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22回国会衆議院1955/05/24

運輸委員会 第12号

発言数
73
登壇者
11
会派数
4
開催日
1955/05/24

会議録

原健三郎自由党

○原委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  運輸行政一般について質疑を行います。通告順にこれを許します。竹谷源太郎君。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 過般政府において決定された総合経済六カ年計画におきまする最終目標年次である昭和三十五年度におきましては、海運によりまして三億七千万ドルの外国からの受取勘定を期待して、国際収支のバランスを回復するということになっております。これがために四百五十万総トンの船腹を保有しなければならない。そこで三十年度以降六カ年間に百三十六万総トンの建造を行うこととして、とりあえず昭和三十年には二十二万総トンの船舶を建造するという、これか政府の総合経済六カ年計画における外航船腹の拡充計画でございます。これに対しまして本年度予算において政府はいかほどの資金をこれにつぎ込み、また銀行からはいかほどの融資を与えさせようとするのであるか。まずそれを承わりたい。なおその際に開発銀行の貸付と一般銀行の貸付との比率がどのようになるか。これまた承わっておきたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 今六カ年計画を通じて御指摘になった数字は、経審が考えておる数字でございます。ただ経審の六カ年計画では、今年度二十万トンの外航船舶を建造するということになっております。運輸省としては六カ年の計画でありますから、年度どの程度に建造するかということで、でき得べくんば後半期に建造数量のしわ寄せがないように、初年度になるべく多く作りたいということが運輸省の考えでありましたので、できれば二十二万総トン程度の外航船舶をことし建造したいということが当初の考えでございました。しかしいろいろ予算折衝を通じて財政資金の割り振り等もございまして、結局約十九万トンということに落ちついたわけです。正確に申せば十八万九千トンということに今年度の予算の処置はなっておるわけでございます。大体その約十九万トンの外航船舶をどのように割り振るかということは、今後造船合理化審議会等において御研究を願うことになっておりますが、大体予算案では定期船六万八千トン、不定期船六万七千トン、タンカー五万四千トン、合計十八万九千トンというものを予定しておるわけでございます。そこでその資金でございますが、政府は百六十億の財政資金を外航船舶建造に充てる。そうして市中銀行から期待いたしておりまする金額は約三十八億であります。この割合は財政資金が八割、市中二割、こういうことで今年度の約十九万トンの外航船舶を建造していきたい、こういう考えであります。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 そこで開銀百六十億、市中三十八億、合計百九十八億をもって十八万九千トンを建造する場合、鋼材がその資材の大部分を占めるだろうと思いますが、この鋼材がだんだん値上りをしてきておる。昨年計画造船を進め、その後相当輸出船の建造が行われた。その場合には三万五、六千円で一トンの鋼材が人手できたと思うのでありますが、この鋼材がだんだん高くなってきたわけです。そうしますと、この金額をもって十八万九千トンの建造が可能であるかどうか。また鋼材の価格について、運輸省は鋼材の販売業者と造船業者との間にどのようなあっせんの労をとろうとするか、それを承っておきます。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 鋼材の値が非常に上って参りまして、これは輸出船舶の場合にも非常に影響するわけであります。政府の方としては、こういうプラント輸出あるいは計画造船にもこれは非常な影響を持つので、なるべく鉄鋼の価格の安定を期したいということで、いろいろな場合を検討しておるのでございますが、運輸省といたしましてもなるべく船価を安くするためには、鉄鋼業者あるいは造船業者、船主、そういう間に立ってなるべく船価が安くつくように今後あっせんをしていきたい、こう考えておるのでございます。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 大体現在の経済情勢において、日本が海外へ船舶を輸出するためには、鋼材が何ぼまでで入手できなければならないか。それが高過ぎる場合には、政府としては補給金制度というようなものを考えなければならないかと思うのでございますが、それらに対する御見解をお伺いします。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 まあ鋼材補給金を出すべきであるという意見もいろいろございましたが、そういう形の直接の補助を出すということになりますと、いろいろ国際的な波紋もございますし、また輸出を今後正常化していくために、そういう形の直接の補助によるということも、いろいろ全体としての輸出振興の政策の上から感心しないのではないかということで、政府は御承知のようにプラント輸出につきましては、あるいは保険料あるいは税制等の点で間接的な輸出増進の政策をとる、直接の鉄鋼補給金のような形における補給はしないで輸出を伸ばしていこうということによりまして、鉄鋼補給金のようなものは出さないということにいたしたのでございますが、現在四万円程度のものならば輸出船舶が引き合っていく、こういう見解でございます。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 四万円なり四万五百円程度に折り合いがつく見込みでございますかどうか。その点を承わっておきたいと思います。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 いろいろむずかしい問題もございますが、運輸省としてはそういう点で努力をしていきたい、こういう考えであります。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 今回政府の計画しておる計画造船十八万九千トンは、すべてこれ大型船であろうかと思うのでありますが、戦前日本と中共あるいはソビエト、東南アジア等と貿易が非常に盛んであり、ことに中共、ソビエトのシベリア沿岸で約三百万トンくらいの荷物が動いておったのでありますが、中共との間の貿易協定も、まだ金額はそう大きくありませんができ上りましたし、また政府は近くロンドンにおいて、ソビエトとの親善通商に関する交渉を行うことになっておりますが、そうすると、これら近海航路に使う船が必要になってこようと思う。今まで建造された外航船舶は、これすべて大型船でありますが、このような中共、ソ連あるいは東南アジア貿易の発展に伴いまして、どうしても五千トン、三千トンくらいの優秀な中型船の建造が必要になってくることは目に見えているのでありますが、これらの日本にとりまして特に重要な隣国との貿易拡充のために、計画造船というものが、大型船のみならず、中型船につきましても早急に考えられなければならない時期が来ているのではないか。そこで政府は、この優秀中型船の建造に対しましてどのような計画を持っておるか。私の希望といたしましては、本年度からでも計画造船の中に中型船の建造というものを織り込んでいく必要があるのではないかと思うが、運輸大臣の見解を承わりたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 政府は中共、ソ連との貿易を増進していきたい立場に立っておるのでありますから、そういう見地から見て、六、七万トンの中型船舶が必要であるということは考えておるのでございますが、今年度の計画造船の中に中型船を入れるかどうかという点は、検討しなければならぬ課題になって参ると思いますので、造船合理化審議会等に、審議の場合にもこの点についてとくと検討を求めたいと考えております。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 これは焦眉の急務と考えるのでございますし、中共並びに東南アジア貿易の振興のために、計画造船の中に中型の優秀船を入れていただきたい。これはほとんど老朽船になっておって、十分に近海航路の海運の目的を達し得ないと思いますから、至急にこの点はお考えを願いたい。  なお、今日本の国際収支の改善をはかるためには、船舶の輸出というものが非常に重要になってきつつあるのでありますが、そのためには、今後において船舶輸出の制限の緩和をして、大型船をも輸出できるように努力をする意思があるかどうか、また努力しつつあるかどうか、それを承わりたい。  もう一つ、中南米や東南アジア、アラブ諸国等においても、それぞれ海運の振興策を講じており、相当の船舶を他の国に注文しておるのでございます。日本もこれらの後進国の船舶の注文を受けまして、国際収支に資しなければならない。そのためには、調査団やあるいは経済使節団を派遣して、中南米、アラブ諸国や、あるいは東南アジア諸国の船舶の注文を積極的にとってくる必要があるのじゃないか。政府としては、このココムの問題並びに船舶の注文をとるための積極的な助成措置等について、いかなる考えがあるか承わりたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 今の大型船の制限というものは、これは中共、ソ連なんかではココムの関係がありますが、それ以外の方では、何も大型船であるからというような制限はないし、また政府の方としても、大型船であろうが中型船であろうが、プラント輸出においては輸出船舶が中心でありますから、何も制限を置かないで奨励しておるわけでございます。また御指摘のような中南米あるいは東南アジア、こういう造船界の後進国に関しては、いろいろ注文もございます。先般もブラジルから海軍の油送船の注文があって、関係者がブラジルに帰るときに海軍大臣も見えておりまして、私もその船の引き渡しのときには参りましていろいろ話をしたりし、安東大使がブラジルに赴任するときにも、私の家に参りまして、今後やはり船舶の輸出というものは中南米においても非常に有望だから、運輸大臣なんかを中心とした視察団がブラジルに行けば非常によいのじゃないかというようなことを言って帰られました。最近では、運輸大臣ではございませんが、産業大臣がブラジルからやって参りまして、私にも面会を申し込んでいるわけであります。運輸省としても、こういう地域には駐在官を常時置きまして、そうして船舶輸出の現地においてそういう船舶の輸出振興をはかるために常に努力をいたしたい、こう考えております。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 ドイツなり、イギリスなわ、スエーデンなり、その他の船舶輸出国は、後進国の船舶注文に対しまして、三年なり五年なりの長期にわたって代金を支払う制度を認めておるようでございますが、日本も国際賃借上出超になっておるような国に対しまして長期の金融をして注文をとる、その場合に政府がその資金の融通について何らかの助成措置なり、協力措置を講じて、代金を全部支払えないような国の船舶注文を受けさせるようにする、そのような措置を講ずる意思があるかどうか、またそういう計画をなさろうとする考えが運輸大臣としてあるかどうか承わりたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 そういう国々に対しては、資金の点で一度に代金を支払うということは困難で、今までそういう長期の契約については、五年くらいが普通の例であります。しかし先般もブラジル等においては、七年くらいの長期でも考えてやったわけで、今後船舶の輸出については政府としても助長していきたいという考えで、その場その傷いろいろのケースごとに、われわれとしてもかなり長期にわたって船舶の注文はとりたいという指導を行なっております。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 次に、私は自動車道の問題をお尋ねしたいのであります。先般の委員会で私は運輸大臣に、鉄道と並行して自動車道路を建設することによって、日本の交通網を完備する意思はないかどうかと質問したのに対して、今後これは十分に考えていかなければならないというようなお答えでありました。現在日本においては、一般自動車道はわずか百八十キロしかない、専用自動車道路は五十二キロという貧弱さでありますが、諸外国の例を見ましても、線路のない鉄道として自動車道が非時な発達を遂げ、日本において弔いろいろ今計画が起案せられつつあるのでありますが、運輸省といたしまして自動車道ということになると建設省でなくて、運輸省の所管になるだろうと思う。このような一般並びに専用自動車道の発達に伴って、これを規制する法律は、今道路運送法にわずか数個条の規定があるにすぎないが、これではとうてい万全を期し得ないと思うのでありまして、このような自動車道の規制取締りに関する法律というものを立案しているやに伺うのでありますが、その経過や現状を御説明願いたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 お説のように、道路関係の法律は非常に不備でありますので、自動車道法という法律を今立案と申しますか、検討を加えておるのでございます。もしこれが間に合えばこの国会に出したいと考えておりますが、まだこれは建設省ともまたがるような問題が多いために、この国会に必ず出せるとも申し上げられないのでありますが、でき得べくんば出したいという方針のもとに、自動車道法というものを検討を加えておることは事実でございます。まだきまったものではございませんが、大体の構想はここで申し上げてよろしかろうと思うので、自動車局の方から申し上げることにいたします。

