農林委員会 第5号
- 発言数
- 93 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/12/06
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 酪農振興のための牛乳の処理及び価格問題等について調査を進めたいと考えますが、畜産局長の出席を機会に養蜂の問題について足鹿覺君より発言を求められておりますので、最初にこれを許します。足鹿君。
○足鹿委員 私は先般の本委員会におきまして、みつばちの腐蛆病に対して家畜伝染病予防法の適用等、これが防除対策について政府の施策いかんという点をお尋ねをいたしたわけでありますが、その際いろいろと検討加えて善処をする旨畜産局長より御答弁があつたのであります。爾来相当の日子を経ておりますので、さだめし具体的な対策もできたと存じますので、この機会にあらためて御研究の結果、その対策を明らかにしていただきたいと思います。
○大坪説明員 腐蛆病に対する伝染病予防法の適用いかんという問題につきまして、先般も足鹿先生より御質疑があり、その節私は、養蜂事業はわが国の畜産の一つとして将来とも伸ばして行くべき産業でありますので、適切なる措置をとりたい、かように申し上げておいたのでありますが、その後局議を開きまして来年の四月、つまり三十年度の初めより大体実施するという方針のもとに、先般北海道ほか六県の養蜂関係の主任を呼びまして、そうしていろいろと事務的な打合せをいたしたのであります。 養蜂事業に関します予算の問題でありますが、これは多額な費用を要しませんのご、現在大蔵省に提出中の予算で間に合いますので、さしあたりは政令の改正で行くかあるいは法律を改正するか、その点を目下技術的に検討中であるのでありまして、もしどうしても法律改正を必要とするということになりますれば、通常国会に提出をするということで、そういうような準備をいたしておるのであります。養蜂事業に関します腐蛆病の発生の時期が、大体春から始まりますので、四月の一日を目途といたしまして、家畜伝染病予防法を適用する措置をとつて参りたい、かように存じて目下準備をいたしておる次第であります。
○足鹿委員 その対策について研究を進められたことについては感謝をいたしますが、この伝染径路また腐蛆病発生の原因あるいは誘因となるべき点について研究を進めないで、ただ出て来た事態のみに家畜伝染病予防法を適用するということだけでは足りない面を、私は先般指摘をしたのであります。これはアメリカ等よりの養蜂事業の進歩発達に伴う器具器材の輸入であるとか、あるいは向うのいろいろな先進技術の輸入につれて、この腐蛆病発生を激化したのではないかといわれており、そういう点から動植物の輸入防疫等の面についてこの養蜂事業の分野における対策が欠けておつたのではないかとも一面思われるわけでありますが、家畜伝染病予防法の適用を行うと同時に、今私が述べましたような対策をもあわせ講ぜられまして、今後一ぺんこの病気に冒されたものに対しては根絶を期し新たなる病害の発生等を未然に措置して行かなければならないと思うのであります。そのためにはやはり現在要求しておる予算の範囲内においてはたして可能であるかということも案ぜられるわけであります。今お話を聞きますと、三十年四月実施を目途として現在の要求予算額の範囲内においてやれる、こういうお話でありまして、ほんのとりあえずの、応急策ではないかと思うのであります。こういうことは、もちろん応急策があつてけつこうでありますが、それに次いで恒久的な根本対策を行わないと、このような急速に蔓延するものについては、将来非常にほぞをかむようなこともありはしないかと思うのであります。そういう点についていかように考えておられるか、また四月実施というのは具体的にはどういうことをするのでありますか、もう少しその内容について聞かしてもらいたい。
○大坪説明員 養蜂事業について、家畜伝染病予防法を適用することに相なりますれば、輸出入についてみつばちの動物検疫をやることは当然必要になつて来ると思うのでありまして、その面におきましても動物検疫の対象にいたしたい、かように考えておるのであります。四月から実施することにつきましては、ただいまも申し上げましたように、経費がどの程度いるかということを実は目下調査をいたしておるのでありまして、具体的にどのくらいの経費がかかるかということがはじき出されていないのであります。その意味合いにおきまして、先般各県の主任を呼びまして、近く実施する予定であるから、よく研究をして、また会議を開くから役所に来てもらいたい、こういうことにいたしておるのでありまして、はつきりした数字が出て参りますれば、当然予算の組みかえ等のときにおきましては、これは是正して行かなければならないと考えておるのであります。ただいまのところ、どのくらいの金額がいるかという点につきましては、はつきりした数字を持ち合せていないのであります。また家畜伝染病予防法を適用いたしました場合に、みつばちの箱の移動禁止等の措置をどの程度やつたらいかという点についきましても、的確なる認識を持つていないのでありまして、これもこれから実施する仕事でありますので、いろいろ畜産関係の方々に研究をいたしてもらうことにいたしておるのであります。できるだけすみやかにそういういろいろな研究を積み上げまして、四月から実施して参りたい、かように一応考えております。冬の間はほとんど腐蛆病の発生も少いようでありますし、また発生いたしておりましても現実に見つけることが困難なのでありまして、大体春から始めれば、技術的にもいいし、また業者の方もそれで大体よろしいようでありますから、四月から、実施いたしたい。それまでに十分研究をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○足鹿委員 そうしますと、その四月より実施をするということは、家畜伝染病予防法の適用をする立場上、経費の都合もありますが、国の責任において焼却措置筆を行われるわけですな。そうしますと、国の方でこれの補償といいますか、とにかく業者自体の手においては完全に行えない実情にあり、そのためにだんだんと蔓延をして困つておるのが現状でありますから、結局業者が逡巡をすることを国がめんどうを見て、思い切つた焼却措置等の防除を行うことにならないと徹底を欠くのじやないかと思うのですが、それを具体的にどういうふうにしておやりになるのですか。従来これが措置に関して業者みずからがやつたものに対しては、何ら救済の措置は講じ得ないのかどうか、それもあわせてひとつ伺いたい。
○大坪説明員 私どもが現在まで聞き及びました範囲内におきましては、腐蛆病が発生いたしました場合には、その箱を焼却する以外にはこれを防除する方法がないようであります。従いまして現在までは業者が個々に他の箱に蔓延することを防止するために、みずからの負担において焼却いたしておつたようであります。しかしながら家畜伝染病予防法を適用いたしますと、現在の規定でその時価相当額の三分の一だけが補償されるのであります。その場合におきましては政府が焼却命令、つまり家畜の場合ですと殺命令といいますが、おそらく焼却命令を出すことになるのであります。焼却命令を出しました腐蛆病の箱につきましては、下箱の価格の三分の一を政府が補助する、こういうことに相なるのであります。 しからばその焼却命令をどうして出すかという問題でありますが、これはまつたく業者の任意的な申告でそれを調査してやるのか、あるいは定期的に国家が全部検査をいたしてやるのか、その点はまだ各県でよく研究してもらいたいということにしておりますが、元来申しますと、最も厳格に家畜伝染病予防法を適用することになりますれば、県の職員が年に一回あるいは数回おのおのの箱を見てまわりまして、腐蛆病の発生を摘出することになるわけでありますけれども、その程度まで行かないで、業者からこれとこれに腐蛆病が発生したので殺命令を出してもらいたいというときに、それを調査いたしまして初めて焼却命令を出しますか、そこらの点につきましてはまだ結論を得ておりません。この点につきましては、今後業界ともよく相談いたしまして結論を得たい、かように考えております。しかしいずれにいたしましても、焼却命令を出しますれば、従前は全部自己負担でありましたのが、三分の一だけは補償せられるということに相なるわけであります。
○吉川(久)委員 関連して。ただいま局長の説明を伺つておりますと、焼却命令等が出せるとかおつしやいますけれども、それはどういう法的根拠によつて出せるのでありますか、それをひとつお聞かせ願いたい。
○大坪説明員 家畜伝染病予防法の規定によりまして殺命令を出すことになります。
○吉川(久)委員 家畜伝染病予防法には、伝染性疾病の種類が第二条に掲示されているのです。その中に養蜂が入つていないのです。家畜伝染病予防法の適用外にあるのですが、これは一体どういうことなのですか。
○大坪説明員 ただいまの御説の通り入つておりませんので、家畜伝染病予防法の改正をいたしまして、そうしてその中にみつばちという字句を挿入することになるわけであります。これは元来は法律に明定をいたされておりまするが、政令で家審の種類を随時追加し得ることになつております。ただ追加いたしました場合には、次の通常国会におきまして法律を改正しなければならぬという条件がございます。そこで開会中に適用するということに相なりますれば、これは法律の改正を必要といたします。しかし休会中でありますと、一応政令で家畜の種類を追加いたしまして、そして次の国会で今度は元にもどりまして、法律の第何条でありますか、その中にみつばちという字句を挿入することになるわけであります。それは開会中でありますか休会中でありますかによりまして違うということになるわけであります。まだ現在はありませんので、養蜂事業につきましても家畜伝染病予防法を適用したい。その場合に政令で持つて行つておきまして法律で行きますか、あるいは法律で改正するかいずれかの措置をとりたい、かように考えております。
○吉川(久)委員 それでは局長に伺いますが、一体みつばちいうものは家畜なんですか。それから養蚕は家畜の中に入らないのですか。そこの家畜の定義をお聞かせ願いたい。
○大坪説明員 畜産の定義といたしましては、いわゆる経済的な動物を大体所管いたしておる、かように考えておるのであります。養蚕につきましては、もちろんこれは蚕糸局所管ということにいたされておりますので、それ以外の大体経済的動物は畜産局主管というふうに考えております。従いましてみつばちにつきましても、いろいろ輸送の関係でありますとか、みつばちの箱の輸送の問題とかなんとかいう場合は、われわれの方で従来からいろいろ鉄道の方に交渉なんかをいたしておつた、かようなことに相なつておりますので、御了承を願います。
○吉川(久)委員 今までに腐蛆病というようなものはなかつたのですか。あつたとすれば、政府はどんなような取扱いをされておつたのですか。
○大坪説明員 腐蛆病の由来といたしましてはもちろん私もはつきりは存じませんが、十数年以前からあつたようであります。ただこの一、二年非常な勢いをもつて各地に蔓延をいたしておる、こういう状態であるのであります。従つてその腐蛆病の発生の率が全国的に非常に多くなりまして、最近養蜂事業者に非常な迷惑をかけるというような状態になつて参りましたので、この際腐蛆病につきましても伝染病予防法を適用いたしたい。ただ現在は、先生の御指摘の通りその伝染病の対象になつておりませんので、これを法律を改正いたしまして実施いたしたい、かように考えております。
