外務委員会 第26号
- 発言数
- 88 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/07/02
会議録
○植原委員長 これより会議を開きます。 日本海外移住振興株式会社法案を議題といたします。質疑を許します。まず和田博雄君より資料の要求があるそうですから、和田君に発言を許します。和田博雄君。
○和田委員 私はこの法案についていろいろ多くの点を聞きたいのですが、きょうは大臣がお見えにならぬそうでありますから、ただ資料だけを要求しておきたいと思うのであります。 この法案の根本をなすものは、何と言っても事業計画であり、収支予算であろうと思うのであります。ところがこの法案を審議するに当って、肝心かなめなそういうものが一つとして出ておらないのであります。会社を作って仕事をやられる以上は、一体どういう事兼計画を持っておるのか、収支予算を持っておるのか、資金計画を持っておるのか、それらの大体のもくろみくらいはなければならぬと私は思うのであります。こういうものは本来ならばこの法案の主管省である外務省が当然われわれの審議の前に出して、そして委員の審議を受けるのが当然であろうと思うのであります。法案を読んでみますと、そこのところは実に巧みにできておって、この会社はまだできていないのでありますが、第十二条において、毎営業年度の開始前に会社はすでに外務大臣に対して事業計画書であるとかあるいは収支予算であるとか資金計画を出さなければならないようになっておる。それを付則の十一号によって「最初の営業年度の開始後遅滞なく」と読み替える」といったように、なかなか手練手管は含んでおるのでありますが、法案自体を国会で審議する以上は、これは根本的な問題だと思うのです。従って私の今言いました事業計画書、収支予算、資金計画というものをお出しを願いたいと思うのです。この次に私の質問するまでに、一つそういうものを文書に刷って委員全部の方々にお配りを願っておきたい、かように考えますが、それはできますか。
○矢口政府委員 ごもっともでございますので、極力努力いたします。
○和田委員 この次までには一つお願いいたします。それで私の質問は終ります。
○植原委員長 福田君にお諮りいたしますが、大蔵省の方がまだお見えになりませんが、質疑をお始めになりますか。——福田篤泰君。
○福田(篤)委員 まず委員長にお願いしたいことは、きょうも大蔵省の方々が遅刻いたしまして、そのために本委員会の審議がおくれるというようなきわめて遺憾なことがありました。委員長から大蔵省に対しまして、今後出席について厳重に警告を発せられることをお願いいたします。
○植原委員長 委員長はお申し出の件をよく承知いたしました。
○福田(篤)委員 この法案について今和田委員からも御指摘があったように、私も根本的な問題についていろいろな疑点がありますので、外務当局並びに大蔵当局に対しまして具体的な御答弁を聞きたいと思いますが、その前に外務政務次官にお伺いいたします。 この前の本委員会の御答弁において、きわめて興味ある御答弁をされた。それは近い将来において、外交関係の調整と相待って、渡航費の非常に安い近いところに大量に移民を送りたいということをちょっと漏らしておられますが、それは聞きようによっては、たとえば中共との国交調整による満州移民であるとか、あるいはその他の南方地域の非共産圏の移民であるとかが考えられるのですが、こういう点を具体的に御答弁いただきたい。
○園田政府委員 先般答弁申し上げましたのは、ただいま考えておりますところは、カンボジア、ビルマ、インドネシア及び将来におきましては北ボルネオ等を考えておるわけでございます。
○福田(篤)委員 そうしますと、中共その他の共産国側の国交調整による移民はお考えになっていないわけですか。
○園田政府委員 将来はどうなるかわかりませんが、ただいまのところ考えておりません。
○福田(篤)委員 今お考えになっているいろいろあげられました諸地域において、大体ラウンド・ナンバでけっこうですが、総数どのくらいになり、また年度計画はどうなっておりますか。
○園田政府委員 まだ概略の数字を申し上げる段階ではありませんので、御猶予を願います。
○福田(篤)委員 全然まだその数字は出ておらないのですか、めどでもけっこうですが。
○園田政府委員 そういう見通しのもとに計画交渉中でございまして、概略の人員等もまだ御報告申し上げる段階ではございません。
○福田(篤)委員 そうしますと、今申し上げましたカンボジア、ボルネオその他につきまして外交交渉に入っているとわれわれ考えてよろしゅうございますか。
○園田政府委員 ボルネオは別でございますが、他は非公式な話し合いは進めております。
○福田(篤)委員 今度の法案を拝見しまして、私どもが最初に受けた印象は、相当額を民間に仰ぐ株式会社いわゆる法人格を持っておりますが、株式会社である以上は、この会社の業務として当然そろばんがとれねばならない、いわば採算的でなければならないと思うのでありますが、まずその根本的な問題についてお伺いいたします。
○園田政府委員 ただいまおっしゃった通りでございますが、この会社法案を提案するに際しまして、いろいろ利害のあります農林省、労働省、外務省特に大蔵省など四省の間の意見に若干の相違がございました。しかしながら今日この会社を作りまして、すみやかに渡航後のいろいろな問題なり保証なり契約をすることは緊急のことでございますから、早く会社を作って仕事を進めたいという外務省の気持がございますので、いろいろ各省の意見を調整してやりました関係上、この会社の一番大事である採算については、外務省としても相当心配をしております。
○福田(篤)委員 今率直な御答弁がありましたが、御答弁の通り、私はこれは採算ベースではとうてい行い得ないという意見を持っておりますが、そういう業務の内容を持ちましたものを株式会社にやらすところに、すでに相当問題が将来起るのじゃないか、この点について心配をしているといっておられますが、具体的にどういうことをあなたは心配されましたか。
○園田政府委員 外務省として一番心配をし、これにどのような対策を講ずるか懸念しておりますのは、この会社の業務の中に渡航費の貸付を含んでおるところを一番心配をしております。
○福田(篤)委員 案文を見ますと、海外協会連合会に渡航費貸付の事務を委託することができるとなっておりますが、この理由はどうでしょうか。
○矢口政府委員 海外協会連合会は現在募集選考等の移民業務をやっておりますが、それに新規移住会社が事務を委託することができる、事務をやらしむる、こういう意味でございます。
○福田(篤)委員 募集選考をして曲るから委託させるのだという御答弁でありますが、それくらいならむしろ直接やらせればいいと思いますが、どうしてやらせないのですか。
