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20回国会衆議院1954/12/05

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号

発言数
56
登壇者
7
会派数
3
開催日
1954/12/05

会議録

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が病気のため、たいへんお待たせをいたしまして申訳ありません。ただいま委員長が見えるという話ですが、それまでの間理事である私が委員長の職務を行います。  最初に、昨日院議をもつて付託されました公職選挙法の一部を改正する法律案(鍛冶良作君外一名提出、衆法第八号)を議題といたします。まず提出者より提案理由の説明を求めます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 ただいま議題となりました公選挙法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明いたします。  本案はさきは本院を通過いたしました公職選挙法の一部を改正する法律案に漏れた事項中、次の二点だけはぜひとも改正いたさなければならぬと信じますので、さらにつけ加えて提出いたした次第であります。  まず、改正の第一点といたしましては、青年会、婦人会等の集会、映画、演劇等の幕間または会社、工場等の休憩時間等を利用して行う選挙運動のための演説は、これを放任するときは個人演説会の回数制限は無意味となるおそれがあります。さらにまた機会均等を得ないという弊害もあると認めますので、これを個人演説会の回数に入れることといたしたのであります。  次に第二点として、立候補者を応援することのできる政党その他政治団体は一つの政党に限るねきもので、幾つかの政党その他の政治団体にその応援を求めるがごときは、政党政治を否認するものとなりはせぬかという憂いがございます。これを一つの政党その他の政治団体に限ることといたした次第でございます。  以上が本案の趣旨並びにその内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長代理 以上をもつて提案理由の説明を終りました。  これより質疑に入ります。飛鳥田君。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 提案者にお伺いしますが、このプリントの一枚目の裏の第百六十四条の九「公職の候補者以外の者が二人以上の公職の候補者の合同演説会を開催することは、前項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。」とあるのですが、これはこの間四党提案で出したものとどう違うのですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 私から便宜御説明申し上げます。それは、ただいま提案者からお話がありました件に関しまして、前にこの院を通りました条文を整理いたしまして、新たに百六十四条の九という一条を設けまして、従来百六十四条の三にお話の項目が入つておりましたのを削除いたしまして、こちらに振りかえたのであります。これはいろいろ条文の整理の関係から来たのでございまして、前にありましたのを全部剤除してこちらに新しくつけ加えるということで、内容は同じでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そういたしますと、この前の四党提案のときにはあつたものを削つてしまつて、新しく自由党の提案の条文の中に振りかえたというわけですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 詳しく申し上げますと、この前通りましたときには、現行の百六十四条の三に、この法律の規定によつて行う立会演説会及び個人演説会を除くほかはいかなる演説会も行うことはできない、こういう規定があるわけでございます。そのところに新しく二項といたしまして、「公職の候補者以外の者が二人以上の公職の候補者の合同演説会を開催することは、前項に規定する禁止行為に該当するのもとみなす。」こういうことになつておつたわけでございます。ところが、今読み上げました百六十四条の三の第一項が、鍛冶委員から説明がありましたように、内容がかわりますので、その事項を百六十四条の三のところの条文に置かないで、別にその条文を新しく置きます関係上、百六十四条の三に載つておりました新しい二項を、こちらに移したということでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 あまり頭がよくないせいかよくわからないのですが、そうすると内容は同じだということですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 二項に関します限りにおきましては、まつたく同様でございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そうすると、先日この衆議院を通つた公選挙法の一部を改正する法律案では、百六十四条の三の二項にあつた。そしてそれは衆議院を通つているわけですが、それを、参議院はまだ通過しないうちに、今度は百六十四条の九の二項に置きかえるということになるわけですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 さようでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そうすると、この百六十四条の九の二項というのは、今参議院においてまだ通過しない状態ですから、それ以前の今までの現行の法律に対する改正になるわけですね。そうすると二つ同じものが場所を違えて出て来るわけですか。どうもその辺がちよつとわからないのですが、伺つておきたいと思います。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 前に衆議院を通過いたしました法案が通るものと仮定いたしまして、現行の公職選挙法の中にそれが織り込まれるということを前提といたしまして、新しい改正案が出ておるわけでございます。これは、修正でありますと、すぐそのまま前の原案を直してその場で位置をかえるということになりますが、一度通つておりますものですから、それを改正する形式で参りますと、かようなことになるわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そうすると、自由党提案はいまだに確定しない、参議院を通過しないあの四党提案に対する修正案であるのか、それとも今までの法律に対する改正案なのか、その点伺いたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 現在参議院にかかつております案を含めましたものとしての改正案でございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 あまりよく知らないので、無知をさらけ出すかもしれませんが、法律として確定しないものに対する修正案が改めて出せるのですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 修正案でございませんで、改正案でございます。