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20回国会衆議院1954/12/02

予算委員会 第1号

発言数
188
登壇者
19
会派数
3
開催日
1954/12/02

会議録

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事が二名欠員になっておりますので、その補欠を選任いたしたいと存じますが、その選任は前例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 御異議がないと存じます。よって小峯柳多君及び山本勝市君を理事に指名いたします。  なお川崎秀二君より理事辞任の申出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。それでは中曽根康弘君を理事に指名いたします。     —————————————

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 昭和二十九年度一般会計予算補正(第1号)、昭和二十九年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和二十九年度政府関係機関予算補正、(機第一号)の三案を一括して議題といたします。まず政府より提案理由の説明を求めます。大蔵大臣小笠原三九郎君。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 昭和二十九年度補正予算の編成に関する基本方針並びに補正の大綱につきましては、すでに本会議において説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、あらためてその概要を御説明申し上げます。  今回の補正予算の編成にあたりましても、経済健全化の基本方針を貫きまして、本年度発生災害の復旧を促進し、財政健全化の推進に伴い、社会保障関係費の充実をはかるとともに、第十九回国会における予算案の三党協同修正等に伴う所要の補正を行うほか、必要最小限度の経費に限り、その所要額を追加計上し、他面その財源につきましては、おもに規定経費の節減等に、よりまかない、財政規模の膨張を極力避け、一兆円のわくをあくまで堅持した次第であります。  一般会計の歳出の追加額は三百八億円であり、これに対し歳入の増加分は三億円でありまして、その差額三百五億円は、歳出の節減等によりまかなったのであります。これにより、昭和二十九年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも九千九百九十八億円と相なるのであります。  まず歳出について申しますと、第一は災害復旧事業費であります。本年五—六月の暴風雨、第五号台風及び第十二号ないし第一五号台風による災害の復旧につきましては、すでに一部予備費等によりその措置を講じておりますが、予備費充当額も含め本年度内に、おおむねその二割五分を復旧することを目途といたしまして、災害復旧事業費六十九億円を計上いたしました。なお、災害復旧の実施にあたりましては、工事の種類、緊急度合い等により極力重点的に工事を取上げるよう措置することといたしております。  また災害復旧と関連いたしまして、冷害等によって農作物の被害をこうむった農家は賃金収入の機械を与えるため、救農土木事業として、今回の一般会計予算補正とは別に、一般会計及び特別会計を通じ、予備費支出等により合計二十二億円を支出いたす予定であります。  第二は社会保障関係経費であります。財政の健全化の推進に伴う社会情勢の推移にかんがみまして、生活保護費及び失業対策費につき、それぞれ七十億円及び、三十七億円を追加計上いたしました。なお、このほか、失業者の就労対策をさらに強化するために、公共事業費の節約額の一部振替等により、新たに緊急就労対策事業費として、九億円を計上いたしました。  第三は、義務教育費国庫負担金であります。義務教育費につきましては、教職員の給与費の実支出額の二分の一を国庫が負担する建前に基きまして、二十八年度の不足額を補填するため、八億円を計上いたしました。  第四は、地方交付税交付金であります。本年度におきましては、法人税の自然増収百五十億円が見込まれますとともに、本年度限りの特例として、地方交付税の定率のうち、所得税及び法人税の収入見込額のそれぞれ百分の一九・六六を百分の一九・八七四に改訂することといたしまして、これによる地方交付税の増額四十億円を追加計上いたしました。なお、この地方交付税交付金の追加十億円は、本年度における都道府県警察費の不足を補填するものでありますが、都道府県警察費につきましては、このほか、都道府県警察費補助として、二億円を追加計上いたしました。  第五は、地方譲与税譲与金であります。本年度の入場税収納見込みは、第十九回国会における入場税法の成立遅延と国会修正による税率引下げ等のため、当社予算額を下まわり、入場譲与税法によって国が都道府県に対し譲与すべき最低限度額百五十五億五千万円に満たないと認められるに至りましたので、その不足財源を一般会計から補填することとし、その所要額三十五億円を追加計上いたしました。  第六は、農業保険費であります。二十八年度の農業災害により生じた農業共済再保険特別会計の赤字を補填するため、一般会計から十二億円を繰入れることといたしました。  以上が、歳出の追加のおもなものでありますが、その他所要の経費につきましても、必要最小限度の補正を行うことといたしました。  次に、財源について申しますと、財源の調達にあたりましては、健全財政堅持の方針に基き、主として規定経費の節減により、まかなうことといたしました。すなわち、法律案の不成立に伴う繊維品消費税の歳入欠陥八十五億円のほか、専売公社納付金及び雑収の減少が見込まれるのでありますが、他面法人税収入その他の増収が見込まれますので、差引歳入の増加三億円と、物件費、施設費等の節約百五十三億円及び輸入食糧価格調整補給金等の不用百五二億円と合せて三百八億円をもって、これをまかなうこととしたのであります。  次に、特別会計につきましては、交付税及び譲与税配付金特別会計、国有林野事業特別会計、失業保険特別会計等七会計につき所要の補正を行うとともに、政府関係機関のうち、日本専売公社および日本国有鉄道につきまして、所要の補正を行うことといたしました。  何とぞ、政府の方針を与とされ、本補正予算案に対し、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 次に補足説明を求めます。主計局長森永貞一郎君。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 ただいまの大臣の御説に対して、計数的なことを若干補足して申し上げたいと思います。お手元に昭和二十九年度予算補正の説明という印刷物をお配りしてございますので、この印刷に基きまして簡単に申し上げたいと思います。  今回の補正は、一般会計、特別会計、政府関係機関の三本建になっておりますが、まず一般会計から申し上げます。三ページに一般会計の補正規模は三百億八億二千五百万円であります。のうち歳出の節約、不用によりまして、財源といたすものが三百五億三千三百万円、歳出の増加によりましたものが二億九千百万円でございまして、結局当初の予算規模九千九百九十五億八千八百万円は九千九百九十八億七千九百万円に増加いたしたのでございます。  補正規模三百八億二千五百万円の重要事項別一覧表が三ページの上段に掲げてございますが、大別いたしますと、災害関係がその第一でございます。社会保障的な経費がその第二でございます。その表の二番目の生活保護、三番目の失業対策、四番目の緊急就労対策、この三つがそれに該当いたします。次は地方財政に関連した経費でございまして、この表の五番目の義務教育国庫負担金、六番目は地方交付税交付金、七番目は都道府県警察費補助、八番目は地力譲与税剰余金でございます。九番目は、これは昨年度ではございますが、やはり広い意味の災害に関連した農業保険費でございます。それからその他この機会にぜひとも補正をしなければならないものがあるわけでございまして、この中には、前国会における法案の成立に伴うものも含んでおるわけでございます。以下逐次歳出の内容及びに財源につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず災害復旧費でございますが、六十九億円の追加をいたしました。このうち三億円は文教施設の災害復旧費でございまして、六十六億円が公共土木施設の災害復旧費でございます。本年度発生災害の事業費総額は、各府県の申請額をそのままとりますと七百六十四億円、これにつきまして各省が一応査定をいたしました金額は五百四十八億円でございますが、さらにこれを最近の物価の情勢、入札の状況その他から勘案いたしまして私どもが査定をいたしました数字が五百四十八億円ということになるわけでございます。この五百十二億円に対しまして、初年度は二割五分の復旧を目途とし、その事業費百二十九億円、これに対しまして現行の各補助率を運用いたしまして計算いたしますと、八十九億七千七百万円、約九十億円になるわけであります。これを補正予算で六十六億円まかない、予備費からすでにまかないましたものが四億七千八百万円、今後予備日費からまかないますものが、十八億九千九百万円、かようなことでまかなおうとするものでございまして、そのための所要額六十六億円を補正予算に計上いたしたわけでございます。文教施設災害復旧費三億円も今度災害の公立文教施設の災害復旧に必要なる事業費の補助でございます。災害関係では、この公共土木施設の復旧費のほかに農業関係におきまして、本年度の例外等による農作物の被害対策といたしまして、別途求農土木事業を考えております。その財源は予備費ないしは節約不用によっておるわけでありまして、総額二十二億五千九百万円、これを一般会計と国有林野事業特別会計の二つの会計で支弁をいたす予定であります。二十二億五千九百万円を事業別に見ますと、北海道十九億四千八百万円、内地三億一千百万円、かような内訳になっております。このほかさらに農薬補助、種子対策、開拓地の入植施設の災害復旧等いずれも予備軍から措置をいたすことにいたしておることをつけ加えて申し上げておきます。  次の補正項目は、生活保護費の増加七十億四千四百万円でございます。この七十億円のうち一番大きな金額は、医療補助の不足五十五億円、これを補填しようとするものでございます。医療扶助につきましては、昨年十二月入院料の単価等の引上げがございまして、それに伴う所要額を計上いたしておりましたが、当初の見込み以上に単価の高騰を見ました。さらに最近の経済情勢の推移に伴いまして、人員も若干増加いたして参っております。そのために当初計上いたしました予算に対し五十五億の不足を予想せられますので、今回の補正に際し、それを補填していただきたいというのがこの医療扶助の関係でございます。このほかの扶助の関係でも約十億不足を見る予定でありますので、あわせて補正をお願いいたしております。さらに二十八年度の不足、当初予算におきましても約二十五億円を補填する計画でございましたが、さらに五億円あまり昨年度の不足が増加いたしましたので、この機会にその分もあわせて補填をしていただき、合せて七十億四千四百万円を計上いたしたわけであります。  その次は失業対策費の増加三十七億四千八百万円であります。この内訳は失業対策事業費の補助八億五千万円、三百万円、政府職員等失業者退職手当七千六百万円、以上でございます。  まず失業対策事業費の補助でございますが、本年度の当初予算にいきましては、就労人員の増加を昨年度の実績に対しまして五%の増加と見ておりました。しかし最近の経済情報の推移からながめますと、失業者の数も増加いたしておりますし、安定所の登録人員も逐次増化いたして参っておりますので、この五%増をさらに五%ふやしまして、一日平均就労人員投書は十六万三千人でございましたが、これを十七万人に増加いたしまして、それに必要な失業対策費の補助八億五千万円を追加計上することといたしたわけでございます。  失業保険につきましても、失業情勢の推移に伴いまして、月平均需給人員が大分増加いたして参っております。当初の予算では月平均三七万五千人を考えておりましたが、最近の実績から勘案いたしますと、四十九万四千人に増加させなければならぬのでございまして、これに伴う保険金の増加八十四億六千七百万円があるわけてございます。その三分の一を一般会計が負担するという法律の規定でございますので、今回二十八億二千二百万円を追加することといたしたわけでございます。残余は保険料の収入の増加並びに同会計の積立金のとりくずしによってまかわなれるわけでございます。  政府職員等失業者退職手当は、行政整理によりまして退職いたしました政府職員に対し、失業保険法の定めによる最低額を保障するために差額をここに計上いたしておるわけでございまして、その不足分を追加計上いたしました。  次は緊急就労対策事業費九億六千二百万円でございます。これも最近における失業者の増加にかんがみまして、道路関係事業費の節約解除額をここに特掲いたしまして所定の道路事業、都市計画事業を遂行するかたわら、これによって、失業者の吸収にも資しよう、こういうねらいでございます。炭鉱地帯、六大都市等を中心に、この緊急就労対策事業を適当に配分、実行いたしまして、失業者一日平均一万五千人をこれによって吸収し得る見込みでございます。このほかにも節約解除によりまして、特に炭坑地帯の失業者等の吸収に資し得るように、遠賀用その他の河川につきまして重点的な事業の執行を配慮いたしておる次第でございます。  次は地方財政関係に入って参りますが、まず義務教育費国庫負担の増加八億二千八百万円、これは義務教育費、国庫負担法が昨年度から施行になりまして予算に計上いたしておりましたが、これは決算補助でございまして、決算が確定いたしましたに伴いまして、八億二千八百万円だけ当初予算が不足いたしておりすので、今年度これを補填いたすわけでございます。  次は地方交付税交付金の増加四十億円でございます。後に財源のところで申し上げますが、法人税が百五十億円増収を見込まれるのでありまして、それに伴いまして交付税も増加交付されるわけでございますが、そのほかに本年度の所得税及び法人税に対する地方交付税の交付率、一九・六六%を臨時に一九・八七四%に改訂いたしまして、合せて四十億円を交付税とし、増額交付することにいたしました。これは今夏来問題となっておりました都道府県警察費の算定がえに伴う追加需要額に充当せられるものでございまして、警察費の不足をこれによって補って行くという、そういうねらいでございます。  警察費の不足につきましては、その次の七番、都道府県警察費補助の増加、これもその一部に充当せられるわけでございまして、補助金の増加二億二千七百万円、これは都道府県警察の負担いたしまする警察電話専用料等の増加に伴うものが一億二千七百万円、警察用車両維持費六千万円、その他四千万円でございます。なお一方補助金の節約よる減少が八千二百万円ございますので、ネットの増加といたしましては一億四千八百万円ということに相なっております。  次は地方譲与税譲与金の増加三十五億円でございます。当初予算におきましては入場税収入を百九十二億円と見積っておりまして、その一割を国庫がとり、九割が地方に譲与されるということに相なっておりました。しかるに入場税法の税率が修正になりまして大分下って参りました。さらに入場税の国庫移管の時期がずれました関係上、当初予算の百九十億円の収入は約七十億円くらい減収を必至とするような事態にございます。しかるに地方財政の困窮を緩和するために、初年度に限りまして入場税収入のいかんを問わず最低百五十五億五千万円を地方に対して保証しており、一般会計からその額を確保する、そういう約束が法律によってなされているわけでございまして、その約束を実行いたしますためには、現在の入場税収入の見込額をもってしては三十五億円を一般会計から繰入れを必要とするわけでございます。そのための経費をここに計上いたしました。  その次は農業保険費の増加十一億七銭六百万円でございます。追加が十二億円でございますが、これは昨年度の農業共済再保険特別会計の赤字補填のためのものでございます。昨年は未曾有の凶作で大分大きな赤字が出ました。それに対しましては、昨年度補正において、また本年度当初におきまして、相当の金額を補填いたしておりますが、決算としてさらに十二億円が不足いたしますので、その分を今回の補正に際しまして補填をしていただこうというわけでございます。修正減少二千三百万円でありますが、これは予算の節約によるものでございまして、差引十億七千六百万円の補正に相なっておるわけであります。  以上で重要項項を終りまして、その他の合計が二十四億一千五百万円ございますが、そのうちのおもなものを申し上げます。  まず第一は農業改良普及事業費補助の増加三億三千六百万円でございます。これは当初予算におきまして、補助金の整理に関する法律を提出いたしましたが、この法律が国会において修正になりまして、そのうち農業改良普及員等の職員設置費の補助金が政府案では二分の一でございましたが、成立案では三分の二に復元されたのでございます。その関係から予算に不足を生じまして今回三億六千百万円を補填していただき、予算の節約を差引きまして、三億三千六百万円を追加計上いたしたわけでございます。  次は被害農家常農資金利子補給でございます。ことしも災害が各地にございまして、その対策の一環といたしまして、被害農家に対しましていわゆる営農資金の融資を行い、それにつきましては利子補給並びに損失補填が行われる、かような提案が政府から行われておるのでございますが、そのための利子補給金額七千万円を新たに追加いたしました。但し昨年度の災害関係の農営資金の融資実績が当初予算より大分下まわっておりますので、その関係から修正減少が三億一千四百万円ございまして、補正の純額としては二億四千四万円、かようなことに相なっております。なお農家だけでなく、被害漁業者に対する貸付金につきましても、別途五万円の利子補給を計上しております。  その次は非現業共済連合会等の補助及び交付金の増加四千七百万円でございます。これはいわゆる旧令共済組合の受給者に対する年金等の不足見込額が五千百万円ございます。その他八幡製鉄等の組合の関係の国庫負担等もございますので、これらの所要額追加と修正減少差引四千七万円を計上いたしたわけでございます。  次は国立フランス美術館の創設費五千四百万円、これは御承知のように、松方コレクションにつきまして、フランスとの間に外交交渉が行われておりまして、これを日本側に返還する機運が大分熟して参っております。それにつきましては、日本側でこれが受入れ態勢を整備する必要がございますので、国立フランス美術館を創立することとし、その初年度の事業費として五千四百五十万円を計上いたしたわけでございます。  その次は農業委員会費補助の増加八千百万円、これは六月に成立いたしました農業委員会等に関する法律の一部改正によりまして全国農業会議所、都道府県農業会議というようなものができまして、それに要する補助金、さらに農業委員会の経費が当初の見込みでは不足いたしますので、それらを合せまして八千百万円を農業委員会費補助として増加計上いたしておるのでございます。  その次は漁船再保険特別会計へ繰入れの増加一億三千九百万円、このうち三千百万円は補助金整理の法律の審議の際に、国会の御要望がございまして、われわれの当初の案では二十トン未満を国庫負担の対象にするということでございましたが、百トン未満にそれを広げた方がよいというような強い御要請があったわけでございまして、今回その御要望を尊重いたしまして、拡張いたしたに伴いまして三千百万円の不足が生じますので、その三千百万円と、昨年度におけるこの会計の赤字九千四百万円その他を通算いたしまして、合計一億三千九百万円を今回の補正に際し追加計上いたしました。  七番目といたしまして、郵便貯金特別会計損失補填の増加七億四千三百万円がございます。これは郵便貯金特別会計の二十八年度の決算における支払い利子の不足、これを一般会計から補充しなければならぬという法律の規定になっておりますので、この機会にこれを補正としてお願いいたしておるわけでございます。  以上歳出についてあらまし申し上げましたが、次は財源でございます。  財源のうち、三百五億三千三百万円、これは歳出の節約及び不用によつてまかなっておるわけでございます。まず歳出の節約でございますが、これは百五十三億四千七百万円でございます。この点につきましては、前国会におきまして予算について三党の共同修正が行われました場合に、予備費を減額して財源に供されたのでございます。子の際その予備費を減額いたしました五十億以上のものにつきまして予算の実行上節約をして予備費の財源を捻出するようにという御趣旨があったわけでございますが、さらにその後繊維消費税の不成立あるいは入場税の減収、そういったような事態が起って参りまして歳入歳出を通じまして約二百億の欠陥を生じたわけでございます。これにつきまして政府部内におきましては六月二十九日節約を申し合せまして、合計百九十九億を予算の実行上節約することといたしておつたわけでございますが、今回そのうち四十五億五千三百万円を除きました残り百五十三億円を修正減少いたしまして今回の補正の財源に供したわけでございます。四十五億五千三百万円はいわゆる節約解除でございまして、公共事業費につきましては三%、道路につきましてはそのほかにさらに七%、その他各省にまたがりまして、やむを得ざる経費のために節約を解除いたしましたもの、合計四十五億五千三万円になるわけでございまして、これを差引きました残額百五十三億を、今回修正減額いたしたわけでございます。  不用額、これは五十億八千六百万円でございます。そのおもなものを申し上げますと、まず日本電信電話公社交付金五億円、これは電信電話公社ができましてさらに国際電信電話が分離いたしました際に、政府が持っております国際電信電話株式会社の株式は、これを証券市場で売却して、その代金を電信電話公社に交付するということになっておりまして、本年度予算におきましても五億を計上いたしておりましたが、最近の証券市場の情勢では、この処分がなかなかできないのでございます。そこで歳入も上りませんが、歳出も五億円不用になるわけでございます。  次は国際諸費における不用額二十七億四千八百万円、これは当初予算におきましては、大蔵省証券の発行を予定して、その発行差額等を予算に計上いたしておりましたが、現実には大蔵省証券を発行するに至りませんので、その不用額、さらに国際整理基金特別会計における剰余金を充当すること等によりまして、一般会計からの繰入額を二十七億四千八百万円削減いたしまして、今回の補正の財源に供しました。  次は輸入食糧価格も調整補助金、これが一番大口でございますが、九十億当初予算に計上いたしました金額をまるまる不用額として落とし、今回の補正財源に供しました。ご承知のように、海外における米麦の国際的需給事情が大分暖和して参りまして、米麦の海外市価が下っております。従いましてこの価格調整補給金九十億円がまるまる不用になるわけでございまして、それを今回の補正の財源に供したわけでございます。  さらにもう1つは、外航船舶建造資金貸付利子補給二億八千三百万円、これは本年度の新造船の着工が大分遅れておりますこと、さらに利子補給の対象になる融資額等をしぼりました結果、これだけ不用になるわけでございます。これが不用額のおもなものでございますが、そのほか各省を通じまして、極力不用財源を洗い、節約額をあさりまして、今回のこの補正財源に供したわけでございます。  歳入でございますが、歳入の増加差引二億九千百万円、その内訳は租税及び印紙収入におきまして六十五億円の増、これは先ほども申し上げましたが、繊維消費税がが八十五億円、不成立によりまして穴があいております。それに対しまして法人税の収入が百五十億円増加する見込みでございまして、差引六十五億円の租税収入の増加に相なっております。  次に専売益金は減少五十二億三千九百万円でございます。最近経済情勢の推移もございまして、タバコの売れ行きは、高級品の売れ行きがにぶり、新生等の売れ行きが伸びております。売上げの本数におきましては大体当初の予算と大差ございませんが、高級品の売れ行きが減退いたしました結果、売上げの金額が大分減って参りまして、そのために歳出にきましても、あらゆる節約の努力をいたしましたが、結局五十二億二千九百万円の納付金の減少を免れないわけでございまして、今回の補正に際し修正減額いたしておるわけでございます。  次は政府資産整理収入四千九百万円、これは増と減の両者がございますが、減の方は先ほど申し上げました国際電信電話株式会社の株券の売却ができなかったことによる減の五億円。増の五億四千九百万円は、公共事業の地方直轄分につきまして、地方団体の分担金を従来は現金で納めていただいておりましたが、昨年特例ができまして、地方債証券をもって納付していただくということになりました。その地方債証券の条件が本年の初めに決定になり、それに基いて本年度元利の償還になりますのが五億四千九百万円、差引補正増四千九百円ということになっております。  雑収入でございますが、補正額十億一千九百万円であります。内訳は、増加二十六億円。これは決算の確定による日本銀行納付金の増加でございます。これに対する修正減三十六億円、そのうち十九億二千万円は、先ほどもちょっと触れました入場税の税率が引下げられたことに伴う減収でございます。すなわち入場税は一割を一般会計がいただくということになっておりましたが、七十億も減収するというようなことに相なりましたので、一割を一般会計がいただくというのを御遠慮いたしまして、まるまる十九億円を修正減少いたしたわけでございます。もう一つの減の要因は、先ほど触れました公共団体の直轄事業の分担金に関連しておりますが、これが地方債証券をもって納付することができることになりまして、その条件が決定せられたことに伴いまして、当初予定いたしておりました分担金の収入が十七億円減少するわけでございます。それをここに計上いたしておるのでございます。差引十億一千九百万の減少に相なります。  以上一般会計につき申し上げましたが、特別会計、政府機関につきましてごく簡単に申し上げますと、特別会計につきましては、補正をいたしましたものは合計七つございます。  そのうちのおもなものについて申し上げますが、交付税及び譲与税配付金特別会計、これは先けど地方財政に関連した諸般の経費がございましたが、なかんずく地方交付税交付金の増加、入場譲与税の不足補填のための一般会計からの繰入れ、それに伴う特別会計の修正でございます。  その次は国有林野事業特別会計、これは主として災害関係の補正でございます。収入の面では、災害によりましていわゆる風倒木を生じ、それを処理いたすこと等によります収入の増加、それから歳出の方は、冷害対策事業として治山治水、林道等の事業を施行するための経費並びに国有林野についての災害復旧事業費、それを補正計上いたしております。  その次は失業保険特例会計でございますが、先ほど申し上げましたような失業保険金の支払いの増大、一般会計からの繰入れの増額に伴いまして、本会計につきまして所要の補正を行っております。  このほか農業共済保険、漁船再保険、郵便貯金、この三特別会計につきましては、一般会計からの繰入れに伴う補正をそれぞれ計上いたしております。  もう一つ国立病院特別会計がございますが、これは予算の補正ではなく、債務負担行為の補正でございます。国立病院の整備を能率的に実行するためには、翌年度にわたる債務を負担する道を開きますことが、工事を能率的に進行できる。かような観点から債務負担行為を三億円増額をお願い申し上げております。  次は政府関係機関でございますが、専売公社と国鉄の二つにつきまして補正をお願い申し上げております。  専売公社は、先ほど申し上げましたような、売れ行きの減に伴う事業費の当然減のほかに、建設及び造林費等につきまして極力圧縮に努めまして、五十二億円の納付金の減に食いとめたのでございますが、それに伴う日本専売公社の予算の補正をお願い申し上げております。  国有鉄道につきましては、損益勘定の経理が大分苦しくなって参っております。これは旅客収入はさほどでもございません。むしろ増収になっておりますが、最近の経済情勢の影響もありまして、貨物収入が大分減収になっておる。そのほか雑収入等の減もございまして、結局二十五億損益勘定で減収が起っております。  一方歳出の方はどうかと申しますと、災害関係で約四十一億円くらい足りなくなっております。このうちには西館の洞爺丸遭難者の弔慰金等も入っておりますが、こういったことで損益勘定が大分悪化しております。これに対して極力節約を実行し、また予備費を充当し、さらにやむを得ず資本勘定への繰入れを減らすということで善後措置を講じておるのでございまして、そのための補正が必要でございます。  さらに資本勘定におきましては、起債市場の状況から考えまして、鉄道債券の発行額が予定よりも大分減って参りました。そのほかにただいま申し上げました損益勘定の繰入れが減る。従って約四十億円くらい資金が足りなくなるわけでございますが、これに対しましては工事勘定で極力節約をいたしましても、どうしても災害復旧工事であるとか、あるいは新線関係等の関係で増加するものもございますので、結局資金不足を補填するために、三十二億円を資金運用部から追加借入れをすることにいたしまして、補正を計上いたしてございます。  工事勘定につきましては、ただいま申しました新線の関係、さらに災害復旧事業の増加に対して極力節約を実行いたしまして補填をすることにいたし、足りないところを今の資金運用部からの借入れにまつというような趣旨で、国鉄公社の補正を計上いたしておる次第でございます。  以上はなはだ粗雑でございますが、一応御説明を終らしていただきます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 それでは午後、一時より再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午前十一時十八分休憩      ————◇—————    午後一時二十四分開議

