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22回国会衆議院1955/06/13

外務委員会 第18号

発言数
98
登壇者
12
会派数
4
開催日
1955/06/13

会議録

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 これより会議を開きます。  まず、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。前会において右法案の質疑は一応終了いたしましたのですが、森島委員 の質問に対する外務大臣の答弁が残っております。この際外務大臣の答弁を求めます。重光外務大臣。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 御質問は、ラオス及びカンボジァ公使館は、去る二月政令をもって大使館に昇格した由であるが、法律によって昇格をせず、政令をもって昇格した理由いかん、二、三カ月待てば国会が開会せられるのに、なぜ待てなかったのか、緊急に必要があったとのことであるが、その緊急性を説明ありたい、こういうことでございましたが、間違いございませんか。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 私の質問の趣旨はその点でないのでございまして、政令をもって制定せられた館が、この説明書によりますと五つ六つくらいあります。そのうちの四つは確かに鳩山内閣成立後において、ただ一つイスラエルだけが吉田内閣時代のことになっております。私の質問しようというのは、至急大使館に昇格せしめる必要がないにもかかわらず、政令をもって大使館に昇格するのはどういう理由であるか。もし今後もこういうようなことを放置いたしますれば、行政府限りで自由に公使館を大使館に昇格する。これは私は政令をもってやれるといたしましても、もう二、三カ月待てば国会も開かれるのですから、国会の審議を経て、法律をもって昇格せしめるのが妥当である、こう思うのでございまして、今後も政府としては、政府限りの一方的措置、すなわち政令をもって昇格をせられるかどうかという点を御質問したのでございます。この点につきましては、政務次官から一応、外務省のやり方が悪かった、間違っておったか知りませんが、やり方が悪かったという釈明がございましたが、今後のこともございますので、念のために外務大臣から明確なる御答弁を願いたい、こういう趣旨なのでございます。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は政務次官の御答弁を少しも変えようとは思いません。その通りでございます。しかしなぜ政令をもって急にやったかということについて、一言私にも言わしていただきたい。われわれはアジア外交ということを非常に大きく取り扱っておることは御承知の通りでありまして、それについては、おそらく本委員 会の皆さん方の御了承また御賛同を得ておると実は思って、さように行動をいたしておるわけでございます。  そこで今の問題はカンボジァの問題でございますが、カンボジァはかねてからアジアの国として、また日本に対して非常に傾到しているという関係から、外交使節の問題をも非常に重く取り扱ってもらいたいという切なる希望がございました。そしてカンボジァは御承知の通り日本に対する賠償請求権をも放棄して、わが国との経済協力を積極的に申し出ているような関係で、その親日感はもとよりのこと、また実際上アジア外交促進のために目標となる一つの国であることに疑いを持ちません。さようなことでありますから、一日も早く国交を先方の希望するように樹立をして、そして経済、政治上の方面にわたって日本側の利益のために少しでも早く設備をいたしたい、こういうわけでやったのでございます。しかしこれは御質問の要点ではないことがはっきりしました。その点については御了承を得たものと思います。  かようなことでございますが、在外公館の昇格、これはあまり昇格では実はないので、戦後の在外公館の資格といたしましては、大使館も公使館もほとんど差がないように取り扱っていることは、これまた御承知の通りであります。さようなわけでございますから、大使館といって相手方が非常にこれを喜んで、日本のさような考え方を向うの方で歓迎するというならば、これは当然やるべきことだ、私はこう考えてやったわけでございますが、しかしさようなことでもこれは法律でやることが当然なことであります。しかしながら政令でやるという道は開かれている。国会の開会中でなかった関係上、その開かれている道を利用したわけでございますが、しかし将来緊急でない場合にはむろんこれは法律でやって、とくと議会の御承認を得た後にわれわれは行動に移したい、こういう気持は十分持っております。またそうでなければならぬと思います。そこでその意味において政務次官の説明を私は確認するのに少しも異存はありませんから、これでお答えといたします。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 今カンボジァだけについてお話のようでございましたが、ヴェトナムと、カンボジァと、セイロンと、イラン、この四つが大臣の時代に昇格しているのでございます。政務次官にお聞きしましたときも、至急昇格せしめる必要があるか、いなかの点につきましては、私は彼我の間に合意が成立しておったという事実以外に、至急これを昇格する必要はないのじゃないか、それだけが唯一の理由かということを聞きましたら、その通りと政務次官も肯定された。大橋君もその点については相当異論を持った。委員のうちでも必ずしも全部が大使館昇格を是認しておるとも私には考えられない。そのために資料を大橋君が要求しました。出て来ました資料はきわめてずさんなもので、ここにありますが、第一がヴェトナム、ラオスとずっとありますが、ヴェトナムもラオスも今大臣のおっしゃった政治的理由は別といたしまして、経済的理由に至っては何ら明記してない。むしろこの資料からいたしますれば、大使館に昇格する必要なしという否定的な決定をいたしても差しつかえないようなずさんきわまるものであると私は思っております。もう一つは二月分二十一日に昇格を決定しております。そういたしますと、選挙最中でございますから、大臣も非常にお忙しいときであります。おそらく事務当局限りでやったものを、やむを得ずあとで御承認になったという点もあるのじゃないかと私は思いますが、そういう点はこの際問題にいたしません。ただ大臣から今後でき得る限り法律によってやる、外務省限りで行うことをやめるという御意思を明確に表明せられましたから、その点で私は満足いたす次第でございます。  ただ一点お伺いしたいのは、政令でもって道を開いておく必要があるという点について、園田政務次官はソ連との交渉の問題に触れられまして、将来日ソ間の交渉が妥結に至って、大使館を設置する必要がある場合を予想されております。私は日ソ間の問題はそんな手軽に扱わるべき問題ではないのであって、日ソ間においてこそ交渉が妥結に至りました上は、法律をもって大使館を置くというような御措置をおとりになることが適当だと思うのでありまして、この点についても大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 ソ連との間に外交関係を開くために今一生懸命に交渉をいたしておるわけでございます。しかし御承知の通りに、この交渉がいつ、どういう結果になるかということは今予想はできない——というよりも予想しない方がいいと私は思う。ただ目的のために全力を尽すということにいたしたいと思っておることは御承知の通りでございますが、しかし予期の通りにさような時期が来るかもしれない。来ます場合においては、これは正常の条規の方法によって国内的の処置をすることは当然のことでございますから、そう考えておることを御答弁申し上げます。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 なおこの際委員長から政府に申し上げておきたいと思います。この前もちょっと御注意申しましたが、ただいまの森島守人君の質問は、カンボジアその他に、行政上の手続で政府が大使館にこれを昇格せしめたということは、どうも正当な緊急を要する理由はないようだが、これも仕方がないだろう、将来そういうことを再びしないように、国会の手続を経てやれ、こういうことですから、政府は将来さようにいたしますと、これだけの御答弁で事が済みますのに、あまりに懇切丁寧であるがために、それから質問を起すようなことがあって、時間を消費いたしますから、なるべく政府の御答弁は、質問者の質問に対して単刀直入に、そのことだけに限って御答弁願うならば、よほど時間の節約ができると思いますから、何分そういうふうにお願いいたします。  そこで、この問題は採決に付さるべきでありますが、これに対して、さきに大橋忠一君から附帯決議をしたいというような希望もありますので、この採決は次に譲ることといたします。     —————————————