結局前の改正案が向うを通りまして、そのあとを追いかけてこの法律を公布する、こういう形で面して行くわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 そうすると、向うを通るまではこれは正式なものではないということですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 そういうわけでございませんで、もちろん、結果におきましては、向うの法律が通りまして、その同日に別のこの改正案が通過いたしまして公布されてもさしつかえないわけでございます。ただ時間的に、向うがこの改正案より少し前に成り立つて、これがそのあとを追いかけて直して行く、こういうかつこうになるわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 今の御説明だと通ることを前提にしておられますが、通らなかつたらどうなるのです。天変地異もあるかもしれませんし、はなはだ妙な例だけれども、参議院の方がみんな昼飯の弁当で中毒でなくなられたというような場合だつてないとは言えない。否決する場合もある。そこで、私が一審最初に明確に伺いたいのは、まだ法律となつていないものに対する改正案が出せるかということです。これからお答えをいただいて、その次には、通らなかつたらばどうするか、こういうことを伺いたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 これはすでにもう例もあることでありまして、ある法案がいろいろ関連いたしております場合におきましては、ある法律が出まして、それが通らない前に、つまり法律審号もきまらない前に、法律番号のところをブランクにいたしまして、そうしてその法案を前提といたしまして他の関連する改正案を出しておるわけでございます。もちろん一方の法律が通過いたしませんと、結局あとから迫つかけて参りますこの法律も意味をなさないことになるわけでありますから、もちろん前の法律が通らなければ、あとの法律はだめになるわけでございます。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 関連して。今鍛冶君から出されましたものは、公職選挙法の一部改正法律案が法律になつたということに基いて出されておる。今の法制部長の御意見はあまりにもこつけい千万で、法案というものは、その法案を審査する事前に配付しなければならないことになつている。参議院において成立するという仮定でこの法案を出しておるが、これは法案じやない。そういう仮定の事実に立つ手てそういう答弁をなさるということは、今までの衆議院の運営においては少くとも前例なきことである。法律でなきものを法律として、その一部を改正する、こういうことが通るならば、国会のルールはないということになる。この点は、提案者である鍛冶君は、やはり法律案が参議院において可決されて、その法律案が成立した後にお出しになるのが、衆議院における従来の慣例であろうかと思うのですが、その点について提案者と法制部長の両方の御意見はいかがでしよう。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点に関しましては、私が先ほどから申し上げましたように、もちろん、この法律は、前の法律が通過いたしました後に、それを前提といたしまして改正することになるわけでございますが、法案の審議の過程におきましては、向うの法案が参議院を通過いたしませんでも、改正案としては並行して拠出することは一向さしつかえないと考えております。ただ問題は、通過いたしました後におきましては、向うが先に通過いたしまして、それをこちらが直して行くというかつこうでございまして、たとえば、ある法案を衆議院に出しまして、さらにまたその、他の条項等を改正する必要があつてまた改正案を出すということは可能であるわけでございます。ただそれは一事不再議にかからない限度において可能だということであります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 可能だという法律上の根拠を示していただきたい。それからもう一つ疑問に思うことは、参議院で通らなければこれはだめになつてしまう、こういうお話ですが、そうなると、衆議院のこの委員会で審議した結果が、全然別個の——この法案自身に対する参議院の意思ならいいのですが、他の別個の法案、すでにもう通つている四党提案の法案、この法案に対する参議院の他の行為によつて完全に左右されるという結果が出て来る。これは、当然法律上の手続としてきまつていることによつて参議院に左右されるならしかたありませんが、そうでない、関連性のない他の行為によつて左右される結果になる。これは衆議院として相当慎重に考えていただく必要がある。衆議院がみずから自己の権限を狭めて行くような行為に私はちよつと賛成できない気がするのですが、この点についてもひとつ明快な御答弁をいただきたいと思うのです。今までの慣例だということで簡単には行かぬと思うのです。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 仰せの点ごもつともだと存じますが、衆議院におきましては、先ほどの公職選挙法の一部を改正する法律案は、少くとも衆議院の意思は決定いたしまして、こちらを通過したわけでございますから、もとよりそれを前提といたしましてこの案を出しておるわけでございまして、衆議院の意思としては二途に出ておるものではないのであります。衆議院で通りました案を前提といたしまして、その意思に沿うて、さらにあらためて一事不再議にわたらない限度において衆議院の意思を決定するというわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 衆議院の意思が二途に出ておるのではないかと私は思うのです。実質的な改正なら別ですが、鍛冶先生もおつしやつたように、内容においてかわりない。これをこの条文のここの箇所におくか、この条文のここの箇所におくかということは実質的にかわりない。ところが、それにもかかわらず、この公職選挙法の委員会なり衆議院が、同一会期内において二つの結論を出すということは、完全にこれは意思が二途に出ている、こういうふうに言わざるを得ないと思うのですが、この点ひとつ御答弁をいただきたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 先ごろこちらを通過いたしました選挙法の改正案のある条項を削除するというようなことを考えてみますと、それはこの会期におきましては一事不再議の原則に照してどうかと思います。ただ、前の選挙法の改正案になかつた新しい条項をつけ加えて改正案を出すとかいうようなことでありますれば、一向にさしつかえないと考えております。従いまして、今おつしやいました二途に出るという意味は、前にすでに通過した案を削除したというような関係になりますれば、御意見得の通りだろうと考えております。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 委員長、これは私たちのような新米の議員には非常に重要なことだと思うのです。そこで、これは各党の理事会でもお開きいただいて、ここで取扱いをひとつきめていただきたい、こういうことを提案いたします。