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  これより補正予算三案に対する質疑に入ります。灘尾弘吉君。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 私はこの機会に補正予算案の背景を直しておりまする諸問題につきまして、若干の質疑をいたしたいと存ずる次第であります。  その前に、吉田内閣総理大臣は最近長途の御旅行を終えてお帰りになりましたので、総理の外国御出張に関連いたしまして総理大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。  吉田総理大臣は過般、五十余日、七箇国にわたって友邦各国を御訪問せられたのでありますが、無事御帰朝になりまして、その間の御行動なり御所感につきましては、一昨日の本会議において御発表に相なった次第でありますが、御老体をひっさげての御活動に対しまして、心ある国民はひとしく敬意を払う次第であります。今回の海外御出張に対しましては、御出発前から御帰朝の今日に至るまでいろいろな論議が行われておりますが、その中には外交の重大性、国際的利害についての重大性を閑却いたしまして、むしろ党派的なまた不純な動機によるものも少くないことを、私はまことに残念に思うものであります。総理大臣におかれましても、かかる国内の論議のために御旅行先でさだめしやりづらい思いをなさったことも多々あろうかと思うのであります。しかしわれわれは、一昨日の御演説によって明らかにせられましたごとく、今回の御旅行が国際的にもまた国内的にも非常に重大な意義を持つものであることを確信いたします。総理の御苦労に対しましては深く多とするのであります。  総理はいわゆる外遊の成果につきましては、きわめて御謙遜な態度を持しておられるようであります。今後の事実によって判断したらよかろう、かようなことを仰せになっておるのでありますが、私はそれではかえって国民諸君に対しまして、いわば不親切な感を免れないようにも思うのであります。この際関係各国との間におけるお話合いの結果、総理の企図せられました国際親善の関係についてとか、またわが国当面最大の急務とする経済自立の目的達成に関しまして、あるいはまた海外発展等の出題につきまして、この御旅行を通じましていかなる見通しを得られましたか。おさしつかえのない範囲において各国ごとに、具体的に率直に御説明をいただきたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。外遊という言葉が悪いと思いますが、とにかく外遊をいたした成果については、これは国民諸君の御判断にまかせることとして、私の外遊は申すまでもなく、従来の日本に対する——終戦後の日本の再建等に対して列国の寄せられたる好意に対して国民的の謝意を表するとともに、従来戦争等の関係があってずいぶん日本に対して誤解があります。この誤解に対し、あるいは日本政府の考えておって、そして十分に了解されなかつた点等を明らかにすることが必要と考えて外遊を試みたわけであります。この成果はとにかくとして私の得た感じは、今日自由国家と共産国家との間の対立はまことに熾烈なものがある。ただちにこれが戦争になるとは考えませんが、戦争にならない程度で共産国の浸潤政策といいますかインフィルトレーションといいますか、と、かくこの共産国の自由国家に対する冷戦あるいはインフィルトレーション等はかなり強烈なものがある。その矢面に立っているのがドイツと日本である。ヨーロッパにおいてはドイツ、アジアにおいては日本、これが共産国の目標になっている。そのためにドイツに対しては、たとえばドイツの統一を共産国がしきりに叫んだ、そのために再軍備を許さずということも、これは一種の平和攻勢でありまししょう。日本に対しては中共その他から、国交は正常な関係に入ろうではないか、けっこうな話である。また日本に対して多くの注文を発する、これまたけっこうな話でありますが、これを表面から受取るわけにはいかないのであります。しかし表面から受取っておると思われる国民が相当あるように思うので、これは寒心にたえないのであります。たとえばドイツについて言えば、ドイツ国における共産国の平和攻勢なるものはどうかと聞けば、日々東ドイツからして西ドイツに数千の人間が入って来る。東ドイツにおいては、共産主義国はいかなる政治をなしておるか、東ドイツの国民はいかに苦しんでいるか、この数千の避難民が日々入って来て、そうして西ドイツの国民に実況を話をするものでありますから、西ドイツ国民の間には、いわゆる共産党の平和攻勢は憂えるに足らない、懸念するに足らないと考えておるのが当局者の考えである、これは率直に開いておるのであります。また限にベルリンに行って見れば——私は行かないけれども、行った人の話を聞けば、いわゆるベルリンの半分はやはり共産主義国の勢力のもとにある。半分は死んだ町である。夜になれば人つ子一人通らない。巡査だけが町々を巡回しておるくらいで、人影を見ないという程度であるそうであります。これをもってみても、いかにドイツ国民が共産主義国の政治、あるいはそのもとにある国民が不幸であるかということを、日々見聞いたしておるので、西ドイツにおいては共産主義に対する——共産主義の平和攻勢に対する憂いはごうもないと当局者が言っておるのは、まさにそうであろうと思います。しかしながら日本は、幸か不幸か直接に共産国の攻勢を、ラジオ以外に見ておらない、あるいは、共産主義国からして呼ばれて、そうしてその国賓といいますが、賓客、その国のお客さんとして優遇を受けた、あるいはいろいろ見せられた、こういうことを言われた、こういうことを言われたというその言葉を、そのまま日本に来て報告をする、話をする。そのために国民は相当誤られているのではないかということを私は痛感するのであります。かくのごとくしてはたして——かくのごとくしてよく日本を共産主義の平和攻勢から守り得るかということを、私は非常に疑うものであります。日本の今日——日本に対する今日の私のまわった国の気分から申する、旧敵国という感情は一掃されてしまって、日本との間に親善関係を打立て、ともにともに共産党の平和攻勢あるいは世界の平和に協力してもらいたいという気分があるから、そのためにわれわれも意外な歓迎を受けたということを私は感ずるのであります。日本国民としてこの現在の国際情勢については十分注意を払い、また考えるところがなければならぬと思います。今日——日本はこの狭い国に八千余万の国民を押し込められ、そうして従来の領土は半ば失って、資源等、あるいは食糧資源等は非常にきゅうくつになった今日から言えば、外国関係あるいは外国貿易等によって日本の将来を開拓いたして行かなければならぬときに、世界の潮流をもし国民が見誤るようなことがあれば、これは日本の将来にとってゆゆしいことになると思います。不幸にして今、日本の国民あるいは社会党の諸君の一部は、この潮流をはたしてよく見ておるかどうか……。   〔発言する者多し〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 静粛に願います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私ははなはだ心細く考えるのであります。またその他こまかい問題については行く先々においてステートメントを出しておりますから、大体これによってご承知を願いたいと思います。私の今申した通り、主としての考え方は親善使節であります。日本に対する誤解を解く、または日本との間の国交の回復、そのためには結局日本が中共と貿易——親善関係において日本の将来を開拓いたして行かなければならぬのでありますから、その基礎をつくった、基盤といたしたのであります。仕合せにして私の了解いたすところでは、各国政府はごく虚心担懐に私の言うことを受け入れてくれたように考えます。その効果は今後に待つよりほかしかたがないと思います。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 総理大臣から各国ごとのお話を伺いたいと存じたのでありますがきわめて簡単にお答えをいただきまして、あまり御発表にならぬようでありますから、これ以上お聞き申し上げようとは申し上げませんが、ただ、ただいまお答えにありました共産勢力の平和攻勢、共産勢力の浸潤政策につきましては、私どもも総理とその憂いをひとしゅうするものでございます。近時ソ連及び中共への平和攻勢がすこぶる活発化して参っております。ことに中ソ連共同宣言以来、わが国に対する攻勢は急激に強化せられつつあるようであります。ややもすれば、国際共産勢力の意図するところは、結局のところは世界の共産化であり、その目的達成のために、あるいは戦争の手段に訴え、あるいはいいわゆる平和的好餌をもっていざない、いわゆるあの手この手をもってやって来る。従って共産勢力が世界革命の野望を達成するまでは、真の意味における世界平和は期待することができぬという事柄につきまして、正しい認識を欠きまするがために、このいわゆる平和攻勢に踊らされる人々が少くない、これは総理のおっしゃる通りであろうと思うのであります。しかもまた、国内において意識的にこれに同調し協力する向も少くない。まことに日本の将来のために旋律を禁じ得ないものがあることは、総理とまったく所感を同じゅうするものであります。総理に対する質問はこの程度で打切りたいと思います。  このような状態にもかかわらず、中国及びソ連国との間における平和的な交易のことにつきましては、できるだけ拡大し伸張する必要があると思うのであります。すでに世上これを要望する声がすこぶる高いのです。また政府におかれましても、従来種々この問題につきましては考究せられて参っておることと存じまするが、関係者の向うに行く場合でありますとか、あるいは中共からの渡来というような事柄について、弾力性のある措置が必要ではないか、かようにも考えられまするが、この際外務大臣のこの問題に関する御所見を伺いたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 お話のように、共産圏との交通につきましては、弾力性のある措置をとるべきものと考えております。通商につきましては、かりに多くは期待し得ないにしても、自由諸国との連繋を乱さない範囲においてまた各国と協調いたしまして、その範囲においての通商の拡大はやるべきものと考えております。御承知のように、累次中共向け輸出禁輸の品目の撤廃を行いつつあります。また中共に向つての議員団の渡航であるとか、その他の団体の渡航、あるいは最近の李徳全女史の来日等につきましても、弾力性のある措置をとったつもりでおります。ただ相手方が経済なら経済、文化なら文化という面に限らず、中共共産主義の主義宣伝等が、ややもすれば経済の中に入り、文化の中に入って来る心配がありますので、この点についてはあくまでも強い考えでこれを防止しなければならぬ。ただわが国に利益の生ずるような場合は、これは弾力性を持って考えるようにいたしたい、こう思っております。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 ソ連及び中共の平和攻勢のことにつきましてお尋ねをいたしましたので、便宜この場合——わが国における共産主義者の地下工作が、いよいよ巧妙活発となりつつあると思われますので、私はこれに関するお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。共産主義革命の成就の条件はいろいろあろうと思います。決して一つや二つの条件ではでき上らないと思うのでありますが、少くとも現在わが国におきましては、共産党員ないしこれに同調し協力する者の数は、数といたしましては、革命を達成いたします上においてすでに十分以上であろうかと考える。しかしこれに対処する方策は、警察の取締り等だけで片づくものでないことはもちろんであります。国民生派の安定が第一の要件であることは申すまでもございませんが、私はこの際小原国務大臣に、わが国の共産運動の実情並びにこれに対する対策につきまして、この席上おさしつかえない範囲におきまして、御説明を願いたいと思うのであります。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 灘尾委員の御質問にお答えいたします。最近のわが国における日本共産党の動向をどう見るか、及びこれが対策をどうするかというお尋ねでありますが、これを詳細に申し上げると相当長い時間を要するのでありますから、概要だけを申し上げてみたいと思います。  最近日本共産党は、一昨年に見られましたような騒乱事件こそ引起さないのでありますが、決して暴力革命の計画を捨てたものではないのであります。皇居前のメーデー騒擾事件などは、その時期を誤まったために国民に恐怖心を起さして強い非難を浴びたことをみずから認め、現段階におきましては、手段としてはできるだけ穏健な手段をとっておるのでありますが、基本的な暴力革命の方針を変更したというものではないと思われるのであります。昨年末以来高度な政治的スローガンにかえまして、国民の日常の不平不満や要求をとらえて、これを巧みに統一闘争に組織するという行き方をとっておるのでありまして、現に各地に起っております労働争議等の機会を利用するのはもちろん、凶作水害等に悩む農民の動きあるいは原水爆を恐れる国民の気持などを巧みに利用いたしまして国民生活の一切の苦悩すなわちデフレも、不景気も、失業も、米価の低いのも風水害も、これらはすべてアメリカと政府のいわゆるMSA再軍備によるものである、こういう意味をもって扇動をいたしてこれに対する実力紙抗を国民の中から盛り上らせるように努めておるのであります。このH常闘争を利用いたしまして党の勢力を次第に伸ばしておることは、注意を要するのであります。たとえば今年になりましてからの地方自治団体の選挙等におきましても、共産党の得票率を見ますると、大まかな言い方ではありまするが、前回の衆議院議員の総選挙のときよりも、およそ三倍くらいの増加を見せておるのであります。ことに去る十月、中ソ両国の共同宣言が発表されまして、従来とは異なった友好的な調子で、特にわが国の関係について言及いたしまして、国交の修復、平和共存を呼びかけ、そのために具体的な戦犯の釈放、邦人の帰国、貿易問題などについて話し合おうというような態度を示したのであります。日本共産党は現在中ソ宣言にこたえる平和運動の発展ということをきわめて重要視し、なかんずく当面中ソ両国の平和五原則を守るような、いわゆる平和共存政府をつくるということに全党をあげて取組んでおるのであります。このような政府をつくることによりまして、世界革命の拠点を増大することが日本の革命を有利にし、容易にすることとなる道であり、中ソ陣営につく政府をつくること自体が、また国民を革命の道に進めることになるというのであります。従いまして日本共産党にとって、戦争か平和か、隷属か独立かという立場は、平和と独立はすなわち革命の道ということでありまして、言われるような第三勢力的立場は絶対にこれを排撃しておるのであります。むしろ日本共産党は多数の労働者、農民、市民大衆があるため、これと共闘して行くべきその行動の中で社会党の政策をたたき、結局国民みずから暴力で革命を行う以外に方法がないということを説得して、共産党の勢力に引込もうとしておるものと思われるのであります。日本共産党にとりましては、平和運動といっても、これは決して原水爆の被害を受けた日本国民が平和を念願しておるような趣旨のものではなく、革命目的そのものであることを十分念願に置く必要があると存じます。  そこで、日本共産党のこれらの行動に対しましてどういう対策をとるべきかという問題であります。このような共産党の国民に対する思い込み戦術は、今後も次第に効果を上げるのではないかと思われるのでありますが、しかもそれがある程度に達すると、当然大きな治安問題になりますので、国民各位がこれら表面の言動の裏にある暴力革命の企図を理解してくださることに努力するとともに、共産党の地下組織と、その活動の実態については常にこれをとらえ、不法定案発生に際しては断固としてこれを検挙し、暴力革命の企図を未然に防止したいという考えで努力いたしておるわけであります。これをもってお答えといたします。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 共産勢力の浸潤政策ないしは国内共産勢力の巧妙きわまる活動につきましては、ただいまるるお述べになりましたが、今後ともに十分なる御注意をもって対処していただきたいのであります。と同時に、何と申しましても国の政治がよろしくなりませんと、この問題はいつまでたっても撲滅するわけには参らない。これは朝にあると野にあるとを問わず、お互いに銘記すべきことたと考えるのであります。  次は、最初の出が国際関係でありましたので、引続き外務大臣にお尋ねしてみたいと思います。ビルマとの賠償交渉は、過般外務大臣みずからおいでになりまして、これが妥結調印を見た次第でありまして、御苦心まことに多といたすものであります。その内容につきましても、われわれはおおむね了承し得るところでありますが、これにおきましてはいずれ国会において審議の機会もありますので、本日はこれに省略いたしますが、この際懸案となっておりますところのフィリピンあるいはインドネシア等との賠償交渉は今日いかに相なっておるでごさいましよう。総理の御演説によりますれば、先般のビルマとの協定が、米国官民の間に非常な好感をもって迎えられ、またわが国がこの協定を先例として、今後フィリピン、インドネシア各国との賠償問題を逐次解決し、東南アジア諸邦との経済協力、親善強化を推進し、一面もって共産勢力に対して間隙なからしめたいというわが政策が、米国においてすこぶる歓迎されておる、かように仰せられたのでありますが、この際フィリピン、インドネシア等との賠償交渉の今日までの経過並びに今後の見通し等について、御説明いただきたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 フィリピンとの間の交渉につきましては、御説明までもなく、大野・ガルシア協定が先方の国内事情によりまして実行できなくなりました。大野・ガルシア協定は日本にとってはずいぶんつらいものでありましたが、しかしわれわれはフィリピンとの友好関係樹立のために忍んでこれを受諾しようといたしたのでありますが、不幸にして先方の都合によってこれはできなくなりました。しかしながらそのままにしておくのもはなはだ残念でありますので、先方といろいろ話合いを続けました結果、やむを得ず大野・ガルシア協定をやめて、新しいスタートにおいて、新しい考えからさらに交渉をやり直そうという話合いになりまして、これに対してただいま準備中でございます。まもなく何らかの具体的な措置ができることと考えております。もっともだだそれだけで交渉がまとまるという意味ではありませんけれども、新しいスタートから新しい角度でこれを検討してみて、できるだけ早くまとめたい、こう考えております。  インドネシアにつきましては倭島公使を先般特派いたしまして、先方と話を続けておりますが、インドネシア政府におきましては選挙を来年に控えておる関係もありましようか、なかなか決断が困難なようであります。それとインドネシアに対する貿易上の貸越し一億数千万ドルありますのがからんでおりまして、まだ解決の曙光というところまでは参っておりませんけれども、できるだけ早く何とかいたしたいという考えから、引続き倭島公使に各般の観点から検討さして交渉さしております。またその他にも仏印三国との話合いがあるのでありますが、これはごく軽微なものではありまするけれども、やはりこれも話合いを続けております。この方はあるいはそのうちに具体的な成果が出るかと考えます。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 次に伺いたいと存じますのは韓国との国交調整の問題であります。これが今日なお解決を見ませんことは、自由主義諸国間の協力の上から申しましても、また共産勢力に対処する上から申しましても、またわれわれ日韓両国民の生活の上から申しましても、まことに不幸なことと申さなければならないのであります。韓国側にも種々事情がありましょうが、わが国といたしましてもいろいろな面おいて不都合が少くないのでありまして、ことに漁業関係等におきましては非常に困っておる、また国内治安の上からも韓国人のために非常に迷惑しておることは明らかな事実であります。われわれは一日もすみやかにこの合理的解決を得たいと熱心に要望するものでありますが、今日いかなる段階になっておりましようか、これにつきましても簡単に御説明をお願いいたします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これにつきましては私もまったく同感でありまして、早く何とか目鼻をつけなければいかぬと思っております。両国間の話合いによって解決したいという希望はなかなか実現できませんので、中途におきまして米国を仲介にしてやりたいと考えまして、この方も種々試みておりますが、まだはっきり申し上げるようなところまで行っておりません。先方は第一には、この前の日韓会談の際に発言しました久保田代表の一言をとらえて、非常な反対を唱えておりましたので、われわれは久保田代表の発言は、これはもう取消す用意ありということを申しておりましたが、すると今度は日本が韓国の財産の八五%を要求しておるというような非常にとほうもないようなことを申しておるのでありまして、この点でも私はそんな意思は全然ないということは明らかにいたしておるのでありますが、ずっと進んである程度まで解決ができる見込みがついたと思いますと、どうも何らかの壁にぶつかって、またそれが逆もどりをするというような状況であってはなはだ残念でありますけれども、おっしゃるように漁業問題もあり、国内の韓国人関係の問題もありますので、でき得るだけ忍んで解決に導きたい、こう考えて引続き努力をいたしております。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 フィリピン、インドネシアとの賠償の問題あるいは韓国の問題等、いろいろご苦心の多いことと思うのでありますが、どうぞ国民の熱望するところでありますので、常に努力を続けてすみやかにその成果が得られますようにお願いし上げたいと思うのであります。  次に私は大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。一作品の本会議における御演説やら、また本日のこの委員会における御説明によりましても明らかなごとく、政府は二十九年度予算の編成にあたりまして国際収支の均衡を回復し、経済自立の基盤を確立するために通貨価値の安定をはかり、経済の健全化を推進することをもって、財政経済政策の中核としておられるわけであります。これに伴い昨秋以来財政規模の圧縮、金融の引締めを中心とする一連の経済健全化政策をとって来られたのでありますが、本年の二月以降漸次その効果が現われて参りまして、物価の下落、国際収支の好転を見るに至りまして、今日までおおむね所期の成果をあげ、わが国経済は全体としてかなり改善をせられて来ておるようでありますが、この点はお互いとしてまことに喜ばしいことと申さなければなりません。しかしながら大蔵大臣も申されましたごとく、この成果を持続いたしまして、さらに特需の減少に対応する正常輸出の伸張、外貨収支の実質的改善をはかり、進んでわが国経済を拡大均衡に導きますためには、さらに幾多の努力と国民の忍耐とを必要とすると考えるのであります。  これに関連いたしまして二、三の点について御所見を伺いたいと思うのであります。まず二十九年度当初予算並びに今回の補正予算を通じまして、ともかく大蔵大臣は一兆円のわく内に予算を圧縮しておられるのであります。政府として当初の基本線を維持しておられるわけでありますが、これにはかなり苦しい点があろうかと思います。われわれといたしましても財界の問題を考えて参りましても、また一般国民生活の状況から考えてみましても不満足な点も少くないのであります。しかし経済自立達成の大目的のために、いわゆる忍びがたきを忍ぶという心持におきまして、また国民諸君にも特にごしんぼう願うという意味を込めまして、まずまずこの程度でやむを得ないかというふうにも存ずるのでありますが、それにつきまして本年度はもはやこれ以上予算の補正をなさらないのかなさるのか、この問題についてひとつ伺ってみたい。  それからまた来年度、すなわち昭和三十年度のことを考えますと、地方交付税の交付金でありますとか、義務教育費の国事負担金でありますとか、生活保護費でありますとか、あるいは賠償関係の経費等当然増加すべきものがあろうというふうに考えるのであります。一兆円のわくを三十年度において堅持するということは、ただいまの状態から申しますと、かなりの困難があるのではないかと想像せられます。大蔵大臣のこれに対する御所見は、一体どうでありましようか、またこれに対しいかなる方針をもって今後臨まれるお見込みでございましょうか、その辺のことについてまず伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 お答え申し上げます。政府の施策に対する国民各位の御協力によりまして、漸次国際収支が好転しつつあることはまことに喜ばしいことと存じております。ただ、ただいまの、さらに補正予算を出すようなことはないかという第一のお尋ねに対しましては、私ども必要なものは全部盛つた所存でございますから、さような考えは持っておりません。なお、三十年度の予算もやはりいわゆる一兆円予算の枠を堅持するか、こういうお尋ねに対しましては、私ども先ほどお話がありましたように、地方交付税交付金とか、業務教育の教員の負担金とか、あるいは賠償その他の問題も絡みまして対外支払いを要するものとか、いろいろ増加する部分も予想されますけれども、しかし歳入の状況から勘案いたしまして、あくまでこの方針を堅持する必要があると存じますので、私どもあくまでこの線を堅持し、そうして経費は重点的、効率的にこれを拝聞することにいたしたい、かように考えておる次第でございます。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 次に最近の貿易事情、あるいは供米代金の支払い状況、またこの補正予算というるよなものをあわせ考えまして、本年度間の対民間収支はどういうふうになるお見込みでありましょうか。私は、再度の支払い超過によりまして、再び民間購買力を増大し、物価の高騰を招くおそれがありはしないのかと思うのでありますが、この点いかがでありましょうか。さらにまたそのおそれありといたしまするならば、これに対してあるいは貯蓄の増強というようなことを考えることが必要となって来るのではないかと考えるのであります。終戦用の時代におきましては、今日のごとき経済事情のもとにおきましては、必ず政府は国民的な大きな運動を巻き起されたと思うのであります。私は、今日の場合といたしましては、かようなことについても考える必要があるのではないか。近ごろ政府が国民運動というふうなことを提唱することにやや遠慮がちなようにも見受けられるのであります。さような遠慮は御無用に願いまして、国民とともにこの問題をやって行くという態度が望ましいのではないかと思うのでありますが、いかがなものでありましょうか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 仰せのごとくに、国民貯蓄運動その他はきわめて肝要であり、現に私自身もすでに三回ほどそれがために演説等もいたしておる次第でございまして、相当貯蓄運動を熱心にやっておるのでございますが、なお今後ともこの点については十分な運動を国民的に展開いたしたいと考えております。  そこで大体、それでは一体どういうことになっておるかということにつきまして、少し数字的に申し上げておこうかと存ずるのであります。一般会計におきましては、予算に基く収支の見込みとしては、前々年度剰余金の使用四百七億円のみが散布超過の要因となっておったのでありますが、予算の執行に伴いまして次のような散布超過の要因が見込まれるに至っているのであります。すなわち第一は、出納整理期間中に行われる支出で、昭和二十八年度の分は八百四十一億円であったのに対しまして、本年度分は補正予算の編成もありまして、約五百億円と見られるのであります。差引三百四十億円が本年度中にわける散布超過要因と見られます。  第二は歳出繰越金でありますが、今の補正によりまして不用または節約見込額約三百億円を財源として使用しておる関係もございまして、本年度予算減額中繰越しになる金額は、前年度の一千二百八億円に比べますと、約三百億円程度下まわっておりまして、この三百億円程度の減少額がやはり散超の要因を見込まれるのであります。従いまして一般会計では年度間合計一千四十三億円の散布超過を示すものと見ております。  それから外為会計について申しますると、本年度に人ってから国際収支が著しく改善をされましたので、現段階では年度間約一億七千九百万ドルの外貨受取り勘定が予想されますので、これにおいて約百四十四億円の散布超過となるものと見込れるのであります。その他の特別会計につきましても、当初予算による食糧証券増発見込み等で三百三十一億円程度の散布超過を生ずるものと考えられます。  なおそのほか輸出振興によりまする輸出入銀行への貸付進渉を主な原因とする約二百億円程度の散超要因があります反面、指定預金の年度引揚げ予定等の揚超の要因もありますので、以上を総合いたしますると、本年度の財政資金対民間収支は約一千六百億円程度の散布超過になる見込みであります。この散超の見込みも、要するに前年度予算の影響と、国際収支の改善による為替特別会計の散超が原因となっておるのでありまして、今回の補正予算に伴う直接の散超見込みはほとんど考えられません。また供米状況に関連する散超も、当初見込額以上には出ない見込みでございます。かれこれ財政と金融を常に一体的に考えて、よくこの間の調整をとって処理いたしたいと考えておる次第でございます。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 今回の補正予算におきましては、財源として税収入の面におきましては、法人税だけの増収を見込んでおられるのでありますが、そのほかの税収についてはどういうお見込みでございましょうか。ごく簡単にお答え願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 きわめて簡単に申せば、大体同額ぐらいと見込んでおるのであります。もし詳細を要すれば、一応の見込みを詳細に申し上げます。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 なおこれと関連いたしまして、これはあるいは経済審議長長官に伴うことかもしれませんが、二十八年度の国民所得につきましては、先般新聞市場で五兆九千余億円という数時を拝見いたしたのであります。本年度における国民所得につきましてのお見込みを伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 二十九年度の国民所得でありますが、ご承知のように当初五兆九千八百億円と見込んで参ったのでありますが、結論といたしまして大差なく、大体ある程度の増加はあろうかと思いますけれども、六兆円を若干上まわる程度の実績が見通されるのではなかろうか、かように考えております。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 次に資金運用部の資金、簡易保険の資金の現状と今後の見通しを伺いたいと思うのであります。資金の重要は、災害関係においてまたさらに増加したのでありますが、運用計画の変更の御意見がありましょうか、どうでしょうか。もしありとすれば、その内容をご説明願いたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 資金運用部の資金につきましては、状況によって多少かわった点もございますが、しかし大体において簡易保険資金の方は、これは別にかえるほどの必要がないと存じておりますが、資金運用部資金のうちで、郵便貯金の方が、多少増加いたしておきます。従ってその増加率を見ますると相当高調でございまするので、あるいは十月末まで五百八十八億円にもどろうとしておりますから、これらについて相当期待される向きもありますが、一方失業保険とかその他源資の減少も見込まれますので、全体としては当初計画くらいのものではないか、かように考えております。  かわった分としましては、例の輸出入銀行の方へ三十億円、あるいは鉱害復旧事業の方へ一億八千六百万円増加した、こういうような点がかわった以外にはあまりかわった点はございません。但し補正予算の提出につきまして、国鉄に対しまして災害復旧、新線建設等に充てる等のために、三十二億円を追加運用することに決しました。  また地方債に対しましても、災害復旧その他所要の資金として三千億円追加いたしたいところでございますが、これは今後の資金運用部及び公庫等に対する運用計画の削減とも関連いたしますので、今後の郵便貯金と原資の状況とをにらみ合せて、この運用計画の改正をはかりたい、かように考えておる次第であります。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 この年末におきましては、中小企業につきましての困難性が一層深刻化するものと考えられるのであります。中小企業の問題はわれわれの最も心配する問題の一つであります。政府におきましても十分遠慮せられておるものと思いますが、その年末金融については政府はどういうふうな、お見通しを持っていらっしゃいますか、またいかなる対策をお考えになっていらっしゃいますか、簡単にお答え願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 中小企業に対する年末金融につきましては、昨日も本会議で申し述べたのでありますが、私どもといたしましては期限を、十一月、十二月等に到来するいわゆる指定預金をそれぞれの三箇月延期いたしまするとか、あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫、そういったものに対する第四・四半期予定分を資金繰上げ使用せしめるとか、あるいは商工中央金庫に対しましては、これは日本銀行から若干資金の振りかえをいたしまするとか、かような措置をとりまするほか、何と申しましても一番大きな関係は、普通銀行がどうやってくれるかということにかかるのでございますので、普通銀行に対しまして一店別に話をいたしまして、普通銀行の銀行協会からそれぞれ各銀行に対して、特に中小企業金融に一段と努めるようにという相当綿密な通牒をいたしておりまするので、その点かなり効果があろうかと存じております。  なおいろいろよく下請け業者等に対する支払いの延滞等も言われますので、かようなことについても先般それぞれ金融関係業者に集まっていただきまして協力方を頼んでおります。このようなことで、年末金融はさまで心配なく私ども円滑に行けるものと考えておる次第であります。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 通産大臣にお伺いいたしたいのであります。いろいろお伺いしたいこともございますが、時間の関係がありますので……。当面の石灰鉱業の不況の問題はまことに心配がありますので、これに対する対策につきまして御質問をいたしたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 石灰の対策につきましては、政府といたしましても非常に頭を悩ましている点でありますが、緊急対策と恒久対策とにわけまして、先般来いろいろ対策を講じております。それからその他の緊急対策につきましては、まず第一が過剰貯炭の対策でございまして、十月末に全国の貯炭が四百二十万トンというような相当異状な額になっておりまするので、とりあえず大口需要者及び官庁に対しまして、極力繰上げ講入をするように要請いたしまして、すでに国鉄については十万トン、防衛庁においては、二万七千トンというような程度の繰上げ購入を決定実施いたしておるのでありますが、さらに電力部面等に対しましてもこの際相当量の追加購入を要請いたしまして、関係金融当局その他との間にも順調に話が進んでおります。なお中小炭鉱向けの緊急なる金融措置といたしましても、たとえば中小企業金融公庫の融資の限度を、再建整備資金について一つの企業当り最高二千万円まで引上げるよう、そういうような緊急措置をとりましたので、九州地区その他におきまして相当額の金融の貸出しの実績をあげているような次第であります。  第二は生産の適性な制限をあわせ行う必要があると考えまして、最近に至りまして業界との折合いも意見の一致を見まして、十二月以降ある程度の制限の実現の見通しを得るに至りました。  第三には、これと関連いたしまして失業対策でございますが、とりあえず十月早々予備費の中から三億余円、予算の節約分から一億円弱、合計約四億円を緊急支出いたしまして、鉱害復旧事業の繰上げ実施を行うことといたしましたが、これによりましては約一万人の炭鉱失業者の吸収をし得る見込みであります。さらに御審議を願っておりまする補正予算案に計上されておりまする失業対策事業、公共事業並びに緊急就労対策事業によりまして、炭坑失業者を中心といたしまして約二万七千人の失業者が救済される見込みでございます。  第四には石炭の需要の管理、重油の消費規制等でございますが、これらにつきましてはかねがねの方針によりまして一層重油の消費規制を強化いたしまするとともに、総合的の燃料対策において遺憾なきを期したような次第であります。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 輸出の振興その他につきましていろいろ伺いたい点もございますが、時間の関係もあるようでありますから省略いたしまして、次にこの補正予算の中の一つの項目でありますところの地方財政の出題につきましてお伺いいたしたいと思うのであります。  自治庁長官おいでにならないようで、ありますから、大蔵大臣からお答えを願いたいと思います。地方財政の窮乏ということが今日大きな問題となっておりますことは、すでに御承知の通りごございます。私は地方財政はこのままにしておきますと、これが崩壊してしまう、まことに恐るべき段階になつているのではないかと思う一人であります。本年度の予算におきまして本年度の地方財政といたしまして最も心配せられておりましたところの警察予算の不足に加えまして大規模な災害が各地に続発いたしましたので、財政的な困難というものは一層増大して参ったように心配されておったのであります。この補正予算によりまして警察関係の措置がとられましたので、地方財政上の困難は大分緩和せられることは認めるのであります。しかしながら過去において生じておりまするところの赤字の問題。これは数時は正確かどうか存じませんけれども、二十八年度末の決済によりますれば、実質的な赤字は地方団体としては四百五十億円になんなんとする数字を示していると、かようにも言われているのであります。また本年度におきましても終業関係の補填その他若干の今度財源措置をいただきましたので、非常に緩和せられたと思いますけれども、まだやかましく申しますと財源の措置の問題が残っているのじゃないかというふうにも考えられますし、さらに御年度のことを考えて参りますと、今日のような状況を続けておりますと、結局地方は人件費と公債の元利償還金で金がなくなってしまうというようなことにもなる状態にもなろうかと思うのでありまして、これが救済と申しまするか、あるいは健全化をはかりまするために適切な対策を講ずることが、非常な急務であると思います。この問題につきましては、自治庁長官がおられましたら長官にも伺いたいと思うのでありますが、大蔵大臣もどうぞ、地方財政は今日国の予算が一兆円でありますれば、地方の財政規模も大体一兆円になっておるという非常に大きな問題でありすまるし、しかもそれが崩壊に瀕しておるというような状態でございますので、過去の赤字の処理の問題、あるいは今後赤字を起さないようにするために、適切な措置をとるべく自治庁とも十分御協力をいただきたい。それに対して御所見を伺いたいと思うのでございます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ごもっともなお尋ねでございまして、私どもも地方財政の膨張には相当苦心しておるのでございます。地上財政が膨張すること及びその再建計画等につきましては、中央政府の方でもやはり反省すべき点が相当あると私は思いまするが、しかし同時にまた赤字財政の原因を尋ねてみますると、これは灘尾さんもご承知のごとくに、地方の側もどうかとすると、中央で何とかやってくれるだろうといったような考え方もあったのではないかと思われる向きも相当あるのでございまして、それが最近におきまして、地方がそれぞれ時分のことは自分でやらなければいかぬという気分に大分なって参りまして、きわめてまじめに自主的再建の機運が高まってきたことは、皆さんの御協力のたまものだと考えております。そこで私どもとしては次の国会では、今までの過去の赤字に対するようなものについての処置として、地方財政再建促進法、こういうものを政府提案といたしたいという所存で、目下検討をいたしておるのであります。  なお本年度の資金繰りにつきましては、昨日提出いたしました補正予算案で御承知のごとく、相当政府としてなすべきことをいたしたいと思うのでございまするが、いずれにいたしましても、地方団体が自主的に財政再建計画を立てて、誠実にそれを履行してくれることが何よりの前提と存ぜられますので、国としてなすべきことは十分なさなければなりませんが、地方団体の再建こそ、一番地方財政の建直しを早くするゆえんである。かように考えておる次第でございます。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 地方財政の今日の窮乏の原因がどこにあるかその責任がどこにあるかということをせんさくして戻りますと、これはいろいろな原因があろうかと思います。大蔵大臣仰せのごとく、過去における地方財政の運営におきましてあるいは放漫に失したというような点もなきにしもあらず、これはもうその通りであろうと思うのでありますが、同時にまた国の方の側におきましても、措置すべき財源措置も十分してやらない、そういうふうな関係、あるいはまたいろいろな仕事を押しつけてしまうというふうなことで、地方の赤字が累積したということもこれは明らかな事実であろうと思います。これは中央、地方ともにお互いに協力しこの建直しをはかって参らなければなりません。従ってただいま仰せになりましたように、過去の赤字を整理いたしましていわゆる再建整備計画を立てる、これにつきましては政府におかれましても、適当な立法措置を講ぜられますとか、あるいは地方自治法その他を改正いたしまして、地方のいろいろな財政支出をなるべく切り詰めて行くというような措置を講ぜられる必要もございましょうし、いろいろくふうをしていただく必要があろうかと思います。これにつきましてはなるべくすみやかにひとつ成案を得られまして、国会に提案していただくようにお願い申し上げたいと思うのであります。  なお今年度の地方財政の困窮につきましては、補正予算によりましてただいまお話のごとくにある程度緩和せられましたが、しかし地方がいろいろな意味におきまして、資金を必要としておることもよくおわかりだろうと思うのであります。ことにこの年末の地方財政がもし逼迫しておるようなところがありましたら、ぜひ適切な措置をとっていただきたいと思うのであります。これはお願いいたしておきまして、次に移りたいと思うのであります。  災害対策の関係につきましては、わが党の同僚の委員から別に質問をせられる予定になっておりますので、大体これを省略いたしたいと思うのでありますが、私はただ一点、地方財政の困難なことは前申した通りでありますので、今回の補正予算の執行につきましても、また災害対策を実行いたしまする上において必要な地方起債の手続等につきましても、なるべく手遅れにならぬように、ひとつ早く手続を運ぶようにおとりはからい願いたいと思うのであります。これは別に御質問ではありません。要望にとどめておきたいと思うのでありますが、このたびの災害の中で特異なものといたしまして、私は瀬戸内海方面の高潮による道路、港湾あるいは海岸、堤防、耕地、塩田等の被害がすこぶる多かったことを認めるのであります。これにつきましては、これらの地方が去る昭和二十一年のいわゆる南海地震以来、地盤沈下の現象が顕著となり、そのために高潮の被害が多くなったものと考えられておることは御承知の通りであります。政府においても過去数年間いわゆる地盤賃か対策ということで、年々相当な予算を計上しておられるわけでありますが、その結果今回の災害におきましてもこれが相当な効果をあげておるように考えられるのであります。私ははたしてこの地盤が沈下しておるのか、あるいはまた水位が高くなったのか、その正確なことは承知いたしませんが、とにかくきわめてやっかいであり、困難な問題であります。しかもこれらの瀬戸内海ないし島嶼部の地方の住民にとりましては、まことに不安きわまりない自然現象が存在することは、これは間違いないことであります。このたびの災害にいたしましても、単なる災害復旧ではその効果を期待しがたいのであります。のみならず、残された部分、つきましても今後いつかような目にあうかわからないというふうな不安にさらされておるわけであります。この国土狭小な日本におきましても、特に土地の狭いところに大勢の人口を持っております瀬戸内海方面の地方におきまして、まさに生活の根拠が脅かされておる、こういうふうな問題でありますので、これに対しましては政府におかれましても、十分に科学的に周到な御調査を願い、この被害防止に関する根本的な結論を得ていただきたい。すなわち恒久的対策樹立の必要が非常に緊切であると考えるのでありますが、これにつきましてどういうようなお考えを持っておるか伺いたいと思います。

