予算委員会 第3号
- 発言数
- 245 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/12/23
会議録
○山口委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。委員の交代によつて理事が一名欠員になりましたので、その補欠は先例によりまして委員長において指名するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よつてその通り決定いたします。理事に小峯柳多君を指名いたします。 ―――――――――――――
○山口委員長 予算の編成並びに実施状況等に関する件を議題といたしまして、質疑を継続いたします。 この際昨日の保留質疑に対し、農林大臣より発言を求められております。これを許します。河野農林大臣。
○河野国務大臣 昨日はこの席におりませんで、たいへん御迷惑をかけ相済みませんでした。その際に、農林省が最近人事の異動をいたしたことについて御意見があつたそうでありますけれども、これにつきまして一言申し上げます。実は私は農林大臣を拝命いたしまして、人事は一切前通りでいたす所存でおつたのであります。この点は就任の際に新聞記者会見におきましても、この通り私は発言をいたしました。ところがその後、前農林次官からどうしてもやめたい。だんだん先輩等の力を借りまして、慰留に努めたのでございますけれども、いろいろ事情がございまして、あまり在任が長くなるから、ぜひこの際後進に道を開く意味でやめたい、こういうことでございましたので、この辞職を認めたわけであります。そういたしますと、私といたしましては、御説のありました通り、なるべく性格のある人事はいたしたくないということで、これを一人で済ましますと抜擢になります。抜擢いたすことになれば一人で済みますけれども、抜擢その他のことはいたしたくないという意味合いからいたしまして、順序を追うて異動をいたしたわけであります。従つて一番上席にあります者を次官に上げ、その次をその次ということでいたしました関係から、多少御意見のありましたような結果にはなりましたけれども、私といたしましてはそういう趣旨で人事をいたしたことでありまして、この点は特に御了解いただきたいと思うわけであります。その他今後の人事につきましても、ただいま申し上げましたように、特別の事情のある場合はともかくといたしまして、いずれも一生懸命に仕事に従事いたしておられるのでありますから、なるべくやめていただくとか、特別の抜擢をするとかいうような性格のある人事はいたしませんで、なるべくみんなに協力してやつていただくように人事をやつて参りたいと考えておりますから、その点は御理解いただきたいと思うのであります。 なお足鹿委員からお尋ねのありました問題につきましては、はなはだ恐縮ですが、もう一ぺん御質問を願つてお答えすることにいたしたいと思います。
○山口委員長 足鹿覺君。
○足鹿委員 農林大臣にお伺いをいたしますが、前吉田内閣末期におきまして、アメリカの余剰農産物処理のとりきめを内定いたしておることは御存じの通りでありますが、昨日この問題について外務大臣に、このとりきめを現内閣は踏襲してゆくのかどうか、また国会の承認等が総選挙後になる場合には、アメリカの会計年度の期間が切迫しておるので、行政上の特別の措置を講じて、仮実施を行うといううわさがあるがそれは事実であるかどうか、こういうお尋ねをいたしたのであります。しかるところ電光外相は、もし仮実施をいたすような必要を生じた場合には、国会にこれを相談する考えがある、こういう趣旨の御答弁でございました。その辺から見ますると、現内閣は古川内閣がとりきめておりましたアメリカにおける余剰農産物の国内輸入の問題につきましては、これを踏襲して行く方針のごとく受取られたのでありますが、さよういたしますと、特に日本農業あるいは通商関係においては、東南ア諸国との通商協定外の別わくとして、米が大量に入つて来ることに相なりまするので、勢い日本の貿易上に及ぼす影響も大きく現われて参りまするし、また日本農業に決定的な打撃を与えて来ることも心配されますし、また農林大臣が先日就任以来、米の統制撤廃をしばしば言明をされ、新聞に発表されておりますが、これとの関連においても、この問題は非常に大きな関係を持つものだと思いまするので、農村方面を担当しておられる農林大臣が、この余剰農産物の輸入について、国内農業にも悪影響を及ぼさないという確信を持つておられるのか、それについてはどのような理由によつて、そういうふうにお考えになるか、こういう点。また経審長官におきましては、別わくで大量の米等が入ることによつて、東南ア通商協定に重大な影響を与えると思うが、これに対する処置いかん。この二点を、まず最初に伺いたいのであります。
○河野国務大臣 私からお答えした方が適当と思う点についてお答えいたします。 この物資につきましては、前内閣におきましても農村関係の諸般の点について十分考慮せられまして、大体数量その他についてはとりきめられておるようであります。私就任以来これらの点についても種々考慮いたしましたが、大体において現在とりきめられておる程度のものならばそう支障はない。なおまた足鹿さん御承知の通り、農産物のことでございますから、豊凶等の関係につきまして特別な事情が起りました際には、あらためてそれらの点については交渉する、数量の増減等については考えるという所存でありますから、御心配の点につきましては十分国内農業に悪影響を及ぼさざるように準備し、またその緒論を得るというつもりでございます。御了解いただきたいと思うのであります。 なおこの際つけ加えて申し上げておきますが、私はこの受入れは継続してやつた方がよろしいと考えております。今申し上げましたような趣旨におきまして、わが国の農産物もしくは農家経済に悪影響を及ぼさないという準備は、政府において万全を期さなければなりませんことはもちろんであります。と同様に、これを受入れますことによりまして、国内の増産をはかる。たとえば、愛知用水の問題のごとき、どうしてもこの資金が円資金として必要でございますから、これらの点につきまして国内の農業開発、土地改良の上から参りましても、ぜひこの資金を使つてやることが妥当だと考えております。 なおその他の点につきましては、現内閣は経審長官において一本にまとめて、これを扱うことになつておりますから、経済長官からお答えを申し上げた方が適当だと思いますから、そういたします。
○高碕国務大臣 ただいまの御質問にお答え申します。私至つてこういう答弁はふなれでございます。それにのどを痛めておりまして、はなはだお聞き苦しい点があるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。しかし誠意をもつて私の心情を吐露するつもりでございますから、その点だけを御了承願いたいと思います。この余剰農産物をアメリカから買うという問題につきましては、御承知のように昨年日本は食糧品とし五億五十万ドルの食糧品を買い、綿花として一億八千万ドルの綿花を買つておる。国際収支から申しまして、九億ドルばかりの商品を輸入しておるのと同一なわけであります。ところが現在日本におきましては、それたけの外貨を払うということはすこぶる困難である。幸いに余剰農産物があるから、それをできるだけ長期で、できるだけ低金利でとりたい、こういつたことで、本年の十月、前内閣の吉田総理大臣、それから愛知通産大臣及び農林関係の東川農林次官が参られまして、この交渉をされたのであります。交渉はまだ終末に近づいておりませんが、大体の数量等については、もうすでに相当の公約をされたわけであります。私はこの趣旨から申しまして、大体これはいいことだと思つております。のみならず条件等につきましても、すでにある程度の公約を一国の総理大臣がしたものである以上は、これは国際信義の上からいつても、これを継承するというのは当然であろう、こういうふうな考えで本内閣はこれを継承いたしたい、こう考えておるわけであります。 それから大体この問題につきましては、河野農林大臣がお答えの通り、今御心配の国内の農業への圧迫については、農林省はその道の権威者でありましたところの東畑氏が当つておることでもありますし、今後この問題につきましては農林大臣は十分検討して圧迫はないような方針をとつていただく。同時にこの通商関係につきましては、発言者のおつしやつた通り従前輸入しておりました品物の上に、それだけを超過して買うわけでありますから、従いまして今後の貿易につきましてはできるだけ東南アジアの方面からも買いたい。買うからこつちのものは売れるのだ。これはもうその通りでございますから、そういう意味から申しますと、アメリカの余剰農産物をとるということは、ある程度日本の他国との通商に対して害が起きるだろう、こういうことは当然覚悟しなければなりませんが、しかしこれは十分検討いたしまして、できるだけそれに支障のないように、同時に日本の現在におきます国際収支関係をよくするというような点から考えまして善処いたしたい、こう存じておるわけでございます。私はある程度は犠牲になるかもしれませんが、一方におきまして日本の食糧の消費というものは増大して参ります。そういうことから考えまして善処いたしたいと存ずる次第でございます。 以上をもちまして私のお答えといたします。
○足鹿委員 経審長官並びに農林大臣は、貿易上にもまた国内農業にも悪影響をもたらさない、こういう御見解のもとにこれを継続して余剰農産物を受入れる、こういう方針を述べられたわけでありますが、すでに昨年におきましてもMSA小麦が日本へ入ること自体が、麦価の決定をめぐつて不当な価格が構成され、それによつてすでに本年の冬作、特に麦の作付においては例年に見ざる減反がすでに現われて来ておるのであります。これは食糧の国内自給政策の上から見まして、まことに遺憾なことであります。すでに小麦においてすらかくのごとき影響が現われておる。いわんや米の問題につきましては、アメリカは綿花の増産に手をやいて、これを作付制限することによつて米に転換をいたし、その米は輸出に向けなければならないので、ここに日本に着目して、この援助協定の過剰農産物の処理協定の中心は、今後米に移つて行くのであろうと私は思うのであります。そういたしますならば、これは非常に今後の日本農業に大きな影響をもたらさないではおかない。こういうことはもうはつきり断定してさしつかえないと思います。また一面現存の政府の性格から言いまして、選挙管理内閣であるということは間違いありません。そういう点から考えまして、このような国際的な協定を結ぶ結ばぬは別として、国際余剰農産物を日本に恒久的に導入して来るという大きな政策を決定づける資格はないのではないか、そういうふうに考えざるを得ないのでありますが、そういう面からも政府のとつている態度は誤りではないか、もつとこれは白紙に返して真剣なる検討も、新たにできた新内閣によつて行うべきものである。私どもはそういうふうにこの取扱いをすべきであると考えておるのでありますが、さらにまたただいまの御答弁を聞きますと、円資金の問題等において非常に有利である、こういうことを農林大臣も経審長官も仰せられておりますが、日本側の使用権のありますのは五千九百五十万ドル、約二百十四億でございます。このうち農業関係に使われますのは、わずかに三十億程度と私どもは承知をいたしております。他のほとんどが防衛産業や、あるいはその他の防御関係方面にこの配分が重点を置かれておるのであります。しかもこの日本の円で買つたものについてはアメリカの対外活動本部、FOAの東京支所長の承認を得なければこの使用も自由にならない。どこに日本の自主性と独立を認めたところがあるでありましよう。日本の円で買つたものを日本の自由にこれを使用することもできないというような、こういう屈辱的な協定に対して、はたして日本のためになるかどうか。いわんや農村方面におきましてはMSA小麦の上におきましても明らかに出て来ておる。元来この余剰農産物処理法はアメリカの農民の利益をはかるために置かれた法律でございます。従つてもし百歩を譲つてこれをかりに認めるといたしましても、円資金の日本側使用については、少くとも日本が自主性を持つてこれを解決する権限を持つべきであることは当然ではないでしようか。しかるに何ぞや二百十四億の一割九分の三十億程度のものを農業開発に使うのである、こういうお話でありますが、三十億程度のものは国内の一兆円予算の中にあつて当然解決のつく問題であつて、何もことさらにこの問題に関連を求める必要はないと私は思うのであります。そういう点から考えてみまして、今後この問題は、今大臣が言われたような簡単な問題ではない。国内農業に至大な影響を与えて参りますと同時に、米の輸入を固定化いたします。すなわちここに河野農林大臣が就任以来言つておられるところの、外米による操作によつて食管法を改正し、米の間接統制に移行するのであるという一つの関連が、この問題にあるのではないかと私は見ておるのでありますが、この点について大臣はいかようにお考えになつておりますか、これをお伺いいたしたい。
○河野国務大臣 お答えいたします。話が前後いたすかもしれませんが、私はこの問題と食管法の改正とは全然関連して考えておりません。おりませんが、先般もわれわれの先輩であります石黒忠篤さんが最近アメリカへ参られまして調査して帰られましたところによりますと、加州米は非常に優秀である。であるからこれはぜひ考慮した方がいいという御注意を承つておるくらいでありまして、どう申しましても今の日本の食糧問題か、三年や五年で国内で自給自足できる段階に入るとは、どなたもお考えになるはずではないと思うのであります。増産につきましては最善を尽しましても、今日の生産と消費の関係から参りまして、相当量のものを外米に仰がなければならぬことは申し上げるまでもありません。なおかつ東南アジア方面の米につきましても考えることはもちろん、決して私は方針をかえようとは考えませんけれども、こういう優秀なものを東南アジアの米についても考えるべきである。さらにまたこの機会に申し上げておきますが、できることならばこういう米を入れまして、そうしてある程度政府が優秀な内地米にむしろ匹敵するような米を持つておつて、そうして食糧の価格の安定をするということが、一つの方法ではないかとさえ私は考えるのであります。 この機会につけ加えて申し上げます。海外の食糧の価格が、たびたび申し上げますようにどんどん下つておる。麦にいたしましても、米にいたしましても、豊作もしくは増産の結果下つておるというときに、わが内地の米にいたしましても、友にいたしましても、生産費が上昇線をたどつて、だんだん上つて行つてしまうから、それを償うようにして行かなければならぬというように考えるわけには行かないと思うのであります。そこで先般も足鹿さんに申し上げました通り、あなた方の御協力を得て、何とか生産費の引下げの方に政府としては全力をあげなければならぬのではなかろうか。それには肥料その他の問題について格段の努力をいたしまして、何とか農家の生産費を引下げて、そうして値段を上げなくても農家の収支が償うようにいたしたい。さらにまた国内の売買の点におきましても、やみ取引等の無用なロスはこれを解消いたしまして、消費者のためにも、生産者のためにもなるような手段を一日も早く講じなければならぬのではないかと考えておる次第であります。今のお話は、これを入れることによつて内地の麦もしくは米が非常に圧迫を受けて、増作の意欲を押えるじやないかというようなお話でございましたけれども、そういうことのないように、御協力を得て万全を期さなければならぬと思うのであります。 なおいずれ経審長官からお話があると思いますが、今のお話の中に三十億くらいの金を云々ということがございましたが、これは決して三十億ときまつておりません。私たちは三十億で満足いたしておりません。現内閣におきましては、その点を経審長官の手元でとりまとめをして、そして足鹿さんのお話のように自主性を持つて行くことについてはせつかく努力するということで経審長官からいずれお話があると思いますが、われわれは足鹿さんの御意見とその点でまつたく同じでありますから、御協力もらんことをお願い申し上げます。
○足鹿委員 とにかく私どもの考え方と農林大臣の考え方とが、相当開いておることは事実のようであります。選挙管理内閣である政府が、このような問題を軽々に取扱われること自体が、私は間違いであると思います。とにかく五月、六月の二月間で、買付をしなければならないというようなはめに事実上陥つております。従つて仮実施を行うというような方針を現内閣は持つておるようでありますが、このような大きな問題を仮実施をもつて行うということ自体私は誤りである、かように考えます。もし国会において、政府が仮実施をしたものが承認を得られないという場合になりますと、ただいま経審長官の言われたように、それこそ国際信義の上からいつても、遺憾きわまる事態が起つて来ることは明らかといわなければならない。こういう点からこの問題については少くとも新国会まで見合すべきである。国民の意思に基いてさらに新たなる見地から検討を要するものである。私どもはかように考えておりますが、特に最後に二点たけお尋ねをして私の質疑を終りたいと思います。 国会の承認不能の場合には、 これなどう処理するかということが一点、伝え聞くところによると、政府は商業ベースででも買うのであるというようなことを考えておると聞いておりますが、はたしてさようであるかどうか。それから仮完施をもしかりに行つて、買付を行いました場合におきましては、本年のアメリカにおける米の作況の事情から見まして、加州米はなるほど準内地米として品質も比較的良好でございますが、御承知の通り南部諸州の米は非常に悪いのであります。しかも現在アメリカのCCCが手持ちしておりますところの米には、三年も前の古米もたくさん含まれておると聞いております。そうしてこれには黄変米のおそれも多分にあると専門家も見ておるのであります。しかも加州米は近来にない凶作でありまして、まつたく日本にはこの処理協定が成立をいたしましても、上質の加州米等の輸出余力はないように聞いておるのであります。そういたしますと、CCCの手持ちの古米、しかも変質のおそれあるものを、ことさらに日本に入れて参ります。このようだ粗悪米を国民に食わせること自体が私は間違いであると思いますが、同時に遺憾な結果が勢いここから出て来るのではないかと思うのであります。そこで河野大臣が言われましたような上質の米が、本年の事情から見まして入る事情にない。これは農林当局として十分御調査にならなければならぬ。もしかりに仮実施を行われた場合に、悪質粗悪米の輸入をどうして阻止せられるのであるか、この点を二点お尋ねをいたしまして、私の質疑を一応終ります。
