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19回国会参議院1954/03/11

予算委員会 第10号

発言数
174
登壇者
18
会派数
6
開催日
1954/03/11

会議録

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。  吉田君の質問順位でございますが、都合により変更いたしまして井野君の質問に入ります。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 私は第一に憲法改正に関する問題についてお伺いしたいのでありますが、私も暫らく国会を離れておりましたので、国防問題とこれに関連する憲法改正の問題についてしばしば国会でいろいろの論議がされておりました点につきまして、十分承知をいたしておらない点もございますので、或いは重複してお尋ねをいたし、又蛇足を加えることがあるかも知れませんが、その点はあらかじめお許しを頂きたいのであります。  私が総理に対してお尋ねいたします前に、憲法の解釈につきまして法制局長官に一言お尋ねをいたしておきたいのでありますが、憲法改正の発議権の問題でございますが、憲法改正の発議権は憲法九十六条によりますと、国会がこれを持つておるように私どもは実は解釈しておつたのであります。ところが伺いますと、政府のほうで先年解釈を変えられたと申しますか、或いはきめられたと申しますか、政府にも発議の権限がある、こういうふうに解釈されておるようでございますが、その法的根拠を実はお伺いしたいのであります。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) お尋ねの問題につきましては、憲法の第九十六条の書き方が憲法の改正については「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、」というような表現があるわけでございます。従いまして一応の外見から申しますと、いかにも原案そのものが国会において立案され、すべて国会内の手続においてなされなければならないというように私みえると思います。併しながらこの条文をよく読んでみますと、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならないということを言つておるわけでございまして、従いましてこの場合の憲法の改正ということの制定者は当然国民である。その国民の審議のために誰が出すかというと、国民が審議するための議案を国会が発議して、そうしてその承認を求めるという段階のことをここで言つておりますことは、この前のところで総議員の三分の二以上の賛成で発議しということからもよくわかるのでありまして、要するに三分の二以上の多数で国会が御可決になつた案を国民に向つて発案して、制定者である国民がそれに対して賛否の投票をするというところを押えているというのでございますからしてその手前の国会が今度は御審議になるそのたねを国会から議員発議でお出しになるか、或いは政府から出すかということは、実はこの条文では触れておらないというふうに見えるのであります。従いましてその問題になりますと、法律案そのものについて政府から提案ができるかどうかという問題と同じことでありまして、私どもとしては法律案について政府の提案権があると考えておりますから、それと同じように憲法で何ら禁止の消極的の意味の条文がないわけでありますから、憲法の改正案についても、その国会の御審議のためのたねは政府からも出し得るというふうに考えておるわけでございます。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 憲法九十六条の条文を読みますと、どうも法制局長官が言われるようなふうに私は読めないのでありまして、併し政府が一応そういうふうに御解釈になつておるというのでありますから、今ここで憲法論を私は続けて参りたいとは考えておらないのであります。実は私しばしばこの国会で、総理に対しまして憲法を改正する意思があるかどうかということを議員諸君が聞いておられますが、政府の憲法改正の発議権というものはないのではないか、むしろ国会にあるのじやないかと考えておりましたから、その点は少しおかしいと考えておりましたが、今法制局長官の御答弁のようなことでありますと、政府にも発議する権限があるということでありますれば、やはり総理の御意思を伺うことも一つの手段であると考えられるのであります。併し私は今総理に対して、現在の憲法を政正するかどうかという個人なり或いは内閣を代表しての御信念を伺うことはもう必要がないのじやないか。憲法改正が今ここで一年以内に行われると私ども考えておりません。又総理御自身ももうそう長く内閣をやつて行かれるというようにお考えにもなつておられないと思うのであります。恐らく総理としても適当な時期にはきれいにお引きになりたいという実はお気持を持つておられるのじやないか。私は総理がこの五年間非常に国政のためによくやつて頂いて、そうしてともかくアメリカのいろいろの要求に対しても、保安隊なりその他の問題について国の財政に応じて極力御自身の御主張を通して頂いた御努力に対しては実は敬意を表しておるのであります。ですからきずがつかないうちに実は総理をきれいに御辞退させてあげたいという自分の希望を持つておるのでありますから、こういう意見が出て来るのかも知れません。ともかくもう或いは外遊でもされたら御辞退になるのじやなかろうかというふうに思つておりますから、その総理に対して憲法を改正される意思があるかどうかということをお聞きすることは適当でないと思うのであります。併し現在の国の内外の情勢から考えてみまして、政府がすでにもう憲法を改正しなければならん時期が近ずいておるという判断をお持ちになつておるかどうか、この点はやはりお聞きしましておかなければならんと思うのであります。と申しますのは、もうすでに革新陣営におきましては憲法を改正してはいかんというので国民運動まで起していろいろの手段を講じておるのであります。併し政府として外国からのいろいろの強要のためにやむを得ず憲法を改正するように追込まれるよりは、むしろ総理が常に言われておられますように、自衛隊を持つならば自分の独立国家としての立場から自衛隊を持たなければならないので、外国の要請によつて、いろいろの方針を変えてはいかんというふうに常に言つておられますように、もうすでに日本としては独立国家になつたのでありますから、いずれもの国家が持つておりますように自衛のための或る程度の軍備というものは持たなければならんと思うのであります。そういう時期になつて参つておりまするし、又一面保安隊を自衛隊と変え、又MSAの援助も受入れられる協定もできたのでありますから、この機会においてその判断において政府は憲法改正の時期に近ずいておるんだ、こういうふうにお考えになつておられるんじやないか。そのお考えをはつきりやはり国民にお示しになつたほうがいいのではなかろうか、今までの私は総理の行き方は非常によかつたと思うのであります。そうむやみに憲法を改正するとおつしやつちやこれは国民も非常に今の状態においての指導上は間違つておると思いますが、今までの行き方はいいと思いますが、今は総理として改正されるかどうかの意思を私は問うておるのではないのです。国際情勢の判断からそういう時期が近ずいておるか。こういうことを伺つておるので、この点はもうそういう国の情勢がそうなつて来ておるんだ、こういうふうにお考え願えますかどうでありますか、その点をお伺いしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えいたしますが、憲法は改正をしてはいけないというのも極端であるでありましようし、又今の憲法のままで行くべきであるとか、或いは行くべきでないというのも少し極端に過ぎるのではないかと私は思います。要するに国の基本法である憲法も時の内外の情勢に応じて変更して行くことは当然であり、又すべきものであろうと思いますが、併しながら軽々しく憲法を改正するということももとよりよろしくない。然らば今その時期が内外の情勢から近ずきつつあるかと申せば、急激に改正しなければならんことはない。又今の憲法を変えては相成らんということも極端に過ぎるのではないか。例えばよく申すことでありますが、イギリスのごときは柔軟憲法であつて、時々刻々変りつつあると申しておりますが、憲法に余り硬直性と申しますか極端に固執をするということも国の進展に伴わないのでありまして、日本の国或いはどこの国でも国家の生活は自然人と同じように時々刻々発達もすれば或いは退歩するかも知れませんが、いずれにしても国の法律の制度はその時の情勢に従つてこれに適応する適当な憲法を持ち、法律を持つべきでありますから、万世不易というのもおかしいのでありますが、併しながらむやみに改正するということもよくないと私は考えておるのであります。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 総理が曾つて憲法は改正すべきでないと言われたことからみますると、憲法も必要があれば改正すべきであるという御意見に多少進められたように私ども了解されるのであります。ただ、今の憲法というものがアメリカの占領下において作られたということについては、独立国家としての日本としてもう一度再検討しなければならん時期に来ておると思うのであります。総理はこの憲法は国民の世論から起つて来て、そうして世論が熟すれば改正すべきであるということをしばしば言われております。私どもも勿論主権が国民にあります以上そうなければならんと思うのでありますが、併し国民にそういう世論を起すということは、やはり或る程度政府としても或いは政党としても識者の方面において指導もしなければならんと思うのであります。私はなぜこういう憲法の改正時期が近ずいて来ていると判断するかと申しますと、ともかく日本としては自衛のための軍隊は持たなければならん建前である。独立国家である以上はほかの国が持つているようにやはり持たなければならん建前である。ただ国力に応じてこれを持つべきでありますけれどもともかく持たなければならんものである。この大前提は動かせないと思うのであります。でありますから、財政が許せばこれをだんだんとふやして行くということは当然だろうと思います。併し国民が憲法は改正しないんだ、もう軍は日本としては絶対持たないんだ、こういう気持になつてしまいますと、いつまでたつてもこの大前提に立つところの日本の独立の立場というものが維持されなくなると思うのであります。でありますからやはり政府としてもこの大前提の下に国民を指導して行く立場から、或る程度あらかじめの準備をして行く必要があるのではなかろうか。現在の保安隊を自衛隊に変更されましてもおのずから現在のままでは限度があるのではなかろうか。この点は保安庁長官にお伺いしたいのでありますが、今の志願制度でどれだけの数まで進んで行けるか。要するに志願制度にも限度があるのではなかろうか。アメリカが要求しているように三十二万とか三十五万とかいうまで行かなくとも、それまでにすでに志願制度に限度が来るんではないか。私は保安庁の有力な人々のお話を伺つておりますと、現在でももう志願制度は相当に素質が落ちて来ている、従来よりも。これ以上志願制度を続けて行くとなかなか優秀なる軍隊を持ちにくいということを聞かされておるのであります。でありますから或いは二十万が限度であるとか、十九万が限度であるということははつきりと仰せになれませんでしよう。併し或る限度はあるんだ、そして若しもアメリカが要求しておれば志願制度だけではいけない、或いは徴兵制度に持つて行かなければならん時期が来るかも知れんとこう我々考えるのであります。これがまあ憲法改正の大きな問題になるので、徴兵制度になれば私は当然憲法は改正しなければならんと思うのでありますが、そこが非常にむずかしいので、今までのようにいろいろの憲法上の解釈についても言葉を濁しておられるんではなかろうか。でありますから志願制度に限度がありますかないか、その点をお伺いしたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。まさにその通りであります。志願制度には人員の点において限度があります。私の調査したところによると正確には申上ぐることはできませんが、先ず今の状態においては二十万或いは二十二三万までが限度と考えております。それ以上につきましてはお説の通り徴兵制度を布かなければならんと思つております。併しここで一言申上げたいのは、然らば徴兵制度を布かなければならんかということでありますが、今の憲法下において志願制度を以て優秀なる隊員は私は得られると考えておるのであります。それと昨日も申上げましたように部隊の組織は隊員ばかりではいけない。いわゆる兵器の進歩というものが非常に近頃発達して来て参つております。我々といたしましてはその部隊の人数をカバーするためにはどうしても科学の力を待たなければならん。科学を振興して我々は各国に劣らないだけの装備をいたすことに心を使わなくてはならん、こう考えておる次第であります。お説の通り志願制度においては人員に或る限度があるということは明らかにその通りであります。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 志願制度に限度がある。それがまあ二十万か二十一万かわかりませんが、ともかくアメリカの要請する三十二万とか三十五万という数から遙か下廻つた二十万ですら志願制度ではいかん。こういうことからMSA援助を受けるについても自衛力増強の問題がそう簡単に行かないと私は思うのであります。総理はしばしば長期国防計画については現在予算の関係から立ちにくいというお話がありましたが、昨年吉田重光会談でもこの点は長期国防計画を立てるということを声明しておられますし、又昨年の議会におきましても本年度の国防計画を立てるには長期国防計画を伴うということも仰せになつておられるのでありますが、今日ではそれがまだできない。こういうお言葉であるのでありますが、この点は今私が申した志願制度に限度があるからこの長期国防計画はなかなか立ちにくい。五年の計画を立てるにも五年後二十万にするというには憲法を改正しなければならん、こういうことになつて来るのでありますからその意味において長期国防計画は立ちにくいというお考えでありますか。それとも国の力が今長期国防計画を立てるにはまるでわからない。来年の財政はどうなるかわからん。だから一年先のことはわからんから長期国防計画は立てないんだ、こういうお考えでありましようか。いずれでございましようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) この点について私から申上げるほうが適切かと考えておりますからお答えいたしたいと思います。それでいわゆる長期国防計画と申しまするのは、一国の財政力は勿論のこと、或いは兵器生産能力或いは輸送能力その他各般の点から総合いたしまして立つべきものである。そこでさようないわゆる長期国防計画なんというものはなかなか容易に立たん。これは私は衆議院の予算総会でも申上げました。そこで総理の言われまするのはこの憲法下におけるいわゆる漸増計画で、長期国防計画とは私はよほど性質の異なつたものだと思つております。今の状態においてどれだけぐらいの数を漸増をして行けるか。或いは二十九年度はどれだけ、三十年度はどれだけというめどを立てて一応の計画を立てるということであります。それすら現に我々はやつておるのでありますが、各方面の資料をなにしましてなかなか容易でありません。近く立てたいとは思つております。併しこれは容易でないということを御承知おき願いたい。いわんやいわゆる長期国防計画というようなものは私は今の段階においてむしろ立ち得ないのだというほうが至当であろうと思う。と申しますのは今も申上げました通り兵器の進歩というものは甚だしいのであります。御承知の通り現在ではもう原子爆弾が進んでいわゆるガイデツト・ウエポン、電波兵器の発達が非常で、すでにもうイギリスにおいては或る段階まで来ておるのであります。アメリカにおいてもそのあとを追つて相当やつておるようであります。そういうことを考えてみますると、旧来の方式の計画というものはなかなか容易に立たん。昨日どなたか言われましたように、アメリカではいわゆるニュールック戦略、これは御承知の通りアイゼンハワーが発表いたしております。これから見ましてもなかなか長期の国防計画というものは実際問題として立ち得ない。私はこう考える。総理の言われたのはそういう長期の国防計画にあらずして、いわゆる漸増計画と私は考えておるのであります。それにつきましては我々一応のめどを立てたい、こう考えております。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 私も長期国防計画と申しても十年二十年先のことは申しているのではございません。少くとも五年くらいの計画はお立ちになり得るのじやなかろうか。すでに木村長官も先般九州で御発表になりまして大分問題を起されたようでありますが、ああいうお考え方がやはり立ち得るのじやなかろうか。そうしてそれは先ほど私が御質問申上げましたように志願制度のもとのいわゆる五カ年計画でありますか、もつと或いは憲法を改正してまでも徴兵制度に持つて行つてまでもの数を目標にしての計画にならざるを得ないかどうか。その点をお伺いしておきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 只今我々の研究中のものは、要するに現憲法下においてどうあるべきかということであります。無論志願制度を基にしての計画であります。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 そうしますと、アメリカがだんだんと日本から軍隊を撤退して行つて、日本がこれを補つて行くという希望にはよほど遠くなる。従つてMSA援助等その他援助を受ける点においていろいろ弊害があるかも知れませんが、併し私も日本がやはり自分の軍隊を持つ以上、そうアメリカの一一の指示によつてその数をふやしたり減らしたりすることは自主性がないと考えますから、そのお気持は私はそれで結構だと思うのであります。併しやはり日本も国際間において独立国家として立つて行くには日本だけではやはり現在では立ち得ないのでありますから、アメリカと手を握るかどつかと手を握つて、そこの軍隊の力を借りて行かなければ、なかなか日本国自体を自分の軍隊の力だけでは守れないと思うのであります。でありますからその意味において相当にやはり相手方の希望もいれてやらなくてはならんじやないか、こういうふうに考えます。そこに一般国民が不安に思う点はアメリカは三十二万と言つておるから相当の数がふえて行くのではなかろうか、そこでどうしても自衛軍というものは二十万人を超して来るのではなかろうか、こういうふうに考えられるのであります。併しその点は今、長官は五カ年以内ではそういうふうな数を持つて行かないつもりだというお話でありますから、この点は国民がはつきりすれば五カ年間は志願制度は残る、こういうふうに思う。併し志願制度が仮に徴兵制度になりませんでも、憲法改正という問題は九条の問題だけでなしにその他いろいろの問題が残されているわけであります。吉田総理はすでに自由党の内部に憲法改正調査会をお設けになつて研究しておられますが、初め私は、あれをお設けになりましたときに当初申上げましたように、政府に発議権がなくて国会にあるから自由党の中に設けられたのだと思つたのでありますが、政府にも発議権がありといたしまして、又今申上げました通り、政府としては今日もう憲法改正、いろいろな意味において九条ばかりではなくて、ほかの問題についても改正の研究をしなければならん時期に来ておると思つておるのでありますが、それには自由党だけでなしにやはり超党派的に政府の内部にああいう調査会をお設けになるお気持はないのでありましようか、どうでしようか。なぜかと申しますと、自由党内部だけでありますと自由党の諸君しか委員になれないのでありますから、財界の代表者でありますとか、銀行界の代表者でありますとか、或いは農業界の代表者、国民のいろいろの代表者が加わつて十分に憲法の問題を研究してそこに憲法の草案というものもでき得ると思うのでありますが、自由党内部だけであれを御研究になる、御研究になるにとは無論結構だと思います。併しいやしくも憲法改正調査会として総理がそういうものをお設けになります以上は、政府部内に改進党も含め、或いは参議院の我々も含め、又革進派も或る程度入れてそうして十分に憲法改正をやる、こういうお気持はないでありましようか、どうでしようか、その点をお伺いしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。憲法委員会を作りましたのは必ずしも改正を目的として作つているわけではないのであります。国の基本法である憲法を如何に運用すべきか、或いは若し改正の必要等がありとするならば、どういう点を改正すべきか、政党としてたえず憲法の運用或いはこの現在の憲法の是非とかいうようなことは国の基本法であるから十分研究もし注意もして、完全を期するといいますか国の必要に応ずるだけの法制の根本を立てて行かなければならん。これは政党としてまさに努めるべきところであると考えて党員の希望もあつたものでありますからして憲法委員会を作つた、これは改正委員会ではないのであります。憲法の運用、或いは憲法には単に法文ばかりでなく、慣例によつてといいますか先例で打ち立てられて行つて一種の不文憲法もできるわけでありますから、その運用については政党が深甚な注意を払うべきと考えて憲法委員会を作つたわけであります。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 揚げ足のようでありますが、政党でやはり憲法研究の必要があれば政府でも憲法研究の必要があるんじやないでしようか。憲法についていろいろの運営上、今後改正するとすればどうするか。改正するときめないでも結構なんであります、改正するとすればどういう点をしなければならんか。又今日の憲法の運用上どういう点に障害があるか。先ほど申しましたようにアメリカの占領下にできました憲法でありますから、実際にやはり政府としてまじめにもう一度研究されます調査会をお設けになつて然るべきであると、こう私は考えますが如何でございましようか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。これは政党のみならず、お話の通り政府においても例えば法制局等においてもたえず研究いたすべきことであり、又これは自由党とか或いは改進党とかに限られるべきものじやなくて各政党が憲法については常に研究して行くということ、そうしてその改正するとか或いは又適当な変更を加える場合には、持ち寄りというのもおかしいのでありますが、結局は国民の世論の力でその帰趨を察して政府としては考え、又政党としても考えなくちやならんでありましようから、各政党は勿論国民或いは政府は深甚な注意を以て憲法の問題はたえず研究いたすことが必要と考えます。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 まだいろいろお伺いしたい点もあるのでありますが、時間が大分たちましたので次の問題に移ります。これは予算編成方針及び修正予算に関する問題でございますが、総理の演説ではこの一兆億予算の編成の重点は治山治水及び道路にまあ主として置かれているようでありますが、これは予算を編成しますときに総理とせられましては、先ず本年度の予算は何に重点を置くかということを閣議にお諮りになるのでありますか。或いは総理みずからがお考えになつてそれをそういうふうにお命じになるのでありますか、その点をお伺いしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、閣議は私が首班であつてもこうしろああしろと一々指図することははできないことであり、又閣僚がその知識を持ち或いはその経験からして考えた意見が合体したものが閣議になつて決定をみるわけでありまして、私がこうしろああしろと特に指導をするというようなことは私としてはいたしたくないと考えております。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 私のお尋ねしたのはそういう趣旨でなくて、閣議でお諮りになれば結構なんであります。閣議に諮らないで総理がこうしろああしろとおつしやると非常にそこに間違いが起つて来るのじやないか。でありますから予算の編成の上で重要な事項は閣議に諮られて、各省大臣の意見を十分にお聞きになつて、そうしておきめ頂ければ非常に公正なる予算の編成ができると思うのであります。私はなぜこういうことをお伺いするかと申しますと、本年度の予算で治山治水は私は非常に大事だと思います。これを根本的に治さなければ昨年のような災害も繰返されるのでありますから大事でありますが、道路と食糧増産と比べてみると、私は今日の国情から申しまして食糧増産のほうが国民の経済上又独立国家を盛り立てて日本を再建して行く上においては必要だと思うのであります。併し道路のほうが非常に重きをおかれておられるのでありますが、その点はどういう総理としてはお考えであられましようか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたしますが、私が独裁力を持てば結構だと思いますが併しこれはできないことで、閣僚おのおの持寄りの意見の総合されたものが閣議になつて現れる。従つてその方針で予算が編成せられると、こう御承知を下さりたいと思います。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 私は昔の閣議だとそのくらいの閣僚にも力があつたと思うのであります。自分の意見が総理に通らなければ自分がやめると言えば内閣までこわれる状態でありますが、今日の内閣では総理がやめろとおつしやればその日にも閣僚はやめなきやならん。ですから総理がよほど強いお考えを持たれると閣僚は十分の意見が言えないという心配があるのであります。ですから総理自身はどうか一つ十分にこの閣僚の意見を聞かれて、そうして閣議決定の上においては国政にそう方向に持つて行つて頂きたいと私は念願しておるのでありますが、結局この食糧増産、昨年私は総理にしばしば食糧増産についての必要を申上げ、そうして長期計画少くとも五カ年計画をお立てになつて、五年後には日本の国民がこれだけの米は十分食べられるという目標をおいて、国民に安心せしめなきやならんといことを申上げて参りました。総理は十分考えよう、こうおつしやつておきながら本年度の予算では総額は、それは昨年からみると五億円ほどふえておりますが、併し昨年は冷害その他のいろいろの災害が伴つての予算が基礎になつております。それをのければ本年は二十億円ぐらいの減少になつているのであります。本年の予算で増産をするとしますると予算面だけでは九十万石ほどしか増産になりません。あと十二三万石は資金関係、いわゆる農林漁業金融公庫から出る金でいたします分がまあ十二三万と思いますが、まあ百万石前後の増産しかできないのであります。人口が年々百二十万もふえて行く状態において百万石ぐらいふえたのではやはり来年も海外から多額の麦なり米を入れなきやならん。ところが外貨は今日もう非常に保有が心細いというときにこういう状態であつてはならんと思う。でありますから食糧増産につきましても更に又時間があれば詳しく申上げますが、時間がございませんから、ただもつと総理は本当に日本の食糧事情を御心配願つて、この点に予算編成に際しては重点をおいて頂きたいということを申上げておきたいのでありますが、その点は総理は如何お考えになりますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 食糧増産については政府は決しておろそかにいたしておらないつもりであります。御承知の通り今日貿易の収支は食糧のために非常に不均衡を生じておるのでありまして、食糧増産ができればこの不均衡が第一修正せられるわけでもあります。決して食糧増産に対してはなおざりにはいたしておりませんが、昨年においては不慮の災害があつてその災害のために予算も自然に制限されて参つたのであります。併し重ねて申しますが、政府は食糧増産に対して決しておろそかには考えておりません。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 食糧増産につきましては又一般質問等におきまして十分御質問申上げたいと思いますが、その次の問題に移りますが、この修正予算におきまして保守三派協定事項中、投融資計画委員会法及び第三次資産再評価法を作ることを促進するという、申合せでございましたか了解でありましたか文書にできておるそうでありますが、その点は政府としても御了承になつての上であの修正をお認めになつたのでございましようか、大蔵大臣にお伺いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 了解事項といたしまして今の三つがあることは御指摘の通りであります。これにつきましてはまだ実は成案を得ておりません。従いまして、ただ第三次資産再評価のほうは近くお出しいたしますが、あとの投融資計画委員会とか或いはそういつたものにつきましての考え方は今いろいろ研究しております際で、若し予算をどうしても必要といたしまするような場合には、これはほかのものを繰合せてそういうことに充ててもいいと、こういうふうに考えております。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 予算が要るときには、新らしい款の設置になるのじやございませんでしようか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 具体的に成案を得ておりませんのでございますが大した金額でもないと存じますし、流用乃至は将来予備費等の支出でも十分賄える性質の経費ではないかと存じます。いずれにしても既定予算の範囲内で十分賄えるはずでございます。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 内容について見ますと相当に思い切つた計画のようでございまして、改進党の案としては七、八人の委員で而も事務局を設けて大いに日本の金融の全部の統制をやろうという案のようでございますが、そうなると相当に金が要ると実は私考えておつたのでございますが、この点はまだはつきりきまつていないようでございますから他日の問題に移したいと思います。  それから予備費の問題でございますが、五十億の財源に対しまして物件費、施設費の節約によつてこれを補うと言われておられますが、この節約によつて出たものは剰余金になるので、五十億の財源を補うことにはならんではなかろうかと思うのですが、その点は主計局長のほうで如何お考えでございましようか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 実質的な緊縮予算の実を挙げますために五十億以上の節約を実施するようにというような御趣旨で修正が行われたわけでございますが、これは只今御指摘のようにすぐさま予備費に使えるような性質のものじやございません。但し節約をいたしましたことによりまして、将来予備費を出さなければならんような経費の需要が起つて参りましたときに、その節約いたしました金額を先ず新たな予備費を必要とする需要に振り向ける、流用するわけでございまして、そういうことによりまして節約をいたしました金が予備費を必要とするような金に充当され得る余地はあり得るわけでありまして、極力そういうようなことで将来予備費を必要とする経費は賄つて参りたい、かように考えておる次第であります。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 補正予算を組まないで今の予算でそういうものを賄う道はありますか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 各省間にそういう流用をすることは勿論できないわけでありますが、例えば或る省で予備費を必要とするような経費の新たな需要が起つた、そういう場合にその省の節約額がございますれば財政法、会計法の許す限度ではございますが、その節約額を以て先ず新たなる経費の需要に充てるということは或る範囲内ではできるわけでございます。各省間では勿論これは許されておりませんですけれども、できる範囲ではあるわけでございます。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 どうもまだはつきりいたしません。このことはまあ細かい問題でございますから一般質問に譲るとしまして、私がこれを申上げたのは、大蔵大臣が修正予算の説明のときにこういう物件費、施設費で余裕がある、これを節約して五十億を予備費に向けたい、こういう御説明でありましたが、これは私は非常にまずいと思うのであります。政府が今耐乏生活を国民に勧めておるときに、予算にこういう余裕があるようならもつとあのときに削つたらいいじやないか、こういうふうな感じが与えられるのであります。ですからこういう御説明はされなくとも、ともかく三派協定であるこの予算は政府としてはどうしても通さなければならん立場なんですから、はつきりと予備費として出したのだとおつしやればいいのですが、何かそこに弁解的なことを言われると、そこは耐乏生活を唱えておる政府としては非常に策がまずいのじやないか、こう考えますが如何ですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は私ども率直に言うと緊縮予算に一歩進めて又この物件費、施設費を節約する、こういう意味で申したのでありますが、そういう感じは今伺つておると何だかそういう感じもあるかと考えますから、これは或いは取りようによつては今のお話の通りかも知れません。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 まだ時間ございますか。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 二分ございます。

