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21回国会参議院1954/12/17

運輸委員会 第2号

発言数
78
登壇者
11
会派数
2
開催日
1954/12/17

会議録

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  運輸一般事情に関する調査中、自動車行政に関する件を議題といたします。  本件につきまして全岡旅客自動車労働組合中央執行委員長伊坪福雄君、それから全国自動車運輸労働組合連合会会計係小松崎隆次君、日本私鉄労働組合連合会中央執行委員坂寄林蔵君、それから国際自動車株式会社社長波多野君、日本トラック協会副会長深井君、日本乗合自動車協会常任卸事塚田君、以上六名の方より参考人として御意見を聴取したいと存じまするが、御異議ございませんか。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 異議がないと認め、さように決定いたします。  それでは本日は、最近の自動車事故の多い現状に鑑みまして、運輸行政方面より見て、どこに欠陥があるかというような点につきまして、それぞれのお立場から自動車運輸事業に関係のある諸君の御意見をお伺いいたしたいと存じます。  参考人の方には年末に際しいろいろお忙しいところを御出席頂きまして誠に有難うございました。厚く御礼を申上げておきます。  なおこの際申上げますが、最初に参考人の御意見を順次伺いまして、全部の方の御発言が終りましてから、各委員に質疑に入つて頂きたいと存じます。又参考人の最初の御発言は、甚だ勝手でありますが、五分乃至十分くらいの程度でお願いしたいと思いますので、御了承おきを願いとう存じます。  それでは先ず国際自動車株式会社の社長さんの波多野君から御意見を拝聴したいと思います。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) 波多野でございます。一業者として、国会で日頃運輸行政について御配慮願つていることにつきまして、この機会に厚く御礼を申上げます。  そこでお呼出しを受けたのですが、実はどういう用件だつたかということも何にもよくわからないで罷り出ましたようなわけでございますが、お聞きすると、非常に最近自動車の事故が多いが、それは行政上どういうところにこういうことがあるのだろう、こういうお尋ねのように承りましたのですが、結論から申しますと、非常に最近の自動車というものが需給の釣合い以上に多い、こういうことが一つの原因だと思います。従つて各企業がそういう状態ですから無理をする。無理をするから事故ができる。その無理が、働いておるいわゆる運転手にいろいろな無理を要求するからそういう事故が頻繁に起きる。結論を申しますとそういうことだと思います。  そこで過去にそれではどうしてお前たちはぼんやりしておつたと、こういうそしりを受けると思いますが、特に私のほうは観光バス、タクシー、ハイヤーをやつておりますが、最も事故の多いのはタクシーだと思います。その次がハイヤー、その次がバス、こういうことだと思います。そこで先ほども申上げましたように、結論通りに一番事故の多いのはタクシーである。その次がハイヤー……もう一つありましたトラツクです。次いでバス、従つてタクシー、ハイヤー、トラツク、バス、こういうことでございます。その順序でおのおの企業に無理があると思います。従つて各企業というものはこの順序によつて非常に現在採算がとれていない、こういう実情だと思います。  そこで最も事故の多いのはタクシーだと思いますが、東京の一つの例を申しますと、過去の戦争中は僅かな会社に制約をされて、大都市は殆んどそういう状態だつたのですが、その後戦争が済んでから自由に認可が許される、こういうことになりまして非常に業者が濫立して参りました。その際に、かように企業が濫立しては成り立たないということと、それに並行して事故が多くなるが、その事故の負担をするところのおのおのの企業体に力がない。従つてそういうことの負担のでき得るような形態の会社にお許しを願いたいということ、そういうことをあらゆる機会に我々業者が行政官に対して警告と希望を申上げたのですが、事実それが聞き入れられなくて現在の姿になつている、こういうことだと思います。その点バス事業のごときは、許可制であつても、タクシー、ハイヤーのごとき濫立をさせなくて、既存の免許というものに対して非常に育成をされ、濫立をされておりませんので、その企業体が一応安定しているから無理もないために事故等も少い、こういうことだと思います。そこで、最も事故の多いタクシーのごときは、戦後無制限に、今申しましたように希望と警告、それが聞き入れられなくて現在の姿になつて、非常に事故が多い、こういう状態になつております。そこでその原因はと申されますと、今申したような理由で事故が多い。勿論業者自体にもそうしたことの調整よろしきを得てやればよいけれども、いつでも認可を受けられるからといつて、実は許可を濫立して求めた、そういうことだと思います。そこで一つ、これは実際を参考までに申上げますが、タクシー、ハイヤーの例をとりますと、関西の今の状態というものは、関東ほど業者の数も多くない。両数も需給のバランスと常に睨み合せて許可してあるために、企業が困難でないと同時に、東京より事故も非常に少くなつている。ちよつと私はそういうことの数字のはつきりしたものを持つておりませんのではつきり申上げかねるのですが、実は日頃聞いてはおりましたが、そういう状態で事故等も非常に少い状態です。これは話は小さくなりますが、一つ私のところの例をとつてみましても、タクシーの事故というものは何としても防ぎ切れない、こういう状態です。その原因は、今申したように非常にタクシーというものに無理がある。その無理が運転手に加重されておる、こういう状態でございます。  そこで最近バス関係におきまして、路線バスのごときは、一応今までの認可制というものがそのまま確立しておりますために、安泰です。遊覧の問題で一つこの機会に申上げたいことは、これ又今のタクシーのような状態ですから、こういうことが濫立させられると、重ねてそういうことを繰返すような事態になる可能性が非常に強いと思いますから、最近いろいろ聞くところによりますと、そういう傾向が強いようですから、十分一つご検討を願いたいと思います。いずれにいたしましても、企業に無理がある。その無理を運転手にだんだん負担をかける。それが事故の大きな原因になる。これはこの機会に、面日い話ですから参考までに申上げたいと思うのですが、先般或る会社で年末の資金を組合と折衝する際の話を開きましたが、年末手当を支給した大半は、科料の今までの滞納している分を負担しなければならんと、そういう実態が出て来たという話を実は開きましたのですが、これは参考までに申上げたいと思います。それと最近の科料の徴収状態なんぞを見ますと、警察官というものがむしろこういうことによつて点数を上げようかというような考えの下にやつていられる傾向を冗談話に間々聞くことですが、これは一つの冗談として聞けないような状態だと思います。  大体そういうように考えますが、今後こうしたものの認可について需給のバランスを十分検討をして、認可を願つて、この企業の健全な一つ発展ができ、且つ一般民衆にこれが安心をして利用されて、産業に寄与されるような形になることをこの機会にお願いをいたしたいと思います。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 次に、全国旅客自動車労働組合中央執行委員長の伊坪福雄君にお願い申上げます。

伊坪福雄全国旅客自動車組合連合会中央執行委員長

○参考人(伊坪福雄君) 警視庁の発表によりますというと、事故が一日五十六件から七件程度あるという、そのうちに死亡する者が三人平均くらいあると、こういうような発表を私たちは聞いておるわけでございます。私たちこの事業に携わる者、特にこのハイ・タクの運転手といたしまして、その起る事故の八〇%がハイヤー、タクシーが起しておるのだということを私たちは見、或いは聞くときにおいて、誠にこれは遺憾で、どうしてもこの事故というものは少くして行かなければならん、こういう面に対しては私たち十分考えを持つておるわけでございます。併し警視庁に対しまして、私たちがこの問題を懇談会を通じ、いろいろお聞きいたしますというと、事故を減らすのには、どうしても厳重なる処分をもつて臨まなければならん、こういうことを鈴木第一課長は言われておるわけでございます。併しながら警視庁が、取締当局が如何に厳重にこの問題というものを処分いたしましようとも、この事故は絶対に減らない。それに対して私は先ず三つの面を挙げたいと思います。  第一番日は、ハイ・タク業界が全く腐敗堕落しているということ、その実例を挙げますというと、東京都内において現在二百八十何社かございます。そうしてハイヤー、タクシーの車は一万二千五百台、こういう台数が動いておるわけでございますが、その一方二千五百台あるうちに、大体三千台近いものが、名義貸しという形になつておるわけでございます。この名義貸しの、名義貸しというのはどういう面から出たかといいますというと、これは三十台、或いは四十台というものを申請するわけでございます。そうするというとその会社の車は一台もないのでございますが、先ず一台から十万乃至多いのは二十五万円くらいの権利金を取つて、そうしてあたかも会社の車であるがごとくにして許可を受けるわけでございます。で、実例を挙げますというと、三十台でもつて二十五万円也の金を取つても先ずその社長さんはアパートを建てる。そうしてその人の車を今度は抵当権を設定いたしまして、五百万円ほど借りて、今度は待合を作る。最初から待合とアパートを作るために計画してやつておる。現在この名義貸し整理委員会というものを作りまして、業者も非常に熱心にこれを整理するために努力しております。それから陸運局長のほうからも、一月の四日までにこれが整理できない会社は厳重なる行政処分をする、こういう通達が出ておるわけでございます。併しながら私は業者自身の手においては絶対にこの名義貸しというものは減らないということ、これが流しておるところの害毒というものは如何に大きいかと申しますというと、会社の経営の一切の権利というものはございませんから、先ず名義料を取り、一月三万円ぐらいの借料を取れば、労務管理も何も会社でやるわけではありません。これが勝手に車両主が自分のうちの運転手を頼んで巷を流しているという面、ですからそろばんをはじいてみて、これはそろばんに合うということになると、度量衡など、ああいうものを使わないでダンピングをしてしまう。或いはダンピングで安く乗せるときもあるから、今度おのぼりさんあたりから高く取る、こういうような面があるわけでございます。こうなつて来ると健全な業者はこのような面に食われてしまう。こういうような面から業者自身も気が付きまして、整理委員会に乗り出しておるわけでございますが、私に言わせると、業者が如何に懸命になつてもこれは整理できないのじやないか。なぜならば、その整理委員会に出ているところの顔振れを見るというと、これは名義貸しをしている社長さんがなつておるわけでございます。ですから、これらは泥棒がお巡りさんになつておるのと同じで、絶対にこれは整理できないのじやないか。そうして最後の土壇場に追い込まれて、業界の健全化を図ろうとする土壇場に行きまして、私たち組合は現在五十一単産で八千余名の組合員を擁しておりますが、これに対して外部からの協力しか求めない。そういう面で私たち入つて行きまして、一応意見を述べながら現在は二名ほどこの整理委員会の中に関東同盟として入つております。その会合に私出てたまげてしまつたことは、旅客課長もそのときも来ておりました。そうして非常にいろいろな形でこの名義貸しが出て来るのでございますが、たまげてしまつたことは、業者も、それを許可した陸運当局すらもたまげておるわけです。これは下劣な言葉で言うと、馬が自分で放屁してそうして驚いて飛んで歩いている姿とちつとも変らない。これが業界の姿でございます。そうして二百八十何社ぐらいしかないこの業界において、協会が四つぐらいに分れているということ、そうして今日も新宿の文化会館においてペツトか何かの車を八十円から七十円に値下げすると、こういう聴聞会が開かれているわけですが、これに対しても賛成するほうと反対するほうと業者が出ておるわけでございます。これは自分の企業の会社のそろばんで八十円を七十円にしよう、業界全般の健全化ということの立場からのそろばんでの値下げじやなくて、会社のそろばんで値下げを申請している、こういう姿でございます。  その次にハイヤー、タクシーの労働者というものは、大体歩合給に重点を置いて使われているということ、固定給が二、三千円ぐらいしかございません。議員のお手許にも資料として私たち出しておるのでございますが、二、三千円ぐらいの固定給しかない会社があります。勿論ここに公述に出ておられますところの波多野さんの会社その他、全部ではありませんが、若干は固定給を一万円以上取つている会社もございますが、大部分が五千円以下ぐらいの固定給でもつて使われている。  それからもう一つ、現在タクシーの車が表において三百五十キロから四百キロ走つているというのが姿でございます。多いのになりますと、四百五十キロから五百キロ近くまで走る車がございます。こういうふうになつて来ますというと、二十四時間寝ずに走るわけには行きません。休憩時間だとか若干の仮眠時間をとりますと、これは相当お客を乗せてスピードをかけないというとキロ数が出ないわけです。これだけ走つて来なければ会社のほうでも採算がとれないから走つて来いといつて追い出されるわけです。それだけ走らないで料金を上げて来ないというと、今度は業務に協力しないという面で首になる運転手がたくさんある。一昨年労働委員会に私たちは十数件の紛争或いは争議の件を持つて行きましたが、すべてこれまで不当労働行為として認定されている。この事実を見ても私はおわかりじやないか。三日ほど前にも、東日本交通というのが労働組合を結成いたしました。それで越年資金も賃金問題も何も私たちは要求しない。ただ組合を作つたら全員解雇だと、夏川社長以上のこういう人が業界に非常にたくさんあるということ、こういう面からやはり街頭において走るから、これが無理になつて来るということ。  その次に、労務対策、労務管理というものが如何にでたらめであるかということは、二十八年の六月の十五日に東京陸運局長とそれから東京陸運事務所長、警視庁交通部長、この三者によつて二十一ヵ条に亙るところのハイ・タクの業者に対する労務勧告というのがなされておるわけでございます。これに対しては率直に申上げまして何ら一部の経営者を除いては実施をしようとする意図が全然ない。ですから現在大体二十四時間でもつて制度を作つておりまするので、これが仮眠しようとして帰つて来ても寝るところがないわけでございます。そういう面が運転手はしようがないから街頭において車の中にいる。寒いから飲み屋に入つて一ぱい飲む。これが無謀操縦となり、泥酔運転となつてこの事故に拍車をかけているのじやないか、このように私たちは考えておるわけでございます。ですから私は警視庁の厳重な処断の中からはこの事故というものは絶対に減らない。勿論波多野さんの言われた需給調整という面からもメスをふるつて行かなければならんが、私は以上挙げたところのこの三つの点が、業者自身が真に業界の健全化とこの保安対策の上から行つて事故を少なくするならば、こういう面まで私は十分掘下げる必要が業者としてあるのじやないか、このように考えております。  次に不当過重の問題でございます。私たちは二十七年の八月だと記憶しておりますが、お手許のほうに資料として出してあります道路交通取締法の二十八条、これの中に無謀操縦の件、第二十八条の改正という面を二十七年に私たち挙げたわけです。この中には構造装置の故障運転とか、無免許運転、泥酔運転、操行装置不完全運転それから速度違反、こういうものをやつた場合においては三カ月以下の懲役又は五千円以下の罰金という項目しかなかつたわけでございます。私たちはこれに対して科料という項目を設けて頂きたい、こういう面で二十七年の八月頃と記憶しておりますが、参議院の地方行政委員会にこの問題を持込みまして公述をやつたわけです。その結果委員の皆様方のお骨折によりまして、科料という項目を設けて頂いた。その当時は大体科料は二百円か三百円だつたわけでございます。それがこの科料という項目には取締り当局は反対した。そうしてこの科料という項目を設けるというと、今度は二百円、三百円という科料はなくなつてしまつて、五百円から八百円に値上げしてしまつた。昨年の十二月に至りまして、即決裁判手続法案が通つた。これに対しては私たちはこのような法案が通ることによつて、警察官の主観的な判断によつて、一方的に取締られるのじやないか、こういう面から意見を出しいわけでございます。併しながら現在その通りで非常に高額に、何の根拠か知りませんが、上げて来ておる。それで私たち資料も提出してございますが、十キロスピードをオーバーした場合、千円の罰金の場合と、それから三千円も取られる場合があります。大体千円くらい取られて、七日くらいの就業停止、二重処分になつております。行政処分を食うわけであります。それで三千円取られて、又十日間の行政処分を受けておる。これを今度は官庁方面の車を私たち調査してみますと、一時停止の場合、官庁の車だつたら五百円か説諭で済んでおる。二重処分は全然ないと言つていいくらいなんです。ハイ・タク運転手の場合、一時停止を怠つた場合には千円から二千円で七日ほどの二重処分を食つておる。私はこの事故のよつて起きるところの原因或いはその起きた事故の八〇%はハイ・タクが占めているから、厳重に処断をするという点については頷けるけれども、何を根拠としてそのようにハイヤー、タクシーの運転手にのみ過重に課して来るか、こういう面について非常に懸念を抱いているわけです。中には軌道内を通行した者、これが二千五百円で、七日ほどの就業停止を食つております。これは資料として裁判所から来たところの証拠書類も、私持つて来ておりますが、軌道内通行でもつて二千五百円も取られている。東京都内の道路の状況でずが、一例を挙げますというと、池之端から神明町へ行く場合、これは軌道内に車がかからなかつたならば、人を何人か傷つけるか何かしない限り神明町まで行けません。こういう道路が東京の都内の中にたくさんあるわけです。そういう問題というものは、すべて私は考慮に入れられないで、ただ通つたというだけで二千幾らかの罰金を課せられて、そうして七日間就業停止を食う。これが納められなかつた場合においては、拘引状を発せられまして、手錠をはめられて連れて行かれてしまう。これがハイヤー、タクシーの現在の実態であります。そこに私は警察官の一方的なハイヤー、タクシーの労働者のみに過重なるところの処分があるのじやないか、こういるような過重な処分をしても、私はこの事故というものは減つて行かない。前に述べました三点というものが併せて行われる場合において、私はこの事故というものが激減して行くのじやないかと思います。  以上を公述いたしまして終りたいと思います。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 次に、日本乗合自動車協会常任理事塚田君に御発言を願います。

