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19回国会参議院1954/03/15

予算委員会 第13号

発言数
134
登壇者
16
会派数
5
開催日
1954/03/15

会議録

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 大臣の都合があるそうですから一番先文部大臣にお尋ねしたいと思います。  大臣も御承知のように昨日、それから本日に亘つて全国的に各学校において日曜に授業をする、こういう一つの形がとられてこれがいろいろと各教育委員会等においてそれぞれ問題になつておるようでありまするが、この問題に関して文部大臣は地教委等から指導助言を要請されたことがあるかどうか。そして又この問題に対して大臣としてはどのような見解をお持ちになつておるか、この点についてお尋ねしたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 振替授業につきまして特に地教委のほうから意見を求められたということはありません。  それからこれについてどういう見解を持つておるかということでありますが、これは只今全国にそれぞれ実情を聞き合せております。従つてそれに上つてそれぞれの実態についてまあ法艇的には判断をすればいいだろう、こう思つておりますが、併しまあ法規問題を離れましてただ私は遺憾に思いますことは、まあ名義は如何ようにもふれ、或いはいろいろ法規に直接抵触しないような細工がしてあるにしても実質的にはこれは政治運動に一斉に利用せられておる一種の示威運動のように思われます。その点は非常に遺憾である。もう一点は、これが若し伝えられるごとく教員組合の指令において行われておるということであればこれも甚だ遺憾のことと思うのであります。御承知の通り教員組合は個々の教員の同体でありまして、この振替授業をするというような学校の運営に関係をして教員組合が指令を出す、学校の運営上に関連をしての指令を出すということは極めて行き過ぎである。その点甚が遺憾に考えております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 誠に好ましくないことであるという意味合いにおいては角度は違いますけれども私もこれは勿論結構なことだとは思つておらないのであります。ただ問題は法的な立場を離れての見解でございますが、現在この問題が法的な解釈を要請される段階が或いは想定されるのではないか、かように考えるわけで、でその場合においてもいろいろケースがあつて極めて問題はむずかしいと思いまするけれども、府県によつては府県条例のようなもので学校教員としての服務規程を規定したうちに学校長は授業の振替等を行うことはどの機関にも相談することなく、専決事項としてできると明らかに規定しておるところもあるようでございます。で又現に今度の日曜に授業をやつたというような場合においても新聞の伝えるところによりますと東京都教育庁においてはそのそれぞれのケースを調査して処罰する意思を打つておると、こういうふうに伝えられておるのでありますが、法的な立場からこの問題はいずれ文部大臣にどのような見解を持つかということがそれぞれ照会等があることが予想されると思うのです。で法的な問題は別としてとおつしやつたけれども、いろいろな立場を想定して、これが法的にはどのような見解をおとりであるか、この点について承わりたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) これは御承知の通りいろいろ法律に触れないように言訳になるような方法を講じておるようでありますから、先ほど申上げましたようにそれぞれの具体的な場合について判断をするほかはないわけでありまして、一概に違法であるとか、そうでないとかいうことは私は今言えないと思つております。先ほど申上げましたように、これについては各地にその実情の報告を求めておる次第であります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 そうすると、勿論ケースによつては違法の場合があり得ると、そして処罰する場合も勿論あり得ると、こういうふうな積極的な見解をお持ちでございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 場合によつてそういうこともあり得ると思います。又処罰云々はこれはいわゆる行政処分といいますか、そういうことであろうと思いますが、これはそれぞれの地方教育委員会、県教育委員会等において処罰の必要があると認められれば処罰する、こういうことになると思います。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 文部省のいろいろな措置が完全に行つていないから結局するところはこういう結果をも生むという見方も、それは議論はあるでしようけれどもあり得ると思うのです。従いましてまあこの問題については一つ文部大臣も十分親心を持つて処置されるように希望しておきたいと思うのです。  それから次に私は承わりたいのは、最近街にエロ、グロの不良出版物というものが極めて多いと思うのです。でこれは青少年指導の上からも風紀の改善の上からも極めて問題であろうと思うのです。でこの場合に警察力を利用してこれを徹底的に取締るといたしましてもいろいろこれにも問題が出て参つてしかく簡単では現在の情勢下ではないと私も思つておるのです。今日は法務大臣をお呼びしてそれらの見解も承わりたいと思つたのですが、病気でおいでになれないというので質問を保留してありますが、文部大臣としてはこれを積極的に指導する意味で、予防的な措置としてこういう擬製並びに非常に少年の性情を害うような出版物に対してどのような見解をお持ちになつておるか。そして又具体的に何らかの措置をしようとする用意があるとするならば、一つこれらもお示しになつて頂きたい思う。日本の文教の府を掌る最高の責任者としての文部大臣の賢明な一つ判断を期待して、以上のことをお伺いいたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 或いは映画だとか、その他の出版物等において甚だ面白くないようなものが世の中に出ておるという点については、私も大伝相馬君と同様に考えております。ただこれが直接いろいろ警察の取締り法規に該当するものにつきましては、さような極端な場合につきましては取締の規定があるわけでありますが、併しそうでないものにつきましてこれは適当で、これは不適当であると、そしてその結論に持つて来てその出版を禁止する、或いは映画の上映を禁止するとか、さようなことは今日では全くそういう方法は講じ得ないのであります。御承知の通りこれはすべて出版の自由でありまして、結局一時から見ればだんだんとそういう余り変なものが少くなりつつあると私は思いますけれども、これは全体の社会の良識によつてそういうくだらんものが漸次淘汰されて、人がそういうものが出ても取合もないようになるということに待つ以外に、つまり良識によつて自然にさようなものがなくなつて来るという以外には、法的措置によつて、或いは行政品な方法によつて出版の自由というものに干渉するということはこれはできないのが当然であります。文部省といたしましては、文部省の立場から教育上有益な映画を作る、そしてそれを流すとか、或いは又民間にできました映画につきましても、教育上有益と考えられるものにつきましてはこれを教育に優秀な映画として認定をする、或いは推薦をする、つまりいいものについてそういう措置を講じておるのであります。映画の検閲制度のようなものを設けて悪い映画をなくするということは、これは憲法の問題とも関係することでありまして、そう簡単には行かない、こう思つております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 この段階での御答弁はその程度で私も極めて妥当だと思うのです。いわゆる法的にこれを取締るという場合には、憲法に規定する出版の自由との関連において、どの程度で一線を画するかという意味で、非常に問題が残つていることは私もよく了解するところであります。ただ問題は最近そういう出版物が少くなつたという大臣の言葉ですが、お忙がしくて本屋等を覗かないのかもわかりませんが、実は実に合法的に悪質な、具体的に申しますと、女の責めの形というような、私は実は見て非常に驚き、日本の青少年の将来を思つて、これは何らかの、為政者として措置に出なければ、これは極めて問題を後に残すと思うような事例を現に見ているわけです。そこで何らか積極的な意図があつてこれを、委員会のようなものを新たに構成し、或いは又立法措置をとるというような何らかの意図があるかということを期待してお尋ねしたのですが、まあ普通の御返事を頂いたのですが、一歩進んで積極的に、出版物の倫理化という意味合いから特に青少年の将来のことを考えて、何らか積極的な手を打つ意思があつて然るべきだと思うのですが、甚だしつこいようですが、重ねてこれらについての見解を承わつておきたいと思うのです。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 先ほど申上げましたように、こういうことは結局一般の社会の教養水準というものを反映しておることと考えます。これを結論的に申上げるというと、一般的な社会の教養が高まるということによつて、かようなくだらんものがなくなる、こういうことを期待するよりほかはないと思つております。これを誰かが見て、これは適当な映画だ、これは不適当な出版物だ、これはけしからんシヨーである、こういうことを誰かの判断によつてこれを或いは上映を禁止する、或いは出版を抑えるということになれば、これは逆に非常に行過ぎのことが起ることは当然であります。結局、誠に気長いような話でありますけれども、さようなエロ、グロの出版物が港に氾濫するということは、結局その社会の教養水準が低い、つまりそういうものがよく売れる、みんなが喜んで読む、こういうことに起因するのでありますから、私はやはり一般の良識、教養水準が向上するということに待つほかはない、かように考えております。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 先ほど文部大臣は、教育上有意義なものについては文部省として、或いは大臣として推薦されるというような御答弁をなさいましたが、推薦されたものについてはどの程度の責任をお持ちになられるか、その点をお聞きしたいと思うのです。と申しますのは、今度文部省のほうから教育の中立性が侵されておる例として挙げられた中に、滋賀県の日記というのがございます。これは私は聞き又調べたところによれば、少年朝日などは、文部省で推薦しておられるし、又講談社の作文などについてもそういうような措置がとられておると聞いております。そうすると文部省の推薦されたものが、つまり大臣の御答弁によれば、これは教育上有意義な、適当なものとして推薦されたものが、今度の日記の中に入れられて子供たちに読ませるということになると、これはどうもけしからん、中立性を侵している、こう文部省のほうで挙げておられる。こういうことになりますと、只今の推薦ということの内容が非常にどうもおかしいような感じがいたしますので、その点についてもう少し明確にお話を頂きたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 滋賀県の日記を偏向にあらず、こう判断をする立場の人から、朝日年鑑にあることが、あのうちにそこに取材してあるのだということをその一つの論拠としておる。それから又山口県の日記についてもやはり同様なことを論拠としておるように聞いておるのです。私は朝日年鑑というものは、実はそれに該当をする部分を知りません。併しながら、私どもが滋賀県なり或いは山口県の日記を、いわゆる偏向を示すものであるというふうに判断しますのは、その一つ一つのことごとくが偏向しておるのだ、こういう見地に立つておるのではないのでありまして、その日記の随所に現われておる、その一連の記述の指向するところは偏向であると、こういうように判断をしておる。こういう意味なんであります。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 ちよつともう一言……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 簡単に……。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 それではなお重ねてお尋ね申上げたいのは、例えば文部省が推薦された図書の中から、すべての材料を集めて作つたものであつても、それを集める、集める態度において、今おつしやつたような偏向が見られるというような判断をなされるのかどうか。私は大臣が推薦される、文部省が推薦されるものであれば、どういうふうにそれを取扱われても、それをどう編纂しても、それは絶対安心できるものというのを推薦しておられるのではないかというように把握しておつたのですけれども、そうでなくて、そういうものからとつて編纂したにしても、その集めるものが編集者の主観によつて取捨選択されてでき上つた場合には、偏向であるという判定も下されるというような御答弁のように承わつたのですが、どういうことなのでございましようか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 仮定のお尋ねでありますから、具体的なものについてでなければはつきり申上げることはできないと思いますが、私は朝日年鑑というものをみな読んでおりませんが、朝日年鑑に書いてあること、或いはその他の書籍等に、或いは新聞等に書いてあることも、そこに記述されていると思うのです。併し滋賀県の場合について言いますると、中共から引揚げて来た子供の作文というようなものが非常に出ております。で、そういうものと、いろいろの記述との連関において偏向しておるじやないか、こういうように判断をしておるのであります。具体的にどういうことになりますか、朝日年鑑の記事だけを集めてもそういう場合があり得るかも知れません。併しこれは抽象論でありまして、具体的でないと私も何とも申上げられませんが、滋賀県、或いは山口県のような場合を言えば、これは朝日年鑑に書いてある記事ばかりではない。さような意味で、これは滋賀県の日記それ自身、或いは山口県の日紀それ自身において偏向性がありや否やという判断が下されるわけであつて、出所が朝日年鑑ですか、或いはどういう本にあるから、それだから、それだけで偏向ということにはならないと、こういう証拠にはならないのじやないかと思うのです。(湯山勇君「文部省推薦ですよ」と述ぶ)

