運輸委員会 第1号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/12/03
会議録
○委員長(高木正夫君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。 最初に理事の補欠互選を行います。 当委員会は現在二名理事が欠員となつておりますので、この互選の方法は如何いたしましようか、お諮りいたします。
○村上義一君 只今議題となつております理事の選任につきましては、成規の手続を省略して、委員長の指名によりたいという動議を提出いたします。
○村尾重雄君 只今の村上委員の動議に賛成いたします。
○委員長(高木正夫君) 只今の村上委員の動議に御異議ございませんか。 〔〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高木正夫君) 異議ないと認めます。それでは私より一松政二委員及び三浦義男委員を理事に指名いたします。 —————————————
○委員長(高木正夫君) 次に、運輸一般事情に関する調査中、海運及び造船政策に関する件を議題といたします。 御質問のある方は順次御発言を願います。
○一松政二君 私は前回の委員会において、運輸省に注文をしておきましたそういう資料ができておるか、ただ調べただけでとまつておるか。私は別に資料として提出してもらいたいというところまでは、たしか言つておらなかつたと思いますが、海運局長からそれについて、たしか海運局長はその当時いなかつたように思うのだが、これの輸出造船についての、主に砂糖のリンクの問題なんですが、この問題について、私はいささか質問を試みたいと考えているのです。それで大体、まあいろいろ種類によつて造船の単価は違いますが、第十次造船のいわゆる一万トン級の優秀な貨物船の造船単価は幾らになつておりますか、一応先ずそれから承わりましよう。
○説明員(藤野淳君) 船舶局長はちよつと差支えがあつて、私から只今の御質問に対してお答えをいたします。第十次船の船価でございまするが、これを輸出船との比較を便宜にいたしますために、重量トン当りのドルで申しますと、定期航路のニューヨーク、欧洲、世界一周、南米、一流の定期航路八隻につきましては、重量トン平均二百八十四ドルでございます。定期航路で中南米、南阿航路等に向けられます六隻の船の平均が二百八ドルでございます。それから不定期船五隻の平均が百八十九ドルになつております。
○一松政二君 乙の二百八ドルの単価を、一応これを最近輸出されておるところのスーパー・タンカーで比較したいわけなんです。この二百八ドルという基準をもつて、四万トン或いは四万五千トン或いは三万八千五百トン程度のタンカーを仮に作ると、その基準はこの二百百八ドル、この貨物船を二百八ドルという一応の標準をもつて作るとすれば、一体幾らにつきますか。
○説明員(藤野淳君) お答えします。タンカーと貨物船の比較は非常に困難でございますので、貨物船では幾らかというふうなことでございましたら、只今資料をもつてお答えをいたしますが、如何でございましようか。
○一松政二君 むずかしいことは承知しておるのです。けれども一応造船所の貨物船、同じ労銀と同じ鉄板の容積、或いは設計料或いは管理費その他を同じ基準でみると、貨物船ならこのくらい、この基準で四万トンのタンカーを作れば、およそ幾らということは私は出るはずだと思う。出なければならんと思うのですが、いやしくも船舶局で若しそれが出ていないとすれば、私今日あなた方の答弁を、何かこうむずかしいことを申上げて困らせようというのが私の本旨じやないのだから、当然これはでき得るわけなんですよ。例えば家の建築にいたしましても、学校の建築は、学校の建築と住宅とはこれはなかなか比較がむずかしいけれども或る程度の基準を設ければ、仮想的にこれだけの土台と、これだけのいい木材と、これだけのものを使つてやるとすれば幾らというような見当はつくはずなんです。そうすると、貨物船とタンカーとの比較も私はでき得ると思うのですよ。