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19回国会参議院1954/09/14

法務委員会 閉会後第2号

発言数
101
登壇者
11
会派数
4
開催日
1954/09/14

会議録

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) ただいまより委員会を開きます。  本日は検察及び裁判の運営等に関する調査中、裁判所制度に関する件を議題にいたします。  本件につきましては、まず五鬼上最高裁判所事務総長の出席を得ておりますので、同君より説明を聴取いたしまして、その後委員各位より御質問を願うことにいたしたいと存じます。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 最高裁判所の機構問題が最近いろいろ取り上げられて世間でも問題にしておりますし、今衆議院においても、また当委員会においても御討議あらせられますが、最高裁判所が成立しましてから今年で約七年間、この間において一時最高裁判所の事件が非常に多くて、昭和二十七年の二月頃には未済事件が七千三百件以上もたまつた。これに対して世間からもいろいろ非難もあり、日本弁護士連合会からはやはりこれに対する対策としていろいろ意見を裁判書にも提出して参つたのであります。  そこでそんな七千件も未済事件が残る原因というのは、どういうところにあるかといいますと、要するに戦後非常な秩序もまだ十分でなかつた時代において、たとえば統制経済の事件とか、あるいは占領中における占領法規違反というような事件がかなり多くて刑事事件が圧倒的に多くて民事事件はさほどでなかつたのであります。これを大審院時代の昭和七年から十六年までの平均の件数を見てみますと、民事事件がいろいろな雑件もまじえまして新しく受理された一年間の受理事件が三千七百六十件、そうして既済、つまりその事件を処理したのが三千九百件、刑事においては二千百二十四件、既済が二千百二十件、未済が四百七十三件というようなわけで、大体入つて来る数、裁判所に上告して来る数は、大体その程度のものが処理されておつた。これが昭和七年から十六年までの平均なのであります。従つて未済事件といたしましても、民刑合せまして大体千六百件くらい、これが昭和七年から十六年の間の平均なんであります。ところが最高裁判所になりましてから急にだんだん膨脹いたしまして、新しく来る事件が民刑合せて一万件以上にも達し、そうして従つて昭和二十七年の二月あたりには七千三百件というような未済事件を残しております。そういうためにいろいろ世間の非難もございまして、最高裁判所としては、当時からいろいろその対策に苦心いたしておりましたのですが、しかしこの第一審の事件を見ておりますというと、昭和二十七年ごろにはだんだん刑事事件が減つて参りました。減つて参りました主なる原因は統制経済が撤廃された、それから占領法規違反という事件もさほど多くなくなつて来たというようなところから、徐々に一審のほうでは減少の状態を示しておりました。そこで御承知の通り三審制度になつていますから、一審に事件が来ていなければこれは上告して参りませんからして、われわれの見通しとしては上告事件もやがて減少して来るであろう、未済事件は減少するであろう、かようなところからいろいろ検討いたしておりつつ、その審理促進に全力を注いで来たのでありますが、二十七年の三月、それだけの未済事件がありましたものが、ごく最近になりますというと、大体これは昨日、一昨日の統計なんですが、民事の未済が全部合併いたしまして、雑件も合せまして千八百六十三件、刑事の未済が二千八百十四件、従つて両方で民刑すべての事件を合せますと、雑件を合せまして四千六百七十七件、こういうような数字になつて来たのです。一時二十七年あたりには刑事事件だけでも五千件以上を突破しておりました未済事件、それが著しく刑事が減つて参りました。民事のほうは、大体昨年あたりからの平均は未済事件千八百件、千九百件、われわれの予想としてはもう少しふえるんじやないかと思つたのが、大体二千件どまりの程度であり、今日ではむしろかえつて、二千件を割つて千八百件というような状態であります。刑事のほうは今申し上げた通り非常な激減の傾向を示しておる。我々の見通しとしては本当の状態になるのは刑事では今年一ぱい、本年一ぱいで刑事は普通の通りになる。民事の事件は来年の半ばごろ、あるいは選れても来年一ぱいには大体普通の状態になる。普通の状態になると申しますのはどういうことかと申しますと、元来上告事件が上告されますと、民事においてはいろいろこの形式、要件を原審つまり高等裁判所で取調べましてそうして適法要件備えたものを、もし備えていないものについては補正をさせて、そうして最高裁判所に送つて来る。この記録を送るとか、そういう千続きの間に大体二カ月くらいかかる。それから最高に参りましてもこれを月心し  て調査育の手許で調査して、あるいは判事の手許に行くのにはなお二カ月くらいの手数がかかる。刑事においても大体原審に提出されて一応の形が整つておれば記録を送つて参りますが、これも又国選弁護人の選任等、いろいろな手続を、決定の手続がありますし、法定の期間がございますし、民事の答弁書の提出の期間、あるいは刑事のほうはこの上告理由書の提出期間というようなものがございまして、大体これも四カ月ないし五カ月は裁判官の手許に来るのにかかる。従つてまあただいま大体のところ六百件ないし七百件くらいが毎月最高裁判所に受入れる事件の平均で、ございましてまあそういう手続に四カ月かかるとすれば二千五百件、五カ月かかるとすれば大体三千件、従つて未済事件と申しますけれども三千件程度は常に回転いたしまして、そうしてその間の手続き間にたまつておる、こういうような私どもは見通しをいたしておるのであります。  ところが、さようなまあ統計上明かるい見通しにもかかわらず、なぜ世間では最高裁判所の機構改革問題に非常にやかましいのであるかと申しますと、これはまあいろいろ事件が、そもそも政府において法制審議会を設置して、法制審議会において司法制度部会を設置いたしましたが、ちようどこの事件が七千件以上になつて、これは大へんだというので、司法制度部会を設けて何とか最高裁判所の機構を考えようじやないかと申しましたのがちようどその当時であります。日本弁護士会が騒ぎ出したのもその当時であります。だんだんその当時私ども見通しの数字を挙げて将来の見通しを申上げておつたのでありますが、なかなかその点は十分な信頼を得られなくして、どうしても機構改革をしなければならんというような勢いが相当広がつて参りました。もちろんこれはこの民事訴訟のあの民事特例法が廃止になりましてこれは最高裁判所に来る民事が一般法令違反、判決に影響を及ぼすことが明らかな一般法令違反が取り上げられる、かようになりましたこともございますし、それからなお刑事にも、今の刑事訴訟法について最高裁判所に持つて来る内容をもう少し広げたらいいのじやないか、こういうような御意見もございましてこれらの意見とマッチいたしまして、最高裁判所の機構改革問題というものが取り上げられておるのだろうと思うのでございます。  もとより今の、今日十五人の判事とそれから二十四人の調査官で事件を処理しておるのでありますが、その他書記官とか、いろいろ事務官、雇、タイピストというような附属機関がございまして、とにかく事件を処理しておるのでありますが、いろいろ世間に現われた、論議されたところは、最高裁判所の判事十五人では少いからこれを増さなければならないんじやないかという増員論、それからまあ大体申しますと、いや現在だんだん事件が減りつつあるからして、現在の程度でもう少し見ていていいんじやないかというような説、いわゆる現状維持論、それから先ほど申上げました最高裁判所増員論、それからもう一つは、最高裁判所にこんなどうも一般の事件を、こまかいこととか、窃盗だとか、いろいろなことを最高裁判所まで持つて行つて、そうしてつまらん上告を理由をくつつけてするということは、最高裁判所の性格からいつてそういう事件は最高裁判所で扱わなくてもいいんじやないか、そこでそういう一般のごく普通の法令違反事件だけはどつか別のところでやつたらいいんじやないか。私どもはこれを俗に中二階説といつております。たとえばその中二階説の中でも、上告部を最高裁判所に置けという御意見、それから高等裁判所に置けという御意見、あるいは別に置けという御意見なんですが、いずれも一利一害がございますが、最高裁判所といたしましては、なお裁判官会議で目下検討中で、機構改革の結論はまだ出てないのでありますが、私どもとしては増員論、最高裁判所の判事、今の十五人の同じような判事を増員してそうして憲法のいわゆる国民審査を受けた判事を増員するということについては、いかにも運営上、また憲法の上からもこれはちよつとむずかしいのじやないか。ただいまの十五人の判事の大法廷の会議制でさえかなり時間をとつている。そこでむしろ最高裁判所の判事はもつと減らしたらいいのじやないか。たとえばアメリカは九人だ。それからイギリスあたりも非常に少い。英米系統を取り入れた形からいえば、もつと少くていいのじやないか。最高裁判所の裁判官の意見の大多数も減員論には、まあ私ども会議で承わつているところによると、減員論も相当有力なんであります。反対に減員したほうがいいのじやないかという意見も出ております。これは世間ではあまり減員論というのは出ていないようですが、大体最高裁判所あたりではむしろ減員すべきじやないかと、と申しますのは、三十人の判事を大法廷に集めてそうして会議をするということになると、これは一つの会議じやないので、会議なんで、判決の理由を、つまりオピニオンをまとめるところなんですから、非常な、今の十五人でさえも長くかかるから、もつと複雑化するじやないかと、かように考えて、増員論に対してはにわかに賛成しがたいのであります。ただいまの中二階論に対してもいろいろな議論がございましてこれも四審制度になる、それを四審制度になるということは、世界のどこを見ても四審制度というものはない。日本の現状においてはそれほどまでにして上告事件を救わなくちやならないか。元来この上告制度というのは、国の法令の解釈、一国の法令の解釈の統一ということが目的なんであつて、きわめて小さい個人の事件の救済ということはもう一審、二審、上告審まで来なくてもいいのじやないか。大体一幕が事実審、二審も法律審と事実審を兼ねたようなもので片づけて個人の救済は十分できるのじやないかと、かような御意見がございました。いろいろの世間にも意見があるようでありますが、まあ最高裁判所としてはどういう結論かと、はつきりした結論がまだ出ていない、かような状態であります。一応機構改革に関するごくアウト・ラインだけを御説明いたしました。

小林亦治日本社会党(第二控室・右)

