通商産業委員会 第1号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/12/02
会議録
○委員長(石原幹市郎君) 只今より通産委員会を開会いたします。 先ずお諮りいたしたいと思いまするが、今回委員の異動に伴いまして理事が欠員になつておりまするので、この際理事補欠の互選を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認めます。つきましてはこの互選の方法は成規の手続を省略して委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認めまして、私より西川彌平治君を理事に指名いたします。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に閉会中継続審査になつておりました技術士法案、それから中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律の施行に関する法律案、砂利採取法案並びに通商及び産業一般に関する調査についてお諮りいたします。 これらは閉会中審査或いは調査を続けて来たのでありますが、未だ完了するに至つておりませんので、参議院規則第五十五条によりまして閉会中の審査未了報告書及び調査未了報告書を提出することになつておりますから、これらを提出いたしたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) それではさよう決定いたします。なお未了報告書の内容、手続等については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認めます。それではさよう決定いたしました。 それから議長に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので御署名を願いたいと思います。 多数意見者署名 加藤 正人 西川彌平治 小松 正雄 青木 一男 小野 義夫 酒井 利雄 深水 六郎 河野 謙三 森田 義衞 三輪 貞治 團 伊能 武藤 常介 石川 清一 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次にこの臨時国会中における委員会運営に関する件でございまするが、先ほど申上げました継続審査になつておりまする法案が三つございます。それから今国会に提案を予定されておりまする法律案といたしまして、昭和二十九年八月及び九月の風水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法案、これは政府提出の予定であります。それからもう一件昭和二十九年八月及び九月の風水害に伴う中小企業信用保険法の特例に関する法律案、これは大体衆議院のほうから議員提出になる予定であります。その他一般通商及び産業に関する調査の案件でございまするが、これらを如何いたしまするかお諮りをいたしたいと思います。 ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(石原幹市郎君) 速記を始めて。 先ほどお諮りいたしておりますこの委員会の今後の運営に関する件につきましては、それでは理事会のほうで相談することに御一任願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないようでありまするから、さよう取計らいたいと思います。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) それからなお明日は政府提案の予定になつておりまする、昭和二十九年八月及び九月の風水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法案につきまして、政府から提案理由の説明を求め、予備審査をいたしたいと思います。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に派遣議員の報告に移ります。 御承知のごとく電源開発会社は本年九月を以て創立二カ年を迎え、開発工事も最盛期に入つておりまするので、休会中にこの調査をいたして参つたのでありまするが、庄川上流の御母衣地点につきましては開発地点に決定後二カ年を経過して今なお工業着手に至りませんので、地質、補償等についていろいろ問題があるように聞きましたので、先月下旬に委員四名にて現地調査をいたしたものでございます。調査に派遣された委員の報告をこれから求めたいと思います。
