運輸委員会 第22号
- 発言数
- 17 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1955/06/17
会議録
○原委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。 本日は自動車損害賠償保障法案について、参考人各位より御意見を聴取いたすことになっておりますが、御出席いただけることになっておりました我妻栄君は旅行中のため出席いたしかねる旨の連絡がありました。なお主婦連の船田文子君の代理として春野鶴子君が、またトラック協会の小野哲君の代理としては副会長京極友助君が御出席になりましたので、さよう御了承願います。 なお参考人の方々に申し上げたいのでございますが、大へん開会がおくれまして非常に恐縮に存じておる次第でございます。御多用中貴重な時間をおさきいただきまして、本委員会に御出席賜わりましたことはまことにありがたく、本委員会を代表して委員長からつつしんで厚く御礼申し上げる次第であります。 なお御通知申し上げましたように、お一人大体十分間程度御意見をお述べいただき、各参考人の意見の陳述が終った後、委員各位の質疑を許したいと存じますので、さよう御了承いただきたいと存じます。 それではこれより参考人各位より意見の陳述を求めます。まず最初に主婦連合会政治部長春野鶴子君。
○春野参考人 利用者側を代表いたしまして、主婦連合会といたしましては自動車損害賠償保障法ができることに賛成いたします。大へん激増いたしております自動車の交通量に従いまして、交通禍も大へん激しくなっております。毎日新聞を拝見いたしましても、事故の報道が載っていない日はほとんどないと思われるほど盛んでございます。その上にもしこの輪禍にあいますと、よくひかれ損であったり、そのまま泣き寝入りしてしまう。あるいは先方から損害の補償がかりになされましても申しわけ程度のことであったり、あるいはまた加害者側が非常に良心的な方であって何とか賠償したいというお気持がおありになっても、残念ながらその能力が伴わないというふうなことで、被害者が被害倒れになる例が大へん多かったように存じます。ですから同じ災難にあった場合でも、たとえば国鉄だとかあるいは非常に大きい会社の自動車であったという場合には、同じ不幸な中でも賠償金がいただける、そういうことがありますけれども、そのほかの場合は何となく示談でわずかなお金で済んでしまったり、そういうような例が非常に多かった。ですから一体この輪禍にかかりますと、ほんとうに被害者側の不幸は、何というか、踏んだりけったりというような事例が多かったように存じます。中には非常に悪質なひき逃げなどというのがございまして、こういう場合には、この間新聞紙上にも大きく報道されましたけれども、あの少女の手紙なんかの例は、決してあのお子さんたちだけの例ではございませんで、全国的には相当多い例でございます。この場合はほんとうにどこに泣きつくすべもなく、ことに災難にあわれた方が一家の支柱であられたというような場合には、被害者一族の不幸はこの上もないことであるわけでございます。 ことにたとえば最近の東京都内などの様子を見ましても、警察だとか運輸省その他で非常に交通安全ということが叫ばれます。この間中は皮肉にも交通安全週間に、大きな事故が続出したようなありさまであったり、都内の様子を見ましても、流しのタクシーやオート三輪、スクーター、遊覧バス、定期のバス、トラック、それに加えて電車というように無数の交通機関が、主として自動車が、もともと狭く作られております道路に横行濶歩いたしております。ですからお年寄りや子供さんは、とても一人では向う側へ横断ができない。たとえばこの間主婦連などでたくさんの地方の方が上京しておいでになった。そうしますと目が回るみたいで、わずかこちら側から向う側の道路に渡りたいというのでも、手を引いて私どもお渡ししたというようなありさまでございます。ですから毎日々々歩行者はいわば瞬間の危険にさらされているというありさまだと思います。都内のバスなどはそれほどではございませんとしましても、近ごろ家庭の者も大へん利用するようになりました流しのタクシーになりますと、もし運転手の方が若くて勢いのよい方ですと、非常にスピードを出されます。おりるまでからだをこわばらせて、はらはらしながら乗っておるというようなことで、新聞にもよく伝えられますように、外国の方が陸上の特攻隊だと言われるような、そういうありさまでございます。連絡船や修学旅行などのたび重なった大きな事故もさることながら、市民は毎日危険のちまたにさらされておる。こういうことが非常に残念でありますが、私どもにはそのように受け取られているわけでございます。 この法律で自動車を動かす方々が全部一応保険金を支払われて、いつどこで事故が生じましても、運転なさる方も、あるいはひかれた方も一応保護される、人身の保護がされる、これが一つ。ことにひき逃げなどの場合加害者がわからない、そういう場合は国がこれを補償されるという骨子のように承わりますが、こんなことはこの四、五年の間交通量がふえるのに従って、もう少し早く考えられてもよかったことだ、こういうふうに思っております。ただ利用者側といたしまして願いますことは、この法律の成立と同時に、それ以前のこと、法律以前のこと、あるいはまた成立いたしました以後の問題に、政府も業界の方々も、また一般の私どもといたしましても、十分考えねばならないことがたくさんあると思います。私たちはこの法律で輪禍の死傷に対する賠償、それがたとえば、これはいずれ後ほどきめられる額でございましょうが、もし輪禍で死んだ場合には保険金は三十万円とか、あるいは二十万円になりますか、そこはわかりませんが、支払われる。あるいは傷を負った場合には重傷なら十万円だとか、軽傷であれば三万円とか、四万円、そういう額がきまると思いますが、けれどもかりにそうなったからといって、そういうお金をいただけるということよりも、それ以前にできるだけお互い同士のほとんど人間の注意力、その他によって防げる事故が、自動車の場合には多いのではないかと思います。ですからそういうことを極力注意することに最善の努力をいたしまして、そうして災難を受けたくない、輪禍を受けたくない、安心して自動車にも乗りたいし、バスにも乗って通勤をいたしたいし、道を歩くにも老人、子供であっても、安心して自分たちの国の自分たちの道を歩きたい。これが第一の願いであります。このためには交通に関しては運輸省だとか、あるいは警察その他関係官庁の方々、あるいは業者の方々が、人の命を預かる大切な仕事なのだということをよくよく今まで以上にお考えいただいて、関係各官庁が緊密な連絡をしていただく。また業者の方々も今まで以上に厳重な、あるいは慎重なるお心がまえで、この事故防止ということの対策を立っていただきたい。 その次にこの法律によります保険料が、業者の方々に過大な負担になりましたり、そのことがひいては会社で働かれる運転手の方々にその負担をさせる、あるいは中小企業の方の会社の自動車を使用される方々に対しては、何か自動車税と同じような増税という感じを与えたり、負担を与えたり、そういうことがひいては料金の値上げになったり、あるいは物を運搬する運搬料の値上りになったりするようなことがあっては困ると思っております。 次に、不幸にして輪禍か生じました場合に、これはひかれた方が悪かったんだ、いや運転手の不注意なんだというような判定が、大へんむずかしかろうと思います。そういうようなことのために、目の前でけがをしたり、なくなられたりいたしましたその者自身に、とりあえず必要な保険料、見舞といったものの支払いが大へんおくれてしまうというようなことのないように、何とか一つ輪禍が生じましたらすみやかに保険金が支払われるように、御措置を願いたいと思います。 それから支払いの場合に、よくおとなの場合とか子供の場合とかということで、額に非常な差がございますが、これもなるべく差をつけないでいただきたい。特に考慮していただきたいのは、経済的な支柱になっておられるお父様方のような場合は別といたしましても、その他の場合はあまりおとな、子供の差をつけていただきたくないのでございます。 それからこの法律がきまりますと、たとえばなくなられた場合には三十万円とか、負傷の場合には六万円とかと、かりに保険金がきまったといたします。そうしますとそれが一つの標準のような形になりまして、いわば最低の補償かもしれませんのに、それが輪禍の場合の損害賠償の一つの標準のように考えられて、たとえば相当大きなところとかあるいは能力のある方々が、今までは道義的な気持から五十万円とか八十万円というようなお見舞やら補償やら賠償やらをなさっていた。それが、三十万円この保険から支払われてしまえば、あとはもう知らぬふりしてもそれで済むんだというような考えにもしなるとすれば、これは利用者としては残念であり、そうあってはならないと思います。 それから業者の方々には、人命を預かる仕事でございますので、これまでも当然それぞれの会社で民間の保険会社に契約をなさって、不時の輪禍に備えておられた例が多いと承わっております。ところがそれが間々人命よりも、あるいは運転手あるいはひかれた人たちに対して賠償する保険ではなくて、車体を守る、車体をすぐ買いかえるという意味の保険契約であったというふうに聞くことは大へん残念なことで、自分も人もかけがえのない命でございますから、自他ともに保護していくということに最大の責任感をお感じいただいて、この業務に携わられる方方が、その強い責任感のもとに、こういった道をみずから進んで守り育てていこうというような気持になっていただけたら、大へんけっこうだと思います。 最後に、いよいよこの法律が施行されました場合、向う一年間の統計をとりまして、事故をたくさん起した会社とか自動車とか、これは当然保険料を相当たくさん支払わせるわけでございます。反面には非常に気をつけて無事故あるいは事故が非常に少かったという会社もある。そうしますと事故を起さなかった会社や使用者は、まるで保険料金を払い損をしたことになる。事故をたくさん起した方々のために、よけい分担金を出させられたというふうになりはしないかと思います。ですからそういった場合に、これは私どもの非常になれない考え方でございますが、次の保険料金で、たとえば事故をたくさん起された方々には保険料金が非常に増額され、無事故で通されたような方には保険料の払い戻しがあるとか減額されるとか、そういったある程度の裏づけめいた処置がなされたらいかがかと思っております。こういうふうな点に対しまして、後日行われます審議会などで十分御考慮いただいて、りっぱな運用がなされるようにお願いいたします。 なお、将来人身だけの保障ではなくて物の面にも、また海の多いわが国のことでございますから、相模湖のような例にかんがみまして、船舶の方にまでこういう保障制度を実現していただくならば大へんうれしいことだと思っております。
