このように吉田書簡の劈頭に書いてあるのであります。この「誤解を生じましたので」ということは、すでにダレス・吉田の間において何らかの了解ができておったからこそ、この了解に反するような質疑応答、言明が行われたので、これが解解になってはいけないということで、このような書簡を出さざるを得なくなったことを裏書きしているのであります。こういう点から見ても、明らかにダレスによって脅迫され、吉田内閣が作らなければならなくなった日華平和条約というものの裏に、このような陰謀があるということが明らかに暴露されているものとわれわれは考えます。 しかもこの日華平和条約の基調になっておりますものは、吉田内閣の一貫した政策であるところの中ソに対する敵対関係という日本の立場を明らかにする、それに基いて日華平和条約が結ばれたのであります。ところが昨日の答弁等を聞いておりますと、この敵対関係を基調とした吉田書簡の拘束力の問題について、重光外務大臣は、鳩山内閣の法律的な拘束力は受けないけれども、しかし道義的に、政治的に拘束力を受けている旨の答弁が行われたのであります。しかしこの答弁は明らかに鳩山内閣の自己矛盾を暴露しているものと考える。なぜならば鳩山内閣は組閣以来善隣外交というものを基調にして、中ソの友好関係を回復するということを基本の方針といたして参りましただけに、この中ソ友好の関係と、今まで吉田内閣のとって参りました敵対関係に立つという、このような思想との間において明らかに外交政策の基調において根本的な矛盾があるのであります。それにもかかわらず重光外務大臣は、前内閣の公文書について道義的、政治的拘束力を持つ、このように言っておりますが、この点は明らかに二つの基調の相矛盾したものをここに暴露しておるものと言わなければなりません。いな、むしろ鳩山内閣の内部対立がこの形で現われてきている。鳩山総理大臣はすなおにも現実の中国の状態を見て、二つの中国という形を明らかにしているが、重光外務大臣を中心とする外務省の諸君においては、この二つの中国の思想に反対をして、台湾の残存、残党政権というものを、これを正統政府であるという立場に立って、二つの中国の思想を否定しようという閣内不統一を、この形において暴露しているものとわれわれは見なければならないと思うのでありますが、この点から言っても私たちはこのような日華平和条約を基礎としている議定書については賛成ができません。 第二の点でありますが、同じくこの日華平和条約の基礎になっております、いわゆる国民政府を正統政府であるというように今まで外務省の関係の諸君は答弁をされておりますけれども、しかしこれは世界の常識をもってしても明らかであると存じますが、すでに六億に達し、中国大陸の本土の大半を現実に支配し、領有しているところの中華人民共和国中央政府というものが正統の政府であることは明らかであります。それにもかかわらず台湾の一孤島の中に逃げ込んで、しかも人口八百万に達するか達しないかの人民を代表するとみずから称する蒋介石政権をもってしては、これは世の中のだれが見ましてもこの台湾の蒋介石、いわゆる国民政府というものが中国を代表する正統の政府であるということは、考えられないことは事実である。これは中華人民共和国中央政府が中国を代表する正統の政府であることは明らかであります。これは子供が見てもはっきりとわかる事実であります。重光外務大臣にしてもこの点を認めざるを得ないことは、私は昨日の答弁をもってしても大体推察にかたくないのであります。それは昨日の答弁等を見ると、この点大きな中国の方向については私もわかっている。しかしながらその時期についていろいろ問題があるのであって、この時期が日本にとってはあまり早過ぎるようなことがあってはならないというような意味の答弁をしておられましたが、こういう事実から考えましても、中華人民共和国中央政府こそが、中国を代表する正統政府であるということを明らかにしなければなりません。その限りにおいて、今この議定書の基調になっております日華平和条約というものは、これはいろいろ申し上げて参りますと時間がありませんから省略をいたしますけれども、正統政府にあらざる政府との勝手な条約——条約とも私は言えないと思うのであります。なぜならば昨日の答弁をもってしても明らかなように、国民政府というものは領土権を持たない政府なのであります。領土権を代表しておらない政府なのでありますから、従ってこれは国と国との契約としてなされる条約を締結するための資格、条件を持っていないと言わなければならない。従って日華平和条約はこれは無効である、条約ではないのであります。