○藤田進君 御母衣発電所ダム及び庄川下流発電増加に関する調査の結果を御報告いたします。 本問題につきましては去る十一月十二日の当委員会におきまして電源開発会社の藤井副総裁から一応の説明を聴取いたしたのでありますが、御母衣につきましては技術上或いは補償などについて今なおいろいろと問題があるようでございまするので、石原委員長、酒井委員、天田委員及び私の四名が十一月十九日東京を発しまして、二十日には御母衣関係地区、二十一日には鳩、ケ谷関係地区及び下流発電所を視察いたして、又現地における関係者の意見なども詳細に調査して参つたのであります。以下主な事項について順次御報告いたします。 御母衣発電所の設計、及び地質調査の経過。今回の現地調査の主目的でありまする御母衣のダムの計画及びこれに伴う地質調査の経過につきましては、先般の当委員会におきまして電源開発会社の藤井副総裁から説明がありましたが、私どもが現地におきまして諸艇の事情を調査した結果から見ましても、地質調査の経過が御母衣におきます諸問題の中軸をなすものであると認められまするので、先般の説明と一部重複はいたしまするが、先ずこの問題から報告いたします。 御母衣地点は日発時代から木谷地点として堰堤水路式の水利権を有していたのであります。電気事業再編成後は関西電力に譲渡され、同社では福島下流地脈におきまして試掘横坑を以て調査の上十万二千キロワツトのコンクリートダム式発電所として水利使用変更を申請中に電源開発会社の創立があり、次いで、昭和二十七年九月二十七日の電源開発調整審議会におきまして糠平、猿ケ石、胆沢、西吉野と共に電源開発会社の開発地点に指定されたのであります。その際関西電力の計画は変更され、ダムの高さは十メートルを増しまして、百三十メートルとし、最大出力も十四万二千キロワツトに変更して指定されたのであります。この決定に基き関西電力は水利権を電源開発会社に譲渡し、同年十月から電源開発会社の富山建設所において業務を継続して来たのであります。審議会が指定に当りダムの高さを原設計より十メートル上げましたことは当時の情勢から大規模開発の効果を狙つたものと思われますが、開発会社が建設所として現場業務機関を開設したことと共に当時における関係者がその後に起つた地質問題を予想もしていなかつたことを示すものであります。開発会社に譲渡されましたあとも同社により福島地点につきボーリング横坑、竪坑、弾性波などにより地質調査が続けられたのでありますが、その主力であるボーリングによつてコーアが採取できないなどの悩みがありまして、地質上の不安があり、昨年三月に現地を調査したニッケル博士の勧告によりまして地質調査の範囲を拡げて五月より福島地点の上流約八百メートルの秋町地点にボーリングを行いますと共に八月より同博士の勧告により福島地点二カ所に河底横断トンネルの開墾に着手、それらの進行に伴いまして福島地点河床右岸沿いに傾斜四十五度乃至六十度の大断層があること、秋町地点には左岸に更に大なる断層破砕帯のあることなどが明確となつたのであります。これにより秋町の調査は中止して福島地点の調査に戻り、その後におけるロツクフイル・ダム用ロツク及び粘土の所在の調査の進展を裏付けといたしまして、本年六月のサベージ博士の報告により技術的にも経済的にもコンクリート・ダムよりはロツクフイル・ダムを採用すべきこと、この地質条件においても現在計画の高さのダムを安全に構築し得ること等が明らかにされ、社内的にはロツクフイル・ダムとしての設計及び施行法が検討されているのであります。 以上申述べましたごとく本地点の調査及び設計に会社当局者は非常な苦心を重ねているようでありますが、その余波として、補償問題に大きく響いていることは後に申上げます。 本地点が日発時代より調査され、福島地点で合計二百本近い多くのボーリング又は試掘が行われているのでありますが、電源開発会社の工事着手の決意が遅れた理由は、資金事情を別としますと、地質、特に右岸の岩盤が一般的に悪く、その上に断層の所在位置が通常行われる試掘又はボーリングでは発見しがたい位置にあつて、而も昨年漸く確認された断層破砕帯の厚さが十メートル乃至四十メートルという稀に見る大きなものであつたということにあるようであります。併しながら昨年四月のニツケル博士の河底トンネルによる調査の勧告は多年に亘る地質上の疑問を明らかにし、又本年六月のサべージ博士報告は、ロツクフイル式によるダム構築の可能性を明らかにしています。併しなから我が国のごとく地震国において世界にその例を見ない高ロツクフイル・ダムの構築についてはなお検討の必要があるものと思料されます。 