○原委員長 次に日本トラック協会副会長京極友助君。
○京極参考人 私は日本トラック協会副会長京極友助でございます。同時に東京トラック協会会長をいたしておりますが、業者といたしましては、京橋運送という百二十台程度のトラックを動かす会社を経営いたしております。また東京交通安全協会等の役員をいたしておりまして、交通事故防止ということに常に携わっておりますので、いろいろの意味から相当公正な意見を述べることができると自負いたしておる次第でございます。 本法案に対しましては、結論的に申しますれば条件付賛成でございます。これはもちろんわれわれとにかく車両を動かす者といたしましては、負担の増加になることではございますが、人道的見地より見まして、輪禍により死亡しあるいは傷ついた人たちが報われないということがあってはならないと思いますので、保険によりましてそういう社会悪がなくなるということは、けっこうなことだと思います。ただいま主婦連合会の方からもお話がございましたが、交通量の増大に伴う交通事故の頻発につきましては、私どもも常に非常に頭を悩ましておるところでございまして、現在の東京などの状況から見ますと、車が多過ぎるのではないかということを、われわれ車を持っておる者としましては痛感いたしておるのでございます。ともあれ、その防止のために努力することは当然でございますが、起りました事故につきましては、国家としても万全の策が講じられなければならないと思います。 この保険は、たとえば健康保険とか失業保険等と異なりまして、受益者はその契約者自身ではなく——間接には受益者となる場合もありますけれども、直接の受益者は被害者でございます。そういう意味から、あるいはまた強制保険である意味から、またひき逃げ等の賠償も行うのだというような意味、あらゆる意味から申しましても、これは非常に社会保障制度でございます。従ってこれにつきましては、相当な国庫補助があっていい性質のものであると私どもは考えております。去る十三日の参議院運輸委員会公聴会におきまして、慶応大学の園教授が学究的立場からいうことで、国庫補助の必要性を説かれたことは、まことに私ども同感の至りでございます。われわれ協会といたしましても、相当なる国庫補助を要望いたしたいのでございますが、本原案には予算の関係よりそれが削除されまして、再保険制度にとどまりました。しかもその予算が三十年度において千人百万円というきわめて僅少な額にとどまりましたことも、遺憾に存じておる次第でございます。ともあれ、これに関する国庫補助的の性格を推し進めて今後ともますます、この法律が成立いたしました暁におきましても、その意味におけるところの進展を切望しておるものでございます。 ともあれ、ここに現われました法案に基きまして、われわれはどうしたらばよろしいか。これに賛成はいたしますが、自動車運行業者としての立場から見まして、この法案がいかにあればわれわれは賛成できるかということを申し上げてみたいと思います。 まず第一番に、私どもはトラック業者でございますが、トラック事業は今きわめて疲弊こんぱいの状態にあるのでございます。トラック事業は免許事業でございまして、戦前あるいは戦時中あるいは終戦直後のきわめて困難なる状態におきましても、この免許事業の特質を生かしまして、国に必要なる運輸の重責を果して参ったのでございますが、近年法の不備あるいは運用に基きますか、免許を受けないところの自家用車が運送行為を行う、これが非常に増加いたしましたこと、あるいはまた免許を非常に乱発いたされまして、要するに免許非免許にかかわらず車がふえたということによりまして、貨物に比して車両が多過ぎる、そこで不当競争が起りまして、ほとんど例外なくトラック事業は困難なる立場に立ち至りました。しかも昨年ガソリン税を増額され、今また今年も諸税減税の中におきましてガソリン税だけを増額するということが、ただいま議会に上っておるような状況でございます。そういう際負担がふえるということは、ほとんど事業を壊滅に陥れることになるのでございますので、何とかわれわれの事業を壊滅させずしてこの法案を成立し、これを健全に運営していくことに協力したいと思うのでございます。その意味におきましてまず何と申しましても、保険料が安くなければわれわれはやっていけない、保険料を安くすることの一つの方法といたしまして、賠償金額を再検討していただくことが必要じゃないか。これはもとより法案そのものにはございませんので、省令によって定まるところでございますが、ただいまの試案によりますと、トラックの場合におきまして一事故については五十万円、死亡は三十万円、重傷は十万円、軽傷は三万円というふうに承わっております。もとより人の生命にかかわることでございますから、三十万円でも決して多いとは存じません。しかしながら国庫補助によってこれが行われるということであれば、もとより多々ますます弁ずでございますけれども、被保険者の保険料によってまかなわれるという場合には、当然金額が多ければ保険料が多くなるということになるのでございます。従来われわれが運送業者といたしましての長年の経験によりましても、死亡の事故で二十万を超過する事故というものはきわめてまれでございます。これを死亡を二十万、重傷を七万、軽傷を二万、一事故の総額を三十万という程度に圧縮されていいのではないか、もちろんそれ以上の賠償をする必要がありました場合には、保険以外に賠償をするということにしてはどうか。従来事故と申しますものが必ず車両側にあるとは限りませんで、通行者の責任による場合が相当多いのであります。しかしながら従来はたといその責任が被害者の方にありましても、とにかくある程度の見舞金的賠償をするという慣例にもなっておりました。従って二十万というと安いようでありますけれども、双方の責任、双方の過失という場合が多いことを考慮いたしますと、大ていのケースは二十方以下で済むということになると考えます。 次に保険料の問題でございますが、試案を承わりますと、トラックの場合年額六千六百円というふうに聞いておりますが、これは非常に高率であると考えます。現在私ども自動車賠償保険に加入いたしておりますが、三十万円の賠償の保険料は八千六百円でございます。これは人身と物件と双方を含んでおります。ただしその損害額の四分の三だけしか保険会社は填補いたしませんで、四分の一は自己負担でございますから、四十万円契約いたしておけば三十万円はもらえる、四十万円の事故でも三十万円もらえるということになるわけでございます。そこで四十万円ということを考えまして、四十万円の料率は九千四百円でございます。それに対しまして車両五十台以上ですと一割引でございます。代理店の手数料を大体例外なく一割程度は割り戻してもらっております。従いましてその八掛を見ますと、七千五百二十円であります。これは物件を含んでおりますので、人身と物件との比率、これを保険会社に聞きますと、大体半々あるいは人身の方が少し少いくらいということでございます。金額的にそういうような実績であるそうでございます。そういたしますとまずプロバビリティの問題といたしまして、その半分だけを見ておけば、人身事故の三十万円の賠償はまかなえるのではないか。従って九千四百円の八掛のさらに半分ということですと、三千七百六十円でございます。三千七百六十円あれば、三十万円でも済むのじゃないかということでございます、もっとも現在の法案によりますと、一事故五十万円ということがございまして、一ぺんに二人傷つけたり、二人死んだという場合には、五十万円まで出るということでございますが、これはきわめてまれなケースでございまして、それによって受ける利益というものは、ほとんど問題にならないと思います。今の案によりますと自動更新でございまして、三十万円一ぺん払っても、また二度、三度と事故を起したら何べんでも払ってもらえるということが、ただいまの保険会社の制度と違っておりますが、そういうこともきわめてまれなケースであります。一方私の計算いたしました四十万円と三十万円との差の十万円というものの利益を考えますと、この点はほとんど相殺できるのじゃないかと思います。そこで同じような計算で、二十万円受け取りということで計算いたしますと、二千六百六十円程度になります。なおまた保険会社に聞きますと、現在人身賠償保険を契約しておる車両数は、全体の車両数の大体一五%ぐらいと承わっております。しかも契約しておるところは、概して事故の多い業者が契約しております。事故の少いところは契約してない。従ってきわめて事故が多いから、自動車賠償保険は引き合わないということを保険会社は言っておられますが、これが今回強制的に全車両が加入するのだということになれば、いわゆる純保険料も少くて済む。ことに付加保険料の場合におきましては、非常に減少するということが考えられます。たとえば純保険料が二〇%少くて済む、付加保険料が八〇%少くて済むということになれば、保険の原価は半額になるということになります。従って千三百円、千五百円くらいで二十万円の保険ができるのではないか、こういうふうに考えます。これはしろうと考えでありますから、実際はそういうわけに参らないかもしれませんが、要するに保険料が安くならないならば、この法案に対しては、法案そのものにもわれわれは反対せざるを得ないということになるのであります。それで人身賠償が今度は今までの保険会社の保険から除かれますから、そういたしますと。