外務委員会 第35号
- 発言数
- 189 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1955/07/23
会議録
○植原委員長 これより会議を開きます。 本日は国際情勢等に関する件につき、鳩山内閣総理大臣及び政府当局に質疑を行うことといたします。 なお理事会の協議に基きまして、時間を厳守することを御尊重願いとう存じます。 通告順によって発言を許します。渡邊良夫君。
○渡邊(良)委員 私は総理大臣に、時間がございませんから、きわめて簡単に区切って二、三の点についてお伺いいたしたいと存じます。 私はその前提といたしまして、今日わが日本にとりまして最も必要であり重要なるわれわれの要請というものは、自主外交の確立であろうと存ずるのでございます。同時にこれと関連いたしまして、国内におきまするところの保守勢力の結集が、何よりも要請されるところの問題であろう、かように存じておるわけでございます。 でありまして、私はこの自主外交、特に総理がしばしば言っておられるような、従来の民主主義国家を中心といたしますところのたとえば対米外交などについては、さらに一段の緊密を増していくことと同様に、また対ソ外交につきましてもこの線に沿うて国交の回復をはからなければならないということを言っておるのでございます。しかしながら最近の英米筋におきますところの対日観というものが相当変りつつあるということが、新聞あるいは通信等によりまして散見いたされるのでございまして、この点につきまして私どもははなはだ遺憾に存ずるのでございます。たとえてみまするならば、この六月六日のニュース・ウイーク誌上におきまして、あるいはまた七月二日におきますところのエコノミスト誌上、あるいはまたイースタン・ワールド誌におきましても、あるいはまたエコノミストの東京特派員が打電いたしておりますところの、英国からの七月四日の東京朝日新聞の欧州総局からの返電の記事によって見ましても、日本は今やこの外交問題につきまして二重外交ではなかろうか、あるいはまた日本の外交というものは非常に変化を来たしつつあるかのごとき記事が、新聞の面におきまして散見されるのでございます。そして日本は将来の段階においていかなる方向を持つものであろうかということで、米国の極東政策あるいは英国の対日観というものが非常に困惑の状況にあるというようなことが、新聞紙上において散見されるのでございます。同盟国といたしましてまことにたよりがないとか、極東政策の上に大きな支障を来たさなければよいがというようなことが、新聞紙上に現われておるのでございまして、われわれ国民といたしましては、この対日観というものに対しましてどうしても改めさせなければならない、こういう誤解を一掃しなければならぬ、こういうふうに考えるのでございます。こういう意味におきまして、総理大臣、重光外務大臣の御所見並びに対外世論対策というようなものをお考えになっておるかどうか、この点につきましてまずお尋ねいたしたいと思います。
○鳩山国務大臣 対ソの国交を正常化したいというのは当然の希望だと考えております。戦争状態が終結してない状態をそのままにしておくということは、非常に間違っておるやり方だと思いますので、対ソの関係を戦争前の国交状態に持ってくるということは、当然の希望でなければならないと思っております。それに対してアメリカにおいては十分了解をしておるものと思います。もとより目的が違うわけではないのであります。アメリカもソ連もともに世界の平和を確立したいという同じ目的なのでありますから、それに対してわが政府のとっておる態度は、決してアメリカにおいて故障を言う理屈はないと思います。今日においてアメリカは十分に対ソ外交について了解をしておるものと考えております。
○重光国務大臣 私からもお答えをいたしたいと思います。日本の対外政策はもう特に議会を通じて、またその他の方法においてはっきりと宣明をいたしておるのであります。これについては内外において十分に理解があると私は思っております。しかしながらさような日本の対外政策に対して、外国においていろいろな点からまたいろいろな動機から、いろいろ誤解をする向きもないとは言えません。言えませんが、今の世界情勢を見て、今の世界情勢は大きく動いておるということは事実でございます。ゼネヴァ会議などが催されるに至ったことから見ても、大きく動いておるということは否定することはできません。従いましてその一環として日本に対するまた日本関係の情勢も、必ずしも終戦当時と同様ではないのであります。そこで世界の日本観というものについて、おのずからいろいろな議論がそこに起るということも、これは当然のことであると思います。むしろそれは一つのところにとどまっていなくて、進んでおる情勢に対するところから起ってきておるのだ、こう私は見ております。そこで日本としてもいろいろな国策を進める上においては前進しなければなりません。その新しい情勢に応じて、日本のはっきりした政策を誤解なく外国に理解させる方法は十分にとらなければなりません。そこでその方法は、あるいは議会を通じ、あるいはその他の方法、特に外交機関を通じて十分にやらなければならぬし、またやることに努めておることは申し上げたいと思うのでございます。しかしお話のように、それにもかかわらず日本に対するいろいろな誤解もあれば、それを十分に解くようにいたさなければならぬことは、少しも私は御異存はございません。ただいかにも力の足りぬことを私は感ずるだけのことでございます。十分に一つやらなければならぬと思います。しかし日本のはっきりきめておる外交政策というものは、これは私は正しい外交政策だという信念のもとに、あくまでその成果を求めるべく進んでいきたい、こう考えておりますので、簡単ながら一言申し上げます。
○渡邊(良)委員 日本共産党は、去る十七日におきまして、結党記念日というにぎやかな行事をやりまして、今までは非合法面に隠れて地下戦術をやっておったのでございますが、これが合法戦術として表に出て参ったのでございます。こういうことと関連いたしまして、とかく世界の情報筋、あるいは世界の関係筋におきましては、日ソ交渉が長引けば社会主義的または容共政治勢力というものが結集されるところの機会を与えるのではなかろうか、こういうことを言う人がございますが、こういう点に関しまして、まず第一点は総理大臣にお伺いいたすのでございます。 またさらに、私は時間がございませんから、きわめて切り詰めて申しますが、先月の二十七日にアメリカの下院外交委員会におきまして、シーボルト米国務次官補がこういうことを証言されておるのでございます。日本が将来のある段階で政府が転覆され、中立化はいしは事実上共産陣営に参加する危険性がある、こういうことを——しかもシーボルト氏といえば、この間まで対日理事会におきますところの最も親日家として有名な方でございます。この方が、しかも米国の権威ある機関であるところの下院外交委員会におきましてこういうことを言っておる。そうしてこれがAP、UPによりまして打電いたされまして、東京の各新聞紙上に載っておるのでございます。私はこういうこと並びにこの二十日の新聞に、前の代議士であり、かつて官房長官でありましたところの富田健治氏が、英国その他ヨーロッパを回って参りまして、その結論といたしましてこういうことを言っておるのであります。同氏は米国では井口大使、英国では松本全権あるいは西大使ら直接日ソ交渉に当っておる人たちと会談した。あるいはまた西村駐仏、原田駐伊各大使あるいは各新聞社の海外特派員三十数氏、各国の政府筋、財界、労組関係などといろいろひざを突き合せて語った。そうしてこの結論といたしまして、日ソ交渉というものが不成功に終るところの公算が強いようだ。その直接的な理由の一つとして、英国のあるソ連通の外交官は、ソ連は日本の国内事情を甘く見ておる、日本に強硬態度で臨むことにより、日ソ交渉を日本側の敗北で終始させ、その責任によって内閣を崩壊に導き、社会党的政権というものが生まれてくるのじやなかろうか、こういう英国の外交官筋の談話というものを載せておるのでございます。私は前提に申し上げました通り、今日ほど自主外交が必要であり、そうしてまた日本の政局の安定というものは保守勢力の結集によってはかり、世界の疑惑を解かなければならない、あくまでもわれわれは今日この問題こそが最も重大であると思う。でありますから、保守結集のもとにおきましても、どうしてもこうしたところの誤解を解かなければならぬ。しかも英米におきまするところの権威あるこれらの新聞筋、あるいはまた米国の下院におきまするところのシーボルトのこういうような発言というものは、われわれ国民としてこれはまことに黙っておることのできないゆゆしい問題でありますがゆえに、私はあえてこれは日本国の政治の安定あるいは世界平和のために、どうしても鳩山総理大臣あるいは重光外務大臣のこの点につきましての今後の強硬なる外交を推進するところの、その御所見について再びお伺いをいたす次第であります。
○鳩山国務大臣 共産主義者の運動については、政府といたしましても非常な注意を払っております。共産主義者が細胞の組織の上に熱心であるということも承知をしております。アメリカのシーボルトのお話を引用せられましたが、シーボルトは、ほうっておけば日本は共産主義化する危険がある、危険が絶無とは言えないから日本を援助し、日本と提携をしなければならないということを言いたいために言ったものと考えます。保守勢力の結集、日ソの交渉等につきましては、たびたび私が申しましたから、それによって御承知を願いたいと思います。
○植原委員長 渡辺君、あなたの時間はもう終りましたから……。
○渡邊(良)委員 一点です。
○植原委員長 あなたの時間は福田君の方に食い入ることを御承知ならばどうぞ。
○渡邊(良)委員 一点だけでございます。 外務大臣並びに河野農林大臣が近く渡米されるそうでございますが、そのことにつきまして簡単でけっこうでございますから、総理はどういうふうにお考えになりますか。その点を最後の御質問といたしまして、次の福田君にお譲りいたします。
○鳩山国務大臣 河野君が外国に参りますのは、イギリスに行くのは、昨日閣議において河野君の話によれば、サケやマスが非常にとれ過ぎて、その売りさばきに非常に困るので、その用件もあるというような話でありました。それからドイツに行くのは、カリの肥料について行きたいと思っておる、こういうような話でありました。まだ詳しい具体的なことはさらに説明があるはずであります。
○植原委員長 福田篤泰君。——あなたの時間は非常に少いことを御承知願います。
○福田(篤)委員 総理にお伺いしますが、今渡邊君が言われました日ソ交渉、これは幸い懸案解決が条件になっておることは、まことに御同慶にたえませんが、大体いつごろ話がつくというお見込みなのですか。
○鳩山国務大臣 いつごろつくかは今日のところちょっと予想がつきません。
○福田(篤)委員 これはおそらく全国民が考えておりますように、相当長い時間かかると思うので、わが方も腰を落してやる必要があると思うのでありますが、この前もマリク全権が帰りまして本国と打ち合せをしております。今度四巨頭会談を終りましたので、ちょうどいい機会でありますから、松本全権が一度本国へ帰られて、そうしていろいろお打ち合せなさる御意思はございませんか。
○鳩山国務大臣 ただいまのところそういうことを想像しておりませんが、これからの推移によりましては、松本君と会いたいとも考えております。
○福田(篤)委員 一説によりますと、河野農林大臣あるいは園田政務次官が、松本全権にしばらく帰る必要はないということを伝えにロンドンに行くといううわさがありますが、それはほんとうでありますか。
○鳩山国務大臣 そういうことはございません。
○植原委員長 福田君、あなたの時間は終りましたから、残念ながら次に移るより仕方がないことを御承知願いたいと思います。森島守人君。 〔「もう一点やらせろ」と呼び、その他発言する者あり〕
○植原委員長 もう時間がオーバーしております。時間を厳守しなければ実行できません。 〔「もう一点」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 では福田君。
○福田(篤)委員 日ソ交渉のような重大な交渉をしている場合には、やはり日本の政局が安定しておらなければむずかしいと思います。それにはやはり保守合同ということが重大な問題だと思いますが、これについて、総理の熱意なり決意を最後に一点だけ伺っておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 私はたびたび機会あるごとに言っておりますけれども、保守合同の必要性は非常に感じております。やはり国民的の後援がなければ外交はなかなかむずかしいということは、諸君も御承知の通りであります。
○植原委員長 森島守人君。
○森島委員 私は二、三点建設的な意味合いでお尋ねしたいと思いますから、明快率直な御回答を求めたいと思います。 ただいまも福田委員からお話のありました通り、外交は、国内的な関係から見れば国内政治の対外的表現にほかならない。その点から来る制約は免れない。この点から考えますと、現在行われておる日ソ交渉につきましては、これは保守合同という動きが大きなファクターをなしておることは争われぬ事実であります。松本全権が非常に心配しておるということが新聞で伝えられましたが、これも鳩山総理の御決心が保守合同によって影響せられるかせられないかという点に大きな関心を持っておるためだと私は思うのであります。この点に関しまして、今後の日ソ交渉に関する鳩山総理の明快なる御決心を御披瀝願いたいと存ずるのであります。
○穗積委員 ここで一緒に質問しておきますが、あなたの政治的な特色は、社会保障制度とそれから中ソとの国交回復だ。社会保障制度はつぶれたけれども、中ソ国交回復はまだ希望がある。ですから、それをぜひおやりになるまではやめぬでもらいたい。もし国内が不安だというなら、われわれ両派社会党はそれに関する限り早くできるように支援しますから、そういう条件を考えて、一つぜひとも保守合同なんてつまらぬことで日ソ交渉をつぶさないで、われわれ応援しますから、日ソ交渉を完成してから——どうぞ鳩山さん、それまでがんばっていただくように。それに御答弁をしていただきたい。
