海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第11号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1955/07/12
会議録
○臼井委員長代理 これより会議を開きます。 本日は委員長が参議院の外務委員会に出席されますので、私が委員長の職務々行います。 まず、在外資産の問題について質疑の通告がありますので、これを許します、戸叶里子君。
○戸叶委員 戦争前に外地にある同胞の方々が非常に節約に節約重ねて貯金をされた財産も、戦争というようなことで犠牲になって、そしてそれがとれないということは、戦後の犠牲の中でも非常にお気の毒な状態だと思います。中にはそれによって非常に困っておられる方もあるのですけれども、こういうような問題に対しては、当然何らかの補償なりあるいは支払いなりがなされなければならないと思います。 そこで、お伺いしたいのは、私どもの同胞が残してきた海外財産で、どこの国のが少しでも解決されて、どっちの方に残してきたのが全然だめだったか、そういうふうなお調べがついていましたら、これをお伺いしたいと思います。
○森鼻説明員 お答え申し上げます。 御承知のように、サンフランシスコ平和条約の十四条に規定がございまして、これによりますと、連合国にありました財産は留置、清算されるということになっております。従いまして、今御質問のような点につきましては、たとえばアメリカ、英国、その他連合諸国におきましては留置、清算されることになっております。ただ、そのうちアメリカにつきましては、個人財産の分を一人一万ドルを限りまして、アメリカ側の方で条約にかかわらず恩恵として返す、こういうことを言っておりまして、それに基きまして話し合いが行われ、ただいまアメリカの方で国内法制定の手続を進めておりますが、まだ通過したという知らせば受けておりません。それから、中立国等におきまする財産は、本来はわが方に返ってもしかるべき財産でございますが、これも、中立国が日本に対しましてクレームを持っておる、戦争中にたとえば日本軍がフィリピンその他東南アジア地域におきまして中立国人に損害を与えた、こういうことをかたにとりまして、先方はその中立国にある財産も押えておる関係になっております。そのうち、解決いたしましたのは、御承知のようにスイスが片づきました。スイスにありまする個人財産、それから企業財産、これは目下返りつつあります。 その他、平和条約の四条におきまして特別取りきめというカテゴリーに属するのがあります。これは朝鮮とか台湾とかの旧領土にありました財産ですが、これは、両国間、日本と韓国、日本と中華民国、こういう関係で財産権について話し合いをしようじゃないかということになっておりまして、日韓会談は数次にわたりまして行われましたが、まだ解決の運びに至っておりません。それから、中共とかソ連とか、こういうところは、御承知のようにまだ国交関係が回復いたしておりませんので、こういったいわゆる共産圏地域の財産については、その帰属はいずれともきまっておらない、こういう段階でございます。
○戸叶委員 朝鮮とか台湾ですけれども、日本人が向うに残したのと、向うの人々が日本において残した分と比べましたときに、日本人が向うに残しておいた方がずっと多いように思いますけれども、この点はどうなんでしょうか、そういう点からなかなか解決をするように乗り出してこないというふうにも了解できるのですけれども、この点はどうなんでしょう。
○森鼻説明員 御質問のありましたように、確かにわが方が向うに残置してきた財産の方が多いということになっておりますが、先方、たとえば日韓会談の例で申し上げますと、朝鮮におきましては、占領中と申しますか、アメリカ軍が朝鮮を統治しております当時、ヴェスティング・デクリー、接収命令と訳しておりますが、これに基きまして全部日本人の資産を接収した、こういうことを言っております。それで、韓国側は、それをたてにとりまして、日本の財産につきましては、日本はもともと請求権がそれによってなくなっているのだということを言っておりまして、そういう関係もございまして、日韓会談ではなかなか話が進歩いたしませんでした状態で、御承知のように、その間、新聞紙上にもございますように、久保田発言というようなものがありまして、先方が非常に感情的になりまして会談が打ち切られて、いまだに再開いたしておりません状態であります。
