経済安定委員会 第2号
- 発言数
- 3 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1955/01/22
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 日本経済の基本的政策に関する件について調査を進めます。目下経済審議庁当局において立案されております経済総合六カ年計画の構想につきまして、この際石原経済審議庁次長よりその説明を聴取することにいたします。経済審議庁次長石原武夫君。
○石原説明員 それでは、ただいま委員長からお話がございました、経済六カ年計画の構想というものにつきまして御説明いたします。 この計画を策定いたしましたいきさつにつきましては、特に御説明するまでもございませんが、新内閣ができましてから、経審で関係各省とも打ち合せて、長期の経済計画を策定するようにという御指示がごさいましたので、それに基きまして、昨年末以来お手元に差し上げてありますような構想を取りまとめたわけであります。ただこの構想は、まだ検討する余地が多分にございますので、一応先般閣議で御了解を得ましたが、なお今後各省とも十分連絡し、さらに深く掘り下げて検討いたしまして成案を得るということにいたしておりますので、本日は中間的な御報告ということで御了承を願いたいと思います。 従来経済審議庁、あるいは昔の経済安定本部で五カ年計画等二、三策定をいたしましたことは、御承知の通りでございます。その当時の計画の作り方は、その初年度から以降五年程度の期間を限りまして、その初年度から将来どういうふうに日本の産業が伸びて行くであろうかという見通しということで作っておったわけであります。従ってこういう姿に将来持って行くというあらかじめの構想はなく、現実から出発して毎年々々どの程度の経済の規模が伸びるだろうかという考え方で五カ年計画を作っておったのであります。それを作ります際の主たる中心の問題になります点は、貿易の規模でございます。今後どの程度五カ年内に輸出が伸び、従って輸入がどの程度可能であろう、それを前提にいたしまして、産業活動なり、その他の指数をはじいて参りまして、五年後こういう計画になる、年度割にしてこういう計画だという五カ年計画というものを作っておったわけであります。従って結果的に出て参りましたそのフォームというものは、それによってどういうふうなことになるのだということは当初予想いたしませんで、結果的にそういう姿の中での発展が可能であろうという見通しを作っておったのであります。 今回作りましたのは、今までのやり方と変えまして、将来の構想を描いて、その際に経済的に自立ができ、従って外貨の収支バランスも、特需等に依存しないで一応とることができる。しかも増加します労働力人口を吸収できる、さような姿になる際にどういう経済のフォームになるかということをまず想定をいたしまして、それに持って行くためにはいかなる経済施策をとり、いかなる方策をとればそれが実現可能か、こういうふうな、逆と申しますか、そういうふうな観点でこの計画を策定いたしたわけでございます。六カ年に今度の計画はなっておりますが、六カ年にいたしましたのは、あとで申しますように、この計画が労働力人口の雇用というような点に主眼を置いております関係上、将来の人口推定がどうしても必要になりまするので、統計資料の関係上、現在厚生省の所管にございます人口問題研究所で、将来の人口推定をずっと長い期間にわたって出しておられますが、それが五年置きになっておりますので、五年の区切りのいいときでないと、将来の人口の推定が困難でありますので、さような意味におきまして三十五年という年をとりました関係上、三十年度から計算いたしまして六カ年ということに相なって、一応六カ年ということで計画をしたわけであります。この六カ年というのは、だいぶ将来のことになりますし、いろいろその目標から政策を考え出すにいたしましても、何分少し遠い将来になり過ぎるきらいもございますので、この計画といたしましては、三十二年度と三十五年度と両方の姿を構想として描いてみたわけでございます。一応六カ年計画でございますが、前期、後期というふうに三年で区切りをつけて、あとで御説明いたしますが、経済規模等はその二つを一応想定した次第でございます。 ただいま申しましたようなことでいたしたものでございますが、それじゃ具体的にはどうしてこの構想を作ったかという点をもう少し詳しく申し上げたいと存じます。まず目標といたしましては、三十二年度と三十五年度と二つに分けまして、三十二年度におきましては、経済基盤の確立とか、あるいは貿易の収支の均衡とかという点に主眼を置きまして、三十五年度におきましては、国際収支のバランスが、特需によらずに完全に合うという点と、今後増大して参ります人口が吸収できる、いわゆる完全雇用と申しますか、そうしたところをねらいに置いて作ったわけであります。 その策定の方法といたしましては、お手元にございます資料の二ページに表がございますが、まず人口を予定いたしまして、国内の総人口が一欄に書いてございますが、昭和二十八年が八千七百万から順次ふえて参りまして、三十二年には約九千百万、それが昭和三十五年になりますと九千三百七十万というようにふえて参るわけでありますが、そのうちから、さらに今の統計によりますと、いわゆる生産年令人口と申しておりますが、満十四才以上のいわゆる生産年令人口、それも統計で出ておりますので、それをまず対象にいたしまして、そのうち満十四才以上に達した年令の者のうちから、実際就業する者がどのくらいあるかということを計算するわけであります。