P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
19回国会参議院1954/05/31

労働委員会 第28号

発言数
43
登壇者
7
会派数
4
開催日
1954/05/31

会議録

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  先ずお諮りを申上げたいことがございます。実はけい肺法案及び労働基準法の一部を改正する法律案につきましては、当労働委員会といたしまして、過日継続審査に付することに御決定を頂きました。そうしてその継続審査に付します理由を、別途に本会議において口頭報告をいたすように併せて御決定を頂いております。口頭報告の内容につきましては、委員長において起草いたし、委員会にお諮りをするように約束をいたしておりまするが、漸く委員長の案ができ上りましたので、一応御報告を申上げて御承認を得たいと、こう存ずるわけでございます。  只今からその案について朗続を申上げます。  只今からけい肺法案及びこの法案に伴う労働基準法の一部を改正する法律案に対し労働委員会が継続審査を要求するに至りました理由を申上げます。  先ずけい肺法案でありますが、これは条文にして僅か三十五条から成る比較的小さな法律案でありますが、けい肺症という特殊な職業病を対象とした保護立法でありまして、内容的には、この法案が提出されますや各方面に多大の反響をもたらした事実が物語るように、大きな問題を含んでおります。又労働基準法の一部を改正する法律案は、障害補償、遺族補償、葬祭料及び打切補償について、休業補償と同様に平均給与額が百分の百二十を越え、又は百分の八十を下る場合、その上昇し又は低下した比率に応じて平均賃金をスライドすることを規定したものであります。而してこの二つの法律案は、参議院の議員立法として、過ぐる第十六国会に吉田法晴君外十二名の議員が発議者となつて同時に提案され、以来四国会に亘つて引続き労働委員会において審議をいたして参りましたことは御承知の通りと存じます。  そこで、先ずけい肺法案でありますがもともとけい肺そのものは職業病であり、労働災害の一種でありますから、従つて現在でも労働基準法及び労働者災害補償保険法によつて補償がなされており、その予防に必要な措置も一般的な基準に基いて一応は行われておるのであります。それにもかかわらず、けい肺について特別の立法措置を講じなければならないとする理由がどこにあるかと申しますと、それはけい肺症が持つて全く特殊な病理から出て来るのであります。詳しくは申上げませんが、けい肺症というのは遊離けい酸を飛散する作業場のある金属鉱業、石炭鉱業、窯業、土石工業等の事業に働く労働者が宿命的に負わされる疾病でありまして、一度これに罹れば、現在の医学では治療方法がないままに、最後には自己の用と弁ずることもできず、ただ病床に臥して生涯を終らなければならぬという悲惨な職業病であります。  こうした特命を持つけい肺の災厄をできるだけ少くするためには、どうしても治療医学的方法以外の予防対策が一般の職業病に対する以上に必要なことは申すまでもありません。その上更にけい肺は他の疾病と異つて慢性的且つ自動的な進行を続けるという特殊な性格を持つ病気でありまして、従つてその療養期間は極めて長期に亘り、而もその間において医学的治療を加える期間が断続いたします関係上、療養期間についても特別の考慮を払わなければならんのであります。こうした点を考えますと、けい肺を一般の職業病と同一に扱うことは不適当であり、どうしても特別な措置を講ずる必要があるというので、労働基準法及び労働者災害補償保険法の特例としてこの法案が提出されたわけであります。  次に、本法案の内容を概略的に申上げますと、その構成は第一章から第六章まで、及び附則から成つており、第一章は総則でありまして、目的、適用事業の範囲、用語の定義、症状区分といつた法案の前提になる定義が書いてあり、第二章には、予防措置として、発塵及び粉塵の防止並びに健康診断を行うこと、粉塵作業からの排除措置を講ずることといつたけい肺病の発生及び進行を予防するための措置が書かれてあります。第三章は、けい肺症に対する特別の補償でありまして、療養期間の延長、それに伴う休業補償の期間の延長及び増額、転換補償、栄養補給、厚生年金における障害年金の取扱の特例といつた事柄が規定してあり、第四章には、この法案を実施する物合の施行機関として、けい肺指導官及びけい肺診断官を輝き、別にけい肺審議会とけい肺研究所を設けるといつたことが書いてあり、第五章は雑則として手続的なことを規定し、第六章が罰則となつております。なお附則が十一項ありますが、そのうち第二項から第八項までは従前の患者に対する措置を規定したもので、これは本文の第三軍けい肺補償を遡及して行うという実体的な内容であります。  この法案のうちで基本になるのは第二章、第三章の予防措置と補償措置でありまして、これは労働基準法及び労働者災害補償保険法によつて現在行われておる予防措置、災害補償の上に積み重ねられる性質のもので、予防措置としては、これを技術的なもの、健康管理によるもの、労務管理によるものと段階的に書き分け、先ず第五条で発塵の防止措置として粉塵の量の減少義務を課し、発生した粉塵が労働者の肺の中に入らないための措置として第六条において保護具を備え付けることと、保護共の使用を義務付けることを規定しております。  そのようにしても、なお且つけい肺発生の虞れがないと言えませんので、健康管理による予防措置として、八条から十一条に亘つて、早期発見に努めるための健康診断と診断の統一について規定し、第十二条において、けい肺発生の原因を作る粉塵作業からけい肺に罹つた者を別の職場に転換させる措置を規定しております。  次に療養期間の延長について、現在の職業病に対する療養補償が三年で打切ることになつておるのを五年とすること、又この療養補償期間の延長に併せて休業補償期間も同時に五年に延長することを十三条、十四条で規定し、更にけい肺症の特性である治療不能部分の進行を阻止するための手段として栄養補給を五年間やるということを十六条で規定しております。  このほか重要な点としましては、本法案では補償の責任が使用者にあるという一般の職業病に対する考え方のほか、国が三分の一の責任を持ち、使用者が三分の二を持つことにいたしております点が甚だ特徴的であります。以上で大体本法案の骨子を申上げたことになります。  次に本委員会における審議の状況を申上げますと、本法案が国会に提出されましたのは、過ぐる昭和二十八年八月、第十六回国会当時のことでありました。以来、今国会に至るまで毎回継続審査として当労働委員会で審議を続けて参り、今国会だけでも前後八回に亘つて本法案のための委員会を開いております。  今その経過を極く簡単に申上げますと、今年二月十一日の委員会において改めて提案理由の補足説明並びに逐条説明を聞き、同十六日には学識経験者の意見を聞くということで、労働科学研究所の佐野博士、順天堂大学の山本教授並びに早稲田大学の房村教授の意見を伺い、引続き同二十三日に労研の勝本副所長、けい肺労災病院の大西院長及び東大工学部長の青山博士から参考意見を聞きました。次いで、今度は関係労使代表者の意向を聞くということで、三月四日及び十一日の二回に亘つて使用者側四名、労働者側五名を招いて、それぞれ御意見を伺いました。これで一応参考人の意見聴取を終ることにし、同月十六日の委員会では、井上理事から御意見が出て、今後けい肺法案の審議については懇談会の形で話を進めることに申合せができまして、以来、四月六日、八日と二回に亘り懇談会を開きました。この二回の懇談会では委員会の審議と違い、本法案に対する各会派の意向がはつきり打ち出されたという点で大いに意義があつたと思うのであります。例えば、これも詳細な点は省略をいたしまするが、六日の懇談会では本法案に対する委員会の態度を何らかの形で取りまとめたいという立場で、費用の点とか他の職業病との釣り合いの問題等について各委員の間で突込んだ話合いがなされましたし、更に八日の懇談会では特に衆議院の持永議員が自由党政調会の労働対策部長として出席をせられ、小坂労働大臣も少時間ではありましたが、出席せられまして、自由党としての態度は昨日の政調会で検討の結果意見の一致を見たと挨拶されました。この自由党政調会の意見というは、席上持永委員が言明されたのでありますが、要するに、本法案には予算も伴うので、本年はどうかと考える。又費用がどのくらいかかるか、中小企業の負担はどのようになるか等は明らかでない。故にもう少し検討を加えたい。労働省のけい肺対策審議会の結論を早く出すことにして、経費もはつきりさせ、政府案として三十年度の通常予算に間に合うよう提出してもらおうということに意見の一致を見たというのでありまして、これが自由党の態度だということは、御出席の榊原委員も裏書きされたのでありました。この自由党の態度表明をきつかけに、それぞれ各委員の意向も明らかにされました。即ち田村委員は、予算を伴う議員立法はやらんという原則を尊重し、特に参議院としてはこの点に気を付けるべきである、本法案の内容についてはまだ研究を十分していないが、大局的に見てよいのではないかと思う。できれば政府において予算も研究して早く案を提出してもらうことにしたいという趣旨であり、吉田委員は、この案は党としてはまだ諮つていないが、併し幾らかの修正によつて各会派一致した修正案ができるならば、修正についても責任を持つ、又本案を撤回してもよいという態度の表明があり、田畑委員からは又、私のほうもまだ党には諮つていないが、修正には応ずるから是非今国会で成立させたいという意向が明らかにされました。又寺本委員からは、自由党と緑風会はすでに態度をきめておられるし、社会党のほうは譲歩されると言つておられる。