塚田耕一郎日本乗合自動車協会常任理事

○参考人(塚田耕一郎君) 私が塚田であります。委員長からの指示がございまして、事故の原因は奈辺にあるか、事故をなくす方法はないかというような御質問のように拝聴したのでありますが、私のほうのバスとしましては、現在車両数が約三方両ほどございます。多く新聞紙上を賑わしておりますのは、申すまでもなくバスが極めて多いのであります。今前の公述者が盛んにタクシーの違反を列挙されたのでありますが、これは相当タクシーの場合は件数が多いのでありますけれども、バスのほうは極めて微々たるものでございまして、全国的な統計は持つておりませんが、事故が人心に及ぼす影響が非常に大きいということを考えまして、協会といたしましても、又主管官庁としましても、これらの防止対策について、かなり骨を折つております。申すまでもなく事故の防止の主たる方法としましては、最近に一体どんなふうな大きな事故が起つたかということは申すまでもございませんが、これらについての防止方法は後ほど申しますが、大体におきまして大別しますというと、労務管理の方法がいいか悪いかというようなことが第二点でありまして、その次が整備管理はどういうふうな制度によつてやつているか、それから車両管理の方法はどうしているか、それから安全運転の確保はどういう方法をとつているか、それからいわゆる各所におきまして遵法精神というようなものを高揚しまして、これに対して従業員に対する雇用方法はどうやつているかというような方法であります。  先般来もちよつと私、事故の問題につきましては、打合会を開催しまして、多々これらの防止方法について打合せをやつているわけです。御案内の通り、前段申しましたごとく、タクシーと違いまして、勿論バスのほうは大きな事故を起しますれば非常に人心に及ぼす影響が大きいし、又当事者自身も相当大きい事故をこうむりますので、この点は特に重大な関心を持つて、協会自身も或いは主管官庁も全力を尽してこの防止に当つているわけであります。この原因につきましてはいろいろありましようけども、大別しますというと、今申しましたような工合に最近の私どもがとつた統計によりますというと、然らば一体どんな原因によつて事大事故があつたかということを全国的な統計をとつてみますと、参考までに申上げますが、これは二十九年の一月から六月までの重大事故でありますが、踏切り事故としましては、全国的に見まして百十五件くらいあります。それから死傷事故としましては三百七件くらいあります。転落事故としましては六百二十八件、転覆としましては百六十三件、衝突としまして二百六十七件、火災が十四件、接触が十七件、その他の事故が五件、こういうような工合に重大事故として取上げておるものがございます。これは運輸省の統計でございますので、私のほうとしては、これらの問題について細部の検討をしておるわけでございます。加えまして重大事故の件数の内訳で、最も事故を起す原因というものはどこにあるかという疑念を持ちますので、原因はどこにあるのかというようなことを考えてみますと、運転操作に起因するものが三百六件ございます。これは無論運転者のいろいろな過失によるものでございまして、酩酊運転、或いは居眠り運転、或いは無免許運転、車掌との連絡、誘導不良により起つた運転事故、運転技術の未熟その他運転の不注意又は過失によつたもの、こういうような役所のほうの統計を頂戴したのですが、そういうことになつております。勿論これは運転者の過失によるばかりでなくて、或いは被害者の不注意又は過失に起因するものも相当ございます。要保護者の場合が四十五件、自転車の場合が三十六件、その他七十二件、計百五十三件、車両の性能上の欠陥に起因するものがありますが、これは車両点検不備に起因するもの八、その他四十六件、合計五十四件、道路の状態に起因するものが十八件ございます。  まあ以上が大体の事故を大別した重大事故の原因でございますが、御案内の通り、これらについて前段申上げましたごとく、いろいろ各会社とも注意をしております。又その労務管理の方法その他について十分な意図を持つておりますので、恐らく事故の原因については、まあ何と申しましても、防止方法とその他については鋭意努力をしておりますので、今後社会をさわがすような大きな事故は恐らくないんじやないか、かように考えておりますので、以上御参考まで申上げます。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 次に、日本私鉄労働組合総連合会中央執行委員の坂寄君にお願いいたします。

坂寄林蔵日本私鉄労働組合総連合会中央執行委員

○参考人(坂寄林蔵君) 坂寄でございます。最近、非常に発達して参りましたこの自動車企業の多くなつて参りました事故の原因がどこにあるかということでございますが、私たち労働組合側から見ました場合には、先ほど旅客自動車組合の伊坪さんがおつしやいましたように、いわゆる業者の労務管理のでたらめさというものが最も大きな原因じやないかと考えておるわけでございます。  先ず最初に申上げたいと思いますが、私どものほうの私鉄総連と申す組織は、いわゆる国営の鉄道、或いは自動車、或いは東京都とか地方の公営企業体が経営しております公営バス企業者を除きましたいわゆる民営の鉄道及び自動車の従業員をもつて組織しておりまして、全国の民営の鉄道、バス企業のうち、鉄道におきましては約九一・四%、バス事業におきましては七四・一七%の人員をもつて構成しておりまして、私の申す意見は、大体国営及び公営を除きました他のいわゆる民営のバス事業に属する労働者の意見を代表したものと考えるわけでございます。先ほど伊坪さんがおつしやいましたように、殆んどと申しましてもよろしいほど、約八〇%程度がいわゆるハイヤー、タクシーの車の事故で、残りの僅か二〇%程度がその他のいわゆるバスとか、或いはトラツク等にあるんだということをおつしやつておりましたが、然らばその原因はどこにあるかと申しますと、例えばバス等の場合におきまして、いわゆる大企業と申しましようか、この表におきましては、東急電鉄であるとか、或いは東武鉄道であるとか、大は一万以上の組合から、小さいところは二十か三十を持つて小さな経営をなしているものも私どものほうには参加しております。例えば佐賀県の嬉野温泉における国鉄のバス転落事故であるとか、或いは三重県に起きました同じような大きな転落事故と、こういつた特例の場合は別ではございますが、いわゆる日常起きます通行人に怪我をさせたとか、或いは非常に小さな問題で事故を起したという場合には、地方の中小企業におけるバス組合の従業員が事故の大半を占めておりますのが現状でございます。特に、この私ども民営のパス業者の場合におきましては、地方の業者の労務管理と申しましようか、労働組合というよりもいわゆる従業員に対する近代的感覚がないというのが一つの大きな原因ではないかと考えるわけでございます。たまたま私どもに参加しております先ほど申上げました三重交通の転落事件以後、このたくさんの人命を預かつて我々としては輸送しておる関係でもございましようが、いわゆる建設省といたしましては事故の原因を、道路の幅が狭い割合に比較して最近非常にバスの車両が大型になつて来たため、車両を制限する必要があるとか申しまして、いわゆる車両制限令なるものを現在計画中とか聞き及んでおります。それから或いは一部の業者等におきましては、運転手の素質が悪いために事故が起きるのだということも申しております。更に警視庁等の取締り官庁におきましては、定員を超えた乗車をさせるから、それが事故の最大の原因になるのだと申しております。私どもはこういつた建設省や或いは業者、それから警視庁と取締り当局のそれぞれの意見を決してこれが事故の原因ではないと頭から否定するものではございません。道路の幅に比較して車が大きくなつたこと、或いは運転手の素質が悪いということ、或いは定員外にたくさんの乗客を乗せたということも一つの事故の原因ではあろうとは考えております。併しながら、最も大きなこの事故の原因と申しましようか、最大の原因というのは、いわゆる業者が近代的感覚を失つたと申しましようか、或いはただいわゆる公益事業でありながら、その本来の使命を忘れまして、営利的にのみ、儲けることばかりを考えておるが故に、こういう事故の最大の原因があるのではないかと考えるわけでございます。  特に参考までに申上げたいと思いますが、この私鉄のバス業者ほどいわゆる賃金におきましても、或いは労働条件におきましても差のある企業はほかの企業に比較幟してないと考えております。例えば関東地方における東武であるとか東急であるとか、或いは京浜であるとか、関西における近鉄、京阪神であるとか、或いは中部における名古屋、九州における西鉄と、こういつた私鉄では大手十三社と称しておりますが、この大手企業におきましては、賃金体系というものが、いわゆる基準賃金と申しまして、最低少ないところで一万五千六百円から一万八千七百円と非常に高額になつております。この賃金体系というものも、一つは、例えば体が工合悪いために一月のうち一日も出勤しなくてもよろしい、基準賃金というものは保障せられておりまして当該労働者に払われております。従つて生活の安定というものが非常に確固たるものとなつておりますので、安心して輸送の業務につけるわけでございます。ところが、その半面に参りますと、非常にこれは何と申しましようか、参考資料が少くて申訳ないわけでございますが、京阪神急行の傍系会社たる阪急バスというものが大阪にございます。これはいわゆるバス専門の会社といたしましては非常に大きいわけでございますが、こういつたいわゆるバス専業会社の最も大きい阪急バスでさえも、一万二千二百二十五円という基準賃金のうち、千二百五十六円というものはいわゆる歩合給制度になつておりまして、出勤しなければ、或いは乗務しなければこの賃金がもらえない仕組になつております。又和歌山県における明光バス等におきましては、一万一千六百五十円という金額を一応会社、組合側で締結しておりながら、四千九百二十六円というものが同じような歩合給でございます。東京における国際興業におきましても、一応額といたしましては一万六千二百三十六円という大手十三社並みの基準賃金をもらつておりますが、そのうちの三千二百六十五円がこれ又歩合給でございます。八王子におきます五王バスにおきましては、一万三千四百八十三円という賃金でありながら、四千七百四円が歩合給でございます。最もひどい例といたしましては、千葉県の成田バスにおきましては、一万一千四百十七円のうち、半分以上の六千四百十八円というものが歩合給でございまして、当然こういつた地方のバス会社におきましては、当該労働者が欠勤した場合、その他の理由で休んだ場合におきましても、賃金がそれぞれ差引かれまして、五千円乃至六千円程度しかもらえないというのが現状でございます。  更に日常の勤務体系におきましては、先ほど申上げました大手十三社におきましては、いわゆる基準法に定められました拘束八時間の中から休憩時間であるとか、或いは法に定められました点検時間等を差引きますと、実際に乗務する時間が五時間三十分、多いところでも六時間でとまつております。その半面地方における例えば静岡の東海パス、或いは箱根、今申上げました成田バス、茨城県の常総筑波等、私どもといたしましては、いわゆる中くらいに属するこういつた企業におきましては、短いダイヤにおいても七時間から八時間、甚だしいダイヤにおきましては、一日の乗務時間が勿論これは折返しにおける休憩時間も含んでおりますが、十七時間五十分が東海バス、箱根根におきましては十三時間、成田バスにおきましては十四時間と五分、常総筑波鉄道においては十二時間と十分という非常に長いダイヤがございます。こういつた非常に極端な例で申上げれば、十七時間五十分というような時間を走らなければ、先ほど申上げました基準賃金というものが本人の手許に入らないわけでございます。更に各社の協定時間というものが、一応こういつたのは特例でございまして、例えば十七時間五十分を毎月走つているわけではございません。短い日には六時間か七時間で上るものもございます。併しいわゆる月平均を考えてみました場合には、最も短い例等におきましては、関東における東武鉄道においては四時間三十分であるとか、或いは東急において五時間であるとか、殆んど大企業におきましては四時間半から五時間半程度にとどまつておりますが、地方における先ほど申しました明光バス、或いは北海道の旭川市内、その他の地方の同じような小企業者を考えてみました場合には、基準法に定められました八時間というものを目一ぱいに乗せられております。勿論この中には休憩時間やその他の点検時間等もあることにはありますが、この時間というものが恒常的にダイヤに含まれておりまして、事実上は基準法をないがしろにしたような時間の協定によつて無理に走らされると申しましようか、苛酷な労働条件を強いられまして働かされているのが地方のバス労働者の現状でございます。たまたま先ほど申上げましたように、いわゆるハイヤー、タクシーの労働組合に比較いたしまして、バスの場合は数は少いと申しましても、一朝事故が起きました場合には、非常に大きな負担を生ずるような事故が起きることは勿論でございます。この場合におきましても、例えば東急、京帝、或いは東武等、こういう大手筋の会社におきましては、例えば科料、罰金或いはその他のいわゆる本人が責任を負つて事故を起したような場合におきましても、殆んどが会社負担でございます。最も悪いようなところでさえも、いわゆる会社、組合によつて運営されております共済会制度というものの中から八割乃至九割を負担しておりまして、本人がいわゆる科料とか、罰金を全額払うというようなことは殆んどございません。ところが地方に参りますると、例えば茨城交通であるとか、或いは青森県の津軽鉄道のバス組合であるとか、或いは広島県における鞆バスであるとか、或いは九州の南薩鉄道とか、こういつた組合におきましては、事故が起きました場合には、科料、罰金は勿論、或いは被害者に対する損害賠償の示談等におきましても一切を本人が負担するというようなことでございます。従いましてこういつた結局我々が毎月、例えば一万五千なり二万円もらう給料のうちから、大きな事故を起した場合には半年も一年間もに亙つて結局二千円なり三千円なりを賃金から差引かれるという現状が起きているのでございます。そのために生活が苦しくなつて参りますと、必然的に時間外なり、或いは休日出勤をして賃金を自分で保障をしなければ、その月の生活が安定できないというところに無理をして日常乗務をするために、これに伴つて事故が発生するということも一つの大きな原因ではないかと考えているわけでございます。で、私どもといたしましては、この年末年始にしろ、或いは日常等の問題にいたしましても、率直に申上げまして、いわゆる大手筋におきましては会社と組合と協議の上で十分にそれに対する対策もあり、又日常の生活も苦しいながらもやつと切抜けられるような一応の安定はついておりますが、現在までの申上げましたような状態の中におきまして、地方の中小私鉄と申しましようか、中小企業者の下で働かされている労働者というものは、苛酷な労働条件によりまして、非常に苦しんで毎日本人の過重な負担によつて日常のバスというものを運転しているというのが実情でございます。特にお願いしたいわけでございますが、まあ仮に、抽象的なことを申上げましても本委員会におきましてはお取上げにならないかとは存じますが、確実な例といたしまして、私どものほうに参加しております組合に北海道の旭川電気というのがございます。ここでは鉄道とバスを兼営いたしておりまして、約百六、七十名の小さな会社でございますが、最近までは鉄道関係だけで労働組合を持つておりました。ところがここに働いているバスの従業員というのは労働組合がないために、いわゆる会社の一方的労務政策によつて働いて参りました。その結果基準法も何も一切を無視されまして、例えば出勤すれば幾らもらえるというような仕組みでございまして、例えば今日一日の労務を終了いたしましても、明日何時に乗るのか、本日のダイヤが終つたあとでなければ明日のダイヤがわからないというような実情でございます。又会社の労務政策というものも、これは最も飛び離れた悪い例ではございますが、いわゆる出勤等にいたしましても、例えば月に四回の公休がございますが、一回よりも二回、三回よりも四回というように、四回目におきましては四倍も五倍も割増賃金をつけるようになつておりまして、当該労働者といたしましては、月のうち三日公休出勤をした残りの一日を休むのは休みたいのであるが、その一日を休むことによりまして三千円も四千円も引かれるといる実情があるために、やむなくまるまる一月を殆んど休みなく働いておつたような実情でございます。それだけ働いておりながら、いわゆる賃金というものがせいぜい一万円前後という、家族、妻に子供二人を抱えまして一万円から一万二千円程度しかもらつていなかつたというような状態でございます。特にこのうちにおきましてはこういつた最も悪質な例に対しまして、さすがにおとなしい当該労働者としても見るに見かねましたものか、丸谷、中田、山本、向井という四人の運転者が、それぞれお互いにこういつた問題については労働組合を作つて会社と対抗しなければだめだという考えが起きまして、最近漸く労働組合を作り上げまして、こういつた苛酷な労働条件や賃金体系に対しまして、会社に対し改正方を要求しているという実情もございます。特に私鉄総連傘下に入つておりますバス関係の労働組合といたしましては、或いは無加盟と比較いたしますと、いわゆる労働組合も作れずに会社の一方的労務政策によりまして日常の運営をしているところはこれ以下のひどい場合があるのではないかと考えるのであります。伊坪さんがおつしやいましたように、ハイヤー、タクシーの場合は、千円とか二千円程度が基準賃金のところもあるとおつしやいましたが、私どものほうの場合におきましては、これはちよつと古い資料ではございますが、現在全国でバスの経営をしている会社が、昨年の一月現在で三百二十四あるとまあ大体記憶しておりますが、そのうちの百二十組合、企業別にして約三分の一しか私鉄総連に入つておらないわけでございます。従いましてこういつたところにおいては非常に苛酷な労働条件によつて、或いはまるまる三十日働かなければ、いわゆる生活が満し得られないような安い賃金によつて働いているということは想像にかたくないと思います。  労働組合の立場といたしましては、生活の安定のないところに、大衆の生命を預かつて運転するバス企業の健全な発展はあり得ないと考えております。従いまして運輸省当局といたしましては、最近漸く十一月九日と覚えておりますが、運転者の疲労防止ということについて、苛酷な労働条件によつて運転をさしてはならないという指示を発しました。こういつた問題をただ単なる指示に終らせることなく、今後いわゆるこの事故の絶滅をど図つたらいいかということに対しましては、運輸省当局といたしましては、こういつたいわゆる労働者の本当の姿を考えずに、ただ儲けさえすればいいのだという頭に立つて日常の運営を図つているような会社はどしどし摘発になりまして、正常な運営によりまして、会社、組合がそれぞれお互いの意見を主張し合つて、正しい運営の下に今後のバス企業というものを発展さして頂きたいというのが、私どもの願いでございます。以上を以て終ります。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 次に、日本トラツク協会の副会長の深井さんにお願いたします。