○戸叶委員 今在外資産審議会とかいうのができておりますけれども、そこの調査なりまた将来の見通しなりで、何らか少しは結論めいたものが出ていないかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○森鼻説明員 お答え申し上げます。 在外財産問題審議会というのが正式の名称でございます。委員が九名ございまして、全部民間の学識経験者でございます。 審議会が設置されましてから、先ほども戸叶先生の御質問の趣旨にありましたように、在外預金が何も返ってきておらぬという点につきましては、いわゆる在外三法というのが出ましたが、これは審議会の答申に基いて出たのであります。この答申の趣旨は、外地におきまする預金、それから外地の銀行から内地の銀行に送金小切手というものを取り組みましたその問題、これを中心にいたしまして、たとえば現在こちらで常業いたしております銀行、これは金融機関再建整備法に基く銀行とわれわれは言っておりますが、この銀行に預金したもの、それから閉鎖機関に預金したもの、それから在外会社とわれわれは言っておりますが、外地に本店のありましたもの、こういうものにつきましては、その金融機関に預金されましたもの、それからそこを通じて内地に送金為替を取り組んだものは、これを支払った方がよくはないかという答申がございました。その答申に基きまして、おのおの関係の法律、金融機関再建整備法の一部改正、閉鎖機関令の一部改正、在外会社令の一部改正、こういうものを作りまして、預金の払い戻しの手続をするようになりました。現在債権者がおのおの閉鎖機関、金融機関再建整備法に基く金融機関、在外会社に対しまして債権の申し立て中でございます。この申し立て状況が一めぐりいたしますと、おのおのの金融機関で集計いたしまして、そこの持っております資産とそういった債権の申し立てを勘案いたしまして支払いをいたす、こういう段階になっております。 それから、それでは一般の基本問題と申しますか、ほかの、在外預金でなくて、そういった財産はどうなっているか、こういう問題でございます。これにつきましては、審議会のメンバーにも、たとえば宮澤教授のような憲法学者もございますし、我妻教授のような私法の権威の教授もございますし、前外務次官である方々も、二、三おられますし、そういう方々で検討していただきまして、憲法問題それから各国の、たとえばドイツ、イタリアの例、そういうものを検討いたしましてやっていただいておるわけでございますが、まだ、個々の問題につきましては、こういう方針で行くというところまで行っておりません。問題といたしましては法律的にも非常にむずかしい問題もあるようでございまして、審議会の答申も、われわれといたしましては急いで答申を出してほしいということを言っておりますが、審議会といたしましては、内閣総理大臣の諮問に基きまして、この諮問の内容は在外財産の処理方針いかんという諮問が出ておりまして、、それに基いて検討中でございます。
○戸叶委員 その答申は近く出そうな傾向でしょうか、どうでしょうか。
○森鼻説明員 これは、審議会の審議状況にもよりますが、申し上げましたように非常に困難な問題でございまして、国の財政能力その他にもからまって参ります問題で、ございますので、われわれといたしましては審議会の方になるべく早く答申を出してほしいというお願いはいたしておるのでございますが、これは法律に基く審議会でございますので、答申の内容は審議会自体がおきめになることなんでございまして、それがすぐただいま出るとか、いつごろ必ず出るとかいうことは、審議会の会長の御意見に従いませんと出てこない、こういう筋合いのものでございます。
○戸叶委員 先ほど御説明がございました在外三法によるもので申し込んだもの、あるいはある程度解決したものに対する御説明というようなものは、この前この委員会であったのじゃなかったでしょうか。
○森鼻説明員 私はまだそれは伺っておりません。昨年の五月ごろに私今の外債課長に任命されましたが、それ以降別に伺っておりません。ただ、実施状況につきましては、たとえば先ほど申し上げました金融機関再建整備法で一体どのくらいのものが債権の申し立てがあって、どういう払い出し状況になる見込みか、こういう点につきましては、銀行局の所管でございます。それから、閉鎖機関の朝鮮銀行とか台湾銀行、それから在外会社、こういうものに対して、そこにはどのくらいの資産があって、それからそこにはどのくらいの債権の申し立てがあって、従ってどのくらいの支払う率になるか、こういうことは管財局の特殊清算課というところでやっておりますので、実施状況につきましては、それぞれ所管の部局が別にございます。
○戸叶委員 全体的に考えまして、海外に財産を残してきた人たちで、何とか解決してほしいと申し入れをしている人も、それから申し入れをしていない人も、いろいろあると思うのですけれども、大体そういうようなことに対して解決方を申し入れている件数がおわかりになったら、大体どのくらいあるか伺いたいのです。
