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19回国会参議院1954/10/20

法務委員会 閉会後第10号

発言数
95
登壇者
14
会派数
5
開催日
1954/10/20

会議録

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) これより本委員会を開会いたします。  最初に矯正局長に少年院の最近の運営について御説明を願います。

中尾文策法務省矯正局長

○説明員(中尾文策君) 少年院でたびたび事故を起しまして世間には御迷惑をかけますし、少年自身のためにも非常に不幸な結果を招いておりますことは、私たちといたしまして大へん申しわけないことでございまして、十分に責任を感じておるわけでございます。この機会に本委員会で、現場の私たちの同僚を呼び出されまして、いろいろ実情を聞いていただくという機会を得ましたことは、誠に私たちの喜んでいるところでございます。  そういう具体的な事情をお聞きになつていただきます前に、まず私から現在の少年院の状態、つまりどういう点に問題があるか、どういう弱点を持つておるかということにつきまして一応御説明を申し上げたいと存じます。まあいろいろそういう事情を申し上げますが、しかしこれは決して私たちの責任逃れをしようとかいうことは全然考えておりませんので、そういうことのあらゆる場合に、やはり私たちのまだ努力が足りない、また力の足りないということが、常にそういうことの括弧の外にくつついておるということをまずお断わり申し上げておきたいと存じます。まあ釈迦に説法というようなことになるかも存じませんが、少年院が現在ほとんど六十にも近い数ができておりますが、こんなに少年院の数が多くなりましたのは、ここ数年来のことでございまして、終戦当時は、昭和二十年にはまだわずか七カ所しか少年院がございませんで、これが新しい少年法の施行になりました直前の昭和二十三年には少年院の数は十二しかなかつたのでございますが、ところがその後のわずか四カ年の間に四十四という少年院ができております。  つまり大体五分の四のものがわずか四年の間に急にできてしまつたというような、そういう状態でございますので、従つていろいろ準備が不十分であつたということと、その後の整備が間に合わなかつたということのために、これがあとの少年院の管理の上に非常に悪影響を与えておるというような、そういうような点が私たちの弱点となりまして、いろいろな事故の原因になつておるということが申し上げられると思うのであります。少年院の現状といたしましては、そういうわけで私たちといたしましても非常に申しわけない不十分な不始末なことが連続いたしておりまして、たとえば逃走……逃走というようなことは別にそれ自体としてはそう大きなことではありませんが、しかしそういうことの与えますところのいろいろな副作用、影響というものがかなり大きいために、私たちといたしましてはその点では非常に重要視しなければならないところでありますが、たとえばその逃走というような件数をとつて見ましても、昨年あたりは九百何十件というような数になつております。そのためにはいろいろな動揺もあるわけでございまして、まだ安定したような一定の軌道に乗つたというところまでは参つておらないのであります。  それでまあどういう点にそういう原因があるかということになるかと思いますが、先ほども申し上げましたように、大急ぎでわずか四年の間に四十四の少年院を作らなければならなかつたというような事情のために大急ぎでいろいろ不備欠陥がありましても、とにかく入れるものを作らなければならない。また少しも訓練を受けていない、少しもそういうことについて素養のない人であつても、とにかくそれに必要な職員というものを大急ぎで整えなければならない。また従つてその少年を矯正して行きまするためにいろいろ手段が必要でございますが、そういうことについて予算が必要だとか、あるいはいろいろな設備、器具、そういうものが必要であつても、そういうものを整えるひまがないうちに、少年のほうはどんどん入つて来るというようなことのために、いろいろ整備がおくれたというようなことでございまして、特に現在でも少年院でまあ一番私たちが不自由いたしておりますのは、教場は何とかかんとか曲りなりにもできた所が大部分でございますが、しかし職業訓練をやりますような、つまり刑務所の工場に相当するような、私たちはこれを実科教室と申しておりますが、そういうものが今非常に不完全、不備でございまして、ある少年院に参りますというと、全然そういうものがない。従つて何か職業訓練をやろうといたしましても、廊下でしかやるより仕方がないというような所もあるわけでございまして、あの血気盛んな年齢期の者の精力のはけ口というものが、これは一生懸命になつて職業を覚えて、そうして手に職をつける、あるいは額に汗して働くというようなことになりますと、そういう者を訓練するのに都合がいいのでありますが、そういう手段を持たないというような少年院もあるわけでございます。まあ、それだけのたくさんの少年院を一遍に作つてしまつたために、私たちといたしましては非常に多くの予算的な要求を持つているわけでございますが、一挙にこれを整備するということはなかなか困難な実情にありますので、そういう点で非常にまずいことになつているということは、これは否定できないと思います。  なお当然のことでございますが、職員につきましても、大部分の少年院に新しい職員を配置しているというような結果になつておりますので、なかなかこれは、特に不良少年の教化というようなことにつきましては、手段がむずかしいのでありますが、そういうことにつきましてなかなかエキスパートが得られないというような状況でございます。昔の七つか、八つくらいしか少年院がなかつた時代には、なかなか優秀な職員がおりまして、ほとんど名人芸に近いような仕事もやつておつたわけでございますが、今のところではなかなかそういうことは望めないというところでありまして、非常にその点につきましては何とも仕方がない、大急ぎで私たちといたしましては、いろいろな機会をとらまえて、方法をとらえて職員の訓練ということをやつておりますが、なかなかまだそこまで追いつくところまでは参つておりません。  それからまた少年の非常に性質が変つて来ているわけでありまして、これは法律的に、新法以前の少年法時代の少年というものは、これは不起訴処分になる、情状の軽い少年が入つておつたわけであります。新法以来というものは、これはもう刑事処分を受けるような者がどんどん入つて来るわけでございまして、現在から結果的に見ますというと、前は少年刑務所に入つておつた受刑者が、今度は少年院に入つて来るようになつた。こういうわけでございまして、ちようどこの少年院と少年刑務所に入るべき人があべこべに入れかわつたというような格好になつておりまして、少年刑務所のほうの収容者というものは今二千人足らず、千幾らくらいしかいないのじやないかと思いますが、つまり刑事処分を受けておつたところの少年が少年院に入つて来るようになつたというようなことでございます。  なお、この少年というふうにひと口に申しておりますが、なかなかこれはそう私たちが考えておりますような子供ではないわけでございまして、現に年齢の分布を調べてみましても、特に特別少年院なんかに参りますというと、二十歳をこえたという者が三分の一くらいいるわけでございまして、つまり昔の兵隊だつた者が少年院に非常にたくさんおりまして、女房が子供をかかえて面会に来るとか、あるいは母親になつているような女がいるとかというようなケースも相当あるわけでございまして、その点に実は私たちのほうも手ぬかりがあつたわけでありますが、ただ子供、子供というようなつもりで、そういうような年齢層の者に対してもただ漫然と……、そう漫然というわけではございませんが、非常に大きな手を打たなかつたというところもございまして、つまりそういう者を普通の子供と一緒に考えておつたというところに、私どものやり方のまずさもあつたわけでございますが、しかしそういうふうな年齢層の者も相当兇暴な者がおるわけでございますが、そういう者に対しましては、少年院であるということの理由のために、あまり強い処置をとることも躊躇しておつたというようなことも、だいぶん今回のこういう不始末に影響を与えているだろうと思うのであります。  いずれ詳しいことはあとでこの少年院長諸君、また私たちのほうから調査課長が参つておりますから申し上げると存じますが、この少年院の管理方法につきまして、その二つの両極端があるわけでございます。その一つの態度といたしましては、少年院は、これは少年を処置するのには愛情でやれ、これはもう今少年院にこういう事故が起つているのは、これはもう職員に愛情がないからだ、愛でやれば、もうこれは鍵も要らないし、格子も要らない、法も要らない、それは愛の力で、人格の力でやるべきであるという議論でございます。いま一つのほうは、そういうことを言つても、現実には少年は非常に危険な少年がたくさんおる、相当乱暴なこともしじゆうやつておる。これに対しては物的な設備というものを厳重にして、刑務所の様式を相当入れたらいいというような、両極端の議論があり得るわけでございますから、私たち実務家といたしましては、私たちの間ではその両方の極端、両方ともとつておりません。もちろん私たちは、これは愛情が必要であるし、また愛情によつて解決できる問題もたくさんあるということを考えております。親切にやれば、もつともつと今の問題はたくさん解決できるだろうということはもちろん考えておりますが、しかしそうかと申しましても、私たちこれまでいろいろ現実の問題に直面いたしまして、昨日まで不良少年ですごいことをやつたという者を、今日受け容れてたちまちそれを愛情の力によつて、私たちの生活のルールの中に入れ得るというようなことも、とてもそれはもう考えられないことでございまして、そこまでは私たち愛情の力というものを過信いたしておりません。なおまた、現実問題といたしまして、私たちにそれほどの人格の、神に近いような人格の力なんか、大体それは期待できないことでございますので、そこまでは考えておらないわけでございますが、一方のこの物的な設備を厳重にするという点についてでございますが、この点につきましては確かに現在少年院に相当欠陥が見られるのでありますが、もう普通の学校の寄宿舎と同じような行き方で行つて、これをもう愛情で縛つて行こうということは、これはもう実に無理な話でありまして、血気盛んな、しかも相当またすれておるような者が、窓も自由に開けられ、鍵もない、どこでも勝手に出て行けるというような状態にしておいて、これでもう大丈夫というはずは、これはもう絶対ないわけでございまして、ある程度やはり実力で、それを抑えなければならない、そういうグループは相当あるわけでございますので、現在の少年院でいろいろ都合の悪い点がたくさんございまするので、そういう点についてもつと努力を払わなければならんという点はございますが、しかしそういう物的な、外的な力によつて少年を抑えるというようなこともこれも全然考えておりません。昨日も院長の会同第一日で、いろいろそういう点につきまして議論が出ましたが、皆さんの意見を聞いてみましても、決して今のこういう不詳事が起るからといつて、物的な設備を大いに重要視する、むしろ過信するという意見はもう一つも出て参りません。できるだけそういうものについては省くべきである、そしてもつと合理的な手を考える、たとえば実科教室をどんどん建てて行くとかというようなことを非常に考えておりますが、そんなきびしいところにしてしまうということは考えておりません。しかしそうかと申しまして、今も申し上げましたように、やわらかにしておくだけでは、ある……まあこれは全部ではございませんが、特殊なグループの者に対しまして、とうていこれは少年院に入れておくということが不可能な者がたくさんございますので……、たくさんじやありませんが、そういうものがございますので、そういう者に対しましては、取りあえずそういうふうな反抗心の強い間、非常に私たちに対して抵抗を示す間は、何かある程度の実力は使わなければならないというわけで、たとえばそういう危い者については、部屋に入れて置くとか、あるいは一人だけの部屋を作るとか、あるいは隣の部屋との交通を遮断するとかいうようなことは、これは必要なわけでありまして、そういう点につきましては、私たちはもつと設備について心を配らなければならないということを考えておるわけであります。  それで今問題になつておりますことは、これは世間の人もよく問題にいたしますが、この年齢を引き上げたという点についてどうだということであります。これは少年というものは、十八歳未満から二十歳未満まで引き上げたわけでありますが、これを引上げて、法律になりましてからも、実は時期尚早で、その実施を遅らせておつたわけでありますが、しかしこれは二年前からこれを実施することにいたしまして、従つて相当高年齢の者がどんどん入つて来るようになりまして、これが大体少年院をひつかき廻しているのは、この高年齢の者の中から出ているわけでございますが、今の日本の事情としては、この高年齢の者を消化できないのじやないか、時期が確かに尚早なのではないかというような意見が相当ございまして、元通りに年齢を下げたらいいのじやないかという意見がちらほらあつたわけでございます。これにつきましては、私たちは法務省で正式にその問題を取り上げているわけではございませんが、しかしまた私たち実務家といたしましては、そういう年齢をまた元通り引き下げるというようなことについては賛成いたしません。今こういうふうな、失敗は重なつてはおりますが、しかし徐々にこれは克服できるものであろうと思いまして、折角これまで少年院というものを引き上げて来たわけでありますから、私たちといたしましては、まだまだこれは努力によつてこの困難は克服できるということを考えておりますので、私たちといたしましては、この年齢をまた元に下げて、元のやすきにつくということは考えておらないわけであります。それでこの少年院は今さつき申し上げましたように、非常に設備が不十分でありまして、これをじやどうやつたらいいかと言いましても、なかなか一挙に予算的措置を講ずることは不可能でございますが、それで少年院をむしろ少数に、もつと少くしたらどうかというような考えが浮んでくるわけでございます。少年院というものは非常に金がかかるものでありまして、それで職員の数も相当かかりますし、いろいろ設備の点も最小限度にいろいろなものを考えなければならんわけでありますが、現在のように五十六も少年院がございまして、しかもほとんどどれもこれも不備だらけ、欠点だらけというようなことになりますと、むしろ五十六の少年院を三十とか四十とか思い切つて数を減らして、そういう施設を併合して、そうして、建物をふやすとか、設備を充実するとかというようにできるのじやないか。また職員も五十六カ所にばらばらに散らばつているよりも、三十カ所とか四十カ所ぐらいに縮めたほうが、職員も充実できる。予算も集中的に使える。そうするならば、これはもう今よりずつと効率的に少年院が管理できるのじやないかというようなことも一応考えられるわけでありますが、しかし少年院がなるほどこの四年の間に五分の四に近い数のものができたということは、はなはだこれは急激な変化でありますが、しかしまあなるほど私たち現在力が足りなくて失敗を重ねておりますが、しかし絶えず努力を重ねて参りまして、今のところで、そういう縮小とか廃合とかということを考えないで、今のところでだんだんと漸進的に充実して行くということを考えているわけでございます。そのわけは、少年というようなものは、これはやはり個別的に処遇しなければならないわけでございまして、従つてあまり収容人員が多うございまするというと、いろいろな便利な点はございますが、しかし一人々々について行き届いた世話はできないというようなことがございますので、刑務所のようにあんなに千人も二千人も一カ所に入れておくということは、少年院については考えられないことでございますが、やはり現在いろいろな矛盾いろいろな困難が生れて参りますが、しかし少年院は数を減らさないで、やはり小さいところで、小さい、少年院につきましては小さいわけじやございませんが、大体大きくても二百、三百というようなところで、ここのところで現在のままこれを充実して行く、拡充して行くというようなことにいたしたいというふうに考えております。  なお少年院がいろいろ不仕末のことを起しているようでありますが、つぶさに考えてよく研究いたして見ますというと、全部の少年院がそういうふうになつているわけではございませんので、少年院には三種類か四種類ございますが、問題を起しているのは主として特別少年院だけでございます。しかも特別少年院の中の一部分なのでございまして、つままり私たちが、その特別少年院に入つて参りますところの、その中のある一部分の分子に対して適切な処置がとれるということになりまするならば、ほかの大多数の少年院の少年たちに対しましては、そういういろいろな問題を起さないで済むだろうと思うのでありまして、少くとも私たちは、決して今の状態を理想的の状態とは思つておりませんので、非常に不完全だと思つておりますが、しかし初等少年院、中等少年院は大体軌道に乗つているものと考えております。今後は特別少年院の中の、しかもその中のきわめて一部分のものに対してどういう処置をとるかということは、取りあえず私たちが考えなければならない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。本日も少年院長の会同を続行中でございまして、現にいろいろな問題を討議しているわけであります。  大体少年院の状態というものはそういう状態なんでございまして、なお一層私たちとしましては少年院のためにいろいろ力を入れまして、法律の要求するような、また皆様の御期待に沿い得るようなものにいたしたいということを考えておりますが、何とぞこの委員会におかれましても、私たちの力の足らない点にお力添えを賜わりますようにお願いいたしまして私の報告を終ります。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) 局長は少年院長会議を主宰しておられるので退席したいというのですが、この際局長に御質問ございましたら……。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 局長に対する質問は、また後の機会にいたしたいと思います。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) それじやよろしゆうございますか。それじやどうぞ……。  それではこれより少年院のほうに対しまして質疑に入りたいと思います。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 常々誠にむずかしい責任の重いお仕事に携わつていただいております院長方にまずお礼を申し上げます。今日は時間のございます限り率直なお伺いをし、またありのままの状態のお答えを願つておきます。  第一番に私の伺いたいことは、院長の権限について何かお考えのことがございますと思いますが、その院長の権限についてどうぞどなたからでも腹蔵なく、ふだんお考えになつておりますこと、つまり院長の権限がどういうところが不足だとか、あるいは法律的にも、また実務の上からもいろいろおありだろうと思つておりますから、その点について徳先生からお願いいたします。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) これは新法になりましてから各種の関係機関がふえまして、たとえば更生保護委員会、保護観察所、それからまた家庭裁判所もそうでありますが、有機的な機構に対しましては一応十分な整備がされ、またそれぞれの意義を持つておるわけなんでありますが、私ども現実に教育に当る者の面からしますと、もし学校の校長が自分が教えたところの学生、生徒を自分の権限で十分動かし得ないということがあると、非常に困ることなんでありますが、今申し上げた通り機構が非常に複雑になりましたために、院長としましても現実に相当関係方面の意見を聞かなければ仕事ができないという面が、だいぶん出て来たのじやないかというふうに考えます。たとえば少年を退院をさせるということにつきましても、かつて、少年審判所時代でありますれば、少年審判所と少年だけのいろいろな手続を経まして簡単にきめたのでありますが、現在はその点が非常に複雑になつております。これはもちろん相当意義のあることでありまして、院長が独断で仮に少年を出すことになれば、更生が保証されないという点もあつたのじやないかという理由ももちろんあるのじやないかと思います。また卒業、退院後のいろいろな保護につきまして、現在の機構では確かにこれは看過されておるわけでありますけれども、私どもそれが機構があまり整備されましたために、院長の権限が事実上各方面の意向を聞かなければ十分退院その他の問題がいけないということは現実なんであります。この点は機構は機構としまして、院長にも退院等につきましてただ申請をして委員の面接によつて私どもが出すということのみでなくて、院長もそれに相当な発言権を与えるような何かの機構に、合理的な機構にしていただければ、さらにいいのではないかということを考えるものであります。まあ差し当つて一番私どもが今痛感しますことは、そういう点がやや円滑に、機構は非常にりつぱでありますが、円滑に行つていないのじやないかという点を考えます。今思いつきましたことを一応申し上げます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 順々に言つていただきたいと思います。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) 小川さん御意見ございませんか。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 院長の権限というお話でございますが、院長の権限とはちよつとはずれるかもしれませんが、少年を家庭裁判所で少年院に送致するという決定をなされるのでありますが、少年院が四種類ございまして、初等、中等、医療、特別、この四種類でありますが、その種別を特定して決定されるのでありますが、ところが先ほど局長のお話にありましたように、整備が特に特別少年院なんかは整備がまだ過渡期にあるので、裁判官のほうで多分こういう施設だろうと思つて決定をされ、こういう所遇が受けられるだろうと思うことと実際とが食い違いがある場合があります。そこで裁判所で決定されるのは、ただ少年院に送致する、種別をきめないで少年院に送致するという決定をしていただいて、あとは矯正局のほうへそのどこの少年院がいいかということをおまかせ願つたら、いろいろ科学分類をした結果、適切だと思われる少年院に送ることができるようになるわけであります。現在は特別少年院といえば、もう久里浜か印旛か小田原か、関東ではそれつきりありません。場所によりますと、北海道では千歳きり、一カ所きりない。そのために果してその少年を教育するのにそこが一番いいと思つてない場合でも、特別少年院に送致するという決定をされますと、どうしてもそこに行かなければならない。その点を少年院に送致するという決定をしていただいて、あとは矯正局のほうにその分類をおまかせ願うということにしていただけたら、もう少しよくなるのじやないかと思います。それだけ申し上げます。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) 浪速少年院長何か……。

