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19回国会参議院1954/03/05

予算委員会 第5号

発言数
84
登壇者
11
会派数
6
開催日
1954/03/05

会議録

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) これより予算委員会を開きます。  先ず理事の補欠互選についてお諮りいたします。西郷吉之助君が委員を辞任されました。つきましては欠員となりました理事の補欠互選を行いたいと思いますが、これは先例により委員長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。小野義夫君を理事に指名いたします。   —————————————

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 昭和二十九年度予算は、昨日、衆議院から修正議決の上送付になりました。従つて本院におきましては、この衆議院の修正を受けたものが原案となるのでございますが、この際委員長として政府の見解を確めておきたいと思います。即ち政府は、衆議院の修正に応じられたものであるかどうか。従つてこれに対して責任を負うものであるかどうか。政府を代表して国務大臣より所信を伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 政府は、衆議院の予算修正に応じたものでございます。従いまして政府は、院の予算修正に応じた政治上の責任を負います。修正された原案が、本院において可決、予算として成立した場合には、政府は、これが施行の責に任ずることはもとより、本院において審議に当りましても、政府といたしましてなし得る限りの説明をいたしたいと存じます。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 只今の大蔵大臣の言明によりまして責任を負われるということであります。つきましては、修正個所について、大蔵大臣より御説明を願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 昭和二十九年度予算の政府、原案につきましては、さきに御説明いたしたところでありますが、衆議院における御審議に際しまして修正を受けましたので、修正の概略を御説明申上げます。  今回の修正は一般会計予算において五十億円、政府関係機関等の資金について四十四億円の増加を行なつているのでありますが、これに要する財源は原案の一部を削減して捻出されていますので、一般会計予算総額九千九百九十五億円、財政投資額二千八百五億円の総枠には何らの異動を生ずるものではありません。  先づ一般会計の修正増加の点について申上げますと、  第一に、社会保障関係の経費につきましては、すでに原案におきましても本年度予算より或る程度の増額を行なつているのではありますが、緊縮予算の実施に伴う社会的影響に対処する方策の万全を期するため、今回国民健康保険、生活保護、保健所、結核対策並びに簡易水痘に要する経費について併せて約二十五億円を更に増額されることとなりました。  第二に、食糧増産対策費等につきましては、原案が前年度に比し、若干の増額となつているのでありますが、今回土地改良、耕地整理等を中心として優良種牛輸入、生活改良普及を含めた食糧増産対策費並びに蚕糸業振興費として更に約十五億円を増額せられることとなりました。  第三に、文教及び科学技術関係の経費につきましても、危険校舎復旧、僻地教育施設の充実に七億円、科学技術振興のために三億円、合計十億円が増額されることとなりました。  更に、政府機関等の資金の増加について申上げますと、  一般会計における社会保障費の増額と同様の趣旨によりまして、中小企業金融の充実を図るため、国民金融公庫の資金について二十一億円、中小企業金融公庫の資金について十九億円をそれぞれ増額せられることとなりました。なお、一般会計予算の修正に伴う地方負担の増加に鑑み、資金運用部資金による地方債引受が四億円増額されることとなりました。又農林漁業金融公庫に対する資金需要の増加は、同公庫の既定の資金の範囲で処理することとなつております。  次に、これらの修正増加に対する財源について御説明申上げます。  第一に、一般会計予算におきましては、予備費を五十億円削減して歳出の増加に充当されることとなりました。政府といたしましては、予算成立後、予算の実行に当りまして物件費・施設費等の節約に努め、同額以上を捻出いたしまして、実質的に緊縮予算の枠を堅持する所存であります。  第二に、政府機関等の資金につきましては、国民金融公庫に対する二十一億円と地方債引受の増加四億円との合計額二十五億円につき、資金運用部の運用計画を変更し、日本開発銀行に対する貸付金を十五億円、金融債引受十億円をそれぞれ減少することとなつているのであります。  又、中小企業金融公庫の資金増加十九億円は同公庫からの日本開発銀行への返還資金を延期することにより措置されることとなりました。  以上が今回の衆議院における予算案修正の概要でありますが、政府といたしましても、大局的考慮からしてこれを承認することといたした次第でございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 総理に対する総括質問に入る前に、この修正予算案の経緯なり或いはその背景なりについて大蔵大臣にお伺いいたしたいと存じます。  只今、御説明のありましたところで、大体の筋は承知したのでありまして、これに対する政府の政治上の責任であるとか、或いは修正経費の妥当であるかどうかという問題につきましては、後刻改めて御質問申上げることにいたしまして、取りあえずこの修正に至りました経緯につきまして、重要な点を二、三御質問申上げたいと存じます。  この修正は、申すまでもなく三党の共同の修正でありまして、たびたびこういう形をとりまして参議院に修正を伴う予算案が廻つて来るのであります。今回は、政府がこれに承認を与えて、政府の政治上の責任及びその他実施上の万般の責任をおとりになるというお考えで、その点は明瞭になつたのであります。併し問題は、いわゆる三党間に、この共同修正が成立いたしましたときに、何かこの修正に対する協定とか申合せとかいうようなものがあるのではないかということを考えるのでありますが、この点につきまして大蔵大臣の御答弁を願いたいと存じます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 本修正案に対しまする三党協定は、只今御説明申上げたこと以外に何らほかに協定等分はございません。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 三党協定というものは、私自身も実は持つているわけでありますけれども、こういう背景の下において予算案が修正されたということになりますと、修正予算案を審議する場合に、その背景となりますところの協定というものが、相当重大に考えられるのであります。従つて政府は、恐らく数字だけの問題ではなくして、その協定の趣旨を了解の上に数字の訂正をなさつておられると考えるのでありまして、これ以外に何も協定というものはないとおつしやることは、私どもには受取れないのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は、協定という字句にちよつと捉われましたので……、了解事項というのが一つございます。  その一つは、本予算成立に伴う総合対策として投融資計画委員会の設置、第三資産再評価法の制定、労資協力態勢の確立を促進する。これが第一であります。  第二は、本予算に伴う補助金等整理に関する特例法案及び税法案等の成立に関しては相互に協力する。  これが了解事項となつておるのであります。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 そこで、いわゆる三党協定と申しますか、言葉が悪ければ、了解事項或いは申合せというものがあることが明確となつたのであります。問題は、我々の持つておらないところの申合せ事項なり、或いは覚書というものが存在するのではないか、もう一つその奥の覚書というものがあるのではないかということを考えるのでありますが、その点は如何でありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は、さようなものはないと承知いたしております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 三月二日の各新聞は、いわゆる了解事項なり三党協定なりの奥にまだ覚書があるというようなことを伝えておるのであります。その覚書によりますと、いわゆる繊維消費税というものは外すのであるという了解が三党の間にできておるということを伝えておるのであります。こういう事態が、表面に現われた了解事項なり或いは協定なりの奥にあるといたしますと、我々はこの予算及び修正予算というものの取扱に非常に困るのでありますが、この点は如何でありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) さような協定乃至了解があることは全然承知いたしておりません。又ないと確信いたしております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 新聞の記事によりますと、改進党の川崎秀二君が、繊維消費税というものは廃止するということを覚書、或いは申合せによつて了解を得ておると、当然この問題は、将来三党閥において、或いは又は三党と政府との間において論議せられるであろう。従つて繊維消費税というものはそのうちに取りやめるものであるということを言明しておるのでありますが、そういう事実は全然ございませんか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 川崎議員が如何ようなる発言をされたか、それは私は存じませんが、自由党の佐藤幹事長がはつきりと申しておりまする通り、さようなことはないと私は確信いたしております。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 大体それ以上のことは、いずれ又総括質問なり、或いは又一般質問のときに承わりたいと存じます。  総理にお伺いいたしたいのでありますが、総理は、まあ病気のために国会に出席されることも最近割合に少かつたように存じますが、これはまあ病気とあれば、いたし方もございません。ただ御病気後登院せられ、或いは又閣議の席上などにおきまして、国会の審議を促進するということを非常に強く要望されておるようでありますが、併し我々国会において如何に審議しようといたしましても、まだ法律案が出て来ないものがたくさんあるのでありまして、この点は、私どもとしましては甚だ残念に思つております。特に問題となりますものは、保安庁法の改正と申しますか、或いは防衛庁でありますか、自衛庁でありますか、政府の構想は、そこにまあ集結せられておると思います。予算を審議する場合におきまして、この保安庁法の改正というものが、その全貌が明らかにならないと、非常に困るのでありますが、これにつきまして総理は、いつ頃法律案をお出しになりますか。或いはその要綱でもこの予算委員会において説明される御所存でございますか。この点承わりたいと存じます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。法案提出の期日等については今ここに主管大臣がおりませんから、主管大臣からお聞きを願いたいと思いますが、要綱についてはすでに閣議の決定をいたしておりますから、不日提出いたすことと考えますが、なおお話もありますから、督促いたします。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 委員長にお願いでありますけれども、只今も申しましたように保安庁法の改正法律案は現在の保安隊の性格を変えるものであり、予算に非常に大きな影響を持つものでありますから、当然これは総理の総抽質問に入る前に、少くともその要綱について、政府から答弁を求めて、審議に入るのが当然であろうと考えますが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)委員長においてこれはどういうふうにお取扱になりますか。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 松澤君に申上げます。  只今、両法案の要綱が着きましたから、今お手許に配つておりますから、御承知を願います。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 それでは、その要綱が届きましたら、その要綱に従つて、所管大臣から説明を聞くお取計らいを願いたいと存じます。(「賛成」と呼ぶ者あり)