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 学校の教育が中立性を保たなければならないということに関しましては、文部大臣と私は見解を一つにしています。ところが現在は或る特殊な例から、この学校におけるところの政治教育というものまでが大幅に制限される段階が来ておる。これは不幸なことであつて、そうすると勢い子供たちの興味というものが、特に中学校、高等学校程度の子供たちの興味というものが別の方面に走る。従つてあのような抜本的な法改正をして、日本の文教政策を運んで行こうとする大連さんとしては、当然今言つたような別の面から、日本の教育を破壊している面をどういうふうに防ぐかという考え方があるであろうということを期待してお尋ねしたのですが、まあこの段階では、御答弁は止むを得ないのですが、十分この点については、一つ今後お考え置きを願いたいと思うのです。  次に私は教育委員の改選の問題についてお尋ねいたします。本年十月に施行されることになつていた教育委員の選挙を二年後に行うというお考えのようでありまするが、その理由は何でございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 御承知の通り教員委員の選挙は半数改選、二年目ごとということになつておりますから、実際から申しますと、二年目ごとに全国的な大きな選挙をするということでなくとも、四年ごとに、つまり任期の終了に際して、一斉に改選をいたしても実情は差支えない、非常な支障を来たすというわけではない、こういうふうに考えて、これは経費の節減の点もあります、それから選挙というようなことで、全国的に非常に、まあ一斉に人を煩わすというような必要もない、こういう考えで一斉改選にした、こういうわけでございます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 文部省はやはり法律が示す通り、半数改選にやりたかつたんだと、ところが大蔵省のほうで、費用の点からなかなか話がうまく進まずに、止むを得ずこうなつたのである、こういう御答弁を、実は私、期待したのですが、そうでもなさそうで、四年、四年にやつても差支えないと、こう言つておられますが、それは実は不思議で、この法律案が出たときに、政府当局として文部省はこういうことを言つている。教育委員会は執行機関であるために委員全部が一時に交替することを避ける政策の一貫性を図るために、二年ごとに半数交替することにいたしたのでありますと、こう言つている。この見解は今日狂つてしまつたのかどうか。  そうして又第二にお聞きしたいことは、教育委員会を地方に設けるということについて、私自身は反対である、併し今問題は私、ここでそういう個人的な立場でなくて、現にできているからにはこれをどう助成して行くかということが、これはお互いの一つの責任であるはずであります。ところが半数改選を中止したということが、どういう影響を及ぼしているかというと、これは四年後には教育委員会を全廃するこれは伏線なのであると、一つは取沙汰されている。或いは又その四年後には教育委員を官選にする下準備なのである、かように噂されている。或いは又いやそういうわけではないのだけれども、大蔵省に潰されて、止むを得ず文部省は泣き泣きこういうことをやつている、このことのほうがおかしいということを承知の上でやつているのだ、こういう見方もある。そこでその最後の見方についてはもう触れる必要はありませんが、一体その四年後にはどういう措置に、四年後というより、任期が四年で終るときには、どういう措置に出られる腹案を持つて、かような立法措置をしようとしておられるのか、この点を承わつておきたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 半数改選の制度をとられた根拠は、委員会の行政並びに運営の面における一貫性ということを保障する意味であつたということは、その通りであると思います。ただ実際の実情から見まして、一斉改選にしても、別に一貫性も破られる慮れはない、かように考えて半数改選の制度を、一斉改選に改めたいと思つているのであります。  それからそれはあとではやめるのじやないか、或いは任命制度に変えるのではないかというようなお尋ねでありますが、そういうことは全然ありません。ますますこの委員会の制度を育成、強化して参りたい、かように考えております。その点ははつきり申上げておきます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 今般の三派修正の問題についてお尋ねいたしますが、三派修正によつて、この危険校舎改築に関して六億円増額されたことは、予算書で明らかでありまするが、私どもが聞くところによると、改進党を含めての三派折衝では六億円の増額ということは義務教育諸学校以外の、いわゆる公立の学校である高等学校の危険校舎をも含めて施行される話合いがあつたのであると、かように聞いたのですけれども、この辺の事情はどういうようになつているか。  それからなおこの危険校舎改築促進臨時措置法にも、明らかに高等学校も将来含ませるようにということか衆議院、参議院共に文部委員会で附帯決議になつております。そこで、今年のこの予算には高等学校の危険校舎が計上されていないが、今後はこれに対してどのようにお考えであるか、この点を承わつておきたいのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 従来危険校舎の改築の補助につきましては、高等学校までは行つておらんことは只今お述べになつた通りであります。まだ危険校舎で急を要するものが非常にたくさんありますので、間口を拡げましても、その点どうかと思いますが、できることなら高等学校までも危険校舎の回復を促進して参りたい。かようには考えておりまするので、十分これは予算額と睨み合せの問題であります。その点十分検討いたして参りたいと存じております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 時間もありませんので、最後に一点お尋ねして文部大臣への質問を終りたいと思いますが、現在衆議院で、並びに本院で問題になつておりまする教育三法案についてはその委員会において詳細お尋ねして質疑いたしたいと思つておりますが、一つ承わつておきたいことは、あれに連関して偏向教育の実例というのを文部省がお出しになつて、大変にこの世の中を騒がせていらつしやいます。あれを読んで見まするというとあのまま取上げて見てもどこが偏向しているのかさつぱりわからないような実例がある。例えば山口県の大島郡においては、ビラを一枚貼られた、教育が偏向しているという事実を訴えたビラが一枚貼られた、こういうことが、その一例として報告されている。そこで私はそれらの内容については問題にしているのではなくして、政府が出す資料としては吉田内閣初まつて以来あのような杜撰な、そうして議論の多い資料をお出しになつた例を私は知らないのであります。でどういう調査であの偏向教育の実例というのをおまとめになつたか、どういう権威をあれが持つているのであるか、そうしてあれらの個々のケースについては、文部大臣としては文書に表現された通り確信しておいでになるかどうか、これらの点について承わつておきたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) あの資料は委員会切ほうから要求がありましたので出したわけです。こちらから人騒がせにわざわざ出したのではない。その点は御了承願います。  それからこれは委員会のときも申上げたと思うのでありますが、実は文部省として、末端の義務教育諸学校における教育の実態というものについてこれを十分に把握するところの手段を持たないのであります。従つて文部省として進んで学校に行つて調査をしたということではありません。これは通牒によつて実情の報告を教育委員会のほうにお願いをしたのでありますが、それすらも、やれ教員の思想調査であるとかというようないろいろの問題が起りまして、私どもとしては進んで調査をする手段がないのであります。あすこにあります事例は、新聞に報道せられたそれに基いて、或いは現地に人をやつて調べさせた、或いは又教育委員会と学校の間、或いはPTAと学校の問、そういうところにこの偏向教育というものをめぐつていろいろの紛議が生じているところもあるのであります。そういうところについて実情を調べたものもあります。その他、結局或いは又学校の先生がひそかに上京せられて、名前を言われては困る、名前を言うと非常な圧迫を受けるから名前を言われては困るが、自分の学校における教育の実情は見るに忍びない、こういうことでわざわざ報告に来られたものもあります。まあかれこれ文部省が自然に入手し得たものを資料として請求に応じて出したのであります。従つて、その一言一句それが微細に亘つて絶対に真実である、こういうことまでは私ども考えておらんのであります。ただ又実例も私どもはあれで終りであつて、今のように積極的に調べたのではないのですからほかには絶無であるということは考えておらんのであります。黙つておつてもあれくらいの資料が集まるのだから実際はもつとたくさんあるだろうと、こういうふうに考えておるのであります。ただあれを一々細かくこれが偏向であるとか、これは事実にあつたかないか、これは今調べようはないのであります。ただ私どもが資料として御覧を頂きたいと思うのは、日本の末端における義務教育諸学校において偏向教育というものが一体あるのかないのか、或いはそれがどういう傾向のものであるか、一般のこの政治教育についての傾向と言いますか、徴候と言いますか、そういうものを判断をする資料として頂きたいと、こういう意味で提出したわけであります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 大臣と私がお茶飲み話にあの資料のようなことを聞かせられる、そうして資料が生れて来た経緯はこうだと言うのならばよくわかりますが、政府から出した資料としてこれが国会に正式に出されておるということから世の中に非常に問題を起しておる。この問題はいろいろな角度からいろいろな議論があるでしようが、私はここで取上げているのは日教組の言い分が正しいとか、文部大臣がどうということではなくて、現に偏向教育の実例として報告されている学校が非常に迷惑をこうむつている実例がある。そこで文部大臣としてはそれらのことを自分の名前を言つて欲しくない、実情はこうだと訴えて来たものも耳にとめられた、その雅量を持つてこれは今度は実に間違つていたのだと、こういうことがあなたの耳にとまりましたら、これはあつさりとこの学校、この実例については誤りである、乃至は事実無根であると取消す御用意はないものでございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○国務大臣(大達茂雄君) 私自身が、或いは文部省の全体としての判断が成るほどこの資料は事実に反しておつた、事実無根であることが誤つて伝えられたのだという気持になればこれは訂正することは決してやぶさかではありません。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 大蔵大臣が本会議にいらつしやつたようですから私は通産大臣に、今度の予算は国際収支のバランスをとるという狙いと、国内の物価を引下げるという大きな狙いを持つているというのは大蔵大臣並びに通産大臣である愛知さんの今までしばしばのお話でよく了解しているところです。そこで私は一つお尋ねしたいことは、施政方針演説の場合にもあなたの述べられたことはかなり積極的な見解を披瀝して好感の持てるものだと私は率直に思つております。ところが私をして言わしめるならば一つ足らない点があります。それは従来の反省を、こういうふうにして持つていた外貨がどんどん減つて来るという現実を訴えているが、それは吉田内閣の今までの放漫政策の一つの失敗の集積なのであるという意味合いの見解が私は抜けていると思う。そこで私は一つ尋ねたいのですが、従前外国製日用品、或いは又高級自動車というものが戦後の日本の経済界には似つかわしくないものが貴重な外貨を使つてどんどん入つて来た現実があつたと思うのです。これらの過去の問題についてどのようにお考えであるか。その理由は、これに対する正当な批判と、これを教訓的に学びとる態度がなければ次の問題に発展できないからお尋ねしているのであつて、どのようにお考えになつておるか。特に高級自動車がどんどん入つて来たということは、国産の自動車に対する生産の障害等にもなつたし、この貧弱な家の並んでいる道路を我物顔に化物みたいに高級自動車が走つているというこの日本の現実からして、私は非常にこの問題について深い関心を打つておるのですが、将来どうするかということも含めてこれらに対する見解を承わつておきたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 只今のお話は実は大蔵大臣の財政演説の冒頭にもございますように、率直に、むしろ過去の間違いを反省しておりまして、街にネオンサインが輝いているというような中学生の作文だという御批評を頂いたようでありますが、その気持は現われているわけでありまして、高級自動車等につきましても全く私は只今のお話の通りに考えております。  大体従来は外貨の割当も完成の一新車に対しまして相当やつておりましたが、更に無為林の輸入も相半多かつたのでありまして、例えば外国人が日本に自家用車というものを持つて参りましたものは、こちらでは殆んど日本人に売渡す場合におきまして制限が考えられないという関係もあつたのでありましたから、そのほうからも急に外車が入つたのであります。これにつきましては完成の新車に対しましては今後は原則的に外貨の割当をやめたい考えでございます。無為替の輸入のほうの問題につきましては、外国側の協力を得まして、少くとも一年一回に限る取引というようなことにすることにいたしております。それからいま一つは、国産車が大体昭和二十八年度では七千五百台くらいの台数になつておりますが、これが二十九年度では一万一千台くらいに殖えることになつております。この純粋の国産車は勿論でありますが、外国の会社との提携によりましてできまする車に対するところの外貨の割当というようなものは若干は考えなければなるまいと思います。  要するに今まで申上げましたことを総括的に申上げますと、完成の外車は原則的に外貨を割当てたくない。それから外岡側の協力を得て無為替輸入もできるだけこれを抑えたい。それからその次に外貨を割当てるものは組立その他の関係で外国の会社と提携して日本の資材、技術等が使えるものに限る。それから別途純粋の国産車に対する奨励、斡旋をいたしたい、こういうふうな考えを持つております。それからその次にそれ以外のいわゆる外国の消費物資でございますが、これは先般も申上げたと思いますが、外国との通商協定によりまして、例えば極く僅かではありますが、ウイスキーだとか、或いは高級の羊毛等を入れなければならん場合がございますが、その通商協定において約束をしましたもの以外は、徹底的にこれを不要不急の物資を外貨の上で削減をいたしたい、こういうふうに考えております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 関連して……只今愛知大臣から無為替輸入の抑制についてアメリカ側の或いは外国人の協力を得て善所したいと言われておりますが、これはですね、行政協定が問題になつたとき、この点は大蔵委員会でも指摘されたわけでして、いわゆる関税に関するところの特例措置を行政協定でやつたわけです。その際イギリスが苦杯を嘗めた例があるのであつて、税関の認定の場合はアメリカ側がこれは個人の使用のためだつたらよろしいと認めたいときに許されることになつておるのです。イギリスでもこういう例があつたので、イギリスは協定を結び直した。そうしてイギリスの税務官吏がこれは不適当と認めたときにはこれは許可しない。こういうふうに行政協定をイギリスではこれをわざわざ変えた例があるのです。それを指摘して関税に関する行政協定の特例措置では必ずたばことか、或いはカメラとか、或いは自動車とか、洋服地とか、或いはウイスキーとか、今お示しのようなものが個人消費としてアメリカ側の認定によつて来てしまう。ここに欠陥があるのです。ですからどうしてもこれは行政協定の特例措置についてはこれはつけ直さなければいかんと思う。日本の税務官吏が個人消費でないと認定したときにはこれは輸入できない。こういうふうにそこをはつきりさせなければ駄目だと思う。あのとき主税局長の平田君は、いや、それはそう行かないように我々がするから大丈夫だ、こう言つておつた。ところが只今相馬君が言われたようにどんどん自動車が入つて来ておる。このようにいつでも野党が欠陥を指摘したら政府は謙虚に聞くべきであつて、今まで自己反省をされたということを申しますが、これまでの国会でこういうことでは必ず間違いだということを随分指摘された。それを反省しないで、今頃になつてああそうだというようなことが多い。これはどうしてもそこまで遡らなければ実際の適切な措置にならない。単なる協力では駄目だと思いますが、この点について伺います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) その当時の御議論も私も拝聴しております。それからその趣旨に副うようにその行政協定の改訂というところまでは私は今の問題について必要はないかと思いますが、行政措置としてこちら側がやれるようなふうにいたしたいと思いますが、ただ占領中に軍人、軍属で以て乗用車或いはそのほかの名目で入つて来たものは、これはその当時は抑えられなかつた。それが残つて国内で売却に出ておるものが相当多いのでありまして、占領が終了した後におきましては、純粋の民間のシイヴイリアンが入つて参りますときには、日本の税関でこれが純粋にその人の個人の用に供せられるものであるかどうか、これはこちらが自主的にチェックし得るようにやつておるのであります。それらも併せまして、なお今回の措置に併せて十分研究をいたしたいと思います。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 無為替の輸入につきましては今木村君の指摘された点は私もその感を深うしておりますが、自動車だけについて、実は愛知君が今考えておる……私は一つの提案をいたします。と申しますのは、大体どこの国を歩きましても、愛知君も昨年諸外国をお廻りになつたからよくおわかりのことと思いますが、どこの国へ参りましてもアメリカの国産車が日本ほど氾濫しておるところはありません。むしろアメリカ以外の外国でアメリカの外車を見受けるということは非常に少いケースです。それをどういうふうにしておるのかということになると、このアメリカ人、而も一方においてツーリスト・インダストリーというものが盛んに行われるとすると、外国人が来るときに自動車を使わせなければならん。殊にアメリカ人が来た場合には自動車を使わせるという方策が非常にとられておる。私は率直に言えば、今吉田総理以下我々もすべて引つくるめて、外国車は使うべきでないというくらいの日本の経済の状態だと思うのです。そうなればこの外国車を一つプールしちやつて、外国人が自動車を持つて日本に来なくてもよいような施設をなさるように考えられることが一つ必要なんではないか。これは各国ともとつておる方策であつて、アメリカ人が自動車を持つて入る必要はありません。アメリカのちやんとよい自動車が日本にはありますよ。そうして適当なレートで御溝在中は貸しますというような事柄を仕組むことがやはり行政措置として一つ必要なんじやなかろうか。ただ徒らにそれが日本人に流れて行くのを挑めておられるのが私は行政処置だとは思わん。だからそういう点について一つお考慮をなすつて頂きたいということを提案しておきます。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) この問題に関連いたしまして、先般政府といたしましても、政府の需要品自体を国産に切替えようというような閣議決定をいたしました。今後新たに政府の乗用車、或いはその他を購入いたしまする場合には、できるだけ国産車を買う。要するに買い替えたり、或いは新らしく必要が起りました場合にはそういうことにしよう、そこまでは私のほうとしてもきめたわけでございますが、なお只今の御提案等につきましては運輸省その他の関係当局とも十分相談して見たいと思います。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 今の木村君の質問に対する通産大臣のお話でしたが、これは確かに目に余るような行政協定による個人消費ということに隠れての商売が行われていると思うのであります。例えば、日本における外字新聞、英字新聞に堂々と外国商社が広告を出している。要するに日本における駐留軍の嘱人が郵便為替でオーダーすれば、外国産の、第三国産の、はつきり言えばドイツのキヤメラを無税で買える、じやんじやんやつているのです。これは個人消費というものは、それは行政協定がある以上、或る程度アメリカ産のウイスキーとか、たばこ、本当に個人の消費にする程度はこれは許すという協定が仮に変えられないとしても、こういつたような目に余る、堂々と広告している、キャメラなんかは大体アメリカの軍人なんか大したものは買えやしない。これは転売が目的であるということは明白なんです。そういうものまで含めてもつと当局ははつきりと、今木村さんが言われたように、その点を引締めて行かないといけない。その結果はやはり行政協定そのものになるのですが、これは堂々と画して行くように大臣においては努力して頂きたい。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 同僚の堀木、曾祢両委員が申されたと同じ見解を私も昨年欧米を一巡して感じていたので、先ほど来自動車の問題を問題にしたのであつて、善処を願いたいと思うのです。  そこで話を進めて、私はこの外貨割当に関して、大きな貿易商社と小さな貿易商社に分けて、一つ一つの問題を申上げて、一つ答弁を願いたいと思うのです。先ず小さな貿易業者は今般の資金引締めによりまして外貨割当をもらつても銀行において信用状が開けない。そして貨物の輸入ができない。こういうことが予想され、中小貿易業者が倒壊する危険性が非常に多いと思うのですが、これらに対する見通し、並びにこれらに対する具体的な指導、救済、さようなるものをお考えでありましたらこの際お漏らし願いたい。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 第一に輸入外貨の割当があつたのをいわゆる輸入の国際金融のほうが引締められてあるので手に入れることができないという問題につきましては、私どもはむしろ国内金融のほうの措置が先行して、そうしたそれにマッチして為替の割当をするというふうに現在やつておるつもりでございますし、将来もそうやつて参りたい。要するに、国内金融のほうは、全体としての日本の輸出計画なり、或いは生産規模をこうやりたいという程度に引締めて参りますから、有効需要をその面から金融のほうで抑えて行く、併し必要な外貨は割当てなければならないという方式で、割当てられた外貨は当然輸入金融のほうでもお世話をするというような仕組で今後参りたいと考えております。  それから大企業と中小の業者、或いはメーカーとの関係でございますが、これは私の考えではあえて外貨の問題だけでございませんで、こういうような政策の調整が行われるときには、どうしても中小企業のほうに早く且つ深刻にその余波が及ぶと思いまするので、できるだけそうしたような問題を最小限度に食いとめますためには、総合的な中小企業対策というものがどうしても必要であるということから、あえて金融の問題に限りませず、相互連帯の抵抗力を強化する方法でありますとか、場合によりましたならば、商社のごときは小規模に非常に分散しているものが多少合併するとか、合同するとかというふうな話合いがあればそれを更に育成して参るとか、或いは中小企業自体の企業診断をもつと活溌にやるとか、いわゆる総合的な対策で対処して参りたいと考えます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 本年度における外貨割当の基本的政策について承わりたい。と申しますのは、米或いは麦或いは原材料を幾ら幾ら買うと言つて外貨割当をすると、その持つている国でその値段がぼつと上つてしまつたというような実例を我々は聞いております。それではそれを救済するために、特定の商社に割当てて秘密裡にこの外貨をうまく使わせて物を仕入れさせようとするとこの商社がろくなことをしないという、それも聞いております。そこでこうすべきであるという見解を私は実はここで明確に持つていないのですが、これに対して基本的に本年度はどのように通産大臣はやつて行く御予定か、承わつて置きたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 実は私もその点を非常に現在深刻に考えておるのでありまして、外貨予算というものは予算という名前が使われておりますが、国の予算とは私は性格が非常に違うものだと思うのでありまして、場合によれば或る一面では外貨の割当計画のごとき、手のうちを全部国外にさらけ出してしまうということは、実にこれは、先般本会議でたしか苫米地議員が御発言になつたと思いますが、外貨の運営については武士の商法的なやり方をしないほうがよろしい、こういう御意見がございました。私もこれは非常に掬すべき御意見だと思うのであります。と言つて、今御指摘のように、全然祕密にしてしまうということになると、そこに対して今度は国内的にいろいろの批判の対象になるかとも思いますので、これをどういうふうにして運営して参りますかということにつきましては、実は先般来しばしば外貨の予算についての閣僚審議会もできるだけ頻繁に開くようにいたしまして、鋭意その対策について今研究を進めております。大体今月の下旬に、外貨予算の内容も勿論でございますが、その発表振りや運営振り、或いはそれに伴う国内的措置等を総合いたしまして、今月の下旬には閣僚審議会として成案を得たいと思つております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 次に輸出振興対策の基本的態度について承わつて置きたいのでありますが、本年度のような予算を立てて輸入を制限して行くということになると、必然的に国内の物価が原材料その他消費物資についても上る、そのことは、はね返つて輸出に邪魔をして来る、こういう矛盾を感ずるのでありますし、現在砂糖なんかが非常におかしな値段になつておることは大臣もお知りの通りであります。砂糖を再統制するかしないかということは、所管は農林省かと思つておりますが、砂糖に限らず、石油、重油、こういうすべてのものを含めて計画的な経済をやつて行かなかつたならば、とてもこれは輸出振興の基本的な政策は立たないのではないかと私は考えるのでありますが、積極的な輸出振興対策を、金融の面、それからこの計画的な経済の面、それから或いは技術的な面でありましたら、それにも触れられて、一つこの際お示し願いたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 輸出の問題につきましては、一昨日も当委員会で問題が出たのでありますが、あのときに、大蔵大臣から申し上げましたような、例えば、輸出を十二億ドル余り、特需を七億一千万ドル程度ということに、これは輸入外貨の予算を作ります場合に、できるだけ手固く作ろうということで、さような計画に一応しているわけでございますが、私どもからすれば、輸出についても特需の獲得についても、一月に発表いたしましたような目標、即ち十三億七千万ドル程度の輸出、或いは七億六千万ドル以上の特需ということについて、何とかしてこれを達成したい。又それが実績を挙げ得るようであれば、輸入の計画のほうもそれだけ拡がれるわけである。こういう立場に立つて、外貨の割当の計画と、それから努力目標ということを別に考えて参りたいと思つているわけであります。  それから輸入を締めれば物価が上がる、それから縮小的な貿易になつて、却つてこれはインフレ的なものになるというようなことは、私どもも十分注意をしているつもりでございまして、そのために、二十九年度で一挙に国際収支をとんとんにするというようなことは、実は考えたいのでありますが、只今御指摘のような点も考えますと、二十八年度において、食糧の緊急輸入があつたというようなことも考え併せて、二十九年度の末において一億ドル程度の赤字ならば、これは恕さるべきことではなかろうか。又その範囲内で必要物資の輸入を確保したい、こういうふうな考え方に思想統一をいたしたわけでございます。  それからその範囲内で以て輸入計画を作りましても、一昨日も申上げましたように、砂糖は昭和二十七年度では七十万トンくらい、それが二十八年度の終り頃の状況を一年間に拡げて考えれば、百二、三十万トンになる。併しながら私どもは、砂糖というようなものについて見れば、そういう急激な事情の変化というようなものも、急激な事情の変化といいますか、急激にそういうふうに輸入が激増したという点をとらえて見ましても、今度の計画ではできるだけこれを切るということが私は常識的な行き方ではないかと思う、数量その他についてはまだきめておりませんが……。そこで国内的にどういう措置を合せて行くかということ、これも十分考えなければならないと思うのでありまして、先般来申上げておりますように、私どもの考え方も、いわゆる計画というふうなことを全然やらないというようなことは、それこそ全然逆でありまして、特に国際収支の改善ということを絶対的な中心課題にしておりまする以上は、外貨の割当もこれは統制でございましようし、それに伴う措置等につきましては実情に合うように十分考えて参りたいと思うのであります。ただ、戦時中並びにその後のいわゆる物それ自体を中心にしての切符制とか、我々がいやな経験と記憶が残つておりまするようなことは、できるだけ避けて参りたい、そういうふうな方法はとりたくない、現在の実情に合つて、国民の支持を得るような方法をとつて参りたい、こういうふうに考えているのであります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 関連して……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 木村君、簡単に……。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 簡単にお伺いします。今砂糖の例を言われましたが、一昨日も御答弁伺つておりますと、実情に即した御答弁でないと思われますので、止むを得ず関連質問したわけでありますが、砂糖の消費が殖えた殖えたと言いますけれども、これは今までの外貨割当のやり方に欠陥があると思うのです。皆設備に応じてやるのでして、これは砂糖ばかりじやないと思うのです。いわゆる燐鉱石なんかもそうです。それから僕は綿花だつてそうだと思うのです。今まで消費インフレ、消費インフレと言つて、非常に消費が多くなつて輸入が殖えたように見えますけれども、それは外貨割当が設備の拡張、設備に応じてやりますから、それで外貨さえ取れば、二重価格で国内価格が高いのですから、もうプレミアムがついて非常に儲かることは明らかですから、ですから設備の拡張をどんどんやり、それに応じて外貨割当、輸入の量は殖えるのですけれども、それで砂糖会社なんか砂糖を作らないのです。むしろ操短、制限をしているのです。設備を拡張して外貨割当をもらつて、而も生産制限をして砂糖の価格を上げている、独占価格……。ここに矛盾があると思うのです。ですから国民が砂糖をたくさんなめたのじやなくして、砂糖会社がそういう思惑的に砂糖を輸入して、本当は砂糖の輸入が殖えれば、砂糖の値段が下らなければならない。ところが砂糖の生産制限をしてしまつて、そうして独占価格のようにして上げて行く。こういうところに矛盾がありますから、やはりこれは、今外貨割当のお話がありますけれども、これは単に機械的に設備に応じてやるというだけではいけないのじやないか。砂糖ばかりでなく、ほかの外貨割当についても……。この点伺つておきたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 御尤もでございまして、消費という言葉をちよつと使い過ぎたかと思うのでございます。要するに輸入が多かつたということについての説明がちよつとわきへずれたように思います。御趣旨のことはよくわかります。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 時間がないところ大変恐縮ですが、私この際厚生大臣に承わりたいのですが、次官かなんかいらつしやいますか。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 本会議……。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 本会議ですか。それでは労働大臣。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 労働政務次官が見えております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 それでは労働政務次官にお尋ねしますが、その前に人事院に、人事官がいらつしやつているようですから、一点聞いて、それから私は労働省に一点聞いて終りたい。  人事宮にお尋ねしますが、現在国家公務員法の一部改正で人事院が廃止される運命におかれております。これは国家公務員法が生まれて来た歴史的な経過を見れば、実に人事院の廃止というものはおかしなものであつて、筋の通らないものであると私どもは考えているわけです。国家公務員の罷業権を奪つて、同時に一方ではこれに見合うところの非常に高い権限を持つ、最近ではその権限を余り行使していないようでありますが、高い権限を持つ人事院を作つておる。あの法律の建前からして、今度の改正は非常に困つたことだと思つておりまするが、あなたたちはその人事院の立場からこれを批判すべきではないというふうにお考えではあろうと思いまするけれども、国家公務員の利益を守る当面の責任者として、この人事院の廃止ということをどのようにお考えになつているか、これが質問の第一点です。それから第二点は、しばしば浅井総裁は、地域給に対して勧告をしなければならない。その時期は来ていると言明されております。ところが財政的な理由で空勧告になることはまずいから、これを勧告しないと申しております。話の筋は通つているようであるけれども、人事院がこのような調子だからなめられてしまつて、一番先に槍だまに上つて廃止の運命にあると思うわけです。財政的な事情を顧慮することは勿論御自由であるけれども、これは当然勧告しなければならない法の建前であると思うのです。従つて地域給は今日非常に多くの問題をはらんでおりまするので、地域給に対しては抜本的にどのような御見解をお持ちであるか、差当り今度の凹凸是正の勧告はいつ頃行う御予定であるか。又その時期が明確にならないとするならば、その勧告を行えない理由は何であるか、その点を承わつておきたいと思います。

入江誠一郎人事院人事官

○政府委員(入江誠一郎君) お答え申します。御存じの通り公務員の団体交渉権を認めません代りに、給与の勧告を人事院という独立機関に認めたのでございまして、一定の独立の機関による給与の勧告ということは、団体交渉権と表裏をなすものと思います。併しながらこの人事院を廃止されまするけれども、総理府の外局として一定の独立的な権限を持つております、行政委員会としての国家人事委員会によつて、今後給与の勧告をいたしますわけでありまして、その点につきましては、我々この制度によつて、運用上できる限り現在よりも支障の起らないように、最善の運営をいたしたいと思います。勿論独立性の如何ということが勧告の強度と申しますか、相当に影響することは事実でございますけれども、この問題は国会においても十分御審議を願いたいと思つております。  なお、地域給でございますが、地域給につきましては、御存じの通りべースの勧告と違いまして、何さま各市町村の個々の級が勧告の場合に出ますものでございますから、これが勧告で出まして、予算で実現いたしません場合に、非常に市町村の立場から申しましても、一応市町村は財政上の独立権を持つているわけでありまして、人事院の勧告が出た以上は、これを実現せよという市町村内に要望も起り、市町村当局としても、そうかといつて平衡交付金が出ませんために、非常に個々の市町村ごとにちぐはぐの地域給の実現されることもございますし、まあ、そういう点、その他におきまして、従来ともずつと慣行上人事院始まつて以来、予算の裏付けがございまして初めて勧告をいたしておるわけであります。併しながち先般来、衆参両院の人事委員会からも非常に強い御要望もありまして、人事院といたしましては、必ずしも予算の計上がございませんでも、何らかそこに見通しでもつきましたならば、成るべく早く勧告したいという心組みで準備いたしておるわけでございまして、先ず第一点の抜本的に地域給をどうするかという御質問に対しましては、我々といたしましては、地域給というものが非常に現在現実に即さない事情がございますので、できればこれを全廃したいのでございますけれども、これはいろいろ財政上の問題でできませんので、差当り先般一級だけ級を少くしましたわけであります。今後予算と睨み合せまして、成るべく地域給は階段を少くし、将来はこれをなくするというふうにいたしたいと思います。  次に、いつ頃勧告をするかという問題でございますが、只今申上げましたように、実は極力早く勧告いたしたいのでございますが、御存じのように、最近三月未から四月の初めにかけまして市町村の合併が非常にございまして、やはり町村の合併がございました場合には或る程度の地域給についてバランスをとる必要もございますので、これらも勘案しながら今月一ばいというふうには間に合わんかと存じますけれども、成るべく早く勧告したいと思つております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 人事院の廃止の問題についてはここで人事官と議論すべき筋でないと思いますのでやめます。今のこの市町村合併の問題等も睨み合わせて勧告をするということは初耳なのですが、そのことについても議論はやめます。私が一点お尋ねしたいことは、大蔵省との話合いがつかずに勧告か遅れていることは事実でしよう。併し事態はもう勧告をしないわけに行かないというところまで追いつめられて来ている。そこで今の御答弁は三月までには岡に合わないけれども、成るべく早い機会にやります、こう言うんですけれども、この三月という月は普通の月の月末と違う。予算施行上違う月であることはもう御存じの通りであつて、もう少し具体的に三月一ぱいに勧告するつもりである。併し何かの事情の場合には若干遅れるかも知れないというふうなことだつたらわかるが、今の管弁は実にぼやけた答弁なのですが、もう一回そこのところを、はつきりしないでしようけれども、できる限りはつきりして、そこのところを御返事願いたい。