赤塚孝浪速少年院長

○説明員(赤塚孝君) ただいま両院長のお話のように、対外的にいろいろ問題がありますが、また対内的な問題で院長の権限というものを考えてみますと、これは監獄法の建前と違いまして、まあ刑務所長の立場というようなものと違いますのは、少くとも刑務所は権力関係で国家の刑罰権というものによつて執行されるから、そういう範囲においては監獄法というものは主として保障規定として作られておるので、所長の権限というものはここまではいいが、ここ以上はいかんぞというのが多分にありますが、今度少年院法のほうでは、むしろ少年の保護という立場のほうからできておるので、院長の権限というものは刑務所長よりはるかに広範囲な面もあります。どういうところにあるかといえば、たとえば収容を確保するということが原則になつておつても、院長の権限で臨時外出ができるし、特別外出として外へ出すこともできますが、刑務所はあれは刑の執行は通常検察官の指揮を受けなければできないわけですが、非常に対内的に院長の権限が広いということは、院長自身が自粛しなければならん、常識を持たなければならんという面が非常に範囲が広うございます。そういう点で私ども非常に自粛し、また勉強しなければならん、また少年というものを十分に考えてやらなければならんというような面では、また対内的に院長の権限というものはかなり広い面がありますので、そういう面に対して私どもとしても自分ではいいと信じても行き過ぎる場合もありますし、そういう点で監獄あたりのたとえば臨時外出というようなものも、管区長の認可が要るというような面にいろいろ規制を受けるべき点があるし、また規制をしなければならん面も出て来るのじやないかと、まあ方向が違うほうから私の意見を一つ申上げます。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) 再度山学院長何か……。

小和田元彦神戸再度山学院長

○説明員(小和田元彦君) 多摩院長さんと大体同じようなことを申し上げます。最近一つ実際にありました事例でありますが、少年が仮退院いたしまして、仮退院後遵守事項違反のために、戻し収容によつて再び私どもの少年院に参つたのでありますが、そのとき家庭裁判所の決定が一カ年という期限を付して戻し収容になつたのであります。その点につきまして、実はこの少年の一カ年の期限が最近参りましたのでありますが、私どもの見るところでは、まだ本人の矯正が十分でない、もう少ししたいというところでありますが、しかしそういつた決定もありますので、これをどうしたらいいかという問題が起つたのであります。それでその場合、決定をされました家庭裁判所及び保護委員会のほうへお問合せいたしましたところ、法的に解釈にいろいろ疑義があるから、どちらとも決定しかねるというようなことで、まだはつきりした保護を、どうしたらいいかということを決定しておりませんですが、仮に一カ年でもしもこの期限付のものが有効であるとすれば、その少年は矯正教育未完了のまま出さなければならんというようなことになりかねないのであります。この点はつきり、ちようど学校の校長が卒業式をする場合に、校長の認定によつて証書を渡すというようなあんばいにもつて行きたい、かように希望しております。以上であります。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) 先ほどお話ございましたのと、大体私も同じことを考えておりますが、種別決定の問題でございます。女の子が作業賞与金なんかを与えられますときにも、裁判で決定されました初等なら初等というのが動かせないとなりますと、子供たちが伸びて行きます上に大へん支障を来しますので、その意味からもぜひ種別決定ということをあらためていただきまして、私たちにおまかせいただきたいと思つておるのであります。以上でございます。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 院長の権限の中で、これは全部の少年院に必要だというわけではありません。この体力的にも大人になつております少年を扱つております特別少年院では、少くとも、そのうちの一部の子供ですが精神病質の者、これが非常に多いのであります。統計を見ますと、つぶさに厳格にやつて行きますと半分ぐらいは精神病、いつ発作が起きて大きな事件を引き起すかわからない、こういう者が入つておるわけです。で、自傷行為、自分の体を傷つける行為、これが非常に多いわけでありますが、少年たちの言葉を借りますと、頭へ来た、何か気に食わない、頭へ来た。そうするとほかの者に当らないで自分の体を傷つける。ガラスの破片でこの間も自分の足を十三針縫うような大きな傷を与え、自分自身で傷をつける。こういうような発作少年が相当おります。そういうときに体を守るために手錠とか、あるいは革手錠とか、こういうものを使用したいのでありますが、これは法律で刑務所の受刑者に対しては使つてよろしい。自殺のおそれある場合、逃走のおそれある場合、人に危害を加えるおそれのある場合、こういうような場合を挙げてもちろん制限付でありますが、法律上許されております。少年院長にはそれが許されておりません。そういうときに非常にこれを守つてやるのには骨が折れるわけで、できますれば立法措置で、この戒具を使用しまして自傷行為、自殺のおそれあるような場合、あるいは他の少年に危害を与えるという危険のあると認められた場合は、戒具が使えるというような立法措置を一つ講じていただくと、非常に少年たちを守る上にやりいいと思つております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 初等から中等に、中等から特少にと移しますときに、女子少年院などでは、皆それが一緒に含まれております場合がありますね。あなたのところもそうでしようか。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) 全部そうです。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 皆含まれておりますね。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) あらゆる種類がおります。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 医療は抜きにしまして……。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) はあ。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 そういう場合に初等から成績が悪くて中等に、それから特少にというようなことを、成績によつていたしますときにも、やつぱり元の審判官に御相談なさるんでございますか、院長の権限でできますか、それをちよつとお伺いしたいと思います。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) それは初等で入りましたら初等で最後まで置きます。それで困るんです。よくなりましても、それからまた手に技がつきまして、一応中等の賞与金を与えたいと存じましても、裁判決定されて来た以上は、最後まで初等で通す。十八歳になつても初等なんです。そこが私とてもへんなところと思つております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 しかし、まあ初等で最後まで行ける子供は、そうしてそれが成績だんだんよくなれば大変よろしゆうございますけれども、実際問題としたら、何か初等におりますときに、悪いことをいたしますと、特少に入れるとかいうような場合も起りやしませんですか。そういう場合はございませんか。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 今のような場合は、たとえば中等でどうしても教育しにくいという少年が出ますと管区長に上申をいたします。特別少年院にこれこれの事由で送りたい。それを管区長の権限で特少に入れることができます。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 今久里浜の院長からお話した通りでありまして、初等でどうしても、年齢的な問題もございますが、どうしてもこなせない場合は、十六歳をこえますと中等少年院のほうに移します。中等少年院で非常に持てあまして、どうもこれは中等向きじやないという場合には特少に送るのであります。これはちよつと余談になるかも存じませんが、申し上げたいことは、最後の特少は送り先がないわけでございますね。結局むずかしい子供が全部たまる。初等、中等に置けませんと、次から次へと、止むを得ん際は、これはもちろん管区長が、施設側が勝手にそういうことを、持てあますからやろうということにならないように管区長のほうで十分制限して、吟味された上で送られておるのであります。ところが特少へ行きますとどうしても送り先がない。これ以上やり場がない。それで特少ではやり場のない、非常に問題の多い子供を、少年をかかえるということになるわけなんであります。そこでこれはちよつと蛇足かもしれませんが、そういう場合に旧少年法で、たしか五十九条でしたか、処分変更の規定がございまして、どうしても工合の悪いときには、一事不再理の原則を変えていただきまして、刑事処分に移行することもある程度できたわけでございます。ところが現在の少年法におきましてはその規定がございませんので、特少が非常に運営に困るというような現状なんであります。もしできましたならば、これは法律上非常に難点があるかと存じますが、旧少年法時代は少年審判所という司法的、行政的な性質を持つた施設でやつておつたせいでできたわけなんでありますが、現行におきましては、現実の要求からしますと非常にそういう問題が多々あるのであります。もちろん私ども現場の者としましては、一遍引き受けましたところの少年は最後まで自分の院で見たいと、これは人情でもありますし、そうしたいのでありますが、ただ一、二のそういう少年のためにほかの少年に非常に大きな、悪い影響を与えるという事例があるのでありますが、そういう場合には立法措置でそういうことができるようにしますれば、今よりは相当事故も減るのじやないかというふうに考えております。    〔委員長退席、理事亀田得治君委員長席に着く〕

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 今、徳院長からお話になつたことは、私は非常に腑に落ちるのでございまして、実はこの少年の逃走ということについて、いろいろ院内におきましての処遇問題、あるいは教育問題ということもございましようけれども、非常に私、法に不備があるということを感じております。その法に不備があるという点は、少年法でもございますが、昔の旧少年法時代には矯正教育に適せざると認めるときは、当該検事の意見を聞いて起訴することができるというような意味のことがあります。それで本当にこれは教育の対象として教育の可能性がないというものは数は少いと思いますけれども、あるに違いない。そういう場合にそこへどうでもこうでもとめておいて無理をするということは、私は大きい逃走の一つの原因になつて行くということから、どうしても法の不備があるというふうに私考えるのでございます。それを今徳院長から指摘されましたので、私の考えておりました通りでございまして、これは一つ何とか考えなくちやならん、立法府として考えなければならんと今思つたことでございます。  そこで私は院長の権限のいろいろな点について伺いましたことから考えますというと、第二の問題として決定と執行とを一本化するほうがいいか悪いかということについて皆さんの御意見を聞きたいと思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○理事(亀田得治君) 順序はかまいませんから、一つ適当に御発言をお願いいたします。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 私は旧法時代からこの少年審判所及び少年院に関係いたしておりますが、もちろんこの様相が非常に変りまして、先ほど局長から御説明の通りに収容数がおそろしいほどにふえております。また施設の数も非常にふえました。また運営の仕方につきましても多角的なことを盛んに取り入れて考えておりますが、現在先ほどもちよつと申し上げました通り、家庭裁判所、それから少年鑑別所、少年院、保護委員会、それから観察所、こういうように非常に系列が、紙に書きますとりつぱになつておりますが、どうもやはり機構がそうなりますといろいろな点におきまして有機的な十分な連絡がとれない面が生じます。それで決定と執行というお話でございますが、現在の様相も非常に変つております。それらの点を十分に考慮しまして、もう少し少年保護体系が有機的な連絡がとれるようにしたほうが、少年のために幸福じやないかというふうに考えるものであります。この点につきましては非常に議論のあるところなのでありますが、何かこうバトンを渡す、次から次に渡して行くという形で、これは、保護処分の処分も、執行も一貫した性質を持つものでありまして、少年一人を育て上げるという点につきましては血が通わなくちやならんという点があるのであります。現実は機構がりつぱになつておりますが、その間に血のつながりというものがどうも足りないのじやないか。これはどこに欠陥があるか、非常にむずかしい問題なのでありますが、何かしら機構なんかを考えますとその点にあき足りなさを感じるのであります。さつきの問題をちよつとついでに申し上げますが、家庭裁判所に、この少年は中等なら中等、初等なら初等というように決定されて来まして、もう実際取り扱つてみますと、一番その少年がどういう少年か、果して矯正教育に適する少年であるかどうかということを一年あまりかかればわかるのは、僭越ではございますが私どもだと感じております。審判のときは少年もやはり、普通の言葉で申しますと仮面をかむりますし、とにかくのがれようとします。実際、取り扱つてみますと、全然変つた人格を表現するという場合が相当ある。現実なま身を私取り扱つてみますとその実態がよくわかる。それでそういうはつきりしました場合に、それをどうにも手の打ちようがない。また再び刑事処分に移行することもできないということになりますと、その間非常に弾力性を欠くというようなうらみも出て来るのであります。できますならば、機構を大きくしましても、何かその間に有機的な連絡が十分つけ得られるようにしたいものだと、過去の経験からこういうことを申し上げます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 徳院長はあの少年法時代からずつとこの仕事にお携わりいただいておりますが、もとの少年審判所時代のほうが本当に子供のためになる教育保護ができますとお考えでございましようか、どうでしようか。私はなんでございますが、やはり少年審判所時代のほうが言つてみれば、つまり決定と執行とを一本化されたほうが仕事がしやすいし、子供のためになつたと考えておりますし、徳院長のお考えはいかがでしようか。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 率直に申し上げますれば、私は今宮城委員の申された通りに考えております。ただ時代も変りましたし、先ほどからも申し上げます通りに、少年の数もふえましたし、ただ、昔の場合は今のように科学的になつておりませんでしたので、その点は相当考えなければならんと思いますが、規模が大きくなりましたのと、それからまた教育の方針が相当変りましたので、その点さえ十分に考慮すれば、もとの形がいいんじやないかと思います。ただかつての少年審判所はあまりに弱体過ぎました。少年院も確かにその点欠点がございました。そういう点さえ時代的にいたしますれば、そのほうが効果的じやないかというように考えております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 ただいま教育の方針が変りましたというお言葉でございましたが、それはどういう内容でございましようか。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) お答えいたします。たとえば少年院内部の機構の点を申し上げましても、かつては分類保護課なんというのは全然なかつたのであります。現在はそういうのができております。これは非常に有効な内部の機構でありまして、非常に科学的に運営して行くという方針に進んでおります。昔はいわゆる名人芸で、先ほど局長も言われましたが、勘でやつて行こう、確かにそれも利点がございますが、現在はそれじや進歩がないのじやないか。ある特定の名人がおればできるが、一般的にはできないということになりますと、非常に欠陥があるのじやないかというふうに感じております。分類、精神学とかあるいは教育学、心理学というものも相当加味されてやられております。その点現在のほうがむしろ進んでおるのじやないかというふうに考えております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 それでは次に進みますが少年院から少年が逃走いたしましたときに、連れ戻す連れ戻し権でございますが、これはもとの矯正院法では逃げたら逮捕すべしというふうになつております。それからもちろん監獄法では逃走罪がございましたから、逃走しましたときには警察官がすぐ働きましても、それは問題にならないのでございますけれども、今日の少年院法の第十四条には「連れ戻すことができる。」という言葉になつております。それだから本人の自由で連れ戻してもいいし、連れ戻すこともできるけれども、帰りたくなかつたら連れ戻さないでもいいというふうに、どつちにでもこの条文を解釈できるというふうに思つておりますが、少年院ではどういうふうな処置をとつていらつしやいましようか。また、この条文をどういうふうに解釈なさつておるのが普通でございましようか。それを伺いたいと思つております。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 私たちは連れ戻すことができるという規定でありますが、必ず連れ戻しております。連れ戻すことができる状態にあるのに、連れ戻すことを断る、あるいは連れ戻さないということはやつておりません。全部どこかで、警察で保護され、あるいはわれわれの職員のもとで保護された場合には、連れ戻しております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 それは少年院に収容いたしますということが、もともと少年のために最善の方法であると信じますからそういうことをしておりますので、不心得のために、またいろいろな迷い心の起つたために、外に出たのでございますから、その意味から申しますと、連れ戻すことがこれは正しいことだと思つております。ですけれども逃走いたしました場合に、その意味合いにおきまして警察官を使つていいか悪いかという問題は、事前に法律的にいろいろ解釈しなければならんと思つておりますが、久里浜のこの間の大ぜい逃走いたしましたようなときには、どういうふうな処置をなさいましたでしようか。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) この間は、久里浜からは逃走は実は出てないのでございます。印旛のほうから逃走した、久里浜では暴動を起しただけで、逃走は出ておりません。その場合警察の態度でございますが、これは非常にどこの警察も協力して下さいます。近いところではもちろん電話一本ですぐ保護すべく手配をしていただいております。また現実に見つかれば、必ず保護をし下さつております。