○森鼻説明員 在外財産につきましては、かっての占領時代と申しますか、司令部がございました時代に、そのスキャッピンに基きまして調査いたしまして、各人の申告を求めまして、各人が在外財産報告書というものを出しまして、それを集計したのがございます。これは何分本人の申し立ての分でございまして、それがどの程度まで正鵠を得ておるものかどうかは、若干のふくれ上った水増しの部分もあるのじゃないかという程度のデータはございますが、あと個別の財産を返してほしいというようなことは、別に、だれが言ってきて、だれが言ってこないということはございません。ただ、引き揚げの方々のやっておられます一種の同盟と申しますか、組合と申しますか、そういうものを通じまして在外財産の補償促進してほしいということはたびたび言ってこられておりますが、個別には参っておりません。
○戸叶委員 個別に言ってこなくても、たとえば引き揚げの協会なり何なりを通して言ってきた、その大まか、な、大体どのくらいの件数があるとかいうようなことは全然おわかりにならないわけですか。ただ漠然として海外財産に対する補償をしてほしいということだけなのでしょうか。それとも大体の件数がおわかりなのでしょうか、
○森鼻説明員 言ってこられた方々の大部分は、今戸叶先生の言われましたように、漠然と在外財産、海外に残置してきた自分たちの財産を返してもらうなり補償していただきたいということで、別に数字をあげてきてはおりません。ただ、最近衆参両院で決議がありまして、そのときに合わせて引揚者の方々が持っておられた分には、たとえば三年以上海外におられた人については五万円程度を補償してほしい、これは暫定措置ということを言っておられますが、そういうことは言っておられますが、あるいはもっと、三年以上おられた人には、段階的にもう少し——詳しいことは忘れましたが、最低三年以下五万円、あとたとえば五年とか十年とかおられた方には一定の割増しでよけいに補償してほしい、これは暫定措置であるということを言ってこられた事例はございます。
○戸叶委員 今そういう申し入れを受けている暫定措置に対して、どの程度まで政府として実施できるでしょうか。その点を伺っておきます。
○森鼻説明員 この点につきましては、やはり引揚者の方々も言ってこられましたが、審議会に報告していただいて、審議会の意見を早急に聞いてほしいということを言っておられました。われわれといたしましても、今月会議開催いたしまして、そこで審議会の委員の意見を聞きまして、それからまた財政の方は主計局でございますので、主計局の方にまた審議会の模様を伝えたい、こう思っております。
○戸叶委員 いろいろ困難な問題もございましょうけれども、中には非常に困っていらっしゃる方もたくさんいられるのでございますから、なるべく早くこういう問題も解決していただきたいと思うのです。ことに申し入れられている線というのはごく最低の線が出ているのじゃないかと思いますので、この点も審議会に督促して早く御解決願いたいと思います。 この問題はそこまでにいたしますが、ここに一つの例があるのです。このことは多分課長さんも御存じかと思うのですけれども、上海に起きた問題なのですけれども、昭和十九年の十二月に日本政府が中国にある日本軍の占領地域内の在英米敵産に対して支那派遣陸海軍総司令部を通じ現地処分をした際に、上海南京路の六十号のサッスーン・ビルの隣のれんか建洋風の建物並びに土地を米貨五十万トルでもって、買い受けるように、日本政府の代表機関である新敵生産管理委員会からある人に申し出をしまして、そうしてこの入が買わされた形になったわけです。ところが、八月十五日に終戦になったときに、米国側から、あなたの持っている土地や建物は米国のものだから返してほしいということで、日本政府から無理やりに買わされたのですけれども、結局アメリカの方でこれをとるというような結果になってしまったわけなのです。こういうようなケースは、その後、同じようなケースの場合でも、手続をいたしまして、そうして日本の政府が補償したという例があるのですけれども、この方は、たまたま上海でいわゆる戦犯だというような疑いをかけられて、その手続がおくれたために、何らの補償もされないで困っているというような事件なのです。この方自身は朝鮮の方なのですけれども、その奥さんが日本の方で、そうして非常にりっぱな家庭々営み、ことに戦争中には日本の国に非常に協力をなされた方でございますが、こういうふうなケースはどういうふうに扱われているかを承わりたいと思います。