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 松澤君に申上げます。  その取計らい方につきましては、改めて理事会等において御相談申上げます。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 大蔵大臣にお尋ねいたします。  只今、大蔵大臣の御説明になりましたの、とは、私は参議院規則第三十九条「委員会は、議案が付託されたときは、先ず議案の趣旨について説明を聴いた後、審査に入る。」議案の趣旨を説明してから審議に入ると、言いますが、これでは、政府単独で追加修正をされたのでしたら諒といたしますが、三党いろいろな要求を持込みまして調整されたわけでありまして、それらの経緯がはつきりいたしません限り、参議院規則第三十九条にいう審議に入るその前提を満たさないものであると思いますので、どの党が一体……政府与党である自由党は何を主張され、改進党さんは何を要求され、日本自由党は何を要求されてこういう結果になつたかという御説明こそ、参議院規則第三十九条にいう審議に入る前提条件であると思いますので、私はその説明を受けたいと思います。こんなことではとてもわかりません。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は、政府の原案については先に御説明申上げており、又政府が承認をいたしました三党修正については只今御説明申上げたから、これで趣旨を御了解願つておるものと信じております。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 大蔵大臣の手許で単独で修正されたのなら、よくわかるのです。いろいろな経緯があつて三派の共同修正で、ここまで練り上げられて妥結されたのです。その背景を知つてのみ初めて私は、第三十九条にいう議案の審議に入る前提を満たすものであるということを重ねて申上げます。それに対して御答弁を得たい。  更に大蔵大臣は、修正したものについて政治上の責任を負うという重大な発言をされていますが、若しこの予算に、スケールは小さいが造船の利子補給のような問題を含んでおつても、総理大臣はそれに対して、一切の責任を負うと言われますか。それらについて大蔵大臣並びに総理大臣の御所見を承わつて、問題の所在を指摘したいと思うわけであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は、その経緯でなくて、その内容の御説明を申上げれば、それでよいのではないかと、かように信じております。それから議案に対する説明を以て足れりと、私はかように考えております。  それから今のお話でございまするが、予算そのものについては、すでに承認を与えた以上、政府は予算につきまして政治上の責任を負います。これは中田さんの仰せの通りでございます。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 総理大臣の御答弁を……。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 大蔵大臣の説明即ち私の説明と御承知を願いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつとひとこと追加いたしておきます。  併し、その予算に対する責任を負いますが、予算の執行について不法行為のようなことがいろいろ起つおる。そのことまでの責任は政府の負うところじやございませんから、念のため申上げます。(「それもちやんと含まれているのだ」「これだけじやない」と呼ぶ者あり)

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 この修正されました予算案の詳細な内容で、どのような献金があつて、どのような問題があつたかということについては、各個の質問で申上げたいと思う。ただ問題だけを指摘して、その片鱗を窺わしておきたい。  蚕糸業振興費が五千万増加されているわけであります。これについては、私はそれに関係いたしましてその内容をよく知つているわけでありますが、この補助金の率が、二分の一であつたものが三分の一に減る。そういうようなことになつては大変だというので、全国の蚕業技術員が二百円ずつの、六、七千人おりますが、それらの献金が出ていることを私ははつきり知つています。更にこれと関連いたしまして先に松澤議員も御質問になつたが、原糸課税との関連もあるわけであります。それと二つの関連においてこの修正が出ているわけである。御存じのように、原糸課税については、羊毛その他広汎な運動がされて、二億とか二一億とかの現金が池田政調会長のところに行つたというような記事も出ております。併しそういうことについては、私は確証を持ちませんから申上げませんが、少くとも蚕糸については、はつきりと全国二千七百万貫に対しまして割当をいたしまし、千四百万軽度の金が中央に出ているわけである。これは私は養蚕組合の会長をやつておつて、そうして私の不在中に中央からの全国の割当の一覧表が来て、会長が不在であるが割当てて来ましたといつて出ている。私は原糸課税には反対であつて、十数回も会合に出ているが、一遍もコーヒーもお茶も御招待にあずかつていない。併しいろいろな商品が国会に持込まれたことを私は受けた人からも聞いている。少くともこの予算というものは、原糸課税の問題と蚕業振興費とは、政治献金によつてこの問題が左右されたことは明らかであります。私が責任をとられるかと言うことは、このような予算の編成過程に大きないろいろな問題があるわけであります。私はこれについては、具体的にどのような割当でどこに来たかというような問題については、後刻各省大臣に対する質問において御質問申上げたいと思いますが、その点について、大蔵大臣は余りに這般の消息に疎いと思うわけであります。御所見を承わりたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 這般の消息に疎いのかも知れませんが、私は、実は中田さんの話を初めて伺つた次第であります。ただ申上げておきますが、各事業の事業対象、補助率及び新規事業の採否は、政府原案通りすることになつておるとちやんときめてありまして、何らそれによつて率が変つておりません。今のお話だと、伺か率でも変えるために運動費でも使われたように言われておりますが、率は変つておりません。率が変つておるのは保健所費の補助、国民健康保険の保健婦設置助成の補助率、その率だけが、政府の原案四分の一が三分の一となつた。こういうことだけでございまして、あとは只今申上げた通り、事業対象も補助率も全部変つておりません。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 それは二分の一になろうが三分の一になろうがそれだけ殖えれば、割当の人数がたくさんになるのです。割当の人数が来たら、県ではやはり旧と同じ補助率で単位協同組合等に赴いている技術員を少くする便法をどこでもやるのです。その補助率一般については三分の一の率を適用出しますが、少くとも五千万殖えておればそれに該当するだけ人数において殖える。末端に来たらそのような措置がなされるわけであります。  それから大蔵大臣に重ねて申上げますが、二千七百万貫に対して貫数割が行つておる。そして一部はそれぞれの県の製糸業者に対してその半額に当るものが割当てられて、中央の前の原糸課税に反対しておる団体に出ているのです。この額は少額ではありますが、造船の利子補給と揆を一にするものである。このような予算が、三派修正によつて出たことを私は甚だ遺憾とするものであります。この事態については、やがて私は各省大臣に質問のときに明らかにしますが、幸い大蔵大臣も、それから吉田総理も、吉田総理は清廉潔白でございましようが、吉田総理が総責任者として受けられた議会収拾のための予算の背景には、少くともこのような問題を含んでおるわけであります。この事態がはつきりしたときには、政治的な責任をとつてもらいたい。政治上の責任を一切とると言われましたが、それは一体如何なる責任であるか。その点を、修正につきましては政治上の責任を負います。こういうことを大蔵大臣は言われているが、一体如何なる責任であるか。ただ聞き置くという責任であるか。内閣を総辞職されるというような責任であるか。その点をはつきりしておきたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は、今の補助職員の増加は行わないことを原則とするというふうにちやんと書いてあります。今お話のように増加するとは考えておりません。そういうことを行わないことを原則とするとありますから、この通り実行されることと考えております。  それから、今お話の点でありますが、これは、この修正案が両院を通過して予算となるときの問題でありますが、併し私ども、各種の不法行為が以前にあつたとかなかつたとかはわかりません。ないと私は確信しておるが、そういうことについてまでの責任は負えない。この予算執行及び予算の実行についての責任はこれは負う。又説明についての責任は勿論負います。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 中田君、時間が来ましたから……。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 そういうことでは駄目で、私は時間がありませんから、最後に申上げておきます。  私はこの第十九国会の予算審議に当りまして第十六国会を鑑みますと、誠に感慨無量なものがあるわけであります。我が党といたしましてはあの利子補給の修正案に対して、今日の疑獄を生むことはすでに予測していました。更に私と木村禧八郎さんとが木村さんの部屋で、実際造船の利子補給を受ける業者から、受けるのだからいいが、こういうことをしては国が亡びますよと言つて話を聞いたことも思い出します。だから我々といたしましては、慎重な審議を押えられるところの委員長並びに西郷理事に対して、いろいろ、特に委員長に対して恐縮でしたが、不信任案を出したわけであります。その際西郷さんは、その議席に請いて強硬に突破したわけであります。平素おとなしい西郷さんが、なぜあんなに筋金が入つたかと思うと、五百万の献金の筋金が入つておつたわけであります。南洲翁は子孫のために美田を買わぬと言われましたが、こういう事態になつたわけであります。我々参議院が第二院としての慎重審議をする使命を十分果していましたならば、今日のような事態は起らなかつたことを思いますと、第十九国会における昭和二十九年度予算に対する我々の責任は極めて重大なものを痛感せざるを得ないわけであります。従つて我が日本社会党は、そのような見地からこの予算と取り組みますことを宣言いたしまして、私の質問に代える次第であります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私は、今日から参議院予算委員会がいよいよ審議に入るわけでありますが、今後の委員会の運営について先ず意見を述べまして、そうして御承知のように今の国会は、の問題が取上げられて、この問題について国民は憤激しております。おこつております。従つてこの予算委員会における運営というものは、非常に重大であると思うのです。特に私は各党の理事のお許しを得、委員長のお許しを得て今日発言しましたのは、第十六国会において造船利子の補給の問題について、委員会においては七月二十三日、七月二十九日の二回、この造船利子補給の問題についてはスキヤンダルがある。疑獄があるということを私は指摘し、更に八月三日の本会議においては、これは今後重大な問題になるであろうということの警告を発したのであります。併しあの当時の委員会の運営は、先ほど中田さんが御指摘になつたように、時日があつたのに強硬に打切りまして、十分でなかつた。従つて今後私は、この予算委員会の運営に当つて、そういうことがないように特に委員長に私は希望するわけです。特に私は、委員長にお気の毒でありますけれども、委員長は厳密に言えば、この委員会を主宰する資格がおありにならないのではないかと思うのです。不適格ではないかと思うのです。その理由は、山下汽船が疑獄の中心になつておる。ところが委員長は、御承知のように山下汽船の法律顧問をやられておるのです。このことは私事に亘つて甚だ恐縮で、実は私も言いたくないのでありますが、山下汽船の法律顧問をおやりになつておる。又今度の予算には、三十七億の造船利子補給の金額が出て来ておるのです。従つて私は委員長のためにも、そういうお立場にあるので、今後の予算審議については、これは公正にやらなければ、非常に又疑惑を生むのではないかと思います。この前、非常にお気毒でありましたが西郷氏、或いは又委員長が、この委員会を強硬に突破されたことが思い出されるだけに、今度の予算審議に当りましは、そういう点について私は、本来ならば委員長みずからこれは委員長をおやめになつて、どなたかにお代りになるのが明朗に議事を進めることになると思いますけれども、併し私が、ただ法律顧問をやつておられるだけで委員長に何か疑いをかけるということ、これは不当かも知れません。従いまして委員長におかれては、そういう事情もございますので、今後この委員会を運営するに当りましては、十分スキヤンダル、疑獄、汚職、そういう問題が出て来た場合でも、これを糺明されるように議事を運営して頂きたいと思うのです。これは委員長に対する私の希望でございます。  それから第二は、大蔵大臣にお伺いしたいのでありますが、この二十九年度予算を審議するに当りまして、二十八年度の第三次補正が出るやに新聞に伝えられておるのであります。これは果して出るのかどうか。それからどのくらいの額で、どういうような内容で、いつ頃出されるのか。その点について伺いたいと思います。それを伺つてから、詳細な質問は又一般質問のときにいたしますが、経緯についてできる限り詳細に伺つて置きたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 義務教育費の半額国庫負担の特例法が審議未了になりました結果として、丁度二十七億八千万円の第三次の補正を要することに相成つております。これにつきましては、既定経費のうち不用になつたもの、或いは節約し得るもの等を見ましてこれを出すことにいたしておりますが、大体ここ数日中に出し得るだろうと考えております。ただできるだけ不用と見積り得るものが一番有利でございますので、大体もう三月になつておりますので一応の見通しを付けておりますが、成るべく的確を期したい。こういうことから数日遅れておるわけであります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 利子補給のほうは……。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 利子は入つておりません。二十七億八千万円の義務教育費半額国庫負担法の通らなかつた分だけでございます。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 先ほど私申しました自衛隊設置法の要綱は私の質問中に配付になりました。これは大いに参考になりますけれども、やはり総理に対する総括質問の中心は自衛隊設置の問題であろうと思うのです。そこで木村国務大臣もおられますし、総理も出席されておられますから、総理に対する総括質問を始める前に説明を聞いたほうが審議に大いに参考になるのじやないか、こう思います。従つてそういうように一つお取計らい願います。(「賛成」と呼ぶ者あり)

