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22回国会衆議院1955/07/09

外務委員会 第28号

発言数
193
登壇者
16
会派数
4
開催日
1955/07/09

会議録

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 これより会議を開きます。  日本海外移住振興株式会社法案を議題といたします。通告順によりまして質疑を許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 きょうは大臣をお求めいたしておきましたが、まだお見えにならぬようですから、政務次官にかわって総括的な問題についてお伺いしたいと思います。なお時間の都合で大臣が見えたら一般国際情勢に対する質問に移る理事会の取りきめになっておりますから、あとの残余の質問は留保いたしておきますから、委員長にも前もって御了承おきいただきたいと思います。なおお断わりいたしておきますが、私は前会党の要務で一回欠席しましたから、もし重複する質問がありましたら、あとで速記録で拝見をいたしますから、その点はどうぞ御承知を願います。  最初にお伺いいたしたいのは、移民に対しまする基本的な政策の考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。と申しますのは、戦前までの日本の移民は農村におきまする落伍者であるとか、あるいはまた二男、三男で働くに土地のない者、こういうような者を外地に送り出して、人口問題と申しますよりは、失業対策の一つとしてやってこられた点が特色的だと思います。もう一つは、満州事変後いわば軍事的思想的な意味を持った屯田兵的な移民政策が強行されたわけです。そこで終戦後から今までの政府の説明を資料によって拝見いたしますと、その前者の考え方に対して変化がないように見受けるのです。今度ここに提案されております移民会社法によりますと、その構想を改めて、たとえば従来渡航費だけを貸し付けまして、捨て子のようにして外地へ移民を送ったのに対して、今度の法案によりますと、企業資金の融資等もやってかの地におきまする企業開発等にも努力したいという片鱗が見受けられるわけですが、その後両院の関係各委員会で移民問題に対する政府の御答弁を瞥見いたしておりますと、政府間においていまだに移民に対する基本的な考え方が統一されていないように見受けられるのです。私は今度アメリカが千五百万ドルの金を貸せるということに促進されて、それがきっかけとなって急ごしらえでこの移民会社法案ができたように見受けるのですが、ほかからそういう刺激を与えられてこういう考え方になったにいたしましても、そのことは私はあえて申しませんが、ただそれを機会に政府は移民に対する今後の国際情勢を判断して、やはりもっと基本的な考え方の統一をはかる必要があるのじゃないか。特に私がはっきりお伺いいたしたいのは、今までの農村における生産手段を持たない潜在失業者または落伍者的なものをかの地に送り出して、それで人口問題その他の解決の一助になったというような気休め的な考え方でなくて、むしろ日本の今後の産業計画が、技術と科学を中心にしてこの日本国内における人口問題を解決していかなければなりませんし、また他国に対する貿易関係からいたしましても、そういう点に日本の経済政策の力点を置かなければならない。そういうふうに考えて参りますと、特に政府のお考え方として伺っておきたいのは、農業にいたしましても工業にいたしましても特にそうでございますが、そういう技術移民に対する基本的なお考えをこの際一ぺん伺っておきたいのです。その基本的なお考えを伺っておきませんと、あとのこの会社の事業計画にいたしましても、運営にいたしましても、またそれを監督する政府所管の機構あるいは従来の民間の移民問題を取り扱っておりますいろいろな機関の整理統合についても、その基本がはっきりしませんと、これを論ずることができないと思いますので、この際政務次官から政府のそういう移民に対する基本的な、政治的な考え方を一つ明確にしておいていただきたい、そこから出発をいたしたいと思います。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 お答えをいたします。御指摘の通り政府といたしましては、今日移民外交の大転換の時期であると判断をいたしております。大きく国内と国外的に分けまして、まず移民の基本を申し上げますと、政府といたしましては、移民問題を人口問題解決の万能として考えておるわけではございません。今日の不況というものが人口過剰によるものだけであるとは断じて考えておりませんが、人口問題の解決及び戦後の文化あるいは外交の面において閉ざされた日本の外交の一要素として、文化的な、しかも技術的なあるいは産業開発的な交流をやって外交を進めていくということを考えております。従いまして今までは国内的には御指摘の通りに、農村の失業者もしくは日本で働くことのできない人々を主として選定されて移民をされ、しかもその移民は政府の責任と相手国の責任において契約されたものではなくて、相手国の主として雇用関係の移民が送られておりまして、行くに際しましても、行ったあとにおきましても、何ら政府として物的な保障と援助ができていなかったのでございます。従いまして国内の選考方針につきましては、以上申し上げましたような意味から選者の方針は、相手国に行ってりっぱに相手国の一国民として相手国の国家にあるいは社会に奉仕のできる技術と人格と、しかも能力を持った者を選定するというふうに考えております。これを送るに際しましては、戦後逐次移民のふえております一番大きな原因は、戦後渡航費の貸付をやったことに原因があると考えております。年々増加をいたしまして、本年度はわずかではございますが、増加のパーセントは非常にふえておりまして、六千から七千の送出を計画いたしております。ただこの渡航費の貸付だけでございましたが、この際われわれが考えなければならぬことは、移民の問題は国民の人々に働く場所と働く仕事を与えるのは国家の義務と責任でございますから、渡航されるについての渡航費及び渡航されたあとの生活の保障あるいは営農資金、事業資金等相手国に入られてから健全なる移民として生活の基礎を築き、相手国の産業を開発さるる基礎を築かれる援助をする必要があると考えております。従いまして今般国会におきまして、先般来御相談を申し上げました外務省設置法の一部改正法律案によって移民課を移住局に増置をお願いをし、及びこれに伴い在外公館設置法の一部改正法律案を御相談申し上げまして、これに伴い各所に出て参りました在外公館には、今までどちらかというと、移民というものを外交の付随物に考えられておりましたので、本省におきましては移住局を設置するとともに、在外公館におきましても必要なる個所には移民専従の外交官を配置したいと考えております。なお移民に際しまして今日日本の移民外交の一番障害は御指摘の通り、一例をブラジルにとりましてもその通りでございますが、最大の障害はかつての移民のごとく、満州開拓団あるいはスマトラ等における移民のごとく、日本が国策の一環として組織的に、日本の政府が日本国家の勢力を扶植するのではなかろうか、かつての帝国主義的な行動を復活するのではなかろうか、この点が一番障害になっておるところでございますから、移民をやるにいたしましても徹底した同化政策をとりまして、日本人を相手国に派遣するのではなくて、入植をされた移民の方々が相手国、受け入れた国の国民の一員となって、善良に発展していかれるような方向をとりたいと考えております。そういう意味におきまして、いろいろな施策あるいは訓練あるいは基本方針等を変革すべき時期であると考えております。  なお移民をやる相手国でございます。今日までは中南米が主でございましたが、外交の発展に伴いまして逐次近接地域の東南アジアあるいはビルマあるいはボルネオあるいはカンボジアその他の国々にも、相手との折衝によって移民を進めていきたいと考えております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 親切なお答えでございましたが、私のお尋ねした焦点をもう少し明確にしていただきたい。と申しますのは、今おっしゃられましたように今までの政策と変えて、かの地に渡って善良な優秀な市民として同化政策をとっていきたい、こういう基準で人を選びたいというお話でございました。ところで私が特に強調いたしましたのは、その問題とともにもう一ぺんお答えいただきたいのは、同化する者にしてもまたはかの地で迎えられ、かの地で一人前の農民なり労働者なりとしてやっていける者であっても、必ずしもそれは農業、工業ともに相当の技術程度を持たない者でもかの地に同化し得ると思うのです。私は今後日本の、量は少くても質的に優れた移民を送る、そうして同時に単に日本の人口がかの地に移植されたというような問題ではなくて、かの地のおくれた農業、工業の生産力を引き上げることが、日本の経済、貿易を通じます経済復興に役立つという考え方から、かの地の産業の開発、購買力の増進に役立つという観点からするならば、むしろ私は農業、工業にわたって技術移民を力点に考えるべきだという感を深くするわけですが、その技術移民に対する考え方はどうでございますか。その力点の置き方、それを私は伺ったのですから、もう一度その点だけに限って御答弁をいただきたい。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 ただいま御指摘の通りに、技術移民に将来は重点を置くべきものであると考えております。しかしただいまのところは、今まで実施しておったのはほとんど重点が農業移民でございましたから、一挙に切りかえるわけには参りませんが、逐次本年度からそのように切りかえて、将来は技術移民に重点を置きたいと考えております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 ちょっと誤解のないようにしておいていただかないと困るのでありますが、私が技術移民と申しましたのは、工業労働者の技術者だけを言っておるのではございません。農業におきましては、今御指摘になりました南米を初め、東南アジアその他の各地の輸出先を見ましても、これらの国の農業というものは、日本の勤勉にして技術的なる農民の進んだ技術と農法を必要としている地域が相当あるわけですから、農業移民と技術移民と対比して考えるのではなくて、農業工業ともに、両方に通ずる人格並びに技術のすぐれた者を送り出すという意味でございますから、その点は誤解のないようにしておいていただきたい。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 その通りに考えております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 ところが政府の今までのお考えの矛盾について、私はあげ足をとるわけではございませんが、たとえば今年度計画が五千五百人だ、それだけでは日本の人口問題解決には何らの足しにもならないじゃないか、こういう他の委員会における質問に対し、政府当局の方はそうではない、その出ていった諸君がもう現に二十七年度においてもどれだけの送金を本国に向ってしておる、これを換算するならば、日本におる過剰人口何人を養うことができる計算になるというようなお答えを得意になってしておられるわけですけれども、そういう考え方をもって移民政策を指導しておられるということは、私ははなはだ今のあなたのお答えに矛盾するものだと思うのです、かせいだ金を貿易外収入として日本本国に持ち返る——出ていった者は出かせぎ移民として、ちょうど東北の恵まれない農民が関東または関西の紡績工場に娘さんを送って、その娘さんが出かせぎ労働としてそこで得た賃金を節約して親元に送り返す、それが大きな収入だというふうな出かせぎ移民的な考え方がまだあると思うのです。そういうことではなくて、今度の法案は、むしろかの地における日本の農業、工業の企業経営の強化をはかるために投資すらしようとしておるのです。従って、労働を通じて蓄積しました、または農業経営を通じて蓄積しました資金を本国に送り返す、その金で日本の失業人口何人を養うことができるというような、今のお答えとは実に矛盾する考え方ではなくて、それをむしろかの地において自己資本として投下する、そういうことでなければならない。やがてにしきを本国に飾りたいというような出かせぎ移民的な考え方で参りますならば、日本の移民の多くは永久にかの地で歓迎されない。特殊な人は歓迎される人もございましょうが、大量観察でいきますならば歓迎されない。のみならず、そういう考え方で行きますならば、古い労働賃金の蓄積という考え方で、第三国の移民と対比いたしましたときでも、相違点が非常に露骨に出てくると思うのです。そういうことでは私は非常にいかがわしいと思うのです。それはあなたであったか矢口局長であったか、ちょっと正確に記憶いたしませんが、そういうお考え方の矛盾をお感じになりませんかどうか。あげ足をとるわけではありませんが、大事なことでありますから、この際御所見を伺っておきたい。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 御指摘の点については全く同様の意見でございまして、移民外交を展開するに当っては、その点が最も大事な点であると深く注意をいたしております。他の委員会とは、多分内閣委員会かどこかだと思います。その答弁を矢口局長がやった際には、私もそばにおりましたが、そのような誤解を受けたことはおわびを申し上げますけれども、それは委員の方の数的な報告をせよという御質問によって報告をした答弁であると考えております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 矢口さん、よろしゅうございますか。