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 次に農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。政府より提案理由の説明を求めます。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 議事進行について。提案理由の説明だけはいいと思いますが、そのあと、一般情勢がたまっているのですから、その質問を先にやってもらいたいと思います。もうすでにそう言われましたから、これらの説明だけはいいと思います。  それから委員長に一つ私も意見がある。先ほどから政府の答弁が長過ぎるというようなことをおっしゃいますが、これは委員長が聞かれて長過ぎると思われても、われわれにとっては、場合によっては、懇切丁寧で非常にいい答弁であると思う場合もある。この前も政務次官に対して、委員長は長過ぎるというような警告めいたことを言われた。あの場合も非常にいい答弁だった。われわれはそう思っている。無断で勝手に警告を発することは困る。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 お答えいたします。委員長は制限ある時間内に、なるべくどの方にも御満足を与えるような取扱いができるようになることが一番いいのでありますから、どうか政府ばかりでなく、質問の方々もあまり意見を述べられないので、単刀直入に質問されるようお願いいたします。

稻村隆一日本社会党(左)

○稻村委員 議事進行。余剰農産物の説明はしてもらった方がいいと思いますが、そのあとで一般国際情勢の質問をやってもらいたい。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 ただいま松本君からそういう議事進行のお話がありました。どうか重複をお避け下さるようにお願いいたします。——園田政務次官。

園田直日本民主党外務政務次官

○園田政府委員 ただいま議題となりました農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  昨年七月米国議会において成立した一九五四年の農産物貿易の促進及び援助に関する法律により、昨年三月に日米間で署名した農産物の購入に関する協定に基いて行なったと同様の米国の余剰農産物の円による購入を行うことができるほか、その贈与をも受けることができることとなりましたので、政府といたしましても、わが国の食糧等の需給計画上、同国の余剰農産物を購入することが適当であること、わが国における給食その他による児童の福祉計画を拡大するため余剰農産物の贈与を受けることが望ましいこと、及び購入の結果生ずる資金の利用により、わが国の経済に少からざる利益をもたらされるべきことを考慮して、そのための協定の締結につき、昨年秋以来ワシントンで具体的交渉を行なって参りましたところ、本年五月両国政府間で意見の一致を見るに至りました。よって、五月三十一日、外務大臣と在京米国大使との間においてこの協定の署名を了した次第であります。  この協定により、わが国は、八千五百万ドルまでの米国の余剰農産物を円をもって購入するほか、現物贈与の形で千五百万ドルまでの余剰農産物の贈与を受け、さらに八千五百万ドルの購入によって積み立てられる資金のうちドルに交換された七割を、電源開発、農業開発及び生産性向上のための借款として受け入れることになります。また、積立資金の残余の三割は、わが国における駐留米軍の軍人軍属用宿舎、域外調達、教育交換計画等に対する経費として米国が日本国内で使用することになっております。このようにして、この協定の実施がわが国にもたらす利益は、本来外貨による輸入を必要とすべき農産物を円で購入することができ、また贈与を受ける農産物によって現在の児童福祉計画を一段と拡大することができるほか、さらに農産物の購入代金の七〇%すなわち六千万ドル近くに上る額を借款として利用することによって、わが国の経済の発展を促進することができるなど、各方面にわたり多大のものがあるものと期待されます。  よって、ここにこの協定の締結について、御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことをお願いいたします。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。     —————————————