○吉川(久)委員 経済的な動物を家畜と言うということでございまして、養蚕の場合は特にその中から別途に引出して特別の取扱いをしてある。そこでただいまの養蜂の場合でも養蚕と同じように――養蚕の方については蚕病予防費国庫補助規則という政令がございまして、蚕病の場合の予防のときの特別の処置を実施しております。従つて足鹿委員の言われるところの趣旨を満足させるためには、すみやかなる法の改正をもつて対処するか、今局長のおつしやつたように政令でもできるとするならば適当な処置を講ぜられることが必要だと思う。私も最近こういう問題をあちらこちらで聞いておりますので、十分善処されんことを要望いたします。
○大坪説明員 承知いたしました。
○井出委員長 この際齋藤憲三君より委員外発言をしたいとの申出でありますが、これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、これを許します。齋藤憲三君。
○齋藤憲三君 畜産局長に一つ要望をいたしておきたいと思うのであります。それは馬の伝染性貧血症に関する問題でございますが、これは本委員会におきまして二回にわたつて畜産局衛生課長並びに担当技官に質疑をいたしたのであります。畜産局長は専門的なことは不得手だと思いますから、きようは専門的な点は申し上げませんが、今日の伝染性貧血症に対するところの状態をつぶさに検討いたしてみますると、これは何十年か前から、この馬の病気というものはなおらないものだという断定の上に法律がつくられておるのであります。それで馬の状態と血液の検定によつて、これを真症伝貧と判定いたしますと、いかなる馬もこれを殺処分に付するのであります。しかるに、御承知の通り今日では科学の進歩によりまして、あらゆる点から病気というものに対する検討が加えられて、もう馬の伝染性貧血症もこれはなおるものであるという声が大きくなつて参つたのであります。しかるにその実態を調査してみますと、なかなか研究もいたしておるようでございますけれども、疾病に対するところの研究の範囲というものは非常に広汎であります。ことに伝染性貧血症の判定は血液で判定する。しかもその血液の判定条件が、白血球に鉄分が加わつているか加わつていないかということで判定しておる。ところが血液の中に加わつておるところの鉄というものはいかなる鉄であるかということは、まだわかつておらぬ。たとえて申しますならば、単なる水酸化鉄であるかあるいはガンマ鉄であるか。水酸化鉄でありますと、今用いているところの染色の薬剤に青く染まるのであります。ガンマ鉄でありますと青く染まらない。健康体の馬は絶対青く染まらない。たまたまその白血球の中に青く染まるものがあると、真症貧血馬としてこれを撲殺するのです。ところがこの血液に含まれておりますところの、いわゆるヘモグロビン現象を呈します血液の状態はFeO2の形で入つておる。Feというものはガンマ鉄であるか、普通の水酸化鉄であるかということの検定もしないで殺処分をしておるのであります。ところが消化不足の馬は、往々にして普通の水酸化鉄が血液に混入するという。これは実験上わかつておるのであります。そうすると、これを演繹帰納して参りますと、この伝染性貧血症というものは、はたして伝染病であるかどうかということも疑わしくなつて来る。これは私の実験だけじやない。群馬県のあるお医者さんがこの実験をやつて、ちやんと馬がなおつておる。自分が人間を対象とする医者であつて、その医者が馬を人間として考えて治療をやり、完全になおるというのであります。そういたしますと、もしほんとうにこの伝染性貧血症というものが今日の進歩した科学的医術をもつてなおるものとすれば、一年間に七千頭も八千頭も、あるいは全国強制検診をすると六万頭も殺さなければならないという状態。しかも何百万円もする馬でも、伝染性貧血症にかかつてしまつたら、これは永久に競馬に出ることもできないし、殺処分に付せられるということであります。 そこで私は畜産局長にお願いいたしたいのは、今度この委員会において、民営競馬によつて、その競馬の入場料からはね返りが国庫に入り、その中の大半はこの畜産問題に使えるという厳重なる附帯決議がついているという話を聞いておるのでありますが、私、いろいろな方面からお話を承りますと、畜産局長は、衛生課でもつてこの伝貧のために使うところの研究実験費というものを二億五千万円ほしいと言うているのに、一億円しかくれないという頭を持つておられるという話です。そういうようなけちなことをやつたのではこういうものの解決はできない。たとえて申しますれば、馬が伝貧にかかつたという場合、いきなり殺処分にしないで、一箇月間係留してこれにほんとうの治療を施してやつたら、幾らの金がかかるか。二億五千万円ぐらいではわずかな実験しかできない。ですからほんとうにこういうような年々多量の馬を殺さなければならぬという状態にあるならこれに思い切つて金をかけて、徹底した実験を早くやつて、五年かかるものなら二年間であげてしまつたら、そこに一体何十億の利益があるかということであります。それでありますから、せつかく民営競馬のはね返り、百分の十一でありますか、これが国庫に入つて何十億というものがあつて、その中の大半を畜産行政に使用し得るという態勢になつているならば、畜産行政の一番根本を形づくつておりますところのこの疫病に対して、思い切つた施策を施して、これを早くなおしていただきたい。全然なおらないというようなものであれば別でありますけれども、各所に、これは簡単になおる病気であり、伝染病でないという声が今起きているのであります、でありますからこれを取上げられまして、一日も早く馬の伝染性貧血症をなおして、安心して畜産をやり得るように、そうすることが私は競馬のはね返りを有効に使い得る一番いい方法だと考えている。競馬馬を持つている人に聞くと、何よりもこの伝染性貧血症というものを恐れている。これは見つかると屠殺処分、あわれみを請うて係留して治療をやつても、何ぼなおつても二度と馬場にもどることができないのであります。もちろんこれは法律の欠陥も是正して行かなければならぬと思うのでございますけれども、特にそういう点に御留意下さいまして、できるだけこれに予算を盛つて、徹底した研究治療の道を御配慮をいただきたい。 私は特にきよう委員長のお許しを得まして委員外の発言を申しましたのは、この委員会に所属しておられまて熱心に農林畜産行政に尽瘁しておられました故金子与重郎先生がなくなります数日前に、自分の県からそういう事例が出たので、特にこの問題は、君が農林委員会に行つて発言をして、一日も早く伝染性貧血症に悩むところの馬の治療対策を確立してくれというとを私が言われまして、それから間もなく他界せられたのであります。農林委員会は非常にお忙しい委員会でありまして、われわれのごとき委員外の者がたくさんの時間を頂戴して質疑応答する機会がなかなかなかつたのでありますが、きよう幸い委員長のごあつせんによりまして、畜産局長がお見えになつているというので、金子与重郎先生の遺志をひとつおくみ取りくださいまして、十分馬の伝染性貧血症に対して予算を割愛せられまして、短期間にこれが治療対策の確立を見るように、ひとつ御配属をお願いいたしたいと存ずるのであります。これに対して畜産局長の御答弁をお願いしておきたいと思います。
○大坪説明員 馬主、特に競走馬を持つている方が馬の伝染性貧血について非常な脅威を感じられており、これが馬産の振興の大きな障害になつているということは御指摘の通りだと思うのであります。従来から馬の伝染性貧血については、独立した相当内容の充実いたしました研究機関を設立いたしたいということで、数年にわたつて折衝いたしましたが、その都度成立を見なかつたのでります。たまたま先般の国会におきまして競馬法の改正の場合に、競馬の益金は畜産の振興に充てる。これはただいま御指摘のありました通り、金子先生が非常に御熱心に御要望になられまして、特に本委員会の意思として畜産の振興、そのうちに項目が列挙してあるのでありまして、馬の伝染性貧血に関する研究という字がはつきり法律の条文に載つておるのであります。その意味合いにおきまして、本年はぜひとも馬の伝染性貧血に関しまする独立した研究所を設置するということで、大蔵省に要求をいたしておるのであります。これは当委員会の意思でもありますし、特に金子先生はその点につきまして最も熱心なる主張者でありましたので、私どもといたしましては全力をあげまして、ことしは是が非でも通したい、かように考えておるのであります。どうかその程度でひとつ御了承願いたいと思います。
○齋藤憲三君 ただいま畜産局長から、全力を傾注して馬の伝染性貧血症の治療対策研究所の設立をはかられるということでありましたので、私も当局を信頼いたしまして、これ以上御質問申し上げません。どうかひとつ地下における故人が喜ぶように徹底したところの施設をしていただきたいと思うのであります。と同時に、これは委員長にお願いしたいのでありますが、話を聞きますと、農林当局からそういうものを要求いたしましても、大蔵省はするりとその予算を出さないというような点も多々あるようでございますから、そういうことのないように、附帯決議が十分に効を奏するように、特段の御注意と御尽力をお願いいたしたいと存ずるのであります。どうもありがとうございました。
○井出委員長 次に競馬の問題に関連をいたしまして、稲富稜人君より発言を求められております。これを許します。稲富君。
○稲富委員 私は競馬の問題につきましては、実は農林大臣並びに現在競馬の執行者であります理事長、副理事長を参考人に呼んでいただくように、先日来私どもの委員にお願いしておつたのでありますけれども、それが徹底いたさなかつたようでございますので、質問はあとにしたいと思つたのでありますけれども、時日もないことでありますので、簡単に要点を局長にお尋ねしておきまして、また不十分であつた点につきましては、さらに機会を見て質問いたすことにして保留いたしておきます。簡単な要点だけをお尋ねしたいと思います。 第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、このたび私たちがこの競馬法を改正するにあたりまして、最も憂慮いたしました点は、次の中央競馬会の人事について、その受入れの態勢の遺憾なきを期することができるであろうかどうかということに対して、われわれは非常に心配をいたし、この委員会におきましても、その当時しばしばこの点は政府に対してお尋ねしたのであります。そのとき政府といたしましては、この人事の問題は遺憾なきを期するという明確な御答弁を受けておつたのでございますけれども、われわれがその後の人事の発表を見ますと、実に遺憾な人事等もあるように見受けるのでございます。これに対して、これを任命された農林当局はどう考えておられるか、まずこの点を承りたいと思うのであります。
○大坪説明員 法律制定の際に競馬会の人事につきまして慎重を期せ、これがいわゆる国営競馬から民営競馬に切りかわる場合の非常に重要な点である、これはただいま御意見の通りであるのでありまして、私どもといたしましてはそういう国会の意思も体しまして、理事長と副理事長は政府、農林大臣が任命いたしましたし、ほかの八人の理事につきましては理事長の申請をまちまして承認を与えたような次第であるのであります。