○園田政府委員 率直に御報告申し上げまして、当初外務省としては、今までの関係並びに海外協会連合会の趣旨からいたしまして、渡航費だけはこの会社から切り離して海外協会連合会の事務とし、この会社はこれにタッチしないような方法でやるならば、採算なりその他の業務がうまくいくのではないかというので立案したのでございますが、国家資金を貸付をしてこれを回収される側にある大蔵省としては、金銭回収の面からいろいろ御意見が出まして、渡航費を切り離して海外協会にやるということは反対がございまして、その意見は最後までまとまらずして、その調整を待っておると法案の提出がおくれて目的を逸するおそれがありますので、ここで両者の意見を調停をして、渡航費だけは海外協会連合会に委託することができるというように大蔵省の方で妥協され、こちらも妥協して、卒直に申し上げると両者ともこれは不満がございますが、内幕を報告してはなはだ申しわけありませんが、そのような事情でございます。
○福田(篤)委員 この点は先ほど委員長も指摘されたのでありますが、私どもが心配することは、移民ということは御承知の通り貿易と相並んで今後日本の国運打開の基本問題であります。この重大な問題について関係官庁が急ぐことはけっこうでありますけれども、もっと業務の実態に照らして将来矛盾が起らないようにやるべきだと思うのですが、たとえば今の問題にしましても、当然私は海外協連としての立場でなくて直接やる方が将来やりいいのではないかと思うのでありますが、その場合法を作ればいい。準拠する法律があれば大蔵省も安心すると思うのでありますが、これに対する準備なり御用意は何か考えておられますか。
○園田政府委員 ただいまのところいろいろ経緯はございましたが、外務省と大蔵省と相談の結果お願いした法案でございますから、委員の方々からの修正は別でございますが、われわれとしては今のところ考えておりません。
○福田(篤)委員 万一海外協会がいやがって委託業務を怠った場合、あるいはこれをしない場合も考えられますが、その場合は二十一条の監督命令で強制することができますか。
○石井説明員 私からお答え申し上げます。これは会社が営利を行う性格からいたしまして、どうしても採算ベースに乗らないからいやだといった場合に、業務に対する必要上監督する、命令ができるということで強制できるかどうかという点につきましては、まだ十分なる法律上の解釈をいたしておりませんが、会社でございますし、これは貸付業務をやらなければならぬということでもないということになればあるいはできないという解釈も成り立つかもしれませんが、私どもといたしましては、こういうふうにきまりましたならば、何とかして十分にやるように、もしこの会社が貸付業務をやるということにきまりますれば、会社の業務でございますから、やれということは言い得ると思います。
○福田(篤)委員 今の御答弁で少し不明でございますが、最後の場合には第二十一条によって強制できるとわれわれ一応解釈したいと思います。しからば第九条の第一項の規定でございますが、この規定を見ると、渡航費の貸付の財源を政府支出をもって充ねばならないという義務規定にはなっておらないわけであります。そうなりますと、会社自体が非常に不安に思うと思うのでありますが、この点についてどういうお考えを持っておられますか。
○園田政府委員 今のところ、われわれとしましても渡航費は義務規定にしたがったのでございますが、以上のような折衝の経過によってこうなったのであります。
○福田(篤)委員 私はこれは当然義務規定にまで発展させて、その会社が国策に順応した大きな仕事をやるのでありますから、安心感を与えてやるのは当然と思うのでありますが、大蔵省はこれに対しまして、どういう御見解でありますか。
○正示政府委員 お答えを申し上げます。先ほど来渡航費の貸付につきまして御議論がございましたが、私どもは先ほど外務政務次官からお答えがございましたように、せっかくこの法律をお作りになりまして、海外移住振興株式会社が一つの特別の法律に基く会社となるわけでございますが、こういうふうになりますれば、この会社に一切の移民の資金のめんどうを見ていただくということが筋かと考えまして、さようにお願いをいたしたわけであります。御承知のように、連合会は現在何らの法律の根拠がないわけでございまして、一つの暫定的な形態として今までやって参られたのでありますが、せっかくこうしてりっぱな会社ができる以上は、この会社にやっていただくという考え方を今日も持っておるわけであります。 次にもう一点といたしまして、第九条の規定を義務規定にする考えはないかあるいはそうすべきではないかという御意見のように拝承いたしたのでございますが、これは条文にも明らかなように、毎年予算によりまして国会がおきめになって、それによって渡航費の貸付をいたすという従来の建前をくずさないようにして参りたい、こういう考え方でございます。移民の問題は御承知のようにきわめて重要な問題ででざいますから、今後引き続いて国会におきまして、人口問題の解決あるいはその他の見地から、移民予算というものは相当重要な項目であることにつきましては、疑いを差しはさむ余地がないかと思うのでありますが、そういう趣旨から考えましても、九条の規定がございますれば、毎年必要な予算をここにいただきまして、この会社に貸付を行うということができる、こういう考え方を持っておるのでございます。
○福田(篤)委員 渡航費による損失を利ざやで補てんするということは可能であるかどうか、この点についてどういうお見通しでございますか。
○正示政府委員 渡航費の貸付でございますが、これは先ほどお話のように、株式会社としての基本的な性格から考えまして、一種の特別の資金であり、特別の経理を必要とするのではないかという御趣旨につきましては、私どももさように存じております。従いまして、この九条の二項に渡航費の貸付につきましては、「利率その他の条件は、政令で定める。」という条文を特に入れていただくことにお願いをいたしておるわけであります。この考え方は、利率の定め方、あるいは償還期限の定め方につきまして、渡航費の性質にかんがみ実情に即した条件にいたしたい、こういう考え方からいたしておるのであります。今利ざやで補てんしてはどうかという御質問でございますが、この点は実は、利ざやで処置をするとか、あるいは貸付条件でどうするとかいうことは、まだはっきりきまってはおらないのでございますが、いずれこれらの点につきましては政府部内におきまして十分研究をいたしまして、この渡航費の性質から無理な条件でないような定め方にいたしたい。それによりまして、会社に対しましても、渡航費の貸付を行うがために、会社の経理上非常に無理が生ずるということのな恥いようにいたし衣ということを、基本的に考えて曲る次第でございます。
○福田(篤)委員 一番先に申し上げましたように、会社自体が法人であって、一応採算ベースを考え、利ざやでそれを補うという場合も考えられるのですが、そういう場合には財政法の第九条の問題とからんでこれは違反になりますか。
○正示政府委員 この法律の規定をお認めいただければ、法律の委任命令によって条件を定めるという解釈をとりまして、一定の場合にどうするというふうな規定をいたせばよろしいのではないかということをただいま考えております。既往におきまして貸し付けましたものを、あとから政令でいろいろ条件を変更することは問題がございますが、今後の貸付につきましてこういう場合はどうであるという規定をいたせば、これは法律をもって事前に国会の御了解を一応得て委任命令を出すわけでございますから、その点は、ただいま法制局とも打ち合せ中でございますが、ある程度そういう場合に処し得る規定を設けられるのではないかという考え方をもって研究をいたしております。
