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19回国会参議院1954/05/25

法務委員会 第45号

発言数
17
登壇者
4
会派数
3
開催日
1954/05/25

会議録

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 只今から委員会を開会いたします。  内閣総理大臣に対する質疑を始めます。時間は十五分でございます。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 私はこの際秘密保護法の質疑の最終に当りまして、吉田総理に対し、私どもが本法案に関連して、危惧しておりまする三つの問題について、お尋ねをいたしたいと存じます。時間が非常に短かく限られておりまするので、あらかじめ私がお尋ねしたいと思います三つの問題を、全部提示をしてみたいと思うのであります。その第一の点は、本法の制定がありました場合に、国会議員の審議権に影響を及ぼすことはないかという点であります。この点に関連いたしまして、少し細かいことになりますが、三つの点についてお聞きしたいと思います。  その一つは議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律第五条の「国家の重大な利益」というのは、本法案の秘密よりも、もつと高度のものを意味しておる。従つてたとえこの法案が成立いたしましても、そのために国会議員の審議権が制限を受けることはない。こういうことが本委員会における質疑において、政府側から答えられておるのでありますが、この点は非常に重大な点であると思いまするので、この際吉田総理の考え方を明確にして頂きたいと思うのであります。  第二の点は、吉田総理は五月十九日の参議院本会議におきまして、外遊問題に関する我が党の中田議員の質問に対し、実質的な答弁を拒否をした。これは私どもの考えからするならば、明らかに憲法六十三条の違反であると考えておるのでありますが、恐らく吉田総理はまさかみずから憲法違反行為というものを、是認はされないでしよう。若し第六十三条に、あの行動が違反しないと言われますならば、その理由をここで明確にして頂きたいのであります。  第三の点は、外遊問題についての議員の質問に対し、吉田総理がとられた先だつての態度、この態度から私どもが推測をいたしますると、若し本秘密保護法というものが、成立した場合には、恐らく吉田さんの考えからするならば、本法律で言つておるような秘密事項については、議員に対して秘密会においてすらその説明を拒むような態度に出らるるのではないかということを危惧するのでありますが、苦しそうだといたしますると、私が最初にお尋ねをいたしました際に申上げた、議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律、これに関しまして、政府側が説明されたことを相矛盾して来るように考えられるのでございましてそういう立場から吉田総理のこの問題に対する考え方をお聞きしたいのであります。以上が質問の第一の点でありまするが、第二は、これもやはり我々並びに国民がひとしく心配しおる一点でありますが、本法の制定というものが、いわゆる憲兵制度の復活、そういう一つの足場になるのではないか。勿論本法だけによつて憲兵制度が復活するとは誰も考えませんが、そういう一つの傾向を助長ずる一つの足場になるのではないか、こういうことを危惧するのであります。憲兵制度の弊害に関しては、吉田総理みずから戦時中身を以て体験されたところであります。従つてそのような特殊捜査機関の復活、こういうことを勿論是認する意思は、私どもはなかろうと存ずるのでありまするが、この際首相の見解を改めてお伺いしたいのであります。それに関連して私が申上げたいことは、自衛隊法第九十六条の第一項第三号によりますと、民間人の秘密保護法違反被疑事件についても、警務官が捜査権を持つておる。こういうふうに警務官の権限が民間人にも及ぶことを認める。こういうことになりますると、この特殊捜査機関というものが、不必要に大きな権力を持つのではないか。勿論この点に関しては、本委員会において、政府委員の説明によりますれば、民間人の秘密保護法違反事件の捜査については、政令によつて一般警察に任せる方針である。こういうことを答弁されておるのでありまするが、そのような重大なことは、政令に委ねるべきものではなく、これは明らかにそういう問題については警務官といつたような者に取調をさせない、そういう方針であるならば、法律の中でこのことを明確にしておくこが必要ではないか、こういうことを私は感ずるのでございます。更に自衛隊法第九十六条第一項第一号によりますと、自衛隊員の汚職事件について警務官が捜査権を持つておる、こういうことも明確になつたの、でありますが、私はこのことを甚だ警務官に対する不当な権限を与えるのではないか、こういうふうに考えるのであります。殊に質疑応答において明らかになつたところによりますと、贈賄したところの民間人に対しても警務官がこの取調に当るということは甚だ不適当だと思う。私が今二つの例を警務官について申上げたのでありまするが、こういう細かい問題について吉田総理に対し最終段階において質問をするのは、少し不適当のようにも思うのでありますけれども、併しこういう小さなことのようなことをぼんやりやつておりますると、いつの間にか憲兵制度といつたような特殊な制度というものが発達して来ることを私どもは恐れておるのでありまして、そういう立場からこの二つの設例を申上げたのでありまして、その憲兵制度の問題について首相の一つ考え方というも一のを、大きな立場から明確にされたいと思うのであります。  最後に質問の第三点は、将来本法の根本的改正を行うことがあるのではないかどうか。この法案はアメリカから供与されました装備品等の秘密だけを対象として作られておるのでありますが、一度この法案が成立した後においては、適当な時期にそれを改正して広汎な秘密保護法に改正する、こういう危惧を私は持つのでございますが、吉田総理はどのような考え方をしておられますか、お伺いをしたいのであります。