小澤佐重喜自由党建設大臣

○小澤国務大臣 灘尾さんにお答えいたしますが、お話のように南海地震以来、瀬戸内海付近の地盤が非常に沈下いたしまして、この結果年々災害ごとに高潮が起りまして大きな被害をこうむっておったのであります。従いまして、私の方といたしましては昭和二十五、六年からこの根本的な調査をいたしまして、結局事業量で大体、九十億程度の金で、この地盤沈下対策をやって参ったのであります。しかしそのやられた額というものは、本年度の予算を入れましても十五億にすぎませんから、さらに明年度で少くとも三〇%程度はやりたいと考えております。問題は計画は立っておりますが、予算の裏づけがないので遅れておるような次第でありまして、災害復旧に対しましてはその点を十分考慮して善処したいと考えております。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 治山治水の問題ということは、災害のあるごとに言われておる問題であります。昨年の災害によりまして政府におかれましても治山治水に関する対策協議会というものをお設けになって、十分御調査の上で、たしか十箇年計画をお立てになったと記憶いたしておるのであります。その十箇年計画によります経費から見ますと、二十九年度に盛られました経理というものは、ほんとうに言うに足らぬものであります。財政の関係上やむを得ないといえばそれまででありますが、この問題をかような状態でいつまでも放置しておきますというと、日本はつぶれてしまうというような気持さえするのでありまして、これはかれこれご質問は申し上げませんが、農林大臣におかれましても、建設大臣におかれましても、ぜひこの治山治水対策の確立、ないしこれが実行ということにつきまして、格段の御努力をお願い申しあげておきたいと思うのであります。  次に緊縮政策の過程におきまして、まことに気の毒なことでありますけれども、いわゆる失業者が増加するということは、これは免れがたいことであります。かれこれ申し上げますと長くなりますので、簡単にお聞きいたすのでありますが、今日失業の状況はどういう傾向にありましょうか。なお今後増加する見込みでございますか。あるいはまたこの失業に対しまして、労働省といたしましては、どんな具体策をおとりになっていらっしゃいますか、簡単に御説明を願いたい。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 御存知のように労働力人口というものは、毎年八十万人前後ふえて来ておりまするが、最近になりまして七月ごろを推計してみますと、約百万人と称されております。この増大いたします人口が労働市場を圧迫しておりますが、今もお話のように、緊縮政策に伴いまして、非常に気の毒な方々が一方出ております。しかしこれは、日本経済を拡大均衡に持つて行きますために、どうしても通る必要のある過程でございますのでこの期におきまして、これらの方々に対しましては、できる限りの措置を講じたいと考えております。初回失業保険の受給者は七月に九万を数えておりましたのですが、現在ではこれが七万人程度に若干小康状態を得ておるのであります。これに対しまして失業保険金を給付いたしまするソースは、今回の補正予算におきましては国庫負担分——三分の一でございますが、二十八億二千二百万円、全体といたしまして八十四億六千七百万円を考えておりますので、これによりまして四十九万四千人、三〇%増しを予定いたしております。また一方失業対策費におきましては、八億五千万円を増加いたしました。これは第一・四半期におきまして十五万七千人、第二・四半期におきまして十六万三千人、第三・四半期におきまして十七万六千人でございまするが、第四・四半期におきましては、これによりまして十八万六千人の就労を考えておる次第でございます。その他緊急就労対策費として九億六千二百万円、これによりまして二万五千人を考えております。その他通産大臣からもお話がございましたような鉱害復旧事業を繰上げて行いますとか、あるいは公共事業との組合せを考えて行うために、失業対策協議会を設置いたしまして、場所的にあるいは時期的に、重点的に考慮を払い、この間に遺漏なきを期したいと思います。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 問題は若干違いますが、労働大臣にもう一つ伺いたいと思うのであります。  今日賃上げ闘争がかなり活発に行われておるようであります。ことに比較的有利な立場にある三公社、五現業というふうな方面の諸君が、活発な闘争を展開しておられるのであります。実力行使という名のもとに、私どもから考えますと違法な行動ではないかと思われるような行動もとっておられるようであります。勤労者の諸君の生活上の御苦労は十分お察ししなければならぬのでありますが、国民全般に耐乏生活を、要請しなければならないときでありますので、できる限り功労者の諸君におかれましても協調をいただきたいと思います。これらの問題につきまして労働大臣の御所信を伺ってみたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 お答えいたします。官公労、公労協に関する問題につきましては、一方においては人事院がその給与の勧告を行い、一方においては調停委員会なり、あるいは仲裁委員会というものが、それぞれの独自の立場において、この給与を考えて行く建前になっております。本年のところは人事院も給与の改訂勧告をいたしませんし、また公労関係の調停委員会におきましても——現在調停委員会の段階でございますが、御承知のように卸売物価はこの一月から見てみると五%程度下っている。一方CPIはほとんど横ばいないし下降の傾向である。今年のところはいわゆるベース・アップというようなことはやめて、しかしいろいろな公企体の実態もあるから、他の問題については、団体交渉で平和的に処理してもらいたいという勧告を出されております。政府といたしましてもこの線は妥当なものと考えまして、問題を平和的に、話合いによって処理してもらいたいと考えておる次第でございます。一方今御指摘のような、いわゆる実力行使の名のもとに、事実上の争議行為が相当行われるのでありますが、この問題につきましては、現に公労法は御承知のように十七条におきまして争議行為を禁止いたしております。正常なる業務の運営に支障を来すごとき一切の行為を禁じておるのでありますから、公労法適用の職員も法律を守ることについて、どうか民主的な原則に従っていただきたい。ことに調停の段階が過ぎれば、また仲裁の段階があるわけでございますから、それぞれの機関に従って、あくまでも民主的な労働運動における大きな組合である実態にふさわしい動きをしてもらいたい。かように考えておる次第であります。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 最後に厚生大臣にお伺いしたいと思うのであります。いわゆるボーダー・ライン階層というものが、一体どのくらいあるかということにつきましては、各方面で研究せられておることと思いますし、厚生省におかれましてもその御研究があるのじゃないかと存じます。昨年でありましたか、厚生省の御調査によれば、約八百万人いうふうなことを言われておる向きもあります。最近は一体ボーダーライン階層は、どのくらいの数字にたっておるのでありましょうか、それをひとつお聞かせを願いたいと思います。

