貿易振興に関する調査特別委員会 第2号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/12/15
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 本特別委員会は、去る十二月十一日の本会議において、貿易振興に関する調査のため院議をもつて設置せられたものでありますが、日本は、まず貿易振興対策、特に日中、日ソ貿易等について、外務大臣よりその所見をお述べをいただきたいと存じます。外大務臣重光葵君。
○重光国務大臣 通商貿易を振興するために外交を運用しなければならぬということは、これは当然のことでありまして、私も、今回外交の任務を受けました以上は、それに向つて大いに努力をいたしたい、こう考えております。それに対してどう進めて行くかという具体策につきましては、まだ十分の用意のないことは御了承いただけるだろうと思います。しかし、どうしても通商貿易の力によつて日本の経済力をつちかわなければならぬということは、これはむろんもう何人も異存のないところであります。そこで、それがためには、私どもの考えといたしましては、できるだけ世界各国との間の関係を正常化して、そうしてさらに友好関係を増進するということが基礎的の仕事になること、これまた申すまでもございません。外交の運用はさような方向に向つて早く進めたいと考えております。それで、今議会にお願いをしておる点は、ビルマに対する平和条約を叩く批准をしていただきたいということで、実はその手続をとつたわけでございます。しかし、それのみならず、おのずから順序を追うて国交の調整、貿易の増進ということに進まなければならぬ、こう思つております。 今提起された問題、つまり中共、ソ連に対する貿易の問題でありますが、ソ連に対する問題、これは、貿易関係は、国交を離れて、こういう共産国との間に、バーターでも、実質上の貿易を進めるということはたいへんけつこうなことで、やらなければならぬことだと考えております。現に、私も就任早々で調べたわけではございませんが、ソ連との関係においても相当バーターの貿易があるようであります。特に樺太、これは私は現状において進め得る限りいろいろの手段で進めることはけつこうだと思つております。またそうすることが貿易増進の一助になると考えております。しかし、それだからといつて、これが自由に貿易ができて、自由民主国の間におけるがように同じ方式で進めて行くことができるかというと、それはそうは行かぬだろうと思います。しかし、おのずから、相手国によつて、できるだけの方法をもつて進めるということについて考慮を進めたい、こう思つております。 中共関係の貿易問題についても大体同様であつて、私は、これですぐ大陸との貿易を戦前にまで回復するということは、今見当をつけることはできません。けれども、でき得る限り——これもやはりバーターになりましようが、バーター制度で貿易を進めて行くということについては努力をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。もつとも、中共については国際的ないろいろな日本の今日まで負うた義務があると了解しております。それはむろんその義務に反することはできません。しかし、そういうような国際的の義務に反せざる限り、できるだけ考慮をして進めて行く、こういうことはいいことだ、またやらなければならぬことだと考えております。 大体私の考え方を申し上げました。
○中村委員長 以上をもちまして政府の説明は終りましたが、質疑の通告がありますから、順次これを許します。帆足計君。
