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19回国会参議院1954/03/23

予算委員会 第20号

発言数
220
登壇者
17
会派数
5
開催日
1954/03/23

会議録

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 只今より委員会を開きます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 ちよつと議事進行について……。予算の審議が今日の補正予算が済みますと、引続き分科会の審議に入ると思うのでありますが、分科会は、特に今度の分科会は非常に重要だと思います。これまで汚職の問題その他が断片的にはいろいろ追及をされておりますが、まだ細かな的確な審議が行われておりませんが、それらの問題に関連しても非常に重要な問題になると思いますが、分科会の運営その他については、委員長或いは理事会においてはどういうふうにおきめになつておるのか、若しおきめになつておることがあればここで御報告を願いたい。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 佐多君に申上げます。その問題について委員長理事打合会の結果は、一昨日でしたか、委員会の冒頭に私が報告を申上げてあるのですが、或いは御出席なかつたかも知れません。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 ただああいう形式的なことだけでなしに、今度の分科会は非常に重要でありますから、例えば従来は速記がないとか、何とかということで、速記をおつけにならなかつたりしておりますが、今度は是非必要なこととして速記は必ずつけて頂きたい。更には参考人の傍証申請の問題もあると思いますから、それらも是非取運んで頂きたい。それからこれまで分科会のときにはほかとの関係で責任のある大臣がなかなか出席をしないような状況でありますが、今度の場合には特に政治的な責任その他の重要な問題がありますので、大臣の出席は必ず確保する、そういうようなことを一つ確実に確約をして運営をして頂きたい、こう思うのですが、それらの点はどうなつておりますか。

青木一男自由党

○委員長(青木一君) 今の御希望の点は委員長も極力御趣旨に副うよう努力いたします。併し私確約という、例えば速記の問題でございますが、従来人員の関係等で分科会はつけておらない場合もあつたようでございます。併し今回の分科会においては、その希望を事務のほうにも強く申しておきましたから、恐らく実現できるのではないかと思いますが、併し私大臣の出席にいたしましても、約束ということはちよつとできませんが、極力御趣旨に副うように努力いたします。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 この前の理事会で委員長がお話になつたような速記の件、それから公述人の件、それが諮られたのですが、そこで実はあいまいになつておつたわけです。そこで実は今日補正が済むと明日すぐ分科会に入るのですが、それをきちんとしておかないと、このままずるずる入ると、速記は極力交渉したところが、つかないことになつたから、つけないでやつてくれでは済まないと思う。そこで念のために前に委員長に申上げてあつたので、速記のほうの交渉はどうなつたか、大丈夫つくということになつたか。明日ですから、今からその手配をしておかなければならんわけです。それからこの第一分科会に御承知のように、大体不当不正支出、汚職、疑獄、こういうものを徹底的に具体的に究明するということになつておるので、中田君もストロンチウム九〇爆弾以上のものを用意しておられるようです。僕も小型ではありますが、爆弾も用意しておるのです。そこまで我々は資料を集めて今日まで来たのですから、この第一分科会については、特にきちんとこれをきめて、そうして入つて頂きたい。そのためには多分今日昼休みあたりで休憩になるでしよう。或いはそのときに理事会を開くか、或いはこの補正が済んだあとでも、理事会を開いて頂いて、このことはきちんと一つおきめ願つて分科会に入つて頂きませんと困ると思うのです。なぜ今私発言したかというと、このままずるずると入つてしまう危険がありますので、この点念のために委員長にはつきりその点はして頂きたいのです。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) ちよつと申上げます。分科会の運用について御懸念があるようでございますから、お昼の休みの間に理事会を開いてお知らせいたします。  それでは大蔵大臣から二十八年度一般会計予算補正第三号について説明を求めます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 今回衆議院において議決され、参議院に送付されました昭和二十八年度一般会計予算補正(第三号)の御審議を願うに当りまして、その内容につき御説明いたしたいと存じます。  政府は先に第十八回国会において昭和二十八年度予算補正(第二号)を提出するに当りまして、義務教育費国庫負担金につきまして、義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案を再提出し、同法案の成立を前提といたしまして、いわゆる富裕都府県に対しては、昭和二十八年十二月以降不交付乃至減額の措置をとることを予定し、同年十一月までの所要額約二十五億円のみを計上いたしたのであります。然るに、同法案が不成立に終り、富裕都府県に対する昭和二十八年十二月以降の給与費負担金控除額相当分が不足することとなりましたので、その所要額二十七億八千万円を補正追加するため、ここに昭和二十八年度一般会計予算補正(第三号)を提出いたした次第であります。  今回の補正追加額二十七億八千万円の内訳は、東京都十五億六千五百万円、大阪府十億三千九百万円、神奈川県一億七千六百万円でありますが、その財源の調達に当りましては、飽くまでインフレ抑制のため、財政規模の膨脹は絶対に避けることとし、このため所要財源のすべてを、輸入食糧価格調整補給金、国債諸費、保安庁経費等既定経費の不用見込額を以て賄うことといたしましたので、昭和二十八年度一般会計予算の規模は、今回の補正前の一兆二百七十二億円と何ら変りはないのであります。  以上、昭和二十八年度一般会計予算補正(第三号)の大要を申上げました次第であります。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 補正予算について質疑を行います。小林君。文部大臣に対する質疑を先に……。(「今日は主として文部大臣に関係するのですからそんな贅沢なことを言わずに」と呼ぶ者あり)ちよつと申上げますが、文部大臣は宮中の所用で以て昼間の時間……。(「それではこの予算はどうでもいいのですか」「何かわかりません。委員長はつきり言つて下さい。」と呼ぶ者あり)宮中の所用によつて昼間中座されるそうですから、その間ちよつと審議を休みたいと思いますから……。(「それじや違うじやありませんか」「一身上の弁明をやりなさい」「今日やることがわかつているのでしよう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)

小林武治緑風会

○小林武治君 私は副総理の出席も要求しておるのですが…。(「小林君やめろ」「恰好だけはつけなきやいかん」と呼ぶ者あり)

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 速記を止めて。    〔速記中止〕

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 速記を始めて。  暫時休憩いたしまして午後一時半より再開いたします。    午前十一時十六分休憩    ―――――・―――――    午後二時十分開会

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は先ず本予算案が提案されたことを極めて遺憾に存ずるものであります。というのは、政府は前二回に亘まして、本予算を不用とするための法律案を国会に出されたのでありまするが、いやしくも一旦政府が不用として決定したものを軽々しくこれを変更するということは極めて政府の不見識を暴露するものでありまして、何故に三度この法案を出さなかつたか、その理由を一つお伺いしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は仰せの通りでありまして、私どももこの特例法案というものは、実情から見て是非とも必要なものであると考えておるのでございまするけれども、最初の第一回に出しましたときは審議未了に終り、第二回も同様でありまして、又諸般の情勢が第三回に出しても審議未了に終る虞れが多分にありしましたので、止むを得ず、さればと言つて法律が厳として存在しているのでございまするから、これに伴う金は出さなければなりませんので、こういうような予算措置をとつております。なお念のため申上げておきますると、二十九年度は、中央地方に対する税制の調整を行いましたから、この特例法案を二十九年度予算からは必要といたさない次第でございます、二十八年十二月からの四月分だけを必要とする次第であるのでございます。

小林武治緑風会

○小林武治君 これらの法律が審議未了になつたということにつきましては、私ども極めて不明朗な空気を看取するのでありまして、例えば或る府のごときは、このために巨額の運動資金も出ている、こういう話でありまして、これによりまして、この法案が審議未了になつているということは、私は国会としても極めて遺憾に存ずるものであります。即ち政府としましては、一旦きめた以上は、殊に私どもはこれが与党の不銃制ということのために、これらの法案が不成立になつているということを聞くにつけましても、政府が非常に弱腰であるということをあえてとがめたいと思うのでありまするが、それにつきましても、政府は、恐らく大蔵大臣としましては、こんな予算は出したくないということを腹の底からお思いになつていることと存じまするが、その点如何でございましよう。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 特例法案が通りまする見込みが立てばその通りでございまするが、これに対する見込みが立ちませんので、そういたしますれば、現在ああいつた法律がある以上、これはこの予算案をお出しするということは政府の責任であると存じてこの予算を提出した次第でございます。

小林武治緑風会

○小林武治君 通る見込みがどうということは、私は政府が政治力が欠如しているからさようなことになつて、要するに無暗な出費を国庫に与えるということに結果するものと思つているのでございます。殊に今度の予算というものは、いわば二十九年度の補正予算と称しても一向差支えない予算でありまして、支出は恐らく二十九年度になつて支出される金であるのでございまして、緊縮予算を組まんとする、殊に大蔵大臣は一兆円予算を緊縮予算というように言つておりますが、この予算は、私は二十九年度の補正予算と同様のものと思うのでありまして、この点政府の方針が首尾一貫を欠いている。かように思つているものでありまするが、この点は如何お考えでございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) これは二十九年度予算でないということは小林さん御承知の通りでありまして、二十八年度の補正であります。而もこの財源は、すべて節約又は不用額を以てした次第でございまするので、二十八年度予算が少しも膨張するものでもない、こういうことは御了承願えていると存ずるのでありまして、私どもは飽くまで緊縮財政の方針を貫こうという点には何ら影響がないものと存じている次第でございます。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は使わんでいい金を使うというふうな立場に追い込んだということは、やはり予算の膨脹だと、こういうふうに考えているのでありまするが、要するに政府としましては、いろいろの事情はおありのことと思いまするが、ことごとくにいわば弱腰でございまして、常に我々から見ますれば右顧左眄している。この国会におきましても、又不明朗な予算の修正があつた。前回も同様な予算修正があつたのでありまするし、そのほか或いは遊興飲食税の国税移管の問題、或いは繊維税等、ことごとく政府は無定見を示している。誠に私は政府の態度を心許なく思うのでありますが、かような状態におきまして、果して政府が国民の信を繋ぐことができるかどうか。こういうことについては副総理に伺いたいので、りまするが、おられませんので、どなたか一つお答えを願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 予算編成の責任者としてお答え申上げますが、これは私どもも勿論一つの案を得ますには、いろいろな過程を経ておりまするが、併し決して最後にきめたときに、仰せのような弱腰であるという次第ではございませんけれども、国会において御修正になる権利があり、而もそれが基本的なものでない限りは、やはり政府或いは与党の力が充実しておれば絶対問題はないのでございまするが、やはりほかのほうの御意向も参酌しなければならん事情に置かれているので、これは本質的に政府の意向に反するようなことがありますれば、これは別個の考えをすべきでございますけれども、まあそういつた問題でない限りは、やはり或る程度の協調に基くものを呑んで参るということは、やはり修正権等が国会にある限り私は止むを得ないものと考えているのでございます。

小林武治緑風会

○小林武治君 私どもは、要するにこの政府が常にものをきめることに慎重であることは当然でありますが、きめた以上は、一つ毅然たる態度で以て貫いて頂きたい。そうでなければ私どもの仕事のやりようがないということを特に一つ御注意申上げておきたいのでありまして、要はたとえ内閣が明日倒れる。こういうことがあるといたしましても、いやしくも本質の責任は毅然として果して頂きたい。こういうことを強く希望いたしているものであります。  次に、私は伺いたいのでありますが、今回の措置というものは、地方団体の只今の不均衡というものを更に私は激化せしむるものであると思うのでありまして、二十七億という大金は、三都府県のみに与えられるものでありまするが、恐らくこれらの府県も予定しなかつたと、こう言つてもいいと思うのでありまするが、かような金が要るにつきましては、自治庁におきましては、これらの窮迫せる府県との関係におきまして、これらの三都府県に対して起債の制限等によりまして財政の調整をする。こういうふうなお考えがあるかどうかということを伺つておきたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) この分は二十八年度の分でありまして、恐らくそれらの府県としても、渦般の国会におきまして法案が通らなかつた事情で、追加予算になるのじやないかという見通しをしているのじやないかと思うわけで、併し私どもといたしましては、そういうことは別といたしまして、こういう富裕都府県につきましては、起債の面について絶えず抑制を加えて、他の一般府県と甚だしくかけ違つた行政が行われないように留意をいたしているわけでありますが、特にこのことを頭に置いてというような留意の仕方ではないわけでありまするけれども、一般的に、こういう富裕府県については、起債のもうすでに割当てられた計画の上において十分留意はいたしております。

小林武治緑風会

○小林武治君 只今の長官のお答えで、よく御承知になつておると思いますが、他の府県におきましては非常に困窮をしておるものが多いのでありまして、かように、いわば予期しない金が入るということでありまするので、私はこの際この予算に対しても何らかの一つ財政調整の措置をとる必要があるのではないか、かように考えるものでありますが、如何でありますか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) 先ほどのお答えと多少感じが違うかも知れませんが、勿論こういうことを全然考慮しておらないということではないのでありますけれども、こういう事情も考慮して、富裕府県、富裕の度というものを考えて起債の割当などにつきましては十分考慮はいたしておるわけであります。ただ実際上の問題といたしましては、もう今までにすでに起債は割当てをそれぞれいたしておるのでありまするからして、これによつて新らしく考慮を加えるというようなわけには参らないわけであります。

小林武治緑風会

○小林武治君 私はこの点極めて不満に思うのでありまして、困つておるものがあるのに要らないと言えば要らない、政府は一応要らないと認めたところへかような金を渡して、ほかのものは構わんでおくというのでは私は公平に反すると、こういうふうに思つておるのであります。それで希望といたしましては、私はこの際やはり困つた府県に対して何らかの一つ措置をおとり頂く、又この三都府県につきましても、私はただこのままやるということではなくて何か調整の方法をお考え願いたい、こういうことであります。  次に、私は文部大臣に伺いたいのでありますが、二十八年度のいわゆるこの義務教育費国庫負担金の残額がどのくらいあるか承わりたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 三月分についてはすでに概算払をしております。それでなおこれは概算払でありますから、調整分として七億を……。

小林武治緑風会

○小林武治君 何か残つておると、こういうお話でございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) そうです。残つておるというのは概算払ですから、それだけ……。

小林武治緑風会

○小林武治君 もう一度伺いたいのですが、その七億円は三月分として残つておると、こういう意味でございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 三月分はすでに概算払として渡してあるのであります。併しこれは概算でありますから、当然に過不足が伴いますから、その場合の調整分として七億円だけをとめおいてあるわけであります。それが今残つておるわけであります。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は聞くところによりますれば、とにかくまあ一応文部省は月極めで概算払をされておる、こういうことでありまして、ところが府県によりましては現存非常に財政が窮乏しておる、従つて或いは教員の俸給の支払いの遅延をしておるというようなところもあるように聞いておるのでありますが、さような事実があることを文部大臣は御存じかどうか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) これはどの程度に不足をしておるか、これは今調べておりますので、まだまとめて御報告申上げるようなものはまとまつておりませんが、これは概算払でありますから当然、まあ余る場合は実際上少ないでしようが、不足するということは初めから予想し得るのでありまして、であればこそ、この七億円というのを、その際の調整をする意味で七億円を一応とめおいてあるわけであります。併しそれでも足りなければ、これは当然決算補助でありますから、要するに決算が終了して初めて各それぞれの府県に交付すべき負担金というものがそこで初めて確定するわけであります。只今のところではどれだけ足りないということは、これは決算が済まないというと正確には出て来ないのであります。併し大体見込については今報告を求めております。

小林武治緑風会

○小林武治君 改めてお伺いいたしたいのでありますが、そういたしますると、予算に不足を生ずると、こういうお見込をお持ちでございましようか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 只今申上げましたように、今その点については報告を求めておりますので、どのくらいの不足が生ずるかということは正確には申上げられません。ただまあいろいろ聞くところによると不足を生ずるのではないかと、かように思つております。まあ正確に申上げるには、出納閉鎖期間である五月末にならなければ、その不足分というものは出て来ないわけでありますが、いずれにしてもその不足分については半額国庫負担ということは法律できまつたことでありますから、その負担金を法律できまつたものを交付すべきことはこれは動かされないのであります。ただ先ほどお話になりましたように遅払い等のことがある。或いは決算が確定するまでの間地方団体においてこの資金繰りに困難をするというような場合も考えられますので、来年度の、つまり二十九年度の四月分の概算払につきましては、これは大蔵省等とも協議をいたしまして、成るべく早目に概算払をするとか、まあ許される範囲内において府県で都会のよろしいように操作をして参りたい。かように考えております。