物件賠償もまた別に契約しなければならぬ。物件賠償の保険料がどの程度になるのかということは保険会社でもまだ正確な案を立てておいでにならないようでありますが、かりにこれが今までの半分といたしましても、今の原案によりますと、六千六百円のほかに三千三百円払わなければならぬ。十万円でもそういうことになる。非常に負担がふえるということでありますので、この保険料については深甚なる考慮を払われまして、われわれの要望するような妥当なる線が出ますことを切望いたす次第であります。 次に保険者でございますが、これは保険会社が保険者となるとなっております。これは私はこれでけっこうだと思います。しかし保険会社はどこまでもこの事業につきましては、いわゆる国家機関の代行という意味で、営利を目的とせず、現在でも自動車保険は引き合わないということを伺っておりますが、引き合わないままでごしんぼうなさって、これによって利益を見るということでなくやっていただきたい。 次に代理店でございますが、代理店は第三十条を見ますと、「自動車運送又は通運事業の振興を図ることを目的として組織する団体その他の者」となっております。われわれの組織しておりますトラック協会とかいうものが代理店となる、これはたいへんけっこうだと思います。ところがこれで見ますと、自家用自動車の団体は入っていないようであります。しかしながら自家用自動車の団体も入ってよろしいのではないか。要するに自動車を運行するものの団体は、すべてこの範疇に入るということが必要だと思う。そして「その他の者」とありますのは、既存の代理店でありますが、ただいま申しましたように、運送業者あるいは自家用すべてを通じて、自動車を持っておる者は、すべてそれぞれの団体に入ることが、強制的にそういうふうな組織となり、そしてこの自動車保険につきましてはその団体がすべて代理店を行うということになれば、きわめて系統が正しく、正確なる運営が行われ、かつ団体のことでございますから、営利は目的としませんから、手数料もきわめて少くて済むということになりまして、自動車運行者はこれによって相当な利益を得ることができると考えられます。 その次に自家保障の問題でございますが、現在の構想では、三百台以上のところは自家保障してもよろしいということになっておるそうであります。これにつきましては、基礎がかたく、その賠償能力があると見込まれたところは、三百台以下でも認めていただけばけっこうだと思っております。なおまた協同組合等によりまして、これは三百台といわず、千台でもよろしいのですが、要するに相当な台数を自家保障することが認められれば、きわめて進歩的な行き方ではないかと思います。 その次は、先刻も主婦連合会の方からもお話がございましたが、成績によって差をつける。たとえば労災保険でもメリット制がありますが、メリット制的取扱いの問題、あるいはまた無事故の払い戻し、あるいはまた地域差をつける。これは私ども東京の業者としては、地域差がない方がよろしいのでございますが、とにかく全体的に考えまして、きわめて事故の少い、交通量のきわめて少いところは、安くてもよろしいのではないか、そういうような考慮は払ってもいいのではないか。 以上私の考えを述べました。要するにそういうような点を十分考慮せられまして、この法案が業者を圧迫することなく、きわめて健全に運営いたされまして、人類の福祉に貢献するならば、きわめて幸甚である、かように考える次第であります。
○原委員長 参考人の方々に申し上げます。参考人の方々は多数でございますので、御意見はなるべく簡潔に、十分以内くらいにお願い申し上げます。あとでなお委員の質疑がございますから、その節また御意見を述べていただきたいと存じます。よろしく御了承願います。 次に共栄火災海上保険相互会社社長宮城孝治君。
○宮城参考人 私は共栄火災海上保険相互会社の社長でございますが、保険会社で組織をいたしております日本損害保険協会の常任理事もいたしておりますので、業界を代表いたしまして、業界の意見を申し上述べたいと思います。 本法案は、自動車の事故で人の生命または身体が損害を受けましたときに、その損害について、いかなる場合でも原則として賠償がなされるという制度を実現しようとするものでありまして、きわめて社会性に富んだ公共的なものとして、私どもはその趣旨において賛意を表しておるのでございます。すなわち民営保険の立場といたしましては、本案の細部について多少の問題がないではございませんが、日ごろ保険事業をもって公共的な事業であると信じておりまする私どもが、本制度のようなきわめて社会性の高い、公共事業に本質的に参加することになるのでありますから、この点を私どもはきわめて重視いたしまして、あえて協力を惜しんではならない、かように考えております。 そこで私どもの立場から見た本制度の特色と申しますか、特徴と申しますか、そういう点を考えてみますと、いろいろ考えられるのでございますが、特に次の三点があげられると思います。第一に、賠償責任をほとんど無過失責任に近いものにいたしております。第二に、すべての自動車はこの保険をつけなければならぬ。すなわち強制保険であることでございます。第三には、この事業を行う保険会社といたしまして、いかなる申し込みでもこれを受けましたときには拒絶することかできない。言葉が多少適当でないかもしれませんが、強制引き受けあるいは当然引き受けというような性質を持っておる。その他この保険事業が非営利でなければならぬ、あるいは国家に六〇%の再保険をするものであるというようなことなども、付随的にやはり特色として考えられると存じております。前にも申しましたように、私どもはこの法案に趣旨において賛成をいたしておるのでありますが、制度の上または保険技術の上から、幾らか問題がないではないのでございます。それで保険制度の面からと、それから保険技術の面から見まして、関係のある点を申し上げたいと思います。 保険制度の上から見ますと、大蔵大臣の免許を要する事業ではございますが、私どもの保険事業は原則といたしまして自由企業でございまして、保険につける物件に対しまして、物件そのものを選択する自由を持っておる。経営上責任を持つことができると考えました場合にはこれを引き受け、またそうでないと思いましたときにはこれを引き受けない。いわばこれは保険者といたしましてアンダーライターといいますか、保険者といたしましての責任でございます。また本質である。かようにされておるのでございますが、今回この法案に基くものは、原則といたしましては引き受けを拒絶できない。選択の自由を建前といたしておりまする民営保険が、強制保険を強制的に断然引き受けなければならぬという形をとっておるのでございます。私どもはつまり自由を建前とする民営保険が、強制保険を当然引き受けるというような形でございますが、この形を排撃するものではございませんが、運営上十分考慮を要する点である、かように考えておるのでございます。すなわち自動車事故が発出いたしまするその頻度の測定と申しますか、事故の件数の測定、あるいはそれをもととして算出をされる保険料率でございますとか、純保険料でございますが、そういうようなものと関連を持つのでございますが、この測定または料率を誤まりますと、保険引き受けの自由選択のできる場合と異なりまして、経営上過重の重荷になるのではないかということが心配されております。この事業は営利が排除されておりますが、私どもはこの非営利の点についてもちろん反対するものではございませんが、利益を上げる必要はないが、しかしその反面損失のないように、すなわち収支相償う道を考えなければならぬのでございます。従って今回のような場合は、特に自動車事故の件数の適正なる測定、また従って適当な料率の算出が根本問題となるやに考えておるのでございます。私どもはこの制度が実施されますと、どういうような運営をしなければならぬかというようなことを考えますが、その直後に予想される不安は、この料率の問題にかかっておるというように思っております。もちろん適正な料率の算定は、法案によりますと、私どもがもちろん原案を計算いたしまして、これを大蔵大臣に提出いたしまして、大蔵大臣は運輸大臣と諮りまして、別に法律で定められる審議会の議を経て認可をすることになっておるのでありまするから、いろいろな議を経て正しい料率が作られるとは存じますけれども、そうして私どもの第一の責任は、私どもの業者のみずからの資料によって正しい料率を出すという責任がございますのですけれども、これがやはり強制保険というようなものと関連をいたして考えてみますると、事故の件数というようなものが従来官庁などに届け出られておりまするものとは違った、もっと上回った件数が出るのではないか、こういうように予想いたしております。それは往々他国にも例があるやに聞いておりまするが、強制的になりました場合には、保険料を払っておるから保険金をもらわなければ損だというような、入間の利己的な性質などから危険が増大する、あるいはまた自動車に保険をつけておるから安心であるというような安心感から事故の件数がふえる。あるいは従来でございますと、免許状の関係などもございまして、軽微な件数などはなるべくこれを表には出さないようにやっておった、こういうように保険料を払い、かつまた強制でやっておるのだからもらわなければというので、従来表に出なかった件数などが出てくるというので、予測しない危険がふえるのではないか、かように存ずるのでありまして、純保険料を算出いたしまする場合には、このような潜在的な事故を十分考慮に入れた測定のもとに適正料率を算出することは、今回のような場合には特に必要なことだ、かように考えておるのでございまして、従来の事故の統計をどう見るかということは相当な問題と考えられます。 これは純保険料の問題でございますが、そのほか付加保険料につきましても、私どもの現在やっております業種とは別個な保険といたしまして経理もいたさなければなりません。またガラス張りの中で事業をいたさなければなりませんので、そして非営利性でございますので、この付加保険料と考えられる保険会社の必要な経費、こういうようなものもある程度御考慮願って、その機能が十分私どもが働いてお役に立つだけの考慮をお払いいただきたい、かように存じます。