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19回国会参議院1954/04/20

法務委員会 第21号

発言数
75
登壇者
7
会派数
3
開催日
1954/04/20

会議録

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 只今から本日の委員会を開会いたします。  先ず、民車訴訟法等の一部を改正する法一案及び裁判所法の一部を改正する法律案、両案の質疑続行いたします。  念のために申上げまするが、民事訴訟法等の一部を改正する法律案におきましては、「第一条民事訴訟法の一部を次のように改正する。」のうち百九十一条まで前回逐条で御質疑を願つたわけであります。引続きどうぞ御質疑を願います。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 打九十三条ですね、これは二週間という期間を削つてあるわけなんですが、大体これは、何ですか、裁判所のお考えでは何日ぐらいに当事者に送達するということになるのでしようか。百九十三条です。ひ日を削つてあるんですね。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 中山委員の今のお尋ね大体私ども考えておりますのは、現在の百九十三条と同じように二週間というつもりであります。これは大体刑事訴訟法におきましてもこういつた点につきましては規則に任かせられてございますので、訓示的な意味もございますし、内容的には法律と同じようなことを考えておるわけでございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 これは一つお尋ねしておきますがね、刑事訴訟法の関係から、民事訴訟の手続に関する事柄をできるだけ同一の型にはめたいという御希望だと思うんですが、一体現在の刑訴、民訴の建前はどちらのほうがいいというお考えを持つておられるんですか。刑訴のほうがいいというお考えを持つて、それに近寄らせようというように考えておられるように見えるんですが、これから見ると、どちらがいいかという御判定はつきますか。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 便宜私から申上げますが、今中山委員のお話は、これは刑事訴訟法は御承知のように今度の憲法施行後全面的改正をいたした法律でございます。ところが民事訴訟法はこの前私ちよつと申上げましたように、戦前、言葉を換えて申上げますと、新らしい憲法以前のままの法律でございますので、現在の憲法に合せますれば刑事訴訟法のほうが現在の憲法に合つているのではないかということは考えられるわけでございます。  それからなお先ほど少し私申し落しましたが、百九十三条を規則のほうに任して頂くということは、百九十二条が全面的に規則に任されるべき事項でございますことからも出て来るのでございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 それは憲法に副うということは、この規定から行けば旧民訴のほうが私は合うと思うのですがね。現在の新憲法にはこのほうがぴつたりと来ると思うのです。それはどういうことかと申しますと、ここに二週間という不動的な期間をきめるということが、むしろ人権擁護の立場から言えば、私ははつきりして筋が通ると思うのですがね。却つてそれは逆じやないでしようか。いわゆる被占領下にあつて、どれもこれもむちやくちやに一応改正されたというような感じ、受けているのですがね。新憲法には、まあ二週間ということを置かれたほうが、私は却つて民衆のためにはなるのじやないかという気がするのですが、こういうルールに一任という建前をとるよりも、一般大衆にはこのほうがいいのじやないかと思うのですが、どうですか。むしろそういう点は復古欄というのが最近非難攻撃されておるようでありますが、復古調というところまで行かなくても、事実に即応した、筋の通つた考え方から行けば、却つてこういうことは法律に明記しておくほうがいいのじやないかという気もするのですが、どんなものでしようか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 百九十三条におきまして、現在法律で定めてあります期間を最高裁判所規則に譲りましても、只今関根局長からお答えしましたように、内容は大体法律と同じものを予想しているということ6ございます。なお、この規定は裁判官が判決の原本を作りまして判決の言渡をした後、裁判所書記官に判決原本を交付するわけであります。交付したときから二週間内に送達するという書記官の事務をやります期間を定めた規定なんでございます。従来判決の送達が非常に遅れるというような非難ももよ聞くのでありますが、それは書記官のところで交付を受けたのを送達せずに……、言い換えますと製本等を作りますために長い期間要するというよりは、判決原本の交付が遅れるというところに主たる原因があるように思うのであります。なぜ、判決原本の交付がそういうふうに遅れるかと申しますと、前回にこれ又最高裁判所の関根局長から御説明申上げましたように、判決書の書き方というものが裁判所の伝統的にできております書き方が非常にむずかしい書き方でありまして、そのためにその内容になります判断そのものよりも、判決を書くことに相当な労力が要るということが、この判決原本の交付が遅れている主な原因であろうと思います。その点に対処いたしますために、判決の方針につきましても百九十一条で、規則において合理的な定め方をしようという案と相表裏しているわけであります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 私は意見の相違の点についてはこれ以上述べる必要はないと思いますが、只今手続云々ということを言われましたが、大体こういうことははつきり法律に表われておりますと、書記官でも或いは裁判所でもそれに拘束されて必ずその規定に従つて判決の送達とかいろいろなことについて処理をするということになるので、非常にそれは正確を尊ぶという意味からも必要があるのではないか、こう思つて実はお尋ねしたわけですが、新憲法云々とか刑訴にできるだけ近寄らせるような態勢を整えるというようなお言葉がありましたので、そういうような質問をしたのでありますが、只今お聞きすると、結局は意見の相違ということになりますから、これ以上はこの点については質問をしないことにいたします。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 百九十三条、只今中山さんから御指摘があつたのですが、私もこの点は現行のままでいいのじやないかと実は考えるのです。只今の御答弁によりますと、規則を作つても大体同じような内容になる、こういうことなんですが、それであればなお更そういう点からしてもこのままでいい。それからもう一つの点は、成るほど規則を作る際には、現行法と同じようになさるかも知れませんが、この規則というのはいつでもこれは国会を通じないで変えることができるわけですから、これを三週間内とか四週間内とか何かそういうふうに裁判所の御都合で又お変えになるかも知れん、こういうことも予想されるわけですね、なかろうかと思いますけれども……。私はそういう点から見ても、わざわざある現行法、この現行法が適当だとお考えになつているわけですね。これを一週間内にするとか、とにかく変えなくちやならんのだということなら、この内容自身が不適当、こういうことになるのでしようが、そうじやないのですから、そんなものまで中間的な一部改正のときに手をつけるべきものじやなかろうと思う。