○帆足委員 時間がございませんし、他に同僚議員からも簡単な御質問がありますので、私も簡単にきようは御質問いたしまして、意を尽さないところが多々ございますが、その点はお許しを願います。 原水爆の時代に平和共存を望むことは、今は日本だけでなく世界の輿論でありまして、平和をどうして達成するかということが良識ある政治家の任務になつておることは御承知の通りでありますが、政府が、新内閣ができますると、ただちに二つの世界の平和共存または外交の調整またはそれの裏づけとしての貿易の拡大等の政策を発表せられましたことにつきましては、私ども大いに敬意を表しておる次第でございます。しからば、今後この実施についてどのように政府はお考えであるか。ただいま外務大臣は目下研究中ということでございますので、大いに期待いたしたいのでございますが、その今後に期待しまするについて、一、二の点をお尋ね申し上げ、参考にしていただきたいと思うのです。 第一は、二つの世界の調整の問題、なかんずくソ連、中国の貿易は、今日の不景気から見まして、声大にして実情の知られていないことこれほどおびただしいものはないと私は思います。ただいまも、大臣は、昨今少し調べてみたら多少バーターができておるようであつた。——私は今日の財界人の常識は遺憾ながら大体こういう水準であつたと思います。ところが、今日いただきましたこの統計を見ましても、西ドイツからソ連、中国への輸出は一昨年四億ドルを越えておる状況でありますし、私が知る限りにおいては、昨年自由世界からソ連圏、中国圏への貿易は、輸出が実に十四億ドルに達しておる。その中で日本の占める額はわずか一千万ドル、こういうことがもし全日本国民に知られていたであろうならば、もう少し早くあの岡崎外交のような愚昧な外交を転換することができたであろうに、私はまことに残念なことであると思うのでございます。従いまして、外務省当局にお尋ねし要望したいことは、外務省当局はこれまでこれらの問題については公認されたる意味における不勉強であります。通産省、審議庁等は心ならざる不勉強でありますが、外務省はことさら不勉強でありましたので、至急勉強していただきたい。すなわち、統計資料その他を整えて大臣に差上げると同時に、国会にも提出し、国民にも提出して、公正妥当な道を発見するための資料の準備をしていただきたい。たとえば、両国間の貿易または世界諸国と共産圏との貿易、その品目また諸般の事情、またココムの機構、運営、機能等についても詳細を知りたいのです。恐るべきものは鉄のカーテンよりもむしろ無知のカーテン、無学のカーテンほど恐ろしいものはないと私は思つております。 第二には、今日当面の問題は何といつても輸出制限の問題でございます。この輸出制限が今後このまま続くならば、いかに中国、ソ連との貿易を拡大しようといつたところで、絵に描いたもちにすぎません。それからといつて、今日の実情下において兵器の輸出、直接軍需品の輸出などを考えている者は、私は議員の中に一人もないと思います。今日すでにソ連は四千万トンの鉄をつくつておりますし、東ヨーロッパでももう相当高度の工業国になりかかつておりますので、亜鉛引鉄板とか単なる化学薬品とか、そういうものも輸出禁止にしておくことは、むしろ中国とソ連の貿易を奨励し、その自給自足を強化する拍車になるだけであつて、私は、世界の通商のわくを小さくする点において、今日ではすでに時代遅れの政策であると思います。もちろん、直接兵器、軍需品、特殊機密兵器等を禁止しようということについて、われわれは別に何の異存もございませんが、平和物資についてこの問題を検討せねば、その問題について昨今は西欧並ということがいわれますけれども、それすらなつておりません。それよりも、日本は、特に中国に対しては隣邦でありますから、西欧並という以上にむしろアジアの特殊関係も考えねばならぬ。今日カナダの中共貿易に当るものはアメリカ大陸との貿易、また西ヨーロッパのいわゆる中共貿易に当るものは東欧州大陸との貿易であります。それに対して日本にとつてそれに当るものがすなわち北アジア大陸との貿易でありますから、事情が違うということをひとつ御当局で御認識願いたい。 時間がありませんから、あと一言だけでありますが、同時に貿易を開きますためには、各国の例を見ましても、正式の条約ができます前にまず貿易の事実が始まる。これが順序のようでございまして、昨今両国の間に多少の行き来ができましたことは御同慶の至りでありますが、これも、ノーマルに、冷静に、そして中庸の道を得て、大臣の言われたように逐次順を追うて進むことにわれわれは賛成でありますけれども、今日の段階においては向うから経済使節が来たいと申しておりますし、こちらからたびたび参りましたので、経済使節を呼ぶことについて政府当局の御考慮を煩わしたい。