小林武治緑風会

○小林武治君 私はこれはまあ数字は無論正確ではあませんが、恐らく二十八年度に成立しておる国庫負担金の予算というものは十億前後も不足を生ずるであろうということが言われておるのでありまして、これは若干の異動がありましても、ともかく確定的に或る程度の不足が生ずるということは予想できる次第でありまして、この不足が生ずる限りにおきましては、只今文部大臣のお話の通りに払うべき金であるには違いないのでありますが、前々回において大蔵大臣は二十九年度の補正予算は組まないと、こういうふうにおつしやつておるのでありますが、補正予算を組まなくても、これらの不足分が支払えるものかどうかということを伺つておきたいのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) これは結局教育費だけというまあこの補正、これは本来この二十八年度の収支決算の上に生ずる不足でありますから、三十年度の予算で以てそれを見ると、こういうのが普通の筋道だろうと思います。併し実際においては二十九年度の、これも確定したものではありませんので、実際支出額の二分の一という建前であるから、どうしてもそれは一応の見込を計上してあるのでありまして、この予算が実際の支出がこれを下廻つても上廻つても、この予算の数字というものでそのまま拘束されるのではなくて、実際の支出額というところで負担額がきまるのでありますから、二十九年度の予算のこの交付金の配付のいたし方による概算払の渡し方によりまして、そう地方に迷惑をかけなくても済むと、結局は三十年度に決済されるわけでありますが、その間地方の予算に、それがために資金繰り等に困らないように、二十九年度の予算の配付の操作によりまして、できるだけ便宜を図つて行きたいと、こう考えております。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は今の文部大臣のお答えでは納得が行かないのでありまして、これは決算の五月になればはつきりわかるのでありまして、どうしても支払いは二十九年度にいたすべきものと考えるのでありまして、従いまして大蔵大臣の言明とこの点が矛盾するのでありますが、大蔵大臣はどういうふうに処置をされるか、伺つておきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) これは小林さん御承知のごとくに、二十八年の決算というものは二十九年中に明らかになりますが、二十九年度の予算にこれを見込むわけには参りませんので、三十年度の予算が二十八年に、これは一年おきになります、決算ですから。決算に基きまして三十年度にこれを予算に計上することにいたします。ところで今のお話はそうでなくして二十九年度に現実にお金が足らんということ、そのときにどうするかというお話でありますが、これは配賦等のやり方もございましようが、若し一時に資金が入用なときにはそう大きな金額でもございませんし、大体資金運用部の金を短期によく年度末等で立替えていることは小林さん御承知の通りの事情かございまして、そういうことで実情には何ら不自由なくやつて行ける。勿論これに限りません、ほかのほうでも年度末等、或いは年末によくそういうことがございますが、そのためには資金運用部の金を一時融通するという方法の処置をとります。但し数学的に申しますれば、三十年度の予算に、二十八年度の決算に基いてその不足額を計上すればよい、こういうように考えている次第でございます。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は三十年度でなくて、これは五月に清算がはつきりしますから、政府としては二十九年度に一体支払うべき金じやないか。何もこれは決算を待たんでもそれだけ支払つた実費の半分を払う、こういうことだと、私はそういうふうに思つておるのでありますが、これにつきまして私が申上げたいのは、私は無論この二十七億の予算を計上されることは極めて不可解に思つておるものでありまするが、そういう余裕のある府県にかようなことをするならば、当然文部省としても或る程度の不足は概算で予想できるのでありまして、従いましてさような迷惑を窮乏府県にかけないために、むしろこの際かような二十七億が出るならば或る程度の概算をこれに組んでおくべきであると、こういうふうに私は考えるものでありますが、その点は如何でございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今申上げました通り、二十八年度の決算は、二十九年をよほどたたないとわかつて参りませんので、その決算がわかつて金額が確定いたしますれば、確定した金額を三十年度の予算に計上をいたします。これがまあ従来のやりきたりでありまして、私もそうすればよいと考えております。ただ今現実に金が困るという問題が生じてはいけませんから、そういう金の繰廻しの悪い府県に対しましては、今申上げました通り預金部の金を一時的使用、何といいますか、融通等によつて実情をしのいでもらえるであろう、かように考えておる次第でございます。

小林武治緑風会

○小林武治君 その点はいずれにしろ私は片手落ちの処置だ、こういうふうに思つております。  なお私はもう一つ文部大臣にお聞きしておきたいのでありますが、義務教育費国庫負担の支給の対象になるものは義務教育に従事する者、こういうふうに言われておるのでありますが、現在私ども聞きますると地方の教育委員会に多くの教員免許者が事務に従事しておる。こういう話でありますが、これらのものがこの支給の対象になるかならんかということを伺つておきたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 御指摘の通り教職員という身分を持ちながら、実際は府県の教育委員会等においていわゆる事務に従事しておるという人があるのでありまして、従来はやはりこの教職員という身分を持つておるものですから、国庫負担の対象として、事実上はそれらに対する給与の半額は実は支払われておつたのであります。併しこれは理窟の上から申しましても不当なことでありまして、これは事務職員でありますからそういうものについては、今までの関係もありまして一時にということはなかなかむずかしいかも知れませんが整理して参りたい、かように存じております。

小林武治緑風会

○小林武治君 今のお話の事務職員は全国でどのくらいあるか一つ。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 二十八年度当初におきまして二千五百人ほどございましたが、漸次地方でも整理をいたしまして減少いたしておると思います。

小林武治緑風会

○小林武治君 私は地方に対してただ金をやれ、こういう説をなすものではありません。正確に一つ支払をしてもらいたい、こういうことであるのでありますが、大蔵大臣はさような金が支払われておるということを御存じになつておるかどうか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 只今お話のございました教員で事務に従事しておりますものは、義務教育国庫負担の対象外として取扱うべきものであると存じます。

小林武治緑風会

○小林武治君 只今のお話でありますが、この二千数百人の人間を支給の対象にするかせんかということは、国庫負担金の総額の上において非常に大きな影響があるのでありまして、この点は私は支払うべからざるものはやめたほうがよかろうというふうに考えるのでありますが、この点を大蔵省としてははつきりさせるつもりであるかどうか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 私どもの予算の積算上におきましては、かかる事務に従事しております職員は計算に入れていないつもりでございます。それらに要しました給与費の半額を国庫が負担すべきでないと考えております。

小林武治緑風会

○小林武治君 地方ではこれを支給の対象として恐らく文部省に精算書を出している。こういうふうに思うのでありますが、この点は然るべく一つ考えて頂きたいのであります。以上私はこの予算案につきましてはなお政府の御再考を促したい、かように存じましてこの質問を終ることにいたします。  副総理がおいでにならなかつたから大蔵大臣にお答えを願つたのでありますが、私が重ねて申上げますれば、現在の政府のいわゆる物事をきめたことを守らない、みずからの手で破る。これはいろいろの事情があると思いますが、いやしくも政府として政局を担当する以上は極めて私は遺憾の態度であると思うのであります。このきめたことを変えるということが悪い。即ち変えるようなことをきめないでほしい。又一旦きめたならば一つ毅然たる態度をもつて押し通して頂きたい。さような一つ気概をもつて頂きたいと思うのでありますが、その点について副総理の一つはらを伺つておきたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをしますが、どういう御諷刺があるのか知りませんが、申上げるまでもなくそのはらでおります。

小林武治緑風会

○小林武治君 これは例かおわかりにならなければいくらでも挙げることができますが、或いは最近のこの予算の問題につきましても全く私は適例である、こういうふうに存じておることでありますし、これは又繊維税のごときは政府でなくて或いは自由党かも知れませんが、これほど右から左へ行つて又真中へ戻つた、時計の振子よりかひどいような変え方なんというのは私は聞いたこともない。いずれの問題にしましてもとにかく非常に政府を信頼しがたい。即ちせつかくきめられたことが行われるかどうかわからんというような不安を国民に与えるということは、私は政治に不信を招くゆえんでありまして、何とか政府が毅然たる態度をもつて一つ行つてもらいたい。こういうことを一つ心から希望いたしておるものでありまして、その点よろしくお願いいたしたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私はいろいろ御質問申上げる前提といたしまして大蔵大臣に先ずお伺いいたしておきたいことは、第四次補正をお組みになるかならんか。これはもうお答えはわかつておりますからお答え頂かなくて結構だと思いますが、予備費は現在どれくらいになつてどうなつておるか。現在国会に御提出になつておりますが、それ以外の分について一応明らかにして頂きたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 現在残つておりまする予備費は、一般会計の予備費が三千八十五万、それから災害の予備費の残額が二千六百八十一万、こういう工合でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今国会で承認を要求されております分以外を少し細かく御説明頂きたいと思います。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 先ず一般会計の予備費でございますが、当初予算が二十億ございまして、二十八年の十二月二十八日までの使用額八億二千九百万、これを目下国会に出しまして御承認を頂いておるわけでございます。そのほかに今日までに予備費使用の閣議決定をいたしましたものが二十一億三千九百五十六万五十円ございます。  内訳を申上げますと、総理府所管におきまして犯罪捜査経費の不足補充に必要なる経費二千九百五十三万四千円。法務省所管におきまして、訟務遂行のための必要なる経費三百七十五万一千円、検察費の不足補充二千六百九十七万四千円、赴任旅費八百六十四万三千円、登記諸費一千二百二十五万円、農地法に基く登記台帳事務処理九千四十四万六千円、検察費の不足分補充四千七百万円、小計一億八百六万四千円。大蔵省所管におきまして、国有財産の維持及び売払三千二百四十四万二千円、収入印紙製造千百五百七十六万二千円、租税払戻一億三千万円、小計一億七千八百二十万四千円。文部省所管におきまして、ユニセフ寄贈ミルク配分千二百三十九万八千円、同じく別口でございますが、三百九十六万四千円、小計千六百三十六万二千円。厚生省所管におきまして、生活保護及び児童保護の不足補充十七億円、放射能被害対策百十七万円、これは調査旅費、小計十七億百十七万円。農林省所管におきまして離島振興法施行に伴う必要なる経費、二千六百八十五万四千円。運輸省の所管におきまして離島振興法施行に伴う必要なる経費千四百九十万七千円、引揚者の帰還輸送千三百八十八万九千円、国際民間航空機構加入に伴う必要なる経費百六万、帰還輸送に対する必要なる経費二千百五十八万四千円、小計五千百四十四万円。労働省所管におきまして、失業中の退職政府職員等に対する退職手当支給二千五百万円。建設省所管におきまして離島振興法施行に伴う必要なる経費二百九十三万七千円。以上でございます。以上の合計は二十一億三千九百五十六万五千円になりまして、目下御承認を手続中のものと合せたものを三十億から引きますと、先ほどの残りになるわけであります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そこで今予備費の大体の使途をお聞きしたわけですが、お聞きした結論から申しまして、更に予備費ではもう賄えないとすれば、当然これは第三次補正に入れられなければならないのではないかと思われる経費が相当ございますので、その点につきまして大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。  その一つは生活保護費でございます。これはすでに予備費からも十二億措置されておりますけれども、なおこれでも足りないというので二十九年度予算において政府原案は二十億、それが三党修正によつて二十五億にふやされております。この二十五億というのは二十八年度の不足を補うための費用でございます。この費用はすでに予算を提出する以前からわかつておりましたのでありますから、当然二十八年度の不足分として二十九年度の予算に計上すべき性質のものでなくして、二十八年度の今回の補正に計上すべきものだと思いますが、大蔵大臣はどのようにお考えになつておられるのでございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 生活保護費は現実にどれだけの不足を入るかということは推定が非常に困難でございますが、大体厚生省と打合せまして、今現に予備費の中から十二億円出しましたほかに、更に相当不足する見込でもございましたので、二十九年度予算に二十億、更に三党協定で五億ふえたことは御指摘の通りでございます。これはまあ何と言いますか年々そういうふうに年送りになつて行つておるものでありまして、金額がどの程度足らんかということは実ははつきりいたしません。従いまして来年度の分についてはそう多く不足なき見込で一応立てたのでございますが、若し積算の、どういうところからどういうふうな数字を見たかというようなことでありますれば、更に主計局長から御答弁申上げることにいたしたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私がお尋ねしているのは今これで結局補いが付くか付かないかという問題でなくして、当然補正を出されるということがきまつておるし、これだけ足りないということも政府のほうの概算では二十億ということがきまつているのであれば、それは当然補正によつてなされるべきというのがこれが筋道ではないか、こういうことをお尋ねしておるわけです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) それはそういうお考えもありましようが、私どもとしては三月三十一日でなければはつきりした数字も出て来ないのであるし、四月一日からはこの予算が行われるのであるから、現実の支払の問題に何ら支障を生じても来ないのでそれでよいのではないか。こういう考えでそういうふうにした次第でございます。尤も事務的にはなお若干の理由があるかも知れませんか、私の説明するだけで足りませんところは事務当局のお考えを申上げさして頂きたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今ので結構です。現実的には支障を来さない、こう御判断になつておるのか非常に間違いでございます。生活保護費の大部分を占める医療保護費は十一月頃から国立病院等に対しては払われておりません。それから二月以降の物価につきましても十二億の予備費の措置で若干楽にはなりましたが、併しこれは民間のお医者さんに対しても払われていないという実情にありまして、その声は政府をして五億の修正を簡単に呑ませた一つの要素だと思います。ですから現実に困らないのでなくて現実に困つている。この事態はすでに十二月頃から出ているのでございますから、当然明確な補正によつて財源措置をすべきではないか。ただあとでも何でもよいから埋めてやりさえすれば何でもよいということは、こういう予算をお組みになる建前として正しい建前ではないと思うのですが、大臣はどうお考えになられますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) それは只今申上げましたように、もう少し見込がはつきり立つて、その当時厚生省と打合せましたところが、大体十二億予備金を出してもらえはというお話でございましたので、而も当初予算を編成する当時から、二十億以上の不足も見込まれましたので、二十億というものを二十九年度の予算に計上しよう。こういうことでやつたのでありまして、いわば私ども予算編成者としていえば原局と十分打合済みなことであるからそれで差支えない、こう考えた次第でございます。尤も理論的に言えば二十八年度のものだから二十八年度補正予算を組めばいい。こう仰せになる点もあろうかと思いますが、併し同様なことはたくさんの実は予算の中にございまして、これらの点はあまり理論のみで行きにくい。私どもは実際において御不便がなければよいのではないか、かように考えている次第でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私が指摘いたしました通りに、実際においても不便を来しておりますし、又大臣御承知の通りに厚生当局は非常に大蔵当局を何と申しますか恐れているというと表現は悪うございますが、非常に遠慮していると思います。従つて十二億出してもらえばそれで引下がるという実情ではないかと思うのですが、併し実際はそういう事情にある。なおこれでもまた現在調査によつて判明しているところでは十億以上不足するはずでございます。これについてはどういうふうにされる御予定かそれも合せてお聞きしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと……。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 現在調査してみますと二十五億と十二億措置されましてもまだ十億くらい足りないもようでございます。これはどういうふうになさいますか、来年度。今年度のような病院に払えないというような実情をなくするために大蔵大臣のお考えも承りたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。それは若し二十九年度に同様な不足が生じますれば予備費で措置いたす考えでございますが、併しそのときも同じような事態が実は起つてくるのではないかと私は考えます。というのはやはり大蔵当局として見ますときには、本当にどれだけが不足かということがはつきりして来ましたものに予算を盛り込んでもらわないと、おおよその見込がこれくらいだというのでやられたのでは実は予算の編成が非常に困難でございますから、そこで来年も同様だということを申しますけれども、例えば予備費の中からそれじやこれだけお出ししましよう。併し予備費がなお不足するという事態があればやはり三十年度の予算で又御相談しましようということになるのじやないか。こういうふうに私は考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それでは最後に確認いたしたいのですが、二十九年度においては二十八年度よりも苦しい経理をさせるというようなことはないという約束はして頂けますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) それはそれ以上のむずかしい経理をして頂かないように十分考えます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今の御答弁は大変満足いたしました。  次に食品衛生の予算についてでございますが、これは原爆を受けたまぐろの処理等の費用は、当然食品衛生法第二十六条によりまして県市町村の持つたものの二分の一を国が負担しなければならないことになつております。ところがこれを出す費目が私はどう見ても見当らないのでございますが、どこから出す御予定でございますか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 食品衛生法第二十二条の規定によりますと、厚生大臣又は都道府県知自が、営業者又は当該官吏吏員等に食品等の廃棄処分を命じ得るということになつておりまして、その当該官吏又は吏員に廃棄させました場合の経費は、これは異常なる災害によつたものでありまして、実は当初からそういうことを予定できなかつたわけであります。若し厚生大臣か当該官吏に命じてそういう措置を講じたというような場合には、その必要な経費は予備費等から出す。その場合には該当すると考える次第でございまして、若し厚生大臣が命じていれば予備費から出すわけでございます。お話の点は都道府県知事が出した場合に、その費用の二分の一を国庫が負担することになつているがその費目の項がない、それはどういうわけか、こういうお尋ねだと存じます。これは少しお話しいたしますと長くなるわけでございますが、食品衛生法というのは昭和二十三年一月一日に施行されまして、その二十六条に只今お話のような試験の用に供するための収去費或いは食品衛生監視員の設置費、営業許可に要する経費等を国が二分の一負担する、そういう規定がございます。昭和二十四年の予算にはそれが計上されておつたのでございますが、御承知のように昭和二十五年から例のシヤウプ勧告に基きまして税制の改革が行われると同時に、地方制度につきましても根本的な改革が行われ、地方財政平衡交付金制度が採用されたのでございます。その際予防接種等による国庫負担の特例等に関する法律というのが制定せられまして、この食品衛生法に基く経費の負担の規定も二十五年六年に限つて適用を排除する、その代りその二分の一の負担相当額を地方財政平衡交付金に繰入れる、そういう措置が講ぜられた次第でございます。食品衛生法二十六条の経費の全部が、地方財政計画におきまして地方公共団体の経費として計算されて平衡交付金に繰入れられたわけであります。その後この法律は二十五年六年だけの特例でございますから、二十七年には平衡交付金に繰入れました金額を平衡交付金から減らして、別に予算に計上するということが当然だというふうな理窟にもなろうかと存じますが、実際問題といたしましては昭和二十七年度以降引続き平衡交付金に計上いたして参りまして、二十九年度におきましても交付税の中に見込んで来ている、これが率直に申上げました実情でございます。この点が法律との関係から如何であるかというのが御質問の趣旨であると存ずるのでございますが、これは平衡交付金法と食品衛生法との両方の関係から考えまして、前法後法の関係に立つのではないか。平衡交付金法は後法であり、前法である食品衛生法は、後法である平衡交付金法によりまして、その矛盾する限度において実質的な変更を受けたものと解釈するべき筋合のものではないかと考えるのであります。平衡交付金法におきましては、今日においてもなお地方財政平衡交付金の算出の根拠に、この食品衛生法の関係を単位計算の中に織込んでいるわけでありまして、その限りにおきましては矛盾している。その矛盾している限りにおきましては後法のほうが優先するというような解釈もできるわけでございます。従つて平衡交付金法の規定によつて、その経費を平衡交付金の中に織込んでいるという事実がございます以上、別途予算にこの経費を計上する必要はないという解釈も可能になるわけでございます。併しもう一面から考えまして、矛盾した二つの法律があるわけでございますから、その間の誤解を避ける趣旨から申しまして二十七年の予算を計上いたしました際、平衡交付金の中に食品衛生法の関係の経費を入れて予算を計上いたしました際に、二十七年度以降につきましては何らかの法的措置を講じておくことが望ましかつたと、さようには私どもも考えるわけでございまして、その点の措置が十分でなかつたことは遺憾であると存じます。なおこういうような経過になつておりますので、食品衛生法の関係の予算につきましては、実は厚生当局からの要求がないままに予算にはずつと計上して参つていない、これが率直に申上げた実情でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 局長から非常に率直な意見の御表示がありましたので、別に追求する意図は持つておりませんけれども、これは明らかに法の趣旨に反しておる扱いだと思います。局長がおつしやつたように法的措置をとらなければならない。或いはそうでなければはつきり予算に組んでおかなくてはならない。こういうことであつたと思うのですが、今のように率直にお認めになりましたので、それで一応この問題については質問を終ることにいたしますけれども、併し類似の扱いをされたものか厚生関係の予算にはほかにも相当ございます。平衡交付金に入れたとおつしやいますけれども、現在の平衡交付金、つまり地方財政法の第十条にはこの項目が抜けているのであります。そういうことから考えましてもこれは非常に問題になると思いますので、早急にこのようなことのないように、特に今回ビキニの事件でたくさんこういう事例か起つておりますし、先般御発表になつたところも二十数件も談当があるわけでございますから、こういう措置が各地方で遅滞なくできるように、残つている予算は僅かであると思いますけれども、更に効果的に御使用頂くようにお願いいたします。  次には義務教育費の国庫負担金についてでありますが、只今小林委員のほうからいろいろ御質疑がありましたので、重複しない範囲においてお尋ねいたしたいと思います。文部省では今回予算に計上された以外に四十府県については恐らく足りないだろうということをおつしやつたようですが、やはり足りないお見込でございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 先ほど答弁いたしましたように調べておりますので、足りないか足りるのかという点がはつきりはいたしませんが、どうも足りないんではないか。これは別に根拠かあるわけではありません。足りないのじやないか、但し非常な多額の不足を生ずるということはないじやないか、こう思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 足りるか足りないかわからない、根拠がないというよりにおつしやいますけれども、これは甚だ納得できない御答弁だと思います。と申しますのはこれは実績支出でございまして、すでに二十八年の四月から今日まで支出して参つておるはずでありますから、どの県がどういうふうに総計においてどれくらい足りないということはわからないんじやなくて、大体の見当はもうついていなくてはならないと思うのです。そこでこれは大臣からでなくても結構ですが、四月から十二月ごろまで、その間の文部省で計算しておる定員と、名府県から来ておる四十府県の教員数の平均と申しますか、一月別の平均でございますか。これは一体どうなつておりますか。どんなに違つておりますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 勿論国庫負担金を概算交付いたします場合に、実績を調べまして成るべく実績に近いものを漸次交付しておりますけれども、特に一月以降におきましてはいろいろベースアツプ等もありますし、そのほかの程動につきましては十分把握いたしておりません。現在調べておりますので、はつきりした数字はまだつかみ得ないと思つております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 ベースアツプは大体幾らのものが幾らになるということは見当がつくわけでございますから、私は、正確にそれを要求しているのではありません。併しながら四月から十二月までのものについては実際文部省のほうで計算されたのでは、つまり予算的に措置された人数は小学校で二十四万一千三百十三名、中学校が十三万七千九百六十二名、ところが実際の人員は小学校が二十四万四千三百三十七名で、中学校が十三万九千六百八十一名、四月から十二月までちやんとわかつた分でございます。そこにおいてすでに予算人員と実人員との間には小学校で三千二十四名、中学で一千七百十九名の開きがある、こういうことになつておりますが、これは間違いでしようか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 先ほどもちよつと問題に出たのでございますが、教育委員会の事務局に勤務いたしております教員の数等についてもまだはつきりした数が出ておりませんので、只今お示しのありました数もまだはつきり申しかねる状態であります。(「答弁じやないぞ」と呼ぶ者あり)

