厚生委員会 第4号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/12/06
会議録
○小島委員長 これより会議を開きます。 昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害地域に行われる国民健康保険事業に対する資金の貸付に関する特別措置法案を議題とし、審査に入ります。 まず提案者より趣旨の説明を聴取することといたします。青柳一郎君。
○青柳委員 ただいま議題となりました、昭和二十九年七月の大雨、同年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害地域に行われる国民健康保険事業に対する資金の貸付に関する特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 御承知の通り、国民健康保険は、昭和十三年に実施されまして以来、次第にその重要性を認められて今日に至り、現在保険者数約五千余、被保険者数約二千五百万を越えており、民生安定の上に多大の貢献をなしているところであります。しかるに、本年八月から九月にかけまして九州、四国、中国並びに北海道に襲来しました台風十二号、十五号等により、これらの各地におきましては、人畜並びに農作物に甚大なる被害を受けたのであります。また、七月全国各地に発生いたしました大雨は、局部的ではありましたが、これまた相当なる被害をもたらしたのであり、さらに八月には、北海道等においては、異常の低温のため農作物の著しい減収を来したのであります。 これらの相続く天災のための人畜並びに農作物の被害は、ただちに国民健康保険事業の運営上多大の支障を及ぼすものでありまして、その被害地域につきましては各方面から復旧をはかられつつある現状でありますが、国民健康保険におきましては、保険料並びに一部負担金の徴収がはなはだ困難のため、減税またはその徴収を猶予せざるを得ない実情にあるように見受けられるのであります。収入の大宗である保険料及び一部負担金の減収は、直接国民健康保険の保険財政に多大の影響を及ぼすものでありまして、このまま放置せんか、これらの被害地域における国民健康保険事業は重大な危機に瀕するものと憂慮されるのであります。以上申し上げましたように、被害地域における国民健康保険の危機を回避し、これの再建確立をはかることを目途といたしまして、この法律案を提案する次第であります。 この法案の要点は、第一に、被害地域に行われる国民健康保険事業に対し、保険料及び一部負担金の減免額の八割を貸し付けますとともに、その徴収を猶予した額につきましても八割相当を貸し付けるものとすることであります。第二点は貸付の要件でありますが、保険料減免額及び徴収猶予額が調定額の一割以上であり、かつ二十万円以上であることを要し、なお冷害以外の被害地域につきましては、災害救助法適用地であることも要件としております。第三点は貸付条件でありますが、貸付期限は、保険料及び一部負担金の減免額に関する貸付金につきましては、五年のすえ置き期間を含みまして十五年以内、その徴収猶予に関する貸付金につきましては、すえ置き期間一年を含みまして三年以内といたし、それぞれ年利五分五厘の元利均等年賦の方法により償還することといたしております。以上が、この法律案の要点であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
○小島委員長 以上で説明は終りました。 次に、本案につきましての質疑の通告がありますので、これを許可いたします。滝井義高君。
○滝井委員 ただいま提出せられました特別措置法の内容については、私これで異議ないと思うのですが、この国民保険の現在のいろいろの実態について、関連して一、二お答え願える部分はお答えを願い、ここでお答えできない部分は、あとで資料でけつこうでございますから、出していただきたいと思うのです。それは、現在地方財政というものは、昭和二十八年までの赤字の累積が四百六十二億あるといわれております。従つて、こういう赤字の累積の中において、戦後の発足して間もない国民健康保険、いわゆる組合運営から市町村が運営の主体になる、こう切りかえられてからまだそう時日のたつていない現状において、地方財政が非常に窮乏をしておるという中で、この大事な、国民の福祉をはかつて行く国民健康保険が、特別会計として保険料だけでまかなつて行くという形になつております。これがうまく運営が行つておるところを見てみますと、多く一般会計からこの特別会計に相当の繰入金を出しておるわけなんです。