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 百九十三条の二週間という期同は、判決の交付を受けたときから起算することになつておりますから、判決の交付という、裁判官から書記官に判決を交付するという規定が百九十二条にある、百九十二条一この案では削除いたしております。これは裁判官から書記官に遅滞なく判決を交付するというようなことは、裁判所内部の手続でありますので、規則に譲つて頂いていいのではないかという趣旨から百九十二条を削りました関係上、百九十三条を仮に法律の上に残すといたしましても起算点をこのままでは書けないことになるわけでありまして、かたがた裁判所書記が交付十受けたときから二週間内に送達をするということも、必ずしも法律に書かなければならんことでもないように思いまして、百九十二条との関係上このほうも最高裁判所規則に譲つてはどうかというふうに考えた次第であります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 百九十二条は、これはまあ極めて裁判所内部の事柄だと私考えます。だからその点はお説の通りです。従つて百九十二条は削除してもいいと思うのですが、それとの関連において百九十二条がなければ百九十三条の起算点がどうも法文上不明確になるということであれば、九十二条の削除と同時に、百九十三条の中に適当に、起算点が明確になるように七宝加えられたらいいと私思うのです。だから逆だと思うのです。百九十二条というのは比重が少い、これは本当に純粋な内部のことなんです、だからそれを翻るからこつちも削るのだという考え方は、これは私は通らないのです。併しそれはともかくとして百九十二条と百九十三条が質、的に違うというのは、やはり百九十二条は全く裁判所の内部のことなんだが、百九十三条はそうじやないのですね。それで私どもは実は百九十三条は大して問題にしないが、百九十三条問題にする。これは決して純粋なそういう裁判所内部の問題じやない、なされた判決の正文を関係者が手にして、そうしてそれに対してどういう対策を立てるか、これは当然原告と言わず被告と言わず考えていることなんですね。それはともかくそういう意味で半ば国民の権利義務に影響して来る問題だと思うのです。国民としては判決の正文を二週間内に手にすることができる、こういうことを法律上保障されることは必要だと思います。そういう意味があるのですから、同じものを規則でお作りになるなら、何も削除などする必要はなかろうと思いますがね、その点どういうふうにお考えですか。百九十二条と百九十三条は、国民の権利義務関係において違うものがあると私考えるのですが、その点はどうお考えですか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 百九十三条は判決送達の期間でありまして、送達のときから上訴期間等も進行するというような意味におきまして、国民の権利義務に関係の深い規定ではあると存じますが、一面実質的に考えますると、書記官が早く送達することも必要でありますが、裁判官が早く判決の原本を作ることが先ずそれ以上に必要だ、従来非難がありますのは、判決原本を書記官へ交付するまでの期間に相当日時がかかり、交付を受けてから書記官が送達するまでの期間は、二週間もかからないのが一般の例であります。特に厖大な判決などで、それをタイプいたしまして判決正本を作るのに二週間を超えるような場合も稀にあるかも知れません。書記官の手許で送達までに日数がかかるということは殆んどないように聞いております。実質的にはこれを規則に譲りましても、さほど国民の権利義務の保障に懸念を生ずるということもないのじやないかと、かように考えております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ちよつと関連して……。実は大体事務の手続というものは、百九十二条の場合でもですが、極く卑近な言葉で言えば、大体書記官の取扱事務というものは、これは本来から言えば裁判官自身が取扱うものなんです。それはつまり裁判官の延長みたいなものですが、この書記官の手続行為というものは、それを集約したのがこの百九十三条なんです。どつちかと言いますと、それでこの要点は二週間のいわゆる控訴期間を経過させるかどうかということは、これは非常な重大な問題で、実は私の友だちなんかでも選挙違反にひつかかりましてれ略式命令の送達を受けたのたが、控訴期間が経過したため、遂に五年間選挙権がなくなつて今騒いでおる人間が一人ありますよ。これはやはりこういう二週間という文字は現行法のままがいいのじやないかと実は考えるのですが、どうしてもこれは削らなきやならんというたつての何ですか、これは希望なんですか、あなたがたの……。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 判決の送達が遅れております間に、上訴期間が経過してしまうというようなことがあるといたしますと、これは大問題であります。刑事訴訟法におきましては上訴期間は判決の言渡の日から起算する。民事訴訟法におき」ましては送達を受けたときから起算する。でありますから送達が仮に遅れることがありましても、現実に受取つたときから上訴期間が経過いたしますから、送達が遅れたために上訴期間が経過してしまうという心配はないかと思います。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 これは刑事と民事は勿論取扱が違いますけれども、これは一つの例を挙げて私があなたに申上げただけでありますが、こういうことは百九十二条の規定と百九十三条の規定というのは非常に私はこれは違うと思うのですね内容、実質というものが……。だから九十二条の規定はあなたの言われるようにこれは私どもそう異議はないのですけれども、百九十三条のこの二週間というものを削るというのは、これはやはりこの二週間のうちに結局当事者に送達されて、それから控訴期間が進むわけでございますから、やはりそこにポイントを一つ打つておくということが必要じやないかと思うのです。これは殊に外国人と違つて、日本人というのは法治国とか何とか大きなことを育つておりますけれども、非常に法律の知識が実は浅薄なんですよ。だからこういう点はできるだけ素人が読んでもわかるようにしておかれるほうが、国民に対して親切な態度じやないかと思うのです、これは私どもはそう考えます。やはりあるほうがいいと思いますが、まあその点は関連質問ですからそれぐらいで打ちとめておきたいと思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 ちよつと大切な質問が出たのですが、判決の言葉があつて、その判決が判事から書記のほうに渡されるのが非常に遅れておる。で、百九十二条では「遅滞ナク」と、こう書いてあります、遅滞なく渡せと、これが一体実情は無視されておるのじやないかと思うのです。その延長というものは結局最後には当事者への判決の送達が非常に遅れるという結果になつておる。だからむしろ今あなたがその点答弁されたのですが、若しそうであれば百九十二条を削除してしまうというふうな行き方じやなしに、百九十二条の「遅滞ナク」と旨つておるのをこれこそ二週間内とか、まあ併しむずかしい事件もありますから、三週間でもいいが、言渡すときに判決ができておらないというのは、これはおかしいのです。この法律を作つたときには言渡したときには判決がもうできておる、そういう建前で……。従つてこれは「遅滞ナク」と、こう云いてもすぐ渡せるわけですが、そういうつもりだと思うのですよ。それが実行されておらない。そうすると実際は言渡すときには、もうただ結論だけをぱつと適当に判事さんがしやべるそういうふうな慣行ができておると思うのです。私これは非常にいかんと思うのですよ、そういうことは……。