労働委員会 第6号
- 発言数
- 217 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/02/18
会議録
○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。 本日の会議に付する事件は、労働情勢の調査に関する件であります。ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(栗山良夫君) 速記を起して下さい。 只今田畑君より委員外発言を許可せられたい旨申入れがございます。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(栗山良夫君) 御異議ないものと認めて委員外発言を許すことにいたします。ちよつと速記をとめて下さい。 午後三時三十八分速記中止 —————・————— 午後三時五十七分速記開始
○委員長(栗山良夫君) 速記を起して下さい。
○吉田法晴君 労働大臣の今後の労政に関する所信を承わりました中にいろいろございましたが、職安関係について失対費の僅かな増額その他が謳われ、或いは職業補導等のこともございましたが、私ども客観的に冷静に見ますと、職安行政においても後退が現実にあるように見られます。 それに関連してお尋ねをするのでありますが、昨年でございますか、一昨年になるかとも思いますが、職業安定法の施行規則第四条第一項の中に大きな変化が生じまして、これはその後労働委員会等においても取上げられておりますが、いわばこの施行規則改正については議会その他に諮らないで、政令の改正ということで行われたのでありますが、専門的な企画等については、前には専門的な企画ということがございましたが、専門的という要素を取つて、ただの企画があればよろしい、それから経験があればよろしい、「専門的な経験」という言葉を使つてありますが、専門的な経験があればよろしいということで、経験を認めることによつて、従来の請負をやつております者を殖やす、或いは労務供給契約が、一度は非常に厳格に、職業安定法を施行して、労務供給業の名におけるピンはね、或いはボスの発生ということが一掃せられたのでありますが、この施行規則四条四号の改正によつて、労務供給業が再び復活をし始めております。或いはコストの引下げということに関連をいたしまして、大工場の一部事業を下請にする。その下請は技術或いは設備等を持たないで、ただ経験を持つた請負業者が人を集めて産業予備軍的な人を集めて請負をやる。こういう形で労務供給業とそれからピンはねの萌芽が発生し出しております。このことはひとり工場、事業場における労務供給業だけでなしに、或いは港湾労働の紹介につきましても国の職業紹介をおやめになつた部分があります。そしてその代りに直接業者が門前募集をする、その下請を労務供給業者がやる。こういう形で港湾労働等にも職業紹介、そしてその職業紹介の中に従来の形が復活しておるという事実がございますが、こういう事実を御承知なのかどうか。それからこの職業安定法施行規則の改正については衆参両院の労働委員会その他で元に復する強い要望が行われて、来たことは御承知のところだと思うのですが、これについては如何ようにその後せられましたか、これを一つ承わりたいと思います。
○政府委員(安井謙君) 職業安定と申しますか、職業紹介につきましてボスの介入を排除するという精神は今後とも十分守つて行きたいと思つておる次第でありますが、まあ港湾労務につきましていろいろ特殊の事情、条件といつたようなものがあることも御承知の通りでありますし、その精神とするところは、今のボスの支配とか或いは中間搾取のないような機構を今後とも進めて行く予定であります。更に個々の具体的なこの規則の改正云々の問題につきましては、只今安定局長が参ると思いますから御返事申上げたいと思います。
○吉田法晴君 そうすると施行規則の改正については用意を整えて改正をする。その改正の具体的な方向は職業安定局長をして答弁をせしめる、こういうことですか。
○政府委員(安井謙君) いろいろな問題がありますので研究はいたしておりますが、今これを直ちに改正するということで、ここで改正の要旨を御答弁するというようなところまでは行つておりません。
○吉田法晴君 細かい具体的な事例は、政務次官として御存じないか知れませんが、併し一遍掃除をいたしました労務供給業が復活しかけておる。従つてその中にピンはねの萌芽等が生じかけておるという点はお認めになつておる。そうするとそれを抑えますためには、職業安定法施行規則の改正以外にはないんじやないか。これが従来の折衝、論議のいきさつであります。そうすると具体的にですね、案をお示し願い、或いは改正をいたしますという点がなければ、事態に対処する労働省の態度にはならんと考えます。具体的な事例を挙げてもかまいませんが、御存じであろうと思つて、具体的な事例は述べておらんのであります。施行規則の改正は考えておられて、ただそういうボスの発生は抑えたい、中間搾取が行われるようなことはしない方針である、これでは御答弁にならんと思うのであります。
○政府委員(安井謙君) 今具体的に施行規則を改正すると、その成案を云々と言つておるんじやないのでありまして、そういつたいろいろな問題については研究をしておるということでありまして、今直ちに施行規則の改正の試案を以て云々と言つておるわけじやないのであります。お説のごとくにボスの介入というようなことのないように、ただまあいろいろ特殊の事情がありましても、これに対応できるような研究を進めておるのであります。
○吉田法晴君 研究をしておられたことは存じ上げておりますから、その研究の結果の具体案をお示し願いたい、こういうことをお願いしておるのであります。
○政府委員(安井謙君) 成案ができましたら一つ委員会に是非お諮りいたしまして御審議を願いたいと思つております。
○吉田法晴君 施行規則でございますから、法案としてかかつて来るものではございません。ただ案ができたら相談をいたしたいと、こういうことであれば了承いたします。従来のいきさつから見まして、その点を弊害が再発しないように何とかしなければならん。こういう労働省の従来の態度であつたから、研究の成果はもうそこにあるでしよう、まとまつておるだろうから、それをお示し願いたい、こういうように要望したのであります。 職業安定局長おいでになりませんから申上げますけれども、例えば八幡の製鉄のごとき、従来万に近い人たちが労務供給業において入つておる、その親方というものがあつた、それを前の施行規則で或いは設備なり或いは専門的な技術なり、そういうものがなければ、これは単なる労務の供給、そうしてピンはねが行われるというので、設備或いは専門的の技術、こういうものでふるいをかけておるわけです。ところが施行規則によつて専門的の企画でなくてよろしい、単なる企画でよろしい、それから経験を加えられたために、従来よりも条件が非常に緩和されて来た。従つて供給業者が復活して来て、まあ何々組といつたような恰好でありますが、それが復活した。更にコストを安くするためでありましようか、今まで政府でやつておつたのを何々組に請負わせる、こういう事態が生じておる。設備も技術もないのでありますから、そこで頭はねと申しますか、ただ労働を提供し、労働の成果について対価を得ると、こういうことになりますと、その経営者は労賃の中から引く、こういう以外にないというのでピンはねが復活して来ておる。それから港湾労働の点を申上げましたが、職業紹介を国自身がやることがやまつた部分については窓口で会社がやつておる。そうするとこれに下宿を提供し、それから仕事の世話をする、こういうことで供給業者みたような者ができておる。先般私、問題になつております門司市の例を見たのでありますが、下宿をさせ、部屋を提供し或いは食事をさせ、そして窓口で世話をする、世話をするという形であるけれども、労務供給業が復活しておる。そうすると、まだピンはねが行われておるかどうかということははつきりしておらんと安定所等は見ておるのですが、それはピンはねの事態をはつきりつかまんという話だけでありまして、労務供給業が復活しておるということは間違いございません。そうするとあと金を貸してその利鞘を取るというか、丁度人身売買はなくなつたはずであるが、人身売買の形の置屋といいますか、人をその家に置いて金を貸してそしてピンはねを行う、こういう売春関係に伴います人身売買といいますか、頭はねと同じような事態が、実態は少くともできかけておる。あとは金を貸すこと、それからピンはねをするということが残つているだけでありますが、それはもう時間の問題だと思うのであります。これをそのまま放置せられるのであるかどうか。恐らく放置せられる意思はあるまいと思うのですが、放置せられないとすればどういう処置をとられるか、その法的の処置を承わりたい。
○政府委員(江下孝君) 前般の御質問をよくお聞きしませんでしたので、御答弁が外れるかも知れませんが、一応お答え申上げます。 労働者供給事業の取締につきましては、終戦後職業安定法が制定されまして、従来日本にはびこつておりましたいわゆる労働ボスの排除を規定いたしまして、これに則りまして現在まで取締を続けて来ているわけでございます。ただ問題は、ボスを取締ると申しましても、実際安定所の限られた機能を以ちまして徹底的にやるということはなかなか困難な実は面も伴うのでございますが、過去におきましては相当これに力を入れました結果、実績もございますが、相当数のボスの排除を実施して来たと思つております。最近お話の、ごとく又労働者供給事業のもぐりが出ているんじやないかというお話でございます。これについては私どもも決して傍観しているわけではございませんので、ただ非常に、最近の例の失業対策事業の問題、その他いろいろ安定所でも業務が、正直に申上げまして非常にふくれているものでございますから、勢いそういう方面に手を取られるのが現実ではなかつたかと思つております。併し今お話のような声が確かに上つております。我々といたしましてはこの際、なおこの典型的な労働ボスの排除については従来通り厳格にそれを実施して行くという方針で地方にも通達をいたしております。なかなかむずかしい仕事ではございますけれども、法の趣旨に従つて努力をして参りたい、かように考えております。
○委員長(栗山良夫君) 只今衆議院の予算委員長と打合せましたところ、労働大臣並びに農林大臣は四時前後に当委員会に来て頂けることに大体なりました。通商産業大臣は、五時三十分前後に当委員会に来られることになりました。
○赤松常子君 江下局長にちよつと……。先だつて私調査をお願いしておりました田園調布看護婦、派出婦労働組合の労務供給事業許可申請の問題でございますが、御報告願うように申上げておきましたが、どういうふうになつておりますでしようか。
○政府委員(江下孝君) 急いで参りまして実は資料を持ち忘れたのでございますが、併し記憶の限り申上げたいと思います。 田園調布のいわゆる看護婦、派出婦の労働組合でございますが、結成いたされましたのは数年前のように聞いております。看護婦の組合として当初は職業紹介事業を行いたい、こういう要求で安定所にも相談されたそうでございます。労働組合でございますので、私どものほうでは、線としては労働者供給のほうが適当じやないかということでお話し申上げ、その関係で多少日にちがたち、それからいよいよそれでは労働者供給という形でやろうということになりまして、正式に労働組合の資格の認定を受けられまして、そして東京都のほうではその間事前にいろいろ指導があつたと思いますけれども、提出しました日付は昨年の五月になつておるわけでございます。そして東京都から私のほうに申達して参りましたのが昨年の九月の終りでございまして東京都では十分調査をいたしておつたはずでありますけれども、なお本省のほうでも、書面でございましたので多少はつきりしない点がありましたので、二、三の点につきまして東京都のほうに照会をいたしました。数日前に回答が参りまして事態は明確になりましたので、ここ一両日中に決定をいたしたい、かように考えております。
○赤松常子君 明確なお答えを頂いたんでございますけれども、その間いろいろと私のほうも申上げたい点もあるのでございますが、どうぞそういう場合に書類を成るだけ机の上におとどめおきにならないで、是は是、非は非としてはつきり問題点を明らかにして、今後そういう場合の指導を本当に公明にして頂きたいと附加えてちよつと要望して申上げておきます。それでは二、三日うちに許可は下りるのでございますか。
○政府委員(江下孝君) 決定すると思います。
○吉田法晴君 職安局長初めからおられませんので、私の質問の趣旨とそれから問題点がはつきりしておりませんのでございますが、ボスの発生の根拠は、技術の遅れた産業或いは事業、そこで技術の伴わない労務を使う、或いは供給する、そこで結局労務を供給する者が経営をやつて行くには労賃の中から頭はねをする以外にない。ここでただ技術を伴わない或いは設備を伴わない人と人との関係がボスの発生の根拠である。こういうことで職業安定法が運用され、施行規則が作られ、それが運用され、そしてボスが一掃された、こういうことだろうと思うのです。ところが現実を見てみますというと、これは都会と言わず或いは炭鉱地帯と言わず、再びボす或いはチンピラが相当たくさん又出きかけている。それが或いは右翼暴力を基礎といたします団体の発生の私は社会的の基礎になつていると思うのです。そこで職業安定行政を担当される皆さんとして、これをこのまま放置するわけにはいかんというお気持は、或いは責任はおありになると思うのです。具体的に問題を持ち出しましたのは八幡の製鉄にまつわります労務供給問題、それから港湾における職業紹介の問題、今の赤松さんのような事例で言いますならば、門司その他で出ております港湾労働組合に職業紹介を認めてもらいたい、こういう問題であります。安定法の施行規則第四条一項四号の改正については従来相当要望もあり論議もあつて、今次官は研究をして参りたい、或いは研究しておりますという話でありますが、もう研究の段階ではなくして、恐らく具体案ができておる段階であろうと思う。そこで具体案があつたならばお示しを願いたい、こういうことを申上げておきます。 それから港湾労働組合による紹介の問題についても、御承知のように労働省まで参つておらんかも知れませんが、或いは安定所なり或いは県までは行つているものが相当あると思う。私の実際に調査をし或いは知りましたのは門司の例でございますが、これらについて二、三日うちにでも許可する方針であるということであるならば了承しますが、その辺のお考えを承わりたい、こういうことであります。
○政府委員(江下孝君) 職業安定法の施行規則の四条でございますか、これは一昨年の二月に一部改正を実はしたわけであります。この改正の趣旨は、決して従来から排除しておつた典型的ないわゆる肉体労働を主体とする労働ボスを認めるというのではなくして、そういうものは依然として厳重に取締をして、ただ一部非常に窮屈な面が企業運営上生じましたので、日本のいわゆる資本主義の後進性と申しますか、そういう点とも噛み合せましてれ極く一部の改正をしたわけでございます。趣旨は制定当時の気持がそのまま残つておるわけでございます。そこでこれによりましてボスの排除を新たに実施しておるわけでございますが、実はこれについて一応の私どもの認定の基準と申しますか、そういうものを作りまして、地方に指示いたしておるわけでございますが、この現実の問題といたしましては各種各様の事業、産業にこれを適用いたします場合に一々きちんと当てはまる基準というものはなかなか困難でございます。従いまして私どものほうといたしましては、やや抽象的ではございますが、大体のこれに対する考え方というものを地方に指示いたしまして、個々の問題については一つ一つ安定所が認定をして行く、こういう方針を現在もとつておるのでございます。先般やや基準に不明瞭な点があるという御指摘を受けましたので、今年に入りまして一応それを補足する意味におきまして簡単に基準を又指示したわけでございます。 そこで御指摘の港湾労働、特に門司港の問題でございますが、これは実は吉田委員もよく御承知と思いまするが、実は港湾労働の職業紹介につきましては、進駐軍がおりましたときに、特に関係者を集めまして、一応職業紹介の方式を確定いたしまして、各港々にこれをとり行わせたわけであります。コンフアレンス・メモという名前で実施して来たわけであります。ところが門司の場合におきましては、安定所と労働組合が協力してそれを実施しておつたのでありますが、門司港の一部修築等を行う関係上、従来の方式でやることが不可能になりましたので、一応安定所は手を引きまして、いわゆる門司港の港湾運送を担当いたしております事業主に船内荷役、これは船内荷役だけでございますが、船内荷役だけにつきましては業者の直用労務看乃至は募集の労務者を以て実施せしめるということに最近はいたしておつたのでございますが、ところが話の通りいわゆる日本の港湾労働組合の関門支部のマル船分会でありましたから、労働者供給事業をやりたいから許可をしてもらいたい、こういう話でございました。私どもの考え方といたしましては、港湾労働組合につきましては従来からも相当数の労働者供給の許可をいたしているわけでございます。併しこれにつきましてはいろいろ当初許可をいたします際の話合いその他からいたしまして、必ずその港におきまする労働者を使用する相手方との労働協約を結ぶということを前提にいたしているわけでございます。ところが門司の場合にはこれがどうしても締結できない。そこで締結できないままに許可するということは、従来からとつておりました方針とも相反しまするし、門司を特にその点について例外にするというだけの深い理由も見当りませんので、この点についてはまあ現在はまだ許可をいたしていないわけでございます。 そこで私どもの考えといたしましては、これは安定所も従来船内荷役につきましては以上のような事情で余り積極的に職業紹介を実施しておりませんでしたけれども、今回この機会におきまして安定所においてマル船のいわゆる荷役も責任を持つてやる。そこで従来の業者と労働組合とのいざこざも当分安定所が責任を持つて職業紹介に当るからということに方針をきめまして、先だつて福岡のほうにはその旨実は指示をしたわけでございます。 事情は以上の通りでございます。