深井登代東京トラック協会副会長

○参考人(深井登代君) 日本トラツク協会としてのお呼出しでございますが、日本トラツク協会の推薦で東京トラツク協会の深井でございます。御訂正を願います。なお私の会社は滝野川運送と申しまして、トラツクの会社でございます。従いましてそのトラツクの内容について、一応トラツクを対象としての交通事故について公述いたしたいと、かように考えております。  前公述者の各位がいろいろよつて来たる原因を御説明になりまして、私も大体において同感なのでございます。労務管理の適切、不適切というようなこともございまするでしようし、会社の経営自体が及ぼす影響等々もございまするが、何と申しましても現在の交通状況を、東京都内を車に乗りまして御一巡なさいますれば直すにわかりまするように、交通制限をされておりません道路で、大体においてまあ昭和通りあたりを御通行になつて頂きますれば、あまりにも自動車の数と、それから道路の間隔、幅、そういつたようなもののバランスが最近は非常にアンバランスであるということはおわかりになるだろうと思うのでございます。道路を広くして自動車の数を減らす、そうすれば事故は少くなるだろう、これはまあ当然のことでございましよう。御承知のように最近の車両は非常に大きくなつております。これは乗用、バスを問わず、トラツクにおきましても、大は普通車でも七トン半、八トンというのがございます。その他牽引等によりましては二十トンも超える大型車両が走つておる。一般の普通車におきましても、在来の四トンというやつが大体四トン半になりまして、ボディの長さも従前よりは大は七、八尺から小にいたしましても二、三尺長大になつております。殊に最近の国産車におきましても車両の性能が非常によくなりまして、スピードが増大されております。ところがこれに対しまする使用道路は、何十年か前に建設されたままでございまして、何らの変化がないところに、殊に年末に際しまして多数の物資が動くことですから、事故が激増するのは、これは当然すぎるほど当然のことと考えられるのでございます。  それで大体トラツク部門を見まして、トラツクの数が最近非常に多い。これは需給のバランスが然らしむるところでありますればとにかくも、私ども見まして必要以上の輸送力ということがトラツクの面には言えるのではないか、かように考えるのでございます。それは戦前、と申しましても昭和十五、六年の数字で参りますれば、トラツクの業者の数とトラツクの台数、そういつたようなものはその当時よりは少なくなつてきております。それでその当時自家用はトラツク一に対して〇・二ぐらいの比率であつたものが、最近の数字におきましては、自家用のトラツクというものは、その数字を逆に行つておるような状況でございます。東京都内の本年の三月三十一日の調査によりますれば、トラツクの総数が七万八千八百七十四両でございまして、このうち自家用が五万五千六十八台、営業用は僅かに六、七千台、その比率におきましては自家用のトラツクが七〇%を超えておるというような実情でございまして、この数字は戦前を丁度逆に行つたような数字になつておるのでございます。必然的に戦後の工業勃興のために自家用の使用数が多くなつたということも事実ではございまするが、事実はこの陰には真の自家用に非ざる自家用の数が非常に殖えておるという事実があるのでございます。それは御承知の通り運送事業と申しまするものは、社会公共性ということを多分に加味するんだということでございまして、他の自動車事業と同じように料金等も頭打ちの運賃でやつておつたのでございまするが、昨年から業者の赤字経営を当局も考えられまして、定額制運賃を実施する、こういうことになつたのでございます。それで昨年のたしか九月と思いまするが、実施期を一カ年延長いたしまして、本年に持越されたのでございます。その実情はどの辺にあつたかと申しますると、いわゆる定額制を実施して、誠にこれは運輸御当局のお考えになつて頂いたことで、我々免許業者の擁護の策といたしまして結構なことなんでございまして、これがその通りに実施されますれば何ら問題はないのでございまするが、実施が我々といたしましては困難だろうという見通しをつけましたために、実施の時期を一カ年延長いたして頂きまして、更に本年度に入りまして延長し、遂に本年の十月の一日よりこのトラツク運賃の定額制の実施を御当局と話合いの上にいたすことになつたのでございます。ふたを開けてみますると、定額制の実施は、御承知の通り定額制というやつは最高と最低を抑えまして、在来の運賃の最低のない最高だけの運賃と違いまするところに特色があるのでございまするが、その最低が守られませんで、現況において、やはり従前の運賃と何ら大差ないんだ。むしろ新聞等によりまして、これは業界の責任でもあり、御当局も一応考慮して頂きたいと思いまするが、ただ単に定額制の実施という掛け声のみによりまして、デフレ政策と睨み合して一般の運賃が下るんだという観念から、従来の収受運賃を何割か引下げられたというような実情なのでございまして、定額の運賃というものは実際において、始まつたけれども実施されておらないというような実情なのでございます。そこに、なぜじやあ定額運賃が実施されないか。我々業者といたしましては、最低を制定になりました定額でございまするので、その線で参りますれば非常に結構なのですが、守られない最大の理由というものは、いわゆる自家用或いは我々同業の免許業者におきまして、免許範囲外の運送行為、いわゆる金銭を収受、有償によつて運送行為をするというものの脅威がかかる現象を現わしておるのでございます。それでその点につきましてはやはりいろいろ問題がありまして、御承知の通り我々トラツク事業者は、東京都内で申しますれば、昭和十五、六年は業者の数が大体五千人余りあつたはずでございます。それが戦争によりまして第一次企業整備にあいまして、十両以下の小さい業者は大体集約合同して二十台以上の会社になつたらよろしいだろう、こんなような工合になりまして、二十台以上の会社をこしらえまして、大体において五百業者くらいになつたわけでございます。戦争に入りまして更にこれが統制強化されまして、東京トラツク協会のメンバー、当時は東京トラツクでなく東京貨物自動車運送組合と申しておりましたのですが、東京の業者はこの組合に打つて一丸としその傘下に入つたのでございまするが、その総数、東京を挙げての総数が、地域合同によりました数が四十二社であつたと思います。かような状況なのでございます。それで当時戦争による統合とは申しても、そのまま統合体の中に入つて来まして、今日まで入つておるところもございまするが、やはり何と申しますか、昔からやつておつた事業が統合体に入るのを快しとせずに脱落いたしまして、運送行為を企図しておつたものが、戦争中から戦後にかけて同様におつたのでございます。ところが私ども、ちよつと申上げることが免廃のように聞きとられると迷惑でございまするが、実は免許の擁護者で免廃ではないのでございまして、ただ免許の制度がはつきりしておらない。これは新しい道路運送によりまして、はつきりしておることになりまするが、その内容がはつきりしておらない。そういつたような結果から免許も、何と申しまするか、例えばもつと簡潔な言葉で申上げれば、免許基準のいわゆる車両数等におきましても、車両台数何両とするというような基準もない。仮に一応常識的に考えまして、今日の企業形態と申しますれば、いわゆるいろいろ起される事故に対しましての賠償、補償の責任というようなことも勘案しますれば、少くとも最小企業体は二十台や十八台はなければならないだろう、そういつたようなことが考えられるので、そういつたような面においてはちよつと手が出ないといつたような向きが自家用の自動車を購入する。御承知の通り自家用の自動車でも新しいものは、国産車にいたしましても、普通トラックで百二、三十万するのでございまするが、安いものになりますると四、五万からあるのでございます。その四、五万の自動車を一応自家用といたしまして、使用登録をいたしまして、それによりまして運送行為が簡単にできるというところに、その自家用自動車の、いわゆるその正常ならざる自家用自動車が非常に殖えてきたというような現象はその点にあるのではないかと、かように考えるのでございます。定額制を実施いたしまして、私ども顧客であるところの大手筋へ参りまして、一応新しい運送法によつて定額制というものは実施されたんだ、従つて在来の運賃というものを一つ改訂してもらいたい、契約を変えてもらいたいと言うと、それじやあなたのところは手を引いて頂きたい、私のほうにはこういつたような目家用がたくさんあるのだと、而もこれは一日幾らでもよろしいのだと、あてがい扶持でよろしい、そういうことなんだから手を引いて頂きたい、こういうようなことになりまするので、結局はそれに引摺られまして、やむにやまれず定額制は厳守されないのだという現状であるのでございます。  今日は岡本部長さんもお見えのようでございますが、この問題に対しましては、御当局に対しても再三陳情もいたし、御考慮を願うようにも申上げてあるのでございまするが、如何に陸運当局がラジオにより、或いは文書によりまして宣伝をいたしましても、使用者に対する何らの方途も講ぜられておらないのでございます。定額制を守らないならば、我々業者はその取締りの対象になりまするが、一方使用する方に対しましては何らの法的措置が講ぜられておらないのでございます。私も二、三年前にアメリカのたばこにあこがれまして、たばこをもらつたものだから、よろしいと思いましてふかしておりまして、岡崎の専売所にとつつかまりまして始末書を書けと、もらつたものであるから差支えないじやないかと、こう申上げたのですが、いや、これは専売法によれば、もらつたといつてもこれはいけない、所持しておるものもいけないので始末書を書けと、一本取られたような次第でございまして、いわゆる法をもつて定められておるものは、その全般が一応その法の適用を受けるにもかかわらず、このトラツクの場合、定額制というやつは、ただ単にトラツク事業者に対してのみの取締りの制度でございまして、使用者に対しては何ら勘案されていないところに大きな欠陥があるのではないか。このまま行つたならば、定額制というものは何百年たつても実施は絶対にできないのだと、而も公共性があるから云々と言われましても、そして頭打ちになつておりながら、今もいろいろ意見が出ましたが、私鉄、バス関係ばかりでなく、トラツク関係におきましても、十二分の給与を支給することができない、労務者に対する支給ができないという大きなやはり、経営を如何に合理化しようといたしましても、そういつたようなことに制約されまして、いわゆる採算のとれない点が多いのでございます。ここで私は定額制の実施に伴つて、皆さんのお話になりますように、会社の経営というものが、結局労務者の心境に及ぼす影響が大であるというところも加味勘案いたしまして、ぜひ早急に何らかの方法によりまして、かかる免許業者以外の自動車を使用してはならない、使用した者に対してはかかる処置がとられるのだというような法の適正なる裁定があるような工合に、道路運送法のほうにか、或いはその他の取締りのほうにか入れて頂いて、いわゆる闇運送業者を助長することのないような制裁規定を御当局においてお考えになつて頂ければ、恐らく不当なる自家用自動車の数は激減することであろう。かように考えるのでございます。今日も盛んにいわゆる擬装自家用の調査をいたしております。ご当局に報告はどんどん出しまするが、最近の法によりますれば、いわゆる登録と使用権という問題に対しましては何らの制裁規定がないところが相互に、役所関係或いは又私どもにおきましても、一大の盲点でございまするので、幸いに事故を如何にすれば少くなるのだかというような、こういつたような機会に公述させて頂きまするこの機会を得まして、強調いたしまして、ぜひ不要なる自家用トラツクの数を減らす。その半面におきましては、然らば適正なる業者というようなことも考えられるわけですが、それは陸運当局のほうで十二分にお考えになりまして、まあ大体におきまして、東京トラツク業界の総体の数字によりましては、今日なお車両には輸送余剰があるのでございます。輸送力の余剰を持つておりまするので、そうあまり殖やす必要はないのじやないかと、かように考えまするが、若し自家用が有償行為によるそういつたような輸送力の実績というものがありますれば、適正なるこれも措置によりまして、その面は新しい免許業者として許可になつて行くだろうと考えるのでありますが、いずれにいたしましても、この席を借りてのお願いは、有償自家用を使用されるものに対して、適正な制裁法が勘案されますることを希望いたしまして、私は公述を終りたいと思います。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 次に、全国自動車運輸労働組合連合会小松崎君。