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 私は委員長理事打合会の方針によつて議事を進行して行きたいと思います。

松澤兼人日本社会党(第二控室・右)

○松澤兼人君 一応そういう御趣旨はよくわかるのであります。併し私どもとしましては、やはりこの説明を聞かなければ、闇雲に鉄砲を打つておるようなものでありまして、本体がわからないのに、自衛隊がどうだとか、保安庁がどうだとか言つて見ても始まらないのです。そこで若し委員長が理事会にお諮りにならなければ決定ができないのでありますならば、ここで一つ理事会を開いて頂いて、その後の取計らいをいたして頂きたいと思います。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私先ほど委員長に対して希望を述べたのですが、委員長はそれに対して何も答えがないのです。これについて私は委員長の心境をここで述べて頂きたいと思うのです。それを確認をしてから運営をして行かなければならないと思うのであります。その点について委員長の心境を述べて頂きたいと思います。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 そのお答えがあるその前に議事進行について……。今木村君が希望を申述べて委員長のお心構え、お心のほどをお聞きしたいという話でありますが、これは委員長個人の問題であるのみならず、この間の十六国会においてああいう無理な審議の仕方をされたことは、委員長並びにその当時の理事であつた西郷君、更には与党の理事諸君等々の連帯の責任である。今にして思えば、なぜああいう無理な議事進行をやられたかということがおのずからはつきりわかつて来た。(拍手)そこでその一つ一つの内容については今後更に審議をいたしますが、審議に入る前に委員長個人の御希望なり、お心持だけではなくて、新たにもう一遍一つ理事会を開いて、十六国会にとつたようなああいう無理な審議の仕方は絶対にやらない。殊に今まで中田委員も説明をいたしておりますように、今度の予算についても、或いは更に補正予算についても、いろいろな噂が飛んででおるときでございます。そういう内容を含んでおるものでありますから、絶対にああいう無理な審議の仕方はしないということを、改めて早速理事会を開いて理事会で申合せて、その申合せの決定をここで御披露願いたいことが第一点と、第二点は、今問題になつておる防衛庁設置法案も自衛隊法案を先ずここで御説明を願う。その上で総理の総括質問に入るというふうに議事の運営の仕方をされるようにして頂きたい。これは委員長はすでに別の議事の運営の仕方が理事会できまつているから、その通りやりたいとおつしやいますけれども、事態が非常に違つて参つたのでありますから、緊急に理事会を開いてそういうお取計らいを願いたい。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 最初に委員長から説明がありましたときに、大蔵大臣は、政治上の責任を持つ、執行上の責に任ずる、更に最後に、なし得る限りの説明をするということをおつしやいました。このことは十六国会において緒方副総理が、閣議決定ということで本会において御答弁なすつたことと同じなのでございます。そこでお尋ねしたいのは、このなし得る限りの説明ということなのですが、この内容としては、なし得る限り説明はするのだが、なし得ないものもあるということを含んでおるかどうか、はつきりさして頂きたいと思います。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 木村君の御発言に対して私から申上げます。委員長は木村君の御希望のように、最も公平にこの委員会の議事の進捗については今後責任を持つて善処する考えでございます。  それから昨年の議事の進行が、何か今回のいろいろな事件の原因に関係するがごとき御意見は、私はそういうことは絶対にないと考えております。従いまして私は今後誠心誠意公平に委員長の責務を遂行する考えでございます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 あるか、ないか今後審議するのだ。従つてこれが無理な審議の仕方であろうということを……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 発言中でありますからどうぞ……。私は無理な議事の進行をすることはございませんから、その点も御了解願いたいと思います。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 私のほうにも……。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 湯山君のは多少議事の進行とは違いますが……。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 御説明に最善を尽します。

湯山勇日本社会党(第四控室・左)