だからそのを一体どのように考えておられるか。そういう慣習をあなたのほうじや一つ是認されておるのですかれ。どうなんでしよう。それからですね、統計的に、そういう統計があるかどうかわかりませんが、どの程度判決言い渡し後、判決書が書記に交付されるまで時間がかかつておるかその点……。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 判決を言い渡すときには判決原本ができておるはずなんでありまして、できておりますれば百九十二条によりますように遅滞なく交付されるはずなんであります。又多くの裁判官はその通わ実行しておると思うのでございますが、中には亀田委員の御指摘になりましたような事例も絶無ではないかと考えまして、若しそういう事例がございますならば、法律の規定から、訓示規定とは申しながら法律の規定の精神に副わない取扱いで遺憾に存ずるのであります。決してそれを是認するというのではないのであります。ただ法律で幾らこれを厳重に件きましても、現実にそういうことが行われるといたしますと、何故判決を書くことが遅れるのかというところへ進んで考えなければならん。遅れる原因はいろいろございましようけれども、先日来御説明申上げましたように、今の一般に行われております民事判決の型というものが、いろいろな意味におきまして必ずしも合理的でない面がありまして、内容をなす実質的な判断そのものよりも、判決書を書く労力というものに裁判官非常に苦労するわけであります。そのために判決書の作成が遅れるということでありまするならば、判決書の書き方を合理化するということが更に根本的な問題じやないかとかように考えておる次第であります。  なお実情の点についてもお尋ねございましたが、この点につきましては関根局長からお答えしたいと思います。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今亀田委員のお尋ねの点、実は現在の民事訴訟法におきましては、民事の裁判は原本を作つてその原本に基いて裁判官が言い渡をすることになつております。これは刑事訴訟法と違つておりますが、そういう法律の規定がございますので、原則として原本ができ上らなければ言渡はできないことになつております。ところが現実は非常に一件が多い。そのために当事者に送達いたします裁判の正本、結局原本のほかに正本を作らなくちやならんわけですが、その正本までをみんな作つておりますと、言渡が非常に延びてしまう。そういう関係から、場合によりますると裁判官のほうでタイピスト或いは補助職員に判決を清書してもらうという手間をかけますと非常に延びます関係から、自分で判決を書いてしまう、原本だけを書いてしまいまして、そしてその原本に基いて裁判を言渡して、そうしてそれを更に書記官に交付する、そのことは割合に遅れないわけです。併し今度は二の原本を受取つた書記官の側からいたしますと、それを更にタイピストのほうに廻しまして正本を作る、そのことのために遅れることがかなり多い。でありますので、原本ができますまでに相当の日時を要しますれば、これは古渡期日を延ばすことになりますけれども、言渡してしまつたあと、正本を作つて当事者に送るという手間がかなり、事件が多い関係から延びるとい、ことが実情でございます。その実際どのくらい延びておるかということの統計はとつておりませんが、タイピストその他の補助職員の増員等によりまして成るべく早くすることに向つているわけでございますが、具体的の事件から申上げますと、かなり延びておる事件もあろうかと思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 そういたしますと、只今の関根局長の答弁ですと、判決の言渡があるきにはすでに原本ができておる。そういうことですから、若しそれなら、言渡し後送達が関係者にあるというのがそんなに延びるわけがないのですね。たから実際には原本ができておらんで、原本の草案のようなものでおやりになつておる場合があるんじやないかと思うのですね。それでなければちよつとおかしいと思うのですよ。勿論長い判決であれば、タイプの時間もいろいろかかるでしようが、若しそういう純粋な事務的なことで遅れているんだとしたら、それはタイプももつと増員しなきやなりませんしね。それは実際はどうなるでしようかね。単なるそういうタイプとか事務的なことですか。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今亀田委員のおつしやる点は、現在の民事訴訟法の規定におきまして、は百八十九条で「判決ノ言渡ハ判決原本二基キ裁判長主文ヲ朗読シテ之ヲ為ス」ということになつておりますので、原本ができていないで判決を言渡すということになりますると、法律違背ということになりますので、でありますので、現在この民事の裁判におきましては、裁判長が裁判を言渡す場合には、この百八十九条第一項に則りまして原本を作つておかなければならん。ところがその原本が一通しかできてないとき、正本を作るいとまのない場合がございますので、そういうときには、原本だけできておるけれども、当事者に送るべき正本ができていない。その間に、事実上書記官の手に渡つてから期間がかかるということが出て来るわけです。それが非常に事件が多いために、そこにかなり遅延の状況が、止むを得ざる事情から出て来る場合があると思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 これは一つ、もう少し質疑は留保しておきます。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 いろいろ農高つていると、大分利口になつたのですが、今の最高裁民事局長のお話で参りますと、結局この百八十九条、それから百九十一条等から見て、原本はできておる。従つて百九十二条で遅滞なく書記に交付する。こうなつて来て、而も実際なかなか大変だということを言われておるのですが、そうなれば現行法の“九十三条で重点とされておる「二週間内」ということが実は問題になつて、これも延ばさなきやならんということであるならば、今いろいろ御説明になつた事情からして察せられるのですが、そうでなしに、規則においても同じくこの二週間内にやろうと、こういうふうになつておるとすれば、この百八十九条乃百至百九十三条の問題は、今いろいろ問題になつておるのですが、どういうふうに理解すればいいんですかね。二週間内でそのまま引続いてやろうというんでしよう、規則でもそうするとこれはいじらなくてもいいんじやないか。ただ規則制定権の関係から、これを法律から落して規則のほうに廻すと、こういう鯉山だけと理解していいんですか。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今のお問いにつきましては、結局百九十三条たけをお取上げになりますると或いはそういう結果になるかと思います。併しながらこの一連の判決の言渡の方式につきまして、非常に現在のままでは方式が複雑化しておりますために、これを合理化して行きたい、合理化いたしますると、結局この一連の関係の規定をルールにお任せ頂いたほうがいいんじやないか。この前から私要綱なり差上げまして御説明いたしておりますが、それに関連いたしまして、百九十二条、百九十三条の一条前の規定でございますが、これが内部的なものとして削除されれば、それを起算とする百九十三条、百九十二条を前提といたしまする百九十三条もルールにお任せ願つていいんじやないか。でありまするので、今百九十三条だけお取上げになりますると楠見委員のおつしやる通りだと思います。ただ一連の関係としてルールにお任せ頂いても、むしろ最高裁判所の規則といたしましてはこの二週間を成るべく縮めたいぐらいに思つているわけなんです。これを延ばすという意図は全然ないわけなんです。