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22回国会衆議院1955/07/25

外務委員会 第36号

発言数
77
登壇者
11
会派数
4
開催日
1955/07/25

会議録

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 これより会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、及び特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。質問を通告順によって許します。並木芳雄君。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 この協定は効力発生について、各国別に事務局に通知してから三十日たって効力を発生することになっております。そこでわが国のガットの税率適用の時期と相手国のそれと必ずしも一致しないわけであります。そのために思わぬ不利をこうむるようなことがないかどうか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 お答えいたします。日本はガットに加盟しますと、直ちにその税率を適用しますが、ほかの国は適用の旨を通告してきたときから効力を生じます。しかしいつまでも相手が通告してこないというときには、こちらはまた譲許を取りやめる、こういうことになっております。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 効力発生時期のズレによって、日本のこうむる不利益はないというふうに了解できるわけですね。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 これは日本の加盟のためにとってくれる措置でありますから、こちらが効力発生と同じに譲許した税率を適用するのは当然でありますが、しかしそのために、あとでもし相手が一ぺん与えた譲許を供与しないというときには、匡正措置がございますから、不利になるということはないと思います。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 政府の方でこの通過を急いでおりますので、時間の関係上十分検討の余地がありませんのでお尋ねをいたすのですけれども、今回の関税交渉によって、相手国の税率を引き下げたために、利益を受ける輸出産業部門としてはどういうものがあげられるか。それから、それとともにわが国の税率を引き下げたために、相手国が利益をこうむり、従って犠牲をしいられる国内産業というものが出てくるわけでありますが、利益を受ける輸出産業、犠牲をこうむる産業部門、そういうものは、政府としてはどの辺にあるか、具体的にわかればけっこうでございますが、指摘していただきたいと思います。あわせてそれらに対する今後の対策をどういうふうに考えておられるか、お尋ねをいたします。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 先般の二月十五日から六月七日までの間に、ジュネーヴにおける関税交渉で、日本が獲得した相手国の譲許及びこちらが与えることにした譲許、それは相当広範なもので、付属書のAとBになっておりますが、そのごく概要をばわかりやすく解説いたしましたものは、その「関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書の説明書」というものの六ページ以下に書いてございます。おもなものだけ書いてございますから、大体それで御承知を願いたいと思いますが、ごく大要をば申し上げますと、日本が各国から獲得した譲許、これはアメリカがおもでありますが、総数二百八十八に上ります。そのうち関税の引き下げという形で譲許を受けたものが二百十五、それから現行税率の据置という形で受けた譲許は七十三であります。そのうちでアメリカから受けた譲許のごく主要なものの一端を申し上げますと、たとえば冷凍マグロ、これは現行税率は無税でありますが、無税ということを据え置くという譲許を受けております。またマグロのカン詰め、油づけの方は、現行が四五%の税率でありますが、それを三五%ということに譲許を得ました。またグルタミン酸ソーダ、これは二五%でありますが、これを二〇%まで引き下げる、陶磁器、これは非常に多岐にわたっておりますが、これも相当下りました。そのほかまだたくさんございますが、詳細は大体説明書に書いてあります。そのほかの国もありますが、これはアメリカほど数においては多くありません。たとえばカナダで申しますれば冷凍マグロ、それから竹製のバスケット、ペルーに対しては貝ボタン、チリーに対してはカーボン及び電極、ウルグァイに対しては鉄鋼の板、ドミニカについてはテーブルナイフ、ニカラグァについてはミシン、ドイツについてはカニのカン詰め類あるいは絹織物の一部、イタリアに対しては寒天、スウェーデンに対しては、ミカンのカン詰め類、ノルウエーに対してはグルタミン酸ソーダ、デンマークに対しては篩絹、フィンランドに対してはレンズ、ギリシャに対してはめがね、パキスタンに対してはヨード、そういったふうに、まだほかにございますが、大きなものを申し上げればこういったものについてそれぞれ譲許を得ております。  これに対して日本が与えました譲許の方でありますが、これは総数二百四十八に上ります。ただ日本は終戦後割合に低い税率を適用しましたので、現実に引き下げを約したものはごく少数であります。二百四十八のうち七十五だけ引き下げを約し、あとの百七十三は据置ということをもって譲許にしたわけであります。そのおもなものを申しますれば、これも解説の方に簡単に要約してございますが、その一部を申し上げますれば、たとえば大豆について現行税率が一〇%というのを一〇%の据置を約しました。潤滑油三〇%、これを二二・五%に引き下げる。あるいはラジオの受信機、これは二〇%でありますが、これを一八%まで引き下げる。統計機械類、こういうものは一五%でありますが一〇%に引き下げた。まだほかにございますが、こういったものがおもなものであります。詳細は説明書でごらん願いたいと思います。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 日本の現行の税率は、昭和二十六年でしたか、当時占領下にありましたので、GHQの指示で定められております。従って比較的低率になっているのです。ですから今度の交渉に当っては、十分アメリカに対してその点を主張できる立場にあったのですが、その点織り込んでアメリカに交渉されたかどうか。さらに今後アメリカの譲許税率を引き下げるように交渉する計画があるかどうか、確かめておきたいと思います。

北島武雄大蔵事務官(主税局税関部長)

○北島政府委員 アメリカとの交渉におきまして一番問題になりましたところは、やはり御指摘の点であります。アメリカ側といたしましては、従来各国に与えた程度の譲許を日本に最初からいたしておったのであります。わが方といたしましては、昭和二十六年に一般的関税率の改正を行いまして、相当程度引き下げました。従って引き下げの余地が非常に少いということにつきましては、代表団といたしましては極力主張いたしたのであります。この点はおそらく会議の都度問題になりまして、何か問題がありますと、わが方といたしましては、昭和二十六年の関税率改正においては、わが方としては何らアメリカから代償を得ることなくして関税率を引き下げたのであるから、法律的に言うならば今回の関税交渉は昨年の八月三日の税率を基準とすべきであるけれども、モラルにはむろん高い関税率をつけてもらいたいということをもって対抗いたしたのであります。ただしこれに対しましてはアメリカ側としても言い分がございまして、なるほど占領下においてはそういうことはあったかもしれぬ、しかしアメリカは過去三回の関税交渉におきまして相当関税率の引き下げを行なっている、しかも引き下げた関税率に対しては日本は間接的に均霑している、従ってお前の方の言う議論は必ずしも取らないというようなことで、向うにも多少の言い分はあるわけでありますが、結論といたしましては、アメリカ側といたしまして占領中に、昭和二十六年に引き下げさしたことは、これは考慮するということをはっきり言明いたしております。結果において御比較願いますとわかるのでありますが、アメリカ側がわが国に対して譲許したものがきわめて広範かつ大幅でありますのに比較いたしまして、わが国の関税の譲許がほとんど現行税率の据置をもって保留とし、引き下げましたのはきわめてわずかな数に終っておるということは、やはり結論においてわが方の主張が相当認められたというふうに考えております。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 今回の交渉は、将来日本として貿易制限を撤廃した場合を予想して行われたかどうか、もし貿易制限を撤廃することを前提として行われたとしたならば、国内産業を十分保護できる見通しを持ってやられたかどうか。

