予算委員会 第2号
- 発言数
- 228 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/12/03
会議録
○倉石委員長 これより会議を開きます。 昭和二十九年度一般会計予算補正(第1号、昭和二十九年度特別会計予算補正特(第2号)及び昭和二十九年度政府関係機関予算補正(機第1号)の三葉を一括して議題といたします。 質疑を継続いたします。今澄勇君。
○今澄委員 私は、三十日に開会されましたこの国会の本会議並びにこの予算委員会を通じて、吉田総理に対し、なかなか手きびしい質問が出て、総理が御答弁になつておる姿を見てお気の毒だと思います。総理も八十歳に近い老齢でありますが、今回総理が外遊されましたイギリスにおいては、一昨日、保守党の内閣総理大臣チヤーチル氏の八十歳を祝つて国会議員がその肖像画を贈り、反対党であるアトリー労働党党首がチヤーチル・デーをたたえておりますことは、われわれ政治家としてまことにうらやましい限りであり、私どもも幾多のこれらの事情を見て示唆を受けておるわけであります。しかるにわが国においては、まあ反対党であるわれわれ社会党のことはしばらくおくとして、吉田総理と同じ保守政党においても、肖像画どころの騒ぎではなくて、きのうの友はきようの敵と化し、はげしく対決しておられるこの現状をながめられて、憲政の常道を説いていらつしやる吉田総理大臣は、どのような考えを持たれ、どのような御心境であるか、私は謙虚な立場において、まず総理大臣にこの現下の日本の政局に対する御見解をお伺いをいたしておきたいと思います。
○吉田国務大臣 イギリスの政治状態は、議院の状態は、まことにうらやましいものと思います。
○今澄委員 私が聞いておるのは、少くともイギリスの状態については、われわれがすでにうらやましいと思つておるのです。だが日本の現状が、同じく保守党でありながら、きのうの友はきようの敵と化するような今日の事態については、総理自身にいろいろ考えられることがあるか、それともこういう事態を引起した民主党なりあるいはその他の政治家が悪いのか、あるいはどこに欠陥があるのかというあなたのお考えをぜひひとつお聞きをいたしておきたいと思うのです。
○吉田国務大臣 これは討論会でありませんから、だれが責任があるかというようなことは、私として申したところがしかたがない。のみならず、互いに相自粛といいますか、反省して、イギリスのような状態に持つて行きたい、こういう私の希望であります。
○今澄委員 それでは私は引続いてきのうの質問について総理にお聞きしておきましよう。総理はきのう本予算委員会において、やみ取引をして民主党に政権を渡すようなことはないと答弁をされております。この言葉は、政権の移動については民主党にこれを渡さないというあなたのお考え方は、すべて今のような野合的な離合集散によつて政権の帰趨をきめるべきではないので、総選挙がなければ次の内閣担当者というものはきめるべきではない、こういう意味合いなのか、それとも保守合同は必要だが、鳩山首班の民主党に対ける総理の潔癖からそういうことはおやりにならないというのか。それとも、やみ取引ではやらないが、表からの話合いがつけば、民主党にもやる場合があり得るのか。以上の三つの解釈の仕方がこれに対してはありますが、その正確な表現をひとつ総理にお尋ねをしておきたいと思います。
○吉田国務大臣 お答えをいたします。いわゆるやみ取引ということは、政党政治の精神に反するから、いたすべきでないということを申したのであります。その他は仮定の問題でありますからお答えしません。
○今澄委員 仮定の問題ではなくして、あなたの今答弁いたされましたいろいろな場合を考えて、その意義づけを三つにわけて質問したのであつて、政界引退もなさろうという総理でありますから、われわれ野党の質問に対して、物事のけじめのはつきりするような、ひとつ冷静な態度で私は御答弁願いたいと思います。かねてから総理大臣は政権たらいまわしを排撃するということが、今までの予算委員会で私どもが総理から聞いたお答えであります。ところがきのうは総辞職はやらないという明確な答弁がありました。私はその総辞職はやらないというきのうのあなたの答弁は、現段階においては総辞職はやらないという意味か、それとも不信任案が出て――これは私どもはもう不信任案を出すことをきめたのですから、あと二、三日で出るわけですが、出てこれが国会を通つても総辞職はやらないという意味なのか、この総辞職はやらないという意味は、きようのところやらないのか、不信任案が国会を通つてもやらないのか、この際私どもは不信任を出すことにきめておるのでありますから、既定の事実としてひとつ総理のお答えを願いたいと思います。
○吉田国務大臣 これはまことに自明の理であると思うのであります。現在の状態においてやらないと申したのであります。状態がかわれば考えもいたしますが、まだ不信任案が提出されておらない今日、これを出るものと仮定してお答えはいたしかねます。
○今澄委員 私は不信任案が出るものと仮定をして聞いたのではなしに、われわれは不信任案を出すことを党議できめて出すのです。ただもう一つ総理にお伺いしておきたいことは、不信任案が出てあなたが総辞職なさる場合もあろうし、あるいは議会解散をやられるということもありましよう。だがあなたの心境として、あなたは今自由党の総裁を譲つてやめようという立場において、この次の内閣をあなたの手で引受けて国民に信を問うという立場にないのであるが、しかしあなたは自分の手で議会解散をやり得る立場にあり、やつてもさしつかえないとこういうふうな信念はかわらないかどうか、これもひとつお聞きをいたしておきたいと思います。
○吉田国務大臣 不信任案が提出されたときにお答えいたします。
○今澄委員 少くとも今日の政局の混迷をここまでもたらしておる一番の原因は、何といつても吉田総理あなた自身なんです。あなた自身が書簡を出してそうして意思を表明しなければ、自由党自体でどんなにあなたの退陣を要求しておつても収拾はつかない。あなたの書簡が出て、またそれは三日ばかりおそかつたが、ようやく収拾がつこうかという段階になつて、あなたの方の党内においては、吉田内閣の総辞職をいたすべきであるという意見が、七十人も集まつて署名をしたということが出ておるわけでして、この際総理大臣としてのあなたが、少くとも日本の憲政の常道、政界の収拾をするために、国家的な見地に立つておられるとすれば、これらの問題について何らかのここにあなたの態度を、おれはこうするのだという意思表示があつてしかるべきものだと思いますが、どうでしよう。
○吉田国務大臣 今お話の七十名が署名して――私のところにそういう署名はまだ出ておりません。承知いたしません。
○今澄委員 それでは常に筋を通して明確に行動すると言つておる総理の立場というものは、今日の政局を前にしてまことに不明朗であるということを残念ながらあなたに申し上げなければなりません。私は引退をされるという総理のために、ごく紳士的に質問をいたそうと考えておつたのでありますが、あなたの方でそういうお答えであるならば、私はこの際あらためて聞き直さなくてはなりません。緒方副総理は武知勇記氏と会見をして、その際鳩山内閣が成立するような情勢であるならば、吉田内閣の手で解散をする。緒方内閣ができて来るようなら、吉田内閣は総辞職であると語つた旨武智勇記という人自身が報告をして新聞にも出ておるし、天下に知れております。このような態度は、実に政権をもてあそぶ政権亡者の考え方といわなければならないが、吉田総理は緒方さんが考えておる考え方と同じなのか、それともあなたは現職の総理として、もう少し筋の通つた、いわゆる首班指名なり政権授受というものを考えておられるのか、あなたの良心的な答弁をお願いしたいと思います。
○吉田国務大臣 私の信念は、民主政治あるいは政党政治の線に沿うて行きたいと考えております。緒方君がどういう考えを持つているか、私はまだお話のようなことは緒方君から承知いたしておりません。
○今澄委員 緒方君から承知いたしておりませんと言われるが、承知しておられるおられぬはともかくとして、副総理はそういう見解だが、これに対して総理としてはどういう態度であるかということを私は聞いたのです。これは今の政権を担当しておられる総理が、そういう発言が副総理からあつたときにどうするのだということもはつきりわからないということでは、まことにたよりない話で、今あなたは筋を通してはつきりさせると申したが、それは具体的にはどういうことですか。
○吉田国務大臣 具体的に申せば、緒方君からそういう話を聞いたときに考えます。
○今澄委員 私は総理大臣にいろいろ現状の問題をこの際明らかにしていただく意味において念を押したいと思いましたが、しからば私はこの際原則論から総理にひとつお聞きしたいと思う。総理はきのうのお答えで、民意によつてきめるべきであるという答弁をされているが、その総理が民意によつてきめるべきであるという答弁というものは、総選挙が行われて、そのあと首班選挙という際には、かつて片山内閣成立の際に、第一党たる片山内閣が政権の担当をすべきものであるということで、あなたは野に下ることを主張して政権の授受が行われたが、今後とも選挙の結果によつては、その選挙の結果の第一党が内閣を組織して行くのが当然であると考えられるが、それとも出て来た新しき国会の中の首班指名の結果多数をとつたものが内閣をとつて行くということが、日本の現憲法下における政権授受の立場から正しいと思われるか、この点についてこれは原則論であるが、総理の見解を聞きたいと思います。
○吉田国務大臣 総選挙の結果絶対多数をとるか、あるいは第一党が天下をとるか、これはそのときの情勢によるものであると思う。いずれにしても政党政治の精神にのつとつて行動いたすべきものだと思います。
○今澄委員 結局私はこの自由党が今日の政局に対してとつている態度、並びに吉田総理が今答弁されたところを勘案すると、どうも私は現下の政局混迷の原因は、吉田総理あなたにあると私は言わざるを得ない。あなたはやはりこの際内閣不信任案が出れば、それによつて総辞職をして、新たなる新政権に譲るという態度をとるか、あるいは選挙後の第一党組閣を目ざして解散に出るか、ともかくもこういつた現下の状態において、自由党の総裁としても内閣の総理としても、はつきりした考えがなくちやならぬと思う。私どもはあとでいろいろ申し上げますが、とにかくあなたの今日までこの予算委員会へ出て答弁せられているというそのことが、私どもとしてはまことに変な話で、いろいろ外交の問題、疑獄の問題、指揮権の発動の問題等々を考えると、内閣はただちに総辞職をしなければならぬ筋合いにあると私は思います。ともかくも一番求められているのは政治の明朗化である、あなたはただいまも筋を通した政治を行いたいと答弁をせられましたが、いかに筋が通つてないかということは、岸幹事長がたびたび保守合同をやらないと言つているのにもかかわらず、あなたの方の池山幹事長は民主党に対して非常な働きかけをして、まるきり国民の前に、予算委員会における総裁の答弁と女房役の幹事長の行動とが表裏相隔たることまことに唖然たるものを露呈をしているのであります。しかも緒方首班ということはすなわち吉田亜流内閣ということになりますが、この緒方首班成立のために両派社会党に働きかけてみたところで、それは当然むだなことであることはわかつておりますが、しかし両派社会党に対する働きかけもまた裏口においては活発であります。私はかような自由党のいわゆる悪あがきというものは、ここにおいてあなたがいくら筋を通すと言つても、その背後においては政権を目ざしてあらゆる努力を続けている政権亡者が、吉田さん並びにその亜流ではないかということを非常に国民の前に印象づけていることは遺憾であります。私は今回不信任案がもし出たならば、この前の不信任案のときは改進党の欠席組が出て、そうして不信任案は否決になりました。あなたはつえを忘れて立ち上つて喜び、幹事長は祝杯をあげたが、そういうことは政界不明朗化のこれまた働きかけの大きな原因で、これが今日の日本の政局を非常に混迷に陥れ、不明朗にしている。今度不信任案が出るときも民主党に対してさような働きかけの前提として私は池田幹事長はやつておられると思うが、あなたは不信任案が出たならばそのときに考えると言つて逃げ、不信任案が出ればあなたの直系の幹事長がそういう不明朗な行動をしてこれが通過を阻止するという今日の姿は、吉田さんのここにおいて答弁せられるきれいな答弁と自由党の動きとは全然別な行動であるが、これらの現状についてあなたの明快なひとつ態度と今後の方針を聞かしておいていただきたいと思います。
○吉田国務大臣 同じことを申すようでありますが、筋はあくまでも通す、また民主政治、政党政治の確立のために、その線に沿うように行動をいたします。また自由党の内部に今お話のような側近云々ということは、これは私は承知いたしません。
○今澄委員 あなたは汚職事件においても、とにかくあなたと表裏一体となる責任者がたとえば法廷に立たされても、私は承知いたしません。あなたの下の幹事長が何をやつておつても私は承知いたしません。そういう一体政党の総裁なり政治家の責任論というものがありましようか。私はあなたに一言申し上げておかなければならないが、あなたの今までのやり方は事ごとに既成事実をつくつては国会に承認を求める、外遊をする際でも外遊すると言つては行かない、黙つて行つてしまう。行つてあとからこれこれこうだつたが国民もどうか協力を、こういう態度。たとえばMSAの池田・ロバートソン会談においても黙つて行つてしまう。行つて帰つて来てこういうことになつた、自衛隊をつくりたい。現実には憲法を無視する、まつたく国の法律を無視するようなことでもかつてにやつてきめておいて、これを現実に行つては国民にこれを納得させる、強引に押し切るという、これが今までの吉田内閣のやり方なのです。これは天下周知の事実なのです。あなたは今幹事長が何をやつているか全然私は知らないとおつしやるが、それで政党の総裁としての責任も持つていらつしやるとあなたは言えますかどうですか。政党の総裁、一国の総理としての責任を全部お持ちになるならば、そうした幹事長の動きについても、あなたの意思によつてこれは何がしかさしずがなくちやならぬ、了解がなくちやならぬと思うが、あなた政党総裁としての責任はどうです。
○吉田国務大臣 お答えをします。政党の総裁としてりつぱな責任をとつておると確信いたしております。
○今澄委員 政党の総裁としてりつぱな責任をとつているならば、なぜそういうような民主党にも働きかけ、あるいは社会党にも働きかけ、こういうような今日の自由党の不明朗な行動を黙認していらつしやいますか。それはあなたの意思ですか。
○吉田国務大臣 御批評は御自由であります。しかしながら今幹事長がやつていることを一々私は承知いたしておらないという事実を申したのであります。幹事長は幹事長として党の要望その他によつて動いているのでありましようが、私にはいまだ何にも報告がありませんから、承知しないものは承知しないと申すのであります。
○今澄委員 私はあなたに一言申し上げておかなくちやならぬのは、なるほど占領下においては、外交官として堪能な吉田さんが、外交官的手腕によつて国民を離れて総司令部と折衝し、あるいはメモランダム等も出るのであるから、個人的な動きで日本の国政を運営するということに大きな確かにうまく行つた点があると思いますが、それはいわゆる民主政治が本格的でない占領下の外交官としての行動なのです。吉田内閣の致命的な欠陥は、講和条約を結んで独立した今日においても、その外交官的個人折衝的なもののやり方で、日本の輿論あるいは国全体の意見あるいは党内における幹事長以下の意見というものを無視して動かれたあなたの行動というものが、あなたみずからは正しいと信じておられたが、あなたが吉田書簡を出して自由党総裁をやめるに至つたほんとうのこれが原因ではないかと私は思う。あなたは自由党の総裁を近くおやめになるのであるが、そのあなたがここで答弁をすることと、そういう自由党内の動きを全然わからないというそのことは、いかにあなたがこれまでの外交宮的なやり方でものを処理していらつしやつて、一国の総理としての民主的な輿論の上に立つ政治のやり方ではないということを私は指摘いたしておきたいと思いますが、これに対するあなたのお考えを承つておきたいと思います。
○吉田国務大臣 ただいま申した通り、あなたの御批評は御自由であります。
○今澄委員 私は吉田総理に申しておきますが、やはり国民を代表して当予算委員会で聞いている。しかもこのことは吉田内閣の致命的な欠陥であると私は言つている。あとできて来る、選挙の後か知らないが、吉田亜流内閣というものがもし現われるとすれば、こういう致命的な欠陥を引継いでいる内閣ではどうにもならず、私は吉田総理のとにかく国の政治に対する考え方、民主政治に対する信念というものをもう一度ここでぜひ聞きたいと思います。
○吉田国務大臣 先ほど申した私の説明以外につけ加えるものは何にもありません。
○今澄委員 それが一国の総理大臣の答弁であるということならば、われまた何をか言わんやであります。 そこで指揮権発動の問題にひとつこれから入ります。以上政局についていろいろ伺いましたが、総理大臣が今日の事態に臨んでの確たる信念は何にもないということであります。今吉田内閣に対する国民怨嗟の声は、汚職事件の発生と、その汚職事件に対する吉田総理の指揮権発動ということが今やその怨嗟の的であります。きのうの答弁によると、総理はこの指揮権発動は法律の定めるところに従い、正しいと思つてやつたのであるというお話でありました。これは憲政の常道を知る一国の総理の言葉とは思われません。今日本は民主国家であります。民主国家の輿論を代表するものは政治的には総選挙等いろいろありますが、少くと新聞報道機関の社説というものがある。これは一国の輿論を代表するものであると少くとも私は思う。その全国の新聞社の社説が筆をそろえて全部一つの例外もなく、指揮権の発動はまさに違法である、断じて許すことのできない暴虐であると言つて攻撃している。あなたこの各報道機関の社説を読まれて、なおかつ何らの反省もない、まつたくこれが正しいとお思いになるならば、それはあなたの独善であるが、あなたはこれらの報道機関の社説をお読みになりましたかどううですか。しかもこれらの輿論に対してのあなたの考え方はどうですか、ちよつとお聞きをしておきたいと思います。
○吉田国務大臣 お答えいたしますが、指揮権発動の問題についてはしばしば説明いたした通り、政府としては法によつて与えられた権能を行使いたしただけのことであります。もしこれに対して国定がお話のような考えを持つておるならば、総選挙によつた場合にその判決が下るだろうと思う。
○今澄委員 その法律的ないろいろな解釈はあとでこれからあなたと私とでいたします。あなたは今報道機関が社説に載せておる、指揮権に対しては全部間違いであるというこれらの報道機関、新聞の社説等について、何らか反省するところはないかということを私は聞いているのです。
○吉田国務大臣 報道機関が筆をそろえて攻撃したかしないか私は覚えておらないが、いずれにしても政府はその信ずるところの信念に基いて行政の衝に当つておるのであります。この政治上の責任については、総選挙その他において国民の声が現われ、最後の判定が下ると思う。
○今澄委員 この機会に私はついでに、あなたの態度でこれまで私どもがながめて非常に不可解なところがあるから一点聞いておきたい。それはこの指揮権発動とはちよつと離れるが、あなたは常に新聞を信用しない、報道は誤りであるということを口癖のようにこの委員会でおつしやつていらつしやる。だが私はあなたの行動をじつと見ていると、あなたみずから求めて新聞記者会見もやつておられるし、外遊中にも外国の新聞記者との会見に出席をしておられるのです。あなたの考え方というものはいかにも御都合主義である。自分に都合が悪くなつたときは、そういうものは新聞が何書いておるか知らぬ、自分が何か相手側に訴えたいときは求めて記者会見をする、こういうあなたの御都合主義的な態度というものは、民主国家における新聞、放送等報道陣に対する社会正義をあなたの立場は無視しておる立場であると思う。これはまた今日あなたが自由党の総裁を、いわゆる力の前に書簡を出してやめなければならないように至つた一つの原因でもあると思うが、この民主国家の報道陣の任務とあなたの態度というものについてひとつ伺つておきたい。お答えを願いたいと思います。
○吉田国務大臣 私の態度についての御批評は御自由であります。
○今澄委員 今総理は何の質問が出ても黙つて通りさえすればそれで無難である。そういう卑怯なしかも男らしくない態度でお臨みになるということならば、私も私の言いたいことを聞かざるを得ない。 それで私は指揮権発動について総理にお伺いいたします。この指揮権の発動に関しては法理論的な解釈を法務大臣との間に私は交換しようとは思いません。指揮権発動に関して私は今新聞報道をあげましたが、今度は法律家と学者の見解、元司法大臣、日本弁護士会の最長老である岩田宙造氏の見解によると、法務大臣が重要法案の審議にさしつかえがあるからという理由で、検事総長の逮捕請求を押えたことは明らかに違法だと考える。法相は検事総長の上の地位にあるのだから、たとえば逮捕しなければ証拠隠滅のおそれがあるかどうか、収賄の金額が少いから起訴する必要はなかろうかなどというような点について、大臣と検事総長の間に意見の食い違いができたような場合には、上の地位になる大臣の意見が尊重されることは当然だが、国会の法案審議云々というようなことでは十四条を適用することはできない。法務大臣と検事総長とは上下の差はあつても、本来その考えるべきこと、なすべきことは同一でなければならないはずで、政治的理由で押えたということは確かに違法だと思うと述べております。なお元東大の小野清一郎氏もこれと同じような見解を述べておられるのです。その他法曹界、学者の見解も大体これに一致をしておると思うのです。そこで私あなたに聞きたいのだが、三権分立の建前から行くと、国会が逮捕の許諾を求められて、その諾否を決するという権限が与えられておるのは、ちようど朝鮮の李承晩大統領のように政治犯をつくつてこれで押して行こうというような検察フアツシヨを防ぐために、国会は逮捕の許諾を拒否する権限が与えられた、それからもう一つ、この指揮権発動は、これまた検察ファツシヨで政治犯的な検察がどんどん行われるときに、日本の立法権の権威を守るために、政府の行政権を守るためにこれは行われておるものであると私は思う。しかるにあなたは少くとも疑獄で今日法廷に立つている、五千五百万円の金を受取つている佐藤榮作氏を、指揮権を発動して食いとめておいて、それで法律の規定に沿つてやつたものであるから、これは何ら間違いではない、こういう考えで行かれるということは、あらゆる報道機関の国民輿論、法理論的ないわゆる法律解釈、そういうものを全然無視したあなた個人のひとりよがりではないかと私は思います。そこで私はこの指揮権発動についてのそういう学者、法律家の見解について、総理大臣は何らか御検討なされたことがあるか、それらの学者はやはり曲学阿世の徒であるか、私はこの際総理にお伺いいたしておきたいと思います。
○吉田国務大臣 政府が指揮権発動をいたしたのは、相当研究の結果であります。その学者諸君の話や意見がどう違つているか、あるいはまた学者諸賢の意見が正しいか正しくないか、これは国民が判断するなり、あるいはまた裁判所に出訴をするなりして決定せられたらいいだろうと思います。政府の見るところは、指揮権発動は合法なりと考えておるのであります。
○今澄委員 そこで私はこの前この委員会で、第十九国会のときに造船疑獄、保全経済会についてあなたに答弁を求めた。あなたはそのときに――私が再三答弁を求めたが、倉石委員長は、総理からは御答弁がございません、前答弁の通りであります、と言い、ここで私は十分間もあなたの答弁を促したが、あなたはただ全貌が明らかになつたら必ず責任をとるからどうぞ御心配なくとの答弁を繰返すにすぎなかつたのであります。この全貌が明らかになつたら必ず責任をとるというあなたの御言明は、今日党の幹事長が五千五百万円の献金を受けて――これは政治資金規正法関係であるが、取調べを受けておる。現にあなたの下であなたを助けていた幹事長が法廷に立つておる。この現段階においてあなたは全貌が明らかになつておると思われませんか。あなたが言われる全貌が明らかになるというのはいつであるか。そしてその全貌が明らかになつたらあなたはどういう責任をとられるか、御答弁を願います。
○吉田国務大臣 いずれこの問題については裁判の判決があるでありましよう。裁判の判決があれば全貌が明らかになる。全貌が明らかになつた場合に、どういう責任をとるかということは、その判決の結果によつて考えます。
○今澄委員 裁判が明らかになるのは今までの例によると、大体十年ぐらいかかる。あなたは今のお年からしてそれじやまるきり終生責任はとらぬということになる。あなたの命がそれまで持つかどうかわからないと思います。まことに一国の総理としてその答弁はまさに国民をして唖然たらしめるでしよう。だが私はもう一言腹をさすつてあなたにお聞きしたい。 あなたは今回の外遊にあたつて、厳父のお墓参りをして出発されたそうであります。私はその祖先の墓に参られたあなたの心境を考えてみるのですが、あなたのお父さん牧野伸顕氏は山本権兵衛内閣のときの外務大臣で、そのときにシーメンス事件が起きたことはすでに御承知の通りであります。この事件が起きて貴族院はこれを取上げた。それから二日目にして山本権兵衛内閣はこの汚職の責任をとつて総辞職をいたしております。あとで牧野氏が全然金をもらつておらないことも、その後の結果によつて明らかでありますが、私はこのあなたのお父さんがとつた、貴族院が取上げるや二日にして総辞職をして政治家としての責任を明らかにしたこの姿、あなたは今その人のあととりとして今度の造船疑獄で幹事長外有田二郎氏その他法廷の前に多数立たしめ、しかもみずからは指揮権を発動し、そうして裁判が最終的にきまつたならば責任をとろうなどというような、そういう考え方で一体あなたのお父さんの墓の前でどういうお願いをされたかと私は思う。私は一体政治道徳の最高のものは、民主政治というものは政治家が責任をいかにとるかということが、民主政治の最後の問題だと思うのです。その民主政治の決定において山本権兵衛内閣のときと、今日のあなたのその態度は天地実泥の相違があるが、もつて総理の感懐はどうでありましようか、御答弁順いたいと思います。
○吉田国務大臣 しばしば申す通り御批評は自由であります。