小松崎隆次全国自動車運輸労働組合連合会会計係

○参考人(小松崎隆次君) 伊坪さん或いは坂寄さんのほうからいろいろ運転手の実態というものをお話いたしました。今深井さんのほうから自家用車の問題で大分お話をされておりましたのですが、その点について、やはり自家用の許可制という問題で直接或いは間接的に事故の撲滅になるのではないかということを申上げます。  道路運送法というのは、私たちは適正な運営或いは公正な競争を確保するためにあると、それが現在のトラツク事業では殆んど適正な運営がされていない。現在東京には大小さまざまな業者がございますが、大体一千社余りというふうに聞いております。これに対して大体自家用自動車は約二倍半である。この自家用の許可制については、運輸省令できめられたところの届出さえすれば認可される。或いは使用されるというようなことになつております。私たちは自家用車の許可制についてどうして反対するか。純然たる自家用車についてはとやかく言わないのですが、その中に今も深井さんのほうから話された営業行為をする車がある。この営業行為をするいわゆるもぐりということですね。このもぐりは、家内工業的な一人か二人、或いは四人くらいまでの全くの低賃金と、それから労働強化の強要、それから車の乗り潰しだとか、或いは又闇屋的の行為でいろいろ考えられるやり方で行なつているのでありますが、こういう中で営業車の脅威は非常に大きいのであります。九月一日大阪の陸運局管内での実施を皮切りに行われました運賃定額現払制が、これが運賃ダンピングの防止というので実施されたのだと思いますが、自家用のもぐり営業によつてその成果を全然見ていないというのが現状であります。従つてこの自家用のもぐり営業によつて営業車が非常に響いている。営業の経営者たちは、それを私たち運転手の労働強化と或いは低賃金或いは労働時間の延長と、そういうようなところでしわ寄せを行なつて経営をしている。一例を申上げますならば、トラツクを定期でやつている。遠い所では東京から姫路或いは広島あたりまで行つている。その中で限られた人件費で人を使うのでありますから、なるべく人を使わないという方法をとつてやつている状態であります。それですからこの自家用問題も直接事故の撲滅、或いは我々労働者の労働賃金或いは、労務管理と、こういう問題に触れて行くのではないか。この点も委員会でよく審議されて頂きたいと思います。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) それではこれより質疑に入りますが、本日の政府側といたしまして、運輸省の自動車局業務部長岡本君。警察庁の警備部警ら交通課長後藤田君が出席されておりますので、念のために申上げておきます。それからなお波多野さんが少しお急ぎのようでありますので、できれば波多野さんに対する質問を先に御発言願つたら如何かと思います。  それではこれから質疑に入りますから、御発言の方は順次御発言を願います。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 波多野さんにちよつとお伺いいたしますが、東京の実情から見ますると、御承知のようにもう陸上自動者交通事業というものの飽和点という行き詰り段階に来ている。何とかしてこれを防止して解決しなければならんという現状に来ていると思うのですね。更に事故の原因とかいろんな問題は、そういう中でのお互いの競争と、そして労働強化とかいろんな複雑した問題があろうと思うのだが、ここまで来て更にこれを将来どう処理して行くかということのために、私は一つ疑義があるのは、取締当局と許可する陸運局との関係が、どうも意見が一致し、一体になつておらんように考える。極端にいえば、許可するほうはどんどん許可する。取締りをやるのは取締りだけやればいいというのでぴしぴし取締る。こういう姿が現われてやせんかと思うのです。こういう基本的な線に基いてあなた方が御覧になつた場合に、現在でいいのか、或いはここを少し調整して行かなければ、基本から直して行かなければならんのじやないかとお感じになるか一つ教えて頂きたい。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) その点大変私も同感なんです。おつしやつたように、許可するほうは許可する、取締るほうは取締るのだ、こういうことですが、その話を聞いておりますと、取締るほうじや文化がだんだん向上して来れば、それに並行して自動車は殖えて来る。それによつて取締方針を定めなければいかん。それから許可するほうは、ただ免許の申請があつて、これがいろいろな角度から検討すれば、需給の釣り合いということは二の次として許可している。こういう傾向がここに来たのだと思います。そこで先ほど申しました通り、勿論これは国が発展し文化が向上して来れば、自動車の必要性というものはより以上多くなることは当然ですが、タクシー、ハイヤーの現状から見ますと、現在は飽和状態だということが私ははつきり言えると思います。同時に今の状態は、国家的な見地から考えましても、あの無駄な輸入は燃料を消費し、ゴムも、いわゆるタイヤーもその通り、それに並行する鋼材、特に最近は、最近といいますか、戦争直後からいわゆる貴重なドルを使つて外車を謳歌してやつているこの姿というものは、より国家的な見地から考えて不経済なことだと思います。今おつしやつた取締りと免許関係との不統一、この点について、もう少し私は取締りと免許する関係との話合いと申しますか、いわゆる連絡をするようなことによつて許可の方法も一つ考えて頂きたい。戦争前には今の取締りと認可制度が一体であつたが、戦後これが分離したためにそういう傾向が非常に多い。これを一体にすることはむずかしい。何かもう少し連絡を密にして、勿論免許関係を慎重にやつてほしい。こういうことを考えます。  それから先ほどの話に附加えて、これは伊坪さんから大分お叱りを受けたのですが、事故の原因について業者が実にだらしがない業態をやつておるということをいろいろ指摘されましたのですが、それはその数はたくさんあることですから、中にはそれはだらしのないのもあるかもわかりませんが、今おつしやつたことを聞いておりますと、何か全般的にタクシー、ハイヤーの業者はでたらめでだらしがないというようにお聞きしたんですが、決してそういう不まじめな業者ばかりでありません。全国では、ちよつと私記憶がありませんが、東京だけでも三百の業者があるんですから、中にはありますけれども、今伊坪さんにお叱りを受けたようなことを、全業者がそういう素質のものだというお考えがありましたら、一つ御訂正を願いたいことをこの機会にお願いしておきます。  それからもう一つ、先ほど申し遅れました名義を貸していることが伊坪さんから言われました。これはその通りということは、一つの会社が百台で来ておると、実際にその車を持つておる主は百人あるか九十人あるか知らんか、運転手がその免許を借りてやつている。権利金を取つておる。これは事実あるのです。これが今この業界の事故を発生する一つの原因になり、業界を混乱させる原因にもなり、又事故の補償をするだけの能力がない。こういうことは大きな一つの原因になつておる。これは伊坪さんの言われたことと同じことであります。それとまあ業界が不統一とかどうとか、こういうことは私はあまり事故の発生の問題にはならんと思います。要するに先ほどの、もう一つ附加えて申上げたいことは、労務管理が、何といいますか、完全にできていない。それから整備関係がよく整備が完了しない。それから定員外の者を乗せるとかどうとかいうことは、いわゆる先ほど申しました企業に無理があるんだ、それがこういう形でいろいろと現われて出て来ることと思いますから、附加えて一つ申上げておきたいと思います。  今の免許と取締りの関係については、非常にこれは緊密な関係にあるから、法律的にそういうことはできれば結構であるが、それまででも一つ緊密な連絡の下に、これらの調整のよろしきを得たい、こういうふうに私は考えております。御参考までに……。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 波多野さんお帰りにならんうちにいま一点お伺いしておきたいのですが、今言われました名義貸しの問題云々につきましては、大体伊坪さんと意見が同じということですね。それからもう一つは、先ほど来運転手が事故を起した場合に、二重処分を受けている、これは昨日今日の問題じやない。長くから自動車の運転手だけ特別虐待しているような法律じやないかということで、かなり長い間議論されて来ておるんだが、事故の起きた原因はどこにあるかということは又別問題にして、起きた結果からして現在のその処分方法が私は恐らく、警視庁の交通課長がここに来ておるかどうか知らんが、運転手を取締まれば事故がなくなるというようなことくらい不思議なことはない。極めて一部の人間の考えたことと思うのだが、若しそういう考えを持つとするなら、こういうところから根本ができているし、そういうことになれば、運転手、いわゆる働く者ばかりでなく、経営している波多野さんのほうにも同じ警視庁から圧力がかかつて来る。自動車業界全体に圧力がかかつているか、運転手にかかつているかということの問題になりますが、一つあなたにお聞きしておきたいことは、この圧力の問題はこれは力関係だ、運転手の組合より業者のほうの組合が力があるので、おれのほうはそんなに圧力がかからないということになると、それならそれで結構だし、両方にかかるとなると、一般的な問題で、警視庁とか運輸省の問題の立場になろうと思いますが、そういうことをお聞きしたいと思うことと、今の二重処分ということに対して、これで業者のほうとしてはいいとお考えになるのか。これは運転手の処分と一緒になつて、自動車に関係する業者としては、もう少し緩和することを考えなければならんというようにお考えになつているのか。最後に、同時にこれの運動というようなものを具体的になさつているのかどうかお聞きしておきたい。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) 二重負担のことですが、これは非常に私らも働いている者に対して酪なやり方だと常日頃考えまして、いろいろ我々の団体もありますから、これらのことについても、この負担の軽減に努力しておりますが、未だそういう曙光というか、或いは理解ができないというのか、そういう結果が実は現われて参つておりません。それからそれじや何か取締関係で経営者側にも同じ圧力が加わるのではないかというお話でしたが、これという圧力というようなものは別に我々は感じたことはありません。ということは、それは何かいわゆる事業者側に対しての、いわゆる法に触れることがあれば別として、これということはありません。併しこの点は一つ自動車経営に関する限り、税の荷重というものが非常に多いということは、私は常に痛感しているのです。実はその一つの例が車両に対しての税金がかかり、又道路使用税とかいつてそういうものもかかり、それからそのほかにガソリンにも税金がかかつておる。なおかつ経営上のいろいろな税がかかる。非常にこの自動車に関する税の負担というものは、他の企業に対して非常に多いという感じをいたしておりますから、こういう点をいろいろな機会に一つ御配慮願いたいと思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 波多野さんにちよつとお伺いしておきたいのですが、先ほどのお話にも協会が幾つにも分れておるというようなことを聞きましたのですが、この協会というものは、経営上において相当の統制力を持つているものか、その点はどうなんですか。例えば走行キロの問題が問題になつておるのですが、走行キロを四百キロだとか何とかいうこと、そういう点についての申合せの統制力についての問題は……。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) 協会というものがそこまでいろいろな統制といいますか、それだけの力はないのです。それと、そこまで実はなかなか話がまとまらないから、今指摘されましたように、幾つもあるというような状態ですが、これは何としてもこの協会というものが一つの固まりになつて、個々の小さな問題は、おのおの企業によつて利害が伴つても、総合的利害関係の同一のものがありますから、この点の統一が乱れておることが、いろいろな関係にある不統一を暴露して、各企業の発展に大きなマイナスになつておるということと、又これの取締官庁としても、主務官庁としても、その不統一によつてどう処理することがいいか。全業者の声がいずれにあるかということの判断も誤られるようなことが間々見受けられることを思つております。

伊坪福雄全国旅客自動車組合連合会中央執行委員長

○参考人(伊坪福雄君) 只今波多野さんが、業者自身が腐敗してないというような面でございますが、私は実例を挙げて腐敗しているということははつきり言えると思います。労務管理の面でございますが、これは二十八年の六月の十五日に、最前申上げましたように、はつきり三者共同勧告があつたわけです。これに対しまして、どのような働きを業者がしたかといいますと、参議院の労働委員会において、これは全乗協の藤本副会長が主になりまして、このような勧告を私のところに持つて来てもだめだ、今の基準法が合わないんだから、先ず基準法を改正したらどうか、こういうような本末顛倒した動きを業者が示しておるわけであります。そういうことからいうと、私はこの二十一カ条を見まして、どこを見てもこれは間違つたところは一つもないと思います。これが実施してないというところに、労務管理の大きな杜撰さがあるということ、それから不統一の面、不統一はこれははつきり私は事故と関連性を大きく持つておるということ、業者がはつきり統一したところの態勢を組んでおれば、最前名義貸しが大きな紊乱の情勢になつておる、この名義貸しという運輸行政の弛緩は、業者の不統一が生んだ畸形児であると思う。それを波多野さんが関連性がないということは、少し当を失しておると思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 ちよつと関連して二、三お伺いしたいのですが、今の伊坪さんのお話になつたように、例えば三者勧告の問題もありますし、運輸省から無理な労働条件で従業させてはいけないというような、勧告の趣旨も委員会に陳述しておると思うのですが、それに対して業者としてどういうような対策を持つておられるかということですね。勧告は聞き放しであるのか、或いは運輸省からも三者、東京基準局長、東京陸運運輸課長、警視庁交通部長、この三者のタクシー業者に対するところの労務勧告というものも出ておる。或いは運輸省からもそういう指示が出ておる。こういうことに対して、業者としてどんなような対策なり考え方を持つておられるか、ちよつとお伺いしたいと思います。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) それは非常に業者としては、そういう勧告を受けたということにつきまして責任を感じて、各団体でいろいろとその勧告の趣旨に副うべく、いわゆる努力いたしております。特にこれはそう申しましては何ですが、こういうことは申上げて非常に失礼ですが、全般的に非常に小さな業者がありますもので、そういうところではこういう勧告を受けましてもなかなか困難だと思いますが、良心的な相当の会社におきましては、その勧告文の趣旨を十分体して事業面に実施しつつあると思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 非常に抽象的なお答えのようですが、先ほどあなたの陳述の中に、事故の原因について、需給の関係の釣合いがとれていない、従つて非常に業者も無理をする、その無理を従業員に押付けるより仕方がないのだ、こういう状態になつて来ている。無理を従業員にも要求するというような工合に仰せになつているのですが、その従業員に要請される無理の内容、どういうような無理をやはり要請しなければならないか、具体的にお伺いしたい。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) これは全般的に運転手に無理を全部押付けるというわけではないのですが、まあいずれの企業でも、経営のバランスが困れば、あらゆる面に無理が行くと思います。従つて運転手の待遇が意のごとくならないとか、車両の整備が完全にできないとか、或いは事故の補償制の確立が困難だとか、そういうことがこれはもう起きて来る。現に起きておると思います。それは特に小業者に多いと思います。その一つの例が、賃金の固定給のごときにおいても、又年末給与においても或いは退職金制度、そういう面においても小業者にはなかなかそういうことが計画的に実施されていないと思います。幸いにして大会社においては、一応そういうことは確立しておりますが、実際面でこれだけのものがこうだということ、数字には現われていますが、これはもう企業というものの原則としてですね、企業のバランスに不自然なものができて来れば、今申したような面にどうしても寄せられて行く、こういうことです。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 私の聞きたいのは、そういうような貸金等の無理、こういうことと別に、いわゆる現在の事故はスピード違反の事故が相当多いように聞いておるんですが、これが例えば四百キロの走行ノルマ、或いは四百五十キロの走行ノルマというものを運転手に要求をする。或いは相当長い労働時間というものを要求をする。こういうものはいわゆる私は企業の困難というものと又別に、それに対する法律があるんじやないか。法律がある。そういう法律を破る。法律を破つて来いというような無理なこの要求は私はどうも腑に落ちないところがある。例えばまあ波多野さんのところは相当大企業であるので、そういうことはないと思いますが、ほかの企業ですね、あなたの協会に加わつておるところの企業においても、四百キロを走つて来いということになれば、スピード違反をやつて来いということになるのです、事実上。そういう要求をされること自体、協会としても自粛の方向に持つて行くように努力をしなければならないと思いますし、又半面においてそういうようなことを要求して、スピード違反にかかつた場合の罰金、科料ですね、これを運転手に負担させて知らん顔をしておるということも、私は適当ではない。先ほどもバスのほうでは会社負担なり或いは共済会の補償なんというものがあるようですが、ハイヤー、タクシーのほうではそういうものがないように聞いておるんですが、ですからまあ協会のほうとしましても、そういう法律違反になるというようなそういう無理を要求するということ自体がよくないのであつて、これは自粛しなければならないのではないか。或いは又若しそういうところがあれば、そういうことをやつて交通違反をもつて科料、罰金をやられる場合は、これは会社が負担すべきではないか、こういうふうに考えるのですが、波多野さんのお考えと協会の指導方針というものを伺いたいと思います。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) 業者なり協会が、今おつしやつたように、これはまあ極端な話ですが、スピード違及をしてまでも働いて来いというようなことは微塵も言つておりません。併し結果的には一日この程度の収入を挙げないと会社のバランスがとれないから、挙げて来いということは相当強要する会社があると思います。これは事実あると思います。だが、スピード違反までしてやつて来いというようなことは、決して協会としても指導しなければ、業者としても指導しない。結果としてはそういうことになるかと思います。その原因を突きつめると、大会社においてはそういうことを強要いたしません。一つの車が一日どれだけの収入を挙げなきやいけないというようなことは、大会社においては決してそんなことは言つておりません。が、小業者においては、そういうことを協会においても間々聞きますが、協会においてはそういうことを自粛させる何か強力な手段があるかというと、そういうことはなかなか統一がとれない。そういうことが、先ほど申しましたように、話が逆戻りいたしますが、何としても戦争後に小さな業者を濫立させたということと、今申したような原因、名義貸しというような不自然な業者をここに許可したということが、これはもう過去のことですからやむを得ませんけれども、大きな原因をなしているということだけはこれははつきりいたしております。それを今更どうすることもできぬから、現在その名義貸しというものをいろいろな形でなくするべく研究しておるけれども、未だ実施の域に立至つていない、こういう状態でございます。同時に我々常に考えることは、いつも私はロにいろいろな会合の席で申上げることですが、一体タクシー、ハイヤー、ハイヤーというものは、それほど極端じやありませんが、タクシーというものは一日三百キロも、四百キロも、まあ一口に言うと大阪までふつ飛んで行つてしまうようなことになる。そういう苛酷な従業員に労力といいますか、労働をさせなければ、この企業が成り立たないというような私は業態というものは、これは企業として取扱えない、常に私はそういうことを言つております。少くとも二百キロか二百五十キロ程度で運転手も事故をやらない、安心をして働いて企業も成り立ち、風労者の待遇もできるというような形にならなければいかんということを実は強調しておるのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 波多野さんは全く私の意見と同じなんですが、そういうような企業という名前がつかないというふうに思うのですが、ここで伊坪さんにちよつとお伺いしたいのですが、今の波多野さんのお言葉によると、協会も業者もスピード違反をやつて来いというようなことは決して言つていないと、こうおつしやるのですが、先ほどのあなたのお言葉だと、四百キロ走つて来い、四百五十キロ走つて来いというのが一つの要求になつて、それをやつて来なければ首になる。これは重大問題だ。そこが食い違つておると思うのですが、私は四百キロ走つて来いと要求する業者、或いは要求される運転手の数のほうが多いと思うのですが、それはどうでしようか。