○吉田法晴君 問題は二つあつて、それぞれ答弁を頂いておりますが、安定施行法規則四条一項四号の改正についてはこれでまあやつて行きたい、こういう御答弁です。精神は変らぬとおつしやいますが、元ほど読上げましたように、企画についても専門的な要素を除かれ、それから専門的な経験と書いてございますが、経験を認める、これが一番後退の原因となつておりますが、例えばこの船からの積込みなら積込みといつたようなことについても、十分その経験上があるなら、それはそれについての専門的な経験ということで認められている、或いはこの条文によりますと認めざるを得ないでしよう。そうすると最初ボスの発生原因である労働供給事業をやめたときには、そこに設備もなければならん或いは専門的な技術もなければならん、これは専門学校以上の技術の学校を卒業している技術者がいなければならんということで、単なる人と人との関係、或いは単なる労務の供給ということが一掃される。ところが専門的な経験でもよろしい、例えば船から艀で物をかついで上つて来る、これも経験だということで、こういうことで緩和されましたから、労務供給事業或いはボスの発生原因ということになつて来る。そこで専門的な経験ということを前の設備というか或いは専門的な技術というか、そういうものと結び付けなければ、これはそれだけで許可になりますと、今のような弊害がこれは除くわけに行かん。そこで法規の改正について考慮する必要があるのじやないか、こういうことを今までまあ言つて参つたのであります。 これは四条全部を読んでみますと、切り離して解釈するという最近の自由党式の解釈によると、そういうことになるかも知れませんが、全部を読んでみると、ただ専用的の経験といいますか、或いは結局単なる経験ということになつてしまつておりますが、経験だけではそういう弊害が生じるので、全体として或いは設備或いは技術というものと結び合わせるならば、これは弊害を若干除くことができると思うのでありますけれども、このままで経験だけを取上げてそれで許可の方針ということになりましたならば、今のようなことになると思うのであります。そこでその点をどういう工合に改正されるか。これは法ではございませんけれども、施行規則の改正によらなければこれはその弊害を除くことはできんのじやないか、これについて一つ重ねて御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(江下孝君) お尋ねの四条四号については、一応私どものほうではお話の通り別々に一つだけの要件が該当すればいいと、こういう実は解釈でやつております。それで専門的な経験と申しましても、企画と申しましても、専門的な技術と申しましても、これはまあおのおのの書き分けてはございますが、結局専門的な経験と申します以上は、私どもは単にただそこにある荷物を右から左に運ぶだけというような簡単な経験をこれを専門的な経験ということにはならないのじやないか。それからこの企画というこの意味も、従来は専門的な企画というような言葉を使つてあつたと思いますが、その専門的な企画と申しますと、現実に判定いたしますと相当高度な知識経験を有するということになりまして、非常にその点が窮屈になるということからこういうように改正をいたしたわけでございます。現実の問題といたしまして私が先ほど申上げましたように典型的な肉体労働のみを主体といたしますようなものの労務供給事業についてはこれは飽くまでも厳重に排除をして行く方針でございまするし、そのほかの個々の問題につきましては、現地におきまして現実の常識に外れない解釈をとりまして運用して参るということで私は解釈がつくのではないかというふうに考えております。現実の問題としましては、個々にどうするかという判定で、実は私どもも正直に申上げまして迷うことも再々でございます。
○吉田法晴君 常識的な判断云々という話でありますが、常識的な判断で経営者も考え、それから安定行政をやるほうも考えると、これは従来のものを専門的な経験として認める態度になるから、それを改めるべきではないか、具体的に条文の点で直しなさい、直す以外にないじやないか、こう申上げておるのであります。認定基準という点もございましたが、従来の精神と変らんということであるならば、単なる肉体的な労働の提供でない、設備或いは専門的な技術、こういうものを伴つたものでなければならない、こういう点は是非一つ貫いてもらいたい。認定基準にしてもそういう認定基準でなければならないと思うのであります。そういう方針で、その後施行規則の改正に伴つて緩和され或いは許可されましたそれぞれについて再検討をする用意があるのかどうか。それから緩みました、常識論による緩和というものをもう少し専門的な技術、或いは専門的な見地から選り分けることをなさるつもりがあるのかどうか。それから認定基準について具体的にお示しを頂きながらその具体策を承わりたいと思います。
○政府委員(江下孝君) 再度のお尋ねでございますが、まあ専門的な経験という言葉は非常に誤解を招きやすい言葉であると私も思います。そこで私どものほうで一応の抽象的なまあ考えとして、例えば専門的な経験というのはどういうことであるか、そういうことについて、こういうことをちよつとその通牒の中で書いておるわけでありますが、専門的経験とはその請負作業について専門的である工法上の監督者的技能経験、例えば工法上の技術指導、作業調整、危険防止に必要な操作といつたような一般に専門的な経験と熟練によつてなし得る程度の監督者的技能経験を意味するものであつて、単なる労働者の統率乃至一般労務管理的技能経験を意味するものではないと、こういうふうに一応は解釈をしておるわけでございます。 そこでまあ具体的にそれでは基準を各産業別に作れというお話でございますが、これは現実の問題として非常に困難なことであると思います。で運用といたしましては、先ほど来繰返して申上げました精神によつて、今後この運用が実際上労働者のいわゆる搾取乃至は強制労働という面を防ぐように運用して参るということが根本であろうと思いますので、今後ともこの線に沿つて努力をして参りたいというふうに考えております。
○吉田法晴君 その後緩和したものについて再検討するかどうかという、こういうことについての御答弁がございませんでしたが……。それから今いろいろ読上げられました通牒によりますと、専門的技術指導云々ということがありましたが、専門的技術指導ということになると、専門的技術を必要とするという中段の項目が入つて参ります。ですから先ほど申しますように、従来改正前のような或いは専門的な技術と、こういうもの、或いは設備、こういうものが絡んだものでなければ専門的な経験ではないのじやないですか、こういうことも申上げておるのです。そうすると専門的な経験という表現で単なる経験というものも専門的な経験のように考えられつつあるから、その条文を削除するなり或いは条文を改正する意向があるかどうか、こういうことをお尋ねしておきます。 もつと政務次官がおられますのでお尋ねをしますが、例えば八幡の製鉄の一作業を請負にするかどうかということで労働省に、或いは職安局かどうか知りませんが、八幡の製鉄の会社のほうからは陳情が出されておるでしよう。ところがそれに対して労働者のほうでは、そういう従来の緩和された許可方針をされて行くならば、従来のような労務供給事業が復活する。だから施行規則の改正問題について改正を考慮してもらいたい、こういう強い要望が出て参る。そうするとそのいずれを考慮せられるか、会社の言うことは聞くと、併し労働者の身を護る云々、或いはボスの介入を排除したい、こういう真意は汲む意思はないかどうか、併せて御答弁を願います。
○政府委員(江下孝君) 現在までに出ておりますものについては、一つ一つ本省に関係いたしますものについては検討をいたしまして、これについて回答をいたしております。 八幡製鉄所の問題でございますが、お説の通りこれは一昨年改正いたしまして、暫らくしてからそういう強力な陳情が実は参つておりますが、その都度個々の問題について私ども具体的な指示を地方庁に与えまして解決をして参つております。最近又一つ問題がございましたので、これは安定所において労働者供給事業に該当しないという認定をいたしたということで、これに対しまして組合から強い要望があつたのでございますが、私どものほうで検討いたしましたところ、専門的な技術を必要とする作業であるというふうに考えましたので、その旨申しておいた次第でございます。規則の改正をもう一度元にというお話でございますが、まあ私どもといたしましては、先ほど申上げましたような趣旨によりましてこの運営を完うすることによつて行きたいと思つておりまするので、差当つてこの規則を改正するというところまでは考えておらない次第でございます。
○吉田法晴君 それでは重ねてお尋ねをいたしますが、先ほど認定基準の中にありました技術指導云々という点、専門的な経験の中身になりますが、その技術指導というのは、その上に書いてありますのは、専門的な技術と同じ程度の技術を持つた指導、かように解釈していいのですか。専門的な経験、単なる経験でなくして専門的な技術に指導された経験云々、こういう認定基準のように伺つたのですが、少くとも、もう一度申し上げますけれども、設備或いは専門的の技術、そういうものの伴わない単なる経験ではこれは法の精神を貫くわけにはいかん。単なる労務供給業を復活する原因になるしボス発生の原因になる。この点はお認めになりますか。
○政府委員(江下孝君) 先ほど申上げましたように、一応専門的な技術と専門的な経験というのは別個のものでございますが、専門的な技術が単に従来のような人力のみによる請負というような専門的経験であれば、これは従来通り排除されるわけでございます。この専門的な経験というのはいま少し私どもはやはり技術を伴う専門的な経験でなくてはならないという解釈をとつております。
○吉田法晴君 専門的な経験の具体的な内容については、事例を勘案して検討しなければなりませんので、後に護りたいと思います。 それから港湾労働の問題について、先ほど一たびは安定所が紹介をするのをやめて業者の窓口募集を認めたといいますか、言葉では船内荷役について直用とそれから業者による募集労働を認めた、こういうお話でありましたが、それを再び安定所でやることにした、こういうお話でありましたが、これは業者が窓口で募集して使うという方法を全く認めないで、国で全部おやりになる、こういう意味なのでありますか、その点を一つ。 それから根本的に、労働組合が職業紹介をやる或いは労務供給をやる、こういうことは、これは戦後の安定法の施行と共にむしろ奨励されて来た私は方向ではないかと思う。置家と申しますか、或いは芸者にいたしましても置家を通じて労務が供給されるということになれば、そこにピンはね等が起るということで、組合を作らせて労務の供給を奨励されて参つておる。業者には許可する方針だけれども、労働組合が自分で労務供給業をやりたい、職業紹介をやりたいという者は抑える方針かのように最近は聞くのであります。先ほど世田谷の事例は、赤松さんの御質問に対してお答えがありましたが、これは当然だと思う。ところが門司の場合には、業者には窓口で自分で選択をして使うということを認める。その結果はこういう問題も起つております。例えば技術者、ウインチマンならウインチマンが働きたい、ところが或る業者に参りますと、今日は二名しか要らない。或いは全く要らない、そこで就労の機会を失いますと、他のところに行つて就労するというわけにはいかん。そこで技術を持つております者は、これは就労の機会が実際に非常に狭められておる、こういう実態もございます。 それからもう一つ、私は県の安定課長なり、それから所長にも言うたことですが、門司港運と言つたと思いますが、門司港運の船内荷役については港湾労働者の八十名くらいの人が組合の紹介で実際に仕事について来た。業者は組合がやつておるということを認めたくないものだから、他の業者にいたしましても、組合ではなくて組合の中の個人を通じて、組合の書記とかいう者に頼んで、それで実際に人を求めておる。こういう実態を、これはその業者だけがやつておる紹介或いは労務供給、労務の受入れということでできないものを実際に労働組合がやつておる。そういう実態は、これは労働協約はないかも知れない。併しそういう関係があるならば、これは英米法流に考えるならば実定法的な労働協約があるということではないか。それならば文書の上で協約があるとか何とかいう形式的な問題は問題にならんじやないかということを言うて来たのでありますが、労働省が労働組合には労務供給業を成るべく認めたくない、こういう方針が下部に伝わりましたのかどうか知りませんけれども、先ほどお話のような、もう一遍安定所でやろう、こういう方針を考えられたようです。併し実際にそれができるかどうか、片一方で業者が直接使うということを認めながら、安定所がおやりになろうとしても、私は恐らく実施困難だろうと思う。これは過去一年半ほどの間に試験済みの問題です。それなら安定所が港湾労働の紹介なり供給を労働組合にやらせられますか、こういうことを詰め寄ると、そこは言葉を濁して言われないのであります。このピンはねをやめさせるために、或いは従来の労務供給にまつわります弊害を除くためには自分でおやりなさい、或いは労働組合を作つてもおやりなさいということがあるならば、それ一本切りでおやりなさいとは言いませんけれども、それも認めるということは、これは当然の労働省の方針ではないか。まして労働協約の実体があるならば、形式的な労働協約が必要である、文書の労働協約が必要であるとか何とかいうことは、これは問題外じやないか、現に過去においても労働協約がありました。これは業者は労働協約をやりたくないでしよう。或いは職業紹介所を通さない、或いは労働組合によらないで、自分で窓口で募集するのが、それが一番いいかも知れない。併しそれをやらせると、現に四つか五つか合宿みたいなのができておりますが、元の労務協定の復活ということ、恐らくこれはそれをやめさせるだけの私は熱意と態勢とでおやりになるとは思わん。それなら労働組合で現にやつております八十名を拡大して、労働組合が組合員を供給するという労働組合の本来の活動をなさせるに、どこに労働省として支障があるか、これは安定局長だけでなしに労働省の方針として、最近のように、名前は従来のように呼ぶのだけれども、門司労働組合の場合もそうだが、ほかの労働組合にもなおやろうとするつもりか、具体的に一つ答弁を願います。
○政府委員(江下孝君) 先ほども申しましたように、港湾の労働組合に現在相当の数の労働者供給事業を許可いたしております。決してこれを無意味に抑える気持なんかございまん。で、ただ先ほどの赤松先生のお話の線とは多少問題が違うと思います。この場合は、いわゆる安定法によりまして安定所がやることが困難な事業について特に例外的に職種を指定しまして、これを民間の業者なり組合なり団体にやらせる、こういう建前をとつております、そのまあ例でございます。そこでただ形が労働組合でございましたので、労働者供給で行つたほうが適当である。労働組合がいわゆる職業紹介所を開くということは少し適当でないじやないか、こういう考え方で私ども考えている次第でございます。港湾の労働組合につきましては、これは従来からも港湾労働組合がちやんとした立派な組合であり、ボスに支配されず、而も経済的にも十分労働者供給事業がやれるという我々見通しがつけば、これに対して許可をいたしているわけでございます。 で、門司の場合は私どもから考えますと、要するにまあ港湾労務が円滑に提供されて、港湾の運送事業が、いわゆる労務の面で支障なく行われるということが狙いなのでございます。そこで一方において業者にこれを任せるということになれば、労働者の基本権が害される虞れがあるじやないかと言われる点も肯けないではないのでございますが、一応門司港の場合はマル船の、つまり船内荷役の関係だけにつきまして、まあ業者のいわゆる門前募集による制度によつてやつて来たわけでございますが、いろいろ現地におきましても、まあ業者のほうの立場を開きますと、何か団体協約を組合と結ぶのは困るというような話をいたしております。組合のほうは結ばないでもおれのほうに是非許可をしてくれと、こういうふうに言つておられますし、そこでまあ私としまして、結局これは安定所で運営するより方法はないじやないか、安定所でとにかくやれるだけやつて見ようということで始めた、考えたことでございますので、この方法によりまして暫らく事態を私どもは見たいと思つております。 なお安定所でやるといつた場合に、業者の門前募集を全然認めないかという御質問でございましたが、いわゆるこの業者の常用と申しますか、こういうものにつきましてはいろいろ形があるようでございまして、いわゆる完全な常用というのと日雇的常用というのがございます。で私まだ現地の者とその実行方法、細かい点につきまして相談いたしておりませんのでここで何とも申上げられませんが、いわゆるまあ常用或いは常用的日雇という者については業者のほうでこれは当然使用する、或いはその点についていわゆる常用的日雇という分は安定所にこれを全部持つて来て安定所のほうで紹介するというほうが適当かどうか、この点も検討いたしました上で、要は港湾労務のスムーズな実施を考えて行きたいというふうに思つております。