○今澄委員 そこで、御批評は御自由であると言われるけれども、あなたは一国の総理としてこの私の質問に対してお答えができないということであるならば、私はそれであなたの人格を察し、これで日本の国家がここまでよく来たと嘆かざるを得ません。私はあなたにいろいろありますが、造船疑獄の全貌を――今警察当局が調べて明らかになつたものだけです。だがこれでもう私は十分責任をとり得る全貌が明らかになつておると思う。まずこの造船疑獄は国民の血税ともいわれるべき税金を国家資金として九百八十億造船会社に融資して、三十六億のリベートがかすりとられた、そのリベートの中で検察当局が調べた政界、官界、財界に犯罪として記録された金額が、佐藤検事総長の証言によると二億六千七百万円であります。動員検事の数が四十人、事務官が百四名、逮捕八十人、参考人が一千人、そのうち起訴が三十二名、自殺者が二名出ておるわけであります。しかもこの中であなたの総裁の下で働いた時の幹事長佐藤榮作氏は、日本船主協会俣野健輔氏から二千万円、日本造船工業会長丹羽周夫氏から一千万円等、合せて五千五百万円の金を受取つたことは事実である。これは今指揮発動の結果収賄罪ということで検挙ができないから、法廷においては政治資金規正法違反ということになつておる。池田勇人氏ももらつておることは、司直の手に調べられても明らかでありますが、名目が立つておるということで法律に触れておらぬだけである。しかも従来の疑獄と異なるところは、民間会社の金をかつてに流したというわけではないのです。このお金は国民の税金を政府がかつてに使つて、その与党並びに政府たる政治家がこの国民の税金の上前をはねて、そうして自由党の運営に使つたということではありませんか。私は個人会社の金でない国家の金を、自由党の運営に幹事長その他の人をして使わしめたものは総裁でなくてはならぬと思います。その総裁である吉田総理大臣が、私は検察当局の発表した事実をまとめておるのですが、これだけの事実が明らかになつておるにもかかわらず、あなたはまだ全貌が明らかにならない明らかにならないと言つておられるが、いかにあなたが強弁せられようとも、国民は自分の出した税金の行方を内閣並びに政治家がどう使つておるかということは、重大関心を持つてながめておるわけであります。私はこの際ぜひ総理に今までのあなたの答弁のようなおざなりではなくて、このあなたをながめておる全国定の前に、これだけの事実が明らかになつて、あなたは一体いかなる責任をとろうとしておるかということをもう一度答弁を願いたいと思います。
○吉田国務大臣 政府は指揮権発動した結果、汚職問題の裁判取調べを停止はいたしておりません。従つて裁判所その他において、汚職事件の問題の審議は継続いたしておるはずであります。また私のただいま申した通り、問題の全貌が明らかになつた場合に、政府としては責任をとるが、検察庁の取調べのほかに、その検察庁の取調べがいいか悪いか、正しいか正しくないかということは、裁判の結果をまつべきものであると私は思う。検察庁の起訴したものが、ときに無罪になり、あるいは全部無罪になつたこともあるのでありますから、結果は裁判の決定をまつて考うべきものであると私は確信する。
○今澄委員 そうするとあなたは、この事件の全貌についてこれだけ明らかになつたにもかかわらず、今のあなたの答弁で行くと、裁判の結果無罪になる場合もあるというところを見れば、法律的な責任しかあなたは考えない、この政治的な道徳的な責任について、あなたは一体どういう態度をおとりになりますか。
○吉田国務大臣 お答えをしますが、政治と法律と道徳と全然違つたものではないのであつて、この三者は互いに相寄り相まつものであります。すなわち事態の全貌というのはこれをさすのであります。
○今澄委員 あなたは何と言われようとも、今私が検察当局の調べた結果を申し上げたので、全貌は明らかになつたということを認められたと思います。今あなたは政治と法律と道徳とか言われましたが、そんな疑獄に関する全貌がわかるのには何十年もかかります。この全貌が明らかになつておるにもかかわらず、あなたがその責任をとられないから、あなたの党内においては、引退を表明したあなたに対して、与党の中の代議士が署名をして、総理大臣に内閣総辞職を求めようなどという動きをするということは、いかに不信の総理大臣があるかということをあなた自身はお気づきになりませんか。自分が主宰をしておる、自分が今総裁である自由党の代議士が七十名近くも署名をして内閣の総辞職を迫つておるということは、あなたのそういつたものの考え方があきたらないから反撃をし追究をしておるのです。この予算委員会においてあなたが私に答えた、心配はいらない、どうぞ御心配なく、全貌が明らかになれば責任をとると言つたその一言に対する責任をとられるならば、今日ただいま内閣を総辞職して、これらの事件の全貌に対して国民にわびるということが総理の建前である。そうしてそれが裁判の結果、政治的な法律的な結果がどうなるかということは、裁判官がこれを三権分立の建前から示すでしよう。あなたは時の行政府の責任者として今ただちにやめるべきであると私は思うが、あなたはやめる意思はありませんか。
○吉田国務大臣 やめる意思はありません。
○今澄委員 ともかくも世の中に自爆的なやけつぱちの答弁というものも多多ありますが、あなたのような――私は総理に質問することはもうきようが最後であろうと思いまして、ごく紳士的にと思つたのですが、あなたのようなそういう態度では、今日の政界の混迷は当然救われないと思います。私はあなたにもう一つ、あなたがいかにかつて気ままであるかという実例を示しましよう。佐藤榮作氏に対する指揮権発動の理由は、あなた自身でよく御承知の通り、重要法案通旭のために指揮権の発動をするということをうたつてあつて、内閣は国会における法案審議、いわゆる憲法的な法案審議の、この立法府の建前を尊重するからこそ、ここに指揮権を発動するのだということで、自分の党の幹事長を守るときは国会第一ということで指揮権発動をなさつているということは、私が申し上げるまでもなくあなたがよく御承知の通りであります。ところが最も重大な立法府である国会は、議長の職権をもつてあなたに対して決算委員会に出て来てもらいたいということが伝えてあることも、これまたあなたが御承知の通りであります。自分のところの幹事長に逮捕令状が出るとは、国会は大事なところであり、立法府は最高の府であるといつて指揮権を発動しておきながら、今度は自分がそこへ議長から――全国民を代表する議会のそのまた代表である議長から、決算委員会に出席を求められれば、公務多忙と称してこれに出ない。病気であると称してこれに出ない。しかして予算委員会や本会議には堂々と現われて、しかもただいま皆さんの前で、はつらつとした、一体どこが病人であるかというような答弁が平気で行われておる。こういうあなたの態度は、この国会における百や二百の人々の前ではごまかすことはできても、ラジオを聞き、新聞を読む全国民の目をあなたは一体どうしてごまかしますか。ヨーロツパの諸国を歩いて、あなたはなかなか世界各国は復興も目ざましく、非常に立ち直つておると感心せられたと言うが、残念ながら日本ではかんじんかなめの総理大臣がかくのごとき状態で、一体日本国民がどうして政府に協力し、国家再建のために努力をしぼることができますか。私はまつたくこのあなたの態度が日本の復興を遅らせ、わが国の今日の苦境を招いたものとしか思われません。この総理の国会軽視の考え方、この指揮権を発動するときは、国会が一番大事だ。自分が国会に呼ばれるときは、国会はもう全然だめだ。こういうあなたのものの考え方は、一体どこから出て、何をものさしにお考えになつていらつしやるのであるかということを聞きたいと思います。
○吉田国務大臣 私の行為に対しては弁明いたしません。批評は御自由であります。
○今澄委員 これは私の質問であるが、同時に全国民があなたに聞かんとするところであります。あなたは国民のためにも、出て、こういう理由によつておれはこうだということをここで答弁なさい。
○吉田国務大臣 私は国会を重んじ、あなたの質問を重んじるから、答弁をいたしております。私の申しておることは、しばしば同じことを申しておるのであります。
○今澄委員 何がしばしば同じことですか。われわれが聞いておるのは……。 〔発言する者あり〕
○倉石委員長 静粛に願います。
○今澄委員 佐藤榮作氏に対しては国会を尊重し、自分が決算委員会に呼ばれたに対しては、国会を軽視しておる。この使いわけ、この二つのあなたの態度は理、解ができないから、どうしてそういうふうに態度を二つに使いわけておるかということを聞いておるのです。これは答弁する義務があります。
○吉田国務大臣 私が出店を拒否したことについては、拒否した理由があつて、法的の根拠によつて手続を了しておるのであります。国会を尊重する考えにおいては、あなたも私も違いはないと思います。
○今澄委員 あなたは国会を尊重しておらないからこそ、決算委員会に出ないのじやないですか。決算委員会は、三箇月にわたつて、しかもあなたに五回の喚問をやつておるのです。あなたは三箇月にわたり五回の喚問を受けて、今日のこの法的な責任において、あなたは自信があるなら、どうして出て明らかにしませんか。あなたが決算委員会に出て明らかにし得ないゆえんは、あなた自身が決算委員会に出れば、佐藤榮作さんがもらつた五千五百万円の金がどこに使われて、どうなつたかというような質問、個人的にわたるが、あなたが六年間の総理の結果できた新築の家、それらのいろいろな問題についての国民の追究や、あなた自身の答弁についての自信がないからお出にならないのじやないかと思う。もし日本の政治をこの際ほんとうに立て直し、ほんとうに日本の再建を願う総理大臣ならば、進んで決算委員会に出てあなたの信念を明らかにし――アメリカはわずかあのホワイト事件のニクソン副大統領の問題で、特別にホワイト事件に関する調査委員会が国会の中にできて、たいへんな経費を使つて遂に明らかにしたじやありませんか。あなたは民主国家であるアメリカのホワイト事件の実例を見て、総理としてどうお思いになりますか、もう一度お聞きします。
○吉田国務大臣 お答えいたしますが、私はよその国の事件については批評いたしません。私の考え方についての御批評は自由であるということは、先ほど申し上げた通り。
○今澄委員 馬の耳に念仏とはまさにこのことであるということを、私は今日この際つくづく痛感をいたしました。そこで私がいかにりくつを述べてもこれは念仏であるが、基本的な造船疑獄その他の疑獄に関する私のとりまとめ、その根本理由をひとつ申し述べて吉田内閣の反省を求め、総辞職を求め、そうして総理にお考えを願いたいと思います。この造船疑獄を初め一般の疑獄の本質的な問題は、一造船疑獄というような小さな問題ではありません。思い返せば、炭鉱国家管理の法案にからんで、時の自由党田中万逸氏が炭管事件で疑獄を生じたことは、これは総理も御承知の通りである。今回の造船疑獄もまた国の基幹産業である。私は自由党が起している疑獄というのは、これらの基幹産業にいつも関係があるという点をまず第一にあげなくちやならぬ。第二に、これらの基幹産業は、今の日本の底の浅い経済では、銀行資本あるいは個人資本等のいわゆる民間資本だけでは、確立して世界各国と対立することのできない状態に今日本が置かれているからこそ、吉田内閣は国民の血税である国家投資、財政投融資を開発銀行を通じてやつている。このもり育てなければならないという必要性に応じて国民の金を使つた。だが、その使つた国民の金の一部を、これらの基幹産業を食いものにして、いわば船が安くできるものを、何ぼか取つて政府、政党の資金に使われているところに、今日の疑獄事件、自由党疑獄というものの本質があると思うのです。政治権力を利用してやすやすとかくのごとき疑獄が行えるというその根本原因は、国民のこれに対する監査監督の権限、あるいはこれらの企業に金を貸したならば、その貸した金に対しての国民の監視の機構、これを吉田内閣は拒否して全然つくつておらないところに、これらの疑獄が行われる大きな理由があると私は思う。金を出したものは、株主は発言権がある。配当をもらうのです。だが国民は、この基幹産業に政府の力によつて金を出させられたが、何らの発言権もなければ、何らの立場にも立たされておらぬのである。そこでこの現実の日本が当面している経済は、野放しな自由経済を売りものにして、そうして自由活動を認める、一方では国家資金を投入して、すなわち国家資本主義でやつて行かなければならないという、日本経済の置かれている今日の姿をよくわきまえることなしに、ただ財閥やこれらの資本家の要求のみに従つて金だけは出している。その命についての内枠監査制度――役人を入れて調べるとか、あるいは決算についての監査が十分行つておらないというところに、国の権力を利用して時の保守党内閣がこれらの金で政党を運営するという大きな誤りが現われて来る、これは今日の日本の一つの大きな悲劇でもあるというふうに私は見ざるを得ないのです。私が今総理に申し上げたいのは、これらの基幹産業の育成には、国家資本を提供するかわりに、労働者と資本家と国民代表の三者による新しい経営形態をつくつて、そうしてこの国民の血税がつぎ込まれただけのことはしているということを、国民が納得するというような経営形態をとつて、わが国の復興のために国民協力を求めるか、さなくば、これは炭鉱国家管理法案、その他私どもが言つている新しい経営形態である西ドイツの事業に対する経営のあり方も、これと大体同じなんです。あなたは西ドイツは非常によくなつたが、日本は悪いと言つておるけれども、日本は国民の金だけはやるが、資本家の要求に従つて全然監査はしない。そうして財界から、解散する時期ではない。一にぎりの財閥の見解で、時の政府と與党が頭を下げて、この財界の意向に汲々としなければならぬゆえんのものは、それらの基幹産業に対する国民をだしにしたリベートではないか。私はこの根本的な今日の保守政党のあり方というものが、疑獄を生んでいるということを総理に申し上げたい。日本の内閣は、国の金をこれらの基幹産業につぎ込むならば、すべからく監査制度、監督機構あるいはかかる新しき経営形態等、国元が納得すべき方向へ持つて行くべきである。私どもが内閣をとつたならば、そのように持つて参りたいと思う。総理大臣は、こういう基本的な今日の日本の経済と、疑獄と、そうして政党の関係について――あなたは、この疑獄事件はでつち上げられた、何だか流言飛語であるなどというつまらぬことを言われたが、国家再建のためにもう少し真剣に勉強せられたいのであります。そこで、これらの問題についてどういう御見解を持つておられるか、ひとつ答弁を求めたいと思い、ます。
○吉田国務大臣 御意見はとくと拝承いたしました。また御意見によつて勉強いたします。
○今澄委員 私は今日の総理大臣の、この何を聞いても馬の耳に念仏的な御答弁ではしかたがないと思います。だがついででありますから、総理にはたいへんお気の毒ですけれども、私に与えられた時間内で、ひとつ最後まであなたに御質問をいたしたい。今度は外交の問題であります。なお外交の問題のほかに、今のそういう総理の考え方ですから――スキヤンダルは各方面に現われておる。その造船疑獄以外の、今日現われんとしておるいろいろな疑獄の問題については、わが党が行政監察委員会並びに決算委員会で追究いたしますが、ついでにそのアウトラインもここでひとつお耳に入れて、皆さん方にぜひ真剣に御考慮願いたいと思います。 まず外交についてであります。第一次吉田内閣以来今日まで、総理の施政の大方針として、外交だけはおれにまかしておけ、おれは外交については絶対に間違いがないという御見解から、私どもも、ソ連外交はともかくとしても、アメリカ外交だけは成功するであろうと思つておりましたが、そのアメリカ外交が実に大失敗であつたということを私はあなたに申し上げなくちやならぬのです。とにかくガリオア、イロアの援助によつて日本の経済再建を志した吉田総理は、その後外資導入によつてわが国の経済再建をやりたい、こう言つた。あなたは昭和二十五年に電源開発に際して、外資を導入して日本の主要産業の基礎である電源の開発を必ずやる、こういう答弁をこの予算委員会でしているのです。ところがこの外資導入は、遂に今日に至るまで何にも見るものはない。それから池田・ロバートソン会談で、あなたはMSAの受諾を条件に外資の導入を交渉されておる。このMSA受諾を条件に外資の導入をされたが、MSAの方は引受けさせられて、しかも自衛隊については曲りなりにも出発させられて、そうして事実上の憲法の否認をいたしたけれども、かんじんかなめの外資の導入は今日ない。そこで今回あなたは、これはどうしても最後に自分が乗り出さなくちやならぬというので、愛知通産大臣並びにあなた自身がアメリカに行かれて、弾丸道路、食糧増産を名目にして外資の導入を交渉せられ、これをおみやげにして日本に帰り、わが国の経済付建と、あわよくば吉田内閣の延命策をはかろうとされたものであると私は見ている。しかるにこの食糧増産、弾丸道路もけられて、小麦を買わされるに終つたということは、私は何といつても外交に関する吉田内閣の失敗で、しかもそれがアメリカとの外交における大きな失敗であるという点をぜひひとつあなたに申し上げたい。今回の外遊の成果がかくのごとき結果に終つたことは、これまでの長い間のあなたの外資導入に関するこの国会における答弁がむだになつたということですが、この点について私は、外資導入並びにアメリカとの外交折衝において、引受けるものだけはうんと引受けたが、あなたはどんな成果を得られたか、もしあつたならばここでひとつ報告をしていただきたいと思います。
○吉田国務大臣 私の外遊の成果がどうあつたかということは御批評にまかせます。また今後漸次現われて来る事実によつて証明する以外に、こういつた、ああいつたという報告はいたしたくないと思います。外資導入については着々歩を進めております。やがて実現せられるものもあり、またすでに実現せられたものもあります。またひもがついたのは何もないのであります。安全保障条約その他の条約上の義務以外に、何か米国の経済援助を受けるために再軍備その他のひもがついておるだろうということが、あなたの腹の中の疑いであろうと思いますが、そういうことは全然ありません。
○今澄委員 そこで総理に対してもう一つ聞いておきたいと思います。今日本とソ連、中共との間における講和条約を一体どうするか、国交の再開をどうするかというのがわれわれが考えておる大きな問題で、われわれはアメリカやその他西欧民主主義陣営との講和をしたのだが、ソ連、中共ともやはり講和条約を結んで、日本は世界各国と貿易を中心にする経済再建の方途をとるべきであると私は思います。そこで問題になるのは平和条約で、あなたは平和条約を結んで帰つて来たのですが、いよいよあなたの引退を前にしてわれわれが聞いておきたいのは、平和条約二十六条によれば、日本は条約の効力発生後三年間はどの国とでも平和条約と同一のまたは実質的に同一の条件で条約を結ばなければならない義務を持たされております。だがこの義務は三年で、つまり明年の四月二十七日で満了になります。従つてそれ以後は、基本原則としてはこのサンフランシスコ条約と抵触をするような条約を結んでも、その条約を締結した日本としては、何らの制裁や何らの国際的な指弾を受けるものではないのかどうか、この点を私は総理からぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
○吉田国務大臣 日本国としては、万国との間に国交を回復し、平和な関係が打立てられることを私も希望いたしております。しかしながら今日まで平和条約を拒んだのはソビエトその他の共産国であります。講和条約関係に入ることを向うが拒んでおるのに、これに対してどういうふうな関係をつけようとするつもりであるか知りませんが、ソビエトからあるいはその他の共産国からの日本と講和条約をしたいという希望は何ら聞いておりません。
○今澄委員 この点においては、総理はそう逃げてもらつては困るのです。日本はその後インドと講和条約をいたしております。ビルマともその後講和条約をしておる。各個別々にいわゆるインド式、法三軍的な講和条約を結んで来ておる。だから中共、ソ連が、われわれの見るところでは、こういつた法三章的、インド的な講和条約でも結びたいと言つて来るおそれは十分にあると思う。そのときに――総理はいずれやめられるのですが、一体どういう立場をとるか。ただ問題は、この平和条約二十六条によると三年間の義務規定がある。この義務規定が終つたときは、日本がサンフランシスコ平和条約の義務に反する条約を結んでも、何らの国際的な制肘がないのかどうかというこの一点と、もう一つはインド的な、すなわち法三章的な講和条約をソ連、中共が希望して来たときは、あなたは一体どういうようにものを考えるか、この二点についてひとつ明確にお答え願いたい。
○吉田国務大臣 お答えいたします。現実の問題として、融和条約の義務云云、あるいは今お話のような法三章のような条約を結びたいという申込みのおそれはまだないのであります。何ら聞いておりません。またそういう問題が起つたときに現実の問題として政府は考えますが、いわゆる架空の問題についてまでお答えはできません。
○今澄委員 総理にもう少しおちついていただいて伺いたい。平和条約二十六条の、この条約発生後三年間はどの国とでも平和条約と同一または実質的に同一の条件で条約を結ばなければならないという義務規定は、昭和三十年四月二十七日で切れるが、この規定が切れたあとは、この義務規定に反する条約を結んでも、日本は講和条約を結んだこれらの民主国家との間に何らかの問題はないかということを総理に聞いておる。これについて総理、御答弁を願います。あなたは自分で結んで来た……。
○岡崎国務大臣 私の管轄の問題でございますから、お答えをいたします。法律上はお話の通りであります。国際関係の実際上の問題は別でございますが、法律上はお話の通りであります。
○今澄委員 そうすると実際上は、この講和条約が切れたあとは、サンフランシスコ条約に多少抵触する点があつて、日本が講和条約を結んでも、国際的な法律的その他の拘束はない。それじやそのほかどういう実際的な拘束があるかということを、ちよつと外務大臣に伺います。
○岡崎国務大臣 拘束は法律的には何もないのであります。ただ国際信義の上から判断して、適当でないものはそれは日本政府として結ぶべきでないだろうと思いますが、今申したのは法律上の問題であつて、法律上は三年たてばその制限は撤廃される、こういうことであります。
○今澄委員 そこで実際上の問題になると、私どもは先般ソ連、中共を歩いて来た。岡崎さんに言わせると、名もなき君らのごとき者が行つても何らの収穫はあるまいという話であつたが、私どもは引揚者を大いにこちらに帰し、あるいはいろいろと実績をあげて来た。ただ惜しむらくは、日本とアメリカとの安全保障体制を認め、ソ連、中共との不可侵条約を認めて、この二つの形態の上にロカルノ的な安全機構としての法三章的な、インド式講和条約が結ばれれば理想的であるということで交渉して来ましたが、これはなかなかうまく行きませんでしたが、しかし日本と講和条約を結びたいということは事実であります。だからもし向うからわが国との間に講和条約を結ぶための戦争終結宣言あるいは、講和条約についての下打合せでも始まつたときは、岡崎さんは今のサンフランシスコ条約の解釈からすると、少々のところは、彼らとの国に話合いに応じて、法的には何らの制限を受けないという御答弁であつたというふうに私は解釈をいたしましたが、それでよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 現在のところは、ソ連側がサンフランシスコ条約に入つて来れば、これを受けるにやぶさかでないことは当然であります。しかしおつしやるのは三年後のことであつて、今のことではありません。三年後にはその当事者がきめるでありましよう。
○今澄委員 それは、どうせ長くない外務大臣ですから……。 私は大蔵大臣に少しお聞きをいたしておかなくちやなりません。大蔵大臣は先般来国会その他において、輸出も伸びたし、それから経済もうまく行つたということで、大きな声できのうもここでやつておられましたが、私が聞きたいのは、その輸出増進のためには、日本の産業はコストを切つて、企業の蓄積資本なり労働賃金なりを食いつぶして、今の輸出競争に耐えておるという現状は、私は非常な問題があると思う。そこで三井精機並びに高砂鉄工等、あなたも御承知のような、こういう大産業までが、遂に管理に入るという状態になつたことは、生産段階が非常な激甚な競争で、今日たいへんな目にあつておるということを物語つているのですが、そのデフレの姿は輸出伸張という結果的な、名目的な形の背景が、金融機関に今日現われて来ました。あなたの方の銀行局長は本年の九月の終り、全国の銀行監査をした結果、資産内容が悪いという警告を十六、七行にわたつてしていらつしやる。日本の銀行の資産内容が銀行局長が警告しなければならぬような状態で、しかもその中には三井銀行などというような大銀行も入つておるのではないか。あなたはこの大蔵省の銀行局長が警告を発した銀行は、どういうところが一体まずいというので警告を発したのか。しかも今の金融機関の現状は、警告を発せなければならぬほど資産内容が悪いのかどうか、大蔵大臣からひとつ私明確な答弁を求めておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 銀行は信用をもつて立つものでございますから、その信用内容についてかれこれ申すわけには行きませんが、しかし昨今、あなたが今言われたように、事業会社等でいろいろ手形不渡り等破綻をしておるものができて来ておる関係上、銀行としても十分これに備える必要がある、そういう点から監督者として銀行の方の内容充実に努めるということでいたしましたのでありまして、銀行としてはでき得るだけその内容の充実に努める、この点、警告という言葉では適当でないと思いますが、そのことを特に銀行局長から特殊の、あるいはそれぞれの銀行に通達したにとどまるのであります。あなたは今銀行の名前をおあげになつてお話でありましたが、往年銀行の名前をあげて非常に苦い経験をされたことがありますので、これは銀行の信用もありますから特に避けたいと思います。
○今澄委員 今、銀行の信用もあるから避けたいと言つたその一言は、大きな声で輸出振興を謳歌した、この今日の日本の経済政策の裏には日本の金融、銀行の信用というものが大きな危機に立つておるということをあなた自身が証明しておることになるのです。だから私は今の日本の経済的な現状というものは、金融危機の様相を示しておると思う。銀行局長が七十四の銀行を調べて、十六行に警告を発しておる。あなたはそのことを銀行局長にお聞きになつて御承知でしよう。私はそれらの銀行の名誉のために申し上げませんが、少くとも今日のごときこういうデフレが銀行の資産内容に大きな変化を与えつつあるということに対して、あなたの今後の財政金融対策はどういう姿においてこれを切抜けようとなさつておるかお開かせ願いたいと思います。
○小笠原国務大臣 何ら金融危機というような状況でないことは、よく御了承願いたいと思います。金融は平穏であります。但し今申し上げたようないろいろ、あるいは事業成績が振わぬところがあつたり、あるいは破綻に瀕しておるような会社等もあつて、そういう点もありますから、信用をいやが上にも尊重しなければならぬ金融業者としては、十分これに備えておく必要がある。言葉をかえて言いますと、外部支出の金をできるだけ少くして、内部蓄積をゆたかにするということが必要なので、その点を勧奨したにとどまる次第であります。なお私どももいろいろ事業関係等で今現われておることを一概に楽観しておるわけではない。これらの点について今後やらなければならぬ点が多々あるということは、私の言葉の中にもありまする次第で、今後三十年を地固めの年とするということを申しましたのも、特にこの意味のことを含めて、現実出血等がなくても行けるように、生産性の向上、コストの引下げをはかることに努めたいという意味から申し上げたので、さよう御了承願います。