井野碩哉緑風会

○井野碩哉君 二分じやもうあと聞けませんから、実は貿易振興と食糧問題についてもう少し伺いたいと思つたのですが、これは一般質問に譲りまして私の質問は終ります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 私は日本社会党を代表いたしまして防衛問題を中心にいたしまして総理大臣の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。最初に私は最近の吉田総理のおやりになることを見ておりますと、非常に過度に権力が総理大臣に集中する傾向が顕著であるように思うのであります。具体的に申上げれば先ず第一には多数党の首領として与党を統率することによつて国会を支配し、憲法第七条の衆議院の解散権で常に国会を威嚇しておられるということであります。第二番目には総理は閣僚の罷免権を通じて行政各部を完全に支配しておられる。更に第三には最近警察法を改正しまして警察国家の再現を企図せられまして、強大なる警察権を掌握せんとしておられるのであります。第四番目には今回の防衛関係の三法案によりまして、総理は陸海空の三軍に対し無制限の指揮権、人事権を掌握されることになるのであります。このようにしまして総理大臣一人に絶大なる権限が集中するということがここに出て来たのであります。このように総理一人に強大な権限が集中することは私は非常に危険であると同時に日本の国家のためにも不幸であると考えるのでありまして、又これは民主主義の原則にも反すると思うのであります。それで私は、総理はこういう情勢の中にありまして機構制度或いは運用上、これらを緩和する必要がないとお考えになるかどうかをお尋ねいたしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 如何にも私が独裁政治をやつているようなお話でありますが、私はそういう考えはないのであります。民主政治においても結局いわゆるチエツク・アンド・バランスでありまして、いろいろ機関があつてその機関が互いに協力してそうして国の組織を成す、これが民主政治であり、又この民主主義に従つて政治を運行いたして行くつもりでありますが、お話のように私が独裁してすべての権力を自分の掌中に握るというような考えは持つていません。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 総理は自分ではそういう独裁者になるというつもりはないとおつしやいますけれども、現実に事態がそういうふうになつておるのであります。今回のこの警察法の改正或いは防衛二法案の実施ということはなくても、すでに吉田総理大臣は非常に独裁的である。現に世上にはワン・マンというようなことでこれを端的に表現しておるのであります。ところが今回更にこの警察権を掌握し陸海空軍の人事権、指揮権を完全に握られるということになれば、総理大臣はそういうふうにやる意思がなくても自然と全部の権力が総理大臣に集中することになつて来るわけであります。現に大臣の罷免権につきましてもどんどんどんどんと大臣が大根を切るかのごとくに切られて、総理大臣が任命された大臣の名前も顔も御存知ないような大臣が現われるというようなことも出て来ておる。この現実を見ますとこのままで行けば総理大臣は昔の専制君主にもひとしい状態になつて来るのではないかと思うのであります。これは吉田総理大臣はいつまでも大臣をやつておいでになるわけではないのでありまするから、次に今度はどういう大臣が現われるかわからん。その人は多少ここに意識を加えれば今申上げたように専制君主にもひとしいような状態が出て来まして、独裁政治がここに行われるというようなことになると思うので、この際総理大臣は、相当長くもうおやりになつたのでありまするから次に誰が現われても、そういう虞れのないような手を打つておかれる必要があるのではないかと思つてお尋ねするのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私の気持といいますか政策は今申した通りでありますから、何らの手を打つ考えはありません。(笑声)

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 吉田総理大臣はそうおつしやいますけれども、吉田総理大臣も、戦後総理大臣として登場されたときは非常に民主的なそうして優れた民主主義者として世人が期待しておつたのであります。ところがいつの間にかだんだんだんだん本人はそういうふうに意識されなかつたけれども現在のような情勢に移り変つて来ている。更に繰返して申上げますけれども、今回の警察法の改正、防衛二法案の実施ということになれば、これは当然独裁政治に近いようなこの権力の集中が行われるから私は申上げておるのでございまするけれども、総理大臣はこれ以上御答弁がないと思いますので、私はこの問題については今後我々は慎重に考慮しなければ日本の民主主義は破壊されると、こういうふうに考えておるわけであります。  次に私は自衛力の漸増の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。総理大臣はしばしば国力に応じて自衛力を漸増すると言つておられたのであります。ところで二十九年度の防衛費は二十八年度のそれに比較いたしまして、大巾に増額されているのであります。今までの言明の建前から言えば国力が増加してなければならんはずであります。然るに国民所得を考えてみますと三十九年度は五兆九千八百億円で、二十八年度の五兆九千五百億円に比較すれば殆んど増加してないのであります、この点から考えますと従来の首相の言明と矛循している。政府は従来のこの立場を捨てられたのかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私が申上げたい。三十八年度と二十九年度を比較しての御議論でありまするが、一体国力に応じてというその国力とは何であるか、私はただ予算に現われた数字だけでは行くものではないと考えます。国力とはいわゆる物心両面における国の総合力でありますから、従いまして二十九年度において多少の増加をするということは、決して我々は三十八年度に比較して過大であるとは考えてない。いわゆる国力に相当な漸増であると、こう考えておる次第であります。(「詳しく説明して下さい」と呼ぶ者あり)

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 長官は物心両面と言われますけれども、物心の心は何でありますか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういう抽象的な答弁をしてはいけませんです。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 国民の考え方その他万般のつまり国の総合した力をいうのであります。(「まじめに答弁しなさい」と呼ぶ者あり)

