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21回国会衆議院1954/12/17

厚生委員会 第1号

発言数
48
登壇者
11
会派数
3
開催日
1954/12/17

会議録

田中好日本民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  この際簡単にごあいさつを申し上げます。不肖私が今回はからずも委員長に選任されまして、まことに光栄に存じております。厚生行政は非常に重要なものでありますが、私はあまり経験がございません。皆様方の御指導、御鞭撻によりまして、厚生問題の解決に進みたいと思つております。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  それでは理事の補欠選任を行いたいと存じます。去る十三日に越智茂君、十五日に中川源一郎君が委員を辞任されたのに伴いまして、理事に欠員を生じておるのでありますが、この補欠選任につきましては、委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中好日本民主党

○田中委員長 御異議ないようですから、越智君の補欠には青柳一郎君を、及び再び委員に選任された中川源一郎君をそれぞれ理事に指名いたします。     —————————————

田中好日本民主党

○田中委員長 次に国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。今国会の委員会の運営を円滑ならしむるために、国政調査の承認を得ておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中好日本民主党

○田中委員長 それでは御異議ないものといたしまして、要求することに決しました。  調査の目的は、社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人、児童福祉及び人口問題に関する事項につきまして、実情を調査する目的で承認を求めるつもりでございまするから御了承を願います。  大臣がしばらくして出席せられるそうですから、それまでちよつと休憩いたします。    午後一時四十八分休憩      ————◇—————    午後一時五十六分開議

田中好日本民主党

○田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  厚生大臣から厚生行政に関する説明を聴取する件について、柳田委員より発言を求められておりますので、これを許します。柳田君。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 私は冒頭に新大臣に御祝詞を申し述べたい。と申しますのは、われわれの尊敬しておりました後藤新平氏の女婿であられる鶴見さんが厚生大臣になられた。後藤さんの伝記を読んでみても、いかに卓越された政治家だつたかということもわかりますが、とりわけ厚生行政に関して、当時においてすでに先見の明を持つておられたことを、今もつてわれわれは見出す。そういう意味において鶴見さんがこの難局の、ことにデフレ政策のしわ寄せが来ておる厚生行政に当られることは、さだめし大臣においても本懐でありましようが、地下に眠られる岳父もさぞかし御満足のことであろう、そういう意味で、今後私は大臣に御奮闘を願いたいと思つております。  またわれわれ社会党から見て、今の民主党の中から厚生大臣を選ぶとするならば、私は、鶴見さんなんかはその雄たるものであろう、こう思つております。しかしわれわれ社会党が民主党に政権をゆだねたということは、吉田前首相のもとでは解散する資格はない。だからその解散するにない手としてのみ民主党を認めたのでありまして、そういう意味からいいますならば、われわれは今の民主党内閣を選挙管理内閣以外の何ものにも評価しておりません。いずれ選挙という洗礼を受けて出て来られて、その後の大臣ならば、私は厚生行政全体について大いに問いただし、またお互いに討論し、お互いに研鑽し合う機会を持ちたいと思いますが、如上の意味におきまして、選挙管理内閣のその閣僚としての厚生大臣には、今ここで何ら政策的なことをお尋ねしようとは思つておりません。  ただ先般鳩山内閣が発足いたしまして、最初に打たれた政策というものは、いわゆる役人と業者とが麻雀、ゴルフをやることを禁止する、あるいは大臣の公邸を廃止する、あるいは国産自動車を愛用するとかいうような、これすべて一つ一つは今日本にとつて何よりもまずなされなければならぬ重要な問題だ。世上これは人気取りであるというような批判もあります。確かにそういう面もあつたでありましよう。しかしたとい人気取り政策としても、これは今やらなければならぬことで、私はいいところに閣議もお気づきになり、またいいことをやつていただけるものと思つておりますが、ただそういうことをやつておられる矢先、きのうの新聞を見ますと、朝日新聞の「青鉛筆」でも、毎日新聞の「記者席から」でも、読売新聞の「いずみ」でも、みな一様に取上げておる問題は、その一つを読みますと、「十五日午後新厚生政務次官中川俊思氏が初登庁したあと、二階の人事課前の廊下に机、イス、書ダナなどが山と積まれて足のふみ場もない始末。なにごとならん……ときくと、「こんな狭い部屋(十五坪)では、満足な仕事が出来ん」と中川氏にいわれて政務次官室を急ぎ拡張作業中という。簡素生活の大みえを切つた民主党としてはチト筋違いの感……と鶴見厚相の所信をたたくと「私は社会保障という大仕事と取組みたい。政務次官にも大いに手伝つてもらうが、それには現在の次官室では狭い。外国の大臣、次官室などは豪華ですからね」という。二十坪に拡げた部屋からどんな社会保障制度が生れるか楽しみだが、逆に室をけずられた人事課では、渋い顔。」こういうととがみな書かれておる。はしなくもこういうところから馬脚を現わしておる。こういつた押し迫つた師走のさ中に、しかも簡素化生活を唱える内閣が、こういうようなことを、一政務次官がかわつたからといつてすぐ取上げて、次の部屋の者を立ちのかせて、拡張工事をしなければならぬ理由はどこにありましようか、この点をまず伺つておきたい。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 ただいま柳田委員から死にました新平について御丁重なお言葉をいただきまして、ありがたく存じます。  御質問の点についてお答え申し上げます。なるほど新聞ではいろいろごらんの通りのことが書いてあります。事情はこういうことでございます。私も一度政務次官をいたしたことがありました。皆様方も政務事官をなさつた方もあり、今度なさる方もあると思いますが、政務次官で一番困りますことは事務との連絡がややもすれば疎遠になりがちだということでございます。それで厚生省の政務次官室をごらんになつたこともあると存じますが、あそこでいろいろな事務上の会議はほとんどできません。それで熱心に厚生委員を長くしておられた中川君が、たいへんに張り切つて、これから厚生省の仕事をやりたいという矢先に、面会をするだけの部屋では仕事ができかねるであろうと思いまして、大して金をかけておるわけではありませんが、部屋を広げて、政務の裏づけをする事務のとれるように改造したい、かように考えた次第であります。今お話しのように、冗費節約のさ中に、部屋を大きくするということは無用の金を使うということであれば、まことに申訳ないことでありますが、それがために厚生行政全体の能率を上げ、これから少し申し上げたいと存じますが、もう少し能率的な社会保障制度ができるようになる一端の役にも立つことになれば、おそらくこれだけの金を使うことはむだにはならないであろう、かように考えております。

柳田秀一日本社会党(左)

○柳田委員 こういう問題ですから、そう多く私は質問いたしませんが、やはりこうしてどの新聞もみな取上げたことは、これはやはり記事は非常に小さな記事でありますけれども、大きな示唆を含んでおるわけです。今実際に不急不要の冗費はびた一文とも使うべきでないという時代に、こういうことをやられたというところに問題がありましよう。さらにもう一つの問題は、政務次官というと、これは実際は政府と党との連絡ということもありましよう。また大臣を政治的な意味で補佐するということなのでありましようが、従来は国会議員が勉強しない、そうして官僚になめられておる。政務次官というものは、まるで論功行賞のような意味で、ただどこかのポストにあてがつておけというような、形式的マンネリズムをふんでいる。そういう制度そのものが悪いのではなしに、そういう制度を利用しないというか、そういう党利的な立場からのみものを解決されて、あつてなきがごとき政務次官であるから、いよいよなめられたというようなところにも問題がありませう。事実また人選等においても、鶴見大臣の言われるように、社会保障制度を大いに勉強してもらう、こういう意味で人選されたならば大いにけつこうでありますが、社会保障のイロハも何もわからぬような者が政務次官だといつて、何ら仕事をしない。いよいよ官僚になめられておるというところにも問題がありましよう。と同時に、従来の官僚の国民に睥睨しておつた時代からの頭の切りかえがいまだにできておらぬところに問題があるのではないか。たとえば課長から局長になる。局長になるとじゆうたんくらいは敷かぬとどうもかつこうがつかぬ。次官になるともう少し大きくならなければかつこうがつかぬというような形でやつておる。何も今こういう不急不要のことをやる必要はない。今ほんとうに政務次官が勉強しようというならば、政務次官に適当な部屋を充てて、今の政務次官の部屋に官僚の次官、局長どもの部屋を持つて来ればよろしい。いくらでもやる方法はあるので、こういうことに金を使う必要がありますかということを、大臣からもう一度お答えを願つておきたい。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 厚生省をごらんになつておられると存じますが、私参りまして驚きましたのは、あれだけの大きな予算をとつて、大勢の人が仕事をしている官庁といたしましては、古くもあり、またたいへん手狭でもございまして、これからどうかしてもう少し広げたいと思いますが、他にかえる部屋もないのであります。それであすこはごくわずかばかり実質を広げただけでありますからして、これが他の事務官の不便になるようなことがあれば、これはまことに申訳ないことでございますが、いろいろ調べてもその程度にはなつておりませんから、これは今後の政務次官の勉強ぶりによつてひとつごらんをいただきたいと存じます。