○森鼻説明員 お答え申し上げます。私の前任者からも一応引き継ぎがございまして、話は伺っております。ただ、今の戸叶先生のお話にありましたように、この方は朝鮮の方でございます。それで大蔵省としても、こういったいわば現在外国人の身分になっておられる人の日本に対する請求権については、いろいろ検討いたしましたのですが、まず日本の方としては、ほかのいろいろのクレームと同じでございますが、外務省を通じまして、あるいは外務省々通ずる場合に、御本人自身なり、あるいは御本人の属する韓国政府なりを通じまして、日本の外務省の方に、こういったクレームを持っている。これに対して、今度は外務省の方が、出先官憲もありますが、事実関係をまず調査しまして、その調査の結果、外務省が意見をつけて、大蔵省の方に、こういう問題があるのだが、外務省は大体こう考えるが、大蔵省はどう考えるかということで、ほかのケースはやってございます。個人の外国人が直接にわれわれの方に来た事例はほかにございませんので、省内でもいろいろ検討いたしましたのですが、やはり外国人である者の請求権につきましては、まず外務省を通じてお話があり、外務省の方で事実関係を御調査の上で大蔵省に来るべき問題で、そのときに大蔵省として意見を申し上げたらいいのだ、こういう結論が部内で出ましたので、そのようにお答えするわけでございます。
○戸叶委員 外国人にもいろいろあると思うのですけれども、この方の奥さんなり、お子さんなりは、私よく存じ上げております。今日本で生活しておられまして、当時上海におられたときにも、非常にりっぱな科学者として尊敬されていた人であり、日本に対しましても戦争中いろいろと貢献された方なんです。そういうことはお調べになればすぐわかることなんです。ごく普通のこういう境遇に置かれた人たちと違うわけなんですけれども、しかもほかの人たちはどんどん返されたのです。ところが、この方だけ手続がおくれた。しかもその手続がおくれたのはなぜかといいますと、日本に戦争中飛行機を二台か三台寄付したので、戦犯だというので、その疑いを受けて上海でとらえられておりましたために、手続がおくれてしまって、とうとう何も返されなくなってしまった。こういうケースなんです。ほかの、日本にこれほど協力をしない人でも、私どもから見てどうかと思う方でも、どんどんもらっておりますのに、こういうふうな日本に非常に協力的な人が、しかも奥さんも日本の人で、今も日本で内職をしながら生活しているかたなんですが、そういうのは、私は少し不合理じゃないかと思うのです。実は先ごろ私は外務省の方へ参りましたところが、外務省の方でも、こういうような方々の過去の生活態度なり過去のいろいろな実績を見ても、日韓会談の問題として取り上げるべきではなくて、当然これは日本の政府として考えられる、大蔵省の方で考えてもらってもいいということを、責任ある人がおっしゃった。ところが、大蔵省の方へ行きますと、それは外務省の方で考えるべきだと言う。そうすると、一体どういうふうにしたらいいかと迷うわけですから、この点はっきりした線を一応出していただきませんと、納得が行かないのですが、この点に対しての御答弁を一度伺いたいと思います。
○森鼻説明員 今の先生のお言葉で、外務省の方では大蔵省へ行け、大蔵省へ質問したら外務省へ行けというのは困るというお話は、ごもっともでございますが、われわれの方も事実関係をよく調査いたしておりませんので、あまり確信を持って言われない点もございますが、ただ、先方からいただきました書類を見ますと、この場合にはアメリカ人の敵産でございます。当時敵産として処分されたのはアメリカの財産でございましたが、アメリカ人が日本政府を通じてそれを返してほしいと言ってきた場合には、たとえば、その敵産を買い受けた人が、朝鮮人であるにせよ、日本人であるにせよ、若干のいわば涙金と申しますか、出ているという話でございます。その場合には、元の所有者のアメリカ人が、直接に、日本政府を通すことなぐ、朝鮮人に行かれた。朝鮮人の方はそれを直接お返しになったという関係で、日本政府が間に入っておらないうちに問題がそういうようになってしまった。しかも、そのときに、また複雑なことですが、朝鮮人にというか、外国人になっておられる。だから、本来ならば外国人である朝鮮人の方がアメリカ人に対して、私は外国人である、日本国民でないんだから、これは返す必要がないというふうに言われることもできたんじゃないかという問題が一つあるのと、それから先ほど日韓会談の議題でないというふうに言われたそうでありますが、われわれとしては、こういった問題は外国人の個人が大蔵省に直接来た例はございませんで、全部外国人の請求権は、まず日本の外務省へその国の政府を通じてきまして、一体これはどういう関係で処理するか、大蔵省として、そういった個人のケースがあり幸しても、その事案関係が果してどういう関係にたっているか、あまり確かめる手段はないわけでありますが、外務省の場合にはそういった出先も若干ございますし、事実関係を調べるチャンスもあるわけであります。そこで、事実関係を調べた上で大蔵省に言ってくるわけでありますから、本件は、われわれとしては外務省と若干食い違うようでありますが、日韓会談の際に、先方が、韓国政府を通じて、こういう問題もあるんだが、この財産権問題について話し合いのときにこれを考慮してほしいという話し合いがあれば、当然日韓会談の議題になると解釈いたしておりますが、なお、先ほど言われましたように、この際外務省と大蔵省ではっきり線を出せというお話でございましたならば、なお外務事務当局と話し合ってもよろしと思います。
