厚生委員会 第2号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1954/12/22
会議録
○委員長(加藤シヅエ君) それでは、只今から厚生委員会を開会いたします。 初めに委員の異動を御報告いたします。十二月十七日付を以て榊原亨君及び井村徳二君が厚生委員を辞任せられ、その後任として松野鶴平君及び紅露みつ君が選任せられました。又十二月二十一日付で松野鶴平君が辞任せられ、榊原亨君が選任せられました。右御報告申上げます。 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、飲用乳の処理基準改正に関する件を議題といたします。本日は本件に関しまして、調査上参考に資するため、参考人各位及び関係当局の御出席を願つております。拝聴いたしたい事項につきましては、あらかじめお願いいたしておきました点について、それぞれの角度から御意見の発表をお願いすることにいたしたいと存じます。 この機会に、参考人の皆さんがたに、一言御挨拶を申上げたいと存じます。今日は歳末の極めてお忙しいところを特に貴重なお時間をおさき下さいまして、当委員会に御出席願いまして、誠に有難うございました。厚く御礼を申上げます。当委員会におきましては、近頃いわゆる牛乳問題として論議されている飲用牛乳処理基準等による低温殺菌、高温殺菌の問題、集団消費の取扱いに関する問題、或いは乳価の紛争対策問題等、緊急解決を要する重要案件並びにこれらに関する各種法令の再検討を要する点の参考に資するため、参考人皆様方の権威ある御高説を拝聴いたしまして、審議上の参考に資したいと存じます。何とぞ当委員会の意のあるところを諒とせられまして、御意見のご発表をお願いいたします。なお先ほども申上げました通り、歳末の折柄、極めてお忙しい立場におられます方々多数御出席願つておりますので、成るべく午前中に全部終了いたしたいと存じますので、御意見の発表は重点的にお願いいたしまして、一人当り大体十分程度にお願い申上げたいと存じますので、よろしく御了承お願いいたします。 次に、委員の皆様にお諮りいたしますが特に中途からお帰りを願うかたを除いては、各参考人からの意見発表がございましたのちに、各委員の御質問をお願いいたしたいと存じますが、御異議はございませんですか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないものと認めます。 それでは、これから参考人の方々に御意見の発表を願うのでございますが、その前にちよつと御参考のために申上げておきますが、この問題は非常に只今やかましく各方面で論議をされておりますのでじざいますが、衆議院、参議院の農林委員会におきましても、たびたびこの問題を中心に委員会が開かれまして、活撥な御論議がございましたことは、速記録によつて皆様御承知のことかと存じております。その速記録によりまして委員長も農林委員会の御意見を承知いたしましたのでございますが、その御意見の主なるものをちよつと御参考に御紹介いたしますと、酪農振興法を作つて牛乳の生産を高めて来たが、価格が高いために消費が少い。消費者価格が高いのは、占領行政による低温殺菌による規格が厳重に過ぎ、処理設備に大資本を要するため、大資本の独占的になり、買入れ価格は安く、小売価格は高い。乳価の値下りは乳業の維持を困難ならしめる。処理基準の高いことは、安い牛乳を多量に消費することを困難ならしめている。よつて厚生省令を改正して、低温、高温、二本建とすることがよいのではないか。又学校その他集団的消費者には簡易な高温殺菌を認めてもらいたい。こういうような御意見がたくさん速記録によりまして承知いたしたところでございます。 このような農林委員会のいろいろ出ております御発言の問題点となりますところは、酪農民が苦しんでいる乳価の値下がりの原因は、果たして低温殺菌にその責を負わすことが妥当であるかどうか、又今日非常に普及いたしております、低温殺菌がここまで普及しております現段階におきまして、処理基準に変更を起すような厚生省令の改正が果たして牛乳の消費拡大に貢献し得るかどうか。即ち牛乳の殺菌処理の方法として低温殺菌の方が理想的であり、又世界的水準として言われているということは、各々この問題の学識経験者のお言葉に発表されておりますが、問題は衛生上の理想を掲げれば消費生産の面に響く、又この線をみだりに崩せば衛生上の危害が現われるかも知れない、又は既存の設備に混乱を来たす虞れもある等々、こういうようなところが問題点になつておりますので、今日の参考意見を述べて下さいます方々は、只今の問題点に関しましてそれぞれの権威者であられるわけでございます。後ほど、問題をいろいろその御関係の角度から御発言をお願い申上げるように順序をつくつて参りたいと考えておりますが、先ず婦人問題研究会の本島百合子さんは、特に今日お急ぎのようでございますので、後ほどの順序から例外として、最初に先ず消費者の立場として御発言をお願い申上げたいと存じます。本島百合子さん。
○参考人(本島百合子君) 私は戦終以来、牛乳問題に関係した委員会に属しておりまして、厚生省に基きまして逐次変化させられて行つたのを見て来ておるわけなんであります。私も委員の一人といたまして、乳幼児にとつては主食であるべき牛乳については厳格にするのが妥当だと考え、これに努力して来たわけでありますので、低温、高温殺菌、どちらがいいか、こういうことになりますれば、そういう過程を経まして、やはり現在行われております低温殺菌であるべきだと考えるわけであります。ということは、とにかく乳用児にとつて主食であるという観点を離して、国民健康の面からとこういうことになりますれば、又別の観点が出て来るかも知れませんが、例えば東京都のような場合に例をとつてみましても、どうしても牛乳に頼らなければならない子供というのが、出生の割合から見て五%という程度にあるわけでおります。こういう場合に、若しこの主食であるべき牛乳に不衛生な面があつたら、或いは黴菌なぞ入つておるものかあつたらどうなるかということを考えて参りますと、今委員長から言われておりましたように、委員会で検討された、高温殺菌と低温殺菌はどちらがいいという比較検討になりますが、今の例から行きますと、やはり低温殺菌のほうがよいと銘打たれておりますし、私どももそれを確信して、施設その他について改善を、東京都としてはかなり犠牲を払わしてやつて来たわけでありますから、今日高温殺菌をやつておりますのは、島だけだと聞いています。全国的に見てやはり低温殺菌が一応普及され、又よしとされて来ており、今日の段階から参りますれば、当然現在のままでよりよく品質を改良して行くということが妥当な線ではないか、このように考えるわけでございます。 それから集団消費の点でございますが、これは例えば給食とか或いは病院等では集団飲乳しておるわけでございますが、こういう場所などを考えてみましても、例えば例として、給食で給食作業の補助員がございますが、別にお母さんかたが何人か手伝いに行つております。そうすると、中毒問題が起つたり或いはいろいろの不衛生な、問題が起こつて来るときには、常にお母さんたちにその矢が向けられているということになるのは、お母さんがたの結核その他による、病気による問題が多いとされております。そうすると、専属にやつていらつしやる方々、栄養士を加えてやつておりますが、そういう取扱いの面から言つても、手不足だということ、まあ予算の措置の問題もあるでしようが、どうしても人手を頼まなければならん、こういうような場合に、果たして高温殺菌で来たものをうまく一回に、不衛生とは申されませんが、十分な観点に検査を受けていられない。又検査をやりずらいという立場にあるものがどんどん入つてきた場合に、若しも問題が起こつた場合に、そういう責任が問われるかわからないという不安が起こつて来るわけであります。そこで集団消費という面から見ましても、びん詰めで消毒は完全であるという保証がついたものを入れてもらいたいというようなことで、細かい話でありますが、びんの蓋などについても随分やかましいことを言つて、業者のほうとすれば大変な犠牲だと言われたのを、押し切つてまあの完全消毒でやらせるという算段をして来たわけであります。ですから、そういうことで完全な取扱方ということになれば、集団の消費にも私どもは安心していられるという気がいたすわけでございます。で、そういう意味からしても、私は現在のびん詰めの方式がいいと考えておりますが、例えば値段の問題を先ほど言われたようでありますが、そのことは非常に値段が高いのだと、こういうことになつて来るんじやないかと思います。そういたしますと、値段問題は別の観点で私どもは十分考えていくべきであつて、例えば二本建ての高温殺菌について三本建てにされるという論議は交わされたと聞いておりますが、それは山間地僻地基準に非常に重点が置かれたことであろうと思います。ですから、私どものように大消費都市を持つておるものとすれば、何としても設備が十分であるし、それから栄養価とそれから衛生的の見地からということを建前にとつて行く。そのことが又集団消費の場合にも本当に安心しきれるという立場に立てるわけでございまして、その点を主張いたしたいと思います。 で、価格の点につきましては、まあいろいろ聞いてみましたし、又衆議院、参議院で論議された点も私調べてみたわけでございますが、その点については酪農振興法とか飼料需給安定法という法律がある、その法律がありながらもそれが十二分にいい運営がされていない結果ではないかと、私どもはこのように考えるわけでございます。例えば設備にお金がかかるから値段が高くなつているんだ、設備が完全になれば安くなるのだ。これは非常に違つておると思うのです。例えば資料等を見ましても、特に厚生省のお役人の方々が答弁されておるところを見ましても、この物価の変動というものが常識を外れておるということを言つておられるようでおりますし、私どもが考えましても、こういう主食に属すべきようなものについては、むしろこういう法律によつて安定させられるということよりは、若し今の経済機構で行けば止むを得ないという観点に立たれようとも、私は主食に対する確保という立場に立つても、補助金制度なりをやるべきだ、そして市価の販売価格というものを安定させてほしいということを考えるわけなんです。 それから酪農振興についても、これが将来禍いになるという山間僻地に多く出されて、それが運搬その他困つて来るというようなことであるならば、これはやはり法律の運用がまずかつたのではないかと思うのです。そういう観点に立てば、当然こうした問題については、両方の法律を勘案して、将来生産者価格が叩かれたり、消費者価格がつり上つたりするというようなやり方というものは、やはり農林省なり厚生省なりが余ほど連絡をとられて、十二分にやつて頂かなければならんことだと思う。 それから施設の点で金がかかるという論法が出ているようですが、それはかかるに違いないけれども、例えば農業協同組合のあり方を考えてみましても、こういう施設には相当の金を出しても私はいい施設をしてもらい、いいものを出す。そうして値段は、二重米価政策をお米の場合はとられておりますが、やはりそのような観点に立つて、ある程度補償すべきであるというふうに考えておるわけであります。 以上のような考え方を以ちまして、私は賢明なる厚生委員会の皆様がたで、今更低温、高温の問題を御論議になるということが、国民にとつては不思議な感じを与えるくらいであると思うのですが、こういう点につきまして十二分に御検討して頂き、食料品というものによつて人命が断たれたり、損われたりするというものを作つてはならないということを、私は消費者の立場から強く主張したいと考えております。
○委員長(加藤シヅエ君) 有難うございました。只今の都会議員の本島さんの御意見につきまして、何か御質疑はございませんでしようか。
○榊原亨君 只今のお話についてちよつとお伺いいたしたいのでありますが、低温と高温の場合に、高温でございましたら、何か毒になりますのでございましようか。
○参考人(本島百合子君) これは基準から申しますと、毒にはならないと思うのです。ただ製造する人の心がまえ一つであろうと思いますが、多く間違いがあると私は感じておるわけであります。
○榊原亨君 もう一つお伺いいたしたいのでありますが、例えば米を、主食でございますね、それを半搗米にしたほうが、衛生上遥かに白米よりよろしい、或いは半搗米以上に玄米にしたほうがよいということが若しあつたとした場合に、法律を以て玄米を配給するということを規定することが、果していいことでございましようか。従いまして、別に高温といたしましても、低温といたしましても、高温の場合に別に毒にはならないというような場合でございますならば、これを、そういうものを法律できめて強制いたしまして、低温でなければいかんという御論議になるようなことは、どうでございましようか。その点についてどんなお考えでございますか。
○参考人(本島百合子君) 私は、今の半搗米なり玄米なりという問題と合わないかも知れませんか、黄変米の問題が出ております。これは少量ならば毒にはならない、こう言われても、食べる私ども国民がどうしても安心ができない。食べられない。こうなつて、現在でも外米の配給というものは、非常に辞退者が多いという現象を来たしておると思います。そういう観点に立ちますれば、当然この半搗米がいいか玄米がいいかということになれば、これは奨励の意味においてはつきりした線が出て来れば、国民はよいほうに頼つて行くと思います。ただ法律できめるかきめないかは、これは良識ある議員さんたちのお考えによると考えております。
○榊原亨君 今の黄変米は、御承知のように毒でございますから、これは別でございますが、例えばおもちやの色素が毒でございますとか、或いは食料品に使います色素が毒でございますとか、これは法律をもつて厳禁されておる。けれども、先に申しましたように、高温といたしましても、低温といたしましても、別に毒にはならんけれども、栄養価が落ちるというような場合に、これは法律でそういうことをきめるということよりも、むしろ消費者の側におけるところの自由なる、自覚的な、まあ例えて、申しますと、婦人運動というようなことによつて、そのほうがいいならいいということをやるべきであつて、法律を以て、別に毒でないというものを、これを食べてはいけない、あれを食べろというようなことを強制するようなことは、どうかと思いますが、先ほども乳幼児の場合、乳児には是非、大人ならば高温でいいかも知れないけれども、乳児は五%の消費者だからというお話でありますが、別に低温、高温の問題にいたしましても、私は並立の意見者ではありませんが、並立者の意見のかたでございましても、低温を別に禁止するというのじやない。それは国民の自由によつてどちらでも、経済上の問題もございましようし、いろいろ社会的な問題もありますから、どちらでもいいほうをとればいいのだということであります。従つて乳幼児が困るからというお話でありますが、並立の場合に別に乳幼児は困らんと思うのでありますが、その点如何でしようか、お伺いいたします。
○参考人(本島百合子君) 今おつしやつた点で、有毒性の色素を持つた何と申しますか、染料を使つた食料品が非常に多いわけであります。これには東京都自体も非常に悩まされており、私も家庭の主婦の立場から見ましても、こういう例えばたくあん一つ見ましても、菓子一つ見ましても、これは非常に悪いということはわかつておりながら、製造業者が作つて来る、これを買う、こういうことになりますれば、私はやはりこういう悪いとわかつておるものは、法律できめてしまつたほうがいいと考えます。そういう観点に立つて、やはり低温、高温の場合、今あなたがおつしやるように、どの程度に悪いかということになれば、これは研究が別でございましよう。併し一応衛生の見地に立つて、若しその作る人々に病人があつたり、或いは又変な黴菌が入つたりというような考え方に立ちますれば、高温で殺菌すれば菌はなくなるのじやないかと言われても、私どもは信用ができないということです。そのように果してやつてくれるだろうか、こういう不安を非常に強く持つておるという立場で、私は現在の厚生省令でやはり守つて行くべきじやなかろうかと考えておるわけでございます。
○委員長(加藤シヅエ君) 本島参考人に対する御質疑は、この程度で……。
○高良とみ君 本島参考人に伺いたいのですが、いろいろ学校給食なども、ご指導なりご関係のようでありますが、そういうところでは配達された牛乳を、低温の殺菌と申しましようか、そのまま児童に飲ませておられるか、或いはこれを更に加熱して飲ませておられるか、ということを伺いたいと思います。どうも私見ていますと、諸外国のように、消毒したものを台所に配達されると、そのまま台所からコツプに入れて飲むという習慣は、日本にはないように私ども思うのですが、その点、家庭においての御観察と、或いは学校、乳幼児に当る場合のご観察を伺いたいのであります。
○参考人(本島百合子君) 学校給食の場合には、普通の牛乳は使つておりませんで、脱脂牛乳になつておるようでありますが、子どもたちに聞いてみますと、あれはまずいということを非常に言つておつて、普通の牛乳のほうがいいということを言つておりますが、これは値段の関係で、どうしても使われないという立場にあるように思います。値段さえ安くなれば、これは学校あたりでも、脱脂でなく本当の牛乳を飲ませたいという希望を強く持つておるようであります。
○高良とみ君 こちらの質問の趣旨は、それを更に加熱して、何といいますか、習慣もありましようが、乳幼児の場合、或いは家庭の主婦の場合、これを相当加熱して用いるのではないかということを申上げておるわけでございます。
○参考人(本島百合子君) 私どもの知つておる範囲内では、一応病人に対する知識は、保健所その他で十分やつておられるようでありますから、余り加熱しては乳幼児に使つておらないようでございます。温度ということを非常に指導しておりますから……。
○委員長(加藤シヅエ君) よろしうございますか。本島参考人に対する御質疑は、この程度で打切りましてよろしうございますか……。それでは、どうも本島さん有難うございました。 それではその次には、プラント業のお立場においでになります参考人として、全国飲用牛乳協会会長の植垣彌一郎さんにお願いいたします。
○参考人(植垣彌一郎君) この意見聴取事項というものの中に項目が四つありますが、どの点について申上げたらよろしうございましようか。
○委員長(加藤シヅエ君) プラント業としてのお立場から、どの項目に亘りましても、そのお立場から御発言下されば結構でございます。
○参考人(植垣彌一郎君) さようでございますか。それではこの順序で申上げます。低温殺菌、高温殺菌についてというのがございますが、私この技術のほうの関係はよくわかりませんので、あら筋の考えを申上げます。時間は十分……。
○委員長(加藤シヅエ君) 大体十分ということで、大変短うございますけれども……。