現在の国家財政の見通しでは一年待つてもなかなか困難だろうと思うから、むしろ補償の増額という点をあと廻しにして、予防を中心として考えることにしてはどうかという意見が開陳せられ、又市川委員からは、鬼怒川の病院を視察して患者と懇談した際、法案の成立を首を長くして待つているのを見た、多少の修正はしても、この際早く成立させたい、こういう希望意見が披瀝せられました。  当日の懇談会ではそのあと立案に参画した法制局から詳細な逐条説明を聞いて質疑を行うことにし、第一章の分だけを終り、次回から引続き逐条的に問題点を拾い出して研究を進めることとし、更に懇談会も続開して、委員会としての審議を急ぐことになつたのであります。  併しその後の予定された委員会、懇談会では、各会派の代表が全部お揃いになる、こういう機会がないままに、遂に去る五月二十五日の委員会懇談会に至り、もはや会期も接近したことであり、委員会として本法案に対する今後の取扱い方をきめねばならんとして、協議の結果、次のように意見の一致を見たのであります。  即ち一として、本法案を継続審査に付すること、その二は、次回の委員会で質疑応答を改めて行い、本法案の今国会におけるけじめを付けること、又その際には労働大臣の出席を求めて、本法案に対する所信を確めること、その三は、継続審査に付する理由を本会議で口頭報告することという三点でありました。  そうして去る二十七日の委員会では、その前々日に行われた委員会懇談会における申合せ事項を確認したあと、直ちに労働大臣の見解を求めたのでありますが、その際小坂労働大臣は次のようにその所信を表明せられました。「けい肺対策の重要性については今更申上げるまでもないところでありまして、労働省といたしましては労働衛生行政上最も重要なものの一つとしてこれを取上げ、昭和二十三年以来地区のけい肺巡回検診を実施して、罹患労働者の把握に努めると共に、けい肺労災病院及びけい肺研究室を設置して、患者の療養とけい肺の予防並びに治療を目的とする研究を行い、又都道府県における監督機関によつて予防のための施設の改善、健康管理の徹底等について推算監督の実を挙げるべく努力を続けて来たところであります。併しながら御承知の通りけい肺の予防並びに治療について十分その実効を挙げるためには、現在遺憾ながら学問的に種々未解明な問題が残されておりますと同時に、作業環境の改善等の実施については、企業における多大の経済的負担を必要とする場合が多い等の事情に上り、その対策が必ずしも万全を期する段階に至つていないことは、これを認めざるを得ないところであります。去る十六国会においてけい肺法案が議員立法として提出せられ、当労働委員今において慎重に御検討がなされており、これがけい肺対策を推進する上に大いに貢献していることは認めるの第ありますが、同法案に対する政府の見解としましては、同法案が政府の予算措置を伴うものであり、又政府としてはけい肺対策全般につき、目下けい肺対策審議会に審議を煩わしておりますので、同審議会の結論を待つて予防、診断、補償等についての立法措置を講じたいと考えているものであります。  けい肺対策審議会におきましては、目下予防、診断、厚生対策、粉塵恕限度の各専門部会を設け、回を重ねて慎重なる調査検討を行なつているのでありまして、更にその審議を促進し、速やかに結論が得られますように督励いたすつもりでありますが、その結論を速やかに得ることが困難な場合におきましては、政府としましても諸般の黄河を参酌し、速やかに立法措置について善処いたしたいと考えております。  以上は立法に関する政府の見解でありますが、なお行政上の措置といたしましては、品下調査研究に着手しております労働安全衛生規則の改正において、予防上必要な規定を挿入したいと考えておりますし、又石工等に対する労災保険の適用の拡張或いは巡回検診の推進、けい肺病床の増設等の措置を行い、立法上の措置がなされるまでもなく、行政上の措置によつてもけい肺対策の万全を期したいと考えております。  以上が労働大臣の所信として述べられた全部であり、このあと更に安井政務次官並びに亀井基準局長に対して各委員から質問がありましたが、その質問は労働大臣の所信として述べられた点を質すといつた趣旨のものであり、これに対する答弁はおおむね大臣所信の範囲と同様のものでありましたので、ここでは殊更申上げません。ただ労働大臣の所信表明に関連して、この際大蔵当局の意向を質す意味において、大蔵大臣の出席要求が委員から出されました。その結果大臣に代つて出席された植木大蔵政務次官から、大蔵当局としては労働省から予算の折衝があり次第善処したい。前年度の予算の関係もあり、金額の点についてどれだけかということは明言できないが、とにかくできるだけ御期待に副うようにしたいという趣旨の答弁のありましたことを、この際申添えておきます。  なおこの間提案者に対する質疑が行われたのでありますが、その主なる点を御報告いたしますると、先ず、従来職業病の中からけい肺だけを取上げて、労災保険法の特例としてこの法案を提出した理由は理かという質問がありました。これに対し提案者は、先ほど本法案を提出する理由の中で御報告申し上げたような理由を述べて答弁され、次に、この法律の適用事業の範囲について更に検討する必要はないのかという質問に対しては、各方面の意見を十分聴取し検討してかように決定したのであるが、例示してある事業以外についても必要があれば、政令で指定することができるように措置してあるとの答弁がありました。又、使用者に義務付けられたけい肺健康診断は厳重過ぎはしないかという質問もありましたが、それに対する答弁は、けい肺は早期発見が最も大切であり、そのためには胸部X線直接撮影が是非必要である。そこでけい肺健康診断にはこの胸部X線直接撮影を要件としている。而して健康診断は一回限りでなく継続して行わなければ効果がないので、粉塵作業に雇入れる際に行うほか、粉塵作業に従事中は毎年定期的に行うように規定した。なお、けい肺は一度罹れば現在の医学では治す方法がないという疾病であるから、その予防こそ最も重要であり、予防措置の一環として健康診断が行われるのであるから、厳重過ぎるということはないと思うとの答弁がありました。  更に、配置転換の強制は、労働者を離職せしめ、且つその後の就職の途を塞ぐことにはならないかという質問もあつたのでありますが、それに対する答弁は、そのようなことのないよう第十二条第三項、及び第四項において、使用者は転換後も引き続き使用するように努力すべきことを規定しておるということでありました。又更にけい肺休業補償を平均賃金の百分の八十とした理由如何という質問に対しては、けい肺の特質からけい肺協定に基いて現在行われている措置を法的に裏付けたわけであるとの答弁がありました。  なおこのほか、転換補償をする理由は何か、又栄養補給をする理由如何という質問があり、更にけい肺補償について国がその三分の一を負担する理由は那辺にあるかとか、この法律施行前の思考をも救済することの根拠をいずこに求むべきかとか、或いは又各種補償の算定基準となる平均賃金のスライドは、保険経済に重大な影響を及ぼすわけだから、スライドは現行通り休業補償についてのみ行うということで十分ではないかといつた質問が次々に発せられ、これに対して提案者から一々詳細な答弁があつたのでありますが、詳しくは速記録を御覧願うことにいたしまして、ここでは省略させて頂きます。  このようにして、今会期中における本法案の審議は当日の委員会を以て一応打切ることとし、あとは継続審議に付して、更に審議を続けることに決定し、なお継続審査に付するにいたしましても、単に本院に継続審査要求書を提出するという通例の事務的取扱いのみにとどむることなく、この際本法案の重要性に鑑み、又この法案が第十六国会以来引続審査を続けておるという事実から見て、何らかの形において本会議の席上委員長から継続審査に至つた理由を報告する必要がありはすまいかということで、協議の結果、本日ここに私から御報告申上げることに相成つた次第であります。これを要しまするに、なお二、三の重要な点について意見の食い違いもあり、それらについては更に委員の間で十分研究するを要すべきものと思います。  なおこれ以上に重要なことは、本法案施行の前提案条件であり、問題の焦点でありますところの予算措置について、政府は先ほど申上げましたように三十年度予算において措置するという含みを以て労働大臣が言明いたしておるのでありますが、これは胞くまで将来のことでありまして、それまでの間ただ政府の措置を持つているというだけでは、本法案を付託された労働委員会として義務を果すゆえんではないと信ずるのであります。  更に先ほどの労働大臣の言明によれば、予算措置を講じて、別に政府から提案するやの意向に受け取られるのでありますが、政府において只今のところ確固たる成案があるとも聞いていないのであります。いずれはけい肺対策審議会の経過に伴い、政府としても何らかの研究をなさるのでありましようが、当労働委員会においては、すでに申述べましたように、数年前から各般の実情調査をも行なつた上で、昨年以来具体的案成について熱心なる審議を続けて参つたのでありますからして、けい肺法の立法化に関する限り、国会のほうが一歩進んでいるとも言えるのであります。それ故にいずれ政府が別個に提案をするとしましても、内容的、技術的な面において、第十六国会以来審議を重ねて参りました本法案にその場合、重大なよりどころを求められるであろうということは容易に察せられるところであります。さればこそなお更私どもといたしましては、この際更に本法案の審議に万全を期さねばならぬと存ずるのでありまして、これが当労働委員会の全会一致を以て本法案を継続審査に付することに決定いたしました理由であります。  以上御報告申上げます。  只今私が朗読いたしましたのが、継続審査を要する理由として、本会議におりて口頭報告を申上げたいという内容の全部でございます。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 ちよと長いと思いますが、大変名文章で結構であると思います。