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私はこの資料の出どころを云々はしたくありませんけれども、そういうふうに言われますと私は困るのですが、とにかくあなた方が見込んでおられたものと、実際のものとの間には数千名の差があるということはお認めになられますか、その点だけ。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 私只今申上げましたのは文部省といたしましては先ほど申しましたように、委員会勤務の数をはずして払つている、地方ではそれを入れて持つて来ている。さような点で若干くい違いがございますけれども、ただ今お示しの数を今ここで直ぐはつきり確認できませんが、そういうふうなくい違いがあることを先ほど申上げた次第であります。(「もつと正確にやつて下さいよ」と呼ぶ者あり)

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 これは只今提出になつている予算を審議する非常に重要なポイントになりますので、もう少しはつきり一つ言つて頂きたいと思います。教育委員会へ勤務している教員の数は、あなたは先ほどはつきりこれだけとおつしやつたはずなんです。それがはつきりしておつて、今こういうふうに申上げることがそれとの関係でわからないとおつしやるのはどうも納得行きませんから、もう一度明確に一つお示し願いたいと思います。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 先ほど私お示しいたしました委員会勤務の教員の数は二十八年五月一日の数でございまして、その後の状況につきまして只今調べているような次第でございます。先ほども申しましたように委員会に勤務しております数が二千五百名ほど出ておりますけれども、その職務の内容等につきまして十分今調査をいたしているところであります。さような関係を持つておりますので、その点につきましてまだ確定いたしておらんということを申上げている次第であります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 仮りに委員会へ勤務しているものを全部教員でないとみなしてもなお数千名の不足があるはずでございますが、それはどういうふうにお考えになりますか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 十二月の数につきましては今資料を調べましてお答え申上げます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 その資料を出して頂かないと私は質問ができないのですか、お聞きしたい要点は、今回措置されたものは富裕府県だけの分である。四十府県については足りないということがはつきりしている。小林委員の質問に対しても大臣は足りないと思うというふうに御答弁なさつていらつしやる。そういうことを何ら措置しないで、而も文部省のほうでも足りないということがわかつているものを措置しないでおくということは非常に怠慢ではないか。而も義務教育国庫負担金については今回までで三回の補正があつたはずでございます。その三回の補正に何らそれらの県に対して措置されていないということについては重大な責任問題もあるのではないか。これが原因して各府県には今非常に憂うべき現象がたくさん起つておるのです。併しそれは資料を出して頂いてからなおお聞きしたいと思いますから次へ移ることにいたします。  保安庁長官をお願いしておつたのですが。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 保安庁長官は先ほど急に歯痛のために今治療しておられるというので、政府委員が参りましたから……。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 これは保安庁長官の従来の発言に対しまして、私は前に文部大臣が本会議において「あたらしい憲法のはなし」について御答弁なさいましたが、この「あたらしい憲法のはなし」というのは昭和二十六年で廃刊しておるというようなお話でございました。で今憲法について教員も非常に迷つております。それから子供たちにもどう言つていいかわからないという事情にある。教科書を売るほうも困つておるし、買うほうも困つておる。そこで新学期に入る前にただちにそれについての対策が講じられなくてはならない。来年度予算においてもこういうことは考えられておられないようだけれども、予備費なり補正なりそういうことで考えなくちやならないのじやないかということをお尋ねいたしたいので、保安庁長官に直接お聞したいのですが、あとでお見えになられるようでしたら、ちよつとここで質問を休みまして次のかたにやつて頂いていたしたいと思いますが、委員長そのようにお計らい願えますでしようか。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 保安庁長官は歯が痛いために今休んでしまつたそうですからちよつとむずかしいかと思いますが。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私は委員長の今のお話は納得できないのです。実は先ほど私が保安庁長官を要求しておることになつており、それで私政府委員から連絡がありました。実は私は今日は保安庁長官は必要なかつたのです。そこで事務当局のほうに実は私は明日保安庁長官が必要なのである。そう答えたのでそれでは保安庁長官は今日来ないでいいと、これは好都合である。で湯山氏が御請求になつておることは知りませんでした。私自身についてはそういう経過があつたのです。ですから保安庁長官はお見えになる予定であつたことは事実でありまして、先ほど御連絡があつたのです、私に。それで私は今日は要求しておらなかつたので今日は必要ありませんと断わつた。急に御病気になつたことは私は知りませんが。ですからそういう経過になつておるのに急に来られないのは私は納得できないのです。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 来ておつたそうです。それでは前田政務次官から一つ事情を……。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) 私から事情を説明させて頂きます。長官は出るつもりでおりまして私もここへ来ることになつていなかつたのでございますけれども、今急に歯医者へ行きまして非常に歯が痛いということでまだ院内に休んでおられるとは思いますけれども、とにかく出るつもりでおつたのでございます。それで私が急に呼出されて参つたような次第でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私は次官でも局長でも結構なんですけれども、ただ従来憲法の問題についての長官の答弁は非常に言葉にあやがありまして、恐らくああいうあやをもつた答弁を他のかたが代つてなさいましても長官があとでそれは違うというように言われると困りますので、絶対責任をもつて若し長官がそれは間違いだというようなことがあつたら長官を罷免でもするというような工合に責任をもつて頂ければいいのですけれども、そうでないと今まで長官の答弁は余りにもあやがあり過ぎますので、それで私は御質問するのが不安なわけですが。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 保安庁長官の憲法の問題でありましたら他の機会がありますから、そのときにどうぞ。(「ありません」よと呼ぶ者あり)ありますよ。総括質問その他の機会がありますからそのときに願います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それで私今のことに関連して、第三次補正に関して一応お聞きしておきたいのです。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) とにかく他の国務大臣、政府委員において答弁できるかどうか、質問をして頂きましようか。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 ちよつと議事進行について。最近総理大臣をはじめ所労のために出て来れないというのがたびたびある。これは生理的な事情もありましようから或いは了承もできると思いますけれども、そういう場合にはあらかじめなり何なりちやんと通告をしてきちつとしておいて頂きたい。たまたま質問者が質問をしたときに、どうも所労のためとか生理的な理由でというふうな言訳を簡単にしてそれで済むかのように簡単に取計らつて頂くことは至極迷惑だし、国会を軽視しておられる現われに過ぎないと思いますので、そういう点は一つ厳重にきちつとして頂きたい。今のような際に苦し長官なり大臣がおいでになれないならば、こういう事情で出られなくなつているからということを質問のある前にちやんと御通知になつてきちんとして頂きたい。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 佐多君の御発言御尤もですからそうやりますが、只今の長官の話は、見えないから催促にやりましたときにそういう事態が起つたのでありますから、仕方がないと思います。私は前にわかつたら勿論申上げます。(「いつもそうですよ」と呼ぶ者あり)いやそうじやありません。(「アメリカ大使館から呼ばれたらあわてて行つているじやないか」と呼ぶ者あり)できるだけ佐多君の御趣旨のように計らいます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それでは保安庁のかたにお尋ねいたします。先般問題になりました「あたらしい憲法のはなし」の中に「みなさんの中には、こんどの戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしよう。ごぶじにおかえりになつたでしようか。それともとうとうおかえりにならなかつたでしようか。」こういうのがあります。これに結び付けて最後には、こういうことのないように、戦争しないようにしよう、軍備しないようにしよう、こう結んでいるわけです。そこでお尋ねいたしますが、現在の憲法の下でもこういうふうな外国へ抑留される、つまり俘虜になるといつたようなことがあり得るか、あり得ないか。或いは未帰還者というものができる可能性があるか、ないか。これを先ず事実かどうかという問題よりも、現在の憲法下においてそういうことがあると判断できるか、できないかを御答弁頂きたいと思います。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。現在の憲法下におきましては、我々は自衛力を持つことができるわけでありますので、たびたびお話させて頂いております通り、この保安隊及び今後できます自衛隊は海外に派兵することはありませんので、海外において俘虜になるとか或いは海外に抑留されるというようなことはないかと考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今の御答弁にも問題はありますけれども、併し直接侵略があつてそこで武力行使をやつたそのときに、敵の弾か何かに当つて敵に収容され、そうして送つて行かれるというような場合はありませんか。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。今回法律が改正になりますと、新たに直接侵略に対抗する義務ができます。直接侵略かありました場合には、海陸からの武力の攻撃に対抗するわけでございますから、場合によりましてはそういうように捕虜になることもあると思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そういうふうになることは憲法に違反しないかどうか、それをお答え願います。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。憲法におきましては自衛権の行使ということは否定されておりませんので憲法に違反になるとは思いません。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、この「あたらしい憲法のはなし」の中には兵隊も軍艦も飛行機も一切持たない、それから陸軍も海軍も空軍もない、こういうふうにはつきり書いてございます。で次官も以前三軍の問題で質問があつたときには、陸軍とか海軍とかという言葉をお使いにならないで、ただ非常にあいまいに陸のほうはとか、海のほうはとか、そういう御説明をなさつたのを御記憶になつていらつしやると思います。ここではつきりして頂きたいのは、陸軍を持つたつて戦力に達しなければ憲法違反でない、海軍を持つても戦力に達しなければ憲法違反でない、空軍を持つても戦闘機の三台五台を持つたとしてもそれは戦力に達しないのだから憲法違反でない、こういうことが言えるかどうか。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。戦力に至らない程度の自衛力を持つということは憲法に差支えないと思いますが、今のお話の陸軍、海軍、空軍とこういうものはどうかというお話でありますが、現在の憲法は御承知の通り交戦権を否定されておりますので、交戦権がないもの、或いは又その他いろいろ軍隊に必要な属性と言われております軍の特別刑法でありますとか、或いは動員するところの力があるとか、こういつたようなものがなければこれは軍隊でないと、こういうように言われますならばこれは軍隊と認めることは困難であると思います。併しながら直接侵略に対抗するものが軍隊だと、交戦権はなくても或いは又軍刑法等はなくても直接侵略に対抗するものは軍隊だと、こういうことになりますと今回の自衛隊も軍隊と言われてもやむを得ないと、こう思うのであります。従いまして我々といたしましては、陸海軍というものの定義によりましてその言葉が入つて来ると思いますが、いずれにいたしましても我々は今後考えております自衛隊は、交戦権その他憲法で否定されておりますので、完全なる軍隊とは言えないのではないか、こう考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 完全なる軍隊というのは三軍均衡とかいろいろなふうに言われております。だから陸軍を持つことはいけない、陸軍を持つたつてこれは戦力にならないと思うのです、今までの御説明のようなですね。そこで陸軍というのはどういう解釈だとかどうだとかいうのではなくて、常識的に陸軍、海軍、空軍そういうものを現行憲法下で持つていいかどうか、持つてはいけないか、これをもう一度お尋ねいたしたい。同時に兵隊も軍艦も飛行機も持つてはならない、こうなつておるのですが、これは如何ですか。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。今の陸軍、海軍、空軍というものの定義が問題でございまして、先ほど申しました通り、陸軍だけといいましてもこれはその陸軍というものが交戦権を否定されておるとか、軍隊としての必要な属性を完全に持つていないということになりますと、それは完全な陸軍とは言えないわけであると思うのであります。又今のこの「あたらしい憲法のはなし」にはそういうふうなことが書いてあるようでありますけれども、これは政府の憲法に対する法的な解釈を示したものとは考えておりませんので、我々は独立国である以上みずからの手によつて自分の国を守ることとは当然の責務と考えておりまして、憲法におきましても自衛のためには戦力を保持することは禁じておりますけれども、自衛権というものは否定しておりませんので、戦力に至らない程度の実力を保持するということは憲法上差支えないと思います。従いまして、兵隊、軍艦、飛行機というようなものにつきましてもその定義によつて変つて来るわけでございますけれども、我々は戦力に至らない程度の自衛力というものは差支えないと、こう考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 もう一つお尋ねいたします。この中には併しこういうふうに軍隊も持たないし、飛行機も軍艦も持たないけれども、「しかしみなさんはけつして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことをほかの国よりさきに行つたのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。」こういうふうにこの自衛力もこういうものもなくても心細いことはないとはつきり書いてあるのですが、今の御説明では自衛のためのこの、何と言いますか武力を持つということになればこういうふうに決して心細く思うことはないということは、これは正しくないということになると思うのですが、如何でしようか。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。自衛のために武力を持つということは当然のことであると、戦力に至らない範囲で持つということは、自衛のために武力を持つということはこれは当然のことでありまして、(笑声)それは戦力に至らない範囲ならば当然のことであると私は思つております。併しながら日本が戦争を放棄するこういうふうなことをほかの国にさきがけて行なつたということは非常にいいことであると私は思いますので、その点のことがここに書いてあるのではないか、こう考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 保安庁長官はウラジオのほうにどれくらい軍艦があるとか、或いはどれくらい飛行機がどこにあるとか、そういうことを常におつしやいます。で自衛力の増強ということは心細く思うからやるわけだと思うのですが、そうでなければ自衛力の増強などということは言えないわけです。でここに表現してあるこういうふうに一切の軍隊そして兵器をなくしても決して心細く思うことはありませんという表現は、正しいとお思いになるかどうか、この点をもう一度お願いいたします。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) やはり自衛力というものを持つことができれば決して心細くはないということは言えるのかと思いますけれども、併しながらこの当時の情勢と現在の情勢とは相当変つておるものではないかと考えますし、我々は現在自衛力を持つ、増強して行くということは諸般の情勢から見まして、やはり自衛力を持つていなければ日本の安全と平和、秩序維持は困難であるとこういうような考え方から現在増強を考えておるような次第でありまして、この辺がくい違つているのではないかと思います。併しながら現在の憲法におきましても戦力に至らない範囲では自衛力を持つということは認められておりますので、その点については心細くないと考えられるのではないか、こう思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 今の御答弁によつて先ず当時と情勢が違つているし、そして又自衛力を持つておれば心細くはないという表現でございますのでそれでそれは納得行きますが、(「納得」と呼ぶ者あり)まあ納得と言いますか、一応質問をその点については私としては結論が出ましたのでやめます。  ついでにお聞きしたいのは、自衛隊ができた場合にもやはり俘虜というものをお認めになりますか。当然先ほどのようにできると思いますが、俘虞というものを認められるかどうかそれの法的措置はどうされるか、それをお伺いいたしたいと思います。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。これはやはりあの外部からの武力攻撃に対抗するという意味が加わるわけでございますので、事実問題といたしましてそういうことは起つて参りますので、これは国際慣習に従つて認めるよりほか仕方がないじやないかと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 旧憲法時代には俘虜というものは認められていなかつたのでございますね。つまり日本の軍人が敵国に捕われて俘虜になるということは認められていなかつた。これは教育的にそうだつたのか、法的にそうだつたのか私はつまびらかにいたしませんけれども、今度は明らかに俘虜になるということをお認めになると、こういうことになるわけですか。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。旧憲法のことは、よくその当時のことは存じませんけれども、今回は当然新しくそういう任務が加わる以上は、事実問題としてはそういうことは起り得るのじやないか。又国際慣習に従つてこれを認めるということになるのじやないかと、こう考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 最後にお尋ねいたしますが、前に衆議院の予算委員会で問題になりました保安協会、この保安協会の中に高等学校の校長の協会が入つているということが発表されておりました。これは如何なる目的で何のために入つたのか、おわかりでしたら御説明頂きたいと思います。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。全国高等学校校長会会長菊地さんの名前が理事として出ているように思うのでありますけれども、この保安協会のことは実は大臣もたびたびお話したと思うのでありますが、我々といたしましては、その自主的に向うでおやりになつていることでございまするから、どういう目的でおやりになつたかということはよく存じておりません。併しながら保安庁に対しては御協力願うということにつきましては、我々も是非お願いしたいと思いまして、後援を御依頼したことはございますが、その構成その他につきましてどういうふうにしておやりになつているということは存じませんが、但し今お話のように校長会の会長が理事にお入りになつていることは事実でございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 保安庁にお尋ねすることはそれだけでございます。  文部大臣にお尋ねいたします。只今の保安協会へ高等学校長協会の会長が理事になつているということについて御存じであつたかどうか。これについてどうお考えになられるか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 高等学校の校長が保安協会の理事になつているということにつきましては、私は全然知りませんでした。今保安庁に対する質問がありましたので、事務当局に聞いて見ましたが、文部省としては全然相談にあずかつておらん、こういうことでございます。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私は若しこの高等学校長協会の会長がこの新らしい憲法の趣旨をよく体しておれば、こういうものにはならないと思うのです。でこれについてこういうふうにすでに混乱が起つています。そこでこのことについて文部大臣にお尋ねいたしますが、なお只今の高等学校長協会の会長が理事になつていることについては、適当な機会に大臣からもう一度正式に御答弁頂きたいと思います。