○福田(篤)委員 この点は前回の委員会におきましても他の委員から御質問があったのでございますが、今までの実績を見ると、結局は善良な移民の負担においてそういう損失を補うというのが今までの実績でありまして、今後もそういう見通しになっておる。そうなると、貸付の趣旨とはだいぶ変ってくる。これについて政府は一体どうお考えですか。
○正示政府委員 御指摘の点は、私どもも既往の経験に照らしまして、十分慎重に研究をいたしたいと存じます。ただいま御指摘のように、善良なまじめな移民の方々が定められた条件によって返済をして、かえって返済能力があるにかかわらず、ふまじめな方がまじめな者の犠牲において義務を怠るというふうなことのないように、この点については、回収の際に運用上十分注意をいたしまして参らねばならぬかと思うのであります。また半面、まじめな方で災害その他の事由によりまして、どうしても定められた条件のもとに償還ができないような場合に、これに対する救済の条件というものを適正に定むべきではないか、かような考え方をもちまして研究を進めて参りたいと存じております。
○福田(篤)委員 御承知の通り、イタリアなどは移民政策が非常に成功しておるわけです。十一ヵ国と結んでおる移民協定を見ましても、渡航費はほとんど全部受け入れ国が負担しておるわけです。イタリアと日本とは同日の談ではありませんし、条件も違いますので、私どもはそこまで要求するのは無理と思うのでございますが、少くともこういう国家的な事業と申しますか、大きな国策の上に立ちます事業について、大蔵当局があまりにも事務的にお考えになることは、移民計画につきまして暗影を投ずると私は思うのであります。少くとも渡航費の貸付を行わせる以上は、もし回収不能の赤字が出たときには、当然国が交付金その他の処置によって補てんしてやるくらいの親切さと勇気がなければ、私は今後この事業は伸びないと考えますが、この点について大蔵当局はどう考えますか。
○正示政府委員 そういうお考え方につきましては、私どもも移民ということの性格にかんがみまして、基本的には同感でございます。ただこの際大蔵当局の立場をはっきり申し上げておかなければならぬと思うのでございますが、この三銀行からのいわゆる外貨借款につきまして、国際的にこれが保証その他のことをいたしまして、その償還の励行を期さなければならぬことはもとよりでございますが、他方渡航費も、これまた今さら申し上げるまでもなく、国民の税金によって支弁されるものでございますから、先ほど福田先生も御指摘になりましたように、まじめな方々はやはりそういう観念に徹せられてきちんきちんと償還をされるというふうなことに相なっておるのであります。従いまして私どもといたしましても、基本的な考え方といたしましては、渡航費の貸付につきましても、この渡航費の特殊性から条件その他については適正にきめなければなりま言句デ、しかしいやしくも国費の回収ということでございますから、これが励行については先ほど申し上げたように、いたずらに善良な移民の方々の犠牲において、ふまじめな者が義務を怠るということのないように努めなければならぬという基本的な考え方を持っておるわけでございます。そこでただいま御指摘の点のように、しかしながらあまりにも事務的に堕したために、いわば角をためて牛を殺すような弊害が生じないようにという御趣旨につきましては、十分注意をいたしまして、たとえばこの会社の経理におきましても、渡航費の関係はこれは完全に別の会計で区分経理をいたしまして、その回収等につきましても、先ほど申し上げましたような渡航費の実態に即応した適正な条件を定めることによりまして、いたずらに会社に無理な経理をさせないようにして参る、こういうことを基本的に注意をいたして参りたいと考えております。
○福田(篤)委員 もちろんふまじめな不正直な者が払わない場合もありましょうが、しかし善意にして、やむを得ない事情で払えない者が相当あると思います。イタリアなどは、先ほど申しましたように、渡航費なんかは少しも心配しないでどんどん海外に出ていくわけです。少くとも今後の移民事業の将来を考えますと、大蔵当局としてもこの点何らかの国家としてのあたたかい積極的な支出なり、めんどうを見るという考えが必要と思うのでありますが、その点についてどう考えますか。
○正示政府委員 何か渡航費が、たとえば移民の責めに帰せられないような災害その他外的な事情のために、どうしても返済に困るという場合におきましては、償還期限その他について特別の例外を定めるというふうなことについて、実は研究をいたしておるのでございますが、福田先生の御趣旨は、さらに百尺竿頭一歩を進めて、この会社に対して何か損失補償、あるいは補てんの交付金というようなことまでというお考えのようにも拝承いたしたのでありますが、政府にはいろいろの貸付一金がございます。中小企業に対しても一貸付金をいたしております。これらがそれぞれの条件に従って行われておるのでありますが、問題はこれをいかように経理させるかという点に帰着する一のでございまして、国が国費を支出いたしまして生じた債権を、どういう段階においてその債権を放棄するかというふうな問題にもかかってくるかと思うのであります。これはただいま大蔵省におきまして債権管理の基本的な法律について、実は研究を進めておるのでございますが、いまだ適切な結論に達しませんので、本国会に御提案できなかったわけでございますが、今後はやはり本法に基きます渡航費の貸付等をも含みまして、政府の貸付金その他の債権の管理につきまして国会に事前に立法をお願いいたしまして、適切な基準を定めまして、その基準に従って公平に処理をしていくのが妥当ではないか、あまりにも移民の貸付金という面だけからルーズなきめ方をいたすことは、他への波及等につきましても、財政当局としては十分慎重に研究をいたさなければならぬのであり、これは申し上げるまでもなく、たとえば中小企業でございますとか、国内の開拓民でございますとか、いろいろございますので、それらの全般との権衡も考えながら、この債権の最終的処理をどうでろかというふうな問題は時来別途に考えていきたい。とりあえずは、この第九条二項の政令の条件を先ほど申し上げましたように適正に定めることによりまして、この会社にあまりに無理な経理をさせないように持っていきたい、そして会社との最終的な処理については債権管理法によって根本的に考えて参りたいというのが私どもの立場でございます。
○福田(篤)委員 今の御答弁の中の第一九条第二項の問題ですが、この第二項の規定ではきわめてばく然として不十分でございます。そこで、今の御答弁の中で考えられることは、おそらく第九条第二項の問題について、別個に法律を規定するようなことを考える、あるいは法律によって明確な政令への委任を考えるとか、何らかの措置をお考えになっておりますか、この点はどうですか。