赤塚孝浪速少年院長

○説明員(赤塚孝君) 連れ戻すことを得となつておりますので、事実逃走した者でも、相当期間がたつて現状においてまじめにやつておるような場合は、連れ戻さない場合があります。先ほど御説明申し上げたように、院長の権限はそういうところは非常に内部的に広くなつております。しかし従来の旧法時代の少年院の時代と違つて、中へ入つている対象者というものがずつと反社会性の度が強いし、危険性のある者が多いのですから、原則としてこれは連れ戻さねばならない場合のほうがはるかに多いので、連れ戻さんでもいいような事例は、今後はほとんどなくなつて来るのではないか。また特に逃げれば危険性があるという点では、早急にこれを連れ戻さなければならんという事態の生ずる場合が多いと思います。そういう場合、今の連れ戻すことを得という法律だけでは、非常にこれはあいまいなので、私たちが連れ戻すと、先ほど宮城委員のお話もありましたように、本人は別としても、保護者がこれを渡さないというような場合にどうするかというような問題が、今なおはつきり法的には解決しておりません。緊急同行状で調べて新らしい事件がある場合は、新事件で観護の措置をしてもらうというような方向をとらなければならないようになつております。しかし事実の問題としては、連れ戻しに対してこれを拒否するというような場合はありません。ただ刑務所でも、逃走罪の場合でも四十八時間というような時限が切られているのに、何カ月もたつた後に、少年院に連れ戻すことを得という一条文によつてこれを連れて来ることができるかというような点に、いろいろ法がはつきりしておりません関係で、私たちの大きな悩みがあることを申し上げます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 それでは次に、私教育の問題で少し伺いたいと思つておりますのでございますけれども、私はたびたび当委員会におきまして少年が逃走した場合に、その責任はもちろん院長が負われることは、当り前とは申しながら、減俸など、つまりお叱りを受けるということは、あまり好ましくないということを、たびたび申したのでございますが、現在におきましても、やはりこれは職員の過失になつて、減俸等のことがございますかどうでございますか、いかがでございましようか。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) これも現実ございます。ただ、その事案によるのでありまして、著しく過失と認められる場合、こういうとき減俸、譴責、戒告ですか、そういうことは受けております。少年にはもちろん刑務所と違います、受刑者と違いますので、逃走罪も何もないわけでございます。職員の場合は、国家公務員法八十二条二号によりまして、大体そういう名目でときどき減俸、戒告を受けております。ただ事案によるということだけは申し上げられると思います。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 そういたしますと、やはり逃げては困るので、先生方も逃げないようにということをお考えになるときには、もつと塀を高くしたらいいだろうとか、もつと部屋にも錠をかけたらいいだろう、それから移動させる場合にも、手錠をはめたらいいだろうというようなことに自然なつて行くし、それから教育の、私は少年院は絶対に受刑場ではないのでございまして、これはもう教育の場所でございますから、だから刑事処分でなくて教育の場所でございます。ところで一律に何カ月、あるいは何年たつたから、もう出さなくちやならないというようなことが、これは予算ともにらみ合うことで、一概には言われませんけれども、とにかくことなかれ主義で行くというような考えになりやすいということは、これは人間としてやむを得ないだろう。そうするとところてん式に、だんだん出したらいい、出したらいいということになつて、本当に教育の場所として備えられているかどうかということは、これは今日の非常に大きな問題だと思つておりますが、その点について各院長の御意見が伺いたいと思つております。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) この職員の懲戒の問題でございますが、私は過去に浪速少年院で課長をやつて、院長じやございませんですが、第一線に当つておりましたが、そのときに再三逃げました。多いときは三十名近く一時に逃げたこともございましたが、まあ以後注意せいというような、上からの御注意をいただいただけでありまして、かつて懲戒処分を受けた経験ございません。新法になりましてから、別にそのどういうわけですか、今までも再三懲戒を受けております。これが今宮城委員のお話の通りに保安面を強化すればするほど、この教育面は萎縮するというのは、これは現実なんであります。職員にしますれば、懲戒を受けることはどうしても公務員として好ましくないことでありまするから、まあ身の安全ということも考えましようし、ことなかれ主義というのも、今のお言葉の通りであります。そういうことになりますれば少年の教育の本当の運営の実が上らないということを非常に心配いたしております。ただ、私どもが逃さないということは、逃走させないということは、私どもがこの少年を教育する一つの手段としまして、逃さない、教育の対象であります少年を失いますと、これは全然元も子もなくなるわけで、そのために、また再犯、再犯ということになると非常に困りますので、そういうふうな教育的な見地から、私ども逃さないという心がまえをもつているわけであります。ところがそうじやなくて、ただ逃せばお叱りを受けるからというようなことで、いよいよ塀を高くするとか、施錠を厳重にするとかというようなことになりますれば、その限度に逆比例しまして、教育のほうは萎縮するということは当然であります。現にそういう徴候がないわけでもございません。この点は同じ少年保護でありながら、旧時代とは非常に変つて来たところで、私ども教育の本質から申しますれば、保安面ということは非常に大事なことだと思います。社会的に考えましても、少年たちが逃走しまして、世間を騒がせ、また被害を与えるというようなことになりますれば、きわめて申しわけないことになりますので、できるだけ保安面に相当な注意をいたしておりますが、その注意の仕方は、もちろんこの教育的な見地で身柄を保全する対象は失わない、子供をよく教育するという意味において、保安は考えておりますが、そうでない場合には、今申し上げたような妙な結果を生むということを非常に心配しております。各少年院そうだと思いますが、職員の非常な苦労はそこなんであります。教育はしなくちやならん、身柄は保全しなくちやいかん。そのジレンマに立つて、それで物的な、鍵等はおそらく最小限度にしたい。やりたくない、極端に申しますれば、全然開放的な少年院もあるわけであります。しかし万やむを得ない措置として、もう必要悪として一つの物的なある程度のことをいたしております。と申しましても、先ほど局長もお話がございましたが、私どもの愛情のみによつてこれはつなげるかと申しますと、これは非常にむずかしい問題、今日この二、三日前に来た子供のなじむまでには、相当な時間がかかります。これは家庭でありますれば生まれ落ちたときから母親、父親と一緒におりますから、もう長い間を経過しておりますから、ついこの間入つて来た子供、あるいは一月、二月しかならん、これが愛情がこちらに用意がありましても、少年たちがそれを受けるときには少し時間がかかります。事故を見ましても、最初の二、三カ月、非常に事故が多い。私どものところで一例を申し上げますと、非常に愛情の豊かな、そうしてやさしい教官がおりまして、少年たちはこれは今年の一月でございましたが、少年たちはあの先生はやさしい先生だから、この機会に一つ先生を倒して逃げようということを考える。つまり自分の意思に反して少年が入つて来た。何も入学試験を受けて入つて来たのじやありませんために、意思に反して来たために、そういう気持になるのです。つまりその先生が、教官が夜分、余暇時間を少しでも退屈さしちやいかんと思つて、幻燈を用意しまして、周囲が暗くなりましたときに、一番親切な先生、やさしい先生の首をしめて逃げる。そうして鍵を奪つて逃げようというような非常な事態を起したが、幸いにして先生が死ぬまでに至らずに終つたのですが、そういうふうな少年なんであります。最初はこれが本当にわれわれのところに向つて来ますまで、つまり教育を受けるという気持になるまでには、少くとも三カ月、大体五カ月はかかるのです。その間はとかく事故が多い。こういうようなことが往々にして各少年院であるわけであります。愛情を受け取らすまでには相当な地ならしの時間がかかるということを考えます。それで単に愛情一点張りではいけない、非常にむずかしい面がある、と言つてつめたい態度はできませんし、非常にここに少年教育の困難さがあるわけであります。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 宮城先生のおつしやる通り保安面に力を注ぎますと、教育面にそれだけマイナスが出ることはその通りでございます。しかしわれわれは少くとも特別少年院に国家が何を望んでおるか、何を要求しておるのかということを考えますときにやはり保安面、社会の保安維持のための強制的な収容の措置であるという面も現場では強く考えております。具体的に久里浜の例を申し上げますと、どういうことをして少年が入つて来たか、これを申し上げます。一番多いのは窃盗、数字は略しますが現在五百八十人ばかり入つておりますが、約半分が窃盗でございます。二番目が特別法犯これは覚醒剤、次が強盗四十五名、詐欺二十三名、脅嚇十五名、傷害六名、放火六名、殺人一名こういうようなことで入つて来ておるわけであります。ある裁判官の公式の席での御発言でございましたが、少年が刑事処分にもできるほど悪いことをして、証拠も挙つておるという場合に、少年刑務所に送ると、どうしても教育期間が短い、そこで少年院に送る。どちらにも送る証拠を持つておる場合に、その裁判官は自分は教育を徹底させるために長く置けるところの少年院にやるということをおつしやつておりました。そういう面から見ますと、多摩の院長が申上げました通り、彼らは喜んで来ておるわけじやなくて強制的に収容されておる。来た瞬間からもう社会に帰りたい、これを彼らの自由に外へ帰してしまうということでは、教育できませんので、もちろん教育の場所でありますが、その前提として少年院に置かなきやいけないという保安の面、これは切つても切れないものだ。少くとも特別少年院ではそういう心がまえでやらなきやならないということを職員に要求いたしております。実情を申し上げます。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) 私は少年院の教育には日が浅うございまして、その意味で無鉄砲なことを申し上げるかもしれませんですが、私は保安ということをあまり考え過ぎないほうがいいというような考えを持つております。すなわち教育即保安ではないかというようなことを考えております。もちろん昨日からの少年院長会同で男の少年院の院長の方々からお話を伺いまして、これは私のところだけかしらと思いましたので、ここで申し上げるのも何だか変なような気もいたしますのですが、私のところはかき根もございません。隣の丸通運送店のかき根を借用しているような有様でございますのですが、昭和二十七年にお引受いたしましてから逃走延べ五名でございます。これもほとんどが公務執行を起した程度で、二カ月以内に逃げますが、子供に聞きますと、門のところで誰か追つかけて来てくれないかしら、つかまえに来てくれないかしらと、あとを振り向き振り向き行つてしまつたというようなのが三人ほどございました。そんなことから考えまして、私は何とかこの逃走ということに対してほかに手続をとられたりするようなことがないようにしていたださましたら、もつと少年院の教育がうまく行くのじやないかしらということを考えましたり、また私は教育の力によつて少年院を何とか住みよいというと、おかしいことにもなりましようけれども、今まで彼女たちが本当に不仕合せでいただけに、家よりも青葉に置いてもらいたい、また学校の関係で、ただいま現にそれがございますのですが、卒業間近になりまして面接が終りましたのですが、どうぞ三月まで置いて下さいというのがございました。これは卒業証書の関係でございまして、私は卒業証書に少年院長の名前で証明を出しませんで、それで母校の校長にお願いに上りまして卒業証書を引つかえてもらつてやつております関係で、三月までどうぞおいて下さいと言つておりますのが、仙台市の者に一人おりますような有様なんでございます。この辺何とかもう少し教育に重点を置いた少年院を経営して行けますような予算でもたくさんいただきまして、させていただいたら、もつと救われる子がたくさん出るのじやないかしらというようなことも考えております。

赤塚孝浪速少年院長

○説明員(赤塚孝君) ただいまの保安の面で教育が萎縮するだろうというお話が、この懲戒の面から出て来たわけですが、しかし実際の少年には懲罰を科すべきでないということが原則的になつて、少年院法並びに少年法ができたので、少年院が保安というようなことに重点を置いて行くことは私は後退だと思います。先ほどからお話がありましたように、少年院と教育というものと保安というものが、これはもともと一体化すべきものですが、現実には二元的なものである以上、片方が伸びて来れば片方がへこむということは、これは現実の問題としては争われないところなんで、少年院の教育制というものが、保安というものによつて萎縮して行くということは、これは少年院の後退だろうと思います。しかしこういうことについて懲戒を受けるということになれば、勢いこれは萎縮して行くことはあり得ると思いますが、しかしそれよりももつと少年院というものの逃走という面について萎縮する面はむしろジヤーナリズムの面のほうが強いと思うのです。今までの少年院というものは、また逃げたかくらいのことで、社会的な制裁というものがありませんが、現在においては、またまた少年院の逃走というような面で書きたてる。また事実が報道される。またそういう結果を出したのは私たちの怠慢で遺憾、申しわけないと思つておりますが、ある意味では興味的に書き立てられるような面から萎縮する面のほうが、むしろ懲戒で萎縮するとか、職員が少年を逃せば懲戒を受けるというような点で萎縮する面よりはるかに強いと思うのであります。この点を申し上げます。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 同じようなことを申し上げますが、このジヤーナリズムの弊害というのは非常に大きいのでございます。実は一例を申し上げますが、最近印旛沼の逃走がございましたときに、じやんじやんラジオで放送する。私当時本省に会議があつておりましたが、一時のニユースの十五分前でしたので、私、あわててそこから飛び出しまして、すぐ院のほうに電話をかけてラジオをストツプさせたわけです。少年たちのいる各寮に全部ラジオを備え付けてあるのですが、それをいつも少年たちは聞いておるので、ストツプさせると、なぜ今日に限つてラジオのニユースを聞かしてくれないのかということになる。新聞社あたりは一人、二人の少年が逃げても、今浪速の院長が言われたように、すぐ駈けつけて来てさもおおごとであるかのように書き立てます。何の危害も与えない、近所に何の迷惑もかけないで職員の手で連れ戻そうとしたときに、それを大げさに書いてしまうということが再三あります。職員の側としましてはどうしてもそういうことはやはり自分たちの落度になるのでおもしろくないので、また少年たちも新聞で見たり、ラジオで聞いたしますので、あすこでも逃げたから自分たちも逃げよう。印旛沼で暴動を起したから自分たちもやつてみようじやないかというような、現にそういうきらいがあります。非常に雷同性が強い。よそでやつたから自分たちもやろうというような気持になる。まあ、実際先ほどのことを繰り返すようですが、自分の意思に反して来るのでありますから、どうしても逃げたい。実は今月の十三日号の毎日新聞社の毎日グラフにうちの写真と記事が載つておりますが、その中にもございます。新入生の教育寮に行きまして、私は逃げたい者は正直に手を挙げてみなさい、こういうことを質問しましたら、全員が手を挙げました。これが本当の気持です。もうほとんど最初の間は、数カ月というものはそういうことしか考えておりません。それを何とかこちらの教育を受ける気持にもつて来るまでには相当な時間がかかるし、努力が要るわけであります。よけいなことを申し上げるようですが、三、四年前に、私はアメリカの視察にやらしていただきまして、カリフオルニヤのロスアンゼルスのホイツターという少年院に参りました。これはうちと同じくらいの規模の三百五十名の少年を入れたところでございますが、それが相当に荒れましたので、有名なフラガナン神父が、この方は全く神様のような方でありますが、改革を依頼されて見えまして、それでこれはあまり拘束しておるから逃げ出すのだというような気持で、改革に着手された。それで少年たちに自由を与えて、今日ロスアンゼルスの町に遊びに行つて夕方五時までに帰つて来いといつて少年たちを外出させましたら、五〇%帰つて来なかつたというようなことで、彼らは最初は自分の意思に反してそこに来たためにただ逃げたい一心であります。これが少年の本当の心理だと思います。それを教育的に逃げ出さないようにして行くためにはどうするか、あまり物的な施設をしますと、反教育的になる、逃げ出さないようにというので、この点が少年院の職員の神経衰弱になるくらいの非常な苦痛なんであります。現在の実情を御参考までに申し上げました。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 先ほど保安面も無視できないという実情、現状を申し上げましたが、もう少し付加いたしますと、私のところの少年全部について現場の職員一人一人意見を述べさして、それから分類係でそれをさらに検討し、それから少年院のいろいろな係長が集まつて、さらに厳選した結論を申し上げますと。少年たちのうち、暴動を企図するおそれある者、これは暴動を企図した者も入つております、十八名、同僚または教官を刺して傷つけた者、刺傷した者これが二十一名、同僚または教官を刺傷するおそれある者十二名、そのほか職員に暴行をなしたことのある者二十二名、妨害をしたことのある者四名、これは少年院に入つてから妨害をやろうとしたわけであります。建造物破壊をなしたことのある者二十名、集団による破壊、逃走をした者十二名、前項の事由によつて久里浜に送られて来た少年三十九名、合計しますと、百三十五名という多数の者がこういうことをやつたことのある者なんであります。先ほども申し上げましたが、個人の意見としまして宮城先生の御質問の通り、少年院は法の建前からいいましても、教育に専念すべきで、保安面なんかはもうあまり考えないでやりたいというのが私の個人的な意見であります。また多くの少年院長の意見だろうと思います。しかし現実は先ほど申し上げましたような罪悪を犯した、法に触れる行為をやつたものを強制的に送つて来ておるわけでありまして、これを自由に外に出してしまつたのでは、社会の治安が保てないという面もあり、教育もできないというようなことから、保安面にも力を入れなければならんのが現状であります。そこで私前に少年刑務所をやつておりましたそのときに考えましたことは、とにかく多摩の院長の申したように、入つて来たとき、このときが一番社会に帰りたい、逃走したいわけであります。そこで何か魅力ある施設にする、これは非常に金のかかることでございますが、魅力のある施設にして、ここならしばらくおつてみようという気持にさせる、これが一番賢明なやり方だと思うのであります。新光学院という少年刑務所を作つたのでありますが、刑務所であるのに塀を作らない。その刑務所の塀にかける金をいろいろなたとえば講堂とかプール、野球のグラウンド、こういうようなものに金を注ぎ込んでいただいたわけであります。ここならなるほど住みいい、あわてて逃げることはないという気持を起させて、いわば施設に魅力を感じさせて、二カ月、三カ月引つ張りつけておく。そしてその間に教育をして行く、落ちついたら逃げなくなるわけでありまして、初めはちよつと逃げましたが、あとの四カ年は一人の逃走者も出ませんでした。職員の苦労もさることでありますが、やはり入つてきたときに魅力を感ずるような少年院を国家でぜひ作つていただきたい。現状は非常に悲しい。局長から説明のありましたように、まだ過渡期である関係でありますが、刑務所と比べましても、非常にあわれなのが少年院の現状であります。これでは魅力を感じさせることができない、そこに現場のわれわれの苦労があるわけであります。国家でもう少し少年院に人と金を注ぎこんでいただいて、入つてきた少年に魅力を感じさせる。そうして行つて教育をさせるこれが理想の型だと思つております。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) ただいま魅力のある少年院というお話がございましたが、女のほうの子供の立場からその意味で私はぜひ女子の少年院の、女子の子供たちの服装を国家のほうで何とか考えていただきたいと思います。これは両方の面から申し上げたいと思いますが、この色合でございますが、これは色を見ましたときに、何だか変な気がいたしましたのですが、あれを着せておけば逃げてもわかる、あれを着せておけば逃げないというような、いわゆる逃走とつながりをつけたことを聞いていたのでございます。このごろになりまして、あんなのを着せておくから逃げるのじやないかしらというようなことを感じております。それから実質のほうから申しましても、ことに私のほうの東北は、東京よりも摂氏三度気温が低くなつております。冬の平均温度零度と申しますときに、国家から与えられました彼女たちの着物は、シミーズ、一番下に袖のない一重、木綿の一重と、その上にブラウス、木綿の袷、それだけでございます。去年私は局のほうへお願いをいたしまして、チヨツキをいただきまして、たしか綿が八十匁の割合でいただいたのを、女の子は腰のほうが冷えますからと、ようやく百二十匁の割合でいただいておるわけでありますが、チヨツキ一枚いただいただけでも、非常に喜こんでおります。防寒と色の方面からもう少し衣服の方面にお金をいただけましたら、大へんありがたいと思つております。

棚橋小虎日本社会党(第二控室・右)

