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19回国会参議院1954/04/26

予算委員会 第29号

発言数
10
登壇者
7
会派数
6
開催日
1954/04/26

会議録

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。  一昨日の委員長及び理事打合会の申合せにより、只今より昭和二十九年度特別会計予算補正(特第一号)について討論に入ります。討論の通告があります。順次発言を許します。

江田三郎日本社会党(第四控室・左)

○江田三郎君 私は日本社会党を代表しましてこの予算の補正に反対の意思を表明いたします。  この予算補正は、いわゆる羊頭狗肉でありまして、文字通りけしからん内容のものであります。表に掲げられている看板は、経済援助資金特別会計となつておりますが、MSA協定に経済援助がないということは、先だつて佐多君の質問によつて明らかであります。政府はMSAに経済援助がある、こういう宣伝をしておりましたので、名目上アメリカから使つてはならんと言われておる経済援助の看板を掲げて、国民を欺こうとしておるのでありまして、私どもこういうような、先ず看板から偽りありという点において、この予算に賛成をいたしかねるのであります。看板は只今申しますように、羊の頭でありますが、その中味はいわゆる狗肉であつて、或いはもつと的確に言えば、国民が腹痛を起すような腐つた肉であると言うこともできると思うのであります。  なぜかと申しますと、以下その理由を申しますが、明細書には三十六億円を工業力強化投融資をすると書いてあります。この言葉を文字通り受取れば、現在日本の工業を強化さすために最も必要なものは、弱い基礎産業の強化であることは多言を要しません。然るに工業力強化の内容を質してみますと、それは防衛産業の強化だというのでありまして、ここにも偽りがあるわけであります。ところが防衛産業にしましても、種類が多いのでありまして、その中のどういう部門が強化されるかということによつて、将来の日本の方向が大きく左右されるのであります。例えば小銃が作られるのと、或いはジェット戦闘機が作られるのとは、今後の日本の方向に大きな相違を来たすのでありますが、甚だ奇怪なことに、この三十六億円の投資がどんな部門に与えられるかということは、何ら示されてありません。幾ら質しても明確にされないのであります。細目がきまらないというのでなしに、投融資の大綱さえもきまつておらんのであります。投資なのか融資なのかさえもきまつていないのであります。大蔵大臣は採算のとれる工業ベースで開発銀行を通じて貸すのだと言われております。ところが通産大臣は、例えばジェット・エンジンの試作等に出資することがあるかも知れないというのであります。ジエツト・エンジンの試作というものは、木村委員からも指摘がありましたように、少くとも二年ぐらいの時間を要するものであり、とても採算のとれるものでないということは、常識ではつきりしております。こういう点、両大臣の意見は全く対立しておるのであります。政府部内で意見の一致を見ないままに、この予算補正を承認せよというのは、乱暴というだけでなしに、違法と言うこともできるのではないかと思います。内容のわからんままに国会に白紙委任状を要求せられることは、恐らく先例のないことでありましよう。  而もこの予算補正の金を使うに当つては、日本政府とアメリカ政府の合意に聴くということになつておりますこおよそ金を出す者と金をもらう者との話合いということになれば、誰が考えましても、金を出すアメリカ側の発言権が強いにきまつております。この点からして私どもは、この補正を承認いたすことによつて、日本国の予算行使の白紙委任状をアメリカ政府に渡すことになりまして、国会は国を売るものなりと糾弾されても返えす言葉がないと思うのであります。日本が独立国でありますならば、政府はあらかじめアメリカ側と話合つて、その結果、きまつた内容に基いて、国会の承認を求むべきであります。