矢口麓藏外務省参事官

○矢口政府委員 はあ。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 それではその問題について続いてお尋ねいたしますが、かねてわれわれ同僚委員から今度の法案審議に当って資料として要求いたしております事業計画であるとか資金計画、こういうものの中に、今申しましたような技術移民を中心にした資金計画なり事業計画というもの、または会社側の事業計画、資金計画だけでなくて、今おっしゃったように、特に農林省と外務省となわ張り争いをしておった移民行政に対して、今度これを統一して、外務省で一括して技術移民にも移行するし、外交の一環として移民も考えるのであるから、外務省の移住局に強化統一したい、こういう考え方のようですが、今後の行政方針にもそういうものが現われて参りますかどうか。あなたの言葉だけでわれわれは了承するわけにはいかないので、その裏づけとしてやがて提案されるところの事業計画、資金計画のうちに、または役所の移民行政の方針の中にそういうものが現われて参りますかどうか、その点を、事前でございますが、前もってお尋ねしておきたいと思います。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 申し上げました方針は、具体的な処置になって事業計画なり資金計画の中に現われてくるのは当然だと考えております。ただし御承知のごとく、今般お願いしました設置法の改正によって内閣に移民審議会を設置して、関係各省並びに学識経験者及び移民の対象になる人の意見を代表する人などをこの内閣直属の委員会の委員にお願いして、その委員会の審議によりこれが内閣総理大臣に答申をして、将来の長期の計画並びにその他の基本計画を定めるようになっております。ただしこれが事務局はわが省が担当いたしておりますから、これに対する計画あるいは腹案等は持っているのが当然でございまして、これには御指摘の通りの点を十分に取り入れて具体的に研究をいたしたいと考えております。ただし、ただいま提示いたしました資料は目論見書案として出しておりますが、目論見書案としましたのは、今申し上げましたような理由から最後の決定ではございませんので、控えて目論見書案としたわけでございます。なおまたこの案は非常に簡単な案でございますが、実は先ほどから申し上げました通りに、一例を申し上げますと、ブラジルで一九三四年に百万町歩のコンセッションを設置する認可を申請しましたるところ、連邦政府の上院ではこれが否決されました。その理由は、日本人が組織的にブラジルに浸透してくるということで刺激をした関係でありますし、移民は、御承知の通りにいろいろな長期の計画、年度の計画等を詳細に発表いたしますと、日本人が計画的に組織的にやってくるという刺激をするおそれがございますので、相手国との折衝に伴い逐次具体的に発表しなければなりませんので、その点非常に簡単に御報告してありますが、この点御了承を願いたいと考えます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 手元へ見せていただきましたこの目論見書でございますが、これは一見いたしまして非常にラフなものでございますから、こまかくは事務当局から口頭をもって説明をしていただきたいと思います。  なお、先ほど申しましたように、あと一般的な総括質問をされる委員も残っているので、次の機会にこの内容については質問をいたしたいと思って、総括的な問題についてまた続いて簡単にお尋ねいたします。  次に私が明らかにしておいていただきたいのは、外務省の移住局、つまり移民行政の機関でございますが、これを昇格強化されたことは先般来われわれも承知いたしておりますけれども、この移民行政に対しては、宣伝、募集から選択、訓練等々、各省にわたって今までやっておられたわけです。それから民間におきましては、この会社ができる前、つまり現在までは海外協会等がこれに当っておったわけですが、今度の会社法案ができたと仮定いたしました場合、その後におきます政府の移民行政の所管に対して、どういう整理統合を行われるつもりであるのか。それから第二には、従来の民間の機関はどういうふうに整理されるつもりであるか。直接今度の会社との関係については、どういう構想をお持ちになっておられるか。政府並びに民間の従来の機関の整理と会社との関係について、政府のお考えを伺っておきたいと思います。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 政府といたしましての行政のいろいろな連絡は、今後農林省、それから労働省、通産省、大蔵省、外務省と各省にわたる関係の計画なり、事業が当然ふえて参りますので、従いましてこの法律案に規定してあるほか、大蔵省の政令及び関係各省の次官の申し合せ等をいたしまして、事務の連絡、円満なる折衝をはかるとともに、内閣においては審議会を作り、この審議会において全般の方針を計画立案し、あるいは各省との関係を折衝していきたいと考えております。外郭団体の海外協会連合会につきましては、いろいろ御意見等もございますし、外務省といたしましてもこの点よく検計いたしまして、今までの労働、通産、外務各関係省の委託するところによって、国内の選考、募集その他の方法、及びこの会社の業務内容といたします渡航費貸付の委託を行わせたいと考えております。ただしこれが機構、人事等についてはよく検討を加え、さらに次期国会においてはこれを立法化する所存でございます。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 これは次官どうでしょうね。率直にお尋ねしたいのですが、今度の会社法案をきっかけにして、従来の移民行政の役所の間における整理統合を行うというのでしょう。そして単に渡航費貸付だけではなくて、一歩前進して資本投下もやる、こういうような趣旨でございますが、そうなりますと今のお話の民間の外郭団体等、これは相互関係が非常に深いと思うのです。宣伝であるとか、啓蒙、訓練、それから今伺うと渡航費の貸付の代行事務すらやられる。そうなりますと移民会社法の概念の中に盛られてきた、またはこの提案理由の中に説明された政府の観念の相当重要な部分が未確定である。やがて次の国会において改組の法律案を出したいというような民間機関の構成、並びに運営等に非常な関係が、比重が移っていくと思うのです。そうなりますと、当然この際移民に関する基本的な政府の考え方を一歩前進せしめ、それから役所の機構も整理統合するということになれば、この会社ができることと三位一体で初めて移民行政に対する政府の考え方も具体化し、われわれの態度もそれによってきめなければならぬと思うのです。そうなりますと私どもの考えでは、特に重要な点については今の従来の外郭機関、しかも非常に重要な業務を委託させたいという海外協会、こういうものの改組案というものが、同時並行してこなければいけないと思うのです。つまり役所の行政機構の整理統合、それから移民会社法の内容と、それからそれに友好的な関係でもってこの行政の一部を担当する外郭団体、これはどうせ三位一体の機構でございますから、それを同時にお出しになるべきだ。従って今国会中にこの法案を審議して具体化そうということであるならば、今国会の審議に間に合うように、今急に考えたことではない。この法案を作られる過程において、民間団体をどうするかということは当然お考えになったでしょう。ですから急速に間に合うように、一つ民間団体の整理統合の法律的措置が必要ならば、それもこれにつけてお出しになるべきだとわれわれは思う。それがもし間に合わぬならば、これも継続審議にして、その外郭団体の整理統合のための法律案が出されるときまで待って、同時並行して審議すべきが理の当然だと私は思うのです。次官そういう点お考えになりませんか。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 早急にそのようにすべきであると考えております。しかし御承知の通り、海外協会連合会はただいまもすでに国内の選考、募集あるいは渡航費の貸付を実施している機関であります。この会社法案の御審議を願えれば、それに伴い各省から協議の結果決定する具体的な指示に従って、その実務の一部を委託するだけでございますから、これを法制化する処置は早急にやらなければなりませんが、それとは別個に、この会社法案があとの法制化も早急にやりたいと考えておりますので、この会社法案はそれより先に御審議を願いたいと考えております。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 くどいようですけれども、これは次官も党や政府の立場にとらわれないで国の立場に立って考えてもらいたい、というのは、出て参ります移民の立場に立って考えてもらいたい。われわれの言うことは形式論にとらわれていやがらせを言っているのではない。先般来この委員会でこの法案を審議されるときに、まっ先に問題になったのは何かというと、今までやって参りました移民の政策が実は捨て子であった。棄民だったという言葉すら使われた。問題は実際は宣伝、募集、啓蒙、訓練、それから向うへ参りましてからの受け入れ態勢、さらにその後のめんどうをどこが見るかということである。それは政府機関では見られません。そうしてこれが今度の会社が渡航費の貸付と、さらに投資を主にした任務で、あとのこまかい、今申し上げました先般来問題になっているずっと移民に直接の関係ある、移民の身近の相談相手になってやる機関、それはどこの責任かと追及していくと、どこも責任を持つものはない。役所に回れば、そんなことまで責任を持つ立場になっておらない、おれの方は予算に許された渡航費を貸し付けただけで、あと残った仕事はそれを回収する権利だけが残っている。事実移民は今あなたの新たな構想で進まれているにもかかわらず、移民は移民でなく棄民だ、捨て子だという事実が残る。それはなぜかというと、いわば移民の一番身近にすわって日本国内各地にそれが事務をとり、そうしてかの地に参りますならば世話をする、実はこれこそ一番問題になると思う。従ってそういうことになりますればなるほど、概念的に考えれば重要な事務は会社がやるのだということ、政府または今の移民審議会で決定したものを、その事務的のものを代行せしめるのだといっておられるが、それが実は移民にとっては重要だ。今まで日本の移民行政の大きな欠陥がそこにあることをわれわれ発見せざるを得ない。今までのいろいろの苦情もほとんどそこにあった。ですから観念的にほんのささやかの事務を担当するのだという考えでなくて、どうしてもこれは日本の場合において必要だと私は思いますから、ぜひともこれは同時に並行して御審議願えるようにお取り計らいを願いたいと思う。しかも今度この法案が来国会にまたがったとしましても、おっしゃる通り今までの海外協会が今日も明日も継続して取り扱っている。しかも政府予算では五千五百人の移民に対する貸付予算はすでにとってある。ですからこの法案が今国会において通らなくても、私は何ら支障を来たさないと思う。今年度計画した移民を促進することについてはそう思うのでありますから、あなたもいやしくも与党、政府の立場にのみとらわれて、しかも面子にとらわれて、これはどうしても今国会中に通さなければならないというようなお考えを持たれないで、もしこれをどうしても通そうというお考えがあるならばさらに説明していただきたい。それでどうしてもお通しになりたいというならば、今申し上げました通り、一番移民にとっては重要な民間団体の整理の案も並行してお出しになるべきだと強く思うのです。政務次官そういうふうにお考えになりませんか。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 先般来からも御報告いたします通り、また穗積委員からも御指摘の通り、今日海外に移民した人々の生活の保障なり資金の援助、あるいは天災地変その他に対するお世話をやく方法が、形式的にも物的にも約束づけられておりません。そのためにしばしばいろいろな問題を起しておることさえあるのでございます。従いまして千五百万ドルのアメリカ三銀行からの借款とともに、早急に政府といたしましては、今後の問題ばかりでなく、ただいま渡航されて、新たなる開拓地に夢を結んでいかれて、行ってみると、そこは非常な未開発地で、いろいろな苦労が多かった。そういう苦労をしておられる方々のために、政府としてはこの会社の手を通じてすみやかに援助をしたいというので、各省いろいろ意見がありましたのを急ぎ取りまとめて、提案をした次第でございます。従いまして決して面子とかそういう意味ではなくて、早急にこの御審議を願い、この会社の手によって移民された方々の保障、援助ができるようにしていただきたいと考えております。一方海外協会連合会についての御意見はごもっともでありますから、早急に措置をいたすようにいたします。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 私はきょうは、最初申しましたように、総括質問だけでとどめておきたいと思います。あと質問される委員もおられますから、もう一点だけで打ち切っておきます。  今次官のおっしゃることは、やはりわれわれの推測通りなのです。というのは、アメリカが最初三千万ドル、それを半分に値切って千五百万ドル、それを移民資金に貸してもらいたい、貸してやろうということで、しりをたたかれて、実は急ごしらえに作ったのがこの法案なのです。ですからそういうことにあまりとらわれる必要はないと思うのです。それがアメリカに対する面子と言わなければ、義理でございましょう。そういうようなことで独自の受け入れ態勢の整備もできず、また国内におけるそういうあっせんの外郭団体の整備もできず、また移民先地におきます受け入れ機関等の整備もできないのに、金だけ借りようというので、急ごしらえにこういうことをされるということは、われわれ非常にずさんなお考えじゃないかと思うのです、自主性のないお考えではないかと思うのです。ですからもっとここで日本の移民の将来ということを基本的にお考えになって、そうして今までの実務上の欠陥がどこにあったということをつぶさに反省をされて、まずその受け入れ態勢を作ってからやるべきだ。この問題は濃縮ウランの問題とやり方が全く同様なのです。ですから向うがおっしゃれば、何でも手を出さなければならない、それを早くやらなければ、相手に申しわけがないというようなお考えをお捨てになって、いやしくも吉田内閣と違って独立外交を主張される現内閣ですから、そのくらいなことに気を配られる必要はないのであって、自主的におやりになったらどうでありましょう。そこでさっき申し上げました私の提案を重ねて強調しておきます。  続いて最後にお尋ねいたしたいのは、この千五百万ドルの借款についてでございます。これはすでに他の委員から私の不在のときに御質問があったかもしれませんが、ありましたら、その由お答えいただければけっこうだと思います。  具体的にこの借款を千五百万ドル日本にしようと言っているアメリカ側の意図を、一体どういうふうにお考えになっておるか、それが一点。第二には、どういう経過を通ってこの話が出てきたかということ。つまりどうして三千万ドル当初予定いたしましたものが、半額に削り捨てられたか。第三点は、その借款をする条件、第四番目には、こちらの受け入れの責任者、その保証に対する政府の関係、この五点について、お尋ねいたしておきたいと思うのです。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 アメリカ三銀行から千五百万ドルの借款が成立いたしましたのは、御承知の通り、前内閣当時こちらからの折衝によって成立したものであると考えております。これに伴いアメリカが何らかの意図を持っておるとは考えておりません。三千万ドルの約束が、逐次半減をされて、千五百万ドルになったということは私は聞いておりません。最初から千五百万ドルの約束でございます。  なお条件は、金を借りるのでございますから、貸す方においてはいろいろ意見があったでございましょう。経過中には、いろいろ受け入れ機関あるいはその他についての希望もあったようでございますが、今日においては元利を政府が保証せよというのが条件であって、他に一切条件はございません。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 それでは細目のことについては次の機会に留保いたしまして、他の委員に譲ります。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 田原春次君。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 私はこの機会に次の三点について簡単にお尋ねをいたしたいと思います。第一点は、この新しい会社の業務について、第二点は、貸付の問題について、第三点は、役員の問題について。  第一点の、業務の問題の原案を見ますと、一、二、三と分れており、一として、渡航費の貸付、二は、現地における事業資金の貸付、三は、現地事業の投資というふうに書いてあります。一面この会社は株を民間から募集することになっておる。そうしますと、民間からの応募者は、やはり会社が採算がとれて、配当のあることを予想して応募するものと思わなければなりません。しかるに業務の中の第一点、すなわち渡航費の貸付ということは、第二、第三の事業資金の貸付や投資とは性質が異なっておると思う。ということは、渡航費を貸し付けるときは、神戸または横浜において、国内で貸し付けるのでありますが、さて現地に渡航してしまいますと、日本の二十二倍もあるといわれるブラジルであり、またその他の国でありますために、——これらにそれぞれ定着いたしました後において、一定の期間を置いて、それから年々回収するというのでありますが、実際にはどうしてこれを回収するかということ。これは実際はなかなか困難だと思うのであります。  そこでこれは大蔵省なり外務省なり、あるいは両方からでもいいが、戦前を回顧してみますと、戦争前の海外移民に対しましては、旅費を補助しております。先祖代々の土地を売って、いまだ知らざる南米に行く者に対しましては、旅費だけは政府が負担をしておったのであります。終戦後南米移民が再開されますと、今度は渡航費の貸付ということになっておる。この戦前における移民政策と戦後の移民政策との間において、旅費の点については少しきびしくなっておると思う。このことは従ってこの会社の業務の面においても困難が起るのではないか。第二点の、事業資金を貸し付ける場合、幾らかの利子を見る、そして借り受け者の事業能力や回収可能限度等を調べて貸すと思う。第三の投資にいたしましても、これは投資でありますから、やはり利潤を見て貸すに違いないのでありますが、第一の渡航費は、それとは全く性質が異なっておる。これは合せて三つやることに無理があるのではないか。渡航費を貸し付けた場合、これが焦げついて回収不能となった場合においては、それは会社の損になるのであるか、すなわち応募します株主の損になるのであるか、回収不能の場合には、これは政府が負担をするものであるか、その点が、この設立の趣意書によると、明瞭になっておりません。実際どういう話し合いになったものでありますか、これを聞かしていただきたい。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 御指摘の通りな心配をわれわれもいたしておりましたので、当初この法律案作成の経緯につきましては、国家資金の規制をやっておる大蔵省と、移民を担当せんとする外務省との間に、若干の意見の相違がありまして、われわれとしては御指摘の通りに、働く場所を与えるのは国家としての責任と義務でありますから、国家財政上許すならば渡航費等のごときは、イタリアその他諸外国がやっております通り、国家の責任において負担すべきものであるという考え方でございますが、しかし今日の国家財政緊縮の折柄それも参りませんので、戦後は貸付になっておるわけでございます。従いましてこの貸付の業務はこの会社の業務内容とは別個に切り離して、ほかの海外協会連合会なりその他に今まで通りにしたいという希望を持っておったのでございますが、いろいろ大蔵省と外務省と話合いの結果、その点を第九条に明記してございます。一項の、渡航貸付費の財源を政府が出すということ、次に二番目の「前項の資金の貸付の利率その他の条件は、政令で定める。」と書いてございます。その政令についていろいろ話し合いをいたしております。ただいま折衝中で、もうまとまる段階にきておりますが、大蔵省も非常に誠意を持って移民の重大性を認識して折衝いたしておりますので、貸付の利率あるいは貸付の期間、弁済の方法、貸付の条件、あるいは今御指摘になりました天災地変あるいは死亡等によって本人が返済できない場合の赤字を償還する方法等について具体的に折衝中でございます。従いましてこれは大蔵省と外務省との政令による渡航費の損失補償によって、移民の方のお世話をするこの会社が運行不能にならないようにどのような処置をするかについては、近々のうちにまとまった御報告を申し上げる段階にあると考えております。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 そういうふうになるとすればこれはこの業務の第一項にうたうべきものでなく、第二項第三項に重点を置き、渡航費の貸付はこの会社が貸すのでなく、政府が渡航者に貸す、その委託を受けるという程度にするならば、返済不能の場合における処理等についても、これは政府の金を貸したのであって、従って帳面は別にして貸付業務と現地における営業とは別であるということになるはずであります。それをこの業務の規定によりますと第一項にうたっておりますから当然会社か責任を持つことになる。しからばなぜ第一項に渡航費貸付を書いたのか。これは将来必ず問題になることであるから今責任の限度を明らかにすべきでないかと思うのですが、その点のいきさつをもう少し詳しく伺いたい。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 法律の表現の形式については御指摘の通りと考えております。これはただいまのような折衝の経過中についこういうふうな法律になったわけでございます。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 もし政務次官の御報告されるような経過であるとすれば、この委員会でこの討論の終るまでの間に、大蔵省と外務省とにおける、これが成立後における渡航旅費の返済の不能になった分に対する話合い等を、やはり文書等で明示すべきであると思っております。この点はいかがでしょう。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 話合いがつけばそのようにするつもりでおります。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 次は業務の第三項、すなわち現地への投資の問題でありますが、これにつきましてブラジルの現地側で心配をし、うわさされておる点をここでお尋ねしておきたい。それは御承知のように戦前長く海外興業株式会社という民間会社がありまして、現地でこういう投資や貸付、コーヒー園の経営等をやっておったのでありますが、いろいろな事情や理由によってこれが赤字になって困っておるそうであります。そこで新しくできるこの会社が、海外興業株式会社の赤字の引き受けをやるのではないか、借金の肩がわりをするのではないかということが心配されておりますが、この点はいかがですか。全然性質が別個なものであるが、二、三の現地の有力者の運動によってそういう肩がわりをされることは大へんなことであります。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 この会社は一般営利会社ではございませんから、この会社による利潤などは考えておりませんが、少くともこの会社が目的を達成するために運行を円満ならしむるためには、発足当初において相当困難があると覚悟いたしておりますので、発足当初において、今日できております各民間会社の赤字の充填などは考えておりません。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 次は第二点の問題をお尋ねいたします。問題というのは私が考えている問題でありますが、それは朝鮮、台湾等における金融と事業とは——御承知のように朝鮮においては朝鮮銀行と東洋拓殖があり、台湾においては台湾銀行と台湾拓殖があります。貸付業務すなわち金融面と事業体とは性質が違っておる。そこで今度のこの会社が、伝えられる千五百万ドルのアメリカの三銀行から南米における日本の事業への貸付、それを受ける会社であるとしますと、それは言うてみるならば、台湾拓殖のような性格でやるべきものではないだろうか、従って貸付、回収という銀行業務は別に作るべきものではなかったかと思われる。この点について大蔵省はどういうふうにお考えであるか、大蔵省の方がおられるならばお伺いしたい。金融面と事業面と一本にしたのは過去の例からいっても、能率の面からいっても弊害があるのではないかといわれておりますが、この点はどうでありますか。

