P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
22回国会衆議院1955/07/18

運輸委員会 第30号

発言数
30
登壇者
5
会派数
2
開催日
1955/07/18

会議録

原健三郎自由党

○原委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に去る十五日本委員会に付託になりました運輸省設置法の一部を改正する法律案、畠山鶴吉君外二名提出を議題といたします。最初に提出者より提案理由を聴取いたします。畠山鶴吉君。

畠山鶴吉自由党

○畠山委員 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につき、提案者を代表いたしまして提案の理由を御説明申し上げます。  本法案は国際観光事業の重要性にかんがみ、観光行政を強力に遂行せしめる必要上、現在運輸省にあります観光部を観光局に昇格させるため、運輸省設置法に所要の改正を加えようとするものであります。  国際観光事業の振興が、文化の交流、国際親善の増進に貢献するところが少くないことは今さら申し上げるまでもないのでありますが、さらに外貨の獲得という面におきまして、わが国経済の自立達成上大きな役割を持っておるのであります。現に昭和二十九年の観光収入は三千九百万ドル、約百四十億円に上り、戦前の最盛期たる昭和十一年の実績に比し、約二五%の増加となっております。しかも内閣の観光事業審議会の想定によれば、もし今後十分な振興策を行うならば、三年後の昭和三十三年には約七千万ドル、約二百五十億円の収入を上げることは必ずしも困難ではないのであります。しかしながらこれがためには、対外的には関係各国と緊密な連係を保ち、積極的に外客誘致策を講ずるの要があり、国内的には受け入れ態勢を整備しなければならないのであります。  戦後欧洲各国においては、観光事業の指導育成に当らしめるため、あるいは一省を創設し、あるいは一局を設置いたしまして、大きな成果を上げておるのであります。しかるにわが国におきましては、昭和五年鉄道省の外局として国際観光局が設置せられ、昭和十七年戦時態勢に伴い同局は廃止せられたのでありますが、戦後運輸省鉄道総局の観光課を経て運輸大臣官房に観光部が設置せられ、現在に至っておるのであります。しかしながら最近における国際観光事業振興の要望にこたえるには十分ではないのみならず、部という組織は国家行政組織法の規定により当分の間置くことができるということになっておるのでありまして、重要国策を所掌する部であるにもかかわらず、行政改革の都度縮小の対象となる状態であります。  現在政府は官設観光機関国際同盟及びその地域別委員会に加盟し、あるいは理事国として、あるいは有力なるメンバーとして、国際的に活躍いたしておるのでありまして、国際会議が相次いで開催せられるときに当り、わが国の観光行政機関の基礎が不安定であるということは、国際的提携促進上良好なる結果を招来するとは考えられないのであります。一方米国は、戦後海外経済援助の一方途として自国民の海外旅行を奨励しており、欧州各国はこれにより莫大な観光収入を上げて経済復興に寄与しているのでありまして、米国国会及び政府は、過般新設された商務省の観光局を通じて、わが国の受け入れ態勢の整備及び対米観光宣伝の積極化を慫慂して参っているのであります。この情勢に対処するためにも、わが国の観光行政機構の強化ということは当然考慮されなければならないのであります。  観光行政機構の強化については、内閣の観光事業審議会もしばしば建議し、過日衆議院運輸委員会においてもこれに関し決議しているのでありますが、今や民間機関はいち早く再編成を断行いたしまして、国際観光事業の振興をはかろうとしているのでありまして、政府機関が旧態のままじんぜんしていることは、策として当を得たものとは言い得ないのであります。  以上申し上げました趣旨により、さしあたり運輸省の観光部を観光局に昇格せしめようとするのでありますが、国家財政の状態も十分に考慮し、人員及び予算の増加を来たさないことといたしております。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。

原健三郎自由党

○原委員長 これより質疑を行いたいと思いますが、通告者がございませんので、直ちに討論に入ります。  討論の申し込みがございませんから、討論はこれにて終局いたしました。  これより運輸省設置法の一部を改正する法律案を採決いたします。本案を原案通り可決いたすことに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