○参考人(植垣彌一郎君) そうですか。それでははしよつていたします。私は牛乳、乳製品については、三十五年以来従事しております。乳製品は三十五年、市乳のほうは二十八年ぐらいになると思います。乳製品をやりましてから牛乳が飲みたくなりまして、牛乳を愛用していたのでありますが、その当時の牛乳の処理場が東京に千二百ばかりありまして、どこへ行つて見ましても、その処理の方法が不完全であり、保存の方法というのは殆んどなつていない。不安を感じながら飲んでおりましたが、ときどき凝固した牛乳が配達されるわけであります。その凝固は、今日の低温牛乳から来る凝固のように、乳酸菌から来たもので好んで飲める凝固と違いまして、腐敗菌から来る凝固でありましたために、常に不安を感じながら、遂にはそれをよしたのであります。ところが、昭和二年か三年と思いますが、警視庁令で低温殺菌の制度が布かれましたので、こういう欧米と同様のいい牛乳が飲めるならば結構だということで、更に又牛乳を飲み始めると同時に、これは自分たちが飲むばかりでなく、この方法で処理をして広く都民に供給する事柄が、我々乳製品事業に従事している者の使命だ、そう考えまして、初めて昭和二年か三年かに低温牛乳を始めたわけであります。その後数年後に全国的に高温、低温の併用制度が布かれたと思います。 又最近になりまして殆んど低温一本建の制度になり、それから又除外例的の次官通牒によつて高温も場所によつては許すといぅことになつたわけでありますが、そういうことになりました結果、だんだん低温のほうが発達して参りまして、二十六年の暮と思いますが、お役所の調査によりますと、約三千のの全国処理業者がありまして、そのうちの千が低温になつておりまして、それから二千が高温でありましたが、最近の状態を聞いてみますと、殆んどその後低温になつて、高温は七百くらいしかないということを伺つております。そうしてその高温の七百も平均三斗か四斗平均だということであります。その量は二百五十石くらいのものしかならんわけです。それでほかの二千数百の低温の処理場で毎年五千五百石の処理をいたしておるわけであります。今日五千五百石の低温処理牛乳が供給され、そうして二百五、六十石の高温温乳が配給されておるという状態まで進んで来たことです。これは議会なり政府御当局なりの施策よろしきを得て牛乳の信用というものが非常に高まつた結果であろうと思つておるのであります。 そういう状態のときに高温というものを考えて、その逆転と申しますか、逆行と言いますか、そういう状態になる事柄は、これはどういうわけだろうかといつたようなことで、非常に不思議に思つておるところであります。最近この牛乳需要のバランスが欠けたので、安くして消費を増加させる必要があるので、こういう声が起つておるということなのでありますけれども、そういう際などはなお更いいものを作つて安く売る方向に行くべきでありますのに、だんだん国民の認識によつて選択の結果、二百五十石くらいまでの少量事業に落ちているものを、又復活させる。安く売るのはいいのだが、ものを悪くして消費を拡めて行こう、拡大して行こうという考え方が、どうも我我にはわからないのでありまして、一口に申しますると、今更高温のことを考えるのはこれは大なる誤りであろうというふうに考えております。それで高温とても現在禁じておるわけではありません。現在七百ばかりの高温の処理場がさつき申した通りあるのであります。で、現在の次官通牒によつて、知事が必要と認める場合はどこでも許し得ることになつているのであります。やはり現在のままで一向差支えないと考えております。 それから次に集団消費のことがございますが、これは恐らく学校、病院、多数勤務の事業所等で安く牛乳が愛用できるようにという考えで、それによつて消費を増加するという狙いが、昨今の御意見だろうと考えております。それは大変いいことなのでありますが、私どもが懸念いたしますのは処理をする設備が相当に、簡易とは言いながら、安心のできるものであるかどうかということ、処理に従事する人がその心得で以て処理をするかどうかということ、それからこういう場所は必ず日曜、祭日その他の休日がありますが、そのときに集まつて飲用することができなかつた原料乳を完全に保管ができるかどうかということなのであります。それで保管の設備に心配することがなく、処理設備が相当のものであり、これを取扱う処理担当者が用意周到なものであるならば、これは誠に結構でありまするが、只今申しましたような安全設備をしますのには、相当の費用もかかることになります。又鍋、釜で煮沸いたしまして、これを杓で茶碗に小分けするといつた方法になるわけであります。そういうことのために却つて手数がかかりまして、機械的にびん詰めをするというものに比して却つて費用がかかりやしないか。結構なことではあるが、その設備が金がかかる。処理費用も相当かかるということで、得にならん結果になりはすまいか。これはもう安全なる指導の用意がある限りに結構なことである、さように考えております。これはできることならば、既存の処理業者に実費で処理をさせるという建前で、やはりびんによる小分けを実行されるほうが安くついて安全ではあるまいかと、そういうことに結局なるのでありまして、これは一応この方法をおとりになりましても、長く続かんだろうというのが私どもの見通しであります。 その次の乳価の紛争対策についてでありまするが、私どもの見ますところでは、現在乳価についての紛争は起つていないのであります。私どもと私どもの団体の各員が取引をしておる農家の諸君は、よく需給の現実を承知いたしておりまして、我々の相談することについてはよく理解をされて、スムースに大部分進んでおります。殊にこの取引条件のごときは、北海道よりも内地の生産者のほうが有利な取引条件を獲得いたしておるわけでありまして、苦情の起るわけがないのであります。この頃紛争ということは、何と申しますか、組合屋というのがありまして、地方に、中央に、各種農業団体の組合の幹部というのがあるのです。その幹部のうちの特殊の人たちが野望を満たすためにいろいろと騒いでおるというのが現実であります。これは誠に酪農の発達、消費の促進の上においては、甚だしい妨げになつているのであります。併しながらここに紛争というものはありませんが、乳価に対する誤解が起つておるということは事実であります。この誤解はこれは解かなければならん事柄でありまするので、時間の範囲で簡単に申上げたいと思いまするが、乳価は勿論、生産する農家のいわゆる原料乳価と、私どもの団体の会員がやつています処理卸しの乳価と、それから家庭に直面しておる小売機関の乳価と、この三つに分つのでありまするが、私どもの関連しておる処理卸しの乳価についてのみ簡単に申上げたいと思います。 私どもの各業者の価格なんでありまするが、これは原料を工場へ持ち込む運賃と、工場内における処置の費用と、それからびん装されたものを小売店へ配送する運賃と、それから人件費とでも申しますか、大体そんなふうに分たれるのでありまするが、農家から我々の工場へ運ぶ運賃は常に、この頃は貸切り満載の十五トン車を使つておりまして、無駄の運賃を払つていません。それから運送業者の政府の承認を得たマル公というのがありますが、それから常に二割乃至三割を引かして請け負わしております。これ以上に安く運送する機関はないと思つています。 それから工場へ持ち込んでからの処理なんですが、これは新らしい設備を活用いたしておりまするので、数年前までは一人が一石しか処理できませんであつたのを、この頃は一人で二石乃至二石五斗の処理をいたしておりまするので、その方面の費用は往年に比べて格段に安くなつております。それからびんの費用が相当かかるんでありまするが、これは如何にして質のいいガラスを使つて目方のかからないびんで、如何に耐久力がよくなるかという事柄については、常に製びん業者と我我の技術部門とは連絡をとつておりまして、数年前に比べまして、びんが三十回しか使えなかつたものが、この頃は五十回ぐらい使えるようになりましたので、このほうの処理費の低下も相当に進歩して参りました。それから配送の運賃なんですが、これも常に満載で配給をしておりまして、原料乳とびん装牛乳とを交互に運ばしておりまするので、少しも車を遊ばしておくということがないような方法をとつておりますので、これも往年に比べまして非常に運賃のかかり方というのが低減されて参りましたのであります。 そんなわけで非常に処理費が安くなつておりまするので、それだけ安く卸せる次第でありまするので、そのほかに人件費の関係なんでありまするが、これは只今申上げました通りに、非常に一人当りの処理量は殖えて参りましたが、労働基準法による関係で、我々から見て遺憾とする点がありまするが、これは止むを得ないことであろうと存じております。それから費用で余計のものがかかつているというようなことを考えるとすれば、本部における我々の俸給が、これは牛乳の処理配給には直接関係がありませんので、我々の俸給が僅かとはいえども生産費に影響するところが、これはもう一合につきまして何厘という程度でありますけれども、我々の仕事はこれはやはり手前味噌じやありませんけれども、しよつ中労働攻勢に対して抑えて行く必要がありますし、銀行から金を借るにつきましても、それからお役所と折衝するにつきましても、陸運の調整を図る上におきましても、国策に順応して生産を向上して行く上から行きましても、やはり我々のような者でも毎日出て働いていなくちやならん仕事でありますので、これも止むを得ないと思つております。どこにも無駄がなくて大変話は細かくなつて相すみませんが、私どもは牛乳一合につきまして二十銭の純益があれば、現在の配当はして行けるという実情にあるんであります。大体の標準を一合五十銭の純益をとることで卸しております。そういうふうに切り詰めた進歩した方法によつて生産費を落して、それから一合五十銭くらいの利益見込みで卸していますが、六割三分か四分か法人税と附属地方税になつておりますので、結局二十銭ぐらいしか残らない。それだけあればいいわけなんでして、我々の牛乳のコスト、我々が卸しているという価格、これにつきましては少しも顧みて遺憾とする点はございません。ただこういうことがあります。私どもは生産者に依頼を受けた忠実な処理業者、消費者から依頼を受けた忠実な購買係でなければならん。その係として必要とする切り詰めた費用を頂いて行くというだけの仕事をしておるわけであります。 ただここにこういう問題があります。需給の調節が我々の役目になつておるわけであります。それで夏場の足りないときには、お客さんのほうから要求がある、この要求を満たすためには福島県、長野県方面までも多大の費用をかけて、多大の冷却費をかけて取奇せております。それから冬は、昨今ですが、農家は消費のほうはおかまいなしに生産をして、我々の工場へ持込んで来ます。これは全部引受けております。ところが、相当の乳が余るんであります。この余るものはいろいろの工夫を以て、現金にかわる金額は少くても捨てるということができませんので、いろいろの方法を以てこれを処分しております。そういう需給の調節の役目を担つておるために、それから来る損得勘定か相当に生ずるわけであリます。これが年中平均いたしました御値段に加わつてみたり差引かれてみたりいろいろいたしますので、一見しまして一合について七、八十銭から一円ぐらい儲けておるように見えるときがあります。又一見しまして赤字を出しておるんじやなかろうかといつたようなときもありまするが、年中の買値、年中の卸値段というものは、只今申しましたような標準で仕事をいたしております。 それでこの価格についての問題が起りますのが小売の段階についてでありますが、これは家庭に直結しておる小売業者の関係になりますので、この点について私どもに意見があり、消費者の団体の方面でも意見がありますようでございまするが、これは妥当な取引ができるように、力のある方面で適当にこれは善処されねばならんことと考えております。
○委員長(加藤シヅエ君) 有難うございました。お時間が少し超過いたしまして、又あといろいろ……。
○参考人(植垣彌一郎君) もう一分お許し願いたいのですが……。それで小売の団体に対して我々処理業者としてのいろいろの希望がありますのですが、これは私どもが団結して、一緒になつて交渉しなければ成功するものでないのです。併しそういう方法をとることが独禁法で禁じられていますので、手も足も出ないという事情にあります。その辺は皆様のほうで御善処願いたいと思います。
○委員長(加藤シヅエ君) 有難うございました。只今の植垣参考人に対する御質問を願いたいと思いますが、まだいろいろのお立場の御発言がありますから、御質疑はあとで一括して頂くことにしまして、それでは今度は生産者の立場にいらつしやいますかたから御発言をお願いいたしたいと思います。全国酪農協会副会長の窪田喜照さんから、特に今問題になつております乳価対策を中心にして、成るべくどうぞ十分以内で御意見を伺いたいと思います。
○参考人(窪田喜照君) 私は酪農協会副会長の窪田であります。時間に制限がありますので、而もそれに対して問題がたくさんあるようでありますので、そのうちでも乳価対策、只今委員長さんからお話のありました乳価対策という問題に触れたいのでありますが、これに最も関係のあります低温、高温という問題が、本委員会でもいろいろ御審議になつておられるようでありますので、対策と関連いたしまして、特に低温、高温という問題について少しく申上げまして、なお時間の余裕がありましたらほかの問題について簡単にお話申上げたいと思います。 先ほど植垣参考人から三十五年業界に関係しておられるというお話がありましたが、私も丁度植垣さんと年齢の違い程度の関係がありますが、約三十年この酪農には関係いたしておりまして、特に行政方面或いは実際の会社方面に一応携わりまして、業態を見て参つておるのでありますが、たた低温、高温という問題については相当時間もかかりますので、只今お手許に差上げました印刷物に簡単に私の意見を述べてあるのでありますが、その点をかい摘んで申上げたいと思います。 低温、高温という問題は、今更議論しておるということが私としてはおかしいという気分を実は持つておるのであります。この問題はすでに三十年前から、農林省と厚生省の両当局の間で議論された問題であります。特に牛乳営業取締規則が、明治三十三年に制定されたものが、昭和八年にやつと民間の要望によつて改善されたというときに当りまして、当時の内務省案が低温方式一辺倒であつたものをば、内務省の委員会にかけまして、これでは無理だ、当時の委員会の大多数は日本の牛乳を低温一辺倒で行くということは無理であるというふうな議論が出まして、案はお流れというところに立ち至つたのでありますが、いろいろの調整がありまして、やつと低温、高温並立という形であの規則はできまして、爾来終戦前まで日本のいわゆる取締行政というものは低温、高温という並立で参つたのであります。而も事実としては極めて二、三の大都市以外においてはすべてが高温処理で参つて来ておるのであつて、日本の酪農の歴史から言えば七、八十年の歴史というものは高温で通つて来ておるのであります。 それで以て今更高温が何だか毒でも入つているようないろいろ議論が出ておるようなことでは、我々としては非常におかしい。むしろ我々がそういうことを指導しなかつたという一面責任を感じておるわけでありますが、併しこれを理論的に申しましても、いやしくも殺菌、いわゆる滅菌とでも申しますか、滅菌という立場から申しますと、低温よりも高温が極めて安全であるということは、少くとも細菌学的に多少の知識があるものはわかつておるはずであります。でありますから、滅菌したものが害があるかないかということを言うこと自体がすでに非常に無知であるということを、私は極論したいのであります。但しこの問題はまだ幼稚でおるがために、而も日本の牛乳というものは地区的に非常に少量が分散されておるという関係からいたしまして、高温であるということが決して危険ではないという点が、つまり殺菌後においてこれを冷却するかしないかという問題だけであります。それで今日のいわゆる低温方式というのは殺菌後冷却するという一つの絶対条件になつておるというところに、これは低温の強味があるのでありますが、さて高温になりますと、終戦前行われておつた高温というものは、滅菌後冷却してもしないでも、これはしておつたところもおりますし、しないところもありますが、いわゆる消費までの時間とその消費どきの気温というものが大いに左右するのでありまして、でありますからして、これは程度の問題であります。例えば朝配達された牛乳は午前中に消費される。或いは冬場ならば夕方まで放つておいても大丈夫だ。いろいろやや不安定なところがあつたのでありますが、併し多くは家庭でもう一度加熱してこれを使うということで、その点が緩和されて、高温というものが無事に七、八十年の間は通つておつたわけでありますが、併し原則的に申上げますれば、これは殺菌後冷却するというようなことが、これは絶対的のものであり、又理想的なものであるということには間違いありません。併しそこは程度の問題でありまして、そういうところをせんじ詰めませんというと、この問題は高温がいいか悪いかということがはつきりけじめがつかんというようなことにもなるわけでありますが、ただ実際問題として、牛乳を滅菌して、その場でこれを消費して行くとか、或いは夏分をのけては一日間ぐらい放置しておいても大丈夫だ。これはもう科学的に試験をしてもわかるものであり、まあすでに試験しなくても実際が証明しておることであります。そういうような、或る程度で高温殺菌というものは、消費者がこれを消費して行く、こういうような方向へ持つて行きますれば、何も毒になるとか、或いはどうとか言う問題は解消されるわけであります。 殊に一遍殺菌したものの中には時間が経てば細菌の数が殖えるなんということを、一方的に言つておりますけれども、その中に細菌なるものは、いわゆる病原菌というものはすでに、両方とも、むしろ高温殺菌のほうで完全に死滅しておるわけでありまして、それ以外の細菌と申しますれば、乳酸菌のごとき、却つて我々の衛生面から言えば有効な細菌の数が殖えるというだけで、極端に申上げますれば、カルピスのごときものは雑菌を殖やしてカルビスを作るわけでありますからして、カルピスを飲んでいて、そして僅かに雑菌の数が殖えたというだけで牛乳は危険だという考え方も、これは本当の素人考えだということを私は申上げたいのであります。 そういうようなわけで、とにかく基本的にこれがいいとか悪いとか言う問題は一応はつきりしておるのでありますが、更にこれを行政的に、或いは実際の事業面から見まして、一体どうなのかという問題を私ども今考えておるわけでおります。そこで私ども生産側として、今日いろいろ政府に対してお願い申上げておる点は、現在牛乳が四割近い増産をされておる。ところが、消費は二割程度しか進んでおらんということでは、そこで生産過剩とい問題に直面しておるのでございます。でありますからして、これを何とか生産される乳はどこまでもこれを消費して行くということでなければ、今日の日本の農業合理化の面から申しましても、或いは食生活の改善の面から申しましても、折角奨励してうんと殖やさなければならん牛乳がここに余つて、これを制限しなくちやならんとか、どぶに流さなければならんというようなことになりますと、これは大変だ。特に生産側の立場から申しますと、相当農家としては高額の資本を投じて、高い牛を飼い、或いは自分のところで乳牛を育てるにしても、三年育てて漸く乳を出すというような苦労をして、生産をしておる乳が、ここへ余つて流さなきやならんということになりますというと、大変だ。ところが、一方消費側から見ますと、牛乳は飲みたいという声がたくさんあります。それだのに、経済的にこれは飲めないのだというようなことに相成つておるわけでございまして、一方は飲みたいのに、一方は乳が余つてこれを流さなければならんというような今日の事態を、一体どうしたらいいかというのが今日の問題であり、この乳価対策にも関係して来る問題でもあります。そうなつて来るというと、どうしてもこれは消費を殖やす方法をやらなければならん。 消費を殖やすということについてはいろいろの道はありますが、ただ簡単に申しますと、今日の乳業界の業者だけに任しておつたのでは、今の増産される乳は到底こなして行けないという私どもは結論を持つているのであります。でありますから、さればどういうふうにしたらいいかということになりますというと、現在の業者に任してやれるだけは一つうんと努力して頂かにやならんが、併しそれだけではいけないということになるというと、ほかに手を打たなければ、今日生産される牛乳はこなして行けないという、いわゆる現実の問題をどうするかということになつておるわけでありまして、それはつまりやつて行けない。現在の業者に任してやつて行けないということは、すでにこの乳価問題が起つて乳価が叩かれておる。