○小林亦治君 昨日私が五鬼上総長以下の最高裁判所の事務当局に対して裁判事務に関する質疑を申し出ておりましたが、委員長からの御注意もありましたので、実はけさほど最高裁に参りまして、五鬼上総長、石田和外次長、鈴本人事局長にもお会いしまして、私の聞かんとするところを申し上げました。それぞれ善処方を要望して御了解を得ましたので、昨日委員長まで申し出て、私の質疑は本日はないことに、やりませんから御了解を願いたいと思います。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) それではこれより五鬼上最高裁判所事務総長の今の説明に対しまして質疑に入りたいと思います。御質疑のある方は順次御発言を願います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 私の具体的な質問の前にもう少し御説明願いたいと思いますが、衆議院における本件の審議ですね、これは最高裁のほうも説明等に出られているはずなんですが、そしてある程度結論を出しておるようですが、その間の事情を知つておれば詳しく、これはまあ衆議院の人から御説明願うのが筋合かと思うのですが、まあ後ほどちよつと質疑をする都合がありますので、知つておられるならば説明願いたいし、それに対する最高裁の御見解等も聞ければ結構だと思います。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 衆議院のこの小委員会のいわゆる違憲裁判の問題と、最高裁の機構の問題、二つの小委員会があるように承わつております。これに対して主として政府のほうが御説明を申し上げたのですが、最高裁判所事務当局としては一回現状及び統計上の実情等を御説明申し上げた程度でございます。従つて十分なことは存じておりませんが、ただ、いろいろ参考人をたくさんお呼びなされて、いろいろの御意見を求められて、私のほうの裁判官、入江裁判官、小林裁判官も出て、そうして御心見を申上げているのです。これはいずれも個人の意見として申し上げておるのでありまして、さらに下級裁判所の、高裁長官とかあるいは裁判所の判事まで個人々々としてよばれて、そうして意見を申し上げているのですが、これは別に裁判所の意見というわけではございませんので、個人としての意見は申し上げてあるはずです。これに対する最高裁の見解というわけじやございませんが、実は前の国会の資料のときに、衆議院の法務委員会において最高裁判所の機構改革の問題を取り上げたいから、裁判所から私が出てくれ、そうして前の加藤法務大臣が出まして、衆議院の法務委員会でこういう機構問題、それから違憲裁判の問題を研究したいと思うから政府はどうだと政府の御意見を聞かれて、私のほうにも意見を開かれましたが、私どもとしては、裁判所としては、政府がいろいろなこういう立法、事業その他をやることなのでありますが、しかし裁判所の資料、つまり統計とかそういうような資料及び現状等については十分御要求に応じて資料を提供し、説明もいたし、御協力を申し上げるということを申し上げた程度でございます。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 それでは私のほうからいろいろお聞きしたいことありますが、二つの点だけお尋ねしてみたいのですが、一つは衆議院なり弁護士会等で相当出ておる意見はいわゆる増員論、この根拠はやはり実際問題としてもう少し上告を幅広くやつてもらいたい。理論的には最高裁というものは重要な問題だけを取り扱うというようなことは、もちろん了解できるのだが、現在のいろいろな現状からしては、それだけでもいかんのではないかといつたような常識論だと思うのです。まあとにかくそういうことから増員論ということは出て来ておるわけですが、その際に、もしそういうことがあつた場合に支障になるという点を今事務総長のほうからお挙げになつておるその一つとして、時間がかかる、現在の十五名でも相当多いんだが、これがもつと人数をふやすということになると、ずいぶん大法廷なんかの事件については時間がかかり過ぎるのではないか、こういうお話があつたわけですが、これは私必ずしもそういうことにならんのじやないかと考えるのです。といいますのは、最高裁の事件は、大法廷と小法廷と二つになるわけですね、そうして小法廷にかかるような事件であれば判事の数が殖えれば小法廷の数が殖やせるわけです。そつちのほうではおそらく負担といいますか、負担がずいぶん軽くなる。従つて特出的に速度が早くなると思うのです、そつちのほうは。ただ、その小法廷にかからない大法廷関係の事件は、なるほどこれは十五人が三十人になるということになると、相当時間がかかると思いますけれども、この点はやはり運用の仕方によつてそんなに時間がかからないようにやはり済ませるんじやないかと私は考えるのです。おそらく現在の十五人の判事でおやりになつておる場合でも、何といいますか、その十五人の判事の方が一人一人無秩序に意見をはいて行くと、そういつたようなことじやなしに、やはり意見は、もちろんこれは制約したりはできませんが、それがうまくこう反映されて来るような仕組をお考えになつておると思うのですね。だからその点の工夫は、またおのずからやりようがあるのじやないかと私考えております。で従つてこの、かえつて時間がかかり過ぎるようなことになるというふうな心配は私なかろうと実は考えておるわけであります。で、ことに小法廷関係のやつは、これはもう明らかに、むしろ速度が早くなつて来ると、こういうふうに思つておるのですが、この点どういうふうにお考えになるか、一つ御説明願いたいと思います。  それからもう一つは、憲法上の疑義があると言われたわけですが、その点ですね。もう少し、まあ大体想像もつくわけですが、付加的にもう少し御説明願いたいと思うのです。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) あとの問題からお答え申上げたほうがよろしいかと思いますが、私ども憲法上の疑義があると申しますのは、ちよつと私条文を持つてないから、憲法の条文の読み間違いがあるかもわかりませんが、その最高裁判所というものの構成が憲法で長たる裁判官とそしてその他の裁判官で構成する、組織するとなつておりますが、これは学者の意見によりますとあまり、まあ兼子教授なんかの意見によりますと、最高裁判所はこの憲法で長たる裁判官とその他の裁判官というものからできるというのは、これは内閣が内閣は総理大臣その他の国務大臣から組織する、こうなつたのと、それから国会がやはり選挙された国会議員で、組織すとなつているか、構成せられるとなつておるかしれませんが、そういう文句と同じじやないか、ことに英文から申しますと同じ文字を使つておる。従つて最高裁判所の判事に二種類の判事を設けることを憲法は予想してないのじやないか、ことに憲法の八十一条において終審裁判所であると違憲審査ができると、違憲審査権を認めておる、そうするとこの最高裁判所の判事として違憲審査権にタッチできない判事というものはないのじやないか。つまり違憲審査、国会が作つた法律でさえも、憲法に適用するかどうかを審査することができるという権限を与えられておるが故に、やはり国民審査、十年、ことに国民審査ということをやつておるのじやないか、従つて大法廷の違憲審査にタッチしないような判事は考えてないのじやないか。これは閣議で出席できない国務大臣を予想してないと同じ理窟じやないか、かような学者の御意見もありまして、私どもももつともな御意見だと思つておるのであります。従いましてかかるまあ、三十人に増員いたしますと、三十人が大法廷に参加いたしますとこれは少し一般の会議というものとは会議が異りまして、その事件に対していろいろな御意見を持たれておる、法律的のいろいろな法律家としての御意見を持たれておる、それをまあまとめて一つの判決として理由を書くということになると、なかなかその理由がいろいろ文字の末に至るまで争いがあつて、一回の会議が二回になり、二回の会議が三回になるというような現状なのであります。従つて多ければ多いほど意見が多いので、そしてそれを合致せしめて一種の意見に融合して多数意見というものはこういう意見だという、そうしてこれに反対する意見は少数意見だというような理由を、相当の日数がかかるということは、これは運営上考えられる。それがただいまのお説のように運営の方法よろしきを得れば、そうじやないのじやないかと申されますが、大体まあこの会議というものは、地方裁判所あるいは高等裁判所においては、大体三人の構成をもつてやつておる、この三人の構成でもなかなか意見がまとまらない場合に相当事件が延びております。御承知の通り十五人になつて来ると、なかなか意見がまとまらない、こういう場合に数回会議をして、もう一遍やろう、もう一遍やろうということが起つて来るのじやないか。やはり法律的の疑義というものは、そう簡単には仮に結論は同じであつても、いろいろなものが出て来るということは想像されるので、私は運営上相当時間がかかるのではないかとかように申上げたのであります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 大法廷の事件は今資料があるかないかわかりませんが、年間どれくらいになつておりますか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) ちよつと資料を後ほど調べてお答えいたします。そうたくさんはないと思いますが。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 私もそうだろうと思うのですが、だからそうたくさんないのであるから、そこは運用を適当に考えれば、何とか適当に進行できると私考えるのです。それで結局まあ時間がかかるとかかからんとか、そういう面から増員するかしないか、こういうことはあまり大した理由にならないように考えるのですがね。一方では小法廷に対してはむしろ時間が省けるわけですから、促進できるわけですからね。だからやはり問題点としては上告理由を幾らか拡張する、こういうところに基本的な出発点があるんじやないかと思うのですね。でそれが妥当だと、法律的にはともかく常識論として妥当だということになれば、それを処理するためには、やはり数がふえれば、人数も要るわけですから殖やすと、こういうことにやはり落ちつくのじやないかと思うのですね。従つて最高裁ではまだ結論も出しておられないと言われるのですが、大体その現状維持論というふうに、私どもまあいろいろなものを読んで推測するわけですが、その現状維持論を言うためには、やはり上告理由を拡張する必要はないんだと、これがはつきりですね、確立されないと、そういうことは言えないじやないか、あとのことはもうなんですね、皆事務的な便宜上のことだと私考えるのでね。そういう気がするのです。そこで根本的な問題についてですね、上告理由の拡張が妥当かどうか、こういう問題についてどういうふうな確信といいますかね、根拠といいますか、これは反対論も相当あるわけですが、これが反対論者を納得させなければ、やはり最高裁判所の立場が正しいと思うと、こうならないのですからね、われわれも最後の判断を国会議員としてしても、こういう重要な問題ですから、やはりこの理論的に筋が通る、一方がやはりどうもいろいろ双方に理窟がありますが、一方の理窟のほうがやはり強いというようなほうに結局は同意することになるわけですかられ、その辺のところを一つ決定的になんですね、相手のこういう主張「対しては、われわれはこう考えるのだとかね、しかもそれがいろいろな過去の事件の取扱の事情とか、そういつたような具体的な裏づけを持つた説明を一遍まあ聞きたいと思つているんですがね。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 先ほどのこの大法廷の一年の事件がどれだけあるか、二十八年の資料でありますが、二十八年で二百三十五件、それだけお答えしておきます。  それからただいま亀田委員のお説のうちに、現状維持論じやないかという、最高裁は現状維持論じやないかという御意見がございますのですが、これはですね、率直に申しますとですね、私のほうでこの問題について裁判官会議を三回ばかりやつたんです。で、結論を得られないのが、必ずしも現状維持論ではございませんです。現状維持論、いわゆる藤田裁判官は現状維持論を発表されておりますが、必ずしも現状維持論ではなくてこの上告をもう少し範囲を広くするといつても、民事のほうはそうおつしやるのではない。昨年もごの前の議会でも、要するに問題は刑事の問題だろうと思うのです。そこで刑事の問題の上告を広くいたして、果して最高裁の現状でやつて行けるという問題になつて来ますと、これは非常に検討を要する問題なんでして、私どもとしてはなるべく裁判官会議で結論を得て、こちらのほうへ持つて来たいと思つて実は昨日も遅くまでいろいろお集りを願つてやつて、とうとう結論を得られないためにここで申上げるわけには行かないのである。ただ、必ずしも最高裁は現状維持論だけではないということを申し上げるのは、きまつてからでないと申し上げられないということであります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 これは政府側から聞いたほうがわかるのだと思います。何か最近になつて法制審議会ですか、あちらのほうでも再びこの問題について審議を始めたというふうなことを聞いておるのですが、それはどの程度進んでおるでしようか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) これは法務省の所管でございますから、私の知つた範囲で申上げますと、結局法制審議会に民事訴訟法部会と刑事訴訟法部会、それから司法制度部会と部会が一つございまして、そのうちから委員を五、六人ずつまた小委員会を作りまして、そうして連合小委員会というものを」作つて、ここで上告制度の問題を検討、するというような状態で私どもとしても、政府としていずれこの法制審議会の連合日小委員会において、ある程度の結論を得、そうしてそれを法制審議会の総会にかければ、一応そういう結論が出る。その委員会には裁判所からむろん委員が出ておりますし、在野法曹からも出ております。それから学者からも出ておりますからして、大体政府はそちらのほうで結論を得られるのではないか。政府のほうでそういう結論を得られれば、裁判所としてもできる限り非常な不便が起れば別ですが、できる限りはそういう方面で協力して行きたい。こう考えております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 十九国会の終りのときに、裁判所の裁判所制度に関する小委員会を参議院で作る。こういうことを決定したときに、政府はあるいは最高裁側としても委員会の進行につれて一つ資料も出しましよう。こういう言明があつたと思うのです。参議院のほうの小委員会もまだ十分進んでおりませんが、一つ本日問題になつたようなところが、やはり結論として中心課題になつて来るのじやないかと思いますが、誓いろいろあるわけですから、いろんな角度からの資料をやはり用意をして、文書によつて、できれば出してもらうようにしてほしいと思います。要望申上げておきます。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 了承いたしました。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) ほかに御発言ございませんか。

