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21回国会衆議院1954/12/15

外務委員会 第1号

発言数
138
登壇者
6
会派数
2
開催日
1954/12/15

会議録

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 これより会議を開きます。  この際一言ごあいさつを申し上げます。私は今川はからずも当委員長に選任されましたが、ふなれでありますので、委員各位の御指導、御協力をお願いいたします。  簡単でありますがごあいさつを申し上げます。     —————————————

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 次に理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事並木芳雄君及び戸叶里子君が昨十四日委員を辞任されております。再び当委員に選任されましたが理事が二名欠員となつております。それゆえこの際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、これは前例によりまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 御異議なければさように決定いたしました。よつて並木芳雄君、戸叶里子君の両君を理事に指名いたします。     —————————————

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 次に国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては、今国会におきまして一、国際情勢に関する事項、二、移民に関する事項、三、日米行政協定、国連軍協定並びにMSA諸協定の実施状況に関する事項、四、賠償に関する事項等の四項目について調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 御異議なければさように決定いたしました。     —————————————

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 次に国際情勢に関する説明聴取の件について審議を進めます。  本日は主としてビルマとの外交交渉の経過について政府当局から説明を聞き取り、質疑を行いたいと思います。まず政府当局に説明を求めます。重光外務大臣。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は今回新内閣の外交を担任いたすことになりました。つきましては本委員会の皆さん方に格別の御支持、御協力を願わなければならぬと思います。どうか何分よろしくお願いをいたします。  私の外交一般に対する考え方、また外交方針につきましては、むろん本会議で十分申し上げなければならぬと君えております。しかし大体のことについて、それではお前はどういう考えで今外交をやろうとするのかというお尋ねがあることはむろんのことでありますから、私は外交一般のことについて、はなはだ一般的になりますけれども、大体の考え方を申し上げたいと思うのでございます。  日本の外交は平和外交でなければならない。平和主義を堅持して行くということはむろんでございます。それがために世界各国との友好関係を増進する方針にあることは説明をむろん要しません。その平和外交をやり、各国との友好関係を進めるということにあたりましても、日本が置かれた地理的地位ということは、これはどうしても静水的のことになるのであります。日本がアジアの国であり、東亜の国として存立をしておる。そこでわれわれの世界の平和に貢献する第一の前提となるものは、つまりアジアの平和及び進歩に貢献をするということでなければならぬ。日本は戦後といえどもアジアの有力なる一国であることは争われない。そこでこのアジアの平和及び進歩に貢献するためには、アジアの安定ということを常に考えなければならないと思うのであります。そこで私は日本が東洋の、さらに極言して申しますならば、東亜の安定勢力として外交に貢献しなければならぬ、こう考えておるのであります。すなわち東亜の安定勢力として日本はアジアの平和及び進歩に貢献する、さような立場を進めて行つて世界の平和に貢献しようというふうにならなければならぬと考えておるのでございます。この基本的な考え方によつていろいろな施策が生まれて参ります。それは多岐多端にわたるわけでございますが、それを進めて行く上において前後もありますし、いろいろ考えなければならぬことがたくさん出て来るのであります。しかし、さしあたつての問題としてアジアの平和及び進歩に貢献するということについては、いろいろな施策が生まれて来るのでありますが、アジア諸国との友好関係を打立てるということが最も重要なことと考えます。そこでアジア各国との間に平常関係、友好関係を打立てる。特に日本は御承知の通りに民主自由諸国との関係が重要でありまして、民主陣営の一員に日本の地位が置かれておるわけでありますから、民主諸国との関係を打立てるということに努力をしなければならぬことは、これは言うまでもないことであつて、その意味から申しまして、まず第一に取上げなければならぬのはビルマとの関係に相なります。  ビルマとの条約はもうすでに締結されておるのでありまして、今その御批准を願うという段取りに相なつております。そこでこれは賠償問題まで伴うのでありますから、できるだけこの問題を急いで、そしてビルマとの友好関係を設定するということからまず手初めに、アジアの平和及び遊歩に対して日本が貢献しようという根本の気持をそれに表わしたい。そうしてさらにこれを手初めとして同様な方針で進んで行つて世界の平和に貢献したい、こういうふうに考えておる次第でございます。さようでありますからどうかこのビルマとの平和条約及びそれに関連する条約の御批准の手続を進めていただいて、なるべく早くこのビルマとの関係を確立したい、こう考えております。批准はビルマの方もたいへん急いでおるという情報でございます。そうしてビルマの方は二月に入つて議会を開いて批准手続をされる。その前に先例もありまして、日本の方からまず批准をしてそうして相手国の批准を促すという大体の順序になつております関係上、わが方の批准手続を急ぎたい、こういうふうに考えております。さようなわけでありますから、非常に御多用の際でありますが、どうか御審議を急速にお進めを願いたいと考えます。  詳細の説明は係の者から十分に御説明を申し上げます。私も実はまだ細目について十分研究を遂げるいとまもないようなことでありますが、とりあえず以上のような大体の外交方針から来る考え方を申し上げて皆さん方の御協力を願いたい、こう考える次第であります。どうぞよろしくお願いをいたします。

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 委員並びに政府当局に申し上げますが、先ほど理事会で、本日の会議から引続いて十六、十七、十八の四日間にわたつて審議を進めたいということにきめました。よつて政府当局もひとつ大臣以下努めて出席せられて質疑に応ぜられんことを希望しておきます。  次に平和条約案について下田条約局長から説明があります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田説明員 それでは御質疑に先だちまして政府側から簡単にビルマとの平和条約の説明をさせていただきたいと思います。  御承知のようにサンフランシスコの平和条約以外に、日本は単独平和条約をすでに国民政府及びインドとの間に締結いたしておりまして、本条約は第三番目の単独平和条約に相なる次第であります。本条約の案は実は日本側から作成いたしまして、先方に提示して、それが基礎になつて交渉いたしたわけでございますが、本条約の先例としては目印間の平和条約、すでに国会の御承認を得ておりますインドとの平和条約ときわめて似ておりますので、インドの平和条約と比較しつつ御説明を申し上げるのが御便宜かと存ずるのであります。もちろんインドの平和条約も桑港平和条約に比べまして、非常に短かい平和条約であります。今度のビルマとの平和条約も桑港平和条約の中で不必要な事項、たとえば戦犯に関する規定でございますとか、領土権の条項とか、そういうことは日緬間にあらためてきめる必要はごうもないのでありますから、そういう不要な規定を削除いたしまして、従いまして本条約もただ十条という非常に短かい条約に相なつたわけでございます。  内容につきまして順を追つて御説明申し上げますが、この前文は目印平和条約とまつたく同じわけであります。日緬間の戦争状態というものは、すでに一九五二年の四月三十日にビルマの宣言によつて終結されております。そこで国際連合憲章の原則に適合しつつ、日緬間の友好関係を設定する、その希望に促されてこの平和条約を結んだという条約の締結の趣旨を規定してあるわけでございます。  第一条は、これも日印間の平和条約とまつたく同じでございまして、本来ならこのような、両国間の堅固かつ永久の平和及び友好の関係が存在するものとするというようなことは、友好和親条約の冒頭に出て来る規定でございますが、インドと同様ビルマとの間にも、敵対関係にあつた両国があたかも和親条項を冒頭に掲げましてこういう規定を設けたということは、はなはだ意義があると存ずる次第でございます。  第二条は、これは両国間の条約の復活に関します規定でございまして、桑港条約の七条に渕源を発しておりますが、日印間にはこの規定はございません。あるいはインド側におきましては、戦前にイギリスなどが日本と締結した条約は復活する要なしと考えたのかもしれません。また日華間の平和条約におきましては、戦前の条約はすべて無効とするという規定、これも国民政府側の希望でそうなつたのでありますが、ビルマの平和条約におきましては、桑港条約の例にならいまして、いかなる戦前条約を復活するかは、ビルマ側が一方的に決定して、そうして通告するという建前をとつております。但し復活されるべき戦前条約はそうはないようでございまして、これもビルマの希望にかかるわけでございますが、さしあたり考えられますことは、戦前日英間に存在し、ビルマにも適用のありました船舶積量測度を互認する協定、トネージ・メジユアメントと申しますが、そのトネージ・メジユアメントの証書をお互いに認めようという協定と、これに関する交換公文がございますが、せいぜいそれくらいの協定が復活されることに相なるのではないかと存じております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 委員長、説明中だけれども、なぜ提案理由がついてないのですか。こういう市大なものを出すときは、たいてい提案理由がつくのですが……。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田説明員 実は異例の手続でございますので、つまりまだ正式に提出になつていない案件でございますので、先ほど大臣からの御説明にも、従来の提案の場合と違うというお話がございましたが、提案理由と銘打つてこの手続が出せない事態でございます。本委員会の御好意によりまして、国政調査という名目のもとに実際上はこの内容を聞いてやるというお考えでございますので、はなはだ異例でございますが、その形式によらしていただきたいと思います。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 これは閣議では承認してないのですか。