○鳩山国務大臣 日ソ交渉は、世界の平和を確保するためにどうしてもうまく結末を得たいと考えております。そのやり方につきましては、いろいろな方法がありましょうけれども、どうか自由党といわず社会党といわず、国民が一致結束して日ソ交渉の成功するように御後援を賜わらんことを切にお願いをいたします。
○森島委員 この日ソ交渉につきまして各方面の協力を望むというお話でございましたが、私は保守合同の問題に関しまして、自由党の立場は必ずしも民主党と一致していない。少くとも初めは交渉を開始すること自体について反対であった、しかし交渉を始めた以上はこれを助けなければならぬというふうなお考えに変ってきておりますけれども、実際の主張を見ますと、南樺太と千島の返還を含めて懸案全部の解決を見た上でなければ、国交正常化はいけないという態度をとっております。しかし民主党の態度は果してこの点で自由党の言う通りであるかという点につきまして御質問をいたしたいと思います。 〔発言する者あり〕
○植原委員長 静粛に願います。
○鳩山国務大臣 日ソの国交を戦争以前と同じように正常化に持っていきたいというのには、いろいろたくさんの問題がございますけれども、日本の政府の行き方としては戦争前の状態に持っていきたいというのを目的として、日ソ交渉をやっているわけでございますけれども、どういうところで日ソ交渉の平和条約を結ぶかということにつきましては、これは諸君とよく相談をして、最後の断を下したいと考えております。
○森島委員 ただいまのお話を承わりまして幾らか私は安心したのでございますが、次にお伺いしたいのは、ソ連の提案、これは正式の説明はなかったですが、ソ連の提案の中には、日本が軍事同盟を締結しないという条項がございますが、この点に関する総理の明快なる御見解を私は承わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 侵略戦争といいますか、あるいは国際紛争を戦争によって解決するといいますか、とにかく自分の国土を守るという自衛のための戦力以外には、日本はどうしてもそういう戦力を持つことはできませんし、そういうようなことを考えるべきではないと考えます。従って自衛の目的以外の軍事同盟には日本は入らないというつもりでございます。
○森島委員 ジュネーヴの巨頭会談は別に成果は上げませなんだ。しかし四大国の間に存在する不信と猜疑の念を除き得た点は、今後の交渉に非常に期待すべきものがある。必ずや続いて来たる外相会議その他において一段の進歩をすることと私は存じておるのでございます。これらの状態を前にいたしまして鳩山首相としては、ソ連の問題も必ずこれから影響してくるのでございまして、私はもっと明快にお尋ねいたしますが、南太平洋条約、もしくはダレスが日本に強要しておりました李承晩と蒋介石、日本とを結んで同盟条約を結ぶ、この三国同盟等については、私はこれを御締結になる意図はないものと確信いたしておりますが、その点はいかがでございますか。
○重光国務大臣 現在の状況においてそういうことが問題になってはおりません。従って考えておりません。
○森島委員 私は現在の問題ばかりでなしに、今後発展せんとする国際政局に関連しましてお尋ね申し上げたいのでございますが、見通しといたしましては、いかにお考えになっておるか、この一点を伺いたいと思います。
○重光国務大臣 世界政局の見通しといたしましては、おそらくゼネヴァに開かれておる四国会議の結果について、関連しての御質問であろう、こう考えます。四国会議の結果は的確にまだ判断をするだけの資料が全部集まっておりません。ずいぶん骨折って、刻刻そういう情報はほとんど集まっておりますが、全部まだ完了いたしておりません。しかしながらこれを全体的に申せば、世界の情勢が緊張緩和の方向に向っていっており、初めからそういう期待を持っていた。その期待は相当実現し得るものと見通されます。従いましてそれは世界情勢、極東もしくは東アの方面にも、むろん間接ながら好影響を持つものだ、こう考えております。
○森島委員 ただいま重光大臣の御説明によって、国際緊張は緩和する方向に向っておる。私は日ソ交渉もこの点から考察すべきものだと思うのですが、現在のやり方は四つに取り組んだまま動きがとれぬ。ソ連は基本的な、原則的な要求を出しておりますが、私はこの点においてソ連の提出しました軍事同盟を締結しないという原則に関しまして、南太平洋条約という、あるいは三国同盟等を締結しないという方針を日本で宣明しない限り、交渉の前途は憂慮される、こう思うのでございまして、この点につきまして時間もありませんから、私はこれで打ち切りますが、政府においても十分大局の見地から考慮を払われんことを要請いたしまして、質問を打ち切ります。
○植原委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 簡潔にお尋ねいたしますが、四巨頭会談は、もとより関係四国だけの問題ではなく、全世界の戦争か平和の問題を論じたわけです。特に原爆問題を中心とする軍縮等、東西交流の問題は、われわれにとりましても重要な議題であったわけですが、当然日本政府としては、日本のアジアにおける立場から考えて、これに対して意思表示すべきであったと思うのですが、どういうわけで意思表示をちゅうちょされたのか、その理由を伺っておきたいと思います。総理からお願いします。
○鳩山国務大臣 ジュネーヴ会議の影響が非常に大きく、そしてあれの成功が日本にも非常に有利だということは当然なことでありまして、ある機会において日本政府の考え方を、ジュネーヴ会議あるいは国民に対して声明をする必要があると考えておりましだが、幸い国会でも質問応答がありまして、政府の態度またジュネーヴ会議に政府は非常なウエートを置いているというようなことも明らかになりましたから、特に声明する必要がないと思いまして、声明を出すことをちゅうちょしたのであります。やめたのであります。
○穗積委員 しかるにあなたの内閣の外務省当局は、ジュネーヴ会議に臨む前に、アメリカ使節に対して日本の立場、またはアジアの問題について日本の意思を託しておられるのは一体どういうわけですか。当然独自でやるべきであったと思うのですが……。
○鳩山国務大臣 外務大臣から……。
○重光国務大臣 アメリカに何も日本の政策を託したことは少しもございません。しかし日本としてはこの会議を重要視して、その成功を期待するという意思表示はいたしております。これは公然いたしております。これは当然のことだと思います。
○穗積委員 その問題については、私はその態度やり方について問題がありますが、これは後に外務大臣に時間をいただいてお尋ねいたします。 総理に続いてお尋ねいたしますが、特に今度の四巨頭会談で、今申しました原爆禁止の問題、それから東西交流の問題について、首相のお考え方を聞きたい。たとえばわれわれだけではなくて、日本の保守陣営に属してこられた久原房之助さん、この方は現在日ソの国交回復の国民会議の会長をしておられますが、この方も四巨頭会談を前にいたしまして、アジア軍事基地から攻撃武器をすべて撤去する、攻撃武器を持っている軍事基地は各国の軍隊ことごとくこれを撤去すべきであるという意見を持っておられた。これは単にあの人個人の意見ではなくて、日本国民の要望する意見だと思うのですが、こういうことに対する総理の考え方はどうでございますか。
○鳩山国務大臣 私は今度のジュネーヴの会議も、戦争を目途として戦争の武器の製造の競争をするということは耐え切れない問題だというので、ジュネーヴ会議というものが起きたものと思います。それですから戦争を予期して、戦争のための競争は一切避けるのがよろしいというような大体の考えだと思っております。たとえば原爆基地、攻撃のために原爆を運ぶような基地は日本には作らない方がいいという考えでおります。現に日本においての基地拡張についても、原爆をキャリーしていくというようなための飛行機の基地の拡張は日本ではありません。原爆を運び出すような日本に基地を持つことについては、政府としては反対であります。これは明らかに申し上げておきます。
○穗積委員 来たる八月六日に広島で、この悪い記念日を卜しまして原爆禁止の世界大会をやることになっております。これは党派を超越して人道的な立場で広く世界各国の参加を求めてやるわけでありますが、あなたはこれに対しても賛意を表せられ、これに協力を約しましてメッセージを贈っていただくことも約束をいただいております。そうしますと国交回復、国民会議が中心になりまし国民の世論をまとめまして、アジアの諸地域から攻撃武器を一切撤去する、そういう基地をなくすという趣旨については賛成と理解してよろしゅうございますか、イエスかノーをもってお答えを願います。
○鳩山国務大臣 もとより賛成でございます。反対する理由は一つもあるはずはありません。
○穗積委員 この問題に関連して後に外務大臣にお尋ねいたしますが、最後にもう一点お尋ねいたしたいのは、先般インドのメノン国連代表がアジア問題について非常にアジアの平和を守り、かつ日本の立場も将来有利になるような東西交流の問題についても発言をしようとする準備を進めております。こういう空気でございますから、この四巨頭会談を契機といたしまして、一方においては日ソ交渉を進められるとともに、アジアにおいて一つ中国なりあるいはインドなり、その他平和を愛する政権の人々と話し合って、アジアの平和をいかにして守るか、アジアの後進地、遅れました経済的復興をどうしてやるかというような問題を提案されながら、独立外交としてアジア会議を平和と経済回復のためにお考えになるべき時期が来たのではないかと思うのでありますが、そういうお考えはございましょうかどうか、ぜひそういうお考えをお持ちになるようにお勧めいたしながらお答えをいただきたいのです。
○鳩山国務大臣 考え方としては、当然にそういうことをやらなければならないように考えます。
○植原委員長 松岡駒吉君。
○松岡(駒)委員 総理は穗積君の質問に対して声明をなされなかった理由をお述べになりましたが、私はこの四大国の首脳者会議に対して、日本の総理が何らこれに対して声明されるところ、言及されるところがなかったことをはなはだ遺憾とするものであります。このことはすでに御答弁のあったことであるからそれとしておきまして、声明は何らなされなかったが、あるいはアメリカ、インド、イギリス等、日本との国交の回復している国々を通して、この四大国の首脳者会議に日本の国の平和についての希望、意思を通ずる道をおとりになったかどうか。特に四大国の会議ということに限定されておりますので、アジアにおいてアジアを代表するような今日立場にあるインドも、これに対しては何らの発言権を持っていない。従いまして、インドの国際的な今日の地位にかんがみて、インドとの間に協議をなさるというようなことの必要があったのではないかと思いますが、そういうことについて何らの外交的な手段、方法をお講じにならなかったのであるかどうか、その点をお聞きしたいと思うのであります。
○重光国務大臣 先ほど申し上げました通りに、世界の情勢はかなり動いておるという考え方を持っております。従いまして、これに対処する方法については、用意周到にいろいろ考えもし、措置もしなければならぬと考えております。しかしながら、今日の場合においては四国会談の経過、その結果等も十分に見きわめて手段をとるのが順序であり、またそれが最も適切である、こう考えるのであります。そこで直接日本の関係することを許されておらぬ四国会談の開催前に、いろいろ日本から思いつきをもって、外交的措置を各国に対して世界全局の問題についてとるということは私は差し控えたのでございます。しかし日本としては日本の利害関係は守らなければならぬ。四国会談において日本の利害関係に関係する事項が討議されるときには、これは日本としては当然これに対して意見を聞かれなければならぬ立場にある。そこで関係国に対しては、日本に関係する事項がこの会議に取り扱われることのありやなしや、またないとしても間接にそういうことに影響するととがあるならば、十分にこれは通報は得たいということを申し入れておるわけでございます。さようなことは一般問題として、議会を通じ、また私の声明によりまして、日本がいかにこの会議に関心を持っておるかということは、だれも、どの国も十分にわかるような処置をとった以外にさような方法をとったわけでございます。まずそれで日本としては適当な行動であったろう、こう判断をしておるわけでございます。十分に一つ御批評を願いたいと思います。
○松岡(駒)委員 ただいま思いつきというお話がありましたが、四大国会議は必ずしも突如として行われたのではなくて、思いつきではなくて、日本の置かれておる国際的地位にかんがみて、この四大国会議の開催されるに際しましては、十分な研究と調査に基いて、日本政府として直接に出ていって発言はできなくても、日本政府の希望するところ、日本政府の考えておるところ、これを強力に反映せしめるような工夫があってしかるべきだったと思うのであります。従いまして、今日の新聞によれば、四国首脳会談というものが早急に打ち切られて、やがて秋に外相会議が開かれるということを新聞は報道しておるのでありますが、将来といえどもそういう方針でお進みになるつもりであるか、ただいま私が御質問申し上げておるような点につきまして、十分にその外相会議に日本の意思の反映するようなことのために御努力なさる御意思があるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
○重光国務大臣 その努力を怠らぬようにいたしたいと考えております。