そうして生産者として経済的に打撃を受けておるばかりでなく、一体我々の拵える牛乳が売れないと、いうことになるとどうするかという、精神的な不安に襲われておるわけでありまして、この問題を解決するということには、いろいろの施策を必要といたします。その点については農林省、厚生省、両方に私どもはお願いしておるわけでありますが、その一つとしてこの高温殺菌の問題を実は取上げておるのであります。でありますからして、高温殺菌ということは私どもの考え方としては、現在の業者の職域を奪うとか、或いは衛生上危険を及ばすようなことをしてまでそれをやるというのではなくて、ただ消化し切れない牛乳を何とか速急にこれを飲ませる。つまり飲みたい人に飲ませるような手を打つたらどうかということに結論が来ておるのでありまして、そうなつて来るというとどうしたらいいかという問題は、先ず第一にいわゆる行政取締の問題であります。行政取締りで低温一辺倒というようなことをやられるというと、どうしても安い牛乳を拵えるわけには行かん。或いは現在の配給機構に頼つているだけではいかんということになれば、一つ簡単な、衛生上危険のない、いわゆる許可を受けた範囲内の設備で以て、高温殺菌をやつて、それを冷やさなくても、その場で飲むとか、或いは時間的に短時間でそれを消費し得る町村地帯のような狭いところでこれをやることにして、その乳のはける方法を早くとつて行きたい。これがいろいろの施策というものは時間を要することでありますからして、先ず出ておる乳を早く持つて行つて飲ませるし、そういうような一つの新らしい供給のルートを作る必要があるという考えから、これを私どもは特にお願いしておる次第でありまして、別にこの問題を、いろいろのものを絡み合せて、どうだこうだというようなことを言うほどの問題ではありません。 そこで、農村で出た乳をそういうふうにして飲ませれば、これが余つた場合には直ちにバターにして、又バターにして都会に送るとかいうように、極めて簡単に田舎で生産される牛乳が処理される。勿論現在の業者に供給しておる面においては従来通りこれを供給していくという形をとりますれば、おのずから両々相待つて、その牛乳の生産過剰というものが防げる。いわゆる農家の今日としては、乳価の値下りよりも一番こわいのは買取拒絶、或いは買取制限でありますからして、そういう点を緩和するには、やはり今の方法で速急にやれる問題は、これでできるという考え方で、そういうことからお願いしておるわけであります。 そういうわけでありますからして、原則的にこれを吟味いたしましても、何も毒の入つているものでなし、又行政的にいろいろ考えましても別に混乱を生ずるというような点もないわけでありまして、又そういうことを、私は混乱を来たさせるとか、或いはお互いの勢力の争いというようなことから出ておるわけでありませんからして、そういうところをお含み願つて、この問題は一つ御審議願いたいと思うのであります。 そこで乳価対策の問題でありますが、やはりそういう一つの乳価対策ということが、そういう面を解決いたしますれば自然と、乳価というものについては或る程度安くても、どんどん生産されて売れて行きますれば、安心して行けるということになれば、その安い乳価が又維持できるように、生産費の低減なり何か、いろいろ又我々も指導しておりますから、そういう方面に農家も努力したいということを申しておりますからして、これは心配なくその生産が続けて行けるということになりますので、今後の乳価問題についてはそういうような一つの線が築かれて、そして需給のバランスがとれて行きさえしますれば、それほどこの乳価問題は紛争は起らないと思つておるのであります。併し現実としては急激な、何回かにわたつての一方的切下げにあつておりますから、相当打撃を受けております。受けておりますが、併しこの問題は単にただ経済的にばかり考えられません。どうしてもきめ手を持たない農家としては、どうしてこの量を、取引というものを合理化して行くかということについて、いろいろ考えておる。その点については御承知の酪農振興法も出まして、公正な取引をさせるようにするということになつておりますから、その線に沿うて我々としては、できるだけ生産者団体をまとめまして、そうして牛乳を共販体制に持つて行く。そして取引きも文書契約によつてやる。その文書契約をする前には売手、買手が話し合つて、気持ちよく一つ話合いのもとにきめて行くというような形をとらせなければならんということで、現在その方向に一部の地方では進んでおりまして、そういうようなわけ合いで先ほどの御意見もあつたようでありますが、一般に報ぜられたほど、それほどこの乳価紛争の問題では対立しておるわけでありませんが、ただ基本的に買手と売手のほうがまた考え方が一致していないために、如何にも対立しておるように見えておるわけでありますが、もつとこれが買手側が謙虚に一つお考えになつて、お互いに話し合つて何でもやつて行こうということになりますれば、この問題は間もない解決できると思います。 併しただ一時的の解決をいたしましても、生産過剩の問題を、これは必らず再度の引下げもあるわけでありますし、なお又今後安心して、いわゆる農家としては計画生産もやれない。明日の不安があるとすれば計画的に生産できんということになれば、必ずや今度の問題で生産は制限される。自然的の制限を受けるというような虞れが多分にあるのであります。でありますからして、来年の見通しにつきましても、このまま放つておいたのでは恐らく一割乃至二割の減産ということになりはしないか。こういうふうに私は懸念しておるのでありますが、そうなつて来るというと、日本にいわゆる食料問題を解決するという点から、牛乳はどうしてもやらなければならん、酪農をやらなければならんというような政府の考え方と、事態は全く逆に進行するということに考えられますので、これは我々としてはこの食料源はできるだけ増産して、できるだけ国民に廉価に与えるということでなければいかんということを考えておるのは、それが逆に今は進行するような虞れが多分にあるということになつておるわけであります。 そういうわけでありますからして、紛争の問題は要するに現在としてはそう表面に現われておるほど実際的には紛争になつておるわけではありませんが、併し基本的にはまだしつくり解決されておらんということを申上げておきたいのであります。 そういうわけで、そこで私時間の点がありますので、特に集団消費の問題でありますが、どうもいろいろ情報を聞いておりますと、いかにも原始的に鍋釜に牛乳を沸かして飲ませるのだというような、変な宣伝もあるようでありますが、私どもの考え方はそうでないのであります。処理場の設備とか或いはびん詰めの方法、その他一切、一定の取締りの規定に副うた、一つの規格に副うた設備をし、方法によつて供給するという考え方でございまして、但し高温殺菌をして、冷却もしないでもそのままで飲んで、安く飲めるというような形を考えているのでありまして、鍋釜式に原始的に、これを振り戻してどうだこうだということは、全くのデマ宣伝としか私は考えておりません。我々はそういう考え方でこれをお願いしているのでないということを、はつきり申上げます。集団消費のごときも、従つてやはり一定の規格の下に、これを消毒殺菌しまして、そうして飲ませるといい考え方であります。 その他時間がありませんから、飼料問題と酪振問題でありますが、飼料問題につきましても、酪農振興法につきましても、私どもは現在の酪農を、どういうふうにこれを合理化し、発達させるかということについて、いろいろの施策が必要であるということについて、農林省の関係方面については又それぞれいろいろお願いをしております。又現在の酪振法或いは飼料需給安定法でも、必ずしもこれには満足いたしておりません。内容についても改正を希望しているところもありますし、なおそれらの運用方法については、もつと一つお考え願いたいということも申出ております。でありますからして、いろいろの施策については、私どもとしては各関係方面に実はお願いしておるのでありますが、その一つとして特に急ぐ問題として、高温殺菌問題を厚生省方面に一つお願いしているという関係にあるのであります。
○委員長(加藤シヅエ君) 有難うございました。それでは只今処理の問題、殺菌の問題について御意見をお述べ下さいましたので、この問題について長い御経験のおありになります東京飲用牛乳協会会長の國生さんから、どうぞ一つお願いいたします。
○参考人(國生義夫君) 私は東京飲用牛乳協会の代表者として呼ばれております関係上、又自分の職業が明治乳業株式会社におります関係上、処理業者側の代弁者というような立場にありますけれども、根が技術者でありますので、自分の技術者としての立場から、十分間程度でお話したいと思います。問題がたくさん並べてありまするので、全部に亘りますと肝要なところが申述べられませんので、非常に局部になるとは思いますが、お許し願いたいと思います。 今日問題になつております低温殺菌、高温殺菌ということ、ここにも書いておりますが、余りに文字が簡単すぎて、誰でもわかりやすい代りに、本当の実態を掴んでいる人が少いと思うのでございます。高温殺菌というのは、殺菌の温度を申すだけのことであります。低温殺菌というのも、高温殺菌に比較して、低い温度で殺菌するというだけのことを言い表わしておりますけれども、これの意味するところは、牛乳の取扱方式だと思うのでございます。申しますれば、高温殺菌は簡易処理方式を代表して拵えている、低温殺菌と申しますのは、パストライゼーシヨンを指して言うのだと。それで単に牛乳を殺菌するとき、温度を幾ら加えればいいかということだけであれば、どちらがいいかということは、多少低温殺菌のほうが栄養的に完全だ、高温殺菌に多少の欠陥があるということで済むわけでありますけれども、牛乳の取扱方式を、牛から牛乳を搾りまして、それを消費者の口に入れるまでの取扱方式を考えますときに、そう簡単に割り切れないと思うのでございます。牛乳そのものをよく認識しなければ牛乳の取扱方ということもわかりませんわけでございまして、牛乳とは何ぞやということは、誰でも、牛乳は乳牛から搾つたお乳だということで言い切れるわけでございますが、牛乳の本質から、牛乳とは何ぞやと申しますれば、牛乳は栄養プラス衛生イコール牛乳と、私はそう思います。牛乳から栄養をとつても何らの意味がない。又牛乳から衛生というものをとつても何らの価値がないばかりでなく、むしろ危険があると思うのでございます。牛乳が文化食生活の最高級の食料品だと申しますのも、衛生というものの裏付があるために最高級の食料になるわけでございます。又日本が敗戦から立ち直りまして文化国家を作るのだと申しますのも、文化というものは衛生が発達して初めて文化の裏付になるのでございまして、衛生のない文化というものはないと存じます。 それで牛乳の高温、低温に立ち返りますと、低温殺菌、即ちパストライゼーシヨン方式による牛乳の取扱方をします場合には、先ず乳牛から乳を搾つたら、直ちにこれを冷却する。それから処理場まで持込むにも、冷却保温して持込む。この処理場で熱を加えたらば、直ちに又冷却する。これを得意先に持ち運ぶにも、冷却した状態において持ち運ぶ。お飲みになるときに、そのままお飲みになつてもいいし、又温度を加えてお飲みになつてもよろしい。徹頭徹尾牛乳の取扱方というものは冷却が本体でなければ、本当に牛乳を取扱う使命を果たせるものと言いがたいと私は固く信じております。 それで高温殺菌を推奨なさるかたは、高い温度で殺菌すればすべての細菌は殺せるじやないか、万事それ一本で全部が済むと考えられますけれども、それが又却つて牛乳の取扱いをする上において誤解が生ずるのでございまして、搾取してから如何に非衛生的であつても、高温に殺菌すれば全部細菌は死ぬのじやないかというような誤解に陥り易い。その処理方式も、簡単な手間を省いた処理方式にいたしますれば、牛乳を汚染する機会が非常に多いのでありまして、衛生的な牛乳を供給するには、牛乳を外部から汚染する機会をできるだけなくすることが最も必要であります。簡易処理方式におきまする欠陥というのは、汚染の機会が非常に多い。今日処理工場には、官庁かち衛生監視員というおかたが常置しておられて、今日の完全な処理工場において、立派な技術者が牛乳を取扱つているにかかわらず、それをなお監視員のおかたが監視しておられるということは、その取扱いの途中において牛乳が汚染されるような機会を作つては困るというところからだと思いますが、若しも簡易処理方式の処理場が至るところにできたといたしますると、それをば一つ一つ監視員が立ち会つて監視しておらなきやならんというようなことは、絶対に不可能なことでありまして、殊に簡易処理場のようなところにおいて、立派な技術者を雇い入れて、牛乳を取扱わせるということはないと存じます。外国人は生れながらにして、牛乳をば取扱つておりますので、牛乳の知識ということについては十分に知つておりますけれども、日本においてはまだ牛乳の発達が遅い、近年でありますから、本当に牛乳というものについての知識が低いのでございまして、これを取扱う人が簡易処理方式の処理場におきまして、無知の人が取扱つていた日には、誠に危険千万な状態になるということは、火を見るよりも明らかだと存ずるのでごいます。 そういうような観点で、簡単に、殺菌するところの温度が高いとか低いとかというような関係だけの言い表わし方だけを意味するのじやなくて、その牛乳の処理取扱方式を言い表わしているのだということで、この文字をば御解釈願いたいと存ずるのであります。 時間も経ちましたので、これで終ります。
○委員長(加藤シヅエ君) 有難うございました。それでは再び生産者の立場にいらつしやいますかたに一つお願いいたしますが、今度は六大都市生産者団体書記長の水登多喜男さんから、一つ生産者のお立場をお願いいたします。
○参考人(水登外喜男君) 水登でございます。私は高温の提唱者であります。殊に国民の消費者の立場を考慮し、全国酪農民、牧場業、乳牛生産者の代表の意見としまして、高温の提唱者でありますことを冒頭に申上げます。 本日のこの高温、低温ということについて、冒頭に一番申上げたいのは、現在の厚生省令五十二号の殺菌温度において、高温ということを実際上認めてあるのであります。というのは、摂氏六十二度乃至六十五度で三十分か、又は摂氏七十五度以上で十五分かと書いてある以上は、而も七十五度に「以上」と字がついておる以上は、高温ということも実質上私は認めておるはずなんだとこう思つております。併しそれじやなぜ高温、低温と言わなければならんかと申しますと、先ほどからお話のありましたような、摂氏十度以下というような冷却保持の時間という問題があります。もう一つは、自記温度計をつけろ、いわゆるレコードする温度計をつけろということがあります。殊に不可解千万なのは、七十五度に「以上」がつけてある。六十二度乃至六十五度、三十分は、御承知の通り、低温消毒であります。これは果して時間的に三十分やつたか、余計やつたか少しやつたかということをレコードするために、自記温度計というものが必要であるにかかわらず、七十五度に「以上」をつけたものについて、更にやはり自記温度計が必要だということは、どうも不可解千万。殊に七十五度は、学問的に言えば、十五秒だつて間に合うはずなんです。それらについて厚生省の立案者のかたも、データなしにお作りになつたものだということを思つております。更に昨年の二月八日にお出しになりました厚生次官通牒においてはこういうことを書いてあります。「殺菌後一時間以内に摂氏十度以下に冷却保存」と書いて。下へ括弧して「いわゆる低温殺菌」ということを書いてございます。そうすると低温殺菌ということは摂氏十度以下の冷却保存だけをいうのだと、そうすれば又省令にありますることは高温を認めていないのだと、こういう理窟にもなりますが、私頭が悪いので十分なことは申上げられませんが、判断をしてもわからない省令だということを冒頭に申上げておきます。 で、私たちが高温ということを申上げるのは、今全国で百万石の牛乳が余つております。この牛乳を既存の処理業者が納得の行く価格で引受れられない、処理消化する力が経済的にもないのだ、これは捨ててしまうより又更に減産するよりほかに道がないのだ、こういうことなんであります。殊に現在の牛乳の価格は、中産階級以上の国民でなければ飲めない価格であります。この過剰な牛乳をどうしたら中産階級以下の国民にも安く飲んで頂こうかということが、私たちの言う高温であります。高温、いわゆる簡易処理であります。御承知の通り、既存の業者のかたが生産、処理、販売という機構から行きますというと、もとの原乳の価格の三倍にならなければ、消費者の口に入らない。これを如何にして安くしようかということにあるのであります。 先ほどから低温ということについていろいろお話がありましたけれども、東京では去る昭和二年に牛乳事件というものがありまして、当時警視庁が施行規則を出しまして、何らのデータなしに東京市と八王子市では低温消毒をやれと言いました。で、当時東京ではそういうことになつたと同時に、商魂たくましい各地方でも低温消毒が始まりました。併しその実際の状態を申上げますと、まだこの低温一色に塗りつぶさない昭和二十四年の四月、ちよつとはばかりますから申上げませんが、或る権威のある政府機関のお調べになつた数字を申上げます。当時東京と神奈川と大阪と千葉と福島に、少々低温処理者がありました。その数字が千九百五十五軒ございました。低温処理業者は、併しその政府機関かお調べになつたところによりますと、施設はしてありますけれども、実際の低温消毒しておるのは四十九軒しかございません。昨年の七月、八月における厚生省の統計によりますると、現在処理業者の数は全国で二千五百七十一軒ございますそのうち低温消毒しておる数を申しますと、八百七十三軒でありますあとの千六百九十八軒というものは高温の処理をいたしておるということが、はつきり印刷物になつて発表されております。従つて現在は決して、低温の施設はしておりますけれど、低温の消毒はしてないんだということがはつきりわかるのであります。 で、いろいろ牛乳についていいとか悪いとかということを申されますけれども、私はこの際に参考に申上げますと、低温と高温とがビタミンについてはどういう変化があるかということについて、一応申上げておきます。御承知の通り、牛乳の中にはB2が一番多いのであります、その他A、B、Cがございます。併しB1は決して牛乳の中から取らなければならんという質ではございません。それからB2は、高温であろうが低温であろうが、目立つてこれに損傷を及ぼすということは断じてございません。それからビタミンCだけは確かに、高温になることによつて破壊されます。破壊されますけれども、これは牛乳からビタミンCを取ろうということは無謀なことなんです。これは無理でしよう。次にビタミンAは高温によつて影響を及ぼすかというと、決して低温であると高温であると違いません。次にカルシウム、無機物化合物について申上げますと、確かに高温になりますと沈澱いたします。併しこの吸収がいくらか低温より高温が劣るという程度であつて、いわゆる卵でいうと、ゆでた卵か生の卵かという差がございませんということを申上げておきます。蛋白質はどうかというと、これらも大した変化はございません。幾らか物理的性質が変つて行くという程度でございます。従つて化学成分の変化の点では、高温、低温の上では何ら認むべき変化はございません。ただ食生活の上において、最近何でも生で食えということを言つております。そのほうが営養価がある、吸収もいいんだという点から行きますと、確かに高温のほうが劣るんだ、低温のほうがいいんだと、単に低温と高温の差というものは、牛乳の成分からいうと、差異というものは僅かに今申上げた点しか違わないということを申上げておきます。 そこで今の牛乳の価格から申上げますと、現在の処理業者というかたはみんな、これは営利事業をやつておるんです。経済的に困窮になりまするというと、直ちに、あらゆる商売と同じく、仕入れの頭をひつぱたく、いわゆる生産者酪農民の乳価にみんなしわ寄せをして行く。