伊坪福雄全国旅客自動車組合連合会中央執行委員長

○参考人(伊坪福雄君) その面は全国乗用車協会の副会長をやつておりました藤本氏が参議院の労働委員会において、大体業者の統計の中から見ても、三百五十キロから四百キロを走つているのが通例であると、これは公述しておるわけです。そういう面から、これを走つて来いと強要するという形は出なくとも、やはり全般的にそのように走つておるという形が出ておるのですから、これは協力しなければ業務に協力しない、こういうような形でなされるわけです。ですからもう一つ警視庁といたしましては、違反をする運転手を不良運転手と言つているわけですが、業者のほうからいうと、科料も罰金も全部運転手持ちです。これは違反をどのように犯しても、そのノルマだけ稼いで来さえすれば優良運転手だ、ここに事故の起きる要素があるのではないか、こういうふうに思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 ではこの問題はあとでするとして、もう一つ波多野さんにお伺いしておきたいのですが、名義貸しという問題も重要な問題だと思うのです。これは政治の貧困があると思いますが、業者のほうも名義貸しというものを根絶するためにはどうしたらいいか、その対策について何かお考えがおありになればお伺いしたいと思います。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) これは非常にむずかしい問題で、最近それを実はいろいろ会合の席の話題に載せて論議をいたしておりますが、これを何とか正常の業態に戻さなければならんということはわかつているが、さあ、それでは今おつしやつたようにどうするかということの具体的な案が非常にむずかしい。そこで私はいろいろな機会に、とにかくこの業者というものが一応いいにしろ悪いにしろできてしまつた。できてしまつたものをいけないからこれを切つてしまう、こういう行き方はいかんから、何かそれに補償ということもむずかしいが、援助する形をとらなければこれは撲滅できない。そこでこれは私の案ですが、まあ一つの具体的な例として申上げると、百人の名義貸しのものがあるとしたら、これはそれを出資させて株式会社に変えて行く、こういう行き方も一つある。ところがそれは過去にやつてみたのですが、結局この業界の一つの言葉として出ているいわゆるどんぶり勘定と称するのですが、そういう形をとつておるのだけれども、計算ば実際に一人々々のどんぶり勘定というのをやつている、こういう実態ですが、これは我々全業者が話合えば何かこの名義貸しの立ち行く方法は具体的にこれは見出せると思います。そういう方法をとつて正常に載せなければいかん、かように思います。が、なかなかその具体的方法というものは現在まだ見出されていない、こういうことでございます。  それからもう一つこの機会に私附加えて申上げたいことは、この業界のあまりにも乱脈な状態というものが、金融機関において非常に現在警戒されつつある。その一つの例が、戦後僅かの車両程度の業者のときには、非常に金融機関というものが一つの企業として認めて、これの育成に金融面でいろいろと援助をしつつあつたのです。ところが最近の乱脈な状態のために、金融機関がこれらの援助といいますか、助成をむしろ打切つたという形ですから、なお更この業の事故というものは、このままにしておけば多くなると同時に、その事故の跡始末というものも今の状態ではできない。そこでどうすればいいかということは、私はもう少し企業の数を減らして、企業体を大きな形体にすることも一つの方法だと、さように考えております。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 名義貸しの問題は非常にむずかしい問題で、今の波多野さんの言われるように、できてしまつたものに対してこれはすぐつぶしてしまえということはいかんだろうし、それから一概に名義貸しは悪いというように聞えるが、そこに働いておる車両主が必ず悪いということにはならんのじやないかと思う。そういう形態を認めて来たということには疑義が若干ありますが、車両主とすれば、十年も二十年も運転手をやつて漸く車一台ぐらい買えるようになつた、波多野さんのように大資本家にはならないが、これで目分もやつてみたいというので、さて営業するということになると、十台以上か二十台以上持たなければ常業できないということになるから、それで仕方なく名義貸し人の名を借りてやつて行く。それを悪用する人、それを本当に純真な気持で、さつき言つたようにアパートができたり待合ができたりするような感覚でなく、名義貸しの手数料であるというようなことで正常な運営をしておつたとすれば、これを非難することはかなりむずかしい問題になつて来ると思う。漸く車を一台だけは買えるのだが、一台だけ買える金を銀行に預けておくより、自分で事業をしてみたいと折角やつておる人を、今ちよつとつぶすわけには行かないので、これは十分検討する余地があると思うので、まあ運営もできれば、合同タクシーというようなものに切換えて行くという必要があると思うので、この辺はぜひ一つ今言われたようなことで、あとで又御相談にも乗つて頂きたいし、御協力も願いたい。  もう一つ伺いたいことは、先ほど伊坪さんのお話の中にあつたのですが、私はそんなばかげたことはないだろうと、こう思うのです。又波多野さんが考えても、お宅のように国際自動車労働組合等が立派にやつておるところの社長さんではそういうことはわからないかもしれませんが、自動車が労働組合を作れば、それを弾圧するとか首にするとかいうこと、これは労働組合に対する認識という問題になろうと思うのだが、労働組合を作つてやろうということは、組合を作つて組合の権利、そして自分らの主張だけ通そうということをするがごとき組合は、今日ではおおむねなかろうと思うのです。会社の経営の面が悪ければ、その面を一緒になつて相談し、その面からもお互いに自分も経営者の一団になつて行こうじやないか。又会社の経営の行き過ぎや或いは労務管理の不徹底の面があれば、そういうことも改善して行かなければならんじやないか、両面から作るのが当然じやないか。それを首にしてしまうというようなことは、さつきたしか伊坪さんのお話の中にあつたのですが、そういうものが現在あるのかどうか。それが業者の中にあつた場合には、協会としてはどうしているのか。互いの力で労働組合を育成して行くという、そういうことのできる機関になつておるのかどうか、御参考までに一つ聞かせて頂きたいと思います。

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) どうも今のお話が業界の全般の状態かに各委員の方がお考えになつているかというような感じがいたしますが、これは業者が、先ほど申しましたように、東京だけでも三百近いのがありまして、中にはそういうのもありますけれども、全般的には組合を作ればそれを首にするとか解雇するとか、そういうことはそれはもう特例でありまして、全般的の問題でありませんから、その点は一つ御認識願いたいと思います。同時に、各協会でもそういうものが、中にそれではあつたからといつて、それを取上げてその協会の育成なり、組合を育成させるとか、或いはどうとかとあまりそういう個々の問題については関与をいたしておりません。ということは、もう現在の時代に組合を作るということは当然すぎるほど当然なことで、それを作つていいとか悪いとかということをどうこう言う業者というものは、それはあまり私自身も聞いたことのないようなことで、あまりそれは取上げてどうこう言うべき問題でないと思います。さよう考えております。と同時に、そういう実態でございます。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 今の点に対して伊坪さんどうですか。あなたの報告と大分違う。波多野さんの言うように、むしろ今どき組合を作つてはいかんというようなことを言う人はなかろうと思います。そういうことは、私自身が業者になつたとしても、自分の仲間にいるということになれば、そういうことをロにするのも好ましくないように感ずると思うが、現実はどうなんですか。今の波多野さんとのお話の関係で。

伊坪福雄全国旅客自動車組合連合会中央執行委員長

○参考人(伊坪福雄君) その面は、資料をここに持つて来ておりませんが、資料を出せというならば、如何に関東同盟の方々がそのような問題でもつて、社長とかけ合つている件数が多いかという実際の数字を、あとで資料として出してお目にかけたいと、このように思つております。  それから、これは最前申しましたように、名義貸し整理委員会に入るときも、そういう労働組合を参加させるか、参加させてはいかんというような、波多野さんのような経営者の方々は参加させてもよろしいという線を出したらしいのですが、全乗協の局長は、労働組合は絶対に参加させちやいかん、おれは労働組合は大嫌いだ、こういうことを公々然とそういう席上において発言しているのです。私はこれは波多野さんは自分の業界のお仕事が非常に御多忙なので、そういうところまで目が届かないので、そういう発言がなされたものだと、さように考えております。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 ほかの方々の御質問がなければ、波多野さんは大変お忙がしいようだから、お帰り願つて結構です。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) ほかの方はどうですか。ないようですから……

波多野元二国際自動車株式会社社長

○参考人(波多野元二君) それでは大変失礼ですが、四時までに用件がありますから失礼さして頂きます。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) どうも有難うございました。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 これはさつき波多野さんが、聞かれる前に波多野さんのほうからすら言われて、交通巡査が違反を取締るということは、何か点数を稼ぐのだ、これはまあ巷間伝えられることなんだが、巡査が一番点数の上るやつは、自動車の運転手をつかまえて吊し上げするのが一番点数を稼ぐそうです。ひゆうつと走つて来るのをつかまえれば、幾らでもこれは違反なりと認めれば簡単に、ちよつと停止線をごろごろ転がれば、これは違反じやないか。或いはスピードを、今のような東京を例にすると、これは成規のスピードを若干出るかも知れません。ところがスピードが若干でも出て早く仕事ができそうだなというところには、必ず白い兜をかぶつたやつがお隣りにさつと付いて行くということになると、それはもうごちやごちやするところは、人の歩くのと同じですね。漸く自動車の使命を完遂できるなと思つてしやあつと走つて行くと、やはりスピード違反だということでつかまえると、東京なんかの例をいうと、タクシーなんか商売にならない。急ぐなら歩いて行つたほうがいいというようなことになつてしまうので、交通機関としての機能を発揮できないと思いますが、これらの点の取締りの緩急よろしきを得たと申しますか、そうかといつてスピードを出していいといつてはいかんと思うのだが、今言うようなここらに目をつければ、東京でいえば、警視庁の巡査が一番成績の挙る、点数の稼げるというような点があると思うのだが、ここらはどういう形で言い現わしていいかしらんが、もう少し緩和してもらうことを考えなけれぱならんのじやないかということが一点と、それから一遍に千円の科料であつたものが千五百円に上つたという基礎、基礎というか考え方がどこにあつたか、それを一つ。それから勧告書を出しておるのだが、この勧告書をどことどこ宛てにするのか。今のような仮に旅客自動車に出したとするなら、旅客自動車御中で一本出したところで、三つも四つもあつてその旅客自動車自体がうまく行つていないとするならば、極論するならば業者に一人一人これを突きつけんと徹底しないのだが、そういう意味の徹底はどういうようにしておるか。言い換えるならば、運転手のほうも取締ることは結構なんだか、業者のほうも同じ感覚で取締つてやらなければ問題は解決できんと思うのだが、その点の三、四点ばかりを一つ聞かして頂きたいと思うのです。