○赤松常子君 関連して……。只今の局長の御答弁の中にございました田園調布の問題でございますが、私のお聞きいたしておりました点、ちよつと言葉が足りなくて……。もつと本質的な問題を実はお尋ねしたかつたのであります。先ほど吉田委員も言つておられるように、労働組合の労務提供を許すことに労働省は積極的になさるのか、そういう点をはつきりお伺いしたがつたのでありまして田園調布の問題をめぐつての私どもの印象は、労働組合の労務供給を何だか阻害して、意地悪くと申していいくらい長引かしていらしたということから、反対に有料紹介はことごとく許しておられるということがあつて、私はその点に非常に不信を抱いておるのであつて、本質的にお尋ねしたいことは、労働組合の労務供給に対して労働省は積極的にこれを支持なさるのか如何ですか、その点についてお答え願います。
○政府委員(江下孝君) 実はこういう問題があると私考えております。それは全国にいわゆる無料の公共職業安定所を国で設置されておるというゆえんのものは、これはやはり求職者に平等に就職の機会を与えるということでなければいかんと思います。たまたま或る労働組合に入つておるが故に優先的に使われるということになつては、これはいわゆる平等の取扱の原則に反する。従いまして看護婦組合等につきましては、私はそういう弊害は比較的ないと思います。ところが港湾の労働組合なり或いは一般の土建の労働組合ということになりますと、現実に安定所の窓口に求職者も相当参ります。なお組合からも供給をしたい、この場合に絶対に組合の労働者に優先的に職業紹介状を与えるということにいたしますと、一般の求職者の権利がその点で無視される。従つて私どもとしましては、どうしてもやはりその地方々々の業者との間で信頼関係があつて、十分この安定所の紹介する面も、組合のいわゆる紹介する面も調和が取れて行く、こういう考え方で許可方針をきめて行くという以外に方法はないんじやないかというふうに考えております。ただ根本的には、私は労働組合が労働者供給事業をやりますということは、勿論決してこれを抑えるという気持はございませんし、立派な組合がこれをおやりになるのは結構だと思つておりますが、以上申上げましたような点について十分考慮を払つた上で考えて参りたい、こういうふうに考えております。
○吉田法晴君 今の答弁の中で、安定所を全国に設けて就労の機会を平等にする、一般に窓口を開放する、これはわかりますが、ところがそのあとの労働組合に韓旋をさせる、或いは労務供給を許す場合に資本家との信頼関係が必要だ、こういう言葉がありました。この信頼関係というのが労働教育なら労働教育を必要とすると言われるゆえんだろうと思います。そういうものがどうして必要なのか。労働者が団結することを認めた、そうすれば自由労働者でございましようと或いは港湾労働者でありましようとも、或いは鋳物工であろうと、印刷工であろうと、全国のそれらの同じような仕事に従事する者が団結することは認められておる。そうして自分で、同じ仕事に従事する者が組合を作り団結をして、そうして労働力を売る。そこに初めてとにかく労使の対等の関係ができる。そうなら労働組合を作つて港湾労働者が自分で労務を売ろう、そういう申出をすることに何の悪いところがある。信頼関係というのは職業安定法のどこにありますか。労働協約がなければ労働組合に許さん。これは成るほど許可方針の中にはございますけれども、併しそれが職業安定法のどこにありますか。平等に労使対等の関係において、そうして労働組合に供給をやらせることが、職業紹介をやらせることが、労使対等の関係を実現させることであるとするならば、私はその労働協約とか或いは信頼関係というものはあつたほうが間違いない。間違いありませんけれども、それが絶対の条件じやない。それを口実にして労働組合に職業紹介と申しますか、労務供給を認めないということは、これは労働組合を抑える或いは労働者の団結することを阻止するゆえんだ。そうして業者には許している。或いは労務供給業者がやることは許しておる。労働組合のほうは抑える。現実に抑えている。それは職業行政の後退じやないか。それは民主主義じやないと思う。それをおやめなさい。ついては具体的な問題になりますと、この労働協約というものは絶対的な条件ではないのではないか。現実に門司の場合、八十名なら八十名については供給はしている。或いは門司港湾という会社の中には現実に信頼関係はあります。それにただ形式的な紙がないからということで許可なさらないということは、これは労働組合を抑えることにほかならない。それは一つ撤回をして、速かに許可の方針を出して頂きたい。それは言われるように四国或いは佐世保、長崎においても港湾労働組合に許されていることは知つております。なぜ門司でできぬのか、或いはその他でできぬのか。
○政府委員(江下孝君) 信頼関係という言葉が少し不適当だつたと思いますが、要するに私の考えとしましては、労働組合が労働者供給事業をやるという許可をもらう以上は、当然労働者供給事業をやるだけの見通しがなくてはならんと思います。全然業者のほうで使うか使わないかわからないのに、ただ許可だけ出すということは、これは私は適当ではないのじやないか。やはり或る程度組合としても業者と話合いがついて、自分のところで提供するところの労務者は自分のほうで使うという点がはつきりしませんことには、やはりこれは許可をするということは適当ではないのじやないか。この方針で従来からやつて来ております。
○吉田法晴君 答弁になつておらんと思うのですが、実際問題として円滑に行く云々という点は、老婆心ならわかりますが、労働組合を作つても、或いは労務を供給しても、それは使われることを目的にして組合を作り、或いは提供をやる。現実に門司の場合にも、先ほど申上げましたように八十名の者については継続的に供給が行われている、労働組合の手によつて……。その他の者についても組合がやることを認めたくないものだから個人を使つてやるけれども、労働組合に実際にお世話になつて人間を使つておる。それなら先ほどから申上げるように、労働組合が自分で労務を使用者に売りたい、こういうのをどこに抑える理由がありますか。
○政府委員(江下孝君) お話の、現実に使つているというお話は実は私初耳でございますので、その点はなお調査いたしましてお答えいたしたいと思いますが、現実にはまだ許可をいたしておりませんので、労働者供給事業をやつておるはずはないと私は考えております。そこで従来繰返して申上げましたように、私どもといたしましては、労働組合が労働者供給事業を実施いたします場合には、これは労働組合としては特殊な仕事でございますので、やはり当然その仕事をやるということを言います以上は、やはり傘下の労働者に対して、将来相当仕事を供給してやるということにならなくてはいけないのではないかと考えます。そういう意味におきまして相手方のはつきりした、特に門司港みたいに相手方のはつきりしております港におきましては、やはりはつきりした労働協約というものを結んでおくということが私は必要ではないかというふうに考えております。
○委員長(栗山良夫君) ちよつと私聞いておつて非常に了解しにくいのは、組合を作る場合には雇主の安定したものがなくちやいけないということを言われているんですが……。
○政府委員(江下孝君) いや、そうじやないのです。職業紹介の場合……。
○委員長(栗山良夫君) 雇う場合に相手方がなければいかんということでしよう。
○政府委員(江下孝君) それは職業紹介事業の場合です、労働者供給をやる場合……。
○委員長(栗山良夫君) それはそうです。そのことを私も言つておるのですが、その場合に港湾なら港湾に荷役の労働者が集まるということは、そこに仕事があるから集まつておるのであつて、従つて逆にはつきりした労働組合ができて、その組合が供給業務を統制をとつてやり得る、そういうことであれば、逆に雇主のほうはその組合にあとからでも依存をして来るということが私は考えられるので、その労使の間の関係というものは相対的なものじやないでしようか。使用主のほうが先であつて、人夫供給業を労組がやるということが従であるという考え方でなくて、相対的なものじやないでしようか。
○政府委員(江下孝君) 私の考えでは、労働組合が労働者供給事業をやるということは、勿論労働組合の業務の一つではございますけれども、職業紹介というものは一応国が施設を持つてこれを運営しておるという建前からいたしますと、労働組合がみな職業紹介を全部やるということになりますと、まあどういう結果になりますか、この点についてはいろいろ考えなければらん点がたくさんあると存じますが、いずれにしましても労働組合が労働者供給事業をやるということは相当特殊な例ではないかと私は考えております。従いましてそういう特殊なものを特に許可をするという場合には、やはりその事業が将来成り立つような内容になつていなければ、私どもとしては許可ができないのではないか。全然業者が使うことがない、或いは団体協約も全然結ばないというような事態におきまして、而も相手方が、特定いたしました門司港のようなところで全然そういう関係がない場合に、労働者供給事業を許可いたしますのは不適当ではないかと考えております。
○吉田法晴君 労働組合が労務供給をやる或いは職業紹介をするのは例外だと言われますけれども、或いはそれを必ずしも全部認めなくてもいいのだというお考えですが、これは労働行政を全部考えられればわかる。労働者が労働組合を作ることは認めている。或いは戦後奨励までされたということは、これは労働者が労働市場を組合を通じて独占することが認められている、労働組合というものを通じて……。そうしてその上に立つて労務を提供する、労務を売ることがこれが労使対等を実現するゆえんだ。これが根本原則だ、だから労働者が組合を通じて資本家に労務を提供するということは、これは労働組合法において定められている根本精神だ。何の例外でもない。少くとも組合を認められた以上その前提は貫かれている。あとは職業安定法なり施行規則の具体的な条文になるのですが、あとの円滑に行くように、或いは信頼関係があるようにということはこれは老婆心です。行政をやるには私は老婆心は、これがあつてはいかんとは言いませんけれども、少くとも法の精神から言えば老婆心だ。基本的な関係は先ほど申上げた。それで以て許可方針の中に労働協約が必要だということを言われるが、労働協約がなければ許可をしない。こういうとにかく法的な根拠がどこにあるか、はつきり一つお示しを願いたい。労働者供給事業の許可に関する職安法四十五条には、「労働組合法による労働組合が、労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。」と、これはできるのは労働大臣の許可であります。併しこれは先ほど申上げるような関係が職業安定法で法的に認められている、いわばここに一つの権利がございます。法律で保障された権利がございます。その具体的なものについては施行法三十二条でございますが、「労働者供給事業を行おうとする労働組合は、職業安定局長の定める手続及び様式に従い、その事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長を経て職業安定局長に許可を申請しなければならない。」、それには条件として、三項には、「職業安定局長は、その許可を申請した労働組合が労働組合法第二条及び第五条第二項の規定に適合することを、関係労働委員会を通じて確めた上、許可するかどうかを決定する。」、いわばこれは労働組合は所定の手続をするならば供給事業をすることができる、或いは労働大臣はそれを許可をする或いは許可しなければならんと言つてもいいと思うのであります。そのあとの手続或いは様式等は、三十二条にも書いてございますが、それは手続の中に或いは様式の中に、許可方針として協約があることはございますが、それは補足的なもの或いは老婆心的なものでしよう。はつきりとにかく協約書がなければ許可しないという法的な根拠をお示し願いたい。門司の場合には実際に供給している現実と、それから過去の協約はここにございますが、実質的な関係はある。或いは言われるような使つてくれんかも知れんとかくれるかも知れんという関係は御心配の必要はございません。
○政府委員(江下孝君) 吉田委員の言われるように、これは労働大臣の許可でございます。従つて若し労働組合が自由にやれるものなら許可制度にする必要はなかつたわけであります。私どもといたしましては、国が職業安定所というものを置いて運営をいたしております以上、勿論飽くまでも労働組合の労働者供給による職業紹介行為はやはり一種の補助的なものであるという考え方でございます。そこで労働組合が許可を申請いたします際に、私どもとしましては労働者の労働組合の資格なり、それから民主化された組合であるか、更に十分将来行う見込があるかという点を許可の際に検討をいたしまして許可をいたしているわけでございます。そこで門司の場合でございますが、いずれにいたしましても以上のようなことで労働協約の締結が困難でございますので、私といたしましては職業安定所があるのでございますから、これによりまして一つ厳正公平にボス排除を行いつつ職業紹介をやるという建前から一応やつて参りたいというふうに考えております。
○吉田法晴君 何遍やり取りしても見解の相違かも知れませんけれども、法の運用、法の精神に従わず、念のためと申しますか、老婆心で考えられた要件というものを楯に取つて、様式に従わなければ、様式に従つて行わなければ願書を受付けない、こういう官僚式なやり方をやられることについては強く不満の意を表明し反省を求めます。 職業安定所が職業紹介を或いは門司の場合その他においてもおやりになるということについてれこれを否定しているのじやない、或いは日雇的な常用については云々というお話もございましたが、業者が直接窓口で、常用的であろうとも日々雇入れて使つているというならば、労働組合に供給事業を認めるに何の差支えがあるか。バランス上……、実際供給している。或いは紙に書いてはないかも知れないけれども、実体的に労働協約があるならば、それを許可しないという理由はないではないか、かように申上げているのでありますが、事態は政務次官も御了解になつたと思うのでありますが、法の精神を活かす意味において再考の気持はないかどうか、一つ政務次官にお伺いしたい。
○政府委員(安井謙君) 今再三質疑応答があつたわけでございますが、吉田委員が一般論的に労働組合に直接職業紹介事業を行わせてはどうかというような御趣旨のものと、門司或いはその他の特定な問題についての御質問と、二つあつたと思うのでありますが、労働組合そのものの本来の使命から申しますと、労働組合に職業紹介事業を行わせるということは、必ずしも今日段階では妥当ではあるまいということで、相当それにふさわしい条件になつた場合を前提にしていろいろ労働省としては考慮して行くことに相成ろうかと思つております。 併しいろいろ先ほどから具体的な事実についてはお話もあつたことでございますし、その問題につきましては又今後も十分調査しまして、その法の精神から離れないような線、又運営から非常な齟齬を来たさないような条件をよく調べました上は善処したい、こういうように考えております。
○委員長(栗山良夫君) 只今の吉田君と職安局長の質疑応答を聞いておりますと、やはり法の運用の面で若干私は疑義があるのです。だからやはりこれは労働省の法律見解は見解として、参議院の法制局あたりの意見をよく聞いたほうがよくはないかと私は考えまするので、一応吉田君が専門的に研究しておられるので、次回までにもう一度掘下げて研究をして、一時この問題を保留しておいたら如何でしようか。
○吉田法晴君 次官の取りなし的な誠意ある御答弁を頂きましたから、実は質問も終ろうかと思つておるのであります。根本的に労働組合を認めている現状の下で、労働組合が今言われるような、全部ではありませんが、労働組合が職業紹介事業をやろうというものを抑えるべき理由は私はないと思うのであります。それは職安法を見ても施行規則を見ても、あとはただ許可方針、いわば先ほど申上げましたが、失職届を出すのに、失職届の様式は整つているかどうかという問題であろうと思うのであります。従つて基本的には争うべき問題はございますが、その点はなお研究をしてあとに残したいと思います。これはまあほかにも問題がございます。特に門司の問題だけでなくてほかにもございますので、その基本的な点はなお残しておきたいと思います。