○今澄委員 もう一つついでに大蔵大臣に警告を発しておかなければならぬのは、銀行がそういう状態だから、その銀行よりももつと小さい相互銀行等は非常に乱脈な状態が今露呈されておる。名前をあげれば常磐相互銀行の渋谷支店のごときは、日本通運から預かつた三千万円の金をやみに流して、ついにこれがやみ貸しの支出となつて、大蔵省はこれを指摘して、その支店長がやめた、いわゆる常磐相互銀行の事件のごときは、大蔵大臣もお聞きであると思う。私はあなたのところの課長さんに、詳細調べて念を押してみた。こういう事件が幾らもある。いわゆる保全経済会的な、やみ金融的な姿が今の銀行、あらゆるものを通じて、そうして銀行の支店長が床柱を背負つて、今日料理屋通いをしていばつておる。今日のデフレ政策の結果であるかような銀行並びに金融機関の状態を、大蔵省は一体どういう立場で取締るのか。しかもこういう状態に至つた原因はどこにあるか。あなたはこれらの相互銀行等の問題についても、ほかにも二、三あると思うが、もし御承知であればどういう模様になつていて、これが救済策はどうするのかということをあわせてお伺いしておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 今御指摘になりました相互銀行の分は、当時お話の通りのようなこともございまして、頭取その他更迭を見て、今日は十分内容の改善に向つて進んでおるということを申し上げておきます。なお相互銀行のうちには、これは今澄委員が言われたように、多少経営上改善を要すると認められる向きが少くないので、この改善その他につきましては、十分な監督を今日いたしております。なお念のために申し上げますと、あるいは拠金支払準備制度をとろうかということを考えたことも、一つはそういつたような意味も多少含まれておりますが、今日相互銀行に対しては従前に比べましてもつと頻繁に検査等を行い、その内容改革に努めておるということを申し上げておくにとどめたいと思います。
○今澄委員 それではあまりあと命脈なき内閣に言つても何ですが、これは今日の日本経済の大事な問題で、あなたが手放しで謳歌しておるような輸出振興などとは喜んでおられぬと思うのです。そこで大蔵省は今の準備金制度を検討する前に、国家的な預金保険の制度をも研究せられておつたということは、いかに預金が払いもどしを受けるときに危機に頻するかという重大な問題からなのだ。そこで私どもはこれらの中小企業金融機関がたとえば預金払出しに困つて、保全経済会的な迷惑を預金者に与えるというような段階に至らないものでもないと実は思いますが、その際における政府は、日銀からの貸出しで切り抜けるか、あるいはどういうような方途で、この金融機関に、そういう場合のあつたときを切り抜けるかという方策はこれは大事なところで、大蔵大臣のこれに対する見解をひとつ聞いておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 銀行が、また金融界が何ら危機にないことは申し上げた通りであります。但しできるだけ内容の改善に努めるのは、信用を重んずる金融機関として当然であり、これに努めておる次第であります。万一にもそのようなことが起るとは私信じませんし、仮定的な問題でかれこれ起つたらどうということを申し上げることもいかがかと存じますが、いかなる場合に対しましても、政府としては善処すべき対策を持ち合せておるということだけを申し上げておきます。
○今澄委員 それが具体的な構想は日銀の貸出しであるか、それとも保険制度であるか、あるいは準備金制度であるかという具体的な方途について、ついでにちよつとお答えを願つておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 そういうことは現実の事態に際してとるべき問題でございまして、抽象論でかれこれ申し上げるべきものでないと考えます。
○今澄委員 非常に吉田的な答弁がうまくなられましたが、もう一つ私聞いておかなければならぬのは開発銀行の融資であります。開発銀行の融資は麻生炭鉱が今残高が四億数千万円、いろいろ借りたり、もどしたりしてそれだけ残つている。決算委員会で田中委員長から麻生炭鉱に金が行つたということでいろいろパンフレツトなど出ておるが、全然麻生炭鉱に金が行つていないことはない。今残高が四億数千万円あります。なおこの開発銀行が磐城セメントの傍系会社富士ドロマイトという鉄鉱関係のところへ金を二億何ぼ出した。ところができ上つたとたんにこれは磐城セメントに合併になるというようなことで、今日開発銀行の金をめぐつて非常に利益のある産業にこの金が行く。かつはそれが非常に不明朗な動きで、係争中の問題になつていることもあなた御承知の通りなのです。なおもう一つはフイリピンにおけるサルベージの役務賠償の問題も、ある一つのサルベージ業者から反対が出て、そうしてこれが実際の値段よりも水増しが三割もあるというようなことでけられた。フイリピンとの賠償問題が行き詰まつておる原因にも、こういう日本の業者の水増し不正ということが大きく出ておる。先般インドが発注した百両の貨車のあの注文も、百両全部日本がやつたのかというと、今度はアメリカから抑えられて、そうして五十両もアメリカに――一番高い入札でとり得なかつたアメリカにこれらのものがとつて行かれるというようなことで、今の日本の汚職並びにデフレから来る金融難、それら一切のしわ寄せは、こういつた外国とのサルベージの問題、役務賠償の問題に至るまで累を及ぼして、まことに不明朗な事件を今日かもし出しておると私は思うのです。これらの問題を一つ一つ取上げて、この臨時国会が解散になれば、その次の国会で、わが党は少くとも行政監察委員会を通じて徹底的に糾明をする考えですが、こういう今日の事態について、愛知通産大臣並びに小笠原大蔵大臣は、一体どういう通産行政なり、大蔵行政によつて乗り切ろうとしておるか、これらの点にも触れてぜひお答えを願つておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 開発銀行は御承知のごとく、全然自主的に経営をさせておりますけれども、その内容については私どもの方で監督権を持ち合せておりますから、監査をいたしております。ただいまのところさような不正な貸出し、あるいは不当な貸出しがあるとも認めませんが、しかしただいまおつしやつたことは新しい事態でもありますので、あるいはさようなことがありやいなや、よく内容も調べまして、もしさような不正なというか、あるいは不当な問題がありますれば、これに対し善処するよう監督をいたします。 今お話になつたインドの貨車問題等は、これは御承知のアメリカでビツドに応じたものでありまして、当時円またはドル払い、どちらでもというようなことに相なつておつた。そこであれはたしかFOAの金で買われるものであるから、向うの方が裁断を下すものでありますので、これについて日本側でかれこれ言いにくい点もありますけれども、日本の商権保護のためには、十分こちらの立場について説明を加え、これを保護する必要があろうと考えております。いずれにいたしましても、あなたがおつしやる明朗なことは、私は特に自分では期しておるつもりでありますので、十分さように処置いたしたいと考えております。
○愛知国務大臣 よく御承知の通り、開発銀行の融資の関係におきましては、政府といたしましては、財政投融資計画といたしまして、主要産業あるいは望ましい部面についての計画をつくります。そしてこれを開発銀行その他と協議をいたしますが、具体的な融資についてはその責任を自主的に、明確にいたさせますために、従来いろいろの御意見もありましたので、開発銀行当局の自主的な判断によつて、これを行うことにいたしております。従つて政治的、行政的その他の干渉というようなことは行つておりません。 それから対外的な問題については、ただいま大蔵大臣から具体的な例について御説明がありましたが、私どもの念願といたしておりますところは、現在の資本蓄積の足りない現状にかんがみまして、必要なる、あるいは望ましき援助はほしいということで考えておりますが、あくまで日本経済の主体性を確保いたしたい、日本として最も望ましき有利な条件においてのみ、話合いに進むということにいたしておりますし、またそれに反することがありました場合には、所勢いろいろの方策によりまして是正することを企図いたしておる次第であります。
○倉石委員長 それでは午後一時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十六分開議
○倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。 質疑を継続いたします。苫地英俊君。
○苫米地委員 私は、災害対策に限定して政府の所信を明らかにしていただきたいと考えております。 日本は非常に自然の恵みに乏しくて、しかも、天災の非常な受難国であることは、今さら申すまでもございませんが、地勢の関係で年々、台風、水害、冷害、火災、地震というようなものが連続発生いたしまして、多数の人命を損傷し、また財産を喪失いたしておるのであります。この災害の対策につきまして、法規の上に不備な点があり、また当局の思慮の不足ということも考えられます。たとえてみれば台風に伴つて水害が起る、こういつた場合には救助の法律ができておりますが、台風のために大火が起つたというようなときにこれを救済する法律ができておらない。この九月二十六日の晩に北海道の岩内で大火が起りましたが、この際も漁船が大分焼かれておる。ところが、この漁船の焼かれたものに対しては、これを助成し援助して行く法規がない。また地震が起つて、地震に伴う火災の場合には、過去においてもこれを救済する特例が認められておりますが、今度の台風がなければ、ああいう大きな火災は起らなかつた。ところが、あの火災で家屋が焼かれた方は別といたしまして、漁船の焼かれた方は救われない。漁船の方の保険は、二十トン未満ということになつておりますが、だんだん遠洋漁業が盛んになつて参りますと、船が二十トンを越える、であるから、保険でこれをカバーすることはできない。それがああいう災害で焼けてしまつた、救われる道がないということになりますと、これは漁業者が非常な打撃を受けるわけであります。こういう点について将来法規をもう少し検討してみる必要がないだろうかどうかということでございます。この点について、これはどなたにお伺いしたらいいのか、まず大蔵大臣が元締めですから、大蔵大臣にひとつお伺いしたいと思います。
○小笠原国務大臣 私への御指名ですが、この問題は特に農林大臣から最初申し上げる方がおわかりがいいのではないかと思いますから、その次に私から申し上げた方がいいと思います。
○保利国務大臣 全般的に申し上げますと、ただいまお話のございました台風等による漁船の損害等を補償いたしますために、漁船損害保険の制度をとつておるわけであります。先般の北海道の十五号台風による特に岩内町の漁船被害の実情は、この券の災害を受け建造中のもの、これは金融公庫から融資等の処置をいたしまして再建をはかつておりますが、その再建途上に、まだ完成しないうちに焼けてしまつたというような、非常にさんたんたる被害であります。漁船になつておりますものにつきましては、一応制度といたしましては、漁船保険に加入していただいておれば、ある程度の保険補償ができるようになつており、再建も容易であろうかと思います。普及率がまだ私どもの希望するまでに達しておりません。特にあの地帯の保険加入率が低くなつておりますことは非常に残念に存じております。むろん根本的にも検討して参らなければならぬと思いますけれども、さしあたり現在この保険に加入していただければ、ある程度の補償ができるのですが、その利益を受けるところまで普及が至つていないということは、私ども非常に遺憾に存じておりますから、できるだけ普及をはかつて参りたいと思います。特に岩内町の漁船の被害実情につきまして、私も現地を拝見しまして、北海道長官ともども臨機の措置をとつたつもりであります。さしあたりあの時期が、ちようど大事なにしんの出漁前でありまして、少くともにしん漁に出漁しなければ、岩内町の復興はできない。従つてどんなことをしてもあそこを出漁するようにしなければならぬということで、緊急措置をとつて、ある程度出漁していただいております。根本的には十分研究しますが、現制度の普及ということの方が非常に大事ではないか、こういうように考えております。
○苫米地委員 農林大臣の仰せの通り普及率が少いということもありますが、二十トン未満という制限があることが非常な障害になつておりますが、これを改められるお考えがございますでしようか。
○保利国務大臣 実はこれは先国会で補助金等整理に関する法律で、現行法では二十トンから百トンまで拡張されております。しかるに前国会でやはり二十トンまでにという予算措置をとつたわけでございます。しかしこれは国会の御賛成をいただくことができませんで、百トンまでのものを含めるということになつておりますものですから、それに基いて今回の補正措置もできておるわけであります。今日百トンまで含まれることになつております。それはこの立法がたしか昨年でございますか、できておるばかりでございますから、その方は全然普及されておりません。しかしこれはこれからの問題として、二十トンまでの普及率も非常に低い。それで百トンまでのものがほとんどない。でございますが、今回予算補正もできておりますから、百トンまでのもので参りたいと考えております。
○苫米地委員 次に災害の大小ということと深刻度ということが非常に大事な問題になつて来るのであります。政府の説明によりますと、本年度は終戦後の災害のうち終りから二番目の小さい災害だ。であるから特例立法措置などは必要がない。それはむしろ弊害がある。また財政的の負担にも耐えないという御議論、これはごもつともだと思うのであります。私もこの特別立法というようなものには元来賛成いたしておらないのでありますが、しかしこの災害が広汎であつたとかその総額が大きかつたというような問題と、小範囲ではあるけれどもその災害が深刻な打撃を与えておるかどうかということとは、これはまつたく別問題であります。ことしのような災害総額が少なかつたときであるからということは、何としても納得できないのであります。小範囲でありましても、自治体の財政が非常に窮乏しておる。もちろん自治体の財政の運営には幾多改良すべきものがあることは私自身も認めるのでありますけれども、その土地柄によつて財政が非常に窮乏しておる。しかも災害によつて税収がほとんど皆無といつていいところがある。そういうところに対して何か特別措置をしなければ、その地方は絶対立ち上れないという結果になるのであります。そこでこの災害の大きいか小さいかということを離れて、深刻なところには特別な措置を政府が御考慮になつてしかるべきものだと私は考えておるのであります。ことに自治体によりましては無縁故引揚者をしよい込んでおるところがあるのであります。たまたまその地方に兵営があつたとか、遊廓があつたとか、その他あいておる土地があつたので、その土地には何にも縁故がないけれども、ただそういう人たちを収容する能力を持つておるというだけの理由で強制的に町や村が引受けておる。そのためにいろいろの設備をしなければならない。学校もふやさなければならない。家も交通も水道も、いろいろなもので経費がかかつて大きな負担を受けておる。それにまた災害を受けたというようなのは、これは自治体の責任ではなくてむしろ国家の責任であり、こういう被害を受けた場合には国家が全責任を負つてそういうものを援助する方法を立てて行かなければならないと思うのであります。またこの自治体が過去の災害において査定せられて補助金がもらえるということでこの補助金を引当てにし、見返りにして銀行から金を借りておる町村が非常に多いのであります。ところが現実にはその補助金が渡らないために金を返すことができないばかりでなく、莫大な利子の負担をしておるというのが現状であります。これらも、これは政府が約束しておきながら約束を果さないのであるから、こういう場合には政府が当然責任を負うべきものだと私は信ずるのでありますが、この点につきまして大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
○小笠原国務大臣 お尋ねの点でありますが、本年の災害は、金額においては最も少い年であることは御承知の通りであります。かりに昭和二十二年から見ますると、二十二年の一千九百九十一億、これは災害復旧事業興の関係でありますが、それに比べますと、たとえば二十七年が五百五十二億、本年が五百四十八億というようなぐあいで、年度別に見ますると、終戦後最も災害の少かつた年であるのであります。しかしながら、今お話のように、部分的には相当深刻なものがあつたことは仰せの通りに存じます。ところでそれではそれをまた特別立法をして行くというようなお考えがあるいは一部にあるのではないかと思われますが、実はそういう場合に特別立法をすることは一つは国の財政負担も増加いたしまするが、ひとり財政負担の増加ばかりでなくて、これが限られておる財源を横へずつとわけることになる。苫米地さんよく御承知の通りに、たとえばこれが一つの最も被害のはなはだしかつた地域だけに行くとしますればお話のような効果もありますが、これをつくつて行きますると、その特別立法はずつと一般的にどうしても及びやすい。現に二十八年度の立法が二十三府県にも及んでしまつたというようなことで、非常に効果が薄くなつてしまつていることは御承知の通りであります。従いまして現在の法律でも重点的にやればどうか。念のために御参考に申し上げさせていただきますると、現在の立法によりましても、たとえば和歌山県と三重県の二つの例で申しますると、和歌山県は九五・三%までできる、それから三重県は九一・七%までできるのでありまして、現行法に基きましても、災害適用地には九割以上これを振り向けるというようなこともできまするので、こういう際にこの現行法をよく生かしてやつて行くということでよいのではないかと私どもは考えておる次第でございます。 それから今の住宅その他に対するいろいろの問題について、これはむしろ国が処理すべき問題ではないかというお話につきましては、過去においてもこれについて住宅金融公庫などから相当な金を出していることは御承知の通りであります。詳しいことは便宜主計局長からでもお答え申し上げますが、なお足らぬ点がありましようが、国としてそれがどの程度までめんどうを見るべきものであるか、そこに村政その他のおのずからなる限界点があると思うのであります。従つて私どもも現実の問題によつて御相談申し上げたいと思いますが、岩内の火事等に対しましては、とりあえず応急措置としていろいろなことをやつていることは、苫米地さん御承知の通りでありまして、政府としては最善のことを現在のところもいたしておる所存でありますので、なお御意見のところもよく承つておきまして将来のことを善処いたしたいと考えております。
○苫米地委員 ただいま大蔵大臣の御説明を伺いましたことは、私も十分承知しておりまして、歳入とのにらみ合いにおいて九五%ぐらいまでの補助金はもらえるということも知つておりますが、貧困なところで歳入が皆無になつてしまつた、もしくはほとんど皆無に近いものになつてしまつた、このときになつて五%なり一〇%なりを負担するということはたいへんなことである。われわれは最後の精力の尽きるところまで来ているときに一わんの飯がどれだけの価値があるかということは論をまたないのであつて、そういうふうに追い詰められて、もうこれでなければ立てないというところについては、やはりこの援助をしてやらなければならない。私、北海道の方の事情を聞きましても、あそこの町は、あそこの村はこれで立ち直り得るであろうかと、世間でうわさをしているのを聞くのであります。私はこの特別立法というものの弊害を十分承知しておりますので、なるべく、でき得る限りこれは避けて行きたい。けれどもこのまま最後の足に立つている人間が、くずれて倒れてしまうのを見ておることはとうていできない、こういうふうに考えますので、私はこの点について大蔵大臣の御同情のある何らかの立法が立ちますならばけつこうでありますが、それらについて何か特別の御考慮がございますかどうか、お伺いしておきたいと思うのであります。
○小笠原国務大臣 現行法の許す最大限度のことをいたしたいと考えております。 それから、今の公共事業費その他の関係はさようでございますが、実は災害地のうちで個人の受けられたる災害が非常にひどいことは苫米地さんの仰せになつた通りでありまして、これらに対しては今度の営農資金とかあるいは中小企業に対する各種の資金を出しまして、これに対する利子の補給とか補償の制度はとつておりますので、そういうこともあわせてお考えを願つて、現在の財政の程度ではひとつこの程度でごがまんを願いたいと実は考えておる次第でございます。
○苫米地委員 ただいま大蔵大臣から個人の問題が出て参りましたので、ついでに申し上げたいと思うのでありまするが、日本においては自治体であると個人であるとを問わず、とかく国に寄りかかつて、依存しているという気分が非常に強いことは私も改むべき問題だと思つておるのであります。どこまでもわれわれは自主独立、自分の足の上に立つて行くという考えで進まなければならないということは、私が常に主張しておるところであります。この開拓入植者であるとか、また個人であつてもひどい打撃で立ち上れないという者に対して、御配慮をいただいていることもよく知つておりますが、開拓入植者というような場合には、現行法で保護されただけではとうていやつて行けない、これはもう事実でございます。ですから現行法を越えて何とかすることができないか。もちろん個人は災害復旧の対象とならないことは原則でありますけれども、であるからといつてこれらの人間を転落させてし三つて、生活保護法で救助して行くとすれば、やはり個人を対象とするということになるのであつて、その生活保護法にまで追い込まない前に特別の措置をしていただきたいというのが私の考え方であります。これに対する御所見をひとつ承りたいと思います。
○小笠原国務大臣 ただいまのところさような予算措置をとつてはおりませんが、御趣旨の点はよくわかります。現在ではたしか入植後五箇年の間だけ、それ以後のものはずつと普通の待遇を申し上げておるわけですが、いつまでも入植者という待遇もどうかというところから、さようにとりはからつておりますけれども、なおこれらについてもひとつ十分考えてみたいと存じております。
○苫米地委員 またこの災害の救済につきまして、私は非常に公平でないと思われるところがあるのであります。たとえてみますと、今度北海道や青森県において果樹が非常に倒れて、非常な災害を受けた。北海道のごときは、ほとんど一つも木に残らない。畑はじゆうたんを敷いたように、リンゴがころがつてしまつている。ところが米や麦であれば、一年不作であつても翌年はまたとれる。ところがくだものとなりますと、倒れた木は植え直してもつくかつかないか。また根のゆるんだのは、これを何とか補強して行かなければならない。追肥も必要になつて来る。また木を新たに植えれば、数年の間は無収穫になる。こういうわけでありますけれども、主食の場合には統制されているという理由で救済される道が開けておりますけれども、果樹の場合にはそういうことが考えられておらない。しかしながら果樹専門にやつている人は、その収入自身がその人にとつては主食であります。それを売つて、その金で主食を買つて行かなければならない。これは給与生活をしている人でもそうであります。給与自身は耐食でないけれども、給与から主食を買つて行かなければならない。であるのに、この果樹というものをぜいたく品と考えられるかどうか。たといそれがぜいたく品であるとしても、これを業としておる人にとつては生計の根本であります。こういうものに対して、どうも非常に軽く扱われているというような気がいたすのであります。こういうような点について、これは農林大臣にひとつ何かお考えがあるか、お伺いいたしたいと思います。
○保利国務大臣 北海道の果樹、特にりんごの被害が激甚をきわめましたことはお話の通りであります。今年の農業災害は、全般を通じまして北海道が最も激甚をきわめておるわけでございます。災害対策の考え方としましては、どうしても農家なり、その他漁業者が生活を維持して、次の生産、営農を続けて行くようにしなければならぬ。食べることが先だ。従つて食べることに対する手当を十分にしなければならぬ。これは従来とつて参つております措置を続けます。何もかも補助補助ということができますればけつこうでございますけれども、お話のように、何と申しましてもやはり被害を受けられた方々の立ち上る精神というものが、一番大事であるわけであります。ただしかし精神だけでは立ち上れない。そこでどうしてもつつかい棒をしなければならぬ。今度の御審議を願つております融資法によりまして、大体漁業関係で十五億、農業その他の関係で八十五億を予定いたしております。お話のように最も注意を要する点は、私どもといたしましても、経営の底浅い開拓入植者の措置を誤らないということを第一に心配しております。今お話の果樹被害につきましても、この八十五億のわくの中で必要な融資措置を講じて再建のお手伝いを申し上げたいという考えでおりますから、私はある程度の目的は達し得ると考えております。
○苫米地委員 農林大臣の御答弁ごもつともでございますが、ここで一言つけ添えておきたいと思いますのは、主食というようなものに非常に重点が置かれているために、地力に配分された八十億という金がいよく分配されるときに、果樹の方面には薄くなるという憂いがあるのでありますが、これは農林省で果樹にはこのくらいの程度が適当であるというような示唆をしていただくというようなことはできますでございましようか、これが一点。 もう一つお伺いしたいのは、植物防疫法は、これは対象がきまつております。農薬などの対象がきまつておりますが、これは絶対のものであつて、融通はできないものであるかどうかという点でございます。これは行政措置で多少の融通がきくかどうかという点をお伺いしておきたいと思います。
○保利国務大臣 第一点につきましては、もちろんこれは、第一線行政官庁であります道庁側とよく打合せをいたしまして、決して片手落ちにならないようにいたさなければならぬと考えております。 第二の点の農薬の問題につきましては、今回はこの措置は――従いましてそれは経営資金の中で考えて行くということで行くはかなかろうかと考えております。