こういうようにいたしますと、保険会社の都合のいいことばかり言っておるようにちょっと取れますけれども、そうして、前の参考人の方からお話のありましたように、保険料は安いほどいいのだというようなことと対立するように考えられますけれども、私どもさようには考えておりません。私ども国とともに見合せた明るい経理をいたしまして、正しい損害に見合うべき料率、または必要な経費を加算した正しい料率ということを考えるのでございまして、もし社会的に見ましてそういうようにして、正しく計算した料率がなおかつ業界に過重な負担をかけるのだ、業界というのは自動車の業界でございますが、かけるということでございますならば、それは私は国の補助に待たねばならぬというふうに考えられる点があるのじゃないかと思います。こういうような道も広げて差しつかえないのじゃないか、かように私は考えております。 次に、保険技術の上から見ますと、再保険に関連をいたしまして、先ほど申しましたように六〇%を政府の再保険に出さなければならぬ。また保険証を発行いたしましたり、あるいは保険金——これは損害の賠償金でございますが、その査定をいたしましたり支払いをいたしましたり、あるは仮払いをするというような一連の事務的な点、そういうような点に私どもは果して法律が期待するような能力を、フルに発揮できるような仕組みにできておるかどうか、こういう問題があるように考えるのでございます。 この再保険の問題でございますが、これは純粋の立場から申しますと、この自動車の損害賠償が、一人当りの賠償が三十万円余に聞いておるのでございますが、その程度の危険でありまして、これが分散をいたしておるのでありますから、純粋に考えますと国への再保険の必要ということは、問題がないのではないかとも考えられる点がございます。これは露骨な言葉でございますが、この程度の保険でしかも強制というような形でありますならば、業界自体でもできるのじゃないか、極端に考えればそのようにも考えますけれども、本制度では国がある程度直接関与をしようというお気持もありますし、またそういうことが全体の社会保障的社会政策的観点という立場から、やはり国がある程度関与した方がよろしいというふうにも私ども思うのでありますが、これは国の関与の形式といたしましては、この法案で拝見いたしますと、再保険の面が一番はっきりと国の関与方式に現われておると思います。そういうようになりますので、私どもはこの点はある程度国に再保険をするというのはやむを得ないという考え方を持っておるのでございますが、ただ運営の上におきまして、私ども民営の事務の運行の速度と国の事務の運行の速度とが食い違わないように考えていただきたい、かように今考えております。たとえば本制度では被害者に賠償金の支払いをいたしますが、これは仮払いの道が開かれております。この仮払いに当りましては、仮払いの事務を迅速にやらなければなりません。また能率も上げなければなりません。また国にかわって再保険の分も支払わなければならぬというような財務的な負担もございます。そういうような意味におきまして、この仮払いをするという責任は、ひとまず保険会社側に重点的に要求されておるのであります。これは当然のことでありますが、この場合これと見合わすように国の再保険の側にも、運営上の事務運行上の速度が合わないと、その負担と犠牲はいたずらに会社側にはね返ってきまして、しわ寄せになって、過重に負わされるというように考えられるのでございます。言葉が多少抽象的でございますけれども、要約いたしますと、経費の問題はそういうような問題にかかってくるのではないか、かように存じます。 それからそのあとで申しました証明書の発行とか、あるいは損害の査定とか、賠償金の支払いや仮払いというような場合でも、これを迅速にもちろんいたさなければなりませんが、現在の民営の私どもの会社は、ずいぶん組織的に、また人手をもって能率本位にいたしておりますけれども、さらにこういうような全面的な強制保険のような場合に、十分にこれを完遂する力があるかどうか、こういう点はやはり私どもも謙虚に考えてみまして、せっかくこの法律案の中に役割を持っております私どもの組織の機能を、十分に発揮しなければならぬというように考えます。 それでありますから、以上申し上げましたようないろいろな点がございますけれども、この法律案が実施されました暁には、私どもの十分な知識と経験などを十分生かしまして、また全国にまたがっております十万をこえる会社の代理店網を活用いたしまして、十分本法案の趣旨をあくまで生かすように努力をいたしたいと存じております次第でございます。簡単でございましたが、以上をもって私のお話を終ります。
○原委員長 次に時間を急いでおられます関係上、横浜市交通局長鈴木敏樹君。
○鈴木参考人 私は都市という立場から、この法案につきまして申し述べさせていただきたいと思います。私の職掌が横浜市の交通局長でありますので、あるいは市が行なっております自動車運送事業、すなわちバス事業についてのみ申すというふうにおとりになるかと思いますが、決してそういうわけでなく、市全体について申し上げたいと思います。なお私が申しますことにつきましては、名古屋、京都、大阪神戸の四市が、いずれも同じ意見であるというふうに御了承願いたいと存じます。ここに申し上げたいことを要綱に書いて差し上げてありますので、それによりまして申し上げます。 今までいろいろ御意見がございましたように、政府におかれましては自動車の運行によりまして、人の生命または身体が害された場合に受ける損害賠償を保障する制度を確立するため、自動車損害賠償保障法を立案されたのでございます。その御趣旨を仄聞いたしますと、自動車による人身事故が起きました場合、その損害賠償を適正確実、かつ迅速になさしめて、被害者の保護をはかろうとするものであるやに承わっております。近ごろ自動車事故が急激に増加いたしました実情にかんがみまして、この御趣旨につきましては、まことに適切な法案と存じ、けっこうと思うものでございますが、都市といたしましては、その適用の上に少しく納得いたしかねるものがございますので、あえて意見を申し述べさせていただきたいと存じます。 法案の第五条は、強制保険制度を規定いたしまして、これに対して第十条はこの強制保険の制度を国、専売公社、国鉄、電電公社、都道府県等につきましては、適用を除外すると書いてございます。これは主といたしまして賠償能力の点からの御考慮によるものと承わっておりますが、府県以外の地方公共団体でも相当の規模、能力のある都市につきましては、当然そういう考慮が払わるべきものではないかと思うのであります。なぜならばこういう賠償能力につきましては、都市は都猶府県と何ら区別を受ける必要は認めたいからでございます。しかし、こう申しましても、ひとしく都市といっても大小いろいろありまして、これを一律に論ずることは不適当であるという御議論もあるやに承わっております。これに制限を加えるといたしましても、現在政府の方から御許可を受けて自動車運送事業を行なっておるもので、しかも地方公営企業法の制度のもとに行なっておる都市、こういう地方公共団体は、当然お考えいただいて差しつかえないのではないかというのでございます。もしまたこれにも御異論があるとするならば、地方自治法第百五十五条第二項に規定しておりまする政令で規定する都市、すなわち京都市を初めといたしまする五市くらいは、これは考慮に入れることは当然過ぎるほど当然ではないかと思うのであります。元来市といいますと、都道府県と同じように国家賠償法の適用を受けておりまして、この面からいたしましても都道府県と同様に取り扱われるのが適当だと思います。 とりわけ政令所定の五市におきまする実態は、現在事故がないわけではございません。事故は起きますが、その起きます事故のことごとくについて被害者と円満な示談を行いまして、適正で確実な賠償額を決定いたしまして、迅速に賠償を支払っておる。そして被害者に対しては完全なる補償を行なっておるという実情でございます。これを横浜市の例で申しますと、昭和二十九年中に横浜市内に起きました交通事故のうち、人身事故は千二百六十一件で、これによって負傷ないしは死亡いたしました人の数は千四百九十九人でございます。これに対して私の方の横浜市が起しました事故は、おもに交通局すなわち自動車運送事業、バス経営によって起きた事故でございますが、これは私どもだけではござ、いませんで、市内を走っております全部のバスが起しましたのは人身事故が千四百九十九人のうちわずか五十二人で、比率にいたしますと三・五%というきわめて小さいものでございます。このような小さいものでございますので、都市は十分賠償能力もあって、何ら府県と区別を受ける覚えがないというと言い過ぎかもしれませんが、受けないでいいのではないかというふうに考えます。 こういう実情にあるものに対しまして第五条の規定による強制保険制度を適用いたしますと、どういうことになるかと申しますと、結局保険料の出費と事務の煩雑を招くだけで、さもなくてさえ豊かでございません都市財政に、さらに圧迫を加えるにすぎないというふうに考えられるのでございます。お配りしておきましたプリントのしまいの方に、五市におきます自動車の保有車両数並びに保障法がそのまま適用されたといたしましたときに、私の方の市のうち、バス事業だけでやっております交通局の財政負担を書いておいたのでございますが、大体倍以上の負担をしなければならぬという結果になるのでございます。こういったことでございますので、現在公営企業として自動車運送事業を経営いたしております都市は、それぞれ多量の車両を保有しております。従ってこの法案十条をそのままとすれば、先ほど私が申しましたようにどこの都市も、いたずらに財政負担を増加するにすぎないという結果に陥るのではないかというように感じますので、できますならば地方公営企業法適用の都市につきましては府県同様、第十条におきまして第五条の適用を除外していただきたく。少くとも府県にまさるとも劣らないような企業並びに規模を持っております政令都市につきましては、ぜひとも適用除外の御考慮を願いたい、かように考えておるのでございます。 要するに私は以上のような都市は、何ら府県と区別をされるような必要はないと思います。従って府県と都市を同様な取扱いを願いたいということを条件といたしまして、この法案はけっこうであるというふうに考えるものでございます。