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 木村長官はもう少し真剣に答弁する必要があると思う。我々はここでは具体的な問題をとらえて討議しなければ、そういうふうに精神的とかその他万般に至るとか。問題にならんと思う。大体長官はまじめに答弁される意思がないんじやないかと思う。先日も文民ということはどういうふうな意味かわからん。憲法に国務大臣は文民でなければならん。あなたは文民でなければならんということが規定してあるのに、その文民が何であるかわからんというようなことでは困るじやありませんか。今のをもう少し具体的に物心両面というのはどういうことであるかということをお尋ねいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) まず先日の文民のことについて申上げたいと思います。私は決してごまかしを言つているわけじやありません。本当にこの文民ということは、御承知の通り衆議院の案ではなかつたのです。貴族院において加えられたのです。ところがこの文民の解釈で、これをシヴイリアンというふうに訳した。実際において一体憲法において文民とは何ぞや、我々も実はその当時わからなかつた。だんだんその意味を何して参ると日本では文民に対する武臣というものはないわけなんであります。この文民ということに限つたのは何ぞやということで、ただ文民と謳つたのではわからん。併しながら只今の解釈では旧軍人のいわゆる職業軍人の経歴あつた者と解することに大体一致しているようだ、こう私は申上げた、又その通りであろうと考えております。決して私はごまかしを言つているわけではありません。又一国の総合力というものは。私は必ずしもこの財政的面ばかりではないと考えておりまして、いわゆる国民精神の問題その他教育の問題、文化の問題、いろいろなものから総合して判断すべきであろうと、こう考えている次第であります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 文民の解釈は非常に難解である、又疑義があつたということはそれはありましよう。併し国会において審議されあなたが署名された。それをわからないものを署名するというのじや困るじやありませんか。これは今日の、質問じやありませんけれども。余りに常識を外れているのでもう一度お尋ねいたします。これはどういうつもりで署名をされたのか。こういうことでは今あなたが答弁されていることは皆よくわからないけれども、誰かこう教えたからこういう子らに答弁したのだ、あれが間違いであつたということに来年くらいになつたらなるのじやないですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 御承知の通り、新憲法下においてはいわゆる武臣というものはないのです。それに文臣という言葉を使つているから、これは解釈に非常に困つているし、大体においていわゆる職業軍人の経歴のあつた者と解釈することにほぼ一致しておる、こういうのであります。我々も又さように解釈しなければ解釈のしようがないから、そういうふうに解釈しているのであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 私は本筋の問題に入りたいのですけれども、あなたがそういう態度をとられれば、これから質問したことはすべてそういうことになるかと思うので、もう一度お伺いいたします。この解釈がむずかしくて或いは疑義がある、これは今大臣にあなたがなられたなら、そういうことをおつしやつてもいいのです。ところがあなたは署名されたのじやないですか。そのときわからなければ、これがわからない、わからないから署名しない、或いは大臣をやめる、こう言われるのが当然じやないですか。ただ大臣になつていたいから署名されたのですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) さようじやありません。憲法の解釈につきましても、いろいろ議論があるのであります。一つの法文を解釈するについても議論はまちまちであります。これはあなたは御承知のところであります。併し大体の筋において、こういうものということできまるのであります。文臣の解釈においても、いわゆるシビリアンのことであります。シビリアンとは何ぞや、これはなかなか解釈はむずかしいのでありますが、これは憲法を作る際において、これは現在においてはほかに武臣というものがないから、そこで旧軍人のうちの職業に従事しておつた軍人と解釈するものと我々は見てとつておるのであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 MSA協定に基いて防衛力の増強、防衛能力の増大の義務を負うことになるのでありますが、こんな長官のような調子ではどこに漸増の目度を置いているのかわからないことになると思うのであります。そうしてこういうふうな抽象的な物心両面とか、或いは何とかその他わけのわからない説明をされている、こういうことで軍事費がだんだん増加して行けば、国家経済は私は破綻に瀕するであろうと思うのであります。こういう意味からも、政府はこの際思い切つて長期防衛計画を国民の前に示すべきであろうと思うのであります。この防衛計画という言葉は悪ければ準増計画でも何でもいいのです。とにかくこの長期の五カ年なら五カ年、三カ年なら三カ年の漸増計画を具体的に示さなければ、あなたのような大臣がおられると、物心両面というようなことで解釈を広げて、だんだんこの軍事費が拡大して行くということになりますから、予算の審議もできないということになる。本年の、この二十九年度の防衛計画というものは、三年先或いは五年先の計画がわかつておつて初めてこれが審議できると思う。こういう意味から具体的にこの計画を示して頂きたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。いわゆる長期の防衛計画の立ちがたきことは先刻伊能委員に対して答弁した点でよく御承知のことと考えます。そこで次はいわゆる自衛力の漸増方式による計画であります。無論これは我々は先ず第一に二十九年度においてどうあるべきかということを詳細に検討した上で議会に提出して審議をお願いしている次第であります。その次には三十年度においてどうするか、或いは三十一年度においてどうするか、これはなかなかむずかしい問題であります。国家の財政は勿論のこと、国際情勢その他万般から何いたしまして、確定的の目度というものはなかなか付きがたい。我々はあらゆる面から検討いたしまして、この漸増計画について研究いたしておるのであります。併しまだはつきりした計画は立ち得ないという段階であることを御了承願いたいと思います。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 この当面の三十九年度の計画はかくあるべきものという断定を下されるには、三年先、五年先のことを考えなければわからんのです。これは当然で、その計画はなければならんと思うのです。そんなにでたらめに唐突に二十九年はかくあるべきものなどという計画はできるはずがないと思います。現に保安庁ではちやんと五カ年計画を立てておるじやありませんか。その五カ年計画の最後の防衛力というものは陸上十箇師団、二十万五千、海上百七十六隻、十四万四千トン、三万五千人、航空全部で千四百十機、四万三千人、こういうふうに具体的に立つておられますし、又経審案或いは大蔵案というようなものもあり、更にこれらの案に基いて池田氏は先般三カ年計画を作りましてアメリカと折衝しているではありませんか。アメリカには案を示して、いろいろ折衝するけれども、国民のほうには尻を向けて全然知らさないということでは私は困ると思います。予算の審議をやる上にはやはりこの五カ年計画を示されて、そうして二十九年度はかくあるべきものという判定をしなければならんと思います。長官はどうお考えになりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。私はアメリカにさような数字を示したことは断じてありません。はつきり申上げておきたい、私はありません。そこで今挙げられた数字でありますが、これはどこからお手に入つたかわかりませんが、我々実は検討中であります。而も先ほど申上げました通り、兵器に関しても進歩は著しいので、昔のような形のいわゆる方式ではいかん、こういうことははつきり我々わかつているのであります。従いまして、これは国家の前途を考えますと十分に我々は検討いたさなければならない。いわゆる国民の血税によつてこれを賄うのでありますから、最も能率的にあるべき我々は方式によつてやらなければならない。それで今から五年度先はどうしてやるか、五年度先はどんな計画を持つてどのくらいの数を殖して行くか、一応の目度は立ち得ても、そういうことは計画としてもないのです。あつても私はならないと思います。これはそのときの情勢を睨み合わせてやつて行く、二、三年のことは或いは目度は殆んど立ち得るでありましようが、長期の防衛計画と言い、或いは漸増計画と申しても、私はこれは立つべき筋合のものじやないと思います。研究はいたします。研究はいたしますが、そういうことの成案を立ててやるべきものじや私はないと考えております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 これはあなたはお示しにならないかも知らないけれども、この保安庁案或いは経審案、大蔵省案、こういうものを基礎にして池田試案というものを作つて、これを以てアメリカと交渉しているんです。だからそういうふうにアメリカに交渉するなら具体的に国民に示したらどうだ、こういうことをお尋ねしている。而もこれはアメリカが援助するのに三年先或いは五年先の計画がわからなければ援助はできないはずだと思います。アメリカが援助する以上は、日本の三カ年計画や五カ年計画に基いて二十九年度の援助をせられるのだと思います。その点どうですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 私は池田ロバートソン会談において、池田君がどういうものを示したか存じませんけれども、池田君からそういう話を聞いておりません。ただ私といたしましては、差当り二十九年度においてどれだけを漸増すべきか、それに基いてアメリカのMSA援助でどれだけ受入れるかということで検討してやつているわけでございます。三十年度についてもまだアメリカと何らの交渉もありません。三十年度においては三十年に計画を立てて、それに基いてMSA援助を受けるものと我々はこう考えております。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 関連して。アメリカにお示しになつたようだが、アメリカとどういう折衝をされているか。その点は別として、少なくとも先ほどから伊能委員或いは只今の応答によつて、本格的な、総合的な長期国防計画はまだ立てられないし、立つてもいない。併しながら漸増のための長期に亘る五年或いは三年に亘る防衛計画については、大体の目度は付いているというようなお話であり、今具体的に示された問題についてもあるやに、大体の目度としてはそういうものを持つておるやに御答弁があつたと思うのであります。私たちは細目に亘つて確定した数字を示せとは申しません。併し大体においてどういう目度でやつておるか、三年計画或いは五年計画としてどういう目度でやつておるか、どういう方針でやつておるかということくらいはお示しになつて然るべきだと思いますので、それをもう少し具体的にお示し願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。我々は大体の目度を立てて、それについて十分の調査をし、これが適当であるかということを判断して確定案を作るのであります。併し今その過程において示せということでありますが、それはどう変更するかわからんものを私は今申上げることはできんと思います。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 私は次に憲法九条の解釈について特に総理大臣にお尋ねしたいのであります。最近憲法第九条の三項は、日本独自で戦力を持つことを禁じておるのであつて、他国と協力して作戦をやるときを想定したものでないのだから、自衛隊となり、日米共同作戦をやる場合に、それが日本の場合に日本の軍隊が戦力になるならんという論は憲法第九条の解釈とは別だという意見があるのであります。今ちよつとおわかりにくかつたかも知れませんので、もう一度繰返して申上げますと、九条の二項の解釈は、日本独自の場合を考えておるものである。日米共同作戦をやる場合は、仮に日本の勢力が戦力であつてもそれは憲法に違反しないという意見があるのでありまするけれども、総理大臣はそういうふうにお考えになりますかどうか、お尋ねいたします。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 同様のお尋ねが曾つてございましたが、私どもといたしましては、憲法第九条の二項はこれこれの戦力は保持しないと書いてあるわけであります。この保持しないというのは、言うまでもなく日本国が保持しないということを言つておるのでありまして、外国が保持するかどうかということは全然触れておらないのであります。これは当然であろうと思います。そこで憲法上の解釈問題といたしましては、日本が保持しておる実力というものが戦力に達するかどうかということが唯一の基準でありまして、只今お話のように、よその国と或いは一緒になる場合を仮想するという場合について考えましても、これはよその国の分はよその国の保持する分でございますからして、憲法上の計算の問題には入つて来ない。これは論理上さようなことになることと思つております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 実は私はこれは総理大臣にお尋ねいたしたのでありまするけれども、法制局長官がそういうふうな答弁をされるなら、もう少し詳しく申上げますが、この問題は先般の第二次補正予算の第十七国会において私が木村長官にお尋ねをいたしたところ、長官はそれはあなたの考え方は主観論であつて、私は客観論をとつておるのであつてという御答弁だつた。極めてわけのわからない御答弁であつた。ところが先般緑風会の森委員が私と同様の趣旨の質問をされたのであります。即ち日米共同して作戦をやる場合は、些細な勢力であつてもそれは直ちに戦力になる。極端に言えば竹槍一本でも戦力になる、これはどうだと言つて質問をされたのに、この前と同じようにわけのわからない答弁をされるのなら、私もそれでまあ、いつものことだからと思つたのでありまするけれども、木村長官は突如、この憲法は日本独自で作戦をやる場合を考えたのである。日本独自で戦力を保持するかしないかということを規定したのであるから、仮りに米国と共同作戦をやる場合は日本が戦力になつても差支ない、こういう答弁をされたので、私はこれは非常な問題だと思つて質問をしたのです。ところが法制局長官は、この木村長官の答弁の尻拭いをされ、これを合法化するような答弁をされておるのでありますけれども、これは非常に問題だと思うのです。どうしてそういうことになるか、もう少し具体的に説明を願いたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) 只今のお言葉に、主観論とか客観論とかいうことがありましたから、先ずその方面から一つ御説明させて頂きます。大体この戦力の基準を判定するにつきまして、主観的にこれを見て行くという考え方が一部にあるわけであります。というのは、どういう趣旨かと申しますと、およそその実力部隊の目的から言つて、これは国内の治安維持のためのものであるということであるならば、その規模如何にかかわらず許される。併しこれが逆に対外戦争、外敵との戦争を目的とするものである、そういう任務を打つものであるならば、規模の如何にかかわらず、規模が小くともこれは憲法九条二項に引つかかるというのが主観論の見方でございます。政府の言つておる客観論というのは憲法九条二項の趣旨から言つて、およそ実力そのものを憲法は恐れておるのであつて、看板がどうなつておる、レッテルはどう貼つておるかといつても、看板なり、レッテルはいつでもはげ落ちるものである。それでそういう主観論ではむしろ危い。従つて実力そのものがどの程度のものに達したら憲法が禁ずるかという実力規模の点のみに幕準を置いて戦力の判定をしておる。これは我我の言つておる客観論というのはそういう趣旨で言つておる。そこで先ほどのお答えになりますけれども、そこで戦力というものの保持者という点から考えてみますると、これは先に触れましたように憲法九条は日本国の憲法であるから、日本国は持たないということを言つておるのであつて、日本国はどういう実力規模のものを持つてはいけないか、それは戦力規模に達するものはいけない。よその国のことを考えに入れた日には全然目度の付かないことになる。それは政治の問題として国会でお考えになるべきものであつて、憲法ではそれは機械的に規律をしておるものではない。又できることもないものであると思つております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 それは問題になりませんよ。そんな答弁は……。これは日本とアメリカと共同して作戦をやる、共同防衛方式をとるということは、これは初めからきまつておることじやありませんか、この間も長官が答弁された通り。それならばそういうことを、初めからきまつておるんですから、今のような解釈をされるなら、昨年来しばしば衆議院、参議院においてこの戦力に関する問答がされたとき、初めからそういうような解釈をされるなら問題はないのです。日本が戦力を持とうが持つまりが、これはアメリカと共同して作戦をやるのだから、作戦をやれば差支えない、そういうことになる。今まで随分時間と労力を費やして議論をやつて来たことは、全然無駄なんです。そういういい考え方があるんなら初めからそういう解釈をなぜ言わないのです。今頃になつて失言したのを合理的な、今あなた緻密な頭でこねくり廻してそういう解釈をしようというのはおかしいのです。なぜそういうことを去年考えて総理大臣に教えなかつたのですか。

佐藤達夫法制局長官

○政府委員(佐藤達夫君) お褒めを頂きまして大変有難うございます。その考え方は実は突如として出たものではございませんで、これは参議院の速記録をずつと繰つて頂いても結構ですが、私の記憶では、昭和二十五年頃からそういうことを言つております。殊に又安保条約のときに、ここで非常に詳しい御質疑がございまして、たしか予算委員会で特別の憲法関係の小委員会か何かをお設けになつたはずでありますが、それらの速記録を御覧頂きましても、ずつと一貫して申上げておることであつて、何らこの際思いついたことではありません。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 小林君、ちよつと申上げますが、総理は昨日に関係ある国際上の用務で宮中に参りますので、暫時休憩して午後あなたの質疑を継続したいと思いますが、御承知願いたいと思います。  暫時休憩いたします。午後二時から再開いたします。    午前十一時四十九分休憩    —————・—————    午後二時四十三分開会