後藤田正晴警察庁警備部警ら交通課長

○説明員(後藤田正晴君) 交通違反を取締れば巡査の点数が挙るのではないか、そこで無理な取締りをやつておるのではないか、こういう御趣旨が第一点の質問のように考えますが、私どもとしましては、交通違反の取締りの方針は交通事故原因を分析をいたしまして、その原因が奈辺にありや、その原因を突いて行くといる点を主眼にして取締りをやるようにということは、しばしば全国の課長会議の際等におきましても強く私から要望をいたしてあるのでございます。ただお話のように、第一線の巡査の取締りの面でやや適切を欠くというような取締りがあるということは、私も否定はいたしません。併しながらそういうことは私どもとしは機会あるごとに、例えば違反であつても先ず先ず現場で注意をすれば済むといつたような程度のものは、これは違反として扱わないでよく指導取締りをやつて行くように、こういう方針の下にやつておるのでございます。点数の問題につきましては、これは交通専務員にはそういつた点数制度はございません。ただ外勤の警察官につきましては、これは旧国警の管内においてはそういう制度はなかつたのでありますが、大都市の自治体警察におきまして、外勤警察官の勤務成績評定という、いわばアメリカで申しますメリツト・システムを採用したのでございます。と申しますのは、交通専務員であるならばこれは署の交通主任なり本庁の課長、係長の目が直接及ぶのでございます。ところが外勤巡査はこれはいわば独立勤務になつて監督の目が離れるのでございます。そういう意味合いにおいて、大都市警察で点数制度というと言葉が悪いのですが、いわゆるメリツト制度を採用しておる。これは事実でございます。ただそのメリツトの内容は、交通違反を幾ら検挙いたしましてもメリツトは挙らないような内容になつております。それはどういう点を主眼にしておるかと申しますと、主眼は防犯点が第一でございます。これを中心にして運営をいたしておるので、そういう点について軽微な交通違反を検挙すれば点数が挙るのだ、だからやるのだといつたよう誤解がございますならば、これはぜひ御認識を改めて頂きたいと思います。少くとも現在のメリツト制度はそういうような内容にはなつておりません。この点は申上げたいと思います。  ただ取締りをゆるめるとか、ゆるめんとかいつた問題につきましては、これは先ほどからいろいろな参考人の方からの御意見もございましたが、現在の交通事故の激増の状況から見まして、私どもといたしましては、交通取締りは緩和する意図は遺憾ながら持つておりません。これはやはり取締りはどんどんやりたい、こういうように考えております。ただ併しながら私どもとしては、この交通取締りはやつてみて、警察の取締りだけで事故が減少するなんということは毛頭考えておりません。これにはいろいろな原因が、先ほどの各公述人の方からのお話がございましたように、相輻湊して事故原因をなしておる。従つてこれらの一つ一つに手を入れて行かなければ、これは到底その成果が挙らぬということは十分知つております。従いまして私どもとしては関係官庁、労働省なり或いは運輸省、こういう所とは十分連絡をとつて、それぞれの官庁でやり得るところはどんどんやつて下さいというようなことで、十分連絡をとつておるつもりでございます。そこで業界の方或いは運転手組合の方もあくまでも人命を尊重するんだと、事故がどうすればなくなるんだろうか、減るんだろうか、本当に現在年間十万件を突破するような悲惨な交通事故が発生しておる。これを人命保護といる観点から、それぞれの立場はありましようけれども、どうすれば少くなるんだろうかという観点から、一つ御協力を賜りたいと私は特にお願いをいたす次第でございます。現在の状況下で私どもの取締りを仮に緩和するということになりますれば、私どもの考えでは恐らく交通秩序は今以上に非常な紊乱を来たすのではなかろうか、こういうように残念ながら思わざるを得ないのでございます。従つて取締りは一つやはりやつて行きたい、こういうように考えております。  それから第二点の過重処分ではないかという御意見でございますが、これは第一点の科料、罰金の量が非常に高いではないかと、警察官の主観によつてどうもおかしいと、こういう御意見も聞いたのでございますが、これは一国の司法権の問題でございまして、私ども警察の立場でとやかく申すことはできないのでございます。あくまでもこれは私どもの事件送致をすれば、これは検察官の処分の要求に基いて裁判官が独自の立場で判断をして科料、罰金を科しておるので、私どもとしては何とも申上げかねるのでございます。  第二点の行政処分の問題でございます。この点については、法理論的にお答えをいたしますればいろいろなむずかしい問題があろうかと思いまするけれども、私はそういうやかましい議論でなしに、現実の面を申上げてお答えをいたしたいと思います。これは一昨日の労働委員会のときにもお聞きいたしましたし、本日のこの委員会においてもお聞きしたんでありますけれども、罰金、科料を納める、そうしますと、それを更に稼がんがために又無理な運転をやる、そこで事故を起す、こういうお話があつたのでございますが、これは私は一国の刑事政策としては本当に真剣に考えてみなければならん問題だと思いまするけれども、そのこと自体がすでに私はそういう危険な運転手を運転界から排除する必要はやはりあると、こう遺憾ながら申さざるを得ないように思うのであります。およそこの行政処分と申しまするのは、医者或いは薬剤師、こういつたような公共に非常な危険な影響を与える虞れのあるものについては、すべて許可の営業になつておると思いますが、これらすべて法に違反し、非常な危険を及ぼしたといつたようなときには免許が取消されるということは、これは私は当然あり得ることではなかろうか。私どもとしても、でき得ればこういう制度がないことは望ましいのでありまするけれども、これはやはり運転手の業務の危険性ということから考えてしばしば違反を犯す、或いは非常な重大な不注意によつて重大事故を起したといつたようなときには、当然私はこれは行政処分というものが伴わなければならんであろう、こういうように考えておるのでございます。  それから第三点は、勧告書の問題でございますけれども、この勧告書の問題は、これは旧制度の下において警視庁が実は勧告をせられたのでございまして、どこの宛先に対してやられたかは私は承知いたしておりませんので、お許しを願いたいと思います。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 これはなかなか、課長は課長の立場からのまじめさと自分の認識で言われておるのだが、たまたま交通取締りのほうを、取締るほうは非常にまじめに取締つて、例えば労働省に連絡をとつて運輸省に云々と言われるが、業者の方のおる所で甚だ失礼だが、業者に対する取締りのほうは極めて緩慢だ。例えば労務行政についても、機構の整備についても、車両の整備についても緩慢だということが一つ言えると思う。もう一つは、僕に認識を新たにしろと言われるのだが、あなたにも認識を新たにしてもらわなければならんことは、こういうことを考えたのだがね、自動車の運転手というのは、巡査が違反を見つけやすいからつかまえるということだけでなくて、例えば信号無視なんというのは非常にすれすれな場合があるのですね。運転手のほうは信号無視じやないつもりで、まだ注意だから通り越せる。事実は危険も何もなかつたというようなときでも、信号無視と言えば無視と言える。だからいろいろな実情から見て、これは大丈夫だつたという認定の上で、商売しておる者は、やる。ここのところで信号無視であつたとかなかつたということになる。要領のよい運転手は悪うございました、注意でとまればよかつたのを大丈夫だと思つて通つたのですが、悪うございましたといえば、いい相手ならそこで勘弁してもらえる。ところが相手が悪いと法律の注意を君は怠つたんだ、こういうことになる。そこで運転手は本当は争いたい。争いたいが、そんな問題を争つておると自分の米櫃のほうに関係を及ぼす。さつき言つた三百キロ、四百キロも走らなければならんし、この巡査と一時間もここで喧嘩しておる間には……、面倒くさいから千円か千五百円くらい納めても早く行つたほうがいいということから、交通事故が非常に行われている。信号無視とか停止線突破とかこれが一番多い。例えばよそから来たダツトサンのほうが悪いが、そのダツトサンの小僧つ子と喧嘩をして争つてみても、理窟は自分が勝つが、これを巡査も納得させ、小僧にも納得させるためには二時間もかかる。それなら千円飛んでも仕方がない、こういうのが運転手の実際の実情なんです。こういう点はあなた方全国の部長やら何か集めていろいろと聞かせる人は知つているかどうかわからんが、こういつた細かいところから来るそういう交通違反の処分が圧倒的に多い。みずから顧みてやはり交通従業員というものは、これはおれが悪かつたんだというようなものを頑張つたり、二重処分はけしからんなんとは言いやしません。自分だつて命が惜しいのだから、あちこちぶつかるような粗末な腕だつたらみずから運転手など転業するくらいな考え方になつているので、秋はむしろあなたの認識を改めてもらわなければならん。そういう意味で何もこういう人たちの処分だけを軽減しろということでなくて、警視庁のほうはまじめに法律を守らなければならんが、法律の運用を特にこの交通事故の運転手に対して十分考慮しないと、今言つたような泣きの涙で金を納めているというような現状は、恐らく運転手諸君の科料の七、八〇%くらいまではそういう実情なんです。人身事故とか大きな事故は別ですけれども、そうでないものは全部これに該当すると言つても過言ではないくらいに思う。さつき伊坪さんでしたかの陳述の中にあつたので、官庁の自動車は割合に交通違反に引つかからない。官庁はそんなに、何も幾ら偉い人を乗せても、君違反したらおれが違反代を払つてやるとは言わないから、運転手みずから払わなければならんから、大体違反しないように走る。信号もできるだけ注意する。それでも更に因縁の来るような場合には、仮に僕が乗つていたとすれば、あれは君不都合だよ、あの程度で交通違反だということで一々科料を取るのはけしからんということで、警視庁にも乗り込んで行くような場合もあるし、そういうような意味で何と言おうと官庁の運転手は処罰は少い。大体官庁の運転手は円タクの運転手に準ぜられるのが当然である。中には千人のうちにはえらい強い運転手もいて、意識的に、何を言つているのだということでやる人もありますが、おおむね泣き寝入りというのが多いのですから、そういう意味で私はもう少し交通取締りということを緩和というか、考えなければ、弱い者いじめという姿が常に出されているということをあなたに申上げたわけなんです。  それからその他の科料金云々の問題や、二重処分云々の問題は、運輸委員会だけの問題として部長対我々との間で解決のつかない問題で、従つて法務委員会とか或いは労働委員会とかの連合審査の形の上に立つて審議して行かなければならん問題だと私は思うのですが、これはあとで又、今年できるか来春早々やるか連合委員会を持つて処理して行くというようなことで片付けて行けばいいのじやないか。そういう点は御答弁して頂いても頂かなくても結構ですが、運転手に代つて申上げます。そういう点は十分お考えの上に一つ処置して頂きたい。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 この際私はちよつと取締り当局にお伺いしておきたいのですが、先ほどの答弁の中に、事故の原因を十分に追究をして行くのだというようなお話があつたのですが、ここで私は非常に疑問を持つ点が一点あるのです。例えばスピード違反。スピード違反をやつた原因を一つ追究をされたことがあるかないか。これは労働委員会で私は結論をお伺いしたのですが、若しその原因を追究されたとすれば、今参考人の陳述で明らかになつたように、四百キロものものが与えられているということになれば、これは罪はむしろ経営者にあつて、文句があつたら経営者のほうに言つてくれということになるのですが、そういう点はどうなんですか。

後藤田正晴警察庁警備部警ら交通課長

○説明員(後藤田正晴君) 確かに違反の一番多いのはスピード超過による違反、これが一番多いと思います。そこでそういう原因を探究しまして取締りをやるわけでございますが、確かにその原因を深く掘り下げて行けば、先ほど来経営者側なり或いは組合側なりからお話があつたような原因が私はあると思います。従つて私どもが本当に取締りをやつてジレンマに陥るのは、この取締りで運転手いじめにならないかということを我々は常に心配をしているのでございます。そこで私どもとしては、労働条件の問題或いは経営のやり方なんというものについて、それぞれの主管官庁に、何とか一つもう少しうまく行くように指導監督をしてもらえないだろうかということを、それぞれ実はお願いをいたしているわけでございます。私どもは御承知の通り取締りの権限しかないものでございますから、そういう面では十分実はやつておるつもりでございます。ただそこで深く掘り下げて行けば、そこに原因があるのではございますが、然らば違反をやつたときにそれを看過するというわけにはなかなか行きかねる。これは警察といたしましては、やはり結果によつて事件を処理する、ただ情状その他では勿論つけますが、そういうことにならざるを得ないという点を一つ御了承願いたいと思います。  そこで先ほどの重盛さんの御質疑にも関連しましてお答えしたいと思いますが、実は現在の刑事訴訟法の建前が、警察だけで事件を済ますというわけには参らんのでございます。すべて送致をしなければならない、これが現行刑事訴訟法の建前でございます。従来の旧刑事訴訟法時代の扱いとは全然違つている。併しながら交通違反の実態というものは、すべてを検察庁送りにするということは非常な無理があるということで、私ども特にこの点は法務当局にも話をし、警察のみで、送致をしないで、何とか説論というか、指導で済ますということを認めてもらわにや困るということで、現在そういう扱いをしておるのでございます。そこで一応参考に数字を申しますと、二十八年の例でございますが、検挙件数、これは違反の件数になると思いますが、全国で四百八十七万二千百四十二件でございます。それに対して検察庁に送りましたのは、九十二万五千九百三十七件でございます。このように警察のみで扱つて、いわゆる事件としては立てないという扱いもいたしておるのでございます。この点御了承賜わりたいと存じます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 そこでこの問題は相当これは根本的な問題になると私は思うのですが、恐らく今の運転手諸君の雇用条件というものも、或いは職場の環境というもの、こういうものから見ると、この事故の原因というものが、いわゆるそういう一つの労働条件から原因しておる。或いは又やむを得ざる非常な過労によつて生理的な自然現象がある。例えば明け方についうつらうつらと眠り事故を起す、これはやむを得ざる事故だと思います。事故の結果から見ればこれはやはりいろいろの問題があろうかと思いますが、あなたのおつしやる事故原因を追及するという方針から行きますと、恐らく運転手諸君の起すところの規則違反或いは傷害事故というものがこういう過労から来る、いわゆる肉体的な生理的な現象から来るものが相当あるんじやないかと、こう考えております。そこで先はど重盛さんが取締りを緩和せよという表現で言われましたけれども、私はこの場合に、取締りを強化するのだ、手心を加える考えはないのだ、こうおつしやいましたが、少くとも第一線の巡査というものは、これは取締るのじやなくて、大衆を保護するものだと思います。従いまして運転手諸君に対しましても、とつつかまえてすぐ科料を取る、或いはおどしつけて取締りをやるというのじやなくして、むしろ僕はやむを得ん場合はやむを得ん場合としまして、むしろ第一線の巡査はそういう運転手がおれば、なぜこんなことをやるのだ、これはけしからん、そういうことはやつちやいかんということで、十分説論する、或いは叱つても結構でありますが、叱り、説諭をする、そうして事故を防止するのです。事故が起きないように予防する。ですから私は結論的に言つて、予防しなくちやいかんと思います。できたものは幾ら処罰したつてできてしまつたのだからしようがない。人を殺して処罰さしたつてもう一遍やり直すわけには行きませんから、予防する。予防するについては、そういう一つの親切心といいますか、そういうことをしないとできぬのじやないか。従つてそういうような労働条件等から来るところの違反に対しましては、これはもうずつと重ねて、やむを得ませんけれども、これはやつぱり取締り当局としても、経営者なり何なり、全般じやなくして個別に、お前のところはこういう条件だからスピード違反になつてしようがない、考えなければいかんぞ、そういう説諭を与えるの至当ではないかと思います。そういうことをしないというと、先ほどの言葉で行くと、運転手はどうもたちが悪いというようなことで、何でもかんでも運転手が悪いのだ、運転手が悪いのだ、あれはたちが悪いのだといつて運転手に対して厳罰主義で臨んで行く、こういうふうになつて、これが延いては運転手諸君に精神的に非常な影響を持つて来る。この運転手という職業は、社会公益に奉仕しておる立派な職業である。にもかかわらず、精神的なそういう保護といいますか、そういうものから運転手という仕事が社会的の下積みになつておる。更に取締り当局から金を取られておる。私はやはり取締りということは十分やつてもらわなければなりませんが、同時に十分に指導ということをして頂かなければならん。私は法律ができたときの速記録を読んでみたのですが、丁度後藤田さんもおいでになつたと思いますが、宮城タマヨさんが言つておりますが、日比谷の交叉点の交通巡査が、違反をやつても、がみがみ怒る、怒るけれども一遍も処罰したことがない。怒られればはつと思う。運転手があそこを通れば、交通巡査がうるさいから気を付けて通るというようなことで、点数の点からいつたらゼロになる。併しながら社会的な一つの任務ということになれば、これは立派なものだと思う。こういうような方針を一つ打出して頂いて、そういうように指導して頂くことが必要じやないか。どうも今のお話によると法律にあるのだからしようがない。スピード違反だからしようがない。もつと極端なことをいえば、皮肉になるかもしれませんが、吉田茂が京浜国道を走るのに六十キロで走りましても、両側に巡査が立つておつて、総理大臣はスピード違反をやつてもいいという法律はないと思う。あれがぴゆうつと走つて巡査の前を平気で交通違反をやる。怒られないのです。ところが片つ方はちよつとしたことで怒られる。これは矛盾しておると思いますが、こういうことも言えると思いますが、課長さんあなたの頭の動き方如何によつて運転手が非常な影響を受けますが、もう一遍一つお考えを伺いたいと思います。その点どうですか。今の取締りの強化ということと、事故原因を探究するという点について。