中川俊思日本民主党厚生政務次官

○中川説明員 私の問題に関するようでありますから、私から一言真相をお話し申し上げたいと存じます。  なおその前に今回政務次官に就任したことについて簡単にごあいさつ申し上げます。皆さん方とは長い間厚生委員の席を同じくして参りまして、非常に御指導を願つて参つたのであります。御案内の通りの野人でありまして、あまり勉強もいたしませんでしたが、皆様方の御愛顧を得まして、よく今日まで至つたのでありますが、幸か不幸かこのたび厚生政務次官に任命されまして、今度は攻守ところをかえるというような立場になつて、皆様方から今後大いにいじめられることと思うのであります。これは従来の御交誼に照してあまりいじめないようにしてもらいたい。私もできるだけ勉強いたしまして誠意をもつてお答えもいたしたいと考えておりまするから、今まで通りの御愛顧を願いたいと思うのでございます。冒頭はなはだぶしつけでございますが、私が今回就任いたしましたごあいさつにかえたいと思います。  なおただいま柳田さんから、私が就任すると、部屋を広げろ、こういうことを言つたというお話がございまして、まことに恐縮に存じます。しかし事柄はまつたく違うのであります。私は一度も部屋を広げてくれと言つたことはございません。私は政界に入ります前から役所へちよいちよい出入りしております都度、私が見て感じましたことは、ほとんどどこの役所へ行つてみましても、政務次官の部屋がすみつこの薄暗いようなところへ追いやられておつて、事務次官の部屋は日当りのいいりつぱなところにたいがい設けられておる。官制上から申しましても、政務次官が事務次官より上であることは皆様方御承知の通りでございます。厚生省は御案内の通りああいう古い建物なのでございまして、りつぱな部屋もございません。そこで大部屋で局長も課長も事務次官も政務次官もみんながまんをせよといえば、私も苦労人です、部屋のどんなすみつこでも私はがまんするだけの男でございます。しかし役所にも社会にも秩序がございます。役所で申しましても、係長が課長より大きな部屋に入つておつたり、局長より課長が大きな部屋に入つておることがもしあるといたしまするならば、これは私は局長にいたしましても課長にしましても、それで満足だといつて満足しておるわけではないと思うのであります。私はなるべく事を荒立てないようにしなければならぬと思いましたから、就任をいたしました日に人事課長が私のところに参りましたから、実は私は非常に便所に近い男だから、今の事務次官のおる部屋のすぐ隣に便所があるし、あそこにかえてもらえないだろうか、ひとつ事務次官に頼んでくれないか、こう私は申したのであります。そうしたところがすぐこれを帰つて、どういうわけか存じませんが、大臣のお耳に入れておる。そこで私は昨日も登庁いたしまして、新旧政務次官のあいさつをせよということでございましたので、五階の広間へ行つて皆様方にもこのことを申し上げたのであります。私は部屋が狭いからというようなことを言う男じやない。そんなことをいまだかつて言つたことはない。それを何を勘違いなさつたか知らないが、私が部屋が狭いからとでも言つたというのか、何かあそこを一生懸命に広げておられるということであるが、私はそういうことをいまだかつて言つたことがない。鳩山内閣はただいま柳田さんのおつしやる通り、今日までのだらしのなかつた吉田内閣の跡始末をやらなければならない重大な責任を持つておるのでありますから、少しでも費用の節約をはからなければならぬというので、私は人事課長が参りまして、あなたの車はこれこれでございますと言つて私に車を差出されたときでも、実は私はボロ車ではあるが、自分は車を持つておりますから、少しでも費用を始末しなければならないから、私は役所の車はいりません。自分の車を使いましようと言つて、私は一度もまだ役所の車に乗つておらないのであります。そのくらいにしている私が、部屋を広げろというばかなことを言うわけがありません。これは何かのお間違いだと思います。一昨日の晩も今柳田さんがお示しになつた朝日新聞や読売、毎日新聞から私の宅に夜十二時ごろしつこくそういうことを聞きに来られたから、そんなことは絶対にない、人事課長に聞いてもらえばわかるのだ、こう言つて私は新聞社に話をしたのでございますが、何か興味本意にそんなふうに書かれております。真相はその通りでございますから、どうぞ誤解のないようにお願いをしたいと思うのであります。鳩山内閣が成立をして、すぐに新大臣が厚生行政の最高責任者になられたのでございまするから、ただいま柳田さんからおつしやる通り、私どもも新大臣をお助けして、そうして厚生行政の完璧を期さなければならないという、実は覚悟を持つて私はお引受けをいたしたのでありますから、そういう手前、私自身が部屋を広げるとかいうようなばかなことを言うわけがございませんから、その点は御了承願いたい。ただ私が昨日も皆様に役所であいさつするときに申しましたことは、中川俊思は不勉強で厚生行政の仕事なんかはあまりわからないかもしれないが、しかし秩序だけは立てなければならない。こういう意味で事務次官が政務次官の下である以上は、事務次官が日当りのいい部屋にがんばつて、政務次官を日当りの悪いすみつこの方に押しやつておくということはどうかと思う。私は今の政務次官の部屋を十倍にしたつてあそこには行かない。こういうことを私は昨日もそれとなく申し上げたようなわけでございまして、部屋を広げたからといつていささかも満足するものではございません。ただ私は秩序だけは、社会にも役所にもあるのでございますから、秩序だけは立ててもらわなければならぬというのが私の真意でございます。どうか新聞記事だけで評価をなさらないように、誤解をなさらないようにお願いいたしたいと思います。