○稲富委員 それでは現在の人事については農林省の考え方と今日の運営方針等において齟齬を来していない。さらにそれから私が先ほど聞きましたように十分なる人事であつたというふうにお考えになつておるかどうか。この点をひとつお尋ねいたします。
○大坪説明員 もちろん、これは見方によりまして、あるいは個人々々を全部見ました場合に最高の人事である、あるいは最も理想的な人事である、こういうことはなかなか言いかねるのではないかと思うのであります。しかし私どもといたしましては、その当時私どもが考えました一応これは最長の案である、かような考え方をもちまして任命をいたしたのであります。もちろんその後におきまして必ずしも、人のことでありますから、理事のやられましたことについて全部が全部よろしいというようなことばかりではないようでありますが、そういうような場合には、その都度こちらとして注意いたしておるような次第であります。
○稲富委員 その当時はよいと思つてやつたけれども、悪かつた場合はその都度注意をするというようなお話でございますが、これは個人の問題でありますので、個人心々について申し上げるわけではないのでありますが、たとえば、理事長は高齢な理事長ができたのであります。理事長は先般ラジオを通じて、場外馬券を廃止するという意思を持つておるという意思表示をしたのであります。こういうようなことは、農林当局の考え方で、理事長はそういうことを言つたのであるか、あるいはそういう結果が将来競馬の運営にどういう影響を来すのであるか、この点について私は農林省の意見を聞いておきたいと思います。
○大坪説明員 場外馬券を順次廃止して行くという理事長の放送につきましては、私どもまつたく関知しないところでございます。もともと場外馬券の売場というものは競馬に行けない競馬フアンのため便宜開設をいたしておるのでありまして、競馬は、少くとも府中にいたしましても、中山にいたしましても、相当遠隔の地にありますし、また福島や中京でございますと、行きたいという方がありましても、どうしてもいろいろの事情で行かれない関係もありますので、そういう関係で場外馬券を許しておるのであります。ただ場外馬券の問題につきましては、もちろん現在の施設では風教上いろいろ弊害があるのは、これはもう万人の認めておるところでございます。これは現在までは政府の中にありましたので、いろいろ場外馬券の社会風教上からの切断ということにつきまして、大蔵省と経費の点について相談いたしましたが、何しろ緊縮予算の関係で、現在まで実効を収め得なかつたのであります。しかしながら今後中央競馬会という、いわゆる経理上相当自由の立場に立つ団体となりましたので、社会風教上害悪がないように場外馬券売場を漸次整備して参りたい、かように考えておるのであります。しかし場所を整理するということではなしに、場外馬券の売場の施設というものを改善いたして、社会風教上弊害のないように持つて行きたい。かように思つておるのであります。場外馬券売場を順次閉鎖して行くということは、場外馬券売場をつくりました趣旨から申しましても許されないことでありまして、がそういうような発言をされましたことは、もちろん政府の意思ではないのでありまして、その点につきましては強く反省を求めておいた次第であります。
○中村(時)委員 今の稲富委員からの問題に関連してひとつお尋ねしたいと思います。あなたは人事を扱う場合に、たとえば農林省のその当時における定員外から、あるいは人員整理に伴つて、中央競馬会の発展と同時に、これを受入れたいという意向を漏らされておつたし、その当時私はこの委員会において、たとえば競馬部長である者が理事に入るようなことはないのか、こういうような受入れのために行われいるのとは違うのかというのを御質問した当時に、そういうことは断じてありませんという言葉を吐かれた。私はこの耳で聞いておる。またそれは速記録を見ればわかると思います。にもかかわらず事実は理事となつて入つていらつしやる。こういうような不見識な一つのあり方というもの、そのときの場当り的の一つの人事ではなく、当初から裏面に農林省の人事をどう持つて行くかという企画の上に立たれたのだと思うのでありますが、それに対してどのようなお考えを持つているか、これが第一点。 第二点は、たとえば場外馬券の件ですが、場外馬券は社会党内閣のときにこの問題が取上げられ、ちようどそのときの政務次官が大島政務次官だつた。そのときにおいて当初農林委員になられた遠藤委員、畜産局長をしておられましたが、場外馬券というものはGHQの命令によつてなかなか認めることができ得ないのだというはつきりした線が下された。当時私は祕書官をしておりまして、このことも私の面前において行われたのであります。しかるにその後において遠藤委員が農林委員に当選されてなられた。そうして場外馬券は認められた。それに対してその後今度中央競馬会に変遷されたのでありますが、今言つた内容を知つていらつしやつたらそれを御発表願いたい。 もう一点は場外馬券という場合に――私は競馬というものはばくちであると思います。皆様方はこれは畜産の振興であると考えておられます。ここに大きな食い違いがあるわけです。その一つの証左として、皆様方はこの競馬において英気を養うのだ、一つのスポーツであるということを、委員の中からも発言された方がいらつしやる。ところが実際にこの場外馬券というものになりますと、これはあの新鮮な空気を吸つて、あのりつぱな競馬をやつているということではなくして、ほんとうにあの場外馬券というものは、ごみごみした中において新聞のほこりの中において行われておるのであるが、これもスポーツであり、神聖なものであり、あるいは畜産振興についてのものであるか、これについて伺いたい。
○大坪説明員 第一点でありますが、現に瀞産局におきましては、競馬部の中で仕事をしておりました者が、今度中央競馬会に切りかえました場合に、その中に入つて仕事をしなければ実際問題として競馬会の運営が困難でありますので、当然法律の附則にも、いわゆる政府職員は一年間は中央競馬会の役員になることができない。しかしながら競馬会に法律の成立当時に職を奉じておつた者はこの限りでないというような条件がついておるのでございます。当然その当時からただいま御指摘になりました井上競馬部長等は競馬会に入るということに想定されていたのであります。 次に場外馬券の売場の問題でありますが、実は私は過去の詳しいいきさつは存じておりません。従いましてあるいはただいまの先生の御意見の通りかと思うのであります。しかしながら場外馬券の売場の趣旨と申しますか、これはいろいろいきさつがあつた思いますが、競馬場に行けないフアンのために私どもといたしましてはやつておる、かように考えておるのであります。ただ、今御指摘の通り、現在の場外馬券の売場は、政府の予算が少いために非常にごみごみいたしました場所で、しかも外からまる見えの状態でやつておるということに相なつておりまして、その様相は一見ばくちのように見うけられるのですが、もともと競馬につきましては、私ども再々申し上げましたように、競馬の本質は、いわゆる馬の改良増殖にあると考えておるのでありまして、その競馬を一応成立させますためには、いわゆる富くじ的な馬券の発売ということも半面伴つて参るのでありまして、実はこの勝馬投票券の発売をなくしますと、実際問題として競馬が行われないという事情にあるのであります。一応個々の行為につきましては、あるいはばくち的な行為であるということは言えるかもしれませんが、全体といたしましては、あくまで畜産の振興、馬の改良増殖というものを中心といたしまして、その半面の作用としてそういうような富くじ的な行為がある、かように御了承をお願いいたしたいと思うのであります。従いまして場外馬券の売場の問題につきましては、ただいまも御指摘がありましたので、今後ともそのように社会的な害悪を流さないように十分中央競馬会を督励いたしまして、施設の改善をはかつて参りたいと考えておるわけであります。
○井手委員 ただいまの大坪局長の御答弁によりますと、政府職員が中央競馬会に入るのは原則としてはいけないけれども、事務の円滑上附則によつてこれが認められておる、こういうような御答弁でありました。それではお尋ねいたしますが、副理事長になつた鈴木一という人は、当時農林省の競馬部の職員であつたかどうか、この履歴書によりますと、法務省の入国管理局の局長で六月二十九日本法の公布の前日に農林省出向を命ぜられた。私たちがここに法案の改正をしたことの趣旨はあらためて申し上げません。その法案を見て修正決定いたしましたのは五月二十八日であります。国会の意思は確立されておるのであります。当時農林省の競馬部の職員でなかつた鈴木一氏が一月あとに農林省に出向を命ぜられて、その翌日日本中央競馬会法が公布された。そして副理事長になられておる。これはいかにひいき目に見ましても、私は国会の意思を明らかに蹂躪するものであると私は断じたいのであります。その点について大坪局長の明確なる御答弁を願いたいのであります。実はこの点について農林大臣の御答弁を願いたいのでありますが、政局もこういう事情でありますので、やむを得ず局長からお伺いをいたします。私は御答弁によりましては、相当追及する用意を持つておりますので、慎重に御答弁を願いたい。
○大坪説明員 法律の附則によりまして、本法には、公布の際現に競馬に従事しておる政府職員はその限りでない、こういうふうに規定いたされておるのであります。もともと鈴木という副理事長は農林省に入りまして以来十年近く競馬の監督をしておりました。競馬につきましては非常に通と申しますか、専門家であるのであります。しかも人格円滑でありまするし、年柄といたしましても相当の年配でありますし、私どもといたしましては最も競馬を執行して行くにつきましては適切なる人物であるというふうに農林省といたしましては判定をいたしたのであります。しかも競馬を国営から民営に切りかえますには、非常にいろいろなたくさんの事務がありまして――当委員会におきましてお約束をいたしました九月の十五日、つまり秋の競馬から国営を民営に切りかえますためには非常にたくさんの事務がありまして、しかもその事務を円滑に引継ぎやつて行きますためには、私のほかに競馬の引継ぎの事務をやつて行く職員がどうしても必要でありますので、鈴木一氏に畜産局勤務になつてもらいまして、ずつと競馬の引継ぎに関しまする事務はほとんど全部鈴木さんの手でやつてもらつた、かようなかつこうであるのでありまして、法律の精神とまつたく合致いたしておる、かように私どもとしては考えておるのであります。もちろん競馬に関しましては、農林省の先輩にいたしましても、あるいは他の民間の方々につきましても専門家はたくさんおられまするが実はいろいろな職務上の関係で、最も理想的な人間はほかでもひつぱりだこでありまして、こういう人を迎えるのはなかなかむずかしい問題であります。そういうような競馬の専門の方で競馬に入つて来られないような人を引ぬかれ、残りましたうちでは最も合理的な、最も理想的な方だ、かように考えておるのであります。その点御了承を願いたいと思うのであります。