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 この際、大蔵大臣にちよつとお尋ねいたします。二十八年度の本予算修正に当つては、大蔵大臣は三派の共同修正を受けまして、その際忍びがたきを忍びと言つておられるのであります。それで第一次補正予算に当つては、涙を呑んでこれを受諾した、こう言つておられるのであります。それで私はその際、二度あることは三度あるが、三遍目にはあなたは何とおつしやるのですか、こういうふうにお尋ねしたのでありますが、今度又三遍目に当りまして三党の共同修正を受けられて、あなたは一言半句もお言葉がないのであります。特に原子炉予算のごときものを押しつけられて、而もそれは閣内においても意見が不統一で、どういうふうに使うかということがわからない。この予算委員会において答弁が食い違つておる。こういうような三党共同修正を受けられて、それでもあなたはまだ黙つておられるのですか。これは予算の編成権、提案権が侵されて、そうして大蔵大臣はもう必要はないというような状態になつておるのではないかと、こういうふうに私たちは思うのでありますが、大蔵大臣のこれに関する所見を伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 予算の最も大切なことは、適当の予算が両院を通過すること、それが実行されることであります。従いまして、前の予算におきましては、二十八年度の予算では相当の予算増額等を見て、不本意の点があるということを若干申したのでありましたけれども、今度の予算はいわゆる一兆円の枠の中、九千九百九十五億円の枠の中での操作であり、而も一般会計においては僅かに五十億の金の問題であり、そうしてその五十億が又考え方によれば必要な方面に出ておる。これは私どもは考えてみて、その配分については各人いろいろな意見があるだろう、この程度の何は一兆円予算を円満に通過さすためには予算の基本に関する問題でないので、少しも私どもはこれはそれにこだわるべきでない、こういう考え方を持つておるのであります。これが予算の編成権に触れるような基本的な問題であり、基本的な構想に関する問題であれば勿論承知いたしませんが、そうでなくて、御承知のごとくにこれは資金運用部の関係が四十億、一般会計の分が五十億というのにとどまるのでありますから、さように私どもは予算通過の見地からこれに同意をいたしておる次第であります。又この内容はそれぞれ適当であると私は認めております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 大蔵大臣は枠が変らなければどうでもいいというような今御答弁なんでございますけれども、予算というものはそういうものでございますか。一兆円以内ならどういうふうに使われてもいい、多少金額は動いてもいいと、又多少というのが実にあいまい模糊としておりますが、ともかく増額にならないから何でもいいということなのですか。その点をお伺いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 何でもいいとは申しておらん。適当であるからよろしいと考えておるのであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 適当であると言うけれども、原子炉予算のごときは何に使うかわからない状態で、あなたと通産大臣との答弁が食い違つておる、こういうような状態になつておるじやないですか。何に使うかもわからないものを計上されて、それで差支えないということはおかしいじやありませんか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 何ら私は答弁食い違つていないと思う。原子炉の製造に関するこの研究及び施設でしたか、調査に使うということになつておつて、ただ違つておる点は、あの時に多分これはほかのほうに流用し得るということは、通産大臣の言葉としてあつたかと思う。私はこのことは原子核の研究には流用し得ないということを申上げた。なぜかというと原子核の問題は、文部省の国立学校のほうの問題であり、而もこれは通産省の科学技術院に対する助成金の問題だから、それは流用し得ない。問題の違つておるのはその点だけであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 あなたは金額が五十億円だからどうだああだ、僅かであるから多少変つてもいい、後から考えてそれも適当だと思うと、適当だと思うくらいなら、そのくらいはあなたは政府にはたくさんの機関があつて、十分調査しておるはずでございまするから、必要なものは当初から組んだらいいはずである。そういうあいまいな、金に関して非常にあいまいな考え方を大臣が持つておられるから末端に行けば多少流用してもいいのではないか、多少これは一杯飲んでもいいのではないかという思想が今瀰漫しておるから、それが結局汚職になつたり、或いは金の不正の使用というようなことが起きておるのではないかと思うのであります。併しこの点については更に一般質問のとき詳細お尋ねいたすことにいたしまして、次の問題をお尋ねいたします。  今度の防衛関係の二法案によりまして、卒然としてここに近代的組織が復活したのであります。この実力部隊を強力に民主的に統制する方策が何ら考えられていないのであります。これは結局旧軍閥、軍国主義の復活を促す以外の何ものでもないと考えられるのであります。そうしてこれは非常に日本のために危険と言わなければならないと思うのであります。これに対する総理大臣の御所見を承わりたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 漸増部隊についての構成と言いますか、組織は保安庁で作つております。そうして旧軍閥等のと言うとおかしいが、旧軍人等との関係は絶対にないようなことによつて、十分の注意をとつております。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと誤解があつてはいかんから補足しておきます。先ほど私は……原子核研究に使うことはできるのであつて、仮に科学技術のほうでそういうことをやれば、これはかまわない、使用し得るのであります。今度の予算できちんとしておりますのは、お手許に差上げてありますように、原子力の平和的使用に関する基礎的並びに応用的技術の研究、こういうふうになつておるのでありますから、さよう御了承願います。これは今日お手許に配付してあります。  なお、さつき私が適当と認めると言つたことは、これも誤解があつてはいかんから一言しておきますが、私どもはもとより修正は望むところではありません。望むところではありませんが、この程度の修正ならまあよかろう、こういう意味で適当と言つたのであります。(笑声)

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 保安庁長官、外務大臣はおいでになりませんけれども……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 外務大臣の代りに政務次官が見えておりますが……。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 保安庁長官は……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 保安庁長官も衆議院の本会議に出ておるそうでありますから……。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 私は海外派兵に関する問題についてお尋ねいたしたいと思います。今度の自衛隊は海外に派兵しないということになつておるのであります。本当に出ないならMSA協定にこれを明記したらいいわけであります。これは非常にみんな疑問に思つておる点でありますから、こういう疑いがあるなら明記して、派兵しないということにしたらいいと思う。それを外務大臣の挨拶でただ簡単にこれは海外に派兵しないということを言つておられるのですが、外務大臣の挨拶に入れられるべきものなら、私ははつきりこれを協定に入れたらいいと思う。そこで、将来自衛の名によつて海外派兵の問題は必ず私は起きると思うのであります。自衛或いは防衛と言いますけれども、この自衛、防衛と攻撃とは厳密に区別することができないということは、これは兵学の常識で、あります。特に河川作戦、島嶼作戦の場合においては然りだと思うのであります。攻撃は最大の防衛というのは兵学のいろはであり、特に近代戦ではなお更これがはつきりいたしているのであります。従つて先制攻撃が重要視されるゆえんがそこにあると思うのであります。こういうような見地からいたしまして、米国も海外に派兵しているのでありまして、アメリカはこれを自衛と言つているわけであります。自衛のため、国土防衛のために、海外に派兵しているわけであります。そこでこういうふうな状態でありますから、私は将来必ずこの海外派兵の問題が出て来る。こういうように思いますので、この点について明確にこれは派兵ではないということは、どうしてそういうことを言い切れるのかということをお伺いいたしたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) お答えいたします。今度のMSAの協定によつて、日本の負います。軍事的な義務というものは、安保条約に規定せられておるものだけであります。海外に派兵するかしないかということはその協定の範囲外であり、而も日本は交戦権を持たないということは憲法でもきまつておりますので、交戦権を持たないようなものが海外に派兵するということはあり得ないわけであります。条約の規定の範囲に属しないことでありますから、大臣とアリソン大使とはいろいろこれまで論議せられていた点が誤解のないようにという意味で、挨拶でその点を明瞭にした次第でございます。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 これは逆ですよ。憲法に書いてあるから派兵しないというのではなくて、こういうことになれば、憲法の規定を破つて、派兵せざるを得なくなる。又積極的に派兵することになる、そこで私はこれをお尋ねしているのです。憲法に書いてあるからそれはしないのだということじやないのですよ。その点を明確にして下さい。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 日本の負うべき義務は今度装備或いは資材を受けて、それに対応する義務というものは本日衆議院に上程いたしましたあの条約の案の中に書いてあるわけでありまして、それ以上のものはございません。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 そういうことはちつとも答弁にならんと思う。外務大臣を一つ呼んで頂いて、よく承わらないと……。特に政務次官は今そう言われるけれども、木村長官は一昨日の佐多委員の質問に対しまして、海軍、空軍は、これは海外に行くこともあり得るということをちやんと答弁されているのです。それで陸軍もこれと同じように行くことになるのじやないか。全面的にこの三軍が行くことになるのじやないかということをお尋ねしているのです。あなたは木村長官の御答弁を御存じないのでしようか。ないからそういうことを言つておられる。現にちやんと海軍、空軍は行くこともあり得ると言つておられるのです。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 私は木村長官の答弁を承知いたしております。海軍及び空軍はその性質上領空の内部又領海三浬の中だけではその目的は達成し得ませんので、それを越えて出ることがあり得るということでありまして、飽くまでそれは限られた意味の自衛権のため、自衛のための限られたる活動であるというように御了承願いたいと思います。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 それはわかつておる。自衛のためと言つて海外に今と同じように、陸軍の性質上これは海外に派兵しなければならん、こういうことになつて来るのです。そういう答弁では答弁にならんのです。初めは恐らくこれは木村長官もこういうことを言いたくなかつたのです。それがだんだん言つているうちに、海軍も空軍もこれはひよつとしたら行くことになるというように、だんだん答弁が変つて来ている。それでこの調子で行くと、やがて、あなたは今そう言われるけれども、結局今私が申しましたように、攻撃は最大の防禦である、こういう兵学上のいろはからいたしまして、結局自衛のために攻撃するということになつて、海外に出兵する、派兵するということになつて来るのです。どうなんです、その点……

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 過般の朝鮮に対する出兵のごときも、これは国連加盟国は出兵したのでありまするが、国連加盟国といえども出兵を希望するものがしただけであります。そういう義務を日本は何ら負つていないわけでありまするからして、日本は国連軍に対していろいろな施設とか、或いはその駐留に対して便宜を与えただけでありまするが、日本として何ら義務を負つておるものではない。そして而も先ほども申しましたように、軍隊でないものが外へ出て活動するということは、これは想像し得ないところであり、又そうした義務というものは何ら負つていない次第であります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 あなたそういうことを言つちや駄目ですよ。これは軍隊と言つてもいいとはつきり国会で何遍も長官は言つておられるのです。それがいつの間にか又あなたは軍隊でないものにしてしまつている。戦力を持たなければ、軍隊とおつしやられても何と言われてもよろしうございますと言つている。あなたが答弁できないならできないとちやんと言えば、時間の関係上非常に都合がいいのですよ。わからんことを余り答弁される必要はないのです。現に陸軍はそういう性格でないと言われますけれども、今度MSA協定で貸与を受ける武器の中には攻撃的の武器がたくさんあるのです。例えば戦車のごときは三十トン乃至四十トンの戦車というようなものは日本の国内では使えないのです。道路が狭いし、そうして川がたくさんあつて、貧弱な橋があつて、そこにそういう大型の戦車は通すことはできないのです。従つてそういう攻撃的の武器を持つている陸軍は、これは攻撃をするためだという解釈ができるのです。あなたは都合のいいような解釈ばかりやつているけれども、もう少し、特に軍隊でないものはやたらないなどという答弁は非常におかしいのです。まあこれはあなたにこれ以上言つてもしようがないから、外務大臣がおいでになつたら、又保安庁長官がおいでになつたらお尋ねいたしたいと思うのであります。  その次はMSAの問題でありますけれども、MSAによる具体的の援助内容、この軍事援助の内容を物について、それから金について具体的にこれをお示し願いたいと思います。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 援助の内容につきましては、日本の防衛計画に従いまして必要とするものが提供されることになつておりまするが、まだ具体的に確定はいたしておりません。ただMSAの協定と申しましても、軍事的な意味の協定のみならず、相互防衛協定のほかに、余剰農産物の供給に関する協定もございまするし、それに関連しての経済的措置に関する協定もあるし、又投資保証の協定もあるわけであまして、これらによる直接間接の利益というものは相当期待してよいものがあるということを私ども確信いたしております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 私がお尋ねしておるのはそういうことじやないんです。具体的に軍事援助の内容をお尋ねしているんです。小麦を輸入する問題とかその他の問題を今お尋ねしているのではありませんです。

上村健太郎保安庁長官官房長

○政府委員(上村健太郎君) お答え申上げます。MSAによりましてどういう援助をもらうかということにつきましては、まだ調印が済んだばかりでございまして、内容は確定いたしておりませんが、私どものほうといたしまして希望いたしておりまするのは、船におきまして駆逐艦その他約二万七千トン、十七隻でございます。航空機におきましては、これは主として練習機で、がざいますが、百四十三機、及び陸の部隊に対しまする大体一管区分に相当する兵器でございます。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 まだはつきりわかつておらないでしようけれども、相当もう話が妥結しているはずなんです。ですからもう少し具体的に、例えば海上について三万七千トン、十七隻というのはどういう内容であつて、そうして向うはそれを全面的にそのうちどれだけよこすかということくらいはわかると思います。お答えがなければ私が申上げますけれども、一つの例として、保安庁で、あなたのほうで御希望になつているのはたしか七千トンの駆逐艦の母艦一隻、二千四百トンの駆逐艦二隻、それから千六百トンの駆逐艦三隻、千四百トンの護衛駆逐艦二隻、千六百トンの潜水艦二隻、三百二十トン程度の掃海艇四隻、その他、こういうことに大体なつていると思います。それで大体この通り来るのですか。これが二万七千トン程度になるのですけれども、この程度来るのですかどうですか。

上村健太郎保安庁長官官房長

○政府委員(上村健太郎君) 当方の希望といたしましては、大体今お述べになりましたような船の種類であり、トン数でございますが、まだ調印が済んだばかりでございまして、正式にこういうものを供与してもらいたい、或は供与しようというような話合いには至つておりません、ただ私どものほうにおきまして、極東海軍の顧問団との間におきまして、自由討議のような形式でこういうような数字は先方に話をしております。この艦種につきましては、先方におきましても必ずこれを全面的に認める、或いはこの通りの武器をよこすというような話合いには今のところ確定はいたしておりませんが、併し若し先ほどお述べになりましたような艦種がもらえないといたしますると、それに代るべき船は先方で考慮してよこしたいというような話合いになつております。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 関連して……。このMSA援助協定、その他先般調印されました協定は極めて重大な義務を負うわけですが、而もその協定によつて非常な義務を負いながら、援助を受ける品物がまだきまらない、言わばこれを個人の貸借関係にたとえて言いますならば、借用証書を渡しながらまだ金をもらわん、こういうような比喩にもなぞらえることができると思うのですが、この協定が国会で批准され、そしてアメリカに寄託するまでには、はつきりどういう物資、どういう艦艇その他を援助を受けるか、それがされない限りはこれをアメリカに寄託しないというような用意があるんですか。寄託しておいて、その後において決定するんですか。その関係をはつきりしてもらいたいと思います。重大な義務を負いながら、そういうことに調印しながら、この協定によつて受けるいろいろな兵器がまだきまらないというのは、やはり金を受取らずに借用証書を出すようなものであると私は思うんですが、少くともアメリカに寄託する前にいろいろな要求が充たされなければ寄託しない、こういう用意を以て当たられるものであるか。寄託と援助品目との決定その他はどういうふうな関係になつておりますか。

小滝彬自由党外務政務次官

○政府委員(小滝彬君) 非常によく御存じの通り、この協定は援助を受ける枠、又それに附帯する機密の保持というようなものもありまするし、先方は資材とか或いは完成兵器というものも渡さねばならん義務を負うわけであります。でありまするから、先ほど保安庁側から説明がありましたように話合いを続けておりまするが、併しこれはできたらそのときにぽんと全部を一切合財出すという性質のものでなしに、随時日本の計画に応じて供与せらるべきものでありまするからして、それまでにきまるものもあるし、又その後にも随時話合いをしてきめなければならん。かるが故に軍事顧問団などもやつて来るわけでありまするから、それまでにきまるものはきめる。又そのあとは必要に応じていろいろ話合いをして援助を受けるという段取りになるだろうと思います。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 只今保安庁のお答えでは、アメリカからの船の援助を、七千トン級についてはアメリカ側は難色を示しているようなお話がありました。若しそれが貸与できないと防衛計画が狂つて来ると思うのです。今の防衛計画ではアメリカからの十六隻ですか、それからトン数、艦種というものが前提になつて防衛計画ができているはずです。従つてこちらで希望するそういうトン数或いは艦種についてアメリカ側のほうで貸与してくれなければ、防衛計画が狂つて来る。その点伺いたいことが一つと、それから二十九年度予算の保安庁の予算はアメリカ側から貸与される艦種或いはトン数、そういうものを前提として組まれておるのです。そうしますと予算は違つて参ります。この二点についてお伺いしたいと思います。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。先ほど官房長からも説明いたしました通り、このものにつきまして若し難色がありますならば、それに相当するような代りのものをもらうように交渉をいたしております。併しまだ難色があるかどうかということは確定的なものではありません。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 代りのものというのがおかしいのであつて、例えば七千トン級のものが来ないなら、三千五百トン級のが二つ来たんでは防衛計画は全然違うんです、全然違います。それは専門的に言えば、或る艦種、或るトン数、そういうものを前提にしてやる。じや代りというのはどういうものですか。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。これは補給工作船のようなものでございますので、大体その用途にかなうようなもので、駆逐艦の母船的な役目を果すものならば代りになるものと思つております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 私も今お尋ねしようと思つていたのですけれども、その代りのものとかとおつしやいますけれども、同じ性質のものならそれはいいけれども、例えばこの七千トンの母艦のごときは、これが来なければどういうものをよこすんです。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) 只今お答えいたしました通り、やはり駆逐艦の母船として補給工作に役に立つものを頂きたいと思つております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 大体MSA援助では千五百トン以下のものに限られておるはずなんです。そうすると、代りのものといつてどういうものが来るのですか。そこでMSA援助で来るものは何トン、MSA援助以外のもので来るものは何トン、どういう性格のものが来るかということをお示し願わなければ、二十九年度の予算の審議ができないということになる。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) お答えいたします。この問題につきましては、衆議院の予算委員会におきましても御説明申上げたのでありますが、先ほど申上げました船の中で千五百トン以下のものはMSAの協定によりまして頂くことになりました。期待するわけでありますが、千五百トン以上のものにつきましては、別個の船舶の協定を結んで国会の承認を受けるというようなやり方によりまして、供与の期待をすることになると考えております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 だから、そういうものを具体的にMSA援助で幾ら、その他のもので幾ら、どういうものが来るということをはつきりしなければ、この二十九年度の海上部隊の予算はこの保安庁の希望によつて、希望した要求によつて組まれておるはずなんです。そんなどの船でも乗ればいいというようなものではないんですよ。それをはつきり示さなければこれは予算の審議ができない。それで、聞かれては困るというので今度あなたたちは機密保護法というようなものを考えられて、我々の審議を、今後国会における審議を封殺しようとしているじやないんですか。どうですか、そういうことは。そうでなければここでちやんと示したらいいんです。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) この期待……、受けます内容については機密保護法とは関係ありません。今申しました通り、十七隻ばかりの船を借りる交渉をしておるのでありまして、この希望する量に基きまして我々の予算を組んでおるわけであります。大体この十七隻の船はその通り大体我々は借りられるものと期待しておるのであります。従いまして、その予算を御審議願つておる次第であります。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 今小林委員から述べられたように、日本側が期待されておるのは七千トン級の駆逐艦母艦、二千四百二十五トンの駆逐艦、千六百三十トンの駆逐艦、それから千六百トンの潜水艦、千六百トン級のLST、こういうみんな千五百トン以上のものが殆んど大部分です。然るにそれはMSAではもらえないことになつておる、今もお話の通り。そうすると、それは船舶貸与協定その他でやるのだとおつしやるが、予算においては何らそのことは前提になつていないと思うのですが、それはどうですか。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) アメリカのほうにおきましては、駆逐艦を含めまして二十五隻のものを東洋向けに出すという法律ができておりまして、その法律に基きまして我々は千五百トン以上のものは船舶協定によつて貸与を受けることになると考えております。従いまして、その話合いがつきますならば、日本側においてそういう協定を日米間に取結ばなければならない、こう考えておる次第であります。その内容等につきましては、予算委員会においても明瞭に説明して参つたところであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 ちつとも説明されていないじやないですか。具体的にあなたたちはこれだけの人間を置く、アメリカからMSA援助で船を借りて、供与を受けて、それにこれだけの人間を乗せて、これだけの金がかかるということは予算書に書いてあります。そこでどういう船に乗せるかということを今お尋ねしているのにちつともお答えがない。故意にされているのか知りませんが、ともかく相当交渉は長期に亘つて行われて、すでに結論に近いところに来ておるのじやないかと思う。それを国民にちつとも知らさないで、でも答弁しないで、そうして国民の膏血を絞つたところの税金をそういうものに勝手に使おうということは非常におかしいと思うのです。もつと正直に答えたらどうです。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) 先ほど官房長から答えたと思つておりましたけれども、もう一度申上げます。二千四百トン級の駆逐艦二隻、千六百トン級の駆逐艦三隻、千四百トン級の駆逐艦二隻、千六百トン級の潜水艦二隻、そのほかに掃海艇大小合せまして五隻、輸送船LST二隻、七千トン級の補給工作船、駆逐艦母艦でありますが、これを一隻、合計十七隻期待しておる次第であります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 期待はわかつております。それは私が申上げた。そのうち七千トンは、これはアメリカは日本で建造せよと、こう言つておるのでしよう。それから二千四百トンの駆逐艦二隻は、これはアメリカで五カ年も前に製造を中止したからこれは駄目だ。それからあとのまあ小さいものをやろうと、こういうことになつておる。それでは今予算に組まれてある金は必要がないと、変つて来ると、こういうことなのです。だから、こういうような予算がどういうふうに変つて来るのかということをお尋ねしておるのです。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) 先ほど申上げました通り今我々のほうとしましては、現在まだ交渉中でありまして、今期待しておるのは借りられるものとして予算の審議をお願いしておるわけであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 そうすると、わからないけれども、これだけ組んで行こうと、こういうことなんですか。この予算はあなたのほうで、よくわからないけれども、大体このくらい要るだろうと、こういうことなんですか。これは国民は税金を払つて、そうしてこの装備をするのですから、そういういい加減なことじや困ります。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) 先ほどもお答えしました通り、我々が期待しておるものが借りられるものと考えておりますので、それに必要な経費の御審議を願つておる次第でございます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 問題は船舶貸与協定、艦船貸与協定の問題だと思うのですが、これは予算の前提になることなんです。従つてその協定が成立つておるならば問題はないのですが、これはどうなんですか。アメリカとそういう協定があるからとおつしやいますけれども、アメリカの国防じやないのですから、日本が自立的にきめると言つておられる。アメリカにありますから日本はそれを期待して予算で御審議を願いたいと言つても、我々はそういうものの審議はできない。