また、その節の経費等につきましても、紅十字の招待などには多少の政府からの補助金も出ましたので、こういう便宜もおはかり願いたいし、見本市とかまたは商務駐在員の設置等についてもお考えのほどを願いたい。先方で私どもが話し合いましたときには、このいずれにも熱意を持つておつて、両方平等の条件で、中国側だけが利益をするのでも、逆に日本だけに都合がいいのでもなくて、話合いで行こう、こう申しておりますので、私は、実現の余地のあることと存じますので、至急御研究を願いたいと存じます。 その他の点は後日に述べることにいたしまして、それらの数点につきまして政府当局の御回答を願います。
○重光国務大臣 今お話の点は私ども大体そういうふうに実は考えております。できるだけ貿易を進めて行きたい、これには大きな制約なんかもありましよう。その制約は国家的の構成から来る制約もございましよう。しかし、それよりも何よりも、実際問題として貿易の増進をやる、バーターでも何でもいいのだから増進をやるという手段は大いに考究してやらなければならぬ、こう考えます。これは先ほど申したことの繰返しになりますけれども、そう考えます。また、御承知の通りに共産国との貿易はその国の構成に非常に関係があるのであつて、むしろ先方の要求ということが非常に大きく影響するのじやないかと私は考えます。しかし、それでありますからいろいろ努力もしなければならぬと思うのでありますが、向うがほんとうに希望するならば、むろんこれに応じてさしつかえないと私は思う。今お話の通りに軍需品とかなんとかいう国際的の制限といいますか、こちらも義務を持つておるというそういう国際的の制限はやむを得ませんが、その他の問題については、私は、できるだけ拡張してやるように、実際的の方法を進めて行こうということに努力をしたい、こう考えておりますが、それでお答えになつておりますか。
○帆足委員 ただいまの御答弁につきましてもつと具体的に申しますと、第一には、中国、ソ連に対する貿易実情についての詳細な調査をこの次はいただきたい。第二には、ココムの機構が秘密になつております。ココムの運営機構、日本政府の権限その他詳細な説明を聞く機会が従来ありませんでしたので、それらを詳細に御研究になつて次会に適当な形で御報告を願いたい。第三には、今、大臣が特殊の軍需直接兵器を除いては禁止緩和に御努力なさるというふうに承りましたが、そのように理解してよろしいか。第四に、経済使節の派遣、それから民間の資格の商務駐在員の交換、見本市の開催等について逐次御準備をお進めになるか、先方から希望のある場合はそれについて適宜の措置をおはかりになるお考えがおありか、こういうことでございます。
○重光国務大臣 第一の資料の点はひとつ私もできるだけの努力をすることにいたします。ココムのことのお話がありましたが、実はこれは私はまだ十分研究をいたしておる余裕がないのであります。これは国際義務として発表ができなければまた別ですが、国際義務に反しない限りできるだけ状態を明らかにするということについては、むろん異存のないところでございます。経済使節の交換などはいいことだと思いますが、しかしそれは個々の問題について十分考えて行きたいと思います。輸出制限の緩和については、国際義務に反しない限りできるだけやりたいという考え方を従来私どもも持つております。
○中村委員長 今澄勇君。
○今澄委員 大臣御就任間もないことでありますから、私は大きな問題だけ簡単に一つ御質問をいたします。 第一点は、外務大臣に御就任されましたが、日本の経済外交というものは、その裏にやはり世界政策、国の外交の裏づけがなければ推し進めることができないという意味において、わが国はアメリカその他各国との間にサンフランシスコ条約というものを結んでおるが、このサンフランシスコ条約は、御承知のように制限規定がありまして、三年間はこのサンフランシスコ条約と異質の条約を結んではならないということになつております。この制限は四月において解けるのであるが、サンフランシスコ条約と抵触するような講和条約をソ連ないし中共側から日本に申し込まれたときは、外務大臣としては、この期限が切れた後においては締約することもさしつかえないのであるから、お結びになる御意向ですか、それとも、この期限が過ぎても、道義的なアメリカ西欧民主主義陣営との義理合いから、そういうふうなソ連、中共との講和についてはお考えにはならないのかどうか、この点をひとつ、おすわりになつたままでけつこうですから、お聞かせ願いたいと思います。