○湯山勇君 説明のできないものもあるということを含んでおるのか、含んでいないのか、最善を尽すということは、さつきから聞いておりますから、その点をはつきり、ある、なし、こうお答え願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 説明し得ないものはないと思いまするけれども、人間のことですから、全然ないということを確言することは差控えます。    〔「理事会を開け」「議事進行」と呼ぶ者あり〕

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 申上げます。先ほどの理事会において、議事進行の発言については申合せがあつたのでございます。従つて少くとも午前中の議事は、理事会の申合せに従つて私は進行したいと思うのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)又理事会を開いて御相談することは結構でございます。

曾禰益日本社会党(第二控室・右)

○曾祢益君 今理事会で打合せられた以外の議事進行の発言は、委員長は取上げられているわけであります。その場合に松澤君からも、又佐多君からも議事進行に関する内容的の動議が出されている。そのあとで木村君の御発言があり、湯山君の御発言があつた。併し一つこの動議は取上げて頂きたい。そうしてその内容は、決して委員長が先ほど言われた理事会に諮るということに反することはない。皆さんもこれなら御賛成願える。でありまするから、直ちに理事会を開いて、そうしてこの防衛庁及び自衛隊に関する政府の説明を、総百理に対する総括質問の前に政府から進んでやつて頂くことをお諮り願いたい。これは申上げるまでもなく、衆議院の予算委員会において、特にこの問題の説明と質疑をやらしたくらいの重大な問題であるので、この本委員会がいよいよ総括質問に入るというときに、実は要綱の配付すらしてない。これは甚だしい本院に対する軽視であつて、これはどうしても直ちにお取上げ願つて、委員長の今朝のおきめの通りの方針でいいのでありますから、ここで動議を採決するのでなくて、委員長のお計らいによつて直ちに、もう午前中は過ぎた、十二時になつたんです。直ちに理事会を開いてこの問題の取扱いをきめて頂きたい、この点を重ねて申上げます。(「賛成」と呼ぶ者あり)動議に対して賛成しているんです。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 曾祢君の発言に対して申上げますが、私は先ほどの松澤君の言われたことは動議とは解さなかつたのでございます。

佐多忠隆日本社会党(第四控室・左)

○佐多忠隆君 私が改めて、だからはつきり動議として提出したのです。(「大事な問題だからやつて下さい」「動議を取上げて下さい」と呼ぶ者あり)

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 暫らくお待ち下さい。    〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 暫時休憩いたします。    午後零時二分休憩    —————・—————    午後一時五十四分開会

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。

森八三一緑風会

○森八三一君 私は提案せられていまする昭和二十九年度の予算の審議を始めるに当りまして、基本的だと考えまする若干の問題につきまして総理の所信を伺いたいと思うのであります。  先ず最初にお伺いいたしたいと思いますのは、すでにこの委員会でも再三再四論議をされておる、いわゆる戦力問答として繰返えされておる問題でありますが、特にMSA受入れという新事態に直面いたしまして、いわゆる憲法九条に規定する戦力の問題と、新らしく創設されまする自衛隊との関係がどうなるかという問題でありまして、このことにつきましては、必ずしも国民全部というわけではありませんが、MSA援助受入れという新事態に直面をいたしまして、国民の相当の部分にいろいろと疑問が持たれたり或いは心配が行われておるように思うのでありまして、特にこの際こういうような疑問を解きまして、心配を一掃しておきますることが極めて重要な問題であり、二院制度の建前から、本院といたしましてもこのことは十分究明しておかなければならん重要な点であると思いますので、すでに申上げまするように再三再四論議されておるところでありまするが、この際あえて繰返してお尋ねをいたしたいと、こう考えるのであります。  政府は、先刻配布になりました要綱を見ますると、保安隊を切換えまして自衛隊にすると、陸、海、空三軍を擁する新らしい自衛隊を創設するというように発表をせられております。更にこの自衛隊は直接間接の侵略に対して行動をとる、対抗するというようにも説明をされておるのでありますが、この場合一体自衛隊は、それ自体が単独で侵略に対抗する行動をとるのか、日米の間に結ばれておる条約に関連をいたしまして、そういう事態の発生いたしましたような場合には、米軍と共同の立場に立つて行動をとるのかということが問題になつて来ると思います。ということに関連して憲法上の問題も派生をして来ると思いますので、一体創設される自衛隊は単独で行動をとるのか、米軍との共同の下に祖国の自衛、防衛というような行動が起されるのであるかという点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  更にこのことを御説明頂きまするのには、まだつまびらかになつておりません、今朝配付せられました自衛隊法案、その要綱について御説明を頂きますれば、或いは今私が総理にお尋ねいたしましたことが明瞭になるかとも思いまするのでありますが、併せて新らしく創設しようとされておりまする自衛隊の構想なりその運営なりというものについて御説明を頂きたいと存じまするのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 所管大臣として只今の御質問にお答えいたしたいと思います。  誠に只今の御質問の要旨は御尤もと私は考えております。そこで申上げたいのは、一国が独立国家たる以上、外部からの不当な侵略に対しては、これに対処し得る手段を一日も早くとるべきことが至当であろうと考えます。これは国家独自の私は基本的要請であると思うのであります。いずれの国家といたしましても、独立国家たる以上はみずからの力によつてみずからの国を守るという体制をとるべきが、これが本来の任務である。そこで日本といたしましても、一日も早く独力で以て自衛を整えるべきであると考えるのでありまするが、御承知の通り、我が国の財政上その他諸般の情勢から考えまして、到底さような独自の自衛体制を整えて行くことは、これは不可能と考えております。止むを得ずアメリカとの間に安全保障条約を締結いたしまして、外部からの不当な侵略に対してはアメリカの駐留軍の手により、内部における大きな叛乱、擾乱に対しては日本の保安隊、警備隊によるという、従来の建前をとつておつたのでありまするが、併しこういう建前をやはりいつまでもとるべきではない。日本の国情の許す限りにおいてはみずからの手によつてみずからの体制を整えて行きたい、こう考えております。差当りいわゆる自衛力漸増方式の下に、我々はこの日本の自衛隊を十分に活用いたしたいと、こういう気持でおるのであります。  そこで保安庁といたしましては、この際保安庁法を改正いたしまして、そうして防衛庁設置法、自衛隊法というものを作りましてこの体制を整えて行きたいと、こう考えておる次第であります。  そこで今森委員からの御要請に基きまして、一応概略的の基本方針を申上げたいと、こう考えております。  保安庁法の改正は、防衛庁設置法と自衛隊法とに分ちまして、自衛力を増強する方針によつて、保安隊を自衛隊に改め、直接侵略に対する防衛をその任務に加えることを趣旨とするものであります。で改正の要点の一つは、現在の保安隊、警備隊に相当する陸上自衛隊、海上自衛隊のほかに、新たに航空自衛隊を設けること、而してこの自衛隊の勢力は、陸上自衛隊の自衛官十三万人、海上自衛隊の自衛官一万五千八百八人、航空自衛隊の自衛官六千二百八十七人と、それぞれ増加することであります。右に伴いまして、自衛隊の部隊といたしましては、陸上自衛隊が現在の一方面隊四管区隊を更に二管区隊増加すること、海上自衛隊は現在の四地方隊に新たに一地方隊を加え、船舶の保有を約九万トンとすること、航空自衛隊に航空教育隊その他の直轄部隊を新設することを計画しております。  次は新たに予備自衛官の制度を設けることであります。これは三年の任期を以て退職者中の志願者より採用いたしまして、我が国の防衛上必要なる場合において召集し、自衛官として勤務につかせるほかは、年二回以内召集して訓練する計画でありまして、二十九年度において約一万五千人を見込んでおる次第であります。  自衛隊の行動といたしましては、前述の趣旨に基きまして、新たに防衛出動なる場合を設けております。これは外部よりの武力攻撃に対し我が国を防衛するため必要なる場合において内閣総理大臣が国会の承認を得てその出動を命じ、自衛のため必要なる武力の行使を行うなどの処置によつて外部よりの武力攻撃を排除せんとするものであります。なお、この出動につきましては、特に緊急の必要ある場合には、国会の承認を得ないで内閣総理大臣が出動を命じ得る場合をも認めておりまするが、この場合におきましても、内閣総理大臣は直ちにこれにつき国会の承認を求めることといたしております。若し衆議院が解散されておる場合には、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認を求めることといたしておるのであります。  次に機構といたしましては、各自衛隊に置かれ幕僚監部のほか、新たに統合幕僚会議を設けております。これは専任の議長のほかに、陸上、海上、航空の各自衛隊の幕僚長を以て組織し、統合防衛計画、統合後方補給計画、統合訓練計画の作成等の事項につき長官を補佐するものであります。  なお右のほかに、国防の基本方針、防衛計画の大綱、防衛出動の可否等、国防に対する重要事項を審議する国防会議の設置については目下検討中であります。  以上が特に重要なる改正事項でありまして、その他の事項につきましてはおおむね現在の保安庁法の規定に従いましてこれに必要なる整備を加える方針であります。  これにつきましては、以上述べました事項につきましてもなお研究中のものがありまして、その他について若干の修正を要するものがあるのであります。この点御了承をお願いいたしたいと思います。近く成案を得ました上、御審議をお願いいたしたいと、こう考えておる次第であります。