原健三郎自由党

○原委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました。  なおただいま可決されました法律案の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原健三郎自由党

○原委員長 御異議ございませんけれは、さよう取り計らいます。     —————————————

原健三郎自由党

○原委員長 次に海上運送法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)を議題といたします。  本案につきましては去る五月二十八日大臣より提案理由の説明を聴取し、さらに参議院より修正の上送付されましたので、七月十三日その修正部分について説明を聴取いたしました次第でありますが、本日はまず本案について質疑を行います。山本君。

山本友一自由党

○山本(友)委員 近時非常に海陸に交通事故が発生をいたしておるのでございまして、これにかんがみましてか、運輸省から海上運送法の一部を改正する法律案が提出されました。まことに時宜に適したことであって、私はこれには心より賛意を表しておるものでありますが、この際これらの法案が、申すまでもなくお互いの人命を尊重するということが立法の根本になっておりますゆえんにかんがみまして、特に私は大臣に二、三お伺いかつお願いして、これが善処策を講じていただきたい実情を具申申し上げたいと思うのであります。  海上にはいろいろな法律がございまして、船舶安全法とか海上衝突予防法とか船員法とかいうようなものがたくさんございますが、今議題になりました海上運送法の一部改正は、定期部門の主たる問題でございますけれども、これは非常に複雑な問題がこの海上行政上においていろいろ錯綜いたしておりますので、取締り上等におきまして陸上の自動車行政と比べますと、海上の行政というものは何だか劣ったような感じがあるわけでございます。戦前におきましては海上も陸上も同じくこの法律を警察が非常に注意をして監督をしてくれ、あるいは指導をしたものでございますが、終戦この方のあり方は、陸上の自動車行政については警察方面も、定員の超過とか、車体とか、無免許とかいうようなものを徹底的に取り締っておられるのでございますが、海上におきましてはこれが非常に不徹底でございます。従いまして運輸省の出先の官庁の、いわゆる警官にあらざる人が取締りに当っておるのでありまして、名だけでありまして、取締りの内容は少しも施行されておらないというのが現状なのでございます。従いまして一口に申しますと、俗な表現で申しますれば、やみ船と申しまして、成規の資格もない、いわゆる船舶安全法の検査も受けない、あるいは従業員にいたしましても衝突の予防法も知らないという者が、大事なお客様の生命を預かって平然とこの業務を行なっておるということが例の相模湖の事件等が起ります最大の原因なのであります。こういう点を特に運輸省の方で、将来この法律が改正されましても、ただ明文が新たになっただけで、実際上の取締りとか指導とかいうものは等閑に付せられて、何も現実に行われておらないということは、私は法の上からも徹底を期していただきたいということを、まず第一点に申し上げたいと思う。これに対しましてどういうお考えを持っておられるかということを承わりたいと思う。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 山本さんも御承知のように、海上保安庁が取締りの部門をやっておるのですが、まだ役所の歴史も浅く、いろいろ定員等においても、経費の点についても、十分思うようにいかないような点もございますが、しかし最近御指摘のような事故の頻発する現状にかんがみて、現在の与えられた条件のもとで、できる限り取締りを厳重にやって参りたいと思います。またいろいろな法規の周知徹底については、御指摘のような点がございますので、法規の周知徹底については、一段と努力をいたすことにいたしたい。地方の海運局長を通じて、そうして周知徹底をはかりたいと考えております。