北島武雄大蔵事務官(主税局税関部長)

○北島政府委員 お答え申し上げます。現在わが国は御承知のごとく輸入制限を実施いたしておりますが、関税交渉に際しましては、将来、やはり貿易自由化の世界の傾向とマッチして、日本としても順次為替制限を緩和ないしは撤廃していくという方針には間違いございませんので、わが方といたしましては将来為替制限を撤廃した場合においても、対抗し得るということを念頭に置きまして交渉いたしたのであります。従いましてもしかりに為替制限があるからということをもちまして関税交渉をいたしますならば、もっと大幅な引き下げができたはずでありまして、この点は交渉いたしましたアメリカ側におきましても、日本は現在為替制限を実施しておるじゃないか、従ってもっと下げられないはずはないという議論で対抗して参ったわけであります。わが方といたしましては、将来為替管理の緩和ないし撤廃を予想いたしておりますので、極力将来の為替制限の緩和ないし撤廃ということを目標に入れて、関税率の交渉を行なったのであります。ただしもちろん現在直ちに為替制限を撤廃するものではございません。為替管理の撤廃までにはなお今後若干の年数を要する見込みでございますから、その間におけるところの各企業の合理化等を頭に入れますれば、今回引き下げました税率をもちましても、為替制限撤廃後においても十分対抗できる、こういうふうに代表団は信じたのであります。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 今回の交渉を通じて為替レートについてはどういうような議論がなされましたか。私どもが輸出の方から考えれば、為替を一ドル三百六十円から四百円にするとか四百二十円にするとかいうことは有利でございますからそういう議論も立ちますけれども、往々にして日本では為替レートを安くする方ばかり考えられて、これを逆に三百六十円から三百五十円にするとか、三百円にするというようなことは論ぜられておらない。輸入からすれはその方が得でありますから、国力の充実という点から考えましても、為替レートは高くなる方が喜ぶべき現象だと思っているのです。今度の交渉を通じて現行の三百六十円レートについて何らかの討議がなされたかどうか。今後も為替レートというものはこのままでやはり存続させるのかどうか、政府としての見解をあわせて披瀝しておいていただきたいと思います。

北島武雄大蔵事務官(主税局税関部長)

○北島政府委員 今回の関税交渉におきましては、一ドル三百六十円というレートの問題につきましては何ら言及されたことはございません。将来これをいかがするかということにつきましては私の所管ではございませんが、政府といたしましてはこの三百六十円レートの堅持をはかるという方針のもとに、ずっと来ておることは御承知のごとくでございます。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 ガット加入に際しての例の第三十五条の問題であります。この前も第三十五条を援用すると見込まれる国はどこかという質問がありましたが、その後変化はございませんでしょうか。あらためてお伺いしますが、三十五条を援用すると見込まれる国々はどことどこであるか。これらの国々に対してそれを防止するために、政府は何らかの手を打っておるのかどうか、お伺いしたいのであります。もし多くの国が三十五条を援用して参りますと、加入の効果がなくなって参りますので、日本としても三十五条を援用した国の輸出品に対して、つまり日本から見れば輸入する品物に対して、ダブル・タリフというのですか、複関税というようなものを考えて、これで対抗していく必要が起るのではないかと思うのでありますが、それらの点について答弁をしていただきたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ただいままで公式に三十五条適用の意思表示を行なった国は英国だけであります。そのほかにしかし数カ国が三十五条を適用するのではないかというふうに考えられております。しかしこれらの国には目下極力三十五条を適用しないで済ませてもらうように交渉中であります。従って国の名前を一々申し上げるのは、今日の段階ではまだ差し控えさせていただきたいと存じます。  なお三十五条を適用しますと、日本との間にガット関係というものが発生いたしません。御承知のようにガット加盟ということは、今わが国の非常に大きな要望でありまして、これに率先して無条件に加盟を賛成してくれる国に対しては、われわれは非常に感謝するのであります。しかし三十五条を適用したり、あるいは加盟を承認しないという国に対しては、おのずからいろいろな問題についてそれだけ好意が少くなるということは、これはやむを得ないと思います。また三十五条を発動して日本に差別待遇するという国々に対しましては、当方としてはガット税率適用の義務はないわけでありますから、現行関税法そのままの税率を適用するなり、あるいは場合によってはさきの関税定率法の関係で複関税を設ける制度もあります。それは政令を出せば簡単にできるわけであります。場合によっては複関税をもって対抗をしていくことも考えております。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 ソ連及び中共との関係でありますが、ソ連と中共の輸出品、つまり日本が輸入する品物は、ガット税率が適用されないわけであります。これらのソ連、中共との貿易が現在以上やりにくくなるという心配はないでしょうか、ガット加入によって現在以上にやりにくくなるという心配がなければいいのですけれども、いかがでしょうか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ソ連及び中共に対しては現在通りの税率が課せられるわけでありますから、特にそのために通商がやりにくくなるということはないと存じます。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 もう一つお伺いしておきたいのは、自動車の問題であります。今の内閣は国産自動車を奨励しておるのでありますけれども、中型、大型の乗用自動車については、今度のガット加入で税率が非常に引き下げられることになります。ですから国内の小型乗用車に非常に悪い影響を及ぼしてくるのではないかと心配しているのですけれども、もしそういう心配があるとするならば、その見返りとしてアメリカの方から何か別の品目の譲許を受けましたかどうか、その対策についてお伺いしておきたいと思います。

北島武雄大蔵事務官(主税局税関部長)