かような仮定が入りますから、そこは多少割引をしなければならんことは承知いたしますけれども、若しそれができないとすれば、今の国内の普通の、いわゆる輸出じやない国内の、それにしても二万トン級のタンカーと、この四万トン前後のタンカーとは非常にこれは格差があるわけなんです。それから二艘を作るか一艘を作るかによつて、又原因をこしらえたりなんか手間が省けます。同じものを二つ作るのと一つ作るのとでは又これが単価がよほど違つて来る。そういう細かいことを入れるとなかなか比較することがむずかしくなりますが、一応目安として、じや、今のタンカーとこの貨物船が今すぐあなたの手許に出ないならそれは預けておきますが、輸出しない、国内向けのタンカーは最近スーパー・タンカーというものを作つていないからちよつと比較がむずかしいだろうと思うのですけれども、四万トンの三菱の今度つけたようなタンカーを国内向けだとすると、一体一トン当り幾らになるわけですか。
○説明員(藤野淳君) 十次船の貨物船をそのべースで四万トンの単価をはじくと一体どれくらいでできるかという最初の御質問でございますが、非常にデータが少うございますので、まだ二、三しか作つておりませんし、引渡したものがございませんので、データが不揃いでございますが、大体の傾向を申しますと、九次後期の二万八千トンのタンカーでございます。それから船型の相違とそれから船価の構成要素も違うという十次船ベースで直したところを推測申上げますと、大体四万トンで百二十七ドル見当でございます。
○一松政二君 じやそれを一応例にとりまして、今度の三菱の輸出したやつは百六ドルと聞いておるのですが、そうですか。
○説明員(藤野淳君) 三菱の四万五千トンのタンカーは、二隻ございまして、第一船が百十二ドル、第二船が百二ドルでございます。正確に申上げますと百十二ドル半と百二ドル半ということになつております。平均いたしまして百七ドルということになつております。
○一松政二君 そうするとその四万五千トンの艘を二艘というと九万トンですが、その九万トンに対して砂糖の補償と申しますか、砂糖のいわゆる輸入権というものは何トンを予定されたわけですか。
○説明員(藤野淳君) 砂糖の輸入権の問題は通産省のほうで輸出許可を出しますときにリンクの額を決定いたしますものですから、私のほうでは正確には実は承知いたしません。
○一松政二君 正確でないにしても、およその報告を求めているでしよう。業者から求めておるなり、或いは通産省から求められると思うのですが、そのおよそは幾らとおはじきになつておりますか。
○説明員(藤野淳君) 通産省のリンク措置の内容、或いはリンクのやり方につきましては、私ども正確にお答えいたしかねるわけでございますけれども、大体聞いておるところによりますと、船価の五%、契約船価の五%、これを或る額で割つたものがそのリンクされる砂糖のトン数、量になるわけでございます。逆に簡単に申上げますと、契約船価の五%に相当する金額を差額で割つたものがリンクされておるということでございます。
○一松政二君 非常にややこしくてちよつと簡単に聞いただけではわからないのだが、大体、つまり従来のやり方だと、一割くらい出血輸出しなければ国際競争に勝てないのだから、そのせめて半額を砂糖の輸入の利益によつて補償しようというようなことを通産省で考えておつたと思うのですが、やつぱりその今の五%というのはその線のことを意味しているわけですか。
○説明員(藤野淳君) 当初の砂糖をリンクさせる基準は、只今仰せの通りのような基準であつたと考えます。
○一松政二君 それで私はこの問題は運輸省だけではありませんで、これは委員長にお願いしておきますが、これは通商局長なり為替局長が通産省から……大臣が出られれば一番はつきりするのですけれども、当面の事務当局として、これはもう一応他日に留保しておきたいと思うのです、砂糖の輸入権の問題は。為替の割引、為替と同じわけですから、これはIMFからももうすでにまあ殆んど抗議と言うてもいいぐらいな注文がつけられておるし、日本政府でも廃止しようと考えて廃止せられなくて、だんだん深みへ入つているのだから、この調子から行くとますます病は重態になるであろうと私は憂えておるわけです。