○苫米地委員 いろいろ伺いましたが、この段階で、政府が今度の国会にどういう法案を出されて、救済の対策をなさるお考えでありますか、政府御提案の法律について、関係各省からこういう目的でこういう法律を出すという御説明を承りたいと思います。
○保利国務大臣 農林省の主として関係いたしております分につきましては、ただいまの営農営漁――農業経営、漁業経営を維持して参りますに必要な資金融通に関しまして、利子補給及び損失補償を伴う法律案、それと異例の大災害によりまして、北海道だけでも十億五千万石からの風倒木を出している。この風倒木の処理いかんが、また北海道民の罹災された方々の救済に大いに役立つという上からいたしまして、風倒木の処理に関する法律案を特別立法で出しているわけであります。直接の災害立法といたしましては、その三つを出しておりますけれども、同時にまた罹災農民の飯米につきましては、あるいは立法的措置を必要とするかもしれない、今農林委員会の方でも御研究願つております。
○愛知国務大臣 通産商の関係におきましては、ただいま通産委員会において御審議をいただいておりますが、昭和二十九年八月及び九月の風水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法案というものの御審議を願つておるわけであります。その骨子といたしますところは、今回の風水害によりまして損害を受けました小企業者の損害の復旧の促進と経営の安定に資しますため、小企業者または中小企業等協同組合でありまして、災害を受けました地域内に事業を有しまして被害を受けましたものを対象といたしておりますが、一つの企業者当り総額二十万円を貸付限度とし、償還期限六箇月以上三年以内、こういうものに対しまして、地方公共団体が、これらの融資をなしました金融機関に対して、年五分以内で政令で定める利率を適用した金額に相当する金額の利子補給をいたします場合に、その半額を国庫から補助をするということをその骨子にいたしたものであります。
○苫米地委員 どういう法律が出るかということについては了解いたしました。 農林大臣にお伺いいたしたいのでありますが、農林施設の復旧に対しては、どういうような措置をとつておられますか。
○保利国務大臣 農林漁業施設災害復旧法に基きまして、所要の六十九億のうち、予備金の支出によつて、おおむね二五%の復旧率をもつて進行するように予算措置をとつておるわけであります。
○苫米地委員 ただいまのお話でございますが、北海道の入植者、その他山の中で炭を焼いたりしておるのがあります。これは炭を焼かせないと、その日の生活ができない。またこれは各地に広がつておりますので、道庁はすでに補助をしてこれをスタートさせておるわけであります。当然国の方からも何らか御心配願えるというような前提でやつているのじやないかと思いますが、こういうようなものに対しまして、農林省はどういうふうにお考えになりますでしようか。
○保利国務大臣 私の承知いたしておりますところでは、北海道は炭でなく、まきを燃料として主としてお使いになる。むろん炭も相当焼かれていることは承知いたしております。これは一つは低利資金の方で十分考えて参りたい。ただ不幸な北海道の風倒木を早く処理いたしませんと、森林の保全の上からも非常にやつかいな事態を起しますので、できれば罹災町村民の御協力をいただいて処理をしていただく。それはまき等の材料としてはもちろん十分でありますから、これを山林保全をやつていただくということで御協力願いたい。これは予算にも法律にも出ておりませんけれども、実質的に非常に大きな寄与をなし得るのではないか。思い切つてひとつ御協力をいただくように処置をして行きたい、こういうふうに考えております。
○苫米地委員 今風倒木の問題が出ましたが、この救農土木につきまして政府のお出しになる救農土木費があまりに少な過ぎる。救農土木にはちよつとほど遠いものであるという事情であります。北海道に割当てられましたものが十億九千八百万円ございますが、内地分が二億二千六百万円、これが足りないのでありますが、そのかわり国有林野事業の八億五千万円というものを加えれば、相当の額になるという大蔵省の御見解のようでありますが、この風倒木は一地方に非常に集中されておつて、また中には林道からつくつて行かなければこの処理ができないというものがある。また風倒木の処理は一般農家ではできない。またたといできる人はあつても、旅費をかけて遠地へ行つたのでは家族が困るというような事情がありますので、この風倒木の処理というものが救農土木費に入れられてあるのは、これは一応数字の上では問題になります、 〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕 一つの解決策と見られますけれども、現実には即しないものと考えるのでありますが、この点はいかがでございましようか。
○保利国務大臣 確かに御指摘のような御批判は受けなければならぬかと思いますけれども、大体救農事業と申しましても、結局するに、被害農民にいかにして現金収入の道を与えるかということにあるわけでございますから、従つて林野関係の仕事で現金収入を得る道があれば、そういう地帯はそれに重点を置く。全然林野関係において仕事に均霑が得られないというところは、そういうところの救農小土木事業を起さなければならぬ。それらを勘案して、要はできるだけ現金収入の道を被害農民に与えるという趣意でございますから、それで今年度のそういう救農事業として予定いたしておりますのは、二十二億六千万円でございますか、そのうち北海道に十九億五千万円という予定をいたしておるわけでございます。これでできるだけひとつ効率的にそういう目的が達せられるように使つて行きたい、かように考えております。
○苫米地委員 時間がなくなつて来ましたから簡単に一わたり伺いたいと思いますが、この災害対策には予防が大事でありますが、これに対して気象観測の問題について、ことしの三月二十六日に、第四分科会で葉梨議員が質疑を行つておられることはよく承知しておりますが、この気象観測について将来どういう構想を持つておられるか、これは運輸大臣にお聞きするのですが、おいでになつておりませんのでいたし方がありません。私ここで実に遺憾に思いましたのは、洞爺丸事件が起つたということであります。あの際にまたデマがあつたのですが、そういう事実があつたかどうか。これは大蔵大臣にお伺いしたらいいかと思いますが、あの函館の現場で、二十九年度の予算に定点観測のために四億の予算を要求されたのであるけれども、自由党並びに自由党政府がこれを削つてしまつた、これが洞爺丸の事件の起つた一つの大きな原因だということをしきりに放送しておつたのでありますが、そういう事実があつたのでございましようか。
○小笠原国務大臣 これは運輸大臣の所管でございますが、昨日運輸大臣が答弁いたしました通り、定点観測の問題と洞爺丸の事件とは全然関係がございません。なお定点観測につきましては、本年度の予算で各方面の財政あんばい上削つたことは事実でございます。
○苫米地委員 まだ大分質疑が残つておりますが、時間が来たそうですからやめますが、私農林大臣にお願いしておきたいことは、災害対策用の種でございます。これの確保について十分御配慮願いたいということであります。
○小峯委員長代理 苫米地英俊君の質疑に関連して相川勝六君から発言を求められております。この際これを許します。相川勝六君。
○相川委員 災害対策に関する関連質問を二、三いたしたいと思います。その前にちよつとわが党の灘尾議員から質問いたしましたことに対する関連質問があります。私は現下の混迷した政局におきまして、日本共産党の方針、態度がいかようになつているかということについて、深い関心を払つておるのであります。御承知の通り、各国共産党がその革命を実現する過程を見ますと、共産党は初めには人民戦線を張りまして、そうしてその前衛党的の政党を利用いたしまして、共産党一流の戦術によつて保守党の分裂をはかります。そうしてその分裂した保守党に対しては、全然主義政見も異なつておる間柄であるにかかわらず、この保守党と共同戦線を張りまして、そして漸次これと共同して政権の座に近づき、遂には政権を奪取するのであります。一度共同して政権をとりますれば、今までの友党に対しても遠慮会釈なくこれをけ飛ばしまして、今度は独自の強力なる権力によつて独裁流血の政権を確立するのが、各国すべて軌を一にしております。現在のわが国の混迷した政局において、日本共産党の地下における動き、その方針がどうなつておるか。これはわが日本を守り、保守勢力を健全化する意味におきましても、また日本の政界を堅実化する意味におきましても、きわめて重要真剣な問題と思うのであります。この点について法務大臣の御所見を伺いたいのであります。
○小原国務大臣 相川委員にお答えいたします。ただいま仰せられたように、外国の共産党の行動を見ますと、初めは自分たちに同調し得るものと共同してその戦線を張り、やがて自分の力が強くなるに及んで、相手方をけ飛ばして自分たちの思うままの主義、主張を貫く、こういうようなことが従来の方針になつておるようであります。日本共産党の最近の動向を見ますと、やはりそれに似た行動をとるのではないかと疑われるような節が多々あるのであります。まず最近における動向を見ますと、最も著しいことは、日本共産党が国際従属性を明らかにして、ソ連、中共の政策に追従して来ておることであります。そうして朝鮮事変中、日本共産党は、御承知のように暴力革命の一手段として、一昨年の皇居前におけるメーデーの騒擾の際に、火炎びんその他の武器を主にして擾乱を企てたり、その他各地において労働争議等のある際には、ややもするとこの火炎ビン等を投じて騒擾をあおつておつたのでありますが、これが一般国民に対しては好感を持たれないことは明らかであつたことを考え、その当時その戦術転換をいたしまして、なるべく国民に受入れられるような、いわゆる平和政策をとつて参つたのであります。やがてこの平和政策は、ひとり一般国民に対するのみならず、その最も目的としておるところの労働組合あるいは農民組合、日教組、こういうものの中に自分たちの味方をふやして、やがて個々において自分の勢力が強くなると、その力を利用してこれを倒して、自分たちの思う通りの政策、政綱を打立てて行こう、こういう方針に傾いておるように見えるのであります。このことは、いろいろの彼らの行動を見ましても明らかになつておるのでありまして、これに対してどういうふうな政策をとつてこれを抑えて行くかということが、今日わが国における一つの大きな課題であると思うのであります。検察庁及び警察におきましては、このために日本共産党の表面に現われた、あるいは地下的のいろいろの行動をよく直査いたしまして、これをなるべく早きにとらえて、いわゆる暴力的の行動を考えることができないようにして行くという方向に努めて行かなければならぬと思つておるのであります。以上が大体の方針であります。
○相川委員 次に災害の問題について申し上げますが、現在全国の河川は、至るところで災害復旧、河川の改修工事を始めておりますが、いかにも予算が少いために、まるでねずみの食い散らしたような状況であります。工事がまだ始まらないうちに、あるいは完了しないうちに災害がありまして、その工事の箇所がかえつて大きな傷口となつて氾濫する、みすみす洪水があればまたこれはこわされるということを知りながら、予算が少いために、原状復旧をいたしまして、思い切つた改良復旧ができない。そのために、昨年つくつた橋も、昨年改修した護岸もまた決壊するというような状態になつております。また河川改修の根本的計画は立つておりまするけれども、それが十分完成せぬうちに再び洪水が出て来た。そうすると、根本的な計画を実行するにはどうしても予算が足りないために、間に合せの応急復旧をやらなければならぬ。応急復旧をやりましても、根本計画を実行するときにはそれは結局じやまになつて取払わなくてはならない。しかしながらどうしても根本計画ができないから、一応応急復旧をやつて行かなければならぬというような苦心の状態があるのであります。そこで、おそらく建設省としては、できるだけ改良復旧をやりたいという御希望があろうけれども、国家財政の状態から大蔵省との間の話合いがつかない。こういうような状態で、われわれは、みすみす現在の状態で行けば、河川の改修というものはまことにむだ金を使つておるということが考えられる。しかしこれも国家財政上やむを得ない現象であります。これを何とかひとつこの際画期的に建設的な施策を講じなければならぬ状態にあると思う。それについて考えますることは、今度のアメリカの余剰農産物の処理の円資金でございますが、この円資金の使途の問題が、食糧増産のためにも使うということになつておるように聞くのであります。そこでこの際多額の円資金を日本の河川改修の費用に充てるというお考えはないか。従来の予算の上にこれをやつて画期的に日本の河川改修をやる、災害を防除する、食糧増産に資するということをひとつ御決行になつたならば、アメリカの日本に対する好意の一部もあとに残りまして、すこぶるけつこうなことじやないか。これをいろいろのところにちぐはぐに、またねずみの食い荒したように配分せずして、河川改修だけをこの際思い切つてやる、そうして食糧増産をはかるという御政策をおとりになる御意図はないものか、政府の御所見を伺います。
○愛知国務大臣 余剰農産物にかわる円資金につきましては、農業開発を含む国内産業の発展のため、あるいは地域相互間の、いわゆる国際的な通商関係等の増進というようなことを主たる目的として考えておりまするので、率直に申しまして、河川復旧事業を重点とするという考え方は、現在のところとつておりませんけれども、御趣旨の点は、十分総合的な観点から考究いたしてみたいと思います。
○相川委員 従来の実情から見まして、災害は、地域によつては、ほとんど連年起つておるのであります。台風の通路というものは毎年ほとんど一定しておりまして、台風銀座の県というようなものが大体きまつておるのであります。こうした地域におきましては、県の経済も、町村の財政も枯渇いたしまするし、個人の生活は極度に低くなつております。家は荒れ、耕地は荒廃し、河川は長く決壊して、とうてい町村民や県民の財力がないために、河川の堤防もなく、無堤防のまま放置されたる河川が幾多あるのであります。県民は毎年々々打続く災害のために、いくら働いてもまたやられるからということで、みずから発奮する考えなくして、天災に打ちひしがれてまるで投げやり的な状態に陥つておるのであります。かくのごとき県民を奮起させるにはどうしたらいいか、まことに大きな問題であるのであります。従つてこういう県に対しては何とか政府で特別なる御方策をとつてもらいたい。私は、自分の県のことを言うのは少しあつかましい策でございまするが、宮崎県のごときは六十年間に百二十三回の災害にあつておるのであります。百二十三回でございます。毎年二回、三回の災害には必ず見舞われております。今度の災害は、六十年間で最も大きな災害である。相当の災害には投げやりになつておりますが、今度はほんとうに弱つております。ゆえに、かくのごとき連年の災害については、何らかの特別な御処置を願わなければ、県民は堕落の一途に落ち込むのであります。何とか昭和の聖代におきましてこういうものを直さなければいけないと思う。かくのごとき連年の災害に対する特別なる政府の施策がないかどうか、政府の御所見を承りたいのであります。
○小笠原国務大臣 政府といたしましては、十分なことができないことについてはなはだ遺憾に思つておりまするが、しかし宮崎県等の災害については、相川委員のお話私どももよく承知をいたしております。従つて現在の法律の許す範囲において、重点的にその金を振り向けたいと考えております。またこれに伴う起債その他につきましても、大体工事の進行と見合つて、できるだけの措置を考えたい、かように考えておる次第でございまして、特に宮崎県に対してこれこれあるいはまた災害の多いところにこれこれというふうな特別な立法でなくとも、現行法でやつて行けるから、現行法を重点的に使うことによつて、できるだけのことをいたしたいと考えておる次第でございます。
○相川委員 今のような政策をもつていたしまして、それで十分でありまするならば私はこういう質問はいたしません。従来のやり方が十分でないから申し上げているのです。それを紋切型の御説明でごまかすことはいけないと思う。
○小笠原国務大臣 根本問題としては、治山治水対策が根本であるから、これに対しては、それぞれ内閣に特別委員会をつくつて、これに対する処置もとつているわけです。あなたも知つておられる通り、災害予算だけでも、なお千二百億からの事業量を着手せず残しておるものがあるという状況でありまして、さればといつて、日本の財政でこれ以上のことができるかどうか。従つて、あとう限りの最善を尽すとお答え申すよりほかはないと存じます。
○相川委員 現在の政府の予算の経費でやつて行けるというような御方針のようでありまするが、大蔵省は、国家全体の財政上からにらみ合せて、できるだけ出ずるを制するという方面からおやりになるのはごもつともだと思うが、しかしながら災害にあつたときは、民生がどういう苦しみをしておるかということを見るために、いち早くわらじをはいてお歩きになるという御抱負はないものでありましようか。われわれは決して国費を無理やりそういうところにとつて行くことだけを能事と考えておりません。今度の災害にいたしましても、これは宮崎県だけではございません。先刻苫米地委員がおつしやつた通り、国家全体の災害額は少いけれども、局地的にはきわめて激甚なところがあります。ある町村のごときは、山間の山村で災害額が八億ございますよ。それで、全村民の一箇年間かせぎました全収入が三億しかございません。橋も全部落ちております。道路は寸断されております。耕地は決壊しております。そういうところの村長は、現行立法ではどうしていいかできないと言つております。部落の人間は、われわれは復興できなければこの四十戸、五十戸が立ちのかなければならぬ。立ちのくには山間の者が平原地帯に行つて生活はできません。都会に行つても生活できません。山には移住地はありません。医者は参りません。学校にも行けません。こういうものを放擲されておつて、現行の法律の運用によつてできるならとうにやつておりますよ、それができない。私は予算において今デフレ政策の一兆円予算をおやりになるのはけつこうであるから協力しております。しかしデフレ政策を実行するために一兆円というものはどうしても動かせぬものであるかどうか。民生の安定のためにはどうやつたらいいかということも、もう少し一兆円という数だけに固定せずしてお考えになることが政治家の態度ではないかと思う。私は従来のそういうような御答弁だけでは満足できないのであります。
○小笠原国務大臣 宮崎県の深刻なる災害状況から見ての御発言いろいろごもつともと承ります。しかし国全体として見まするときに、私はよく申す通り、何も一兆円のわくにこだわつてやつているわけではない。しかし国の歳入というものに制限をおいてやつている次第でありまして、それがひいてインフレその他の問題を起せばこれは大きく国が失うことになるので、この点からあくまでこの方針を堅持いたしているのであります。決して数字にこだわつて一の下にゼロを十二つけたものでなければならぬ、かような考えは毛頭持つておりません。国の歳入の点一点からかような処置をとつている次第でございます。そこで財政の許す範囲でできなければどうする。またあなたはそんなことを今までやつていない、そんなことでは通らぬ。しかし仰せになつているのはことしの災害について仰せになつているのでありまして、今までそういう仰せを伺つたことはない。ことしの災害について仰せになつている。従つて私どもとしても、いいということについては治山治水対策について先ほど申した通り内閣に審議会をつくつて、災害が重ねて起らぬようにいろいろやりたいのでありますが、これはなかなか予算措置がとれないので、ことしでもこういつた費用だけは前年に比べて増加さしている、そしてやつておりますけれども、力が多少及ばぬ。こういう実情でございます。従つて私どもとしてはあとう限りのことをいたします、こうどうも申し上げるほかなく、また実際問題として今お話のような実例のところもございましよう。しかしこれに対してはまた別個の考えをすべきであろうかと存じますが、さようなことは具体的な問題として一々また御相談する時期もあろうかと存じますけれども、ただいま全般として申せば今申し上げる以外に実はやりようがないことを御了察願わなければならぬと思うのであります。
○相川委員 今治山治水の問題についての御意見がありましたが、いろいろ審議会をつくつておやりになつているというのですが、しかしこれももう少し具体的な実行策を早くやらないと、国破れて山河ありというけれども、日本の山河は荒廃した山河になつております。人心も荒廃し、山河も荒廃し、この狭い日本をどうして行くか、実に真剣な問題であります。この日本の資源が、水力による発電ということを非常に頼りにしているのでございますが、水力発電の施設たるダムというものが治山治水が十分でないために年ごとに埋まつております。今日に見えないけれども、古いダムの堰堤の中には相当の土砂が入つておりまして、その水の分量ははるかに減つております。今度私はわらじばきでいろいろ行つて見ますと、自分の行つたところでも二つも三つもダムはすつかりもう砂利と大きな石が入りまして、ダムの用をなしておりません。貯水池ではなくて、砂をためるダムになつている。まつたくダムの用をなさないで、上位まで全部砂利が来ているのであります。その下には水力発電所がありますけれども、その発電所は引越さなければならぬ。やがては全国の水力ダムがそういう運命に年ごとに迫つているのであります。これはまことに私は国家的に大問題だと思う。事業家も巨費を投じてこのダムの建設をやる。ところがこれが発電の用をなさなくなります。そこのダムが埋まるために上流の水はあふれまして、従来は氾濫しなかつた耕地に氾濫して、水害の時には甚大なる被害を与えているのであります。これをどうなさるつもりか。これも調査々々というふうなことになるかもしれませんが、私はそれについての御当局の御苦心も十分わかりますが、一つの案として私考えれば、しろうとの途方もない案でございますが、港湾が砂利が溜つて浅くなりますれば浚渫する機械がある、サンドポンプか何かで浚渫する、それと同じようなそういう山間のダムの中の砂利をさらえる何か機械ができないものか。そういうものによつて排出された砂利は山間の渓谷あたりにためて耕地をつくる。これを国家と事業家と地元が協力して、何とか事業家も立つて行ければ附近の住民も立つて行く。そういう方法を建設省あたりでひとつ御研究になつて早急にこれをなさらないと、日本の大問題と思います。何かこれについての御意見ございませんか。
○小笠原国務大臣 相川君にひとこと附加さしていただきます。実は災害の問題につきましては関係各省で今研究会のようなものをつくつております。その中で前年災害を受けたところとさもないところとの少し地方的調整といいますか、それをやらなければ、どうしても財源に限りがあるものですから、ぜひそれが必要だということで実は相当の検討をいたしております。ただ成案をまだ得ておりませんから実はまだ申し上げませんが、これは近く成案を得ることに相なつておりますので、この点はいましばらくお持ちを願えば、これは事務的にも今検討を進めておりますから。このことを申し添えておきます。
○小澤国務大臣 お答えしますが、今相川さんのおつしやるように、従来の治山治水の方法がややともすれば堤防一本に片寄りまして、その水源地の治山あるいは砂防、浚渫というものを比較的ないがしろにする傾向があつたのですが、お話のように今後はやはりどこまでも浚渫、砂防というところに重点を置いて、堤防一本槍の治水計画から今転換して行こうという考えであります。お話の機械の問題ですが、私もいろうとでなかなかわかりませんけれども、専門家に命じて極力あなたの考えているような機械が新らしく発明されるように努力したいと思います。
○相川委員 今大蔵大臣は私の質問に対する御答弁の中に、連年災害がある地域に対しては特別なる施策というか、あるいはそれの立法措置ということについて御研究になつているという御答弁でありますが、私はこれを楽しみにしております。ぜひともこれを――私は連年災害地域はわかります。決して宮崎県ばかりではございません。鹿児島県もあります。その他たくさんございますが、そういう災害地域に対する対策を来る通常国会において何らかの御提案あることを私は切望いたしまして、まことに残念でございますが、時間がございませんから私はこれで終ります。
○小峯委員長代理 宇都宮徳馬君。
○宇都宮委員 私は本日は吉田総理大臣の御出席を願いまして、私の自由党離党の信念を申し上げると同時に、いろいろお尋ねしたいことがあつたのでございますが、おいでになりません。よつて緒方副首相にお尋ねいたします。 吉田総理大臣の外遊のおみやげにつきましては日本の国民の相当部分が非常な期待をしていたことは、これは事実でございます。しかしながら今国会におけるいろいろな総理大臣の御発言を見ますると、外遊のおみやげはただソ連、中共の平和攻勢の危険を説く以外に何ものもない、こう言つてよろしいのであります。昨日当委員会において、総理大臣は灘尾委員の質問に答えられまして、西欧の諸国民はソ連にはなはだ近いためにソ連の実情をよく知つておる。それゆえにソ連の平和攻勢に対する抵抗力は非常によくできておるけれども、日本は幸か不幸かソ連の中心から離れておる。それゆえに日本は危険である。特に向うにお客さんとして行つた議員その他が向うのいいことばかり持つて来るから、それゆえに特に平和攻勢に対する抵抗力が少い、そういうような意味のことをおつしやつたのでございます。私も実はそのお客さんの一人として行つたことがあるものでございますが、そういうことになりますると、日本のソ連に対する抵抗力が弱いということの責任の一端を負わなければならぬということになるわけでございまするが、私はそうは信じない。私も西欧の諸国家の方が日本よりも共産主義に対する抵抗力が強いということにつきましては、まつたく吉田総理大臣と同様な意見を持つておるのでございます。しかしながら西欧の共産主義に対する抵抗力が非常に強いということは、西欧の諸国家におきましては社会政策というものが十分徹底しておる、また議会政治がきわめて健全であり、公明に行われておるということが、西欧の共産主義に対する抵抗力の強い最も根本的な理由であろうと、こう存ずるのでございます。いたずらに総理大臣が共産主義の脅威を説き、また言論機関等のいろいろな反対があるにもかかわらず、反民主主義活動対策協議会というような官製情報機関をつくるとか、あるいはその他の官僚的方法によりまして共産主義に対処しようとすることは、西欧とは逆に、日本のソ連、中共の平和攻勢に対する抵抗力をはなはだ弱めるものであると私は信じますが、この点について緒方副総理の御所見を承りたい、こう存ずるものであります。