そうして末端の消費者である国民への最終価格においては、そのまま据置くか、さもなければ僅かに申訳程度の価格しか引下げない。酪農生産者の立場から言いますと、値の下るのも結構だが、これが生産、処理、販売ともどもに公平でない。そうして国民大衆の利益のために、牛乳価格が下つたと同じだけの末端価格の引下げが行われるならば、これは何も文句を言うべきことじやないと思つております。従つて私たちが、現在の処理業者が、いつ如何なることがあつても納得のいく価格で、全生産牛乳を必ず引取るのだということが明言できますかどうか。或いは逆に言いますというと、お前たち酪農民、或いは牧場も、低温処理の施設をやればいいじやないかと言つてみても、巨額な投資をして、その施設がこれはできない。木によつて魚を求めるごときものでありまして、結局営利を目的としておる事業をやつておる以上は、恐らく大メーカーではございますまいと思いますが、これが中小以下になりますと、経済上背に腹は変えられないとなれば、牛乳は高い安いの値段の如何にかかわらず、要らないと言つて断わる。断わられた場合、酪農民でありますれば、一頭乃至二頭しか持つていない牛だから、手放せば簡単でしよう。これが牧場の場合、簡単に廃業できますかどうですか。必らずそういう廃業はできないはずです。できないはずでしたら、如何にしても牛乳を売らなければなりません。売らなければならないはずですけれども、現在の厚生省令五十二号においては、牛乳生産者には一合の牛乳も現金化する道を開いてございません。従つてこれがやはり酪農民とすれば、自営手段としまして、また国民への安く大量に飲んでもらうというサービスの道から申しましても、簡易な処理で以て自己の生産牛乳が現金化されるという道を設けて頂かなければ、折角発展途上にある酪農が潰滅を来たしてしまう、こういうことを申上げておきたいと思うのであります。 時間がございませんようですから、従つてここで一応申上げておきますことは、昨年の六月から八月の調べによりますと、全国で五斗以下の処理業者が、率から申しますというと、四九・二%、五斗以上一石未満の処理業者が二〇・六%、合計して六九・八%、いわゆる七〇%は一石未満のものでございます。この一石未満の零細な処理業者に無理な借金までさして、そうして実際に利用のできない、経済的にも利用のできないような低温消毒の施設をさした当局は、私は非常に反省をして頂かなければならない。実際問題として、こういうことは本当は牛乳を安くならんようにしている。従つてこれは低温、高温と申しますけれども、占領政策の行き過ぎは是正されるべきものと私は承知いたしております。時間がなんですから、あと簡単に申上げます。 又集団消費の点につきましては、今現実の問題として学校給食等が地方にも行われております。併しこれらが現在の厚生省令の五十二号の第四条の第二項にある都道府県知事の特別の許可を得て、牛乳びん以外の容器によつてという許可を受けておりますかどうでしようか。実際罐のままで学校にみんな運んでおります。そういうところがたくさんございます。従つて集団消費ということは、私はこう思う、運賃をどうしたら安くあげるか、もう一つは如何にして容器の補充費を安くあげるかということが集団消費であつて、集団消費の実質上におけるそういつたことが地方で行われておるじやないか、何も不思議がらないで行われているじやないかということを申上げておきます。それから乳価の紛争対策は先ほど申上げたことによつて足りると思います。ただ最後に申上げておきたいことは、現在の酪農振興法は、これは前段の集約酪農法という法律に代るべきものであり、後段の牛乳取引法というものに又二つに分かれるべきものである。そうして牛乳取引法というものは独禁法と十分関連を持つた、もう少し強固な罰則があるべきものだと私は思つております。更に飼料需給安定法につきましては、現在実需者団体に紐付で流すという第七条がありますけれども、この第七条は殆んど死文化して、実行されておりません。いわゆる製粉業者の圧力によつて、実行されておりません。この規則が殆んど何らも有効には働いていないということを、極めて遺憾に思つております。 最後に一言申上げておきます。日本の酪農の発展というものは、満州の大豆粕と支那のふすまによつて発展してきた過程を考えて見ますとき、如何なることがあつても、中共貿易による満州の大豆粕、中国のふすまというものが入らなければ、今後といえども、将来といえども、絶対量的不足な飼料事情において、又四つの島の狭いところにおいての自給飼料という点を勘案いたしましても、酪農の発展というものはあり得ないのだ。その点について、何分の御尽力をお願いしたいと思つております。
○委員長(加藤シヅエ君) どうも有難うございました。それでは大変活溌な御意見が出て参りましたので、この次は、日本乳製品協会副会長の大野さんに一つお願いします。
○参考人(大野勇君) さきから何遍も言われておりますけれども、高温と低温の区別がどうもはつきりしないようですが、今言われている高温というのは、殺菌の温度が幾らであつても温いままで配給する、こういうのを高温といつているので、ヨーロッパの今一番新らしいやつは、百三十五度で一秒間の殺菌です。併しながら、冷やして配る牛乳は、徹頭徹尾、冷やさなければ危険なんです。さつき毒かと言われましたが、毒なんです。それは皆さん御承知のカーネーシヨン・ミルクは、百三十五度で十五分殺菌しますが、そうしないと腐るのです。腐るやつをなくすために、我々は七十五度の部屋に二週間置いて、膨脹させて、腐つたやつをはねて出荷している。それは結局、バクテリアでなくて、バクテリアの皮をかぶつた例のスポアというものが必らず残つて、栄養と温度を得ると、それが又皮を破つて出て来て繁殖する、こういうことになるのですから、どうでもこうでも冷やしておかなければならない。冷やす以外に方法はない。簡単に、小さなところで高温をやつて、温いままで配達をしたらどうか、こういうことが今の高温なんです。温いままで配達したらどうか、こういうわけであります。この問題が厚生省の衛生の方面から出ている問題なら、問題がないのですが、これによつて先ほどから言われております乳価とか、牛乳の量を解決しようというと、これは絶対不可能です。複雑ですからなんですが、ここにおいでになる山西さんなんか、二、三のかたはできるでしよう。自分で牛乳を搾つて、自分で処理して、自分で隣り近所に配る人二、三人はできますが、水登さんの組合でも、東京千五百石のうちで、百石の人間はやれますけれども、若しうまく行けば千四百石……、その代り、まわり近県のお百姓さんは皆つぶれてしまう、こういうのです。それで窪田さんなんかのお話の、この問題によつて牛乳の余剰牛乳は絶対に解決しない。これは東京の近所に牛乳がないのです。五時間もかかつて持つて来ているのです。而も牛乳というものは、中味が五十匁で、外味が七十匁もあるのです。ですから、酸素のボンべと同じで、外側のほうが目方が重いのです。こんなものを五時間も六時間もかけて遠くから持つて来るわけに行かない。そうすると、その地場で売る、地場では売れるかと言うと、売れない。六大都市で以て日本牛乳の五、六割を消費しちまつている。六大都市の消費者を手に入れない限りは、牛乳の量の問題は解決しない。田舎では飲まない。今低温、高温なんと言つておりますが、消費地というか、生産地では、牛乳びんの……牛乳びんじやない、ビールびんのままで売買しているのであつて、そんなむずかしいことをして決して売買しておりませんので、若し値段と量の問題を解決するならば、したいならば、これは六大都市の消費者をどうして我が手に入れるかということによつてきまるわけであります。ですから、この辺は一つしつかりお考えおきを願いたい。事に先般の規則の改正によりまして、地方の酪農協同組合は殆んど低温処理の設備に直させた、強制的に直させた。借金も返していない。又今度は高温でいいのだということで、私自身が、これは議論ですから長くなりますが、結論的に言いますと、高温はどこでおやりになつても二、三年の混乱の後には全部なくなつちまいます。今度は政府が補助金までも出してこれをやろうというのですから、これをやろうとなさる官庁と、それからこれを支持なさる方々は、若しそういう損害ができたときには、本当の意味の責任をとるということをあらかじめお考えを願いたい。今、中小プラントは低温にして、お前たちが勝手にやつたのだから、高温で潰れても仕方がない、こう言つております。今度は補肋金を出してやる、そのときに必ず責任をとるということを覚悟にきめておやり願いたい。尤も自分の金でおやりになる人はこれは御自由ですから、損得はその人の御自由ですからいいのですが、そういう工合にお考えおきを願いたい。 それから集団消費は、これも私の考えでは、できるところは保安隊と監獄だけですな、経済的にできるところは……。学校は絶対不可能です。六十二銭で、よくても悪くてもアメリカの粉乳が一合飲めるのですから、これ以上安くやるということはできない。ですから、学校は多少不満足でも、私はアメリカの粉乳をお飲みになつたほうがいい。銀行、会社は、これも設備をしてやる人は恐らくあるまいと思います。月給をもらつている人間ではできないのです。仮に午前九時から十二時までやるとしますと、これが百八十本ですから、それまでに処理をするびんなり、コツプなり洗つて、一分間に一本ずつ詰めると、百八十本きり詰まらない。びんなり、コツプを洗つて、それを消毒したやつを詰める。そうすると、五百本やるためには三人かかる。五百人の人間では千五百円、一本に三円かかる。今の大きなプラントでやつている低温の処理というのは、儲ける設けないにかかわらず、もう大都市においてはこれきり仕方がないのです。そうしてこれが一番安い方法なんです。こういうことはこれは理論でなくて実際ですから、而も反対しているのが低温処理業者ばかりだから、これはどうもなかなか御納得が行かないので、おやりになりますと必ず損しますということを申上げているのだけれども、これは俺がやれば大丈夫だと言うのだから、先ほど申上げたように二、三年先の結未を見てお互いに議論するより仕方がない。ですから、いろいろなことで大いに御勧誘なさつて投資をさせた人は、どうぞ一つ、そのときには立派な日本人らしい責任をとつてやはり頂きたい、かように考えております。 それから乳価の紛争は、先ほど申しました通り、今とあの時代におきましては、余り大したことはないと思つておりますが、これはなかなかアメリカやヨーロツパのようにきめられないのです。ヨーロツパでは、ロンドンのバターの値段で乳価がきまるので、国内においても何かそういうような形を作つて行きたいと思つておりますが、なかなか酪農が弱体で、無理にでも保護して買わなければならん、こういうような立場がありまして、すつきりした商業主義で以て割り切ることができない。そこでまずまずこれは当分はお互いによく話し合つて進んで行つて、追い追いにヨーロツパ式に、どの値段が幾らだからどう、こういうようなすつきりした割り切り方にしたい。かように私は考えております。 又食品衛生法につきましては、余り再々、一つ改正をしてもらいたくない。而も非常に進んだ法律で、無理とは思つておりましても、何とか衛生法の標準を上げたいと思つて一般が努力すると、そのたびごとに変つて、今までの努力や何か要らねえんで、こういうようなことになる、こういうことであります。 それからもう一つは、一般にわかりやすい規則は残しておいて頂きたい。この前の規則の中に牛乳は摂氏十度で工場に運べ、工場もそれを保持しろ、こういうのです。そうすると、これは取つてしまつた。バクテリアが幾らというやつは、これは素人にはわかりません。併し温度の低いか高いかというこうとは、誰でもわかる。そうして低い方が牛乳のためにいいということは、はつきりしておる。そういうような規則はやはり残しておいてもらつて、お互いにそれに合うような品物を作るということに努力をすべきである。今度も酸度がなくなるようですが、酸度なんか誰が見ても非常にわかりいいので、バクテリアの数だけ残しておく。これはどうもお互いに議論しても議論にならない。わからない。ですから、どうぞわかりやすい規則で一つ残しておいて頂きたい。 それから空罐の問題ですが、行き過ぎもありますが、育児用の粉乳のようなものはやはりちやんと罐に入れるというようなことにしなければいかん。菓子の原料も罐に入れろと言うような規則は行き過ぎですが、赤ん坊にやるような粉ミルクを罐に入れろ、こういうことを残しておきませんと、日本の業者というものは、とかくむちやくちやになつて、法律のスレスレで行きたがるような何がありまして、二、三日前も脱脂粉乳を売つていて、溶けば一合五円の牛乳になりますというような、我々のような玄人が見ればはつきりわかりますが、素人が見ると牛乳が一合五円で飲めると思う。何ぞはからん、脱脂粉乳です。そういうような広告を出すような業者がたくさんおる。アメリカならフロードで、詐欺で以てすぐ告発されますが、そういうような業者がいますので、どうか余り行き過ぎがないように、そうかといつて余り野放図に放任をする。こういうことがないようにして頂きたい。 酪振法につきましては、これはもうできる最初から、牛乳のような生もので腐るもので、長途の輸送に耐えないものを、ただむちやくちやに生産を将励して、消費の部面に買上げの制度なり、輸出の制度なりを置かなければ、必ず行き詰まる。今日まで行き詰まらなかつたのは統制のお蔭なんです。ですから、統制を外せば戦争前の、昭和十五年頃の状態になつて来るので、三年に一回は山が必ず来る。これを何遍も私は言つたのですが、農林省のお役人というものは牛乳というものは永久に不足するものだという考えを持つてやつたので、ああいうような結果になつて来ておりますが、これについてはぜひとも一つ余剰産物の一時的の受入れの制度、こういうものを作らなければ、今日のようなことを……来年は足りなくなつて、三年先は又余るのです。大暴落と大暴騰とを重ねて行く、こういうことになるのであります。なおあの規則を見ますと、統制病患者が作つたようなところがありまして、何でも統制すればいいんだと思うような……、集約酪農地帯についてもいろいろな書き方がありますが、あれは算術きりできない人の議論でありまして、一と一を寄せれば二となるというような感じで、競争というものがやつぱり大きなフアクターになる。そうしてその生産を助長するなり安売りをするのだと、こういうことがありますから、適度の競争をやつぱりあそこに許すと、こういうことが生産者、消費者、両方のためによろしいと、こう私は考えております。 以上であります。
○委員長(加藤シヅエ君) どうも有難うございました。それでは再び生産者の立場にいらつしやいます東京酪農農業協同組合理事長の山西さんに、特に生産費の問題なんかをお願いいたしたいと思います。
○参考人(山西静雄君) 私は只今御指名に相成りました東京酪農協同組合の山西でございます。私は生産者代表でございますが、生産業を営んだ経験はすでに五十数年間ございます。今日のようなこういうことをし出かしたということは、私は五十何年間に初めてでございますが、本日参考人としてここへお呼び出しを頂きまして、第一の低温、高温という問題でございますが、これは窪田、水登両参考人からいろいろ高温、低温についての問題、或いは処理側の御三名のお方からもそれぞれその立場においてお述べになつたのでありますから、私は今更それを繰返して申上げる必要もないのでありますが、ただ簡単に高温、低温ということに一言触れてみたいと思つておるのでおります。 本島かんから冒頭に、低温でなければいけないと、高温云々ということを言われましたが、あえて我々これなどは高温のみとしてくれろという意味ではございません。低温並びに高温も併置してやつてもらいたい。その要点は、先ほど水登参考人から申上げた通り、我々生産業者といたしまして、万一処理業者が我々の牛乳を断わられた場合には、如何にするかということは、牛を売るか、牛乳を捨てるか、この二途しかないのであります。この問題について、従業員もおります、相当家族もおりまして、これはどうするか、路頭に迷うようなことがあるじやないか。然らば、幸い生産過剰になつておるところの原乳があるから、ただ処理業者は、牛乳は余るから、乳製品のストツクは何十億あるからして、お前らの牛乳はこれだけ買えないから、今度は幾らにしろ、今度は幾らにしろという問題で、先ほど水登参人への申される通り、或る処理業者においては営利事業でありますから、ただ自分らのそろばんだけとつて、そうして合わないものは我々にしわを寄せる。それじや甚だ我々生産業者として将来安定した営業はできないから、この高温殺菌は是非許してもらいたいというのが我々生産者の声でございます。然らば高温、低温でいずれがどうかということで優劣を争いますれば、先ほど皆さんのお話の通り、お互いに立場々々によつて御意見があります。私は高温でもよし、低温でもあえて国民に害を与えるものでないということを、私は確信しておるのでおります。然らば害がなかつたならば、併置して低温か高温かということに私はして頂きたいと思つておるのであります。曾つて昭和二年に、この警視庁令の改正のときに、警視庁の衛生部長川村貞四郎、それからときの警部横田隼雄氏が、私はその当時から組合長をすでに今日まで二十八カ年間やつておるのでありまして、低温でなくちやならんというこれはどうだというと、川村さんが曰く、アメリカにおいて死亡率が大変ある。とにかく低温になつてから乳児の死亡率がなくなつた。然らば日本においてそれじや川村さん、どれだけ現在乳幼児の死亡率があるか、それを出して頂きたいということを再三迫つたのでありますが、頑としてその私のお願いには応じなくて、その数字というものは未だ以てまだ出て来ておりません。そうして我々を強要され、又先ほど高温で逆行じやないかというお話がありました、或いは或る意味においては逆行かも知れません。併し昭和二年の警視庁令の改革のときには、我々牧場には搾乳場というものを殖やした。すでにあの当時の新聞で皆さんが御承知の通り、あの昭和二年の金に換算いたしまして、我々僅か二百数十の牧場が、五百数十万円という巨費を投じてやむなくやつたのであります。それが数年ならずして、その搾乳場は要らんということになつて、我々は損害を受けたが、先ほど大野参考人がこれは高温は三年後に潰れてしまうだろう、そのときには政府はその補償をする覚悟がありや否やということを言つた。私はそれを言われれば、遡つて昭和二年の警視庁令の改正が、果して我々生産業者に損害を与えて、これを今日までそのまま放つて置いたのは、これは政府じやない。東京府でございますが、果してそういう責任を持つているかどうかということを、重ねてこの席上で私はお願いいしたいと思つております。 低温、高温の問題については、大体私が申上げることはそれだけでございますが、次は集団消費の取扱いということになつておりますが、或る人は学校給食は今日は絶対駄目であるということは、私も多少学校の教育委員として参列しておりますが、今日六三制におけるところの小中学校においては、場所によりますと一カ月二百五十円、或るところでは、日本橋あたりにおきましては三百五十円か六十円のあれでございます。これは果たして幾らにやつても、生乳というものは現在の情勢では飲ませることができないのは、これは全く私も承知するわけであります。要するところは高等学校以上の生徒ですが、安くして集団配給したならば、必ずしもこれは不可能ではないということを私は思つております。その点におきましては第二の取扱いについて御考慮を願いたい。 最後に、三の乳価の紛争問題でありますが、乳価の紛争ということだと非常に大きい。先ほど植垣会長が乳価は紛争しておりません。その通りであります。紛争はしておりませんが、しつくりとは行つておりません。これはどうかというと、甚だ私は先ほど申上げた通り、我々生産者でありまして、生牛乳を持つている以上は、会社のほうでお前のほうの乳は要らんと言えば、仕方がないから、乳を捨てるか牛を売るか、止むを得ずお前の牛乳は五十何円、はいそうですか、不平満々でおつても仕方がない、泣く子と地頭には勝てないというので、そういう意味からいたしまして、とにかく果たして今日の資本家と我々の階級を平等に取扱つているかどうかということを、政府当局はよく考慮を願いたいと思つております。この点について私は何とも申上げません。 最後の四の問題でありますが、恐らく私は独占禁止法の問題は、よほどより以上に強化しつて頂きたい。あとの問題にいては改廃のことも多々あると思つております。その点を私は一言申上げておきます。 最後に委員長さんにちよつとあれですが、これが終えましてから、あとでとにかく質疑応答があると思いますけれども、ただ先ほど植垣会長さんの曰く、私は聞き捨てならん問題である。とにかく酪農民は何とも言わないんだお前らのような、とにかく役員が自分の野望を充たさんためにこういうことをやつているということは、甚だ私について不可解に堪えない。私は二十八年間微力ではありますが、組合長をやつております。即ち理事者でおります。我々が野望を充さんために、とにかくこの紛争を起させたということは甚だ遺憾に思つておりますので、後刻これについては、質疑応答があると思いますが、ここは簡単にしておきますが、さよう御承知を願いたいと思います。私の意見はこれで終ります。