高橋末吉運輸事務官(自動車局総務課長)

○高橋説明員 自動車道法案につきましては、まだ関係各省とも検討を加えておる段階まで至っておらないのでありますが、自動車局の事務当局といたしまして、今のところ構想を練っておりますのは、現在の自動道につきましての法制は、道路運送法という法律の一章に入っておるのでございますが、この自動車道に関する規定が運送法の中に入りました当初のいきさつにつきましては、バス会社などが自分のバス事業の一つの施設として、自動車道を作るというふうな考えのもとででき上っているようでございます。従いまして、現在のところ自動車道はあまり大きいものはないのでございますが、最近に至りまして、大きな構想に基く自動車専用道路の計画がいろいろもくろまれて参っておりますので、こういうふうな、国全体としての大きな問題になるような自動車道、これは道路運送法の一章に掲げてあるようなもので律するのは妥当ではないのじゃないか、もっと国全体としての立場から検討を加えなければならぬのじゃないかというふうな考えに立ち至りまして、これを別な法律にいたしまして、鉄道建設審議会のような、ああいうふうな各方面の権威者の方々の審議を経て、これの決定をもってやっていくというふうな大きな構想に上げていかなければならぬじゃないかという気持のもとに、構想を練っておる次第でございます。ただいままだ事務当局といたしまして考えておる段階でございます。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 自動車道路につきましては、建設省が大阪——名古屋間の自動車道の設計調査を、天竜川上流の佐久間ダム建設に協力しているアトキンソンという会社に委託して測量している。そうして赤いくいなどを打っているのであります。地元の人たちは田畑を取られ、あるいは家屋の移転をしなければならぬのじゃないかというので、相当問題を起しているようであります。また一方東京——沼津あるいは江ノ島間に東京急行の電鉄が自動車専用道路を作ろうという申請があるということを聞いているのでありますが、このように大きな計画の自動車道路の建設がもくろまれているのでございますから、早急に大局的に見た自動車道法の立案制定が必要になってきていると思うのであります。また衆議院におきましても、各党共同提案をもって国土開発縦貫自動車道建設法というようなものを提案しようとするほうはいたる動きが今起りつつあるのでございまして、これらの事態にかんがみまして、運輸省といたしましては——自動車道というものになりますと、建設省と共管ではございましょうが、運輸省の方が主たる関係官庁になろうかと思いますので、早急に考えをまとめられまして、適切妥当な自動車法を制定しまして、このほうはいとして起っております自動車道建設の機運に対処して、早急な法律の制定その他の処置を講ずる必要もあると思うのでありますが、運輸大臣の御見解を承わっておきたいと思います。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 さようにいたしたいと考えております。

竹谷源太郎日本社会党(右)

○竹谷委員 次に私は自動車局長に前に、全国にわたるバス、定期乗合自動車営業に関する申請があって、未処理になっている案件がどれだけあるかということを質問しておいたのでありますが、まだ答弁も、また文書による回答もございません。この定期乗合自動車営業の申請の申請年ごとの未処理の件数を至急に調べて、一つ回答してもらいたいと思います。それによりましてなお詳細な質問をしたいと思いますが、要はいろいろめんどうなことが多い、また地元でいろいろなごたごたがあったりして、解決の至難な案件が多かろうとは思いますが、いずれともきめないで放任しておくということは、地元の業者にとりましても、また関係者にとりましても非常な迷惑でございます。これは一つ適切な処理をすみやかにすることを私は希望したいのでございますが、今申し上げた統計を至急に文書によって御回答を願いたい。その御回答をいただいてまた質問したいと思います。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 さように取り計らうことにいたします。