○松岡(駒)委員 先ほど森島委員からの御質問のうちにもありましたが、外交は国力の反映でもあり、国内事情というもの、国内の体制が整備されない限りにおきましては、外交も有効にこれを行うことができないであろうと思うのであります。鳩山内閣の対ソ外交につきましては、あまりに甘いという批評がある。しかしながら、いやしくもソビエト・ロシアを相手にして国交を回復せしめんとするときに当りまして、お前の国をおれは大へん疑っているんだが、何とか話し合いをしようじゃないかというような態度で話ができるとは考えませんから、政府当局のその点においての苦心のあることも十分常識上判断できることであります。従って甘い甘いということをのみ指摘いたしまして、ともすればこれがために国論が分裂するがごとき傾向を示すことは、この際考えなければならないことである。同様にまた本来ロシア相手ばかりではなくて、いずれの国に対しましても、いわゆるべたほれ的な、ことごとくこれを信頼いたしまして外交ができるという今日の国際情勢にはないことは、何人もまた同時にわかっておることであると思うのであります。従って今度の四大国会議におけるアイゼンハワー大統領のあの思い切った提案にいたしましても、かねてわれわれも主張し、アメリカも常に主張しておった通り、原爆の問題につきましても、査察を伴う国際的な強力な監督制度——査察を伴うことなくして原爆をやめるというようなことは、言うべくして効果のないことである。こういう見解は、すなわちこれは、ある程度の警戒と、そうして和協の精神をまことに適当に調整されたところの、しかもその範囲における思い切った発言といたしまして、全世界がこれを歓迎しておるものと、私はかように考えるのであります。ひるがえってわが国の現状を見まするときに、わが国は内政上幾多の欠陥があります。ソビエト・ロシアとの国交を回復するということにつきまして、自由党の諸君が非常に心配される点もその点にあるのではなかろうかと、私は立場は違ってもある程度の気持はわかるのであります。従って日ソ国交の回復ということを考えますときに、総理は、今日の日本の内政が果してこれでいいかどうか、今日の状態でいいとお考えになりますか、この点をお聞きしたいのであります。
○鳩山国務大臣 日本でこういうような民主政治が始まってからまだ時を経ておりませんので、現在の民主政治の行き方ということには、どうしても不満の点が非常に多うございます。けれども、大体において戦争に敗れた後の国としては、この短期間において、十年の間によくもここまで来たとも考えることもできようかと思うのであります。とにかく戦争に敗れた後の国というものは、大てい革命がありまして、あるいはファッショになりあるいは共産主義になる。両方ファッショに違いないけれども、大ていファッショになっている。共産主義かあるいは右翼的の政治になっているか、いずれにしてもファッショになっている。そういうようなのを避けつつここまで来たということは、満足できなくても、満足に近いものと思ってもいいように思うのであります。どうかこの際に、民主政治というものはどういう行き方でいかなくてはならないかということを国民が認識をして、そうして健全なる民主政治の発達をすることを、私は心に非常にこいねがっておるわけでございます。
○松岡(駒)委員 あまりに総理の答弁は抽象的で、私は大いに不満であります。私はそんな抽象的なことをお尋ねしておるのではない。日本の今日の国民生活は、総理も指摘された通り、戦争に敗れた国の多くが、あるいは共産主義政権のもとに、あるいはファッショ的ないわゆる全体主義政権のもとに、奴隷的な、はなはだ自由をじゅうりんされた生活に甘んじなければならないような歴史上の事実は、われわれはよく知っております。しかしながら日本の国民は、それらの国の国民とは——これはいささかいい気なものの考え方かもしらぬが、それらの国とは違うのでありまして、今日になったこと、必ずしも総理がそんな甘い考えで、十年の間にここまで来たからけっこうだというような考え方をされることは、私は大いなる不満がある。十年間の政治があまりに非能率的であった。ここで一々議論をすることは私は差し控えますが、もう少し大切な急所を押えて、国民の生活の安定を期する道はあるのであります。いたずらに少数の人々の利益が擁護されまして、多数の国民の利益というものは無視されておる。私はきわめて単純な階級的な感情をもってこんなことを言うておるのではない。その財政政策、金融政策において、特に著しいものがあるのであります。そういう点に心されるならば、日本の国内の治安状況というものも今日程度以上に、外から機をうかがうものがありましても、微動もすることのない日本になることができたと私は思うのであります。まだまだこの程度ではなく、日本の経済の自立性は、もう少し進展しておったであろうということを私は確信いたすのであります。それについてもう少し総理は明快な答弁を願いたいのであります。
○鳩山国務大臣 私は、とにかく現在の政治について満足をしておりません。この窮迫せる政治の危機を救うのは、とにかく手始めに、健全なる保守の合同ができることをまず考えなければならないと考えております。
○松岡(駒)委員 そういうものの考え方では、あなたの……。 〔「不公平じゃないか」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 戸叶さんの時間を食べていわるけですから……。
○松岡(駒)委員 これは私の方の中のことです。——もう少し明確にしていただきたいのであります。戦争以来石炭の傾斜生産、あるいは造船に対し、肥料に対し、鉄鋼に対し、国は惜しむところなくこれを援助いたしました。もっともそれが基幹的な産業である限り、これを立て直すことによって日本全体の経済を立て直そうというのでありますから、一応肯定できることであります。かくて立ち直ったそれらの産業というものは、国の援助と保護だけを受けて、あとは、端的にいえばもうけほうだい。ちょっとした問題にぶつかると、直ちに今日のごとき状態になっておる。その間、彼らは高率の配当を自由にし、政府またこれに対してその製品の価格を何ら規制しようともしない。こういうことをやってきたことに対して、鳩山首相は何ら反省されることはないのですか。こういう調子でいいとお考えになられるのですか。議会の運営が民主的に行われることは大切なことであるに相違ないが、この種の問題について、こういうことをやっておったから日本の再建は能率が上らなかった。こういうことをやっておったから、ソビエトとの交渉においても、内部に弱みを持っているから十分な交渉ができないのである。こういうことについての反省がないのでありますか。私がこういうことを先ほどから申し上げている理由は、ソビエトに対しては、率直に言えばある程度の警戒と和協の精神をもってこれを扱うべきであり、その警戒心は、さっき言うた通り、総理の甘いといわれる態度で今日の段階においてはけっこうだと私は思っている。しかし国内の政治においては、ただいま申し上げるような点においてこれを努力されることが、すなわち警戒と和協の精神とを適当に使い分けすることが、最も賢明な道であると私は確信するから、かようなことをしつこく聞いているのであります。
○鳩山国務大臣 このたび政府が提案いたしました経済上の諸法案は、日本の経済自立のため、貿易の振興のために必要だと思って提出いたしたのであります。この時代においてやむを得ない諸法案であると考えております。
○植原委員長 岡田春夫君。
○岡田委員 私は小会派なので時間が十分以内に制限されておりますから、簡単にお答えを願いたいのですが、まず外交政策の基本をなす国内の問題で、これは前提として簡単にお答えを願いたいと思うのですが、今度の国内はもうあと一週間に迫っておりますし、政府が提出いたしました法案は、いまだに相当山積をいたしております。そこでこのような状態において今後政府としては、重要な法案についてこの国会内においてどういうように処理されるつもりであるか。そして処理されない場合においては、どういうように政府の責任をおとりになるか。あるいはまた臨時国会の問題が伝えられつつありますが、この点について政府の所見はどうであるかということを、簡単にお答え願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいま政府としては、諸法案の通過を期待しております。それが通過しないということが確実になりましたときは、その際に政府は考えたいと考えております。
○岡田委員 それは臨時国会を考えるというお話ですか。
○鳩山国務大臣 そうです。最後まで延長せずに通すべく努力をいたします。
○岡田委員 それでは、時間の関係で外交問題に移りますが、巨頭会談の問題です。巨頭会談によって、新聞紙上においても伝えられるように、軍縮問題については相当四国間における話し合いが進んで、少くとも観念上においては、軍縮問題については一致の点が相当出てきているようであります。たとえば、ソ同盟、アメリカ、中華人民共和国は大体常時軍備を百万から百五十万にする。あるいはまた英仏の両国は七十五万以内にとめる。こういうような点まで話し合いが大体できているようでありますし、これら五国以外の国に対しては、十五万から二十万以内の線で常時の兵力を軍縮の方向へ切りかえていく、こういう話まで具体的に出ているようであります。そこで総理大臣にお伺いしたいことは、それにもかかわらず日本においては、自衛隊の軍備をどんどん進めている。この点について、現在の段階としては矛盾を感ずるような状態になっていると私は感じますが、巨頭会議でこういう軍縮問題が取り上げられているということになって参りますと、特に防衛六ヵ年計画によると、日本の六ヵ年後の軍備の状態は大体二十六万程度になるというように伝えられております。そうすると、四巨頭会談において話の出ておりましたように、五つの国以外においては十五万ないし二十万に押えるというようなお話が出ている場合において、日本の再軍備の構想を再検討する必要に迫られていると考えるが、この点についてはいかにお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 軍縮の事実がジュネーヴ会議できまりますれば、もとよりそれによって日本の軍備の形についても再検討をする必要ありと考えております。
○岡田委員 これは先ほど穗積君が触れた問題でありますが、アジアの緊張緩和のためにアジア諸国の首脳会談を持ってはどうか、こういう点について穗積君から質問もありましたし、この間参議院の委員会における質問にあなた御自身も答弁をされております。機会を見てこれは持ちたい、こういう答弁をされております。それからまた国際的にも、ビルマのウ・ヌー総理大臣に対して、あなた御自身からアジアの緊張緩和のためにアジア諸国の首脳会談をやりたいということを提案されたと伝えられておりますが、こういう事実がありますかどうですか。そしてこういう点について積極的におやりになる考えがあるかどうか。 第三点は、こういう会議をやるためには、アジアの緊張緩和のためには、当然中国と——中国というのは中華人民共和国でありますが、中国とソ同盟がこの会議に参加しなければ、緊張緩和のために役に立つ会議にならないと考える。この中ソ両国が参加するということが前提条件であると考えるけれども、この点についてはいかにお考えになりますか。
○鳩山国務大臣 アジアにおいても戦争状態終結のために努力しなくてはならないことは当然でありますが、会議を開いたからといって、その会議が円満に結実をするというような見通しがつかなければ、私はできないと思う。たとえば韓国などにおいて、ただいま北と南と一緒に集めて、そうしてよき結果の話し合いができるかということは想像ができません。また中国においても、台湾政府と中共政府とを一同に集めて話が結実をするとも考えられません。そういうような諸情勢がありますから、成功しそうな会議でなければむしろ開かない方がいいと考えておりまして、ただいまのところでは、アジアにおいてそういうような目的を持つ会議を開くということを考えておりません。
○岡田委員 そうすると、この前参議院の予算委員会で答弁されたことは、機会を見てこれをやりたいと考えている、こういう意味のことを言っておられたということは、現在のところ考えておらない、こういう意味にあなたは現在訂正されたと私は解釈してよろしゅうございますか。
○鳩山国務大臣 いや、そういうような目的を持って進行したいと考えおります。
○岡田委員 あと一分ですから簡単に言いますが、当然そういう会議には中国、ソ同盟が参加しなければ緊張緩和のためにならないと思いますが、この点についてはいかがでありますか。 それから時間がないので一緒にお答えを願いたいと思いますが、先ほどからやはり穗積君の質問に答えて、原爆の使用禁止について非常に傾聴すべき御意見があったわけでありますが、巨頭会談においてソ同盟からこういう提案が行われております。原爆の使用禁止については二段階に分ける。第一段階は、現在のところ少くとも侵略があった際に自衛する場合であって、しかも国連の安保理事会の決議による場合だけは、原爆の使用をやむを得ないと認めるけれども、それ以外の場合には絶対に認めない、原爆の使用をさせない、こういうことを申し合せしようではないかという提案があったわけであります。この提案は、日本のように原子爆弾を再三受けておる国としては、当然過ぎるほどの提案であると考えますが、鳩山総理大臣はこれについていかなる御見解をお持ちになっているか。第一点は、緊張緩和のために会議を開くとするならば、中ソ両国が参加すべきであるという点、第二の点は今申し上げたような原爆使用禁止に対するソ連の第一段階に対する見解、この二つについてお伺いをいたしたいと思います。
○鳩山国務大臣 中ソが参加するのは当然ではないかと思います。当然のように考えます。それから原爆の禁止の方に一歩前進することは、国民として非常に喜ぶべきことだと考えております。
○岡田委員 今のソ連の提案の第一段階については、どういうようにお考えになるか。
○鳩山国務大臣 原爆の制限を期するという……。
○岡田委員 賛成だというのですか。
○鳩山国務大臣 賛成です。
○岡田委員 賛成という意見を伺えばけっこうなんです。
○植原委員長 これより外務大臣に対する質疑を通告順によって許します。大体理事会においての時間のこともありますから、時間は各自十分ということをどうか厳守していただきたいと思います。並木芳雄君。
○並木委員 私は最初に外務大臣に対して外遊についてお尋ねをいたしたいと思います。 重光外務大臣のアメリカ訪問その他の外遊については、私は先般来ぜひ実現をしてほしいという要望を通してきたのでございますが、昨今ようやく本ぎまりになったように伺っております。そこでよい機会でございますから、本日外務大臣からいつごろ日本を立ってどことどこの国を訪問されるのか、そして訪問されました場合の一番おもな題目はどういう事柄であるか、そういうことについてわかっておる限り、発表していただきたいと思います。