○原委員長 次に日本都市交通労働組合執行委員萩原信次君。
○萩原参考人 今横浜交通局長さんが都市公営企業の立場から、本法案に対する適用除外の頃について説明いたしましたが、私自身はやはり都市交通の労働組合の幹部であり、同時に東京都交通局の職員といたしまして本法案に対するお願いやら、法案に対する参考意見を申し述べたいと思います。 本法案の趣旨につきましては、今までのそれぞれの参考人の方々が述べられましたような趣旨と同様の意味において、賛成をいたします。そこで適用除外の問題につきましては、私の所属は東京都でありますから、先ほどの横浜交通局長さんの説明のように除外されております。従って都市公営企業に関係する労働組合の立場から、この問題について申し上げたいと思います。 昭和二十七年に公営企業法ができまして、企業能力の採算制いわゆる独立採算制というものが非常に強化されて今日に至っております。従ってこの都市公営企業というものはその法案成立以来、それぞれ各都市とも連絡をとりまして、労務管理、事故防止等々については、相当綿密な諸施策を講じております。一例をあげてみますならば、二十万キロを無事故で走行した場合には、その所管賞美所に三万円の報奨金を支給するとか、そのようにして事故を防止することに専念している。ないしは一年間、二年間、三年間と段階的に、無事故の運転手についてはこれを報奨するメダル等の施策を講じております。おそらく法案の趣旨というものは、事故を未然に防ぐということに前提を置いて、それでもなおかつ事故発生の場合に、この法案が必要であるということは論を待たないところでありますが、従ってそのような事故防止施策なり、また労務管理等につきましても、それぞれの労働組合が経営協議会等を通じまして、バスの車掌さん等につきましても十時間勤務というものについては厳にこれを実施させ、そうして六時間半業務というようなことにつきましても、これを適正に運行さしております。従ってそのように労務管理ないしは事故防止等々の点につきましては、公営企業として全国的に公営企業の協議会を持ちまして、それぞれの施設について万全を期しております。従って東京都におきましても、バス事業だけを見ても千二百台のバスを持っておりますが、昨年度において死亡事故というものは三件であります。負傷事故は二百八件ありますけれども、実際の賠償支払いというものは、負傷件数と同時に物件数に多いということが予算上出ている数字であります。従ってこのように公営企業法成立以来、そのような労務管理なり事故防止対策を、全国的に協議会を通じて、労使ともにこれを行なっております立場から言いますならば、やはり公営企業という立場において、これの除外という形を今後とも御考慮願うことが妥当ではないか。そのように労務施策ないしは事故防止対策に万全を期している企業そのものを、自主的に運行するということになりますならば、法律によって被害者のそれらの保険をさせるのじゃなくして、自主的にその事業そのものが、被害者に対する保障をするということを自主的に行わせることが、私は一番正しいのじゃないか、そう考えた場合に、公営企業法に基く業者に対しては、これを除外してもよろしいと私は考えておりますので、この点について委員の皆様の今後の御考慮をぜひともお願いしたいと私は考えております。 それと今回の法案にありますところの負担金というものが、いわゆる保有者、運転者という点でもって、あまり明確になっておりませんが、それはあとでハイヤー、タクシーのような関係の労務者を代表いたしまして、参考人として説明されると思いますから、私は省略いたしますけれども、運転者の負担とするのではなくて、これはいろいろ事情がありましょうけれども、所有者にこの保険額を負担させるということを明記するように御考慮願いたいと思っております。これは何と申しましても一般運転者、いわゆる中小ハイ、タク等におきましては、業者の経済状態その他におきまして、今日労務管理の万全を期しているとは私は考えておりません。従ってそれらの保険額の負担というものが、ともすれば労務者の方にかかるということは、負担能力上非常に困難性を生ずると思いますが、この点についてはあとの全旅客自動車を代表する参考人に詳細な説明をお願いした方がよいのではないかと考えて、時間の節約をはかりたいと思います。 それから審議会の構成の問題でありますが、この中にぜひとも労務経験者を代表の中に入れていただきたいということであります。これは先ほども申し上げましたように、公営企業の立場からいたしましても、従来の賠償につきましては大体民法に準拠してこれを行なっております。従って法案にもありますけれども、被害の責任の度合いというものが、必ずしも運転者のみとはいえないことは当然でありまして、そのような立場から、この審議会等に労務経験者を入れるということは、審議会の今後の審議の内容の問題にも関連はありますけれども、このような、諸外国でやっておって、今日日本国で行おうとする、いわば進歩的なこの法案につきましては、どうしても審議委員の構成の中に、労務経験者という立場でもって代表を入れるということが、この進歩的な法案の今後の運営上においても万全を期せるのではないか。このような意味におきまして、この審議会の構成についてぜひとも労務経験者を入れるように御配慮をお願いしたい。 大体以上要約いたしまして、都市公営企業の労働組合を代表いたしまして、本法案に対する説明を終りたいと思います。
○原委員長 次に全国旅客自動車交通労働組合執行委員伊坪福雄君。
○伊坪参考人 賠償法案に対して、私どもハイヤー、タクシーの労働組合としては、法案の趣旨が被害者の擁護、言いかえれば人命尊重という崇高な人道主義に始まり、不十分ながら社会保障制度確立への道を指向していることから、賛成を表明いたします。しかしながらこの法案の内容については、賛成しがたい幾つかの問題点がありますので、この点を修正されることを強く要望いたします。私ども交通関係労働者八十五万の組織である全交運としての修正意見は、都市交の労働組合代表より述べられていることでもありますので、重複を避け、省略します。私はハイヤー、タクシーとしての特異の立場から、この法案の内容について二、三の意見を述べさしていただき、議員各位の御理解を得たいと思うものであります。 まず第一点として、最近の交通事故の激増について、ハイヤー、タクシーに対する取締り当局を初めとする一般の輿論は、まことに手きびしいものがあります。ハイ、タク労働組合としては、この現状に対して決して傍観視しているわけではありません。旅客輸送のモットーとして安全輸送について、組織内において機会あるごとに啓発いたしております。また事故の原因と目される労働条件の改善についても常に取り上げ、清々と成果もおさめてきているのであります。しかし、遺憾ながら事われわれの意思と違って、事故は激増の一途をたどっており、まことにざんきにたえません。この法案の成立により、多少なりとも被害者の方々を擁護することができ得れば、幸いと存ずる次第でございます。さらにここで各議員先生方に御理解を願いたいことは、この法案成立によってハイヤー、タクシーの事故の減少を求めることは、困難であるということであります。私どもとしては事故の起る根本原因の解決方を考慮していただきたいと願うものであります。 私は昨年参議院の運輸委員会と労働委員会において、自動車交通労働者の労働問題と、運輸一般事情について公述する機会を与えられ、その折ハイヤー、タクシーの事故の原因は、業者の労務管理のずさんと二十四時間勤務、さらに陸運当局の放漫な行政による名義貸し営業の横行、免許基準に当てはまらない新規免許会社の乱立にあることを述べ、これらの具体的な改善意見を述べました。この結果各先生方の御理解を得、陸運当局と業者は名義貸し整理の具体化と新規免許並びに増車を抑制いたしました。しかしながら、どのような事情があったか存じませんが、名義貸し営業は、今なおわがもの顔に横行しており、また車両数も増加いたしております。さらに私ども最も関係の潔い労務管理のずさんと二十四時間勤務制については、労働省及び労働基準局より、昨年六月の基準法施行規則の改正に基く改善方策なるものが美音に提示され、私どももそれに対する意見書を提出し、実施の時期を待つばかりとなりましたが、当初三月には実施するといわれたものが、実施に移されず今日に及んでおります。特に本年三月に行われた東京における国産車料金値下げを契機として、業者は四分五裂化し、料金ダンピングにより活路を求めており、これからくる一切のしわ寄せが私ども労働者にかかり、このため街頭における客の争奪、水揚げの向上のため、事故違反を惹起しております。結論的にいいまして、この法案の成案により被害者を擁護することはよろしいのですが、事故の起る根本原因を放置していては、法の精神に反するものであるという考えから、この点の改善方を再度述べるものであります。 第二点として、事故防止の一方策として、総合的交通統制を考慮していただきたいのであります。現在の自動車行政というものを観察するときに、免許は運輸省、生産は通産省、取締りは警察、道路は建設省、このようになっているわけであります。戦前に比し営業車が増加していることも事実でありますが、自家用車の激増はまことに著しいものがあります。私はここで取締り当局を誹謗し、わが田に水を引く考えは毛頭持っておりませんが、現在交通事故、違反の取締りの対象は、特にハイ、タク運転者に向けられているようであります。この法案の説明を承わってみても、そのような感じを強く受けるのであります。現在の交通事情というものを見てみますと、都市における基幹路線にタクシーが需要者を求めていることは事実でありますが、ここにタクシー車両の大部分のほか、数倍の自家用車が集中しており、これが事故の誘因ともなっておるのではないかと考えます。もっとも東京において私どもタクシーは、幾つかの交通規制を受け、繁華街から締め出しを受けておりますが、自家用車については野放しであります。