原健三郎自由党

○原委員長 正木清君。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 私は大臣に、大臣が就任されて初めてですから、国鉄に関して問題点を集中いたしまして、大臣並びに関係政府委員の御所信を承わりたいと思うのであります。  第一に大臣にお伺いしたいのは、このたび国鉄の総裁が更迭を見たわけですが、前の長崎総裁は辞任をされて更迭を見たのか、または別途の方法によって更迭を見たのか、この点、まず明らかにされたいと思います。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 長崎総裁は辞任をされたために更迭を見たのであります。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 その辞任をされた経過から見ての新しい総裁の任命でございますが、これは日鉄法の第二十条に基く経営委員会の同意を得て、新しい総裁を任命された、こう承知してよろしゅうございますか。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 その通りであります。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 そこで大臣にお尋ねしたいと思いますことは、このたびの十河という新総裁が新聞記者団に発表しておりますところによると、経営委員会について相当の意見を持っておるようでございますが、大臣は今日までの経営委員会のあり方等について御研究をなされたことがあるかないか、今日の経営委員会のあり方でよいのかどうか、こういう点について、御所見があれば、この際承わっておきたいと思います。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 これは大きな国鉄の経営の根本に触れる問題でありますので、近く作られます国鉄運営に関する調査会においても、これは十分検討を願いたいと思っておるのであります。しかし、これは重大な問題でありますので、よほど慎重に検討を要しますが、私個人の見解をしいて申し上げるとするならば、経営委員会というものをもう少し強化すべきではないか。そうして、今はこれはいろいろ事業をお持ちになっている方の名誉職的なものでございますが、そういう人たちもいる。全部が全部、経営委員会の仕事に専念ということはむずかしい。なぜならば、民間の経営に対していろいろ経験をお持ちになっておる方々が、専任ということになってくると、なかなか人を得られない。だから、全部が全部というわけではないが。経営委員会のある部分の人は、国鉄の経営に専念できるという形の人が、経営委員会におることが必要なのではないか。そういう点で、経営委員会が強化をされて、一つの会社でいえば、取締役会と申しますか、そういう中で一方においては平取締役があり、あるいは常務取締役があるというような形で、国鉄の経営、運営について経営委員会が全責任を持っていけるような仕組みにしたらどうか、私個人としてはそういう見解を持っておるものでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 監督局長の植田さんにお尋ねします。運輸省は国鉄を監督する唯一の政府機関でございますが、日鉄法の第二章の、経営委員会に対して、運輸省としての立場から今日までどのような監督なり、運営の御指導をなさったか、その点をまずお聞きします。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 経営委員会につきましては、法律で定められておりますように、国鉄の最高の意思決定機関でございます。運輸省といたしましては、経営委員会の活動についてはその自主性を認めておると申しますか、法律の精神がそういうことでございますので、経営委員会の活動と申しますか、お尋ねの趣旨のような経営委員会についての具体的な指示あるいは監督と申しますか、そういうことはいたしておりません。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 運輸省として、今日までの経営委員会のあり方に対しては、法の命ずる自主性を非常に尊重された、それは私一応肯定できるのですが、私の非常に疑問といたします点は、今監督局長が答弁されましたように、法律条文から見ますと、経営委員会は国鉄の最高意思決定機関なんです。ところが経営委員会ができて今日までの経過を、前回の運輸委員会において、経営委員の委員長である佐藤さんと私の間で、時間を一時間を制限されて一問一答をした経過からたどってみますと、悪く申し上げますと、国鉄の事務当局の一諮問機関にしかすぎない。よくいえば国鉄の政策合議機関です。ですから、法の建前からいう最高の意思を決定する機関ではない。従って経営委員会は独自の事務局を全然持っておらない。それからこれも法の一つの不備であることに気がついて、私自分ながらしまったと思っているのですが、今大臣がおっしゃったように、全体が非常勤でないにしても、法の建前からいうと、すべてが名誉職で、片手間でやっておる。ですから法律の一面では最高の意思決定機関であって、ある意味では総裁以下副総裁の理事は、執行機関的な性格をも考えられるのです。ほんとうに経営委員会が法の命ずるように最高の意思決定機関として、国鉄全体について最大漏らさず調査、研究、立案して、意思を統一していくとするとするならば、総裁以下は経営委員会の意思決定に基いて執行する執行機関的なものになっても差しつかえないというようにも考えられる。ところが実際は名誉職であって、週に一回か、多いときで二回、国鉄から書類を出されて、一時間か二時間国鉄当局の説明を聞いて、よかろう。これが今日までの経営委員会の実際の姿である。果してこれでいいのかどうか。ここに私は大きな疑問を持ってきたわけです。ですから現在の姿のままの経営委員会であれば無用のものであって、私は総裁や副総裁その他の理事の諸君にとっても、はなはだ迷惑な機関であったとすら考えられるのです。また実際の責任の所在が不明確ではないか。本来からいえば、国鉄の一切の責任は法の建前からいけばこの経堂委員会が負うべきものである。議会に対してもです。ところが現実には、今言う通り、悪くいけば諮問機関、よく言って政策合議機関、これなら私はむしろない方がいいと思う。もし監督機関である運輸省と、直接この大事業の衝に当る国鉄当局との間に、この法の命ずるように経営委員会というものが絶対必要であるとするならば、今大臣が個人の意見だ——この個人の意見ということは私は非常に疑問があるのです、あなたは少くとも国務大臣なのですから、あなたの意思によって何々対策委員会、何々委員会という諮問機関ができるのです。やはりあなたが責任の当事者なのですから、私は個人の意見ということは、適当な機会にお取り消しがあってしかるべきだと思うのです。いずれにしてもこの経営委員会が、ほんとうに法の命ずるように絶対に必要であるとするならば、あなたが今おっしゃったように、これをりっぱに強化しなければならない。そしてここは全体の計画、立案がすべてなされるところの最高のものにしなければならない、こう考えますが、大臣の御政見はいかがですか。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 個人の意見と申しましたのは、これはやはり大きな国鉄機構の改革に属しますので、政府としてまだ意見がまとまったものではないということで、運輸大臣の見解であると申し上げた方が適当と思います。私も正木委員と全く同意見であります。これを廃止するというような方向に考えておるのではなくして、経営委員会を強化して、経営委員会の決定に従って、それを総裁が執行するという形に持っていきたい、そのために経営委員会はこれが全部専任ということになってきますと、民間のいろいろ経験、あるいは経営に対しての才能を持った人が得られませんから、半数程度はやはりそういう経営の能力のある民間人を採用し、半分は専任する、こういう形で経営委員会を強化するということについて、国有鉄道法の改正等も、鉄道監督局に対して研究、立案等を私の方からすでに言ってあるわけでございます。そういう方向について考えておるということを申し上げておきます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 私は重ねて運輸省の植田監督局長にお尋ねをしたいのですが、今国鉄の財政の危機が非常に大きな問題として取り上げられておりますが、その財政を救うただ一つの道は、不合理な今の運賃料金を適正な運賃料金に改訂するということが、大きな中心課題であると私は考えておりますし、多くの意見もそのように実は聞いておるのです。さてそこで、一体適正なる運賃と決定する基礎をなす何かの法律案があれば、この際ここで明らかにしてもらいたい。国鉄は何を基礎にして運輸当局を経由して議会の承認を求めるか、その法規の基礎を明らかにしていただきたい。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 国鉄の運賃につきましては、御承知の通り国有鉄道運賃法という法律がございまして、法律の第一条に国鉄の運賃の考え方と申しますか基本的な原則というものをうたっであります。これに基くべきものだと思います。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 そうすると、重ねてあなたにお尋ねするのですが、国鉄の運賃とは、国有鉄道運賃法という法律に基いてそれぞれ申請手続をするのだ、こう解釈してよろしいのですね。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 申請手続というお話でございますが、手続はまあ別でございますけれども、運賃のいわゆる考え方というものは、この運賃法に盛られておるというふうに考えております。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 そうするとこの国有鉄道運賃法の一条二項の第一には「公正妥当なものであること。」第二には「原価を償うものであること。」こう明確に規定されてあるのですが、監督の立場にある運輸省は、現在の運賃が公正妥当なものであるとお考えでありますかどうか、この点明確に一つ御答弁を願います。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 この運賃法には四つの原則がございますが、実はこの四つの原則は一つ一つ取り上げてみますと、相反発すると申しますか、相矛盾するような条項もございます。従いまして、この四つの原則を総合しましたいわゆる精神——底に流れております精神といいますか、そういう視点から運賃を考えなければならぬのではないかというふうな精神であろうと考えるのであります。いわゆる一の公正妥当なものであるという点につきましても、二以下のいろいろの原則を当てはめてみまして、果して現在の運賃が公正妥当なものであるかどうかということを考えなければならぬのではないか、かように考えられるのであります。現在の運賃が、一般物価に比べて低過ぎますことはもちろんでございますが、国鉄の財政上から見まして、財政上の困難を打破する一つの大きな手段といたしまして、運賃の検討をしなければならぬ必要があるということだけは確かであると思います。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 植田局長にもう一回重ねてお尋ねいたしますが、現在の国鉄運賃は、改正することが妥当であるということを再確認してよろしゅうございますか。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 私からお答えいたします。これは今申したように、四つの場合があって、非常にむずかしい問題であります。これは前後に矛盾するようなことを並列して書いてある。何が矛盾するかと言えば、賃金及び物価の安定に寄与する、こういうわけです。一方においては原価を償うものでなければならぬ。これが現在において国鉄運賃で非常に相矛盾する要素だと私は思います。そういう点で、この問題の決定についてはやはり政府が責任を負わなければならぬ。それで今の政府の考え方としては、経済の安定をはかるためには物価、賃金その他の物価政策等の見地から、もう少し鉄道運賃を上げないことが適当である、こういう判断をしたわけで、この四つの中で、どちらかといえば最後の第四点に政府は重点を置いて考えたわけでございます。そういう点で、運賃の値上げは今年中はやらないということを閣議で決定をしたわけでございます。しかしながらインフレの危険もなくなってきて、そうして物価も大体その程度の運賃の値上げによって、そのはね返りが非常なインフレを助長するような弊害も少いというような判断になってくると、今度は第三の点を相当中心にして考える時期があるが、今の時期では、今の日本経済の情勢分析では、運賃を値上げするとインフレを助長するという判断で、政府は運賃を今年中は上げないということを決定したので、これは事務当局のいろいろな検討というよりかは、内閣の政治的判断というものが、この四点に重点を置いたということを御承知願いたいのでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 ただいまの大臣の政府としての御所見は承わりましたが、私は大臣に今質問したのではないので、事務当局の意思表示がございましたから、事務当局の見解いかんということを再確認する意味で再質問したのですから、私は事務当局の見解を再確認する意味で明確にしていただきたいと思う。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 国鉄の現在当面いたしております緊急な問題といたしまして、老朽施設の更新であるとか、あるいは輸送設備の増強、近代化、このためのいろいろの資金源というものを考えますと、今日において不足していることは、もう少し資金がほしいということだけは確かでございます。従いましてこの運賃の点につきましては、一つの大きな収入源と申しますか、国鉄の公共企業体である本来のあり方から申しまして、この運賃収入というものについて検討を加えなければならぬということは、必要であろうかと考えておるわけであります。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 そこで私は国鉄当局側にお尋ねをしたいのですが、これは副総裁と石井経理局長の二人の方にお尋ねをしたいのです。三十年度の国鉄予算の原案を見ますと、私は非常に無理な予算の組み方をやっておるのではないかという強い感じを受けます。しかもその中をしさいに検討して参りますと、まず予算編成技術とでもいいましょうか、最後のしりではつじつまを合せているという感じすら直感的に受けてなりません。そこで順序として、今の国鉄施設の復旧状態は一体どのような状態になっているのか、それからまたもう一つは、この施設の荒廃状況は一体どのようになっておるのか。これは国鉄から出しました「国鉄財政の現状」、これで申し上げた方がいいでしょう。そうすると、ここで見のがしがたいことがあるのです。お持ちになっておればそれの三ページをごらん願いたいのですが、三ページの最後から四行目にこれこれのことを急速に取替、また新設をしなければ、「不測の事故の発生するおそれがないとはいえない状態にある。」こう強くあなた方は公文書をもって世に問うておるのですね。これはやはり非常に大きな問題ではなかろうかと私は思うのです。少くとも国家の一つの事業体である国鉄当局は、生命と財産を預かり、正確で迅速で、しかも安全でなければならない、この国鉄の現状の施設の状態の中において、「不測の事故の発生するおそれがないとはいえない状態にある。」一方海上においてはいろいろ事故が現に発生している。また陸上における鉄道の事故も非常に多数出ている。その中にあって、こういう表現をしなければならないということになりますと、われわれ国民の代表であるものは安心してあなた方に今の国鉄をおまかせすることはできないという心配すら私の頭の中にあるのですが、なぜこういうような状態になったのか、現状は一体どうなのか、この文章を基礎にして差しつかえございませんが、直接国鉄の責任者である天坊副総裁から明確に記録に残す意味においても、国鉄の現状をありのままにここで発表を要求いたします。