○棚橋小虎君 いろいろお話を承わりましたが、これは実際少年院管理に当られる方々と、それからして私ども実際のものに携わらない者の間におきましては、自然にその間に考え方のへだたりもあると思うのでありますが、しかし少年院というものは、これは刑務所ではない、やはり教育機関であるというふうに考えられると思うのでありますが、その点から申しまして、収容されておる少年たちに、何か自分は外部と隔離されたというような感じを与えて、非常に塀が高くなる、あるいは廊下にみんな格子があつて外部との間に交通ができない、それから今こちらの菊沢さんがおつしやるように、これは男の子もそうでありましようが、ことに女の子では一つの制服があつて、服装があつて、何か自分たちは特殊な子供たちであるというふうな意識をいよいよ植つけるようなやり方になつておる。これではなかなか教育ということもむずかしいのではないか、その点についてこれは一体収容されておる少年や少女たちが、自分たちは特別なこういうところへ収容されておるものであるということの意識を与えて行くのがいいのか、なるべく世間の一般の少年少女と区別を、そういう意識をさせないようなところにもつて行くほうが教育の効果を上げることができるのか、そういう点については、まあ久里浜の今院長さんなどは、これは特別な程度の高い子供を収容されておりますからしてこれはどうかと思いますが、女の子であるとか、あるいは程度の低い、ちよつと不良がかつたような子供そういうものを収容しておられるほうの方はどういうふうにその点考えておられるのか。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 今の御質問でございますが、私ども先浪速院長から申されましたが、少年院は刑務所と違いますために、院長の権限といたしましても、一々許可をしなくても遠足に連れて行くとか、近所の高等学校、中学校と野球をさせるということも自由にできます。この点は確かにいいことであります。ところが昨年青葉園長が、服装のことを申されましたが、全くその通りでありまして、あの服装で近所に連れて行きますと、これは明らかに特殊だということがはつきりする。子供に、言葉の先でどんなに劣等感を持つな、ひがむなと言いましても、われわれ自体がそういうことをさせておる形です。われわれ自体と申しては、はなはだなんですが、これは予算がないから結局ああいう服装をさせておる。多摩は古い少年院でありますが、創業から終戦前までの、終戦当時は少し乱れましたが、その前は服装はまだ写真に残つておりますが、当時の中学生と同じ帽子をかぶつて、同じ小倉の服、冬は黒、夏は霜降のものを着せておりました。ところが現在は受刑者と何ら変らないような服装をさせております。漸次改良されておりますが、現在そういうふうなわけなんであります。私どもとしましては、できるだけ近所の高等学校、中学校とも、野球の試合もさせる。バレーボールもさせる。そういう機会を通じて特殊なものでないということの方向を現在念願いたして、実施しております。つい三日四日前ですが、近所の高等学校とバレーボールの試合をさせましたところが、あとで向うの高等学校の選手と、私のほうの少年院と交歓会でお茶を出したのでありますが、そのときうちの少年が真つ先に向うの生徒さんに聞いたことは、あなたたちは私どもをどう思いますか、という質問であります。一般世間が非常に妙な眼でわれわれを見ているのではないかということが非常に気がかりなんですね。私は退院しました少年から再三そういう手紙が来ます。自分は一生懸命やつているつもりだけれども、世間が冷めたい、どうしたらいいかという質問を受けますが、誰でも施設におるということだけ、あるいはおつたというだけでも、非常にひけめを感じている。そこへああいう服装をさせれば、ますますひがむのはしようがないと思います。その点も、国家予算的に、財政の乏しいときでありますから、ぜいたくは申しませんが、ぜひ何とかああいうことを改良していただきたいというふうに思います。今服装の点を申しましたが、運動具にしてもそうであります。今久里浜の院長から魅力のある少年院ということを申されましたが、まさにその通りでありまして、私のところには三百三十二名来ておりますが、野球の道具が一組しかございません。そうなればあとの少年は何をするか、一組しかない。それで十八人の少年が守備、攻撃をするわけですが、あとの少年は何をするか、こういうような現状であります。それに対しまして、財政当局では、保護少年たちの運動具に対して、自分のうちの子供すらもグローブすら与えてやれない、保護少年なんかにはぜいたく過ぎるというようなことを、かつて財政当局から聞いたことがございます。果してこれでいいのかどうか。これでは私たち教育者として、間違いじやないかということを痛切に感じます。非行少年だから、私どもは善良にするのが教育的任務だと思います。悪いことをした連中にグローブなんか持たしてリクリエーシヨンをさすのは、もつてのほかという見解が一部にあるのではないかということを、今でも非常におそれているのであります。

小和田元彦神戸再度山学院長

○説明員(小和田元彦君) 今の少年の差別意識といいますか、私どもの少年院は初等少年院で、年齢が低く、それから分類上智能の低い少年を収容しておりますので、幾分特殊の場合かと思います。私どもも少年の大部分については、そういつたひけめとか差別感とかというものは、少年たちは比較的持つていないように思います。衣服の問題が出ましたことについてちよつと実例を申し上げます。これはいいほうの実例でございます。夏服として現在支給されております服装は、私ども霜降りのパンツ、それにカッター・シヤツという服装であります。それでしたので、外部に連れ出しましても別に悪い奇異な感じは持たれない。七月の下旬でありましたが、近くの公園へ一日連れて参つたのでありますが、そのときたくさんの観光客が来ておりまして、そういうところに入りましても、特別にながめられるというようなことはなかつたし、また、ある教官の話によると、あなた方はどこの中学生ですかということを聞かれたという話です。そういう点はいいと思います。しかし今度冬服になりますと紺の一色の服装で、これはどう見ても感心しない服装である。そういう点もさらにもう一歩御配慮願えたらどうかと思います。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) 先ほどの間違つたことをしたことを認識させるかどうかというお話がございましたが、それにお答えさしていただきます。私は少年院に収容されました以上は、とにかく一応間違つたからここに来たのだという気持を与えるべきだと思つております。それと申しますのは、子供の中には私たちは何も悪いことをしていないのに、こんなところに来せられるのはばかばかしいと申しておりますと、ある教官が申しておりましたが、初めは私は認識しないほうがいいのだということを考えておりましたが、それからはつきりと間違つていたという、よそのお嬢さんのやることと違うことをやつたということを反省させましたのでございます。それから私どものところの生活指導の目標といいますか、正しさの中に明るさあり、これを目標にいたしております。それからきびしさの中に楽しさありというようなことを目標にいたしまして、正しいことをしていれば、一度間違つても世の中に容れられるのだというような線で教育をしております。ところが子供たちの通例といたしましては、私たちは世間からもう捨てられたのだというような社会復帰の自信を非常に失つております。これを何とかして取り戻さしてやりたいと思いまして、私も無鉄砲かもしれませんですが、私はあの年ごろの子供たちの集りのところに進んで連れて出ております。国体にも連れて出ました。先だつては宮城県の高等学校の体育の錬成の大会がありまして、それも県のほうにお願いしまして、晴がましい中央のスタンドに置いていただきましてみせていただきました。そういうところにも仙台市出身の子供は、初めはお腹が痛いと言つて行かなかつたのでありますが、このごろは正々堂々と出かけて参るようになりました。そのような線に沿いまして、なるべく一度聞違つても、正しくなれば許されるのだというような教育をしたいと思つております。先ほどから愛の教育云々ということがいろいろ出ておりますが、私はこの愛ということを、あまり甘く考えた愛ではいけないと思つております。ですけれども、少年院は本当の正しい教育、学校教育とは違いましようけれども、少年院は量刑でなくて本当の教育で行かなければ、これはいつまでも議論をしておるだけで済むものではないというようなことを考えております。私はそういうやり方でいたしております。もう一つは、社会復帰の段階といたしまして、五人ぐらいずつよそに出しておりますが、これもたとえば私の中で一番困りますのは医療少年でございます。精薄といいますか、ちよつと足りないというような者で、部屋でもばかにされております。どうせ私たちはばかだから、こういう捨てばちになつたのは、なかなかでございますので、こうしたグループには今後の問題もございましようが、精薄の子供だけを集めて県立の亀亭園というものがございまして、そこの園長にお願いいたしまして、毎週水曜日に五人ずつ一人はリーダ格でございますが、これをつけまして山のほうに手伝いに出しております。そこへ行きますと私のほうの子供よりも、より低い子供がお姉ちやんといつて迎えてくれるというだけで非常な自信を取り戻しました。私でも働くところがあるのだ、現に八戸に一月ばかりある子供が出て参りましたが、お陰様で商店に勤めておりますといつて、みみずののたくつたような字でございますが、手紙をよこしております。それから何とかして自分で働きたいという者には、よいお手伝いさんになるようにという方針でただいまあられ製造食糧品工場というのがございますが、そこにも五人ずつ行つております。朝七時に出して五時になりますと「ただいま」と言つて帰つて参ります。そういうふうに外に出しても、自分たちであまりひけを取らないような教育をしてやるのが少年院の場所ではないかということを考えております。

棚橋小虎日本社会党(第二控室・右)

○棚橋小虎君 いろいろお話を承わりまして啓発されたように思いますが、私はこの間九州のある少女園に行つて参りまして、そのときに院長のお話によると、これは私の聞き間違いかもしれませんが、成績のよい女の子が三人ほど外の高等学校に行つておる。こういうお話を聞いたように思うのです。ところが私考えるのに、ああいう服装をして、そうして年ごろの娘がほかの子供と一緒にやはり学校に行つているということ、これはわれわれでも一般の人が相当の服装をしているとき、自分が変な格好をしていると、相当気が引けて、何か肩身がせまい。ことに若い女の子がそういうような外の学生とまじつた場合にどんな気持になるか、せつかく成績のいい子がそこまで伸びたのに、そういうことのために非常に卑屈な等感を持つ、それじや教育の目的にはずれるのではないかというようなことを私はそのとき感じたのです。だからして今いろいろお話を聞きまして、自分たちは悪いことをしたのであるから、それはこういうところに入れられているということ、そういう意識を一つ持たせるということは、矯正の目的を達するものではありましようが、しかしそれはそれといたしまして、やはり広い世間に出て、対等に世間の子供たちとも生活ができるというようなことを考えさせるためには、服装とかそういう点にはもつと注意して、そういうことにならないように、そういう点は注意していただきたい、こういうふうに私は考えるのであります。それからして、今の保安の問題のことでありますが、これは院長としてまた管理者として責任を持つておいでになる方が、そこから逃走者を出したということは、職掌柄軽視できない、放つてはおかれないというようにお考えになるのは当然だと思いますが、しかしもともとそういう悪くなつた子供たちでありますから、親のもとさえからも飛び出して行く子供であるから、いわんやああいうところに入れられたことによつて、そこをきらつて逃走するということは、これは当り前のことだと思う。それを一人も逃走させないようにといつて、あまりそのほうに自分の責任感から、そればかりをお考えになつて、子供を外部から特に隔離する、監視を厳重にするというようなことでは、本末顛倒ではないか。たまに逃亡者が出ても、非常に殺人を犯すとかいうような、反社会性の強い者が社会に出て行つては、これは困るのでありますけれども、まあちよつとしたぬすつとをしたとか、そういうような者までそこから逃げさせないように、逃走ということを予想しなければならないといつて、あまりに監視を厳重にすることは逆効果であろう。これは特に私はそういうふうなことを希望いたしたいと思うのであります。特に悪い久里浜のようなところの少年は、これは別問題でありますけれども、一般のほかの少年や少女を収容しておるところでは、そういう点が非常に重要ではないかと思つております。これは私の考えを申し上げたのです。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 久里浜は特別悪いのが入つているのだから、悪いことをして来たのだということを彼らに反省ませるかどうかという御質問でございますが、これは私は意識させるべきでないと思います。年齢の低い、青葉の院長さんのところの女の子とは違いまして、十六以上になつていれば、彼らは十分自分のやつたことを認識している。こちらからいうまでもないと思います。なるべく悪いことをしたのだということには触れないほうが教育の効果がある。新光学院、これは先ほど申し上げました少年刑務所でありますが、そこの服装は、特別に大臣の認可を得まして、制服を作りました。これは黒い学生服のようなものですが、黒い服に金ボタン、中にはワイシャツを着て緑のネクタイをしめ、白のズックの靴を履いた、これは受刑者でありますが、そういう服装をさせて、そうして先生も、生徒も互いに君をつけて呼ぶ。若き紳士として扱う。そこにプライドを持たせる。この教育が相当効果があつたと確信しています。受刑者でさえそうでありますから、いわんや保護少年は、たとえ久里浜に入つているような特別少年であろうとも、そういうよそと違う、悪いことをしたのだから違う生活をするのだということを、そういうことを吹き込むということは、これは教育の効果が上らないと思います。私は説教しないのですが、むしろそういうことよりも、そういう服装をさしておいて、その立派な金ボタンも国民の税金で買つてもらつたのだという話をしてやつたほうが、彼らにはドキンと来るわけであります。優遇というか、与えるべきものは与えて、そうして遠回しに国民の愛情が君の金ボタンとしてそこに光つておるということを言つてやつたほうが、彼らはみずから反省するのであります。篤志面接委員制度というのを最近各所でやつておりますが、少年院でもやつております。その面接員にお願いする中に、収容されている少年の犯罪の問題には絶対触れないでもらいたいという一項目が入つております。この矯正局の方針も、犯罪教育上は、犯罪の点について、よその人から触れさせない、職員もなるべく触れるなという方針をとつております。久里浜のようなところの少年であつても、これは意識させないほうがよろしいと考えております。そういうふうに配慮いたすべきだという方針でおります。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) ただいま久里浜の院長さんから意識させないというお話がございました。私は子供たちが、こういうこういう悪いことをして来たのだというような意識させるべきでないということを弁解させていただきます。私は初めて子供が参りましたときには、面接のときには、絶対もう今日から青葉によくなりに来たのだということだけを約束させるのでございます。私のところでも年多き子供がおります。それが捨てばち式な、やけ気味で言うようなことはいけないと思いますので、その程度で、一応ここに来たのは間違つて来たのだという、こちらから勧めるのじやございませんけれども、そこらの意識を新たにすると申しますか、そういうふうなところから始まつているということを申し上げたいと思います。  先ほどの家庭に帰りたいような子だから逃げるのが当り前だと仰せられたのですけれども、これは事実はそうではないのでございます。ここにわれわれ大人が反省しなければならないことがあるのでありまして、こうした子供を預かりまして、私は大人の反省ということを申しているのでございますが、本当に私たちの前に現われました子供を責められないと申しまますのは、本当に帰りたくない家庭なんでございます。そこのところに私は愛の教育、甘い愛じやございませんけれども、本気になつてやれば、子供が寄つて来るものがあるということを信じまして教育しております。普通の子でございますと、ごりつぱな家庭ですと、本当に家ほどいいとこないじやないかと仰せられるのは当り前なんでございますけれども、そうじやないのでございます。それを私たちの手で何とかさましてやりたいというようなことを考えております。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 天使のように生まれて来た子供が、悪魔のような子供になるということは、実際責任は主として国家にある。富裕の子供であろうと、どのような貧しい家の子供であろうと、生まれたときは本当に天使のような子供なんです。その天使のような子供をあういうふうな子供に一体誰がしたのだということは、実際国家の責任なんで、国家はこれに対してあらゆる責任を負わなければならない。そこで私はこれはまあその責任はわれわれ国会議員が主として負わなければならない。さつきから針の筵にすわつているような気持ちがしたのですが、毎年宮城委員を初めとして、法務委員各位が非常な努力をされるのですが、しかし政府の予算が、実際お話にならないのですがね。それで国家予算がどうかこうかということはあろうけれども、不幸な子供たちが一人でもふえて行く状態は、まず第一に国家が考えなければならんことだ。だから今、今日お見え下すつた方々に、やはり伺いたいのは、最小限度、つまりどの程度の予算というものの増額を希望されるのかということと、それから政府のほうの、幸い予算の編成の時期でもあるのですから、そういう点について、特にどういう点を努力されるのか、その二点を伺つておきたいと思います。私の友人には前に惜しいことになくなりましたが、八幡学園の園長久保寺君がありまして、私自身は敗戦の少し前に警察の留置所で子供と一緒に暮しておりました。彼らが血を吐けばそれを拭つてやるし、彼らと一緒に飯なんかも食わされていたわけです。実際どうしてああいう子供にしたか、一言に言えば敗戦の末期あたりはあまり物が食えないというくらいの原因からそれが凶器を持つて強盗し、それで公務執行妨害をやるというようなことで、その子供に与えられている罪名はおそるべき罪名である。しかし子供はどうしてそんなことをしたかと言えば、要するに甘い物がないということ、ですから実際国のなすべき仕事はずいぶんいろいろあるけれども、幸福に生れて来た子供たちが不幸な子供たちになつているということについての責任というものは格段に重大なものがあるのだから、その予算においてその責任を果せない政府というものは政府ということはできない。ですから、私は不幸にして今日時間がないために十分伺えないのですが、各委員並びに委員長、それから政府当局の御努力で至急最小限度の予算、服装あるいはそういう食事、服装が第一であろうと思うんですが、それから進んでは教育設備を整えて、それで子供たちに顔向けができるような政府になつてもらいたいということだけを希望いたしまして本日は……。しかし一言さつき伺つている間に私ちよつと腑に落ちないのは、やはりそういうような不幸な状態を救済するのに、第一の責任は政府、ことに予算ですが、第二はもちろん設備ですが、最後にはやはりわれわれが期待するのは子供たち自身です。ですから子供たちに入りいいような場所をこしらえて入れるのじやなくて、子供たちが自分たちでその少年院というようなものをよくするということなんです。子供たちが社会をよくする、この子供たちの協力なくしては社会をよくすることはできない。今紳士としてお扱いになるというようなお話でしたが、われわれが不幸な少年たちに期待することも実に大きいんです。彼らの協力なくしてこの社会を美しいものにするということはできないんです。彼らの協力なくして少年院をりつぱな少年院にするということもできない。その点は私はこの委員会を通じて全国のそういうところで毎日暮している子供たちに対して深い期待を寄せる。人々がその子供たちと少年院をよくする、そうしてまたこの子供たちが社会をよくする、ほかの連中がどんなに愛情の手を伸べようと、予算を組もうと、そういう子供たちにそういう気持がなければ、いい少年院ができるはずがない、いい社会ができるはずがない、そういう意味から言えば男の子、女の子たちこそこの少年院をよくするし、社会をよくするものと期待をこの委員会を通じて彼らにおくりたい。これはしかし彼らの責任においてなすことであつて、われわれの責任においてなすことは彼らがそういうことがなし得るようにそういう予算を組むこと、その点宮城先生も数回この委員会で努力をされているのですが、政府の答弁はいつもその責任の重大を感じておられるとは思わない。幸い今日は調査課長もここにおられますから、天使のような子供をああいうふうにした責任を政府は果さない。政府という名を続けることはできないということをお伝え願つて、至急最小限度の予算の上の努力をお願しておきたい。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 今羽仁委員から予算のことが出ましたが、私も最後にその予算についてこまかいことを伺いたいと思うものですから、それに対する答弁は一緒で……。