○井手委員 私方々の委員会で当局からいろいろ所信を承るのでありますが、まつたく立法の精神と合致しておる――こういう場合にまつたく合致しておると真正面から説明されることはなかつたのであります。よほど信念が固くなくては私はそんな御答弁はできないものと考えるのであります。国会の立法の精神は、申すまでもなく、中央競馬会が政党の食いものになつたり、あるいは役人の姥捨山になつたりするようなことが起らないように、一箇年は就任ができないというわくも厳格にはめておるのであります。ただ政府職員だけは事務の遂行上やむを得ないから、附則として例外規定を設けておる、その立法の精神は誠実に履行しなくてはならない。ところが畜産局長が、まつたくこの立法の精神と合致しておると言われることは、あなたの良心に問うて恥じませんか。なるほど鈴木一という人は競馬に堪能な方であるかもしれません。人格高潔であるかもしれません。しかしその人でなければ競馬会が運営できないというほどのものでないことはもうはつきりいたしております。国会の意思で明確に、横すべりを認めない、一箇年はできないということになつている。この考え方に対して、あなたの今おつしやることはそれは詭弁ではございませんか。五月の二十八日に私どもはそういうように修正をしております。その一箇月あとになつて農林省に出向を命ぜられた。これは脱法行為ですよ。私はあなたをよく存じておりますからあまり申し上げたくはなかつた。実は皆様方の御決定に対して、ややおかしいところもあるかもしれませんが、そういう人でひとつ御了承を願いたいということでありますならば、場合によつては了解いたします。が、まつたく合致しているとは少しひど過ぎはしませんか。執行機関とての立場から、わざわざ公布の前日にその人を農林省に入れたというこの行き方、人のために法の精神を蹂躪する、国家の意思を踏みにじるこの態度に対して、もう一ぺん私はあなたのお考えを聞きたいと思います。
○大坪説明員 あるいは言葉が過ぎましたということでありますれば、あらためてこれは陳謝申し上げたいと思うのであります。私どもといたしましては、あれやこれやといろいろ考えたのでありますが、この人ならばという人はおおむねほかの公職あるいはそういうようなところに入れないような状態の方々ばかりでありまして、競馬に非常に堪能であり、また人格も高潔であるという点におきましては、実は私どもの探し得まする範囲におきましては鈴木さんをおいてほかになかつた、こういうようなことであるのでありまして、もし言葉が過ぎましたらその点は陳謝いたしたい、かように存じます。
○稲富委員 ただいま人事の問題になつたのでありますが、理事長は老齢であり、それを助けるのが鈴木さんだと思うのであります。ただいま井手君の質問に対して競馬に非常に堪能な方だ、こういうようなことで任命されたとおつしやるのでありますが、大体鈴木さんの経歴を見ましても、畜産局勤務というのが昭和四年にわずかばかり、さらに昭和七年になされて、その後ほとんど競馬には関係がない。私は何も人のことをいろいろ言うわけではございませんが、私たちが知つている範囲におきましては、ほとんど競馬のことは御存じない方のように見受けられるので、こういう方を競馬に堪能だと御解釈になつて任命された人事に非常な誤りがあつたと考える。私はいたずらに鈴木さんを攻撃しようとするのではありません。けれども私たちの見ている経歴からいいましてもこれは理事長なんかしておられた方で競馬には最も縁の遠いところにおられた人なんです。その人が非常に競馬に堪能であるということで、井手委員が言いましたように、法律に疑義までもさしはさむような人選をやられるということは、農林省の人事に対する見解に非常に誤りがあつたと私は考えている次第であります。その他の理事を見ましても、今までその人が競馬に対してどういうような経歴を持つた人であるか、ほとんど競馬には適当ならざるような人が過去において理事に任命をされている。これは解釈の相違だということであるならば、私は材料もたくさん持つております。しかしそういうことで私は攻撃しようというのではございませんがそういう点に非常な誤りがある。ことに競馬の経理面を預かる理事のごときは工学士であつて、経理にはあまり明らかでないような方を持つて来ている。こういう点でも私は競馬運営に対して非常な疑を持つわけなんです。この点に対して農林省は人事で全うした人事をやつているかどうか、こういう点を私は聞きたかつたのでありますが、先刻申し上げましたように、今局長の言われるような観点からこういう人事をやつたとするならば、私は非常な観察違いである。こう思いますので、これについてもう一度局長に重ねてお尋ねしたい。
○大坪説明員 競馬会の理事の資格につきましては、おのおの経験を持つた人ばかりであります。ただ部署の点につきますと、実はこれは形式論になるかもわかりませんが、理事長が農林大臣の認可を経て任命する、こういうような形になつております。理事の資格につきましては農林大臣が認可をするということになりますが実際の部署ということになりますと、これは理事会できめるという形になつて来るのじやないかと思うのであります。もちろんこれは形式論かもしれませんし、またそういうことにつきまして、われわれといたしましても、一、二考えねばならなかつたのでありますが、競馬会といたしましては、理事の職分については理事会にまかしてほしいという要望が非常に強かつたのでありまして、その当時におきましては、もちろん競馬は理事長を中心とした理事会によつて実行して参るから、それもそうかなということで、一応資格について任命をした、こういう形に相なつておるのであります。ただいま御指摘の点につきましては、部署の点についてはあるいは適当じやないことがあるようでありますが、この点につきましては今後ともよく研究いたしたいと思うのでありますが、一応形といたしましては理事会できめることになつておりますので、御了承願いたいと思います。
○稲富委員 それでは次に、私はこれに関連があることでお尋ねをしたいと思います。すでにこの競馬法を改正しまする時分に、旧競馬会が政府に対して訴訟を起しておつたのです。私たちはこの訴訟に対しては、その進行に関してどうなるかということもお尋ねした。そのときの政府の答弁としては、訴訟は必ず勝つのだという答弁を受けておつたように思うのでございます。ところがこの訴訟は、今度競馬会の発足と同時に取下げられている。しかも政府はそれに対して同意をされたことになるわけでございますが、当然勝つだろうと思われる訴訟の取下げに、何がゆえに政府が同意をされたか、この一点をお尋ねしたい。
○大坪説明員 国営競馬時代に、競馬財産について訴訟が係属いたしておりましたのは、ただいま御指摘の通りでありますが、民営の中央競馬会になりまして、原告の方から、訴訟を取下げたいという申出があつたのであります。もちろん私どもといたしましては、訴訟をやつて行くについて、煩雑ではありますが、決して負けることはない。しかし、私はその委員会のときも申し上げましたが、訴訟のことだから絶対に負けないということは言えないけれども、訴訟に負けない自信はある、こういうことを申し上げたのであります。従つて中央競馬会に切りかわりましてからも、私どもといたしましてはそういう考え方でずつと進んでおつたのでありますが、原告の方から、原告の意図している、何と申しますか、国に取上げられたというような点はもう大体なくなつたので取下げたい、こういう話がありましたので、何も原告が取下げたいと言うのに、それはいやだあくまで国として訴訟をやつて行くのだということを逆にこちらから持ち出す必要もない。これは法務当局とも相談いたしたのでありますが、これは同意を与えてしかるべきだ。もちろんその場合の被告代理人は法務大臣であるのであります。法務省とも相談いたしまして、原告の要望に応じまして、私どもといたしまして、むだに抗争をする必要はありませんので、取下げに応じたような次第であります。
○稲富委員 それで人事の問題に関連するわけでございますが、しかもこの訴訟の取り下げ当時の訴訟の原告側といいますか、あるいは表面に立つていなくても、少くとも政府に対して訴訟を提起した黒幕であつた、こういう人たちが、今度競馬会の理事者に推薦されて任命されておるこの事実なんです。この点において、訴訟取下げと中央競馬会の役員の任命との間に取引があつたのではないか。その証拠には、取下げの理由として旧競馬会が言つておるのは、われわれはすでに目的を達成したから取下げてもいいのだ、取下げるのだ、こういうことを言つておる事実をわれわれが考えるときに、いかにも役員任命とこの訴訟の間に取引があつたのではないか、こういう疑惑の点がある。これはわれわれ許すことができないと思うのでありますが、その点で私たちは人事の問題にも非常に重大なる関心を持つわけであります。これに対する明快なる御答弁をひとついただきたいと思うのであります。
○大坪説明員 もちろん原告側といたしましては、原告側の立場に立ちますれば、正当な理論のもとに勝つという自信を持つて訴訟をやつたことと思うのでありますが、一旦訴訟を取下げました以上は訴訟を起そうと起すまいと、そういうことは大体において水に流すべきものではなかろうか。私はかように考えるのでありまして、その間にいろいろ取引があつたというようなことは、絶対にそういう事実はないのであります。幹事三名任命いたしましたが、これにつきましては、大蔵省関係の経理に明るい方一人、それから競馬それ自身に明るい方一人、それから法律的才能を持つておりまする、弁護士の資格を持つておる人一人、大体こうういう観点のもとに幹事三名を任命いたしたのでありまして、その間いろいろ取引があつたというようなことは、これはひとつそういうことはなかつたというふうに御了解願いたいと思うのであります。
○稲富委員 ここにおいて私たちが考えますことは、そういう訴訟の相手であつた人が役員になつておる。その結果は、日本競馬会が中央競馬会になつて旧競馬が復活したのだというような考え方が、現在の運営者の中に非常にあるというこの事実。また一般としても、いかにも国がやつていた競馬が昔の競馬に帰つたのだという感じを持たれておる事実は、この人事の問題等に関連してあると思うのであります。この点においてしばしばそういうことを聞くのです。もう農林省の手を離れたのだ、自分たちが競馬をやるのだ、こういうことを競馬の理事者は盛んに言つておるわけであります。日本中央競馬会法の三十一条には、「競馬会は、農林大臣が監督する」。「農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、競馬会に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる」。ということが明示してあるにもかかわらず、農林省なんかわれわれに何も言えないのだ、おれたちが競馬をやるのだ、こういうことをはつきり理事者が言つておる。かような人事の誤まりあるいは訴訟に対するこの取下げ等、そういう点で非常に割切れざるものがあるがゆえにそういうことを言つておるのだ、私はかように考える。しからばあなた方は、この監督に対しては十分なる監督の責任を果しておるのであるか。また監督上十分なる命令をしたことがあるかどうか。また将来不足の点があつたら命令する意思があるかどうか、この点はつきり承りたいと思います。