○正示政府委員 渡航費の利子その他の貸付条件は、この第二項だけを根拠にいたしまして、一応適正に定めてみたい。今日、御承知のように渡航費は四年据置、十二年間に五分五厘の利子をつけて返していただくことになっておるのでありますが、これが果して実情に沿うかどうか、今回の政令を定める場合におきまして、それらの点も十分検討してみたい。それから先ほど福田先生から御指摘のように、災害のような場合の条件をさらに例外的に定めるかどうか、これも定めるという方向において研究を進めて参りたい、実はこういうふうに考えております。そこで渡航費に関する限り、ただいまのところ別途に法律をお願いするということは実は考えていないのでございます。先ほど申し上げた趣旨は、国の債権の管理につきまして、今日明確な法律上の規定がございませんので、これの法律化につきましてあらためて研究を進めました上、国会の方にお願いをいたすことになると考えておりますと、このような趣旨で申し上げたわけであります。
○福田(篤)委員 今お話の将来の債権に対する立法措置でありますが、この場合、当然予算に対する義務規定が伴うと思いますが、この点はどうですか。
○正示政府委員 実はまだこまかくきめておりませんが、たとえば昔から委任の関係で債権債務についていろいろございまして、昔は貸付金処理委員会というものを設けていただきまして、これはたしか国会議員の方々にお入りを願っておったと思うのでありますが、この委員会にかけまして、この債権は据置貸しにするとか、あるいはもはや回収不能と見込んで、いわば欠損処分をいたすとか、そういうことをやったのであります。これは法庫の規定なしにやっておったわけであります。今回、考えております債権管理法は、そういう場合にはっきりした基準を設けていただきまして、各界の権威の方々にもお集りを願って、こういう債権は一定の条件で据置貸しにして、当分会社がその債権の回収をなし得ないということになりましても、国としてもそれの返済を強制しないというふうな形にいたしますか、あるいは一定の条件の場合には、国がこれを欠損処分にいたしまして、会社に対する債権を放棄するか、そういうことにつきました研究を進めたいという考え方でございます。今日、御承知のごとく国税の徴収につきましては、一千億近い滞納がございます。それらの滞納税金につきまして、ある場合にはいわゆるたな上げ処分、なお進みまして一定の条件を保有いたしますと、これまたいわば国の徴収権を放棄するような規定もお認め願っておるわけであります。これは国税の徴収に関する特殊の規定でございますが、国の債権一般につきまして、ただいま申し上げましたような線で研究を進めまして、あらかじめ国会の議決を経た法律を作っておきたいという考え方を持っておるわけでございます。
○福田(篤)委員 最後に、外務当局にお伺いいたします。今大蔵当局の立場からいろいろ専門的な御説明がありましたが、移民という大きな仕事の立場から見て、外務当局として、今のような債権に関する一般的な規定によって、移民という仕事がこれから大丈夫だと、いう確信をお持ちでございますか。
○園田政府委員 率直に申し上げまし出て、そのようには考えておりません。先般来から御質問、御指摘を受けております松原機関の失敗、あるいは中南米移民諸団体におけるいろいろな事件等は、政府が今まで責任を持って条件を保証できなかったことと、一つには移民された方々の渡航費及び渡航されたあとの生活その他の保証、援助が国家でできなかったために、ああいう事件が多々起っておると考えております。戦後、年々移民の数が逐次ふえておりますのは、渡航費貸付をやったからだと考えておるのでございますが、そういう意味におきまして、ただいまの段階におきましても、遺憾ながら大蔵省と外務省の意見の食い違いが——移民というものを一般事業と考えるか、もしくは小さい島に押し込められた国民に、働く場所を与える国家としての当然の義務と考えるか、という本質的な食い違いがややあるように考えております。従いまして渡航費の貸付は、一般会社に対する補助金または損失補償の問題とは別個の問題であって、他の諸外国と同様、でき得るならば渡航費は貸し付けるのではなくて、国家が補助をして、日本国内で働くことの苦しい人を海外に送り、海外で働く場所を与えるのが国家の責任と義務であるという考え方から、外務省は仕事をいたしております。しかしながらこの折衝の過程におきまして、国家財政緊縮の折柄でございますし、なお国民の税金の管理を担当しておる大蔵省の御意見としては当然のことでございますから、外務省といたしましてもそういう点を勘案いたしまして、渡航費はでき得れば海外協会連合会の業務として切り離してもらった方が、この会社としての本来の目的が達せられると考えたのでございますが、いろいろ折衝いたしまして、一応この会社の中に入れて、勘定だけは特別会計とし、その他の点も大蔵省の御意見通りやったのでございます。 今の損失補償の点については、この政令に定める諸条件等については、われわれはまだはっきりした意見の一致を見ていない、ただ大蔵省から内々言われておる渡航費貸付に関する損失を利ざやで補償するという点は、御指摘の通り財政法第九条に抵触するおそれありと解釈いたしておるばかりでなく、そのようなことをいたしますと、海外に渡航して、まじめに働いて元利を払っておる人々が、払わない人々の損失を補償するような格好になって、国家が援助するどころか、向うに渡航されてまじめに働く人々の手足をとるようないろいろな状態さえも出てくることを非常に心配しておるのでございます。
○福田(篤)委員 私は率直に申しまして、今の外務当局側の移民に対する考えについて、全面的に同意するものであります。大蔵省側の御説明につきましても、もちろんそれ自体としては筋は通っておりますけれども、これはあくまでも中小企業あるいはその他のものと性格が根本的に違うのであります。国策としての海外進出でございまして、この点について、これは大蔵省との間のいわばやむを得ない妥協の案という形が現われておると思うのであります。つきましては今後の審議についても、われわれはまだ非常に踏み切らない、この移民という性格がよく透徹してないという感じを受けますので、今後あらゆる点から質問することを留保いたしまして、これで終ります。
○植原委員長 この機会に申しますが、大蔵省政府委員のお出かけがなかった際に、福田委員より御注意がありました。もう予算案も済んでおる、しかるに大蔵省政府委員が出席しないために、この会議は三、四十分ただここにから待ちしておる、こういうことではまことに困るから、どうか将来御注意を願いたい、こういうことでありました。委員長より特に大蔵省政府委員に対して注意するようにということですから、そのことをよく申し上げておきます。北沢直吉君。