赤塚孝浪速少年院長

○説明員(赤塚孝君) ただいまお話のありました通りで、実際この少年たちをこういう隔離した場所に入れるということ自体が、もうすでに非教育的なんで、少年院は教育するところだ、一概に教育の場のごとく考えられておりますけれども、そのままであれば誠に非教育的な場であるということを本質的に持つているのであります。何ゆえかといいますと、まず普通の集団というものは、これは学校でも、会社でもクラブでもすべて多少とも任意的に集つて来る任意集団です。少年院というのは初めから国家の権力でもつて強制的に所属が決定しているんです。だからそういう強制的に決定せられて、一たん入れられた限りは、今度は脱出の途がないというような、どうしても集団の中で、集団を愛してこれを一体化するような、積極的な所属感情というものは当然生まれて来ないのが当り前なんです。ただいまお話あつたそういう点について、今度はそういう所属感情を生まれさせるような方法というのが、矯正教育の仕事なんですが、それが一般の学校のようなグループ活動とは違つて、やはりそういうような面に努力もいるし、研究も要なし、また、それに伴つた金も要るということで、また少年院というのは誠にいろいろな意味で、レクリエーシヨンやつたり、野球やつたり、バレーやつたりということは、一般のレクリエーシヨンのような場合のように、明朗な雰囲気を作らせるとか、個人的な強制集団ということに対して私たちどうもつて行かなければならないかということで、もつと違つた形で持つて来るわけです。そういう点で少年院というものがそのままであれば……どんな集団でも少くても多少とも利害関係が一致して集団というものが構成される。ところが少年院というものは利害関係、いわゆる集団の目的性というものを持つていない。いやおうなしに、任意性を欠いて、強制的に入れられるという場合に、これをどういうふうに集団を愛するというような気持を持つて行かせるかというような点に時日が要るし、人が要るし、金が要るということになつて来る。決してぜいたくなことを願つているのではないと思うのです。たとえば閉鎖された集団の中に入れられる、単数制である。単数制というのは妙な言葉ですが、一般の人たちが役所でおもしろくなければ家庭で団欒の中で気分を発散させることもできます。自分の集団というものは、普通の現代の社会生活においては誰しも相当数持つております。ところが少年院というものは自分の入つている少年院、その中の学僚、これだけしか集団というものを持たない。そういう点で自分の気持の中の葛藤だとか、不満というものは、ほかの集団に、グループに入つて満足させるということができない。ところが少年院は学校なんかと違つて、グループ活動というものを活発にやらなければならない。もつと違つた形でやらなければならないし、違つた形でやるためには手が要るし、手が要るにはいろいろな金が要るだろうから、少年院の構造一つ言つても、今までの少年院というものは家族的に職員と少年がやつて行くというようなことになつておるわけじやないが、大体構造がそういうふうになつている。そうすると入つて来た少年は脱出できない。閉鎖された中に入れられて、その中で私生活というものをまず持たない。自分だけの時間、先前も非常に好意的にいろいろ指導をいたしますが、少年のある場合には好意もかえつてうるささとおせつかいになる場合もあります。少年が本当に自由な気持で自分たちのことを考えるというのは、寝たふとんの中だけなんです。こういうところにもつと自治活動というものを持たせると同時に、また半面には独居の施設を持つて、刑務所のように昼間独居のように、規律を乱すから入れるというのではなく、夜間は独居室で寝る。昼間は皆と一緒に生活するというような、私生活の面を与える施設が必要になつて来るのであります。もつとも生活自体を見ましても、少年院というものの生活が、誠に単調で単純すぎる。なぜかと言えば、もつと社会復帰に必要な経済生活というものすら持たない。というのは、結局は衣食住はただでだまつておつても飯は食わしてくれる。遊ばしてくれる。寝かしてくれる、教えてもらえる、というような依頼心だけを持たせる姿になります。そういう意味で自治活動が大へん大事なものであります。自治活動一つ考えてみても、自治能力のある少年が何%いるか、少年院は収容期間が不定期ですが、大体一年か二年以内です。そういう期間の中で自治能力を養成するためにはどの程度の人間ならできるかということは、いろいろな科学的な生活、心理的な生活のテストによつて人間というものをある程度分別する必要が出て来ます。そういうような科学性を持つというような点についても、少年院には心理職の職員が何人いるか、また精神医学のほうをやつた、専攻した者が何人おるかというような問題になると、この点はおりません。なぜおらんか、定員がないから、それだけの職員がないからということになるわけです。それからまた非常に交通不便なところで待遇が悪いから来てくれないというような関係があります。そういう点をどうしてもこういう特殊性、またそのほかにも非常に完全に閉鎖されて強制された中に少年というものが入れられれば、そしてこれが外からの力によつて集団を維持しておるという姿の中では、どうしたつて自分の生活空間というものは自分の力で守らなくちやいけない。そうすれば、これを守ると同時に広げて行くということになるならば、強い者は強くなり弱い者ははみ出して来る、集団になじめない。少年院あたりで暴動とか集団逃走なんかの場合は、特殊例は別ですが、普通の場合は逃げるというのはどんな者か、逃げるのは強い者は逃げません。居心地がそう悪くない、自分の生活権を確保する、それだけの実力を持つています。ですが弱い者はそこから押し出されるからしわ寄せされて逃げるというのが実情になります。そういうふうないろいろな特殊性、少年院というものはそのままにおいておいたら結局はやはり教育だ、形式的な外から与える教育というようなものと考えておつたつて、結局教育的な場というものの根本的な矛盾というものは避けられないと思います。だから本来はこういう隔離強制収容というようなことは、これは最も好ましからざるものであるけれども、現在の刑事政策の上において、こういう犯罪者をそのまま放置しておくことはできないから隔離するというのなら、国家はこれをいかにして教育するかという問題に対してはもつと突つ込んで、そしてただ非常に悪いことをして少年院に行つておるような者に、それはぜいたくだと、先ほどのような野球だグローブだというのはぜいたくだというようなことではなしに、そういうふうな少年だから必要だという立場から、物の予算の面だけでなしに、人の面、たとえば今一番少年院で切実な問題というのは人が足らないということなんです。これはもう実に極端に足りません。どんなことをやろうと思つたつて、こうすればいいということを私どもわかつておつても、また努力してやつてみても、人が足らないから途中でやめてしまつたり、これは事実横着でやめるのでなしに、やめざるを得なくてやめる事情のほうがはるかに多いのです。それから、私のほうは三百三十、今日は五人ぐらいになつております。またふえておりますので、三百三十前後の少年に対して職員が何人か、特に少年に直接タッチする職員は何人かといいますと、教務課というのは二十七人で、その中で課長とか課長補佐を除いて、それから前の晩に泊つた非番者というものを除いて、長期欠勤者、病気で倒れた者を除いて何人か、十七名ぐらいで、十七名ぐらいでそういう教育活動がどうしてできるか、そうすると小使や給仕もまぜたような全部の職員でいつも割切らされるのでありますが、本当に少年の教育に専念して直接タッチする第一線の職員というものは三百に対してせいぜい十五、六人で、こういう職員の活動で、それは愛情によつて、人格の力によつてと言つたつて、一人対一人、親子の関係でもそう簡単には少年というものは性格改造まではできない。ところがそういう集団に対してやるということであるならば、どうしたつて、集団、グループ・ワーク的な考え方というものをもつて来るにはやはりもつと人が要る。少年院というものは人が要るものだというのは、今までの感覚では、むしろ少年院というものは逃げたつて大したことはない、保安の面は必要がない、だから刑務所より少くていいんだというような考え方をとつて来るところに、少年院で刑罰を科することをやめて、そうして保護処分で行こうという現状に矛盾というものが出て来るんじやないか。こういう点については非常に手前みそになりますが、もつと政府として予算、また人の面というものの実情の上から考えて御援助を願いたいと、特に感じますので申し上げました。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○理事(亀田得治君) 中途でございますが、午後さらに質疑を続行することにいたしまして、午前の委員会はこれで終了することにいたします。午後は二時から開会することにいたしたいと思います。これで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————    午後二時二十七分開会

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) これより委員会を再開いたします。多摩少年院長。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 一、二申し上げたいことは教育の問題でありますが、人手を要するということに結論なるのですが、先ほどお食事をいただきながら若干申し上げたのですが、職員の割当でありますが、収容者が全国少年院に今一万一千くらいいると思いますが、刑務所と同じような性質を持ちます。何人について一人というふうなきわめて機械的な割当方じやないかというふうに思うのでございます。院の中でも一番手のかかりますのが子供なんで、高等学校或いは大学へ行つております子供は自分でやりますが、一番手がかかるのは子供だということになるわけであります。それに大人と大体同じような基準で職員を割り当てられますと勢い手不足を生ずるということはわかり切つたことなんであります。しかしそれはまだ現在の面におきましてはきわめて機械的にやられているのじやないか。それからもう一面には少年院の場合におきましては保安の面も考慮しながら、相当多方面に活動させなければ、教育の効果が上らないという面からいたしましても、これは拘禁ばかりしているのじやありませんので、相当活発に子供を外にも出しますし、いろんな面をやつておりますので、手がかかるということでございます。赤塚院長から午前中に申し上げましたようなことで、現実に割り当てられましたその教官の中でも、第一線で現実に子供を見得る者は実際の数よりもはるかに下廻る。夕は二十四時間勤務して今日帰さんというようなこともできませんし、これは後ほど申し上げますが、現状は非常にオーバー・ワークをさせております。これは労働基準法の精神から申しますと、はなはだ私ども人権蹂躙をやつている形になつております。そういうような現実でございます。しかも夜分のごときは一つの寮へ、私どものとろで申しますれば少くとも最小限度五十人おりますが、その五十人の少年を夜間一人で寮でみております。しかしも中は行つたり来たりできるというような状態であります。危険性を考慮いたしましても、また処遇の面でかゆいところに手の届くどころの騒ぎでなくて、非常に手ぬかりが生じます。何としましても職員でない限りは、自分がどんなに主観的には愛情を持つておりましても、物理的にこれは不可能なことだということになるのじやないかというように思います。私ここにたまたま私のところの古い少年院での、ちよつと従来の経過を簡単に申し上げて見たいと思いますが、昭和二十五年の四月一日に定員百十名のところ、百六十人少年がおつたのであります。それに対しまして、全職員を入れて六十三名おりました。それが現在は、三百六名の定員に対して三百二十人、今日はたしか三百三十二人になつておると思いますが、まさに倍を少しこしておりますが、職員は逆に二十五年四月一日の六十三名から五十一名の定員となつております。少年のほうは倍おつて、職員は二割乃至三割減つております。実におかしな現象を来たしております。これは結局全体の、全国の少年院の収容数をもつて割つてみますと……。で一方では少年院の理想としましては、あまりに一つの少年院にたくさん入れないというのが理想であります。従いまして施設が勢いふえます。これはまた分類の趣旨から申しましても、少年院のバラエティが多いほうがいいにはいいと思います。そういうわけでだんだん施設がふえて参ります。それがまた理想なんであります。それに対して職員の数は少年の割にふえていないどころか、逆に減つているというところに大きな穴があるのじやないかということを申し上げたいのであります。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) 宮城委員、何かこれについてございますか。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 教育の点についてもう少し各院長から御意見を伺いたいと思つておりますけれども……。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 教育の場所であるべきはずなんですが、実際は現状は、実際教育をやつているというのはおこがましいような状態であります。ただいまお話のありましたように、職員が極度に足りない。私のほうの資料なので、あるいは本省の調べと幾分違うかもしれませんが、少年刑務所とちよつと比較してみますと、比較するのは無理なんでございますが、少年刑務所川越で、これはちよつと数字が古いのですが、約三百人の収容者に対して、職員が百十四人、奈良の刑務所が六百人ばかり、定員は九十ですか、それに対して百九十五名、特別少年院である久里浜は現在五百八十一人収容しております。従つて川越の倍おつて丁度少年刑務所と同じくらいの教育ができるわけでありますが、職員は九十名であります。収容しているほうは倍おつて職員の数はそれより少いという状態であります。この数字だけから見ても、少年刑務所自体が決して多いということは誰も申せないと思うのでありますが、それよりも極端にまた少い。従つて教育の目が届かない。何分にも目が届かなければ教育ができない相手でありますので、職員の点を何とか御解決願えるようにお願いしたい。これは切実なお願いでございます。  それからもう一つ、今多摩の院長から話がありました、この施設があちこちに急にふえた、これは必要でふえたわけで、まだ足りないと思われるのであります。たとえば久里浜の今おります少年の種類を申し上げますと、困難な少年三色を同じ久里浜に置いておかなければならない状態である。一色は特別少年でございます。あとは医療少年でございます。医療少年のうち、精神薄弱関係の者と、結核、身体欠陥の者と両方久里浜に入つております。結局三色それぞれ教育のやり方も違い、智能程度も全然違う、性格も違うものを久里浜に、置きたくないのに、どうしても置かざるを得ないということで、それじやどこへその医療少年を連れて行くかというと、連れて行く先が現在ない。東京医療少年院、関東医療少年院というのがございますが、そこはもう設備の関係等で向うも一ぱいである。従つて久里浜に置かなければならない。こういうような状態でありまして、ぜひすみやかに医療少年院の数をふやしていただいて、そちらへもつて行つてもらわないと、本当の特別少年の教育はできない。医療少年の取扱いもできない。どつちも共倒れになるというのが現在の実情でございます。これも結局金のかかることでございますが、職員の数をふやさなければ新しい施設を開くことはできませんし、建物はあつても結局職員の定員で、局のほうとしても実現困難な状態になつていると思います。  実情をちよつと申し上げました。

小和田元彦神戸再度山学院長

○説明員(小和田元彦君) 教育の問題について、その一つの側面であるリクリエーシヨンの事柄をちよつとお話申し上げたいと思います。リクリエーシヨンといいますと、余暇善用、少年の緊張感を解放する、あるいは娯楽性を与える、そういつた軽い意味でとかく見られがちであります。そのために先ほど発言がありましたように、一般社会の子供ですらやはりグローブを持つていないのだから、ぜいたくだというような結論になりかねないのでありますが、レクリエーシヨンには実はそういつた軽い意味だけでなしに、これは教育的に非常に大きな意味があると私どもは考えております。それで少年たちがある一つの目的を目標を定めて、それに向つていろいろな苦労を重ねて、一つものを完成する、そういつたプロセスを体験させるということは、非常に大切なことであり、完成した、つまり喜びを味わわせる、これもまた大事なことだと思います。それはやはり少年の好みに合つた、嗜好に合つたものでありたいと、私はかように考えます。その意味でレクリエーシヨンを大いに取り上げたいと思うのであります。それでこういうことを考えました一つの動機は、私少年鑑別所に勤務しておりまして、いろいろなテストを行いまして、なかんずく聾唖者テストなどを行いますと、非行少年の大部分の一つの共通点として情意生活が非常にせまい。美しいものを見て美しいと感じ、醜いものを見て、醜いと感ずる、そういつた情意の生活が非常にせまいということが痛感されることと、もう一つはたまたま現在の少年院へ参りましてから、少年のレクリエーシヨンに関する調査をいたしましたところ、ハモニカを吹いた者が何人あるか、今までかつて吹いたことのある者が何人あるかと調べましたところ、当時百十五名の少年のうち、わずかに五名でありました。ハモニカのごときポピュラーな楽器ですら、これを吹いたことのある少年がこれまでに少いということは、少年たちがその社会において正しいレクリエーシヨンを与えられていなかつたということを端的に示すものだと思うのであります。それでいろいろなレクリエーシヨンをやらせたい、こう思うのであります。そこでさて困るのは、先ほどからお話の出ておりました人の問題と、それから予算の問題……、相撲を取らせたいと思いますが、相撲のまわしを買う金がない、もちろんそれではできませんから、ぼろ布を繕つてまわしを作つてやらせる。ハモニカを吹かしたい、一個四百円いたします。これを二十人、三十人、希望のある少年に吹かせるということになりますと、相当の経費が要るということになりまして、それからまた一番困りますのは、それを指導する教官の問題であります。先ほどからお話のありましたように、実際の教官数、そのうちの統一勤務し得る教官は非常に少いのでありますから、たださえオーバー・ワークで疲れ切つている先生たちを、さらに少年のレクリエーシヨン指導に勤務させるということは、相当私としても辛いのでありますが、先生と相談しました結果、四つの部を設けて、それを順次やつて行こうではないかということで、何とか今のところは切り抜けておるわけではありますが、そのために教官の他の実務の方面に支障を来しておるのではなかろうか。たとえば翌日の授業の準備のようなものをする時間がそのために取られておるということのために、力を二つに割いて、もう少し先生の余裕があれば、その点について自分のことができる、こういつた実情にありますので、ぜひこの辺の定員を強化していただきたい、かように思う次第であります。