○河野国務大臣 お誓えいたします。仮実施をするようなことはまだ考えておりません。これはそういうことでありますので、その結果等についてはもちろん考えておりませんから、さよう御承知を願います。もつとも先般来、五月になる、六月になるというようないろいろのお話が出ますけれども、そういう意味合いからいたしまして、なるべく早く選挙を終つて、なるべく早く国会を開いて、こういう当面急迫せる問題については、処理をすることの方が適当であろうということを、われわれとしても考えておるような次第でありますから、その意は御了承いただきたいと思います。 なお相悪米のお話がありましたが、そういう易くには当方においては引取る意思はありません。これはいろいろお話でございましたが、御承知の通りごく最近あの地方を調査して参られた石黒忠篤氏のお話によりますれば、私が先ほど申し上げたような事情を、私は承つておるのであります。なお経審長官もつい最近帰られた次第でありますから、これらの点については事情なお話申し上げることと思います。農林当局といたしましては、足鹿さんの御心配のような黄変米云々というようなものであれば、断じてこれは引取る意思はありません。この点ははつきり申し上げておきます。 商業ベースの問題につきましては、今申し上げたように、仮実施をするようなことは考えておりませんから、従つてそれによつて起る商業ベースの問題については、目下全然考慮いたしておりません。
○山口委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 簡単にお尋ねいたします。大体私の質問いたさんとすることは、ただいま足鹿委員からお話がありましたので、結論的に二、三経審長官並びに河野農林大臣にお尋ねいたしたいと思うのであります。昨日私は御質問申し上げまして、その継続でございますが、私まず河野農林大臣にお尋ねいたしますのは、昨日私は総理大臣に申し上げのでございますけれども、現鳩山内閣が選挙管理内閣というような特殊の性格を持つた内閣である、こういう建前から私はお尋ねをするわけであります。 しばしば河野農林大臣は、あるいは米の統制撤廃であるとか、いろいろな政策をお並べになる。しかも現内閣の存命というものは、すでにこの数箇月に迫つたという特殊の宿命を持つた内閣である。こういうような内閣がいろいろな政策を羅列する、こういうことはあたかも考えようによりましては、選挙の準備のために国民の気に入らんとするような政策を並べているような感じを持たせることは、おもしろくない、こういうような立場から私はお尋ねしておるわけでございますが、河野農林大臣は先般来米の統制撤廃をやるということをしばしば発表されておる。私はこの米の統制撤廃というものが、関西の経済連その他から非常なる希望があるということも承つております。しかしながらこういうような米の統制撤廃というものによつて、あるいは一部の米穀商を非常にもうけさせ、その結果農民の供出意欲をなくするとか、迷わせる、こういうような時期的に非常に考えなければいけない問題ではないか、こういうような問題を軽々しく発表されるということはおもしろくないのだ、こういうことから私は河野農林大臣のこれに対するお考え方を承つておきたい。 さらにまたただいま足鹿委員の質問に対しましても、農民の生産費を少くするためには肥料を安くしなければいけない、先日もかように御発表になつております。もちろんその趣旨はけつこうである。しかしながらしからば農民は今日肥料の値下りを非常に希望しておりますが、いかにしていかなる肥料を値下げするかというこの具体的御説明がなければ、単に農民が喜ぶだけの肥料値下げをするのだ、そうして生産費を安くするのだ、これだけの概念的な説明では、私は納得は行かないと思う。こういうような責任ある問題は、もつと具体的に発表さるべきものではないか、かように港えるわけであります。そこで私はこの米の統制撤廃の問題にいたしましても、あるいは肥料の値下げにいたしましても、いかなる方法でいかなる肥料を値下げしようとするようなお考えを持つておられるか、こういうことも私はこの際承つておきたいと思う次第であります。
○河野国務大臣 お答え申し上げます。どうも私は非常に迷惑いたします。しやべつてはいけないと言いながら、今のようなお尋ねがあればしやべらぬわけには行かないのであります。私も選挙管理内閣とは思いませんけれども、とにかくなるべく自重して参りたいと考えておりますが、新聞記者諸君からお尋ねがあるから、私は話をするのであつて、決して私から声明書を出したりした覚えはないのであります。ところが今もそういうふうに肥料のことについてはどうだというお尋ねがあると、やはり私の考えをここで申し上げる、申し上げれば、そういうことを言つちやいかぬということになると非常に困るのでございますが、お尋ねでございますから、これから私は申し上げることにいたします。 第一に米の問題について申し上げます。これは大体今まで新聞等に私が話をしておりまする通りでございますが、念のために話が長くなるかもしれませんが、時間を拝借して申し上げさせていただきますれば、今日の現状といたしますれば、先ほど足鹿さんからお話もありました遮りに、何といたしましても農家の今日の現状、農村の経済から申しまして、生産費は上つて行くのだ、高く買つてやらなければならぬのだと言いますが、一方において国際的な農産物の価格はどんどん下つて行く傾向にある。これをどうにか調和して参らなければ自立経済の速成はできないという考えからいたしまして、どうしてもわが国の農業政策は全産業の政策の一環として考えて行かなければいけないというふうに私は考えるのであります。そういう見地からいたしまして、従来とかく切り離され、孤立しておつた農業政策、すなわち肥料の問題その他につきましても、比較的そういうふうな立場にありましたものを、全産業の一環として考えて行きたい。従つて肥料等につきましても、極力合理化もしくは生産費の引下げ等について、内閣としては総力をあげて協力をいたすようにいたしたいものたという考えを基本的に持つております。そういう考えからいたしまして、一面においては農産物の流通過程に十分な配慮をいたさななければらぬ。すなわち現在のようにやみ取引のために、非常に運搬賃その他においてむだな経費がかかつておる。こういうふうな生産者と消費者との間のロスを、これをなるべく早く少くするようにしなければならぬ。それにはどうしても統制の撤廃をしなければならぬ。これは全国農民の声と私は了承いたしております。これは一部大阪方面とか関西方面とかいうことは、今初めて承つたのでござい失して、そういう方面にそういう賛成があるかどうかは、私は今日まで知らなかつたのであります。どうしても農業政策的立場からいたしまして、今日のような供出によつて米を出させるとか、政府の決定した値段で米を売らせるというようなことは、一方においてやみで売れば高く売れるというものがありますときには、妥当でないという考え方から、なるべく早くそういうことをやめて、そうして内地米は自由に販売できるようにするということが、一番妥当ではないかと考えるのであります。ところが一面におきまして、ただこれを自由販売にいたしますれば、米の値が上ると思います。上つて、農家は非常にけつこうでございますが、そうばかりは参らぬ。食糧問題は単なる農村問題だけではございませんから、これを全国民の問題として考えますときには、ただ高くなれば喜ぶ農家のためはかりを考えるわけには参らぬ。そういう諸般の点から考えまして、適切妥当なところに米価の安定値を求める必要があるだろう。これは誤解が起るといけませんから、つけ加えて申し上げますが、これは決して政府が一存できめるべきものではない。消費者、生産者、その他学識経験者等によつて形成された、価格を決定する委員会等においてきめていただくことが、一番妥当ではないかと思うのでありまして、多少幅を持つた米価の安定値を求めまして、そこに安定させるために、政府が間接的に操作をして参る、そうして外米は今後も引続き政府が持つておることにいたしますれは、下ればこの外米を売らない、高くなれば外米を売るということにいたしますれば、ある程度の価格操作によつて目的が達せられるのじやないかということを、実は考えておるわけであります。しかしこれをいたしますには、相当に国民各位の御理解と御納得がなければできない。もしそういうことをやつたならば、非常に米が高くなるだろうというような過去の不安を国民に与えますので、国民の理解と協力と納得がなければできませんから、そのために相当の準備期間がいる、準備をする必要がおる。特に米がわが国内において不作なときにおいてやるべきことではない、不安を与えるから、これは絶対にやつてはいけない、いろいろの準備が整つたときにやるべきだと考えるのであります。これを国民に十分御理解をいただきますために、ある程度の期間を置いて準備に万全を期したならば、やつたらいいのじやないかというふうに私は考えておるということ々、新聞記者諸君に話をしたのであります。この点私の考えております食糧統制撤廃については、そういうような大体の考え方でおるわけであります。なおこれにつきましては、社会政策的にもしくは労働者諸君のために、十分な配慮をしなければならぬということもつけ加えさしていただきたい。 肥料の点について申し上げます。肥料につきましてはどういうことを考えておるか。もちろん今日肥料の点について一番考えなければなりませんことは、硫安、石灰窒素もしくは過燐酸、カリ、これらすべての肥料について考える余地がある。特に配合肥料、化成肥料等に一番もうけが多いのでありまして、これは御承知の通りであります。でございますからこの方面に単味の肥料がよけいまわり過ぎますので、過燐酸のごときはむやみに高くなつておるというふうに私は考えます。さらにまた燐鉱石の輸入が不足いたしておるために、肥料が上つておるということも考えられると私は思うのでございます。従つてカリもしくは過燐酸につきましては、カリもしくは燐鉱石の輸入に格段の努力をいたしまして、農民の必要量を十分に入れるということをいたしますれば、値は下げることができる、こう思います。さらにまた肥料業者の協力を得てできることと思いまして、これらにつきましては、私は特に慎重を期しまして、御承知の通り何とか肥料を下げたいものだという程度のことを新聞記者諸君には申し上げてありまして、その内容等については、まだ私は差控えて話はしていないのであります。硫安につきましても同様に考えております。
○稲富委員 ただいま河野農林大臣の御説明を聞きまして、米の統制撤廃の問題につきましても肥料の問題につきましても、委員会等その他の機関を通じて、慎重に検討した上でやろうと思つている、こういうような御答弁でありますので、いかにもそれが、自分たちはこういうことをやるのだ――ただちに農民が食いつくようなことを言われることは、非常に農民を迷わすという意味で、私はお尋ねをしたわけでありますので、そういう点はひとつさように慎重におやりを願いたいと思うのであります。 さらに持ち時間もありませんので、簡単にお尋ねいたしたいと思いますのは、アメリカ余剰農産物の処理としましては、これは前内閣の方針を踏襲して行く、こういう御説明が先刻あつたのであります。これに対しては先刻足鹿委員もお尋ねいたしたのでありますが、私たちが最も懸念いたしますことは、これは足鹿委員の質問と重複するのでございますが、MSA協定によります小麦の導入によつて、少からず日本の農業が圧迫されたというこの事実は否定することはできないのであります。ことに本年度の麦の作付等が減つているということも、これの明らかなる立証であると思うのであります。これに対しては先刻両大臣とも、これがために日本農業を圧迫するようなことはないということは、十分御説明になつておるのでございますが、さらに私がこれに対して念を押してお尋ね申し上げたいと思いますことは、このたびの余剰農産物の処理が、アメリカの余剰農産物貿易振興援助法によつてなされる。この事実を考えますときに、これはアメリカの農産物の振興のためであつて、日本農業が犠牲になる、かような含みがあるのじやないかということをわれわれは考える、さらにまたこのたびの一億ドルのアメリカの使用分の中の二百万ドルというものは、アメリカ農産物市場開拓のために使われるということも開いている。こういうことになりますと、将来日本におきます食糧が植民地的な存在になりはせんかということをわれわれは憂慮するのでありまして、おのずからアメリカの農産物のために、日本農業が圧迫されるというような結果になりやしないかということをわれわれは憂えるわけであります。でありますがゆえに今日、アメリカ政府からこの余剰農産物処理に関するアメリカ側の協定草案が、すでに提示になつておるということも聞きますので、何かの機会におさしつかえがなかつたら、この意もお漏らしを願えれば、あるはわれわれもこれに対する内容等も承知できるのではないかと思うのであります。 さらに私はこの際この席を通じまして、河野農林大臣にお聞きいたしたいと思いますのは、河野農林大臣は十二月十五日の毎日新聞記者との対談におきまして、日本農業というものを世界農業の一環としてやらなければいけない、こういうふうに転換する必要があるというようなことを話していらつしやるように、私は新聞で承つたのであります。もしもこれが事実といたしますならば、ただいまの日本農業が世界農業の植民地化する、こういうような憂えを持つときに、これと関連があるのではないか。日本農業を世界農業の一環に持つて行くということは、これは日本農業の放棄の結果になつて来るのではないか。私はかようにさえ憂慮するのであります。私は少くとも政府はこの政府声明の中においても、食糧の自給態勢をとらなければいけないということも申されておる。日本の経済自立はできるだけ食糧の自給態勢に持つて行くことが最も必要であるということは、これは河野農林大臣の先刻のお言葉の中でも、これをお認めになつておるようでございます。しかしながら日本農業を世界農業の一環に持つて行くということは、日本農業といたしましては、実に危険な、日本農業の百年の大計を誤る結果になりはせぬか、こういうことを考えまして、特にこの余剰農産物の協定に対しまして、われわれは日本農業の立場からも憂慮をするゆえんであります。どうかこの点に対する明快なるお考え方を承りたい、かように考えます。
○高碕国務大臣 御答弁いたします。ただいまの御心配の点は、ごもつともでありまして、私どももそれ以上に心配しておるのでございます。昨年のMSAの小麦がどういう結果になつたかというお尋ねにつきましては、はなはだ失礼でございますが私は存じておりません。これは農林大臣から御説明申し上げていただくことにいたします。 ただいま二百ドルの金が、アメリカの市場開拓のために使われる、こういうようなお話でございましたが、そういつた話も前内閣の当時はあつたのであります。けれどもこれは私は日本の食生活の改善の宣伝ということのために、一例を申し上げますれば、先般来いろいろ問題になつておりました日本のパンを製造するためにいい機械がいる、どうもパン業者は立つて行かない。小さなものでいい機械を買おうじやないか、そういつたものがあれば、そういうものに充当してもらう。こういうふうな方針で進みたい、こう存じておるわけなのでございます。アメリカといたしまれば、もとよりアメリカの農産物を、アメリカ人の金で買つておるわけでありますからこれを処理するために、この法律ができたことはまさにその通りであります。けれども国際間の貿易というものは、先方の都合もよく、こちらもよいということでやるのが当然でおりますから、そのことをよく含んで、今後私は政府の意見をも統制いたしまして、折衝の任に当つてみたい、こう存じておる次第でございます。ただいまの御忠告は私ありがたく拝承いたしておきます。その方針を忘れないで折衝に当りたいと存じます。