○委員外議員(田畑金光君) 話は変りますが、二、三失業対策の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 本年度の予算が昨年度より約十億殖えて百十一億になつておりますが、本年度の国家予算の性格からいたしますると、相当に失業者等が予測されるわけなんです。この際飽くまでも失業対策事業はこの百十一億の当初予算の枠内で年間処理して行こうとする方針であるかどうか、先ず第一にこの点をお尋ねいたします。
○政府委員(安井謙君) 大体お説の通りに、本年度は昨年度より若干上廻る補助費を予定しておりますので、今年の見通しから申しますならば、大体この範囲内で賄えるのじやなかろうかというふうに考えております。
○委員外議員(田畑金光君) 大体賄えるのじやないかという予測の下にこの予算を提案されたわけですが、仮に一年間のデフレ予算の実施の結果、或いは財政投資の削減の結果、相当に中小企業等が倒産するということも予測されるわけです。そういうような場合、相当に失業者が殖えて来る、こういうようなことも考えられようと思います。又後ほどお尋ねしたいと思うのですが、昨年のように例えば救農、失業対策事業等も実施されているわけなんです。こういうようないろいろな条件というものが予測されるわけですが、こういうような情勢に対処するのに飽くまでもこの予算を守つて行こうとするのか、或いはそのような条件が仮に生まれたような場合には、予算措置についても弾力性のある考慮があるのかどうか、労働省当局としてどういう肚で以て臨んでおられるかお尋ねいたします。
○政府委員(安井謙君) まあ来年度と申しますか、二十九年度は緊縮予算でござい事ので、いろいろ失業の増大その他の面も危惧されないじやないのでありますが、でき得る限りそういつた面はいろいろな方面から吸収策をも併せて考慮して行きたい。同時に職業斡旋の機能等も十分活用して行きたいと考えております。更に失業者が若干殖えるというふうに仮定いたしましても、まあ御存じの通りの失業保険というような制度もございますし、それから最近までの趨勢から申しますと、ここ数カ月で急激にそういつた完全失業者が殖えるような状況も見られないじやないかというふうに考えております。昨年は御承知の通りに風水害或いは冷害その他もありまして、相当この失業対策費を要求される年でもあつたのでありますが、まあそれより大目の費用も見ておるこの際でございますから、特に下期以降に多少増加するというようなものの予想をそれに引当てるつもりで只今計画しておる次第でございます。
○委員外議員(田畑金光君) まあ具体的に申しますと例えば本年度の予算において失業対策の賃金の問題ですが、一月来降改訂した賃金を年間引延して計上されているわけなんです。併しこれは全然民間の賃金水準が現在以上上昇しないというような前提でこれは組まれていると思う。でなければ又意味がないと、こういうことになつて来ようと思うのです。その場合ですね、どうなるんですか。これは仮に一般労働市場の賃金が上昇し、民間の賃金の上昇が現実に起きて来た。このような場合においても日雇労働者の賃金は飽くまでも現行に据置く方針であるかどうか、それはもう少し一般の賃金水準を考慮する余地があるのかどうかこの点。
○政府委員(安井謙君) 今度の来年度の財政方針といたしましては、まあ物価は今日よりむしろ下げるというような政策を考えておる次第であります。従いまして一般的な賃金も上昇するということはまああるまいという見通しの上に立つておる次第でありますが、これが今おつしやるようにいわゆる市場貸金と著しい格差を生ずるようなことができるというようなことになりますれば、これは当然の帰結としてその失業対策の補助額と申しますか、単価もこれは殖さなければならん場合が生じると思います。
○委員外議員(田畑金光君) そこで私先ほどの問題に戻りますけれども、当然一般市場の賃金単価が上つて来るならば、失業対策事業の自由労務者の賃金についても考慮を払わなくちやならん、こういうことになつて来るわけです。その際そうなれば、この予算を増額しないというならば、雇用量を縮小するかという点が出て来ると思うのですが、併しそれもできないと見通されるわけなんです。当然にそのような場合には予算そのものについても考慮しなくちやならんと考えるわけですが、そのような場合には先ほど私が申上げたように、この予算というものは弾力性を持つのかどうか、これが私の聞きたい第一点。 それから第二の点は、この予算を見ますと二十八年度の前半の実績を基礎として吸収人員を五%増に見ているわけです。そしてまあ一日平均十六万三千とこう見ておるわけですが、昨年の雇用量というものはたしか一日十六万八千名になつておる。当初十五万名であつたのが、或いは年間補正予算で十六万八千人になつておるはずですが、そういたしますと昨年よりも雇用量というものが減つて来ておる。これは非常におかしいと思うのですが、この点どういう見通しで以て五%増と言いながら滅つておるということ、年間を通じて見たときに非常にこれは、この予算措置については甘いような考え方が見られるのですが、この点について。
○政府委員(安井謙君) お答えしますが、第一点では、今の賃金水準が上つたならば何か予算操作をしなきやならんのじやないかというお話でございますが、これはまあ政府の政策は総合的にやつておりまして、今のところ予算と申しますか、貸金は大体一般に比例しておるものであろう、こういうふうに考えております。先ず一応のところしらないという前提で大体ものを考えておる次第でございます。無論それがそういつたような形で上れば、PW実績を見ましてそれに順当したそれぞれの手続はとるわけであります。それから予算を組みます際に、昨年度におきましても、これはまあ基礎的に機械的な割算をいたしますれば、補助額の総額を単価で割れば十数万人というような数も出るわけなんでございます。これはやはり不測の事態も予想しまして、予備費も取つておるというようなことで、実際の運営はやつて来ております。昨年の実績は十五万五千という実績になつて来た次第なんであります。これの五%を今度組んだ。ですからもつと具体的に申しますれば、予備費の関係や何かで機械的な割算をすれば、それは十六万幾らといつたような数字にも相成るということであります。
○委員外議員(田畑金光君) 今の政務次官のお話ですが、機械的に割出せばというのじやなくして、予算書の中に明確に十六万三千と、こうして計上されておるわけなんです。そういたしますと、少くとも失対事業を各府県において運営される場合には、十六万三千の枠までは実施をする用意があるのかどうか、それとも今のお話のように八千名減の十五万五千で以てやつて行つて、あとの八千名は年間操作でやつて行こうとするのかどうか、この点。
○政府委員(安井謙君) 今度の予算に十六万三千というものを予定しておることは事実でございますが、ただ御存じの通りに失業の状況に応じまして或いはまあ地域々々の増減がございますので、初めからこの予算の配分はぴしやつと何人と割当ててその通りをやるわけでもないので、そのときの状況に応じつつそういつた範囲内で運営を期して行きたい、こういうように考えます。
○委員外議員(田畑金光君) 先ほど私ちよつと申しました第十七国会で救農土木事業費として四十億支出されましたですね。これは農村のまあ潜在失業者を吸収するために出ているわけですが、この予算の運用について御存じであるならばお開かせ願いたいということ、それからもう一つは、この予算の実施というものが、単に昭和二十八年度限りで打切り得るのか、或いはそのようなものが当然に二十九年度に影響して一般失業対策事業予算に食い込んで来ることも予測されるわけですが、その辺の事情についてはどう労働省として対処されて行こうとするのか、お尋ねいたします。
○政府委員(江下孝君) 昨年度の補正予算で冷害、水害関係で三億円の金を追加したわけでございます。これにつきましては大部分はいわゆる冷害方面に廻つているのでございますが、一応あの予算は二十八年度限りということで来年度予算には落してございます。そこで私ども現実の問題といたしまして、従来冷害の失業対策事業をやりました地方で、どうしても来年度以降においても考えなければならないという失業情勢の深刻な地帯が若しありましたならば、それはもう冷害予算というのではございませんで、一般の失業対策費として考える、この枠内で考える、こういうことになるのではないかと思います。
○委員外議員(田畑金光君) 私は具体的にお尋ねしたのは、労働省の所管として昨年のこの救農土木事業費の中に三億でしたか、三億を実施せられましたね。これについて具体的な予算の実行について私はお尋ねしているわけなんです。それが新年度においてどういう影響があるか、かような現実に実施している農村において、新年度も、昭和二十九年度も百十一億なら百十一億実施する必要がないかどうか、その辺の影響はないかどうか、これをお尋ねしているわけなんです。
○政府委員(江下孝君) 冷害の関係は私はつきり、今資料を持つて来ておりませんが、一億程度であつたんではないかと思います。そのほか水害関係の補助率の引上げに充てる分につきましてはまだ計算が確定いたしておりませんので、どの程度これが出ますか、はつきりいたしておりません。一億になるか二億になるか、その点はつきりいたしておりません。そこで冷害対策として実施いたしました失業対策事業は一応予算的には冷害対策は本年度限りになつておりまするので打切り、こういうことになるわけでございますが、併し現実の問題として、冷害対策として実施いたしました失業対策事業を今後もどうしても運営して行く必要があるという地帯がございましたならば、それは一般の今度の失業予算の枠内で考えて行くより仕方がないというふうに考えております。
○委員外議員(田畑金光君) それじや話は又変りますけれども、私今般奄美大島に参りまして、向うの職業安定の行政と申しますか、これを見て参りましたが、奄美大島の復帰に伴う十億の予算措置が昨年の十七国会で出ているわけなんです。そうして昨年の十二月二十五日行政移管と共に職業安定所もでき、労働基準監督署もできております。ところが私の視察の結果驚いたことは、要するに行政移管になつてすでに二月にならんとしているわけです。ところが御承知のように奄美大島のほうから占領中約三万乃至四万近くの若い青年諸君が沖縄に出稼ぎに行つている。公務員が百十数名沖縄の官庁に入つている。ところが現在は着のみ着のままで戻らなくちやならない。終戦直後の引揚者と同じような恰好で以て裸一貫で戻らなくちやならない、こういうような状況にあるわけなんです。そうして、沖縄に行つた三万余の若い諸君がどんどん帰つて来ている。ところが現地の職業安定所を通ずるこの失業対策事業等については何ら現在まで予算的な措置がなされていない。予算の令達等がなされておらない。そうして近き将来に公共事業が実施される。それは道路の復旧工事である。そういうような道路の復旧工事においてどれだけの失業者が吸収されるかというと、名瀬市の場合僅か百名足らず、現在三十名前後である。一体こういうふうなことを労働省としては御存じなのかどうか、先ずこの点お尋ねいたします。
○政府委員(江下孝君) お答えいたします。奄美大島については私どもも従来鹿児島県を通じまして雇用情勢を聞いているのでございますが、お話の通り相当失業が深刻であるように聞いております。そこでこれをどうして救済して行くかということでございますが、いわゆる失業対策事業というものは、これは私の考えでは、勿論必要な場合には実施すべきでございますけれども、やはり国の施策として諸般の建設事業その他がやはり先行すべきものであるんではないか。奄美大島におきまする失業者については職業安定所もできましたので、できるだけ内地方面に職業の斡旋をやるということに現在はまあ馬力をかけているわけでございますが、いろいろ事情も聞いておりますが、なかなかそれだけでは十分でないようでございます。 そこでこれについての失業対策をどうするかということについてはいま少し実情も調査いたしまして失業対策事業の実施ということについても漸次考慮いたして参りたいというふうに考えております。
○委員外議員(田畑金光君) 江下局長の御答弁、非常にお座なりで、誠に職責を果しているとは考えられませんがね。公共事業に吸収することを第一義とする、私もそれは同感です、建設的な事業に吸収して行こうとすることは……。ところがさつき申上げましたように漸くこれからどの道路を改修する、それに対してどれだけの失業者が吸収され得るのだという計画が現在漸くできたに過ぎない。ところが失業者というのはたくさんおる。窓口に職を求めて来ておるにもかかわらず、今まだそのような公共事業費をどう実施しようとする計画の段階にある。少くとも内地の都市を見たとき、名瀬市のような戦災においてやられた、八年間の空白があつて、何もできていない。こういうふうな所等においては当然に失業対策事業等で処理され得る私は範囲内にあると思う。こういうことを考えたとき、職業安定行政というものから見たとき、私は怠慢じやないか、こう思うのです。若しあなたがそれでなおそうでないとおつしやるならば、更に私は具体的な事例を、挙げて追及しなくちやならんと思うのだが、二月の末になつてまだ一片の公共事業すらも実行していない。これで以て職責が果せているかどうか、一つ御答弁をお願いします。
○政府委員(江下孝君) 先ほど申上げましたように、実態を今調査中でございますので、至急関係各省と打合せの上で対策を考えて行きたいと思います。
○委員外議員(田畑金光君) 関係官庁との連絡の上に対策を講ずる、こういうような御答弁ですが、今までそうすると関係官庁との連絡等は講じていなかつたのかどうか、鹿児島の職業安定課を通じて、どういうような御指導をなされておるのか。更にどれだけの予算措置を職業安定行政に十億の中から取つておられるのか、それについて一つお尋ねいたします。
○政府委員(江下孝君) 従来からも関係各庁のいろいろ施策を私ども聞いておるわけであります。今資料持つて参りませんのでしたので、幾らということをはつきり申上げられませんが、職業安定所を設立いたしましたので、その関係の費用は当然十億円のうちから出るわけであります。なお職業斡旋に伴いますいろいろな諸経費、或いは失業対策事業実施に必要な経費というようなものも十億円の中から必要ならば私は確保できると思います。
○委員外議員(田畑金光君) 何か食糧庁の人も来ておるようですから、私今の点はもう少しお尋ねしたいと思うのですが、一つ次の機会に江下局長から、昨年の冷害における救農土木事業の実施に伴う労働省所管の予算の実施状況についてと、それから只今の奄美大島の労働省関係の予算の実施状況について詳細な御報告を願つて、更に質問はそのとき続行したいと思います。
○委員長(栗山良夫君) この際吉田法晴君から発言を特に求められておりますから、吉田法晴君の質疑に移ることにいたします。
○吉田法晴君 砂糖の問題についてお尋ねをいたして参りたいと思うのですが、事情を先ず承わりたいと思います。逐次御答弁を願いたいと思うのでありますが、なお手許に、粗糖精製に要する経費と、製糖工場一覧表を頂いておりますが、お願いしたドル割当の方法及び実績等についてはまだ頂いておりませんので、それらの点をこれからお尋ねをして参りますから、わかつておる点について御答弁をお願いしたいと思います。
○委員長(栗山良夫君) ちよつと吉田君に御案内申上げておきますが、只今お見えになつておりますのは、食糧庁の前谷長官、新沢総務部長、東辻食品課長でございます。そして予算委員会が終り次第、農林大臣、通商産業大臣の出席を求めております。
○吉田法晴君 先ず砂糖の年間消費量と、それから輸入の総量を承わりたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。砂糖の需給につきましては、我々といたしまして、需用量を年間百万トンと押えておるわけでございます。その百万トンのうち粗糖で以て精製いたしまするものが八十四万トン、それから雑輸入等で精製糖として入つていますものが二万トン、それから再製糖が五万トン、甜菜糖が、これは国内産でありますが、四万トン、それから含蜜糖、いわゆるざらめとか、そういう蜜を含んでおります含蜜糖が四万トン、こういうふうにふんでおるわであります。このうち総体の百万トンのうち、過去の配給をいたしておりまする時代、及び戦前等を考えて参りますると、直接家庭で消費される場合はその約四割程度、四十万トン程度だろうと考えておるわけでございます。現在の状態でこの量を考えますると、戦前の一人当りの量には達してない、かような状態になつております。
○吉田法晴君 そうしますとちよつと数字が何ですが、雑輸入の精糖が二万トン、再製が五万トン、含蜜が四万トン、それから甜菜糖が四万トン……。
○政府委員(前谷重夫君) 九十九万トンになります。
○吉田法晴君 そうして需要を一応百万トンと計算する、こういうことですか。
○政府委員(前谷重夫君) そういうことでございます。
○吉田法晴君 そうすると家庭用消費が四十万トン、六十万トンの内訳を一つ……。
○政府委員(前谷重夫君) 只今申上げました約百万トンでございますが、そのうちこれは配給統制その他をやつておりませんが、過去の配給統制の時代及び戦前等の状態を考えまして、大体四十万トン程度が家庭消費に行くのじやないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。昔の場合におきましては、時期によりますると家庭消費が三割で、一般の加工用の場合が七割という場合がございましたが、大体これは概論的な数字として申上げたわけでございます。ただ残つておるいわゆる業務用のものがどういう内容かと申しますると、これはもう正確にはわかりかねるわけでございますが、菓子用でございますとか、佃煮用とかいう一般の加工原料でございまして、そのうち大きな部門は菓子用に使われておるというふうに考えております。