○委員長(加藤シヅエ君) どうも有難うございました。 それでは酪農振興運動についてのお立場で全国酪農振興協議会理事長加藤勘十さんに……。
○参考人(加藤勘十君) ここに参考意見を聴取されることになつておりまする四つの項目について考えますると、現在の牛乳の問題を中心として見ますれば、どの一つも適切な問題であると思いまするが、これを一つ一つ切り離して見ることは、却つて全体を見失なう虞れがあるのではないかと思うのでありまして、四つとも関連して総合的に見なければ本当の解決線に達することはできないのではないか、このように思われるわけであります。私どもは農家の経営が非常に窮迫しておる。この窮迫した農家の経営をどうすれば合理的に経営を改めることができるか、こういう点から多角経営の一環として家畜の奨励が行われる。酪農振興はこの農家経営の合理化の点が一つと、日本人の食生活改善という面から一つと、こういう点から酪農運動が発達しなければならないという観点に立つて来たのでありまして、現在ここに指摘されておりまするような事柄が問題となつて来たのは、この酪農振興の結果として家畜の飼育が農家に普及してだんだん乳牛の数が殖え、今日においては遂に牛乳の生産が過剰となり、消費がこれに伴わない。牛乳の消費と生産の矛盾が、このような問題を引起すに至つたと思うのであります。従つて私は第一の低温若しくは、高温殺菌の問題についても技術的に見れば、それぞれ意見はあると思います。併しこれらの問題は技術的に解決点に達すべき問題であとるいうよりは政治的に解決しなければならない問題である。従つてこの問題はこれだけを取り上げるのでなく、他の諸項目と共に解決しなければならない問題である。私どもは低温、高温殺菌についての技術的な点については素人であります。先ほど来、各参考人の方との御意見を聞いておると、処理業者は処理業者の立場から、生産者は生産者の立場からそれぞれ御意見が述べられておりまするが、要するに我々が低温若しくは高温はいずれもその一方だけであるということの立場に立つて物を判断しては間違うのではないか、当然私はこの問題を考えるときには、先ほど生産者側からもお述べになりましたように、過剰牛乳をどうするか、同時に又集団消費の場合をどうするか、乳価の問題をどうするか、こういう問題に関連して初めて高温、低温の問題が論じられなければ、本当の解決点には達しないと思うのであります。 先ほど処理者側の方の御意見によりますると、今日は日本の酪農民が微弱であつて、時に恩恵的に買い取らなければならん場合もある。商業べースではなかなか取引が困難な場合があるということをお述べになりましたが、同時にそのことは又生産者側から言うならば、如何に今日までの処理業者のためにこの契約面においても圧迫をされておつたかということをも一面物語るものであると考えられるのであります。そういう点から私どもは低温、高温の殺菌を単に技術的に見るということばかりでなく、先ほどおつしやつたように勿論衛生ということも考えなければならん、又栄養ということも考えなければならんことは言うまでもありませんけれども、少くとも過剰牛乳を処理業者の言うままに、全然生産価格に合わない価格で売り渡すか、さもなければそれがいやならばどぶに投げ捨てるか、或いはもう一遍それを飼料に廻してしまうか、こというような場合に臨んだときにどうするか、こういうことが考えられなければならんわけであります。こういう場合に処理業者のほうから行くならば、処理業者としての採算に合わないものは買うことができないということになつて、結局両者の争いは絶えないことになると思うのであります。 問題は乳価をどうするかということに勢い関連して来るのでありまするが、私は乳価の問題を設定するには、一番基本的な問題は、牛の原価の問題と、それから飼料の問題であると思うのであります。勿論牛の飼育の方法等についての経費も計算されなければなりませんが、飼料の問題と牛の原価の問題とが一番大きな生産費に要する費用だと思うのでありまして、これらの点についての考慮が、これは処理業者は処理業者の立場から、そういうことは生産者の考えることであつて、自分たちは考える必要のないことである、こういうようにお考えになつておるかも知れませんけれども、併し直接乳価に関係することでありまするから、私はこれらの点については、むしろ生産者も処理業者も一体になつて飼料対策というものが本当に考えられなければならないと思うのであります。ところが日本においては飼料の面につきまして、先ほどは水登さんから中共貿易が活溌に再開されて、支那の豆粕と、ふすまが輸入されない限りは、本当の飼料問題の解決は困難であるとおつしやいましたが、その通りであると思います。その通りであるが、同時に又濃厚飼料から牧草飼料に転換するような方法も十分考えられなければならないのではないか、これはここの問題でないかも知れませんけれどもが、併しながら現在の飼料は殆んど製粉業者、或いはそれに関連するような商業、大きな商人になかば独占的に抑えられてしまつておりまして、価格というものは非常に幅の狭いものになつております。全く供給者側の一方的な価格で定められておるというような状態でありまするから、こういう点についても牛乳の生産者側としては、もつともつと政治的な力を大きくして、飼料供給業者との間においてこれらの問題の解決がなされなければならないかと思うのでありまして、そういう点から行くならば、私はこれが農林省の範囲であるとか、或いは通産省の範囲であるとか、或いは厚生省の範囲であるとかいうような、官庁の縄張り主義が排除されて、政府として総合的な対策が立てられなければならないと思います。若し各省それぞれ勝手な縄張り根性でこの問題を処理しようというならば、到底いつまで経つても問題の解決は図られないであろう。政府は、当然総合的に今申しますような点を解決するような途が講じられなければならない。こういう点から行くならば、処理業者じや生産業者と一体になつて、むしろ政府にこういう政治的解決を求めるべく努力されなければならないのではないかと思うのであります。直接の問題としては、成るほど高温、低温の技術的争いがあり、或いは集団消費についても、処理業者は処理業者としての利益の立場から、生産業者は生産業者としての立場から、生産者は生産者としての立場から、私どもが公平に見るならば、学校給食のごときは、成るほど今日の価格においては直ちには困難でありまするけれども、若し学校給食法等が改められて、生まの牛乳が本当に供給し得られるような方法が講じられるならば、私は学校給食に牛乳を用いるということは決して不可能ではない、このように考えております。私どもの政治的立場においては、そういうことも十分考慮しておるのであります。 更に又乳製品に関する問題でありますが、先ほどどなたでありましたか、外国の、アメリカの粉乳を使う以外に途はないとおつしやいましたけれども、成るほどアメリカの粉乳はMSAの援助であるとか、或いは余剰生産物の円資金による買付等において寄付されておるというような点から、無料ほど安いものはないからというお考えもありましようけれども、私どもは、原則としては日本の酪農事業の振興途上においては、外国乳製品の輸入は当分関税その他の措置によつても、これは日本の産業が発達するまで、そして外国製品と完全に質においても価格においても競争し得る範囲に至るまでは外国製品を受け入れないような措置が講じられなければならない。こういうことも考えておるのであります。それでなければ、ただ単に値段の問題だけではなくして、牛乳の問題は勢い乳製品にも関係するわけであります。食生活改善を図ろう、粉食奨励を図ろうとするならば、勢い牛乳及び乳製品等が是非とも伴つて必要となつて来るのでありますから、こういう点も考えなければならない。いずれにしましても、私どもは乳価の問題にしても、当然そういう観点から見まするならば、生産者と処理業者との間の、ただ、今余つた牛乳をどうする、俺のほうでは乳製品の滞貨がたくさんあるからどうにもならん、こういうことだけで行くならば、業者も又力の強いほうが結局勝つてしまう。今のような状態で行くならば、生産者か結局泣き泣きでも、自分の生産費を割つてでも、買つてもらわなければならんということになつてしまうでありましようけれども、それでは非常に後味が悪いものになる。こういう点も私は十分に全体として考えて行くならば、決して無理でない価格において、商業的な取引が可能になるのでではないかと、このように考えております。 なお、時間が大分過ぎましたから、これ以上は申上げませんが、殊に酪農振興法については私どもも相当これには意見があります。飼料需給安定法についても審議会等があるけれども、この審議会は殆んど活かされていない。これは農林省関係になりまするが、私どもはこの飼料の問題については、もつともつと検討しなければ、本当に日本の酪農振興には邪魔になる、こういうように思つております。酪農振興法についても、先ほどもおつしやいましたように、集団酪農地域の設定等についても相当無理があるし、牛の飼育等についても、日本の習慣からいつて、どのようになるのか、果たして日本に大量の数を放牧するような土地があるのか、農家の僅かな飼育を集約してどれだけ一定の個所に養うことができるのか、そういうような点についての考慮が農林省としても不足しておるのではないか、こういうように考えられる点もありまするから、これらの点は実情に即したように改正されなければならんと思つております。 一応私の申上げることはこの程度でとどめて置きまして、若し御質問があればお答えすることにします。
○委員長(加藤シヅエ君) 有難うございました。次には、牛乳についての問題と価格の問題が台所を守る女性に非常に密接な関係がございますので、主婦連合会の専門員の伊東美佐子さんからそのお立場をどうぞお願いいたします。
○参考人(伊東美佐子君) 消費者の立場から、只今問題になつております低温、高温の問題につきましてちよつと御説明したいと思います。これは私ども消費者は保健衛生上の問題とか、極めて専門的な学理的分野でございますので、消費者の私どもはいろいろと伺つたり研究したりして参りましたことをちよつと申上げますが、私たち消費者としては、もつと安い牛乳が飲みたい。誰も彼もが牛乳を国民みんなが飲んで行きたいという希望から、研究してきたり運動したりして来たのでございますが、低温殺菌の施設に非常に費用がかかるということ、それが牛乳のお値段の安くならない原因の一つであるということ、又買いたたかれている酪農家が結束して安くできる高温殺菌を願い、又成るべく安い牛乳を供給したいという運動を猛烈に起されている。富士の裾野にいる駐留軍が、まわりにたくさん原乳がありながら、低温殺菌のために、わざわざ十里も先の工場へ牛乳を買いに行かなければならないという実情であります。フランスでは、戦後弱まつた国民の体力を復活させるために、政府が強力な食糧政策をとつて、安い牛乳をたくさん飲ませる方針をとつております。又、今日マンデス首相も非常に牛乳を愛飲しているようですが、これは八割までが高温殺菌で二割が低温殺菌だということを聞いております。これをどうか国会でもお調べになつて頂きたいと思います。又、公衆衛生の或る専門技師の方の研究されたところを伺いますと、低温殺菌で出ました牛乳が、アメリカでは九百人の集団チフスを出したという例もあります。日本は今日まで事故を起さずに低温牛乳が来ておりますのには、大抵の家庭が飲む前に一度暖めて飲んでいるということで殺菌の点が補われているということもありますし、むしろ牛乳を原乳のままでびんに詰めて、高温殺菌にすれば、そのほうが遥かに安全度がある。これは殺菌の場合です。ということもそのときに伺つております。最近国会内の農林委員会でも、高温殺菌を許可されたということも聞いておりますし、厚生省でもそれを差支えないという言明もされているということも聞きました。十二月六日主婦連合会の本部で牛乳の問題について懇談会を開きました席上で、厚生省の楠本環境衛生部長は、省令には高温でもよいとしてあるが、地方長官にその認可を任せてあるというので云々ということを申されましたが、牛乳は如何にも低温殺菌でなければ許可されないかのような常識になつているのは、私たちは不思議でならないのです。ビタミンの点では高温ではビタミンが破壊されるようなことを伺いますが、その補いとしてはみかん一袋で補いがつきますし、そういう僅かな点で高温殺菌を認められないために、高い処理費を払い、そして私どもは高い牛乳を飲まなければならないというのならば、補いの方法は幾らもありますから、私どもはそういう点で高温に全面的に反対するということはできないと思います。又高温殺菌にしましても、最近十円の牛乳を消費者に飲ませたいという声が大分出て参りました。そういう低温殺菌でもやはり十円でできるというような線もここで出てきているのでございますから、低温殺菌と高温殺菌という点では、高温なり低温なり、とにかく消費者といたしましては特に害のない以上は両建で行つて頂きたいと思つております。 集団消費の取扱いの点につきまして、学校給食又職場とかいろいろでそういう問題になつて参りますが、学校給食のほうも只今脱脂粉乳を飲ませておりますが、その脱脂粉乳は子供もいやがりますし、牛乳がこうして余つている只今ですから、多少の国家補助を出しても、小学校とか中学佼あたりにも飲まして行つたならば、残乳の問題などもこういう点で大変緩和されるのでないかと思います。最近学校とか官公庁組合などにも十五円であつた牛乳が十円に配達されたりしているところが大変ございます。日大では十五円の牛乳が十円になつたので、学生はとたんにコロツケが一つ余計食べられると言つて喜んでおりますし、東大の教養学部では一日に千数百本飲むようでございますが、十円で売つて学生の協同組合に五十銭から一円のマージンが貯金されているそうです。それでもなお安く入れたいという業者が押かけているようです。家庭消費になりますと、小売店と配達の問題があるので、これをたくさん抱え込んでいる大メーカーはマージンのために値下げができず悩んでいるようですが、私どもとしても集団飲乳はうらやましいと思つております。併しもうぽつぽつと十円の牛乳を家庭に配達するという業者も出現して参りましたので喜んでおります。 乳価の紛争対策につきましては、業界のことですから生産者価格など私たちは介入する意思もないし、又よくわかりませんが、小売価格の点につきまして最近は値段が実にまちまちで十二円五十銭から十三円、お宅には特別に十四円だとか、又その隣りには平気で十五円取つているというような工合でして、私どもとしては値下げがどんどん行われれば、それに越したことはないと思います。それにしても初めの頃はマージンが一円でも下げられないと言つていた生産業者が、ここへ来ましてばらばらに下げ始めたということは、生産、処理と販売と三つに分れている業界のどこに利益があるのか、その利益がかたよつているのか、大変疑わしく思われ、信頼感が薄れているわけです。要するに消費者としては生産者も業者も公平な利益があり、消費者はもつと安く豊富に飲めて、国内消費が地方でも都市でも伸びることを食糧問題解決の上からも願つてやみません。現在のように農家は買叩かれ、処理業者を恨み、消費者ももつと飲みたいと思いながら、事実生産はぐんぐん伸びているのに、いつまでも高くて飲めない。乳牛を持つている人は、みすみす経営が成り立たずに乳牛を売つているというような酪農界の悲劇が、これ以上いつまでも続いてはならないと願つております。やはり国家も、業者も、消費者も一体になつてこの牛乳問題が明るい軌道に乗るような対策が立たれるようにお互いに努力すべきだと思つております。 最後に法の問題になりますが、これはやはり専門家でありませんので、私どもはそういう法のことは皆さん専門家にお委せするといたしまして、ただ酪農振興法にしましても、何年か前には牛乳が薬のような状態で飲まれていた時代とは違いまして、これは食糧としての牛乳に変つて来ているのでございますから、こういうような時代に即応しました法をお作り下さいますようにお願いしておきたいと思います。 以上でございます。
○委員長(加藤シヅエ君) どうも有難うございました。大分たくさん皆様から活撥な御意見を伺つておりますが、時間も大分経過いたして参りましたが、あとまだ東京都の関係のお方三人が残つておるのでございます。つきましては大変恐縮でございますけれども、東京都の衛生局公衆衛生部長の小林さん、畜産課長の村形さん、獣医衛生課長の北浦さん、このお三人の方からは五分間ということでお願いいたしたいのでございますが、御無理かと思いますが、どうぞ一つそういうふうにお願いいたします。