○河野国務大臣 世界農業の一環として日本農業を考えるということにつきまして、大分御意見があつたようでありますが、これは誤解のないようにひとつお聞き取りをいただきたいと思うのであります。世界農業の一環として日本農業を考えるということは、たとえば食糧の問題について考えます際に、労働賃金の中に占める食料費のウエイトが非常に大きいことは、私が申し上げるまでもありません、そういたしますと、日本農業が世界農業の立場に立つて、食糧の面において外国の労働者諸君の食べられるパンと、日本の労働者諸君の食べられるパンの値段との間に非常に開きがあることは、自立経済速成の上から許されぬことである。どうしてもこれは外国の労働者諸君の食べられる食糧の価格と、日本の労働者諸君の食べられる食糧の価格とは、なるべくこれを近接するように努力して参らなければならぬと思うのであります。そういう意味からいたしまして今日自由経済の立場に立つて、貿易を振興しなければならぬ立場に立つて、自立経済を達成しなければならぬ国情におきましては、どうしても日本農業は世界農業と同様の立場に立つて、これらの価格と競争して参るようにして行かなければならぬ運命に置かれておると思うのであります。戦前のブロツク経済であるとか、大東亜正義というような時代と異なりまして これからの日本農業は、そういう立場に立つて参らなければならぬように運命づけられておるのであります。従来のように日本農業が孤立農業であることは許されないところでございますから、なるべくすみやかにこれらと堂々と競争のできるように日本農業をして参らなければならぬであろう、従つて日本農業に対して政府としてはあらゆる施策を講じなければならぬだろうというふうに私は考ておるのであつて、決してアメリカの農産物をかつてに持つて来て入れていいのだ、日本の麦はどうなつてもよろしいのだというふうなことを考えておるのではないのであります。なるべく早くそういうふうな立場になるようにわれわれは施策を講じで行かなければいかぬ。これは国策として遂行しなければならぬ、その国策の一翼になう立場にわれわれも立たなければならぬ状態にあるということを、農民諸君も自覚して行かなければならぬではなかろうかと私は考えておるのでございますから、その点は御了解いただきたいと思うのであります。
○稲富委員 最後に、私たちがやはり一番心配いたしますることは、日本の食糧はできるだけ自給態勢に持つて行くことが必要であると思うのでありまして、これに対してはおそらく農林大臣は反対はないだろうと思う。ただ日本農業を世界農業の一環に持つて行くということは、いかにも日本農業を放棄するのではなかろうか、こういうような誤解が生ずると思うのであります。私たちは、それではその結果は、やはり依然として日本が食糧の外国依存の態勢を持つて行くという危険性があるようにうかがわれるのであります。この点に対しては、十分なる考え方を持つていただきたい。ことにただいま経審長官のお話もありました余剰農産物の協定の問題につきましては、ただいま経審長官のお話のありましたように、将来十分注意をして、少くともこれによつて日本農業が圧迫されるようなことのないように、予算措置なんかに対しましても特にお考えを願いたい、かように考えまして、私の質問を終ります。(拍手)
○山口委員長 本間俊一君。一時四十五分まで時間があります。
○本間委員 憲法と自衛隊の問題について、一昨日と昨日政府の方から答弁があつたのでありますが、きわめて明確を欠きますので、私はこの点を明らかにいたしたいと思うのでありますけれども、きようは鳩山総理は御出席がないのでございます。どなたか政府の方で責任を持つて御答弁くださいますか、この点を委員長からもちよつとお確かめおき願いたいと思います。
○山口委員長 この点は、きようは総理大臣は御出席になりませんし、重光外務大臣もセイロンの首相との御参会がありますが、法律的問題、法的解釈等につきましては林法制局長官が見えておりますし、花村法務大臣も見えておりますが、それでいいですか。
○本間委員 そうすると、大村防衛庁長官は国務大臣として鳩山内閣を代表して御答弁くださる、こういうふうに承知してよろしゆうございますか。
○大村国務大臣 ただいまのお尋ねでありますが、この問題につきましては閣内におきましても共同研究をいたしておりますので、十分とは行きますまいが、ある程度お答えはできると思います。
○本間委員 それでは大村国務大臣を相手にいたしまして私の質問を進めたいと思います。昨日は大村国務大臣は想定質問と答弁を一緒にしてお読みになつておるわけでございますが、どうぞきのうの原稿をごらんをいただきたいと思うのでございます。実は一昨日の鳩山総理と大村国務大臣の御答弁を見ますと、政府の憲法九条に対する考え方が非常に幅の広い答えが出ておりまて、明瞭を欠くのでございますが、第九条は現政府は一体どういうふうに御解釈になりますか。その点をまず承つておきたいと思います。
○大村国務大臣 お答えをいたします。第九条をどのように解釈しておるかというのは、昨日私がここで巨細にお答え申し上げました通りに考えておる次第でございます。
○本間委員 きのうの大村国務大臣の御答弁によりますと――御承知のように憲法の解釈は、九条に関しましては三色あるわけでございます。一つは自衛権は否定されておらないが、自衛のための軍備をする場合にも現憲法の改正が必要であるという説と、自衛のためのいろいろな実力部隊を持つことはさしつかえないが、憲法で禁じておる戦力の範囲ならよろしい、こういう説と、自衛のための軍備ならば手放しでよろしい、こういう三つの解釈が民間にあるわけでございますが、現内閣はそのうちのどの説をおとりになるか。
○大村国務大臣 昨日お答えいたしましたごとく、自衛のために必要な相当な程度まではもとより自衛力を持つことができるという見解に立つておるわけであります。
○本間委員 相当の実力部隊は持つてもよろしいという見解に立つておるというのですが、御承知のように民主党の芦田さんあるいは京都大学の佐々木惣一博士は、自衛のためならばどういう軍備を持つてもよろしい、こういう非常に拡張された解釈を持つておるわけでございますが、現内閣はその説をおとりになるのか、あるいはその説に近いところをおとりになるのか、その点を明確に御答弁いただきたいと思います。
○大村国務大臣 自衛権の内容、自衛力というのはただいまお尋ねになりましたようなことと必ずしも一致しないと思います。先ほど来申し上げますごとく、自衛のために必要であつて、これは無制限のものではございません。自衛のために必要である限度におきましてこれを持つことができる、このように解しておるわけであります。
○本間委員 そうしますと、第九条を一体どういうふうにお読みになるわけでございますか、第一項はかりに問題ないにいたしましても、第二項はどういうふうに現内閣は御解釈になりますか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○大村国務大臣 ただいまの点は法制局長官よりお答えいたします。
○林政府委員 今の九条の内容は法律解釈の問題になりますので、私からお答えいたします。今お尋ねになりましたように、九条の一項につきましては、これは国の固有の権利としての自衛権というものを否定していないことはほとんど異論のないところであろうと思います。同時に従つて、一項は国際紛争解決の手段としての武力抗争あるいは戦争を否定しておるだけでありまして、自衛権の発動としての武力抗争ということを否定しておらないことも、これまたほとんど異論のないところであろうと思うわけであります。問題は結局第二項に参るわけでありますが、第二項に、陸海空軍その他の戦力を保持しないという規定があるわけであります。これにつきましては学説がいろいろ出ておるわけであります。しかしいずたいたしましても、この二項の規定は、もちろんこの一項の規定と関連して、あるいは憲法全体の考え方から合理的に読まなければならないものであろうと思うわけであります。この第三項で陸海空軍その他の戦力を保持しないといいますけれども、第一項で自衛権を認め、自衛のための武力抗争、ともかく外国から侵略を受けた場合にただ黙つておるというような態度でない以上は、この二項につきましてもその見地からそれを合理的に読まなければならないであろう、かように考えるわけであります。「陸海空軍その他の戦力」という言葉は、やはりそこの意味からいつて一切の戦い得る力を否定しておるものではない、かように考えるわけでございます。つまり先刻来大村大臣から申しました通りに、自衛権があるというとことから参りまして、自衛のための任務を持つておるわけであります。もう一つにおいては結局一項において国際紛争解決の手段としての戦争を放棄しておる、こういう関係から申しまして、自衛のために必要相当な限度の実力部隊、こういうものを持つことは二項は当然認めておるものである、そこで保持を禁じておる戦力には当らないものである、かように考えるわけでございます。
○本間委員 念のためにもう一度お尋ねしておきます。そうすると第九条第二項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」というのは、陸海空軍及びその他の戦力、こういうふうに読むのか、それとも陸海空軍その他の戦力は一つの言葉として読むのか、そのいずれを現政府はとられるか。
○林政府委員 これはやはりその文字から申しますと「陸海空軍その他の戦力」と書いてございまして、普通の法令の用語から申せば、戦力という言葉がその中心になつておつて、それの保持を禁じておるものである、かように考えるわけであります。しかし先ほど申し上げましたように、いかなる戦力も否定しておるものではない、一項と関連して読むべきものである、かように考えるわけであります。
○本間委員 そうしますとお尋ねをいたしますが、従来民主党の一郎の方々と申した方がいいと思いますが、要するに芦田さんの説は現内閣はとらない、そういう解釈はとらないんだ、こういうことでよろしゆうございますか。
○大村国務大臣 芦田説は大体のことは承知しておりますが、詳しく存じませんから、芦田説と現政府の説がどう違つておるかということは私にはちよつと答えかねます。
○本間委員 芦田さんの説を少しはとるというのですが、そうするとどういう意味ですか。
○大村国務大臣 芦田説との関係は私は承知いたしておりません。政府の見解は昨日来申し上げておる通りであります。
○本間委員 芦田説は御承知のように自衛のためならばいかなる軍備を持つてもよろしいというのでありまして、今林法制局長官の解釈によれば、やはり一つのわくがはまつておるんだ、戦力というわくがあるんだ、こういう解釈なのです。そこで大村国務大臣に現内閣はどういう説をおとりになるか、どういう解釈をとられるかということをお尋ねしたのであります。
○林政府委員 今の本間先生かなおつしやいました点で、先ほど私の申しました点が誤解を受けておるように思いますから、ちよつとその点だけ申し上げます私はいかなる戦力でも持てると言つた意味ではもちろんございませんので、要するに自衛隊のような、ああいう性質を持ち、ああいう範囲のものについては、九条二項が保持を禁じておるものではない。但し戦力という言葉については、これはいろいろ解釈の説はございます。戦力という言葉の内容を非常に高く見る考え方もございます。そういう説から申せば、もちろん自衛隊はその範囲には入りません。また別の意味から申せば、戦力というものを戦い得る力というふうに考えれば、これは警察力等ももちろんその範囲に入りますし、商船隊等もその範囲に入ります。しかし九条二項では、すべてのそういうものの保持を禁止しておるものとは考えられない。そういう意味におきましては、自衛隊も一つの戦力である。しかしあそこで保持を禁じておる戦力ではない、こういうふうに申し上げたのであります。
○本間委員 林法制局長官の説はわかつたのです。要するに憲法ではやはり禁止しておる、憲法で禁止しておる戦力の範囲ならよろしい。憲法では戦力というわくがはまつておるんだそそういう解釈をとられるんだ、こういうわけです。そこで大村さんにお尋ねをいたしますが、そうすれば一体現内閣は戦力というものの限界をどういうふうにお考えになつておりますか、その点をお尋ねいたします。
○大村国務大臣 憲法は自衛力を否認していないことは御承認になると思います。その自衛力を持つという上におきましのて、そ抗争力がどの程度になるかということになりますと、これは自衛目的の制約があると私は信ずるのであります。その程度のものが芦田説とどうなるかということは、私のあずかり知らざるところであります。
○本間委員 それでは法制局長官の解釈が現内閣の解釈だということで論旨を進めて参りたいと思うのでありますが、予算委員会に現われました戦力問答の速記録を調べてみますと、政府が最初にとつておりました説は、自衛のための軍備をいたします場合にも憲法改正が手続きとして必要だ、こういう解釈だつたのです。それが昨年の十一月になりまして松村謙三さんの質問に答えなれて、総理は軍隊と呼んでもよろしい、憲法で禁止をしております戦力に至らない範囲ならばよろしい、こういうことを初めて答弁されたのです。そこで第九条の政府の解釈が拡張されて来ておることは事実なんです、それがいい悪いは、民間の方でやるわけですからこれは別ですが、政府の解釈がそういうふうに拡張されて来たことは事実です。そこで前の内閣は、憲法の禁止をしておる枚方とは近代戦争を遂行する能力だ、こういう限界を置いておつたわけです。そこで現内閣はどういう限界を置かれるかということを明らかにしていただきたいと思います。
○大村国務大臣 さきに申し上げますように、自衛権の内容でありますところの自衛力限界は、自衛目的で制約をされておる、こう考えております。
○本間委員 自衛目的で制約されておるということですと、これはちよつとわからないのですが、どういうことなんでする。
○林政府委員 先ほどから防衛庁長官がおつしやつておる通りだと思うのでありますが、昨日来申し上げております通りに、自衛権を認めておるわけでありますから、自衛の目的のためにはもちろん持てる。但しその限度も、自衛権の国土防衛というもののために必要、相当な限度こういう二つの考え方で行くと言われたものと、かように考えます。
○本間委員 亦法制局長官の答弁によりますと、どうもわくのない解釈に立たないとそういう解釈はできないのじやないかと私は思うのです、よろしゆうございますか。防衛目的といいますか自衛のためといいますか、日本を自衛するためにしからば必要なものとなりますと、必要な実力部隊と申しますか、そういうものの限界はないことになります。だれも軍備を持つときに、最初から侵略を目的として軍備を持つ国は、御承知のようにどこにもございません。(「その通り」)ただその国の地理的な環境、あるいは相手によりまして、どれたけの軍備を持たなければならぬかということについて技術的にも、専門的にもいろいろな研究が始まるわけです。そこで憲法には一定のわくがあるんだ、こういう説明なんですが、今の御答弁だと、わくのない解釈に立つておられるように私は思う。そこでもしわくがあると言うならば、そのわくはどういうものかということをお尋ねいたしたいと思います。
○林政府委員 今申し上げましたことは、――いわゆるわくはあるものと私ども思つております。要するに自衛のために必要、相当と申しますのは、やはりその国々が置かれた客観的ないろいろな情勢なり、ある時期、状況によりまる判断によけつて、国会がおきめになることだと実は思うわすでございます。これは、いわゆる近代戦争遂行能力という言葉自身も、客観的に一定したものではないと私どもは思うのです。それぞれそのときどきによつて、おのずからやはりそこに上下の動き方がある、かように考えるわけであります。その点は双方どちらも一つのわくであろう、かように考えます。
○本間委員 そうしますと、お尋ねしますが、前の内閣は、この憲法のわくを――(発言する者あり)憲法のわくを近代戦争遂行をする能力だ、要するに近代戦争に耐え得るものは憲法で禁止しておる戦力だ、こう説明しておる。そうすると、今の内閣は前の内閣がとましたわくよりも一体広いのか、狭いのか、その点をひとつ伺いたい。
○大村国務大臣 広いか狭いかということは、これは客観情勢によつてきまることでありまして、わからぬと思います。
○本間委員 わくがあるとおつしやられるから聞いたのですが……。御承知のように実際の問題に当てはめてみれば、その国の地理的な環境によつて、あるいは相手によりましてこれは違つて来るのです。たとえば日本の自衛力あるいは日本の防衛する力というものは進つて来るのです。建つて来るのだが、少くとも今は憲法の解釈を論議しておるのだから、そのわくがふるというのならば、そのわくの概念をどこに置くか。相手によつて違いますということではわくがないということと同じことでしよう。それでは一体現内閣はそのわくをどう考えられるかということとを私はお尋ねしておるわけです。
○大村国務大臣 その点は先ほど来お答えをいたしておりますように、自衛目的で制約されます。
○本間委員 自衛目的でわくがあるということは概念の上でもわくがないということでしよう。 そうすると、これだけひとつ具体的にお尋ねしますが、前の内閣よりも憲法で禁止しておる戦力のわくは少くとも概念の上では広くお考えですか、狭くお考えですか。おそらく広くお考えになつておるのじやないかと思いますが、広いなら広いでいいのです。その点どつちでもいいのですから……。
○大村国務大臣 これも先ほどお答えいたしましたように、自衛目的に制約された限度でありますから、これは客観情勢によつて広い場合も狭い場合も想像すればあり得ると思います。
○本間委員 それでは、今のような御説明だとすれば、自衛のためにはわくがないんだという解釈をおとりになりたいのじやないですか。その点はどうなんですか。もう一度御答弁を願います。
○大村国務大臣 先ほど来申し上げた通りであります。