○大坪説明員 ただいま御指摘の点は、私どもといたしましても大いに反省すべき点じやなかろうかと思うのであります。御承知の通りに、中央競馬会に移りました八割以上の人員が、もともと日本競馬から国会の競馬部に転職し、その人間がそつくりそのまま、ほとんど全員競馬会に移りましたので、知らずしらずの間にいわゆる復活というような感覚を持つということは、あるいは人間といたしましてやむを得ないのではなかろうかと思うのであります。そういう錯覚を持ちますのは多少やむを得ないのではないかと思うのでありますが、もちろん競馬会につきましても、昔の日本競馬会と今の中央競馬会は、組織の点におきまして非常に差異があるのであります。つまり政府が全額財産を出資しておるという関係が最も根本的に違う点でありまして、監督等もその意味合いにおきまして従前の監督以上に強くなつておるのであります。また競馬そのものに対します社会の考え方も相当かわつておるのであります。昔のいわゆる富くじ的な行為を伴つての競馬というものは、その時分は競輪あるいはモーター・ボート・レース等はない時代であつたのでありまして、競馬につきましては相当特権的な考え方があつたのでありまするが、現在はそういう点につきましての社会の考え方というものも相当違つておりまして、唯我独尊的な考え方をするということにつきましては、競馬会の職員といたしましては厳に慎まねばならぬと思うのであります。この点につきましては、ただいま御意見の通り、そういうふうな錯覚に陥りがちでありますので、十分に注意をいたしたい、かように考えておるのであります。
○稲富委員 これは競馬会の職員よりも役員に十分の警告をしておく必要があると思うのであります。 さらにお尋ねいたしたいのは、私たちが競馬法を通過させまするときに附帯決議をつけておりました。すなわち衆議院におきましては「日本中央競馬会は、経理の厳正を期し、役員の報酬等経費の節減に努めるとともに、調教師・騎手等の待遇改善、生活安定に関し特段の措置を講ずべきである。」参議院におきましても附帯決議の第二としまして「日本中央競馬会の職員並びに調教師及び騎手等の待遇の改善及び身分の安定に遺憾なきを期すこと。」こういうように両院からこれに決議をいたされておるのであります。ところが最近われわれが競馬の運営を見てみますると、最も責任ある場長が兼任されておるという点、われわれはこれは経理の厳正を期するという意味からいつても好ましくないことと思うのであります。こういうような事実が現われておる。ことにまた今日競馬場において最も封建的である厩舎制度を改善し、あるいは騎手の身分、こういうことに対してわれわれは十分これを尊重しなければいけないということを主張しておつた。ところが最近この競馬会の理事者の中から、あるいは騎手に対して、おれの言うことを聞かなかつたならばこの次の免許はやらないぞ、こういうように弱い騎手等を理事者が脅迫するといいますか、おどしつけるというような、身分の安定を期せられないようなことをやつている、こういう事実があるのです。こういうことは明らかに国会の決議を無視した行為であると思うのであります。私は事実を持つておりますから、あとで差上げてもいいのでありますが、競馬会が、あなたのおつしやつたように、こういうような錯覚を起しておるということは、われわれは許すことはできないと思うのであります。新しい中央競馬会の中に、この立法の精神を解してない理事者がおるがゆえに、こういうような問題が起つておると思うのであります。これゆえに私は農林省の監督が十分でないということを言うのであります。こういう点が事実あるとするならば、あなたの方はこの競馬法改正の趣旨にのつとつて十分注意をし、監督するだけの意思を持たなければいけないと思うのであります。こういうことに対して、特に騎手の身分等に対して、今日の競馬法によりますと、この競馬会の理事者が調教師の免許をやるということになつておりますので、これによつてはとんど調教師あるいは騎手というものは、身分の安定を理事者のために奪われておるというような状態でありますので、こういうことに対して農林省はどういう考えを持つておられるか、この点を承りたい。
○大坪説明員 ただいまの調教師、騎手等の生活安定を期せという当委員会の趣旨は私ども体しているつもりであるのであります。ただ来年度におきましては、先般競馬の運営審議会が開催されたのでありまするが、その席上におきまして、いわゆる理事も含めました一般職員につきましては、旅費その他手当等におきまして相当減額いたしたのでありまするが、調教師、騎手等に充当いたしまする金額は大体現在程度にとどまつた。と申しまするのは、来年は売上げが今年以上に伸びるという的確な見通しがありませんので、調教師、騎手等にもう少し手厚くというふうに競馬会として考えたようでありますが、これは現状にとどめる、しかしながら職員の方は削るというふうにいたしたようであるのであります。ただいま理事の中に、自分の特権を利用して調教師、騎手等を相当虐待をすると申しますか、不法な行為をするというお話でございますが、これは厳に慎むべきことだと思うのであります。もちろん競馬の公正というものは期さねばならないのでありますが、自分の地位を利用して調教師、騎手等に不当なふるまいをするということがもし事実といたしますれば、これは厳重に戒告すべき問題だ、かように考えるのでありまして、十分取締りたい、かように存じておるのであります。
○稲富委員 まだいろいろ聞きたいことがありますが、時間もありませんので、最後に結論を出したいと思います。この中央競馬会の立法の精神に反するような理事者があつた場合は、農林省はこれに対して十分警告あるいは免職をさせるというこれほど強硬な御意見があるかどうかを承つておきたい。
○大坪説明員 これは程度の問題かと思いますが、もちろん免職に値するようなことがありますれば、当然農林省としては法律の精神に従つてこれを実行するということはこれは間違いないと思うのであります。
○稲富委員 免職に値するという実にあいまいなお話でございますが、両院とも附帯決議をしておる、こういうような附帯決議に反するような行為があつた場合は、明らかにこれは不適当である、免職に値する、こういう解釈をされることが私は立法の精神上必要である、こう思うのでありますが、これに対する解釈を承りたい。
○大坪説明員 もちろんそれは具体的の事例によりまして違う問題であると思うのでありますが、法律の精神に違反して免職に値するような行為がありました場合には、当然法律の精神に従つてこれを処分する、こういうことにいたしたいと思います。
○稲富委員 最後に一点。ただいま調教師、騎手の免許は競馬会がやることになつておりますが、地方競馬においては今日県がやつております。私はこの免許制度というものも当然国がやるということに持つて行くことが妥当であると思うのでございますが、これに対してどういう考えを持つておられるか、承りたい。
○大坪説明員 その点につきましては、ただいま稲富先生がおつしやいましたのも一つの非常ないいりくつでありますので、この点は十分に検討いたしたいと思います。もし検討の結果その方がより合理的であるということになりますれば法律を改正いたしたい、かように考えます。
○稲富委員 まだいろいろ承りたいことがありますけれども、農林大臣も見えておりませんので、さらに機会を見まして、農林大臣並びに参考人等出席される時分にお尋ねすることにいたしまして、本日はこの程度にいたします。
○井出委員長 ちよつと速記をとめて……。 〔速記中止〕 ―――――――――――――
○井出委員長 引続きこれより農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。 本案に対しては、先般も申し上げましたように、大蔵当局より意見を申し述べたいとの申出がなされておりますので、この際発言を許します。
○伊東委員 議事進行について。吉川久衛君外百二十一名提案にかかわりまするただいま委員長から宣言された法案につきまして、私は議事進行について一言述べておきたいと思うのであります。 本案はこの委員会を中心にして各党の共同提案であります。すでに本日の本会議において金融措置その他災害地救済のための教案が通過いたしましたが、最も必要な農林省関係では、農林水産に関する災害復旧に関するただいまの提案、もう一つは建設省の公共施設の関連による災害救済のこの二つの問題が今日まで取残されたということは、まことに遺憾であります。もしもこの法案が通らなければとうてい災害地の災害の復旧はでき得ないのであります。すでにこの法案は社会党全部の賛成があるばかりでなくて、民主党としては非常に念を入れて自由党に対してこれらの案の協定をいたして、そうして口だけではいけないというので、自由党と日本民主党の両方の政務調査会長が、双方調印までやつてかたく取結んだこの協定でありまして、すでに党においては了解済みであるのであります。しかるに非常に急迫した今日まで取り残されたことについては、私は裏に策謀があつたということを申し上げたいのでありまするけれども、この具体的なことは申しません。これは民主主義の立場から、国会ですでに成案になるはずになつておるところを、一部官僚の策謀などによつてこれがもし流されるということに相なりますならば、議会政治というものは役に立たぬことになります。 そこでもう質問応答をする必要もありません。われわれは提案者でありますし、なおまたこの問題によつて大蔵当局あたりからお話を聞く必要なしと考えますので、私はこの際委員長に希望いたしますることは、もう即決で、この案の通過をはかるようにとりはかられるよう特にお願いをいたします。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 この際お諮りをいたしますが、さきに大蔵当局から意見を開陳したい、こういう申出がございまして、委員長はさようとりはからいたいと考えましたが、ただいま伊東委員からお聞き及びのようなその必要なしという御意見であります。御異議がなければそのようにとりはからいますが、先ほど芳賀委員から大蔵当局に質問されたいという申入れがありますので、この際それらを勘案いたしまして、芳賀委員の質問を許したいと思いますが、よろしゆうございますか。――それでは伊東委員の御意見もございましたが、この際大蔵当局の申出を許容いたしまして、発言を許します。山本大蔵政務次官。