入江誠一郎人事院人事官

○政府委員(入江誠一郎君) 成るべく早く勧告いたしたいというので、只今、申上げました通り、市町村の合併、それが丁度この三月末から四月初めにかけまして非常に大量に実現する事情もございますわけでございます。そういうふうなものも考えながら準備をいたじているわけでございますけれども、これがいついつになるかということは、現在はつきりとは、作業の関係もございまして申上げかねるのでございます。ただ三月末ということにつきましては、もうすでにあと二週間くらいしかございませんので、三月末までには間に合わないのじやないかということを御参考までに申上げたわけでございます。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 そうするといつか新聞に伝えられた左派社会党の同僚委員の質問に対して、浅井氏が三月中には勧告すると言い切つたということは嘘ですか。

入江誠一郎人事院人事官

○政府委員(入江誠一郎君) 人事院総裁がどういうふうに申上げましたか、私も存じませんでございますが、恐らく浅井総裁も一三月末までに勧告するということは申上げなかつたのではないかと存じております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 非常に不十分ですけれども三月中に出すように努力しているというふうに了解して、私の質問はそれで一応打切つておきます。  次に、最後に労働省に一点承わりたいのですが、今度の予算が実行されて来ますと、当然この金融が締められ、雇用の減少という形になつて現われて来ると思うのです。それで失業対策については基本的にどのように考えておるか。それを具体的に分けて行けば、失業保険の問題、それから第二点は五人以下の零細企業労働者の問題、それから農村に還元できなくなつて、都市における悲惨な失業者か愈々増加して来るという、この関連、それに加えて昨年末の駐留用関係、或いは街の金融機関からの大量失業者の問題、非常に失業という問題を一つ取扱つただけでも、港に起きるいろいろな問題は憂欝限りないものです。そこで労働省としては、この失業対策についてどのように考えておるか。あの手事を提案した当然の責任者として、政府の見解をこの際労働次官から明確に承わつておきたいと思うのです。

安井謙自由党労働政務次官

○政府委員(安井謙君) 相馬委員にお答え申上げますが、今後の緊縮予算の発展に伴う雇用関係、或いは職業安定関係の施策如何という御質問であつたと存じますが、我々もこの緊縮予算を実施いたしますについて、相当な雇用面における失業者の増大もあるということを考えまして、予算の面におきましては失業救済費に若干の、今年度の緊縮にかかわりませず、失業面には若干のこの予算の増額を見込んでおる次第でございます。大体の二十八年度の傾向から二十九年度について申上げますと、大体二十八年の二月、三月が失業者群としてはピークでございまして、五十万から六十万の完全失業者を出しておつた次第でございます。これが駐留軍の首切りの問題、或いは炭労の首切りの問題がありまして、相当失業者が三八年度下半期増加すべきであると想定されましたが、一般のその他の経済事情の関係からと思われますが、漸次むしろ失業者の絶対数が減少いたしまして、昨年の十月から今年の一月頃にかけましては、四十万前後の完全失業者というふうになつております。その傾向から当然押せるとは考えられませんが、特にそういつた面の弱い而を補強する意味では、失業対策費を前年度に対しまして、二十九年度は、金額にいたしまして約一割、人員にいたしまして約五%を計上して対応し、史に職安事業その他についての拡充強化をいたしている次第でございます。恐らく三十九年度、失業者傾向が現われるといたしましても、その顕著な傾向は、下半期になつて現われるだろうと思いますが、今のところ本年度の失業対策は何とかこれでしのいで行けるものと見ております。

相馬助治日本社会党(第二控室・右)

○相馬助治君 御承知のように、失業者には、顕在失業者と、潜在失業者とがあつて、その関連において、ものの見方で失業者の数というものは、非常に数が違つて来るのであつて、今の次官の御説明は、まじめにさように御認識なさつているだろうと思いますけれども、我々の感力とは全く数字的に違つているわけです。従いましてこれらについては、一瞬一つこういう予算を実行するところの政府の当然の責任として、財政の面からも将来考慮されて頂きたいということを要望して私の質問を終つておきます。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 本会議の関係がありますので、午後一時半より再開いたします。柳町休想いたします。    午後零時三分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十九分開会

