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19回国会参議院1954/05/21

郵政委員会 第16号

発言数
91
登壇者
8
会派数
2
開催日
1954/05/21

会議録

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) 只今より委員会を開会いたします。ちよつと速記とめて。    〔速記中止〕

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) それでは速記をつけて下さい。  最近における郵便物配達先調査事件に関する件を議題といたします。本件については去る十八日本委員会に斎藤国家地方警察本部長官、高橋公安調査庁次長及び郵政省当局の出席を求め調査を進めて参つた次第でありますが、本日は更に法務大臣、郵政大臣、公安調査庁及び内閣法制局当局の出席を求め、更に調査を行いたいと存じます。なお、本日は去る十九日の委員長及び理事打合会の決定に基き後ほど本事件に関係された郵政省職員のかたから陳情を聞くことになつておりますから、この点あらかじめ御報告申上げます。これより本事件の調査を行います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 この前の十八日の郵政委員会におきまして、私は信書の侵犯問題が全国約八事件、件数にして八件から十件に及ぶ件数に亙つて、そういう事例がありますので、極めて言論の圧迫であるとか、思想の自由に対する弾圧であるとか、警察法の改正ということで、いろいろ世の中では、又暗黒の昔の政治に帰るのではなかろうかという非常な不安に駆られておりますだけに、この際、長い間に亙つて確保いたしましたこの信書の秘密を侵すことができない憲法第二十一条によつて保障されている基本権、これを是非守つて行かなければならんので、特に国警長官の出席を求めまして質したのでありますが、その際に実はこういうことが速記録を読みますと明確に答弁されております。それはこういうことであります。つまり信書として郵便官署の取扱にかかるもの、これは当然これを侵してはならない、これは犯罪になる、こういうことを答弁いたしておりますが、その前に郵便官署に差出される前、乃至はその後の配達された後になりますが、その信書を開きましても、開披いたしましても、犯意がなければ、善意であればこれは犯罪にならないのだ、こういう実は答弁をされた、このことが私も非常に重大な問題なので再三念を押したのでありますが、政府当局の見解はそれでいいのかということを質問いたしましたが、多少含みのあることはいつておりました。むしろ法務省の刑事局長ですか、そういう関係のかたから答弁したのが妥当かも知れませんが、国警長官としてはこう考えるということで答弁しているのが、只今申上げましたように犯意がなければ信書の侵犯は犯罪にならないという実は答弁をしておるのでありまして、これは実に重大な問題でありまして、このことが新聞に発表されて、全国の非常に大きな反響を呼んだようであります。こういうことで、若し犯意がないということでどんどん信書が侵されて行くということであれば大変なことになります。それから又郵便局員、この職に従事しておる方々も非常な不安に駆られて、いろいろ連絡をとつ棄ておりますので、私はこの際、明確にしておきたいと思うので、特に郵政大臣及び法務大臣の責任者の出席を求めまして質問をしたいと思うのでありますが、只今申上げましたように速記録では、信書であるかないかあけてみなければわからんわけでありますから、四囲の情勢から通信だと認められる場合には、これは遠慮しなければならないと考えますけれども、私どもとしましては宛名もなければ差出人もないというものは通信とは考えておりませんと、こういうことを実は斎藤国警長官は答弁しておるのでありますが、先ずここで問題を明確に絞つて行かなければなりませんが、信書というものの定義であります。これは私は宛名が書いてあろうとなかろうと、とにかく特定人と特定人との、これは少数と多数とにかかわらず、特定人から特定人に宛てて意思の伝達を記載しておるものであれば、これは信書と見なすべきものであると考えるのでありますが、信書に非常に関係の深い主管大臣であります郵政大臣の政府を代表しての立場、見解を先ず承わりたいと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) これは国務大臣としての答弁ということでありますけれども、所管が私の所管外の事柄でありますし、非常に重大な問題でありますので、これは担当の所管大臣からお聞き頂きたいと思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 そうしますと、これは法務大臣に答弁を求めなければならんということになりますが、このことはそれじや答弁できると思うのですが、在来逓信省で取扱つて参りました伝統乃至慣例と申しますか、そういうものがあろうと思うのでありますが、郵政省としてはこの信書というものをどういうふうに解釈されて来ておるのか。それはお答えになれると思うのです。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) まあ一般的に信書というのは、今永岡委員も御指摘になりましたように、特定人から特定人に宛てて意思を伝達するということになつておるものでありますからして、全然差出人もない宛名もないというものは、これは普通には信書には考えられないと私どもは思うわけであります。併しそれではいつもそうかということでありますが、それはそう言い切るわけには行かないと思うのでありまして、その他の客観的な情勢判断からして、まあ蓋然的にこういうものは信書であると判断できるようなものは、憲法が信書の秘密を保持するという意味においてのやはり信書に含まれる、こういうことになると思います。ただ私どもが郵便として扱います信書は、そういうものは扱いようがないものでありますから、私どもの扱いの範囲においては、そういうものは信書として取扱つておらない。こういうふうに申上げられると思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それではたまたま封を開いて見たところ、中に差出人と宛名が書いてあつた、通信も記載されてある、誤つて忘れて宛先は書いてなかつたということが、これはしばしばあるのです。私どもの身近にもそういうことがよくあるのですが、これは私は宛先がなくても信書だろうと思う。封には書いてないが中に書いてある。表の封に書いてないけれども、中に明確になつているのは信書だと断定すべきだと思う。というのは郵便官署においては事故郵便物は御案内の通り或る一定の期間をおいて中をあけて宛名が書いてあればそれは届ける。これは明らかに信書だと思います。従つて上に書いてないから信書でない。こういう結論は下せないと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) はつきりそういうことを頭においておつたわけではありませんが、絶対に宛先も差出人も表に書いてないから信書でないとは申上げられない。その他の事情で信書と判断ができるものであるならば、憲法のいう意味においての信書である。ただ我々のほうといたしましては、宛先がない限りは全然扱いようがないものですから、信書扱いということにはいたしておりません。こういうことであります。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 これは大臣は信書扱いしていないとおつしやいますが、郵便法の第九条ですか、明確に郵便官署で取扱う信書とそれ以前の信書ということに区別されるのです。ということは第九条に「郵政省の取扱中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない」という規定があるわけですから、従つて郵政省の取扱中以前の信書があるわけなんです。当然あるわけなんです。その信書には宛先が書いてあろうとなかろうと意思を伝達した文書、これは私は信書だと思う。そうして今大臣もちよつと漏らしましたが、憲法二十一条でいうところの通信にこれは私は勿論入るものだと、こう解釈すべきだと思いますが、どうでございますか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) これは、ですからして、どこまでも憲法のあの規定というものを頭において、どういうものが秘密を保持すべく憲法の規定が予定しているかということを頭において、個々の問題について判断をさすべきでありまして、只今繰返して申上げますように、表側に宛書がないからということだけで、信書でないと絶対的に判断するというわけには参らないわけであります。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 事務当局に補足説明して頂ければ補足説明して頂いても結構です。