谷川宏大蔵事務官(主計官)

○谷川説明員 お答え申し上げます。この会社が事業を直接やることと貸付をやることを一緒にやるのは不適当ではないかというお尋ねでございますが、私どもの考えによりますと、移民を促進するためにはそれに関係するところの業務は種々雑多なものがございますが、それを一元的にやることによりまして政府もその会社をできるだけ援助するという意味におきましても、多数の会社でそれぞれの業務をやるよりも、一つの会社ができるだけ一元的に移民に対する保護助成を行なった方がよろしいという観点のもとに、この会社をして貸付業務及び直接業事をやる場合があれば、その事業をその会社がやるというふうにした方が都合がいいのではないかと考えております。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 創立の際において大蔵省がそういう考えであったとすれば、これは会社の今後の業務を見てからにします。  第三点は、この会社の役員は、原案によりますと取締役が四名以内、監査役は二名以内になっている。ところが本社が日本にあるとすれば、日本にも取締役がいなければならぬ。それから現地においても、国々によって、ブラジルではブラジル政府と交渉したりする意味においてやはり一つの代表を置かなければならぬ。またアルゼンチンやボリビアやドミニカ、コロンビアやメキシコ等にも必要ではないか、向うにおる者は重役でなく、ただ取次だけでいいかどうかということになりますと、これは問題になります。従って特に専業取締役を四名に限定した理由いかん。将来の発展を予想しますと、中南米において各国別にすればおそらく十数カ国だろう。それからさらにその後の将来において東南アジア等における日本民族の事業進出なり海外移住が許される場合を想像いたしますと、これまた十数カ国ある。従ってあらかじめ四人と限定せず、取締役若干名とかいうような幅を持たせなかった理由はどこにあるか。一例をあげますと日本航空株式会社ですが、会社側では修正さして十八名の取締役を要求いたし、政府側は十名で十分なりといい、きょうの新聞を見ますと現職並びに専業の重役合せて十五名ということになっております。今は国内の航空、それから海外にもいずれ行くでありましょうが、日本航空のような会社も同じく全額政府出資金を仰いでおるようでありますが、これに対しては十名といい、十八名といい、最終的には十五名ということであります。必ずしも重役の多きことを経費その他の面で希望しませんが、実際上四人でやれるかどうか。やれない場合は、次の通常国会その他において改正しなければならぬのじゃないか。これに対して、取締役は四名であるが、理事とか支店長とかいうことでやらせるような腹案があるなら、これを示していただきたい。

矢口麓藏外務省参事官

○矢口政府委員 お答え申し上げます。御承知の通り、わずかに千五百万ドルの借款でございまして、それを一年に割り当てますと、わずかに三百万ドル、日本の金にして約十億でございます。しかも、株式会社にはなっておりますけれども、仕事の性質上、採算を無視してやることが多分にございますので、なるたけ人件費その他の経費のかからぬようにというのがねらいでございまして、その意味から、重役はなるたけ少くして能率を上げようという考えでございます。もちろん将来ブラジルその他の国々に出先機関を置かなければなりませんけれども、でき得る限り、出先にある機関を利用して、人件費を節約し、その他の経費を節約したいという意味でございまして、頭はなるたけ小さくして、手足だけを大きくして、それでまかなっていきたいという考えの発露でございます。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 田原君、あなたの質問は留保して下すって、次にお試みを願いたいと思いますが……。

田原春次日本社会党(右)