山本友一自由党

○山本(友)委員 まずこの海上輸送の地方的の実情を見ますと、一口に申しますと、特定な大会社の国内の定期航路というものは、非常にりっぱな会社がやっておられまするので、かなり安心のラインがあると思いますけれども、今提案されておりまする法律の対象になっておりまする業者は、とかく零細業者がやっておるような実情でございます。従いまして生命確保の点から見ますと、非常に危険を包蔵しておることは、忘れてはならない事実であります。と申しますことは、なぜかと申しますと、一つの例を申し上げますと、海上によりまして交通が確保されておった地形のところも、近時時代の進歩によりまして、バスがつきいたしまして、船の用途が非常に減殺されて参っております。そういう場合に、今の海上のみの収入率をもっては行えないというようなことになっておりますので、今やっておりまする業者の中には、こういうような交通事情の変還によりまして、四苦八苦の経営状態でその日をやっとまかなっておるというような実情でございます。でありまするから、大切な船の設備やあるいは改善だとかいうようなところに、積極的にこれらの力がいかない面がたくさんあることが、地方のこれら弱小交通業者の実態であります。そういうような営業下にありまして、苦難にあえいでおるような状態であります。しかしながら国並びにその府県、その地方から考えますると、この船舶の使命というものは地方道であり、県道であり、また国道の役をなしておる唯一のラインなのでございますので、やめてしまうわけにもいかぬ実情なのでございます。でありまするが、そういうような一部路線のいろいろな作用によって、いわゆる海上の栄養素が伴わないということから、知らぬ間にそういうところに危険が存しておる。業者はこれに対しましてのいわゆる改善費というものがなかなか今の力ではいかないという場合に、ここに交通線を確保し、安全に人命を輸送するという点から、何とか運輸行政上の面において——昔これらに使いまする重油とかいうようなものは、交通線の使命にかんがみまして免税になっておった時代がございます。直接国が助成するとかいうようなことは、今日困難でございましょうけれども、こういう面をぜひとも、地方のこのなくてはならぬ交通ラインという点を、私は何とかやってもらいたい。今御承知のように離島航路整備法という法律ができまして、やっとこれらの存在を認めてもらったような形になっておりますが、これは大臣も御承知のはずでございます。今りっぱな名前で、離島航路に欠けてはならぬ機関であるからという親心はけっこうでございまするが、その内容を見ますると、国の力がたった三千六百万円しか補助金が出ていないようでございます。これを全国の三十幾社という毛のに、その用途の分限に応じまして今の助成をされておる状態でございまするが、離島航路整備法というものがせっかく立法化せられておる際でございまするので、この際特に三千万円やそこらでは、これはもう二階から目薬のような状態で、補助をもらいましても気持だけもらったということで、何もならぬ状態でございます。従いまして船腹の改善等におきましては、ほんとうの零細業者では力がございませんので、こういう点等もあわせて考えていただきたい。ことにこれらの業者の地域の中で非常に並行線ができまして、道路の推移等によりまして、今まで船が行っておったところがバスが行き出した。船はまだたくさんの屈伸性の多い半島等がありまして、やめてしまうわけにもいかないというような事態がございまするところが、全国至るところあるはずでございます。私の体験をいたしたところでもこれはずいぶんございまするが、これらの業者が、いわゆる船を従来交通機関としてやっておったところで、時代の推移によって道路がついたのだから、自動車に転向したい、バスに転向したい場合に、これは交通業者として大臣はいかなる観点からごらんになっておるか。いわゆる陸運行政というものと海運行政というものは、おのずから別であるという御定義を持っておられるか。交通業者という観点から考えれば、私は海陸理由を問いませず、対象物のひとしいものは、同時にその地方の交通業者であるという定義を持っておるのでありますが、そのような点をいかようにお考えになっておるか、この点を承わっておきたいと思います。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 今御指摘のように離島航路はなかなか採算も悪いし、経営の資本力も弱いわけですから、これはどうしてもやはり何とか国の方でいろいろ融資のめんどうを見なければならぬわけです。今年の計画は離島航路の船の建造については五億三千万円という見当をつけて、その中で三億七千百万円は七分五厘の開銀の融資による。それで開銀と今折衝を始めております。これは成功させたい。担保力も少いですから、どうしても市中の融資ではできないわけであります。開銀の融資を確保したいと考えております。  それから後段の海陸については、これは一体のものとして考えないと、交通行政が総合的には参りません。それで一体のものと考えて、運輸行政をやっておる次第でございます。