聞くところによると、砂糖がだんだん値上りを、国内の砂糖の単価が、市価が値上りするものだから、砂糖の値入の利益が非常な莫大な高に上るわけであります。大体五%の程度ならまだ幾らか病も軽くて済んでおつたのだけれども、今度の造船の場合には非常に極端になつているように私は考えるのです。例えば今大体の標準を示された四万五千トンのやつが、十次造船の貸物の比例から大体割出して、これは無論正確ではないでありましようけれども、大よその見当はつくと思う。大体百二十七ドルかかつて、そうして今日の十次造船の単価ですから、そう造船業者が余分の利益があるような計算はなかつたろうと思うのです。だから百二十七ドルでなければできないものを、平均して百七ドルになりますが、百七ドルで輸出をして、結局二割を砂糖の輸入権によつて補う形になる。まあ船によつて、貨物船はあとで伺いましようが、この例によつても二割という厖大なコストを砂糖の輸入の補償によつて一応カバーするということは、三百六十円の為替を丁度今の闇の為替よりも高い、今の日本の国際的な円は四百二十円前後だと思いますけれども、今度の船は二割としても三百六十円の七十二円ですから四百三十二円になる。四百三十二円の為替を、そういう割安の為替を認めて輸出させたのと結果は同じなんです。聞くところによると、中には三割以上になつているのもあるやに聞くのです。今度の輸出船はそうすると為替を三割切下げて輸出を認めている結果に終つているのであつて、これは非常な造船行政の上から将来に重大な禍根を残すのじやないかということを私は心配している。それでその利益が、それじやそれほどの犠性と将来に災いを残しながら、どこが一体利益を受けているのかという問題を考えてみると、日本の造船業者は漸くそれによつて仕事をつないでいると、で、その競争によつてなるほどそこまで身を引かなければ注文がとれなかつたかも知れんけれども、砂糖の補償がないんだと、これ以上できないんだという態度をとれば、もつと私は輸出の単価は上げ得たであろうと思うのです。恐らくドイツとの競争が一番の問題になるでしようけれども、日本が造船所の注文が少いということと、それから砂糖の輸入の補償を打切られるのだという両方の挾み撃ちにあつて非常に日本が足元をみすかされた。そこでこういう安値の輸出の契約をせなければならないという羽目に陥つたのが、私は大体の真相だと思いますけれども、この砂糖の補償はこれは長続きするわけに行かない。これが打切られたあとには、船舶造船の行政としてはどういうことをすればいいとお考えになりますか。何かその点についてお考えがまとまつているか、まだまとまつていないか。この二割乃至三制のギヤツプをどうやつて埋めるか。これは輸出の値段を引上げるということは絶対に今後できません。その点についてまあ局長がいないですから、課長は当面の実務者として何かお考えがありますか。
○説明員(藤野淳君) お答えいたします。この砂糖リンクによつて船の値段が下つて、リンクで砂糖の量が少なければ、これほどあれが下らなくても有利な契約が結べたではないか、今後こういう安い船を出せば船価が上りつこないから、今後の造船行政は非常に困るのであろう、それに対してどういうことを考えているかというお尋ねだつたと思います。国際船価ということが先ず問題になるわけでございますが、最近の受註状況を乏しい資料の中からいろいろ見てみますと、非常に値段の幅が大きいわけでございます。百三十五ドルで受注している同じ船を百二十ドルというのもございますし、百六十ドルというのがあるかと思いますと、百四十ドルというのがあつたりいたしまして、支払条件の相違とか、或いは特殊な顧客関係とか、船価をきめるいろいろな要因がございますけれども、日本の船価は一体どの辺に来ているかというのを、それで判断いたしますと、北欧の船価が日本に近いところに来ておるわけでございますけれども、それでもそういうものもあるし、又非常に高いものもあるというので、非常に国際船価の捕捉が困難なのでございます。こういう大量にまとめた輸出が今後の船価のあれを決定して絶対に船価がこれ以上上ることがないということも言いがたいのではないか、先ずそういうことを考えております。