ところが地方財政の窮乏のために、その繰入金というものが、最近は政府の医療給付費二割負担の実現がむしろ拍車をかけたような形になつて、一般会計からこの特別会計への繰入れが減少しておるという傾向が顕著に見えておるわけなんです。今度のこの特別措置法においても、助成のために八割の金が貸される。被害を受けて保険料の入らなかつたもの、あるいは徴収を延期したものについての八割を貸すということは、まさにこの国民保険の順当な発展をはかるためにやるのですが、国は一方そういうふうに力を入れるが、地方自治体自体が保険料だけでまかなわせるということでなしに、やはり一般会計からある程度補充をして行くという姿を、当然これは国民の福祉のためにとらなければならぬと思うのです。こういう点について、これは提案者の青柳さんでなくて、課長さんの方から、数字は今はむずかしいでしようが、一般的な傾向、あるいは厚生省の考え方を御説明願いたいと思います。
○菅野説明員 数字は後ほどわかる範囲でお届けいたすことにさしていただきたいと思いますが、傾向といたしましては、昨年までは、一般会計繰入れの減少という傾向は見られなかつたようであります。ただ、ただいまお話のありましたように、助成交付金が出ることによりまして、その分をかぶせて一般会計繰入れを減らすというような傾向が見えて参りましたので、助成交付金の交付の要件の一部にも一般会計繰入れを減らさせないということを設けておりますし、さらに行政措置といたしましても、指導方針等によりまして、一般会計繰入金を減らさないということを指導しているわけでございます。ただ、今お話もございましたように、ほんとうに減らさざるを得ないというような財政上の窮乏に立ち至つたところは、これは何といつても物理的にそうせざるを得ないという面もあると思いますが、従来は安易に減らすという傾向もございましたので、ただいま申し上げましたような基準なり、あるいは行政方針なりで、強くそれをチエツクしておるわけでございます。ほんとうに物理的にそういうこともやむを得ないというような実情のものは、はつきりいたしておりますものに対しては、特別事情というようなしやんしやくをいたしまして、助成交付金の交付についてもしんしやくができるようになつております。それは、ことしの助成交付金の審査にあたりまして、十分に具体的に考えて行くということにしております。
○滝井委員 ぜひそういう指導を行政的にしていただきまして、国の二割実現とともに、さらに一般会計からも特別会計に繰入れて、この保険経済の運営をさらに順当に発展せしめる方向に指導していただきたいと思います。 その次には、政府は、来年までに少くとも八割程度まで、政府の町村合併の計画を推進したいという意欲を持つているわけなんです。現在、市町村の合併によつて、国民保険をやつているところとやつていないところ、あるいはやつているところ同士がやる場合においても、給付の内容の非常にいいところと悪いところ、患者の一部負担金の率の非常に高いところと低いところ、こういうように、町村合併によつて、国民保険に対する条件もまちまちな町村が合併する場合が非常に多いのでございます。そういう場合において、この町村合併促進協議会の中でできるこの合併の具体的な計画を立てる場合において、国民健康保険がところによつては冷飯を食わされている。たとえば、国民保険の事務員等がばつさり切られて兼任になる、こういうことのために事務の渋滞を来す、あるいはその進展を妨げるというようなことが方々に見られる状態があるわけなんです。町村の合併は国の大きな地方制度改革の方針として行われておりますが、そのためにせつかく芽をふいて来ている国民健康保険が犠性になるということは、まつたくわれわれの忍ぶことができないところなんです。こういうものについて厚生省の方ではどういうふうに御指導をされているのか、自治庁ばかりにこれをおまかせしておつてはだめなんで、やはり国民健康保険というようなものは非常に専門的な指導を必要とするのです。従つてこれを専門的に指導する熱意の強い人がその事務当局に一人でもおりますと、その町村はぐつと国民保険は伸びている。ところがその指導者があまり勉強もしないし、まあ市長や町長から、あるいは村長から言われたからしぶしぶやるというように、義務的にやるところは伸びていない。どの仕事も同じですが、特にこういう仕事はじみな仕事でありまするから、その指導者のいかんにもよることなんで、合併のときに、指導者のいかんによつてこれが非常に冷飯を負わされ、ひいてはその発展が合併のために阻害をせられるということもあり得ると思うのです。厚生省から、こういう合併につれて国民保険が現在どういう取扱いを受け、どういう変遷をしておるかということを簡単に御説明願いたい。