○緒方国務大臣 最初の御質問の総理の外遊の成果のことでありまするが、これは本来占領以後の列国の日本に示した好意と援助に対する感謝の意味を披瀝いたしたいというのが、そもそもの旅行を思い立つた動機でありますからして、従つていわゆるおみやげということはどういうことを意味するか知りませんけれども、そういうことを目的として参つたわけではないのであります。その旅行の間にアメリカ等におきましていろいろな会議がととのつた、そのことは先般の政府の所信に関する演説の中に申しておりますので、それは御了承をいただいておると考えます。それからそのほかに、何と申しましても総理大臣が面接各国を歴訪いたしまして、そうして各国の指導者との間でひざをまじえて懇談をする、その間にはお互いに平生疎通したいと考えておつたことが疎通できたこともたくさんありましようし、また誤解を解く機会もあつたろう、そうしてそれらの国との間の親善的な国民感情を増す上において非常な成果があつたことを信じております。 それから共産主義に対する御意見でありますが、総理が各国を歴訪いたしまして帰つて参りました感想の一つといたしまして、各国を通じて共産主義の問題が一番大きな問題の一つになつておる、これは総理の感想の中にもあるのでございます。同時に国際共産主義のいわゆる平和攻勢の目標がヨーロツパよりはアジア、特に日本に向けられておるということにつきましても、各国の指導者との会談の間にその認識を深めて参りました。従つていわゆるこの平和攻勢に対し今日本においてその対策を十分講じなければならないというような意味から、今後もその対策を十分に検討して参りたい、またこれは日本だけではできぬことであつて、米英との間にも共通の問題として研究して行きたい、そういうことでイギリスの当事者あるいはアメリカの指導者との間にもいろいろな会談をして来られたようにわれわれも聞いております。
○宇都宮委員 ただいま非常に丁重な御回答をいただいたのですが、なおよくわからないのでございます。昨日法務大臣は当委員会において日本共産党の勢力は地方選挙等の結果を見ますと、非常に伸びておる、こういうことを言つておられます。去年の総選挙当時から見ると三倍くらいになつている、こういうことを言つておられるのでございます。そうしてそのお言葉の調子を見ますと、共産党の活動が巧妙である、またそれに対する政府の対策が弱いというような印象を受けたお話であつたわけでございます。しかしながら私はしさいに日本のいろいろな情勢を検討いたしますと、緒方副首相の爛頭の急務というようなことをおつしやらざるを得ないような事態、つまり日本の政治が汚職と無責任によつて虫ばまれておる、そういうような事態が国民の間に非常に政治不信頼を引き起しまして、そういうやけくその票が最近は相当共産党に流れておるというような印象を私は受けておるのでございます。そして国民の政治に対するいわば絶望感というものが共産党を太らしている、こういう印象を受けておるのでございますが、この点について緒方副総理の御見解を拝聴したいと思います。
○緒方国務大臣 先般中ソの共同宣言というものがありましたが、北京にモスクワのフルシチヨフ副首相が来たときにそういうようなことの会談が中共との間にあつた、そしてこの共同宣言が発せられたものと思います。この共同宣言の内容を見ますと、いろいろ解釈せられますが、表はきわめて平和愛好的な言葉を使つておりますが、それをつぶさに検討いたしますと、それは日本あるいはアジアにのみ向けられたものではないのでありましようけれども、アメリカを国際的に孤立させることを、それから日本の国内に、俗な言葉を用いますれば三十八度線をつくる、いわゆる日本の中の人心をお互いに猜疑、離反せしめるというようなことがその目的のように見受けられるのであります。そういう意味から、日本としましても十分に対策を講じなければならない。その対策の一つといたしまして、保守勢力の結集による政局の安定ということが非常に必要になつて参りました。そういう意味からわが党におきましても、春以来今お述べになりました保守勢力の結集を爛頭の急務とするという考えのもとに、政局の安定をはかつて参りたい、それは保守勢力の結集によりまして、そうしてこの国際的な共産主義の攻勢に備えたい。その考えをもつておりまする際に、例の中ソの共同宣言が発せられました。われわれの考えが決して影にのみ驚いておるものではないという考えを持つておる次第であります。今後一層その方向に力を強めて進んで行きたい、かように考えておる次第であります。
○宇都宮委員 共産主義の対抗策にはいろいろございまするが、西欧がソ連に対してはなはだ思想的な抵抗力があるということの重要な原因は、西欧の社会政策が十分に行われておる、その国の政治がきわめて公明であるということによると思うのでございます。単に保守を結集するとか、あるいは、また警察的な方法を用いる、そういうことだけでははなはだ危険であつてむしろ政治の根本を直すということが非常に重要であると私は信じまするが、その点について副首相の御見解を伺いたいと思います。
○緒方国務大臣 警察的方法によつて何らかの対策を講じておると言われました意味が、私にはよくわからないのでありまするが、もし政府が昨今進めておりまする反民主主義活動対策協議会、そういうことを意味しておられるのでありますならば、その協議会は少しも警察的なこをとやつてはおりません。協議会自体は今日の共産主義の平和攻勢に対してどういう適切なる対策を考えて行こうかということの研究をいたしておるのであります。各関係大臣の間に相互に情報の交換、連絡をいたしまして、そして個々に起つて参りまする政治的な、あるいは社会的な問題、しかもそれには共産主義の裏づけがあると思われる問題に対しまして検討をしておるような次第であります。それ自体警察的な活動は少しもいたしておりません。
○宇都宮委員 さような方法をしつかりとつていただきたいと存じます。 それから吉田首相は御帰朝以来、世界の情勢を説かれまして、ソ連、中共に対する緩和政策と申しまするか、宥和政策、世界情勢、すなわち自由世界における一般的な情勢と逆行する、こういうふうに言つておられるようでございます。しかし本年の春から、イーデンであるとか、またマンデス・フランス等が、ソ連との平和的共存の可能性を真剣に求めているということは、これは否定することができない、こう私は存ずるのでございます。アメリカにマツカシズムというのがありまするが、英国、フランス等では、もはやマツカーシズムというのは鼻つまみになつている、こう言つてもいいのでございます。米国においては、対ソ予防戦争論というようなものは影をひそめまして、マツカーシズムはヒステリー症のように考えられておるのでございます。吉田首相の帰朝以来の御言動は、多少マツカーシズムに近いというような気がいたしますけれども、これにつきまして岡崎外務大臣の御所見を承りたい、こう存ずる次第でございます。
○岡崎国務大臣 この問題はいろいろ毀誉褒貶ありまして、なかなかその真相をつかむのが困難でありますが、御承知のように一般にいえばあまり評判のよいものではない。いろいろな点から、あの人の言つていること等から調べてみますると、やはり支持者があるだけにりくつもないわけではないのであります。しかしどう申しまするか、ほかの国にすぐこういう問題が適用されるわけには行かぬだろうと思います。われわれもプロとコンというものは他山の石としていろいろ研究はいたしてみなければなりませんが、大体においてはアメリカという特殊な雰囲気の中から生れたものであつて、ほかにすぐこれを持つて来れば適用ができるというものではない、こう考えておるわけであります。
○宇都宮委員 ただいま岡崎外務大臣はマツカーシズムの説明をせられまして、あまりマツカーシズムはおすきでないような御説明であつたのでございますけれども、吉田さんが日本にお帰りになつてからお述べになりましたことは、いささかマツカーシズムに近いという印象を私は受けておるのでございますが、それについてひとつ御見解を承りたい。
○岡崎国務大臣 総理のいろいろ言つておることを私から説明するのはおかしいわけであります。しかし私は大体時を同じうして中南米方面を歩いたのであります。それでその報告はたびたびいろいろのところでいたしておりますから、これは決してここでいいかげんに言つておるわけではない、前から言つておるのですが、太平洋、大西洋を隔てて、かなり共産主義の謀略といいますか、浸透に対しては心配のない国情にある国が、ことに南米方面大部分だと思いますが、行つてみますと、やはり一番問題の中心は、共産主義に対してどういう態度をとるべきかということであるので、多少驚いたくらいでありまして、それに比べればもつと近いところのヨーロツパ等を歩かれた総理として、ああいう感じを持たれたのは、私は偽らざるところであろうと思つております。私自身が現に中南米でもこういうことであるので、むしろ驚いたくらいで、こういうことを申しておる次第であります。
○宇都宮委員 私の質問の趣旨にお答えくださらないのでありますが、しかし、西欧をごらんになつた首相ならば、なおさらマツカーシズムがおきらいにならなければならないと私は思うのでありますイーデンの外交にいたしましても、あるいはマンデス・フランス等にいたしましても、これは西欧的には最もいい共産主義に対する一つの敵対対策であるとわれわれは信じます。そういうものとマツカーシーとは正面から衝突しておるようなものでございますから、西欧をごらんになつた首相が、西欧の共産主義対策がどういうふうに行われておるかということをごらんになつたならば、マツカーシズムに類したような言動はなさらないのじやないか、こういうふうに存ずるのでございますが、それについてひとつ御答弁を願います。
○岡崎国務大臣 総理の考えを私がここで述べるのは、どうも変な話でありますが、私の聞いておるところでは、要するに総理が深く考えておられることは、西欧等でもアメリカでもそうでありましようが、共産主義のいろいろな浸透工作に対してどういう手を打つべきかということであり、特に日本のような、北鮮だとか中共だとかいうところに近い国においては、その点をもつと深く考えなければならぬという趣旨のことはしばしば聞いております。しかしながら、今おつしやるマツカーシズムというこの言葉だけですべてを包含するのは間違いがあるかもしれませんが、ここで一番問題になりますのは、ある人をつかまえて、それを検査といいますか、共産主義者じやないかというので、人権を無視するような方法でいろいろ検査する。そうしてかりに何でもなくても、一ぺんそういうことが新聞等に出ると、その人は烙印を押されてしまうということで、非常にその人に迷惑がかかる、こういうやり方の問題がいろいろ非難されておるのであつて、共産主義自体に対して考えをしつかり持つて、対策を講ずべしという点については、西欧もアメリカもそうかわつておらぬだろうと思います。総理自体も自分の憲兵隊とのいろいろの経験もあるのでありましようか、おつしやるように、もしマツカーシズムというのが私の申した点を特にあげられておるとすれば、総理は決してこれに賛成をされるような考えはないという印象を私は持つております。
○宇都宮委員 この問題はこれで打切りますが、吉田総理大臣がアメリカに行つていろいろ折衝なさいました結果、小笠原島の返還はもちろん、住民の帰還もほとんど不可能と思われるような状態であると私は考えておるのでございます。不可能ならば不可能ということを早くきめて、原住民の救済策を考えなければならぬと存じますが、外務大臣の御所見を伺います。
○岡崎国務大臣 この問題につきましてはもちろん前からいろいろ話をいたしておりますが、総理がアメリカに行かれる前にたまたま私がワシントンに参つたのであります。私自身も、今はそうじやないのでありますが、従来はこの主任者であつた統合参謀本部の議長をしておるラドフオード海軍大将に会いまして、直接この問題を話してみました。そのときはなかなかむずかしいような印象を受けたのであります。しかしながら全然見込みがないということじやないが、これはなかなかむずかしいという印象を受けて帰つたのであります。その後総理が行かれて、やはりラドフォード大将にも話されたようでありますが、そのほかのときにも話があつたようであります。その応答を聞いてみますと、私のときよりは大分受答えがいいようでありまして、これはかなり向うでもよく考えているように私はとりました。私のときよりは総理の方がさすがにどうも反響がよかつた、こう思つておりますが、今いろいろ総理の話されたことについてはフォロー・アツプといいますか、そのあとを追つてそれを具体化するように大使館等で話を進めて来ております。まだ私はここでどうということは申されませんけれども、以前から比べると大分これは好転の兆あり、こういうふうに考えるのであります。
○宇都宮委員 この問題につきましては非常な貧困窮乏に陥つている原住民があるわけでございますから、一層の御努力をお願いしたいと存じます。 それから建設大臣にお尋ねいたします。吉田総理大臣も欧米をおめぐりになりまして十分にお感じになつて来たと存じますけれども、欧米各国の政党、なかんずく保守的政党がきわめて都会の住宅政策に熱心でございます。これはもう申すまでもないのですが、英国の保守党のマクミラン前住宅相あたりが非常に積極的になりまして、七百二十万戸というような大きな計画を立て、年間三十六万戸という実績をあげております。そのためにイギリスの保守党は非常に労働大衆の支持を受けておる、こういう状態でございます。また米国においては比較的社会政策に熱心でないような国柄でございますけれども、しかしながらこの国におきましても年間百二十万戸の低家賃住宅を建てておる。こういうような状態でございます。日本においては公営住宅の建設数は、最近大分上りましたが、せいぜい六万戸に満たない。こういうことでございます。それで東京都のごときは、少しきびしく申しますと、百万戸くらい住宅が不足しておる。こういわれておるのであります。それゆえに三畳の間に四人も家族が住んでおる。こういう事実はあちらこちらにごろごろしておるというわけでございます。パチンコの流行がたいへんに非難されておりますけれども、家庭に帰つても安息する場所がないから町をうろうろしておる。こういうこともあると思います。吉田首相はソ連や中共の平和攻勢を非常にお恐れになるならば、こういう住宅問題の解決というようなことに全力をあげるべきだ、こう存じますが、小澤建設相の御所見を伺いたい。
○小澤国務大臣 お答えいたします。終戦後のわれわれの生活は何といつても衣食住、このように進んで参りまして、どうやら衣の方、食の方は大体において戦前と同じようなレベルになつております。しかしながらこの住宅の問題については今お話のように十分安定しておりません。いな非常な不足を告げておりますので、大体来年度におきましてはさらに三箇年計画を立てまして、そうして三十六万戸を建設しよう、あとの目標は百十二、三万戸でございますが、その他のものは自己家屋の建築、その他の施設によつて六十四万戸をやろうというのであります。しかし、ことに東京都の方でも要望しておりますけれども、大都会あるいは戦災都市におきましては、その不足する度合いが非常に多いのでありまして、これには三十六万戸の三箇年計画以外に、来年度予算で何とか考慮したいというふうに考えております。特別の分だけはまだ決定いたしておりませんので、今後大都市にふさわしい、しかも諸外国の例外等も参酌いたしまして、実情に沿うた案を来年度の予算では持ちたいと思います。
○宇都宮委員 吉田内閣が万一長続きするというようなことがございましたら、欧米各国にはすべて住宅省という省がございますから、小澤建設相も住宅大臣になられるくらいのつもりでいていただきたい。これはもちろん今後とも超党派的にいたさなければならぬ大問題であると私は存じます。それから大都市は住宅問題、あるいは失業問題等の困難な問題をたくさんかかえておるのでございます。それゆえに財政的困難も非常に大きいのはこれは当然でございます。しかるに小笠原大蔵大臣は大都市を富裕団体といたしまして財政的に虐待しておる傾向がございます。今次補正予算においてもさような傾向を看取することができるのでございますが、住宅等のごときは、当然自治体の起債によりましてやつてもよい仕事であります。こういうふうに存ずるのでございますが、大都市の起債等に対しても非常な制限を加えておるというようなことでございまして、大都市の財政ははなはだ苦しいわけであります。これについて大蔵大臣の御所見を伺いたいと存ずるのであります。
○小笠原国務大臣 国として全体を見ますときには、どうしても富裕団体としからざるものとの間に多少の差をつけるのはやむを得ぬことに相なるのでございます。従つていろいろな交付金その他のものにつきましても、その点でわかれて来るのでございまして、東京都のごときものは、また大体から言いますると、それを受けるところはそうでございますけれども、他面いろいろの住宅その他の面につきましても、大部分が東京が多くなつておるというような関係等から見ますると、私は一概に表から見た通りではないと考えておる次第でございます。たとえば同じ住宅金融公庫から出しまする金につきましても、一番よけいのものが出ておるというようなこと等もあります。なお起債の面については、全般の起債のわくが、どちらかと申せば、昨今資金運用等の関係から非常にきゆうくつに相なつておる。また起債というものが、後年度にその地方団体の財政関係に大きな影響がありますので、十分それらの点を勘案した上で御相談を申し上げておる、こういう状況でございます。
○宇都宮委員 大都市は政治のいろいろなしわ寄せが集まる。たとえば農村において次男が土地を持つことができない、それゆえに職を求めて大都市へ集まるというようなことでございまして、農業政策の失敗につきましても、そのしわ寄せが大都市に来る。大都市だけの問題ではなく、これは国家的な問題である、こう存じまするから、大蔵大臣の今後の善処をお願いするものでございます。 それからもう一つ大蔵大臣に承りますが、デフレ進行下の歳末金融が異常に逼迫いたしまして、中小企業等の倒産が続出するであろうということは、今議会においてもすでにしばしば指摘せられているのであります。政府のそれに対する対策も承りましたが、実ははなはだ心もとないものであると申ささるを得ないわけでございます。中小企業に対する吉田内閣の伝統的な冷酷さを物語つているということもできるのであります。これに対しては深く追求しようとは存じません。ただ中小企業が現在非常に困つている大きな原因はいたしまして、最近仕事はなく、企業は赤字になり、経営は赤字で苦しいにもかかわらず、過去の税金の追打ちをされている。そのためにはなはだ困つておるわけでございますが、こういり中小企業者が非常に困つているときに、中小企業者の耳にただならぬ響きを与えるようなうわさが存在しておるりでございます。すなわち相当大きな企業の脱税が大目に見られているといりようなうわさが流れておる。これは相当数流れておるのでございます。最近も東京における某金属会社が十億円前後の脱税をしたが、それが発覚いたしましたけれども、政界の某有力者のあつせんによりまして、非常に少い額で事済みになつたというようなうわさが存在している。そしてその特定の有力者はこういう問題にはときどき名前が出て来るわけであります。これはもちろんうわさにすぎないと存じます。またうわさであることを望むのでございまするが、かようなうわさが民衆の間に流れているということ自体が、はなはだ問題である。大蔵大臣の御注意を促すと同時に、このうわさが、存在しているということに対する御所見を承りたい、こう存ずるものでございます。
○小笠原国務大臣 中小企業金融に対しましては、私どもできるだけの措置を講ずる所存で、一年ほど前に中小企業金融公庫をつくり、それが相当活動をしておることも御承知の通りであります。なお年末金融等につきましても、たしか十一月十三日付と記憶いたしまするが、各市中銀行その他が中小企業金融に努力するという話合いをいたしまして、こまかい貸出しについての通知を出しておりますから、年末金融等にこれらの銀行も相当働いてくれると考えております。なおそれぞれ期限到来分を延期するということは、昨日申し上げましたから、ここで繰返すことをいたしません。なおあるいは商工中金に対しても日本銀行から金をまわすとか、あるいはそれぞれ第四・四半期分に予定しておる分を繰上げ使用するというようなことを認める所存でやつております。従いまして年末金融には支障ないものと大体見ておるのであります。 それから今の税でございますが、これはもう実は小額所得者に対する税等についてのいろいろな措置を一般的には講じて参りましたが、そのほかにも最近宇都宮君もよく御承知であろうと思いますが、たとえば渡らないような手形に対する処置については、これは考慮することを認めておりますし、それからまたその商売いかんによつては多少徴収期を延ばすことを現実の問題としてやつております。これはちよつと例をあげる方がいいかもしれませんが、たとえば清水焼のごときものは、倉出してすぐ課税されるのは困る、ここれはたとえば一月たつてからにしてくれというような要望がありまして、一月待つてから徴収するというようなことにいたしておる。これは一例でございます。そんなぐあいで、税の取扱いの上において多少の手心がしてあるつもりであります。 なお大企業に対するいわゆる脱税その他の問題については、私はさようなうわさも耳にいたしておりませんが、さようなことをやりますることは、これは今の国税庁として断じてないと私は固く信じております。しかしさようなうわさが出ますることすらもまことに遺憾でございますので、仰せの趣意もあり、厳重にこれを取締ることにいたします。税はもちろん公平でなければなりません。また適正でなければなりませんので、この点十分措置する考えでございます。
○宇都宮委員 今次の補正予算にも警察費が相当に計上されております。警察法の改正以来すでに半年近くを経過しておりますが、この警察法は警察の能率化が目的であつたわけでございますが、警察の能率化は進んでおるか、また当時疑惧されたところの警察国家的な傾向は存在しないかということについて、小笠原国務大臣の御答弁をお願いいたします。
○小笠原国務大臣 警察制度の改正以来、数字的にこの制度の改正によつて現われたという成績を申し上げるまでにはまだなつておりません。しかしながら縦にも横にも全国の警察の連絡がよくとれ、警察の目的を遂行する上に非常に便宜になつたことは事実でございます。しかしこれがために警察がいわゆる国家警察のような中央集権的の悪い弊害を出しておるというようなことはあながち言われないのであります。この警察制度ができまして最も効果を現わしたのは、昨今新聞にも伝えられておりますように、暴力団の検挙、覚醒剤の取締り、これはまことに顕著な成績を上げております。これなどは確かに警察制度改正の大きな成果であると思つております。 〔小峯委員長代理退席、西村(久)委員長代理着席〕
○宇都宮委員 警察法の改正によりまして、警察の専門家は、旧警保局よりも現在の警察庁の方が強いということを言う人がいる。すなわち警察庁の長官の電話一本で地方の警察も動く仕組みになつておる、こういうことを言う人もあるわけでありますが、それは選挙なんかの際に選挙干渉がきわめてやりやすい組織になつておる、こういうふうにも言えるわけでございます。近く総選挙が行われるかもしらぬということは吉田総理大臣も言つておられるところである。賢明なる小原国務相はかようなことをやるはずはない、こう思いますが、現在のような組織だと、末端では親の心子知らず、与党に忠勤をぬきんでるために選挙干渉を行う可能性がはなはだ多く存在しているのであります。かようなことがありますると選挙の公明を著しく害する、日本の民主主義、この発達を著しく阻害する、こういうことになるのみならず、吉田内閣の手で強引に解放を行うのは選挙干渉を行うため、こういう誤解を起されてもいたし方ないわけでございますが、小原さんの御所見をお伺いいたしたいと思います。
○小原国務大臣 あるいは行われるかもしれぬ衆議院の総選挙その他において、選挙干渉等を行うようなことがあつてはならぬが、私の考え方はどうかというお尋ねであります。はなはだ失礼なことを申しますが、私は三十余年来検事をやつておりまして、従来から検察の建前としては、選挙についてそのときの政府あるいはそのときの与党の利益をはかつて選挙干渉みたようなことをやつたという事実はないのであります。今日におきましても、検察庁は、この改正以来の検察機関におきまして、たびたびの選挙を経過いたしておりますが、さような非難は受けたことはないのであります。今後におきましても、ますますこの名誉は尊重いたしまして、警察機関が選挙干渉をやるようなことは絶対にないようにいたすつもりであります。また警察といたしましても、私は、目下警察の国家公安委員長をいたしておりますので、この間におきまして警察を督励いたしまして、今後さようなことがないように、十分気をつけて参るつもりであります。
○西村(久)委員長代理 宇都宮徳馬君、時間が参りましたから急いで下さい。
○宇都宮委員 そのお答えは当然と思いますが、聞くところによりますと、小原法相は有名な帝人事件が起つた際――例の三土忠造氏等が失脚いたしました帝人事件の起つた際に、司法次官として貴族院において釈明され、この事件は絶対に無罪になるような判決が行われることはない、こういうことを言われたそうでございます。しかるに帝人事件は全被告無罪である。今度は小原法務大臣は皮肉にも、造船疑獄が指揮権発動によつて、有罪になりそうな者が検挙を免れた後の収拾に当つておられるわけであります。すなわち帝人事件はいわゆる検察フアツシヨのはしりであつたのでございますが、今度は指揮権発動後の跡始末をして、検察を政治に従属せしむる役目をしておられるわけであります。総選挙の際に検察が政治的意図を持つていわゆる検察ファツシヨになつたり、また政治に従属して選挙干渉を行つたりしてはたいへんなことになるのであります。この点に関してもう一度明確な御答弁をお願いいたします。
○小原国務大臣 私が今の地位に在任する限りは、御心配のようなことをいたさせないつもりであります。今日例の造船疑獄の跡始末はあのようないろいろな非難はありましたが、現在におきましては検察庁といたしましては平静にもどつて、一般事件の処理に邁進いたしておるのでありまして、今後選挙等がありましても十分手を尽して、公平な処置をとれることと信じます。
○西村(久)委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 昭和二十九年度の予算を組む当初から、大蔵大臣は自信満々補正予算を組まないという主張を再々繰返して来られたのでございます。ところが今日、一応災害対策費は別といたしまして、こういう補正予算を組まなければならなかつたその見通しの根本的な誤りはどういうところにあつたか、率直にひとつ御説明を願いたいと思います。
○小笠原国務大臣 主たる点は、御承知のごとくに国会におきましていわゆる三党共同修正を受け、また税収の伸び等が五十億違つておる等の問題があり、さらにまた税収の方面におきましてあるいは繊維消費税の関係が八十五億円とか、あるいはまた入場税が成立が遅延いたしまして、それの上に率、がかわつた、率の引下げがあつた、そういうような問題もありますし、他方その後の社会情勢に基きまして、いわゆる社会保障費的な費用をこの際計上しておくことがきわめて必要だ、こういう見地から今回の補正予算を組んだような次第でございます。