天坊裕彦日本国有鉄道副総裁

○天坊説明員 国鉄の現状につきましては、正木委員など特に国鉄についていろいろと御熱心に実際の状況について御検討を願っているようでございますから、実情については十分承知の上での御質問かと存じますが、一応お答えいたしますと、ただいまお話がございました通り、戦争中のいろいろな酷使あるいは戦災を受けた直接の被害、同時に戦争中のいろいろ手入れ不足というようなことが重なって、さらに戦後いろいろと輸送の数量が増大して参る。しかも戦争直後の購入した資材というものは、質が非常に悪かった。それで思うようにこれらの損耗を補うだけの資材の投入が十分にできていない。こういう状態でずっと戦後やって参りました。とにかく運ぶだけだという時代から最近やっと、老朽あるいは資材の取りかえ不足という点から、その日その日の安全だけは何とか確保できるという状態に立ち至ったのでございますけれども、まだここにございますように、全体といたしまして何とか取りかえたい施設が、さしあたり千百億近くも残っている状態でございます。これらの様子を考えますと、実際は何と申しても私どもも心配にたえない状態でございます。しかし毎日々々が絶対に安全でないということになりますれば、私どもこの予算でお引き受けいたすことはできないということは、当然言わなければならぬのでございますが、しかしまあまあ何とか速度は出さなくて、ゆるゆるやれば安全にやっていけるというような点も考慮いたしまして、今年の予算でまあ何とかやれる——しかしこれにはやはり従事員にもいろいろと危険を避けるための、特別な注意を願っているわけであります。あるいは人手不足を補っているという点もあるわけでありまして、何とかこれを解消しなければならない。そのためにはぜひ国鉄財政にもう少しゆとりを持たしていただいて、早急にこうした荒廃した、あるいは耐用年数を経過した施設を改めて、絶対安全、そういう点の心配は毛頭ございませんというような格好にまで持っていきたいとひたすら考えているようなわけでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 私は重ねて確認をする意味でお尋ねをしておきたいのですが、註一「たとえば、橋りょうの経済的耐用年数は四〇年となっているが、国鉄の橋りょうで、四〇年以上経過したものが約三三%あり、五〇年以上を経過したものが約五%ある。また蒸気機関車をとり上げてみても、その経済的耐用年数は二〇年であるが、四〇年以上経過したものが二三三両あり、二〇年以上経過したものは全体の四七%を占めているという実情である。」こう書かれておりますが、この通りであると確認してよろしゅうございますか、簡単に御答弁願います。

天坊裕彦日本国有鉄道副総裁

○天坊説明員 数字的にはその通りでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 そこで重ねて私は確認する意味で明確にしておきたいと思いますが、国鉄の運転事故の件数でございますが、昭和二十八年度においては、昭和十一年度に比較して約四倍という数字を示しているが、これはどうか。第二点、その事故の内容を検討してみると、車両事故は八・三倍、線路事故は二・七倍という数字を示しておるが、これらの根本原因は、老朽した施設と車両の事故であると考えるが、これに対する所信はどうか、これを明確にしてもらいたい。

天坊裕彦日本国有鉄道副総裁

○天坊説明員 ただいま御指摘にございましたように、国鉄のいろいろな事故でございますが、これはたとえば戦後、昭和二十一年ごろは、昭和十一年に比べまして十倍以上の事故があったわけでございます。それを何とか先ほど申しましたようにとにかく安全第一という点で、与えられました範囲内の予算で、その点に重点を置いてやって参りまして、やっと三倍強、四倍近くのところまで減らして参ったというところでございます。その中で特に御指摘がございましたが、車両関係はバネに関する事故というものが非常に多いのでございます。これは老朽の点もございますが、戦後の資材そのものが粗悪であったというような点もございまして、この事故が非常にふえております。そのほか線路の折れるというような事故は、戦前にはほとんどなかったのでございますが、最近それらが一日に十件ないし十五件近くも毎日発見されておるというような実情でございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 もう一点これに関連して、私が当委員会で明確にしておきたいと思いますことは、これら一般国民が想像だにもしないような列車事故に対して、この列車事故の直接の原因が、国鉄の職員の過失によって起る事故である、こういうようにややもすると誤解をしておる人が多いように私は聞いておりまするが、当局からの各般の資料等を総合してみますと、事実は逆であって、職員の過失によって起る列車事故の件数は、むしろ戦前より下回っている事実を私はつかむことができたのですが、この点もし資料をお持ちであるならば、戦前と現在とを数字をあげて御説明願いたいと思います。

石井昭正日本国有鉄道理事(経理局長)

○石井説明員 責任事故と列車の事故、いわゆる列車の衝突、接触、脱線というような件数は、昭和十一年は百六十五件でございまして、これを指数にして一〇〇といたしますと、昭和十二年以降は、十二年が一三六、十三年が一一八、十四年が一二六、一五年は九四でございまして、十六年が一〇五と大体なっておりますが、戦争がだんだん激しくなって参ります昭和十八年ごろは一八二となり、十九年が四七四、二十年が四二六という数字になっております。終戦後だんだん状態が回復して参りますと、二十一年、二十二年、二十三年は大体二九六とか二四一という状態になっておりまするが、大体二十七年には一〇五になり、二十八年には一〇〇になっております。件数は同じでございますが、列車キロは相当ふえておりますから、従って戦前より下回った成績というふうに今申し上げておるわけであります。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 今の国鉄当局の説明によって、この国鉄財政の現状の中で、不測の事故の発生するおそれがないとはいえない、こう言い切らなければならない根本の原因がどこにあるかということが端的に明確になったのではないかと、私は実はこう思います。そこで重ねて私は国鉄当局に聞きたいのだが、では一体この状態に対して、少くとも年次計画を立てて、国民に安心感を与え、そうして国鉄が日鉄法によって規定されたその目的を達成するため、各般の施設の復旧改善、その他すべての事柄をするだけの年次計画というものがなくてはならないと私は思います。それと関連して、政府としてはこの国鉄の現状に処して、どうあるべきかというところの対策もなくてはならないと思いますが——どうか大臣は答弁に立たないでもらいたいと思うのですが、私はそこで国鉄の事務当局として、この国鉄の現状のもとにおいて、三十年度の事業計画なり、従って予算編成に当ってどのような方針をもって経営委員会に臨み、運輸当局に折衝したか、これの経過並びに結果、従って最後にわれわれの手元に出てきたこの三十年度の国鉄予算をもってして、この国鉄の現状のこれらの諸問題を完全に解決つけ得るというところの御自信があったものかないのか。この点を責任をもって明確にしていただきたい。相当詳細に明確にしてもらいたい。

石井昭正日本国有鉄道理事(経理局長)

