補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第6号
- 発言数
- 16 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/03/20
会議録
○委員長(松永義雄君) これより特別委員会を開会いたします。 補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題に供します。質疑を行う前に本委員会の審議日程について御報告いたします。実は十六日の委員長及び理事打合会で、十八日午後一時より及び二十日午前十時の二回総括質問に充てることにきめたのでありますが、十八日は御承知のように本会議が午後も引続き開かれ、総理等の出席も不可能のため、理事の方々と協議の結果委員会をとりやめたような次第でございます。従つて本日総括質問を行い、自後の日程に関しましては、本日の委員会散会後理事会を開いて改めて協議することになつております。以上御報告申上げます。 それでは本法案に関する質疑を行います。政府委員として出席されているのは佐藤法制局長官でございます。
○千田正君 このたび政府提案にかかつておりますところの、補助金等の臨時特例等に関する法律案について法制局長官にお尋ねしたいのでありますが、それは我々もとより法律の専門家でないから法律家と同じようないろいろな面からの検討はできにくいのでありますが、このたびのこの法案の内容を見ますると関係する行政官庁が六省に至つており、而も改廃或いは提出すべきところの法律というものが、曽つての議員立法によつた点が大体十三くらいあるのでありますが、議員立法として而も中には一定の期間をおいて本年の四月一日から実施しなければならないというような法律があるのであります。これの対象となるところの農民なり漁民なりというものが、本年四月一日から実行するということをすでに告示されており、それに対して訓令されている。そういう非常にこの法案が出たために国民が或る程度の期待を失うという面、それから地方自治体の財政そのものに相当の影響がある、こういう二点を勘案しましたときに、この法案というものは要するに政府がこのたびの緊縮予算、一兆円という予算を実施するに当り、その予算の範囲内において行わなければならない面を或る程度この法案を以てつじつまを合わしていこう、こういう意図があるように見えるのであります。そこで先ず第一に国の立法最高機関であるところの国会で両院を通過した法律に対し、更に政府のいわゆる実施上政府提案としてこういう法案を出して来て議員立法を或る程度制約するということは憲法上の違反ではないかという疑義がありますので、この点はどういうふうにお考えになつておられるか、一応その点を承わりたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 御尤もな御疑念と思いますが、憲法上の建前からいたしますと、申すまでもなく国会が唯一の立法機関となつております。従いまして法律の制定そのものは国会以外になさる機関はないわけであるのであります。ところがその国会で御審議になります案文といいますか、その御審議の種をお出しすることは一体どこから出るかということになりますと、唯一の立法機関でありますから、常識上立法機関に属せられる各議員かたがお出しになることは筋からいつて当然であります。そのほかに内閣に提案権があるかないかということが、第一回国会から曽つて問題になつたことがあつたのであります。私どもの憲法解釈といたしましては、議院内閣制をとつている今日の憲法の建前からいつて、或いは又憲法七十二条で総理大臣が内閣を代表して議案を提出するという権能も憲法に謳われているというような建前から、内閣も又提案権を持つということで、今日までたくさん御提案を申上げて来ているわけであります。但し提案権が内閣にありますからといつて、先ほども申上げましたように、これは御審議の材料と申しますか原案を提案するだけのことであつて、それを最後に法律として御制定になる、法律の形として仕上げて頂くのは、いずれもやはり唯一の立法機関としての国会の権能であるわけであります。そういう建前から申しますと、今まで出ております、或いは成立いたしました法律の中には、政府提案の法律もございましようし、又今のお話にありましたような議長提案によつてできた法律もございますけれども、これはただその法律ができるまでのいきさつの違いでございまして、いずれも最終的には国会が御制定になつたという建前に考えなければならないわけであります。従いまして只今のお話に出て参ります今度の特例案の中には、議員立法にかかるものもありますし、或いは政府の提案のものもあつたでありましようが、これは飽くまでもそのいきさつにとどまるのでありまして、立法機関としての国会がいずれも御制定になつたものであります。それを今度は政府の見るところによつてどうしても直して頂きたいという場合は、これはあらゆる法律についても生じ得ることであります。その場合にはやはりその直して頂きたいという趣旨の法律案を御提案申上げて国会の御審議をお願いする、これは私は又憲法の建前からいつて当然のことであろうと思う。但し最終的にそれをお取上げになるかならんかは、これは立法機関としての国会の御裁定に待つということが筋合になることと思つております。