○参考人(小林彰君) 公衆衛生局の小林でございます。私の立場は戦争直後まで小児科の医者を二十余年ほどしておりました。或る社会事業団体の病院長として小児科の立場で牛乳問題に関関いたしておりました。その後役所に入りまして、私どもの獣医衛生課は牛乳の取締指導の問題、母子衛生課で乳幼児と牛乳の問題、栄養課で栄養指導の問題から牛乳の問題を取扱つております。 時間がございませんから結論から申上げますと、私どもの結論といたしましては、現行の省令とその次官通牒の線で十分であるということでございます。その意見の根拠を申上げます。 第一点は栄養価の問題でございます。これは先刻酪農家のほうからもお話がございましたが、私どもも各学者の意見を総合いたしまして、蛋白質、乳脂肪、乳糖、ビタミン、鉱物質、酵素、細菌その他いろいろ調べたのでありますけれども、なかなか各学者の御意見などを聞きましても、先ほど申されました通り、高温殺菌のほうが不利であります。これは先ほど僅かな差であるという御発言がございましたか、これは乳児の栄養価の場合におきましては、相当響くということを御注意いたしたいと思います。なお、先刻御指摘がございませんでしたが、細菌の問題でございますが、細菌の乳酸菌が高温殺菌の場合は相当死滅するということは、これから第二点に申上げる点に関連いたします。 第二点の問題は、食品衛生上の問題でございます。これにつきましては、東京都に入ります現在のこの牛乳の原料乳の衛生状况を申しますと、大体冬季におきましては、これからの二月におきましては一割二分、夏季におきましては実に六割というものは、プラントに入ります牛乳の原料乳は細菌数規格外であります。従つて現在の原料乳つまり農家で搾乳する牛乳というものは非常に危険な状況にあるということを御確認頂きたいのであります。而も私どもといたしましては、現在廃棄命令を出すことなく、各食品衛生監視員を常時監視体制に置いて、それぞれ都内の二十三カ所のプラントに配置いたしまして、厳重な取締りをしておりまして、そこから出るものは衛生上安心であるという線を規格内にいたしておりますが、それでもこの夏におきましては、数十件というものは廃棄命令を出さざるを得ないような原料乳の状況であるということを申上げておきます。なお、従いましてこの冷蔵の問題がございましたが、乳酸菌その他が死滅いたしますと、この牛乳というものは腐敗の過程に直ちに入りますので、これは明らかに高温殺菌した場合におきましては毒になる可能性が相当あるのでございます。なおいま一つ申上げますことは、高温殺菌にいたしまして仮に都内の百数十カ所の専業牧場のことごとくが処理を開始いたしますと、百数十カ所になります場合には、とても現在仮に小処理場を作つたとしますと、私どもの取締は不可能であります。現在におきましても高温殺菌の場合、素人の方には、加水をいたしましても、二〇%程度の加水というものは、家庭においてはこれは鑑別できないわけであります。現在のような状況におきまして牛乳は安心した食品として出ておるのであります。これを更にルーズにするということになりますと、これは取締りができなくなるのであります。それで現在まで牛乳については中毒事故がないじやないかという御意見もございますが、これは現在の状況で保つておりますので……。現に今年の夏におきましても牛乳製品でありますクリームからは十数例の中毒を出しております。これはクリーム菓子につきましては、牛乳ほど厳重にいたしておりません現状であります。これが第二点の食品衛生上、とても取締りがつかんのじやないかということが私どもとして最も大きな問題でございます。 第三点は学校給食の問題でございますが、これに関連いたしまして只今参考人からも御意見がございました加熱しておるじやないかという問題でございます。それにしばしば小児保健部会の小児育児指針が引用されておるとかねて仄聞いたしておりまするが、この東京都内の小児科の各大学の教授並びにその他指導的な立場にある者十数名が代表として一つの小児保健部会という会を作つております。先般その陳情書を各関係方面に出しておりますが、その中にこういうことがございます。「尚高温殺菌を可とする論拠の一つとして小児保健部会編の小児保健指針が引用されるやに聞き及んでいるが、昭和二十七年の改訂三版(最新版)には「低温殺菌牛乳を厳重に摂氏十五度以下に冷蔵してあれば単に微温湯にてうすめ、糖を加え、体温程度に温めて、そのまま飲ませてよい。この場合煮沸滅菌の必要はないわけである。」とあり小児保健部会が低温殺菌を否としていないことは明らかである。」従つて低温殺菌を否としていないことはないということは明らかであるということを部会長の名前において関係方面に陳情いたしております。 それに関連いたしまして都の一体学校の現状は学校給食に牛乳が入れられるかということにつきまして教育庁ともいろいろ調査をいたしましたが、大体現在の価格において学校給食におきまして給食費のうち牛乳に当る、つまり脱脂粉乳に当りまする金は一円四十銭でございます。これは当然到底原料乳価だけでも四円乃至五円というような牛乳を入れるということは、現状のままでは仮に低温を高温にいたしたところで、これは到底求めがたいということでございます。なお、附加えておきますが、現在の法規の中におきましても学校給食用に特別の操作をプラントに命じて、学校で試験いたしまして成功をいたしておる例がございます。これは長くなりまするからここでは申上げません。 第四点は、一体価格の問題が高温、低温でそんなに安くなるかということにつきましても、私どもいろいろ調査をいたしました。原料乳価がこれはいろいろ違いもありましようが、大体大ずかみにつかんで都におきましては一升四十五円から五十二円、つまり一合四円五十銭から五円二十銭、これが処理場を経まして大体八円五十銭から九円五十銭小売のマージンを経て集団が十一円から十三円、家庭は十三円五十銭から十五円ぐらいで出ておるのが、都では大体多いようでございます。仮に五十石ぐらいの低温殺菌の処理場と一日一石の高温殺菌をするような処理場を仮定いたしまして、これを労務費、材料費、包装費、経費、減価償却その他いろいろ調べまして、各方面からの数字をいろいろ調べましたところがその結論として出すところは、高温殺菌の処理場が仮に集乳しない、自分のところで自分の手で済む、集乳をしないというようなところを前提にいたしましても、その差というものは僅か七銭に過ぎないのであります。即ち低温殺菌が三円八十四銭、高温殺菌が三円七十七銭。従いましてこれは仮に低温を高温にしたところで、一向安くならんというのが、私どもの今までの調査の結果でございます。 第五点として申上げたいことは、現在の都若しくは府県の状況においてどうかということでございます。これは各衛生部長諸君の意見も大体承知いたしておりまするが、これは結局現在の次官通牒の線で、先ほど参考人は地方は高温でやつているじやないかということは、先ほど申上げました通り次官通牒の線を活かしてそれぞれ処理をいたしております。東京都におきましても、島嶼におきましてはこれは高温殺菌でやつております。その場においてそれぞれ裁量の余地を残して取締つております。従いましてこれは現在の省令乃至通牒でやれるから、地方庁に任せてかまわないと思うのでおります。 以上申上げました栄養価の問題、食品衛生上、学校給食、高温殺菌、各府県の現状、この五つの論点から私どもとしては現状で差支えない、これに勘案いたしまして、先ほど乳幼児死亡率の問題が出ましたから、先ほどの小児保健部会の陳情の第一項にありますことを読上げてみたいと思います。「乳汁の現行法による衛生上の処理は当を得たものと思惟する、近年の下痢腸炎による乳児死亡率低減の原因の一つに乳汁の食品衛生向上にあると認められる。」とはつきり謳つておるのでございます。これは時間がございませんから申上げませんが、乳児死亡率の低下の中で一番激減いたしておりまするのは、御存じの通り下痢及び腸炎の死亡でございまして、そのうちには牛乳の向上ということが一つの因子を占めておることは間違いないのでございます。従いましてこれも価格の問題等と関連した問題でございまして、これらの高温とか低温とかいうような問題の衛生上の問題にしわを寄せるということは賛成いたしかねる。従いまして結論として、現行の省令と、この次官通牒で十分である。かように考えております。時間がございませんので簡単に要旨だけ申上げます。
○委員長(加藤シヅエ君) 有難うございました。 次には畜産課長の村形貞之輔さん。
○参考人(村形貞之輔君) 村形でございます。私のほうとしましては、酪農を盛んにしまして牛乳を増産する、そうして牛乳を安くたくさん飲んで頂く、又飲ませられるようにして行きたいというのが私どもの願いであります。先ほど加藤勘十先生が述べられましたが、全く私の立場そのままのお説であつた。まあ時間も非常に少うございまするので、ほかのことを述べませんで、ただ一つ二つ申上げたいと思います。畜産を盛んにしまする関係法律はたくさんございます。その一つ一つにつきまして、私どもとしましてはあそこをああしてほしいとか、こうしてほしいとか、こういうものを入れてほしいというような意見を持つておるのですが、その点は省略しまして、一つ、その牛乳の問題につきまして、先ず酪農振興法、その点についてちよつと申上げたい。 酪農振興法は、読みますると、酪農を振興する、盛んにするということになつておりまするが、日本全国の酪農を盛んにするという内容にはなつておりません。何とか酪農民が酪農をやつて生活の安定がやつて行けるようにして頂きたいというような酪農振興法を願つておるわけなんであります。いろいろ内容に亘りますると時間がかかりまするので申上げませんが、先ずこの乳価の問題で非常に生産者の立場としては困つておるわけなんでして、酪農振興法だけではどうしても十分でありませんので、農産物価格安定法というのがございます。その中に一つ牛乳も入れて頂きたいと思うのでおります。まあその理由は申上げませんが、一この酪農振興法の中にありまする牛乳の取引契約という問題があります。で、それは文書で交わすことになつておりまするが、これが不調になりました場合にどうするかという点が抜けておるのでおります。問題が起りますると、都道府県知事が斡旋委員を指名しましてその斡旋をやるということになつておりまするが、それがまあ破談になりました場合には、単に公表をするということにとどまつております。斡旋委員が十分に斡旋したいとこう思いましても、何ら権限もあれにはありませんし、又強制力をも持たされておりません。先ず先ず、あの問題は解決が、斡旋委員が出ましてもむずかしいのじやないか、こう考えております。それで生産者側としまして破調になりました場合に、泣く泣く安い価格で売らなきやならんのか、目をつぶつて仕方なしに言い値で売らなきやならんかと、こういうことになりまするが、これでは決して酪農の振興にはなりません。何かそういう場合にはこうしたらいいというものがほしいわけなんです。生産者としましても勿論現在の処理側に売るつもりで搾つておりまして、自分らでその乳をどうこうするという考えを持つておらんのですが、そういうような紛争が起つた場合には、何かそれならやむを得ぬと、売らないと、それなら私のほうではこういうことをやろうというような手がほしい。自衛手段としましてですね、何かほしいと、それが高温殺菌だと、こう思います。酪農組合は非常に貧乏ですから、微弱であるということからとてもとても低温殺菌処理というような経費のかかる、資本の要るああいういろいろな機械は買えないのですが、高温殺菌をいたします場合には、非常に機械も簡単でして設備も余り要らない、金もかからないという点から、高温殺菌というような手段があつてもよろしいじやないか、こう思います。いろいろ高温の問題につきまして、欠点と申しますか、そういうお話も承わつたんですが、やはり以前高温でやつていた時代もありますし、又我々としましては、余りむずかしい工程を経ないで、而も安く市販される、売られるというような装置、それは高温と低温を比較しました場合に、高温のほうが安いんじやないか、当然そう思われるわけでして、又安く売れる、こう私は思つております。 まあそういうようなことで低温と高温と張合つてやつて行くということでなしに、そういうような場合も、紛争の場合も起り得るということを予想しますと、生産者側としましては、そういう自衛手段としての高温殺菌処理というものは織込まれてよろしかろう、こう思います。時間がありませんので極く簡単ですが、要点だけ申上げます。
○委員長(加藤シヅエ君) どうも有難うございました。 それでは次は獣医衛生課長北浦彌太郎さん。
○参考人(北浦彌太郎君) 私は北浦でございます。先ほど直接の上司でございます小林部長から大体の点を申上げられましたので、それ以外のことにつきまして二、三申上げておきたいと思います。 私過去数年に亘りましてこの行政をやつて参つた経験から割出しまして、現在に至りました日本の社会実態、それから現実から割出した面から見まして、この牛乳衛生の確立ということは、そう簡単にはなかなか図りがたいのでありまして、長年の指導とその取扱い当時者の知識の向上と相待たねば、かなかな現実として衛生の向上は図りがたいのであります。東京といたしましては、過去現在の牛乳の厚生省の省令ができます以前から、すでに殆んど高温牛乳処理はなくなつて参つておつたのでおります。これが社会実態でございます。従つて衛生の向上を図つて行こうという意欲と、それから社会一般の要求というものの自然の動きが、そこに省令があろうがなかろうか、低温になつて来たということの実態が証明しておる次第でございます。結論としましては、若し仮に極端に簡易な高温処理がなされるとするなれば、衛生の大きな逆行を意味するということが結論付けられると思います。それ以外のことは先ほど部長から申しましたので省きます。 その他一番最後にございます各法規の問題でございますが、私日頃から考えておりまするのには、先ほども本島さんなり、或いはどなたでしたか、大野さんでしたか、お話のありましたように、戦前の役所の指導方針というものと戦後の役所の指導方針というものが、すでに民主化された社会においては変つて行かなければならないじやないかということを痛切に感じますのと、農林行政といいますか、いわゆる酪農振興行政というものと厚生行政というもの食い違い、或いは話合いの不底徹というようなものから非常に不合理なものが割出され、お互いにセクシヨナリズムがそこの発揮されるということは、これの政治を受けます側の生産者、或いは消費者に対してまことに迷惑至極であるということを感ぜざるを得ない。ここらに酪農振興の原動力というものを考えました場合に、私日頃仕事をやつておりまして、常に念頭に思つておりますことは、営業は自由の時代に入つておりまして、役所或いは官庁が牛を買えといつて強制する力は持ち得ないであろうと思います。その酪農振興というものを取上げる以上は、その生産者自体が恵まれるようにしてやることが、結局生産の増強を図ることになるとい思ます。それには結局消費の健全な推進、いわゆる安全性のある、安心して飲めるものを作り、そして非常により有意義なものであるということが国民に認識されてこそ消費が高まる、消費が高まつてこそ生産がついて来るので、又伸びて来るので、恵まれて来るのであろうと思います。従つて本問題の考え方につきましても、衛生を除外視してこの安全な消費は図れないと思います。例えばこれを最近の例にとりますと、放射能まぐろの問題にしましても、或いは下北澤方面に起きました学童給食の中毒事件にしましても、この事件の直後はまぐろの業界というものは非常に大きな打撃を受けております。又ソーセイジ・メーカーにましても大変な打撃を受けております。このように一旦被害が発生した場合には、その業界は恐らく大きな打撃をこうむると思います。従つて衛生を無視して、仮に牛乳界にそのような衛生と逆行するような置措のために若しも事故が発生した場合には、消費の向上どころか大変大きな打撃をこうむる。それは取り返しのつかない、又営々として一年生からやり直さなければならない、努力が又費されなければならないと思います。折角ここまで伸びましたものを逆行すつるようなことがあてならないと存じます。 最後に食品衛生法の改正でございますが、勿論牛乳に関する省令の改正というものを、私過去数年来叫んでおります。それは高温、低温の問題ではございませんで、もつとほかに大きな観点がございます。それに便乗したと申しますか、このような社会的な問題が発生しましたので、高温、低温のみを論ぜられているかのごとく感じますけれども、そのほかにもつと妥当性のある合理的な改正を図つて頂くという点が数カ所ございますので、是非それは本委員会において御検討願いまして、合理性のあるいい省令に改正願いたいと存じます。以上です。
○委員長(加藤シヅエ君) とうも有難うございました。 これを以ちまして参考人の皆様方の御意見を伺いますのは一通り終了いたしました。 只今から御質疑に入りたいと存じます。その前にちよつと御報告を申上げます。十二月二十二日付を以ちまして厚生委員の異動がございました。西岡ハル君及び高田なほ子君が辞任され、田中啓一君及び阿具根登君が厚生委員に選出されましたので、これをちよつと御報告申上げます。 御質疑は参考人の皆様方に御自由に御質疑をして頂きたいのでございますが、今日は政府当局といたしましては農林省の畜産局長、経済課長、公正取引委員会の経済調査課長、厚生省からは環境衛生部長、乳肉衛生課長、これだけが出席になつておりますので、併せて政府当局に対しての御質疑もございましたらどうぞお願いいたします。
○榊原亨君 小林先生にお伺いいたしますが、先ほど高温殺菌の牛乳が何かいたしますとむしろ有毒になるということをちよつと承わつたのてありますが、その点どういう工合でございましようか、ちよつと……。
○参考人(小林彰君) お答え申します。高温殺菌そのものが有毒というのではなく、先ほど申上げましたように冷蔵規定の場合でございますが、高温殺菌の場合には乳酸菌が非常に多く死ぬのでございます。従いまして残りました方式の蛋白質分解菌等が多く残りますために腐敗する。酸解の過程を経ないで腐敗する危険がある。従つてそのうちの保存方法については余計注意しなければならん、こういうことを申上げました。若しそれが菌を繁殖いたしまして毒を出せば有毒になる。先ほどこの点につきましては森永のほうからもコンデンスミルクの問題でお話があつたと思います。
○榊原亨君 そういたしますると、今高温殺菌そのものが時を経れば或いは腐敗をいたしまして有毒になるということにつきましては、次官通牒を出しまして、地方によつては高温でもよろしいというその点の恕限度には関係ございませんですか、今の有毒だというお話は。
○参考人(小林彰君) 有毒になると申しますのは、菌が残つて、それが毒素を出して有毒に正確にはなるわけでございますけれども、例えば東京都におきましては、この特殊な牧場で、三井牧場のごときものがございます。これは全然殺菌措置を施しておりません。現在の原料乳の非常に劣悪な状況におきましては、できるだけ衛生的な、安全な措置をとりたいという意味でございます。
○榊原亨君 それからもう一つお伺いいたしたいのは、先ほど処理費において、高温殺菌の差が、大体七銭くらいの差しか出ないというお話を伺つたと思うのでありますが、それはその生産者が出します牛乳の価格が同一であるという御仮定の下において、その仮定の下において七銭の差が出るというお話でございます。それを伺つておきます。
○参考人(小林彰君) これは処理費だけの比較でございます。
○榊原亨君 その処理費の中には、運賃が御計算になつていらつしやいますか。生産者から工場に持ち込みます運賃と、末端に配達、配送いたします運賃は、その七銭の差というその差の中に御計算入つつておりましようか。
○参考人(小林彰君) 調べました項目には、材料費と包装費、それからこの処理の実費に要します事務的な経費、それから原価計算、配達費、集乳費並びに販売費、それと利益でございます。利益は大体低温のところにおきましては、一合、卸売価格の五%でございます。それから高温におきましては、個人の形態として、仮に一石のところが月額二万円程度の利益を見込むという計算でございます。なお、集乳費等は、高温殺菌の場合には全然零になつております。
○榊原亨君 高温を若し併用いたしますと乳価が下ると、その乳価と申しますのは、生産者価格のことを一応考えるのでありますが、どのくらい下るというふうに、この生産者のほうはお考えになつていらつしやいますか。或いは又処理者側のほうではお考えになつていらつしやいますか。それを季節的な分類によつてお示し願いたいと思います。何%くらい下るだろうかということを……。
○委員長(加藤シヅエ君) どなたに……。
○榊原亨君 どなたでもいいのですが、生産者側と、処理者側のほうから一つ……。