○吉田法晴君 四十万トンの基礎と申しますか、一人一カ月どのくらいに考えられて四十万トンということになりましたのですか、その点をお示しを願います。
○政府委員(前谷重夫君) この四十万トンの基礎は、もう統制が外れました概数でございまして、統制当時におきましては一人たしか半斤かと思いますが、半斤で三十万トンから三十二、三万トンの数字になつておつたように記憶いたしております。それからその後の、当時の状態、人口増等も考えまして、又戦前におきましても大体家庭消費は三十万トンということがまあ一つの常識にもなつておりまするので、そういう点から概論いたしまして、その程度は家庭消費に向うのであろうということを申上げたわけでございます。
○吉田法晴君 家庭用消費が三十万トンぐらいにまあ言われて来た。それからその他六十万トンということでありますが、戦前実績等をお示しを頂ければ大変結構であります。
○政府委員(前谷重夫君) 戦前の具体的な数字を手許に持つておりませんので、正確な数字は申上げかねるわけでございますが、大体戦前の台湾の砂糖の輸入、それから戦前におきますると申すより戦争直前におきまして台湾糖の国内に参りましたものの配給統制をいたしておりました。そういう当時の数字からいたしまして、只今お答えいたしましたような事情になつておるわけでございます。 ただ附加えて申上げますが、先ほどの申上げました数字は、現在の総理府のCPS及び農家経済調査等からも推論をいたして、その程度のものの消費であろうというふうに考えておるわけでございます。
○吉田法晴君 はつきりいたしませんが、配給統制の時代、それからそれ以前等に分けて考えます場合に、配給統制の時代にCPS等から逆算して三十万トン或いは三十五万トンと、こういうお話のようでありますが、配給統制の時代というものがどの程度になるのかわかりませんが、ずつと後期になると規正がせられておつたと思いますが、一体その平時の消費量、それからその後の消費量、こういう工合に分けて若し数字が出ますならばお示しを頂きたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) これは配給統制の場合は、御承知のように二十六年まで配給統制をいたしておつたわけでございますが、この場合におきましては、一般的に砂糖の供給が非常に少い関係上、業務用と申しますか、加工用のものは一般に配給いたしておらなかつたわけでございまして、家庭用におきましてのその配給量を以ちましていろいろの加工用にも、家庭における加工用という形になつておつたわけでございまして、その当時の数字が三十三万トン程度になつておつたのでございます。 只今私が申上げましたのは配給統制の基礎ではございませんで、二十七年度におきまする総体の消費のうち、家庭消費がどの程度の割合になつておるかというふうな点をCPS及び農家経済調査からその消費を推定いたしまするとそういうような程度になる、こういうことを申上げたのでございます。
○吉田法晴君 そうしますと二十六年頃の数字が三十三万で、それ以前のが三十万から三十五万、こういうお話でございますか。
○政府委員(前谷重夫君) 戦前のいわゆる配給統制のない時代におきまする消費につきましては、これはまあ一つのはつきりいたしました数字ではないわけでございますが、いろいろな調査からいたしまして、通念的にそういうふうに言われておるわけでございます。配給統制になりましてからは一人当り幾らということで、人口を計算いたしまして、総世帯の数量を計算して参つておるわけでございますが、その当時におきましても供給量の増加に応じまして特売等の措置をとり、又都市と農村との差があつたというふうな事情があるわけでございます。 大体最近統制後におきまする状態は、総体の消費量のうちで、家庭消費といたしまして、消費者の家計費調査から砂糖が何グラムぐらい消費されておるということから推論いたし、又農家経済調査から、農家の直接の消費がどれくらいになるかということを検討いたしまして、三十七年度におきましては一応の推定は、全体を一〇〇といたしますると、直接の都市と農村の家庭の消費は三一%、それから間接の点、つまり菓子で食いますとか或いは外でいろいろ消費するというものがその残りというふうに一応推定をいたしておるわけでございますが、これは勿論抽出家庭、抽出農家当りの調査でございまするので、一つの幅を持つた考え方でお考え願いたい、かように考えておるのであります。
○吉田法晴君 戦前においては私どもも白砂糖のほかに或いは赤砂糖とか黒砂糖といつたようなものを食うた経験を持つておりますが、そういう糖種別の消費と申しますか、そういうものがわかつておりますならば、統制時代に、統制以前のものは推計になるかと思いますが、そういうものがわかつておりますならばお示し願いたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) 二十八年度の見込みにつきましては先ほど申上げたわけでございますが、この消費量につきましては、黒糖、つまり含蜜糖の場合を二十七年度について申上げますと八万五千トンでございまして、それから分蜜糖、いわゆる普通の精糖が七十七万五千トン、それから氷糖その他のものが六千七百トンというふうな形に二十七年度の実績はなつているわけでございます。戦前の含蜜糖、それから精製糖、それからいわゆる素ざらと申しますか、花見糖と申しますか、そういう種類の加工程度の少いものの数量等は今ちよつと手許に持つておらないのでございます。
○吉田法晴君 お手許に持つておられないかも知れませんが、二十七年に示されたような数字でないことだけは明らかだと思うのですが、推算等もございませんか。
○政府委員(前谷重夫君) 正確な数字はございませんが、大体戦前においては白が八割でございまして、二割が加工程度の低いもの及び含密糖を含めたものというのが大体の数字になつております。
○吉田法晴君 そうしますと八割と二割という、戦前のこれは常識かと思うのですが、それから考えますと、七十七万トン或いは六千七百トンですか、そういう数字から見ますと、パーセンテージが相当違つて来ていることは、これは事実だと思うのですが、その点は如何ですか。
○政府委員(前谷重夫君) 大体只今申上げました数字は、八十六万トンのトータルに対する七十七万トンでございますので、戦前よりは幾分高くなつているかと存じます。
○吉田法晴君 それからその他の、家庭消費じやなくて、七割の加工用菓子が大部分ということでありますが、その六十万トンばかりのものの中で、或いは工業用といいますか或いは薬品用と申しますか、そういう六十万トンの七割以外の内訳は、これは別表でもらつたほうがいいかも知れませんが、菓子以外の割合はどの程度になつておりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 大体我々のほうとしては、これは正確に調査をいたしたわけではございませんが、いろんな事情から推算いたしまして、直接に家庭が消費する以外のもの、いわゆる業務用のうち、大体菓子は七割程度であつて、あとは佃煮でございますとか、或いは直接喫茶店等に使います場合もございましようし、罐詰に使う場合もございましようし、そういうものが三割程度、これはいろんな雑多な用途があろうと思います。
○井上清一君 私は今来まして、実はよく話の経過はわからないのだけれども、話が途中から入つて申訳ないのだけれども、配給の問題とか、いろんな問題について御質問のようですが、本委員会に直接関係がある問題ですか。
○阿具根登君 井上委員の御発言を封殺するようですけれども、砂糖の問題は勤労者の生活、一般国民の生活に非常に大きく浮び上つていることは御承知の通りであります。而も労働大臣の本年度の労働行政の中に実質賃金の低下ということを大きく打出しているわけであります。生活に直結する食糧の問題は、これは本委員会に重大な影響があるものと私は考えます。
○井上清一君 今阿具根委員から、労働委員会として非常に重大な問題であるという御発言があつたのですが、そうしたら米の問題も鉄の問題も、すべての問題をやらなければならんが、特別な御理由があるのですか。
○委員長(栗山良夫君) これは吉田君が緊急質問をしておられるので、吉田君から率直に答えて頂けませんか。
○井上清一君 緊急質問があるからということで本問題をお取上げになつたと思いますが、緊急質問としてお取上げになる以上は、本委員会に関係のある問題とか、労働問題に関係あるということについて、委員長としてお取上げ方について十分一つ御配慮を願います。
○委員長(栗山良夫君) 私に抗議されても困るので、質問の通告があつたから許したのですがね。
○井上清一君 全然……、今お話を承わつておりますと、配給割当とか……。
○委員長(栗山良夫君) 労働問題に全然関係のないことならば、これは当委員会として不当だと思いますので、関係があるかないか、一つ吉田君から、質問を通告せられたのだからおつしやつて頂きたいと思います。
○吉田法晴君 議事進行ということについて疑問が提出されておりまするが、私の代りに阿具根君が答弁をしてくれたのですが、実質賃金の切下げ云々ということについて、労働大臣は実質賃金の向上ということで方針を述べられている。それから物価問題については、この間通産大臣に質問をいたしておりましてれ途中で残つているんですが、実質賃金に一番関係のある食糧品の一つであります砂糖の問題についてお尋ねをいたしたい、かように考えて質問をしたのであります。
○井上清一君 吉田委員からいろいろ御説明があつたようですが、私は物価問題全般ついていろいろここで論議する、実質賃金問題全体について論議するなら、これは別問題といたしまして、実質賃金の何十分の一か何百分の一か知らんが、それをここで取上げる、そして配給の問題、加工のいろいろの問題について取上げて行くというのはどうも横へ外れたような感じを受けるのです。何かこれに関連する問題があるならあるということでお話し願えれば、この問題を取上げて大いに議論をすることは結構だと思うのです。実質賃金の問題をなすからというのでここで議論をしているというのは筋違いのような気がするし、時間も遅いので、ここでこんな議論をやつているのはどうかと思うので、何だつたら委員長は適当にお繰上げ願つて、本筋をなして頂くように御配慮願いたい。
○阿具根登君 井上委員は、時間が遅いから成るべく早く繰上げろと言つておられますけれども、私は吉田委員の質問に対して関連した質問をたくさん持つているわけです。私は時間のことなんかはどうでもいいと思うのです。国民の生活はもつと深刻だと思うのです。而も私たちが質問している砂糖行政に関しても、これは何十分の一か何百分の一だと言つて切捨てられるあなた方はそういう御苦労をなすつていらつやらないかも知れないけれども、実際生活に響している現実を考える場合に、私はもつと質問を続けて頂いて、私も関連質問として十分発言を許して頂きたい、かように思います。
○田村文吉君 丁度今お話が出たから……、私はもう阿具根さん、それから吉田さんの御質問、何か労働問題に相当関係の深い問題としてお取上げになつて御質問になつている……私は途中から来てとやかくのことを申上げるべきじやない、こう考えておつたものでこれからお伺いしようと、こう考えておつたのですが、今阿具根さんの御説明のようでありますと、砂糖の問題は、勤労者として物価、配給等の問題は非常に大きな問題である。無論そうでしよう、そうでありましようが、そうなると今井さんから言われたように酒もそうだ、たばこもそうだ、そうすると労働委員会に各産業の全部の人を呼んで来て質問をなさるということになりますと、これは私は少し労働委員会としては行き過ぎじやないか、問題は、例えば砂糖の製糖関係として勤労者が何人働いておつて、今後砂糖工業のためにどのくらいの失業者が出るとか、或いはそういう問題について私多分御質問があるのでお聞きになつておるのだと、実はこう考えておつたのですが、若し産業一つ一つについて皆聞いて行くということになると大変だろうと思いますので、そこで私はそういう問題について、特に砂糖については特別にこういう関係があるのだということを何か承われば誠に結構なんですが……。
○阿具根登君 砂糖について特別に何かというまあ御発言でございまするけれども、これは田村委員も御覧になつたと思いますが、今日本の一番大きな組合の結合体である総評議会からも砂糖についての意見が来ているわけなんです。特に砂糖の問題を取上げて相当長い間折衝もされておる。そうしてその結果も我々のところに来ているわけなんです。総評四百万、家族まで合せれば大部分の勤労者の食生活に直接繋がつている本問題に対して、ただ米もあるじやないか、酒もあるじやないか、勿論それもあります。併しそういうものにまで手を拡げると労働委員会は行き過ぎであるというようなことでなくて、時間もありませんので、特に砂糖の問題はこういうふうに総評議会からも正式にこういう問題も出しておられる。こういうときに私たちは私たちの労働委員会としても当然取上げるべきだと、かように思つておりますし、私たちが質問をするのをそこでとめられるのはどうも腑に落ちない。
○田村文吉君 いや、私はおとめするどころじやない、それはできる機会があるほどいろいろとお聞きしたい、こういう考えを持つておりますが、又通産委員会というものもあり、農林委員会もあるし、そういうものがそれぞれ検討しておられますのに、特に砂糖だけを取上げるということについては、砂糖の従業員とか、そういうものについて何か問題があるのかないのか、そうでないとすると砂糖だけをここで取上げていらつしやるのは、私はむしろそれよりは勤労階級として問題になるのはたばこの値上げの問題であるとか、酒の問題であるとか、こういうような問題のほうがむしろ大きいと思いますが、併しあるとしても、これらの問題はまあ全般的にお聞きするという程度ならこれは結構ですが、そういう問題を私は委員長が取上げておいでになつておやりになつても別に私は異議を申上げるわけじやない。それなら退室すればいいわけでありますけれども、少し又労働委員会として速記録に残る場合に、余り行き過ぎたことを聞いているじやないかというようなことにならないように私はして頂きたいと、こういう意味で議事進行で私はお伺いいたしたのであります。
○吉田法晴君 一昨日でしたか、田村さんの質疑に答えて労働大臣が答弁をいたしました。その際に、皆さんから質疑があれば何でも答弁いたしますと、こういう話であつた。委員会で政府に質問いたしますのは、労働問題に関する限り、自由であろうと私は思うのであります。これは実質賃金に関係のございます砂糖の問題であろうと、たばこの問題であろうと、食糧の問題であろうと、何であろうと取上げて私は論議することは、名目賃金のみでなくて、実質賃金についてもこれは考慮したいと、こういう労働大臣の方針に関連いたしますならば、私はまあ労働大臣の所信に対する関連質問としても何ら問題はないのじやないか。砂糖を安く食う方法があるならば、或いは今戦前よりも白糖を食つている率が多いというような説明を今聞いたばかりでありますが、これらの点についても、或いは労働組合の要望いたします、質は多少悪くなつても安い砂糖を食うことができるならば、或いはもつと砂糖全体について安く食える方法があるならば、これは私どもが質疑をし、そうしてその中から探及するに何らこれは問題もなかろうと思います。恐らく田村先生といえども御異議はなかろうと思います。息せき切つて井上さんが駈けつけて、それは何だと言われる理由は何もなかろうと思います。
○阿具根登君 お二方の御意見では、砂糖の問題を取上げるならば、たばこもある、酒もあるじやないか、こういうふうに発言されておられますけれども、酒、たばこというのは、私は嗜好品の一部だと思つております。ところが砂糖は私は完全な食品だと思つておまりす。最も労働者の生活に響いているやはり食品の一つであるならば、労働委員会としては当然これは聞くべきは聞き、そうして少しでも安くなるなら安くしてやるべきが私たちの義務だと思うし、又当然議員としてこういう実情に立至つている現在の姿を見る場合に、いやしくも砂糖が戦前我々が白砂糖をそんなに食つておらなかつたのが、現在我々が見るところでは、店頭において昔のような黒砂糖や赤砂糖を見るようなことがないような姿になつている。それは国民全部が白砂糖でなければ食わないと言つているのかどうか、こういうことを十分私たちがここで質問し審議する必要があると、私はこう思います。で、砂糖はただ嗜好品のような考えになつて頂かないように、食糧の一部である、我々の食生活に切離すことのできない重要な一部門であるとするならば、実質賃金の値上げをする一つの大きなものでもあろう、かように思いますので、質問を続行さしてもらいたい。
○井上清一君 只今の阿具根さんの御意見のようであるならば、これは農林委員会なり通産委員会で委員外発言として、これは単に勤労者のみの問題でなくして、広く国民全体の問題でもあるんですから、そこで一つおやりになつて頂いて、ここでは一つ労働問題に関係のある問題をやつて頂きたい、国民全体に関係ある問題なんですから。だからそれで先ほど総評云々という言葉が出たんだが、それと関係のあるようなお話でありましたら、阿具根さんの御発言中に、若しそれならそれと端的な問題として、一つ関連する問題があるなら、その問題についてお話を承わることにしたらどうかと思います。