○北島政府委員 自動車につきましては、アメリカ側から現在の日本の関税率が四〇%であるところを二〇%に引き下げてもらいたいという強い要求があったのであります。従来からのアメリカの各国との関税交渉を見ましても、アメリカは必ず自動車について強い要求をしておりまして、今回のわが国に対する要求につきましても、その例外ではなかったわけであります。これはいろいろアメリカの国内事情もあるのでありまして、御承知のごとく、アメリカの自動車業というのは非常に強い産業でありまして、アメリカ自動車業界は原則として自由貿易賛成なのであります。従いましてアメリカの互恵通商協定法を支持する少い産業の一つであります。従いましてアメリカとしましては関税交渉に当りまして、互恵通商協定法を支持してくれる自動車業界のために、常に強い要求を相手方にいたすというのが通例であります。今回の関税交渉におきまして、この自動車の点も一つの大きな問題になった点でありますが、御承知の通りにわが国といたしましては、現在生産いたしておりますのは小型のみでございます。将来の動向を考えましても、燃料事情あるいは道路等の関係から申しましても、日本としては小型自助車を育成する方向にあるのでありまして、中型、大型につきましては、なかなかそこまでは手が及ばないというのが実情ではなかろうかと思います。従いましてアメリカのこのような強い要求、しかもわが国といたしましては、極力アメリカ側の譲許を獲取する意味におきまして、自動車につましても何らかの譲許をしなければならぬという状況に立ち至りましたので、わが国におきまして目下生産しておらず、かつ今後におきましてもわが国の育成すべき産業としては、比較的低順位にあると思われる中型、大型の自効率につきまして、関税を四〇から三五%に下げたのであります。下げましたけれども、ただ郷承知の通りに、物品税法におきまして小型が一五%の税率であるのに比しまして、中型が三〇%、大型が五〇%というような大きな開きがありますので、物品税とあわせ考えますと、中型、大型の舶来車は、国産車に比してなお相当大きな税負担をしておるのであります。国内におきましても三五%直接には小型の方は三五%ではございませんが、多少競合する中型、大型が三五%になりましても、この程度の保護でありますれば、自動車業界としましても、今後数年の間の企業合理化等を考えまして、この程度の税率をもって対抗できるのではないか、こういうふうに考えまして四〇%を三五%に引き下げることに応諾したのであります。もちろんアメリカとの関税交渉におきましては、一品ごと見合うというような考え方ではございませんので、相互に大局的に判断いたしまして、そして全体のバランスをとるという仕組みでございましたので、特に自動車とどの品目というような見合せはいたさなかったのであります。結論におきまして全体としてわが方の譲許、アメリカの譲許をにらみ合せて、わが国においてこれが有利であるという確信のもとに、関税交渉を締結いたした次第であります。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 北澤直吉君。

北澤直吉自由党

○北澤委員 土曜日の委員会におきまして、大体政府のガットに関するいろいろな点につきましてお答えをいただいたのでありますが、あと二、三点だけお尋ねをしまして質問を打ち切ります。  一つは日本の輸出貿易全体を考えまして、ガットの保率を適用される輸出貿易と、ガットに加入しないか、あるいは三十五条を援用するという関係で、ガットの税率適用を受けない貿易は、日本の貿易全体でどのくらいの割合になりますか、政府の方でお調べになったことがありますか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 先ほどお話申し上げましたように、三十五条を適用する国というのが、まだはっきりいたしておりませんので、正確なところはちょっと今のところ計算いたしかねますが、大体現在三十五条を適用しそうだと一応われわれの方で思われる国のことを考慮に入れまして、約半分ぐらいじゃなかろうかと思います。

北澤直吉自由党

○北澤委員 従って日本の輸出貿易でガットの税率適用を受けるのは大体半分というわけでありまして、この間の政府の答弁によりますと、大体年額二千万ドルから三千万ドルの輸出がガットに加入することによって増進できるというわけでありまして、このガットの加入がきわめて重大な意義を持っていると思うのであります。  次に伺いたいのはイギリスの問題です。イギリスは三十五条を適用する、こう言っているのですが、一方におきまして日本と通商航海条約を結びたい、こう言ってきております。普通の通商航海条約の型によると、無条件最恵国待遇というのがありますが、日英通商航海条約ということにもし最恵国待遇ということが入るならば、ガットの三十五条を適用しても、その方面で救済ができると思うのでありますが、日英通商航海条約の交渉におきまして、イギリスが日本に対して最恵国待遇を与えるというふうなことになりますかどうか、一つ伺っておきたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ただいま北澤委員からお話のありましたように、イギリスは四月十九日の声明におきまして、日本のガット加入に関しては、ガットの第三十五条を発動するということを申しましたが、それと同時に日本のガット加入に関しては、英国政府としても同情を持っている、そして近く日本と通商航海条約を交渉する用意がある、こういうことを申しております。しかしその後英国では総選挙等がありまして、いまだに通商航海条約の具体的交渉には入っておりません。お説のように、私どもが考えますと通商航海条約のガイディング・プリンシプルと申すものは、無条件最恵国待遇の相互供与ということでありますから、そういうことからいえば、もしそういう形の通商航海条約を英国が日本と締結する用意があるならば、ガットについて三十五条を発効する必要はないように思われます。しかしガット加入については三十五条を発動し、一方日本と通商航海条約を締結するといっておりますその意図については、私どもとしては若干理解しがたい点がございます。もっともガットの問題は貿易の面、関税の面が非常に詳しく書いてもるのでありまして、通商航海条約と申しますと、そのほかに入国とか居住とか、それから航海とか投資、そういったいろいろ広範なものが盛られます。従って通商航海条約を交渉して締結するということはけっこうなことと思いますが、ただ関税率、貿易についてイギリスがどうして三十五条を一方において発動し、他方通商航海条約を結ぶといっているかという点については、なお私どもとしても解しがたいところがあります。この点は今回日英間で交渉する際には、われわれとしてはそういう趣旨において十分論議したい、こう思っております。

北澤直吉自由党

○北澤委員 来年の四月二十七日になりますと、日本の平和条約に規定されております日本と連合国間の通商関係の規定が効力を失う。従ってイギリスの方でも来年四月二十七日までの間に、日本と通商航海条約を結んで無条約状態を避けたい、こういうことだと思いますが、ただいまのお話によりますと、イギリスがどういう腹を持って日本と通商航海条約を結ぶのかはっきりしないというのでありますが、現在日英問に支払協定その他について日英会談が行われておるのでありますが、今東京において行われております日英会談において、そういうふうなイギリスの通商航海条約締結に対する意向などを現に聞いておるのでありますかどうか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ただいま行われております日英会談では、支払協定並びにそれに伴う貿易上の取りきめ、そういった問題を論じております。通商航海条約の問題は先方も代表団がこの会談のために準備をしてきておりませんし、それは総選挙、内閣の更迭等のことで若干向うもおくれたのだと思います。タイミングから申しまして現在の日英会談が終ったあとになると存じます。しかし幸いパーシヴァル次官補のような人も来ましたので、私的な懇談の形ではありますが、先方の考え方というものを聞くようにしておるのであります。