○滝井委員 そうすると、今の御答弁では大して見通しの誤りはなかつたように聞えるのですが、私は国家というものも生き物だと思います。ちようどわれわれ人間と同じように国家は生き物だ。そうしますと現在、今の大臣の答弁等を見てもわかるように、政治家というものが率直に自分の責任を明白にして、そしてこういうところが誤つておりましたということを率直に言わないところに、現在の日本の政治の不明朗性がある。私たちは現在、青少年の不良化が多いとか、あるいは青年にヒロポン禍が蔓延しておるということも心配しなければならぬが、最も私たちが心配しなければならないことは、現在の指導的な政治家が政治責任の喪失症という病気にかかつているということなのです。特に日本の政治家においてそういう傾向が強いということなのです。国家が生きものであるとするならば、この日本の国家の状態というものは非常に重病の状態だと思うのです。この重症の病人に対して起死回生の妙薬を与え得るものは、野党の政治家よりも与党の政治家でなくてはならぬと思うのです。あのヨーロツパの病人と言われたフランスが、一人の良心的な、若いマンデス・フランスという首相の出現によつて、一つの妙薬を与えることによつて、堂々と欧州を闊歩する状態に元気回復したということは、やはりあの腐敗したと思われるような、力のない文化であるとアンドレ・モーロアの言つたフランスの政治家が、その責任をはつきりするところにあつたと私は思うのです。そういう点で、小笠原大蔵大臣の答弁は、どうもその場をただごまかして行けばいいという感じがするのです。率直に社会保障費を増加しなければならなかつたその根本的な理由を述べてもらわなければならぬと思うのです。どういうところから社会保障費を増加しなければならなかつたのでしよう。
○小笠原国務大臣 私はなぜ補正予算を組んだかというお尋ねでありましたから、率直にこれこれだから組んだ、こう実は申し上げた次第であります。なぜ社会保障費を増加したかということならこれに対するお答えを申し上げる。 なぜ今社会保障費を増額したかと申しますると、これは滝井議員もよく承知しておられる通り、私たちがこの二十九年度予算を編成するにあたつては、大体一連の緊縮政策をやる結果として、五分くらいの失業者なりあるいは生活保護者の増加を来すであろう、こう見まして、ほかの予算はその当時みな減少をさせたにもかかわらず、これだけが増加しておつたことはあなた方もよく御承知の通りと思うのであります。ところがその後の情勢で見ますると、一面から見れば政府の考えていることはあるいは所期以上に進行した。なぜかなれば、われわれの目的はどこにあつたかといえば、国際収支の均衡という点にあつた。その国際収支の均衡が、その当時、二十八年度よりも三分の一程度、一億ドルの赤字にしようとしたものが、その後だんだんと黒字にかわつておることはあなたが御承知の通り、従つて所期の目的を達した、あるいは所期以上に目的を達成しつつあるが、しかし他方これがためにいろいろな方面に摩擦なりあるいはしわ寄せが出て来て、それがために失業者が出ていることもおおいがたい事実である。従つてこれらの失業者に対する予算措置を講ずる必要を感じ、また生活に苦しんでおる方々に保護の予算措置を講ずる必要を感じた、そういう点から今度必要だと認めるこの予算では、たしか百十七億に達する大きな予算を計上するに至つたのでございまして、この意味ならば仰せの通りにそういつた数字に多少私どもの見方が十分でなかつたという点で、それに気づきましたからすみやかにこういう処置をとるということが適当と存じて御提案申し上げておる次筋であります。
○滝井委員 そういうぐあいに言うのがほんとうなのです。たとえば国際収支の赤字でも九千万ドルの赤字が出るであろう、こういう御説明を前に開いた。ところが年の終りになつて、一日の閣議決定で発表されたように、国際収支は内輪に見積つても一億七千八百九十万ドルの黒字なのだ。これをもつと弾力をもつて見ると、年度末には三億ドルくらいの黒字になるかもしれないということが新聞にいわれておるわけなのです。そうすると、これはあなたが明らかに赤字であるという見通しを持つておつたものが黒字に転化して来るし、あるいは失業者というようなものもこんなに多くは出ないだろう――小坂労働大臣は三十五、六万だろうと私の質問で答えておつた。ところが現実には五十万くらいの失業保険を払う者ができる、現実には七十一万も出て来ている、こういうことで、ある程度政府の見通しというものが甘かつたということを率直に答えてもちつともはずかしいことではない。なぜはずかしくないかというと、元来経済政策というものは一つの大きな特徴を狩つていると思うのです。それはどういう特徴かというと、経済政策というものは政策の効果が合目的的であるということなのです。それが分目的的に達成されるかどうかということを保証できないということに、この人間社会における経済政策のむずかしさがある。たとえば物価が下つた、貯蓄も順当に増加しておる、国際収支も改善ができた、これはあなたの方がその目的をもつてやられたことは確かに正しいと思うのです。いわば経済政策は一つの正鵠を得たと思うのです。ところがあにはからんや、その裏面においては、七十一万の失業者が現実に出た、これは明らかに経済政策が合目的性を持たなかつた一つの面が現われて来ているわけなのですから、私は政府の見通しがこの人間社会で誤つておつても、それを追究するつもりはない。政府はこういう点を見誤つておりましたと率直に言えば、われわれ野党もなるほどそうか、これは野党としてもそういうぐあいに御協力を申し上げなければならぬと心得るわけです。そこを今言つたように、政治責任を日本の政治家が喪失しておるところになげかわしい状態があるということです。今後は、大臣私の質問に率直に答えていただかなければならぬ。私も率直に――この重体の日本を救うためには起死回生の妙薬を与党と争をとつて探すことは、お互い政治家としては当然のことでありますから、ひとつ率直にお答えを願いたい。 次に通産大臣に伺いたいのですが、政府のデフレ政策というものが最も端的に現われておるのはどこかと言うと、これは炭鉱業なんです。もちろんこれをもつと普遍的な言葉で申しますならば、消費財を生産する産業よりか基礎産業に現われて来ました、これは事実です。それから経営者よりか勤労者にはげしく現われて来ている、大企業よりか小企業にその影響というものは深刻に現われて来ておるのであります。その端的な集中的な形をとつて現われたのは私は石炭産業だと思う。そこでその石炭産業について御質問をしたいと思うのですが、それに関連していろいろ失業対策その他もお尋ねいたしたいと思うのです。先般この予算委員会で私は通産大臣に警告的な御質問を申し上げた、多分二月十一日の予算委員会だつたと思う。当時石炭産業というものは二百四、五十万トンの貯炭をかかえてすでに金融引締めの影響を受けてデフレ政策の先走りの現象が現われておりました。たとえば炭鉱を持つておる地方自治体の中に深刻な赤字が出ておるということ、あるいはその炭鉱地帯における中小企業者が倒産を始めておるということ、しかもその地区にある学校の児童の中には欠席児童ができ、あるいは弁当を持たない児童が出て来ておるということ、あるいは労働者に金券が支払われておるということ、しかもその労働者が労災の保険料が順当に納入せられていないために給付の制限を受けて、労働者が公傷を受けたにかかわらず保険金さえも順当に事業主から払われてないというような状態が出て来ておるということ、あるいは炭を掘つたり、鉱害が放置されて、祖先伝来の美田、家屋が倒壊しておるのが放置されておるというようなこと、こういう具体的な問題を私は指摘をして、急速に石炭の対策を立てなければならないということを御警告を申し上げた。そのときに通産大臣は就任早々でもありましたけれども、早急に総合燃料政策を立てます、現在立てる作業もやつておりますという御答弁を私は得たのでございます。 そこでまずその総合燃料政策をお聞き申し上げる前に、先般大臣はアメリカにおいでになりました、当時日本の新聞にも出ておりましたが、アメリカの余剰農産物をいただいて参つたわけなんですが、それと一緒に余剰石炭の問題が出ておつたと思うのでございます。現在アメリカはすでに余剰農産物とともに余剰兵器、ことに余剰石炭でアメリカの石炭産業というものはある程度苦しんでおります。たとえば昭和二十五、六年ごろにアメリカから日本に入つておつた石炭は一トン三十ドルしておりましたが、現在は多分十八ドルくらいで入る状態で、価格は半額になつております。こういう状態から考えて当然アメリカの余剰農産物とともに余剰石炭の問題というものが論議をされるということは、これは想像できるわけなんでございますが、アメリカの余剰石炭というものが今後日本に入ることがあるのか、そういう話をしたのかどうか、これをまず先に御答弁願いたい。
○愛知国務大臣 過般私が米国へ出張いたしましてやつて参りました仕事につきましては、ほとんどその当時発表されました共同声明、新聞発表等に尽きておるのでありまして、御承知のごとく過剰石炭の問題は全然それに出ておりません。私どもとしては話合いをまとめたものもございません。しかしここで念のために申し上げておきたいと思いまするのは、いずれにいたしましても製鉄用炭等の優良なる粘結炭等については、日本としては若干のものを入れなければならぬわけでございますが、これとても最近の日本の石炭界の実情に徴しましてできるだけ国内炭との配分を――外国炭を少くするということをすでに業界の協力を得て実施をいたしておるようなわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、今後アメリカから入れる製鉄用のいわゆる粘結炭というものは、今後総合燃料政策のわく内できめられ、その量の範囲内で、あるいは余剰農産物と同じようなMSAの形態をとつて入れられることがあり得る、こう推定してもさしつかえありませんか。その点もう少し明白に……。
○愛知国務大臣 もう一度明白に申し上げますが、私は今回の出張に際しまして、いわゆる余剰石炭というものについては、全然何らの話合いもして参りません。従つてそこからは何ら新しいものは出て参らないわけであります。
○滝井委員 そうしますと、今後はMSAに関連をしてアメリカから石炭を余剰農産物のようなことで押しつけられることはない、こう了解してさしつかえありませんか。
○愛知国務大臣 押しつけられるというと語弊がございますが、まああなたのおつしやる通りのことでございます。
○滝井委員 それで話が前に進みます。そうしますと、いわゆる二月ごろにお約束をいただいておつた総合燃料政策というものは、すでに十箇月経過いたしております。もしあの二月ごろ総合燃料政策ができておつたならば、現在の日本の石炭業あるいは石油業との摩擦というものは、現在ほど私ははげしくなかつたと思うのです。しかしこれはできないものはつくれと言つてもやむを得ませんので、おそらくあれから十箇月経過した現在でございますので私はできておると思います。吉田内閣は土建石炭内閣と言われるくらいに土木建築と石炭に基礎を置いた内閣でございました。最近はこの石炭ベースというようなもの、あの傾斜生産当時の石炭ベースによつて一切の日本の経済の構造がきまるというようなこととは、ちよつと情勢がかわつて来た情勢のもとにおいて、総合燃料政策を立てるのですから、これは石炭にとつては幾分歩の悪い状態になるかとも思いますけれども、それにしても日本の国内資源をわれわれはある程度開発をして行くという見地から考えるならば、おそまきながらも通産省はできておると思うのであります。昨日参議院で御説明をちよつと聞いたのですが、きわめて抽象的であつたようでございます。そこで少し具体的に御説明を願いたいと思います。
○愛知国務大臣 率直に申しまして、私は石炭につきまして、いろいろの経済政策のよい面につきましては先般来大蔵大臣その他から詳細に御説明申し上げておるわけでありますが、その際ひずみが相当の面で起つておることも否定ができないということもあわせて申し上げておるわけであります。そのうちで石炭の問題が、私は率直に申しまして政府としても非常に苦慮いたしておるところでございます。そこで今年初頭以来とつておりまする石炭に対する対策が、いろいろの事情からなかなか思うにまかせなかつた点もあると思いまするが、一貫して私どもの考えておりまするところは次の通りでございます。 すなわち総合燃料対策の立場から申しまして、やはり究極は日本の国内の石炭につきまして他の燃料と国際的な価格関係等から申しまして、相当思い切つた合理化をしなければならない点であると思うのであります。しかしそれには相当の年月を要する、恒久的な対策になりますから、目標といたしましては昭和三十二年度あるいは三年度において大体予想し得る総合燃料の国際的価格の水準に日本国内炭の原価を置きたい、それに対しまして合理化対策としては、やはり従来から考えられております縦坑開鑿を中心とする具体的な方策であるとか、いま一つの考え方は、集約的な生産、能率的な生産ということになると思うのでありまして、この面におきましてはある程度の整理と申しますか、非能率な部面に対しましてはかなり思い切つた措置をとらなければならぬのではなかろうかと考えております。これらを中心といたしまして、あわせてこの具体的な積極策が講ぜられるのと歩調を合せて、重油等の消費規正につきましても所要の措置を強化して参りたい、これらを中心にして実は立法措置を考究いたしておりまして、政府としてはすでに大体成案を得ておるようなわけでございます。同町にこの案につきましては総合的に燃料の総合対策のみならず、他の面もあわせまして措置しなければならぬ点が相当あるように思いますので、十全の準備を用悪いたしながらその積極策を打出して参りたいと考えております。 それからすでに当委員会におきましても申し上げておりますように、その恒久策とは別個に当面の緊急対策につきましては、たとえば現在の過剰貯炭に対しましては大口需要者の大なる協力を求めておるわけであります。昨日も申し上げたと思うのでありますが、国鉄が十万トン、防衛庁が二万七千トンというように、石炭の貯炭艦力の許し得る限りにおいて大口需要者からの協力も求め、さらにただいまは九電力会社だ対しまして、来年度の需要分等にもわたりまして繰上げ購入方を交渉しておるようなわけであります。これには金融措置も相当考えなければなりませんので、その面におきましては、日本銀行初め金融当局側に対しましても十分実情を説明いたしまして、この緊急な事態を切り抜けるようにできるだけの配慮を求めておるような次第であります。 また炭鉱の失業者に対する対策といたしましては、常に閣議におきましても関係各省の非常な協力を求めまして、御承知のごとくすでに予算節約の解除、予備費の使用というようないろいろの方策によつて十月には四億円の支出をいたしております。また現在御審議を願つておりまする補正予算案におきましても、昨日申し上げましたように、大体炭鉱失業者を中心にして二万七、八千人の吸収措置を講じ得るように各省の公共事業関係等の経費を組んでおるような次第でございます。
○滝井委員 大分詳細に石炭に対する緊急的な対策と恒久的な対策の御説明をいただいたのですが、昭和三十二年から三十三年に、総合燃料政策で国際価格の水準に石炭の価格を持つて行くという点についてなんですが、現在大臣も御存じのように、重油と石炭との価格というものは非常な開きがあることは御存じの通りです。まずこの石炭と重油との輸送の面を考えてみましても、現在大型のタンカーというものができまして大量に安く入つて来る。運賃の面でも安くなつて来ております。それから労務費あたりを比べても、石油をたく場合と石炭をたく場合では、石炭は灰が出るというような点で労務費においたも石油の方がずつと安い。それから現在石油は世界的に見ると、過剰な状態というものが石炭よりかずつと著明なんです。石炭の出炭というものは第一次大戦以後大体プラトーの状態をとつておるけれども、石油の産出というものは急カーブに上つて来ております。こういう状態から考えてみると価格の下り状態というものは石炭より石油の方がはるかに急角度に下つて来ておるということであります。問題はここにあると思うのです。こういう見地から考えて、三十二年から三十三年に大体どの程度の石炭――現在平均すると多分八十鉱の平均六千二百カロリーが約四千円になるのですが、大体どの程度下げたならば、そういう国際的な競争に勝ち得る価段になるのか、これをひとつもつと具体的にしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、私どもの考え方といたしましては、昭和三十二年度あるいは三年度におきまして、現在の国際的な石油類等の価格を考え合せてみますると、大体現在よりも石炭の単価としては二、三割下げたいということになるわけでありますが、これはその時期における石炭の出炭の程度あるいはその能率の程度、それから従事する従業員の員数といつたようないろいろの点を総合的に考えてみなければなりませんので、ここではつきりとカロリー当り何円と申し上げることは、いささかまだ研究の足らぬ点もあると思いますので差控えますが、おおむね二割ないし二割という程度に抑えております。 それからただいまお話がございました点は、私もまことに御同感なのでありまして、はたして世界の態勢として総合燃料対策は何を中心に考えるべきか、油で行くべきか、石炭で行くべきかというような点につきましては、いろいろと問題があろうと思いますが、私見といたしましては、日本の国内の石炭の賦存状況等から見まして、いましばらくの恒久対策といたしましては、できるだけ国内の石炭の需要を喚起する、それから単価を引下げる、合理的な経営をすることによつて日本の石炭鉱業というものを維持して参るべきではなかろうか。私見としてはさような観点から今申しましたような恒久策を練つておるようなわけであります。
○滝井委員 まさに私自身も現在の日本の客観的な情勢から考えて、大臣の言われる程度しか石炭対策については立たないのではないかという心配を実は持つておるわけであります。そうしますと、大臣は少くとも来年度の日本における石炭の経済出炭というものを大体どの程度にお考えになりますか。先般私がここでお尋ねをいたしたときには、大臣は現在の日本の適正出炭というものは大体四千八百万トンないし五千万トンだとこうおつしやつた。これは明らかに現在の日本の客観情勢から以て私は間違つておつたのではないかとさえ考えられるのです。もし大臣が四千八百万トンでやると言われるならば、これは私非常に英断だと思うのです。率直に少くとも昭和三十年度における日本の経済出炭というものはどの程度に行くのだ、同時につけ加えてどの程度の重油を持つて行くのだ、それに外炭と、この三つくらいの具体的な数字は――この際もう三十年度の予算の編成期になつておるのですから、内閣がかわろうとかわるまいと、こういう大事な経済政策というものがやはりある程度一貫をしていないと、業者の投資あるいは雇用の状態等に重大な関係がありますので、ひとつ率直に御説明を願いたいと思います。
○愛知国務大臣 私はいつも率直に申し上げておるつもりでありますが、本年の一月の末あるいは二月当時におきましては、私どもの希望として適正出炭量を何とかして四千八百万トンに近いものにしたいと考えておりましたことは、当時御答弁申し上げました通りでございます。ところがその当時におきまして考えましたところよりも燃料の需要が総合的に相当減退したということが、その後の一つの事情であると思いまするし、その他いろいろの事情によりまして、本年度の適正需要量というものはそれよりかなり下まわるこにと相なります。それから来年度のお尋ねでございますが、これもどうも見込みをつけることはなかなか困難でございます。前々の経験から申しましても、そう簡単に申し上げることはいかがかと思いますが、大体四十三、四百万トンのところではなかろうか、大体ここに一つの目安を実は置いておるわけでございます。それから重油の方は、御案内のごとく相当強力に規制を指導して今日に至つておるわけでございまして、特に今年度の下半期におきましては、下半期だけの当初の計画から申しますと、十万キロリツトル程度はさらに切り込んだ計画をいたしておるわけでございますが、来年度におきましてもできるならばさらにもう少しの消費の規正を徹底いたしたい、こういうふうに考えております。
○滝井委員 もう少しお尋ねしたいのですが、時間がありませんから……。石炭は少くとも単価を引下げて合理化をやらなければならぬ、こういう程度しか現在出ないと思いますが、ひとつ大胆にも現在の日本の石炭そのものを、燃料としてではなくして、少くとも原材料として使つて、化学工業を起して行くという方向に日本の石炭産業の御指導を願うように、ぜひお願いしておきます。 最後に、石炭の合理化をやるためには縦坑の開鑿というものは絶対必要でございますが、先般世界銀行の鉱工業調査団が参りまして、日本の鉱工業の状態をつぶさに御視察になつたと思うのです。その結果、多分大手筋の三菱や住友、古河等の諸炭鉱から少くとも借款を申し出ておつたということを聞いておるのですが、この世界銀行に対する石炭産業合理化のための借款というものは、大臣のアメリカに行つた感じその他から見て、非常に有望なものでありましようかどうか、もしこれが有望だとするならば、これは一つの日本の基礎産業である石炭の合理化の上にもある程度の見通しが得られる状態が来るのじやないかと思うのですが、その点ひとつ御説明願いたい。
○愛知国務大臣 実は石炭についての世界銀行の融資の問題でございますが、これは私といたしましては慎重の上にも慎重を期すべき問題であると考えておるわけでございまして、ただいま御指摘がございましたように、また先ほど私申し上げましたように、縦坑開発を中心にして積極的な対策を講ずる、その縦坑開鑿に関連して、機械その他におきまして外国のものの方がはるかに能率がよろしいというものを入れるための所要の外資を導入することについて、世界銀行とは先般来話を進めておりますが、私の受けておりまする印象としては、順調にこの話合いは進んでおると思います。なおこの際あわせて申し上げておきたいと思いまするが、私はこの際日本の石炭鉱業の前途に対しましては一つの広い視野からあるいは外国――これはもちろんアメリカに限りませんが、外国の石炭合理化について相当の識見その他を持つておる人を、場合によりましては招聘いたしまして、金融という立場からだけではなく、技術的にも見てもらつたらいかがかとひそかに考えております。実はそういう計画につきましては、西独あるいはイギリス等におきましても、謙虚な態度で外国のコンサルタントを迎え入れておるという事実も相当ございますので、この点についても、世界銀行の融資を仰ぐのみならず、あわせて考究いたしたいと考えております。
○滝井委員 ぜひ外国の技術者を呼んで、アメリカあるいは支那大陸等の炭層の状態は日本と非常に異なりますが、ヨーロツパ特に西ドイツやイギリスの状態というものはある程度日本よりも条件が悪い状態のところがあるわけなんですから、ぜひこれはひとつ愛知大臣の最後の置きみやげと申しますか、そういう意味でぜひ御努力をしていただきたいということを要望しておきます。 次には地方財政についてお尋ねいたしたいと思います。昨日古井委員からも地方財政についてお尋ねがあつたのですが、まず私は今度のこの二十九年度の補正予算が出るならば、今までのこの地方財政計画というものに変更が来ることは当然だと思います。どういう点で、今までの既定地方財政計画に変更が起るのか、それをひとつ要点だけ、自治庁長官から御説明を願いたいと思います。
○塚田国務大臣 簡単に要点だけお答え申し上げます。 需要の増加の面を見て参りますと、第一に道府県警察費が不足をいたしておりますのが五十六億二千四百万円、それから道路整備五箇年計画に伴う措置が未措置になつておりますもの三十八億円、それから交付公債の利子支払い額の増加六億三千七百万円、それから国の補正予算に伴う生活保護費の増加額八十七億八千百万円、それから国の補正予算に伴う失業対策事業費の増加額が十四億三百万円、炭鉱労務者緊急対策にかかる鉱害復旧費増額分四億四千万円、それから災害復旧費の増額分十八億七千百万円、以上合計いたしまして二百二十五億五千六百万円支出の面の増加が必要と考えられるわけです。一方国の予算削減に伴う国庫補助負担金の減によりまして、地方の負担減が出ております。これが百五億三千四百万円あると考えられますので、差引百二十億三千二百万円、結局地方財政の措置をしなければならない額があるわけであります。これに地方交付税の不交付団体における超過財源の変動が若干出て参りまして、これが約四億八千万円ばかりであります。それを加えまして約百二十五億円だけ今回措置をしなければならないことになつたわけであります。それをどういうぐあいに措置をしたかと申しますと、国庫補助負担金の増加で二十一億――端数を切ります。それから地方交付税としまして四十億、地方債の増として二十三億、地方税の増収を新たに考えられますので三十九億、そういうように措置をしておるわけであります。なお今度の必要に対して措置をいたしましたのを考え方の方から申し上げますと、交付税で措置をいたしましたのと、財源振りかえ、それから増収で措置をいたしましたのと、起債で措置をいたしましたのと三種類あるわけであります。結局それぞれの支出の性質に応じて財源を考えて行つたわけであります。
○滝井委員 まず第一に今の御説明でお尋ねいたしたいのはこの地方交付税の四十億についてでございますが、地方交付税法の六条によりますと、この財源というものは少くとも地方財政に弾力を持たせるという意味において、これを決算のときにはつきりして使うことになつておるはずだと思うのです。それがたまたま財政が不足すると言つて、今年度に百五十億だけ法人税の増だと言つて、その約二割に当る三十億をぽつと抜いてしまつた、こういうことは地方公共団体の自主性と申しますか、そういう点を政府が無視したということになると思うのです。自治庁長官は地方自治体の担当大臣として、当然私と同じ意見だと思うのですが……。
○塚田国務大臣 御指摘の点はまつたく同じ意見であります。従つてこの点につきましては、とりあえず本年度の分についてはそういうぐあいに話合いがついたのでありますが、この問題は後年度において解決さるべき性質の問題でありますので、問題は今後大蔵省と自治庁との間で折衝するということになつたわけであります。
○滝井委員 この問題はもう少しはつきり大蔵省の意見を聞きたいので大蔵大臣がおられないと困るのですが……。
○西村(久)委員長代理 大蔵大臣はすぐ来られます。
○滝井委員 そういうふうに大蔵省と自治庁との間に意見の食い違いが起るところに、地方財政の赤字の原因が出て来ると思うのですが、いかがですか。