草葉隆圓自由党厚生大臣

○草葉国務大臣 私どもの見当からいたしますと、最近は大体百四十万世帯、約七百人程度と見込んでおります。

灘尾弘吉自由党

○灘尾委員 八百万人にいたしましても、七百万人にいたしましても、私は昨年の八万人より少いことはないのじゃなかろうかという気持がいたすのでありますが、少くなっておればけっこうであります。しかしこれらのボーダー・ライン階層の問題というものは、きわめて重大であると思うのです。あるいは失業対策において、労働省がいろいろやっていらっしゃる。あるいはまた、厚生省で生活保護の他の措置を講じていらっしゃいますけれども、そのどれにも入らないと申しますか、そういうふうなものもあるように思います。またきわめて元気な人が生活保護を受けて、年とった人が失対で働いておるというふうな事実もあるように思うのであります。かような層における保護対策につきましては、どうぞ今後労働省ないし厚生省ともどもによく御検討をいただきまして最も適切合理的な保護策を立てていただきたい。これをお願いいたしまして私の質問を終りたいと存じます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 川崎秀二君。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 私は吉田総理大臣に予算委員会、本会議で質問するのはこれが最後になるものだと、大体予測いたしております。  顧みれば昭和二十四年以来十数回にわたって、吉田総理大臣の御教示を受けておりますことは、まことに感謝にたえざるところでありまして、この国会において非常に御育成をいただきましたことを感謝をいたすものであります。  まず総理大臣に質問をいたしたいことは、この春私が予算委員会の冒頭で質問いたした際には、ちょうど保全経済会事件が突発したころでございました。冒頭に質問いたしたことに対して総理大臣の御答弁は、疑獄事件の内容がわかったならば——全貌という言葉をお使いになりましたが、全貌が判明すれば政府としては責任をとり措置をする、こういうことであったわけであります。その後全貌がわからないうちに、造船疑獄の核心問題に触れるや、指揮権発動という重大なる事態が起り、かくてこれらはすべてうやむやのうちに瓦解したのであります。その後国会はきわめて不明朗なる運営状態に陥り、最後には、まことにわれわれような乱闘事件まで引起して、議会全体が多かれ少かれ国民の前にこうべをたれて自粛をしなければならぬことになったのは御承知の通りでありますが、私をして言わしめれば、その責任の大半は吉田内閣の無責任なる態度にあると思うのであります。(「その通り」拍手)しかるに、このことが起ったにもかかわらず、総理大臣は国民の非常な憤激をよそにして外遊をせられました。外遊をせられて、諸外国ではこれらの事情についていろいろな鋭い批判があったことを御承知であります。日本の政治、国会の運営状態、政党政治のあり方について、海外の諸国が相当な批判をしておる。私は吉田総理大臣に伺いたい第一点は、各国の復興状況がどうであろうとかなかろうとかいうことでなくして、諸外国から受けられた印象のうち、日本の政治運営に対して外国はどういう批判と印象を持っておるか、まず総理大臣に率直にその感想を伺いたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。日本の政治状態については、諸外国においては何らの疑念を持っておらないと思います。日本の民主政治はますます発達をしており、現在の状態においては何らその前途について憂えるところなしと考ておるのが列国の考え方であります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 私が質問を申し上げておるのは、日本の政治状態が民主的に育っておるとかどうとかいうことではありません。この春以来疑獄事件あるいは指揮権発動というような重大な事態が起って、すでに諸外国の新聞はこれに対して痛烈な批判をしておる。ことに国会の醜態については、国家自身の責任はもとよりであるが、吉田内閣の責任が最も大であるとイギリスの各新聞も論じておるし、アメリカの中にもそういう批判が起っておるのであります。そういうことをお聞きにならずしてお帰りになったかどうか伺いたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私は寡聞にして承知いたしません。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 驚き入った心臓でありますが、質問を続けさしていただきます。  今日国民が政治に対して非常な不信を持っておりますのは、汚職事件ももとよりでありますが、やはり指揮権発動ということの暴挙に対して、これはまったく前代未聞のことであるというふうに感じとつておるのではなかろうかと私は思うのであります。汚職事件はもとより純減すべきことではありますが、明治以来わが国の国会にも前例のなかったことではないのでありまして、たとえば松島事件における箕浦勝人氏であるとか、あるいは帝人事件の三土忠造氏であるとか、鉄道疑獄事件の小川平吉氏であるとかいうような有名なる政界人がこれらにかかったことは、古い例をあげずとも明らかであります。しかし終戦後といえども、われわれの党に所属しておる芦田均先生も、今日昭和電工事件の関係において裁判法廷に立っておる。西尾末廣氏ももとよりであって、これらの総理、副総理という重大なる地位にある人が疑いをかけられ、検察側では証拠を握ったという瞬間には、これは当然起訴をされて裁判法廷に立っておるのでありますから、国民の間には、大物政治家はたとい起訴されても最後には無罪であるというような、非常に不快な印象がありますけれども、それでもそれらの政治家の受けておるところの政治的な制裁というか社会的な制裁というものは非常に大たるものがあると思う。それでこそ法律の前に人は平等であるというこの憲法の精神が生かされておるのであって、そのことを隠蔽するような指揮権発動ということが行われたことが、今日国民の最も憤激して吉田内閣の退陣をひた押しに迫っておるところの重大なる原因だと私は指摘せざるを得ないのであります。吉田首相は、去る八月十日、世間では吉田暴言といっておりますけれども、この最後の方は、その後新聞社の方から非常な強い抗議があって、さすがの吉田総理大臣も、自分でしっぽを出したと言って訂正をされておりますが、しかしこの最初の方の、問題になった、汚職事件の指揮権発動は自分は信念を持って断固として行ったのだ、しかして政党の記帳が不十分であることは当然でありますということを言っておる点は訂正をされておらない。私は吉田総理大臣に伺いたいが、あなたは指揮権発動をしたことは今日でもよいことだと思っておられるのでしょうか。その点を伺いたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 まず第一に御答えいたしますが、私は、しっぽを出したと申したことは記憶がございません。また指揮権発動は法律に定めるところによっていたしたのであります。これに対しては、私は、政府としてはなすべきことをなしたのであると考えております。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 法律に定めるところであるから悪いことでもするということでありますか、よいことだと思っておられるかどうか、その点を伺いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 悪いことと思ってやるはずはないのであります。これは常識の問題であります。政府はそのことを正しいとして指揮権発動をいたしたのであります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 それでたいへん明瞭になりました。  次に伺いたいのは、これは本会議でもしばしば質問にはなっておるのでありますが、まだ分明にされておらぬ点が多々あると思います。九月の初め、衆議院の決算委員会は今回の疑獄事件の内容並びに指揮権発動のいきさつについて、これこれの人の喚問が必要であるとして、その筆頭に吉田総理大臣があり、その他重要なる閣僚の名前もあげられ、佐藤幹事長の名前もあげられたと思います。そして、これを喚問するかいなかということについては、議長の決裁も必要でありますから、議長がこれに対して承諾をするかどうかということも、外遊前のことでありますから相当に紛糾をいたしましたけれども、最後に提議長はこれに対して、喚問をすることは当然であると承認をされたわけであります。しかるに、公務多端に名を寄せて、その後出席もせず、また外遊後も出席をされておらぬが、ことに外遊後に出席をされておらぬのはどういう理由によるのか、この際明白にしていただきたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 出席を拒否したについては、法律上法廷の手続きをいたしております。病気のために出席いたしませんでした。   〔「そんなに元気がいいじゃないか」と呼ぶ者あり〕

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 怒るほど元気のいい状態であって、病気のためだといって出席をしないということは、私には、また世間、ここで見ておられる方もわからぬこととは思いますけれども、一応病気のためだということにいたしてもよろしいけれども、しかしながら外遊前の理由は、たしか公務多端ということであった。私はあらためて吉田総理大臣の議会政治に対する御信念のほどを承っておくが、公務多端のうちには議会政治というものは——議会に出席するということは公務の上の方になるのですか、あなたの公務多端ということになると、大分順序は下のように思いますけれども、その点に対する明白なる御答弁を煩わしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。順序は、上下はともかくとして、事実公務多端のために出席できなかったということであります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 決算委員会に最近出ないのは病気だということである。しかるに今日非常に血色よく出ておられるのであるから、すでに決算委員会の要求されておるところの四日には、必ず間違いなく出られると思うのですがどうです。四日に出られますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 出るか出ないかはそのときのからだの状態によります。(笑声、拍手)

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 驚き入った御答弁であつて、あえてこれ以上お話をすることはないと思う。  そこで、私はじようだん話は別にして、決算委員会に出ない、この出ないということについては、相当に世間では憶測がある。それは指揮権を発動したところの裏面というものがある。四月十七日、佐藤幹事長は、新聞紙上によれば、すでに逮捕許諾の稟請があった瞬間に、さすがに政治家らしく腹をきめられて、もはやこれは出るところへ出て勝負をつけなければならない。自分は、潔癖ではあるが、しかしすべては世の批判にまかせなければならぬという態度でおられ、首相も一時は幹事長の更迭を決心された瞬間もあったということが報道にも上がっておるし、また首相の談話として、当時幹事長の後任問題に対して、自由党の処置について御指示があるようなことも新聞に載っておったときもあるのであります。しかるにこの指揮権発動が行われたについては、佐藤君の事件というものは、あるいは佐藤君一人にとどまらず、相当奥深いものがあるのではないか、これは吉田総理大臣を喚問をしなければどうしても聞けない点があるのではないかというのが、今日国民の非常に大きな疑惑になっておる問題であって、その点決算委員会に出ればどうしても証言をしなければならない。証言というものは、今の予算委員会の問題のように、出るか出ないかはからだの都合でわからぬというような無責任な答弁では済まされない。よって決算委員会を回避せられたと私は思うけれども、佐藤君の事件があのように発展をして行くけはいを見せたから、従って吉田総理大臣は指揮権を発動したのではないか、この点に対する明白なる御答弁を煩わしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 諸君またあなたの思惑、推測は御自由であります。しかしながら事実においてそういうことはない。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 議会政治を尊重するということを平素から言われておるにもかかわらず、ほとんど決算委員会に出ないばかりか、他の委員会にも今日まで出ておられない。たまたま予算の方は、これはどうしても通過させなければならない建前なので、やむを得ず出て来ておるものと私は考えますが、こういう態度であつては日本の議会政治がよくなるわけはありません。私は、しばしばこの委員会を通じて、議会政治上の信念について総理大臣にお訴えをして来たけれども、てんとして恥じざるばかりか、遂には国論のきまるところとなつて、あなたは今日断崖絶壁に立つておられるのですが、これは自業自得と言わざるを得ず、あえてこの点に対する追究はいたしません。  そこで、むしろ外交上の問題についてあなたに一点伺つておきたいことがあります。それは、今度の外遊の一つの成果として総理大臣は超党派外交が非常に必要である、こういうことを言われて来たことは、私どもの目からすれば非常な進歩でもあるし、これが大きな収穫であるような気がするのであります。と申しますのは、日本民主党がかねて国民民主党以来熱心に超党派外交の必要というものを主張して来たからであつて、もし総理大臣がそういうお考え方に立つて今後外交方針をやる、もとより吉田総理大臣がやる機会はもう少いでございましようけれども、それにしても総理大臣がそういうお考えであるということになると、後に出られるところの人々は、この超党派外交の必要をどの総理大臣でも論ぜられることになると見えますので、従つて非常にけつこうなことだと思うのでありますが、これらについては、最近の英米の超党派外交の方針のよい体験をされて、そういうふうになつたものかどうか、これらについて詳しくお伺いいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 これに対して簡単にお答えいたします。超党派外交はけつこうなことでありますが、相手によります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 そうすると相手によることであつて、やはり日本では今日超党派外交というものはできないということですか、

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 相手がよくなればできる。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 これは超党派外交の必要性を論ぜられて、しかも実際にはやられないということの意思と見ざるを得ない。それであるからわれわれはあなたの言うことを信用しない。超党派外交ということは非常に必要だと言つておきながら、相手によつてやらぬということでは、これはちようど第十何国会であつたか、苫米地さんが質問演説に立たれて超党派外交の必要を論ぜられたときに、あなたがお答えになつたことは、超党派外交ということは何のことやらわけがわからぬと言つて、そしてそのあとでは、超党派外交の一つの相手であるところの社会党の全面講和の主張のごときはから念仏である、こういうことを言つて、社会党を揶揄して、ほとんどこれに顧みられなかつたときの心境と少しもかわりないと思いますが、あなたは今日の相手もそういう相手であるというふうに考えられておるかどうか。この点をしつかり承つておかぬと、あなたはもうどうせ退陣なさる方であるけれども、自由党あるいはその他の党派に対する今後の考え方というものが非常にかわつて来ますので、この際はつきり承つておきたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私は退陣せずして、ますます今後政局を担当して参るかもしれませんから、この点は御用心なすつた方がいいと思います。また私の言葉を信用しないなら、あなたに答弁してもしようがない。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 あなたが超党派外交の必要を痛感されたということは、何でも承わるところによると、ロンドンでチヤーチル首相主催の吉田首相歓迎宴なるものがあつて、労働党のアトリー前総理大臣なども来ておる、非常になごやかに歓談が行われておるのを見て、つくづくうらやましいと思つたということが始まりだろうというふうにいわれておる。現に国内へ帰られても、昨日の松村政調会長並びに井出君の質問に対して、英米両国のいわゆる超党外交は非常に学ぶべきところがあると言われておるのですから、今後相手と次第によつては、それはやらなければならぬことになるのじやなかろうかと私は思うのだが、問題は相手ではなくて、超党派というものは与党の主宰者であるすなわち総理大臣自身が発して、初めて超党派外交というものができる。相手側のアトリーが最初に超党派外交を言い出して、チヤーチルがこれに乗つたものではない。野党というものは、元来ならば外交といわず、財政といわず、あらゆる問題について批判をし、ときには攻撃をするのが野党の当然なる任務である。それが議会政治の本則ではあるが、外交の問題は政府からいろいろな働きかけがあつて、そうしてこれは重大な問題であるから、ひとつ国のために腹を割つて話してみようというので、超党派外交がある。相手じやないのです。あなたが始めなければこれは始まらぬことであるけれども、そういうことであると解釈していいのですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 解釈は御自由であります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 はなはだ残念であります。私はそう気にさわるようなことを申しておるわけではないのですけれども、初めから非常な挑戦的な調子でものを申されることは残念千万。それでは直載簡明に今後の問題を伺つておきます。現在の政局は吉田内閣が退陣するかどうかということで非常な紛糾を見ておる。あなたは政局が混迷しておるのは実に残念であると言われておるけれども、本年一年ほとんど吉田退陣かどうかということで、日本の政局は推移して来ておるのですから、このくらいばかばかしいことはないのであります。ないけれども、しかし国民大多数の今日の意見は、これは選挙してみればなおさらわかりますけれども、選挙しなくても、今日の與論というものは、吉田内閣に退陣を迫つておるものと私は思うのであつて、これさえやれば、その後におけるところの推移というものは、自然に筋道の立つた方向に行くと思うのであります。それだからこそ、あなたは吉田書簡なるものを自由党に送つて、自分の進退をゆだねたということになつておると思うのであつて、現に自由党からは多数の同志が参加して民主党が結成をされておる。吉田内閣の自己崩壊というものがすでに与党の内部から始まつておるのであつて、政局を担当するかもしれぬと言つておるけれども、政局担当の資格というものはすでに自分自身失いつつあるのではないかと私は思うのでありますが、御答弁を顧いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。国民の中には私にもつとやれという声もあるのであります。この民の声をどう聞くかということについて、今迷いなきを得ないのであります。しかしながら、私の信念は私の書簡に明瞭な通り、民主政治、政党政治の確立のために善処したいということであります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 たいへんわけのわからねことを申されましたが、もう少し分明にして行きたいと思います、吉田首相は、十一月二十二日に自己の進退について自由党に書簡を送つた。ところが、まあ今までは自分の進退どころか、あらゆる問題についてほとんど独裁的にきめられておつたのを、最後の瞬間になつてきわめて民主的な方法にゆだねられたので、世間は大いに驚いた。驚いたが、これは世の中には最後つぺというのがある、あるいはあと足で砂をかけるという言葉があるが、吉田首相は、さすがに最後だけは美しく飾つて消え去つて行くものと、あの書簡が発表された瞬間には考えておつた。ところがこの有終の美ということは、今日ではどうやら方角が違つて来て、場合によつては政局を担当するかもしれぬということになつて来たのは、やはり現に総裁更迭ということが行われておるにもかかわらず、総理は依然として吉田首相である。ここに迷いもあれば、また吉田内閣自身の去就をたがえたるところの行動というものが起つておると思うのであります。政党政治の原則からいいまして、これは多くの諸君も論ぜられておるように、総裁と総理は私は可分ではないと思う。吉田総理は何がゆえに総理大臣になつたかといえば、多数党の総裁であるがゆえになつた。フランスあたりではしよつちゆう内閣がかわるから、総裁でなくても、ときには総理大臣になるような人もある。しかし今日の日本においては、そういうことは通用しない考え方だと思いますけれども、一体総裁と総理大臣というものは今日はたしてわけることができるものか、できないものか、この点についてお答えを煩わしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。政党政治の本来から申せば、総裁と総理は不可分であるということであるべきものだと思います。但し私は、まだ総裁をやめておりません。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 緒方副総理の方に伺いますが、緒方副総理は、この間総裁としてのごあいさつをなされたそうでありますが、あれは違うのですか、はつきりしておいてください。

緒方竹虎自由党北海道開発庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 総裁としてのあいさつをした覚えはありません。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 何ですか、この間のあいさつはどういうあいさつでありますか。

緒方竹虎自由党北海道開発庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 総裁の後継として党議がきまつたことに対するあいさつです。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 総裁心得……。(笑声)それでは伺います。大体今度の引退決意なるものは、御自分の腹から出たものではないのじやないか。あまりに党内外の退陣論がはげしいので、党内を結束させるために初めは打つた。今まで重大な問題でも相談もしない吉田首相がこのような挙に出たことは、自己の進退を民主的に問えば、今まで何も諮つてくれなかつたのに、この進退問題についてよくも吉田首相は諮つてくれたと感激をして、この際やめさせるのはあまりにも酷じやないかというので大体その引退反対論が多くなると思つておつたところが、打つてみると、はなはだ感激の次第ではあるが勇退をしてもらいたいということになつて、いわばうそから出たまことみたいな形になつたものと私は思うのであります。もしこれがうそから出たまことでなくして、真にあなたが国事を憂えておるならば、今日の状態から見て当然総辞職をするのが筋道である。それほど自分の進退に自信が持てなくなつたなら、総辞職をしなければ国民に対して相済まないと思いますが、この点に対する総理の御見解を承りたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたしますが、私の自信はごうもかわつておりません。ますますやるがよいと思いますが、しかし一党の総意を考えることが政党であると考えております。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 しからば承つておきます。党の総意がこの臨時国会中に総辞職せよということになりますと、総裁をおやめになりますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 まだそういう総意は現われておりません。現われたときには考えます。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 そこで私は一つずつ承つておきたいのでありますが、首相はただいままで、この国会を通じてしばしばたらいまわしはしない、たらいまわしはしないということを言明されておる。第十九回国会では参議院において数回、衆議院において二、三回この発言をされておるから、従つてその当時は鳩山さんも党内におられた、緒方さんもおられた。しかるに今日自由党では、後任総裁に緒方氏を決定して――これは就任の正式決定は、今緒方さんのお話によるとないと言うし、また総理大臣も確認をせられておるので、総裁心得と拝承はいたしますけれども、少くとも将来緒方氏を自由党の後継者として当然政権を掌握させたいという考え方に基いてこの挙に出たものと思いますが、従来のたらいまわしをしないということと、これとはどういう関係に立つものか承りたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。はつきり申しますが、やみ取引で民主党に政権を渡すようなことはしない、こういうことであります。(拍手)

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 これははつきりして愉快であります。たいへん愉快だ。私も愉快であります。その点は、あとの質問をしなくてもいいくらい非常にはつきりしてけつこうであります。たいへんありがとうございました。(笑声)ことに私どもはありがたい。そうすると、緒方さんに伺いますけれども、民主党に政権を渡さないということであり、また政局を担当するかもしれないということでありますが、あなたも総裁として今日内定をしておつて、そうしてこういう不安定の状態で政局というものが乗り切れるかどうか。当然あなたとしては、党の総意に基いて総裁と予定された以上は、こういう不安定の政局を一掃するために自己主張をしてもよいじやないか。あなたは総理に向つて、早く政権を渡してもらいたい、あるいは総裁の地位を去つてもらいたいということを言うべきでしようが、どうですか、緒方さん。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 御答弁がないようであります。――御答弁がありません。御発言を継続願います。   〔「そんなことはだめだ」「副総理の見解を聞いている」と呼び、その他発言する者多し]