今回の政府のやり方は、如何に総理大臣が云々されるところから言いましても、余りにも常軌を逸しておりまして、独立国日本の国会である限り、何人も承認し能わざるところと固く信ずるのであります。こういう状態のまま国会が白紙委任状を書渡すならば、その結果、何が行われるでありましよう。或いは造船疑獄の二の舞を繰返すかも知れません。それよりもつと恐しいことは、この金によつて現われて来る防衛産業が、逆に我々を支配するということであります。若しこの金が特需収入を目的とする部門に使われるならば、日本はその経済力を持ちこたえて行くために、いつまでも特需と離れることができないで、自立経済は望めぬことになるでございましよう。若しこれがジェット・エンジンに、或いは進んで康子兵器等に向けられるということになりますれば、このような防御難業を持つために、これが維持し発展さす本能的な要求によつて、本格的な再軍備に引きずりこまれることになるのでございます。木村保安庁長官は、近代兵器の驚くべき進歩ということからして、日本の防衛長期計画は立たないと述べておられますが、このような近代兵器の生産に足を踏みこむことによつて、防御産業自体から、防御計画が性格付けられることになるのであります。この予算補正は、僅かに三十六億円に過ぎません。併しこれが呼び水になるのであります。慎重な検討を必要とするのであります。然るにその内容が全然不明であり、白紙のままアメリカの指図によつて使われるということに、我々は断じて同意いたすことができない。  更にこの三十六億円には、来年度も続くものがあるということに注意しなければなりません。本年一月アイゼンハワー大統領は、予算教書において、今後三年間に十億ドル過剰農産物処理を行うと述べており、来年度は三億ドル、うち一億ドルは日本向けと言われておるのであります。岡崎外務大臣の説明によると、この一億ドルが実現される場合には、今回の五十万ドルと同じような協定になるということであり、従つて今回の取扱い如何が、今後の前例になるわけでありまして、その点からも慎重を要することであります。  もう一つ根本に遡つて考えなければならないことは、この三十六億円を生む根本の、本年度の五千万ドル、来年度予想される一億ドルの農産物の輸入が、どういう影響を持ち来たすかということであります。これによつて本年度の小麦の輸入は百九十六万トンになるが、来年度も農林大臣の説明によりますと、同程度の輸入計画だというのでありますが、本年度の百九十六万トンは、昨年が大凶作でありましたため、凶作分をカバーしたものということができますが、平年作の場合、百九十六万トンの輸入は、日本として過剰手持ちになることは必至であります。農林大臣は食生活の転換を図ると言つておられますけれども、一年や二年で数十万トンの米作を浸食に置き替えることはできないのでありまして、過剰手持ちは必至であります。政府はすでに二十九年度予算におきまして、食糧増産の費用を削りましたが、更に本年産の麦の価格の決定について、昨年行われたところの特別加算を打切るのではないかと伝えられております。来年度も過剰手持ちになるのであります。こういうようにアメリカの麦を買うことになれば、恐らく日本の国内の食糧増産というものは一瞬軽視されるでございましよう。すでに本年の小麦作付け反別は三・五%減つておりますが、来年度はもつと減るのではないかと憂慮されます。アメリカ側が処分に困つておる農作物を、日本自身が過剰で困るほど多量に輸入して、アメリカ政府に代つて倉敷料を負担して、而もそのために日本の食糧を自立のために増産を図るのではなく、いつまでも外国食糧に頼つて、そうして減産に落し込んでしまうのが、この五千万ドルであり、或いは続くところの一億ドルということになるのであります。こうした買付の二割の金が、一番ひどい影響を受ける農業の方面にでも投資されるというのならば、まだ話はわかりますが、これが経済援助という看板の下に、アメリカの指図によつてアメリカの世界政策上、最も必要な方向に使われるということに対しましては、我々は断じて賛成することができないのでございます。  以上申述べました理由によりまして、この予算補正に対しまして、我々は飽くまで反対をいたすものでございます。(拍手)