○森永政府委員 大臣が御質問の要旨をお聞きになつておられませんから、私がかわつてお答え申し上げます。 警察費につきまして、出初の地方財政計画に若干の見積り不足があつたことは事実でありまして、その意味で交付税の基礎になります数字が動いて参つたわけであります。しかるに、支出の方でそういう過少評価がありましたのと同じような意味で、歳入の方につきましても過少見積りがあつたわけでありまして、年度の途中で地方財政計画に所要の修正をいたします場合には、支出の方についてそういう見積り不足を補正するということでございますならば、歳入の方におきましても、その見積り不足を是正する、衡平の観点の上からいえば当然そうあるべきだと思うわけでありまして、私どもといたしましてはそういう考え方をとつておるわけであります。ただそれだけでは臨時費の不足分を充足するまでには至りませんので、その臨時費の不足額も加味いたしまして、本年度の交付率を一九・八七四というふうに修正をする。さようなことにいたしたわけでございます。大蔵省としての考え方はさような考え方に相なつております。
○滝井委員 そうしますと交付税として四十億、警察費に充当せられるものは、これは新しく国が財源を措置してくれたと恩を着る必要のあるものでは全然ない。自分の財源、翌々年度になつて当然もらうべきものを単に今ちよつと大蔵省の方で流用したという形になつておるのです。昨日以来大蔵大臣は、地方財政は赤字を出してはいかぬ、地方財政は国に協力しろと言われておつた。ところがこういう行き方で、地方はもしかして法人税や所得税や酒税が増加すると、交付税が来るかもしれないと楽しみに持つておつたものをぼつと先取りされてしまつたのでは、地方は一つも楽しみがない。まるで国の財政の剛に地方は翻弄されてしまう。こういう弾力のない地方財政というものが出て来ることになるのです。この点はこれ以上議論をする必要もないと思います。 それからいま一つは地方の公共事業費であります。国がいろいろ予算の節減をやつたために、その節減をした分については、地方の公共事業においても当然余りが出て来るのだ。だからその分地方負担が減少するというので、多分五十一億ぐらい財政計画で減らしておつたと思うのです。これも今の中央官庁の行き方からいつたならば非常な考え違いだ思うのです。たとえば何か補助金の率が減つて来ると、今度は必ず減つただけのものを薄く延ばして地方に渡すのが今の中央官庁の行き方なんです。そして事業量は減らさせない。事業は十をおやりなさい。十に対して補助金は五をあげますと言つておつたものを、今度は補助金の五が三に削られた場合には、事業の十はそのままおやりなさい。三を今度は十の事業にわけましよう、こうなるので、地方の公共事業の負担というものは、むしろその点からいうと逆にふえる形が出て来るわけです。これは塚田長官は身をもつて御体験をしておると思うが、その通りなのです。そういうことから、国の財政で減らしたから、地方も減るのだということで、しやくし定期にやられてしまつたならば、さいぜん宮崎県の相川議員からるる御説明になつておりましたが、まさにあの通りなのです。自由党の議員でさえも大蔵大臣に強引に食いついて行かなければならないような状態に地方は追い詰められてしまつておるわけなんです。そのために地方はもう仕越し事業などというものは幾らもある。それを上の方からぼつと財源を切られては、地方自治体の首長というものは泣いても泣き切れない。 こういうことで次に移りますが、今年度の赤字というものは出させないのだ、少くとも出さないように地方団体に御協力を願うのだということを自治庁長官は言われました。大蔵大臣どうでしようか、こういうことで自治庁長官の言われたような協力が地方団体から沸き上つて来ると大蔵大臣お考えになりますか。
○森永政府委員 今回の補正に際しまして、一方においては地方負担が増加いたしますものが、ある反面国の予算補正に伴いまして、公共事業費等が金額としては減少されたわけであります。それに伴つて物量的に計算した事業量は、これは物価の動きがございますから、それだけ減らない。物価が下つただけ事業量がふえるというようなこともございまして、元の計画に対して事業量は必ずしも減らないのでありますが、総事業費としては国の補助金が減つたのに相応して、やはり地方の負担が減少になる。これは当然でございまして、その分を地方の方が自分の負担でおやりになるということでございますれば、これはちよつと国としては関せず焉ということにならざるを得ないわけであります。補助事業につきましては、国がこれだけの事業をやる、それに必要な補助金はこれだけだ、その金額が減つたわけでありまして、それに伴つて国の負担も減る、これは当然であると私は考えるのでございます。
○滝井委員 まさに机上の論議をすれば主計局長の言う通りでございます。しかし現実に堤防が切れて、どんどん田の中に水が入つておるのを、国が二割しか補助をつけなかつたから、二割に見合う負担金でおやりなさいと言つたつて、地方の自治体に主張してみたところで農家は承知しない。現実に切れて水が流れ込んでおるものを、二割だけであとは来年と再来年だというわけに行かないのです。問題はここにある。こういうところから地方財政の赤字が積りに積つて、二十八年度までに四百六十二億というものが少くとも出て来ておるという一つの大きな原因をなしておると思う。これはもちろん地方自治体の長が公選首長であるために、ある程度の人気取り政策をやつたということもあるでしようけれども、それは全国のほとんどすべての市町村なり県が赤字だというのに、どの知事もどの市町村長も、そんな放漫な財政政策をとつておるとは考えたくないのです。そういう点から考えても、今の森永さんの議論は机上論としてその通りだと思う。しかし実際問題としてはその通りに行かないことはすでに与党の相川委員から御指摘のあつた通りであります。そこでこの二十八年度までの赤字については、これは再建整備促進特別措置法というようなものをつくつて、そうしておやりになるということを自治庁の塚田長官から御説明いただきました。二十九年については赤字を出さないように御協力を願うということですが、大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、これは四百六十二億円、そう言われておるのですが、はつきりはわかりませんが、こういう四百六十二億になんなんとするものは、今後は少くとも国が責任を持つて――自治庁の長官は責任を持つてやる、こうおつしやつておるのです。大蔵省もその通りおやりになりますでしようか。
○小笠原国務大臣 ただいまの森永主計局長の答弁で言葉が足らなかつた点があるのではないかと思いますが、災害の分は何も減つておりません。 それから今の点でありますが、これらも今の四百六十二億が正しいか、私どもはさように大きく承知しておりません。額はわかりませんが、これについてはよく原因のあるところをきわめまして、これは今滝井委員のおつしやつたように、ことごとくがそうでないことは私よく承知しておりますが、地方の規模などについてみましても、これはたとえば昭和十年ごろの規模と比べたら非常に大きな規模になつてしまつておつて、これはまただれが見ても地方財政が放漫だとしか見れない部分があるのです。もちろんそうでない部分もたくさんありますが、そうと見られる部分もありまして、よくこれらの原因等について取調べた上、その再建整備をやるにいたしましても、これを個々に判断いたしませんと、一度にこれを使つて行つたものは得だつた、こういうことになつては国費を使う上に相済まぬことになりますので、私どもは実情に基いて、その再建整備に盛り込む場合もこれを予算化いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 そうしますと、大蔵省は二十八年までの地方自治体の赤字については、再建整備をやるかやらぬかはまだ決定しないということですが、とにかく数字は四百六十二億ということは、これは私およそこういうことだろうということで見当をつけておるのでありますが、この数字は三百億かもしれません。とにかく地方自治体の再建整備については、自治庁はおやりになると言つておる。大蔵省もそれについては金額はとにかくとしておやりになるということをひとつはつきり言つていただきたいと思います。
○小笠原国務大臣 これはこの次の国会にはぜひ出したいと考えておるのであります。ただ私の言つたのは、その額全部を国が負担するかどうかについての中身について申し上げたのであります。
○滝井委員 そうしますと、大蔵省は自治庁と協力して二十八年度までの地方財政の赤字の解消のためにぜひやつていただきたい。ただそれをやる場合に御希望を申し上げておかなければならぬことは、この地方財政再建整備促進法というようなものをつくりますときに、政府が地方自治体に再建整備計画を持つて来い、こういうわけなんです。そうした場合にその自治体は禁治産者みたいなものになつてしまうのです。なぜかというと、一般の税率よりか二割くらい高くしなければいかぬとか、あるいは予算執行について間違つたところがあれば、自治庁の長官が停止をするというような、非常に強権発動をやられるようなことがちらほら言われているわけなんです。もしそういうことになりますと、ちようど大きな銀行が小さな企業、あるいはその他の企業に金を貸しているような状態と同じようなことになつてしまうのです。すなわち政府の下請け機関のような状態に地方自治体がなつてしまつて、憲法にいう地方自治体とまつたく相反したものになる可能性がある。こういうことのないように、地方自治体の自主性を十分尊重しながら、その財政の再建を指導する方向で行つてもらいたいことをひとつ御希望を申し上げておきます。 それから現在の地方団体というものはいよいよ年末を控えて非常に金繰りに困つております。そこで政府としてはこの年末融資というようなものを考えておられるのかどうかということなんですが、まず自治庁長官にお尋ねしますが、現在地方自治体は年末融資のためにどの程度の願が必要だというように推定をせられますか、それをまずお尋ねします。
○塚田国務大臣 大体先月末現在をもつて取調べましたところでは、年末に金がいると想定をされる額は府県が約三百億、五大市が四十億、市町村はなかなか調べがつかないのでありますが、今の五大市その他の数字から推定をいたしまして約九十五億程度、合計四百三十五億程度の数字が年末資金の需要としていると考えられております。大ざつぱに見て四百億の資金措置ができればいいのではないか、こういうように考えているわけであります。もちろんまだ国が出すべき補助金その他のもので出し遅れになつておる部分があります。ことに農林関係のいろいろな補助金がまだ配分が遅れておるのであります。こういうものが出ますと、それだけその額が減つて参るわけであります。一応四百億ということにいたしまして、今地方側がこれをどういうぐあいにしてほしいという希望を持つておるかと申しますと、先般約五百億公共事業関係の起債の配分をいたしました。 〔西村(久)委員長代理退席、小峯委員長代理着席〕 これがまだ現金化しておらぬのでありますが、この起債の前借りを二百五十億程度、それからあと百五、十億は従つて一時融資の形でやつているということになつております。これだけの金が十分措置ができるかどうかはまだ検討中でありますが、私自治庁長官といたしましては、なるべく政府が出すべき金は早く年末までに間に合うように出していただき、どうしても足らない部分は、あるいは大蔵省の資金運用部もしくは私の所管いたしております郵政省の簡保の金、そういうものでめんどうをみてさし上げたい、こういうように考えております。
○小峯委員長代理 滝井君、そろそろ結論をつけてください。
○滝井委員 大蔵大臣に伺いますが、自治庁長官は四百億を越える年末融資のための資金が地方公共団体に必要だと言つているのですが、これはなんぼかやはり出してやらなければならぬと思うのですが、大蔵省としては、資金運用部その他いろいろ資金繰りもあると考えますが、どの程度の融資をお出しになるおつもりでございましようか。
○小笠原国務大臣 補助金の交付すべきもので国の支出が遅れておる分は、取急いで早く地方へ渡したいと思つております。どの程度融資するかということは――滝井委員御承知ですが、実は毎年若干のことはやつておるが、今のように大きい数字を並べられて今年幾らということを、ここで申し上げるのはちよつとどうかと私は思います。また事務的にも打合せが済んでおりません。けれども例年の例に準じて若干のことはいたす所存でございます。
○滝井委員 毎年の例をちよつと言つてください。
○小笠原国務大臣 どうもみな正確な記憶がないようでございます。しかし年が越せぬでも困るからというので、いつも若干のことはいたしておるのは事実であります。
○滝井委員 地方公共団体に対する年末金融はしていただくという確言をいただきましたので、ひとつ願はできる限り奮発していただく、こういうことにして、労働大臣はちよつと質問する時間がありませんから、厚生大臣にお尋ねしたいのですが、今度の補正予算で、生活保護費の中で特に著明な補正が行われておる医療扶助についてであります。これは百二十億ばかりの予算が組まれておつたものが百七十五億と、五十五億の増額になつたのですが、月平均の医療扶助の実績を御説明願いたいと思います。
○草葉国務大臣 医療扶助は当初予算におきまして、お話のように百二十億五千四百万円を計上いたしておつたのでございます。今回補正において五十四億七千百百万円増加をいたしまして、百七十五億三千百万円と相なりました。これは当初二十七年の六月から二十八年の五月の一年平均の単価の実績が一人平均三千六百十八円、それが本年に入りましてから七月までの実績が五千百八円になつた、その値上りによります実績をとりまして増額をいたした次第であります。 それから人員の趨勢は、医療においてはだんだん増しております。当初の人員の押えを三十四万二千百人として、それは二十八年の三月から八月までの実績でございますが、それによつて予算を編成いたしたのであります。それが、この四月から七月までの実績が三十五万九千八百人になりましたから、この実績を基にいたしまして、月平均約二%増を見込んでおります。
○滝井委員 今数字で御説明がありましたが、私は一箇月の金額を聞きたかつたわけです。私のいろいろ調べた勘その他から申し上げますと、この予算で行きますと、月十五億程度になるわけですが、実績は十八億ぐらいに月の支払いはなつておると私は推定するのです。この予算からいつても、なお月に三億ぐらい足らないことになる。そうすると、さらにこれは、第二次、第三次の補正を必要とする状態になるのじやないかとさえ心配されるのです。こういう弱い、デフレ政策の一番影響を受けるところ――日本においては、まず救われるものは失業保険なんです。失業保険が切れてその次に救われるものは緊急失業対策事業です。この緊急失業対策にひつかからない諸君が生活保護を受け、そしてその生活保護を受けた人たちのうちの脱落者として弱い病人が医療扶助を受けるのです。もしこういうところに、重大な、厳粛な予算の節約というものが冷徹に行われるとするならば、弱い国民というものはたいへんだと思うのです。ひとつ月の実績、これで大丈夫だという確信のところを御答弁願つて、私の質問を終らせていただきます。
○草葉国務大臣 多分ただいまの滝井委員のお話は、実際の使用の点をおつしやつたのだと思います。私の方は国庫負担の分を申し上げたのでございます。十割と八割との違いでございます。大体これで行けるだろうと思います。しかし、これはデフレ等の影響並びに病気等の影響もありまして、今後の実績によりますから、これで決して無理に抑えるということはいたしませんが、大体行けるとは考えております。もし不足をいたしますと、義務負担でございますから、支出をいたすつもりでございます。
○小峯委員長代理 川島金次君。
○川島(金)委員 たいへん時間も遅れておりますので、私は簡潔に本日の最後の笠岡を行いたいと思います。最初に緒方副総理に若干お伺いをいたします。 緒方副総理は、吉田内閣の総理大臣代理者として、今年の春、たまたま政界を巻き込みました旋風の一つである疑獄、汚職事件の燃焼いたしました当時に、これと何かの意味で符節を合せるがごとくに、保守新党というものをみずから提唱いたしたのであります。この保守新党は、しかも緒方副総理の当時の言明をもつていたしますれば、まさに爛頭の急務である、保守新党なくしては国家国民の将来をいかにせんやというような、まことに雄大な構想を持つてこの新党というものを提唱されたように記帳をいたしております。しかるところ、その後において新党運動が一応具体的になろうといたしましたやさきに、何ゆえか緒方さんの所属いたします自由党におきましては、この新党運動の具体的台頭に対して、逆にこれと離脱する、もしくは牽制を加えるがごとき態度を見せたことがあることはまぎれもない事実でございます。しかしながら、それにもかかわらず、吉田政権に対する国民的憶激と怒りは、凝り固まりまして、遂に緒方さんの当初構想いたしました新党とは違つた形におけるいわゆる鳩山新党が、ここに結成されるに至つたわけであります。しかもこの鳩山新党に対する自自党の態度は一ぺん途中においてこの新党に水をさし、あるいは最も消極的な態度を示したにかかわらず、一たび反吉田新党が結成されるの運びに至るやあわてふためいて、この新党にさらに当初の保守合同運動のにおいをかがせまして、これに具体的な申入れをするというような事柄が報道されておつたのであります。当初この新党連動を提唱された者の一人として、しかも有力な一人として世間に伝えられておりましたその緒方さんの提唱した新党とは、一体いかなる構想で今日まで考えられておつたのか。しかも今日現実において結成されました新党というものに対して、緒方さんは当時の新党運動の先駆者としての立場から、いかなる見解で今日この新党を見られておるのか、まずその点について緒方さんの率直な見解を承つておきたいと思うのであります。
○緒方国務大臣 お答えをいたします。私は必ずしも保守新党とは申さなかつたのでありまして、保守勢力の結集、保守の合同というような言葉を使つたような記憶を持つております。この希望は私は今も捨てておりません。日本の政党政治の将来がどうなるかということについては、いろいろな見方、考え方があろうかと存じますが、私は保守の勢力と、新興と申しまするか、社会主義の勢力とがだんだんに二大政党の形をとつて行く、そういう方向に発達をさせて行きたいという一つの希望的な観測を持つております。これは予算委員会においてもたびたび申したような気がいたしまするので、繰返しませんが、第一次大戦のあとのイギリスの政界のようなありさま、二つの保守党が対立しておる中に歴史的過程を経まして、その保守党である自由党が労働党にかわつて行つたというのが、イギリスの第一次大戦のあとの経過でありまするが、それと同じような経過、そういう経過をたどつて日本の政界が、保守勢力と社会主義の政党との対立になつて、二大政党の形をとつて参ることを私は希望いたしておる。日本の政党は、最初発生して以後、何とはなしに、いつとはなしに、イギリスの政界の推移のあとを追つておるように私は感じておるのであります。そういう考えから、今後もできればそういう形を追つて、二大政党対立の形に持つて参りたい。そういう意味から保守勢力の結集ということを私は希望いたしておつたのであります。 〔小峯委員長代理退席、西村(直)委員長代理着席〕 しかしそれと同時に、歴史の力もなかなか強い。かつて日本に自由党、改進党というものがあり、それが後に政友会、憲政会となり、また政友会、民政党という形をなしましたその伝統の力もなかなか強い、従いまして一時の思いつき、人間の力だけでは参りませんけれども、私はだんだん今日の社会情勢にかんがみまして、また今までの外国の、たとえばイギリスの政党発達の模様を見まして、今日すでに両保守党のみが対立した歴史的過程は過ぎました。保守勢力と一方に社会主義政党が対立する、そういう状態に立ち至るのが、日本としてもむしろ自然の傾向ではないかと考える。そういう意味で保守勢力の結集ということを強く唱えたのでありまするが、その後の経過を見ておりますと、やはり日本においては歴史の流れというものがなかなか強い。そのために両方の勢いが相交錯いたしまして、今日私が考えておつたような保守勢力の結集というところまで行つておりませんけれども、私個人といたしましては、依然としてその望みを捨てておりません。
○川島(金)委員 あなたが今春描かれた保守合同による新党の結成の表面的理由は、まことにそうであつたかもしれませんが、どうもあなたの提唱した時期というものが、国民の側から見ると非常に疑惑の的であつたのであります。その理由とするところは、先ほど申し上げましたように汚職疑獄の事件が、政界を吹きまくる旋風のように荒れまわつておるとき、あたかも提唱された新党、従つてこの新党の提唱は、表面には非常に美しい理想を掲げたものではありますが、一皮はいでみるというと、それは汚職疑獄に行詰つた吉田政権の命を、いかにして持続するかというところに動機があつたのではないかという国定的疑惑が非常にあつたということも、まぎれもない事実であります。一体そういうように動機が不純なるためにこそ、今日の、あなたが表面で描いた保守合同による新党とは違つた、およそ逆な、しかもあなた方の政権の命を奪取するかのごとき勢いになつて来たような新党というものが生れて来たのではないかとさえ、われわれは見ておる。少くとも政党の離合集散というものは、国家国定、祖国の運命をいかにすべきやという大理想と大信念と純潔なる立場に立つて考えられなければならない。ところが国民的立場でわれわれが見ておると、ややもすればそういうことでなく、いかにして吉田政権というものを温存し、いかにして吉田内閣の命を長引かせるかというところに非常な重点があつたのではないかとさえ、われわれは見ておつたのであります。はたせるかな、そのような不純な動機に発した新党運動というものが、国民全体の支持を得ることなくして今日の結果に至つたということは、私は当然の事柄ではないかというようにさえ見ておるのでございます。しかも最近新党が結成されるや、あわてふためいて自由党の代表者はあらためてまたこの新党に対する合同の申入れをいたしました。しかもそれはにべもなく断られたという醜態さえも演じておるようなありさまであります。そういうような事柄で、一体この祖国の難局を切抜け得るのだという考え方を持つておるということは、私は重大な誤りでなかろうかと思うのであります。 そこでもう一つお尋ねいたしますが、この事態に立ち至つてなおかつ緒方さんといたしましては、今若干触れられたのでありますが、過日結成されました新らしい政党、日本民主党に対して、保守合同の見地に立つて当初の運動を捨てずして、今後とも続けるという意思があるのかどうか、それともこの当面いたします事態に対しまして、もはやあなたの構想した新党運動は失敗だ、従つてこの失敗にかんがみて打切りにするという意思になられたかどうか、その点はいかがでございますか。
○緒方国務大臣 私は、今の日本の政界は二大政党の伝統を持ち続けるか、あるいは小党分立の政局の様相を呈するかの分岐点と申しますか、一つの岐路に立つておるような気がいたすのであります。私の考えといたしましては、やはり議会政治は二大政党によつてお互いに構成をして行く。それによつて政治が発達をして行く。その立場をお互いにはつきりし、お互いに批判をし合つて行くところに政治の発煙がある、かように考えておるのであります。今後におきましてもできれば二大政党の伝統、これを失わないように努めてもらいたい、こういう希望を依然として持ち続けております。一体昨年の総選挙のあとに今の政府が比較多数の上に政府をつくつた、これは詳しく申し上げますれば長くなりますから申し上げませんが、比較多数の上に政府ができたということが、今日の政局下女を来す一つの原因であつたと考える。何ゆえに比較多数の上に政府がつくられたかということは、当時の政情やむを得なかつた。これは不信任案を提出されたところの四つの野党が政権を担当するところの責任を持たれない。やむを得ず自由党が第一党として比較多数の上に政府を組織したのであります。それ以来政局の不安というものがずつと続いておる。昨年の秋に、当時分自党と称しておりました二十数名の人が自由党に帰還をされて、これも大体だんだんに政局安定に向わしめんとする希望から出たのであります。その継続といたしまして、あるいは保守勢力結集をとなえたが、その間に何らの不純の動機がなかつたということを、私ここに言明いたしたいと存じます。
○川島(金)委員 今日事志と違つた形になりまして、緒方さんはまことに感無量なものもあろうし、切歯扼腕の心境も察するに余りがある次第です。要するに政党政治家の重大な任務とするところは、単なる政権争奪が焦点であつては断じてならない。やはり祖国を愛し、祖国の運命をになうという、この自覚と決心と確信に基いて行動してこそ、やがてそれが国民の支持を得るゆえんになるのではないかと私は思うのであります。たまたまあなたの提唱された新党運動なるものが、表面はりつぱなものであつたけれども、その底を割つてみればどこかに不純なものを国民に多く感ぜしめたという事柄が、今日の新党運動のきわめて重大な失敗を招来したのではないか、こういうふうに国民の心ある多数は見ておるのでございます。 この問題についてさらに論議をしようと思いませんので次に移りますが、本日午後承りますところによりますと、政局の緊迫に伴いまして、もはや吉田内閣は総辞職か解散かの二途に一つを選ぶという重大な、しかも深刻な段階に追い込まれて来たと世間は見ております。そこでこの重大な段階に入りまして、あなたの所属する自由党の議員の百名を越える――正確に申し上げますると、本日午後五特に私の聴取いたしました情報によりますと、百二十名の所属議員が、この段階において吉田内閣が逆に国民に向つて信を問うような解散を強行するということは、きわめて無意義なものである、従つてこの際吉田内閣は従来の暴政と失政の責任を痛感をし、さらに政局の現勢力の実態に即して、いさぎよく総辞職すべしという議論が、党内にほうはいとして台頭をいたし、しかも具体的には、党内の今申し上げました所属議員の百二十名に余る人々が、吉田内閣は今申上げました事由によつて、いさぎよく総辞職することが、祖国を愛するゆえんの道であるという確信に立つて署名運動が行われ、午後五時現在におきまして、すでに百二十一名の総辞職要求の署名がとられたという話を、私はたつた今聞いて来たのであります。国民から相次ぐ暴政と失政にほうはいとして不信の声を上げられ、内においてはたまたま逼迫した政局のただ中にあつて、もはやあなたを支持する党員みずからが、反省をして総辞職すべしという連署連動を行い、しかも党内百八十名のうちで百二十一名に達する厖大な数が、この署名に捺印いたしたという話であります。これは一体何事を物語るものでありましよう。国民全体に、この吉田内閣はもはやほんとうに不信を買つておる。いわんや足元からかくのごとき重大な署名運動が具体的に行われておるという事実にかんがみまして、一体吉田内閣の副総理という重要な立場にあるあなたといたしまして、先ごろ総理大臣は自分の進退については党の意向にまかせたのだという書簡をもたらしております。しかもその党の意向たるや、切迫につれてますます総辞職すべしという声が大きく高く広まつておるというこの現実に遭遇いたしましたときに、一体あなたは吉田茂氏の女房役として、いかなる見解をもつてこれに対処されるものでありましようか。これは重大なことでありますから、あなたの見解を一応伺つておきたいと思う。