渡辺秀一郵政省郵務局次長

○説明員(渡辺秀一君) 今のを若干補足いたしますが、永岡委員のお尋ねになりましたのを先ず二つに分けて考えてみたいと思います。投函されておつたものが全然宛名も差出人も書いてない、こういう場合と、それからもう一歩進んで或いは中に何か書いてあるかも知れません、こういう場合とが、二つ想像されるわけでありますが、これは封筒に何も書いてないといつたような場合には、今大臣がお答えになりましたように、結局これがそれだけですぐ信書であるかないかということについては、これは若干疑問があると思います。それで我々のほうといたしましては、さような場合には郵便法に基きまして永岡委員も御承知と思いますが、これを開披してみて差出人に還付できるものは還付する。そうして還付できなないものは国に帰属する。できないということは結局発受信人も開いてみたけれどわからない。これは如何ともし難い。その場合に、開いてみたら何にも書いてない、これが信書であるかどうかというお尋ねでしたから、これは先ほどからも大臣からお答がありましたように、法務大臣にお答え願つたほうがいいのじやないか、かようなことだと思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 これは開いてみて中に発信人と受信人が書いてあるし、又その発信人と受信人の宛先がなくても、通信文が書いてあつたということは、これは信書だと思う、又これは憲法二十一条でいう通信だと断定すべきじやないかと思う、こういう解釈ですが、この点には御異論はないのじやないかと思いますが、どうでございましようか。

渡辺秀一郵政省郵務局次長

○説明員(渡辺秀一君) お答えします。開けてみたが、発受信人が書いてなかつたという場合でありますが、これは信書といたしましては、御承知ですかと思いますが、結局特定の個人から個人宛の意思を伝達する文書が信書であります。従いまして何にも発受信人が書いてないという場合には、まあ一般的に申しますと、我々の今までの郵政省としての解釈といたしまして、信書とは言いかねるのでありますが、ただ書いてないから直ちに信書でないという断言もできないのじやないかと、これは文書の内容その他いろいろな客観的な情勢と申しますか、そういうものから特定人から特定人宛のものだというようなことが、蓋然的に認められれば、或いは信書に該当するかも知れません。これは個々の問題について検討してみませんと、一般的にはお答えしかねる問題じやないかというふうに考えます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それでは郵政当局に重ねてお尋ねしますが、この郵便官署の取扱中に係る通信で、これは犯意がないということで、或いは善意だということで信書を開きまして、例えば検察官等が、この前事件になつたようなことでありますが、そういう例で中を封を開いて見るということは善意であれば、或いは犯意がなければ――犯意がないというのはこれは問題がありますが、開こうとしているというのは、これは犯意がないとは言えない。そういうふうな善意であれば犯罪にならないという国警長官の解釈でありますが、郵政当局はそれは犯罪と見ないのでありますか、どうですか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) これは郵政省の関知外の問題でありますので、殊に先ほどから申上げましたように、微妙な認定の問題でありますから、当の責任大臣の認定になると思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それは当の責任大臣の認定だということになりますと、そういう事件が起きたらどうされるんですか。一応郵政当局は放置するんですか。どういう取扱いにするんですか、そういう場合には。これは信書の秘密を守らなければならん重大な責務を負わされておるわけです、通信官署、それからその職務に従事する人は。従つてそれは犯罪になるかわからないというようなあいまいな態度で、この事業を運営するということは重要な問題だと思います。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) 私はお尋ねが相手方の場合をお尋ねになつておるからして、こちらの問題ではない。こちらといたしましては、相手方にどういう意思があろうが、とにかく私どもとしては信書の秘密は保持しなければならない、こう思つております。ですからして相手方が犯意があつてやつたとか、過失でやつたということについては、私どもとしては全然問題はないんであつて、どんな動機で以てやつて来ましようが、信書の秘密を破るというような行動に出て来る者があれば、それを拒否するということによつて、郵政省の秘密保持ということが行われる、こういうふうに思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 郵政当局は、そうすると拒否すれば責任は足りるというお考えですか。それ以上にそういう侵す者があれば、法に照らして断乎処断して未然に防ごうとする努力をなさらないんでありますか。その点はどういう御見解でございますか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) それは個個の問題といたしましては、こういう事実があつたということをそれぞれの関係先に連絡をいたしまして、捜査を必要とするという疑いのある事件であるならば、捜査を頼むなり、それから一般的な問題といたしましては、こういう事件が起きておるから類似の事件が起きないように注意をしてもらいたいということを、関係各省に連絡をするという立場であります。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 そうすると、確認したいわけですが、郵政当局としてはその起きた個々の事件について、それがどうであるかということについては、単に一応拒否して、そうしてけしからん、調べてくれ、こういうことで、例えば官憲が行なつた場合には、官憲個人が行なつた場合には、個人についての調査を同じくそれぞれの機関に依頼する、こういうことなんでしようか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) 郵政省が帯びておりまする秘密保持の義務を円満に果せるためには、やはりその程度の措置はしなければならない、こういうように考えております。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 法務大臣が参りませんので、まだ郵政関係のほうに進むわけですが、この神奈川県で起きたごとき事件は、投函する人を尾行して、尾行して投函を見届けて、今投函した先を知りたいので、是非内容を知らしてくれ、こういうことをその局員、集配人について調査をしておる、こういう事実があるわけですが、こういう場合には郵政当局はどのような措置をとられるのでありましようか、具体的に……。