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 佐々木君に申し上げますが、これは金曜日の定例閣議に提出するのですが、急ぐから、その前に事前審議を国際情勢の質疑にかりてやろうということです。そういうことで理事会できめたのです。だから、提案理由の説明は閣議決定後あらためて政府当局からするでしよう。そのおつもりでお聞き取り願いたいと思います。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 けつこうですが、こういうものは大体文書に説明がつくのがあたりまえです。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田説明員 説明書はただいま印刷中でございまして、本日中にお手元に配付できると思つております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 各条項にわたつて御説明を聞くこともけつこうですけれども、新内閣ができて、外務大臣がいろいろ外交問題に対して新しい重大な発言をなさつておられるのですから、その外交方針に関するわれわれの質問をするということが、本日の主たる目的だと思うのです。従つて、あとで提案理由が正式に出ましたら、われわれその文書によつて十分に検討を加えた上で……。

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 お諮りいたします。ただいま佐々木委員から御発言がございましたが、佐々木委員の発言通り行つてよろしゆうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 それでは平和条約案及び賠償協定案についての説明は次会に譲りまして、質疑に入ります。質疑は、順序に従つて、福田篤泰君。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 私はまず先般の、世界大戦、上海事変、支那事変また大東亜戦争、敗戦後の幾多の日本の困難な外交に、身を挺して当られて来られました新大臣に対しまして、深く敬意を表します。本日は、野党である自由党の立場から、今御説明をいただきました外交基本政策の問題、同時にまた本月の十一日に正式に外務大臣声明として所信を発表された点につきまして、所信をお伺いいたしたいと存じます。  この十一日に、国内の記者団、また外国の記者団に対しまして発表された声明は、内容を拝見いたしますと、国内の記者向けには抽象的なおざなりな声明でありますが、対外声切におきましては、相当微細にわたり、かつ、国内向けと申しますか、その方の声明とは根本的に食い違つたものも拝見されるのであります。昨日の記者会見で、外務大臣は、その理由につきまして、別に内外とも食い違つておらぬ、外国の方からいろいろと質問をされておるので詳しく答えただけだと言われておりますが、新内閣の外交の出発にあたつて、外国向けも必要でありますけれども、むしろ、全国民が聞かんとする重要な新外交政策につきまして、より詳しく、よりていねいに、そして具体的に研信を述べられるのが当然の義務であろうと私は思います。何ゆえ国内の新聞記者団に発表された声明はきわめて抽象的、簡単であるにもかかわらず、対外的にはこのような詳細な、しかも見様によりましては食い違う声明を出されたか、まずその根本問題をお伺いいたします。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 政府といたしまして発表したのは、今申された日本文の発表だけでございます。そして、これを同時に外国文として外国記者は受取つたわけでございます。政府の声明としては、日本文の声明を、第一の閣議の後にすぐ、政府の一般的の声明と施政方針の声明とともに発表いたしました。これが内外に対する発表でございます。ところが、今御指摘になりました外国人に対する私の考え方——これは実は、内閣がかわるというときに、外国人が、新内閣つまり民主党の考え方として従来の考え方と非常にかわるのじやないかというような気持をもつて私のところに非常に聞きに参りました。そして質問書等をたくさん提出して参りました。これに対して私は、この際外国に対して誤解を生むようなことでは、日本の外交政策上非常に損害である、誤解を生まないように、実はその質問事項に対していろいろ私の考え方を話をいたしたのでございます。そしてその結果が外国に通信された、こういうことでございます。しかしそれは何もわれわれのその後の考えと異なるところはございませんでした。そこでそれを集約して、新内閣の全体の声明として日本文のものを発表いたしたわけでございます。そこでその内容についてはつまり政府の外交声町が基礎でございます。そしてそれを敷衍した形になるわけでございます。これは一にわれわれの考え方について外国に誤解がないようにするための努力であつたことを御承知願いたいと思います。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 外国側に対して誤解を解かなければならない、これは外務大臣としてはあたりまえのことでございます。これはよくわかりますが、しかし同時に、国内におきましては、新内閣の誕生によつて新しい外交政策あるいは何らか新鮮味のある政策についての所見が発表されるのじやないかということは、国内の一致した要望であろうと私は思うのでありますが、もしそういう所信がおありであるならば、国外に対してこういう丁寧な声明——ステートメントとはつきり書いてある。こういう声明を出すと同時に、同じ日にあなたは外務大臣として談話を発表されておりますが、なぜ国内にもつと丁寧に、また誤解を招かないように、新しい施策について声明をしなかつたか、この点を実はお伺いしたのでありまして、やはり外交は国民の輿論を背景にすべきであることは、これは常識でございますが、外国に対してそのような関心を払われる関心が、国内の国民に対しては簡単な、通り一ぺんの声明でかまわないでおくということは、きわめて独善的な考えである、むしろ秘密外交のおそれさえありますが、これに対しての御所見をもう一回お伺いしたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それはそういう秘密にやろうとかなんとかいうことは、少しもないのであつて、この内閣の外交方針の声明は、これは日本だけに対する声明ではございません。これは内外に対する声明でございます。そして今後も必要に応じ、また特に議会を通じて、本会議あたりで十分できるだけ詳細に説明をいたしたい、こう考えております。そしてその前にも必要に応じて考え方を公表したい、こう考えております。しかしこれは第一問の内外に対する公表でございます。それで御承知を願います。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 内外に同日に発表せられた声明が、国内はきわめて国民を無視し、軽視し、対外的にはきわめて気をつかわれたことは、事実において明瞭でございますから、これ以上追究いたしませんが、しからば十一日の声明、ステートメントにつきまして疑問となるところをお伺いしておきます。  まず最初に、冒頭に、世界の安定を脅威しているサブヴアーシヴ・フォーシズと言われておりますが、地下における共産的勢力、これはどういう意味、構想を御指摘になつておりますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今御承知の通りに、世界的に民主陣営が共産党の運動によつて平和が乱されているということは、これは世界共通の結論だと私は思います。さようなことを意味するのでございます。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 世界の平和を脅威しているのは共産党の勢力及び行動である、はつきり言われましたが、そうなりますと、新しい今度の内閣の外交政策として、その基本はあくまでも共産党に対する確固たる対策であろうと思いますが、いわば反共政策ということを意味せられますか、この点をもう一回お伺いいたします。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それは反共政策ということには違いないと思います。私ども共産党反対でございます。また日本としても共産党反対でございます。それは当然のことだと思う。しかし外交政策において、一概に反共政策といつてすべて何もかも反共ということでこれは片づけられるものでないと思います。外交は国家と国家との関係でありますから、その見地において、世界の平和の増進という見地からいろいろ考えなければならぬ。そこで反共には違いはございません。しかしおのずから外交は国家間の見地に立つて処理しなければならぬことがたくさんある、こう考えております。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 いわゆる重光外交が反共外交である、これを基本とすることははつきりしましたが、しからばそのステートメントの中で「ピース・スルー・ストレングス」、チヤーチルやイーデンが盛んに引用する言葉を括弧に入れまして、いわゆる力を背景とした平和こそ望ましいものであるという考え方にあなたは全面的に賛成せられ支持せられております。アジア地区においてもこれは当然適用せらるべき考え方であるといわれておりますが、力とはどういうことを意味しますか、具体的に御説明願いたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今共産陣営と民主陣営が共存し得るかいないかというようか問題が非常に論じられている、そういう思想的と申しますか、哲学的のことはしばらく別問題として、国家間の平和維持のためには、どうしても力の平均がなければならぬのであります。そこで今のような両陣営が争つている場合においては、やはり力の平均を要する、やはり力を持たなければ平和は保てないという今日の現状であることは争われない。それは私どもが言うだけじやない。これは英米等、またソ連はむろんのこと、みなその態度をとつている。それではその力とは何のことであるかと言うと、今日においてはこれは国家と国家との関係になりますから、これは国力と言つてさしつかえない、こう考えております。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 力を国力と大きくわくをはめられましたが、その中には当然軍備、武力が相当大きな部分を占めていることは御承知の通りであります。このいわゆる力による平和という考え方を全面的に支持されたあとで、すぐ続きまして、わが国の防備についてもわれらは十分これを準備しなければならないということをはつきり言われております。その次に、自由国家の共同集団保障というものについても最後に申されておりますが、しからば日本の国力という点から考えまして、あなたのお考えは、やはり日本の防衛力を増強しなければ、平和を維持するには困るのじやないかというお考えであるかどうか。同時にまた集団保障というものは、いわばSEATO的なものをお考えになるか、この具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 むろん力のうちには防衛力が入つておると思います。また入らなければならぬと思います。しかしその防衛力ははつきり私の考え方をここに表示しておる通りに、日本の国力、ことに経済力と相まつた、相応した防衛力、私の言う自衛力でありますが、そうでなければならぬと考えております。  それから今の安全保障、一国の安全保障というのは今日の世界の現状においては集団的なものであることは当然のことだと考える。その集団的安全保障を企図するというその具体的のことについては、今考えてあるところではございません。しかし一般的に集団保障ということは、これは今日の国際間の当然のこととして大いに考慮しなければならぬと考えております。