○石井説明員 国鉄といたしましては、三十年度予算の編成に当りまして、第一にこの施設の取りかえ復旧に要しますとこるの減価償却費の増額——これは現在二十九年度の予算までは、第一次再評価のベースでしか認められなかったのでございまするが、これではとうてい足りないのである。また私どもはほかの企業、他の一般産業においても、三次評価というものは認められており、あるいはまた強制されておる。また同じ公社でございます電電公社におきましても、第三次評価を十分にいたした上に、さらに特別償却もやっており、さらに利潤を上げて、それを改善経費に充てておる、こういう実情でございますので、私どもの減価償却費の増額は、第三次評価の線までお認め願いたいということを、第一の考え方にいたしたわけでございます。これは大体四百八十三億程度に相なります。  その次に、私どもが心配いたしておりますのは、ここ数年来非常に資金の調達が困難なために、自己資金の不足のために、外部資金に多くを依存しなければならない、結局債券の発行あるいは預金部の運用資金を借りておるわけであります。これが年々相当多額になるわけであります。しかし今後も鉄道の改善をやっていきますためには、外部資金の調達ということについて明確な計画的な対策が立たなければ相ならぬと思いますが、そのためにはやはり借入金の返済計画が樹立しておらなければならぬ。そこで現在では全然その目途もない。従いまして財政の白書、「国鉄財政の現状」の中にも書いてございますように、現在借りております資金が総計して約一千四百六十六億、二十九年度末に相なっております。これを返していくのは、実は三十年度におきましては償還期限が来ているのはわずか十三億程度でございます。ここ数年来に非常に大きな額になるわけであります。三十二年度には二百七十五億、三十五年度には四百二十二億という額になるわけであります。こういう状態でありますので、やはりそういう財政の平準化をはかって、一度にどかっと返済金が来たときの処理をするためには、どうしても減債基金の充実が必要であろうと考えまして、減債基金として、これは借入金の返還も含めまして六十億程度お願いしたい。大体この二つの点を財政の健全化と企業内容の充実のために一応必要と認めまして、そのほかに昨年以来の景気の変動によります収支の悪化、これに基く差額を合せまして大体三百四十億程度不足をいたします。この不足額につきましては私どもは運賃の改正によってカバーをいたしますのが、最も合理的な解決方法であるとは存じておりますが、しかしながら昨二十九年度の予算編成のとき以来、鉄道運賃の値上げというものにつきましては、国の一般的な経済、財政と非常に密接な影響がございますので、結局政府の御判断にゆだねなければならないのでございますので、私どもに三百四十二億、もし運賃改正か不可能ならば、別途何らかの財政的措置を講じていただくということも必ずしも、これは一年あるいは一年限りというようなことであるならば、これはやってやれないことはないのじゃないか、かように考えて予算の要求をいたしたわけでございます。この予算につきましては、経営委員会にも十分御説明を申し上げ、また経営委員会の議決を経て要求をいたした次第でございます。  なおただいまのは損益に関する分でございますが、今度は設備資金の問題でございます。設備資金につきましては、これは新線建設の問題もございますので、その使命から考えまして、また同時に企業体の採算ベースという問題から考えまして、政府に御出資をしていただくのが妥当ではなかろうかということで、これにつきましては政府の出資を約六十八億お願いしたわけであります。そのほかのいわゆる電化あるいは通勤輸送の改善あるいは輸送力が逼迫いたしておりますところの東北、北陸方面の輸送力の改善というような問題、あるいは不足いたしておりまする車両の増備という問題につきまして、全部を合せまして、老朽施設の取りかえ、諸改良を入れまして、私どもは約八百四十二億という額を要求いたしました。これは先ほど申しましたように三百四十二億という損益におきますところの穴が埋めていただきますならば、四百八十三億という減価償却費を自己資金として保有することができますので、従いまして公募債を百億程度、運用部資金から百二十五億程度御心配願えれば、これだけの工事もでき、老朽施設の取りかえにも充てるということでございます。しかしこういう要求でございましたが、結局予算の折衝段階になりまして、政府の御方針として運賃値上げはしないということになりまして、従いまして運賃値上げという問題が先送りとなりましたので、結局また採算の——これは二十八年度から繰り返しておることになるのでございますが、減価償却の増額ということは一応問題の外に、それからまた減債基金という問題も、そういう運賃値上げという根本問題が解決する際にあわせて解決されるべき問題として、いわゆる見送りということになったわけでございます。しかしながらそれにいたしましても、なおいろいろ利子の増加あるいは諸経費の増加等によりまして、収入の方の見込みが昨年から引き続きあまり好調ではございませんので、若干のアンバランスができたわけでございます。これらの内容を調整するためには、第一次再評価のベースで減価償却費を計上いたしましても、三百四十五億は必要となる計算でございますが、それが大体二百九十億程度に減らす、落してつじつまを合せるといえば合せるということになるわけでございます。ただその自己資金の不足分は、政府の方で預金部の資金運用資金を、私どもの要求よりも約三十億程度増加していただきましたので、結局借金でもって穴を埋めたという格好になって、老朽施設の取りかえに必要な資金は、第三次評価ベースのスケールまではいきませんが、第一次再評価のスケールのベースには大体到達いたしております。その内容が自己資金でなくて借入資金、こういう格好になっておる次第でございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 今石井経理局長が当委員会で明らかにしたことは、大臣も十分御報告を聞いており、御研究済みだと思うのです。あなたに対する質問は若干あとにしまして、私はこの際大蔵当局に一つお伺いしたいと思うのですが、私はこの日鉄法の公共企業体とは一体いかなるものかという定義、それから独立採算制とは、何ぞやという定義はあとにして、同じ公共企業体であるところの電電公社はすでに第三次の資産評価をやり、さらに特別償却費すらやっておるのです。しかるに今日なぜ一体国鉄が財政的にここまで追い詰められ、しかも不測の事故の発生するおそれがないとはいえない状態にあるとまで極論をしなければならない現状において、大蔵当局はなぜ一体これを等閑に付しておいたのか。私は、予算折衝の直接の監督決定権を握る大蔵当局として、国鉄の独立採算という——私には疑問の点が多々ありますが、企業体に対する処置について、この際大蔵当局の明確なる所信を伺いたい。

岩尾一大蔵事務官(主計官)