渡辺秀一郵政省郵務局次長

○説明員(渡辺秀一君) 今お尋ねの件でありますが、かような場合には我々といたしましては、通信の秘密を確保するという立場上、そういうことはお知らせすることはできないということで断乎として拒否するのであります。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 拒否するということだけでいい、こういうお考えでございましようか。

渡辺秀一郵政省郵務局次長

○説明員(渡辺秀一君) 勿論拒否すると同時に、さようなことをしては困るということをその関係者或いは関係方面に要請するのは勿論であります。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それで大体これは法務大臣の出席を求めなければ明確にならない問題がだんだん焦点として出て参りましたが、更に私はもう一つこれも明確にしておきたいと思うんですが、いわゆる通信文を書いた信書でない、例えば第三種のごときもの、最近調べられておるのはどうも「アカハタ」のようでありますが、「アカハタ」の一つの例をとつてもいい、現実に起きている事件ですから……。これに宛先を封緘紙を付けて書いてある。これは信書であるかどうか。恐らく信書でないというところだろうと思いますが、そうなりますと、そのものは信書でなくても、そこに記載されてある事項を枠を付けまして、これだけは是非知つてもらいたいんだということで、枠を付けた場合信書になるかどうか、この点はどういう御見解を持つておられますか。

渡辺秀一郵政省郵務局次長

○説明員(渡辺秀一君) これは個々別々の事項をつかまえて具体的に調べてみませんと、何とも申しかねるのでありますが、特に或る箇所に枠を付けて送致をしたといつたような場合には、永岡委員のお尋ねになつた信書でないかという点について、かなり疑問が起つて来るわけでありまして、一般的に申しますと、まあ普通の新聞、或いは「アカハタ」であつても結構でありますが、これは信書でございませんと思いますが、今のような場合には特別な例外として或いはそういう疑いが出るという程度のことは考えられるのであります。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それは一応わかりました。それからもう一つは、今純然たる第三種の印刷物、機関紙等でありますが、それを封緘紙に宛先が書いてあつて、そのことは郵便法第九条によつて発信人やそれから宛先やそれから部数、こういうものは漏らすことのできない義務を負わされておりますが、それを知らしてくれということを官憲からも要求して来た。その場合に、これは勿論郵政当局は拒否するでありましよう。職務上拒否するでありましよう。なぜならば郵便法の九条でそれを漏らしてはならない義務を負わされているから。これは私は特にここで質問しなければならんのは、あえてそれを見せてくれということになりますと、これは明らかに本人の守らなければならん法律上の義務を侵すということを教唆することになると思うのですが、教唆罪にこれは問われないかどうかということですが、どうでしよう。

渡辺秀一郵政省郵務局次長

○説明員(渡辺秀一君) 今のお尋ねの点につきましては、むしろ法務省のほうからお答えを頂いたほうがいいのじやないかと思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 この問題について郵政当局の見解はありませんか。郵政当局としては何らただそういうものが見に来れば、調査に来れば拒否する。それだけでいいのだというさつきのようなことで阻止しているのですか。どうも私は、問題がやはり今日頻々として起つていることには、そういう郵政当局のやつぱり態度にも、若干そういう余地を、恐れを抱かせているものがあるのじやないかと思うのですが、もう少しこれはやはり重大なる、信書とは憲法で保障された基本的人権なんだ、私たちも長い間そういうことで教え込まれて仕事に携わつて来たものでありますが、そういうことでありますから、それを仮にも侵そうとするとなれば、これは明らかに教唆罪まで構成するのだという毅然たる態度で、郵政当局は行かなければ、当然守り得ないのじやないか。棍棒で脅かし、官憲で脅かして来た場合、郵便局員は恐がつて、それは群馬県ですか、神奈川県ですかの事件で、お前が喋らなければおれはちよつと局長に用があるのだ、お前の名前は何というのだ、こういう脅かし方をされますというと、ついふらふらと私は見さすだろうと思います。だから私は郵政当局は余ほどしつかりした態度を職員に植えつけておいてもらわなければ困るし、又郵政当局も相当毅然たる態度を持つておかないと基本的人権は守り得ないものと解するのですが、そういう少し弱い態度があるのじやないかと思いますが、どうでしようか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) 実は、私も最近こういう事例があつちこつちに頻発いたしまして、非常に憂慮をいたしておるのであります。こういう事例が頻繁になつたのでは郵政事業というものに対する国民の信頼の度も薄らいで来ることも恐れなければなりませんので、従つて部内に対しては、繰返して強くそういうものに対しては、応ずべき義務がないという、積極的にこれを拒否するようにということを伝えておりますわけでありますが、ただ相手方がそういう行為に出た場合に、それが教唆になるかどうかということは、これは郵政省の、若しくは郵政大臣の所管の問題外の、或る人の行為が犯罪に該当するかしないかという微妙な法律上の問題でありますので、何とも申上げられません。