松野頼三自由党

○松野委員 だらしのない吉田内閣という言葉は取消されますか、今後もやはり継続してお使いになりますか、お尋ねしておきます。

中川俊思日本民主党厚生政務次官

○中川説明員 言過ぎでございましたら、ここに訂正をいたします。

田中好日本民主党

○田中委員長 次いで松野頼三君から厚生大臣に質問の要求がございますから、これを許します。松野君。

松野頼三自由党

○松野委員 実はこの委員会で抱負経綸を聞いておりませんし、あえてきよう大臣をいじめるつもりでむずかしい質問をするつもりもございません。しかしながらいずれ大臣になりますと、行政長官であり、たとい短期間の内閣であつても、その間は当然行政上の全責任は負われるのでございます。大臣になられたその日から大臣としての抱負経綸を、一応素案にしても、あるいは新聞を通じ、ラヂオを通じ、全国民に報道されつつあるのですから、その意味であえて私は突き進んで、そうあなたをいじめるとか、どうだとかいう意味ではございません。一応現在事務引継ぎをされたでございましようから、当然現下の問題として厚生行政上重要な諸点を二、三点所信だけでけつこうでございますから、お伺いするつもりでございます。  なおただいま柳田委員からもお話がございましたが、実はいろいろおつしやる必要は私はないと思います。私が政務次官のときに、あの部屋をきめたのです。ですから、長所も知つているし、短所も知つております。ただいま中川政務次官の説明でよくわかりましたから、あえて追究をいたしませんが、間違いならば、せつかく工事をおやりになつているのをおやめになつて、中川政務次官の趣旨に沿つて拡張工事をやめればいい、おやめなさい。それならあえてこの問題を追究する必要はありません。また中川政務次官も役所の車を使わないとおつしやるなら、それもけつこうですから、ぜひ範を垂れて、いいことはわれわれも協力しますから、徹底させればいい。私はあえて本委員会で追究する気持はありません。その趣旨でおやりくださればけつこうです。  それで本題に入りまして、おそらく引継ぎの問題でさつそく大きな問題がたくさんございましよう。厚生省は御承知のように社会保障及び社会福祉及び国民の保健衛生事業を担当するのがおそらく設置法の任務だと私ども記憶しております。正確には私も記憶いたしませんが、そういうのが大きな任務だと思います。そうするならばそれに相当する抱負、経論、所信がおありだろうと思いますので、大臣の所信をお伺いしたいと思いますが、あまり理想ばかりでは厚生行政は進まないので、雲上人よりも地について、一番困る生活困窮者から手をつけて行かなければ、いたずらに何十年計画を立ててやつても、経済審議庁のような仕事とは私は根本的に違うのだと考えておりますので、まず大きな理想の前に厚生大臣は厚生行政をどこから手をつけて、そうして高い理想に近づけるおつもりか、まずその手初めはどこからおやりになるかという一点だけでもけつこうです。言葉が足らない点はいくらでも補足していただいてけつこうであります。あなたのあげ足をとろうというのではありませんから、きようは気楽に座談のつもりで、全国民に話すつもりでお話いただければけつこうであります。その一点をまず初めにお伺いしておきます。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 ただいまの御質問の冒頭に、私が厚生行政についてどういうことを考えておるかということがありましたが、それからお話を申しますと、今の最後の御質問に触れて来ると思いますが、そういう順序で話をさせていただきたいと思います。  なおこの際、私は今まで厚生省、すなわちもとの内務省には一度も関係したことはございませんのに、はからずも厚生大臣の位置につきましたにつき決しては、多年この問題に御研究の深い皆様方の御指導を受け、また十分な御援助を得なければならぬと存じますので、この点は特に新任にあたつてお願いをいたしておきます。  私は実は社会保障制度という字のつかない前からこういう問題に漠然と興味を持つておつたのであります。ことに私はアメリカの一九二九年の深刻な不景気のとき、そしてルーズベルトが出て来てあの有名なニユー・デイールを行いましたあの前後におきまして、実に思い切つた制度をやつて、あの頽勢を挽回したという事情を見まして非常な共感をおぼえておりました。それから事務には直接関係はございませんけれども、外部から多少の研究を続けておつたものでございます。戦争中イギリスのビヴアリツジ案が出ましたときも非常に興味を持つてながめておつたのでありますが、その後も日本のいろいろの方々からこの問題の全貌を伺つておつたのであります。今度厚生省に参りましてから実際上の事務に当ることになりましたので、実際上のありさまを今いろいろと話を聞いておるところであります。それで私のあらましの考え方を一通り申し上げておきたいと思います。  日本の厚生行政というものを、ずつと前に私はいろいろな学者から数字で調べてもらつて見たのでありますが、これはいろいろ基礎が違うものですからはつきり出ておりませんが、たとえばここに持つて参りました国際連合の年鑑によりますと、日本のただいまの社会保障制度全体の経費は国費の八・九%というのに対して、ニユージーランドは四割を越えておる、そこまでは行けないにしましても、イギリスでも私が調べましたときは二割と聞いておりましたが。この国連の統計では約一割八分ぐらいになつておりますけれども、日本の厚生行政の基本をなす社会保障制度の金額から申しましても、こんな貧乏をしておる日本としては非常に足りないと存じまして、それで仕事をいたしますためにはどうしても予算をとつて、その予算を有効に使わなければならぬ、こういうことを考えまして、ただいまも閣議で、この次の国会再開の折に大蔵大臣の財政演説がございますときに、大綱を話すようになると存じますが、そのときに社会保障制度に対して、どうしても今までよりももつとこれを拡充しなければならぬという考えを持つておるがということを話しておりましたら、大蔵大臣もその点は非常に同感のようでございますので、この次はぜひ皆様の御協力を得て、予算をもつと大幅にとりまして、今日の日本の厚生行政の根本をきめたいと思うのであります。予算が足りませんものですから、今社会保障制度の恵みに浴しておる人がわずかに六八%くらいしかないといつたようなわけで、網の目に漏れておる人が非常に多い。それで漏れておる人とあたつておる人の間の不均衡な状態をどうかしてこの予算の面で回復したいということを考えておるのであります。数字を調べてみますと、たとえば健康保険におきますと、五人未満の従業員をもつてその事業に従事しておるものがすつかり省かれておるというようなことから考えてみましても、日本のように非常に小さい企業の多い国においては不平均な状態がたくさんあると思うのであります。たとえばもう一つ数字を調べてみますと、疾病保険につきましても国民の三五%にあたります三千八十九万人が適用されていないというふうに、社会保障制度というものが一律に広がつていないと思うのであります。それでこういうことを是正いたしまして、日本全体に不公平のないようにいたしたいということを痛切に考えるのでありまして、それには大幅な予算を得ましたら、その漏れておるところを埋めて行きたいと思うのであります。  それからこの給付内容を数字を調べてみますと、これも日本の場合は非常に低いと思うのであります。たとえば今とつております社会保障の国家予算は、先ほど申し上げましたように八・九%にしかなつておりませんから、生活保護法のような大事なもの——これは非常に大事なものだと思つておりますが、これにあたつておる人が一世帯五人といたしましても八千円にしかならぬ、これではなかなか生活ができませんし、この恩典に浴しておる人も二百万人に足りておりませんし、どこが路頭に迷うような生活の窮迫の状態かは、人によつて見方も違いましようが、餓死線上といつては言い過ぎかもしれませんが、非常に生活に窮迫しておる人が大体九百万人くらいあるというのに、二百万足らずの人しかこの恩典に浴しないということであつては、私は日本の社会不安の基礎がそこから生れると思いますので、今お話のように、どこから手をつけて行くかというと、私は日本の方の問題としてはどうしても国を守る、それは鉄砲だけで守れるかと申しますと、どうしてもすべての人の生活が安定するという、住むに値する国をつくつて行かなければ守れない、それには路頭に迷うような危険を持つた人が九百万人もおり、一割にもなつておるということは非常に悲しむべき状態であつて、いくさに負けた今日でありますから、ぜいたくはできませんけれども、こういうところからどうしても手をつけて行かなければならぬということを痛切に考えておるのであります。でありまするから、今後日本の防衛の問題、社会保障の問題ということは、国を守るという観点からいつても車の両輪でありますが、ことに国を守るということが防衛だけだという考え方で、不当な自衛力を増強するということは、私は日本の根本的建直しの上に策を得たものではないというとこを考えまして、偶然でございますが、昨年の全国参議院議員の選挙のときにも、社会保障制度ということを一番の眼目にして唱えておりましたのも、実はそういう気持からでございます。  それからただいまお話のございました点に関連して参るのでありますが、日本で社会保障制度の予算をいくらとつても、これが非常に効率的に行われているかどうかということになつて参りますと、いろいろ調べてみると非常に種類が多いようであります。私も長く鉄道省の役人をしておりましたが、鉄道省は今柳田さんから御指摘ありましたように、非常に早くから病院などをつくりまして、厚生設備を持つており決した。従つて鉄道の役人というものは、非常な安い費用で一種の健康保険を受けておる。そういう歴史の上に積み重ねられておるところの健康保険というものは非常に完備しております。ところがそういうものが一方にあるかと思うと、新しくできた全国的な国民健康保険とかあるいは健康保険はそれだけに行つておるかどうか。イギリスのように一本になつてしまいますと、非常に効率的になると存じますけれども、各方面で割拠的に別々のものができておる今日の状態でございますと、費用のむだもあり、技術の進歩しない点もあると存じますので、できるならばこれを一本にまとめて行くという方針でこれをやつて行きたいということを、行政機構の上から痛切に考えるのであります。従つてこの給付内容もばらばらになつておりまして、非常に違つておるようであります。そういうことにやはり漏れておる人があり、あたつておる人があるという不公平のほかに、同じあたつておる人でもそういう不公平がある。これを地ならしして、こういう凹凸を防いで行きたいということを考えるのであります。  そこで私は最後に今松野さんから御注意を受けましたけれども、あまり空論的になつてもいかぬということですけれども、私はやはりこの社会保障制度には一定の目標、理想がなければいかぬ。やはりこれに従事しておる人が情熱をもつてこれだけはなし遂げるという気持でなければならない。そういう目標が今までの社会保険制度にあつたかといいますと、どうしても当面の断片的な仕事に当ることに急になりますから、総合的な、何年間にこの目標だけには到達するという基本線が割合に欠けていたのではないか。でありますから私はどうかしてこの社会保障制度というもの——憲法でいくら基本的人権を保障され、個人の幸福追求を保障されておつても、生活が保障されておらぬということであつては、せつかく新憲法ができても日本の切りかえができ上つておらぬと思いますので、一定の目標を持つた社会保障制度というものをつくりたい。それには一定の年度計画で、何年たつたらどれだけの予算で、ただいま申し上げたような生活が非常に危険に瀕しておる人が一割もあるなら、それをおよそ何年間で救済できるか。すべての人が生れた以上は路頭に迷わないという安心感を持つて日本に住むことができる。もうそれだけでもつて日本の防衛というものが非常な基礎づけを得るのではないか。その意味において私は経済にも一つの計画性がなければならぬと思いますように、社会保障制度にも一定の計画があり、最終目標というものを置いておかなければならぬのではないか、かように考えます。その最終目標をこしらえておけば、年々出して参ります予算も、その方面に向つてことしはこれだけ出す、来年はこれだけ出すということで、内閣がかわりましても、初めてこの目標に到達できるようになるのではないか、かように考えるのであります。  そこで昭和二十五年の社会保障制度審議会から出されました社会保障制度に関する勧告というものを、今までの政府では個々の内容を取上げてお取扱いになつておりましたけれども、これを終局の目標として体系づけて完成するというふうにこの予算も組み、また施設もして行きたい、かように考えてあるのであります。ニユージーランドのように四割二分というものはなかなか日本ではできませんけれども、少くともイギリス程度までは日本の社会保障制度を拡充して、そうしてわれわれは始終みんな言つております福祉国家ということのねらいだけを、少くとも最低限度に完成したい、かように考えておるのであります。