○田原委員 それでは、きょうはこれで留保しておきます。     —————————————

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 ただいま高碕経済審議庁長官、花村法務大臣が出席いたしましたが、法務大臣は法務委員会に呼ばれており、高碕長官は十二時半より所用があって退出されなければならないので、この際特に国際情勢等に関する件について、高碕長官及び花村法務大臣に対する数日前からの懸案である岡田春夫君の質疑を許可いたしたいと存じます。さよう御承知を願いたいと思います。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 議事進行に関して。きょうは外務大臣が十一時過ぎには見えるという約束だったのですが、その後どうなっておりますか。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 外務大臣は内閣委員会に出ておりまして、その審議が引き延ばされて、少し時間がおくれておるそうですが、じきに来るそうですから、そう御承知を願いたいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 大へん時間が制約されているそうですから、あまりいろいろお伺いはできないのですが、また例によっての濃縮ウランの問題です。濃縮ウランの受け入れ問題について、二、三日前の新聞では、仮調印の正文がすでに発表されたようであります。今度の協定については、たしか今月の初めの高碕長官の記者団会見によると、近いうちに今国会に提出をしたい、こういうことを記者団会見で発言をされておられますが、今まで外務省関係では、園田政務次官もここにおりますけれども、今国会中にはおそらく間に合わないであろう、と申しますことは、正式調印はジュネーヴ会議のあとにしたい、こういう意味において今国会には間に合わないだろう。しかもジュネーヴ会議以後にするという意味は、察するに学術会議が政府に対して要望いたしました、この協定の妥結についてはジュネーヴ会議以後にしてもらいたいという要望を十分考慮したものというような含みをもって——これはほんとの意味でそういうふうに考えているかどうかはわかりませんけれども、ともかくそういう含みをもって、ジュネーヴ会議後にしたいという考え方を外務官は持っているようです。しかし高碕経審長官は非常にお急ぎの模様で、今国会にかけたいというようなことを言っておいでになりますが、これは仮調印を国会にかけたいという御意見ですか、あるいは正式調印のものを国会にかけたいという御意見であるか。そしてまた、この国会におかけになるというおつもりがほんとうにあって言われたのか、新聞記者にそのときの適当な話としてお話になったのか、そういう点の真意についてまず第一にお伺いしたいと思います。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 お答え申し上げます。仮調印については、国会にかける考えはございません。新聞記者会見におきましては、新聞記者の方から、本調印ができれば国会にかけるか、こういうことでありましたから、できれば国会にかける。いつごろできるだろうか。相なるべくは早くやりたい。それじゃ七月中でもできればかけるか。それはできればかける。こういうふうな軽い答え方をしたのでありますが、本調印の方は、お説のごとくなかなか進まない。いろいろ細目についてこちらの検討したいと思うような点については、何もまだ言ってこない。あるいは賃貸する価格の点だとか、あるいはその他の細則について先方が言ってくれば、それについてさらに検討いたしたいと存じておりますが、今日までのところまだ何にも言ってこないのであります。これは検討に相当時間がかかりますから、私はこの国会にかけることは不可能だと存じております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 もう一つ高碕さんに伺いたい。あなたは協定を交渉しておられる場合には、だいぶ景気のいいことを言っておられたのですが、実際協定に仮調印した場合において、そういう景気のいいことは協定文の中に入っておらないことが非常に多い。具体的に申し上げますと、たとえば国民の権利義務に関係するようなことは、できるだけ一切を協定の正文の中に入れたい。特に価格の問題については原子力協定の正文の中に入れたいと考えて、そのように全力をあげて努力をいたします。とまではっきり答弁をされております。それにもかかわらず、この間の交渉の途中においては、たとえば価格の問題については、日本側からこれを撤回して協定正文の中に入れないようにしていいという決定まで出先がいたしているのであります。外務省では御存じないとは言わせません。高碕さんも御存じないとは言わせないつもりです。というのは、あなた自身今まで努力されておって、そんなことは存じませんでしたなどとは私は伺いたくない。少くとも協定正文の中では、価格の問題については全然触れておりません。価格についての包括規定も全然ありません。とすれば、価格の問題は一体どこにお入れになります。協定正文の中に入れないとして、あなた自身がそのように答弁された関係についても伺っておきたい。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 仮調印の中に価格を入れたいと私どもは希望したのでありますが、賃貸価格がきわめて僅少である。ほんとうのところどれくらいだということに相なりますと、大体原子炉を一つ買った場合の十分の一くらいだろう、こういう話であります。原子炉一基を買えば五十万ドルとすれば、五万ドルくらいである。これは私は別に予算の審議上必要でないだろうと思ったわけであります。本調印をいたしますまでには、価格の協定をいたしたい、こう思って今やっているわけであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 これはちょっと重要な問題ですが、価格は僅少で五万ドル程度であるから、予算上あまり関係がない、こういう意味ですか。この点は国会の審議の上で重要な問題ですが、たとえばそういう賃貸料の価格を必要とした場合に、予算上これを組まないとおっしゃるのですか。これはどういう意味ですか、予算上あまり関係がないというようなお話ですが。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 これは予算の組みかえをするような大きな金額でない、こういう意味であります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 しかしそのこと自体、それを賃貸するということ自体は、国が借りるのでありますから、これは当然予算上の措置を必要とするということは間違いありませんか、その点が第一点。それから協定正文の中にそれが入っていないとするならば、一体それをどこにお書きになるのですか。これはさっき御質問した点ですが、お答えがなかったのです。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 それは細目取りきめにきめるわけでありまして、本調印をするまでに細目の取りきめをいたすわけであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 予算上の問題は。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 予算上の問題につきましては、もちろん国家の金を使うわけでありますから、予算上必要であります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 といたしますならば、予算上の措置を必要とするという点が第一点。それから予算上の措置を必要とする根拠に立つものは細目協定の中に現われるという点。この二つの点から考えて、財政法、憲法に基いて、予算上の措置を必要とするような国際上の取りきめ、これは当然国会の承認を得なければならないことになっております。従って協定本文——仮調印の協定文ではありませんよ、仮調印の協定文には価格の問題については包括規定が別段に書いてございません。従って、細目取りきめは当然国会の承認を得なければならない。これを得なければ、あなたは憲法違反をやらなければならないことになり、財政法違反ということになるのですが、この点についてはいかにお考えになりますか。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 これは憲法上の問題ですし、財政法上の問題です。単なる事務的な問題ではありません。政治的な問題でありますし、特に国会の審議権との関係でありますから、大臣からお答えを願いたい。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 細目協定をいたしまして、そして正式調印をいたしましてから国会にかけるわけでありますから、もちろん国会の御承認を得ます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 今の承認を得るというのは、細目協定それ自体も国会の承認を得るという意味に解釈してもよろしゅうございますか。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 ただいまの点は憲法違反にならないと考えております。それは本調印におきまして賃貸借の件について承認を求め、予算上の措置をする場合に予算額については承認を求めるわけでございますから、何ら憲法違反ではございません。従いまして本調印の中には書かれずに、細目取りきめの中に価格のことは書かれるのでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 あなたはそうおっしゃるけれども、あなたとはあまり議論をしたくないが、それでは言います。本協定の中に、賃貸の価格についての包括規定はどこにありますか。あなたは発表された記憶がどこにありますか。ないじゃありませんか。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 まだ本協定はやっておりません。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そういう言葉じりで言うならば、私も言いますよ。仮調印の協定正文の中に、あなたが発表されて国会に提出された協定の正文の中に、賃貸についての包括規定が何条のどこにありますか。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 それは将来の細目取りきめにおいてきめるわけであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そういうごまかしを言ってはだめです。細目取りきめというものは、協定正文に基いたものによってそれを具体化するので細目取りきめというものがある。ところが協定正文の中には、賃貸価格についての包括規定というものは全然出ておりません。賃貸するということだけであって、包括規定というものは全然ありません。価格を幾らにするかということは全然出ておりません。それなら、価格を幾らにするかということで財政法上の義務が政府に生じてくるわけでありますが、その財政法上の義務というものをあなたはおやりにならないとするならば、私はあなたに言いたいのだが、鳩山内閣はあなたがおられることによってずいぶん民主的なことをやろうとしているのだというように考えておられるようだけれども、吉田内閣と同じような憲法違反をあなたはやろうとしているわけですか。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 ただいまの点は、第四条の末尾に、「これらの資材の売却または賃貸借は、合意される条件に基いて行われるものとする。」との一項がございます。従って、将来行われる賃貸は両国の合意のもとに価格が決定されて、この条項に基いて予算的措置をやるわけでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 先ほど高碕さんは、細目協定を含めて国会の承認を求めますというように答弁をいたしております。これは速記録に残っております。ところが、今外務省の答弁をされた園田政務次官の御答弁によると、細目取りきめは国会の承認を経ないと言っている。これは閣内の意見の不統一です。こういう点からいっても——いや、私は園田政務次官の御答弁を求めているのでありません。高碕さんの御意見を承わっておきたいと思います。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 その問題は、これは技術的の問題でありまして、私はなはだ不敏でございますから、私の言ったことがあるいは間違っているかと思いますが、もし私の解釈が間違いでありますれば訂正いたします。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 この点についてはもう少しあとでやります。  花村さんがだいぶお急ぎですから、そちらの方に入っていきたいと思いますが、花村さんの問題に入る前に、計画部長か総務部長か、だれか来ておりますか。高碕さんじゃあまり技術的なことはわからないらしいから、もう少し専門家でなければだめです。どなたか来ておりますか。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 来ております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 ひもはつかない、秘密はないということを盛んに言っております。これは政府の発表でありますが、それでは専門的な立場の方に一つ伺いたいのでありますけれども、今度の協定について、濃縮ウランの燃料、この燃料それ自体には、いわゆるアメリカの原子力法の十一条rに基くところの機密条項は全然ないとあなたの方で断定されますか。

阿部滋忠総理府技官

○阿部説明員 大体今度借り入れると予定されておりますのは、特殊なものでなしに、たとえば金属と合金にしたとか、そういうかっこうではなしに、ウランの単純なる結晶でございますので、燃料それ自体には秘密はないと想定しております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 単純な結晶といいますと、濃縮ウランはあなたも御存じのように幾つかの形があるわけですが、いわゆる水溶液の状態になっているものを言っているのでありますか。結晶体とお話になるのは、いわゆる固形体を言っているのですか。固形体か水溶液かというと二十のとびらみたいになるけれども、水溶液の状態になっているものならば、これは容器その他の関係に当然機密条項が入っているわけです。これはあなたも御存じだと思うのですが、こういう点に機密がないとあなたは断定されますか。どうなのですか。

阿部滋忠総理府技官

○阿部説明員 燃料の生産の方式、あるいは燃料の容器の合金それ自体は、ある程度特許にかかわるような事項があると思いますけれども、それを使用するについては何らの秘密は伴っていないと解釈しております。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 特許じゃないでしょう。十一条のrの機密条項に該当するのではありませんか。容器それ自体はもちろん特許は特許でしょうけれども、それだけでなく、機密条項に該当するのですよ。あなたはそういうような点はお調べになっていないのですか。

阿部滋忠総理府技官

○阿部説明員 炉体の形式によって容器の形状その他が非常に違いますので、同じ実験用の原子炉でありましても、たとえばCP5とか、そういうものに対しては若干の秘密は残っているものと思われますが、現在日本が想定しておりますような原子炉は非常に単純な形でありますので、そのもの自身には秘密はないというふうに想定しておるわけであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それは炉の答弁でしょう。私は燃料のことを聞いているのですよ。濃縮ウラン、燃料それ自体を聞いているのです。

阿部滋忠総理府技官

○阿部説明員 御承知のように、燃料は生産の方式について秘密があるのでございますけれども、燃料それ自体については秘密はないのであります。ですから、いかにしてこの燃料を作るか、あるいはこの燃料をたとえば固形にした場合に、その中の金属の表面の中性子の分布はどうだとか、そういう問題についての研究自体はまだ公開されておりませんけれども、それを使うこと自身は問題はもうないと思うのであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 ですから、今あなたの言われた通りに、燃料それ自体に機密はあるのでしょう。生産工程それ自体に機密があるのじゃありませんか。その機密のあるということを、あなたは特許だとかなんとか言われたけれども、これは原子力法の十一条に基く機密なのですよ。今あなたは生産工程において機密がある、こうおっしゃったんじゃありませんか。

阿部滋忠総理府技官

○阿部説明員 いや、そういうふうに御解釈になったら私の言い方が不十分だったかもしれませんですが、燃料それ自体には秘密はなくて、燃料を作る過程が秘密なのでございます。いかにしてこれを作るかということが秘密なのでございまして、製品そのものには秘密はないのでございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 その機密の生産工程を通じてできた品物に機密があるのですよ。たとえばさっきあなたが言われた容器なり、その水溶液の分解の状態なり——なぜならここにある日本の場合の協定の第七条あるいは八条あるいは三条ですか、これに基いてその内容、水溶液の状態を分解してはいけないという保証を要求されているでしょう。だから、機密がないのなら、その内容の状態を分解したってかまわないのですよ。機密だから分解できないように、使った灰も返さなければならないようになっているのです。そうでしょう。それ自体に機密がないとは言えないのです。それを分析すればその生産工程が当然明らかになってくるから、そこで分解してはいけないということになる。そのこと自体機密じゃありませんか。