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) 法務大臣を今呼んでおりますが……。どういたしますか、今本会議のベルが鳴りましたが継続して行いますか。本会議にちよつと入りますか。  なお、郵政大臣は、御承知の通り地方行政、それから衆議院にも出席しなければならないから、もう十分ぐらいというお話でありますが……。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それでは郵政大臣に、これは一つお願いしたいのでありまするが、その後とられた措置は、厳重なる地方職員に対する通牒と、それから公安調査庁及び国警本部に対する厳重なる注意、こういうことになつておりますが、私は、同じ国務大臣であり、両者の間に意思疏通を欠くことがあつては非常に困ると思うので、お尋ねするわけですが、この前も明確になつたことは、郵政省当局のつかんでいる資料は、必ずしも法務当局乃至は国警当局に十分反映されていない。これは恐らく現地における無関心さ、郵政当局ではありませんが、国警本部における無関心が、今日このような事態を私は起していると思う。従つて吉田内閣として、これば十分方針をきめてもらわなければ困ると思うのですが、何かこのような問題について、閣議で問題になり、何かその点具体的な対策を講ずるようなことが論議されたでございましようか。その点、一つお伺いいたしたい。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○国務大臣(塚田十一郎君) これは一般的に、こういうものについて、方針をこれから新らしくきめるというようなことでありまするならば、これは閣議において皆なで審議をするということも必要であると思いますのでありますが、方針はきまつております。ただその運用の度合がうまく行かないというだけで、こうして問題が起きておりますので、今度事件が起きて以来の今までとつた措置は、只今お述べになりましたように、関係官署に注意を促し、私どもの出先に注意を促すということだけで、別に閣議において皆なで議論をして、そうして新らしい何らかの方針を考えて、それを閣議の決定、若しくは了解というような措置はいたしておりません。

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) 只今法務大臣が見えましたから……。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 郵政大臣に要望いたしまして、法務大臣の質問に移ります。これは何回も繰返しますが、やつぱり重要な問題でありますので、一片の通牒に終ることなく、政府全体の問題として、厳重に、一つ法務大臣がおいでになりますが、意見を統一されまして、このことが未然に防がれるように、重ねて要望いたしておきます。そして再びこのようなことが起きた場合には、厳重なる一つ処断をして頂きたいと思うのです。それは、私は処断そのものを望むものではありませんが、防止のための一つの予防として重大なる決意を以て臨むことを特にお願いしておくのであります。  法務大臣に、一つそれでは質問いたします。今日法務大臣に出席願いましたのは、先般の十八日の郵政委員会で、法務大臣の出席のあるものと期待いたしておりましたが、残念ながらお見えになりません。当日出席しておいでになつたならば非常に事件の究明について能率的にこれが効果を挙げることができたのでありますが、残念ながらおいでになつておりませんので、ちぐはぐな形になりまして、そこで今日は実は国警長官が、十八日の本郵政委員会においてどういう答弁をされたかということでありますが、それは郵便物、信書でございますが、信書に対して、善意であれば、これを開封しても犯罪を構成しないという答弁をしたのでありますが、これは重大なる問題だと思いますのですが、この点について、法務大臣はその意見に賛成されるのでありますか。憲法第二十一条及び郵便法の第八条乃至第九条の精神から考えまして、私は、これは許さるべきものじやないと考えるのでありますが、国務大臣としては、政府を代表した意見を一つ明確に御答弁願います。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今、永岡君から御質疑がありました通信の秘密は、これは憲法の保障するところでありまして、当然、これを侵害した場合は、我々はこれに対して厳罰主義を以て臨まねばならんと、かように考えるものであります。当日国警長官がどういう意味の御答弁をいたしたかしりませんが、犯意なき場合は、これは除かれるのでありまするが、いやしくも成る目的を以て他人の信書を開封するようなことがあつた場合は、これは重大であると、かように考えております。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 そういたしますと、今法務大臣もちよつと気になる御答弁をされましたが、犯意なき場合とおつしやいましたが、犯意なき場合は、これは犯罪を構成しないと、こういうように解釈するのでありますか。念のためその点明確にお答え願います。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 法律上の細かい問題につきましては他の政府委員より御答弁いたしますが、私が日常遭遇いたしますことで、私自身の体験によりますというと、私の家へ手紙が何本も来ますから、それを封書を何十本か切つてみる、そうするとどうも意味がわかりませんものですから、誰から来たものかと見ても、どうも意味がわかりません。例えば借金の催促が盛んに厳重に来ておるが、どうもこれはどういうのだろうと思つて見る、表を見ますと宛名人が違つておりますから、これは先方へ詫びるわけでございますが、こういう場合のことを私は常識的にお答えいたします。法律上の問題につきましては、他の政府委員よりお答えいたします。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それじや一つ政府委員から……。明確にいたしましよう。犯意なき場合は犯罪を構成しないという解釈のようでありますが、その犯意とはどういうことなんでありましようか。具体的にちよつと私は今ここに事件がありますので申上げますが、今度調べられたのは、「アカハタ」だとか何かが特殊政党の秘密指令とか或いはレポート、そういうものを調べるようなことらしいようであります。従つてそういうものを開こうという、そういうものがあるのではないかということを意識して開封するのは、それは犯意でないとおつしやいますが、私は犯意があると思う。調べようというのだから、そういうものを。犯意であるかないか、その点だけ、イエスかノーか、犯意があるかないかだけ明確に……。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 抽象的問題について一応お答え申上げます。諸般の事情から明らかに信書でないということを確信いたしまして開封いたしましたところが、それが意外にも信寺であつたという場合にはこれは犯意がないということで犯罪を構成することにはならないということになるわけでございます。犯意があつたかどうかということは、具体的な事案に即して、諸般の事情を勘案いたしまして判断しなければならない、かように考える次第でございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 私が只今具体的に例を挙げて申しました件はどうでございましようか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) もう少し詳しく……。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 もう少し詳しく申しますと、或る封書を、封をしてありますが、それが宛先が書いてないのです。その中に併し通信文が入つておるわけですね、或る人から或る人にやつた。それを、これはそういう怪しいものであろうと、それが証拠に、私は今開封して中を見ようとしておると思うのです。そういう一つの目的がなければ、単に道端に落ちておつて拾つたから、何が入つておるかといつて開けるべき筋合いのものではないと思う。今国警あたりでやられておる開封の問題は、恐らく警察あたりで講習しておることも或るものを開封しようという意識を持つて、例えばその中に何か書いてあるだろうという意識を持つて開封するのですから、これは犯意がないということを言えるかどうか、私は犯意があるということを申上げておるのですが、このような場合は犯意がないと考えますか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) どうも具体的な事案がよくわかりませんので、明確なお答えがいたしかねるのでありますが、まあ私突然ここへ参りまして、従来の経緯もそう詳しく存じていないのですが、信書ということ自体どういう定義をいたしまするか、信書の定義によつてその取扱いがおのずから又違つて来ると考えるのでございます。俗にいう信書の秘密という場合の信書というものは、文字通り信書でありまして、判例等によりますると、特定人から特定人に宛てた意思伝達の媒介物としての文書であるというように言つております。それに該当する信書でありますれば、この信書の秘密を侵したという場合に、これがまあ犯罪になるということになるのでございます。どうもお尋ねのその「アカハタ」がどういう形で配付されておるのか、通信文がどうなつておるのか、特定の信書に当るということに当りますれば、これは直ちに犯罪になるということになるのでございまして、抽象的にはどうもその結論的に判断ができかねるという次第でございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それでは私はだんだん順を追つて確かめて行きますが、通信文を書いた信書、これは葉書を含めますが、葉書、封書ですが、こういう印刷物であろうと何であろうと構いませんが、そういうものの上書きですね、中は勿論通信文でありますが、上書きも勿論これは信書の秘密の概念に入りますか、その差出人と宛先。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 郵便法第九条第二項のほうの郵便の秘密という事項に当ると私は思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 郵便法第九条の二項、つまり秘密保持の該当事項と。その中に入るが、信書というその信書の概念の中に入らんと、こういう解釈ですか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) これは多少議論がありまして、それまでも入るという説もありまするし、少くも郵便法の九条の二項のほうの秘密には当りまするが、全体としてこの信書の秘密の中に入るかどうか、多少疑問がございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それではこれは一つ郵政当局にお尋ねいたしますが、郵政当局はこの前はそいつは信書の概念に入るというのだという、はつきりした御答弁をしておられますが、郵政当局の見解はどうでございましようか。直接その通信の衝に当つておられる郵政省当局の御答弁を聞きたいと思います。