松野頼三自由党

○松野委員 非常に高い御理想の話も出ました。それは御承知のごとくけつこうな話でございますが、ただいまのお話の中にも、実は具体的になりますと大分相違点が出て参ります。と申しますのは、おたくの閣僚である大村防衛庁長官は、ただちに憲法を改正して軍備を拡充するということを昨日御発表になつていらつしやる。ちようど鶴見大臣と御構想が反対になるので、この委員会は防衛委員会でありませんからその問題は別にして、そういう現実の目の前の問題でもお互いにかくのごとく、予算の問題、思想の問題が違つておりますから、有能な鶴見大臣がよほどこれを閣内で主張されないと、毎年財政の計画ということは不可能だろうと思います。かつての長い間の内閣におきましても、一兆予算を組むのに苦しんだ。いよいよ来年は九千億予算を組むのだと、同じ閣僚の一萬田大蔵大臣がおつしやつておる。今日ただいまちよつとこの概略だけを考えましても、今の鶴見厚生大臣の考えでまず生活保障の単価を引上げるならば、おそらく現在生活保護費として組まれておるものは二百七、八十億でございましよう。これに対する人員が二百五十万余りですから、生活保護と医療給付合せて年に一万円これを上げましても、この予算は五百億になります。従つて少くとも現在の厚生省の予算を倍額以上来年おとりにならないと、せつかくの鶴見さんの御構想は第一歩からくずれて、また机上プランかということになつて、逆に今度は国民から非常な攻撃を受ける。ことに社会保障制度というものは対象がその日その日に追われておる人に対する仕事でありますから、金持に対する一つの放言ならば来年でよかろうということになりますが、今日ではその日なんだ。もし鶴見さんがおつしやつたことがこのまま発表されて、このまま世間が受取つて、これで来年から生活保護費が五百円でも千円でも引上げられるということなら、これはやつていただかなければならぬと思います。これはおそらくやつていただけるだろうと思う。さしあたり七千五百円、五人家族で申しますが、これは鶴見さんの構想から言うと、少くとも一ぺんでは無理だと思うが、来年度から千円ぐらい上げていただかぬと理想に近づかぬと思います。少くとも六大都市のような大都会は来年は千円ぐらい上げていただくという気慨で予算折衝に当つていただくということをこの際大いにお願いしておきます。  なお、おつしやつたように、先ほど私は少し勘違いをしていましたので、私の数字は違うかもしれませんが、先ほど社会保障費が八・九%とおつしやつたが、おそらく何年度の予算か知らぬが、二十九年度、一番新しい予算で一七%の社会保障費が組まれておる、こう私は考えております。従つてこれは失業対策費とかすべてのものを入れて社会保障費は一七%、日本の軍事費的なものが大体一六%、こういうふうな感じを持つておりまして、おそらく一番大きな問題は千六百億の防衛的なものを鶴見さんは全部やめて、そうしてこの問題に充ててもらわないと私はむずかしいと思う。少くとも半分ぐらいにされてその予算を組まないと、せつかくのあなたの御構想も一歩も進まぬのではないか。この点私の数字のとり方と厚生大臣の八・九%のとり方とは違いましようが、いずれにしてもそういう感じがするので、片一方では大蔵大臣は九千億の予算を組むと言い、片一方では憲法改正をすると言われておりますが、私はこの予算の獲得については実は非常に心配しております。しかしこの成否は予算の獲得にあるように私ども拝聴します。この問題についてはもう一ぺん十分御研究いただいて、空手形でなしにやつていただかないと、ほかの問題と違います。  なお青柳君から関連質問があるそうでありますから……。

青柳一郎自由党

○青柳委員 ただいま大臣のお話を承つておりまして少し心配になる点があります。本質的な問題としては、大臣はこういうお言葉をお使いになりました。社会保障においては生活保護が一番大事なんだ、こういうお言葉があつたように私は聞いたのであります。大臣はこれはもう学者でございますから、その点はよく御存じだと思いますが、国民が生活保護を受けないようにするというところに重点を置くのが、それこそ社会保障の本質の問題だと私どもは考えておるのであります。そういう制度があつてもその制度のすき間から抜けて生活保護を受けるということになる。社会保障としてはあくまでも生活の保障でございます。従いまして落ちた者を救うということは二の次でございまして、生活戦線からあぶれないようにするということに重点を置くのがビヴアリツジの案であり、またニユー・デイールであると私は考えておるのであります。その点が非常に心配であります。防貧的な措置をほつておいて、貧乏だけを救つて行くということでは国家の発展はありません。従いまして大臣そういうことはよく御存じだと思いますけれども、その点が一番心配に思う次第であります。  なお国連の統計として、八・九%上げられた。先ほど自由党云々などというお話があつたので私も申さぎるを得ないのでありますが、民主党がつくりました昭和二十三年度の予算をとりますと、たつた三%しかない。百四十億でございます。国連でとつておりますのは社会保険と生活保護、それと結核対策を重点とする公衆衛生並びに医療、社会福祉、この四つの純然たる社会保障をとつておるのであります。国連の計算はそういう意味では正しいものだと思いますが、純然たるものだけをとつて八・九%、これを先般の補正予算に比べますと、これでも九・二%に相なつておる。約一割であります。それに今松野さんが申されましたように、住宅対策にいたしましても、また恩給にいたしましても、軍人恩給も恩給の一つであります。これも社会保障の一部と言い得るのであります。それを入れますならば、それは一〇%を数段越えるのであります。国連の統計におきましては、御存じのように国の社会保障としてあげておるものも入れております。従いましてその国の立て方によつて、軍人恩給も入つておるのがあるのでございます。従つてちぐはぐになるのであります。従いまして国連の統計につきましては、内容をよく御検討の上に比較をしていただきたい。しかも私申し上げたいのでありますが、この六年間に今申しました四つだけでも、たつた三%から九・二%に上つたというのは自由党の努力である、こう存ずるのであります。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 ただいま青柳委員からの御質問の第一点でございますが、私はただ例として最低線の生活に立つておる人のことを申し上げましたので、社会保障制度がそれだけであるとは存じません、一方において、ニユー・デイールは全部が社会保障制度でございませんから、できるならニユー・デイールの程度までやらなければなりませんけれども、それは厚生行政の範囲の外にありますから触れなかつたのでございます。もちろん私の申しました言葉に誤解を生ずるような点があつたら訂正しておきたいと存じますが、私は困窮して生活のできない人だけを救うということが社会保障制度だとは考えておりません。  それからただいま防衛の問題との話でございますが、これは実は外務大臣の所管に関することが非常に多いものでございすまから、それで私はごく抽象的にだけ申し上げておいたのでございますが、私としては自分の考えもございますので、この点は外務大臣及び防衛担当の国務大臣ともお話をしたい、こう思つておるのであります。それで先ほど松野委員からのお話で、そういう大きな理想を持つておると国防費を非常に減らして社会保障制度にまわさなければならぬというお話もございましたが、私はそういうふうには考えておりませんので、いきなり今私が申し上げたようなことを一気呵成にしようということを申し上げたのではないので、一定の年次計画をもつて、究極の目標を持つて予算というものをとつて行きたい、こう申し上げておつたつもりであります。それからまた元に返りますが、今の防衛の問題になりますと、これは主として日本とアメリカとの関係になつて参りますので、外務省の所管になりますからここではあまりはつきりは申し上げかねるのでありますが、私はアメリカの政策がもう少し日本に対して理解を深めて日本の実情を知つて来れば、この防衛費の問題についても日本のやり方のかわり得る余地が生ずるのではないかと考えております。これは外務大臣の手でもつてこの問題を解決してもらいたいと思うことがいろいろございますので、防衛庁担当の国務大臣と私の申し上げておることが、表現の違いは多少あるかも存じませんが、今日も閣議で申し合せましたことは、国力に応ずる自衛力というふうに申しておりますので、その国力に応ずる自衛力ということは、一方においては社会保障制度を閑却せざる、それに危害を及ぼさざる防衛力ということと御了解をいただきたいのであります。