○重光国務大臣 ソ連、中共との間に平和条約は結ぶかどうかという御質問のようですが、それは私はできることなら結びたい、こう申し上げてさしつかえないと思います。その時期等についてはまだお答えしたくもちよつとその用意もございませんが、それは結びたいということは言えると思います。
○今澄委員 貿易について一番重大な問題は中共貿易と言うけれども、通商航海条約の裏づけのない貿易というものは非常に弱い。通商航海条約の前提としては、やはり戦争状態の終結、講和ということが必要である。だが、サンフランシスコ条約では、このサンフランシスコ条約にきめられた範囲以外のことをほかの国と結ぶことを禁止しております。これは御承知だろうと思いますが、これが期限が切れるということになりますと、サンフランシスコ条約に多少の抵触があつても、政府としてはこれらの諸国と講和を結び、あるいは戦争状態の終結に応ずる用意がある、こういうふうに解釈をしてよろしゆうございますか。
○重光国務大臣 サンフランシスコ条約に抵触しない限りは、日本の行動は自由であると私は思つております。しかしながら、それならばすぐ共産圏との通商貿易ができる、条約ができるというようなふうには実は考えられないのであつて、それにはやはりとくといろいろ交渉の前提条件があるように考えます。
○今澄委員 政府がただソ連、中共との国交回復、貿易増進というようなスローガン的な意見を述べられたのでは、国会のわれわれとしては了承しかねる。私どもは、政府はサンフランシスコ条約の精神の範囲内においてインドと日本に結んだような法三章的な個別的な講和を結んで行こうとするのか、それとも、サンフランシスコ条約の期限が切れた後においては、国際法的拘束を受けなければ、独自の立場に立つて行こうとするのか、それとも、そういう講和条約等は結ばないで、戦争終結の宣言を彼らに発せしめて現実的な通商貿易の方針をとつて行こうとするのか、三つのうちのいずれを政府はとろうとするのかということを、ひとつ明確にお答え願いたいと思います。
○重光国務大臣 そういう点については、まだ私はこの席でお答えする用意は持つておりませんことをたいへん遺憾に存じております。よくひとつ方針をきめてお答えいたたしいと思います。
○今澄委員 これがやはり日本の外務大臣が経済外交を推し進める上の一番根本の問題で、日本国内に対する外交政策と諸外国に訴えた外交政策との間に相違があるという一つの事実が、まず大きな欺瞞的な姿である。第二点は、ソ連と中共との間に日本が国交を結び貿易をして行くということになれば、その三つの道のうちいずれをとるかということが御就任になるときの心の中にきまらないようなことでは、私が貿易その他今から御質問申し上げんとする将来の問題も非常にあやふやで、ぜひ外務大臣御就任と同時にそういう問題は腹をきめて乗り出されるべきものであると私は思います。 第二点としてのお尋ねは、あなたが外務大臣となつて国際外交をやられる上において、純粋外交的な問題は外務委員会に譲るとして、経済的な問題としては、日本の経済外交のねらいは外資導入によるわが国の経済建設にあなたは志を持つて行かれるか。それとも貿易第一主義の貿易立国で日本の経済外交を推し進めるように持つて行かれるか。この二つの点はおよそ一国の経済外交の中軸をなすものであるが、そのいずれをあなたはおとりになるお気持であるかということをお伺いいたしてみたいと思います。
○重光国務大臣 むろん、経済貿易の増進については、その両者ともこれは進めて行かなければならぬように思います。それが両者択一ではないように私は思うのです。さようにして経済外交をあんばいして進めて行かなければならぬ、こういうことを申し上げたいのであります。
○今澄委員 外資導入については、それではあなたはどういうふうな立場においておやりになりたいという考えですか。