○岩尾説明員 ただいま正木委員から御質問がございましたが、予算の最後の決定権は運輸大臣が持っておられるわけでございまして、私は大蔵大臣の協議にあずかる点について、予算の仕事に参画した立場から御答弁申し上げたいと思うのであります。  ただいまお話になりましたように、この「国鉄財政の現状」という書類には、数字をあげまして、「不測の事故の発生するおそれがないとはいえない状態にある。」と、こういう表現をされております。ただ実際の場合におきまして、現在の国鉄の資産がほんとうに老朽をし、物理的に使用が不可能な状態になっておるかどうかという問題と、ここにあげておられますような、経済的耐用年数は四十年、あるいは蒸気機関車につきましては二十年と、一応の数字をあげて、それによってはじかれた計算というものとは別個でございまして、たとえば橋梁の場合におきましては、現在国鉄の減価償却におきましては、橋梁を四十年という算定をしておりますが、一般の私鉄等におきますところの法人税の償却年限は六十年になっております。また蒸気機関車につきましても、現在二十年とここに書いてありますが、国鉄におきます耐用年数自体も、取扱いの上で二十五年という規程をしておるわけであります。従いまして、これは推定の問題でございまして、一つ一つ個々のものに当って、これが果して老朽しておるかどうか、使用不可能であるかどうかという判断をいたしませんと、現在の国鉄の資産というものがどう老廃しておるかという判断はできにくいかと思いますが、一応の資料としては確かにこういう数字は出てくるかと思います。特に橋梁あるいは隧道等につきましては、わが国におきましてはほとんどその耐用年数というものは正確に計算できにくい。たってみなければわからないというような状態でございますので、その点多少問題があるかと思います。  そこで減価償却の問題でございますが、現在の国鉄の勘定におきましては、勘定を損益勘定と資本勘定と工事勘定に分けまして、損益勘定におきまして、損益収支として、たとえば運輸収入でありますとか、その他の通常営業自体として入ってくる収入をあげまして、それに伴う営業の経費をあげる、それを損益勘定でやっております。その際、もし普通の企業におきますと同じように、収入が減価償却額を上回る場合には、十分なる減価償却額というものを留保いたしまして、これを資本勘定に繰り入れるということが可能なのでございますが、現在の国鉄は、先ほどから御説明いただきましたように、運賃が非常に低い、あるいは現在の収入状況が過去に比してだんだん悪くなってきておるというような現況のために、三十年度の収支を計算いたしますと、かなり詳細なる計算をいたしましても、損益勘定におきましては、お手元にございますように、二百九十一億程度しか残余が出てこないという計算になったわけでございます。従いましてわれわれといたしましても、もし損益勘定におきまして収入がかなり順調であり、必要なる経費を引きましてなおかつ相当の残余がある場合では、これは四百八十億なりあるいはそれ以上の償却も可能だと思いますが、現在はそういった面で一応収入が非常に少いために、必要な経費を出しますと、残余が第三次再評価ベースで計算することができないという現況になっておるわけでございます。  そこで具体的に、今申しました損益の減価償却額というものが、資本勘定に行きました場合にどうなるかと申しますと、その減価償却額を工事勘定におきまして必要なる取りかえあるいは改良の経費に充てるということになっております。従いまして普通の企業におきますように、減価償却費自体を留保しておくという形ではなくして、減価償却額を工事勘定に繰り入れたものをもって必要なる取りかえ、改良に充てるという形をとっておるわけであります。従いまして、われわれといたしましては、先ほど申しましたような状況で、第三次再評価ベースというものは採用できなかったわけでございますが、物理的に見まして、国鉄の運行を確保するような必要なる取りかえ、改良というものはぜひやりたい、こういう考え方で、工事勘定におきまして、できるだけの経費を取りかえ、改良のために充てるという方針で、予算を算定したわけでございます。工事勘定自体をごらんいただきますと、必要なる取替改良費といたしまして、三百十五億だったと思いますが、その程度の金額が上っておるかと思いますが、工事勘定におきまして、たとえば通勤輸送をやりますとか、あるいは電化をやりますとか、そういうことをやりますと、それだけ取りかえに似たようなことで資産が取りかえられていくわけでありますから、これも一種の取りかえになるかと思います。そういう意味合いで、物理的に見て、国鉄の保安というものが害されない範囲で、できるだけの経費を工事勘定において使っていただくという考え方で、予算を算定したわけでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 私はそこで大臣にお尋ねしたいのですが、今大蔵事務当局が明確にしたように、日鉄法で規定されておるのですから——私も予算の最終決定権は運輸大臣にあることを承知いたしております。それから資産再評価の理論的基礎についてもいろいろ意見があるとは思いまするが、いずれにしても、現在の国鉄の施設各般の状態は、列車事故その他の件数等から勘案して、これは同時に海上輸送にも、大臣、直接関係があるのですよ。これをあなたは忘れてはいかぬですよ。僕は、こうした事実を政府としては確認しておる、こう見るのです。してないはずはないのです。だのにかかわらず、あなたは巧みに、国有鉄道運賃法の第四号賃金及び物価の安定に寄付すること」。これを大きく取り上げてしまって、今の政府としては運賃の値上げはことし一年は認めないのだ、認めないが、この国鉄の現状を最小限度に維持する一つの処置として、資金運用部の財政投融資で一時を糊塗していくのだ、こういう手を今の政府はとっておる。はなはだ迷惑なんですよ。これは国鉄当局の立場からいって迷惑でしょう。一体、今国有鉄道が政府から千数百億の借金をしておりますが、それの各般の利子だけでもことしは百三億をこえるのですよ。ただで政府が出資しておるのじゃないのです。もし国鉄当局が非常に心配しているような不測の事故が今後起きた場合は、一体その責任はだれが負うのか、一国鉄の総裁が負うのか、副総裁が負うのか、それとも現地の管理局長なり船長が負うえばよいのか、私は理論の上に立つならば、この責任はあげて内閣が直接に負うべきものだと思う。従って当面の責任者は、運輸大臣、あなたでなければならぬ。私はこう考える。そこで私があなたにお伺いしたいことは、こうした各般の、今の数字的な具体的な資料を基礎にして、一時でも早くこの老朽し切った疲れ切った国鉄各般の施設を急速に更新していかない限り、日鉄法で規定された国鉄の使命をどなたが総裁になってもやっていかれないのではないか。今度新たに就任された総裁は、私は知りませんが人の話を聞くと、何か鉄道のまくら木に何とかしておれは自殺をするのだ、こう言っているそうです。一体それで事が足るのか。直接の責任者である運輸大臣の国鉄運営に対する基本的なかたい御所信をこの際明確にしてもらいたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 国鉄は施設が老朽化していろいろな点から早急に施設を改善しなければならぬ点もございますし、あるいは全体から見て、国鉄財政というものをこの際立て直さなければならぬという必要は十二分に感じておるのでございます。従ってそう何年も先にこの問題を延ばすわけにはいかない。少くとも今年中には私が国鉄の経営に対しての調査会を置きたいという意図も、一方においては国鉄の信用を回復する、一方においては国鉄の財政を立て直す、こういう点で二つの大きな面が今日の国鉄にはある。いずれもこれは重大な問題であります。そこで私が置こうとしておるこの調査会も、国鉄財政の立て直しということが大きな問題になってくるわけなのであります。今年度の予算におきましても、あるいは減価償却あるいはまた減債基金、こういう国鉄当局の要求はもっともだと思う点もございます。しかし根本的に国鉄の財政の立て直しということの基礎の上に立って、こういう問題を私検討したいと思っておる。また国鉄自身においてもいろいろ経営の合理化と申しますか、あるいはたとえば国鉄の不用用品あるいは不用土地とか、あるいはまた物資の購入その他に対して国鉄自身においても一そう経営を合理化する余地はないのか、これもやはりもう少し徹底すべきだと私は思っております。そういうふうに今年度はとにかく国鉄財政を再建するために、徹底的な検討を国鉄財政に加え、一方において国鉄当局にも公共企業体としての——これはもし民間企業であったならば、もう少しやはり経営の合理化ができる余地があるのではないか。公共企業体という安易になれておる面はないか。こういう点、国鉄当局にも経営の合理化という点について、もう少し徹底した検討を要請しなければならぬし、そればかりで解決できようとは思っておりません。結局は運賃の改訂ということが必要になってくるのですが、いきなり運賃を改訂して、この国鉄の要求にそのまま応じようとは私は思っていない。やはり国鉄当局として、今までの安易な気持を捨てて、この財政の危機を十分認識される余地はないのか。そうしてそれに十分の検討を加えて、それではカバーはできないことは明らかでありますから、その次にどうしてもできないところを運賃の改訂に持っていきたい。いきなり運賃の改訂に持っていって、安易な国鉄の経営をすることは間違っておる。やはり合理化を第一番に徹底して、そうしてそれでカバーできない点を運賃の改訂に持っていきたい。それは何年も先ではなくして、今年中に国鉄の財政を立て直すための結論を必ず出して明年度の課題として国鉄の再建をはかりたいというのが、私の運輸大臣としての考えでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 ただいま大臣の国鉄に対するものの考え方の基本、これは私大賛成です。大賛成ですが、現実の国鉄としては私は当面なさなければならぬものがたくさんあると思うのであります。ですから、あなたの基本的なものの考え方には賛成ですが、受ける感じは国鉄再建鉄道大臣というような感じを受けてなりません。再建のためにおいで下さった運輸大臣という感じですね。それも大臣としては一つの行き方でございましょう。そこで私は重ねてお尋ねするのですが、私自身も必ずしも運賃値上げということが絶対至上のものだとは考えておりません。私はこれは正常にものを考えたときに、それが絶対至上のものだとは考えておらぬのです。  そこで私は今度は運輸省の事務当局にお尋ねするのでありますが、この日本国有鉄道法の第一章の総則で「国が国有鉄道事業特別会計をもって経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。」これが公共企業体であるのだ、こういうのです。では公共企業体とは何ぞやという定義が、この国有鉄道法の何条で明確になっておるのか、それをまず私にお教え願いたい。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 明文上公共企業体というものはこういうものであるという定義をしたものは、私まだ寡聞にして存じません。ただ国有鉄道の場合におきましては御指摘の通り、第一条の目的、これを達成するということが公共企業体の眼目であるということは確かでございます。これをどういうふうに解釈するかということにつきましては、非常にいろいろ具体的問題に当面いたしますると、困難な点が多いわけであります。と申しますることは、いわゆる能率的運営という事柄と公共の福祉、公共性とは、必ずしも一致しない場合があり得るのであります。そういう具体的問題にぶつかりました場合に、公共性に若干でも重きを置くか、あるいはまた能率性というか、企業性に若干でも重きを置くかということによりまして、具体的に問題の判断の結論が違ってくる場合があり得るわけであります。従いましてこの公共企業体のあり方ということにつきましては、いろいろと今後も検討していかなければならぬ。公共企業体が発足いたしまして、実はそれまでわが国におきましてはそういう的確な観念がなかったわけでありますので、今後法律の精神に沿った公共企業体を育っていかなければならぬ。その過程におきましていろいろ問題はあろうかと存ずるのでありますが、ただこれだけ言えることは、今まで国営でありました国鉄が公共企業体になったという趣旨におきまして、今まで以上に能率的の運営をはからなければならぬという趣旨であることだけは言い得ると思います。しかし一面公共性というものが少しも減退したのではないということも事実だと思いますので、その問いろいろと議論がございますが、やはり能率的運営と申しますか、ひいて自主的な運営というような面に、官営事務よりも一そう力が注がれておるというのが趣旨ではないかと、かように考えておるわけであります。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 そこで私は重ねて植田監督局長にお尋ねするのですが、国有鉄道運賃法の総則第一条によって、大臣が巧みに第四を取り上げて私に答弁をされたのですが、この国有鉄道法の第一条の総則それ自体に、公共企業体とは一体何だという明確なる規定がなかった。過渡的なものでなかった。どう考えても、なかったというところに、混乱と矛盾の現われが、この運賃法を制定するときに出てきておると思うのです。ですから一には公正妥当なものであること、であるならば妥当とは一体何ぞやということになれば、他の公共企業体の現在の料金が何を基準にして政府が原案を出し、議会が承認したかといえば、これは一目瞭然なんです。それからそれの底をなすもの、さらに一つの企業体として規定されたものが原価を償うものであること、四になりますと、賃金及び物価の安定に寄与すること、これは大きな政治問題なんです。ここに大きな混乱がきておるのです。ですから一ときも早く三木運輸大臣のもとにおいて、ことし一年だというような気の長いことでなくて、あなたの見通しておるその調査会において、根本的な改革があってしかるべきではないか、こう思います。  そこで私はこれは大臣からも聞きたいことですが、これを土台としてこの矛盾が一体どこへ現われてきたか、実は私も議員の一人として大へんに申しわけなく感じておるのですが、実は二十八年当時、国鉄法の一部改正が当委員会を通過し、議会を通っておるのです。その中で、この公共企業体のあり方について、非常に一方的な片寄った処置がとられておる。それは何だというと、第四十一条の改訂でございます。第四十一条の改訂に当って、運輸省の説明は、日本国有鉄道の経営意欲の減退、ひいては独立採算制の本旨にもとるため、損益計算上利益を生じたときは利益積立金とし、欠損を生じたときは繰越欠損金として整理することとし、これに伴う政府の交付金は廃止することにいたしました、こうなっておるのです。一見まことにごもっともな御説明なんです。しかし現在の国鉄が置かれておるところの社会的な使命、これに対して運輸大臣が当委員会でしばしば言われたように、国鉄の現状はかくあるものと認めるけれども、政府の方針として運賃値上げはしないのだ、では運賃値上げをしなければ、別途の方法で何らかの補償の道がこの日鉄法の中で明確にされておるかというと、実はこの四十一条にあったのです。どうしてこれがこうなったか、今になると、えらいことになったと思うのですが、改訂前の日鉄法には「政府は、日本国有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付することができる。」こうあるのです。そこでこれが補償の道であるかどうかということについては、それぞれ疑問もあろうかと思いますが、私はこれが補償の道だと心得ておるのです。ところがこれを改訂してしまって、この一番大切な条項を削除しておるのです。二十八年度当時の国鉄の財政状態はどうかというと、今日ほどの危機は伝えられておらない。だからその当時の運輸省当局も——この当時は大蔵大臣に非常な権限があったのですが、非常に安易に考えておった。そこに私はこの改正のよってきた大きな原因があったのではないかと思います。しかし現状の国鉄を考えた場合にはどうか。一体これを改正した二十八年度当時の国鉄の財政状態であるかどうかといえば、そうでないのです。これはわかり切っておる。しかも二十八年度においては、大きな台風によって八十億以上の損害を生じた。昨年は御承知のように十五号台風によって、洞爺丸のような意外な事故が起き、百億以上の損害を生じた。しかも全部国鉄自身の自まかないによってこれを処理しているのです。そうして一方においては、運賃は政府の基本的方針として上げてはいけないとなると——私もやはり運賃値上げだけに依存することは大臣と同じように反対ですが、だからといって、国鉄がどのように努力を払っても、これ以上どうにもならない。また大臣が調査会を作って、そこへ権威者を集めて研究したけれども、これ以上どうにもならない。だからといって、今日の政府の基本的な経済政策なり財政政策から見て、運賃を大幅に上げることは妥当ではないのだという結論が出たとき、それでは一体どうするのか。一切の欠損金なり不足金は政府出資金にするのかということになると、ここにも私は議論が出てくるのであります。そうすると私はこの際新たな三木大臣のもとに、日鉄法の改正をどうしてもやらなくてはならない面があるのですから、この際こういう点についても、国鉄に対する補償の道を日鉄法の中で考える余地があるのではないか、こういう結論に私自身は到達したのですが、大臣の御所見はいかがですか。同時に私は事務当局のお考えもあわせて聞いておきたい。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 今国鉄の財政立て直しについて考えておりますことは、やはり、国鉄自身の思い切って徹底した経営の合理化をやって、どうしてもできない点は運賃の値上げによりたいと考えております。そこで現在のところは、やはり公共企業体というものの形において国鉄の再建をはかりたい。これを民営にするとか、あるいは前のような国の直接の経営にするというのでなくして、公共企業体として立て直しをしていきたいと考えておるわけでございます。そういう点でございますから、いつも損失が出た場合に国家が補償するという規定を、今の日本国有鉄道法を改正してそういう規定を設けようと私は考えていない。むしろ今言った経営の合理化、また一方における運賃の改訂を通じて、国鉄の財政を軌道に乗せる、そういう形で国鉄を経営していきたい、これが現在私の考えでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 重ねて大臣にお尋ねしますが、大臣の構想は明確になったわけですが、徹底的な企業の合理化をやって、これ以上の処置はないのだというときには、運賃によって経営を軌道に乗せるのだ、この日鉄法を改正して決して補償の道は講じないのだ、こう確認してよろしいのですか。