それで先ほど来お話申上げましたように、タイピストの増員、その他の補助職員の増員、訓練等につきまして努力しておりますので、タイピスト等の機械化の問題などもござい事し、だんだんいい方向に向いてるんじやないかと思つております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ちよつと最高裁の方々に浮ねますがね。一体これは法律で規定すべきものを棚上げにして規則にだんだん任せるというふうな悪習が、悪慣行が付くという懸念はございませんか、将来……。できるだけ法律に期待すべき事項を、だんだん縮めて規則に持つて行かれるということは、そういうふうな傾向が顕著になつて来る虞れはないんかと、実は非常に懸念するわけなんですがね。どんなものでしよう、それは……。これはあなた方にお尋ねするのはちよつと無理かと思いますけれども……。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今中山委員のお話の点は、むしろ国会でおきめ頂くことかと思うのですから、どの程度まで最高裁判所に譲るかという問題かと思いますけれども、我々の規則を立案いたしまする関係から申上げますと、規則で立案すべき事項は、結局技術的であり、非常に実際的の問題ばかりで、むしろ政治をお論じになる国会に適さないものだけを規則にお任せ頂いたほうがいいのじやないか。規則にお任せ頂きますと、或いは国会で御審議になるよりも朝令暮改になる。あしたにきめてタベに変えるといつたようなことが非常に容易に行われやすいじやないかという御疑問があるのじやないかと思います。又そういうことをおつしやる方もあるのでありますが、併し実際の手続をやつております関係から申上げますと、朝令暮改というよりも、少しずついい方向に向けて行つたほうがいいじやないか。国会でおきめになるとすると、いろいろの手続の関係でかなり推定化してしまう虞れがございますのですが、実際の、例えて申上げますれば、調書の作り方、判決の書き方等につきましては、少しでもいい点が見つかつたらそれを漸次よくして行くというのがいいのじやないか。そういつた意味合から申上げますと、極めて技術的、実際的の面だけをルールにお任せ頂いたらどうか。でありますので、根本的な国会で御論議頂く国民の権利保護に関係のある分野にまで規則にお任せ頂くということは、これは私ども反対の気持でおります。むしろ国会で御論議頂くには適さないものだけについてお任せ頂いたらいいじやないか。言葉を換えて申上げますと法廷をめぐるローヤアと申しますか、法律家、弁護士の方、それから裁判官、そういつた方々だけで、自分たちでやる手続のことだけのレールをきめるということに限つて法からルールにお任せ頂いたらどうか。その限定は勿論ございますわけですが、でありますので、国民の権利に関係のあるところまでこのルールにお任せ頂くという気持は毛頭ないわけです。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 実は技術的或いは実質的と申します点を、これは主観的にきめるものですからね、これはこういうふうにしたほうが便宜だ、このほうが迅速に事が処理されるというような主観的な立場から、ややもするというと限界を逸脱して権利関係まで及ぶというようなことが或る場合に生ずるのではないかと実は非常に懸念するわけです。そういうことをお尋ねするわけですがね。大体私はこれで………。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 憲法第七十七条の最高裁の規則制定権とそれから現行法の関係について、この前も一松さん、それから中山さんからも随分御質問があつたのですが、丁度法務省民事局長、それから最高裁の民事局長、お二人とも御出席のないときであつたのですが、私はこの前亀田委員から最高裁の民事局長に御質問になつたときの御答弁を伺つておつて或いは私聞き百准えておつたかもわからないのですが、そのときの御答弁の趣旨は、庶法において訴訟手続については最高裁が規則制定をするという権限を持つておる。そこで併し現在国会で以て国会の立法権によつてそういうような手続もきめられる場合もある。併しこれは国会に対して敬意を払つて本来最高裁できめるべきものであるけれども、国会でおきめになつた点については敬意を払つてそれはそのままにしておるのだというような、遠慮しておるのだと、こういうような御趣旨の答弁があつたと私は記憶しておるのであります。そこで規則制定権の権限が専属的な権限であるかどうかということを亀田委員が御質問になつて、若し専属的な権限だとすれば、それと異なつた立法をしておるとすれば、それは立法は憲法違反になるわけですね。ところが問題はこういう点はむしろ現行法のほうがいいじやないかというような御趣旨の御質問が前回中山さん、それから一松さんからあつて、それをめぐつて、私どもそばで聞いておつてどちらが本当だろうかというように疑問を抱いた節が随分あつた。ところが法務省の民事局のほうから「最高裁判所の規則制定権について」というので、これは恐らく憲法解釈としてでありましようが、書きものを参考資料として頂いておるのでありますが、先ず以て、この解釈も最高裁のほうでもこの通りにお考えになつておるのかどうかですね。実はこの文書を読みますと、どうもはつきりしない。まあ結論は法律とそれから規則いずれがよいかということは、実際にどうすれば「実際に適するかという立法政策上の妥当性の問題」であると、こういうふうなことで、その「実際に適する」というこの「実際」というのをどこが判断するかということについて又今中山さんからお話があつたような疑義が生ずるのでありますが、その前に、この規則制定権を認められておるのは、「これらの事項は裁判所が自ら処理する事項であり、その実際にも最もよく通じているので最高裁判所の規則で定めさせることが合理的であるという考慮に基づくものであつて、」とこういうところから見ると、如何にも専属的な権限のようにも見えるのでありますが、そのあとへ来ると、両方やつてもいいというふうに、どうもこの文章だけでははつきりしないのですが、併し結論はこれは御趣旨の点はよくわかりますけれども、この点について最高裁として憲法の七十七条をどういうように解釈されておるのかどうか、これを先ずお伺いいたしたいと思います。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今楠見委員のお尋ねの点非常にむずかしい問題でございまして実は規則と法律との関係につきましては、最高裁判所でも事件を通じまして問題になりそうな事件がございましたのですが、結局裁判の内容にそれが現われて参りません。でございますので、只今の最局裁判所の裁判官全部がこの法務省でお出しになつたこの意見と同一なりや否やについてはまだきまらないわけなんです。ただ事務当局といたしまして、我々の考えは、現在のところやはりこの法務省の考え方と同様の考えを持つております。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 それからもう一つ、この解釈の最後に、「法律で定められた事項については規則でこれに抵触する定をなし得ないことはいうまでもない。」とこう書いてあるのですが、これと逆な場合ですね。規則で定められておることを立法府が取上げてやるという場合には、どういうふうに解釈されますか。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今の楠見委員のお矛ねの点は、これは法律のほうが規則よりも優先するという考えでございますので、規則で例えば甲という事項をきめている、それを今度は乙に変えるという立法ができるという考え方でございます。これは先ほどお話の中で……