発電所及び水路につきましては、一般発電所案と二段発電所案とにつき現在研究されておりまして、前者につきましては地形及び経済上から地下発電所となりまするので、候補地点につきボーリングを実施中であります。 御母衣の補償問題。御母衣の貯水池計画は湛水面積約九平方キロメートルに上り、荘川村及び白川村の合計戸数千二百六十戸に対し三百三十五戸が水没する予定でありまするから、その補償問題は相当大なるものがあります。この問題をめぐり水没該当者が賛成派と反対派に分れて抗争を続けて来たところ、前述の通り地質調査のために着工が遅れ、反対派の気勢を強めて賛成派が窮地に陥つているというのがその特徴であります。二十七年十月に御母衣を開発地点に指定する旨の官報告示が出ましたときから荘川村の反対強硬派はこの工事をやめさせて見せるとの目標の下に死守会を結成し、委任状の取集めを行うと共に、村の要所々々には電源開発反対死守の木標を建てているのでありまして、これに対して会社側の補償交渉も建設所設置の当初は活撥に行われまして、二十七年十二月には第一次の分として四十一戸、金額にして五億一千八百万円の補償契約が行われ、二十八年三月から四月にかけて会社側は協力派に対して移転準備費を支給し、同年五月十六日に進藤前副総裁が協力要請のために現地に出張しております。然るに第二次補償契約は第一次より一年五カ月遅れた本年四月十二日に行われ、七十二月分一億九千万円の契約が行われ、第三次分としては五十三戸二億九千万円分の資料が本年十月に現場から本社に提出されているのであります。この間の会社側の事情につきましては後ほど述べることといたしまして、私どもが現場において協力派の代表者である秋良義人、清都賛平ほか三君から聴取しました陳情は参考となりまするので、次にその要旨をお伝えいたします。「水没は国の要請ならば仕方なく賛成するもので、二百三十世帯を代表する。第一次契約の四十一戸は移転を完了し、第二次分七十一戸は目下移転中である。移転を希望する者は二百三十世帯であり、これらを済ませば土地において七五%、家屋において八五%が済むはずである。官報告示以来工事は着々と進むものとして協力したが、断層のために工事が遅れている。賛成派は人数において反対派より多く、反対派中にも内心は賛成の者もあるが、反対派には村の有力者が多く、賛成派は村八分に会つている。村を出たいが、会社に交渉してもダムサイトが決定しないと補償に応じられないと言つている。このような状態で放置されては困るから政府も会社も今後の方針をはつきりさせてもらいたい。牛丸地区には開拓可能の土地もあるから今後の計画を樹立してもらいたい。小坂総裁就任により御母衣開発延期の談話が新聞に出たら反対派は非常に強くなつた。」賛成派の意見と共に反対派の意見も聞きたかつたのでありまするが、その機会を得なかつたことは遺憾であります。併しながら現地における見聞によりますと、反対派は自分たちが反対だからダムはできないという前提で官報告示後も新建築を行なつている由であります。これらは工事実施の際に問題となることと思われます。 補償に関する客観情勢は大要以上の通りでありますが、昨年五月の進藤前副総裁の協力要請以降において会社の補償に対する態度が消極化していますので、その原因につき調査を進めましたところ、昨年七月二十八日附で総裁より富山建設所長宛に、「御母衣調査所業務運営に関する件。今般首題の件に関し、緊急にダムサイトを決定する必要ある現況に鑑み、別に指示するまで土木調査に専念し、調査に直接関係のない業務は原則としてこれを見合せることとしたから、右趣旨に副つて所要の措置を講ずることとせられたい。」という指示がなされているのであります。更にこの指示の前日附にて会計検査院より、「一、ダムサイト調査中の補償の進行は行過ぎではないか。二、合宿所の建設は早過ぎないか。」の二項目の質問を受けているのであります。これは同年六月下旬に行われた会計検査の結果でありまして、地質調査の経過と照合しますとニツケル博士の勧告により秋町のボーリングを行なつた時期であります。当時の状況としてはダムサイトが大きく動揺していた際でありまするから会計検査院の質問も無理のないことであり、この質問を受けました翌日に前述の総裁の指示が出されています。この状態において行われました本年四月の第二次補償契約は賛成派中で迫害を受けることの特に著しいものを選定して行われたとの説明がありました。第三次についても総裁通達が生きている限り現場としては本社に対して要求する権限はなくて、資料として本社に提出した形をとつています。 補償の実施については資金関係の重要なことは申すまでもないことであります。電気料金原価の主要部分を占める建設費の切下げは国民が等しく望むところでありまして、最近における補償費の増加傾向を防ぐために法的措置を構ぜよとの声も強いのであります。