加藤鐐造日本社会党(右)

○加藤(鐐造)委員 今飛鳥田君の指摘された点ですが、法制部長はこういうことは前例があるとおつしやいますが、ほんとうにありますか。あなたのおつしやる前例というのはこういう意味じやないかと思うのです。要するに、委員会を通過して本会議にかかつたときに、さらに再度の追加修正あるいは改正が行われるということは今までたびたびありました。そういうことは国会運営上はなはだおもしろくないことだ、将来悪例を残すというので、われわれはそういうやり方に反対をして来たわけです。ところが最近そういうやり方がありましたが、しかし、あなたが今おつしやつたように、衆議院の本会議を通過して参議院にまわつておる。そして参議院ではまだこれが通つておらない場合に、再修正なり改正案を出すというようなことが今までありましたか。念のために承りたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 この点につきましては、出します前に、私も事柄が重要だと思いましたので、委員部のしかるべき担当の人とも相談いたしたのでありまして、そのときにも前例があるということでございましたし、また現実にある法案をこちらに提出になりまして、それからそれにつきまして追つかけてさらに改正案を出す、こういうことは現実にも行われておる例がございます。

加藤鐐造日本社会党(右)

○加藤(鐐造)委員 そういう前例があつたら具体的に示していただきたい。具体的に示さないで、多分あつたであろうということで、あなたがそういうことをおつしやるということは、この法律が議員提案である性質から考えて、ことさらにその提案者を擁護するためにそういうことをあなたが言つておられるのではないかということにもなるのです。だから、そういう前例がある、前例があると、前例をたてにとつてあなたはこれを擁護されるならば、いついかなる場合にどういう問題についてあつたかということを明示していただきたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点はちよつと適当なときに休憩でもしていただきますればお目にかけることにいたしましよう。

加藤鐐造日本社会党(右)

○加藤(鐐造)委員 あなたがそういう的確な、具体的な証拠なくしてそういうことを言われるならば、これは重大な問題ですから休憩して調べていただきたい。それを調べずにしておいてそれはそれとしてというようなことで進められるならば、私どもとしても少し考えなければならぬ。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員長代理 それではこの際暫時休憩して、理事会を開きます。    午後四時十二分休憩      ————◇—————    午後四時三十二分開議