これら自家用車のはんらんが交通事故の一因となっていることも、いなめない事実であると考えます。従ってあらゆる交通機関を包含した交通統制を考えられることを、強く要望するものであります。 さらに第三点としては、この法案を見ますときに、政令、省令がまことに多いわけでございます。私どもはさきに道路交通取締法において、このような面から苦い経験を持っておるわけでございます。道交法が参議院と衆議院の委員会にかかった折、私たちハイ、タク運転者に対する行政処分であるところの就業停止は、聴聞会にかけるということになったわけでございます。しからばどれくらいの期間を聴聞会にかけるかと申しましたならば、私たちとしては七日間以上というものを強く主張したわけでございます。しかしながら委員会といたしましては十五日以上という線にきまりまして、この法案の中には盛れないから政令できめる、こういう決定を見ておるわけでございます。ところが、政令で出された面を見ますると、六十日以上の者ということになっておるわけであります。そうすると、せっかくの法律が死文化されておる、このような苦い経験を私たちは持っておるのでございます。政令、省令というものが、このような法案である関係上、たくさんあるということはよくわかるわけでございますが、このような轍を再び踏まないことを強く要望するわけでございます。 第四点といたしまして、審議会及び審査会に労働組合の代表というものを参加さしてほしいということ、さらに具体的に申し上げるならば、交通運輸関係労働組合と全損保の労働組合の代表を参加させていただきたい。特にこの点で各議員先生方に申し上げたいことは、さきに自動車運送協議会に対し、労働組合の代表を参加させることについて、本委員会におきましては、学識経験者及び利用者代表の中で労働組合の代表を参加させる、こういうことになっておったわけでございます。その結果どのようなことになったかというと、全国で五名の労働組合代表の参加しか見ておらないわけでございます。しかも自動車関係に至りましては、このうち三名にすぎないというような状態でございます。私は自動車事業の複雑性あるいは特殊性が、このような状態の中では十分に反映されないのではないかと思いますので、このとうとい経験というものを生かされまして、労働組合の代表の各委員会参加を、法文上明確にしていただきたいということでございます。 第五点といたしまして、私どもは被保険者として、保険料の負担には応じられないという実情にあるわけでございます。私ども運転手の収入は、私たちの調査に基くと、二十四時間勤務で大体一万五、六十円程度であります。しかしながら、これはすべての会社ではなくして、本日ハイ、タクを代表して公述に来ておりますところの藤本氏あたりの会社においては、このような線ではございませんが、私は東京におけるハイ、タク二百九十何社を見まして、大部分が歩合重点主義であって、このような賃金体系にあるということを申し上げるわけでございます。そのほかに、交通違反の罰金科料は非常に高く、あるいは行政罰により、そのような低額な収入の中から二〇%内外のものが取られてしまうということ、そのような面から、乗務員としてはこれ以上の負担に耐えられない、これが私たちの公述するところの経済的実情であります。さらに運転手が保険料の負担をかせぎ出すために、さらに事故を起す、このようなことがありますので、この点も十分御考慮願いたい。 最後に私は、この案が政府提案であるから申し上げるわけではございませんが、一昨年と記憶いたしますが、民主党の中曽根議員が、タクシー事業の免許制廃止の陳情を国会にいたしたわけでございます。そしてそのような中から、業界は非常な混乱に陥った。幸いにして良識ある方々の御協力を得まして、現在タクシー事業の免許に当りまして、タクシー事業は免許制になっておるわけでございますが、この免許制廃止に伴って重要視されるものは、賠償能力という面でございます。これが今回の法案成立によって、一応免許基準としての重みがなくなってくるのではないか、このような面から発展して、免許制廃止の動きに向うということを懸念するものでございます。この点について、タクシー事業の公共性と社会性を十分御賢察下さいまして、このようなことのないような特に議員先生方にお願いいたしまして、私の公述にかえたいと思います。
○原委員長 次に東京ハイヤー、タクシー協会会長藤本威宏君。
○藤本参考人 東京ハイヤー、タクシー協会の会長をやっております藤本でございます。日本乗用自動車連合会の副会長をやっております。今日はハイヤー、タクシーの業者の側から、本案につきまして公述を申し上げます。お手元にプリントで要旨を配っておりますので、それを御参考に供していただきたいと思います。 本案の趣旨についてはもちろん賛成でございます。各国の状況を見ましても、自動車交通の発達に伴って、いつかはこういう事態が必ずくるものでございまして、現在の交通状況から見まして、このような本案が上程されることは、十分その意味は了承されるものでございます。しかしながら各国におけるこの賠償法案が実施されている基礎条件と、現在日本の置かれている状況とは、そこに大きな差がある。従ってここに大きな問題があるのでありまして、まず各国の状況では、交通の事故が起らないようなあらゆる措置が講ぜられている。また一般に経済状況がきわめていい、こういったことが前提でございますが、現在この日本といいますか、特に東京の状況を見ましても、交通事故防止に対する施策が何ら行われていない。何らと言っては語弊がございますが、根本のところにおいて行われておらない。昨年でございますか、参議院の労働委員会でやはり事故防止について参考人として公述した際にも詳しく述べたのでございますが、交通事故防止の根本は何といってもまず需給の調整でございます。これなくしてはほとんどすべての交通事故といいますものの発生が防げない、こういった問題、さらにまた運転者の事故に対する法的な共同責任、現在は道路運送法では、運転手に対しては法的責任がございません。こういったものに対する共同責任、さらに諸外国で実施されているような営業用運転者については、自動車の就業免許制にしなければならない、こういったような問題、さらにまた経営者の側からいいますれば、先ほど伊坪さんからも御指摘があったように、名義貸しを行なって経営を放棄している、こういったような悪徳な経営者の追放とか、さらにまた一般市民の交通道徳の涵養とか、こういったような交通事故防止ということについて、基本的な施策が現在のところ行われておらない。従ってこういうような基礎条件のもとにおいて本案を実行することは、本末転倒というようなそしりがある。特にこの強制賠償保険を実施いたしますると、各国における傾向といたしまして、事故に対する責任感の希薄ということがどうしてもいなめない事実でございます。従ってそういうような事故防止の徹底的な施策が行われてない上において本案を実施すると、逆に事故が増加するのじゃないかということをおそれるものでございます。 さらに二番目といたしまして、現在の経済状況がきわめて悪いために、あとで述べますが、本案をつぶさに検討してみますと、非常に悪用されるおそれが多分にある。非常にこれは方々で悪用されるであろう、そのために、逆にこの法案自身の実施が、ほとんど困難になるのじゃないかということが予想されるものでございます。そういった意味において、まず少くとも本案を実施する上においては、先ほど申し上げました需給調整問題とか、運転手さんの法的共同責任あるいは就業免許制、こういったものの完備を待ったあげくにおいてしなければ、逆に事故の増大があるのじゃないかと考えておる次第でございます。 次に内容について申し上げますと、本案の基本的考え方であります無過失責任主義でございますが、交通事故のように挙証というか、証拠立てることが困難であるこの事業において、さらにまた工場の場合と違って絶えずこういった交通事故に直面している交通事業者といたしまして、そこに第三条でございますか、このような規定を並べてみますと、ほとんどこれは無過失賠償責任主義に尽きておる。そうしますとこの場合に、先ほどトラックの方からの話がありましたように、これは一部の保有者というグループによって社会保障を行うものである、こういうような結論になるわけでございます。特に多数車両を持っておる交通事業者の立場からいいますと、これは一種の税金である。税金以外の何ものでもない。こういった保有者からの保険金によって政府が社会保障を行う、これ以外のものではないと考えております。アメリカのタクシーの料金の原価計算を見ておりますと、ここにおきます保険金というものが相当の部分を占めておりまして、十分に原価においてペイするようになっております。しかしながら現在のわれわれの段階においては、そういったものは料金においては織り込まれておりません。たといそれが今後織り込まれるといたしましても、現在のような過剰の車両を持っている状況でしては、ただ自由競争を激化するだけであって、逆に料金値上げはとうてい考えられない、こういう状況でございます。従いましてわれわれといたしまして少くとも社会保険のにおいが強い部分においては、当然国家が強力な保障を行うか、あるいはこれらを十分負担してやっていけるだけの保護を交通事業者に対して与えるのでなければ、単に自由競争にまかせてこれが血みどろの競争をやっておる、こういう状況では、このような無過失責任主義というものはとうていとり得ないと考える次第でございます。 次に保険料についてでございますが、これまたトラックの方からのお話があったのでありますが、一例をあげてみますと、これはやはり先ほどの無過失責任主義と関連があるわけでありますが、一般の営業保険でございますと、俗に経費が四〇数%かかると言われております。ところがそういうような営業保険をかけましても、社外賠償保険を八十万円かけたといたしまして年間一万一千四百円であります。これは先ほどの話のように物的損害が約半分入っております。もしこれを、強制保険で経費が一七%と言われておりますが、これに換算してみますと大体七千五百円程度で済むはずでございます。