北澤直吉自由党

○北澤委員 もう一点伺って私の質問は終ります。  イギリスは、先ほど御答弁のように三十五条を援用する意向があるということでありますが、しかし実際においてはガットの規定には縛られないが、事実上においては日本に最恵国待遇を与える意思があるのかどうか。条約上の義務として縛られないけれども、実際問題はイギリスは特別の事情がない限りは、日本に最恵国待遇を与える方針であるのかどうか、これを伺っておきたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 御承知のようにイギリスは特恵関税のほかは税率は一本でありますから、事実上は日本に対しても近く差別のない関税率を与えるということになると思いますし、また将来三十五条を発効しても、事実上の最恵国待遇は与えるつもりであるということを声明しております。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 高津正道君。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 ガットの問題について質問いたしますが、陶磁器の対米輸出に関しても、ガットの加入は関税率引き下げをもたらすというただいまの御説明でありましたが、米国ではこれによって日本から陶磁器の輸出がふえると見越して、これをアメリカの国内業者の利益を害するものだと考えて、ヘイと称する議員が安物を買い入れる業者を罰するという法案を下院に提出したと聞くのでありますが、外務省はそのような情報をつかんでおられますか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ヘイズ法案という法案が出ていることは承知しております。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 昨年以来、日本の対米陶磁器輸出をやっておる業者の中で、高級品を扱う者と、普通製品を扱う者とが対米輸出をめぐって争ってきているのでありまして、これに対する通産省や外務省の態度は、大手筋の言うことを多く取り上げて、普通製品の輸出を押えるような態度をとられておったと私は認めるのでありますが、ヘイ議員のこのような先ばしった、何百の議員の中のただ一人でありますから、問題にもならないものであると私は考えるのに、そういう案を出すと、待ってましたといわんばかりに、すぐにバンブー・チャイナと称する並製品はもう出してはいけない、対米輸出に大へんな支障が来るのだというので、すぐに押えられたと聞くが、そのような措置をおとりになったかどうか、それをまずお伺いしたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 バンブー・チャイナの件でありますが、御承知のように日本の陶磁器のアメリカの市場というものは、長年努力をして今日の大きな市場を得たわけでありますが、そこにあまり品質の粗悪なものが行くという場合には、漸次それが安値のために高級品についても影響をして、結局日本の陶磁器輸出全体というものが不利益を生ずる。従って対米輸出については、品質の規格というものをある程度厳密にして、そういった不測の不利益を生じないようにしたいという考えは前からあったのであります。そこでバンブー・チャイナというものが一時出ておりましたが、これは早晩そういった意味で規格に合格しない場合はとめなければならない、これはさっきお話の法案とは関係なく考えられていたのでありますが、そういった規格を今まで適用しておりませんでしたが、いよいよ四月からバンブー・チャイナにも適用して、その規格を通っておらなければ輸出できない、こういうふうな措置を通産省でとったわけであります。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 今のヘイ議員のそのような日本の陶磁器の阻止をねらう法案ができたために、懸案であったものに対して、こういうことになったから、君らは出してはいけないんだ、規格を適用するぞ、こういう通告をなさった事実があるかどうか、それを伺いたいのであります。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ただいまのバンブー・チャイナについて、一定の基準をパスしなければ輸出を認めないということは、ただいまの法案とは関係なく、全般の貿易政策の問題から考えたのであります。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 ガット関係から関税が安くなる。そうすること日本は別に安くしないのに、向うでは品物が安くなるから、従って日本の対米輸出がふえる。その場合に、向うである特定の業者が騒ぐということで、多少の影響があるかしらぬが、それではこっちは悪いものは今までよりももっと慎しんで出さないようにしようというような経済政策を日本がとるならば、ガットの利益というものは失われるものであると私は思います。日本はちっとも安くしておるのではないのだ、向うの関税がガット加入のためにそうなるからよけい出るようになるのではないかというので、日本商品の輸出をバツク・アップして大いに応援するような政策はとれないものでしょうか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 関税を下げました結果、こちらの輸出が楽になるということは当然でありますが、ただこれはアメリカ政府の政策として関税を下げて、そうして物資の交流をより自由化そう、こういう意図から出るわけでありますが、しかし現実問題としてそのためにあまりにどっと出るということになれば、アメリカの国内である程度の業界の反発というものが生ずるのは、これはいずれの国においても同様であります。従って関税を下げてくれたのは大へんいいので、できるだけそれによってこちらは輸出すべきでありますが、しかし同時に、実際問題としては、そういった業界の反発というものをも考慮して、輸出というものについて、やはりオーダリー・マーケッティングと申しますか、ある程度の自制といったものを考えるということが、実際的には必要なことかと考えております。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 向うの国内業者の反発を考慮するということも私は必要だと思うのです。そうしてオーダリー・マーケットであればそれを相当考慮に入れねばならぬということも私にはわかります。しかしこまかい問題をこの委員会でこの場合深く話すことは適当でないかと思いますから、きわめて要約して申しますが、日本の従来アメリカに輸出しておったテーブル・ウェア、その高級品、それに対してアメリカのバイヤーが日本に来てみて、並み製品でもアメリカに十分売れるマーケットがあるのだ、それはデパートやその他の専門店に行けば非常に高いので、向うにもプロレタリア層がずっと発生しておりますから、御案内のように都市の郊外に新しい一階建のマーケットがたくさんできて、そこへ労働階級の奥さん方がみな車で一週間に二回とか三回とか行くようにして、そこへ行けば何でも買えるというので、物価高に対してそこへ行って買いものをして、それで生活をささえている、こういうような実情が生まれたのであります。日本でも道路に何十人という魚屋やいろいろな者が、朝七時ごろから九時、十時ごろまで物を売っている。店持ちというものは税金にたえられないので、そういうようなことがあっちこっちで行われている。日本のはアメリカよりもっと原始的なやり方でありますが、そういう新しいマーケットが起きて、今紛争が起きているのであります。アメリカの場合は、ずっと何千というそういうマーケットができている。これはほんのシカゴ方面の一部分に出したのであって、外務省の調査によれば、そういう粗悪品が来るとアメリカに影響があるという回答が、在外公館から来ているという話でありましたけれども、そのバンブー・チャイナという商品が行っているのは、五万ダースかあるいは七万ダースが毎月出ておったにすぎないので、そうしてそれはほんのシカゴ方面と聞きますが、その方面に行っておっただけであります。あなた方に来た情報というものは一般論で、下級品が入れば上級品は打撃を受けるだろう、こういうような推論的な、概念的なものであるように、われわれは判断するのでありますが、アメリカの上層の者はずっと上のものを用いるのだし、下は下でまた必要な事情が発生しているのだから、少々の雑音が入ってもそんなに神経を使わないで、しばらくは形勢を見る、こういうような動じない態度で、日本のその中小企業を私は応援してやるべきだと考えるのでありますが、湯川経済局長はがんとしてその自説を固持されるのかどうか。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 ただいま高津委員から仰せのような趣旨は、当地のアメリカ大使館からも言ってきておりまして、安いものであるから、需要があるのであるから、それは出してもいいじゃないかと、しばしばアプローチがあったのであります。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕 しかし一方、ジュネーヴのこの間の関税交渉等においては、これは先方の係官が別なためであると思いますが、バンブー・チャイナのような安いものが入ってくるから、この陶磁器に関してはもっと税率を負けたいけれども負けられない、こういう話があったことも事実であります。従って、何しろ陶磁器の現在のマーケットというものは、長い間非常に苦心をして今日に至ったのでありますから、これに影響を与えるといったようなことは、相当慎重に考えなければならないというわけで、現在の措置になっているわけであります。しかし私どもとしては、もう少し実情を調べた上で、さしあたりは規格を通ったものしか認めないということにしておりますが、もう少し実情をよく研究してみたいと思っております。