赤塚孝浪速少年院長

○説明員(赤塚孝君) 教育についてのお話でありましたので、もう少し具体的に申し上げます。もちろんできない、できないと言つても、少年院はどの少年院でも、一応の内容は整えてやつているつもりです。で、大体具体的に申し上げますと、教育といえばまず教科指導ということから始めますが、これについて具体的な時間としては、私のほうで週単位専門教科、または普通教科というのが大体十八時間やつております。それから職業訓練というのは、実地指導の面が十五時間、週に三十三時間やつております。しかしこういうのをやつてみましても、ただ算術や国語を教えて犯罪性がとれるかという問題になると、これはまた別問題だと思うのです。なおこういう学科教育をやるについても、浪速少年院といえば、一番古い伝統を持つておりますし、最も整備しておるといわれておりますが、教室すらない少年院であるということと、それから普通の学校と違いまして、学科教育だけをやるにしましても、これは普通の学校ですと、一つの地域集団として大体同じような集団、地域から集ります。ところが少年院というものは、北海道の者もおり、九州の者もおりというふうに、その所属しておる集団が違います。それからまた今まで経験して来ました文化生活、経験というものが各自ばらばらです。そうしてなお入つて来るのは、絶えず入学し、絶えず出て行くという点と、それからまた非常にうちらは高年齢でございます。高年齢で、しかも学力が低い。学歴が低いという場合に、学歴は小学校きり出ていない、または小学校中途退学だけだからといつて、小学校の課程の教科で、十八歳の者に小学校の教科書を使つて教育はできません。そうすると少年院独得の高年齢に対する一つのカリキュラムを作らなければならない。しかもそういうことがわかつておりながらそういうカリキュラムを作ることが、今の少年院の職員数でできるかということが問題になるわけであります。そういう面で、教育については理屈はわかつても、かくあるべきだという方法論はわかつておつても、それを実行するための職員数というものが足りないという面において障害が参ります。しかし一応表だつての形においては、普通教育も、それから職業教育も、また通信教育なんかも相当入れてやつておりますが、しかしこれはある程度形式的なものだけで、私どもの古い少年院で、相当設備が整つたというところでも、そういう実情が……。新設の少年院で、教室もなければ、教科書もないというようなところでは、正直なところ、私の目で見て、実際は教育以前のものの姿のほうが多分に多いと思うのです。   [委員長退席、理事亀田得治君着   席]でまあ大体学科教育は……、そういうふうな職業教育というものは、年齢が高い関係で、従来の旧法時代の少年院よりは、はるかにこれは充実しなくちやならないので、またこれに力を入れなければならないということはわかつておりますが、これはまあ浪速とか、多摩というところが一番整つておるといわれても、御承知だと思いますが、あの程度のもので、まして新設の少年院になれば、職業教育が必要だといつたつて、工場もなければ、教育を行うだけの内容というものが実際は何にもない。職業教育、今度の院長会同の議題にも、職業教育を活発にするためにはいかにすべきか、具体的方策いかんという問題に対して、ある院長が率直な意見を述べておりましたが、そういうことをやる以前の姿で、農業を指導するといつたつて農具もない。ただ畠だけきりない。何かほかに、出てからの社会復帰にはこういうものが必要だといつてみたつて、工場すらない姿で、それに対する器具、資材もそろつていないような姿で、能率、活発化するというよりそれ以前のものじやないかという意見が出ていましたが、整つているという私どものところでも痛切に感ずるので、新設の少年院は、旧軍事施設をそのままもらつて、少年を収容して、職業教育といつたつて、どの程度のものができるかといつてみたところで、てんで問題にならないという実情が現在の実情です。しかしそれでもやらないというのじやなしに、今申し上げたように、時間としては、それからまた発表せいと言われれば、表だつて言い得る一つの形式は整つておりますが、しかし形式が整つているというだけのもので、内容がないところに本当の実際効果は出ないと思うのです。矯正教育とか、少年院というものは、これは抽象的な観念じやなしに、現実の問題だと思うのです。だから方法論を幾ら言つてみても何にもならないので、これを実施する、しかも可能な範囲においてその計画を立てて実施し、しかも効果が生じなければ意味がないと思うのです。そういう点が社会にもつと理解せらて、先ほど申し上げましたようですが、少年院そのものの機構、強制的に隔離するということは、これは教育から見れば一番大きな矛盾で、そういう矛盾をあえてしなければならない実情の中で、私どもはどうするかという点についての痛切な隘路、また悲哀というものをかねがね感じておる次第です。だからまたレクリエーシヨンという面も今出ましたが、生活指導とかというような面につきましても、レクリエーシヨンだというので、野球をやらせる、ピンポンをやらせるという意味でも、ただそれだけをやらせることによつて、それだけで犯罪性がとれるということはあり得ないと思うのです。もつとこれを科学的に矯正して参りましてまあ一、二の例を申し上げますれば、今の少年というものは、これは私、前の施設で、名古屋の精神科の教室と合体で調べてみたのですが、たとえば手は非常に器用だ、腕も器用だ、指先も器用だという点では、犯罪少年といわれておるあの少年たちは、一般の社会人の平均よりかえつて器用です。しかし目と手の共応関係になると、これは非常に悪いということがはつきり出て参ります。そうすれば結局野球で、まあボールが来たのを、バットで打つということは、目と手の共応関係の訓練になつているはずです。だからただ単に少年院でそういうレクリエーシヨンを行うというのは、先ほど申し上げましたように、彼らに慰安を与える、明朗な空気を作る、それだけの目的じやないのです。そのこと自体によつて、犯罪性をいかにとるか。たとえば目と手の共応関係が悪ければ、これはどんな職業に就いても、うまく行くはずがないのです。旋盤工になつても、目と手の共応関係が悪いから……。なぜこうなるかということは、これはちよつと長くなりますが、戦時中の、一番運動神経の発達する時期に、戦争最中で、そういう訓練をやつていなかつたというところにそういう原因がある。犯罪性がある者に対して、一つ一つそういうことから考えれば、これをいかに処置して行くかということを考えてやらなければならないのですが、そういうことを絶えず調査し、検討してみて、そして新しい方策を作つて行くような点について、今の職員数では何ともならないというところに、私たちの苦しいあがきというものがあるわけです。だから生活指導の面につきましても、今のようなままでは、かえつて少年院というものは、何も中に入つて悪いことを教えられるから、犯罪学校だというような意味でなしに、もう少年院というような性格、本質が非教育的なんですから、初めからこれをいかに教育的に直そうかという努力が必要になつて来る。従つて生活指導という面につきましてもいろいろな問題を検討して考えております。そしてまたこうしなければならないという方法論はわかつているので、またそれがために努力もしなくちやならないのだが、その努力するひまさえないような現状で、たとえばこれは具体的に申しますと、先ほどもちよつとお話ありましたように、少年院の教官の実際の勤務時間というのは、週六十時間をこえます。これはもう明らかに労働基準法の違反をしているようなものじやないか、それに対して超過勤務の制度というものはどの少年院を見ても同じだと思いますが、大体実際に勤務した超過勤務時間の半数支給されていればいいほうだと思います。そういう点について私たちの悩みというものを御理解願えれば誠に仕合せだと存じます。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) 少年院の教育をよりよく効果的にいたしますために、国に御協力お願いいたしたいことを私は述べさせていただきたいと思います。私のところの例をとらせていただきますと、青葉女子学園は定員七十二名の少年院として指定されております。そういたしまして、第四回の工事で一応施設設備が整うことになつておりますのが、今年度は第四回の工事を削られてしまいましたようでございまして、ただいまのところ医療少年院に指定されながら医務室もない有様でございます。一つの子供たちの部屋を、畳を上げまして、医務室に使つております。それでただいま結核で喀血いたしましたのがおります。幸い暖いと言つては変でありますが、まだ寒さに向つておりませんもので、ホールを使用いたしましたり、またこれは人権問題とみなされるか知りませんが、仕方がございませんで、ただ空いているところは階段の下であります。ここに急あつらえのベットを置きまして、そこを使用してみましたりいたしておる状態であります。もちろん特少と申しましても、二階は開放寮でございますし、そういう意味で大へん設備の上で不自由を感じております。特に東北地方の冬の子供たちの遊びということになりますと、大へん困るのでございますが、まだ講堂と指定されております広い建物もいただいておりませんので、私は講堂でなくても冬の運動場としてバラツクでもいただきたいと思つておりますが、それもできていない状態でございますので、ぜひ一ついろいろの面でみんな大切なあれでありましようけれども、今度こそ予算のほうにお組み下さいまして、施設を整えていたかきたいと存じます。ことに、七十二名の定員のところに、ただいま私のところの子供たちは百十名をこしておりますので、数百人収容されております少年院から見ますと、百名そこそこはとおつしやるかもしれませんが、七十二名のところに百十五名となりますと、これは本当に困つたことになるのであります。この点をどうぞ一つお考えいただきたいと思います。  それから教育と申しましても、私は学校教育そのままでは、決して少年院の教育は成り立たないと思つておりますが、教科書代と申しましても、私は今はつきりした数字を持つて参りませんでしたが、一年の教科書代が、一人に対して百円足らずでありまして、ただいまの中学校の教科書一冊もなかなか買えない状態であります。幸い私は宮城県に二十七年職を奉じておりましたので、ことに師範におりましたときの関係で、各中学校、高等学校から教科書をいただきまして、これを参考書として使わせているような状態でございますので、これまた教科書代というか、本を、こまかいことでございますけれども、ぜひ一つ今すぐお考えいただきたいと思います。  それからただいま浪速少年院長のほうからもお話がございましたが、職業補導という問題は、ことに私は女の場合には非常にむずかしいというよりも、職業補導ということが今のままでは成り立たないと思つております。すなわち洋裁、和裁と申しますのは、昨日も私は会合の席で申したのでありますが、一応年期のかかる仕事でして、少年院の矯正教育の中で、一年そこそこでは決してこれで御飯を食べて行けるというような娘を作り上げることは私はできないと私は思つております。と申しますのは、職業補導以前の教育、すなわち普通の娘が自分で履んで来ておる基礎教育もおろそかにしていた娘たちでございますから、その点を考えてみますと、これはあまり期待できないということになりますので、私はこれをもつと効果あらしめるためにぜひ一つお願いいたしたいことは、家庭寮の設定ということでございます。少年院に長く置くということにつきましては、いろいろ異論もございましようし、また子供たちが一応いやがるという少年院に長く収容するということは、これは教育の効果がないかもしれません。そう考えますと、少年院でやつと基礎的なものを履ませた。その上は本当に正しい娘として、社会に復帰させるまでの中間施設というものがぜひ必要だと思いまして、私はその少年院に職を奉じましたが、せつかくここまで国で施設を考えていただきましたのに、何だかこう片手落ちのような、もう一つというところが足りないような、このままであれば少年院の教育はとてもだめだということを感じております。それで局のほうにも去年から私は予算を出しまして、ぜひ八畳一間でもけつこうでございますから、青葉女子学園の隣りの隅つこにでもバラックのようなものを建てていただきたいとお願いしたのでございますけれども、その予算はいただけそうにもございませんでして、そのままになつておりますのですが、私は何とかしてこの少年院の私たちの教育をお助け下さる意味で家庭寮、これは仮の名前でございますけれども、そういつたような中間施設をもう一つ上に建てていただきまして、そうして女の場合、特に嫁入りするまで、嫁にゴールインするまで私は見てやりたいというような気がいたしております。どうぞお願いいたします。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 今教育の問題でいろいろ皆さんから非常に有益なお話を伺つたんでございますが、私がいま一つ伺いたいことは、少年院は四種類に分類されておりますのでございますが、この四種類の、もつとも医療少年院は教育ということよりも、もつとほかに肉体的な問題もございますが、この残る三種類の教育的な処遇にどういう違いがあるかということを伺いたいのでございます。初等、中等、特少というようなものについて、ことに特別少年院において教育的な処遇は一体どういうことをなさつておりますかという点でございます。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) 宮城先生がただいま医療は教育の対象にはならないというようなお話もございましたが、私のところは医療は医療なりの教育というようなことを考えておりますので、そのほうも申させていただきたいと思います。もちろん少年院の教育と申しますのは、私は学校教育と同じようなレベルで考えて行くものじやないと思つておりますので、医療は医療なりに教育して行く、行きたいと思いまして、それをいたしておりますが、医療なりに何とか私たちもこの世の中でお役に立つ面があるというようなほうに引つ張つて行きたいと思つております。そんな関係から、私のところは中等、初等皆おりますのでございますのですが、そういうようなことを教育の面では学科を初等の面では抜きにいたしまして、一応入りましたときに学力の試験をいたしまして、そうしてA、B、C、D、四つのクラスに分けております。Dが下位クラスになつておりますのでございますが、そういたしますと特別少年院のような子供でもBくらいのクラスにたくさん入つております。それから中学卒業の証書を持つております子供がAクラスにおりまして、ただいま一から十までの数字の書けない程度の者もおります。それで学科の指導のときに、これはもう特別少年とかそういつた四種別でなくいたしております。こういたしますことが、私は女の場合には、いわゆるこの言葉は使いたくございませんけれども、ボスということを無くするゆえんだと考えております。女の場合のボス、これは学力の高い子が決してなつていないのでございます。ですから私はまだ勉強しなければならないという認識を新たにさせることによつて、おとなしくなるというような例も持つておりますので、この方面から学力というほうはそういつたほうに向けて勉強させております。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 特別少年院の教育をどんなことをやつているかというお話でございます。久里浜少年院に大体どれくらい長く少年たちがおるのか、こういう問題でございますが、一番長いのが現在のところでは三年七カ月少年院をぐるぐる回つたりして、それを数えますと三年七カ月も少年院にいるというのがおります。平均しまして一年四カ月在院しております。十九歳、二十歳、それから二十三歳まででありまするが、この一番人生の中で大切な一年四カ月、これを空にするということは、これはもう許されないことなんでありますが、職業補導面から申し上げますと、どうやら格好がとれていると思われるのは、刑務所時代に残してもらつた鋸とか、そういつたものを使いまして木工、それから竹細工、靴の製造、それから洋裁、自動車の運転その他自動車に対する学科、印刷、こういうようなふうに並べて行けばあるのでありますが、実情を率直に申し上げますと、木工はどうやら職業補導と思われる、竹細工は、これは社会の人に依頼しまして、向うから材料を持つて来てもらつてそれで籠を編んでいるという程度であります。よそから品物を持つて来てもらつて、同じ品物を注文を受けて、うちで少年たちにやらせるということは刑務所でよくやつている手でありますが、職業補導としてはきわめて不適当なやり方だと思います。なぜかと言いますと、同じようなものを一年中作つているというわけで、段階的につたないものからだんだん上等なものができるようにして行くのが教育なのでありますが、そういう自由がきかないわけであります。お百姓さんの使う野菜籠を作れと言えば、一年中野菜籠ばかり作つている。これは職業教育とは言えないと思うのでありますが、やむを得ずそういう竹細工のことをやつている。農業もありますが、これは砂地でありまして二町歩ばかりのところにほかにやるところがないものだから農業の生徒が非常に多くなつてしまう。本来家に帰つても農業をやるという予想が全然できない少年たちも、農業科に所属させておるという状態であります。靴は指導者がやつと最近一名参りまして、しかし靴を教えるのにも皮が要るのでありますから、こういう皮を買う金に制限されまして、わずか五人か六人きり教育できない。印刷に至つてはわずか二人行くともう満員になつてしまう。印刷科があるというだけで、三人目はもう入れない。自動車は、これは非常にまあ少年の一部には、自動車の運転免状を取りたいというので、一生懸命勉強して横浜まで行つて免許状をもらつた少年が相当いるのでありますが、現在はこの自動車のガソリンがないために、自動車道路、運転を練習する道路ができているのでありますが、そこには草が生えてしまつて自動車が動かないという状態でありまして、今一人も自動車の実習をやつているものはございません。学科だけはやつている。最近音楽科を設けまして、これは局のほうで特に御考配願いまして、ブラスバンドの金を頂戴しまして、これを基本にしまして音楽科を設けたわけであります。それじや一体大部分の生徒は何をしているかというと、結局農業科というものに席を置いて、草を取つたり何かしているということになるわけであります。そこで職業補導の設備、予算という面からやむを得ないので、この職業補導に重点を置くというのが本筋でありますが、現状はこれに頼れないので、体力をつけるという意味でスポーツを盛んにしている。彼らのからだをくたくたにするほど運動させるということが一番大切なんでありますが、そのためには先ほど言つた今度はレクリエーシヨンの道具が足りないという問題がからんで来ます。職業補導のためにどれだけの予算をもらつたかと申しますと、久里浜で四十万五千円。一年間に四十万五千円でありまして、五百八十人の収容の少年で割りますと、一年間に七百円、一日にしますと、三百六十五日で割ると二円足らず、二円の金をやるから職業補導をしろというのは、これは無理であります。大工道具一組買つても一万円取られるわけであります。一万円の大工道具を一組買えば五千人分の職業補導費が、原料費がなくなつてしまう、仮にこれを倍にしていただきましても、一人当り四円、五円、これでは職業補導をやつていますというのがうそなんでありまして、私たちは国の名において少年たちにうそを言つている。少年院法にははつきりと書いてあるにかわらず、将来その職業に就けるような職業教育をするのだということが書いてあるにもかかわらず、われわれはこれが実行できないのであります。少年に毎日あやまつている状態であります。新しい少年が入つて来ますと、二週間のテスト期間を経てあとどの科に所属するかということを、本人の希望と保護者の希望とテストの結果といろいろ勘案しまして、いわゆる実習科目の指定をするのでありますが、このときに院長みずからその会を司会するのでありますが、少年の適性から言つても、本人の希望から言つても、保護者から言つても、環境から言つても、この子は印刷科にやるべきであるという結論が出ているにもかかわらず、印刷科は満員である。木工科は満員である。竹工科は満員である。結局どこに持つて来るかというと、名ばかりの農業科に持つて行く。それを行うためには、少年に院長があやまらなければなりません。君の希望するところも君の適性もこれに合つているんだ、君の言う木工科に行きたいということは正しい、しかし今は満員だから待つてくれ、毎日毎日あやまつているのが、院長の少年に対する態度でございます。もし職業補導費をもつといただきますならば、一万人の少年が心から喜ぶことと思います。どうぞ御協力をお願い申し上げたいと思います。