○本間委員 これでは答弁にならぬようですが、それならば一歩を譲りましよう。(「そんなところで一歩譲つてはだめだ」と呼ぶ者あり)時間が過ぎますから一歩を譲りまして、問題をかえて進めたいと思います。 昨日の大村国務大臣の御答弁によりますと、想定質問入りの問答によりますと、初めてこういう言葉が出て来ております。国際紛争を解決することは本質が違う。従つて自国に対して武力攻撃が加えられた場合に、国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない。――武力というが言葉政府の答弁の中に初めて出て来たののですが、そうすると戦力と武力というのはどういうふうにお考えになつておりますか。
○大村国務大臣 お答えをいたします。初めてかどうかあまりつまびらかにいたしませんが。武力というのは、国土防衛のために使うところの実力であります。
○本間委員 そうすると戦力との相違はどこに置かれますか。
○林政府委員 それは結局、武力というのは、外国から侵略があつた場合に、実際上の力でそこで抗争するという場合に現われる形態から言つたものと思います。戦力というのは、これは物的、人的な一つの集団的なもの、そういうものを表現しておるものと考えます。
○本間委員 どうもわからなくなつて参りました。 それではもう一点お尋ねをいたします。どうも今の内閣の見解は御統一になつておらないようでございますが、そうすると、また問題が返りますけれども、やはり今の憲法で禁止しておる戦力のわくはあるんだという見解は、あくまでも現内閣は維持される、自衛のための軍備でも制約はあるという見解をあくまでもとるということですか。
○林政府委員 戦力という言葉自体は、これは言つてみれば戦い得る力という解釈ももちろん成り立つわけでありますが、戦力という言葉を従来の通りに近代戦争遂行能力という非常に潤いところに置いて戦力という言葉を定義すれば、今の自衛隊はそれよりも以下である、これは今まででも言われておるのであります。しかし戦力という言葉をもつと単純に、いわゆる戦い得る力と読めば、自衛隊も一つの戦力でございます。しかし自衛隊というような目的を持ち、自衛隊という、ああいう範囲の限度のものは、これは憲法九条の二項で禁止されておる戦力ではないのだ、こういう意味を申し上げたのであります。これは戦力というものの意味自体の問題になつて来るたろうと思います。
○本間委員 どうも政府の答弁々聞いておりますと、狭義の解釈に立つておるようでもあり、あるいは非常な制限のないような御答弁でもありまして、要領を得ないのであります。そうすると具体的にお尋ねいたしましよう。鳩山総理は御出席になりませんが、一昨日非常に重要な御答弁をいたしております。成田君の質問に答えまして、自衛のためならば戦うことが許されておるわけなんですよ。そうしますと戦うことを許されている自衛隊は軍隊であると言えるはずなんです。戦いは禁止されていないのですから軍隊だと思うけれども、軍隊を持つてはいけないということを書いてありますから、それまた制肘を受けます。こういうふうに答弁されておるのです。そうすると、これとあなたの昨日の御答弁になりました解釈との間には相当な距離があるのですが、これはどういうようにお考えですか。
○大村国務大臣 御指摘のごとく昨日申し上げましたように、自衛隊は外国からの侵略に対処する任務を持つておるのでありまして、このようなものを軍隊と言いますならば、自衛隊もまさに軍隊であるのであります。
○本間委員 どうも質問がのみ込めないようですからもう一度繰返して申し上げます。よろしゆうございますか。私は自衛隊が違憲であるというような議論をしようとは思つていませんから、その点は御用心なさらぬで、現内閣の憲法で禁止されておるわくというのは一体どの辺をお考えになつているか。これがないといろいろな問題が起るものですから、その点を私は聞いておるのです。ですから現内閣の解釈が統一されてぴしつと出さえすれば、それであとは国民がどう判断するか、それは国民の自由でありますからその点はいい。だからあまり自衛隊は違憲であるという議論をしようとは思いませんから、その点は安心していただきたいと思うのでございます。私はまた軍隊だとか兵隊だとかいう言葉にとらわれてはおらないのです。要するに鳩山さんの一昨日の答弁は、戦いは禁止されていないのですから軍隊だと思う、それはいいのです。けれども軍隊を打つてはいけないということを書いてあるからそれでその制肘を受けなければなりません、こう言つておるのです。問題はあとの方なんです。軍隊を持つてはいけないということを書いてありますから、その制約を受けるのだということを言つておりますが、それは大村さんのきのうの答弁とは非常な距離があるのです。どちらの方を現内閣の解釈としてお認めになるかということをお尋ねしておるのです。
○大村国務大臣 昨日来お答え申し上げているところは統一的に考えておるのでありまして、矛盾はないと思います。
○本間委員 鳩山総理の一昨日の答弁によりますと、憲法第九条は、狭く解釈しておられるようであります。そうでしよう。今の自衛隊は憲法違反ではないけれども、憲法には軍隊を持つていけないというふうに書いてあるから、この制肘を受けなければならないと言つている。そうすると非常に狭い解釈に立つている。ところがあなたのきのうの答弁によりますと、それが広く解釈されている。ちようど今林法制局長官のような考えであなたのきのうの答弁ができているのです。だから今の政府はそのいずれをおとりになるのか、具体的にお尋ねしたい。
○大村国務大臣 鳩山首相の答弁の内容は、ただいま御指摘のように自衛のための実力は持てる。それで自衛のためでございましたならば、客観情勢によりまして、いわゆる軍隊といわれる程度のものももとより持てる、この解釈であります。
○本間委員 そうしますと防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、今の自衛隊を日本を自衛するという任務のためにお育てになるのに、今の憲法では障害になるところがあるとお脅えですか、どうですか。
○大村国務大臣 障害にはなりません。
○本間委員 そうすると、自衛隊を日本をみずから守るという任務のために育て上げる上においては、今の憲法で障害になるところはない、こういうのですね、もう一度。
○大村国務大臣 現行憲法の法理上はさしつかえありませんが、先般も申しましたように、この点につきましては世上疑念を抱く者もありますから、憲法を改正する機会がありましたならば、もう少しこの点をはつきりした方が望ましい、このように考えております。
○本間委員 そうしますと重ねてお尋ねをいたしますが、大村防衛庁長官は内閣委員会でこう答えられております。現行憲法におきましては、御承知のように憲法第九条があるだけでありまして、自衛力を持つことは憲法の否認しておることでないことは、先に申し上げた通りであります。しかし日本の自衛を完全にするためには、憲法の上に自衛力の保持についての必要な規定を追加する必要があるのではないか、このように考えておる次第であります、こうお答えになつております。今の御答弁とちよつと食い違うように思うのですが、この点はいかがですか。
○大村国務大臣 何ら食い違いはないように考えます。
○本間委員 よろしうございますか、日本の自衛を完全にするためには、憲法の上に自衛力の保持についての必要な規定を追加する必要があるのではないか、こう言つておられる。今の答弁では、自衛の目的を達成するために、自衛隊を育てて行くために今の憲法は障害はない、こう言われておる。どうですか。
○大村国務大臣 それでは私の考えをもう少し詳しく申し上げます。御承知のごとく現行憲法は占領下にできた憲法でありまして、いろいろ不備の点があることは広く認められておるところではないかと思うのであります。そこで現内閣におきましては憲法審議会ともいうべきものを設けまして、この点についての調査研究を進めたいという希望を持つておりますが、そのような機会におきましては、防衛問題につきましても今少し憲法の規定を整備する必要があるではないか。私の信ずるところによりますれば、たとえば自衛隊法に規定してあることではありますが、防衛出動に関する規定のごとき、その基本的な事項は、憲法に取入れた方が適当ではないだろうかというように思うのであります。なおまた現行憲法は自衛隊の管理運営に関することは何ら触れておりませんが、諸外国の例から見ましても、これらの点につきましても、その基本事項を憲法に規定するということの方がいいのではなかろうか、これらは今後の研究によることでありますが、私の考えといたしましては、これらの事項を憲法上明確にいたしまして、防衛出動等につきまして誤りなきを憲法で保障するというようなことは望ましいことではないかと考えておるのであります。
○本間委員 大村国務大臣は、自衛隊を育てて行く上に今の憲法上の障害はない、しかし憲法が改正される機会があるならば、その際にいろいろつけ加えて改正をしたい、こういうふうに今御答弁になつたのですが、そうですね。
○大村国務大臣 その通りであります。
○本間委員 鳩山総理が愛知県、岐阜県の方へおいでになりました車中談で、特に第九条の改正は必要である、こう語つておられます。それから一昨日当委員会の方におきましても、とにかく最も憲法改正をしなければならぬと思つたのはやはり九条に違いない、こういうことを言つておられるわけです。そうすると鳩山総理のお考えは、やはり憲法改正の第一の必要は九条の改正にある、こういうふうに私ども受取つておるのですが、今大村さんの御説明によると、いや、それは憲法が改正される機会があるならば、その際にと、こういうふうな今の御答弁でありますが、この点はどういうふうに御説明願えますか。
○大村国務大臣 さきにも申し述べましたように、現行憲法につきましては、これは占領下にできたものでありまして、改正点は単に憲法第九条のみならず、ほかの点にもだんだんあるのであります。そこで鳩山首相も憲法調査会を設ける希望を申し述べられたと記憶いたしておるのであります。多数あります憲法改正条項のうちにおきまして、九条の改正を特に指摘されましたのも、他の条項とあわせ考えられてのことでありまして、われわれといたしましても機会がありまするならば、憲法九条に対する世間にあるいろいろな疑義を一掃する改正ができればまことに望ましいことであろう、こう考えておる次第であります。
○山口委員長 本間君、あまり時間がありませんから簡単に願います。
○本間委員 委員長から時間の催促がありますから簡単にしますが、鳩山総理もおいでにならないわけでありまして、この点は大村国村大臣ではあるいは御答弁しかねるかもしれませんが、これは明らかに鳩山総理は当委員会でもそう言つておられるし、それから車中談でもそう言つておられるわけであります。ですからやはり現内閣は、憲法の第九条からいつても憲法の改正は必要だ、ほかの方からでなく、というふうに、これはすつきり政府の見解を明らかにせられた方が私はいいじやないか、こう思うのですが、あくまでもそうじやないのだ、やはり再軍備のためには現行憲法の改正は必要ない、こういう御見解で行くのですか、その点どちらなんですか。
○大村国務大臣 再軍備と申しますか、自衛力を維持するためには現行憲法でさしつかえはない、こう考えます。
○本間委員 そうしますと、最後に念を押しておきますが、そうでなく、鳩山さんが御答弁せられておるように、やはり九条の改正が必要だ、従つて現内閣が憲法の改正を主張される第一の理由はここにあるのだということではないのですか。それは違うとおつしやるのですか。鳩山さんがこう言われていることは、それは違うのだ……。
○大村国務大臣 先ほど述べました通りであります。
○本間委員 それでは時間が参りましたから、はなはだどうも要領を得ませんで不満足でございますが、私はこれで打切ります。
○山口委員長 大橋武夫君から本間君の質疑に対する関連質問の申出があります。これを許します。
○大橋(武)委員 ただいまの政府の御答弁を拝聴いたしておりますと、憲法第九条の改正といたしまして、自衛のため相当な必要な自衛力を持てる、また憲法第九条はいかなる戦力をも禁止した趣旨はないのだ、こういう御説明であります。従いましてここで特に御説明を重ねて伺いたい点は、政府の解釈によりますと、第九条は戦力全般を禁止したのであるか、それとも戦力を二つにわけて、禁止する戦力もあれば、禁止しない戦力もある、こういう趣旨であるか、この点を大村国務大臣から明確にお願いをいたします。
○大村国務大臣 先ほど来申し上げましたように、自衛の目的の限界内におきましては戦力も持てるというのであります。しかし、客観情勢によりまして、戦力という程度のものを持つことが程度を越えた場合におきましては、戦力でない程度の弱勢の場合もある。
○大橋(武)委員 ただいまの大村大臣の答弁は非常に重大なる答弁であると思います。従来の政府の答弁によりますと、およそ戦力はすべて持てないのである。従つて現在の自衛隊というものはこれは戦力にあらず、こういう解釈をもつて一貫いたして参つておるのでございます。しかるにただいまの大村国務大臣の御答弁によりますと、憲法で許された戦力があるのだ、それば自衛隊である、こういうような御説明でございまして、これは憲法の第九条の解釈としてははなはだ、今まで私の聞いたことのない新しい説でございますが、これは従来の解釈を改正されたという趣旨であるかどうか、その点を明確に承りたいと思います。
○大村国務大臣 ただいまのお尋ねは、私の従来のお答えの通りでありますが、重大な問題でございますので、なお法制局長官からも詳しくお答えをいたします。
○大橋(武)委員 私は、重大な問題でございますから、国会に対して責任を負われる国務大臣御自身の御答弁をいただきたいと存じます。
○大村国務大臣 先刻来述べました通りであります。
○大橋(武)委員 先刻来述べたと言うが、私は先刻来質問はいたしておりません。従つて本間君に述べられた問題と、私に今お答えになる問題は全然違うのであります。私は従来の政府当局の解釈というものがかわつたのかどうかという点を質問いたしておるのであります。これについてお答えをいただきたいと存じます。
○大村国務大臣 従来の解釈は質問された方もよく御承知の通りでありまして、私のお答えとあわせてお考えをいただきたいと思います。
○大橋(武)委員 自衛目的という目的によつて制限された戦力、この戦力というものは憲法において禁止したものではない、こうお答えになつたことと思うのでございますが、そうなりますと自衛目的というもののために必要な程度というものは、一体たれがいかにして認定するのであるか、これをお答えいただきたい。
○大村国務大臣 ただいまの解釈はもとより自衛隊を管理いたしておりまする時の政府もその標準によつて判断をするでありましよう。またそれに基きまして必要な予算案、法律案も国会に提出いたします。そうすれば結局はお尋ねの点は、国会の意思によつてその程度が確定される、このように考えておる次第であります。
○大橋(武)委員 これはまたさらに重大な御答弁をいただきまして、ただ恐れ入るばかりでございます。国会議員は憲法の条章を遵守する義務がある、しこうしてその国会議員の認定したものが憲法の許したわくとなるのだ、こういうことになると、憲法は国会議員並びに政府が相談すれば何でもできるのだと言わんばかりのお答えである。少くとも自衛権については、政府と国会が一致すれば戦力というものの程度は無制限に拡大できる、こう言わざるを得ないのでございます。これはいかに仰せられましようとも、理論上当然さようにならざるを得ないのでございます。この点をさように解してよろしいか、はつきりお答えをいただきたいと存じます。
○大村国務大臣 先ほど来たびたび申し上げます通り、自衛目的の限界は客観的にあるのであります。その客観的標準によりまして政府が立案し、国会も御審議になる。客観的なわくの中で意思決定があるものと確信いたします。
○大橋(武)委員 客観的なわくとなれば、その客観的なわくを数字ないしその他具体的にひとつお示しをいただきたい。
○大村国務大臣 そのことはたびたびお答えいたしましたように、客観情勢によつてきまることでありまして、数字で一尺とか二尺とかいうような基準を設けること自体はできないものと考えます。
○大橋(武)委員 そういたしますと、たびたびあなたからお答えをいただきました通り自衛力の限界、すなわち憲法の許しておる――憲法は戦力を許しておる、そうしてその戦力の限界が政府並びに国会によつて無制限に拡大し得るものである、但しそれを認定する場合においては客観情勢というものを基礎にしなければならぬ、しかし、その客観情勢というものは一尺とか二尺とか具体的にきめることはできないのである、そのときに適当にきめる以外にないということとなると、これはすなわち、大村国務大臣並びにその構成いたしております鳩山内閣の自衛力に対する根本的な思想というものは、今日の日本憲法のもとにおいて政府が認定すれば無制限の軍備を許されておると断定せざるを得ないのでございます。今日鳩山内閣が選挙の人気取りの方法といたしまして、そのかねてから抱懐いたしておりますところの再軍備論が選挙において非常に不利である。こう考えましてこのごろ再軍備はしないのだ、自衛力は今まで通りだというようなことを言つておる。それはまつたく欺瞞的な選挙目当ての人気取りにすぎない。あくまでも彼らは再軍備論者であるということを明瞭にいたした、かように私は了承いたしまして、この関連質問を打切らせていただきます。