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 委員外の発言は許しておりません。静粛に願います。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 今少くとも民主党には政権を渡さないということで、たいへんありがたく拝承いたし、私としては勇往邁進ますます吉田打倒に向つて勇気づけられたことを感謝をいたします。 (拍手)  同時にこの際お伺いをいたしておきたいことは、吉田首相はしばしばこういうことを言おれておる。すなわち、政権の交代というものは総選挙を経て行われなければならぬ、国民の審判によつてのみ政権の交代は常道を行くのだ、こう申されておるが、この信念は今でもかわりはないものかどうか、この点を承つておきます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをするのにあまりに明白なことであると思う。総選挙によつて絶対多数をとつた政党に政権が行くのは当然であります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 今の現実論で私どもは申しておる。こういうような場合においても、政権の交代というものは総選挙を通じて行われるものだ、そういう信念はかわらぬか、こう申しておるのですよ。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 総選挙の結果絶対多数をとつた政党に政権が行くのは当然の話であります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 いや、それはだれでも政党人のイロハとして承知はしておるわけですが、この際伺いたいのは、現在の段階に立つて、政権の交代というものは、必ず総選挙を通じてやるのが常道であるかどうかということを伺つておるのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたしますが、現在の状態において政府は総辞職をする考えはないのであります。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 そうすると次の質問は大体必要のないことになるのであります。しかしもう一度承つておきますけれども、同じことです。さらに確認をしておかなければならぬのは、不信任案の提出というものはもはや決定的な段階にあるわけであります。民主党は先ごろの結党大会でこれを決定しておる。吉田内閣が辞職せざる限り、臨時国会において不信任案をもつて対決するということは、全国の党員の前できめたことであつて、これはゆるがない。先ごろの不信任案採決にあたつては、これはあなたのお望み通り、改進党の潜在勢力なるものが二十名もあつて、そうして欠席をしたために否決をされてしまつた。そのときあなたは、本会議場の総理大臣席に持つて来たステツキを忘れて帰られるほど、非常にお喜びになつた。しかしながら国民は非常に憤激をした、こういうことであります。このごうごうたる非難を巻き起したる改進党としては、当時われわれは全国を歩いて、まことに申訳ないことをしたが、この次の国会においては必ず不信任案を成立させることに努力しますということを、全国民に誓つても来たし、また自由党を今日脱党せられた諸君は、正義感に燃えてあなたの前に対決をしようということでございますから、従つて柳の下にどじようは二度いないものと観念をしていただきたいのであります。いやしい夢よも一度というわけには参らぬ。そして会期は来週の半ばまでであつて、それまでには泣いても笑つても不信任案、それでなければ即刻退陣を願わなければならぬ状況であります。そうなると首相は、不信任案が通過した際いかなる態度をとられるかということは、今日の状況では今の御答弁でも大体尽きておることと思いますが、御確認を願いたいことは、不信任案が出たらばその際は出たとこ勝負であると今日まで言つて来られたが、今日の段階では、総辞職をしない、不信任案が通れば必ず国民の審判を仰ぐ、こういうことになると解釈をしてよろしいか、はつきりと承つておきます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答をいたしますが、不信任案が出ましたら、そのときに出たとこ勝負で考えます。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 そうすると不信任案が出た場合においては辞職をするということもあり得るのですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 あるかないかは、そのときの状態によりますから、不信任案をお出しなさい。(拍手)

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 先ほどからの答弁によつて、ようやく政局に対する首相の見解というものがほぼ明確になつた。不信任案を出せ、その際において出たとこ勝負で考えるというところまでは来たわけでありますから、たいへんけつこうなことに運びつつあるわけであります。しかるに近来おかしなことには、解散を回避されるために相当な保守合同工作なるものが幹事長を通じて行われておる。これは自由党の党内にもそういうような動きが行われておる。これは吉田首相のごとくさつぱりしてもらいたいと存じます。出たとこ勝負で行こうというなら、それもそれでけつこうだと思うが、一方において解散回避を期待をするがごとき幹事長の保守合同工作などというものは、明らかに自由党の方から打切つてもらつたらどうか。非常に不明朗である。保守合同ということは、かつて自由党の党内にあつた岸信介氏が、政治責任を明らかにし、吉田首相が引退をすれば保守合同をするということを言つておられる。われわれはちよつと違いますがね。われわれはちよつと違うが、そういうことをその当時は言つておられた。(発言する者あり)いや、自由党の内部におられた当時だ。自由党の内部におられた当時そういうことを言つておられた。そこでそういう保守合同の呼びかけを当時はしておられたのにもかかわらず、これをけつたのは自由党じやないか。自由党の池田幹事長その他が、そういうことでは保守合同はできないと言つておられたにもかかわらず、このごろ保守合同をやるのはどういうわけか。   〔発言する者多し〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 静粛に願います。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 こういう不明朗なる政局の収拾方策をしてはならぬというところに私の質間の要点はあるのであつて、すみやかにこの不明朗なる解散回避をするがごとき保守合同工作というものを、池田幹事長に命じて御中止になつてはどうかと思うが、総理大臣の御見解を伺つておきたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私は総理もしくは総裁としてあなたの指揮には服しませんが、党として今どういうことを言つているか知らぬ。しかしもしその相談がおいやであるなら断つたらいいでしよう。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 こちらは断つておるにもかかわらず、われわれなどが断りに行くとそでを引いて池田幹事長は……(発言する者多し、拍手)これからまだいいところを聞かせるから……。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 皆さんに申し上げますが、空気がだんだん悪くなりますから、お静かに願います。与党も野党もひとつ静粛に願います。

川崎秀二日本民主党

○川崎委員 民主党の方ははつきりしておる。昨日も岸幹事長は、保守合同の今日のごとき呼びかけの状態ではお断りすると言つておるにもかかわらず、しよつちゆう引く手あまたでいろいろの工作が行われておる。あの辺でにやにや笑つておるのも保守合同の工作をしておる者の一人である。非常に不愉快千万であつて、この間も私ははつきりこういう会談はお断りしたいと言うと、池田さんが岸さんのポケツトのこの辺を引いて、もう少し話をしろということであつたが、打切つて帰つて来たといういきさつもある。はなはだ不明朗なることを繰返しておられるのは恐縮であるが、これは吉田総理大臣の言われるように、不信任案で対決、そうして解散一路ということになれば、実に政局は明朗であります。もとより今日の吉田内閣は解散の資格なしと私は思つておる。資格がないということは、解散ということは、昨日松村政調会長がすでに本会議場において言つたごとく、民意が必ず自分の党の方につくという自信があつて初めてすることであるけれども、今日のごとき状態であつて選挙をするということは、私は吉田内閣には資格がないと思う。終戦以来三回も解散を行つてそのたびごとに世間の批判を浴びておる。そのたびに第一党にはなつておるが、数は三十名、二十名、十名と一回ずつ減つておるのであります。今度やればうんと減ることだけは間違いがない。こういうような状況のもとにおいて、解散をすべき資格はないと私は思いますけれども、しかしその方が筋道が立つて、不明朗な保守合同工作を続けられるよりは、不信任案をもつて対決しようということを言われたことについては、深甚なる感謝と深甚なる敬意を払つて、私の質問はあと大分ありますけれども、これはあなたが言われたこととは違つた想定のもとに書かれた。はなはだ出たとこ勝負でありがたい。これで今日の質問を終るとともに、総理に感謝をいたしておきます。(拍手)

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 山花秀雄君。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 私は日本社会党を代表して本国会に提出されました昭和二十九年度予算補正に関し若干の質問をいたしますが、その前に吉田総理大臣にお尋ねいたしたいことは、この臨時国会の意義についてであります。   〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕 総理大臣も御承知のごとく、第十九国会の定められたる会期中には、明けても暮れても、まことに残念なことには汚職と疑獄問題で終始をして、政府提出の重要法律案はその大部分が会期をたびたび延長して決し、最後にはわが国国会史上始まつて以来見ることのできなかつた乱闘国会に相なり、国民をして不信の声を高からしむるに至つたことは総理も御承知の通りであります。六月十五日には全院協議会を開いて国民諸君に陳謝をし、越えて各党の代表者によりすみやかに臨時国会を開催し、わが国民主国会政治の権威を高めるため自粛立法を予定し、あわせてデフレ政策から来る犠牲面に対する緊急措置をとることを約束されたのであります。これは公党の代表者による約束であります。しかるに政府は臨時国会召集の手続を便々として今日まで怠り、通常国会開催の直前にわずかの会期をもつて開催したその真意を総理からお伺いしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 これは昨日もその趣旨を弁明いたしましたが、自粛せざるに至つた国会の状態については、私もまことに遺憾千万に思います。国民が真に議会の実情を知り、また民主政治、政党政治の何ものかについて十分な考えがなければ、幾度臨時国会を召集してもその自粛の目的は達しないと思います。国民に相当の考慮の余地を生ずることが私は必要と考えて、そして今日に至つたわけであります。これは昨日も弁明いたした通りであります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 何かただいまの御答弁を聞いておりますと、国民の判断力といいましようか、批判力といいましようか、あるいは民度といいましようか、その方に責任を転嫁されたやに受取れましたが、そういう御趣旨でただいまの御答弁をなさつたか、一応これは重要な問題ですからはつきりしておきたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私は国民にその責任を転嫁したつもりはないのであります。しかしながら当時の考え方はそうなのであります。その考え方が悪いかいいかはすなわち政治上の責任が生ずる問題であります。もし現政府のとつつた措置が悪いということであれば、総選挙等によつて批判の的になると考えます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 政府の態度は悪くない、もしこれに対して批判があれば総選挙によつて、国民審判で対決をしよう、こういう御趣旨のように承りました。政府がただいま行つておりますところの拙劣なデフレ政策は、ここにその犠牲をあまねく国民諸君に転嫁し、大衆生活は刻々と低下の一途をたどり、国家経済はもちろん、その基盤であるところの産業は極度に不振状態と相なり、加うるに不慮の災害が相重なり、政府の常に唱える経済自立とおよそ縁の遠い方向にどんどんと進み、不景気な社会と相なりましたことは、政府も率直に私は認めなくてはならぬと考えておるのであります。この情勢に相なることがわかつておるから一刻も早く臨時国会を開いてその対策を講じなければならなかつたのであります。政府は早く開く機会がなかつたようにも言われるし、ただいま総理の答弁を聞いておりましても私どもの了解できないような御答弁でございましたが、これは明らかに政府としての責任の回避であるというふうにわれわれは考えておりますが、総理大臣の所見を承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ちよつとかわつてお答え申し上げます。ただいまいろいろなお話がございましたが、御承知のごとく昨年以来政府が行つておる一連の施策によつて非常な効果を上げつつあることは、何人も事実をおおうわけには行かぬと思います。すなわち物価は大体卸売物価においてピーク時に七%下り、昨年三億一千三百万円の赤字であつた国際収支が、今や本年は一億七千数百万円の黒字にかわらんとするまで好調になつておる事実に目をそらされることは、私ははなはだ遺憾に思うのであります。なお政府としてはこの二十九年度予算の際に、なるほど補正予算のことについてはちよつとお話も申し上げましたが、その節にはいたさない考えでおつたのでありますけれども、御承知のごとくにその後いわゆる三党修正その他がございましたのと、それから災害その他の関係でこれは今日補正をいたしますことが、いわゆる緊縮経済、健全化政策に伴う社会保障的な関係の諸事業を急速に盛ることが実情に適するという考え方からこれをやつた次第でありまして、この点はむしろ私はあなた方の方からも喜んでいただき得るのではないかと考えておるのであります。

西村久之自由党

○西村(久)委員長代理 総理大臣のお答えはございませんか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 大蔵大臣の答弁をもつて私の答弁といたします。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 私が質問をいたしておりましたときに、横合いから大蔵大臣が自画自讃の演説を一席ぶちました。ところが総理大臣は、おそらく大蔵大臣の演説に酔われて私の質間をお忘れになつたんではないかと思うのであります。もう一回重ねて総理大臣にお尋ねいたしますから、横合いから問題をぶちこわすようなことはひとつ御遠慮願いたいと思うのであります。私のただいまお尋ねいたしましたのは、こういう深刻な――ただいま大蔵大臣も最後にちよつぴり言われましたが、大衆生活の窮乏特に社会保障あるいは失業問題その他の災害関係、これを急速に解決しなくてはならない、そのためにはすみやかに臨時国会を開いて対策を立てるというのが政府の責任である。ところが便々として何だかんだと言つて通常国会直前まで引延ばしたという点について、政府はこの責任をどうお考えになつておるかという点を政府の直接の責任者である総理からお伺いしたい、こういう質問でございます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。今の日本の経済状態から見て、臨時国会は早く開くべきであるという御主張に対して、これは現在の財政経済の問題でありますから、それで大蔵大臣にかわつて説明をしてもらつたのであります。すなわち、大蔵大臣の説明は私の説明であります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 なお一言申し添えておきますが、御承知のごとくに即時やらなくとも、だんだんとこれが浸透に伴つてそういうことが出て来たのでありますが、予算そのものが残つておるのでありまして、今度の補正予算の措置さえとれば十分なのでありますから、この点何ら遅れたのではないことをはつきり申し上げておきます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 政府の関係しておられる方々、言いかえれば今日の閣僚諸君だけがひとりで自讃をしてさよう考えておるだけのことであります。広く外を見ますると、すべての人々は早く臨時国会を開いてこの急場の対策を立ててもらいたい、これは国民の声であります。国民の声が閣僚に届かないということは、政治に関係するわれわれにとりましてもはなはだ遺憾千万と考えておるのであります。昨日の本会議の質問に対する答弁、ただいま同僚委員の川崎君への答弁にもしばしばございましたが、なお何かわれわれは聞き足りないような感じがいたしますので、いま一度もつと明瞭にする答弁をお願いしたいのであります。  総理大臣は外遊中に、たしか新聞の報道によりましても、何か国内でごたごたが起つておるが、おれは絶対引退なんかはしない、あくまで政局を担当する、こういう決意のほどをわざわざ外国から日本内地に放送されたのでありますが、帰つて参りますと、自分の一身上の問題を自分で処理するというようなことなく、何か判断に迷うような書簡を自由党に提示されて、自由党の党議に従うとかあるいは党議の判断にまかせるというようなことをやつておられるのであります。  そこで私がお聞きしたいことは、ただいま自由党の総裁もやめておりません、また総理大臣もやめておりませんが、自由党の総裁がもうやめるということは、先ほど川崎君の議論でも総裁心得というようなおかしな名称が出て参りましたが、明らかであります。今日内閣総理大臣として政権を担当しておる、そうして一方では自由党の総裁をやめるような意思が書簡の内容に盛られ、自由党もそれを了承したように承るのでございますが、不可分論、可分論と言い、いろいろ議論がございますが、われわれがもう一回はつきり総理大臣の口からお答え願いたいことは、基盤になる政党総裁をやめて、総理大臣の現職で今日政局を担当されるということは、何か政権に恋々としておるのじやなかろうかというように私どもは感ずるのでございますが、この感じをあなたとしてはどういうようにお考えになつておるかという点をお聞かせ願いたいと思うのでございます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。第一に、私が外国からしてやめないという放送をさしたという事実はありません。新聞の報道には私は責任を持たない。  それからして政党政治である以上は、自由党の総裁が総理になるのが当然である。しかし現在私はまだ総裁をやめてはおりません。従つて総理大臣であります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 これは私は詭弁というふうに解釈いたしましよう。それしか私には解釈できません。おそらく人間として政治を論ずる常識を持つておる方方であれば、ただいまの総理の答弁は詭弁と言うより以外はありません。いつまでもそういう詭弁が押し通せるような絶対多数の自由党でないということだけは御銘記願つて、これからいくら政局を担当されるかわかりませんが、そういう決意でいていただきたいと思うのであります。  あなたの今の考え方、今日の行動は、まつたくわが国民主主義政治のあり方である政党政治の破壊を、あなたが意識するといないとにかかわらず、行われておるということがあなたにはおわかりにならないのだろうかというふうにもわれわれは考えざるを得ぬのであります。そんなことで政府の責任が全くできたとお考えになつておるかどうか、それで国会の権威が保たれるとお考えになつておるかどうかという点であります。ただいましばしば答弁を承りましたが、われわれはこのようなことでは政府の責任も全うできないし、国会の権威を高めることもできない、かように考えておりますが、こういうわれわれの考え方に総理大臣としてはどうお考えになるかということをひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私はあなたの御意見とまつたく違つた考えを持つております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 総理大臣は、前国会で汚職の問題について、何回も何回も、汚職が大臣級に及んだときには政治的責任をとるかという同僚議員の質問に対しまして、閣僚に及んだときにはとらざるを得ぬかもしれないけれども、しかしそれは仮定論である仮定論には答えられない、こういうことを言つてつつぱねておられたのであります。ところがだんだんと日時がたつに従いまして、現に公判されている佐藤榮作君は、自由党をまかなう大番頭の地位にあつたことは何人も承知のところであります。政党政治の上からは佐藤君の地位が閣僚と何ら差異あるとは私は考えておりません。政党と政府とは不可分とただいま総裁も言われておるのでありますが、もはや仮定論ではございません。あなたは仮定論では答えられないと言われておりますが、現実のこの事実を前にして、あなたの御心境を承りたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 その問題は一に裁判にかかつていると承知いたしております。裁判の決定を待つて、政府に責任があれば、責任を負います。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 こういう裁判は、率直に申しまして、結論が出まするのには二年、三年ないし四年、五年もかかるだろうと思うのであります。それまで待つて、判明したときに出処進退を明らかにするということは、これは出処進退を明らかにしないということと同一異語であろうと私どもは了解せざるを得ぬのであります。昨日の本会議議場の指揮権発動に関する総理大臣の答弁も、法律通りこれを運用したんだ、またただいまの川崎君の質問に対しても、正しい信念に基いてこれを行つたんだ、こういうようなことをたびたび答弁されておるのであります。またこれを法務大臣たる犬養君が行つたんだというような答弁も昨日の本会議では言つておられるのであります。この答弁を聞いておりますと、責任を感ずるような色合いはない。ただいまも正しい信念に基いてと言われておりますから、これは全然責任を感じておられないのでございましようが、これは私はたいへんなことだろうと思うのであります。  国民の政府や国会に対する不信は、あなたの党内からもあなたに不信を表明して脱党者が出た、これはおおい隠すことのできない事実であります。こんなあなたの態度で民主主義政治、すなわち責任が保たれるかどうかという点であります。さすがに犬養法務大臣は指揮権発動後ただちに辞職したのではありませんか。あなたはこの犬養君の態度をどうお考えになつておられますか。彼は気の弱いインテリ性がかすかにあるところの政治的良心からああいう態度に出たと思つていられるのかどうかわかりませんが、時局は重大の時であります。一国の宰相が左顧右眄するような状態ではございません。断固たる決意と信念が今日の場合必要であることは申すまでもございません。あなたの今日とられておる態度は頑迷固陋です。いま少し国民の声を率直に聞いてもらいたいと私は思うのであります。  最近大新聞の、二、三の輿論調査を見て参りましても、吉田内閣に退陣してもらいたいという六割以上の国民の声が結果論として発表されておるのであります。あなたはただいま吉田にもつとやれと激励する国民もある、こう言つて大みえを切つておられましたが、これははつきり申し上げると、少数意見です。八千五百万全部が吉田退陣であると言つておるとはわれわれも申しません。しかも国民の圧倒的多数の声が大新聞の輿論調査に現われておる。こういう国民の声をあなたはどうして聞かれないのかという点を私はこの際言いたいのであります。わしは新聞なんか読まない、そんなことは知らない、あるいはそう言われるかもわかりません。またあれは新聞のデマ記事だとお考えになられるかもわかりません。しかし吉田内閣が今日もうたそがれどきに来ておる、こういうときに、人の死ぬときにはその言やよしとかいうようなことわざもございますが、ひとつ引退の、何と申しましようか、しりぞくときだけでも、皆さんに吉田は偉い男だと言われるような、そういう空気の中でしりぞいていただきたいと私は思います。大体これらの問題は一蓮托生、政治的責任は最高の責任者である総理みずからが明らかにして、日本の民主政治の明朗化を期していただきたい、私はかように考えますが、今の心境をひとつお尋ねしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私の心境は、政党政治――何とかの政治の明朗化を期持いたしております。(笑声)

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 私どもはこの予算委員会で重大なる日本の政局に関連して真剣にいろいろ質問をしておるのであります。一国の宰相でございます。ひとつ真剣に御答弁をお願いしたいのであります。  次に、最近とかくうわさされておりますところの憲法問題について、吉田総理大臣のお考えをお尋ねしたいのであります。吉田総理大臣は今日までもう何回となくこの憲法問題に関しましては、私は憲法改正の意思はありません、またその時期でもありませんということを言明されておるのであります。最近自由党内には憲法調査会を設置して、改正幹事案なるものを発表されました。これは十月の二十三日、あなたの外遊中の、まあ留守中でございますが、朝日新聞に発表されました。おそらく他の大新聞にも発表されたと思われますが、その内容の一部に、天皇は象微であるというのを改めて、元首であるということが明記され、天皇の行う行為の中に、国会の停会を初め宣戦、講和の布告その他等々、旧憲法的な色彩の濃厚な条項がたくさん盛られておるのであります。あなたの今日までの言明に基き、私はおそらくこの改正案には同意されないと思いますが、ただいまのあなたの心境をひとつお伺いしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私の心境においてはむろんかわつてはおりません。また今の改正案なるものを私はまだ承知いたしておりません。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 吉田総理大臣がそういう気持がないということは、これは私は言行一致の正しい態度だと、こういうふうに感服をいたしております。しかしあなたが統制をされ、あなたが総裁である自由党の中において先ほど申し上げましたような憲法改正論がとうとうとして出て来ておることは、これは間違いのないことであります。そうなりますと、あなたの経制力はもはやきかなくなつたのではないか、こういうふうにもわれわれは理解できるのであります。それでいや気がさして総裁を辞任するような心境になられたのか、または憲法改正の時期が来たが、今まで自分がしないしないと言つていたので、自分の手ではできないから、いやおうなしにやめざるを得ぬ結果になつたためであるか、あるいは国民の世論にこたえてやめる気になつたか、私はその中の一つであろうと想像はしております。これはおやめになることは、あなたの自由意思でけつこうでございますが、ただ一つはつきりしておきたいことは、総裁をやめられるということは、政党政治の建前から当然総理大臣をやめられるのが普通だと思いますが、先ほどの答弁でも、今総裁をやめていないから総理大臣をやめないということをたびたび言つておられます。もうわずかの期間あなたが総理大臣の現職にとどまるということが――これは外部の私どもがこんなことを言いたくはございませんが、あなた本来の念願である保安大合同の大きな妨害になつておるというふうにあなたはお考えにならないのかどうかという点をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私の存在が保守大合同の妨害になつておるとは、私はごうも存じません。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 われわれは日本の政党政治の建前からやはり二大政党を一日も早く築いて行きたい。われわれの陣営においても、やはり批判すべきところは批判して、革新政治勢力を統一して行きたいと考えておるのであります。従つて保守派の政治勢力も一日も早く統一をしていただきたい。そして二大政党の運用の妙を民主政治の上に発揮して行きたい、こう考えておるのであります。ところがただいま総理大臣の御答弁は、おれの存在は保守統一にはごうも支障を来していない、こういうような答弁をされました。おそらくこれは自由党のそこにお並びになつておられる閣僚諸君も、迷惑千万な言動を総理大臣はしたというふうにお考えになつておるだろうと思われますが、これは保守派のためにも私どもは遺憾千万と考えることを若干申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、吉田総理大臣が今度外遊をされたことにつきましては、われわれはその時期ではない、また一国の総理大臣が現職のまま外遊されるからには、堂々と国会で外遊目的を明らかにして、野党側からも十分意見を聞いて、文字通り一国の代表として、名実ともにそういう資格のもとに出発してもらいたかつたのであります。そのような当然の措置をとられないものでありますからわれわれは反対をいたしました。しかしながら一昨日本会議場で総理の外遊の報告を聞いておりましたが、何のために外遊されたのか、ずいぶん愚かなことをやられたものというように、しみじみと私は情なく聞いておりました。一国の代表、しかも現職の総理大臣が、たとえばイギリスとかアメリカとか、それぞれの国柄をわきまえずに、行く先々で頑陋な反共演説一本でやつてのけられたようにわれわれは聞いておるのでありますが、あなたは外交官出身の宰相であります。借款その他のことは、失礼ながら経済専門の担当大臣におまかせになつておればよろしいとわれわれは考える。おそらく国民もあなたにはさような問題を期待してはいなかつただろうと思うのであります。ただ外交だけは誤りなく外交官出身の宰相であられるあなたがやつてくれる。――日本の立場と将来の方針を鮮明にして、最高の国家代表としてはずかしからぬ成果をあげられるものと私は初めから期待はしておりません。だが、国民の中には一縷の望みをあなたにかけていたことは、これは間違いございません。それすら失望に終りました。しかしあなたは従来の外交は秘密という主義から、表には表わさないけれども、裏には十分の成果をあげたものである。今発表はできないが、後刻時が来ればわかつて来るとお考えになつておられるのか。裏の方に何か御相談を各国との間にやつて来られたものであろうかという点、私どもどうもそういう気がしてならないのでありますが、いかがなものでしようか。こういう問題をこの際ひとつはつきりさして、おれはこういう成果をあげて来たということを言明される意思はございませんかどうか、お答えを願いたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私は、こういうことをした、ああいうことをしたと言つて広告をいたしたいのでありますが、これは外交に支障もあります。相手国の迷惑になる場合もありましよう。発表していいものは合同ステートメントを出して発表いたしております。これについて私の外遊が効果があつたかなかつたか、無益であつたかどうかということは国民諸君の判断にまかせたいと思います。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 何かただいまのお答えを聞いておりますと、帰つて来て全部すべてあからさまに発表したのでないという印象を私は受けました。そして発表できない問題は、日本の将来の国策を誤るようなことをきめて来たのではなかろうかという想像も、私は私自身として成り立つのであります。こういう問題は先ほど総理も言われましたように、いずれ早晩来る国民審判によつて左右されるものだろうと考えておるのであります。吉田総理が外遊の成果に関して発表した部分であります。これは政府も同様でありますが、ぎようぎようしく大げさに報道されておりますが、外遊前の政府の期待がはずれたことは、私はいなめないと思うのであります。たとえば余剰農産物の借款も、日本側借款はわずかに五千九百五十万ドル、すなわち二百十四億円程度、これを得るために吉田総理は中ソとは絶対に相いれないとか、あるいは中国貿易は期待できないとか、またさらに日本は自由国家群の一員としてアメリカの防衛に協力するなど重ねてこれを確約し、岡崎外相などは水爆実験に協力するというようなばかげたことを重ねて約束し、そしてその代償がただいま言つたような期待はずれの借款にすぎない程度のもの、私の感じを率直に申し上げますと、今度の外遊は物ごい外遊の印象を国民に与え、国民の自立自尊心を傷つけること大なるものがあつたと思われるのであります。何から何までプラス面は一つもない、総理の意図とはすべて反した結果のみが大きく国民諸君に反映をしておると思うのであります。だがこの程度の借款も日本側の自由意思によることなく、アメリカの余剰農産物の押しつけで、ちやんと代金を支払う、その代金を積み立てた見返り円資金は政府はどういうふうに使おうとしておるかという点であります。これは総理大臣と大蔵大臣からひとつお聞かせ願いたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 お答えいたします。この問題はまだ将来残された問題でありまして、協議中でありますから、ただ日本の経済自立の目的を達成するようにすべて使いたいとだけ考えております。