特に電源開発会社は国家資金によつて運営される関係から補償費の支出に慎重であることは当然であります。資金繰りの面から見ましても創立初年度において年度繰越を懸念されたのは昔の夢であつて、各所工事の最盛期を迎えた現在では資金繰りの面からも開発方針の確立せぬ御母衣に資金の投入を差控える立場はわかるのであります。併しながら御母衣開発の告示は公表されたままであり、これを契機として派生した御母衣問題については、政府及び電源開発会社において善処が望まれるのであります。而してその前提条件としては地質調査の主要な作業は、おおむね終つているようでありますから、今後当計画施工の可否に関する方針を速かに確立されるよう希望するものであります。又会社の態度決定を保留する理由が主として資金の見通しにあるということでありますならば、これだけの大調査をしたのでありますから、技術的結論だけ切離して公表し、その結果に従つて官報告示によつて派生した現地協力派の措置、竣工期限の是正等の事後措置を明確にすることは、電源開発促進法第十三条の趣旨に照らして当然のことと思うのであります。又政府側におかれましては電源開発調整審議会に提案して、本地点を開発地点として決定された責任上、その後の調査経過を十分に調査し、本地点に対する措置をする必要ありと思うのであります。 次は鳩ケ谷発電所工事に関して報告いたします。鳩ケ谷発電所は本年四月の電源開発調整審議会によつて決定され、関西電力によりまして、本年十月二日より実質的に工事を進めております。白川村大牧に高さ六十二メートルの堰堤を設け、水は左岸の内径五メートル、延長約四キロメートルの圧力トンネルによつて同村飯島に建設される発電所に導き、最大使用水量五七・五立方メートル、有効落差八十一メートルで四万三百キロワツトを発電する計画であります。本発電所は下流の椿原、成出と共に御母衣計画を予想して設計されたものでありまして、現在工事中のものは御母衣貯水池のない場合に相当し、導水路一本、発電機一台にて前述の発電を行うものでありまして、工事予算は約六十二億円であります。御母衣の貯水池ができた場合には、導水路一本、発電機一台を増設して出力を倍加する計画でありまして、これに要する工事費は約十六億円と見込まれております。 鳩ケ谷における補償問題。鳩ケ谷における補償は御母衣の場合と相当趣を異にしておりますが、工事を現実に進めております関係から、補償は全般的に順調に進んでおりますが、一部にいわゆる補償目当と思われる施設の存在することが特徴であります。以下順を追うてその概要を御報告いたします。 第一には天生峠道路工事費七千五百万円の支出であります。白川村は現在の交通状況より見れば、細尾峠を越えて城端町に出るのが順路でありますが、冬季五カ月は雪のために交通杜絶するのが例でありまして、冬でもとまらぬ交通路を得たいというのが村民の念願でありましたが、鳩ケ谷発電所工事を機会に、前述の目的を達するために天生峠道路改修工事の要求が出たのであります。これは高山線の角川駅につながる道路でありますが、峠の部分は現在林道でありますものを、当初は四キロメートルのトンネルで貫けとの要求でありました。併しながら、この要求は地質及び完成後の保守管理の面から、県当局の賛成が得られず、結局県道規格による道路に改修するということで話がまとまつております。これに要する工事費は約一億五千万円でありまして、その半額を関西電力が負担し、別に白川村負担分の三千万円は発電工事に必要な村有地及び立木の提供を条件としてやはり関西電力が負担することとし、本年三月に会社と村当局との間に契約を結んでおります。発電工事と関係のない天生峠道路工事費の支出は第三者より見て奇異の感に打たれるのでありますが、会社当局はこれにより地元を協力態勢にし、又資材輸送費の節約にもなると説明されております。 以上のごとく村に対する協力態勢を確立して補償を進めました効果で、本年三月から始めた私有土地家屋の補償はおおむね順調に進んでおります。土地につきましては約七十四万坪の必要数のうち三十七万坪即ち五割を終り、特に大枚の調整池地点については七割五分を終つております。家屋につきましても大牧では二十五戸中の十二戸を終り、九戸は目下話合中であります。家屋の中で問題となるのは湛水地域となる稗畑の三十八戸の新設家屋であります。これらの家屋には電燈もなく、その四分の三は人も住んでいないとのことであります。中には借地契約未了のものもあり、補償目的であると自認する者も多い由であります、かような事例に対しては補償に関する立法に当り厳重なる対策が必要と思われるのであります。 いま一つの問題は東海鉱業の鉱業権であります。