これは過去の統計等によりまして、生産年令人口のうちに、家事担当者——これは女子が当るわけでありますが、家事担当者として面接就業しないでよい者が相当ある。そのほかに学生等が相当おりますし、また非常に老齢者で就業の意思のない者、あるいは中には不具廃疾者というようなものもございまして、生産年令人口の一定割合だけが就業の意思、能力があるということになっておりますので、そうした過去の実績から推定をいたしまして、二欄に書いてあります労働力人口というものを算定して来たわけであります。ここにございますように、二十八年度では三千九百五十万という数字が、三十二年度では四千百八十万、三十五年度では四千三百七十万、こういうふうになっておりまして、この表でもおわかり願えると思いますが、三十二年度で比較しますと、総人口は四・五%ふえるにかかわらず、労働力人口は五・九%、それから三十五年度で申しますと、総人口が七・七%に対しまして、一〇・五%増加するということで、人口の増加よりもこの点がふえてくる。これは現在の人口構成上かような結果になるわけであります。現在の資本主義体制の経済下におきましては、いかに完全雇用と申しましても、摩擦的な失業者というものがある程度出るのは当然でございます。西欧諸国等におきましては、そうした摩擦的に出てくる、従って許容されると申しますか、そうした失業者というのは労働力人口の約三%くらいだというのが、普通の通説というふうに聞いております。ここでは一応三十二年度で一・三%、三十五年度では一%ということで、ここにあります完全失業者という数字を出してきたのであります。これは完全雇用を目的にいたしましても、多少かような摩擦的失業者が出るのは、資本主義経済の当然の帰結である。ただ先ほど申しましたように、従来普通には三%程度まで許容されているということでございまするが、日本では御承知のように、相当潜在失業者というものがございますので、この完全失業者の数字を低目に押えまして、労働力人口から完全失業者を引きました人数が三段目にございます就業者数でございます。この就業者数が、それぞれ適当な就業の機会が与えられるということになりますれば、完全雇用と申しますか、一応雇用問題は解決が見られるのではないかということで、ここにございますような就業者数というのをまず出したわけであります。 この就業者数がそれぞれ適当な職場において就業できるとした場合に、いかなる国民総生産になるかということを次に計算したわけであります。この計算の方法は、人数は今のようなことで出ておりますので、これに各人の平均の一年間の就業時間数、一人当りの生産金額を出しまして、その三者をかけ合せて国民総生産を出したのであります。これは就業時間等は過去のケースがございますので、それを参酌して作りましたし、それから一時間当りの生産金額も二十八年度がわかっておりますので、それに今後の生産性の上昇なり、生活水準の上昇も考えまして、生産金額を考えて国民総生産を出してきたわけであります。これだけの国民総生産が上れば、一応先ほどございますような就業者数が就業の機会が可能であろうというふうにして考えてきたわけであります。ただ国民総生産がそれだけあります際には、それに対応する消費なりあるいは投資というものの裏づけが必要であるわけでありまして、何らかの形で投資なり消費に向うことに相なるわけでありますが、それがどういう形になっておさまるかということを次に計算したわけであります。これが国民総生産と書いてございますその以下にございますように、民間の資本形成、その次の政府購入というのはテクニカル・タームでおわかりにくいと思いますが、中央地方の、政府なり自治団体においての需要でございます。それから海外関係は、これは将来の問題で、ここのケースには入っておりません。そのほかに個人消費、この三つに大体需要としては分れるわけであります。これをいかに配分するかという問題がございますが、これも従来の国民総生産に占めるそれぞれの、たとえば政府の需要であるとか、民間資本形成という割合があるわけでありますが、このうち個人の消費支出につきましては、現在の数字はわかっておりますが、これにある程度消費水準が伸びるということで考えて参りまして、まず個人の消費支出を出し、政府の需要につきましては、大体従来の国民総生産に占めておりますと同じような割合を考える。民間資本形成につきましても、今後の資本の蓄積を考えて配分いたしたわけであります。ただここで、多少数字的にごらんになると問題があろうかと思いますのは、民間資本形成でございますが、三十二年度が二・九%しか伸びていないということになっておりますが、これはあとに説明も書いてございまするが、二十八年度を基準にいたした関係でございますが、二十八年度は非常に在庫がふえております。