○重光国務大臣 私の渡米の問題は、御承知の通り従来いきさつがございまして、米国側は、十分時間の余裕をもって前もって準備をするならば、いつでも歓迎するという立場をとっておったわけでございます。そこで寄り寄りそういう話がございまして、ゼネヴァ会議の後が一番時期はいいという話もございました。しかしまだ公式には打ち合せをしておるところまで参っておりませんが、大体非公式にさようなふうに向うの意見を聞いておりますから、その向うの都合のいいときに、一つ日米全般の問題について、現内閣も相当な時日を経ておるのでありますから、十分意思の疎通をしていきたい、こういう考えでございます。日程等はこれからきまることになります。大体九月の半ばごろには行きたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○並木委員 大体九月の半ばごろで、アメリカに滞在する予定はどのくらいでございますか、二週間、三週間あるいは一カ月。それからまたアメリカ以外の国は訪問されないのですか。
○重光国務大臣 実はまだ今申しておるような段階でございまして、そういうことをはっきりと予定をする運びに至っておりません。議会に専念いたしておりますものですから、つい余裕がございません。一つ議会が済みますれば、すぐそういうことに着手をいたしたい、こう考えております。大体一週間くらいおればいいのじゃないかと思っております。
○並木委員 私は、一方において日ソ会談が行われておるときでございますから、外相の渡米は非常に有意義であると思います。まして前回、外相渡米が実現しなかったときに、いろいろの揣摩憶測が行われたあとでございますから、この機会に渡米して、双方の意思の疎通をはかり、また事実誤解があるならば、その誤解を解いてきていただきたいと思います。当然今度の訪米については、日ソ会談の議が中心になると思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 まだ向うとの話し合いの内容は、何も申し上げる時期に達しておりません。と申しますのは、そこまで準備が進んでおりませんから、いずれだんだんと準備をいたす考えでおります。
○並木委員 日ソ会談とこのたびの四巨頭会談との関係でございますが、その中でソ連のブルガーニンから提案がありました課題に私は注目したのでございます。それは安全保障のために、ある外国の軍隊がある外国に駐屯をしておる場合には、現段階の限度においてはとりあえずそれをフリーズしよう、認めていこう、今後については別途に考えるというような点でございます。これは私一番心配しておったのでございますが、日ソ会談と日米安全保障条約との関係でございます。この論議でいいますと、これはもちろん西ヨーロッパに適用するための議論ではございましたが、緊張緩和という方向をとっておる、間接に東亜にも好影響があるという先ほどの外務大臣の御答弁でもわかります通り、日ソ会談に影響があると思うのです。結局私は、日米安保条約というものは、現存しておっても、日ソ会談の成立には支障を来たさない、現段階においてはこれを認めてよろしいというふうに、ソ連の方で考え直してきたと思っていいと思うのですが、この点外務大臣どのようにお考えになりましょうか、お尋ねをしたいと思います。
○重光国務大臣 その点は、日ソ交渉の進行につれて、はっきりしてくることじゃないかと考えております。
○並木委員 ただいま私が考えたように、外務大臣としてもお考えになっておられましょうか、私はそういうふうに善意に、また好都合に考えたいのでございますが、いかがでございましょうか。
○重光国務大臣 その点は、私から今はっきり観察を申し上げるわけには参りません。ただ日本の方針としてははっきりいたしております。それは私が日ソ交渉を始めるときに、国会に対して御了解を得たと思っております、その方針に従うのでございます。
○並木委員 それともう一つ、時間がございませんから、端的にお尋ねいたしますが、緊張緩和の方向に向いてきた、それが東亜にも間接ながら好影響を与えるであろうという御答弁をいい口実にして、だから日本はもう軍備はそんなに要らないんだという議論が出てくるのではないかということを私はおそれております。だから日米安保条約も早晩撤廃したらよかろうという議論が出てくることをおそれるのであります。現に行われております基地の飛行場拡張の反対の運動などにからんで、この問題が必ず私は取り上げられてくると思うのであります。そこでこの際はっきり外務大臣からお聞きしたいのは、四巨頭会談の話し合いにもかかわらず、日本の自衛力整備というものは、いまだその段階に来ておらないのだ、まだまだ充実すべき必要があるのだということでございます。ことに先ほど御質問があった中に、軍縮の結果、日本は情なくも十五万程度で押えられてしまうのじゃないか、一等国が百五十万、二等国が六十万、日本は、三等か四等が知りませんけれども、情ないかな、十五万のグループに入れられてしまうらしい、そういう点は私どもとしてはとてもがまんができないのでありまして、現在でもまだ十五万という数字に達しておらないのでありますから、日本は、この緊張緩和の方向にもかかわらず、まだその限界に達しておらないのだ、なお必要である、安保条約も破棄する段階ではないのであるというような点について、はっきり外務大臣から見解を披瀝しておいていただきたいと思います。
○重光国務大臣 私は、日本と申しますか、独立国の一国としての自衛軍備は、その国が自衛のために必要であるとすべての状況から判断をして、自主的にこれは決定すべき問題だ、こう考えております。しかしながらその自主的に決定をする場合におきまして、世界の情勢、特にその国の置かれておる地域の情勢ということは、広くかつまた的確に判断をして考えなければならぬ、こう考えます。従いまして四国ゼネヴァ会談のごとき世界情勢に大きな影響を与える会議が今あるのでありますから、これらの会議の推移を用意周到に観察をして、またその結果を十分に見きわめて、そうしてさような判断を自主的にすべきだと考えております。日本はそうしなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
○植原委員長 福田篤泰君。
○福田(篤)委員 先ほどの外相の渡米の目的の問題ですが、重光外相は向うへ行ったら、戦犯の話もしたいということを非公式にちょっと言われたことがありますが、非常にけっこうだと思うので、この戦犯の釈放の問題について当然お話になることと思いますが、この点外務大臣からお伺いしたいと思います。
○重光国務大臣 もちろん、この問題には当然私は触れていきたい、こう思っております。
○福田(篤)委員 締結以来相当年数もたっております、客観情勢もだいぶ変っておりますので、本日のある新聞にも出ておりますように、行政協定の改訂は当然議題になると思うのでありますが、この点についてお話し合いになる準備ないしお考えがございますか。
○重光国務大臣 まだ、先ほど申します通りに、実際の予定、準備は著手するいとまがございません。ございませんが、議会終了後間もなく具体的に一つ着手をしてみたい、こう考えております。 そこで日米関係の重要な問題には、行政協定の問題等がむろんございます。これについては国会においていろいろな御議論が出ました。これらのことも十分頭に置いて、一つ検討をいたしてみたい、今こういう心がまえに思っておるのでございます。しかしどこまで検討の結果どうすべきかということは、まだ何も考えておるいとまのないことをここで申し上げます。
○福田(篤)委員 かねがね鳩山総理また重光外相は、超党派外交をいつも唱えられておる、この前の松本全権が出発される前にも、各党を訪問されたのでありますが、あれはいかにも形式的な儀礼的なものに終ってしまってまことに残念でありますが、今度のアメリカ訪問は重要な意味があると私は思うので、この点について、たとえば自由党なりあるいは他党に、事前の連絡なりあるいは打ち合せするというようなことを、お考えになっておりますか。
○重光国務大臣 まだそこまで考案が進んでいないことは、先ほどから申し上げる通りでございます。しかし私は、かねがねから皆さん方にお諮りしておる通りに、外交問題はぜひ国家的にやっていくべきものである、私の心がまえといたしましては、常に超党派的にこれを考えて進んでいかなければならぬ、こう申してきておるわけでございます。その気持には変りはございませんことを申し上げて、いろいろ一つ準備のことも考えてみたいと考えます。
○福田(篤)委員 先ほどアメリカに行った場合には、当然戦犯の話をしたいというお話がありましだ。戦犯の問題で今日ソ交渉で一体日本側は、何人と数を押えてソ連側と交渉されておりますか。一説によりますと、日本側はいわゆる一般引揚者と区別した戦犯的な者を千四百名、先方は千三百名と主張しているといううわさがございますが、外務省の発表によりますと大体ソ連の方にまだ一万二千名いるという発表もありますので、大体どういう数を基準として、日ソ交渉で戦犯あるいは一般抑留者の引き揚げについて交渉されておりますか、数を一つ御発表願いたいと思います。
○重光国務大臣 日ソ交渉においてまっ先に取り上げました未帰還者の問題について今御質問があったと思います。これは戦犯も入っておるわけでございます。その数字についてはすでに国会に対してはっきり私は申し上げたと思います。その数字が日本政府として持っておる数字でございます。それとソ連の今日まで提出した数字とは開きのあるということも、詳細に報告をいたしております。それによって御承知おきを願いたいと考えるのであります。
○福田(篤)委員 発表が非常にばく然とした場合がありますので、この委員会で、ちょうどいい機会でありますから、わが方の主張と先方の言い分、人数を数字において御説明をいただきたいと思います。
○中川(融)政府委員 日本側の調査によりますと、いわゆるソ連側で申しております戦犯者のほかに、なお若干名の生存の確かな者というのがございまして、大体千四百名がソ連地区に確かに生存しておるという証拠があるのでございます。それ以外に約一万名に相当する人が、行方不明と申しますか消息不明になっておるのでございます。この一万名もこれは消息が不明であるから、これを調べてもらいたい。これらはすべて氏名までわかっておるのでございます。これに対しましてソ連側は、御承知のようにいわゆる戦犯者としてソ連に抑留いたしております千四十七名という者しか承知していないといっているのが現状でございます。
○福田(篤)委員 私も復員局に行って調べたのでありますが、外務省の中川さんの言われた数字は相当的確な根拠があるという日本側の主張である。ソ連側は一万前後の氏名のわかった分ですら全然誠意を持ってこれに処しない。これは重大な問題でありますので、この場合には日本政府として、もし先方がこれを否認しておるような場合には、どういうような考えでこれに対処せられるつもりであるか、これはわが同胞の重大な問題でありますので、この点についてお答えを願いたいと思います。
○重光国務大臣 それは今ロンドンで交渉中のことで、ソ連も十分調査をするという返答をいたしておるわけでありますから、その交渉の経過を待って考えなければならぬ問題であります。
○福田(篤)委員 これは根拠があるのでありますし、氏名もわかっておりますから、あやふやな相手の回答でごまかされないように、この点は時期が来ましたらはっきりと国民の前に御発表願いたいと思います。 それから今行監において問題になっておりますいわゆる教科書の問題でありますが、私も見て驚いたのでありますが、尋常六年の社会科の「あかるい社会」の一節の中の、日露戦争のことを説明しておる中で、いわゆる日本の侵略政策の結果あの戦争が起った云々と述べておりますが、問題はこの日ソ交渉に関しての問題であります。というのは、戦勝の結果日本は千島と南樺太を得たというその南樺太の下にカッコ書きをいたしまして、現在のソ連のサハリン州と書いてある。これはあたかもソ連が勝手に自分の領土に編入したことを既定事実のように認めまして、われわれの子弟に教育しておるという重大なことを私どもは発見して驚いたのであります。このようなことは、私どもは民族的な要望として当然その返還を要求しておるのであります。これは文部省検定でありますが、民族的要望に対する重大な問題と思いますので、外務省といたしましてはこれについて何らかの御処置をとられる考えがあるかどうか。これが事実でありますならば、その場合この教科書の改訂あるいはその他の問題について、何らかの処置を講ずべき責任があると思いますが、どうお考えでありますか。 〔「地図の色の塗りかえだ」と呼ぶ者あり〕
○重光国務大臣 それは過日も南樺太の色の塗りかえの問題を提示せられたわけであります。現在ソ連の樺太州というところがあるということについては、そこまで意義づけるべきものであるかということについても非常に議論があるかもしれません。あるかもしれませんが、御指摘のことでございますから、私は文部省とも特にこの問題について検討をし、話し合いをしてみたい、こう考えております。
○植原委員長 細迫兼光君。
○細迫委員 日ソ国交の回復を目ざします日ソ交渉の問題、なかんずく領土問題につきまして質問をいたしたいと思います。 かねて外務大臣は、衆議院本会議その他におきまして、日ソ交渉に当っては、領土問題を含めて、漁業問題、通商問題、未帰還者の問題、その他諸般の問題をもすべて議題とし、請求すべきものは請求する、こういう御発言でありました。この中の領土問題でありますが、過日予算委員会におきまして社会党の河野君も若干触れておりますが、この領土問題というのは、すなわち千島、樺太の問題でありますが、それは何もかも要求すべきものは要求するといって、百般のものを網羅的に主張することも、これは外交手腕上あるいはよいことかも知れません。でありますが日ソ交渉がこう具体的になりました段階においては、もう少し慎重に考える必要があると思うのでありまして、日本の主張はあまりに非常識じゃないかという非難を受ける事柄がありますと、ほかの中心的な目標までもが、その他のわが方の主張までもが、悪影響をこうむるというような関係もないではないと思うのです。すなわち千島、樺太について申しますれば、サンフランシスコ平和条約におきまして、日本はその請求権を放棄いたしておる。これは国際上の明白な事柄である。とすれば、純法律的に申しますれば、日本にはすでに回復請求権なしといわれても仕方ない状況にあるのじゃないか。これを含めて日ソ交渉において強く要求するということは、考えものではないかというように考えるのでありますが、この点についての御所見はいかがでありましょうか。