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 休憩前に引続き会議を開きます。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 先ほど、衆議院を通過いたしました法律案につきまして、さらにおつかけてその改正案を出しておるが、それは適当でないのではないか、そういう前例があるかどうかというお尋ねでございましたが、その際に私前例があると申し上げましたところ、具体的にどういう例があるかあげてもらいたい、こういうお話でございましたので、その例を一、二申し上げます。  第十四国会におきまして、内閣から日本国有鉄道法の一部を改正する法律案が提出されました。その内容は、国鉄職員の市町村会議員の兼職禁止の規定でございます。これはいろいろ問題があつた規定でありまするが、その市町村会議員の兼職禁止の規定を含んでおる日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、衆議院に提出されて、こちらが可決された後に参議院に送付されたのであります。ところが、参議院に送付されまして、まだ向うで可決される前に、衆議院の議員提案といたしまして、市町村会議員の全部の兼職禁止は少し酷であるというような見地からでありましようか、市会議員は兼ねることができないけれども、町村会議員は兼ねるようにした方がいいじやないかという立論に立つたものと考えられまするが、そういう改正案をさらに議員提出案といたしまして衆議院の方に提出をされたのであります。そうして、その提案されましたものは、まだ参議院を通過していない法律案でありますし、なおまたその内容は、前にこちらで議決いたしました内容と異なる事項に関連いたしておるにもかかわらず、同様の規定があるわけであります。それが一つ。  次は、十六回国会におきまして、内閣提出の有線電気通信法案というものがございまして、さらにそのときに公衆電気通信法案というものも提出されておつたのでありまするが、これらが衆議院を通りまして、参議院に参りまして、参議院におきましてまだ可決されます前に、衆議院の議員提案といたしまして、災害救助法の一部を改正する法律案というものの附則の中で、ただいま申し上げました有線電気通信法案及び公衆電気通信法案のそれぞれの中の一部分を、それが通過いたしまする前提のもとに改正案を提出しておる事例がございます。

加藤鐐造日本社会党(右)

○加藤(鐐造)委員 今前例として二つの事例があげられましたが、特に最初にあげられたのは会議の原則である一事不再議の原則を破つておると思うのです。こういうことを、前例があるからこれは合法的だと考えられる法制局の考え方というものは、非常に間違つておりはしないかと思うのです。私は、法制局というものは、こうしたいろいろな法理上の原則を破つたり、あるいはそれを誤つたりするものに対して、正しい解釈を与えて行くのが法制局の任務ではないかと思うのです。そういう非常に悪い前例をつくつたのは、私も少しその当時の状況を記憶しておりまするが、その当時の多数党の自由党の諸君が強引にこれをやられたのでございます。こういうものを前例として明らかに認めるという行き方は、私はこれは間違つておると思う。  そこで、この法案の問題ですが、私は、国会の法律審議というものは、そうした一つの改正案を出しておいて、それがまだ通つておらないのにあとをおつかけて出すというようなやり方は改めるべきものであるというふうに考えております。こういう悪い前例をつくつて、特に先ほどあげられたような一事不再議の原則まで破るというようなやり方を平気でやるということになりますれば、国会運営上に将来支障を来すばかりでなく、いわゆる民主主義の原則もこわして行くというように考えますので、私は参議院で通つてからこの問題は正式に審議すべき問題であるというふうに考えます。そういう悪い前例があるからかまわぬというような考え方は、この際打破しなければならぬというふうに考えます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 このことについては大体議論は尽きたと思いますが、一事不再議になるということになると、加藤さんが言われたようなことも考えられるか知れませんが、これは前のとちつともかわりのないもので、今ここに出したものが通つたとすれば、この第二項にした方がいい、これだけのことなのです。一事不再議でも何でもない。ただ体裁をよくするというだけで、そこに何の弊害もありません。ただ、そういうことをやれば法律上いかぬとか前例を破るというなら、これはどうも考えなければならぬが、もしそういう前例があるということなら、実質上少しもかわつてないので、もつと言えばやめてもいいというくらいに思うが、やはり考えてみれば、これが通る以上は、この方の第百六十四条の九の2にした方がいいとだれが見ても見られるのですが、その意味で前例もあるということでありますから、そう大して議論をすべきでもないと思います。その点は御了解を得たいと思います。

加藤鐐造日本社会党(右)