高橋進太郎自由党

○高橋進太郎君 私は自由党を代表いたしまして、本補正予算案に賛成をするものであります。  本補正予算案はMSAの協定に伴う諸条項を、予算的にその受入態勢を整えんとするものでありまして、本案は適当なる予算措置であると信ずるものであります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 只今議題となつておりまする昭和二十九年度特別会計予算補正(特第一号)に対し、私は社会党第三控室を代表して反対の意見を表明するものでございます。  今日吉田内閣は、国民怨嗟の的となつていると申して過言でないと思うのでありまして、過去五回に亘る組閣に成功し、長期に亘る政権を担当したのでありまするが、その失政の累積の結果は、遂に汚職を生み、疑獄を生み、閣僚にして疑惑の焦点に立つ者あるに至つたのであります。日頃綱紀粛正を説き、国民に耐乏生活を要求し続けて来たこの内閣の法務大臣は、党三役の一人たる幹事長に検察庁より逮捕状の要求あるや、法によつて許されているとなして、検察庁法第十四条を発動し、未だ前例を見ざる指揮権の発動をなし、かかる重大なる手続をなすや再や、無責任にもその職を辞したということは、未だその実例を我々は知らないのであります。この点に関し国会の追及に会うや、総理及び副総理は異例ではあるが違法ではないと申されたのであります、吉田内閣の保有していた良心の最後の一かけらすら今日忘却したことを天下に示すに至りました。  先般、本院は多数を以て政府に対する警告決議案を議決いたしたのであります。且つ衆議院においては、内閣不信任案は否決されたのでありますが、政府はこれを以て内閣は信任されたというようなことを申しておるようでありまするが、これは何ら積極的な内閣信任でないことは、申すまでもありませんし、多数の国民は断じて現政府を信頼、していないと思うのであります。  汚職と疑獄に包まれ、民心全く離反した現内閣の下において、且つ本院における警告に対し一片の誠意を見せざる内閣の下において、この参議院は重大なるMSA協定に基く補正予算案を審議することを余儀なくされておりますことを、私は諸君と共に悲しむものであります。この経済援助金は、言うまでもなく、MSA協定に基くところのアメリカ側より援助提供の一つとして与えられたるものでありまするが、我々は平和憲法擁護の建前から、この援助の前提となるMSA協定そのものに反対をして今日に及んで参りました。本院においてこの協定は未だ成立をしておりません。従いまして、基本的な立場からして私は本予算に対し反対せざるを得ないのであります。  次に、私は、この補正予算の具体的内容に関連して反対の意思を表明いたしたいと存じます。ここに議題となつておりまする補正予算の内容は、三十億余万円の経済援助であると政府は申しておりまするが、その使途の具体的計画その他が、先ほど江田委員の討論にも現われましたように、明快でありません。従いまして、これは我々をして言わしめるならば、審議の前提条件を充しておるとは言い得ないと思うのでありまして、賛成、反対の最終意思を生み出すことはできない段階ではないかとすら思われるのであります。併し質疑の過程において明らかとなつたことは、この補正予算の結果、日本経済に与える影響は極めて大であり、その方向がほぼ了解されるということであります。それは即ち、昭和二十九年度予算において、食料増産費を大幅に削減した吉田内閣は、今般の補正の結果、MSA小麦の輸入は、結果的に我が国農業生産力の停滞に大きな拍車をかけ、悪影響を与えることを見逃しておると思うのでありまして、かような農村への影響を考えてみまするときに、当然としてこの三十六億の同割かは、MSA協定の直接被害者でありまする農村、農民にこそ支払われねばならん筋と思われるのであります。然るに吉田内閣の外交政策の失敗は、この援助金の使い方を全部軍事力の強化の方面に紐付とされたのでありまして、農村に対する考慮の全然払われていない点からいたしまして、私は反対せざるを得ないのであります。  次に、今般の援助計画は、MSA小麦の輸入代金の二割三十六億を以て我が国の十業を軍事化し、米国軍需生産と同一規模に従属させようとするものなりと論ぜられても、弁解の余地なきものと言わざるを得ません。即ち、援助範囲は兵器、特需、保安庁需要のごときものに明り融資されるからであります。先に政府の提出した。いわゆる緊縮財政の必要、それを一方に説きながら、保空庁費を大幅に増加したと同じ形において、今般は仮に意図するとしないとにかかわらず、いよいよ再軍備促進の補正予算なりということが言い得ると思うのでありまして、私の賛成をいたしかねる点であります。  次に今般のこの予算上、農産物輸入とその援助金に関連して、我々が銘記せねばならないことは、日本の貿易雄造が大きな変化を来たすということであります。第三には、日本の主要経営体の方向が大きく転換されるということ、具体的には我が国産業の軍事化を指摘しなければなりません。この際、これらについて詳しく述べることをいたしませんが、以上の各点を考慮いたしまするときに、MSA協定の成立、その一部としての今般の補正予算の成立は、日本の運命をアメリカの世界政策に従属させる性質のものであると言わざるを得ません。結局、自主性の基本線から農業生産力と工業生産力をアメリカの支配下に委ねることが、すでに予想されるのでありまして、我々はこの点を断じて肯んじないものであります。  以上の理由によりまして、私どもの会派は本補正予算に対し反対の意思を表明するものであります。(拍手)