○山口委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 この予算委員会において、大体大臣の方がいろいろ表明されたり話されたことが、化けの皮が現われまして、実際は中ソ外交の問題でも、あるいは中共貿易の問題でも、予算問題でも、憲法の問題でも、いろいろ問題が露呈されまして、政府の黒星になつたと思うのでありますが、私は特に憲法問題についてお話申し上げたいのは、元来民主党は、改進党の時代から、あるいは再建同盟の岸さんなどがおられて、御承知のように、憲法の改正、再軍備を絶対支持して今日まで来られたわけであります。そういう点について、少くともこの内閣は選挙管理内閣でありますけれども、今までうたつておつた憲法問題くらいははつきりとした答弁をしていただきたい。今御承知のように木間君からいろいろ質問がありましたが、私たちは、現在のこの自衛隊は憲法に抵触するものだということをはつきり明言するわけでございます。そこで昨日大村大臣が答弁をされて、自衛隊は外国からの侵略に対処するという任務を持つているが、そういう意味からいえば軍隊であるということをおつしやいました。ところが憲法第九条のどこにこの軍隊を使つていいということが書いてあるのか、まずお尋ねしたいと思うのでございます。
○大村国務大臣 憲法が自衛力を国が持つことを否認していないことは、政府のかたく信じておるところであります。またこれは通説であると考えます。
○佐藤(觀)委員 そういうばかなことはない。憲法の第九条か一ペん読んでもらいたいと思います。その第九条第二項には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」ということが書いてある。どこに自衛隊を持つてよいということが書いてあるか、戦力をどうして持つてよいのか、そのところの解釈をひとつはつきりと御明言願いたいと思います。
○大村国務大臣 その点はさきにも法制局長官から説明をいたしたのでありますが、もう一度法制局長官より巨細に説明をいたします。
○林政府委員 その点は先ほども御説明いたしましたが、憲法九条一項は自衛権を放棄していないことは、これは当然認められておることであります。従いまして九条第一項で放棄しておりますのは、国際紛争を解決する手段としての戦争あるいは武力行使、こういうことになつております。従つて自衛権に基きますところの、外国から侵略を受けた場合の実力行使、こういうものは九条一項では否定しておらないということになるわけであります。 今御指摘になりました九条二項の問題でありますが、二項には今お述べになりましたような条文があるわけであります。もちろんこれは、九条一項と関連して読まなければならないものでありまして、九条一項で自衛権を認めておる以上、それに対応するものも九条二項が完全に否定しておるものではないことは明らかであると思います。そこで戦力と申しますか、陸海空軍その他の戦力は保持しないと申しておりますけれども、戦力という言葉は、これをきわめて単純に考えれば戦い得る力でございまして、これはたとえば警察力のごときも場合によつては戦い得る力になる、そういうものを憲法が否定しておるということは当然考えられない。従いまして、戦力というものを持たないといいましても、その保持してはならないといつておるものの中にはそこにおのずから限度がある、あるいは幅がある、こういうふうに考えるわけであります。ただ一項で自衛権というものを認めておる以上、それに対応いたしまして、国の安全を保持する意味におきまして、自衛力を持つ、国の自衛を保持下るに必要、相当な限度における自衛力を持つことは九条二項が当然に否定しておらない、こういうふうに考えるべきものだと思います。
○佐藤(觀)委員 いろいろ意見がございますが、憲法の第九条のほかに、憲法の前文を読んでいただけばわかりますが、御承知のように憲法の前文には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に依頼して、」ということが書いてある。これは平和憲法でありますから、そこへ交戦権というものが出て来るはずはないのでありますが、一体大村大臣はこういう憲法をお読みになつたかどうかひとつここではつきり言つていただきたい。
○大村国務大臣 不勉強ではありますが、憲法はたびたび読んでおります。
○佐藤(觀)委員 憲法をお読みになれば、第九条に交戦権があるなどとは考えられない。一体どういうところで憲法を読んで――そら読みだけではだめです。大学生が本を読むだけではためでございまして、一体どこに交戦権があるということをこの憲法で認めておるか。
○大村国務大臣 その点は、ただいま法制局長官も説明いたしましたし、昨日来たびたび私からも申上げておるところであります。
○佐藤(觀)委員 独立国に自衛権はあるが、自衛権の裏づけで、自衛力については、憲法第九条はその戦力化と軍隊化を禁止しております。陸海空軍というような戦力を使つてはいけないということが書いてある。どういうところに憲法を改正しないで――これはあなた方与党の諸君も、この問題があつたときには――中曽根君は、この憲法でやみの軍隊をつくつてはいけない、公の軍隊をつくれということを野党のときには言つていた。ところが急に今再軍備なんかしてはいけない、人気に悪いから何とかうそを言おりとしておる。こういう点を、あなたは防衛庁の長官として今度の内閣の中心をなす人であり、再軍備内閣、憲法改正内閣だから、そいつをここで、はつきり言つていただきたい。
○大村国務大臣 これまでたびたび申し上げました通りでありますが、なお簡単に申し上げます。従来たびたび政府側で説明をいたしましたように、憲法第九条一項は、国際紛争を解決するための手段としての戦争を放棄しておるのでありまして、自衛権を否定していないことは、私どもの確信するところでもありますし、世間の通説であるのであります。自衛権を認める以上自衛力を持ち得ることは当然過ぎるほど当然だと思うのであります。
○佐藤(觀)委員 そんな当然なんということはないので、実際は今まで鳩山さんも、憲法の九条はかえなければいかぬということを言つておられるのです。ところが、みんなあなた方は、選挙前だから、今青年や一般の女の方があなた方の再軍備や憲法改正に反対だから、今はそうやつてごまかそうとしているのです。一体あなた方の内閣の主眼点は、再軍備か憲法改正かということが中心なんだ、それを率直にあなかたら言つてもらいたい。鳩山さんも名古屋の演説のときに言つておる。憲法第九条はかえなければならぬということを記者会見で発表しておる。この間もこの委員会で、第九条は疑問点があるからかえなければならぬというようなことを言つておるのだが、大村大臣はどういうふうにお考えですか。
○大村国務大臣 われわれの念願いたしておりますことは日本の自主独立であり、そのためには自衛力を充実するということが絶対必要でありますが、戦略軍備というがごときものを持ちたいというような気持は従来とても毛頭持つていないのであります。
○佐藤(觀)委員 自衛力を増強するという意味は具体的にどういうことでございますか。今言われたのですが……。
○大村国務大臣 国土防衛の全きを期するために自衛力を持つということであります。
○佐藤(觀)委員 国土防衛を全うするというのは自衛隊をふやすという意味でありますか、どういう意味ですか。国土防衛のあれを強化するということはどういう意味ですか。具体的にどういうことをやるのですか。
○大村国務大臣 たびたび申し上げておりますように、自衛目的の範囲において国力に応じて自衛力を整備したいのであります。
○佐藤(觀)委員 国力を整備したいということは、自衛隊をますます整備したい。今、日本の自衛隊は、外国でも軍隊と言つておりますが、その軍隊を強化したいという意味に解していいですか。
○大村国務大臣 従来、その点についてはたびたびここで申し上げた通りであります。
○佐藤(觀)委員 一度も言われたことがないのですが、まあ非常におふなれでお気の毒でありますけれども、私たちとしては、現在の自衛隊は憲法違反という解釈をとつておりますので、どうしてもこの問題については追究しなければならぬわけであります。そこで、現在の自衛隊がかく変化する前には、最初は予備隊ということでございました。それからこれが保安隊となり、そうしてきようのように自衛隊となつて、わが国の独立と平和を守り、国の安全を保つために、直接侵略及び間接侵略に対してわが国土を防衛することが主たる目的であるということをうたつておるわけであります。私たちの考えといたしましては、現在の自衛隊は憲法違反だという解釈を持つておりますから、民主党の政府も、少くとも憲法改正を掲げて そうして今度の総選挙に臨むということを考えておりました、現在の自衛隊は、その過程から見ましても当然軍隊と合じである、こういうようにわれわれは解釈しておりますが、大村さんはそういうことを御存じないですか。
○大村国務大臣 その点については従来たびたび申し上げました通りでありまして、あなた方は、憲法違反とお考えになるか存じませんが、われわれは、憲法上自衛隊を持つことは一向憲法の禁ずるところでない、こう考えております。
○佐藤(觀)委員 そうすると、現在の憲法には、その自衛隊というのは確実に抵触しない、全然疑いがないとお思いでございますか。
○大村国務大臣 その通りであります。
○佐藤(觀)委員 そういうことになれば鳩山さんのたびたび言われたことは、これはうそであるということをわれわれが確認してもよろしゆうございますか。
○大村国務大臣 その点、たびたび申し上げましたように、現行憲法は不備でございますから、将来憲法改正のとき自衛力の点を明らかにするのが望ましいことと考えております。
○佐藤(觀)委員 たびたびと言われますが、先日、十六日の内閣委員会におきまして、防衛庁長官は、やはり憲法に疑念があるからかえなければならないということを――これは速記録に出ております。そういうことを言つておりますが、それと矛盾しませんか。
○大村国務大臣 私が疑念を持つていると申し上げたことは毛頭ないのでありまして、世上疑念があるから、その疑念を取除くために、改正の機会があればその点を明らかにすることが望ましい、こう申し上げたと信じております。
○佐藤(觀)委員 世上疑念があると誓われますが、世上疑念があるのは、やはり現在の憲法の規定するところでは、再軍備あるいは自衛隊は持つていかぬという疑念があると思うのです。そういう点について政府は一点の疑念もないかどうか、この点をひとつはつきりとお答え願いたいと思います。
○大村国務大臣 政府としてい一点の疑念も持つておりませんが、世上一部には――従来お答えをいたしました通りであります。
○佐藤(觀)委員 全然自分に自信がないのでございますけれども、私たちは遺憾ながら、たびたびたびたびと言われましても、ほんとうの政府の信念というものがわかりません。そこで、昨日も同僚委員から鳩山首相に対して、一体憲法改正をやるのかどうかという話が出ましたら、憲法改正のことにつてはもうしばらくあとで考える、この選挙が終つてから考えるというお話でございました。大村大臣は、世上いろいろ疑念があるという問題について、あなたの信念では、憲法改正をおやりにならないのかどうかこの点を、たびたびでなく、一回でけつこうでありますからひとつお述べ願いたい。
○大村国務大臣 自衛隊、自衛力を持つことつきましては、現行憲法上われわれは何ら支障がない、こう考えておりますが、将来機会がありましたならば、先ほど来たびたび申し上げますように改正が望ましい、このように御了承願います。
○佐藤(觀)委員 自衛隊法の第七十七条には、内閣総理大臣は「必要があると認める場合には、国会の承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」「特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」ということが書いてあります。これは昔の統帥権と同じなんです。こういうような自衛隊がどうして憲法と抵触しないか、その点を、私らは頭が悪いから、わかりいいようにひとつあなたにはつきり説明を願いたい。
○大村国務大臣 この点は先ほど来たびたび申し上げた通りであります。
○佐藤(觀)委員 自衛隊法の第七十六条は今初めて申したわけでございまして、たびたび言われたわけではございません。
○大村国務大臣 あなたの御質問に対してお答えを申し上げたことはないかと思いますが、防衛出動に対しましてはさきに申し上げた通りであります。
○佐藤(觀)委員 私は第七十六条のことについての解釈る申しておるので、そういうことを言つているわけではないのです。七十六条の解釈をどういうふうにお考えになるか。第七十六条が今こういうようなことになつておる。ところが一体これが軍隊でないということが言えるかということをはつきりあなたに説明していただきたい。
○大村国務大臣 私はたびたび申し上げと思のでありますが、これは自衛権の発動を規定いたしておるのでありまして、憲法上自衛権はわが国が持つておるということは一点疑いのないことと確信をいたしておる次第であります。
○佐藤(觀)委員 御承知のように、あなたは前から自由党におられて、それから民主党にかわられた方でございますから、その点について私らはあなたの考え方がまだ民主党になり切つていないと思う。けれども御承知のように、あなたの政党の幹部の人は、鳩山さんにしても芦田さんにしても重光さんにしても、みな再軍備論者なんだ。憲法改正論者なんだ。そういう点を見て、あなたも民主党の大臣になられたのでございますから、正直にひとつぼくらに教えていただきたい。なるほどこれはあなた方自身がかつて自由党のときに、改進党の川崎さんや中曽根さんに責められた。やみの軍隊をつくつてはいけない、こういうことをさとされた。あなたも御存じだろうと思う。そこで私は、あなたが心をかえて今ここで――おそらく自衛隊の隊員がやみの軍隊と言われるのはいやだろうと思う。そういう点からはつきりとここで――あなたは防衛庁長官としてこの間進軍ラツパで迎えられたわけでございますから、ぜひともひとつその点の所懐を述べていただきたい。
○大村国務大臣 その点につきましては、現内閣におきましても種々協議をいたしまして、そうして統一的見解をきめて、昨日間違いのないように文書によりまして正確にお答えを申し上げたはずでありますが、それによつて御了承願いたい。
○佐藤(觀)委員 それは昨日私も伺いましたが、ただ人の書いたものをここでお読みになつただけでありまして、少くともあなたは昔の陸海空の三軍を叱咤するいわゆる軍の長として、いろいろな人にあれをしなければならねような立場にあるわけです。そのことのよしあしは別といたしまして、そういうような責任のある方が、ただ一ぺん閣議できまつたからというものを読んで、ここで憲法違反ではない、これは合憲であるというような、そういう無責任な態度は、少くとも私は民主党の国防長官としてはなはだもつて解せない点であります。そこできのう五条のいろいろな問題を一々やれば切りがありませんから申し上げませんが、少くともあなたの信念をここではつきりともう一度――官房長官やそのほかの法制局長官の人の意見ではなくて、あなたは一体ほんとうに正直にこれは憲法違反じやないということを実際にお考えになつているのかどうか、これは良心ある大村さんのために、ひとつここで一席はつきりとした答弁をしていただきたいと思います。
○大村国務大臣 先ほど来政府の統一的見解を申し上げておるのでありますが、私は私の信念におきまして、自衛隊、自衛力を持つことは現行憲法上何らさしつかえはない、こう確信をいたしております。
○佐藤(觀)委員 そうすると鳩山首相とは考え方が違うわけでございますが、同じ私たちが今日この委員会を請求いたしましたのは、しばしば鳩山首相が憲法改正、第九条の問題につきましていろいろ話もされておる。昨日も予算委員会の中でそういう意見が出ましたから、この総選挙を前にして、少くとも民主党の主眼である憲法改正、再軍備の問題についてわれわれははつきりとした認識を得たいというために、わざわざきようこういう会を開いたことは御存じの通りであります。そこであなたは少くとも防衛庁長官として、政府の声明ということではなくて、信念を持つて答えていただきたい。もし将来鳩山内閣がもう一度できて、それから憲法改正という問題ができましても、あなたはそのとき責任をとられるかどうか、この点あなたの率直な意見を伺いたいと思います。
○大村国務大臣 現内閣の見解も私の見解もまつたく同一であります。
○佐藤(觀)委員 私は大村長官にもう一つお伺いしたいでございます。昨日も私の方の横路委員からも質問がございましたが、実は今度の選挙におきまして、憲法改正、徴兵制という問題が重要な問題になると思うのでございます。そこで先ほど申しましたように、政府の言つておられることとわれわれが考えておつた、ここで予算委員会で追究した点とは、大分矛盾した点があつたこともわかつて参りました。そこで私は大村長官に申し上げたいのでございますが、一体あなた方はこの現在の状態のもとにおいて徴兵制をしく意思があるかどうか、あるいはそういうような今若い青年や婦人が非常に心配しておる現在の自衛隊のあり方を見て、一体その点についてのほんとうの考え方はどうか、こういう問題についてあなたの率直な意見を承りたいと思います。
○大村国務大臣 お尋ねの点は鳩山総理大臣も予算委員会においてお答えをいたしたいと記憶いたしておりますが、現内閣は徴兵制をただちにしくようには考えておりません。