前田正男自由党保安政務次官

○政府委員(前田正男君) 先ほどお答えしましたのは、アメリカのほうは極東向けに貸すことはできることになつております。我々のほうはこれを借りるべく現在交渉いたしておる段階でありますので、これが借りられるものと期待して審議をお願いいたしておるのであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 では、さつぱりはつきりしませんけれども、又一般質問の際にやることにいたします。私はこの際、MSAによる小麦の輸入が、日本の農業に与える影響が極めて甚大であると考えられますので、このことについて若干のお尋ねをいたします。  アメリカの余剰小麦が五千万ドル輸入され、そうしてこのうち小麦が五十万トン、大麦が十万トン入る予定になつております。が、来年は一体どうなるんですか。今年はこうだけれども、来年はどうなるんですか。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) MSAの協定は、一九五三年、五四年に限つての協定になるわけでございますから、来年度こういうものが受けられるか受けられないか、これは全然今日の問題ではないと私は思つております。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 そうすると、来年は全然入らないと理解していいですか。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 小麦の買付輸入につきましては、内地食糧を確保するという上から行きまして、輸入計画は来年度百九十六万トンの輸入計画を立てておるわけでございます。従つてこれはMSA協定、或いはその他の類似のことがあるなしにかかわらず、これだけのものは買付輸入をしなければならないという計画を立てておるわけでございます。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 私はこの日本独自の輸入計画と、このMSAで入つて来る麦とはその数量は同じであるけれども、その性格は本質的に違うからお尋ねしておるのです。それは、アメリカは一昨年史上空前の小麦の大豊作でして、昨年も又豊作、今や過剰農産物の処理をめぐつて、米国政府、議会は農業者の陳情を受けて、その対策に苦慮しておることは農林大臣も御承知の通りでございます。そこでアメリカの景気が下向きになつて、この混乱は更に度を加えて、来年はこれを緑の叛乱、この麦の氾濫を緑の叛乱と言つておるのです。この氾濫を米国政府は海外に鋒先を転じて解決しようとしているのです。それで海外とは何だというとアジア、日本であります。MSA協定の一環として、五千万ドルの小麦が買付輸入されましたけれども、今度はもつと大量のアメリカ小麦が日本に流れ込むことが予想されるのです。これを農業界では、アメリカ農業恐慌の対日侵略と言つているのであります。そうしてこれを非常に今重視しているわけであります。アメリカの農業恐慌の影響を日本が受けないようにするのが当然なのに、今の政府のやり方は、MSAというパイプを通じまして積極的にその波をかぶろうとしている。それでこのような侵略を政府は防ぐつもりがあるのかないのか、そこをお尋ねいたしたい。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) これは小林さん御承知の上のことだろうと思いますから(小林孝平君「いや余り知つていない」と述ぶ)申上げることはないかと思いますが、二十八会計年度の小麦の輸入計画は、当初百五十七万トン予定しておつた。昨年の凶作によりまして、米及び小麦の輸入計画を大幅に引上げまして、今年度百九十七万トン、来年百九十六万トンの小麦の輸入を必要とする。これはアメリカの農産物が余つているから、余つておらんからということじやなしに、国民の食糧を確保する最低の必要量を確保するための計画である。そこでMSAの協定がありましようと、ありませなかつたにしましても、それだけのものは必要とするわけであります。たまたまMSA協定ができますれば、その枠内において、市場価格を乱さないようにして、輸入買付をするというのがこの協定でございますから、そこは誤解のないように。従つてそのために我が国の農村、農家をこれによつて圧迫をして来るという性質のものとは全然違うわけでございます。その点は誤解のないようにお願いします。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 農林大臣はそうおつしやいますけれども、これはMSA協定で入つて来る小麦というものは、日本が独自に輸入計画を立てて輸入するものとは全然性格が違うのです。今アメリカでは過剰小麦に弱つている。国内は小麦が氾濫しているわけなんです。それで先ほども言つているように、アメリカ農業恐慌の対日侵略、それはこれを言つているのです。大臣はよく御存じになつてそういうことをおつしやつている。同じ入つて来るにしても、そのあとに小麦がダブついている場合と、そうダブついていない場合ではその圧力が違うのです。大臣はそういうことをよく御存じになつて、そういう御答弁をなさるから困るのです。全国のこれは農民が全部これを注視しているのです。あなたはこの声が聞えないということはおかしいのですよ、農林大臣として。それで具体的にあなたはこれをどういうふうにして防ごうとしているのか。少くとも私は農林大臣としては、このMSAの小麦が入つて来る、そのうちで一千万ドルは日本で使える、こういうことならば、その一千万ドルのうち、少しは農業の食糧増産にも使おう、小麦農家を積極的に保護し、小麦の増産をするのに使おうという交渉ぐらい、交渉というか、閣内においてはそういう主張をされるのが当然なんです、農林大臣として。あなたはそういうことをおやりになつたかどうかということをお尋ねします。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 我が国の農村が、アメリカの過剰小麦、農産物によつて非常に不安に感じている、MSA協定で入つて来る小麦は、農村の圧迫になるのじやないかというような全然誤解に基く不安を持たれる方もありますから、先ほど来申しますように、そういう性質のものではありませんということを申上げているわけでございます。  なお、MSA協定の金を食糧増産に使う等の努力をしたか。これはMSAの性格からして、そういうふうな方向には使えない性質のものであることは御承知の通りであります。

小林孝平日本社会党(第四控室・左)

○小林孝平君 使えない性質ということは何もきまつていないのです。そういうことは交渉してきまるはずなんです。これをどういうふうに使うかということはまだはつきりしていないかも知れないけれども、こういうふうにまあ内々相談する間にあつて、農林大臣としては、これは日本農業に対する影響は甚大なものがあるから、こちらのほうにも使わしてくれというくらいの主張をされるのが当然です。あなたはそれをサボつておつて、今頃になつて使えない性質のものだというようなことは非常におかしいです。大体MSAの援助は、政府は頻りにこれは経済援助が相当来ると言つて宣伝したのに、少しもないということになつて、軍事援助が大部分だというので、それをごまかすために、この小麦の、余剰小麦を日本に持つて来ることにしたのじやありませんか。だからその金の一部分を使うくらいのことは、あなたは農林大臣として交渉されるのは当然なんです。それをですね、頭からそれはそういう性格のものでないなんて言つてすましていたつてそれは駄目です。そういうことだから、この食糧の増産がいつまでたつても達成されない、こういうことになるわけです。  時間も参りましたようでありますから、いろいろ更に申上げたいけれども……、本日は御質問をいたしましたけれども、いずれも極めて答弁が不十分であります。故意に不十分にされているのかどうかわかりませんけれども、先ほどの保安庁の次官からの御答弁のごときは、これは予算の審議ができないと、我々は予算の審議ができないというような状態に今なつていると思うのです。私は更にこれは一般質問の際にお尋ねいたしますけれども、もう少しまじめに、国民に誠実にその政府の考えていることを示さるべきだと思うのです。ただその場限りに、時間が来るとか何とか、話をしてれば何とかなるというような政府の態度は甚だ遺憾だと思うのです。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 吉田総理大臣に対して御質問を申上げます。  カナダのサン・ローラン首相が親善訪問をなされて来ておられますが、老宰相がわざわざ日本に出向かれた、来られたというのは、やはりカナダにとつても何らかの重要な意義があるのだと思うのです。特にMSAの協定にからまる日本のアメリカからの小麦輸入ということは、カナダを非常に刺激しておりますし、この日加通商協定というものがなされる場合においても、特に、今年は別といたしまして、来年度からどうなることかということも憂慮されていると思いますが、ローラン首相とお会いになつて、何かそういう問題に関してもお話をし、吉田さんの言われるいわゆる日本は……自分は必ずしも向米一辺倒ではないというのを何か証拠付けるような成果を挙げようとしておられるのでしようか。その点を承わりたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私のローラン首相との話の内容については、詳細御報告をする自由はありませんが、概括して申せば、首相は世界一周の途次日本に見えて、殊に日本とカナダは太平洋を隔ててのいわば隣国とも言つていいようなことであり、又従来においても親善関係にあるのであるから、今後ますます経済的にも、政治的にも親密の度を加えたいという希望を述べておられました。又その趣意でおいでになつたものと考えます。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 西ドイツのアデナウアー首相は、七十八歳からの御高齢であつても、今国内政治、国内の経済建設の打開、特に賢易面の打開は、国際的な調整がなければならないという信念の下に、感情的に対立しておるところのフランスヘ、或いはギリシヤへ飛行機でみずから訪問して、そしてこの国内政治から国際的な調整へという方向に向つて足を踏み込んでおりますが、これに関連して考えさせられるものは、今の小麦の問題にいたしましても、日本のこの人口が非常に殖えて行く。年年百二十万から殖えて行く。而も領土は狭められても、移民の問題に対しての根本的な解決案がなされていない。ブラジルにおいて好転していると言いますが、ほかにおいて見るべきものがない。こういう人口の問題、移民の問題、貿易面のこの行詰り、又これと結付くところの賠償の問題、こういう極めて根本的な問題が積み軍なつております。総理大臣はそれに対して、特にこの移民の問題と貿易の問題に対して、どういう根本的な打開策を持つておられるですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをしますが、人口の問題につきましては、常に申しますように、これは国内的に、或いは国際的に考えべき問題で、人口の増加は日本ばかりではないのでありまして、各国共に増加し、減少する国は少いので、人口問題は今や世界の問題であり、この問題が解決せられない限りは、世界の平和ということも確保はできない。故に、人口問題はただ一国の問題でなくて、国際的に考えられているのであります。国際的にどう解決するかということの問題は別といたしまして、国内的にも、日本として国内移民といいますか、まだ未開発の北海道あたりにも移民のための空地もあるでありましよう。殊に日本としては、どこの国でもそうでありますが、人口は自分の国の産業によつて吸収せられるのが最も有効な人口問題の解決でありまして、ただ現在の日本の貿易が不振である、或いは産業が期待するほど殖えないということが憂いでありますが、この問題を解決することによつて、又日本の人口問題も自然解決する遂に向う、こういうこの解決方法が最も自然な解決方法であると考えます。併しこれはなかなかいろいろな問題がありますから、今ここで簡単に申しますが、いろいろな前提条件があるので、この前提条件なり、この問題は挙げて国民が協力して、この問題を協力一致で以て解決するという考えでなければ、容易に解決ができない問題であり、政府としては十分この点については努力いたしたいと思います。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 総理大臣の言わるる北海道の開拓なり、或いは日本の貿易の行詰り打開による産業復興による吸収なりということは、当然考えられなければなりませんが、もつと根本的に海外にやはり移民するということを堂々と世界に訴える必要があると思うのです。で、南米諸国だけでなく、例えば濠洲のごときは、日本と非常に感情的に悪いのです。併しながら私がインドの国際的な会合で濠洲の外務大臣のお子さんに会つたとき、或いは濠洲の圧力を受けているニューギニアの人喰人種と言われたパプアの国会議員に会つたときにも、これらの有識者は日本の人口的な悩みというものを非常に理解して、そうして何とかしてこれは日本だけの問題でなく、世界的な規模によつて解決しなければならんという同情ある眼を持つているのです。問題は、国際的な圧力に萎縮していることでなくて、日本の行詰りの真実を世界に訴えて、そうしてこれを打開しなければならんので、日本は今西ドイツのアデナウアー首相のように、全身全霊を打込んで世界に訴えながら、日本の国際的地位を確立する必要があるのだと思います。吉田総理大臣は、その意味においてやはり一個の有資格者だと自分から自認せられておると思うのですが、そこで吉田首相が四月中旬頃海外に行かれるという話が新聞にも伝わり、又岡崎外務大臣も外務省でいろいろ外国と連絡をとつているような話をしておりますが、総理大臣は国会における質問に対して、まだきまつていないからと言つて、明確に答弁しておりませんが、首相が海外に行かれる期日を明確にすることができないのは、今の造船疑獄の政界に対する波及ということによる政治不安定を背景として、今明言できないのでしようか。それともそういうことがなければ、率直にやはりカナダのサン・ローラン首相のごとく、或いは西ドイツのアデナウアー首相のごとく、民族の苦しみ、悩み、行詰り、これをみずから身を以て打開しようとする意気で進んで行くのだから、国会においてそれを明言してもいいと思うのですが、その点は如何でございましよう。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 私は、戦後長い間日本が国際的に閉じ込められた日本として、更に世界への接触を増加するために私が参つたほうがいいとは考えておりますけれども、これは相手国の事情も、都合もあります。例えば国際会議もだんだん開催せられるとか、或いはいろいろな政治家の間の交通といいますか、訪問の交驩とか相当行われておるので、相手国の都合もあります。又国内の事情、或いは国会も開会中であります。かたがた未だ出発の時期等は新聞がいろいろ書いておりますが、決定ができない事情は今申したような事情で、まあできれば行きたいと思いますが、まだ決定しておらないのが真相であります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 それではこの予算案が成立して、重要法案が大体通つた項の四月中旬に出発するであろうと言われているのは、大体当らずとも遠からずということですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えいたしますが、これは当らずして遠くあります。(笑声)国会の開会中でもありますから、四月中旬は無理だと思います。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 まあ総理大臣が一番心配されているのは、いつの施政方針演説を聞いてみても、やはり貿易面における打開ができない点だと思いますが、そこで貿易面の打開をするために、日本の国内物価を下げて、生産コストを引下げなければならんという主張が今日なされておりますけれども、吉田内閣の下における小笠原蔵相、愛知通産大臣の国会における説明においては、せいぜい五%か一〇%しか物価の値下りは期待できないと言つておりますが、朝鮮動乱の勃発後の各国の物価の騰貴率は、アメリカが一割、英国が二割七分、日本が五割六分、こういう状態になつているときに、五%や一〇%の物価の引下げにおいて、果して貿易面の打開ができるとお考えでしようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) これは過日申しましたごとく、私どもは日本の物価を漸次国際水準まで持つて参り、そうして国際競争力を付けたいのでありまするが、併し経済問題というものは、物を一気呵成にやろうとすると怪我が多くて誤りが多いのであります。従いましてこの二十九年度の緊縮予算を一つのまあ足掛りとして、金融の引締めだとか、各種の政策をやることによつて五分乃至一割、言葉を換えて言えば、二十七年度の物価のところまで持つて参る。そうしてそこの程度まで国際競争力を回復させ、引続き、なおそれでは不十分と考えられまするから、三十年度も必要であればそれに伴う諸施策を積極的に進めて参る。なおそれでも不十分であれば、或いは三十一年度にも若干及ばなければならんと考えます。大体二カ年間をやれば、その程度のことをなし得るだろうと私どもは考えておるのであります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 日本の物価水準が国際的に割高である原因としては、第一に、為替レートの検討、第二に、原料輸入先の不合理の調整、第三に、国内の利子高の是正ということが要望されなければならないのです。こういう根本的な問題に関して、昨日の閣僚審議会においては具体的な対策が出ておりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 今お話になりましたうち、私どもは物価というものは総合的の施策で以てこれを下げて参りたい、かように考えておるのでありまして、言い換えれば今度の予算の緊縮もその一つであり、或いは例えばオーバー・ローンに対する金利の引上げもその一つであり、金融の緊縮もその一つであります。又外貨等に対する割当の是正といいまするか、まあ私どもは是正をしたつもりでありまするが、それなどもその一つであります。併しながら為替レートを変えるというようなことは絶対に考えておりません。飽くまで為替レートはこれを堅持して参る。それから又金利の問題につきましては、これはもう少し先へ行つて、日本の経済が上調になつたときは、これは金利が安いほうが勿論それだけコストが安くなるので、低金利政策を貫きたいと思うのでありますが、現在の段階はそうではございません。今の物価を支配するものは、勿論物価を支配する大きな原因は何といつても需要供給であると思います。従いまして供給面を増加するか、需要面を減ずるかということが主たる問題になつて参ろうと思いまするが、併し今のような段階で一番働らくものは、何といいましても、一つの人心といいますか、人気作用、先物に対する判断というものは非常に大きく働きまするので、今そういつた諸施策を皆盛込んで、先に申しました、先ず二十七年度の物価の所まで持つて参りたい、かように考える次第でございます。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 吉田首相が今回の施政方針演説において、我が国の窮状の打開は、単なる財政の圧縮のみでは不可能だ、二十九年度においては、我が国の経済の基調を、積極的な物価引下げ及び円の対外価値の強化及び通商貿易の振興、従つて国際収支の発展的均衡に最善の努力を傾けると言つておられますが、実際吉田内閣の下にやられている財政政策は、今まではこの逆で、それがために今のような失敗をして来ているのだと思いますが、そこでこの貿易の打開に関して愛知通産大臣に承わります。  西ドイツが日本以上の打撃を受けながらも、日本の吉田内閣の歴代のでたらめな財政政策と違つて、まともな財政政策をやつて来たたにめ貿易が振興し、先ずそのときにEPUの欧洲決済同盟に参加して諸外国に販路を開拓し、(「通産大臣はどうした」と呼ぶ者あり)……通産大臣は。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 衆議院本会議に出席中でありまして、政務次官が出ておりますから。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 それでは政務次官でもこれはよろしうございます。  ガットに参加して、貿易の国際的地位を強化した。第二に、朝鮮動乱後、米英諸国は工業力を再軍備に向けたその隙に世界市場を開拓したこと。それから国内的な問題、貿易上のいろいろな対策といたしましては、第三に、金融、租税、為替の面で強力な輸出助成策をとつたことでありますが、日本は、このガットに加入すると同時に東南アジア、或いは中共貿易の拡大、或いは輸出助成対策というようなことに対して、西ドイツに遜色ないだけの具体策を今持つておられるかどうか、それを通産省の当局者から承わりたいと思います。