○重光国務大臣 私は従来日ソの国交回復の際に、日ソ間に横たわっておる全部の問題を解決しなければならぬと申したことは決してございません。私は日ソの間に横たわっておる、特に戦争によって生じた重要な問題は解決しなければ、平和を再び打ち立てることはできない、でありますから重要な問題は話し合いをして十分妥結した上で、国交の正常化回復という段取りになるのだということを申し上げております。そしてそれではどういう項目がその交渉の題目になるべきものであるかという点につきましても、私と申しますか、日本政府の考え方ははっきりと申し述べて、その点においては私はむしろ国会の御了解を得たと思っております。それについては領土問題のあることは言うまでもございません。 そこで領土問題に入りますが、今のお話によりますと、領土問題では、南樺太及び千島はサンフランシスコ条約によって日本がすでに権利を放棄しておるのだから、ソ連に対しても要求しない方がいいのじゃないかという御意見、またそういう意見もあるというお話かもしれません。これはソ連の意見であります。ソ連はそう言うのであります。しかし私は必ずしもソ連がそう言うからそうとは考えておりません。サンフランシスコ条約によって日本が権利を放棄したということは、サンフランシスコ条約にはっきり書いてあります。しかしソ連はその放棄したものを受け取りたくないという頭でもって、サンフランシスコ条約に調印を拒絶している。ソ連は受け取りたくないというふうに解釈するのは行き過ぎかもしれませんが、日本の権利の放棄をソ連が認めておるわけではございません。これは条約上当然の解釈であります。そこでこれらの南樺太及び千島の問題も、日ソの間においてはまだ結末を得た問題ではございません。これをどうするかという結末がついておる問題ではありません。かような大きな問題について結末をつけなくて、国交の回復ということはちょっと考えられないのであります。それはソ連からマリク全権を通じて提案された中にも、その点ははっきりあるわけであります。これは結末をつけなければならぬ。また結末をつけるべく、日本が日本自身としての要求を当然出し得る問題でありますから、私はこれを出すべきだと考えて、初めからそのつもりで出しておるわけでございます。ただしお話の通りに、日本がサンフランシスコ条約によって——これはサンフランシスコ条約調印国に関する限りは、これは放棄しておるのだ、こういう点は認めざるを得ません。そこでその上は日ソの交渉の俎上に上っておる問題でありますから、日本は主張すべきを主張し、ソ連も大いに主張しておるわけでありますから、さようにして交渉を進めていくということは私は当然のことである、こう考えておるわけでございます。
○細迫委員 私の言うようなことをソ連が言っておるというようなお言葉もありました。そういうようなわけで、私の発言はいろいろな誤解を受けるおそれもあるにかかわらず、私あえて申しておることは、一つにはこの領土問題の主張によって、むしろ日ソ交渉の決裂のチャンスをここに求めようというような動きも見えないではないのであります。また日ソ交渉の中心的なねらいは、かねてから総理大臣、外務大臣が言っておられますように、日ソの正常な国交の回復というところにあるわであろうと思うのであります。私はさように理解しておるのであります。いろいろな問題、ことに重要な領土問題等にあくまで執拗にかじりついていくということは、この中心問題がぼける関係もあると思うのであります。あくまで日ソの国交の正常な状態への回復ということが、中心であるということを踏みはずさないというような意味におきましても、その間の軽重の問題など慎重に御考慮あってしかるべきだと思うのであります。なおまた今のお話でありましたが、ソ連がサンフランシスコ条約に参加していないということは、日本がすでに千島、樺太の領土権その他の権利を放棄しているということとは別な問題であると私は考えております。すなわちこれはいわば連合国に対して放棄しておるのでありまして、それはどこが領有しようかということは連合国相互間の問題ではないかというように思うのでありますが、ともかく日ソ交渉における中心目標を見失わないよいように、題目はあくまで正常な国交の回復というところに置いて、進んでいくべきだということについての御方針は、変っていないと理解いたしたいと思うのでありますが、その通りでよろしゅうございましょうか、御答弁いただきたい。
○重光国務大臣 全くその通りでございますが、私はその問題につきまして、主観々々によって、いろいろ解釈の仕方が違うようになることを実はおそれておるであります。これはあくまで日ソ関係の正常化ということを目標とした交渉でありまして、その目的を見失わぬようにしなければならぬ。こういう意味において全然同感でございます。しかしながら、それならば平和を樹立するためにきまりをつけなければならぬものについても、これを顧みることなく、きまりをつけないで、ただ国交回復、こういうことをしていいかということになると、私はそうはいくまいと思うのです。この議論は国会においてもずいぶん熾烈に戦わされた議論でございます。しかし私は重要な問題についてはあくまで解決を期して、そうして解決するとともに、国交の回復、平和の樹立をしようというこの交渉の方針は、ほとんど国民的に承認をされたもののように感じて、私はそれを打ち立てております。のみならず政府といたしましては今交渉をやっておるのであります。それからちゃんと向うの要求、こっちの要求は出ておるのであります。わが方の要求はこれを貫徹するために、全力を尽していかなければなりません。その交渉の最中に今四国会談のごとき大きな国際上の変化を伴う事件も出て参りました。従いましてこの交渉の結果は私は忍耐強く一つ続けていって、そうしてその方向を十分見定めた上でいろいろまた考えなければならぬことも新たに生じてくると思います。そこで今その問題を右とも左とも特に希望的にと申しますか、主観的にあまりに議論されることは少し早くはないかというふうに考えます。私自身は既定の方針に従って、あくまでその方針を実現するように最善を尽したい、ほんとうにそういうふうに思って進んでおるわけでございます。以上をもって御答弁といたします。
○植原委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私は先ほど鳩山総理大臣にもう少し確かめておきたいと思ったのですけれどもそのチャンスを失いました。今の細迫委員の御質問に関係するのでございますが、日ソ交渉と保守の合同の問題でございます。先ほど鳩山総理は、日ソの関係は戦前の状態に持っていきたい、そのためにどういうところで平和条約を結ぶかはみんなと話し合ってやっていきたい、こういうふうな御答弁でございました。そうしますと、今の細迫委員に対する重光外務大臣の御答弁を聞いておりますと、はっきりおっしゃいましたことは、この重要な問題を話し合って解決していく。ことに領土の問題等につきましても、これは重要な懸案として話がついた上で平和回復の手段をとりたい、こうおっしゃったように拝承いたしております。そういたしますともう少し具体的に御答弁を願いたいのは、一体この領土問題、千島、樺太等の問題はある程度の見通しがつくならば、ソ連との間の国交調整をしてもいい、こういうふうに、先ほどの鳩山首相の答弁によると私は考えるのですけれども、この点についてもう少し具体的に重光大臣の御答弁を伺いたいと思います。
○重光国務大臣 鳩山総理の御答弁は、私の解釈いたしております、また打ち合せをいたしておりますところでは、私の説明と少しも変ったことはございません。むろんこれは交渉でございますから、交渉の経緯、将来どういうふうに交渉が進んでいくか、その重要な時期に到達する場合においては、私は、国会、特に自由党の首脳者の方方には十分意見を聞いてきめるべきだ、こう考えております。しかしそれならば、領土問題がどこまでいったらどうするかというようなことは、私として答えらるべき問題でないので、それは今交渉をしておるのでありますから、一つお許しを願いたいと思います。しかして一度交渉に上った以上は、これはどこまで行くか、日本として全力をあげて最善を尽してみようじゃありませんか。政府はむろんのこと、また出先はむろんのこと、国会もそうであります。さような態度をもって進むのが私は当然のことでないか。そうして交渉のことでありますから、それがどういうふうに進んでいくか、また世界情勢ということもございましょうしするので、その上でまた御相談をするというのはしごく筋の通ったお話だった、こう考えておるのであります。
○戸叶委員 それでは領土の問題にわたってのもっと詳しい点は一応保留いたしますが、ただ今日日ソ交渉が成功するようにということを、国民の大部分が望んでいるにもかかわらず、一部におきましてはこれをあまり喜ばないような勢力もございます。たとえば自由党のような態度を見ましたときに、いろいろなけちをつけようとしている点が、私ども討論会などに行っても見られるのでございます。そうなって参りますと、この保守合同をして参りますときに、たとえばある程度の話がついたときには国会に相談をして、そうしてソ連との国交回復をすると言われておりますけれども、その場合に自由党の態度としては、すべての懸案をまず解決しなければならない、当然その過程においての話し合いというものには応じられない態度だと思います。そうなった場合に重光大臣は、社会党の支持によってでもこれを実現させるか、こういう点についてまず伺いたいと思います。それとも自由党の勢力に引きずられて、そうしてそれに応じられないかどうか、この点を伺いたいと思います。
○重光国務大臣 私としては、その問題にお答えするのは非常に困難でございます。困難でございますが、私の考え方といたしましては、日ソ交渉のごとき国家的の重要な交渉に対しましては、各党の御支援を得て国家的にこれを処理していきたいという考え方であることは、繰り返し繰り返し申し上げる通りであります。私は今のような御質問、自由党がどうである、社会党がどうであるというお話は、実は非常に困るのでございます。これは今外交交渉をやっておるわけでございます。この部屋の空気はすぐ世界じゅうに通ずる。(「そんなことはわかっている」と呼ぶ者あり)いや、それはわかっておるけれども、僕が言うか言わぬかということを言っておるのだ。それは私がその問題について答弁をするということは差し控えたいと思います。どうぞ十分御議論をされて、そして一つりっぱな国家的の見解を樹立して、私どもに御支援下さることを願います。
○戸叶委員 外務大臣にはっきり申し上げたいことは、私も外交の問題で党派的にいろいろ争おうとはちっとも思っておりません。ただ国民が今日心配しておりますことは、一方において日ソ交渉が始まっていて、そして一方において保守合同が始まっております。ところが自由党の日ソ交渉に対する態度というものは、民主党の態度とは相当違っているわけなんです。そこで一体民主党は保守合同の方を大事にするのか、日ソ交渉を大事にするのかということを国民が聞きたがっておるわけです。そこでその御決意のほどを私は聞きたいわけです。実はこの間も討論会でもってこういう問題が出て参りましたものですから、こういう機会にはっきりと答弁していただいておいた方が、国民にはっきりすると思いますので伺ったわけですから、誤解のないようにして御答弁願いたいと思います。
○重光国務大臣 御趣旨は私は御共鳴申し上げます。どうかそれらの問題について十分一つ御討議を願いたいと私は思っておるのであります。
○戸叶委員 それでは重光大臣のお考えとしては、結局どの党もみんな賛成して、そうして超党派にならなければある程度の線を出さない、こういうふうにお考えになるわけですね。その点をはっきりお伺いいたします。
○重光国務大臣 私は、これはみんな討議をいたしまして、そうしてすべて国家的にどうすべきものであるかということは大よそきまると考えております。そうしてきまった方針について十分交渉をしてみて、その交渉の経過を見て、またそれを材料にして十分意見の交換をすれば、これはそうむずかしくない、きまる、こう私は考えております。しかしそれは人々の考え方で、私はさようにしてきまりもしようし、また、私としてはその道を発見するために最善を尽してみたい、こう考えるのであります。 そこで外交の問題は、一般論としてはむろん外交は有力な背景がなければこれはできることでございません。いわんや少数の党派だけの何ではこれはできません。できませんけれども、外交の問題は国内問題と違って、およそ行く道が国家的に発見される、これは私の信念でございます。あるいはそう考えられない方もあるかと思いますけれども、しかしぜひそうやってもらいたい、こう考えるのでございます。
○戸叶委員 それでは次にもう一点伺いたい。二月ほど前に、私四巨頭会談が日ソ交渉に何らかの影響がないかということを伺いましたときに、重光外務大臣は、直接に影響がないかもしれないけれども、またある程度あるかもしれないし、これは始まってからでないとわからないとおっしゃいました。もうすでに始まって、終ろうとしておりますけれども、この会談が何か日ソ交渉にいい結果といいますか——直接でないにしても、いい結果をもたらしたのではないかと私は考えますけれども、この点の大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○重光国務大臣 その点を私からはっきり申し上げるのにはまだ時期尚早だと思っております。私も十分検討をいたしました上で、考え方をきめようと思います。しかしこれをごく一般的に申し上げれば、日ソ交渉も局部的とは申せ、世界の平和に貢献しよう、緊張緩和の方に向けたいという考え方によって出発しておるものであることは申すまでもございません。ゼネヴァの四国会議もこれは直接に世界の形勢に取り組んでおる会議であって、それは世界の緊張緩和ということを正面から目的としておるわけでございます。これは私は非常に関係を持ち得る——むろん直接の関係というのは言い過ぎかもしれませんが、間接には非常に関係を持つ大きなことである、こう考えるのであります。そうでありますから、四国会談の結果もおもむろに見て——漸次今世界は動いておりますから、そう突き詰めて今せっかちにやらなくても、これは順次に進み得る方途があるのだ、こういうふうに私は考えております。