山本友一自由党

○山本(友)委員 今承わりまして、よくわかりました。特に大臣は離島航路の問題について、特に御関心を持っていただいておりますことを喜びとするものでございますが、私の知った範囲では、あなたの管轄の定期交通船には、助成というものは三千六百万円ほどしかないようですが、五億、三億という数字は、あるいは船を作るときに貸してやろうという数字と思います。船を作るときに貸してくれるものは、もとより貸してもらわなければいきませんが、これは払わなければならぬものでございます。しかし船の日常の経費等は、その効用が道路であり、国道であり、県道でありというものを、個人の力でやっておる公共性にかんがみましても、常のの経費というものを考えていただかなくては、船を作る金を貸してもらうばかりでは、なかなか容易なものではありません。貸してもらいましても、私の体験から申しますと、およそ本船なんかを作りますと、十年間償却でございますが、一割の金利で借りて建造した船は、そのまた一割は償却しなければならぬということです。普通のビルディングなどを建てるような建設費とは違うのでありますから、金さえ貸してやったらということではいかぬのであります。日常の道路の維持費というものを見ていただきたい。いかに台風が吹きましても、この路線だけは、この道路だけは、バラスの一握りも入れてもらったことはないのでございます。あるいは私どもの力において、業者の力において、島の交通を確保するということなんでございますから、特にこれら零細業者の常の維持費ということが、島の産業文化のもとをなしておるのでございますから、貸して下さるのもいいのですが、現実の助成をもう少し見ていただきたい。私は前段に申し上げましたように、国の力に全部依存することは困難でございますが、昔はたとえば重油なんかでも、定期船の使命にかんがみて、輸入税が免税になった時代がございました。そうしたら非常に安く手に入るということが、交通船に携わる者の助かる原因でございます。かようなことが、今後運輸行政施策の面で助ける方法があろうかと存じますので、こういう点もあわせて御勘考をお願い申し上げたいと存じます。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 三億七千百万円と言ったのは、代船建造費であります。今御指摘のような補助、これはやはり海の道路として補助が必要であるという御意見は、その通りだと思います。本年度三千万円という予算は、私も少きに失すると思っております。全体の財政のにらみ合せでこういうふうになったのですが、今後この助成はふやしていかなければならぬと考えております。

山本友一自由党

○山本(友)委員 それから海運局長にお尋ねいたしますが、今度の参議院の修正で——私はまことにあけすけな申し分ですけれども、いろいろな問題でせわしくて、十分研究しておりません。きょうとっさに質問せよということですから、何もそういうところに研究の頭がいかずと質問をして、はなはだ恐縮なんですが、その法案の一つをちょっと見ましたが、三十日以内ならば不定期船の就航を許すという日時制限がついておったように記憶しておりますが、一体、許可制と日時の制限というものがどういう関連性があるかということを、ちょっと承わらしていただきたいと思います。

粟澤一男運輸事務官(海運局長)

○粟澤政府委員 ただいまの御質問の点は、法律では、省令で定めるような短期間の輸送は、許可制からとりはずすというふうな改正になっております。なおこの短期間というのは、大体三十日程度と心得てやってもらいたいという附帯決議がしてあります。三十日と申しますのは、いろいろ臨時運航との関係がありまして、どの程度臨時的にやったものをはずすのか。当初の原案といたしましては、不定期の事業を規制するというものであります。事業として継続的に相当の期間やらなければ定期事業でないという観点で出発したわけであります。その場合に短期というのはどういう程度で押えべきかという御議論がいろいろございまして、大体不定期でも、年間を通じ、あるいは短かくてもある季節というものを見て、非常に客の多い季節に一定期間やるのが常態である。従いまして季節と申しますと、大体二月ないし三月くらい。海水浴ならば二月、あるいは春、秋ならば三月くらいだろう。従ってその季節の中でも、三十日くらいのものは臨時運航と考えて処理した方がいいじゃないか、こういう考え方から出席いたしました。大体三十日ということで区切りにしまして、三十日未満のものは、許可制になる不定期事業というものと解しない、こういうふうにして分界点をはっきりしたわけであります。こういう考えに基いております。

山本友一自由党

○山本(友)委員 御説明でよくわかりましたが、私どもから考えますと、日時を切って、三十日以内だったらしろうとが乗ってもかまわない。航法も何も知らない、あるいは検査も何も通っておらぬ船でもかまわないということを認めたことになるわけですか。