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 本件について質疑の通告がありますが、先刻来議事進行で、外務大臣が出ておられ、国際情勢等に関する件について質疑の継続があるから、それを許してくれとのことでありますから、これから国際情勢等に関する件について政府当局に質疑を行うことにいたします。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 私は外務大臣に日ソ交渉の問題と濃縮ウランの問題を二、三点ずつ伺いたいと思います。  日ソ交渉が始まりまして、国民は今非常に期待を持って見ておるわけでございますが、先ごろの新聞によりますと、七日の会談を終えまして、二回目の会談が、本国への問い合せのために、松本全権からの依頼によって、延期されたというふうなことが出ておりまして、何かそこに非常にシリアスなことがあったようにもうかがわれたのでございますが、この点についての真相を、もしお差しつかえなかったならば伺いたいと存じます。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 七日の交渉の状況は、私から国会に対しても報告をいたしておきました。この委員会ではなく、よその委員会でございますが、私としてはすでに報告したような頭になってしまっておりましたので……。  七日の交渉で今申されたような点、つまり松本全権の依頼によって会議が延期されたというのは間違いでございます。これは他の委員会で御説明した通りに、元来この交渉の両国全権の間にかたい申し合せがございます。共同して発表するもの以外は発表しないというかたい申し合せがございますので、これを御了承願いたいのであります。しかし私が国会に対して御説明をいたすことは、この申し合せの趣旨には違反していないというつもりで私の責任において申し上げるわけでございます。  七日の交渉において日本の全権は日本の置かれておる立場、及び日本側の主張の全般にわたって陳述をいたしたわけでございます。その陳述についてごく根本の問題にわたる点で一、二の質問はございましたけれども、先方といたしましてはこれを十分に検討して、そしてソ連側の意向を陳述いたしたい。こういうことになって、それがために時間を要するから必要な時間をとるために一日、二日延ばそうじゃないかということで延ばしたのであって、何もわが方全権の要求によって延ばしたわけでも何でもないのでございます。さような状況で、まずこれは順当な話であります。一方が意見を述べ、一方がこれに対して陳述をするということは当然な、順当なことでございますし、またかどばった空気は少しもなかったという報告を受けております。そこで次回においてはソ連側の意向の陳述があることと思います。さような状況であります。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 それではそれはソ連側の要求で延ばしたものと伺っておきます。  もう一点、新聞に出ておりましたことで、この領土問題で樺太は含まないというふうなことが出ておりましたが、それに対して外務省側からの取り消しの記事が出ておりました。ただ私ども非常に心配になりますのは、どの新聞にも出ていたことでございまして、火のないところに煙はたたないと言いますが、何かそういうような懸念を抱かれるようなことがあったのではないかと思うのですが、そのいきさつについて承わりたいと存じます。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は大体ここで御了承を得ておると思いますが、日ソ交渉のような問題は、これは何と申しますか、ほんとうに国民的にやるべき問題だ、こう思っております。そういう気がまえで行くべきだと思っております。そこで発表し得ることは全部発表いたす考えをもって進んでおります。ただ向うとこちらの全権でこれ以上は発表しないということは、これはその通りに忠実に守らなければならぬと思っております。しかし日本側の立場及び主張を日本の全権が十分陳述した、これだけ私が申し上げれば、日本の立場及び主張がどういうものであるかということは、これはもうぽんとあなた方の頭にはすぐくると思います。それは私は全部さらけ出して国会に報告もしておるし、考え方も申し上げておるので、どういう主張をしたかということは、これはあなた方には誤解はないはずでございます。しかし新聞社はやはり新聞社独自の働きによってまたいろいろなことを書く。これは外務省も政府も何にも関係はない、また関係することのできない部分でございます。そのうちのある新聞に、今お話の通りに、樺太の要求は領土問題からはずしたということがるるしかも明確に書いてありました。これは私は事実に反することは反することとして、態度をはっきりさしておくことが必要である。そういうことは事実に反するということだけを、外務省から公式に説明をしたわけであります。しかしそのことは事実に反するということだけでございます。  そこでそれではどういうことをしたのかということになりますと、従来の説明に返るわけであります。その説明は私は国会において領土問題はこれこれ、漁業問題もこういう考えだというようなことも御説明をいたしておることに返ってくるわけであります。従いまして事実に反するということは、それを除外しないということを申しておるわけでございます。そこで火のないところに煙が立たないとおっしゃいますけれども、新聞社の方もほんとうに協力してくれております。そうして熱心に交渉のいきさつを見守ってよく世論をリードするように努めてもらっておる、この協力関係を私は非常に認めます。しかしいやしくも事実に反することがあるならば、事実に反するということだけは、はっきりと出しておいた方がいいと思ってそういう取扱いをしました。それじゃ領土問題をどうするかということは、従来のわが方の方針にすべて返るわけでありますから、それで御了承を願いたいと思います。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 重光外相が今回の日ソ交渉に当りましては、日米間の友好関係を促進させながら、交渉をしていくということを国会でたびたびおっしゃいました。この日ソの交渉が進められていく間に、その友好関係をどういうふうにして具体的に進めていくのか。ただ心配いたしますのは、交渉の最中にも一々アメリカ側にその了解を得るというようなことがありはしないか、またそういうことによって何らか交渉に支障を来たすようなことがありはしないか、こういうふうなことも懸念されておりますが、この点どういうふうな形で親交関係を結びつつやっていかれるか、具体的に承わっておきたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 今の御質問の点は日ソ交渉を中心とした根本問題でございます。私は日ソ交渉によって米国との親密なる協力関係を一そう進めていくというふうな言葉で御説明をしたことはないように思う。しかしながら日ソ交渉によって米国関係を悪くするというようなことは、日本の国の今日までとっておる立場からいい、また日本の利害関係からいってよくないことなのであります。そういうことのないようにあくまで努力をする、こういうことは繰り返し申し上げました。そこで日本とアメリカとの関係を、将来どうしろとかいうようなことについては御議論の差があるかもしれないけれども、日本が今置かれておる立場、条約関係等をすべて考慮に入れて、日米関係というものを利害関係の上から特に考えてみて、これは基本であるということは、これまた私は繰り返し申し上げておるわけであります。そうであるといたしますならば、米国との関係において常に意思疎通をはかっておくことは、これまた当然の帰結であろう、こう考えるのであります。しかしそれだからといって、アメリカの指図を得て日本が何もかもやらなければならぬという条約関係もなければ何もない。日本は独立自主の国として外交を運用し得ることと私は確信しておるのであります。従いまして誤解を防ぐことはあくまでしなければいかぬけれども、日本の重要な外交政策に対して、アメリカの指令を受けるということはこれまたあってはならぬ。それからまたアメリカとしてもさようなことを欲しておらぬことは確言し得るのであります。アメリカも日ソ交渉の問題について異存めいたようなことは、一度も申してきておるわけではないのでございます。しかしながら日ソ交渉については、あれほど日本の国内において議会を中心として議論があり、またこれは今申す通りみんなの納得のもとに進めていくということがいいことであります。さような事態においてアメリカとの関係においても、これはもう余すところなく包み隠しはないのでございますから、それらについて十分の情報も向うに供給して少しも差しつかえないことで、要は誤解があっては基本関係に非常に傷がつきます。