渡辺秀一郵政省郵務局次長

○説明員(渡辺秀一君) 我々は郵政省といたしましては、そういう今お尋ねの件は信書の一部分を構成するものであるとかように考えます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 信書の概念に入るということです。従つて郵政当局と法務当局の見解は相違いたしております。これは一つ明確に、これは疑点があるだけでは済まされない問題ですから、現実に行われる問題ですから、方々に起きておる問題ですから、従つてこれは一つ政府としてのまとまつた見解を早急に出して頂ぎたいと思います。私たちはこれは信書の概念に入るという解釈を持つておるということを附加えておきます。

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) 永岡君に申上げますが、只今内閣法制局の第一部長が来ておりますが、若しお答えしてよければお答えいたします。  なお、国警長官は只今参議院地方行政委員会に出席せねばならないので、当委員会に出席することができかねるという返答で、国警からは警察本部警備部長の山口氏が来ておりますから、いずれもお答えすることにいたします。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 そいつは一つ国警長官を呼んで下さい。国警長官の答弁なんだから。それで質問を続けます。  それで今両者の間に意見の食違いはわかりましたが、続いて尋ねるんでありますが、先ほど問題になつたんでありますが、郵便法の第九条の第二項において職員が秘密を漏らさない義務を負わされております。これは在職中は勿論のこと、退職してもこの厳重な義務を負わされておるのですが、それはど重大な秘密保持のために考慮を払つておるのでありますが、そういたしますと、神奈川県で起きた事例のようでありますが、投函する人を官憲が尾行して、官憲等若しくは私服らしいのですが、尾行して投函したものについて、集配人に対してあれは誰から誰に出したものか調べてくれと、それから例えば「アカハタ」を例に取上げますが、「アカハタ」を誰から誰に出した、月に何通くらい行つているか、こういうことを執拗に調べて聞いている。一回なら別でありますが、集配人に聞いても聞かしてくれん。郵便局の窓口に来て聞いたら、これも拒否いたして知らせてくれない。次には集配人の溜りに参りまして調べて執拗に聞いたが断られた。最後に郵便局長が出て来てやつと断つて帰した、こういうことになりますと、この職員に対する秘密を守る義務ですね、義務を違反するように教唆する教唆罪に問われないかどうか、これは法務当局は、この具体的な事件はどうかということは、明確になると思うのですが、どうでございましようか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 秘密を保持しなければならんものに対しまして、秘密を漏らしてもらいたいということを慫慂する行為が、秘密保持者の共犯になるかどうかという一般的な問題になると考えます。これもいろいろ説がありまして、かような場合には秘密を漏洩した者の共犯になるというようにみるべきだという者もあります。それからそうではなくして、これは秘密保持者だけの犯罪であつて、秘密を取得した者は直ちにその共犯にはならないという説もあるわけでございます。私どもといたしましては、この秘密漏洩罪の規定が必ずしも郵便法だけではないのでありまして、ほかに例えば刑法上も医者、産婆、弁護士という者も秘密の保持をしなければならん義務を持つております。さようなことの一連の関係におきまして、若しこの秘密漏洩者と共謀関係が認められる場合には、これは共犯になりまするが、共謀関係が認められないという場合には共犯にはならないと私は考える次第でございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 これはその虞れが十分私はあると認定しなければならん。個々のケースについては恐らくこれは裁判所において審議すべき問題でありましようが、併しその虞れある事実は、これは私は虞れありと認定すべきだろうと思うのですが、この点はどうでございましようか。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 郵便法の問題に限定いたしまして申上げますが、八十条、八十五条に記載されておりまする通り、これは未遂罪までが処分されておるのでありまして、犯罪の実行に着手したらどうかという段階にならなければ犯罪としては謳えないわけでございます。若しその共謀関係が認められないという場合におきましては、お話のような「アカハタ」の配布網その他について、郵便官署に従事しております従業員にいろいろ詳細に尋ねたというような行為はけしからん行為でございますけれども、直ちに八十条、八十五条の未遂になるというようには簡単には断定できないと私は考える次第でございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 いずれこれはそういう問題に、具体的な犯罪の判決を受ける段階というものは、これは個々の事件を法廷に持ち込まなければ下せないという観点から、こういう観点から、今の刑事局長の答弁を私は一応ここで承わるわけでありますが、それはそれとして、今度は更に質問を続けて参りますが、今私が説明しましたように、何回かに亙つて或る局、或る集配人等に対しまして調査を頼んで、それを知らせてくれというこの調査は、侵犯の意識、犯意があるかと思うのですが、それはどうです。私はそういうことを意識してやつているのだから犯意はあるものとみなければならんと思うのですが、それはどうですか。犯意、犯す意です。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) それは何条でございますか。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 この第九条の第二項……。