井上清一自由党

○井上清一君 私も田村一委員の御意見に賛成でございます。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 速記を付けて下さい。  次に、労働情勢一般の調査といたしまして、駐留軍労務者の労働問題につきまして調査いたしたいと考えます。本件につきましては去る十六国会以来、当委員会としては継続をして調査をいたしておる問題でありますが、当時予定をいたしましたように、本問題の全面的な解決をいたすという段階には只今至つていないように私どもは理解をいたしております。従いまして先ず調達庁のほうからその後の経過について一応御報告を頂きたいと存じます。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 労務基本契約は只今交渉しております。これを新労務基本契約と申上げたいと思いますが、新労務基本契約の交渉の経過並びに見通しということでございますが、もともと安保条約に基いて日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊のために労務を提供することを内容とする日米両国政府間の労務基本協定を改めるという問題につきましては、一日も早くこれの実現を図ることが必要でございまして、あらゆる努力を払つて参りました次第であります。新契約につきましては、その主文でございますところの、基本協定と、そのほかに当初計画されました附属書が四つ、労働政策指令等が七つほどございまして、それらから成り立つておつたわけでございますが、基本協定のほうは、財務に関します条項と申しますか、アメリカ側より支払を受ける、償還を受くべき労務管理費に関します規定の内容、又償還の方法、時期といつた点一、二が当時妥結に達しません。それを除きましては、基本協定につきましてはすべて合意に達しまして、十月九日に調達庁と米軍との間に調印を了したわけであります。  その後基本協定中の残りました部分、それから附属書その他について折衝を重ねて参つたわけでございまして、基本協定中保留となつておりました条項も殆んど全部日米政府間においては合意点に大体達しております。目下は従いまして附属書と労働政策指令について交渉を集中しておるような次第でありますが、両者間の意見はだんだん調整せられておるわけでございます。  只今のところ附属書四つにつきましては、大体相当の進捗を見まして、附属書四つと申しますのは、アメリカ側の案そのままの形で四つと申しておるのでありまして、付属書一、二で、給与規定に関する制度を設ける。附属書の三におきまして、雇用の管理手続を定める。附属書の四におきまして船員関係の手続を定める。こういうことになつておるわけでありますが、附属書の三につきましては、大体両者間の意見が最終的な調整のところまで参つております。附属書の四、船員関係の問題につきましては、事務的な処置が一番遅れておつたのでありますが、最近アメリカ側の第二次案と申しますか、先方から最初に提出いたしました案に、日本側の案を提示して、これを先方に返しまして、更にアメリカ側がこれに対して意見を整えるという段階にまあ至つておるわけでございます。結局附属書四つでございます。中の一、二が給与に関する制度ということになりまして、最も重要な点になるわけでありまして、恐らくこの基本契約関係の全部の交渉中で、場合によりましては主文と申しますか、すでにでき上りました基本協定以上にこの附属書一、二をどう扱うかということが重大問題になるわけでございます。  基本協定のほうには、主義、原則の問題といたしまして、労働三法を尊重するとか或いは保安解雇についての規定を設けるとか、そういう主義、原則上の点は確かにすでにでき上りましたところの基本協定にあるわけでありまして、これにつきましては日本政府の主張、労働組合の主張が多分に盛り入れられたことになります。基本協定に関する交渉に関します限り今回の交渉というものは相当に成功したということが言えるわけでございまして組合方面でもこの点には満足しておるということでございます。ただ基本協定がさようにでき上つても、現実に給与に関連する附属書において苛酷な条件が定められるならば、これは何もならないということになりまするし、又組合の幹部の諸君はともかくとして、十八万に達します全労務者にとりましては、人によりましては、主義、原則の問題よりも、給与関係のきめ方がどうなるかというほうが切実なる問題になる。こういうことでありますが、この附属書の扱い方法は極めて重要なことになるわけであります。  従来の給与関係を律しましたのは、我々のほうでは、まあスケジユールAと申します給与規定を設けてあるわけでありますが、従来の契約にありました給与規定に代りますのに、アメリカ側では昨年新らしい附属書一、二の形で、駐留軍労務者の給与というものが非常に統一が取れていないから、これを理論的に統一のある形にするというわけで、職務職階表を提案して参つたわけであります。これは新らしいアメリカ側の提案というものは、理論的には誠に整然としたものになつておるわけでありますが、従来の、現在施行しております給与規則に比べて整然たるものにはなりまするけれども、さりとて整然となるということによつて、現在の給与が下るという犠牲を払いたくないという自然の要求があるわけでありまして、理論的に整然たる職階にはめる、従来の規則がその都度その都度附け足しをして参つた、職種が殖えるたびに附け足しをして参つたということで、或いは実情に合つているかも知れませんが、整然としておらない。それに対しましてアメリカ側の意見というものは、この際職階職務の規定を整然たるものにする。従来の枠から見て余分に取つておつた人には、その間新らしい規則に従つて給与が減るのに対して補償規定を設けて、従来との差額は補償する。制度は首尾一貫したものを活かそう。本人には損失のないようにしよう。こういうことを提案しておつたわけでありまするけれども、必ずしも実際問題としては補償ということに安心が持てないという面などもございまするし、アメリカ側の提案いたしました職階表その他に基きまして、これは一番深刻なる議論が重ねられて参つたのであります。組合側からも相当な修正意見もございましたし、私どもはそれに対しまして、これは米軍の最高首脳部にまで直接交渉いたしました結果、端緒が開けて参つたのでありますが、主文その他についてすでに交渉が済んでおる。附属書について残るところはこの給与関係の附属書一、二である。併しながらこれを完全なる交渉をこれについて済ませるということになれば相当時間もかかるし、又問題も細かくもなり、且つむずかしくもなるのであります。そこで附属書の一、二に関する限りアメリカ案は撤回しないかということを強行に主張いたしまして、最近に至りまして付属書の一、二に関する限りアメリカ案を撤回しようということに漸く同意するに至つたわけなんであります。そこでそういたしますると、自然現行の給与規定そのままが出て来るということにまあなりまするので、これは考えようによれば、アメリカ側としては現実の職務職階、その他の金銭に関する部分で伺い主張する程度で、主文に関して字句上の面について日本側に相当譲つたと考えられる。それが済みましてから日本側が開き直つて、給与関係のアメリカ案の撤回を要求するということでは相当そろばんも違つたのではないかと思われる節もありまするので、とにもかくにも遂に撤回することになりまして、ただその撤回に伴いまして現行の給与規定そのままでいいかどうか、多少相当不揃いな点があるので、新らしい提案にまでなつたいきさつもありますので、多少現行の給与、附け足しで少しずつ積み上げてできましたところの現行の給与制度というものを少しは調整しようというような考え方もありまするので、アメリカ側がアメリカ案の附属書一、二を撤回するのに伴いまして、現行の規定を若干手直しをする、どの程度までやるか、アメリカ側としては若干の手直しという話を持つて参つたわけでありまするが、我々のほうとしてもかねて主張しております給与の不均衡を是正するという話もありますので、アメリカ側のその話に乗りましても必ずしも不利益ではないと考えまして、その話に応じまして、現行の給与制度の手直しという話に最近なつて参りました。これができ上りますると、この話が終りますると、大体両管理軒側、日本政府、アメリカ政府との間の意見の統一が大体できまするので、その上は組合側にも参加して頂きまして、いわゆる三者の会談ということで最終的な妥結まで打つて行きたい、こういうふうに考えておる次第でありますので、私ども、当面の目安といたしましては、六月一ぱいを以て諸事完結としたいというふうに考えておる次第であります。  なお申し加えますと、新基本契約は、全部ができ上りましてから基本協定はできておるのでありますが、附属書類その他が全部ができ上り出してから、三十日の期間を以て効力を発生するということになつております。従いまして効力の発生ということは、六月一ぱいに交渉を仕上げることができまして、七月早々にでも調印することができますれば八月一日から効力を発生するということになるわけであります。  更に附加えて申上げますと、さような効力の発生ということは相当に遅れることもありますので、若干でも日本側に有利にきまりました基本協定が効力の発生を待たれるという関係もございますので、基本契約のうち、最も従来の或いは現行の契約と形の変りました保安解雇につきましては、アメリカ側の制限を加えるという条項につきましては、これは部分的に現行契約の追加といたしまして、本年の初めに別に調印をいたしまして、これはすでに効力は発生しておるということになるわけでございます。部分的に効力を発生させたことがあるわけであります。いろいろな面で私が交渉に当りましてから十カ月近くになります。それ以前には二カ年近く行われておつたような非常に、長い交渉経過でありまするけれども、漸く最終的の段階に到達したというふうに考えておる次第であります。  取りあえずこれだけ御報告いたします。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 昨年の第十六国会におきまして駐留軍労務者の雇用関係につきましては、本委員会において相当真剣に取上げられて、当局にその方針等を質して参つたわけでありますが、労務基本契約に関しましては、御承知のように占領下に締結された労務基本契約がそのまま六カ月ごとの更新で今日まで継続されて参つたわけであります。この基本契約改訂に関しましては、昨年の八月に駐留軍関係の労務者は四十八時間のゼネストをやりまして促進を図つて参つたわけであります。その後只今の説明の通りに、客観的な情勢に刺激されて、当局としても日米労務基本契約の改訂については非常に誠意が認められたと申しますか、熱意を帯びた態度で促進を図つて参られたわけであります。今お話のように、昨年の十月に労務基本契約の本協定については、基本協定については調印を見たにかかわらず、その後付属書の問題並びに労働政策指令の問題等で今日に延びて参つたわけでありまするが、どうも我々といたしまして、この間の時間の経過を見ました場合に、昨年の八月前後のあの頃のような熱意がなくなつたように見受けられているわけであります。而も今日に至るまでも保安解雇に関しての部分発効以外には、基本協定は結ばれたが、その他の発効が何らなされていない、この点は非常に遺憾に考えるわけであります。どういうわけで附属書びに労働政策指令がそのように難渋を続けて今日延び延びとなつて参つたのか、今日までの折衝の過程におきまして困難とされた点を御説明願いたいと思うわけであります。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 只今御指摘を頂きました点、誠に御尤もなのでございますが、附属書の交渉になりましてから、かれこれ半年近くかかつて滞るという点は誠に遺憾でありますが、その第一の原因は分量でございます。協定附属書並びに労働政策指令の分量と申しますのが、基本協定に入ります分量のまあかれこれ十倍近くなるという単純なる理由が一つございます。それから又附属協定の内容をなしますものは、原則的なことよりも、定めるといつたような切実な問題を含んでいる点が多いということ、職種は私は正確に知りませんけれども、七百幾つか、千近くあります職種の一つ一つについて、それぞれの人の給与がそこのどへはまつて不均衡を生じないかといつたたちの検討をして参りますといろいろ議論も起つて参る。それにいたしましても半年かかれば大抵のことはできなければならないわけでありまするけれども、附属書のうちには、附属書と申しますると重さが違うようではありますが、実際には基本協定以上に重要な、給与を如何に定めるかといつたような問題、ここは昨年の国会においても問題とされましたところの特別退職金といつた問題もこの附属書のうちに含まれておるわけでありまして、それについて日本側とアメリカ側との意見が、ああいうふうになかなか合致しない。