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 そうなりますと日本は国力に応じた防衛力は当然すべきである。同時にまた集団保障についても参加するのは将来の見通しであるというお考えでありますが、そうなりますと、やはり力による平和という基本的な考えというものと、先ほど御説明になりましたアジアの平和と進歩に努力するという点につきまして疑問が出て来るわけです。御承知の通りアジアは今自由国家、いわば民主的勢力と共産的勢力と大きな相剋の戦場になつておりますが、たとえば中共その他の共産的な勢力圏と、その他の自由国家に対するアジアの圏内と、どういうような外交政策をとつて平和と進歩を考えておられますか。この点について具体的にその対外施策を御説明願いたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 アジア政策については先ほど冒頭に申し上げた通りであります。アジアの平和及び進歩に日本が重要なる安定勢力としての貢献をしたいという考え方を持つておる次第であります。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 そうなりますと従来のいわゆる吉田・岡崎外交の線とほとんどかわらないと私どもは認定いたします。しからばその次に大きな問題でありますが、ステートメントの第四項の中に、ソ連並びに支那との通常の国交関係を回復するために、自分は何らの先入観念なしに努力したい、いわばこの調整問題について重要な声明をされておりますが、この調整というのは通常国交の回復というものか、どういうことを意味しておりますか、調整の具体的な内容について御説明願いたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は今申す通りにアジアの平和及び進歩に貢献するという手段を進めて行く。そうして世界平和に日本が努力することになり、そうして世界各国と友好な関係を進めて行きたい、こういうことを考えております。従いまして世界各国のうちには例外はない。不幸にして日本とまだ平和的の関係を樹立しない国がたくさんあります。これらはできるだけすみやかに実際的方法によつて進めて行きたい。今日御審議を願うビルマのごときはその第一歩でございます。しかしそれは何もイデオロギーにとらわれる必要はないと私は思う。従つて世界各国と友好関係を進めて行くということは、イデオロギーの問題じやないと私は考えております。日本においては先例もあることであります。従いましてその方針で行つて少しもさしつかえないと思います。しかし、これにはこれまでいろいろな故障がある。サンフランシスコ条約以来故障がある。その故障を一つ一つ除かなければ、なかなかそう急にできるものではない。従つて具体的にどういうことをするのかということは今申す時期ではないと考えますし、それは逐次考え方を進めて具体化して行きたいという見地に立つておるわけであります。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 今ただちに具体的な説明はできない、ソ連並びに中共とうまくやつて行きたいというだけのきわめて抽象的な一般的な御説明でありますが、私ども本委員会でぜひともお伺いいたしたいことは、あなたは外務大臣の資格において、喜んでお互いに承諾し得る条件においてノルマル・リレーシヨンを回復したいと言われておるのでありますから、当然ある一定の方策をお考えであろうと思います。もしソ連についてむずかしければ、たとえば中共という一つの問題に限りましても、現在国民政府、台湾政府との間にわれわれは御承知の通り国交の回復をし、正統政府として認めておりますが、もし中共との国交回復をあなたがお考えになる場合には当然これを否認しなければなりませんが、その場合にいわゆる国民政府と中共政府との関係はどういうふうにさばかれるつもりであるか、この点だけははつきりお伺いしたいと思います。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 そういう点は今日の場合ここで議論することは私は個人としてもどうかと思うのです。しかしながらこれは一般論として私の考え方を申し上げます。中共との関係は、さしあたつて経済貿易の関係に重きを置かれておる。むろん中共を承認するとかなんとかいう問題については、これは台湾政府との関係もあるし、それだけではない、日本の対外政策全部の態勢も考えなければならない、また大国間との関係も考えなければならない。さしあたり中共貿易は国会でも御決議になつた通り、これはなるたけ進めて行きたいと考えております。しかしその進め方は、国際的に日本はいろいろ義務を負うておるのでありますから、その義務を越えてやるわけには行かないから、その範囲内においてでき得るだけ進めて行きたい。それについては、いろいろ実際的の方法も考えなければならない。それはまだ相当余地がある問題ではないかと考えております。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 そうなりますと、従来の吉田・岡崎外交の線と少しもかわらないわけでありまして、御税明によりまして私どもが了解し得ることは、ソ連並びに中共との関係改善ないしは友好促進については、これは貿易上の増進をはかるという点にあるとお伺いします。その程度ならば、別に新しくもなければあたりまえのことでありますから、これ以上お伺いいたしません。  ただ問題はこの声明書の中ではつきり言われております通りに、現在では中共貿易は自分は期待が持てない。せつかく中共との貿易増進を大きな新外交なりとして打出されておりますが、しかしすぐそのあとで、現在の状況では中共貿易に期待することはむずかしいと言われておりますが、この現在の中共貿易に対して期待が持てないというあなたのお考えは、この通りでございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 これは事実の証明することで、その通りであります。日本はこれまでも共産国との間の貿易は過去において長い間の経験がある。しかしなかなか思う通りに行かない、それは事実であります。事実でありますけれども、行くだけの範囲内においてできるだけやろうということは、私は非常に望ましいことだ、こう考えておるわけであります。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 そうなると、外務大臣は現在の中共貿易には期待は持てないとみずからおつしやつています。それは確かにあなたのおつしやる通り事実問題だと思う。ただこれに関連して、先般通産大臣が、いわゆる貿易均衡問題につきまして、今までの特需依存という考え方を改めて行く、自立経済の基本政策をかえなければならぬという重大な発表をしておりますが、この点につきまして、特需が日本の外貨獲得にどれくらいの役割を果しているか、外務大臣はどういう御認識を持つておられますか、これをお伺いいたしたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は、特需は日本の貿易の帳じりに非常に大きな影響を持つておると思います。思いますけれども、この特需がどういうふうな状況になつて今働いておるかということは、私は今申す知識を持つておりません。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 何ドルとか何パーセントとかいうことは、各委員全部知つておりますからお尋ねしませんが、私のお伺いしたいことは、やはり日本の外貨獲得について、特需は重点的に大きく考えなければならぬというお考えであるか、あるいは通産大臣が考えておるように、特需の依存を脱却してやり直すというお考えであるか、この点をもう一度お伺いいたしたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その点については、私は通町大臣がもしそう言明されたならば、それでけつこうな考え方だ、こう考えております。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 通産大臣のいわゆる特需依存をやめるというお考えに御賛成でございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私はその場におりませんでしたから、どういうことを通産大臣が言われたかということをよく調べた上でお答えしてもさしつかえない、私はそれだけしか申し上げられません。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 特需が非常に必要であると言われながら、また通産大臣の考えにも賛成だということはちよつと私はわからないのでありますが、外務大臣としてどういうお考えであるか、もう一度はつきり結論だけ、どつちが必要であると考えておるか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 特需に対しては重大な考慮を払わなければならぬ、そういうことを申し上げたのであります。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 これは閣内は当然一致すべきでありますが、この点は、日本の産業界に対して大きな影響がありますので、よく通産大臣とお話合いの上で、日本の貿易に対するはつきりした基本政策をおきめ願いたいと思います。今のところ非常に矛盾されております。何ら調整できておりません。  それから先般吉田前首相が欧米に参りまして、主として対米関係でいろいろ話合いをして参りました。たとえば東南アジアに四十億トルの投資をしなければ、将来共産勢力に対抗できなくなるのじやないか、またアメリカもなかなか熱心にこれに対しまして考えも発表し、御承知の通り現在二十億ドルくらい毎年経済的または軍事的に投資しております。このような対米交渉の成果と申しますか、前首相がいろいろアメリカ相手に、ワシントン政府との間にとりきめました案件はたくさんございます。これらはあなたが当然事務引継ぎと申しますか、外相としてこれらの成果を生かして行かれるつもりであるか、あるいは全然違つた考えでアメリカとの間に日米間の懸案を解決される考えでありますか、この点をひとつお伺いいたします。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 前総理がアメリカでどういう交渉をされ、どういう成果をあげたかということは私は存じておりません。しかし成果をあげられておることがあれば、それは喜んで国家的見地に立つてこれを進めて行きたい、こう考えております。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 これは内閣がかわりましても、日本の利益のためになることは、外務大臣として真剣にお取上げにならなければならないと思います。吉田外交、いわゆるアメリカとのいろいろな成果につきまして、何も知らないということは大問題でありまして、いわゆる国家は永遠の生命体でありますから、当然一日も早く前の対米交渉について、大使なり次官から十分の報告を聞かれて、その成果を生かすべきものは生かされる、また不適当と思われる点は訂正されるというような点を一日も早く具体的にお願いしたいと思います。  それからお伺いしたいことは、これに関連しておりますが、当然新外務大臣として、ワシントンか何かにあなたがお乗り込みになりまして、あなたのお考えに基いて今の懸案、また今後の日本の新外交の展開につきまして、いろいろお話なさる御意思があるように伝えられておりますが、それは事実でありますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 さようなことは少しも議に上つておりません。