楠見義男緑風会

○楠見義男君 その点は、立法でやつても、やればまあ当然この規則は廃止しなければならんと、こういうふうに……

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 廃止といいますか、改められてしまつて、当然廃止せられざるを得ない結果になりますが。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 そういうふうに理解してよろしうございますか。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) はあ。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 それから七十七条の権限を専属的な権限と解釈する説も何かあるようなお話がありますが、それの根拠はどういうふうな根拠でそういう説を述べられておるのでしようか、参考のために伺つておきたいと思うのですが。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今の楠見委員のお尋ねの点ですが、これは学者によりまして、憲法七十七条で直接規則制定権をきめておるのだから限界がある。あの限界だけは法律で介入できないのだという七十七条に基く考えだと思います。それから、ただほかの外国の立法例では、一旦最高裁判所に規則制定権を譲りましても、その規則を作つて公布した後に、更に国会で調べるという立法例がございます。そして国会で調べて、この規則はまずいということになりますと、それを無効と宣言すると、そういうことを英国とか米国の各州でやつているところがございます。併し央際は、極めて実際的な技術的な問題でありますので、それを一旦裁判所側できめました規則を国会で改めたという例はないそうでございますが、そういう例はございますそうであります。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) それでは引続き各条についての御質疑を願います。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 この二百九十二条、第三百四十条という二つの項目はこれは共に削除されておりますが、これは結局全部規則の中に入るのですか。削除して規則の中に移すという意味でしようか、これは……。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) この点は、結局調書の記載事項の問題でございますが、調書全般につきまして規則にお任せ頂くということになりますると、それに関連いたします関係から、これを規則に譲つて頂くと、内容はやはりこういつたことは調書に書かざるを得ないと思います。ただ、先般御説明申上げましたように調書の型をこう合理的にいたします関係から、こういつた問題につきましても規則に任せて頂かないと方式のほうの合理化ということが実現できません関係からお願いしているわけなんです。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 その前に二百五十五条の「調書、又ハ之二代ルベキ準備書面」、この「之二代ルベキ準備書面」を削除している理由はどういう理由なんですか。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今の楠見委員のお尋ねの点御尤もでありますが、これは調書全般につきまして規則に譲つておりますので、その調査のルールの中に準備書面も調書の一部とすることができるという規定が入ります関係から除いて頂くことになるわけでございます。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 三百九十四条ですね、この新らしい改正案でこの判例の問題がこれはまあ判例抵触の問題は、もう法例違背に入ると、こう解釈されてというようなことをこの前も参考人の方からそういう前提でこの案に賛成だというような趣旨の何かあつたように感じますが、この判例抵触は法例違背だと、こういう解釈はこれはもう公権的に確定しているのでしようか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 判例違背が法令違背とは別のものではないかというような疑問を持つ人が一部はあるのです。そういう疑問が生じましたのは、民事上告特例法ができて以来のことで、上告特例法におきましては憲法違背、判例抵触、その他の法令違背というふうに書き分けてございます関係上そういう疑問が生じたと思いますが、上告特例法ができます前は、現行法の三百九十四条に「判決方法令二違背シタルトキ」という中には、判例によつてきまつております法令解釈を訊つたということは無論当然入るものというふうに解釈されておりまして、誰も疑わなかつたわけであります。上告特例法はこの現行法の三百九十四条でやつております法例に違背したることを理由とする上告理由のうち、憲法違背、判例抵触を理由とする法令違背はすべて調査をする、その他の法令違背は重要な主張を含むものだけを取上げるというふうに書いてございますので、決して判例抵触は法令違背の一つであるということを否定する根拠にはならんので、この上告特例法は現行法の四百二条の特例、こういうふうに考えられるのでありまして、つまり三百九十四条によつて許されております上告理由につき調査判断をする限度についての定めなのです。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 只今三百九十四条についての御質疑がございましたが、その間について別に御質疑がございませんか。……ございませんければ、その後の条文について御質疑を願いたいと思います。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 三百九十七条の改正された法案を見ますと、「前条二於テ準用スル第三百七十条ノ規定二依ル裁判長ノ職権ハ原裁判所ノ裁判長之ヲ行フ」という条文、これはこの前大分議論がこの点についてあつたように覚えておりますが、これは原裁判所の裁判長というと、一応何ですね、判決をした裁判長のことをこれは考えておられるのでしようね。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) そうでございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 これは他の裁判長というような話合いは出ませんでしたか。これをおきめになるまでに……。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 」裁判所の裁判官であれば、他の裁判官であつてもいいのでありますが、他の裁判官でなければならんという趣旨ではないよであります。