粟澤一男運輸事務官(海運局長)

○粟澤政府委員 海上運送法として事業の許可が要らないという意味でありまして、もちろん船舶安全法あるいは船舶職員法の検査、臨検その他はその方の法律で受ける。従ってただこの海上運送法による事業開始の許可が要らないだけでございます。現在でもそういうものは許可なしで全部やっているわけであります。もちろん船舶安全法で検査は受けております。

山本友一自由党

○山本(友)委員 さよういたしますと、今の船舶安全法の資格があるかないかというようなことは、船舶安全法で取り締るのだ。それから職員法で取締るのだ。それからあなたの今提案されているものは、定期船の事業の許可だ、こういうふうに分類されておりますが、私どもから考えますと、船舶安全法の検査を受けて、資格ある操縦者が乗って、初めて営業に供するということが建前にならねばならぬはずである。それを、あれはこの法律だ、これはこの法律だというような適用は、基本的に違いはしませんか。そういうような資格者があってこそ、初めて営業資格という業者の資格が生まれてくると考えるわけですが、この点どうですか。

粟澤一男運輸事務官(海運局長)

○粟澤政府委員 少し説明の言葉が足りなかったと思いますが、もちろん船については船舶安全法の資格を持っている、あるいは船員については船舶職員法の資格を持っていることは当然のことであります。従って船舶安全法違反、船舶職員法違反の事例があった場合には、本法の許可も取り消す、こういうふうにしておりまして、当然その間に相関関係はあります。

山本友一自由党

○山本(友)委員 お説その通りですが、しかしながらりっぱな資格を持っている者でしたら、あえてこういう問題は必要はない。今の法律改正の要旨も、たとえば相模湖のような問題が起ってはいけないからというようなことが、私はこの立法の精神であると思う。さようにいたしますると、それらの船は今まで運輸省の所管にかかっていなかったはずです。それで船舶安全法とかあるいは職員法とかの適用を受けている船とみなしますか。そういうものが起ったらいけないからということが、この法律の焦点じゃないですか。さよういたしますると、三十日間だったらどんな資格のない者でもかまわないという、日時を開放して、そういうものが成り立つかということなのであります。私はあえてそれらの小さな問題に拘泥しようとは思いませんけれどもも、これでしたら、何十日間だったら悪いことをしてもかまわない、やみ行為を許すということになるわけです。そんなことは私は基本的に立法の精神として本、また運用としてもこれはどういう運用がつくか。かりに悪質業者があって、そういうようなお客の出回り期なんかをねらって、三十日間やることは間違いのない話です。結局お客が出回るときに、俗にいうやみ船が横行するわけで、お客が出回る時期に事故が起るということになる。それをあなたの方が、無資格船を三十日の期間というものを前提にして、公然と認めたということになりましたら、これは立法の精神はどこへ行ったかわからないわけです。その点どういうふうにお考えになりますか。

粟澤一男運輸事務官(海運局長)

○粟澤政府委員 ただいまのお話でございますが、三十日未満でも安全法の検査あるいは職員法の検査を受けるという点は、先ほども申し上げましたが、その通りでございます。海上運送法で三十日未満のものは事業開始の許可が要らないということになりましても、安全法の検査を受けないものは旅客を運ぶことができないわけでございます。その点はあるいはちょっと誤解をしておられるのではないかと思います。