鋼材の造船コスト引下げ暫定措置が昨年の夏から実施されましたときに、それによつて意外の数量のタンカーを受注しておりますが、今後どういう助成措置を講ずるかというその内容の問題は別といたしまして、何らか政府が助成措置を講ずればそれを一つの契機といたしまして、又まとまつた一つの引合い需要が出現するのではないかといつたようなことから、粗糖リンクと同じ程度の助成が必ずしも絶対的に必要なものでない、相当な効果のある助成措置が行われますならば、再び輸出需要というものが、有効需要というものが出て来るのではないかといつたように考えます。その助成措置の内容につきましては、通産当局とも事務的にはいろいろと研究いたしておりますけれども、只今のところここで申上げるほどの具体的なものは、最終的なものはないわけでございます。
○一松政二君 この問題はデリケートな問題であるし、これを課長に聞いてみても私の方が無理かも知れないから、この問題は他日に譲つておきます。これは通産行政に関する部面の方が多いし、通産行政といつても結局事務当局だけでは答弁のできない性質のものであるとは考えております。ただ私は言いたいことは、五分、一割程度のときならばまた方法もあるけれども、二割が二割五分になり、三割も割引かなければならないような今回のような輸出措置を急激にとるならば、そのあとが注文が私は途切れると思う、商売というものは、そしてそこで丁度モルヒネ中毒患者に、中毒患者といえば語弊がありますが、モルヒネでもう大分悪い習慣がついておるところに、今度は一つ強力なモルヒネが、造船業者を一時これによつて一安心さしたわけです。あとが私は恐しいと思つておりますから、これは警告を発するにとどめておきまして、これは多分通産行政の責任者を呼んで、他日に留保しておきます。 ただ問題は、これは海運局長にお尋ねしますが、輸出船の日本におけるドル収入はたつた一回なんだ。輸出してしまつて、それで契約を履行してしまえばそれでおしまいなんだ。半年や一年間は造船所に仕事がある。ところが二割も或いは三割も安い船を輸出して、そうしてこつちは二割も三割も高い船を同じ海に浮べて、日本の海運は健全なる発達はできますか。輸出の方は二割も三割も安い船を渡すわけです。そうして船の生命は仮にこれを二十五年としますと、二十五年間海運の健全な発達といえば語弊があるかも知れませんが、日本の海運業者から言わせれば、私はこういう輸出措置をとつて、そうして内地の業者には全然、まあ造船疑獄やいろいろな問題があつて弱みもあります。或いは三分五厘とか、いろいろの補償も受けたりしておりますから、今輸出業者に言いたいこともよう言えない立場におると想像されますが、一方において、そういう割安な船を外国の業者に与える。同じ海を航行するのですから、こつちは二割も三割も高い船を擁して、それを二十五年間、一方は二割も三割も安い同じものを二十五年間、日本の船が競争に堪えられるでしようか。そういう点について海運局長はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(粟澤一男君) 只今のお話誠に御尤と存じまするが、要するに海運企業というものは非常に国際的な自由競争の企業でありますので、非常に細かいところまでその競争力の強弱ということが問題になつております。只今のお話のように船価が二割違うということが、船価のコストというものは競争力の非常に大きな部分でありますが、こういうことが長く続けられるということになりますと、おつしやる通り日本の海運は非常に損な立場に立たなければならんということになると思います。従いまして将来のことになりますけれども、若しこういう制度が続けられるならば、日本の海運の競争力を公平な立場におくというためにも、国内船の造船についても、或る程度のことをお考え頂かなければならんのではないかというように私ども考えるわけであります。