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) この第九条二項の罰条がどれに当るかということは、これは郵便法には直接規定がないように私は考えておるのであります。ほかの罰条に触れるということがある場合もあると思いますが、その九条二項の秘密を知るために、業務に従事していない第三者が、さような行為に出ましても、けしからんには違いないのですが、直ちにそれがこの犯罪に触れるというような犯行であろうとは断言しがたいと考えるわけでございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 これはけしからんことは勿論です。私はそういうけしからんという問題を論議しているのではないので、これはけしからんと思えばこそ、国警当局においても郵政当局においても、そのことを未然に防ぐように厳重な通牒も出し、公安調査庁の所管事項に紀きた事項については厳重な訓告処分まで行なつておりますから、これを私は問題にしておるのではなくて、今問題にしておるのは、この犯意がなければ犯罪は構成しないということは、このことは非常に世間に反響を呼んでいるわけです。犯意がなければ犯罪は構成しない、そこで、今警察大学等で講習をしておる、或る文書を秘密に開封する、或いは金庫を秘密のうちに開けようという講習をしておる。私はこの前国警長官に、なぜそのように信書等を極く秘密のうちに開けることを講習するのかといえば、これは特別に或る情報を探るために行なつておることであつて、そうしてそういうものを提供してくれた人に迷惑を及ぼさないようにということが第一点だ、それからこれが開封されたということが受取つた人がわからないようにしておくのが二点だ、そういうことを講習しておる。そういうことで講習しておるのであれば、明らかに信書の侵犯、侵かそうという意識を以てやつておるに相違ない。従つて個々の事件が、ここに或る物件がありまして、宛先は書いてないけれども封書がある。併し信書に、何か書いてあるだろう、こういうことを意識して極く秘密のうちに開けたということになれば、これは犯意があるのではないか、こう思うのですが、その犯意があるかないかということは、一体それでは法務当局はどのように考えておるのでしようか、犯意のあるなしは……、この問題について。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) お話のように郵便物を対象にいたしまして、その郵便信書の秘密を探るということでいろいろ準備をするというような場合に、これが着手の段階にいたしますれば、八十条、八十五条に私は当ると考えるのでございます。例えば集配人の持つている鞄を、集配人の気付かぬうちに窃取して、中味を探索するというような場合におきましては、八十条一項、八十五条等の犯罪が成立すると私は考える次第でございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 わかりました。それでこれは犯意があるということになつて来るわけですから、国警長官の答弁は私は重大な問題があると思うのです。  そこで法務大臣が折角見えておりますから、更にお尋ねしたいのですが、警察大学でそういうことを講習されておるということは、大臣は御存じなんでしようか。そうして知つていればどういう措置を今講じておるのでしようか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 警察大学でそういう講習をしたとかせんとかいうことにつきましては、只今山口警備部長が来ておりますから、一応事実をお聞き下さいまして、然る後に私として答弁することがあつたら答弁いたしたいと思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 部長の答弁を求めますが、大臣は知つているんでしようか、知つていないんでしようか、その点を先ずお尋ねしたい。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今衆議院の法務委員会におきまして、その事実を山口警備部長から説明いたしましたから、そこで聞いておりましたから、その事実はそれで知つております。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 法務大臣は本日初めて知つたということですか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は先日衆議院か参議院か、どこでございましたか、委員会におきまして国警長官がさようなことに関して答弁したということは知つておりまするが、今日明確に山口警備部長から委員会において説明しましたが故に、その正確なる事実をそれで承知いたしました。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 これは法務大臣としては職務怠慢ですよ、これは大臣ね。あなた前に参議院ですか衆議院ですか、そういうことを聞いて知つたというときに、その事件を耳にしたけれども、実際真相を知つたのは今日初めてだという、これはやはりいけませんよ。これは重大な問題ですよ。而も今の御答弁にはしなくも言明しておりますけれども、国会でも問題になつた。大臣が国会で問題になつておることは、これはあなた積極的に、進んでその真相を部下から聴取されて、それは慫慂されるべきことであるか、或いは慫慂さるべからざることであるかを認定して、適切な措置を私はとるべきであると思います。従つて、これはそういうことを言つて、私は今日初めて知つたと言えば、それだけでありますから、これは一応警備部長さんの答弁を聞きましてそれに対して法務大臣がどういう対策を示すのか、それを是認するのか、それともそれは余りよろしくないとおつしやるのか、その点について私は明確にしたいと思います。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 報告は受けておりまするけれども、その詳細の点につきましては只今よく承わつたのであります。聞きましたから一層明確になりました。大体の報告は受けております。今ここで山口警備部長から一応説明をお聞きを願いたいと思います。