○山本政府委員 ただいま議題の件につきまして政府として発言の機会を与えられまして幸いに存じます。二十九年発生災害の復旧につきましては、二が進行中であります。その一環として農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案等が議員立法として提案されておりますが、これにつきましては、次に述べる理由によりまして、反対でございます。 これら一連の特別立法のうち、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法及び農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の制定は、特に国家財政に対する影響も甚大であり、また今後に重大な問題を残すこととなりますので、怪々に行うべきではないと考えております。 反対理由の第一点といたしましては昭和二十九年発生の災害が、戦後最も小さい災害であるという点でございます。一々詳いし数字を申し上げませんが、昭和二十二年以後大体千億ないし三千億近い災害復旧事業費があるような大きな災害でございましたが、今年、昭和二十九年は、一昨年と並び被害額は最も小さいのでございます。第二点といたしましては、特例法に基く財政負担の増大は、国家財政に重大な圧迫を加えるという、こういう点でございます。特例法の制定に基く国庫負担の増加は、本年災害については約百億程度と見られますが、本年災害は戦後最小のものでありますから、当然今後も毎年恒久的にこの程度の国庫負担を行わねばならないと考えられますので、平年度といたしますと、実に二百億ないし三百億ぐらいの国庫負担増加となるものと考えられるのでございます。特に本特例法が十分な客観的検討を経ずに早急に立法されますと、国家財政に与える影響が重大であるだけに、あるいは後日非難を免れないというような事態になるものと考えられるのでございます。 第三点といたしましては、被害激甚の府県につきましては、現行法のものでも相当高率の国庫負担または補助が行われるという点でございます。非常の災害に対しまして地方の負担をできる限り軽減するということは、もちろん必要でございますが、この点につきましては現行の法律でも十分に考慮されておるのでございます。たとえば昨年二十八年の公共土木災害につきましては、和歌山、三重等の国庫負担率を見ますと、いずれも現行法でも九割以上となつておるのでございます。それと昨年のような特別立法をいたしますと、たとえばこれを和歌山県の例で申しますと、昨年の土木関係被害額は百三十億前後に査定されておりますが、これに対して現行法のもとでも九割五分三厘、すなわち国が百二十四億円、和歌山県が六億円持つことになつておるのであります。かりに復旧に、三、四年かかるといたしますれば、県の毎年の負担は一億五千万円前後であり、これについても全額起債の措置がとられております上に、この元利償還金の九五%が基準財政需要に見込まれて、その財源手当を交付税で見るように、かなり至れり尽せりの措置になつております。しかるにこの特例法は、現行法によりますと、さつき申しましたように六億円でございますが、この六億円を一億七千万円に減らそうというのでございまして、四年復旧といたしますと、年々の負担は約四千万円でございます。一方和歌山県の財政の規模を見ますと、大災害前の昭和二十七年度におきましては、六十七億の歳出規模を持ち、十一億円の通常税収入を持つておるのでございますが、この県が、何十年に一回という大災害であるというわけで、国が百二十四億円持つことになつておりますのにまだこれでは足りない。地方は一億七千万円に切下げる。毎年度といたしますと、和歌山県の六十七億の歳出中に四千万円しか負担ができないというわけでございます。昨年の大災害に対しましてさえもあの立法はどうかと考えられますのに、それを災害が昨年とは比較にならない小さな年にも再びこういうことをやるということには反対でございます。 次に、特に農林関係でございますが、個人財産に対する災害による被害を補償ないし補助することは、その額がきわめて多額に上りますためにとうてい不可能でありますので、これを行わないということを原則としておるのでございますが、農地につきましては、その性格にかんがみ、特例として五割の補助が行われているのでございます。かつ農地及び農業用施設が相当の被害、一戸当り八万円以上でございますが、こういう被害を受けた場合に、その超過額に対しましては、現行法でも補助率を通常の五割ないし六割五分から、八割または九割まで高め得るようになつておるのであります。特別立法は、政令で指定する地域にはすべて九割の補助率とするというのでありまして、農地及び農業用施設等千が収益的な資産であり、また農地のごときはまつたく個人資産であることをあわせ考えますと、あまりにも高率でないかと考えるのであります。このことは、施設の収益性ともからんで一層不正便乗を増大せしめるおそれがある。現に二十八年災害のごときは、精密な再査定の結果によりますと、相当の水増しがあつたことが判明し、原査定額の六〇%にも減少したような次第でございます。第四点といたしまして、一般に災害については不正便乗が多いということは、最近の会計検査院の検査報告にも毎年指摘されるところでありまして、世上の強い非難を受けているのでございます。そのおもなる原因といたしましては、災害復旧費が一般の改良事業よりも国庫負担率または補助率が高くなつているという点があげられているのであります。しかるにこれらの特別立法によつてさらにこの国庫負担率を高めるわけでありますから、災害便乗の弊害は一層はなはだしいこととなるわけであります。 第五点といたしまして、負担率または補助率の引上げは、災害復旧事業の遅延を招来するおそれがある、こういう点であります。国の一般財源には限りがありますから、この上国庫負担を増加するということは、結局予算措置が十分行い得ないで、災害復旧事業の遅延を招来する可能性があるのであります。 第六点といたしまして、特別立法の対象地域がとかく総花的になりがちだ、こういう点であります。特別立法の対象地域を三十八年と同様に政令で定めることとする場合にとかく総花的に広がりやすい。いわば悪平等となり、災害激甚地に重点的に措置すべき法本来の趣旨に反することとなりがちであります。 以上災害特別立法に対する意見の大要を述べましたが、政府といたしましても、現在の災害関係法規に改めるべき点がないと考えているわけではないのでありまして、すでに教箇月前から関係各省担当官の間で研究会を設けまして、現行法の改正を検討中であります。特に連年大災害を受けたような場合におきましては、地方負担の調整を考える等の措置も考えたいという意見があり、遠からず結論が得られるものと考えておるのであります。 なお米麦の売渡の特例に関する法律案及び水稲健苗育成施設普及促進法案の両法案の議員立法が進行中でありますが、前者につきましては、減収千万石余に及ぶ大凶作の昨年と違い、平年作に近く、価格も安定している本年におきましては、すでに実施している卸売価格による売却代金の延納による措置で十分であると考えられるのであります。また後者につきましてもすでに二十四年度以来毎年度数億円の補助金を計上し、その効果は農民の間に十分浸透されていると考えられますので、これ以上補助を継続することは、経営費の一部に対する万年補助金と堕し、適当でないと考えるのでございます。 最後に、政府で提出いたしました被害農林業者に対する資金融通に関する特別措置法案に対しまして、過日本委員会で議決されました修正案については、次のような理由でこれまた残念ながら反対でございます。 政府提出法案は……。
○井出委員長 大蔵政務次官、あなたの今の説明の中で米麦売渡しの件あるいは健苗育成の件、なおただいまの金融措置の件は、すでに本委員会において通過をいたして、参議院においてもすでに上つたものもあり、上らんとしている状況でありますから、それはここでは必要ないと認めますから、その部分は打切つてください。
○山本政府委員 それではこれをもつて打切ります。
○井出委員長 この際質疑の通告があります。順次これを許します、芳賀貢君。
○芳賀委員 ただいま山本大蔵政務次官から、現在本国会において審議中あるいはすでは国会において成立した法案等に対しましてことごとく反対の討論を行うがごとき意見の開陳があつたわけでありますが、現在の政治情勢は山本政務次官も御承知の通り――あなたは、自由党の所属であります。事務次官とは違うのであつて、吉田内閣のもとにおるところのいわゆる政務次官の山本さんであるというようにわれわれは了承しておるわけであります。すでに本日衆議院においては両社会党並びに民主党の三派共同提案になるところの吉田内閣不信任案が提案の運びになる手続が完了しておるわけであります。これはおそらく明日の本会議においては成立するという確信をわれわれは持つておるわけであります。そういう段階に当面して、いまさら吉田内閣のもとにおける政務次官の山本君がここへ来て、これらの問題に対して反対であるという見解を述べられることは、これは吉田自由党内閣の最後の段階における政府を代表する意見として聞くべきであるかどうか、その点はいささか明快を欠いておるので、この点の発言の出所が那辺にあつたかという点に対する明確なる御説明を願いたいのであります。
○山本政府委員 私は、先ほど来のいきさつをごらんくださればわかります通りに、委員長の許可を得まして意見を述べさせていただいたわけでございまして、この法案に対する審議はもとより皆さんの自由意思によりまして、皆さんの御自由に処理していただくべき筋合いでございまして、これに対して牽制するとか、そういう意図は毛頭ございません。
○芳賀委員 それではお尋ねしますが、すでにこの衆議院においてはただいま御指摘になりました、あなたが力説し反対であるということを言われたこの水稲健苗育成に関する法律というものは成立しておるのであります。それから米麦の売渡しの法律案につきましてもこれは衆議院を通過して、参議院におきましても農林委員会において全会一致ですでに可決になつておるわけであります。それから被害農林漁業者に対する融資を行う特例にしても、本日の衆議院の本会議において修正可決ということになつております。ですからすでに立法府において成立しておるというような案件に対して、ここにまたおいでになつてあらためて挑戦するがごとき態度は、われわれ委員会に対する挑戦というよりも、むしろこの国会において立法府が完成した法律に対して挑戦するというようなことになると私は思うわけでありますが、そういうことになると、これはいささか筋違いのような御発言になつておると私は考えるわけであります。ですからすでにもう成立した法律案に対して反対であるというような態度をとる場合においては、あくまでも合法的に立法府としてのわれわれの所属しておる範囲内における合法性に訴えて、当然議員立法であるとかあるいはその政党がこれまた改正するような手続をとるとか、そういうような諸般の手続をとつて行われるということはいささかもさしつかえないことでありますが、何かこの委員会等において審議中の諸法案に対して、先ほど同僚伊東委員が指摘されたように、一つの意図をもつて、ただその意見を開陳して参考に供するというだけでなくて、もうこの切迫した会期末において、ことさらに意図的な行動に出られようとするような点が非常に多く見受けられるわけでありますが、これらはやはり政府当局としても十分慎重を期する態度というものが望ましいのでないかというように考えられるわけであります。なお指摘したい点は、今次の災害対策等に対して、大蔵当局のとられた態度というものがいかなる影響を与えたかということを私は若干お尋ねしたいのであります。たとえば山本政務次官の参議院の農林委員会の申入れ事項に対するいわゆる答弁害というものがわれわれの手元に来ておるわけでありますが、一例をあげますと、ことしの災害はもちろん全国的な規模においては昨年より非常に狭いわけでありますが、しかし宮崎県であるとかあるいは北海道、東北の一部、これらの被害地の被害の深度というものが昨年の被害の度合いよりもさらに深刻であり、甚大であるということは、政府当局もお認めになつておる点であります。ですからそういうような地域的ではあるけれども、昨年と続いて甚大なる災害を受けておる地帯に対する救済というものは、当然政府の責任において救済しなければならぬ点であります。それにもかかわらずあなたは参議院の農林委員会において、たとえば水稲雑穀等の種子の助成等の問題に対しては、こういうような助成は助成の額がわずかに失するために、これはやつてもやらぬでも同じである、むしろ少しくらいの助成金をやるよりも全然やらぬ方がいいというような暴論を吐いておるわけです。