○重光国務大臣 外資導入の問題は今私どもの問題になつておらないのでありますが、これは将来の必要に応じて考えるよりほかにしようがないと考えております。
○今澄委員 外務大臣としてその両方をおとりになるとすれば、まず外資導入についての基本的な考え方、貿易増進についての基本的な考え方というものがなければならぬと私は思います。これはやはり非常な怠慢であつて、私どもは、就任早々であるから本日はまずいいとしても、明確にしてもらわなければならぬ。この外資導入にからんで、吉田内閣総理大臣が現職にあるときにアメリカに行かれまして、四十億ドルの東南アジア開発に関するアメリカからの借款を申し出ておることはすでに御承知の通りであります。この際、重光さんが外務大臣におなりになるときに、岡崎前外務大臣からこの東南アジア開発に関するアメリカからの四十億の借款についての構想なり、あるいはこういうふうな行き方であるというふうなお引継ぎをお受けになつたかどうか。またこの東南アジア開発に関する新政府の考え方は一体どうか。この点を率直にひとつお聞かせを願いたいと思います。
○重光国務大臣 東南アジア開発に対する借款の問題については何ら承知をいたしておりません。将来の問題については、その問題が起るときにこれは非常に考究を要する問題だと思いますが、今その問題は起つておりません。
○今澄委員 概括的な御構想はありませんか。
○重光国務大臣 概括的な構想は、今日申し上げるまでのものは持つておりません。
○今澄委員 就任間もなくではあるけれども、いろいろ新聞に出た新政府の構想なり外交方針等の裏づけは、結局これでは何にもないということになると私は思います。 もう一つお聞きします。フイリピンとの間の賠償交渉が非常にもつれて今日に至つたことはもう御承知の通りであります。あなたは、フイリピンとの賠償交渉がなぜ今日までもつれて来たかという点については、どういうふうな見方をしておられるか。なお、日本の役務賠償に関する日本サルベージ等の入札値段も市価より三割も高いということがサルベージ業者の内紛で明らかになつておるというふうに、事フイリピンに関しても、吉田内閣がとつて来たいわゆる汚職と不正に包まれたやり方が非常にフイリピン側から不信を買つておるということも事実である。あなたの方ではこのフイリピンとの賠償についてどういうふうな方針をお持ちになつておるか、これもひとつ、具体的方策がわからなければ、あなたの見通しなりあるいはこれについての感想なりを聞かしていただきたいと思います。
○重光国務大臣 フイリピンとの賠償問題については今いろいろ研究中で、これを円満に、なるべくすみやかに解決したいという趣旨のもとに準備を進めておりますが、しかし今日とつておることについて申し上げるのはまだあまり時期を得ておらぬ、こう思いますから、いずれその時期に達した際にはこの問題について十分に御説明申し上げたい、こう思います。
○中村委員長 次は松原喜之次君。外務大臣の時間がもうあまりないようですから、簡潔にお願いをいたします。
○松原委員 それではきわめて簡単に御質問を申し上げます。 まず第一点は、御承知のように、前内閣は、その外交方針といたしまして、経済外交あるいは通商外交に重点を置いてやるのだということを呼称して来られたのである。しかるに、そのやられた実績を見ますると、むしろ経済外交あるいは通商外交と称することはできなくて、アメリカを相手とし中心とするところの政治外交をやつて来られた。そのアメリカ中心の政治外交の反射作用として反共政治外交をやられた。これがおよそ吉田内閣外交の最も大きな特徴であると思うのであります。従つて、こういう点について現在の民主党の主力をなしておられる改進党あたりでは非常な批判が行われたと私は考えておるのでありますが、こういう点についての感想を簡単に外務大臣から承りたいのであります。それは将来の方針を左右するところのものであり、将来の方針を卜することのできる基本問題であると考えますから、それに対する感想を一言お答え願いたいと思うのであります。 次に、ごく当面の問題だけを一、二承りたいのであります。これは簡単な問題ですから、おそらくすぐにお答え願えると思うのであります。