○加藤(鐐造)委員 鍛冶君の言われた改正案の内容がいいとか悪いとかいう問題を私は言つているのじやない。あなたは誤解しておられる。一つの修正案なり改正案なりを出して、そうしてきのう衆議院を通つたばかりで参議院にまわつておるのに、また追つかけて出すというようなやり方は、国会運営上やめた方がいい。短期の国会なら短期の国会のように、参議院でも急いでやられる、おそらく明日参議院を通ると思う。それが成立してから正式にこちらで会議にかけたらいいと思う。それまでは荏苒何も討議も内容の検討もしないというのじやない。そこで、先ほどの森委員長が提案されたように、小委員会に付託して非公式にこれを十分検討しておくというやり方がいいのじやないかという意味で私は言つているのです。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 問題を整理する意味で三浦部長に伺いますが、再々一事不再議ということを言つておられますが、一事不再議という言葉をひとつ正確に伺つておきたい。そうするとあとの話がまたほぐれて行くと思います。これは重大な問題ですから、これから委員会が進んで行く尺度になる意味で、一事不再議の正確な定義をあげておいてもらいたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 一事不再議の原則とか、あるいは会期不継続の原則とかいうことは、よく会議体を持つております場合に言われる原理でございまして、特に現在そういう点につきまして法律の上で明らかに規定してあるというわけではございません。かつて旧憲法時代でございますが、旧憲法の三十九条に「両議院ノ一二於テ否決シタル法律案ハ同会期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス」というような規定がございまして、これは大きい意味の一事不再議の原則として取上げられておつた問題でございます。しかしながら、こういう精神のことをさらにそれぞれの委員会等におきまして取上げて考えました場合におきましては、委員会において一度否決したものをさらに再び提出する、こういうようなことがいわゆる一事不再議の原則に抵触するということになるだろうと思つております。ただ、今のように、それを否決いたしませんでも、前に通りました案につきまして削除したり何かするということになりますと、否決ということではございませんが、前にきめました意思とまつたく相矛盾するような結果になりますので、さような場合はやはり一事不再議の原則に反することになるのじやないか、かように私考えておるわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 一事不再議というのは、否決した場合だけをいうと言うのですか。お声が小さかつたのでよく聞えなかったのですが……。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 そういう場合に、一度否決いたしましたものにつきましてさらにまた同様の案を出すということが、一事不再議の原則の最も基本的な問題であると申し上げたわけでございまして、それだけでなく、否決されたということでなくして、一度通過いたしました案につきましても、さらにそれと異なる意思を決定する。たとえば、前の案にはある条項が上つておつた、その上つておつた条項を削除する、こういうような場合につきましても、やはりその精神をくんで、一事不再議の原則に反するものとして取扱う方が適当ではなかろうか、こう私は個人的に考えておる、こういうことを申し上げたのです。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 私は決してこじつけるんじやないが、昨日四党の共同提案で通過したものの中の改正をまた出したのですから、あなたは個人的な見解とおつしやいましたが、あなたの見解から言えば、これは原則に反するんじやないかと思うのですが、そういう意味じやないのですか。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点は、ただいま鍛冶委員から提案されております案が、きのう通過いたしました案とまつたく矛盾するものであるかどうか、こういう点によつてきめるべき問題だろうと考えております。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 そうすると、私はよく知りませんけれども、きよう述べられた第百六十四条の中にこういうのがあります。『「並びに青年会、婦人会等の集会、映画、演劇等の幕間又は会社、工場等の休憩時間等を利用して行う選挙運動のための演説」を加える。』前の方では、これは個人演説会とみなさないというふうになつておつたと私どもは了承しておるのですが、それを個人演説会に加えるというのだから、逆じやないかと思う。ひねくれた言い方じやないのですが、これはわれわれは重大にとつておる。その点を、あなたの見解でもけつこうですからおつしやつていただきたい。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点につきましては、青年会とか、あるいは婦人会等の集会におきましてやります演説会等が個人演説会になるか、ならぬかという問題は、現行の解釈といたしましては、個人演説会の回数に入れないというふうに取扱われていることは事実でございます。しかしながら、この問題は、現在の公職選挙法の中に特にその規定が置いてあるわけではないのでございまして、そういうものを個人演説会として取扱つたがよいか、あるいはそうでなくして、まつたく普通の演説として取扱つた方がよいかということは、それぞれお考えになる方の意見によつて判断が違うだろうと考えております。従いまして、そういう問題につきまして新たに法的な規制を加えまして、これを個人演説会の方に加えて回数制限に通算しようということは、何も昨日通過いたしました法案の中にそういうことが規定してあるわけではございませんで、その法案にない、隠れた全然別個の行為でございますので、それを新たに法的にこの際規制しようということは、形式的にはさしつかえない問題だ、私はかように考えます。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 あなたの言うのは、前の方では法的な制限は加えておらない、けれども慣行において認めているというのですか。慣習において個人演説会の回数の中に入れておらなかつたというのでしよう。法で制限しているんじやなくて、習慣上認めているというんでしよう。