○阿具根登君 総評のほうからも、私が言つているように、そういう白い高い砂糖を食わなくていいから、それで安い黒い砂糖を食わしてくれ、こういうことを言つているわけであります。而も労働大臣は実質賃金の値上げということを大前提に掲げておられるなら、実質賃金のこの問題と離すことはできない、井上さんの感覚を疑わざるを得ない。労働委員会でこの問題をやることができないと、言われるなら、何か砂糖についてあなた方が聞かれることがいやな感じを持つておられるようにあなた方を変な感じで見ざるを得ないようになりますが、何のためにこれを聞くことができないんですか。
○田村文吉君 私は速記をとめて、ほんの五分か七分発言したいと思います。
○委員長(栗山良夫君) 今御議論を聞いていると、今日は理事会でこれを取上げたわけでもないし、たまたま一昨日の委員会のときに吉田君から、労働問題に関係のある貿易等の件について緊急質問をしたい、こういう通告があつてそのままやつたわけなんです。それについて発言を許すか許さないかということを、これを決定されるかはどうか知りませんけれども、懇談に移ることは結構ですけれども、その辺の取扱い方がちよつと私もまだ了解できないんです。
○田村文吉君 時間も五時を過ぎておりますので、そこでこの問題はなお併し私は御懇談的に、これは一つもつと資料を持つてどういうふうに行きたいんだと、こういうふうなお心持をよく知つて、なお伺うなら伺い、こういうふうにしたいと考えるという意味で、今速記も必ずしもつけなければならんこともないから、その御相談する間だけ速記をちよつとやめて頂いたらどうかと、こういう意味です。
○委員長(栗山良夫君) ちよつと速記をやめて下さい。 〔速記中止]
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。質疑を続行願います。
○吉田法晴君 百万トンの砂糖の需要実績を一応伺つたわけでありますが、砂糖が入りまして、それから末端まで消費されます一応の段階を伺いたいと思うのであります。
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。砂糖の輸入につきましては国内で生産されますものが甜菜糖とそれから極く一部の大島の含蜜糖でございます。これは御承知の通り昔相当高知なり或いは鹿児島なりで黒糖が生産されておつたわけでございますが、この生産がなくなつたということが一つと、それから沖繩、奄美大島も今度復帰いたしたわけでありますが、従来国内的に黒糖の生産があつたわけでありますが、現在におきましては黒糖の生産は殆んどない状態でございます。従いまして大部分が海外から入つて参るわけでございますが、海外から入つて参りまする入り方といたしまして、一つはキューバと台湾から直接入つて参ります場合がございます。そしてもう一つはインドネシアでございますとか、その他の国の貿易収支の関係からいたしましてそこを通じた形におきまして入つて参ります場合が一つございます。それからなお輸出とのリンクの関係におきまして入つて参ります場合、いわゆるバーターの場合、これらがあるわけであります。二十八年の十二月までの状態について申上げますると、輸入総量は七十二万五千トンでございます。そのうちドルで直接入つて参りまするものが十三万トンでございます。それから台湾から二十五万トン入つて参ります。バーターで十七万六千トン入つて参るわけでございます。あとは優先外貨でございますとかインドネシアのスイッチでございますとか、フランスのスイッチというような形で入つて参るわけでありまして、つまり直接産地から入つて参ります場合と、貿易の関係で第三国を通じて入つて参ります場合と、それからバーターの場合と三つあるわけでございます。 それでこの外貨の割当方式といたしましては、ドルにつきましては製糖業者に対して為替の割当をいたしておるわけでございます。その他のものにつきましては、その契約ができました輸入業者に対して割当をする、こういう形になつておるわけでございます。それから加工されて出て参ります砂糖が卸小売の機関を通じてそれぞれの需要者に流れて参る、こういう形になつておるわけであります。
○委員長(栗山良夫君) 砂糖業者のドル割当以外の、業者がスイッチとか或いはバーターで受けたものは全部製糖会社に入るのですか。その内訳はどうなつておりますか。
○政府委員(前谷重夫君) これは輸入業者から製糖会社に入るわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) 全部でございますか。
○政府委員(前谷重夫君) これはまあ大体バーター等の場合におきましては需要者と、現在の貿易業者からいたしますと資金等の関係もございますので、殆んど契約をいたしましてやる場合が多いと思います。ただ又優先外貨等で通常入つて参りますものにつきましてはこれは制限がございませんから、他に行く場合もあり得ると思います。
○委員長(栗山良夫君) その振り割りはやはり役所でやつているのですか。
○政府委員(前谷重夫君) ドルにつきましては振り割りをやつておりますが、優先外貨、それからバーターとスイッチ等につきましては、業者間の契約によるわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) 自由ですか。
○政府委員(前谷重夫君) 業者間の協定によるわけでございますから役所は関知しておりません。ただスイッチとバーターの場合におきましては、貿易業者に為替の許可をいたしまする場合に需要者の発注証明を必要とするというふうな制限はございます。
○委員長(栗山良夫君) この間のブラジルからの五万トンというのは、四万トン工場、一万トンは自由ということで農林省が指示されて、一万トンについては適正価格を表示しているということを、而も業者から念書を取られているということを聞いているんですが、そういうことがあるのですか。
○政府委員(前谷重夫君) このブラジル糖につきましては、只今の委員長のお話のように四万トンを製糖工場に、又一万トンを輸入業者の割当にいたしましたわけでございますが、国内の糖価との関係もございますし、又先ほども御意見がございましたように、そういう現在の糖価の状態においては砂糖を消化する輸出業者等もあろうかと考えますので、輸入割当をいたしまして、この輸入業者が国内に市価通りに売るということが糖価の牽制にもなりませんので、百十ドル程度でこれを国内に流して、もらいたいということの希望を申入れたわけでございます。
○吉田法晴君 そうしますと台湾の二十五万トンというのはどういうルートを通るのですか。
○政府委員(前谷重夫君) これは直接政府が為替割当をいたしませんで、台湾は御承知のように一方的ないわゆる中央信託局というので砂糖が統制されております。で、これと製糖会社との契約によりまして、その契約のできたものについて為替を割当するという形になつております。
○吉田法晴君 そうしますと大部分はやはり製糖工場で、一部輸入業者に流れるというのがあると思います。こういうことでございますね。
○政府委員(前谷重夫君) 大体原料糖の行先はそういうふうになつております。
○吉田法晴君 それから価格の点について一つ伺いたいと思います。
○委員長(栗山良夫君) ちよつとその前に。七十二万五千トン、二十八年度の実績ですね、このうち製糖工場に入つたのが何トンで、そのまま原糖が市場へ流れたのが何トンか、大体わかりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 七十二万トンのうち大部分はこれはもう製糖工場に行つていると思います。優先外貨等で或いは香港なんかで入つて参つておりまするものが一部分他に流れてほかの用途に行つているということも想像されるわけでございますが、そこまでは我々も優先外貨等は特に行先を為替許可の場合に限定いたしておりませんから、突詰めておりませんが、大部分は製糖工場に行つているというようにお考え願つてよろしうございます。
○委員長(栗山良夫君) 大部分というのは九〇%以上と考えてよろしいのですか。
○政府委員(前谷重夫君) 九〇%以上は行つていると思います。
○吉田法晴君 関連して……。今の優先外貨等で製糖工場に行かないものは一〇%以下だということになりますと、一万トン切れる……、一〇%なら七万トンという数字になりますが、一万トン以下の数字でございましようか、大体どの程度の、或いは何千トンくらいの数字か、その辺わかりませんか。
○政府委員(前谷重夫君) 大体私たちの推定によりますると、優先外貨で現在までの実績で行きますと、九千百トンくらいが優先外貨になつております。この部分が幾ら他に流れるかという問題だと思います。
○委員長(栗山良夫君) それからもう一つは原糖ですね。原糖はそのまま食べられるんですか、食べられないんですか。やはり砂糖会社へ入れなければ食べられないのか、そのままで食べられるのか。
○政府委員(前谷重夫君) これはまあ嗜好の問題でございますが、食品として食べられないということは私はないと思つております。ただこれは従来終戦後におきまして製糖の能力がございませんで、粗糖をそのまま配給をいたしたこともあつたわけでございますが、その場合にいろいろな問題が出て参つた。例えばだにが混入しておつたとかいうふうないろいろな非難もあつたわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) それで原糖をそのまま市販にした小売価格ですね、製糖会社を通して精白したときの小売価格というのは一斤で大体どれくらいずつになるお見込ですか。原糖をそのまま小売販売した場合と、精白糖として小売販売したときの一斤の小売価格ですね。
○政府委員(前谷重夫君) これは原糖の価格はそれぞれ時期によりましてれ又バーターの場合におきましては、その見返の輸出の関係等によりまして違つて来るわけでございますが、お手許にお配りいたしました原価、これは製糖工業会で調査したものでございますが、この原価から御覧になつて頂きましても、一斤についての加工費と申しますものは大体六円七十四銭、こういう形になつておるわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) だからまあもつと極端に言えば、この表の中で原料代と関税ですね、これの合計が二千九百八十九円ですね、それとそれから一番下の欄から二行目にある販売及び一般管理費というのは二百八十五円でございますね、これくらいで大体原価になると見ていいわけですね。
○政府委員(前谷重夫君) 原価になると思いますが、ただこれには流通経費は入つておりませんから、更に卸小売のマージンその他の輸送賃が入つて参ると思います。
○委員長(栗山良夫君) それはどちらも同じですがね。
○吉田法晴君 そうすると今の説明によると、流通経費等を除けば斤で四十二円余ですが、原糖で行けば三十円弱ということで売り得る、こういうことになるのですか。
○政府委員(前谷重夫君) 原価計算からいたしますると、原糖代がここにございまするように二十九円八十九銭、一方そのほかに販売経費等もございますが、片方は四十二円ということで、その間が加工賃という形になるわけでございます。勿論これは販売原価でございまして、このほかに消費税が二十三円五十銭付くということに、これは別で、いつの場合も同じでございます。
○吉田法晴君 そうしますと、今の消費税を加えましても五十一円五十銭ですか、原糖の場合に五十一円五十銭、それから精糖をした場合に六十五円五十銭、こういう数字が出て参りますが、原糖の場合にその消費税はかかつておるのでしようか。原糖で流れました場合に消費税はかかつておりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 勿論原糖の場合においても消費税はかかります。ただこの価格の中には消費税は入つておりません。
○吉田法晴君 この表の中に入つておらんことは事実なんですが、原糖で流れております場合に消費税が実際にかけられておりますか、こういうことです。原糖で流れます場合に、製糖工場等を通ぜずに流れる場合に、実際に消費税というものがかかつておりますか、或いは私どもの聞くところでは、消費税のかからないものもあるやに聞いておりますが。
○政府委員(前谷重夫君) 原糖で流れます場合には、これは当然消費税がかかるというふうに考えております。
○吉田法晴君 実際に全部かかつておりますか、かかつておらんものもあるという話だが、実際はどうですか、建前を聞いているんではないんです。
○政府委員(前谷重夫君) これは直接、税の関係は我々やつておりませんが、脱税等の問題等がございますれば別でございますが、これは大蔵当局としては十分その点は厳重にやつておられることと思います。
○吉田法晴君 ちよつと前に遡りますが、製糖工場を通じないで、優先外貨割当その他九千百トン、七十二万五千トンのうちですが、それは製糖工場を通らないから、或いは粗糖で流れるか或いは加工用に使われるか、白ではないんですね、製糖工場を通らないという意味では或いは粗糖で流れている、こういう話になるかと思いますが、実際に九千百トンという数字から見ますと、それが全部精糖或いは粗糖で流れていないんじやないかという疑問が起きますが、その九千百トンの流れです。
○政府委員(前谷重夫君) 九千百トンにつきましては、このうちから勿論製糖工業が買う場合もございます。全部が粗糖で流れ、或いは全部が精糖になる、これはその内容までは詳細突きとめておらないわけでございます。
○吉田法晴君 そうすると実際の市場に出ております商品については、食糧庁長官として御存じであろうと思いますが、九千百トンのうち、製糖工場に参りますのがどの程度にあるのか、概算でいいんですが、御存じでしたら。
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、実はこれは直接調べる方法はございませんで、逆に製糖工場の製糖実績とかストツク、それから外貨割当によつたもの、スイツチとかバーターによつたもの等から逆算して考えて参るという以外に方法はないと思います。でこれは今ちよつとこの場で逆算するというわけにも参らんのであります。
○吉田法晴君 それじやまあその点はあとでお示しを頂ければお示しを願うことにして先ほど価格の点ですが、消費税を加えたとして粗糖についてこれは脱税はないはずだ、或いは実際に脱税があるかも知れん、これは抽象論になりますから抜きますが、一応税がかかつたとして五十一円五十銭、それから精糖の場合は六十五円五十銭、それが七十五円とか八十円とか、そういう市販だと承知をいたしておりますが、更に税の改正に伴つて百円にはなるのじやないか、こういうことが言われておりますが、流通費等を加えてみまして八十円或いは百円という価格が妥当であるとお考えになつておりますかどうか。
○政府委員(前谷重夫君) 粗糖の価格からいたしまして、我々といたしましても現在の市価が妥当であるというふうには考えておらないわけでございます。で二十八年度の四月からの経過を見ますると、一月におきますると、大体平均が四十二円七十八銭程度の平均相場になつておるわけでございますが、二月に至りまして暴騰に暴騰を重ねたというふうな形になつておるわけでございまして、これにつきましてはいろいろ外貨事情等の関係からいたしまして、先に至りまして相当外貨の削減が起るのではなかろうか、そういうことからする思惑的な仮需要も起つて参つておりまするし、先行に対する不安というふうな点が起つておるわけでございます。と申しまするのは一月から三月に対しまする外貨の割当も約二十万トン程度を予定いたしておつたわけでございますが、これの決定も遅れて参つたというふうな事情がございまして、先行に対する不安が非常に多いというふうに考えられますので、早急に外貨の割当を関係省と協議いたしまして、輸入の円滑化を図ることによつてこの思惑需要を封じて参りたい。と同時に又政府の手持の甜菜等もございますので、そういうものも売出しまして、そうしてこの一般市価の高騰を抑えて参りたい。併し根本的にはやはり需給に対する不安が相当あるというふうに考えておるわけでございます。
○吉田法晴君 その需給とそれから外貨割当の点はなおあとに残りますが、従来の外貨割当が能力に応じて云々ということでありましたそうで、戦後在外財産等を失い全く壊滅いたしました製糖工場が、その能力に応じて外貨が割当てられるということで、需要の百万トンを遙かに越して、これは聞くところによりますと一部だと思いますが、日本全体の製糖能力からいたしますなら、ば二百万トン近くも殖えておるという実績だそうでありますが、これらの能力主義、或いは需要とそれから能力とが今日に至りました経緯についてはどういう工合に考えておられますか、長官に説明を承わりたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) 砂糖の需要につきましては、我々も一定の過去の実績から算定いたしまして、需要量に見合つて国内産等を引きまして、そうして貿易の協定等の関係も多少ございますので、そういうものも入れて輸入量を計画いたすわけでございますが、この輸入の計画のやり方につきましては、一つの基準といたしまして、御指摘のように能力をとつているわけでございます。現在のやり方といたしましては、実績を五割、能力を四割、それから均等を一〇というふうに、能力を約四〇のウエートにとつているわけでございますが、やはり一つの基準といたしまして能力をとつていることは御指摘の通りであります。現在の製糖能力につきましては、お話のように約百九十万トン程度になつておりますので、需要というふうな面から見ますると過剰であるというふうに考えられるわけでございまして、これを従来は能力のウエートを現在におきましてはだんだん下げて参りたい、こういうふうに考えているわけであります。