○千田正君 今の長官のおつしやる点は、内閣にも提案権がある、立法の最終的な審議決定は国会がこれはなすべきである、これは当然のことと思うのでありますが、ただ法律の効果を狙う点から考えた場合においては、こういう広範に亘る法律を制定する場合においては、やはり今までの存続しておつた法律に対して一応これを改廃するか、或いは同時立法としてこれを同時に提案するのがむしろ法律の効果を期する上においては妥当ではないかと思うのですが、その点はどうでありますか。
○政府委員(佐藤達夫君) 今の最後のところのお言葉がちよつとはつきりいたしませんでしたので……。
○千田正君 例えば今これに関係するところの法律が相当ありますが、議員立法のほうは十三くらいあつたわけですね。ですからこれを提案する前におのおのの法律に対して改正法案を提案するか、或いはこれと同時審議して一方をやはり改正し、これを完全なる法律としてやらせるというほうが、実際効果というのはそのほうがはつきりしていいのじやないかというのです。
○政府委員(佐藤達夫君) 誤解しておりますかも知りませんが、私どもは今のお尋ねから考えますことは、第一にはこの法律案はこのおのおのの、例えば社会教育法というものを直接改正する手続をとらずして、当分の間こういう特例によるというような形につている点についての御疑問のように思うわけであります。これは立法の方法といたしましては、只今お言葉に出ましたように社会教育法の一部を改正するという形でこの狙つております改正といいますか、この特例として狙つておりますところを改正の中に加えて社会教育法の中にはめ込んでしまうという考え方もあるのでございます。ただ私どもがなぜこういう形をとりましたかと申しますと、要するにこの趣旨は当分の間いわゆる財政上の緊迫性の続いておる間だけの特例にしたいという趣旨で、今の社会教育法にはめ込んでしまうといういわゆる固定した形をとりませんで、暫定的な特例という形をとりたいということから特にこの形式をとつたわけであります。そういうことでございます。
○千田正君 そこでそういう点から考えた場合において、この内容を審議していると、例えば今おつしやつたような社会教育法の関係の定時制高等学校に対するところの補助の打切りとか停止であるとか、或いは社会保障制度の一環をなすところの児童福祉法に対する問題であるとか、或いは生産部面であるところの農業や漁業に対する問題、こういう常識的に考えていつてもこれらの改廃が相当影響するところが大きいものと、それから中にはモーター・ポートの競走に対するところの助成金であるとか、自転車競技であるとか、或いは現在問題になつているところの外航船舶に対するところの建造の利子補給であるとか、こういうものを一緒くたにして同時に出して来ているというところに、法の目的に対して、それは法律的にはあなたのおつしやる通り疑義はないかも知れません、法的技術においては決して疑義はないかも知れませんけれども、法の建前からいつて妥当性を欠いているのじやないか。この点について伺いたい。
○政府委員(佐藤達夫君) これは極めて適切なお尋ねだと思います。ただ私どものこういう形をとりました趣旨は、例えば社会教育法で申しますると社、会教育の政策の面から参りまして、どうもこれほどまでに補助金をやる必要はなかつたということで、社会教育上の政策から補助金を切下げるという独自の強い要請がその部面について働いているといたしますならば、やはり社会教育法だけを取上げて御議論を願う。或いは利子補給についてもこの関係の政策からどうもこれは強く改める必要が出て来るということでありますならば、それだけの問題として御審議を願うということが私は卒直に申上げて自然の形だろうと思います。又お気持もそうだろうと思います。ただ最初のお言葉にもありましたように、今回のこの措置というものは財政の緊縮という大きな一つの要請がありまして、その一つの要請からあらゆる法律を眺めてみて、そうしてその面からの必要な手当を加えるという趣旨でありまして、狙いは一つでありその狙いの下にいろいろな法律に修正の必要性が起つて来たということでありますために、かようにいろいろな法律を一緒に並べて御審議をお願いするという形をとつたわけであります。こういう形は御承知のように先回期限が切れてしまう法律のどうしても手当をお願いしなければならんというわけで、切れかかつている法律を十六ばかり並べまして、その期限延長の御処置を緊急集会でお願いしたわけであります。曽つての先例からいいましても一つの方針から出て来る手当というような場合には、それに関係のある法律を一括して御審議をお願いするという建前とつて参つているわけであります。