山口喜雄国家地方警察本部警備部長

○政府委員(山口喜雄君) 私からこの問題について御説明をいたします。いろいろと残念ながら誤解せられておる向きもあると思います。事実を率直に申上げます。  この問題が一番初めに取上げられましたのは、衆議院の地方行政委員会におきまして、猪俣議員から御質問があつたのであります。そのときの御質問は、警察大学校において郵便を開封したり、金庫の鍵をあけたり、住居侵入をしたりすることを教えているということを聞いているが事実か、こういう御質問であつたと思うのであります。これに対しまして国警長官の答弁は、郵便を開封したりすることは絶対にいたしておりません、ただ革命勢力の情報を収集する必要上、例えば警察側に協力をしてくれる者が、その人の保管をしている極秘文書等で封のしてあるものを警察に協力して持つて来てくれる場合がある、これを本人に迷惑のかからないように、そういう方法によつて開封することは教えておりますということを申上げたのであります。従つて私どもといたしましては、いわゆる郵便物は勿論のことであります。又信書と認められるようなものにつきまして、その秘密を侵すような開封ということをさせるようなことは断じていたしておりません。そういう場合に、どういう場合やるべきか、例えばそういう協力者と接触をいたしております場合に、どういうような心がまえで接触するか、どういうようにしてやつて行くのだということを詳細に教えますが、そういう特に限られた、必要に迫まられた場合におきまして、極秘文書、まあ例えば何と申しますか、或る革命勢力の極めて秘密の高い財政状況、資金の動きを記した文書等がある。それを或る人が保管している、それを協力によつて見る場合があるわけであります。そういう場合に実は限つておるのであります。  又金庫の鍵というのが非常に誤解を招いたのでありまして、勿論よそ様の金庫の鍵を開けるようなことを教えているなんということは私ども全然いたしておりません。ただこういうことは実はいたしております。これは一つよくお聞きを願いたいと思いますが、例えばやはりそういう協力者が保管を命ぜられるという場合があるわけであります。それが或る何と申しますか、大きな小包と言いますか、包みをしたようなもので封がしてある、或いは又トランク等に入れてあるという場合もあるわけであります。而もその内容がいろいろの情報から総合しまして、或いは武器である、事実ピストルであるというような場合もあるのであります。そういう武器である、或いは極めて高度の高い暗号表であるというような場合があるわけなんであります。そういうものを協力者を通じて手に入れました場合に、まあこれを、率直に申上げますが、鍵屋さんを連れて来て開けるというわけにも行かない場合、勿論そういうことで解決する場合があればそれでもいいと思いますが、又そういう場合には極めて時間が限られております。普通の場合には極めて時間が限られている関係上、止むなくトランクを開けなければならんという場合があり得るのであります。そういう極めて限られた場合のための必要上講習をいたしておるのでありまして、他人様の住居に侵入するというような方法を教えておるというような御質問がありましたが、これは全然そういうようなことは私どもは毛頭考えておらないのであります。  なお、警察大学で講義をしておるという御質問がございまして、これに対しましては、まあ私同じ国警部内の者でございますが、警察大学校に非常に私は迷惑をかけていると思つております。それは実は場所がございませんので、警備情報についてそういう特殊の仕事に従事しますものを集めて講習会をいたしたのでありますが、場所がございませんので、事実警察大学校の中の或る教室を借りていたしました。併しながら、これは大学に対しましては場所の提供を私どもとしては頼んだだけでございまして、その講義の内容その他講習に警察大学校の職員は何らタッチしおらないのであります。従いまして、この問題について若しいろいろと問題が起りますならば、これは警察大学で講義をいたしておる、警察大学の課程として、さようなことをいたしておるということは全然ございません。別にそういう情報関係者に対しまして特殊の講習会を持つておるというのが事実でございます。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それで法務大臣どうでございますか。今の講習についてそれはよろしい、今後も進んでやるべきである、こういう御見解を持つておいでになりましようか。

加藤鐐五郎自由党法務大臣

○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は法務大臣でございまして、国警担当をいたしておりませんでございますから、その点は一つ御了承願いたいと存じます。私が只今まで答弁いたしておりましたことは、如何にも怠慢至極のような御質問でありましたが、これも怠慢であるかも知れませんが、国警担当ではございませんので、まだ正式に国警のほうから私に報告があつたわけではないのです。さよう御了承を願いたいと思います。

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) 永岡委員に御相談を申しますが、ほかの委員諸君も大切だし、本会議も開かれてありますから、三時になつたら十分ぐらい休憩して本会議に臨んで、陳情もありますから、再び委員会を開きたいと思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それじや質問はあとでいいですから、折角陳情が見えておりますから、そう長い時間じやないと思いますから、先ず陳情を聞いて、法務大臣もおいでになりますから、こういうことでやられているのだということを聞いてやつたほうがいいと思います。

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) なお、永岡委員、ほかの委員の各位に御相談を申し上げますが、法務大臣は衆議院の本会議が開始されれば当然出席しなければならない。他のまだ委員会にも出席したいというのでございますから、それでは陳情を聞くか、法務大臣に御質問があれば、この際五分なり継続するかということを御相談いたしたいと思いますが、どうですか。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 陳情を聞きましよう。

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) それでは永岡委員の紹介によつて陳情者の陳情を聞くことにいたします。  速記は中止して下さい、どうぞ。    〔速記中止〕

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) 速記を始めて下さい。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 私は国警長官から改めてこれは責任ある答弁を求めますが、今日はこういう事件が進展して参りまして、只今刑事局長からの答弁によつても、明らかに信書であることを意識して、通信に書いてあることを意識して調べようとすることは、これは明らかな違反である、正にその通りだと私も思うのですが、その点は国警長官の意向とは違つておりますが、ただそういう反証があるかないかの問題よりも、一つ今日国警本部からおいでになつている警備部長でも結構ですが、郵便局員等に対して行われている調査の内容ですが、何か目的があつて、どういうことをきめられて、こういうことを調べたのか。こういうことで、何か国警の各地方の職員に指令でも出しているのでしようか、その方針がわかつておれば、一つ是非誤解を避ける意味において知らして欲しいと思います。