私たちはこの意味においても、議定書の基礎になっている平和条約の無効を唱えて、議定書の原案に反対であります。 第三点でありますが、第三点は先ほど自由党の北澤君から、社会党の諸君は台湾との貿易を何か否定するようなことを言っておる。商売の上で採算が合うならば、台湾との貿易をやってもいいのじゃないか、こういう意味のことを言われたのでありますが、これは北澤君は事実を御存じないからこのように言っておられるのであります。台湾との貿易をやるのは国民経済を侵害するから、われわれは賛成ができないのであります。その事実の例は昨日も北澤君が私の質問を聞いておられておわかりの通りに、台湾から砂糖を入れることによって、今年は四十万トン入れるのでありますが、この台湾の砂糖を四十万トン入れるならば、大体他の国から砂糖を入れるよりも、私の計算をもってするならば、三十五億円くらいよけい値段の高いものを買うことになるでありましょう。それから米を、いわゆる中華人民共和国の米を買わないで、台湾の米を買うとするならば、この台湾の米は中国の米よりも四億円高い米を買うことになるのでありましょう。これは計算の数字は昨年の数字を基礎としております。このように高い品物を買い入れながら、反面においてこれは輸出を増進するためであると昨日答弁をいたしておりますが、輸出するのは硫安を輸出する、ところがこの硫安は他の国よりも一番安い値段で台湾に輸出をいたしております。現在トン六十ドルの値段で出しておりますが、韓国に対しては六十五ドル、中華人民共和国に対しては六四・一ドルです。この値段で出しております。これをもって比較しても、台湾に輸出するところの硫安は、他の国に輸出するよりも総額として大体五億円くらい安い値段で輸出する結果になるだろうと思う、こういう点から見て台湾との貿易を行うことは、これは明らかに国民経済を危機に落し込んで、そうしてコマーシャル・ベーシスとしても決して成り立たないから、われわれも反対するのであって、商売上成り立つのに、それでも反対するというのではないのであります。きわめて賢明なる北澤さんの御意見としては、受け取れないような御意見を先ほど言われましたので、この点は一点だけ訂正を私としていたしておきたいと思います。 このようなコマーシャル・べースの成り立たない貿易をそれではなぜやっているかというと、今年は去年よりも貿易の協定をふやしておると、これは重光さんが昨日こういう答弁をしておられるのは間違っておりますから言っておきますが、台湾の貿易は日本の貿易の非常に大きな割合を占めておる、中共貿易とは比較にならないというお話であったけれども、これはあなたの間違いです。この機会に一つ誤まりを正していただきたいと思いますが、片道台湾との貿易は今年は九千六百万ドルです。中国との貿易はたしか片道八千三百万ドルになるはずです。ですから額としてはこれはあまり違いはないわけなのであります。たとえば台湾の貿易を九千六百万ドルやることによって、先ほど言ったような国民経済の出血がますます大きく行われるとするならば、これはあくまでも日本国民の立場において反対をしなければならないと考えるわけです。しかもこのような貿易が行われているということは、アメリカから強要されて行われているという事実も明らかになっております。先ほど松平君は今度の議定書の延期は事務的過ぎるとお話になりましたが、私はむしろ今度の議定書の交渉というものは、政治的過ぎるのであって、アメリカの脅迫によって政治的に行われたものであると言わなければならないと私は考えておるのであります。私たちはこういう意味においてこの議定書の延期についてあくまでも反対をいたします。 これ以外にまだいろいろ反対の点もありますが、大体この点で明らかになっておるので、この程度にいたします。(拍手)
○植原委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を承認すべきものと議決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○植原委員長 起立多数。よって本件は承認することに決しました。 なお報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 御異議がなければさように決定いたします。 次の外務委員会の定例日、すなわち土曜日には特に国際情勢等に関する件について議事を進めます。さよう御承知を願います。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十一分散会