山本友一自由党

○山本(友)委員 さよういたしますると私が前段に申しましたように、だれが取締りをするかということであります。現実問題としてこれを急にやらんとしたときに、その船が船舶安全法による資格があるかないかということをだれが取締りをするか。海運局の出先くらいでそういうような全国至るところに起る事案に対しまして、あなたの言われるような定義論は成り立たないのであります。さようにいたしますると、営業という一つの行為を行うのには、そう二つも三つもの人格に分れて、監督官庁なりが指導監督をする必要はない。いわゆる営業ということになればそれが一体化して、そういう資格のあるものが前提であるし、また資格のある乗務員が乗って初めて営業が許されるのだという前提こそ、私は先決じゃないかと思う。そういうあなたのような話では、あるやらないやらわからぬ、仮定のものが現実にやっておったということにしかならぬことになる。それでは私はこの立会の上、あるいは取締りの上で実に不徹底きわまることであって、前段にも申しましたようにやみ行為を公然と許す結果になるということを思うわけでございますが、あくまでも二元、三元に取り締る必要はない。いわゆる船舶安全法で取り締るのだ、あるいは船員法で取り締るのだ、こう言われましたところで、営業という一つの行為を行うのに、それが前提にならねば営業というものが実現できないという、その前提が基礎になってこそ、私は初めて資格的の営業者だと思うわけです。それが何やらかにやらわからぬ定義で、三十日の間は悪いことをしてもかまわない。これは逆用する者は必ず得手のいいところを使うに違いありません。これが逆用されぬということが保証できますか。

粟澤一男運輸事務官(海運局長)

○粟澤政府委員 お話の通り安全法の検査は海上保安庁がやる、あるいは職員法の検査はまた別の官庁がやるということは、決して好ましくないことであろうとは考えます。しかし現実にはやはり少くともそういうふうに分れておるのでありまして、たとえば川やあるいは湖といったような場合には、さらに海上保安庁にしましても、先ほど大臣からお話のように手不足の点もございます。従いまして現在は陸上の所轄の警察にも連絡いたしまして、取締りには注意を払っておるわけであります。また今のお話のような場合にも、三十日未満の船でございましても、船として海上に浮んで人を運んでおる以上、これは検査なくしてそういうことをふだんからやっておるということはできないわけであります。従って今回三十日未満から本法の許可は要らないということにしましても、船として浮んでいる以上、全然無検査で貨物にしても何にしても運ぶことはできないわけであります。従いまして必ず検査を受けて、貨物を運ぶ、あるいは定員は何名というような検査証を持って浮んでおるわけであります。そういう検査を受けていないものは当然わかるわけでございますので、お話のようなことはないと思います。

山本友一自由党

○山本(友)委員 あなたの言われるのは全く定義論で、船というものは検査を受けておらないものは船じゃないというように受け取れるわけですが、検査を受けていない船がたくさんあるから、今度の法律をこしらえる必要があったのじゃないでしょうか。そういう検査を受けている資格船でしたら、すでにこの法律の対象になっておるわけであります。そういうような無資格なものが無軌道な行為をやって、とうとい人命を危険にさらしておるということが、この改正法の精神と私は思っております。私どもが日常これらの業態を見ておりましても、かくあらねばならぬと考えております。特にそういうようなりっぱな、船舶安全法の検査を受けた資格船のみでございましたら、事はないのであります。事はないが、前段申しましたような無資格船の、今の航法も何も知らない、衝突の予防法も知らない人がやることがいけないということで、そういうような船はないのだと言ってあなたが否定したところで、これはもう子供の話でございますので、そういうような無資格船の無軌道な、無統制なことを統制あらしめるということが法律の精神であります以上、何日間は悪いことをしてもかまわないということは、全くもって不可解千万だと思っておりますが、あえて固執はいたしません。せっかく参議院の方から来たものですから、固執はいたしませんが、実際どうして取締りをしますか。

粟澤一男運輸事務官(海運局長)

○粟澤政府委員 御修正の趣旨としては、大体三十日程度ですと、先ほど申し上げましたように期間も非常に短かいということで、一季節全部というわけでもございませんので、大体既存の業者に対する影響もそう甚大ではなかろうというような点から、一応三十日という線を引かれたわけでございますが、先ほど私は安全法の検査その他は三十日未満も当然受けるということを申し上げましたけれども、おっしゃる通り今の船の全部が安全法その他の検査を十分完全に受けて、危険のない状態であるということを申し上げておるのでは決してございません。その点におきましては山本先生のおっしゃることは私にもよくわかるわけであります。