最近では附属書のうちで問題となります部分の討議を残して、問題とならない部分、意見の一致し得る部分の討議をどしどし進行させまして、最後に数点、只今ちよつと申上げました特別退職資金の問題なども含めまして、それから職階職務表、附属書一、二の取扱いその他の数点の問題が来月半ば頃に最後に残つて参る。その数点の問題を最終的に、場合によりましては譲るべきものは譲らなければならんという線も出て参るかも知れませんけれども、最終的にはアメリカ側との間に妥結に達したいということで参りまして、十月の半ば頃に基本協定を済ませまして以来、十二月一ぱい、それから一月一ぱいはその部分発効という問題にいささか追われた傾向にありまして、二月の初めに部分発効、いわゆる最後の保安解雇についての部分発効を成立させることができたわけであります。その当時予定しておりました部分発効につきましては、その他に労務者の責に帰する理由による解雇の手続に関する件とか、多少あつたわけでありますが、本質的に申上げれば基本契約が遅れている状況を多少でも部分的なものを発効するからということでまあ恰好を付けるという意味におきましては、その他の問題についても部分発効が行われるといいと思つておりましたのでありますが、実質的な利益を確保するという意味におきましては保安解雇の部分発効に比べるほどの問題ではなかつたのでありまするし、まあアメリカ側も部分発効よりも全般的な問題を急ごうというような空気も認められましたので、全般的な問題を急ぐという点で部分発効問題、重要な問題以外につきましては計画したものができなかつたという点はあるわけであります。二月初めに部分発効問題の解決ができましてから以来、附属書の本格的な交渉に入つたということになるわけであります。二月、三月、四月、正月と、かれこれ四カ月近いものが附属書の交渉に充てられたわけであります。その間にいろいろの問題も、交渉自体も行われておつたわけでありますが、その間にこれは従来から若干予想されておつた傾きもありますけれども、アメリカ側の総司令部における交渉はともかくとして、陸海空の三軍の関係員の調整も思わしくないといつたようなことで難渋いたしまして、殊に最も多数の雇用者を持つておりますところの陸軍などの態度が十分でない、思わしくない、無理解であるということが、これがもともと駐留軍労務の関係を困難にしておる一番大きな原因なのでありますが、具体的な問題、朝鮮から帰つて来る船員の解雇における交渉とか、具体的交渉その他が本年度末におきまして相当発生をいたしまして、さようなことで遅れているわけでありますが、又その間最も時間を食いましたものが陸軍の関係を根本的に是正しなければ、陸軍の態度が根本的に改まつて来れなければ、附属書の交渉も満足に行かないのみならず、満足な解決ということも予想できないというような判断をいたしまして、実を申上げますと、この三月、四月一ぱいくらいは陸軍の担当者と、忌憚なく申せば我々との喧嘩で時間を空費したというような形もありまして、遂に我々の主張をハル大将、ハリソン参謀長までも貫きまして、陸軍の労務部長を罷免してもらうという事態まで捲き起しまして、最近陸軍の労務部長が罷免となりまして、全部全員入替えということになりまして、陸軍の担当者も上級者になりましたし、又人も完全に替りましたので、これからの交渉には相当期待が打てるというふうに考えておる次第であります。人が全部入れ替つてしまつたということで時間的に我々も相当な犠牲を払つたということになりますが、将来の成果という意味におきましては、又日本側との交渉に対する態度というもの、アメリカ側担当者に印象を与えるという意味におきましても、日本側の交渉自体に権威を付けるという意味におきましても、先方の担当者罷免要求というようなこと、それに相当の時間を私も空費と言えば空費してはおりますけれども、決して不ためにはならなかつたと考える次第でありまして、多分に時間のかかり過ぎた点誠に申訳ないと思つております。今後全力をあげましてできるだけ早い機会に処理完結したいと考えております。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 只今の調達庁長官のお話を承わりまして、政府当局としても非常に誠意を以て促進されているということは、一応私たちも了解付くわけでありますが、先ほどの御説明によりますると、四附属書のうち一番問題となりまする附属書一、二の問題、給与表と職種表の問題は非常に問題が複雑で多岐に亘つているので、一応現行の給与体系でこれを若干調整する程度でやつて行こうというような御説明もあつたわけであります。そういたしますと残りますのが附属書の三の管理、手続の問題と附属書四の船員関係の手続の問題が大体話が一応付く段階になつて来た。こういうような御説明を承わつたわけであります。  そういたしますと、一番問題となる附属書三、二の問題が、今までの長期の折衝の努力にもかかわらず、具体化することができないで、現行の給与体系を若干調整する程度にとどめようということになつて参りますと、過去数カ月というものが全く空費されたような印象を受けるわけであります。更に又私たちの新聞紙上その他を通じて見ますることは、駐留軍労務者につきましては、昨年米国の陸軍予算の削減によりまして、現実には解雇者が出ているわけであります。昨年八月から本年二月に至る間約一万名の解雇者が出ているというようなことを聞いているわけでありまするが、こういう解雇者に対しましては、現実の附属書が協定されない段階におきましてどういう処理をやつて来られたものであるか、この点について私は承わつておきたいと思うわけであります。殊に御承知のごとく駐留軍労務者は占領下の時代におきましては国家公務員の特別職という形で処理されて参つたわけでありまするが、その後法律改正によりまして国家公務員から除かれて一般雇用労働者と現実的には変りのない状態におかれたわけであります。併しながら実体においては占領下におけるものと殆んど変りがない。こういうことを考えてみまするときに、例えば国家公務員等の例を見ますならば、昨年は特別待命制度というものが設けられたり、今回の定員法改正におきましては臨時待命制度等が行われたり、更に又特別退職金等の措置もとられているわけであります。こういうような点を考えてみましたときに、附属書の協定が実を結ばなかつたというこの期間におきます駐留軍労務者の退職のような場合の管理と申しますか、手続等はどういうふうに現実的に処理を運んで来られたものであるか、この点について承わつておきたいと思います。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 最初の、さつき御指摘のありました附属書一、二の点でございますが、これは私の申上げ方も不十分でありましたのですが、十分御理解を頂きたいと思いますが、アメリカ側の案として出して参りました附属書一、二と申しますのは、給与制度をシステマテイツクに理想的なものにするということに名をかりまして、現行の給与が下るという案であつたわけであります。従いまして恰好は非常によくできている。又これでやつて行けば、これが若し初めから行われておつたので、あれば非常に不公平もない、いい制度である。併し現実の一人々々の給与から比べると一応下らなければいかん、こういう案なんであります。これを長い間かかりまして、この欠点を一つ一つ論破いたしまして、とうとうこのアメリカ案の一、二を撤回させることに成功いたしまして、現行の規定でそれではやろうという話合いになつたということでありますので、長い間かかりまして話合いがまとまらなかつたのではなくて、長い間かかりまして先方の案を撤回させるのに成功したということでございますので、これはもう是非とも御理解を頂いておきたいと思います。成功をいたしましたのでありますが、まあ一から十までこちらの言い分というわけにも参りませんから、現行の制度に若干の手直しをそれではしてやろう、又若干の手直しをするという意味合いにおきまして、我々のほうで考えている不均衡是正もするというふうに考えておるわけでありまして、給与制度に関する限り交渉としてはその目的を達したと考えておる次第であります。  アネツクス一、二が当面問題となつておりました、初めからまあ私といたしましては、一応さような交渉の仕方も考えまして、アネツクス一、二を十分こちらで対抗するだけの議論をした上で、収拾が付かなくなれば撤回を要求するということに恐らくなるだろうということは、まあ組合の諸君にもひそかに漏らしておつたところでありまして、大体これは余りあつちこつちで申上げておるわけではありませんが、大体交渉としては、方式としては、まあ私どもに対する、又組合側の諸君に言わせればいろいろ御意見もありましようが、少くともアメリカ側から考えられれば、これはまあやられたと考えておるだろうと考えておるわけであります。  なお続けて御指摘のございました人員整理に関する件でありますが、これは昨年の八月以来一万名とは実は考えておりませんが、昨年の暮の例の問題となりました人員整理が問題となりまして、国会においてもいろいろ御注意を賜りました節には、五千という人員整理が出たわけでありまして、これが年末手当の支給とか、いろいろなまあ現行の制度によつてでき得る限りの有利な解決をするということでありますので、必ずしも十分とは申せませんでありましようが、少くとも現行の契約に基きます扱い方としては、組合の諸君の納得の行くような解決を、まあ完全ではありませんが、相当の程度まで速成いたしまして、あの年末におきます五十人の整理の際の問題は一応経過したわけであります。その後整理がじりじりと出まして、或いはもう二千三千殖えたかとは考えておりますが、これは私ども例の年末の解雇以来アメリカ側に要求いたしましたことは、特に人員整理ということで人をやめさせ、一方においては新規採用が行われるとかいうようなことは困る。自然の減員というものも月に十人近くはあるので、これを確保して配置転換その他によつて整理は行わない。その代りに新規採用が行われなくても仕方ないというようなことで処置して参つたのでありますので、減りは減つて参りました。現に四月から五月に移ります機会には十八万弱の雇用数の中で二百ちよつとの整理が出ておつたと思います。減員の数が出ておつたと思いますが、これらは自然減ということだろうと思います。問題となりました五十人の整理以後大規模な整理が行われたことはないはずでございます。ただ小規模の整理といえども、とかく問題となりますのは、五人でも十人でも人を減らさなければならんという際に、誰がやめなければならんか、誰をやめさせなければならんかという問題でありまして、これにつきましては我々の考えといたしましては、まあ経歴順により、不公平のないように並べる、職種の間で区分けして経歴順に並べるといつたような問題について問題を起して相当にもめたこともございまするし、又これだけの大規模の整理でない以上は、事前に希望退職者を募つてみたらどうかという問題が円滑に行われないために、組合との間に数次交渉したこともありまするし、主にこれが陸軍の関係でありまして、そういつた具体的な事態が動機となりまして、陸軍の労務当局と我々と正面衝突したということにもなるわけであります。年末、国会で御審議の際に御指摘を頂きました大量解雇以後は自然減員と見るべき解雇以上に特段の解雇が行われておるとは実は考えてないわけであります。ただそういうような解雇にいたしましても、これに対しまして国家公務員の退職に関連する給与が苦しく改善せられたのに比べまして相当不利であるということは、これは間違いない事実でありまして、昨年の当委員会の御決定も我々頂いておるわけとありまして、特別退職資金制度何とかという交渉は、先ほどから申上げております付属書関係の交渉について二、三重要な点が最後に、やはり政治的な、政治的と申しますると語弊がありますが、最終的にどうするかという決断を、日米両者の首脳者間にきめます際にアウトスタンデイングな問題として特別退職の問題は出て来るであろう、かように考えております。特別退職制度に関します日本側の案と申しますのは、これは組合側もよく知つておるのでありますが、附属書三のうちに入つておりまして、これに対しては附属書の三、その他の部分についてはおおむねアメリカ側との意見が合つておる。特別退職手当の件についてはまだ意見が合つておらない。従つて我々はこれにこだわつて附属書全体の執行が遅れては困るからということで、この問題はあとで、事務当局と離れて、上のほうで解決するから別に残しておいてほしいということで残してある問題になつております。事務的な交渉の段階におきましては、特別退職手当の件はアメリカ側の同意するところとならず、併しながら我々のほうもその主張は降ろさずに最後の多少上級の折衝においてこれを解決しよう。そのときにほかに出て来る問題はもう一つ、二つ出て来るであろう。それらと合わせて何とか有利に解決したいというふうに考えておる次第であります。