西村久之自由党

○西村(久)委員長代理 総理大臣はお答えがないようですから……。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 先ほど私申し上げましたように、経済面には非常に暗いと申しましたが、やはりそういう関係もございまして、総理大臣のお答えがないと思いますが、それは了承いたしましよう。  ただいま大蔵大臣は、まだ使用の点についてははつきり考えていない、いずれよく経済の実情を考えてこの使用の面を考える、こういうように言われましたが、聞くところによりますと、これらの資金の使い道については、アメリカ側から何だかんだというさしずがあるというように聞いておるのでございます。われわれといたしましては、戦争経済の方面に金を使うというよりも、むしろ将来性のある平和産業育成あるいはその他の関係に使つてもらいたい、こう考えておりますが、この辺のところは大蔵大臣はどのようにお考えになつておるか、重ねて御答弁を願うものであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 さらに詳しくは愛知通産大臣からお答え願うことにしますが、大体この七割のものにつきましての配分方等については、まつたく自主的にこちらの方でやることに相なつております。但しどこがどういうことにやるかという事柄等についてはまだ協議中でございますので、その道程でかれこれ申し上げることは、いろいろさしさわりがあるから申し上げない。向うの関係で言う次第ではございません。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 余剰農産物の買入れについて、ごく概略重点と思われます点を御説明いたします。この問題につきましては、十一月の十三日に、日米両方の話合いがまとまりました点について共同の発表をいたしておりますが、ただいままでにきまつておりまする点は、その発表文に明瞭になつております。それ以外の点につきましては、その発表文にもありまするように、東京及びワシントンにおいてさらに細目については協議をする、かようなことに相なつておりますから、今後の細目の協定が具体的にどうなるかということについてはまだ申し上げる段階に至つておりません。  それからこの余剰農産物の価額は、御承知のように総額において一億ドルでありますが、そのうち千五百万ドルに相当する部分についてはいわゆるグラントであつて、これは現物で日本側に贈与されるものであります。従つてその分において、たとえば学童給食というような計画が、従来やられておる以上に広範囲に行われることになるわけであります。それから八千五百万ドル相当分については、これによつてわが方が買い入れまするものは、通常のわれわれの需要としてどうしてもほしい食糧及び綿花等のものであります。しかしながら現在の日本の外貨の事情から申しますると、なかなかそこまで手が伸びそうもない、ほしいけれども外貨の事情からいつてなかなか輪入することが困難であるという部分を、この余剰農産物を買うことによつて、一つには米国側にも協力をすることになる、一つにはわれわれの外貨事情を救済することにもなる、両方の利害関係がここに完全に一致するわけであります。しかもそういうような農産物でありまするから、日本が通常他の第三国との関係において期持しあるいは外貨の予算をつけておるというような物の取引を絶対に阻害するものではありません。そうしてこの部分を外貨を用いずして円で支払うわけであります。それからこの農産物の日本国内における処理に関連して起つて参りまする代金の積立金のうち七割は、日本側において融資の形式において、日本側の欲するような国内産業の充実――これにはただいま御指摘がありましたが、平和産業が大部分であることはもちろんのこと、日本の農地開発、日本の農業生産力の増強ということももちろんこの中に入ります。さらにまた日本が東南アジア諸国と相協力をして、両地域間の貿易の円滑化をはかるというようなために使われることも、この両国の発表に明らかな通りであります。かくして日本側の経済自立の上にこれは相当の貢献をするものであります。しかも私の強調したいと思いまするのは、これはさような関係で出て参る金でありますから、国内にインフレを起さずして、しかも日本の欲するところにその資金が充当されるわけであります。いたずらにこの額がもし非常に大きなことになりますれば、また日本として通常の需要以上に買うのだということになれば、かりにそのかわり円資金が使われるとしても、これはインフレを起すことになります。さような観点をいずれの点から考えましても、この余剰農産物の処理という問題、今回の大綱のとりきめというものは、日本経済自立の上に非常なプラスになるものであり、また日米協力の具現ということにもなり、さらに進んでは東南アジア経済開発の問題にも通ずるものである、こういうふうに私は確信いたしております。

西村久之自由党

○西村(久)委員長代理 高橋君より関連質問の申出があります。この際これを許します。高橋禎一君。

高橋禎一日本民主党

○高橋(禎)委員 私は吉田総理大臣が私の知らないうちにお帰りになつたのですから、立ちました機会を活用いたしまして私から副総理に質問いたしたいと思うのであります。これは先刻同僚川崎委員からの質問及び先ほどの山花委員の質問に関連するわけでございますが、緒方副総理御存じのごとく、吉田内閣総理大臣は自由党支部長会議において有名なる指揮権発動に関する御演説をなさいました。はしなくもそれが日本国内において批判の対象になつたわけでございますが、その趣旨は私ども録音の速記をしたものを見まして詳細に承知しておりますが、緒方副総理も御存じだと思いますから、それをここで引用することを避けます。要するに政治資金規正法の規定している内容を否認するかのごとき御演説でありました。そして政府は政党政治を破壊しようとするがごとき検察当局と、これを敵として闘うというようなお考えでもつて確固たる信念で指揮権を発動したのだ、こういうお話でありましたが、一体あの吉田総理大臣の演説された内容というものは、指揮権発動の理由になつているものであるかどうか。それを私はここで確かめておきたいのであります。また政府と言われるのはいわゆる内閣全体のことを意味するものだと思うのでありますが、その点について緒方副総理はどのようなお考えを持つておられるか、まずこれを明らかにいたしたいと思います。

緒方竹虎自由党北海道開発庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 当時自由党の支部長会議で吉田総理大臣が総裁の資格においてあの発言をされたとき、私は居合せませんので、どういうお話だつたか存じません。後に私が総理から直接に承りましたところでは、あの発言には非常に言葉が足りなかつたからそれは委細を法務大臣の方に手紙で書いてやつたということがありました。政府と言われるのはどういうことに使われているか、これも私記憶しておりませんが、総理の解釈では指揮権発動は当時の法務大臣がその信念と判断によつて行つたものである、そういうふうに自分は思つているがどうか、その通りでありますということをお答えしたわけであります。従つてその政府という言葉がどこに書いてありましたか存じませんが、総理の考えはその通りであるというように私は存じております。

西村久之自由党

○西村(久)委員長代理 高橋さん、この際お諮りいたしますが、明日総理大臣が出た際に総理大臣にお尋ねした方がよろしいのではございませんか。

高橋禎一日本民主党

○高橋(禎)委員 そういたしましよう。それではいま一点お尋ねいたしますが、先ほどの川崎委員の質問に関連いたしますが、吉田内閣総理大臣は総理をもはや辞退するということを決意された。そして今度不信任案でも通過すれば出たとこ勝負で自分の態度を決定する、こういうふうなお話でございましたが、緒方副総理といたしましては、将来政界を引退する人あるいはまた総裁を引退することを決意している人が、内閣不信任案が通過した場合に一体解散をするということは、私どもの理論をもつてすればとうていうなずけないわけでありますが、大体憲法が解散権を認めているのは、その内閣が国民から信任されているかどうかということのために解散ということが認められるわけでありますが、今お尋ねしたような趣旨で一体解散ということができるのかどうか。その点について緒方副総理はどういうお考えを持つておられるか、お伺いしたい。

緒方竹虎自由党北海道開発庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私の承知しております限りにおきましては、総理大臣は適当な時期に総裁をやめるということは了承されたようでありますが、今現在内閣総理大臣でありますし、その人がそういう場合に臨みまして国会の解散をすることは一向さしつかえないと考えます。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 先ほど大蔵大臣の方から金の使途についてはひもつきでない、こういうように弁明されました。借款の方はそういう形になつているかわかりませんが、ここで重ねてお尋ねしたいことは例の贈与の分であります。去年はたしか一千万ドル、三十六億円ほどございました。またことしも一億ドルの借款の中の一部分は贈与という形になつている、というふうに承つているのでございますが、去年の金の使途がひもつきであつたかなかつたか。ことしの金も去年に関連してどういうようなことになつているのかどうか。去年の金の三十六億円は今どういうふうな配分になつているか、どういう産業に向けて配分されているか。こういう点について詳しく御説明を願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 昨年の贈与の一千万ドル、三十六億円につきましては、これは日本の方で金が使えることに相なつておりまするが、御承知のごとくにこの金の使途については双方で協議をした上で向うの同意を得てということがあります。そういうことがちやんとあのときの契約にあるのでありまして、その同意を得るということが条件になつておりますから先方と協議をいたしているのであります。まだ先方との協議中で十分にまとまつておりませんが、もう近くまとまるであろうと考えております。従いましてこの約束に基いて協議をいたしているわけでありますので、この分については、先方と協議がまとまつて同意を得てから、初めて使い得る、こういうことになつているのであります。これは近く使い得ることに相なつているのであります。  それから今の一千五百万ドル、本年の分は学童に対する給食、被服でありまして、大体実物が参るのであります。このことは学童に給食しまた被服を給与するということになつているので、はつきりとこれは目的が明記されております。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 去年の贈与分とことしの贈与分は、ただいまの大蔵大臣の説明によりましても大分内容がかわつておりますので、去年より一歩進歩した形の贈与というようにわれわれは理解して、はなはだけつこうなことだと考えているのであります。  そこでもう一つ問題にしてお聞きしたいことは、先に世界銀行の借款があまりに苛酷なものである、こういうことで実業家の諸君までが悲憤慷慨しているということをわれわれは知つているのであります。一体この条件はどんな条件なのか。また政府の期待はずれの借款までして、日本側の使用計画が全面的に変更になつた結果が今度生じておると思うのでありますが、その点は政府はどういうような計画を具体的に立てられておるか、この点ただいまおわかりになつておればお聞かせ願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 当時これは詳しく御説明申し上げたと存ずるのでありますが、世界銀行は五十数箇国からできておる銀行でございまして、日本のごときも日本から代表者を出して向うの理事としておるような次第であります。従いまして、どこの国にも特に厳格に、あるいはどこの国にも寛大にということではなくて、これは各国とも同様な条件に相なつております。従つて日本のみが何ら厳格なものではございませんが、この五十数箇国をとりまとめる関係もございますので、自然普通の一国同士の間におけるいわゆる借款等に比べて相当厳重になつているのはやむを得ぬことだと考えるのであります。大体当時金額四千二十万ドルが年四分五厘で借りられたということについては今なお御記憶があろうかと存じますが、もしまた条件が特に必要でありましたら、別にあらためてそういう条件のものを書いて御参考に簡単なものを差上げてもよろしゆうございます。私今記憶のままで申し上げているのですから、もしまた条件を間違つておるといけませんから、それ以上のことはまた他の機会に申し上げたいと思います。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 あとから書類を渡すそうですから、これは書類をいただくことにいたしましよう。  また特需は、初めアメリカ側から日本に漏らされた点は、約七億ドルというようなことで約来をしたとかいうようなことが一時伝えられておりました。ところが今では何の約束も与えられていない。そして実際は約五億ドル台になつてしまうというのが、ただいまの実情ではなかろうかと思うのであります。こんなことでは――政府はこれは見込み違いだといつてたいへん狼狽されておるそうであります。しかしわれわれが考えてみますと、ただいまの世界の情勢は俗にいう平和共存の態勢となり、戦争経済が漸次破綻をして、恐慌がゆるやかながら、ちぐはぐな状態であるが深まりつつあることは、何人といえども否定できないのであります。その結果アメリカのMSA特需はどうしても今後ますます減ることが明らかであります。これは火を見るよりも明らかであろうとわれわれは確信するのであります。ますます稀少価値のMSAにすがつて、そしてその交換条件のような形で、日本の防衛力増強というような名目で再軍備を押しつけられておるのが、今日の日本の姿ではなかろうかとわれわれは考えておるのであります。このままで行くと、国家経済は自立どころか、まつたく逆の経済破綻のところに追い込まれて行くというのが今の経済の実情ではないかと私は思うのであります。この点は大蔵大臣とはずいぶん意見が対立して参りますが、しかしこの際将来のただいま申し上げましたような状況を的確に判断されまして、政府は一大政策の転換を行つて、従来の面子にとらわれることなく、真劒に経済自立と国民生活安定のために、防衛力漸増方式をやめて漸減政策を行い、今後の貿易政策も、中共を含むアジア全域にわたり得るような近隣諸国家との国交回復調整を行う決意を持つて、外交方針の転換をもひとつ決意をしていただきたいと思います。政府責任においてさような方針をこの際内外に発表する意思があるかどうか。総理は帰つておられますので外務大臣、また経済転換に関しては大蔵大臣に所信のほどをお伺いしたいのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 われわれは中共なりソ連なりとの貿易については、先ほど申しましたように、自由諸国との協調の上に立つて、その範囲での拡大をはかつておる。現に過去数回にわたりまして、中共禁輪物資の解除を行つております。しかしながら他方、自分の国を自分で守るということは、私は当然のことであり、この点については政府部内に何ら意見の相違はないと考えております。従つて軍備と申しますか、自衛隊を、今でさえ非常に少いものをさらに縮小するなんという考えは毛頭ありません。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 特需の問題でありますが、特需は年初見ましたときには、大体七億一千余方ドルを見ておつたのでありますが、その後仏印等におきまする紛争がやんだこと等によりまして、またアメリカ本国におけるいわゆる軍事費も減小する等、そういうことから大体今お話になつたように五億数千万ドルくらいなものではないかと今日考えております。しかしながら私どもが今非常な一連の経済政策をやつている根本は、さような特需のごとき一時的なもののみを当てにせずに、日本が正常な貿易によつて日本の経済自立をはかりたいというところから、国民の各位に乏しきに耐えていただいている次第であつて、また一部からかれこれ相当言われているいわゆるデフレ政策というか、苦しい面もある政策を実行しているのはそれがためであります。幸いに国民各位の御協力を得まして、昨日来申し上げましたごとくに、この六月以来は、昨年三億一千三百万ドルの赤字であつたものが、また年初は大体七億一千余万ドルの特需を見込んでなお一億ドルの赤字を見ておりましたものが、今日は漸次黒字にかわりまして、おそらくこの二十九年度は、当初の一億の赤字ではなくて、一億七千余万ドルの黒字になるであろう、こういう見通しになりましたことにつきましては、これはまことに御同慶にたえないと思つておる次第であります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 岡崎外務大臣の御答弁によりますと、経済面においてはやはり近隣諸国との流通をはかるような方策を漸次考えて行きたい、こういうふうにわれわれには受取れたのでございますけれども、なお他国の侵略とは申しませんが、自国の防衛のためにはただいまの自衛隊、これは少いので漸次ふやして行く方針だ、こういう点も明らかにされました。そこでお尋ねしたいのは、たしか半年前程度の岡崎外務大臣の貿易政策に対する国会内における答弁も私はたびたび聞いておりますが、具体的に申し上げますと、中共政権下との貿易は絶対やらないような方針である、こういう点がたびたび鮮明されました。それから日時も大分たち、国際情勢もいろいろ変化し、そういう関係からただいまの御答弁は漸次心境の変化をされたというふうに認められますが、さよう解釈してよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 そんなようなことはまつたくあなたのお考え間違いであつて、昨年にしろ一昨年にしろ、中共とは貿易をいたしておる。いたしておるのに絶対やらぬなんて、そんなことを言うわけはありません。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 ここで議論をしてけんかをしようとは思いません。これは国民が判断をすることだと思います。私は従来の半年前、一年前の岡崎外務大臣の中共に対する貿易政策は、拒絶の方針を堅持されていたというふうに考えております。ただいろいろな関係で若干貿易のあつたことは事実であります。これはあなたが社長をやつておりますところの日米自転車もやはり中共相手に貿易をされている。これはあなた自身もよく御存じの通りであります。議論をいたそうとは思いません。  補正予算の大綱についてでございますが、われわれは防衛庁その他に問い合せ、また政府側にいろいろ去年の繰越しの明許費を含めてほとんど防衛関係の費用は使い果したという返事にしか受取れないのでありますが、この七月に大蔵省が発表したものとして新聞に掲載されたところによりますと、二十八年度末には安全保障費二百七十二億円、保安庁費二百五十二億円、防衛支出金四十三億円、平和関係善後処理費三十四億円、連合国財産補償費七十七億円、軍人恩給費三百二十三億円、計一千一億円の巨額な繰越し明許費が発表されておりました。そのほかことしの直接間接の防衛関係費は約二千二百億円程度でございまして、政府はこれをことし中に使おうとしておりますが、一方では御承知のように一兆円予算だといつて、たとえばこれは一例でございますが、公務員及び公共企業体等の職員の諸君の給与に関してはゼロ回答が出ておる。またこれらの諸君の生活擁護運動や一般の労働者の労働運動に対しても権力弾圧を一方には行つておる。しかるにこれらの巨額の費用を一兆円のわく外に使おうとしておることはわれわれは再三再四指摘して来たところでございます。この矛盾した政策のもとに健全自立経済は私は確立されないと思います。大蔵大臣は非常にドルがよけい残つたとか、貿易収支が、これはよく下世話に申しますところの、帳面合つて金足らずの結果に私は終つておるのではないかと思うのであります。たとえばドルの保有量にいたしましても、韓国インドネシアの不良資産のこげつきで、帳簿と現なまと合つていないということは、これは大蔵大臣も御承知の通りであります。ただいま大蔵大臣の説明の裏には多くの失業者が出ておる。生活困窮に多くの国民が泣いておる。こういう大衆犠牲の基礎の上に帳面づらが合つておる。自由党の、何と申しましようか、政府自由党の宣伝の裏にはこういう大衆窮乏の生活状況が漸次大衆的に広がつておるというこの事実をひとつ御確認を願いたいと思うのであります、政府はアメリカ側が特需や借款を値切つている今日の状況に対し、以上のうち去年の倍でも国民の要求にこたえるために勇気を出して使用項目の予算補正を行う意見があるかどうかという点であります。ただいまの補正予算に若干出ておりますけれども、去年の使い残りの防衛費の一部でも勇気を出して予算補正を行うかどうかということを大蔵大臣に承りたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは防衛庁の費用の繰越し明許の分がありまして、昨年若干繰越されたことは、お話の通りでありますが、その後本年の分は相当支払いが進捗しておりますので、また年度末にどういうふうになるかはわかりませんが、昨年よりは減少するものと考えております。ただこの種の金は、性質上若干の繰越しのあることは、あなたもよく御了承のことと思うのであります。そのほかの点につきましては、詳しく主計局長から申しますが、なおあなたが今勘定合つて金足らずと仰せられましたが、外貨なんかは勘定通り金が入つて来るから初めて外貨になるのでありまして、預託金は空なものでは預託金に相なりません。従いましてあなたの仰せのことは私どもには意味がどうもよくわかりかねます。ただ現実の黒字がある。繰返して申しますが、あなた方がいろいろなことを言われるにかかわらず、六月は一千百万ドル、七月は千八百万ドル、八月は三千八百万ドル、九月は三千九百万ドル、十月は五千三百万ドル、なお引続き毎月黒字を続けつつあるという現実に目をおおつて、いたずらに悪口を言われることに対しては、これはもう少しあなた方も御反省を願いたいと思うのであります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 大蔵大臣は声を大にして自讃を強調されております。私の今問うたのは、あなたのその自讃されておる政策の陰には、しわ寄せによつて大衆窮乏の実情がある。これを理解せよと言つておるのであります。あなたも政治家でしよう、国民生活安定のためにあなたは今内閣閣僚として努力されておるのでしよう。だからそういう点を十分理解していただきたい。それでは失業問題がどうなつているかという点について申し上げましよう。失業問題については今年の初頭に、私はあなたと労働大臣と若干論戦をいたしました。これはあなたも記憶されている通りです。この二十九年度予算審議の当時におきまして失業者は必ずふえる。政府のやつているデフレ政策は端的に申し上げますと、失業者を製造する政治をやつておられるのだから、万全の失業対策が必要である。ところが労働大臣もあなたも、非常に安易な気持で失業保険経済は絶対大丈夫だと答弁をされました。失業者はたとえば十六万三千人おつた。これを万一の場合を考慮して五%増したと言われたあなたの考えは、今半年後の今日破算しておるじやありませんか。そうして今日この失業対策の予算補正を組んでいるじやありませんか。こういう点を十分謙虚な気持になつて、お互いに国のため、国民生活安定のために議論をしておるのでございますから、そういう角度から議論のお進めを願いたいと思うのであります。予算案を審議するときに横ばい状態というようなことを、失業者増加の問題について労働大臣は言われました。ところが政府は格別の考慮を払つて五%増の緊急失対事業、俗に言うニコヨンの労働者の諸君の就労を確保する。そうして二十一日の就労は絶対くずさない。私は必ず予算は破綻する。予算補正を行わなくちやならぬ。そのときに大蔵大臣、労働大臣はどう答弁されましたか。政府は一兆円以内のデフレ緊縮予算を絶対堅持するから、予算補正の必要は絶対ない。特に失業保険ではわずか八千万円程度しか増額していないから、こんなことではいけないと注意を申し上げました。ところが失業保険経済は磐石であるとたいこ判を押したのがあなた方の答弁です。今日失業保険はどうなつているか、わずか半年先のことがあなた方には見えないじやないですか。そんなことでこの重大な時局の政治ができるかと言うのです。もう少し謙虚な気持で自己反省をしなさい。私は失業問題で今日この程度の予算増額でもなお足りないと言いたい。年度末にもし失業者の問題を解決できるという自信があるならば、ひとつ御答弁を願いたい。これは大蔵大臣と労働大臣から御答弁を願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 当時申し上げたのは、私どもは大体昨年よりも一切の諸経費を減じておる際に五%の増を見ておるのであるから、これはまあ、一応それでいいということを申し上げたのであります。ところがだんだんと施策の浸透に伴いまして、失業等の面に現われて参りましたので、それで今回の補正予算の措置をとつて百十数億をいわゆる社会保障費に振り向けたわけであります。従つて今度の補正予算の最も大きな費目が失業保険あるいは失業対策その他の社会保障諸費になつていることは御承知の通りであります。但し私どもはこれで現在足れりと信じておりますが、しかしまた社会情勢いかんによつてもう少し私どもは考えなければならぬことが起つて参れば、これはもちろんそのときに十分考える所存でありますが、ただ私どもは当初より一方でいわゆる経済健全化政策を行うときには、他方である部分の摩擦を起す部分があるから、これに対しての備えが必要だという点よりして、ほかの予算を削つておる際にもかかわらず、五%の増加をいたしておるのでありまして、この点について今のあなたの言われたようなことは、われわれが相当意を用いていることはおわかりてあろうし、今回の補正予算も主たるものが社会保障費であるという事実に思いをいたしましたならば、相当政府はこの苦しい歳入の範囲内で意を用いておることがおわかりを願えることと思うのであります。もちろんすべての問題は私は謙虚に受入れるつもりでおりますが、ただあなた方は一方には何でも政府はいろいろいいいいと言つておるが、ちつとも黒字になつておらないじやないかというお話でありますから、こういうことは動かせない現実の事実である。国際貸借というものははつきりとしたものであつて、これが国と国との関係を表わす一番はつきりとしたものである。しかも今回は、国際収支の均衡を目標としてすべての政策を立てたことは、私がこの施策の当初に申し述べた通りであります。従つてそれが効果を生じておるということを述べたのであります。決して私は謙虚の心持を失つて――私の謙虚な心持を理解してもらえば、こんなことを重ねて申さずに、その点はよくやつてくれたがこうだとおつしやるなら、それはよくわかるのだが、やつてくれてないと言われるならこれは事実を誤るものだ。勘定合つて金が足らぬじやないかと言うが、これは勘定以上に金が足りておるということを申し上げておるのであります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 失業関係につきまして私が申し上げたことは、今もはつきり覚えておりまするが、失業問題については楽観もせず、悲観もせず、事は重大であるから、機に臨み、変に応じて適切な処置を講ずるということであります。すなわち私が申し上げましたのは、予備費もございますし、百九十億に上るところの節約もありまするから、こういうものをもつて、新たなる財源をそのために起すような補正は必要と考えない、こういうことでありまして、今回八%増の失業対策費を見ておる、また二十八億程度の失業保険の繰入れをしたのも、この線に沿うてやつておるわけであります。  なお私が横ばいないし低落ということを先ほど申し上げたのは、CPIについて申し上げたことで、失業状態について申したことではございません。CPIは大体一月が一一七・六九、その程度に推移しておるのであります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 時間も参つておりますので、私の質問はあと一問で終りたいと思いますが、先ほど岡崎外務大臣は、防衛力は漸増をして行く方針だと政府の方針を明らかにされました。特に大蔵大臣は、デフレ緊縮予算をもつて日本の健全財政を築いて行きたい。その裏には、物価も下るし、そういうようなことから国際貿易も伸張する、こういうような方式を述べられました。このものの考え方は、これは私の推定が誤つておるかどうかわかりませんが、おそらく二十三、四年前の浜口民政党内閣が行つたデフレ緊縮予算のあの結果を考えて、ただいまのようなことを言われておるのではなかろうかと私は推察しておるのであります。あのときにはたしか物価は二割下りました。国際関係も、たとえば円とドルとの為替関係も、たしかドル二円二十銭程度ですか、日本の経済史上では非常にいい国際間の通貨関係を維持することができました。ところが浜口内閣の当時には、御承知のようにデフレ緊縮予算は失業者を製造する政策だという見地から、当時東京市におきましても、初めて失業救済事業という明確な失業対策を立てて参りました。またあのときには御承知のように軍縮政策を行つて参りました。ところがこの内閣は、明快なる失業対策も打立て得ないし、軍縮とは反対に軍拡の方針を明らかにされました。こういうことで自立経済ができるかどうかという点でありますが、まつたくあのときとは反対の政策を行いながら、あのときの政府と同じ結果をもくろんでおるところに、この内閣の大きな錯覚があるのではなかろうか、こういうふうに私は懸念するのでありますが、なお大蔵大臣から、経済自立に関して自分の考えが正しい、ゆるぎないという確信がおありでありましたならば、最後の私の質問にお答えを願いたいと思います。