福田篤泰自由党

○福田(篤)委員 訪米の意思なしと言われましたが、今度人事の変更につきましていろいろお考えになつておるようでありますが、大公使あるいは省内人事について、大幅の異動をお考えになつておられますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 人事は、これは絶えず変更があるだろうと思います。思いますが、私は、内閣がかわつたからそれで外交官の人事をすべてかえなければいけないというふうには考えておりません。これは必要に応じて順次にかえて行く、また改善して行きたいと考えております。

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 並木芳雄君。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 ただいままで野党の質問を聞いておりますと、ひとりでに何とかして重光外相を吉田、岡崎と同じようなもの、薬籠中のものにしようという陰謀が含まれておることを感じました。重光さんは人がいいから、それに反駁しないでにやにや笑つておられましたが、うつかりすると重光さん、今度の選挙で、何かわつたつて同じじやないか、吉田、岡崎とどこが選ぶところがあるかとやられますから、ひとつここでふんどしを締めて、野党の陰謀に陥らないようにお願いいたします。  そこで私は、特に重光外務大臣に申し上げますが、国民の期待するところのものは、従来の吉田秘密外交を打破し、自主外交をやり、占領政策以来の汚点を払拭するのだということにあるわけです。ですからこの機会に、一つでも二つでも、こういうことにより吉田の秘密外交を打破し、自主外交を打立てるのだということを力強くここであげていただきたいのであります。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 外交は、私は努めて明朗なものにしたいという考え方を持つております。今国家の重大な時期に、特に内閣がかわつて、日本の将来の対外政策はどうなるかということを外国が目を見張つて見ておるときに、奇矯な言はもちろんのこと、万が一にも誤解を招くようなことは、できるだけ避ける心構えで私はおるわけであります。しかし一般的に申し上げれば、われわれがかねて主張しておるように、外交は国民外交でなければならぬ、明朗なものでなければならぬ、そうしていたずらに秘密にする必要はない、のみならず、できるだけ外交の行く道をはつきりと指導して行くということが必要である、こう考えております。そのためにこそ実は今日本の行き道は何であるかということをはつきり申し上げておる。私は、日本は東亜における安定勢力、スタビライジング・パワーであるという見地に立つて自主外交を展開しなければならぬと思う。日本の見地、日本の立場からすべて勘案して行かなければならぬ。そしてどういう方向に向つて行くかというと、これはアジアの平和及び進歩でなければならぬ、ピース・アンド・プログレスでなければならぬと考えている。アジアはまだ十分に生活水準も上つておらぬ、プログレスが非常に期待されるわけです。こういうことに向つて日本は東亜の安定勢力として責任を持ち進んで行かなければならぬ。これが自主外交である。さような方向に進んで行つて——これは日本の国内の整頓ということが必要である。国内の経済力その他をあくまで整頓し進めて行つて国力をつちかうとともに、さような方向に外交は順次足を進めて行くべきものだ、こう考えておる。そのことによつて世界の平和に貢献し、そして世界各国との友好関係を次々に確立して行く、こういうことでなければならぬと考えておる。さような意味において、私は根本の考え方をそこに置くべきである、そしてだんだん進んで行き得る、こう考えておる次第であります。しかしその詳細にわたつては実はまだ十分の準備のないことを御了承願いたいと思います。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 今後のやり方でありますが、吉田前総理は、超党派外交はきらいである、民主党なんかとは話合いをしない——当時は改進党でありますが、そういうことを放言しておつた。しかし重光外相はおそらく超党派外交で行くのではないかと思いますが、その通りでございますか。もし超党派外交で行かれるとするならば、これは社会党も含めての意味であろうと思いますが、そういうような方針で今後運営して行くつもりであるかどうか、はつきりお答えしていただきたいと思います。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は、外交は国家的見地で進めなければならぬ、こう確信をいたしております。そこで、その見地から必要な手段はとらなければならぬと思う。それを超党派的にいかなる具体案で扱うかということは、まだそこまでは考えておりませんけれども、外交はあくまで党派的でなく、国家的に遂行すべきものだ、この見地に立つて将来も進んで行きたい、こう考えております。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 自主外交をやつて行くための一つの大きな要素は力であるということは、先ほども御答弁がありました。そこで、今日本はアメリカ軍によつて守られておりますけれども、これは早晩自衛軍を充実して米軍に撤退してもらうという方針で行かないと、やはりいつまでたつても、せつかくやりたい自主外交もその緒につかないかもしれません。その点についてはどう考えておりますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私も同感です。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 しからば大体何年くらいのうちに米軍撤退を実現さしたいという、大臣の構想だけでもありましたらこの際お尋ねしておきたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それはなるべく早くと申し上げる以外まだ計算をいたしておりません。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 先ほど外国に誤解されている節もあるということでございましたが、どういう点で外国から誤解をされているのですか、その点大臣はこの機会にはつきり宣明されたらいかがかと思います。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 誤解をされている点がありはしないかと申し上げたのは、新しい内閣ができるとすれば、民主党内閣ができるとすれば外交に急回転がありはしないか、何か非常に、前とは絶対に反対の方向に行くのじやないか、こういうふうな誤解があつたことを耳にしているのであります。そういう急回転をするのではない、こういうことを何したのです。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 それはいわゆる英米自由主義陣営とは少し離れて、共産主義陣営の方へ幾らか近づいて行く、こういう傾向を示すのではいないかというような意味でございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それも含まれるかもしれません。しれませんが、急に何だか、たとえばアメリカならアメリカ方面から見て、アメリカ関係は、今までの交渉案件も何もすつかりそのままにして別の方向に行くのじやないか、交渉なんぞもやらぬのじやないかというふうな極端な——アメリカは御承知の通り、ちよつと事があると極端に物を考えるので、そういう誤解の一部にあつたことはこれは事実のようであります。新聞なんぞの論調を見ますと、そういうようなこともちよつと出て来た。これでは日本の外交というものは安定性がないと思つて、私はこういうような考え方を外国の新聞記者に述べたわけであります。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 しかし国内的には、かなりそういうところを新外相に期待する向きも多いのでございます。基本的にはかわりがなくても、期待することが多いのでありますから、先ほどワシントンなんかに行くことはまだ議に上つておらないという御答弁ではございましたけれども、やはりこの機会に、あるいはまた選挙が過ぎましたならばなるべくすみやかに新大臣として外国をまわつて来られる方がいいのじやないか、こういうふうに考えるのです。前の吉田秘密外遊とはまるつきりその意味も違うのでございますから、重光外務大臣としてはそれをお考えになつた方がよいと思いますが、その点いかがですか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 そういうことはだんだんひとつ研究してみましよう。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 研究してぜひ行つて来ていただきたいと思うのです。そこで問題は、今までの向米一辺倒、それを是正するところにやはり重光外相の使命があるので、枢軸は動かさぬにしても、人心が移つて行くところに意味があると思うのです。ですからこそ先ほどかつての与党たる自由党の方から誘導質問が行われたのですけれども、私はこの機会に重光大臣として、ソ連、中共とは国交が回復しておらないけれども、経済使節の交換くらいはやりたい、こういう御発言があつてよいと思うのです。かつてアメリカとの間に外交交渉が回復しておらなかつたときに、吉田内閣は、なしくずし外交と称して、条約を締結せずして実質上の外交を結んでおつたことは大臣も御承知の通りであります。かつてアメリカに対してやつたことをソ連、中共に対してやつてならないということはございません。ですから政治的の外交は第二段階として、さしあたり中共貿易はやりたいとおつしやるのですから、経済使節の交換、経済代表の交換ということをお考えになつてはいかがかと思いますが、御答弁を願いたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 中共あたりと経済的に少しでもよけい、物々交換でもいいから分量がよけいになるようにということは、私はよいことだと思うのです。それについてもやはり実際的にそれを実現するやり方をいろいろ考究することが必要だと思います。しかし今経済使節をすぐ置くことがその方策に適合しているかどうかということは、いま少し研究さしていただかないと明言をすることはできません。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 研究していただくならけつこうです。ぜひ研究していただいて経済使節の交換をやられた方が私はいいと思うのです。それで自由主義陣営が腹を立てるようだつたら、それはあまりに狭量であり、永久に手を握つて行くことはできないのじやないかという疑問が国民の間に生れると思いますから、その点は御留意願いたい。  そういうわけで、今度の内閣の外交方針というものは相当の特色があることを認めるのです。従つて、従来吉田内閣のとき、しばしば、共産党は非合法化したらどうだというようなことがちらほら見えておりましたけれども、今度の内閣においてはそういうことは全然考えておらないと思いますが、その点いかがでしようか。そういう法律によつて弾圧をすることなくして、民主的な政治によつて、先ほど言われた反共政策というものを推し進めて行く、そこに味があるのではないかと思いますが、その点いかがでしようか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 御意見の点は非常に私は共鳴する点があります。共産党に対する対策としては、まず共産党の乗ずることのできないような事態を先にこしらえるということが一番必要だと私は考えております。しかし、今の具体的な案について、まだ内閣としても十分討議をしておりませんから、ただ私の考え方を申し述べるにとどめておきます。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 もう二問だけで終ります。これは社会党方面からよく論争されるのですけれども、先般インドと中共との間で、例の平和五原則、一種の不可侵協定のようなものを結んだ。これを持つて来て、日本は共産主義陣営と不可侵条約を結ぶことによつて平和を保てる、だから再軍備は反対だというようなことには、かなり威勢のいい材料に使われておるわけであります。私は、この点は非常に疑問を持つているので、ほんとうに共産主義陣営というものが、侵略性を持たないならば、何も不可侵条約を結ぶ必要はないじやないかということも考えますし、また、ソ連がかつて日本に対して不可侵条約を敞履のごとく捨てたことなども思い合せますと、インドと中共との間の平和五原則というようなものは、これは大臣はどういうふうにお考えになりますか。一種の平和攻勢ではないかと思うし、不可侵条約を結ぶこと自体が無意義である、従つて日本としてはそういう考えはないという言明になりますかどうか。この点はつきりお聞きしておきたいと思います。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 さような点は、実は非常に大きな根本問題の点に触れるわけであります。それで、とくとひとつ考えたいと思います。しかしながら、共産国の責任者から原則が言われたから、それが、われわれが解する文字通りのことであるというふうには、結論は出ないように思う。そこで、その意味がどういう意味であるか、またそれに対処する方策をどうすべきであるかということは、よほどこれは大きな問題なので、慎重に考えなければならぬ。そのことについては、まだ用意がございませんから、さよう御了承願いたい。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 それを一蹴されないで、重大な問題であり、慎重に考慮すると言つたところに、私はやつぱり重光外交のあやがあると思うのです。なぜ私はそれを聞くかというと、確かにこれは大きな問題だと思うのです。ことに中共側が台湾の解放ということを言つております。これは日本の国民の間でも、ほんとうにあれが実現するとすれば、将来は日本も危険にさらされるおそれがあると心配しておる向きが多いのであります。そういうものとからみ合せて、この際はつきり大臣からお聞きしておきたいのは、中共が台湾を解放すると言つておることに対しての大臣の所見でございます。これをひとつお願いいたします。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 解放するというのが、もし台湾を征服するという意味であるならば、これは今の状況では不可能なことだと私は考えております。何となれば、アメリカの介入があるからであります。