○一松政二君 私は今海運業者もこれに対して、こういう措置に対しては恐らく直接云えなければ、腹の中で非常にこの不公平と申しますか、同じ運輸省の運輸行政の中で造船行政とこの船舶行政、船舶といいますか、海運行政とのこの跛行、びつこをひいた跛行を非常に憂えておるであろうと私は思う。そういうことをちらほら耳にもいたしておりますが、これは一日も早くこういう跛行的な行政に陥らないように、まあ事務当局としても十分意見を闘わして、そうして今回のようなこういう十日か二十日の間に、仮に前引合いがあつたにしてもなかつたにしても、ただ今回限りに砂糖の補償を打切るとかいうような声明なり或いは態度を示したために、殆んど遅ればせながら駈けつけて漸くゴール・インしたというような格好の輸出船が非常に多いのです。それで私はこいつは残念なことをしたと実は考えておる。漸く造船業者が、もう何とかしなければならん、このままじや生きていられないのだというので、必死の努力をして、中には職工を整理したり或いはレイ・オフしたり、まああらゆる悪戦苦闘をなめて真剣に事業の合理化、建直しに邁進しておる矢先に、或る、意味において造船ブームが来ておるのです、今日では。そうしてそうした今度の輸出によつて五%の補償というような、これは私は通産省は事情を知つていながらこういうインチキをやつていることに非常な不満を感じるのです。二割も三割も補償になるものを表向き五%の補償だというような計算でやるものだから、だから実質的コスト引下げじやなくてコストを切つて、そうして輸出するような不利な仕事をあえてしておる結果に終つたわけです。それが私は造船に従事しておる人の気分を、折角緊張して来ておるところを弛めてしまつた。もう造船台が空いて閑古鳥が鳴いて、そうして非常に憂いに沈んでいるところへ、一遍に棚からぼた餅が落ちて来てその空腹を消してしまつたというような状態になつているのが今日の実情だと思います。これが途切れたときにどうなるか、経営者はそういうことをすぐ頭に浮べますけれども、目先約一年ぐらいは仕事が大よそ辺陬の三、四流の造船業者はいざ知らず、一流の造船業者であれば約一年間の工事量を急激に注文を受けてしまつた。そうすると時間外作業までしなければデリヴアリーが間に合わない船も引受けておるわけです。そうすると、雪の中に悪戦苦闘しておつた者がまるで温室の中に入つたような状態に私はなつてるのが今日の造船所だと思うのです。それについて、そうしてそれも而も一方では国際的には非常な悪影響のある、そうして今後はなすべからずとするようなこういう砂糖の補償の何といいますか、いわゆる為替の割引をして、四百三、四十円の為替を認めてやつて、一方にはそういう状態を起しておる。それが将来には災いをしようとしているわけです。これは通産省のみを攻撃するわけには行かないと思います。運輸省がやつぱり造船という問題について、そこまで気を配つておつたであろうと思うのだが、或いは輸入船舶業者に引ずられたのか、或いは通産省の方が甘い計算をしたのか、結果はそういうことになつている。それが私は他日に非常な災いを及ぼすであろうということを、造船業において及ぼすのみならず、長く尾を引いて、日本の海運業に、少くともそういう相手方に安い船を売つて、自分は高い船でやらなければならんという矛盾を来たしておるということについては、課長はそういうことはいいことじやない、やむを得ざる事情か、或いは或る程度の錯誤と言つちや過ちみたいに聞えますが、何か正当なやるべき、希望すべき方法でないものが急激にここにできてしまつて困つたことであるというような感じを持つていないですか。
○説明員(藤野淳君) 粗糖リンク措置の輸出が造船行政にいいか悪いかという将来の問題を含めてのお尋ねでございますが、先ず私はプラスの面は、これによつて仕事を得て造船業の地方的な失業問題がやや回避されたこと、それから計画造船は、集中的に発注されます関係上、工程の調整とか或いは経営の合理化とかという、時間の要素を加味した合理化というのは非常に困難でございまして、今まで随分合理化はして参りましたけれども、関連工業の合理化とか或いは工程管理、生産管理の合理化はまだ十分でないのでありまして、こういう自力で取りました、今おつしやいましたような比較的長い工期の船を工程に乗せまして、これから本当にコストの引下げ、或いは関連工業の合理化の面もございますが、本当にこれを実施するという一つの基盤ができたという面では、これは確かにプラスじやないかと思います。