森八三一緑風会

○森八三一君 只今木村長官から、独立国家としては当然その国の国民の力によつて自国の安全を守つて行きたい。が併し、現在の日本の情勢からいたしますれば、国力がこれに伴わんので、いわゆる従来から述べられておる漸増の方針に立脚して、今回保安隊を自衛隊に改めると、そうしてその内容はかくかくのものであるというような御説明を承わつたのであります。そこでその自衛隊が、お話のございましたように、外部からの武力攻撃に際しては我が国を防衛するため行動を起すのだということでありまするが、そのときに、前段にお話のありましたように、防衛力というものが理想の状態に達しておりますれば、これは勿論自国の力だけでその責を果すということになると思いますが、国力これに伴わんということで漸増の過程にある今日の段階といたしましては、当然外部からの武力攻撃に際しましては、お話のございましたように、日米の条約に基く行動が起されると思うのであります。  その場合に、私総理にお伺いいたしたいのは、我が自衛隊は自衛隊だけで行動をとるのか、日米の条約に基く駐留軍との共同の行動に移るのかということが問題になると思いますので、そのことをお伺いいたしたいのであります。その場合、新らしく示されておりまする自衛隊法案の要綱によりますれば、自衛隊だけが行動を起すという場合は、これは勿論内閣総理大臣がその一切の指揮命令の衝に当られることは当然と思いすまるが、共同して行動を起すという場合には、一体指揮命令というものはどなたが担当なさるのかということが、そこで又問題になつて来ると、こう思いますので、そういう場合に一体総理はどういうように今度の自衛隊を運営して行こうというお気持でございますか、お伺いいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) これも所管大臣から申上げたいと、こう考えております。  この御疑問も、私は御尤もであろうと考えております。そこで、外部からの侵略がどの程度に来るかということが、これは先ず具体的に考えなくちやならんのでございますが、無論大きな外部の圧力なり侵略に対しては、御承知の通り行政協定第六十六条に、日米の間に共同措置をとるという規定が設けられておるのであります。勿論、日本の自衛隊独力でやれる場合には、何もアメリカの駐留車の援助を借りる必要はなかろうかと考えております。併し、アメリカ駐留軍の援助を求めなくちやならんような醜態に万一遭遇いたしました場合においては、日米間において共同措置をとつてこれを協議するという規定が設けられております。この規定の活用によつて双方互いに虚心怛懐に協議しまして防衛態勢を整えて遺憾なきを期したいと、こう考えておる次第でございます。

森八三一緑風会

○森八三一君 行政協定なり、その他の両国間に取極められておるそれぞれの取極めに従つて、自衛隊の力だけでは外部からの侵略を十分に防いで行くことができないという場合に、共同の行動をとるということでありまするが、いやしくも一つの外部からの武力攻撃に対抗して、国を防衛して行くという場合に、二つの組織が対抗する場合、ただ言葉の上では連絡だとか協調だとかいうような言葉で一応の表現はできようと思いまするが、まあ端的に申しますれば、作戦行動をとるというような場合に、頭が二つになつておつて双方が連絡するという程度では、実際の問題としては非常に困難な問題が起きやせんかと、そこでそのいずれかがやはり主導的な力を持つて行くということにならなければ、本当に有効適切な行動というものはとれないというように、私は常識的に理解するのでありますが、そういう場合に、一体どつちのほうが主導権を握つてやつて行くかという問題をどうお考えになるのか。それはそのときそれの情勢によつて判断してやつて行くということでありますれば、若しその情勢によつて判断をして、我が自衛隊が米軍の指揮下に入つて行動をとるということになりました場合に、憲法との関係その他はどういうふうになるのか。どのように理解したらよいのか、それをお伺いしたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。そこで不幸にして外部からの不当侵略に対して、日米両軍の共同防衛をやる場合において、どちらが、端的に言うと、森委員から言うと、どちらが司令官になるかという御疑問だろうと考えております。これは私はなかなか大きな問題であります。十分に我々も肚をしつかりきめて行かなければならんと思います。そこで具体的に只今からさような場合にどうするかということについて、まだはつきり結論は出ておりません。申すまでもなく、一国がさような不当な侵略に単独に処置をして行く場合は問題はないのですが、二国若しくは三国の間、その場合に、どうするか、イマージエンシーの場合に司令官をどこに持つて行くか。これは大きな問題だろうと思います。これは西欧諸国においても具体的にそういう問題が起つておるのであります。そこで日本とアメリカとの間において、そういう関係が起つた場合にどうするかということは、今から十分に私は検討して行く必要があると考えております。ただ行政協定の六十六条において、さような場合には、共同の措置をとつて、その処置をするために双方協議をするということになつておることは御承知の通りであります。この規定に基きまして、我々はさような場合に、どちらが主導権を持つて、いわゆる最高の指揮の任に当るかということについては、十分私は検討いたしたい。まだそこまでは結論を得ておりませんが、これは日本が独立国家たる以上は、やはり日本が主導権を持つて行くのが当然のことであろうと考えております。併しこれは重要な問題でありますので、まだ結論には達しておりません。

森八三一緑風会

○森八三一君 まだ結論に達しておらんということでありますれば、今直ちに具体的に自衛隊が外部からの武力攻撃に対抗しなければならんという必要が迫つておるわけでもございませんが、併し、といつてそういうような不測な事態がいつ発生するかもこれは予測をし得ないことであります。若し万が一急速にそういうような最悪の不幸が到来いたしました場合に、きまつておらんからということで行動しないというわけにも参り兼ねるでありましようし、そういう場合に現在の経済実力から申せば、アメリカのほうが遥かに大きいということで、アメリカが指揮をとるということになりますと、そこに独立の尊厳が侵されて来るというような問題が起きて来るというようにも考えられますので、この問題は速かに結論を出されまして遺憾のないようにして頂きたいと思います。  更に進んでお伺いいたしますが、木村長官はすでにこの戦力問題を通して再三再四終始一貫して戦力の定義を下されております。その定義は私の記憶に誤りがなければ、有効適切に近代戦を遂行し得る実力を持つたものが戦力である、こういうように言われておるのであります。この言葉は総理もお聞きになりまして、その言葉、その定義を是認し肯定されておると思います。  そこで問題になりますることは、今までの保安隊も、ここに新たに創設されようとしておりまする自衛隊も、その定義に副う程度の実力を持つたものではない。又そのものだけの力で近代戦を有効適切に行い得る体のものではないので、これは戦力ではない。だから憲法九条に言う戦力には当はまらんので、そういうことに関する限りにおいては、今日憲法を改正する必要はない、又憲法を改正する意思もないと、過日の本会議におきまする緑風会の高木議員の憲法を改正するかしないかというような問題に対する首相の御答弁も、そういうような意味でお答えになつたように拝承いたしております。全面的な憲法改正という問題になれば、これは別であるが、事少くとも九条に関する限りにおいては、そういうような定義に立つておられまするので、今直ちに改正する必要はない。こういうようにお答えがあつたし、又そういう気持も今のところは持つておらないということであつたと思います。そこで若し外部からの武力攻撃がありまして、我が自衛隊がアメリカ軍と共同の作戦行動に出たという場合に、それは一体どうなるか。自衛隊だけをピツクアツプして考えた場合には、それは木村長官の言われる定義には当てはまらんので、これは戦力ではない、だから憲法の改正は考えなくてもよろしい。まあ一応それを肯定するといたしまして、共同して行動を起した場合に、それは一体どうなるのか。木村長官の御説明にも、それじや一体戦力はどんなものだというと、例えばアメリカ軍のごときものが戦力と理解されていいのじやないかというようなお話があつたと思うのであります。ではそのアメリカ軍はどれでも戦力かというと、仮に駐留しておる椎名町のキヤンプだけを捉えて、あれは一体どうだと言えば、あの部隊だけを注視すれば、これはあれだけを以てして近代戦を有効適切に遂行する力がないので、それは戦力ではないということになるのじやないか、併しそのものが極東に駐在する米軍全体、更に本国に控えておる米軍、それをも総合的に考えるというと、それは戦力になると同じように、我が自衛隊も自衛隊だけでは戦力になりませんが、自衛隊が戦力と理解されるアメリカ軍と共同してその一部になつて行動、作戦をするという場合には、それは戦力だということになりはせんか。そうすると、一体憲法九条との関係はどうなつて来るのかということが私疑問になつて来るのでございますが、そういう場合一体総理はどうお考えになりますか。木村長官がおつしやる定義から判断していえば、我が自衛隊にしても保安隊にしてもそれは戦力ではない、これは一応そういう前提で理解をするが、併しそれが他日不幸なことになつて、若し共同の作戦をとる、行動をとるという場合には、これは戦力の一部を構成してしまうという結果になるのじやないか。ということは戦力とは具体的に例示すれば、アメリカ軍のごときものが戦力だ、アメリカ軍の一部に入つてしまうと、結果としてそれは戦力だということに必然的に相成るのではないか。といたしますると、憲法は改正しないということだけではどうも乗切つて行けない。もうすでにMSA援助を受入れて、暫増し、漸減するという形がとられて来る過程に入つて参りますると、いうそういう事態が発生するかもわからんので、もう今までおつしやつておつたことが聞違いであるというわけではなくて、増強し、増強して、遂にそれが戦力に至るような場合には憲法を改正すべきだと考えるという総理のお考えの時期がもうすでに到来して来ておるのじやないかと、こういうように考えるのでございますが、総理はこの問題はどういう言うにお取扱になりますのかお伺いいたします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) これも関連いたしておりますので私からお答えをいたしたいと思います。憲法に規定しておるのは、我が国の保持すべき実力を言つておるのでありまして、他国との総合したものを決して指しておるわけではありません。極端に申しますると、さような議論になつて、双方合体したものについて判断いたしますると、日本の只今の保安隊を抜きにいたしまして、極く少数な、いわゆる警察部隊のごときものも、これはアメリカの部隊と合体いたしますれば、これは戦力になるというような不自然な見解も生じて来る、そうすると、日本では何も持てないというような結論が、そこに生じて来やせんかと思います。どこまでも我々といたしましては、これは日本が独自に持ち得るこの実力部隊についての規定でありまして、他国との合体した総合実力については、これは触れていないわけであります。日本の将来設置さるべき自衛隊が日本独自の立場から考えて戦力に至らない程度においては、たとえアメリカの駐留軍と合体していわゆる大きな力を持つようになりましても、これは憲法で言ういわゆる戦力にならないものだと解すべきが妥当と考えております。