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 只令の御答弁のうちに、附属書一、二の点については、アメリカ側の実際には給与引下げになる職階制度に対して、これを突き破るために、或いは撤回させるために努力を払つたという点については、私たちもその労を多とするわけであります。  私、この際話の順序が戻りまするが、労務基本契約については、軍、政府並びに駐留軍労務者の三者の会議において審議し、意見の一致を進めて行こうというような方式がとられていたと考えるわけでありまするが、而も労務基本契約の基本協定についてはそのような措置がとられて参つたわけであります。併しながらこの附属書並びにその他の労働政策指令の問題等については、形式としてはそのような措置がとられていないように見受けておるわけでありまするが、これは三者構成というものは基本契約のみについてそのような構成で、審議をするということになつているのかどうか、これが一つであります。  第二にお尋ねいたしたいのは、先ほどの調進庁長官の御説明は、四附属書につきましては今日までの折衝の経過と現状についての御説明がありましたが、五労働政策指令につきましてやや説明が不十分でありましたが、この五労働政策指令の具体的内容と申しますか、この点につきましてはどうなつておるのか、御説明を願いたいと存じます。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 三者会談ということがこの基本契約の交渉には行われておりまして、基本協定主文に関します部分の妥結は、アメリカ側、日本側、それに組合側と三者のいわゆる三者会談というもので最終的に妥結してきめたわけでございます。それから附属書につきましてもそれと同じ方式できめる予定でおります。併しながら非常に分量が多いのです。のみならず細かいことを規定しておりますので、これを初めから三者会談でやりますれば、まあ文句を言うわけじやありませんけれども、恐らく一つ一つ組合の諸君も議論をせざるを得ないでしようけれども、早くまとめるという趣旨に恐らく合致しないであろう。而もその間に日本政府とアメリカ政府との意見も又合致しておらない。三者が集るたびに日本政府はとかく日本の組合の味方をするというのが形式的な表面に現われて、毎回々々日本政府と組合と一緒になつてアメリカ側と喧嘩をするという形式の会議を重ねましても、或いは感情的にアメリカ側との工合が悪くなつて、会議を成功させるということになるまいというふうに考えましたので、三者で意見が全然一致しないものが三巴になつて争つてもいたし方ないという考え方から、のみならず新らしい基本契約は日米相互の共同管理という精神がかなり貫かれておると思いますので、これを具体的にアメリカ側に示すためにも、管理者側の意見を先ず以て一致させた上で、組合に参加してもらつて三者会談をやろう、そのほうがいいだろうという、それから又アメリカも組合に言われるととかく反撥することがあつても、日本政府の意見ということではまあ案外角が立たずに話が進むといつたようなことも、これは余りいいことではありませんけれども、そういう事例もありまするので、先ず以て日本政府とアメリカ側との話を付けるという建前で、現在は両者間の交渉の時代になつておるわけであります。これができ上りましたならば、当然組合の諸君にも入つてもらつて三者会談ということにもなるわけなんであります。にもかかわらず現在の二者会談の状況下におきましても、日本政府が如何なる案を以てアメリカ側と掛合つておるかということは、組合の諸君には全部通じてあるはずでありまして、又組合の諸君の意向を汲んだ内容を日本政府の案として交渉はしておるわけでありまして、実質的には組合の意見を反映させておるつもりであります。併しながらそれを以て三者会談を今後省略しようという考えは毛頭ないのでありまして、その点は御了承を得たいと思います。  なお四附属書以外、労働政策指令について説明が足りませんで申訳なかつたのでありますが、労働政策指令につきましては大部分話がまあ済んでおるのでありまして、労働政策指令と申しますのは七つ、五つという時代がございましたが、その後追加を受けまして、追加の案が出まして現在では七つあるのであります。その第一が労働政策原則、第二が従業員団体との関係、第三が訴願、苦情の処理関係、第四が保安の関係の手続、第五が人員整理の関係規定、第六が制裁規定、第七が解任の規定、規定と申しますか、一応こういうことが指令として、訓令として各部隊に配付される。こういうことなんでありますが、この大部分につきましては話合いが実は付いておるのであります。現在付いておりませんのは、特に顕著に付いておりませんのは、この苦情処理といつたような問題に、アメリカ側の第二次案も出ましたのですが、それを更に突返しまして、向うの返事を待つているというようなところでありますので、形式的には付いていないという血がありますが、これは苦情処理の関係に日本側の発言権というものをもう少し確保したいという点だとか、或いは第二の従業員団体との関係といつたようなものも、これも話の付いていないほうでありますが、これも併しながら全部が話合いが付いてないのじやないので、その間の一つ二つが、つまり組合活動、基地内における組合活動ということにまあこれがなるわけなのであります。組合専従者が基地内に立入れるかどうかといつた点の規定がちよつと我々としては感心しない、感心しないと申しますよりは、前の了解と違う。これは許可制度ではあるが、認めるということに九月の話合いにおいては話が付いておつたはずである。それを取りまとめて印刷して来ると、その点が落ちているじやないか。先方もその点を認めておるのでありまして、これは修正して返して来いということになつております。この七つの関係は殆んど大部分事務的には済んでおるわけでありまして、その間それぞれに一つ二つずつ前に話合いが違うとか、表現が現わしくないといつた関係でアメリカ側に再考を要求しているというものがあります。今後の進行上の問題といたしましては、労働政策指令の関係で全体の進行が遅れるということは想像しておらない次第でありまして、むしろアネツクス、附属書三におきます今申上げました特別退職金の問題とか、或いは附属書一に代ります現行給与制度の手直しの問題とか、そういう問題で相当大所でなお非常な努力を要すると思つておりまするが、その間これらの問題は大体主として折衝の経過におきましても事務的にやつておりまして、私がこれは殆んど関係せずにやつておるくらいでございまして、大体大所の問題の片付きます頃までにはこれらの問題は調整し得る。これらの問題のために全般のことが遅れるということはないと考えております。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 只今の御説明によりまして、労働政策指令が七つであるということ並びにその内容等についても一応全貌というものが了解できるわけでありまするが、これらの点につきましては目下事務当局で話合いの上大体結論ができそうであるということで、この答弁を了承したいと存じます。ただこの点に関しまして希望として、要望として申上げたいことは、日米労務基本契約の中心的な思想が、飽くまでも労務管理は日米共同の下になされるべきであるということと、並びに労働組合法、労働基準法等は米軍の保安に支障ない限り飽くまでも日本の法律が遵守さるべきであるというこの原則と、第三の問題といたしましては、日米対等の原則が貫かれてなきやならんというこの三つの大きな基本的な筋は附属書にも、労働政策指令の中にも強く貫いて頂きたいということであります。更に又只今の御答弁によりまして、三者構成の問題に関しまして、どうも附属書並びに労働政策指令の折衝の中に三者構成が取入れられていないのは、時間の節約或いは話合いを促進するための便宜的な方法であるし、事実問題としては組合側の意向に取入れておる。日本政府はアメリカ側と折衝しておるというような御答弁で了解されるわけでありまするが、飽くまでも労働組合側の主張意見等を十分に取入れられて、今後ともアメリカ側と強く折衝されることを要望したいと考えるわけであります。  それに関連いたしまして私もう一つお尋ねしておきたいことは、御承知のように本年度の国家予算を見ますると、自衛隊の強化のために二百億の予算増加措置がとられているわけであります。保安隊が自衛隊に切替えられ、更に世上伝えられる再軍備五カ年計画がだんだんと強化され、起動に乗つて参りますならば、当然に駐留軍の削減という問題が出て参ろうと考えるわけであります。すでに政府の本会議或いは防衛二法案審議の際における内閣委員会等における答弁を見ましても、日本の自衛力の強化の度合に応じて駐留軍は撤退すると、こういうことを明確に申しておるわけであります。こういうような日本国内における再軍備の強化の方向を考えましたときに、又他面アメリカの国家予算を見ましても軍事費は削減されつつあるということ、同町に又アメリカの戦略が原子力戦略の方向に進みつつあるということ、こういうことを見ましたときに、アメリカの世界政策・極東政策を分析しましても、当然に陸軍部隊の削減ということが予測されて参るわけであります。こういうことを考えて参りましたときに、駐留軍労務者の退職の問題或いは退職に伴う配置転換の問題、失業対策の問題というのは駐留軍労務者にとつてのみならず、我が国全体の労働政策上由々しい問題になつて来ようと考えられるわけであります。こういうことを考えて見ましたときに、この退職手当制度を速やかに確立するということが重大な問題だと考えるわけでありまするが、先ほどの御答弁によりますると、退職手当制度が非常に重大な問題であつて、而も予測としては政治的な折衝に待たねばならん、こういうような御答弁の趣旨でありまするが、この点につきましていま少しく詳しく退職手当の本質と申しますか、交渉が難関にぶつかつている点等について御説明を願いたいと思います。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 駐留軍労務者の退職手当と申しましても、私はまあ本当は現行の制度そのものは詳しくは知りませんですが、希望退職と軍の命令による退職と、この二つになるわけであります。希望退職の場合の十割増というのが軍命による退職のまあ現行なんです。ですが、希望退職の退職金というものが普通の公務員並みにもらえておれば、制度としては希望退職の十割増でありますから問題ないということが言えるのではないかと思いますが、十割増は結構だけれども、その元が大体普通の半分くらいしかないということがこの問題の起りになるので、従いまして現在の組合の諸君の申しておられるのは、軍命解雇が十割増になつておる。それを更にもう八割増せということにまあなるわけです。問題のむずかしい点は特別退職、希望退職以外に特別の退職手当を認めろというだけではいけない。これは認めているじやないか、倍じやないかとアメリカでは言つている。それではいけない。退職手当制度全体が公務員その他とバランスが取れておらない。公務員とバランスが取れておらないというよりも、これはまあ公務員の待遇は最近において急激によくなつた。アメリカの知つたこつちやない。駐留軍労務者との間は併し給与ベースその他はすべて同時同率という原則じやないか。同時同率と言つても、それはいわゆるベースについては同時同率にする。同率に上げる、同時に上げるということを言つているのであつて、何から何まで同じではない。第一公務員の給与ベースと駐留軍労務者の給与ベースが違う。ベースがかなり高いわけです。平均給にいたしまして二万二千円ぐらいになるのじやないかと思います。ですから何もかも、退職制度も何もかも公務員と一緒にするならば、大体賃金ベースそのものから公務員と一緒にしてくれなきや困るということを言うわけでありまして、それに対して公務員と違つて、短期、いつなくなつてしまうかわからないという特殊な雇用関係ではないか。従つてベースが公務員と違うという点も短期特殊の雇用関係であるからということで承認されている。それまでも公務員と同じにしなければ退職制度が工合が悪いということにはまあならないと思うといつたたちの議論にどうしてもなるわけでありますが、でございますから、単純に希望退職以外の軍命解雇の制度が全然できていないという議論ではちよつと工合が悪い。どういう工合に持つて参りますか、アメリカというものが最終的な形としてどういうことになりますか、現在の交渉、我々の案と申しますのは、これは組合案と全然同じたちの要求をしておるわけでありまして、これは御承知の通りでございます。先ほど申上げました十割増に更に八割増という案なのであります。これがなかなか通らない場合に、まあどういう考え方があり得るかということになりますが、そういつた仮に軍命解雇であつても通常の退職金制度、希望退職の退職金制度以外に、さつとアメリカ軍が帰つてしまう場合には、これは会社がつぶれるのと同じことなんですから、特別の措置というものが考えらるべきではないか。