松野頼三自由党

○松野委員 質問を続けます。ただいまのお話はそれで一応了承します。ただここに心配のありますのは、なるほど一つの理想でございますから、来年ただちに私がやれということを要請するのも無理な話で、これはごもつともでありますが、ただ一つ理想を実現させる第一歩として、少くとも予算の一つの目標をきめなければならぬ、これは予算の大小は別として、きめなければせつかくの鶴見厚生大臣の御構想も出て来ない。しかしその目標をきめるのを財政大臣にまかしておくならば、必ず財政状況によつてその目標が著しくゆがめられるという傾向は免れない。従つて鶴見さんの御構想——どういうことか知りませんが、それを進めるためには、財政法を改正して社会保障特別税を設定するか、あるいは財政法の中に何%という規定をするかしなければ、その理想は進まぬのではないか。そのことについて私はいまだに心配しております。いきなり三百億をふやせとかいうわけではありませんが、少くとも十年なら十年の一つの目標を設けなければ、私はこの理想は全然進まないということを心配しております。これはひとつ後ほど御答弁いただきます。  もう一つ、先ほどお話の中に保険制度の統合ということを言われました。これは一つの新しい課題で、今後の保険制度というものの一つの進むべき道だと私どもも思つております。しかしその統合という大きな理想の前に、現在保険というものが赤字で立ち行かないというものが多々あるのですから、これに対して既存のものを育成するということが第一義であつて、その上に立つて将来の前進を考えないといけない。現在たくさんの保険制度がありましよう。国民健康保険もあれば、船員保険もありましよう。あるものは黒字、あるものは非常に赤字である、ここに統合する上に一つのがんがあるのですから——再建整備法というものができて、特に国民健康保険を赤字から救うという方法ができましたが、これは完全に解消しておりません。そういう足元の問題をよく考えてやつていただくように、警告を発しておきます。  もう一つは国民健康保険の問題でいつも出て参ります一点単価の問題、これもひとつ簡単でけつこうです。御答弁をあわせてお願いします。  ここまで参りますと 最後に出て参りますのは、医薬分業の問題になつて来るのです。これは鶴見さんが厚生大臣になられる前に法案が通過いたしましたが、鶴見さんは議員として医薬分業の延期に賛成されたのか、あるいは反対されたのか、それもひとつその当時の御感想もあわせてお伺いしたいと思います。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 ただいまの第一の点、これはただいま一通りの案を事務当局と相談してつくつておりますが、いずれ遠からず御審議を願えることと思います。それから第二の保険制度の統合に伴う赤字救済の問題も、ただいま実は具体的に案を練つております。まだ申し上げる時期でないと考ます。それはそのときが参りましたら適当に御考慮いただきたいと思います。それから第三の今の単価の問題でございます。これは正直に申し上げまして非常にむずかしい問題であつて、同時に社会保障制度のみならず、厚生行政の根本的な問題に触れて来ると思いますので、私もう少し時間をいただいて十分に研究したいと存じます。それから医薬分業の問題であります。これは国家意思が決定しておりますから、この線に沿つて私の最善を尽したい、かように考えます。

松野頼三自由党

○松野委員 あなたの御投票はどうでしたか。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 あのときは、私はほかの用事で出ておりまして、国会の中におりませんでした。

松野頼三自由党

○松野委員 おればどちらでしようか。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 おれば一年三箇月延期の方に投票しておつたと存じます。

松永佛骨自由党

○松永(佛)委員 ただいま鶴見厚生大臣は、医薬分業についてはすでに法案が通過しておるんだから、その法律の線に沿つてやつて行きたいということを言つておりますが、実は二、三日前の読売新聞その他に、アメリカなんかでは医薬分業というものはやるのはたいへんであつて、偉い医者の処方を調剤するには、百万円くらいの用意をしなければならないのだ、ということは、日本ではとうてい医薬分業というものはできないんだとはつきり断定した言葉が述べられて、新聞にはそのまま掲げられておつたのであります。あれから見ますと、鶴見厚生大臣は、医薬分業はできないのである。前の草葉厚生大臣は、法律の趣旨に沿つてやろうという熱意を持たれたが、今度の大臣は医薬分業はやらないんだということを深く国民の間に印象づけられたと思うのでありますが、この点そうでなかつたのですか、あるいはその新聞記事が間違つておれば、やはり吉田首相のごとく、新聞は流言飛語なりというふうにおつしやるのですか、伺つてみたいと思います。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 あの新聞記事は非常に簡単に書いてあつたものですから、一部分を書かれたので——あの記事はそのまま間違いとは申しませんが、一部分書かれるとたいへん誤解を生じますので、この機会に私の考えておるところを申し述べたいと存じます。私の申しておることはこういうことでございます。明治の初年から医薬分業をしたいという方針を政府が持つておりながら、今までそれだけの準備ができていなかつたということを、私はアメリカの例をもつて申したので、よい医者の処方箋は百万円いるということを言つたのじやないのであります。アメリカの薬を売つているドラツグ・ストアーは非常にりつぱな設備ができております。それから薬品もたくさん持つており、ちやんとした薬剤師がおられて、安心して行ける。日本では、医は仁術なりといつて非常に尊敬されておる。ところが薬剤師の方は新しいものですから、それだけの社会通念がまだできていないから、観念としても薬剤師の方々が医師と同じように社会から非常に尊敬され、信頼されるようにいたさなければならぬということと同時に、日本中にある薬局というものがイギリスやアメリカにあるようなものにだんだんなることが医薬分業のために非常に必要だ、こういうことを述べておつたのであります。一部分だけが出ておつたものですから、今お話のような誤解を生じたと存じますので、そうでないということを申しておきたいと存じます。

松永佛骨自由党

○松永(佛)委員 大体ただいまの御見解で、この問題につきまして了解することができるかのようにも思いますが、そうすると、現在の日本の薬局の状況下においてはできないということになると、厚生省の薬務局が指導されて、全国の薬局に受入れ態勢を今日まで奨励して来られた、あるいは数十万円の資材を投じて調剤室の拡張等をやつて来たのでありますが、昭和二十六年の六月四日にいわゆる医薬分業法案というものが通過いたしまして、この立法府の精神と法律によつて、法治国の国民としては当然これが実施されるものとして薬剤師の一部は準備をやつておつた。しかし私どもも現状で行うことは危険があるという考えから、一年三箇月間延期には同意をし、またこちらからも延期をしなければならないだろうということを私どもも事前にも申しておつたわけでございますが、そのときには大体一年三箇月の実施延期中において整備拡充し、できるところからやつて行こうというような考え方で、それは大丈夫できますという確言を薬務局長等もしておられたのでありますが、大臣のこの間の新聞なり今の御答弁によると、現状ではとてもできやしないというふうな解釈が相当強く打出されるわけであります。そうなると、一つの法律ができ上つて、これが実施を見るまでに延期される、さらにこれが廃案の運命にあるかのごとき印象づけることは、一つの法律をつくつて行く立法府の熱意というものが、後に続く国会議員によつて自由に改廃される、やむを得ない事情以外の理由によつて改廃されるということになれば、立法の熱意を失い、また行政府においては、一つの法律ができてこれを実施して行こうというのに、大臣がかわればまた方針がかわるのであるからということになると、行政府においてもこれが実施の熱意が失われる。国民はまた法律に従つてやつて行こうという遵法精神というものが堅持できないという重大な問題にぶつかるのでありますが、医薬分業の可否ということはどうも議論の余地があり、先般来当委員会においても議論をされ、この法律ができたときにも論議をされ、さらにこれは百年研究しても足りない問題だと思いますが、そういう法律をようやく延期されたのに、さらに現状ではできないのだと印象づけるやり方、そういうことがあるということになると、これは非常な問題だと思う。大体民主党内閣のあり方は選挙管理内閣に準ずるものということから、政策をお打出しになつても、その政策の実行は、総選挙において過半数を得られてほんとうの民主党内閣ができた後でなければできないのでありますから、今は単なるだぼらにすぎない、こう思つて国民大衆が見ておれば別に大して気にする必要もないと存じますが、そう簡単にも参らない。国民ははたしてそう考えるか。目明き千人盲千人であります。今の再軍備問題にしても、防衛庁の方では大いに自衛隊を拡大するという。もともと鳩山内閣というものは憲法改正、再軍備ということが第一の政策の看板であつた。この内閣のもとにおける厚生大臣が、社会保障制度の拡充強化のためにはそういうものを犠牲にでもしなければならないというような印象を与えて、ボーダーラインにある九百万という要保護者の人たちを喜ばせておる。ところが反面大蔵大臣は、多年日銀総裁として自由党内閣のもとに金庫番をしていた人でありますが、この人は九千億以内で来年度の予算を押える。そうすると、何だかこれは支離滅裂であつて、おのおのの線において選挙目的の、何と言いますか、選挙運動内閣——選挙管理内閣を社会党も御賛成なさつたのであつて、選挙運動内閣をつくろうというつもりで柳田君や長谷川君は投票なさつたのじやないだろうと思う。こういうような考え方をすると、どう考えても私どもは承服しがたい。だから今後はそういうだぼらを吹くのをやめて(「お互いにね」と呼ぶ者あり)われわれの方は心配するな。われわれの言うことは新聞に載らないのであるが、政務次官が部屋を広げようとしても新聞に書かれる。あれは流言飛語だからかまわないけれども、時の政府というものは、もう少し実行性に富んでお考になる必要がおありになると思いますが、今後も放言を続けて行かれるというならば、われわれも一大決意をもつて当らなければならない。その点だぼらを吹かず、まじめに予算編成をやつて行こうという方針かどうか。だぼら内閣に終るか、選挙管理内閣か、選挙運動内閣にするお気持か、その点ちよつと念のために御意向を伺いたいと思う。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 第一の医薬分業の薬剤師の問題でありますが、私の申し上げたのは、今日本中の薬屋さんの程度が低いからできないと申し上げたのではないので、日本中の売薬店をもつとよくしたいという意味で申し上げておつたのでございます。それはひとつさように誤解のないように願います。  それから予算の問題ですけれども、これは今折衝しておりますから、それがどれくらい成功するかは、相手のあることでございますから、できてから後にごらんをいただきまして、なお十分な御支援をいただきたいと存じます。実は社会保障の問題は政党政派を越える問題だと私は考えております。でありますから、だぼらと言われても私はちつともかまいません。これはどうしてもわれわれの重大な問題として御一緒に取組んで行きたい、かように思つておりますから、どなたが内閲をおやりになつて、どなたが厚生大臣をねやりになつても、一貫した方針でやりたい、かように考えておりますから、どうぞその趣旨は御了解をいただきたいと思います。