さらに人身賠償だけとなりますと、これがさらに低減されてまず五、六千円のものではないだろうかと考える次第でございます。もちろん本案の建前は、先ほどの一回事故してもさらに自然にもとに戻るといったような自動回復の保険であり、さらにまた営業保険の場合は一部は保有者負担というようなことは、逆の意味ではございますけれども、それにしても一両当りハイヤー、タクシーで言えば一万二千円というのは、あまりに高額に過ぎるではないか。現在の全く疲弊し切ったハイヤー、タクシー事業といたしましては、たとえば百両持っていれば年間百二十万、こういったような膨大な保険料に対して、どこから出していいか、方途もつかない次第でございます。従って保険料が高過ぎる。これは無過失責任というような関係もあると思いまするが、これについてはぜひ先生方にもう一回考慮していただきたいと考えておる次第でございます。 さらにこの取扱い機関でございますが、われわれは当初こういったような保険でごいざますれば、事業者の相互保険でできる。従って大体千台以上を一グループとする相互保険の機関を作って、これにおいてやらしてくれ。特にこれは都市の交通事業者にとりましては簡単にできることでございます。これがまた最も実態に即しておる。また費用もかからない。こういった意味からこの案を主張しているわけでございます。これは本案で言えばいわゆる自家保険主義の拡張であります。自家保険主義の拡大でございますが、これをぜひこの本案の中に入れていただきたい。自家保険だけでなくて、そういった業界相互の、たとえば協同組合を作ってこれを行うとか、そういったような相互保険的なものをぜひこの中に挿入していただきたい。もちろん全国的に見てそれが非常に不便なところもございましょう。あるいはまた自家用その他の事業者もございますから、本案は本案といたしまして、そのような都市における交通事業者がたくさん集まっておりますところでは、千台以上をもってする相互保険の趣旨をぜひ本案の中に挿入をお願いしたい、こういうことを主張するものであります。 さらに取扱い機関について考えますれば、都市については今言ったことをお願いしたいし、さらにその他のものについてお願いしたいことは、この莫大な数を予想される強制保険の場合、運営経費として俗に言われております保険金額の約一七%という経費は多過ぎると考えております。これについては先ほどの組合間の相互保険でありますれば、これは一〇%程度でできるものと考えております。この一七%というものは多過ぎる。これについてもう一回御検討願いたい。さらにあとから述べますが、保険金額が非常に膨大になって脹膨するようなおそれがあります。そういった意味から言いまして、保険金の金額全体の一七%の経費という考えの方のほかに、もう一つの制限として定額をもって制限していただきたい。これによって経費のむだな膨脹を防ぐ助けになるだろうと存じます。 さらにもう一つお願いしたいことは、保険料というものは前払いでございますから、ここに保険会社が営利をはさまないといたしましても、膨大な資金が集まるはずでございます。これにつきましては、私どもはこういった保有者の保険金で集めたのであるから、これらの資金運用については、ぜひ交通事業者を含めての保有者の方において、資金運用面においてぜひ考慮なさっていただきたい。優先的にこの資金を回してくれる。こういうことに考慮を払っていただきたい。賠償保険であります以上、支払準備に一定額の留保ということは当然でございますが、事故発生が比較的平均しておりますそういうような事業において、従来の火災保険のような損害保険並みにこの資金の運営を縛るということは、これはいささかおかしいのではないか。せめて生命保険、損害保険との中間形態において、資金運用のことを大幅に緩和していただいて、その金は大体保有者からの保険料においてやったものでありますから、優先的に交通事業育成に回していただきたい。これが組織の問題として取扱い機関に関しての要望であります。 次に賠償方法でございますが、本案の賠償方法によりますときは、被害者に非常に偏重して大事にするあまり、事故の査定について非常に不当になるおそれがございます。また容易にこの法律が悪用されるおそれがあります。従ってこのような状況でこれを実施した場合においては、とうていこの保険会社は成り立たない。赤字の累積を続ける。それが非常な保険料の値上げということになってくるものと考えております。まず第一に挙証責任が保有者にあり、しかも無過失責任主義をとる。それから交通事故において挙証ということがきわめて困難である。こういったようなことを考えますときに、この保険については俗に親方日の丸というような言葉がありますが、こういった考え方が取扱いの末端において必ず生ずる——少しうるさくなってくると、全部保険会社が見てくれるのだから、全部こちらが悪いことにして判をついてしまえ、ろくに事故の内容を検討しないで全部保険会社にまかしてしまう、こういったようなことが必ず起きる。その結果することころは、先ほどの主婦連合会の方とは逆の意味において、一人死者の場合は三十万円というものが逆に最低限になるだろう、全部そこまでいってしまうだろう、こういったことは非常にありがちでございます。このことは今までのいわゆる保険会社がやっておりました保険においても、現在耳にしております。私が聞きましたところは、たしか安田火災でございますか、ここにおいて兵庫県における自動車保険というものは、ほとんどまる損である。あそこは非常にうるさいところでございまして、ちょっと何かありますとすぐに行ってわあわあ騒ぐと、どうしても一ぱいに払わざるを得なくなってしまう、こういったことが必ずこういうような場合には起きがちでございます。そういう意味においてこれはよほど考えておかなければ、この保険自身が成立しないのじやないかという心配をするものでございます。 第二に被害者に対する仮渡金の制度であります。これはまことにけっこうな制度でございますが、反面十七条の三項に、損害賠償額をこえた場合の金額はもらった方から取り返すということがございますが、これは言うだけであってできっこありません。そうしますとこれはきわめてむずかしいことになります。たとえば軽傷の場合でありますが、軽傷の場合三千円は無条件でやってしまう、あとからわかって取り返すといってもどうにもならない、ことに悪意のあった場合は防ぐ方法がございません。ちょっと行ってぶつかって黙って三千円もらう、あとで返さなければどうにもならない、こういった傾向はむしろ現在のような詰まった経済状況においては当然行われるし、しかもこれはこのような割合に官庁的な組織になりますと起りがちなものでございまして、これらを考えてみると、この点十分注意しないと、この保険自身は成り立たないのじゃないかと考えておる一人でございます。 それでこれに対策といたしまして考えますことは、まず今までの保険会社がやっておりますと同じように、決定した賠償額の一部はやはり事故を起した者の負担にする、要するに四分の四の補償ではなくて、四分の三補償して、四分の一だけはやはり起した者が払わなければならぬ、このようなことにいたしますると、無責任な事故の査定ということはある程度防げる、これは従来の営業保険でもやっておりましたが、やはりそういうふうな事情を十分に——困ったあげくに発明した方法だと思いますが、こういったことをやはりこの法案においても考えるべきではないだろうか。さらに仮渡金についても、その趣旨はけっこうなんでありますが、今言った法が悪用されないように、何らかの手段がとらるべきものであると考えておるものでございます。 結論から申しますと、この本案に対しましては私としては条件付の賛成でございます。しかしながらこの条件が満たされないときには、むしろ本案には不賛成、こういった強い意味の条件付賛成でございます。その条件と申しますのは、先ほどから申し述べましたが、事故防止についてあらゆる立法的、行政的措置を講じていただきたい。これは需給調整も含めてのあらゆる措置を講じていただきたい。それから無過失責任をとる以上、国家補助の大幅の増額、これに伴う保険料の大幅引き下げ、さらに賠償方法に大改革を要すること、保険会社の資金の運用面には、保有者側の意向を十分に含んでくれ、これは要望でございます。さらに都市交通事業者に対しては、そういった相互保険制をぜひこの際一項加味していただきたい、こういうような条件で本案に賛成するものでございます。以上公述を終ります。
○原委員長 次に全国乗用自動車協会常任理事木島義夫君。
○木島参考人 私、木島でございます。私が公述しようとすることは、八項目並べましてお手元へ上げてあるわけでありまして、それで大体尽きると私は考えております。ただ私冒頭にお断わりしておきたいと思うことは、本日ここに立たれた方で、この法案に対する疑問や反対の意見を強く述べられたのは、われわれ同業者の藤本さんのようであります。私の意見もほぼ藤本さんと同じであります。そこに書いてある八項目も大体それであります。これを読んでいただけば、私が何を言おうとしておるか、大体おわかりになると思うのでありますが、しかしおのおの考え方の相違もありますので、私一番しまいになったようで、私の言おうとすることも、ほかの方が尽した感がありますけれども、私は私の考え方によって一応述べてみたいと思っております。 損害賠償の補償の精神というものに対しては、何人も異議のないことであります。趣旨としてはまことにけっこうでありますが、この法律の施行に際して、政府に単に交通禍とか社会問題とかいうようなものを救済するに急であって、角をためんとして牛を殺す感があるではないか、こういうことを私は考えます。そこで私の表題としては自動車損害賠償保障法案に対する反対要旨として配ってあるのであって、この趣旨に私は全然反対ということではないのであります。いかによいことでも、方法や時期を得なければかえって害をなすものである。いわんやここに立った方々の御意見を聞いておると国がこれを行おうとするものであるから、やたらに反対でもすると、後難でもありはせぬかというような考え方があるではないかと思うのであります。