高津正道日本社会党(左)

○高津委員 この問題について、陶磁器業者がアメリカに最近渡るということを聞いておりますが、それはどういう構成になっておるか。どういう構成というものはどの業者からどのようになっておるか、どういう目的を持って行くのであるか、それらのことがわかっておれば承わりたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 そういった根本的な調査をするために、調査団を出してはどうかというような議が通産省にはあるようであります。その場合の構成等については、私は詳細は知っておりませんが、いわゆる両方の利害を代表する人たち、つまり高級製品を出す人も、あるいは非常に安いものを出す人も、両方の代表が入るような仕組みに、もし出すときにはなることと聞いております。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 政府の方にちょっと申し上げておきますが、土曜日のガットの質問に、他用でちょっと席をはずしたときがありましたから、質問が重複いたしましたら、あとで速記録を見ますから、そういうふうにお答え願いたい。  一、二お尋ねしますが、この問題は言うまでもなく、基本的には貿易問題に関係するわけですが、三十五条援用の諸国の見通しは大体つけておられますか。最近はどういう情報をおとりになっておられるか、ちょっとお尋ねしておきたい。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 大体、三十五条をはっきり援用するということを声明しましたのは、今のところ英国だけであります。これは四月に英国が声明をいたしました。その後、三十五条を発動しそうな国、あるいはまた内々発動せざるを得ないというふうに申しておる国が相当数ございますが、これらについては、今せっかく、そういう三十五条を発動させずに、一つ日本の加入をフル・サポートしてくれないかということを説得中であります。従って今日の段階では、その国名を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。先ほどそういう趣旨でお答えいたしました。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 それについてお尋ねいたしますが、三十五条を援用する理由これは特に今申しました通り、われわれも当然そう思うのですが、そういうことなしに、承諾するように交渉すべきだと思う。交渉しておられることはけっこうですか、交渉されてみれば、なおさらその理由が明らかになると思うのですが、三十五条援用についての向う側の言い分、理由、それをどういうふうに見ていらっしゃいますか。今までの経過から見て、所感があったら、整理して御発表いただきたいと思います。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 これはいろいろの背景として、ほかの関連問題を考えている場合もあるかもしれませんが、純粋に経済問題という見地からいえば、そしてまた、相手国もそういう理由で言うわけなのですが、要するに、日本とガット関係に入る。日本の商品が自分らのところに入ってきて、自分の国の産業の方が十分できないということに、先方の理由は尽きると思われます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 もとより経済的理由であることは、おもな理由がそこにあることは、私も推測がつくのです。そこで日本の貿易政策に関連いたしまして、向う側の反対の根拠になって表面に出た、また内在している理由をもう少しこの際究明しておく必要がある。これはガットに加入いたしましても、その効果が半減するわけでございます。それのみならず、これを機会に日本の貿易政策に対する今までのやり方についても、われわれ少し考うべき点があるのじゃないかと思いますので、そういう意味でお尋ねしているのです。今の経済的理由であることは言うまでもありません。ですからどこにそういう問題が介在しているのか、向う側の考え方は、単なる誤解であるのか、あるいは正解であるのか、そこをはっきりしておく必要があろうと思うのです。単なる向うの誤解でございますならば、たとえば戦前の綿製品、化学製品、雑貨等を中心とするソーシャル・ダンピングに対して、再びそういうことをやるような疑点を持っている、かつての妄想に対する過大なる誤解であるらなけっこうですけれども、必ずしも私どもそうばかりでもなかろうと思う。特に経済局長としてはその点を正確につかまれて、国内の通産省あるいは大蔵省または経審あたりへ、そういうことを正確にお伝えになるべきだと思うのです。そのことが国内の業者にも反映して、ガットに加入さえすればそれで貿易問題は解決するというふうに考えることは、まことに形式論であって、そんなところで気休めしているべき筋合いのものではなかろうと私は思うのです。そういう意味でもっと本質的な問題として、われわれはその問題に取り組む必要があるのじゃないかと思います。ですから明敏な経済局長は今までの情勢判断や、国内の貿易政策、貿易業者の実態から見て、問題を少し整理しておいていただきたいと思うのです。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 私どもとしては、ガットに加盟した場合、日本の商品が進出してもし何かいろいろな問題を生ずるということになったと仮定しても、ガットの条文にいろいろな救済規定がございます。そういったものでそういう懸念はなくなるのじゃないかと考えております。しかしそれではなかなか満足しない。つまりその救済規定を発動するには、いろいろな機関の議にかけたり、あるいは時間がかかる。そういうようなことでもっと直接にそれを押えるようにしたいといったような考えから、ガット関係部門の適用を避けたい、こういうことにあると思います。その理由としては、先ほどお話の、昔日本の品物が非常に安くたくさん出た、かような妄想に基くものもあるでしょうし、それからまたやはり日本側でもっとオーダリー・マーケッティングというようなことに意を用い、急にフラッドしないような措置を何か自主的にやってもらえないか、そういうようにいろいろなものがあると思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 これはガットそのものの協定のメカニックといいますか、機構そのものを問題にしているのではないのです。これは当然われわれは早く正しい理解のもとに、日本の加入を承認してもらうことに努力することは当然でございます。特に今申しました通りに、三十五条を援用しないで、理解を持ってもらいたいということ、このことはわかっております。そのことを私言うのではなくて、ただガットに加入しさえすれば、日本の貿易問題は解決するというふうな問題でなくて、今まで特需によっておりました日本経済が、役所の分析や報告より上回って、最近貿易じりからだけ見ますと、予想以上に伸びてきておるので、伸びてきておる裏には、中小企業を中心とする必死の生きるか死ぬかという戦いが行われておりますし、同時にそのことは、これから今三十五条を援用するかしないかということに対して、一番競争国であるイギリスがそういうことを言い出してきておるわけですが、イギリスがかっての妄想にかられて三十五条を援用し、それにおつき合いして他の国もそれを援用するというような除外規定を認めるというような考えではなくて、そういうふうに皮相な見方をしておるというと、日本の貿易というものはもう一ぺん国際的に問題になり、行き詰まる時期があるのではないか。特に最近輸出入取引法等に現われました政府のお考え、あるいは政党も含みましょうが、その考えを見ておりまして、日本の貿易をガット加入を機会にして正常な軌道に乗せるという場合に、形式の上では一応正常な軌道にこれで乗り得る形はつくわけです。この二、三年来貿易が伸びてきたという、その貿易の帳じりだけ見て、楽観できるような内部の情勢ではないと私は思うのです。そういう意味でお尋ねしておるのです。ですからこれに関連して日本の貿易政策というものを、すなわちもっと国内的にいいますならば、日本の中小企業を中心とする特殊な貿易産業構造というものがあると思いますが、これはメーカーだけでなくて、商社についてもそうです。そういう問題について政府がもう少しちゃんとした方針をお持ちにならぬと、中小企業の倒産あるいは混乱が起きる。そして国際的には乱売が行われる。そして値段は引いてくるが、商品は悪い。また商社間におきまする不当な競争が行われ、そして安定した取引ができないというようなことで、国際的には非常に信用を害する、のみならず中小企業が苦しくなるし、同時にますます国際市場における混乱を日本の商社の方から起してくる、こういうようなことが起きて参りますから、今の三十五条を援用するということは、今の現状ではあなた方がおっしゃるように、かつてのソーシャル・ダンピングというような妄想も一回にはございましょう。しかしそれは妄想じゃなくて、私は正しい想だと思うのです。そういうふうに思いますから、その点についての経済局長の今後の貿易政策に対する中小企業の問題に特にからんでお考えを承わっておきたい。私はいたずらにここでもう一ぺんこの間の輸出入取引法の問題を蒸し返すつもりはございません。ございませんが、ただ帳じりとして、貿易がこの二、三年来予想以上に伸びてきた。ここでガットに加入して内容も形式も整ったという安心感を実は持てないものですから、そこでお尋ねするのですが、またついでですから申し上げておけば、あなた方は国際関係から経済をごらんになっておられる。四巨頭会談に出ました軍縮の方向が、どの程度結実するかは別といたしまして、これからは軍需産業よりは平和産業による貿易競争というものが中心になっていくと思うのです。そういうやさきでございますから、特にその点は、ガットに加入しさえすればいいのだという考え方でなくて、ガットに加入した後の日本の貿易政策について、もう少しちゃんとした方針というものがここで必要なのではないかということを痛切に感じますから、安心のできるように、一つガットに加入したかいのあるような方針を説明していただきたい。園田政務次官がおられるので、園田次官から一発御所信を承わっておきたいのですが、どんなものでしょう。