事実と御所見について……。  文部大臣はこの先般の国会の本会議におきまして、この「あたらしい憲法」については責任を持たないというようにお答えになりましたが、今保政庁のほうの次官にお伺いいたしましても、政務次官が一々申されたように、大体においてこれは正しくないと、大体において正しくない点かあるということがはつきりして来たと思うのです。そこで大臣はこれについて責任をとらないとおつしやいますけれども、併し今日までにすでにこれによつて教えられて来た生徒の数は中学だけで一千五百万を超えております。その一千五百万の子供たちにどういうふうに今これは違うんだと、正しくないんだというようなことを言をうとおつしやるか、そういうことを放置していいかどうか。それについて大臣の御所見を伺いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 私は今の保安庁の次官の御答弁も、この「憲法のはなし」というものが正しくないという結論にはなつておらないように拝聴したのでありますが、私自身としましても、必ずしもこの「憲法のはなし」ということの内容が間違つておるとか、正しくないとか、そういうふうには思つておりません。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それではその点をどうお思いになりますか、これについて正しいか、正しくないか、この点はどういうふうにお考えになりますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) これは御覧になればわかりますように、実は私は質問がありましたのでこれを見たわけであります。併し私は一読したところでは別に正しいとか正しくないとかいうことはないのでありまして、これは勿論日本の新憲法を法律学的にこれの解釈を示したものではありません。新憲法の趣旨を中学校の子供に、言わば通俗的にわかるようにその趣旨を話をした、こういう内容のものであろうと思います。従つてその中に書いてある言葉の一々に厳格に法律的な用語を用いてないことは当然であります。大体の憲法の趣旨を子供に説明をした、こういう点において特に非常に間違つておるという点は見当らないように思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そこに非常に教育を統轄する文部大臣の感覚のズレがあると思うのです。子供にとりましては、これは決して法的な解釈でない、それはそうです。併し子供にとつてはこれは法的な解釈であるし、同時に公的な解釈であるし、又これが具体的な事実の唯一のものなんです。それらを総合したものが子供たちにとつてはこの「憲法のはなし」であつて、だからこれは単に法律的に私どもが問答するよりももつともつと重要な意味を持つておると私は思いますが、大臣はそうはお感じにはなりませんか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 只今申上げましたように、これは子供にわかりやすく憲法の趣旨を説明して聞かしたものであつて、別段その点において特に重大な間違いが、或いは正しくないことが書いてあるというふうには私は思いませんので、現行憲法が存続する限りこれを子供に読ましたということが特に害を及ぼしておるというふうには思つておりません。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 大臣の本日のような御答弁をこの前になされば問題なかつたと思うのですが、それならば大臣はなぜこれについて責任を持たないというようにおつしやつたか。そのときにそういうふうにしたことは間違いないと今肯定されるのならば、あの本会議場でなぜそういうふうにおつしやらないか、あのときにはそういうものの責任は持てない、こうおつしやつたはずです。それは如何でしようか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) この書物は憲法の制定された当時に子供にわかりやすく憲法の趣旨をのみ込ませる、恐らくはその趣旨であつたろうと思いますが、その趣旨において文部省が編纂をして、そうして中学校の教科書と言いますか、教材としてこれを使用したのでありますが、数年前にこれはすでに廃刊になつて今日使われてはおらんのであります。参議院の本会議における矢嶋君の質問は、これが今日政府の持つておる憲法上の解釈と、この「あたらしい憲法」ということに書いてある内容が違う、そこに矛盾があるにもかかわらず国務大臣の一人として、この何と言いますか、保安庁法だかに賛成したことについて文部大臣は責任をとれというような意味のことを言われた。これはすでに廃刊になつておるのであります。廃刊になつておる。だから私はこれが一時いずれかの内閣においてこれが使用されたからと言つて、それについて私か責任をとる、そういうことは無理を言うものじやありませんということを申上げたのです。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そういうことならば私は又お尋ねし直さなければなりません。たとえ廃刊になろうがどうなろうが、文部省が文部省としてやつたことを大臣が代つたからと言つて、前にやつたことは責任を持たないというようなことが果してあつていいかどうか。更に現在今大達文部大臣がいろいろなことをやろうとしておられます。これを又別な人が、これは大達文部大臣がやつたことだから、おれは責任を持たない、こうなつてもあなたはよろしいのでございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) まあ具体問題としては、これは私は間違つてはおらんと思つておる。ですから、その点は、これが政府の解釈と違つておるという前提に立つての話とは具体問題としては違います。併し、私はこの文部省の過去にやつたことについて、現在の大臣がみな責任を負わなければならんものとは思つておりません。これは政党責任内閣の当然なこととして、自分のしたこと、自分の内閣においてその内閣のしたことに責任を負うべきで、従来の内閣、或いは文部省の名において行われたことを一切ことごとく責任を負う、私はそれは責任というものの観念じやないと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 そういう教育の基本的なものについて、政党内閣一々ということをおつしやいますことは、あなたが今一番警戒しておる教育の政治的中立性を侵すことになるのじやないか、却つて政府自体が。で、更に問題はもう少しむずかしい問題があると思うのです。  その前に、私はもう一つ確めたいことは、政党内閣だからそういう責任は限度があるとおつしやいましたが、じや大臣はどこまでの責任をお持ちになるか。一般的に言つて、どういうこととどういうことについては責任を持つと、その政党内閣における文部大臣の教育に対して持つ責任の限界というものを一応はつきりさして頂きたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) これは政党内閣だけに限らんと思いますが、すべて責任というものは、自分のしたことに対して責任を持つものである、かように私は考えております。従つて、いずれの場合におきましても、文部大臣は、その文部大臣が文部大臣として教育上教育に関係した仕事に対して責任を持つべきものである、かように考えております。他人のしたことについて責任を持つということは、これは私の考えですが、これは責任というものと責任を感ずるということとは別個の問題であると思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 幸い緒方副総理がお見えになつておりますので、今の点について副総理はどうお考えになられますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私今最後の一回の質疑応答だけしかわかつておりませんが、やはり今文部大臣が言われましたように、その大臣が文部大臣として行なつた政策、それにはどこまでも政治的責任がある、そういうふうに考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それだとすれば、大達文部大臣は大臣をおやめになつてからあとにも責任をおとりになるわけでございますか、やられたことについては。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 私は、私が公職にある間にしたことについては、公人としては勿論責任を負うべきだと思います。又その地位を離れましても、個人としては責任を感ずるわけでございます。これは公人の地位を離れれば公人としての責任はない。感じようか感じまいかどうしようもない。それはそうでしよう。文部大臣でなくなつた者が文部大臣として全責任を感ずるというのは、これはどういう意味でありますか。責任を感じて何らかの措置をとる。やめるとかなんとかというような措置をとるということはこれはできません。併し、個人としてはやはり自分として、責任を感ずるということは勿論であります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 大臣をおやめになつたら公人としての責任はとれない。代つた大臣は前の大臣の責任をとらなくてよろしいと、こういうことになりますので、そうなりますと、こういう教育のような仕事がそのような形で放置されたのでは一体どうなつて行くかわかりません。そういうお考えだと私は非常に不安なんですが、それでは、文部大臣は自分のしたことについては責任を持つとおつしやいましたので、なおお伺いいたしますが、先般やはり参議院本会議で御答弁になつたことについては責任をお持ちになられしますか。矢嶋議員に対して御答弁になつたあの答弁についても責任をお持ちになられますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 勿論であります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それではお尋ねいたしますが、「憲法のはなし」は昭和二十二年七月片山内閣のときに出たものだと、こうおつしやいまして、それが昭和二十六年に廃刊になつたと、こうおつしやいましたが、その事実に間違いございませんか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 私はそれを一々文献について調べたわけではありません。併し文部省の事務当局に一応質したのでありますが、この「あたらしい憲法のはなし」というのは、昭和二十二年の七月、片山内閣は二十二年の五月に成立したということでありますから、これは片山内閣当時に文部省から出版された、こういうふうに申上げておるのであります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それだけではなくて、二十六年の廃刊のほうは如何でございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 廃刊は、今申上げますように二十六年であります。当時いずれの内閣であつたか、ちよつと……。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それはよろしゆうございます。そういうことをお尋ねしているのではありません。昭和二十三年に教科書制度が変りまして、二十二年に作つたものは一応全部廃刊になつたんです。二十三年からは、今まであつたものを拾い上げるか拾い上げないかは当時の文部省の権限でなさつたはずです。今までのものは別に教科書としておりませんでした。ところが昭和二十三年にこれを取上げて、而もです。それははつきり教科用図書として指定して、従来の片山内閣で作つたものは、著作権、発行権を文部省で持つておつたものを、著作権だけ文部省に残して、発行権はどこか民間会社に渡しまして、而も教科用図書ですから、今までのものには学年指定はありませんでしたが、今度ははつきり中学校一年用というふうに銘打つて、そうして中学校社会科の七百七号という番号までつけて、そうして採択制度になつて、新らしい教科書として出したのはどこですか、どこの内閣ですか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 当時廃刊になつたのは、決してこの内容が間違つておる、いけない内容を持つておると、こういう考え方で廃刊になつたのではありません。これは今も仰せられましたが、文部省として戦後教科書が非常に不足しておる、又民間の手では完全に行かないというような点から、文部省自身が教科書を作つて出した。併し民間のほうで教科書がどんどんできるようになりましたから、いわゆる国定教科書とは違うのでありますが、やはり役所で以てそういうものを作つて一般に使わせるというものは成るべく検定というだけに止めて、一般の民間のものに移す、こういう見地からこれはやめになつた。決してこの内容が悪いから、内容が悪いからやめた、こういうわけではありません。従つて、やめたことについては、これはどの内閣であつたか知りませんが、そのやめたことについても私は責任は感じておりません。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 大臣の言われることは、非常に巧妙にカムフラージしておりますが、もう少し私本気で考えてもらいたい。今大臣はとにかくできたものはそうだ、成るほど片山内閣でできました。ところが法律によつてもう廃棄されたんです。新らしいものとしてそれを取上げるか取上げないかはこれを決定した内閣にあるはずです。私が今これを大臣に投げようとしたとします。併しこれはやめて、これを置きます。それを仮に隣りの誰かがとつて大臣に投げつけたとします。これは私の責任ではありません。あとからやつた人の責任です。そうでございましよう。そのあとからやつたのは一体誰かお調べになりましたか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 御質問を伺つておりますと、私はこの本をいけない本だというふうに考えて、そうしてそういういけないものを出したのは片山内閣か出したのだというので、何か片山内閣のいやがらせのようなことを言うたようなふうにお聞き取りになつていらつしやるようでありますが、これは私の負うべき責任ではない。それが芦田内閣であれば芦田内閣と言うたのです。片山内閣であつたから片山内閣だと言つたのであつて、決して片山内閣が悪いことをしたとか、要するにこの本が悪い本である、そういう意味で言つたのじやないのでありますから、その辺誤解のないように……。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 誤解じやありません。ごまかさないように一つ願います。非常に巧妙にごまかそうとしておられますけれども、そうじやありません。大臣がおつしやつたのは昭和二十二年七月に片山内閣が作つた、それを二十六年に廃刊した。そこに一つ間違いがある。片山内閣のは二十三年に廃刊された。二十六年に廃刊したのは二十三年に作られたこの本なんです。そこに一つ間違いがあります。それから取上げて作つたのもこれは私の誤りかも知れませんけれども、昭和二十三年の十月の二十六日で吉田内閣です。御存じですか。これは私のほうが間違いかも知れませんが、その点については私責任を持ちませんけれども、とにかく吉田内閣だと私のこの資料では出ておる。一枚たけ持つて来ておりますから……二十三年の十月二十六日じやございませんか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 成るほどこれを見ますと二十三年の……、私が先ほど申上げたように、私はこれを一一これか何年にできて何年に廃刊したと、又廃刊になつた本を一々読むほど暇はありません。たまたま問題になりましたから読んだのです、私は。それで今のことも事務当局に聞いたのです。でありますから、先ほど申上げましたように私が精細にそれを調べた上で言うたわけではない。そこで成るほどこれを見ると二十三年十月二十六日発行と、そこで今聞いてみると二十二年の七月にこれができておる。文部省でそれを使つておつて、それが廃刊になつて、それから又これを出した。こういうことです。その通りです。どうもその当時の吉田内閣がやつたことについて私に責任をとれということは無理を言うものだと、こういうふうに思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それじやとにかく大臣は本会議で答弁されたことは間違いであつたということをお認めになつて頂きたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 私は事務当局に聞いた上で話したのでありますが、今のお話によりましても、片山内閣当時においてできたということは、でき上つたということは間違いはないようです。今も改めて聞き直しましたが、二十二年の七月にできたということは間違いないです。それか昭和二十三年に又できた。ですから先ほど湯山君が言われたように何か片山内閣にいや味を言うような意味におとりになつたようですか、改めて言うのですが、そうじやありません。二十三年の分については、これは当時の吉田内閣が出した。私の責任を負うべき限りじやありません。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私はそういう責任問題のことは言つてはおりません。とにかく文部大臣ははつきり御覧下さい、速記録を。片山内閣のときに二十二年七月に作つた。而も二十六年にはこれを廃刊した。それはもう違つているのです。ですから間違つておつたことは事実である。大臣は私の言つたことには責任を持つ、こうおつしやつたわけですから、これについてははつきり責任をお持ち願いたい。  私が何故こういうことを言うかということを一言最後に申上げたいのです。これは単に言葉の間違いとか、或いは数字の読み間違いというような軽軽しい問題ではありません。大臣が今このものに対してとつておられる態度は、昔焚書というのがあつたそうです、本を焼くというのが。まさに大臣の今とつておられる、これに対してとつておられる態度は焚書です。而もこれによつて文部省がこれは教科用図書だと定めて、採択させて一千五百万の中学生が使つたのです。その子供たちに対してもあなたはそれの責任を持てないということは言えないはずだ。まして私が恐ろしいと思いますことは、先に保安次官がお答えになつたように、或いは緒方副総理が私の質問に対して、国際情勢によつて憲法の解釈が変るとおつしやつた。そういうことになつた場合には、この憲法を教わつた一千五百万の子供は軍艦も大砲も持つてはいけない、こう思つている。今皆さんがおつしやるように行けば、軍艦や大砲は戦力にならなければ持つてもいい、こういうことになつて来る。朝鮮は三十八度線によつて南と北に分れて不幸なことです。併し日本は三十八度線というああいう地図の上の線はないにしても、持つている憲法がちやんと分れている。国民の中に三十八度線をあなたかたが作つている、こういうことになりませんか。これは外国からの直接侵略に対応するとか対応しないとかいう問題ではありません。もつとそれより前に親と子供が違う憲法を持ち、兄弟が違う憲法を持ち、そして又同じ学校の中でもこの年に習つたものはこういう憲法、この年はこうということになつたのでは、一体そういうのが一つの国と言えましようか。それが果して本当の一つの国と言えるかどうか。私はこのまま放つておいたならば、外敵の侵略がなくても日本の国は亡びます。愛国心とか道義とかおつしやいますけれども、こうした事態を本当に守つて行くのか文部大臣の責任ではありませんか。文部大臣はそれをなさらないのではありませんか。あなたは、大臣は、単に言葉の言い間違いというふうにお考えになつているかも知れませんけれども、決してこのことはそういう軽い問題ではありません。私は大臣が自分の言つたことに責任を持つと言つた言葉を、どのような事実を以て、本当にこれならば日本の文部大臣だと信頼されるような責任をとつて頂くことを心から期待いたしまして、質問を終ります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 一番先に緒方副総理にお尋ねしたいのですが、今日このような義務教育費国庫負担金の補正が必要になつて参りましたのは、一にかかつて政府の責任であると思います。なぜかならば第十六国会と第十八国会に毎度に亘つて義務教育費国庫負担法の臨時特例法を提出したけれども、いずれもこれが審議未了となつてしまつた。これらの経緯から見まするというと、如何に陳弁するとも、政府の不手際、見通しの悪さ、それからこの義務教育費半額国庫負担法という議員立法が持つておるところのいろいろな問題、そういう問題の正しい理解の欠如、こういうことがはつきり指摘されて来ると思うのです。  そこで私が第一点にお尋ねしたいのは、二度に亘つて政令府県からこの負担金を削ろうとしたのが、本年度に至りまするというと、負担法の全面実施の建前で予算を組んである。誠に首尾一貫しておりませんが、一体この義務教育費の問題に関しましては政府は今後どのような態度をとられるのであるか。即ち憲法に規定した全額国庫負担に至る一つの段階として本法律案を考えておるか、それとも近い将来には本法案の持ついろいろな予盾からして、財政当局等の要望も容れて廃止しようとするような立場に立つのか、政府の文教政策の根本的な問題なものですから、いずれあとで文部大臣には聞きますが、先ず副総理にこの点をお尋ねしておきたいと思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 私はこの義務教育費は国庫において負担するのが理想であると考えます。でありまするが、内閣が変りましたが、前の吉田内閣におきまして、義務教育学校職員法ですか、全額負担の法案を出したのでありますが、それが国会の、衆議院の解散のために不成立に終りまして、でその前年に議員立法でできておりましたこの半額負担法が自然に効力を発生して参つて、今日その法律が行われておるのであります。それならば、その法律を近く改正する意図を持つておるかという御質問でありますが、この半額負担法にも又一つの長所がありまして、教育費を不必要に膨脹させない、地方と半々に負担しておるところにおのずからそこに自制も出て来るというようなこともありまして、それぞれの特長がある。すでに法律として発足し行われておりまする以上、この半額負担法の実績をもう暫く見まして、若しこれが甚だ国の実情に適しない、義務教育の本旨に合わないということであれば、改正を考えることもあるかも知れませんが、法律ば軽々に変えるべきでないのでありまして、今日といたしましては、政府はこれを改正する考えを持つておりません。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 当法の改正の意思なしということはわかりましたが、そこでお尋ねいたしますが、この法律は地方財政の規模から見て参ると、それから又大蔵当局の、いわゆる財政当局から見て参ると、非常に施行する場合において厄介なそのときどきの問題をはらむ法律であると私どもは思つておるのであります。