それからもう一つプラスの面は、今度の受注先をずつと見て参りますと、従来リンク措置によらないで、日本に発注した船主かその第二船、第三船、第四船を引続いて発注して来ておりまして、市場を開拓し市場を確保したというに値するような取引がまとまつているわけでございます。これが将来に何がしかプラスになるのではないかというふうに考えます。それからもう一つ、折角只今の真剣な努力によつて、何と申しますか、再編成という言葉は適当でございませんけれども、業界の一つの、何といいますか、合理化が一つの緒についているときに、大量の受注を得て又再びよりが戻り、又真剣味が薄らぐのじやないか、この点は害になるのじやないかというお話でございましたが、おつしやいましたように、今度の受注をいたしました造船所は比較的優秀な造船所が多うございまして、只今のように三流、四流という造船所は今度の受注にあづかつてないわけであります。これらが本当に自力で合理化に努力して、できるだけコストを下げる、そうして次の十一次船、或いは将来の輸出船の受注に本当に自分の力で競争力をつけるという基盤ができた、この点でプラスじやないかと思います。 それからもう一つ、これは通産行政の問題でございますけれども、私どもの所管ではございませんけれども、船のプラントの一番代表的なものでございまして、砂糖の輸入によつて、一ドルの砂糖に対して七、八ドルの船を輸出したという格好になりまして、これがまあ非常に今の為替安というお話でございましたけれども、日本の、何と申しますか、雇用の面で非常に貢献する点があるのじやないか。プラスの面を考えますと只今のようなことになると思いますけれども、一方それでは災いはないかというお話でございますが、これは一に今後の造船市場の動きを見てみませんとはつきりしたことはわかりませんけれども、まあ、こういう安価が確かに……、その点につきましてはもう一つ申上げたいことがございますが、実際に行われておりますリンクの率がどれくらいであるかということは、実はしかと確かめていないのでわかりませんわけでございますが、貨物船につきまして、国内船価と、それから今度の輸出船価を比較してみますと、まあ、いろいろな仕様の違いだとか、或いは船主支給品のあるなしだとか、或いは輸出のための鋼材の値段が製鉄業の現況によつて安くなつて行くとかいつたような、いろいろな要素を考えてみましても、そう著しく違わないというような、まあ言われているリンク率ほど、そう大きな差はないのじやないかという感じがいたしまして、この点も実は国際船価という問題になりますと、前に申上げましたような、非常に押えにくい点がございまして、一体どこが国際船価であるかといつたような非常に困難な点もございますけれども、そういつたようなアンビギユアスな要素が非常にたくさんございますので、これは決定的な災いになるというふうには私どもは考えてないわけでございます。この点はなお今後大いに研究して真剣に対策を考えなければならんというふうに、実は安心しているわけでもございませんので、非常に心配をいたしてはおりますけれども、決定的な打撃になるというふうには今のところは考えてないのでございます。
○一松政二君 事務当局にあまりむずかしいことを聞いても答えにくいだろうと思いますから、私は或る加減をしておるわけですが、ただ事務当局としては、表向きのことだけしか言えない。又或いは知らないかも知れないというのは、業者の噂によると、大体砂糖の補償によつて三割から三割以上にも上つているのがあるらしいのですよ。そうすると、出血だ出血だと言いながら、それで儲けているわけです。それでは誰が一体犠牲をこうむつているかというと、国民大衆なんです。高い砂糖をなめさせられて、そいつを造船業の救済に持つて行つておるというわけです。今課長が言われたような、輸出によるいろいろな功徳を述べられましたが、それはそういう面もあるでしよう。