森八三一緑風会

○森八三一君 憲法九条はどういう場合にも、持つてはいかんということになるということではなくて、国際紛争を解決する手段としては戦力を持たないということでございますから、国際紛争に介入しない限りにおいては、これは問題はないと思うのであります。今のような外国から武力の攻撃があつたような場合に、それに対抗する行動を起すということになりますると、そこに問題が起きて来るので、私前段申上げましたような疑義を生じて来る。今長官からお話のように、そういうように窮屈に解釈をして行けばもう自衛隊も保安隊も何にも持てんことになつてしまうのじやないかという意味とは、私は角度を異にし考えておるのであります。その結果において、国際紛争に介入をする、いわゆる近代戦を遂行し得るような実力を持つという実体が具体的に備わつた、それはそのものだけでは備わらなくても、共同して行動を起す場合に、その一部を構成するということになると、これは明かに憲法九条にいう戦力ということになると、私は理解するのでありますが、そうはならないという長官の今のお答えと、その点で私は考えを異にするのでありまするが、憲法九条にいう戦力は、今お話のようにそのものだけで近代戦を遂行し得る実力を持たなければ、これは憲法に定める条章の規定に反するものではないという解釈をやはりお取りになるかどうか、もう一遍お尋ねします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 重ねてお答え申上げます。まさにその通りでありまして、憲法第九条に規定してあるのは、日本が持ち得るものについて規定されておるもので、外国との関係において規定したものではないと、こう解すべきが至当であろうと考えております。

森八三一緑風会

○森八三一君 この問題は結局並行すると思いますので、私はまだ今の御答弁では十分理解いたさないのでありまするが、時間の関係もありますので、次の問題に移りたいと思います。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) 森君に申上げます。総理はちよつと便所に行かれたようでありますから……。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○国務大臣(木村篤太郎君) 訂正いたしたいと思います。先に行政協定六十六条と申上げたのは、二十四条の間違いでありまするから訂正いたしたいと思います。

森八三一緑風会

○森八三一君 その次に総理にお尋ねいたしたいと思いますことは、千万が長い間待望して参りました独立が達せられまして丁度三年、新らしい憲法に宣言をいたしました文化国家として飛躍発展をして行く基礎を完成しなければならん非常に重要な時に際会をいたしておると思います。こういう重要な時に相次いでいろいろな汚職であるとか涜職というような問題が摘発をせられておりますることは誠に遺憾千万のことと存じます。いずれも事件は司直の手に渡つておりまするので、それがどういうように結果せられますかは今後の推移に待つ、この際は冷静に見守つて行く、いやしくもそのことに対しまして圧力を加えるというようなことの絶対にないように善処をして行かなければならんと存じますのでございまするが、まあ既往のことは別といたしまして、こういうような非常に苦い体験に鑑みまして、今後再びこういう問題が繰返して発生をいたしませんように十二分の注意が払われて行かなければならんと思うのであります。このためには、一体最近捲起つておるこれらの問題がどういうようなことに起因をして起きて来たのかということは十分反省をしなければならんことであると思いまするし、格別にこういうことにつきましては厳重な考えをお持ちになつておりまする総理には、ここ月余に亘る事態に直面いたしまして、相当深刻にお考えになつておることであろうと私は拝察をいたし、想像を持つておるのでありますが、そういうことに関連いたしまして、そのよつて来たる源を究明して行くという見地に立つて、将来こういうことが再び繰返し行われませんような対策というものが当然とられなければならん。少くとも政府としては、そこに具体的な案があつて、今後こういう事態は万が一にも起らないというような確信がおありでなければ、現在国民の持つておる政治に対し、議会に対して非常な不信なことを理解せしめるというわけには参りかねると思うのでありまして、この際既往における問題の責任を云々するのではなくて、そのことが一体どういうわけで起きたのか、そうして今後こういうことを起さないためには、総理としてどういうような心構えでこれに取組んで行こうとなさつていらつしやいますか、その心構えについてお伺いいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。御指摘のような事態が起りましたことは、私どもにおいても甚だ遺憾に存じます。さてこれに対してどうするか。これは事態の真相全貌がわかりましたときに、政府としては適用な措置をとる。適当な措置をとるこによつて、将来の同じような不祥事件の発生を防止し予防するということにいたしたいと思うのであります。今日においてはその全貌がわからないときに、想像によつて事態の発生の原因はどこにあるということを予断いたすわけにも参りませんが。同時にその事態の真相がわかつにたもかかわらず、その原因となるべきものを除去しないという場合には、ここに政府の責任が生ずるのでありますが、事態の真相がわかつて、従つてそのよつて来たる原因がわかつた場合には、政府としては敢然として取調べる決心であります。

森八三一緑風会

○森八三一君 まあ直接これに関連することではありませんが、すでに当委員会におきましては、去る十七国会でありましたか、いわゆる救農国会ということで、非常に不幸な昭和二十八年度の四月の凍霜害に始まつて九月二十五日の十三号台風に至りまする間、相次いでの災害があり、この災害を復興復旧いたしますために、相当額の補正追加予算を議決をいたしたのであります。その議決に際しまして、或いはこういうような忌わしい事件が起きるのではないか、そういうことでは国民の血税を使つて参りまする立場から考えまして許すべきことではないという感覚の下に、予算の不正不当支出防止に関する決議が行われ、政府も、大蔵大臣が政府を代表して御発言があり、速かに決議の趣旨に副うような具体的な対策を立てて御報告をするというような結果に相成つておるのであります。私どもは、その措置を講ぜられまして積極的に、その後十八国会も開かれておりまするし、十九国会も開会すでに百日近くを経過いたしておるわけでありますので、当然これは御報告があつて然るべきだというように考えておりますのに、今以て報告がございません。このことに非常に残念に思つておるのでありますが、予算の不正不当支出防止に関することすら、まだ百数十日を経過した今日、具体的な対策が立たないというようなことだといたしますると、今総理がおつしやいましたように、今起きておるこの忌わしい事件が黒白決せられてからといつていらつしやると、又次から次へと問題が起きて来るようなことになるのではないかという心配が持たれるのでありまして、勿論それは起きておる事態のことについては、お話の通りであると思いまするが、こういうようなことがいやしくも品の端に乗らんように善処をせられるということが当然この際には必要であろうと思うのであります。そのためには、事の真相を究めなければ、その事の黒白が決せられなければというのではなくて、そういうような風説にしても起きないようなふうに政治のあり方を持つて行くためにはかくかくしたい、こうするという御所信は当然おありになるはずだと私は思うのでありますので、重ねて一つお伺いをし、更に今申上げましたこの委員会で議決をせられ、政府が積極的に発言をせられておることすら今日今以て解決しておらんということは、一体どういうことなのか、そのいきさつを承わりたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 本院での、この委員会での御決議もありまして、目下法案を法務省のほうと練つておりますから、この議会に必ずこの法案を提出いたします。それで実はお手許に差出してあると存じますが、昨年十二月から大蔵省におきまして、補助金その他の関係の二十八年度災害につきましては九千数百件を取調べまして、そのうち或いは水増し、不当不正なる支出というものを皆加え、たしかお手許に報告してあるはずであります。更に行政管理庁におきましても約四千件のことを取調べまして、その御報告もお手許に差出してあるはずでございます。なお会計検査院も同じときに九千数百件を取調べまして、この御報告も概括したものをお手許に差出してございます。法案のほうは近く御審議願つて本委員会の御趣旨に副うように、今法務省と折角、罰則その他の関係から、その点の協議をいたしておる次第であります。近く御提案申上げて御審議を願うことにいたしたいと思います。