誤解のないようにしていくことが特に必要だ、こう考えておるのでありまして、それは十分に東京及びワシントンにおいても、私どもの議会における説明等について誤解のないように手段をとっております。こういうことを申し上げてお答えといたします。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 先ごろ西大使がイギリスに行かれまして、もう着かれと思いますが、何か新しい訓令を持って行かれたのですか。その点承わりたい。  もう一つ、ついでですから承わりたいのですが、日ソ交渉の過程におきまして、ソ連は本国との打ち合せにはおそらく無電を使っておると思いますが、日本の場合には、暗号にいたしましても、電報——無線じゃないと思いますが、そういう場合、あるいはそれが漏れるとか、そういう形で新聞の誤報——誤報というかどうかわかりませんが、そういうことが起きるのじゃないか、この点も心配するのですが、この二点を承わりたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 西大使は駐英大使の後任としてやったのでございます。日ソ交渉の全権ではございません。しかしロンドンで交渉が開かれておるのでありますから、これはいろいろなことについて相談を受けるかもしれません。それはそれでよかろうと思います。しかし任務は駐英大使としての重要な任務を遂行するために派遣したわけでございまして、日ソ交渉に関係はないのでありますから、訓令などは何もございません。  また暗号については、これは日ソ交渉だけじゃございません。全般的に注意をしなければならぬのでございます。過去において御承知の通り日本の暗号が解読されておったというはっきりした例がございますが、今はそういうことはないと自信を持って仕事をしておるわけでございます。しかしこれらのことは非常に注意をしなければいかぬ、それに対しては実は非常に費用と人手がかかるのでございます。さような点については、これは選挙運動には実はならぬので、外務省としては費用を取りにくいのでございますが、(笑声)一つ本委員会の皆さん方の御同情、御了解を得て、そういう点について十分御援助を願いたい、こう考えておるのであります。しかしお話の通りに、それらの点については細心の注意をしなければなりませんことはもちろんのことでございます。そうやっておることを申し上げましてお答えといたします。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 この交渉が長引くであろうことは大体想像いたしておりますけれども、松本全権は大体どのくらいの予定で行かれたか、ある人は三カ月くらいということも言っておりますが、大体どのくらいの予定で行かれたのですか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それは予算の関係がありまして、予算は二カ月取って行っておるそうでございます。しかしそれが交渉にどうというわけじゃ少しもございません。目的を達してなるべく早く結末をつけたいということは、これは当然のことでございます。しかし二カ月で切りがつかなければまた予算の方も処置しなければならぬ、とこう考えております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 次に濃縮ウランのことで一、二点伺いたいのです。大体濃縮ウランを受け入れるというふうにきまって、十五日から二十日くらいまでの間に仮調印をするというようなことが新聞に報道されておりますが、これが事実であるかどうかということと、それから時間を節約いたしまして、もう一つ伺いたいのは、大へん問題になりました発電協力の、つまり九条の問題ですが、あれを了解事項として入れられるか、あるいはこれを全然取られるか、この点について承わりたいと存じます。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 濃縮ウランの交渉は非常に順調に進んでおります。そして日本の国会における質問応答でいろいろ出ました御意見等も十分参酌いたしまして進めておるのであります。そこで第九条——トルコとの関係の第九条でございます。九条の問題については、私どもが冷静に考えてみて、これは全部取ってしまうのが果して日本の利益になるのかどうかということも、ちょっと判断に迷うわけでございますが、しかしこの第九条は将来の電源の問題に関係しておるのでありまして、当面の問題となっておる濃縮ウランのことには関係がないと思いますのと、それでこれは協定文面から取った方がよかろうという考えをもって、アメリカ側も、それはそれならそうしようじゃないかということでございます。しかし将来、これに関係していろいろな技術上の援助を日本が求めたい場合においては、アメリカ側も援助を惜しまないというふうなことを、交渉の議事録のどこかにでも入れておいたら、それでいいじゃないかとこう思っておる次第でございます。その他、当面規定しなければならない問題は、文面等についても大体先方と意見の合致を見つつある状況でございます。そこで、これはまあそうなればもうこれでいいじゃないかといって、交渉者の間において、これで大体いいじゃないかというくらいなことは済ませ得ると思うのです。しかしそれは正式のことではございませんので、正式の調印は日本の国会のいろいろ表示された御意向にもかんがみて、これは相当時日を要しても差しつかえないのじゃないか、調印は後にいたしたい、ただ一応意見がまとまればまとまったということで、一つ時期を待とうというような考え方を今やっておるのでございます。そこで、今まとめなければならぬことについては、今申し上げる通りに、彼我の意見は大体一致しつつあることを御報告をいたします。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 大体順調に進んでいるけれども、いずれ正式調印は国会の承認を得なければならない、こういうことはわかりました。それでは、大体意見がまとまったというような意思表示を近いうちに、すなわち、新聞にも出ておりましたような十五日から二十日くらいまでの間になさるおつもりであるかどうか、この点をはっきり伺いたいと思います。  それからもう一つ。将来何らかの協力を仰いだ方がよい場合もあり得るので、そういう意思を議事録かどこかに残しておくとおっしゃいますけれども、将来のことはそのときが来たときにあらためて交渉すればよいのであって、何もこの点を今その協定自体に入れておく必要はないと思うのです。結局了解事項なり議事録というものは、何ら拘束力がないとかいろいろ参議院の方でも議論せられたようでございますし、この委員会でも先ごろ条約局長が、了解事項というのは協定文からはずせば大して拘束力はないということをおっしゃいましたけれども、私どもはその点どうしても了承しないのであります。重ねて申し上げますが、将来の問題であるならばそのときが来たときにあらためて交渉すればよいと思いますが、この点の大臣のお考えを承わりたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 第一の、意見がまとまったらばまとまったしるしをしようか、それはそうするつもりであります。それは一応そうしておかないと先の仕事ができませんから、それはそうするつもりであります。それから、将来のことはお話の通りでございます。その御意見は十分承わっておきます。しかしこれらの問題については、内容においてどうする——いろいろ御意見を伺うということは、それはむろんそうでございますが、やっぱり将来のことについても、全部否定的にする必要もないと私は思っております。これは国の利益のおもむくところをよく判断をして、将来を拘束されないということは当然のことであります。それはそういう御趣旨において処理したい、こう思っております。しかし将来のことだから全部これを何もかも閉ざしてしまうということも、これはいかがかと考えるのであります。それは御意見のあることを十分頭に置いて処理したい、こう思っております。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 何もかも放棄するというのではなくして、九条が問題になっているのですから、この九条を協定から取り除いて議事録やそれからまた了解事項といいますか、そういうことに書きとめないで全然抜いてしまうというようなことをするお考えがあるかどうか、この点単刀直入に伺いたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 その点については今お答えをいたした通りでございますから、それを繰り返さないで一つ……。