西村久之自由党

○西村(久)委員長代理 山花君に申し上げますが、それは政党の政策上の見解ですから、当然そうかわつて来るものだと御了承願いたいと思います。   〔「委員長、よけいなことを言うな。)と呼ぶ者あり〕

西村久之自由党

○西村(久)委員長代理 同じことをお尋ねになるからそう申し上げたのであります。それは政党の攻策上の見解ですから、当然そうなるのじやないかと申し上げておるのでございます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この点については、私どもがたびたび財政に関する演説等で申し上げておるから、ここにあらためて繰返さないでよいと存じまするが、私どもはこの二十九年と三十年の両年度をこの健全財政政策で貫く、そしてその方法としては、財政についても縮小均衡をはかる、そして金融は引締め、外貨予算についても輸入あるいは輸出に対する操作を行う、税制措置をとる、その他各種のことをやることが引続き必要であり、三十年度もこれを堅持して参る。しかし三十年度は、すでにもう黒字になつて来たのであるから、これを地固めの年として、その地位を確保するようにあらゆる施策をそこへ集中して参る。それには、たとえばよくあなたも言われた出血輸出などのことがあつては困るから、それでいわゆるコストの引下げに対して生性産の向上、あるいは金融については質的改善等をはかることによりましてその目的を達したい。そうして三十一年度からは、いわゆる拡大均衡の線に持つて参りたい、またこの両年をやれば、必ずこれは実現し得ることを私はかたく信じておるのであります。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 再三再四両方意見が対立しながら質問戦を続けて参りましたが、大蔵大臣は非常に楽観されて、来年度の財政方針に至るまで言及されましたが、おそらく来年度の財政方針演説はあなたの内閣以外の内閣が行うであろうということを申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。

西村久之自由党

○西村(久)委員長代理 古井喜實君。

古井喜實日本民主党

○古井委員 他の関係大臣がまだお見えにならぬようですから、先に法務大臣にお伺いをいたしたいと思います。 最近全国にわたつて市町村の合併が推進されて行われておるのでありますが、市町村の合併に伴う市町村会議員の選挙でありますとか、あるいは市町村長の選挙、この実情を法務大臣は御承知でありましようか。まことに嘆かわしい腐敗選挙の状況であると私は思つております。実情を御承知になつておりましようかどうでありましようか。いろいろの事例があるようでございます。   〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕  これにかかわらず、検察も警察も少しもこれに対して手を出さない、まつたく手をつかねて見ておるという状況であります。こういうふうな選挙をやつて行つて、この癖をつけて行つてどうなることであろうかということを私は憂うるのであります。この実情を一体御承知になつておるのかどうか、また何ゆえに、こんな腐敗選挙が実情であるとするならば、警察も検察も何もなさないで見ておるのか、この点についてまず御所見を伺いたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お答えいたします。最近市町村の合併によつて各地に市町村議員の選挙がありまして、これに多額の金を使うような風説があるにかかわらず、検察庁及び警察がこれを検挙しないのはどういうわけか、実情を知つておるのかどうかというお話であります。かねて選挙違反が議会政治及び民主政治に非常な弊害を流しておるのでありますから、この選挙に関するいろいろな弊害を粛正することは、議会政治の上においてどうしても必要なのであります。この点については検察庁におきましてもまた警察においても、常に気を使つてその検挙に努力しておるのでありまするが、何分にもこういう事犯というものは秘密に行われまするので、なかなかこれが検察の目に届くには困難なのであります。警察で検挙してしかる後に初めて検察庁がこれを取締るのでありまして、検察自身が直接に手を下してこれらの検挙に当るということは、この人員の配置の少い点からも非常に困難を感じておるのであります。従いましてもつぱら警察を使つて、と言つては語弊がありますが、警察と協力してこれらの検挙に当つておるのであります。最近におきましては、市町村会議員の選挙等にずいぶん腐敗が行われておるということを耳にするのであります。けれどもなかなかこれをつかまえることが困難なのでありまして、本年の六月及び七月には検察庁の検事長及び検事正の会同を催し、なお七月には地方の次席検事を招集いたしました際に、選挙の粛正については十分に努力して選挙違反を検挙するように指示いたしたのであります。また警察の方におきましても警察本部長会議を開きまして、その際に斎藤警察庁長官から選挙の取締りを厳重にするように訓辞をしておるのであります。それにもかかわらず、ただいまお話のあリましたように実際の実情があるにもかかわらず、手が届かぬではないかというお話でありますが、もしわかつておれば手をつけないはずはないのであります。ただお話のように実情が達しないため、それに手をつけることができないという実情なのであります。しかし最近におきましては、近く明年の知事選挙及び地方議会の選挙もありますので、どうしても選挙粛正をこの際に励行して、議会政治をりつぱにすることが必要でありますから、私どもとしてはできるだけこの方面に力を尽して、選挙違反の起らないように、起きたならばこれが検挙をはかつて、その粛正をはかるように努めたいと存じております。

古井喜實日本民主党

○古井委員 法務大臣のお考えは伺つたのでありますが、何しろ地方の市町村の選挙におきましても数百万円というような経費を使うような、そういう選挙がそのままにほつておかれるということであつては、ろくなことはないのであります。こういうことが来年の全国にわたる地方の選挙、あるいはいつあるかもしれない衆議院の選挙等にあとを引きましたら、これはとんでもないことになると私は思うのであります。この点については御認識はあるようでありますけれども、なおよく実情を御検討願つて、御考慮を煩わしたいと思つております。今選挙法の改正が問題になつております。しかしいかに選挙法を改正しましても、励行しませんことには何にもならぬのであります。また法を励行すれば大きな成績が上るということは、法務大臣がよく御承知の昭和十年ごろのあの選挙粛正運動の際の経験に徴して、まことに明らかだと思います。あのときこそほんとうに金のかからぬ選挙だつたということは、当時の御経験をお持ちになる先輩政治家の方がみな口をそろえておつしやつておるのであります。この法の励行ということについて御考慮をぜひ煩わしたい。そうしてこの民主政治を救つていただきたいものだと私は思うのであります。ただ法の励行という問題で伴いやすい問題は、いわゆる選挙干渉という問題であります。つまり厳正の上に公平を期さなければならぬ。へたをやるというと、選挙干渉の問題になつて来る。この点を特に戒めつつ、法の励行ということに当つていただきたいものだと私は思うのであります。なおこの問題については早くから国民一般にも呼び掛けて、そうしてこの趣旨をあらかじめよく知らせ、啓蒙をしておいた上で実際法を励行するということに、ぜひ事前に国民を啓蒙するということを考えていただきたい。さもなければいたずらに罪人をつくるだけになつてしまうおそれがある。今日一体何ほどそういう点について啓蒙なさつておるのかどうか、私は何にもなさつておらぬと思う。少くとも地方選挙は来年の四月にあることはもうきまりきつておるのであります。もう半年ないきようであります。半年やそこらは決して早過ぎはしない。何をなさつておるか。私は十分周知徹底をした上で、そうして法を励行するということ、これを根強くやつて行くということが大事だと思いますが、簡単に重ねてこの辺についての御所信を伺いたいものだと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねのようにどうしても選挙の粛正をやらなければならぬのでありまして、ただいまお話になりましたように、昭和十年に行つた選挙粛正運動は、非常に効果があつたことはお話の通りであります。あの当時私は司法大臣におり、やはりこの選挙粛正運動には相当力を尽したつもりでおつたのであります。あのときは国民全体が盛り上る力をもつてどうしても選挙の粛正をせなければならぬということで、各方面の団体が力を合せて、民間で選挙の粛正運動をやつてくれたのであります。今度私も就任しました後、やはりあのときと同じように民間の力を借りて選挙粛正はやらなければならぬということを考えまして、ただいま団体で最も有力なのは、公明選挙団体をつくつておられまする前田君その他が力を尽されておるのでありますが、この方面に今話をして、運動をもつと広く全国的に強力に展開してもらうようにできないかということを御相談しておるのであります。さようなことで、単に検察あるいは警察の力だけではとうていこういう粛正を達するわけに行かぬのでありまするから、検挙よりはむしろ事前の啓蒙運動が大切であるということは御説の通りでありまして、その方面に今申したように力をいたしておるのであります。やがて多少の効果が現われて来ることを期待いたしております。せいぜい努力をして、お話のような選挙粛正の効果の上るように努めたいと存じております。  なおまた、ただいまお話がありましたように、大きな事件があるのに何をぼやぼやしておるかというお話でありますが、もしさようなお聞込みがありましたならば、それぞれの方面へ御通知くださるなりあるいはわれわれにお話しくだされば、これを一つの手がかりとして、そういう方面の粛正をはかることもできようと思いますから、今後ともなおそういうことには御尽力をお願いいたします。

古井喜實日本民主党

○古井委員 警察や検察の方では目が届かないというようなお話で、投書密告もけつこうだと言わんばかりのお話でありましたが、知つてはおりますけれども、まあ一々は申し上げません。しかしただ認識を深めるためにこういう例を参考に申し上げてお聞取り願つておきたい。ある合併町の町会議員の選挙で、ある一つの旧村は、候補者に向つて有権者一人について二百円ずつの金を持つて来い、五人の家なら千円持つて来い、持つて来た人のうちから投票するんだ、持つて来ない人はもうはずしてしまう、こういうような話合いまでして、そうして一つの村がそういうふうな集団的に事をやつたという事例も私は知つておるのであります。それほどのことがあるのに警察も検察も何もわからぬ。一体おるのかおらぬのかわからぬじやないかと私は思うのであります。これは御認識を深める意味で申し上げるのであります。またほつておけば容易ならざることになるということを憂えるから申し上げるのであります。どうぞ民間の方の団体の協力もいりましようが、政府の方でもはつきりした態度をとり、事前の啓蒙に御考慮を煩わしたいものだと切望をいたします。  自治庁長官はお見えになりませんか。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 参議院に行つておりますので、間もなく参ります。文部大臣にお願いいたします。

古井喜實日本民主党

○古井委員 それでは文部大臣がおいでになつておりますのでお尋ねをいたします。日教組の問題でお尋ねをするのではありません。まことにじみな問題でお尋ねをするのであります。これは前回の国会でもあるいはその前の国会でも私がくどくしつこく申し上げておる問題でありますが、学校校舎の設備を早く改善してもらいたいという問題であります。たとえばいわゆる危険校舎の問題につきましても、本年度の予算、昨年度の予算を国会で修正をいたしまして、政府の原案を相当大きくいたしました。政府の原案では、危険校舎の関係の予算が十二億円だつたと思います。それに対して十億円という、ほとんど同額くらいな増額を二回繰返してやつたと記憶しております。それほどのことをやつても危険校舎の坪数はふえておるのであります。ふえると言うとおかしいのでありますけれども、だんだん老朽し、危険になつて来るのであります。追つつかないのであります。これは私も数字を持つておりますけれども、文部の御当局では十分御承知のことであります。あれだけやつてもまた追つつかないで、危険校舎が前の年よりふえておるという実情を何とごらんになるか。もし政府のお考えになつておつた程度の処置を講じておつたならば、危険校舎はどんどんふえてしまう。いずれはこれは直さなければならぬものにきまつておるのである。先に置いておいて何の利益もないことであります。私はこの点については、いかにも従来二回にわたつた政府の御態度が不満であります。国会の修正は至当であつたと思います。何ぼ繁縮でも倒れてしまう、こわれてしまう校舎をほうつておくわけには行かぬのである。そこでこの辺についてはどういう御認識をお持ちになつておるものであるか、またお考えを伺つておきたいと思つております。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 学校施設の整備につきましては前国会においてそれぞれ法律が成立をいたしまして、この法律的根拠のもとに鋭意整備を重ねて行きたい、こういう考え方で行つております。そこでこれは老朽校舎だけではありませんが、何分にも相当巨額の支出を必要とすることであります。老朽校舎につきましても、今古井君のお話になりましたように、二十八年度並びに二十九年度両年度とも国会で修正増額をしているのであります。この二箇年度において大体四十万坪程度の改築ができるものと考えております。年々それだけのことをやつておつてどんどん増しておるということは、私はそうは思いませんが、しかし老朽というものの程度は人によつて違いますから、二箇年に四十万坪の改築をして、しかもどんどんふえているとは私は思わぬけれども、とにかく一応文部省として一定の基準に沿うた老朽校舎の坪致というものを出しまして、できるだけ早くこれを改築をしたいという考え方で、ただいまのところ大体四箇年くらいの計画で改造に努力したいと思つております。ただ今申し上げますように、相当一時に巨額の支出を必要といたしますので、国の財政全体から見てはたしてわれわれの希望するように参るか参らぬか、これは今後の問題でありますけれども、われわれとしては大体それを目標として改築整備をしたい、こう思つておるのであります。

古井喜實日本民主党

○古井委員 十分御認識はあるようでありますからくどくは申しませんが、危険校舎がふえておるはずはないというふうな点は、よくお調べになれば間違いであります。また危険校舎はどういう程度のものを言うかということなんかも、建築基準法等でそういう基準から判定して調べたものがあるのであります。ここにもあります。確かにふえているのであります。お話は誤りでありますから、よくお考えの上で御考慮をぜひお願いしたいと思います。  なおこれは自治庁長官などがおいでになつたら伺いたいと思つておりますが、今地方財政の赤字を起す大きな原因は教育費と災害の経費であります。この二つが地方財政の赤字の原因であります。そのほか人件費といいますか職員の経費、これが非常に重圧を加えておる、こういうことであります。赤字原因を突き詰めて見れば要するに一半は教育費である、しかもその根本は六・三制から来ていると私は思います。六・三制という理想はりつぱでありましようけれども、背負い切れぬものを市町村が負わされておる。それがために市町村が苦労し切つておる。これに対して国に十分な財源措置をしてもらえればいいのでありますけれども、――いろいろな数字で申し上げてもいいのでありますが、財源措置が不十分であります。それでこの六・三制という問題をいつまで一体背負つて行けるだろうか。よいことであつても市町村が財政的につぶれてしまうということであつては、その面からも容易ならぬ問題になると思うのであります。私はこの六・三制をここでよいとか悪いとかいうことを申し上げる気はありませんけれども、将来これはいつまでも背負つて行けないのではないかということを実は憂えておるのであります。この点について、地方財政に理解を持つ立場から文部大臣の御所見も伺つておきたいと思うのであります。  なお教育委の問題は、文部大臣は育成強化するのだとおつしやつておりますけれども、市町村の教育委員会などという有害無益なるしろものがあつて、このために多分地方費を五、六十億は食つておると思います。一つも役に立たぬどころではない私は詳しくは言いませんけれども、むしろこれは有害な機構だと思つております。教組の行き過ぎ行為を監視させるのだとお考えになつたところで、子供を質にとられた父兄である教育委員が、何で一体教員の監視ができるものであるか、まつたく逆に手先になつているだけであります。役に立ちはしません。立つたところで、そういうやり口は邪道であります。これはきよう論議を始めておつては切りがありませんから申しませんが、これまた今まで通りにお考えにならぬで、御再考を願わねばならぬ問題であろうと私は思つております。財政の上からいつても実際の働きからいつても、確かに御検討になる値打ちのある問題だと思つております。両点についてあわせて御所見を伺つておきたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 今日地方の財政の上で教育費が相当の大きな比重を占めており、それが地方の財政の困難の一つの原因になつておるということは、私もそうであろうと思います。しかしさればといつて、ただいまのように六・三制教育がその原因であるというふうな見方もあるかもしれません、 しかし今日の地方の教育費というものが非常にむだな経費をつぶしておる、非常に放漫な支出になりがちであるというものとは私は考えておらぬ。教育費というものは、昔から地方団体の上には非常に大きな比重を占めておる支出であります。今日全体において地方の財政が窮乏しておる場合には、こういうどうしても出さなければならぬ経費というものは、非常な圧力になつてそれを感ずるということは、まさにその通りであろうと思うけれども、さればといつて今のように六・三教育をやめて、教育費の負担をそういう制度によつて減小することになれば、これは別でありますけれども、今日の教育費の上においてそう多くを節減し得るものではない、こういうふうに私は思つております。これはやはり地方財政全体の問題として調整をとつて考えられなければならない問題だろう、こういうふうに考えます。  それから、教育委員会の問題ですが、これは今も古井委員の言われましたように、これについてはいろいろの議論があります。しかしこの議論は議論といたしまして、ただいま古井委員の言われた御意見は御意見として拝聴いたすものであります。しかし私は、地方教育委員会というものを教員の監視機関として使うのだというようなことは言つたこともなければ、そういう考えでもありません。監視という字が非常に耳ざわりであるかもしれません。しかし地方教育委員会に限らず、いかなる行政機関であつても、人事権を持つ限りは人事の適正を期するがためにそれを常に注意して見ているということは当然であろうと思います。これを監視機関として利用するんだと言つてしきりにやかましく言うのは、これは日教組の議論でありまして、私はそういうことを言つた覚えはない。  それから教育委員会があるためにある程度の財政負担が加わるということは、むろんそういうことも言えましよう。しかしながら教育委員会というものをやめたからといつても、それは何らか別な手で教育行政というものが行われる。教育委員会が廃止されても、教育行政に必要なる経費は依然として残るのであります。従つて、私は今詳しい数字は知りませんけれども、教育委員会を、つまり教育委員会という行政機構を他の教育行政機構に改めることによつて、相当多額の、ただいま言われましたような五十五億とか百億とかいうような経費か節減されるということは私はないだろうと思う。教育委員会はやめても、それにかわつて教育行政をなすべき機関はこれはどうしても必要である。その行政費はどうしても絶対に出さなければならない支出であります。ただ教育委員会を存置するかどうかということについての議論が非常にあることは私もよく承知しております。そうしてこれについては、ただいまのところ教育委員会を廃止もしくは本質的な変更を加えるという考えは私としては持つておりません。しかしこれができるだけ円滑に運用され、ことに地方行政の一環として全体の行政との間によく調整がとれて運営されるようにしたい、こういう意味で、できるならば改良し得る点があれば改良したいということで、検討しているわけであります。そういうふうに御了承願います、