松永佛骨自由党

○松永(佛)委員 その点は私ども共感でございまして、当委員会においては過去において相剋摩擦をやつたことは一回もない。超党派的に努力して来た委員会でありますから、ひとつ新大臣のお手並を拝見し、できるだけ多くの予算を社会保障におとりになるということに対しては、われわれも陰になり日向になり、直接間接に、またこういう方面は野党からひとつ攻めてくれとおつしやれば、援護射撃するにやぶさかではございません。これははつきり申し上げておきますが、今後は選挙運動と認められるようなだぼらはあまりお吹きにならぬようにお願いしておきます。

松野頼三自由党

○松野委員 私もあえてとやかく攻撃ばかりしておりません。せつかくやつていただければけつこうなんです、ただ宣伝に終つては困るということが、私どもの念頭を去らないのです。ただいまおつしやつたように、予算をとつてから発表していただくというのがけつこうだと思う。またその方があなたの人柄に合うのです。あなたは予算をとるとおつしやいますが、現内閣で予算を提出されるのですか、されないのですか。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、予算は重大な骨格だけを大蔵大臣の財政演説ですると存じます。それは明年度の予算です。先ほど松野委員のおつしやいました刻下差迫つた緊急の予算、これはただいま折衝いたしております。

松野頼三自由党

○松野委員 そうすると、予算の骨格といいますと私どももわからないのですが、予算案を提出されるのですかどうですか。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 これは大蔵大臣の一存にあることでございまして、私から御答弁をいたすのはいかがかと存じますが、厚生省といたしましては、提出すればできるようなものをつくつて差出すつもりでおります。

松野頼三自由党

○松野委員 提出すればできるようなものもけつこうですけれども、結局厚生行政をやるには、予算の獲得をし、予算の金がなければ厚生行政は進まないのですから、それは空文なのです。少くとも予算案を提出されなければだめなんです。提出されて、これを実行するまで努力されるという御熱意は、厚生大臣にはないのですか。内閣総理大臣は別です。あなたにはないのかどうか。

鶴見祐輔日本民主党厚生大臣

○鶴見国務大臣 先ほど申し上げましたように、大蔵大臣は休会明けの議会において、数字として予算案を出すかどうかということは、大蔵大臣を主管として閣議で決定すると存じます。それで決定いたしましたら、できるような予算をつくつて、それを獲得するように皆様の御助力を得て十分に努力いたしたい、かように考えております。

松野頼三自由党

○松野委員 それでは大体わかりました。ただいまのところ了承いたします。そうなりますと、結局現在のところは架空数字しかないのですから、厚生大臣も世間に向い、あるいは厚生行政を真剣にお考えになるならば、しばらく予算の獲得が済むまで放言的なことはおやめいただきたい。われわれとしては非常に真剣に実はあなた方の立場を考えているのですから、その意味において、これは忠告ではございません、厚生行政を愛するがゆえに申すのですが、鶴見厚生大臣のみならず、その架空なところはおやめになつて、十分自信があつてできるというところを発表されなければ、せつかくのあなたの理想も消えてしまうのですから、私は選挙管理内閣、宣伝内閣ということは、これは厚生大臣にはあえて言いませんけれども、その意味において私は最後に御忠告申し上げます。また今後いろいろな点がありましたら、それが放言か真実かあらためて論議いたします。今日のところはせつかくおいでになつたのですから、私は所信を二、三申し上げて、私の質疑を一応これで打切ります。  なお後ほど提出されると言われたものがたくさんございます。これらは早急におやりにならないと、短命という気持がある間は、一応宣伝としか受取れない。どうかおやりになるならば、一月当初にお出しにならないと、予算もどうかわからないというので、選挙運動と言われてもしかたがないと思います。私はこれをあえて忠告と申しますか、申し上げまして、一応私の質疑を終ります。     —————————————

田中好日本民主党

○田中委員長 次に生活保護の問題について、長谷川委員より発言を求められております。これを許します。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 大臣はお忙しいようですし、先ほど来お話のように、主として選挙管理ということを任務として内閣ができておるようですから、私は緊急の問題について、実際の行政に当つておる局長さんたちに伺つておきたいのであります。  第一に社会局長に伺いたいのでありますが、御承知のように炭鉱地帯が非常にひどく痛んでおります。食物にすら非常に不自由するようなことでございますが、この炭鉱地帯の非常な窮迫に対して、当局はどういうような手を打つておられるか、それをこまかに伺いたいのであります。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 炭鉱の休発止に伴う生活窮迫の問題についての御質問でございますが、従来のいろいろとそういう問題につきましては、各府県の担当部長なり課長に対しまして、遺憾のないようにということをしばしば申しておるのであります。今回もこういう問題が起りまして、九月十四日に私の名前の通知を各都道府県知事に出しまして、福祉事務所におきましては関係の機関と十分連絡をとりまして、そういう点で遺憾のないように取扱つてもらいたいということを申した次第でございます。その当時はまだ失業保険の関係であるとか、あるいはまた休止炭鉱等については金券を出してそれで食糧を買わせるとか、いろいろのことがございまして、生活保護の上にはそれほど急激な上昇というものは見られなかつたのでございます。さらに十二月に入りまして、福岡県で九州の各府県の課長のブロツク会議がございました当時、私どもの方からも保護課長が出席をいたしまして、いろいろそういつた問題につきまして事情を聴取いたしました。また指示いたしたわけでございます。福岡県におきましては、民生委員と社会福祉に関するケース・ワーカーが共同いたしまして、炭鉱等について一斉に実は調査をいたして、なお長崎、佐賀等についても福岡でやつておることは非常にいいことであるから、至急ひとつ詳細なる調査をするようにという指示もいたしました。そのほか生活保護法にかからない方も相当あるようなわけでございますので、ケアから日本に物資を送つて参りましたので、福岡、長崎、佐賀の三県における炭鉱関係の困窮世帯の一万六千六百三十五世帯を対象といたしまして、米、バター、チーズ、ラード、綿実油いんげん豆のカン詰、牛肉カン詰等を合せて、一三・七五ポンドが一世帯当りに渡るようにわける措置をいたしたわけでございます。以上が大体現在における状況でございます。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 炭鉱地帯をまわつて来られた諸君の話を聞きますと、九州の炭鉱あるいは常磐炭鉱、ことに九州の炭鉱などにおきましては非常に窮迫の度がひどい。このまま推移すれば多分来年の春には暴動になるのではないかということを言うておられるのを私も最近聞いたのであります。私も実情を拝見に行きたいと思つておるのでありますが、実に容易ならぬことであると思います。ことに生活扶助の問題が非常に重大であるばかりでなしに、炭鉱がつぶれてしまいました結果として、医療の関係の方は健康保険が使えないという言うな状態も起つて来て、非常に重大な段階に来ているように見えるのであります。この生活扶助及び医療扶助あるいは教育扶助等々について、これら炭鉱地帯には積極的に十分に手を打たなければならぬと私は思うのであります。最近の厚生省のやり方を拝見しておると、どうも生活保護の予算が足りないというところからして、これを非常に締めて来ているように実際に私どもは見るのであります。そういうことであつては実に容易ならぬことでありまして、特別に厚生省はこの際こういう特別な窮迫しております地帯に対しましては、積極的にやはり生活保護の手を十分差伸べなければならぬ、どうもそういう積極的な態度が足りないように思う。ただいまの御答弁を伺つておりましても、調査をした、あるいは調査するというようなことでありますが、今日そんなことであつてはならない。ことに年末を控えまして、冬を前にいたしまして容易ならぬことでありますから、これは十分に積極的に手を打つてもらわなければならぬ。政府が通常の政府でありますならば、きよう私は大臣にこのことを強く要望すべきでありますが、実際においてはもう選挙もあつて、大臣もなかなかお忙しいことでしようから、担当の局長におかれて次官等々とお話の上で、この点十分な手を打つていただきたい。私どもが聞きますような野犬まで食つてしまつたというようなことであれば実に重大なことであります。そうしてただいまのケアの話あるいはその他の宗教団体等、外国の宗教団体も救援の物資をすでに送つておることを伺つておるのであります。すでに十月にもそれが来、また一月にもアメリカから相当なものが来るということを伺つておるのであります。しかしこれは外国のそういうものが来るからということであつてはならぬのであります。こんなことは申すまでもない。それはプラスということであればけつこうでありますが、ともかくも形だけでも独立国でありますから、国民のために政府が十分責任を負うということは当然なことでありまして、外国から来るのはそれにプラスであつたというのはよろしいけれども、外国から来るということを少しでも当てにするということであつては、これはもつてのほかでありまして、この点について十分な手を打つていただきたい。大体、最近こういう方面におきますただいま申しました生活保護の金がどんなふうに具体的に上つているか、それの調べがありますかどうか、ありますならば教えていただきたいのであります。