○北澤委員 昨年吉田前総理が渡米の際のみやげの一つとして、アメリカの民間三銀行から千五百万ドルの移民借款の話ができたわけであります。この借款の受け入れ機関としまして、先般自由党の予算修正の結果政府から一億円の出資をしてこの会社を作るというような話ができまして、今回この日本海外移住振興株式会社という法案の提案を見ましたことは、まことにけっこうだと思うのでありますが、この会社を作るにつきましては、先ほど来いろいろ指摘があったのでありますけれども、作ります以上は、十分にその所期の目的を達するように慎重に考えていかなければならないというふうに考えておるわけであります。 そこで福田委員の質問とも関連して質問したいのでありますが、この会社は法案にも書いてあります通り株式会社であります。資本も政府の出資のほかに民間から出資を求める、またこれはあとで質問しますが、社債なども民間に引き受けを願う、それから外貨借款もアメリカの民間銀行から借款をする、こういうふうな建前になっておるわけであります。そこで最初に質問したいのは、この会社の資本でありますが、政府の出資は一億円でありますが、民間からどのくらいの出資を期待しておりますか、この点最初に承わっておきます。
○矢口政府委員 とりあえず約五千万円を期待しております。
○北澤委員 この会社は社債を募集することができることになっておりますが、これは政府の財政資金でその社債を引き受けるものであるか、あるいは民間市場で社債を消化するお考えでありますか、その点を伺っておきます。
○矢口政府委員 お答え申し上げます。全部民間から期待しておるわけです。大体資本金の五倍を想定いたしております。
○北澤委員 この社債について、財政投融資の方から資金を出すというふうな考えは、大蔵省の方にありますかどうか。
○正示政府委員 そういう考え方はございません。
○北澤委員 そういうふうな会社の性格から申します。この会社はそういう民間資金を吸収するわけでありますので、どうしても採算に乗らなければ、この会社は立っていかないというふうに私どもは考えるわけであります。そうしますと、先ほど問題になりました渡航費の問題でございますが、私どもの考えによりますと、この渡航費を貸し付ける場合におきましては、各移民に対しまして個々に貸付が行われる。またその移民は中南米全般にちらばっておる。しかも移民は移動が非常に激しい。従来の統計によると、大体二年ないし三年に一ぺんずつ場所を変えておる。あるいは死亡する者もある逃亡する者もあるわけでありまして、これはその関係機関ができるだけ回収に努めましても、回収はなかなか思うように参らない、こういうように思うのでありますが、この移民に貸し付けた渡航費の回収について、外務省はどういうふうな見通しを持っておりますか。
○石井説明員 私からお答え申し上げます。ただいま御指摘がございました通り、中南米の非常に広い地域にばらまかれておるのでございまして、そしてこれにはあらゆる場合に引き受け責任者というものがございまして、その引き受け責任者が貸し付けます会社なり団体なりとその取り立てをする契約をいたしまして、取り立てを行うことになっております。しかしながらただいまお話がございましたように、いろいろなケースがございまして、これはなかなか集めにくいものであるというふうに考えております。これを集めますのには、現在のところでは向うに参りました移民が返すという契約が、相手国の法律によってまだ確認されていないような状態でございますので、なお取り立てにくい点があると思いますが、今後はこれを手形にいたしますなり、あるいは公正証書にいたしますなり適当な方法を講じて取り立てに積極的に努力したいというふうには考えております。たまたまこの会社が金を貸しましたようなところに入った移民につきましては、あるいはこの会社の支店等が取り立てをする便宜が非常に多いかと思いますが、いわゆるコロノ移民と申しまして、雇用契約というようなことでブラジル人、日本人の耕地に入った移民につきましては、この取り立てばなかなかむずかしい、その方法をとりましてもなおかつ件数が非常に多くなる関係上・個人々々に貸しておるのでありますから、その件数が非常に多くなる関係で、取り立ての費用も莫大なものに上る、しかもただいま御指摘のありましたように、死ぬ者もあり、逃げる者もあり、天災にあう者もあり、あるいは転々と居を移す者もございますので、われわれは極力努力はいたすつもりでございますが、その取り立てば非常に困難である、どのくらい取り立てをすることができるかということにつきましては、元本については第一回の返済する期間が来年でございますのでまだ全然わかりませんが、ただいままでその利子につきましての取り立ての状況を見ますと、これは非常に悪いということが言えるわけであります。もちろんこれにつきましては、まだ入りましてから年数もたっておりませんので、これらの営農状態の安定していないということも大きな理由かと思いますが、それにいたしましても渡航費の取り立てということは、私どもは極力努力いたしますが、なかなか困難であるというふうに考えております。
○北澤委員 終戦後政府が海外協会連合会を通して、渡航費の貸付をしてきたわけでありまして、今の話によりますと、元金の償還まではでき上っておらぬが、利子の償還はできておるということでありますが、現在までの状態において、利子の償還の実績はどのくらいの程度に支払われておるか、その点伺っておきます。
○石井説明員 ただいままでの実績を申し上げますと、大へん私どもの努力が足りないように見えて恐縮でございますが、回収すべき利子の総額は二千百万円に上っております。そのうち回収されましたものは五十数万円でございまして、大体全体の二・七%くらいに当っておるというのが実績でございます。
○北澤委員 従来の実績から見ましても、それかららまた諸般の関係から申しましても、渡航費の回収というものはなかなかむずかしい。戦争前は日本におきましても移民に対する渡航費というものは、貸付金ではなくて大体政府が補助金でやった場合が多いのでありまして、移民に行く人は、渡航費は当然政府からもらえるものだという考え方もあるものだと思うのでありますが、いろいろな関係があって、渡航費の回収というのは、ただいま政府の答弁にありましたように、なかなかむずかしい問題である。従ってこういう回収の困難な渡航費の貸付という事業を、この営利会社である、しかもコマーシャル・ベースに乗った合会社にさせるということにつきましては、先ほど申しましたようにこの会社が将来一体どうなるかということにつきまして、私どもは非常に心配するのであります。従って理想から申しますと、この渡航費の貸付という仕事は、この会社から削除して、従来通り海外協会連合会に政府がこれを委託させるか、あるいは政府がこの会社に委託をしてやる。会社に貸し付けるのではなくして、海外協会連合会がやっておるものを政府が委託して仕事をさせるか、あるいは会社に貸し付けて会社から移民に貸し付けるという場合においては、先ほど申しましたような回収不能の場合が多いのでありますから、政府がその損失を補てんするか。この三つのうちのいずれかをしなければこの会社は発展できず、また先ほど申しましたように民間の資本も集まらず、また社債を募集しようとしても募集できない、こういう状態になると思うのでありますが、これについて、そういう三つの方法をとれなかった理由について、先ほど福田委員に対する答弁にもありましたが、もう一ぺん政府の考えを伺いたいと思います。