民間の資本形成のうちに、設備資金と在庫というのがあるわけでございますが、設備資金も相当の額でありますが、特に在庫が四千億を越すようなものが一年間にふえておりまして、少しアブノーマルな杉でございますので、毎年ふえる在庫を少し減額いたしました関係もございまして、三十二年度では民間資本形成は、ほかの指数に比べて少し減っているということになっております。政府購入は、先ほど申しましたように、大体国民総生産に占める割合が同じということに想定しております。個人の消費支出はここでごらん願いますように、三十二年度で約一割、それから三十五年度では二割三分増加する。これを一人当りの消費水準に直しますと、三十二年度は二十八年度に比して五%、三十五年度においては約一五%一人当りの消費水準が伸びていくという形になっております。 次の国民所得は、これは国民総生産から、資本減耗と申しますか、普通法人で申しますれば償却でございますが、そういうのと間接税を引いて国民所得を出す例になっておりますので、そういうことを計算して国民所得を出してきているわけでありますが、ここでごらんのように、二十八年度は、これは実績を調査してすでに実績が出ております。五兆九千六百四十九億になっておりますが、それが三十二年度が六兆五千億、三十五年度におきましては約七兆四千億近くに達するということになっております。 以上のような国民総生産の配分を考えまして、それに相応する鉱工業生産なり農林水産業の生産を出してきたわけであります。そこで今申し上げましたような国民総生産の規模でございますと、鉱工業生産はここにございますように三十二年度で一一二%、三十五年度では一三二%となり、それから農林水産業の生産は三十二年度で五%ぐらい、三十五年度におきましては一割程度伸びる、こういうことになっております。 それから次に国際収支の問題でございますが、この計画を作ります際に、かようなことで国民総生産なり雇用の問題がバランスをしておりましても、かような経済規模を維持して参ります際に、どの程度の輸入が必要かという点が問題になりますと、これは輸入は相手のあることでもございますし、あまり大きな数字で現実性のない数字になりますと、この計画がペーパー・プランになりますので、この計画を作る際にも、輸出入、ことに輸入力ということにつきまして——従って輸出がどの程度伸びるかという点を現実的な見通し等も入れまして、よくその辺のバランスを考えたつもりでございます。この案によりますと、輸出が一番問題になると思いますが、三十二年度で十八億八千万ドル、三十五年度においては二十三億四千万ドルの輸出を想定して収支バランスが大体合うということになっておりますが、この十八億八千万、約十九億ドル程度の輸出が三十二年度に期待できるかという点につきましては、これはいろいろ御意見もあろうと思いますが、本年度はいろいろな事情もございますが、二十九年度としては十六億二千万ドルくらいの輸出、三月までの収支でございますが、一応の見通しでございますので、この数字がさほど実現不可能なような数字でなくて、われわれとしてはまずこの程度の数字を目標に置いてもしかるべきじゃないかというふうに考えております。民間の方ではこの数字も小さ過ぎるというような意見もありますし、また一面、この数字がなかなか達成が容易でないというような御意見もございますが、一応われわれとしてはこの程度を考えてきたわけであります。 なおその次の輸入の方につきましては、これはまだ時間もございませんので、原材料全部につきましてこまかい計算はできておりませんが、これは従来から輸入性向——国民総生産と輸入の金額との比率を輸入性向と申しておりますが、それの過去の統計がございます。それで見ますと昭和五年、六年、七年というようなところは国民総生産に対してその年の輸入金額が約一五%前後であります。それが十年、十一年、十二年という程度のところでは約二〇%ぐらいになっております。最近の二、三年は一二、三%という程度の数字でございます。そういうところから達観をして出して来たわけでございますが、ただこの計画におきましては、相当今後食糧の面におきましても、あるいは合成繊維なりその他の国内自給を向上して参りたいということも考えておりますので、この数字を出します際には輸入性向を、今申しましたのよりも少し低目に一〇・六ないし一一%という程度の輸入性向を見てこの数字を出してきたわけでございます。なお今後はもう少し具体的に計算をしてみる必要がありますが、一応はそうした輸入性向を考えまして、輸入力は大体この程度の経済規模で、多少窮屈があってもやっていけるのじゃないかという感じでございます。 なおCIF受け取りの方で申し落しましたが、特需は三十二年度におきまして一億五千万ドル、それから三十五年度においては一応ゼロという推定でこの収支を作ったのでございます。かような姿になりますれば、国際収支も一応バランスをいたしますし、雇用問題も、今後増加いたします労働人口というのを一応吸収できるのじゃないかということで、かような計画をつくったわけであります。この計画をつくります際に、消費水準の伸びでございますとか、そういう点を大きく見れば大きな経済規模でバランスが合うという構図は描けますが、かりにそういう構図を描きますと、一番問題になりますのは輸入力の問題であります。経済規模が大きくなりますれば輸入力がふえて参りますので、その輸入力がこの経済規模で可能かどうかという点も問題になりますので、その点に考慮をいたしましてこの経済規模を描いてみたわけでございます。