○戸叶委員 その点お話し合いをいただきたいと思います。それで何かの線をお知らせ願いたいと思うのですが、前の方で御説明になりましたアメリカと直接の話し合いでこれを返した、こうおっしゃるのですけれども、そうじゃないのです。当時上海には日本の人たちでそういう問題を処理するための審議会ができているはずです。その審議会を通して、ぜひともこれは返してほしい、何とかしてやるからという話で、これを返させられた。一度買わされるときにも、お前のところは科学者でいろいろな発明をしてお金があるからこれを買ってくれと頼まれて、今度取るときには取り上げられたというふうな事実なんです。そのときの審議会のメンバーの一人か二人も日本にただいまいるはずです。その人も、たしか、そのことに対しては、これは返して上げなければ不合理だということを説明しておられるわけです。ですから、もう少しよくお調べいただきまして、外務省との間でお話をつけていただいて、なるべく早く御返事をいただきたい。これだけ希望いたします。
○堀内委員 関連質問。今の在外資産の問題について、ことに朝鮮の問題については、結局国際法上の解釈がどうなっているかということで、いろいろな問題があると思いますが、申すまでもなく、へーグの陸戦法規によりますれば、接収徴用したものはあとで賠償するということになっており、特に、ポッダム宣言によりますと、無条件降伏というようなことになっておる。そこにいろいろな問題が起ってくると思うのでありますが、ことに、朝鮮における日本人の資産については、米軍があとで日本人に返還したというふうに私は聞いておるのでございますが、当局においてこの陸戦法規並びにポツダム宣言との関係をそんなふうに考えておられるか。同時に、韓国における日本人の在外資産を米軍が接収したといいますか、徴用したといいますか、それを米軍の方から日本人に返すように出ておるということを聞いておるのでありますが、その事実についてもちょっと伺いたい。
○森鼻説明員 国際法の解釈それ自体は、外務省のたとえば条約局の見解に従わなければいけないわけで、われわれとしては、そこまで有権的な解釈は今ここで申し上げる性質のものではないと思います。ただ、御質問の趣旨は、朝鮮の場合には、接収命令と申しますか、米軍によりますフェスティング・デクリーというものがありまして、これの性質といいますか、どう考えるかという御質問の趣旨だと思いますが、日本が、平和条約を受け入れまして、朝鮮の領土権を失った。それに基いて、また別に、そういう占領軍の行なった行為はすべて有効であるという条文がサンフランシスコ条約にございます。従って、そういうヴェスティング・デクリーというものは一応有効であるという解釈をとって、ことに韓国側はそれをたてにとりましても、もう日本の財産権はないということを言っておるわけであります。それで、わが方としては、それはやはり日韓会談で議論すればよろしいではないかということで、再三日韓会談でその接収命令をめぐりまして議論が出たわけであります。そこでいろいろ議論が出たわけでありますが、今御質問の趣旨によりますと、その後日本に返せと言ったのはアメリカ側が言ったというような御趣旨に受け取れたわけでありますが、アメリカ側は、別にその接収命令を撤回して日本に返せということは言った事実はございません。アメリカ側は接収命令を出したきりで、別にその後何も言っておりませんし、むしろそういう行為は有効ではないかということを言っておりまして、むしろ韓国側の主張を裏づけるようなことをその後言っております。日韓会談におきましてこの問題がいつも議論になるわけでありますが、そのつど結論が出ませんで、そのうちに久保田発言というものがありまして、会談が中絶いたしたわけであります。 〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕 またこの次日韓会談が再開されましたならば、そのときに双方で議論いたしまして、朝鮮の財産権をめぐって、接収命令をめぐってまた議論が戦わされると思っております。その際には、われわれとしては、日本側の主張は、また外務省の条約局の解釈に従いまして先方と折衝するということになると思います。
○堀内委員 そうすると、朝鮮の場合、米軍の方からは、朝鮮における日本人の財産を接収したものはやはり向うから返還してない、返還という命令は出ていないということが一つと、それから、そうすると日本の国内におけると同じことになっているように思うのですが、その辺の関係はどうですか。