或いは軍命解雇であつても、単純な一つ一つの軍名解雇と違つて全日本的にネーシヨン・ワイドに行われるといつたような整理といつたものと又種類を区別して考えなければいかんのではないかといつたような議論になりまするし、現在のところは組合と殆んど同じような案を向うに提示しましてなかなか事務的にも片付かないものでありますから、問題をあとから僕ら直接議論するから任しておけということになつてそのまま寝せておりますが、先方の議論の過程というものがまだ明瞭でない傾向がありますけれども、まあいろいろ事態の予測をしまして、我々の主張というものもまあ練つておるわけであります。単純な特別退職資金制度というのでは、最後までそれだけの主張ではちよつと工合が悪い面も出て来やせんかと思つております。さりとていわゆる特別退職金制度で認めさせるということになりますと、一番簡単な希望退職の元を上げてくれれば一番いいのでありますが、この問題に関連して希望退職金の元を上げさせるということまで発展させますと、問題の解決が非常にむずかしくなつて来やしないか、希望退職の点は現状通りにとどめておいて、整理による退職金の問題とどう取組むかという問題になつて参るわけでございます。  現状の交渉状況としましては組合の考えておりますような線がアメリカ側に突き付けてありまして、そのまま話が付かずに問題が来ておるというのが状況でございます。将来私どもはまあ直接アメリカ側と話いたします際には、或いは日本におけるアメリカ軍というものはいつ何どき全部、若しくは三分の一とか五分の一とかさつと帰らなければならない性質の軍隊であり、従つてそういう特殊の性格を持つた雇用関係というものをどう扱うかといつた、かなり本質的な議論をしなければならないじやないか、まあ私個人の見解といたしましては、もともとアメリカ軍が一生末代日本にいるわけでもない。アメリカ軍の雇用というものをそもそも始めますときに、さつと帰るときにどうするかということが置き忘れられておつたのじやないか。でまあアメリカがさつと帰るときにはどうなるかという議論から逐次発展させて参りまして、特別退職金制度というのを何とか実らせたいというふうな考え方でおる次第でございます。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 もう一点、それじやまあ今の特別退職手当金の制度の確立と申しますか、そのような制度を確立しておくことが現段階においては大事なことだと、こう我々は考えるわけでありますが、その点に関しまして只今の答弁で、この特別退職手当制度の特殊な性格についての二長官の答弁は、その限りにおきまして我々も了解されるわけでありまするが、この見通しであります、私のお尋ねしたいのは。先ほどの前の私の質問に対する御答弁の中で、特別退職手当制度については問題を先ず残しておいて、上司の政治的な折衝に待たねばならん、こういうような趣旨の御答弁があつたと考えるわけでございまするが、この点に関しまして、政治的な折衝と申しまするとどういう機関と機関の話合いを予測されておられるのか。殊に承わりますると、この交渉を難渋にする或いは複雑にしている一つの要素は、アメリカ側の内部情勢にあることも聞いておるわけであります。そういうようなことを考えましたときに、アメリカ側の如何なる機関と日本政府の如何なる機関との話合いが最終的な政治折衝としてこういうような制度確立につきましての重要な締括りになるのか、この点と、それから然らばいつ頃の時期にこの協定の締結がなされ得るかという見通しにつきまして、この際長官の明確なる見解を承わつておきたいと考えるわけであります。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) まあ最終的な段階におきまして上層部の交渉としてというふうに申上げましたのですが、これはまあ最終的な段階は是非とも六月の末までには持つて行きたいと考えておるわけでありますが、その際にこの特別退職資金のほかに現在アメリカが問題としておりますのは、過去において間接雇用に切替えました、平和条約発効時に身分の切替を行いましたときに一遍払つておるのを問題にしておるというやつであります。こいつを取り返したい。それから退職金というものはもともと一つの基本金額に年数がかけられて計算さるべきものである。プラス・アルアアということがあらゆる退職金を計算する方程式であるべきである。その一を駐留軍労務者については二度取られることになつておる。少くとも一を取り返したいとアメリカ軍は考えておる。これも理論上は考えられないことではない問題なのであります。併し我々のほうでは労務者諸君にもうやつてしまつたものであつて、今更取返したくないというふいに考えておりますが、これがまだ償還金の返還という題目の下に今問題になつて残つておる。それと将来の退職金制度、これらにどういう問題がまだ現在の事務段階から残つて参りますか、それら二、三をどう処理するか、過去の清算とのかね合いで、このほうは多少譲つても、将来の退職金のほうを確保するという踏切りを付けるか、両方とも目的を貫徹するように交渉するかということになるの、でありますが、その辺の判断というものはそのときに近くなりましたら申上げるというより、私自身、私ども自体がそう早急に考えをきめる必要はないのである。両方とも貫徹するという精神でやつておるわけでございます。でまあその際に政治折衝と申しますか、政治折衝と申しますといささか口はばつたいことになるのでありますが、まあ私と先方、アメリカ極東軍司令部の参謀長との間の話合いは相当のところ付くのではないか。併しながら基本契約を最終的にきめますときには、労働大臣と当時のクラーク司令官、ハリソン参謀長、こういつた形の関係まで引出しました関係もございますので、或いは同じような形をとるに至るかも知れないと思つております。できるだけ私と参謀長程度の間のところで話をまとめるようにしたいと思つております。それなら今からでもそれができそうなものだということになるのですが、これさえできれば全部ができるということになりません、となかなかそういう問題は片付きませんので、ついあとに残つておるという問題になりますので、御了承願いたいと思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 ちよつと関連して。今のお話を承わつてちよつと疑問が残るですが、先ほど付属書の中で退職金制度の問題はおいておくという、まあ方針と申しましようか、気持だというお話と、それから今のまあ政治的の折衝を含めて只今の答弁は相関連するがごとく考えられますが、そこのところを実際にどういう工合にお運びになりますか、アネツクスと関連して御折衝になり或いは御協議になるというのか、或いは別に附属書の他の協定が終りましても、残しておいて別にお片付けになるという態度でありますか、ちよつとそこのところがあいまいになりましたので。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 大体こういうふうにいたそうかと考えておるわけであります。大体アメリカ側も一応それを了承しておりますが、附属書の三について大体事務的に交渉を進めて行く、交渉した部分もございますが、話合の付いた部分もございますが、その中で特に只今申上げております特別退職といつたことがきまつてない、その部分だけ白紙にいたしまして、話の付いたものを全部片を付けて、事務的に終つたということにしてしまう。そういたしますと、附属書三が大体片付いておると申上げましたのは、その一つ書いてない部分があるという前提でございます。  附属書四につきましては、書いてない部分までこしらえないでよかろうと思う。それと一、二のきまり方、これは最終的に片付きません。つまり現行制度の手直しという問題、これは目下熱心に交渉中の問題であります。それと債務条項に関連します退職金問題で、過去の支払についてまで触れて来ますので問題があとに残る。取出しました問題は附属書の三なら三でブランクで残しておく、ブランクを含んだ附属書三を事務的に仮調印でも何でもする。全般を通じまして二つ三つなら非常に結構と思いますが、二つなり三つ残りました問題を最後的な検討をしてもらう、そういうような考え方をしておるわけです。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 今までのまあ新労務基本契約の発効のために、或いは部分発効をしたり或いは附属書の、技術的に今のような一部を除いても発効を急ぐという経緯からしまして、その点了承いたしますが、先ほど田畑君もお話をいたしましたが、今後漸減方式をとることはこれは明らかです。或いはこれは日本がどうなるのかわかりませんけれども、アジアから二個師引上げるという話を聞いておる。或いは現に朝鮮事変の停戦後、駐労方面で人員減が行われておる。それも実情は、事実は向うの都合によると思うのですが、実際には希望退職を求めるという形で整理が進められておる現状であります。そこで駐留軍労務者の緊急の問題として、或いは関心事として、基本契約の問題もさることながら、今すでに退職しつつある者或いは事実上整理されている者、今後或いは本年中にまあ二箇師引揚げるというと、それが漸次駐留軍労務者の身辺に及んで参るという点をどう対処するかという問題は、これは緊急な問題として現在現われておるし、又進みつつある。そこで労務基本契約に関連して附属書の問題としてはなかなか進展しがたいと、こういうお考えだと思うのでありますが、議会方面にも陳情があり、或いは衆議院においても退職金規定について立案のあれが進められているということは御承知だと思います。或いは参議院においてもこれは人事委員の中で考慮されつつあるように私ども聞いておるのであります。情勢の推移或いは規則制定の必要からするそういう国会方面の動きも御承知であると思いますので、今までのいきさつからする御意向というもの、これはまあわかりますけれども、これらの点についてどういう工合に調達庁としてはお考えになつているか、或いはお進めになられるか、その辺一つ併せて御答弁願つておきたいと思います。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) まあアメリカ軍が全面的でなくても、相当の部分近々にでも帰りやせんかという問題があれば、これに関連しまして人員整理の問題が大問題になることはこれは必至でありますが、私どもの現在の事務面に現われて来ます状況では、現在、今年になりましてからの退職数というものは必ずしも多くないのでありまして、昨年の末に十八万人をちよつと割りましたのです。現在でも十七万六、七十はあるのでありまして、その間の減り方というものは自然減少よりも少いくらいで、若干の新規採用をむしろしているくらいじやないかと思われるのであります。  そこで私どもとしましては、自然減というものが月最低十以上はあるわけであります。これをできるだけ確保しよう、これはまあ我々の仕事が楽になるという意味ではそれは多少消極的な仕事かも知れません。新規採用を拒絶するということでしのぎを付けておる恰好になつておりまして、最近は人員の十八万をちよつと下廻つております。人員からの変動を総数としては見せていないということになります。  ただ私どもは余り詳しくは存じませんけれども、保安庁関係の増強その他で移動するようなことがありやしないか、アメリカの軍の所在地がですね。そういたしますと、まさか北海道に勤めておつた労務者が九州まで転勤するわけにはいかない。従いまして総数は変化はないけれども、やはり整理問題は起るというようなことはちよつと想像をして研究しておるところなのであります。全般的に今の移動関係は、若干頭を悩ましている面もありまするが、アメリカヘこの際一箇師団でも二箇師団でも帰つてしまうということから発生して来る問題は、これは将来当然起ることではありまするけれども、当面の問題としては実は予定しておりません。実は調達庁といたしましては、労務関係以外に施設関係、施設の提供の関係もいたしております。合同委員会の関係から、最近は施設特別委員会というものを日米間に作りまして、私が担当しているという関係もありまして、施設としてアメリカが大体どの程度のものを要求しているかというようなこともかなり早目に私としては承知をしているつもりでありますので、従つて人員を減らす計画との関連も、或る程度見当が付きます。ここ当面は人員が急激に減るという関係は、これはいいことか悪いことか知りませんが、先づないであろうと考えております。従いまして将来アメリカ軍がかなり大規模にいなくなるまでに駐留軍労務関係の退職金の制度なり何なりもつとしつかりしたものを作らなければならないと思い、又それの時間的な余裕はあるであろうと、当面の問題としてそれができないうちに巻き起つて来るであろうというふうには考えておらない次第でございます。