○菅野説明員 実情をよく御承知の先生のお話、まつたくその通りなんでございます。私どもも、例の町村合併促進法ができましたときに、この町村合併は国民健康保険にマイナスになりはせぬかということで、実は非常に心配したのでございますが、実施の実情は案外にいい、マイナスが現われていないということで非常に安心しております。御承知のように、町村合併促進法では国民健康保険の原則に対する例外を設けておりまして、保険料などは三年間は別々でもいいということだつた。あるいは、合併になつた後の一つの町村の中でやらない地域があつても、これは五年間はよろしいというような、町村合併を促進するための特例を設けております。これはお話のように、かえつて国民健康保険の推進のためにマイナスになりはせぬかという問題でもございますが、幸いにして、これは統計としては出ておりませんが、私の常時聞いております実情では、むしろ保険料を高いところに持つて行く努力も行われ、また開いていなかつた地域が合併すると同時に開くというような効果が現われておるので、案外これは喜ばしい結果になりつつあるというふうに思つております。ただ地方によりましては、具体的な問題といたしましてはそういう地方もあることと考えられますので、こちらの指導といたしましては、特例が法律上認められておつても、国民健康保険の趣旨と原則を強く打出しまして、即時に不均一のないようにせよ、あるいは合併と同時にやつてもらつたところはやるようにせよという行政指導をやつております。 それから合併計画、これは地方課等でございますが、県の合併計画については、地方課の中心になる合併計画については、保険課の方から強い連絡申入れをやり、国庫のマイナスにならぬようにということを強力に参画指導しておる次第でございまして、原則的に全体的に申し上げますと、ただいま申し上げましたように決してマイナスになつておるという点は考えられない、個々の指導は今申し上げたようにやつておる次第でございます。
○滝井委員 少し積極的に、合併計画を立てるときも、国民健康保険の地位の確立のためにぜひ努力をしていただきたいと思います。 次には、現在社会保険、特に政府官掌の健康保険においても、組合管掌の健康保険においても、受診の件数というものは昨年に比べてそう上つていない、しかし療養の給付費に至つてははなはだしく上昇を来して、四割八分ないし五割の上昇である、こういう傾向が出ているのですが、私が地域的に調べたところにおいては、国民健康保険もそういう傾向が現在出て来ておると見られるのですが、全国的に見た場合に、健康保険と同じような傾向が国民健康保険に出て来ておるものかどうか、そういう点をひとつ御説明願いたい。
○菅野説明員 国民健康保険は全国町村の実情を集めますので、健康保険に比べますと、統計上はなはだ遺憾ながら統計の結果が現われるのが半年、場合によつてはそれ以上になるというふうにずれがございます。現在最近の伸び方がどうかという数字が的確に把握できませんので、はなはだ申訳ない次第でございますが、指導の面でもあるいは対策を立てる点でもなかなかやりにくいのでございます。ただ総括的に申しますと、おつしやる通り伸びはやはり相当な比率をもつて伸びております。従いまして助成交付金の来年度予算につきましても、その伸びを十分に計算推定いたしまして、予算を組んでおるわけでございます。
○滝井委員 国民健康保険の助成のために本年は七十一億一千八百万円の予算があるということになるのですが、来年厚生省の方で要求いたしておるのは九十億七千七百万円でしようか、新聞でちよつと見たらそう出ておつたように思いますが……。
○菅野説明員 今おつしやつた数字は助成交付金ばかりでなく、全部入つておつて大体そのくらいです。
○滝井委員 この伸びの問題と、それからお宅の方で大蔵省に要求をした予算との関係を実は少し検討してみたいと思いましたが、実はそういう実態がまだはつきりしませんので、これはいずれまた機会をあらためていろいろ資料をいただいてやりたいと思いますから、これはこれ以上追究はいたしません。 それからこの法案についてですが、今度いよいよ第一条によつて被害地域の指定が行われることになるわけですが、大体この法案によつてどの程度の地域が指定をされるのか。それからこの二十万円以上保険料の徴収猶予減免をやつたのはどの程度の町村があるかということ、これは同時に地域の指定と関連をして来ますが、その金額の総額、こういう点だけをちよつとお教えを願いたいと思います。これは厚生省わかつておればおよそのところでけつこうです。