これは将来の、かような姿が望ましいということでございますので、ただほっておいてひとりでにかような姿に国民総生産が伸びていくということではございませんので、われわれとしましてはかような姿に持っていくためにいかなる政策を総合的にとっていけばいいかということが問題点でございまして、われわれとしてはむしろこういう目標を立てて、それを達成するために必要な施策を長期にわたって総合的にやっていくという点が一番重点だろうと思います。それで今後この構想に対していかなる施策が必要かは十分検討をしなければならぬと思っておりますが、これは関係各省もありまして、目下いろいろ研究を願っておるわけでありますが、一応かような計画をつくります際におきましても、次のような諸点については相当重点を置いて考えていかなければならぬと思います。 第一点は、資料には詳しく書いてございますが、民間資本蓄積あるいは重要な設備資金の確保のための対策ということでございます。かように経済を伸ばし、しかも国際競争力のある輸出をやっていくというようなことのためには、今後相当多額の投資も必要でございまするし、従って一面財政投融資を確保するということも必要でございますので、さような点には格段の努力を払っていく必要があるということでございます。 それから第二は、輸出の振興のための総合対策でございますが、これは申すまでもなく、日本の経済規模を制約するのは輸入力でございますので、正常貿易によるバランスを合わすということになりますれば、何といたしましても輸出を伸張していくということが必要で、この面についてはあらゆる施策を講じて輸出の増大をはからなければいかぬと考えております。 第三番目は、産業の徹底的な合理化でございますが、これは基礎産業といわず、輸出産業といわず、設備を近代化し、技術を向上し、また経営の健全化なり、労働能率の増進をはかって生産性を向上させることが第一に必要でございますので、その辺につきましての十分の配意が必要であろうというふうに考えます。 それから第四番目には、労働能率の増進と雇用の増大対策でございますが、労働能率の増進、生産性の向上をはからなければならぬことは申すまでもございませんが、ことにそれがためには労使の協調という点もぜひ必要でございますし、なおこの計画期間中におきましては、雇用問題は非常にシリアスな問題でございますので、その辺の配意を十分いたさなければなりませんので、かような建設的な失業対策を計画期間中はぜひ重点的に考えなければならぬとともに、いろいろ公共事業等の施行の場合におきましても、雇用が増大するということを常に念頭に置いてさような政策をとらなければならぬというふうに考えておるわけであります。 第五番目には、食糧の増産その他自給度の向上対策でありますが、これは食糧については、人口も増加して参りますし、何といたしましても相当程度自給度を高めると申しますか、今後の食糧増産に重点を置いていかなければなりませんとともに、その他資源の開発、あるいは海運の増強、あるいは新しい産業の育成というようなことによりまして、輸入性向を低めて国際収支の安定を期していく。そのために国内自給の向上をはかるという施策に重点を置く必要があると考えております。 第六番目は、国土の保全並びに開発対策でございますが、これは申すまでもなく、年々巨額な国費を災害等で喪失しておりますので、国土の保全についてはさらに意を用いなければなりませんとともに、治山治水でありますとか、道路であるとか港湾であるとかいうような点については、総合的な計画のもとにこれを進めていく。その際にも雇用の問題を常に念頭に置いて雇用の増大をはかるようなことを考慮に入れて、施策を実施していかなければならぬと思っております。 第七番目といたしましては、国民生活の安定でございますが、これは衣食住すべての分野について合理化なり改善、あるいは消費内容の健全化ということが必要でございますが、特に戦後非常におくれております住宅問題については大幅にここに重点を置きまして、住宅対策を推進するとともに、社会保障についても十分の配意をしないと、かような計画がなかなか円滑に行われないという意味におきまして、かような面についても十分配意していく必要があるというようなことでございます。 かような施策を織り込みまして、かような目標に伺って施策を集中して実行していきたいというのがこの案の骨子でございます。この案の備考にも書いてございますが、まだ今後具体的に検討すべき事項が多々残っておりますので、関係各省とも連絡して、今後できるだけすみやかに、具体的な計画自身の問題もございますし、それからここに盛って参ります政策自身の問題もございますので、両面から十分検討いたしまして、必要があればこの計画数字もその際には多少変更になる場合もあろうかと思いますが、さようなことでできるだけ早くさらにコンプリートなものにいたしていくことを目下進めておるような次第であります。 非常に簡単でございましたが、一応の御説明を申し上げ、もし何か御質問がございますればそれに答えさせていただきたいと思います。
○中村委員長 御質疑もないようでありますので、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせすることにいたします。 午後三時三十八分散会