古池信三自由党通商産業政務次官

○政府委員(古池信三君) お答え申上げます。今御指摘になりましたごとく、西独等におきましては、戦後著しい復興を見ておるのでございます。我が国におきましても勿論これらに学ぶ点も多々あるとは存じまするが、必ずしも西独の例そのままを日本にとることも妥当であるかどうかということは、十分に検討の余地はあるのでありまするが、いずれにしましても、御承知の通り戦後国勢の伸長と相待ちまして、経済は漸次充実化して参り、その正常化を推進しておるようなわけであります。又これによつて、御承知のように我が国の悪性なインフレも抑制いたしまして、かような経済体制の基盤の下において、輸出信用におきましても、或いは税法上又金融上においてできる限りの優遇措置を講じ、又具体的には輸出保険制度を整備いたしますとか、外貨保有制度を採用するというような具体策も講じておりますのでありまして、これらによつて、今後特に輸出振興に当りましては、通産省といたしましても力を入れて参りたい、かように考えておるのであります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 西ドイツの復興は、この吉田内閣の下における行き当りばつたりの財政政策と違つて、均衡財政によつて貫かれた健全通貨政策が資本の蓄積の観点から見ても、日本のようにインフレに伴う蓄積方式をとらず、生産設備の高度化による生産コストの引下げと、それから労働生産性の向上とに基礎を置いた生産安定中心の財政政策に成功したからだと思います。これと日本の吉田内閣の第一次石橋財政から小笠原財政に至るまでの歴代の失敗の跡を見ると、やはり西ドイツが早く立ち直り、日本が今のような青菜に塩のような状態に追い込められるのは当然だとこれは思うのです。で、小笠原大蔵大臣の今度の国会劈頭における懺悔演説、自己批判、これは相当厳しいものでありますが、それに対して小笠原蔵相はどういう責任感を持つているか。私はそれらを要約した点だけを指摘しまして、小笠原蔵相の信念を伺いたいと思うのです。小笠原蔵相は本国会の劈頭において、このような財政面の緩和も、国際収支の均衡を破らない限度においては差支えないと考えられたから、今日から見れば行過ぎであつた。又金融面においても、財政上過去の蓄積資金が放出されるのに対応し、信用の収縮が行われ、財政と金融との総合調整によつて経済が適正に運営されることを期待したが、実際は相当の信用膨脹を来たし、インフレ傾向を助成するような重要な要素となつたことを深く反省しなければならないと率直に自己批判をやつておりますが、この批判はよろしい。非常に正直である。だけれども、自分が一国の財政政策を行う責任者の地位にあつて失敗したからでは済まないのです。昔の武士ならば失敗したならば腹を切る。今は腹を切らなくとも大蔵大臣の地位を辞職するという手は残されておる。この責任によつて、どういう政治的進退をとるか。小笠原さんに率直な御意見を承わりたいのです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) やはり財政経済政策はそのときの情勢に応じて行くということが根本であると考えます。従いまして敗戦直後にいろいろ行われた政策は、あの時代においては止むを得なかつたものもあろうと考えるのであります。ドツジ政策がこの厳しいインフレから、インフレを断ち切つて厳格に行われた。併しあれがあのまま続いて行くと、日本の或る部分に破綻を来たしたかもわからんが、併し朝鮮事変というものがあつて、そのブームがこれにまあ幸いした。幸いした半面には企業の合理化、近代化等皆怠つてしまつて、さつきあなたがお話になつたように、よそが、アメリカが一割、イギリスが一割、二割のときに日本が五割六分も物価が上るということになつて来た。そこでこれはあなたもよくお気付きのように、日本が独立した。久し振りに何だか非常に伸び伸びした気分を与えたことも、一つの私はその当時の財政政策のやり方であつたと思う。併しながらもはやそれは許せない。今日の段階ではそれを許さないから、静かに過去のことを反省してみて、この新らしい情勢に副う財政政策を立てる、これが一番時宜のよろしきを得たものと考えておるのでありまして、私はどうも私自身があずかつてからの財政については、それはいろいろもう少しこうやつたらよかつたかなと思う点もありますが、併しあなたがおつしやるような、特に責任問題を考えなければならんようなことは、私自身の頭に良心的に何ら浮んで参りません。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 ちよつと関連して。簡単ですから……。只今大蔵大臣の御説明、私関連質問をする意思なかつたのですが、余りにお言葉が無責任過ぎると思いますから、どうしても私は一言大蔵大臣にお伺いしなければならない。今のお言葉ですと、ドツジ・ラインのときに、あのときに我々はこれはもう行過ぎである。あれはこのまま朝鮮戦争が起らなかつたら恐慌になつたかも知れないと言つたのです。政府はそういうことはないと言つて説明したのです。その後、朝鮮戦争後又インフレになつて来た。我々はこれはインフレになる、過去の蓄積資金をどんどん使えばインフレになる、それから又公債を出せばインフレになるから、そういうものは使つちやいかんと言つたのです。政府はそういうものはインフレにはならんと言つたのじやないですか、あの頃。インフレにならない、過去の蓄積資金を使つてもいいのだ、公債を発行してもいいのだと言つた。我我はインフレになると言つた。ところがその通りなつて来たじやないですか。そうしたら今度はこの予算を組むに当つてこの間の御説明では、二十九年度の予算においては公債は発行しない、過去の蓄積資金も使わない、だからインフレにならない……。だから前には過去の蓄積資金を使つたり、公債を発行することはインフレ要因であつたわけなんですよ。ところが前に政府がインフレ要因でないと言つておつた。今度はインフレ要因である、だからそういうものは使わない……。まるで詭弁なんです、そういうことは。その当時みんな我々が、我々と言つて、私だけじやございません。社会党の諸君みんな、野党の諸君がみんなこれに反対してはつきりと具体的理由を挙げて反対したのです。ところが今になつて大蔵大臣は……、これはみんな詭弁だと思うのです。私はその点について余り無責任……、今戸叶さんが責任を問われたことは、もう当然であつて、今の大蔵大臣のあれは余りに素人をだますにはいいですけれども、国会議員に対する権威ある大蔵大臣の答弁としては、余りに無責任過ぎると思うのです。もう一度私は所信を伺いたいと思うのです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は無責任と考えません。それはドツジ・ライン時分は、御承知のように占領政策上にあつたのだから、占領政策に対してかれこれ批判することを許されていない。誹諦することは許されていないから、ただそれに対してのいろいろなことについての話はあつたでしよう。併しながら丁度私が今さつき述べたように、あのまま行けば……、私はあなたと同じように私はあの当時考えておつた。それだからそのことが偶然ちよつと出て来たのだ。ところがその後の問題について言うと、一種の解放感といいますか、そこで又日本が占領中何もできなかつたのだから、ああいうこともやりたい、こういうこともやりたいということは山のごとくにあるのです。従つてその或る部分が実行に移されて来たが、併しそれは全部は実行に移されません。而もそれが過去の蓄積の全部を食つたわけではないことはあなたの御承知の通りであります。それはそうやつて来たが、それではやはり国際情勢その他が今日の事情を許さないから、それでこういうふうに変える必要があると、こう私どもは考えて二十九年度の均衡予算を編成しておるわけであります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 そう長い先の見通しというのは誤つたことはありますけれども、今の大蔵大臣の言うことは一年も経たない、もつと手近なときの二十八年度の予算編成に当つて、従来の財政改入の総合均衡方式を固執する必要もなく、或る程度の過去の蓄積資金を使用しても、財政基礎の拡充を期する必要があるなんて強調しておつたからこそあとで、頭は知りませんが、自分で自己懺悔をやつて謝つておると思うのですが、吉田さんは立派な政治家ですが、財政のことはわからん。少くとも財政の先頭に立つ方はもつとまじめじやないと、まるで吉田さんを唖みたいにして、唖に歩かせてめくらが吉田さんの上に乗つかつて指図をしているようなもので、あなたがめくら滅法の政策を図々しくやられる限りは、あなた自身の心臓は故障がないかも知れませんけれども、国民経済は破壊される。これは又あとで論争をやることにいたします。  転じまして私は農林大臣に対して御質問を申上げます。この国際収支の均衡という点で一番心配なのは、やはり輸入食糧の増大であります。この問題に関して二十八年度の総額は六億五千万ドルに上つておりまして、前年度から一億ドル殖えておるような状態であります。この米麦の輸入、特に米は高いから、これを減らして小麦に転じよう、MSAから求めよう、いろいろの苦心もなされているようですが、こういうどさくさにまぎれて、いろいろ砂糖だとかバナナだとかいうものが飛び出して来て不明朗な問題を起しておりますが、特に私は農林大臣にお尋ねしたいのは、吉田財政の黒幕と言われている池田さんが背景をなすところの名古屋精糖が、この三月までには日本一の精糖能力のある砂糖会社になつてしまうということでありますが、粗糖の割当をうまく取つて、それには設備を拡大したということによつて取るのだそうですけれども、そうするとべら棒な金が儲かる。精糖会社が今国民は砂糖が高くて困つておるときに、いろいろな政治的なからくりをうまく利用して何百億というふうに儲けて而もその精糖設備というものは現在の砂糖の消費量百十万トンに対して現在二倍の設備があり、それが三月末までに丁度名古屋精糖の拡張が完了するときまでには三倍になる。国民に耐乏生活を要求していながら、このようなでたらめな面に資本なり資材なんか使われているのではたまらないのですが、この砂糖問題も大分うるさくなつて来ておりますが、農林大臣としてはこの消費者としての国民の利益を守るためにどういう対策をお持ちですか。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 砂糖の問題は或る限度は国民生活の必需物資であり、限度を超えれば贅沢、不要不急物資であると、なかなか面倒な性質を持つております。塩のように或る限度以上は消費が伸びないものでございますというと、扱いが非常に簡単でございますけれども、どこまでが一体必需物資といえるかという点で非常に困難を感じているわけであります。最近の砂糖の価格は、先頃非常に暴騰いたし、又最近は非常に続落を続けているというように、いろいろの思惑が働いて価格の変動が行われておりまして、そのこと自体に対しましては非常に責任を感じているわけでございますが、精糖会社に主として外貨割当をいたして砂糖の輸入をいたしておりますゆえんは、粗糖のままで民食に供することが不適当であるというような結論に基いて、そうして粗糖で輸入をして加工精製の上に市販に供しているというこのやり方を一体変えるかどうかという点は、只今非常に研究をいたしておりますけれども、まだ私といたしましてこういたしたがよろしいという結論に到達をしていないわけでございます。いずれにいたしましても精糖工業が、台湾を失つて特に潰滅をして、そうして戦後精製糖を入れて、そうしてこれを消費者に渡すということになりますれば、精糖工業というものは日本に成り立つて来ないという関係から、産業の復興という一環からして精糖工業を国民経済の大きな利益として考えることも、これは経過的にはその通りであると思うのです。それに乗じて最近お話のようにかなりの過剰設備ができているようであります。現在割当てております点は、事務的に設備能力がどうであるか、実績がどうであるか、そうして平均割はどうなるか、かなり厳密な事務的な検討の上に割当てているわけでありますから、何か特別の会社名をお挙げになつて、そこに不明朗、不公正でも行われているのじやないかという誤解をお受けになつておられるようでありますけれども、私の承知している限りでは、さようなことは絶対にないと確信いたしているわけであります。ただ、現状でいいかどうかということにつきましては、今日の砂糖の価格の現状からいたしまして十分検討をいたしているわけでございます。結論を得ましたならば、御報告申上げるようにいたしたいと思います。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 農林関係の予算が今年は合計千百九十億八千百万円、前年度に比較すると五百二十八億三千万円も減つている。三党協定によつて九十億のうち十五億二千九百万円殖えたというが、全体として減つております。然るに食糧増産ということは非常に重要なのに、なぜこの食糧増産に関係のある予算が多く削られているか、その理由を農林大臣から伺いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 予算のことでございますから、ここに私どもといたしましては食糧増産五カ年計画というものを持つております。これができるだけその計図通りに達成されることを熱望いたして最善の努力を払いましたけれども、全体の配分関係からこういう結果に相成つているわけでございます。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 粉食奨励に関連がある学校給食の問題に対しては、具体的にどういう手を打つておりますか。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) この食生活改善の一番骨とも申すべきものは、やはりこの学童給食、これを強化して参るということが私どもとしてはいい方法だと考えているわけでございます。来年度は、前年度十五億七千万円の予算でありましたのを、学童給食のための予算としましては、十七億六千四百万円に増額を要求いたしているような次第であります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 農林大臣は酪農を非常に奨励するようなことを言つておりますが、予算に盛られた総額八億九千九百万円であつて、而もこの修正された部分におきましても優良種畜輸入に五千万円注がれたのに過ぎないですが、あれだけ大々的に言いながら、どうしてこの酪農奨励というものがこういうふうに狭められているのですか、その理由を伺いたい。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 成るほど金額といたしてみますれば、或いはそういう感じを持たれるのかも知れませんけれども、畜産部門というその部門の中におきまして、私は相当大巾の増額ができ得ていると考えております。例えば集約酪農地区による酪農振興の推進にいたしましても、前年度岩手山麓と、八ケ嶽山麓の二カ所に新設をいたしたのでありますけれども、来年度はこれを新設四カ所に拡充をいたすという一例からいたしましても、相当まあ今日の緊縮予算におきましては、この点は奮発を願つておると私はそう思つておるわけであります。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 畜産に対して割合いに冷淡であるのに反して、あなたの郷里の佐賀県には有明湾の干拓事業等がある関係かも知れませんが、干拓とか人造米に対しては、ばかに金を使つている傾向がある。特に干拓事業に対しては二十五億七千百万円、更に修正予算で一億八千四百万円も殖やしている。又一方この人造米の問題に対しては、人造米もこれには小さな造船疑獄と同じように不明朗なものが背後にくすぶつておりますけれども、政府斡旋によるところの融資が、政府資金の借入れ希望額七億五千二百十五万円に対して、政府の金融機関たる開発銀行、中小企業金融公庫から幹旋済みのものがすでに一億九千百四十万円になつておりますが、こういうところに少し依怙贔屓というか、片ちんばなとろがあるのではないでしようか。その理由を一つ承わつておきたい。