○緒方国務大臣 お答えをいたします。よその政党のことをよく御存じでありますが、私は実はまだその百二十幾名かの署名というものを見ておりませんが、今お述べになりましたような理由が唱えられておるかどうかということも一切存じません。従いまして、その署名なるものに対して批判することはできないのであります。しかし民主主義の政党のもとにおいては、いかなる意見があることもさしつかえないのであります。自由に各人の意見が闘わされまして、それによつてその政党の進むべき正しい道がきめられて行くのが当然であろうと考えます。従いまして党の首脳部におきましても、もし今お述べになりましたような意見が出ておるとすれば、その意見も十分尊重しながら、党として進むべき道をきめるという態度に出るだろうと考えております。
○川島(金)委員 いずれこの具体的な事実は、この予算総会が終つて部屋に帰る時分には、具体的に情報が的確にもたらされることであり、それこそ爛額焦眉、愕然とされるのではないかと思うのであります。しかも今朝の某新聞によりますと、内閣の官房長官であり、国務大臣になつておられます、私の地元の友人ではございますが、福永君が先般滋賀県の知事候補者の応援に出かけました。きようは帰つておるのではないかと思うのでありますが、その滋賀県の応援に参りましたときに、たまたま記者会見をいたしたようであります。記者会児をいたしましたときに、最後に福永君がこういうことを言われております。「今度の選挙は吉田で闘うことはよくあるまい」。これがあなたの内閣に属する責任ある官房長官、しかも吉田さんの側近としてはきわめて有力なる立場にありと世間でいわれておりまする福永君が発表いたしました談話で、某新聞に、しかも有力な新聞に出ております。しかもこの有力新聞はあなたがかつて主宰せられた新聞であります。よもやこの、あなたが責任をもつて主宰せられておりました新聞が、福永君が何も言わないものをことさらにこう書いたとは私は信ぜられません。その有力な新聞がそう書いておりますところによつても、いかにももう吉田内閣の当路者というものが、国民はもとよりでありますが、所属議員百八十何名かに没落してしまつた自由党が、しかもその中で百二十何名かの総辞職すべしという連署が、今うちの中で具体的に行われておる。残るところは閣僚もしくは前閣僚あるいは政務次官だけではないかとさえ想像されるのであります。国民からはもうすでに極端なる不信を買い、あまつさえ繰り返して申し上げますが党内においてさえも、このような声がしかも強力に台頭いたしております。まさに吉田内閣は、国民並びに自由党の中にあつて、浮きに浮いてしまつて、孤影しよう然たる姿にとどまつたというような形であります。まことに権力者の最後のどたんばの姿は、国民的立場から見ればあわれむべき事柄だと申さねばなりません。こういう有力な官房長官が、この有力な新聞に報ぜられるごとき言を不用意であつても漏しておるということは、おそらく現実であろうと私は思うのであります。そういうような事態に立ち至つても、なおかつあなた並びにあなたの総理である吉田さんは、この難局に立つて吉田政権というものを持続するという確信と見通しが一体どこにあるのかとさえわれわれは思うのでありますが、その点は緒方さんの見解として一体いかなるお考えを持たれておりまするか伺つておきたいと思います。
○緒方国務大臣 今の御議論の根拠になりました福永官房長官の話というものは、機微にわたるものでありまして、新聞の記事だけを根拠にいたしまして意見を言うことを避けます。
○川島(金)委員 これは今申し上げましたように、あなたの昔全生涯の大半を捧げて来た某有力な新聞に掲載されておる。その新聞が、よもや有力な立場にある、責任ある立場にある人の談話をことさらに曲筆して報道するとは私は信じておりません。従つて私はこれを信じて、その立場に立つてお伺いしたのでありますが、これ以上お伺いすることはあなたにとつて非常に困ることでもございましようし、困惑きわまることでございましようから差控えておきまして、次に移ります。 われわれ社会党は早ければ来る六日、遅くても臨時国会の終末において、断固国民の名において吉田内閣不信任案を上程するということが既定の方針でございます。そうして吉田政権にあきたらずして結成されました新党である日本民主党も、当然にわれわれの不信任案に同調するであろうということはもはや常識であつて、既定の事実であろうかと私は想像をいたしておる。そういうことになれば、この不信任案は決定的に成立を遂げるということだけは言うまでもない事柄でございます。そこで吉田内閣不信任案が多数をもつて成立を見るということになりますならば、そこで内閣はその進退をきめなければならぬという事柄に、数日内に遭遇することになるわけでございます。その場合になおかつ吉田総理の言々句々を借りてみますると、政権に恋々としたくないと言いながらいろいろの言辞を総合いたしますと、依然として政権に恋着をいたしておりますることを、きわめて明白に看取できるのでございます。非常に良心高しと一部には言われておりまする清純な政治家である緒方さんは、吉田さんとはおそらく政治的な感覚あるいは所信等において異なるものがあるのではないかとさえ一部では期待もし、見ておる者もあるのであります。一体そういう具体的な事実に遭遇するような事態に吉田内閣はなりましても、なおかつその政権の座にあぐらをかいて、国民に逆に信を問うという形において解散をするという腹があるのかないのか。吉田さんの言々句々から見ると、政権に居すわるという感じが強い。しかし具体的でないのでありますからわからないのですが、そういう事態が起つたときに、一体あなた個人としてはこういう政局のただ中にあつて、吉田内閣の最高の態度としていかなる立場をとることが最も祖国日本を愛するという立場においてよき道であると考えられたかどうか、この点はいかがでございましようか。
○緒方国務大臣 昨日も同様な御質問がどなたからか総理大臣にありまして、総理からはその場合に、出たとこ勝負という言葉を使われましたか、使われませんでしたか、そのとき考えてきめるということを言われました。私に対してせつかく御期待の言葉もあつたようでありますが、総理大臣と副総理大臣の意見が違うことは好ましくありませんから、総理大臣の言葉をもつてお答えといたします。
○川島(金)委員 時間がありませんから、次に移りまして外務大臣にお伺いいたします。
○西村(直)委員長代理 川島君に申し上げますが、外務大臣はちよつと所用のため政務次官以下関係局長が参つております。
○川島(金)委員 先般のビキニ環礁における水爆の実験に伴う日本船舶中、ことに福龍丸の被害は実に悲惨をきわめたものであつたということは、全世界の認めるところであります。まことにわれわれ同胞といたしましても実に心外かつ遺憾な事態であります。しかもその福龍丸の船員二十何名の中で久保山氏のごときは、遂に尊き一命をそのために直接失うに至つたという実に悲惨なる事態に至つたのでございます。この問題に対して政府はいわゆるビキニ環礁に関する被害の補償についてアメリカ政府とさきに交渉を開始いたしたというとを、われわれは記憶いたしております。しかも伝えられるところによりますれば、この被害補償額についてでありますけれども、当初は百万ドルといわれ、次に岡崎外相が交渉いたしました結果として百七十万ドルは補償されるであろうということが一部に報道されておつたのであります。しかしながらその最終的決定は、すでに福龍丸事件が起きてから半年有余になるにかかわらず、いまだに具体的決定を見ず、うやむやの間に過されておるというのは、まことにわれわれ日本国民として遺憾に思うのであります。そこでこの伝えられるところの百万ドルないし百七十万ドルの補償の問題について、その後どういうことになつておるのか、そうしてまたこの百七十万ドルと伝えられるところの補償が、確実に補償されることになつておるのかおらないのか、それとも百七十万ドルはだめであつて、これ以下になるようなことにあるので、さらに再折衝が続けられておるというような事情にあるのかどうか、その点をひとつ率直に聞かせてほしいと思うのであります。
○秋山政府委員 水爆実験による日本漁船のこうむりました被害につきまして、御承知の通りしばしば陳情もございますし、政府としましてもできるだけこの被害に対する補償を完全にいたしたいという考えから、アメリカとしはしば交渉を重ねて参つておるのであります。御指摘の通り最初百万ドルというような話も出て参りましたけれども、日本側といたしましては、さような額ではとうてい承服ができませんので、わが方の損害というものは、こういうふうに算定されるというような参考書類等をも出しまして折衝を続けて参つております。過般外務大臣がアメリカに参りました際にも、アメリカの関係当局と交渉をいたしたのでありますが、いまだわが方の納得の行く数字に達しませんので、その後さらに折衝を重ねておる段階でございます。
○川島(金)委員 そういう状態でありますことは、一体本年度内にでもせめてその問題が結末がつくという見通しにあるのですか、それとも本年度内に――余すところ幾らもありませんが、本年度内にすらもこの問題の最後的決決定を見るということはなかなかむずかしい状況にあるのでありますか、その点はいかがですか。
○秋山政府委員 できるだけ早い機会にわれわれの納得の行く線が出ることを期待しておりますけれども、今本年度内とかあるいは何日間にとかいうようなはつきりしたお答えをする段階に至つておりません。できるだけ早くこれを解決したいと考えております。早く解決しようとすれば、われわれの納得の行かない線であれば解決ができるようでありますけれども、しかしそれでは今日まで折衝して来た意味もなくなつてしまうのであります。できるだけわれわれの納得の行く線に持つて行きたいということから折衝を続けておる次第であります。
○川島(金)委員 納得の行く線というのは、百七十万ドルを具体的には示すものでありますかどうすか。
○秋山政府委員 百七十万ドルというような数字ではなお納得が行かぬというような気持であります。
○川島(金)委員 時間がありませんから少し端折ります。大蔵大臣にちよつとお伺いします。大蔵大臣は日本の国際収支の改善、国民生活の安定という大きなねらいで、いうところのデフレ政策を強行いたしておるのであります。しかもそのデフレ政策の眼目とするところは、何といつてもコスト引下げであります。卸売物価、小売物価を相続いて下げるということも大きな目標でなければならない。このことに成功しない限り、いうところのデフレ政策の成果というものは、まつたく見るべきものがないという結果になるだけでありますことは言うまでもございません。ところが最近の現実を見ますると、なるほど卸売物価は若干の下向きを見ておることは、われわれといえども必ずしも否定するものではございません。ところがかんじんかなめの国民生活の重要な面でありまする小売物価の問題につきましては、大蔵大臣が口をきわめて強調いたしておるがごとき傾向には、遺憾ながら必ずしもなつておらない。この際年末も近づき、通貨の発行高も相当伸びるのではないかとさえ私どもは見ておるのであります。その上に昨日の発表で、本年度内においては千八百億円も散布超過を見るであろうということが明らかにされております。諸般の事情を見ておりますと、卸売物価ついては、いろいろな意味で若干の下向きがありましても、小売物価ついては、非常にわれわれは疑問を持つておる。こういう事態に対して、大蔵大臣は一体どんな見解でこのことがよいとするのか。小売物価は当初においても相当下げるというのが大蔵大臣の言明であり、政策であつたと私は記憶いたしておるのであります。この小売物価の横ばい、もしくは若干の上昇ということも現実にあるのでありますが、これに対して大臣はどのような考え方を持たれておりますかを承りたい。
○小笠原国務大臣 今回の政策の目標が国際収支の均衡にあつて、それには国内の物価が国際競争力を持つという点にある。従つてその意味からいいますと、卸売物価が、若干ではない、政府が所期しておつたものより七%も下つていることは、あなたが経済審議庁の数字で御承知の通りであります。従いまして相当所期の成果を上げておると思います。なおこの小売物価につきましては、川島さんも知つておるように、いつでも多少時期がはずれるものである。従つてずれておるが、多少とも下つておる。実際上の小売物価というものが下つておることは、これはつまり表面の価格そのものはあまり下つておらないけれども、事実において小売物価が相当下つておることは、これは物を買つておる人が全部知つておる事実であります。従いまして、家計費その他から見てもよくこの点がわかるのであります。はつきりと卸売物価のごとく数字的に何ぼ何ぼ下つたということは現われていないが、これは事実の問題として見ますと、下つておることは疑いなき事柄なのであります。従つて私どもは賃金所得の実質増加の点から言うのでありますが、小売物価が下つておれば、輸出その他の面から見れば、国際収支の均衡というねらいは十分果したわけであります。それからなおこれによつて国際競争力を加えておることが、これはほかにもいろいろ原因がありますけれども、今日の月々大きな黒字を重ねつつあるゆえんであり、日本の貿易状況がほとんど模様がえをしておるような事実がこれを証明しているものと思うのであります。従つて私どもは今の政策をこのまま続けて行くことが、日本の国際収支と経済自立を最も早からしめるもの、かように考えておる次第であります。
○川島(金)委員 大蔵大臣は我田引水、さもあろうというようなごまかしをわれぐに言つておるようですが、これは経済審議庁で出しておる数字であります。なるほど卸売物価は若干の下落を見せておる。ところがこれは経済審議庁で最近発表した文書でありますから正確でありますが、昨年の五月には消費者物価指数は、大体総合すると一〇六・九であつた、ところが本年の八月になりますと、それが一二〇となつておると、経済審議庁は明確に印刷物で公表しておる。大蔵大臣は、卸売物価が下つておるから所期の目的は達成したかのごとくに吹聴しますけれども、卸売物価だけ下つても、国民生活の重要な問題である消費者物価指数は少しも下つておらないどころか逆に上つておると、政府みずからが発表をいたしておる。小笠原さんの数字はどこから見ておるか知りませんが、これは政府の有力な機関である経済審議庁の印刷物であります。昨年の八月と今年の一年間に逆に消費者物価指数は上つておる。従つて国民生活、ことに勤労大衆の生活というものは圧迫されており、脅威を受けておるということだけはまぎれもない事実なんだ。ぼくはその点について、時間がありませんから議論はいたしませんが、大蔵大臣の言明はたいへんごまかしをきわめたものであると申さなければならぬのです。 時間がありませんから次にお尋ねをいたします。これは三、四年間叫び続けておるのですが、日本の財政、ことにわれわれ国民の血税を集めて資金とする財政資金を使う場合に、政府は非常にずさんであり、ルーズである。血税がややもすれば至るところで浪費されたり、濫費されたり、不当に支払われたり、支出されたりする。この血税が極端にいえば食いものになつておるというところさえも間々あることは、国民的立場においてきわめて重大な事柄だと私は思つておる。そこで会計検査院の当局が来ておると思いますが、これは大蔵大臣にもよく聞いておいてもらいたい。会計検査院の当局に聞くのでありますが、昭和二十八年度の会計検査を各機関にわたつて相当綿密にされて来たのだろうと思うのでありますが、その会計検査の厳重な結果において、従来われわれが指摘しておりました不当な支払い、不正な支出、いわゆるわれわれのとうとい血税が濫費されておるという忌まわしき事実が一体どのくらいに上つておつたか、そしてその額は一体どのくらいに今日の調査の結果によつて明らかにされておるか、まずそれをお尋ねをして、さらに時間がありませんから続いてお尋ねしてしまいますが、最近ことに某新聞の報通するところによりますれば、農業災害復旧の国費について非常な乱脈きわまるところの使い方をいたしておるということが明らかにされております。伝えるところによりますれば、検査院が検査をいたしました今日までのところだけでも、実に件数にすれば五百件、額にすれば二百億を上まわるであろうという莫大なとうとい血税が濫費をされておるのではないかとさえ新聞には伝えられております。会計検査院はもとよりこれら不正支出や不当な支払いの事前の防止をいたしますがために、いろいろの措置を講じておるということだけは、われわれも知つておるのであります。そのために、最近の事柄だけでも、その事前の検査のために何十億かの――百億に達するような厖大な額が不正に支払われたり、不当に支出されることを未然に防いだという事柄をも某紙上では伝えられておるのであります。そういう事柄をわれわれが考えてみましたときに、このわれわれの血税が、いたずらに政府並びにその機関によつて濫費されたり、浪費されることは、われわれ国民にとりましては、きわめて重大な事柄だと申さなければなりません。そこで特にこの農業災害に関係いたしておりまするところの不当、不正な支払いという事実があつたといたしますならば、どのくらいになつておるか、その具体的な、大まかな数字でけつこうでありますけれども大まかな数字と、そうして何か具体的な指摘する材料がありますならば、一、二具体的にその例をあげてわれわれは聞いておきたいと思うのでありますので、それを求めます。
○小笠原国務大臣 川島委員が御心配になつておる点は、私もまことに同感の点が少くありません。実は災害予算等につきましては、あなたのお手元にこの春お配りしたものでも、昨年の災害等の実例に見ましても、私どもが大蔵省で検査をしたり、財務局あるいは財務部で検査をしたり、あるいけ行政監察の方で検査をしたり、会計検査院で検査をいたしたものを大体申しますると、件数において約三割、金額にして二割強というようなものが、水増しまたは不正、不当な申告であつたことは、当時詳しく、九千幾つかを各検査院、大蔵省、行政監察庁等で調べたものをお手元に差出しておりまして、そのようなことがありますことは、まことに遺憾千万でございます。これはやはり実地調査の欠けておる点から多いと存じますので、昨今特に督励をいたしまして、この実地調査の率を高めることに各省とも連絡をとつて努力いたしておるのであります。かような国費の関係がいやしくも濫費されるということは最も望ましくなく、またそのようなことは絶対に避けなければならぬ事柄でありますので、私どもといたしましても、今後とも十分注意いたしまして、不当、不正の支出なきよう措置いたしたいと考えております。
○小峰会計検査院説明員 お答えいたします。全般の検査につきましては現在とりまとめ中でございまして、月の中ごろまで御猶予願いたいと思うのであります。ちよつとまとまつた数字を申し上げる段階にまだ至つておりません。特に御指摘のありました農林関係の災害復旧事業については、すでに詳細に集めてございますので、一応申し上げたいと思います。但し御承知のように、最終決定をまだ経ておりませんので、そのおつもりでお聞き願いたいと思います。昨年は未曽有の大災害でございまして、千五百億余りの災害復旧費がつきましたことは十分御承知のことだと思います。そのうち、農林関係は五百五十億ほどになつております。従来会計検査院では事後の検査ということは相当こまかくやつておりますが、従来の経験にかんがみまして、先に早めに調べて、悪いものは早く振り落してしまうことが必要だということを痛感しておるわけでありますが、昨年は御承知のように、国庫負担の率も非常に上りまして、金額もまた未曽有の、今のような大きな金額になりました。そこでこの一月からすでに国費の支出段階に入つたのでありますが、事後の検査とあわせまして、まだ工事が終つておらぬというものも検査したのであります。五百五十億のうち金額にして三百三十億ほどいたしました。それから五百五十億の箇所がざつと五万五千であります。そのうち三万箇所余りの現場を一月から四月までにかけて以て歩いたわけであります。そういたしますと、従来私どもが事後検査で発見しておりましたような不当支出というものが、たくさんに査定の中にまぎれ込んでいたわけであります。具体的に申し上げますと、たとえば建設省と農林省と両方から一つの復旧に査定がついておつた、こういうものも相当ございました。一つのあまり大きな川ではございませんが、一本の川がそつくり二重査定を受けていたというようなケースも九州にあつたのであります。これは一箇所で数千万円落ちるというようなものがあつたわけであります。それから九州、近畿地方の南の方、こういうところにいろいろな事実がたくさんに発見されたのでありますが、結局私どもとしては査定を減らす権限は持つておりませんので、これは農林省に御注意をいたしまして、減らしていただいたのであります。今の三万三千、それから金額にいたしまして三百億余りというのを見まして、農林省が検査院の注意によりまして落しましたもの、修正しましたものは二万六千箇所余りになつたのであります。半分以上は修正を要する、金額にいたしまして八十七億。三百億余り見まして、実に二割以上、三割に近いものを金額で落して八十七億という数字になつたので、実は私どもとしても驚いたのであります。 ついでに申し上げておきますが、建設省関係は九百九十億余り昨年の災害で査定がついておつたわけであります。そのうち私ども約四割近く見ましたが、約二十億建設省の方で会計検査院の検査の結果落しておられます。大体同じくらい見まして、片方は八十七億、片方は二十億、こういう結果になつたのであります。あと運輸省が若干ございまして、昨年の災害復旧費千五百億のうち総額約百十億、大部分は農林省の八十七億でありますが、あと建設省と運輸行と合せまして百十億というものが二十八年度以降の歳出から減額された、こういう事態になつたわけであります。
○川島(金)委員 なお引続いてお尋ねしたいのですが、時間がなくなりましたからとりやめます。最後に大蔵大臣に一言、それから出席されました国鉄の長崎総裁に二言ばかりとりまとめてお尋ねをして終りたいと思いますから、御了承願います。 だんだんにわれわれが申し上げております通り、政局は非常に緊迫をきわめまして、内閣の総辞職か総選挙か、こういう二者択一の重大な場面に来ておりますことは申し上げるまでもないことであります。ところが、かりに総選挙となりますような場合におきまして、一体政府は選挙対策費をどこから捻出するのか。補正予算を見ましても、別にそういう費目は見つかりません。いわんや通常予算の方にも別に大した額は載つておりません。しかし私どもの想像するところによつただけでも、たとえば現行法によるところの選挙を行いましただけでも、少くとも十数億の金がかかるのじやないか。この莫大な選挙賢を、選挙があつた場合に一体どこから捻出するつもりであるか。大蔵省としては九千九百九十八億ですから、あと三億で一兆円のわくを突破してしまう。これが突破してはたいへんだということでこの問題もいい加減になり、またさらにあげればいろいろありますが、どうやらこうやら世間をごまかすために九千九百九十八億に無理にしておるのではないかという具体的な例を私はたくさん持つておりますが、この際時間がありませんから言うことを省きますが、選挙対策をどうするのか、こういうことを最後に大蔵大臣にお尋ねしておきます。 それから長崎総裁に対しては例の洞爺丸事件に関係して、お尋ねしたい。かつて国鉄の桜木町事件の当時におきましては、当時の総裁であつた加賀山氏はこの問題に重大な責任を感じられまして、法的な責任は別といたしまして、道義的な市大な責任を感じ、政治的な責任を感じてやめておるという事実がございます。先輩の加賀山氏のまねをしろとはあえて私は強要するものではありませんが、この洞爺丸事件について、一体長崎総裁はいかなる政治的な道義的な責任を感じられておるかということと、もう一つは今団体交渉中でありますが、国鉄職員の年末手当の問題でございます。この年末手当は一般公務員は御承知の通り一・一五あるのでありますが、この一・二五すらも、先ほど申し上げました一般消費物価の上井に伴いまして、公務員諸君の生活は台所が非常に苦しいという事実にかんがみまして、二箇月は少くともよこせという大運動が展開されておるほどであります。しかるにこれに反して国鉄職員はわずかに一・〇〇だけの年末手当で甘んじなければならないという状態にある。それに対しまして国鉄の職員は先般来いろいろな形において総裁に団交を続け、そして少くとも一・二五、いわゆる官公の諸君と同率の年末手当がもらえないかという切実な要求のもとに、これまた切実な団交を続けておるように私は伺つておるのでありますが、一体これらの問題に対しまして長崎総裁はどんな態度で、どんな形でこれらの要求に報いようとする腹構えを持たれているのか、その二点だけを尋ねまして、時間がありませんですから私の質問は打切つておきます。
○小笠原国務大臣 今度の補正予算には解散を予期しませんでしたから、従つて計上してございません。もし解散した場合にはなお予備費が相当残つておりまするので、予備費をもつて支弁する考えでございます。
○長崎説明員 函館の港に起きました海難につきましてはまつたく遺憾きわまりないことでございます。これに対しましては私どもの第一に考えなくてはならぬことは、ああいうような世界にもまれなる大きな海難というようなものを再び起さぬようにしなければならぬということを痛感いたしている次第でございます。なおこの海難がいかなる事由によつて起きたものであるかということにつきましては、目下海難審判所あるいはその他の調査機関において調査を継続中でございます。これはまだ明らかになつておりません。いずれにいたしましても私どもはあの海難が起きましたとき、まず難にあわれました方々を収容救護するということが第一の責任であり、次には輸送力の確保並びに今後のかかる海難に対する対策、これはかかる海難を繰返さぬようにしなければならぬということを痛感いたした次第であります。 第二の年末手当の問題につきましては、川島委員御承知のように、私どもの輸送収入の状況も非常に悪化しております。また台風その他の被害による支出の増加も非常にございますので、それらを勘案いたしますと、なかなか予算にございます一・〇〇を上まわつて年末手当を出すということは困難でございます。しかしながらいろいろな面におきましてさらに検討を加え、私の希望といたしましては、少くとも公務員並の年末手当というものを何とかして出さなければならないのじやないかというふうに考えて苦慮しておる次第でございます。
○西村(直)委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、次会は明四日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十六分散会