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 体感前に引続き会議を開きます。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私は、先ず最初に大蔵大臣と通産大臣に対しまして、国際収支の関係につきましてお聞きをいたしたいと思います。この問題につきましては、一昨日岡田君から御質問がありましたし、ほかの委員からも御笠間があつたのでありますが、少し観点を変えて御質問を申上げたいと、こう思うのであります。  先ず、第一にお聞きしたいことは、今日本にとつて最大の命題は何だということは、私は自立経済を立てることだ、その面から国際収支の均衡、殊に最近の経済政策の面から国際収支の均衡というところにすべてのしわが得つて参まりして、政府はにわかに驚かれたようでありますが、先ずこの自立経済達成の観点から見ますと、一時問題にしなければならない点が未だ触れられていないのでなかろうか、こういうふうに考えるのでありますが、それは何であるか、それは要するに特需なしに日本の経済を自立させる方向に向つているかどうか、この問題が私は一番大切だと思うのであります。然るに、政府の従来の御答弁によりますと、その関係においては少しも政策的な意欲が盛られていない、依然として特需依存の経済において物事を考えておられる、この点は実は非常に不思議に思うのでありますが、昨年の選挙のときに朝鮮動乱が止みますと同時に、日本の朝野は挙げて従来の特需がなくなるだろう、それは日本の経済に非常に大きな影響を及ぼすということで、これは隠れもない事実でありますが、岡町外務大臣がアメリカ側と交渉されて、アメリカとしては保証ではないが、ともかく三年間は特需の見当額を持続して参るだろう、こういうふうな声明を光したことは皆記憶が新たなところであります。で要するに、私は日本の国が経済的に独立国家として成立つためには、この特需依存を脱却する、無論私の考え方はアメリカの特需依存を脱却するということは、アメリカの特需を拒否するという意味ではないのでありまして、特需のあるのは一つの別個の特別な収入として処理さるべきもので、日本経済の自立の方法としては特需を減じて参る、それが何カ年で減るか、それが考えの基礎にならなければならないと思うのであります。然るにこの予算委員会で審議される場合に、いずれのサイド、それは保守党的なサイドに立たれるかたもそうしていわゆる革新陣営と言われるかたの御議論を伺つておりましても、この点について触れられていないことが非常に不思議に思う。特需は二十八年度は八億一千万円あつたが、まあ七億円くらいに減るであろうというふうな考え方が基礎になつておる。こういう関係でなしに、日本の経済を自立させようとすれば、この特需のない国際収支のバランスというものを経済の基本的な動向としてお立てになる必要がある。この点において基本的に私どもと考え方が違うように思うのであります。そういう観点に立たなければ、今後の日本経済をどう処理して行くかという問題は私ははつきりして参らない、こう考えるのでありますが、経済審議庁長官及び大蔵大臣はこの点について如何なる見解をお持ちになつておりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 堀木委員の御意見誠に実は御同感でありまして、私ももう常に特需というものは二年間保証されておるが、併しその間にでき得るだけ特需なしでも日本経済が立ち行くように考えなければならん、国際収支もその点でやらなければならんということは常に申上げておるのですが、さて、その政策になると、実行上非常にむずかしいのでございまして、今日のところ例えば明年につきましても、特需を全然抜きにして経済が立つか、こう仰せになると、実は特需というものを大体多少減らして内輪に考えたことは、一昨日も申上げましたような工合でございまするけれども、まあ例えば当初見込みました七億六千万ドルのものを、七億一千万ドルとか七億一千五百万ドルとか見て一応立てたことは御承知の通りでありますが、全然見込まなくては今のところ立ちにくい状態にあるのであります。なお、これは私どもが向うのスタツセン氏とかその他ともいろいろ話をしたときの感触から申しますると、余り特需が殖えるという見込みはございませんが、例えば日本にある特需という形では多少減りましても、いわゆる域外買付けその他の分が相当殖えて参りますので、大体いわゆる輸出入の、つまり輸出貿易以外に日本が受取勘定になる分については八億ドルくらい、七億ドル台乃至八億ドル台くらいのものは、そういう点は見込み得るのじやないか。ここ数年はそうなるのじやないか。又堀木委員も御承知の通りに、今度のMSAにおざましても、あの例えば一千万ドルのグラントの小麦相当額が国内のいわば主としては軍事産業のほうに使われるでありましようが、それについても一億ドル以上の域外買付けを見込んでおるということを向うが申しておりますので、仰せになつた点は誠に同感でその通りなんでございますが、実情は今のところ少しそれを見込まずにやつておるというのが実情でございます。併し日本経済としては、こういう特需を当てにして立てることは決して健全な政策とは申されませんで、仰せのごとくにそのほうにもつと歩を進めて参るべきであることは十分考えております。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 只今大蔵大臣から申上げました通りでございますが、一昨日も申上げましたように、この国際収支の計画それ自体でも、二十八年度よりは二十九年度のほうの特需収入というものを或る程度減少して見込んでおる。併しこれをできるだけこの際においては、計画としては減つた場合の計画を立てるのでありますが、特需それ自体の獲得ということについては、この上とも努力を続けて行くと、こういう二段構えの考え方でおるわけであります。それから将来に対しましては、これは申すまでもございませんが、一月以来常に申上げておりまする通り、特需がなくなつた場合の経済自立というものを常に考えて行かなければならないと思つておりまするので、その間において例えば国内資源の開発の問題、その他の問題がございますが、そのほうに抜かりなく手を打つて、特需というものが将来なくなつた場合に対処し得るように常に考えて行きたい。全体としての考え方はさように思つておるわけでございます。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私は大蔵大臣の御答弁は大体予想した通りなんでありますが、率直に申しますと、この特需を当てにし、それから特需が減つて参ればMSAによる、まあ二十九年度は大体一億ドルでございましよう、ともかくもそういうものを当てにして、安易な気分で考えること自体、そのことが私は国民自身が日本の経済の実相に対してどう一体対処して行くべきかということが決心がつかないことの一つである。前にも朝鮮事変の休戦と同時に朝野を挙げて心配しながら、更にその後のどうもMSAの関係が出て来て少しは補つてくれるだろう、日本の経済が七、八億ドルの特需、又それが減ります場合にはMSAによつて約一億ドル程度が兵器産業その他を中心にして来るだろうという考えで物を見る見方、そのことが私は日本の経済国策であつてはならない、こういうふうに考えるのであります。そこに非常に大きな差が、私どもとして現実に処する経済政策において差異が出て来る点である。一体愛知経審長官はその点については長期計画として考えてみるんだとおつしやるのでありますが、樺かに自然に減るであろうことだけを受けておる経済は私は自立経済だとは思わない。愛知経審長官が真に国際収支の関係を長期的にバランスをとつて特需なき状態、MSAなき状態において日本の経済をどう持つて行くという具体的な御案があるならば、ここでお示しを願いたい。又お示しをなさることが当然経審長官としての御責任である、こう私は考えるのでありますが、具体的政策をお示しを願いたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 御承知のように経済審議庁といたしましては、昨年いわゆる岡野構想というようなものを作りましたことは御承知の通りでございますし、それの御説明も当委員会におきましても行なつたと思うのであります。これは政府全体としての的確な不動の計画と言うことは勿論できないわけでございますが、一つの考え方としてこういう方向に行くんだという考え方を示したものです。ところがその後いろいろの国際情勢の変化等から申しまして、全体としての考え方は変える必要は勿論ないと思いますが、相当実施のテンポその他についてはその後もいろいろ考えましたが、かなり変えなければならん点もあるように思うのでありまして、そこで具体的な計画を示せというお話でございますが、私はやはり相当長期に亘つた一つの経済政策の行き方を考えまする場合には、基礎的な日本としての自立の必要な各部門別の産業等について相当の対策が持たれなければいけないということだと思うのであります。これを一々詳しく申し上げる必要はなかろうかと思いまするが、例えば電源開発計画、それから合成繊維の増産の計画、食糧増産の計画、外航船の増強の計画、硫安の合理化の計画、鉄鋼の合理化の計画、石炭合理化の計画、機械工業設備近代化の計画といつたようなものが考え得る主要なる項目ではなかろうかと存じます。これらの一つ一つにつきましては、二十九年度におきましても御承知のように、財政、金融等の観点から見ましても、所要の資金計画或いは今後きまるであろうところの外貨の割当の計画というようなものをこれに総合して結びつけます。又中には税制その他の面においても措置を要するものがあるわけでございますが、その或るものは税法の改正案或いは臨時措置法というようなことで御審議をお順いすることになつておるわけでございますが、これらのそれぞれの計画の中で、私の考えとしては、全部を例えば五年間の計画というようなことで形式的、公式的に頭を揃えてどれもこれもきちんと枠の中に入れるという考え方よりも、もつと実際的に、物によりましては三年でできるものもございましよう。物によりましては五年でもできないものもございましようし、おのずからその緩急順序はその時の情勢の変化によつて考えなければならないと思うのでありますが、要はこれらの問題を中心にし、それに関連する総合的な立場から申しまして、私どもとしてては先ず三十九年度においてしばしば申上げておりますような計画を進めて行く。当然その場合は三十年度或いはそれ以降の姿というものも考えて進めて参りたい。気持は以上申上げましたような気持で仕事をやつておるつもりでございます。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 非常に雑駁な……、大体私も経審の計画は知つておるわけでありますが、今の話ではどう一体日本の経済を、いつ経済的な独立国家としての態様を整えるようになるのかという具体的な構想をお示しにならないと、どうもその点がぴんと来ないのじやなかろうか。大蔵大臣がたしか岡田君の質問に対してだと思うのでありますが、二十九年度は九千万ドルぐらいの赤字で先ず行くのだ、併し三十年度は国際収支の均衡を得るつもりだとおつしやるが、三十年度は今の調子で行きまして、特需を入れての国際収支だと私は思う。従つてアメリカの経済援助なしに、又経済援助がここ一、二年でなくなつたときには、日本の自立経済が本当に達成できるかできないかということを地道に物事を堅実に挑めますときには、如何に偉そうなことを言つても私はむずかしいということが考えられる。併し三千年度に国際収支の均衡を得るということを目標にされるならば、少くとも三十年度にはどの程度に国際収支の均衡をやつて行くのかというお考えがなくてはならない。そのときには特需はどれだけ減つてもやつて行けるのだというお考えがなければならない。こう私は思うのであります。又これは率直に言つても、誰も恩恵でそう金を貸すつもりはない、アメリカの世界政策から見て必要であるので金を貸すにいたしましても、その金が所期の目的である日本の経済復興、真に自立経済達成のために有効に使われるということでなければ私は向うも承知しないのは当り前だと思う。そうすると経済の基本には私の言つたことが基本にならなければならない。又その基本があつて、そして国民に耐乏の生活を要求され、そして国民がその現実の直視の上に立つと同時に、将来の日本の経済を独立して行こうという光明を認めることによつてのみ、私は政府として国民に耐乏をお求めになるべきである。特需なりMSAによります援助はこれはどうしても別なものとして、更に日本経済の拡大再生産にプラスになり、より経済の堅実化、通貨の維持に役立つということをはつきりお示しになることが一番必要だと思うのであります。その点についてどうしても今後こういう方針の下に経済自立の方向にお向いになるのであるかどうか。そしてその際に特需漸減をみずからの方針、日本国民自身の方針として特需漸減の方針の下に経済目立をお立てになるのかならないのか、この点をはつきりさして頂きたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 三十年度の実はまだ国際収支の内訳については何も立てておりません。併し一応この間二十九年度の国際収支を九千万ドル乃至八千万ドルというように抑えろときに、大体日本としては先ず四億ドル乃至五億ドルというものは最小限度通常の貿易を維持するのに必要でふるから、それでそういう方向に向つて進めるために一応まあ極くラフな見通しは立てて見たのでありますが、その際も大体特需が漸減するという方斜で、漸減すると言いましても、或いは堀木さんのおつしやる意味は、非常につまり激減するような漸減とおつしやるのだが、例えば私どもは一億ドルくらい減るのを漸減と考えておる。あなたのお考えではもう少し減ることを頭においてお考えになつておるかとも考えるのですが、私どもは実は三十年度は余り実は二十九年度に比して、二十九年度はまあ低く見まして七億一千ドルか一千五百万ドルぐらいに見たのでありますが、これが二、三千万ドルか四、五千万ドル減るくらいなことは一応考えておりますが、そう大きく一億ドルとか二億ドルとか減ることは実は考えておりません。又これを考えますと、正面に申上げまして、よほど状況が変つて来ないと維持が困難なのであります。勿論今日この政策が、諸般の政策が二十九年度物価は五分乃至一割下げる、それで国際競争力を力づけて次の年度の輸出の増進をすると共に、なおそれでは国際競争力が多少不十分であることは申すまでもございませんから、三十年度も引続き同じ方針を続けることが必要であろうと考えております。従いまして、その点からの輸出の期待ができますが、これは堀木さん御承知のごとく、仮に私どもが日英でこの間協定をしましたあの額を全額見込めればもう少し輸出貿易は多く見込めるのでありますが、これは多少協定はああいうふうになつておつても、現実の数字はそうあのまま見ることはどうかというので、多少控えめに見て十二億七千万ドルとかいうような工合に出しておるのはそういう点からであります。なお又輸出だけで仮にインドネシアとかああいう方面に出してもいいということになりますれば、これも又相当額は出て行きますが、国際収支の点から見ますると、これは現在のところあそこへ余り焦げつきになることは望ましい状況でもございませんので、それらの点も考慮して実はやつてあるのでありますが、併し仰せになるように特需漸減の方針をいつも織込んで、そうして日本のいわゆる普通の通常貿易は国際収支の均衡を得るように、通常貿易以外のものは、船の運賃とか保険料とか各種のそういうもので上げる利益は、いわゆる貿易外の受取勘定は別として、そのほかのものは成るべく見ないで行くということで行きたいと思うのですが、現状を率直に申上げまして、この程度以上には、方針としては飽くまであなたの方針で私も参りたいと考えておりますが、まあ三十年度の私どもの極く大まかな見通しはそうでございます。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 まあ現在の予算を基礎にして御答弁なさるとそういうお答えになるだろうと思うのでありますが、併し私はそういう考え方が決して単純な、空な考え方だとは思つておりません。現に大蔵大臣としては思い起して頂きたいことは、朝鮮事変が始つたときに、あとでいわゆる朝鮮ブームに日本が酔つているときにダレスが日本に参りまして、朝鮮特需による日本の景気は特別な勘定として考えなければならないと育つたにかかわらず、政府は漫然とこのブームを見送つて物価高を起して来た。これは一つの過去の現象として現実にそうであります。それから昨年の春以来特需がなくなつたら大変だと言いながら特需を計算に入れて考えておる。だから何か特需によるものが、いつの間にか的確な目的なしに経済が破壊の方向に進むのに使われる傾向が強いということは考えざるを得ないと思うのです。私はそういう点におきまして、現にそういうお考えで二十八年度の予算というものは比較的のんきに構えてお作りになつたことも事実であります。それで二十八年度の予算から二十九年度の予算に移行するときに急激なカーブをとらざるを得なかつた。これもやはり私はそういう点に対する用意が足らなかつたということを言わざるを得ないと思うのであります。而も二十八年度の予算を現に執行しております。今年の一月から外貨は急激に減つて参る。二十八年度の当一樹に考えられたことは、外貨予算、手持外貨というものはまあともかくも減つても九億ドルぐらいだろうというふうな考え方でやつて来られた。今になつて見ると一月、二月、まあ三月はやや一月に比べて減りましたが、手持外貨がどんどんなくなつて行く。で経済に対する手当としての保有外貨も恐らく三月末になりまして、この審議しております予算を実施するような時分には、まあ計算を正確にしてみませんが、実際に役に立つ外貨保有高は恐らく六億ドル台だろうということが予想されるのであります。日本が日本の経済の上に役立たせる外貨が六億ドルというと、これは大蔵大臣が常におつしやつている手持外貨が少くとも四億ドル、年四回回転として四億ドル、三回回転として四億ドル乃至五億ドル要るだろうと言われることから言うと、もう手持一ぱいになつております。朝鮮事変で日本経済再建のために有効に使えると思つたものがなくなつている。そのときにはもういやでも応でもアメリカの将需だけに依存した経済に入つて行く。MSAによるところの僅かな援助もこれこそ命の綱となつて参るということになりはしないだろうかということを私は恐れるので、決して架空な議論として申上げておるのじやないのであります。にもかかわらず、どうも私と大蔵大臣とは何度もお顔をここで合してやるのでありますが、常にその感覚が違う。どうもお前の方針は、方針はお前の言う通りだと言われるのだが、タイミングは大体半年乃至一年遅れて来ている。その附に最近のような国際経済と合せて日本の経済としては救うべからざるものが来る。又救うことができても国民に非常に大きな負担をかける状態に入つて来ることは間違いのない事実だと私は思うのであります。そういう点につきまして、私は大蔵、通産大臣に特にこの点についての御注文、考え方を是非そういう考え方で以て経済をやつて頂きたい、こういうことを要請するものでありますが、重ねてその点についての御答弁をどちらでもよろしうございますから、お答えを願いたいと思います。若し又私が恐らく二十九年度の初めは六億ドル台の手持外貨しかないだろうということが嘘でありましたら、数字的にお示しを願いたい、こう思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 三月末或いは四月一日における外貨の手持高、これは大体今のお話と同様に考えております。まあ七億台になりまして、そうして恐らく今の焦付きの分筆もありますから、本当にすぐ右左に使えるドル貨というものは六億ドル台になるかと思います。従いまして、これは実は主たる原因は、私ども少し初期において楽観していたのではないかというようにあなたからお叱りを受けるようなことになるのだが、あれは去年の凶作で追加輸入した分が一億三千六百万ドル、米麦等の分もありまするし、ああいう凶作による分もありますし、又多少こういうふうになつて来ると、一時殖えた綿花借款等も返すというようなことになると、ドルの支払増加ということにもなつて来ると思う。無論これは綿花借款等は引続き今年もやれる、そういうことになると思います。それから今年の一月は御承知のごとくに去年上半期六カ月間以上の、例えばドルの自動承認制でみると、一億八百万ドルといつたような輸入契約が行われるというようなこと等でお話のごとくになつておることは誠に私どもも遺憾に存じておるのであります。従いまして、これが対策をあなたのお言葉で言うと、どうも少し遅れがちにやつておるのではないかということになるのでありますが、併しそういつた情勢下に対応するような工合に処して参つておる次第であります。  次に、ここで例えば本年輸入を思いきつて削減して国際収支を合せるという考え方も或る一部の人はそういうことも言うのでありますが、例えば三十億ドル輸入するものを十九億ドルにしたらいいじやないか、そのようにして、例えば仮に一昨日でしたか話がありました砂糖なども、何も去年のごとく百十万トンも入れないで、一昨年は七十数万トンだつたが、あれくらいでもいいじやないか、すべてそういう工合にものを考えて行けばいいじやないかということも言われておるのでございますが、私ども見て来るとやはり物価引下の一つの考え方と、やはり海外において今御承知のごとく相互的にいろんな契約をいたしておりますので、こつちが一方的に物をやるということは非常に縮小的な傾向が強くなり過ぎますので、一応二十九年度は一億ドルくらい、九千万ドルから一億ドルくらいのことでできる限りは少くする、そうして三十年度で埋め合せる、こういう考え方で臨んでおる。これはたびたび申上げておる方針でございますが、併しお話の点はよくわかりますので、こういうことについては私どもも十分考えて参りたいと存じておる次第であります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 率直に今慶は大蔵大臣と経審長官のお話を数字に引直しますと、特需七億ドルを当てにして毎年一億ドルだと、七カ年たたなければ、うまく行つても経済自立ができない。予算委員会ですから、私は数字を離れての議論はしてないつもりですが、まさか自由党内閣が如何にのんきでも、七年たつてやつと国際収支が特需なしに経済自立ができますと言つて内閣においでになることは、そのこと自体がどうかと私は考えますので、特にその点については重ねて申上げておきます。それが基本的な考え方でありますが、実は岡田君の御質問に対する御答弁によつて、三十九年度の輸出は、二十八年度が十三億二千万ドルの大体見込みであるのに対しまして、十三憾七千万ドルを一億ドルくらい削つて、十二億七千万ドルくらいを一応基礎にしようというお考えは私はやや適切だと思うのです。先ほどのお話で今度の協定その他によりますと、十三億ドルにプラスしてもいいようなこともおつしやいますし、又愛知通産大臣は今朝ほどのお話でも努力目標で十三億七千万ドルは依然として捨ててないのだというふうなことをおつしやるのでありますが、誰が見たつて世界経済は、特にその中心となつておりますアメリカの経済は昨年の上期が最良の年であつたと、どんなに楽観的に見る人でもそう見ておるのであります。で今後アメリカの経済につれて世界経済が悪化し、国際競争が激化して参るだろうというときに、どうも特別の施策がなしに前年より一二・四%という輸出が殖えるということはおかしい。でイギリスなんかでもやはりアメリカの景気後退に備えて、対米輸出については相当警戒的に一〇%以上低下するだろうということを従来の経験から割出しておるということも考えに入れますと、私は実は十三億七千万ドルをお見込みになることは多過ぎるというふうに考えますが、この点につきまして、実は何か最近の日英支払協定に非常に期待を持つておられるようであります。でその点についてどういうふうにお考えになつておるのかを大蔵大臣、経権長官から伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 最初に申上げておきますが、実は前言に一億ドルと言いましたのは、この一両年間のことを申したのでありますが、一応これは私が経審におるときもでございますが、非常なあらつぽいものではありますが、食糧、電源、その他数部門に亘りまして、鉱鋼業生産、輸出入貿易等に亘りまして五カ年計画を作つておりまして、昭和三十一年には正常貿易で輸出超過になるという実は建前になつておるのであります。従いまして、今仰せになつた七ヵ年間べんべんと一億ドルずつ減ると思つておるというような、そういう考えではございませんので、そういうことは一応のものは持つております。ただ皆様にお目にかけて一つ御批評を仰ぐ程度のものには達していないと思いますが経審としましては一応目標は必要でございますので、各種のものにつきまして、例えば食糧増産は五カ年間にどうするか、畜産はどうするか、或いは電源開発はどうするか、何をどうするか、何をどうするかというように皆全部持つております。そうして鉱工業生産などの関係から最後にこれだけの輸出超過になるという見通しを、国民生活などにつきましてもそういう見通しを実はつけておるのでありますが、これはただ一億ドルずつ減つて七年もかかるのじやないかというそういう考えじやございませんので、この点はちよつと弁解がましうございますが、申上げまして、私は三十年度の予算をお尋ねになつたから、それで三十年度についてはそう見ていないということを申上げる意味で一億ドル云々ということを申上げたのであります。  なお只今の日英会談のことでございますが、これは堀木さんのことだからお読みになつたかも知れませんが、イギリス側においても一部の人には、この日英協定というものはイギリスに非常に不利なものだということで、相当例えばあそこのヘラルドトリビユーンとかいう新聞なんかは非常にやかましくこれはイギリスの外交の失敗だとさえ論じ、なかなか激しい論文を書いておるくらいでありまして、これがそのままに出て参りますれば、相当効果があることはこれは間違いございません。前年度の御承知の三億何千万ポンドに対して、こちらが一億九千何百万ポンドであつたのに比べまして、今度はとにかく対等に二億九百五十万ポンドですかになつておるのでありまして、而もこれが地域別に今度はきちつと作られております。この点がよほど進んだ形でありまして、私どもはこれに相当期待をかけていいと思うのでありますが、ただ要するに価格の問題が残されております。そうして競争相手の問題もございまするので、多少計算を内輪に見ておる。併し希望としてはそういうふうに多く見ても、そこに努力目標は置くべきであると、こういうふうに考えておる次第でございます。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 それで更にその点について、日英支払協定にだけ問題点があるわけでございませんが、日英支払協定を実際にあの協定通り輸出ができるというお考えがなければ、協定そのものでは何らのそれだけの輸出が殖えるという保証はない。そういう点につきまして、一体どうしてやるかということをお示しにならなければ、まあ協定ができましたからということでは、私は貿易が殖えて行くというふうなことについての御答弁にならないと思うのであります。と申しますのは、現に昨年ですら輸出は協定額の六〇%より実績が上つておらないじやありませんか。そうすると、その点についてお頼りになるのは、私は確かに日英支払協定のできましたことにつきましてその政府の努力を認めないわけではございません。又確かに一つの希望を繋ぎ得る点だということは考えておりますが、昨年が協定しました少い額におきましてもなお実績が六〇%であつたということを考えますと、この点について、これは通産大臣、大蔵大臣としてどうして昨年のようなことを繰返さないだけの具体的な方策をお持ちになつておるのか、その点をお聞きしたいと思うのであります。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) すでに御説明いたしたかと思いまするが、若干数字で申上げたいと思います。今朝申上げましたように通産省の立場におきましては、輸出の計画としては、十三億七千五百万ドルという一月以来のこの輸出計画というものを是非確保いたしたいと思つておるわけでございます。その内訳でございますが、ドル地域に対しましては四億四千五百万ドルを見込んでおりますが、これは先ほど御指摘がございました通り、最近の米国国内の経済情勢を見まして、二十八年度よりはむしろ或る程度の減少をここで覚悟しておるわけであります。それからポンド地域につきましては、ドルにいたしまして五億一千百万ドルという計画をいたしておるのでありますが、これは御指摘のように、二十八年度におきましては三億四千万ドルでございますから、この比較をいたしますれば六割の増加をしなければならない。これがどうやつてできるかということに相成るわけでございます。そこで、日英支払協定の関係を申上げまするならば、ポンドで申上げまして、これは二十九年の便宜暦年で一つの予想を立てますると、輸出を一億九千八百万ポンドと、こういうように見ております。その内訳が英本国に対しまして千四百五十万ポンド、香港を含む英国植民地に対しまして九千百五十万ポンド、自治領、独立国関係が九千二百五十万ポンド、大体大きく分けますとこの三つになりますわけであります。ところがそのうちの英本国関係の千四百五十万ポンドの中には、すでに昨年以来従来から先方として輸入を許可しておりまする品目について七百七十万ポンド、それから先般の協定によりまして新たに輸入許可品目となりましたものが六百八十万ポンドというふうになつておりまして、更にその千四百五十万ポンドの内訳といたしましては、綿布以下具体的な物資別にかなり確実な見込みを持つておるわけでございまして、その見込みにつきましては、実は双方の代表者間におきましても話は具体的に出ておるわけであります。それから先ほど申しました香港を含む英植民地九千百五十万ポンドの分につきましても、ほぼ同様でございまして、私はその英本国向け、それから英植民地向け、この二つにつきましてはかなりこれは具体的に従来障害となつておりました点が払拭されましたのでありますから、この二つにつきましては、この協定通りに相当うまく進むものではなかろうかと考えております。それから自治領、独立国の九千三百五十万ポンドと一応見込んでおりますものにつきまして、ニユージランド初めその他の地域等につきまして、引続き外交上の話合いを進めて行かなければならないわけでございますが、これも前に申しました二つの地域に対しまする分と同様に今後折衝が相当順調に進むであろうということを期待いたしておるわけでございます。勿論先ほど来御指摘のように、日本のこれは国内の物価引下げなり、或いはその他の輸出努力が伴わなければ、これだけを具体的に買うという約束が物資別にはつきりできておるわけではないという点はございますけれども、外交交渉の問題として取上げ得るような性格のものとしては相当具体的な話がきまつておりますから、私は去年の例を以て今年の見込みを決することは不適当ではなかろうか、こういうふうに考えております。  それからいま一つ付加えて申上げたいと思いまするのは、この日英協定の関係から申しまして、実は話合いとして出ておりまする総輸出額、商品の輸出によるところの受取勘定は五億五千五百八十万ドルになつておりますが、それに対しまして通産省の一月以来の計画は、実は九割前後を輸出計画として計上しておるのであります。更にこれに対しまして輸入の外貨の計画としては、これは更に内輪の計算にいたしております。従いまして、国際収支の計画、或いは輸出入の計画という点からこれを国内的な見通しとしては、着実と言いますか、確実性を以て計画をいたしておりまするので、その辺のところは十分行くであろうと私は考えておるわけでございます。  それからもう一つ、先ほど大蔵大臣からも御答弁がありましたが、たまたま今年の国際収支の赤が一億ドルという数に達しておる。たまたま特需も昨年に比べて今年のほうが一億ドル少く見ておるというのは偶然の一致でございまして、一億ドルづつ減らして七年間というのじやなくて、経経審議庁といたしましても、先ほど二、三の例を申上げましたような具体的な計画は、要するに国際収支の改善をできるだけ早くやるためには国内でやるべき、要するに外貨払いを少くするための国内としてのやるべき措置をやらなければならんということを考えておりますから、自然これは七年というような長い期間じやなく、ずつと短期に効果を現わすような考え方をしております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私が七年と言つたので、両大臣むきになつておられるのですが、私はまさか七年だとは思わないのです。併し今おつしやつた経審で作つております計画自身も、本年度予算と御比較になればわかる。どういうふうに変更をすでに受けておるかということ。又或る程度は変更を受けることを私は頷きます。計画が常にその通りに行くものでなし、又計画があるからこそ、どこに欠点があるのかということがわかるのであります。併し七年は誇張ですが、まあ率直に言えば、今のやり方ではいつ経済自立が達成するか、実際のところわからない。お挙げになつた経審のいろいろな五ヵ年計画というものも、率直に言つてすでに本年の予算で崩れていることは、誰しもこれは認めておる。あなた方もお認めにならなければならん。その点はまあともかくといたしまして、今愛知通産大臣から、地域別の大体輸出額をお挙げになりましたが、私も英本国についてはやや心配してない。むしろ自治領その他について、今後交渉を残しておる所について、実際の実績が挙がるかどうかという心配をいたしておるのですが、ここでお聞きをしたいことは、向う様の都合でなかなか入らない分はこれは別といたしまして、いつも申上げるように国内に輸出が伸びない原品がある。それをどうしてもこの障害を削除なさらなければ絵に描いた餅になる。日英支払協定の点で言いまするならば、先ず一つは、ポンドの不足を来たしているじやありませんか。その点について、支払協定では或る程度スワツプを運用するという点は認めておるようですが、それ以上の追加信用はくれそうもなさそうじやないですか。そうすればポンド不足に対して、この問題はスターリング地域に対しては相当支障があるわけじやないか。それから全体として見まするときは、この二重価格の問題であります。国際価格との開きが、これは大蔵大臣なり通産大臣が常に指摘されますように、先ず二割、大蔵大臣は町々三割だとおつしやるから、三割も開けば、これはまあその覚悟でおいでになるのならば非常にいいと思います。五分か一割程度引下げを目標にされる。併しこの二重価格の問題は、実はだんだん問題になつて参つております。而も縮めて行く方向よりも、むしろ世界的物価が下落の方向にあるとすると、なかなか開きは縮まらないどころじやない。場合によると殖えるという形になる。而もこの三重価格の問題について、すでに南アではダンピング課税を付そうかという問題が起つておる。最近は世界銀行のほうから調査を依頼して来ておるというふうな点から考えますと、この価格の低落が遅くて、国際的なさや寄せがなかなかできないというところから起つて来る支障、これに対して、これをどう取除いて行くのかということに対する具体的なお考えを伺いたい、こう思うのであります。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) この輸出の問題につきましては、やはり価格の問題が一番中心ではないかと考えるわけでございます。現在でも内外の物価を比較いたしますときに、まあこれは釈迦に説法で、申上げる必要はありませんのですが、これにもいろいろの比較ができるわけでございまするし、現在日本からの輸出品につきまして、現状においての輸出価格と海外物価との比較を見ましても、物によりまして相当違いがございます。中には現在の程度の物価、或いは今後見通されるところの下落等を織込めばなお更のことでございまするが、やつて行けるものもある。私どもはやはりこれを具体的に、例えば鉄鋼なら鉄鋼について、石炭なら石炭について、或いは化学肥料についてなら化学肥料についてと、それぞれの部門別にすでに進行中でありますところの合理化の政策その他を引続き強力に打出して参りたいと思つておりますが、さてそこで、併しながらこれは一般的に言えば、海外の物価との開きは、なかなかこれをギヤツプを埋めることはできない。そこで従来もしばしば問題にされ、或いは具体的な措置が行われたわけであります。或いは二重価格制とか、リンク制とかいうことが行われて参りました。これにつきましては、私どもは輸出に何としても力を注ぎたいという観点から見まして、国際的に許され得る限度であつて、且つ臨時的な措置でありまする場合には、止むを得ず或る種のものは認めて行かざるを得ないと思うのでありますが、併し根本的には只今御指摘のございましたようにIMFの関係、ガツトの加入の問題等いろいろ国際的にまだ問題が多い時でもあり、又根本的には私どもあ現行為替相場を堅持して参りたいという政府の方針から申しましても、原則的には三重価格とかというようなものはやりたくないのであります。併し先ほど申しましたような考え方で、止むを得ざる臨時的なものであり、且つ国際的に説明がつくというようなものについては、これを暫定的に改善して実現して行きたいと考えております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 物によつて国際価格との差があることは、これはもういろいろな差があることは確かでありますが、併し大体最近の傾向は、のべつに二重価格の方向に向つておることも事実であります。そういう点につきまして何らかの方法が打たれなければ、輸出の増進は急速に望めない。無論日本の国は何といつても人口が増加して参りますし、原材料が入りませんことには輸出も拡大できないという関係に立つておる以上、先ず輸出を伸ばすことが至上命令であるということは言えますが、こういうふうな状態になりましたときに、差当りとるのは、やはり輸入に対してどう対処するかという私は問題になつて参ると思うのでありますが、この点について、差当り輸入を削減しようということよりほかない。この点について少しくお尋ねをいたしたいと思うのであります。具体的に言いますというと輸入する価格を一つ低減する、数量は余り減らないけれども、価格は非常に単価を安く買い得るということが努力の払われなければならない一つの方法であり、イギリスのバトラーがあの国民に耐乏生活を強いて国際収支の均衝を改善しようとした努力の一つも、諸外国から入れる輸入物資を安く買う、数量的に減らすと同時に価格を安く買うということに努力が向けられた。その点から考えますと、私は非常に日本の輸入についてはのんきな考え方が支配しておる。それは何だと言えば、まあそう言つちや悪いのですが、末だに、幾ら小笠原大蔵大臣なり愛知通産大臣が力んでも、国民は恐らくまあ下期になると、却つて今までの政策の破綻から転換するだろうくらいの噂さえあるくらいなんです。だから国内価格が上ると思えばルーズに輸入するという傾向が強いと思うのでありますが、この輸入価格を低減させるのにはどういう御処置をおとりになるかという点であります特にその問題から一つ、農林大臣おひまのようだから、ここで農林大臣に申上げて、おきますが食糧輸入が一番ひどい。それで私ども昨年廻つて参りまして、もう食糧不定に乗じて、食糧は幾ら買つたつて政府が食管特別会計で買上げてくれるのだ、損はしつこないのだという考え方に立つて、まあ各方面でこの点が指摘されるというふうな状況であつたのであります。私はその点について、今の内閣としてどうお考えになつているかということをお聞きしたいし、その対策は何だということもお聞きしたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 確かに御指摘の通り、輸入価格をできるだけ下げてもらつて、数量的には必要なものを確保したい。これは申すまでもなく私ども願うところでありますが、さてそれには、例えば貸付の方法等に改善の余地があるのではないかということ、それから国内的には、これは私どもも今朝も率直に申上げた通りでございますが、いわゆる外貨予算なるものの、まあ英語で申上げて恐縮ですが、プレゼンテーシヨンの問題だと思います。手のうちをすつかりさらけ出してしまつて買付を先に当ることがいいかどうか。この点は国内的には又別個にそういうやり方をすることが相当問題だと思うわけでありますが、それらの点を併せまして、私は今具体的にこうということを申上げるだけの用意がないのでありますが、今朝申上げましたように、本月の下旬にはそのいわゆる外貨予算の内容もきめたい、又それに伴う国内的な措置等も併せて政府としては態度をきめたいと思つておりますが、只今の御指摘のような点につきましては、十分この上ともに我々の考え方の上に取上げて参りたいと思つております。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今の言葉で尽きておるかと思いますが、実は私ども、あなたもお廻りになつてお考えになつたのは、日本商社の無用な競争だと思われます。ところが日本の商社が最近におきまして、健全なものも多数ありますが、相当堅実、健全を欠いておるものがあることもお聞き及びの通りであろうと思います。従いまして今度輸入の各種の、例えば金融上輸入制限、制限というような言葉は過ぎますが、輸入が幾らかでも阻止し得るような各種の措置をとつておりますが、その措置をとるにつれて、一番今中心課題とも言うべきものは、商社を強化すること、言い換えますと、たくさんの商社があり過ぎて商社が狭い所に、そういう所をお廻りになつたかどうか存じませんが、列えばタイなどに行けば米を買うためにとても商社がおる。それから又パキスタンなどへ行けば多数の綿花の買入れ、或いは綿糸を売るために無数の商社が無用の競争をしておるという所もありまして、従つてこの商社の統合、強化、整理どいいますか、そういうことについて、今、日銀その他でも相当斡旋する態度をとることになつておりまして、これが具体化して参りますると、過去にそこらで眉をひそめられたような無用な競争はよほど避け得るんじやないか。従つて日本人が値段を釣上げるというようなことはよほど避け得るんじやないか、まあかように考えております。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 輸入食糧が外貨の非常な大きな圧迫になつておる。これは御尤も、その通りでございます。この最近の傾向は、もう御承知のように、いずれの国も自立経済への努力が効果を挙げて、輸入国が輸入を控える、それぞれの食糧増産が行われ、生産地帯におきましても生産力はますます回復して来るというようなことで、いわゆる売手相場から買手相場に移行する。その売手相場時代に、無論それだけではないと思いますけれども、指定輸入商が相当数多くありましたために、輸入買付けに当つて相場の釣上げをむしろ来たしたというような事例はあつたようであります。これにつきましては、無論十分整理いたすべきものは整理をいたして、先日も申上げますように、併しこれでよろしいというわけでは決してないわけでありますけれども、大体まあいいのではないか。これは併し売手相場で動いておるときは釣上げて行く結果になる。その状況が変つて参りますれば、これは又相当競争的なことが行われるということは、素人考えで甚だ恐縮でございますけれども、私は釣上げて行くということよりも、より安く買入れるための努力が払われて行くということは言い得るのじやないかと思います。併しこれは決して私はそう独断的にきめておるわけでは無論ございませんけれども、そういう意味で、指定輸入商の扱いにつきましては、今後とも十分注意を払つて、そういう結果を来たさないように十分注意をいたして参りたいと思います。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 私は大蔵大臣の御答弁のほうが率直だと思いますし、それから売手市場と買手市場の関係からだけで安く買えるのなら、農林大臣の監督は要らない、こう思うので、全閣僚が挙げて率直に、いわば輸入単価の切下げというものに全努力を払われるべきものだというふうに考えますが、そこで一つ、政府自身が実は輸入価格を釣上げておる。それは何だというと、いわゆるまあ何と申しますか、スイツチ取引で、わざわざ廻り道をして手数料を取られるやり方をしておる。それからもう一つは、何と申しますか、一つの輸出の赤字をカバーさせるために、輸入物資をわざわざ高く買つておる。正常な経済の状態でないものをしておる。最近の一例が生糸、砂糖の問題であります。そういう問題は実は我々はこの予算説明に載つております輸出でも、実は形だけ輸出を増大ならしめるところの、不利益を忍んだ輸出数量、不自然な輸出数量というものの上つておるものを認めざるを得ない、こう思うのでありますが、これに対してどうお考えになつておるか。それからもう一つは、滞貨金融は今後やらないと御確言なさるか。と申しますのは、最近やつとこの頃になつて輸入金融につきましていろいろな措置がとられたということは、大蔵大臣の過般の御説明の通りであります。と同時に大蔵大臣が、日銀の貸出が四千億になつた。で、実は日銀は、一万田日銀総裁は如何にも緊縮々々と言われるが、露骨に言いますれば、朝鮮事変のときに、池田君が均衡財政、超均衡財政の尻拭いは日銀の貸出信用で賄われておる。そのときには二千数百億だつた。朝鮮ブームの時にその対策もしないで、そうしてだんそれオーバー・ローンの形をとつて来たというふうなのが現状であつて、最近も引締め引締めと言いながら、四千億の貸出超過というものになつて来た。初めて四千億を越したということになりますが、この点につきましてどうお考えになるのか。どういう処置をなさるのか。その二つの点をお聞きしたいと思うのであります。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 前段について私からお答えいたしますが、先ほど申上げました通りで、この二重価格とか、リンク制ということは、原則的にやりたくない。ところが只今も御指摘がございましたように、余りこれを又厳重にやりますと、却つて現下の情勢では三角貿易というようなことも起る覆れがある。そこで、外国側で承認してくれる程度において臨時暫定の措置ということであれば、例えば御指摘の粗糖と生糸のリンクというようなことも許されるという考え方から、これは一時この制度をとりましても、非常に対米輸出が伸びた、対米輸出が伸びたということが或る意味では又問題になりまして、更に再考をいたしまして、直ちに輸出をとめまして、更に条件を非常に厳重なものにいたしまして、関係方面の了解も取付けながら、これを再開することにいたしたような次第でございまして、その条件等については、御承知と思いますが、要するにリンク率を非常に低くする。それから輸出組合としては調整金というようなものを醵出いたしまして、そうしてそれを、例えば生糸の宣伝その他にお互いに使うことにするというようなことにいたしたわけでございますが、同時にこういうことをやりまして、その実施なり、運用によつて、例えばニユーヨークの生糸相場に非常な激変を与えるというようなことになつた場合には、直ちにこれを廃止する、再開をしない、それから、数量、期間等につきましても制約を置いてあるわけでございまして、今回再開いたしました条件ならば、現在のところ国際的にも問題なしにスムーズに行けるのではないかと思つております。なお、これによりまして、先ほども申しましたように、従来とかくの批判の対象でありました三角貿易というようなことがなくなつて、対米のストレートの輸出が相当増進する、こういうふうに考えておるわけでございます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 滞貨金融とか思惑金融ということは、これは一切いたさない方針で日本銀行は臨んでいるわけであります。御承知のように日本銀行が直接市場を見ておりますというと、なかなか一挙にそれをやるということがやりにくい事情にありますることは、日本経済がいわゆる底が浅いというところから、非常にこの不渡手形の増発等が起つて来ておつて、従つてまあ先月の末のごときは、結局四千億を越すようなオーバー・ローンをやるようになり、一方緊縮予算をやつていることと完全に一致していないような点もありますので、この点は日銀のほうでも絶えず事情を報告されまして、こういうふうに今後は臨んで行くということでやつておりますから、従いまして今度輸入金融の引締め強化を始めといたしまして、輸出面は別でありますが、輸入から起つて来る各種の滞貨等の金融については、相当の処置をとることに相成つております。場合によれば、まあ一応三月の一日から御承知のようにオーバー・ローンにつきまして市中金融の二厘増しということにいたしまして、大体これを阻止する考え方をとつているのでありますが、併し二厘増しらくいではまだ減つておりません。それが殖えておる状況にございます。これらについても、相当一万田総裁も決心しておるようでありまするから、併しお話になりましたような点は、政府のほうでも十分監督いたしますが、今後はそういつた滞貨及び思惑的な金融、これは十分阻止されることと私は考えております。なお、今までのような調子で、例えばオーバー・ローンを減す減すと言いつつ事実においてだんだん殖えて来ておる。言い換えますると、政府の緊縮財政を今後やるについては、やはり金融の緊縮が何より今後これに伴う一つの政策の裏付になるのでありますから、これは両々相待つて行くように特に協調をとつて十分な措置をとりたいと考えております。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 この輸出入関係で幾らもお聞きしたいことがあるのでありますが、まあこの程度にいたしまして予算に移りたいのであります。  一つ本年度の予算の特徴は、財政投融資を約六百億減らされたということなんでありますが、財政投融資自身を私は減らすのが本当かどうかという点については、いささか疑問を持つております。無論政府も、及び経済学者も指摘いたしておりますように、財政投融資そのものは、実は強制貯蓄によつて民間から吸い揚げたもの、税金の形で、強制貯蓄の形で吸い揚げたもの、及びその他預貯金のようなものでありますから、本来それを日本で以て不急不要の方面に行かないで基礎産業に向いて行こうとする一つの方向は是認されるべきだ。併しそれに伴つて民間の金融が動くから非常に困るのだ、そういう点から消費需要も殖えて行くということでお減らじになつたことはよくわかるのでありますが、併しもう一度考えて見ると、これが二重投資になつたり、過剰投資になるというそのことがおかしいのである。政府に経済計画がないからそうなつて来る。それが消費需要に向くのだ。私はそういう意味から言いますると、従来政府として考えられておつた、先ほど愛知通産大臣が言われました鉄鋼の合理化ですとか、石炭の問題でありますとか、電源の問題でありますとか、船舶の問題でありますとか、こういうような問題が既定計画通りできなくなつて来る、あなたがたが。要するに不要不急なり、過剰投資なり、二重投資のほうに向いて行く金を抑えられないから起つて来る。そうすれば財政投融資を減らして量的に制限するより仕方がない。そうすれば政府の考えている自立経済の達成は遅れて来る。こういうふうな情勢になつているのでありますが、愛知通産大臣なり、大蔵大臣は、まあ吉田総理みたいな、何というか、経済に計画性を与えるのはソヴィエトのような国がやるものだとは考えておられないようでありますが、要するに問題は、そういう自分たちが立てるべき経済の方向を確立しないで置いて、安易に量的に制限して行くという形をおとりになつている。過般の予算委員会で起つて来たのは、僅かに輸入外貨の割当について、不要不急のもの及び贅沢なものについての措置というふうなだけでありますが、大きな資金的な枠からそういうものをお考えになりませんか。殊に政府の財政投融資の点は大きいし、政府が関係しているところの開発銀行、輸出入銀行その他諸金融機関及び運用部資金を通じての金融に対する力というものはあるのです。だからそういうものから考えますと、日銀の金融政策と合せてはつきり総合的にお立てにならないとそういうことになる。そういうものを疎そかにしておいて、安易に財政の規模の収縮だけで行こう、こうお考えになる傾向が強いと思うのでありますが、その点について経審長官なり、大蔵大臣のお考えをお伺いしたい。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 誠に御尤もでございますが、やはり外国の例などを見ましても、一九五一年頃のフランスその他のやり方を見てみましても、財政投融資といいますか、金融の面から引締めて行くというのが国際収支改善の場合の一つのオーソドックスの行き方ではなかろうかと思うのであります。それから財政投融資はコントロールできているのだから、これが二重投資にならないようにすればいいのだというお説でございますが、私は誠にその通りだと思うのであります。それで今度は大分窮屈で、御承知のように開発銀行の資金計画だけから申しましても、昨年度八百五十億が今年度は六百二、三十億に減らざるを得ないかと思いますが、その範囲内で、先ほど二、三の例を申上げましたが、そういう点で重点的に配賦をするということで、今後のやり方といたしましては、従来もそういう考え方ではあつたと思うのでありますが、なお一層計画的、効率的な投資を図つて参りたいと思つております。これはひとり財政投融資の問題だけではなく、やはり御指摘のありました通り、日銀を中心にして全体の金融政策が完全にこれと歩調を合せて行かなければならないことは勿論だと考えておるわけでございます。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 いろいろ数字について、予算についてお聞きしたいのですが、私は吉田内閣の性格として、自立経済達成についての問題点を、大きな点だけを少しお聞きしたいと思うのでありますが、この経済を建て直して参るときに一番問題になるのは、労使の関係をどう調整するかという問題が一つ大きな問題、それからもう一つは、食糧政策をどうするかという問題が大きな問題、これが共に一兆円の予算編成と同時に、どう考えられておるのかという具体的な政策をお示しにならないと、率直に言つて予算にならない。三党修正で百億足らずの金が問題になつておりますが、露骨に言えば、私に言わせれば、食糧政策と労使の関係で、どうして経済を建て直し得るかという問題がなければ、予算にならないのだと、こう考えておる。本年度の予算で大きな問題はそこに穴がある、抜けておるというふうに考えられるのですが、その点につきまして実はいろいろお聞きしたいことがございますが、時間がございませんから、一応農林大臣にお聞きしておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 内政上の食糧問題は極めて大きな問題になつておることは仰せの通りであります。ともあれ内地産米を以て国民食糧を確保し能わざるの状況にある、この前提の上に立つてどう解決をして行くか、及ぼす影響はこれは全国民に及ぶ問題でございますから、現状が決して満足すべき状態でないということは、もう私も全然同感でございます。併し同時に日々の、三度々々のこれは国民の生活それ自体の問題でございますから、これの政策なり措置なりを変更するということはよほど慎重を川さなければならんと私は考えております。従いまして来米穀年度からは、現状のごとき管理制度を維持できるか、維持することがいいかどうか、或いは改善するとすればどう改善いたすかということにつきましては、政府としましては虚心坦懐に各方面の意見を十分聞きまして、改憲案を立てたい、こういうふうに考えましているく内部的に努力をいたしておる現状でございます。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。労働問題というのは、従来労使の問題であり、だから労使間において話合いがついて行けば、それでいいのだという取上げ方をしておつたのでありますが、只今御指摘のように、全く日本経済自立と密接不可分の問題であります。日本経済の全体の実勢を考えないで、労使間の問題というものだけが先に走つて行くということもできんかと思いますので、私は労働問題というのは、やつぱり国民経済全般との関連で取上げるべきものだということで各方面の意見を聞いて、その間に何か労使共通の土俵場といいますか、そういうものを築き上げて、その間に真の話合いのでき得る機関を作つて参りたいということで努力をいたしておるのでございます。ただ労使間の労働賃金の問題だけとつて見ますると、これは戦前に比べまして、非常に国民所得の中において占むる比重というものが増加しております。戦前が三九%程度であつたものが、現在では約半ば近くになつている。四九%程度になつておりまして、これ以上増加して参りますると、やはりそのしわというものが、個人の業種所得であるとか、或いは利子所得であるとか、賃貸料所得であるとか、或いは法人所得というもののほうへしわが寄つて来るのでありまして、やはりそれだけがつつ走つて参りますと、全体の資本蓄積ができなくなるということで、この雇用所得というものの全体に占むる割合だけを見ますると、米英よりもむしろ割合的には多い、こういう状態であるけれども、これはどうしたらいいか。やつぱり日本経済全体の拡大生産性の高揚がなければ、労働者の満足な政策というものはとり得ないのではないかということも言えるかと思うのであります。今度の予算では御承知のように物価を上げないということが非常に大きな柱になつておりますので、この賃金の名目的な上昇ということよりも、如何にしてこの実質賃金を殖やすかというほうに重点をおきまして、又先ほど申上げましたように、日本経済の自立との関連でこれをどう持つて行くかということが大きな課題であろうと思いまして、そのほうで何らかの解決を見出したいと思つて努力をしておるわけであります。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 食糧政策についていろいろ具体的にお聞きしたいのですが、それじや時間がございませんから、これだけお約束になれますかということをお聞きいたします。  二十九年度の予算で、食管特別会計の資産含み三百億を吸い揚げたが、食糧関係から今度追加予算をお出しになることはございませんか。これを大蔵大臣と農林大臣にお聞きいたします。それから労働大臣にお聞きしたいことは、労働大臣にもいろいろお聞きしたいのですが、時間がございませんから申上げないのですが、労働問題を国民経済の全体から見て、而も労働者の実質的な賃金を上げて行くということになると、従来の名目的な賃金というものの闘争から、突貫的な生産性と結付いた闘争に入つて来るという方向に向くとすれば、その問題は労働省だけでは解決しない。大蔵大臣なり通産大臣なり、そのほかの努力が一つの労働政策と結付いて指向することによつてできる。例を挙げれば、二十九年度の予算の一番金額が殖えたのは、国家公務員の給与に関してであります。そのために実は資本蓄積も実質賃金のほうの向上にもならない。つまり減税の方向もあの程度でお茶を潤して、税制制度調査会の答申を尊重するといいながら、恐らく大蔵大臣でも少し気がひけるくらいしかつまみ食いをしていられない。だからそういう点から考えて行くとそういう方向においてものを解決するということになれば、一つの政策が出なくちやならない。その点について十分な関係閣僚、どうも吉田内閣では労働大臣というのは狭い労働大臣であつて、経済閣僚でないらしいように思われるのですが、そういう性格をお直しになるかどうかという点をお聞きいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今のところ食糧について補正予算を組む、かような考え方は持つておりません。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 二十八年産米が御承知のような不作のために、又その供出を確保いたして参ります上に、完遂奨励金でありますとか超過供出奨励金、それに加えまして百億以上の減収加算をいたしました結果、繰越の食管の含み資産約三百億をこのために充当いたしたような結果になりました。食管会計としては極めて窮屈な状態でございますが、これをもちましてもまだ欠損、赤字を生ずるところまでは至つておりません。併しながら、この米穀年度に関しまする限りは、そういう非常な措置をもちまして一応処理をいたしておりますから、新たなる予算を要求する必要は生じて参らない、かように考えております。