○植原委員長 岡田春夫君。
○岡田委員 外務大臣に国際法上の観点から二、三お伺いしたいと思うのです。 まず第一は、日ソ交渉の問題ですけれども、これはあらためて言うまでもなく、日ソの交渉において、日本の相手国であるソ同盟というのは、連合国の一国として——あなたが無条件降伏の調印をされた場合において、無条件降伏の調印の相手方の国の一つとしてある国、それがソ同盟である。そうしてこのソ同盟と、今日ソ交渉に当って日本が交渉しなければならないということになってきているわけですが、この日ソ交渉において、日本は戦敗国としてこの交渉をやらなければならない国際法上の立場があると私は考えますが、この点はいかようにお考えになりますか。
○重光国務大臣 今私が無条件降伏に調印したというお話がございました。私は無条件降伏をした覚えはございません。私はポツダム宣言の条項に従って降伏したのでございます。
○岡田委員 あまり外務大臣の言葉をとらえてとやこう言っていると、十分間の制限を越えますから、ポツダム宣言の条項を忠実に履行するという意味で降伏に調印をした、それでもけっこうであります。それを一般的に無条件降伏と言っているのですが、そのことはどっちでもよいのです。従って、その立場として、というのは、日ソ交渉においては戦敗国の立場としてやっているのだということを、あなたが今御答弁になったと私は考えておりますが、そのように解釈してよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 日本はむろんみじめな惨たんたる戦敗国であったのであります。これは事実その通りであります。しかし、御承知の通りに、日本はサンフランシスコ条約によって独立を回復しました。これはサンフランシスコ条約に調印した国だけに対して回復しただけでなく、日本は独立国となったという資格を持ってきているわけでございます。そうでありますから、独立国としてどの国とも対等な立場に立っておる、こう考えております。
○岡田委員 そうすると、あれですか、日本とソ同盟との現在行われている交渉というものは、日本が戦敗国の立場——先ほどから言っているのは国際法上の問題ですよ。そういう立場において交渉するのではなくて、独立国として対等の立場において交渉する、とこういうようにあなたはお話にあるのであるが、この点はきわめて重大でありますからもう一度伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 私は、その点はそう重大な問題じゃないと思います。日本が負けたということは、これは事実です。どうしてもこれは認めなければならぬ。われわれは、そのために苦心惨たんして日本の再興に努力をいたしておるのであります。しかし日本は独立を回復し、独立国として今日復興の事業に携わっておるということも、これも事実でございます。それであるから、負けたから何もかも無条件降伏だ、無条件降伏だといって、向うの言う通りにならなければならぬという理屈もないと思います。国際法とおっしゃるが。そこで、日本国は独立した国として、自分の国力に相当する現在の地位によって、これは主張すべきは主張し、妥結すべきは妥結していくことは当然のことだろうと思います。これは国際間の過去の歴史においても、当然そういうことになってきておるのであります。
○岡田委員 この問題については、あなたは重大でないと言われたけれども、交渉の態度としてはきわめて重大であります。しかし、きょうは十分に制限を受けておりますので、もう一歩ついて話をしたいのでありますが、残念ながらこの点に触れておりますと、ほかの問題に触れられませんからこの程度にいたしておきます。しかし、あなた自身は、ソ同盟との国交回復をやるというのは、これは当然そこで平和条約を結び、一切の戦争状態を終結する、このことが目標になって今交渉されているのだと思う。そうすると、サンフランシスコ条約によって、アメリカその他の諸国においては、日本の国が戦争状態を終結して平和条約を結ぶのだから、一応これを独立の立場として日本の立場が取得されたと理解してもよろしいけれども、しかしソ同盟との関係においては、いまだに戦争状態が終結されないという限りにおいて、連合国の一員であるソ同盟と日本との関係というのは、当然日本の国が戦敗国として、向うは戦勝国の立場として交渉が今行われておる。そしてそれによって戦争状態が終結されて平和条約が結ばれる、これは国際法上の通念であります。こういう点を違うものだとあなたは御答弁されるのならば、これはそれでもよろしい。そういう御答弁をされてもけっこうでありますが、この点は一つはっきり答弁をしていただきたいと思います。しかし時間の関係がありますから、先に続いて参りますが、この点が第一点。 第二の点は、先ほどからだいぶ問題になっておりました巨頭会談の問題でありますが、巨頭会談の開かれる前に、アメリカの井口大使を通じてダレス長官から日本に対して、今度の巨頭会談に対して、日本側が何か要望することがあったならば、日本側はその要望を申し出てもらいたいという申し入れがあって、日本側からこの申し入れについて回答したというように伝えられているが、そういう事実があるのかどうか、そしてそれに対する回答の内容は、聞くところによると、引き揚げ問題について、一つ巨頭会談においてアメリカ側からプッシュをしてもらいたい、こういう点が回答されたと伝えられているが、この点がどうであるか、先ほどの点と二つの点についてお伺いをしておきます。
○重光国務大臣 第一点は、先ほども申し上げた通りでございます。私は負けたという事実は認定せざるを得ないと思います。しかし十年前にポツダム宣言によって降伏をしたというその事実は、今日まで同じようにすべて動いておるかというわけにもいかぬと思います。そういうことが何か国際法上通念だと言われるが、どういう通念か私には少しもわけがわかりません。そういう通念がないことだけはわかります。(岡田委員「それではあとでやりましょう」と呼ぶ)やりましょう。しかしそれは別室でやりましょう。(岡田委員「いや別室じゃいけない、みんなのいる、記録のあるところでやりましょう。」と呼ぶ)しかしそれはそれにしておいて、日本はこういう交渉をやるためには、やはりおのずから国の力と申しますか、語弊がありますかしらないが、国力の背景ということもございましょう。そこで同じ独立国にもいろいろ態様もございます。しかしながら今日日ソ交渉は独立国としてやっておるのには違いはございません。それだからすぐすべてが向うの言う通りにならなければ——無条件降伏をしたと言われる根拠をもって、無条件に向うの言うことを聞かなければならぬという根拠も出ないはずだ。だからそれは国の全力を尽して、国の利益のおもむくところを考慮して努力するということが当然だ、こう思う。 それから第二の点は、そういうことはございません。ございませんが、日本の主張の今の引き揚げ問題につきましては、こういう状態であるということは、絶えず国際連合の関係国には連絡をとっております。けれども、特にアメリカに対して頼んだというようなことはございませんことを私は申し上げておきます。
○岡田委員 外務大臣、答弁だけ簡単に言って下さい。あなたの言っているうちに時間がなくなったと言われてしまうので困っちゃうのですよ。事実だけ簡単に言って下さい。 〔重光国務大臣「答弁しなくてよければなおよい。」と呼ぶ(笑声)〕
○植原委員長 どうぞ私語をやめて単刀直入にお願いいたします。
○岡田委員 それではお伺いいたしますが、巨頭会談の結果、東西交流問題について世界経済会議を行うことが大体本ぎまりになりそうであります。そこでこの世界経済会議がもし行われるようになるならば、日本としては、これに参加する意思があるかどうかという点が第一点。 第二の点は、これはちょっと重大な問題ですからぜひ伺っておきますが、二十日の日の衆議院の内閣委員会において、鳩山総理大臣は、防衛六ヵ年計画の問題に関連して、自由党の江崎真澄君と社会党左派の茜ケ久保重光君に対する答弁として、防衛六カ年計画を作る際には、アメリカの地上軍の撤退を当然考慮に入れている。従って六年すればアメリカの駐留軍は日本から撤退すると考えている、とこのように確信すると鳩山総理大臣は答弁をいたしておるのであります。そこでこの点は、あなたの内閣の鳩山総理大臣が、六ヵ年たったらアメリカは撤退すると言っているのに、こういうことについて、副総理大臣のあなたは、そういうことは違いますという答弁はまさかされないと私は考えるのであるが、六ヵ年間たったら撤退するという鳩山総理大臣のこの意見を、われわれは信じていいと考えているのであるけれども、最近ともすればあなたと総理大臣との間に、いろいろ意見の相違点もあるようであるから、この際はっきり伺っておきたいのだが、あなたも六年したらアメリカが撤退するとお考えになっているかどうか、この点を一つ伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 ごく簡単にお答えします。世界経済会議が開かれるということがはっきりきまっているという情報は持っておりません。 それから第二点の六ヵ年計画の鳩山総理がさような希望を表白された、意見を表白されたとするならば、私といたしましては、その意見が意見の通りに運ぶように全力を尽して努力をいたしたいと考えております。
○岡田委員 もう一点だけ……。
○植原委員長 岡田君、少し時間が延びているのです。守って下さい。
○岡田委員 もう一点だけ。対外債務の問題について相当各国から請求が殺到しているということが、新聞紙上に伝えられておりますが、外務省は、この対外債務について、全体的に再検討をしてこれを処理しなければならない状態に立ち至っている。そうしてこれを再検討するということが決定したように伝えられておりますが、この対外債務全体の問題については、どのような外務省の処理が進んでいるか、この点だけを伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 戦争敗北の結果、日本の負担しているいろいろな債務がございます。私就任以来それを見ますと、いろいろな多種多様のものがございまして、相当な額に達しております。これをぜひ処理をいたしまして——ある場合においては賠償のごときものは平和関係樹立の前提にもなっているわけでございます。その他のものはむろんその国との間の国交の親善のために、非常にこの処理が必要でございます。かようなことは全体的にこれを考慮して、しかも日本の今日の財政状態から見て容易なことではございません。そういうようなことをすべて関連して総合的に考案をしていくことがぜひ必要であると考えております。そこで外務省といたしましては、外交関係になりますが、その外交関係の方面に関する限り、これまたその方面について総合的に考究をしているわけでございます。しかしそれだけではいきません。これは国内的に財政問題があります。そこで政府としても、十分これは総合的に考え、方策を立てなければならぬと思って、せいぜい今いろいろ考究しているわけであります。
○植原委員長 菊池義郎君。
○菊池委員 私は日ソ交渉の場所について大臣に再検討願いたいと思うのであります。最初ソ連の方より東京でもよし、モスクワでもよしということを申し込んできたのに対して、日本はニューヨークということだった。松本全権は今までも日ソ交渉の内容が筒抜けに抜けて、秘密が漏洩しておるということを、非常に不満を漏らしておられるのであります。機密を保つためにも、また外国人の金を東京に落すためにも、すべからくこの交渉は東京に移すべきであると考えております。シベリア出兵のときにおいてすらも、二度も三度も場所を変えた例もございますので、ソ連と折衝いたしますならば、これはちっともわけはないと思いますが、これについて大臣の御意見を伺いたいと思います。つまり一言でよろしい、将来東京に移すこともあり得るか。それから全権にいたしましても、新手を入れかえ入れかえ、どうせ長い間の交渉になるのでありますからして、全権もちょいちょいかえて折衝を進めるべきである。つまり持久戦の態勢をとるべきであると考えております。
○重光国務大臣 今交渉地としてはロンドンになっておりますが、私はこれは非常に適当なところだと考えております。それからわが松本全権は、今日までの交渉ぶりにかんがみましても、最もこれまた適当な全権であると考えております。
○菊池委員 それから引き揚げの問題ですが、外地から引き揚げて参ります者に、希望者を引き揚げさせるのはよろしいのでありますが、向うに戦前から長い間住まって妻子を持っておる者をなま木を裂くようにして引き揚げさせておる。向うの政府の言うのには、日本政府からの要請によってお前を帰すのだと言っておるのだそうです。私の小学校の友だちもガダルカナルから二人帰っております。かわいそうに二十才くらいの子供が四、五人おります。そういう例がほかにもたくさんあると思います。日本の人口緩和のためにも、希望者はそのまま残すべきであると思うのでありますが、こういう政策方面について、大臣の御意見を伺いたいと思います。
○重光国務大臣 御意見ごもっともと思います。一つよく実際について検討してみたいと思います。