田畑金光日本社会党(第二控室・右)

○田畑金光君 まあ私も大体質問したいことも一応尽きたような感じがいたしますが、まあ最後に一つ退職金の制度確立の点でありますが、先ほど私が申上げましたように駐留軍労務者の退職或いは失業ということは、或る一つの将来の見通しを以て判断いたしますときには一つの宿命的なものであると、こう言ひ得るかと考えるわけであります。従いましてこの点に関しましては、折角調達庁におかれまして附属書並びに労働政策指令についてもそれぞれ近く妥結をする段階まで漕ぎ付けた。ただ最も困難な問題として退職手当制度のみが時期がずれるような見通しでありまするが、こういうような一つの制度の確立ということは、やはり時期或いは勢いというのがあろうかと考えるわけであります。この点に関しまして、殊に駐留軍労務者という不安定な職場に働く諸君は、強くこの制度の確立を求めているわけであります。発生的に見ましても経過的に見ましても、駐留軍労務者の雇用主が政府であるというようなこの制度の性格から見ましても、国家公務員と同じような、むしろ国家公務員とはその期間の問題等におきまして不安定だという性格の面から申しまして、特殊の考慮の下にこの制度の速かなる確立を図つて頂くことを要望しておきたいと考えます。  この点につきましてはこの程度で実は終りたいと思いまするが、あともう一点だけお尋ねしておきたいと思います。  それは御承知のように公務員に関しましては夏期手当の要求が政府当局に強くなされているわけでありますが、同様にこの駐留軍労務者におきましても先般来調達庁長官宛に対しまして夏期手当の要求がなされているはずであります。御承知のように昨年末からの米軍予算が減らされたことや、事業量の減少等に伴いまして労働時間も短縮され、実質的に給与が低くなつておるということも否定できない現状だと見るわけであります。こういうような状況下におきまして駐留軍労務者のほうから夏期手当の要求がなされているわけでありまするが、この点に関しまして長官といたしましてはどのようにこの要求を処理されようとする御方針であるか、この点に関しましてどのようなアメリカ当局との話合いを付けられようとする御所信であるか、この点承わつておきたいと思います。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 夏期手当の件は御指摘の通り組合からもお話が参つておるわけであります。組合の要求自体にはわからん点はないのでありまして、了解はできる次第でありますが、ただアメリカ軍との間に駐留軍労務者の給与は給与ベースこそ違え、あとの取扱いは同時同率の原則という約束になつておりますので、国家公務員に対して夏期手当が支給された、それと同率を駐留軍労務者に支給するということには間違いありませんけれども、それ以上に駐留軍労務者だけにアメリカ側に支出せしめるということは先方としても固く拒否して譲らない点もありますし、又我々のほうとしてもそれ以上の率に取るということはできかねる次第でありますので、国家公務員の夏期手当の件が解決いたしました通りに駐留軍労務者の問題も扱えるという保証ははつきりいたしておりまするが、国家公務員の持越以上だ、夏期手当の率を定めるということは、これは先ずちよつと不可能であろうと脅えておる次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 そうすると今の点は国家公務員について予算〇・七五、要求は一ということですが、いずれにしても国家公務員がそういう率できまつたならば、その率は駐留軍労務者についても支給できると、こういう御答弁と解してよろしうございますか。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) その通りでございます。駐留軍側に対しましては国家公務員の支給率は〇・七五ということになつておるが、それに対してもう〇・二五殖やせという要求もあり、又案等もあるわけなので如何ようにきまるかわからない。併しながらいずれにきまつても、国家公務員と同率を出すという用意はしておる次第であります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 ちよつと特別退職金制度の問題に帰りますが、何度も長官は繰返し同時同率というお話でございますから、退職金問題についても講和発効当時争われました退職金を支給すべきである。或いはまあ総額がどうなるかは別問題にして、或いは率等がどうなるかは別問題にしまして、日本人の或いは公務員、或いは労働者と同じように退職金を退職の際に支給すべきであるという点はもう問題ないというふうに確立されておるといいますか、了解されておると、こう解釈してよろしうございますか。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 同時同率ということはすべてに亘つて同時同率ということにまだ必ずしもなつていない傾向もあるのですけれども、駐留軍労務者に対しまして退職金制度というものがあることはこれは明瞭であります。そのきまり方が国家公務員に比べて不利である。これと同時同率の原則というものがどう両立するかという点が問題になるわけで、これに対しましての理窟は一番肝腎の給与ベースが違う、これが駐留軍労務者の場合は国家公務員より遥かに高い。これは事実であります。同時同率を胞くまですべての点に貫くならばすべてについて同じにしたらどうかという切返しを食う虞れもありますので、多少首尾一貫していない点があるわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 お尋ねしたのは、退職金の問題について、同時同率という言葉にはこだわりませんけれども、退職金を駐留軍労務者についても出すべきだ。それが日本の公務員なり或いは他の労働者と……、まあ特に公務員ですが、比較にはなるかと思いいますけれども、出すという点については基本的に了解は付いておるかとお尋ねしましたのでありますが、それについては大体付いておると、こういうふうにお答えを頂いたように思うのですが、そう解してよろしうございますか。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 退職金を払うべしということは異存ございません。現にその制度もあるわけでございます。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それから先ほどまあ現に労働者の総数は昨年末に十八万、十七万六、七千と、若干のあれはあるけれども、総数として我々が心配するような大きな減員は今のところないし、或いはここ暫らく考えられない、こういうまあお話でございましたが、先ほど申上げましたように希望退職というような形も含めて朝鮮停戦後各地で減員の企図があり、それを転換その他で如何に減そうかと、こういうことで苦心しておるということは、これは御存じだと思うのであります。末端で非常に苦労をその点はいたしております。なおこれは労働組合で、今後のこういう減員或いは退職といつたようなことに備えて組合自身で職業補導をやつておる、こういうこともまあ御存じだと思います。従つて不安は現実にあるわけでございます。それが退職金規定を従来調達局によつてまあ実現を期待して参りましたけれども、それが先ほど述べられたような実情でなかなか退職全問題については見通しがすぐには立ちかねる。こういうところに議院に特別立法をも請願すると、こういうことになつておる。これが現状だと思います。従つてこれに対する態度をお伺いしたいわけでありますが、一般的なお答えしか頂きませんですが、退職金規定をこれは議員立法でいたすといたしましても、結局は調達局なり或いは先方のアメリカ側の意向等もこれはあつて最後の結着を見ると思うのであります。それは調達局で案を立つて米軍側と折衝してきめられるか、或いは最初の原案を議院が考えましようとも、行き驚くところは大体同じと思います。筋道を通します点は……。従つてそれらの点についてはこれは早急に確立することが、減員を望むわけではございませんけれども、不安をなくして、現在の仕事に安心して働かせるゆえんだと、こう考える、そのことについてはこれはもう御異存はなかろうと思います。従つて或いは従来の労務部の中で管理関係についてやらせている担当官でなくて、別にお考え願うということも一つの方法であろうかと思うのであります。組合とそれから折衝を願いたいと思うのでありますが、その点について国会方面の動きも勘案して具体的な御意向と申しますか、方針等を承わることができれば結構だと思います。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) この退職金制度の問題はなかなかむずかしい問題ではあります。国会方面で御心配灰いているということも承知しております。国会方面で若し現行の退職金の例えば八割増というようなものを特別の退職金として支給すべしというようなことになりますると、そういう仮に法令ができるということになりますると、調達庁長官といたしましては当然これに従うわけでありますので、労務者には当然その退職金は渡ることになるわけであります。問題はアメリカ側から我々が金を返してもらうという構想のところへ出て来るわけであります。それがまあそういう場合に返してもらえるかどうかということになりますが、これは先方にうんと言わせませんと、先方の承認を得なければ……。でないと払うこと自体には異存はなくても簡単に償還してくれるかどうか。これは曾つての講和発効時における切替の際の退職金と同じ問題になるわけであります。その増加しました部分だけが過去の問題と同じ取扱いになつて、あとはおせおせに残るだろうと考える次第でありますが、いずれにいたしましても国会方面の御成案が確実になるに従いまして、私どもアメリカ側との交渉の度合いを強めて参りたいと考えております。  ただこの退職金の問題、むずかしい問題ではございますが、極めて率直に申上げますと、やはり日米間においてかなり本質的な根本に触れた話合がないとなかなか解決しない問題ではないか。現に希望退職制度と希望退職金というものがありまして、それの十割増の減員解雇に対する退職金制度というものがあるわけであります。これは普通の企業から言えばこれで大体当り前の制度は済んでいるではないかということであります。これに対しまして我々のほうの考えといたしましては、十八万人ぐらいの雇用関係が一遍にぱつとなくなつてしまう時期がないとも限らん雇用関係ではないか。そういう場合に普通の退職金を以て律することはできないのではないか。又日本の一般の労働関係にも動揺を与えるのではないか。又駐留軍の如何なる事業といえども、これに従事する人は、辛抱すれば一生安泰に暮らせるとか、少しぐらい伸びて行こうということを頭に描いてやつている、これだけは二年か三年、長くて五年ぐらいでばつさりなくなるかも知れないということを考えてやつている職業ではないか。そういう意味で普通の退職の関係で律することはできないのじやないか、日本のみにあつてアメリカにない労働問題、日本のみに十八万人ぐらいの労働者というものが、さつとアメリカ軍が帰つてしまうという問題を残してあるのじやないか。この原因はやはりアメリカ軍が日本にいるということにあるわけであります。そういつたような点から、やはり単なる退職金制度を問題とするのでなくて、もつとしつかりした切り込んだ日米間の話合いができませんとまともな解決は私はできないのじやないかというふうに考えておりますのです。併し微力を尽しまして、日本におりますアメリカ軍と私どもとの間の交渉で何らか恰好を付けるまでにしたいと考えております。本当はもう一段上の問題であるような気もいたしているわけであります。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 その基本的な点もございますのでそういうお尋ねをしたわけでありますが、それらの問題を含みまして、実情はお話のように総員が維持されている。或いはこれは暫らくこのままで参るだろうということではないようで、組合自体が、これは調達局であろうが或いは労働省であろうが政府でありますが、政府が考えるべきところを組合自体が職業補導までも考えているということになつて参つておりますので、その点について基本的な問題、或いは退職金制度、特別退職金制度を確立するためにもつと具体的に一つ対策を立てて頂きたい。或いは十八万人一遍にやられるときのことを考えるだけではなくて、実際にはこれは漸減だということになると思います。或いは今年二万、二個師団引揚げるとしても……。或るいは一個師は朝鮮から日本に移す、或いは日本自体は余り変らないということになるのかも知れません。今後の方針はこれはお互いに知つているところでありますので、その点についての不安なからしめると申しますか、或いは万遺憾なからしめるように一つ御努力を願いたいと思うのであります。これは要望であります。  それから先ほど大体田畑君から一通り聞くべきところは聞いてくれたように思うのでありますが、従来基本契約の発効がないということでいろいろ問題が起つておりました。或いは地労委の救済命令が拒否されるとか、或いは身上調査などが行われて保安解雇が行われるとか、或いは人員整理の事前通告も行われずになされる、こういうことが、言われて参りました。部分的発効によつてそういう問題はなくなるはずだ、こういう御答弁もありましたようでありますが、実際にはなおいろいろあります。当委員会でも佐世保のガードの問題についてこれは阿具根君から取上げて委員会で論議をいたしまして、これは問題は片付いたようであります。或いは食堂その他、これは基準法施行問題になるかと思いますけれども、婦人或いはメード、個人の使用いたしておりまするメードが我々の論議の対象になるかどうかは別として、食堂等に働いております問題につきましては我々の問題であるということは間違いない。実際には依然として問題がなかなかなくならん。そこでこれは日本の国内労働の場合でもなくならんのでありますから、これはそういう意味においては仕方がございませんけれども、或いは保安解雇であるとか或いは整理について云々、或いは地労委の云々といつたような点については、これは基本契約なり或いはその部分発効ということに関連はいたしますが、部分発効問題はなくなつたとお考えになつておりますか。それとも実際には君子あるけれども、これは部分発効後なくなるべきだ、こういう工合にお考えになりますか、その辺細かいことでありますけれども、お尋ねをしておきたい。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 保安解雇の件につきましては部分発効をみたことは申上げた通りでありますが、この発効をみましても、何やかにや問題は、実を申上げると絶えないわけでございます。根本的には、例えば空軍のごときは、部分発効をいたしました規定を読みそこなつて誤解をしておるというような事態が最近発生しました。これを読直させるために大骨を折りまして、やつと先方も了解したというようなわけでありますが、空軍関係の扱いました保安解雇も多少ありましたが、これは一切、手続が間違つておつた、これは真させることになつておる。陸軍関係につきましては元に遡つての間違いはないのでありますが、このほうは間違いではなくて、本当に扱い者の素質が必ずしもよくなかつたために若干悪質の保安解雇事件などもありましたり、又これが地労委その他の問題になりましたときに、陸軍のほうはとかくひねくれまして、最後まで、裁判まで持つて行つて争うという持つて行き方をする、ろくな資料も提供しないというために、中労委のほうでも負けるといつたような問題も起すとか、実際上には予定いたしました部分発効をいたしましたにもかかわらず、若干のトラブルがあることはもう確かにあるわけでございまして、御指摘の通りであろうと思います。併しながら起りましてその都度では泥縄のようで甚だ工合が悪いのでありますが、起りまして我々の品にとまりました以上はすべて定めました通り是正させているつもりでございます。又空軍の関係は一応先方も了解し示した。今後は起らないと思いまするし、事態は是正されて参ると思いますし、又具体的な事例についても間違つたものは飽くまで直させるという考え方を変えずにやつて参りたいと考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それに関連いたしまして、これは正規のものかどうかはわかりませんが、各地に、部隊があります現地に三者構成の委員会があるところもある、まあないところもある。こういう具体的な解決の方策と申しますか、これは恐らく通牒その他あなたのほうの関係には行つていると思うのでありますが、この部分発効をいたしました基本契約の部分について問題を解決する具体的な万策は、現地の合同委員会と申しますか、或いは三者委員会と申しますか、そういうものはこれは作つて、個々に問題が起つた場合に処理をする。或いは起らないようにするという努力をなされておりますかどうか、その点併せて伺いたいと思います。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 現地で三者協議団体を、協議会を持つてやつているところが多少あるわけでありまして、これを奨励しているわけであります。軍の、その現地々々の担当者の考え方等もありまして、できてないところもあるわけでありますが、併し今日までの経験で大体間違いの起りやすい場・所には大体協議方式が徐々に確立しておると考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 これは奨励していると申しますか、或いはそういうのを推進しているというお話でありますから、それを更に推進されることを希望いたしまして、なお基本契約に関連をいたしまして、今まで駐留軍労務者のみについてお話がございましたが、当委員会等でも特需関係の労務者等についても取扱つて参りましたが、その際も基本契約との関連が結局問題になり、或いは基本契約の人事条項が特需契約の人事条項にそのまま移る、こういうこと十で実際には関係があるわけであります。このほうについてはどうい工合にせられ、或いは片付けつつありますのか、それから事実問題といたしまして、国連関係についても先頃協定が結ばれましたが、国連関係についても、何と申しますか、同様に進んでおりますのか、或いは今までございました不円滑な点についてどういう工合に進められておりますのか、併せて承わりたいと思います。