山口喜雄国家地方警察本部警備部長

○政府委員(山口喜雄君) 私のほうからそういう指令は全然いたしておりません。なお、念のために申上げますが、先ほどお尋ねになりました警察大学のいろいろな講義の問題とこの問題は全然関連のない別の問題であると私は考えております。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それは別の問題という説明だつたんですけれども、やはり信書を開けるということになれば、明らかにこれはやはり警察大学でそういう意識でないといたしましても、結果的には信書の侵犯を意識するということになるわけであります。そういうようなことは一つ是非して頂きたくないし、又質問をすればきりがないのでありますが、ものを開けるそのことは、やはり刑法でいうところの器物の損壊ですか、そういうような罪にも問われる虞れはないかどうかということは、当然私は起きて来るんじやないかと思うんですが、それは当委員会の今日問題にすべきことでないと思いますので、私は差控えますが、いずれにいたしましても、憲法で基本的な通信の秘密というのが基本的な人権として確保され、保障されておる、更に郵便官署でも、自分のほうの官署で引受ける分についてはこうだということで、非常に厳重な、侵犯のことを保護する規定、職員には義務を課しておりますが、こういうようなことであります。これは取りも直さず思想の自由、乃至言論の自由を保障するところから出ておるに相違ないのでありますから、是非一つそういう方針で、先ほどお尋ねすれば、郵政当局と法務大臣との意見が食い違つておりますが、これは明確にしてもらう機会を是非持ちたいということと、私は今の国警本部の警備部長からの御答弁がありましたが、何か例えば「アカハタ」なら「アカハタ」ということを中心にして調べておるような印象を受けるんです。恐らくいろいろな情報をつかむのに相当苦心をされておる、その気持は私たち諒としなければならんと思いますが、何かそういうことをやる場合に、法律違反になるようた虞れのある行為でなしに、一つ法律の手続で堂々たる調べをしたらどうだろう、こういうことを実は私は心配するんです。何かこそこそやつて、折角保障された信書の秘密まで侵されるというような印象を受けては、時節柄私は由々しき問題でありますので、どうか一つそういうことのないように、更に厳重なる通達、措置を講じてもらいたいと思います。これは、そして公安調査庁からもお見えになつておりますが、先般の御答弁でも信州の上田の事件については、差出人とそれから宛先と、それからその部数を知らして欲しい、こういうことを指示した、こういうまあ答弁になつておりますだけに、これは重要な問題ですけれども、それは明らかに信書の侵犯の意識を持つておると認定されても抗弁の余地がないと私は思うんですが、どうかそういう不穏当なやり方でなくて、やるならば法規の手続に従つて一つ是非やつて頂きたい。希くばこういうような基本的な人権は絶対に侵さないように、是非とも重ねてそういうことを要望し、適切なる措置を講じてもらうようにお願いいたしまして私の質問を終ります。

井本台吉法務省刑事局長

○政府委員(井本台吉君) 郵便法第八十条の信書の秘密のうちに、差出人、宛名人がこの秘密のうちに入るか入らんかということで何か政府間で意見が違うようにおとり頂きましたのは、私の表現が非常にまずかつたので、この八十条の信書の秘密のうちには、宛名人若しくは差出人の名前は当然入るつもりでございます。私先ほど申しましたのは、刑法の一般の信書の秘密という場合における宛名人若しくは差出人というか、書きました者の名前等が封書に書いてあるという場合には、それには当らない意味で申しましたので、八十条の信書の秘密という場合におきましては、この宛名人も差出人も当然この秘密のうちに入るわけでございますから、そう政府の間で意見の違いがあるとは私は考えておりません。

高橋一郎公安調査庁次長

○政府委員(高橋一郎君) 今の永岡さんのお言葉でちよつと気になりますので、一言だけ。公安調査庁の方針につきましては、全般的には永岡さんよく御理解下さつておるように思いますけれども、ただ何か通信の秘密を侵害するような方法を全国的に指示しておるということを申したというようなふうに何か今お聞きしたんですが、そういう事実は全然ございませんで、この前の速記録もよくお調べ下すつてその誤解を是非解いて頂きたいと思います。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 それは速記録を見てもいいんですが、私がお尋ねしたいときに、長野県の上田で起きた事件については、朝鮮人の軍事組織ですか、配付の機関紙にそういうことが書いてあるから、そういうことを調べろということを、配達の回数、個人の差出人、配達人を調べて欲しいということを指示したということを答弁したようでしたがね。

高橋一郎公安調査庁次長

○政府委員(高橋一郎君) その点がどうも前回から永岡さん誤解をなさつていらつしやるように承わつておつたんですが、そういうことはございません。つまり今問題になつている機関紙の配付網などを調べることは当然私どもの義務でございます。併しその方法にはいろいろございまして、現に上田でとられたような方法をとれといつたようなことを指示したことは絶対にございません。

永岡光治日本社会党(第四控室・左)

○永岡光治君 信書の秘密を侵して調べろということは指示しつこはないんですが、そういう指示の仕方でなくて差出人と宛名人と配達人を調べろということになれば、これはやはり信書の秘密を侵すことになるわけです。それ以外に方法はない、こういうことじやないかということを私は言つているわけです。

高橋一郎公安調査庁次長

○政府委員(高橋一郎君) そうとは考えておりません。ですからその点非常に肝腎な点を誤解なさつていらつしやるように私は考えるのであります。

池田宇右衞門自由党

○委員長(池田宇右衞門君) なお、この際委員長から一言申します。憲法に規定せられる信書の秘密は、我々国民は勿論、郵政省としても十分に厳守して行かなければならないと思います。今後かような問題を起さないように、十分にこの際注意が必要と思います。よつて関係大臣及び各御出席の政府委員においても、今後かような問題の起らないように御高配を願いたいと思います。なお、郵政当局といたしましては、各郵政公務員がその職務を遂行するに当つて、よくその職責を尽したことは敬服に値いします。この意味から申しましても、監察局制度、局長その他のほうにおいても、今後その制度を十分に存置いたしまして、職員の安定方法を図るのが適切だと思いまして、重ねてこれを当局に要望いたす次第であります。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会

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