小坂善太郎自由党労働大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 昨年末の自公労のいわゆるベース・アツプの問題、ああいう措置をとりましたにつきましては種々御批判があるかと存じますが、現在の公労法の建前或いは人事院の勧告等を尊重する建前等から見まして、昨年としてはあの措置をとつたのでございますが、本年は物価全体につきましてよく経済閣僚諸君とも連絡をいたしまして、そのような勧告が必要の起らぬような経済情勢を作りたいものだというふうに考えております。仰せのごとく労働関係というものは国民経済自体と全く離れられないものでございますから、私もその問題をとり上げる観点におきましてよく経済閣僚と連絡をとりましてやつて行きたいと思います。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 もう時間がございませんから大蔵大建言だけお聞きしておきますが、いわゆる今まで触れましたうちで税制の問題だけが実は御質問の予定から残りました。併しその点で一点お聞きしたいことは、オーバー・ローンを解消する前に資本を適正な評価にする、いわゆる強制再評価をなさる御決心がございますかどうか、その方向はどうであるかということの御答弁を願います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 第三次資産再評価はこれを強制的に行う考え方であります。明日の閣議に出しましてもう閣議決定いたしますれば、法案ももうできておりまするから明日にもお出ししたいと考えております。大体の考え方はまあ八割までのところに再評価をさせる。それにつきまして再評価した分のその対象はといいますると、五千万円以上の会社であり或いは三千万円ぐらいのものでも、再評価後の帳簿価額が一億に達するようなものも対象といたしまして、それでやるのでありまして、大体が再評価額の六割五分以上は全然税をとらない。それ以下のものにつきましては半額ぐらいを考えておるというようなものでありまして、それから又これを資本金に繰入れない場合におきましては、大体一割五分以上配当を認めないような考え方を今のところいたしております。各種の税の率は、大体減免する考えでございますが、細かく分けておりますので明日はたしかお出しできると存じますので、それを御覧願いたいと思います。大体堀木さんのお考えになつておつたような線に基きまして、第三次資産再評価を強制的に行うことにいたします。

堀木鎌三改進党

○堀木鎌三君 税金の問題は大蔵委員会でなお詳しくお聞きいたすつもりでありますが、実はほかの大臣も来て頂いて誠に申訳ございませんが、時間がございませんのでこれで質問を打切りたいと思います。要は日本の経済自立を達成するのに甚だしく、何と申しますか私どもの考え方のほうがきびしい。そして率直に申しますれば、大蔵大臣や通産大臣、吉田内閣ではどうも甚だしくその所期の目的が達成できないのじやないかという危惧を基点にいたしまして、質問いたしました次第でございますが、これで打切りたいと思います。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 ちよつと質問に入る前に議事進行について。今日は保安庁長官にお出でを願うように要求したんですが、お見えになつておりませんが、委員長も御承知のように今度の予算は保安庁の経費が非常にふくれている。いわゆる保宏庁経費を相当究明しなければならん。そういう非常に重要なこの保安庁経費の内容を審議するに当りまして、あらかじめ保安庁長官に連絡をとつてあるはずなんです。今日お見えにならないということは、私はどういう理由かわかりませんが了解に苦しむのでありますが、その点と。それから小林開銀総裁を要求してあるのです。お見えになつておりませんが、この二つの点、はつきりして頂けませんと、ちよつと質問に入りにくいのです。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 保安庁長官は渉外関係の仕事でどうしても手が放されないというので、政府委員が尾えておりますから、それで御進行願いたいと思います。小林開発銀行総裁のことについては、いずれ理事会等で相談いたしますから、本日はそのまま質問を進行してもらいたいと思います。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私は政府委員を要求したのではないのです。保安庁長官を要求したのに政府委員が見えておりますからそれで質問して下さいと、そういうことは私は困ると思うのです。それはあらかじめ通告してあるのでありますから。急にというのは無理です、もう二三日前ですよ、それなのに小林さんも御要求いたしたのに来られない、私は理解に苦しむのです。併し来られないものを要求しても無理でありますから、委員長からその点十分あらかじめ通告してあるのに来られないのは困る、特に保安庁経費は重要なんですからその点御注意願いたいことと、それから、政府委員に質問いたしますが、併しあとで保安庁長官にやはり御質問しなければならないのです。そうしますと我々時間を制限されておるのです。非常に僅かな時間でやらなければならないので、そういうこともできなくなりますので、質問する適当な機会を得たいと思います。その点御了承願いたいと思います。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 承知いたしました。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 先ず運輸大臣にお伺いいたしたいのです。  第十六国会で行われました海運助成措置、即ち外航船舶建造融資利子補給及びその損失補償法による金利負担或いは又損失補償、造船用鋼材価格の引下げ、税負担の軽減、これは固定資産税とか登録税を軽減いたしましたが、等々によつて国家負担がどのくらい増加いたしたのですか、その点伺いたい。