○委員長(栗山良夫君) ちよつとさつきのあれで伺いますが、価格が妥当とは考えないとおつしやつていますが、そうすると妥当な価格だと大体どのくらいにふんでおられるのですか。
○政府委員(前谷重夫君) これは実は我々といたしましても砂糖の配給統制につきましては、三十七年の三月に大体需給がバランスするということの見通しによりまして配給統制を解いたわけでございます。従いまして公定価格等のこともいたしておりませんし、それから又法的に規正をいたしておりません関係上、工場から原価をとるということはむずかしいわけでございますが、一応この製糖工業界の調査からいたしましても、販売、工場渡原価が四十二円、こういうことになつているわけでございます。ただ原糖の関係はそのときの商品によりまして、台湾から入つて参りますと高い場合もあるし、それぞれそのときの原糖の内容によつて違うかと思いますが、ならして考えてみて、その原価計算を前提にいたしまして、先ず一つのこの程度の水準というものが考えられるのじやなかろうかということは想像されるわけでございますけれども、具体的にこれは能力によつて、コストにつきましては各社別に相当に違いがあろうと思います。現在の市価は我々といたしましてもこの原糖から算定いたしまして妥当な価格だということは考えておらないわけでございまして、これをただ思惑的な要素が非常に入つておりますので、この仮需要をどう押えて行くか、これはやはり需給のバランスをとるように相当に輸入をやつて参るということが必要であるということを痛感いたしている次第でございます。
○委員長(栗山良夫君) それから砂糖工場によつては随分精製度の問題或いは工場内部の能率の問題によつて価格に相当な差があつてよかろうと私は思うのですが、小売価格が殆んど一本になつているのは、これはどういう原因でそうなつているのですか。要するに協定価格のような恰好になつているのか、一体どういうことになつているのか。
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、実は砂糖につきましては、昔もございましたが、取引所がございまして、そこからして相場が立つておるわけでございまして、これが一つの基準相場になつておるかと思います。多少末端に行きますと運賃その他の関係で多少の違いはありますが、一応卸売段階におきましては取引所の相場が一つの段階になり、製糖工場におきましてもこの取引所の相場が一つの目安になつておる、こういうふうに考えられます。
○委員長(栗山良夫君) それからこれは抽象的な質問ですが、とにかく戦後の産業のうちで砂糖工業というのは殆んど零からスタートした、新設備、戦後の設備なんですが、そういう設備を擁しながら相当に高い利潤を上げた産業ということはお認めになりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 現在の個々の会社の実態はこれは我々のほうも十分わかりかねると思いますが、現在までにおきまする設備の増設傾向、これは自己資本で賄いまする場合、或いは又借入れて賄います場合におきましてもやはり相当の利潤があることによつて借入れができ、或いは自己資本でやつて行けることだろうと思うのですから、この傾向から推しますと、利潤があつたということは考えられると思います。
○委員長(栗山良夫君) それからもう一つは先ほど製糖会社にとにかく原糖の殆んど九〇%以上を入れているというのですが、食糧庁としてはそういう工合に製糖会社へ全部入れなければならんとお考えになつておりますか。それほどする必要はないとお考えになつておりますか、如何ですか。
○政府委員(前谷重夫君) この問題につきましては過去の経過を見て参りますと、大体需給がバランスいたしておりますときにおきましては先ず砂糖の価格も安定しておりまするし、それからやはり日本の現在の産業形態といたしまして、過去問屋、卸売りの経路を以ちまして消費者のところに或いは実需者のところに行つておるということが、これが統制いたしておらないものにつきましてはそういう形であろう、かように考えておるわけであります。ただ消費者のほうの嗜好の点から見まして、現在も或る程度その嗜好、用途によりましては中ざら等も出ておるわけでございまして、やはり我々としては従来これが一つの加工の原料というふうな観点から考えて参つたわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) その加工の原料と言われるのですが、先ほどの御答弁で原糖のまま食べられる、こういう工合におつしやつて、而も食べられるものは原糖をそのまま市販すれば非常に安くなるということは大体わかつたのですが、そうすると入れなくちやならんという根拠は薄弱じやないのですか。
○政府委員(前谷重夫君) この砂糖の原糖の消費の実態といたしましてはどういうふうな状態にあるかということは、個々の家庭の消費者の面からいたしまして、どの程度の消費があるかということは実は非常につかみにくいわけでございまして、或る程度原糖が消費されます場合におきましては、製造会社といたしましても、その中間の、精製糖まで持つて行かないで、中ざらというような形で出す場合もあろうかと思いますが、現在の状態におきましては、相当消費が精製糖として或る程度の消費が固定化いたしておるというふうに考えておりまして、現在でも大体、いわゆる昔は御承知のように、こういう現在入つて参つたような砂糖はないわけでありまして、いわゆる中ざらとか花見糖というようなものと、白下糖、この白下糖は国内産でございます。こういう割合から申上げても、大体精製糖とそれ以外のものとの比率は二割くらいになつておるかと思います。それで二割と八割ということになつております。黒糖の生産は御承知のように沖縄がありませんし、それから戦前よりも鹿児島、高知当の黒糖の生産はこれはもう殆んどなくなつておるわけでございます。そういう状態からいたしまして、過去の状態からいたしましても、それほど大きな砂糖の消費はないのじやなかろうかというふうに考えられるわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) それはですね。例えば私は名古屋に住んでいるから名古屋の空気をよく知つているが、菓子屋なども精白糖でなくて原糖で十分だと言つております。農家も値段さへ安ければ原糖で結構だ、労働者もそうだろうと思います。今の前谷さんのお話とちよつと世論と合わない点があるし、私はそこが今一番問題の点だと思いますがね、如何ですか。
○政府委員(前谷重夫君) これは先ほども申しましたように、この自由な流通の場合におきまして、一つの価格の基準が取引所において立てられているわけでございますが、これは精糖と粗糖と両者が取引所において相場が変つているわけでございます。で、現在の相場から考えましても、粗糖の取引も相当高値になつております。従いまして若し粗糖で以て安くやる、中間の流通段階を通らないで統制いたしまして、そうして価格を公定するというような形で行けば別でございますが、現在の流通価格を前提といたしますると、まあ取引所の相場が一つの基準になりますから、一般の場合におきましても、粗糖自身として前年度の需給状況からして相当高くなるのじやなかろうかという点も考えられるわけでございます
○委員長(栗山良夫君) それは外貨割当を製糖会社だけにしているからそういうことが起きるので、このドル割当てをもつとフリーにしたらそういう現象は起きないのじやないのですか。
○政府委員(前谷重夫君) 先ほども申しましたように、ドル割当は現在までの実績で行きますと十三万トンということになつておりますが、お話のように割当をフリーにした場合に、これはまあ砂糖の輸入をどうするかという問題と関連して参るのでありますが、今の貿易方式といたしまして、外貨の割当をいたします場合に、需要者に対する割当をするとか、或いはAAと言いまして自由品目で数量も限定しないというような形で行く方法とか、方法はございますが、このAA方式は従来も或る程度とつて参つたわけでございますが、むしろ現在の外貨事情からいたしまして、AA品目につきましては極く少量の需要のものにつきましては可能でございまするが、多量の需要のありまするものにつきましては、外貨需要からしてAAシステムをとるということが困難になつて参りまして、むしろAAシステムの中から重要品目はだんだん外して参つているわけでございます。従いましてAAシステムをとるといたしますと、外貨の割当ということになるわけでございますが、この割当の基準範囲というものをどうするかという問題でございますが、この範囲を確定するということが非常に困難でございまして、一応の目安といたしまして、これを原料としてそれをこなすというところが一つの限界でないだろうか、或いはお話のようにもつと広くやるということも考えられるわけでありますが、その場合におきまして、じやどの程度に広くするかと申しますと、こういう食品でございますので、一般の消費者にまで拡げるといふうなことも非常に困難でございますし、取引業者ということになりますると、消費者の関係とは全然離れて参りまするし、そこに限界を引いて参るということが非常に困難でございまして、いろいろな物資につきましても需要者割当と申しまする割当の方式をやつておりまする場合におきましては、第一次のそれを処理するものに対してこれを割当てておるというのが、まあ需要者割当の全体のシステムになつておるわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) ここは私、やはり砂糖の一番問題点だと思うのですがね。今日は時間がありませんから、ここは私としては保留いたしておきます。
○阿具根登君 私、もう伺つたかも知れませんが、座を外しておりましたから……。端的にお伺いしたいと思います。 只今お聞きしておりますと、粗糖で入つて来たのも食えるのだ、それを全部白に、殆んど九五%以上白にせられておるようでありますが、しなければできない理由はどこにあるのか、それから戦前は中ざら或いは並みですか、そういう砂糖が入つておる、今は入つておらない。これはどういう理由であるか、その点端的に一つお答え願いたいと思います。
○政府委員(前谷重夫君) 先ほども申上げましたように、大体戦前におきましても白が八割で、白以外のものが二割ということになつております。その二割のうちでも地砂糖はこれは国内生産が減つたわけでございます。沖縄がなくなつたということが大きな一つです。それから高知、鹿児島等も生産が減つたということで、これは何に振り替わるかという問題、戦前におきましても加工形態によりまして、需要の状況によりまして、中ざらのような少し、いわゆる赤ざらでございます。ざらめと申します。ああいうものを需要に応じて作つておつたり、精製のこれは途中でございますからそうしたり、精製まで持つて行つたり、これは需要の状況に応じて、加工業者が需要の状態を見てやつて参るのが普通なのでございます。特に戦前におきましては台湾糖の関係がございましたので、粗糖というものは入つて参つたことはないわけでございます。
○阿具根登君 そうすると戦前がそうであつたのでそのままやつておる。併し国民の要望しておるいわゆる需給面から考えて行つても全部を白砂糖にしなければできない、こういうことは考えられないと思うし、而も先ほどからのお話を聞いておりますと、粗糖で入つて来るのは斤で、日本の金に直して二十二円七十八銭、それが市販に出される場合には八十円からになつておる。四月からは恐らく百円ぐらいになるだろう、こういう大きな中間に、悪い言葉で言えば不当利得といいますか、いわゆる先ほど委員長から言われたように、無から現在までの機構になつたということは相当の利潤があるのだということは長官も認められておるわけですね。これに対してどういうふうにお考えになつておりますか。例えばざらめで出すとか、或いはもつと安い値段で出せるのじやないか、端的にこう考えられるわけですね。どういうふうにその点に対してお考えになつておられるか。
○政府委員(前谷重夫君) この現在の方式は、最近において外貨割当につきましてもとつた制度でございまするから、従来ともにそういう制度をとつておつたのでございます。本年度の市価の状況をずつと七月から見て参りましても、三十八円から四十円、四十五円というふうなことで動いておつたわけでございまして、本年に至りましてお話のように非常に高くなつた。この原因は何かと言いますると、やつばり根本的に明年度におきまする外貨の点からいたしまして、砂糖の輸入が非常に少くなりやしないか、そういう一つの見通しの下におきまする需要ということが起つたために、ああいう相場が出ておるんじやなかろうかと我々考えておるわけです。で、この制度の下におきましてそういう価格が出ておるという点は、これは従来からそういう制度をとつておりましたが、三十八円から三十五円というふうに、そのときの状態によつて多少の何はございまするけれども、四十五円から三十五円という間の幅を動いておるわけでございます。だけれども、この場合におきましての需要というものは或る程度需給関係が安定しておつたと考えて差支えないんじやなかろうか、需給関係が安定いたしておりまする場合におきましては、この需給関係によりまする一つの安定価格というものが出て参つた、それは原糖の輸入の状態から見合いましてもそう不当なものではないであろうと思います。ただ最近に至りまして、二月に至りまして特に外貨の点が非常に不安であるというふうな、不安人気が出て参つたわけでございまして、これは端的に輸入物資に依存しております砂糖でございますとか羊毛でございますとか、石油等に現われておるわけでございます。 これに対する我々の対策といたしましては、この不安人気を如何にして一掃するか、勿論来年度におきます総体の輸入量の確定は現在としてはまだできておりませんけれども、差当り追加輸入をいたすことによつてこれを解消いたしたいというふうに考えておるわけです。
○阿具根登君 輸入の見通しの思惑で砂糖が上つておるというようなことをお聞きしたんですが、二十九年度の計画は七十五万トンを盛られておるように承知しておりますが、そうでありますか。
○政府委員(前谷重夫君) その七十五万トンというふうなことが世上に出ましたために、非常に不安な人気になつたわけでございますが、我々といたしましては需給の情勢等を考えまして、必要量の輸入をいたしたいというふうに考えておりますが、これは全体の外貨の状態と、各外貨に対する物資別の配分が、今度の四月から九月までの間の外貨予算が組まれるわけでございまして、この外貨予算については、現在の実情等を考えましてれ我々としても為替当局に対してはこの必要な輸入を懇請いたしたいというふうに考えておるわけでございまして、七十五万トン云々の話はまだ外貨予算が、全部組まれておりませんし、我々の、少くとも農林省におきまして七十五万トンの輸入計画を立てた事実はございません。
○委員長(栗山良夫君) 先ほどの戦争前の原糖と精白糖の比率、二〇、八〇という比率ですが、これは何か少し違やしないんですかね。というのは、私は実は名古屋の駄菓子屋にも聞いたんですが、戦争前は駄菓子を作るのに精白糖を使つたことはないというんです。それから私は農村地帯に生れたんだが、農村だつて精白糖を戦争前に食う家庭というのは極く稀でしたですね、殆んど全部の農村というのはそういう贅沢な砂糖を食べたことはない。勤労者でもそうだと思うんですね。従つてこれはやはり根本的に数字が違うと思うんだがね、八〇、二〇は……。
○政府委員(前谷重夫君) これは、戦前の調査は、結局国税庁の消費税のこれから推定する方法しかないわけでございます。それから、我々としては税金の関係から、これは一種、二種、三種という形で税金の枠がきまつておりますので、それから推定いたしておる次第でございます。
○吉田法晴君 これは食糧政策として原糖或いは原糖の多少の加工を加えて安い砂糖を食わせる方法はないか、これは先ほど他の委員から質問というか、意見が出たんですが、これは一つ長官としてお示しを頂きたいと思うのでありますが、それが一つ。 それからまあ税金の点もございますが、戦前の税から推算いたしまして二〇%というものについては、恐らく税金関係ですから、税金が少なかつた或いは極めて低率であつたということからする逆算の結果だと思うのです。こういう点についてはどういうようにお考えになりますか。