○園田政府委員 先ほどから御報告申し上げました通り、政府といたしまして移民に対しては今日までの通りにわずか三千人か四千人では日本の人口対策にも、あるいは農村の二、三男対策にも何ら影響するところがございませんので、さらに膨大な移民を行うために、今御指摘の通りに民間資本が集まるということを考慮いたしまして、実は先ほどから御指摘の渡航費の問題を削除して、海外協会連合会にまかせ、次にはこの会社の利潤に対する第十八条の一、二項の百分の六の比率は、百分の八というふうに民間資本を集めるために外務省としてはいろいろ腐心したのでありますが、先ほど申し上げた通りに国家財政の今日でありますから、大蔵省の言い分も当然でございますので、渡航費もこの中に入れて、そうして特別会計とし、なお渡航費の貸付の財源は、政府の義務規定はございませんが、海外移民に対しては大蔵省もあるいはその他の各関係省も、非常に重大性を認識しておられるところでございますから、義務規定はなくても何とかなるといたしましても、これに入れるならば御指摘の通りに貸付の損失補償の点だけは、何とか今の民間資本が集まるようなこの会社が、堅実な企業ができるような方法にしなければならぬと考えております。
○北澤委員 政府の御答弁によりますと、この法案の第九条の第二項「前項の資金の貸付の利率その他の条件は、政令で定める。」これによってこの渡航費の未回収等に対しましては適正な処置がとれる、こういうふうな政府の答弁でございますが、先ほどの政府の答弁にもありましたように、利ざや政府が会社に貸し付ける場合の利率と会社が移民に貸し付ける場合の利率との、その差額によってその損失を補てんするというふうなことも考えておるようでありますが、この利ざやによってそれを補てんするという場合には、ほとんどゼロにひとしい利率でなければできないのでございますが、そういうことはこれは財政法上の立場からどうしてもできない。従ってどうしてもその渡航費未回収の場合の損失を補てんする’いう場合には何か法律の規定によって、——財政法によりますれば債権の放棄とかあるいはその財産の処分というものにつきましては法律を要するということになっておりますので、何かやはり明確なここに規定がなければ私はできないと思うのでございます。先ほど大蔵省政府委員の御説明によりますとそれは政令に委任をしてやる、こういうことでありますが、私は財政法の建前から申しますと、やはりこれは法律によらなければできないと書いてありますので、もしそういう損失を補償するというならば、やはりこの法案の中にそういうふうなことができるということを明記しなければならぬ、こう思うのでありますが、その点について大蔵省の政府委員及び法制局の政府委員に一つお答えを願いたいと思います。
○正示政府委員 先ほど私の申し上げましたのは、この財政法第九条との関係もございますので、たまたま条文が一致したわけでございますが、本法第九条第二項の規定を設けていただきまして政令で適正な条件を定める、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。そこでただいま御指摘のように、たとえば会社の損失を補てんするというふうな積極的な財政負担を伴う点につきましては、御指摘の通り明確な法律規定がない限りこれは困難と思います。そこでこの政令に委任をされる権限の範囲は、どこまでも貸付の利率その他の条件に関するものだということは御指摘の通りだと思います。ただその条件につきまして今後の貸付につきまして一定の場合を想定いたしまして、こういう場合には例外として特に償還期限の延長をはかるとか、あるいは利率の制限その他につきましても政令を規定することが不可能ではないじゃないかという考え方をもって、ただいま法制局とも御協議を申し上げておる、こういうふうに申し上げた次第であります。
○北澤委員 ただいまの御答弁によりますと、この法案の第九条第二項の場合には、そういう会社の損失を補てんするという意味でなくして、利率その他の条件についてその規定を政令に委任するというわけでありますが、そうしますと、先ほどからいろいろ質疑応答があったのでありますが、利ざやあるいはこの償還期限の問題、そういうふうなものによって処置しようというふうな政府の考えであると思うのでありますが、それではとうていこれは会社の損失を補てんできず、従って先ほど申しましたように、この会社が庶幾するように民間の資本を集め、あるいは民間に社債の消化を期待するということは私はできないと思うのでありますが、その点について外務省側と大蔵省側の両方の一つ御意見を伺いたい。
○正示政府委員 本来コマーシャル・ベースに乗るべきであるというお考え方につきまして、ちょっと申し上げておきたいと思うのでありますが、移民振興会社は民間の株式会社の形態と形態は同じでありますが、特殊の立法をお願いしておるということは申し上げるまでもございません。今回のこの移民借款におきまして、また今後の移民の見透し等につきまして、私どもはいろいろ外務当局の御見解を伺っておるのでありますが、移民というものが非常に将来企業的なまた採算的な性格を持ってきておるということは、先ほど来の御議論にも十分はっきり出ておるかと思うのでありまして、この点から申しますと、戦前の移民につきまして渡航費の貸付が非常に回収困難であるという事例をもって、今後さような、性格のだんだん変って参ります移民について、同じようなことになろうという見通しもいかがであろうか、その点についても多少私どもとしては考えを異にいたしておるわけであります。移民というものについて、むろんこの渡航賞を普通の一般の貸付金のように短期間に、また高い利率を付して回収するというふうなことを考えておるわけではございませんが、その条件の定め方いかんによりましては、もともと同じ国民の税をいただいて渡航費に充てるのでございますし、しかも移民というものの将来が非常に明るいような場合におきましては、回収また必ずしも不可能ではない。のみならずその条件を適正にすることによりまして、ほんとうに移民が自分たちの力で渡航費まで全部返済したというふうな自信を与えることも、大いに意義あることではないかという考え方も実は持っておるわけであります。ただ今の御指摘のように、民間資本を集めるような場合に、一方において、そういう非常に回収困難な経理をやっておるところは、それが一つの阻害条件になるのではないかというふうな点につきましては、先ほど来お答え申し上げました通り、この会社の経理におきましてはこれを明確に区分経理いたしまして、またただいま申し上げたような今後の見通しは見通しでございますが、現実の推移を見ました上で、この渡航費の回収その他の経理につきましては、実情に即応して考えて参らなければならぬ面があろうかと存じます。その場合損失補てんの点は、これははっきり法律を要するわけでございますが、先ほども福田委員にお答え申し上げました通り、私どもの方でも一般の政府の債権の管理につきまして根本的な規定を設けるべく、ただいま研究を進めておりますので、その際の原案にははっきりとこういう渡航費の貸付のようなものも入って参ると思います。その際までによく実情の推移を見定めまして、債権管理の規定を設けます場合に適当な規定を作りまして、国会の議決をお願いするようにいたしたいと存じております。