湯川盛夫外務事務官(経済局長)

○湯川政府委員 私どもガットに加盟しさえすれば、それで能事終れりと考えておるわけではないのでありまして、ただいまの御意見にはごもっともな点が多々あると思います。しかしこれはおのずから貿易政策の非常に根本に触れる問題であり、国内対策の問題もあるわけでありますから、むしろ通産省の御意見を伺った方がいいと思います。

石丸忠富通商産業事務官(通商経済協力課長)

○石丸説明員 ただいま御質問がございましたように、まことにごもっともと私ども存じておるのでありまして、ガットに加盟をしましただけでこれが万能薬で、すべて解決するというふうにわれわれ考えておらない次第であります。一例をあげますならば、ガットの関係に日本が加盟いたしましたといたしましても、すなわち交渉いたしましたガット税率が適用され、またガット一般規約が適用いたされまして、相互の通商関係がこのような一定の国際的な規制を受けるというかっこうになるわけでありますが、しかしながら先ほどからいろいろ御議論がございましたように、一定の関税条項が適用されました結果、無秩序に乱売競争か行われ、そういった将来の貿易体制と申しますか、こういう問題がガット自体では解決されておりません。まことにこれは国際問題でありますとともに、実は国内問題ででもあるわけでございまして、先ほども穂積先生おっしゃいました、輸出入取引法などもその一例であろうかと思いますが、われわれといたしましては国内体制の整備を、国際的な通商機構への加盟と歩調をともにしてやりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 今為替関係等で多少管理が行われておるわけですが、特に輸入については行われておりますが、輸出については、その点は悪い意味の無秩序状態にこれからなる危険をわれわれは予見しておくべきじゃないかとすら思うのです。ですからそういう問題について、もう少しこれから国内の輸出体制を整備するというお考えの具体的な内容を、この際伺うわけには参りませんか。あるいはそれが内閣なり政府の経済の基本方針に関連すれば、大臣に来ていただいて、御説明していただいてもよろしゅうございます。しかしこの間輸出入取引法が通ったわけですから、あの中にすべての貿易体制に対する政府のお考えが、コンクリートになってしまっておるとは私は考えません。しかしああいうものをお考えになるについては、国内の特に貿易資本の問題にいたしましても、中小企業等の問題にいたしましても、当然関連して基本方針をお立てになっているべきだと思うのですね。ですから今のような国内業者の、しかも背に腹はかえられないというような、生きるか死ぬかのつまり乱闘のようなものが行われておる状態、無秩序状態ではよくないと思うのです。これは単に中国なりソ連なり、共産主義諸国の国営貿易を相手にしてやる場合には特にそういうことですが、それだけではないのであって、自由主義諸国、特に東南アジアその他を対象にして、ライバルであります英国等の関係を考えましても、これは慎重に考えるべきじゃないかというふうに思うのです。特に東南アジア市場を重点として政府は今までうたってこられましたが、これらの地域におきます英国なり、ドイツなり、その他面ヨーロッパ工業諸国との関係からいいましても、輸出政策というものが単なる輸出商業資本の問題ではなくて、もっと一貫した、メーカーとの関係における体制が必要じゃないかということを痛感するわけです。ですからそういう意味で、このガット加入を機会に、今まででもそういうことはお互いに論じなければならなかったわけですが、先般はこの輸出入取引法が通りましたし、今また国際的にはガットに加入するという協定に、われわれが賛成しようとするわけでありますから、そのときに一番基本的な大事な国内の貿易体制というものを考えておく必要があるのじゃないかと思います。ですからあなたのおっしゃった一般的の言葉について私も賛成ですから、それの具体的な内容について今まで考えがおきまりになっておりましたら、そのことを事務当局から発表していただいても、何ら差しつかえないことだと思いますから、この際少し具体的な御意見と方向を伺いたいと思うのですが、いかがですか。