三木武夫日本民主党運輸大臣

○三木国務大臣 その通りです。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 そこで私は引き続いて事務当局にお尋ねするのですが、御承知のように地方鉄道軌道整備法という法律がございますね。この法律はどういう法律かというと、地方鉄道に対して補償の道、それから助成の道が開かれているところに、この法律の特徴があるわけです。これの第一条にはどういうことが書いてあるかというと、「この法律は、地方鉄道業に対する特別の助成及び補償に関する処置を講じて地方鉄道の整備を図ることにより、産業の発達及び民生の安定に寄与することを目的とする。」これが第一条。第三条には「天然資源の開発その他産業の振興上特に重要な新線」「産業の維持振興上特に重要な地方鉄道であって、運輸確保又は災害の防止のため大規模な改良を必要とするもの」、三には「設備の維持が困難なため老朽化した地方鉄道であって、その運輸が継続されなければ国民生活に著しい障がいを生ずる虞のあるもの」こういうのがこの地方鉄道軌道整備法の根幹をなしておる。ですからこれの目的は、日鉄法の第一条に規定された公共の福祉を増進することを目的とした精神で貫かれておる。この公共の福祉を達成するためには、地方鉄道軌道整備法に関する限り、補償の道も講じてやるぞ、助成の道も講じてやるぞ、従って運輸省は地方軌道に対しては強い監督権を持っておるのですね。一体公共性を持った私鉄ではございますが、この地方軌道という性格と、企業体化した、すでに独立採算制を強く要請されて、ある意味では純粋に近い企業体化を強制されておる国鉄の性格と、どこに相違があるか。この点の相違を一つ理論的にここで私に教えてもらいたい。

植田純一運輸事務官(鉄道監督局長)