最初に申上げましたように短時間でありますので、私の三つの質問につきまして一応全部ここで申上げたわけでありますが、若し時間が残りましたならば、更に再質問をいたしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。政府は国会議員の審議権について制約する考えは毛頭ないことは、しばしば政府委員から申しておる通りであります。私の外遊についていろいろお話がありましたが、本会議において申した通り未だ外遊について詳細に御報告する時期に達しておりませんから報告はいたしません。又憲兵制度の復活云々ということがありましたが、これは政府として毛頭考えておるところではありません。又警務官の権限等については、政府委員からして詳細説明をいたしますが、この秘密保護法を改正する意思がないか、これは改正する意思は毛頭只今のところはないのであります。併しながら将来において例えば自衛隊に関する秘密保護法その他のことにつきましては、いずれその内容時期等については只今研究いたしております。未だ成案を得ませんから将来の課題として慎重に考慮いたすつもりてあります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 第一点の国会議員の審議権を制約する気持はない、この点は了承いたしますが、ところが具体的にいわゆる外遊問題に関しまして総理は答弁の時期でない、こういうことで答えておられない。ところが国会議員が総理大臣に対して質問権を持つておる。総理大臣が答える義務があるといいますのは、これは行政府に対する国会の監督権、こういう立場から認められておるわけなんです。従つて総理大臣が国費を使つて外遊を計画される以上は、その準備の段階におきましても、一体それはどういう目的を持つて、どういう規模においてお出掛けになるものか承りたい、こういうことが国会議員のほうから質問された場合には、これは当然お答えになる私は義務があると思う。それをお答えになりませんから、私は吉田さんが或いは国会へ議員の審議権というものに対して少し違つた考えを持つておるのではないか、こういうふうに疑うわけでありまして、この点再度もう少し明確に根拠をお答え願いたいと思うのであります。  それからもう一つの点は、本法の将来における改正の問題でありますが、只今総理大臣は現在のところ改正の意思はない、こういうふうに仰せられましたが、将来の問題につきましては少し不明確なお答えのようでございます。ところが本委員会における例えば木村国務大臣の答弁等を総合いたしますると、或いは事態の変化によりましてそう遠くない時期に殆んど本法の改正、従つて広汎な秘密保護法の規定、こういつたようなものが生れるのではないか、こういうことを私どもは実は心配をいたしておる次第でございます。そういう方針なら方針だと、これも一つの考え方でありますから、そういうことを明確にお答え願つても、これは方針ですからいたし方ない次第でありますが、その間の事情をもう少しわかるようにお答えをお願いいたしたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 外遊の問題についてお答えをする未だ時期でないと考えますからお答えはいたしません。又改正についての将来についてこれは如何なる法律といえども改正する場合はあり得るのであつて、将来も改正しないとここで断言するべきではないと考えますが、いずれにしても只今のところ改正する意思は持つておりません。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 それでは最後にお尋ねいたしますが、これだけは私どもとして総理大臣に聞く権利があると思うし、この程度はお答え願えると思うわけでありますが、外遊の問題に関しまして政府としては責任を持つていつ頃一体それでは国会議員に対してそのことを明らかに答えられるか、これくらいのことはお示しを願いたいと思うのですが、如何でしようか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) 答えて差支えないという時期、即ち外交その他の問題から見て差支えない、或いはもつとはつきり申すと、外遊がきまつた場合において私は発表いたしたいと思うのであります。未だきまつておらないときに、準備はいたしておりますが、きまつておらないときに、私がいつ外遊するとお話することはよろしくないと考えますから差控えます。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 羽仁君十分です。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 時間が制限されておりますので、私から伺いたいと思います三つの点を続けて申上げます。本法案に関連しまして国民の恐れておるのは、若し軍機保護法など、軍国主義秘密政治即ち憲兵政治の復活であります。最近警察などによつて国民の基本的人権の侵害の不安が甚だ高まつておる。極く最近には、警察大学校において全国から集る警察官に通信の秘密を破る講習を行なつておるという事実が重大問題になつております。首相は戦争中憲兵政治に屈せず、又本委員会の委員の中でも中山委員そのほか戦争中憲兵政治と戦われたのでありますが、私のことを申しては恐れ入りますが、私自身敗戦の年、昭和二十年の三月に逮捕されましたときに、これも恐縮でありますが、牧野伯が私の妻に向つて当時伯の身辺を憲兵が圧迫し、伯の信書の秘密が官憲のために侵されていることを話されて、通信の秘密の侵害は乱世であると嘩かれたことがございました。本法案に関連しまして、一般にこうした人権蹂躙の事実が頻発しておるようでありますので、本法案の運営に国民が不安を感ずるのは無理でないことでございますので、この際首相がこうした警察などによる国民の貴重なる基本的人権の侵害ということを許さないという態度を明らかにして頂きたいと思うのであります。なかんずくこの警察大学校が通信の秘密を破るような講習をしている疑いを受けていることについては、国警長官その他責任を明らかにせられることを世論が希望しておりますが、これらの点について、首相の高邁な識見を明らかにせられたいというのが第一点でございます。  第二点は、本法案がいやしくも言論の自由を圧迫するならば、これは明らかに憲法違反であると言わなければなりません。