述べられる趣旨の大部分は、むしろ反対もしくは当局に対する要望であるにかかわらず、私は賛成でございます。こう言っておることは、私ははなはだ不可解だと思っておるのであります。自分たちが持っておる疑問とか主張とかいうものは、こういう席で明らかにするために、われわれは貴重な時間をさいて今ここへ臨んでおるのであります。議員各位もまたその心でなければならぬと思うので、われわれはお世辞を言いにここに立つた者でないということを、はっきり申し上げておきます。 第一に、本法案の強制下に置かるべき免許事業として反対する、これはこの強制を受くべき筋合いのものではなく、免許許可条件において詮議されている。これは伊坪さんなどもだいぶ強く言われておったようでありまして、いやしくも事業を免許するのには、その業者が賠償責任に耐え得るかどうかということを陸運当局は審査して免許を与えてあるので、免許を与えてある人は、ことごとく賠償の責任ありと、こう考えていいわけであります。しかるにこういう法案が出てくるということになりますと、免許制度というものはいいかげんのものではないか、従って今後免許制度は、先ほどどなたか申されましたが、ああいう御意見のようなものがそこに現われてくるではなかろうかと思うので、こういう点からいっても第一に私は疑いを述べたわけであります。 第二に、本法案はおおむね自動車側の無過失の場合にもこれを保障せんとする社会政策的立法であるにかかわらず、国家は何らの予算し計上しておらぬ。何らの予算も計上しておらぬというのは言葉が過ぎた感があるのですが、これは事務費は聞くところによれば千八百万が計上されておるそうでありますが、保障そのものに対しては一銭も出しておらぬ、こういうことなんです。私が反対することはこの第二の点にあるのであります。一体この規定によりますと、自己及び運転者に故意過失なく、同時に被害者または第三者に故意過失があったことを証明できない限り、人の過失が証明できない限りはこれは罰にあうのだ、こういうことなんです。だから一たびハンドルを取ったならば、憲法に認められているわれわれの自由とか身分の保障というものは、たちまちにしてその瞬間消えるものである。この法文の通りであればそういうことになるのであって、問題はここにあると私は思うのであります。その次に考えられることは、交通の安全や人命の尊重とかいうことは、国家として、国民として、社会として、人類としての要望であります。この社会秩序と人類の希望を満足させると同時に、交通の確保ということをいかにマッチさせるかということに問題があるのであります。西洋のことわざに交通は金なり、こういわれておるのですが、この金をがんじがらめにこの要望のためにしてしまうならば、今後交通というものは一大麻痺を来たしてしまうものであるというふうに私は考えます。交通の麻痺を起さずに、業者に行き詰まりを起させないで、いかにしてこの人類の希望を満足させるかというところに、立法者の頭がいかなければならぬわけであります。ただ業者を酷使して、しいたげることによって、国民の生命の安全や交通の安全を確保するならば、まことに芸がない。私は何も鳩山さんに総理大臣を頼まないのであります。 第三は、本法案の骨子である非営利事業は、同時に無損失事業であるため、事故解決の適正を欠き、いたずらに経費の増大となって、ことごとく自動車側の負担となる。これは先ほどもいろいろ御意見がありました。今後この対象になる自動車の数は、大小合せて百四十万台と考えられております。この保険料が百億であります。今回われわれ業者がむしろ旗を立てて大騒ぎしておるところのガソリン税の問題も、五十億の増税の争いであります。しかるにこれから毎年この保険のために百億の負担が、疲弊こんぱいの極にある業者の頭にかかってくる。しかもこれはふえても減る可能性ははなはだ乏しいということは、今まで公述された方々の御意見ではっきりしておることと思います。 第四は、交通事故に関して自動車側の主張と権利とを剥奪する結果となるのみならず、不当に高額となる保険料の前納の能、不能が、営業の停止を規定している。これは実際大きな問題であります。現在自動車税に関しまして、車体検査と直結しておるのであります。そして税金を納めない者は車体検査をしない、ナンバーをくれない、こういうことになっておるので、業者は非常にいためられておるわけなんです。ところがまだそれでは足らぬということで、今度この保障制度を持ってきまして、これをまた自動車の運行と直結しておるのであります。まことに自動車業者というものは、前世においてよほど悪いことをしたものと私は考えるのであります。まさに水と火の責苦にあっておるようなもので、全くサンドイッチマンであります。そういうような工合で、業界のあの騒ぎも御承知と思いますが、この間にありましてまさにわれわれ業者は前門のトラ、後門のオオカミの感があります。 五、本法案で規定する賠償金額は内入金的性質を有し、おおむね国家事業の場合と同様の高額請求(民事)となる危険があり、その民事請求の繁雑と重圧に耐えられぬ結果となる。これも藤本さんが先ほど述べられております。現に私どもの聞くところによれば、国鉄においても洞爺丸の事件とか、もしくは紫雲丸事件等において、この賠償で非常な苦心をなされているそうであります。聞くところによりますれば、当局の説かどうかわかりませんが、五十万、いやそれじゃ済まぬ、百万、百五十万、二百万なんというようなのもあるそうでありまして、容易ならざる問題と思うのであります。 六は、タクシー、ハイヤー事業の実績に徴し、東京都のタクシー(一日走行三百五十キロ)の一台一カ年一万二千円程度の事故費(完全示談解決)に対し、地方ハイヤーの事故所要費はその十分の一にすぎぬ、この地域差等は全然考慮されておらぬ。これは地域差や業種別の差のアンバランスの問題であります。また自家保障の制度は三百台以上とか、バスについては百台以上とかいうような規定はありますけれども、この規定があることによって、中小業者をますます不利に陥れ、そして保険料を高める傾向があるということは、いなむことのできないところであります。なお私はこの際特に議員各位の御注意をお願いしたいと思うことは、先ほど主婦連合会の方から一言あったようでありますが、自動車ばかりではなく、汽車とか電車とか軌道とかもしくは航空機、こういうようなものとの関係でありまして、自動車のみこういう強い規定で縛られなければならぬものであるかということを、われわれは疑いを持っておるのであります。労働基準法施行規則第二十六条の特別規定によりますと、汽車、電車、気道車、自動車、航空機を除外しておるわけで、つまりこの点では自動車はだいぶ出世しまして、汽車や電車、気道車、航空機などと同列に見られて、これが八時間労働として今大問題になっているのでありますが、ところがこの規定においては、われわれの仲間の汽車、電車、気道車、航空機は入れておらない、こういうことなのであります。つまり弱い者だけをいじめているような感がないわけじゃないのでありまして、先ほど主婦連合の方が、今後船なども中へ入れてほしというようなことを言われましたが、これは私だけの意見ではないということを考えまして、私は大へんけっこうな意見と考えました。 それから七、本法案は社会保障の大理想を、疲弊こんぱいの極にある自動車業者の一方的負担において強行せんとする飛躍的のもので、常識では判断のできぬ点が多い。私はあえて言います。国民の社会保障とか福祉とかいうことはどなたも希望しておるところでありますが、これを政府が業者の犠牲のみにおいて行おうとすることに、われわれは反対しておるのであります。私は実は地方へ帰りますとお百姓の一人でありまして、相当額の米を一年に供出しておりますが、あの国民のために食糧を保障する供出の制度について、なぜわれわれは過去において強く反対したかというと、農民の犠牲にのみおいて国が食糧政策を行おうとする、これに反対意見を持っておったものであります。今度予約制度を河野さんが発明しましたが、これはうまくいきますかどうか、これは問題外であります。 八、むしろ同地域同種事業間、協会等の相互共済事業として、十分なる試練をなす行政的措置を講ぜられて、後日この立法を考慮するようありたいというのが私の結論でありまして、先ほどもいろいろ御意見がありましたが、横浜市等においてもこれから除外してもらいたいというような御意見もありましたし、また船舶等の共済組合等の方法によるもよかろうというような御意見もございました。私どもにはこの案は要するに生硬にして、十分の資料等もそろっておらないのではなかろうかと思われる節があるのであります。たとえば都会とか地方における事故のデータ等においても、私が聞いた範囲においては、まだ十分なものがないように考えておるのであります。そういうような次第でございますから、私どもは先般全協の法規委員会においてこういう結論を得たのであります。九行か十行ですから、冗長を顧みず読みます。 本法案の趣旨はおおむね理解し得るも、これが実施に当り、強力なる政府の予算措置の伴わざる限り、業界の負担は急増し、現下の不況時において、その負担は耐えがたきものがあります。一方事故発生の根本的誘因は、需給の調整が行われず、供給過剰となり、不当競争を惹起している結果であります。 従って、需給の調整に抜本的対策を講じ、適正乗車料金により、企業が経営し得る安定状態のもとに本案を実施するにあらずんば、いたずらに免許制撤廃論者に論拠を与えるのみならず、かえって業界を混乱に導く結果に終ること必至であります。これらの見解に基き、時期尚早として本法案に反対するものであります。以上であります。
○原委員長 これにて参考人各位の陳述は終りました。 本日は、なかなか多岐にわたり活発なる御意見を拝聴いたしまして、委員会として種々考慮すべき点、また参考とすべき点はなはだ大なるものがあったと思うのでありますが、別に質疑の申し出がございませんので、参考人の御意見を拝聴するにとどめたいと存じます。本委員会を終るに当りまして、参考人各位が貴重な時間、御出席をいただきまして、御意見をお述べいただきましたことを、委員長としてあらためてここに御礼申し上げる次第であります。 それでは本日はこの程度として散会いたします。 午後三時四十四分散会