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) 正確を期するために政府委員から申上げます。

岡田修一運輸省海運局長

○政府委員(岡田修一君) 利子補給その他の助成措置でございますが、市中銀行に対する利子補給、これが成立予算では八年間に百六十七億というふうになつております。併しその後におきまして、市中銀行が既往の貸付について日歩約二厘減額する、それから実施時期を約半月遅らす、その結果その国庫負担総額が約百四十一億、こういうふうに減つております。それから開銀の利子補給並びに何と言いますか金利引下げによる実際の収入減、こういうものを極く大ざつぱに申しまして、これを開銀が今下げております六分五厘と三分五厘の差というふうに見ますると約十七年間で百七十億、それから、これを以前の七分五厘と三分五厘の差というふうに考えますと約二百二十六億と、こういうふうになるかと思います。従いまして、この措置によりましては、前段のほうで六分五厘と三分五厘の差をとりました場合には三百十一億四千万円余、後段の七分五厘との差をとりました場合には三百六十八億余、こういうことでございます。  それから固定資産税の軽減でありますが、大体年間二億程度の軽減になります。と申しますのは、その以前においてすでに千分の十六という一般の固定資産に対しまして、それを千分の六・四というところまで下げております。ところが、その夏の特別措置によりまして千分の四になりました。従つて千分の六・四と千分の四の差を考えますと、年間約一億、こういうふうに考えております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 まだあるはずですが。

岡田修一運輸省海運局長

○政府委員(岡田修一君) そのほかの助成措置でございますが、造船用鋼材の値下げのために開発銀行並びに別品外貨貸しの金利を約二分五厘引下げた、これによつて八月以降今年の四月十五日までに捻出されるべき金額は約九億六千万円程度と、かように考えております。  このほか三党協定による助成措置ではなしに、別個に内航船対策として例のE型船というものをスクラツプする、そのスクラツプしたものについてての買上船価に対する利子を補給する、その利子補給額が約二億だつたと考えております。それから損失補償の限度額ですが、これは約六十億程度だつたかと存じますが、これはまだ末発生のものでありまして、果してそれが国家負担になるかどうか予見できないかと存じます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 総計でどのくらいになりますか。

岡田修一運輸省海運局長

○政府委員(岡田修一君) 只今申しました数字でございますが、これは損失補償限度額を除きまして大体三百二十四億かと存じます。併しこれは冒頭に申上げましたように、市中に対する利子補給は八年間、それから開銀の利子収入減は十七年間でございます。その点御了承願います。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 損失補償その他は、これは将来損夫を生じた場合に負担すべきことですから、一応国家の負担に計上されておるわけです。そういうふうになりますと、相当多額の国家負担というものを、第十六国会には海運助成措置によつて負つたわけです。このような非常に大きな国家負担を負うのであるから、従つてこの運用は非常にまじめにやられなければならない。又その経理もこれは厳重にやらなければならないわけです。然るにもかかわらず、こういう疑獄とか汚職が起つたわけです。これは実に遺憾なことだと思うのです。従いまして、私は運輸大臣にこれについてはやはり相当責任があると思うのです。従つて私は、建輸大臣はこういう点についてどういう責任を感じておられるか。汚職があつたという意味ではないのです。汚職云々ではなくこれだけの大きな国家負担をするにもかかわらず、汚職、疑獄が起つた。従つて運輸大臣は責任をどういうふうに国民に対して感じておられるか、又この責任を明らかにするにはどうしたらよいか、どういうことをして責任を明らかにしたらよいかということをお考えになつておるか、この点お伺いしておきたい。

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。誠にお話のように、利子補給を初めといたしまして、多額の国家援助によりまして日本の海運界の発達を期する方策が二十八年度予算から特にとられたわけでございます。その当時におきましてこの席で木村さんから特に御注意のあつたことも私、頭にまだ残つております。その心持を私どもは持つて今度の二十八年度の予算の遂行に当つて来ておるわけでございますが、不幸にしていろいろな問題が起りまして何とも申訳ないと思つております。で私どもは今までの海運並びに造船につきまして運輸省が監督をやり得まする範囲というものは、利子補給等がない頃には進んで中のいろいろな報告をとり又実地に調査検査をするということはできなかつたわけでございまして、漸く昨年からそれができる状態になりまして、先ずいろいろな問題につきまして報告書をとりました。今それをいろいろ当りましてそれを土台として実地検査もこれからやるという階段のときにいろいろな問題が起つたのでございまして誠に残念でございます。私どもといたしましてはこの問題に処しましては丁度昨年この予算が通つたときと同じ心持でございまして、海運会社につきましてはこれだけの援助があるのでありまするから監査報告をとり、実地調査等もやりまして厳重なる経理面からのそういう監督をいたして、そして日本の海運が本当に発展して行かなければならん使命を持つておるわけでございまして、そのためにいろいろな問題が起らないように厳重なる処間をとつて行く、そうして海運そのものの発展は十分期して行くようにいたしたい、こういうふうに思つておるわけでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私は責任を明らかにするということにおいて、造船疑獄の起つた根本原因をここで深く検討いたしまして、そしてこれに対して抜本的な対策を講ずるということが運輸大臣としての責任だと思うのです。従いましてただ経理を厳重にする、これは前から当り前のことである、会計検査院もやるべきでありましたし、運輸省は勿論やるべきであつたし、併しこれがおろそかにされておつたのですが、こういう問題が起つたのであるからこの根本原因は一体どこにあるのだろうか、これはあとでも御質問申上げますがいろいろな点にあると思うのです。制度上もありますし、人の点にもあると思うのですが、それをお考えになつてみたか、経理を厳重にすることは勿論ですけれども、経理以外にどうしてもこういうような制度上海運政策を遂行する場合こういうやり方ではやはり汚職が起る、そうして真の海運政策にならないのではないかということをこの際深く掘り下げて検討されてみたかどうか、この点伺つておきたい。

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) お答えします。  第一は船をこしらえて行かなければならないということ、これはもう皆さんがたでお認めを願つて今日に及んでおるのでありまするからそれの説明は抜きにいたしまして、それの行き方といたしましての問題は、第一に計画造船の行き方が今のものでいいかどうかということが一つ考え方の問題だと思うのでございます。ずつと第九次までやつて参りました運輸省といたしましては、その都度に昨年度よりこういうふうにしたほうが更にいいのじやないか、こうしたほうがいいのじやないかというようなことで殆んど毎年だんだんと扱い振りも変つて来ておるのでございますが、昨年とりました私どもの計画造船の行き方というものの場合に、私どもは第一に考えます関越は値段が安くできることと、そうして一番大事な方面、例えば必要な航路に配船すると申しますか、そういう点から検討し、世界と競争になり得るような力のある商船隊をこしらいて行くという考え方から私ども出発したわけでございまして、幸いにいたしましてさつき説明の中にもありましたが、鋼材の一部分の利子補給等の形をとられましたために、どんどん船価は世界的なレべルに大体近付きました。そういたしまして九次の前期九次の後期と比べまするとそれを含めまして一割六分からの値段が下つた。これは私どものほうでは基準になりまする船価を一応こしらえておつたのでございまするが、この基準になりまする船価そのものも詳しく造船所に入つて細やかに当ることが運輸省の権限としてどうかという問題がその時分はあつたわけでございまするから、余り深く入つて一々一台々々に当るということはできていないのでございますが、いろいろな報告を聞いてそうしてこのくらいな程度が基準であろりということで、それより高いものはそれ以下に下げさせるとかいうような方法をとつたわけでございます。先日ここでお話がありましてそのまま散会になりましたが、木村さんのお話の中であつたと思いますが、何か船の中に置くいろいろな品物でございますが、初めの計画より悪い物になつてそんなものがリベートや何かのもとになるような虞れはなかつたかというようなお話でございまして、そのことを私ども早速調べてみました。或いは値段がきまりまして基準でこれくらいなものはこれくらいの値段と言つてきまつたあとで、これほどのものを使わんでもこの船ではいいのだというのを船舶局のほりで指導いたしまして、そうしてああいうようなものは格を落したそうであります。これだけははつきりと値段が下つておるはずだと思う、こういうことでございます。そういうふうにいたしましていろいろ船の値段の点も注意をいたしたつもりでございますが、今度は更にもう少し船の値段をきめるもとにいたしましても、いろいろな調べを十分やつて造船中も規格通り、きめられた通りにやつておるかというような点も監査いたしまするために、これはどうしても独立の法律が要るらしいのでございますので、只今実はその法律を提案いたしまして皆さん方の御審議を願おうと思つて今研究をいたしておるような次第でございます。そういうふうにいたしまして先ず計画造船の面で問題がないようにしなければならんということを考えるのでございますが、そのときに私どもは一体収支予想というようなものをとつて計画いたしておるかというようなこと等もお尋ねによく出るのでございますが、これは大体一般的に申しますると船会社のほうが今の利子補給後においてどうなるかと申しますと、一般的に申しますと利子は払えます。併し元金はちよつと今のままではすぐ払えそうにもない状態でありますというようなのが一般的でございます。これは又貸出をやります。市中銀行にもいろいろ調べさせますと、市中銀行のはもつとこれをきびしく見ておりますので大体利子は大部分は払えるが、かえつて大手筋などはいろいろ費用がかさんで払えないのがありはせんかというような心配をいたしておることを聞くのでございます。併し大手筋の例を見ますると、そういう場合には財産の処分をするとか、その他によつて利子を払つておる例がありますので、こういう方面は大手筋であれば心配はなく利子だけは払つて行けるだろう、こう思うのであります。それでは元本も払えんようなものにこうやつて貸していいかということが根本に一つ考えられる、そうやつて金を貸して、開銀が七割貸す、市銀が三割貸す、もう裸一貫で船をこしらえるんだ、造つておけば利子は利子補給やその他で何とか払つて行つてさえいれば元本は払えなければ払わなくていいのだというようなことで勝手に船をこしらえられてはたまらないのでございます。併し私どもはたくさんの人が船をこしらえたがるというのには、よそがこしらえるから自分のところもこしらえて勢力をほかに負けんようにしたいという心持も勿論でありますが、日本の海運界の戦争前の盛況を思い又日本の現在を考えますると、どうしても外国との競争の航路に出て行くには外国の船に負けんような船で競争して行かなければならん、それにはどうしてもいい船をこしらえたいという熱意が出て来ておることも私は確かだと思うのでございます。戦争前には日本の平均の船の速力は外国の平均の船の速力よりもちよつびりよかつたように私ども開いておりまずるが、今の状態では平均いたしますとまだ定期航路に乗つておりまする船でも一ノツトくらい平均悪いのでございます。こういうのがだんだんいい船がいい航路に向つてそこの航路の船が次の航路に行くというような式にしてだんだん日本の海運界を充実さして行きたい、そうすればいい船をもつてちやんとやればほかの外国の海運会社との競争もうまく行くし、又発言権も強くなつて来る、よろよろしているような船では発言権もないのだというようなことが私はそこに非常な大きな魅力になつておると思うのでございます。そこでそういうふうにして元金も払えないというような状態が今の目先の状態である。それならばそれよりもいつそやめてしまうかというと、日本の経済の自立、外貨獲得の実際の問題からいろいろ考えますると、戦争前における日本の海運界のかせいだ運賃の日本の貿易に及ぼす比重よりも今日のほうがずつと私は重たいと思うのでございます。ほかに外国におりまする日本人の会社、個人等の送金等もないのでございますから、貿易外収入としてはどうしてもこれに力を入れなければならん。というとやはり長い目で見る海運の計算ということで貸して行かざるを得んと思います。そのためにはどうするかといえば、担保力を持つておるかどうかということで長期の貸しを裏付けるよりほかないと思うのでございます。開銀が市中銀行と一緒になつてやかましく言い適ぎると市中銀行では非常に反対をいたしまするが、開銀が今まで強い担保の力がなければ困るということを言つて来ておるのはそこでございまして、担保力の点からは今日までのところはまだ十分にカバーされておるわけでございます。そういうわけで長い目で見てもらう。戦争前の興銀の貸付は十五年でございました。今度の開銀のは大体そこいらでございます。御承知のようにドイツは十六年とかアメリカは二十年とかいうような長期金融というのがこういうのの建前でございまして、同じ日本の開発銀行でも電力開発には三十年だつたと思うのでありますが、性質上長期に貸しておる。造船としては十五年くらいのところはやむを得んじやないか。それには今申しました担保力ということに力を入れておりますので、そういたしますと実は二十九年度予算を提出して皆さんの御審議を願つておりまするのには二十万トンくらい造るつもりでやつておりまするが、担保力の点において十分なりやというと、大体今年までは何とか担保力はあるという見通しを私どもはいろいろのほうから聞いておるのでありますが、市中銀行などは担保力の点においてまだ研究を要する、ないとは言わないけれども、なかなかない所もあるというような話をこの間から聞いております。各方面の人たらのいろいろな意見を附きましてそうして私どもは二十九年度の計画造船をできるだけきちんとそうして有効にやつて行きたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 縷々御答弁拝聴したしましたが、勿論そういう御努力が的はずれとは私は考えないのです。考えないのですが、私は海運助成策は金利補助とか船価の引下げのための補助とかそういうことでは本当の海運助成はできないと思つています。今の日本の海運不況の根本原因は金利高或いは船価高に根本原因があるのではない。これは今の現象形態だ。もつと突き進んだところにあると私は思つています。それから補助をやるにしても補助の形態、補助の性格、或いは又受ける企業の企業形態、そういうものが重要なんであつて、これは諸外国の悔運政策と比べてみても非常に違う。そういう点にいろいろ私の意見ございますが、意見を言うよりもいろいろ質問したいことがたくさんありますので先ず先に伺つておきますが、先ほど運輸大臣も、二十九年度の予算を組むときには、この前まあ私がたまたま予算総則を見てこれはおかしいと思つて造船疑獄の問題を取上げたのですが、そういうことがないように今度は組んでおられると、こう言われましたが、そこでお伺いしたいのは、今度の二十九年度の利子補給予算を大蔵省に要求するときの当初の要求額はいくらであつたか、そうしてその内容はいかなるものであつたか、これに対して大蔵省はこれをいかに査定されたか、査定した結果どういうことになつたか、この二十九年度の造船利子補給三十七億、これが決定に至つた経過経緯を一つ明かにして頂きたい。この経緯の中には最終的には不明朗なことがなかつたかもしれませんが、その過程においてはやはり何かいろいろな業者の運動があつたのではないかと思われるような節があるのです。なければ結構です。ありますのでその経緯をやはり一応ここで明かにしてすつきりさしてもらいたい。二十九年度の予算に限つてはもう今までのようなことはないんだ、今度こそはないんだ、そういうことをこの際三十七億の利子補給予算の決定に至るまでの経過、これをはつきりして頂きたい。そうすれば国民もなるほどこういうわけになつているのかとはつきりして行く。この経過をお聞かせ願いたいと思います。

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) 私から大体申上げまして、詳しいことは海運局長からお答えいたしたいと思います。利子補給は一十九年度は二十八年度と同じような市中銀行が五分まで、それから開発銀行は三分五厘までということのつもりで、そうして三十万トンの造船を計画して提出いたしたわけでございます。いろいろ細かい問題に入りまして例えば乗出し費用というものがこの利子補給の対象になつてはならないというようなことでありまして、それは乗出し費用のうちの今まで公租公課等を対象にはいたしておりましたけれども、例えば進水式の費用とか何とかいうようなものは勿論入つていなかつたわけでございますが、それで大蔵省は造船そのものだけにすべきだと、その関連で習慣ではそこまでなつておるそうでございますが、そういうことであれば造船だけにしようじやないかということになりまして、乗出し費用というものは二十九年度の中の利子補給の対象には公租公課といえどもならんというようなことになつたと記憶いたしております。それから開銀の三分五厘にいたしておりましたその差額の利子補給を今度はやめまして、そうして海運業者のほうは三分五厘と同じ状態にしている。併し海運界がいつか量気がよくなりまして、支払ができるようなときが来ましたらその差額は開発銀行に払う。平たく申しますと出世払いというようなことの意味になるかと思いますが、そういうふうなことで三分五厘で開発銀行がやつて行くというようなことに話合がついたわけであります。  もう少し海運局長から補足いたします。