森八三一緑風会

○森八三一君 私は只今議題になつておりまする昭和二十九年度特別会計予算補正(特第一号)に対しまして、縁風会の議員総会の決定に基きまして、原案に賛成をいたすものであります。  ただこの際、一、二の希望を申し添えたいのでありますが、その第一はこの補正予算の財源はアメリカの贈与に基くものでありまするので、これが使用につきまして、米国側との了解を必要といたしますることは、常識的によくわかるのでありますが、いやしくも贈与をされたということでありまする限りにおいては、その運営の最終的な決定については、どこまでも日本の自主性が保たれて行かなければならんと思うのでありまして、このことはこの運営の町におきまして、十分御留意を頂きたいと思います。将来このことがアメリカにおきましても、特別な制度として法律化されるやに聞くのでありまして、そういうようなことにでもなりますれば、このことは恒久的なものになつて来ようと思います。そういうようなことを想像いたしまするにつきましても、今申上げましたこの運用が自主的に日本の経済の自立を品指して行わなければならんということは、これは当然のことでありますので、そういう趣旨において、この予算の使用運営がなされますることを特に希望いたしたいのでありまして、そう考えて参りますると、必ずしも防衛産業ということに局限されるという必要がないのではないか。もう少し視野を広くして、その使用運営がなされて行かなければならんと思いますので、そういうような点について十分留意をされたいのであります。  なお、この補正予算の求められまする基礎である協定が成立の過程にあるというような関係等からいたしまして、米国側との了解が十分に時間的にできなかつたというような諸般の問題はあろうと思いまするが、予算提出の形式において、その内容がまだ具体的に十分に定まつていない点もあるのでありまして、これは今回だけの臨機的な予算の提出形式と我々は了解しておるのでありまして、今後予算の提出につきましては、その内容について十分政府の意図する具体的なものが説明されることを希望いたしておきたいと思います。  第三に、協定の第三条には、これによつて市場における通常の取引を排除したり、或いは代替をしてはならんというようなことが明記されておるのでありまするが、そう考えて参りますると、或いは将来平年度になりますると、この余剰農産物の輸入ということが、国内の食糧自給体制確立という増産の面に暗影を投げて来るようなことも想像せられますので、日本の経済目立の観点から、国内食糧時給度の向上ということは、これは今更愚言を差加える必要がありません絶対の命題であると思います。このことに利しくもこれが悪影響を持ち来さないように、具体的に申しますれば、このことを通じて国内生産農民に経済的な圧迫が加わつて来る、そのことが生産意欲を阻害害してゆくということになりましては、これは角を矯めて牛を殺す結果になるわけでありますから、こういう点につきましては、十分に留意をせられ、国内における食糧自給の体制が確立されてゆくことを十分堅持されたい、そういう施策については万全を期して頂きたいという希望を申添えまして賛成いたす次第であります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私は昭和二十九年度特別会計予算補正(特第一号)に反対するものであります。  この補正予算は金額は小さいが、その性質は非常に正大な意味を含んでいると思うのであります。先ほど江田委員も御指摘になりましたが、憲法上、財政法上或いは又我が国の政治上、外交上、経済上、重大な関係を持つていると思うのであります。そういう意味で私は以下六点に亘つてその反対の論拠を明らかにいたしたいと思うのであります。  その第一は、憲法に違反し、且つ日本の外交、政治、或いは財政、経済の自主性を失わしめるものであるという点であります。MSA協定は米国の対ソ戦略のうち、極東戦略の一環を日本に担当せしめるために、実質的占領の継続による米軍の圧力と、それから対米一辺倒の吉田傀儡政権を巧みに利用して、憲法第九条に違反してまで、我が国に再軍備を要請しているのであります。形式は相互防衛協定となつておりまするが、実質は我が国の犠牲においてアメリカを一方的に防衛するための軍事的協定であります。これを具体的に申しますれば、MSA五百十一条(a)項によつて軍事義務を先ず負う、即ちミリタリー・オブリゲーシヨンを負う。このことは米国と一緒に戦争に参加する義務、そういうものを負うわけであります。第二には、戦争に参加するに必要な手段としての宵軍備の義務、即ちディフェンス・フオーセズとか或いはディフェンス・アーミとかいわれるものの創設の義務を貰うわけであります。