しからばこれは手薄だからきき目がないからやれないというような意見であれば、手厚い、末端に浸透するような助成の方法を講ぜられるというならいいですが、少いからむしろやらぬというような考え方というものは、十分反省の余地があるのではないかと思うわけであります。幸いにして小笠原大蔵大臣は、そういうような愛情のないやり方というものは反省の余地があるので考えます、という言質を当農林委員会に残して去つたわけでありますが、その結果かどうかしりませんけれども、冷害用種子対策としてわずかではあるけれども、七千五百万円が政府原案として提案されておつたわけであります。そうしてその中には水稲の種子の助成が四千万円、残余のものに雑穀の助成ということになつておるわけでありますが、そういうふうにただめちやくちやに災害対策費に対しても、一兆円の面子にとらわれて、削減さえすればいいというような態度が間々見受けられておるわけであります。たとえば災害地に対する炭がまを構築することに要する費用を昨年同様ある程度、助成金を出す、そうして被害木等を中心とした薪炭原木を払い下げて災害地の被害者の救済をはかろうというような措置に対しましても、ことしは炭がまの助成というものは全面的に削除されておるというような状態であります。あるいはまた先ほど御発言になつた保温折衷あるいは温床の苗しろ等に対しましても、昨年度の災害対策の場合においては、同じ吉田自由党内閣のとつた施策の中においても、約五億円の金を災害地の健苗育成のために補正予算として確保して、これを末端の災害地に助成金として支出しておるわけであります。ことしは、同じ政府が経営面の施設に対しては補助金を出すということは、これは実にばかばかしい、断じてまかりならぬというような態度を堅持されておるわけです。こういう問題は、単に財政当局が極端に支出を避けるという考え方だけに立つて、わが国の農政に対する影響がどうなるかということをいささかもあなた方は考慮に入れておらぬわけであります。当委員会において単なるおみやげ立法であるとか、そういうような情ない考え方においてわが国の農政を取上げるというようなことは一度もないのであります。その点は山本さん、これは認識を新たにしてもらわぬと場所柄が違うということになると私は考えるわけです。ですから、この水稲栽培あるいは食糧増産、農民の生産と経済の安定をはかるためにも、非常に広域な地域における気象条件とか立地条件が違う。高冷地あるいは寒冷地の水稲栽培等に対しては、それだけ特段の努力と施設というものが必要になるわけです。そういう努力を傾倒しても、なおかつ劣悪な生産条件の地帯においては十分の生産が上らぬのであります。ですから、ここに思いをいたした場合には、こういう特殊地域の水稲栽培に対しては国が当然の措置として、十分普及するということも必要でありますが、そういうような意味を含めて保温折衷苗しろ等の必要苗育成の措置を講ずる、あるいは病虫害防除等に対する国の助成を必要とする。そういう点を財政当局が極端に排撃するというような態度に出る場合においては、当然わが国の農業を守るというような態度から、守り得るに必容な法律の措置等の諸条件を具備しなければならぬというような必然性がそこに出て来るわけです。今国会においては、会期は非常に短時日ではありますけれども、これは各党一致の共同提案としてこの健苗育成の法律案を五箇年の時限立法として遂に成立させたような状態であります。ですから、財政当局がそういう点をいろいろ反省された場合においては、決してわれわれは感情的にものを扱おうとはしませんけれども、財政面において農政に対する極度の圧迫を加え、あるいはまた外国から余剰農産物をあけつぱなしに持つて来て、わが国の農業経済に対する出血をしているような状態が出た場合においては、当然われわれの責任としてこれを防衛しなければならぬのであります。むしろ反射的にあなた方がこういう法律の措置を促進させ、あるいは予算の修正の面であるとか、災害に対する特殊立法をつくらざるを得ないような情勢を、むしろあなた方自身がつくりつつあるということも、これはお考えになる必要があるのではないかと私は考えるわけであります。 なお申し上げたい点は、本日も本会議を通過した経営資金等の法律案が、参議院において今委員会で審議中でありますが、その委員会におきましても、原案の八十億を百億に修正し、あるいは昨年の災害地帯であつて三分五百厘の融資を受けた地帯が、今年もまた災害に見舞われて、しかも五割以上の減収農家であつた場合においては、そういう地帯に対しては政令が指定して三分五厘の融資を行うというような、当然行うべき修正を行つた。この件に対しても、かかる修正というものはまつたく反対である。参議院の農林委員会においてこれを政府原案に復するような修正をやつてくれということを、あなた方は委員各位に個々面接をしてそういう働きをしているのじやないですか。もしそういうことが実現してあすの日にでもまたそれが参議院の修正案として衆議院の本会議に回付されて来るような場合において、あすはもう内閣不信任案が成立する日なんです。そういう場合においてどうなるか、廃案にならぬとも限らぬじやないですか。そういうことになつた場合においては、この被害地域に対してまつたく融資の措置さえも講ずることができないというような悲惨な状態がそれによつてかもし出されるわけです。五割以上も減収しておる農家を、わずかに利子の面だけで救済しようという場合において、はたして二十九年度においてどれだけの政府の財政支出が増額になるのですか、これはおそらく二千万にも足りない金だと私は考えておるわけです。そういうことをもあえてして、一箇年以上も災害に苦しんでおる地帯の被害農家を塗炭の苦しみに追い込まなければならぬというような必然性は、どこをただせばそういう結論が出て来るか。政府を代表して御出席になつたと思うので、この機会に山本政務次官から政府の所信を披瀝してもらいたいと思います。あす倒れる内閣の所信を聞くということはナンセンスであるけれども、勇を鼓してここまで来て挑戦するという態度を一応買つて、私はあなたに発言をする機会を提供したいと思つてただすわけです。
○山本政府委員 さきにも申し上げました通りに、私は決して皆さんの御審議に対して制肘を加えようとかいう意図は毛頭なく、委員長の許可を得まして意見を述べて御参考に供したい、そう思つただけでございます。各自それぞれ立場によりまして意見が違うのは当然でございます。それであらゆる機会をとらえてなるべく発言させる、意見を述べさせるというのがむしろ民主主義の真髄であろうと思うのであります。大蔵当局が財政面から、決して農林関係の行政に対して全然愛情がないとか見向きもしないということはございませんが、財政当局の立場といたしまして、各方面の財政措置をふやしますと、それぞれの金額は必ずしも大きくなくとも、これを合せますと総合してインフレになるという危険がございますので、ついつかないことを申し上げがちになるわけでございます。 そこで今度の災害に対する融資の問題、これが廃案になつた場合にはどうするつもりかというお尋ねでございますが、これに対しましては次の国会におきまして同じような立法をしていただきたい。そうすればその間においては大した支障もなく行くのではないか、こう考えておる次第あります。
○芳賀委員 そういう常軌を逸したような発言をされること自体、あなたが自己反省をまつたくされておらないということです。たとえば米麦の売渡しの場合も、これは各党共同提案ですよ。あなたの所属しておる自由党全部がこれに賛成しておるのですよ。しかも自由党を代表して福田喜東君が米麦の売渡しに対する提案者の代表として提案の趣旨を弁明しておるじやないですか。あるいはまた今審議中の農林水産施設の復旧に対する特例法についても、やはり自由党全員が賛成しておるじやないですか。あなたは政務次官ではあるけれども、自由党に所属しておる議員でしよう。そうなら当委員会に来て挑戦する以前に、与党であるあなたの所属しておる自由党が――予算の伴わない、しかも今国会で成立した予算には公共土木とかあるいは農林水産の災害復旧に高率補助を適用した場合においてどうなるかというような財政的な支出の計画はないのであります。少くとも与党がかかる提案に党をあげて賛成する場合においては、予算との関連の上に立つてこの法案を出すことがどうであるかということは当然考えなければならぬ事態なんだ。あなたの所属している、しかも政府与党である自由党自身が、まず今回の災害対策に対しては何をさておいても公共土木とこの農林、水産施設の災害の高率補助の特例法だけは通すという、ことを党議をもつて決定しているのではないか。そういう点に対してあなたはどういう働きかけをしているか。そのことが解明されないでただここへ単身乗り込んで来て、絶対反対だとか、まつたく反対だということは、これはナンセンスを越えた態度であると私は思う。あなたはたまたま前会当農林委員会に出席されたときも、足鹿委員の質問に答えて、財政問題はいささか私の得意とするところでありますということを自信を持つて言われたけれども、その頑迷なる自信というものはやはりこの法律案に対しても同じような自信を持つておられるわけでありますが、これは十分そういうようなあらゆる情勢の中に立つて当委員会に来られた経緯というものを反省されないと、その発言というものはまつたくわれわれが聞くに堪えぬ発言にしかならぬわけです。
○山本政府委員 私は自由党員であることは申すまでもないのであります。私は自由党員でございますが、自由党と政府は全然同じものではございません。もとより党の上に政府ができているのでございますが、全然同じものではないのでございまして、先ほど私の申しました反対意見は、つい先日の閣議においても決定している次第でございます。政府としては反対という立場はこれは閣議でも決定しているのでございます。
○井手委員 私ただいま参りまして、先刻どういう態度があつたか知りませんが、あなたはよもや政府委員として絶対反対などという意見を申されたことはないでしよう。ありますか。――お言いになりましたか、そんなことを。(「今言つたんだ」「速記録に載つているぞ」と呼びその他発言する者多し)けしからぬ話だ。もし意見があるならば与党である自由党に言わせることが私は政党政治の妙味であると思う。あなたは憲法をよく御存じでしよう。ただいま芳賀委員もおつしやつたように、この前私も聞きました。私はデフレは得意でございます、おそらくデフレのみならず国会軽視についても得意なんでしよう。憲法の第七十三条並びに第七十三条によりますと、内閣の権限が書いてある。国会に出席して意見を述べろとは書いてない。「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、」第七十三条には法律を誠実に執行する義務が課せられている。内閣に法律案の提出ができるかどうかということについては疑義がありますが、ともかくできるといたしましても、法律案を提出して国権の最高機関である国会で審議を願う立場になつている。その国会に対して内閣総理大臣が任命した政府委員が、すなわちあなたが、国会に対して絶対反対などと、この日本国憲法のどこに出て来ますか。あなたは少しいつも口が出過ぎる。ひとつきようは私は何時までかかつても、あなたとじつくりやりたい。こんな国会を侮辱する絶対反対などと公言するような政府委員に対しては、私は徹底的に追求する。よし日本国憲法から論議しましよう、政府委員がそういう意見を言えるとどこに書いてあるか、それを聞きたい。