安田巌厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 一般的に申しまして、生活扶助費というものは大体横ばい程度でありまして、実は当初はデフレの政策の影響で五%くらい上ることを予想しておりましたけれども、現在までに集めております数字におきましては、大体横ばい程度でございます。おそらくいろいろ失業保険その他の関係もございまして、あるいは本人が持つておりますその他の財産とか、あるいは所得というもので補なつておるのではないかと思いますけれども、ドツジ予算のときの例を見ましても、やはり翌年あたりが一番深くれそれが現われるのでございますので、今後の問題といたしまして十分注意いたしたいと思つております。  なお生活保護につきましては、御承知のように一定の基準がございまして、そうしてそれを府県知事なりあるいは市長が責任を持ちまして実施いたしておるわけであります。従いまして、生活が困窮いたしましてもその基準にまで下つて来なければ、これはやはり保護いたすことができないことは御承知の通りであります。しかしそこまで落ちなくても困つておる人が非常に集団的にできるといつたような場合に、やはり生活保護以外の手をできるだけ打たなればけならぬ、そういう意味におきまして、あるいは失業対策事業でありますとかあるいは鉱害復旧事業の繰上げ施工でありますとか、そういうような手が打たれておるわけでありますが、先般文部委員会に出ました話を聞きますと、やはり地元の市町村の財政的な理由によりましてなかなかそれがうまく行つていないようなことも実は聞いておるわけでありまして、私どもは先ほど医療扶助でありますとか、あるいは教育扶助の話がございましたけれども、生活扶助が受けられるものでありますならば、もちろん医療扶助、教育扶助は当然なことでございます。そのほか生活はできましても、医療の問題でどうしてもこれは扶助を受けざるを得ないような状況でございますならば、もちろんそれもやらなければならぬと思います。それとよく学童の給食の問題が文部委員会で問題になつたのでありますけれども、学童の給食の問題の教育扶助というのは、これは長谷川委員御承知の通りでありまして、学校の給食をやつております場合に、本人の世帯は子供の昼飯の食費を出しておりますけれども、給食費というのは、実はそのほかに教育扶助をいたしておるわけであります。ところがそういう地帯においてはなかなか給食をいたしていないのでございます。そこで文部省あたりにいたしましても、給食施設をいたしますところの施設に対して扶助とするというようなことでいろいろ措置はやつておりますけれども、なかなかそれが表現しない、あるいはそのほかのPTAにおいてそういうことをやられては困るというような話で、現地でやれないとかいろいろな話を聞いておるわけであります。私どもといたしましては、給食をやつていないと子供の給食費が教育扶助で出せない、これはミンズ・テストの方にそういう事実があるわけでございます。いろいろございまして、それが生活保護の水準まで来ればもちろん私どもやらなければならぬと思うのでありますけれども、そのほかそこまで至らなくても困つておる問題につきましてはよく関係当局の方と御相談いたしまして、そこに落ちないような手を打たなければならぬ、こういうふうに考えております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 最近悲惨な親子心中の記事を新聞あるいはラジオで拝見するのであります。もちろんいろいろの理由で親子心中をするのでありましようが、何と申し決しても、それらにからんでおりますものは必ず窮迫ということが重要な原因である。生活の窮迫ということが重要な原因であると思うのであります。およそ一人でも国民が親子心中をする、無理な自殺をする、窮迫のためにそういうことになるということは絶対にあつてはならないのであります。これはもう単に理想論ということではなくて、現実に政治というものはそれに対して十分な熱意を持たなければならぬ。そういうことを絶対にさせないように努力しなければならぬ。ことに厚生省はその担当の機関でありますから、これに対しては十分な熱情を持つてもらいたい。どうも予算に縛られてしまつて、そういうことがあつてもしかたがないという池田流の考え方というようなものをされては困るのでありまして、それでは政治の根本が失われる。だから今日生活保護の適用については締め過ぎる。ケース・ワークの諸君にしても老朽しているのを探し出して、拾い上げて救うというようなことに十分な熱意を持つということよりも、ともすると生活保護を早く打切るということにだけ熱意を持つて行く。これも一理ないではありませんけれども、そういうことが度を過ぎると、憲法の保障ができないつ国家の存立に一番大きな政治の目的を見失うことになる。こういう点で私は厚生省当局はもう少し指導の方法を考えなければならぬのじやないか、ことにこのような非分にデフレで窮迫しておりますときにおきましては、そういうことについての特別な指導をしなければならぬのじやないかというように思うのであります。先ほど大臣も言つておられましたけれども、何しろ生活扶助の限度、基準というものがあまりに低過ぎるのであります。しかもそれを適用してもらうためには相当卑屈な思いをしなければならぬ、こういうのが現状であるわけであります。だからそういうことであれば、そんな卑屈な思いをするよりも死んだ方がいいということになるかもしれないのでありまして、これは申すまでもなく国民の権利としての生活保護でありますから、こういう際に、ことに当局におかれては十分行き届いた、ほんとうに憲法の保障を守り抜くという指導を末端まで徹底させてもらいたい。このことを強くお願いしておくのであります。  ただいま医療補助等の問題もありましたが、最近あちこちの病院の実情を聞いてみますと、どうも生活保護で入る患者に相当強い制限をしておる。数学をいろいろ聞いてみると、生活保護で入る患者というものが最近非常に少くなつて、そのほかの患者が与えている。結核関係などでも、当然に生活保護の者が入らなければならぬのに、それがいつぱい待つているのに、その者がほとんど入つて来なくて、ほかの者が入るというような話を聞くのであります。私は最近現場を十分見ておりませんから、十分なことは申し上げられませんけれども、そういうことを聞くのであります。こういうことは私はやはり考えてもらいたい。ことに、ともかくも内閣がかわつたのであります。そして今度の内閣は社会保障を一生懸命やると大臣も言うておるのであります。選挙管理内閣であつてもそれだけの熱意を持つておるのでありますから、厚生省におかれては、この際そういう方面を積極的にやつてもらいたい。責任は当然大臣にあるのでありますから、積極的にやつてもらいたい。こういうことを切にお願いしておく次第であります。時間もありませんし、緊急の質問として今質問をしておりますから、どうかただいま申し上げましたような線で、この際一人の自殺をするような者もないように、心中をするような者のないように、暴動の起らないように、十分なる責任あるやり方をしていただきたい、こういうことをお願いをいたしておきます。  次に保険局長に伺いたいのであります。すでに御承知のように、健康保険の赤字のためであろうと思いますが、地方に健康保険の金が行つておらないようであります。聞くところによりますと、九月のものもまだ行つておらぬように伺うのであります。これについてどういうような実情になつておりますか、ごく簡単でけつこうですから実情を伺いたい。

久下勝次厚生事務官(保険局長)