○佐藤(觀)委員 しかし徴兵制はしかぬと申しましても、現在御承知のように、自衛隊の問題につきまして世上いろいろな問題があります。そこで私たちはいかに考えましても、法制局長官その他いろいろな方々がいろいろな問題に――憲法にはつきり明示されて、しかも軍隊を持つていかぬ、戦力を打つていかぬということが書いてあるにかかわらず、実は今までうやむやのうちに通過して来ました。御承知のように、吉田内閣はそういう点では初めからはつきりとしたいわゆるやみの軍隊をずつとつくつて来たわけでございますけれども、この際、あなた方が野党におられたときからこの再軍備と憲法改正を言つておられたのだから、この総選挙の前に際しまして、一体国民がこれを受入れるかどうか、そういう点ではつきりとした方がむしら私は民主党のためになるのではないか、こういうように考えておりますが、そういう勇気がおありになるかどうか、ここではつきり大村大臣に伺いたいと思います。
○大村国務大臣 われわれは自衛力を整備するということには多大の熱意を持つておりますが、侵略軍備のごときものは毛頭考えておりません。
○佐藤(觀)委員 侵略軍備と言われますが、昔から軍隊に侵略の軍備はありません。みんな自衛のための、自衛のためのと言つて、そうして侵略している。世界のどこの軍隊でもそうであります。そういう点について一体どういうぐあいにお考えになるのか、大村長官からお答え願いたい。
○大村国務大臣 自衛に名をかりて侵略を企てるがごときことは厳に慎むべきところであろうと思います。
○佐藤(觀)委員 そんなことを尋ねているわけではおりません。軍隊というものはどこの軍隊でも侵略をしない……(「ソ連もそうか。」と呼ぶ者あり)ソ連のことを私は聞いているわけじやない。少くともどこの軍隊でも、侵略のための軍隊でなく自衛のためと言つておる。だから自衛のためならばどんなことをしてもいいかということになりますが、あなたはそれをどういうふうに御解釈になつておりますか。
○大村国務大臣 その点に関してもたびたび申し上げましたように、自衛の目的の限界内におきまして、軍備は持つ。従いましてそのことが厳重に履行されますならば、侵略なんかは現実の問題として行われないだろうと思うのであります。わが自衛軍の運営につきましては、この点を深く注意して行くべきものだと思つております。――自衛軍は、自衛隊の誤りであります。(笑声)
○佐藤(觀)委員 ちようで平清盛の、衣の下からよろいが出たようなことを伺いましたが、大村長官の言は、先ほど軍備とも言われておりますし、自衛軍とも言われておりますが、私は率直に、現在の自衛隊の隊長、防衛長官としてこれをお認めになる方が、むしろ賢明な策じやないかと思いますが、いかがですか。
○大村国務大臣 自衛隊は侵略に備えるものでありますから、その場合これに抗争をするというこつちの責任もあるわけであります。そのような点からこれを自衛軍と呼びますのは必ずしもさしつかえない、さつき申し上げました通りであります。
○佐藤(觀)委員 日本は戦争を終えまして、交戦してはいかぬということが憲法に書いてある。どうしてあなたはそういう憲法違反を平気でやるのですか。交戦力はないと書いてあるのですよ。
○大村国務大臣 これはたびたび自衛力の限界として申し上げたところであります。
○佐藤(觀)委員 たびたびと言われますが、自衛力ということを私は一度も聞いたことはない。交戦力をあなたは認めるか。交戦力ということは、要するに憲法違反です。今の憲法の解釈では、いくら向うから攻められても、攻められないでも、われわれは戦力を使つてはいかぬということを書いてある。だから私は憲法をよくお読みになつたかということを聞くのです。防備のため、防衛のためにでも戦力を用いないということを書いてあるから、憲法違反だと言うのですが、いかがですか。
○大村国務大臣 自衛のためには、必要によりましては、交戦をすることは当然できると考えております。
○佐藤(觀)委員 まあいろいろ速記録に載りますからわかりますが、少くとも今大村長官の言われることはすべて憲法違反でございまして、私たちは、あなたも腹の中ではやはり軍隊というものを描かれて答弁されておると思うわけであります。たびたびと言われたのでありますが、私は同じことを二度言つておるわけではありませんので、その点は非常にお気の毒でありますけれども……。やはりあなたも民主党の大臣として再軍備、憲法改正を腹に持つておられるけれども、今は選挙に都合が悪いから、これを言つてはならぬという考えがあるのではないか。私たちはそういう点で、あなたの現在の軍隊についての考え方、今の自衛隊についての考え方は、遺憾ながら憲法改正を知らず知らずやつておられるというように解釈せざるを得ないわけであります。少くともあなたの憲法解釈では、自衛力ならばどんなことをやつてもいい、戦争してもいいということがあなたの胸にあるわけでありますが、その点をはつきり、自衛のためならばどんなことをしてもいいという御解釈でありますかどうか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
○大村国務大臣 戦争とはいかなることを意味されておりますか、私もはつきりいたしませんが、自衛のためでございましたならば、自衛権の限界内におきまして戦争もあり得る、こう考えております。
○佐藤(觀)委員 戦争をやつてはいかぬということが憲法にあるわけです。あなたは憲法を読んでいないのですか。どんな場合でも戦争をしてはいかぬということがここにちやんと書いてあるが、それをやむを得なければやるということになれば、憲法違反をあなたが平気で侵すことになる。その点は一体どういうようになりますか。
○大村国務大臣 ただいま申し上げましたように、戦争というのにはいろいろな意味があると思いますが、自衛のための武力抗争はもとよりできると考えております。
○佐藤(觀)委員 やはりだんだんボロが出て来まして、結局憲法違反を平気でやられるような解釈になりましたが、これは今までの自由党の木村長官よりは大分進歩されて、うそが言えなくなつた証拠だと思うのであります。 そこで大村長官に対する質問はこれくらいにしまして、一萬田大蔵大臣にお伺いいたします。日銀総裁として長く金融界に君臨されて、今度あらためて大蔵大臣になられました。そこで私がただ簡単に承りたいと思いますのは、この内閣の矛盾した点で、石橋さんとあなたとは経済的な政策が大分違つておりますが、この矛盾をどういうふうにお考えになるのか。一萬田さんはデフレ、石橋さんはインフレのことをやつておられる方でありますが、その点の調和についてはどういうようにお考えになつておられますか。それを率直にお伺いいたしたいと思います。
○一萬田国務大臣 お答えいたします。石橋通産相と今まで何もデイスカツシヨンしたこともありませんので、今のところ何も調和の問題は起つておりません。
○佐藤(觀)委員 議論をしたのではありませんけれども、私たちの経済常識といたしまして、少くとも石橋さんは積極財政でありまして、自由党の大蔵大臣をやつておられましたときにもそういう意見を持つておりましたし、その後民間におきましてもそういう意見を持つておられますので、同じ閣僚の中で西と東ほど違つておるような形があるというように考えますが、その点はどういうようにお考えになつておりますか。
○一萬田国務大臣 お答えいたします。それは具体的なことがありましたならば――今何も具体的なことはないのであります。
○佐藤(觀)委員 今の情報では、来年の二月には大体選挙があることになつておりますが、四月の暫定予算を組まれる意思があるかどうか、ひとつはつきりしたお答えを願いたいと思います。
○一萬田国務大臣 私どもは今鋭意予算の作業をやつておるのでありますが、解散がありまして本予算提出ができないということになりますならば、おそらく一月ないし二月というようなところは暫定予算になると思います。
○佐藤(觀)委員 もう一つ関連いたしまして、公債政策が石橋さんとは大分違うと思うのですが、その意のことと、もう一つは、先回もあなたの御意見を聞いたのですが、日本の産業構造について比較的長期の合理化をやらなければいかぬ、あるいは投融資についてもこの際再検討しなければならぬというような意見を鈴木武雄氏に言つておられますが、この意について簡単でけつこうでありますが、どういうようなお考えを持つておられるのか。どちらかといえば、今までの自由党の予算はその日暮し予算といわれておりますが、あなたはそういう点についてどのようなお考えをお持ちになつておられますか、今の場合としてひとつ御明示願いたいと思います。
○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。石橋通産相との関係は何も申し上げることはありません。 ただ私の考えといたしましては、財政からの投融資というものは、できればなるべく正常な形で民間に移行させて行きたい、こういう考えであります。従いまして民間でそういう受入れができるように、言いかえれば民間に資本の蓄積ができますような措置をなるべくとつて行きたい、こういうふうに考えております。同時に、投融資についてはなるべく重点的にやつて行きたい、こういう考え方でおります。
○佐藤(觀)委員 今まで日本の経済は大体金融方面に非常に力があつて、金融独裁的な方向に向いたといわれておるわけでございます。特に、今度日銀の総裁のあなたが大蔵大臣になられて、さらに強化されるのではないかというようなことが心配されておるわけでございますが、今度新しい視野に立つての大蔵大臣として、そういうような点をどういうように是正されて行くのかという点を一点伺いたいと思います。
○一萬田国務大臣 今、私質問の要旨をよく……、はなはだ恐縮でございますが……。
○佐藤(觀)委員 今申し上げましたのは、あなたは銀行家として出られておつて、大体日本の経済は銀行独裁といわれておるほど、銀行中心主義なのです。そこであなたは、今度は大蔵大臣として、銀行だけのことではない、日本の産業経済の問題をやらなければならぬのですが、その点について、どういう新しいポイントを考えておられるかということを、率直に、簡単に伺いたいのであります。
○一萬田国務大臣 お答えいたします。私の考えは、今日日本経済の地ならしをなしつつ、これをよい方に持つて行く、具体的に一口で申せば、私の考えでは、金融の従来の行き方というものについてはほぼ限界が来ておる。そこで、産業政策ないし通産行政というようなものがごく的確にタイミングに行われて、そうしてそういう施策と金融が相まつて運行されて行く、そういうふうに心がけて参るつもりであります。
○佐藤(觀)委員 最後に一点、日本の経済は、御承知のように、西独とかあるいはイギリスに比べて非常に復興が遅くて、先日もお話になつたように、日本の経済はまだ回復はしない、前途が非常に暗い形をしておるわけであります。そういう点について、海外の貿易の問題とか、あるいは日本の産業の復興というような問題につきまして、一萬田さんはそういうようなことに経験のあるお人でございますから、どういう抱負経輪を持つておられるのか、この点について率直な御意見を承りたいと思います。
○一萬田国務大臣 私の見解を申し上げます。日本の経済は、私の考えでは、しよせん外国貿易に依存する以外にないのであります。従いまして、外国貿易を拡大して行くということが具体的なポイントになると思います。そのためには、生産コストが下つて、物価が下つて、そうして輸出が増大する、同時に、これに対応して輸入もふえる、ここに国民生活の向上があり、雇用の機会もふえる、こういうふうにやつて行かなくちやならない。そうして、そういう方向に今日統計的に見ても徐々に進んで来ておる。しかし、まだ一つ乗り越えなければならぬことがある。特にその一つというのは、これは私の非常に率直な見解で、あるいは御見解の相違があるかとも思いますが、大体私の考えでは、三十年度、言いかえれば昭和三十年を越えて三十一年になれば、日本の経済はずつとよくなる。大体二十年で地ならしが可能であろう。従つて、今日が日本経済にとつて最も重大な、あるいは同時にまた最も意義ある年でおる、かように考えます。
○佐藤(觀)委員 選挙管理内閣でありますからいろいろわれわれが注文することはここでは差控えますけれども、少くとも選挙目当のための政策を行わないように、ひとつぜひともその点は、日本の将来の経済のためにお考え願いたいと思うのでございます。世上、いろいろ一萬田さんと高碕さんは、選挙費用を、相当、五億円も集められたというような話もありますけれども、そういうことでなく、日本の経済のためにぜひひとつその点はお考え願いたいと思うのであります。なお、いろいろ大村国務大臣、あるいは花村さん、あるいは大麻さんにもお伺いしたいと思いますが、時間に制約がございますので……。われわれは、この重要な段階におきまして、フエアープレーに選挙を闘つて、そうして雌雄を決したいということを考えておるわけでございますが、世上いろいろ伝わるところによりますと、どうも選挙演説のような形をやる、ところが実際に見ますと、結局予算のないことを盛んに大臣が放言するようなきらいがあるわけであります。どうか、初めての管理内閣でございますので、そういう点については十分に注意をして、ぜひとも今度の選挙で、われわれは国民の投票によつて決するというような立場上から、協力をしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問はこれで終ります。
○山口委員長 佐藤觀次郎君の質疑に関し、田中織之進君より、関連質疑の発言を求められております。これを許します。
○田中(織)委員 ただいまのわが党の佐藤觀次郎委員の質問に関連して、一点だけ大蔵大臣にお伺いしたいと思います。 大蔵大臣は、明年度の本予算について鋭意作業を進めておるということでございますが、新聞紙等によりますと大蔵事務当局の方のいろいろの作業の関係から見て、なかなか休会明けまでに本予算は組めないのではないか。そこで、休会明けには予算大綱を示す程度になりやしないかということが伝えられておるのでありまするが、どうしても本予算を休会明けまでに提出するという御方針で現在作業を進めておるのかどうかという点が一点。それからもう一点は、ただいまの佐藤君に対する御答弁の中で、もし本予算が提出できない場合には一、二箇月分の暫定予算を出さなければならぬのではないかということを言われておるのでありまするが、暫定予算を、かりに四、正月分を組んで現内閣として出すということになりますれば、これは休会明け早早に出されるというお考えでありますかどうか。まあ、今のところは、選挙の時期が大体三月の上旬ということに、これは三党間の党首の意見の一致したところでもあり、同時に政府の公表しているところでございます。選挙終了後ただちに特別国会を召集するといたしましても、三月末までには、暫定予算等を出せるかどうかということも疑問であり、その場合は、現内閣は、特別国会の召集と同時に、いわゆる選挙事務管理内閣として当然総辞職をしなければならぬという、建前になりますれば、特別国会に暫定予算を出すということは現内閣の権限外の問題になるのでありましるが、かりに、衆議院が、予定の通り一月末に散解になつたという場合には、参議院の緊急集会を求めてこの暫定予算を出すお考えでありまするか。この二点について大蔵大臣より明確に御答弁を、願いたいと思います。
○一萬田国務大臣 私が申し上げましたことは、鋭意予算の編成をやつておりまするが、これが今度の休会明けに間に合うかどうか、これはわかりません。 それからもう一つの暫定予算、これはいつ暫定予算を出すか、その時期については今何とも申し上げかねます。
○田中(織)委員 かりに大予算が休会明けに間に合わないという場合には、選挙というものが、間に入りますので、緊急集会でなければ、四、五月、予算のない状態が続くので、同時に大蔵大臣としてはその点についての準備を進めておられなければならぬと思うのです。もし本予算が休会明けに出せないといたしますれば、国会解散に至るまでの間に――少くとも民主党内閣として、予算を衆議院で先議するという建前から見まするならは、休会明け早々に当然出さなければならぬと思うのでありますが、その点の大臣の見解を重ねて伺います。
○一萬田国務大臣 暫定予算を緊急集会にすか、特別国会に出すかむろん考えておりますが、今ここで御返事する段階にないわけであります。
○山口委員長 三宅正一君。
○三宅委員 昨日政府は自衛隊と憲法九条の関係並びに憲法改正に関しまする重大な閣議を経た統一的な意見を発表せられたのでありますが、これは非常に重大な問題を含んでおりますので、特に一日委員会を延ばしまして代表的に質問をすることになつたわけでありますが、本日は総理大臣も副総理も来ておをないし、大村防衛庁長官に質問をいたしましても、内閣を代表される立場におきまして非常にわれわれをしてはたよりないのでありまして、この観点に立ちまして非常に残念に思うのでありますが、しかしながら、残りました問題は来年またやることにしてもけつこうでありますが、来年は内閣がつぶれておりますから、その意味におきましてやれるだけやつておきたいとずるのであります。 第一に大村氏に代表してお伺いをいたしたいのでありますが、五項目にわたりまする軍法の態度を表明せられたのでありますが、私どもが重大に考えまする点は、ともかく吉田前内閣におきましては、自衛隊といえども戦力にわたるものであれば憲法違反であるから、戦力に及ばない範囲においてこれはやり得るのだをいう態度をとつておつたわけであります。しかるに今度の解釈におきましては、自衛のためであるならば、戦争行為も、実力部隊を持つてよろしいという解釈をされたわけであります、大村氏は自由党から行かれた民主党員でありますが、鳩山総裁にいたしましても、重光副総裁にいたしましても、芦田君等にいたしましても、今日までいわゆる自衛隊が憲法上疑義があつて、いわゆる日陰の軍隊でたおる、この憲法上の疑義をなくするめには、すみやかに憲法を改正して疑義のない立場に立つて、そして自衛隊を置かなければならないという立場を民主党の主流をとつておられたのであります。しかるにその解釈をかえてしまわれまして、自衛隊が憲法違反でないという解釈にかえられましたことは、政治的には吉田内閣の考え方に屈服せられたごまかしの態度であると考えられるのでありますが、この点に関しましてまず大村さんの御意見を承りたいと存ずるのであります。