並木芳雄日本民主党

○並木委員 では最後に、賠償の問題ですが、賠償について、ビルマからまず始められるとのこと、まことにけつこうだと思います。その点について、大体これは前の岡崎外務大臣時代の調印になるものでありますが、特に大臣として、こういう点はもう少しこうしてほしかつたという点、大きなところでそういう点があるならばお聞きしておきたい。  それから、これに伴うフイリピン及びインドネシアとの賠償でありますが、今度のビルマ条約がこの二つにどういうふうに影響して行くか。従来岡崎外務大臣がとつておつた方針で、今度の外相もそれを引継いでやつて行つていい影響を与えると思われておりますかどうか。つまり、フイリピン、インドネシアの賠償もこれに伴つて早急円満に解決する見通しがあるのかどうかというような点についてお尋ねしたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 ビルマのこの条約は、大体においてけつこうだと私は思つています。その意味はこういう意味であります。もう先ほどから申し上げている通りに、私は、日本の外交を進めて行くめたに、日本は東亜における安定勢力だと思い、また安定勢力にしなければいかぬと思つておるのでありますが、その責任上、東亜における国、特に自由民主主義の国と国交を回復するということは、これは大前提として、非常に大きないいことだと考えております。そこに賠償問題が伴つておるのでありますが、この程度のことで解決が今日つくということは、けつこうなことであると思つて私はこれを引継いだわけであります。そうして御協力を今願いに出ているわけでありますが、これは賠償問題を片づける第一歩であります。  その他の賠償問題については、どういういきさつになつているか、とつくり研究をして、万違算なきようにいたしたいと思います。しかし、その方針はどこにあるかというと、これらの賠償問題をもでき得るだけすみやかに解決して先に進みたい、こういう考え方でやろうと思つております。