これはダム工事上不可欠の位置に坑口を開き試掘を行なつているのであります。この試掘権の認可は二十八年八月十四日であり、大牧にダム設置のための水利使用変更認可は二十九年十月十五日、同申請は二十八年十一月十日でありますから、表面的には鉱業権の優先が成立するのでありまするが、水利使用に対する届出には相当の期間と精密な調査を要し、而もこれが地元の了解の下に公然と行われるものでありますから、悪意を以て先廻りしようとすれば容易にできるのであります。今回の事例については名古屋通産局が斡旋に当つている由でありまするが、今後各種の立法に当り考慮を要する事例と思われるのであります。 次に下流発電増加に対する負担の問題を報告いたします。鳩ケ谷発電所の工事現場視察を終りましてから、椿原、成出及び小原を経てから道路の関係から祖山を省略し、小牧及び中野発電所を視察して今回の調査を終つたのであります。これらの発電所は鳩ケ谷発電所工事の項で申上げましたごとく、御母衣発電所の完成によりまして発電力が増加するのであります。併しながら御母衣発電所の水利権を電源開発会社に譲渡する際に、完成の暁には関西電力に譲渡するとの契約があると関西電力側は主張いたしております。この契約通り履行されますならば、庄川に関しては関西電力一本となりまして、下流の発電増加に対する負担の問題は消滅するかも知れないのでありまするが、契約が履行されるかどうかは出先で論ずべき問題でなく、又当面御母衣を如何にするかの問題のほうが遥かに重要でありましたので、今回は本件の調査は省略いたしました。 簡単ではありますが、以上を以て私の報告を終りたいと存じます。 終りに臨みまして今回の調査に当りまして多大の便宜と御協力を賜わりました関係各位に対しまして厚くお礼を申上げる次第であります。
○委員長(石原幹市郎君) 只今の報告に対しまして、若し何か御質問でもございましたならば、政府側のほうからも何か只今の報告に対して所見がございましたら開陳を願います。
○説明員(小出榮一君) 只今御母衣並びに鳩ケ谷地点に関しまする発電所の建設に関しまして、御視察の御報告を頂きました。いろいろ御注意頂きました点もございますので、監督官庁といたしまして一応の所見を述べさして頂きたいと思います。 先ず御母衣の問題でございますが、御指摘の通り、この地点は電源会社創立当初において開発地点として指定されました。比較的早くから開発が予定されている地点でありまするのにかかわりませず、御指摘の通り補償問題が非常にこじれまして、今日まで各方面に大変御迷惑をかけております点は誠に申訳ないと思うのであります。率直に申しましてこうなりました原因といたしましては、一つは会社創立当初比較的早期における開発地点の指定がございました関係からいろいろ不慣れな点がございまして、本来ならば開発計画、工事計画或いは地質調査等が精密に終つたあとで、本格的な補償の交渉に入るべきであつたのでございますが、工事を一方において急ぎまする気持も手伝いまして、補償金額の一部支払のほうを先に急ぎました関係上、非常にちぐはぐな結果になつてしまつたのであります。御指摘の通りこの地点は殆んど電源会社が今日担当しております開発地点の中で一番地質的にもむずかしい地点であることが漸次明らかになつたわけでございまして、そういう関係からこの地質調査を精密に行いまして、先ほどお示しになりました地質の専門家でありますニツケル博士、土木の専門家でありますサべ—ジ氏を委嘱いたしまして精密な調査を一応終つておるのでございますが、その一応の結論といたしましては断層の問題が非常にむずかしい問題でございまして、従つてその断層を前提として工事を進めまするためにはダムの設計におきましてもロツクフイル・ダムというような、日本として経験の浅い施設を行わなければならないという、非常に技術的にむずかしい問題が出て参つたのであります。現在の段階におきましては先ほど御指摘の通り賛成派のかたに対しましては第一次、第二次とすでに補償金を一部支払つて参つたのでございますが、なお残りました賛成のかたに対しまして事後の補償金額を支払うかどうかという点につきましては一応会社の方針といたしましては全体の具体的な工事計画がもう少し精密に決定をいたしまして、ダムサイト等の地点も明確になつたときに取りまとめて補償の本格的な契約なり、交渉をいたしたい。済崩し的に少しずつやつて行きますと却つて悪い、それが今日の混乱を招いた原因でございますが、更にそれに拍車をかけることになりやしないかということを恐れておる現状でございまして、本来ならば前提となりますいろいろ技術的な面が解決したあとで補償に応ずればよかつたのでございますが、その点が前後いたしました関係上、止むを得ずそういうような結果になつたのであります。