○大村国務大臣 別に自由党に屈服してごまかしをやつたものではございません。現行憲法の解釈といたしましては、昨日私がここで統一解釈を申し上げました通りに、自身を持つて考えておる次第であります。
○三宅委員 私は大村さんをつかまえましてこまかい憲法上の法理論等についてやりまするよりは、政治家といたしまして、国務大臣として、ともかく今日まで憲法第九条を改正しなければならないということを強く鳩山氏などが主張いたして参りました根拠というものは、日陰の自衛隊というようなものであつては実際は自衛の役に立たない。もしどうしても自衛隊というものが必要であるならば憲法を改正して、憲法違反の疑いがないをいうことでなければほんとうの力は出て来ないという意味において、今日までそのために何回も鳩山氏なども脱党をせられたのであります。 もう一度私は承りたいのでありますが、そういう意味において政治的には大きなごまかしであると私は思うのであります。そうして憲法改正自体も、あとから申しまするけれども、憲法に違反せずして自衛隊ができるというのであるならは、侵略戦争をやる意思がないことなどはわかつておるのでありますから、それならば憲法に禁止する必要はない、改正する必要もないことになる。一体いかなる根拠において憲法違反でないということをお考えになるのか、その点から議論を進めて行きたいと考えます。もう一度簡単でよろしゆうございますから、こういう点とどういう点で憲法違反でないということを――信念なんということでなしに、これは憲法上この条項にも触れない、この点にも触れないということを、ひとつうしろから入れ知恵でなしに、あなたが御返事を願いたいと思います。
○大村国務大臣 日の発言を繰返すことになるのでありますが、憲法九条におきましては自衛力を否認しておるところはないのであります、国際船印を解決する手段としての戦争を放棄したものでありまして、自衛力は憲法上否定をいたしておりません。すなわち自衛力は独立国家として当然持つておるのであります。
○三宅委員 大村さん、御注意申し上げますが、自衛力でなしに独立国は当然に自衛権があるというお間違いでしよう。
○大村国務大臣 独立国家に当然自衛権を持つておりますから、自衛権の作用として当然自衛力を持ち得るのであります。
○三宅委員 そこが憲法上の大きな問題で、ごまかさぬように御返事を願いたいのでありますが、独立国として自衛権のありますことは当然であります。しかしながらその自衛権の裏づけとして自衛力については、日本は特殊な憲法を創定いたしまして、これを持たない、それで侵略等の場合がありましても、その憲法の前文及び第九条によりまして。(「右社は自衛力を認めておるじやないか」と呼ぶ者あり)あとから言う、黙つておれ、委員長注意してください。与党が騒いだのではこまかい議論が進めにくいから、御注意願います。
○山口委員長 私は、各議員諸君にいろいろ差出がましい注意はなるたけ避けて、皆さん方の自粛によつて円満にこの委員会を進めたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。三宅君、発言を続けてください。
○三宅委員 そこで申し申上げますが、独立国に自衛権のあることは当然である。その自衛権の裏づけとしての自衛力に関しては、これは憲法が規定したところに従つて持たなければならない。日本の軍法は、憲法の前文及び第九条において、これを持つてはならないことを規定している。持つてはならないとは、これは単に陸、海、空軍だけではない。その他の戦力も持つてはならないと規定している従つて。交戦権を放棄している。従いまして日本の自衛を侵されました場合におきまして、これを解決する救済の手段としては、憲法前文によつて善意と「平和を愛好する諸国民の公正を信義に信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意した。」ということをきめている。従いましてこれらの根本的な解辞は、自衛権があるから軍隊を持つてもいいというようなりくつにはなり得ないと考えるのでありますが、その意についてどうお考えでありますか。 なお私はこの際明確にしておきますが、右派が自衛力を持つてもいいと言つたというのはうそであります。自衛権はありますが、国内の治安力というものが必要である。これは国内の警察を強化するという立場においては必要である。しかしながら憲法で禁止しているところのそういうものを持つべきでないという解決である。その解釈は、ここにおられる石橋君にいたしましても、あるいは鳩山君にいたしましても、もしくは芦田君にいたしましても、そういう点の疑義があるから、どうしても国際情勢の変化において防衛のための軍隊を持つ必要があるとするならば、憲法を改正しなければ魂の入つたものができないということでもつて今日まで闘つて来られたことは、私どもの承知しているところである。しかるにその解釈に、こういう吉田内閣の解釈よりもさらに進んだ、憲法に抵触するような解釈をもつていたしますところに、私は選挙を前にして、実に陋劣な心事がそこにあるということを考えざるを得ないのでありまして、その点についてもう一ペん大村氏の御返事をいただきたいと存ずるのであります。
○大村国務大臣 ただいま御質問の方も、独立国であるわが国が自衛権を打つているということはお認めになつておるのであります。この自衛の目的の範囲内におきまして自衛力を持つ。その自衛力は先般来たびたび申し上げましたように、自衛の目的を達する上に必要にして相当なものならば憲法はこれを禁止していないことは、解釈上きわめて明瞭であると信じている次第であります。
○三宅委員 これは信ずることによつて出て来るのではなくて、憲法の条文がどう書いているということによつて出て来るわけであります。憲法の条文は、第九条におきまして 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する、 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 ということを書いている。交戦権を国が認めないということは、すなわち自衛のためにおいても軍隊を持たないということで、軍法制定の際において吉田総理大臣が各派の質問に答えました中におきましても、この点はきわめて明瞭であります。憲法の解釈を制定のときの根本的精神から逸脱いたしまして解釈するなんということは、明らかに不当でありまして、たとえば憲法制定の会議におきまして、衆議院本会議の提案説明において、時の吉田総理大臣は 第九条は改正案の大きな眼目である。かくして日本は恒久の平和を念願し、その将来の安全と生存をあげて平和を愛する諸国民にゆだねるのであると、憲法前文の精神と九条の精神との関連を説明している。そして進歩党の原夫次郎君の質問に対して、憲法の規定は直接には自衛権を否定していない。確かに自衛権を否定するという項目はない。従つて私どもは当然のこととしてあると認めます。しかしながら一切の軍備と交戦権を認めないから、自衛権の発動としての戦争も放棄している。今あなたは自衛のための戦争ならあたりしまえだと言つておられますが、ちやんと憲法の精神として、当時提案をいたしましたときにいうておるのである。さらにつけ加えて、満州事変、太平洋戦争等も自衛権の名のもとに行われた。いかなる名義をもつてしても交戦権は放棄する。これによつて諸国の疑惑を解きたいと言つているのである。しかして共産党の野坂参三君の――あの国会においてこのような議論をしたのは野坂参三君一人でありますが、質問に対して、戦争の多くは国家防衛の名において行われた。ゆえに正当防御権を認めることは戦争を誘発することと思う。侵略戦争に対する防衛戦争を認めよという御意見は、有害無益の議論であると言つて、自衛戦争ならば認めるべきでないかということに対して、これを明白に否定しているのでおります。その後、今度の民主党内閣の閣議の解釈のような解釈を一ぺん吉田さんがしたことがある。それは昭和二十七年三月六日、参議院の予算委員会におきまして、憲法では戦力を国際紛争の具に供することを禁じたので、自衛のための戦力は禁じたわけじやないという答弁をして、次の日にただちにこれを取消しているのであります。自衛のためでも戦力を持つことは再軍備であつて、この場合には憲法の改正を要するということを私はここにあらためて断言するということを言つているのであります。憲法制定の経過、憲法の条文の解釈、それらから行きまして、私はそのためにこそ鳩山民主党総裁等も多年にわたつて憲法改正を主張して来られたのであつて、その解釈をわざわざごまかしてしまわれて、それを信念でございますとかなんとかいうことをもつて逃げられるというような態度は、はなはだけしからぬ態度であると思いますが、法理論上どういうように考えられるか、もう一ぺんその根拠を説明していただきたいと思います。
○大村国務大臣 昨日も見解を申し述べた通りでありますが、憲法第九条の第二項を問題にされているようであります。二項は一項との関連において規定されているところでありまして、国際紛争を解決するための手段としての戦争を放棄し、これを受けて陸海空軍その他の戦力を持たないとなつております。御質問の中にもございましたが、警察力のごときものも、装備いかんによりましては戦力に相当する場合もあるのでありますが、現行憲法において、警察力を持つことは一向禁止はしていないと思うのであります。また先ほど来お話のありましたように、国家が自衛権を持つていることは明瞭であります。ところが自衛権の内容が、直接侵略を受けたような場合におきまして、これに抗争する実力が持てないということになりますれば、自衛権あつてその実なしということになるのでありまして、私どもは現行憲法上国家が自衛権を持ち、また自衛権に伴う自衛権を持つことは疑いのないところだと思うのであります。なおこの点につきましては、いろいろ国会内においても議論がごさいましたが、現に自衛隊は国会で法律及び予算も成立しておるのであります。それらが憲法違反であるとするならば、そのような結論にはならないはずだと考えるのであります。
○三宅委員 ただいま大村氏は国際紛争に関する戦争はやらないが、自衛の戦争はいいという答弁をされたわけでありますが、憲法第九条の第一項は、国権の発動たる戦争と書いてあります。国権の発動たる戦争ということになれば、侵入軍が来ました場合に、ゲリラをやるならば別です。国権が発動して、防衛庁長官がその国権を発動さしてこれに抗争さした場合は、戦争でありますから、憲法違反であります。これについて御答弁をいただきます。
○大村国務大臣 ただいま説明した通りでおります。
○三宅委員 もう一ぺん言いますよ。憲法を見てください。憲法にはこう書いてある。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という。そこで国際紛争とは何かということになります。あとから私はその点詳しく申し上げますが、侵略軍が来た場合に、これに抵抗するために、国権の発動として、紛争に違いないですから戦争をやる、それは明らかにもう弁解の余地なく憲法違反であります。その点をきのう申し上げた通りであるというのではなしに、国権の発動たる戦争というものを、大村防衛庁長官が命令を出して抵抗をさした戦争が、戦争放棄の憲法に違反しないと断言ができますかどうですか。
○大村国務大臣 これは統一見解のときにも表明してるりますように、武力が放棄されておりますのは、国際紛争を解決するための手段としての場合でありまして、ただいまのお話は国際紛争解決の手段としてのものでないと思います。国際紛争の解決の手段という点については、ケロツグ条約その他から大体の法律概念はきまつておると私は信じております。
○三宅委員 第九条をお読みください。大村さん、憲法第九条をお持ちですか、憲法第九条に、国権の発動たる戦争と書いてありますことは、それはやらぬということであります。そうしてさらに申し上げますが、今申し上げましたがあなたは答弁をされない。外国の軍隊が侵入して来て、そうしてこれと交戦することは国際紛争の最もひどいものであります。たとえば竹島の問題で、司法裁判所へ出したとかいうようなことも一つの国際紛争、それから侵略軍が来ましてこれと交戦する場合、国権発動によつて交戦させる場合には、戦争という段階が一番深刻なる国際紛争でありまして、その他の入国の問題とか、いろいろな国際紛争がある。そういう意味におきまして、これは明らかに私は憲法第九条違反であると考えまして、それ顧慮されればこそ、先ほどから答弁がない。きよう鳩山氏がおられぬことは残念でありますが、鳩山氏その他が、そういう疑義があるから憲法を改正して自衛権を持つなら持てという主張をして来られた。そのために自由党を何回も出られたりいろいろされた。そういう意味においても、あなたは政治家としての良心のある答弁をしてもらいたい。法制局長官の答弁ならば別であります。法制局長宮の答弁でも月給をもらつておるからといつて、良心に反した答弁は困りますが、あなたは政治家の信念としてこの点いかがでございますか。
○大村国務大臣 私の考えはただいま申し上げました通りでありますが、なお法制局長官からさらに敷衍をいたさせます。
○三宅委員 いりません。それでは私は具体的に五項目の政府の統一解釈について個々の御質問を申し上げます。第一は第一項目におきまして、憲法は自衛権を否定していない、自衛権は国が独立国である以上、その国が当然に保有する権利である、従つて現行憲法でわが国が自衛権を持つことはきわめて明白である、憲法は戦争を放棄したが、自衛のための抗争は放棄していないという文句を書いておられますが、抗争とは何のことですか、またこの解釈を承ります。
○大村国務大臣 直接侵略がもしあつたと仮定いたしますれば、それに対する抗争力は戦争になる場合も多いと思います。要するに防衛戦争に対抗するところの実力で刈ります。
○三宅委員 あの大村さん、時間をとつていかぬからここにおつてください。 それで伺いますが、 そうするとどうして特に抗争という言葉を使われましたか。第三項目、第四項目等には実力を持つて戦争をするいう、そういう意味のことを言つておられるのでありますが、特に抗争という言葉を使われたのはどういうことですか。これは私の解釈を申し上げますと、抗争という言葉を特にお使いになつたのは、すなわち侵略がありました場合に民衆がこれに対するレジスタンスといたしまして石を投げるとか、ゲリラが出るとかいうことは、国権の発動による戦争でも何でもないから当然な話である。そういう意味におきまして憲法の正常な解釈から行くならば、自衛のためにも戦力は持てないというのがあなた方の潜在意識として確かにあつて、あとはごまかしたということである。だからしてそこでついばけの皮とは申しませんけれども――これは侵略と書いてありますが、戦争と言つてもいいところであります。抗争という言葉を使われたのは、そういうところからばけの皮がはげておるのではないかと考えますがいかがですか。
○大村国務大臣 抗争と書いたのは他意はございません。実力による抵抗であります。形態はたくさんございましよう。敵と申しますか、相手の出方によりましていろいろの場合があると思います。
○三宅委員 とうふにかすがいということがごいますから、あまり同じ問題だけにこだわりませんけれども、抗争というような表現を使われましたところにやはり憲法上のごまがかしある、うそがあるのです。その点を私は御注意を申し上げておきます。 その次に、第二項及び第三項にいう国際紛争とは何のことでありますか。自己防衛と国際紛争という表現を使つておられますが、自己防衛の意義をひとつ承ります。
○大村国務大臣 国際紛争というのは、一定の概念が法律上あるのであろうと思います。同家間におきまして意見の対立があつたような場合において、意見の対立を解決するために武力によつて、戦争によつてその解決を求めるという場合を国際紛争と称しておると考えます。
○三宅委員 大分上手な答弁をされまして何でありますが、そこでお伺いいたします。第二項目で戦争と武力の威嚇、武力の行使が放棄されたのは、国際紛争を解決する手段としてはということである。その次に、他国から武力攻撃があつた場合に武力攻撃そのものを阻止することは自己防衛そのものであつて、国際紛争を解決することとは本質的に違うのであります。従つて自国に対して武力攻撃が加えられた場合に国土を防衛する手段として武力を行使することは憲法に違反しないと書いてあります。そうして今あなたは大体概念があると言われましたが、そこで私はその概念について具体的に承ります。第一竹島は日本の自国ですか外国ですか。
○大村国務大臣 もとより日本の領土であると考えます。