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 佐々木盛雄君。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は、先刻来、新外務大臣重光さんの外交方針などを承りまして、結論を先に申しますならば、秘密と空虚以外の何ものでもないと考えます。大臣をも含めた民主党の諸君たちは、今まで吉田外交というものを非常に攻撃なさつておつた。攻撃しておつたその吉田外交をそのまま引継いでおやりになるのであれば、何が攻撃に値したか。先刻来の同僚福田君からの質問にもありましたが、要するに、あなたの外交方針というものは、国内的な、国民をごまかすゼスチユアにすぎないのであつて、対外的な政策につきましては、依然として吉田外交と何ら寸分かわるものがない。並木君は、いささか精神分裂的な考え方からして、あなたを非常に誘導して何か答弁を求めようとしており、まるでソ連や中共に対する宥和政策を行うのが新外務大臣の使命であるかのごとくに言わせようと考えておるが、外交については先輩の重光さんが、そんなことを公開の席上で言えようはずがありません。しかりとするならば、民主党内閣の外交方針は一体何なのです。先ほどの国内向けのあなたの声明文、あるいは鳩山内閣の声明文を読みますと、中共やソ連と日本との間に国交の調整でもして新生面を開くのだということを非常に強調なさつておる。ところがあなたは対外向けの声明におきましては、今あなに自身が言明なさつたように、中共貿易には期待をしていないのだと第一声においてお述べになつておる。そうして今、日本を含めた世界を脅威しつつあるところの共産主義勢力に対しては対決をしなければならぬというような口吻を漏らされておる。その上にあつて国内的な声明だけにおいては、中ソ両国と甘木との間に、何か平和の関係が新しく生れやせぬか、あるいは国交関係を回復するのだというふうな宣伝をなさつておる、これは一片の選挙対策以外の何物でもないと思う。あなたは今日まで吉田内閣を攻撃なさつておつた当の御本人でありますから、吉田内閣の外交方針の悪かつたところと、今度のあなたがおとりになろうというところの外交方針との根本的な、基本的な食い違いがどこにあるか——どこが違うのです。今までのあなたのお考え々承つておりますと、結局一片のから念仏にすぎない、具体的な何物もない、私は失礼な話ですが、こうしか論ぜざるを得ないのです。そこで私は承りますが、攻撃なさつておつたからにはあなたに責任があるはずなのです。吉田内閣の外交方針と重光外交方針とは一体どこが食い違つておるのですか、国民の前に明らかにしてください。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は外交の根本政策として申し上げたことは今あらためて繰返しません。私はきよう申したような方策でもって、きわめて明朗に国家的の外交を推進したい、こういう心構えでおります。それがどの点について前内閣の外交方針と異なつておるかということは、今具体的に、詳細に申し述べることとは差控えまして、これから後の外交の運用について御納得を得たい、こう考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それでは承りますが、あなたは吉田外交を攻撃なさつたのですが、吉田外交のどこが欠点でございましたか、どこに失策がございましたか、どういうところがいけなかつたのか、いけなかつたところをこれから改めようとなさるのですから、今度はどういう方針でおやりになるか、私は組閣早々のあなたに、ビルマとの関係をどうする、どこどことの関係をどうするというような、詳細な、事務的なことを承ろうとする考えは毛頭ありません。しかし少くともあなたは外交界の大先輩として、同じ同僚の古田さんの外交方針を外交官出身の立場から攻撃なさつておつたのです。従つていよいよあなたの目的を果して吉田内閣を打倒して、あなた自身が外交をこれから担任されるのです。自分が外交を担当したときにやり得るだけの準備と用意なくして、いたずらに非難攻撃を加えたというのなら無責任な政治家です。基本的な点においてどういうところが吉田内閣と違つておるか、古田さんや岡崎さんの外交方針とどこが基本的に違うのか、基本的なことでけつこうですから、おつしやつてください。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は今説明を申し上げた基本の政策に基いて、国民的な明朗な外交をやろうと考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それではあなたは吉田内閣が不明朗な外交方針をやつておつた、国民の希望せざる外交をやつたとおつしやるのですか。それではどういうところが国民の希望せざるところの不明朗な外交でございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は外交政策について根本的の方策をはつきり国民の前に出して、そのことについて国民の理解を得ることに努めて先に行くことがやらなければならぬことだと思つております。私は今までそういうような努力が払われていなかつたということを批評しておつた次第であります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それでは国内向けの声明と外国向けの声明とまつたく別なものをちやんと用意をしておいた。あなたは新聞記者の質問に対して答えたとおつしやられますが、そうではないのです。ちやんと用意せられておつた新外交方針の声明文です。ここにおきまして国内向けと対外向けとまつたく相反した方向を示唆するところの声明をなさる、こういうことが一体国民の納得する外交でありましようか。あなたはソ連に長くおられてソ連外交というもの、その平和攻勢というものがどんな恐ろしいものであるかということはよく御承知であろうと思います。その平和攻勢に迎合するかのごとく、便乗するかのごとく、中ソ両国と日本との間の国交関係を調整するのだというようなそういうことでもつて大衆の歓心を求めておきながら、外国に対してはまつたく逆のことをおつしやつておる。国民に対することと外国人に言うこととはまつたく違つておるではありませんか、こういうことに対してあなたは責任をお感じになりませんか。今あなたのおつしやつた声明文を持つておりませんが、国内向けの声明文を敷衍したものとあなたはおつしやいますが、敷衍したものではない、相反した二つのものの使いわけを国際向けと国内向けにおやりになつておる。従つてあなたの外交方針というものは吉田・岡崎のラインを一歩も出るものではない、それを守ることは当然のことです。今日日米平和条約や日米安全保障体制、このラインをはずれて日本の外交があろうはずはございません。そういうことを考えますと、いたずらな人気取り、大衆に迎合するようなことをおつしやることが、国民に外交知識というものを誤らせて、その結果日本をどんな恐るべき方向に持つて行くかわからぬ、私はこの点を憂えるのです。あなたはもつとしつかりしてください。外交の基本方針についてもう少しはつきりしたものをおつしやつていただきたい、なぜそういうような使いわけをなさつたか、重ねて承りたいと思います。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今対外的と対内的と使いわけをしておるということを言われましたが、それはそうでないということは先ほど福田君の質問に対して私は詳細にお答えいたしておるのです。それによつて御了承を願いたい。しかし今言われることは少し違つておりはしませんか。対外的にはソ連、中共等に対しては何もしないということを言つて、対内的にはいかにも国交を調整するようなことを言つて国民をごまかすと言われましたが、それは反対ではありませんか。対内的のことにはそういうことは少しも言つてないのです。これは一般的なことを言つておるのです。これはもしなんなら読んでもよろしゆうございますが、そうではない、しかし対外的のことについて世界の平和を進めて行き、世界の各国と友好関係を進める、こういうのだから、日本とまだ平和関係を樹立していない国に対しても、平和関係を樹立する機会があるならばこれはけつこうなことだ、こう言つておるわけです。それだけ申しておきます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は三百代言みたいなことは聞きたくないのです。鳩山さんや重光さんの談話でも明日持つて来てお目にかけてもけつこうですが、明らかに中ソ両国の調整ということをあなたは大きなスローガンとして掲げておるのです。しかしこの外国向けのステートメントにおきましては、今あなた自身がここで声明なさつたように、中共貿易なんか大して期待は持てないのだ、こうおつしやつた、それからまた日本を脅威しつつある共産主義の勢力に対しては断固たる決心を持つてしなければならぬ、そういうことが明らかに書いてあります。それではまつたく相反することではございませんか。私は重ねて承る。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 ちよつとよくわからないのですが……。これには断固としてなんということは一つも書いてない。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 国内向けの談話やその他におきましては、中ソ両国と日本との間のその調整をはかるのだということをあなたはおつしやつておるのでしよう。おつしやつていないのですか。ここには新聞記者の諸君たちもたくさんおりますが、あなたはそれをおつしやらなかつたのですか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それは今あなたが問題にされておる私の声明にはないのですよ。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それではこの際はつきり承りますが、あなたは中ソ両国と国交調整をはかろうという意思はないのでございますね。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は今申し上げる通りに世界の各国とは友好関係を樹立したい、それが世界の平和に貢献するゆえんだと考えておる。だからまだ日本との国交も開けていない国とは、でき得るならば国交を開くように進めて行きたいと思う。しかしながらそれは希望であり目安であつて、今中ソとただちに国交を開くことを提議しようというようなことは考えておらぬのであります。それは当然のことであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は繰返し繰り返しは申しません、最終的に承つておきたいのですが、鳩山さんもおつしやつておるのです。あなたもおつしやつておるのです。少くとも満天下の新聞は一斉にあなたや鳩山さんの談話として、中ソ両国との国交調整ということについては非常な熱意と抱負をお持ちのように伝えておるのですが、このことはそれでは誤りでございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今申す通り、国交のない国とはイデオロギーのいかんにかかわらず国交を回復し得るように進めて行きたい、こういうことは事実です。しかしそれ以上、それなら今どうするという提案をするということを私は申し上げたことはないわけです。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それじやこう了解してよろしいですか。中ソ両国との調整を進んでやろうという御意思がないものと解釈してけつこう、ございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 今日その提案を持つておらぬということを申し上げます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それだというと、どうも今まで並木君に対する御答弁と、あなたが新聞記者などに語つておられることは、相当食い違つておるように私は考えますが、それ以上そんなことを問答いたしても始まらぬと思いますから、あなたの御良心に私は訴えるだけです。  私は重ねて承りますが、そうすると外交の根本方針につきましては吉田・岡崎のラインと大してかわるところはないのでございますね。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私はこの席で吉田岡崎外交がどういうものであつたかということを申し上げることをいたしません。しかし私は今申す通り、東亜の平和及び進歩に対して日本が安定勢力の一つとして貢献したい、それによつて世界の平和を増進したい、また各国との間に友好関係を設定して行きたい、この基本的の外交方針をもつて進むことを重ねて申し上げます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 そういうことだつたら吉田さんも岡崎さんも再三言い古した言葉で、われわれは聞きあきた言葉です。いささか表現が違つているだけで、同じ内容のことを吉田さんは繰返し今日まで言つておつたのです。従つてあなたの外交方針は中身は何もないということと同じことだと思う。  ところで日米安全保障条約や日米平和条約、従つてアメリカとの集団保障、こういうことは吉田さんの内閣の時代において自由主義国家に公約したことだと思うのです。この基本方針をおかえになる意思は毛頭なかろうと思いますが、その点はいかがでありますかということと、もう一つ、中共を講和の相手としないという吉田・ダレスの書簡というものがあることは御承知だと思う。それもそのまま御継承になるのでありますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 アメリカとの関係はもう平和条約並びに安全保障条約で根本はきまつております。この線で行くということは、これはどの内閣ができてもかわることはないと私は思う。従つて私もそれによつて進めます。それから何の書簡ですか……。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 中共を講和の相手としないという吉田とダレスの交換書簡があるのです。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それは私は知りません。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 お知りにならないということはまことに驚いたことです。これは書簡であつてもまさに条約と同じような効力を持つたものであります。これはみな知つております。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それは発表されておりますか。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 だれも知つております。知らぬ者はありません。ところがこの中に盛つてありますところの中共というものを講和の相手としないのだ、それから日本は台湾政府との間には御承知のように平和条約を結んでおります。この中共は講和の相手としないという基本的な方針というものは、あなたがその書簡の内容を知る、知らぬにかかわらず、その方針を踏襲なさるお考えでございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私はその書簡の存在を知りませんから何とも申し上げられません。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私は電光さんは多年の外交的経歴を持たれたりつぱな外交官の出身であつて、常に外交問題について深い研究をなさつておられると考えておつたのですが、その点につきましては大きな失望をしました。しかし中共を講和の対象としないという——それでは講和の相手としてもいいというようなお考えでございますか。