森八三一緑風会

○森八三一君 時間が大変切迫しておりますので、まだ非常にたくさんお伺いをいたしたいことがございますが、今の問題につきましては、速かにそういうような具体的な措置が進行いたしまして、今までのことについて検査をして、こうだああだということではなくて、今後そういうような事態が発生いたしませんようなことに努めて行きたい、こう考えるのでありまして、善処を望んでおります。  次は、二十九年度予算の基本的性格の問題でございますが、総理は施政方針演説で、日本経済をインフレから脱却せしめて正常な軌道に乗せるためにあらゆる困難を排除して緊縮予算を編成したというように述べられておるのであります。大蔵大臣も財政演説で、政府のお考えを率直に申述べたいと言つて、我が国経済は終戦以来一般に予想せられたよりも遥かに急速に向上し、生産も著しく増加し、国民生活も相当よくなつて参りました。最近街ではビルデイングが立ち並び、ネオンサインが輝やき、贅沢な輸入品が店頭に飾られ……、以下相当長く現状を説明されておるのであります。こういうような御説明を承わつておりますと、何だかこう懺悔をされておるようなふうにも受取れるのであります。私どもはこういうような結果になりませんように、すでに昭和二十七年度の予算の審議に当りましても、昭和三十八年度の予算の議決に際しましても、強くこういう点を指摘して参つたと存じます。今日こういうような事態になつたという御報告を承わることは非常に心外であり、残念に思い、遺憾に考えるのであります。とは言え、まあこういうところにはつきりと反省が行われまして、そこで本来の道に立返つて、いわゆる緊縮予算が編成をされ、これを改めて行こうという態度になりましたことは非常に結構なことでありまして、賛意を表するのに決してやぶさかではございません。併し予算の内容を静かに検討してみますると、本当にこれでおつしやつておりまするような緊縮予算であるというように言えるかどうか、却つてインフレ予算ではないかというような疑問が生じて来るのであります。一般会計だけについて見ましても、昭和二十八年度の当初予算は九千六百五十四億円でございましたものが、今度は九千九百九十五億円ということになりましたので、まさに数字的にも三百四十一億円の膨脹であります。再度に亘る追加補正の結果、昭和二十八年度の予算は一兆二百七十二億円ということになつておりますので、この補正の行われた結論の一兆二百七十二億円というものに比べますれば、それは確かに説明されておりまするごとく二百七十七億円の減額となつておりますが、実質的には租税の払戻金が今回は含まれておりません。或いは二十八年度の予算におきましては、林野庁の特別会計の剰余は一般会計へ繰入れましたものが入つておりませんとか、その他こういうものをずつと拾い上げて参りますると、必ずしも二百七十七億円の減額ということには相ならんのでありまして、逆に膨脹をしておるという結果に相成つておるのではないかと存ずるのであります。更に特別会計を含めたいわゆる純計で比較をしてみますると、二十八年度の二兆四十億円に対しまして、二十九年度のものは二兆五百三十億円ということで、私の計算によりますれば約五百億円の膨脹となつております。こういうことでも、これでいわゆるデフレ予算と言うことがで送るのかどうか。ここにまあ非常に私は大きな疑問を抱くのであります。デフレ予算だから、これを通じて朝鮮動乱勃発後、たしかアメリカの物価は一割くらい、イギリスでは二割何分、日本は五割数パーセント上つておるというようなこの物価高を是正をして輸出貿易の振興に資するのだ、そのためには取りあえずのところ急激な変化を起してはいけないので、五%から一割程度を引下げる、こうおつしやつておりまするけれども、勿論これは予算の関係だけでそういう結果に導くというものではなかろうと思います。他の万般の施策が総合的に考えられたければならんことは申すまでもございませんが、今申上げましたようなこの予算から出て来るものだけを考えて参りますると、果してこれでおつしやつておるような実効を期待することができるでありましようか、私は非常に大きなここに疑問を持つのであります。むしろこういうような形の上の一兆ということに捉われ過ぎてしまつて、何だか国民を欺くというと少し言い過ぎるかも知れませんが、ごまかすようなことでは、却つて国の正常な経済を建直しをして行くということのためには思わしい結果にならんの、ではないかいう気がするのであります。この際むしろ率直にその実態をさらけ出して、国民と共に苦しむというような態度に出たほうがいいのではないか、こう思うのでございますが、総理は一体どうお考えになるのか。一兆という枠にこだわつて、昭和二十八年度には一般会計に組込んだものをちよつと外のほうへ外しておいて、それで一兆にしたのだからと、こうおつしやつておつても、うつかりすると国民はそれをまじめに受取つておるうちに、実態はそうではないというふうに、数字的に見ましても遥かに膨脹しておるという事態を考えますと、これはどういう結果になるのかという心配が起きるのであります、総理はどうお考えになるのか、お伺いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 所管大臣としてお答え申上げます。只今のお話でございまするが、御承知のごとくに一般会計の規模が昨年よりも縮小し、又投融資を含めた規模が縮小しておることはよく数学的にも明らかでありますが、そのほかにも特に御理解が願いたいのは、御承知のごとくに過去の蓄積、前年度の剰余金等一切算入していない、一切勘定に入れてない、これは従来入れておるのであります。又前年にはいわゆる減税国債というのがありましたが、公債その他一切の借入金のものによつていない、こういうことであります。それから第三には、自然増収というものを前年は相当多額に見ておりましたが、一切の自然増収を見てない、こういう点が数字以上にはつきりと均衡予算、よく中には均衡予算、むしろ超均衡予算とさえ言われる方があるのはこれなのでありまして、これは均衡予算の全貌をよく私は物語つておると思うのであります。成るほど森さんの仰せのように、特別会計を含めるというと殖えますが、御承知の通り特別会計は、鉄道その他事業会計がこれは年々仕事が膨脹して参りまするから、特別会計が殖えるのは当然でありまして、これを以て財政の膨脹ということを申上げることのできぬことはこれは当然おわかりが願えると思うのであります。  更に、これでそれでは物価引下げができるかというお話でございますが、私どもも過日申上げました通り、それは大体アメリカが一割、イギリスが二割七分に比べて日本が五割六分ほど上つておるから、理屈から申せば三割日本で物価引下げを持つて行く、そうすれば国際水準に行くのでありますが、併し急激にそういうふうに持つて参るということは、日本の財界に対する影響その他のことも考慮しなければならないので、差向き五分乃至一割、大体昭和二十七年度の物価のところに持つて参るという策をとつておるのでありますが、森さんが仰せのごとくに、決してこの財政緊縮一本を以て行けるとは考えておりません。従つて金融の引締めの強化もやりますし、又税制におきましても、輸出の増進になるような、或いは輸入の阻止になるような措置をとります。又資本の蓄積になるように税制措置を今度お出ししております。そのほか大蔵省であずかつたものとしては、外貨予算の関係等もありますので、これらの繰縦等によりまして所期の目的を達成いたしたい、つまりこの緊縮予算は、要は過日の演説のうちにも申上げましたが、これは第一着手でありまして、これは本当の糸口でございます。従いまして総合的な諸施策を進めることによつて所期の目的を達成いたしたい、かように考えておる次第でございます。