○千田正君 今御説明にありました通り政府としまては、今度の一兆円予算の緊縮という一つのデフレ政策を打立てるという裏付としての法律であるということは、今御説明の通りでありますが、我々は財政一般から考えてみても果してこういうものを出してこうした制約をしたほうがいいか、或いはまだまだ研究の緒につかない、例えば原子炉の調査資料というようなものを含んだ財政処置をなされるというような、これは長官にこういうことを言つても受持の分野が違うという御返事を頂けばそれだけの話になりますが、今の予算措置において我々がそのウエイトがどつちが重いかということを考えた場合に、必ずしもこういうのを切らなくちやならんという理由にはならない。やはり法律というものは普遍妥当性を持つて、そして万民が期待し万民がそれを享受するということがやはり憲法の建前であり、立法の精神でなければならん。こういう観点に立つて私は多少法的技術においては仮に現在の法律においては疑義がないといたしましても、立法の精神においていわゆる国民の社会福祉というようなことを起点として考えた場合の法律の点において、果してこれが妥当であるかどうかという点に私は疑義があるのでありまして、この点について先般衆議院において学者とか或いはその道の人たちを招聘して一応参考意見を聞いたそうでありますが、その内容はよくわからんけれども、その中に憲法に疑義があるということを唱えられた参考人があつたそうですが、その点を長官が御存じであれば、どこにそういう疑点があるのかという点を若しもここで我々に参考に御意見を聞かして頂ければありがたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 私も衆議院の特別委員会の参考人の供述をお聞きになつている場所へ初めからおりませんでしたけれども、ちよつとあとから入つて聞いておりましたので、私の了解しておりますところをお取次ぎ申上げたいと思いますが、あのときは学者をたしか二人呼んでおります。衆議院のほうでの御質問の重点は、先ほど私もちよつと触れましたが非常な根本論なんで、一体現行憲法の下において内閣に法律の提案権があるかどうかということをあの委員会の実は綱島委員というのが非常にその方面に御関心をお持ちなんでして、その方向からの意見の聴取ということが私は重点であつたように思います。その点につきましては鈴木安藏という静岡大学の教授が出ておりましが、この人は最初から内閣には提案権がないという議論なんであります。そのことを述べておりました。それからそのあとに商大の教授が、田上君でしたかその点については内閣に提案権があるという方向の説明をしておつたのであります。私のおる場面ではそういうことが重点でありましたが、あとでこれは伝聞でありますから何ですが、もう一つの問題は、予算と法律との関係についてあの衆議院の特別委員会では、一体予算を編成するときに法律をもはやちやんと直した上で編成しなければいかんのじやないか。法律は現行法のままでほつておいて、そうしてその現行法に矛盾するような予算を組むということは、予算と法律の関係の大きな矛盾であつて、よくないことじやないかということの又大きな御疑問があの委員会にあつたわけです。その点についての御質問がやはり二人の参考人に対してあつたように聞いております。二人の参考人はこれは私の聞いたところでは、どうもその辺については成るほど疑問がある、これは私は率直に申しますが、疑問があるということをどうも言つておつたということを私の同僚の者が聞いて参つております。大体問題の重点は今の内閣に提案権があるかということ、法律を先に直してから予算を組むべきではないかという議論であつたように心得ております。