併しながら開発をするということはもうすでに決定された事項でございますので、できるだけ早くこの技術的な見通しも確立いたしまして、そして折角賛成して頂いておりますかたがたに対しては速かに合理的な補償を実現して行きたい。かように考えておる次第でございます。 で、その見通しにつきましては御承知の通り先般世界銀行からの一千万ドルの借款を要求いたしまして、そのうち二百万ドルというものをこの御母衣の技術援助費として要求しておる次第でございます。これは御母衣が技術的にむずかしいために先ずアメリカから技術の専門家を招きまして設計なり或いは事後の工事建設に関する技術的な指導をしてもらう、そのための技術援助費として二百万ドル要求しておるのでございますが、これに関連いたしまして先般世界銀行から専門の技術者が、ピツカリーという人が参りまして現地を精密に調査をいたしました。その結論が近く出ることになつておりますので、その結果も見ました上で本格的な設計の完了をいたしたい、かような段階になつておることを御了承願いたいと思うのでございます。 それから鳩ケ谷の問題でございまするが、これはお話の通り御母衣とは全く違つた、全く通常の補償の形態でございまするが、ただ一つ鉱業権の問題がお話の通り引つかかつておりまして、地元の名古屋通産局長を中心にいたしまして鉱業権者のほうと話合いをさしておるのでございますが、これも先般通産局長上京して参りまして更に打合せをいたしたのでありまするが、割合最近の機会に円満に妥結するものと、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、こういう鉱業権の問題にいたしましても又補償額がとかく不当に高くなりまして全体の建設コストが非常に高くなるという事態は必ずしも好ましくございませんで、それらに対しまして何か合理的な補償の基準を見出したいという意味におきまして特別の立法措置でも講じて頂きたいということで実は通産省といたしましても事務的には以上の案を持つておりますし、又他の建設工事を担当しておられます建設省、或いは農林省等においても御同様の案を持つておられるように承わつておりますので、これらはいずれも若し成案が得られましたならば国会におきまして御審議を煩わしたいと、かように考えておる次第でございます。 それから最後に下流増の問題でありますが、これにつきましても各地点とも同様の下流増負担の問題があるわけであります。これについてもやはり同様に下流増負担に関する何らかの合理的な原則を確立したい、場合によつては立法措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。 簡単でございまするが、一応只今いろいろ詳細御調査頂きました点につきまして政府といたしましても深く感謝しますと共に所見を申上げる次第でございます。
○委員長(石原幹市郎君) 協力派に対する第三次の補償は一切の設計なり何なりが完了してからということなんですか。
○説明員(小出榮一君) 一応会社といたしましてはさように考えておる次第でございますが、大体の一切の措置が完了しますというと非常に長くかかりますので、大体ダムの設計の仕方、それからダムサイトの建設の仕方その他が一応のめどがつきましたらそういう補償の交渉の段階に入りたい、かように考えております。
○委員長(石原幹市郎君) 先ほど藤田君からの報告にも出ておる通りなんでありますが、我々現地で協力派の人にいろいろ話を聞き、問題を総合的に判断して、非常な犠牲を払い、苦痛を忍んで国の施策に協力し、或いはまあ電源開発会社の計画に協力した協力派の人たちが今むしろ村八分的な傾向になつておると、これをこのまま放任しておくということは私は一つの社会問題のような感じを非常に強く受けたのですが、これは仮に電源開発会社なり国家なりが損をしてもこういう問題をこのままに放置しておくということになつたならば将来の電源開発の上において非常な悪影響を残すのじやないかと私は思いますので、重ねて。これは諸調査がえらくかかるようであれば中間的にやはり何らかの措置をとるべきものではないかという感じを強く持つております。
○説明員(小出榮一君) 只今お話の通り、これはすでにもう社会問題になつております。その点は会社側のほうといたしましても十分認識しておるわけでございますのでできるだけ協力派のかたに御迷惑のかからないように、見通しが或る程度つき次第早期に何らかの措置を講ずるように私どものほうとしても考えております。
○委員長(石原幹市郎君) ほかに……。 それじや本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十九分散会