岡田修一運輸省海運局長

○政府委員(岡田修一君) 当初大蔵省に要求しました金額、とそれから最後に落ち着きました金額の間の経緯を申しますと、私どもが大蔵省に要求いたしました当初の金額は六十八億三千万円余でございます。これは開発銀行に対する利子補給を三分とするという建前で行つております。と申しますのは、開発銀行としての資金コストから見て通常まあ最低限の金利が六分五厘だと、従つて利子補給をするとすれば、六分五厘と三分五厘との差の三分を補給するようにしてもらいたい、こういう要望が強かつたものでございますから、開発銀行の要望を入れまして開発銀行に対して三分の利子補給をする、こういう建前で要求しております。これに対しまして大蔵省は開発銀行への利子補給は一応とりやめて別途の方策を考える。  それから先ほど申しましたように、市中銀行のほうで既往の貸出分につきまして日歩二厘程度の金利引下げをやろうという協力がありました。その点と、一船別に洗いましたところ、当初私どもが調べましたものよりは融資の残額が多少減つておつたというふうなこと、この点で、先ほどの開銀の利子補給を廃止することによつて約二十一億九千違う。それから一船別検討した結果八億一千違う。それから乗出し費用、これは先ほど大臣が説明いたしましたように、運輸省としては要求したのですが、大蔵省のほうでこれを査定して来た。勿論乗出し費用の中にはレセプシヨンその他のものは入つておりません。公租公課、建造中の金利だけでございますが、これに対する利子補給を削る。それから私どものほうで、当初の要求の中には三十九年度の新造船は三十万トンにする、従つてそれに必要な利子補給を含んでおりましたが、これが二十万総トンになる。これによつて約四千百万円、合せて三十二億円余りが減額査定されまして、成立いたしました分は三十六億二千九百万円でございます。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 大体只今運輸省から御答弁がありました通りでございます。市中融資の分につきましては、運輸省の当初の要求が四十六億三千三百万円でございましたが、これを三十六億二千九百万円に査定いたしました。その査定減の理由は、御答弁がございましたように、一船別に検討いたしまして融資額を調整し、又乗出し費用等を利子補給の対象から除外いたしまして、又建造船舶のトン数につきましても、移民船及び油送船を除外いたしまして、貨物船のみ約二十万トンということにいたしまして三十六億三千九百万円の金額に査定をいたしたわけでございます。開発銀行関係はこれも答弁がございましたように、当初は一分五厘の利子補給を三分に引上げて、二十一億九千八百万円の要求がございましたが、開発銀行は政府全額出資の政府機関でもございますし、これに対して利子補給を行いますことは制度上にも疑義がございますので、この利子補給は廃止することにいたしまして、別途開発銀行におきまして利子徴収の猶予という措置を講ずることにいたしました。査定額ゼロということにいたしましたわけでございます。以上の通りでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 その乗出し費用や一船別検討でこれを除外した理由ですね、なぜこういうふうにしたか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 一船別の検討は、利子補給の対象となる融資につきまして最も的確なる計算をする、いやしくも血税を浪費しないという建前から非常に厳重に一船別の検討を行なつたわけであります。その場合に乗出し費用が利子補給の対象になるかどうかということが問題でございましたが、私どもの見解を以てすれば、最も厳格なる意味で狭い範囲をとるべきであるという結論に達しましたので、竣工後ニカ月半の諸費用、いわゆる乗出し費用はこれを利子補給の対象から除外することになりましたわけであります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 その後運輸省は復活要求をしておるようでございまして、乗出し費用等についても復活要求をしております。又移民船についても要求しておるようですが、移民船の問題がよくわからない。又この移母船を造ることになつたために、先ほど運輸大臣も言われましたが船の手抜きをやる。移民船から起つておることだと思う。契約してしまつた分についてはどうしても価額を変えることができないのでいろいろまあ性能の劣つた船を造ることになつた。この手抜きの内容を見ましても、ただ単に概略だけではありません、相当重要なものを手を抜いておる。これは又私はリベートとも関係してこういうことが行われたんじやないかと思つたのですが、こういうのは国家財産を悪いものを造るので、非常に重大な国家に対する損害を与えると思うのです。  時間がありませんから次に移りたいと思うのですが、汚職とか疑獄の根本原因を考える場合には、先ほど運輸大臣の御答弁も一応ありましたが、海運業者がもうからない、赤字が出ているのに何故船を競争して造りたがるか、この点であります。先ほど運輸大臣は外国と競争して外貨獲得のため熱意を持つてやるんだ、こう言われましたが、やはり自由主義資本主義経済のもとではそれだけで経済は動きませんし、船を造るのではない、やはりそろばんというものがある。採算から出ておる。私の調べたところでは船会社にしても銀行にしても造船会社にしてもこれは計画造船というものは一つの種になつておる。そうしてこれが利潤追求及びそれと関連ある人の私腹をこやす道具になつている。どうもこういうふうに見えるわけです。私は社会主義政党におりますから、左のほうだから、左も少し大分左だから故意にそういうことを言うじやないか、それはイデオロギー的に特にそういう解釈をするのじやないか。こういうふうにお取りになる点があるかも知れませんが、これは具体的にいろいろ検討してみたのです。ところが例えば銀行なんかはこれは全く損はないようにできている。こんなにもうかる仕事はありません。金利は補償される、損失も補償される、計画造船ができると造船所のいわゆる企業資金というものを貸出す。第一銀行の例をみても二十億円いわゆるつなぎ資金を貸して日歩二銭四厘短期資金を融資する。これは開銀から来るまでのつなぎ融資。又きまると市中銀行が三割融資した残りの七割というものは開銀から来るのですが、これはやはり金融機関を通じて貸出される。そういうことになると例えば十億の船を造ると三億と七億、千億はすぐにこれを貸出すのじやなくて次々に手形を切らして来るのですからその間にほかに運用できるわけです。ですから銀行は、こういう融資が行われると非常にもうかる種になるわけです。それから又船会社は返せなければ返済融資というものがある。返さないのに対して開銀が又融資する。それで結局は銀行の融資は開銀に肩代りされる。これははつきり言つております。結局開銀に肩代りにされるのだから、心配ない。こういうようなことになつておりますから、これは又銀行の救済になり古い責務もだんだん返済されて来ると、こういう非常ないい道具になつている。これで本当に日本の海運業が振興するならば結構です。又外貨獲得上私はどうしても海運政策は必要と思うのですけれども、併しあとで御質問申上げます通り、私はそうならないと思う。それから船会社にいたしましてもこれまでの償還の事情をみましても遅々として償還されておりません。これは復金の融資と同じようにただ借りているような気がしているのではないか。結局損をすれば国が補償する。どうも私はそういうような観念があるのではないかと思う。それでそれを道具にしてリベートなんかで私腹をこやす。  具体的に例を上げますならば飯野海運などの二十八年九月の経理内容を御覧になれば、国から補助を受けながらこのような経理をやつているのです。普通重役賞与は損益計算の中でこれはいわゆる利益金処分から出すわけです。ところが飯野海運は損益計算の中から重役賞与八百八十一万円を出している。これは九月決算です。又接待費として二千八百万円を、又会合費として二百万円、交際費一千万円、広告宣伝六百二十八万円、寄付が三百六十万円、これは半期です。これを寄せますと五千万円くらいになります。而も飯野海運が一般費として諸方面に投資しているのをみますと、これは名前は申上げません、ジヤーナリズム関係が多いのです。報道機関、或いはラジオ関係、雑誌関係に多くは六百万円から下は五万円に至るまで、ずつと投資をしているのです。そういうことによつて私は飯野海運のいろいろの何と言いますか明朗でない点を、ジヤーナリズムに金を出すことによつて私は防衛しているのではないかというような疑問を抱くのです。なぜそんなにする必要があるか、みんな国家の補助を受けながら、こんな使い方というのは非常に不明朗なものがあります。成るほど私もこの経理を見まして接待費に二千八百万円、交際費に一千万円、成るほどこれだけ使えば何とかメモにありましたように、中川の料亭で毎晩どんちやん騒ぎ、毎晩というのはどうか知りませんがああいう招待をして芸者をはべらしてやることも不可能ではないと思つたのです。こういうようなことをしているわけです。私は結局日本の海運力を強めるには海運会社の自己蓄積資金を強化する、これよりほかにないと思うのです。そういう方向に努力さして行かなければならないのにかかわらず、朝鮮ブームでもうけたのをどんどん配当してみたり、そういうものを蓄積していないのです。それから又どんどん政治献金に使つている。我々国民の血税をもつて補助を受けている会社が政治献金をしたりこういう飯野海運のような使い方をすべきではないと思う。こういうのは金があつたら社内保留にして蓄積をすべきだ。自己蓄積をして会社を強固にして行く。そうすれば補助を受けるようにならない。だんだんだんだんと強化されて補助がなくなるからそういうような汚職なんというものも起らないでよくなつて行くのです。又外国との競争力もついて来る。そこに着目しなければならない。ところがそういう方向に行つていない。金利の補助とか船価補助は逆です、会社の自己蓄積をむしろ怠るような金を乱費するような方向に行つているのです。こういう補助政策は間違いです。そういうところから汚職が起つて来るのであります。  造船会社にいたしましてもやはり高船価でもうける。造船会社の人は高船価の問題で疑惑をかけられて逮捕されているようでありますが、これは相当高船価であるやに業界に通じている人から聞いております。いわゆる水増し、そうしてリベートを出す、私腹をこやす、私腹をこやして会社をやめてしまえばいいのだから、そういうような無責任なことをやるようになつている。又日本の自立経済にとつて、貿易計画その他からいつて、船舶の量が適正であるかどうかということよりも、造船会社はその過剰設備を稼動してもうけることのみに主眼を置いている。そういうところに計画造船の狂いが生ずる。これは前にも申上げた通り、賠償のために造船設備を撤去されては困るからその防衛策として四百万トン計画造船をやつた。それを今までやつているのが間違いです。これは再検討しなければならない段階に来ております。こういうようなことは、なぜもうからないのに船を造るのに皆競争するのかというところが根本の原因だと思う。そこで結局の問題は私は開銀と計画造船にあると思う。開銀と計画造船については先ほど運輸大臣が言われましたので、それに関連して御質問申上げますが、金利も払えない、減価償却もできない、そういう状態で金利補助をする、或いは船価の補助をして、それでも外国と競争できないのか。ですから日本の海運の苦境の根本原因は金利高と船価高にあるのではない。そういうものを補助してもなおできないのです。そこに根本の原因があると思う。従つて我が国の海運業をして国際競争力を強めるためには、どうしても先ず第一に会社の自己蓄積を強化すると同時に、やはりそれだけでは競争できないわけですから、補助政策というものをここで再検討しなければならない。今までのような方法ではだめです。これに対する根本的な考えをする必要がある。  それから海運企業の形態、こういうものを私は考えて行かなければならないと思うのです。私は海運専門のことは知りませんが、疑獄を扱つてだんだん海運政策に関するものをあさつてみましたが、これは通説になつているようです。大体金利補給や船価の補助だけで日本の海運の振興はできないのである。もう一ぺん突こんで外国との競争力をつけるためには、やはりどうしても企業形態と国家補助の性格、これを再検討しなきやならん。企業形態についてはいろいろ私も意見を持つておりますが、国営にすれば、これは同盟の関係でちよつと加入が困難というようなこともございますから、すぐ国営にできないでしよう。併しもつと明瞭に海商法でも運賃プールが国際的に許されておるのですから、そういうような共同的な企業形態というものは私はあり得ると思う。こういうことは私は専門家じやありませんから、十分政府のほうでも検討される必要があると思う。補助の性格についてもこれは再検討する必要があると思います。そういう海運政策、日本海運の機構の根本原因、これを深く掘り下げて、そういうところに対策を講ずるのが今度の汚職に対する運輸大臣の責任を全うするゆえんではないか、責任を明らかにするゆえんではないか、こういう意味で質問しておるのです。