○千田正君 まあ法理論的にはいろいろなこともあるでしようが、現行法律においては疑義があるとしても内閣には提案のあれがあるわけなんですから、ただその審議をして決定をするというのは国会の両院にあるわけであつて、その衆議院の決定が果していわゆる国民の期待するような、福祉国家としてのいわゆる本当に万民が待望するような法律であるかどうか。前あつた法律がいわゆる国民が享受しておつた法律であつて、今度出るところのこうした法律によつて国民の利益が阻害されないかどうかというところに我々議員としての良識なり或いは判断なりがあるわけであつて、その点においては技術的においてはそう大した問題にしておらんけれども、根本的に立法の精神がどこにあるかという、これが我々が特に聞きたいので。というのは今も繰返して言うように法律というものは軽々に出すべきではない、同時にそれは国民の利益を守るという一つの大きな根本の理想の下に打立てられたのが法律でなければならないという観点から言いまして、この立法が果して万民が期待し、或いは今まで現存しておつたところのいわゆる国民の利益を阻害しないかどうかという点に我々は疑問があるので、この点は観点が違うといえばそれまでですけれども、長官からどういうふうに考えられるか伺いたい。
○政府委員(佐藤達夫君) 先ほどお察しのお言葉がありましたように、実は私からお答えするのが筋かどうか存じませんけれども、これは法律的に考えてみますと、要するに緊縮予算という大きな政策というものが国民のためにいいことか悪いことか、これがいいことであるとすれば非常なる大多数の国民に対してどうしても緊縮予算というものをとつて行かなければならん、これが利益であるということになるわけであります。その一つの犠牲という言葉を使いますと、大蔵省は少し不満かも知れませんけれども、その一つの犠牲として或る種の補助金に対しての節約をせぢるを得ない。そうすると今お言葉にありましたように、その補助金の直接の利害関係者というものは困ることは事実であります。そこで直接の利害関係者の困るという不利益と、それから緊縮予算というものの必要性ということの私は関連において、これは国会において御審議になつて然るべき政治上の問題であると思うわけであります。但し政府といたしましてはこれはやむを得ない、こういう措置をとることが大きな高い見地から言つて国家全体のために利益であるということから多少の犠牲を忍んで頂く。これはやむを得ないことであるという建前で御提案申上げておりますから、これは又極力誠意を披瀝してやむを得ざる理由というものを御説明申上げまして、是非通して頂きたいということは政府としては申上げざるを得ませんけれども、併し法律的に見ればその点は国会のやはり審議の内容になるべきであるというふうに考えます。
○千田正君 結局今のお言葉によると、我々としてはやはり予算の内容というものを検討してこの法律に対する最終決定に資さなければならない。現在の緊縮予算なるものが果して緊縮であるかどうか、これはいろいろな経済現象、素因をついて考えて行かなければならない。今おつしやつたようにこういうことを切ることによつて緊縮予算が国民に利益になり、一般にインフレを或る程度制約してデフレによつて国民生活の安定基準を求めようという大きなことはわかりますが、そうなると、あの予算の内容におけるところのMSAという援助を果して引受けたほうが国民のいわゆる本当の利益であるかどうか、原子炉を作るということは果して今の段階において国民の利益であるかどうか。こうなるとやはりあの予算の内容というものを再検討し、あらゆる角度から研究した上で、この法案というものは果して国民の利益を阻害せずにやれるかどうか、出されておる現在の予算が全国民に対するるところの耐乏予算という銘を打つているけれども、果してそれが耐乏になるのがどうか。日本の全国民の将来の利益になるかどうかということは、おのおのこれは見解が又違つて来ますので、それを集約して最終決定して一体この法案というものは果してこれは政府が提案のように、国民の利益になるかどうかということは我々が決定しなければならんことでありますが、とにかく立法の精神そのものに私は疑義日あるので、今まであなたの所信を聞かして頂いたわけであります。 なお本日出席しておられない委員の中にも同様或いはより以上深く研究しておつて疑義があるかたもあると思いますが、私は次の機会に又研究しまして疑義がありましたらお伺いします。
○委員長(松永義雄君) 他に法制局長官にお尋ねのかたございませんか。………それでは一応ないものと認めます。どうも御苦労様でした。 なお今日は総括質問ですからこぞつて政府委員のかたから出席してもらわなければならないのですけれども、今のところ佐藤大蔵省主計局総務課長が出席されておりますが、その他政府委員の中で御請求があれば早速要請して出席してもらうようにいたしますが、何か御希望はございませんか。 ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(松永義雄君) 速記を始めて下さい。 他に御発言がないようでありますから本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三分散会