後藤田正晴警察庁警備部警ら交通課長

○説明員(後藤田正晴君) お話の趣旨は私も十分よくわかつております。交通事故を少くするためには、やはり警察の立場においても、取締りのみでなしにいわゆる指導面を相並行して強化して行くといることでなければ、事故が減らぬということもよくわかつております。又事故が現実に起きたときに、よく原因を探究してみれば、現在の事業者の経営の方針が近代企業の枠からはずれておる、或いは勤労条件、給与制度等も非常に何といいますか、我々納得の行きかねるというような部面が根本の原因として横たわつておるということもじゆうじゆう私どもはわかつておるのでございます。ただ併しながら、それによつて事故が起きたということになりますと、そういう原因が根本にあるからまあまあというわけにはちよつと私どもとしては実は参らぬのでございます。やはりこれはそれぞれ事件として扱い、取締りもやらねばならんということになつて来るわけでございます。と申しますのは、これは或いはお叱りを受けるかもしれませんけれども、およそ運転手というものは危険の業務に従事しておる、人命を預かつておるということから考えますならば、疲れて居睡りが来そうだというようなことであるならば、およそ走るべからざるものであるという業務上の責任が私はあると思うのでございます。そういうような点も我々としては理由はよくわかつておるので、その根源を正して行くという措置は十分これはそれぞれの官庁でやらねばならんと思いますけれども、起きた事故に対しては、やはり警察としてはそれぞれの処置を講ぜねばならんということは一つ御了承を賜りたいと思います。ただ結論を申しますれば、御趣旨はよく私どももわかつておりますので、その点は十分指導面も強化して行くということで行きたい、かように考えております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 取締りのほうの方にもう一つお伺いしておきたいのですが、お伺いするというよりむしろ心配してお伺いするのですが、この問題を運輸委員会が今年末を控えて取上げるゆえんのものは、恐らくこの年末年始に向つて交通量も非常に頻繁になるだろうし、そうして又運転手諸君も年末のために生活資金を確保するために相当無理をする、とすれば、そこに又事故が起き、或いは又規則違反が出る公算が大きい。そうしてそれを取締るというと、又運転手諸君は年末を控えて食えなくなる。食えないと社会問題になる。こういうようなことがあるので、取締り当局としても法律一本というような機械的でなくて、そういうことを十分勘案しながら取締つてもらうことは結構であるが、年末を控えて、さつき私も言つたような趣旨をもつて、機械的な措置をやられないように特にお願いをしなければならんと同時に、やはり関係当局と十分に連絡をとられて、そうして経営者に対してもそういう問題に対して十分に一つ勧告なり警告なりを与えてもらうという必要があるのじやないか。又これの輿論を喚起するために、いろいろ新聞等を利用するという点も考えられますが、そういうことも一つ警察当局としても十分お考えを願いたいと思います。先ほどの眠けがさしたときには運転しないがいいと、長距離輸送をやつておるトラツクあたりは、居眠りが来れば、例えば運転手の交替ということもありますけれども、とまつて眠つて行きます。眠つて行きますが、これは長距離トラツクの場合とやはりタクシーの場合とは違うわけですね。特に走行のノルマという、非常に無茶なものについては、眠つてばつかりしておつたら首になるということで大変なことになりますので、特にその点については御注意を願いたいと思うわけです。  意見だけ申上げて、運輸省の方に伺いたいのですが、先ほどの名義貸しの問題について、運輸省としてはどの程度認識、把握をされておるか。更に又その対策についてどう考えておられるか。又将来の方針については一体どういうお考えを持つておられるか。こういうことについてちよつと見解を述べて頂きたい。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) 名義貸しの問題は非常ににむずかしい問題でございまして、全国的に見まして、運輸省として名義貸しの実態をどこまで把握しておるかという御質問でございますが、これは遺憾ながら的確な数字をつかんでおりませんで、ここではつきり申上げることはできません。で、なぜかと申しますと、名義貸しというものは、先般の参議院の労働委員会でも業界のほうからお話がありましたように、表面的には、表面的と申しますと、法律的には一応格好が整つておりますが、実態というものがつかめない。つまりこの車両が会社の名義として、法律的には道路運送車両法によりますと、会社の名義で登録されておりますし、会社のものだということになつている。ところが実際は車両主が別にありましたり、或いは運転手諸君自身のものであつたり、まあいろいろなケースがあるわけなんですが、これが実態についてもつと詳しく申上げますと、車両主なり或いは運転手なり或いは経営者なりの自認と申しますか、自分はこういうことをしているのだと、実はこういうことがなければわからない。場合によつては実際所有権は、道路運送車両法上登録によれば或る会社に帰属しておるけれども、実際は自分のものだということについて、法律的に或いは裁判上その所有権が自分にあるのだという確認の訴えを起して、そうして登録替えをしてもらわなければ本当に自分のものにならないというようなこともありまして、非常にこの実態の把握が困難な次第でございます。併しながら実際上あるということは、我々としても知つているのでありまして、而もこの名義貸しというものが、自動車運送事業の健全なる発達、延いては公共の福祉に寄与する関係からいいますと非常に大きなマイナスになつているということも十分承知いたしておりますので、何とかしてこれを根絶したいということは痛切に考えているのでありますが、やはり経営者の自覚が根本的な問題でありまして、すでに御承知のように東京陸運局管内、特に東京都内の管内の名義貸しの整理につきまして、業界或いは運転手諸君の、或いは車両主諸君の協力を得まして、先般来徹底的に名義貸しの整理をやつていることは御承知の通りであります。私は広島に最近まで勤務しておりましたが、そのときの経験を申上げますと、やはり広島におきましても名義貸しが非常に横行しておりまして、そこで私はこの名義貸しの整理の方法としまして、こういう方法をとつたのです。それは、法律に照らしまして、名義貸しというものがはつきりすればばつさり免許の取消しであるとか、そういう徹底的な処分をすればいいのでございますけれども、如何せん、それによつて日々の生活の糧を得ているところの人が随分おられるわけなんであります。でございますから実際的に解決するということになれば、そういう法律的な形式的な免許の取消しであるとか、そういう方法では実際の解決はつかない。そこで私としては、一定の期間を設けまして、とにかく名義貸しというものは、あらゆる角度から見て、事業の健全なる発達からいうと逆のコースであるから、これを解消したいのだ、で、業界諸君の協力を得たい、ついては半年の猶予を与えるから、真の経営者が車両を自分のものにするか、或いはその資力がなければそれを手放す、そのいずれかの方法をとつたらいいじやないか、手放す場合にそれをどうするか、そうするとその場合には、一応法律の免許基準には照らしますけれども、大体今までそれによつて生活の資を得て来たという実態に着眼しまして、その人に免許を与える、事両主に。そういう方法をとつて来たのですが、併しながら私が広島におりました場合にやつた結果では、遺憾ながら車両主或いは運転手諸君の自覚ある積極的な協力を得られなかつたように思います。そこで全面的に成功しなかつた。つまり仮に自分が独立して営業するとしましても、車庫の問題がある。或いは土地を、都心の中でですが、入手するということが大変に費用が要る。或いは電話が要る。電話一本引くにいたしましても、島広あたりの田舎でもやはり十万円ぐらいかかるというようなことで、なかなかこれもちよつとした資本が要るものですから、やはり名義を借りてやつているのが一番呑気でいいというような人も多いのでありまして、こういつた関係から必ずしも全面的に成功しなかつたような例もある。併し何と申しましても、これは積極的に名義貸しの整理は推進して行きたいという気持でおりまして、東京陸運局の場合には、本省においてもこれを督励しまして、所期の目的を達成するように折角努力いたしておるのでございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 この問題は、私は免許行為ですな、運輸省の免許行為に密着をしていると思うのです。非常に杜撰な免許と言うと又語弊があるかもしれませんけれども、それをやつて、それからその名義貸しが出て来たらあとで始末に困る、こういうことでは私は非常にこれは遺憾だと思うのです。運輸行政上この免許基準のあれを見ましても、その六条の第三項に、「当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」、こういう一項があるわけなんです。これはそういう名義貸しというものを、そういうことをやつて営業するんだということを免許のときに認定すればいいわけなんです。認定してこれは免許しなければいいわけです。認定はむずかしいかもしれませんけれども、そこをやはり認定するのがこのお役所の仕事だと私は思うのです。そこでいわゆる業者の自覚に待たなければどうにも仕方がないということをおつしやつたのですけれども、無論これも必要だと思うのです。思いますけれども、業者の自覚に待つてすべてのものが解決するのであれば、放つておけばいいのです。免許なんかしないでも公益に反しないようにやれよ、と言つてやつておればいいわけなんです。事実上それができないから免許のことが非常に大事になつて来るわけなんです。そこで私はこの免許ということについて、これはハイヤー、タクシーばかりではなくて路面運送に対して免許の実態について非常に疑問を持つておるのですけれども、こういうような免許基準があつて、これは小運送も皆あるのですが、それを一体どういうふうに生かしてやつておられるかということについては、極めて疑問があるわけなんです。従つて運輸省として、これは免許するということになれば、これは適切な計画を持つておるものである。或いは適確に遂行するに足る能力を持つておるものである。或いはこれは運送開始によつて公益上非常に適切であると思う。こういう適確な自信の下に免許されておられるのですが、併しながらその免許のあと全然これはあてが違つたということになつて、公益自体にも迷惑を及ぼし、業者自体にも迷惑を及ぼす、従業員も迷惑する、こういうことになつたら、私は免許の権限があると同時に、その責任はどこにあるかということになると思うのです。そういう点について、私は非常に遺憾に思うのです。従つてこれに関連してお伺いしたいことは、現在免許をする場合にどういう具体的な基準なり方針なりを持つてやつておられるかということについてちよつと承つてたいと思うのです。これは管轄が違いますか。若しおわかりであれば……。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) 免許は、御承知のように道路運送法に従いまして第六条に免許基準がございますが、その基準に従つてやつておるわけでございまして、我々として持つております全能力を発揮して免許基準を最も正しく適正にやつておるつもりでございます。で、具体的な方針であるとか何とかいうふうな御質問でございましたが、そういつた方針は別に持ち合せておりません。免許基準に従つて忠実にこれを適用して行きたいということ以外にないのでございます。ただ、大倉委員が非常に疑問を持つておられます点につきましては、むしろこういつたことをお答えしたほうが適切ではないかと思うのです。と申しますのは、これはまあ私の個人の見解になるかと思いますが、どうも道路運送法の理念とする免許制度というものが、免許制度そのものに対する一般国民の理解の仕方というものが、私は必ずしも十分じやないように考えております。と申しますのは、一例を挙げて見ますと、運輸省というものは、特に運輸省のやつておる自動車行政というものは一体あれは何だ、あれは既存業者の保護一点張りじやないか、既存業者の利権を擁護するのがそのすべての目的であつて、一般公共の福祉増進というものはてんで念頭に置いていないじやないかというふうな考え方というものが、輿論と申しますか、一般の風潮の中に確かに私はあると思うのです。ということは、私も最近まで先ほども申上げましたように第一線の行政を担当しておりましたが、しばしばそういうことで談じ込まれる、これで非常に私も悩みまして、なるほど自動車行政というものはむずかしいものだ、要するに一般利用大衆というものは、一般国民というものは、交通機関なんぞというものは余計あれば余計あつて多々ますます弁ずでありまして、その事業の経営がどうであろうとこうであろうと、そんなことは知つたことではない、余計あればあるだけ便利なんだという、極めて私に言わせれば表面的な、皮相的なそういう見方をされておる向きが多いのではないかと思うのですね。そこに免許制度の適用というものは、どうしても時間、空間を超越できないそういうような意味があるのではないかというふうに私感じております。  そこでむしろ私はこの席上をお借りしまして大変僭越とは思いますけれども、本日は幸い運輸関係の仕事に非常な関心を持つておられる方々が多いのでありまして、我々運輸関係のものは挙げてこの免許制度を厳正に適用実施して行くことが、とりも直さずあらゆる角度から見て公共の福祉に合致するということについての啓蒙運動を大いにする必要があるということを、この際お願いしておきたいと思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 今の御答弁よくわかりますが、ただ私はこの免許という制度ができ、こういう法律ができて、実際問題として、その衝に当られる当局がお困りになつておるのではないか。例えばこの免許基準を見ましても、どれ一つとして具体的な基準になるものがないのです。あるようでない。ずつと作文が書いてあつて、そうして遂行上適切な計画を有するものである、適確に遂げる能力のあるものというようなことが書いてある。この前も私運輸委員会で質問しましたところが、前の中村自動車局長は「需要供給の状態を考えて将来不当競争にならないようにということを方針としてやつております」という御答弁がありました。これもやはり尤もなことだけれども、然らば需要供船の状態はどうか、不当競争にならないということはどうか、「現在不当競争になつていないと思いますが、不当競争になつてはいないけれども、その限度になつております。」ということがどうしたらわかるかという資料を出せといつたら、ちよつとお困りになるだろう。そういうことから非常に圧力や、情実や、何やらかにやらきたないものがそこへ入り込んで来る隙間があるわけなんです。そういうことから、先ほども業者の方の陳述もあつたように、濫立の状態というものが起つて来る事実は私はそうだと思うのです。濫立という状態が起こつて来る。濫立という状態から非常な無統制振りが出て来て、そこから事故が出て来るというような状態が出て来ております。これは確かに私は運輸行政の一つの反省すべき問題であろうし、又直さなければならん問題であろうと思うわけです。それでこの前もお尋ねして懸案になつておるのですが、免許に対する基準をしつかり一つきめたらどうか。或る一つのものをきめるについては、一九五一年のILO委員会の決議がある。この決議によれば、免許する場合においては労働条件を基準にしなさい。その労働条件はその地方の代表的な労働組合が正当なる団体交渉によつて確保した条件を基準にしなさい。その後においてそういうものに違反した業者は処罰しなさいという国際決議がある。ところがこれを運輸大臣は御承知なかつたけれども、こういうものを、或いはその他のものでもいいんですが、そういう一つの条件を免許の具体的な基準にするというお考えはどうなんでしようか。そういうことを当局で御研究になつておるかどうか。御承知のように運輸業者というものは、タクシーでもトラツクでも、労働者の頭をはねて儲けておる。ほかに儲ける源泉がありませんから、頭をはねることばかり考えておる。その結果賃金を安くするということになり、延いては不当競争になり、ダンピング競争になる。労働条件がぴたりと一致しておれば本当のサービス競争になる。今はサービス競争でなくてダンピング競争である。蛸の足のように、自分で自分の足を食い、事故が起つたら賠償能力もないということになつておるのですが、そういう問題を観念的に解決するといつてもいけませんので、この免許の問題を解決するためには、労働条件なり、そういう一つのがつちとしたものの基準を設ける。そこには雲助業者もおりますよ。併しそういう雲助業者も出て来なくなるでしよう。時間があればそういうことを研究してそういうことを一応考えられんものか、一つお伺いしたいと思います。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) 今大倉委員のおつしやつたように、労働条件というものは免許基準に具体的には挙げておりません。併しながら免許基準を適用して、現実の申請事案を審査いたします場合には、資力信用が大きな一つの要素となつておりまして、こういつた資力信用あるものにこの事業をやらせるということになれば、おのずからそういう労務管理にいたしましても十分これをやることができる、こういうことが一応言い得るのであります。こういうことは一応言い得るのじやないかというように考えておるのであります。で、これに関連して私申上げたいのは、例えばこの労働条件に最も関係あります企業経営規模の問題、これはやはり資力信用に関係して来るのですが、企業経営規模にいたしましても、運輸省の伝統的な考え方というものは、これは勿論程度がございますが、できるだけ本当に小企業でなくて或る一定程度以上の営業規模を持つたものでなければ、労務管理も適切に行い得ないじやないか、従つて又、健全なるサービスを提供することもできないじやないかというような考え方を持つて、一貫して企業経営規模には非常に大きな関心を持つて来たのです。併しながら、戦後の澎湃たるこの自由主義的、或いは民主主義的なる風潮からいいまして、どうも運輸省が経営規模にこだわつているのはよろしくない。一両でも二両でも、或いは五両でもそんなものには関係なしに、もう少しどんどん免許したらどうかという声も相当強くなりまして、だんだんその線が崩れてて来たということは御承知の通りだと思うのですが、まあそういうわけで経営規模を或る程度のものに確保して、がつちりした経営をやらせて、特にハイヤー、タクシーにおきましては、おつしやる通り労務管理が一番問題だと思うのです。運転手が中心でございますから、この労務管理に失敗すれば健全なるサービスの提供はできない。だからそういう面からいつても経営規模には非常に大きな関心を持つて参つたのでありますが、輿論と申しますか何と申しますか、まあそういう一般的な民主主義の漠然とした風潮に押されて、その線がどんどん崩れてて来ておるということも言えるのじやないか。で、仮に労働条件というものを免許基準の中にもつと具体的に取入れるといたしましても、ただそれを取入れただけで果して改善できるかどうかということは、相当問題だと思うのでありまして、もつと総合的にあらゆる面から考えて行かなければいかんのじやないかというような気がいたしております。そこでやはり運輸省の伝統的見地から参りまして、労務管理を適切にやるためには、経営規模も或る程度大事だということを十分御認識を頂きたいと思うのであります。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 ちよつと私はこの考え方に違うところがあるのです。これはここで議論する考えを持つておりませんか、資力信用さえあればこれは労務管理もうまく行くんだろうと、或いは賃金もうまく行くんだろうというこの考え方が私は危険だと思うのです。これはなぜかというならば、これは資力信用があるところは必ずしも賃金がいいとは限らない。これは労働組合があればいいんですけれども、そうでないところで資力信用があつても、これは利潤追求というものは無限大です、資本主義社会においては。而も労働者の頭をはねて儲けるという商売は、これは資力信用があれば、もつと資力信用がほしいと思うということなんですね。資力信用がだんだん付いて行つて、それに正比例して労働条件がどんどん上つて行くと労働者は金持になるはずなのにそれがならない。だからそれは私はできないと思うのです。ですから資力信用が上れば労働条件がよくなるということは、これは私はちよつと楽観し過ぎるじやないか、そういうことから私はこの労働条件ということを申上げたわけです。なおそれをやつてもそれだけではどうかということ、これも御尤もでしよう。どうもこれは今の悪い風潮で、吉田内閣以来憲法を無視する、或いは法律を作つてそれを無視するということがはやつて、法律は空文に等しいという情けない社会になつてしまつた。例えば港湾運送法でも、この前問題になつたのですが、確定料金がきまつておつても、法律ができてから二割ばかり頭をはねている。それを運輸省もそのまま放置しておいて問題になつて来たということがあるのです。従つてこれを入れたからそれだけでいいとは私は考えないのでありますが、その法律を守るところの適切な措置を講じなければいけないと思うわけです。そこでこういうことが起りはせんですか。例えば免許申請をする場合に、タクシー、ハイヤー業者の場合でも労働条件を書いてある。要求はしないが労働条件はあれは書いてある。とにかく免許した暁において、これはさつぱりそういう条件では使われていないということになれば、虚偽の申請になりはしないですか。この辺はどういうふうになるのですか、その御見解を伺いたい。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) まあ資力信用を見まして、資力信用が一応ありと判断せられますと、又労働条件についても十分関心を払つている、まあ一応の推定ですね。そうして具体的には、我々がタツチしておりますのは、免許の際には一応収支のバランスを見ますから、その収支のバランス、支出のほうの人件費は当然これは入れて審査するわけですね、こういう貧弱な人件費でもつて果して優秀な職員が得られるかどうかということは、先ずこれはどうしても調べなければならない。まあ労働条件については現在のところはその程度でございますが、免許しましてから、例えば業務監査と申しますか、或いは運転監査といいますか、我々の行政能力の許す範囲内におきまして、できるだけそういう監査を行なつていろいろ注意すべきものは注意して行く、こういうことだけはやつております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 いや、私が今言つたのは、確かにこのハイヤー、タクシーの業者の免許を申請する場合に、労働条件の基準は書いてあるわけです。こういうあれで使いますと、それが実際はつけたりであつて、免許されて実際やつてみるとさつぱり守られておらずに、四百キロも走れと言う、或いは何十時間も働けと言う。こういう面で違つて来ることになると、これは虚偽の申請をしたということになる。そういう場合に何か手を打つておられますか。これは申請と違うじやないか、やつてみたらどうも労働条件も違うじやないか、嘘じやないか、けしからん、これはこうしなさいということはおやりになつているかどうか。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) 実はそこまで十分監査すればいいのでありますが、これも行政能力の限界がございますし、そう十分なことはできておりません。そこ先ほど業界の参考人の方からお話がありましたが、やはり業界の、例えば組合の自主的な何といいますか、自発的な行動によつて、そういつた面も改善して行つてもらいたいということを我々期待しておるわけです。例えばどこか非常に模範的な労務管理が行われているところをいろいろ協会員、つまり経営者相互が参考にして研究する、或いは悪いところがあればどうしてこれを改善して行つたらいいかと、まあそういつたことは、自主的なもう少し働きによつて、そういう改善をやつてもらわないと、我々行政官庁の行政能力が誠に微々たるものでして、そうかといつて怠けてはおらんつもりでありますが、全力を挙げてやつておるつもりではありますが、なかなかうまく行かないというのが実情でございます。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 そこで問題はずつと縮まつて来て、今日の陳述でもわかるように、事故が頻発をする、或いはその他のいろいろな事故が発生する根本原因は労働条件であるというところまでしぼられて来たような気がするのです。従つてここで運輸省としては、行政能力ということもあるというお話でございますけれども、例えば組合なり或いは一般からそういうような陳情があり、内情の報告があるという場合もあるでありましようが、ここでこの間私ちよつとお伺いしたのですけれども、そういうような路面運送といいますか、その運輸行政上におきまする労働という問題です。労働条件です。これは十分に指導監督をしなければならんと思うのですが、この面については、労働省がやるものか運輸省がやるものか所管はどうなんですか、これは。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) これは労働省も所管しており、運輸省も所管しておるということは言えると思います。つまり労働省は労働基準法その他労働関係の法律を所管しておりますから、その面から当然監督権限を行使しておりますし、運輸省のほうから申しますと、道路運送法によりまして事業者、事業そのものを監督督することができる。又監督しなきやいかんわけですが、そういつたつまり道路運送事業として、この道路運送法に要求されているように、本来の機能を十分に発揮して公共の福祉に寄与することができるように、そういうふうに監督しなきやいかんと思います。その面に関連しまして、そういつた労務管理についても又指導し、監督する責任があると思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 そうすれば現在のこの問題は労働条件というものが、非常に原因が、ポイントというものがわかつた以上、今後やはり運輸省としても、業者に対して労働問題について監督し、或いは種々の勧告をなさると、そうして適正なる労働基準を作ると、こういうようなことを行政面で行われると考えて差支えございませんか。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) この労務管理は実は我々非常に重大な関心を持つているわけです。特に運転事故に関連しまして、労務管理の問題は非常に大きな問題であるということは承知しております。できるだけ我々の力の及ぶ限りにおいてこの方面の指導もやつて行きたいと思いますが、ただ先ほど申上げましたように、行政力の関係から、できるだけ業界の積極的な、自主的な協力を求めてやつて行きたいと思います。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 そこで先般運輸省から指示されたところのいわゆる無理な労働条件でもつて運転をしちやいけないという御指示に対しまして、それを具体的に実現させるためには将来どういう措置をされるかということについてちよつとお伺いしてみたいと思います。ただこれは言い放しでは何にもならんので、私のほうはこうやつておるのだといつて一応責任逃れにとどまつちや困ると思うのですが、あの指示を出した以上は、やはり早速はできなくとも、とにかくそれをやらなければいかんということになると思うのですが、その将来に亙るところの具体的な方針ですね、方針、措置についてどういう考えを持つておられるか。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) 先ほど申上げましたようにできるだけ業界の自主的にして積極的な協力を求めた上でやつて行きたいと思います。つまり具体的な方策として考えられますのは、業界において特に労務委員会と申しますか、そういう専門委員会を積極的に推進して頂きまして、現在の段階において企業の能力からいつて、如何なる労務管理が一番理想的であるかというふうなことも研究させまして、これについては我々も当然指導しなければいかんと思いますか、そうして逐次理想に近付けて行きたい、こういうふうに考えております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 ちよつとこれは申上げておきたいのですが、企業の実態によつて、いわゆる賃金、労働条件をきめるという指導方針、これは私は或る意味において危険だと思うのです。これは運輸行政としては、いわゆる交通の安全ですね、輸送の安全というものを基盤に置いて、こういう給与では輸送の安全は期せられない、こういう条件ではこれは輸送の秩序というものは確立できない、これを基盤にしていわゆる労働条件というものをあなたのほうでお考えにならなければいけない。でないというと、この企業はどうも赤字だから、このくらいの給与では仕方がなかろうというようなことになりますというと、これは一般大衆に迷惑がかかる。そういうふうにもう企業として成り立たんと思うから、むしろそういうものに対しましては、例えば車なら車を他の業者に吸収するようなお世話をして頂くとか何とかいう形でもつて、健全なる企業にしてもらわないと困ると思うのです。さつきの問題の名義貸しの問題でも、信用があるとおつしやる、それはそうかもしれない。併しながらこれは運転手なら車があつて、これがつぶれても車というものは焼くわけにも行かんし、放つておくわけにも行かない。車を運転する運転手が要りますよ。従つて労働条件とか、企業の形が変るとか、実質的にほかに吸収させるということについて、輸送の安全というものの確保を図らなければいけないと思うのですが、その点がちよつとあなたの今のお言葉では企業防衛のような格好になつてしまつて、ちよつと労働条件の基準を認定する場合において少し危険ではないかという工合に考えますので、これは御答弁は要りませんが、そういうところを一つ十分お考え願いたいと思うのです。  もう一つお伺いしたいのですが、今度の確定料金の問題ですね、トラツクの……。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 大分長くなるので、あなたがもう質問がなければ、参考人の方に帰つて頂いて……、重盛さんどうですか。