あなたはもう大臣になられたのですから、自分の所信くらいは国民の前に明らかにして——具体的な政策について承るのではないのですから、基本的な日本の外交についてあいまいのことを言つておられては国民こそ迷つてしまうのです。中共を講和の相手としないというその趣旨は御賛成でございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 その点については私は先ほどから繰返し申し上げている通りであります。世界各国との間に友好関係を設定して世界の平和に貢献する、世界の安全もしくは安定のためにいいことはやろう、こういうことは当然のことであります。これはイデオロギーの問題でないと私は心得ております。それ以上のことで、今中共とどういうふうにその関係を処理するかということについては、私は今申し上げた通りに、中共との関係はまず貿易の問題ということをできるだけ進めることがいい、こう考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 あなたは今から一時間もたたない前に、中共の貿易には期待を持つていないと言明なさつておきながら、今その期待をしない範囲内において中共貿易を進めよう、こういうお考えですか、もししかりとすれば、中共貿易は、そこに活路が開かれても微々たるものであつて、日本に益するところきわめて少いものである、こういうことにならざるを得ぬのでありますが、いかがでありますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 先ほどその問題について私の考え方を申し上げた通りであります。すなわち中共貿易について非常に大きな期待をするということは困難であるということは、これは見通しであります。それは甘木が今日まで共帝国との貿易について多年の経験を持つております。それからでも言えます。しかし期待通りに行かなくても——期待通りと申しますか、非常に大きな期待をかけることができなくとも、できるだけの範囲内において進めるということは、当然のことであるということは先ほどから申した通りであります。これは少しもかわることはございません。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 あなた方は今まで中共貿易というものを特に取上げておつしやつて、期待のできないものを人の前にぶら下げて、これから中共貿易の政策を大いにやるのだというようなことをおつしやつたことは、ほんとうに羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいです。中共貿易に対して期待を持てないことは、吉田さんや岡崎さんももう何回となく具体的な数字でもつて説明して来ておつた通りです。それをあなた方は攻撃なさつておつて、中共貿易に活路を開かなければならぬというようなお話だつたのです。ところが大臣になつてみると、やはり中共貿易には何の期待もできないのだという結論なのです。私は唖然として言うすべを知らないのであります。  先ほどにもう一回返りますが、基本的なことだから承つておきたい。私は民主党という政党の性格からいつて、この中共との講和というようなことについてどのようにお考えになつておるか。吉田さんとダレスさんの書簡の内容を知るとか知らぬとかいう問題ではなくて、その内容というものは明らかに中共は講和の相手とはいたしませんということなのです。これは間違いないのです。そういう趣旨であなたはそれを踏襲なさらないのですか。それは反対だ、考え直してみなければならぬ、こういうお考えですか。基本的なことだからひとつおつしやつていただきたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は今のような秘密な吉田書簡の存在を承知いたしておりません。公表されておるものならば知つておるわけでありますけれども、公表されていないので、私はこの点は承知いたしておりません。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 日本と国民政府との間には、正式に公表されて、平和条約が結ばれておることは御承知の通り。そこでそれでは日本は国府を全中国を代表する政府として認める、中国を代表するものは国府であるという考え方は、これは前の内閣と同じでありますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 さようなことは内閣がかわつてからすぐかえられるものではございません。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 当然なことです。当然過ぎたことをあなたは当然でないようにおつしやる。知らないというようなことをおつしやるから承つておるのです。三才の童子でも知つておることです。  そこであなたの先ほどのお話を承つておりますと、世界の平和が確立されるのは力の均衡が保たれたときである。つまり表現はいいか悪いかしりませんが、武装平和と申しますか、二つの陣営が相均衡した武装状態にあるときに初めて平和が確保されるのだ、こういうものの考え方にアメリカや自由諸国は立つておるのです。あなたもそのことをお認めになつておるのですか、その点はいかがでございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私の申し上げたのは、今共産陣営と民主陣営との間にはげしい争いが続いておる。これを冷たい戦争と世の中は称しておる。そうして今その陣営の間において、それは共産主義の方面からの言葉でありますが、共存ができるかできぬかというようなことが言われておる。しかし共存は事実上今は行われておる。今日は共存しておる。両方とも存在しておる。これはどういうことで存在しておるかというと、力の平均によつて共存が行われておる。こういうことを申し上げたのであつて、その力というのは、武装とかいうような武力だけではないということも、私が説明した通りであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 武力だけが唯一の力ではないにしたところが、今日武力が最も大きな部分を占めた力であることは間違いございません。そんなことで妙な言葉のやりとりをする必要はございません。すべての常識の世界で判断できることです。  そこであなたは自衛力を整備するとともに国際緊張の緩和をはかるということをおつしやつておるのですが、自衛力を整備するということと国際緊張の緩和をはかるということの間に、私は解釈の仕方によつては何か食い違いがありはせぬかと思うのですが、自衛力を整備するということは自衛力を増強するということでございますか、自衛力を少しでも減らして行く、こういうようなことでございますか。今日の行き詰まつた国際関係の中で、日本が自衛力を減少するというようなことによつて世界の国際緊張の緩和をはかる、こういうようなことを言つておる人もたくさんあるのです。現にそういうような説が行われておるのです。あなたが自衛力を整備して国際緊張の緩和をはかると言うことはどういうことなのですか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 これは外交上の常識を持つておれば当然考えられることでして、自衛力がなければ国際の関係はすぐ緊張する、こういうことで今の国際状態で自衛力のないようなところであつたら、すぐいろいろな問題が起つて来るという状況である。これは遺憾ながらそういう状況である。それはそういうことです。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 そうすると外務大臣の考え方は、やはり依然としてその力の均衝の上に平和が保たれるというお考えに立つておるのですが、そこであなたと同じ閣僚の中の鶴見厚生大臣のごときは、自衛力も大事だけれども、自衛力よりもまず社会保障だ、自衛力の問題は社会保障が完備されて後のことだ、こういうことをおつしやつておる。また元の改進党を主としたところの今の民主党の方針というものは、憲法改正、再軍備、日本における最も勇敢な政党であつたのです。その点において私も敬意を表しておるのです。ところがどうも最近の一般の印象を見ますと、鶴見さんの言葉にあるごとく、これは選挙対策であるかもしれませんけれども、自衛力よりもまず社会保障が大事だ、社会保障ができてから自衛力だ、これは社会党のスローガンと同じことです。非常に右と左が一致してしまつたようなことになつておるのですが、この点についてはどんなふうにお考えになつておるのですか。自衛力はますますこれから強化する必要があるというふうにお考えなのですか、そうして遂には憲法の改正もしなければならぬと、こういうふうにお考えなのですか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 自衛力は、私先ほど申し上げる通り、力はただ武力だけではない、国の全体の力が進んで行かなければならぬ、こういうことを申し上げたのですが、おそらく鶴見君の考え方も、つまり社会保障の必要を力説せられるのは、さような国家全体の力を増進する、また整える意味において、それを言われたことだと、私はこう考えます。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 結論をお聞きしますが、自衛力はもつと増強する必要があるとお考えですか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は自衛力はこれを持たなければならぬと考えております。そのために現状で満足すべきであるかどうかということについては将来はいろいろ考究をし、政策が行われるだろうと思います。しかし全体からいえば、私は自衛力はまだ非常に乏しいと考えております。これは私の考え方である。自衛力というのは、それがために将来はこれまでと違つて日本の産業政策も改めなければならぬ、力をこしらえなければいかぬ、国内の状況も一層秩序立つた方向に進めなければならぬ、そういうふうに考えておるわけであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 自衛力は乏しいというお考えでありますから、乏しいということは、従つて将来は増強する必要があるということなのです。同じことだと私は思います。そこで最近私はちよつとふしぎに感じておることでありますから、民主党の外務大臣に承つておきますが、民主党では最近憲法改正ということはもう看板をおろしてしまつたのですか。憲法改正という御意思はないのでありますか。これは外交問題にもきわめて重大な関係のあることでありますから、この際ひとつ明らかにしておいてもらいたい。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私から憲法の改正問題を今ここで取上げて申し上げるということはどうかと思います。従いまして私の私見を申し上げます。私は占領時代に行われた施策はこれは再検討しなければならぬという考え方を持つております。再検討というのは、独立した後において自分自身の自主的の考え方でもつてそれを考え直してみて、その上で改正しなければならぬというものがあるならば改正する、改正することを要しない、将来日本のためにいいものであればこれはとつておく、これが必要だと思います。これは私は日本の独立に伴う当然の結果だと思つております。私はあくまでも日本は自主性を持つたりつぱな独立国として建設をして行かなければならぬと考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それでその自衛力と憲法改正との関係はいかがでございますか。あなたは日本の自衛力は今日乏しいとおつしやつている。乏しいものを完成する必要があることを御痛感なさつていると思います。従つて完全なる日本の再軍備ということになりますならば、当然憲法改正ということにおちつくことは申すまでもないわけであります。この点についての御所信は堂々とお述べになつてけつこうだと思います。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 これも私の私見を申し上げます。私は独立国である以上は自衛力は持つていると解釈しております。自衛力のない国は独立国ではないのであります。憲法問題は起らぬと考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 自衛力を持つているから憲法問題は起らないというところは私はもう少し御説明を願いたいと思います。いかなる国でも何らかの自衛力があることは当然のことです。自衛力が場合によつては実際的にいかに乏しいものであつても、権利があるのだから従つて何らかの力があることは当然のことであります。自分で自分の国を守るという本来固有の権利がある限りは、何らかの力があることは当然のことです。これはどうですか。今あなたのお説は日本の自衛力は現に乏しいのだ、乏しいということは日本の独立国としての自衛力にはふさわしくないのだ、いつの日かこれを自分たちの本来欲するところまで持つて行きたいというお考えだと思います。そのときにあなたは憲法は改正しないで、現行憲法の範囲内において自衛力の増強は可能だというお考えなのでございますね。現行憲法の範囲内において軍備を持つこともかまわぬというお考えでございますね。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私はその問題については、法理的にどう解釈するかということは、まだ新内閣では検討されておりません。しかし私はこう考えております。日本はサンフランシスコ条約によつて独立したのであります。独立した以上は自衛権は持つている。自衛権のない独立国は国際法上、国家法上ないわけであります。自衛権がある以上は自衛に必要なる手段をとらなければいけない。当然これは独立を認められたときにおいてさような日本は人格を与えられたことを私は信じて疑いません。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 重光さんのお話を伺つておりますと、どうも私とあなたのピントが合わないようでございまが、そんなことは失礼な話ですけれども、先般私も承知をいたしております。私は憲法改正のもつと具体的な点ですが、あなたの今のお考え方から行くと、日本はこれから自衛力を増強して行つて、もつと本格的な再軍備をしても憲法は改正しなくてもいいというお考えに私は到達すると思う。実は重光さん今お話のようなことは、私たちの頭がもう少し進んでいるというか、考え方がもつと先のことを考えている。そういう禅問答的な段階は、今日私にとつて何らの益することはないのであります。結論を申しますと、今の憲法の範囲内においても自衛権はあるのだから再軍備をしてもかまわぬじやないか、こういうお考えだろうと思いますが、そうでございますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 私は再軍備とは申したことはございません。自衛軍備と申しております。これは自衛権に伴う当然のものであります。それはできると思います。これが私のとつて来た解釈でございます。しかしそれと異なつた解釈があることも承知しております。自由党なんぞは異なつた解釈。ただ誤つておつた。それならなぜ日本は独立したのか。独立を否認するような議論を私はやるわけに行かぬ。しかし憲法の問題は別です。今申す通りに占領下の時代の施策を再検討して、いいところをとつておいて悪いところを改めるということは当然のことだと思う。私は憲法もその一つであると私自身は思つております。しかしそれは軍備の問題と関係はない、こう考えております。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 私はどうも納得ができないから承るのですが、今あなたは自衛軍備は今の憲法の範囲内でも持てるのだ こういうお説だと承るのですが、結論だけでけつこうですが、そうではないのですか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 そうです。