小野義夫自由党

○小野義夫君 今亀田君の質問に関連してやはり同じ趣旨のことを御質回申し上げたいと思います。私ども最高裁にしばしば伺いましていろいろ諸君の御意見も聞いているのですが、どうも非常に忙がしくて時間がない、非常に忙残せられておつて、典に本当にゆつくりと法理の研究とかその他の研究をするようなことが、時間が乏しいというようなお話も聞いたかのように記憶しておるのでありまするが、私どもやはりもつともだと思うのです。そこで今の増員というのがなるほど大法廷の議論をまとめるということは、人数がふえればまとまらん。そのことはよくわかるのですけれども、しかし私は裁判所の根本的の憲法に抵触しない意味においての正常ということは、構成法なりその他てはこれはやれることなんだから、私は大法廷に持ち込むその前段階においていろいろの便宜を尽す、なるべくまとまつて最後的な大法廷でよくまとめるようなやり方もあるのじやないかと思う。そうすればやはり人員も増したほうがいい。折角これは蹴れという反対の議論が出ておるというようなことなら、これは山々しき大事でありますけれども、折角国会のほうで増員してもいいのじやないかという御意見があれば、これは一応国会の意思に沿う意味からして強くやる。各判事のなにを成るべく豊かにしたいということはどうであるかということが一点。それからかねて裁判官が調査費用、まあ議会であるというと、何かの形において調査に対してやはり相当な手当とか給与のようなものがあるのですが、裁判官が、最高裁の裁判官がそういういろんな必要によつて、あるいは参考資料を自分で買うとか、あるいはその一他調査等の資料の必要な経費があるというような、いずれにしましても裁判の公正と正確とを期するためには余裕を持つてやるということが非常に必要じやないか。そこで事件が長引く……、慎重審議するということもやはり事件が長引く一つの原因になつておるかも知れない。そこでやはり増員というものはそういう諸点においては、十分その不足をまかなうに足りるという気持があるのですが、そういう点につきましてこの際裁判所の御希望をひとり増員に限らず、その他諸般の待遇にしろ、その他今までの現状において満足のできない諸点を、この際明らかにしておかれたらどうですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 御同情ある御質問に感謝いたします。一口に増員、これは亀田委員の御質問にも補充してお答えすることになると思いますが、増員と申しましても、今のような最高裁判所、のいわゆる国民審査を十年に一遍受けなければならんような判事を増員するということには必要がないのじやないかという、かような見解でありまして、たとえば刑事の上告範囲が広がるという場合には、エキスパートな判事、いわゆる今の下級裁判所の判事と同じような優秀な判事を持つて来て、これを最高に置くか、あるいは東京高裁に置くか、あるいは別のところに置くか、とにかくそこで上告事件を審理し、そこで最高裁判所に持つて来る。憲法違反の事件でも、たとえば憲法は十分の生活を保障しておるにかかわらず、自分を刑に処したら自分の家族はたえないじやないか、結局これは憲法違反じやないかというこつけいきわまるような上告の論旨がございます。かようなものは憲法違反というので審理する必要はないのだから、判例抵触でやる。重要な法令違反でもやはり一つのスクリーン制度を設けて、そうして最高裁判所で本当にやるような事件ばかりやろうじやないか。これが理想じやないかとかように思うのです。かような意味から行きますと、必ずしも増員に対して今の、同じ判事を増すということにつきましては賛成できないのですが、今のような形で人を多く採るというようなことは、あるいはこれは非常に理想的になつて行くのじやないか。これが四審制度にならないように、なるべく国民の負担を軽減するような方法を検討すればいいじやないか、かようなことで、最高裁裁判官会議の内容を申し上げるようですが、申し上げなければよういたしませんから、申し上げるのですが、大体そういう御意見が相当強く出ておるのです。でスクリーン制度を設けて、そうして本当に最高裁判所でやるようなものはやろうじやないか。そういう自転車を盗まれたとか、殺されただけではこまるじやないか、こういう事件を処理するのは……。もつと憲法違反に関するような大事な事件、こういうことになるのが常識です。結局何のためにやるのかというと、一審で刑を切り二審で刑を切る。そうすると保釈になる、なるべく実刑を受けるのは避けたいといういろいろな理由からして、一つ延ばしておきたい、かようななにが……、また選挙違反等の事件になりますと、なるべく事件は長く延びておつたほうがいい、こういうような点から、いろいろな理由をくつつけて、そうして最高裁判所に持ち込む。これは最高裁判所の必要はないのじやないか、普通のエキスパートな判事を持つて来て処理すればいいのじやないか、その意味における増員論に対して私どもは必ずしも不賛成じやございません。ただ、どういう形でとるかということが、今の制度上の問題として研究されておる次第であります。  それからただいま非常に忙がしい、むろん忙がしいのでありますから、これは今のような形でスクリーン制度を設けてやつたら非常に事件が少く、たとえば大法廷の事件が二十八年、二百三十何件ですか、もう少しは多くなると思います。と思いますけれども、全国の判例を統一しなければならんから、やはり大法廷で判例を統一しなければならん場合もできるでしよう、法令の解釈も問題によつては、大法廷でやらなければならないと思います。もう少し事件はふえますが、適当な何かができるのじやないか、それならばむしろ十五人では多う過ぎるのではないか、こういう議論が出て参ります。これは要するに議論でございまて、いろいろ国会のほうでも御考慮願いたいと思います。それからただいまもおつしやいましたが、最高裁判所の判事の給与の問題は、これは御承知のように認証官でございまして、この前のベース・アップのときには、認証官はすべてストップということで、実は衆議院のほうで最高裁判官の研究調査費を出したらどうかという御意見がございました。当委員会においても、そういう御意見がございまして、私どもいろいろ検討いたして参りましたのですが、何といいましても、認証官であるがために、家族手当もつかなければ、勤勉手当もつかない。かえつて下級裁判所の判事、あるいは一般行政官の上のほうが、むしろ実収においては多いような状態であります。これは何とかしなければならないということを私どもは痛感いたしておるのであります。大蔵当局といろいろ折衝いたしておるのですが、本年の予算においてもすでに何とかしてくれということを申し出ておるのですが、なかなか財政当局の同意は得られないのです。そのほかにもう一つ、この裁判所として困ることを言えというお言葉に甘えて申上げますが、裁判所の営繕の問題なんです。これは非常に、私資料を持つて参りませんでしたが、古いものがございました。一番古いものは慶安三年というものがございます。大体明治二十三四年の頃の建物が非常に多い。すべてほとんど改築の時代に達しておる。この営繕の予算に対しても最近政府の方針もございましようが、非常な緊縮をされておるために、これ以上どうにもならんという、今年なんか到底もつて行けないというような裁判所もございます。最近弁護士会あたりも何とかしなければならんと御注意をいただいておるのですが、私どもとしては、あるいは今年度の予算は、六蔵当局と政府との見解が合わない場合には、やむを得ず国会において御判断を願わなければならない。財政法の面からそういう立場で予算を御審議願わなければならないかと思つておりますが、当委員会においても、ぜひそういう点に御理解をお願いいたしておきます。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) それから最後に委員長から御質問申し上げます。  主として議題が最高裁判所の問題についてのお話がありましたが、もつと裁判所全体について、たとえば簡易裁判所の訴訟物件価額を引き上げて事務をやるように、何とか全体について下級裁判所の水準について改善し、裁判事務の迅速化ということについて何か御意見はありませんか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) この裁判所の制度全体についてむろん検討をしなければならん時代に参つておることは申すまでもないのでありますけれども、その一例といたしまして今委員長の申しました簡易裁判所の事物管轄を拡張するというお話でございますが、これは実は民事の事件についてこの前の国会で御審議を願つたときに、今までは簡易裁判所は三万円をこえる事件はやれない、三万円までの事件はやれるというのを、これを十万円まで拡張してもらつたのです。これで大体今の地方裁判所における事件の約四〇%は簡易裁判所に移行して来るのではないか、かように思つております。民事の事件が非常に多くなりまして、地方裁判所が非常に繁忙、忙殺されておるものですから、これによつて大分四〇%近くは救済できるのじやないか、かように思つておるのであります。これも政府原案は二十万円まで拡張しておりました。と申しますのは、戦前の五百円が大体物価指数にいたしまして二十三万円ばかりになる。従つて区裁判所で五百円でやつておつたのだから、二十万円までやつていいじやないかという議論もございます。その代り大体支部所在地の裁判所で簡易裁判所の民事事件を扱わすということが原案に出たのでありますが、国会のほうで一挙に二十万円というのはどうかと思うということと、それから簡易裁判所の性格等から見て、いろいろなそういう点から見まして、十万円というのが適当だろうというので、最近実施されたばかりでありまして、一部地方裁判所の民事事件が漸次簡易裁判所に移つて行きつつあるということも現在の事実であります。刑事につきましては、今のように法制審議会で最高の上告の範囲と関連いたしまして、刑事訴訟法部会において検討されておりますからして、裁判所としてはいろいろ検討いたしておりますけれども、大体まあそういう刑事訴訟法部会の結論の運営について協力して行つておるという次第であります。その他判事補の制度とか、いろいろ裁判官の給与問題ということについているく検討しなければならん問題もございます。研究中でございますが、最近非常にこの問題になりましたる日本弁護士連合会あたりで直ちに立法化するのだ、立法化しなければならんという御意見もあるような次第であります。法曹一元の制度から、弁護士をしたものから裁判官を採る、検事をした者から裁判官を採るということは誠にけつこうなんであります。私どもは法曹一元の制度には賛成なのであります。しかし、私ども今現実に人事を扱つておる私どもの経験から申しまして、今の程度の裁判官の給与では、弁護士さんからいい者は参りません。これにわれわれは苦心をいたしまして、一線弁護士を裁判所に入れようと思つてずいぶん手を廻しお願いをいたすのですけれども、なかなか参りません、今の程度の給与では……。そこでどの程度の収入があるかということで、それじやこれくらいいうことで苦心いたしておりますけれども、ところが志望者がないのかと申しますといろいろと志望者がございますが、各地弁護士会から推薦されて来るのを調べてみますと、その前に事件を起して執行猶予になつたとか……、そういうのはめつたにございませんが、あまり芳ばしくない、大体年が六十近く、六十以上になつておる。これから来ても裁判事務に十分な働きができない、こういうような状態になつておる。誠に矛盾しておる。従つて法曹一元をもし今問題とされてお考え下さるならば、ぜひとも裁判官の給与というものに思い切つた御改善を願わないとイギリスのような制度にしないと、とても法曹一元の制度は、裁判所にはくずばかりが参ることになります。今年の修習生なんかは、弁護士のほうにいい生徒が入りまして、裁判所、検察庁のほうにはいいのも来ておりますが、必ずしも従来通りの成績のいい者が来るということはありませんので、私ども非常に前途を憂えておるのでありますから、どうぞ御参考になりますれば御考慮をわずらわしたいと思います。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 家庭裁判所のことにつきまして、ちよつと伺いたいのであります。地方裁判所から家庭裁判所を独立さしたいということは、かねがねいろいろ問題にしておりますが、まだなおそのことは十分できていないと思つておりますが、現状はいかがなんでございましようか、独立いたしましたのは幾県くらいございましようか、ちよつと伺いたい。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 家庭裁判所の地方裁判所からの独立、形は独立しておるのでありますけれども、実際に設備その他ついてはななかなか行われないのでございまして、庁舎が同じ地方裁判所の中にあるがために、世間から地方裁判所を家庭裁判所と同じように見られておるのでありますが、ただいま独立庁舎は大体十四カ所と思つております。従つてその十四カ所には専任の所長を置いて運営しておりますけれども、同一の建物の中に専任の所長を置いて運営するということは、いろいろな点から必ずしも円滑に運営できないのじやないか。かような点からいたしておりますが、家庭裁判所の庁舎営繕ついてもなかなか財務当局との意見が合わないので非常に苦しんでおるような状態であります。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 所長を別にし、庁舎を別にするということは、結局この事件の取扱を独立したものにするという意味で非常に私大事だと思つております。それで地方に行つてみますというと、まだまだ家庭裁判所のほうの事件いうのは全く地方裁判所のほうの附属事件みたように取り扱われておりますところがずいぶんございますので、これでは仕事本来の点から申しますというと、はなはだ遺憾の点があると存ずるのでございますが、ぜひ庁合も、また所長も、そうしてまた会計も独立さしていただくような一つ努力をしていただきたいということを願つておきます。私どもまた国会でこの点につきましては大いに努力をしなければならないと存じております。  それからいま一つ、今年の予算を見ますというと、医療施設のために十ヵ所八百万円取つてあるかのように記憶しておりますが、間違つていなければ、そのことはずいぶん少額でございますが、一がから考えますというと、これは家庭裁判所のほうの少年審判の部門だけではございません。一般の家庭問題についてずいぶん必要な点もあると思つておりますけれども、少年審判につきまして必要な点のみから考えてみますというと、これは法務省関係の鑑別所と重複するような点がずいぶんあるのじやないかと思つております。そこで大所高所から見ますというと、やはりこの機構を全般的に一つ建直して、もつと鑑別施設、それから医療設備といつたようなものは、どちらにも完備したものがなければならないのではないかという私は長い間の願いを持つておるのでございます。こういう点につきまして、つまり大きい機構の改革といつたような点について最高裁判所で問題になつておるようなことは、ございませんでしようか、ちよつと伺いたいと思います。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) この家庭裁判所の医務室については毎年予算で組入れていただいておりまして、本年は十カ所だつたと思います。これは設備の点もございまして、予算は入つても医務室を設置する場所もないところもございます。しかし地方裁判所の本庁のあるところは、大体医務室の設備はできておると思います。家庭裁判所と今の少年鑑別所と問題等いろいろございますが、なにせ家庭裁判所というのは新しい制度であり、従来の裁判所とは少し興なつた形で発達をして、しかも日本においては非常に国民から親しまれておるというところに家庭裁判所の特徴があるのでございます。私どもも家庭裁判所の運営ということは、いろいろ検討しておるのであります。従つて少年鑑別所の制度とも関連していろいろ問題とは相なつておりますけれども、何分にも所管庁の違うことで、政府の関係のことであつて、裁判所だけの考えでどうということも参りませんが、検討はいたしております。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 先ほど昭和二十八年大法廷の事件が二百二十五件と言われたのですが、この内訳はどうなんでしようか。ほとんど問題なく処理できるものと、それからいわゆる甲論乙駁、そういうようなもののあるのと、相当内容が違うと思うのですが、大ざつぱにどの程度そういう甲論乙駁というやつがそのうちで問題になつているわけですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) ちよつとその個々の事件の内訳については私も携わつておりませんし、また私からも申上げられないと思いますが、二十八年度の大法廷の事件が多いのは、これは私の想像ですが、大体三百二十五号関係の事件が多いのでございます。政令三百二十五号の事件が大法廷に参りましたから、その関係で相当多いのだろうと思いますが、少しほかの年度とは変つて多いように思います。ちよつとほかの年度の点を私今はつきりした数字を持つて参りません。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 つまりその内容といいますか、それをこちらがわかりませんと、判事をふやして非常に時間がかかるという弊害に、陥るか陥らないか、そういうことに関係するものですから、ちよつと聞いたわけですが……。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) これは判例集になつて出たやつをある程度資料として提出すれば、どういう事件が大法廷でやられか、ごらんになれるわけで、全部でなくとも、大体なるほどこういう事件があるということはおわかりになると思います。いずれ資料をもつて御説明申し上げます。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 政令三百二十五号ですと、将来はなくなるわけですから、従つてそういうことが甲論乙駁の主題だつたということになれば、将来はむしろ逆にそういう心配はなくなる。従つて判事増員の三十名があまりにも多う過ぎれば、二十名にしたと仮定して、そうしよつちゆう甲論乙駁が二十人の中で起ることもない、今までの経験から言つて。そういうことになれば、憲法で認める通りの判事二十人ということにたとえしても、そんな程度なら差支えないではないかというふうな結論も出るわけです。だからそういう意味で私お聞きしたわけですから、これはいずれその辺の事情を聞かしてもらいたいとお願いしておきます。  それからこれは委員会で特に聞かんでもいいことですが、裁判所の建物が非常に古いということは一般的にわれわれ考えておりますが、先ほど慶安年間のものがあるということでしたが、これは特殊な例外だろうと思いますが、それは場所はどこのなんですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) それは速記をとめてもらつてもいいのですが、奈良が一番古いです。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 奈良の地裁ですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務総長