○山本政府委員 先ほど私は委員長の許可を得まして発言させていただきましたが、絶対反対という言葉は用いておりませんが、全体の趣旨は反対であることは間違いありません。自由党と政府とは全然同じものではないということを申しているのでございます。
○中澤委員 絶対反対とさつき言い切つているんだから、どういう根拠で、通つた法案に対して絶対反対なのか。絶対反対という見方は一体どういう見方か、明らかにしなさい。(「七十三条を解釈してみい」と呼び、その他発言する者多し)明らかにしなさい。あなたはさつき、通つた法案に対して絶対反対という言葉を使つていますよ。全員聞いていますよ。その絶対反対という言葉は政府のどういう立場から、通つた法案に対して、議員の審議権に対して、絶対反対という権限の抑制ができるのか。その根拠から明らかにしてもらいたい。
○山本政府委員 絶対反対ということによつて皆様のお通しになつた法律を抑制しようということは考えておりません。ただ意見を述べさしてもらつただけでございまして、政府の意見を申し述べさせてもらつた、こういうことでございます。
○井出委員長 この際山本大蔵政務次官に委員長から申し上げますが、先ごろのあなたの御発言中不穏当な言辞があるやに思われますが、これに対してあなたは取消される御用意がありますか。これを伺います。
○山本政府委員 どの部分ですか。
○井出委員長 今指摘されている絶対反対の部分です。
○山本政府委員 私は絶対反対という言葉はさつき申さなかつたと思いますが、もしそれがございましたら取消します。反対という言葉はたびたび出ましたが、絶対反対という言葉は申したつもりはございませんが、もしありましたら取消します。(「同じじやないか、取消せ」と呼び、その他発言する者多し)
○井手委員 山本政務次官の前に日本国憲法の条文があります。七十三条の第一項第一号に、法律を誠実に執行するのが内閣の任務であることは明確であります。よく見てください。一たんきまつた法律に対して誠実に執行するのが政府の任務である。もし時勢がかわり改正の必要があるときには改正の法律案を出すのが政府の任務である。そのはつきりした政府の任務が明記されているにかかわらず、改正案も出さずして、現に執行されている法律に対して政府委員が――政府委員というのは政府が出した案に対する質疑に答弁するのが政府委員である、大臣が答弁するのがいいのでありますけれども、大臣が多忙のためにかわつてやるのが政務次官。それを考えてください。もしそれに対して反対の意向であるならば、自分の与党をしてそれに調整を加えさせるところに私は政党政治の妙味があると思う。政府委員みずからがこの席において賛成反対の意見を表示することは越権の沙汰である。わかりますか、言うことが、あなた。その七十三条について解釈をしてもらいたい。その法律があるにかかわらず、なおあなたは意見を言うことが、反対を述べることが正しいとお考えであるかどうか。この点は国権の最高機関である国会のきわめて重要な問題でございますから、簡単なことでは私は引下りません。あなたのそばにおつた原さんあたりはなるほど意見は申されるけれども、それはこういう公開の席上ではありません。外部に対しては大蔵省はこういう考えを持つておる、これはどうですかということを言つておる。その点は私は了解できます。しかるに国会の機関であるこの委員会において反対だとは何だ。七十三条にはつきり書いてある。あなたがここで言い過ぎだつたから取り消しますというなら私は引下ります。それでない限りは徹底的にやりますよ。 まず私はお尋ねします。七十三条についていかなる見解を持つておられるか。
○山本政府委員 先ほどから繰返し申し上げますように、委員長の許可を得まして意見を申し上げましたが、その中で絶対反対とかいうことは、私は確かに申さなかつたと思います。もし不穏当な言葉がございますれば、あとで取消します。
○井手委員 そういう言葉ではいけません。絶対反対も反対もこれは五十歩百歩、絶対がついておるだけの話で、反対に間違いはないのであります。そういう言葉がありましたならばということでは、あなたは憲法の解釈についてまだ割り切つておられない。私の言葉に行き過ぎがあつた、非常に御迷惑をかけましたから取消しますということであれば、私たちも了解いたします。すつきりしなさい、そのくらいのことは。それを言つたからといつてあなたの権威に関するものではありません。もう一ぺんはつきり取消しを願いたい。
○山本政府委員 私が先ほど申し述べました言葉の中において、不穏当な言葉とかそういうものがございましたら、その点は取消しますが、私は委員長の許可を得まして発言したのであります……。(発言する者多し)
○井手委員 許可を与えたというのは、説明をする許可を与えたのであつて、意見なり反対の意思表示をする許可はないのであります。あなたの今の答弁は、あたかも委員長の許可があつたから意見を申し上げた、反対の意思を表明したというふうに私どもは受取る。
○足鹿委員 関連して。山本さん、あなたは先ほどの大蔵省の意見を述べるというお話の中に、六つの理由をあげて、しかるがゆえに反対であるという意見を述べておられる。だから今井出委員が言われるように、おそらくこういう考え方を大蔵省は持つておるのだというような言い方をされるものだと私どもは思つたのです。ところが今問題になつておる、審議をしておる法案のみならず、本日その他の衆議院の会議においてもう正式にきまつた法案にすらも、あなたは絶対反対の意思表示をされ、同様六つの事例をあげている。だから、自分が今言つた言葉の中に不穏当な言葉があつたら取消すというのではなしに、これこれのとろは不穏当であると思う。この点については惡い、なぜそれが言われないのです。それをおつしやい。それは当然です。お互い議員はあなた方と罵声を交換するのが目的ではありません。今までのあなたがなさつた発言について、お互い議員の私どもは、あなたに対して罵詈讒謗を加えるものではありません。あなた自体が意見を述べたい、大蔵省の考え方を述べたいと言われるから委員長は許可をなさつたのであつて、委員長は決して六つの箇条をあげて議決を経た法案にまで大蔵省の反対意見の開陳を許したものではないと私は思います。当然あなたは取消すべきですよ。
○山本政府委員 私は委員長に対しましてこの災害特別立法関係について意見を申し述べさせていただきたいという申出をしておりまして、それを許されたので意見を申し上げたわけでございます。私が単にここで説明するのでないということは、委員長もあらかじめ御承知のはずでございます。
○足鹿委員 それでは伺いますが、この意見を述べるということと、今あなたがなされたことは、おそらくお互い政党に籍を持つておる者なら、常に与党、野党にわかれて討論を行う場合のやり方ですけれども、六つの理由は、災害の規模が小さいということ、財政負担がかさむということ、現行法では災害地には適用が十分できるということ、個人財産の補償には反対であるということ、補助率の引上げは復旧を遅延する、対象地域が総花的に拡大して悪平等となる、こういう理由によつてこの法律はいわゆる悪い法律だという、あなたは反対討論をしておるのですよ。そうなんでしよう。意見ではないですよ。そういう意味の発言は、私は委員長は許可しておらないと思います。委員長にもその点は少しお考えを願つて、この問題はひとつけりをつけてもらいたい。今後こういう悪例を委員会に残すということは私はよろしくないと思います。一旦きまつた法律案に対してまでも、しかも大蔵省の大蔵大臣がおつしやるならともかくも、議会が政府との間に連絡を依頼しておる、おそらく自由党がその任務を課しておるあなたがそういうことをやつて、むしろ議会との間に摩擦を起し、みぞを深めるような役目をあなたがしたと思えば、あなたのやつていることは政府のためにもならないし、国民のためにもならないのですよ。あなたは任務を果されておらないと思う。そういう任務できようあなたは来たのではないと思うのです。少くともおだやかに話をしなさい。あなたはさつき民主主義の原則は、述べることは述べさせるべきだということを、みずから言われました。委員長はそれを体して述べさせる機会を与えたと私は思うのです。しかるに何ぞや、今まで聞いておりますれば、一つの不動のものを自分たちは持つておる、これに従わざるものはすべて悪い意見なんだ。こういう頭できめてかかつて討論をするという意味において委員長は発言を許したものでは私はないと思います。ですから、その点については御反省を願つて、結末をつけてもらいたい。今のようなことは絶対われわれは了承できません。 〔「取消せ」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 この際委員長からさらに申し上げますが、先ほど山本大蔵政務次官の最初の御発言の途上において、私は議題外にわたる御発言に対して制止いたしたつもりでございます。先ほど来委員諸氏から指摘されまする通り、すでに本委員会ないしは衆議院を通つて参議院に行つている諸法案、具体的に申し上げますと、米麦安売りの法律、健苗育成の法律並びに金融措置の法律、これらについて先ほどあなたの触れられました部分全体、これを取消される御用意がありますか、まずこれを伺います。
○山本政府委員 これは委員長において御判断願いたいと思います。私が最後の点に触れましたときは委員長は制止されましたので私はやめました。その部分はだからとりやめました。
○井出委員長 それではもう一度申し上げますが、今私があげました三つの点は、あなたの発言中でありましたがためにこれを制止する時間があるいは遅れたかもしれませんが、少くとも、ただいまわれわれの問題にしておる議題外の発言でございます。それで委員長はこれは権限としては取消しを命じ得ると思つておりますが、それは不穏当でありますから、あなたが自発的に今指摘されました部分についてはお取り消しになられるかどうか、これを伺います。
○山本政府委員 議題外の発言につきましては取消します。
○井出委員長 よろしゆうございますか――この際足鹿覺君より本案に対する修正案が提出されております。その趣旨弁明を求めます。足鹿覺君。
○足鹿委員 修正動議を提出いたします。すなわち 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 本則中「七月の大雨並びに同年」を削る。 以上であります。 その理由につきましては、従来の審議の過程において委員各位はすでによく御了知のことと思いますので、これを省略いたします。
○井出委員長 これより修正案及び原案を一括して討論に入るわけでありますが、別に討論の申出もありませんので、これを省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。よつてこれより採決いたします。 まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○井出委員長 起立総員。よつて本修正案は可決いたしました。 次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○井出委員長 起立総員。よつて本案は修正案のごとく修正すべきものと決しました。(拍手) なおお諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時十七分散会 ――――◇―――――