○園田政府委員 外務省は先般来から報告申し上げる通りでありまして、全部の補償を言うのではなく、たとえば渡航後不幸にして移民された方が逝去されたとか、あるいは病気のためにその返還ができなかったと、そういう場合の損失の補償を願う意味でございますから、損失補償については適確なる方法を入れておくことが当然であると考えます。
○北澤委員 この問題に対しまする政府関係部局の見解は大体わかったので、きょうはこの問題はこの程度にしまして別の問題に移ります。 渡航費でありますが、政府がこの会社に渡航費を貸し付ける場合の利率と、それから会社が移民個人に貸し付ける場合の利率とは一体どういうふうなお考えでおりますか。
○園田政府委員 今正式になっているのは、政府から借りるのは五分五厘で利ざやはありません。ただ内々の話で四分五厘にして五分五厘で貸すことにして、その一分で損失を充填したらどうかという内々の話があるだけでございます。
○北澤委員 もう一つ伺いたいのは、アメリカの三銀行から五年間に千五百万ドルの借款を受けるわけでございますが、それの利率、償還期限はどうなっておりますか。
○矢口政府委員 利率につきましては、まだ最後的な回答は来ておらないのでございます。といいますのは、アメリカの三銀行側の言い分によりますと、この法案ができ上ってその会社の実態が明確にならない限りは、最後的な返答をすべきではないというのが先方の意向であります。しかし大体のところ法案にもその利率で計算してございますが、悪くいっても年四分ということには間違いない。少くとも来年の三月まではそういう工合であると御了解願ってけっこうだと思います。 次に償還期限ででざいますが、これは三年一単位でございます。千五百万ドルを三銀行がおのおの五百万ドルずつ持ちまして、一年間に一銀行が百万ドル、年にいたしまして三百万ドルという金の貸付を受けることになっております。それを三年間の期限ということになっております。こういうわけででございます。
○北澤委員 それでは三年間でアメリカの民間銀行へ返すわけですか。
○矢口政府委員 一応返しまして、切りかえるという形になるのであります。それはただし実績によりまして、この会社の実績が悪ければ更新されないかもしれませんが、実績次第によっては更新できて、大体現在の話し合いでは、短かくとも三度くらいまでは更新できる、こういう予定でございます。
○北澤委員 この会社が企業に対する資金を貸し付けるのは、大体外地における産業でありますから、主として外貨資金だと思いますが、この会社が持つ外貨資金は、大体米国の三銀行からの借款だけであります。外国からの報道があったのでありますが、ブラジルにおきまして戦争中在留邦人の資産が凍結されておったのでありますが、この凍結が解けた場合におきましては、その資金の一部をこういう日本の移民の発展のために使ったらどうかというふうな意見もだいぶ国内にあったのであります。あのブラジルにおきます日本人の凍結資産の返還の問題は一体どうなったのか、それをこの会社などに利用する道はないのか、その点について外務省から伺いたいと思います。
○石井説明員 ブラジルにおきます日本の戦争中の凍結資産は、明確な数字は忘れましたが、ほぼ八億に近いものだと覚えております。これが解除につきまして、いろいろ話し合いをいたしました際に、日伯両国の親善のために使ったらどうかということで、当初移民関係の費用に充てたらという話もあったように聞いておりますが、その後、移民関係ではなしに、むしろ東銀の資金にしよう、昔の正金を復活するという意味で、それの資金にしようということになっておるように私は聞いておりますが、所管が違いますので、詳しいことは存じません。ただイタリアにおきましては、イタリアの凍結資産の解除の際には、これを伊伯両国の親善関係に使うということで、主としてそれが移民関係の資金になっておるということは聞いております。
○北澤委員 この法案によりますと、会社は中南米現地においてみずから事業も営み得るというふうになっておりますが、そうなりますと、現地の政府との関係がいろいろ出てくると思うのであります。これまでのように日本の移民が雇用移民として行った場合は別でございますが、今回のようにこういう会社が出ていってみずから仕事をするというふうになりますと、向うの企業とのいろいろな関係、あるいは現地の政府との関係、いろいろな関係が出てくると思うのであります。そういう点から申しますと、やはりそういうものをある程度規制するための移民協定のようなものを作る必要があると思うのでありますが、そういう点について政府はどういうふうな考えを持っておりますか、お尋ねいたします。
○矢口政府委員 移民協定につきましては、各国によって事情が違うのでございます。できるだけ多くの移民協定を作りたいために種々努力いたしておりますが、現在移民の大宗をなしておりますところのプルジルにつきましては、やや困難な事情が実は介在しているのであります。といいますのは、ブラジルは日本人の勤勉、優秀性を買っておりますから、歓迎の意は表しておりますけれども、中には日本人の移民を歓迎しないところの向きも相当ございまして、こういうのが機会あると反日ののろしを打ち上げるのでございまして、移民協定ともなれば、自然ブラジルの国会の討論にもなり、新聞にも出る、ラジオにもやかましく出るということになりますと、潜在しておりますこの反日分子が、時を得て日本人排撃ののろしを上げるのではないかというおそれが多分にございますものですから、具体的に申し上げますと、われわれとしては一日も早くこれを結んで御趣旨に沿いたいのでありますけれども、そういう事情がございますので、最近新任の大使が向うに行きましたときも、よくその諸般の事情を察知して、必要があれば移民協定の話を進めてもらいたいという工合にブラジルでは相なっております。自余の国につきましては、たとえばドミニカにつきましても、ボリビアにつきましても、現在移民協定を結ぶべく寄り寄り話を進めております。ボリビアにつきましては、きわめて近い将来にでき上ること考えております。
○北澤委員 それから別の点をお伺いしたいのですが、この法案によりますと、課税上の恩典としては登録税だけが一部免除になっているのでありますが、登録税のほかに、法人税とか、そういうものにつきましてもある程度の免税を行うというようなことを考えたことがありますかどうか、これをお伺いいたします。
○石井説明員 この点につきましては、当初の案の中には、いろいろその他の税金につきましても免除するようなことを考えたのでございますが、この機関の性格が株式会社であるということが決定いたしましたので、できるだけ通常の株式会社の形態に近いものにしたい。ことにこの会社は、私どもの観点からいたしますれば当初は別といたしまして、十分に採算可能であるという観点に立ちまして、大蔵省方面の御意向もございましたので、この一つの税金だけに限定したということでございます。