○説明員(五鬼上堅磐君) 大体三百年ぐらいたつているのです。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) それでは、午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時から再開いたします。    午前十一時五十九分休憩    —————・—————    午後一時三十七分開会

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き裁判制度に関する件を議題に供します。まず法務大臣より本件に関する法制審議会における審議の状況等につきまして御説明をお願いいたします。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) ただいまお尋ねになりました上訴制度に関しての法制審議会における審議の状況がどういうことになつておるかというお尋ねでありまするから、これにお答え申し上げます。  政府におきましては、さきに民事訴訟法及び刑事訴訟法の改正について研究に着手いたしたのでありまして、法制審議会に対しましては、民事訴訟法及び刑事訴訟法の改正について諮問を発しました。そうして民事及び刑事の上訴制度についても、その改正の一半といたしまして検討することにいたしまして、民事上訴制度につきましては民事訴訟法部会において一応の研究がなされたのでありますが、結局この上訴制度の問題は、単に訴訟手続のみの問題ではありませんので、裁判所の機構につきましても検討しなければ、その根本的な解決は見出されないということになりましたので、昨年の二月法制審議会に対しまして、さらに裁判所の制度の改善について諮問をいたしたのであります。それ以来司法制度部会におきましては、最高裁判所の機構及びこれに関連する上告制度の問題を中一心といたしまして、熱心に調査研究を進めて来たのでありまするが、結論に到達する前に、いわゆる民事上告特例法の有効期間の満了が迫りましたので、この善後措置につきまして協議いたしました結果、この点に関する審議を民事訴訟法部会に移したのであります。そうして民事訴訟法部会におきましては、その善後措置について審議いたしました結果に基いて、さきの第十九国会に裁判所法の一部を改正する法律案及び民事訴訟法等の一部を改正する法律案が提出されまして、これらの法律案が国会で修正可決せられましたことは、御承知の通りであります。    〔委員長退席、理事小野義夫君着席〕  同国会が終了いたしました後、法制審議会におきましては再び活動を開始いたしまして、それまでは司法制度部会が中心となつて上訴制度について審議いたしておりましたのを、審議の促進を図りますために、司法制度部会のほか上訴制度に関係を持ちまする民事訴訟法部会及び刑事訴訟法部会からも各小委員を出しまして、上訴制度に関する合同小委員会を設けまして、ここでこの問題について総合的に調査、審議して具体案をまとめるということになつて、目下鋭意調査、審議中であります。従いまして近い将来には、何らかの結論を得て答申ができるものと期待いたしておる次第であります。  以上が大体法制審議会における審議の状況であります。

小野義夫自由党

○理事(小野義夫君) ただいまの御説明に対しまして御質疑のおありの方は順次御発言を願います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 非常に簡単な経過の御説明がありましたが、上訴制度に関する合同小委員会、これができたようですが、これはいつごろできて、またいろいろお打合等をやつておられるでしようが、正式の会合は今までに何回くらいお開きになつておりますか。そうしてもう一つは、大体今までに民訴部会なり刑訴部会なり司法制度部会等で問題点が出ておるわけでして、おそらく合同委員会はそれらの取りまとめとかいつたようなことになるのでしようが、問題点がすでに合同委員会において集約されるなり、何か整理されるような段階まで行つているのかどうか。そういつた内容的な点をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) 私こまかいことを承知いたしませんので、事務当局の調査課長から申上げます。

位野木益雄法務大臣官房調査課長

○説明員(位野木益雄君) 合同小委員会は八月に発足いたしまして、第一回の会議を三十日に開きました。次回は九月の十七日ということになつております。  審議の内容でありますが、今申されましたように、すでに各部会でいろいろの意見も出ておりますので、論点は相当はつきりして参つておるわけであります。しかしながら、この司法制度部会、民事訴訟法部会及び刑事訴訟法部会の三つの部会、別々な審議をしておつた三つの部会から委員が出ておりますので、お互いにまだ意見が十分にわかつておらないというので、今フリー・トーキングですか、いろいろ問題について意見を述べるという段階であります。その段階が、これはそう長くかからないと思うのですが、それが終つて問題点について討議をするというふうなことになろうかと思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 そういう段階ですと、まだ内容的にいろいろお尋ねするのは少し早いかとも思うのですが、第十九国会で衆議院なり参議院で裁判所制度に関する4委員会を設ける、こういうことになつたいきさつとしては、従来政府が法制審議会等に諮問をしてこの問題を検討しておるが、各種の意見が平行線をたどつて、ほとんどまとまらない。従つて国会のほうでもつと積極的にこの問題にタッチしてもらつたほうがむしろいいかもしれないというふうな意向といいますか、そういうような情勢もありまして、国会のほうでああいう小委員会を設けられていると思うのです。で、まあそう言つたからといつて、国会のほうだけでどんどんいろんな意見を具体的に出して行くということにも参らない点もあろうかと思うのですが、そこで法務当局の意見を少し聞きたいわけです。こういうふうに合同委員会をお作りになつてやるわけですが、意見の調整ができるような一体見通しを持つてやつておられるのかどうか。そういうふうな点どうでしよう。

位野木益雄法務大臣官房調査課長

○説明員(位野木益雄君) おつしやいますように、法制審議会の議事が、期間としてこの問題について審議し始めましてからやや長引いたという点はございますが、審議自体として渋滞したかと申しますと、これは渋滞しておらないと申し上げてよろしいと思います。この問題は御承知のように非常に広範囲に関係いたしますことでありますし、また非常に重要なまた困難な、誰が考えてもぱつとこれならいいという案がなかなか見当らないというような非常にむずかしい問題でもありますので、審議に時間がかかつたということはございますが、初め手続上の問題として審議いたしておりましたのを、裁判所の機構の問題として取り上げましたのは、昨年の二月でありまして、それ以後司法制度部会で機構に関連いたしまして裁判所の機構をどういうふうにして、そうして上訴制度をどういうふうに解決するかということを根本的な観点から検討したのであります。で本年の七月まで審議いたしておつて、大体非常に進捗いたしまして、一応事実の調査といいますか、統計関係とか審理の状態、そういうふうなものを調べまして、それから各委員が意見を述べまして、それから調整の段階に入ろうというときに、民事特例法の有効期間の満了が迫りましたので、この審議を続行すべきかどうかということを諮りましたところ、これはやはり重要問題だからさしあたり特例法の措置について考えて、機構問題はなお審議を続行しようということになりまして、民事上告特例法のことを審議いたしまして、先般の国会に法案を提出いたしました。で、その後国会が終りましてから、さらに機構の問題を取り上げまして、今小委員会をもつて審議中ということでありますので、審議自体としては決して驚いたしておらない。またいろいろ根本的に建前の変つた議論が出ておりますが、われわれ事務当局といたしましては十分審議としてまとまる可能性はあるということを信じておる次第でございます。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 それはやはり時間的な問題があろうと思いますが、次の通常国会までにまとめて、そうして政府の案として法案を出す、そういうふうな見込みは大体ついておるわけでありますか。