上原正吉自由党

○上原正吉君 一百九十九条の改正前の文章にはしまいのほうに「判決ヲ以テ上告ヲ却下スルコトヲ得」とあつて、同じく三百九十九条の改正法の末尾には「却下スルコトヲ要ス」ここで初めて「却下スルコトヲ要ス」という字が出て来たのですが、今までは全部「得」という表現で、却下することを得、上告を為すことを得という表現で来て、ここで初めて「却下スルコトヲ要ス」ということになつたのですが、どれも、今までにあつた「得」というのは、一番最初に問題になつた初めのほうの百十四条の第一項の規定ですが、ここでも「得」とあるのに、全部却下しなくちやならんものだと解釈している、こういうふうな御答弁があつたのですが、なぜこの三百九十九条の改正案になつて「要ス」ということに改まつたのですか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 三百九十九条の改正法規定において「要ス」とありますのは、却下しなければならんという意味でありまして、一松委員の御質疑がありまして問題になりました民事訴訟法の百十四条なり或いは二百二条、それから只今御指摘の三百九十九条等におきまして「口頭弁論ヲ経スシテ判決ヲ以テ上告ヲ却下スルコトヲ得」とあつて、現行法には「要ス」と書いてないという点でありますが、判決は本来口頭弁論を経てやるのが原則であります。この場合に限つて口頭弁論を経ないでやつてもよろしいという意味で「得」と占いてあるのでありますけれども、不適法なる訴え、不適法なる上訴というものは更に進んで本案の裁判をするわけには参りませんので、却下せざるを得ないことになるわけであります。でありますから、却下するという点につきましては、するか、しないか選択の余地があるわけではない。この場合に限つては口頭弁論を経なくてもよろしいという趣旨なんであります。却下しなければならんことにおきましては、改正規定も現行法と違つた建前をとるわけではないと思います。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 これは質問しても大体水かけ論みたいなことになる虞れがあるのですけれども、もう一度お伺いしておきたい。三百九十九条の三号の「判決二影響ヲ及ボサザルコト明ナル法令ノ違背ヲ理由トスル」、この場合ここに「明ナル」という字句があり、そうして又本文に「左ノ各号二該当スルコト明ナル場合」とあつて両方ながら明らかなるということがあるから、そこで判決と因果関係のない、而もそれは客観性のある場合に限つてこれは却下するのだと、従つて仮に原裁判所の裁判長が、同じ人がやつてもその心配は余りなかろうという、こういう御説明なんですけれども、ところが原裁判所で裁判をするときには、誰が見ても明らかなような問題についてそれを裁判官が収上げて判決をするわけはないし、その裁判に不服で上告をするのですから、やはり予断というものがあつて、丁度除斥忌避等の事例と同じように、これはやらなければ如何にも上告の人間から見て不満……、仮にほかの人にやられた場合には引下がることであつても、前の、本来ならば或いは除斥あたりに該当するような、そういう同じ人がやるということについては、国民に上訴権を認めて、或る程度これを法律的にも保護しようという考え方から見ると、如何にも不合理のような気がするのですが、どうでしようか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) これは前回にも申上げたと思いますが、この場合原裁判所の裁判官が判断いたしまするのは、自分のやりました原判決が間違つていたかどうかという判断ではないのであります。若しその判断をするといたしますと、これは予断の弊ということが考えられるわけであります。自分の判断が間違つていたかどうかを判断するのではなくて、上告人の挙げているような法令の違背があると仮定して、言い換えますれば、自分のやつた判決の判断に誤りがあつた、或いは自分の裁判官としてとつた措置に誤りがあつたということを前提とした場合に、それでは正しい解釈、正しい措置をとれば結果が違つたであろうかということの判断なんであります。その場合にも判決に影響を及ぼさないことが明らかであるか、ないかの判断は、人によつて違い得る、必ずしも客観性がないというような直間がどなたかからあつたと思います。判決に影響を及ぼす可能性があるかないかの境目の線に近いところでありますというと、人によつて判断の違うという場合があるわけです。でありますから、そのボーダー・ラインからかなり離れたところという意味でこの明らかというのを使つておるわけです。自分はこれは判決に影響を及ぼす虞れがないと考えるけれども、或いは他の裁判官が考えれは影響を及ぼす虞れありと考えるかも知れないというようなものについては、これは及ぼさざること明らかな場合でないわけでありまして、これは上告密に送るわけであります。でありますから、横目の線から相当遍いところにある、誰が見ても異論がなかろうというものだけしついて却下することにしておるのであります。それでもボーダー・ラインから遠いか近いかということも、見方の相違で、人によつて違うのじやなかろうかということもあります。これは原裁判所の裁判官であるからではなくて、他の裁判官がやりましても多少のその裁判官によつて差はあるかと思いますけれども、原裁判所の裁判官の干を経るから、特にこれがほかの人が見れば影響を及ぼさざること明らかでない場合が明らかであると判断を受ける危険が多いかというと、そういうことはない。従来の日本の裁判所における裁判官の事件の取扱い振りから考えまして、そういうことはないという確信を持つておる次第であります。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 そういう確信をお持ちになることは勿論結構なことだし、又そうなければならんわけなんですが併しそういう確信を持つて今まで来ておられたにかかわらず、やはり上告審で覆えるということはよくままあることなんですね。そこで今のボーダー・ラインの問題の例をお引きになつたのですが、これは民事局長村上さんと私どもも前提は、裁判官は自分のあらゆる点について、又適用すべき法令については細大洩さず詳細に十二分に検討して、そうしてその判決を下すものだと、こういう前提に私も立つて申上げておるのです。従つてそういう意味で、ボーダー・ラインなるものについても、十分に自分としては検討した結果、これが最善なりとしての判決を下したものが上告された、こうなるわけですね。そこで相当因果関係あわやなしやのボーダー・ラインの問題として出て来た場合に、自分はこれは因果関係なしと、こういう判断をしたが故に原審ではそういうような判決をした、その裁判官がボーダー・ラインとして持つて来た案件をよほどの人でない限りは、又そう軽々に変えたのでは、前の判決は非常に自信がないということになるのだから、原裁判所が取上げるということは殆んどそれは常識的に考えられないのじやないかと思う。原審が正確を期しておやりになつたとすれば、しただけにそういう感じがするのですが、これは実際素人から見ればそういうふうに思いますが、どうでしようかね。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) どうも私の説明が徹底しないですが、この場合に、原裁判所の裁判官が判断いたしますのは、前にやりました不服の中立を受けられておる判決の当否ではないのであります。不服を申立てられた裁判をするときには、これは確信を持つて裁判をしておるわけでありまして、従いましてそれが間違つておるかどうかというについては、予断を以て判断する慮れがあるのであります。併しここで問題にいたしておりますのは、不服の対象になつております判決の中に示された判断の当否を判断するわけではないのでありまして、その点は上告人の指摘するような法令違背があるものと仮定しれつまり仮に前の判決の判断が間違つておつて、上告人の肯う解釈が正しいとすれば、判決の結果が違つたであろうかどうかということなんです。そのことについては、その不服の対象になつております裁判をする際には、全然判断をしておらないわけです。新らしい問題についてここで判断をする。