阿部滋忠総理府技官

○阿部説明員 たとえば、これは日本ではまだ予定しておりませんが、スイミング・プールというような金属との合金による燃料、これはまだわかっていない問題が非常にございますけれども、そのものは、たとえば燃料を借りてきてこれを分解するというようなことは、あるいはできないのじゃないかと思うのでございますけれども、今政府が予定しておりますウォータ一・ボイラー型というのは単純な結晶体でございます。ウラニウムの硫酸塩の固まりでございます。これを持ってきて日本で水に溶かして使うというような簡単なものでございますから、スイミング・プールのようなやつは機械的に——これはメカニカル・フュアルといって、機械的燃料です。ですから、そういうものには多少秘密はあると思いますが、単なる薬品そのものでございましたら、それには秘密はないだろうというふうに想定しております。なお燃料を返せということでございますが、御承知のように、原子力法によって燃料はアメリカ政府の国有、しかも副産されたプルトニウム自体もこれは核分裂性物質になりますので、それは政府の所有になりますから、そういう関係で返せというのでございまして、秘密があるからというふうな解釈ではないのであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 この点は時間がありませんからあとでもう少しやりますが、あなたの方でも少し調べてもらいたいと思う。水溶液というのは硫酸ウラニウムのことです。そういう状態が全然機密はないならないとおっしゃってもらいたい。ないと思いますというようなことでは困ります。ないならない、あるならあると言っていただきたい。ないとおっしゃるなら、これはアメリカの機密との関係ですから、この点は明らかにしていただかなければならぬと思う。  そこで、花村さん待っているからもう少し話を進めますけれども、ともかく今あなたもお聞きのように、原子力関係について機密条項を含んでおる要素が相当あるわけです。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 それについて、あなたのはあれは機密条項を含んでおると断定しておるが、それに対して下田条約局長からその話の前に何か発言があるそうです。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 私もその点についての知識はまことに貧弱ですが、法律的にはそのような心配が起らないように明確にしてあります。先般仮調印されました協定の第六条で「機密資料は、この協定に基いて、通報されないものとし、」としましたほかに「資材、設備及び装置の移動または役務の供与が機密資材の通報を含む場合には」これを日本側にはよこさないという二重の規定を置いてありますから、その点は法律的には発生し得ないのであります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 あなたがそういうような答弁をされると私はもう少しやらなければならない。その機密というのは原子力法の百四十四条のことを言っておるのでしょう。百二十三条にも機密があるのです。百二十三条によって当然協定を結ばなければならないから、この機密は残るのです。あなたの言っておる第六条というのは百四十四条のことなんだ。それが一つと、それから今言われたその協定正文の中には翻訳上にも実は問題があるのです。いわゆるインボルブというのとインクルードというのとこれの解釈上の問題があるので、そういう法律上の問題であなたが御答弁をされて論議されるといわれるならば、私はこの問題をやってもよろしい。しかし下田さんとはしょっちゅう会うのですからこの問題はあとにして、花村さんが待っておるから花村さんの方を先にやりましょう。  そこでこういうような機密関係が相当考慮される問題があるのです。こういうような協定を結んだ場合において、日本に特別な機密保護のための法律を作る危険性があるとわれわれは見ておる。ところが六月十四日の参議院外務委員会において下田条約局長、河崎国際協力局長は大体こういう意味の答弁をいたしております。この協定は現行日本法規ですべて律することができて、新たな立法措置を必要とはしません。この点についてはアメリカ側もはっきり言っております、このように答弁をいたしております。しかし私たちはこの原子力協定を受け入れるに当って、機密保護の新たなる立法措置が講ぜられるのではないかという点をわれわれ非常に心配をしております。この点について、法務関係の大臣である花村さんから見解を伺っておきたいと思います。

花村四郎日本民主党法務大臣

○花村国務大臣 私もこの方面の専門家でありませんので、知識はきわめて薄いのでありますが、しかし聞くところによれば、今日の濃縮ウラニウムの受け入れに対しては秘密はない、こういうお話でございます。従いまして、秘密保持に関する法規等を考慮する必要はなかろうと思うのでありますが、今日わが国の現行法規を見ましてもこれに関する秘密保持の規定はありませんのみならず、もしただいま申し上げましたような秘密が伴わないものであるといたしますならば、今後もやはりこれに対する秘密保持に関しまする立法も必要ない、こう申し上げてよろしいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 花村さんはあまり詳しくわからぬのでしょうが、協定文はもう仮調印してきまったのですよ。この協定文を見れば秘密があるかないかわかるわけですよ。あなたの今の答弁では、秘密がないようならば新たな法規を作らないでいきたいと思いますというような程度で、協定文の秘密があるかないかということはまだわからないらしい答弁だが、あの仮調印の協定正文に基いて秘密がないと断定されるのか。ないとするならば、新たなる秘密保護の立法をされないと断定されるのか、もっとはっきりと答弁をしてもらいたい。

花村四郎日本民主党法務大臣

○花村国務大臣 その点よく私も確かめたのでありますが、協定中には少くとも秘密保持に関して義務づけられた何ものもないということでありますから、そういうことでありますれば将来立法の必要なし、こう認めてよろしいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 これは重要な点ですから、再度確認しておきます。それではこの協定に基いて秘密保護の新たなる立法をしないと解釈してもよろしいでしょうか、どうですか、この点はっきりしてもらいたい。

花村四郎日本民主党法務大臣

○花村国務大臣 秘密立法の必要なし、こう認めてよろしいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 それでは具体的に伺いましょう。たとえば、これはあなたが質疑応答の中を読んでおられればおわかりになると思うが、今その灰を、使った場合にアメリカに返さなければならないのです。その灰を返す場合に、それをなくしたという場合には現行法規で取り締れると思うのです。あるいは奪った、どろぼうしたという場合には刑法の窃盗罪なり、そういうものでやれると思う。それからそういう濃縮ウラン、燃料というものをこわした場合に、それはやはり器物破壊で取り締れると思う。ただ一つだけ伺いますが、そういう構造内容はどういうものであるという、そういう秘密に関する情報を漏洩した場合には刑法上どういう法規によって取り締られますか。特にこれについては、あなたの御存じの刑法の八十三条から八十九条までですか、これは旧刑法のその部分は全部新憲法になってから削除して、情報漏洩、スパイ、その関係については全然刑法上に取締りの法規はないのですよ。そういう情報漏洩についてはあなたはどういう法律でお取り締りになるのですか。

花村四郎日本民主党法務大臣

○花村国務大臣 ただいま申し上げましたように、秘密保持に関する条項を伴ってはおらぬということでございますから、従って今岡田君の言われるような御心配は御無用であると申し上げてよろしいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 さっき言ったように、第三条と第七条に基いて一つの濃縮ウランの燃料が日本に来るのですけれども、日本に来てそれを使ってしまった場合灰になるのです、残りの分もあるわけです。これは日本人がさわっちゃいかぬとか、そのままの形でアメリカへ返して下さいという協定がはっきり出ているわけです。ところが、もしこのさわっちゃいけないというものにさわって、その灰の成分を分析して、その情報が出たとしたならば、その情報についての機密漏洩が出てくるじゃありませんか。これはどうするのだということをさっきから伺っておるのです。

花村四郎日本民主党法務大臣

○花村国務大臣 ただいま岡田君の申されましたことは、濃縮ウランに関しまするその取扱いの上の責任問題であって、それは刑罰に関係するものではない、こう申し上げてよろしいと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 私はそれを聞いたらよろしいのです、新たなる秘密立法を作らないという点がはっきりしているならばその点はそれでよろしいのです。ですから花村さんに対する質問はこの程度にいたしておきます。それから高碕さんには、あなたの先ほどの細目取りきめの問題をもう少しやりたいと思いますが、もうお帰りの予定ですから簡単にやりたいと思いますが、ちょうど重光さんがお見えになっておりますから、重光さんに伺った方がむしろいいと思うのです。今度仮調印をやって本調印を延ばしておる、こういう点については、実は政府の答弁というのは非常にまちまちであります。速記録をいろいろ私調べてみましたが、あなたの御答弁も、それから園田政務次官の答弁も下田条約局長の答弁も、私は速記録を書き抜いておりますから申し上げてもよろしいと思いますが、時間を省略する意味において申し上げませんが、いろいろな意味でいろいろな解釈をしておられます。たとえば園田政務次官あたりは、アメリカが仮調印を急いでくれということがあるものだからこれによってとりあえず仮調印をいたしたのであります、というようなことを言っておる。あるいは重光外務大臣は本調印までにいろいろ慎重に考慮してみて、仮調印をやったものでも、あとになってこれは非常に危険だということになれば、本調印の場合においてこれを破棄していいのではないか、そういう意味で仮調印と本調印に時間的な差を置いたのである。(重光国務大臣「そんなこと言っていない」と呼ぶ)言っていないというならば、それでは言いましょうか。六月十七日の参議院の答弁をごらん下さい。こう言っていますよ。「これがよくないという議論になったら、これは仮調印をしても本調印をしないがいいと思う。」重光外務大臣はそういうように言っておるじゃありませんか。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 議事進行。岡田君の質問は、経審長官と法務大臣に限られてやったはずでありますが、外務大臣に対しては許していないと思います。時間の制限をして下さらぬと困ります。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 国際情勢に関する質問ですから、これは許しておって差しつかえないと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 菊池君御了解下さい、簡単にやりますから。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 岡田君どうぞ進行して下さい。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 そういうような意味で、もう一度仮調印と本調印との差をつけたことに対してはっきりと統一した見解を御答弁願いたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 仮調印と本調印との性質の差を論じたその論拠を今持ってこられたわけでありますが、私は本調印をいつやるかということに御質問が帰着すると思う。これは今後いろいろ細目の点等について話し合いをしたり、そういう準備を整えた上で本調印に持っていきたい、こう考えて私は申し上げたのであります。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 岡田君に申し上げますか……。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 もう一点だけ簡単に……。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 経済審議庁長官は、最初から時間を十二時半までとしておりますから……。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 関連して高碕さんに。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 単刀直入に一つお願いいたします。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 実は先ほど岡田委員の言われた細目協定の内容に関することですが、これは私も実は非常に心配して、さっき言われた点はよく私も答えていただいた点なのです。すなわち国民に対して権利義務を生ずるような内容については細目協定ではなくて、本条約の正文の中に入れるようにいたしますということをはっきりおっしゃったのです。そういうことであるならば、そういう問題が生じたときにはむろんそういうことは全部国会の審議を経るという話し合いで長官とはお別れしておる。ところがさっき岡田委員の指摘したように、われわれが政府から配付されましたこの仮協定の本文を見ますと、そういう内容はほとんどトルコ協定と同じく除外されております。さっきは賃貸価格の問題についてのみ論議が集中されて、そのままになっておりましたが、より重要な点は、新たなる権利義務を国民に要求するような内容が細目協定の中に現われて参りました場合には、細目協定もまた条約本文と同様に国会の審議を当然経べきだと思うのです。それに対してあなたが、それは必ず本条約に入れるからということをおっしゃった。そのことを私は責任を追及いたしません。それが仮調印細目協定の中へ譲られても、細目協定の内容にそういうものが盛られた場合には、国会の審議にかけるということを約束しておいていただけばいいのですから、その点は当然そういうお答えをいただけると思いますが、この際明らかにしておいていただきたいと思います。

高碕達之助日本民主党経済審議庁長官

○高碕国務大臣 細目協定につきましては、国民の義務に属するようなものはつけないつもりでございます。入れないわけでございます。(岡田委員「つけた場合のことです」と呼ぶ)つけないわけです。つけないと言えば、つけた場合を考える必要はありません。(岡田委員「そういう危険性があるから、そういう場合はどうするか」と呼ぶ)つけません。

穗積七郎日本社会党(左)