○久下説明員 政府管掌健康保険診療報酬の支払い額が、本年に入りましてから急激に上昇をいたしました。保険料の徴収等は大体予定通りに行つておるのでございますが、支払い額の方が予想以上にふえて参りましたために、ただいまお話のように八月診療分から若干支払いの遅れる傾向があるわけであります。八月診療分は従来の計画よりも約五日ほど遅れました。九月診療分は、私どもとしては、元受けに金が入ります限り随時分割して支払いをするように措置いたしておるのでありますけれども、現在の状況におきましては、九月診療分は支払いを完了しておらぬのであります。私どもとしては、大体この二十日ごろまでには九月診療分が支払える計画でやつておるのでございます。そうなりますと、結局元受けの資金の関係上、十月診療分はその大部分を来月に持ち越さなければならないようなのがただいまの実情でございます。この点私ども非常に憂慮いたしておるのでありまして、特に暮れを控えまして、各病院、診療所において十月診療分の支払いがないということになりますと、職員の給与の支払いにも非常な支障を来し、病院、診療所の運営にも従つて重大な影響を与えると思うのでございます。この点につきましては、とにかく暮れをしのぎますために、とりあえず国庫余裕金の振りかえ使用というような方途を講じまして、十月診療分の支払いを今月中に済ますように現在鋭意努力をいたしておる次第でございます。ただ金を借りるにいたしましても、貸します方では、結局将来のいろいろな対策を要求されている次第でございます。その対策につきましては、保険医に対する問題もございますし、また被保険者、事業主に対する関係もあるわけであります。そういう問題につきまして、行政的になし得ることは大体段取りが立ちまして、来週の月曜日には中央社会保険医療協議会を開催いたしまして、その医療協議会に関係のある対策につきましてはその際に御意見を伺い至急にきめる所存であります。そういうものが整つて参りますと、振りかえ使用の借金の方もできそうであります。そのことはまだ最終的にここではつきり申し上げる段階には至つておりませんけれども、私どもといたしましては、来週の初めのうちにはこの問題の最終的な見通しを立てるつもりで現在百方努力を重ねているととろであります。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 御承知のように、生活保護の関係の医療扶助で入院している諸君、あるいは医療を受けている諸君の一部負担が最近非常にひどくなつております。ところがその一部負担が払えない。だから診療を担当いたしました病院なり診療所は、それを結局自分の負担にしてしまつて損をしている実情で、非常に困つておりますさ中に持つて来て、また健康保険支払いの見通しがつかなくなつてしまつて、地方に行つてみますと非常な不安を持つている。それでやむを得ず泣きついて借金をしている。先般医薬分業の問題で診療費についてこまかに論議したのでありますけれども、実際この諸君は高い利息を払つている。これはとんでもない話であります。見通しがはつきりついて何日までに払うということになりますれば、まだ銀行も貸してくれますけれども、そうでないと銀行すら貸してくれない。いよいよ窮迫して高いものを借り入れたり、あるいは高い利子を払つたりで、いよいよ日本の医療の運営にさしつかえが出て来る。でありますから、ただいまのお話で大体了承いたしますけれども、これはもう何としてでも年内に必ず手元へ入るように措置してあげないと、非常な不安と、また病院の運営にさしつかえが来ます。ですからこれはあくまでやつていただきたい。ことにこの健康保険関係の患者のごときは、一方で厚生年金保険をかけているのであります。そうしてその積立金は一千億になんなんとするものがあるのであります。そういうような窮迫した諸君が入つて治療を受けるというようなときには——健康保険がつぶれるときは国家がつぶれるときだと思います。健康保険をつぶすことはどんなことがあつてもまかりならぬと思うのでありますが、そういうような同じ人がかけている金が片方はうんと余つている。それを国家が自由に使つているのでありますから、当然こういうような窮迫した事態のときには差繰りをいたしまして、健康保険被保険者が万全の医療を受けられるというようにして行かなければならない。少くとも十月分までは年内にきちつと払つてしまうということにつきましては、どうか責任を持つて御努力を願いたいのであります。もう何分にも日が遅れておりますから、よほど努力しませんと、診療を担当しております諸君の手元に年内に入りません。どうかそれらのことについて十分な御努力をいただきたいと思います。  次に医務局の方にちよつと伺つておきたいのでありますが、最近国立病院等の付添婦をやめるという話があるようでありますが、これはどういう話でありますか、実情を承りたいと思います。

齋藤俊保厚生技官(医務局国立療養所課長)

○齋藤説明員 ただいまの長谷川先生の御質問でございますが、国立病院及び療養所におきましては、従来はできるだけ病院、療養所の本来の看護婦さんなりあるいは雑使婦さんなりで患者さんのお世話をするようにいたしたい、いわゆる安全看護という形にして行きたいということで、国立病院の方におきましては、そのほとんど大部分がそのようになつておるわけであります。私の主管いたしております療養所におきましては、そこで手がまわりませんので、現在もなお患者さんが雇います付添婦が、相当多数、療養所の中で患者さんのお世話をしておるわけでございます。  そこで本年の七月ごろの調べを見ますと、四千五百人くらいあるのであります。これらの実態についていろいろ私ども研究して参つておつたのでありますが、非常に重い患者さんで、もうほとんどそばを離れられないような患者さんについておる人もあり、また二人ないし三人の患者さんに一人の付添いさんがついてめんどうを見る程度でいい方もある。これは病状によりましてさようなことになるわけでありますが、将来はひとつできるだけ統制のとれた、訓練のできた病院、療養所の職員でもつて患者さんのサービスをしてあげよう、と申しますのは、さような付添いさんは、健康保険の場合も、生活保護の場合も、自費の場合も、患者さん自身が付添いさんを選びまして、雇つて参つて、病棟の中に、あるいは別の一室に寝とまりをしているという形でありまして、事務的な面から見ましても、技術的な面から見ましても、その他火災とかいろんな面から考えまして、いわば指揮命令系統が適つたものでございますので、管理上好ましい状態ではございません。従つて将来はできるだけ療養所の職員でやるようにして行きたいと思つておるのであります。  そこで具体的に今御指摘のありました問題としては、厚生省の方で三十年度において相当強くそれを進めるのではないかというところに不安があつて、それを先生お聞き及びのことかと存ずるのでございますが、私どもといたしましては、一応一定の数字の職員があれば、先ほど申しました付添いさんもほとんど手を借りずに済むのではないかというふうに考えまして、その数字をただいま大蔵省と三十年度の予算として話合いはいたしております。しかしながら療養所は非常に立地条件の違つたところにございますし、それからまた設備の面においても相当の開きのある施設でございます。私どもはあくまでも一つの平均的な見方をいたしておるわけでありますが、できるだけその線に沿うようにしたいということでございまして、非常な無理を押し切つてどうこうといつたようなことでもないわけであります。  以上、大体そういう経過になつております。

長谷川保日本社会党(左)

○長谷川(保)委員 御承知のように、戦後日本の看護婦制度が非常にかわつて、それがまだ十分地についていないと思う。日本の看護婦の制度が十分地についていない。だから実際の病院におきまする看護婦のサービスが非常に不徹底である。また病院の組織におきまする看護婦の数自体も、まだよほど検討しなければならぬものがあるのではないか。ことに結核関係などは、結核の治療自体が内容的に非常に変化して来ました関係上、やはりそういう点で今のままの組織でやられたのでは、実際において患者が非常に困るということがずいぶんあるのだ。またそれをしいてやれば、看護婦自体も非常に困るという問題があると思います。私は病院に参りましてそれを痛感するのであります、だからこれはよほど制度をかえないといけないのではないか、病院の組織をかえなければいかぬのじやないかということを実際に考えるのであります。もちろんそういうように進歩させて参りますためには、どういう方針をとるかということは別問題といたしまして、今日付添婦をとつてしまうということになると、患者の方は非常な不安がある。また付添婦といたしましては、若い者よりも年をとつた岩が多いので、生活問題にすぐひつかかつて来る。失業というような問題を考えて、非常に不安になつて来ておると思うのであります。これらの点につきまして、本日はこれ以上伺う時間の余裕がないのでありますが、これはよほど慎重にやるべきではないか。現実問題として慎重にやらないと、患者も非常に困つてしまうし、病院も因るし、付添いも困るし、あつちもこつちも困るのではないかと思います。これは単なる予算という問題でなしに、実際に日本国民といたしまして、少くとも治療のため必要な看護を受けられるということが欠けないように、こういうことを単に机の上で考えて強行されるということで、そこに患者の非常な不安を来さないように、十分な御検討を願いたい。このことについて十分な御検討を願いたい。時間がありませんのできようはこれだけにいたします。

田中好日本民主党

○田中委員長 この際お諮りをいたします。本日の会議録の中で中川政務次官の発言中、松野委員からの要求もあり、速記録を訂正する箇所がありましたら訂正したいと存じますが、この問題につきまして委員長に御一任願いたいと存じます。いかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中好日本民主党

○田中委員長 御異議ないものと認め、その通り決定いたしました。  次会は公報をもつて御通知申し上げます。  本日はこれで散会いたします。    午後三時三十九分散会

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