石丸忠富通商産業事務官(通商経済協力課長)

○石丸説明員 私輸出政策全体についてはちょっと所掌が違っておりますので、私が申し上げること全部責任を持って最終的な意見じゃないのでございますが、私が所掌いたしておりますことから感じております面を申し上げますならば、一つは、先ほどおっしゃいました輸出秩序の確立とでも申しますか、輸出についての取引秩序を確立いたして参って、むだなお互いの競争をやめてもらう。従って相手にそれによる被害をあらかじめこうむらせないようにして輸出して参るということが一つであろうと思いますが、また他面には諸種の、一定の行為によりまして補助金的なものにたよらなければやっていけないというような性質の産業が今まであったのでございますが、これらはガット等に関連いたしまして、そうではなくてもう少し正常な輸出促進方策によって伸ばしていく、従って今まで行なっておりましたうちで、ガットの加入等に連関いたしまして国際的に問題になりますような性質のものは、これはやめまして、正当な輸出増進方策をとっていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。この輸出促進方策等につきましては、予算等との関連がございまして、諸種の機会に私どもの方の役所からも御説明を申し上げたかと存ずるのでございますが、今後そういう秩序あるしかも正当な輸出促進方策でいきたい、こういうふうに考えておるのでございます。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 ほかにただいまのガット加入に関する議定書について御質問ありませんか。なければ、これにて本件に関する質疑は、穂積君の通産大臣に対する質疑もありますけれども、一応終了いたしたことにいたします。     —————————————