石井光次郎自由党運輸大臣

○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。只今のお説の中の自己資金をだんだん持つて、要するに自分で商売のできるような形に持つて行くことが根本だというお話、全然同感でございます。どうやつてそれじやそこへ持つて行けるかということが問題だと思います。只今では海運界の状況が不況なことは御承知の通りでございまして、配当をしておる会社は一つもないのでございますから、なかなかその自己資金を増すことは困難な状態でございますが、さつき丁度お話のありました、どうも景気のいいときは不当にどんどん配当してしまつて、ちやんと資本の蓄積もやらないじやないかというお話であります。私も」の問題がちよつと気になりまして、別に附いたことと、今言つたこと、丁度材料がありますので申上げますが、海運会社が配当を続けておりました頃、この配当のあとにはやはり御承知のようにどうしても自己の資本を蓄積をしなければならない。要するに自己資金でやるようにしなければならないという心持ちで、相次いでどこの会社も増資をやつておるようでございます。日本郵船の例を見ますると、昭和二十五年三月以降配当のために出しました支出金は約一億三千万円でございます。増資は九億五千万円から三十八億円になつております。商船会社は一億四千万円の配当支出をいたしたのでありますが、資本金は五億九千万円から三十八億円に増資をしておる。飯野海運は五億二千万円の配当をいたして、これに対しまして三億三千万円から三十三億に増資しておるというような自己資金の調達の面もやつておることも事実であつたと思うのでございます。併しいずれにいたしましても、海運会社が御承知のように戦時補償打切りに会いまして、素つからかんから立ち上つた状態でございますから、殆んど何もない状態でありますが、どうしても自己資本をしつかり持たなくてはならんという心持で努力をしておることも認めてやらなければならないと私は存ずるのでございます。それから企業形態の話であります。それも私全然同感でございます。どうしたら今の企業形態を……、今のままでいいのかという問題につきまして、先頃から私は次の造船を控え、次の造船だけでなく海運界の根本問題としてどうしたらいいかということにつきまして、いろいろな人たちとこの間から相次いで会つて、まだ会つておる途中でございますが、今のお話の中にも出ましたが、大体の問題はオペレーターを或る程度に整理して、そうして窓口を少くして、そうして或るものはそのアンダー・ウイングに入つて、そうして世界の各国と競争のしやすいよ、うな状態にする。日本人同士で競争するようなばかなことはしないで、世界中との競争ですから、よその国との競争に勝つような状態に持つて行くという努力をしなければならんという心持で、先頃からいろいろ話をしおります。これはオーナーの人たちも一緒になるということは、これはまあ企業形態をよくして、本当に力を付けるということにはそれほどまでならないであろう。併しオペレーターの面ではどうしても世界の競争に対して行くためには何とか考えなければならん。個々の問題についてはだんだんとこの頃話が進んで来ております。併しこれをもう少しどんな形かにしつかりしたものに持つて行くべきではないかというので、これを今折角話を進めております。いろいろ御蚕がありましたら私どもも教えて頂きますれば大変有難いと思います。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私は会計検査院長に質問したいのですが、お見えになりませんから、これは又あとに廻しますが、実は会計検査院法を今度変えて、会計検査院が直接いろいろな監査のできるように、検査できるようにしたというのですが、会計検査院が第九次造船……、或いは又できるようになつたのですから、過去に遡つて監査をしなければならない。どういう監査をしたのか、一体何をしたか、そういうことを聞きたいのです。これは又他日会計検査院長から、そういう趣旨のこの質問に対する答弁を委員長からお願いして頂きたいと思うのです。それから次に開発銀行のことですが、実は小林総裁に伺わなければならないのですけれども、おりませんから、これは大蔵省関係でありますから、大蔵大臣にそのお考えを承わつておきたいのです。今度のような汚職や疑獄を起す可能性がそういう制度的に開銀にも実はあるのではないか、こう思いますので御質問するのですが、私は最初は開銀はたしか貸出基本方針のほかに附表というのがありまして、附表二というのがありまして、貸出先を細かく指定されていた。附表というのがあつたと聞いております。それから又工事リストまであつた。ところが二十八年からこれは改正して附表もなくなつた。工事リストまでなくなつた。これは簡素化するためにやつたのでしようが、こういうことがこの貸出をルーズにさせる一つの原因になるのではないかというようなこと。又一般には開発銀行はもう小林総裁と紐付になつた融資が大概通る、こういうふうに噂されているのです。例えば麻生炭鉱、東北電力、国策パルプ、そういうようなところに行つておるのですが、そのほかにも勿論行つておりますが、そういう疑惑を起しておる。殊に国策パルプです、水野成夫氏のやつておる……。これについては私は、若しそれが事実であればこれは重大な問題になると思うのであります。そういうことを聞いております。直接水野氏が小林氏に交渉して借りたやに聞いております。実は審査のほうではこれは疑問があるというので考慮しておつた。ところが面接小林氏と水野氏との間できまつたやに聞いております。今日これは開銀から調査してもらいました。成るほどこれは旭川工場の余熱利用火力自家発電のために、国策パルプが開発銀行から金を借りておるのです。このことであろうと思うのです。それが噂であれば結構ですが、そういうような貸し方をしたのでは、いわゆる吉田側近に金がルーズに流れておるというのでは、政府機関として私はこれは大きな疑問を抱かせると思う。又今の機構においては、大きい金融は小林が吉田側近、そういうところできめて理事会に発表する。ところが理事はやはりサラリーマン理事が多いから、これに対して厳正な意見が述べられない。発言ができないというようなことも聞いております。これが事実でなければ結構であります。こういうような点に問題がある。私は一番問題になるのは、この前に開発銀行の総裁を任命するときは国会の承認を得なければならないということを私は主張したのでありますが、これは当時の池田蔵相は反対しまして、開発銀行の総裁は国会の承認が要らないのです。ところがアメリカの例を調べてもらいましたが、復興金融金瞳、アメリカの輸出入銀行、それから前の復興開発銀行、商品金融会社、こういう政府機関を見ましても、皆これは大統領が上院の助言及び同意を得て任命をする、又大統領が上院の勧告と承認に基いて任命する、こういうことになつておるのです。そうしてこれは国会に対する責任を明らかにしなければなりませんし、又大統領が国会に対し、毎月貸付を受けた者、貸付額、利子等を報告する、又国会法規において輸出入銀行などは半期ごとにその業務の完全で詳細な報告を提供しなければならない、こういうふうになつておるのです。ところが今の開発銀行は非常にそこのところがルーズであつて、私は悪く解すれば、復金を開発銀行にこういうふうに変えたのは、計画的に私は自由党のドル箱にするためにこういうふうにルーズに変えたのではないかという疑惑さえ起る。これは私のひがみかも知れませんが、機構を見ますとやはり諸外国のように厳格になつておらないのです。ですからそこに政策的な融資が行われる。伏魔殿ではないかと言われているのです。又疑獄のもつと大きいものは造船疑獄ではなく、開発銀行を中心とする電力疑獄或いは国鉄の疑獄、これが一番根本であるとも言われておるのです。従つてこの際開発銀行の機構、それから融資の仕方、総裁の任命方法、こういうことなどは、私はこの際こういう問題が起りましたのを、禍を転じて福となすという意味で、転ばぬ先の杖という意味で再検討してみる、そういうお考えがあるかどうか、これを大蔵大臣にお伺いしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 開発銀行が自主的に運営されておることは木村さん御承知の通りであります。必要の場合に報告はとつてはおりまするし、又監督上必要があれば業務命令も出し得ることに相成つておりますが、併しまあそれは開発銀行に疑義その他のことが明らかになつたときなんでありまして、ただ御承知のように、あそこの人的構成につきましては、例えば日本銀行、大蔵省その他通産省等、関係の方面からそれぞれ人が入つておりまして、余りいわゆるワンマンでやれない組織に仕組はなつておると思いますが、今のような言葉を耳にせんでもございませんから、とにかく一遍よく……、普通の所ですと、すべての問題をこれは重役側の一つの連帯責任でそれぞれの責任がございますから、重役会にかけて決議をして、そうしてこれを実行するというのが普通であります。併しあそこの恐らく規則はそうなつておりましよう。併しその規則が厳守されておるかどうか、これは私今ここで明言はできませんが、併し今お話のような点につきまして、私ども今直接自分の所で起つておるわけではございませんけれども、その先のほうでああいう問題が起つておりますことは如何にも残念千万に存じまするから、併し開発銀行の機構につきましても、又組織につきましても、何か一つ考えるべき点がないかと至急検討をいたしてみたいと考えております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 開発銀行は非常に大きくなりまして、まあ数千億くらいですね、あれを殖やしておるのですから、これはよほど疑惑の起らないように明確に責任主体も明らかにしなければならないと思います。あと詳しいことは他の機会に、或いは分科会あたりで質問したいと思います。  次に、これは大蔵大臣、経済安定本部長官に主として御質問したいのですが、一兆円予算の性格についてお伺いいたしたいのです。先ずこの一兆円予算の本当の目的はどこにあるか、それについて伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) この予算の企図するところは、最初に申し上げましたごとく、この予算のみでやるのではなくて、この予算が第一着手であると言つておりまするごとくに、金融その他諸般の政策と相待ちまして、日本の物価を或る程度国際水準に近付けて、それで国際収支の均衡を得るように持つて参る、これが根本の狙いであります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 それは結果として出て来るのであつて、本当の目的ではないと思います。それの本当の目的はMSAの受入の準備にあるのであつて、インフレを起さないように如何にMSAを受けて再軍備をするか、こういうところに本当の目的があるんじやないですか。そうして消費インフレと言いますけれども、再軍備は最大の私は消費インフレだと思います。浪費です。そういうほうに金を使うので、そうして国際収支が赤字でインフレになつて来るのです。ですから本当の目的はMSAを受入れるための一兆円予算である、そういうところにあるのではないですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) MSAの受入のためではありません。これは私がこの国会でもあなた方に御答弁申上げた節に、普通に出せばこういうわけで六兆三千億ぐらいになるが、それを一兆六百億くらいまでに予算を限定して、できるだけこれを圧縮したいと言い、又私が九月の渡米前にも日本の予算を一兆円以内に収むべきであるということをたびたび私は言つておる。従いまして私どもはMSAの問題というものは、内容は当時わかつておりません。従つて内容のわかつていないものを受入れるために予算の編成をすることはございませんので、又MSAのために予算は何ら影響を受けておりません。従いましてMSAをあなた方から御覧になるとそういうふうに見える、それはむしろ結果的に御覧になるからそういうふうに見えるかも知れませんが、MSAと本年度の予算の編成とには直接何らの関係に持つておりません。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 それは主観的にはそうお考えになるので、客観的に見てどうしても私はそうなる。池田・ロバートソン会談のあの共同声明にも、インフレを抑えるということがある、あれはアメリカからMSA援助を受けた場合再軍備をしなければなりませんが、そのときにインフレ手段によらないで再軍備をする、そうすれば耐乏ということになるんですが、再軍備の方法としては増税か或いは公債発行か、こういう方法です。併しアメリカとしても日本にインフレが起つてはアメリカの利害からいつても困るのであつて、そこでアメリカは日本にインフレを起さずにどうして日本に再軍備をさせるか、そのための一兆円予算、世界銀行調査団の非公式覚書というものが出されたそうです。これは大蔵大臣お読みになつた。あの中で大蔵大臣がお約束しておるようにインフレを抑制する、あの中では二十八年度の予算が一兆を超えることに対して非常に大きな関心を持つておるということを掲げておるようであります。それであの世界銀行調査団の非公式覚書が影響したであろう、又新木大使が帰つて来て又報告されたやに聞いております。この内容を私は知りませんし、又大蔵大臣も御答弁になるはずがない。一兆円予算にしろなんと言つたなどということは大蔵大臣は言いつこないんです。私はそう思います。それは水掛論になりますから進んで伺いたいんですが、大蔵大臣が一兆円という数字に非常にこだわられておりますが、どうして一兆円という予算に二十九年度に限つてしなければならないかという根拠ですね、その根拠はどこにあるんですか、その点をお伺いしたいんです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はこの前でしたか、前々回申した通り、一兆円という数字に何らこだわつておりません。一兆円という数字にこだわつておるのでないから、静かに日本の過去を顧みて自分たちのやり方はよくない。従つて二十九年度予算というものは、日本ではどうしても一切のインフレを遮断してしまつて、そうして国際収支の均衡を得るように持つて参らなければならん、それには過去の蓄積を使わず、或いは新らしい国価その他を売らずに、且つ新らしいいわゆるこの間のような減税国債、どんな名義であろうとそういつたことを一切しない。又従来多額に見積つておつた租税等の自然増収に一切よらない。いろいろと均衡を図り……均衡というと事実問題は恐らく均衡以上のものであろうと考えます。この考え方は私は一貫しておつて、ここにさつきおられた堀木さんはよく質問されるのですが、私は二十九年度予算をよく御覧下さい、二十九年度予算では私は実行するということをここでたびたび申上げておる。従つて、繰返して申上げまするが、アメリカの言に少しも左右されておりません。私もドツジ氏にも数回会いましたが、ドツジ氏は日本の予算に対してかれこれ申すいとまがないと言つておりますので、そういうことに左右されてはおりません。又新木大使もこれらのことをどう言われておるか知りませんが、知らないので、これらのことは私は問題にしておらない、私が易くから申上げておることで、この国公にもたびたび申上げておる。但し何か物ではつきり現わすのがよいから、それで一兆円予算とこういうことにしてみましたので、何も零々ということにこだわつて一兆円予算ということを育つておるのではありません。併しこれが一番わかりよくて、これが一番国民にアツピールするのによい。国民の協力なくして今度の緊縮予算はやれるものではないから、それで今度は実は国会における演説の調子まで全部変えて、国民にアツピールするような調子に変えてしまつた。若し又あなたのようにおわかりになるかただつたならば、別に一兆円という数字にこだわつて言う必要はありません。併し事柄を一々説明しなければわからんよりも、一兆円、成るほど緊縮予算か、こういうことでこれが一番わかりがよかろう、こういうのにとどまつております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 その心理的効果を狙われるということは必ずしも悪いとは言いません。そういう必要のある場合もあると思うのです。併しこのMSAを受入れて町軍備して行くというこの段階は重大な段階です。日本の経済が危機に陥ろうとしておる、インフレが悪化すればぶつ壊れるかも知れないと言われておる。従つてそういうアツピールということも必要だが、予算というものはそのためにのみこだわつて重点を置いて組むものではないと思う。そのためにはやはり二十九年度の経済の検討が必要である、その裏付の作業が必要であつて、生産がどれくらいになる、或いは国民所得がどうなる、貿易がどうなる、そういうことと、見通し作業と、それから又これに対してどうするか、そういう政策もあるのです。そういうものが加わつて一兆円予算というものが出て来るのであつて、わかりがよいから、これも不必要とは言いませんが、大蔵大臣のお気持はわかる。お気持はわかりますよ。併し私はそうすべきものではないと思う。それで形式にとらわれて……、実質一兆ならそれでよろしいのです、何も批判いたしません。併し実質は一兆円ではないので、なぜ形式を一兆にするためにこれまでに申上げたような財政法に違反したようなことをたくさんやられておるのか。この前大蔵大臣並びに主計局長からいろいろ御答弁がありましたが、私が財政法違反として指摘した点について私はこう考えます。例えば入場税につきましては、これは昭和十九年度でございましたか、あのときにはこれは一応国庫に入れて出しております。十九年はそうで、一応地租、家屋税、営業税、これは一応国庫に入れて出しておる。これは交付金特別会計を設けることには反対いたしませんが、その歳入はいわゆる、酒税などと同様に一般会計に収納された中から特別会計に繰入れて措置すべきだと思うのです。財政法の十三条二項の「その他特定の歳入を以て特定の支出に充て一般の歳入歳出を区分して経理する必要がある場合」に該当すると解釈していると思う。いわゆるこれは特別会計をこういうような形でどんどん作つて行つてはいけないと思う。入場税は国税として一般の歳入であつて十三条のああいう「特定の歳入」ではありません。これは……。従つて例えば道路特別会計なんというものと違うのです。あれは一つの目的税的なものでありますすら、それで税については目的税は否定しておられるのです。従つてこの目的税と解することはできない。そうすればどうしてもこれは先ず一般会計に入れてそれから出すのが当り前です。それから租税払戻金については、これは財政法第十四条、「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」、この総計予算主義の原則をこれは破るものだと思う。どうも純計主義をだんだんとるようになつて来ます。併し問題にもよるのでありますが、これでは経費が不明確になつて来ます。租税の払戻を簡便化する、この便宜論で、そうして法規の改正までを行おうとすることは、これは私は大蔵当局の財政法に対する根本認識を疑わしむるところの非常識さであると私は思います。それでこれに対して衆議院の予算委員会における答弁によりますれば、例えば宝くじの例を引いたりいろいろしておりますが、これは違います。そういうものと違うのです。租税の払戻金は、これは数年度に亘るものであつて、そうして宝くじのように一年限りのものと違うのであります。性質上どうしてもこれは歳入として措置してそれから払戻すのが本当です。これは私は財政法第十四条の精神を蹟翻するものだと思う。それから国有林野特別会計、これは本来は企業会計で独立採算を要請されておるのですが、私はこれは一応一般会計に入れておる。やはり実はこれは一般会計で処理するのが私はその目的を実際は達するのではないかと、こう思うのです。それでこれを入れると一兆を超えるといかんというので、これは国有林野特別会計のほうもこれを一般会計に入れないで措置することになつたと思う。それから郵便貯金特別会計に対する利子補給を一般会計から行わないで資金運用部特別会計より行う。これは二つの特別会計を分離した趣旨がこれでは失われてしまいます。何のために分離するか、やはりこれは一般会計に繰入れてから出すのがこれは当然だと思う。  それから連合国財産補償費、これを事故繰越として大蔵大臣は財政法四十二条に特例を設けて処理するのだからごまかしではない、ちやんと堂々と法律を出してやるのだからごまかしではない、こう言われるが、併しながら一体これは事故繰越でありましようか。これはもうわかつている。事故繰越の例はそういうものではないわけです。事故ではないので、連合国財産補償費は昨年十月もう締切つて大体その金額はわかつているはずなんです。連合国財産補償費も大体九次までの連合国合同委員会で道路等の申請があつて、要求があつて、大体済んで、これから又新らしく向うが第十回目に申込んで来るということになるのです。従つてこれは事故ではありません。事故繰越をするなんて、これは私は非常識極まる。要するに大蔵大臣の意図するところは、これは一兆円予算というものにこだわつて、何とかして一兆に追込むためにこういう私は小細工をやつたと思う。そのほかの保安庁費につきましても、これは問題がありまして、百二十四億ですか、二十八年度の契約、庫債務負担行為でやつて、それを三十九年度の予算に繰込むことになつておりますが、あれも二十八年度に契約ができるかどうかわからない。そういうのを又二十九年度の予算に繰込んでおりますが、こういうのも私は国庫債務負担行為が行われないのに、それを前提として二十九年度にこの保安庁費を繰込むのも、これも私は財政法の精神に違反していると、そういうふうに思うわけです。  それから又修正予算について財政法との関係ですね、これは大蔵大臣は、予備費ですね、予備費につきましては、これはこの憲法の規定によつて御承知のように、この不足の支出に備えるために予備費というものは設けてあるわけですね。憲法の規定に基いてあの規定を受けてやるわけです。憲法八十七条「予見し難い予算の下足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、」、こういうようになつているわけです。そして財政法三十四条においてこれを規定しておりまして、そうして又財政法三十五条において、「各省各庁の長は、予備費の使用を必要と認めるときは、理由、金額及び積算の基礎を明らかにした調書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。」と、こういうふうにありまして、そうして国会開会中は予備費を扱つてはいけない。補正を組むべきである。そういうことにこれはなつていると思うのです。予備費の使用は国会開会中はこれを行わないというのが原則であります。ところが今度の修正を見ますと、あれは突貫的には二十九年度が始まつておりませんから、会計年産に入つてから予備費を使うのとは違いますけれども、実質的には政府が百三十億として組んだ予備費をああいう積算の基礎も明らかでないほうにこれを使う。不足の経費ではないわけなんです。そういうものに使うということはこの予備費の規定を蹂躙したものです。これは確かに私は予備費からこれは財源措置をすべきじやなかつたと用うのです。予備費に対する考えが全然私は認識を欠いていると思うのです。又これを政府がなぜ頑張らんか。政府がこれを呑んだということは、これはやはり私は財政法に違反していると思うのです。この精神に……。この規定というよりも精神ですよ。予備費というものは政府は百三十億を設けた。なぜあれは譲つたのですか。そういうこの財政法に対する認識が実にルーズになつている。一兆円というものに、これも修正予算もそうだ、一兆円予算にこだわつたから予備費から充てることになつている。これは大蔵大臣は、自分は一兆円にとらわれん、とらわれんと言つておりますけれども、如何にとらわれているか。一兆円予算にするために形式を整えるために如何に財政法に違反しているか、蹂躙しているかということはこれで明らかではないかと思うのです。この点について大蔵大臣の御答弁を願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 如何にして一兆円からはみ出しているかということを特に指摘せんためにいろいろ言われたようでありますが、私どもは一兆円にとらわれているのじやないのでありまして、考え方が違う。木村さんの考え方はそれでよろしい。私どもの考え方は違うのです。入場税につきましても、これは昭和十五年のときも十八年のときもこれは特別会計にちやんと入つているし、今度の入場税のごときはその九割を地方税で持つておる。これは地方税的性格のものだから特別会計を作つてやつておけばはつきりするのです。そんなものを殊更に一般会計に受入れる必要は毛頭ないというのが私どもの考え方で、この前申し上げた通りです。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 目的税じやないか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 目的税とは何も考えていない。今まで現に地方税であり、今後も地方税的性質を持つたものだからよろしい、そういうものでありまして、これは考え方が違う。その次の問題、国税ですか、払戻し、これは国税払戻金のごときは戻す金を一々収入に立てる必要もないのみならず、だんだんといわゆる青色申告その他が普及して来まして、戻すものが殖えておるために、それを金額を規定しておくというと却つてこれを納税者に戻さない、金がないために戻せないということが起つて迷惑を納税者にかける。むしろ国民の便宜のためにこういう基金を置いて、そこから払戻すことにしておけば何でもないから、法律上の手続をとつてそういうふうにすると、実にごまかしだ、尤も最後にはごまかしでもないと言われたが、それは法律上はつきりしておくのであつて、少しもごまかそうという精神はありません。その他細かいことはあとから主計局長が御説明するでありましようが、それは今の予備金についてもそうです。まだ予算ができていないから予備費じやないんですね。予備費でも何でもないので、一応紙の面で予備費と刷つておるが、そのうちから繰合せるものでも何でもないのですから、予備金になればお話の通りでありましよう。それはその通りであつて、現に私どもは予備金の取扱いについてはすべて国会の御承認を得ておるし、皆ことごとく細かい説明を付けて出しておることは、現に幾多の予備費の使用について御同意を得ているんですから、よくおわかり願えると思います。ただこの間木村さんでしたかにちよつと申上げたが、予備費を幾らにしなければならないかという規定はないので、そこで百三十億がいいか、八十億がいいかということになると、これは考え方によるのでありまして、これは実情を私は率直に申上げておるのです。これは実は今の三党の修正ですが、物件費、施設費等から出せということだが、三千数百件にも及ぶ目を、これを直すことは現実の問題として実際やれないのです。そこで予備費としてやつておいて、けれども予備費という項目の中にそういうふうにしておいたが、法律上は今申上げました通り何にも金額の制限があるわけでないから、これは法律的には何ら差支えないと考えておる。百三十億と八十億、百三十億ならいいが八十億ならいかんという理窟はどこにもない、こういう意味は、これは少し強弁であつたかも知れませんが、申上げておいた次第であります。そういうふうで私自身も何もものにこだわつてはおりませんし、私は御承知のごとく余り小手先のきく人間でもない、小手先でものをやろうと思つてはおりません。又こういうふうな予算をやるのに小手先でものをやれるものではありませんけれども、一番わかりやすくて而も筋が通つて改善が行われる、而も一兆で収まるならそれに越したことはないということを申上げた次第でありますので、少し考えの点が私どもと違う、元が違うのだから、これはどうも止むを得ません。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 もう時間がございませんので簡単に質問の項目を申上げまして御答弁願いたいと思うのです。どうせ一年たては、経済の実態が動いておるのですから明らかになつて来ると思うのです。大蔵大臣が言われたことが本当なのか、私の質問したことが本当なのかわかつて来ると思うのです。そこでこの一兆円の裏付として作業されました「昭和二十九年度主要経済指標見透し」というのを我々に配付されております。私はこれも一兆円予算に合わせるために無理に作業が行われておるように思うのです。そこで質問の要点だけ申上げますが、これは愛知経審長官から御答弁願いたいと思うのです。国民所得を五兆九千八百億とした根拠、どうもこれは最初の作業では六兆を超えるんじやないか、六兆を超えると税収入が多くなつて一兆円予算では歳入超過予算になる、それでは困る、この歳入の超過に対して又各党が財源要求をして補正を組むようになるのじやないかというので、財源を隠すために特にこの六兆以内で国民所得を計算する作業をやろうとしたではないか、作業のほうが先であつて、いろいろなそれからそういう命題が与えられて、それで特に五兆九千八百億とした。又生産指数につきましても、二十九年度一五二、平均だと思いますが、平均ここに持つて行くには下期において相当生産を減らさなければならないと思う。混乱が来ると思う。十二月の生産指数は一六六ぐらい。一月は多少落ちていたようですけれども。それで愛知通産大臣は前に答弁しておりましたのは、二十九年度は上期が横溝いで下期が下つて行く、こういう御答弁。そうすると下期は相当激烈なものだということと、それから下期に生産が減るとおつしやつている。生産が減つて物価が下ると言つておるんです。生産が減つて物価が下る理由はどういうことですか。経済学上私はわからない。物価というものは物の需給関係によるものであつて、通貨の関係もありますが、需給関係で、生産が殖えれば、供給が殖えれば物価が下るんです。下期になつて生産が減るんです。而も一五二にするため急激に減らなければならん。ところが下期になつて物価が下るというんです。生産が減つて、これは供給でもいいが、供給が減つて物価が下るというのはわからない。これも非常に無理な作業になつていると思う。それから貿易についても、あとで十三億七千五百万ドルを手堅く十三億ドルに押えるというように変つて来ましたが、これも私は本当に下から積算して積上げて作業したものじやなく、期待量、期待量と言つておりますけれども、それで私は済むものではないと思うのです。これはペーパー・プランで一兆円というものに如何にして平伏を合わせるかということによつてできているんです。経済実態は多少違うのではないか、相当違うんではないかという点が残つておる質問の第一点です。それから第二は、物価が下る下ると言つておりますけれども、私は物価は下らんと思う。非常に大胆な言方ですが下りません。それは……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 木村君時間が過ぎておりますから、成るべく簡単に……。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 物価は下らない。インフレ要因とデフレ要因と両方あります。インフレ要因とデフレ要因を比較しなければなりませんが、私は物価の下らない理由として、根本的には三十九年度の財政は不生産的支出が多くなつて来ているんです。二十八年度よりは防衛費が殖え、旧軍人恩給費が殖え、不生産的支出の比率が多くなつていることが基本的にインフレ要因です。機構的には独禁法を緩和して不況カルテルができるようになつておる、そういう機構。外貨割当を削減する、或いは二重価格制度、こういうことはこれはインフレ要因です。デフレ要因として金融を引締めるということになつているんです。私は物が足りなくなつて物価が上る場合に、ただ金融だけ締めたつて物価は下るものじやないと思うのです。通貨が余計に出て物価が上つておるインフレのときには、これは通貨を締めれば物価は安定させることができます。併し物の需給関係から来ているときは、物の需給関係それ自体を直さなければ私は物価は下らんと思う。これは一年続いてみればわかります。今後の事態が証明するんですが、やはりインフレ要因とデフレ要因と両方比較検討してみて、これはどつちのウエイトが大きいかということを検討しなければならない。それを物価が下るんだ、下るんだ、インフレ要因を指摘するとそれはすぐ間違いであるように大蔵大臣なんか言われますが、これは両方の要因があるんです。それを検討しなければならんのですが、この点はどうお考えですか。私は物価が下らないと思いますが、どうか。物価が下らないと、この予算の前提が狂つてしまう、重大な問題です。  それから最後に、この予算は裏付けとして国民生活、国民耐乏を要求しております。耐乏を要請しておりますが、国民に耐乏の余地があるかどうか。その理論的根拠ですね、或いは実際的根拠を伺いたい。消費インフレと言つておりますが、この消費インフレ論は誤まりです。統計上においも誤まりです。消費水準を以て生活水準に置き替えて、そして消費水準が上つたことを生活水準が上つたように見せかけることは誤まりです。統計上においても誤まりがあります。特に住宅について予算説明書を見ましても、はつきりと住宅は減つております。住宅建設は減つておる。前に向井大蔵大臣のとき何と言いましたか。これまで衣と食はどうやら足りることになつたから、今後の政策の重点は住宅政策であるということをあんなに強く言つているじやありませんか、それにもかかわらず住宅は減つておるのです。而も五万戸程度の建設は自然消粍ですよ。毎年火事とか、腐朽によつて五万戸ぐらいは自然に消えてなくなる。それくらい造つたのでは、百十万ぐらいずつ人口が殖えている、この増加人口に対する住宅対策にはなりません。住宅対策が最も貧困である。最も重要性を痛感されているでしよう、前に向井さんは、あんなに強く言われた。愛知さんはよく御存じです。住宅問題は自由党の政策であるところがこれを犠牲にしておる。こういう点は非常に矛盾しておりますが、どういうふうに理解されているか、時間がございませんからその程度にとどめておきます。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 大変広汎に亙つての御質問でございますが、成るべく簡結に私の考え方を申上げたいと思います。  先ず第一の国民所得の推算の基礎というお話でございますが、これは第二、第三にお挙げになりました御質疑の点を全部カバーして申上げなければお答えにならないと思いますので、その点から申上げたいと思いますが、先般来縷々申上げておりまするように、一兆円予算の考え方というものは、特に今日も大蔵大臣が指摘された通りでありますが、我々としては二十九年度の日本経済の総合的な見通しというものを先ず作つて、そうして大蔵大臣の言われたように、一兆円予算というものはその先頭を切るものであるが全体の総合政策の一環である、こういう観念で見通しを作つたわけでございます。然らばその見通しはどういうことであるかと申しますと、先ず第だ、これは理論としていろいろの御批判はあろうかと思いますが、私どもの考え方を申上げますならば、例えば国内の全体の需要ということを物について考えた場合に、先ずその有効需要が膨れておる点を切るためには、財政と金融で以て有効需要を切らなければいけないという考え方から、一兆円予算も勿論でありまするし、特に財政投融資を五百八十四億切りまして、この面からだけでも二十八年度に比べますれば一〇%以上の有効需要が減るということになる。その需要が減るということは先ほど御指摘がありましたが、物価の問題にしても需要と供給の面からこれは考えなければならない。この点は御指摘の通りでございます。併し生産或いは供給というほうから言えば、年度を通じれば二十八年度に比較して一五二の規模を大体維持するという考え方でありますから、生産即ち供給は減らない、大体同じ程度でありますが、それに対して需要のほうの根本を引締めて参りますから、その需要供給の点から言つて、特に生産財については私は理論的に申上げましても物価が下るというふうに考えておるわけでございます。それから例えば農産物、水産物、林産物その他について申しますれば、御承知のように二十八年度は不況でありまして、その不況であるということに比して三十九年度が仮に平年作であるとすれば、大体申上げまして一割三分ぐらいの供給が増になる。勿論人口が一・三%ぐらい殖えるでありましようが、概して申しますならば、その場合は供給が殖えて需要のほうは大体コンスタントに近いとうことであれば、農産物その他の消費物資のほうはやはり需給の関係から見て下がる傾向なることは私は当然だと思います。そこに更に財政上、金融上の措置その他がからみ合わされて参りすから、私は具体的に申上げまして、今年の三月と明年の三月という一つの時点と時点と比較すれば、ものによりますれば生産材のごときは一〇%程度の下落になる。年間を通じて見れば消費物資については四彩前後、それから生産材については六、七%程度の全体としての下落の傾向が起ると、こういうふうに見ております。御承知のように、実際上の実証的の経過を見てみましても、一月、二月の初めは物価が全体として上る傾向にありましたが、これは三十八年度の予算なり、或い米価の値上その他の既定の政策によるところの一つの結果でありまして、これから四月から以降の本予算案の執行の時期に入れば、或いはその前にすでに二月の下旬からはやや物価が下降の傾向を現わしておるというようなことからも、私はこれはまあ結局来年三月を見ましてからの論争はどちらに軍配が上るかということになりますが、政府の考え方は今申しました通りでございます。  それからその次に、やはり物とか、耐乏とか、国際収支の関係においても関連がございまするので、消費水準のことを申上げたいと思います。で、これは経済審議庁の経済白書の上にも犬ような一節があると思いますが、消費水準と生活水準が違うのだということは、我々もこれは積極的に認めて言うておるくらいでございまして申すまでもなく、生活水準においては内容とかるところの住宅なり、或いは衣服なり、そういうふうなものを考え併せませんければ、単純に生活水準と同じように消費水準を論ずることはできないと思います。併し全体として消費水準が上るということはやはりこれは生活水準の上昇を伴うものである。傾向としてそういうことが言えることは私は同時に正しいと思います。  さて、そういうことを前提にいたしまして私どもの試算いたしましたところによりますると、今の鉱工業生産の規模を一五二とする、それから国際収支の計画は、本日午前中に申上げたような計画でやりまする場合におきまして、大体都市勤労者について申上げますると、賃金の上昇が三%、それからCPIの下落が三・五%、合計六・五%の消費水準のプラス要因が予想されると思います。それに対しまして、雇用の減が一考、人口の増が一・三%、合計三・三%のこれはマイナスの要因が考えられると思います。そうして御指摘の通り、このほかに軍人恩給や社会保障関係などの増額とか、勤労所得税の減税だとか、物価の先安の見込による貯蓄性向の増大とかというようなプラスとマイナスの両方の面を勿論ここで勘定に入れなければならない。この点は先ほどの御指摘の通りでありますが、これを総合して考えますると、消費水準の伸びとしては二十八年度に比べて四乃至五%にとどまるものと考えておるわけでございます。  それから農村のほうはどうかと考えますると、平年作であれば生産は増加いたしますが、他面その価格は下落する要因が相当あると思います。農家の手取りの増加は必ずしも従つて増産ほど多くはないと見られると思います。そのほかやはり公共事業費や救農予算というようなものが削減されますから、これはマイナスの要因になる。それから鉱工業における雇用が停滞したそのしわ寄せが農村に対する人口増加の圧力になつて参ります。これらをプラス、マイナス両方の面から総合した見通しは、農村の消費水準の上昇は二乃至三%にとどまる、こういうふうに見ておるわけでございます。  これを要するに都市、農村を平均いたしまして、二十九年度の消費水準の上昇は二十八年度に比べまして三彩前後ではなかろうか。かように推算しておるのでありまして、これを総合いたしまして国民所得の計算を出しておりますような次第でございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私はこれで質問を終ります。最後にただ言いますが、今御答弁願つたことについては、時間がありませんので、私は相互に非常に矛盾があるのですが、それを指摘する時間がないので非常に遺憾です。ですから今のは時間がないので答弁されつ放しですがそれについては私はまあ又の機会を見て間違つた点を指摘したいと思います。要するに、これまで伺つたことによつてこの予算は非常に無理がある。一兆予算に非常にとらわれて無理がある。そうして余り自主性というものがどうもないように思います。どうも延びましたが、これで終ります。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。明日午前十時より開会いたします。    午後五時二十六分散会

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