○政府委員(前谷重夫君) 戦前のやつは、先ほど申上げましたように、税率もきまつておりまするし、その税率から、これはまあ出荷の場合に税金がかかるわけでございますから、税収からいたしまして、その税額からその数量を逆算しますと、その種類の砂糖がなんぼ出荷されておつたかということがわかるわけでございます。そういう点から推算をいたしたわけでございます。つまりその年における砂糖消費税のうち一種、二種、三種の割合がなんぼかということになりますると、その一種、二種、三種の税率がきまつておりまするから、それから逆算すれば一応の数量の推定ができるわけでございます。そういう面から計算いたしておるわけでございます。第一の点の精製糖、それからすそ物の花見であるとか中ざら等のそういうすそ物の関係でございますが、これは消費者の希望ということによつて、その糖種をだんだん変えて参る。これは、まあ理論的には勿論そういうことが考えられ得るわけでございますが、現在の統制を行なつておらない状態におきまして、この業種を限定し、又その価格を限定して公定価格でも作るというわけにも参りませんから、やはり全体としての需給関係を考えて、需給調節によつて考えなければならないというふうに基本的には考えておるわけでございます。 ただ将来の問題といたしまして、為替等の関係におきまして相当に輸入が絞られるということになりますと、現在のような需給関係からいたしまして、需要が供給に対してオーバーするという状態の下におきましての価格というものの関係は、需給が大体バランスいたしておりまする状態とはそこは又別の状態になる、正直に言うと。それに対して、ではどういうふうに考えるかということは、我々としても十分考えなければならない。これは四月以降の外貨予算の折衝を通じてどの程度に外貨が確保できるかという面と相待ちまして、非常に外貨が節減されるために需給関係が非常に均衡を失するというような場合には、更に現在の制度の適否については再検討をいたさなければならないというふうには考えておるわけであります。
○吉田法晴君 では現状の制度、外貨割当をそのままにして、需給の中で考えられないかというのではなくして、一応の事情、百万トンなり或いは七十数万トン、この推算される需給の中で、製糖工場を通じて殆んど精製糖が市販に出る、こういうあれではなくて、粗糖をそのまま流す、或いは粗糖に消費税の問題もありますが、特定のこういう粗糖その他については消費税を免除しても安い粗糖を流す、こういうことを食糧庁長官としてはお考えになりませんかと、こう言つておるのです。
○政府委員(前谷重夫君) 消費税の問題は、実は我々も当初の大蔵省原案よりも今度の消費税の値上げというものに対しては低くきまつたような事情にあるわけでございますが、これは消費税がございまする以上、消費税を免除するということは全体の税収の問題と関連いたしまするので、我々としてはこれは困難ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 ではこの粗糖で流すというふうなことにつきましても、これは個々の家庭の消費でございまするので、やはり一つの配給統制か何かしないと、例えば輸入業者割当をする、或いは卸のほうに外貨の許可を認めましたところで、どうしても的確に参りませんので、そういう形ではなかなかこの問題の解決は困難ではなかろうかと、かように考えておりまするし、又勿論お話のように粗糖と精糖との消費の関係というものは、粗糖価格と精糖価格との差額との関係におきまする消費者の選択という問題もあろうかと思います。
○委員長(栗山良夫君) ちよつと伺いますがね、最近街で製糖業者が粗糖を脱税して闇流しをしておるという噂を聞くんですが、これはどつから原因が来るかということを私ども調べてみると、要するに歩どまり九三%とこの原価計算に書いてあるのですが、実際の歩どまりはこんな低いものじやない、九六%くらいあるというのです。だからその差額くらいは十分流し得るのだと、こういうことを聞いておるのですが、そういうことをお考えになりませんか。
○政府委員(前谷重夫君) お答えいたしますが、これは政府が統制をいたしまして、歩どまりをきめて、その歩どまりによつて政府が買上げるということになりますと、お話のような状態があろうかと思いますが、併しこの歩どまりは一応の平均歩どまりでございますまして、各工場といたしまして歩どまりを上げるように合理化に努めておるわけでございまして、九三とか九四というのは一つの平均的なものでありまして、これを強制しておる何物もないわけでございまして、製糖工場といたしましては、先ほどもお話がございましたように相当能力があるわけでございますので、むしろ原糖不足というふうな状態でございまするので、製糖工場がこれを他に流すという、それは歩どまりの関係というふうな関係にはならないかと思います。 脱税の点は我々としてもまだちよつと、これは大蔵省の管轄で、これは厳重にやられておることだろうと思います。
○委員長(栗山良夫君) それからもう一つ伺いますが、稼働率というのはどのくらいになつておりますか、工場全体の。
○政府委員(前谷重夫君) 大体現在といたしましては五〇%をちよつと越える程度ではなかろうかと思います。御承知の通り一律割当ではございませんで、バーダーとかスイツチとかでそれぞれ業者の間に原糖の入手の力が違います。
○委員長(栗山良夫君) とにかく戦争直後にゼロであつたものがだんだん殖えて行つて稼働力が五〇%に行つている、一〇〇%を切つて。そういうことは、これは業者のドル割当獲得のための競合の結果だと見てよろしうございますか。
○政府委員(前谷重夫君) この業者の設備能力の増設問題、確かにお話のように、一因といたしまして能力割当という割当方式というものが、これは製糖業者に対する割当方式の問題として……、これは一般に原材料を当てまする場合に、砂糖に限りませんで、綿なりその他におきましても能力割当をやりまするとその傾向があるということは、これは否定できんと思います。ただ一つは、従前からもよく言われておりましたが、或る程度日本といたしましても加工貿易というふうな点も、戦前は朝鮮、満州等にはいたしておつたわけでありまして、そういう一つの業者の将来に対する考え方もありましようし、これはいろいろな原因を総合して見た結果だろうとは考えられます。
○委員長(栗山良夫君) 併しそれはそうでしようが、普通の経済雑誌に対する砂糖の批判等を見ますと、殆んどウエートがそこにあるように書かれておるので、私ども読んでそれを見ておるのですが、やはり重点はそこにあるんじやないでしようか。
○政府委員(前谷重夫君) それは現在におきましては先ほども申上げましたように、その能力を四〇のウエートにして、非常に能力の重点は少いウエートになつております。能力が足りません場合におきましては、能力割当の能力の割合というものを多く見ておりましたから、委員長のおつしやるような点は確かにあると思います。ただこの各製糖工場に平均に割当てるものといたしましては、やはり実績でございますとか能力とかいう客観的なものでございませんと非常に割当の基準としてとりにくいという点はあるわけでございます。
○委員長(栗山良夫君) わかりました。そこでとにかく終戦後にできた設備であつて而も稼働率は五〇%になつておる、資本だつて相当負担が過重しているわけですね。それは要するに業者の生産に対する熱意だというふうに解釈すれば別ですけれども、そうでなく解釈した場合に、そういう負担が、過剰投資の負担がとにかく砂糖の値段という大衆への負担に転嫁されているということをお認めになりますか。
○政府委員(前谷重夫君) これはまあ需給状況とも関連しますが、そういう負担されるということはこれはあり得ると思う。これは需要がない場合におきましては、仮にこれが百五十万トンというふうな供給のある場合となりますると或いは負担し得ないし、供給が少くなくなれば負担しやすい、こういう形になろうかと思います。
○委員長(栗山良夫君) これは稼働率が下がればこれは当然負担されることにきまつているのですが、その点大体異議ないようですからよろしうございますが、そうしますと現状のような外貨割当をやつて行けば、これはやはりどんなにしたつて国民の負担にかかつて来る。製糖会社が今のような経営をやつている以上においては負担がかかつて来る。これを外す途としては一つしかないと思うのです。何かと言いますと、製糖会社の外貨割当を私は削る必要はないと思うのですが、問題は消費者割当を断行して、そうして原料糖は、今言つたように入つて来る原料糖はいろいろ種類があるということであれば、私は銘柄を指定してもいいと思うのです。銘柄を指定して消費者割当を断行して、そうして製糖会社が作つて来る精白糖と原料糖とを市場で競争させる、そういうふうなことをやらなければ今の製糖のこういうカルテル行為のような恰好で値段が保たれて、而も全部殆んど九〇何%が精白糖であつて、国民がそんなに要望しなくても、安いものでも食べられる、悪いものでも食べられるのに、実際食べることができない、こういうような事態改善されないと思うのですが、そういう意思はございませんか。
○政府委員(前谷重夫君) この割当の方式につきましては、需要者の割当の方法として、つまり自由に貿易業者に割当てて、貿易業者がそれを一般市中に流して行く、こういうふうなことも考えられないことじやないと思います。ただ全体の糖価を、それを下げるためにそれがどの程度の役割を果し得るのかということはよく検討しなければならん。と申しますのはやはり御承知のように市中に、需給関係からいたしまして、精糖のみならず粗糖についても取引所において値段が出るわけであります。その場合に輸入業者が採算価格、コストとしての価格はあるから、コストの価格で以て売つて、而もそれを通ずる卸小売がそういう形に、一定のマージンで以て流れて参るということになりますと、やはりそれは一つの利益関係が動きますから、高いほうに流れるということも考えられますし、配給統制をやらない前提において、そういう場合におきましても非常に又別のむずかしい面が起つて来るのではなかろうかということが考えられるわけであります。
○委員長(栗山良夫君) そうすると消費者割当が砂糖の価格操作に若干の価値があるということを認め、そうして消費者割当を絶対にすべきでないという否定をせられないということは確認しておいてよろしうございますか。
○政府委員(前谷重夫君) その点につきましては実はそういう考え方もあり得まするので、我々としては来年度におきまする需給を睨んで消費者割当だけが一つの方法かどうか、これも検討する要があると思います。現在の我々のやつておるやり方が、一つの需給を前提といたしたやり方であつたのでございますから、その需給の前提が変るということになりますと、当然我々としてもその方式については再検討をいたしたいという考え方は持つておる次第でございます。ただどういう形で具体的に改善するかという結論にはまだ達しておらないのでございます。
○吉田法晴君 食糧の中で主食はなお統制をしておりますね、砂糖はその外貨割当等以外にはない、而もその中の九十数%が製糖会社に割当てられているが、砂糖が高くなり或いは砂糖会社がべら棒にと言つちやおかしいんですけれども、ほかに比べて相当高率の利益を得ているのが原因だと思います。そこでそれをどうするかという方法について、今委員長から一つ一つ指摘せられて考慮を促したわけですが、例えば先ほど、念書を取つて、これ以外では売つちやいかんという話がありましたようですが、価格協定というか或いはカルテル類似の行為があると思つておられませんか。或いはそういうことは全くないとおつしやいますか、その点一つ長官から。
○政府委員(前谷重夫君) これは御承知のように独禁法で禁止されておることでございますが、カルテル行為というふうなことは私はないと思います。ただ取引所の相場が好調を呈しておりますと、それを見て製糖の出荷価格というものがきまつて行くということはあり得ると思います。
○吉田法晴君 例えば取引所の価格それ自身が、九十数%製糖会社が操作するということによつて、実際に取引所の価格それ自身をもこれは製糖工場が如何ようにも、まあカルテルでなくても、意思の疏通があるならば操作し得るということは、これは見やすい事実だと思うのです。そういうものを含めて価格の維持のための操作というものが砂糖会社によつて行われておるとお思いになりませんかどうか。
○政府委員(前谷重夫君) 実は我々二十七年度において統制を解きまする場合に、現在砂糖の会社が約二十社ございますが、そういう統制を解きますると、そこに価格の目安がなくなる、そこで現実市場としての取引所を創設して参る、そうしてその取引所が取引所の機能を果たしまして、需給の情勢を判断して参つて一つの基準相場が出て参ります。その基準相場によりまして製糖会社なり卸がやつて行くということが通常の自由な流通の場合の一つのルールだと思います。従いましてその方式によつておるわけでございますが、取引所を操作してそういうことをやるということは私は困難ではなかろうかというふうに考えられます。
○吉田法晴君 その点はもう少し詳しく論議しなければなりませんけれども、一応現状では価格の実質的な操作も行われておるのではなかろうか。例えば念書を取つて一つの価格維持の方法でありますが、これは論議になりますから次に譲ります。 それから四十何円という価格が従来においてはこれは或る程度安定しておつた、妥当な価格であるという御意見のようでありましたが、従来の砂糖会社が占めて参りました利潤率と申しますか、利益率と申しますか、或いはそれによつて株価の現状等を考えてみましても、問題は食糧、それを加工し販売をいたします会社の利益率として、長官として妥当であるとお思いになつたかどうか。歩どまり六三%或いは九三%、九六%という話は、先ほど委員長もいたしましたが、それらも含めて会社の経営の実態といいますか、或いは運営の実態というものについて如何ように考えておられますか、その点一つ承わりたい。
○政府委員(前谷重夫君) 歩どまりについては先ほど委員長にお答えした通りでございますが、利益率の問題になりますると、これは資本の関係でございますとか、或いはそれに運転資金の自己資本、借入資本との関係、これは総収益の場合と純利益の場合と両方それによつてそれぞれ違つて参ると思います。これは一般的に経済が下降期、上昇期では非常に事情が違うかと思うのでありますが、これは他産業との比較論もありますが、一概に一つをとつてこれが妥当であるかどうかということは、ちよつと私としても見当がつきかねると思います。
○吉田法晴君 そうすると、例えば今外貨割当その他を通じてまあ操作がなされておるというだけで、統制をやめたから、そしてあと儲けるのは幾ら儲けてもと、こういう傾向になつておりますが、そこで外貨割当を取る、或いはそれが初めは能力が非常に大きかつた、最近では実績五〇%と、こういうことになつているいきさつは先ほどの答弁で承知いたしておりますが、外貨割当を取るということが三〇%近い利益率を得るかどうかの大きな鍵になりますので、外貨割当等の政府の行政措置に対しましていろいろな集中的な努力がなされた。これに関連していろいろな問題が起り得ると思うのでありますが、この方法を長官としてなお唯一最善のものと考えられますか。統制か或いは自由か、そしてその中でただ外貨割当だけ……、こういう方法は、或いは利益率なり、それから外貨割当をめぐりますいろいろな問題等を考え合せますと、私は考慮さるべき面があると思うのでありますが、長官は食糧行政の責任者としてどういう工合に考えられますか。
○政府委員(前谷重夫君) 御承知のように我々といたしましては、流通経済が自由になつておりまする場合におきましては、これはその前提といたしまして為替関係も自由であるのが筋合だと思います。併しながら現在の日本の外貨事情というものはそれを許さないのでございます。従いまして一定の量というものをこれは各物資共に抑えて参らなければならない。そういたしますと、その中間におきまする為替の割当ということは、外貨の事情からいたしますると、これは止むを得ない措置ではなかろうか、かように考えるわけでございますが、流通段階が自由になつておつて、そこで為替を締めると、為替に限度を置くということになると、そこに一つの矛盾が起きます。その矛盾をどういうふうな形においてその両者の間を調整して参るか、こういう問題であろうと思うわけであります。で或る程度我々といたしましては需給が大体バランスをとれる程度におきましては、外貨割当の方式というものはそう消費者価格に影響はないと私は思う。ただその場合に需給がアンバランスになつて来て、外貨が締められるというふうな場合におきましては、外貨割当の方式が、その利益がどこに寄るか、或いは価格がどういうふうになるかということに関連をして参るというふうに考えられるわけでございまして、そういう点について需給のバランスが、今年度としましてはほぼバランスが百万トン程度でとれるのではなかろうかと思いまするが、こういうものでありまするから先行の不安が非常にある。そういたしますと明年度におきましての外貨予算がどう組まれるかということに対する一つの不安があると思います。従いまして我々といたしましても先ほども申上げましたように外貨予算の編成を通じ、そして割当の方式というものは、その外貨予算の量如何によつてはこれは再検討しなければいかんということは考えるわけであります。
○吉田法晴君 だんだんまあ問題のところへ入つて参りましたけれども、農林大臣或いは通産大臣等も御出席願えないようでありますので、時間も大分遅くなりましたし、関係者御出席の上で質問を続行するということで、私はこの程度で本日は質問を留保して終りたいと思います。
○委員長(栗山良夫君) では本日はこれにて散会をいたします。 午後六時四十八分散会