上原正吉自由党

○上原正吉君 三百九十三条の末尾に追加した改正規定「仮差押又ハ仮処分二関シテ為シタル判決二対シテハ上告ヲ為スコトヲ得ズ」、こう追加規定をやつて、それから今度は四百九条の二の改一正案の第一項ですが二項になりますか、これは、仮差押又は仮処分に関して上告ができると、こうなつておるのですが、我々系人は、どつちか一つが必要ないように思いますが、この関係を御説明願いたい。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 三百九十三条のほうでは、原則として仮差押、仮処分に関してなされた判決に対しては上告を許さないという建前をとるわけでありますが、ただそれが憲法の解釈に誤りがある、或いは憲法の違背があるというときは、特別上告と申しますが、この場合には上告ができるというのが四百九条の二であります。これは憲法の規定の中にも、最高裁判所というものは法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかどうかを判断する最終の裁判所であるということが謳われておりますので、憲法適否の問題だけは最高裁判所の判断を受けられるようにしようということで、他に上訴を許さない裁判につきましても、憲法問題だけは最高裁判所まで行けるようになつておる、その例によつたわけであります。

上原正吉自由党

○上原正吉君 そうすると三百九十四条の改正規定は、憲法に違背するとき又は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背を理由とする場合にはこれをなすことができるが、仮差押、仮処分に関しては判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背があると思つても上告ができないと、こういう意味ですか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 仮差押又は仮処分につきましては一百九十三条で上告ができ」ないことになつておりますから、三百九十四条は適用の余地がたい、三百九十四条で上告するのでなくて、四百九条の二の規定によりまして特別の上告が許されるということにたります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 四百九条の二ですね、これは高等裁判所が上告審で終局判決を下すということになつていて、これに対して特別の上告が許されるということになりますと、これは四審制度ということが考えられないでもないのですね、上告審が二つあるということになりますが、同じくこれは憲法の問題についての上告は両方ともで)上るけですね。そうすると更に最高の審判を仰ぐということになるのですか、この特別上告審では……。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 高等裁判所が上告審の場合にはすでに三審を経ておりますけれども、憲法問題に関する限りは更に最高裁判所に上告が許されますので、憲法問題につきましては四審制になるわけであります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 大体三審制ということが原則になつてこの場合は四審制になる、いわば憲法問題に対するこれは再審制度みたいなものですね、憲法問題に関する限りにおいてはそういうことになるのじやないですか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 上告審の判決に対する不服の中立てでありまして、再審とは性質が違うのじやないか、まだ未確定の判決に対する上告……。再審とは違うと思います。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 結局は新たなる証拠がでた場合においては、再審制度というものが認められているわけですが、これは法理上の憲法問題に関する証拠でない、いわゆる法理論的な上告特別宿理ということになりますね。成るほど従来の再審制度というものは、あとの新たなる証拠を発見したとかいうそういうことに基いてやるわけですが、この場合は法理論として、憲法に違背するや否やという法理論的な結論を得るための審判を仰ぐための上告審ということになつているわけですね。これは一種の法律に関するいわば再審制度ということに形がなつて来ているのじやないですか。これはどこにもそういう法律も何もないのですが、実質は普通の、再審制度に対する法律上の再審制度ということに落ちつくのじやないかと思うのですね。上告審の上に更に上告審を置くということになつていますが、これが実質は法律上の再審制度だと思うのですがどうですか。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 先ほどちよつと言い間違いまして、高等裁判所の上告審として判決をいたしました場合には一応確定いたしまして、それに対して憲法問題を理由とする上告が更に許されるわけでありますから、その意味におきましては実質的には中山委員のおつしやるように、憲法問題に関する再審という言葉を使つて考えてもいい場合の一つかも知れない。ただ、再審の場合には原裁判所がやり直す、ところがこの特別上告の場合には、一級上の裁判所が再審査するという、点が違うわけです。実質的にはおつしやる通りだと思います。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 こういう制度は従来の原則であります三審制度を覆すという意味になつて来るわけですね、こういう場合は特別の立法というものが行われるとい、ことが本来はいいのじやないですか。原則を壊して行くということは余り感心したことでないと思うのですがれ。高等裁判所が上告審として取扱う事件に対して、更に特別の上告審というものを設けるということになりますと、四審制度というものが打ち立てられるわけです。そうすると、そういうことは原則を壊すという意味になるから、特別の、普通のいわゆる再審制度みたいな按配に、これと同じような体裁をとつた特別上告審という制度に関する法的措置というものが講ぜられるのが、はつきりしていいのじやないかと思うのですがね。そういう点は論破の種になりませんでしたか、それをちよつとお尋ねしておきたいのです。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) その点は現行法におきましても、すでに憲法問題を理由とする特別上告というものは認められておりますし、又決定につきましても憲法問題を理由とする限り、特別上告というものが認められているわけでありますが、これは憲法の八十一条におきまして「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」という規定もございまして、憲法問題につきましては最高裁判所が上級審として取扱うことが適当であるという考え方から現行法の規定ができているものと、かように了解しております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 上告審におきましては、いわゆる憲法問題を普通取扱うということになつておりまして、只今お読上げの規定はこれはもう、いやしくも法律家である以上は、在朝在野を問わずみなそのことは承知しておるわけであります。併し私の申上げるのは、いわゆる制度の体裁の上から、別にやはり単行法としてそういう制度が設けられるのがいいのじやないかということをお尋ねしているわけなんです。慰法上の、憲法に違背するや否やということを審理するということは、これはもう憲法の規定から言つても、最高の裁判所がそれをやるということはよくわかるのですけれども、制度的な建前、法律に基いて例えば三審制なら三審制というものをとつておりますいわゆる原則を壊さない意味においれ体裁としてはそう持つて行くのが本筋ではないかということをお寺ねしているわけで、そういうことについての論議はありませんでしたかということをお尋しているわけなんです。