位野木益雄法務大臣官房調査課長

○説明員(位野木益雄君) 審議の経過にもよりますので、確たることは申上げられないのでありますが、そう長い期間を要せずしてまとめたいというように考えておりますけれども、今度の通常国会に間に合うかと申されますと、これは仮に案がまとまるといたしましても、方向が近い間にまとまるといたしましても、訴訟法の関係とか、こまかい点も非常に検討を要するの一で、今度の国会にそういうふうなところまで整備いたして法案を提出するということは今のところ困難かと思います。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 衆議院、参議院で裁判制度に関する小委員会を設けて、こまかい点は別として、基本的な考え方について検討しておるわけですね。それとの調整といつたようなことは何かお考えになつているのでしようか。それはそれで政府が法案を出したときにその考え方で批判してもらつたらいいのだというふうな大体考えでしようか。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) 衆議院の法務委員会でこの問題を取り上げられて鋭意御研究中であり、なるべく早く結論を出したいというお考えであることはよく承知いたしております。それに伴うて、法務省で今研究中の法制審議会に対する諮問をなるべく早く結論を出してもらいたいという御希望もあり、その御希望がありましたがために、今回法制審議会の三つの部会から各小委員を出しまして合同小委員会を組織して早く結論を出していただきたい。こういう意味でこの合同小委員会が作られたのであります。先般合同委員会を設けましたあと、できるだけ早く結論に到達するようにお願いをいたしておりますが、ただいまも調査課長が申し上げましたように、なかなか問題が広範で日本の裁判制度の根幹をきめる問題でありまするために、早急に結論が出るということは、ちよつとむずかしいかと思うのであります。そうすると衆議院の法務委員会はこの点についてさらに審議を促進されまして、このほうも早く結論が出る、こういうことになりますと、どうもその間の調整がむずかしくなるので、なるべくならば両方の案が大体同一時期ごろにでき上ることが望ましいと思つておるのでございます。これはそう申しましても衆議院のほうは衆議院のお立場がありますし、また法制審議会は今申し上げましたようになかなかいろいろ問題があつて、急激に結論が出ないということで、ときによると、あるいはこの結論の出方が時期において遅速があると思つております。この点を私どもはすこぶる苦慮いたしておるのであります。法制審議会に対してもなるだけ早く結論を出していただきたいということを常に申し上げて促進を図つておるのであります。

亀田得治日本社会党(第四控室・左)

○亀田得治君 私ども従来の法制審議会の審議の経過等を若干聞いた印象から言いますと今回の場合ももなかなかそう意見の一致というのはむずかしい点があるのじやないか、非常にやはり何と申しますか、自分の立場というものを強く主張される、そういう立場の人がやはり多いわけですから、これはある意味においては非常にいいことなんですが、それだけにやはり従来と同じようなことで進んで行くのではないか、そうすると国会のほうはあまりそういうことは考えておりませんので、どんどん結論を出して行く、国会が一たん出した結論を、そうまた変えるというのは、ちよつとこれは非常にむずかしいことですが、そういう点を十分一つ考えてもらいたいと思います。参議院のほうではまだ実質的なそういう検討に入つておりませんが、小委員長が旅行からお帰りになつて来月に入ればぼつぼつ始める思うのです。その際には、もちろん法制審議会の経過なり衆議院の経過等をも参考にしてわれわれとしても進めることになると思うのですが、進め出しますと、割合い結論は早く出て来ると思うのです。そういう状況ですから一つやはり困難でしようが、審議は促進してほしいですね。一月に一回くらい審議会を開く、そういうのじやなしに、やはり問題点が明確になつて来たら、それを連続開いて行くとか何とか、そこを工夫されてやつてもらいたい。というのは私どもはあとからこの問題に手をつけるわけですから、あとから手をつけたものが現在審議中の委員会の審議状況に無関係でどんどん結論を出すというのは、どうも少し礼儀に失する点もあろうと思います。だがしかしあまり長くなると、これもこつちのそういう小委員会を作つた趣旨がもともと進まないから、それではこちらでも一つ小委員会を作つてみようか、こういうことになつたいきさつもあるわけですから、あまり長くなり過ぎるということはやはりおもしろくない。そういう点一つ十分御鞭撻をお願いしておきますと内容的にお聞きしたい点もありますが、これはいずれまた小委員会等で御説明願うような時期に、十分お託を承わりたいと思います。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) ただいま亀田さんのおつしやつたことはよく承知いたしました。申し上げますように法制審議会は本当の専門家ばかり集つておるものでございますからどうしても議論が多くなることは止むを得ないのであります。そういつまでも議論を繰り返して結論に到達せんということでは困るのでありますけれども、そうかといつて催促ばかりしておつて、どうも圧迫がましい態度をとるというわけにも参りません。しかし今度合同小委員会を設けましたのは、要するになるべく早く結論を出していただくということで、皆さんもこれはよく御了承になつておりますから、近いうちに結論が出ると思つております。そうしておつしやるようにいろいろ議論がたくさんあり、問題点もありますが、あるところに行くと、やはり断をもつてきめなければならぬ時期があると思つております。そういうことでなるだけ早く結論を出して、この法制審議会の促進を図りますために、衆議院のほうの委員会、或いは参議院のほうの委員会が小委員会等をお設けになつた御趣旨がそこにあるわけでありますから、なるべくそれに刺戟されまして早く行くようになればけつこうだと思つております。われわれもせいぜい努力いたします。

小野義夫自由党

○理事(小野義夫君) ほかに何か御質問はございませんか……。

小野義夫自由党

○理事(小野義夫君) 他に御質問がなければ、次に売春対策に関する件を議題に供します。まず法務大臣より売春問題の対策協議会における協議の進行の状況について御説明を願いたいと思います。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) ただいま委員長からお尋ねになりました法務省関係といたしましての売春問題の対策協議会の進行の状況を申し上げます。  売春問題が黙過しがたい実情にありますことにかんがみまして、政府におきましては、すでに御承知のように昨年の十二月十八日に売春問題対策協議会を設けまして、売春行為等の防止及びその取締並びに売春婦の更生保護等に関する諸問題を検討いたしまして、これに関する立法その他総会[的根本対策等を協議して参つたのでありまするが、その間に協議会におきましては、総会を開くこと前後九回、小委員会を開くこと二回、幹事会を三回、懇談会を十七回開催いたして今日に至つておるのであります。  協議会といたしましては、わが国はもちろん世界各国のこの種問題に関しまする立法例、その運営の事情等をも検討いたしまして、この際何ものにもとらわれず、抜本塞源的な対策を樹立いたしたいと存じまして、対象となるべき売春の範囲、売春行為自体の処置、売春行為の予備段階、たとえば道路その他公共の場所における売春婦等本人の周旋、勧誘行為等の措置、売春管理者、娼家経営者等に対する措置、性病対策等の問題につきましても、あらためて再検討をいたしました。さらにこの種事犯、殊に売春婦自体の所為につきましては刑罰をもつて臨みまするほかに、いわゆる保安処分を以て属することが妥当であるとも考えまして、女子の転落防止及び保護更生対策等、あらゆる観点から問題を逐次検討協議を重ねて参つたのであります。帯く第十回の総会を開いてこれまでの協議の結果をとりまとめることとなる模様でありまして、おそらくは内閣に対しましても何らかの意思表示が行わ必る運びとなるものと承知いたしております。  私といたしましては、就任以来この問題の重要性にかんがみまして、中途半端な妥協策をとることではなく、しかしまたいたずら刑罰主義をもつて臨むことも当を得たものであるとは考えないのでありまして、刑罰をもつてこれを律すると共に、女子の転落防止及び保護更生対策の万全を期することによりまして、よくその対策の効を挙げることができるものと信じておるのであります。  協議会といたしましては、来る国会を目標として鋭意協議を重ねていることを承知いたしておりますので、その結論を見ました上は、さらに国家予算の関係等をも考慮いたしまして、引続き協議会の意向をも参酌しつつ、実行し得るもののみからでも逐次実現して行きたいと考えておる次第であります。  以上が協議会の進行の状況であります。