○植田政府委員 ただいま御指摘がございました地方鉄道軌道整備法の補助あるいは助成の対象となります鉄道は、大きく分けまして、いわゆる自力では存続のできない、しかもどうしても存続させなければ、国民生活に著しい障害を与えるという性質の鉄道と、天然資源開発その他産業の振興上特に重要な線路あるいはまた改良、こういう二つになるわけであります。これにつきまして補助を出しております意味も、さきに申しましたように特別な鉄道、これにある程度の補助をしなければ存続もできないし、あるいはまた産業開発上の建設改良ができない、こういう意味で助成をしておるわけであります。もちろんこの助成の方法というか、補助いたしておりますのも、赤字の補埴あるいはその建設改良費の一部の助成ということでございまして、国鉄の場合におきましては本質的には変りはないと思いますが、私鉄の経営規模という点から申しまして、どうしても国の助成がなければその目的が達成できない、その意味においても国鉄におきましては相当財政資金というような状態におきましては、国が補助助成ではございませんが、実質的には財政資金の援助等によりまして、この助成と同じような効果を上げておる面もございます。その実力と申しますか、運賃を抑制しておるということによる経営上の影響というのは、実は別問題でありまして、運賃を幾ら上げてもそれではカバーできないという前提に、地方鉄道軌道整備法は立っておるわけであります。運賃では問題が解決しないという点に立脚いたしておるわけでありますが、国鉄の場合におきましては、運賃の抑制ということが——実はこれは少し話が別になりますので、運賃の抑制に対しまする別途の助成方策あるいは補償という点につきましては、御指摘がありましたように別の議論になろうかと思いますが、その運賃の問題でも解決できない、また自力ではどうにもできないというような意味におきまして、私鉄につきましては特定の場合に助成をしておる、かように考えておるわけであります。  なお御指摘の運賃の上面につきまして、政策的に運賃を押えておる場合に、政府として何らか考えるべきではないかという点につきましては、別途検討を要する問題でもあろうかと思いますが、この点は別個の観点から検討を要する問題ではないか、かように考えるのであります。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 今の植田監督局長の御答弁については、私は次回の委員会で重ねて質問することにして、経済審議庁の方がお見えになっておりますから、この際一言だけ御方針を承わっておきたいと思うのですが、今の政府は選挙前も選挙後も、しばしば経済六カ年計画ということを大々的に国民に発表し、宣伝して、中身を見るとわかったような、わからないようなことなんですが、それは別といたしまして、三十年五月十六日月曜日の官報付録の資料、これを見ますと、本年は経済の展望、総合経済六カ年計画の第一年というものが載っております。私はこれを基礎にして一言だけお尋ねしておきたいのですが、昭和三十年度の経済計画の関係経済指標が年度別に出ておりまして、目標達成には何が必要かというところで結論を結んでおります。これを要訳いたしますと、輸出の振興であり、雇用の増大であり、その他いろいろございまするが、私は現政府の考えておる経済六カ年計画の思想的背景をなすものは、三本の柱であると、実はこう見ておるのです。この三本の柱とは何ぞというと、経済の独立、雇用の増大、そして最後には国防の充実、この三つの柱が土台だと私は見ております。あなた方はこの国防の充実に触れないで、特に経済の自主性と雇用の増大、これを重点にしておいでのようですが、そこでこの六カ年計画をお立てになって、そして年次計画で御方針を進めていくのでございますが、残念ながら、実はこの経済計画の中に、国鉄を基幹とするところの総合的な交通計画というものが一体入っておるのかおらないのか、この一点をあなたからお尋ねしておけばけっこうなんです。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木説明員 先ほど自立、雇用、国防と三点をあげられましたが、その点ちょっと釈明しておきたいと思います。自立並びに雇用の点に関しましては、まことにその通りでございますが、国防の点に関しましては、充実と申すよりも、経済力の発展、従いまして国民所得の増加等に応じて漸増するという建前でやっておりますので、その線をはずして、何かゾーレンがあって実施するという建前になっておりませんから、その点どうぞ御了承願いたいと思います。  それから第二点の統合的な交通体系の問題でありますが、これはまことにその通りでございまして、実は去年の秋に作りました昭和四十年の経済見通しというものがございます。これは主として国土総合開発的な観点から作ったものでございますが、この中の問題点の中にも、今おっしゃいました交通体系の総合的な整備、これは一番ただいまのところでは総合性がないようにも感じられますので、大きくうたっておりまして、今度の六カ年計画にももちろん中心問題になっていかなければいかぬと思っております。ただ御承知のように、六カ年計画は今までの過程では、この一月に、大体こういう目標でこういうふうな姿で日本の経済はありたい、そのために今後政策あるいは数字等を固めたいという目標を掲げただけでございまして、実際の基本的な政策、またその総合性と申しますか、分解と申しますか、そういう点は、ただいま各省と検討しながらせっかく資料を整備中でございまして、おそらく来年度の三十一年の予算までには間に合わすように、極力努力するつもりでございます。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 輪郭はありますか。青写真的なものは……。

佐々木義武総理府事務官(経済審議庁計画部長)

○佐々木説明員 輪郭と申しましても、自動車、それから船、通信、あるいは道路、あるいは国鉄といったような総合的なものが、どういうふうなあんばいで進むべきかというところまでは実はないのであります。ただその前提になるいわゆる輸送量の総量が、旅客で幾ら、貨物で幾らそれが各分野にどういうふうに分配さるべきかというふうな点まではただいま行っておりますけれども、それではまだ御質問には不十分だと思いまして、さらにそれを分配したものが妥当なものかどうか、それを実際に実施する場合にはどうしたらよいのかという問題が当然起きて参りますが、まだそこまで詳しくは行っておりません。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 私は経済審議庁の方々と、国鉄の担当されておるのは鉄道部長の細田さんではないかと私らしく想像しておるのですが、経済審議庁の方にこの際強く要望しておきますことは、交通量の増大、これに基く年次計画ですね。あなたの方ではこの官報と——今度の国会でわれわれの手元には配付にならなかったと思いますが、各役所の担当官は薄っぺらな三十年度のものを持っております。しかし民間にはあなた方の事務当局から出たに相違ない資料を、相当権威ある雑誌がそれを掲載して、いろいろな形で批判し、検討をしておりますので、これはあなたは御存じだと思います。私も幾つかのものでわからないながらも、一通り目を通しております。ところが私が一番心配しておることは、軍事的なことは除いても、今経審が土台として考えておる経済の自立、雇用量の増大、従って最終的には民生の安定ということになりましょうが、この場合、私は本日の私の質問を国鉄に限って展開しておるのでありますが、国鉄の場合一つを考えてみても、国鉄の来年度からのあり方については、今の国鉄の議論と同時に、政府が考えておる長期計画ということを無視しては、国鉄の議論はこれはしても無意味なんです。この長期計画の年次計画に国鉄をマッチさせて、そうして国鉄をどうあるべきかという方向に持っていかない限り、私はお互いに真剣になって国鉄を議論する価値はないと思うのです。そこで端的に一つを取り上げてみても、輸送量の増大ですね。輸送量の増大をはかるためには、一体今の国鉄の現状のこれらの施設をもってしていいのかどうかということが、当然議論になって参りますね。だから経審としてはいまだ全体としての青写真はできておらないにしても、すでに国鉄当局としては政府が打ち出したこの経済六カ年計画に即応して、何らかの形で輪郭だけでも、国鉄に関する限り、私は総合的な交通計画というものがすでにできておるのではないか、こう思います。できておるとするならば、私は国鉄当局からこの際その点の輪郭だけでも明確にしておく必要がある、こう考えるので、私はこの点を要求いたすのでございます。経審でなくてもいいですよ。国鉄から答えてください。

細田吉藏運輸事務官(鉄道監督局国有鉄道部長)

○細田政府委員 お答えいたします。ただいま経審の佐々木計画部長からお話がございましたように、経済審議庁を中心にいたしまして、総合的な六カ年計画を作成の途中でございます。従いまして今御指摘がございましたように、運輸省といたしましても、当然この作業に参加いたしておりまして、これは単に国有鉄道だけではなくて、内航、外航港湾、自動車、航空、そういったものを総合いたしました一つの運輸省の案というものを持っております。この中に国鉄のものも入っております。大体輸送量がどれくらいになり、それが船と自動車、あるいは国有鉄道と私鉄とどういうふうに分れるだろうか、あるいは国有鉄道だけをとってみますと、どういった施設が要るだろうかというような点につきまして、検討いたしております。また最終的に資金がどれだけ要るかというようなことも検討いたしております。ただこれは総合的な計画でございますので、いろいろなほかの状況と総合的に判断しなければならないことになるわけでございます。単に交通計画だけとして離れて存在するわけではございません。通産省の計画とかあるいは農林省の計画、人口の配置計画、いろいろなものと関係があるわけでありますので、ただいま私どもの方の案はございますけれども、これが最終的にどういう形になるかということにつきましては、まだ申し上げる段階にないことを御了承願います。

正木清日本社会党(左)

○正木委員 与えられた時間の一時が来ましたので、私の残余の質問は次回の委員会に譲って打ち切りますが、特に委員長にお願いしたいと思いますことは、私の質問はいまだ総論がようやく終りかからんとする段階でございまして、これから具体的な諸案のことで運輸大臣その他国鉄当局に、十分にこの機会に質問しておかなくてはなりませんので、次回の委員会には劈頭発言をお許し下さいますよう、特に要望いたしまして、私の本日の質問は終ります。

原健三郎自由党

○原委員長 正木委員の申し出は了承いたしました。  本日はこの程度にて散会し、次回は公報をもってお通知いたします。    午後一時一分散会

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