村上朝一法務省民事局長

○政府委員(村上朝一君) 今回の法大の立案の際には、単行法にするかどうかの点については、研究はいたしませんでした。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 本案には関係ないのですけれども、ついでに恐縮なんですが、最高裁判所にお伺いしたいのですが、最高裁判所の問題なんですが、私ども或いは間違つて理解しているかも知れませんが、憲法違反の問題については直接最高裁は受付けないのですね、而も下級審においては形を変えて、例えば金銭給付の訴えとかそういう別の形の訴えでなければとり上げられない、こういうふうになつているように承知しているのですが、若しそうだとすれば、それはどういうところからそういうふうになつているのか。それから下級審では憲法問題というものは取り上げないのですね。たから例えば、これは例がいいか悪いかは別としまして、防衛隊なら防衛隊というものは憲法違反だ、こういう問題は持込んでも下級審は取り上げない。取り上げますか……。これは私の理解している前提が間違つておればあれなんですが、例えば最近の例で苫米地さんの解散についての憲法違反の問題も最高裁判所としては直接取上げずに、下級審においては歳費を出せ、こういう金銭給付の訴えといいますか、請求権の訴えでそれが憲法問題として行くわけなんです。下級審のほうは解散は憲法違反だという訴えは取上げないじやないかと理解しておるのですが、その憲法問題について最高裁の取上げ方、これをついでで甚だ恐縮なんですが御説明して頂きたい。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今楠見委員のお尋ねの点は、これは重大問題かと思いますが、訴訟問題は具体的に原告、被告が出て来るわけで、原告が訴えを起しますについては、訴えを起して勝てば自分に利益がある。具体的な利益、やかましい言葉で申上げますと、権利保護の利益がなければ訴えができないということになつております。でございますので、今お話がございました苫米地氏の事、あの事件などにつきましては、若し議員である地位を今お持ちであるとすれば、歳費の請求ができる、歳費の請求ができるかどうかということになりますと、勝てば歳費をもらえるということになりますから権利保護の利益が生ずる。従つてその前視として国会の解散が憲法違反かどうかの問題の論破に入るわけであります。今お話がございました下級裁判所で、東京地方裁判所にあの事件が出ましたのですが、下級裁判所でこの事件を受付けますと、歳費の請求がいいかどうかということを調べます前提といたしまして、国会の解散が憲法違反かどうかという、憲法問題にも触れざるを得ないわけであります。でございますから今お話がございました御疑問とされた下級裁判所で憲法問題に触れる点は、これは触れざるを得ないわけであります。でございますから、下級裁判所でも憲法問題に触れ、更にそれが上訴になりますと、最高裁判所に来る。最高裁判所は三審として事件を扱うことに法律上なつておりません。これは裁判所法でそうきまつております関係から、直接最高裁判所にそういう訴えとお出しになりましても、結局却下されてしまうということになろうかと思います。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 これは私の質問の仕方が悪かつたのですが、苫米地さんの例のような場合は、これは下から当然に行く問題なんですが、例えば防衛隊がこれは憲法違反だと、そういう訴えを起してその訴えで勝つた人間はどういう具体的な利益があるかということになつて来ると、これは解釈によつて違いますが、日本国民として自分たちの総意によつてできた法律が、憲法が蹂躪されておるという点について、歳費の問題よりももつと大きな国民としての、主権者としての一番大きな利害があるわけです。だからそれを地方裁判所に持ち出したときに、それじやそれを取り上げるかというと、今の金銭給付の問題とは違つて、下級審といいますか、地方裁判所は取り上げないじやないか。而も最高裁判所が第一審としては取り上げないと、こうなつて来ると、憲法の番人といいますか、最高裁判所は審査権を持つているのだけれども、実際は憲法の擁護について持出しようがないじやないか、こういう疑問の点なんです。

関根小郷最高裁判所長官代理者(事務総局民事局長)

○説明員(関根小郷君) 今楠見委員のお尋ねの点は、先ほど私或いは誤解して申上げたかと思いますが、今の例で申上げますと、防衛関係に関する法律が現在の憲法に違反する、憲法違反の法律だと、そのこと自体は国民に非常に重大な関係がございましても、直接の法律上の利害関係が出ていると言えないのではないか。それから具体的に直接に法律関係として、出て参りますことを想像いたしますと、防衛関係に関する法律関係が出まして、その法律が強制的に徴兵するというようなことになりますると、赤紙が来る。そうするとその赤紙は違法の法律に基いた赤紙であるから、赤紙処分に対しては、これは取消すべしという行政訴訟と申しますか、そういう訴訟を起してそうしてその前提になつておりまする防衛関係に関する法律が憲法違反かどうかという判定に入るわけなんです。でありますから具体的に直接法律関係が出て来ることになりますと、防衛関係に関する法律が憲法違反かどうかという点につきましても、やはり裁判所が判断せざるを得なくなる事態が出て来るわけなんです。もう一つ例を挙げて申しますと、防衛関係に関する関係で、税金がかかる。これは非常にむずかしい問題ですが、その税金が防衛関係だけの税金であるということが、若し確定いたしますと、徴税に関連して徴税令書が交付される。それに対して不服の訴訟た起す。その前提として徴税関係に必要な法律について憲法問題が論議される場合があるかと思うのです。併しこの税金の問題は非常に因果関係がむずかしいので、果して訴訟が、そういう問題が憲法違反の問題まで触れるかどうか疑問でありますが、例としては考えられるかと思います。

楠見義男緑風会

○楠見義男君 そこで実際問題として今説明されたような場合は共に問題にならないと思うのですよ。と言うのは、徴兵令書が出るというような、そういうはつきりとした憲法違反の問題なら、又そういう事例は起らないと想像されますが、今の状態で赤紙が来るというようなことは考えられない。税の場合なんかも、これも考えようによつては、自分たちの税金がこの方面に、憲法違反の疑のあるこの方面に使われているのは怪しからんというので、取上げられるかというと、そんな手段でも講じなければ或いはむずかしいかも知れないのだが、併し一方では所得税法だとかいろいろな税法を以て当然義務を負つている人間ですから、これも説明のような場合はこれは常識的にも問題にならないのではないか。そうすると、何もそういう廻り道のことをしなくとも、さほどの大きな問題については取上げられて然るべきだと思うけれども、これは全然ないというふうにしか考えられないが、何かありませんかね。

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。    午前十一時五十八分速記中止    ―――――・―――――    午後零時十六分速己開始

郡祐一自由党

○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。  民事訴訟法等の一部を改正する法律案につきましては、主要な点につきましては大体逐条の御審議を願つたように存じますので、次回におきましては民事局関係の法律、即ち裁判所法の一部を改正する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法科案、利息制限法案、民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案を議題に供しまして、逐条によりませんで質疑をお願いをいたし、大体予備審査の段階においては御質疑が十分お願いでさましたら、その段階にいたしておいて、次には本審査の際に又御検討願うことと次回はいたしたいと考えます。次回は明後二十二日午前十時から開会いたします。  なお秘密保護法についての公聴会を二十七日にいたし、又かねて本委員会から申入れておりまする教育二法案の文部委員会との連合審査は、次の週のうちに行いたい旨文部委員会のほうでは大体予定をしておるようでございます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時十八分散会

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