森八三一緑風会

○森八三一君 もう時間が参りましたので、今の大蔵大臣の御答弁に対しましては、まだ相当具体的に数字を挙げて御質問申上げたいことがありまするが、いずれ一般質問の時間に詳細承わることにいたしまして、そのことは差控えたいと思います。  ただ、余りこう一兆の枠にこだわり過ぎておられるということの実例を挙げますると、昭和二十八年度の予算におきましては、租税の払戻金というものが七十八億円ございました。それを今度はそういう予算を組んだのでは、実際の租税の過納を払戻すことが渋滞をして、却つて善良な国民諸君に迷惑を及ぼすという危険があるので今度は外したと、こうおつしやつておる。一般噸税や関税なんかのやはり過納についても、同様な措置が一つの方針としておきめになるならばとられなければならんと思う。ところが一般法人、所得税のものだけは七十八億円の金額を外しており、一方一億九千八百万円で、小さな金額だからお忘れになつておるのか、そういうところにも非常な疑問が出て来る。ちよつと考えると一兆という枠のところにこだわり過ぎて、その一つのほうは外しておるけれども、頭隠して尻隠さずという結果がこういうところに出ておるような気がいたします。このことはいずれ一般質問で究めたいと思いますので、今日は保留いたします。  最後にお伺いいたしたいことは、今お話がありましたように五%から一〇%ぐらいの間で、急激には行かぬから、物価を引下げてそして輸出の増進やらを図つて行くと、こうおつしやつておる。ところがそういう裏から四月以降鉄道運賃の一部を改する、電気料金も一四%前後に、これはまだきまつておりませんが、そういうようなことになるのじやないか、仮に一四%ぐらいお引上げになると、私の聞いておるところでは、一つの例でありますが、肥料の生産に不可決な硫安一かます百数十円もの値上りになつて来る。そうなると、これが米価に及んで影響して来るということになりますので、一方では財政の引締め金融の引締め等によつて物価を引下げて行こうと、こういうふうに構想されておりましても、一方では次から次へとそのことを崩して行くような条件が出て来るように思うのですが、こういうことに対しまして一体総理はどうお考えになるのか、こういうことはやらんということなのか、これはやつても大丈夫というふうにお考えなのか、それを一つお伺いいたしたい。  更に、今申上げました硫安の関係で米価の問題に触れたわけでありまするが、この予算で見ますると、昭和二十九年産の米は八千八百二十六円というように計算されておるかと思います。これは私の計算が多少違うかもわかりませんが、過日公聴会のときに東大の大内力氏は八千七百五十六円という数学を使つておりましたので、私の計算と多少五、六百円の相違があるようでありますが、これは各種の奨励金の計算等におきましてこういう狂いがあると思います。どつちにいたしましても八千八百円前後が予算に組まれている。補正予算を組まないという限りにおいては、昭和二十九年産米価というものは生産農民のほうへ昭和二十八年産米価よりも一千円余りのものを安く押しつけて行くという態度に出るか、さもなくんば消費者価格を上げるという態度に出るか二途いずれかようないと思うのです。補正予算をやらんという前提に立つて進めば、生産者のほうへそのしわ寄せを持つて行くか、或いは消費者のほうへそのしわ寄せを持つて行くか、いずれかにしなければこの措置はどうしても私はできないように思うのでありまするが、そのことに関しまして一体今後どういうようにこれはして行くのか。もう間近に迫つておる問題でありますのではつきりと承わつておきたい。  更に、その食糧に関連いたしまして昭和二十九年度の予算におきましては説明としては食糧増産対策費が六億くらい増加しておる。これでしつかりやつて行くのだと、こういう説明をされておりますけれども、その内容を分析して見ますると、二十八年度の異常災害に伴い営農資金なんかの貸出の利息の補給金などで、積極的な増産対策費と見ることのできないものが約二十五、六億円は入つておりまするので、二十八年度と同じようにこれをならして見るというと、二十億円くらいの食糧増産対策費というものは減少しておるのです。総理も御承知のごく人口の増加に伴う自然の食糧の増加、それから土地の壊滅による減耗というものを考えて行きますると、再三再四この議場でも議論されておりますように、少くとも年間二百四十万石くらいのものは増産をしなければいかんという計算が出て来るのであります。それすらもこの昭和二十九年度予算においてはカバーができない。自然この昭和二十九年度の食糧増産対策費というもので進行して参りますれば、勢いの赴くところは、外国の輸入食糧を増加せざるを得ないという結果になるのです。そうなれば現在でも非常に困難なる外貨事情、国際収支が赤字に転落しておるという事情に対処してどうやつて処理して行くのか、取組んで行くのか疑問を持つのであります。こういうことについて今後一連の関係物価対策として、物価高を来たすような諸般の問題はこれを推進しないというようにお考えになるのか、そういうことをやらんでも大丈夫、政府の声明しておるごとく年度末に五%から一〇%ぐらい物価を引下げられるという確信がおありになるのかどうか。若しそういう御確信があるならば、昭和二十九年度の予算に組込まれておる各種の物件費、消耗品等の事務費というものも昭和二十八年度の実績ではなくて、その確信のある方針が当然出て来てもいいのじやないかと思いますが、そういうふうに行われておらんとすれば、やはり確信がないということなのか。或いは後に出て来る電気料金の値上げとか或いは消費者米価の値上げとか、鉄道運賃の一部改訂というような一連の物価の値上げが具体化して来るような条件が出て来たら、昭和二十八年度と同じような予算を組まなければならなくなるのか、その辺もお伺いしたい。  更に、食糧増産について外貨との関係は、これでうまくやつて行けるという御確信があるのかどうか、お伺いいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○国務大臣(小笠原三九郎君) 所管大臣としてお答え申上げておきます。最初に鉄道運賃云々というお話がございましたが、物価に影響する貨物運賃は一切上げておりません。一等、二等の運賃、いわゆる通行税だけを枠外に出した、こういうことだけでございまして、これは物価等には何ら影響がないものと考えております。なおたばこその他も上げたじやないかという話もありますが、これは贅沢品に対する課税で、これは物価の引下げに役立つものを私は考えておるのであります。  更に、米についての話がございましたが、これは私どもちよつと予算の説明書にも書いておきましたが、明年度予算で供出完遂奨励金及び超過供出奨励金を基本価格に総合して一本にしたのであります。別に早場米奨励金というものを見ております。ただ御承知のごとく二十八年は非常な凶作でありましたので、超過供出のほうが多くて義務供出のほうが少くなつておるのであります。今度の予算は平年作として見ておるのでありまして、平年作として見れば、価格もこれで何ら農民として失うところはないことはおわかり願えると思います。又更に価格を引上げなければならんじやないかという御心配は、平年作であれば、さようなことはないことは御了承願えると思います。  それで今後電力料金等はどうか。これはできるだけ私のほうも通産省筆と検討いたしておりますが、できるだけこれは上げたくないという考えの下に、これは影響もございますので考えておる次第でございます。まだ何ら結論に入つておりませんが、そういう方針の下に今検討いたしております。  それから下げることができるというなら、予算のなかでも物件費をそういうふうに五分なり一割なりを減したものを見込んだらどうか。これは森さん御承知の通り予算を作るときの建前は、現状においてやるのでありまして、物価が上るだろうという予算の建前で、例えば物価が一割上ると見込んで予算を組むわけには参りません。又下げることを見込みましてその予算を組むことは、その健全を欠きますので、まあ下つて余力を生ずれば、これは財政法に基いて如何ようにも処置し得ることでございますので、この堅実を期する点からやつたので、私どもは物価を引下げるには十分の確信を持つておるということを申上げたいと存じます。

森八三一緑風会

○森八三一君 時間が参りましたので、これで私の質問は打切りますが、只今申上げましたように、食糧確保の問題なんかは、かなり理論的に辻褄が合わないものがあると思います。今お話のように物価引下げには確信があるということでありますれば、そういう確信を食糧増産対策のほうへも廻すということも一つお考えを頂くべきときが来るのではないかと考えますが、これは一般質問で詳細数字を挙げて御質問申上げます。

中田吉雄日本社会党(第四控室・左)

○中田吉雄君 ちよつと議事進行でお尋ねしますが、総理は何か余儀ない御用事がございまして、三時過ぎに御退席するということですが、私の持時間は五十分ですから最小限、答弁を加えて一時間半はもらわなければならんわけです。私として、途中で腰を折られるということは、何ら私の都合ではないのですから、そういうことなら明日に廻してもらいたいのです。やるのでしたら、やはり私は十分敬意を表して質問しますから、最後までおつてもらいたい。その点御確答願つた上で質問を許してもらいたい。

青木一男自由党

○委員長(青木一男君) それでは本日はこれにて散会いたします。明日は午前十一時から開会いたします。    午後二時五十九分散会

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