第三には、再軍備を可能ならしめるために防衛能力、いわゆるディフェンス・キヤパシテイー、経済の軍事化、兵器産業の強化、そういう義務を負うわけであります。この特別会計資金はMSA協定の軍事産業強化の義務、ディフェンス・キヤパシテイーの強化の意味、即ち日本の産業の軍事化、そういうものに使用されるわけであります。これはこの補正予算では金額は僅かに三十六億ですが、先に緑風会の森委員も指摘されました通り、今後この金額はだんだん大きくなり、これは大幅に日本の経済を軍事化するということが現われて来ると思うのです。これは明らかに憲法に違反するばかりでなく、この運相は米国の同意を得なければならないことになつておりますので、いわゆる紐付きの資金であり、我が財政経済の自主性を失わしめるものであると思うのであります。  それから第二の反対の論拠は、財政法の精神に違反していることであります。我々に提示されましたこの補正予算を見ますと、第一条おいて「経済援助資金持別会計の昭和二十九年度歳入歳出予算を、別冊甲号のとおり定める。その詳細については、別に添附する歳入歳出予定計算書に掲げる」と書いてありまして、別冊の添付されたる資料を見ますると、歳出と歳入の金額だけ書いてありまして、特に「資金運用及使用計画表」というものがございまして、これを見ますとただ一行「工業力強化投融資」としまして三十六億三千三百万一千円が書いてあるだけであつて、その内容は全然ここに示されておらないわけです。で、これは各委員も指摘しました通り、白紙委任状でありまして、私は大福帳よりもつとこれはひどいものであると思う。明らかに財政法の予算の明瞭性の原則というものについて、これは違反していると思うのです。予算はその優越が明瞭でなければならん。これが民主財政の基本原則であります。こういうような予算の出し方は、これは国会を侮辱したものだと思うのです。そういう意味で賛成できないわけです。更に又政府の運用計画さえまだきまつておりませんで、大蔵省、通産省の間にまだ意見が調整されて知りません。先ほど各委員が指摘しました通り、投資なんであるか、融資なんであるか、この点もはつきりしてないのです。一応大蔵省としては、資金の供給は開銀を通ずる融資とする、開銀の対象は主として防御産業として、これに若干の関連産業を含め、原則として採算ベースに乗る企業を対象とするという、この程度の原則は意見が一致したようでありますが、併しながらこの三十六億のうち、相当大きな金額を占めると思われるジエヅト・エンジンの試作については、大蔵省側はこれに反対しているわけなんです。これは採算ベースに合わないわけなんです。これは補助金的性格を持つものでありまして、併しそれについてもまだ意見が一致してないと、こういうような説明なんであります。これなどは全く我々に、実は賛否の態度を明らかにしていいかどうか、その素材さえはつきりしておらないのです。こういうような予算の出し方については、どうしても我々は賛成できない。これはやはり財政法の精神に違反するものだと思うのです。  それから第三の反対の理由は、この運用に当りまして、どうも私は利権的津別の疑いがあるのではないかと思うのであります。その疑いがないというならば、政府ははつきりと、例えば日本ジエツト・エンジン会社に対して融資するのであるか、しないのであるかということをはつきりここで吉明されるべきであります。又融資されるならば、どういう条件で融資されるということも明示さるべきである。我々質問いたしましても、日本ジェット・エンジン会社に、ジェット・エンジンの試作に融資するのかしないのか明らかにしておりません。白紙委任的に、これを我々承認した場合には、どういう条件で融資するのか、これも明らかでない。開発銀行を通じて自主的に融資させるというだけでありまして、これまで非常にこういうことも、もう今、口にするさえ不愉快でありますが、造船疑獄なんかも起つた例があるのであります。そこで緑風会の小林委員もこの監査について十分監督の行届くようにしなければならん、そういう意見を開陳されて質問いたしましたが、これに対してもどういう監督措置をとるかということについて明快でありません。ただ開銀をして自主的に貸出させるというだけであります。又金利についてもただ政府が開銀に貸す場合に五分五厘であるというだけであつて、又開銀が幾らで貸すということも自主性に委すというだけであつて、どうもこの運用について我々疑いがあるわけです。又これは専門家が見れば明らかになりますが、今日本でジェット・エンジンの試作をしてどれだけこれが生産が可能になるか。世界的な技術水準から見て、現在ラム・ジェットなんかは日本の技術からいえば夢のような進んだ技術が現われているときに、ジェット・エンジンの試作に補助金を与えるというのは、結局において利権的になつて、日本の生産に役立たんのではないか、そう思われるのであります。  