三浦義男衆議院法制局参事(第一部長)

○三浦法制局参事 その点は、正確に申し上げますと、慣習上というのでなくして、現行の公職選挙法では演説会というような用語を使つておりますので、青年会等の人の集まつておりますところに行つて話をすることが、はたして演説会というものであるか、あるいは演説会という会の形態でなくして、単なる演説と認められるべき性質のものであるか、こういうことの問題でございまして、それには二通りの考え方があり得ると考えておるわけであります。従いまして、これを厳格に解釈いたしますと、青年会等に参りまして演説することは演説会ではないというような建前のもとに、この前の選挙の際には自治庁で取扱いましたわけでございます。従いまして、それは法律でする演説会というものの解釈の仕方の問題でございますので、それを今度新しく法律の上に規定しようか、こういう問題になつておるわけであります。

池田禎治日本社会党(右)

○池田(禎)委員 それはあなたの御説明でわかりました。そこで今まで未解決のものを解決して、演説会とするかせぬか、この案によればする、それは与えられた回数の中に加える、こういうことだと思うのです。そうすると、私どもの慣習からすれば、かつまたそれが今まで妥当なりと思つて来たものからすれば、大きな革命なんです。これをやはり制限された数の中の一つに加えるということになりますれば、われわれにとつては相当大きな問題なんです。そこでこれについてあなたが言われたように今までのあいまいな点をはつきりさせなければならない。これがそういうふうに定められたならば放任はできないと思うのですが、それはやむを得ないと思うのです。けれども、この問題だけをもつて従来のものがすつきりと解決したというふうには、私どもちよつとにわかに承服しかねるものがあります。今申されたことについて、あなた方の方は、その点ではやはり従前のものを全然白紙に返して、とこでこういうふうに割出すというふうなお考えを持つておるのですか。たとえば今までは全然制限がなかつた。また演説会であるかどうかというはつきりした認定がなくて、それを個人演説会の中に入れないで来たのですね。これを今回入れるというのですから、そうすると、こういうものはすべて個人演説会に入れなければならぬという考え方一本に、はつきり固まつたのかどうかということを私はお尋ねしたいのです。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 これは島上君が御承知のはずで、この前の公職選挙法改正のときに明瞭になつておつた。それがあとになつてあいまいになつて来た。これは私は小澤委員長にだめを押した。このときにも、初めはやはり四十回にするとか六十回にするとか、ずいぶん議論があつた。それで六十回にする、そのかわり座談会とかそういうものもみな演説会の回数に加えることにすればいいじやないか。間違いないかと言つたら、間違いないと言うのでこれをやつた。しかるに、この条文の中で、だれがどう考えたか知らぬが、演説会というもののほかに演説があるということなんで、その点をもう一ぺん明瞭に確認するだけなんです。間違いございません。

加藤鐐造日本社会党(右)