戸叶里子日本社会党(右)

○戸叶委員 了解事項ということを大へん軽く考えておられるようですけれども、私ここで思い出しますのは、阿波丸事件の請求権を放棄したときの了解事項です。あの当時に、私どもはそれほど拘束力がないと思いましたけれども、前の自由党内閣のときに、条約あるいは協定と同じだけの非常な拘束力があるということを発見いたしました。そういうふうな前例があるのに、今回またこういうふうな問題を、問題が起きたときに了解事項として残しておくことは、将来非常に大きな問題になりはしないか、この点を憂うるものですから、せっかくアメリカとの間の話ができて、そしてこれを協定から除いてもいいと言われるのですから、わざわざ日本の方から何か疑わしいようなことを入れる必要はないと思うのです。そこで私どもは何度も何度もこの点を重光外務大臣にお尋ねすると同時に、そういうものを取り除いていただきたいと要望するわけでございます。  そうしてもう一点は、先ほど一応意思がまとまったということを表わしておいて、あと細目にわたっては、国会で十分審議した上でするとおっしゃいますが、そうすることになりますと、結局、学者グループなどの言われておりますところの、八月のジュネーヴでの会議のあとにしてもいいではないかというような点を無視したことになると思いますけれども、この点についてどうお考えになるか、もう一度伺いまして私の質問を打ち切りたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 今御質問の点についても、私が先ほどお答えしたことで尽きておると思います。またそれを繰り返すわけでございますが、学者グループの意見というようなことも十分しんしゃくをしましてやるつもりでございます。そこで、それじゃゼネヴァ会議の後にするということを今約束ができるかというと、それは私は少し無理だと思います。無理でございますけれども、十分しんしゃくをしまして、あるいはそうなるだろうと思っておるわけでございます。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 菊池義郎君。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 日ソ交渉の方式についてお伺いしたいと思いますが、松本全権は、日本政府からの訓令を待って交渉をやるのでありますか。また、全権の方から請訓が来て、それに対して政府が訓令を与えるという方式ですか。どういう方式でございますか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 松本全権は、政府の訓令を待って、訓令の範囲内において交渉するということでございます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 それから五原則のほかに、日本を中ソ両国の共同の敵なりと明記しておりますところの中ソ友好同盟条約の改正についても、日本は持ち出すべきであると思うのでありますが、これについてどうお考えになりますか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それらの一般問題に対する政府の方針及び態度は、はっきりと私が議会報告において説明をしておる通りでございます。今の五原則というのは、何の五原則か私にはよくわかりませんが、われわれはどういう五原則にもとらわれることなく、またそれを参考にもいたしまして、日本の進むべき道を、立場を十分に説明するつもりでございます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 講和成立後に、向うの方からもし日ソの不可侵条約を締結しようという申し入れがありましたときには、それを受け入れますか、いかがですか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それはそのときに考えなければならぬと思いますが、今交渉の問題に触れることは避けたいと思います。ただ、さような問題が今爼上に上っておるわけではないということを申し上げます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 ソ連が一度手に入れた地域を手放したという外交上の歴史が見られないのでありまして、おそらく千島や樺太は彼らは返してくれないじゃないかという心配があるのでございますが、そういう場合においては、日本はむしろ権益に重きを置いて強硬にがんばるべきであると思うのであります。もっともこれは外交上の機密であるかもしれませんが、お気持を伺っておきたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 御意見は伺っておくことにいたします。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 それから、新聞の伝えるところによりますと、このたびアメリカから、日米相互防衛計画の一環といたしまして、相互兵器発展計画、これを日本に適用したい旨の申し入れをしておるということでありますが、これは直ちに受け入れるべきであるとわれわれは考えるのでありますけれども、政府はどういうお考えですか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 その問題は、まだ十分に検討する域に達しておりませんので、今ここで申し上げられないのであります。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 日本がいよいよガットに加入できるようでありますが、加入するといたしましても、英国のごときは、日本が加入しても税率の適用を排除すると声明しておりますし、また、オーストラリア、南ア連邦、その他ニュージーランドなどもこれに同調するような見通しが濃厚でありますが、これに対して何かいい打つ手がないものですか。外務省は、お考えがございましたら、漏らしていただきたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 ガット加入の問題について、英本国及びコモンウェルスの各国が無条件に受け入れてくれないことは実に残念でございます。日英関係の伝統的関係から見ても、私は、これは残念なことだと思います。しかし、イギリスにはまたイギリスの国内事情もございますし、これはいかんともすることができません。しかし、イギリスとして、日本の通商に差別的待遇を特にしようという考えがあってやるわけではございません。主として国内的の故障から来るもののようでございます。そこで、ガットがさようなことになりましても、イギリスが、それじゃ日本の商品についてすぐ差別的待遇をしようという方策をとっておるということでは全然ないようでございます。差別的待遇はする意思はないようでございます。ただ、最後の場合に、イギリスとしては、日本の商品の不正競争とかなんとかいうような場合には、それに対する対抗措置としてある種の権利を保留しておきたい、こういうことのようでございます。しかしこれは、日本側の通商のやり方等について、漸次に十分理解を得るように努力していけば、かようなことの障害も取り除けられると私は思っております。そこで、この問題について実質上の心配はそうはない。しかし、日本の貿易品に対して、いろいろ外国の苦情もたくさんあることは御承知の通りであります。さような苦情が、根拠がある場合もあるかもしれないが、ない場合が多いのではないかと思う。さような場合において、誤解は解き、また実際改むべきは改めて、通商上の支障のないように今後大いに努力していけば自然に解消する問題じゃないか、実はそういう工合に考えておる次第でございます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 十一日に、米国の外交委員長のジョージ氏が、日本の中共貿易を緩和せよという議論をしておりますが、この議論が米国に与えた反響はどんなものであるか、外務省に伝わった情報をちょっとお漏らし願いたいと思います。