反対の第四は、これは先ほど江田委員が指摘いたしましたから繰返しませんが、結局この資金は日本の防衛産業、ディフェンス・キヤパシテイーを強化するための呼び水でありまして、従つてどうしても軍需産業を育成することになる。又政府の説明では、当面日本の自衛隊の需要に必要な兵器を生産すること等にとどめるが、城外買付け等による特需が継続するものについても融資するという話でありましたが、それでは特需から脱却して、そうして経済自立を行うんだという政府の政策と明らかに矛盾するわけであります。経団連の今作業によりましても、今の日本の軍需産業は、日本の自衛隊の需要だけでは、とても企業的に成立たたないのであつて、承需産業を維持、育成するとなれば、相当大規模の軍備を必要とし、日本でこれが十分消化できなければ、どうしてもPATO、太平洋同盟というものに加入して、朝鮮、台湾、東南アジア諸国の兵器生産、兵器需要までも賄うということ、なければ採算が合わないのであります。そういうことになると、太平洋同盟に、こういう軍需生産の面からずるずると入らざるを得ないような方向に追い込まれて行く、そういう危険を蔵しておるのでありまして、こういう意味から言つても、これは非常に私は危険性があり、賛成し難い点を含んでおるわけです。  それから反対の第五点は、二十九年度の一兆円予算とこれは明らかに矛盾するのであります。先ず第一に、財政規模はこれで大きくなるのであります。二十九年度の財政規模は一般会計、特別会計を含めまして、一般会計の場合は、二十八年度の予算編成と同じ編成の仕方をするとしまして、二兆五千九百八十六億なんです。これは純計予算であります。二十八年度の純計予算は二兆五百億円であります。これに対して、これを国民所得に対比しますと、二十八年度は四一%です。二十九年度は四三%、殖えるのであります。それで今指摘しました二十九年度二兆五千九百八十六億の中には、地方財政の増加が含まれておるのでありまして、これは地方財政は二十九年度はダブつた部分、重複分を差引いて四百五十四億地方財政は増加しております。従つてその上に三十六億殖えるということになれば、又これは膨脹するのであつて、明らかに政府のいわゆる緊縮予算に矛盾するわけなんです。更に又第二には、これは軍需生産のほうへ向けられるわけでありますが、明らかにこれは非生産的方面に投資されるので、これはインフレ要因になる。インフレを防止するといいながら、インフレ要因をここで一つ又加えて来ておるということになります。第三には、金融面において不急不要面に設備投資をさせないといつておりなから、今戦争もないのに、不急不要の方面の兵器産業のほうに投資するということは、明らかに政府の金融政策とも矛属しております。私はそういう不生産的な方面に投資するならば、むしろこれを公債消化にでもまわしたほうが政府の一兆円予算政策に、これは合致するものである。いわんや私は我々の立場からしては、政府がこれまで住宅政策に非常な重点をおいていたんですから、住宅のほうに対する投資を増加させるとか、或いは治山治水の、農業方面にこれを融資するとか、そういうものに使うべきである、経済的にみれば。併しこれはこの協定によつて、軍需産業のほうへ使わざるを得ない。それでは二十九年度一兆円予算と明らかに矛盾するわけです。  最後に、反対の第六点といたしまして、これは日本経済にとつてマイナスであると思うのであります。MSA協定、特に又そのMSA小麦協定はプラスであるということを盛んに言われておりますが、これは明らかにマイナスです。その第一の理由は、アメリカの過剰小麦というものを日本に持つて来て——過剰小麦というものは、特定の使用価値しか持つていないのです。特定の使用価値しか持つていないものをアメリカが持つて来て、日本においては、アメリカがアメリカの好むようにいろいろな軍需品を買うわけです。アメリカの好むように兵器生産のほうにこれを投資させる。明らかにこれは不等価交換です。余剰小麦の代りにアメリカがドル現金を持つて来て、日本がドルを受取つてアメリカに軍需品を販売するならば、これは等価交換です。併し一定の使用に価値しか持つてないものをアメリカが日本に持つて来て、アメリカのほうはそれを以て日本から選択自由な軍需品を買上げる。又アメリカの意図するような軍需産業にこれを投資させるということは、明らかにこれは不等価交換です。これは決して日本の経済にプラスになるものではありません。而もこれは非生産的な軍需生産なんです。不念不要の方面に廻す。先ほど江田委員、その他各委員が指摘されました日本の農業を圧迫する。こういうあらゆる面で、贈与という形になつておりますが、これは決して贈与じやありません。