○森鼻説明員 前段の御質問の、その後日本に返還命令が出ておらないというのは、その通りでございます。 それからもう一つ、日本の国内におけると同様なものじゃないかとおっしゃる御趣旨は、ちょっとわかりかねますが……。
○堀内委員 それは、日本国内の日本国民の財産を米軍が接収して使った。これを、いわゆる現実の建物とかいうような問題は別としまして、私が聞かんとするところのものは、たとえば恩給権というような国民の財産権に属するようなものを米軍の指令によって停止してしまったわけですね。停止してしまったために、その後、恩給法の解釈にもなりますが、それを復活されたということになるわけですが、そのことの解釈によりまして、停止間の恩給というものはどういう意義を持つかというふうないろいろの問題が起ってくる。建物などについては、アメリカが今接収したものを返してきているけれども、恩給権というようなものを停止した問題は、そこに非常な問題が起ってくるのじゃないかと思うのですが、そういうような問題について、何かあなたの方で今まで御検討になっているようなものがありましたならば、お伺いしたいと思います。
○森鼻説明員 今の恩給権の停止問題というようなものは、私どもはあまり詳しく検討しておりませんので、停止間のものをどうするかということにつきましては、お答えする資格はございません。 建物等につきましても、接収自体はこれば正当なものでありまして、あとで終戦処理費の方で補償するというようなことのように承知しております。とにかく、平和条約の解釈上といたしましては、あの条約に調印いたしました以上、占領軍が占領期間中において行なった一切の行為については日本側は苦情は言えない。国としては向うに何も言えないわけであります。従って、その後の国と国民との間の関係は、その国内の立法によってその問題を解決するよりしょうがないと思います。
○堀内委員 そうすると、今の建物の場合で、早くいえば接収下における家賃というようなことに相当するものは、接収解除のときに支払ってあるのですか、どうですか。
○森鼻説明員 それも私どもの所管でございませんので、その間の事情は私ども存じておりません。
○中山(マ)委員 一つお尋ねいたしますが、中国人が日本の軍隊に物を売りまして、その代金としてもらいました小切手とでも申しましょうか、そういうものが支払いがなかなかできないのでございますが、そういうものは、やはり外務省を通じてでないとお宅でお取り上げにならないという、さっきの御説明の分に入るのでございましょうか。
○森鼻説明員 お答え申し上げます。やはり中国人という、外国人だという身分である以上、まず外務省にこういう問題があるということを言われまして、それから事実関係を外務省が調査なさって、それから大蔵省の方に意見を求めに来る。外務省が意見を付して相談しに参るわけであります。そういう問題でございます。
○高岡委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がございませんければ、本問題はこの程度にいたしたいと思います。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○高岡委員長 それでは速記を始めて。 次に、遺家族援護に関し、元満州開拓青年義勇隊及び沖繩義勇隊の処遇問題について掘内委員より発言を求められております。これを許します。掘内一雄君。
○堀内委員 私は、沖繩関係戦没者の取扱いに関して、政府当局にまずその現況について不明の点がありますからお伺いしたいのです。鉄血勤皇隊、通信隊の兵員中で、十七歳未満で学徒でなくなったような人、この人たちは現在精神的な方面ではどんなふうに待遇されているか、またその御遺族等に対しての扶助料等の問題はどんなふうな関係になっているか、この点を最初にお伺いいたしたいと思います。
○三浦説明員 鉄血勤皇隊の参加者は千四十六名でありまして、そのうちの死亡者は八百十四名でございます。学徒通信隊の方は六百十一名で、死亡者は三百四十二名になっております。終戦後沖繩との連絡が不十分でありましたために、沖繩の復員業務の処理、すなわち身分及び死亡の確認の業務は平和条約ができますまで全然手をつけておりません。その後着手を始めましてからも、なかなか業務が進みませんで、ようやく本年になりましてから現地から届けを出していただいたような状況であります。それを集計しましたものがただいま申し上げました数字でございます。そして現在南方連絡所事務所に調査を依頼しておりますが、その一応の報告がただいま申し上げました数字でございまして、現に、厚生事務官を現地へ、派遣しまして、その当時の状況を詳細に調査をいたさせております。