○参考人(水登外喜男君) 今榊原先生のおつしやつた点について、生産者の立場として申上げます。冒頭に申上げました小林部長との間にお話のありました三円八十四銭という低温処理費は、本日その三円八十四銭の表を持つておりませんでしたけれども、これはいわゆる処理側で御計算になつた三円八十四銭と同じ数字でございますが、その中には交際費、宣伝費、更に集荷或いは出荷費というような運搬費もすべて含んだものが三円八十四銭と承知いたしております。ところで大都市酪農協会の事務局長をいたしておりますが、私どもの方面で大体計算いたしますと、よもや儲かることを当てにしない交際費や宣伝費までも入れませんものですから、大体二円六、七十円であがるという計算をいたしております。私の隣におられますが、全国酪農協会でも大体三円をオーバーすることはそれは不自然なのだと、こういう計算をいたします。で、今の価格の面におきまして、現行の東京の御値段並びに末端価格というものを一応御承知なさらないというと申上げられないのですが、末端価価格は、競争が激甚になりますというと、競争上必然会社でこう売つてもらいたいという価格は維持されておりません。おりませんけれども、現在の特別の牛乳、いわゆるビタミン入りホモ牛乳とか或いは普通牛乳とかいう特別牛乳は、末端では、私は実行の可否は別といたしまして、十五円ということになつております。で、それに対する牛乳卸価格は十円十銭でございます。従つて小売業者が四円九十銭のマージンをとつておるのだということを御承知願えればいいと思います。又その他に普通の牛乳がございます。いわゆる並の牛乳と申しますか、ただ時代の流行ということで、又保存力という点もありますので、最近ホモゲナイザー、均質機にかけて一様に均質乳として売つておる。いわゆる普通牛乳もホモ牛乳でございます。そのホモ牛乳の場合、値が幾らか、末端が幾らか、と申しますと、大体九円五十銭で卸して、十四円で売るのと、九円三十銭で卸してそうして十三円五十銭で売るのと大体大メーカーは二通りになつております。併しその普通の安いほうの牛乳を持つて来いと配達人に御命令なさいましても、なかなかその牛乳はないのであります。いわゆるマージンの多いほうが多く生産されて処理されてそして出荷されておる。マージンの少いほうの安い牛乳のほうが僅かの、少量しか、二割乃至三割しか出荷されていないと、こういうことなんです。従つてそういうことからいつてプールいたしますというと大体において卸値段というものは九円九十四、五銭かと思います。多少の数字は違いますが。従つて小売業者のマージンもプールいたしますと四円七十四、五銭になるかと思つております。結局のところどちらが安く行くかということを申し上げますと、牛乳は高温殺菌になる場合には、先ほどちよつと私申上げました通り、全国で六九・八%というものが一石未満の処理業者でございます。従つてここで処理の算定というものを立てる上において一石という処理能力をもつて計算なするのが妥当かと思います。で、私たちが現実にやつたわけじやございませんが、まあ自信のある計算をいたしますと、高温殺菌の場合、いわゆるそういう運賃というものを別にいたしまして、大体一円八十銭から九十銭の間、一本の処理賃が、これは一々単位にとつて申上げますと。で、これは簡易処理の場合でございます。それから処理の施設費から申しますと、大体低温消毒の一割未満、十分の一未満の施設費で足りると、こういうのが私たちのまあ大体目安を置いておる計算でございます。
○榊原亨君 途中でございますが、私どもそれはわかるのでありますが、結局論結的に申しますと、東京都で若しも高温でおやりになつた場合には、私どもの手許に幾らの牛乳が手に入るか、そのことだけを簡単に一つ、私ども素人ですから。
○参考人(水登外喜男君) 先ほど小林部長さんがおつしやつたように、東京の全牧場が銘々高温をやつたらこれは衛生上取締りができぬとおつしやつていますから、私たちこの酪農団体として申上げておる高温ということは、農業協同組合又はこれに準ずる牛乳生産者団体として自己の組合員の生産する牛乳を共同処理販売する場合ということにおいてのみ高温を許可して頂きたいということを申上げておるのでございます。そこで大体申上げました通り、十円のものに五円もマージンをとる。従つて既設の独立営業をいたしております牛乳販売業者をして消費者に売ろうという意思はございません。従つてマージンというものはまさか五割もとるという必要はないのでありまして、二割乃至二割五分あれば、もつと要約いたしますれば、十二円未満、場合によつては十円程度でも売れるのじやないか、集団消費の場合には更に十円を下廻つても売れるのじやないかと、こういうことをただ想像をいたしておることを申上げます。
○委員長(加藤シヅエ君) それでは只今の問題をブラント業者のほうからどなたか、大野さん。
○参考人(大野勇君) 今の牛乳の問題は非常に複雑でわからん、むずかしいのです。何故かというと、今水登さんのおつしやるように、自分で生産して自分で処理をする、奥さんから子供から田舎でやる場合みな月給になるわけです、幾らかの。そういう場合には或る程度つまり安く、まあ五十銭から一円程度安くできるかわかりません。残乳の処理とか掛け倒れとかむずかしいなにかがあつて、一石以上にでもなれば、もうやれなくなる。否でも応でも低温になつてしまう。ですから儲けるためにとか、独占するために低温をやるのでなく、必然的に低温になつてしまう。それから細口びんの高温のほうを本当にやろうと思うと、これはびん詰費から、洗びん機から何から勘定しても低温よりもつと立派な設備をしなければできないと、こういうので、従つて小さなところでぼつぼつと家族労働でやるというようなところのみ初めてこれが可能なのです。そうすると運賃も入れないから儲かつたという、こういう勘定になるのですが、これは商売なさらん皆さんに説明してもわからんいろんなものが出て来る。例えば金を払わないやつとか、例えばいろんな、びんがなくなるとか、そういうやつが重なつて来るのが大体二年から三年目です。機械は修理しなければならない。一つも償却していないのですから、大体おやりになつても二年か三年たつと、みな成り立たなくなつて潰れてしまう。併しこれはやらない先に、我々低温業者がどうも特殊の人を除いては行詰つてしまうのだと言つても、お前は都合が悪いからそういうことを言うのだとこういうので、説明にならない説明を申上げておくので、まあ私は今何ともなさらんほうがいいと、衛生のためにもやらないほうがいいし、安くするということには我々努力をするので、御相談をして何とかいいものを安くすることをお互いに御相談したいと思つていますが、どうでも大いに御奨励になりたいという方は、私の責任じやないということを覚えていて下さいと言うのです。三年たつてやつてみたら困難になつて潰れてしまつたとか、えらい気の毒なことをしたと思つてもその時には多少惻隠の情を起して頂きたい、かように申上げておきます。(笑声)
○参考人(窪田喜照君) 関連事項で御質問申上げます。ちよつと先ほど各家庭にどれくらいで持つて来られるかという本当の最後の御質問だつたと思います。この点はやはり今大野さんのお話のように、牛乳事業というものはなかなか処理規模、或いはその地方等によつていろいろ複雑しておりますので、簡単には申上げられませんけれども、現在の実情から大体申上げますと、地方で現在の小売乳価が安いところが八円或いは高いところで十二円というふうな牛乳が売られております。それで先ほど水登君からもお話がありましたけれども、現在の処理場の二千七百カ所のうちの要するに七割、更に昔、終戦前までに大体高温でやつておつて一番大きい処理規模というものが大体五石が地方で一番大きな牛乳屋なんです。それがすべて高温でやつておつたので、そういうようないわゆる処理業者が九割を占めておる現在、そうすると東京のような大規模でやつているというようなところは一〇%程度のものだ。そういうような大きな規模だけのことから話をして、日本の法律というものを作るというのじや困るので、要するに東京というのはやはり東京という大きな実情があるわけなんだ。遠方から牛乳を持つて来なくちやならん。ところが我々の申上げておるのは、四つの島と言つても、なかなか日本も広いのでありまして、至る所に今のように処理場が分散されておる。同様に牛乳の取扱所というものも分散されております。ですから、そういう僅かな量をやつて行くには、高温でも低温でも問題はないわけなんであります。ですからそれが結局は配達費に食われないで、何とか或いは協同組合の形で簡単にして、消費組合などと連繋をとつてどつと持ち込んで行くとかいうような方法をいろいろとりますというと、必ず牛乳は安く供給できる。現実に、すでに地方では八円乃至十二円の牛乳が売られておるわけでありますからして、東京では十三円や十四円や十五円でなければならんという実情と、地方の現在やつておる実情とを一応勘案されまして、規則は全国的のものでありますからして、先ほどの一合について三円八十銭という処理費を食われますので、私どもおかしな話だと思つておるのでありますからして、そういうものはやはりやりようであり、処理規模であります。それでは、三円八十銭かかるものが地方で十円で売れるのかということになりますから、そういうような矛盾のあるところをお考え下さいまして、一つやりようによつては東京でも十円でお届けできると、かように考えております。
○榊原亨君 只今承りますと、八円乃至十二円、高温処理の場合は、地方によつて違うが、八円乃至十二円というようなことをおしやるのでありますが、その八円乃至十二円程度の栄養品が牛乳によらずして何か求めることができるかどうかということをちよと環境衛生部長に、高温殺菌いたしますると栄養価が落ちる、或いはビタミンがなくなる、そういう滓みたいな牛乳になるかもわかりませんが、八円乃至十二円で、そういう滓みたいな栄養がとれる方法がほかにあるかどうかということをお尋ねいたします。
○説明員(楠本正康君) これは大変難しい御質問でございますが、栄養分析の点から申しますれば、目刺でも煮干粉でも或いはもつと安いかと存じます。私どもは現在比較的常識的に考えられました範囲におきまして、牛乳が一番完全栄養食であり、同時に比較的安いものというふうに考えております。例えますれば、「たい」、自身の魚或いは上等の牛肉、さようなものと比較いたしますと、まあそういうような品物を一応牛乳のレベルに置くと考えますれば、そのうちでは最も安い食品だと、かように考えております。
○榊原亨君 そういたしますると、高温殺菌の場合でも、まあ栄養食品としては経済的な栄養だとお認めでありますか。
○説明員(楠本正康君) 比較がむずかしいことでございますが、私どもは只今申上げたように、高温の場合でも他の食品よりは優秀な、まあ魚やなんかに比べれば優秀、安いものというふうに考えております。
○田中啓一君 東京都の小林さんに伺いますが、高温の場合でもいい栄養食であるということは環境衛生部長とお考えは同じでございましようか、お違いでございましようか。
○参考人(小林彰君) 私はこの問題は乳児の問題と、それから一般の普通の保健食の問題と切離して考えたいと思います。乳児の場合におきましては、これは主食でございまして、できるだけ栄養価の高いもの、但しこれが大人の場合に栄養として高温でやるのとやらないのと違いがあるかと言えば、これは高温殺菌をやつたほうがいい、かように御答弁申上げます。ただ私の申上げましたのは、今申上げましたように、府県の取締り状況が、現状においては高温の場合においてはおそらく非常に乱脈になりまして、恐らく非常に不良なものも出るのじやないか、つまり食品衛生上危険まものも市場に流れるのじやないかということを憂慮しております。この場合におきましては、如何に安くても、これは不良な食品であれば、これは当然保健上の利益にはならんとかように考えております。
○田中啓一君 実は私も牛乳を配給をする責任を昭和十七年から十八年、二カ年間実は持つておつたわけでございます。戦時中の統制時代でございます。その時代は、たしか高温、低温殺菌いずれでもいいという時代であつたと私は存じます。又東京の市内にも、たくさん高温殺菌の処理場、配給所があつたと記憶しております。で、食品局長の耳には、牛乳による集団中毒とか或いは何とかという問題は一つも耳に入りません。二カ年の間に、併し或いは末端にはあつたかも存じません。何分にも何種類の物が統制されておるか数はわかりませんという時代でございますから、確かなことは申上げられませんのでございますが、そういう時代でございますが、顕著な問題はなかつたということは言えると思います。そこで、原料牛乳というものが当時は非常によかつて、今は非常に悪くなつたのだと、こういうふうにも、私はそんなに農村の状態が変つたとも思いません。戦後暫くの間は、全然乱雑なものであつたとも思われるのでございますが、その辺に対する小林さんの御見解はどうでございましようか。
○参考人(小林彰君) 私がこの問題に御答弁申上げますよりも、先般申上げました小児科部会で東京の指導的立場にありまする小児科の医者の集まりがありました。その意見書がこれに触れておりますので、それを読みたいと思います。「衛生上から見ると高温殺菌そのものの衛生上の取締りの徹底が期待されない限り甚だ不安を伴う。殊に高温殺菌は小処理業者の乱立を来たし処理に伴う乳汁の汚染は必発であり再び往時の集団赤痢乳児下痢症等の惨事を惹起する虞れなしとしない。我々はその点衛生上の徹底した監督が保証されない限りは甚だしく不安を覚えるが故に現行法規の改正には賛成いたしかねる」ということが書いてございます。従いまして、小児科医の立場から言いますが、障害は当時相当あつたものと思います。これにつきましては、先ほども申上げましたように、乳児の死亡率、保健の指針でございます乳児の死亡率を見ましても、下痢及び腸炎の数字を見ましても、はつきりいたしております。かように小児科のほうの立場からはなつております。
○田中啓一君 私はそのデータがほしい。牛乳が原因であつたところのどういう小児の病気でありますか、腸炎でありますとか、そういつたものがどれくらいあつたか、それが今なくなつたのだ、確かに御専門の御見解でありますから私は尊重いたしますが、当時でもそれほど若し乳児に悪影響を牛乳が及ぼすものがあつたとすれば、それを一体お医者さんは配給の責任者のところへ持ち込まぬというのは実に無責任じやないか。まあ仕方がないと言つておられたのかも知れない。それが大変よくなつたので、大変いいことだと、こういうことの御見解かも存じませんが、私は若しそういつた赤痢というようなものが牛乳が原因で今お話のように出るものであれば、当時でも私はどうしても問題にされなければならない性質のものではなかろうか、併し牛乳が原因で赤痢になつたというようなことも実は私は聞かなかつたように記憶をしておる。ただ個々のケースで余りその表面化しないようなことであつたが、まあよく考えてみると、あれは悪い牛乳を飲んで腸炎等を起して死んだというものも、確かに消化不良だとか何だとか、小児の腹の病気は多いのでありますから、それはあつたかもしれんと思うのでありますが、まあそういうことでお医者さんが、殊に小児科の御専門の方たちが少くとも子供には低温殺菌で十分に衛生的に処理をした牛乳を飲ませたいという御希望のほどはよくわかる。それは小児科のお医者さんとして私は子供、乳児を持つておるものは低温殺菌の牛乳を飲むようにしたほうが安全で且つ又栄養的に言つてもいいから少々ぐらい高くてもそうやつたがよろしい、こういう私は御結論をお出しになることはそれはまあ私はいいことじやないかと思う。だが高温殺菌なんという牛乳は世の中に存在しちやならんのだ、こういう私は結論を出されることはお医者さんにしても如何かと思うし、それを一概にお認めになる衛生部長の御見解も如何かと思いますが、その点について一つ御意見を伺いたい。
○参考人(小林彰君) 私の申上げました点は、只今この小児保健部会の陳情書を申上げたので、私の意見を申上げたわけではございません。ただ現実の問題といたしまして、人工栄養児の消化不良症のような障害が非常に少い、これが私どもが昔の医者になりたてのときのように消化不良症が、非常な重症が殆んどなくなつてしまつたということは事実でございます。而もこれは殆んど大部分が人工栄養児は牛乳若しくはその製品によつてそれを補つておりますので、これは勿論牛乳だけの問題に限るわけではございません。その他の問題もございますが、併しながら少くとも小児科の医者が申すことは牛乳衛生の問題、食品衛生上非常に悪いものが出れば又悪くなるのじやないかということを危惧しておる。従いまして、小児科のお医者が高温殺菌が全然相ならんということを申上げておるわけではございません。その点は御了解を願いたいと思います。
○田中啓一君 そこで私は小林さんの御意見を伺いたいのでありますが、仮りに乳児には低温殺菌の牛乳がよろしいからこれを奨める、これは私も別段何にも異議がございません。ございませんが、牛乳に関する衛生関係法令が現状のままでいいとか悪いとかという御結論が出て、それをお医者さんのほうに結論があつて意見があつて、それを引用なさつておるのでありますが、小林さん御自身も先ほどお話を伺つておりますと、これはもう行政官で現在はいらつしやるのですから、法令が如何なるものであるかということは御承知でありましようが、今は非常にまあ限られた区域で而もそこに許すか否かということは専ら衛生官の考え次第にあるわけなんです。そこで高温殺菌で安い牛乳を飲みたいと思つてもお許しにならなければ高温殺菌の牛乳はそこには出て来ない、そういう状態が現在の状態であります。そういうことまで衛生取締りの上でどうしてもしなければならんのか、それほどまでにしなくても現状というのは実は或る程度の並行、高温、低温並行的な行き方で、而も高温を許す許さないということは専ら衛生官の裁量に任されておる、こういうことなんです。而もそれは地域的にはいわゆる大都市というようなところはいけないんだ、或いは低温処理のないところなら許してもいいがというような、いろいろ、これまでのお扱いのあり方というものもあるわけであります。そういう現状でなければならないということが今のお医者さんの御意見なり、或いはまあ乳児には低温がよろしいのだという御意見を小林さんがお持ちのようではございますが、そういうところから直ちに法令は現状のままでなければならない、こういう結論が出て来るのでございましようか、その点一つお願いいたします。
○参考人(小林彰君) 私の申上げました点は、行政官としての立場から申上げましたので、先ほど申上げました通り私どもで調べました五つの点から帰納いたしまして、現行法の省令で、而もその次官通牒を加味したもので十分行なつておるし、又行い得ると、かような観点でございます。従いまして、私どもといたしましては、これは衛生行政のあり方といたしましては食品衛生全般に通ずる問題でございますが、衛生行政の一応の基準というものは相当高く持つて行きたい、それに対しての地区的な裁量につきましては、各都道府県のそれぞれの裁量に任して都道府県の実情に応じた点を加味して行政ができるようにしていきたい。これが私の希望でございます。
○田中啓一君 そこで具体的に申上げたい。法令の現状というのはどういうものかということはなかなか聞いておる人にわからないと思う。私は武蔵野の吉祥寺に住まつておる。只今は明治牛乳の御系統から配給を受けて飲んでおる。すぐ裏の村には北多摩郡久留米村というのがあつて相当牛がおる。ここの組合ではできれば一つ吉祥寺へも高温殺菌の牛乳を安く配給したいという希望を持つておる。消費者である私もそれを受けたいという希望を持つておる。併し私はその明治や森永の存在をちつとも無視しない。私は実に大切な存在で、これをむちやくちやな論で非難をされる人があるならばおかしいと思つておる。それほど牛乳の問題は複雑で、大野さんのおつしやる通り一筋縄ではいかないものである。が併し生産者の最後の手というものは、途中でやつてくれる人がどうも自分らに納得できないということであれば、おれが直接消費者に結び付く、これ以外にはないのです。これが今日の経済組織である。殊に農産物の販売というものはそれ以外のやりようはございません。で今私はうちは百姓で東京へ出て来れば消費者、両方の人間なんでありますが、消費者からいつても最後は米の買出に行つたように生産地に行くのです。これしかないのです。
○委員長(加藤シヅエ君) 中田委員にちよつと申上げますが、厚生大臣が挨拶にいらつしやることになつておりますので、その時間前に切り上げたいと思つておりますので、なるべく御意見に亘らない御質問のほうをどうぞ……。
○田中啓一君 承知しました。そういうわけで、そこで現状で法令はよろしいとおつしやいましたが、一体久留米村なり或いは吉祥寺なりに高温殺菌の処理場を作つて、久留米村でできた牛乳が吉祥寺で配達されるような道が立つことをお許しなさるのですか。どうでしようか。
○参考人(小林彰君) これは局部内の問題でございますので、ここでは総括的な問題しか御答弁申上げることはできませんが、これは実情をよく勘案いたしまして、東京都としての処置をとりたいと考えております。