そこで財政当局の強い意思で政令府県に対しては二十八年度十二月以降不交付乃至は減額の措置をとろうとした政府の態度は、よい悪いは私はここで批判いたしませんが、当然そういう見解が生まれる根拠があると思うのです、この法律が……。そこでお尋ねしたいのですが、もうあの問題については富裕府県から強硬な反対に会つてどうにもならんから思いとどまつて、いわゆる不交付乃至は減額というようなことはやめたと諦めておるのですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) この問題は相馬君も十分御承知と思いまするが、昨年第四次吉田内閣において、全額負担を出してそれが不成立に終つた。そのときこの富裕府県に……、半額負担の場合に富裕府県に財源を分たない、これは富裕府県にその必要がないという考えから、実は緊急集会の際にその措置に関する法律を提出いたしたのでありまするけれども、参議院の御意向として、政策の加味された法案は、緊急集会の性質上取上ぐべきものではないという御意向が強くて、実は政府としてこれを撤回いたしました、その関係から非常な措置上の困難を生じたのでありまするが、にもかかわらず政府としては前の国会、もう一つその前の国会にも特例法として提出いたしましたけれども成立に行かなかつた。そこで差当りの措置として今回の補正予算の御審議を願つておるのであります。それならば政府はこれはもうやらんように断念したのかという御質疑でありますが、これは今回の中央、地方に亘る税制の整理によりまして、その措置を特例法でやらんでもいい何が、財政上の調整ができましたので、今後はその特例法は提出をいたしません。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 それらの経緯について政府の見解はわかりましたが、私が問題としたいのは、今は議院内閣制で、当然与党、自由党が政府と共に問題によつてはこの国会に対しても一つの責任を持つべきだと思うのです。そこでいわゆるこの政令府県に不交付乃至減額の措置をしようとする大蔵省原案が、事もあろうに与党、自由党の中から強硬な反対論が出て踏みつぶされてしまつた。そうして今に至つて再度御審議をお願いしますというようなことで、こういうふうに補正予算がここに持出されて、我々こういう審議の労をとつておるわけなので、これはどう考えても私は議会内閣の現在の姿からはおかしいと思うんです。それでこれは大蔵大臣は事もなげに両法案は不成立に終つておると言つておりますが、これは財政当局としてはこれでいいと思うが、政府当局としてはこういう補正を今日組まなければならないことは誠に遺憾であるという意思が十分なければならんと私は考えておるわけです。併しそれは後ろのほうで野次がありますように、如何に私どもがそう主張しても、政府自身はもうそう考えるでしようが、さようだと兜は脱がんでしようから、私は一言ここで緒方副総理に申上げておきたいことは、こういう不手際はもう今後やつて頂きたくない。国会としてこれは超党派的に一つお願いしておきたいと思います。併しまあ問題はここに出ておりまするから、以下順次文部大臣に質問を展開します。  今回この不足額補填のために各省から財源を供出しております。で、この供出しておりまするのを仔細に見ますと、保安庁関係では僅かに割愛されておりますが、この文部省からだけ人件費が供出されております。これはどうも文部大臣の頑張りが弱くてこういうことになつたのか、それとも国立学校の教授等の定員の欠員等が出たからこういうふうになつたのか、とにかく人件費を削減してこれに供出したことについての文部大臣の所見、これらを伺いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 文部省といたしましては、只今お話の特例法が不成立になりましたので、当然に十二月以降分の富裕府県に対する見積り予算を計上しなければならない。これは当然であります。その要求を大蔵省にしたのであります。で、如何なる財源によつてこれを賄うかということは、これは大蔵省の仕事でありまして、私どもとしては、そこまでは、財源の世話まではしないのであります。ただ文部省予算におきまして、国立学校に相当の欠員がある。そうして二十八年度はすでにもう今日で言えば数日を残してありますという状態でありまして、これは特に無理をして節約をした、無理をしてそれだけ削減したというのじやなしに、当然不用額として残る経費であります。従つて大蔵省のほうにおいて財源の一部としてそれをそこに持つて来られることは、私どもとしては何らのいわば痛痒を感じない。ちつとも文部省予算の、それによつて困るとか、血が出るとか、そういうことは全然ないのでありますから、御安心を願いたい。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 これは大蔵大臣に念を押しておかなくちやならないことですが、非常に事務的なことですから、森永主計局長から御答弁を願いたいのですが、今文部大臣のおつしやることによると、人件費を削減されたが別に出血ではない、こう言つておられますが、私が不審に思うのは、文部省からだけ人件費が削減されていることについての問題なのです。一体この財源を見付けるときには、何ですか、各省に対して金額を明示して、これだけ供出しろという形をとつたのですか。そして又他の省には全然この削減するような、不用額が用意されるような定員のいわゆる欠員がないのですか。文部省だけにこういう特殊な例が出たのですか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 二十七億八千万円の財源は、これは各省に割当てとか何とかということではございません。文部省所管で一億円、国立学校七千万円、大学附属病院が三千万円、一億円の欠員に伴う余剰見込がございました。これは各省に比べて非常に大きくまとまつて不用が立ちますので、それを計上したのでございまして、特に文部省の欠員を無理やりに捜してこれだけ捻出したと、そういうような性質のものではございません。なおほかの省にも全然欠員がないということはございませんでしよう。併しこんなにまとまつて欠員による不用額が出て参りますのは保安庁だけでございます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 文部大臣にお尋ねしますが、先ほどの答弁で問題は明らかになつたようですけれども、将来を考えると必ずしも明らかでない問題が出て来ております。御承知のように今般政府は国立学校設置法の一部改正法律案というのを提案して、従前国立大学の教授の定員は、国会で法律によつて逐年きめて参りましたものを、今般抜本的改正を行なつて、省令或いは政令によつて附置研究所、附属学校並びに定員等をきめるということを言われております。で、今度ここに一億円というものを供出しておりまするけれども、今までの例からいたしまするというと、この段階において、この国立学校の人件費等から一億円が支出されるということについては、相当幸いであろうと考えて質問をしたところが、別に何でもないと、こういうお話でございまするが、これは明年度の国立学校等の定員等については、財政当局等から圧追等があつて、一部定員を減らしておる、又悪意に説をなす者に言わしめれば、政府のお気に入りでない教授が所属している講座なんかは吹き飛ばしてしまうのである、私はかようなことは信じておりませんが、そういう説をなす者がある。これらの連関について、明年度以降国立学校教授の定員等については、どのようなお考えを持つておりますか。今から省令できめて行くというのだから非常に問題は大きいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) この補正予算の財源として、文部省の下用額というものが財源の一部として計上されてあります。これは先ほど申上げましたように、これは定員を削る、そういう前提に立つておるものではありません。又文部省からこれだけの金を大蔵省へ還納する、持つて行く、あんたは供出と言われますが、供出するとか、そういうものではありません。文部省予算として定められたものは、これは国庫にあるのであります。文部省はその定められたる予算の範囲内で予算の支出を決定すると、こういうことでありまして、不用額があれば、当然にこれは不用剰余金として大蔵省に入つて来る、つまりそのまま残りになる性質のものであります。でありますから、大蔵省がその不用額を財源の一部にされても、文部省として何にも無理であるとか、或いは供出するとか、一遍もらつて来たら、それを使つて残りを又持つて行くというものじやないのですから、初めから供出するとかいうことはない。又定員等には何らの関係もないのであります。定員は定員として別個の見地から、これは改正される場合がありましよう、併し不用額をここへ持つて来たそのしわ寄せが来年度の定員に響くと、こういう関係は全然ありません。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 今般こういう補正がなされることがよいとか悪いとかいう問題ではなくて、現にこの補正が必要であるから出して来たのであるということは、私ども了解するのです。そこで文部大臣にお尋ねしたいのですが、今この補正をして、富裕府県に対して二十七億の金をみてやる、同時に一つ、文部当局で大きな問題は御承知のはずです。即ち貧弱な府県においては大体三月末において十億の赤が出ると言われておる。その十億については、大蔵省は必ずしも十億と踏んでいないと聞いておる。もう少し小さいのではないかということを言つておる。文部省に聞いてみまするというと、やつぱりそれよりは、十億よりはいささか小さいが、相当額であると、こういうことを言つておる 大体赤字をどの程度に見ておりますか、そうして又それについては財政当局と文部当局はどのような話合いがなされておりますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) その点はしばしば申上げますように、これは見込でありますから、十億になるかならんかと言われても、その点ははつきり申上げる段階ではないのであります。それからこの富裕県に対する補正予算を出して、そうしてみすみすまあ十億なら十億見当の赤字の出るものを、そのまま黙つて見送つておるという点がどうかというふうなお尋ねのようでありますが、富裕県については、初めからその十二月以降分というものは、見積り自身としてこれは予算のときに含まれてなかつたのでありますからして、これは来年当然それに対する見積りというものは、法律が成立しないということになれば、或いはその新たに提案をしないということになれば、当然その見積り額は、これは計上しなければならん性質のものであります。勿論二十七億八千万円ですか、計上をしましても、これ又見込に基くものでありますから、これできちつと数字が合う、こういう性質のものではありません。これについても不足が起るかも知れないのであります。要するに二十七億八千万円というものは、その当初の見積りそのもののうちから落されておつたのですから、それでこれは入れる。それで予算を執行した上で地方の支出額との睨み合わせで、過不足の生ずるということは、これは又別の問題でありますから、こつちを計上しておいて、こつちを知らん顔しておるのはおかしいじやないかということは、一応数字の上から言うと、これは別ものであります。ただ今申上げるように、相当な赤字が出た場合に、これはいずれ赤字が出ましても、結局は法律の規定によつて半額負担ということはこれは間違いないのであります。ただそれによつて、そういう一時的な資金ぐり等については、地方の団体で迷惑をする、これは併し地方財政の上で何もこれは別のものではありませんから、教育費だけが別に扱われておるのではありませんから、全体としての資金ぐりに或る程度の圧迫が加わる場合があり得る、こういうことであろうかと思いますが、それについては、先ほどから申上げますように、できるだけ二十九年度の予算の執行等において、そういうことの少いように、或いは非常に困るというような場合には、一時貸金の短期融資をするとかいう方法で、不便の余りかからないようにして行きたい、こういうように考えます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 御歴代の文部大臣がそうなんですが、教育財政については特に気楽なことを言つている傾向が今まで多かつたと思うのです。私は大達文相もそうであるとここで今きめつけはいたしません。というのは、この赤字をどういうふうに補填し、財政当局とどのような交渉を持たれるか、お手なみを今拝見したいと思うからなんです。  そこで私は大蔵大臣にお聞きしたいのですが、御承知でもありましようが、地方財政上義務教育諸費の半額は半額国庫負担法で見てやると、こういうふうに法律の建前でなつておりまするけれども、現実に或いは十億と言われ、或いは七億と言われますが、赤字が地方財政で見込まれるようであります。それは将来この予備金支出その他を以てこれを埋めて行くという話合いを地方自治庁、或いは文部当局あたりから受けておいででございますか。又おるとしたら、これをどういうようにお考えでございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) この三月三十一日、つまり年度末に至らなければ的確な数字はわかりません。併し又決算のことですから少し遅れますが、その場合はつきりと数字が……、まあ一応十億ぐらいじやないかということは今お話の通り言われておりますが、数がはつきりいたしますれば、これは決算に対して差上げる。まあ予算を計上するのですから、二十九年度の予算で計上する、こういうことはいたしますが、併しその間、さつきも御答弁申上げたのですが、金が足らない場合どうするのだというようなお話が出ることでございますが、これについては、又いわゆる資金運用部の資金等の操作その他のことでやりますから、現実の問題では御不自由をかけない、こういうふうになつておる次第でありまス。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 今の大蔵大臣の答弁は、知事諸君等が非常に期待していることに対して的確なお答えで、安心が行つたと思うのです。で、まあ赤の出た分については見てもらえる。そこで問題は、非常にこの財政の苦しい府県か、資金ぐりの関係上、一時融資のようなものを申込んだならば、それを受ける御用意はございますか。そのような用意はないですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 実はひとりこの問題のみでございませんで、地方財政全般についての問題がいろいろあるのでございます。それにつきましては例えば年末とか、これは年度末とかいうときは、資金運用部に大体百数十億の金を持つておりまして、一時……、ひとりこの問題には限りませんが、その地方のためにお立替をするというのが、一時的の御融通をすることによつて操作してもらう、こういうことに相成つております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 それらの点については財政当局の言明はよくわかりました。そこで又戻つて、文部大臣にお尋ねしたいのですか、その赤字を見て参りまする場合に、例年ですと大蔵当局と文部当局との見解に幾つかの齟齬を来たす。本年度予想されますることは、私の調査した範囲内では、この問題が一つあると思うのです。地方教育委員会の職員で、現実には義務教育諸学校の定員を食つている職員がいる。これは大蔵省はけしからんという、当然な話なんです、財政当局から言えば……。ところが地方教育の実態から、指導主事その他はなかなか教育委員会に専属に身分をせよと言うても、いつ廃止されるのか、わけのわからない地方教育委員会に、優秀な人材は集まらない。そこで身分は義務教育の学校の教諭であることを保有せしめて、職務は教育委員会に行つているという数が相当あるわけであります。この概数は当然大蔵省との交渉の過程を通じておわかりであろうと思いまするが、概算はどのくらいありますか。そうして又この問題については、将来どういうふうにして行く御予定ですか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) この問題は、先ほど実は詳しく質疑応答があつた問題でありますが、これは例年この決算について云々ということでありますが、これは御承知の通り、この実際支出額、つまり決算……、補助ではありませんが、まあ決算に対する負担ということは、この二十八年度から始まつたことでありますから、これは本年度が初めであります。そこで今お話になりましたように、地方においてはこれを半額国庫負担をしてもらいたいという、地方で考えておるものとそれから中央で考えておるものとの間に食い違いが起るのであります。それはその主な者が、いわゆる教育委員会の事務をとつておる職員、これは教職員の身分をそのまま持つておりながら、実際は事務に当つておる。で、国の立場からいうと、これは実質的には事務職員であるから、だからこれに対しては法律の建前からいつて、半額負担をするには及ばない、こういう考え方が当然にあるわけであります。大蔵省はその立場をとつておられることは当然であります。これは併し文部省といたしましても、この理窟は認めなければならん、こういうふうに考えているのでありまするが、実際の問題としましては、只今お話になりますように……、これは断つておきますが、只今お話になりましたように、この教職員の身分を一応とつて、事務職員とするという形をとる問題じやありません。教職員としての身分はそのまま存続しておいても、これは負担の問題でありますから……。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 ええ、その通りです。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) そうでしよう。それですから、これは身分をすぐとるとか何とかいう問題にはならない。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 私もそうです。財政上の問題……。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) ええ。財政的の問題です。そこで文部省としまして、理窟は理窟として、例えば指導主事であるとか、或いは……。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 教育長とか……。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 教育内容に関係する職員ですね。普通の事務職員という以外に、御承知の通り教育委員会は教育内容に関する権限を持つております。そこでそういう教育に……、実際上は教職員と同じような仕事をしている人々に対しては、まあ一つ負担をしてもらいたいというような実は考えを持つておりまして、それらの点は事務的に大蔵省と折衝しているわけであります。全体の理窟としては、教職員の身分を保有することは無論差支えないけれども、事務職員である限り、それらに対する国庫負担の半額負担というか、負担は支出をしない、こういう考え方であります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 国の予算が貧しいときには、そのしわ寄せが地方財政に来て、今度は地方財政はその弱い文教財政にしわ寄せされるということが常に言われており、又そのように私も認めておりまするから、一つこの問題については、文部大臣、十分実態に即して、財政当局とうまく処決してもらいたいと思うのです。  最後に私文部大臣に一点お尋ねして、質問を終りたいと思うのですが、このビキニの水爆の問題につきまして、今朝ほどの読売新聞を見ますと、都築博士が重大証言を衆議院の厚生委員会でなされておりますが、その際に、何よりも研究が大切である。治療費を一とすれば、研究費は十くらい取つてもらいたいと思うということを申しております。学者としては、こういう不幸な事態を目の前にして、誠にさもありなんと思います。ところが御承知のように、この科学研究費というものは、非常に少く、且つ又その少いだけでなくて、全部講座なり、研究テーマによつて紐付きになつていて、これのほうに急に割くということができないと思うのです。この問題は国の大きな問題として、文部大臣としては積極的に閣議等に諮つて、研究費を獲得して、この問題について根本的な一つ治療法を打立てるように、その前提としての研究の委員会なり何らかの機構を持つ意思があるかどうか、これらについて一つ承わつておきたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) これは突発の問題でありまして、又学問研究の上から、或いは又医療としての研究の上からどういう大きな材料であるかわかりませんが、よく実際に検討をしまして、そうしてこれが日本の学術の研究の上から、又一般の治療の研究の上から非常に重大ないい機会を与えられたものである、これを逃しては学問の研究の上に非常な機会を逸したということになるというようなことでありますれば、できるだけ相当な、適当の措置を講じたいと思います。併し何分にも極めて突発的なものであり、又学者の人がいろいろなことを言つておられますが、それだけですぐどうということはできないと思いますが、必要に応じて適当な措置をとりたい、こう思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 文相から適当な措置をしたいという御答弁ですが、緒方副総理にお尋ねしますが、このビキニの被災者をめぐつて日米合同調査がよろしいというような外務省の見解、又学者はこの際日本の立場から自由的な立場を堅持して研究もし、これか療養にも当りたいとする立場、その間に処してなかなか問題は複雑なりとしておるところの厚生省の立場、これらがいろいろ入り乱れて派生した幾つかの問題を将来生むのではないかというふうに予想されるのでございまするが、このビキニ被災者をめぐつて今の学者の主張、研究費の問題、それから日米合同調査の当否、これらの問題について政府の責任者としての緒方副総理から御所見を承わつておきたいと思う。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) ビキニの不幸な出来事、その被災者の治療等につきまして、いろいろ意見が出ておることは、今お述べになつた通りでありますが、これは私は、アメリカ自身も今回の水爆の威力の大きかつたことについて驚いておるほどでありますし、又従来原子能についての被害、それに対する治療等の研究或いは治療法等は、私の見るところではよほどアメリカのほうが日本より進んでおるのではないか。現にそれだけの理由でないかも知れませんが、今回のことが起つて以後、アメリカから専門家が時を移さず日本のほうに来て治療に当つておる事実から見ましても、私はこれは単なる学界の独立とかいうようなことでなしに、やはり国際的と申しますか、将来人類の幸福の上に非常に大きな影響を来たす問題でありますだけに、その研究又は治療につきましても、国際的に協力してやることに決して偏狭であつてはならない。