古井喜實日本民主党

○古井委員 文部大臣はいろいろ御説明になりましたが、承服できぬ点が一つ、二つどころじやない、たくさんありますけれども、きようはこの問題と取組もうという気はありませんから、後日の機会にそれを預けておきまして、自治庁長官お見えですからお尋ねしたいと思います。  自治庁長官、また大蔵大臣にもお伺いしたいと思いますが、先ほど他の委員からすでにお触れになつた模様でありますが、地方財政の現状はまことに憂慮すべきものがあると私は思うのであります。赤字が連年累増して来ており、雪だるまのようにふくれておるということは数字が示しておる。ことしもまた赤字がふえるだろう、こういう状況が繰返されて来ておるのであります。これをこのままにほうつておいたら、地方財政はそのうち破産するだろうと思うのです。運転がつかぬような実情に現になつておるところもあるのであります。地方の自治体というものは、地方財政の面から崩壊して来るのではないかとさえ私は思うのであります。これはよい悪い、原因がどこにあるにせよ、事実そういう状況に陥つておるということは、どうも認めなければならぬと思うのです。そこで政府の側におかれては、こういう状況にあつても緊縮財政という名のもとに、倒れようがどうしようがもう見殺しにしていいのだというふうにお考えになつておるのか、もしそうでないというならば、どういう対策をお持ちになつておるか、これをお伺いいたしたいのであります。ことに二十八年度までに、新聞の記事では四百六十二億赤字が生じておるのだとい発表があつたのでありますが、このすでに生じた赤字というものが自力で自治体が解消できるとお考えになるのかどうか、そうでなければどういう援助の手を一体差延べようとされるのであるか、またそのためにはどういうことをなさるおつもりであるか、具体策を教えていただきたい。これが今日起つた赤字に対しての問題、それからまたこの年度も新たな赤字が生ずると私は思つておるのであります。赤字が生じないと一体お考えになつておるのか、どうお考えになつておるのか、この点どういう確信をお持ちになつておるか。もしまた赤字が起るという心配をお持ちなら、一体これに対してどうされようというのであるか、この具体策を伺いたいのであります。たとえば赤字が起るというのならば、第二次の補正予算を一兆予算などということを言わぬでお考えになろうというのてあるか。一兆円予算ということがどうしても鉄則だからというのならば、一時融資の方法でも特別に講じて、そうして来年度になつてこれを補填するような策でもお考えになろうとするのか、とにかく動かぬことにはどうにもならぬし、つぶれてはどうにもならぬのであります。この辺について御所見を伺います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 大体地方財政の赤字の実情はただいま御指摘の通りでありまして、二十八年度までは四百六十億くらい。私といたしましては地方財政の赤字はこういう方法で解消して参りたいと考えておるわけであります。二十八年度までの分は、これは三十年度の予算編成の際におそらく法律もできるでありましようし、ぜひまたそのようにお願いしたいと思うのでありますが、それと同時にその裏づけといたしまして、再建整備計画というものをつくりまして、それの資金的な措置をいたしまして、これを二十八年度までの赤字解消のために使う、しかしこれは、今までの不健全ないろいろな形でごまかされております赤字を表面に出して、長期の起債に振りかえるというわけであります。従つてその負債の償還は爾後の年度において計画的に解消してもらうという考え方であります。三十九年度は年度の途中でありまして、これは年度の初めからもそのような考え方で参つておつたのでありますが、ことしは赤字を生じないという考え方で予算措置をいたしておるわけであります。そういうようなつもりで大蔵省の協力を得て今度の補正予算もつくつたわけであります。しかしこの予算で現実に二十九年度の終りに赤字が生じないという見通しがつくかどうかということでありますが、赤字の生ずる原因は、国が措置すべきものを措置しないために起る面もありますが、それと同時に、地方団体側に協力してもらわなければならない面も多々ありますので、はたして赤字が生じないという見通しがつくかどうかということになりますと、これは今はつきりと申し上げる段階にはなつておりませんが、私どもといたしましては、少くとも今度の補正予算の措置によりまして、赤字が生じないように地方団体にも協力してもらいたい、こういう考え方でおるわけであります。三十年度以降は、同じような考え方で、今後赤字が生じないように、地方団体においても御協力願う、また国の側においても措置すべきものがあるなら措置をして行く、こういう考え方をしておるわけであります。幸いなことに、本年度は非常に赤字が累積して参つたせいもあると思うのでありますが、地方団体側自体においても非常に熱心に赤字を解消しようという努力が出て参りましたことは、古井委員も御承知の通りだと思います。私はこの赤字の解消には、地方団体側に出て来るこの熱意、この機運というものは非常に大事なものなのであつて、これなくしては、赤字の解消というものは、国の財政措置だけでは絶対にできない。またそれをいたしました場合には、不自然に膨脹する結果を見るだけである、かように考えておるわけであります。従つて私は、地方に出て参りましたこの赤字解消を自分の力でやろうという機運に国が力を添えて、そしてこの窮迫して来ている地方財政をこの機会に健全な形に立て直すということが、一番正しい方法である、こういうふうに考えておるわけであります。

古井喜實日本民主党

○古井委員 すでに生じた四百数十億の赤字については、三十年度以降再建整備の方途を講ずると断言されておるのでありますか、ちよつとはつきりしなかつたのであります。これはこの春の通常国会のときにも、今までの赤字をどうなさるかと言つたところが、これはひとつ再建整備の方策を講ずるのだという意味のことを塚田大臣はおつしやつた。しかしその後の実績は何にも見るべきものなしであります。それどころではない。昨年の春の特別国会のときにも、塚田大臣御就任の当初であつたかもしれませんが、この問題を申し上げたところが、近いうちに方策を講ずるんだということはおつしやつたけれども、何にもその方策は見ることができない。この春の二月のときもそういう意味のことをおつしやつたけれども、とうとうきようまで何にも拝見できない。こういうことであるので、御在任が長かつたせいでちよつとボロが出たのかもしれませんが、しかしいかにもおつしつたことが実現しないのである。三十年度も大方そういうことを言つてしまわれるのじやないかと思う。しかしこの点については失礼な申し分でありましたから、そうじやないということであるなら、そうでないということを、全国の自治体にお話になるつもりで確言をしておいてもらいたい。できなければ、責任をどうお感じになるかというところまで、自治体に向つてひとつここで確言をしておいてもらいたいと私は思う。それが今まで生じた赤字に対する問題であります。  それから今年度の問題は、赤字は生ずるとおつしやるように私には聞えるのである。生ずる危険があるとおつしやるように聞えるのである。生じないとは断言されないのである。つまり生ずるとおつしやつているのである。しかもこれに対しては国としては措置をしないのだ、自治体の協力にまつのだ、自治体でかつてに考えろ、こういうことをおつしやつたのてある。それ以上のことには私は聞けないのである、一体それで済むものであろうか、どうであろうか。これはたびたびの今までの塚田大臣の御答弁を伺つても、一体赤字が何ぼ生ずるかというお見込みは始終狂つて来ているのである。ここで申し上げてもよろしゆうございます。二十七年度の赤字は何ぼかということを昨年の春お尋ねしたらば、この五月のころには、まず七、八十億か、多くて百億だろうと言われた。ところが七月になつてみたら、もう二百億と言われた。二箇月たたぬうちにこの通り百億以上の見込み違いが起つているという状況であります。二十八年度の赤字の問題も、今までおつしやつているのはみな甘い。みな見込み違いである。これほどたびたび見込み違いをなさつておれば、もうそろそろおわかりになる時期じやないかと私は思う。またこれだけ長いこと同じことをなさつておつて、まことにひどいと思う。もうおわかりになる時期だと思う。赤字が本年生ずるか生じないかぐらいが今になつてもおわかりにならないようなら、もう自治庁長官の資格なしで、内閣とは別にでも自分の責任をお考えにならなければならぬ段階だろうぐらいに私は思うのであります。そこで今年の赤字の問題については、赤字は生ずると思う、しかしこれに対しては自治体で考えろというふうに今塚田大臣はおつしやつたと了解いたしましたが、間違いでありましようか。間違いであるならば、そうでない意味をはつきりおつしやつて、どうなさるかということをはつきりしていただきたい。これは全国の自治体がみな注意して聞いております。これをほつておかれるようならば、塚田大臣の責任か、どなたの責任か知りませんけれども、まず全国の市町村、府県みなあげて怨嗟の声をこの上に加えてこの内閣に放つと私は思うのであります。御所見を伺います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 しばしば見通しの誤りをいたしまして、御指摘を受けてまことに恐縮をしているわけでありますが、何にいたしましても府県、市町村を含めて一万近い団体のいたしました尻を見通しておりますので、つい正確に必ずしも時期的には行かない場合もあつて、今後十分注意をしたいと思います。  なおお尋ねの第一点の、二十八年度までの赤字は来年は再建整備で必ずやるかということでありますが、これはぜひやる。もちろん大蔵省にも御協力を願わなければなりませんし、さらに資金の蓄積の総わく等の関係もありますけれども、必ず二十八年度までについてはさような状況とにらみ合せて最大限の措置をするということをはつきり申し上げておきたいと存じます。それから二十九年度の分、これは率直に申し上げまして、私はまだ若干赤字が出て来るかもしれないと思います。しかし私といたしましては、さつき申し上げたように、赤字を生じさせてもらつては困るのである。そうして政府としては生じないように今度の補正予算を通じて措置をいたしたつもりであります。こういうふうに申し上げているのでありまして、現実の結果は、あるいは古井委員が御心配になつているように、赤字という結果になるのかもしれませんが、もしそういうことであるならば、それはこれから先またあることでありますから、そういう見通しが非常に顕著であるならば、地方団体側に、二十九年度は赤字を生じないように私としてはぜひ御協力願いたいということを、この機会、この場所を通じて強くお願いを申し上げたい気持でおるわけです。私といたしましても、今度の補正予算の際に、それらの点を考慮いたしまして、十分できるだけの措置をいたしたつもりでおるわけであります。

古井喜實日本民主党

○古井委員 今まで起つた赤字の再建整備の点について、自治庁長官は、これははつきりおつしやつたのでありますが、大蔵大臣もこの問題は同様にお考えになるか、大蔵大臣の御所見を伺つておきたいと思います。  なお自治庁長官の方には、今年の問題については要するに考えないということを言つておられます。もう考えないでどうなろうが自治体でかつてにやれということをおつしやつているのでありますから、そういうふうにおつしやつているということを万が一選挙でもありましたら吹聴してまわりたいと思つておりますから、これが違つておるというのなら訂正しておいていただきましよう。今の政府としては、今年赤字を生じたらお前たちが悪いのだ、協力しないからだ、こういうことで見殺しにするとおつしやつているから、そういう政府だということで了解してくれということをはつきり言つてまわりますから、間違つておつたらひとつ訂正しておいていただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 地方財政再建促進特別措置法というようなものを、この次の国会に出したいことについては私ども同様でありますが、目下検討しております。但し赤字の例にもいろいろありまして、古井さんもよく御承知の通り、使いほうだいに使つてしまつて、たとえば隣の県よりも三千円ずつも給料をよけいやるということをやつて、さんざん金を使つてしまつて、同じような恩恵を受けるというようなことがあると、多少その点で使つた方が得だという妙な感じを起させることについては、十分な配慮をいたしたいと思つております。  なお本年につきましてはいろいろ追加を行つたので、そう必要がないと思うのでありますが、しかし誠意をもつてやるところには、補助金の早期決定とか、起債手続の促進とかいうことで、極力地方団体の財政運営の円滑化を期したい、かように考えておるのであります。いずれにいたしましても実情を検討してみまして、資金の許す限り誠意をもつて地方団体の財政再建に努力いたしておるところに対しては、短期資金の供給等相当な措置をとりたい。かように考えておるのが大蔵省の所見であります。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 結論は古井委員御指摘の通り間違つておりません。しかしその結論ではありますが、お願いができますならば、地方をおまわりになるときは、古井委員がおつしやつたようにおつしやらずに、国がめんどうを見ないと言つておるから、お前らも赤字を出さぬようにしつかりやれ、こういうふうに言つていただけばたいへんにありがたい、こういうように考えております。

古井喜實日本民主党

○古井委員 自治庁の長官のお考えでありますが、この政府頼むに足らずということを言つてまわりますから御了承願つておきたいと思います。  それで大蔵大臣にごく簡潔にひとつ伺つておきたいと思いますのは、近来大蔵省の地方財政に対する容喙がだんだん度を増して来たと思うのであります。地方の財務局、財務部の市町村に対する容喙がだんだんひどくなる。大蔵省の本省の中にも、地方資金課という地方資金だけを扱う機構までおつくりになる。こういうふうで大蔵省がだんだん容喙して、地方財政を握つて来ておるように思うのであります。これではどういう結果になるかというと、要するに地方財政に首つたまを握られてしまうのでありますから、結局国の財政のしわを地方団体に寄せられたり、地方団体が国の財政の犠牲に供せられるというごとになるのである。これは今日初めて申す議論ではなくて、前からわかり切つた議論なんです。そのことが現にだんだん度を進めておるというのが現状だと思うのであります。一体そんなことをしているなら、自治庁の方からの地方財政に対する指導監督の権限などやめた方がいい。両方がやる必要はない。自治庁が財政面の指導監督の職務権限を持つておるのに、なぜ重複して二重に大蔵省がしなければならぬのか。度を越しておると思う。この実情は大臣まだ御承知あるまいけれども、地方の県にある財務部などが、どこまで一体こまかく町村の起債のことにまでくちばしを入れておるかということは、知る者はみんな知つておるのである。結局地方財政が中央財政の犠牲にされる機構がだんだん強まつておるのである。一方自治庁というものはいらぬものにされておる、役に立たぬものだということになつてしまつた。私はこの点は筋も誤つて来ておるし、地方自治体のために困つたことだと思つておる。だから地方自治体は赤字ばかり出すようになる。大きく言えばそういうことになる。建全財政とは国家財政のことであつて、地方自治体は不健全財政である。しわをみんな寄せられて、頭だけは隠して健全財政かもしれぬが、しつぽがみな地方財政に行つて、この通りの赤字になるのである。考え方の根本が誤つておると思う。前からそうです。大蔵省当局はまことに自治体に対する理解がない。理解がないどころではない。じやまものであり、あるいはやつかいものであり、けしからぬものだというような考え方が前からあるが、相もかわらずきようもあるように見えてならぬのであります。この辺は大蔵大臣、御認識なさつておるかどうか知りませんが、深くつつ込んでやりたいけれども、時間の余裕もないようでありますので、私の言うことをお聞き願つて、なお特に御意見、お考えがあるならば、簡単にひとつお伺いしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ちよつと誤解があるようでありますから、一応申し上げておきたいと思います。  大蔵省としましては、何も地方財政に特に容喙するということではないが、国の予算の約三分の一が地方団体に対しまたは地方団体を通じて支出されておることは、古井委員御承知の通りであります。また資金運用部資金等で、地方債の起債等も相当額に達してお引受けいたしておるので、国の財政と地方の財政とは密接に関連しておるのでありますから、大蔵省も今後の予算編成上、また政府資金の管理上、いろいろ意見を持つており、所管の事務としても相当責任を感ぜざるを得ないということは、これはお認め願わなけれはならぬと思うのであります。その程度があるいは最近強くなつておるのじやないかというのが、古井さんのお尋ねかと思いますが、これは財政健全化方針を中央がとつておるときに、地方の実情がややともすればこれに沿わぬものがあるところから、あるいはそのような印象を受けられるのではないか、かように考えておる次第であります。

古井喜實日本民主党

○古井委員 そういうことをおつしやるから、どうも私は御理解がないように思うのであります。国の予算の相当大きな部分が地方自治体に流れておるなどということを自慢そうにおつしやいますけれども、これは国のものを与えておるのじやない。そういう考え方をお持ちになつておるところに間違いがある。自治体の当然もらうべきものを国がとつて、それを与えておるにすぎないと思うのであります。つまり自治体というものは国の思う通りになるものだ、これの下についておるものだということをお考えになつておるところに、すでに出発から自治体に対する理解がないというのであります。なおまた財務部が一つの小さい町村の起債にまで一々くちばしを入れるということが、何で国の大きな財政の見地からいつて必要でありますか。国の財政を擁護するという見地から、なぜ一々小さいことまでくちばしを入れる必要がありますか。ありはしません。従つてこれはまつたくなわ張り権限の問題であります。これは十分論じたいこともありますけれども、時間を急げという御注文もあるようでありますから、後日の問題にいたしたいと思います。  最後にもう一言だけ、これは自治庁長官を中心にお伺いしておきたいと思いますが、今全国に市町村の合併が熱心に推進されております。これをめぐつていろいろ問題を起しておることは御承知であろうと思います。それにつれて思いますことは、今おやりになつておる合併は、実に大きな政策であると思います。明治二十一年ごろの旧町村制の施行当時の町村合併に匹敵するような大政策であろうと思います。ところがそれほどの大政策をおやりになつておるのに、その重要性の御認識が少し足らぬように思うのであります。それほどの大問題だとお考えになつておらぬような気がしてならないのです。またこれを推進し行つたら、この先地方の行政機構全体がどうなるのだという全体的の構想というものも、はつきりしてないように思う。ただ合併せいと言つておるだけである。この先府県がどうなるのだ、地方の機構全体がどうなるのかということについては、はつきりした目途も目標もない。同時にまた合併した町村をどういうものにしようというのか、理念がない。また市の合併のごときはでたらめしごくで、何をつくろうとせられるのか、まつたく考え方がわからない。すでに数町村合せた大きな町村というものは、元の家が拡大し、部落が大きくなつたような隣保相助の団体ではなくなつて来ている。もう性格はすつかりかわつているのである。これは行つてごらんになればわかるのである。そこに集まる議員は、県会議員のようなものになつて来てしまつている。性格はかわつて来ておる。すでに府県と同じような性格に近づいて来ておる。これは元の町村というものをかえてしまう気でかかつているのか、ただ幾らかでも町村をふくらまそうという気持でかかつているのか、そう辺のお考え方さえもはつきりしないのてある。また市の合併のごときは、何のことかわからぬ。小さい三文ばかりの市に持つて行つて、十五箇町村も十六箇町村もいなかの農村を合併したりなど、意味がないのである。市というものはどういうものをつくろうとするのであるか、つまり町村の大きなものなら市だとお考えになるのであるか、つまり百姓村ばかりよけい合せれば市だとされるのか、あるいは市というものは市街地の団体と考えているのか、あるいは市街地と農村と半々組み合わさつた団体と考えておるのか、市の観念というものがわけがわからぬようになつている。まつたく混迷に陥つていると思う。その上、府県との関係がどうなるのか、何もめどがない。だからただむやみに合併してみているというだけであつて、町村が何になるのか、市が何になるのか、府県がどうなるのかということがちつともわからぬ、こういう状況だと私は思つている。これは大体今度の合併に対する御認識がもともと足らぬというところから起つていると思うのです。私はこの辺については、今まで考えるところがあるならば示されておるはずで、ないにきまつていると思いますから、時間をかけてまでお伺いはいたしませんが、すみやかに全体の考え方、構想というもの、町村あるいは市の理念というものをはつきりされる必要があると思う。さもないと、合併もどうも意味がないことになりそうに思えてならぬのであります。  なお合併の際における指導というものは一つもない、だから赤字合併ばかりやつている。各町村は持つている財産は処分してしまい、赤字を集めて合併をしている。こういうことをさせないように指導しなければならぬのである。一つも指導しないで合併させるから、赤字合併をやつている。これが今後何年市町村の財政に重圧を加えるか、考えてみれは、実に容易ならぬことをしてしまつたと思うのです。してしまつたあとであるからしようがない。しかし怠慢で指導を怠つたのですから、政府は責任を負わなけれはならぬ。この跡始末にはぜひ共同の責任でやつてもらいたいと思うのであります。この辺については、もしお考えを伺える点があれば伺いたいと思います。  もう一点つけ加えますが、来年の四月には全国で市町村会議員の選挙があります。合併は議員の改選などをやつてしまうとなかなかやりにくくなることは、御承知の通りであります。そうすれば、今やつている合併をいつごろをめどに完成さしたいおつもりでかかつているのか。来年の選挙をやつてしまつたあとならば、もうそこで停頓しやせぬかと思う。その前にやろうというならば、多少法的な強制措置をとらぬと間に合わぬだろうと思う。この辺についてはどうお考えになつているか、以上をお尋ねしておきたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 町村合併の非常に重要な点について、御指摘を受けたのでありますが、私もその通りに思つておりますし、またそのつもりで問題の処理に当つておるつもりであります。ただあるいは現実に現われておる事態から見て、そうお考えの点があるかもしれませんが、とにかく政府といたしましては、そのつもりで問題の処理に当つておることは、今申し上げた通りであります。  それから合併に際しましては、もちろん基本の方針というものをきめて、これを県を通じて各末端の市町村にも周知させ、またそれぞれの機会にしかるべく指導して、合併を推進しておるのであります。何にしてもこれは数多い自治体のことでありますので、御指摘のような事態のものがあつちこつちに出ておるということも、争われないと私も思つております。しかしそれは今後ともなお努力してやつて行きたいという考え方でおるのであります。  それから現実に起つて参りました合併の結果、たとえは市が非常にふえておるという点は、確かに私どもが当初構想しました点と若干違う点も出て参つております。しかし合併は、やはり当該自治団体の住民とよく御相談になつて、まとまつた線が一番いいと私は考えますので、多少形のかわつた市というものが出て参つておりますが、もしそういうものが出ておるというならば、私は今後そういうものをまた新しい自治団体の一つの範疇と考えて、それに対応した施策を講ずるということでもいいのではないか、またそういうように考えて行きたい、こういうように思つておるのであります。  それから今の町村合併は、昨年の十月一日から始めまして、三箇年計画でありますので、三十一年の九月一ぱいで終るという計画になつておるわけであります。そういたしますと御指摘のように、来年の四月を経過するわけであります。四月には市町村会議員その他の選挙があるので、その後は非常にやりにくくなるであろうということは、当然私どもとしても考えられますので、来年の三月三十一日までに全体計画の八割を成就して参りたい、こういう考え方で推進をいたしております。ことにことしの進みぐあいを見て、若干懸念になる点がありましたので、夏ごろにおきまして、全国のブロツク別に御参集を願つて報告を聞き、御希望を聞いて、なおその推進に努力して参つたわけでありまして、ただいま大体の見通しとしては、大体三月三十一日までに政府が考えておる全体計画の約八割という線は成就できるのではないかという見通しを持つております。なお二割程度のものが三十年度以降、三十年の四月一日以降に残るのであるならば、私はそんなに心配しなくとも、当初の計画通り三十一年の九月一ぱいに全体計画が成就できるのではないか、こういう見通しをいたしておるわけであります。

古井喜實日本民主党

○古井委員 強制合併のようなことも御研究になつておるかどうか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 強制合併の点につきましては、いろいろ検討はいたしておりますけれども、かりに考えるといたしましても、最終の終期のときに、三十一年の九月いつぱいまでに、なお政府の計画通りに運ばないところがある、しかもその運ばないところが、当該自治団体の住民のうち、ごく一部の者の非常にわかりの悪い考え方によつて、それが妨げられておるというようなときには、何らかの措置をあるいは考えなければならないかというようには思つておりますが、しかし来年の三月いつぱいまでに八割を成就するというような段階において、そこまでやらなければならないというように考えておりませんし、またそういうようなつもりはございません。

古井喜實日本民主党

○古井委員 これで終りますが、そこでちよつと誤解があつたかと思いますので……。ことしの赤字の問題で、政府では何もお考えにならぬということは明らかになつたのでありますが、それは吹聴してまわるということを申し上げたが、私はそれでけつこうだと思つておる意味ではございませんから、他の委員会あるいは機会もありますから、誤解のないようにお願いをいたします。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明三日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会

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