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 佐々木君に申し上げますが、十分時間を差上げたのですからもう……。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 これで終ります。今の重光外務大臣のお言葉、あなたのお考えになつておりますことは、今の憲法の範囲内においても自衛軍備はかまわない、当然それは持つべきだということに承りますが、それはその通りであるというお話でありますか。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 それは私は改進党時代からそういう説をとつて主張して来たわけであります。

佐々木盛雄自由党

○佐々木(盛)委員 それからもう一点、最後に、私の質問を打切るにあたつて、重光さんは長らくソ連問題などを御研究なさつているから私ひとつお教えをいただきたいと思うのでありますが、今あなたはイデオロギーに関係なく、どこの国とも国交調整をはかつて行くのだというお考えでございましたし、また一面におきましては日本が世界を脅威する共産主義国に対しては相当の決意をもつて当らなければならぬというお話もこの声明の中にもありますが、ここで私は私の乏しい考え方から申しますと、共産主義の国との国交調整というものは、イデオロギーを離れて私はないと思うのです。共産主義国の世界政策というものは、共産主義の世界を打立てようという世界観の上に立つて政策を繰り広げているのでありますから、従つてそれとの間の国交調整をはかりますときには、イデオロギーを離れたものは私はあり得ないと思います。民主党はこの外交問題のみならず、たとえば労働問題なんかにおきましても、共産主義の人々やあるいは非常に極端な左翼の人々とも話し合えば話がわかるのだというような考えを、談話の中で発表なさつているのを承りました。これはどうも共産主義などに対する考え方が非常に皮相な甘い考え方であつて、共産主義というものの立場から言うと、西欧民主主義のような考え方を持つているのではないのですから、そういう人々に話せばわかるというような考え方では、労働問題でも外交問題でも私は失敗に終るだろうと思う。しからずんばまんまと彼らの手に乗ぜられてしまう結果になるのじやないかと私は憂える。しかしながらあなたはイデオロギーと関係なく十分にその御調整がやれるのだという考えのようでありますが、これは考え方の相違でありましようが、ロシヤにおられて経験も多いのでありますから、この点についてあなたのお考えを承つて、私の質問を打切ることにいたします。

重光葵日本民主党外務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○重光国務大臣 まことにそれは私は根本的な問題だと思います。その点は非常にいろいろ考えなければならぬ点だと思います。しかし共産主義及びこれにははつきり反対する、こういう態度は、これは日本としても、それからまたわれわれとしてもはつきり反共の線で行つておるということは申した通りであります。この点については少しも誤解のないように願います。しかしそれと共産主義国である国との、国と国との関係をどうするかということは、これは現実の問題であります。それはよほどそこに実際問題として区別があると私は考えております。もしそうでなければ——共産主義の国であつて、これと国交を開くという一例をあげましよう。国交を開く以外にいろいろ方法はありましようが、それであるとするならば、過去において日本がソ連と国交を開いておつたということは、これは全然、何というか政策的に見て否定しなければならぬ。今日イギリスでも、どこでもと言つてもおかしいが、たとえば顕著な例はスイス、スイスでもちやんと国交を開いておる。それではスイスが共産国になつたかというと、そうではない、反共です。これは反共です。最も適例をあげればインドであります。インドと共産諸国との間には国交を開いております。そうして外交上にはいろいろな有益な役目をインドがしておるということは、これは御承知の通りだろうと思います。しかしインドは反共であります。インドは国内的には反共であります。しかし国交は開いております。それだから、私は共産国とすぐ国交を開こう、こういうことを今ここに提言するわけでは少しもございません。これはまだいろいろ前提として処理しなければならぬことがたくさんございます。また向うの、先方の態度、意向ということが非常に関係をいたします。そのうちには今言われる通りにこの共産主義というものの基本的の性質にからむいろいろなことが起つて来るだろう、こう考えます。だから私はそういうことを考慮しなくてもいいということは一言も申したことはない。考慮すべし。しかしながら国と国との関係は、実際問題としてはイデオロギーを別として実際の利害関係を持つわけです。従つて中共との関係において、国際義務に違反することはむろんできない。また国際的の協調をも重んじなければならぬ。日本は自由民主主義の陣営におるわけです。しかし貿易のごときは、過去日本の経験に見てもロシヤとの間に若干の物々交換はできるわけです。希望通りに行かなかつたことは私が申し上げた通り。しかし希望通りに行かなくてもやり得るかもしれない。それはやつたらよかろう、こういう考えを持つておる。今一足飛びに国交調整、外交関係を開くということを私は提言をするわけでも何でもございません。外交関係を開くようになるには、よほどまだ前提条件があるように考えます。たださような方向で——しかし日本は将来世界のために平和的の貢献をしたいという大きな見地に立つて、さようなことも実際的に考えを進めて行くことが当然の国家の進路でなければならぬ、こう考えておるわけであります。

喜多壯一郎日本民主党

○喜多委員長 明日は午前十時半から開会することとしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会

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