先ほど同僚の帆足議員からもこれに似た質問があつたのでありますが、具体的に中共から通商代表を招待するという問題が起つておることは御承知の通りであります。これに対する態度及び将来ソ連、中共等の国交の回復をしておらない国との間にも貿易代表の交換等貿易の実際的推進に寄与するような措置を考えておられるかどうか、これが第一点であります。第二点は、御承知のように非常に問題になつておりました旅行の問題であります。中共、ソ連と日本との間の旅行を、従来の通りやはり非常にきゆうくつなものにくぎづけにしておかれるつもりか、あるいはこれを相当程度自由になさるりもりか。この二点について簡単にお答え願いたいと思うのであります。
○重光国務大臣 共産国との経済関係は、できるだけのことはやらなければならぬと思うのです。しかしそれは政治問題とも非常に関係を持つわけでありますが、できるだけ政治問題と関係なく共産国との通商も進めて行くことが私はいいと考えます。しかしながらこれには相当事実上の困難が伴うものと思われます。そこで、おのおのの具体的のことに対処しつつ、できるだけ通商が円満に行くように進めて行くことがいいと考えております。 中共からの通商代表の招聘、これは問題が起つたときに考えなければならぬと思います。そこで、通商代表をよこしてもらうという方針を今私がすぐ決定をしてお答えをするということは、ちよつと困難に思うのであります。御答弁になつたかどうかはなはだ心もとないのですが……。 それから、国交の回復しないところと貿易代表を交換する。これもいろいろ国際法上の慣例等を調べなければならぬというように思います。しかし、大体において私は国交を回復しない前に通商を開くべく努力をするということは利益である、こう考えております。
○松原委員 大体御答弁の方向は私どもと考えを一にしておられるように察せられますが、ただ一点だけ簡単にお答え願いたいことは、将来中共からの通商代表を招待するということが起ればということでありましたけれども、現にそれは御承知のように起つておるのであります。こちらから正式に各党を代表した議員及び財界の人たちが御承知のように先日中共へ参つて、そしてそれのいわば交換的な意味で、向うからも通商代表を日本へ招待してほしい、行くことを認めてもらいたいという希望があつたのであります。従いまして、その具体的な問題に対する大臣の大体の考えを承りたいと思うのであります。
○重光国務大臣 私の大体の考えは、むろんそれは通商代表はけつこうだと思いますが、しかしどういう代表をどういう目的で呼ぶかということについては、よほど慎重に考究する必要があるだろうと思うので、今すぐ、右とか左とか、はつきりお答えすることはお許しを願いたいと思います。
○中村委員長 久保田豊君。
○久保田(豊)委員 一点だけ大臣にお伺いしておきたいと思います。御承知の通り、こちらからも向うに通商のいわゆる民間代表が行くという段階になつておりますし、今同僚松原委員からも話がありました通り、向うも、民間代表ではないでしようが、今度の通商についてこちらに使節団を送つて来たいと言つておるわけです。大臣は、今、恒常的な貿易代表機関を両国に設置するというふうにおとりかと思うのですが、そうではないのでありまして、当面の問題は、こちらからも民間の代表が向うへ行く、向うからも、国柄としては民間代表ではないが、貿易を開くためのいわゆる代表団がこちらへ来る、こういう希望を向うは持つておるわけです。また議会を代表して行つた各党の諸君は、それを実現すべく約束をして参つたので、これは当面の問題です。 そこでお伺いしたいのは、向うから今度来たいと言つており、また議会を代表した各党の諸君が、ぜひお呼びをいたしますと言つて約束して参つた中国の使節団を政府としては積極的に迎える意思があるかどうかという点で、これが第一点であります。 それから第二点は、その結果どうなるかわかりませんが、いずれにいたしましても本年の十二月をもつて従来中国と日本の民間団体との間に行われておりました貿易協定が切れるわけでありますので、この次どうしてもこの貿易協定を結ばなければならないということになる。