日本の学者も十分に協力をし、又向うの研究の進んでおるところは十分に収入れて、そうして将来大きな成果を拳げて行くのが本当ではないか、さように考えております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 二十八年度予算の第三次補正について、緒方副総理に二つの点をお尋ねしたいと思います。その一つは、この補正を出すに至つた経緯について、政府として非常に責任があるのではないかと思うのです。と申しますのは、第二次補正を出すときに、私は非常に念を入れて、補正予算は出さないでよろしいのか、このいわゆる臨時特例措置、これは衆議院では通らないことがもう確実になつておつたのです。従つてこれに対して補正措置或いは何らかのそれに対する措置をとらなくて、よろしいのかと念を押して尋ねたところが、政府はそういう必要はないのだ、従つて第二次補正は、こういう第三次補正が出て来ないという前提の下に審議されておつたのでス。そうして又第三次補正を組まなくてよろしいのだとあれほど大蔵大臣がはつきりと言明されておつたのです。ところがこの第三次補正が又出て来た。これについては、自由党内部においてやはり意見が対立しておつて、この臨時措置に賛成する者も又反対する者も又政府部内においても意見か違つておつたのではないかと思う。前に新聞に伝えられるとこるによれば、大達文相はこの臨時措置の審議未了に協力されたというようなふうに新聞に出ておつた。大達文相のほうが何かこの法案が通らぬほうがいいと、やはり富裕府県のほうに味方しておるような新聞報道も、これはまあ真偽はわかりませんが、新聞報道で、そうしたこれをめぐつて非常な運動が行われたことは、これは先ほど緑風会の小林さんも言われた通りで、新聞に報道されておる。非常に裏面運動が行われたと思う。それが又、金銭に関係したとかどうこうというのではありません。私のところにもたくさん賛成、反対の陳情も来ておるのです。これに対して政府の方針は、はつきりと富裕府県にはそういう措置はしないという方針であつた。ところが、ですから前に念を押して、あれほど念を押して補正を出さないのかと言つたら、出さぬ、これはもうはつきり言われたのです。従つてこれは非常な私は責任があると思うのです。この責任の問題について私は先ずお伺いしたい。これは我々予算を審議するときにその前提が、この前は第三次補正は出て来ないものとして審議しておるとそうじやない、あとになつて又第三次が出て来る。これは止むを得ないので、法律があるのだから措置せざるを得ない。それは一応の理窟でありましよう。併しながら前の公約を裏切られておるのです。これに対しては私は政治的責任かあると思う。この点について、先ず私は緒方副総理の答弁を促したいと思う。大蔵大臣に対しては又御質問申上げたいと思う。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) これは何も隠す必要はないのでありますが、確かに御指摘のような方針の変更と申しますか、いわゆるそれに類したことは認めざるを得ないのであります。政府としましては前の国会、又その前の国会ですか、前の国会ですか、特例法を何とかして通過さしたい。これは政府の主張といたしましてそれを考えておつたのでありますが、当時特例法の通過が衆議院で非常に殆んど不可能に近い状態であつたことも事実のようであります。でありますが、なお与党の中において、又実際の富裕府県との折衝もいたしまして、通常国会までの間には何らかの話合いかつくだろうという政治的な希望を持つて、実際又そういう折衝を重ねたのでありますけれども、結局特例法を通過し得る見込がなくなつた。これは政府の政治力の問題でありまして、勿論与党の中にもいろいろな意見がありまするが、これは意見のあるのは、違つた意見のあるのは別に珍らしいことではないので、それを取りまとめるのには、現地の事情も十分に検討して、そのほうの折衝もしなければならんと、できるだけの努力はいたしたつもりであります。結局政治的にみまして、特例法の通過の見通しが立たない。そこで政府としましては、この補正予算を組んで歳出を補う意外にしようがない立場に立至つたのであります。事実その通りの、理論ではなく、事実、経過がそういう経過を辿つて参つた次第でございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 只今の御答弁でいろいろ意見の対立、議論の分れる点があるということは当り前ですが、政府がこの予算を出して来るときには、確信を持つてこれが一番正しいと思つて、それでいつも出して来るわけです。それは本予算でも又第一次、第二次補正でもこれで正しいのだ、第三次補正は出さないのだと言つて、そうして審議さしているのです。それであとになつていろいろな意見の対立、政治的な考慮というものがありましようが、それに対してちよつとも政治的責任を感じておらない。これは問題だと思う。もう一つお伺いしたいのは、この基本方針を変えられたのですか、根本方針は変えられたのですか。ですから、二十九年度予算には特例措置を講じなくても、やはり特例措置を講じたのと同じような形の予算の組み方になつておるのか。なつていれば、どういう形になつているのか、その点をお伺いしたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 地方税の調整によりまして、特例法の措置をしなくても財政上の均衡をとれるようにしたつもりであります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 特例措置をやらないという基本方針はどういう形で貫かれておるかということなんです。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) 財源の移譲につきまして、特例法に代る措置をいたしたのであります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 時間がございませんから、それはあとで関係大臣にお伺いいたします。  次に緒方副総理にお伺いいたしたいのは、今回の第三次補正を組むに当つても、この説明書にございますように、インフレ抑制のために財政規模の膨脹は絶対に避けることとして、そのために財源を既定経費の不用見込額を以て賄うことにした、こういうふうになつております。やはりインフレ抑止ということを中心にして考えられたということは説明でもわかるのであります。ところで御承知のように、今度の一兆円予算を組むに当つては、日本の経済がイスフレ的傾向にあるので、これを抑止しなければならない、そのためには耐乏予算を組まなければならない、緊縮予算を組まなければならんと言つておりますが、その原因になつたのは、二十八年度の予算がインフレ傾向に拍車をかけておるということは疑いないのです。これが非常な大きなインフレ要因になつておる。それで修正を受けない前にも相当インフレ的予算でありましたが、いわゆる三派修正によつて更にインフレ的予算になつているのです。そこで二十九年度において緊縮予算を組むに当つては、二十八年度におけるインフレ要因というものを、これを排除することにやはり努力しなければ意義がないと思う。二十八年度のインフレ要因をそのまま放つておいて、そうして二十九年度において、これの抑制措置を講ずれはよい、それでは本当の意味の緊縮予算を組むという方針に私は矛盾すると思うのですよ。ですから、本来私はこの補正を措置するに当つては、この二十九年度緊縮予算を組み、インフレを抑制するには、二十八年度において、如何にしてインフレ要因を排除するかという、そういう補正の組み方を考えて見たのかどうか。二十八年度のインフレ要因を放つておいて、そうして二十九年度の緊縮予算を組むのは意味がないと思う。本当にインフレを抑制するなら、二十八年度のインフレ要因を補正においてなぜ芽をつむように努力されなかつたか。二十八年度予算は、インフレ予算でありましたが、これが非常な物価暴騰に拍車をかけなかつたのは、輸入超過であつたからです。本来輸入超過でなかつたならば、相当物価も騰貴して、相当インフレになつておつたのです。輸入超過であつたからひどいインフレにならなかつたのです。併し外貨が不足しまして、今後外貨を削つて行きますから、二十八年度のインフレ要因というものは、二十九年度に相当これは大きく影響して来るのです。それから二十九年度予算だけを考えて、一兆予算だからというので、インフレを抑止するというのでは足りない。二十八年度の大きなインフレ要因が持越されるのです。それを補正において措置しなければならないと思うのです。この点について副総理にお伺いしたいのは、政府のインフレを抑える場合に、インフレを抑える政策の裏付けとなる考え方、理論的な考え方、思惟の統一というものができていないと思う。一体副総理は、インフレをこれから抑えて行くということが重大な政策になつておりますが、インフレの根本的な原因というものは一体どういうふうに理解されて、インフレ抑止の政策をやつて行かれようとしているのか。やはり政策の裏付けとなる理論、思惟における、考え方における統一がなければ本当のインフレ抑止はできないのです。これはどうも私はこれまでの政府の関係閣僚諸氏の御答弁を聞いておりますと、まちまちです。非常に不統一なんです。そこでどうしても私はこれは関係各大臣でなく、本当なら総理或いは副総理あたりが、一体インフレの根本原因というものは何か、それに対してどういう現実的な対策を立てたらいいのか、これがしつかりしていなければいけないと思う。政策の裏付けと理論が貧困です。少くとも総理なり副総理はこの点についてしつかりした私は認識を持たれる必要がある。具体的な政策については、各省大臣でよいのですが、この点について私は副総理にお尋ねしたい、特にそういう意味で、第三次補正にはそういう点の考慮が何らなされていないと思うのです。この点御答弁を煩わしたいと思うのです。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○国務大臣(緒方竹虎君) インフレの原因には勿論一つでなく、いろいろな問題があると考えます。朝鮮ブームのあとを受けまして、財政上の措置か必ずしも適切でなかつたこともあろうかと考えますが、政府としましては、何としましても財政の面からインフレの要因を作らないことが政府として一番の責務であると考えまして、今回の予算は先ず以て予算の財政規模を圧縮すること、而も均衡を徹底させるということに基調を置きまして、今回の予算を作つたわけであります。そういうインフレ回避の意味から、今回の第三次補正予算を編成いたす場合にも、これも法律がある以上、この歳出は止むを得ないので、この歳出を何とかしてなからしめようとする目的で、例の特例法を提出いたしたのでありますが、先ほども申上げたような政治的理由で、なかなかそれが成立の見込がない。そこでこの第三次補正予算を組むにつきましても、いやしくもそれがインフレの要因にならないようにという意味から既定歳出を同額だけ更に削減いたしまして、そしてこの補正予算の財源にいたしたような次第であります。この第三次補正予算からはインフレの要因はできていないつもりであります。なお詳細につきましては大蔵大臣からお答えしたほうが適切であると思います。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 では副総理については私の質問はそれで終りにいたします。あとは大蔵大臣、文部大臣、それから運輸大臣にお伺いいたしたいと思います。  只今副総理から御答弁ございましたが、一体大蔵大臣はインフレ抑止を政策の重要な点と考え、而もそれは今副総理が言われましたように、財政を中心にして考えられているわけなんです。そうすると財政の規模を小さくして行くということに重点を置かれたようでありますが、この第三次補正を見ましても、私は生産的な支出ならば支出が殖えてもこれは決してインフレの原因にならないと思う。問題は不生産的支出が殖えるというところにインフレの根本原因があると思うのです。洋の東西、時の古今を問わず、歴史を見てもインフレの原因はやはり戦争にあるのです。軍事財政にあるのです。これはもう疑いないところです。インフレを抑止すると言いながら、インフレの根本の要因の軍事費を殖やしてなぜインフレが抑止できますか。そのほかのものを削つてそして不生産的支出が殖えるでしよう。不生産的支出が殖えるということが最もインフレの根本原因ですよ。又不生産的支出を増税で賄うか、公債、借入金で賄うか。その場合に公債、借入金で賄うときに、これはインフレを非常に激化させて来る。公債或いは予備費ですか、それから借入金、こういうものを大蔵大臣は今度は使わないからインフレにならん、インフレ予算ではない、こう言つておられるのです。併し今までの御答弁はそうでなかつたのです。大蔵大臣の御答弁矛盾しているのです。公債発行をしても市中消化ならインフレ要因ではないと言つて来られたんです。又過去の蓄積資金を使つても片方は日本銀行のほうでオーバー・ローンを縮小すればインフレ要因にならんと言つて来たのです。ところが今度の説明ではそうじやないのです。今度の説明では、いや過去の蓄積資金を使わんからインフレでない。公債発行しないからインフレでない。そんな簡単なものではないのです。公債を発行してもこれを市中消化ならば直接インフレ要因になりません。過去の蓄積資金を使つても日本銀行が締めればインフレ要因にならないのです。そういうところなんか非常に私は混乱していると思うのですよ。それから又今日は愛知通産大臣おられませんが、愛知さんは非常に統制を強化して行くような御答弁をしていて、例えば砂糖とかガソリン、或いは要綱統制と言われました、そういうような考えで相当消費を規制して行くような考えです。ところが大蔵大臣はそういう考えでもない。そこに何だか非常にインフレ抑制について何か政府部内でも意見が違つているようです。それからインフレの根本の原因に関する考え方についてもまちまちなんです。非活に又ぼんやり考えている人、正確に考えている人、又間違つて考えている人、こういう人が政府部内にたくさんおるのです。従つてこれは統一しなければならんと思う。インフレを抑えるというならインフレの基本的原因はどこにあるのか、それを政策の裏付けとなる周囲の統一、考え方の統一、これをして統一して頂かないと、これは本当のインフレ抑止という見地から予算を検討することができないのです。その意味で大蔵大臣に今度の第三次補正について、私は先ほども副総理に質問いたしましたが、二十八年度におけるインフレ要因の排除に何ら努力がなされてない。このような前の補正をしない、しないと言いながら又補正を出しているというようなことも、どうも前の大蔵大臣の言明を裏切られることでもありますけれども、この点についても御答弁を煩わしたいのですが、先ずそのインフレ抑止のそういう政策の基本となる考え方について、インフレの基本的な原因は一体何であるか、この点一つお伺いしておきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) これは、私は二十九年度予算、これを中心としての、いわゆるインフレを絶対に阻止して、まあ将来日本の経済を安定させるのみならず、物価を引下げて、国際収支に持つて行く、それは一予算のみではなくして、予算が第一の手段であつて、金融の引締めとか、或いは生産コストの引下げとか、或いは外貨予算の関係とか、各種のことについてはお話申上げているからここにこれを繰返しておくことはやめますが、一つ木村さんと違うことは、あなたがたはいつも軍事費を全部やめてしまえ、保安庁費など出すからそういうことになつて行くと言われるが、この点は考え方が違うので、まあ私はインフレそのものが、これはあなたが言われる通り軍事費そのものからいろいろ生れて来ることも、これは疑わないのですが、これはまあ程度問題であつて、日本の今の財政規模で、例えば国民所得の点かから見て、僅かに二分数厘に過ぎないようなものを、又、恐らく日本の財政規模から見れば、これも今年は千三百七十六億でしたか、でありまするから、やはり一割何分しか過ぎないといつたような、よそに比べては非常に少いものであるから、これがそういうふうに日本のみ特有なものとは私は考えてない。ただ経済問題は申すまでもなく程度の問題であるから、程度を越して、大きな国防費を弁ずるときには、そういうときにはそういうものを懸念されることは当然でありますが、そのときは又そのときにそういうような施策を立てて行つたらいいのじやないかと思うのであります。  それから今のお話の二十八年度の問題であります。この二十八年度第三次補正予算は、これはあなたの前で私は出す意思はないということを繰返しておつて、この点はあなたに対しては不明を謝するよりほかないのでありますが、併しこれは政治情勢が然らしめたので、何しろ私どもが絶対多数を持つているわけではないので、又党内のうちでも、これは余り内輪のことを申さんでもあなたはよく知つておられるが、なかなか大都市の議員等の暗躍、活躍等も加わつて、それこれこれが通らなくなつた、審議をてんでしなかつたようなこと等もあつて、これは力さえあれば、絶対多数ならば、一つの党の統制の下にはつきりしたのでありますが、どうもそう行かなかつた点については、誠に私は遺憾であると思うが、この上は、我々が早く志を同じうする政治勢力を合して、一大勢力になる以外に途はないと考えているのであります。ただ今回の予算におきましても、私どもといたしましては、今までの費用の中から出す。つまり一兆二百七十二億のこの予算規模が一切大きくしない、このことで今度の予算を出している次第でございまするが、他方この間より繰返して申しておりますが、私どもは自然増収等を二十八年度でも見ておりません。今度の予算にも計上しておらんのはその一つの考え方でありまして、本二月の五日でありましたか、私はたびたび申すようでありますが、本当に厳格な二十九年度予算編成方針と同じ方針の下に、各費目に亘つて各省庁に対しまして、この予算の節減方を求めているのであります。そうして期末にややもすれば行われがちな、例えば旅費その他の使用、或いは又各種の物品を購入したり何かする、そういうようなことは一切予算があつてもやめてくれるように、又必要があればこちらも検査に行くというようなことまでやつて、相当やかましくて、閣議でもそれほどまでと言われるようなことを実はやつておるのでありまして、これは明らかに私は相当なその点から費用の節減をなお見ることと考えております。考えておりますが、そこに計上した二十七億八千万円の分はこれははつきりとした分で、例えば保安庁で申しますれば、保安庁の人員の採用が遅れたためにそれだけの人件費が浮いて来ておる分を約二億二千百万円たしか計上している。それから今の国立学校のほうで、それは教授その他の不用な分がありましたので、それを国立学校と両方で約一億円見ておるのであります。そのほかにつきましては同様に 例えば恩給など見て、これはどうかと言われますが、これも第三四半期等の実績から見て全然不用なものなので、そういうものを見ております。そういう工合に全部確実に不用と見得るものを挙げておるのでありまして、そのほか今申上げた通りこの二十八年度予算の使用についても非常に厳格な要望をいたしておりまするから、なお相当私は使い残りは出て来るものと実は考えておるのであります。二十八年度予算そのものが多少インフレ的傾向を生んだことはこれは私も率直に認めざるを得ないのみならず、当時から私はこういうやり方は困つたものだと実は思つておつたのであります。従つてこの点はあなたが言われると全然同感なんでありまして、但しそれを今ここで何とかもつと思い切つた処断する方法をとれと言われるので、その点については今のように二月五日の閣議でありましたか、その決定を私が特に得まして、各省庁の協力を求めておる次第であり、なおそのほかにももつと新らしい何か政策を盛り込んで二十八年度でもやるべきじやないかというお考えかも知れませんが、これは日にちもなし、二十九年度予算で相当考慮されておりますので、まあその点についてはなおたくさん問題があるかとも考えますが、いずれにしましても第三次補正予算をお願いすることは私どもとしては甚だ不本意なんであります。不本意なんでありますが、さつき申したようにこれは力及ばざるのいたすところでありまして、誠に止むを得んことと実は存じておる次第でございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 時間がありませんから簡単にお伺いいたします。あとはもう大蔵大臣への質疑は議論になりますからこれは又他の機会に譲りたいと思います。ただ簡単に一言大蔵大臣に申上げたいことは、財政のほうのインフレの基本的要因を放つて置いて、あとは金融のほうで締めて、金融でインフレを抑える、デフレ的にして財政のインフレを抑制して行こうというところに非常に混乱が起きているのです。財政のインフレ要因は財政で始末しなければならないのです。それを財政のインフレ要因を金融で締めて行こうというところに非常に無理があつて、非常に混乱が起きている。それから物が不足するから物価が騰貴する、それには物を殖やさなければならん、ところが物が不足して物価が上るのを金融で締めてか行く、こういう形でやるから非常に資本主義経済機構の観点に我々が立つてもそこに矛盾があるのですよ。それはもつと基本的なインフレ要因はどこにあるか、これを考えて行くときにとんちんかんな、とんちんかんと言つては失礼かも知れませんが、病気筋の対策をやつたのでは私はこれは成功しないと思う。結局こんなことをやつたら円価切下げまで持つて行かれると思う。破産してしまうと思う。非常に無理がすでに来ています。財政のインフレを金融デフレでやるということは非常にそれは矛盾が出て来ると思います。これは議論になりますから他日又大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。  最後にお伺いしたいのは、運輸大臣に二点お伺いしたいのです。その第一点は実は前の三派修正のときにタンカーの第七次船、これは前に質問申上げましたタンカーの第七次船については予算が通つてしまつた後にあれを加えることになつておつたのです。従つて本来ならばこういう補正の機会にこれはやるべきだつたんです、措置をすべきだ、何故そういう補正措置をしないで、利子補給の実施期限を十五日延ばしたから財源が余つたからこれを使つたというようなことをしたのか。  それから第二の質問の点は、あれは三派協定のときにもう一つあつたのは外国から四十隻船を買つた分について、あの買船分についての利子補給の補正をするということを水田善男氏も言つております。三派の修正もそうなつております。それが今度の補正に出て来ておらない、四十隻の買船の利子補給について……四十隻の買船についてはいろいろ言われております。どこの会社が外国のあの船をどれだけ買つたか、その四十隻の買船の買入れ先、それからそれに対する、買船に対するこの融資先、それからあとで開銀にこれは肩替りをしていると思うんです、その肩替措置、そうして果してこの四十隻の買船分についての利子補給を補正でやるのかやらないのか、補正でやるという申合せになつておつたのです。それが今度は補正には出て来ておりませんからやらない、やらないとなると一体どうなるのか、あの四十隻の買船分に対して市中融資についてはこれはどういうふうに処置されて行くものか、その点がどうも明らかでないのでお伺いしたい。