日本経済の軍事化を推進する呼び水であつて、そういう面から言つて、これは日本経済にプラスになりません。従つて私はこの予算は、実はこの又予算の前提となつておる援助措置は、経済的援助措置じやなくて、不経済的援助措置である。日本に不経済をもたらすところを援助するところの資金である。非常に皮肉でありますが、私はそう内容から見まして断定せざるを得ないのであります。  以上の六つの理由によりまして、私はこの補正予算(特第一号)に反対するものであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私は改進党を代表いたしまして、昭和三十九年度特別会計予算補正(特第一号)に賛成の意を表します。  その理由といたしまするところは、本予算案は、MSA協定に伴う経済処置としてとられましたものであつて、我々としてはMSA協定についてその大綱は賛成しております以上、それに伴つた本予算案について賛成の意を表するのは当然であると思うのであります。  併しながら本予算案は、同協定に基きまして、我が国の工業の助成、その他経済力の増強に資するため必要な使途に当てるというふうな説明でありますが、これが主として防衛産業及びこれに関連いたします産業に対して、開銀を通じて投融資される金であるということは、政府の説明で明かなのでありますが、先ほど来、各委員から指摘されましたように、産業別の内訳については未だ確定したものがないのであります。通産大臣或いは経審長官としての説明も、個人のと申しまするか、内閣としてでない希望的見解の淡明にとどまつております。無論アメリカ政府のグラントであります以上、相談することは協定によつてきまつておるところでありますが、実はこの問題は昨年以来の懸案であつて、日本政府が本当に自主的に日本の経済を復興するという熱意がありまするならば、ともかくも基礎的な案はあるはずであります。然るにそういうものが何らなくて、丁度開銀に資金を供与するとか、輸出入銀行に資金を供与するというふうな形だけで予算が提出されておるのでありまして、審議の対象としては、私は甚だ不適当であるということを考えますと同時に、実は政府が見返資金の前例をとつて私どもの質問に対してお答えになつておりますが、私は見返資金のときとはよほど事態が違う。見返資金のときには、日本政府が占領下にあつて受入れて参つたものでありますが、協約として両国間に相談がされます以上、もつと積極的に自主性を持つと同時に、国会に提出される場合には、すでにそういう内容が明らかになつて出さるべきものであるというふうに考えるのであります。そういう点からは非常に私は遺憾の意を表さざるを得ないし、大蔵大臣がこれらについては十分考慮するということを言われておりますが、強く前例とならないことを政府に求めるものであります。  で、私は、政府がよく、何と申しますか、今までの態度、占領下の惰性の態度を是正されまして、そして日本経済の再建と国民生活の安定に対して今後確乎たる信念を持つてアメリカ政府と相談され、よく運用に過ちなからんことを期待いたしまして、大局的見地より本予算案に対しまして賛成の意を表します。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) これを以て討論を終ります。  これより昭和二十九年度特別会計予算補正(特第一号)について採決を行います。本予算に賛成のかたの起立を求めます。    〔賛成者起立〕

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 起立多数と認めます。よつて本予算は可決すべきものと決定いたしました。  本会議における委員長の口頭報告の内容は、前例により委員長に御一任を願います。  次に、賛成のかたの順次御署名を願います。  多数意見者署名     高橋進太郎  小林 武治     森 八三一  堀木 鎌三     泉山 三六  伊能 芳雄     小町 義夫  鹿島守之助     小林 英三  佐藤清一郎     白波灘米古  高橋  衛     中川 平平  西川彌平治     西岡 ハル  伊能繁次郎     白井  勢  古田 欄次     井野 碩哉  岸  良一     田村 文吉  高木 正夫     中山 福藏  村上 義一     苫米地義三  武藤 常介

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 御署名洩れはありませんか。……ないと認めます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後二時十八分散会

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