西川昭外務事務官(経済局次長)

○西川説明員 ジョージ委員長は、前にも非公式に一度このような趣旨を言明されたことがありますが、昨日のニュースにありますような言明につきまして、特にはっきりしたリアクションはまだ何ら見受けられないように思われます。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 菊池君に申し上げますが、外務大臣の御出席は非常に各方面にわたらなければならないので、時間が限られておりますから、政府委員に対する質問は後刻にして、なるべく大臣に限定して御質問願いたいと思います。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 大臣にお伺いいたします。フィリピンの賠償は向うの方では大分論議がありまして、いろいろなものを合せて八億ドルというように日本の内閣総理大臣の内諾を得たかのように向うではだいぶ会議を開いているらしいのですが、外務大臣の意見としては、四億ドルと八億ドルとの中間をとって六億くらいにというふうな意見も伝えられておる。どっちがほんとうであるか、こんとんとしてさっぱりわからないのですが、ほんとうのところを伝えてもらいたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 フィリピンの賠償問題は、前回この席で御説明した、まだあのような状況であるのでございます。交渉の見通しとしては、決して暗い見通しではないのでありますが、まだ交渉の妥結には至らぬわけでございます。そこでフィリピンの方は十億といって非常にがんばっておる。それを八億に下げて、そして日本との妥協をしたいというふうに言ってきたことは事実でございます。それからまた日本側としては四億というような数字をもって出発したことも事実でございます。しかしこれはいわば周知のことでございますが、そこでこの前はあなたから三億でも多過ぎる、こういうようなお話もございました。しかしなかなか交渉はこちらの思う通りには参りません。しかし双方の政府において何とかこれを一つまとめて、そして将来、東亜の平和と申しますか、また経済の交流と申しますか、通商貿易の増進の方面に大いに飛躍的に進んでいきたい、こういう考え方は双方とも一致しておるのでございます。問題は額の問題であります。でありますから、もしこれが双方の四億と八億との間においてぽんと中で打ち割ってできるような空気になれば、私はそれでもこれは試みてしかるべきものだ、こういうふうに実は即座に感じて申し上げたにとどまっております。額にいたしましても、これは内容に関係があるのであります。支払うのには、その総額はむろんのことでありますが、その支払うものの性質を考えてみたり、また年限を考えてみたり、いろいろなことをする必要がございますので、いろいろな知識を集めて双方とも今研究をいたしておる状態でございます。何とか適当なところでこれをおさめたいという双方の合致した熱意によって、私はこれは解決ができるのではないか、またそうしなければならぬのじゃないか、こう思っておるのであります。どうか御了承を願います。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 わかりました。ただ私は、フィリピンの例があとを引いて、賠償要求国はまだほかにもありますので、そういう例を残されると困る、そればかり考えておるわけでございます。  さらに米軍基地の問題でありますが、米軍基地に対して普通の爆弾を持ち込むのは容認するとして、原爆は持ち込んでは困るというのが政府の意見でございます。私はこの間も防衛庁長官に尋ねましたけれども、はっきりした返事がありませんが、こちらの方で原爆を置かないにしても、いざ事あるときにおいて、普通の爆弾に対して向うが原爆をもって襲い来たるという場合には、戦争も何もできない、これは重大なことになる。むしろ日本としては原爆を基地に持ち込むことも容認して、これを天下に公表して、日本には原爆があるといえば、これは一つのおどしになると思う。戦争予防のためにもその方がいいと考えておりますが、外務大臣はどうお考えでありますか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 御意見は伺うことにいたします。しかし私の考え方をちょっと申し上げますと、私は、さような戦争が始まって、日本がどんどん原爆をやられるというような場合に、これに対して日本は反撃しなければならぬということは、議論としてはそれはその通りだと思います。しかし今はそういうふうな状態になっておらないのでありますから、原爆のような問題について、日本がいやしくも疑義を世界に対して与えるような処置は、私はいかぬと思います。そこで日本において、アメリカ側にも確かめた上で、原爆は持っておらぬのだ、また原爆をもって積極的に日本を基地とするというような意向のないことをはっきりさしておくことが、平和に貢献するゆえんだと、私はそう考えておるのであります。私の考え方をちょっと申し上げます。

菊池義郎日本民主党

○菊池委員 それからアイゼンハワーが十二日にペンシルヴァニア大学でやった演説は、今まで伝えられた米国とトルコとのウラニウムに関する協定とは全然違っておって、原子炉の費用の半分を負担するということを言っておりますが、これについてどういう御意見を持っておられますか。

河崎一郎外務事務官(国際協力局長)