○堀内委員 私は今の生存者等の関係もお伺いしたかったのですが、私の質問いたしましたことは、戦死者の取扱いにおいて、十七歳以上の人はむろん軍人として取り扱っておられましょうが、十七歳未満の人たちの精神的な方面の坂扱いがどうなっているか、及びその遺族に対する恩給とか扶助料というような関係はどうなっているか、その点を一つ伺いたいということであります。
○三浦説明員 これは、ただいま申し上げましたように、身分の決定がまだ終っておらないわけであります。それで、それに基く恩給、援護の業務は全然着手されていないわけです。
○堀内委員 そうしますと、十七歳以上の者は私は当然昔の兵役法によって取り扱われると思いますが、十七歳以下の者は兵役法の適用を受けないということにもなるおそれがある。それが沖繩の人たちの非常な御心配の点のように考えるのでございますが、現在、日本の政府といたしまして、これに対して何か一応見当なり方針なりというものがきまっておりましたらば、その点をお伺いしたい。
○三浦説明員 事実の調査がまだ十分に行っておりませんので、はっきりお答えができません。実は鉄血勤皇隊の中にも二十年三月一日定時の入営の現役兵が入っているわけです。こういう人は当然軍人としての処理をしなければならないのでございますが、この人がどの人であるかということがまだしっかり握れておらないわけなのであります。そういうような関係でまだ身分の決定ができておりませんので、従ってあとの業務が進まない、こういう状態でありまして、事実の調査ということが先行をしているわけであります
○堀内委員 沖繩関係の復員処理等につきまして、遺族年金とか弔慰金とか扶助料というような問題が非常におくれているからという陳情が沖繩の関係者から出ているのでございますが、今の事実の調査がまだできておらないということになりますと、それに関連してすべてのものができないということになりましょうが、これらについて当局として、どんなふうに進んでいるか、その進捗状況丸びにこの処理に関する見通しといったようなことを一つお示し下さい。
○三浦説明員 現在までの届出によりまして私のところが把握しました処理が終っておらない者は約一万五千。これは、主として沖繩戦の関係者に比島に在留しておりました沖繩県出身者、この人についての処理が終っておらないので、その対象者が今申しました約一万五千という数でございます。それで、この一万五千は、実は昭和二十八年の十二月に届出を出していただいたわけでございますが、それが私の方へ出てきましたのが本年三月になって初めて出てきたわけなんです。そこで、私の方は、早急に処理するために、大体今年中には大部分の処理は終るということでやっております。
○堀内委員 沖繩の特殊事情からかんがみまして、この処理につきましても大へん困難の点もあると存じまするが、沖繩の現在置かれておる国際的な地位といったような点からも、特にわれわれは沖繩の問題について関心を持ってあげなければならない、こう思うのでございます。そういう意味からも、この調査の問題等は特に一つ御努力をお願いしたいと存じます。 それから、同時にこの鉄血勤皇隊または通信隊に行っておられたこの戦没学徒の問題にいたしましても、すでに兵役法は死法になっておりまするし、かたがたもって、また、当時の情勢等から考えて、当然この問題は将来の処理の上について起ってくる問題でございますので、いわゆる実態が調査できないからということでなくて、実態の調査に伴って当然起ってきておる問題なのでございますから、こういう問題につきまして、政府におきましても、すみやかに方針をきめられて、そうして沖繩の人たちに安心の行くようにしてやっていただきたいと思うのでございます。 なお、この十七才未満の戦没学徒の問題につきましては、われわれが考えまする点において二つの重要なる点が考えられるのであります。一つは、いわゆる旧兵役法の関係で、十七才以上の軍人として取り扱われた、十七才以下の十五、十六の人は軍人として取り扱われない。しかも実際にはいろんな宣誓をし教育を受けてやった点においては何も違いないんだというような点から、沖繩の人たちはこれを同じく軍人にしてくれというようなことを申し出てきておるのでございますが、しかし、すでに兵役法というものがなくなっておるというような関係で、なかなかこれは処理が困難と思います。そこで、ことに兵役法というものはもう死法でもありまするし、これは、戦争の跡始末というような見地から、ぜひ特別の処置を考えていただいて、沖繩の人たちに安心していただくように善処をお願いいたす次第であります、同時に、この遺族の援護に関する問題でも、「軍人」ということになっておりますれば、そこに恩給法によってひとしく遺族が恩給をもらえる。ところが、「軍属」ということになりますると、そこで今度遺族援護に関する関係になりまするので、そこで両親が六十才にならぬとそれが支給を受けられないというような問題が起り、いわゆる若年停止の適用といったようなことになるのでありまして、こういう人たちの物質的な方面におきましても、いろいろお気の毒なような状態が起るのでございますが、結論的に申しまして、これは過去の戦争の跡始末なんだという見地かな、政府当局の方におきまして、今私は皆さんからすぐ御返事をいただこうとしておるのではありませんが、関係の方面に一つ御報告いただきまして、これに対する何らかの処置を御検討の上、本委員会に対しまして御報告をお願いいたしたいと存ずるのであります。