重盛壽治日本社会党(第四控室・左)

○重盛壽治君 結構です。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) それじや、参考人の方は非常にお忙がしいところを長時間に亙りまして審議に協力下さいまして有難うございました。

坂寄林蔵日本私鉄労働組合総連合会中央執行委員

○参考人(坂寄林蔵君) 丁度業務部長の岡本さんがお見えになつておりますのでお願いしておきたいのですが、先ほど申上げましたように、岡本さんはいわゆる業者の資力信用ということをおつしやいました。私どもとしても同感のところもございますが、併しそれと同時に、いわゆる経営者というものに近代的センスがないということが何といいますか、おかしな紛争をかもし出すということの大きな原因だということを一つお願いしたいのです。ということは、例えば近江絹糸の夏川社長のように大企業になつても最近の感覚をお持ち合せにならないで、いろいろおかしな問題を起している場合もありますが、例えば国営とか公営とかと違いまして、一応民営事業だといつても、公益事業の立場の事業者といたしましたならば、どのようにして健全な発展を遂げるかということは十分考えなくちやいけないと思うのです。例えばその経営をするに当りましても、儲ける一方と申しましようか、大きな問題は別といたしまして、会社が金を出してくれるから、我々が労働力を提供することによつて事業の発展をしようということがありながら、いわゆる金も出さいで一方的に儲かつたやつはどんどん車を購入して行く、そういつた問題について、今度は組合側が突込みますと、じや金を出そう、出して増資をするならよろしいのですが、具体的な例でいえば、春川県の琴平参宮みたいに、電車とか自動車を買つてどんどんお客の要望に応えればいいのですが、駅前に大きなビルデイングを建ててしまつて、そういう大衆輸送のほろにお客さんの希望も組合側の意見も全然容れてくれないとか、或いは岡山の両備バスみたいに、僅か二百七十万円の資本金において七十両も八十両も車を擁して、会社がどんどん発展して行きながら、いわゆる組合員と申しますか、従業員の生活環境というものを全然見てくれないというような、数ある業者の中には、全部とは申しません。ほんの地方の中小企業者の中におきましては、近代的センスもなく、公益事業者としての考え方も持たずに、ただ儲ければいいのだという頭を持つて運営をしているような経営者もございますので、こういつた面については、十一月九日に運輸省で出されました例の疲労防止の問題について、一つ徹底的に業者にも勧告を与えて頂きたいということをお願いいたす次第でございます。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) それじやどうも有難うございました。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 部長にもう一つお伺いしたいのですが、トラツクの先ほどの確定料金の問題ですが、やはりこれも自家用車の闇行為によつて実は守られておりませんし、却つて料金を低下しておるというようなこともあるのですが、これに対しての対策はどうなんでしようか。これはもう自家用車の闇行為から発生するものであつて、自家用車の闇行為の取締り対策と、それから確定料金を守らすにはどうしたらいいかというふうになつて来ると思うのですが、これについての対策をお持ちになつていたら御説明願いたい。

岡本悟運輸省自動車局業務部長

○説明員(岡本悟君) 自家用車の取締りは、我々の能力の範囲で全力を挙げましてやつて行くつもりであります。根本的にはやはり自家用車の所有というものを、或いは使用というものを自由に放任しておくことがいいのかという問題にぶつかつて来ると思うわけであります。御承知のように欧洲におきましても、トラツク行政においては自家用車の処置の問題が一番大きな問題になつておるのでございますが、我が国におきましてこの問題をすぐ法律改正の格好として取上げ得るかどうかは非常に私疑問があると思つております。特に憲法との関係においてそういう問題があるのじやないかと思います。これは申上げるまでもなく十分御承知のことと思いますけれども、私個人としては、もつと情勢が変つて来れば法律の問題として取上げ得る時期が来るのじやないかというふうに考えております。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 これはまあ時間も遅いようですから、質問したいことはたくさんあるのですが、いずれもこれは抜本的に検討しなければならん問題ばかりだと思うのです。従つてこれは継続審議して通常国会の再開された後において十分に論議したいと思うのですが、まあ今日の結論というものは出て来ないのですが、結局労務管理と労働条件ということが基本的な問題になつて来るということと、それは今すぐには直らないから取締り当局に対していわゆるその原因、理由について十分一つ考慮してもらつて、画一的に流れないようにとりあえずの処置としまして、そういうような処置をしてもらわなければならない。これは無論取締りはいけないということではないのですが、さつき言つたように、第一線に対するところの上部の指導として画一的に流れないようにということ、これは一つ十分御検討願わなければならんと思うのですが、これは委員長、労働委員会或いは法務委員会、地方行政ずつと関連して来て総合的な対策が私は必要だと思うのですが、ここで連合審査といいますか、連合調査というか、そういう形のものを一遍持つてもらいたいと思うのですが、これは委員長どうでしよう。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) これはまあ年が変つてから理事会を開いて御相談を申上げましよう。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 ぜひそれじや一つ。  ちよつと速記をやめて……。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 速記をとめて。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) 速記を始めて。

大倉精一日本社会党(第四控室・左)

○大倉精一君 それじや最後に警察庁のほうに、繰返して申すようですけれども、年末に当りこういう問題が近日解決がつくというまでの間において、この交通違反に対する取締りについては、大体の原因なり或いは違反を起す内容、事情というものは十分ここでおわかりになつたと思いますので、そういうものを十分勘案しながら慎重に一つ下部の御指導を願いたいと思いますが、その辺についてのもう一遍御意見を伺いたいと思います。

後藤田正晴警察庁警備部警ら交通課長

○説明員(後藤田正晴君) 御趣旨はよくわかつておりまするので、第一線の警察官のやり方については十分指導面を加味してやつて行くようにしたいと思いますが、取締りは緩和するというわけには、現在の実情ではできない。殊に年末は例年二〇%の事故が増加するのでございます、交通事故が。そういう実情もございますので、やはり年末には例年のような取締りをやつて行きたい、かように考えております。御趣旨は十分わかつております。

高木正夫緑風会

○委員長(高木正夫君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会

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