○菊池委員 それから私たちが外務委員会において長い間お願いいたしまして、小笠原島からの内地への引揚者に対しまして、一億円の見舞金を出すことに閣議でもって決定いたしましたことは、これはまことに感謝にたえません。それで小笠原の諸君に出すからには、やはり満州からの引き揚げ、南樺太、千島あるいは朝鮮等からの引揚者に対しましても、多少なりとも何かせぬければ、均衡、公平を保つことはできないわけでありますが、外務大臣から財政当局と折衝せられ、閣議に諮られまして、何とかこの財産をみんな外地に残し、あるいは樺太に残して参りました気の毒な同胞に対しましても、同じような措置をとられたいと思うのでありますが、どういうお考えを持っておられますか、お伺いしたいと思います。
○重光国務大臣 従来どういう措置をとっておるかは私存じておりませんが、よく検討をいたしまして、ごもっともな御提案のようでありますから、一つ十分検討して努力をすることにいたすつもりでおります。
○菊池委員 小笠原島の引揚者のために一億円を見舞金として出すことに、立法措置ではございませんが、閣議で決定をしておることははっきりしておるのであります。でありますから、ほかの引き揚げ同胞のためにも何とかお骨折りを願いたいと思うのでございます。これを私の希望として申し上げておきます。 それから今度われわれ議員が四十名余りソ同盟を訪問いたしますが、その目的としてわれわれが掲げておるところは平和回復の促進その他であります。平和回復の促進ということがおもなる旗じるしになっておるようなわけでありますが、こういう場合におきましてはぜひとも政府といたしましても連携をとって、そうしてこの議員を大いに国家のたきに活用すべきであると思うのであります。その主張においても保守党から社会党の右派、左派、共産党に至るまでほとんど変りはない。ただ国交回復を先にするか、あるいは懸案の解決を先にするか、それだけの違いで、向うに対する要求の内容には全然変りはないわけでありますから、百パーセントに利用し活用すべきであると思うのでありますが、これに対してどういうお考えを持っておられますか、お伺いしたいと思います。
○重光国務大臣 日ソ交渉の成功のためには、国会議員各位の御援助も十分仰ぎたい、こう考えております。
○菊池委員 政府としてそう何も秘密を保つ必要もない。政府としては正面切って言うことのできないことが大分ございます。われわれ自由な立場で参りますと、幾らでも政府の言えないところを言うことができる。裏工作ができるのでありますから、そういう点についてわれわれに対しても意のあるところをお漏らし下されば、われわれといたしましてもその線に沿って努力をしたいと考えておるのであります。
○重光国務大臣 御意見十分伺いました。
○菊池委員 今度重光先生がアメリカを訪問いたしますが、最も大きな目的はアメリカ軍を撤退させるということ、それが一番大きな目的らしいのでありますが、この駐留軍を引き揚げさせたあとはまた何によってそれを埋め合せするか、自衛隊を増強するか、あるいはそのままでもってこの軍のかわりに原爆でも備えるといったようなことも考えられるのでありますか、その点について構想をお漏らし願いたい。防衛庁ともいずれ話し合っての御渡米であろうと思うのであります。
○重光国務大臣 私の渡米の準備もまだこれからというわけでございます。むろん米軍の撤退とかいうようなことはまだ何にも考えておりません。従って防衛庁とも何も話し合いはないのでございます。いろいろお考えもあれば一つ十分伺いたい、こう考えております。
○菊池委員 新聞に現われておりますところは、駐留軍の撤退の折衝が一番大きな目的であると書かれておるのでありますが、撤退させる交渉をするからには、そのあとは何で埋め合せるかということの構想がなくてはならぬと思うのでありまして、それは防衛庁と話し合いがなければならぬはずでございます。その点は大分国民も疑問に思っておられるし、非常に不安を感ずるところでありますから、国民に安心を与えるようにその点一つお漏らしを願いたいと思います。
○重光国務大臣 そういう新聞記事は何に出ておったか知りませんけれども、事実さようなところまで準備の時期に達しておらぬのでありまして、どうぞ一つ新聞記事は新聞記事としてお読みを願いたいと思います。
○植原委員長 渡邊良夫君。
○渡邊(良)委員 先ほど総理大臣の御答弁がきわめてばく然としておりましたので、所管大臣である重光外務大臣にもう一度お伺いいたしておきますが、米国の国務次官補でありますシーボルト氏の発言でありますが、近き将来において日本は、中立化ないしは赤色政権というものが現在の政府にかわるであろう、こういう発言なのでございますが、私どもといたしましてはまことにゆゆしい発言なのであります。私はこの点につきまして、いかようなる情報に基いて米国の高官筋あるいはまた英国の外交筋が、そういう発言を再三行われているのかということにつきまして、外務省当局といたしましてはどういう情報をお持ちになっておるか。そしてまたわれわれといたしましては、日本の方向が決してそういう方向にはないということの確信を持ちますけれども、われわれが知らない世界情報というものはいろいろあるから、そういうような発言がなされるのであろうと思いますので、この点につきまして外務大臣の御所見を承わりたいのでございます。
○重光国務大臣 シーボルトの証言のお話がありました。外務省の得ておる報告も、先ほど鳩山総理がそのことについてお話になった通りであります。シーボルトは御承知の通り、日本に対して非常に友情を持っておる人でございます。そこでその証言は、日本に対するいろいろな米国の友情を示す方法、つまり援助方法というような点について、日本を十分助けて支持しなければ、日本の将来はどうなるかわからぬぞ、こういうような意味で発言があったように承知をいたしております。しかしそれはそれでありますが、外国方面においても、日本の政情の不安、社会情勢の不安、思想上の不安ということについては、立場々々によって心配しておるということは事実のようでございます。しかし今お話の通り、われわれ日本人といたしましては、おのおの日本の将来をりっぱに国家的に築き上げる自信を失わない、こう思っておるのであります。外国の批評がいかにありましても、一つ協力一致して、りっぱな日本を将来築き上げていこう。この精神でいかなければならぬ、またいっておる、こう私は思うのであります。そこでさような批判が外国にあっても、これは参考とすべき批判であって、それによって日本の将来に対する進路と申しますか、そういうようなことに動揺があってはならぬ、また動揺しておらぬ、こう思っておるのでございます。
○渡邊(良)委員 外務大臣のただいまの、シーボルト氏ほか米国筋の好意ある日本に対する同情あるいは警告であるというふうに御解釈されておる点につきまして、まことに私もそうあってほしいと考えるのであります。今日共産党が合法面に浮び出てきた。そして日本というものは、ソ連の赤色圏の周囲におきます防衛圏といたしまして、衛星中立国家というものが漸次大きく形成されつつあるときにおきまして、ソ連の平和攻略の一環として、日本もそのソ連の防衛圏である衛星中立化の中に入れられるのであろうという見方が、先般行われておつたのでございました。今日私はアメリカ筋の、あるいは英国筋の、あるいは民主主義諸国家の日本に対しまするところのそうした好意ある警告、同情というものに対しましては、決して油断がならない。いわゆる共産党の合法活動とそういうような英米筋の見方、近い将来において日本も中立化ないしは赤色政権というものが日本のこれにかわるものである、こういうような見方に対しまして、重光外務大臣はいかように国際情勢を判断し、共産主義の脅威に対しまして、いかなる手を打たなければならぬか、そうしてまた英米筋のそういう情報に対して、海外にありますところの公館等を通じて、そのよって来たるところの根拠をただすようなお気持があるかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
○重光国務大臣 私は私自身の考え方として、もちろん共産主義には反対する考え方を持っております。しかし今国際的の見地からのお話でございまして、日本としてはいわゆる中立政策にどう対処するか、こういうことになりますと、中立政策というのが急にオーストリアの国家条約の面から非常にやかましく議論されるようになりました。最近はソ連の政策は、安全保障のセキュリティの方面から来る政策にそれが進展をしているような状況でございます。日本の中立政策ということは従来といえども私どもは考えたことはございません。日本は独自の独立国として進んでいかなければならぬ、こう考えているのであります。日本が独自の政策から進んでいって、そうして対米外交もやらなければならぬ。また日ソ交渉もやらなければならぬ、こう思って進んでいるわけであります。しかし日本が共産国でないということだけは、これはほとんどたれも異存はないところであろうと思います。そうしてもし共産政策というものが日本自身の国家の破壊に向つて政策が進められているならば、あくまでこれに抗争しなければならぬということも事実でございます。それは日本の国家、日本の民族の将来を建設していこうという方はみなそういう考えを持っている。またそういう方面において国内的にはずいぶん他国の例もございますから、十分注意して進んでいかなければならぬことは当然のことでございます。しかしそれだから日ソ交渉はいかぬという結論になるならば、私はそういうことは考えないのでございます。これはイデオロギーは違つておっても、世界平和のために私どもは努力して、国交回復をやらなければいかぬという考え方をもって進んで参っておりますことは、御承知の通りであります。
○植原委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 重光外務大臣に簡単にお尋ねいたしますが、最初に日ソ交渉について少し具体的のお尋ねをいたしたいのです。すでに数回にわたる交渉が行われて、あなたはわれわれに示されないことについても御承知でございましょうし、われわれ外から推測いたしましても、まず第一に引き揚げ問題、これもむろん解決はいたしておりませんでしょうが、解決の可能性が十分あるという考えをわれわれは持っておるわけです。それからその次に漁業並びに通商協定、これもすでに他の領海にわたって日本の漁船が出ておることもありますし、通商問題につきましては、すでにクルーピン代表が参りまして、事実通商もすでに行われておるわけでございますから、これも合理的なものでありますならば、かれとわれとお互いを利益することですから、この協定も可能性の見通しは十分あると思う。国連加盟につきましては、ソ連がこれに賛成をする態度を示しております。従って以上四つの問題につきましては、自由党その他一部の無理解なる、アメリカ一辺倒の考えを持っている諸君が、アメリカの東西共存の考え方以上に反動的に——こういうようなことで、私どもはこの交渉が決裂するような壁にぶつかっているとはとうてい思われないのですが、そのことについてあなたのお考えを伺っておきたいと思うのです。
○重光国務大臣 私は、私の職務上、交渉の内容を申し上げるわけには参りません。しかしこういうことは申し上げられます。今あなたの列挙された事項について、非常に楽観的の結論に到達することも、まだ少し早いということは申し上げても差しつかえございません。しかしながら私は、この交渉が今行き詰まっておるとか、いわんや決裂をせしむべき問題であるというようなことは毛頭考えておりません。これは最善を尽しておるが、交渉のことでございますから、非常によくいったと思うときもありますし、また案外どうもこれは困ったなと思うこともございましょう。しかし私は、全体の行き方として、そういうことを予期して、十分に忍耐強く交渉を進めていって目的を達したいという初めの考え方に、少しも変りがないことを申し上げます。
○穗積委員 すなわちあなたの御答弁は、これを言いかえますならば、これらの問題については何ら悲観すべき材料は出ていないし壁にぶつかっておらぬ、すなわちこれらについては妥結し得る希望と自信と見通しを持ってやっておられるということだと思うのです。最後に残ります問題は、やはり何といいましても領土問題だと思うのでありますが、領土問題について政府の態度を伺いたいのであります。歯舞、色丹並びに千島、樺太と、こうなっております。歯舞、色丹は北海道に付属する小さい島でございまして、千島、樺太とはこれは分けて話をすべきだと思いますが、そういう点についてはどういう態度をもって臨んでおられるか、また臨むつもりであるか、伺っておきたい。
○重光国務大臣 これは交渉の内容に入りますから、詳しくは私は御説明することを差し控えたいと思いますが、歯舞、色丹が北海道所属の島々であるということは、日本人の、日本人だけではない、少くともサンフランシスコ条約関係者の通念でございますから、それはその通りでございます。しかし千島、南樺太に対しては、それではどういう根拠をもって日本がこれを主張するかということにつきましては、各種の論拠のあることは申し上げて差しつかえございません。千島にいたしましても、全部が一様というわけでもない歴史を持っておる点もございます。しかし、それらのことは、材料はすべてわが全権の頭に入れておりますから、どういう工合にこれを運用して日本の主張を実現するかということは、全権のやり方にまかしておるような状況でございます。これからしばらく交渉を進めてみたいと思います。
○穗積委員 領土問題につきましてこれからあるいは出てくるかもしれぬが、その片りんはすでに日本の軍事同盟不参加の問題として出ていると思うのですが、特に領土に局限して申しますならば、日本国に返しました領土が事実上沖縄、小笠原のように、その領土に対しまする主権を日本が放棄して、そしてこれらの島々が事実上アメリカの統治のもとに置かれ、しかもこれが巨大な軍事基地にされるということについて、ソ連がこれを好まない、すなわちその島の返し方は日本に返したのではなくて、アメリカの基地に提供したことになる結果をソ連は欲しない態度をとることは当然だと思いますが、そういうソ連側の態度がもしありといたしますならば、この態度についてわれわれは当然だと思うが、外相はその態度に対して当然だとお思いになりますか、念のために伺っておきたい。
○重光国務大臣 まだ交渉においてさような意向は少しも表示を受けておりません。交渉を進めていく間にそういうような表示があるかもしれません。しかしそれはそのときによく考えてみます。