さつき同僚委員から話がありましたように、基本的な通商航海条約というふうなものは今の段階ではなかなかむずかしいと思います。そこで、第三回の貿易協定を——これは近く結ばれるものと思うが、その場合に、単なる日本の民間団体と向うの政府機関であるものとの協定にするか、あるいは政府対政府の貿易協定にするか。これは、もちろん通商協定ではございませんけれども、基本的なものではないにしても、非常に重要な問題だと思う。もし新内閣が中国なりソビエトなりについて貿易の積極的な施策をとると言う以上は、私は、正常な国交関係はないといたしましても、政府間の貿易協定ぐらいのものは当然結ぶ熱意を持つてほしいと思う。事実、周恩来その他の先方の政府責任者は、日本の政府がこれを承諾するならば、政府間のそういう貿易協定を結ぶことを躊躇しないと言つておるのであります。歓迎をしておるのであります。これは日本の議員団に対する応答の中にも明確に出ておる。そういう段階であるが、新大臣は、このいわば第三次日中貿易協定を政府対政府機関の間の貿易協定にする御決意があるかどうか、あるいは、政府でなくとも、民間が結んだものを政府が間接的に裏書きする何らかの積極的処置を政府としてこの協定に入れる御意思があるかどうか、この二点をお聞きしたいのであります。
○重光国務大臣 私は、共産国といえども、貿易の増進をやるというこの根本の考え方は正しいと実は思つております。今お話のいわゆる通商代表を積極的に迎える意思ありやいなやという点でありますが、その問題は具体的の問題になつたときに考慮するよりほかしようがないように存じますが、私はそれでよかろうと思つております。 それから、第二の問題の民間団体の貿易協定、これも今どういうふうに取扱うかということをはつきり申し上げる準備ができておりません。ぜひ貿易協定も進めて行きたいと、こう一般的に申し上げたいと思うのであります。しかし、先ほども申しました通り、貿易協定をどの間に進めるかということについては、やはり具体的な問題になつたときにとくと審議し、考えなければならないと思います。
○久保田(豊)委員 大臣は就任早々で、事情をまだ十分御承知ないので無理もないと思いますが、実は向うからの貿易使節団を呼ぶということは、目先の、すぐの問題であります。こちらからの貿易代表は近日中に向うに出かけるのであり、向うへ行つて向うといろいろ話をするのに、向うを呼ぶというおみやげを持つて行かなければいけないのであります。そこで、今大事な問題としては、向うの貿易代表団を政府が積極的に呼ぶ意思があるかどうかということで、当然すでにここで問題になるのは、第三次の貿易協定をどのような形でお互いに結び合うかという問題なのであります。これはどうしても政府対政府の協定であることが望ましいのであります。その点については、大臣はまだ就任早々で十分御認識がないならばやむを得ませんけれども、できれば、そういう点については、目先のすぐの問題でありますから、早急にひとつ決定をされて、そうして近く村田省蔵氏を中心として出かけまする中共へのこちらからの貿易使節団、これに明確な方針を与えてやるということは、選挙前の話ですから、これははつきり新大臣には考えてもらいたい、こう思うのであります。
○帆足委員 ただいま同僚議員から申し上げましたことは、すでに山口喜久一郎さんから岡崎外務大臣に話して、大体岡崎さんですらよかろうという内意を漏らしている問題です。それで、総選挙がありまして議員の方々も忙しいので、使節団が実際上こちらに参るのは、ちようど桜の花の四月にしたらよかろうということで、中日貿易議員連盟から向うにもう手紙を出しまして、その上政変がありましたから、重光さんならこれで百パーセント間違いないという手紙を出しているような状況です。大臣は具体的々々々と言われるのですけれども、もう具体化しているのです。ただ御就任早々で、私どもも事情を今度申し上げに上りますが、もし民主党の政策が、中国との貿易は開く、平和を欲すると言いながら、具体問題になると岡崎さんより後退するのではあるまいかというようなことでは、まことに憂慮にたえませんし、民主党としても選挙対策としてまずいと思うのです。