○青柳委員 町村別の調査がまだできておらないのでありまして、府県別の調査をここに持つておりますから、それを申し上げてみたいと思います。北海道が一億一千六百十一万円、広島が七十万円、山口が百十六万円、香川が二十四万一千円、愛媛が二百三十四万八千円、高知が九十万一千円、熊本が二百三十四万四千円、大分が百六十万三千円、宮崎が千八百十九万七千円、鹿児島が四十万七千円、総計いたしまして一億四千四百二万六千円、これが概数でございます。
○滝井委員 わかりました。けつこうです。
○小島委員長 他に本案についての質疑はございませんか。——他に御質疑もないようですから、本案の質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認め本案の質疑は終了したものと認めます。 次に本案の討論に入るのでありますが、本案の討論につきましては通告もありませんので、これを省略し、ただちに採決いたすことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認めます。よつて本案の討論は省略し、ただちに採決いたします。本案を原案通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案通り可決いたされました。 なお本案に関する委員会の報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認めさよう決しました。 —————————————
○小島委員長 次に厚生年金保険問題について発言を求められておりますのでこれを許可いたします。杉山元治郎君。
○杉山委員 厚生年金と生活扶助との関係について実は質問いたしたいのですが、その実例を申し上げて——これはたくさんあることだと思いますので、本来ならば大きな問題ですから大臣からお答えをいただきたいのですが、今大臣がお見えにならぬので、ぜひお聞き取りを願つて後刻大臣から御答弁を願いたいと思うのであります。 その実例の一つでありますが、朝鮮から戦時中に徴用工としてつれて来られた方でありまして、現在横浜市鶴見区馬場町というところに住んでいる金山万鎮という方でありますが、この人が日本鋼管で働いているうちに、ちようど鋲打ちをしておりました日がたいへん寒い雪の降つた日でありまして、誤つて落ちまして、そして両足が折れた。こういうことでいろいろ長い間治療をいたしまして、六年間経過いたしているような状態でありまして、厚生年金をいただいておりましたが、一年わずか三千六百円でございます。それでは生活ができないから、民生委員の方から生活扶助として月々三千二百八十円をいただいている。これでようやく生活をしておつたのでありますが、五月から御承知のように厚生年金の改正によつて厚生年金を一箇年に二万七千六百円をいただくようになつた。これはたいへんけつこうなんですが、そういうようにふえたことによりまして、生活扶助の方が今度の例では減らされまして、月にようやく八百八十円をいただく。こういうことになつたので、厚生年金は増加するけれども生活扶助が減らされたので、差引いたしますと、月に前よりも約千円ほど減る、こういうことに相なるのであります。そういうようになりますと、せつかく厚生年金を増加していただいても何の役にも立たないばかりでなしに、かえつてこの人の迷惑になつた、こういうことなんであります。おそらくこの方ばかりでなしにそういう方がたくさんあろうかと思いますので、私はこういう人たちに対してはせめて従来いただいた額くらい何とかならないかという問題をぜひひとつ政府の方で考えていただきたい。また多少この人たちが働いて行くような場合に従来生活扶助からすぐ引かれましたけれども、そういうことでは怠けな人間をこしらえることになりますので、自分である程度もうけた場合には、生活扶助の方をすぐに減らさないで行くことが国家のためにまた国民のためにいいのじやないか。特にこの方の願つているのは、厚生年金を三箇月々々々でいただくのでそれでは生活ができないということなんです。やはり毎月々々にそれを割つていただけるような方法はできないものか。こういうことがこの人の言うて来ている点でございます。この問題はこの人ばかりではないと思いますので、よく厚生省でお考え願いたい。これは小さいようで大きな問題ですから、大臣の御出席があつたら御答弁いただきたいと思いますが、ぜひこれについての政府の方向をお示しいただければありがたいと思います。
○菅野説明員 厚生年金の法律の問題でもございますが、これの出し方及び生活扶助のやり方ということに関係いたしますので、私厚生省にもどりまして関係の方にただちに連絡いたしまして、後ほど御回答申し上げることにいたしたいと思います。
○小島委員長 次会は公報をもつて通知することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十六分散会 ————◇—————