○穗積委員 この交渉を向うの出方を待ってやることは当然でございますが、少くとも日ソ間における問題を解決する目的をもって国交を早く回復するということは、鳩山内閣の積極的な政策でもありますから、すなわちこの交渉に当って一番問題になります問題を解決するためには、その解決の糸口というものを積極的にこちらから示す必要があると思うのです。それは今の領土問題については、今申しましたような日本がアメリカその他の側に立つ軍事的な同盟を結ぶということが問題になることは当然でございます。従って現にできております安保条約、特に安保条約が問題ですが、これらについてこちらから糸をほぐさなければ、この問題は解決するはずがないと思うのです。この問題を解決する見通しがつかなければ調印をしないということであるならば、これは初めからやらぬつもりでやっているといって差しつかえない。あなたは今度アメリカへ行かれると先ほども発表なさいました。この前は防衛分担金の問題を主にして向うへ行こうというのでひじ鉄砲を食らって断わられ、今度はわれわれ聞くところによりますと、ソ連との交渉の問題についても、その他広く共産圏との関係、共産主義に対する態度等について、今度アメリカへ行かれて打ち合せをされるということが要綱の中にあるように漏れ承わっております。そういうことになりますと、当然このロンドン会議の問題が出ましようし、そのときにアメリカと話をされる場合においては——この前は防衛分担金で行くということだったが、今度はそういう問題があるから向うでウェルカムしようという、そこでウェルカムされたあなたが向うから逆に、今度はげたを預けられたり、ひもをつけられたり、あるいは日ソ交渉について干渉されたり、あるいはそれに対して言質を与えてこられるというようなことでは迷惑しごくであって、鳩山内閣の政策、しかも独立外交をやるために、積極的にアメリカを説得してきていただきたい、そのためには安保条約の問題を問題にしなければならぬと思います。すなわちソ連との交渉における領土問題解決については、これらの土地にアメリカ側の軍事基地設定をしないことを確保する、それが最小限度でございましょう。さらに進んでは日本における陸上軍の撤退問題だけでなくて、日本国全体の、つまり安保条約をこれからだんだんと解消する方向に向っていくべきだと思うのですが、当然そういうお考えがおありになるだろうと思う。この問題は今申しました通りに、日ソ交渉の一番中心の問題であります領土問題に関連いたしておりますから、それに対してあなたがアメリカへ行って何を言い何をしようとするのか、当然その問題に触れるべきだと思いますが、それに対するあなたの所信を伺っておきたいのでございます。
○重光国務大臣 私の渡米についてまだ準備もいたしていないということは、先ほど申し上げた通りであります。今それに関連して私の所信を言え、こういうことでございます。私は日本の外交は日本独自の見解で進んできておるつもりでございますから……。
○穗積委員 目的を持たないで行くということはない。行くことがきまってから目的をきめるなんということはない。目的があるから行くのですよ。ただわれわれの税金を使ってあなたは遊びに行くつもりですか。何か目的があって行くのでしょう。
○重光国務大臣 そういうことを私は言っているのではないのですよ。私の言っているのは……。
○穗積委員 何の目的を持って行くのですか。
○重光国務大臣 日米関係の密接な関係をとるために行くのです。だからそのときにどういうことを言うかということはきまっておらぬと私は言っているのです。あなたは私が日ソ交渉についてひもをつけられて帰るだろう、そういう想像をつけられるのは一体どういう理由によるか知りませんが……。
○穗積委員 あなたの方針を言いなさい。あなたがしっかりしておらぬから私どもは心配なんです。
○重光国務大臣 だから日本独自の見解で外交を進めていくのですから、そういう御心配はない、こう言っているのです。まあしばらく待ってみなさい。
○穗積委員 今の質問に答えていただきたい。軍撤退の問題とともに、日本が独立をするためには、やはり安保条約による軍事基地の問題を解決しなければならない。解消しなければならない。そのことは日ソ交渉の領土問題に関連しているから、それとの関連において私はそれに局限して質問しているのですよ。ばく然と質問しているのではございませんから、そのポイントについてお答えをいただきたいのです。
○重光国務大臣 その御意見は私はすこぶる御共鳴を申し上げる点もあるのでございます。よく研究をして参ることにします。
○植原委員長 北澤直吉君。
○北澤委員 二点について簡単に御質疑をします。第一点は今もお話にありましたが、今回の日ソ交渉において日本の国連加盟の問題が出ておりまして、ソ連側の意向は、大体平和条約ができますれば日本の国連加盟を支持する、こういう意見のようでありますが、これに関連して伺いたいのは、ソ連がイタリアの講和条約に調印した、しかもイタリアの講和条約におきましては、調印した国々はイタリアの国連加盟を支持する、こうはっきりあの前文に書いておりながら、ソ連は今日までイタリアの国際連合加盟に対して拒否権を発動しておる。そうしてこれに賛成しない。こういうふうなあれがあるのでありますが、ソ連は何ゆえにイタリアの講和条約に賛成をして、イタリアの国連加盟を支持するぞと言いながら、今日までこれに対して反対をしているのか。どういう理由でありますか、その点を伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 おそらくソ連はいろいろなバーゲンのためだと思います。そういうような点が、今度四国会談の結果、国際緊張の緩和ということになっていけば、だんだんと、私はもつれがほぐれてくるのではないか、こう期待をしているわけであります。
○北澤委員 もう一点伺います。先ほどもこの委員会の質疑におきまして、総理及び外務大臣から日本の外交方針ははっきりとしておる、こういうことをたびたびお述べになったのでありますが、どうも今の内閣の方針が、われわれから申しますと不明瞭な点が全然多いのであります。と申しますのは、鳩山内閣におきましては、ここ当分の間現在の段階においては中共政権は承認しない、こういう方針をはっきりしておるにかかわらず、最近日本の在外使臣である大使二人とも新聞記者との会見において、日本は近い将来において中共政権を承認するであろうというふうなことを述べておる。中央の方では中共は承認しないといっておりながら、日本の在外使臣が、外国において近い将来に中共政権を承認するであろうと言うことは、これは政府の方針とは違っておるわけであります。一体外務省の内部においてはどういうふうにしておられるのか、中共政権の承認の問題についてどういう考えを持っておるのか。この点をはっきりしないと、それでなくても今の内閣の外交方針につきましては、いろいろ誤解がありますので、この機会にはっきりと外務大臣から、中共政権の承認の問題について言明を得ておきたいと思うのであります。
○重光国務大臣 中国政府として日本が台湾の国民政府を承認しておることは、これはもう既定の事実でございます。でありますから、他の政府を中国政府として承認することのできぬことも、これもまた事実であります。ただ将来国際関係が非常に変転をして二つの政府を認めるとか、いろいろなことができ得るならばそれはまたそのときに考えなければなりません。それからまた国際関係が非常に激変をして、そうして中国の情勢がすっかり変るというようなことでもあれば、これはまた別でございます。しかし今日の場合において中共政府を中国の政府として承認するということはできないことでございます。しかしながら中共地区が非常に広大なシナ大陸であるというこの現実的の事実にかんがみて、これとの間の貿易関係を進めるというようなことは、これは現実の利益を双方のために進めることでありますから、これは承認問題とは別に進めていきたいという考え方を持っております。この考え方については、これは外務省の中に別にこれに反抗する者も違反する者もないのでございます。今御指摘の点は、おそらく某々大使が着任のときに、いろいろな新聞記者の質問応答によって、誤解をされがちな言葉を使ったというところから出ておるのじゃないかと思います。これは私はよかったことであるとは決して思いません。思いませんが、その誤解をあまり拡大する必要もなかろうと思います。相手国に対してはそれぞれはっきりした政府の意見を説明し、また両大使の、そのときの意見の表し工合をも説明して、それに誤解ないように処置はとっておるのでございます。さようなわけでございますから、外務省員として出先または本省の間において、かような問題について方針の差があり、また行動の差があるというふうには——事実もそうではございませんから、さようには御解釈にならないように願いたいと思います。なお必要な連絡手段は十分にとるつもりでおります。
○北澤委員 とにかく日本国を外国において代表する全権大使が、新聞記者の会見において、本国政府の考えと違っておることを述べますことは、私は非常に大きな失態だと思います。でありますから、今後外務省におきましては、そういうことは絶対にないように、本国政府の方針がはっきり外国に反映するように、出先の使臣が本国と違ったような——その国の事情もありましょうが、その国の事情に迎合して、そうして違ったようなことを在外使臣が述べないように、今後十分に外務大臣において御注意あらんことを要望しまして質問を終ります。
○森島委員 関連して。今北沢君からお話のありました中共承認の問題でございますが、私は前会にもその問題に触れて質問をいたしたのであります。そのときは非常に時間が制約されておりましたので、外務大臣もはっきり私の要点をのみ込まれなかったように思う。私はまた再び政府の声明に触れざるを得ぬのです。政府は組閣直後に日本の新聞記者に対して、きわめて簡潔な声明を出された。同時に外国の新聞記者に対して——私ここに原文を持っておりませんが、これは外務省筋から入っておる原文だから私は間違いないと思う。枚数で約三枚ぐらいにわたる長い外交政策の声明という英文のものを渡しております。その英文のテキストを見ますと、はっきり日本政府はソ連——ソ連とは書いてありません、ロシヤ並びシナと書いてあります——との正常状態を回復する意図があるのだということをうたってあるのであります。そうしまして十日ほどたちますと、直ちにその声明を撤回された様子であります。それから以後現内閣は中共貿易の増進ということだけを言っておられるのであります。私は非常に不可解にたえない。これはおそらくアメリカ方面において引き起した官民間の影響を考えられて、これを撤回されたものじゃないかと思うのでございます。これは私はきょうは持ってきませんでしたが、はっきりしたテキストを持っておるのです。この点の納得のいく御説明を外務大臣から承わりたい。
○重光国務大臣 この問題は、約半年前にずいぶんやかましく私は質問を受けました。あなたからも受けたと思う。そのときに詳しく申し上げておる通りであります。それによって御納得を得たいと思いますが、再び持ち出されたので……。私もテキストは持っております。しかし私は今日においても日本とシナとの間には正常関係を回復したい、これは公然言っておるのであります。それならばそれは中共政府を承認する意味であるとかなんとか言うが、私は日本とシナ民族との間には、どうしても正常関係を回復しなければならぬと思う。シナが今日中共と国民政府とに分れて悲惨なる戦争状態におるということは、実に不幸なことだと私は思います。だからこれは全体として、日本がシナとの間に、チャイナとの間に正常関係を回復するようにしていきたい、また努力をしていきたいという見解を持っておることは事実であります、そうなければならぬと私は思う。しかしそれは、今申すように、すぐ中共を承認するのだという結論には私はならぬと思う。それは矛盾も何もない。同時にそういうことをあまりに矛盾があるかのごとく考えられるということは、少し私は狭いような感じがする。これは何も御批判をかれこれ言うのでは決してございません。十分その御批判のあるところは私は考えて、そうして将来におきましては、いやしくもそういうことについて、解釈の二途に出るようなことのないように努力しょう、こういうことは申し上げますが、しかし考え方はそういうことでいいと私は考えます。
○森島委員 私は今の外務大臣の答弁には満足しない。いやしくもチャイナという字を使って、ノーマル・リレーションをリストアすることをウィリングすると書いてあります以上は、現在の台湾政権に対する日本の態度、中共の態度からいえば、これが中共との正常関係を回復したいという以外の何ものでもないということは、子供であってもわかる。これは台湾なら別に正常関係を回復する必要はない、すでに正常関係を作っておられる。それ以外にシナとやろうというなら、中共とやろうということは、当然なことであろう。私は政府の意図はそこにあったかと思う。鳩山政府も、在野時代におきましては、中共とソ連との戦争状態の終了ということを大きな方針として掲げられておった。内閣成立早々シナとの——中国ですな、シナとの正常関係を回復したいということを打ち出されたのですから、これはだれしも中共承認の問題である、こう考えるのが私は当然であると思う。私は、これ以上議論いたしましても、外務大臣は責任を逃避されるような答弁を繰り返されると思うから、これ以上この問題については追及いたしません。私の所見だけをここで明らかにしておいて、質問を打ち切ります。
○岡田委員 資料の要求をいたしておきたいと思います。今月の初めころに、アメリカの上院で対外援助法案が可決になっております。従ってこれに基いてアジアの諸国に対する援助計画もきまっておるはずであります。われわれが外務委員会で外交政策を審議する場合に、この対外援助法に基くアジア諸国に対する援助計画の内容を知ることはきわめて重要であると考えますので、この援助計画の内容について外務省当局は相当いろいろ資料が入っておると思いますから、この点についての資料をおまとめいただきまして、なるべく早い時期に委員諸君の全員に配付願いたいと思います。
○植原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十七分散会