山本友一自由党

○山本(友)委員 こういうように三十日の期間ならかまわない、あなたは短かい期間だからかまわないと言う、ここが定義の分れ目でありますが、俗に申しまして、用のないときに船を動かす必要はない。お客の出回らない時期に船を動かす必要はない。しかもお客の出回るのも、一月以内にもチャンスというか、やはり時期がある。それでしたらあとの、今の定期船業者というものは骨抜きになってしまうわけであります。お客のあるときにはぽっこりそういうようなやみ船が、しかも法律で三十日間はかまわぬという保証をしてもらって、公々然と有用な期間中やってしまう。それであとの定期船業者は、客のあるときもないときも一年中義務づけられて、お客が一人も乗らないでも定期船の使命を果している。大事なお客のあるときには、無資格のやみ船がぽっこり出てきてお客を積んでしまうというのでは、あとの定期船の経営が困難になるのは当然であるわけでありまして、かような点から、前段大臣にお尋ねしましたように、既存の業者の擁護ということを多少考えてもらわなくては——私は絶対にこれの肩を持てというようなことは言いたくございません。言いたくございませんが、その交通を健全ならしめんがためには、陽に陰に行政面でもこういうような庇護が一面から申しますればあってしかるべきものではないか。一つの海上の道路であります以上、しかも今度のような法律というものは、勝手のいいときは非合法で少しもかまわない。今まで遠慮しておったものでも、遠慮しなくてもよろしいという、日時の制限だけになった、実にこれはばかな法律であります。だれが改正をしたか知りませんが、そういうような安っぽい命ではないはずであります。三十日間航法も知らない船によってかまわないということで、船の取締りがどうしてできます。そんなばかげたことは、実に運輸行政としては大きなマイナスだと思う。今の船舶安全法も、基本的には人命を保護しようということ、これが第一、それから職員法もあるいは衝突予防法というものも、これみなすべてとうといみんなの人命を安全ならしめんがためにできておるのであります。それを航法も知らない、船舶安全法の資格も受けていないような船でかまわないということは、基本的に私は反対であります。ですが、一応この法律が修正されました以上、あえてこれに固執はいたしませんが、取締り当局としては、これはずいぶん不徹底な取締りをしなくてはならない。三十日という起算日をいつに置くかということも、これはだれやらちっともわからない。だれが起算日の責任を持っておるかも——かりに船地を中心とした場合には、その立証の方法がないと思います。そうしたらやみ船は年中かまわない。三日休んでは三十日やりますれば、これは運輸省やあるいは関係当局の、船舶安全法とか職員法とか、あるいはまた次に大臣がお考えになっている保険法とかいうようなあつかましい問題をずいぶん受けて、その使命を全うせんとしようとしておるが、こういうような非合法なものが合法的に認められるということになりましたならば、一体それらの業者の事業というものが成り立つか成り立たぬかということについて、私は運輸行政面のはっきりした御指導の理念を承わっておきたいと思います。これはまことに御迷惑ですが、三木大臣から御答弁をいただきたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 これは参議院の修正でそういうことになったわけですが、おそらく参議院としても三十日の期間、臨時的にやるものは、この法律から除外をすることが適当だという判断でありましょう。ただ今御指摘のような船員法その他の法規の適用は、この法案だけが三十日未満のものは適用外になるというので、その他一般の法規は適用外になるわけではないのであります。ただ、今山本さんの言われるように、これはやはり三十日間という期間、しょっちゅう一日くらい休んで、また三十日というようなことで、結局いろいろな法規の制約を受けても、取締りが十分でなければこれが非常に立法の抜け穴になるのではないか、ごもっともだと思います。従ってそういう点は運輸行政の取締りの面で、これが大きな抜け穴になって、この法律案がねらっておる目的を達せられないようなことのないようにいたしたい。そういうふうに考えております。

山本友一自由党

○山本(友)委員 一応これでけっこうです。

原健三郎自由党

○原委員長 これにて質疑は終局いたしました。  これより討論に入りたいと思いますが、討論の通告がございませんので、この際討論を省略して、直ちに採決いたします。  本案を参議院送付案の通り可決いたすことに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕

原健三郎自由党

○原委員長 起立総員。よって本案は参議院送付案の通り可決いたしました。  なおただいま可決されました法律案の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任いただきたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原健三郎自由党

○原委員長 それではさよう取り計います。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