○穗積委員 よろしゅうございます。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 私一人であまり時間をとってはいけませんから、まとめて一緒に伺います。  外務大臣に伺いたいのですが、そうするとこの仮調印というものは……。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 議事進行。岡田君の質問は経審長官と法務大臣ということだったのです。それで外務大臣に対する質問は、あと私から始めてずっとあるのです。混同しては困ります。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 承知いたしております。今岡田春夫君の質問は、原子力、濃縮ウラニウムに対する継続の質問であります。もし終りますれば、国際情勢に関する質疑を外務大臣にする場合には、あなたが通告順の第一だから、あなたにお許しいたします。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 今御希望もありましたので、非常に簡単にやりまして、あとの方に譲ります。外務大臣に伺いたいのですが、仮調印と本調印との関係をもう少し伺いたい。仮調印できめたものを本調印でやめてしまうというような場合、よくなかったらやめてもいい、こういうようなことを言っておられますが、今度の仮調印というのは事実上本調印と区別がない、こういうように解釈すべきと私は考える。なぜならば、下田条約局長なども参議院で、今度の原子力協定は、すべてアメリカの原子力法に基いて初めから正式調印をやるのではなくて、全部イニシアルで交換をしておるのです、こういうことを小瀧君の質問に対して答弁しておる。この点は事実です。これは、トルコ協定の場合もその他の協定も、全部仮調印を一応やって、これが実質上の正式調印と変りがないものという前提に立って仮調印をやっております。ですから仮調印と本調印を区別されても、事実上仮調印をやった場合には、正式調印をやったと同じ効果を持っていると解釈すべきだと思いますが、この点についてはどうかという点が第一点。  それから第二の点は、これは日本の外務省が非常に苦労をして、国民をごまかすためにうまいことをいろいろ考えたけれども、この協定全文を見てみると、そのごまかしが次々にボロが現われてきている。そのボロを私は一つだけ伺いますが、第八条に——これはトルコ協定の第七条です。トルコ協定の七条を見ると、七条だけには見出しがついている。「千九百五十四年合衆国原子力法で定める保証」という見出しがついております。ところが日本の第八条を見ると、見出しをとっているのであるが、この見出しをとっているにもかかわらず、条文のA、Bは全部トルコ協定と内容は同じである。とするならば、見出しをとろうがとるまいが、実際上この第八条に規定しているのは、アメリカの原子力法の規定に従わなければならないという意味のことを、第八条の条文において書いているものとわれわれは解釈すべきであるが、この点についてどのように解釈をされるか、見出しがついているとついていないとにかかわらず、内容は同じものである。こういう点で外務省のボロが出てきていると私は解釈するのだが、この解釈をどのように御解釈になっておるか、これが第二点。皆さん待っているから、この二点だけできょうは一応やめておきます。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 第一点につきましては、私参議院で申しましたことはこういうことでございます。必ずしも協定は仮調印をする必要はないわけでございますが、今回の場合は、アメリカ側との正式調印をしたものを国会に出すわけにいかない。なぜならば、アメリカの法制上これは行政協定に属するものであります。ですから正式のものを出すわけにいきませんので、アメリカの国内法上の必要から仮調印したものを三十日間議会にさらしておくということが必要なのです。その先方の都合に応じて仮調印したわけでありまして、しからば、わが方としては、まだきまっていないものを国会に出すわけにはいかないのですから、これはやはり正式調印をいたしまして、そして国会の承認があったら発効するぞということをもつけました上で、議会にかけるということが必要だと思います。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 要は同じものではないのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 内容につきましては、これは必ずしも絶対不変のものではございません。イニシアルというものは、イニシアルしましたあとで気がつきまして変えた例もございます。それから第八条の見出しの点につきましては、これは御指摘の通り日本側が見出しを落させたのであります。これは今回に始まったことではありませんで、MSA協定のときもそうであります。対等の国家の場合においては、相手国の法律の条文を引用して、法律の見出しをそのまま協定の中に持ち込むということは不見識の話であります。よくほかの国がそれに応じておると思いますが、この点は日本は伝統的に潔癖でありまして、それを強硬に主張いたしまして、これを落させたのが実情であります。