○三宅委員 そこで自国である竹島におきまして、たとえば日本の測量士なりが竹島におりまして、そこに韓国から兵隊が来まして、こちらがアメリカから貸りもののフリゲート艦でぶつぱなす。前の木村長官はよくそんな話をしておつたのですが、その場合には自衛権の発動のいわゆる自己防衛ですか。それとも国際紛争ですか。私がこれを聞きますることは、その国際紛争と防衛ということは、抽象概念としてはきわめて明白であるけれども、具体的に竹島はあなたは自国だと言われる。自国に日本人がおつて、そこに朝鮮の兵隊が来て発砲して、こつちの海上保安隊か何かが行つてまた発砲して戦力を行使した場合に、これは憲法でいう国際紛争の解決のために兵力を使つたのであるか、それとも防衛で使つたのであるかということは、それはいろいろのことがある。そういう場合においても憲法の前文は、国連に訴えるなり国際司法裁判所などに訴えて解決しろ、戦力をもつて戦争をやつてはならぬと規定しておる。これは明らかなんです。そういう点がごまかしが出て来るので、この点についてもう一ぺん明確な答弁を得たいと思います。
○大村国務大臣 例にあげられました竹島は明らかに日本の領土でありますから、これに対しまして直接侵略がありました場合におきまして、これに自衛隊が抗争することは当然やつてよろしいことと考えます。ただ現実の問題といたしましては、まだこの防衛出動をいたさないだけでございます。
○三宅委員 そこが日本の憲法の特徴でありまして、そういうことをやらないために交戦権を放棄する。そこでやれば交戦権ではありませんか。あなたに交戦権に解釈を開きます。交戦権とは何ですか。
○大村国務大臣 この自衛権の発動であります場合は、交戦権とは違うと思います。
○三宅委員 いやしくも防衛庁長官が違うと思いますなどという答弁は、不見識もはなはだしいと思うのですが、ともかく交戦をいたしまして、そうして船が拿捕されたりする場合において、一種の国際公法による交戦権というものの国際的な通念がありますが、交戦すること自体大きな交戦権の発動でありまして、そういう意味におきまして、日本の憲法はそういう点について国連等国際機関によつてこれを解決させるのだ、そのために持たないのだ、こういう憲法の規定がちやんとあるのでありまして、そういう点から具体的に言いまして、それでは歯舞や色丹で、あれは日本の領土に違いない、向うはこの間の秘密条約でとつたという。これらの解決を武力でもつてやるという話でありましたならば、それは昔の日本と同じことであります。そうではなくて国際的な一つの大きな善意と人類の叡知で片づけて行くという新しい型をつくるためにそういう憲法をつくつて、誇らかに全世界に向つてこの方向に世界が進まなければいけないという立場でわれわれは闘つて来ておるのであります。これに対しましてあなたは、そう思いますなどという答弁でなしに、もう少し明白な答弁を願いたいと思います。
○大村国務大臣 私の見解を述べておるのは、私の意思を発表しておるのでありますから、思うのは当然であります。
○三宅委員 こんなところであまり時間をとつてもばからしいことでありますから、今度は第四項についてお伺いいたします。 自衛隊は現行憲法上違反ではない云云ということが書いてありまして、その目的のために必要相当な囲範の実力部隊を設けることは何ら憲法に違反するものではない、さらに自衛隊は外国からの侵略に対処するという任務を有するが、こういうものを軍隊と言うならば自衛隊を軍隊と言うことができるという表現を使つておられるのであります。それではお伺いをいたしますが、先ほども他の委員からも質問をいたしたのでありますが、体どこまで自衛隊を広げて合憲でありますか、自衛隊の範囲だ、自衛隊の範囲だということではきまらない。客観的に規定しなければきまないことであります。今日自衛といいましても、水爆ができましたときに、水爆を自衛するのに一体どういう自衛をやりますか、自衛の範囲なんと言つてみたところが、そういう点についてはきわめてあいまいであります。従つて私どもは水爆のできた時代において再軍備などやるべきじやない。われわれはその憲法できめた線をさらに国際的に広げて行く努力をやることが日本民族の崇高なる使命であると考えるが、これは意見の違いでありますから、あなた方が再軍備をやつた方がいいと考えられますならば、ごまかしの再軍備でなしに憲法を改正してやられたらいいじやないですか。憲法に明らかに抵触する範囲においてあいまいなことを言つて、どこまで広げれば合憲であるか、どこまで行き過ぎたらば合憲の筋囲を越すか、それをお聞きしたいのであります。
○大村国務大臣 その範囲は目的に制約されておるのでありまして、自衛の目的のために必要な、しこうして相当な範囲を言うのであります。これは一尺とか二尺とかいうようなものさしではかるわけには行かないものと考えます。
○三宅委員 そこでなお承りますが、それでは仮想敵をどこと考えておられますか。
○大村国務大臣 今ここで別に仮想敵をどこと考えておるというようなことは表明する限りでないと思います。
○三宅委員 表明されなくてもいいが、考えてはおられるのですか。
○大村国務大臣 ただいまのところは考えておりません。
○三宅委員 考えておらぬということと表明しないということはたいへんな違いであります。そういう無責任な答弁をやつてもらつては困ります。 そこで私は申し上げますが、それでは空気を相手にして、あるいは世界の全人類を相手にして考えておられるのか、そうでないとすれば、私どもはおのずからその考え方があると思う。それについては、たとえば防御協定の問題にいたしましてもいろいろの問題がある。あるとして、かりにさつきも申しましたように必要な限度においてやるとされて、水爆などがあります時期に、集団防衛等考えるならばこれはまた別の話であります。そうでなくして、自衛隊という形態において一体どこまでの範囲が必要であるか、かえつて変なものを持つて そして対立関係に巻き込まれて日本の国を滅ぼすようなことになつたのでは問題にならない。一体水爆のある時代において今申されたようにどこを標準にされて、どれくらいが必要で――それでは水爆もある時期には持つつもりであるかどうか、その辺のところを今度は国務大臣、防衛庁長官として確信のあるところを承りましよう。
○大村国務大臣 仮想敵国というものは今ございませんが、しかし日本の防衛を全うするためには、客観的な国際情勢等を考えましてそこにおるずから限度があると思うのであります。さきに申しますように、自衛上必要な相当なところで限度があると考えておるのであります。
○三宅委員 そこで外務大臣がおられませんけれども、鳩山内閣の一つの大きな考え方は、共産主義と日本の行き方とは立場を異にするけれども、その国がその国においていかなる経済組織、政治組織を持とうとそれはその国の自由である、これとの修好をやらなければならぬという立場をとつておられますときに、国際情勢のこういう時期において、こういうような形におきましてそういう解釈をされて行きますことは、私はきわめて危険であると思うのであります。 それと同時に、時間もありませんからついでに聞いておきますが、一体こういうものを軍隊と言うならば自衛隊を軍隊と言うことができるとは、何という不謹慎なお言葉をお使いになりますか。軍隊と言うことができるようなものを持たせないことが憲法の精神であります。そして憲法で禁止したものを軍隊と呼んでもよいということは、きわめて不謹慎な表現であると思いますが、これはどうお考えになりますか。
○大村国務大臣 自衛隊は憲法違反でないというところから出発いたしまして、当然このようになると考えております。なおついでに申し添えておきますが、わが国は自衛隊を持つておりますが、これはあくまで自衛の城を脱しないという強い信念で自衛隊を維持して行きたい、こう考えております。
○三宅委員 そうしますと鳩山民主党総裁が非常に熱心に主張されました憲法改正は、もう必要でないということじやありませんか。民主党内閣といえども侵略軍を持とうとはお考えになつておらぬと思う。従つて自衛のための実力組織は、これは戦力と言い、軍隊と言つてもいいという憲法解釈が通るものでありますならば、何も憲法を改正する必要はないと思うのであります。こういう点について、私どもが非常に不快に感ずるところは、憲法改正を急がなければならぬということは、鳩山総裁は、きようはおられませんからあなたを責めてもしかたがありませんけれども、常に言つておられる。一つ申上げますならば、昭和二十九年三月十九日、総理大臣官邸における、自由党の憲法調査会の発会式の際に、鳩山氏が出られまして、憲法改正の必要なゆえんをあいさつしておられるのであります。そして必要なゆえんを三つ言うておられる。第一として環境から考えて必要だ、第二はこれをつくつた目的から考えて必要だ、第三はつくられた手続から考えて必要だ、この三つの必要の上に立つて急急いでもらいたいということをその際言つておるのであります。憲法改正を急ぐ理由にまた三つ主張しておられます。その一つは何であるかと言いますと、「成案ができたところで、ただちに日本の国軍が創設せられるという次第でないのであります。成案ができた後嗣軍の建設が一朝にしてできるものではない、国軍の創設には相当の年月を必要とする、ですからなるべく早く成案を得たい」というのが第一の理由だと言つておられます。第二の理由として「憲法を改正して、特に第九条が修正せられまして、国軍を持つということによつて日本国民の精神の作興ができるような気が自分はいたすのでありまして、精神作興と憲法改正とは密接にして離るべからざる関係にあると思うのであります。」そうして第三としては、「また特にアメリカとの関係におきましてどうも憲法を改正することが非常に必要だと考えるのであります。アメリカは憲法改正即軍備と考えておるのであつて憲法を改正しない軍備はない、アメリカはそういう与論なのであります、ですから憲法を改正して軍備を持つことは非常に必要だというような気がいたすのであります。」こういう表現をしておられます。私は鳩山さんが人心の作興の上からも、ほんとうの意味の国軍をつくる意味からも、急いで憲法をつくらなければいかぬ、隠れみのに隠れている自衛隊のようなごまかしはいけないということを、政治家として何回も離党されたりあるいは復党されたりして、このときも安藤さん――今の文部大臣がそのお世話になつて、これが約束で入られた、これは鳩山さんの政治的の信念じやないか。それにかかわらず、選挙においてへたなことをやると損するというような功利主義でもつて、こういう大きな政治上の信念の問題をごまかすというがごとき態度は、私は実に許すべからざる態度であると考えるのであります。(拍手)それだけでなしに私の申し上げたいのは、アメリカが憲法を改正して軍備をやることを望んでおるのだ、外国が望んでおるからといつて、向うが平和憲法をつくれと望めば平和憲法にして、今度は軍備をやれと言えば憲法改正をやるなんという自主性のない態度は、私は鳩山さんのためにとらないのであります。こういう意味におきまして――時間を超過することは恐縮でありますから、まだ残つておりますし、ほかの大臣に聞きたいことも割愛いたしますけれども、私はここにおられます官僚の諸君に、選挙をごまかすためにそういう一時的な言いのがれをやつちやいかぬ、吉田さんが戦力なき軍隊とかなんとかいうそのごまかしをやつたことが、一つのごまかしが次のごまかしとなつて吉田政治を敗退せしめたのである。鳩山政治がまたほんとうに必要だと思われたら憲法を改正されたらいいのじやないか。損得を超越されて、民族百年のために必要ならやりなさい。われわれは反対だから反対する。しかしながらそれをごまかして、そして牽強附会な議論をもつてこの自衛隊は憲法違反にあらずなどという議論をされますことに対しましては、私は承服することがでさないということ申し上げまして、私の質疑を終了する次第であります。
○大村国務大臣 御批判は承つておきますが、意見の相違だと思います。なおこの際ついでですが、さきにも申し述べたところでありますが、現行憲法は占領下に制定された憲法でありまして、憲法の各所におきまして改正いたしたいという点があるのであります。それで世上あるいは憲法改正といえば第九条の改正だけに限定されていることは大きな御認識の間違いだと思うのであります。われわれはなるべく近い機会におきまして現行憲法を改正いたす日の一日も早く来らんことを望んでおる次第であります。(拍手)
○山口委員長 三宅正一君の質疑に関し、堤ツルヨ君より関連質疑の発言を求められております。この際これを許します。堤ツルヨ君。
○堤(ツ)委員 お疲れでございますのに恐縮でございますが、私はこの間からの皆さんとの質疑応答を聞いておりますと、憲法の改正して腹をきめていらつしやる、どういうことかというと、憲法を改正して再軍備するに違いないけれども、これを選挙前に、今度のスローガンに打出してはどうも歩が悪い。勝たなければならないから、従つて、そのためにはこの点だけはごまかして行こうという腹を皆がお持ちになつていらつしやる。従つていかにごまかすかということに苦労していらつしやる。その第一線の矢面にお立ちになつたのがふなれな大村長官で、先ほどから御同情申し上げておる次第でございます。先ほどの三宅さんの質問に対するお答えの中にも出て参りましたし、また先ほどの本間さんに対するお答えの中にも出て参りましたが、自衛のために必要にして相当なものならばいい、その自衛にして必要なものということをたびたびお使いになつておられますが、あなたのおつしやる自衛にして必要なもの、こういことについてもう少し補足説明を願いたい。
○大村国務大臣 ただいま申し上げましたことでおわかりと思いますが、逆に申しますならば、自衛目的を逸脱したようなものは持てないというように御了解を願いたいと思います。
○堤(ツ)委員 先ほど三宅さんからもお言葉がありましたが、たとえば原爆、水爆、コバルト爆弾ができております今日のもとにおいて、自衛をするために、それらのものがおつかぶさつて来たときに、それに対処するためには、あなたの言葉から割出せば、これに対処するだけの力を持たなければならないという解釈をしてよろしゆうございしますか。
○大村国務大臣 ただいまたとえをもつてお話になりました点は、法律上は、自衛上必要であればそれだけのものを持ち得ると考えます。しかし実際問題として、それをどうするかということはおのずから別だと思います。法律上はさしつかえはないと思います。
○堤(ツ)委員 そうすると、近代戦争を遂行してはならないものという自由党の解釈よりも、はるかに飛躍をなさつた論理をお持ちになりながら、憲法を改正して再軍備するということをごまかして行こう、そういうふうにここではつきり認識させていただいたことを感謝いたします。 次に、この際予算と関連がございますのでお尋ねいたしますが、文部大臣、それから三好国務大臣は人事委員会において、官公労、公企労の年末手当の件につきまして、一・二五プラス・アルフアというものをお認めになつたように承つておるのでございますが、確かにさように了承してよろしゆうございますか。文部大臣にまず承りたい。 〔「関連がない」と呼び、その他発 言する者多し〕
○山口委員長 もうしばらくですから、ごしんぱんぼう願いたい。(発言する者多し)ちよつと待つてください。私、夜前も録響で聞いておりますと、発言者外の声が非常に録響に入りまして、何だかこの委員会の雰囲気がおもしろく伝わりませんから、堤君の発言はもうほんの短時間ですから、どうぞごしんぼうください。
○堤(ツ)委員 はつきりわかるようにもう一度言い直させてもらいます。民主党が選挙のための人気取りをおやりになるよりも、選挙前になさなければならない年末の問題が一ぱいある。その中でも、官公労、公企労の従業員の方々が今必死の闘争を続けておりますところの年末給与手当の問題でございます。この問題につきましては、三好大臣は人事委員会において、そうして文部大臣は文部委員会において、一・二五プラス・アルフアというものを繰上げ支給によつて私たちはオーケーだということを、お認めになつたということを私ども党で承知いたしておるのでございますが、さよう了承いたしましてよろしゆうございますか。文部大臣と三好大臣からまずその点をお伺いいたしたいと思います。
○安藤国務大臣 簡単にお答えしますが、一・二五、それ以上のプラス・アルフアはつけません。しかしながら行政措置によりまして、各省の間で多少の手当を加えるということにいたしたのであります。
○堤(ツ)委員 そういたしますならば、この問題は、文部大臣もお認めになつておる、そういうことになつて参りますると、問題は大蔵大臣でございますが、大蔵大臣は、できるだけ大臣の要求は優先的に大事なものから取入れて行くということを将来のお考えとしてもおつしやつておりましたが、差迫つたこの年末手当の問題について、こうした考えを担当大臣がお持ちになつておりますが、あなたもオーケーをなさる意向でございましようか。
○一萬田国務大臣 大蔵大臣としては、一・二五ということであるのでありまして、それから先は各省大臣が今お話になつたように拝聴いたしております。
○堤(ツ)委員 そういたしますと、各省大臣が自己の権限においておやりになつたことについては、一萬田大蔵大臣は何もおつしやらないということに解釈をしてよろしゆうございますね。
○一萬田国務大臣 これは各省大臣がその権限でなし得ることでありますれば、さしつかえなかろうと思つております。
○堤(ツ)委員 どうも恐れ入りました。
○山口委員長 これにて通告者の質疑は全部終了いたしました。 三日間にわたりまして、議事の運営に対して各位の御協力をこの際厚く感謝いたします。と同時に、おいおい寒さも加わりまするし、また総選挙も近づくかに思われますので、各位の御健康と御健闘をお祈りいたしまして、閉会の辞といたします。 これにて散会いたします。 午後三時三十三分散会