赤塚孝浪速少年院長

○説明員(赤塚孝君) 特少の教育と少し問題が離れますが、これはたびたび少年院長会同にも出ている問題ですが、特少という名前を廃止していただきたいということは痛切な叫びなんですが、実際に特少に入つている少年、また頭から特少は悪い少年だという意識がどうしても強くなります。それより前のは中等少年院ですが、これはこまかい統計をちよつと持つて来ておりませんから、数字は申し上げかねますが、ただ生活態度の面で特少に入つている者のほうが荒れているのですが、この特少というのを何の標準によつて行われているかというと、犯罪傾向の濃厚な者、この犯罪傾向の濃厚な者という標準は、これは初等の場合には生活年齢で大体分けられて、これは標準がはつきりします。医療の場合は身心に著しい故障がある、この二つもかなり具体性があります。しかし犯罪傾向が濃厚な者というのは、幾ら裁判所が万全であつても、そう簡単に判定できるものではないと思うのです。そういう点において、資質においても、中等にもいわゆる特少といわれている少年に相当する者が存在しているし、また特少の中にも、むしろ中等少年教育を適当とする者も出ております。こういう点で特に特少という名前を与えられたがゆえに、特別少年になつている少年が現存相当あると思う。これは裁判所といえどもお前は特別少年だなどというべきじやない。そのためにかえつておれは何かほかの少年と違うのだ、おれは特少だという気持で、かえつて悪化する面が、心理的な面が非常に大きいと思う。そういう点につきましても少くとも特別少年という名前をまず抹消して行く。これは昔丙種監獄というのがありまして、これは兇悪な者を入れるのでありまして、この名前だけでいかに失敗したかという実例は、すでに相当あるのです。私は中等少年院長としてやつておりますが、一時前の施設におつたときに、特別少年院に赤痢が発生して因つたので、特別少年院の新しい者は全部引き取つてくれということで引き取つてみましたが、何ら人の子として変つていない、むしろ資質の面では優秀な者がおる。裁判所の立場としましてはこれはいろいろ科学的の根拠というものがおありになります。しかし煮じ詰めると、非常に抽象的な標準である限りは、施設に何遍もくぐつた、たまたま一般的に大きな犯罪をやつたという場合、ただ人相が悪い、そこまで主観的にならんと思いますが、態度が悪いという場合もなきにしもあらずだと思います。今の家庭裁判所の組織というものは判事は裁判である限り独立しておられます。これはいろいろの方がある。そういう審判というものには、そう一貫した標準というものはこれは望むほうが無理だと思います。そういう点からでも特少というようなものを決定的に行い分けるというようなことは、少年の心理の上からでも、またその他いろいろな面から、当然こういう名称を廃止していただきたい。ただ、事実におきましてこういう資質の少年はこういう少年院でやればいい、こういうものは、こういう少年院で、これだけ施設の整つたところ、こういうあり方のというところに置いて行うというふうに、事実上分けられておれば十分それで事足りる問題であつて、初めから心理的な影響があるということがわかり切つた特少というような言葉をまず廃止していただきたい。こう私は希望しておりますし、それは今までの院長会同でも、ほとんど全院長の希望ではないかと存じます。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 大体今まで皆さんが述べられた通りでありまして、ほとんど同じことでありますが、この学歴について御参考までに申し上げたいと思います。私のところは収容分類の都合によりまして、特に智能が比較的高いと認められる少年だけを入れております。智能の数字から申しますれば、七〇以下の少年は入れない、それ以上の者で、比較的少年としては智能の面から見れば比較的良質の者が集つているのであります。それらに対しまして学歴を見ますと、これは本年三月の統計で、三百余名について調べたのでありますが、この三百余名のうち義務教育を終つていないのが四〇%くらい、それから中学卒業生が三八%、それから高等学校未了の者が一六・七%、それから高等学校卒業生が一・三%、その他大学、こう見ますと、比較的智能がそろつておりまして、これならば当然私のところの智能指数は平均九八ということになりますが、一〇〇あれば普通ということになりますが、比較的良質の青年であるにかかわらずそれだけ四〇%も、四割も義務教育すら終つていない、これに対しましてはぜひともこれは義務教育を私どもは与えて、それだけの実力をつけてやる、能力は持つておりますから、ぜひともそうしたいと思うのでありますが、先ほどからお話の通りに、教科書がはなはだしく足りない。これじや教育をする能力を持つているけれども、持ちながらも手をつかねていなければならない。それで職員のほうでいろいろ参考書を充てたり、プリントをしてどうやらこうやらつないでおりますが、とうてい日常の教育に間に合わない。これは学力の能力から申しますれば、当然伸びる少年でございます。必らず社会生活に伍して行ける。他の面を十分考慮しますれば、卒業の、退院後の職業問題等解決いたしますれば、当然社会に適応して行ける可能性のある少年が大半であります。たまたまでありますが、私どものほうにそういうものが集つております。にもかかわらず先ほどから再三お話しの通りに、いろいろな面において私は非常に惜しいと思います。ここまで国家が施設を設けて、ある程度やらなければ、いま一、二歩というところで満せない。そこでなまはんかで卒業させる、これは実に惜しい気がするのであります。  さらにこれは少年院法の五条でありますが、一応私どもが学校教育をしまして実力をつけてやります。それで少年院法五条の二項に「少年院の長は、前条各号」教科教育のことでございますが、「教科を修了した者に対し、修了の事実を証する証明書を発行することができる。」こういう規定がございます。要求があれば出すのでございますが、少年院の卒業証書を出すことが、果して社会復帰上有効であるかどうかはなはだ疑問でございます。これはむしろ箔を付ける、少年の前歴を社会に公開するようなものでありまして、これは法文から見ますと、こうなつておりますが、実際は不可能であります。ある少年院では先ほどもお話がございましたが、近所の小学校、中学校に委託しまして、そこの校長さんのお名前で学力を見ていただいて卒業証書をやつている。これはたまたまその校長が御理解があるからできることなんで、一般の学校にそれを期待することはできない。いつなんどきどうなるか危険性を若干はらんでいるところの少年を、自分の学校の卒業生名簿に載せたくないのが人情であります。これが私の一つの法律上の疑問でありますが、こういうことになつております。しかし現実には理髪にしても、自動車の運転手にしても、今日は少くとも中学校卒業程度のものが要求されております。ある程度実力を持つて、少くとも附近の中学卒業の資格は持つておりますが、それで何らかの形において卒業証書を与えたいが、社会にそれが通用しないことになります。それでこれは私はアメリカの例を申し上げますが、向うの例を見ますと、州の文部教官ですかの名で、検定試験の形で施設の名前は入れないで、どこにも通用する検定証書を出しております。これを持つて行けば、もうどこにおつたということはあかさないでも当然通ることなんであります。少年の社会復帰ということを考えれば、この法文は現在あるかどうか存じませんが、検定試験的なもので文部大臣がこれは検定に通つた……、これは学校に委託してもできることなんです。そういうふうな方法でやれば、せつかく私どもが乏しい中から、あるいは不十分ながらもやつておりますところの教科内容が活きて来るのではないか、要は少年院で実力のある少年というのが目的でございますが、少年院だけじやこれは意味をなさない。社会で通用するところの少年を作るのが私どもの願いでございます。それで少年院法の五条につきましては、これはぜひ国家の検定試験的な制度で施設におつたことをあかさないで、どこにも通用するようなものを発行するような立法的な措置をお考え願いたいと思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○理事(亀田得治君) 速記をやめて。   [速記中止]

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○理事(亀田得治君) では速記を始めて。  それではこの際法務大臣官房経理部の司千深長羽山忠弘氏に一つ、少年院関係の予算の問題ですね。特に問題点について一つ適当に御説明を求めることにいたします。

羽山忠弘理部主計課長

○説明員(羽山忠弘君) 後刻資料を差し上げることになつておりますから、また説明もあとで経理部長が参ることになつておりますが、せつかくの御指名でございますので、簡単に経理部の調整をいたしまして、ただいま大蔵省に折衝中でございます予算要求の案の御説明を申し上げます。  これは申し上げるまでもございませんが、政府案として確定したものでございませんので、全く私の部内で大蔵省と折衝中のものでございます。で、これは経理部が調製いたしておりますので、経理部が調製いたした結果を申し上げます。なおこの予算案をいろいろ組まれました、原案をお作りになりましたのは、こちらに来ておられます矯正局の樋口課長その他の方々でございます。私が概略申し上げまして、あとで具体的な事情は樋口課長からお聞き取り願えれば、けつこうかと存じます。で、特に少年院に限極いたしましてお話申し上げますと、少年院におきましては、明年度の重点といたしまして増員の要求と、それから職業補導強化と申しますか、職業補導強化、それから処遇の改善という点を出してございます。少年院はいろいろな事情がございまして、非常に教官の数が減つて少い現状になつております。と申しますのは、事務職員が、教官自体といたしましても少いところへ、実はその事務職員が足りませんので、いわゆる管理業務、すなわち庶務会計というような仕事に教官の手が事実上取られまして、教官が少年の教育をやつたり、庶務会計の仕事をやつたりするというような形になつております。そこへもつて参りまして、明年度は一律行政整理の二年目でございまして、さらにこれが切られるという一応の形になつております。で、私どもといたしましては原局の要望にも応えまして、定員にいたしまして四百七十人を常勤労務者にいたしまして八十人をふやしていただきたいということを、大蔵省にただいま提出してございます。    〔理事亀田得治君退席、委員長着席〕  それからあと職業補導費、これは刑務所の作業費に該当するものでございますが、これがたとえば現在補導器具、すなわち各種の木工の機械とか、あるいは鋸とかかんなとかいうものが足りませんので、それから原材料が、材料が足りません。従いまして机を一つ作りますにも、机を中途半端で半分できかかつたところでやめてしまうというような、誠に妙なことになつております。御参考までに申し上げますと原材料費が一率一人平均五円二十五銭でございます。これを一兆円の枠内の問題でございますので、なかなか急にはふえないかもしれませんが、われわれといたしましては、せめて十円七十七銭に、現在の倍にしていただきたいということをお願いいたしておるのでございます。これは私自身がある所へ行つて見たのでございますが、先生が教壇に立ちまして、黒板に三角などの図表を書いて講義をしておると、子供が床に全部あぐらをかきまして帳面をもつて黒板を見上げておる。机と椅子はないのかということを聞いたのでございますが、机と椅子はないのだというような話でございまして、まあそういう教材と申しますか教材関係の道具が困つておるようでございます。これも非常に驚いておるのでございまして、こういう経費を出してございます。  それからこれは刑務所等と並行いたしまして作業賞与金、これは職業補導賞与金と申すものがございます。これを上げていただきたい、これによりまして少年の、これもあとで経理部長が申すと思うのでございますが、ただいま刑務所では最近朝日新聞等に出ておりますが、懲役一年働いて出る、囚人が手に持つて出る金は平均六百円でございます。これを少年院の場合には、刑務所は六百円でございますが、少年院の場合はまあ非常に少く、少年院は三百円でございまして、非常に少いのでございます。これを何とかもう少し上げていただきたいということを考えております。それからこれも朝日新聞で問題になつておりますが、職業を補導しておりますときに、たとえば丸鋸の上に木材をかけようといたしましたところが、材木がすべつて丸鋸の上に落ちまして指が二本すつとんだというときに、非常に出す金が刑務所の場合にも少いし、少年院の場合には現在予算的に本年度からある程度の手当がございましたが、まだ内部的な規定もできておりませんので、はつきりした支給がございません。最近大蔵省の了解を得まして、指一本とばしました者に対しましては一万五千円ばかりの見舞金、これは見舞金という名目で出したのでございますが、こういう点の処遇を少し改めていただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。  それから副食代でございますが、これも専門的なことはよくわかりませんが、現在刑務所が十七円五十銭で、少年院が二十円五十銭になつております。これを多少上げていただきたいということを出しておるのでございますが、あと被服、被服その他につきましては前年度の継続事業計画といたしまして、若干の要望をいたしております。  増員その他の本当にせつぱつまりました事情、それを予算的に反映して行かざるを得なかつた事情につきましては、樋口課長からお聞きとり願いたいと思います。  それからなお計数のもう少し重点的なことは、おそらく経理部長がただいま見えますので、また御説明申し上げることができるかと思います。

樋口忠吉法務省矯正局矯正調査課長

○説明員(樋口忠吉君) けさほど来少年院の問題につきまして、各委員からいろいろ御質問がございましたし、また各院長から実情について率直な御意見がございました。私ここで拝聴いたしておりまして、針の筵に坐するの思いがしておるのでございますが、忘れられた子供ということがよく言われるのでありますが、これは精薄少年、ああした不良少年の問題というものが、とかく忘れられがちであるということで、そういう言葉があるのでありますが、少年院という問題につきましても、これは確かに社会からとかく忘れがちにされておる問題の一つではなかろうかと思うのであります。何か問題がありますと、大きく新聞紙その他で取り上げられますけれども二、三日しますとけろつと社会の人が忘れてしまうのであります。こういうようなことは、これは非常にこの仕事の特殊な困難性を一面物語つておるものでもありますが、そういう仕事に従事して下すつておる少年院長の方々の御苦労は、なみ大ていのことでないと考えておる次第であります。新しい少年院法が昭和二十四年に制定されまして、自来今日まで急速に少年院が設置されました。このことにつきましては、けさほど中尾局長から概略御説明あつた通りでありまして、従つて急速に多数の少年院が一時に設置されたというような関係で、その整備が遅々として進まないというのが現状でございます。このことにつきましては矯正局当局といたしましても誠に申しわけないと、その責任を痛感しておる次第であります。たとえば先ほど来医務室がない、何かこう教育をしたいと思つても教室もない、職業補導したいと思つても実科教室もないと、こういうような現場の御意見がございました。確かにそういう点についての整備が非常におくれております。というのはこれは弱味を言うようでありますけれども、大蔵省といろいろそういう点についての予算折衝をいたしましても、差し当り身柄を収容する房舎と炊事であります。これだけあれば差し当り勘弁してもらえないかと、日本のこうした財政状態でなかなか教育が十分行けるような設備を今すぐするということは困難である。漸を追うてするということにして、差し当りはこの程度で辛抱してほしいというような強い主張もありまして、何度も何度も押し返して従来極力努力してはおるのでありますけれども、私どもの考えておりますような程度の裏づけができませんで、その整備が非常に現在おくれておるのであります。この点につきましては私どもの努力が十分でないせいもあると思いまして、非常に責任を感じておる次第であります。今後これらの点につきましては早急に整備するように一層の努力をしたいと考えております。  それから職員事情についてお話がございました。これはもう誠にこの点についても申しわけないと考えております。一番わかりやすい例を申し上げますと、少年刑務所を転用いたしまして少年院にした施設が何カ所かございます。それを例にとりますと一番わかりやすいと思いますので、ちよつと申し上げてみたいと思います。新光学院、これはそこにおられる久里浜の院長が前に勤務されたところでございまして、けさほども新光の話が話題に出ておりましたが、その新光学院では刑務所時代には職員が全部合せまして百三十八人、少年院になりますと、とたんに九十人に減つてしまつたのであります。四十八人の減ということに相成つたんでございます。これは収容者の数が減つたからここでこういうふうに減つたのかと申しますと、決して収容者の数は減つてないのであります。新光学院が少年刑務所として運営されておりましたころと現在では、むしろ現在のほうが収容者の数は若干上回つておるはずだと思います。にもかかわらず職員は逆にただいま申し上げましたような大幅な減少をよぎなくされておる。それから久里浜刑務所でございますが、久里浜少年院は前に久里浜刑務所と申しておりました。その当時の職員定数は百五十一名でございました。それが少年院に転換いたしますととたんに減つて、これも九十名に減少のよぎない事態に相成つたんであります。それから愛知少年刑務所というのがございました。これは現在愛知少年院となつております。これは当時は九十五人の職員定員でございましたが、これも少年院に転換しますと同時に六十一人と三十四人の減員になつております。こういうふうに非常に少年院になると減つてしまう。しかし中に入る子供の数は大体同じ程度入つておるのであります。これは全体として少年院の職員定数が非常に少いというところから来るよぎない事実なんであります。しかもこうした特別少年院はほかの少年院に比べますと、職員を配置します場合に、特別に加算をして、若干の職員をよけいにつけてやるのでありますけれども、それでもなおかつこのような状態なんでありますから、こういう事態を改善いたしますために、非常に毎年努力してはおるのでありますが、こうした行政整理その他行われておりますようなさ中に、職員の増員というような問題が非常に困難な問題なんでありまして、私どもも一番少年院に関する問題の中で、職員問題の解決が先決じやないかというふうに考えております。昨年の行政整理では三十九人の行政整理を今年度行うことに定員法のほうではなつておりますが、これはその三十九人はとても少年院の定員のほうから減らすことができませんので、刑務所のほうの定数をそれだけよけいに整理いたしましてつじつまを合わしたような次第であります。これは決して刑務所のほうが余裕があるから減らすと、こういうのではありません。刑務所のほうも非常に窮屈なのであります。少年院に比べればまだまだ若干ましじやないかというところで、矯正局といたしましては、刑務所のほうで減員の犠牲を負担して、少年院を救つたのであります。来年度大体九十二名の減員を少年法でこれを認めております。これなどもこの少年院の増員がないとすれば、現在非常に苦しい中を、さらに九十二名の減員をよぎなくされるという事情に相なつておりまして、私どもの一番心痛しておるところでございます。で明年度といたしましては、私のほうでは少年院で減員するなどということは、これはもう夢にも考えられるところではございませんし、また各少年院の苦しい実情も十分わかつておりますので、大蔵省に対していろいろ経理部を通じて折衝しております。これが大体明年度の少年院関係では四百三十人の増員を一応交渉しております。この点につきましては、まだ何ら決定いたしておりません。今後なるべくその線を実現するようにしたいと考えております。  それから予算関係でございますが、これは羽山課長から詳細に御説明ございましたので、一応省略さしていただきたいと思いますが、矯正局として一番重点的に考えておりますことは、職業補導関係の諸経費、これを重点的に考えております。来年度におきまして、相当大幅の増額を大蔵省に対して折衝しておりますので、この実現についてもできるだけ努力して皆さんの御期待に沿うようにしたいと考えております。  それから食費の菜代の値上げ、これが現在二十円五十銭でございますが、これも一円値上げしまして、二十一円十銭という線で交渉しております。こういうようなことはこれは些細なことであるかもしれませんが、ああした施設の中での食生活というものは非常に重大な問題でございまして、処遇の充実という観点からいたしましても、ぜひとも実現いたしたいと思つております。  それから被服のことにつきまして、けさほど来いろいろ御意見が出ましたが、これは昨年度から被服改善の三カ年計画を一応立てまして実行しております。本年度が第一年目でございまして、明年度が第二年目、おそらく漸次今のような被服事情は改善されることと考えます。  大体矯正局として考えておりますようなところを簡単に申し上げました。従来十分なこともできませんで、各院長がこの困難なお仕事に従事されて、ふだんは何にも世間の視聴も浴びないで、本当に地味な縁の下的な仕事をされており、何かこういう事故があると、その非難を一身に浴びられながら、黙々として仕事をして下さいますことにつきまして、常々深く敬意と感謝をいたす次第であります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 私二、三点だけ……、この午前からの実際仕事をやつておられる院長の方々のお話を聞いておりますと、非常に費用が足らない、それで何かそういう場合に地元の市町村なり、あるいはその他の方々で幾らか金を集めるとか、そういうことは実際に行われておるのか。行われておるとしたらその程度ですね、あるいはそういうことは全然行われないのか、この点どなたにでもいい、お聞きしたいのですが。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 今の御質問でございますが、これは国立でございますために、地元から一応友好的な支持はいろいろ受けております。ただしこれが市の施設であるとか、あるいは道府県でありますれば、相当地元との結びつきがいいのですが、国立でありますためと、もう一つ犯罪性を持つた少年を預つておりますために、排撃はほうぼうで受けますけれども、決して好意的に迎えられていないのでございます。しかしまあ長い間には自然いろいろと交流ができまして、何かと精神的な支援は受けております。ただ、現在経済的にどうこうということはございません。ただごく最近、今年になりまして、局のほうから篤志面接委員という制度をお考えいただきましたので、近所の八王子附近の有志家の方二十名ほどが、篤志面接委員ということでときどき見えまして、精神的にいろいろ少年たちを激励していただいております。その方々がこれではとても忍びないというので、若干の費用を醵出しまして多摩少年後援会というものを作つてあげようということで、まだ幾らも金は集つておりません、また院としては積極的にそういう金を集めるということも、国家機関でありますので、できる筋でもないと思いますが、そういう後援会の方々の篤志に待ちまして、まだ何も集まつておりませんが、援護としてできることは何とかしてあげようということで、非常に感謝しております。現実にはほとんど五、六千円か一万円近くの金は後援会のほうで用意しておられるようであります。その程度であります。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 久里浜では全然ありません。こういう寄付を受けたことはございません。また受けようとも思つておりません。これは一つは、この寄付を受ける場合は、大蔵大臣の認可が要ることになつております。その点も十分承知しておりますので、一銭も金は集めておりません。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) 私のところの場合は、私が宮城県に二十七年ほど職を奉じておりまして、ことに十五年間師範教育に携わつておりましたので、そのころの教え子がただいま四十歳以下、二十五、六歳までおります。それで青葉後援会、実は菊沢後援会とつけたのでございますが、私がやめてもどうぞ後援してやつてもらいたいというので、青葉後援会という名前のもとに後援会を組織しておりまして、それで普通の学校のPTAでございます、その働きをしてくれております。先だつても運動会のございましたときにも、ほとんど賞品はおばさまがたからいただきました。で、またおぼんとかお正月とかの慰めにも、おばさま方がいらして下さり、それで部屋で食事を共にするといつたようなことまで行われておりまして、で、篤志面接委員というのを局のほうから申されましたときに、局のほうから、お前のところの後援会の名前を篤志面接委員に変えればいいとまでおつしやつて下さいまして、そのほうで大変うまく行つておりますところがありがたいと思つております。今、地方に知つた者がおりますものでございますから、そのほうでは一番仕合せかと思つております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 これも二、三の方にお答え願いたいと思うのですが、皆さんが考えておられるような理想を持つてですね、現在収容されている少年を育てて行くと、本当にこれでいい、よくやれたと思う程度にやるためには、現在国家から支給されているその予算とですね、大ざつぱに言つて、どの程度食い違いがあるか、おれとしてこれだけこの点はこういうふうにこういうふうにといろいろやつて、総合的に考えると、どうしても今の予算に対しては、これだけの食い違いがあるというふうな点の計算はされたことがあるでしようか。まあこまかい計算はされなくとも、大ざつばにそういう点の見当でもお答えいただけるでしようかしら。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 毎年これはどこの院でも作ることでありますから、これだけ金がほしいという翌年度ですか、翌々年度ですか、それを検討するわけであります。われわれの考えております額と、現実にいただく予算との開きが非常に大きいと、まああきらめた姿ということになるくらいに開いております。今日数字を持つて来ておりませんが、あるいは調査課長さんのほうにあるかもしれません。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 私のむしろお尋ねしたいのは、どうもこの裁判所、刑務所、そういつたような関係は、予算を要求しても、なかなか大蔵省には出せない。それで提出するほうが、今あなたがおつしやつたように、幾らかあきらめた気持で、内輪めに出しているわけですね。それすらも削られて来ると、こういうことなんです。そこでそのあきらめた気持で作つた原案を、私がお聞きしているのじやなしに、本当にこうこの場所でこれだけの子供を預かつてやる、そういう場合の予算ですね、これは私はなぜそういうことを聞くかと言いますと、それが通つても通らんでも、またどういう政党が政権をそのとき担当しておろうがおるまいが、あるいは国の予算の事情がどうなつておろうが、おれたちの理想はやはりこうでなければならんのだということを、絶えず示しておきませんとね。しかし現実にはこれだけの予算が今としては組めないというのであれば、それはまあ政治的なそこは折衝になるでしようが、それはいたし方ない点もできるでしようが、やはりこの一つの目標といいますか、こういうものはやはり実際にこの仕事にタッチしておられる皆さん方のほうが出しやすいのだと思います。そういうものは集計されて、やはり法務省のほうでも、そういう一つの理想的な案というものは立ててこれは私、こういう国民のサービス機関については、すべてにそういうものを実はほしいと思つているのです。先だつて私福井県の地方裁判所の新しい庁舎をほかの委員の方と一結に見て来たわけですが、あれは法務省としては相当、最高裁としては相当一つのモデルといいますか、将来の理想として、最小限度の理想としてあれを計画したという案なんですね。私はそれが実際にできるできないは別として、そういう一つの案というものはどこの部署においてでもあるべきだと思うのです。福井において現実にああいう裁判所ができておりますと、やはりそれに向つてほかの裁判所もみんな努力されると思うのです。そんな意味でせめて案だけでも、案なんか仕方ない、そんなもの紙の上だけだ、という本当に抽象的な案ならば何も値打ちがない。しかし本当にやるには、こうこうこういうこれだけのものがそろわなければだめなんだという案は、これはりつぱなものであり、いつかはこれは生きて来る。そういうものを私は聞いておるわけです。それは必ず皆さんの中でも持つておられると思いますが、それと今の予算の状況というものと比較するとどれほど違つているのか、大ざつぱに見て……。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) その他の経費については今数字を持つておりませんが、職員の数、これの先般全国の特別少年院長だけが集まりましたときに話合つた理想の、理想というかこの程度はどうしてもほしいという職員の数を申し上げます。これは直接教化に当る課は少年院は教務課といつておりますが、教務課に所属する職員、これが三百名の少年収容の場合八十名、教務課長以下だけで八十人、四百名までの少年院で九十五名、五百名までのところで百十名、現状と比較しますと二倍ちよつと以上になります。結局それだけ現在は足りない、こういう結論がわれわれの仲間だけで話合つた結果結論が出ました。御参考までに……。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) 今職員の点につきましては久里浜の院長からお話のあつた通りでありまして、私ども中等少年院でありますが、これは特別少年院ほどなくてもいいですが、やや近いところないとどうしてもやり切れない面があります。このことにつきましてけさほど員数につきまして昭和二十五年と現在と比較しまして、少年が倍になつているにかかわらず、職員が逆に三割減つている妙な現象だということを申し上げたのでありますが、今の私どものほうはやや下回つている職員の配置になつておりますが、これもその率で倍になれば、どうやら職員に月に六十時間も超過勤務をさせなくてもやれるような、ある程度はやらなくちやなりませんけれども、今のような本当に人権蹂躙するようなことを、もうしなくてもやれるのじやないかというふうに考えております。  なお職業補導費でありますが、先ほど御説明がありましたけれども、私のところで年額約四十万円くらいいただいておるのでありますが、これでは本当に子供たちが真剣に所定の時間働きますれば、一年の三分の一で消化してしまいます。そうすればあとのことはどうなるかと申しますと、現状ではやむを得ずレクリエーシヨンさせなくちやならん、いろんなことでどうやら時間を過ごしておるという現状でございます。本当に子供たちが少年院法に要求しておりますような勤労精神を養成するという建前でやりますれば、少くとも私どもは倍といわずに三倍くらいいただければ、一年中手をつかねさせない程度に行けるのではないか。今やむを得ず近所のあちこちのほうにお願いしまして委託作業をやりましたり、あるいはまた材料を貸してもらつたりしてどうやらつないでおりますが、それをつなげないので、ある程度はレクリエーシヨンのほうで、どうやらまぎらしているというような現状であります。  それから教科の面につきましても先ほど私が申し上げました通りに、私のところは比較的知能のそろつた少年がおりますので、何とか社会復帰、復学等をさせたいのでありますが、遺憾ながら教科書等が非常に足りないので、これも一年に一人百円というくらいの図書費ではどうにもなりません。まさに一冊代であります。これは三倍ありますれば、子供たちにある程度の要求は満してやれるのではないかと考えております。