保利茂自由党農林大臣

○国務大臣(保利茂君) 干拓予算を何か非常に優遇している、是非優遇してもらいたいということで努力をいたしましたけれども、昨年よりも優遇されないような結果になつておるわけであります。大体修正せられましたところを以てしましても、昨年度の九九%というくらいになつておるわけであります。人造米の問題の背後に何か疑獄的なくすぶりがある。どうかこの点は若しそういうことがございましたら、徹底的に御審査を願うように私から希望いたします。さようなことは断じて私はないと確信をいたしております。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 時間がないから簡単に願います。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 まだ質問がありますが、最後的にお尋ねしたいのは、先ほど文部大臣がおらなかつたのですが、やはり文部大臣の失言問題と、もう一つはこの予算案の発案権と修正権の限界の問題を政府で明確にしておいてもらいたいのです。で、これは大蔵当局も、私は大蔵大臣は別として、予算編成に当つているところのまじめな人たちは随分悩まされていると思うのです。こういうふうな、この前のようなときにおいては緊急止むを得ない事態におけるこの修正予算案というものも考えられるし、いわゆる救農国会というものに便乗いたしまして、ああいうどさくさに造船利子補給というものがなされたのですが、我々は例えば造船利子補給というようなものを悪いとは思わない。けれどもやり口がえげつない。えげつないだけではない。これは木村君もあの当時において追撃をいたしましたように、一夜にして、とにかく十三倍にもせり上つて行くというのは、政府の発案者なり、この修正者なりどつちかにでたらめがあるからで、これは修正じやない。これは根本的な変化だ。こういうことがなされるのには今検察庁から手が入れられたから、みんなわかるけれども、手が入れられなくても、この予算面をいじくつている人が見れば、これは怪しいとすぐわかるはずなんです。わかつているからあの当時木村君が熱心に説いたのであるけれども、言論すらも封殺して、そうしてこの自由なる我々の討議というものはなされなかつた。国会における我々は言論の自由尊重というものが、この多数によつて時間が非常に制約せられて、少数の正しい意見というものも入れられないで、多数の力で言論というものがこの制約を受けている関係上、徹底的な審議というものがなされておらないのでありまするが、この予算案の発案権と修正権の問題に関しましては、前に大蔵省の主計局長であつた河野君の、ごときも非常にまじめに取扱つておりまして、彼の「予算制度」の中におきましては、「予算の積極的修正ができることは当然として承認されているが、他方内閣の発案権は尊重しなければならないことも明らかであるとせば、修正がこれを侵害するものであつてならんことは云うまでもない。つまり問題は、予算に対する積極的修正の能否でなくして、どの程度の修正になると発案権の侵害となるやの問題であつて、結局発案権侵害の意義如何にかかるものと言わなければならない。そして発案権の趣旨を全く没却してしまうような修正は発案権の侵害となることは明らかであるが、それがどの程度のものであるか、これは理論の問題よりは、むしろ、具体的の事例の問題であろう。」国会はかくのごとき事例に直面して、この内閣の持つているところの予算案の発案権に対して、国会の持つているところの審議権、修正権に対して限界がおのずから定まる。そこに議会制度の下における、内閣制の下におけるところの、責任内閣制の基礎というものがあるんだと思うのです。蛙に小便のような感覚しか持つていないところの小笠原予算を相手に、我々が三日間もこの問題を論じて実に慨歎に堪えないのは、我々が当面している個個の問題が起きたときに、その背後に、その根底にどういう矛盾があるかということをつきつめたいときに、徹底的にその問題を我々が掘下げて行けるようにしてもらわなければ、国会はまじめな理論闘争の場でなくて、結局は吉田内閣の末路を飾るようなスキャンダルの摘発による以外に政権を倒すことができないというような汚い足場に私はなると思うんです。そういう意味におきまして私はこの予算案の発案権と修正権の限界に関する問題は、これは立憲政治の下における、三権分立の原則の上において一番大切なことで まだ新憲法ができて間がないから、日本のこの国会運営の面において、いろいろな国政運営の面において、いろいろまだ解決できない問題があるんだと思いますが、政府もまじめに取組んでもらいたい。而も今度の三党協定におきましても、でき上つたところのものを見ますると、九十億円の修正を実施すれば、実際は百二十八億円の修正をしなければならないということになつているそうで、大蔵省官僚が非常にあわてているということですが、あわてているのが当り前です。そうして大蔵省のこの官僚の人たちが文句を言えば、政治権力を握つているところの人々の、この与党と言われる人たちが、役人の分際でふざけたことを言うなというようなことで恫喝している。この行政の組織におけるところの官僚の予算発案に対するところのまじめさは崩され、国会におけるところのこの責任政治の根底がとにかく揺がされて行く……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 戸叶君にちよつと申上げます。時間が終了しておりますから……、あとの人がまだ控えておりますから。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 すぐ結論します。これは極めて大切なことで、我々は吉田内閣に対して今後迫つているのは、この問題を中心としまして具体的事例を以てとにかく政策面で闘いたいと思いますが、これに対して大蔵大臣、それから大蔵省の主計局長並びに吉田総理大臣の御答弁をお願いします。先に主計局長に。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 主計局長は、大蔵大臣がおりますから別に要りません。私がお答えいたします。今お話の点の編成権いわゆる予算の作成権の問題につきましては、私も誠に御同感の点が多いのであります。勿論国会は修正権を持つておりまするから、如何ようなる修正もでき得るわけでありますが、併しそこにおのずから何と言いますか、おのずからなる限度があろうとは思います。併し法律的に何ら定つておりませんから、これは国会の方がたが十分個々の良識に基いておやりになるよりほかないと私は考えておるのでございます。なお、今回の分は百二十八億云々と仰せになりましたが、これはどういう根拠で仰せになつたか、さようには考えておりません。今度は九十四億になつておるわけであります、今度の修正は……。而も一般会計の四億は例の地方の関係の分でございます。地方を入れまして九十四億でございます。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 田村文吉君……。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 総理大臣にまだ……。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 所管大臣の説明を以て私の説明と御了承願います。

戸叶武日本社会党(第二控室・右)