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 次に特別円問題の解決に関する日本とタイ国との協定について質疑を許します。森島守人君。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 私は機会がありませんからこの機会に御質問申し上げたいのですが、ビルマとの支払細目協定の問題がどういうことになっておるかという点についてお伺いしたいと思います。第一点は、向うのウ・チョウ・ニエン外務大臣は、年に二千万ドルずつ予算に計上してほしいということを言っておりました。これに対して岡崎君は一千二百万ドル、八百万ドルの開きがあったので、このために問題の解決が非常に困難になっておるということでございますが、この点はすでに解決いたしましたかどうか。彼我の合議が成立したかどうか、この点を伺いたいのであります。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 ただいま御質問のビルマの賠償の年額の問題でございますが、初めの協定ができます際の交渉の過程におきまして、彼我の代表の間でいろいろ応答があったのでございますが、御承知のように協定案文自体には年平均二千万ドルということが出ております。従いまして、先方はやはり年二千万ドルということを原則として認めてもらいたいということでございます。さしあたっての問題といたしましては、最初の第一年度、つまり本年度において二千万ドルに相当いたします七十二億円をこの予算に計上するかどうかという問題でございますが、これは御承知のように、平和回復善後処理費という大きなワクの中にすべて賠償関係の予算は入っておりますので、これの金額は、本年度分に計上いたしました金額と、前年度以来からの繰り越しと合せまして、十分七十二億円をまかなって余りあるのでございまして、日本側としては、計画等が順調に進捗して、現実に七十二億円を使うという事態が来れば、今年度中においても七十二億円を払う用意ありということを先方に通じておるのでございます。従ってこの問題は解消いたしました。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 ただいまの御答弁を承わって非常にけっこうだと思うのですが、第二に問題になりましたのは、支払い方法と申しますか、二千万ドルですか、これを向うの指定する銀行二、三行にすぐ入れてほしい、こういうふうなことだったのですが、外務省では、向うの指定する二、三行に二千万ドルをそのまま入れるということになりますれば、日本の特殊な二、三の銀行に特別の恩恵を与えるというふうな結果になりますので、日本で反対をしておられた、こう聞いております。漸次話が進みまして、ビルマで支払いをする一カ月くらい前に銀行へ入れてくれればよい、これに対して日本では一週間か十日という期限を出して交渉しておられたということを承わっておるのでございますが、この点につきましても彼我の間に合意が成立しましたかどうか、その点を伺いたい。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 現実の賠償契約に基いて支払いする際の方法でございますが、御指摘のようにその問題につきまして、彼我の意見の隔たりがあったのでございますが、その後折衝いたしました結果、大体御指摘になりましたように一般の銀行と違いまして、個個の契約に基きまして支払いの十日ほど前に先方の要求に基いて日本側から金を払い込む、払い込みました際はビルマ政府の勘定になるのでございます、払い込んだ金をビルマ側の手によって日本の業者に支払うという方法、これは双方の間で話し合いがつきました。今問題として残っておりますのは、その支払いに当る銀行を一行にするかあるいは複数の銀行にするかという点、ただ一つの問題でございます。日本側としましてはビルマ側の要望に応じまして、先方の大体考えておりますところにのっとってやりましたので、この支払いに当る銀行自体としては、これはどの銀行ということは日本側からは注文をつけない、ビルマ側が選ぶ銀行でいいのですが、一行にしてもらいたい、そうしないと、一つには支払い手続が非常に複雑になる、もう一つは日本の銀行で外国為替銀行として指定されておりますのが十二行ございますが、これの競争が激甚になるということをおそれまして、一行にしてもらいたいということでありまして、先方では何も一行に限らなくてもいいではないか、複数にしておいたらどうかということを言っております。その点が話が合わない唯一の点でございます。この点も目下ビルマでせっかく交渉中でございますので、何らかの形でごく近い期間に解決がつくであろう、こういうように期待いたしております。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 もう一点ございますが、前にビルマ政府で、日本政府が賠償物資の買付等についてあまりに干渉し過ぎる、発言権を持ち過ぎるということを言っておったようでございますが、この点につきましてはいかがになりましたか、この点を伺いたい。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 その点は初め日本側はいわば親切心から、できるだけいい品物を出して間違いのないようにしたいということで、いろいろ日本側の業者その他にも、あるいは推薦制を用いましたり、あるいは価格が不当に安いというような場合にはそれを押えるということもできるようにと、いろいろ考えたのでございます。御指摘のようにビルマ側からは、そのようなことは日本側が干渉するものである、一般の貿易における輸出と同じにしてもらいたいという強い注文がございましたので、日本側も原則としてその方法に同意いたしまして、従って一般輸出と大体同じ取扱いになります。価格のチェック等につきましては、一般輸出において行われておる以上の統制はいたさないことになりました。この点もすでに話し合い済みでございます。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 第三のただいま御説明になった点につきましては、同和鉱業の久留島社長これはビルマの方へ行って技術の顧問格でお働きになったこともあったようですが、承わりますと、日本から相当悪い物が行っているそうです。現に国際連合から推薦されて、陶磁器のために行っておる日本の技師が二、三人おられるそうですが、そこで使っている炉のごときは、メイド・イン・ジャパンとなっておりますが、使いものにならぬ物が行っているという実例もございますので、私は日本政府として相当な発言権をお持ちになることは当然だろうと思います。いずれにいたしましても相当長い期間にわたって、日本とビルマとの間に問題になっておりました諸点が解決しましたことは、ビルマとの親善関係、経済協力関係を増進する上において、今後大きな働きをなすものとして、私は衷心よりお喜びを申し上げるのでございます。なお一そうビルマとの関係の増進にお力をお尽し下さることを要望いたしまして、私の質問を終ります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 関連して中川局長にお尋ねしますが、今のビルマの賠償問題で両方の政府代表者によります協議会といいますか、名前は必ずしもつまびらかにいたしませんが、それの構想についてお話し合いはできたわけですか。もしできておれば、大体いつごろどういう構想、機構でおやりになるのか、それからその人選等もわかりましたら、その性格からずっとと一応説明していただきたいと思います。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 御指摘の点はビルマとの協定にごございます合同委員会であると思いますが、これは両国政府の指名する代表者が集まりまして、東京において合同委員会を開くということになっております。この合同委員会自体の組織等につきましては、まだ具体的に詳細まできめてございません。と申しますのは、その前提といたしましてビルマ側が東京に賠償ミッションというものを作るという計画になっております。この賠償ミッションの長がおのずからこの合同委員会の向うの代表になる、あるいはもし大使が代表になる場合には、その次の実際上の衝に当る人がなるということになりますので、この合同委員会の前提としてのビルマの賠償、ミッションというものの性格、組織等につきまして先方と話し合っております。これは今の実施細目とは別の話し合いになっておりますが、この方もほとんど話がきまりまして、大体ビルマ側はほかの政府がいろいろ出しております購買ミッションというようなものに相当する職員を出しまして、ここで賠償ミッションというものを作りますが、その長及びそのうちの重立った人たちには外交官の特権を与える、しかしながらその仕事自体については完全にいわば商売ベースによるものでございますから、日本の法権にも服しますし、日本の商売上のいろいろの規定に従うという仕組みになるものであります。この話し合いが最近できると思いますが、この話し合いにつきましても外交特権を与える人間の数ということについて、まだ若干双方の意見の合わないところがございますので、これがいつか片づきますればそれで賠償ミッションの組織がきまります。それに基きまして引き続き合同委員会の組織ということを相談いたしたいと思っております。時期といたしましては、おそらくこの実施細目ができますとほとんど相前後いたしまして合同委員会の話し合いができる、かように考えております。その上でこれが東京に設置されることになると思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 場所は東京で、これは当然スタンディングなものだと思いますが、東京にのみ置くわけですね。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 一番大きな問題がいろいろ日本の政府機関との折衝ということになると思いますので、東京に置くことになろうと思います。なおこれは常設的なものであります。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 その中には日本側の代表は民間から入る可能性はございますか。

中川融外務事務官(アジア局長)

○中川(融)政府委員 また腹案程度でございますが、これは少数の者といたしまして政府の官吏だけでいたしたい、先方もまた大体そういう意向である、そういうふうに考えております。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 ただいま森島守人君の御質疑はタイの隣邦の賠償問題の関係のためにお許しをいたしました。  これからタイの特別円問題の解決に関する協定について質疑を許します。別段通告がありません。ほかに御質疑はありませんか。では特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定についての質疑は一応終了したことといたします。     —————————————

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 次に日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件について質疑を許します。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 議事進行について。日華問題は非常に重要な政治的な質問も出ようと思いますから、大臣の御出席を求めて総括質問から始めていただくのがよかろうと思いますから、きょうはこれで休憩して日華問題は切り離して一つ審議をお願いしたいと思います。大臣の都合を聞いた上で……。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 穗積君の議事進行に関する御発言に対して申し上げます。穗積君の御主張はしごくごもっともと思います。しかし会期もきわめて緊迫しておることでございますから、また皆様もいろいろの御都合があろうとは思いますが、できればきょうの午後一時半から継続してこの委員会の審議を始めたいと思いますが、いかがでしょう。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 私も実は穗積君の意見には賛成なのですが、この問題は政治的に非常に重要な問題でもありますし、外交の政策上の問題もありますので、午後に外務大臣が出席されるということが前提になっているならば、きょうやっていただいてもけっこうであります。出られない限りにおいては、外務大臣が出席するときまで、この質疑については時期を見合せていただきたいと考えます。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 岡田春夫君の御意見も、穗積君の御意見もしごくごもっともだから、その趣意にのっとりまして、外務大臣の出席条件が加わっておりますが、皆様の御都合を差し繰って午後に開きたいと思いますので、御了承願いたいのであります。  暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件及び特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。  両件につきましては、すでに一応の質疑を終了いたしました。他に質疑の通告もないようでありますので、これにて両件に対する質疑は終了することといたします。  両件に関しては、別に討論もないようでありますので、討論を省略して直ちに採決いたします。両件を承認すべきものと議決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 御異議なければさように決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 御異議がなければさように決定いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。  なお念のために申し上げておきますが、明日午後特に開会して、外務大臣の御出席をわずらわして、日華条約の問題の審議を進めたいと思いますから、さように御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四分散会

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