それでもう少しはつきり約束したことを実行されて、保守なら保守でけつこうですから、まじめな政治をやつていただいて、着々事務的裏づけをもつてやつていただきたい。私は先ほど無知のカーテンと申しましたけれども、事情を知らないということも無知の罪を免れぬわけです。従いまして、これは外務省当局の補弼の任に当る人たちがまつたく勉強しないから、こういうことになる。大臣はまことに私はお気の毒だと思う。ただいままで伺つたことは、大臣の就任の声明で尽きておつて、われわれは十分了承しており、誠意のほどは認めておりますが、ただいまのような具体策についてあいまいのお答えならば、これは大臣の今後の施策を信用することができなくなるというような感を抱かしめられる実情であります。先ほど久保田君や同僚松原委員のお尋ねした使節団のことは、もう手紙のやりとりが始まつて、村田さんは年内に出発するという状況になつているのです。そういうことをひとつお考えくださつて、適宜の措置をお願いしたいと思います。
○重光国務大臣 よくわかりました。
○中村委員長 瀬戸山君。
○瀬戸山委員 大臣は非常に急いでおられるそうでありますから、簡単に一言だけ大臣の所見を伺つておきます。 先ほど同僚委員からいろいろ御質疑がありましたが、私は残念ながら大臣のお答えはきわめて不満足であります。もちろん、個々の問題については、先ほどもお話が出ておりますように、御就任早々でありますから、いろいろその事情を御存じない点は了解いたします。しかしながら、先ほど問題になつておることは大体原則論であります。それに対して、失礼でありますが、外交界の長老としておられますし、政局を担当しようということまで決意された外務大臣であれば、そのくらいの見当はついているのが当然だというのが私の見解であります。そこで、中ソの貿易についてはなるべく進めたいというような御意向を新聞などで発表されております。私どもも非常にけつこうなことだと思つておるわけでありますが、先ほど来いろいろ問題になつておりますことは、私どもほとんど同感でありますが、それにもかかわらず、今日こうやつてそれを双方希望しながら進まないのは、どこに原因があるかというと、国際共産主義の侵略ということがやはり頭に残つておる。それが今国際間の紛争を来して、中ソやその他の共産圏との貿易も、それをやつた方がいいとおつしやることは当然のことでありますが、それができないのはそこに根本がある。そこで一体、外務大臣は、これは具体的な問題ではないのでありますけれども、国際共産主義の侵略ということについてどういう見解を持つておられるか。この見解がはつきりしなければ、貿易の問題をいくら論じても、個々の問題が解決して来ないのですが、それをどういうようにお考えなされておるか。これは大臣は常に考えておられることと思いますので、この点だけはつきりさしていただきたいと思います。
○重光国務大臣 国際共産主義の危険ということは、私はその根本問題として今日でも存在しておると思います。しかしながら、それでは共産国と全然障壁を設けて一切関係をとざすべきであるかというと、それはむろんそうでないのであつて、それがために共産国との通商関係も開いておるわけであります。それで、共産国との通商の問題が起つて来るわけだ、こう考えております。それで、共産国との通商関係は、おのずからこれは制限を伴うことは言うをまちません。しかしながら、その制限の範囲内において貿易の増進をやろう、こういうこともまたとらなければならぬ処置だ、こう考えております。それで十分のお答えになつておるかどうかわかりませんが……。
○瀬戸山委員 私は今の大臣のお答えに満足であります。国際共産主義の侵略が絶対にないと考えて貿易の問題をお考えになると、たいへんな間違いを起すだろうと考えます。そういう考えを持ちながら、経済は経済でありますから、ひとつ今後も、今大臣からお話がありました通りに、十分に努力をしてもらうということを希望申し上げまして、きようは終ります。
○中村委員長 それでは、他にまだ御質問があると思いますが、大臣のさしつかえがありましてこれ以上継続できませんので、本日はこの程度といたしまして、次会は明十六日の午前十時から開会することとして、本日はこれにて散会をいたします。 午後二時四十八分散会