○田中啓一君 私は東京都の衛生部長だからお尋ねするのです。なにも総括論を、抽象論をやらなければならないわけのものではないのです。法律というものは全部最後は具体的なものなんです。それをみんなが論じなければ法律はできい。それはもう私は説法せんでもいいと思う。でありますからやはり私は生産者と消費者と結びつくところは直接それがよろしいと思うのでありますから、私はまあ今日御答弁はいろいろ御関係もございましようから、何も追及するわけはございませんけれども、そういうふうにして私は法令そのもののお考えを願いたい、こういうことを実は申上げるので、とめておきます。
○湯山勇君 時間があまりないようでございますから、できるだけ簡単にお尋ねいたしたいと思います。 本日、参考人のお述べになつた御意見を総括してみますと、畜産振興ができて生産者が買い叩かれるようなことなく、而も安い低温殺菌で牛乳が飲まれるということがどうもやはり一つの軌道であるような感じを持ちました。そこで高温殺菌をすればこれくらい安くなるという御開陳があつたわけですが、このことと関連して植垣さんにお尋ねしたいと思います。先ほど御意見の中に、今日の事態は需給のバランスが欠けたためだ、これを解消するためには安く売る方法をとらなければならないというような御意見がありましたが、今やつておられる植垣さんのお立場から、これを安くする方法というのはどういう方法が考えられるか、そういう方法をとればどれくらい安くなるか、こういう点についてのお考えがあれば伺いたいと思います。
○参考人(植垣彌一郎君) 私どもの業者の部門は、先ほど申上げました通りに切詰めて最低のマージンでやつておりまするので、この上安くするという事柄は原料乳価が下るということと、それから小売の方面で習慣になつておるマージンを切詰めるということしかないと思います。それで私どものほうで先ほども申上げましたが、過剰のものと不足の場合におけるいろいろの調節をするための犠牲がありますけれども、この犠牲がほかのほうへ転嫁いたしますというと、結局生産された牛乳の持つて行き場がない、消費者の希望をするものを満たすことができないという我々の中間におつての需給調節の役目が果せませんので、そういう方面から来る過不足はこれを何ともできませんので、結局は原料の乳価と小売販売費用の方面へしわ寄せと申しますか、するより手がないということに考えております。
○湯山勇君 ほかの方もやはり今の点につきましては同じようなお考えでございましようか。大野さん。
○参考人(大野勇君) この処理の問題は、今ここに私のほうの現実の何を持つて来ていますが、三円八十銭とかいろいろ言つておりますけれども、それは会社々々との共同のやつでありますが、大体三円五十銭くらいが我々のほうの処理費です。そのうちで自分のところのマージンが二十五銭、当社の利益金は二十五銭です。ですからマージンをなくせば二十五銭安くできると、まあこういうわけなんです。それでこの問題、植垣さんの配達の問題、これも歴史がここまで持つて来ているので、一日にしてローマを作ろうということはできないので、今考えておりますが、配達をしないで取りに来てもらうと、而も毎日必ず取りに来てもらう。これは牛乳は日附があるから翌日配達はできない。新聞と同じなんです。ですから必ず取るといつたら取つてもらわんと売場がない。だから必ず取りに来てもらうというような形にして、今十三円五十銭のものを十二円ぐらいで売るような仕組を作つたらどうか、こういうことを今小売業者と相談中です。それから学校や会社は大体今十一円ぐらいです。十円とか十何円とか言つておりますけれども、そういうのはノミナルで、大体集団のところには十一円ぐらいで配達がされている。それから余計なことになりますが、高温と低温の値段の違いを一円ぐらいならやはり消費者は低温を取るのですな。それからもう一つ附け加えたいと思うのは、この問題で先ほど申し上げた衛生上の見地から高温をやるとおつしやるならいいんですが、厚生省の委員の方が産業の見地からおやりになるということになると、大都会ではこの仕事が成り立たないので、小都会では酪農協同組合が全部低温の設備をしていて、そしてどこか新らしい生産者か高温の設備をして行けるかも知れませんが、古い酪農組合はみなつぶれるのです。今田中先生がいろいろおつしやつておりましたが、久留米村で以て仮に高温ができて大いに発達すると、西多摩酪農協同組合の二、三千人の人はみなつぶれちやうのです。そういうわけで極めて大都市の我々のような商業資本がつぶれるならまだいたし方ないと思つて瞑目しますが、実際はそうでなくて、地方にもう組合が農林漁業資金で金を非常にたくさんかけて、日本中殆んど低温になつているその業者が先につぶれちやう。業者の中に内輪もめができまして業者をつぶすと、こういうことになる。これで私らも大いにこれは牛乳協会の立場で我々が運動しているんでありまして、私らの立場から言うと、本当に口はばつたいことを言うようですが、二年間もじつと我慢しておれば東京、大阪の問題は解決するか、農林委員会が救おうとする地方の酪農家がみなつぶれちやう。これが一番大きい問題です。どうぞ一つ厚生問題と農民問題を、もう少し産業の問題をお取上げになる場合には、その方面の方はよく実態を一つ々々調べて、本当に誰が一番困つちやうか。片一方の農民が助かつて、片一方の酪農民がつぶれちやう、こういうことになるのですから、その辺一つよく御調査の上おきめ願いたいと思います。
○湯山勇君 今お二人のお話を総合しますと、結局生産者或いは小売業者の犠牲と言いますか、現在より不利な条件に置くということなくしては、先ず牛乳の値段は下る見込みは小い。併し一方においては消費の拡大ということを図らなければ今日の事態は解決しないということも事実だと思いますので、これはまあそういうことをお聞きしたことにとどめまして、時間がありませんから……。 次に、生産者側と申しますか、畜産関係の方々にお尋ねいたしたいのですが、それは今お話にもありましたように、三年くらいが大体目安になるというお話でございますが、今日の事態がこういうふうになるということは、大体やはり予想されておられたことではなかつたかと思うのですが、これは如何でしようか。水登さんからでもお答え願いたいと思いますが。
○参考人(水登外喜男君) 今大野さんがおつしやつた地方の酪農組合が、この低温処理をやつている人がみなやはり高温に反対じやないか、こういうようなことをおつしやいましたが、結局なんだかんだと言うけれども、そういう高温々々と言うが、天を仰いてつばするように、結局自分たちのほうに又しわ奇せが来るのだと、それは酪農民のほうに来るのだと、こういうようなお話であります。併し私は申上げておきます。地方の農業協同組合や酪農組合がそういう低温処理をやつて、そうして現在高温に反対をされているものこそ冒頭に植垣さんのおつしやつた組合屋の存在がそういうことをさせるのであります。いわゆる農林漁業資金その他いろいろの金融操作上、いわゆるそれが地方の酪農組合を食うボスの存在がそういう反対運動をしているのだということを私ははつきり申上げておきたいと思います。
○湯山勇君 それで、今高温併用の問題を主として取上げていらつしやいますけれども、端的に言えば、今おつしやつたような御意見、つまり処理業者に対する対抗手段として暫定的に或いは応急措置としてお考えになつていらつしやるのかどうか、抜本的な解決の途というのはもつとほかにもうんとあると思うのですが、このことだけで直ちに将来の日本の畜産なり或いはこういう牛乳に関する問題が解決するとは私は感じないのですが、如何でしようか。この応急措置として高温処理併用の問題をお考えになつていらつしやるかどうか。この点一つ明らかにして頂きたいと思います。
○参考人(窪田喜照君) 極めて重大な御質問と私は考えておる次第であります。私は低温、高温の問題から全体を通じて一応申上げたいのですけれども、時間の都合もありますから結論だけ申上げますと、私どもはこの生産過剰の状態というものは決して今年や来年だけの問題でなく、又日本としてはうんと酪農を盛んにして、やはり牛乳を日常食糧にしなければならんという観点から、それはもう生産にどしどし拍車をかけて頂かなければならんので、そうなつて来るとこの問題は将来いつも生産過剰であつて欲しいのであります。従つて過剰をどうして始未するかということになりますと、やはりその一環としてこの高温問題を取上げて、将来ともこれは日本のいわゆる取締行政のやはり基本として頂きたいということが私どもの念願しておるところなんです。更に生産過剰の始末については輸出対策を立ててもらうとか、いろいろ政府に対して要望いたしておるのでありますが、その一つの大きな問題として、これはいわゆる酪農対策として考えて頂きたいと、かように考えております。
○参考人(水登外喜男君) ちよつと敷衍いたしまして……。只今御質問の要旨は、思いつきで以て高温ということを申上げておるのじやでございませんので、先ほども申上げました通り、現在百万石の牛乳が余つておりますが、これは決して余つておるのじやなくして、現在の八千数百万の国民が牛乳が飲みたい人が幾らでもおつて、その人たちに飲ませるには百万石じや到底足りない数量なんです。いわゆる飲みたい人に飲ませるようにしてもコストのために……。これを過剰だ、余つておるとこう称しております。で、そのために結局今ここでいろいろお話申上げました、先ほど何しましたが本日御出席の受入側の、処理の方は乳製品の製造業もおやりになつておられます。従つて東京のごとき一日二千石近い牛乳が売れ、数百石の一日処理をするということは、乳製品の製造と併用経営をせなければこれは営業が成立たないと同時に、乳製品のダンピング赤字は直ちに市乳のほうへしわ奇せされる。そのしわ寄せは直にち生産者に、酪農民に来る。こういうことなんでして、それで約五十石以上の牛乳の一日処理をやつておるものというものは全国で二三%しかございません。いわゆる五十石以上百石未満の方というものは一一%でございます。殊に二百石乃至三百石というような処理をしておるものは〇・〇四%しかございません。従つてこういう大きな総合的経営をしておる人の御意見を以て日本の乳業者の代表の意見としてこれを御採用になることは私は非常に危険であると思います。いわゆる一石未満の七割の人たちの御意見を総合をして頂きたいと思います。
○湯山勇君 畜産局長にまだあるのですけれども、これは又別の機会にいたしますから……。
○委員長(加藤シヅエ君) それでは何か御意見ございませんか。
○参考人(植垣彌一郎君) 先ほど申上げましたことにつきまして、あちらさん御了解になつていない点があるようでしたからちよつとその点……。先ほど現在の牛乳の小売価格を引下げるには処理業者には余裕がないので、それを強いてやらんとする場合には小売業者なり生産者のほうへしわ寄せをするのほかはないのだということは申上げました。ところがあなたはその場合小売業者と生産者の犠牲でなければ値下げができないのですかということでしたかな僕は犠牲の意味じやありませんのです。しわ寄せという意味は、現在小売業者は先ほどお話がありましたが、結局マージンが平均して四円五、六十銭にもなつていましよう。けれども、これは戦後数年間小売十円時代には二円乃至二円五十銭でやつていました。又その頃の従業員一人あたりの取扱量はその頃よりも今は殆んど倍加しているという状態です。それは犠牲を払わないで何と言いますか。合理化なり妥当な率でという意味であります。それから又生産者のほうにいたしましても、ここ戦後十年間というものは毎年増産をして毎年値段が上つて来ているのです。で数年前には現在よりも安い価格で、そうして年に三百万石前後作つている。それを現在高い価格で五百万石の品物を処理しようというところに無理があるわけなんですから、私のしわ寄せというものはそういう方面を考えて経営の合理化なり、欲張つた計画を是正するといつたような意味のしわ寄せでございまして、犠牲を要求したわけじやございませんから、その点申上げます。
○委員長(加藤シヅエ君) それではこの辺で今日の参考人に対する御質疑は打切りたいと思いますけれども、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤シヅエ君) それじや御異議ないものと認めます。 参考人の皆様には今日貴重なお時間を割いて頂きまして大変に有益な御意見の御発表をして頂きまして、本委員会といたしましてもこの問題の審議の過程に大変な参考になつたことを厚くお礼を申上げたいと存じます。参考人から御意見を伺いますことはこれを以て一応終了いたしたいと存じます。 —————————————
○委員長(加藤シヅエ君) 只今ここに新任の鶴見厚生大臣がお見えになりまして、厚生委員の皆様に御挨拶を申上げたいというお申出がございますが、これをお願いいたしましてよろしゆうございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤シヅエ君) それでは鶴見厚生大臣どうぞ。
○国務大臣(鶴見祐輔君) 只今委員長から御紹介を頂きましたように、今回厚生大臣の仕事をいたすようになりましたので、特に皆様にお目にかかりまして御挨拶を申上げたいと存じます。 私も厚生省の一番大きい仕事になつております社会保障制度につきましては、学問的な意味で門外漢として相当長い間興味を持つて研究をいたしておりましたけれども、実際上の事務を扱つたことはないものでございますから、今回厚生省に参りましても、抽象的に、原則的に学んでおりましたことを実際上どのように運用するかということについて只今各方面から教えを受けておるのでありますが、特に厚生委員会の皆様方には非常に長い間この問題について御専門の御研究もなさり、非常な熱情をもつてこれにお当りになつておる方々ばかりでございますから、今後この厚生行政の円満な振興と発展のためには皆様方の御指導と御協力に待つほかはないと存じまして、特にこの点はしろうとである私を今までのくろうとの厚生大臣以上にお助けを頂きたいと存じます。 なお厚生省の問題につきましては、只今差当つて今日お聞きになつたような問題のほかにもいろいろ問題がございます。それで考えてみますと、結局厚生省のこの問題の一番大きい点は、どうやつたら福祉国家を作るための厚生行政というもの々実施するかということは、結局予算の面に非常に大きな関係を持つて参ると思いますので一つは金融財政の面にかかつて来ると存じます。この点は大蔵大臣も非常に熱心なようでありますから、その協力を得まして、只今は会計年度の終りであり、選挙を前に控えておりまして、直ちに実施することができないこともございます。けれども、併し応急な手当でいたさなければならん問題で予算に関係することもございますので、事務的に折衝をいたしておることもございますが、この点についてもなお十分な御理解と御協力を頂きたいと思います。 又一方において事務の範囲をいろいろ勉強いたしておりますけれども、幸いにして社会保障制度にいたしましても、そのほかの厚生省の所管に関する仕事にいたしましても、世界の文明国で非常に熱心にこれが遂行されておりますために、仕事の先例ができておつて、よい点がありますと同時に、非常なしくじりもいたしておるようでございますから、その各国の失敗に照して、我々乏しい日本でございますから、少ない経費で有効適切にこの仕事をやつて行きたい、これが第二の大切なことではないかと存じます。例えば保険の中でも、特に医療制度につきましては、イギリスなどにおきましても、先日見えましたベヴアンなども、自分でやつておつてとあとになつてみて必ずしもこれが成功でなかつた、失敗した点がこれこれであるという話をいろいろな方にお話になつてお帰りになつたようなわけで、各国にもいろいろなしくじりがあると存じます。この点はどうか我々は乏しい予算を一番有効に使いたいと存じますので、この点は特に皆様方のご指導とご協力をお願いいたしたいと存じます。 それから第三に私は、この社会保障制度という字が非常にむずかしいし、只今ここでお聞取りになりましたこの低温、高温の牛乳の問題にいたしましても、或いは引揚げの問題にいたしましても、痛切に感じますことは、国民に知識が徹底していないということであります。私個人の考えとしては、厚生という字が非常にむずかしい。利用厚生という字から来たのでございましようけれども、英語ならウエルフェアーとかへルスとかいう字を使つておれば非常に明瞭でありますけれども、厚生という字がむずかしいものですから、一般の方々の生活に直接これほど緊密な関係を持つておる割合に理解が乏しいように思われます。その点では、広報宣伝の面でこれからよほど努力いたしませんと、先日もございました六人の親子心中というように、子供まで連れて死ななくてもよいのに、母子保護法があるのを知らないで死なれるとか、或いは、健康保険のほうは割合にわかつておりますけれども、国民健康保険のほうは割合にわかつておりませんものですから、それに対して応募する人が少かつたり、或いは同じ健康保険の中でも日雇労働者のような方々は、仕事が安定性を持つておらないものですから、その関係もございましよう、割合にこれを利用しておられないということは誠にお気の毒なことであつて、知らないために起る政治の不公平がいろいろあると存じます。この点については私どもも努力いたしますけれども、皆様の御協力を得まして、広く一般にこのむずかしい厚生という文字がもつと平たい平易な言葉で宣伝がされて、国民の方々に徹底するようにいたしたいと思うのでございます。それで差当つていろいろな問題が今起つておりますが、これは多くは事務的に解決すべき問題で、直接委員会のお世話を頂くことはないようも見えますけれども、結局は委員会の方々の御協力を得ないと、つまり厚生省所管の問題がほかの省との折衝になりますときには、皆様方の強力なる御支援を得ませんと、事務の折衝におきましても不十分な点が起ると存じますので、特にこの点はよろしくお願いいたしたいと存じます。殊に私自身も参議院におりますので、参議院の厚生委員会の方々はうちうちと存じまして、いろいろ又わがままを申上げ、御無理を申上げることもあると存じますので、どうぞうちうちのようなお気持で特別にお助けを頂きたいと存じます。 一言新任の御挨拶を申上げます。ありがとうございました。
○委員長(加藤シヅエ君) ありがとうございました。 次に中川政務次官。
○政府委員(中川俊思君) 私は今回厚生政務次官に就任をいたしたものであります。厚生省のほうは、私も過去五、六カ年間衆議院の厚生委員を勤めさして頂いております。私が常に感じておりますことは、ほかの委員会に行つてみますと、ややもすれば党派的な傾向がよく見えるのでございますが、衆議院の厚生常任委員会だけは全く超党派で今日まで運営をして来たようにに私実は感じております。恐らく参議院のほうも厚生委員会はさような運営をなさつておると実は承知をいたしておりますので、こういう委員会に出席をする機会を与えられましたことは、誠に微力の私といたしましては仕合せだと実は感じておるのでございまして、長いこと厚生常任委員はやつておりましたけれども、極めて不勉強な男でございまして、何もわからないのであります。これから大いに勉強いたしまして、只今大臣のお述べになりましたような御趣旨に副つて微力を尽したいと考えております。殊に新大臣は、只今もお話を承わつておりますというと、皆様方も御承知の通り、社会福祉の方面に対しては非常な抱負をお持ちの方であります。殊に非常な御熱心な方でございますので、私もその驥尾に附して、微力ではございまするが、皆様方の御支援を得て厚生行政の完遂に邁進いたしたいと考えております。何とぞ至らん点が非常に多いと存じまするが、御叱正、御教導を得まして、この任の遂行のできますように御協力をお願いいたしたいと存じます。 誠に簡単ではありますが、一言御挨拶申上げます。
○委員長(加藤シヅエ君) どうも今日は大臣並びに政務次官にわざわざ御挨拶を頂きまして、ありがとうございました。 それでは今日の委員会はこれにて散会いたします。御苦労様でした。どうもありがとうございました。 午後一時二十九分散会