○河崎政府委員 今のアイゼンハワーの演説は、新聞などで見るだけで、外務省の方にはまだ詳報は参っておりません。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 森島君、あなたの外務大臣に対する質問は長いでしょうか。外務大臣は参議院に出席を求められておりますので、あなたの質問が短かければ、この際にやっていただきたいと思います。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 きわめて短かいです。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 森島守人君。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 私がただ一点お伺いしたいのは、濃縮ウラニウムの協定に関する議事録の問題ですが、これは前回下田条約局長にお伺いいたしましたが、はっきりした結論が出ておりませんので、あらためて外務大臣に伺いたい。私は結論から言いますと、条約局長の説明によれば、日本は何らはっきりした義務を負うことはないのだ、学者の間にいろいろ議論があるが、外務省としてはよいと思っておるので、これを議事録にとどめておきたいという。それは私は、いいか悪いかは意見の分れておる今日、外務省限りでこれをいいと判断せられることはあまりに独断的ではないか、本委員会におきましても議事録に残すか残さぬかという点につきましては、相当議論のあったことは御承知の通りであります。従って私は、義務を全然日本が負わないでアメリカだけ負うのだというようなものなら、あっさり条約の中にお入れになった方がいいだろうし、これを特に一生懸命になって、了解事項とか議事録とかに残されようというのは、何らかそこにあるのじゃないかということを懸念しておるのであります。その点につきまして、私がもう一点お伺いしたいのは、議事録になりますと、国会の審議を求めるのじゃないのだ、国会の参考に供するのだという御意見、この点も非常に怪しいと思う。国会の審議に付せられるならば、国会の審議の模様により、あるいは削除し、あるいは修正するということもできるのですが、これをわざわざ議事録に持っていったり、了解事項に持っていったりするところに、少し怪しいところがあるのじゃないか、こういうふうに私考えておりますので、その点を明確に一つ御答弁願いたい。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私はその議論に参加しませんでしたが、私の考え方を申し上げましょう。私は実はあの第九条というものは、何だか議論に花が咲いたような気持が実は非常にするのです。第九条は、あれに私どもの得ておる情報によると、トルコが希望してああいうものを入れたということが真相のようでございます。そこでどっちが利益をするかということは実はわからなくなるわけなのです。しかしながらお話の通りに、これは国会においてもいろいろ御議論のあった点でございます。ただそれだけじゃございません。あの問題は協定文の主題目ではないわけでございます。それだから、これは除いた方がよかろう、こういうことに私は考えます。考えますが、今議事録と協定文との関係につきましていろいろお話がございましたが、この点においては、私は条約関係として条約局長の意見を支持するほかはございません。ございませんが、それならばこの問題をどう取り扱うかということにつきましては、先ほど申す通りに、本委員会における御議論をも十分頭に入れて処理したい、こう考えておることを申し上げてお答えといたします。

森島守人日本社会党(左)

○森島委員 ただいまの御意見ですと、別に置く必要がないという御議論のように承わったのでございます。さようなことなら、条約局長がいかにお考えになっておっても、あっさりこれを削除されて、議事録等に残すこともおやめになった方が、私は本委員会の全体の意見を代表しておるもの、こう信ずるのでございます。そういうふうにお取り計らいにならんことをお願いしまして、私の質問を終ります。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 ごもっともな何であります。十分その御趣旨は頭に入れて処理することを繰り返して申し上げます。このことについては、むろんこの委員会の御議論も十分尊重しなければならぬ。しかしながら専門家の意見その他いろいろ多少の関係もございますので、十分慎重にそれを検討いたしまして、そうして今の御趣旨も十分われわれの方からそういう機会に述べてみて、最善を尽す、こういうことが一番いいと私は考えるので、さような意味で、明確に今の御意見に全然御賛同するということを今ここに申し述べるのは、ほかの関係もございますから少し行き過ぎと思います。今の程度で御了承を願いたいと思います。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 さっきから関連質問で発言を求められておりまして、外務大臣がお帰りになるというので実は待っておったので、この場合にごく簡単に外務大臣に対して関連質問を許します。北澤君。     〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 北澤君に発言を許しました。     〔「議事進行、議事進行」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 議事進行でも、発言のあとに願います。     〔「議事進行が先だ、委員長不信任案を出すぞ」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 北澤君に発言を許しました。北澤君発言を願います。

北澤直吉自由党

○北澤委員 十日の日に日ソ交渉につきまして各党代表の討論会がありました。(「議事進行、委員長横暴だ」と呼ぶ者あり)その際、社会党の左派の代表の森島議員から、日本は共産陣営と自由陣営との間に立って中立政策をとるべきであるという発言をされました。それに対して民主党の代表の池田正之輔議員は、自分としては森島議員の御発言に賛成である。民主党としても……。     〔「議事進行、議事進行」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 北澤君に発言を許しましたから、それが済むまでお待ち願います。——北澤君、発言を続けて下さい。     〔「委員長、北澤君に対する発言の許可を取り消せ」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 この場合は取り消しません。北澤君、発言して下さい。

北澤直吉自由党

○北澤委員 民主党代表の池田議員から、民主党としては森島議員の意見に賛成である。日本は終局においては中立政策をとるべきだと思う、こういう重大な発言をしたのであります。そうしますと、従来政府が国会において述べておりますところの日本は対米協調政策を堅持するという意見と多少違うのであります。従いまして私は、民主党のこの日ソ交渉に対する構想につきまして、民主党代表の池田正之輔議員と政府との間に非常に違いがありますので、世間で非常に誤解を起しておりますから、この機会に、今の鳩山内閣は……。     〔「議事進行、議事進行」、「休憩、休憩」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 北澤君、ちょっと待って下さい。議事進行で短かいそうですから。それでは松本七郎君。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 この前から発言順序については非常にやかましく言って、厳格に守ることにしてある。それでなぜ私がこういうことを言うかというと、この前戸叶委員が最初に発言しておるときに議事進行に名をかりて長い間質問をやった事実があるのです。そういうことをやると、せっかくこの委員会を円満に運営していくためにその順序をきめておるのが乱される。ですから、特に大臣がゆっくりおられるときで、ほんとうに純然たる関連質問ならばいいですよ。だけれども、今日のように、大臣は急いで参議院へ行かなければならぬとあなた今言われたでしょう。そういうときに、発言順序を乱してまで関連質問を許すことはおもしろくない。ですから、私の質問を先にやって、そしてそのあとにやってもらうのがほんとうだと思いますから、そういうような御処置を願います。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 実は松本君、外務大臣に対するあなたの質問はどうせ時間がないですから、次回にゆっくり願った方がいいと思って……。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 それは独断ですよ。私も関連が幾らでもあるんだから……。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 そう思って取り扱ったのです。それだからしてあなたも関連質問がある、そうして時間が限られておる——そういうことであるならばそれは許しますが、実は委員長の取り計らいはそういうわけだったのです。どうせ外務大臣は時間がない、だから北澤君がさっきから関連質問を言っておりますけれども、二度とめてきておる。もう森島君で質疑は終って外務大臣はお帰りを願おうと思ったのです。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 了解を得てやったのか。なぜ独断でそういうことをやるのだ。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 だからその前に言っておるから、あなたは了解してもらっておるだろうと思ったのです。私はこういう声明をしております。外務大臣は参議院にお帰りにならなければならないので、参議院からしばしば要求されておりますが、森島君の質問が短かいというのでそれに許しました。そこで北澤君がごく簡単にそれに関連してというから、その程度ならば許してしまった方がよかろうと思って取り扱ったのですが、それがいかぬということならば、森島君の質問で今日は打ち切って外務大臣は参議院に……。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 それならば意見があります。この前、われわれは衆議院の予算委員会の場合でも、少しでもはずして外務大臣に来てもらったくらいなんです。だから外務委員会をやっているときは、参議院の予算委員会を少しでもはずして来るべきだというのにこの間来れなかった。きょうはせっかくやっておるのだから少しは延ばしてもやるべきだと思います。そういうことを言っている間に発言を許して下さいよ。そうすればその上で……。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 外務大臣がおっていただけるということなら委員長ちっとも差しつかえありません。ただ再三の参議院からの……。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 順位がきまっておるのですから、委員長の責任でやればよい。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 向うで待っておるのでここにおられないという場合にはしょうがないでしょう。