小野義夫自由党

○理事(小野義夫君) ただいまの御説明に対して、御質問のおありの方は御発言を願います。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 私はお忙しい小原法相に対しまして、二、三お伺いしたいと思つております。今売春対策協議会の経過なり、また大臣のこの売春問題に対します御意見も伺つたのでございますが、そういう点につき」ましても二、三お伺い申し上げるのでございます。実は、第二国会に政府が売春等処罰法案なるものを衆議院に提案いたしまして、それは第三国会で完全に流れてしまつたんでございますが、当委員会におきましてはそれ以来、つまり第二国会以来各委員が力を合せてこの実態調査を初めすべての点につきまして今日まで熱心に調査をして参りましたのでございます。犬養元法相にも当委員会から非常な要請をいたしまして、実は売春対策協議会を作つていただいたのでございますが、このことはまあ審議会に持つて行きたいと申しましたけれども、審議会にならないで協議会になりまとた。それでございますが、加藤前法相のときは、幾ら伺いましてもこれはきわめて簡単な問題で、しかし困難な問題だとばかりおつしやつて、少し心細く存じておりましたが、今度の小原法相は確かにこの問題も法相の時代に解決していただけるのじやないかと、実は甚だ失礼な申上げ方でございますが、私どもは期待を持つておるのでございます。それで、先ほども仰せになりましたように、やはりこの問題は生活面、教育面、衛生面等、まあすべての点から今日このくらい深刻な、そして緊急を要する問題は、まあ婦人問題、子供の問題を中心といたしました政治問題や社会問題といたしましても、右に出るものはないんじやないかというくらい私ども心配いたしておるのでございます。  そこで今の問題について第一番にお伺いいたしたいことは、売春婦の更生保護ということが、この売春対策協議会において非常に力を入れて御協議になつておるようでございますが、この面は最もまたむずかしい面でございましようと思つておりますけれども、予算措置も必要でございますが、まず第一番にお伺いいたしたいことは、保安処分という保護処分の面を、立法の面におきまして加えようという御計画でございましようか、それともそれは立法の面でなくて側面からこれをやろうかという意味でございましようか、ちよつとお伺いしておきます。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) 宮城先生にお答えいたします。私は先ほども申しましたように、就任以来この問題に初めてぶつかつたのでありますけれども、元来昔から私は売春取締ということを非常に一つ研究したいと思つて、だいぶんある時代には骨を折つて材料を求めたこともあるのであります。なかなかむずかしい問題でありますけれども、どうしてもこれをやはり取り締つて、まず第一には、表から見て何となくきれいに見えることに国をしなければならない、これが一つの大きな問題、表ばかりきれいになつておつても裏がきたなくては何にもなりませんから、裏のほうも掃除をせんければならん。裏のほうの掃除が第一のむずかしい問題であります。これをするためには、単に売春行為を取り締つて処罰するというだけでは、決してきれいになりません。やはりまず道義の念を高め、教育を高め、生活を豊かにする、こういうようなことをやつて来なければ、この売春行為というものはどうしても少くならんのであります。そういうことをやることがまず第一であろうということを昔から考えておつたのでありますが、これには金が要り、また、なかなか時期がかかます。そこでとりあえず、売春婦が堕落して自然にこういうことになるのでありまするから、これの保護更生をやつて行かなければならん。この保護更生にはただ今どうやるとおつしやいましたが、これには法律を設けることが必要であると思つております。保安処分なり保護更生の面にはやはり法律を作らなければならんと思つておりますが、そういうことをやると共に、一面にはまず売春行為の取締りをやる、そうしてそれをなるべく有効に動かせるようにする、こういうことが必要じやないかと思つておるのであります。実はまだ就任後日が浅くて、御承知のようにいろいろな問題がたくさん参りましたために、この問題に専念しておるわけに参りません。刑事局長が主としてこの問題を扱つておりまするから、あとのこまかいことは刑事局長からまた申し述べさせます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 それで、私どもが十五国会に当委員会の有志で売春等処罰法案というものを出しまして、これは衆議院が解散になりましたので、それこそ即座に流れてしまつたので残念に思つておりましたが、そのときも今の問題が非常に苦労でございました。どうしても保安処分でございますか、保護の面を加味しなかつたらできないであろう。そこで少年法のようなつまり刑罰と保護と両立したもので、できるだけ保護で行きたいのだけれども、やむを得ない場合には刑罰で行こうかというようなことも考えましたのですが、そのまた立法技術が非常に困難でございまして、そのことも実は加えたいままに加えないで出しましたことが、私ども擁案いたしました法案の非常な盲点だつたのでございます。ところが今そういうふうに協議会のほうでお考えになつておりまして、ことに専門家もおいでのことでございますが、どういう形式でと申しますか、保安処分が加えられるのでございますか。あの少年法のような特別法をもつてやるというお考えで、ございましようか、いかがでございましようか。刑事局長からどうぞ。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 私からお答え申し上げます。売春関係の婦女につきまして現在取り扱つております少年と同じように保護のほうを十分考えまして保護処分をする、    〔理事小野義夫君退席、委員長善席〕 刑罰も仮に科するにいたしましても、不定期刑のような保護的な意味が十分加味されたものをもつて婦女に対しますというようなことを婦女については考えております。それと同時に非常に悪質な者につきましては、これは刑事をもつて厳重に取り締らなければならないということで、その方面も考えておるのでございます。問題の娼家経営等の売春業者は、これは従来通り刑罰でもつて処分するという考えでございます。なお、保護処分をいたしまする機関は、新しく作りますものか、あるいは従来の裁判所もしくは裁判所のうちでも家庭裁判所などにやつていたがくのがいいのではないかという考えがありまして、その点につきましては篤と検討中でございます。裁判所などが単なる売春行為をやつた者だけではなくて、売春をするおそれのある者もこの対象にしなければならんというような場合には、売春のおそれがある者というような認定をするだけでも、人権のほうから行きまして相当問題がありますので、これはどうしても相当裁判所に近いような機関でやらなければならないというようなことで、その点につきましても篤と検討中でございます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 先国会で刑法の一部改正で初度目の執行猶予者に保護観察がつく制度ができましたのでございますが、私はあの初度目の執行猶予者に保護観察がついてその保護観察を完全に終えますれば、もう何にもあとかたがなくなるというやり方でございますと、だいぶん広幅に事実においては助かるのじやないか、一度は刑罰をもつて臨むぞと言いながら、結果から言いましたら保護されたということになれば、非常にいいのじやないかと、あの初度目の執行猶予者に保護観察がつく制度が確立いたしましたときには、その意味でも非常に喜んだのでございますが、その点について何かお考えがございましたでしようか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 先般の刑法改正の執行猶予者に対する保護観察制度などを十分参照いたしましてもちろんこの制度のうちには取り入れたいと考えております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 小原大臣、その点についてちよつとお伺いとお願いがございます。この保護観察の制度が今度でもつて初度日の執行猶予にも保護観察がつき掛るということは、これは非常な私、刑事政策の点から申しましたら、ありがたいことだと思つておるのでございますが、それがまた売春婦の問題にも適用されるというようなことになりますれば、今私どもが悩んでおります問題はずいぶん大幅に解決がつくのじやないかと思つておるのでございます。それにつきまして売春婦のみならずこの保護観察を徹底いたしますことは、つまり国家の費用から申しましても保護局あたりの統計を見てみまするというと、十分の一くらいな費用でもつて救い得ることに結果はなつておるようでございますので、大へんいい制度で、今いい運営ができておると信じておりますが、ただ、問題はこれに費用がいかにも少いのでございます。どうか予算措置をもつとこういう方面に一つ充していただきたいということをこの席で特にお願い申上げておきますわけでございます。どうぞそれについての……。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) 今宮城さんのおつしやいましたように、売春をする婦人に対しては保安処分あるいは保護更生の処分をせんければならんことはもちろんでありまして、ただいま刑事局長が申し上げましたように、どうしてもやはり保護観察の制度を婦人たちに与えるということがよかろうと思つております。ちようど宮城さんたちが最も骨をお折りになりましたあの不良少年の保護観察制度ができて非常に成績が挙つてて参りました。今度その保護観察制度が執行猶予者にも及ぶことになりまして、これは非常にいいと思います。要するに今まで保護観察がなかつたために、執行猶予に付したいと思う者も、つい執行猶予に付さないで実刑を科した者が非常に多いのであります。それが実刑を科されればかえつてむしろ再犯者になり得る機会が多いのでありますから、改俊の情の顕著なる初犯者等に対してはできるだけ執行猶予に付することがいいのであります。その執行猶予に付された者が保護観察に付せられることになれば、保護観察制度が非常に生きて参ります。それと同様に、今度この売春の問題に対しても保護観察の制度をこの方面に広げるということでなければ、結局売春問題の取締りあるいは対策のよく行くようにはなりかねると思いまするから、ぜひ必要だと思つておりますが、今もおつしやいましたように、これには非常に金がかかります。予算面において相当たくさんの金が要るのでありまして今折角国費を緊縮しておる制度をとつておるものでありますから、来たるべき国会に予算を要求いたしますとき、十分取れるかどうか、ちよつと問題でありますけれども、それが仮に取れ方が少いといたしましても、まず出発をして行くということが必要じやないかと思います。逐次、何も初めから非常にたくさん要るわけはないのでありますから、逐次必要な経費をだんだん増してもらうということで、とにもかくにも出発をして行くような能勢をとるのがいいのじやないか、こういうふうに考えております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 御意見ありがとうございました。それで刑務所に大人を一人入れますと大体一年の経費は四万円というように政府は説物しております。それから少年は保護施設に入れますというと十万円内外の一年の費用が要るそうでございますが、いずれにいたしましても保全観察に現在使つております費用は、大人も子供もその十分の一内外だという説明でございますので、だからこれは保護観察を拡充いたしますれば、結果から申しましたら政府の財政には非常にプラスになるということになりますので、一つ大上臣もがんばつていただきたいと思つております。  それからいま一つは、現在一年間に警察だけに横挙されております売春関係の人たちが七万から八万というふうにいわれております。でございますが、これを本気になつてこの処分をいたしますということになりますと、ずいぶんの数になると思つておるのでございますが、これに対しましては検察陣、警察陣の非常な大きい理解と協力がなければできないことになりますのでございますが、実際におきましては警察なんかは、所によりますとまあ業者とぐるのような噂も立つておりますのでございますが、一つ両陣営でしつかりやつてもらいたいと思うのでございますが、そういう面は大臣のごらんになつておりますお感じではいかがでございましようか。いよいよこれが立法化されました暁には、総動員してこの而に力を尽していただけましようか、どうでございましようか。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) お答え申します。ただいまお託がありましたように、いよいよこれが立法化されて保護観察をやつて参りまするというと、取扱……、保護観察だけじやありません。その他取締をいたしますというと、売春婦の取締になるべき数は今まで出ている表よりもはるかに多くなるということはむろんであると思います。多くなることはけつこうだと思います。そう多くなつたときに、これが人手が足りないでうまく行くか行かんかというお話ですが、これには警察はもちろんのこと、検察も、労働省も、厚生省も、皆が一致してこの問題をどうしてもなくして、よくして行くということに努力せんければなりませんから、これらの各方面の力を合してやつて参ればできないことはないであろうと存じております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 それにつきまして重ねてお伺いいたしたいのでございますが、転落者の更生面、それから転落一歩前の人たちに対しますところの、つまり転落防止といつたような問題につきまして、実は労働省の婦人少年局あたりで非常に尽力されまして、何か地方の出先機関を督励なさつて、幾らかの予算を要求なさいまして、転落防止、それから転落者の更生、つまり職業補導や、住宅の問題の解決といつたような意味のことをしようとされているかに伺つておりますが、この点いかがでございましようか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 先ほどもちよつと申し上げましたように、売春のおそれがある婦女の場合によつては認定いたしまして、それに対しまする保護を更生施設に加えて行きたいということを考えております。従つてさような婦女を出すような家庭などが非常に困窮しております場合に、それに対しまして金の貸付などもしなければいけないのじやないかというようなことを厚生省、労働省あたりでも考えておりまして、どのくらい金が要るか、どうやつてこれを実行すればよいかというような点について篤と考究中でございます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 最後に小原大臣にお伺いしたいのでございますけれども、実は今全国津々浦々、本当に行届きまして赤線区域ができまして弱つておりま汚のでございますが、その赤線区域のできたわけというのは、終戦直後の二十一年の秋の次官会議のときに、その決定されました中に、この売春行為というものは必要悪だというようなことがきめられておるのでございますが、そのことを公表されました結果、まあ一方から言いますというと、売春が国家によつて公認されたというように誤解されます業者なんかが大手を振つて、まあ今日では自分たちは救済事業をしているのだと豪語いたしておるのでございますが、この救済事業は誠に私ども困つたことと思つておるのでございますけれども、まあこの結果といたしまして、赤線地区或いは青線地区が非常に拡充されました結果、今日では恥を世界にさらしておりますこの状態なのでございますが、私どもはどうかこの次官会議の決定を一日も早く取り消していただきたいと、これは犬養法相のときにも非常にお願いいたしまして何とかします、何とかしますとここでおつしやつて下さいましたが、結果が出ておりませんので……。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) 仰せになりましたように、二十一年にいわゆる必要悪として認めるような次官通牒が出たことは御説の通りであります。これははなはだ今日から見るとよろしくないと思います。その後実際においてはこれは取り消しておるそうでありますが、ただ表向き新たに次官通牒をもつてそれを取り消したということはないのでありますけれども、事実上はこれを認めないようにそれぞれ処賢をいたしておるそうであります。  それからなお、お話になりましたように、とにかくこれが赤線区域は公然と行われるようなことを言われ、あるいはこの種の仕事を慰安隊と称する言葉などもすでにいやなのであります。こういうような言葉をだんだんなくしてしまい、赤線区域が公然と行われるなんという考え方がなくなるようにせんければならんと思つてこれは今刑事局上長とも話しておるのでありますが、次官会議等でもそういうことのないように努めることに話合いができておるそうであります。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 刑事局長にお伺いしたいのでございますが、今の大臣の御答弁の中で、その次官通牒を形式的にはまあ取り消していないけれども、実質的に取り消したというのは、どういうことでお取消しになつたので、ございましようか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 九号勅令が出ましてそれが後に法律化されておりまするので、私どもは法律によつてさようなものが出ておれば、この次官通牒なるものはそのときに消滅したものと考えております。しかしながら実際の面といたしましては取締の力とか、さような違反者の力といいまするか、それが均衡を得ないので、実際上放任行為のようになつて、まあ御承知の通り目にあまるような行動が出ておりますので、この点についてはいかようにして取締つて行かなければならないかという点について苦慮しておるわけでございます。大臣が申し上げましたのは、形式的に前の次官通牒は取り消すというような通牒は出ておりません。しかしながらもうその後に売春はいけないのだという法律が出ておりますので、トさような点から行きまして、法理的にはこれはもう消滅しておると私どもは考えております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 私はこれでよろしいのです。ただ最後に、政府に資料を要求したいと思います。