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。第七次のタンカーに対しましては第二次の補正予算に組まれているのでございます。  それから今の買船あ問題でありますが、細かいいろいろな問題は海運局長から申上げるといたしまして、買船に対しまする別口外貨貸の二十五億八千万円、開銀の貸付残の六億円につきましてそれぞれ金利を二分五厘を引下げるように、昨年の夏の三派協定では決定されておりましたが、これらの金利につきましては御承知のように政府からは利子補給はいたしておりません。これは日銀及び開銀で自主的に引下げるということになつておつたわけでございます。まだ実際の措置はとられておりませんが、ただ開銀は金利を特別に買船だけという形をとらないで、外航船融資の金利を二月一日から七分五厘から六分五厘に一律に引下げましたので、これがそれにまあ当るような形になつているわけでございます。詳しいことは海運局長から申上げます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと私からも……、あの買船についての別口外貨貸及び開銀の融資はれ自体が実はすでに金利面の優遇を受けているのであります。三党協定のことに関して金利を更に引下げることはこれは市中融資のみでやつているところと比べますと著しく均衡を失することになる、従いまして日銀及び開銀当局もこの金利引下げには消極的であつて今日までやつておりません。ただ本年二月一日から海運融資というこれは一般に海運だけが六分五厘に引下げられましたので、自然二月一日からほかの海運会社も同じような工合にこれも開銀に借りている分は六分五厘同じに適用される。これは一律でありますが、適用されます。あとのことについては市中銀行に借りている分との見合もありまして、余り均衡を失するので一切やつておりません。