○高岡委員長 皆様にお諮りいたします、ただいま堀内委員よりの御発言は相当重要な問題でありますので、次会に政府当局からこれの責任ある答弁を求めることとしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○山下(春)委員 ただいまの委員長の御発言は私もむろん同感でありますが、その前に、政府の責任者がおいでになりまして御答弁を願うときの参考に、今の堀内委員の御質疑に関連して申し上げます。 今回われわれは、この援護法の改正あるいは給恩法の改正に当りまして、この沖繩の戦没少年兵の方に対しましては本委員会及び社会労働委員会などで、機会あるごとに何回か繰り返し発言をしておるのでありますが、ついに今国会には何ら結論を得るに至らないのではあるまいかと思うような心配があるのであります。政府が鉄血勤皇隊についてこれを軍人と扱わなかったという根拠は、兵役法によってであると思います。その兵役法が生きておるということであれば、ここに当然生きていなければならない法律があるのであります。昭和十三年二月二十二日勅令第九十五号、陸軍特別志願兵令というものがあります。それは昭和十九年勅令第五百九十四号で改正されております。その第二条に「年齢十七年未満ノ帝国臣民タル男子ニシテ兵役二服スルコトヲ志願スルモノハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ詮衡ノ上之ヲ兵籍二編入シ年齢十七年ニ満ツル迄第二国民兵役ニ服七シムルコトヲ得」こういうものがあるのであります。兵役法によってこれを軍人として扱えないという根拠があるならば、従ってこういうものも生きておるということになるのでありまして、こういうものが死滅したということを政府は一回も声明しておりません。そうすると、兵役法をたてにとってためだと言うことの基礎にはならないと思うのであります。このほかまだこれに関連する法律がたくさんあるのでありますが、陸軍特別志願兵令施行規則の第十一条の二に「令第二条ノ規定ニ依リ第二国民兵役ニ編入スル者ハ年齢十四年以上ニシテ現住加所管ノ聯隊区司令官(陸軍兵事部長ヲ含ム以下同シ)ニ於テ適当ト認ムルモノニ限ル」とあります。従いましてこれはその所在地の連隊区司令官が適当と認めて採用した軍人に間違いないのであります。しかも、その当時の状況から申しますれば、おそらくわれわれが想像もつかないような戦闘が沖繩に起っていたと考えられます。そしてその戦闘によって戦死されました方に対しては二階級昇進した実例もあります。その中には十五才という人が一名、十六才という人が六、七名あるのであります。そういう点からも、軍人でないものを二階級昇進する手続があるはずがありません。そういう点で、今堀内委員からも御発言がございましたが、このことについては私も本委員会で数回発言をいたしておるのでありますが、とにかく、この機会にこれらの数字を——十七歳未満の方が五百六十七名と私の手元にある調査ではいたしております。しかしながら、厚生省が今現に調査に行っておることも承知いたしておりますので、必ずしも数字を固執するものではございませんけれども、そういうことが明らかになっておるにもかかわらず、今回この問題を、援護法及び恩給法の改正に当りまして、私どもがこの法案の中に織り込むことができなかったということは、まことに遺憾千万なことです。今議会の会期もたんだん追い詰められるに当って、われわれは、何だかこの問題がのどに詰まって、会期をおしまいにすることができないような気持にさえ追い込まれるのであります。政府が出て参りましてただぼんやりした態度でございましたのでは、審議に非常に支障をを来たしますので、これらの過去にありましたいろいろな法律をとくと皆様から一つ御提示を願って、ここに政府の代表がお見えになって御答弁を願う際には、これを直ちに取り上げて今回の修正に間に合うような御答弁を願いたいということのために、特に堀内委員の御発言に関連して私は付言をいたしておきます。
○高岡委員長 ほかに御発言ございませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○高岡委員長 それでは本日はこの程度にいたし、散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 午後零時二分散会