○北澤委員 まだいろいろ伺いたいことがあるのでありますが、ほかの質問者の関係もありますので、もう一点伺って私の質問を打ち切りたいと思いますが、この日本海外移住振興株式会社というものを作りましても、その性格からいいますと、日本の海外移住を促進するために、それを受け入れる事業の融資をするとか、いわゆる企業移民に対して金融をするというふうな会社の性格になってくるのでありまして、結局問題はこの会社をいかに運用するかということが、この会社が成功するか成功しないかという分れ道になると思うのであります。従ってこの会社の人事というものは最も大事な問題になると思うのでありますが、とにかく外国へ行って仕事をして、しかも外国の政府あるいは外国の関連産業、こういうものとの間の摩擦をなくして仕事をやっていくというためには、この会社を運営する人の問題、これが結局最も大きな問題であると思うのでありますが、どうぞ政府におきましても、この会社が所期の目的を十分達しますように、人事の面につきましてはできるだけの御留意をお願いしたいと思うのであります。政府の方におきましては、別段その人事の構想はまだないと思うのでありますが、念のために、その人事につきましては、できるだけの考慮を払って、この会社がりっぱに発展できるように御留意願いたいと思います。先ほど質問しました渡航費の問題につきましては、また後ほどいろいろ私の方でも調査いたしました上で御質問したいと思います。以上で私の質問を終ります。
○植原委員長 森島守人君。
○森島委員 この会社の法案が非常な重要な法案であるということについては異論がございません。私は福田委員、北沢委員の質問によりまして、渡航費の問題その他については、大体政府の態度もわかったので、繰り返して御質問はしないつもりでございます。なお園田政務次官その他の政府委員におきましては、各省間のなわ張り争いとは申しませんが、意見の相違しておる点をはっきりお話になっていただきました。そういうふうな、今なお、政府当局の間に意見が一致していると見られるし一致しないとも見られるような法案を、国会の期間が切れる一週間か十日前に出して、幸いに一カ月延びましたから審議の期間が十分にあるかもしれませんが、一週間やそこらでこの重要法案を通すだけの御確信があったのかどうか。不完全なものを国会に示してお前通せというのは私は無理だと思う。その点政府は過早にお出しになった点について、何らか取り急がれる特別の理由があるのかないのか、この点を私はまず第一にお伺いしたいと思います。
○園田政府委員 おしかりを受けました通りでございまして、率直に申しまして関係各省との意見の調整がありましたが、渡航費の問題の損失補償については、細部についてまだ意見が整っていない点もございます。これは過早に出したわけではございませずに、提案が非常におくれたわけでございます。と申しますのは、この会社法案は今度の議会ばかりでなく、むしろ前内閣のときからいろいろ論議されておりましたが、御承知のごとく農林省、労働省、外務省、特に外務省と大蔵省との意見に非常な相違がございまして、その相違を調整するのに非常に時間をとったわけでございます。しかるに前内閣を担当しておられた側からも、三銀行の借款の受け入れ期間がおくれると、この借款がだめになるというおそれがあるというような好意的な御忠告もしばしばいただきました。またそればかりではなく、新聞紙上で発表になり、昨日は社会党の稻村委員より御指摘を受けました通りに、中南米あるいは松原機関等は新聞に報ぜられるようないろいろな問題や失敗がございますが、この原因は一に先ほど申し上げました通りに、移民はやってはおったが、この移民に対する国家の何らの補助もできなかった。特に移民されたあとこれに対する援助や補償の点がなかったことが、いろいろな事件が起ったり失敗をされた最大の原因であると考えております。幸い今般の議会におきまして外務省設置法の一部改正法律案が承認をいただきまして、新たに移住局をここに設置いたしました。外務省自体といたしましても、今まで移民といえば、どちらかというと外交の付随物であるかのごとき感じがあった点もございますので、これを機会に戦後の移民外交の大転換期と考え、年度計画で大量の移民を送ることが、日本の現下の状態では最も大事なことであると考えていろいろやっておりますが、それにいたしましても、向うに移民されたあとのお世話をする方法を考えなければ、いろいろ問題が出てきて、大事な移民ということが中途で挫折するおそれがある。こういう関係で、関係各省あるいは議員各位、各党の方々にも実は内々御相談申し上げてこの調停をお願い申し上げ、辛うじてこのような調停案ができましたので、とりあえずこれを実施すべくやったわけでございまして、提案が早過ぎたのではなくて、もっと早く政府部内で意見をまとめてお願いすべきものが、まとまらなかったためにおくれたという点は、おしかりの通りでございますから、おくれて出しましたが、そういう意味におきまして、出しました以上は十分注意をいたしまして、誠心誠意をもって御提案を申し上げ、早く御審議をお願いしたいと考えるのであります。
○森島委員 まことに御懇切な御説明でございましたが、私らとしては意に満たぬものがある。前内閣からのお引き継ぎということもあるでしょうが、自由党の方でどういう御意見をお出しになろうが、内閣がお出しになる以上は、自信をもってお出しになるのが適当だ、こう信じております。稲村君から御指摘があった移民に対する国家的の措置が不十分であったために、いろいろしくじりもあったというお話です。これも直そうという御誠意は私どもごもっともと思いますが、移民の問題について従来の失敗を繰り返さぬためには、今お出しになっておるこの会社法案を完全なものにして、各省の意見の隔離もなく、各省が一致してこれを育てていくというだけの熱意がなければ、一片の会社を作ったって移民政策の完全を期することは不可能だ、こう断言しても決してあやまちでないと私は確信いたしております。従いまして和田委員から要求しました資料、この資料につきましても、矢口政府委員の説明ですと、努めてお出ししましょうということであって、果して成案を得ているのかいないのか、私非常な疑問を持っておる。従いましてそれらの資料をすっかり整えてもらいたい。それから政府部内で意見が一致しておりませんように承わっております問題、特に今法制局と協議中だという政令で定める九条の第二項、これらについてももっと政府部内ではっきりした意見をおきめになった上で審議を願われる方が妥当ではないかと私は信じております。 それから会社が健全な採算の基礎に立たなければ、社債の募集とか株式の募集等に支障のくることは当然であろうと思うので、私は北沢委員のおっしゃったことに全然同感でございます。従って私はこの際政府に会社設立の諸条件に関する資料の御提出を求め、それから一致しない点につきましては、政府部内の意見をもう一応御調整願って、また政令できめる諸条件等につきましてもはっきりした御意見を御提示願って、その上で審議を進めるのが妥当ではないかと私は信じております。その点について御所見を求めたい。
○園田政府委員 お説の通りにいたします。
○森島委員 私はそれらの資料ができました上で、細部の問題について、あるいは大臣にも質問いたしますが、きょうは質問を留保いたしまして、これで今日の質問は打ち切ります。
○植原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十九分散会