○戸叶武君 いや、総理大臣の御答弁を願います。これは極めて総理大臣の責任に関連のある問題でございますから……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 総理大臣は大蔵大臣の答弁の通りだということでございますので……。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 大分遅くなりまして、総理には或いは御迷惑かも知れませんが、三、三の問題が頗る私時節柄重大な問題であると考えますので、御答弁をお願いいたしたいと存ずるのであります。  物価の引下げということは総理も言つておられまして、これは輸出の振興をする、又これによつて民生を安定せしめるということは、これは国の要請であり、現下の政府の命題であると考えております。然るに政府はそれぞれに若干の理窟は無論ありましよう、ありましようが、鉄道運賃の一部を値上げしたり、煙草の一部分を値上げして予算に組入れておられるのでありますが、更に又電気料であるとか、或いは放送料金の値上げというような問題が次々と起つておるのでございまするが、勿論値上げにはそれぞれの理窟もあり、又大衆的な影響等も考えてというようなことは私もよく承知いたしておるのでありまするが、今日の経済が極めて困難な状態に立至つておりまして、何としても物価の値下げをしなければならない、少くも物価を上げてはならないこの大切な時期に、政府又は関係機関が値上げの予算を組まれたということは、政府の大方針に背馳するものではないか。いろいろの小理窟はありましても、これを大乗的に見まして甚だ面白くない。私は昨年の暮に米価の値上げをされました、又官公庁の労働賃金の値上げがございましたが、どうかこれを最後といたしまして政府は政府の力の及ぶ限りのものにおいては、如何なる点につきましてもはつきりと今後物価の値上げ、或いは労働賃金の値上げ、官公労の値上げ等はしないという方針をこの際示されることが、いわゆる耐乏生活を向上し、それから緊縮政策を我々は進んで行かなければならない今日の場合においては、とるべき当然の考え方でないかと思うのでありまするが、それに対する総理の私は御方針を承わつておきたいと存じます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 御趣意については御同感であります。物価の引下げということが課せられた命題であり、そのために耐乏予算と申しますか、消費の節約を図ることに全力を尽しておるわけであります。今お話の鉄道運賃の値上げとかいうような個々の問題については、所管大臣からお答えいたさせます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) これは今度の予算が物価の値下げを要望することから来ておるのでございまして、この根本方針は田村さん仰せの通りでありますが、ただ鉄道にいたしましても無理が出て来てはいけないので、而も物価に影響せざるよう特に旅客運賃の一、二等の分に限りまして、而も通行税だけを外枠にしたというので、物価、運賃、いわゆる貨物運賃その他三等のこれに響くものはやらなかつたことは御承知の通りであります。更に煙草につきましては、これは今度の奢侈を抑制するという見地から来ておるのでありまして、煙草の値上げというと、何か煙草をむやみに上げたように見えますが、これは今まで一番高級と見られているピースを五円上げるだけで、ほかのものは一切上げていないのであります、而もこれは何が故に上げたかと言いますと、申すまでもなく少額所得者の減税を行うためにやつたので、こういうことのために少額所得者が今の現在の方法のままなら約二十万人ほど、それを現在の新らしいなにで行きますと五十万人ほどのこれが少額所得者が税を免れるのであります。従いましてこれがむしろ私ども物価の引上げとかいう、そういう考え方とは全然観点を異にいたしております。電力料金その他の問題につきましては、只今のところさような考えは持つておりません。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 さような私は大蔵大臣から細かい言訳的のお話を伺いたいということではなかつたのです。若しそんなことを仰せになりますと、この前出したその二等運賃と三等運賃を上げたときに、二等は戦争前に比べて比率的に高くなり過ぎているので値上げを加減しようじやないかということが同じ自由党内閣においてこれはなされた。でありますから今日になつて二等運賃、一等運賃はこれは議員さんには関係はない、運賃が上つたところで何も関係はないが、こういう問題で値を上げるというような感じを与えるということが、僅か二十億か幾らかの金でこういうことをなさる、そういう小乗的なものが私はいけないのじやないか。それからこういう場合にはもう上げないというのはすべてを上げない、このくらいの勇気を持つてなして頂くのが必要なことではないか。で私は一一例えばピースというものは、ピースは高級煙草とおつしやるけれども、ピースというものは今日決して高級煙草というものの資格を持つておりません。そういうような一々細かい問題を私はお尋ねをするのではなくて、政府は若し低物価政策をどうしてもとろうというならば、この場合にいろいろの理窟はあろうが、こういうものは値上げしないと、すべて上げないと、こう行かれるべきであつたのではなかろうかと思います。こういう意味で私はお尋ねしたのでありますが、すでに予算は御提出になつておる。私どもはその予算については十分検討いたしましてお伺いいたしたいと考えておるのでありますが……。  次に、一番大きな問題になりますのは、電力の値上問題であります。これはあらゆる物価に尽大な影響を及ぼすことは申すまでもないのでありまして、電力の新規開発をするものがその原価が非常に高くつく、従つて或る程度の値上は止むを得ない。これは理窟も私よくわかつておりますが、今年のように非常に豊水期で電力会社には相当の黒字が出ておるはずであります。又電力の再編成以来というものは各電力会社の整備というものは必ずしも十分に行なつていらつしやらないように私は見受けているのであります。こういうような点から考えて、少くも今の政府が低物価政策で行くのだ、又物の値は上げないと、こういうことを言つておられるときには、かようなものは値上げは絶対にしない、少くとも一年間くらいはしないということが必要ではないか。政治というものは大きな線で筋を打立てるということが政治であります。細かい一々の理窟や答弁を聞くという意味でなしに、大きくそういう線を打出して行くことが本当の政治ではないか、こういう意味に考えますので、電力問題につきましては私はいろいろ公聴会を開かれたり、御研究中でございまするが、どうか私は現内閣としては少くもこの一年間はそういうものには触れさせんというようなお考えをお持ちにならんかどうか。これをお伺いいたしたいのであります。勝手でございまするが、この問題は大きな問題でございますので、願わくば総理からこれに対する大体どういうお考えをお持ちになつておるか。細かい問題の、こういう理由で上るとかというようなことは、私はよくわかつておりますから、その御答弁には及ばないのです。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 御趣意は私も賛成でありますが、理由については主管大臣からお聞きを願います。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 私はその理由はとにかくですが、まだ御決心がおつきにならんければならんでよろしいですが、先ず総理からそういうお考えをお持ちを頂きたい。そういうふうにやつてもらいたいと、こう私は考えますので、総理にお伺いしたので、値上げの理由というようなことを述べますると、一時間やつても二時間やつてもなかなかきりがないのであります。この問題は私は理由の問題には触れないで、大乗的にこの問題を一つ解決して頂かなければならん。こういうことを総理に希望いたしまして、あえて総理がまだ肚がおきまりになつていらしやらんければ、いらしやらないで結構でございますから、あとでその問題をお伺いすることにいたしたいと思います。  それから次に、大蔵大臣に主としてお伺いいたしたいのでありますが、これは非常に大きな問題に私はなつていると思うのですが、今日も三度ばかり御発言になつておりまするが、金融の引締め、金融の引締めということを盛んにおつしやつておられる。ことごとに、均衡予算と共に、現在の今度出した予算は超均衡予算であつて、而も一面において金融の引締めを強調されておるのでありまするが、無論その御趣旨は何とかして物価を引下げたい。こういうお心持から出ておるのでありまするから、私はその御精神には賛成するにやぶさかでないのでありますが、ただ、金融の極度の引締めをなさるということは非常に危険なことでありまして、これで生産費が安くなると思つたら大間違いです。これは徒らに一時的に経済界に混乱をせしめるだけでございまして、これによつて生産費は少しも安くならないから、従つて終局において物価というものは安くならない。ほんの一時的に安くなるだけでありまして、継続して物価が安くなるということにはならんのであります。私はむしろ反対に生産的のものに対しましては、決して不当に放漫におやりなさいとは申上げませんけれども、各業種、あらゆる産業に対しまして十分の資金を御供給なさることが今日非常に緊急に必要な状態になつておるのではないか。これによりまして合理化も行われ、生産費を切下げ、もつと生産を増加して、従つて輸出というものが出ると、こういうような方法が考えられるのでありまするが、今大蔵大臣のおつしやつておるのは全く反対の行き方で、金融の引締め、金融の引締めということを仰せになつておられるのでありまするが、私甚だこの点は遺憾に存ずるのでありまするが、大蔵大臣は……、なお、私は参考までに先刻お話が木村同僚議員からも出たようでありまするが、昭和二十三年から二十四年、いわゆるドツジさんの来るまでの日本銀行の政策は、このインフレを如何にしてとめるか、物価と賃金の悪循環を如何にしてとめるかという一手を、ただ日銀券の発行を抑える、抑えるということで来られたのであります。無論は絶対効果はなかつたとは言いませんけれども、それではインフレは収束しなかつた。なぜかというと生産が伸びないのであります。非常に生産というものが、二十三年、二十四年というものは伸びるべき生産がそう伸びない。こういうことでありますから、品物がなければだんだん人間の欲望というものは、平和になつて来れば来るほど、いろいろの欲望が起つて来る。ところが生産がそれに伴つて行かない。だからインフレはますます進んで行つた。そこヘドツジさんがやつて参られまして、非常な超均衡予算をやつて、先ず一番国内において大きな消費者と考えられるもの、而も不生産的な消費をやるのは何かと言えば、国家だ。国の財政を引締める以外には方法はないのだ。これを極端に引締めて内部的に留保金も積み、そうして誠に私どもは非常に痛い目にあつたのでありますけれども、これによつて日本の経済は、朝鮮事変が起らなかつたら、恐らく私はそれでずつと行つたろうと考えておる。成るほど今の総理は一兆億円でとめた。これも総理の鶴の一声で一兆円でとまつた。とまつたのでありますが、私どもに言わせれば昭和二十六年の実際の最後の、最終予算というものから計算いたしますというと、二十六年においては八千億、だから八千億ぐらいの予算をお組みになつて初めて超均衡予算だと言つていわゆるドツジさんに笑われないだけの予算をお組みになるなら、私は大いに敬服するのでありますが、そのほうは一兆円で、又今度の三党修正によつて五十億の予備費も削つたりなんかして百億からの金を出している。こういうような考え方では絶対に、私は一面においてただそのしわを金融の引締め、金融の引締めでお締めになつて行つたのでは、日本の産業界というものはたまらない。これでは日本の復興はできない、こういうことを私は恐れるのでありますので、先ず第一段にこれに対する大蔵大臣の御所見を一つ伺いたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) いろいろ仰せの事態もありますが、やはり日本の国際収支の均衡を図る、これがために少くとも物価を或る程度国際市価に近づけるためには、単に均衡予算を、均衡予算のことはさつき八千億ぐらいに元に戻せばというお話でありましたが、これは今そんなことはできません。今の予算でもこれは必ずしも十分ではありませんが、過去の蓄積というものを一切見ていない、例えば国債を売るとか、減税国債を売るとか、そういうことはしていない。更に自然増収というものを一切見ていないのでありますから、これは均衡以上の予算であることは、田村さんがよくおわかりのことであると思うのでありまして、なお、その点について今度五十億円一般会計が違いましたが、これは五十億というものはこれに言つてありますように、三党協定のときも言つてありますように、これは物件費その他を節約して出すのでありまして、何ら予算緊縮の方針に変りがないことはよくおわかりが願えると思うのであります。  然らば金融の問題についてはどうかと言いますると、あなたも御承知のごとくに、私どもは正常なる金融、特に産業の合理化、近代化で生産コストを安くする金融については、何ら緊縮しようという考え方をもつておるものではありません。併しながら、さつきも如何に輸入金融について多大の思惑が行われ、又各銀行等も、例えば先月一月でも、今までよく三千五百億と言われておつたオーバー・ローンが四千億を超す、こういうようなことは健全な状態ではございません。これは金融はオーバー・ローンということが多少変態的なものであるのが、だんだんと殖えて、而も四千億を超しておる。これは金融緊縮どころではなくて、むしろ金融が非常に、むしろどちらかと言えば緊縮の反対に向つておるとさえ私ども見なければならんと思うのであります。従いまして、私どもはこういう点については飽くまで思惑的な金融、或いは投機的な金融、そういうものの取締りを厳にすることは勿論、滞貨金融等についても十分な取締りをする。又できるだけ二重投資とか、或いは又今その方面に投資せんでもいいようなものに対する制限をすることは、これは当然のことでありまして、私どもは金融の引締めというものもそういう意味から引続き強化して参らなければならんと思います。併しながら若しこの企業をこういうふうに合理化する、こういうふうに近代化する、それに機械が入用だ、それに設備が入用だということでございますれば、それに対しての或いは機械の輸入その他の問題につきましても特別な措置を講じますることは、これは勿論やります。基礎になるものが産業の健全ということでありますからもとよりでありますが、ただ、金融についても健全が必要でございます。金融の健全ということはオーバー・ローンが四千億も行つておるときには、幾分金融の健全化に疑いを持たれておるのであります。従いまして、私どもは金融の健全化ということも、どうしてもこれは図らなければならん、事業についても健全化を図らなければならん、かように考えておるのであります。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 今産業金融の引締についての問題について私の考え方と大分違う点があります。ありますのですが、順次に申上げて見たいと考えておるのでありまするが、これは私の大体勘でありまするから、専門家でない私が数字で細かく申上げるのはどうかと考えるのでありまするが、戦争前の日本の通貨というものは大体十三億程度であつたのであります。ところがそれに対して物価指数と生産指数の相乗数を掛けて、而も通貨の流通速度というもので割りまして計算、いわゆるなんとかフィッシャーの計算とかいうのでありまするが、そういうもので計算いたしますると恐らくは六千四、五百億の通貨というものは今日あるのが当り前なんだ、こういうような私は一応の計算をしてみたのであります。無論これは私の勘でございまするから、細かい点についての論拠は別にそれは又あると考えるのでありまするが、こういう点から考えまして、今日のそれは二十八年度における平均通貨でありまするが六千四、五百億あつてよろしい。こういうものが実際には五千五、六百億しか流通しておらん、こういうことであります。私は通貨をむやみに殖やして、そうして又むやみに減らしてどうこうというのではなくて、通貨というものはむしろ経済行為の経過である、こういうふうに考えておりまするから、必ずしもこの通貨を非常にお減らしになつたからどうとか、殖えたからどうとかいうことを私は申すのではありませんけれども、如何に不自然であるかということの一つの証左として大蔵大臣にお考えを頂きたいと、こういう意味で私は申上げたのでありまするが、どう考えても私は現在の国内における、まじめに働く人たちには資金が非常に窮屈である、こういうことを申上げなければなりません。但し今お話のございました貿易のバランスをとるために輸入為替を抑える、こういう意味で昨日の閣僚審議会において御相談があつたということを伺います。それは結構なことなんです。私はこういう場合において三百六十円、こういう一ドル三百六十円というレートがきめてある限りにおいてはやむを得ない、誠にやむを得ない方法であると私は納得するのでありまするが、但しこの問題の運用につきましてはどうか忌わしいことの起らないように、又この外貨をもらうためにいろいろの策謀が行われたりするようなことのないように私はいたしたい、こういうことを特に大蔵大臣に一つ御注意を願いたいのでありまするが、これは私は輸入為替についての金融の或る程度の引締、これも余り極端に一遍になさるというようなことは非常に業界に不安の念を与えるのでありまするから、こういう点については十分に慎重におやりにならないというと私はいけないと思うのでありまするが、これについての御用意を私はお伺いしておきたいのでありまするが、ただこの問題とは事変わりまして、国内の金融の問題になりますと、私はどう考えても現在のやり方というものは少し無謀ではないか。産業というものの本体を十分御承知になつていらつしやる大蔵大臣としては、どうも何かしらふさわしくないようなお考えでないかと私はこう考えるのであります。なぜそれを私が申すかと申しますと、資金というものにも限度があるのでありまするが、先ず第一に現在遺憾ながら戦時中の余弊を申しましようか、いろいろな考え方から重点的に資金を融通するという考えがまだ抜け切らんのであります。第一に造船の金融でありますとか、第二は電力の融通であるとか、その他製鉄であるとかいうところに重点的に、ごぼう抜きに先ず集まつた資金を政府が政府資金としてこれを取り去つてしまう。そうしてあと残つた金になるのでありまするから、私は銀行が、その上になお農業金融等に至りましては、これは農業の特殊の金融で非常に融通性の少いところへ資金が先ず固まつてしまうのでありまするから、一般の産業資金に廻つて来る部面というものは非常に範囲が狭いのであります。その狭いのを融通するのでありまするから、当然にオーバー・ローンが起つて来るのが当り前なんです。私はこれをただ業者の不謹慎のように今大蔵大臣お叱りになるけれども、私は絶対そう思わない。オーバー・ローンが起るのが当り前なんです。そういうような重点的な金融で頭から一千億なり千五百億の金を抜いておしまいになる、その残りの金を民間の銀行がそれを融通して行くということでありますから、ここに金融が非常に困るということが起るのは当然であると考えるのでありますが、無論私は船を造ることも必要だ、又電気の開発を、誰よりも私はその必要性を痛感いたしておるのでございまするが、産業というものは、経済というものは決してそんなに一方へ偏つてはならんのです。船ばかり造つても運ぶ荷物がなければならん、船も造る、紡績も必要だ、鉄も必要だ、繊維工業も必要だと、こういうふうにすべてのものが釣合をとつて産業というものは伸びて行かなければならんのに、そういうふうに重点的に、或いは造船とか、鉄であるとかいうふうに余りに過大にとつておしまいになるということは、即ち一般の中小企業者を初めとして、一般の産業というものは非常な圧迫を受ける。このことの一番いい証拠は保全経済会というようなああいう闇金融のようなものができて来る因なんです。これがそれを証明しておるのであります。又誠に残念ながら汚職事件というものも起つて来る。割当を如何にしてとろうかというようなことが起つて来る。こういうような禍の因はそこにある。そういうところに早く大蔵大臣としては気が付かれて政治を直しておいでにならないというといつまでも直らん。これはもう終戦後初めから、こういうような特権的に金融をするような方法が行われて参りましたために、誠に不幸な昭和電工の事件でありますとか、いろいろの事事が起つて来た。こういうことの事の起りはそういう点に私はあると思うのであります。そういう点をこの際お考えになつて改めて頂かなければなりませんが今出ておる金をすぐ回収するなんておつしやれば、皆その事業は潰れてしまうのでありますから、私は或る程度やむを得ない。あなたは金は十分出ておるとおつしやるけれども、それは大間違いです。金が十分に出ておらんのだ、だから資金を引締めるというお考えはこの際一つお考えを改めて頂かんと困る。こういうことを私は深く信じますので申上げるわけでありまするが、大蔵大臣はこれに対してどうお考えになつておりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 最初に貿易のことについてちよつとお話ございまして、輸入金融について昨日いろいろの措置をとりましたこと、又日銀におきましても同じような措置をとりましたことは御承知の通りでございます。これは御同感下すつたのですから何も申上げませんが、輸出力のほうにつきましては輸出奨励のために、或いはもう少し金利その他の点に加減しろということで、今輸出奨励策について積極策をとることに昨日も話合をしてございます。尤も商社その他を強化するために税制その他のいろいろの措置をとりました。又製造業にも相当の措置をとりましたことは御承知の通りであります。なお十分とは申しませんが、金融面でも何か、もう少しこれらについて考えたらということを昨日話合つたような次第でございます。  それから今の産業金融のことについてのお話がございましたが、これは昨年も田村さんからお伺いして、私も実は重点産業のみで日本の産業は成立つておると思いませんし、又経済界は一つの有機体でありますから、そのいわゆる重点産業というものも、そう言われざるものも、非常な深い関連を持つておることもよく承知いたしておりますが、ただ国といたしまして、いわゆる財政投融資をします場合には、その時の国の事情で、国策上どういうものが必要だということで重点的に金を出すことになるので、それが或いは電力開発なり造船なりに、鉄鋼、石炭等に向けられるということは、これはどうも現在の日本におきましては、民間資金のそういう足りないところをそういうふうにするのであるから、私自身実はやむを得ないと考えておるのであります。併しながらどの産業も釣合を得て行かなければ重点産業のみではいかんという田村さんの御意見は私も全くその通りと考えております。  それからその今の金融引締を無理にやつてはいかんというお話についてでありますが、私も無理にする意思は毛頭持つておりませんが、併し今申上げましたようにやはりオーバー・ローンその他のものが今までの過去よりも殖えて行くというような情勢は、これは私としても一方で国が財政の支出を減じて均衡財政をやつておる。他面にそれが今度は金融の面でぼかされてしまつたのでは所期の目的を達しないので、やはりこういう金融の健全性については、これはどうしても飽くまでやらなければならんと思います。  なお通貨の量についてのお話でございましてこれは私どもも田村さんがおつしやつたように、通貨の量がそのときの情勢そのものを物語るものとは思いません。併しながら、又通貨の量はこれは田村さんも御承知のように、出そうと思つてもこれは出るものじやございません。通貨の量はおのずからそこに限界があります。尤も財政が放漫なことであればこれは余計出るでありましよう。そういうことは国が許されるものでもありません。又金融も貸出しを過度に寛大にすればそういうこともありましようが、さようなことは今の日本では許されることでもございません。従いまして、一定の一つの政策の下に行われるといたしますると、大体通貨の量というものは政府資金の撒布がどういうふうになるか、民間資金の貸出超過がどうなるかということが主たる原因になります。そこで、私どもが健全金融化のためにはどうしても一般の資本の蓄積というものがここで大きく行われないと民間資金に不自由を与えることになる。こういう点から今回も又税制の上にも若干の措置を取りましたし、又それぞれ資本の蓄積に対しましても税制その他の面で今度お出ししてある分は加減をしてあります。又第三次の資産再評価等につきましても、そういう面を織り込んで今度やつておる次第でございまして、これは御意向はよくわかりまするが、併し私どもが金融を、今のような正常金融を決して圧迫する気持は持ちませんが、金融引締強化の方針は飽くまでも貫きたいと考えております。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 その点が私大蔵大臣と考えが違うのですが、例えば輸入金融を取締ると、こういうことをなされば、いやでも応でも銀行の窓口に殺到するのは当り前なんです。砂糖輸入を今度チェックされそうだということになると砂糖が上るのは当り前なんだ。こういうことは経済学の初歩に書いてあることだ。いわゆる御指摘のさようなことは、又今後金が非常に締められそうだということを大蔵大臣が言われれば、それでは今のうちに何とかしようという考えを持つのは当り前なんだ。こういう考え方を私は大蔵臣から改めて頂かなければいかん。こういうふうに私は根本に考えておる。その根本は、今申上げたような、今までに資金が出ておる、出ておると言うけれども、政府の官僚と政党の力によつて不必要に偏在して金が出されておる。一般の産業資金としては極めて枯渇していることは昭和二十四年以来なんです。今始まつたことじやない。それで、日銀は金を締める、金を締めるということは二十三年からやつてみたのです。やつてみたけれども、それでは物価は下らない。一時下るように見えて恐慌状態が起りますけれども、直ぐ又それは元に戻つてしまう。生産費はちつとも安くならん。これを大蔵大臣に私は……私は誤りがあれば謝ります。謝りますが、私は未だにその信念を失いません。ただちよつと世間に出て来た現象を見て、直ぐそういうことで動かされなさるということは私は甚だ残念であると考えるのであります。  大体時間もなくなつたようでございますから、私は最後に、なぜ二十九年度の当初予算を八千億なんということを言うたのだ、総理が一兆ということをやられても大騒ぎだつたのだというのに、なぜ八千億なんということを言うのだと言われると思いますが、私は予算をもつと有効に使うことが絶対に必要だ。それは私は少し官庁のことに関係いたしましたから私はよくわかつている。如何に金を使えば二割や三割の金は幾らでも政府は節約できる。こういうふうに有効に使うということを現に或る役所のごときはやつておられる。そういうことがあるのに、これは運営の仕方が悪い。  そこで私は第一に考えることは、先ず成るべく地方の自治体というものを主体になさい。公共事業などは国のほうで大体きめるということよりは地方の自治体を主体としてやれば、地方の自治体は本気になつて銘々の人民の眼の前で、見ている前でその予算を使つて見せる、こういうふうになる。それに必要なものを政府が補助する。こういうふうな考え方でおいでになればこれは一兆円の仕事を八千億でできるのだ。こういうふうに考えますので、ただ国会では随分皆さんの御意見を聞いておつても皆あれが足りない、これが足りない、なぜこれを殖やさないのかということになりますから、私はどうしたら国会は国民の税金を減らしてやろう、もつと民生の安定というものを図つてやるためにはどうすることがいいのか。それには税金を減らしてやつて、失業がないようにして、産業が起るように皆勤勉に働くということが民生の安定じやないか。ただ徒らに失業者が出たつて、社会保障費をどんどん殖やして行くということは皆惰民を作ることだ。そういう考えじやいけないということを私は考えておりまするから、こういう点について予算を有効的に使用なさる意味において私は総理からもお考えを願わにやならんと思いますが、地方の自治体というものを主体にして、それが主になつてやるのだ。それで中央からこれに対する助成をする。併し国防であるとか或いは警察であるとか、こういうようなものは、これは触れようたつてなかなかできません。これは国の共通の仕事としてやらなければならん仕事もたくさんあります。ありますが、公共事業であるとかその他の事業は、できるだけこれを地方に分権してやつて、地方が本気に働けるようにしてやることが本当じやないか。そうするというと大蔵省だけの問題ではなく地方行政にも関係する問題でありますので、まあこういう点について大蔵大臣はどう考えておられるのか。最後にその点をお伺いいたしまして質問を終りたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 御意見の中には傾聴すべき点が多々あるように存じます。十分そこらも考えてみたいと思います。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 総理大臣に対する総括質疑は一応これを以て終了いたしました。  明日は午前十時より再開いたしまして、理事会の申合せに基き本日配付されました衆議院の修正についての質疑をいたします。本日予定いたしました委員長、理事打合会も明日適当の時刻まで延ばします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会

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