岡田春夫小会派クラブ

○岡田委員 今あなたはうまいことを言うたけれども、内容は同じものですよ。内容が同じものならば、見出しがつこうがつくまいが、アメリカの法律で拘束を受けるという点では、日本の協定でも同じく受けるわけです。これは対等国の関係ではないのですよ。アメリカの国内法の支配を受けておるということですよ。それが一点。  それからもう一点は、それでは本調印の場合には条文が変る場合もあり得る、こういう先ほどの御答弁でありましたが、条文が変る場合に、もし変ったとするならば、仮調印としてアメリカの国内法の手続を正式にとって、アメリカとしては三十日間さらすということをやり、協定が本調印になってからまた協定の内容が変ってきた場合に、これは新たなる協定としてまた三十日間さらさなければならないと私は解釈しておりますが、この点はどうですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 第八条の見出しの問題は、これはアメリカとしてはアメリカの法律に縛られておるのでありますから、アメリカ政府が日本に対して約束し得ることは、アメリカの法律で許された範囲内のことであります。でありますから第八条の内容は、見出しがなくてもアメリカ政府がアメリカの法律で許されておることと一致しております。しかし日本としては、協定内に国内法の見出しを掲げられて約束するということと、そのことだけをとって約束するのとでは、後者の方がはるかによいと思いまして、そういうことにいたしたわけであります。  それから第二の点はイニシアルでありますから、もしアメリカの国会審議その他の途中でまた変更の必要が生じ、あるいはわが方から変更の必要が生じましたら、イニシアルした条文が違ってくるわけでありますから、あらためて新しい条文につきましてイニシアルをしまして国会に出す必要があると考えております。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 国際情勢等に関する件に関して、菊池義郎君に質疑を許します。菊池君。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 フィリピンの賠償問題についていろいろ迷っておるのでありますが、フィリピンからこの賠償の額についてその後まだ何らの申し入れもございませんですか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 まだ何もございません。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 重光先生は、折衷して六億くらいならばよかろうとおっしゃる。それから政務次官は四億ドルから十億ドルの間でもって折衝する。大蔵大臣は四億ドル以上では困るということを言っておられます。一体政府の腹はどのくらいで折り合うお考えでありますか、聞かせていただきたいのであります。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 これもまだここで議論するのは早いと思います。しかし私が申した通り、先方は十億と言っておるものを八億にしたのであり、わが方は四億と言っておりますから、その中間くらいで妥協しなければなるまいし、また妥協するのがいいと思うということを申し上げたことは事実であります。しかしそれはほんの概括的の議論でありまして、今後向うの提案も不日あると思いますから、その上でとぐと考えてみたいと思います。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 総理大臣も記者会見において五億五千万ドル、それに借款を加えて八億ドルくらいなら一応よかろうということを言っておるが、これは非常に心配でならないのであります。そういうことによって賠償を解決し、国交を回復しても、後の貿易の飛躍的の増大によって埋め合せることができると考えるかもしれぬけれども、フィリピンと日本との貿易は、御承知のようにインドネシアの半分、それからビルマの三分の一強しかないという状態であります。それにフィリピンとアメリカとの間には貿易上の協定があって、関税もなかなか下げられぬという状態で、とうてい莫大な賠償を埋め合せることはできないと考えております。それについて外務大臣の御意見を承わりたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は今言われたような御意見には必ずしも同意するわけに参りません。しかしながらこの問題は、実際問題として具体的にその話し合いをする時期が遠からずくると思いますから、その上でまた審議をいたしたいと存じます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 今までにフィリピンに対して賠償物資をだいぶ積み出しましたが、その額は大体どのくらいになりますか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 賠償物資として積み出したものはないと思いますが……。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 私は知っております。相当あります。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それは何かの間違いでありませんか。もしそういうことがお入り用ならば、調査してはっきりした数字を申し上げます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 突如としてマリク全権が日本に対する約束を破りまして、帰ってしまったのでありますが、新聞に発表されましたように、外務省の諸君が集まって、その帰りました事情について協議して考えられた、あの通りでございましょうか。ほかに何か事情がございましょうか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 マリク全権がロンドンからモスクワに帰られた、これは日本側との約束に違反したことでも何でもございません。もっとも帰るという約束をしておったことはございませんけれども、向うの事情で帰っただけで、決して帰らないという約束を日本としておったわけではございませんから、約束に違反したわけではございません。帰りました事情については、これは先方の内部のことでありますから、むろん何にもわかりません。ある新聞に、外務省は幹部会を開いた、その意見はこうであるということをるる書いてあったことは私も承知しております。しかしこの問題について外務省で幹部会を開いたこともなければ、また討議をしたこともございません。それから新聞の記事そのものは、必ずしも私の判断の通りでもございません。だから今いろいろここでうがったことを申し上げるのはどうかと思います。不日マリク全権がロンドンに帰任されて、この交渉は続けられるものだ、こういうふうに私は解釈しております。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 国民のうちの識者層が心配しておりますことは、日ソ交渉の途上において、突如として向うより戦争終結宣言でも打ち出されたら困るだろうということであります。そういう場合においても、やはり日ソ交渉は続けるつもりでありますか。こういうことは別に秘密でも何でもないと思う。むしろ向うを牽制するためには、日本の態度をはっきりした方がいいと思うのでありますが、これについて大臣の御意見を承わりたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 今の御質問は日本側の方針に対することのようでございます。日本側の方針は、繰り返して御説明申し上げた通りに、わが方の立場及び主張を十分に貫徹するために努力をいたして交渉を進めていきたい、こういうことでございます。またどういう先方の要求もしくは希望があるか、これは将来のことはわかりません。わが方の立場は、今申した通りのような方針をもってこの交渉を進めていく考え方でございます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 戦争終結宣言が出ることをおそれているのです。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 そういうことになってくるかどうかということを今予想して私が意見を申し上げるわけには参りません。そのときはとくと考慮をいたします。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 モロトフ外相は過日国連憲章の十周年記念の式典を機会に欧州側に対しまして、十五カ国の新たなる国連加入を提案したのでありますが、その中に日本と西ドイツが含まれていない。これに対して外務省はどういう見解を持っておられますか聞かしていただきたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 日本は国連に加入をしたいという方針で進んでおります。従いまして、ソ連が日本の国連加入について賛成をしてくれるならば、これは私は非常に歓迎するところでございます。まださような意思表示のないことを遺憾とする次第でございます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 それから韓国は日本の韓国に対する財産請求権を放棄しろと言っておりますが、ソ連に対しては日本は財産の請求権を放棄する、韓国に対しては放棄しないというのは片手落ちでありますから、この際取れる取れないは別といたしまして、ソ連に対しても財産の請求権を主張すべきであると思うのでありますが、この点についてもうちょっとはっきりした外務大臣の御意見を承わりたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 今のお話は、これは今交渉中でありますから、その交渉の内容にわたることを今ここで討議することはいかがかと思いますので、これは差し控えたいと思います。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 外務大臣はこれまでの御意見として、ソ連に対する財産請求権は放棄すると言われましたので、申し上げておるのであります。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は交渉の内容の財産問題について、そういうことを言ったことを記憶いたしません。私の記憶か悪いのかもしれませんが、私は、ソ連に対するわが方の立場は、相当詳細にわたって本会議においても説明、報告をいたしておるわけでございます。それについて十分御了承を願いたいと思います。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 なお、中共在留邦人の引き揚げについて、日本政府はスイスにあっせんを頼んでおりますが、これはどういう意味でございましょうか。われわれしろうとの考えでは、英国あたりに頼んだ方が有力ではないかと考えますが、事情を聞かしていただきたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 これはきわめて簡単なことでございます。スイスに中共の総領事館があって、中共の代表があそこにおるわけだから、直接にそこに行った方が最も便利なので、これは政治的な承認とかなんとかいう問題ではなく、人道上の問題の解決ですから、直接中共の代表者に申し込んだのであります。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 外務省は民間人がソ連に行くことを好ましくないとしておられるようであります。近々に国会からも招かれて行くようでありますが、これについては、外務省としては別に異議はないと思います。これについて便宜をはかって下さることは当然のことと思いますが、いかがでございましょうか。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 外務省がソ連旅行を妨害したことは、過去一回もございません。国会議員、その他の旅行については、外務省の関係しないところでございまして、国会でそのような決定がされるかどうかということにかかっております。外務省といたしましては、ソ連旅行をされることを禁止はいたしません。ただ日ソ交渉にいろいろな悪影響ありと認むる場合においては、その時期等については御相談申し上げなければならぬと考えております。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 各地の米軍の演習場で、米軍と地方民との間に非常なあつれきがありますが、これについて外務省としてもっと徹底的に折衝をしていただきたいと思います。これをそのままほうっておきますと、共産勢力の伸張、拡大になるおそれもありますので、この点について外務省がこれまで折衝された事実、それからこれに対する外務省の意向を聞かしていただきたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 この具体的の問題は、実は外務省の所管でなくして、直接の所管は特別調達庁でやっておることは御承知の通りであります。しかしながら、事はやはり対外関係に関する問題でありますので、外務省としては重要な関心を持って、これを側面から見ておるわけでございます。こういう問題についても、日本側とアメリカ側との感情の疎隔のないようにすることはもちろんのこと、意思の疎通をできるだけはかるように、間接ながら努力をいたしておる次第であります。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 調達庁は外交が下手ですから、そういういうことは所管のいかんを問わず、外務省としてはむしろ積極的に乗り出して、徹底的に折衝して下さった方が私はいいと思います。  それからこれも所管が違うかもしれませんが、外地からの引揚者が海外に残した財産の補償に関する前提措置を講じてくれというので、政府に引揚者が非常に迫っているのでありますが、この法律的措置をいたしますと、一千億にも上る、さしあたり見舞金程度でも、ある程度のことはせなければ気の毒だと思いますが、これに対して重光先生の御意見を伺いたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 引揚者の在外資産の問題については、すでに国会の決議までなされたわけでございます。それに対しては、私は政府を代表して、その決議の御趣旨を十分考慮して、その対策については慎重に検討してこれを措置すると申し上げました。その通りに考えております。しかしその具体的な方法は、その検討の結果に待つよりほかにいたし方がないのでございまして、しばらくそれをお待ち願いたいと思います。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 森島守人君。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 中日貿易の問題で伺いたい。外務大臣は、この前民間の通商代表部の相互設置には賛成だと言っておられますが、中共側の政治組織からしますと、おそらく官が入ってくると思います。この点をはっきり伺っておかぬと、これからの施策を進めにくいと思いますので、中共側も民間でいいかどうか、この点ちょっとお答えいただきたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は今お話の通りに民間代表部の設置には異存はない。これに特に外交の特権など与えることは行き過ぎじゃないかということを申し上げました。そうかといって民間ということで——日本は今日の方針としてはそう申し上げることが正しいし、またオネストな見方である。そこでお話の通りに、中共側は民間はないじゃないかという御指摘でございますが、そういうことは実際問題として取り扱って、常識がそこに働くことがいいように思うので、理屈はこうであるというふうにあまりこだわるのもどうかと考えております。それは日本側とともに中共側においても、そういう点は協力的にいった方がいいように思うのですが、そのくらいな程度で、私のお答えとしては、前のお答えを繰り返すことが適当であろうと思います。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 それじゃ実際問題の起きましたときに、向うから官の代表者が来ても、日本では黙認する、適当な方法を講ずるというお考えだと存じますので、そういう方針で今後話を進めていくことにいたしますが、その次に問題になるのは、決済の問題です。決済の問題については、いずれ大蔵大臣の出席を求めて答弁を求めたいと思っているのですが、大蔵大臣は中共側から提示した日本銀行に日本の円を積み立てるという方法については賛成をしておりません。その理由としまして、国際情勢に大きな変化がなければならぬということを前提として否定的な返事をしておられますが、これは外務省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私も大蔵大臣の御答弁の通りに御答弁いたします。そう考えております。これらの問題については、私は実際の取扱いの問題についてはよほど一つ御検討を願って、そうして共通の目的はどこにあるかというと、今、日本は国際義務に反せない限りにおいて中共貿易をやりたい、こういうことなのです。その目的を達するために、非常に常識を働かして各方面の御協力を願うべき問題だ、こう考えておるのであります。というのは、こういう問題はあまり文面とか理屈だけを言い合うと切りがございません。でありますから一つどうぞ実際的に御協議を願いたい、こう私は考えております。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 そんなふうにいけば非常にけっこうなのですが、ただお考え願いたいのは日本銀行に積み立てて決済するという方法をとりましても、私らの考えでは差しつかえないと思います。これは制限のうちで商売をやっておるのですから、決して国際協定に違反した商売をやるのではない、国際協定の範囲内でやった商売の決済なのですから、これは日本銀行でやっても私は差しつかえない、こういうふうに考えておるのでございますが、その点はいかがですか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は今申しました通りに、理論とか理屈は一切抜きにして、どうぞ一つよく御相談を願いたい。こう願いたいと思います。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 これはきわめて無責任な——外務省としては一体どうやる、お前たち勝手にやったらよいじゃないかというふうに聞こえるのですが……。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 もし無責任と言われるならば、私は先の言葉をそのまま繰り返します。大蔵大臣の言われた通りであります。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 国際情勢に関する件で福田昌子君の質疑を許します。福田昌子君。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 板付の基地の問題に関して伺います。七月五日、現在の米軍の司令官から福岡市の板付基地の周辺に高射砲陣地を作るという予定について、福岡周辺の高射砲陣地の予定地を調査したいという申し入れがあったということは、すでに新聞にも出ておりましたので調達庁でも御存じだと思います。これについて、直接現地の市町村に申し込むことは今までなく、特調の方からどういう情勢か、真偽を調査するということが新聞に出ておったのでありますが、御調査いただきました結果はどのようなことになっておるか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 ただいま御質問の件でございますが、われわれは、実は新聞の報道によりまして初めてアメリカ軍の方から福岡の市長さんあてに、福岡市の周辺の高射砲の陣地に充てます土地といいますか、予定地を調査いたしたいというような手紙が来たということを知りましたわけでございます。そういうことは今までほとんど例がない——私が知っております限りにおきまして、直接米軍から地元の方にそういう要請のあるということは例がないことでございますので、そういうことが果してあるのかないのか、非常に真偽を疑っておったわけでございますが、さっそくその点を調べましたところ、確かに手紙が出たということはわかりましたわけでございます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 その手紙を、特調とされてはどういうふうに取り扱われるのでございますか。それを正式な通達とみなされるのでございますか、そのお取扱いについてのお考え、それからその後の処置を伺わしていただきたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 この手紙が正式の手紙であるということは、出しました副司令官でございますかがサインをいたしておるようでございますので、手紙としては正式なものではございますけれども、その内容は、私たちの了解いたしておるところでは、調査をするとかあるいはそういう高射砲陣地を提供しろというようなことではないようでございます。手紙は、要するにそういう希望が米軍側にある、しかるべきルートというのは要するに合同委員会のルートでございますが、合同委員会を通じて日本政府にお願いするから、市長さんの方にも一つよろしく御協力を得たいというような儀礼的な手紙というふうに了解いたしておりますので、この手紙についてどうこうということはただいまのところ考えておりません。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 そういたしますと、そういう手紙を市長に公式に出したことは認めるけれども、手紙それ自身によって手続上どうということではないので、やっぱりこういう高射砲陣地の設定については日米合同委員会に申し込んで、正式に調達庁が中に入ってそれから話を進めよう、こういうふうに取り計らう、こういうことでございますか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 大体ただいま申し出の通りでございます。われわれといたしましては、正式なルートを通じて要求がありましたときに、どういたしますということについてもまだ考えておりませんが、ただ合同委員会を通じて米軍側が要求する権利はありますので、合同委員会を通じて要求があれば日本政府としては要求を一応受け取り、これを検討するということになる、こういうふうに考えております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 これから御検討いただくということでございますけれど、御承知のように福岡の板付の基地は、基地になりましてから毎年々々人畜の殺傷の被害が続いておりまして、ことに個人の私有財産に対する物件の損傷ということも引き続いておるのでございます。最近もまた六月十五日には、近所の農夫がジェット機の不時着の下敷きになりまして一名なくなりました。そういうことが続いておりまして、周辺では生命の危険に脅かされておりますので、生活と生命を守る会というものが地元の住民によって作られており、基地のために非常におののいているというような状態でございます。そのために、福岡市といたしましても、大半がこの基地の移転につきまして猛運動を起しておりまして、二十数万の署名もできておるのでございます。こういう情勢でございますので、基地そのものに賛成をいたしておりませんが、少くとも移転をしてもらいたいと熱望いたしておりますから、そういう四囲の情勢を御勘案いただいて、もしアメリカ空軍がこの板付基地の周辺に高射砲陣地を作りたいという申し入れを調達庁にされた、そうしてこれを合同委員会にかけるというようなことに順序としてなる場合におきまして、特調とされましては、このアメリカ軍の高射砲陣地の申し入れというものを、簡単に言えば一応けっていただくというような御配慮をいただくお約束は願えないでしょうか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 その点に関しましては、実はわれわれといたしましても、この高射砲陣地の予定地の調査ということに対する要求だというふうに了解をいたしておりまして、必ずしも要求されただけが適地になるかどうかわからないだろうと思いますが、いずれにいたしましても、合同委員会を通じて日本政府に対する要請という形で出て参るわけでございますので、そういうときに関係各省いろいろ御意見もあることと思いますが、何にいたしましても、まだ全然検討いたしておらない状態でございます。現地が板付基地そのものの移転について御熱望があり、非常に大ぜいの署名が集まっておるという事実は十分存じておりますが、そういうことも考え合せまして、果してこういう調査自体も日本政府として取り上げるかどうか、その点についてもまだ全然検討いたしておりませんので、ただいまのところは何とも御返事申し上げかねるような状態であります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 先ほどの話とまた重複いたしますが、基地の移転につきまして二十数万の市民の陳情運動が起っておるのでございますが、これに対して特調はどのような御配慮をいただけるか、そのお取扱いの心がまえを承わりたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 板付の飛行場の移転という問題は、二十数万人の署名が済んでおるということでございますが、これを移転いたしますことは並大ていのことではないと考えております。日米安全保障条約によりまして日本の安全保障を米駐留軍がやっておる以上、飛行場その他の軍事施設があるということは当然でございます。またこれが必要なわけでございまして、これを移転するということになりますと、やはり日本国内でどこかかわりの場所を見つけなければならぬということになると考えております。全然廃止ということで考えられれば問題は非常に簡単ではございますけれども、どこかに移転するということになれば、またその移転先も考えなければ対米交渉もできないような状態でございます。従いまして問題が非常に重大でございまして、とても事務的処理機関でございます調達庁だけの意見では、どうこうということは考えられない問題とわれわれは考えておりますので、そういう御要望が出ておりますことについては、政府部内よく連絡をとりまして、上の方の御決定に従って動きたい、こういうふうに考えておるわけであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 きょう福島長官おいでになるというお話でしたが、なぜおいでになれないのですか、その理由を聞かしておいていただきたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 長官は実はきょう渉外事務で行っておりまして、一時過ぎには戻ってくるということでございましたが、まだ見えておりませんので、はなはだ申訳ないわけでございます。もうおっつけ来ることと考えております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 一時過ぎにおいでになるというお話で、私大へん委員会に御迷惑をかけてお待ちしておりましたが、一時を過ぎれば二時に来る、二時を過ぎても何時においでになるかわからないというので、はなはだ皆さんに御迷惑をかけて済まなく思っておるのでありますが、その責任はあげて福島長官にあるのであります。  私がきょうお聞き申し上げたいと思ったのは、あなたの事務的に困難だという答弁をいただくつもりでお願いにきておるのではないのです。長官もおいでにならないし、実際御質問申し上げるのも何かぬかにくぎみたいなもので残念でございますけれども、なお、あらためてまたお尋ねするということにいたしまして、きょうは簡単にお尋ねさせていただきます。  福岡の板付空軍基地の周辺に起りました高射砲陣地のような、こういう問題は、たとえば今度ジェット機の滑走路延長を約束されております立川、横田その他五カ所の基地においても当然あったと思いますが、こういうジェット機の発着所とか、基地周辺における高射砲陣地の設定に対しての紛争はなかったのでありましょうか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 私の存じております限り、現在までできております高射砲陣地の設定については、紛争はなかったと思っております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 板付のあの基地をめぐりまして、米軍の側からこうむった被害は、そこの住民の殺傷から家畜の殺傷、またいろいろな財産の破壊、いろいろな事件が引き続いて起っておるのでありまして、非常に住民は生命の危険を感じ、脅かされておりますが、六月十五日早朝たんぼに出て働いておりました農婦、三児の母である吉原某、三十九才だったと思いますが、この方が下敷きになって即死したのであります。こういう人たちの補償につきましては、二十七年にきめられた補償基準そのままを適用なさるのでありますか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 今お話のございましたような米駐留軍の起した事故によります補償は、行政協定第十八条に基き、日本政府が解決いたしているわけであります。その補償の金額その他の算定につきましては、昭和二十七年の五月に閣議で御決定をいただいた補償基準によりまして、現在もやっているわけであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 その補償基準は、昭和二十七年五月にきめられたまま今日まで続いているわけですが、昨年の洞爺丸の事件、あるいは今回の紫雲丸の沈没事件、ああいうことに関連して、お気の毒な遺族の方々に対する補償は、米軍の軍用機による被害補償からすると相当高く評価されている。かような意味合いにおきまして、この米軍から受けた被害に対する補償額をこの際お考え直す御意思があるか。こういうことでなくなった人に対しては、どのくらいの補償をなさる御意思であるか。現行の二十七年五月にきめられた基準で、金額的にどのくらいの補償額になりますか。この点もあわせてお答えいただきたい。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 ただいま御指摘のありました補償額の基準を改訂する意思があるかどうか、ことに最近国鉄の起した事件に関する補償額と比べてふつり合いではないかということでありますが、もともと二十七年五月に閣議の御決定を経ましたこの補償基準は、十分ほかの関連も勘案いたしまして、たとえば労働者災害補償法なり、国家的賠償法なりにきめておりますいろいろな基準を参酌いたしまして、不均衡のないように妥当な線できめたつもりでおります。従いまして御指摘のございました国鉄の基準その他とは、大した差があるものとは考えておりません。ただ国鉄におきましては、不幸にも最近洞爺丸あるいは紫雲丸というような非常に大きな災害が起りまして、従来の基準の補償以外に、事案が大きいという事情もあったかと考えますが、国鉄の方でいろいろお考えになりまして手厚い補償をされたので、非常に差が出ているようでございますけれども、われわれの方といたしましては、基準そのものについては、そうほかのものとふつり合いにはなっておらない状況でございますのと、この基準を変えますことは、ただいま申し上げました労災法その他との関連もございまして、現在研究はいたしておりますけれども、直ちにこれを変えようという結論にはまだ達しておらないわけであります。なお、現在きまっております基準によります補償は、人身の被害、ことに死亡の場合におきましては、平均日収の千日分ということにきまっております。千日分ではございますけれども、最高最低を一応きめます。千日分の計算をいたしますが、百万円から二十万円までというふうなきめ方をいたしておる、こういうふうに考えております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 たとえば今回の国鉄の災害の場合の補償とあまり変らないといったようなお話を伺いましたが、具体的なお話として、たとえば六月十五日の板付基地付近の農婦の死亡に対しましては、どれだけの補償をなさるか、その金額を御発表願いたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 御指摘のございます補償につきましては、行政協定十八条に基きますこの補償の手続といたしまして、被害をお受けになった方、死亡いたしました方々には、遺族の方の御申請を待って政府の方できめるということになっておりますが、御指摘の事案につきましては、ただいままだ御申請がございませんので、基準は平均日収の千日分ということになっておりますが、平均日収は幾らでやられのか、御申請もないので、われわれの方といたしましてはまだ推算もできないような状態でございます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 事務屋さんなら事務的な御答弁を伺えれば値打があると思いますが、さっぱり要領を得なくて非常に遺憾に思います。大体ああいう事故を受けました場合の被害というものは、二十万から多くて三十万程度の補償というようなところが上乗でございます。たとえば今回の国鉄の洞爺丸のまだ決定はいたしておりませんが、その死亡者に対する補償の五十万、六十万かという金額に比べて、まさに半分以下ということが言えます。先ほど次長は、大体国鉄なんかの災害とあまり差はないとおっしゃいましたが、大いに変っておることをぜひお考え直しいただきたいと思います。この支払い補償の基準を労災法によるというようなお話がございましたが、労災法によられたいろいろの理由もございましょうが、こういう米軍から受けた被害というものは労災法に固執なさって、それに準拠すべきものではないと思うのでございます。そういうお考え方におきましても今後一そうお考え直しを願いたいと思います。  次にお伺いしたい点は、こういう基地の周辺の軍用機の事故現場における取扱いでございますが、これに対してはどういうお取扱いをしておられますか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 米軍の航空機あるいはその他によりまして事故が起りました場合には、何といたしましても被害者の救助というものが第一でございます。従いましてこの被害者の救助につきましては、日本の政府の出先官憲、具体的には警察になると考えておりますが、警察と軍側の当局が協力をいたしまして、被害者の救助にできるだけ早く当るということが第一番の問題でございます。この事故が起ります原因といたしましては、あるいはそこに爆発物があったりいろいろなことがございますので、救助にも十分注意をいたさなければならぬという点もございますし、必要な場合には立ち入りの禁止もして警戒に当らなければならぬということも起ると思います。こういう立ち入りの禁止は、原則といたしまして日本の警察が当ることになっております。ただ起しました原因が、申し上げましたような軍の飛行機その他というようなことで、専門的な知識がないと、警戒いたします距離その他の判定もつかぬというような場合には、軍の方であらかじめ立ち入り禁止その他の措置をとって、必要な態勢が整い次第、日本側の警察の方に立ち入り禁止の措置その他のことを引き継ぐ、こういうことに原則的にはなっておるものと考えます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 簡単にいたします。板付のこの六月十五日のジェット機不時着事故の場合、現場においては大体不時着をいたしますために相当長く滑走いたしまして、その滑走した線を中心に左右に、見たところの推定でございますが、百メートルよりもっとあったかと思いますが、相当大きい範囲内において立ち入り禁止をやっておったのでございます。そこには米軍の監督がおり、日本の警官は全然いなかった。当時の九州はもう田植の時期で、被害を受けましたそのたんぼに関係ある農民が大体七、八名おったのでございますが、その連中は田植ができなくて非常に困っておったのでございます。ところが米軍がなかなか立ち入りを許さない、使用を許さないということで非常に困っておる。合衆国の軍用機の事故現場における措置というものは、日米行政協定の十七条に関連する、合同委員会で承認された二十項に当るものだと思いますが、それに該当するものとしてみますと、非常にこれはアメリカ側の越権行為だと思うのであります。被害を受けて家族を失って、しかもたんぼにはいつまでも立ち入り禁止をして入れさせない、田植はできないということであれば、二十項の協定をすでに逸脱したものだと思うのでありますが、これに対する調達庁のお考えを承わりたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 ただいま御指摘のございましたように、不必要に立ち入り禁止を軍側がやっておるということに対しましては、これはわれわれといたしましても、現地における若干の行き過ぎじゃないかというふうに考えておりますが、この点が行政協定に基いて、特に十七条の観点から逸脱しておるかどうかということに関しましては、行政協定の十七条、主として刑事裁判権の問題に関しますので、調達庁といたしましては、この解釈を有権的になす立場におらないことを御了承いただきたいと思います。ただ現実の問題といたしまして、十八条の補償を担当いたしますものとしては、やはり被害のありました跡が、そういう形で保持されておるということについては、必ずしも適当でないというふうに考えておりますので、しかるべき機会にといいますか、なるべく早い機会に合同委員会を通じて米側に申し入れをいたしたい、そのためには、十七条の所管であります法務省の方とも、十分連絡をする必要があると考えて、事務的に打ち合せを進めておる次第であります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 十七条に関連する二十項の規定からいたしますと、今回板付のこの事故に当ってとりましたアメリカ軍の処置というものは、私どもは確かに少し越権に過ぎると思うのでございます。それはそれといたしまして、第十七条に関連する二十項の規定、合衆国軍用機の事故現場における措置という、日米合同委員会で承認されましたその措置の内容を読んでみましても、これは主として合衆国軍隊側の必要な救助作業と合衆国財産の保護を主にしてうたってあるのでありまして、被害を受けました日本の国民、あるいはまた日本の領土、日本人の財産に対する保護とか、それに対する補償というものは全然これには二次的にしか書かれていないのであります。こういうような措置を日米合同委員会で、日本側が承認したということは、私は独立後の日本の政府として、あまりにも卑屈過ぎると思うのでございます。こういう被害を受けながら、被害者の損害の補償もほとんど二次的に考えられて、問題にされていない。加害者側であるむしろアメリカ側の保護だとか、そういった救助の方が主体になっているということは、言語道断の合同委員会における日本の賛成事項であると思うのです。こういう条文は、普通条文それ自体によっても私どもそういうふうに感ずるのでございますが、特調におかれましてもさだめしそういうような御解釈があると思うのです。従ってこの条文を何らか改訂する御意思があるかどうか、この点を承わらしていただきたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 御指摘になりました合同委員会の合意事項が必ずしも適正でないということにつきましては、私も同感でございます。従いまして、これを改訂いたします責任ある地位には調達庁はないわけではございますけれども、政府部内の連絡によりまして、第十七条に関連する二十項でございますかをしかるべく改訂するような措置が考えられるように、調達庁といたしましては各関係の政府機関に申し入れをいたしたい、こんなふうに考えております、