松岡駒吉日本社会党(右)

○松岡(駒)委員 あなたのお気持はわかったけれども、松本君の言うことは事理明白であるから、松本君に発言を許して下さい。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 許しますけれども、政府の都合で時間がないという場合にはしょうがないことを御了承願いたいのです。松本七郎君

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 問題はたくさんあるのですが、そういう政府の都合もあるし、なるべく重複を避けてごく簡単に申します。  最近いわゆる保守結集の問題として、民主党と自由党でいろいろ話し合っておられるようでございますが、これは当然日ソ交渉の問題等にも触れざるを得なくなるだろうと思います。ほんとうの保守結集ということであるならば、今問題になっている日ソ交渉が民主党と自由党で一番考え方の開きがある問題だろうと思います。だから当然問題になると思いますが、日ソ交渉に支障がないかどうか、その点について御答弁をお願いいたします。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 実は保守結集の問題がずいぶん論じられておりますが、まだ日ソ交渉を題目にして政策を論ずる機会は一度もございません。ございませんが、日ソ交渉に対する政府の方策としては、これはもう天下周知のことでございます。その大綱については、各政党のいかんを問わず私は了承を得ておるような気がするのでございますから、民主党、自由党との関係もそれがために非常に開きがあるとも考えてはおりません。おりませんが、この日ソ交渉については、政府の方針についてこれを突き進めていくことが一番いい、こう考えておる次第でございます。

北澤直吉自由党

○北澤委員 議事進行。実は菊池義郎先生のあとに自由党の渡邊良夫君が質問することになっておる。通告してあるのであります。渡邊君は都合のために今日は出ませんで私がかわっておるのですが、その順序を変えてどうしても松本君がやるということは反対であります。ちゃんと自由党の発言の順序にかかわらず社会党が……。     〔発言する者あり〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 議事進行は委員長に言うのですから、相互のお話はやめて委員長に対して発言願います。

北澤直吉自由党

○北澤委員 ですから、そういうふうに自由党の発言を阻止して社会党右派の発言を許すならば、自由党は納得しません。もう一ぺん休憩をして理事会を開いてもらうことを要求いたします。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 北澤直吉君は代人として発言を許したのじゃありません。ただ関連事項というので発言を許したので、代人としてではありませんからどうぞお含みを願いたい。北澤君は多分間違ったのでしょう。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 そこで、外務大臣はあまり大した違いがないようだと言われますけれども、これは問題を出せば切りがありませんから一つだけ伺っておきたいのは、たとえば、領土問題については、自由党では千島、樺太の問題も解決してから国交回復をやるべきだ、こういうことを非常に強く打ち出しておる。少くとも世間ではそういうふうに受け取っておるわけでありすす。その点は協調し得るとお考えでございましょうか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は領土問題を含めてですが、日本の立場、主張を十分貫徹するために全力をあげたい、こう思っておるわけであります。今から貫徹しないことを予想いたしておらないわけでございます。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 しからば、南樺太及び千島の問題を解決するまでは国交回復もやらない、こういう方針を政府もとっておられるのかどうか。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 これは交渉の経過を見て、そのときどきにおいて最善を尽したい、こう思っておるわけであります。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 それではまだいずれともきめておらない、こういうふうに了解いたします。  もう一つ問題をお伺いしたいのですが、それは先ほどちょっと出ましたアメリカの外交委員長の発言の内容で、アメリカでもああいうふうに中国と日本の貿易はもっと自由にやらした方がいい、それがほんとうに日本の利益のためだ、こういうことがアメリカでさえも出ておるのです。政府は一体、今後中国との貿易にどのような具体的な案でこの制限緩和に乗り出そうとしておるのか、その点をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。

重光葵日本民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 制限緩和というのはココムの緩和のことでございましょう。それはジュネーヴ及びパリで、その機関によって最善を尽す、こういうことで従来の方針通りであります。しかしこれはそう思い通りに急に行かぬことを非常に遺憾としておるのであります。しかしこれはできるだけのあらゆる機会においてやらなければいかぬ。それはその範囲内においてやることがまだたくさん私はあると思う。ただ理論的にココムを拡張する、それはその通りであります。しかしそこに行く前にもまだやらなければならぬことがたくさんあるように思う。そしてまたそれをやりつつあるわけであります。従いましてその制限の範囲内においても、中共貿易の増進ということはでき得るだけやらなければならぬ、また今相当成績を上げておると思うのであります。あまり急ぎ過ぎるとそこに思わざる故障も出てくるのでありますから、あまり理論に走って急ぎ過ぎるのもどうかと私は思う。実益をたっとんで、中共貿易もできることから着々やっていくことがいい、こう思っておる次第であります。

松本七郎日本社会党(右)

○松本(七)委員 私の質問はこの程度にしておきます。

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 それでは外務大臣は参議院においでを願います。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

植原悦二郎日本民主党

○植原委員長 速記を始めて。次会は公報をもってお知らせします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十四分散会

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