本法案で言うような秘密の力が国民を、圧迫してはならない。なかんずく軍事が政治よりも優位に立つようなことがあつてはならない。防衛秘密のために政治家がおびやかされたり、国会の審議や新聞の言論や科学、学問が圧迫されたりしてはならないと思います。最近湯川博士などもこういう点についての憂慮を明らかにしておられますが、これらの点について首相はどういうふうにお考えになつておいでになるか、明確なお答えを頂きたいと思うのであります。これが第二点。  第三点は、本法案などとの関連において、最近国民をおびやかしております原爆、水爆の不安をどうか一掃されたいと考えるのであります。で、日本は世界において最初に広島、長崎において原爆の被害を受け、その深刻な影響というものは容易に消されることができません。然るに最近及び現在の状況では、アメリカは日本を、又は日本を中心として原爆、水爆ということをいつ何時でもなさんとすればなし得る立場にいるのではないか。そうしてそれについて、日本側に何らの相談もされないではないか。この問題は、最近イギリスにおいても非常に深刻な問題となりまして、国会においてチャーチル首相がこの問題に対する深い憂虚を表明されて、アメリカはイギリスに相談なくして原爆をなし得る地位にあるけれども、どうかそういうことが起らないようにという希望を表明しておられます。で、日本としましても、特に広島などの体験を持ちました日本としまして、米ソの対立というような問題では今日もはやなくなつてしまつて、世界の破滅か、それとも文明を救うかという問題に立至つていると思います。そうして赤十字社などにおかれましても、この原爆、水爆の禁止のために只今努力をしておられますが、国会もすでに全会一致を以て原爆、水爆などの兵器としての使用の禁止の要請をしたことは、首相もよく御存じのところであります。そこでこうした本法案のようなものが成立しようとしております際に、どうか我が国の最高の責任をとられる首相がこの原爆、水爆というような兵器が使用されることを禁止せられるために御努力願うことは、国民を代表して許されるのではないかと考えます。そうして又万一アメリカが日本又は日本を中心として原水爆の計画をなさんとする場合には、いやしくも日本に全く相談なくして、そういうことをなされることがないように、国民の不安を一掃せられるためにどうか首相の高邁な識見を明らかにせられたい、これが第三点でございます。  以上三つの問題につきましてお答えを頂きたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。憲兵制度復活ということは、結局基本的人権が侵されやしないかという御懸念からのお話と思いますが、憲兵制度というような具体的な考えは持つておらないのみならず、更に進んで基本的人権の擁護については、政府としては極力いたしたいと思うのであります。何となればこれが民主政治の根本原則でありますから、これを侵すがごときこと、これが保護については十分努力いたすつもりであります。同時にこれは政府ばかりでない、民間においても、やはり国民においても、そのつもりにならねばならんと思いますが、例えば人の名誉、個人の名誉を傷け、そうして顧みないというような場合が多々ある、度々しばしばあるのであります。それは国民が互いに相監視して、そうして人権の擁護ということを確立いたすことに邁進いたしたいと思います。  次に、言論の自由でありますが、言論の自由も又基本的人権の一つでありまして、このために国会の審議権を侵すとかいうようなことは政府としては毛頭考えておらないところであります。若しその場合においては遠慮なく国会において指摘して頂きたいと考えます。  次に水爆、原爆の問題でありますが、これは国会の決議の趣意に従つてすでにニューヨークにおける国際連合日本政府代表部よりも国際連合事務所に対してその趣意は伝達されたそうであります。政府としてもその趣意に副うように努力いたしたいと考えますが、只今御指摘になつたように、この問題は実は世界的な問題になつておつて、ただ単に日本ばかりでなく、関係国或いはその試験実施の区域についてもすでに問題になつておるのでありますから、これはやがて国際問題として適当な結論が出るのではないか、又出るように私も希望いたしております。又できるだけの努力はいたしたいと思います。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 羽仁君時間になりました。  以上を以つて本案に対する質疑は全部終了いたしました。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。  午後四時まで休憩いたします。    午後三時十五分休憩    —————・—————    午後四時四十五分開会

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) それでは休憩前に引続き本委員会を開きます。  ちよつと速記をとめて下さい。    午後四時四十六分速記中止    —————・—————    午後五時二十六分速記開始

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 速記を始めて下さい。それでは休憩いたします。午後六時三十分より再開いたします。    午後五時二十七分休憩    —————・—————    午後六時四十三分開会

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 只今から休憩前に引続き委員会を再開いたします。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。  御協議を願いましたところによりまして、明日は午前十時より開会いたし、直ちに本案の討論採決を行います。又討論の御発言時間は、御協議の結果に基きまして、各会派御発言時間は十五分ずつといたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後六時五十三分散会

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