福島愼太郎調達庁長官

○政府委員(福島愼太郎君) 特需関係の労務者につきましても、私自身は余りどうも明瞭でない部分が多いので甚だ恐縮でございますが、私の知つております限りでは、実は調達庁にもう一つ契約調停委員会というのがございまして、これが日本の業者と軍との間の契約上の紛争を調停するという合同委員会の一分科委員会になるわけでございますが、これが主として特需労務者の問題を処理する場合には、契約主であるところのその工場とアメリカ軍との間に契約が突如として打切られたとか、更新せられないとか、そういうのを根源にいたしまして、労務者のほうの待遇の問題も自然起つて来るわけでありますので、そのもとになります契約の紛争の調停とか、若しくは打切りました場合の場合の補償の方法とか、そういう方面に力を入れておるわけであります。最近契約調停委員会から成案を得まして、合同委員会の承認を得ました。そういつた場合の損害の補償の方法その他で、その保護は自然労働者のほうにも及んで来るであろうというように考えております次第でございます。  契約特需関係の労働者の直接の問題といたしましてはそれ以上私もちよつとお答え申上げかねます。そのもととなるべき業者と駐留軍との間の契約の保護については相当の向上を見たということは言えるのじやないかと考えております。国連軍関係の労務者も漸く国連協定の成立を見まして、現在のところでは七月一日を百標として間接雇用に切換えるということにいたしております。間接雇用に切換えますれば、当然労働条件としては旧来の直接雇用のときよりは現行のアメリカとの基本協定の線に従いました暫定協約が一応準備してありまして、これを調印いたしまして、労働条件としては安定することになります。給与の状況におきましては、国連軍の直接雇用をしている関係は、現在のアメリカ軍関係よりも若干下廻つていると聞いております。取りあえず切換えに際しましてこれをどうすることもできませんので、切換えに際しまして下るということはない、これを先ず以て補償の第一条件といたしまして、切換えましてから逐次、少くとも現在のアメリカ関係の労働者の線にまで向上させて参りたい。又その後はアメリカ関係の労務者の労働条件の改善と相待ちまして、国連軍関係の労務者の労働条件も改是されて行く方角に持つて参りたいと考えている次第でございます。

有馬元治労働省労政局労政課長

○説明員(有馬元治君) 保安条項の改訂の問題でございますが、これは御承知の通りに、昨年の六月当委員会におきまして、役務契約の中の人事条項の問題としまして御指摘がありました。その後我々も労務基本契約の保安条項の基準と手続に準じまして、労務基本契約と同様な形と以てこの人事条項を改訂してもらいたいという申入れを米側にいたしまして、ずつと去年の八月以降、改訂交渉を進めているんでございますが、現在のところ、最終段階に至りまして、まだ最終的な決定までには実は至つておらないのでございます。  で、極く最近の交渉経過を申上げますと、先ほど福畠長官からお話がございました通り、二月の初句に基本契約の中の保安条項につきまして部分発効を見ましたので、その機会に私どもといたしましても、労務委員会を開催いたしまして、先方の責任者も来て頂きまして、日米双方のこの問題に関する討議を行なつたわけでございますが、大体労務基本契約の保安条項に準じた考え方で以てこの問題を律しようというところまで実は進んでいるのでございますが、ただ手続の点におきまして、基本契約の場合と一般の役務契約の場合と若干異りますが、考え方の筋途は基本契約並みという原則で議論しているんでございますが、その点で若干先方がまだ了解点に達していないというふうな現状でありまして、これは一昨日も外務省を通じまして、至急にこの人事条項の改訂について結論を出すべく委員会を持とうという申入れを先方にしているのでございます。で、今回、今年の七月一日の改訂時期には是非ともこの人事条項の改訂をいたしたいという目標で現在交渉を進めております。  なお申添えておきますが、現在の役務契約の中に含まれております人事条項は、御承知の通り非常に日本の役務業者、特需業者にとりましては非常な不利なような書き方になつておりますのですが、この保安条項の改訂問題が起りまして以来、現実には現行契約の下に起りました保安解雇におきましても、富士自動車の例のごとく、まあ非常に長い期間いろいろの折衝過程を経まして、現実には基本契約で認められました保安条項の精神に則りまして、さほど従前のようなひどい一方的な保安解雇という事例はできるだけ是正しつつございますので、この点もお含みおき願いたいと思います。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 この特需関係の労務条項、特に保安解雇に関しまする人事条項、それから基本契約に関連する、先ほど福島長官の答弁によると、労働政策指令の第二、従業員団体の基地内の活動、こういう問題はこれは直接繋がりがございます。それから私どもが富士自動車で会いましたミスター・ドーテイの言うところでも、労務基本契約と、それから特需工場の労務条項と申しますか、これは直接関係があると、こういう点は明らかでございますので、当然二月に部分発効を見ますと、その通りにすでに直つておるものだと実は考えておつたのであります。なお最終結論に到達せず、七月一日からその線に従つて実施いたしたいと、こういうことでありますが、まあいたしたい方向は了承いたしますが、なお協議について最終に至らず、二、三問題があるかのような点、甚だ了解に苦しむのであります。どういう点が問題になつておりますのか、もう少し具体的に御答弁を頂きたい。

有馬元治労働省労政局労政課長

○説明員(有馬元治君) 保安解雇の基準につきましては、これは基本契約の中にあります保安条項の三項目の基準と同じ基準を我々も持出しておりますし、先方もこれについては余り異存がないようでございます。ただこの基準に当てはめて保安解雇をいたします場合の手続の点につきまして、まだ先方との了解が最終的にできていない。その一番大きな問題は、契約当事者の間に保安解雇という問題につきまして意見の一致を見ない場合の措置をどうするかという点でございます。で、御承知のように基本契約におきましては、下の段階から逐次上の段階に持つて行きまして、最終的に合同委員会に付託するというふうな手続規定になつておりますが、この最終段階の事案を合同委員会に付託して、そこで最終的な決定をする、それに両当事者は従うというふうに我々も手続として持つて行きたいと考えまして、そういう案を出しておるのでございますが、この点につきまして、先方におきましては現行の日米行政協定の十八条の七項の合同委員会の規定の読み取り方響につきまして若干呉論がございまして、個々の最終的な手続段階の点でまだ了解点に達していない、この点が一番大きな問題ではないかと、かように私は考えております。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 それでは問題点、それから解決の方向は基本契約及びこれに関連いたします附属書なり或いは労働政策指令の方向で片付けたい、こういう点は了承いたしますが、七月一日を目標にして云々ということでありますが、まあ七月一日までに、言い換えますと六月一ぱいまでかかるという点は、大変私ども、問題が問題だけに、基本契約できめられた方向に従うんだ、こう言つておいて、特需関係という、多少舞台が違うだけで話が違うんだという点は非常に理解に苦しむんで、御努力願うといたしまして、具体的に例えば冨士自動車の場合にその後保安解雇等が起つて、而もその手続が考えられておるような手続によらないで問題を起した、大変意外に私ども聞いて参つておるのであります。それから或いは赤羽等におきまして、従業員の組合の基地内の活動問題について、その当時これは参考人なり、或いは実情調査等で知つて参つたのでありますが、大変理解しがたい実情であつたと思うのであります。その後この点については改善せられて参りましたかどうか、ついでにお尋ねをいたしたいと思います。

有馬元治労働省労政局労政課長

○説明員(有馬元治君) 昨年赤羽の問題が起きましたときに、基地内における労働組合の活動の制約と言いますか、自由と言いますか、そういう問題が本委員会で問題になつたのでございますが、あのときに労働省の見解といたしまして、米軍の基地内におきましても労働法の適用があるんだという見解をお述べいたしまして、ただ基地内におきましては、米軍の基地の特殊性から、他の民間産業の施設内における組合活動とは若干興りまして制約がある、これは止むを得ないというふうな見解をお述べしたかと思いますが、その若干の制約或いは基地の特殊性ということを前提にして考えますならば、あの当時いろいろ問題があつたのでございますが、これも成る程度は是認されると言いますか、認めざるを得ないという結論に労働省といたしましてなつておるのでございます。その後この基地内におきまして労働組合の活動の制約の問題が現実に起つておるというような話は私まだ聞いておりませんので、具体的に現実に起きた場合におきましては具体的な問題といたしまして、我々も組合側の言分をよく聴取いたしました上で、渉外と言いますか、外務省等を通じまして先方とよく話合を付けたい、かように思つております。その後一般的な傾向として基地内の組合活動が非常に弾圧を受けておるというふうな印象は我々としては持つておりません。

吉田法晴日本社会党(第四控室・左)

○吉田法晴君 これは去年の事例ですけれども、富士自動車の中でも或いは許可をとる、或いは例えば食堂で云々といつたような、基地内の組合活動だという、若干の制限があることは我々も知つており、或いは幾らかの制限があるということはこれは認めるとしても、全然赤羽の場合にはなかつた。そういうところに問題があつたわけであります。問題が提起されないということで、労働省はうまく行つているだろう、こういうお考えでありますが、これは認識が違つております。  そこで先ほど労働政策指令の第二の、何と申しますか、協定の内容については、長官からお話があつたわけでありますが、基地内の活動については許可制、許可の制度の下にこれを許可する云々というお話がございましたが、その点については労働政策指令の推移と、これに従つて特需契約についても十分労働組合法なり何なりの行きますように一つ御努力を願いたい。この点については労働省は勉強が足らんと思う。一つその点を警告しておいて質問を終りたいと思いますが、なお長官も来ておられますからもう質問はやめて、一応希望を申述べておきますが、一般公務員については、これは人事院制度ができまして以来、最近に至つて或いは部分的には大変人事院活動の後退する部面もございますが、先ほど給与の問題について附属書の中で一、二の分について言われましたけれども、或いは給与準則が出るとか或いは恩給制度が出るとか、この面はやつぱり一般公務員について発展している部面です。アメリカ軍に使われておるということで、最初一般的な給与の水準は高かつたかも知れないけれども、特別職をやめて以後、そうした人事院に該当するような機関がないせいもございますが、これも調達庁がひとり担当をしてもらつていると思うのでありますが、むしろどんどん後退をして参つて、そうして公務員なりこれに関連いたします或いは公社その他のあれからいたしますと、むしろどんどん悪くなる一方、或いは附属書に関連いたします給与の問題に関しましても、或いは退職金の問題についても、大きなギヤツプができつつあるというのが現状じやないかと思うのです。そこで交渉の仕方にしましても、向うの案を持つてこれに批判を加え或いはこれを是正させる、こういうやり方のようでありますけれども、一歩進んで、これは労働者がどうあるべきか、或いは公務員がどうあるべきかという観点から一つ強い御折衝をお願いをしておきたいと思うのであります。時間がございませんので十分な質疑を尽すことができませんけれども、従来の誠意と努力とは認めますが、更に一層一つ御努力願いますようにお願いをしまして、質疑を終りたいと思います。

栗山良夫日本社会党(第四控室・左)

○委員長(栗山良夫君) 本会議が開会されるようでありますから、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