池田宇右衞門自由党

○池田宇右衞門君 大臣の構想、また日本の再建の上から非常にけつこうなことであると思いますが、一、二お尋ねしますが、御承知の通り日本の現在風紀の頽廃をしておる、殊に青年層においては非常な紊乱を思想上しておるという状態であるが、まずその思想上、教育方面から十分にこれらを是正して行かなければならんと思います。この方面から自然に堕落してそういう行為に入る者がたくさんある現在なのであります。これらとどういう関係をもつて今後是正の方途を講ずるか、この点について一つお尋ねします。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) ただいまお尋ねがありましたように、結局は教育の力に待たなければならんと思います。しかしながら教育の効果が現われるというのは、なかなか年数がかかるのでありまして、それだけに頼つてこれを直そうなどということはとうていできません。やはり一面においては取締をし、一面においてはもちろん教育をどんどん進めて、一般の道徳を高めるということを努めなければならんと思つております。先ほど来お話がありましたように、取締はただ取締だけではいかん。こういう種類の婦人が転落をしないように努めて行かなければならん。それにはこれらに職業を与え生活ができるようにするということが何としても大切であります。またこういう方面に転落しそうな婦人に対しては、先ほど来話がありましたように、保護観察等の制度によりまして早くこれを適当な場所に収用し、あるいは適当な機関によつて説諭、説得をして、かような行為をなさないように努めて行くという一つの制度はあるのでありますが、この制度を確立する、こういうことが大切だと思います。なおまた、教育方面でこれはどうしてもやらなければなりませんが、これは法務省だけの仕事だけでなくして教育及びその他これに関連する各省が皆一つになつてこういうことを考えて行かなければならんと思つております。

池田宇右衞門自由党

○池田宇右衞門君 ただいま大臣の御答弁の中に、制度を設けて職を授けて安定する方面からこれが是正を図るということは、非常に機宜を得た処置であると思う。それで大臣もしその制度が御理想の通りにお運びになりまするなら、その内容をお聞きしたい。もし大臣でなければ刑事局長からでもけつこうです。厚生省及び地方の都道府県のこうした方面まで連絡をして、制度を設けてこそ今のお言葉のことが実現できると思いますが、この点についてどういう制度、どういう職務及び予算は今後どれだけ必要であつてそれをどういう方法において国及び都道府県で捻出するかということについてもう少し掘下げて御答弁を願いたいと思います。

小原直法務大臣

○国務大臣(小原直君) お尋ねのことは御もつともでありますが、私は就任後日浅くしてまだそれらのことを詳しく承知いたしません。しかし保養観察の制度というものは、ずつと昔から司法部、今の法務省の管轄に属してやつておるのであります。この保護観察の制度によつて全国に保護司が数万人できておる。その保護司が熱心にそういう婦女子を指導いたしまして授産、仕事がないものには授産をいたします。いろいろ周旋をして職業を与えてやります。こういうふうなことは特に制度として大体書いたものがあると思つておりますが、今私一々こまかいことは覚えておりません。とにかく一つの制度化したものがあつてそれによつてやつて参つておるのであります。今度この売春のおそれのあるものあるいは、売春をやる婦人たちをそういう制度によつて救おうといたしますると、これはやはり新たに一つの施策が必要だと思つております。それにはやはり保護司と申しますか、やはりこういうものを善導して行く機関と人を設けなければならん、そういう制度は今まだ立つてはおらないと私は今のところは承知しております。しかし何かできておれば……、なおそれについて一種の計画があるそうでありますから局長から……。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) これから申し上げますことは実はまだ検討中で、ございまして、確定案というまでには至つておりませんので、あらかじめ御了承を願いたいと考えます。この売春関係の婦女子につきまして、全国的に保護矯正をして行かなければならんというような建前から、法務省の裁判所関係だけでなくして、厚生省、労働省などにも十分力を貸していただきまして、主として厚生、労働の関係から各地に婦人相談所というようなものを作りまして、その婦人相談所には婦人委員がつめて、この低落に至るような婦女子を十分保護して行くというような考えを持つておるのであります。もちろんこの婦人相談所は児童福祉施設の総合機関としてかようなものを設けたいということで、構想といたしましては相当大きな考えでございます。ただ、この婦人相談所が実際のこの少年保護司などの関係とどのような関係になりまするか、その問の調節がまだ十分についておりませんけれども、どうしてもかようなものが全国的に設置することが必要であつて実際にこの売春行為をしたものだけを対象としては、とうてい根本的な売春対策ができないということで、売春をするおそれがあるもの、さような雰囲気にあるものもこの対象にして抜本塞源的にこの対策を立てて行きたいというようなことを考えております。

池田宇右衞門自由党

○池田宇右衞門君 先ほど刑事局長のお話の間に、将来金融方面において相当これらの緩和を図つてやらなければならん、ただいまのお話で婦人相談所というような、誠に各地方御利用を下さるという方途はけつこうなことであるが、たとえば不況の場合に農村方面の婦人が売られたとか、あるいはその他そういうようなことがあるが、これらのほうは農林中金とかあるいは国民金融とか、それらの金融機関とも連絡をとつて未然に防止する方法もまたこれ考えなければならんと思う。この点について何か今後のお考えがあるかどうか、それからいま一つこれに携つてみずから関係する者に対しても相当考えなければならん。たとえて言えば、売春行為を誘惑とか勧誘とかした者に対しても、今後相当刑罰の範囲を広めなければならん。ことに占領政策以来、占領軍と申しますか、駐留軍と申しますか、外国人が日本人をこの方面に導くものが非常に多い。これは一体十分に警戒かつ行為に対して極めて悪行為をした者に対しては罰則を加える必要があると私は思います。よつてこれらに対する構想を承わりたい。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) ただいまお尋ねの通り折角売春の防止対策をいたしましても、あとからあとから売春婦が出て来るのではいたし方がないので、むしろ売春に至る前にできれば防止したいということで、先ほどちよつと申し上げましたように、非常に困窮して娘を売る、娘を売春婦に出して金を借りるというような困つた立場に置かれたものに対しましては、金まで貸してやろうかというようなことを考えておるのでございます。ただ、具体的にしからばその金がどういう方法で、どこが出すかということまで、はつきりした検討はできておりません。もつともこれは労働省、厚生省の所管でございますので、この売春対策協議会でさような議論が出ておるので申し上げたようなわけでございますが、その協議会の際には、お話の農林中金というような金融機関につきましても十分考慮するように申し伝えたいと存じます。なお売春婦以外の娼家経営者あるいは売春婦を勧誘する者等につきましては、これは何ら保護とかいうようなことを考える必要のないものでありまして、かようなものにつきましては、これは日本人のみならず、日本人以外の外国人につきましても厳重に取り締つて行きたいと私は考えております。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) それでは委員長から一、二お聞きしたいと思いますが、売春制度につきましては、今法務大臣なりあるいは刑事局長からるるお話になりましたごとく、これはおそらく法務省だけで解決のできる問題ではない、むしろ社会制度全体の総合施策があつて初めて解決される問題でありますから、相当これは根本的な問題だろうと思います。ただ、私は東北ですけれども、しばしば予算委員会等におきましても、前の法務大臣から相当これらの問題について法務省としては力こぶを入れようというお話があつたのですが、やはり法務省が法務省として私は力こぶを入れていただきたいと思いますのは、売春婦自体の問題もありますけれども、一番問題はたとえば東北の田舎で、昔の桂庵と申しますか、一つのブローカーがおつて、それが多額の金を取つて、そうしてほとんど家には金は入らん、女には入らん、そうしてほかの地に売却のブローカーをやる。それから都会におきましても娼家経営と申しますか、搾取機関があつて、相当の売春婦に対する中間的なそういう機関があるのでありますが、それらに対して、これはやはり相当われわれから見ますれば、何と申しますか、わずかの金を盗んでも窃盗なりあるいはスリなりで問われるのでありますが、こういうような女のからだをあるいは一生をもとでにして、その中間的に搾取するものについては、あまり法は厳罰に処したということを聞いていないのであります。従つて、それらに対する法の峻厳と申しますか、法の取締と申しますか、一体どういうふうな態度なり、どういうふうな方法で一体臨んでおられるのか。どうもわれわれから見ますると、どうも手ぬるいという感じをせざるを得ないので、その原因が警察当局にあるのか、あるいは検察当局にあるのか、この点についてのもつと根本的な御意見を承わりたいと思います。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 売春婦以外の業者、もしくはこれを勧誘する者などにつきましての取締が手ぬるいではないかというお叱りでございますが、私どもといたしましてはこれらの者につきましては何ら仮借するところなく厳承にやつて行きたいということで、たびたび会同の際にもその旨を検察官諸君にも通じておりますし、求刑などもできるだけ重くやるように考えておるのでございます。もちろんこの法律関係といたしましては、刑法のこの淫行勧誘罪の百八十二条、あるいは略取誘拐の二百二十四条、営利拐取の二百二十五条など罰条はいろいろありますし、その他児童福祉法、あるいは職業安定法、労働基準法、もしくは問題の昭和二十二年の勅令九号というような罰条を適用いたしまして、人身売買に当るような事件につきましては、できるだけ厳重に取り締つて行くように注意はしておるのでございます。ただし、この実際の裁判の実情を見ますると、検事の求刑よりも著るしく軽くなつておるものもございます。またこの検察官や警察官の力が足らずに、実際に犯罪者が横行しておるにかかわらず、これが検挙ができないというようなものもあると存じます。しかしながら、たびたび申し上げますように、かような者につきましては酌量の余地が全然ありませんので、私どもといたしましてはこのし上とも厳重に取締をして行きたいと考えておる次第であります。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) もう一点お聞きしたいのですが、今まで前の法務大臣の犬養さんにお聞きしましても、お話のように売春というものについては総合的な施策が必要であるから、法務省だけではなかなか困難だというお話、それがまあ何かこう売春問題を論じまするときに一つの、われわれから申しますると、逃げ口上になつておるのではないかという感じがするのです。今いわゆる法務省の御自分の御所管になつておられると思う、そういうブローカー並びに中間搾取階級と申しますか、あるいは家屋を提供する、あるいは施設を提供して、そうして婦女子から売淫行為によつてある利得を得ると、こういうのは我々見ましてもいわゆる温泉マークのついているああいうののまあある場所なんかは、その大部分がそういう仲介場所になり、あるいは赤線区域と申しますか、そういうところではますます最近の新聞を見れば一億円なりあるいは二億円の金をかけて、その華美を天下に誇るような広告まで出るほど、ああいう地域の建物が非常にはでになり、施設が非常にはでなんですが、そういうものについては一体どういうふうに検察当局では一体しておられるのか、どうも今の法文なりなんなりが非常に備わつていて、非常に峻厳にやつておられるのだという話は聞くのですが、現実の姿はどうも何ら手を下さんという感じなんですが、それは一体どういう事情で、どういう対策で行くのだとか、もう少しこれは現実を基礎にして御説明を願いたいと思うのです。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) これは委員各位のとくと御承知と存ずるところでございますが、戦争前に公娼が認められております時代におきまして玉の井などに私娼窟があつたのであります。これはもちろん公娼以外の私娼淫売などをやつておつたのでありますが、警察犯処罰令もしくは刑法犯でたびたび取締をいたしておりましても、幾ら取締つても、取締の力関係から行きまして、あとからあとからさような犯行者が出るということで、実際上は公認同様に玉の井、亀戸というような淫売窟ができ上つてしまつたのであります。現在赤線区域におきまして、これは公知の事実といわれるくらいに売春行為が行われていると考えられるのであります。しかしながらこの取締につきましては、実際の力関係から行きまして、前の非常に警察が強力な時代におきましても、なおかつ十分な取締ができなかつたのであつて、現在の警察力、検察力では、とうていこれを一挙に取り締つて全部なくなしてしまうというだけの力関係にはないのであると私は考えるのでございます。ただ、さればこのようなものは全部放任しておいていいかというようなことは、これはもちろんさようなことは考えないのでありまして、目にあまる者からできるだけ検挙して参るということで、現に本年におきましても先ほど申上げた売春婦以外の業者のような者、これはすでに上半期だけで約二万人近くも検挙して処罰の対象といたしております。売春婦につきましても相当数が処罰の対象になつているのでございます。ただ、かような処罰を幾らやりましても、およそごの売春婦の刑罰の範囲もごく軽い刑罰でございまするから、あとからあとからまた犯行が出て来る。赤線区域を取り締りますと、今度は何ら赤線区域でなかつた静粛な住宅街にまでかようなものが及んで来るというので、私どもはまず学校の附近であるとか、あるいは静粛な住宅街とか、目にあまるところから逐次現在の制度でもこれを絶滅して行きたいということで、検挙その他で努力いたしているのであります。しかしながらそれだけではどうしてもこの取締の徹底が期せられませんので、抜本的に保護更生の施設まで十分講じまして検挙が相当であるということが、彼らの売春婦にも十分納得の行くような形におきまして、あるいはまた社会の方面から見ましてもさようなことが当然であるというような世論をバツクにいたしましてかような売春婦を徹底的に取締り、防止して行きたいというような考えから、いろいろな施策を考えている次第でございます。何と申しましてもカ関係その他で赤線区域その他が現に公衆の目にあまるものになつているという点につきましては、恐縮に存じている次第でございます。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) もう一点お聞きしたいが、どうも私ら売春対策というと、何か弱い売春をする婦女子だけがときたま思い出したようにときどき網に引つかかつてそうして送りになる。ところが肝心なそういうものを基礎にして金銭を獲得する、あるいは利得する者については放置している。それで今のお話のようにそれは一挙にいかないというそういう事情はわかります。それならば何かそういう者についてもつと何と申しますか、あまりこうあくどいところの、たとえば利得をしたり、あくどいところのブローカーをしたりとか、何かそういうものについてはもう少し、一体取締つておられるのか、その点が非常にバランスがとれないのじやないか、言いかえればどうも売春問題になると、弱い者だけが何かいつでも一つのそういう社会的なあれで取締られて肝心なそういうことによつて利得する者については多く見逃されておるという感じがするのですが、その点はどうなんですか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 私どもといたしましては、職業安定法であるとか、あるいは労働基準法などを十分活用いたしまして、中間搾取をするような業者については厳重に取締りはしておるつもりでございます。この取締の数を先ほども申上げましたが、売春婦の本年の約半年の総数が五千でございますが、業者の検挙数は約二万になつております。これはわれわれが売春婦よりも売春婦の周りに群つておる業者等につきまして、十分取り締つて行きたいという気持の現われであるというようにお考えを願いたいのでございます。具体的な実例を存じませんが、もし売春婦関係で周旋人あるい業者等で非常にあくどい者があつて、目にあまるようなものがあるような場合におきましては、何かの方法でお知らせ願いますならば、私どものほうといたしましては十分これは取締りに手を尽して行きたいと考えるのでございます。なお、お話の趣旨もございますので、さような点につきましてはさらに一層厳粛に取締つて行きたいと考えるのでございます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 刑事局長に伺いますが、今度の売春対策協議会のほうでは、法案を作ろうとしていらつしやるのでございますか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) さようでございます。全体の処罰法並びにいろいろ保護施設を含めました全体の法案を作ろうじやないかということで、今着々議を進めておる次第でございます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 先国会に衆議院の有志で売春等処罰法案を国会にお出しになりましたね、あれとはずい分内容的にお違いになるものを狙つていらつしやるのでございましようか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) でき上ればどういうことになるか、まだ確定案まで行つておりませんので、はつきりしたことは申上げかねますけれども、ただいまの構想ではもつとずつと大きな法案になるというような考えでございます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 そのときに駐留軍関係ではオンリー、オンリーといいますが、それに対します処罰、それから引きましてはやはり日本流儀に言いますと妾に対する処罰というようなことまで議論が及んでおりますか、どうでございますか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 売春というものは何かというような議論で、結局その対価を得、または得ることを約束して不特定多数の者に性交するというような定義をいたしますると、オンリーというようなものは不特定になるかどうか、その点が疑問がありまして、ただいまの議論の経過ではオンリーなどは入つておらないと記憶しております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 私どもが十五国会に出しました法案の審議のときには、非常にその点が問題になりまして、抜け道としたらただ金銭以上に愛情の問題があるかないかというようなことが非常に議論されたのです。そういうことになりましたのですが、結局これは私どものずるい考えからいたしまして、これは国会で通すためには国会議員の中にはずいぶん妾を持つている人が多いので、これを入れたら通らないから残念ながらやめようじやないかということでやめたのでございます。けれども私本質的に考えましたらこれをやめなかつたら、日本の国に一夫一婦の制度を確立しなかつたら、絶対に私純潔教育の基礎というものはくずれて行くと思つております。そこで私は政府が大幅に、また、ずいぶん刑罰の面も保護の面もすべて網羅したものをお作りになるというような場合には、私はこの妾というようなものも愛情があるとはいいながら、恋愛関係であれは、どんなものでも認めていいかというようなことも十分私この協議会で練つていただきたいと思つております。私これで質問を終ります。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) ほかに御質問ございませんければ……。