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 もう一、二点伺います。お話を戻しますけれども、この即死いたしました女の人の補償の問題は、地元から申請がありますと、それをどういう手続で査定されまして、どれくらいの日数でその補償が渡るのでございますか、それを承わりたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 大体政令がございますが、政令に基きまして申請書を所在の調達局にお出しを願うことになっております。問題の案件では福岡の調達局が主管の局になるのではないかと思いますが、調達局に参りましてから必要な手続を日米間でやります仕事が一つございます。そのほかに、日本側といたしまして御申請のありました金額を査定するという仕事がございまして、大体当該のこの事件に関しましては、御申請があってからおおむね二カ月くらいで解決がつくだろう、こういうふう考えております。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 私この基地の問題につきましては、一応福島長官の御出席をいただきましてもう少し追及させていただきたいと思います。きょうは大へん御迷惑をかけて恐縮でございましたが、一点だけあわせてお尋ねしておきたいのですけれども、福岡市に前保険局の庁舎でありましたものが第百十八病院となって長い間接収されております。これを返還してもらいたいというのはこれは地元の朝野をあげての熱望ですが、これの返還の見通しについて調達庁のお取り計らいについて承わりたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 福岡の病院の返還につきましては、すでに地元からの御要望もたびたびあることでございますので、合同委員会を通じて返還要求はたびたびやっております。ただいま具体的にどういう進捗状況になっているか、手元に資料がございませんので確実なことは申し上げかねるわけでございますが、大体といたしまして、病院でございますので実は非常にむずかしいことであるだろうと考えております。しかし病院についてもできるだけ返していただくように努力は不断に続けておるわけでございます。お尋ねの福岡の病院はまだ解除になっておりませんけれども、昨年度におきまして相当問題になっておりました京都、大阪の日赤病院も返るというようなことになっております。だんだんとそういうふうな方向で動きつつありますので、今後とも当該の事案をよく調べまして、絶え間なく返還についての努力をしたいと考えます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 座間の司令部に行って伺いますと、この百十八病院の返還というのは合同委員会にもあまり問題にならない、そんなことは知らなかったということを聞いたのですけれども、私ども非常に心外に思ったのであります。ほんとうに合同委員会に持ち出していただいて、この返還促進のために御努力いただいておるかどうか。御努力いただいておると思っておりますが、その点私ども多少不安があるわけでございます。従いまして、重ねて日米合同委員会に何回くらいお持ち出しいただいたのか、そして大体のお見通しはどういうところにあるのか、伺わさしていただきたいと思います。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 ただいまのお尋ねの件については、申し上げました通り今手元に資料を持っておりませんので確実なお答えをすることができないのであります。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 何回出していただきたいのですか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 出しておると思います。

福田昌子日本社会党(左)

○福田(昌)委員 出しておると思うということですか。

安田清総理府事務官(調達庁次長)

○安田(清)政府委員 ということは、実は病院の問題は個々の施設ということでは向うもなかなか返還がしにくいわけでございます。日本国中にあります軍用病院全体を総合計画をしてできるだけ集約して返すということで話をしておったわけであります。従いまして、東京にございました病院、あるいは大阪、京都の病院というものの解除については、日本全国の病院をできるだけ集約して解除していただきたいということで、軍側も非常に苦労をして、ワシントンまでいろいろのやりとりをやって解除計画も立てておったということを聞いておりますので、当然福岡の病院もその一環として考えておるということに了解をしておるわけであります。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十六分散会

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