岡田修一運輸省海運局長

○政府委員(岡田修一君) 開銀で肩替りいたしました買船ですが、十九社二十五隻で買入金額の一割を肩替りいたしました。その金額は十億二千万円であります。そのうち四億余り返しまして残高が六億八百万円、それから別口外貨貸の適用を受けておりますのが十四社十六隻です。その金額が二十五億八千万円余であります。その他の買船は市中から借りているとか、或いは外国商社に対する分割払になるということで、財政資金の恩恵を受けておりません。  それから御要求の船会社の名前は後ほど資料をお届けいたします。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 もう一点……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 簡単にどうぞ。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 この買船については外国の商社から破産の宣告を受けておるのが相当あるというのをいろいろ聞いております。その間の事情ですね。それから開銀は今後市中が融資したものを肩替りして行く。肩替り分もあつたと思うのですが、その方針はどういう方針で今後やつて行かれるのか。

岡田修一運輸省海運局長

○政府委員(岡田修一君) 外国の商社から買船を年賦払で買つた船会社が七社、八隻くらいだつたかと存じます。或いは数字は多少違うかも知れません。これが大体三年償還或いは五年償還で買入れたわけでございますが、最近の運賃市況が非常に悪いものでございますから、その年賦償還分は勿論のこと、金利の支払も滞つておる。そこでその外国の商社から強硬なる督促があつたわけでございます。これに対して何らか適当な方法がないものかというので、政府も中に立つたのでございますが、そこに何ら適当な方法が見つかりませんので、目下個々の船会社の間におきまして、外国の商社と船会社の間において実際的な解決方法を講じつつあるわけでございます。その方法としては、五年払のやつを十年払にするとかいうふうな方法で、船会社の今の実力から実際に払い得る最高限度のものを払うような方法で取りあえず押付けて行こうというので個別的な話が進んでおります。  それから市中の金で買つたものを開銀に肩替りすることでございますが、これは当初の二十五隻で打切りになつておりまして、その後は一切肩替りをしないという方針が開発銀行でとられております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 もうこれで終りです。まだいろいろ質問があるのですけれども、もう時間がたちましたので終りますが、運輸大臣に特に明日又分科会がありますのでそつちで御質問申上げますが、前にも御質問しましたが、本来の海運政策の線を外れていろいろな救済措置、例えば買船なんかは一時非常に景気がよくつて、それでいわゆる朝鮮景気なんかでよくつて儲けるために買つたんですね。それが見込が外れて駄目になつた。そういうものの尻まで開銀に持つて来るということはこれは私は不当であると思う。そういうようなやり方も二十五隻でこれは打切りになつておるという。ところがこれは二十五隻全部ではありません、打切りになつたというのは。今後詳細な資料として一つ出して頂きたい。細かいことはそれで明日分科会がありますから、分科会でしまして、そういう不当なやり方については非常に困ると思う。それから根本の造船所も閉鎖させない、造船労働者も失業させない、関連産業も併せて救い、而も疑獄が起らないで国の負担にならないという、こういうような意味の海運政策についてこれは一つお考えを願いたいと思う。私は一つ腹案がある。それは明日分科会のときに又伺いますが、これも今運輸大臣が各業界を集めてやつておられます。それから労働組合を集めてやつておられます。併し今やつておる業界の人たらは皆リベートをもらつた人たちなんです。(「前科者だ」と呼ぶ者あり)ああいう人たちを集めてやつたところで私は本当の海運政策は出て来ないと思う。だからもつとすつきりした海運政策について一つあなたは是非ゆつくり今晩御考慮を願つておきたいと思う。そうして明日又その点についてお伺いしたいと思う。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 簡単に大達文部大臣にお伺いいたします。文部大臣は町村教育委員会の育成については非常に熱心に努力せられておりますが、今後もやはり町村教育委員会というものは存続してこれを育成するというお考えであるかどうかを第一点に伺います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 今後ともこれを育成しなければならん、かように考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 教育委員会の狙いというのは、勿論これは教育委員会法に謳つてあるところだろうと思うのであります。教育委員会の最大の狙いというものは、恐らく教育を不当の支配から解放するということにあるのではないかと、こう思うのでありまするが、実際町村教育委員会におきましては、こういつた目的が現実にうまく適切に実行されておるかどうか、その点お伺いいたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 何分にも制度が発足して間もないことであります。又従来我が国としては全然新らしい制度であります。従つてその教育委員会の仕事についても十分慣熟していない点もたくさんあります。それから又予算等におきましても、十分に教育委員会が機能を発揮するような裏付けにおいて足らない面もある。従つて今日教育委員会が新らしい制度として直ちに法律が期待しておるような十分な機能を発揮するものというふうには私ども考えておりません。従つて今後これをますます育成しなければならんと、かように考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 府県及び市の場合は別といたしまして、町村の教育長につきまして専任の教育長がどのくらいあつて、兼任がどのくらいありますか、御説明願います。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 教育長専任、兼任の別でございますが、専任教育長、これは昨年の十月の調べでございますが、専任が三千五十七名、兼任が三千八百十八名、そのほか事務取扱者がございますが、総数八千九百四十七名となつております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 市町村別は幾らですか。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 只今申上げましたのは市町村教育委員会の、市町村を合しました、合計いたしました数字につきまして申上げたわけであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 内訳は。

緒方信一文部省初等中等教育局長

○政府委員(緒方信一君) 市は大体専任でございます。ただ今ここに町村別の内訳がございませんので、ちよつと内訳を申しかねます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 市におきましては殆んどすべてが専任である。併し町になりますと殆んど半数、半数が専任と専任でない。それから村になりますともう圧倒的に兼任、或いは事務取扱という形になつております。こういうことで、例えば助役なり或いは事務職員なりが教育長の仕事をしているというこの現状に対して、文部大臣はどうお考えになるか、或いはどういう方向でこういう兼任或いは事務取扱というような形をなくして行こうと考えるのでございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 御指摘の通り町村、殊に村におきましては兼任が非常に多いように思つております。これは原因といたしまして、全体的に資格者というものが、資格を定めてありましたので、この関係で容易に人を得られなかつたという点があつて、これはまあそういう養成と言いますか、そういう点も一時力を入れたのでありますが、その後これは国会において法律は議員修正になりまして資格は別として助役で兼任をすることができるということになりまして、只今では助役で兼任しておるものが相当あると思います。これは原因といたしましてはまあ第一に考えられることは、予算の措置が十分に行われておらんということであります。従つて村のように財政的にどうしても窮乏しておるところは専任の教育長を置くことができない、こういう実情が原因であることは明らかであります。これに対しましてはできるだけ予算措置を講じまして、そうして専任の教育長を置くようにいたしたいということで努力をいたしたのでありますが、不幸にしてこの二十九年度予算においてこれを実現することはできませんでしたが、今後ともこれらの点について予算の上の充実を図つて参りたい、かように考えております。  それからもう一つの原因と考えられるのは、この地方教育委員会というものがし廃止せられるという、廃止或いは廃止すべきである、こういう議論が御承知のごとく相当強くありましたので、その関係で学校の相当年輩の校長さんとか、その他の人々でも、この教育長の適任者と思われる人がおりましても、就職してもすぐもうやあになるかも知れない、こういうことで実は適当な人がおりながら教育長を得られなかつたという実情もあつたように聞いております。これにつきましてはやはりはつきりと教育委員会は存続するものであるという点をはつきりさせれば、そのへんから来る原因は自然なくなるものである、かように考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 こういう事態が来るであろうということは我々は想像していたのでありますが、文部大臣は、町村の教育委員会を末端まで作るということをお考えになつたときに、果してそこに有資格の専任教育長を得ることができるかどうかということをお考えになつたかどうか。  もう一つは助役が教育長を兼務するということは、教育委員会の精神からいつて正しいものであるかどうか、便宜的な問題は別であります。これが果して教育委員会の精神を表現しておるものかどうか。いわゆる教育を行政の不当の支配から解放するという趣旨からいつて、こういうことがいいのか悪いのかという点を伺いたいとといます。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) これは予算の措置が非常に伴わないままで発足したのでありますから、当時私がいなかつたときのことでありますが、教育長の充足というものが十分に確保せられていなかつたという事情もあると思います。今日なおその事情が実は継続しているのであります。これにつきましては予算措置並びに今度御承知の通り町村合併の促進ということが非常に行われておりますから、さような点が若し今日期待せられるように促進せられるということであれば、この問題もその面で或る程度解決せられるのではないか、こう思つております。  それから助役の問題でありますが、助役は御承知のように地方公務員法におきまして助役自身が他の職務を兼務することを禁ぜられておるのであります。これは教育長というものは他の職と兼務すること自体が、教育長のほうは法規の上で差支えないのでありますが、助役というものは他の職と兼務することができない。一般行政の、地方行政の、まあ事実上の事務局長みたいな地位におりますから、その関係でほかのものと兼務することができないということになつております。それでこれを事実上止むを得ないので助役の兼任がまあ認められていると思うのでありますが、助役を兼任させること自身は進んで非常に好ましいことであるということにはならんまでも、それ自体が非常に囲つたものであるというふうには思つておらんのであります。これが教育長としての一定の資格要件を備えております場合には、これはまあ差支えないはずであります。今日ではそういう資格要件のない人でも助役を兼任させるような規定になつておりますから、その点からいつて遺憾の点がありはしないかと思つております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 一つだけ、まあ事務的に、或いは法律上教育長が助役を兼務するということは差支えない。併し私がお尋ねしていることは行政と教育というものを分離させるということが教育委員会の最大の狙いである。そういう見地から見て、そういう事態は適当であるかどうか、こういうことをお尋ねしたい。  それともう一つ、財政上の措置に対していつになつたら末端の町村教育委員会にも十分な財政的な裏付けができるお見込を持つていらつしやるか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 成るほどこの助役は一般の行政事務に当つておりますから、その点からいうと、教育長に、教育長はまあ教育長委員会の仕事に事実上は、法律的には別としまして、事実上相当の力を持つておることは明らかでありますから、その点から見て助役をしないほうがいいということは一応筋道が通る議論であると思います。ただ法律的に申しますと、この教育委員会というものは、これは一般の直接選挙によつて出て来るものである。教育委員会の意思を決定するものは教育委員会自身であります。教育長というものは、それのただ事務の事務締めくくりをしておる立場でありますから、理窟の上からいうと、教育長によつて教育委員会が左右せられるということにはならんと思いますが、併し今お話のように、一切のそういう政治的勢力から分離するという見地からいえば、助役を兼務するということのないほうが適当のように思われます。但し助役が教育長をしたからといつて、すぐに行政面の圧力が教育委員会に加わる、こういうふうにはまあ私は考えません。その点はそうであろうと思います。  それから教育長の予算の裏付けでありますが、これは私どもとしてはいつまでということでなしに、一時も早くそういうふうにしなければこの教育委員会を強化する上において非常に遺憾の点が多いと、こう思つておりますので、実は二十九年度の予算の編成に当りましても極力大蔵省と折衝いたしたのでありまするが、御承知のように非常な緊縮予算でありますから実現を見るに至らなかつたのであります。今後できるだけ早くその予算措置がとれるように努力いたしたいと考えております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 まだ不満足ですけれども……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) これにて補正予算に対する質疑は終りました。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 委員長、それは違いますよ。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) まだ残つておりますか。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 今日はまだあるのですが、何か承わるといろいろなことがあるそうですから早く打切つて討論採決をやるときに残つた人はやると、こういうことなんですから一つ誤解ないようにして頂きたい。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 持ち時間は……。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 暫時休憩して下さい。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 速記を始めて。  補正予算に対する質疑の持ち時間は一応終了いたしました。それで本案の扱い方につきましてはいずれ理事会において協議いたします。  それから明日は午前十時より分料会に入りますが、分料会の担当委員は明朝の公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会

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