長島銀藏自由党

○長島銀藏君 その点に関連して……。売春婦に転落する直接の原因という上りも、あるいは間接かもしれませんが、出版物によつて非常に毒されておるのですがね。その出版物やエロ本みたいなものに対してどういうふうなお考えを持つておられますか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) さようなものにつきましても、何らかの意味において取締をして行かなければならないのじやないかということで、目下検討中でございます。ただ、各地の条例では青少年に害のあるようなエロ出版物につきましては販売等を知事が禁止することができるというような条例がありまして一、二の県ではそのようなものを取締つておる府県もございます。ただ、これは憲法で保障されております言論出版の自由とのかね合もありまして、どの程度にやればさような言論出版の自由に対する侵害にならないか、しかも適確な効果を挙げるかということで、とくと検討中でございます。

長島銀藏自由党

○長島銀藏君 それは憲法二十一条の言論の自由というものを改正なり何なり、解釈上の改正なりしなければ、この問題はとうていできないと思うのですが、法務省当局としては将来の問題でありますから、明確なお答えはできしないと思いますけれども、それらの点についても御研究あらんことを希望いたします。

小野義夫自由党

○小野義夫君 今のこの出版物及び記録、新聞、雑誌それから映画ですね、今私はいろいろ売春問題についても相当意見も持つておりますけれども、これは法案見た上意はいろいろ質問もしたいと思つて今日差控えるのですが、今の国民の基礎、つまり青春の人たちをいやが上にもそういう性慾のほうへ追いやるような、あらゆるそういうものを徹底的に私は取締る必要があるであろうと思います。従いましてこれは占領軍のときには御承知の通りプレス・コードもありその他のことが十分行われたのを独立の瞬間に間に合わなかつた。従つてこれをおつ放してしまつて、ただ憲法で漫然と言論出版の自由というようなところに持つて来ておりますけれども、およそ自由に制約のないものはな。いかなるものにも、所有権は自由だけれども制約がある、あらゆるものについて、人権も自由でありますけれども制約がある。今の性の問題のごときも、これは売春取締と申しましても、ある場合においては人権蹂躙する場合もある。立派なホテルに泊つて、何ら公安を害しない所でも疑いがあれば踏みこんで男女の名誉となにを摘発することができる。またそういうことをやつておる実例も私は知つている。だから一方においてそういう穴を放つておいて、一方においてしりをぬぐおうとするようなことはこれはいけないのだから、もし売春取締規則を論ずるならば、その調査会の中にそういう性慾を挑撥するような種類を同時にその法案の中に私は包含すべきであろうと考えておる。この点についての御研究をむしろ怠つておるので、ただいろいろ更正施設いろいろそれもけつこうだけれども、おそらくそれは百万になんなんとするところの婦女子、これから発生するところの人口増加から起るところの非常な社会問題をそういう施設で解決しようという、理想はけうだけれども、実際的には非常に困難だ。ですからその元を正さなければ、その元をどうしてもここにそういうようなものを、同時にそういう写真だとか、またはなはだしく不潔なことが流行しておるということも承知しておる。こういうのはむしろ極刊五年、十年の懲役に値するようなものもないとは言えない。そうでありますから、私は対策協議会においては、まずもつてその点も非常に強く取り上げて、どうしてそういうような悪思想を阻止することができるか、これは憲法に保障されておる、しかし漫然と憲法を金科玉条とはできません。憲法に書いておる自由も、必器よつてはどんどんと法律の中で制限して行かなければならん。従つて私は今の調査会は不十分だとこういう見解を持つておるので、そういう点について十分な御検討があれば、それでいいのですけれども、おそらく今の御答弁の中にはそういう種類のものは検討していないということで、これは大へんな手落ちだと思う、こういうふうに考えます。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 文化財に関する委員会がありまして、今のエログロの出版物につきまして、いかにしてこれを取り締つて行くかというようなことも、篤と協議はしておるのであります。ことにこのエロの関係は比較的まだ取締りがしやすいので、あまり大きなものは刑法の公然猥褻罪をも成立いたしますので、現にその法条を適用いたしまして処分した実例もございます。グロの関係になりますると、ちよつとこれは直ちに刑法の罰条の適用があるかどうか多少疑問もありますので、さような点も含めまして、又刑法の百七十五条にすぐ該当しないというような事例についていかようにしてさようなエロの悪影響を防止するかという点につきましても、お話の御趣旨もございまるので、さらにいろいろな意味において検討して行きたいと存ずる次第でございます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 政府に資料の要求止お願いしたいのです。刑法の百八十三条淫行勧誘の罪でございます。それから労働基準法違反の十七条、児童福祉法の三十四条、それから職安法、少年法それから勅令九号、こういうことによりました違反の事件、その内容でございまして、これは私の手許に政府から来ておりますのは二十七年度分でございましてもう二十八年度分ができておると思いますが、これ、井本さんに伺えばわかるかもしれない、あるいはもらつておりますか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 二十九年の六月までできておりますが、もしお手許まで参つておらなければ、さつそく調成いたしまして差し上げたいと存じます。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 八年度分は印刷にでもなつておりましようか。

井本台吉法務省刑事局長

○説明員(井本台吉君) 二十九年の上半期までできております。

宮城タマヨ緑風会

○宮城タマヨ君 それが印刷になつて私どもへ来ておりますか、私探しましても……、どうぞその資料がいただきたい。それから法務省で調べて、国警のほうを通じていただくほうがいいかもしれませんが、各都道府県、市町村に条例ができておると思いますが、今日では六十カ所以上と思つておりますが、こういうところでもその地方条例によつて検挙されております状態でございますね。これを警察のほうから資料をお取りよせになつてこれも同時にいただきたいと思います。これをお願い申し上げておきたい。

高橋進太郎自由党

○委員長(高橋進太郎君) それではこの程度で散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後三時五分散会

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