○加藤(鐐造)委員 今の鍛冶君の提案の中の、映画だとか演劇だとかいうもので公衆が集まつておるところに行つて演説するものも個人演説会とみなすということは、性格を混同していると思う。個人演説会というものは、その候補者の演説を聞こうという目的で集まつて来た人の集会なんですね。ところが、映画だとか演劇だとかいうものを見ている公衆の中へたまたま行つて演説するということは、街頭で人が集まつているところへ行つてたまたま演説するということと同じなんです。これを混同して、個人演説会とみなすということは非常におかしいと思うのです。きようはここで話合いの上なお明日続行するということだから、いろいろと議論は繰返しませんが、これは考えてもらいたいと思うのです。これはどうもわれわれとしては納得しがたい。納得のできることならば、われわれも互譲の精神でできるだけ賛成しますが、どうも納得しがたいから、これはひとつ自由党の諸君や民主党の諸君に考えていただきたい。何かもう少しかわつた方法で、こういうものを無制限にしておいてはいけないという考えがあるならば、考えていただきたい。これを私提案しておきます。あすかりに一応から委員会が聞かれた場合に、私がいろいろ言うと、また申合せに違反したとかなんとか文句をつけられるといけないから、これを提案しておきます。よく考えていただきたい。考えていただかないと、この問題については私どもとしてはどうも納得しがたい。従つて明日も十分議論しなければならぬ。あなた方が納得するまで議論しなければなりませんから……。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 これは、こういうものを演説会から別にしなければならぬとかなんとか、理論上のことになれば見解の相違になる。しかしわれわれは、あんなことをやる場合においては非常に弊害があるから言うのです。しかし、あなた方の方で別のことを考えて出していただけば、われわれが今まで考えておるような弊害のないことで納められるものなら、決して排除する考えはございません。けれども、われわれがこういうことをやつてどれだけ回数を制限しても、少しも制限しないと同じことになる。もう一つ先ほど言つたが、機会均等を失う。これはわれわれは苦い経験をなめさせられておる。だからこの前われわれはやかましく言つた。これはひどい。私に工場に来て演説しろと言う。工場の中には私の友達がおつて、みな来て演説するのかと思つて待ち構えておつた。放送室に入つたら、工場全体に放送するのだというので、私は二十分間やつた。帰つて来たら、君演説に来ると言つておりながら来なかつたが、どうして来なかつたのか。行つてやつたんだ。いややらぬ。これはおかしいと思つてだんだん聞いてみたら、私の演説は私一人だけ部屋の中に入れてやらして、だれにも聞かせなかつた。これにはどうも恐れ入つた。そういうような実例さえあるのだから、飛鳥田君なら入れるが、鍛冶良作は入れぬというのがたくさんある。鍛冶良作は入れるが、飛鳥田君は入れぬというのもあるでしよう。そういうことはいかぬというのです。これが根本です。そういう意味において弊害が生れぬという何らかの案があるなら、われわれは決して聞くことにはやぶさかではありません。

加藤鐐造日本社会党(右)

○加藤(鐐造)委員 選挙の場合に演説するということは、できるだけ多くの人に政見なり見識を聞かせるということなのであります。だから、私は、そういう場合に制限を設けるという考え方はいけないと思います。今の鍛冶君の話によりますと、工場等では特に自由党の諸君が差別待遇を受けて来たから、こういう規定を設けなければならぬということをおつしやるが、ますますこういう考え方はいけないと思います。そとで、あなたは工場等では差別待遇をしばしば受けたとおつしやるが、あなた方は、また別の角度から見れば、町村長だとか、その他地方のいわゆる有力者を集めていろいろやられる、そういう場合に、社会党からいえば差別待遇を受けておるという考え方が出る。自分の方の都合のよいことだけ見て、りくつにならぬことをりくつにして、こういう規定を設けるということはいかぬと思います。何も私は徹底的に反対するのではない。そういう考え方はおかしい。あなたの説明を聞いてもおかしいから、この問題を合理的に規制するなら規制する、こういうことで考えていただきたいということを言つておるわけなのであります。

飛鳥田一雄日本社会党(左)

○飛鳥田委員 今加藤さんに対するいろいろの御説明で、どうも私ちよつとわからないところがあるのですが、法律の解釈に幾通りもあるということだけで、従つてこういうのは前の法律と矛盾しないという説明にはならないと思います。少くとも現実には、自治庁なり何なりの通達で、青年会、婦人会等の集会、映画、演劇の幕合い、会社工場の休憩時間を利用して行う演説というものは、個人演説会に算入をせられなかつたという一つの既成の事実がある、しかもそれは自治庁の解釈によつてはつきりと裏づけられている。これに反する取扱いというものは、かりにこのことに法律が直接触れていなかつたとしても、これを新しく、今までの一定した取扱いと違う形に法律を改めて行くということは、歴然たる内容矛盾あるいは内容の衝突、抵触、こういうふうに言つていいと思うのです。どうもさつきから三浦さんの御説明を聞いていると、都合のいいときは実質論に流れる。たとえば慣習が成立しておる、こういうことでそういうところへ流れる。都合が悪くなると形式論に逃げ込むという形にしか私には聞えないのです。こういう内容が歴然と相反するものをなぜ矛盾しておると言えないのですか。そうして一事不再議と言えないのですか。こういう点については明日も継続するのでしようから、もう少しぼくの納得のできるような説明をしていただきたい。(「それは今度の改正案には入つていない」と呼ぶ者あり)今言つた点を、大体つかめておると思いますから、御研究しておいていただきたい。

森三樹二日本社会党(左)

○森委員長 本日はこの程度にいたしまして、明日午後一時より理事会、一町三十分より委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。    午後五時二分散会

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