赤塚孝浪速少年院長

○説明員(赤塚孝君) ただいま御教示を受けまして誠に恥かしい、恥入つた次第でありますが、私どもも平素から予算というものがほしいといつて絶えず言つても、たたかれている間にいじけてしまつて、そういう理想論を立てるところまで気持が伸びていなかつたことを恥じております。しかも実際の一つ一つについてみますと、具体的にどのくらいあればどのくらいということは……。少年院の機構というものは非常に複雑で、たとえば今職業補導の原材料の問題が出ましたが、私のほうで現在第二・四半期まで四十万円から三十八万円までの原材料費をもらつた。これによつて職業補導をして、それから物を作ればそのまま放つておくわけではないし、外に売ります。売ればそこから得た収入というものは国庫に入ります。大体八十万円くらい、倍以上の回収率をもつて国庫に入れております。こういう原材料費が少くとも実際には復原するのですから、今私のこれは一つの理想案を言えば、百万なり百五十万いただけばそれ以上のものが入るということは現実にできるわけであります。しかしそういう面から言いますと、じやそれだけやるからと言われましても、今度はまたもう一つ複雑な官庁会計というものは、これは何人かが整理しなければなりません。そうして会計検査に裏づけのできる整理というものができなければならん。そういうと今度人の面で足りないから、実際にやればやれる、やれるが今度は人を増員してもらわなければ、経理面に対する裏づけができないということで、いろいろな面に引かかつて参ります。そういう点がありますので、先ほどから久里浜の院長も言われたように職員の増員を初め、すべての予算の面にこれだけもらえば理想的だという予算を仮にいただけたとしても、また今度それを会計検査に対して証明できるだけの裏づけのできる人がまずなければなりません。そういう面にいろいろ関係して参りますので、実際先ほど申し上げましたように恥かしい話ですが、全部の理想案というものは持つておりません。これは今お教えいただいたように、必ず持たねばならんことで、そういういろいろな多角的な面からこれから帰つて必ず理想案というものは、これだけあればということを、私自身今お教えいただいて作つてみようかと思つております。

小川洋久里浜少年院長

○説明員(小川洋君) 根本的に言いますと、特別少年院というのはほとんど前の刑務所とかそういうものを転用したものであります。そのために少年を処遇するために非常に工合が悪い。先般のやはり特別少年院長の集りましたときに、建物から一つ建てかえてもらわなければならない。理想的なものとして結論が出ましたので、御参考までに申し述べる次第であります。まず特別少年院には塀が要る、この塀はコンクリートの塀でなしに金網のもののほうがよろしい。考査寮は三十人くらい収容することを基準として独居室二十、五人くらい入る雑居の部屋が二、これが一棟のものでありますが、それから閉鎖寮これは鍵がかかる、名部屋にも鍵がかかる鉄格子が入つたものでありますが、これを三棟、名棟に独居室三十を設ける、それから今度はだんだん開放的な処遇をしますので半開放寮、これは二百名収容を基準として、そのうちの一棟は独居室だけで三十室とする、それからもつと進みまして開放寮、この場合は開放寮は三十名くらい収容することを基準として、ほかの寮とは場所も離して一棟建てる。そのほかにいろいろ院内の秩序維持のために謹慎処分等をさせる場合がありますので、懲戒室を別棟として独居室三十を設ける。病室は収容人員三百名に対して十名を基準として設立する。様式は鉄筋コンクリート、少くともブロック建でなきや困る、こういつたような結論が出ておりますので、御参考までに。

菊沢鋭子青葉女子学園長

○説明員(菊沢鋭子君) はつきりした数字を申し上げるものを持つておりませんでございますが、私のところは新しい少年院でございますだけに、施設を一応整えていただくというだけでも先にしていただきたいと思います。先ほども申しましたように、四分の一だけが残されておりまして、ことに医務室、考査室、それから冬期の運動場、それから病室といつたようなものが何にもございません。しかもこれも先ほど申しましたように七十二名定員のところが百十名をこしておりましては、十畳の間に十二、三人というような状態でございます。ここのところをぜひ一つさつそくに何よりもお願いいたしたいと思います。それからもう一つ局のほうにはお願いしておりました、先ほど申しました家庭寮のことでございますが、どうぞ少年院を効果あらしめるために、私は家庭寮というものをぜひお願いしたいと思います。去年にいたしましてたしか九十二万円というのでお願いいたしましたのでございますが、これもまだお許しをいただいておりませんし、これは何とかしていただきたいと思います。その上に私のところの敷地は全部で三千三百坪弱でございます。少年院といたしまして一番残念なことは農場、それこそ掌ほどの農場も持つておりません。運動いたしますのにも百名のものが六十メートルの直線コースが取れるという運動場だけでございますので、この点を一つぜひお願いいたしたいと思います。幸いなことにただいまでございますと私の隣の工場のところに二千坪という、これを売つてもいい、手放してもいいという土地があるのでございます。大体坪二千円で買えるのだそうでございますが、これもよそに譲られてしまわないうちにというので一生懸命にお願いいたしておりますのでございます。この三つの点をどうぞお願いいたします。

小和田元彦神戸再度山学院長

○説明員(小和田元彦君) 浪速の院長に引き続きまして、同様にただいまの理想案をというお言葉に対して、非常に激励を受けるとともにそうした大きな計画を持つていなかつたことを恥かしく思うものでございます。さつそくそういつた点の立案研究をいたしたいと思います。なお参考までに一応数字を申し上げます。それは私どもこの五月頃レクレーシヨンを大きく取り上げまして、そのための計画を練つた際に、いかほどの経費を要するかという金額を算出いたしまして、それと実際の使用し得る予算とをにらみ合せた場合、大体二倍半程度の予算を、実際の予算の二倍半を必要とするという数字が出て参りました。もちろんその数字の根本になつた事情の中には、職員が足りないからできないというところをオミツトしての話でございますので、十分なことをいたす場合、やはり三倍程度のものを必要とするのじやなかろうかと、レクレーシヨンの問題一つを取り上げても大体の数字が出るように思います。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 ちよつと一言伺いますが、少年院で事故を起しました子供が、まだ復帰しておりません者が、今調べてもらつたところによりますと、八月末ぐらいでございますと二百三十六名もおるのです。この未復帰の者についてはいつまで院と連絡をとるのでございますか。いつまで院の子供なのでございますか。何か規定がございませんでしようか、いつまでお探しになるかということ。

徳武義多摩少年院長

○説明員(徳武義君) これは連れ戻すという任意規定になつておりますので、ある程度これも長短がございますけれども、少くとも事故の起りました数日、たまに長いときは一月ぐらいかかるときもありますが、探しましてどうしても見つからないときは、そのままにいたすのであります。なるべく早く見付けていろいろな警察の手を借りましたり、いろいろなことで探しておりますけれども、実際にはもうすでに他の地区に来ると、私のところでありますと、遠く離れて九州へ行つたり、あるいは関西へ行つたりしておりますので、事実上見つからないのであります。ただそれがあるいは関西、あるいは九州、東北と盛んにどつかに飛んでおりまして、そこで何か事故を起して、それでまた裁判所に新たな事件としてかかるということで、それでわかることはございます。そのときはすでにもう他の少年院に新たな事件として入りますので、わざわざここから旅費もございませんし、連れ戻すということはいたしておりません。それで在籍のまま本人はいなくて籍だけがいつまでも残る結果になりますが、それは結局少年院の収容期限が満二十歳、延長されて二十三歳ということになりますが、それ以後は籍を戻してしまうという手続をとつております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 ちよつと一言、今日伺いたいと思つておりましたこの教育問題も、まだ私の伺いたい点が数点残つておりますけれども、時間の関係でもうこれで打ち切つていただきますけれども、ちようど政府の方のこの予算の説明もございましたので、ここで一口私言わしていただきたいことは、先ほどから亀田委員が理想的な予算はどうだということをおつしやつて、そのお答えもあつたのでありますが、私はこの少年院の教育というものは学校教育でもない、そして家庭教育でもございません。結局は人間生活の基礎教育だと私は思つております。それであの施設が特別のものであつて、これはもう社会と本当に離れた生活だというようなことで取扱いをするということは、私は大不賛成でございます。どうしても社会の縮小だという意味合におきましてのすべての処遇であり、すべての教育であるということにつきまして、それを基礎にいたしますということ、ぜひこれは予算を折衝していただきますのに政府当局にお願いいたしたいことは、これはもう人間として最低の生活をあすこでさしてやるというその線で私は予算を獲得していただきたいと思つております。たとえば衣服にしましてもそれから副食代にいたしましても、今日二十円でどの家庭で、またどの社会でまかなつて行かれるかということなんです。ここに私は非常に万事の無理がある。着物にいたしましてもねまきのない家庭なんというのはまあほとんどないだろうと思う。それくらいのことは努力しておりますが、着がえがない、寝るための着がえがないということは、現に少年院にございます。それからまた作業の補導費を今度は獲得したいという誠にありがたいことをさつきおつしやつて下さいましたが、これはぜひお願いしたい。それは正しいことをすれば、正しい生活をすれば、確かに明るい生活ができる、曲つた生活をするところに、不正な生活をするところに、暗い生活があるというモットーから行きますと、一生懸命に働けば収入があるんだ、その収入によつて生活をする途を教えるということが、私はこれは一番この施設においての大事なことだろうと思う。そういう意味におきまして働いても働いても一年にたつた三百円の賞与金きりもらえないということは、あすこで人間生活をくずして行く私はことになるんじやないかと思つて、特にこの予算の獲得面については、もう最低の人間生活をさせてやるというその線でだけでも私はとつていただきたいと思つております。ところが私かねがねどうもこういう特別問題を持つております子供は、あとにされているので、取り残されているというような感じを持つて、案は法務省に対してもちよつと不平を持つたこともございますが、一昨年でございますかしらん、人員のことについていろいろ予算を折衝しなければならないというときに、お前も出て来て大蔵省に折衝せいということがございまして、私は何でも暮の二十八日に法務省に参りまして、矯正局や保護局の皆さんと一緒に折衝いたしましたときに、何でも朝方の三時に主計局長をようやくつかまえまして、それまで法務省の人は本当に寝ないでみんなやつていらつしやる。そのときに私、あなた方こういう無理な生活、苦しい生活を毎年やつばりやつていて下さるのですかと言いましたら、もう十日も二十日もろくに寝もしない、寒いのに机の上にころがつてこの通り寝るのですよとおつしやつたときは、私はああやはり子供のためにやつていて下さるなということを身をもつて経験しましたから、必ずしも法務省のやり方は悪いと思わないのでございますが、どうか折衝なさるときに、大蔵省に今日あたりの速記をどうぞお見せになつて、この通り実に実務家が悩んでおるということをお見せになつて、少し仕事の内容を知らせていただきたい。お願い申上げます。

長谷山行毅自由党法務政務次官

○説明員(長谷山行毅君) ただいま宮城委員からいろいろ激励のお言葉を頂戴いたしました。また御意見識にごもつともでありまして、予算の面につきましてもわれわれとしてその線に沿うようにせつかく努力いたしたいと存じます。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) それでは私からごあいさつ申し上げます。今日大へん皆さんお忙しい中を各少年院長さん熱心にいろいろな実情を御説明下さいましたことを委員会を代表して深く御礼を申し上げます。  それでは少年院の関係はこれで終りまして、なお次に予算関係を審議しますが、これは委員会の形式でなく協議会の形式にしたいと思いますので、委員会はこれで閉じたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後四時十三分散会

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