あるけれども、それだつたら、中小企業やなんかに、今の非常に難儀をしておる商品にしても、或いは他の輸出品にしてもですよ、一割為替を切下げてやつてくれたら助かるものもたくさんありますよ。いわんや二割……せめて四百円で換算させる為替で政府が買つてくれれば、政府がそれを買つてくれれば輸出できる商品はたくさんありますよ。それをひとり造船業のみにそういうことをやつたところに一つの問題があるわけなんです。でありますけれども、そういうことを今事務当局には私は責める気持は持つておりません。ただ私は事務当局としては、はつきりした数字を私は今日は持つて来てもらいたかつた、この間私が注文しておきましたから。五分を標準にしておると言うけれども、実際は三割乃至三割五分にも当るのがあるやに聞いておるので、砂糖の値段が。これはだから通産当局に、さつきも申しましたように、他日聞きますが、これは運輸当局にそういうことを申しても、所管違いだということで、詳しくは知られないのならば、これはやむを得ないが、私は所管が違つてもそういうことは知つておつてほしいのです。例えば造船を扱つておる行政ならば、造船の輸出について非常な真剣な考慮を払うのだから、それに対して砂糖の補償が仮にあつたならば、砂糖の現在の輸入価格は幾らで、そうして製糖会社が輸入業者から幾らで買つておるか、それに対してマーケットでは幾らで売れるのだ、その差額は幾らである、それを造船には幾らやつて、原価はこれくらいだけれども、これによつて幾らの、損失と表向き称しておるのだけれども、今度の輸出によつては造船業者は或る程度利益を得ておると私は思うのです。それが私は船舶局としても、そういう事実は把握しておつてほしいのです。これが私は役所のおよそ通弊ではないかと思うのです。所管が違うというと、所管違いのことに対しては、非常に関係がありながら、その詳しいデータを取ることはようしない。だから私はいやしくも造船の単価に関することですから、これをとことんまでつきつめることを要求します。そうしてそいつを参考にして物を考えてもらわないと、表面と内実は違うのです。砂糖などは去年からもつと高くなつておる。いやが上にも高くなつておる。それを誰がその犠牲を払つておるのかというと、国民大衆、我々一般の人が高い砂糖をなめさせられておる。であるから、むしろ砂糖の利益はこれはむしろ国家がそれを取つて、それを一般の国民大衆の税金を減すほうに持つて行くのが一番正当だと思うのです。それを一、二の業者に、通産省が勝手に行政措置でもつて勝手にやつておるということは、これは私は言語道断なことであると思うけれども、こういうことを今あなた方に言うことそれ自身が、私の常識を疑わせるようなことになりますから、それはやめておきますが、通産省がやつておるが、実際はどうなつておるか、表向きは五分になつておるけれども、そういう噂があります。そういう程度でなくして、実際とことんまで将来は突き詰めるように心がけておつてほしいということを注文いたしておきます。 それからもう一つ、なお今度、さつきの十次造船の八隻の平均が二百八ドルと言われましたが、それに今度は似通つたような貨物船の輸出は、丁度それの適当なものがないかも知れませんが、貨物船では輸出の単価は一体いくらになりますか。
○説明員(藤野淳君) 貨物船が六隻ございますが、ほぼ規格の同じものがございまして、二百八ドルは平均でございますけれども、ほぼ同じ価格で二百五、六ドルの船がございます、十次造船に。それに対しまして輸出船は百七十ドル見当、これは売値でございます。そのままの値段でございます。それにいろいろ内容的な修正をいたしますと、それが同型船がございますので、そういう利点だとか、或いは鋼材の値段の迷いだとか、船主の支給品のあるなしとかいつたようなことを考えますと大分近寄つて参るわけでございます。
○一松政二君 それはいろいろの計算やら、それから事実を業者というものはよく認定して、自分に不利益なことはなるべく言わないで、なるべく官庁が聞いて耳障りのいいようなことだけしか報告しないのが多くの業者の実情であろうと思いますが、こういうところから三割というものは生まれるのです。だから明らかに二百ドル、百三十ドルでは三割まではないにしても二割五分なら二割五分か三割近い。事実砂糖の利益は船価の三割或いは以上あるので、これは犠牲輸出になつていない。利益を見た輸出になる。それだけ甘い考えを通産省がしたということで、私はそれじや他日災いを招くがなという気持がしておりますから、今日わざわざそういうことを問題にしてここの委員会でお聞きしたわけですが、これを、このギャップを単なる行政措置や、或いは政府の施策などで二割五分なり三割なりのコストというものをこれをならして行くということは不可能です。これをやり得るものは為替の切下げ以外にはない。そこで重大問題が起るわけです。一部の産業には二割、三割という安い為替を認め、他の産業には安い為替を認めないということは、これは又公平な議論からいつて許すべからざることになる。これが行政措置のみでやられておるところに重大な問題がありまするけれども、これで今あなた方を責めることは私はお門違いだと思いますから、今日はこの輸山造船については、一応あと通産省に聞くことにしまして、先ほど私が注文いたしましたように、もつと正確な数字を把握してほしいということだけにして、一応今日はとめておきます。 それからちよつとなお一つ、最近になつて急に殖えた輸出の総トン数は大体二十万トンくらいですか、どのくらいのトン数になつておりますか、合計して。最近とみにこの砂糖の問題が打切りになるとかならんとかいうて駈けつけてゴールインしたようなものまで入れてですね。
○説明員(藤野淳君) これは上期と下期と分けまして、上期は九月まで十月以降で下期でございますが、上期のトン数が総トン数七万四千トンですか、その後の下期のものが三十二、三万トン……。
○一松政二君 合計四十万トンくらいですね、輸出が……。
○説明員(藤野淳君) そのくらいです。
○一松政二君 そうすると、今の七万四千トンというのは、九月までだというと大体において終了しているわけですか。砂糖の輸入権はもう少し続くわけですか。
○説明員(藤野淳君) まだ引渡しを了した船はございません。目下建造中でございます。ちよつと付け加えさせて頂きますと、非常にスーパー・タンカーが多うございまして、柄が大きくて、その側にトン数は少い、十次造船に引直しますとトン数は非常に少いのであります。
○一松政二君 そうすると結局極端にいえば、鉄板を輸出するような格好になるわけですね、スーパー・タンカーでは。これは極端な話だけれども、鉄板を継ぎ合せてそれにエンジンを載つけてやるから、エンジンと鉄板を輸出するような格好になる。それはまあ別に答弁要りません。大体そうすれば四十万トンですから、それは十次世船が加わり或いは自衛隊の方のものが加わつて、造船所の能力としては大体今のところは、川南みたいなものは別ですが、或いは二、三の三、四流のやつをのければ、大体フルに向う一年間の工事量を持つていると考えていいわけですか、造船所としては。
○説明員(藤野淳君) 納期はいろいろございまして、最終の進水が再来年のものも一、二ございます。併し注文したのが一時のことでございますので、進水期も割に集中いたしまして、来年の夏を過ぎますと、非常に船台事情が悪くなりまして、秋の終り頃になりますと、非常に使用中の船台が少くなつて来る。で、一時的には非常に操業度の上る月もございます。で、全体でならしますと、まだまだ相当な余力があるという状態でございます。
○一松政二君 結局急に注文が来てそれを受けたから、今度はそれをやつてしまえば、それを受渡すとだんだんこれに従つて又急激に船台が空いて来ると、それでそれを今度補充しなければならんという問題が起つて来るわけですが、これはさつきのを繰返しますからやめますけれども、目先の仕事はあるけれども、もう半年もするとやはり又同じような問題を繰返して来ると承知していいわけですか。
○説明員(藤野淳君) 今後輸出船が一隻も受注されず、国内船が決定になりませんと、おつしやるような事態が起ると思います。
○一松政二君 私は輸出造船の問題については、今日はこの程度で質問を打切ります。
○委員長(高木正夫君) ほかにこの問題に関して御質疑ございませんか。 それでは本日はこれをもつて散会いたします。 午後二時五十五分散会